JP2006022453A - 多糖ヒドロゲル微粒子を配合した機能紙 - Google Patents

多糖ヒドロゲル微粒子を配合した機能紙 Download PDF

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Abstract

【課題】多糖ヒドロゲル微粒子を配合した機能紙であって、特に調湿機能を有する機能紙を提供する。
【解決手段】繊維組成物を主体とし、この繊維組成物に多糖ヒドロゲル微粒子を1〜50重量%混合して水に分散させることにより紙の原料を調製し、この紙の原料を用いて抄紙手段により抄紙し、又は繊維組成物を主体として抄紙した基紙の少なくとも片面に、多糖ヒドロゲル微粒子を、固形分で1〜50g/m含む溶液を塗工し、乾燥することにより機能紙を形成する。更に、繊維組成物を主体としこの繊維組成物に多糖ヒドロゲル微粒子を混合して水に分散させることにより紙の原料を調製し、この紙の原料を抄紙手段により抄紙して基紙を形成し、この基紙の少なくとも片面に多糖ヒドロゲル微粒子を含む溶液を塗工し、乾燥して機能紙を形成してもよい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、多糖ヒドロゲル微粒子を配合した機能紙であって、特に調湿機能を有する機能紙に関する。
通常の紙は木材パルプ等を主原料として抄紙されるが、用途に合わせて原料を選択・配合し、特殊な加工法により付加価値を高めた特殊な紙があり、一般に「機能紙」と称されている。原料や加工法を変えることによって、通常の紙の弱点(例えば、破れる、燃える、水に弱い等)を克服し、或は特殊な機能(耐油性、吸着性、電磁波シールド等)を付与することができる。即ち、機能紙とは、通常の紙に特定の機能を付与した特殊紙であると定義することができる。
例えば耐水機能紙としては、従来紙の表面にポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等を貼合し、或は紙の表面にワックスエマルジョン等を塗工して防湿性能を付与したものが知られている。又、ポリエチレンをクラフト紙にラミネートしたポリエチレンラミネート紙や、ポリエチレンをクラフト紙で挟んで三層構造にしたポリサンド紙等が主に使用されている。
しかしながら、これらの耐水機能紙は、防湿性能に関しては充分に機能を発揮するものであるが、調湿機能を発揮するものではない。紙製の段ボールには種々の物品を収納し、保管或は搬送することが広く行われているが、収納物品の中で例えば生花や果物のように湿度の影響を受け易いものがある。このような物品を収納する段ボールとして、上記耐水機能紙を適用した場合には、水分や湿気は遮断するものの、周囲の湿度変化に伴って吸湿・放湿により保湿することはできないため、段ボールに収納された物品が乾燥して萎びたり、或は湿気により腐ったりする等の不都合が生じることがある。
又、従来の耐水機能紙は、防湿材が合成樹脂又はワックス等から形成されているため生分解性が無く、古紙として回収・使用する際に離解性が悪くて再生パルプ化工程において支障が生じている。従って、古紙として再利用することが困難であるために焼却処分又は産業廃棄物として取り扱われており、環境問題の観点から大きな問題になっている。このような問題を解決するために、防湿材の離解性を容易にすることにより古紙としての再使用を可能とした技術が、例えば特許文献1〜3等に開示されている。
特開平5−25796号公報 特開平8−13386号公報 特開平11−286898号公報
本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであり、周囲の湿度変化に対応して吸湿及び放湿による調湿機能を発揮することによって保湿することが可能であり、且つ合成樹脂又はワックス等を使用せずに、古紙として回収・使用する際に離解性及び生分解性を有する機能紙を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための手段として、本発明の請求項1は、繊維組成物を主体とし、この繊維組成物に多糖ヒドロゲル微粒子を混合して水に分散させることにより紙の原料を調製し、この紙の原料を用いて抄紙手段により抄紙して成る多糖ヒドロゲル微粒子を配合した機能紙を特徴とする。
本発明の請求項2は、請求項1に記載の多糖ヒドロゲル微粒子を配合した機能紙において、前記繊維組成物に対し多糖ヒドロゲル微粒子を1〜50重量%配合したことを特徴とする。
本発明の請求項3は、繊維組成物を主体として抄紙した基紙の少なくとも片面に、多糖ヒドロゲル微粒子を含む溶液を塗工し、乾燥して成る多糖ヒドロゲル微粒子を配合した機能紙を特徴とする。
本発明の請求項4は、請求項3に記載の多糖ヒドロゲル微粒子を配合した機能紙において、前記基紙の少なくとも片面に対し多糖ヒドロゲル微粒子を、固形分で1〜50g/m塗工したことを特徴とする。
本発明の請求項5は、繊維組成物を主体とし、この繊維組成物に疎水化多糖ヒドロゲル微粒子を混合して水に分散させることにより紙の原料を調製し、この紙の原料を抄紙手段により抄紙して基紙を形成し、この基紙の少なくとも片面に多糖ヒドロゲル微粒子を含む溶液を塗工し、乾燥して成る多糖ヒドロゲル微粒子を配合した機能紙を特徴とする。
上記請求項1の発明によれば、パルプ等の繊維組成物を主体とし、これに多糖ヒドロゲル微粒子を適量混合して水に分散させて調製した紙の原料を、通常の湿式抄紙工程等によって抄紙した機能紙に調湿機能を付与することができる。
請求項2の発明によれば、繊維組成物に配合する多糖ヒドロゲル微粒子を1〜50重量%とすることにより、調湿機能を有する機能紙を好適に抄紙することができる。
請求項3の発明によれば、繊維組成物を主体として抄紙した基紙の少なくとも片面に、多糖ヒドロゲル微粒子を含む溶液を塗工し、乾燥することにより調湿機能を有する機能紙を形成することができる。
請求項4の発明によれば、繊維組成物を主体として抄紙した基紙の少なくとも片面に、多糖ヒドロゲル微粒子を固形分で1〜50g/m塗工することにより、調湿機能を有する機能紙を好適に形成することができる。
請求項5の発明によれば、多糖ヒドロゲル微粒子を配合して抄紙する手段と、抄紙した基紙の少なくとも片面に多糖ヒドロゲル微粒子を塗工し、乾燥する加工手段とを併用することにより形成した機能紙に調湿機能を付与することができる。
次に、本発明に係る機能紙の実施形態について説明する。本発明で用いる多糖ヒドロゲル微粒子は、プルラン、アミロース、アミロペクチン、デキストラン、デキストリン、キチン、キトサン、マンナン、グルコマンナン、キシログルカン、水溶性セルロース等から選ばれる天然由来の多糖類に直接又は適切な分子を介してコレステロールやラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸などの高級脂肪酸のごとき分子を化学結合して成る多糖類誘導体である。一般に多糖類誘導体に分類されるものならば、いかなるものでも使用できる。例えば、特開昭63−319046号公報、特開平3−292301号公報、特開平5−262645号公報、特許第3416951号公報等に開示されている多糖類誘導体を好ましく使用することができる。
本発明の機能紙に用いられる多糖ヒドロゲル微粒子の製造方法としては、公知の合成化学工程を用いて合成することができる。より好ましくは、上記特許第3416951号公報に記載されている方法により製造することができる。合成及び製紙への配合のし易さなどの点から多糖類を構成する糖単位100個当たり、0.1〜1.0個の糖単位の水酸基が下記一般式(1)で表されるR1、R2で置換された、多糖類ステロール誘導体がよく用いられる。
Figure 2006022453
ここで、R1は炭素数1〜10の炭化水素基であり、2価の炭化水素基であれば、直鎖状、分岐鎖状、環状であってよく、又飽和であっても不飽和であっても良いが、好ましくは炭素数3〜8の直鎖状飽和炭化水素基であることが望ましい。又、R2はステロール、その他の分子の残基であり、例えばコレステロール残基、スチグマステロール残基、β−シトステロール残基、ラノステロール残基、エルゴステロール残基であることが好ましい。入手容易性の点からは、コレステロール残基が最も好ましい。
このような多糖類誘導体は、分子の一端にステリル基等の残基と他端にイソシアナト基を有する化合物を用い、多糖類の水酸基と反応させることにより合成することができる。
例えば、分子の一端にステリル基と他端にイソシアナト基を有する化合物は、下記の反応式(2)に示されるようにジイソシアネート化合物の一端のイソシアナト基を、コレステロールの水酸基と反応させ、ウレタン結合にてコレステロールと結合して得られる。
Figure 2006022453
ジイソシアネート化合物との反応に用いられるステロール酸としては、コレステロールの他に、例えばスチグマステロール、β−シトステロール、ラノステロール、エルゴステロール等を用いることができるが、入手容易性の点からコレステロールが好ましく用いられる。又、ステロール酸と反応させるジイソシアネート化合物は、OCN−R−NCOで表される化合物であり、例えばRがエチレン基であるエチレンジイソシアネート、ブチレン基であるブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレン基であるヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン基であるジフェニルメタンジイソシアネートなどを挙げることができ、このうち特にブチレンジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネート等が好ましく用いられる。
本発明に好ましく用いられる多糖ヒドロゲル微粒子は、前記のように分子の一端にステリル基と他端にイソシアナト基を有する化合物を、多糖類と反応させることにより得ることができる。この反応は、例えば下記の反応式(3)に示されるように、多糖類を構成する単糖の水酸基と、分子の一端にステリル基と他端にイソシアナト基を有する化合物の持つイソシアナト基との1ステップ付加反応で行うことができる。
Figure 2006022453
上記反応式(3)には1つの六単糖ユニットとイソシアナト基を有する化合物との反応がモデルとして示されているが、本発明に用いられる多糖ヒドロゲル微粒子の合成においては、多糖類を構成する糖単位100個当たり、0.1〜1.0個の糖単位の水酸基に対して、反応式(3)に示されるような反応を生じせしめるのが、機能紙としての性能を高める上から好ましい。
上記反応に用いられる多糖類としては、多糖類であればいかなるものを用いることも可能であるが、特に前記プルラン、アミロース、アミロペクチン、デキストラン、デキストリン、キチン、キトサン、マンナン、グルコマンナン、キシログルカン、水溶性セルロース等から選ばれる多糖類が好ましく用いられる。これらの多糖類は、生分解性のものであれば天然又は合成由来どちらのものでも良い。又、入手が可能なものであるならば分子量はいかなるものであっても良いが、紙に配合した際に特徴を発揮するためには、平均分子量が10,000〜1,000,000程度のものが良い。使用する多糖類としては、入手容易性や紙に配合した時の取り扱い易さの観点から特にプルランが好ましい。
反応を行う場合に用いられる触媒としては、分子の一端にステリル基と他端にイソシアナト基を有する化合物と多糖類の両方が溶解し、且つ反応生成物である多糖類誘導体が溶解する溶媒であることが望ましく、通常、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルスルホキシド、ホルムアミド、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの非プロトン性溶媒が好ましく用いられる。この時の反応温度及び反応時間は、用いられる多糖類と溶媒に応じて、反応の進行状態により適宜選択されるが、好ましくは0〜100℃、1〜48時間程度で反応させるものが良い。
多糖類と、分子の一端にステリル基と他端にイソシアナト基を有する化合物との配合比はいかなる比率でも良く、この配合比を変化させることで多糖類に対するステリル基の導入量を適宜調整することができる。前記のように多糖類を構成する糖単位100個当たり、0.1〜1.0個のステリル基を導入する場合には、多糖類の100糖単位に対して0.1〜30mol当量の範囲であるのが望ましい。
このようにして得られる多糖類誘導体の精製方法しては、再沈殿精製法、各種クロマトグラフィーによる分離精製法及び透析法などが利用できる。又、乾燥方法としては冷結乾燥法又は真空乾燥法が望ましい。
本発明の機能紙に用いられる多糖ヒドロゲル微粒子は、上記の方法に限らず他の製造方法によって得られたものであっても良い。要するに、ヒドロゲル微粒子の吸湿、放湿作用に基づく保湿機能が高く、紙の強度が優れている理由から前記のように糖単位100個当たり0.1〜1.0個の割合でステリル基が導入された多糖類−コレステロール誘導体が最も好ましく用いられる。分子量は前記のように特に限定されない。
本発明に用いられる多糖ヒドロゲル微粒子のうち、機能紙に最も適しているものは、その他の複合化剤との複合化のし易さの点から、前記平均分子量が10,000〜1,000,000程度のプルランに、糖単位100個当たり0.1〜1.0個の割合でコレステリル基が導入されるように、分子の一端にコレステリル基と他端にイソシアナト基を有する化合物を反応して得られたプルラン−コレステロール誘導体である。
次に、多糖ヒドロゲル微粒子を紙に混合して機能紙を作る実施形態について説明する。例えば、繊維組成物を混合したスラリーに多糖ヒドロゲル微粒子を適量混合し、充分に攪拌して調製した紙の原料を、長網抄紙機や円網抄紙機等の公知の抄紙機で抄紙することができる。
上記繊維組成物としては、製紙用として通常使用するNBKP(針葉樹晒しパルプ)、LBKP(広葉樹晒しパルプ)等の木材パルプ、古紙パルプ、DIP(脱墨パルプ)の他にリンターパルプ、麻、バガス、ケナフ、エスパルト草、ワラなどの非木材繊維パルプでも良い。
上記多糖ヒドロゲル微粒子の配合比率は繊維組成物に対して1〜50重量%が好ましい。1重量%未満であると機能紙としての機能の発現が充分でなく、50重要%を超えるとコスト面で不利となる。
前記多糖ヒドロゲル微粒子を配合した紙の原料には、通常の湿式抄紙工程で使用する各種添加剤、処理剤等を配合することができる。
(1)湿潤紙力増強剤としては、ポリアミドアミンエピクロルヒドリン系樹脂、ホルムアルデヒド縮合物やポリエチレンイミン等のカチオン系ポリマーがあり、これにアニオン系ポリマーを併用するのが一般的である。当該アニオン系ポリマーには、アニオン系ポリアクリルアミドなどが挙げられる。
(2)乾燥紙力増強材としては、澱粉、酸化澱粉、カルボキシメチル澱粉、カチオン化澱粉等の変性澱粉、グアーガム、キサンタンガム等の植物ガム、PVA(ポリビニルアルコール)、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド(アニオン性、カチオン性、両性)などを配合することができる。
(3)紙に柔軟性や平滑性を付与するために、クレー、タルクなどの各種充填料を使用できる。
(4)内部サイジングとしては、ロジン系の酸性サイズ剤、或はアルキルケテンダイマー、アルケトンダイマー、アルケニル無水コハク酸などの中性サイズ剤を使用できる。
(5)PEO(ポリエチレンオキサイド)等の粘剤や各種界面活性剤などの分散剤を添加しても良い。
前記多糖ヒドロゲル微粒子を配合して抄紙することにより機能紙を製造する他に、通常の方法で抄紙した基紙の片面又は両面に多糖ヒドロゲル微粒子の水溶液(5%重量程度の水溶液)を塗工し、乾燥することで機能紙を製造することもできる。
上記基紙は例えばセルロースパルプを主成分とし、一般的な長網抄紙機、円網抄紙機、オントップ抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等を用いて抄紙することが可能である。そして、通常の抄紙で用いられる染料、顔料、サイズ剤、定着剤、前記湿潤紙力増強剤や乾燥紙力増強剤等を必要に応じて含有させる。
上記セルロースパルプは、通常の木材パルプのみではなく、リンター、アバカ、ザイザル、バガス、ケナフ等の非木材パルプを使用することも可能である。又、古紙パルプを使用することもできる。
前記多糖ヒドロゲル微粒子の塗工量は、固形分で片面1〜50g/mとなるようにすると好ましい。1g/m未満であると機能紙としての機能の発現が充分でなく、50g/mを超えるとコスト面で不利となる。片面塗工か両面塗工かは機能紙の用途により決定される。
前記多糖ヒドロゲル微粒子の水溶液塗工は、例えばバーコーター、エアーナイフコーター、ブレードコーター、ビルブレードコーター、グラビアコーター、ゲートロールコーター、リバースコーター、キャストコーター等の公知の塗工設備を使用することができる。又、塗工後の乾燥は、一般的なドラムドライヤー、トンネルドライヤー、エアースルードライヤー等の公知の乾燥設備を使用できる。
尚、段ボールにおける少なくとも一方のライナーに、前記多糖ヒドロゲル微粒子を配合した機能紙を使用し、これをコルゲーターで段繰りされた中芯と接着剤で貼合することにより段ボールを製造することも可能である。
次に、実施例1〜3のように機能紙を製造し、それらの機能紙と比較例1〜2の紙とを用いて性能試験を行った。
(実施例1)
段ボール原紙(Kライナー:210g/m)の片面に多糖ヒドロゲル微粒子5%水溶液をバーコーターで11.4g/m(固形分)塗工し、回転ドライヤーを使用して乾燥温度100℃で2分間乾燥処理して機能紙を製造した。
(実施例2)
段ボール原紙(Kライナー:210g/m)の片面に多糖ヒドロゲル微粒子5%水溶液をバーコーターで21.4g/m(固形分)塗工し、回転ドライヤーを使用して乾燥温度100℃で2分間乾燥処理して機能紙を製造した。
(実施例3)
段ボール古紙1%スラリーに多糖ヒドロゲル微粒子を1重量%混合し、攪拌して均一な分散スラリーを調製し、この分散スラリーを攪拌しながら、実験室の角型シートマシン(25cm×25cm)で抄紙し、3.5kgf/cmで10分間プレスし、小型回転ドライヤーを使用して乾燥温度100℃で2分間乾燥処理して機能紙を製造した。
(比較例1)
段ボール原紙(Kライナー:210g/m)に多糖ヒドロゲル微粒子を全く塗工しない紙を使用した。
(比較例2)
段ボール古紙1%スラリーに多糖ヒドロゲル微粒子を全く混合せず、このスラリーを攪拌しながら、実験室の角型シートマシン(25cm×25cm)で抄紙し、3.5kgf/cmで10分間プレスし、小型回転ドライヤーを使用して乾燥温度100℃で2分間乾燥処理して抄紙を製造した。
性能試験は、紙質試験と、吸湿試験と、放湿試験とを行った。紙質試験の結果は表1に、吸湿試験の結果は表2に、放湿試験の結果は表3にそれぞれ示す。各試験方法は下記の通りである。
(1)坪量はJIS−P8124(紙のメートル坪量測定方法)に準拠した。
(2)紙厚はJIS−P8118(紙及び板紙の厚さと密度の試験方法)に準拠した。
(3)吸湿/放湿試験は予め100℃の乾燥機で2時間乾燥させた試験片を温度20℃・相対湿度93%に保持したデシケーター内に静置して、各試験片の吸湿量を経時測定し、次いで温度20℃・相対湿度30%の条件下に置き、各試験片の放湿量を経時測定した。
Figure 2006022453
Figure 2006022453
Figure 2006022453
上記表1の紙質試験結果によると、実施例3と比較例2とは同一、同量の繊維組成物を主体とし、同一の製紙条件で形成した抄紙であるが、実施例3の機能紙は多糖ヒドロゲル微粒子を混合してあるため、比較例2の抄紙よりも坪量、紙厚共に大きな数値を示した。又、実施例1、2と比較例1とは同一の段ボール原紙を用いているが、実施例1、2の段ボール原紙は片面に多糖ヒドロゲル微粒子を含む水溶液を塗工し、乾燥した機能紙であるため、比較例1の段ボール原紙よりも坪量、紙厚共に大きな数値を示した。更に、塗工した多糖ヒドロゲル微粒子の固形分は実施例1より実施例2の方が多いため、実施例2の機能紙は、実施例1の機能紙よりも坪量、紙厚共に大きな数値を示した。これらの実験データにより、抄紙、塗工紙いずれの場合も多糖ヒドロゲル微粒子による機能紙は、紙質の形態において多糖ヒドロゲル微粒子の存在を確実に反映していることが判明した。
上記表2の吸湿試験結果によると、実施例3の機能紙と比較例2の抄紙とを比較すると、いずれの計測時においても、多糖ヒドロゲル微粒子を混合してある実施例3の機能紙の方が比較例2の抄紙よりも吸湿量が多く、経過時間が長い程吸湿量が多い値を示した。又、実施例1、2の機能紙と比較例1の紙とを比較すると、いずれの計測時においても、多糖ヒドロゲル微粒子を塗工してある実施例1、2の方が非塗工の比較例1よりも吸湿量が多く、経過時間が長い程吸湿量が多い値を示した。更に、塗工した多糖ヒドロゲル微粒子の固形分の多い実施例2は、多糖ヒドロゲル微粒子の固形分の少ない実施例1よりも吸湿量が多い傾向を示した。この吸湿試験結果をグラフに表すと図1のようになる。
これらの実験データにより、抄紙、塗工紙いずれの場合も多糖ヒドロゲル微粒子による加工は、非加工の紙よりも吸湿機能に優れていることが判明した。又、塗工紙においては、多糖ヒドロゲル微粒子の固形分の多い方が吸湿機能に優れていることも判明した。
上記表3の放湿試験結果によると、実施例3の機能紙と比較例2の抄紙とを比較すると、いずれの計測時においても、放湿量は殆ど同等か又は比較例2の抄紙の方が少し多い値を示し、どちらも経過時間が長い程放湿量が少なくなる傾向を示した。この場合、実施例3の機能紙は多糖ヒドロゲル微粒子を1重量%混合して抄紙したものであり、その混合率を高めれば比較例2の抄紙よりも放湿量において多い値を示すことが充分予想できる。又、実施例1、2と比較例1とを比較すると、いずれの計測時においても、多糖ヒドロゲル微粒子を塗工してある実施例1、2の方が非塗工の比較例1よりも放湿量が多く、いずれも経過時間が長い程放湿量が少なくなる傾向を示した。この放湿試験結果をグラフに表すと図2のようになる。
これらの実験データにより、多糖ヒドロゲル微粒子を塗工すると放湿機能に優れていることが判明した。又、塗工紙においては、多糖ヒドロゲル微粒子の固形分の多い方が放湿機能に優れていることも判明した。
以上の実験データから計算すると、多糖ヒドロゲル微粒子を1重量%混合した機能紙(実施例3)は、非混合紙(比較例2)に比して吸湿量については平均で11.0%増大し、放湿量については殆ど同等であった。多糖ヒドロゲル微粒子の混合率を高くした機能紙であれば、吸湿量及び放湿量どちらももっと高い増大率が得られるものと思われる。多糖ヒドロゲル微粒子を片面に固形分で21.4g/cm塗工した機能紙(実施例2)は、非塗工紙(比較例1)に比して吸湿量については平均で10.5%増大し、放湿量については平均で11.5%増大した。多糖ヒドロゲル微粒子を片面に固形分で11.4g/cm塗工した機能紙(実施例1)は、非塗工紙(比較例1)に比して吸湿量については平均で10.4%増大し、放湿量については平均で11.4%増大した。塗工する多糖ヒドロゲル微粒子の固形分を多くした機能紙であれば、吸湿量及び放湿量どちらももっと高い増大率が得られるものと思われる。
これにより、多糖ヒドロゲル微粒子を混合又は塗工することで、吸湿量と放湿量とをそれぞれ増大できることが分かった。又、実験はしなかったが、多糖ヒドロゲル微粒子を混合して抄紙する手段と、この抄紙した基紙の少なくとも片面に多糖ヒドロゲル微粒子溶液を塗工し、乾燥する加工手段とを併用することによって機能紙を製造しても、吸湿量と放湿量とを増大できることが充分予想される。塗工は片面だけでなく、両面に行うようにしても良い。
本発明に係る多糖ヒドロゲル微粒子を混合又は/及び塗工した機能紙は、通常の紙に比して吸湿量と放湿量とが増大するため調湿機能を発揮することができる。従って、この機能紙で例えば段ボールや紙箱を製作して生花や果物等を収納した場合に、周囲の湿度変化に対応して調湿機能を発揮し、ほぼ一定に保湿することが可能である。又、過度の湿気や乾燥を嫌うような物品を収納する場合にも充分適用することができる。更に、例えば障子紙や壁紙として利用すれば室内の湿度を調整することができる。
本発明に使用する多糖ヒドロゲル微粒子は、合成樹脂やワックス類とは異なって離解性が良いため、多糖ヒドロゲル微粒子を配合した機能紙からなる段ボールや紙箱等の使用後に古紙として再利用する際に、再生パルプ化工程において支障が生じることはない。又、多糖ヒドロゲル微粒子は生分解性を有するため、環境汚染を引き起こすこともない。
本発明は、調湿機能を有する機能紙の製造に適用することができる。
本発明に係る機能紙の実施例と比較例との吸湿試験結果を示すグラフである。 本発明に係る機能紙の実施例と比較例との放湿試験結果を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 繊維組成物を主体とし、この繊維組成物に多糖ヒドロゲル微粒子を混合して水に分散させることにより紙の原料を調製し、この紙の原料を用いて抄紙手段により抄紙して成ることを特徴とする多糖ヒドロゲル微粒子を配合した機能紙。
  2. 前記繊維組成物に対し多糖ヒドロゲル微粒子を1〜50重量%配合したことを特徴とする請求項1に記載の多糖ヒドロゲル微粒子を配合した機能紙。
  3. 繊維組成物を主体として抄紙した基紙の少なくとも片面に、多糖ヒドロゲル微粒子を含む溶液を塗工し、乾燥して成ることを特徴とする多糖ヒドロゲル微粒子を配合した機能紙。
  4. 前記基紙の少なくとも片面に対し多糖ヒドロゲル微粒子を、固形分で1〜50g/m塗工したことを特徴とする請求項3に記載の多糖ヒドロゲル微粒子を配合した機能紙。
  5. 繊維組成物を主体とし、この繊維組成物に多糖ヒドロゲル微粒子を混合して水に分散させることにより紙の原料を調製し、この紙の原料を抄紙手段により抄紙して基紙を形成し、この基紙の少なくとも片面に多糖ヒドロゲル微粒子を含む溶液を塗工し、乾燥して成ることを特徴とする多糖ヒドロゲル微粒子を配合した機能紙。
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JP2008266823A (ja) * 2007-04-19 2008-11-06 Ishikawa Seishi Kk ハイドロゲル塗工和紙及びその製造装置
CN103774504A (zh) * 2013-12-28 2014-05-07 杭州泛林科技有限公司 一种功能包装材料的制备方法

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