JP2006016313A - ギャップ機能抑制剤、細胞増殖促進剤及び硫酸化ポリフコース - Google Patents

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Abstract

【課題】
ヒト繊維芽細胞表面のギャップジャンクション(GJ)機能に対する強い抑制機能を有する硫酸化フコース残基の分岐鎖を有するグリコサミノグリカンや硫酸化ポリフコースを用いたGJ機能抑制剤等を提供する
【解決手段】
硫酸化フコース残基を有する多糖、詳しくは硫酸化フコース残基の分岐鎖を有するグリコサミノグリカンや硫酸化ポリフコース又はそれらの薬学的に許容される塩を有効成分とするGJ機能抑制剤、これら多糖を有効成分とする細胞増殖促進剤、並びに新規硫酸化ポリフコース。
【選択図】 なし

Description

本発明は硫酸化フコース残基を有する多糖またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするギャップ機能抑制剤及び細胞増殖促進剤に関する。より詳細には、硫酸化フコース残基の分岐を有するグリコサミノグリカンまたは硫酸化ポリフコースなどの多糖並びにそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分とするギャップ機能抑制剤及び細胞増殖促進剤に関し、更に新規硫酸化ポリフコースに関するものである。
細胞のシグナル伝達の一システムであるギャップ結合(ギャップジャンクション;略称GJ)は、細胞同士の微細構造の連結によってなされると言われ、その細胞表面に局在する微細構造体は、カルシウムイオン(Ca2+)、サイクリックアデノシン3’,5’−リン酸(cAMP)、グルタチオン、アミノ酸、単糖及びヌクレオチドなど分子量1,000以下の生理活性低分子や電気的なシグナルを隣接した細胞同士でやりとりする機能を有しており、多細胞動物が生命を維持していくために必須のシステムである。このような微細構造体(コネクソン)は、コネキシンというタンパク質の6量体からなり、2個の細胞の間でこの6量体の構造体が連結することにより、コネキシンの12量体であるGJが完成する。このGJは常時細胞表面に発現しているわけではなく、細胞周期や発生の段階、組織の状態あるいは組織の差異によって発現レベルが異なり、細胞が癌化すると消失することもある。
GJを介して細胞間を浸透する低分子のうち特に重要なものはカルシウムイオンであり脳内の神経細胞間でのこのイオンの瞬時の伝搬は”カルシウムウェイヴ”などとも呼称される。さらに、脳内、心臓平滑筋あるいは神経筋肉連結部位においては電気的なシグナル(電位)が固有組織を形成する細胞間で瞬時に伝達され、シンクロナイズされた組織の活動に寄与している。
したがって、GJの機能異常(亢進あるいは抑制)があると、正常な組織の生理活動がさまたげられるので、様々な疾患の原因となっている。しかしながら、これまでGJの機能(ギャップ機能)を制御することのできる物質や組成物は、特許文献1,特許文献2に記載のヘパリン誘導体を除き、見出されていない。したがって、GJの機能異常に基づく疾患の治療法も未解決のまま残されてきた。
コンドロイチン硫酸(以下「CS」という)はグリコサミノグリカン(以下「GAG」という)の一種であり、動物軟骨や結合組織中に存在することが広く知られている。またCSはN−アセチル-D-ガラクトサミン(GalNAcとも略称される)とD-グルクロン酸(GlcAとも略称される)がβ1→3グリコシド結合により結合した二糖を構成単位とする直鎖多糖であり、重量平均分子量は通常、10,000〜80,000の範囲にある。N-アセチル-D-ガラクトサミンのO−4位またはO−6位に硫酸基が結合した構成糖を多く含むCSはそれぞれ、コンドロイチン硫酸A(CS−Aともいう)、またはコンドロイチン硫酸C(CS−Cともいう)と呼ばれる。これらは何れも構成単位あたり硫黄(以下Sという)がほぼ1モル含まれている。
これに対して川合らはスルメイカの軟骨中に構成単位あたりSが1.55モル含まれているCSを見出し、コンドロイチン硫酸E(CS−E)と命名した(非特許文献1)。このCS−Eの構成単位は、N−アセチル−D−ガラクトサミンとD−グルクロン酸がβ1→3グリコシド結合した二糖であり、構成二糖単位当たりSが2モル結合したもの(O−4位およびO−6位がともに硫酸化されたGalNAcを含む二糖単位)と、1モル結合したもの(O−4位またはO−6位が硫酸化されたGalNAcを含む二糖単位)の2種二糖単位があり、それらはほぼ等量ずつ存在する。
また、フクロナマコからSが構成単位あたり1.6モル含まれているCSを単離した報告(非特許文献2)においても、構成単位成分はD−ガラクトサミンとD−グルクロン酸であり、S含量からみてCS−Eタイプと推定された。さらに橋本らはマナマコ(Stichopus japonicus)からS9.5%〜13.0%及びフコース12.0%〜28.0%を含有するCSを得ているが(特許文献3)、このものも構成成分はD−ガラクトサミンとD−グルクロン酸であり、S含量からみてCS−Eタイプの基本骨格を有し、そこに硫酸化フコースの分岐構造を持つと推定された(非特許文献3)。
苅谷らはこの硫酸化フコース分岐を有するCSの構造につき、詳細な検討を行い(非特許文献4)、該CSの主鎖構成単位はN−アセチル−D−ガラクトサミンとD−グルクロン酸がβ1→3グリコシド結合したものであり、D−ガラクトサミンのO−4位及び/またはO−6位さらにはD−グルクロン酸のO−3位に、硫酸化フコースの2残基から成るフコース側鎖(フコビオシル硫酸基)がグリコシド結合した構造を有していることを示した。これら硫酸基を有するフコースから成る側鎖構造を有するCSは直鎖構造を有するCSと異なり、CS類の分解酵素であるコンドロイチナーゼ類によっても極めて消化されにくいことが知られている。
上述のようなナマコ類に含まれるグリコサミノグリカン(sea cucumber GAG;以下「SC−GAG」という)については、特許文献4並びに非特許文献3及び5に示されるように、今までに二、三の硫酸化フコビオシルコンドロイチン硫酸Eが、単離精製されており、その生理活性としては主に抗凝固活性が報告されている(特許文献4、非特許文献6)。しかしながら、これらSC−GAGのギャップ機能抑制活性についての報告はなく、また、これらを有効成分として利用したギャップ機能抑制剤についてはまだ知られていない。更に、これらを有効成分とする細胞増殖促進剤についても知られていない。
一方、硫酸化ポリフコース(一般にはフコイダンまたはフカン硫酸とも呼称される)は褐藻類植物或いは海産無脊椎動物由来のものが知られている。例えば、褐藻類植物から熱水抽出されたものが知られており、報告のある主要な硫酸化ポリフコース分子種には以下のようなものがある。
褐藻Fucus vesiculosus由来の硫酸化ポリフコース(非特許文献7)、褐藻Ascophyllum nodosum由来の硫酸化ポリフコースの分子構造(非特許文献8)、褐藻Chorda filum由来硫酸化ポリフコースの分子構造(非特許文献9)、褐藻Sargassum nodosum由来硫酸化ポリフコースの分子構造の部分構造(非特許文献10)、及び褐藻Cladosiphon okamuranus由来硫酸化ポリフコースの分子構造(非特許文献11)がそれぞれに報告されている。更に、褐藻Ecklonia kurome由来硫酸化ポリフコースの分子構造は、4種部分構造のみが非特許文献12に報告されている。
海産無脊椎動物由来の硫酸化ポリフコースとしては、ナマコLudwigothurea grisea由来硫酸化ポリフコース、ウニArbacia lixula由来硫酸化ポリフコースおよびウニLytechinus variegatus由来硫酸化ポリフコースの分子構造が、いずれも非特許文献13に報告されている。
更に、ごく最近海産無脊椎動物の一種であるマナマコ体壁からフコース側鎖を有する硫酸化ポリフコースが見出された(非特許文献14)。これら硫酸化ポリフコースの生理活性としては、主に卵・精子反応阻害、ウィルス感染抑制、セレクチンを介する細胞接着阻害、抗凝固活性、繊維芽細胞増殖阻害などが報告されている(非特許文献15,16,17,18,19)。しかしながら、ギャップ機能抑制活性についての報告はなく、これらを有効成分として利用したギャップ機能抑制剤についてはまだ知られていない。また、これらを有効成分とする細胞増殖促進剤についても知られていない。
また、細胞のギャップ結合細胞間連絡機能(GJ機能:ギャップ機能)を制御するための体系的な手法に関する知見はこれまでほとんどなかった。しかしながら、細胞内シグナル伝達経路のうち、プロテインカイネースC(PKC)がアップレギュレイトされるとGJを構成するタンパク質であるコネキシンのリン酸化が促進される結果として、GJ機能が低下するという事実は知られており(非特許文献20)、この現象を利用することによってGJ機能を制御できる可能性が考えられた。ただし、このような可能性を実現した研究例はこれまで知られていない。
Kawai et al.(1966)J.Biochem.,60,317 Katzman et al.(1969)Science,166,758 Kariya et al.(1990)J.Biol.Chem.,265,5081-5085 Kariya et al.(1997)Carbohydr.Res.,297,273-279 Vieira et al.(1991)J.Biol.Chem.,266,13530-13536 Mour▲a▼o et al.(2001)Thromb.Res.,102,167-176 Patankar,M.S. et al.(1993)J.Biol.Chem.,268,21770-21776 Chevolot et al.(2001)Carbohydr.Res.,330,529-535 Chizhov, A. O. et al.(1999)Carbohydr.Res.,320,108-119 Duarte, M. E. et al.(2001)Carbohydr.Res.,333,281-293 Nagaoka,M. et al.(1999)Glycoconj.J.,16,19-26 Nishino, T. et al.(1991) Carbohydr.Res.,211,77-90 Pereira, M. S. et al.(1999) J.Biol.Chem.,274, 7656-7667 Kariya et al. (2004) Carbohydr. Res., 339,1339-1346 J.Cell Biol(1982)94,123-128; Antiviral Res.(1988)9,335-343 Antiviral Res.(1988)9,335-343 J.Cell Biol.(1992)117,895-902 Thromb.Res.(1991)64,143-154 Biochim.Biophys.Acta(1993)1180,225-230 J. Cell Biol. (2000) 149, 1503-1512 特開2003-113090 特開2003-119146 特開昭63-10601 特開2003-252906
本発明者らは、GJ機能の簡便な評価系を構築するとともにその評価系を用いて、硫酸化フコース残基を有する多糖、より詳細には硫酸化フコース残基の分岐鎖を有するグリコサミノグリカンや硫酸化ポリフコースがヒト繊維芽細胞表面に発現しているGJの機能を強く抑制することを見出した。これに基づき、これらの硫酸化フコース残基を有する多糖をGJ機能抑制剤として用いれば、GJ機能亢進に基づく様々な疾患の病態の改善が可能になると考え、かかるGJ機能抑制剤の提供を課題とする。
上記課題を解決するため、本発明者らは、上記評価系として正常ヒト繊維芽細胞(Normal Human Dermal Fibroblast; NHDF cellsと略称する)を用いたGJ機能測定系を用いて、GJ機能を制御する物質を鋭意探索した結果、硫酸化フコース残基を有する多糖、より詳細には硫酸化フコース残基の分岐鎖を有するグリコサミノグリカン並びに硫酸化ポリフコースがGJ機能に対して抑制効果を有するとの知見を得、本発明を完成させるに至った。
更に、NHDF cellsを用いた細胞増殖測定系を用いて硫酸化フコース残基を有する多糖が細胞増殖促進効果を有することを見出し、かかる知見に基づき細胞増殖促進剤に係わる本発明も完成させ、更にこれらの効果を達成するのに有効な新規硫酸化ポリフコースを見出した。
すなわち本発明は、
1.硫酸化フコース残基を有する多糖またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするギャップ機能抑制剤に関する、
2.多糖が硫酸化フコース残基の分岐鎖を有するグリコサミノグリカンまたは硫酸化ポリフコースである上記1に記載のギャップ機能抑制剤に関する、
3.グリコサミノグリカンがヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリンまたはヘパラン硫酸である上記2に記載のギャップ機能抑制剤に関する、
4.グリコサミノグリカンがコンドロイチン硫酸である上記2に記載のギャップ機能抑制剤に関する、
5.グリコサミノグリカンが、下記式(I)で示される構成二糖単位を有するコンドロイチン硫酸である上記4に記載のギャップ機能抑制剤に関するものである。
Figure 2006016313
更に、本発明は、
6.硫酸化フコース残基の分岐を有するグリコサミノグリカンが海産無脊椎動物由来のグリコサミノグリカンである上記2に記載のギャップ機能抑制剤に関する、
7.硫酸化ポリフコースが褐藻類植物由来または海産無脊椎動物由来の硫酸化ポリフコースである上記2に記載のギャップ機能抑制剤に関する、
8.海産無脊椎動物がナマコ類である上記6または7に記載のギャップ機能抑制剤に関する、
9.硫酸化フコース残基を有する多糖またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする細胞増殖促進剤に関する、
10.多糖が硫酸化フコース分岐を有するグリコサミノグリカンまたは硫酸化ポリフコースである上記9に記載の細胞増殖促進剤に関する、
11.フコース同士がα1→3グリコシド結合により伸長した直鎖構造を基本骨格とし、基本骨格を構成するフコース残基のO−4位のみ、あるいはO−2位およびO−4位の双方が部分的に硫酸化され、基本骨格を構成するフコース残基のO−2位あるいはO−4位にフコース残基または硫酸化フコース残基の分岐を有し、該フコース残基または硫酸化フコース残基の分岐含有率が5〜20%であり、重量平均分子量が80,000〜120,000である硫酸化ポリフコースに関するものである。
本発明により、硫酸化フコース残基を有する多糖、特に、未利用資源であるナマコ類由来の硫酸化フコース残基の分岐を有するグリコサミノグリカン並びに硫酸化ポリフコースを用いて、GJ機能の亢進を発症の病因とする疾患に対する治療に有効なギャップ機能抑制剤を提供することができる。
更には硫酸化フコース残基を有する多糖を有効成分とする細胞増殖促進剤を提供することができる。
以下、本発明を実施する為の最良の形態により本発明を詳説するが、これらは一態様を示すものでありこれらに限定されるものではない。
以下に示す構造式中の下記の略号は、それぞれの右に示す意味である。
Fuc:フコース
2S、3S、4S:それぞれ構成糖の2位、3位、4位ヒドロキシル基が硫酸化されていることを示す。
(1)本発明ギャップ機能抑制剤
本発明のギャップ機能抑制剤における有効成分は硫酸化フコース残基を有する多糖またはその薬理的に許容される塩であり、該多糖は、硫酸化フコース残基の分岐鎖を有するグリコサミノグリカンおよび硫酸化ポリフコースを包含する。
この硫酸化フコース残基の分岐鎖を有するグリコサミノグリカンとは、グリコサミノグリカンのヒドロキシル基に硫酸化フコースのヒドロキシル基がグリコシド結合しているグリコサミノグリカンを意味し、グリコサミノグリカンはその構成二糖単位あたり硫酸化フコース残基の分岐鎖を0.8〜1.2分子有している。グリコサミノグリカンとしては、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリンまたはヘパラン硫酸が挙げられる。
硫酸化フコース残基の分岐鎖を有するグリコサミノグリカンとして、好ましくは硫酸化フコ−ス残基の分岐鎖を有するコンドロイチン硫酸であり、より好ましくは下記式(I)の構成二糖単位を有する、硫酸化フコース残基の分岐鎖をもつコンドロイチン硫酸であり、さらに好ましくはナマコ類由来の、硫酸化フコース残基の分岐鎖を有するコンドロイチン硫酸(SC−CS)である。SC−CSは、下記式(I)に示されるように、主鎖として、β−D−グルクロン酸(以下GlcAという)の1位とN−アセチル−β−D−ガラクトサミン(以下GalNAcという)の3位とがグリコシド結合したコンドロイチン硫酸タイプのポリマーを有しており、かつ、GalNAc残基の4位と6位が硫酸化されたEタイプの二糖単位を主鎖構成糖として含有する。
Figure 2006016313
本発明のSC−CSは、上記基本構造の主鎖に、側鎖として、硫酸化フコース残基を2〜3残基、すなわち2個の硫酸化フコース残基からなる基(硫酸化フコビオシル基)及び/又は3個の硫酸化フコース残基からなる基(硫酸化フコトリオシル基)より成る分岐鎖構造を有し、二糖単位の構成単位あたり2〜3分子、好ましくは2.5〜3分子、特に好ましくは2.8〜3分子の硫酸化フコース残基を有している。また、二糖単位の構成単位あたり3〜6分子、好ましくは4〜6分子、特に好ましくは5〜6分子、最も好ましくは5.4〜5.8分子の硫酸基を有している。
ゲル濾過法により求めたこれらSC−CSの平均分子量は、45〜55kDa、好ましくは47〜53kDa、特に好ましくは49〜51kDaである。特筆すべき特徴として、SC−CSはコンドロイチナーゼABC及びACのいずれによっても酵素消化されない。
このSC−CSの硫酸化フコース残基を部分的に脱離(部分脱分岐化)して得られるSC−CSをコンドロイチナーゼABCで消化し、イオン交換高速液体クロマトグラフィーで分析した場合の不飽和二糖組成より本発明のSC−CS主鎖の基本構造を特定することができる。
SC−CSは、それが由来する海産無脊椎動物、例えばナマコ類、ウニ類等から単離でき、ナマコ類としては、マナマコ(Stichopus japonicus)、クロナマコ(Holthuria atra)、ニセクロナマコ(Holothuria leurospilota)、アラスカ産ナマコ(Parastichopus californicus)、ブラジル産ナマコ(Ludwigothurea grisea)などが挙げられる。尚、これらナマコ類動物は、ごく一部が食用に供されてはいるが、殆ど利用されていない未利用資源である。
海産無脊椎動物からのSC−CSの取得は公知の方法で実施することが出来、例えば、ナマコ類の体壁の生体試料あるいは乾燥粉末を原料とし、GAG類を生体組織から単離・精製するために用いられる公知の方法[Kariya et al.(1990)J.Biol.Chem.,265,5081-5085]に準拠して製造できる。また、特開2003−252906公報に記載の方法に準拠して製造することもできる。
しかしながら、硫酸化フコース残基の分岐を有するグリコサミノグリカンの製法は上記に限定されず、グリコサミノグリカンに硫酸化フコースを化学的手法により結合させる方法によることもできる。
本発明のギャップ機能抑制剤における有効成分として使用される硫酸化ポリフコースは、フコイダンあるいはフカン硫酸とも呼ばれ、硫酸エステルを有するフコースのポリマーである。より具体的には種々の褐藻類植物から熱水抽出された下記の硫酸化ポリフコースが挙げられる。
褐藻Fucus vesiculosus由来の硫酸化ポリフコースは、これまで最もよく研究されてきたもので、既に市販されており、その分子構造が下記構造式1に示した繰り返し単位から成ることが報告されている(前記非特許文献7)。
Figure 2006016313
褐藻Ascophyllum nodosum由来の硫酸化ポリフコースの分子構造は、下記構造式2に示した繰り返し単位から成ることが報告されている(前記非特許文献8)。
Figure 2006016313
褐藻Chorda filum由来硫酸化ポリフコースの分子構造は、下記構造式3に示した繰り返し単位から成ることが報告されている(前記非特許文献9)。
Figure 2006016313
上記構造式1〜3に示した硫酸化ポリフコースは、構成糖としてフコースのみを含む点で共通性を有している。
褐藻Sargassum nodosum由来硫酸化ポリフコースの分子構造は、下記構造式4に示した部分構造のみが明らかにされており(前記非特許文献10)、全構造の解明に至らない理由としては構造が高度にヘテロジーナスであるためと説明されている。また、この硫酸化ポリフコースは、マンノース(Man)やグルクロン酸(GlcA)などフコース以外の構成糖を有している。
Figure 2006016313
褐藻Cladosiphon okamuranus由来硫酸化ポリフコースの分子構造は、下記構造式5に示した繰り返し単位から成ることが、(前記非特許文献11)に報告されている。この硫酸化ポリフコースは、側鎖にグルクロン酸(GlcA)を有している。
Figure 2006016313
褐藻Ecklonia kurome由来硫酸化ポリフコースの分子構造は、下記構造式6に示した4種の部分構造のみが明らかにされており(前記非特許文献12)、全構造の解明に至らない理由としては構造が高度にヘテロジーナスであるためと説明されている。また、この硫酸化ポリフコースは、ガラクトース(Gal)などフコース以外の構成糖を有している。
Figure 2006016313
更に、海産無脊椎動物由来の硫酸化ポリフコースとして、例えば下記のものが挙げられる。
ナマコLudwigothurea grisea由来硫酸化ポリフコースの分子構造は、下記構造式7に示した繰り返し単位から成ることが(前記非特許文献13)に報告されている。
Figure 2006016313
ウニArbacia lixula由来硫酸化ポリフコースの分子構造は、下記構造式8に示した繰り返し単位から成ることが(前記非特許文献13)に報告されている。
Figure 2006016313
ウニLytechinus variegatus由来硫酸化ポリフコースの分子構造は、下記構造式9に示した繰り返し単位から成ることが(前記非特許文献13)に報告されている。
Figure 2006016313
上記の海産無脊椎動物由来の硫酸化ポリフコースは、硫酸基とフコース残基のみから成り、側鎖構造を有さない点で、褐藻類植物由来硫酸化ポリフコースとはその構造を異にする。
一方、ごく最近海産無脊椎動物の一種であるマナマコ体壁からフコース側鎖を有する下記の硫酸化ポリフコースが見出されている(前記非特許文献14)。
これは、構造式10に示すとおり主鎖結合が[→3Fucα1→]の結合からなり、その主鎖中には構成単位フコース残基の主として4位に、若干量が2位にFuc、Fuc(4S)、Fuc(2S)あるいはFuc(2S,4S)を側鎖として有する残基が全体の50%程度存する。
Figure 2006016313
本発明において上記公知の硫酸化ポリフコースも有効成分として用いられるが、本発明で好ましく用いられる新規な硫酸化ポリフコース(以下FSと記載することもある)は、主鎖として、[→3Fucα1→]nのポリマーを有し、かつ、主鎖Fuc残基の10%程度の残基の4位あるいは2位から、Fuc、Fuc(4S)あるいはFuc(2S,4S)が側鎖として伸展しており、また、主鎖Fuc残基は部分的に4位、または2位と4位が硫酸化されているものである。フコースを主要成分とする構成中性糖1残基あたり、平均して0.8〜1.2分子、好ましくは0.9〜1.1分子の硫酸基を有している。
本発明FS中には、フコース以外の単糖として、少量のガラクトース(Gal)、N−アセチル−β−D−グルコサミン(GlcNAc)及び痕跡量のN−アセチル−β−D−ガラクトサミン(GalNAc)及びウロン酸が含まれる。また、ゲル濾過法により求めた同物質の平均分子量は、80〜120kDa、より好ましくは90〜110kDaである。特筆すべき特徴として、FSは、上記ナマコLudwigothurea griseaあるいはウニ由来の硫酸化ポリフコースとは異なり、上記のように硫酸化フコース残基の側鎖を有する。
上記一連の公知硫酸化ポリフコースの構造とFSの構造を比較すると、FSの構造は構造式1及び構造式3に近いものであるが、フコース分岐の様式が一部異なり、主鎖の硫酸化部位も異なる。また、FSの主鎖の構造は、構造式7及び構造式9に似ているが、それらはフコース分岐を有さない点でこのFSの構造とは異なる。よって、FSは従来公知の構造とは異なる新たな構造を有するものであり、この新規FSはアラスカ産ナマコ(Parastichopus californicus)より抽出され、公知の硫酸化ポリフコースとはFuc分岐含有率が大きく異なり、非特許文献14に開示された公知の硫酸化ポリフコースのFuc分岐含有率が約50%であるのに比し、本発明FSのFuc分岐含有率は、5〜20%、好ましくは8〜15%、より好ましくは9〜11%である。ここで、Fuc分岐含有率は、主鎖骨格のフコースに対する分岐を有するフコースの割合を表す。
上記、硫酸化フコース残基の分岐鎖を有するグリコサミノグリカン並びに硫酸化ポリフコースは、後述の実施例に記載の通り、NHDF cellsを用いたギャップ機能測定系においてギャップ機能を有意に抑制する作用を発現した。
(ギャッップ機能抑制剤)
本発明のギャップ機能抑制剤(以下GJ抑制剤ということもある)は、in vivo又はin vitroにおいて隣り合う細胞同士の連絡、特にGJを介した細胞間連絡を抑制する細胞間連絡抑制剤である。本発明GJ抑制剤の効果は、例えばEnviron. Sci.Technol.29,2923-2928(1995)に記載された、色素(蛍光色素)移行(Scrape-loading and dye transfer:SLDT)法により、容易に確認することが可能である。
このような細胞間連絡抑制剤の有効成分が「硫酸化フコース残基の分岐鎖を有するグリコサミノグリカン」である場合は、生体内に存在するグリコサミノグリカンと近似した構造を有するため、あるいは「硫酸化ポリフコース」である場合は、体によい成分で、健康食品または機能性食品として用いられている成分であるため、生体に対し極めて高い安全性を有していると考えられる。従って、本発明のGJ抑制剤は、たとえばてんかん、血管内再狭窄、糸球体腎炎、パーキンソン病、アルツハイマー病、及び動脈硬化症等の予防または治療薬としての使用可能性を有する。
本発明GJ抑制剤を上記疾患の予防や治療に用いる場合、有効成分である上記硫酸化フコース残基の分岐鎖を有するグリコサミノグリカン及び硫酸化ポリフコースの有するギャップ機能抑制作用を実質的に損なわず、又、投与対象に対し悪影響を示さない限りにおいて、これらの多糖はその薬理学的に許容されうる塩の形で用いる事も可能である。薬理学的に許容されうる塩としては前述の条件を満たしていれば特に限定されず、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等の無機塩基との塩、またピリジン塩、ジエタノールアミン塩、シクロヘキシルアミン塩、アミノ酸塩等の有機塩基との塩などのうち薬理学的に許容されるものが挙げられ、特にナトリウム塩が好ましい。
また同様に、本発明の有効成分である上記硫酸化フコース残基の分岐鎖を有するグリコサミノグリカン及び硫酸化ポリフコースを上記疾患の予防や治療に用いる場合、これらの有するギャップ機能抑制作用を実質的に損なわず、投与対象に対し悪影響を示さない限りにおいて、他の薬効成分や製剤時に通常用いられる賦形剤、結合剤、保存剤、安定化剤などを適宜用いる事が可能である。本発明有効成分を含有するギャップ機能抑制剤の剤型及び投与経路としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、注射剤、液剤、リポ化剤、ゲル化剤、軟膏剤等に製剤化して、経口、注射、塗布等の投与経路のうち、治療対象となる疾患の性質や重篤度に応じて適宜選択することが可能である。
尚、本発明ギャップ機能抑制剤の投与量は、その製剤の投与方法、投与形態、投与対象患者の体重や具体的症状等に応じて個別に決定されるべき事項であり、特に限定はされないが、本発明の有効成分物質として1日当たり概ね0.1mg/kg〜300mg/kg程度を、1日1回〜数回に分けて投与する事が考えられる。
(細胞増殖促進剤)
本発明のGJ抑制剤は後述の実施例6により明らかなように細胞増殖活性が認められるため、細胞増殖促進剤としても使用することが可能である。
本発明の細胞増殖促進剤は、硫酸化フコース残基を有する多糖、より詳細には硫酸化フコース残基の分岐鎖を有するグリコサミノグリカン又は硫酸化ポリフコースを有効成分とする細胞増殖促進剤である。
この細胞増殖促進剤の有効成分としての上記「硫酸化フコース残基の分岐鎖を有するグリコサミノグリカンまたは硫酸化ポリフコース」は上記本発明のGJ機能抑制剤に記載した物質と同義である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらの実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
SC−CS及び硫酸化ポリフコースの製造
原料のアラスカ産ナマコ(Parastichopus californicus)乾燥粉末540gを4Lの蒸留水に懸濁して120℃、30分条件下のオートクレーブ処理を施した後、100mMリン酸緩衝液 (pH8.0)中に溶解した。得られた懸濁液に対し、蛋白質1gあたり50mgの蛋白分解酵素Actinase E(科研製薬(株)製)を加えて、55℃にて8hr、攪拌下コラーゲンやコアプロテイン等の共存タンパク質を消化した。同様の消化をさらに3回繰り返した後、酵素消化物を0.4M NaOH水溶液、次いで10%トリクロロ酢酸(TCA)で順次処理した。反応混液から遠心分離により上清を回収し、流水透析を行った。適度に濃縮した透析内液を凍結乾燥することにより粗精製物を得た。
こうして得られた粗精製物2.0gを少量の0.2M NaCl水溶液に溶解し、同溶媒で平衡化したSepharose CL-6B(アマシャム・バイオサイエンス社製)カラム(φ8.0×95cm)に付し、溶出液を70ml毎に回収した。得られた各フラクションにつき波長210nmにおける吸光度[OD(Optical Density)]の測定、カルバゾール法によるウロン酸含量の測定[OD:波長530nm]およびアンスロン法による中性糖含量の測定(OD:波長620nm)を行った結果、高分子域に硫酸化ポリフコースと目されるアンスロン陽性、カルバゾール陰性のピークが見出されたのでこれに相当する画分を合一回収し(画分I)、凍結乾燥によりパウダー(282mg)を得た。また、そのすぐ後にSC−CSと目されるアンスロン陽性、カルバゾール陽性のピークが見出されたのでこれに相当する画分を合一回収し(画分II)、凍結乾燥によりパウダー(555mg)を得た。
各フラクションの波長210nm、530nm、620nmにおける吸光度(OD)をそれぞれ○、□、●で図1に示した。
[実施例2]
SC−CS及び硫酸化ポリフコースの物理化学的性状解析
実施例1で調製した二種の画分(I、II)につき、ヘキソサミン含量、ウロン酸含量、硫酸イオン含量ならびに中性糖含量をそれぞれ下記化学組成分析法に従った定量分析によって分析した。
ヘキソサミン含量:MBTH法[Hurst&Settine(1981)Anal.Biochem.,115,88-92]、
ウロン酸含量:カルバゾール法[Bitter&Muir(1962)Anal.Biochem.,4,330-334]、
硫酸イオン含量:イオンクロマトグラフィー法、
中性糖含量:アンスロン法[Dimler,R.L et al.(1952)Anal.Chem.,24,1411-1414]
各構成成分のモル存在量(mmol/g)を算出したうえ、中性糖あるいはヘキソサミンを1として各成分のモル比を算出し、表1に示した。
画分Iでは、硫酸基及び中性糖を各々、4.10mmol/g及び3.79mmol/g 含み、中性糖に対する硫酸基の割合は1.08(モル比)であり、ヘキソサミンを若干量、ウロン酸を痕跡量含んでいた(表1参照)。画分IIでは、硫酸基及び中性糖を各々、4.52mmol/g 及び2.36mmol/g 含み、ヘキソサミンとウロン酸をほぼ等モルづつ含んでいた(表1参照)。
これらの画分の分析結果と文献値を比較すると、前者(画分I)は公知マナマコ硫酸化ポリフコース(非特許文献14)とやや異なるのに対し、後者(画分II)は公知マナマコSC−CS(非特許文献3;非特許文献4)とほぼ同等の組成を示した。
対比した公知マナマコ硫酸化ポリフコースの糖鎖骨格はフコースがα1→3グリコシド結合したコアポリマーであり、主としてO−4位から、微量にはO−2位から1残基のフコース側鎖が分岐している。また、各フコース残基はO−2位及び/またはO−4位に於いて硫酸化されている。一方、公知マナマコSC−CSの構成単位はD−グルクロン酸とN−アセチル−D−ガラクトサミンがβ1→3グリコシド結合したものであり、D−ガラクトサミンのO−4位及び/またはO−6位、さらにはD−グルクロン酸のO−3位に硫酸化フコース2残基より成るフコース側鎖(硫酸化フコビオシル基)がグリコシド結合した構造を有している。
従って、構成単位成分において画分Iは、公知のマナマコ硫酸化ポリフコースと差異があり、画分IIは公知のマナマコSC−CSと同等である。
次いで、画分I及び画分IIにつき、ゲル濾過高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分析を行い、分子量を測定した。その結果、画分Iの分子量は、105kDa、画分IIの分子量は、50kDaであることが判明した。
Figure 2006016313
次いで、画分I及び画分IIにつき、それらを構成する中性糖を同定するためにYasuno,S. et al.(1999)Biosci.Biotechnol.Biochem.,63,1353-1359 に記載された方法に従って単糖組成分析を行った。すなわち、10mg/mlに調製した画分I及び画分IIの200倍希釈液からそれぞれ50μlをとり、50μlの8M トリフルオロ酢酸(TFA)を添加して封管した。反応混液を100℃にて3hr加熱することにより、グリコシド結合ならびに硫酸エステル結合を開裂させた。冷却後、遠心分離して反応混液を反応管の底に集め、開管した。ドライエアーを吹き付けて溶媒を飛ばした後、40μlの2−プロパノールを添加・撹拌した。次いで、再度ドライエアーを吹き付けて溶媒を除去した。
こうして得られた単糖試料につき、20μlの蒸留水及び80μlの4−アミノ安息香酸エチルエステル(ABEE)試薬を添加した後、封管し80℃にて1hr加温することにより還元アミノ化反応を進行させた。こうして還元端がABEE標識された単糖誘導体(以下、ABEE化単糖ということもある)を生成した。反応終了後、開管し200μlの蒸留水並びに200μlのクロロホルムを添加した。この溶液を激しく撹拌した後、遠心分離を行い上清中に上記単糖誘導体を得た。
7%アセトニトリルを含む0.2M ホウ酸緩衝液(pH8.9)で平衡化した Honenpak-C18(生化学工業(株)販売)カラム(φ4.6×75mm)を装着したHPLCに、上記ABEE化単糖試料をアプライし、同溶媒のアイソクラティック溶出条件により分析を実施した。なお、用いた単糖標品は、ガラクトース(Gal)、マンノース(Man)、グルコース(Glc)、アラビノース(Ara)、リボース(Rib)、N−アセチルマンノサミン(ManNAc)、キシロース(Xyl)、N−アセチルグルコサミンン(GlcNAc)、フコース(Fuc)、ラムノース(Rha)、及びN−アセチルガラクトサミン(GalNAc) (溶出順)である。表2に示したように、画分I及び画分II由来の主要ABEE化単糖試料は、いずれもFucであった。ただし、画分Iでは、Fucに加え、少量のGal、GlcNAc及び痕跡量のGalNAcが検出された。画分IIでは、Fucに加え少量のGalNAcが検出された。
Figure 2006016313
次いで、SC−CS(画分II)の40mgを0.05M HSO水溶液4mlに溶解し、80℃にて6hrの加水分解反応に付した。反応混液を室温まで冷却することによって反応を停止させ、1M NaOHを添加して中和した後、0.2M NaClで平衡化したCellulofine GCL-90m(生化学工業(株)販売)カラム(φ3.4×110cm)に付し、溶出液を10mlごとに分取した。そして、高分子画分を分取した後、透析して脱塩し凍結乾燥することにより部分的脱分岐化SC−CSを調製した[Kariya et al.(2002)J.Biochem.,132,335-343]。
こうして得た部分的脱分岐化SC−CSにつき、コンドロイチナーゼABCによる酵素消化物の不飽和二糖組成分析を実施した。すなわち、コンドロイチナーゼABC(生化学工業(株)製)酵素消化物につき、上清をYMC-PA120S5(YMC社製)カラム(φ4.0×250mm)を装着した強塩基性陰イオン交換(SAX-)HPLCに付し、MIlliQ Waterと0.8M NaPO溶液の直線的濃度勾配システム(16mM→520mM/38min)で溶出し、230nmの吸光度で検出した。不飽和二糖スタンダードとしてコンドロイチン硫酸タイプのDDi-0S, DDi-6S, DDi-4S, DDi-SD [DDi-(2,6)S], DDi-SE [DDi-(4,6)S]およびDDi-triS [DDi-(2,4,6)S]を用いた。これらの記号は、下記式IIで示される二糖組成中の各置換基が下表3の通りであるものを示す。
Figure 2006016313
Figure 2006016313
上記二糖組成分析の結果を下記表4に示した。この結果は公知マナマコ体壁SC−CSの場合にほぼ匹敵しており、本実施例で製造したSC−CS(画分II)は実際に硫酸化フコースの側鎖を有するコンドロイチン硫酸Eであることを確認した。
Figure 2006016313
[実施例3]
SC−CS及び硫酸化ポリフコースの構造解析
画分I(硫酸化ポリフコース)及び画分II(SC−CS)から各5mgをとり、それぞれを蒸留水で平衡化したAmberlite (ローム・アンド・ハース社、登録商標)IR-120カラム(φ1.5×12cm)にアプライした。得られた溶出画分のうちの酸性画分につき、適量のピリジンを添加して中和した後、凍結乾燥に付して、画分I及び画分IIのピリジン塩を得た。それぞれにつき、1mlの10%蒸留水を含むジメチルスルホキシド(DMSO)を添加し、80℃にて5時間ソルボリシス反応を進行させた。反応は、室温まで冷却することにより停止させ、3倍量の蒸留水を添加した後、2M NaOHを適量添加してpHを9〜9.5に調整した。これを流水に対し一晩透析した後、凍結乾燥することにより、画分I及び画分IIの脱硫酸化物をそれぞれ3mg及び3.3mg得た。
硫酸化ポリフコース(画分I)及びその脱硫酸化物、さらにSC−CS(画分II)及びその脱硫酸化物の計4画分から、それぞれ1mg をとりHakomoriの方法[Hakomori, S.(1964)J.Biochem.(Tokyo),55, 205-208]を一部改変したSanfordとConradの方法[Sanford,P.A. & Conrad,H.E.(1966)Biochemistry,5, 1508-1517]に従ってメチル化誘導体を合成した。得られたメチル化誘導体は、Waegheらの方法[Waeghe et al.(1983)Carbohydr.Res.,123, 281-304]に従って脱塩した。さらに、これらを2M TFAを用い121℃で加水分解した後、重水素化ホウ素ナトリウム(NaBD)を用いて還元した。最後に、還元処理により出現したヒドロキシル基をアセチル化して、部分メチル化アルジトールアセテイト(PMAA)を合成した。得られたPMAAを50μlのアセトンに溶解し、そのうちの1μlをガスクロマトグラフィー−質量分析(GC−MS)に付した。GC−MS分析は、Supelco社製SP2330キャピラリーカラム(f0.25 mm x 30 m)を装着したShimadzu社製QP5,000型マススペクトロメーターを用いて、スプリットレスモードで行った。カラムオーヴンは、50℃に2分間保ち、次いで30℃/分の勾配で170℃まで昇温、さらに4℃/分の勾配で235℃まで昇温させ、この温度に15分保った。
硫酸化ポリフコース(画分I)のクロマトグラムに於いては、下記7種類のPMAAが観察された(表5)。
2,3,4-tri-O-methyl-fucitol(T-Fuc)、
2,4-di-O-methyl-fucitol(3-Fuc)、
2,3-di-O-methyl-fucitol(4-Fuc)、
4-O-methyl-fucitol(2,3-Fuc)、
3-O-methyl-fucitol(2,4-Fuc)、
4-O-methyl-fucitol(3,4-Fuc)、
fucitol(2,3,4-Fuc)
3,4-di-O-methyl-fucitol(2-Fuc)は観察されなかった。以下の記載に於いては、上記括弧内に示したPMAAの略称を用いて説明をする。
硫酸化ポリフコースの脱硫酸化物のクロマトグラムは、硫酸化ポリフコースのクロマトグラムとは大きく様相を異にした(表5)。すなわち、出現したPMAAは、3-Fucが主要であり、ほぼ等量のT-Fuc、2,3-Fuc及び3,4-Fucの三種類のマイナー成分も検出された。従って、これらの結果より、硫酸化ポリフコースの構造は、[→3Fucα1→]の主鎖の2位または4位からFucが枝分かれしているものであり、各Fuc残基に対し硫酸基が4位または2位と4位に配位しているものと考えられた。
SC−CS(画分II)のクロマトグラムに於いては、4種類のPMAAが観察された(表5)。それらは、3-Fuc、2,3-Fuc、3,4-Fuc、及び2,3,4-Fucである。SC−CSの脱硫酸化物のクロマトグラムは、SC−CSのクロマトグラムとは大きく様相を異にしていた。すなわち、出現したPMAAは、少量のT-Fucと主要な3-Fucのみから成っていた。これらの結果より、SC−CSの構造は、コンドロイチン硫酸EのコアポリマーからFucα1→3FucまたはFucα1→3Fucα1→3Fucの側鎖が分岐しており、それらの2位及び/または4位の水酸基が硫酸化されているものと推察された。
Figure 2006016313
[実施例5]
SC−CS及び硫酸化ポリフコースのギャップ機能抑制活性測定
ヒト皮膚繊維芽細胞(Normal Human Dermal Fibroblast; NHDF cells)の細胞間連絡機能に及ぼす硫酸化ポリフコース(画分I)及びSC−CS(画分II)の効果は、被検物質を培地中に添加し、Scrape-Loading and Dye Transfer(SLDT)法に従って評価した。一方、ヒト間葉系幹細胞(Human Mesenchymal Stem Cell; hMSC cells)の細胞間連絡機能に及ぼす上記物質の効果についても同様の方法により評価した。
具体的には、まずNHDF cellsあるいはヒト間葉系幹細胞(1 x10/ml; 2 ml medium/dish)をダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(35mm dish)に入れ、5%CO雰囲気中37℃にて4時間培養した後、培地中に2 mg/ml濃度の硫酸化ポリフコース(画分I:FS)、SC−CS(画分II)、褐藻フコイダン(Sigma社製)あるいはコンドロイチン硫酸E(生化学工業社製:CSE)をそれぞれ添加(1 ml/dish)した。これらの無添加のものをコントロールとした。その後、引き続き細胞を4日間継続培養し、100%コンフルエント状態を維持した。次いで、リン酸緩衝生理的食塩水[PBS(+)]で4回洗浄した後、そのコンフルエント細胞層の表面にカミソリで直線的に切れ目をつけた。そして、1mlの0.1%濃度の蛍光物質(Lucifer yellow)をdishに入れて5分間培養した後、PBS(+)で4回洗浄した。この状態に於いて、dishを蛍光顕微鏡で観察・測定し、蛍光強度につきNIH画像解析法を用いて分析・数値化した。ここで得られる数値が大きければ、GJを介した細胞間連絡が亢進され、小さければ抑制されていることを示す。GJ機能抑制能のアッセイ結果を示す図2中、*Pは有為差を示す統計用語で、例えば*P<0.01は「有為水準片側 1%」を意味し、以下の図においても同様の意味を表す。
その結果、培養4日目のNHDF cells培地の場合(図2)には、SC−CSはコントロールと比較してギャップ機能を約半分にまで抑制した。一方、硫酸化ポリフコース(FS)はSC−CSよりはやや弱いもののやはりギャップ機能を抑制した。フコイダンもギャップ機能を抑制したが、その程度はSC−CSや硫酸化ポリフコースよりもやや低かった。コンドロイチン硫酸E(CSE)は、ほとんどギャップ機能の抑制効果を示さなかった。
ヒト間葉系幹細胞培地の場合(図3)には、NHDF cells培地の場合と様相を異にした。すなわち、フコイダンが約20%程度、SC−CSが約10%程度ギャップ機能を抑制する傾向にあったものの、その抑制の程度はNHDF cells培地に於ける抑制に比較してずっと弱かった。
[実施例6]
SC−CS及び硫酸化ポリフコースの細胞増殖活性測定
ヒト皮膚繊維芽細胞(Normal Human Dermal Fibroblast; NHDF cells)の細胞増殖に及ぼす硫酸化ポリフコース(画分I)及びSC−CS(画分II)の効果は、被検物質を培地中に添加し、Alamar blue-staining法に従って評価した。一方、ヒト間葉系幹細胞の細胞増殖能に及ぼす上記物質の効果についても同様の方法により評価した。
具体的には、まずNHDF cellsあるいはヒト間葉系幹細胞(1 x10/ml; 2 ml medium/dish)をDMEM培地(35mm dish)に入れ、5%CO雰囲気中37℃にて4時間培養した後、培地中に2mg/ml濃度の硫酸化ポリフコース(画分I:FS)、SC−CS(画分II)、褐藻フコイダン(Sigma社製)あるいはコンドロイチン硫酸E(生化学工業社製:CSE)を添加(1 ml/dish)した。これらの無添加のものをコントロールとした。その後、引き続き細胞を4日間継続培養した後、Alamar blue-staining法に従って細胞増殖につき数値化して評価した。
その結果、NHDF cellsの場合(図4)、SC−CS及び硫酸化ポリフコース(FS)は、コントロールに比較して4倍以上細胞増殖を促進した。フコイダンではそれらよりやや劣るもののやはり増殖を促進した。コンドロイチン硫酸E(CSE)の増殖促進はコントロールの2.5倍程度に留まった。一方、ヒト間葉系幹細胞培地の場合(図5)、SC−CS及び硫酸化ポリフコース(FS)は、コントロールに比較して8倍以上と大変強く細胞増殖を促進した。フコイダンでは7倍弱の増殖促進であり、コンドロイチン硫酸E(CSE)でも6倍強の増殖促進を示した。
Sehparose CL-6Bカラムクロマトグラフィーの溶出パターン SLDT法によるNHDF細胞のギャップ機能抑制能のアッセイ結果 SLDT法によるヒト間葉系幹細胞のギャップ機能抑制能のアッセイ結果 Alamer blue染色法によるNHDF細胞の増殖能のアッセイ結果 Alamer blue染色法によるヒト間葉系幹細胞の増殖能のアッセイ結果

Claims (11)

  1. 硫酸化フコース残基を有する多糖またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするギャップ機能抑制剤。
  2. 多糖が硫酸化フコース残基の分岐を有するグリコサミノグリカンまたは硫酸化ポリフコースである請求項1に記載のギャップ機能抑制剤。
  3. グリコサミノグリカンがヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリンまたはヘパラン硫酸である請求項2に記載のギャップ機能抑制剤。
  4. グリコサミノグリカンがコンドロイチン硫酸である請求項2に記載のギャップ機能抑制剤。
  5. グリコサミノグリカンが、下記式(I)で示される構成二糖単位を有するコンドロイチン硫酸である請求項4に記載のギャップ機能抑制剤。
    Figure 2006016313
  6. 硫酸化フコース残基の分岐を有するグリコサミノグリカンが海産無脊椎動物由来のグリコサミノグリカンである請求項2に記載のギャップ機能抑制剤。
  7. 硫酸化ポリフコースが褐藻類植物由来または海産無脊椎動物由来の硫酸化ポリフコースである請求項2に記載のギャップ機能抑制剤。
  8. 海産無脊椎動物がナマコ類である請求項6または7に記載のギャップ機能抑制剤。
  9. 硫酸化フコース残基を有する多糖またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする細胞増殖促進剤。
  10. 多糖が硫酸化フコース残基の分岐を有するグリコサミノグリカンまたは硫酸化ポリフコースである請求項9に記載の細胞増殖促進剤。
  11. フコース同士がα1→3グリコシド結合により伸長した直鎖構造を基本骨格とし、基本骨格を構成するフコース残基のO−4位のみ、あるいはO−2位およびO−4位の双方が部分的に硫酸化され、基本骨格を構成するフコース残基のO−2位あるいはO−4位にフコース残基または硫酸化フコース残基の分岐を有し、該フコース残基または硫酸化フコース残基の分岐含有率が5〜20%であり、重量平均分子量が80,000〜120,000である硫酸化ポリフコース。
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