JP2006019204A - 2部材の接合構造および燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(1)互いに異なる材料からなる2つの部材54、18を接着剤32を介して接合した2部材の接合構造であって、接着剤と部材の接合面56、57と平行な方向における接着剤32の変形を規制する規制部55を2つの部材54、18のうち少なくとも一方の部材に設けた2部材の接合構造、および該2部材の接合構造を有する燃料電池。
(2)2つの部材54、18は、互いに異なる線膨張係数の材料からなる。
(3)2つの部材54、18の材料は、金属と樹脂である。
(4)2つの部材54、18は、燃料電池のメタルセパレータ18と樹脂フレーム54である。
(5)規制部55は接着剤の変形を接着剤と部材との接合面と非平行な方向に延びる面55a〜55dを有する。
【選択図】 図1
Description
特開2003−77499号公報は、図7に示すように、セパレータ18’がメタルセパレータからなり、MEA63’(Membrane-Electrode Assembly 、すなわち電解質膜11’と電解質膜11’の一面に形成されたアノード14’と電解質膜11’の他面に形成されたカソード17’のアッセンブリ)の外周部を樹脂フレーム54’を介してメタルセパレータ18’で挟み、MEAと樹脂フレーム54’の間、樹脂フレーム54’同士の間、および樹脂フレーム54’とメタルセパレータ18’の間を、接着剤32’でシール接着した燃料電池を開示している。
とくに、本発明の目的は、樹脂フレームとメタルセパレータを有する燃料電池において、燃料電池に温度サイクルがかかっても、接着剤と樹脂フレームまたはメタルセパレータとの接合面の剥がれや接着剤層の破損を生じさせない燃料電池を提供することにある。
(1) 互いに異なる材料からなる2つの部材を接着剤を介して接合した2部材の接合構造であって、
接着剤と部材の接合面と平行な方向における接着剤の変形を規制する規制部を前記2つの部材のうち少なくとも一方の部材に設けた2部材の接合構造。
(2) 前記2つの部材は、互いに異なる線膨張係数の材料からなる(1)記載の2部材の接合構造。
(3) 前記2つの部材の材料は、金属と樹脂である(1)記載の2部材の接合構造。
(4) 前記2つの部材は、燃料電池のメタルセパレータと該メタルセパレータに接する樹脂フレームである(1)記載の2部材の接合構造。
(5) 前記規制部は接着剤の変形を接着剤と部材との接合面と非平行な方向に延びる面を有し、該面で接着剤と部材の接合面と平行な方向における接着剤の変形を規制する(1)記載の2部材の接合構造。
(6) 前記規制部が、部材が接着剤と接する表面に形成された凹凸形状を含む(1)記載の2部材の接合構造。
(7) 前記規制部が、2つの部材の一方の部材に形成された凹部と、2つの部材の他方の部材に形成された凸部を含み、前記凹部は前記2つの部材の他方の部材で覆われて前記凹部内に密閉スペースを形成しており、該密閉スペース内に前記接着剤が隙間無く充填されている(1)記載の2部材の接合構造。
(8) 前記凹部が底面を有し、該底面は平坦である(7)記載の2部材の接合構造。
(9) 前記凹部が底面を有し、該底面には前記密閉スペース内側に突出する突起が形成されている(7)記載の2部材の接合構造。
(10) 前記2つの部材の一方の部材に形成された凹部と、前記2つの部材の他方の部材に形成された凸部は、接着剤と接する面の少なくとも一部が粗面化されている(7)記載の2部材の接合構造。
(11) 互いに異なる材料からなる2つの板部材を接着剤を介して接合した2部材の接合構造を有する燃料電池であって、
接着剤と板部材の接合面と平行な方向における接着剤の変形を規制する規制部を前記2つの部材のうち少なくとも一方の部材に設けた燃料電池。
上記(2)の2部材の接合構造によれば、2つの部材は、互いに異なる線膨張係数の材料からなるので、温度サイクルがかかった時に2つの部材の熱膨張量が互いに異なり、接着剤には剪断力が働くが、規制部があることによって、接着剤と2部材との接合面の剥がれや接着剤層の破損を防止できる。
上記(3)の2部材の接合構造によれば、2つの部材の材料が、金属と樹脂であるので、温度が上昇した時に樹脂部材の伸びが金属部材の伸びより大となり、2部材間には剪断力が働くが、規制部があることによって、接着剤と2部材との接合面の剥がれや接着剤層の破損を防止できる。
上記(4)の2部材の接合構造によれば、2つの部材が、燃料電池のメタルセパレータと該メタルセパレータに接する樹脂フレームであるので、燃料電池の温度が上昇した時に樹脂フレームの伸びがメタルセパレータの伸びより大となり、2部材間には剪断力が働くが、規制部があることによって、接着剤と2部材との接合面の剥がれや接着剤層の破損を防止できる。
上記(5)の2部材の接合構造によれば、規制部は接着剤の変形を接着剤と部材との接合面と非平行な方向に延びる面で規制するので、接着剤層が剪断力で剥がれたり破損したりすることを防止できる。
上記(6)の2部材の接合構造によれば、規制部が、部材が接着剤と接する表面に形成された凹凸形状であるので、接着剤層と部材との剪断力による剥がれを防止できる。
上記(7)の2部材の接合構造によれば、規制部が、2つの部材の一方の部材に形成された凹部と、2つの部材の他方の部材に形成された凸部を含み、凹部は2つの部材の他方の部材で覆われて凹部内に密閉スペースを形成しており、該密閉スペース内に接着剤が隙間無く充填されているので、接着剤は密閉スペース内で変位や変形を起こしにくく、剪断変形による破損を生じにくい。
上記(8)の2部材の接合構造によれば、凹部の底面が平坦なため、凹部は、他方の部材の凸部を深く受け入れることができ、規制部の、接着剤と部材との接合面と非平行な方向に延びる面を大きくとることができる。
上記(9)の2部材の接合構造によれば、凹部の底面に突起が形成されているので、接着剤に剪断力がかかった時の、凹部の底面と接着剤の剥がれが、突起が無い場合より確実に、防止される。
上記(10)の2部材の接合構造によれば、2つの部材の一方の部材に形成された凹部と、2つの部材の他方の部材に形成された凸部は、接着剤と接する面の少なくとも一部が粗面化されているので、接着剤に剪断力がかかった時の、凹部と接着剤、および凸部と接着剤の剥がれが、粗面化されていない場合より確実に、防止される。
上記(11)の燃料電池によれば、接着剤と部材の接合面と平行な方向における接着剤の変形を規制する規制部を2つの部材のうち少なくとも一方の部材に設けたので、2部材間に剪断力がかかった時に、接着剤と2部材との接合面の剥がれや接着剤層の破損を生じさせない十分な強度を接着剤層にもたせることができる。
図中、図1は本発明の実施例1を示し、図2は本発明の実施例2を示し、図3は本発明の実施例3を示す。図4〜図6は本発明の実施例1〜3に共通に適用できる。
本発明の全実施例に共通する構成部分には本発明の全実施例にわたって同じ符号を付してある。
また、以下の説明では、「2部材の接合構造」における「2部材」が、燃料電池のメタルセパレータと樹脂フレームである場合を例にとるが、「2部材」はそれに限るものではない。
本発明の2部材の接合構造が適用される燃料電池は、たとえば固体高分子電解質型燃料電池10である。燃料電池10は、たとえば燃料電池自動車に搭載される。ただし、自動車以外に用いられてもよい。
固体高分子電解質型燃料電池10は、図4〜図6、図1に示すように、膜−電極アッセンブリ(MEA:Membrane-Electrode Assembly )とセパレータ18との積層体からなる。
膜−電極アッセンブリは、イオン交換膜からなる電解質膜11とこの電解質膜11の一面に配置された触媒層からなる電極(アノード、燃料極)14および電解質膜の他面に配置された触媒層からなる電極(カソード、空気極)17とからなる。膜−電極アッセンブリとセパレータ18との間には、アノード側、カソード側にそれぞれ拡散層13、16が設けられる。
膜−電極アッセンブリとセパレータ18を重ねてセル19を構成し、セル19を積層してセル積層体とし、セル積層体のセル積層方向両端に、ターミナル20、インシュレータ21、エンドプレート22を配置し、セル積層体をセル積層方向に締め付け、セル積層体の外側でセル積層方向に延びる締結部材(たとえば、テンションプレート24)、ボルト・ナット25にて固定して、スタック23を構成する。
アノード側:H2 →2H+ +2e-
カソード側:2H+ +2e- +(1/2)O2 →H2 O
第1のシール部材32は、たとえば接着剤シール(シール接着剤)からなり、第2のシール部材33は、たとえば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)等のゴムシール材からなる。ただし、第1のシール部材32、第2のシール部材33とも、接着剤シール材、またはゴムシール材から構成されてもよい。
MEAは非発電領域52において、2枚の樹脂フレーム54(発電領域51が中抜きされた樹脂製フレームで、マニホールド孔は具備しているフレーム)で挟まれ、さらにその外側から2枚のメタルセパレータ18で挟まれる。メタルセパレータ18と樹脂フレーム54との間、および樹脂フレーム54と電解質膜11との間、樹脂フレーム54同士の間は、第1のシール部材(シール接着剤)32によってシールされる。
2つの部材18、54(メタルセパレータ18と樹脂フレーム54)のうち少なくとも一方の部材には、接着剤32と部材18、54の接合面56、57と平行な方向(セル面内方向)における接着剤32の変形(剪断変形)を規制する規制部55が設けられている。
規制部55は、接着剤32の変形を接着剤32と部材18、54との接合面56、57と非平行な方向(セル面内方向と非平行な方向)に延びる面55a、55b、55c、55dを有し、この面55a、55b、55c、55dで、接着剤32の変形(剪断変形)を規制する。
たとえば、2つの部材18、54の材料は、一方の部材が金属(たとえば、ステンレス)、他方の部材が樹脂(シリコーン、オレフィン、エポキシ等のゴム系樹脂)である。
燃料電池の場合は、2つの部材18、54は、燃料電池のメタルセパレータ18と該メタルセパレータ18に接する樹脂フレーム54である。
規制部55は、2つの部材18、54の一方の部材(樹脂フレーム)54に形成された凹部58と、2つの部材18、54の他方の部材(メタルセパレータ)18に形成された凸部59を含む。凸部59は凹部58内に突入している。部材(樹脂フレーム)54には、凹部58の側面となる立ち上がり面55a、55bが少なくとも2面ある。凸部59の側面55c、55dは凹部58の側面55a、55bに対向している。
凹部58は、2つの部材18、54の他方の部材18で覆われて、凹部58内に密閉スペースを形成しており、この密閉スペース内に接着剤32が隙間無く充填されている。密閉スペースにエアの空間はなく、接着剤32が充満し、固化している。
本発明の2部材18、54の接合構造および燃料電池では、接着剤32と部材18、54の接合面56、57と平行な方向における接着剤32の変形(剪断変形)を規制する規制部55を2つの部材18、54のうち少なくとも一方の部材に設けたので、2部材18、54間の接着剤32に剪断力がかかった時に、接着剤32と2部材との接合面56、57の剥がれや接着剤32の層の破損を生じさせない十分な強度を接着剤32の層にもたせることができる。MEAと樹脂フレーム54との間の接着剤32には、電解質膜11が伸縮できるので、剪断力がほとんどかからず、接着剤32の破損や剥がれは生じない。
規制部55が、部材18、54が接着剤32と接する表面に形成された凹凸形状58、59であるので、接着剤32の層と部材18、54との接合面積が平坦面の場合に比べて増大され、接着剤32の層と部材18、54との剪断力による剥がれを防止できる。
〔実施例1−−−図1〕
本発明の実施例1の2部材の接合構造および燃料電池では、図1に示すように、2つの部材18、54の一方の部材(樹脂フレーム)54に形成された凹部58が底面58aを有し、2つの部材18、54の他方の部材(メタルセパレータ)18に形成された凸部59が頂面59aを有し、凹部58の底面58aと凸部59の頂面59aは平坦である。
本発明の実施例1の作用・効果については、凹部58が底面58aと凸部59が頂面59aが平坦なため、凹部58は、他方の部材18の凸部59を(凹凸がある場合に比べて)深く受け入れることができ、規制部55の、接着剤32と部材18、54との接合面56、57と非平行な方向に延びる面55a〜55dを大きくとることができる。これによって、接着剤32の剪断変形が効果的に抑制される。
本発明の実施例2の2部材の接合構造および燃料電池では、図2に示すように、2つの部材18、54の一方の部材(樹脂フレーム)54に形成された凹部58が底面58aを有し、この底面58aには接着剤32が充填された密閉スペース内に突出する突起61が形成されている。突起61が1以上(図2では2つ形成されている場合を示したが、数は任意)形成されている。
本発明の実施例2の作用・効果については、凹部58の底面58aに突起61が形成されているので、接着剤32に剪断力がかかった時の、凹部58の底面58aと接着剤32の剥がれが、突起が無い場合より確実に、防止される。
本発明の実施例3の2部材の接合構造および燃料電池では、図3に示すように、2つの部材18、54の一方の部材(樹脂フレーム)54に形成された凹部58と、2つの部材18、54の他方の部材(メタルセパレータ)18に形成された凸部59は、接着剤32と接する面の少なくとも一部が粗面化されている。粗面を符号62で示す。粗面62の凹凸の高さは、10μm以上であることが望ましい。
本発明の実施例3の作用・効果については、2つの部材18、54の一方の部材54に形成された凹部58と、2つの部材18、54の他方の部材18に形成された凸部59は、接着剤32と接する面の少なくとも一部が粗面化されているので、接着剤32に剪断力がかかった時の、凹部58と接着剤32、および凸部59と接着剤32の剥がれが、粗面化されていない場合より確実に、防止される。
11 電解質膜
13、16 拡散層
14 アノード
17 カソード
18 セパレータ
19 セル
20 ターミナル
21 インシュレータ
22 エンドプレート
23 燃料電池スタック
24 締結部材(テンションプレート)
25 ボルト
26 冷媒流路(冷却水流路)
27 燃料ガス流路
28 酸化ガス流路
29 冷媒マニホールド
30 燃料ガスマニホールド
31 酸化ガスマニホールド
32 第1のシール部材(接着剤)
33 第2のシール部材
33a ビード
33b 台座
33c 埋め込み部
50 シール部
51 発電領域
52 非発電領域
54 樹脂フレーム
55 規制部
56、57 接合面
58 凹部
58a 凹部底面
59 凸部
59a 凸部頂面
60 凹部
61 突起
62 粗面
Claims (11)
- 互いに異なる材料からなる2つの部材を接着剤を介して接合した2部材の接合構造であって、
接着剤と部材の接合面と平行な方向における接着剤の変形を規制する規制部を前記2つの部材のうち少なくとも一方の部材に設けた2部材の接合構造。 - 前記2つの部材は、互いに異なる線膨張係数の材料からなる請求項1記載の2部材の接合構造。
- 前記2つの部材の材料は、金属と樹脂である請求項1記載の2部材の接合構造。
- 前記2つの部材は、燃料電池のメタルセパレータと該メタルセパレータに接する樹脂フレームである請求項1記載の2部材の接合構造。
- 前記規制部は接着剤の変形を接着剤と部材との接合面と非平行な方向に延びる面を有し、該面で接着剤と部材の接合面と平行な方向における接着剤の変形を規制する請求項1記載の2部材の接合構造。
- 前記規制部が、部材が接着剤と接する表面に形成された凹凸形状を含む請求項1記載の2部材の接合構造。
- 前記規制部が、2つの部材の一方の部材に形成された凹部と、2つの部材の他方の部材に形成された凸部を含み、前記凹部は前記2つの部材の他方の部材で覆われて前記凹部内に密閉スペースを形成しており、該密閉スペース内に前記接着剤が隙間無く充填されている請求項1記載の2部材の接合構造。
- 前記凹部が底面を有し、該底面は平坦である請求項7記載の2部材の接合構造。
- 前記凹部が底面を有し、該底面には前記密閉スペース内側に突出する突起が形成されている請求項7記載の2部材の接合構造。
- 前記2つの部材の一方の部材に形成された凹部と、前記2つの部材の他方の部材に形成された凸部は、接着剤と接する面の少なくとも一部が粗面化されている請求項7記載の2部材の接合構造。
- 互いに異なる材料からなる2つの板部材を接着剤を介して接合した2部材の接合構造を有する燃料電池であって、
接着剤と板部材の接合面と平行な方向における接着剤の変形を規制する規制部を前記2つの部材のうち少なくとも一方の部材に設けた燃料電池。
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