JP2006016981A - 内燃機関用ピストン - Google Patents

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Abstract

【課題】ピストンスカート部における夫々のピストン周方向端部側にオイルを供給すること。
【解決手段】ピストン本体1aに形成されたオイルリング溝3と少なくともスラスト側のピストンスカート部7との境界近傍で当該ピストンスカート部7の外周面側に開口する複数のオイル孔6,8a,8bをピストン周方向に間隔を空けて穿設すると共に、これら各オイル孔6,8a,8bをピストン本体1a内で連通させる連通路9a,9bを設けること。その際、各オイル孔6,8a,8bの内の少なくとも一つのオイル孔6を反スラスト側のピストンスカート部7に設けることが好ましい。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ピストンスカート部における潤滑性能を向上させ得る内燃機関用ピストンに関する。
内燃機関に用いられるピストンは、コネクティングロッドやクランクシャフトに連結され、シリンダボア内で上下動することによりクランクシャフトにおいて軸出力を発生させる。一般に、このピストンには、少なくとも一つのコンプレッションリング溝とオイルリング溝とが形成されており、その夫々に、主として燃焼室の気密性を保持するコンプレッションリングとシリンダボア壁面の油膜の最適化を図るオイルリングとが取り付けられている。
従来、そのオイルリング溝にはピストンの内部空間と連通するオイル戻し孔がピストンスカート部の上方において複数形成されており、オイルリングでかき取ったシリンダボア壁面のオイルを夫々のオイル戻し孔からピストンの内部空間へ排出してオイルパンに戻している。
ここで、ピストン上昇時にはオイルリングがシリンダボア壁面のオイルをかき上げるので、ピストンスカート部とシリンダボア壁面との間の油膜が薄くなり、その間における潤滑不良によって、ピストンスカート部やシリンダボア壁面の異常摩耗、焼き付き等が生じる虞がある。
そこで、ピストン上昇時におけるピストンスカート部での潤滑性能を向上させる為に、例えば下記の特許文献1には、各オイル戻し孔の途中に上下に空間を有するオイル溜まりを夫々設け、更に、これら各オイル溜まりからピストンスカート部の外周面に夫々連通するオイル孔を形成することによって、オイル戻し孔に流入したオイルをピストンスカート部の外周面に導くピストンが開示されている。
また、下記の特許文献2には、オイルリング溝の下方に環状のオイル溜溝を形成すると共に当該オイル溜溝からピストンの内部空間に連通するオイル孔をピストンの反スラスト側に形成し、コネクティングロッドの小端部に設けたオイル墳口からオイル孔に向けてオイルを噴射して、オイルをピストンスカート部とシリンダボア壁面との間に導くピストンが開示されている。
実開平6−47647号公報 特開平5−332114号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示されたピストンにおいては、ピストンスカート部における夫々のピストン周方向端部側へのオイル供給量が少ない。
即ち、図11−1及び図11−2に示す如く、ピストン1の下降時には特に爆発行程において最大のスラスト力F1が、ピストン1の上昇時にはスラスト力F1と反対方向のスラスト力F2(<F1)がピストン1からシリンダボア壁面20に掛かる。しかしながら、そのスラスト力F1はスラスト側の中央からピストン周方向に離れるにつれて小さくなり、これに伴ってピストン1とシリンダボア壁面20との間の油圧も小さくなるので、ピストン1のスラスト側の中央から離れた位置のオイル戻し孔においては、その中央のオイル戻し孔よりもオイルの流入量が少なく、これが為、ピストンスカート部7における夫々のピストン周方向端部側の外周面へのオイル供給量が少なくなってしまう。
ここで、スラスト側とはピストン1の下降行程においてスラスト力F1が掛かる側のことをいい、下記の反スラスト側とはピストン1の上昇行程においてスラスト力F2が掛かる側のことをいう。以下同じ。
これが為、サイドウォール部の存在により剛性が高いかかる部位で潤滑不良が発生し、ピストンとシリンダボア壁面との間で異常摩耗や焼き付きが起こり易くなる。
また、上記特許文献2に開示されたピストンにおいては、反スラスト側におけるピストンスカート部の中央部分以外でオイル供給量が少ないだけでなく、複雑な構造であるが為に製造原価の高騰をも招来してしまう、という不都合があった。
そこで、本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、ピストンスカート部の外周面(特にピストン周方向端部側)に対して簡易且つ安価な構造でオイルを供給し得る内燃機関用ピストンを提供することを、その目的とする。
上記目的を達成する為、請求項1記載の発明では、ピストン本体に形成されたオイルリング溝と少なくともスラスト側のピストンスカート部との境界近傍で当該ピストンスカート部の外周面側に開口する複数のオイル孔をピストン周方向に間隔を空けて穿設すると共に、これら各オイル孔を前記ピストン本体内で連通させる連通路を設けている。
この請求項1記載の発明によれば、スラスト側のシリンダボア壁面との間における高圧のオイルがオイル孔から流入し、そのオイルを他のオイル孔からピストンスカート部の外周面とシリンダボア壁面との間に排出することができる。即ち、オイル孔に流入したオイルを、そのオイル孔からピストン周方向に離れた場所のピストンスカート部へと供給することができる。
また、上記目的を達成する為、請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の内燃機関用ピストンにおいて、各オイル孔の内の少なくとも一つを反スラスト側のピストンスカート部に設けている。
この請求項2記載の発明によれば、スラスト側のオイル孔に流入した高圧のオイルを潤滑性能に劣る反スラスト側のピストンスカート部へと導くことができる。
また、上記目的を達成する為、請求項3記載の発明では、上記請求項1又は2に記載の内燃機関用ピストンにおいて、各オイル孔の内の一つをスラスト側の略中央に設けている。
この請求項3記載の発明によれば、ピストンスカート部の外周面とシリンダボア壁面との間においてスラスト側の略中央が最も油圧が高いので、より有効に高圧のオイルを他のオイル孔へと導くことができる。
本発明に係る内燃機関用ピストンは、オイル孔に流入した高圧のオイルをピストン周方向に離れた場所のピストンスカート部へと供給することができるので、かかる部位での潤滑性能が向上し、異常摩耗や焼き付き等の抑制が可能になる。
以下に、本発明に係る内燃機関用ピストンの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
本発明に係る内燃機関用ピストンの実施例1を図1−1から図5に基づいて説明する。
図1−1の符号1Aは、本実施例1の内燃機関用ピストンを示す。ここで、このピストン1Aにおいては、図1−1の紙面右側をスラスト側、紙面左側を反スラスト側とする。
このピストン1Aのピストン本体1aには、ピストン頂面側から順に二つのコンプレッションリング溝2a,2bとオイルリング溝3とが形成されており、その夫々に、主として燃焼室の気密性を保持するコンプレッションリング(図示略)と図4に示すシリンダボア壁面20の油膜の最適化を図る図3に示すオイルリング4とが取り付けられる。
先ず、そのピストン本体1aには、図1−2,図2及び図3に示す如く、オイルリング4でかき取ったシリンダボア壁面20のオイルをピストン1Aの内部空間5へと導くオイル孔(以下、「オイル戻し孔」という。)6がオイルリング溝3に形成されている。具体的に、本実施例1のオイル戻し孔6は、スラスト側の略中央におけるオイルリング溝3とピストンスカート部7の境界近傍において、ピストン1Aの外部と内部空間5とが連通するよう穿設される。
これにより、ピストン1Aの上下動によってオイルリング4がかき取ったシリンダボア壁面20のオイルを、オイル戻し孔6からピストン1Aの内部空間5へ排出してオイルパン(図示略)に戻すことができる。
更に、このピストン本体1aには、図1−2及び図2に示す如く、上記オイル戻し孔6に対してピストン周方向へとずらした位置に二つのオイル孔(以下「第1及び第2の潤滑用オイル孔」という。)8a,8bが形成されている。具体的に、これら第1及び第2の潤滑用オイル孔8a,8bは、スラスト側のピストンスカート部7における夫々のピストン周方向端部側の上方において、オイル戻し孔6と略同等の高さでピストン1Aの外部と内部空間5とが連通するよう穿設される。本実施例1の第1及び第2の潤滑用オイル孔8a,8bは、図2に示す如く、オイル戻し孔6を中心として夫々ピストン周方向に所定の角度(例えばθ=20°)ずらした位置に穿設されている。
また、このピストン本体1aには、図1−2及び図2に示す如く、上記オイル戻し孔6の側面と第1潤滑用オイル孔8aの側面とを連通させる第1連通路9a,及び上記オイル戻し孔6の側面と第2潤滑用オイル孔8bの側面とを連通させる第2連通路9bが形成されている。
本実施例1にあっては、これらオイル戻し孔6,第1及び第2の潤滑用オイル孔8a,8b並びに第1及び第2の連通路9a,9bを略同等の大きさで断面円形状に形成するが、その形状は、必ずしも円形状に限定するものではない。
ところで、一般に、内燃機関の作動時においては、ピストンピン(図示略)のピン孔10の軸線方向におけるボア間の温度が高く、スラスト・反スラスト方向におけるボア間の温度が低い。また、スラスト側及び反スラスト側におけるピストンスカート部7の外周面とシリンダボア壁面20との間の隙間が大きすぎると、上下動する際にピストン1Aの姿勢を保つことができない(所謂横揺れが生じる)。
そこで、冷間時の内燃機関においては、図4に示す如く、シリンダボア壁面20が略真円となるように形成される一方、ピストン1Aはスラスト・反スラスト方向の外周径よりもピン孔10の軸線方向の外周径が短い楕円形状となるように形成されている。即ち、ピストンスカート部7の外周面とシリンダボア壁面20との間の隙間は、ピン孔10からピストン1Aのスラスト側又は反スラスト側に近づくにつれて隙間CL1から隙間CL2(<CL1)へと徐々に小さくなっていく。
ここで、作動時のピストン1Aの外周径は略真円に近づくが、それでもまだピストンスカート部7の外周面とシリンダボア壁面20との間の隙間は、スラスト側又は反スラスト側の方が小さい。従って、その間における油圧は、スラスト側又は反スラスト側の略中央からピン孔10へと近づくにつれてP1,P2,P3,…と徐々に小さくなっていく。
これが為、オイルリング4がかき取ったシリンダボア壁面20のオイルは、図2及び図5に示す如く、オイル戻し孔6から流入し、その一部がオイル戻し孔6からピストン1Aの内部空間5へ排出され、残りが第1及び第2の連通路9a,9bを経て第1及び第2の潤滑用オイル孔8a,8bからピストンスカート部7の外周面とシリンダボア壁面20との間に戻される。そして、その第1及び第2の潤滑用オイル孔8a,8bから戻されたオイルは、図5に示す如く、異常摩耗や焼き付きが起こり易いピストンスカート部7における夫々のピストン周方向端部側を中心にしてピストンスカート部7の外周面全体に行き渡る。
特に、爆発行程時には前述したが如くスラスト側に最大のスラスト力F1が掛かり、スラスト側の略中央の油圧P1が最も高圧になるので、より有効にオイルを第1及び第2の潤滑用オイル孔8a,8bから排出することができる。
ここで、ピストン1Aの上昇行程においては、下降行程時におけるオイルリング4のオイルのかき下げによりピストンスカート部7の外周面とシリンダボア壁面20との間の油膜が薄く、更に反スラスト側にスラスト力F2が掛かっているので、オイル戻し孔6からのオイルの流入量は少ない。しかしながら、前回の下降行程において流入したオイルがオイル戻し孔6,第1及び第2の潤滑用オイル孔8a,8b並びに第1及び第2の連通路9a,9bに貯留されているので、オイルリング4のかき上げにより僅かでもオイルがオイル戻し孔6に流入すれば、その貯留されたオイルが第1及び第2の潤滑用オイル孔8a,8bからピストンスカート部7の外周面とシリンダボア壁面20との間に供給される。
このようなことから、スラスト側のピストンスカート部7の外周面とシリンダボア壁面20との間における潤滑性能が向上し、その間での異常摩耗や焼き付きの抑制、冷却性能の向上を図ることができる。更に、潤滑性能の向上により摩擦損失が低減するので、燃料消費量の低減が可能になると共に、高回転化による出力向上や騒音低減をも図ることができる。
以上示した如く、本実施例1のピストン1Aは、オイル戻し孔6,第1及び第2の潤滑用オイル孔8a,8b並びに第1及び第2の連通路9a,9bという簡易且つ安価な構造を設けることのみで、潤滑性能の向上等の多大な効果を得ることができる。
ここで、本実施例1にあっては一つのオイル戻し孔6と二つの第1及び第2の潤滑用オイル孔8a,8bを設けているが、必ずしもその数量に限定するものではない。例えば、スラスト側の中央部分近傍に複数のオイル戻し孔を設けてもよく、また、三つ以上の潤滑用オイル孔を設けてもよい。
更に、本実施例1にあってはオイル戻し孔6と第1及び第2の潤滑用オイル孔8a,8bとを略同等の大きさにしたものを例示したが、例えば、第1及び第2の潤滑用オイル孔8a,8bからのオイルの戻り量を増加させる為に、その第1及び第2の潤滑用オイル孔8a,8bの大きさをオイル戻し孔6よりも大きくしてもよい。ここで、かかる場合には、第1及び第2の連通路9a,9bの大きさも第1及び第2の潤滑用オイル孔8a,8bの大きさに合わせることが好ましい。
また更に、本実施例1にあってはオイル戻し孔6,第1及び第2の潤滑用オイル孔8a,8b並びに第1及び第2の連通路9a,9bをスラスト側のみに設けたが、同様のものを反スラスト側に設けてもよく、これにより、ピストン1A全体の潤滑性能を向上させることができ、これに付随する異常摩耗の抑制等の多様な効果をピストン1A全体において得ることができる。
また、本実施例1にあっては第1及び第2の潤滑用オイル孔8a,8bの位置をオイル戻し孔6に対して「θ2=20°」ずらしたものとして例示したが、その角度については必ずしも本態様に限定するものではなく、ピストンスカート部7の外周面とシリンダボア壁面20との間の油圧分布を考慮して、ピストンスカート部7の外周面とシリンダボア壁面20との間にオイルが排出されるような位置に設定する。
次に、本発明に係る内燃機関用ピストンの実施例2を図6に基づいて説明する。
図6の符号1Bは、本実施例2の内燃機関用ピストンを示す。このピストン1Bは、図2に示す前述した実施例1におけるピストン1Aのオイル戻し孔6を図6に示すオイル戻し孔16に変更したものであり、それ以外の構成は実施例1のピストン1Aと同じである。
本実施例2のオイル戻し孔16は、実施例1と同様に、スラスト側の略中央におけるオイルリング溝3とピストンスカート部7の境界近傍においてピストン1Aの外部と内部空間5とが連通するよう穿設されている。ここで、その実施例1のオイル戻し孔6との相違は、内部空間5側の孔16bの大きさをピストンスカート部7の外周面側の孔16aよりも小さくしている点にある。
このように、一つのオイル戻し孔16においてオイル流入側の孔16aの大きさよりもオイル戻り側の孔16bを小さくすることによって、同一の大きさからなる実施例1のオイル戻し孔6よりも、孔16aから流入したオイルが孔16bから内部空間5へと排出され難くなる。
ここで、本実施例2のオイル戻し孔16の近傍において実施例1と同等の油圧P1が掛かっていると仮定すると、オイル戻し孔16の孔16aの大きさは実施例1のオイル戻し孔6と同等であるが為にオイルも略同等の量が流入する。その一方、オイル戻し孔16の孔16bの大きさが実施例1のオイル戻し孔6よりも小さいので、その孔16bから内部空間5へと排出されるオイル量は実施例1よりも少なくなる。
これが為、第1及び第2の連通路9a,9bには実施例1よりも多量のオイルが高圧で流入し、第1及び第2の潤滑用オイル孔8a,8bからピストンスカート部7の外周面とシリンダボア壁面20との間に戻されるオイルが増量する。
このように、本実施例2によれば、ピストンスカート部7の外周面とシリンダボア壁面20との間に実施例1よりも多量のオイルを供給することができるので、更なる潤滑性能の向上が図れ、実施例1よりも有効に異常摩耗の抑制等の効果を奏することができる。
ここで、本実施例2にあっても、オイル戻し孔16や第1及び第2の潤滑用オイル孔8a,8bの数量については図6の態様に限定するものではなく、また、第1及び第2の潤滑用オイル孔8a,8bの大きさをオイル戻し孔16の孔16aより大きくしてもよい。
更に、本実施例2にあってもオイル戻し孔16,第1及び第2の潤滑用オイル孔8a,8b並びに第1及び第2の連通路9a,9bをスラスト側のみに設けたが、同様のものを反スラスト側に設けてもよく、これにより、ピストン1B全体の潤滑性能を向上させることができ、これに付随する異常摩耗の抑制等の効果をピストン1B全体において得ることができる。
次に、本発明に係る内燃機関用ピストンの実施例3を図7に基づいて説明する。
図7の符号1Cは、本実施例3の内燃機関用ピストンを示す。このピストン1Cは、図2に示す前述した実施例1におけるピストン1Aの第1及び第2の潤滑用オイル孔8a,8bを図7に示す第1及び第2の潤滑用オイル孔18a,18bに変更したものであり、それ以外の構成は実施例1のピストン1Aと同じである。
ここで、前述した実施例1の第1及び第2の潤滑用オイル孔8a,8bは、ピストンスカート部7の外周面側とピストン1Aの内部空間5側とを連通させた貫通孔である為、第1及び第2の連通路9a,9bから流入してきたオイルが内部空間5側へと僅かではあるが排出される場合があり、かかる場合にはピストンスカート部7の外周面とシリンダボア壁面20との間で潤滑等に要する油量を戻せない可能性がある。
そこで、本実施例3の第1及び第2の潤滑用オイル孔18a,18bは、実施例1の第1及び第2の潤滑用オイル孔8a,8bにおいて内部空間5側を閉塞した。
これにより、ピストンスカート部7の外周面とシリンダボア壁面20との間に必要な油量を戻すことができるので、所期の潤滑性能を得ることができ、これが為、異常摩耗の抑制等の効果を確実なるものとすることができる。また、内部空間5側を閉塞させることにより、かかる位置でのピストンスカート部7の剛性も向上させることができる。
更に、本実施例3の第1及び第2の潤滑用オイル孔18a,18bからはピストンスカート部7の外周面とシリンダボア壁面20との間にのみオイルが排出されるので、その第1及び第2の潤滑用オイル孔18a,18bから排出させるオイル量と、オイル戻し孔6からピストン1Aの内部空間5に排出させるオイル量との関係を最適化し易くなる。
即ち、例えば内部空間5への排出量を多くしたいのであれば、オイル戻し孔6における内部空間5側の孔(実施例2の孔16bに相当)を第1及び第2の潤滑用オイル孔18a,18bよりも大きくすればよく、また、ピストンスカート部7の外周面とシリンダボア壁面20との間への排出量を多くしたいのであれば、第1及び第2の潤滑用オイル孔18a,18bをオイル戻し孔6における内部空間5側の孔よりも大きくすればよい。
このようなことから、本実施例3によれば、ピストンスカート部7の外周面とシリンダボア壁面20との間での潤滑に要するオイル量や、ピストン1Cの冷却に要するオイル量の最適化が図り易くなる。
ここで、本実施例3にあっても、オイル戻し孔6や第1及び第2の潤滑用オイル孔18a,18bの数量については図7の態様に限定するものではない。また、オイル戻し孔6,第1及び第2の潤滑用オイル孔18a,18b並びに第1及び第2の連通路9a,9bを反スラスト側にも設けてもよい。
次に、本発明に係る内燃機関用ピストンの実施例4を図8に基づいて説明する。
図8の符号1Dは、本実施例4の内燃機関用ピストンを示す。このピストン1Dは、図7に示す前述した実施例3におけるピストン1Cのオイル戻し孔6を図8に示すオイル孔(以下「オイル導入孔」という。)26に変更したものであり、それ以外の構成は実施例3のピストン1Cと同じである。
本実施例4のオイル導入孔26は、実施例3のオイル戻し孔6の内部空間5側を閉塞したものである。即ち、本実施例4のピストン1Dにおいては、オイル導入孔26と第1及び第2の潤滑用オイル孔18a,18bの全ての内部空間5側を閉塞している。
これにより、本実施例4にあってはオイル導入孔26から流入した全てのオイルを第1及び第2の潤滑用オイル孔18a,18bから排出することができるので、ピストンスカート部7の外周面とシリンダボア壁面20との間の潤滑性能を大幅に向上させることができ、より有効に異常摩耗の抑制等の効果を奏することが可能になる。
また、オイル導入孔26と第1及び第2の潤滑用オイル孔18a,18bの内部空間5側を閉塞させることによって、ピストンスカート部7の剛性を確保しつつその肉厚を薄くできるので、ピストン1Dの軽量化が図れ、これに伴って更なる出力の向上を図ることができる。
ここで、本実施例4にあっても、オイル導入孔26や第1及び第2の潤滑用オイル孔18a,18bの数量については図8の態様に限定するものではない。また、オイル導入孔26,第1及び第2の潤滑用オイル孔18a,18b並びに第1及び第2の連通路9a,9bを反スラスト側にも設けてもよい。
次に、本発明に係る内燃機関用ピストンの実施例5を図9に基づいて説明する。
図9の符号1Eは、本実施例5の内燃機関用ピストンを示す。このピストン1Eは、図8に示す前述した実施例4のピストン1Dにおいて、図9に示す如く更に二つの第2及び第3のオイル導入孔36b,36cを追加したものであり、それ以外の構成は実施例4のピストン1Dと同じである。尚、本実施例5にあっては、実施例4のオイル導入孔26を便宜上「第1オイル導入孔36a」という。
本実施例5の第2及び第3のオイル導入孔36b,36cは、第1オイル導入孔36aを中心として夫々ピストン周方向に所定の角度(例えばθ1=10°)ずらした位置に穿設されたものであって、第1オイル導入孔36aと第1及び第2の潤滑用オイル孔18a,18bとの間に配置される。
これら第2及び第3のオイル導入孔36b,36cは、夫々第1及び第2の連通路9a,9bと連通しており、また、他の第1オイル導入孔36aや第1及び第2の潤滑用オイル孔18a,18bと同様に内部空間5側が閉塞されている。
これにより、オイルリング4がかき取ったシリンダボア壁面20のオイルは、第1オイル導入孔36aだけでなく、第2及び第3のオイル導入孔36b,36cからも第1及び第2の連通路9a,9bに流入する。これが為、そのオイル流入量の増加に伴って第1及び第2の潤滑用オイル孔18a,18bからのオイル排出量が増加するので、実施例4と比して、ピストンスカート部7の外周面とシリンダボア壁面20との間における潤滑性能が更に向上し、異常摩耗の抑制等を図ることができる。
また、ピストンスカート部7の外周面とシリンダボア壁面20との間の摺動面において第2及び第3のオイル導入孔36b,36cが追加されているので、摩擦係数が低下して摩擦損失を低減させることができる。
更に、多量のオイルを第1から第3のオイル導入孔36a,36b,36cへと流入させることが可能であるので、特にピストン1Eの上昇行程においては、かき取られたオイルのオイルリング4の上面での残存量を減らすことができ、オイルの消費量を低減させると共に燃料消費量も低減させることができる。
ここで、本実施例5にあっても、第1から第3のオイル導入孔36a,36b,36cや第1及び第2の潤滑用オイル孔18a,18bの数量については図9の態様に限定するものではない。また、第1から第3のオイル導入孔36a,36b,36c,第1及び第2の潤滑用オイル孔18a,18b並びに第1及び第2の連通路9a,9bを反スラスト側にも設けてもよい。
また、本実施例5にあっては、第2及び第3のオイル導入孔36b,36c並びに第1及び第2の潤滑用オイル孔18a,18bの位置を第1オイル導入孔36aに対して夫々「θ1=10°」,「θ2=20°」ずらしたものとして例示したが、その角度については必ずしも本態様に限定するものではなく、ピストンスカート部7の外周面とシリンダボア壁面20との間の油圧分布を考慮した上で設定する。例えば、第2及び第3のオイル導入孔36b,36cは、その油圧分布を考慮してオイルが流入するような位置に設定する。また、第1及び第2の潤滑用オイル孔18a,18bは、その油圧分布を考慮して、ピストンスカート部7の外周面とシリンダボア壁面20との間にオイルが排出されるような位置に設定する。
次に、本発明に係る内燃機関用ピストンの実施例6を図10に基づいて説明する。
図10の符号1Fは、本実施例6の内燃機関用ピストンを示す。
先ず、このピストン1Fにおいては、実施例1のオイル戻し孔6と同様の第1及び第2のオイル戻し孔46a,46bがスラスト側と反スラスト側に夫々形成されている。即ち、第1オイル戻し孔46aはスラスト側の略中央におけるオイルリング溝3とピストンスカート部7の境界近傍において、また、第2オイル戻し孔46bは反スラスト側の略中央におけるオイルリング溝3とピストンスカート部7の境界近傍において、夫々ピストン1Fの外部と内部空間5とが連通するよう穿設されている。
また、このピストン1Fには、第1オイル戻し孔46aの一方の側面と第2オイル戻し孔46bの一方の側面とを連通させると共に、第1オイル戻し孔46aの他方の側面と第2オイル戻し孔46bの他方の側面とを連通させる環状の連通路19が形成されている。
このように、スラスト側と反スラスト側に夫々設けられた第1及び第2のオイル戻し孔46a,46bを環状の連通路19で連通させることによって、一方のオイル戻し孔へとオイルリング4のかき取りによりシリンダボア壁面20のオイルが流入すると、そのオイルを他方のオイル戻し孔からピストンスカート部7の外周面とシリンダボア壁面20との間に排出することができる。
即ち、スラスト側からシリンダボア壁面20へのスラスト力F1が掛かるピストン1Fの下降行程においては、第1オイル戻し孔46aへとオイルが流入すると、そのオイルの一部が内部空間5へと排出される一方、残りのオイルが環状の連通路19を介して第2オイル戻し孔46bへと送られて、反スラスト側におけるピストンスカート部7の外周面とシリンダボア壁面20との間に排出される。
このように、本実施例6によれば、潤滑性能の劣る反スラスト側へとオイルを供給することができ、かかる部位における潤滑性能を向上させることができるので、その間での異常摩耗や焼き付きが抑制され、更に摩擦損失の低減に伴って、燃料消費量の低減や高回転化による出力向上、騒音低減をも図ることができる。
ここで、本実施例6のピストン1Fにおいては、そのスラスト側を前述した実施例1から実施例5の如く構成してもよい。
例えば、スラスト側に実施例3の第1及び第2の潤滑用オイル孔18a,18bを設けてもよく、これにより、ピストン1F全体の潤滑性能が向上し、より有効に異常摩耗や焼き付きの抑制等の効果を奏することができる。
また、スラスト側に実施例5の第1から第3のオイル導入孔36a,36b,36c並びに第1及び第2の潤滑用オイル孔18a,18bを設けてよく、これにより、スラスト側の潤滑性能が向上するだけでなく、環状の連通路19へと流入するオイル量が増加して、反スラスト側の潤滑性能の更なる向上が図れる。これが為、ピストン1F全体の潤滑性能が更に向上し、より確実に異常摩耗や焼き付きの抑制等の効果を奏することができる。
ここで、本実施例6のピストン1Fにおいても、その上昇行程においては反スラスト側からシリンダボア壁面20へのスラスト力F2が掛かる。この場合、オイルリング4がかき上げた反スラスト側のオイルは、第2オイル戻し孔46bへと流入し、その一部が内部空間5へと排出される一方、残りのオイルが環状の連通路19を介して第1オイル戻し孔46aへと送られる。これが為、かかる場合にあっては、スラスト側におけるピストンスカート部7の外周面とシリンダボア壁面20との間の潤滑性能が向上する。
そこで、スラスト側と反スラスト側の双方を前述した実施例1から実施例5の如く構成することによって、ピストン1Fの上昇、下降に拘らずピストン1F全体の潤滑性能を向上させることができる。特に、反スラスト側には実施例5の第1から第3のオイル導入孔36a,36b,36c並びに第1及び第2の潤滑用オイル孔18a,18bを設けることによって、上昇行程時に第1オイル戻し孔46aへと送出されるオイル量が増加するので、より有効にピストン1F全体の潤滑性能を向上させることができ、異常摩耗の抑制等をより好適に図ることができる。
また、本実施例6の如き環状の連通路19を設けることによってピストン1Fがより軽量化されるので、更なる出力向上をも図ることが可能になる。
尚、前述した実施例1〜6においてピストンスカート部7の潤滑に要する以上の油量を排出することができるのであれば、その第1及び第2の連通路9a,9bや環状の連通路19をピン孔10と連通させてもよく、これによりピン孔10の潤滑性能をも向上させることができる。
以上のように、本発明に係る内燃機関用ピストンは、ピストンスカート部における夫々のピストン周方向端部側へのオイル供給を簡易且つ安価に行い得る技術として有用である。
本発明に係る内燃機関用ピストンをピン孔方向から見た側面図である。 図1−1の矢印Aから見た実施例1から4における内燃機関用ピストンの側面図である。 図1−2のX−X線から見た実施例1の内燃機関用ピストンの断面図である。 図1−2のY−Y線から見た実施例1の内燃機関用ピストンの断面図である。 図1−2のZ−Z線から見た実施例1の内燃機関用ピストンの断面図であって、ピストンスカート部とシリンダボア壁面との間の油圧分布を説明する図である。 図1−1の矢印Aから見た実施例1の内燃機関用ピストンの側面図であって、ピストンスカート部に排出されたオイルの流れを説明する図である。 図1−2のX−X線から見た実施例2の内燃機関用ピストンの断面図である。 図1−2のX−X線から見た実施例3の内燃機関用ピストンの断面図である。 図1−2のX−X線から見た実施例4の内燃機関用ピストンの断面図である。 本発明に係る内燃機関用ピストンの実施例5を示す図であって、図1−2のX−X線と同等の位置から切った断面図である。 本発明に係る内燃機関用ピストンの実施例6を示す図であって、図1−2のX−X線と同等の位置から切った断面図である。 ピストン下降時においてピストンとシリンダボア壁面との間に掛かるスラスト力を説明する図である。 ピストン上昇時においてピストンとシリンダボア壁面との間に掛かるスラスト力を説明する図である。
符号の説明
1A,1B,1C,1D,1E,1F ピストン
1a ピストン本体
3 オイルリング溝
4 オイルリング
6,16,46a,46b オイル戻し孔(オイル孔)
7 ピストンスカート部
8a,8b,18a,18b 潤滑用オイル孔(オイル孔)
9a,9b,19 連通路
20 シリンダボア壁面
26,36a,36b,36c オイル導入孔(オイル孔)

Claims (3)

  1. ピストン本体に形成されたオイルリング溝と少なくともスラスト側のピストンスカート部との境界近傍で当該ピストンスカート部の外周面側に開口する複数のオイル孔をピストン周方向に間隔を空けて穿設すると共に、該各オイル孔を前記ピストン本体内で連通させる連通路を設けたことを特徴とする内燃機関用ピストン。
  2. 前記各オイル孔の内の少なくとも一つを反スラスト側のピストンスカート部に設けたことを特徴とする請求項1記載の内燃機関用ピストン。
  3. 前記各オイル孔の内の一つをスラスト側の略中央に設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関用ピストン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008151139A (ja) * 2006-12-18 2008-07-03 Waertsilae Schweiz Ag オイル収集リング用のピストン
JP2014055550A (ja) * 2012-09-12 2014-03-27 Nippon Soken Inc 内燃機関用のピストン

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