JP2006008666A - 酸素同位体による標識方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、カルボキシル基含有化合物のカルボキシル基中の1又は2の酸素原子を17酸素(17O)又は18酸素(18O)の酸素同位体で標識する方法を提供する。
【解決手段】
本発明の方法はカルボキシル基含有化合物(カルボン酸)の活性エステルをH 17O又はH 18Oと活性剤の存在下で反応させることを特徴とする。


本発明の方法では活性剤を使用するため、カルボン酸の活性エステルをH 17O又はH 18Oと反応させる際に、強酸条件で行う、アルカリ加水分解を行う等の厳しい条件を含まなくても、反応を進行させることが可能である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、カルボキシル基を有する化合物の17酸素(17O)又は18酸素(18O)の酸素同位体での標識方法に関する。本発明の方法は活性剤を使用することを特徴とする。
核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance:NMR)は、構造解析のための原子核を対象とする共鳴法である。個々の原子核の共鳴を分光して観察するため、電子の雲の広がりが類似している原子であっても明確に区別することができる。H、13C及び15Nを用いたNMRによる構造解析の研究が進められている。
生体成分、中でもアミノ酸はタンパク質を構成しうる重要な成分であり、多くのタンパク質が生物学的機能の解明とともに、NMRを用いた高次構造の解析が報告されつつある。アミノ酸、糖などの生体成分において酸素原子は非常に重要な原子であるにもかかわらず、17O NMRのスペクトロスコピーは十分に開発されていない。その理由の1つとして、同位体17Oの天然存在度が0.038%と極めて低いことが挙げられる。NMRに用いられ得る水素、炭素、窒素、酸素の原子核の性質について要約した表1を参照されたい。
Figure 2006008666
表1より17Oの天然存在度は、13Cの1.10%及び15Nの0.366%と比較しても著しく低いことがわかる。よって、17O NMRの測定のためには測定化合物中の酸素原子を17Oで標識して、人為的に化合物中の17Oを富化させることが必須である。
カルボキシル基を有する化合物、例えばアミノ酸、の17O富化は、アミノ酸をH 17Oと反応させ、カルボキシル基中の酸素原子を17Oと交換することによって行うことができる。しかしながら、上記交換反応は自然にはほとんど進行しないため、触媒等を用いて強制的に進行させる必要がある。本発明前は、H 17Oを塩化水素ガスで飽和させた強酸条件下で反応を行う(非特許文献4)、あるいは、カルボキシル基をアルキルエステル化しておいてから水酸化ナトリウムを用いたアルカリ加水分解を行う(非特許文献2、3、5)等の条件下で行われていた。しかしながら、カルボキシル基の酸性条件下での交換反応ではトリプトファン、システイン、アスパラギン、グルタミンの分解が起こること、並びに、アルキルエステル体のアルカリ加水分解では光学活性のアミノ酸のラセミ化が起こることが避けられない、等の問題があった。
よって、より緩和な条件下で、カルボキシル基を有する化合物を17酸素(17O)等の酸素同位体で標識する方法が希求されていた。
John Jones, Amino Acid and Peptide Synthesis,p.35 W.Boykin, 17O NMR Spectroscopy in Organic Chemistry, p.28−29 Steinschneider et al., International Journal of Applied Radiation & Isotopes, 32, 120−121 (1981) Steinschneider et al., International Journal of Peptide Protein Research, 18, 324−333 (1981) I.P. Gerothanassis et al., Magnetic Resonance in Chemistry, 23, 659−665 (1985)
本発明は、カルボキシル基含有化合物のカルボキシル基中の1又は2の酸素原子を17酸素(17O)又は18酸素(18O)の酸素同位体で標識する、新規な方法を提供することを目的とする。本発明の方法はカルボキシル基含有化合物(カルボン酸)の活性エステルをH 17O又はH 18Oと活性剤の存在下で反応させることを特徴とする。
本発明の一態様において、活性剤は好ましくは、ペプチド合成におけるカップリング試薬又は反応促進添加剤である。あるいは、活性剤は好ましくは、トリアゾール誘導体又はテトラアルキルウロニウム誘導体である。
本発明において、カルボン酸活性エステルは、好ましくは、ペンタフルオロフェニルエステル、パラニトロフェニルエステル、2,4,6−トリクロロフェニルエステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルから選択されるエステルである。
本発明はまた、本発明の方法で17酸素(17O)又は18酸素(18O)の酸素同位体で標識された、カルボキシル基含有化合物を提供することを目的とする。
本発明はさらに、ペプチド結合中の酸素原子が17酸素(17O)又は18酸素(18O)の酸素同位体で標識された合成ペプチドを製造する方法を提供することを目的とする。本発明の方法は、
1)アミノ酸の活性エステルをH 17O又はH 18Oと活性剤の存在下で反応させ、
2)当該標識アミノ酸中のカルボキシル基を、固相に結合したアミノ酸若しくはペプチドのN末端アミノ基と反応させる
ことを含む。
本発明はさらにまた、本発明の方法で製造された、ペプチド結合中の酸素原子が17酸素(17O)又は18酸素(18O)の酸素同位体で標識された合成ペプチドを提供することを目的とする。
本発明はまた、カルボキシル基中の1又は2の酸素原子が17酸素(17O)又は18酸素(18O)の酸素同位体で標識された標識アミノ酸の製造方法を提供することを目的とする。本発明の製造方法は、
1)末端アミノ基が保護基で保護されているアミノ酸の活性エステルをH 17O又はH 18Oと活性剤の存在下で反応させ、
2)得られた保護基を有する標識アミノ酸から保護基を脱離させる
ことを含む。
本発明はさらに、本発明の方法で製造された標識アミノ酸の、無細胞系又は生細胞系のタンパク質合成における使用を提供する。
酸素同位体での標識方法
本発明は、カルボキシル基含有化合物のカルボキシル基中の1又は2の酸素原子を17酸素(17O)又は18酸素(18O)の酸素同位体で標識する方法を提供する。本発明の方法は、カルボキシル基含有化合物(カルボン酸)の活性エステルをH 17O又はH 18Oと活性剤の存在下で反応させることを特徴とする。以下、本発明の標識方法の一態様として、17酸素(17O)での標識方法を例に説明するが、18酸素(18O)での標識方法としても同様に適用可能である。以下、本明細書において特に明示しない限り、「17酸素(17O)」と記載した場合には、「17酸素(17O)及び/又は18酸素(18O)」の酸素同位体を含む。さらに、「H 17O」と記載した場合には、特に明示しない限り、「H 17O及び/又はH 18O」を意味する。
(1)活性剤
カルボキシル化合物の17O富化は、カルボキシル基を含む化合物をH 17Oと反応させ、カルボキシル基中の酸素原子を17Oと交換することによって行うことができる。しかしながら、上記交換反応は自然にはほとんど進行しない。よって、本発明は上記反応を促進するために、カルボキシル基を活性エステルとしてH 17Oとの反応の際に活性剤を存在させることを特徴とする。
本発明の一態様において、活性剤は好ましくは、ペプチド合成におけるカップリング試薬又は反応促進添加剤である。あるいは、活性剤は好ましくは、トリアゾール誘導体又はテトラアルキルウロニウム誘導体である。ペプチド合成におけるカップリング試薬または反応促進添加剤とは、ペプチド合成におけるアミド結合形成時に反応促進に作用する、あるいはペプチド合成の原料となるアミノ酸の活性エステルの形成を触媒あるいは促進する物質である。
ペプチド合成におけるカップリング試薬または反応促進添加剤は、例えば、トリアゾール誘導体、テトラアルキルウロニウム誘導体等を含む。
また、トリアゾール誘導体、テトラアルキルウロニウム誘導体(例えば、テトラメチルウロニウム誘導体)は、ペプチド合成におけるカップリング試薬、反応促進添加剤等の機能を有する。

好ましい活性剤の例としては、非限定的に、具体的には1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール(CAS 2592−95−2)、6−クロロ−1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール(CAS 26189−19−6)、3−ヒドロキシ−3H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジン(CAS 39968−33−7)、(1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート(CAS 56602−33−6)、(1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリスピロリジノホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート(CAS 128625−52−5)、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(CAS 94790−37−1)、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレート(CAS 125700−67−6)、2−(6−クロロ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(CAS 330645−87−9)、2−(6−クロロ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレート(CAS 330641−16−2)、2−(3H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(CAS 148893−10−1)、2−(シアノ(エトキシカルボニル)メチレンアミノ)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレート(CAS 136849−72−4)、2−スクシンイミドイル−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレート等が含まれる。
好ましくは、1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール又は6−クロロ−1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾールである。最も好ましくは1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール(CAS 2592-95-2)であり、例えば、ノババイオケム社(Darmstadt,Germanay)より購入することが出来る。
限定されるわけではないが、活性剤は、好ましくはカルボン酸活性エステルに対して、0.1から100倍モル、最も好ましくは1から10倍モル使用される。
(2)カルボン酸活性エステル
本発明において、カルボキシル基は、H 17Oとの反応を促進するために、エステル化によって活性化されていることが好ましい。限定されるわけではないが、活性エステルは、ペンタフルオロフェニルエステル、パラニトロフェニルエステル、2,4,6−トリクロロフェニルエステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、シアノメチルエステル等を含む。好ましくは、ペンタフルオロフェニルエステル又はN−ヒドロキシスクシンイミドエステルである。これらの活性エステルは、ペプチドの固相合成の際にアミノ酸を活性化するために有用なエステルとして知られている(非特許文献1)。
本発明において、17酸素等の酸素同位体で標識されるカルボキシル基は、好ましくは、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖、オリゴ糖、多糖、糖タンパク質、脂肪酸、脂質、糖脂質、プロテオグリカン、コレステロール及びステロイドからなるグループから選択される、生体成分又は生体成分関連分子中のカルボキシル基である。これらの生体成分又は生体成分関連分子は生体においてしばしば重要な生物学的機能を担っており、17O NMRによる高次構造の決定は、生物学的機能の解明のためにも有用である。
本発明の方法を用いて、アミノ酸中のカルボキシル基中の酸素、あるいは、ペプチド若しくはタンパク質中のアミド結合中の酸素を17酸素で標識することが可能である。あるいは、本発明の方法は、アミノ酸又はペプチド若しくはタンパク質中のアミノ酸残基中の側鎖のカルボキシ基における酸素の標識にも適用可能である。側鎖カルボキシル基をH 17Oと活性剤の存在下で反応させる場合、標的の側鎖カルボキシル基以外の他の官能基を予め保護基で保護しておくことにより、特定部位の酸素のみを特異的に標識することも可能である。
本発明の方法は、また、糖、オリゴ糖又は多糖中の糖残基におけるカルボキシル基中の酸素を標識するために使用することも可能である。17酸素標識されたカルボキシル基は、遊離のカルボキシル基でよく、あるいは、標識後にカルボン酸エステルを形成してもよい。
本発明の方法は、同様に、糖タンパク質、糖脂質及びプロテオグリカンから選択される複合糖質中のカルボキシル基中の酸素を標識するために使用してもよい。糖タンパク質は、糖鎖が、タンパク質中のアスパラギン酸残基(N−結合型)又はセリン若しくはスレオニン残基(O−結合型)を介してタンパク質に結合したものをいう。糖脂質は、スフィンゴシンなどの脂質に糖が結合したものである。プロテオグリカンは、硫酸化糖又はウロン酸を含む二糖繰り返し単位を持つ糖鎖であるグルコサミノグリカン(GAG)鎖を含む糖蛋白複合体である。いずれの複合糖質も当業者に周知である。
本発明の標識方法は、脂肪酸、脂質、コレステロール及びステロイド等のその他の生体成分又は生体成分関連分子の標識にも使用可能である。
本発明の標識方法に使用しうるカルボン酸活性エステルは、好ましくはアミノ酸の活性エステルである。即ち、17酸素標識されるカルボキシル基は、好ましくはアミノ酸、ペプチド又はタンパク質中のカルボキシル基である。アミノ酸、ペプチド又はタンパク質中のカルボキシル基の活性エステルをH 17Oと活性剤の存在下で反応させる場合、アミノ酸中のアミノ基、又はペプチド若しくはタンパク質中の末端アミノ基若しくは側鎖アミノ基を、予め保護基で保護しておく。
アミノ基の保護基は、好ましくは、9−フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc)、t−ブチルオキシカルボニル基(Boc)、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz)及び4−メトキシベンジルオキシカルボニル基(MeOCBz)からなるグループから選択される。これらの保護基は、ペプチドの固相合成の際に遊離アミノ酸のアミノ基の保護基として一般に知られている。これらの保護基は、17酸素標識の反応後、保護基の種類に応じた公知の方法によって除去してもよい。例えば、Fmoc保護基は、ピペリジンで室温で数時間処理することにより、容易に除去することができ、好ましい。Fmoc−L−アミノ酸、あるいはそのペンタフルオロフェニルエステルは例えば、ノババイオケム社(Darmstadt、Germany)より購入することができ、あるいは、対応するFmoc−アミノ酸及びペンタフルオロフェノールからFmoc−アミノ酸ペンタフルオロフェニルエステルを合成することによって、調製することも可能である。
(3)本発明の標識方法
本発明の方法は、カルボキシル基含有化合物(カルボン酸)の活性エステルをH 17Oと活性剤の存在下で反応させる。カルボキシル基含有化合物(カルボン酸)の活性エステルとH 17Oとの反応は、限定されるわけではないが、好ましくは1時間ないし10日、より好ましくは1時間ないし10時間、反応温度は、好ましくは、室温ないし50℃、より好ましくは室温である。好ましくは反応物を攪拌する。
カルボキシル基中の酸素原子と17Oとの交換反応は自然にはほとんど進行しないため、触媒等を用いて強制的に進行させる必要がある。本発明前は、H 17Oを塩化水素ガスで飽和させた強酸条件下で反応を行う(非特許文献4)、あるいは、カルボキシル基をでアルキルエステル化しておいてから水酸化ナトリウムを用いたアルカリ分解を行う(非特許文献2、3、5)等の条件下で行われていた。しかしながら、カルボキシル基の酸性条件下での交換反応ではトリプトファン、システイン、アスパラギン、グルタミンの分解が起こること、並びに、アルキルエステル体のアルカリ加水分解では光学活性のアミノ酸のラセミ化が起こることが避けられない、等の問題があった。
本発明において、適当な活性剤の使用により、カルボン酸の活性エステルをH 17Oと反応させる際に、強酸条件で行う、アルカリ加水分解を行う等の厳しい条件を含まなくても、室温という緩和な条件下で反応を迅速に進ませることが可能となった。例えば、酸素同位体酸素標識されるカルボキシル基がアミノ酸、ペプチド又はタンパク質中のカルボキシル基であり、そして、当該アミノ酸中のアミノ基、又はペプチド若しくはタンパク質中の末端アミノ基若しくは側鎖アミノ基が、9−フルオレニルメトキシカルボニル基等の保護基で保護されている場合、アミノ酸若しくはアミノ酸残基の分解およびラセミ化を抑制することができる(実施例4)。本発明の標識方法において、副反応が抑えられること、並びにラセミ化若しくは異性化が抑制されることは、他のカルボキシル基含有の生体成分又は生体成分関連分子の標識化においても必要なことである。
本発明の方法により、穏やかな反応条件で効率よくカルボキシル基中の酸素を17酸素で標識することが可能になった。本発明の方法において、カルボキシル基中の少なくとも1の酸素原子が標識される割合、標識率は使用するH 17O−富化水の標識率により異なり、理論的には一回標識化の場合には、使用するH 17O−富化水の標識率が上限となる。本明細書中の実施例1及び2で示すように、標識率20.3%のH 17O−富化水を使用し、Fmoc−Alaにおいてカルボキシル基中の少なくとも1の酸素原子が標識された割合は、20.9%(表3)であった。
なお、本発明の反応は、実際にはH 17Oを含む水を使用する。反応に使用される水に含まれるH 17Oの割合は限定されない。後述の実施例では、費用を考慮し、H 17Oを20.3%含む水を反応に使用した。H 17Oは非常に高価であるが、その存在割合を高めるほど17Oの標識率は高まる。実施例2において少なくとも1の酸素原子が標識された割合は20.9%であり、本発明の標識方法の反応はほぼ理論通り100%進行しうることが理解される。なお、本発明の標識方法において用いるH 17O溶液は、使用後に回収し繰り返し使用することも可能である。
本発明の標識方法は、上記標識のための工程を繰り返すことも含まれる。即ち、(1)カルボン酸の活性エステルをH 17O(又はH 18O)と活性剤の存在下で反応させ;(2)得られた17O標識カルボン酸を活性エステルとし;(3)得られたカルボン酸の活性エステルを、さらに、H 17O(又はH 18O)と活性剤の存在下で反応させ;そして(4)上記(1)−(3)の工程を繰り返す、ことも本発明の範囲に含まれる。この標識工程を繰り返すことにより、カルボキシル基中の少なくとも1個の酸素原子が標識される割合が増大し、またカルボキシル基中の2個の酸素原子が同時に標識される可能性がある。
酸素の同位体として、17O以外にも18Oが存在する。本発明の方法は、18Oによるカルボキシル基の標識にも適用可能である。18酸素(18O)標識体は、医療用トレーサー等としての用途が期待されている。
酸素同位体標識された化合物
本発明の方法は活性剤の使用により、穏やかな条件下でカルボキシル基の酸素同位体(17酸素(17O)及び/又は18酸素(18O)の標識を可能にした。よって、従来の厳しい反応条件では事実上、酸素同位体による標識が不可能であった化合物でも、本発明の方法によって標識が可能になった。よって、本発明の標識方法によって酸素同位体で標識された、カルボキシル基含有化合物も本発明に含まれる。
本発明のカルボキシル基含有化合物は、好ましくは、例えば、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖、オリゴ糖、多糖、糖タンパク質、脂肪酸、脂質、糖脂質、プロテオグリカン、コレステロール及びステロイドからなるグループから選択される。
本発明の方法によって17O標識されたカルボキシル基を含む化合物は、例えば17O NMRによる構造解析に有用である。表1に示したように17Oがスピン5/2であり、原子核は正の電荷を帯びた回転楕円体である。原子核の電荷の楕円体状の分布である電子四極子モーメント(electrnic quadrupole moment)と電場勾配との相互作用によって、シグナル幅は広くなるため、一般に17OのNMR測定は困難である。しかしながら、電子四極子モーメントの問題は溶液NMRではなく、固体NMRを採用することによって、ある程度改善できる。
酸素同位体で標識された合成ペプチドを製造する方法
本発明はさらに、ペプチド結合中の酸素原子が17酸素(17O)又は18酸素(18O)の酸素同位体で標識された合成ペプチドを製造する方法を提供する。本発明の標識方法でアミノ酸を標識し、当該アミノ酸をペプチドの固相合成に利用することによって、標識された合成ペプチドを製造することが可能である。
ペプチドの固相合成は特に限定されず、公知の方法を利用可能である。よって、本発明の合成ペプチドの製造方法は、一態様として
1)アミノ酸の活性エステルをH 17O又はH 18Oと活性剤の存在下で反応させ、
2)当該標識アミノ酸中のカルボキシル基を、固相に結合したアミノ酸若しくはペプチドのN末端アミノ基と反応させる
ことを含む。
あるいは、合成ペプチド中のC末端又は側鎖中の遊離のカルボキシ基を、本発明の方法を用いて標識してもよい。
本発明はまた、本発明の方法で製造された、ペプチド結合中の酸素原子が17酸素(17O)又は18酸素(18O)の酸素同位体で標識された合成ペプチドを提供する。

酸素同位体で標識されたアミノ酸の製造方法
本発明はまた、カルボキシル基中の1又は2の酸素原子が17酸素(17O)又は18酸素(18O)の酸素同位体で標識された標識アミノ酸の製造方法を提供することを目的とする。本発明の製造方法は、
1)末端アミノ基が保護基で保護されているアミノ酸の活性エステルをH 17O又はH 18Oと活性剤の存在下で反応させ、
2)得られた保護基を有する標識アミノ酸から保護基を脱離させる
ことを含む。
本発明の製造方法は、任意の天然若しくは非天然のアミノ酸の製造方法に適用可能である。アミノ酸の活性エステルは、本明細書中の「酸素同位体での標識方法 (2)カルボン酸活性エステル」の項目で一般的に記載した通りである。また、アミノ基の保護基、及びその脱離方法についても、上述した通りである。
本発明はさらに、本発明の方法で製造された標識アミノ酸の、無細胞系又は生細胞系のタンパク質合成における使用を提供する。無細胞系又は生細胞系のタンパク質合成システムは当業者に周知である。例えば、無細胞系のタンパク質合成システムは、細胞抽出液、目的タンパク質をコードするDNA若しくはRNA、アミノ酸、エネルギー源、緩衝液等を含む。生細胞系のタンパク質合成システムは、大腸菌、酵母等の微生物又は動物細胞等を形質転換細胞とし、アミノ酸等を含む培地中で培養し、タンパク質を合成するシステムである。本発明の方法で製造された標識アミノ酸は、任意のタンパク質合成システムにおいて、酸素同位体で標識されたタンパク質の合成のために使用可能である。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の技術的範囲を限定するためのものではない。当業者は本明細書の記載に基づいて容易に本発明に修飾・変更を加えることができ、それらは本発明の技術的範囲に含まれる。
実施例1 17 O−標識Fmoc−アミノ酸、 17 O−標識ペプチド及び 17 O−標識遊離アミノ酸の合成
(1)材料
17Oを含む水は、日本酸素株式会社(Nippon Sanso Corporation,Tokyo,Japan)より購入した。Fmoc−L−アミノ酸のペンタフルオロフェニルエステル、Fmoc−L−アミノ酸のワング(Wang)樹脂、並びに無水N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)は、ノババイオケム社(Darmstadt、Germany)より購入し、さらに精製することなく使用した。SepPak(登録商標)Plus C18カートリッジは、ウォーターズコーポレーション(Waters Corporation,Milford、MA、U.S.A)より購入した。
(2)17O−富化Fmoc−アミノ酸の合成
Fmoc−L−バリンを例として、そのカルボキシル基への17O標識の導入について、以下に詳述する。
ガス下で、1.523gのFmoc−L−バリン ペンタフルオロフェニルエステル及び421mgの無水HOBtを4.0mLのTHFに溶解し、直後に500μLのH 17O−富化水(標識率20.3%)を溶液に加えた。混合物を室温で、10日間攪拌した。反応は随時、H NMRでモニターした。反応終了後、溶媒を減圧下で蒸発乾固させ、白色生成物を得た。THFを伴う過剰量のH 17O溶液を次回の使用のために回収した。
粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(100:1(v/v)酢酸エチル:酢酸)によって精製し、そして、791mgのFmoc−L−バリン[17O]を得た。この生成物の溶液NMR及び質量分析の結果は、計算値と一致した。
同様の方法により、Fmoc−L−アラニン[17O]も合成した。
以上の方法は、原則として、タンパク質を構成する全てのアミノ酸に適用可能である。
(3)17O−標識ペプチドの固相ペプチド合成
(2)で合成した17O−富化Fmoc−保護アミノ酸は、17O−富化ペプチドの合成に直接使用することができる。17O−富化アラニン成分を含むジペプチド、ALA[17O]−ALA及びALA[17O]−VALをWang樹脂上の固相ペプチド合成によって合成した。ALA[17O]−VALの合成法を以下に記載する。
Wang樹脂に結合したFmoc−L−バリン685mgを、反応管に装填し、無水DMFによって洗浄した。樹脂に固定された生成物を5.0mLのピペリジン/DMF(2:8)溶液で処理した。混合溶液を約1時間振盪し、そして溶媒を濾過によって除去した。
窒素下で、191mgの17O−富化Fmoc−L−アラニン及び90mgの無水HOBtを、4.0mLの無水DMF中に溶解した。次いで、当該アミノ酸溶液に、98μLのN,N’−ジイソプロピルカルボジイミドを加えた。室温で約1時間、反応を進行させた。
前記Wang樹脂に固定されたL−バリンを、前記17O−富化Fmoc−L−アラニンを含むアミノ酸溶液で、反応管中で処理し、混合物を3日間ゆっくり振盪した。溶媒を濾過によって除去した後、樹脂を5.0mLのピペリジン/DMF(2:8)溶液で処理した。樹脂を無水DMF、イソプロピルアルコール及び無水ジクロロメタンで洗浄した。次いで、95%TFA水性溶液に3時間懸濁した。樹脂を濾過によって除去した。濾過物をフラスコ中に集め、溶媒を蒸発乾固した。143mgの粗生成物を得、そして、H NMRによってALA−VALの生成を確認した。
(4)17O−富化遊離アミノ酸の合成
17O−富化遊離L−アミノ酸は、17O−富化FmocL−アミノ酸中の保護基を除去することによって容易に得ることができる。典型的な実験例として、250mgの17O−富化Fmoc−L−バリンを5.0mLのピペリジン/DMF(2:8)溶液で、室温にて数時間処理し、そして溶媒を減圧下にて蒸発させた。残渣を蒸留水に溶解し、そして、SepPak(登録商標)Plus C18カートリッジによって精製し、101mgの遊離17O−バリンを得た。溶液H NMRによってL−バリンの生成を確認した。
保護基がアミノ酸の側鎖に結合している場合には、Fmoc−保護基の除去の前若しくは後に、側鎖保護基の切断工程が必要である。
実施例2 アミノ酸(Fmoc−Ala)とジペプチド(Ala−Val)における 17 Oによる標識率
目的
本実施例では、実施例1で作成した本発明の17O標識体であるアミノ酸(Fmoc−Ala)とジペプチド(Ala−Val)における17Oによる標識率を確認する。標識率は、ESI−MS(エレクトロスプレーイオン化法質量分析:electrospray ionization mass spectrometry)において、標識体における第一同位体ピーク(1st isotopic peak)第二同位体ピーク(2nd isotopic peak)のピーク面積値を用いて求めた。
測定サンプル
*Fmoc−Ala(C1817NO); 311.1157478Da(精密な分子量) 非標識体、17O標識体
*Ala−Val(C16); 188.1160823 Da(精密な分子量) 非標識体、17O標識体
上記分子量は、12C:12、H:1.007825、14N:14.003074、16O:15.994915、18O:17.99916、として、計算を行った(理化学辞典p.1532に記載)。
方法
(1)乾固したサンプルを50% アセトニトリルに溶解する。
(2)溶解物を適宜、50%アセトニトリル、0.1%ギ酸溶液で希釈する。
(3)HPLCのポンプを用いて、50%アセトニトリル、0.1%ギ酸溶媒を5μl/分でMSへ送液し、(2)の希釈サンプルを1μl装填した。ESI−MS測定は、正イオンモードでm/z100−1000の範囲で行った。Fmoc−Alaの非標識体及び17O標識体、並びにAla−Valの非標識体及び17O標識体の各々について、5回ずつ測定を行った。
結果
正イオンモードで測定した結果、分子量関連イオンピークを確認できた。図1は、ジペプチドAla−Valの非標識体と標識体のマススペクトルを示す。マススペクトルのH付加イオンピークのピーク面積の値を用いて、標識率の解析を行った。
具体的には、17Oを新たな同位体元素Xと仮定して、その同位体存在比を以下の表2のように設定した。
Figure 2006008666
例えば、17O標識Ala−Valの標識率xはC16Xとし、マススペクトルから実測される第一同位体ピーク(図1bにおいて、m/z:189.124)と第二同位体ピーク(図1bにおいて、m/z:190.129)の面積比を用いて以下のように算出した。
Figure 2006008666
同様にFmoc−Alaについて行った。これらの結果を表3に示す。
Figure 2006008666
表3の1−4は各々、
1.非標識(対照)のFmoc−Ala、
2.非標識(対照)のAla−Val、
3.17O標識(本発明)のFmoc−Ala、
4.17O標識(本発明)のAla−Val
の値を示す。
表1に示したように、C、H、N及びOは一定の割合で天然同位体13C、H、15N及び17Oが存在する。表3の1−aの理論値20.810及び2−aの理論値10.002の値は、(非標識(対照))のFmoc−Alaおよび(非標識(対照))のAla−Valの天然同位体存在度から算出した、第一同位体ピークと第二の同位体ピークの面積比の理論値を示す。例えば2−aの10.0は、上記化学式1において、標識率x=0の場合に「3×17Oの天然同位体存在度(0.038)/16Oの天然同位体存在度(99.762)」を用いて算出される強度比の理論値である。1−b及び2−bに示すピーク面積比の平均値はほぼ理論値と一致した。
表3の3−a及び4−aは、本発明の17O標識したFmoc−Ala及びAla−Valについて、第一同位体ピークと第二同位体ピークの面積比の実測値を示し、この数値をもとに計算した標識率を3−b及び4−bに示す。

以下の化学式2に示すように、Fmoc−Alaはカルボキシル基中の2箇所の酸素のうちいずれかが17Oで標識される可能性がある。また、本標識法を複数回繰り返せば双方に17Oが標識される可能性がある。一方Ala−Valでは、17O標識され得るのはFmoc−Ala由来の1箇所の酸素のみである。
Figure 2006008666
実施例3 Ile[ 17 O]の 17 O MASNMRスペクトロスコピー
実施例1の方法で作成した遊離のIle[17O]を用いて、17O MASNMRを行った。17O MASNMRスペクトロスコピーを図2に示す。
具体的には、測定はChemagnetics社製 Infinity400 NMR分光器を使用し、酸素とプロトンの共鳴周波数は各々54.207MHz及び399.88MHzである。粉末状態の試料をジルコニウムローターに詰めて、室温で測定を行った。試料の回転周波数は12kHzであった。化学シフトの基準やRF強度の設定には、HOを使用した。繰り返し時間は5秒であった。
図2のスペクトルは、基本的に17OHとC=17Oの2成分からなる粉末パターンである。図2中の星印は、ジルコニウムローター(ZrO)由来のシグナルである。
実施例4 本発明の標識方法では標識化中にアミノ酸のラセミ化が生じない
本実施例では、本発明の方法で得られたアミノ酸は標識化中に異性化を起こしていない、ことが示された。
試料の調製
(1)実施例1で得られた17O−バリンのうち10mgを、0.1M酢酸水溶液に溶解した。
(2)100mgのN−アセチル−L−システイン(Ac−Cys)と100mgのo−フタルアルデヒド(OPTA)を10mLのメタノールに溶解した。
(3)61.4mgのホウ酸を10mLの水に溶解し、水酸化ナトリウムでpH6.5に調製した。
(4)100μLの(1)と、20μLの(2)と100μLの(3)を混合し、室温で5分ほど置いた。
(5)混合溶液の100μLをHPLCに装填した。
HPLCの条件
カラム: YMC HydrosphereC18 (HS12S05−2546WT)
溶媒: (A)リン酸緩衝液(1/15mol/l、pH=6.4),(B)メタノールで(A):(B)=54:46の等傾
流速: 1.0mL/分
検出波長: 340nm
結果
実施例1で得られた17O−バリンをo−フタルアルデヒド(OPTA)及びN−アセチル−L−システイン(Ac−Cys)と反応させ、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に付した(参考文献:Nimura,N.,et al. J.Chromatogr.,402,387、1987)。結果を図3に示した。
図3において、対照としたDL−バリンでは等価な2本のピークが観察された(図3a)のに対し、17O−バリンではL体由来の1本のピークしか見られなかった(図3b)。実施例1で得られた17O−バリンの最初の原料はFmoc−L−バリン ペンタフルオロフェニルエステルであったことから、本発明の標識反応中には異性化(ラセミ化)が起こっていないことが確認された。
実施例5 標識Fmoc−L−(O−第三級ブチル)セリンの製造
本実施例では、標識Fmoc−L−(O−第三級ブチル)セリンを製造した。
具体的には、1.260gのFmoc−L−(O−第三級ブチル)セリン N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(ノババイオケム社(Darmstadt、Germany)と450mgの無水HOBtを4.0mLの無水THFに溶解した。直後に200μLのH 17O富化水(標識率20.3%)を加え、室温で4,5日間攪拌した。反応終了後、減圧下で蒸発固化させ、白色生成物を得た。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(100:2(v/v)酢酸エチル:酢酸)によって精製し、標識Fmoc−L−(O−第三級ブチル)セリンを得た。
生成物の溶液NMR及び質量分析の結果は計算値と一致した。17Oによる標識率を確認した結果、20.0%であった。
本実施例より、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルも本発明の方法における活性エステルとして有用であることが示された。さらに、本発明は、その一態様において、強酸条件を使用しないことを特徴の一つとしている。本実施例において、アミノ酸側に酸性条件下で脱離する保護基を適用しても、保護基は保持されることが示された。これは、例えば本実施例で得られたアミノ酸を使用したペプチドの化学的合成反応(固相ペプチド合成を含む)に使用する時に、再度側鎖を保護する必要がなく、有用である。
図1は、ジペプチドAla−Valの非標識体と標識体のマススペクトルを示す。縦軸は、相対存在量(Rel.Int)(%)を示す。横軸は、m/z、原子質量単位を示す。図1aは非標識体、図1bは17O標識体の結果を示す。 図2は、Ile[17O]の17O MASNMRスペクトロスコピーを示す。横軸は、化学シフトを示し、単位はppmである。 図3は、OPTA、AcCys及びDL−バリン若しくは17O−バリンから形成されたジアステレオマー誘導体のHPLCパターンを示す。図3aのDL−バリン由来の誘導体では、HPLCパターンに2本のピークが観察された(左ピーク14分;右ピーク18分)。図3bの17O−バリン由来の誘導体では、1本のピークのみ観察された。

Claims (17)

  1. カルボキシル基含有化合物のカルボキシル基中の1又は2の酸素原子を17酸素(17O)又は18酸素(18O)の酸素同位体で標識する方法であって、カルボキシル基含有化合物(カルボン酸)の活性エステルをH 17O又はH 18Oと活性剤の存在下で反応させることを特徴とする、カルボキシル基含有化合物の酸素同位体による標識方法。
  2. 酸素同位体が17酸素(17O)である、請求項1に記載の標識方法。
  3. 活性剤が、ペプチド合成におけるカップリング試薬又は反応促進添加剤である、請求項1に記載の標識方法。
  4. 活性剤が、トリアゾール誘導体又はテトラアルキルウロニウム誘導体である、請求項1に記載の標識方法。
  5. 活性剤が、1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール又は6−クロロ−1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾールである、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の標識方法。
  6. 活性エステルが、ペンタフルオロフェニルエステル、パラニトロフェニルエステル、2,4,6−トリクロロフェニルエステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルから選択されるエステルである、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の標識方法。
  7. 酸素同位体標識されるカルボキシル基が、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖、オリゴ糖、多糖、糖タンパク質、脂肪酸、脂質、糖脂質、プロテオグリカン、コレステロール及びステロイドからなるグループから選択される、生体成分又は生体成分関連分子中のカルボキシル基である、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の標識方法。
  8. 酸素同位体標識されるカルボキシル基がアミノ酸、ペプチド又はタンパク質中のカルボキシル基であり、そして、当該アミノ酸中のアミノ基、又はペプチド若しくはタンパク質中の末端アミノ基若しくは側鎖アミノ基が、保護基で保護されている、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の標識方法。
  9. 保護基が、9−フルオレニルメトキシカルボニル基、t−ブチルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基及び4−メトキシベンジルオキシカルボニル基からなるグループから選択される、請求項8に記載の標識方法。
  10. カルボン酸の活性エステルをH 17O又はH 18Oと、室温ないし50℃の条件下で反応させる、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の標識方法。
  11. カルボン酸の活性エステルをH 17O又はH 18Oと反応させる際に、強酸条件で行う、又はアルカリ加水分解を行うという条件を含まないことを特徴とする、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の標識方法。
  12. 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の標識方法で17酸素(17O)又は18酸素(18O)の酸素同位体で標識された、カルボキシル基含有化合物。
  13. アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖、オリゴ糖、多糖、糖タンパク質、脂肪酸、脂質、糖脂質、プロテオグリカン、コレステロール及びステロイドからなるグループから選択される、請求項12に記載のカルボキシル基含有化合物。
  14. ペプチド結合中の酸素原子が17酸素(17O)又は18酸素(18O)の酸素同位体で標識された合成ペプチドを製造する方法であって、
    1)アミノ酸の活性エステルをH 17O又はH 18Oと活性剤の存在下で反応させ、
    2)当該標識アミノ酸中のカルボキシル基を、固相に結合したアミノ酸若しくはペプチドのN末端アミノ基と反応させる
    ことを含む、酸素同位体で標識された合成ペプチドの製造方法。
  15. 請求項14に記載の製造方法で製造された、ペプチド結合中の酸素原子が17酸素(17O)又は18酸素(18O)の酸素同位体で標識された合成ペプチド。
  16. カルボキシル基中の1又は2の酸素原子が17酸素(17O)又は18酸素(18O)の酸素同位体で標識された標識アミノ酸の製造方法であって、
    1)末端アミノ基が保護基で保護されているアミノ酸の活性エステルをH 17O又はH 18Oと活性剤の存在下で反応させ、
    2)得られた保護基を有する標識アミノ酸から保護基を脱離させる
    ことを含む、酸素同位体で標識された標識アミノ酸の製造方法。
  17. 請求項16の方法で製造された標識アミノ酸の、無細胞系又は生細胞系のタンパク質合成における使用。
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