JP2006041396A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Abstract

【課題】 高効率および長寿命な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することである。
【解決手段】 有機EL素子100は、基板1上にホール注入電極2、ホール注入層3、ホール輸送層4、発光層5、発光アシスト層6、電子輸送層7および電子注入電極8が順に積層された構造を有する。発光層5のホスト材料には、ホール輸送材料が用いられる。発光アシスト層6は光励起発光量子収率の高いTBADNからなる。励起子を生成する役割と励起エネルギーを発光に変換する役割とが発光アシスト層6と発光層5とで分担される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
近年、情報機器の多様化に伴い、一般に使用されているCRT(陰極線管)に比べて消費電力が少ない平面表示素子に対するニーズが高まってきている。このような平面表示素子の一つとして、高効率・薄型・軽量・低視野角依存性等の特徴を有する有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機EL素子と略記する。)素子が注目されている。
有機EL素子は、ホール注入電極と電子注入電極との間に、ホール輸送層、発光層および電子輸送層が順に形成された積層構造を有する。
従来の有機EL素子においては、電子輸送層として、例えば、トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Tris(8-hydroxyquinolinato)aluminum:以下、Alq3と略記する)等が一般に広く用いられてきた。
しかし、上記のAlq3は電子移動度が低い。そのため、電子輸送層としてAlq3を用いた場合、発光層へ十分な電子を注入しようとすると駆動電圧が高くなり、消費電力が大きくなる。
非特許文献1には、Alq3よりも高い電子移動度を有する材料としてフェナントロリン誘導体が報告されている。
Appl.Phys.Lett.,Vol.76,No.2,10 January 2000,p197-199
しかしながら、上記の非特許文献1に記載されているような電子移動度の高い材料を電子輸送層として用いた場合、有機EL素子内における電子とホールとの再結合領域がホール注入電極側に移動し、ホール輸送層に到達する電子の量が多くなる。ホール輸送層の材料として一般的に用いられているトリアリールアミンは、電子を受け入れると非常に不安定になり劣化する。その結果、有機EL素子の駆動電圧は低下するが、発光寿命が短くなる。
本発明の目的は、高効率および長寿命な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することである。
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、ホール注入電極と、発光層と、電子注入電極とを順に備え、発光層と電子注入電極との間にホールと電子とを再結合させる電荷再結合層をさらに備えたものである。
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子においては、発光層と電子注入電極との間にホールと電子とを再結合させる電荷再結合層が設けられている。それにより、励起子を生成する役割と励起エネルギーを発光に変換する役割とが電荷再結合層と発光層とで分担されるので、励起子の生成および励起エネルギーの発光への変換がともに効率よく行われる。その結果、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率が高くなる。
また、電荷再結合層が発光層の電子注入電極側に設けられるので、ホールと電子との再結合領域が電子注入電極側へ移動する。それにより、ホールと再結合することなくホール注入電極側の層へ到達する電子が低減され、ホール注入電極側の層の劣化を十分に防止することができる。その結果、有機エレクトロルミネッセンス素子の寿命を長くすることができる。
電荷再結合層は、式(1)に示される分子構造を有するアントラセン誘導体からなり、式(1)中のAr1〜Ar4は同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族置換基または芳香族置換基であり、nは1〜3の整数であってもよい。
Figure 2006041396
この場合、電荷再結合層において生成される励起子の励起エネルギーが熱に変換される割合が低くなる。それにより、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率がより高くなる。
式(1)中のAr1〜Ar4は同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素数が4以下の脂肪族置換基または炭素数が16以下の芳香族置換基であってもよい。この場合、アントラセン誘導体の分子量が小さくなるので、電荷再結合層の作製時における真空蒸着が容易になる。
電荷再結合層は、式(4)で示される分子構造を有するターシャリー-ブチル置換ジナフチルアントラセン(tert-butyl substituted dinaphthylanthracene)からなってもよい。
Figure 2006041396
この場合、電荷再結合層において生成される励起子の励起エネルギーが熱に変換される割合がより低くなる。それにより、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率が十分に高くなる。また、ターシャリー-ブチル置換ジナフチルアントラセン(tert-butyl substituted dinaphthylanthracene)の分子量は小さいので、電荷再結合層の作製時における真空蒸着が容易になる。
電荷再結合層は、補助ドーパントをさらに含んでもよい。この場合、補助ドーパントは発光層の発光ドーパントへの励起エネルギーの移動を補助する。それにより、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率がより高くなる。
補助ドーパントは、式(5)で示される分子構造を有する1,4,7,10-テトラ-ターシャリー-ブチルペリレン(5,12-Bis(4-tert-butylphenyl)-naphthacene)からなってもよい。
Figure 2006041396
この場合、補助ドーパントは発光層の発光ドーパントへの励起エネルギーの移動を補助する。それにより、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率が十分に高くなる。
発光層は、ホスト材料として式(6)で示される分子構造を有するトリアリールアミンを含み、式(6)中のAr5〜Ar7は同一または異なり、芳香族置換基であってもよい。
Figure 2006041396
この場合、発光層はホールを輸送する役割も担う。それにより、ホールと電子との再結合領域が電子注入電極側へ移動する。したがって、ホールと再結合することなくホール注入電極側の層へ到達する電子が低減され、ホール注入電極側の層の劣化を十分に防止することができる。その結果、有機エレクトロルミネッセンス素子の寿命をより長くすることができる。
式(6)中のAr5〜Ar7は同一または異なり、炭素数が16以下の芳香族置換基であってもよい。この場合、トリアリールアミンの分子量が小さくなるので、発光層の作製時における真空蒸着が容易になる。
発光層は、ホスト材料として式(7)で示される分子構造を有するベンジジン誘導体を含み、式(7)中のAr8〜Ar11は同一または異なり、芳香族置換基であってもよい。
Figure 2006041396
この場合、発光層はホールを輸送する役割も担う。それにより、ホールと電子との再結合領域が電子注入電極側へ移動する。したがって、ホールと再結合することなくホール注入電極側の層へ到達する電子が低減され、ホール注入電極側の層の劣化を十分に防止することができる。その結果、有機エレクトロルミネッセンス素子の寿命をより長くすることができる。
式(7)中のAr8〜Ar11は同一または異なり、炭素数が16以下の芳香族置換基であってもよい。この場合、ベンジジン誘導体の分子量が小さくなるので、発光層の作製時における真空蒸着が容易になる。
発光層は、ホスト材料として式(8)で示される分子構造を有するN,N'-ジ(1-ナフチル)-N,N'-ジフェニル-ベンジジン(N,N'-Di(1-naphthyl)-N,N'-diphenyl-benzidine)を含んでもよい。
Figure 2006041396
この場合、発光層はホールを輸送する役割も担う。それにより、ホールと電子との再結合領域が電子注入電極側へ移動する。したがって、ホールと再結合することなくホール注入電極側の層へ到達する電子が低減され、ホール注入電極側の層の劣化を十分に防止することができる。その結果、有機エレクトロルミネッセンス素子の寿命をより長くすることができる。また、N,N'-ジ(1-ナフチル)-N,N'-ジフェニル-ベンジジン(N,N'-Di(1-naphthyl)-N,N'-diphenyl-benzidine)の分子量は小さいので、発光層の作製時における真空蒸着が容易になる
発光層は、ホスト材料として式(9)で示される分子構造を有するトリフェニルアミン誘導体を含み、式(9)中のAr12〜Ar14は同一または異なり、芳香族置換基であってもよい。
Figure 2006041396
この場合、発光層はホールを輸送する役割も担う。それにより、ホールと電子との再結合領域が電子注入電極側へ移動する。したがって、ホールと再結合することなくホール注入電極側の層へ到達する電子が低減され、ホール注入電極側の層の劣化を十分に防止することができる。その結果、有機エレクトロルミネッセンス素子の寿命をより長くすることができる。
式(9)中のAr12〜Ar14は同一または異なり、炭素数が16以下の芳香族置換基であってもよい。この場合、トリフェニルアミン誘導体の分子量が小さくなるので、発光層の作製時における真空蒸着が容易になる。
発光層は、発光ドーパントとして式(10)で示される分子構造を有するテトラセン誘導体を0.1〜10重量%含み、式(10)中のAr15〜Ar18は同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族置換基または芳香族置換基であってもよい。
Figure 2006041396
この場合、電子がホールと再結合することなく電荷再結合層を通り抜け出てきた場合においても、その電子は発光ドーパントによってトラップされる。それにより、ホール注入電極側の層へ到達する電子が低減され、ホール注入電極側の層の劣化を十分に防止することができる。また、発光層のホスト材料の劣化も十分に防止される。これらの結果、有機エレクトロルミネッセンス素子の寿命をより長くすることができる。
式(10)中のAr15〜Ar18は同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素数が4以下の脂肪族置換基または炭素数が16以下の芳香族置換基であってもよい。この場合、テトラセン誘導体の分子量が小さくなるので、発光層の作製時における真空蒸着が容易になる。
発光層は、発光ドーパントとして式(11)で示される分子構造を有する5,12-ビス(4-ターシャリー-ブチルフェニル)-ナフタセン(5,12-Bis(4-tert-butylphenyl)-naphthacene)を0.1〜10重量%含んでもよい。
Figure 2006041396
この場合、電子がホールと再結合することなく電荷再結合層を通り抜け出てきた場合においても、その電子は発光ドーパントによってトラップされる。それにより、ホール注入電極側の層へ到達する電子が低減され、ホール注入電極側の層の劣化を十分に防止することができる。また、発光層のホスト材料の劣化も十分に防止される。これらの結果、有機エレクトロルミネッセンス素子の寿命をより長くすることができる。また、5,12-ビス(4-ターシャリー-ブチルフェニル)-ナフタセン(5,12-Bis(4-tert-butylphenyl)-naphthacene)の分子量は小さいので、発光層の作製時における真空蒸着が容易になる。また、高効率な緑色光の取り出しが可能である。
発光層は、発光ドーパントとして式(12)で示される分子構造を有するペリレン誘導体を0.1〜10重量%含み、式(12)中のAr19〜Ar22は同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族置換基または芳香族置換基であってもよい。
Figure 2006041396
この場合、電子がホールと再結合することなく電荷再結合層を通り抜け出てきた場合においても、その電子は発光ドーパントによってトラップされる。それにより、ホール注入電極側の層へ到達する電子が低減され、ホール注入電極側の層の劣化を十分に防止することができる。また、発光層のホスト材料の劣化も十分に防止される。これらの結果、有機エレクトロルミネッセンス素子の寿命を長くすることができる。
式(12)中のAr19〜Ar22は同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素数が4以下の脂肪族置換基または炭素数が16以下の芳香族置換基であってもよい。この場合、ペリレン誘導体の分子量が小さくなるので、発光層の作製時における真空蒸着が容易になる。
発光層と電子注入電極との間に電子の輸送を促進する電子輸送層をさらに備え、電子輸送層は、式(13)に示される分子構造を有するフェナントロリン誘導体であり、式(13)中のR23〜R26は同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族置換基または芳香族置換基であってもよい。
Figure 2006041396
この場合、電子の移動が十分に促進されるので、有機エレクトロルミネッセンス素子の駆動電圧を十分に低下させることができる。
式(13)中のR23〜R26は同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素数が4以下の脂肪族置換基または炭素数が16以下の芳香族置換基であってもよい。この場合、フェナントロリン誘導体の分子量が小さくなるので、電子輸送層の作製時における真空蒸着が容易になる。
電子輸送層は式(14)に示される分子構造を有する2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(2,9-Dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline)からなってもよい。
Figure 2006041396
この場合、電子の移動が十分に促進されるので、有機エレクトロルミネッセンス素子の駆動電圧を十分に低下させることができる。また、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(2,9-Dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline)の分子量は小さいので、電子輸送層の作製時における真空蒸着が容易になる。
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子においては、発光層と電子注入電極との間に電荷再結合層を設けることにより、高効率化および長寿命化が可能となる。
以下、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと称する)素子について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る有機EL素子を示す模式的な断面図である。
図1に示す有機EL素子100の作製時には、まず基板1上に、例えば、インジウム−スズ酸化物(ITO)等の透明導電膜からなるホール注入電極2を形成し、このホール注入電極2上に、ホール注入層3を形成する。次に、ホール注入層3上に、ホール輸送層4、発光層5、発光アシスト層6および電子輸送層7を真空蒸着により順に形成する。さらに、この電子輸送層7上に、例えば、アルミニウム等からなる電子注入電極8を形成する。
基板1は、ガラスまたはプラスチック等からなる透明基板である。ホール注入層3は、例えば、プラズマCVD法(プラズマ化学的気相成長法)により形成されたCFX (フッ化炭素)からなる。
ホール輸送層4としては、例えば、下記式(6)に示されるトリアリールアミンを用いることができる。
Figure 2006041396
式(6)において、Ar5〜Ar7は芳香族置換基を示し、互いに同一であってもよいし、互いに異なってもよい。
式(6)中のAr5〜Ar7の芳香族置換基は、炭素数が16以下であることが好ましい。この場合、トリアリールアミンの分子量が小さくなるので、ホール輸送層4の作製時における真空蒸着が容易になる。
本実施の形態においてホール輸送層4として用いられるトリアリールアミンは、例えば、下記式(7)に示されるベンジジン誘導体である。
Figure 2006041396
式(7)において、Ar8〜Ar11は芳香族置換基を示し、互いに同一であってもよいし、互いに異なってもよい。式(7)中のAr8〜Ar11の芳香族置換基としては、フェニル基、3-メチルフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1,1'-ビフェニル-4-イル基、9-アンスリル基、2-チエニル基、2-ピリジル基、3-ピリジル基等が挙げられる。
式(7)中のAr8〜Ar11の芳香族置換基は、炭素数が16以下であることが好ましい。この場合、ベンジジン誘導体の分子量が小さくなるので、ホール輸送層4の作製時における真空蒸着が容易になる。
本実施の形態においては、ホール輸送層4は、下記式(8)に示されるN,N'-ジ(1-ナフチル)-N,N'-ジフェニル-ベンジジン(N,N'-Di(1-naphthyl)-N,N'-diphenyl-benzidine)(以下、NPBと略記する)である。
Figure 2006041396
また、本実施の形態においてホール輸送層4として用いられるトリアリールアミンは、下記式(9)に示されるトリフェニルアミン誘導体でもよい。
Figure 2006041396
式(9)において、Ar12〜Ar14は芳香族置換基を示し、互いに同一であってもよいし、互いに異なってもよい。式(9)中のAr12〜Ar14の芳香族置換基としては、フェニル基、3-メチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1,1'-ビフェニル-4-イル基、9-アンスリル基、2-チエニル基、2-ピリジル基、3-ピリジル基等が挙げられる。
式(9)中のAr12〜Ar14の芳香族置換基は、炭素数が16以下であることが好ましい。この場合、トリフェニルアミン誘導体の分子量が小さくなるので、ホール輸送層4の作製時における真空蒸着が容易になる。
発光層5は、ホスト材料に発光ドーパントがドープされた構成を有する。発光層5にドープされる発光ドーパントの好ましい添加量は、0.1〜10重量%である。
発光層5のホスト材料としては、例えば、ホール輸送層4の材料と同じトリアリールアミンを用いることができる。
本実施の形態において発光層5のホスト材料として用いられるトリアリールアミンは、例えば、ベンジジン誘導体である。
本実施の形態においては、発光層5のホスト材料は、NPBである。
また、本実施の形態において発光層5のホスト材料として用いられるトリアリールアミンは、トリフェニルアミン誘導体でもよい。
発光層5の発光ドーパントとしては、例えば、下記式(10)に示されるテトラセン誘導体を用いることができる。
Figure 2006041396
式(10)において、Ar15〜Ar18は水素原子、ハロゲン原子、脂肪族置換基または芳香族置換基を示し、互いに同一であってもよいし、互いに異なってもよい。式(10)中のAr15〜Ar18の脂肪族置換基としては、メチル基、エチル基、1-プロピル基、2-プロピル基、tert-ブチル基等が挙げられる。式(10)中のAr13〜Ar16の芳香族置換基としては、フェニル基、3-メチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、4-tert-ブチル-1-ナフチル基、1,1'-ビフェニル-4-イル基、9-アンスリル基、2-チエニル基、2-ピリジル基、3-ピリジル基等が挙げられる。
式(10)中のAr15〜Ar18の脂肪族置換基は、炭素数が4以下であることが好ましく、式(10)中のAr15〜Ar18の芳香族置換基は、炭素数が16以下であることが好ましい。この場合、テトラセン誘導体の分子量が小さくなるので、発光層5の作製時における真空蒸着が容易になる。
本実施の形態においては、発光層5の発光ドーパントは、下記式(11)に示される5,12-ビス(4-ターシャリー-ブチルフェニル)-ナフタセン(5,12-Bis(4-tert-butylphenyl)-naphthacene)(以下、tBuDPNと略記する)である。
Figure 2006041396
また、本実施の形態においては、発光層5の発光ドーパントとして、下記式(12)に示されるペリレン誘導体を用いてもよい。
Figure 2006041396
式(12)において、Ar19〜Ar22は水素原子、ハロゲン原子、脂肪族置換基または芳香族置換基を示し、互いに同一であってもよいし、互いに異なってもよい。式(12)中のAr19〜Ar22の脂肪族置換基としては、メチル基、エチル基、1-プロピル基、2-プロピル基、tert-ブチル基等が挙げられる。式(12)中のAr17〜Ar20の芳香族置換基としては、フェニル基、3-メチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、4-tert-ブチル-1-ナフチル基等が挙げられる。
式(12)中のAr19〜Ar22の脂肪族置換基は、炭素数が4以下であることが好ましく、式(12)中のAr19〜Ar22の芳香族置換基は、炭素数が16以下であることが好ましい。この場合、ペリレン誘導体の分子量が小さくなるので、発光層5の作製時における真空蒸着が容易になる。
発光アシスト層6としては、光励起発光量子収率の高い材料を用いることが好ましい。例えば、下記式(1)に示されるアントラセン誘導体を用いることができる。
Figure 2006041396
上記式(1)において、Ar1〜Ar4は水素原子、ハロゲン原子、脂肪族置換基または芳香族置換基を示し、互いに同一であってもよいし、互いに異なってもよく、nは1〜3のいずれかの整数を示す。式(1)中のAr1およびAr3はアントラセン環の9位および10位に置換し、Ar2およびAr4はアントラセン環の1〜8位のいずれかの位置に置換する。上記式(1)中のAr1〜Ar4の脂肪族置換基としては、メチル基、エチル基、1-プロピル基、2-プロピル基、tert-ブチル基等が挙げられる。上記式(1)中のAr1〜Ar4の芳香族置換基としては、フェニル基、3-メチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、4-tert-ブチル-1-ナフチル基、1,1'-ビフェニル-4-イル基、9-アンスリル基、2-チエニル基、2-ピリジル基、3-ピリジル基等が挙げられる。
式(1)中のAr1〜Ar4の脂肪族置換基は、炭素数が4以下であることが好ましく、式(1)中のAr1〜Ar4の芳香族置換基は、炭素数が16以下であることが好ましい。この場合、アントラセン誘導体の分子量が小さくなるので、発光アシスト層6の作製時における真空蒸着が容易になる。
本実施の形態においては、発光アシスト層6は、下記式(4)に示されるターシャリー-ブチル置換ジナフチルアントラセン(tert-butyl substituted dinaphthylanthracene)(以下、TBADNと略記する)からなる。
Figure 2006041396
電子輸送層7としては、電子移動度の高い材料を用いることが好ましい。例えば、下記式(13)に示されるフェナントロリン誘導体を用いることができる。
Figure 2006041396
式(13)において、R23〜R26は互いに同一であってもよいし、互いに異なってもよい。式(13)中のR23〜R26は、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族置換基または芳香族置換基を示し、R25およびR26は式(13)のベンゼン環のオルト位、メタ位およびパラ位のいずれの位置にあってもよい。式(13)の23〜R26の脂肪族置換基としては、メチル基、エチル基、1-プロピル基、2-プロピル基、tert-ブチル基等が挙げられ、芳香族置換基としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、9-アンスリル基、2-チエニル基、2-ピリジル基、3-ピリジル基等が挙げられる。
式(13)中のR23〜R26の脂肪族置換基は、炭素数が4以下であることが好ましく、式(13)中のR23〜R26の芳香族置換基は、炭素数が16以下であることが好ましい。この場合、フェナントロリン誘導体の分子量が小さくなるので、電子輸送層7の作製時における真空蒸着が容易になる。
本実施の形態においては、電子輸送層7は、下記式(14)に示される2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(2,9-Dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline)(以下、BCPと略記する)からなる。
Figure 2006041396
上記の有機EL素子100においては、ホール注入電極2と電子注入電極8との間に電圧を印加することにより、ホール注入電極2からホールが注入され、電子注入電極8から電子が注入される。ホールはホール輸送層4および発光層5を通して発光アシスト層6に輸送され、電子は電子輸送層7を通して発光アシスト層6に輸送され、発光アシスト層6においてホールと電子とが再結合し、励起子が生成される。この励起子の励起エネルギーが発光層5に移動し、発光層5において励起エネルギーが発光に変換される。本実施の形態においては、発光層5は緑色に発光する。
本実施の形態の有機EL素子100においては、電子輸送層7として高い電子移動度を有するBCPが用いられている。それにより、電子を効率よく発光アシスト層6に注入することができる。その結果、駆動電圧が低くなり、有機EL素子100の消費電力が低減される。
また、発光層5のホスト材料としてホール輸送層4の材料であるNPBが用いられている。この場合、発光層5はホールを発光アシスト層6へと輸送する役割も担う。それにより、ホールと電子との再結合領域が電子注入電極8側へ移動する。その結果、ホールと再結合することなくホール輸送層4へと到達する電子が低減されるので、ホール輸送層4の劣化を防止することができ、有機EL素子100の長寿命化が可能となる。
この場合、発光層5が発光領域となり、発光アシスト層6がホールと電子との主な再結合領域となる。このように、励起子を生成する役割と励起エネルギーを発光に変換する役割とが発光アシスト層6と発光層5とで分担されるので、励起子の生成および励起エネルギーの発光への変換がともに効率よく行われる。その結果、有機EL素子100の発光効率が向上するという効果も生じる。
また、電子がホールと再結合することなく発光アシスト層6を抜け出てきた場合においても、その電子は発光層5の発光ドーパントによってトラップされる。それにより、ホール輸送層4へと到達する電子が低減され、ホール輸送層4の劣化を防止することができる。また、発光層5のホスト材料の劣化も防止される。これらの結果、有機EL素子100の長寿命化が可能となる。
また、本実施の形態の有機EL素子100においては、発光アシスト層6の材料として光励起発光量子収率の高いTBADNが用いられている。この場合、発光アシスト層6において生成される励起子の励起エネルギーが熱に変換される割合が低くなる。それにより、高い発光効率を得ることができる。
このように、本実施の形態に係る有機EL素子100によれば、発光層5のホスト材料としてホール輸送層4の材料を用い、発光層5上に高い光励起発光量子収率を有する発光アシスト層6を設け、さらに発光アシスト層6上に高い電子移動度を有する電子輸送層7を設けることにより、駆動電圧を低く保ちつつ発光効率および発光寿命を向上させることが可能となる。
本実施の形態においては、発光アシスト層6の材料としてTBADNが用いられているが、光励起発光量子収率の高い他の有機材料を用いてもよい。
また、発光アシスト層6は複数の有機材料から構成されてもよい。例えば、TBADNをホスト材料として、下記式(5)に示す1,4,7,10-テトラ-ターシャリー-ブチルペリレン(1,4,7,10-Tetra-tert-butylPerylene)(以下、TBPと略記する)を補助ドーパントとしてドープすることにより形成してもよい。この場合、TBPからなる補助ドーパントは発光層5の発光ドーパントへの励起エネルギーの移動を補助する。それにより、発光効率を向上させることができる。
Figure 2006041396
また、発光層5のホスト材料としてホール輸送層4と同じ材料が用いられているが、発光層5がホール輸送層としての役割を担うことができるのであれば、発光層5のホスト材料とホール輸送層4の材料とが互いに異なってもよい。
本実施の形態においては、発光アシスト層6が電荷再結合層に相当する。
(第2の実施の形態)
図2は有機EL素子を用いた有機EL表示装置の一例を示す模式的平面図であり、図3は図2の有機EL表示装置のA−A線断面図である。
図2および図3の有機EL表示装置においては、赤色に発光する有機EL素子100R、緑色に発光する有機EL素子100Gおよび青色に発光する有機EL素子100Bがマトリクス状に配置されている。
有機EL素子100Gは、図1の発光層5と同様の緑色発光層5Gを有する。
有機EL素子100Rは、図1の発光層5の代わりに、赤色発光層5Rを有する。赤色発光層5Rは、例えば、NPBをホスト材料とし、下記式(15)に示されるルブレン(Rubrene)を補助ドーパントとし、下記式(16)に示される(2−(1,1−ジメチルエチル)−6−(2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−lII,5II−ベンゾ〔ij〕キノリジン−9−イル)エテニル)−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル((2-(1,1-Dimethylethyl)-6-(2-(2,3,6,7-tetrahydro-1,1,7,7-tetramethyl-lII,5II-benzo〔ij〕quinolizin-9-yl)ethenyl)-4H-pyran-4-ylidene)propanedinitrile)(以下、DCJTBと略記する)を発光ドーパントとして形成される。この場合、発光ドーパントは発光し、補助ドーパントは、ホスト材料から発光ドーパントへのエネルギーの移動を促進することにより発光ドーパントの発光を補助する役割を担う。
Figure 2006041396
Figure 2006041396
有機EL素子100Bは、図1の発光層5の代わりに、青色発光層5Bを有する。青色発光層5Bは、例えば、NPBをホスト材料とし、TBPを発光ドーパントとして形成される。
以下、本実施の形態に係る有機EL表示装置をより詳細に説明する。
図2においては、左から順に有機EL素子100R、有機EL素子100Gおよび有機EL素子100Bが設けられている。
各有機EL素子100R,100G,100Bの構成は平面図では同一である。各有機EL素子100R,100G,100Bは行方向に延びる2つのゲート信号線51と列方向に延びる2つのドレイン信号線(データ線)52とに囲まれた領域に形成される。各有機EL素子の領域内において、ゲート信号線51とドレイン信号線52との交点付近にはスイッチング素子である第1のTFT130が形成され、中央付近には各有機EL素子100R,100G,100Bを駆動する第2のTFT140が形成される。また、各有機EL素子100R,100G,100Bの領域内に補助容量70、およびITOからなるホール注入電極2が形成される。ホール注入電極2の領域に各有機EL素子100R,100G,100Bが島状に形成される。
第1のTFT130のドレインはドレイン電極13dを介してドレイン信号線52に接続され、第1のTFT130のソースはソ−ス電極13sを介して電極55に接続される。第1のTFT130のゲート電極111は、ゲート信号線51から延びる。
補助容量70は、電源電圧Vscを受けるSC線54と、能動層11(図3参照)と一体の電極55とから構成される。
第2のTFT140のドレインはドレイン電極43dを介して各有機EL素子のホール注入電極2に接続され、第2のTFT140のソースはソ−ス電極43sを介して列方向に延びる電源線53に接続される。第2のTFT140のゲート電極41は電極55に接続される。
図3に示されるように、ガラス基板10上に多結晶シリコン等からなる能動層11が形成され、その能動層11の一部が有機EL素子を駆動するための第2のTFT140となる。能動層11上にゲート酸化膜(図示せず)を介してダブルゲート構造のゲート電極41が形成され、ゲート電極41を覆うように能動層11上に層間絶縁膜13および第1の平坦化層15が形成される。第1の平坦化層15の材料としては、例えばアクリル樹脂を用いることができる。第1の平坦化層15上に透明なホール注入電極2が各有機EL素子ごとに形成され、ホール注入電極2を覆うように第1の平坦化層15上に絶縁性の第2の平坦化層18が形成される。第2のTFT140は第2の平坦化層18の下に形成されている。
ホール注入電極2および第2の平坦化層18を覆うようにホール輸送層4が全体の領域上に形成される。ホール輸送層4は、例えば、第1の実施の形態と同様にNPBからなる。
有機EL素子100R、有機EL素子100Gおよび有機EL素子100Bのホール輸送層4上には、それぞれ列方向に延びるストライプ状の赤色発光層5R、緑色発光層5Gおよび青色発光層5Bが形成される。
ストライプ状の赤色発光層5R、緑色発光層5Gおよび青色発光層5Bの間の境界は第2の平坦化層18上の表面でガラス基板10と平行となっている領域に設けられる。
有機EL素子100R、有機EL素子100Gおよび有機EL素子100Bの赤色発光層5R、緑色発光層5Gおよび青色発光層5B上には、列方向に延びるストライプ状の発光アシスト層6および列方向に延びるストライプ状の電子輸送層7がそれぞれ形成される。
発光アシスト層6は、例えば、第1の実施の形態と同様に高い光励起発光量子収率を有するTBADNからなる。電子輸送層7は、例えば、第1の実施の形態と同様に高い電子移動度を有するBCPからなる。
さらに、各電子輸送層7上には電子注入電極8が形成される。電子注入電極8の上には樹脂等からなる保護層34が形成されている。
上記有機EL表示装置において、ゲート信号線51に選択信号が出力されると第1のTFT130がオンし、そのときにドレイン信号線52に与えられる電圧値(データ信号)に応じて補助容量70が充電される。第2のTFT140のゲート電極41は補助容量70に充電された電荷に応じた電圧を受ける。それにより、電源線53から各有機EL素子100R,100G,100Bに供給される電流が制御され、各有機EL素子100R,100G,100Bは供給された電流に応じた輝度で発光する。
本実施の形態の有機EL表示装置の各有機EL素子100R,100G,100Bにおいては、電子輸送層7として高い電子移動度を有するBCPが用いられている。それにより、電子を効率よく発光アシスト層6に注入することができる。その結果、各有機EL素子100R,100G,100Bの駆動電圧が低くなり、有機EL表示装置の消費電力が低減される。
また、赤色発光層5R、緑色発光層5Gおよび青色発光層5Bのホスト材料としてホール輸送層4の材料であるNPBが用いられている。この場合、赤色発光層5R、緑色発光層5Gおよび青色発光層5Bはホールを発光アシスト層6へと輸送する役割も担う。それにより、ホールと電子との再結合領域が電子注入電極8側へ移動する。その結果、ホールと再結合することなくホール輸送層4へと到達する電子が低減されるので、電子によるホール輸送層4の劣化を防止することができ、各有機EL素子100R,100G,100Bの発光寿命を長くすることができる。
この場合、赤色発光層5R、緑色発光層5Gおよび青色発光層5Bが発光領域となり、発光アシスト層6がホールと電子との主な再結合領域となる。このように、励起子を生成する役割と励起エネルギーを発光に変換する役割とが発光アシスト層6と赤色発光層5R、緑色発光層5Gおよび青色発光層5Bとで分担されるので、励起子の生成および励起エネルギーの発光への変換がともに効率よく行われる。この結果、各有機EL素子100R,100G,100Bの発光効率が向上するという効果も生じる。
また、電子がホールと再結合することなく発光アシスト層6を抜け出てきた場合においても、その電子は赤色発光層5R、緑色発光層5Gおよび青色発光層5Bの発光ドーパントによってトラップされる。それにより、ホール輸送層4へと到達する電子が低減され、ホール輸送層4の劣化を防止することができる。また、赤色発光層5R、緑色発光層5Gおよび青色発光層5Bの劣化も防止できる。これらの結果、各有機EL素子100R,100G,100Bの長寿命化が可能となる。
また、発光アシスト層6の材料として光励起発光量子収率の高いTBADNが用いられている。この場合、発光アシスト層6において生成される励起子の励起エネルギーが熱に変換される割合が低くなる。それにより、高い発光効率を得ることができる。
このように、高い光励起発光量子収率を有する発光アシスト層6および高い電子移動度を有する電子輸送層7を設け、赤色発光層5R、緑色発光層5Gおよび青色発光層5Bのホスト材料としてホール輸送層4の材料を用いることにより、駆動電圧を低く保ちつつ各有機EL素子100R,100G,100Bの高効率化および長寿命化を実現することができる。その結果、消費電力が少なくかつ高効率および長寿命のフルカラー表示が得られる。
本実施の形態においては、発光アシスト層6が電荷再結合層に相当する。
以下、実施例および比較例の有機EL素子を作製し、作製した有機EL素子の発光特性を測定した。
(実施例1)
実施例1においては、図1の構造を有する有機EL素子を次のように作製した。
ガラスからなる基板1上にインジウム−スズ酸化物(ITO)からなるホール注入電極2を形成した。次に、ホール注入電極2上にプラズマCVD法によりCFX (フッ化炭素)からなるホール注入層3を形成した。プラズマCVDにおけるプラズマ放電時間は15秒とした。
さらに、ホール注入層3上に、ホール輸送層4、発光層5、発光アシスト層6および電子輸送層7を真空蒸着により順に形成した。
ホール輸送層4は、膜厚150nmのNPBからなる。発光層5は、膜厚40nmを有し、NPBからなるホスト材料にtBuDPNからなる発光ドーパントを3重量%添加することにより形成される。発光アシスト層6は、膜厚20nmのTBADNからなる。電子輸送層7は、膜厚20nmのBCPからなる。
その後、電子輸送層7上に、1nmのフッ化リチウム膜および200nmのアルミニウム膜の積層構造からなる電子注入電極8を形成した。
以上のようにして作製した有機EL素子の10mA/cm2 でのCIE色度座標、発光効率および発光寿命を測定した。なお、発光寿命は測定開始時の輝度1500cd/m2 が半減するまでの時間を測定したものである。
その結果、実施例1の有機EL素子のCIE色度座標は(x,y)=(0.31,0.63)であり、発光効率は10.6cd/Aであり、発光寿命は6000時間であった。
(実施例2)
実施例2においては、発光アシスト層6がTBADNからなるホスト材料にTBPからなる補助ドーパントを2重量%添加することにより形成された点を除いて、実施例1と同じ構造を有する有機EL素子を作製した。
実施例2の有機EL素子の10mA/cm2 でのCIE色度座標、発光効率および発光寿命を測定した。
その結果、実施例2の有機EL素子のCIE色度座標は(x,y)=(0.23,0.54)であり、発光効率は18.2cd/Aであり、発光寿命は2500時間であった。
(比較例1)
比較例1においては、発光アシスト層を設けなかった点を除いて、実施例1と同じ構造を有する有機EL素子を作製した。
比較例1の有機EL素子の10mA/cm2 でのCIE色度座標、発光効率および発光寿命を測定した。
その結果、比較例1の有機EL素子のCIE色度座標は(x、y)=(0.28、0.63)であり、発光効率は5.0cd/Aであり、発光寿命は300時間であった。
(比較例2)
比較例2においては、発光アシスト層6として下記式(17)に示されるトリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Tris(8-hydroxyquinolinato)aluminum)(以下、Alq3と略記する)を用いた点を除いて、実施例1と同じ構造を有する有機EL素子を作製した。
Figure 2006041396
比較例2の有機EL素子の10mA/cm2 でのCIE色度座標および発光効率を測定した。
その結果、比較例2の有機EL素子のCIE色度座標は(x,y)=(0.29,0.63)であり、発光効率は4.5cd/Aであった。
(評価)
表1に、実施例1、実施例2、比較例1および比較例2の有機EL素子の各層の条件を示す。表2に、実施例1、実施例2、比較例1および比較例2の有機EL素子におけるCIE色度座標、発光効率および発光寿命の測定結果を示す。
Figure 2006041396
Figure 2006041396
表2に示すように、実施例1の有機EL素子の発光効率は比較例1および比較例2の有機EL素子に比べて高くなっている。また、実施例1の有機EL素子の発光寿命は比較例1の有機EL素子に比べて長くなっている。
実施例1の有機EL素子においては、発光層5と電子輸送層7との間に発光アシスト層6が設けられている。この場合、発光層5が発光領域となり、発光アシスト層6がホールと電子との主な再結合領域となる。このように、励起子を生成する役割と励起エネルギーを発光に変換する役割とが発光アシスト層6と発光層5とで分担されている。そのため、励起子の生成および励起エネルギーの発光への変換がともに効率よく行われると考えられる。また、発光アシスト層6は、高い光励起発光量子収率を有するTBADNからなる。それにより、発光アシスト層6において生成された励起子の励起エネルギーが発光層5において効率よく光に変換されたと考えられる。これらの結果、発光効率が高くなったと考えられる。
また、発光アシスト層6は発光層5の電子注入電極8側に設けられているので、ホール輸送層4に到達する電子を低減することができる。さらに、発光アシスト層6においてホールと再結合しなかった電子は発光層5の発光ドーパントによってトラップされる。それにより、ホール輸送層4に到達する電子が十分に低減され、ホール輸送層4の劣化が防止される。また、発光層5のホスト材料の劣化も防止される。これらの結果、発光寿命が長くなったと考えられる。
また、実施例1、比較例1および比較例2の有機EL素子のCIE色度座標はほぼ等しい。このことから、実施例1の有機EL素子においては、発光層5が主な発光領域になっていることが分かる。
一方、比較例1の有機EL素子おいては、発光アシスト層6が設けられていない。この場合、発光層5が励起子を生成する役割と励起エネルギーを発光に変換する役割とを担うことになる。それにより、励起子を生成する効率および励起エネルギーを発光に変換する効率がともに低下したと考えられる。その結果、発光効率が低くなったと考えられる。
また、発光層5においてホールと再結合しなかった電子は、直接発光輸送層4に到達するため、ホール輸送層4が劣化する。その結果、発光寿命が短くなったと考えられる。
また、比較例2の有機EL素子においては、発光アシスト層は低い光励起発光量子収率を有するAlq3から形成されている。この場合、発光アシスト層6において生成された励起子の励起エネルギーが熱に変換される割合が高くなる。その結果、発光効率が低くなったと考えられる。
また、表2に示すように、実施例2の有機EL素子の発光効率は実施例1の有機EL素子よりも高くなっている。
実施例2の有機EL素子において、発光アシスト層6は、TBADNからなるホスト材料にTBPからなる補助ドーパントを2重量%添加した構成を有する。このTBPからなる補助ドーパントは、発光層5の発光ドーパントへの励起エネルギーの移動を補助する。それにより、発光効率が高くなったと考えられる。
一方、実施例2の有機EL素子のCIE色度座標は、実施例1、比較例1および比較例2の有機EL素子と比べて少し変化している。このことから、実施例2の有機EL素子は、発光アシスト層6においても発光していると考えられる。この場合、発光アシスト層6にドープする補助ドーパントの量および材料を選択することにより、CIE色度座標と発光効率とを調整することができるので、用途に合わせた有機EL素子を作製することが可能となる。
以上のように、発光層5のホスト材料としてホール輸送材料を用い、発光層5上に高い光励起発光量子収率を有する発光アシスト層6を設けることにより、電子輸送層7としてBCP等の高い電子移動度を有する材料を用いた場合においても、高効率かつ長寿命な有機EL素子が得られる。
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、各光源または表示装置等に有効に利用できる。
第1の実施の形態に係る有機EL素子の一例を示す模式的断面図である。 第1の実施の形態に係る有機EL素子を用いた有機EL表示装置の一例を示す模式的断面図である。 図2の有機EL表示装置のA−A腺断面図である。
符号の説明
1 基板
2 ホール注入電極
3 ホール注入層
4 ホール輸送層
5 発光層
6 発光アシスト層
7 電子輸送層
8 電子注入電極
100 有機エレクトロルミネッセンス素子

Claims (21)

  1. ホール注入電極と、
    発光層と、
    電子注入電極とを順に備え、
    前記発光層と前記電子注入電極との間にホールと電子とを再結合させる電荷再結合層をさらに備えたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記電荷再結合層は、式(1)に示される分子構造を有するアントラセン誘導体からなり、式(1)中のAr1〜Ar4は同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族置換基または芳香族置換基であり、nは1〜3の整数であることを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2006041396
  3. 前記式(1)中のAr1〜Ar4は同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素数が4以下の脂肪族置換基または炭素数が16以下の芳香族置換基であることを特徴とする請求項2記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記電荷再結合層は、式(4)で示される分子構造を有するターシャリー−ブチル置換ジナフチルアントラセンからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2006041396
  5. 前記電荷再結合層は、補助ドーパントをさらに含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記補助ドーパントは、式(5)で示される分子構造を有する1,4,7,10-テトラ-ターシャリー-ブチルペリレンからなることを特徴とする請求項5記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2006041396
  7. 前記発光層は、ホスト材料として式(6)で示される分子構造を有するトリアリールアミンを含み、式(6)中のAr5〜Ar7は同一または異なり、芳香族置換基であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2006041396
  8. 前記式(6)中のAr5〜Ar7は同一または異なり、炭素数が16以下の芳香族置換基であることを特徴とする請求項7記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 前記発光層は、ホスト材料として式(7)で示される分子構造を有するベンジジン誘導体を含み、式(7)中のAr8〜Ar11は同一または異なり、芳香族置換基であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2006041396
  10. 前記式(7)中のAr8〜Ar11は同一または異なり、炭素数が16以下の芳香族置換基であることを特徴とする請求項9記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  11. 前記発光層は、ホスト材料として式(8)で示される分子構造を有するN,N'-ジ(1-ナフチル)-N,N'-ジフェニル-ベンジジンを含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2006041396
  12. 前記発光層は、ホスト材料として式(9)で示される分子構造を有するトリフェニルアミン誘導体を含み、式(9)中のAr12〜Ar14は同一または異なり、芳香族置換基であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2006041396
  13. 前記式(9)中のAr12〜Ar14は同一または異なり、炭素数が16以下の芳香族置換基であることを特徴とする請求項12記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  14. 前記発光層は、発光ドーパントとして式(10)で示される分子構造を有するテトラセン誘導体を0.1〜10重量%含み、式(10)中のAr15〜Ar18は同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族置換基または芳香族置換基であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2006041396
  15. 前記式(10)中のAr15〜Ar18は同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素数が4以下の脂肪族置換基または炭素数が16以下の芳香族置換基であることを特徴とする請求項14記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  16. 前記発光層は、発光ドーパントとして式(11)で示される分子構造を有する5,12-ビス(4-ターシャリー-ブチルフェニル)-ナフタセンを0.1〜10重量%含むことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2006041396
  17. 前記発光層は、発光ドーパントとして式(12)で示される分子構造を有するペリレン誘導体を0.1〜10重量%含み、式(12)中のAr19〜Ar22は同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族置換基または芳香族置換基であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2006041396
  18. 前記式(12)中のAr19〜Ar22は同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素数が4以下の脂肪族置換基または炭素数が16以下の芳香族置換基であることを特徴とする請求項17記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  19. 前記発光層と前記電子注入電極との間に電子の輸送を促進する電子輸送層をさらに備え、
    前記電子輸送層は、式(13)に示される分子構造を有するフェナントロリン誘導体であり、式(13)中のR23〜R26は同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族置換基または芳香族置換基であることを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2006041396
  20. 前記式(13)中のR23〜R26は同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素数が4以下の脂肪族置換基または炭素数が16以下の芳香族置換基であることを特徴とする請求項19記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  21. 前記電子輸送層は式(14)に示される分子構造を有する2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリンからなることを特徴とする請求項19または20記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2006041396
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