JP2006023374A - 光導波路およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 容易に製造することができ、加工性やコスト性に優れるとともに、高速大容量伝送に好適に適用可能な高性能のGI型の光導波路およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 厚さ方向に少なくともコア層11を含み、信号光を入射−伝播−出射する光導波路1である。コア層11の屈折率が、厚さ方向の中央部から表裏に向かって連続的に減少している。かかる光導波路1の製造方法である。屈折率の異なる2種類以上の有機材料を溶解させた溶液を作製し、2種類以上の有機材料を溶解させた溶液を、溶液のうち最も屈折率の低いものから順次屈折率が高くなるよう塗工、積層して、最も屈折率の高い溶液を塗工した後、さらに、順次屈折率が低くなるよう塗工、積層することにより、コア層11における屈折率の連続的な減少を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】 厚さ方向に少なくともコア層11を含み、信号光を入射−伝播−出射する光導波路1である。コア層11の屈折率が、厚さ方向の中央部から表裏に向かって連続的に減少している。かかる光導波路1の製造方法である。屈折率の異なる2種類以上の有機材料を溶解させた溶液を作製し、2種類以上の有機材料を溶解させた溶液を、溶液のうち最も屈折率の低いものから順次屈折率が高くなるよう塗工、積層して、最も屈折率の高い溶液を塗工した後、さらに、順次屈折率が低くなるよう塗工、積層することにより、コア層11における屈折率の連続的な減少を形成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は光導波路およびその製造方法に関し、詳しくは、高速大容量伝送に適したGI(グレーデッドインデックス)型の光導波路およびその製造方法に関する。
近年の光通信技術の発展に伴い、光スイッチや光合分波器などの光通信用部品を構成する基本素子として、高性能の光導波路の開発が望まれている。光導波路は一般に、基板上に、直接または下部クラッド層を介して、コア層および上部クラッド層を順次形成してなる構造を基本構造とする。そのコア層の材料としては、従来より、光伝播損失が小さいなどの利点から、光ファイバと同様に主として石英ガラス等の無機材料が用いられているが、最近では、加工性やコスト性に優れる合成樹脂などの有機材料を用いたポリマー光導波路について、検討が進められてきている。
例えば、特許文献1には、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)等を用いたプラスチック光導波路についての言及がある。また、耐熱性に優れるとの観点から、特定のポリイミド樹脂を用いたポリマー光導波路についても、種々検討がなされてきている(特許文献2参照)。
一方、コア層が均一な屈折率を有するSI(ステップインデックス)型の光導波路に対して、コア層内に屈折率分布が存在し、コア層が、クラッド層に近づくに従い屈折率が低くなるよう形成されているGI型の光導波路がある。GI型光導波路は、伝播時間が光線の経路によらず一定であることから、広範な波長領域にわたり低損失であり、高速大容量伝送に好適であることが知られている。
例えば、特許文献3には、樹脂成型物の表面から所定深さまで、樹脂成型物の樹脂よりも屈折率が低い昇華性または揮発性有機化合物を浸透分散させることで、未浸透樹脂および浸透樹脂の屈折率により定義される光導波路部分の屈折率変化を所定範囲に規定した、GI型の光導波路が記載されており、かかる光導波路が、これら樹脂成型物および有機化合物を飽和蒸気圧状態に置くことで、有機化合物を樹脂成型物表面から内部に浸透分散させることにより作製されることも記載されている。
なお、かかるGI型の光伝送媒体としては、特許文献4に、シート状に形成され、信号光を入射し、伝播して出射する、厚さ方向の中央部から表裏面に向かうに従って屈折率が減少する光データパスであって、それぞれが少なくとも2種類の材料のうちのいずれかの材料からなる複数枚のシートが積層されたものである光データパスが記載されている。
特開平6−347658号公報(段落[0002]等)
特開2001−108854号公報(段落[0005]、[0006]等)
特開2003−322742号公報([特許請求の範囲]等)
特開2000−111738号公報([特許請求の範囲]等)
上述のように、GI型の光導波路については既に知られているが、未だ十分な検討がなされてきているとはいえず、製造が容易で、かつ、所望の高性能が得られるGI型の光導波路を実現することが望まれていた。
そこで本発明の目的は、容易に製造することができ、加工性やコスト性に優れるとともに、高速大容量伝送に好適に適用可能な高性能のGI型の光導波路およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の光導波路は、厚さ方向に少なくともコア層を含み、信号光を入射−伝播−出射する光導波路において、前記コア層の屈折率が、厚さ方向の中央部から表裏に向かって連続的に減少していることを特徴とするものである。
本発明の光導波路においては、前記コア層の屈折率が、厚さ方向に略2次曲線状に連続的に変化していることが好ましい。また、前記コア層の、厚さ方向の中央部と表裏面との屈折率差は、好適には0.1以上である。
また、本発明の光導波路の製造方法は、上記本発明の光導波路の製造方法であって、屈折率の異なる2種類以上の有機材料を溶解させた溶液を作製し、該2種類以上の有機材料を溶解させた溶液を、該溶液のうち最も屈折率の低いものから順次屈折率が高くなるよう塗工、積層して、最も屈折率の高い溶液を塗工した後、さらに、順次屈折率が低くなるよう塗工、積層することにより、前記コア層における屈折率の連続的な減少を形成することを特徴とするものである。
本発明の製造方法においては、前記屈折率の異なる2種類以上の有機材料を溶解させた溶液を、屈折率の異なる2種類以上の有機材料を用いて、該有機材料の混合比率を変えて作製することができる。また、少なくとも一つの層を、直前に塗工、形成された層が溶解可能な溶剤を用いて形成することが好ましく、さらに、前記溶液を、直接または前記コア層より低屈折率のクラッド層を介して支持基材上に塗工することも好ましい。
本発明によれば、上記構成とすることにより、高速大容量伝送に好適な高性能のGI型光導波路を得ることができ、かかる光導波路は、溶液を用いた塗工、積層工程により、容易に製造することができる。上記特許文献3に記載の方法では、飽和蒸気圧下における浸透分散という手法を用いているために使用できる材料が限定される難点があるが、本発明によれば、塗工可能な広範囲の材料を使用することが可能である。また、本発明においては、溶液の塗工によりコア層を形成するため、前記特許文献4に記載されているようなシートの積層体からなる伝送媒体に比して、伝送損失をより低くすることができる特徴を有する。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1(a)に、本発明の光導波路の一構成例を示す。図示する光導波路1は、支持基材10上に、コア層11と、コア層11より低屈折率の上部クラッド層12とが、順に形成された構造を有しており、コア層11を介して信号光を入射−伝播−出射する。
図1(a)に、本発明の光導波路の一構成例を示す。図示する光導波路1は、支持基材10上に、コア層11と、コア層11より低屈折率の上部クラッド層12とが、順に形成された構造を有しており、コア層11を介して信号光を入射−伝播−出射する。
本発明においては、コア層11の屈折率が、厚さ方向の中央部から表裏に向かって連続的に減少している点に特徴がある。好ましくは、図示するコア層11の厚さ方向の中央部Aの屈折率をnA、表裏面B、B’の屈折率をnB、nB’としたとき、これら屈折率が、図2に示すように厚さ方向に略2次曲線状に連続的に変化するよう、コア層11を形成する。これにより、より伝送損失の低い高性能の光導波路とすることができる。
このようなコア層を形成する手法としては、特に制限されるものではないが、例えば以下のような方法を好適に用いることができる。まず、屈折率の異なる2種類以上の有機材料を溶解させた溶液を作製して、かかる2種類以上、好適には3種類以上、更に好ましくは4種類以上の溶液を、最も屈折率の低いものから順次屈折率が高くなるよう塗工、積層する。最も屈折率の高い溶液を塗工した後、さらに、順次屈折率が低くなるよう塗工、積層することで、上記したようなコア層11における屈折率の連続的な減少を形成することができる。
例えば、図1(b)に示す例では、屈折率の異なる4種類の有機材料を溶解させた溶液を作製して、かかる4種類の溶液を、順次塗工、積層することにより、下層側から順次、符号11d、11c、11b、11a、11b、11c、11dで示される7つの層を形成している。各層11a〜11dの屈折率をそれぞれna〜ndとすれば、これらはnd<nc<nb<naの関係を満足する。従って、溶液の種類を増やせば増やすほど、より連続性の高い屈折率勾配を形成することができる。
屈折率の異なる溶液は、屈折率の異なる2種類以上の有機材料を用いて、これら有機材料の混合比率を変えることにより、好適に作製することができる。また、光透過性等の必要性能に問題を生じない添加剤を用いることで、屈折率を調整することも可能である。かかる有機材料としては、特に制限されるものではなく、紫外線(UV)硬化型、電子線(EB)硬化型、熱硬化型等の各種モノマー(溶液も含む)、オリゴマー(溶液も含む)、ポリマー溶液のうちから、透明性や耐熱性等のコア層としての要求特性や、混合する際に問題となる相溶性等の観点から、適宜組み合わせで選択して用いることができる。
このうちモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらの低級アルコールエステル、下記一般式(1)、
(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は炭素数8〜20のアルキル基を表す)で表される化合物、ジ(メタ)アクリルエステル、トリ(メタ)アクリルエステル、さらには、スチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマーなどを挙げることができる。
(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は炭素数8〜20のアルキル基を表す)で表される化合物、ジ(メタ)アクリルエステル、トリ(メタ)アクリルエステル、さらには、スチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマーなどを挙げることができる。
アクリル酸およびメタクリル酸の低級アルコールエステルの低級アルコールとしては、炭素数1〜5、好ましくは1〜3の1価アルコール、より好ましくはメタノールが挙げられる。
また、前記一般式(1)で表される化合物において、炭素数8〜20の高級アルキル基を示すR2の好ましい炭素数は10〜16、より好ましくは12〜14である。この高級アルキル基R2は、単独アルキル基であっても混合アルキル基であってもよいが、最も好ましくは炭素数12と13との混合アルキル基である。この場合、炭素数12のアルキル基のものと炭素数13のアルキル基のものとの割合、即ち、ドデシル(メタ)アクリレートとトリデシル(メタ)アクリレートとの割合は、重量比として通常20:80〜80:20であり、特に40:60〜60:40であることが好ましい。
ジ(メタ)アクリルエステルとしては、エチレングリコールと(メタ)アクリル酸とのジエステル、ポリエチレングリコールと(メタ)アクリル酸とのジエステル、アルキル鎖の炭素数が3〜6のジオールと(メタ)アクリル酸とのジエステルが挙げられる。また、トリ(メタ)アクリルエステルとしては、アルキル鎖の炭素数が3〜6のトリオールと(メタ)アクリル酸とのトリエステルが挙げられる。なお、ポリエチレングリコールと(メタ)アクリル酸とのジエステルを構成するポリエチレングリコールとしては、下記一般式(2)、
において、nが1〜15、特に1〜10のものが好ましい。
において、nが1〜15、特に1〜10のものが好ましい。
上記モノマーを重合あるいは共重合させて層を形成するための方法としては、熱や光による硬化方法が一般的であるが、特に制限されるものではない。一般的には、熱硬化の場合には、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジーt−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジミリスチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、クミルパーオキシオクトエートなどの有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンニトリルなどのアゾ化合物等の重合開始剤を添加し、50〜120℃で1〜20時間重合させる方法を採用することができる。また、光硬化の場合の重合開始剤としては、ベンジルメチルケタール、アセトフェノンジエチルケタールなどのケタール系化合物、α−ヒドロキシケトン、ミヒラーズケトン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのケトン系化合物、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、メタロセンなどのメタロセン系化合物、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン化合物などが好適に用いられる。
なお、上記モノマーとともに、リン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステル、グリコール類及びグリコール(メタ)アクリレート類の1種または2種以上をブレンドして用いることが、高温高湿下に長期間放置した場合の白濁を防止する点から好ましい。
また、ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂((メタ)アクリル酸のエステル)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂(結晶、非結晶)、ポリエーテルスルホン、ポリノルボルネン、エポキシ系樹脂、例えば、ビスフェノールA型、ノボラック型のエポキシ樹脂とポリアミノアミド、変性ポリアミノアミド、変性芳香族ポリアミン、変性脂肪族ポリアミン、変性脂環族ポリアミン,フェノールなどの活性水素を持つ硬化剤との混合硬化物、ポリアリール、ポリイミド(PI)、ポリカルボジイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリアミド(PA)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、メチルメタクリレート−スチレン共重合体(MS、MMA−St)、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)等のスチレン系樹脂(中でも、SBS、ABSは耐衝撃性に優れる利点を備える)、ポリフェニレンエーテル等のポリアリーレンエーテル、ポリアリレート(PAR)、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトンやポリエーテルケトンケトン等のポリエーテルケトン類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロックポリマー(SEBS)、フッ化ビニリデン系樹脂、ヘキサフルオロプロピレン系樹脂、ヘキサフルオロアセトン系樹脂等のフッ素系樹脂などを挙げることができ、中でも、(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。
透明樹脂としては、他に、ポリ塩化ビニル(PVC)、シクロオレフィンポリマー(商品名:アートン(JSR(株))、ゼオネックス(日本ゼオン(株)等)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)、フェノール樹脂、ポリサルフォン(PSF)樹脂等が挙げられる。上記のうち、モノマーあるいは低分子材料から出発できるものとしては、スチレン系樹脂、特にはMS樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂がある。
さらに、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらの低級アルコールエステルとスチレン系モノマーとの共重合体の他、前述したモノマー類の一部または全ての水素原子をフッ素原子に置き換えたモノマーを用いた透明樹脂などを用いることもできる。
本発明において、上記溶液は、最も屈折率の高い溶液と、最も屈折率の低い溶液とが、溶剤を除去した後の屈折率差で0.1以上、特には、0.1〜1.0の範囲内になるように調整することが好ましい。これにより、得られるコア層11において、厚さ方向の中央部と表裏面との屈折率差を0.1以上、特には、0.1〜1.0の範囲内で確保することができ、伝達損失の低減により、入射光の利用効率をより向上することができる。
また、上記塗工時においては、直前に塗工、形成された層が溶解可能な溶剤を用いて、その上層を塗工、形成することが好ましい。即ち、前の層を形成した後、その次の層を形成するに際し、乾燥速度を調整して、前に形成した層の表面が次の層の溶剤によって溶解されるようにする。これにより、各層間の界面で互いに接する層材料の相互拡散を促すことができ、コア層11の屈折率変化の連続性をより高めることができる。また、同様の理由から、硬化型の材料を用いる場合には、最初の1層目を塗工した後、乾燥、硬化、セミ硬化した状態まで架橋して、その後に第2層を塗工し、2層目については、1層目の材料と2層目の材料とが界面近傍で相互拡散するように時間を置いてから、乾燥または硬化を行うことが好ましい。以下、同様にしてすべての層を塗工することにより、各層の界面において相互拡散が発生して、極めてスムースな屈折率変化を実現することができ、最も連続性に優れたコア層11を形成することができる。
なお、上記溶液の塗工方法については、特に制限されるものではなく、グラビア印刷、ドクターブレード、バーコーター、スピンコート、ディッピング、スプレー塗工などの適宜手法を用いることができる。また、溶剤についても特に制限されず、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、酢酸セロソルブ、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、ベンゼン、シクロヘキサノン等の慣用の有機溶剤から適宜選択して用いることができる。
本発明の光導波路においては、コア層11を、上記したように、屈折率が厚さ方向の中央部から表裏に向かって連続的に減少するよう形成する点のみが重要であり、その他の光導波路の構造、形状等については、特に制限されるものではなく、常法に従い構成することができる。
例えば、光導波路の構造については、図示する例には限定されず、平面型、スラブ型、リッジ型、レンズ型、埋め込み型等の適宜構造とすることができる。
また、上部クラッド層12を形成する材料としては、通常使用される材料のうちから適宜選択して用いることができ、プラスチックやエラストマーなどのように可撓性を有し、所望の形状に成形可能であって、屈折率の低い材料を好ましく用いることができる。具体的には例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエチレン−ポリビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂、シリコン樹脂、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、フッ素ゴム、シリコーンゴムなどが挙げられる。
この中でも、屈折率が低いシリコーン系ポリマーやフッ素系ポリマーが特に好ましく、具体的にはポリジメチルシロキサンポリマー、ポリメチルフェニルシロキサンポリマー、フルオロシリコーンポリマー等のシリコーン系ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、四フッ化エチレン−パーフロロアルコキシエチレン共重合体(PFE)、ポリクロルトリフルオロエチレン(PCTFE)、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド、フッ化ビニリデン−三フッ化塩化エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン−四フッ化エチレン三元共重合体、四フッ化エチレンプロピレンゴム、フッ素系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらの材料は単独または2種以上を適宜混合して用いることができる。なお、下部クラッド層を設ける場合も、同様の材料を用いればよい。また、本発明において、厚さ方向の上下クラッド層は必ずしも必要ではなく、両サイドのクラッド層があれば目的は達せられる。
支持基材10としては、従来より知られているものから適宜選択して用いることができ、特に制限されるものではなく、例えば、シリコン基板や石英基板、金属箔、ガラス板などの他、高分子フィルム等を用いることができる。
本発明の光導波路は、有機材料からなり、加工性に優れるため、フィルム状に形成した後、所望の形状に容易に加工することができる。具体的には例えば、図3(a)〜(d)に示すような製造工程を経ることで、所望の形状に加工できる。即ち、図示するように、まず、図3(a)に示すように支持基材10上に形成されたコア層11を、支持基材10を残して所定形状に切断し、切断されたコア層11のうちの不要部分を除去する(成形工程(同図(b)参照))。次いで、同図(c)に示すように、コア層11より低屈折率の材料を用いて、支持基材10およびコア層11の表面を被覆する(被覆工程)。その後、支持基材10および被覆層(上部クラッド層)12を、所定形状に切断されたコア層11の周囲で切断して、コア層11ごとに切り分けることで、同図(d)に示すように、所望の形状の光導波路1を得ることができる(分離工程)。
上記成形工程におけるコア層11の切断は、例えば、一般にハーフカットと呼ばれるトムソン刃型による打抜き、レーザーカット、回転刃によるスリットなどを用いて行うことができるが、支持基材10を残してコア層11のみを切断することができるものであれば、特に制限されるものではない。中でも、トムソン刃型による打ち抜きにより切断を行うことが好ましく、これにより滑らかな切断面を得ることができる。なお、トムソン刃型による打抜きの場合は刃の上下幅を精密にコントロールし、支持基材をカットしないよう工夫することが必要となる。また、レーザーカットの場合には、出力を精密にコントロールし、かつ切断スピードを合わせて、支持基材をカットしないで所望の部分のみを残すよう工夫することが必要となる。このように、支持基材を残してコア層部分のみを切断することで、ロールトゥロール方式の適用が可能となる。
また、本発明に係る上記成形工程、被覆工程および分離工程は、いずれもロールトゥロール方式を用いて連続的に行うことができ、好ましくは、製造の全工程をロールトゥロール方式を用いて連続的に行うことで、生産性の向上に寄与することができる。具体的には、図5(a)に示すように、まず、可撓性を有する高分子フィルムからなる支持基材10をロール21から繰り出して、塗工部Aにおいてこの支持基材10上にコア層11の塗工を行い、乾燥(硬化)部Bにおいて乾燥(または硬化)する。コア層11を所望の厚みで得るため、または、後述するGI型のコア層11を形成するために、さらに塗工部Cおよび乾燥(硬化)部Dを経てコア層11を積層する。図示する例では計2回の塗工・乾燥(硬化)工程を行っているが、目的のコア層11に応じて、3回以上の繰り返しとしてもよく、制限されるものではない。
コア層11の形成後には、打ち抜き部Eにおいて、上記成形工程としての、コア層11の切断を行う。支持基材10を残して所定形状に切断されたコア層11のうち、不要部はロール22により巻き取られて除去される。次いで、塗工部Fにおいて、コア層11より低屈折率の材料により、支持基材10およびコア層11の表面を被覆し、乾燥(硬化)部Gにより乾燥(または硬化)が行われて、被覆層12が形成される。その後、打ち抜き部Hにより支持基材10および被覆層12の切断を行い、所望の形状の光導波路1を得ることができる。なお、この打ち抜き部Hにおける分離工程としての切断の手法についても特に制限されるものではなく、上述した打ち抜き部Eにおける成形工程の場合と同様にして行うことができる。最後に、切断後の不要な支持基材10および被覆層12は、ロール23により巻き取られる。
本発明においては、上記製造工程を経ることにより、コア層11が、1つ以上の入射部と1つ以上の出射部とを有する構造の光導波路1を容易に得ることができる。図4(a)〜(c)に、本発明の光導波路の好適構成例を示す。例えば、図4(a)に示す例では、コア層11が、1つの入射部13aと1つの出射部14aとを有する短冊状の形状に形成されている。また、同図(b)では、コア層11が、1つの入射部13bと2つの出射部14bとを有する形状に形成されており、同図(c)の例では、コア層11が、それぞれ2つの入射部13cおよび出射部14cを有する形状に形成されている。もちろん、入射部および/または出射部が3つ以上設けられていてもよく、用途に応じて適宜形状のコア層とすることができ、図示する例には限定されない。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例
加熱硬化後の屈折率が1.59であるスチレンモノマーと、同じく1.49であるメチルメタアクリレートモノマーを用いて光導波路を作製した。支持基材には100μm厚みのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた。
実施例
加熱硬化後の屈折率が1.59であるスチレンモノマーと、同じく1.49であるメチルメタアクリレートモノマーを用いて光導波路を作製した。支持基材には100μm厚みのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた。
まず、モノマーの調製として、メチルメタアクリレートモノマーに対し光重合開始剤としてのベンゾインイソプロピルエーテルを1重量%添加したものをM溶液とし、また、同様にスチレンモノマーに対し光重合開始剤としてベンゾインイソプロピルエーテルを1重量%添加したものをS溶液とした。次に、M溶液およびS溶液を用いて、下記表1に示す混合溶液(1)〜(5)を調製した。
次に、コア層を形成するに当たり、バーコーターを用いた。まず、支持基材としてのPETフィルム上に、溶液(1)を1μm厚みにて塗工した後、この溶液(1)を塗工したフィルムに対し、窒素置換した雰囲気下で紫外線を1000mJ/cm2照射して、溶液(1)の塗膜を硬化させた。次に、溶液(1)の硬化膜上に、溶液(2)をバーコーターで1μm厚さにて塗工し、硬化膜(1)を充分に溶液(2)で膨潤させた後、同様に窒素置換した雰囲気下で紫外線を1000mJ/cm2照射することにより、溶液(2)の塗膜を硬化させた。以下、同様にして溶液(3)〜(5)を順次塗工/硬化させて、硬化膜を形成した。
その後さらに、今度は溶液(4)、(3)、(2)、(1)と屈折率の低くなる順に塗工/硬化を繰り返して、各硬化膜を形成した。最後に、今まで塗工/硬化してきた計9層の硬化膜に対し、窒素置換した雰囲気下で紫外線を5000mJ/cm2照射して、全ての層をほぼ完全に硬化することにより、コア層を形成した。
得られたコア層を、支持基材であるPETフィルムは残して5mm幅の短冊状に打ち抜き、支持基材との間にできた段差には溶液(1)を塗工して、クラッド層とした。以上のようにして、実施例の光導波路を製造した。
比較例1〜3
比較例1、2として、それぞれコア層を溶液(1)または(5)のみで形成した光導波路を製造した。また、溶液(1)〜(5)の1μm厚みのシートをそれぞれ作製して、これらシートを厚さ方向の中心が一番屈折率が高くなるように順次重ねて9層構造にし、200℃でプレスすることにより、比較例3の光導波路を製造した。
比較例1、2として、それぞれコア層を溶液(1)または(5)のみで形成した光導波路を製造した。また、溶液(1)〜(5)の1μm厚みのシートをそれぞれ作製して、これらシートを厚さ方向の中心が一番屈折率が高くなるように順次重ねて9層構造にし、200℃でプレスすることにより、比較例3の光導波路を製造した。
上記実施例および比較例1〜3で作製した各光導波路の光学特性を比較した。その結果を、光の伝送損失および入射波形と出射波形(入出射信号の時間の差)について評価した。その結果を下記の表2中に示す。
上記表2中に示すように、光の伝送損失については、実施例、比較例ともに全て同等の性能であることが確認された。一方、250ps幅の信号を入射し、出射した際の信号の幅を測定し、入出射信号の時間の差を測定した結果については、ほぼ差がなかった実施例の光導波路に対し、比較例1、2のSI型の導波路においては、やはり信号の劣化が生じていた。また、比較例3に関しては、略性能向上は見られたが、屈折率の異なる界面が生じると、モード分散がわずかではあるが生じ、信号の劣化が生じてしまうことがわかった。
1 光導波路
10 支持基材
11 コア層
12 上部クラッド層(被覆層)
13,13a,13b,13c 入射部
14,14a,14b,14c 出射部
21,22,23 ロール
10 支持基材
11 コア層
12 上部クラッド層(被覆層)
13,13a,13b,13c 入射部
14,14a,14b,14c 出射部
21,22,23 ロール
Claims (7)
- 厚さ方向に少なくともコア層を含み、信号光を入射−伝播−出射する光導波路において、前記コア層の屈折率が、厚さ方向の中央部から表裏に向かって連続的に減少していることを特徴とする光導波路。
- 前記コア層の屈折率が、厚さ方向に略2次曲線状に連続的に変化している請求項1記載の光導波路。
- 前記コア層の、厚さ方向の中央部と表裏面との屈折率差が0.1以上である請求項1または2記載の光導波路。
- 請求項1〜3のうちいずれか一項記載の光導波路の製造方法であって、屈折率の異なる2種類以上の有機材料を溶解させた溶液を作製し、該2種類以上の有機材料を溶解させた溶液を、該溶液のうち最も屈折率の低いものから順次屈折率が高くなるよう塗工、積層して、最も屈折率の高い溶液を塗工した後、さらに、順次屈折率が低くなるよう塗工、積層することにより、前記コア層における屈折率の連続的な減少を形成することを特徴とする光導波路の製造方法。
- 前記屈折率の異なる2種類以上の有機材料を溶解させた溶液を、屈折率の異なる2種類以上の有機材料を用いて、該有機材料の混合比率を変えて作製する請求項4記載の光導波路の製造方法。
- 少なくとも一つの層を、直前に塗工、形成された層が溶解可能な溶剤を用いて形成する請求項5または6記載の光導波路の製造方法。
- 前記溶液を、直接または前記コア層より低屈折率のクラッド層を介して支持基材上に塗工する請求項4〜6のうちいずれか一項記載の光導波路の製造方法。
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-
2004
- 2004-07-06 JP JP2004199358A patent/JP2006023374A/ja active Pending
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