JP2006025109A - ハイブリッド型超音波トランスデューサ、超音波スピーカ、およびハイブリッド型超音波トランスデューサの制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 プッシュプル静電型超音波トランスデューサの特長を活かしながら、裏面から音波が放射されないようにできる、ハイブリッド型超音波トランスデューサを提供する。
【解決手段】 プッシュプル型の超音波トランスデューサの背面に、プル型の超音波トランスデューサの音波放射面を対向させて配置したハイブリッド型超音波トランスデューサであって、前記プッシュプル型超音波トランスデューサの背面から放射される音波と逆位相の音波を、前記プル型超音波トランスデューサから放射させるように構成されたことを特徴とするハイブリッド型超音波トランスデューサ。
【選択図】 図1
【解決手段】 プッシュプル型の超音波トランスデューサの背面に、プル型の超音波トランスデューサの音波放射面を対向させて配置したハイブリッド型超音波トランスデューサであって、前記プッシュプル型超音波トランスデューサの背面から放射される音波と逆位相の音波を、前記プル型超音波トランスデューサから放射させるように構成されたことを特徴とするハイブリッド型超音波トランスデューサ。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ハイブリッド型超音波トランスデューサ、超音波スピーカ、およびハイブリッド型超音波トランスデューサの制御方法に関し、特に、プッシュプル型超音波トランスデューサの背面に対向するようにプル型超音波トランスデューサを配置して消音し、前面側からのみ音波を放出することができる、ハイブリッド型超音波トランスデューサ、超音波スピーカ、およびハイブリッド型超音波トランスデューサの制御方法に関するものである。
高音圧の超音波搬送波を可聴帯域の音響信号によって振幅変調した変調波(音波)を空中に放射すると、空気の非線形性により、音圧の高いところでは音速が高くなり、低いところでは音速が低くなって、空中を音波が伝播するに従って波形に歪みが発生する。この結果、音波が空中を伝搬するに従い波形に歪みが蓄積されて徐々に搬送波成分が減衰し、変調に用いた可聴帯域の音響信号成分が自己復調されてくることが知られている。この現象はパラメトリックアレイと呼ばれている。超音波で搬送することにより、自己復調された可聴音が鋭い指向性を有することから、この原理を応用したスピーカはパラメトリックスピーカや超指向性スピーカ(超音波スピーカ)などと呼ばれている。
この超指向性スピーカ(超音波スピーカ)を構成する超音波トランスデューサの代表的なものとして、圧電型の超音波トランスデューサと静電型超音波トランスデューサがある。圧電型超音波トランスデューサは、振動体にピエゾ等の圧電素子を使用したもので、その共振周波数帯域を利用して駆動するタイプの共振型超音波トランスデューサである。よって、効率的に高い音圧を発生させることができるものの、音圧―周波数特性は狭帯域であるという特徴がある。これに対し、静電型の超音波トランスデューサは、固定電極と薄い電極膜との間に静電力を作用させることで電極膜を振動させるタイプの超音波トランスデューサであり、音圧−周波数特性が広帯域であるという特徴がある。
超指向性スピーカ(超音波スピーカ)は高音圧を発生させる必要があるため、従来の超指向性スピーカでは一般的に共振型の超音波トランスデューサが用いられている。しかし、従来の超指向性スピーカは、ラウドスピーカと比較して再生音質が低いという評価が多く、局所アナウンスや展示解説など音声用途にしか用いられていない。このように、共振型超音波トランスデューサは音圧一周波数特性が狭帯域であり、駆動周波数が限定されるため、再生音質の向上を図るのが難しく、再生範囲の調節もし難いという問題がある。また、過大入力に対して敏感であり、素子を破損し易いため、取り扱いにも注意を要するという問題もある。
一方、静電型超音波トランスデューサの場合は、共振型の超音波トランスデューサよりも単位面積あたりの出力音圧は小さくなるが、広帯域の音圧−周波数特性を有するため、再生音質の向上を図りやすく、再生範囲の調節が容易という特長がある。また、共振型の超音波トランスデューサと比較して、振動体(膜)が柔軟であるため、過大入力に対しても超音波トランスデューサを破損しにくく、共振型超音波トランスデューサのように取り扱いに神経質にならなくても良いという特長もある。
このように、再生音質の向上や、取り扱いのし易さという観点からは、静電型超音波トランスデューサを用いて超指向性スピーカを構成する方が望ましい。
また、静電型超音波トランスデューサは、その構造においてプル型とプッシュプル型の二種類に大きく分けられる。それぞれの長所、短所は次の通りである。
図11は、プル型の静電型超音波トランスデューサの駆動概念を説明するための図であり、振動膜(絶縁フィルムなど)に導電層を蒸着した振動膜(振動電極膜)21と固定電極22との間に、DCバイアス電源から出力される直流バイアスに交流信号を重畳して印加し、該交流信号により、振動膜21を振動させて超音波を出力する。
図10(a)は、振動膜21に対して、交流信号の正(+)側の出力が直流バイアスに重畳された状態で印加された場合の振動膜21の振幅状態を示し、図10(b)は、交流信号の負(−)側の出力が直流バイアスに重畳された状態で印加された場合の振動膜21の振幅状態を示している。
図10(a)に示す状態の場合は、固定電極22と振動膜21との間の電位差が大きくなり、固定電極22と振動膜21との間に強い静電力(吸引力)が作用し、振動膜21の中央部は固定電極22の方向に引き寄せられる。図10(b)に示す状態の場合は、固定電極22と振動膜21との間の電位差が小さくなり、固定電極22と振動膜21との間の静電力(吸引力)が弱まり、振動膜21の中央部は、弾性復元力により固定電極22と反対の方向に引き戻される。このようにして、振動膜21は交流信号に応じて振動し、超音波を出力する。
このプル型の静電型超音波トランスデューサは、プッシュプル型の静電型超音波トランスデューサのように(後述)、音波を通すための貫通穴などを固定電極に設ける必要がないため、開口率が大きく、音圧を稼ぎ易いという長所がある。一方、振動に寄与する成分が静電吸引力と膜の弾性復元力のみであるため、出力波形の歪が大きくなるという短所がある。
また、図11は、プッシュプル型の静電型超音波トランスデューサの駆動概念を説明するための図であり、プッシュプル型の静電型超音波トランスデューサでは、振動膜(振動電極膜)11に対向して、前面側の固定電極12と背面側の固定電極13とが設けられる。そして、振動膜11に、DCバイアス電源により+側のDCバイアスを与え、前面側の固定電極12と背面側の固定電極13の間に交流信号を印加する。
図11(a)は、交流信号がゼロ(0)の場合の、振動膜11の振幅状態を示す図であり、振動膜11は中立(前面側の固定電極12と背面側の固定電極13の真ん中)の位置にある。図11(b)は、前面側の固定電極12に交流信号の−電圧が印加され、背面側の固定電極13に交流信号の+電圧が印加された場合の、振動膜11の振幅状態を示す図であり、振動膜11の中央部は、背面側の固定電極13との間の静電力(反発力)と、前面側の固定電極12との間の静電力(吸引力)により、前面側の固定電極12の方向に引き寄せられる。
図11(c)は、前面側の固定電極12に交流信号の+電圧が印加され、背面側の固定電極13に交流信号の−電圧が印加された場合の、振動膜11の振幅状態を示す図であり、振動膜11の中央部は、前面側の固定電極12との間の静電力(反発力)と背面側の固定電極13との間の静電力(吸引力)により、背面側の固定電極13の方向に引き寄せられる。
このようにして、振動膜11は交流信号に応じて振動し、音波を出力する。
このようにして、振動膜11は交流信号に応じて振動し、音波を出力する。
このプッシュプル型の静電型超音波トランスデューサは、振動膜に対して静電吸引力と静電反発力との両方が作用するため、つまり正負対称に静電力が作用するため、出力波形の歪が小さくなるという長所がある。一方、固定電極に設けられた貫通穴を通して音波が出力されるため、開口率が小さく、音圧を稼ぎ難いのが短所である。
ところで、超指向性スピーカに静電型超音波トランスデューサを用いる場合、超音波帯域の理想的な振幅変調波をスピーカに入力しても、超音波トランスデューサから出力される波形(搬送波)の正負非対称歪みが大きいと、その歪み成分が可聴音成分となり、超音波成分のほかにスピーカから可聴音が直接出力されてしまい、聴感上の指向性が低くなるという特有の問題がある。これは、静電型超音波トランスデューサが広周波数帯域の音圧特性を有する(可聴音自体を直接入力してもそれなりの音圧が出る)ためであり、広帯域特性を有する超音波トランスデューサに特有の問題であるといえる。よって、上記の問題を回避するためには、プル型より出力波形の歪みが小さいプッシュプル型を用いるほうが望ましい。
プッシュプル型の超音波トランスデューサによって超指向性スピーカ(超音波スピーカ)を構成する場合、従来の超音波トランスデューサでは、振動膜を挟む上下固定電極の両方に音波を通過させるための貫通穴が設けられているので、正面と裏面との両方に音波が放出される(例えば、特許文献1参照)。
このような超指向性スピーカを、例えばプロジェクタ等の機器に搭載し、映像を投影するスクリーンに音波を反射させてスクリーンサウンドを実現することを考える。この場合、プロジェクタの筐体外側に張り出すようにスピーカを設置すると、プロジェクタの後方からスクリーンを見ている人には、スクリーンで反射される音以外に、プロジェクタ本体のスピーカからも音が直接聞こえてしまい、臨場感を損なうという問題がある。一方、プロジェクタの前方でスクリーンを見ている人には、スピーカ裏面から放射された音波が後方の壁で反射することで、スクリーンで反射された音と同じ音が後方からも聞こえてくることになり、やはり臨場感を損なうという問題がある。
また、プロジェクタの筐体内側にスピーカを設置すると、裏面から放射される音波は筐体もしくは内部構造物で遮られて、正面側にしか音波が放射されなくなるので、上記のような問題は生じない。しかし、筐体もしくは内部構造物など至近距離で反射された音波が超音波トランスデューサの振動膜に直接跳ね返ってきて、振動膜の振動を乱す。その結果、正面から出力される音波の指向性や音質が劣化してしまうという問題がある。
特開平6−209499号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、プッシュプル静電型超音波トランスデューサの特長を活かしながら、裏面から音波が放射されないようにできる、ハイブリッド型超音波トランスデューサ、超音波スピーカ、およびハイブリッド型超音波トランスデューサの制御方法を提供することにある。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明のハイブリッド型超音波トランスデューサは、プッシュプル型の超音波トランスデューサの背面に、プル型の超音波トランスデューサの音波放射面を対向させて配置したハイブリッド型超音波トランスデューサであって、前記プッシュプル型超音波トランスデューサの背面から放射される音波と逆位相の音波を、前記プル型超音波トランスデューサから放射させるように構成されたことを特徴とする。
このような構成により、プッシュプル型の静電型超音波トランスデューサ(前面と背面との両側に音波が放射される)の背面に、プル型の静電型トランスデューサ(前面側にのみ音波が放射される)の音波放射面を対向させて配置する。そして、プッシュプル型超音波トランスデューサの背面側に放射される音波と逆位相の音波をプル型超音波トランスデューサから放射して、プッシュプル型超音波トランスデューサの背面側に放射される音波を消音し、トランスデューサ全体として前面側からのみ音波が放射されるようする。
これにより、出力音の歪が小さい(原音に忠実)というプッシュプル型超音波トランスデューサの特長を活かしながら、音波を前面側にのみ放射することが可能になる。その結果、例えば、プロジェクタ等の機器に一体にスピーカを設置して、スクリーンに音波を反射させて試聴するような場合においても、臨場感を損なうことがない。また、機器筐体内での反射音波の影響による音質劣化も防ぐことができる。また、超指向性スピーカとして構成する場合には、機器筐体内での反射音波の影響による指向性低下も防ぐことができる。
このような構成により、プッシュプル型の静電型超音波トランスデューサ(前面と背面との両側に音波が放射される)の背面に、プル型の静電型トランスデューサ(前面側にのみ音波が放射される)の音波放射面を対向させて配置する。そして、プッシュプル型超音波トランスデューサの背面側に放射される音波と逆位相の音波をプル型超音波トランスデューサから放射して、プッシュプル型超音波トランスデューサの背面側に放射される音波を消音し、トランスデューサ全体として前面側からのみ音波が放射されるようする。
これにより、出力音の歪が小さい(原音に忠実)というプッシュプル型超音波トランスデューサの特長を活かしながら、音波を前面側にのみ放射することが可能になる。その結果、例えば、プロジェクタ等の機器に一体にスピーカを設置して、スクリーンに音波を反射させて試聴するような場合においても、臨場感を損なうことがない。また、機器筐体内での反射音波の影響による音質劣化も防ぐことができる。また、超指向性スピーカとして構成する場合には、機器筐体内での反射音波の影響による指向性低下も防ぐことができる。
また、本発明のハイブリッド型超音波トランスデューサは、前記プッシュプル型超音波トランスデューサと前記プル型超音波トランスデューサの設置間隔を調整するギャップ調整手段を備えることを特徴とする。
このような構成により、プッシュプル型超音波トランスデューサの背面から出力される音波の位相と、プル型超音波トランスデューサ前面から出力される音波の位相とが互いに逆位相となるように、プッシュプル型超音波トランスデューサとプル型超音波トランスデューサとの設置間隔(ギャップ)を調整する。例えば、超指向性スピーカの指向性(指向角度)を手動で調整(キャリア波の周波数を調整)するように構成した場合、指向角調整用つまみと連動してスライド機構が作動して、ギャップが調整されるようにする。
これにより、プッシュプル型超音波トランスデューサとプル型超音波トランスデューサとの設置間隔(ギャップ)を調整することができる。このため、ギャップを調整することにより、出力音の歪が小さい(原音に忠実)というプッシュプル型超音波トランスデューサの特長を活かしながら、音波を前面側にのみ放射することが可能になる。
このような構成により、プッシュプル型超音波トランスデューサの背面から出力される音波の位相と、プル型超音波トランスデューサ前面から出力される音波の位相とが互いに逆位相となるように、プッシュプル型超音波トランスデューサとプル型超音波トランスデューサとの設置間隔(ギャップ)を調整する。例えば、超指向性スピーカの指向性(指向角度)を手動で調整(キャリア波の周波数を調整)するように構成した場合、指向角調整用つまみと連動してスライド機構が作動して、ギャップが調整されるようにする。
これにより、プッシュプル型超音波トランスデューサとプル型超音波トランスデューサとの設置間隔(ギャップ)を調整することができる。このため、ギャップを調整することにより、出力音の歪が小さい(原音に忠実)というプッシュプル型超音波トランスデューサの特長を活かしながら、音波を前面側にのみ放射することが可能になる。
また、本発明のハイブリッド型超音波トランスデューサは、キャリア波の周波数を検出し、該キャリア波の波長を基にギャップ移動量を求めるギャップ制御手段と、前記ギャップ制御手段の指示によりギャップ調整を行うギャップ調整手段とを備えることを特徴とする。
このような構成により、ギャップ制御手段により、キャリア波の周波数に応じて自動的にギャップの調整量を判定し、ギャップ調整手段によりギャップの調整を行う。例えば、ギャップ調整手段を位置決め用のアクチュエータ(ステッピングモータとボールネジなど)で構成し、搬送波の周波数に応じて自動的にギャップを調整する。
これにより、キャリア波の周波数の変化に応じてギャップの調整を行うことができる。このため、指向角を変化させた場合(キャリア波の周波数を変化させた場合)にも、適切にギャップの調整を行うことができ、出力音の歪が小さい(原音に忠実)というプッシュプル型超音波トランスデューサの特長を活かしながら、音波を前面側にのみ放射することが可能になる。
このような構成により、ギャップ制御手段により、キャリア波の周波数に応じて自動的にギャップの調整量を判定し、ギャップ調整手段によりギャップの調整を行う。例えば、ギャップ調整手段を位置決め用のアクチュエータ(ステッピングモータとボールネジなど)で構成し、搬送波の周波数に応じて自動的にギャップを調整する。
これにより、キャリア波の周波数の変化に応じてギャップの調整を行うことができる。このため、指向角を変化させた場合(キャリア波の周波数を変化させた場合)にも、適切にギャップの調整を行うことができ、出力音の歪が小さい(原音に忠実)というプッシュプル型超音波トランスデューサの特長を活かしながら、音波を前面側にのみ放射することが可能になる。
また、本発明のハイブリッド型超音波トランスデューサは、前記プル型静電型超音波トランスデューサに与える駆動信号の位相シフト量を調整する位相シフト手段を備えることを特徴とする。
このような構成により、プッシュプル型超音波トランスデューサの背面側から出力される音波に対して、ギャップ部分においてちょうど位相が反転した状態の音波がプル型超音波トランスデューサから出力されるように、プル型超音波トランスデューサに与える駆動信号の位相シフト量を調整する。
これにより、ギャップ調整に必要な機構が省略でき、信号処理だけで、プッシュプル型超音波トランスデューサの背面側から出力される音波を打ち消すことができる。
このような構成により、プッシュプル型超音波トランスデューサの背面側から出力される音波に対して、ギャップ部分においてちょうど位相が反転した状態の音波がプル型超音波トランスデューサから出力されるように、プル型超音波トランスデューサに与える駆動信号の位相シフト量を調整する。
これにより、ギャップ調整に必要な機構が省略でき、信号処理だけで、プッシュプル型超音波トランスデューサの背面側から出力される音波を打ち消すことができる。
また、本発明のハイブリッド型超音波トランスデューサは、キャリア波の周波数を検出し、該キャリア波の周波数を基に位相シフト量を求める位相制御手段と、前記位相制御手段の指示により位相シフトを行う位相シフト手段とを備えることを特徴とする。
このような構成により、位相制御手段により、搬送波(キャリア波)の周波数を検出し、該キャリア波の周波数に応じて、位相シフト量を判定し、位相シフト手段により、プル型超音波トランスデューサの固定電極に与える駆動信号の位相のシフト量を調節する。すなわち、プッシュプル型超音波トランスデューサの背面側から出力される音波に対して、ギャップ部分においてちょうど位相が反転した状態の音波がプル型超音波トランスデューサから出力されるように、プル型超音波トランスデューサに与える駆動信号の位相シフト量を調整する。
これにより、ギャップ調整に必要な機構が省略でき、信号処理だけで、プッシュプル型超音波トランスデューサの背面側から出力される音波を打ち消すことができる。
このような構成により、位相制御手段により、搬送波(キャリア波)の周波数を検出し、該キャリア波の周波数に応じて、位相シフト量を判定し、位相シフト手段により、プル型超音波トランスデューサの固定電極に与える駆動信号の位相のシフト量を調節する。すなわち、プッシュプル型超音波トランスデューサの背面側から出力される音波に対して、ギャップ部分においてちょうど位相が反転した状態の音波がプル型超音波トランスデューサから出力されるように、プル型超音波トランスデューサに与える駆動信号の位相シフト量を調整する。
これにより、ギャップ調整に必要な機構が省略でき、信号処理だけで、プッシュプル型超音波トランスデューサの背面側から出力される音波を打ち消すことができる。
また、本発明のハイブリッド型超音波トランスデューサは、前記プッシュプル型超音波トランスデューサの駆動信号を増幅するパワーアンプのゲインと、前記プル型超音波トランスデューサの駆動信号を増幅するパワーアンプのゲインとを個別に調整するゲイン調整手段を備えることを特徴とする。
このような構成により、プッシュプル型超音波トランスデューサに与える駆動信号を増幅するパワーアンプと、プル型超音波トランスデューサに与える駆動信号を増幅するパワーアンプの増幅率とをそれぞれを個別に調整できるようにする。
これにより、プッシュプル型超音波トランスデューサの振幅とプル型超音波トランスデューサ振幅とができるだけ同じ振動をするように調整できる。このため、プッシュプル型超音波トランスデューサの背面側から出力される音波を適切に打ち消すことができる。
このような構成により、プッシュプル型超音波トランスデューサに与える駆動信号を増幅するパワーアンプと、プル型超音波トランスデューサに与える駆動信号を増幅するパワーアンプの増幅率とをそれぞれを個別に調整できるようにする。
これにより、プッシュプル型超音波トランスデューサの振幅とプル型超音波トランスデューサ振幅とができるだけ同じ振動をするように調整できる。このため、プッシュプル型超音波トランスデューサの背面側から出力される音波を適切に打ち消すことができる。
また、本発明のハイブリッド型超音波トランスデューサは、前記プッシュプル型の超音波トランスデューサの固定電極の一部に、該プッシュプル型超音波トランスデューサの出力波形を検出する検出用固定電極を設けると共に、前記検出用固定電極により検出されたプッシュプル型超音波トランスデューサの出力波形の情報を基に、該出力波形の歪みを検出する歪み検出手段と、前記歪み検出手段により検出された出力波形の歪みの情報を基に、前記プッシュプル型超音波トランスデューサの出力波形の歪みが小さくなるように、前記プッシュプル型超音波トランスデューサとプル型超音波トランスデューサとの間のギャップを調整するギャップ制御手段とを備えることを特徴とする。
このような構成により、プッシュプル型超音波トランスデューサの出力波形を監視する検出用固定電極を設け、プッシュプル型超音波トランスデューサの出力波形に歪みが生じないように(入力信号に比例して忠実に振動するように)、プッシュプル型超音波トランスデューサとプル型超音波トランスデューサとの間のギャップを調整する。
これにより、プッシュプル型超音波トランスデューサの背面側から出力される音波が、当該プッシュプル型超音波トランスデューサの前面側から出力される出力波形に影響(歪み)を与えない位置を検出しながら、ギャップの調整を行うことができる。
このような構成により、プッシュプル型超音波トランスデューサの出力波形を監視する検出用固定電極を設け、プッシュプル型超音波トランスデューサの出力波形に歪みが生じないように(入力信号に比例して忠実に振動するように)、プッシュプル型超音波トランスデューサとプル型超音波トランスデューサとの間のギャップを調整する。
これにより、プッシュプル型超音波トランスデューサの背面側から出力される音波が、当該プッシュプル型超音波トランスデューサの前面側から出力される出力波形に影響(歪み)を与えない位置を検出しながら、ギャップの調整を行うことができる。
また、本発明のハイブリッド型超音波トランスデューサは、前記プッシュプル型の超音波トランスデューサの固定電極の一部に、該プッシュプル型超音波トランスデューサの出力波形を検出する検出用固定電極を設けると共に、前記検出用固定電極により検出されたプッシュプル型超音波トランスデューサの出力波形の情報を基に、該出力波形の歪みを検出する歪み検出手段と、前記歪み検出手段により検出された出力波形の歪みの情報を基に、前記プッシュプル型超音波トランスデューサの出力の波形歪が小さくなるように、前記プル型超音波トランスデューサに与える駆動信号の位相シフト量を制御する位相制御手段とを備えることを特徴とする。
このような構成により、プッシュプル型超音波トランスデューサの出力波形を監視する検出用固定電極を設け、プッシュプル型超音波トランスデューサの出力波形に歪みが生じないように(入力信号に比例して忠実に振動するように)、プル型超音波トランスデューサに印加する駆動信号の位相を調整する。
これにより、プッシュプル型超音波トランスデューサの背面側から出力される音波が、当該プッシュプル型超音波トランスデューサの前面側から出力される出力波形に影響(歪み)を与えないことを検出しながら、プル型超音波トランスデューサに与える駆動信号の位相シフト量を調整することができる。
このような構成により、プッシュプル型超音波トランスデューサの出力波形を監視する検出用固定電極を設け、プッシュプル型超音波トランスデューサの出力波形に歪みが生じないように(入力信号に比例して忠実に振動するように)、プル型超音波トランスデューサに印加する駆動信号の位相を調整する。
これにより、プッシュプル型超音波トランスデューサの背面側から出力される音波が、当該プッシュプル型超音波トランスデューサの前面側から出力される出力波形に影響(歪み)を与えないことを検出しながら、プル型超音波トランスデューサに与える駆動信号の位相シフト量を調整することができる。
また、本発明の超音波スピーカは、前記いずれかのハイブリッド型超音波トランスデューサを備え、超音波帯域の搬送波を可聴帯域の音響信号で変調した変調波を供給するように構成されたことを特徴とする。
これにより、出力音の歪が小さい(原音に忠実)というプッシュプル型超音波トランスデューサの特長を活かしながら、音波を前面側にのみ放射することが可能な超音波スピーカを提供できる。
これにより、出力音の歪が小さい(原音に忠実)というプッシュプル型超音波トランスデューサの特長を活かしながら、音波を前面側にのみ放射することが可能な超音波スピーカを提供できる。
また、本発明の超音波トランスデューサの制御方法は、プッシュプル型の超音波トランスデューサの背面に、プル型の超音波トランスデューサの音波放射面を対向させて配置したハイブリッド型超音波トランスデューサの制御方法であって、前記プッシュプル型超音波トランスデューサの背面から放射される音波と逆位相の音波を、前記プル型超音波トランスデューサから放射させることを特徴とする。
このような方法により、プッシュプル型の静電型超音波トランスデューサ(前面と背面との両側に音波が放射される)の背面に、プル型の静電型トランスデューサ(前面側にのみ音波が放射される)の音波放射面を対向させて配置する。そして、プッシュプル型超音波トランスデューサの背面側に放射される音波と逆位相の音波をプル型超音波トランスデューサから放射して、プッシュプル型超音波トランスデューサの背面側に放射される音波を消音し、トランスデューサ全体として全面側からのみ音波が放射されるようする。
これにより、出力音の歪が小さい(原音に忠実)というプッシュプル型超音波トランスデューサの特長を活かしながら、音波を前面側にのみ放射することが可能になる。その結果、例えば、プロジェクタ等の機器に一体にスピーカを設置して、スクリーンに音波を反射させて試聴するような場合においても、臨場感を損なうことがない。また、機器筐体内での反射音波の影響による音質劣化も防ぐことができる。また、超指向性スピーカとして構成する場合には、機器筐体内での反射音波の影響による指向性低下も防ぐことができる。
このような方法により、プッシュプル型の静電型超音波トランスデューサ(前面と背面との両側に音波が放射される)の背面に、プル型の静電型トランスデューサ(前面側にのみ音波が放射される)の音波放射面を対向させて配置する。そして、プッシュプル型超音波トランスデューサの背面側に放射される音波と逆位相の音波をプル型超音波トランスデューサから放射して、プッシュプル型超音波トランスデューサの背面側に放射される音波を消音し、トランスデューサ全体として全面側からのみ音波が放射されるようする。
これにより、出力音の歪が小さい(原音に忠実)というプッシュプル型超音波トランスデューサの特長を活かしながら、音波を前面側にのみ放射することが可能になる。その結果、例えば、プロジェクタ等の機器に一体にスピーカを設置して、スクリーンに音波を反射させて試聴するような場合においても、臨場感を損なうことがない。また、機器筐体内での反射音波の影響による音質劣化も防ぐことができる。また、超指向性スピーカとして構成する場合には、機器筐体内での反射音波の影響による指向性低下も防ぐことができる。
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
図1に、本発明のハイブリッド型超音波トランスデューサの基本的な構成例(側断面図)を示す。また、図2は、プッシュプル型超音波トランスデューサとプル型超音波トランスデューサとのギャップ(間隔)を調整可能なようにギャップ調整部を設けた構成例を示す図である。なお、本明細書中のプッシュプル型超音波トランスデューサおよびプル型超音波トランスデューサは、いずれも静電型の超音波トランスデューサである。
図1において、プッシュプル型超音波トランスデューサ10には音波を通す貫通穴14が設けられており、プッシュプル型超音波トランスデューサ10の背面と対向させるように、所定のギャップを隔ててプル型超音波トランスデューサ20が配置されている。プッシュプル型超音波トランスデューサ10とプル型超音波トランスデューサ20とは、絶縁支持枠30によって電気的に絶縁されて支持されている。
プッシュプル型超音波トランスデューサ10の振動膜(振動電極膜)11には直流バイアスを印加し、前面側の固定電極12と背面側の固定電極13には互いに位相反転した駆動信号(交流信号)を印加することによって、振動膜11に静電吸引、反発力が作用し、振動膜11がプッシュプル駆動される。
また、プル型超音波トランスデューサ20の固定電極22には、直流バイアスを重畳した駆動信号が印加されるように構成されている。プル型超音波トランスデューサ20に直流バイアスを印加すると、固定電極22と振動膜(振動電極膜)21との間に静電吸引力が作用して振動膜21が固定電極22側に引き寄せられ、振動膜21には張力が作用した状態になる。この状態で直流バイアスに駆動信号(交流信号)を重畳して印加すると、振動膜21に作用する静電吸引力が変化して振動膜21が振動し、音波が前面に放射される。
このような構成により、プッシュプル型超音波トランスデューサ10の背面側から放射される音波と逆位相の音波を、プル型超音波トランスデューサ20から放射し、プッシュプル型超音波トランスデューサ10の背面から放射される音波を消音する。これにより、出力音の歪が小さい(原音に忠実)というプッシュプル型超音波トランスデューサの特長を活かしながら、音波を前面側にのみ放射することが可能になる。
また、図2に示す例では、プッシュプル型超音波トランスデューサ10とプル型超音波トランスデューサ20との間隔を調整可能なようにギャップ調整部51を設け、プッシュプル型超音波トランスデューサ10の背面側から放射される音波とが逆位相になるように、ギャップ調整部51により調整する。なお、このギャップ調整部51によるギャップの調整方法については後述する。
図3は、本発明によるハイブリッド型超音波トランスデューサの動作説明図であり、まず、図3(a)に示す駆動信号が印加されていない場合は、それぞれの振動膜11、21には直流バイアスによる静電力が作用し、張力が作用した状態で静止しており、双方の超音波トランスデューサ10、20から音波は放射されない。
また、図3(b)に示すように、プッシュプル型超音波トランスデューサ10の前面側の固定電極12にマイナスの駆動信号(電圧)、背面側の固定電極13にプラスの駆動信号(電圧)が印加されている場合は、プッシュプル型超音波トランスデューサ10の振動膜11には前面側からは吸引力、背面側からは反発力が作用する。よって、振動膜11は前面では空気を押し出し、背面では空気を引き込む(プッシュ状態)。
これに対して、プル型超音波トランスデューサ20の固定電極22には、プラスの駆動信号(電圧)が印加されて、振動膜21が固定電極側に更に引き寄せられる。これにより、プル型超音波トランスデューサの振動膜も空気を引き込むため、ギャップ部分の音波は双方打ち消しあうように作用する。
一方、図3(c)に示すように、プッシュプル型超音波トランスデューサ10の前面側の固定電極12にプラスの駆動信号(電圧)、背面側の固定電極13にマイナスの駆動信号(電圧)が印加されている場合は、プッシュプル型超音波トランスデューサ10の振動膜11には前面側からは反発力、背面側からは吸引力が作用する。よって、振動膜は前面では空気を引き込み、背面では空気を押し出す(プル状態)。
これに対してプル型超音波トランスデューサ20の固定電極22には、マイナスの駆動信号(電圧)が印加されて、振動膜が空気を前面側に押し出すように変位する。これにより、プル型超音波トランスデューサ20の振動膜21も空気を押し出す。やはりギャップ部分の音波は双方打ち消しあうように作用する。
このように、プッシュプル型超音波トランスデューサ10の背面側に放出される音波とプル型超音波トランスデューサ20が放出する音波とが互いに打ち消しあうようにそれぞれの振動膜11、21が振動するので、ギャップ部分は常に消音された状態に維持される。
よって、プッシュプル型超音波トランスデューサ10の背面側に放射された音波が反射してきて、プッシュプル型超音波トランスデューサ10の振動膜11の振動を乱すことなく、音波が前面側にのみ放射される。
なお、図1および図2に示す例では、振動膜21全体に渡って固定電極22との間にギャップがあるように構成した例(ラウドスピーカ向き)を示しているが、振動膜21と固定電極22との一部を接触させるように構成(超音波スピーカ向き)してももちろん構わない。
パラメトリックアレイ現象を利用する超指向性スピーカ(超音波スピーカ)においては、搬送波(超音波)の周波数を変えることにより、再生される可聴音(二次波)の指向角度を制御することができる。
以下に、本発明のハイブリッド型超音波トランスデューサを超指向性スピーカシステムとして構成した例について説明する。
図4は、本発明による超指向性スピーカシステムの第1の構成例を示す図であり、指向角度を手動調整するともに、これに連動してギャップ間隔を調整する例である。
図4において、可聴周波数帯信号発振源41は、可聴周波数帯信号(例えば、オーディオ信号など)を生成する。キャリア波信号源42は、超音波周波数帯のキャリア波信号(例えば、40kHzのサイン(Sin)波など)を生成する。なお、キャリア波信号源42で生成されるキャリア波の周波数は、指向角調整ツマミ52に連動して変化する。
変調部43は、キャリア波信号源42から出力されるキャリア波信号を、可聴周波数帯信号発振源41から受け取った可聴周波数帯信号(オーディオ信号)で変調し、変調信号を生成する。パワーアンプ44は、変調部43から受け取った変調信号を増幅し、プッシュプル型超音波トランスデューサの前面側の固定電極12および背面側の固定電極13を駆動する。また、パワーアンプ45は、変調部43から受け取った変調信号を増幅し、プル型超音波トランスデューサの固定電極22を駆動する。
ギャップ調整部51は、搬送波(キャリア波)の周波数に応じて、プッシュプル型超音波トランスデューサ10とプル型超音波トランスデューサ20との設置間隔を調整する。ギャップ調整部51は、プッシュプル型超音波トランスデューサ10の背面側から出力される音波に対して、ギャップ部分においてちょうど位相が反転した状態の音波がプル型超音波トランスデューサ20から出力されるように、ギャップの大きさを調整する。
図4に示す例では、超指向性スピーカの指向性(指向角度)を手動で調整(キャリア波の周波数変化により指向角を調整)するように構成されており、例えば、ギャップ調整部51をスライド機構で構成し、指向角調整用つまみ52と連動してスライド機構が作動して、ギャップが調整されるように構成されている。
なお、常温(音速約340m/s)の場合、超音波の波長は、40kHzで8.5mm、100kHzで3.4mmとなるので、ギャップ調整部51には、0〜2cm程度の範囲で微調整可能な機構を採用することが望ましい。
また、プッシュプル型超音波トランスデューサ10に与える駆動信号を増幅するパワーアンプ44と、プル型超音波トランスデューサ20に与える駆動信号を増幅するパワーアンプ45の増幅率とはそれぞれ個別に調整されるように構成されている。これは、プッシュプル型超音波トランスデューサ振幅とプル型超音波トランスデューサの振幅とが、できるだけ同じ振動をするようにするためである。
また、図5は、本発明による超指向性スピーカシステムの第2の構成例を示す図であり、ギャップ調整を自動で行うようにした例である。
図5に示す例では、ギャップ制御部53により、キャリア波の周波数に応じて自動的にギャップの調整量を判定し、ギャップ調整部51を位置決め用のアクチュエータ(ステッピングモータとボールネジなど)で構成し、搬送波の周波数に応じて自動的にギャップを調整するように構成したものである。
また、図6は、本発明による超指向性スピーカシステムの第3の構成例を示す図であり、プル型超音波トランスデューサを駆動する信号を位相シフトする例である。
図6に示す例では、図4および図5に示す第1および第2の構成例に設けたギャップ調整部51の替わりに、位相シフト部61および位相制御部62を設けている。位相制御部62は、搬送波(キャリア波)の周波数を検出し、該キャリア波の周波数に応じて、位相シフト量を判定し、位相シフト部61により、プル型超音波トランスデューサ20の固定電極22に与える駆動信号の位相のシフト量を調節する。すなわち、プッシュプル型超音波トランスデューサ10の背面側から出力される音波に対して、ギャップ部分においてちょうど位相が反転した状態の音波がプル型超音波トランスデューサ20から出力されるように、プル型超音波トランスデューサ20に与える駆動信号の位相シフト量を調整する。
この例では、ギャップ調整に必要な機構が省略でき、信号処理だけで、プッシュプル型超音波トランスデューサ10の背面側から出力される音波を打ち消すことができる。
また、図7は、本発明による超指向性スピーカシステムの第4の構成例を示す図であり、ギャップの粗調整を自動で行い、微調整を手動で行う例である。
図7に示す例では、ギャップ粗制御部54内に、キャリア波の周波数と該キャリア波の半波長テーブル(λ/2テーブル)が用意されており、ギャップ粗制御部54では、キャリア波の周波数を検知するとともに、λ/2テーブルを参照してギャップ移動量を判定し、ギャップ調整部51に移動指示を与える。ギャップ調整部51では、例えば、ステッピングモータとボールネジなどにより、プッシュプル型超音波トランスデューサ10とプル型超音波トランスデューサ20の間隔をほぼλ/2に調整する。その後さらに、手動微調整部55よりによりギャップの微調整を行う。
また、図8は、本発明による超指向性スピーカシステムの第5の構成例を示す図であり、プッシュプル型超音波トランスデューサ10の出力波形を直接監視する例である。
図8に示す例は、基本的には、ギャップ制御部56内に、キャリア波の周波数と該キャリア波の半波長テーブル(λ/2テーブル)などが用意されており、ギャップ制御部56では、キャリア波の周波数を検知するとともに、λ/2テーブルを参照してギャップ移動量を判定し、ギャップ調整部51に移動指示を与える。
そして、さらに、前面側波形検出部16と背面側波形検出部18により、プッシュプル型超音波トランスデューサ10の振動膜11から出力される波形情報(振動膜11の振幅情報)を検出する。そして、前面側波形検出部16と背面側波形検出部18により検出された波形情報を基に、歪み検出部19により出力波形の歪みを検知する。出力波形の歪みが検知された場合には、歪み検出部19からギャップ制御部56へギャップ補正信号を送り、プッシュプル型超音波トランスデューサ10とプル型超音波トランスデューサ20との間のギャップを調整する。
図8に示す例では、プッシュプル型超音波トランスデューサ10の固定電極に、波形検出用の検出用固定電極が必要になるが、図9に、検出用電極を備える固定電極の例を示す。
図9において、プッシュプル型超音波トランスデューサ10の対向する固定電極12、13のうち、その一部を前面側検出用固定電極15および背面側検出用固定電極17として使用し、振動膜11の前面側および背面側方向への出力波形情報(振幅情報)を検出する。
出力波形検出の原理は、コンデンサマイクの検出原理と同様である。振動膜11と前面側検出用固定電極15との間、および振動膜11と背面側検出用固定電極17との間にはコンデンサが形成されているため、振動膜11が振動して前面側検出用固定電極15とのギャップが変動すると、コンデンサの静電容量が変化してコンデンサに誘起される電荷量が変化する。その結果、コンデンサ電極間の電圧が変化する。よって、振動膜11と前面側検出用固定電極15との電圧を検出することで、前面側検出用固定電極15とのギャップ、すなわち振動膜11の振幅(出力波形)を検出することができる。振動膜11と背面側検出用固定電極17においても同様である。
なお、図8および図9に示す例では、プッシュプル型超音波トランスデューサ10の前面側と背面側の両方に検出用固定電極15、17を設けた例を示したが、これは、例えば、前面側の検出用固定電極17だけを用いて波形の歪みを検出するようにしてもよい。
また、図8および図9に示す例では、検出用固定電極15、17により波形の歪みを検出して、プッシュプル型超音波トランスデューサ10とプル型超音波トランスデューサ20と間のギャップを調整する例を示しているが、ギャップの調整に替えて、プル型超音波トランスデューサ20に印加する駆動信号の位相を制御するようにしてもよい。
以上説明したように、本発明のハイブリッド型超音波トランスデューサ、および超指向性スピーカ(超音波スピーカ)においては、プッシュプル型超音波トランスデューサの背面側から放射される音波を、該プッシュプル型超音波トランスデューサの背面に対向配置したプル型超音波トランスデューサから放射する音波で消音するように構成されているので、出力音の歪が小さい(原音に忠実)というプッシュプル型超音波トランスデューサの特長を活かしながら、音波を前面側にのみ放射することが可能になる。
その結果、プロジェクタ等の機器に一体にスピーカを設置して、スクリーンに音波を反射させて試聴するような場合においても、臨場感を損なうことがない。また、機器筐体内での反射音波の影響による音質劣化も防ぐことができる。また、超指向性スピーカとして構成する場合には、機器筐体内での反射音波の影響による指向性低下も防ぐことができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明のハイブリッド型超音波トランスデューサおよび超指向性スピーカ(超音波スピーカ)は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
10…プッシュプル型超音波トランスデューサ、11…振動膜、12…前面側の固定電極、13…背面側の固定電極、14…貫通穴、15…前面側検出用固定電極、16…前面側波形検出部、17…背面側検出用固定電極、18…背面側波形検出部、19…歪み検出部、20…プル型超音波トランスデューサ、21…振動膜、22…固定電極、30…絶縁支持枠、41…可聴周波数帯信号発振源、42…キャリア波信号源、43…変調部、44…パワーアンプ、45…パワーアンプ、51…ギャップ調整部、52…指向角度調整ツマミ、53…ギャップ制御部、54…ギャップ粗制御部、55…手動微調整部、56…ギャップ制御部、61…位相シフト部、62…位相制御部
Claims (10)
- プッシュプル型の超音波トランスデューサの背面に、プル型の超音波トランスデューサの音波放射面を対向させて配置したハイブリッド型超音波トランスデューサであって、
前記プッシュプル型超音波トランスデューサの背面から放射される音波と逆位相の音波を、前記プル型超音波トランスデューサから放射させるように構成されたこと
を特徴とするハイブリッド型超音波トランスデューサ。 - 前記プッシュプル型超音波トランスデューサと前記プル型超音波トランスデューサの設置間隔を調整するギャップ調整手段を
備えることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド型超音波トランスデューサ。 - キャリア波の周波数を検出し、該キャリア波の波長を基にギャップ移動量を求めるギャップ制御手段と、
前記ギャップ制御手段の指示によりギャップ調整を行うギャップ調整手段と
を備えることを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド型超音波トランスデューサ。 - 前記プル型静電型超音波トランスデューサに与える駆動信号の位相シフト量を調整する位相シフト手段を
備えることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド型超音波トランスデューサ。 - キャリア波の周波数を検出し、該キャリア波の周波数を基に位相シフト量を求める位相制御手段と、
前記位相制御手段の指示により位相シフトを行う位相シフト手段と
を備えることを特徴とする請求項4に記載のハイブリッド型超音波トランスデューサ。 - 前記プッシュプル型超音波トランスデューサの駆動信号を増幅するパワーアンプのゲインと、前記プル型超音波トランスデューサの駆動信号を増幅するパワーアンプのゲインとを個別に調整するゲイン調整手段を
備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のハイブリッド型超音波トランスデューサ。 - 前記プッシュプル型の超音波トランスデューサの固定電極の一部に、該プッシュプル型超音波トランスデューサの出力波形を検出する検出用固定電極を設けると共に、
前記検出用固定電極により検出されたプッシュプル型超音波トランスデューサの出力波形の情報を基に、該出力波形の歪みを検出する歪み検出手段と、
前記歪み検出手段により検出された出力波形の歪みの情報を基に、前記プッシュプル型超音波トランスデューサの出力波形の歪みが小さくなるように、前記プッシュプル型超音波トランスデューサとプル型超音波トランスデューサとの間のギャップを調整するギャップ制御手段と
を備えることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のハイブリッド型超音波トランスデューサ。 - 前記プッシュプル型の超音波トランスデューサの固定電極の一部に、該プッシュプル型超音波トランスデューサの出力波形を検出する検出用固定電極を設けると共に、
前記検出用固定電極により検出されたプッシュプル型超音波トランスデューサの出力波形の情報を基に、該出力波形の歪みを検出する歪み検出手段と、
前記歪み検出手段により検出された出力波形の歪みの情報を基に、前記プッシュプル型超音波トランスデューサの出力の波形歪が小さくなるように、前記プル型超音波トランスデューサに与える駆動信号の位相シフト量を制御する位相制御手段と
を備えることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のハイブリッド型超音波トランスデューサ。 - 前記請求項1から8のいずれかに記載のハイブリッド型超音波トランスデューサを備え、超音波帯域の搬送波を可聴帯域の音響信号で変調した変調波を供給するように構成されたことを特徴とする超音波スピーカ。
- プッシュプル型の超音波トランスデューサの背面に、プル型の超音波トランスデューサの音波放射面を対向させて配置したハイブリッド型超音波トランスデューサの制御方法であって、
前記プッシュプル型超音波トランスデューサの背面から放射される音波と逆位相の音波を、前記プル型超音波トランスデューサから放射させること
を特徴とするハイブリッド型超音波トランスデューサの制御方法。
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