JP2006001184A - 成形型の設計方法、成形型及び光学レンズ - Google Patents

成形型の設計方法、成形型及び光学レンズ Download PDF

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Abstract

【課題】 成形型から光学レンズを成形する際に当該光学レンズが変形してしまう場合であっても、頂点において所望の透過屈折力を有する光学レンズを成形できること。
【解決手段】 光学レンズ20を成形する成形型の設計方法であって、上記光学レンズの第1面21及び第2面22における両設計曲面の形状を規定するシェイプファクタに基づき、成形される光学レンズの頂点Oにおける透過屈折力の成形による誤差を予測し、この成形誤差に対応する補正情報を用いて上記成形型を補正して設計するものである。
【選択図】 図2

Description

本発明は、成形型から光学レンズを成形する際に当該光学レンズが変形してしまう場合であっても、この変形を考慮して上記光学レンズを成形する成形型の設計方法、この成形型の設計方法にて設計された成形型、及びその成形型により成形された光学レンズに関する。
光学レンズを成形型によって成形する場合には、光学レンズ各部における素材に依存する収縮、光学レンズの形状に起因する応力などのため、成形型の成形面を光学レンズの設計曲面が有する設計値どおりに設計すると、成形後の光学レンズは、一般には、光学レンズの設計曲面と同一な形状にならない。例えば、球面レンズを成形すべく、成形面が球面形状に形成された成形型を用いて球面レンズを成形すると、成形品である光学レンズは、非球面形状を含む球面以外の形状となってしまう。従って、光学レンズの設計曲面と同一な形状の曲面を有する光学レンズを製造するためには、成形型の成形面に適切な補正を加える必要がある。
この光学レンズの成形による形状誤差、及び当該誤差から導かれる成形型の成形面の補正量は、光学レンズの屈折力、レンズ素材、設計曲面の形状毎に異なり、これらの組み合わせにより複雑な傾向を有する。適切な補正量を決定するためには、各成形型において実際の変形を実験的に検証する必要がある。
上記補正量の決定は主に作業者の経験に基づいて行われ、熟練が必要となる。しかも、熟練者であっても精度のよい補正量を得るためには、新製品毎に時間をかけて多くの成形テストを行い、試行を繰り返して補正量を所定の値域に収束させる作業を行っている。
具体的な作業は(a)全種類の光学レンズを、該当する成形型によりテスト成形し、(b)光学レンズの設計値に対する誤差を測定する。そして(c)測定された誤差に様々な係数を乗じて仮の補正量(経験値)を算出して成型型を作り直す。(d)作り直された成形型により光学レンズを再度テスト成形し、(e)光学レンズの形状誤差を測定する。上記(c)〜(e)を繰り返して補正の最適化を行う。
ところが、補正量を収束させるためには数多くの成形テストが必要となる。更に光学レンズ、例えば眼鏡レンズの場合、その種類が一つの新製品毎に300種以上、成形型の種類が600種程度、全種類で1万種以上になるため、成形型の補正量確定のための作業は新製品の発売毎に数ヶ月に及ぶ。
従来、成形型の成形面に加える補正量について、成形された光学レンズと、この光学レンズの設計値との誤差が最小となるように最小二乗法を用いて単一の曲率を有する球面形状を求め、この球面形状の曲率を平均曲率として用いて成形型を補正する方法がある(第1の従来の技術)。
また、第2の従来の技術として、単純な形状の場合には、収縮を考慮した変形が予測可能であり、この予測値を補正量として適用する方法もある(特許文献1)。
更に、第3の従来の技術として、設計値との形状誤差を測定し、この形状誤差測定値そのものを利用して補正量とする方法もある(特許文献2)。
特開2003−117925号公報 特開平8−216272号公報
しかしながら、第1の従来の技術における平均曲率による誤差の評価では、球面形状以外の形状誤差を評価することができず、従って、この球面形状以外の形状誤差を補正することができない。
また、第2の従来の技術を用いて光学レンズの成形型を設計しようとしても、光学レンズが例えば眼鏡レンズの場合には凸面及び凹面からなるメニスカス形状を有し、その形状が複雑であると共に高精度が要求されるため、収縮を考慮した変形を予測して成形型を設計することが困難である。
更に、第3の従来の技術では、補正量を求めるためには、テスト成形された成形品に対し、設定値との形状誤差を測定する必要があり、成形品を効率的に成形することができない。
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、成形型から光学レンズを成形する際に当該光学レンズが変形してしまう場合であっても、頂点において所望の透過屈折力を有する光学レンズを成形できる成形型の設計方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、成形型から光学レンズを成形する際に当該光学レンズが変形してしまう場合であっても、頂点において所望の透過屈折力を有する光学レンズを成形できる成形型を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、光学レンズが成形型から成形される際に変形してしまう場合であっても、頂点において所望の透過屈折力を有することができる光学レンズを提供することにある。
請求項1に記載の発明に係る成形型の設計方法は、光学レンズを成形する成形型の設計方法であって、上記光学レンズの第1面及び第2面における両設計曲面の形状に基づき、成形される光学レンズの頂点における透過屈折力の成形による誤差を予測し、この誤差に対応する補正情報を用いて上記成形型を補正して設計することを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明に係る成形型の設計方法は、請求項1に記載の発明において、上記光学レンズの第1面及び第2面における両設計曲面の形状は、上記第1面の設計曲面の曲率半径をRa、上記第2面の設計曲面の曲率半径をRbとしたとき、次の式(1)により算出されるシェイプファクタSPによって規定されることを特徴とするものである。
SP=(Rb+Ra)/(Rb−Ra) …………(1)
請求項3に記載の発明に係る成形型の設計方法は、請求項2に記載の発明において、上記成形される光学レンズの頂点における透過屈折力の成形による誤差αは、光学レンズの第1面、第2面のそれぞれにおける設計曲面の曲率半径をRa、Rbとし、当該光学レンズのシェイプファクタをSPとし、当該光学レンズの屈折率をnとし、当該光学レンズの素材による係数をAとしたとき、次の式(2)により算出されることを特徴とするものである。
Figure 2006001184
請求項4に記載の発明に係る成形型の設計方法は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、上記成形型の補正は、光学レンズの第1面、第2面のそれぞれを成形する第1成形面、第2成形面の少なくとも一方の成形面の全面を補正することを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明に係る成形型は、請求項1乃至4のいずれかに記載の成形型の設計方法を実施して形成されたことを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明に係る光学レンズは、請求項5に記載の成形型を用いて成形されたことを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明に係る光学レンズは、請求項6に記載の発明において、メニスカス形状の眼鏡レンズであることを特徴とするものである。
請求項1乃至4に記載の発明によれば、光学レンズの第1面及び第2面における両設計曲面の形状に基づき、成形される光学レンズの頂点における透過屈折力の成形による誤差を予測し、この誤差に対応する補正情報を用いて成形型を補正して設計することから、成形型から光学レンズを成形する際に当該光学レンズが変形してしまう場合であっても、頂点において所望の透過屈折力を有する光学レンズを成形することができる。
また、光学レンズの第1面及び第2面における両設計曲面の形状に基づき、成形される光学レンズの頂点における透過屈折力の成形による誤差を予測することから、成形型により光学レンズをテスト成形し、このテスト成形された光学レンズの成形曲面の形状を測定する必要がないので、頂点において所望の透過屈折力を有する光学レンズを効率的に成形することができる。
更に、光学レンズの第1面及び第2面における両設計曲面の形状を同時に考慮して、成形される光学レンズの頂点における透過屈折力の成形による誤差を予測することから、光学レンズの第1面、第2面のそれぞれにおける設計曲面の曲率が著しく異なる場合であっても、上記成形誤差に基づく成形型の補正を高精度に実施することができる。
請求項5乃至7に記載の発明によれば、成形型から光学レンズを成形する際に当該光学レンズが変形してしまう場合であっても、上記光学レンズの第1面及び第2面における両設計曲面の形状に基づき、成形される光学レンズの頂点における透過屈折力の成形による誤差を予測して、成形型を補正して設計することから、頂点における透過屈折力が所望の値となる光学レンズを成形して得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係る成形型の設計方法における一実施の形態が実施されて製作された上型モールド及び下型モールドを有する成形型を示す側断面図である。図2は、図1の成形型により成形される光学レンズを示す側断面図である。
図1に示す成形型10は、プラスチック製の光学レンズ(例えば、メニスカス形状の眼鏡レンズ)をキャスト法と呼ばれる製法によって成形するものであり、上型モールド11、下型モールド12及びガスケット13を有して構成される。上記上型モールド11及び下型モールド12はレンズ母型と総称される。
ガスケット13は、弾性を有する樹脂にて円筒形状に形成され、内周面に上型モールド11と下型モールド12を所定距離離間して液密に保持する。これらの上型モールド11、下型モールド12及びガスケット13に囲まれてキャビティ14が構成される。ガスケット13には、このキャビティ14内へ、光学レンズ20(図2)の原料であるモノマーを注入するための注入部15が一体に設けられている。また、ガスケット13の高さは、成形品である光学レンズ20の周縁部の厚みを確保できる寸法に設定される。
上型モールド11及び下型モールド12はガラスなどで構成される。上型モールド11は、図2に示す光学レンズ20の第1面(凸面)21を形成すべく凹面型に形成される。また、下型モールド12は、光学レンズ20の第2面(凹面)22を形成すべく凸面型に形成される。これらの上型モールド11及び下型モールド12においては、光学レンズ20のレンズ曲面(第1面21、第2面22)を形成する面を使用面(上型モールド11の場合には第1使用面16A、下型モールド12の場合には第2使用面16B)と称し、上記レンズ曲面を形成しない面を非使用面17と称する。
上述の成形型10を用いた光学レンズ20の製造手順を、図3を参照して説明する。
まず、光学レンズ20の原料であるモノマーを用意する(S1)。このモノマーは熱硬化樹脂であり、この樹脂に触媒と紫外線吸収剤などを加えて調合し、フィルタで濾過する(S2)。
次に、ガスケット13に上型モールド11及び下型モールド12を組み付けて成形型10を完成する(S3)。そして、この成形型10のキャビティ14内に、上述の如く調合されたモノマーを注入し、電気炉内で加熱重合させて硬化させる(S4)。成形型10内でモノマーの重合が完了することでプラスチック製の光学レンズ20が成形され、この光学レンズ20を成形型10から離型する(S5)。
光学レンズ20の離型後に、重合より生じたレンズ内部の歪みを除去すべく、アニールと呼ばれる加熱処理を実施する(S6)。その後、中間検査として外観検査及び投影検査を光学レンズ20に対し実施する。
光学レンズ20は、この段階で完成品と半製品(セミ品)に区分けされ、半製品に対しては処方に応じて第2面22を研磨する。完成品に対しては、その後、カラー製品を得るための染色工程、傷に対し強化する強化コート工程、反射防止用の反射防止コート工程を実施し(S7)、最終検査を実施する(S8)。完成品は、この最終検査後に製品となる(S9)。
上述の光学レンズ20の製造工程において使用される成形型10の上型モールド11及び下型モールド12の製造手順を、図4を参照して次に述べる。
上型モールド11及び下型モールド12は、プレス加工した厚いガラスブランクスの両面を加工することで得られるため、まず、このガラスブランクスを用意する(S11)。このガラスブランクスを加工することで、ガラスブランクスのプレス面の表面欠陥層を除去し、使用面16及び非使用面17を所定精度の曲率半径にすると同時に、微細で均一粗さの高精度な使用面16及び非使用面17を得る。ガラスブランクスの上記加工は、研削及び研磨によって実施される。
研削工程は、具体的には、NC制御を行う自由曲面研削機においてダイヤモンドホイールを使用し、ガラスブランクスの両面(使用面16及び非使用面17)を所定の曲率半径に研削する(S12)。この研削により、ガラスブランクスから上型モールド11及び下型モールド12が形成される。
研磨工程は、ゴム製の中空皿にポリウレタンまたはフェルトを貼着した研磨皿を使用し、酸化セリウム・酸化ジルコニウム等の微細粒子を研磨剤として、研削により形成された上型モールド11及び下型モールド12の両面を研磨する(S13)。この研磨工程によって、研削工程において生じた上型モールド11及び下型モールド12のそれぞれの使用面16及び非使用面17における表面の凹凸を除去して透明とし(砂目抜き)、更に、この使用面16及び非使用面17を効果的に十分な表面精度に仕上げる。
この研磨工程後に上型モールド11及び下型モールド12を検査し(S14)、使用面16にレイアウトパターンの基準位置となる隠しマークをマーキングする(S15)。レイアウトパターンは、光学レンズ20の光学的レイアウトを示すものであり、円形状の光学レンズ20を眼鏡フレームに枠入れする際に使用するものであって、光学レンズ20の表面に消去可能にマーキングされる。
隠しマークのマーキング後に、上型モールド11及び下型モールド12に対し科学的なガラス強化処理を実施して(S16)、上型モールド11及び下型モールド12を完成する(S17)。この上型モールド11及び下型モールド12は、光学レンズ20の処方の屈折力に応じて製作されるため、ガスケット13と共に多くの種類が必要となる。
上述のようにして製造される成形型10における上型モールド11及び下型モールド12の設計手順を次に述べる。
まず、成形型10により成形されるべき光学レンズ20の設計値について、図2を参照して述べる。つまり、この光学レンズ20の第1面21の設計曲面は球面または非球面形状であり、その頂点O1における曲率半径がRaに設定されている。また、当該光学レンズ20の第2面22の設計曲面も球面または非球面形状であり、その頂点O2における曲率半径がRbに設定されている。
このとき、この光学レンズ20の第1面21及び第2面22における両設計曲面の形状を規定するシェイプファクタSPは、次式(1)によって算出される。
SP=(Rb+Ra)/(Rb−Ra) ………(1)
この式(1)では、Rb=Raは、特異点となっているので除外される。また、光学レンズ20が第1面21を凸面とし、第2面22を凹面とするメニスカス形状の眼鏡レンズの場合、Rb<Raとなってレンズの中心肉厚が薄いマイナスレンズではシェイプファクタSPが負となる。また、Rb>Raとなってレンズの中心肉厚が厚いプラスレンズではシェイプファクタSPが正となる。
次に、図1に示すように、上記光学レンズ20を成形する成形型10の上型モールド11における第1成形面としての前記第1使用面16Aを、光学レンズ20の第1面21における設計曲面に成形する。同時に、成形型10の下型モールド12における第2成形面としての前記第2使用面16Bを、光学レンズ20の第2面22における設計曲面に設計する。
このように設計された上型モールド11及び下型モールド12を有する成形型10を用いて光学レンズ20を成形したと仮定すると、この成形される光学レンズ20の頂点Oにおける透過屈折力(以下、「頂点透過屈折力P(単位D(ディオプタ))」と称する。)は、当該光学レンズ20の形状に起因して、この光学レンズ20の設計値における頂点透過屈折力Pに対し、成形による誤差を生ずる。そこで、この光学レンズ20の頂点透過屈折力Pにおける上記成形誤差α(単位D(ディオプタ))を、次式(2)により予測する。
Figure 2006001184
この式(2)において、曲率半径Ra、Rbは、前述のごとく、光学レンズ20の第1面21、第2面22のそれぞれにおける設計曲面の曲率半径(単位mm)であり、SPは、当該光学レンズ20の第1面21及び第2面22における両設計曲面の形状を規定するシェイプファクタである。また、nは光学レンズ20の屈折率であり、Aは、当該光学レンズ20の素材により定められる係数である。n=1.699のときA=3となる。A=3としたときの上記式(2)は、次式(3)となる。
Figure 2006001184
上記式(2)または式(3)により予測される光学レンズ20の頂点透過屈折力Pの成形誤差αを、光学レンズ20の設計値における頂点透過屈折力P毎に図5に示す。ここで、光学レンズ20の設計値における頂点透過屈折力Pは、光学レンズ20の屈折率をnとし、当該光学レンズ20の第1面21と第2面22における設計曲面間の中心肉厚をCT(単位mm)とし、この光学レンズ20の第1面21、第2面22における設計曲面のそれぞれの曲率半径をRa、Rb(単位mm)としたとき、次式(4)で表される。
Figure 2006001184
但し、D1=(n−1)×1000/Ra、
D2=(n−1)×1000/Rbである。
この図5には、光学レンズ20の屈折率nをn=1.699とし、この光学レンズ20の第1面21、第2面22における設計曲面のそれぞれの曲率半径Ra、Rbの値と、当該光学レンズ20の第1面21と第2面22における設計曲面間の中心肉厚CTの値とから、式(4)を用いて、この光学レンズ20の設計値における頂点透過屈折力Pが算出されて表示され、この算出された各頂点透過屈折力P毎に、式(1)を用いてシェイプファクタSPが算出されて表示されている。このシェイプファクタSPの絶対値は、光学レンズ20の設計値における頂点透過屈折力Pの絶対値が大きくなるほど、1に近づくことがわかる。
更に、図5には、式(3)を用いて、成形される光学レンズ20の頂点透過屈折力Pの成形誤差αが算出されて予測され、この予測された成形誤差αの値が、光学レンズ20の設計値における頂点透過屈折力P毎に表示されている。この予測された成形誤差αの値は、実験により測定された、光学レンズ20の頂点透過屈折力Pの成形誤差β(単位D(ディオプタ))の値に極めて近似した値となっている。この予測された成形誤差αの値と実験により測定された成形誤差βの値とを比較した図6によれば、これらの予測された成形誤差αの値と測定された成形誤差βの値とが、光学レンズ20の設計値における頂点透過屈折力Pに対して略一致した増減傾向を示していることがわかる。
そこで、上述のようにして予測した、光学レンズ20の頂点透過屈折力Pの成形誤差αに対応する補正情報を用いて、図1に示す成形型10における上型モールド11の第1使用面16Aと下型モールド12の第2使用面16Bとの少なくとも一方の使用面を補正して設計する。例えば、光学レンズ20の第2面22における設計曲面に設計された下型モールド12の第2面16Bの全面に、上記予測した成形誤差αを打ち消す値(つまり、成形誤差αの値の符号を反転させた値)を補正情報として下型モールド12の軸方向に加算し、この下型モールド12の第2使用面16Bを補正して設計する。
この補正に際し、光学レンズ20の屈折率をnとすると、当該光学レンズ20のレンズ曲面(第1面21、第2面22)における面屈折力L(単位D(ディオプタ))と、そのレンズ曲面の曲率半径R(単位m)との間に次式(5)の関係が成立することから、予測された成形誤差αと下型モールド12の第2使用面16Bとの間で単位を統一させた後に、上述の補正のための加算を実行する。
L=(n−1)/R ………………(5)
また、上述のように、上型モールド11の第1使用面16Aではなく、下型モールド12の第2使用面16Bに補正を実施する理由は、下型モールド12が各種の光学レンズ20において共通であり、補正すべき使用面の数が上型モールド11に比べて少なく、また、下型モールド12の第2使用面16Bにより成形される光学レンズ20の第2面22の曲率半径Rbを変えることで、当該光学レンズ20の第1面21への影響が均一に作用すると考えられるからである。
以上のように構成されたことから、上記実施の形態によれば、次の効果(1)〜(4)を奏する。
(1)光学レンズ20の第1面21及び第2面22における両設計曲面の形状を規定するシェイプファクタSPに基づき、成形される光学レンズ20の頂点透過屈折力Pの成形誤差αを予測し、この予測された成形誤差αに対応する補正情報を用いて成形型10における上型モールド11の第1使用面16Aと下型モールド12の第2使用面16Bとの少なくとも一方を補正して設計することから、成形型10から光学レンズ20を成形する際に当該光学レンズ20が変形してしまう場合であっても、頂点Oにおいて所望の透過屈折力を有する光学レンズ20を成形することができる。
(2)光学レンズ20の第1面21及び第2面22における両設計曲面の形状を規定するシェイプファクタSPに基づき、成形される光学レンズ20の頂点透過屈折力Pの成形誤差αを予測することから、成形型10により光学レンズをテスト成形し、このテスト成形された光学レンズの成形曲面の形状を測定する必要がないので、頂点Oにおいて所望の透過屈折力を有する光学レンズ20を効率的に成形することができる。
(3)光学レンズ20の第1面21及び第2面22における両設計曲面の形状を、シェイプファクタSPを用いて同時に考慮して、成形される光学レンズ20の頂点透過屈折力Pの成形誤差αを予測することから、光学レンズ20の第1面21、第2面22のそれぞれにおける設計曲面の曲率が著しく異なる場合であっても、上述の如く予測された成形誤差αに基づく成形型10の上型モールド11、下型モールド12の補正を高精度に実施することができる。
(4)成形型10から光学レンズ20を成形する際に当該光学レンズ20が変形してしまう場合であっても、光学レンズ20の第1面21及び第2面22における両設計曲面の形状を規定するシェイプファクタSPに基づき、成形される光学レンズ20の頂点透過屈折力Pの成形誤差αを予測して、成形型10の上型モールド11、下型モールド12を補正して設計することから、頂点透過屈折力Pが所望の値となる光学レンズ20を成形して得ることができる。
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、本実施の形態では、キャスト法を用いて光学レンズ20を成形して製造するものを述べたが、このキャスト法以外の製造方法によって光学レンズ20を製造する場合にも本発明を適用できる。具体的には、プラスチック製の光学レンズを直接切削加工及び研磨加工する場合において、研削加工での切削面形状データ補正、研磨加工での研磨ツール(研磨皿)の形状補正及び屈折力補正に適用でき、更に、熱軟化成形型の補正等に適用可能である。
また、上記実施の形態では成形型がガラス製の場合を述べたが、熱収縮率の高い他の成形型、例えば金型による成形の場合にも、本発明を適用できる。
更に、上記実施の形態では、下型モールド12の第2使用面16Bに補正を実施するものを述べたが、上型モールド11の第1使用面16Aと下型モールド12の第2使用面16Bの両者、または上型モールド11の第1使用面16Aに、光学レンズ20の頂点透過屈折力Pにおける予測された成形誤差αに対応する補正情報を用いて補正を実施してもよい。
本発明に係る成形型の設計方法における一実施の形態が実施されて製作された上型モールド及び下型モールドを有する成形型を示す側断面図である。 図1の成形型により成形される光学レンズを示す側断面図である。 図1の成形型を用いた光学レンズ(プラスチックレンズ)の製造手順を示すフローチャートである。 図1の上型モールド及び下型モールドの製造手順を示すフローチャートである。 図2に示す光学レンズの第1面、第2面におけるそれぞれの設計曲面の曲率半径、当該光学レンズの設計値におけるシェイプファクタ、及び成形される光学レンズの頂点透過屈折力の予測される成形誤差などを、当該光学レンズの設計値における頂点透過屈折力毎に示す図表である。 図5に表示された、成形される光学レンズの頂点透過屈折力における予測された成形誤差αと、実験により測定された光学レンズの頂点透過屈折力の成形誤差βとを比較して示すグラフである。
符号の説明
10 成形型
11 上型モールド
12 下型モールド
16A 第1使用面
16B 第2使用面
20 光学レンズ
21 第1面
22 第2面
Ra、Rb 曲率半径
SP シェイプファクタ
O 頂点
α 成形誤差

Claims (7)

  1. 光学レンズを成形する成形型の設計方法であって、
    上記光学レンズの第1面及び第2面における両設計曲面の形状に基づき、成形される光学レンズの頂点における透過屈折力の成形による誤差を予測し、
    この誤差に対応する補正情報を用いて上記成形型を補正して設計することを特徴とする成形型の設計方法。
  2. 上記光学レンズの第1面及び第2面における両設計曲面の形状は、上記第1面の設計曲面の曲率半径をRa、上記第2面の設計曲面の曲率半径をRbとしたとき、次の式(1)により算出されるシェイプファクタSPによって規定されることを特徴とする請求項1に記載の成形型の設計方法。
    SP=(Rb+Ra)/(Rb−Ra) …………(1)
  3. 上記成形される光学レンズの頂点における透過屈折力の成形による誤差αは、光学レンズの第1面、第2面のそれぞれにおける設計曲面の曲率半径をRa、Rbとし、当該光学レンズのシェイプファクタをSPとし、当該光学レンズの屈折率をnとし、当該光学レンズの素材による係数をAとしたとき、次の式(2)により算出されることを特徴とする請求項2に記載の成形型の設計方法。
    Figure 2006001184
  4. 上記成形型の補正は、光学レンズの第1面、第2面のそれぞれを成形する第1成形面、第2成形面の少なくとも一方の成形面の全面を補正することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の成形型の設計方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の成形型の設計方法を実施して形成されたことを特徴とする成形型。
  6. 請求項5に記載の成形型を用いて成形されたことを特徴とする光学レンズ。
  7. 上記光学レンズはメニスカス形状の眼鏡レンズであることを特徴とする請求項6に記載の光学レンズ。
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