JP2006008442A - プレストレストコンクリート構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高炉セメントを使用するPC構造物の初期の強度発現性を早め、塩害および凍結防止剤に対する抵抗力を増強する。
【解決手段】 通常のセメントに比表面積が6000cm/gである高炉スラグ微粉末を混和する。比表面積が大きい高炉スラグ微粉末を混和することによって、初期の強度発現性を早め、塩害および凍結防止剤に対する抵抗力が増強できる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、混和材として高炉スラグ微粉末を用いたプレストレストコンクリート構造物に関し、特に、所定の比表面積を有する高炉スラグ微粉末を、所定の割合で混和したコンクリートを用いたプレストレストコンクリート構造物に関する。
従来から、コンクリートに生じる引張り力を制御したプレストレストコンクリート構造物(以下「PC構造物」という。)が広く使用されている。このPC構造物は、ポルトランドセメントを使用したコンクリートに、PC鋼より線やPC鋼棒を用いて圧縮力を加えたもので、ひび割れが発生し難く優れた耐久性を有している。
しかるに近年、ポルトランドセメントを使用したPC構造物については、海岸近くに設けた橋や道路等の海洋環境下における塩害、寒冷地の凍結融解、あるいは凍結防止剤の多用等によって、予想以上の劣化や損傷が進行していることが指摘されている。これらのうち塩化物イオンが作用したために生じるコンクリート部材の劣化は、主にコンクリート表面の激しいスケーリング劣化、あるいはコンクリート中の鉄筋の急速な腐食として現われるが、いずれも一旦劣化が発生する段階に至ると、これらの劣化を食い止めることは困難となり、完全に元の状態に戻すことは不可能となる。
ところで従来より、ポルトランドセメントと並んで、このポルトランドセメントの一定量を、高炉スラグ微粉末に置き換えた(「置換」と称されている。)高炉セメントが広く使用されており、標準化も進んでいる(例えば非特許文献1及び2参照。)。この高炉スラグ微粉末は、溶鉱炉で銑鉄を製造する際の副産物で、多くの優れた特徴を有しているが、特にこの高炉スラグ微粉末を混和したコンクリートは、海水等の塩類に対する化学抵抗力に優れている。したがって高炉スラグ微粉末による置換率を増すことによって、耐塩害性を向上させることができる。
JIS A 6206「コンクリート用高炉スラグ微粉末」 JIS R 5211「高炉セメント」
しかるに高炉セメントは、混合する高炉スラグ自体の硬化が極めて遅いため、コンクリート打設後の圧縮強度の上昇(以下「初期の強度発現性」という。)が遅い。したがって耐塩害性を向上するために置換率を大きくすると、PC鋼より線やPC鋼棒に引張り力を加えて、コンクリートに圧縮力を加えることができる強度に達するまでの時間(以下「材齢」という。)が極めて長くなる。このためPC構造物の製作工期が極めて長くなり、PC構造物に高炉セメントを使用することは困難であった。
JIS A 6206には、比表面積に応じて高炉スラグ微粉末4000、6000および8000の3種類の高炉スラグ微粉末が規定されている。一般の高炉セメントには、高炉スラグ微粉末4000相当が使用されており、これを混和したコンクリートは、無混和のものに比べて初期の強度発現が遅れる。しかし比表面積を大きくした高炉スラグ微粉末6000(5000〜7000cm/g)や、高炉スラグ微粉末8000(7000〜10000cm/g)を使用することにより、初期の強度発現性を改善できることが知られている。
しかしながら、これらの比表面積が大きい高炉スラグ微粉末を使用するコンクリートについては、それぞれの使用目的に応じて適切な比表面積および置換率を選択する際の、具体的な基準や総合的な判断材料は、必ずしも明確になっていない。したがってPC構造物について、どのような比表面積の微粉末を、どの程度の置換率で使用するかを、適切に判断することが困難な状況にある。特にクリープ特性及び乾燥収縮特性が明確になっていないため、例えば橋梁上部工に採用することが困難であった。またスパイクタイヤの使用禁止以降に多用されるようになった、凍結防止剤の影響についても明確になっていないため、例えば寒冷地の道路に採用することが困難であった。
そこで本発明の目的は、上記明らかでない特性確認を含む各種試験を総合的に行ない、その結果に基づいて適正な比表面積と置換率とからなる高炉スラグ微粉末を使用するPC構造物を提供することにある。
本発明によるPC構造物の特徴は、通常のセメントに、比表面積が5000〜10000cm/gである高炉スラグ微粉末を混和したことにある。このPC構造物は、海洋環境下または凍結防止剤を使用する環境下のいずれかで使用することが望ましい。さらにこのPC構造物は、工場で製造されることが望ましい。またこのPC構造物は、現場打ちで製作されることが望ましい。なお高炉スラグ微粉末の混和比率は、50%程度が望ましい。
ここでPC構造物とは、上述したようにポルトランドセメントを使用したコンクリートに、PC鋼より線やPC鋼棒を用いて圧縮力を加えたもので、その形状やサイズを問わない。また通常のセメントとは、いわゆるポルトランドセメントを意味する。高炉スラグ微粉末とは公知の技術であって、溶鉱炉で銑鉄を生産する際に、副産物として得られるスラグを冷却水で急冷し、これによって得られるガラス質の粒状スラグ(これを水砕スラグという。)を、ローラーミル等で細かく粉砕したものであって、上述したJIS A 6206の規格に準じた品質を有するものを意味する。
比表面積とは、微粉末1g当りの、全微粉末粒子の表面積の総和をいい、微粉末粒子サイズが小さいほど、比表面積が大きくなる。海洋環境下とは、沿岸、海上または海中等、海水の塩分が接触し得る状況を意味する。また凍結防止剤とは、道路等の積雪を溶解、または凍結を防止するもので、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、カルシウムマグネシウムアセテート等の塩類を含むものを意味する。
本発明による高炉スラグ微粉末を使用することによって、PC構造物は次の作用効果を発揮する。第1に、初期の強度発現性が向上し、材齢20時間において、プレストレス導入強度(35N/mm)を十分上回る強度を得ることができる。したがって早強ポルトランドセメント単体を使用したコンクリートと同等の工期で製造が可能となり、PC構造物用のコンクリートとして、十分実用に供することができる。なお、ここで早強ポルトランドセメントは、公知の技術であって、通常のポルトランドセメントより石灰の含有量がやや多く、材齢3日で、通常のポルトランドセメントを使用したコンクリートの材齢7日と同等の圧縮強度を発現する。
第2に、塩化物イオンの浸透深さおよび浸透量を、早強ポルトランドセメント単体を使用したコンクリートより小さくすることができる。これにより、塩害に対する耐久性を向上させることが可能となる。したがって、従来のポルトランドセメント単体を使用したコンクリートの塩害問題が解決でき、海岸付近等の道路や橋等の海洋環境下においても、十分な耐用年数を確保しつつ使用することができる。
第3に、凍結防止剤に長期間浸漬した後でも、コンクリートの圧縮強度は低下せず、また凍結融解による劣化が生じないため、凍結防止剤によるコンクリートの劣化を防止することができる。なお早強ポルトランドセメント単体を使用したコンクリートは、凍結防止剤の主成分の一つである塩化カルシウム水溶液に長期間浸漬すると、材齢28日の圧縮強度の約半分までに劣化する。また早強ポルトランドセメント単体を使用したコンクリートは、水あるいは凍結防止剤に浸漬して、凍結融解雰囲気を90回程度繰り返した後は、急激に凍結融解による劣化が進行する。したがって、従来のポルトランドセメント単体を使用したコンクリートの、凍結防止剤による劣化や凍結融解の問題が解決でき、凍結防止剤を多用する寒冷地の車道等に使用しても、十分な耐用年数を確保しつつ使用することができる。
第4に、コンクリートのクリープ特性は、早強ポルトランドセメント単体を使用したコンクリートの特性とほとんど相違しない。さらにコンクリートの乾燥収縮量は、早強ポルトランドセメント単体を使用したコンクリートより増加するが、乾燥日数が4週間程度を超えると、ほぼ同等になる。したがってこれらの特性が重要となる橋梁上部工等にも、広く使用することができる。
第5は、コンクリートの中性化を、ポルトランドセメントと同程度まで向上できることである。すなわちコンクリートは本来アルカリ性であり、これにより内部に埋設した鉄筋の発錆を防止している。しかるにコンクリートは、長期間使用するうちに空気中の炭酸ガス等によって中和され、次第にアルカリ性を失って中性化し、鉄筋が錆び易くなる。従来高炉セメントは、ポルトランドセメントに比較して中性化し易いと考えられてきた。しかし本発明による高炉スラグ微粉末を使用することにより、コンクリートの中性化を、ポルトランドセメントと同程度まで向上できる。したがって、長期間にわたってPC構造物の鉄筋の発錆を防止でき、十分な耐力の維持が可能となる。
第6は、ライフサイクルコストを大幅に削減できることである。すなわち後述するように、実物大PC橋梁モデルで試算した結果、約50年が経過した時点での、ライフサイクルコストは、従来の早強ポルトランドセメント単体を使用した場合の約30%に削減できる結果となった。なおここでライフサイクルコストとは、建造費並びに必要な補修および回収費用の全累積コスト、すなわちその経過年数までに必要とされる全コストを意味する。
第7としては、高炉セメントが一般的に奏する次の効果がある。まず省資源化を図ることによって、天然資源の保護に貢献できる。すなわち高炉スラグは、銑鉄を生成する際の副産物であるため、この副産物を再利用することで、セメントの素材である石灰石等の
天然資源の使用量を減らすことができる。また従来廃棄処分していた高炉スラグを、セメントの混合材として再利用できるので、環境の保護に貢献することが可能となる。
さらに高炉スラグ微粉末は、副産された水砕スラグを、乾燥・粉砕して製造するため、セメントのような焼成工程がない。このため焼成用のエネルギーが削減でき、また焼成の際に発生する炭酸ガスの排出量を大幅に削減することができる。したがって、省エネルギーおよび地球温暖化防止に大いに寄与することができる。
本発明によるPC構造物は、次のようにして製作する。
1. 高炉スラグ微粉末は、比表面積6000cm/g程度のものを使用する。品質は
JIS A 6206「高炉スラグ微粉末6000」の規格に準じる。
2. コンクリートの配合は、早強ポルトランドセメントに対して、上記高炉スラグ微粉末6000cm/gを50%置換配合する。図1にコンクリートの配合の具体例を示す。
3. プレストレスの導入は、通常のポルトランドセメントを用いたPC構造物と同様に行う。蒸気養生により材齢20時間を経過後であれば、プレストレスの導入強度(35N/mm)を十分上回る圧縮強度を発揮している。
本発明によるPC構造物等を試作し、従来技術である早強ポルトランドセメントを使用したPC構造物と比較試験を行い、上述した作用効果を奏することを明らかにした。以下その試験結果を示す。
図1〜図2に、初期強度の発現についての比較試験結果を示す。図1は、それぞれの供試体のコンクリート配合を示し、本発明によるコンクリートは、蒸気養生したものである。また図2は、材齢の経過に対する圧縮強度の上昇を示している。図2から明らかなように、極めて早期(材齢20時間)に、プレストレス導入強度(35N/mm)を大きく上回る。したがって従来の早強ポルトランドセメントと同様、プレストレス導入を早期に行うことができる。
図3〜図4に、塩害に対する抵抗力についての比較試験結果を示す。図3は、海水成分である塩化ナトリウムの10%水溶液に、1年間浸漬したときの塩化物イオンの浸透深さを示しており、この塩化物イオンの浸透深さは、早強ポルトランドセメントの30mmの40%である12mmに減少している。また図4は、塩化ナトリウムの10%水溶液に6月間浸漬したときの、EPMA(電子線プローブマイクロアナライザー)による塩素イオン量の分析結果を示しており、表面から20mm以上の内部には、殆ど塩素イオンは浸透していない。したがってこの試験結果から、塩化物イオンの浸透深さが、早強ポルトランドセメントに比較して大幅に減少することが確認できた。
このように塩化物イオンの浸透深さが少ないのは、比表面積の大きい高炉スラグ微粉末を50%配合したことによって、水密性および塩分固定能力が向上したためである。したがって、海洋環境下のタンクや橋や道路等においても、従来の早強ポルトランドセメントで問題となっている塩害による鉄筋の発錆を防止でき、十分な耐久性を確保しつつ使用することができる。
図5〜図6に、凍結防止剤に対する抵抗力についての比較試験結果を示す。図5は、凍結防止剤として使用される塩化ナトリウム10%水溶液、塩化カルシウム30%水溶液、あるいはカルシウムマグネシウムアセテート20%水溶液に、それぞれ1年間浸漬したときの圧縮強度を、材齢28日の圧縮強度(1.0とする。)と比較した結果を示している。すなわち、図5から明らかなように、圧縮強度は、凍結防止剤の各主成分に浸透後も殆ど変化しないことが確認できた。一方早強ポルトランドセメントは、特に塩化カルシウムに1年間浸漬すると、材齢28日の圧縮強度の約半分まで低下する。
また図6は、上述した各凍結防止剤の水溶液にそれぞれ1年間浸漬したときの、コンクリートの劣化の様子を示しており、早強ポルトランドセメントの表面が著しく劣化しているのに対して、表面の劣化はわずかである。したがってこの試験結果から明らかなように、本発明によるPC構造物は、従来の早強ポルトランドセメントに比較して、凍結防止剤による劣化に対して大きな抵抗力を有することが確認できた。以上により、従来の早強ポルトランドセメントで問題になっていた凍結防止剤による劣化を防止でき、凍結防止剤が多用される寒冷地の道路等に、十分な耐久性を確保しつつ使用することができる。
なお凍結防止剤に対する抵抗力が向上するのは、次のように考えられる。すなわち凍結防止剤によるコンクリートの劣化は、上述したような各種凍結防止剤による化学的侵食によって、コンクリートの硬化体中の水酸化カルシウムが溶脱して劣化され、これに後述する凍結溶解作用が加わって、コンクリートの劣化を著しく進行させるためであると考えられている。これに対して比表面積の大きい、すなわちより細かい高炉スラグ微粉末を十分な量だけ置換配合すると、組織の緻密化等による塩化物イオンの浸透が抑制され、さらに塩化物によって溶脱する水酸化カルシウムの生成量が減少する等のために、凍結防止剤に対する劣化抵抗性を向上することができると考えられる。
図7に、寒冷地等での凍結融解に対する抵抗力についての比較試験結果を示す。すなわち図7は、凍結防止剤の主成分である塩化ナトリウム10%水溶液、塩化カルシウム30%水溶液、カルシウムマグネシウムアセテート20%水溶液、あるいは水にそれぞれ浸漬して、凍結融解サイクルを実施したときの、動弾性係数の変化を示している。この図7から明らかなように、本発明による高炉スラグ微粉末を配合したコンクリートは、凍結融解サイクルを繰り返しても動弾性係数は変化しない。一方従来の早強ポルトランドセメントだけを使用したコンクリートは、凍結融解サイクルが90サイクルを超えたあたりから、動弾性係数が著しく低下している。この理由は、侵入した水等の凍結によってコンクリートの微細組織内で膨張圧が発生し、微細なひび割れが生じているためである。
以上により、本発明による高炉スラグ微粉末を配合したコンクリートは、凍結防止剤と凍結融解の複合作用とによる劣化を促進するような環境においても、スケーリングや強度低下といった劣化を防止し、寒冷地の橋や道路等に十分な耐久性を確保しつつ使用することができる。
図8〜図12に、その他のコンクリートの物性値についての比較試験結果を示す。いずれの物性値も、従来の早強ポルトランドセメントだけを使用したコンクリートと同等以上の特性を有していることが確認できた。
すなわち図8は、それぞれの蒸気養生コンクリートと、標準養生コンクリートとについて、圧縮強度に対する静弾性係数の変化を示している。本図から明らかなように、静弾性係数の変化は、従来の早強ポルトランドセメントだけを使用したコンクリートと同等であり、設計に際しても従来どおりの値を使用することができる。
図9は、従来の早強ポルトランドセメントだけを使用した蒸気養生コンクリートと、本発明による高炉スラグ微粉末を50%置換配合した蒸気養生および通常養生コンクリートとについて、載荷日数に対するクリープ係数の変化を比較したものを示す。本図で明らかなように、これらの間には殆ど相違がなく、設計に際しても従来どおりの値を使用することができ、またクリープ特性が問題となる橋梁上部工等に対しても、本発明によるPC構造物が十分適用可能なことが確認できた。
図10は、従来の早強ポルトランドセメントだけを使用した蒸気養生コンクリートと、本発明による高炉スラグ微粉末を50%置換配合した蒸気養生および通常養生コンクリートとについて、疲労強度を比較したものを示す。本図で明らかなように、本発明によるコンクリートは、従来の早強ポルトランドセメントだけを使用した蒸気養生コンクリートと
同等以上の疲労強度を有し、また土木学会「コンクリート標準示方書(設計編)で定められているS−N曲線式」で表される疲労強度基準を満足することが確認できた。
図11は、上述した図1に記載した配合からなるそれぞれのコンクリート供試体について、中性化促進試験を行った結果を示す。ここで中性化促進試験は、それぞれの供試体を、炭素ガス濃度10%、相対湿度60%の雰囲気に13週間置き、中性化深さと圧縮強度とを比較した。ここで開始時の圧縮強度とは、供試体生成後28日の試験開始前の強度である。図11から明らかなように、試験開始後13週までは、従来の早強ポルトランドセメントだけを使用した蒸気養生コンクリートと同様に、中性化は認められなかった。
なお中性化とは、コンクリートは本来アルカリ性であり、鉄筋の発錆を防止する特性を有しているが、大気中に含まれる炭酸ガスを吸収して、次第に中性化する現象をいい、コンクリートが中性化すると、鉄筋が錆び始める。そして高炉セメントは、これまで中性化に対しては不利とされてきたが、今回の試験により、少なくとも実験室レベルでは、中性化の問題は生じないことが確認された。
図12は、上述した図1に記載した配合成分からなるそれぞれのコンクリート供試体について、乾燥収縮ひずみを測定した結果を示す。図12から明らかなように、従来の早強ポルトランドセメントだけを使用した蒸気養生コンクリートと比較すると、乾燥日数が4週間程度までは乾燥収縮量は大きくなるが、それ以降はほぼ同等に成ることが確認できた。したがって、設計に際して従来の早強ポルトランドセメントだけを使用した蒸気養生コンクリートと同等の取扱いが可能となる。
JIS桁としての強度性能を確認するために、それぞれ実物大試験桁(JIS A 5373 プレキャストプレストレストコンクリート製品 道路用PC橋桁 BS15)を1本づつ製作し、静的荷重試験を実施した。図13に、その試験結果であるひび割れ発生曲げモーメントと、破壊曲げモーメントとを示す。本図から明らかなように、本発明によるPC構造物は、いずれの曲げモーメント共に、従来の早強ポルトランドセメントだけを使用したPC構造物と同等以上であり、かつ上記JISの規格値を十分上回っており、JIS桁としての認定性能を十分満たしている。なお図13の中段と後段とに、実物大試験桁の寸法形状を示す。
図14〜図18に、本発明による高炉セメントを使用した場合と、従来の早強ポルトランドセメントだけを使用した場合との、材料単価およびライフサイクルコストの比較を示す。これらの図から明らかなように、本発明による高炉セメントを使用した場合は、材料費はほぼ同程度であって、ライフサイクルコストは大幅に低減できる目処が得られた。
すなわち図14は、早強ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末6000、および骨材等の材料単価(2001年4月時点の、福岡における建設物価)を示している。そして図15に、これらの材料単価に基づいて、本発明による高炉セメントを使用した場合と、従来の早強ポルトランドセメントだけを使用した場合との、コンクリート1m当りの材料費の比較を示す。この図15から明らかなように、本発明による高炉セメントを使用した場合には、高炉スラグ微粉末を配合したために、粉体量が、コンクリート1m当り378kgから210+209=419kgに増加するため、コンクリート1m当り140円分だけ材料費が増加するが、比率にすれば1.6%の極わずかな上昇にすぎず、従来の早強ポルトランドセメントだけを使用した場合と同等となる。
図17に、PC橋梁モデルに対して、本発明による高炉セメントを使用した場合と、従来の早強ポルトランドセメントだけを使用した場合とのライフサイクルコストの比較を示す。なおPC橋梁モデルは、図16に示すように、ポストテンション方式単純T桁橋(橋長30.88m、支間長30.0m、幅員11.5m)を想定した。また使用条件等は、次のように設定した。
1.建設個所は、腐食の激しい海岸部の飛沫帯とする。
2.分析期間は、100年とする。
3.本発明による高炉スラグ微粉末を使用したコンクリートの部材単価は、早強ポルトランドセメントだけを使用したコンクリートと比べて、1割増しとする。
4.補修および架け替え年数は、「平成11年版 コンクリート標準示方書(施工編) 、2.3の塩化物イオン侵入に伴う鋼材腐食の照査」に示されている、塩化物イオ ン濃度分布算定式から得られた塩化物イオン侵入に対する耐用年数を考慮して決め た。
図17から明らかなように、建設後20年までの初期コストは、早強ポルトランドセメントだけを使用した場合の方が低いが、それ以降はトータルコストが逆転し、建設後50〜55年、80〜85年で、最大27430万円のコストダウンの試算結果が得られた。したがって大幅なライフサイクルコストの削減が可能となる。なおそれぞれのライフサイクルコストの試算詳細を、図18に示す。
最後として図19に、従来の早強ポルトランドセメントだけを使用した場合と、本発明による高炉スラグ微粉末6000を50%置換したセメントを使用した場合と、コンクリート(1ton)を生成するために必要な石灰石、石炭、消費電力および炭酸ガスの排出量を比較した結果を示す。本図で明らかなように、石灰石および石炭の使用量は、それぞれ約半分に削減可能となり、天然資源保護の観点からも有益である。また消費電力はほぼ同等であるため、焼成燃料の石炭の使用量の半減によって、トータルとしての消費エネルギーも大幅に削減可能となる。すなわち高炉スラグ微粉末は、上述したように高炉で銑鉄を製造する際に得られる副産物である水砕スラグを、乾燥、粉砕して製造するものであるため、通常のセメントのような焼成工程がなく、この高炉スラグ微粉末を50%置換配合した分だけ、石灰石、石炭および焼成のための燃焼エネルギーコストが削減できる。
また図19に示すように、炭酸ガスの排出量を、セメント1ton当り、54%に削減可能である。すなわちセメントの主成分である石灰石がセメントの焼成時に発生する炭酸ガスと、このセメント焼成のため、および焼成後のクリンカーを粉砕するために必要な電力を生み出す際に発生する炭酸ガスとが、高炉スラグ微粉末を50%置換配合した分だけ削減できる。したがって地球温暖化の防止に大きな役割を果すことができる。
さらに高炉スラグ微粉末は、上述したように銑鉄製造の際の副産物であるため、資源のリサイクルという観点からも極めて有効である。
本発明によるPC構造物は、特に海洋環境下、寒冷地あるいは凍結防止剤が多用される橋や道路等に広く適用できる。
コンクリートの配合について従来例と比較した図表である。 コンクリートの圧縮強度の発現特性について従来例との比較グラフである。 塩素イオンのコンクリートへの侵入深さについて従来例と比較したコンクリートの組織写真である。 塩素イオンのコンクリートへの侵入量についての従来例との比較グラフである。 凍結防止剤浸漬後のコンクリートの圧縮強度を従来例と比較した棒グラフである。 凍結防止剤溶液によるコンクリートの劣化状態を従来例と比較した写真である。 凍結防止剤によるコンクリートの動弾性係数の低下について従来例と比較したグラフである。 コンクリートの静弾性係数について従来例と比較したグラフである。 コンクリートのクリープ特性について従来例と比較したグラフである。 コンクリートの疲労強度について従来例と比較したグラフである。 コンクリートの中性化促進試験結果について従来例と比較した図表である。 コンクリートの乾燥収縮について従来例と比較したグラフである。 実物大PC構造物のひび割れおよび破壊曲げモーメントについて従来例と比較した図表である。 コンクリートの材料単価を示す図表である。 コンクリートの材料費について従来例と比較した図表である。 ライフサイクルコストを比較検討するためのPC橋梁モデルの形状図である。 PC橋梁モデルのライフサイクルコストについて従来例と比較したグラフである。 PC橋梁モデルのライフサイクルコストの詳細について従来例と比較した図表である。 セメントの製造時における省資源、省エネルギーおよび炭酸ガスの排出量等について従来例と比較した図表である。

Claims (4)

  1. 通常のセメントに、比表面積が5000〜10000cm/gである高炉スラグ微粉末を混和したことを特徴とするプレストレストコンクリート構造物。
  2. 海洋環境下または凍結防止剤を使用する環境下のいずれかで使用することを特徴とする請求項1に記載のプレストレストコンクリート構造物。
  3. 工場で製造されることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のプレストレストコンクリート構造物。
  4. 現場打ちで製作されることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載のプレストレストコンクリート構造物。
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