JP2006037954A - 動翼の固定装置と動翼の組立分解方法 - Google Patents

Abstract

【課題】ロータ円板（２３）が各動翼（２５）の翼脚（４４）を受けるためにロータ円板円周に翼脚に対応した保持溝（２９）を有し、該溝に各々固定要素（３９）付き盲孔（３５）があり、翼脚の前記盲孔に対向する位置に形成された動翼を固定する心出し孔（４５）内に固定要素が突出する流体機械（１１）のロータ円板に配置された動翼の固定装置（５０）、前記円板と動翼を有する流体機械及びその組立・分解方法に関し、流体機械の運転中に発生する熱的、機械的荷重に耐え得る繰り返し利用可能な長寿命の固定装置と、該装置を備えた流体機械と、動翼を組立・分解する方法を提供する。
【解決手段】盲孔に雌ねじを設け、固定要素を前記盲孔内に沈降する固定ボルト（４１）として形成し、該ボルトを回すための工具を軸方向に接近する通路として、盲孔の範囲に凹所（３３）を設ける。
【選択図】図５

Description

本発明は、ロータ円板が各動翼の翼脚を受けるためにロータ円板円周に翼脚に対応して形成された保持溝を有し、該各溝に各々固定要素付き盲孔が設けられ、翼脚の前記盲孔に対向する位置に形成された動翼を固定する心出し孔内に前記固定要素が突出している流体機械のロータ円板に配置された動翼の固定装置に関する。更に本発明は、ロータ円板と該円板に配置された動翼とを有する流体機械、並びに流体機械の動翼を上述の固定装置で組立・分解する方法に関する。

特許文献１で、軸流圧縮機の静翼輪に対する固定装置が公知である。該装置は保持溝の溝底に孔を有し、その溝内で支持リングセグメントが静翼を支持する。孔の中にばねで荷重された保持ピンがあり、該ピンは支持リングセグメントに形成された孔に係合し、この結果保持溝に沿った支持リングセグメントの移動を阻止する。更に、静翼脚の半径方向端面に２つの半径方向孔があり、これら孔にコイルばねが配置され、該ばねは支持リングセグメントに接触し、この結果静翼を半径方向内側に押し付ける。

軸流タービン機械のロータの内部を延びる円周溝に沿って動翼を固定するための類似した装置が、特許文献２に示されている。

圧縮機の運搬中に生ずる振動が翼を緩める。その際に生ずる衝撃力によって、保持ピンがばねのバイアスを打ち負かし、これによって、翼が移動してしまう。更に、運転中に圧縮機内に高温が生じ、この高温がばねの弾性を悪化させる。これは永続的作用のもとでばねを壊してしまう。特に、固定装置がロータ内に配置されているとき、運転中、遠心力で引き起こされる別の荷重が生じ、これはばねの寿命に悪い影響を与える。

同様に、動翼の翼脚をかしめ加工で塑性変形することが知られ、これによって生ずる突起が、軸方向止めとしてロータ円板に引っ掛かり、翼脚を動かなくする。

この際、特に動翼を条件付きでしかロータ円板に釈放可能に結合できない欠点がある。即ち、例えば研削にて突起を除去すれば動翼を釈放できるが、動翼は再利用できない。同時に、動翼の研削時、削り屑が流体機械内に落下せぬよう注意せねばならない。

更に、動翼を保持溝に単方向止め板で固定することが知られている。
独国特許第３３４１８７１号明細書 独国特許出願公開第１０１２０５３２号明細書

本発明の課題は、流体機械の運転中に発生する熱的、機械的荷重に耐え得る繰り返し利用可能な長寿命で確実な固定装置を提供することにある。本発明の他の課題は、かかる固定装置を備えた流体機械と、流体機械にそのような固定装置によって動翼を組立・分解する方法とを提供することにある。

最初の課題は請求項１、流体機械に関する課題は請求項９に記載の各特徴事項により解決される。更に、動翼の組立方法に関する課題は請求項１０そして動翼の分解方法についての課題は請求項１１に記載の各特徴事項によって解決される。

この解決策は、盲孔に雌ねじを設け、固定要素を盲孔内を沈降できる固定ボルトとして形成し、該ボルトを回すための工具を軸方向に接近する通路として、盲孔の範囲に凹所を設けることにある。

本発明は、ばねの代わりに固定ボルトを、動翼を固定するための釈放可能な要素として採用できると言う考えに基づく。この結果、ばね力を利用して心出し孔に保持ピンを保持する弾性ばねの使用を回避できる。固定ボルトはその中実構造により、弾性ばねよりも熱的・機械的荷重に簡単に耐える。また、雄ねじ付き固定ボルトが、ばねの位置決め並びに保持ピンの拘束機能を同時に満たす故、部品点数を減少できる。

動翼の組立と固定のために必要な固定要素の組立位置と運転位置との間の移動は、ばねの締付けないし弛緩ではなくて、固定ボルトの回転で行う。従って、従来におけるような意図しない緩みは、皆無とは言えないが非常にまれである。

ばねを用いない故、動翼に対する確実で荷重可能な固定装置を形成できる。更に本発明は、利用していた動翼と固定要素が再利用でき、釈放可能な固定装置を提供する。

動翼を据え付けているにも係らず、盲孔の範囲に設けた凹所を経て固定ボルトに工具を接近させられる。そのため、工具は凹所を経て固定ボルトにその長手軸線に対して直角に当て、もって動翼の固定を単純且つ迅速に行い、かつ釈放できる。

本発明の有利な実施態様を従属請求項に示す。

盲孔を、切削加工で単純且つ安価に製造できるねじ孔として形成するとよい。

他の実施態様では、盲孔内に雌ねじ付きインサートを配置し、該インサートを盲孔内に回り止めする。この雌ねじ付きインサートにより、ロータ円板における切欠きおよび切欠き効果を避けることができ、ロータ円板の寿命を害することはない。雌ねじが場合によって損傷した場合、インサートを交換できる。これは保守点検時の利便性を高める。

ロータ円板の端面側から固定ボルトに作用することを可能にする凹所は、ロータ円板および／又は翼脚に設けるとよい。横からの、即ち軸方向における作用や接近により、流体機械の追加的な構造変更は不要となる。

有利な実施態様では、固定ボルトが円周方向に分布した半径方向孔を有し、この孔に回し工具として梃子棒をはめ込む。これによって、固定ボルトを盲孔にねじ込み、動翼の設置後、梃子棒によって回し、部分的に盲孔から出して心出し孔にはめ込む。

他の実施態様では、固定ボルトは、凹所を通って接近できるその外周部に、固定ボルトの回し工具として用いるレンチに対する六角軸部を備える。これによって、固定ボルトを回すために、梃子棒に代えて通常の工具が採用できる。

固定ボルトを押えねじの形に形成した場合、固定ボルトを盲孔にねじ込む際、その固定ボルトは対応したねじ回しによって特に迅速にねじ込める。

心出し孔の直径がその底に向けて円錐状に狭まり、固定ボルトがそれに対応して形成されたボルト頭部を有するなら、軸方向における固定作用の他に、同時に、動翼の所望の軸方向位置が強制的に得られる。心出し孔とボルト頭部の円錐形状により、固定ボルトの心出し孔への挿入過程中、動翼が所望の軸方向設定位置に補正して置かれる。

流体機械のロータ円板に動翼を組み込むべく、まず盲孔に固定ボルトを、ボルト頭部が保持溝の溝底より半径方向内側に位置するようねじ込む。続いて、動翼を保持溝内に、心出し孔が盲孔と一致する迄はめ込み、続いてボルトを回し工具で回し、盲孔から部分的に出して心出し孔にはめ込む。動翼の分解は、上述の工程を逆の順序で実施すればよい。

以下図を参照して本発明を詳細に説明する。

ガスタービンや圧縮機等の流体機械とその運転方法は周知である。図１は、ガスタービン１３として形成した流体機械を示す。ガスタービン１３は圧縮機１５、燃焼器１７およびタービン装置１９を備える。ガスタービン１３はまたロータ２１を持つ。該ロータ２１は圧縮機１５とタービン装置１９において、軸方向に隣接して配置された複数のロータ円板２３から構成され、該ロータ円板２３の外周に動翼２５が動翼輪の形で配置される。

ガスタービン１３の運転中、空気Ｌが圧縮機１５で吸い込まれて圧縮される。圧縮空気は燃焼器１７に供給され、燃料Ｂと混合され、そこで燃焼して高温燃焼ガスを発生する。該ガスはタービン装置１９に流入して膨張し、タービン装置１９の動翼２５において仕事をする。その際、ガスタービン１３のロータ２１が駆動される。

図２はロータ円板２３の一部を斜視図で示す。ロータ円板２３の外周に横に延びる保持溝２９があり、該溝２９に対応して形成された動翼２５の翼脚が保持溝２９にはめ込まれる。明確化のため、ロータ円板２３の、動翼輪の動翼２５に対する円周方向にわたり分布した複数の保持溝２９の内の１つのみを示す。保持溝２９の溝底３１に各々凹所３３があり、該凹所３３から半径方向内側にロータ円板２３に向けて盲孔３５が延びている。

図３は図２のロータ円板２３のＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿う断面図を示す。溝底３１の半径方向内側に凹所３３があり、該凹所３３から盲孔３５が半径方向に延びている。盲孔３５は、少なくとも部分的に雌ねじ３７を有している。

図４は、既に盲孔３５に固定要素３９がねじ込まれ、動翼２５がはめ込まれたロータ円板２３の一部を断面図で示す。固定要素３９は、動翼２５の翼脚４４に形成された心出し孔４５にまだはめ込まれていない。

翼脚４４に設けられた盲孔状の心出し孔４５の直径は、初めは一定し、次いで孔底に向けて円錐状に狭まっている。

それに類似して、固定ボルト４１は円錐状のボルト頭部４３を有している。

動翼２５を組み立てるべく、まず動翼２５をはめ込んだ際、固定ボルト４１のボルト頭部４３が保持溝２９の溝底より半径方向内側に位置し、又は心出し孔４５の開口より半径方向内側に位置するよう、固定ボルト４１として形成した固定要素３９を盲孔３５の中にねじ込む。そのため、固定ボルト４１をねじ回しで特に簡単且つ迅速に雌ねじ３７にねじ込めるよう、固定ボルト４１の端面に押えねじに対応するスリット４２を有している。

次に動翼２５を、翼脚４４の半径方向に延びる心出し孔４５が盲孔３５と一致する迄保持溝２９内にはめ込む。次に半径方向において盲孔３５と心出し孔４５の間に位置する凹所３３を経て横から入れた工具で、固定ボルト４１を回し、固定装置５０を完成すべく、ボルト頭部４３が心出し孔４５の底に接するか、心出し孔４５とボルト頭部４３の円錐面が相互に接触する迄、盲孔３５から部分的に出し、心出し孔４５にはめ込む（図５）。この位置で、動翼２５の軸方向変位を確実に防止できる。同時に、固定ボルト４１は動翼２５を規定の半径方向位置に半径方向外側に押し付ける。

心出し孔４５とボルト頭部４３の互いに対応した円錐形状により、動翼２５は規定された所望の軸方向位置に強制的に置かれる。

図６は複数の半径方向孔５１を持つ固定ボルト４１を示す。孔５１は固定ボルト４１の上部円周に分布する。梃子棒５３を孔５１に、固定ボルト４１を雌ねじ３７にねじ込む工具としてはめ込む。固定ボルト４１の下部に、雌ねじ３７にねじ込む雄ねじ３８がある。

図７は、固定ボルト４１の他の実施例を示す。該ボルト４１は、上部に六角軸部５５を持つ。対応したレンチ５７が、固定ボルト４１を回すべく六角軸部５５に当てられる。

図示の実施例に代えて、固定ボルト４１に工具を端面側から接近するために必要な凹所３３を、動翼２５の翼脚４４に部分的に或いは全部に設け得る。

図８は、動翼２５に対する盲孔３５付き保持溝２９を備えたロータ円板２３の異なる実施例を、その外周面５９の部分平面図で示す。盲孔３５は、円周面の雌ねじの代わりに、孔方向に延びる少なくとも１つの止め溝６１を備える。

盲孔３５に、図９に示すインサート６３がはめ込まれる。該インサート６３は盲孔３５に対応して円筒ブッシュの形に形成され、固定ボルト４１がねじ込まれる雌ねじ６５を備える。更にインサート６３はその外周面に、止め溝６１に対応して形成した、軸方向に延びる少なくとも１つのリブ６７を有する。

図１０は、盲孔３５にはめ込まれたインサート６３を示す。この場合、リブ６７が止め溝６１にはまり込み、この結果、止め溝６１は、盲孔３５内のインサート６３の回り止め手段を形成する。或いは、２つ以上のリブ６７と止め溝６１を設けてもよい。

ガスタービンの概略断面図。 ロータ円板の一部斜視図。 図２におけるＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿った断面図。 固定ボルトと動翼とを備えたロータ円板の部分断面図。 動翼が固定ボルトで固定されたロータ円板の部分断面図。 半径方向孔を備えた固定ボルトの側面図。 六角軸部を備えた固定ボルトの側面図。 雌ねじ付きインサート用盲孔を備えたロータ円板の部分平面図。 雌ねじと回り止めリブとを備えたインサートの断面斜視図。 インサートがはめ込まれたロータ円板の部分断面図。

符号の説明

１１ 流体機械、１３ ガスタービン、１５ 圧縮機、２３ ロータ円板、２５ 動翼、２９ 保持溝、３３ 凹所、３５ 盲孔、３７ 雌ねじ、３９ 固定要素、４１ 固定ボルト、４４ 翼脚、４５ 心出し孔、５０ 固定装置、５１ 半径方向孔

Claims (11)

1. ロータ円板（２３）が各動翼（２５）の翼脚（４４）を受けるためにロータ円板円周に翼脚（４４）に対応して形成された保持溝（２９）を有し、該各溝（２９）に各々固定要素（３９）付き盲孔（３５）が設けられ、翼脚（４４）の前記盲孔（３５）に対向する位置に形成された動翼（２５）を固定する心出し孔（４５）の中に前記固定要素（３９）が突出している流体機械（１１）のロータ円板（２３）に配置された動翼（２５）の固定装置（５０）において、
   盲孔（３５）に雌ねじ（３７）が設けられ、固定要素（３９）が前記盲孔（３５）内を沈降できる固定ボルト（４１）として形成され、この固定ボルト（４１）を回すための工具を軸方向に接近させる通路として、盲孔（３５）の範囲に凹所（３３）が設けられたことを特徴とする固定装置。
2. 盲孔（３５）がねじ孔として形成されたことを特徴とする請求項１記載の装置。
3. 盲孔（３５）内に雌ねじ（３７）付きインサートが配置され、該インサートが盲孔（３５）内に回り止めされたことを特徴とする請求項１記載の装置。
4. 凹所（３３）がロータ円板（２３）および／又は翼脚（４４）に設けられたことを特徴とする請求項１から３の１つに記載の装置。
5. 固定ボルト（４１）が円周方向に分布した半径方向孔（５１）を有し、該孔（５１）に回し工具として梃子棒（５３）が挿入されることを特徴とする請求項１から４の１つに記載の装置。
6. 固定ボルト（４１）が、凹所（３３）を通って接近できる外周部に、固定ボルト（４１）の回し工具として用いるレンチ（５７）に対する六角軸部（５５）を有することを特徴とする請求項１から５の１つに記載の装置。
7. 固定ボルトが押えねじであることを特徴とする請求項１から６の１つに記載の装置。
8. 心出し孔（３５）の直径がその底に向けて円錐状に狭まり、固定ボルト（４１）がそれに対応して形成されたボルト頭部（４３）を有することを特徴とする請求項１から７の１つに記載の装置。
9. ロータ円板（２３）と該円板（２３）に配置された動翼（２５）とを有する流体機械の圧縮機（１５）において、前記動翼（２５）が請求項１から８の１つに記載の固定装置（５０）で固定されたことを特徴とする流体機械。
10. 流体機械（１１）のロータ円板（２３）に請求項１から８の１つに記載の固定装置（５０）で動翼（２５）を組み立てる方法において、
    ａ）固定ボルト（４１）を盲孔（３５）にねじ込む、
    ｂ）動翼（３５）を保持溝（２９）の中に、その心出し孔（４５）が盲孔（３５ ）と一致する迄はめ込む、
    ｃ）固定ボルト（４１）の回し工具によって、固定ボルト（４１）を回し盲孔（ ３５）から部分的に出し、心出し孔（４５）にはめ込む、
    工程ａ）〜ｃ）の順序で、動翼（２５）をロータ円板（２３）に取り付け固定することを特徴とする流体機械のロータ円板における動翼の組立方法。
11. 請求項１から８の１つに記載の固定装置（５０）を備えた流体機械（１１）のロータ円板（２３）から動翼（２５）を分解する方法において、
    請求項１０の工程ａ）〜ｃ）を逆の順序で実施することを特徴とする方法。
    
    

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