JP2006010484A - 自動分注装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 試薬容器内の液量(液面高さ)の把握にセンサなどの部品を用いず、安価で誤動作しない信頼性の高い自動分注装置を提供すること。また試薬容器内の液を確実に分注チップに吸引することは勿論、分注チップの外側を極力濡らさないことによって精度の良い自動分注装置を提供すること。さらに、試薬容器内に分注チップを挿入することによって試薬容器から試薬が溢れることを避ける扱いやすい自動分注装置を提供することである。
【解決手段】 上記課題は、分注チップ内に吸引する液量と試薬容器に入っている液量の関係から、分注ヘッドの高さ方向の最適な移動量を計算して移動することによって達成することができる。
【選択図】 図6
【解決手段】 上記課題は、分注チップ内に吸引する液量と試薬容器に入っている液量の関係から、分注ヘッドの高さ方向の最適な移動量を計算して移動することによって達成することができる。
【選択図】 図6
Description
本発明は、薬物代謝試験などで検体や試薬、酵素などの分注に用いられる自動分注装置に関するものである。
薬物代謝試験に限らず、検体や試薬を分注する作業は頻繁に実施されており、その作業は膨大傾向にあって、手作業による人的ミスを排除したいという要望もあり、人手に依る作業から自動化へと移行しつつある。
自動化に当たっては、予め必要な試薬液を入れた試薬容器を装置内に配置しておき、分注ヘッドに装着された分注チップが試薬液を吸引できる位置にロボットを移動させ、分注チップ内に所定の量の試薬液を吸引させ、決められた容器に吐出させるという制御を行なうのが一般的である。
ここで、試薬液を吸引する際、分注チップの下側先端の開口部が液面に漬かった状態になるようにロボットを移動させる必要があるが、必要以上に分注チップを試薬液の中に漬けてしまうと分注チップの外側に液が付着し、吐出時に分注チップの外側に付着した液まで、吐出容器に落としてしまう可能性がある。この場合設定した量よりも多く吐出されてしまい、分注の精度を悪化させる要因となる。また、試薬液に分注チップを漬けるとその体積分だけ液面が上昇することになり、試薬容器から液が溢れてしまうことも考えなければならない。つまり試薬容器内の液量(液面高さ)を把握することは自動化する上で重要な技術である。
従来技術として、分注ヘッドに距離センサを備え、液面を検出する方法が考案されている。(特許文献1)
また、導電性の分注チップを使用してノズルと液体との浮遊容量の変化を測定して液面を検出する方法が考案されている。(特許文献2)
また、導電性の分注チップを使用してノズルと液体との浮遊容量の変化を測定して液面を検出する方法が考案されている。(特許文献2)
上記した特許文献1の技術は、距離センサ(超音波センサ)及び演算処理回路部やメモリなどを必要とするため、分注ヘッド部が高額になってしまう。また、特許文献2の技術においても、ノズルと液体との浮遊容量の変化を測定するための回路と特殊な部品が必要になるため、特許文献1と同様に分注ヘッド部が高額な装置になってしまうのと同時に、導電性の特殊な分注チップを使用するためランニングコストが膨大になることが懸念される。また、上記特許文献1及び特許文献2の技術は、試薬内にできた気泡によって誤検出してしまったり、センサの微小な汚れによっても誤検出する可能性は否めない。
さらに、上記特許文献1及び特許文献2の技術は、1本の分注チップで分注を行なう構成にしているが、液体が吐出される容器は、試験管のように一本一本が独立している容器から複数個のウェルが縦n個×横m個あって格子状に配置されるよう形成されているマイクロプレートと呼ばれる容器を使用するようになってきており、このマイクロプレートは例えば縦12個×横8個の96ウェルを有しているため、当然ながら複数(例えば8本や12本)の分注チップを一度に装着して分注できないと処理できないことが多い。複数本数の分注チップを装着して分注する装置に上記特許文献1及び特許文献2の手法を用いた場合、複数の分注チップを独立に駆動できるように構成し、それぞれに距離センサや回路部などを備えなければならないため、さらに大型で高額な装置になってしまうことが考えられる。
また、特許文献2の技術では、分注チップが試薬に漬かることで液面を検出するため、試薬容器内に試薬が一杯に入れられていた場合は分注チップを試薬容器に挿入することで試薬が溢れてしまう可能性がある。
本発明の課題は、試薬容器内の液量(液面高さ)の把握にセンサなどの部品を用いず、安価で誤動作しない信頼性の高い自動分注装置を提供することである。
また本発明の他の課題は、試薬容器内の液を確実に分注チップに吸引することは勿論、分注チップの外側を極力濡らさないことによって精度の良い自動分注装置を提供することである。
さらに、試薬容器内に分注チップを挿入することによって試薬容器から試薬が溢れることを避ける扱いやすい自動分注装置を提供することである。
上記課題は、分注チップを装着し液体の吸引及び吐出が可能な分注ヘッドと、分注ヘッドを移動させるための移送手段と、分注ヘッドの吸引及び吐出動作、並びに移送手段による分注ヘッドの移動を制御するための制御装置と、分注ヘッドに装着された分注チップに液体を吸引させるための試薬を入れておく試薬容器を備え、制御装置から運転工程を入力可能な自動分注装置において、分注チップ内に吸引する液量と試薬容器に入っている液量の関係から、分注ヘッドの高さ方向の最適な位置を計算して移動することによって達成することができる。
本発明の自動分注装置は、試薬容器内の液量(液面高さ)を、センサなどを用いずに分注チップ内に吸引する液量と試薬容器に入っている液量の関係から分注ヘッドの高さ方向の最適な位置を計算して移動することによって、安価で、信頼性及び精度が高く、扱い易い自動分注装置を提供することができる。
本発明の一実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。例として医薬品、農薬、水等に含まれる有機化学成分の分析を行なう際に前処理として行なわれる固相抽出工程を実現させる自動分注装置(以下、自動固相抽出装置と称す)について説明する。
図1は本発明の自動固相抽出装置1の斜視図であり、自動固相抽出装置本体2と、真空ポンプが内蔵された真空コントローラ15、これらを制御する制御装置3は例えば汎用のパーソナル・コンピュータから構成され、制御装置3はLAN(Local Area Network)などの通信ケーブル4で自動固相抽出装置本体2および真空コントローラ15と接続されている。自動固相抽出装置本体2は、3次元空間を移動して位置決めが可能な移送手段であるロボット5と、ロボット5の先端に設けた分注ヘッド6と、制御装置3に入力された条件をもとに、自動固相抽出装置本体2を駆動させる回路部(図示せず)が設けられている。ロボット5は、各軸互いに直交に構成されたX軸・Y軸・Z軸を有し、図示していないステッピングモータによって駆動され位置決めされるようになっている。ロボット5の駆動モータはサーボモータなどであっても良い。
図2は自動固相抽出装置本体2内部の構造を示す図である。分注ヘッド6は、一列に並んで配置された複数の分注チップ8が着脱可能であって、該分注チップ8を装着することにより液体の吸引及び吐出を可能としている。例えば前記分注ヘッドは12連のシリンジ(図示せず)が1つのステッピングモータで駆動されるように構成され、そのシリンジ個々の間隔はフィルタ付き容器11のウェル11aの間隔と同じ9mmピッチで配置されており、分注チップ8を装着してシリンジを駆動することにより液体の吸引及び吐出動作を実行する。
ロボット5に取り付けられた分注ヘッド6の可動範囲の下方には、分注チップ8が分注ヘッド6に装着でき、且つフィルタ付き容器11のウェル11aの間隔と同じ9mmピッチで配置できる分注チップ容器9を配置している。また、試薬が入った試薬容器10a、10b、標準溶液と呼ばれる溶液が入った標準溶液容器10c、固相抽出を行なう前処理として予めサンプルを調製するために使用するサンプル容器10dの4つのプレート容器群10を配置している。
さらに、フィルタ付き容器11は真空容器13上部に配置されたキャリア12内に載置される。キャリア12の上部左右には、上向きに凸部12a、12bが取り付けられている。また、分注ヘッド6の左右には凸部12a、12bに当接可能に下向きにフック6a、6bが取り付けられており、ロボット5を移動させてフック6a、6bを凸部12a、12bに引っ掛けることによって、キャリア12を真空容器13の手前側13aと奥側13bに移動させることを可能にしている。
ここで、キャリア12を前後方向に移動させているが、固相抽出においては、フィルタ付き容器11から真空吸引される液が必要な場合と、不要な場合とがある。そのため、本実施例では真空容器13の手前側13aを不要な液を受ける(Load側と称す)容器、奥側13bを必要な液を受ける(Collect側と称す)容器としている。さらに、ロボット5を移動させてフック6a、6bで凸部12a、12bを押し付けることによって、キャリア12内に載置されたフィルタ付き容器11の下面と、真空容器のLoad側13aまたはCollect側13bで形成される空間を密閉させ、真空コントローラ15を制御して上記空間内を真空状態にさせることによって、フィルタ付き容器11内の液体を真空容器13に真空吸引させる。
また、自動固相抽出装置本体2の内部には、試薬の分注に使用し不要となった分注チップ8を廃棄する廃棄容器14を配置している。
フィルタ付き容器11は複数個のウェルが縦n個×横m個あって格子状に配置されるよう形成されており、例えば縦12個×横8個の96ウェルを有する。
また、自動固相抽出装置1が運転中に自動固相抽出装置本体2の内部に手などが入れられないように安全カバー16で覆われている。自動固相抽出装置1が運転中に安全カバー16を開けた場合にはロボット5に供給する電源を遮断する構造としている。
図3は、本発明の自動固相抽出装置1を用いた具体的な運転工程例30を示した図である。自動固相抽出装置1を使用する実験者は、運転を開始する前に制御装置3を用いて予め運転工程を決定し、決定した運転工程から必要とする分注チップ8や試薬類を制御装置3の画面に表示される配置画面40に従って配置しておく。この配置画面40については後述することとする。
運転工程例30に示すStep1は、標準溶液容器10cに予め入れられたMeOH溶媒を50μl吸引し、サンプル容器10dの1列目2列目に吐出することを意味している。
Step1を用いて自動固相抽出装置1の具体的な動作について説明する。まず、分注チップ容器9に入れられた分注チップ8の上側開口部に、分注ヘッド6の下側先端のノズル部6cを圧入するようにロボット5を移動させ、分注ヘッド6に分注チップ8を装着する。その後分注ヘッド6を上空に移動させて分注チップ8の装着を完了する。
次に、MeOH溶媒が入れられている標準溶液10cの列に移動し、分注チップ8の先端がMeOH溶媒に漬かる位置まで下降させる。そして図示していないシリンジを吸引方向にコントロールして分注ヘッド6に装着された分注チップ8内部にMeOH溶媒を50μl吸引し、分注ヘッド6を上空に移動させてMeOH溶媒の吸引を完了する。
次に、サンプル容器10dの1列目に分注ヘッド6を移動させ、シリンジを吐出方向にコントロールして分注チップ8内のMeOH溶媒をサンプル容器10dに吐出する。
上記と同様にMeOH(メタノール)溶媒を吸引し、サンプル容器10dの2列目に吐出作業を行なう。終了後は分注ヘッド6を廃棄容器14上空に移動させ、分注チップ取り外し機構(図示せず)を用いて不要となった分注チップ8を分注ヘッド6から取り外すことでStep1の工程を終了する。
Step2からStep6までの工程は、試薬が異なることによる吸引する位置の違いや、分注する量、吐出する位置や列数に違いがあるものの、分注チップ8の装着から試薬の吸引、試薬の吐出、分注チップ8の廃棄に至るまでの流れは上記したStep1の場合と同様である。
次にStep7「試薬→Loadに分注→真空吸引」の自動固相抽出装置1の動作について説明する。
まず、キャリア12が真空容器のLoad側13aに移動していなければならない。キャリア12がLoad側13aにない場合、分注ヘッド6のフック6a、6bをキャリア12の凸部12a、12bに引っ掛けてLoad側13aに移動する。ここで分注チップ8を装着した状態ではフック6a、6bが凸部12a、12bに接触する前に分注チップ8がフィルタ付き容器11に衝突してしまうため、分注チップ8を装着する前にキャリア12の移動を行なうようにしている。
Step1の場合と同様に、分注チップ容器9に入れられた分注チップ8の上側開口部に、分注ヘッド6の下側先端のノズル部を圧入するようにロボット5を移動させ、分注ヘッド6に分注チップ8を装着する。その後分注ヘッド6を上空に移動させて分注チップ8の装着を完了する。
次に、分注する試薬MeOHが入れられている試薬容器10aまたは10bの列に移動し、分注チップ8の先端がMeOHに漬かる位置まで下降させる。そして図示していないシリンジを吸引方向にコントロールして分注ヘッド6に装着された分注チップ8内部にMeOHを500μl吸引し、分注ヘッド6を上空に移動させてMeOHの吸引を完了する。
次に、Load側13aに移動してあるキャリア12に載置されたフィルタ付き容器11の1列目に分注ヘッド6を移動させ、シリンジを吐出方向にコントロールして分注チップ8内のMeOHをフィルタ付き容器11に吐出する。
上記と同様にMeOHを吸引し、フィルタ付き容器11の2列目に吐出作業を行なう。以下同様にMeOHをフィルタ付き容器11の3列目から12列目まで分注し、終了後は分注ヘッド6を廃棄容器14上空に移動させ、分注チップ取り外し機構(図示せず)を用いて不要となった分注チップ8を分注チップ6から取り外す。
次に、ロボット5を移動させてフック6a、6bで凸部12a、12bを押し付けることによって、Load側13aにあるキャリア12内に載置されたフィルタ付き容器11の下面と、真空容器のLoad側13aで形成される空間を密閉させる。この状態から、真空コントローラ15内の真空ポンプを動作させ、上記空間内を真空状態にしてフィルタ付き容器11内の液体を真空容器のLoad側13aに真空吸引する。この状態を1分間保持した後、真空コントローラ15は真空ポンプの運転を停止し、分注ヘッド6を上空に移動させてStep7の工程を終了する。
Step8からStep12までの工程は、分注する試薬等の吸引する位置が異なる(試薬薬容器10aまたは10b、サンプル容器10d)、分注量が異なる、フィルタ付き容器11の位置(即ちキャリア12の位置)が異なるものの、キャリア12の移動、分注チップ8の装着、試薬の吸引、試薬の吐出、分注チップ8の廃棄、キャリア凸部12a、12bの押し付け、真空コントローラ15の制御に至るまでの流れは上記したStep7の場合と同様である。
最終的に、Step12でフィルタ付容器11が載っているキャリア12をCollect側13bに移動させ、真空容器13のCollect側13bで真空吸引し吸引された液が固相抽出した結果として回収容器13cに回収され、この液を検出器(例えば示差屈折検出器,紫外吸収検出器,紫外分光光度計,蛍光光度計)にかけて、成分を分析する。以上が自動固相抽出装置1の運転の流れである。
次に図4に示すように、制御装置3は、実験者が設定した運転工程(Step No)から必要な分注チップ配置41、試薬配置42、配置する試薬量43を制御装置3の分注チップ配置算出手段、試薬配置算出手段、試薬量算出手段によって算出し、さらに画面に表示する配置表示機能40を持っている。以下にその計算方法について運転工程例30を例に説明する。
運転工程例30のStep1は、標準溶液容器10cからMeOH溶媒を50μl吸引し、サンプル容器10dの1列目と2列目に吐出することを意味する。ここで、サンプルプレート10dの横列は8個のウェルで構成されており、8個のウェルに一度に分注させるためには分注チップ8を8本使用することになる。また、使用するMeOH溶媒の量は、50μl×分注チップ8本×2列であることから、800μl(0.8ml)である。ところで、標準溶液容器10cの横列は8個のウェルで構成されているので、各ウェル当たりの量は100μl/ウェルとなる。
次にStep2は、標準溶液容器10cからMeCN溶媒を50μl吸引し、サンプル容器10dの3列目と4列目に吐出することを意味するので、分注チップ8を8本使用し、使用するMeCN溶媒の量は、50μl×分注チップ8本×2列であることから、800μl(0.8ml)である。Step1と同様に標準溶液容器10cの横列は8個のウェルで構成されているので、各ウェル当たりの量は100μl/ウェルとなる。
次にStep3は、試薬容器10a(または10b)からMeOHを50μl吸引し、サンプル容器10dの5列目から8列目に吐出することを意味するので、分注チップ8を8本使用し、使用するMeOHの量は、50μl×分注チップ8本×4列であることから、1600μl(1.6ml)である。ところで、試薬容器10a及び10bの各列は12列の槽で構成されており、分注チップ8本分の試薬をまとめて入れられるような形状をしている。つまり、上記試薬量算出手段の計算で得られた1.6mlを一列の槽に入れることが可能である。
上記のような計算をStep1からStep12まで行ない、運転工程例30を運転するために必要な配置画面40が制御装置3に作成・表示される。ここで、MeOH(メタノール)やH2O(水)のように、複数のStepで使用される試薬は、すべての量を加算して表示している。また、試薬容器10a,10bの一列あたりの容量は決まっている(例えば21ml)ので、その量を超える場合には複数の列に自動的に配置するようにもしている。
さらに、試薬容器から吸引する際には必ず吸いきれない量(デッドボリューム)が存在するので、その量を加味した値を表示するようにしており、試薬容器10a及び10bのデッドボリュームを2ml、標準溶液容器10dのデッドボリュームを0.2ml/ウェルとしている。上記のStep1の計算で、MeOH溶媒の各ウェル当たりの量が0.1ml/ウェルであるので、デッドボリューム0.2ml/ウェルを加算した0.3ml/ウェルを試薬量43に表示している。
以上のように計算され、表示された配置画面40に従って、実験者は分注チップ8と各種試薬をセットして運転を開始すれば良い。本実施例では上記の通り各試薬の配置42と試薬量43を自動的に計算して表示しているが、当然ながら、試薬の配置と試薬量を実験者が計算して入力する方法であっても良い。
図5は試薬容器10a及び10bの一列分を示すモデル図50(試薬槽と称す)である。以下にこの試薬槽50を用いて液面高さを計算する方法について説明する。図に示すように試薬槽50は一列の槽で構成されている。その底部は、デッドボリュームを極力少なくするために逆台形の形状をしているが、底部の逆台形部分は全体の量に対する割合が小さいためここでは省略して計算することとする。当然ながら逆台形部分を考慮したほうがより正確に液面高さを算出できることは明白である。試薬槽50の寸法は既知であり、ここでは以下の値を用いることとする。
W(幅)=8mm、D(長さ)=71mm、H(高さ)=37mm
試薬槽50に、ある液体を1μl(1mm3)入れたときの高さをh’とすると、
h’=1mm3/8mm/71mm=1.76×10−3mm
となる。なお、この算出を予め制御装置3の記憶部に記憶しておき、この1μl当たりの高さh’を利用することによって液面高さを計算することができる。
試薬槽50に、ある液体を1μl(1mm3)入れたときの高さをh’とすると、
h’=1mm3/8mm/71mm=1.76×10−3mm
となる。なお、この算出を予め制御装置3の記憶部に記憶しておき、この1μl当たりの高さh’を利用することによって液面高さを計算することができる。
例として18ml(18000μl)の液を入れたときの液面高さh1を制御装置3の液面算出手段によって計算すると、
h1=18000×h’=31.69mm
となる。この液面高さh1を制御装置3の記憶部に記憶する。
h1=18000×h’=31.69mm
となる。この液面高さh1を制御装置3の記憶部に記憶する。
以上のようにして液量から液面高さを検出することができる。上記の説明では試薬容器10a、10bの形状を例として説明したが、標準溶液容器10cの場合は横列が8個のウェルで構成されているのであって計算式が若干異なることになるものの、液量から液面高さを算出する方法は試薬容器10a、10bの場合と同様である。
次に、試薬液を吸引するときのロボット5の高さを決定する方法について説明する。
ここで試薬槽50に入っている吸引前の試薬量をq1、試薬量q1から計算で求められる液面高さをh1とし、吸引後に試薬槽50に残った試薬量をq2、液面高さをh2として表す。試薬槽50と分注チップ8の位置関係を示す図6に示す。吸引前を61、吸引開始を62、吸引後を63としている。
ここで試薬槽50に入っている吸引前の試薬量をq1、試薬量q1から計算で求められる液面高さをh1とし、吸引後に試薬槽50に残った試薬量をq2、液面高さをh2として表す。試薬槽50と分注チップ8の位置関係を示す図6に示す。吸引前を61、吸引開始を62、吸引後を63としている。
例として、試薬槽50に試薬量q1=18ml(初期値)の試薬が入っている状態から、8本の分注チップ8で各々500μlの液を吸引する場合について説明する。(運転工程例30のStep6で1列目を吸引する場合に相当)
まず、試薬槽50に試薬量q1=18mlの液体が入れられたときの液面の高さh1は、すでに説明したように31.69mmである。
まず、試薬槽50に試薬量q1=18mlの液体が入れられたときの液面の高さh1は、すでに説明したように31.69mmである。
一方、8本の分注チップ8に各々500μl吸引した場合、試薬槽50内の試薬の減少量は、500μl×8=4mlである。
よって、吸引後の試薬量q2は14000μlであり、液面高さh2は、
h2=(18000−4000)×h’=24.64mm
と、液面高さ算出手段が算出する。
よって、吸引後の試薬量q2は14000μlであり、液面高さh2は、
h2=(18000−4000)×h’=24.64mm
と、液面高さ算出手段が算出する。
つまり、試薬槽50に試薬量q1=18mlの試薬が入っている状態から、8本の分注チップ8で500μlの液を吸引するためには、分注チップ8の下側先端開口部が、上記試薬吸引後の液面高さh2よりも下にくるようにロボット5を移動させればよい。ここで必要以上にロボット5を下降させることは、分注チップ8外側の液の付着による分注精度の悪化や、試薬の溢れなどの不具合を及ぼすことが考えられるため、分注チップ8の先端が1mm程度上記液面高さh2よりも下になるようにロボット5を制御装置3によって制御し、移動させるのが妥当である。図6においてはこの1mmをh3として表している。
次に、上記のように4mlの液体が減少した状態からさらに8本の分注チップ8で500μlの液を吸引する場合について説明する。(運転工程例30のStep6で2列目を吸引する場合に相当)
まず、試薬槽50に入っている試薬量q1は上述のとおり14mlに減っており、このときの液面の高さh1は、24.64mmである。8本の分注チップ8に各々500μl吸引した場合、試薬槽50内の試薬の減少量は、500μl×8=4mlであるので、試薬を吸引した後の試薬量q2は10000μlであり、この時減少する液面高さh2は、
h2=(14000−4000)×h’=17.60mm
と、液面高さ算出手段が算出する。
まず、試薬槽50に入っている試薬量q1は上述のとおり14mlに減っており、このときの液面の高さh1は、24.64mmである。8本の分注チップ8に各々500μl吸引した場合、試薬槽50内の試薬の減少量は、500μl×8=4mlであるので、試薬を吸引した後の試薬量q2は10000μlであり、この時減少する液面高さh2は、
h2=(14000−4000)×h’=17.60mm
と、液面高さ算出手段が算出する。
前回の吸引と同様に分注チップ8の下側先端開口部が、上記試薬吸引後の液面高さh2よりも下にくるようにロボット5を移動させればよい。
以上のように、試薬槽50内の試薬量を変数として扱い、常に試薬量を管理することによって、試薬量から液面高さを計算で求められるので、最適な吸引高さを求めることができる。
以上のように、試薬槽50内の試薬量を変数として扱い、常に試薬量を管理することによって、試薬量から液面高さを計算で求められるので、最適な吸引高さを求めることができる。
ここでは試薬容器10a及び10bの一列分に相当する試薬槽50を例にとって説明したが、試薬容器10a及び10bは12列の槽で構成されており、また標準溶液容器10cは96個のウェルに分かれているものの、列単位で扱うため12列の槽と等価にみなすことができるので、計36箇所の液量を変数として管理すればよい。
ところで、上記説明においては分注チップ8の下側先端の位置を、吸引後の試薬量h2より下側に1mmの位置h3としているが、蒸発しやすい試薬(例えばメタノールなどのアルコール系)の場合運転中に所定の量より少なくなってしまい1mmでは足りないことも考えられるので、1mmよりも大きな値にしたほうが望ましい。また、分注チップ8の外側に液が付着しやすい試薬(ミクロゾームなどのサンプル)の場合、1mmよりもさらに少ない値にしたほうが望ましい場合もある。そこで、試薬の性質によって上記吸引高さh3を補正することも可能である。この補正値は制御装置3から実験者が入力する方法であっても良いし、また、制御装置3から使用する試薬を登録する際、試薬の種類を予め登録できるようにしておき、試薬の種類によって自動的に吸引高さを補正する方法であっても良い。
また、本発明によれば、吸引前の試薬量h1と吸引後の試薬量h2だけではなく、分注チップ8内に試薬を吸引中の試薬槽50内の試薬量を求めることも容易である。例えば、試薬槽50から分注チップ8に500μlの試薬を吸引するとき、分注チップ8内に100μl、200μl、300μl、400μlが吸引されている状態のときの試薬量を制御装置3の試薬量算出手段によって計算可能である。そこで、上記の説明においては吸引後の試薬量h2から分注チップ8の下側先端をh3だけ下にした位置を固定値として吸引することとしているが、吸引途中の試薬槽50内の液量に応じて分注チップ8の高さを連続的(試薬の吸引速度に応じて)、または断続的に下降させながら分注チップ8内に試薬を吸引させることによって、分注チップ8の吸引高さをより最適な位置に制御することが可能である。
さらに、本発明によれば、吸引開始62のときの液面高さh4を液面高さ算出手段によって、計算で求めることができる。吸引前61の吸引高さh1から分注チップ8が液に漬かることによってその体積分だけ上昇するが、分注チップ8の寸法は既知なので液面高さh4の計算は容易である。ここで、分注チップ8を試薬槽50に挿入(吸引開始62の状態)した際、液面高さh4が試薬槽50の高さ方向の寸法Hを越えてしまう場合、試薬槽50から試薬が溢れてしまうことを意味する。
このような場合は、液面高さh4が試薬槽50の高さ方向の寸法Hを超えない位置に分注チップ8を移動させ、その位置で吸引可能な量を1回目の吸引として行なう。当然ながらこの1回目の吸引量は設定された所定の量に比べて少ないので、1回目に吸引した試薬を所定の容器に吐出した後、2回目の吸引として残りの量を吸引する。2回目の吸引でも液面高さh4が試薬槽50の高さ方向の寸法Hを超える場合は、同様に3回目の吸引を行なえばよい。このように、複数回に分けて吸引することによって試薬槽50から試薬が溢れないようにすることができる。さらに、分注チップ8の高さを連続的に変化させることで、分注チップ8の先端を試薬の液面高さより1mm程度下方に常に位置させ、試薬を吸引する速度に合わせて分注ヘッドをほぼ等速度に移動させることもできる。
1は自動固相抽出装置、2は自動固相抽出装置本体、3は制御装置、4は通信ケーブル、5はロボット、6は分注ヘッド、8は分注チップ、9は分注チップ容器、10は容器群、11はフィルタ付き容器、12はキャリア、13は真空容器、14は廃棄容器、15は真空コントローラ、16は安全カバー、30は固相抽出運転例、40は配置画面、41は分注チップ配置、42は試薬配置、43は試薬量、50は試薬槽、61は吸引前、62は吸引開始、63は吸引後。
Claims (8)
- 分注チップを装着し液体の吸引及び吐出が可能な分注ヘッドと、該分注ヘッドを移動させるための移送手段と、前記分注ヘッドの吸引及び吐出動作、並びに前記移送手段による分注ヘッドの移動を制御するための制御装置と、前記分注ヘッドに装着された分注チップに液体を吸引させるための試薬を入れておく試薬容器を備え、前記制御装置から運転工程を入力可能な自動分注装置において、
前記分注チップ内に吸引する液量と前記試薬容器に入っている液量の関係から、前記分注ヘッドの高さ方向の最適な位置を計算して移動することを特徴とする自動分注装置。 - 吸引後の試薬容器内の液量から液面の高さを計算し、分注チップの下側先端の吸引口が該液面高さよりも下側になるように前記分注ヘッドを移動させ、分注チップに吸引させることを特徴とする請求項1記載の自動分注装置。
- 吸引中の試薬容器内の液量から液面の高さを計算し、分注チップの下側先端の吸引口が該液面高さよりも下側になるように前記分注ヘッドを移動させながら、分注チップに吸引させることを特徴とする請求項1記載の自動分注装置。
- 前記分注チップを試薬容器に挿入後の液面高さを計算し、該液面高さが前記試薬容器の高さ方向の寸法を越える場合、液面高さが試薬容器の高さ方向の寸法を越えないように吸引量を減らして複数回に分けて吸引することを特徴とする請求項1記載の自動分注装置。
- 前記制御装置から使用する試薬の配置と試薬量を予め登録できることを特徴とする請求項1記載の自動分注装置。
- 前記制御装置に入力された運転工程から、使用する試薬の配置と試薬量を計算することを特徴とする請求項1記載の自動分注装置。
- 前記制御装置から使用する試薬の種類を予め登録できることを特徴とする請求項1記載の自動分注装置。
- 吸引する液体の種類に応じて前記分注ヘッドの高さ方向の位置を補正することを特徴とする請求項7記載の自動分注装置。
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