JP2006000768A - 微小粒子選別用篩及び高温ガス炉燃料用微小粒子の選別方法 - Google Patents

微小粒子選別用篩及び高温ガス炉燃料用微小粒子の選別方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 微小粒子の目詰まりが起こり難く、もし目詰まりが生ずることがあったとしても、篩の目を変形することなく、目詰まりした微小粒子を除去することができる微小粒子選別用篩を提供する。
【解決手段】 微小粒子選別用篩10は、ガイドリング12と多数の円形孔16を有する多孔板14から成っている。多数の円形孔16は、フォトエチング、フォトケミカルエッチング又はデジタルエッチングによって形成されている。この微小粒子選別用篩10は、特に、高温ガス炉用燃料を製造する際に、その原料である燃料核粒子やこの燃料核粒子に被覆を施して形成された被覆燃料粒子やこの被覆燃料粒子に黒鉛マトリックス材をコーティングして得られるオーバーコート粒子の粒径を選別するのに好適に用いられる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、微小粒子選別用篩の改良に関し、特に、高温ガス炉燃料用微小粒子の選別方法に用いるのに好適な微小粒子選別用篩及びこの篩を用いて高温ガス炉燃料用微小粒子を選別する方法に関するものである。
種々の分野で微小粒子を篩を用いて選別することが行われており、例えば、高温ガス炉用の燃料を製造する過程で微小粒子を選別するのに篩が用いられている。
高温ガス炉は、燃料を含む炉心構造を熱容量が大きく高温で健全性を維持する黒鉛で構成し、炉心を冷却するために、高温下でも化学反応が起こることがないヘリウムガス等を冷却ガスとして用いているので、固有の安全性が高く、約900℃の高い出口温度のヘリウムガスを回収して、この高温熱を発電、水素製造、化学プラント等の広い分野で利用することが考えられている。
この高温ガス炉の燃料は、二酸化ウランをセラミック状に焼結した直径が約350−650ミクロンの燃料核の周囲に4層の被覆を施して形成されている。第一層は、密度が約1g/cmの低密度熱分解炭素の被覆であり、これは、ガス状の核分裂生成物(fission product=FP)のガス溜めとしての機能と燃料核のスウェリングを吸収するバッファとしての機能とを併せ持っている。第二層は、密度が約1.8g/cmの高密度熱分解炭素の被覆であり、これは、ガス状FPの保持機能を有する。第三層は、密度が約3.2g/cmの炭化珪素(SiC)の被覆であり、これは、固体FPの保持機能を有すると共に、被覆粒子の主要な補強部材としての機能を有する。最後に、第四層は、第二層と同様に、密度が約1.8g/cmの高密度熱分解炭素の被覆であり、これは、ガス状FPの保持機能と第三層の保護層としての機能を有する。
このようなウラン燃料の一般的な被覆燃料粒子は、約500−1000ミクロンの直径を有する。この被覆燃料粒子は、黒鉛マトリックス中に分散させ一定の形状の燃料コンパクトの形態に成型加工され、このコンパクトの一定数量を黒鉛筒に入れ、上下を栓で密封して燃料棒とされる。この燃料棒は、六角柱型黒鉛ブロックの複数の挿入口に差し込まれ、多数個の六角柱型黒鉛ブロックをハニカム配列に多段に重ねて炉心を構成している。
高温ガス炉の燃料は、一般的には、次のようにして製造される。まず、酸化ウランの粉末を硝酸に溶かして硝酸ウラニル原液とし、この硝酸ウラニル原液に純水、増粘剤を添加し攪拌して滴下原液を作る。増粘剤は、滴下された硝酸ウラニル原液の液滴が落下中にそれ自体の表面張力で真球状になるように作用する。このような増粘剤としては、アルカリ条件下で凝固する性質を有する樹脂、例えば、ポリビニールアルコール樹脂、ポリエチレングリコール、メトローズ等を使用することができる。このように調製された滴下原液は、所定の温度に冷却されて粘度が調整された後、細径の滴下ノズルを振動させる等の方法を用いてアンモニア水中に滴下される。
液滴は、アンモニア水溶液表面に着水するまでの空間でアンモニアガスを吹きかけて表面をゲル化させることによって着水時の変形が防止される。硝酸ウラニルは、アンモニア水中でアンモニアと充分に反応させ、重ウラン酸アンモニウムの粒子となる。この粒子は、大気中で焙焼され三酸化ウラン粒子となり、更に還元焼結されて高密度のセラミック状二酸化ウランの燃料核となる。
燃料核の粒径や真球度は、被覆燃料粒子の製造条件に大きく影響するので、燃料核は、粒径選別や真球度選別を行った後、被覆工程にリリースされる。
このようにして粒径選別や真球度選別が行われた燃料核に被覆を施すために、燃料核は、流動床に装荷され、この流動床内で被覆ガスが供給されて熱分解される。第一層の低密度熱分解炭素は、約1400℃でアセチレン(C)を熱分解して被覆される。第二層及び第四層の高密度熱分解炭素は、約1400℃でプロピレン(C)を熱分解して被覆される。第三層のSiCは、約1600℃でメチルトリクロロシラン(CHSiCl)を熱分解して被覆される。
被覆燃料粒子の粒径や真球度は、オーバーコート粒子の製造条件に大きく影響するので、被覆燃料粒子は、粒径選別や真球度選別を行った後、オーバーコート工程にリリースされる。
オーバーコート工程では、粒径及び真球度が選別された被覆燃料粒子に黒鉛粉末、粘結剤等から成る黒鉛マトリックスをオーバーコートしてオーバーコート粒子とされる。
オーバーコート粒子の粒径は、燃料コンパクトの製造条件に大きく影響するので、オーバーコート粒子は、粒径選別を行った後、コンパクトプレス工程にリリースされる。
燃料コンパクトは、オーバーコート粒子を中空円筒形又は円筒形にプレス成型又はモールド成型した後、焼結して得られる。
このように高温ガス炉燃料の製造工程で行われる粒径選別において、従来技術では、ワイヤを編んで形成された篩が用いられていた。
しかし、この従来技術による篩は、微小粒子が目詰まりすると、手作業によってこの目詰まりした微小粒子を取り除かなければならなかったので、燃料の製造工程を自動化して生産性を向上することが困難であった。また、高温ガス炉用微小粒子には複数の異なる濃縮度が存在するので、微小粒子が篩に残存した場合、異なる濃縮度の粒子が混合するおそれがあった。更に、目詰まりした微小粒子を除去する際に、篩の目を誤って変形させ、選別を精度よく行うことができなくなる欠点があった。
本発明が解決しようとする1つの課題は、微小粒子の目詰まりが起こり難く、微小粒子を用いた製品の製造工程を自動化するのを容易にすることができる微小粒子選別用篩を提供することにある。
本発明が解決しようとする他の課題は、もし目詰まりが生ずることがあったとしても、篩の目を変形することなく、目詰まりした微小粒子を除去することができる微小粒子選別用篩を提供することにある。
本発明が解決しようとする更に他の課題は、微小粒子の目詰まりが起こり難く、微小粒子を用いた製品の製造工程を自動化するのを容易にすることができる高温ガス炉燃料用微小粒子の選別方法を提供することにある。
本発明が解決しようとするもう1つの課題は、もし目詰まりが生ずることがあったとしても、篩の目を変形することなく、目詰まりした微小粒子を除去することができる高温ガス炉燃料用微小粒子の選別方法を提供することにある。
本発明は、多数の孔を有する多孔板から成る微小粒子選別用篩を対象とし、本発明の基本的な課題解決手段は、篩の多孔板がエッチングによって形成された円形孔から成っていることにある。
また、本発明は、高温ガス炉燃料用微小粒子を製造する際にこの微小粒子を多数の孔を有する多孔板から成る篩によって選別する方法を対象とし、本発明の他の課題解決手段は、エッチングによって形成された多数の円形孔を有する篩を用いて燃料用微小粒子を選別することにある。
本発明の上記の2つの課題解決手段において、エッチングは、フォトエッチング、フォトケミカルエッチング又はデジタルエッチングであるのが好ましい。また、これらの2つの課題解決手段は、特に、燃料核粒子、被覆燃料粒子、オーバーコート粒子を選別するのに好適に用いることができる。
本発明は、上記のように、微小粒子を選別すべき篩の多孔板がエッチングによって形成された多数の円形孔から成っているので、円形孔は、高い寸法精度を有し、特に、エッチングがフォトケミカルエッチング、デジタルエッチング又はレーザエッチングであると、一層精密な寸法精度を有し、これに伴って下記の効果を達成することができる。
・ 微小粒子の目詰まりが生じ難い。
・ 従って、篩上に異なる濃縮度の微小粒子が残留することがなく、濃縮度の変動を防止することができる。
・ また、目詰まりが生じたとしても、目詰まりした微小粒子を取り除く際に、篩目に力が加わっても従来技術のようにワイヤのずれによる篩目の変形を生ずることがなく、微小粒子の粒径選別性能が変化することがない。
・ 目詰まりした微小粒子の除去が容易となるので、微小粒子を用いた製品の製造工程を自動化することができる。
・ 微小粒子の粒径の篩い分けを正確に行うことができる。
・ 篩目は、円形孔にバリ、カエリ等の凹凸を生ずることがなく、従って篩分けによる選別工程で微小粒子の欠け、割れ等の損傷を生ずることがなく、高い品質で微小粒子を選別することができる。
・ 篩目の精度が高いため、微小粒子の真球度の選別を容易に行うことができる。
・ 上記の(1)乃至(7)によって、特に、燃料核粒子、被覆燃料粒子、オーバーコート粒子等の高温ガス炉燃料用微小粒子の選別に好適である。
本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に述べると、図1は、本発明に係わる微小粒子選別用篩10を示し、この篩10は、金属製のガイドリング12と金属製の多孔板14とから成り、多孔板14は、図2に示すように、その外周縁をガイドリング12の内鍔14Fとステンレス鋼等の固定リング部分18とで挟んでボルト20によって締め付けてガイドリング12に取付けられている。
多孔板14は、例えば、厚みが0.1mm乃至0.5mmの金属薄膜から作られ、この多孔板14は、フォトエッチング、フォトケミカルエッチング、デジタルエッチングの如きエッチングによって形成されている多数の円形孔16を有する。
フォトケミカルエッチング方法は、多孔板を構成する金属薄膜にエチャントを介してレーザ光線を照射して円形孔16を形成するが、レーザ光線の照射パターンに応じて円形孔16の配列が定まる。また、デジタルエッチング方法は、真空容器内のレーザ光線等のエネルギービーム照射領域内に金属薄膜を配置し、エッチングガスをプラズマ中で分解し、その生成イオンを金属薄膜に吸着して円形孔16を形成しており、フォトケミカルエッチング方法と同様にレーザ光線の照射パターンに応じて円形孔16の配列が定まる。このフォトケミカルエッチング又はデジタルエッチングは、微小の円形孔16をきわめて高い精度で形成することができるので好ましいが、これらの方法以外に、マスキングと露光とを用いた通常のフォトエッチング方法によって円形孔16を形成してもよいことはもちろんである。
このようにして多数の円形孔16が形成された多孔板14は、図2を参照して上記したように、ガイドリング12に固定して取付けられる。ガイドリング12と固定リング部分18と多孔板14との隙間は、適宜の樹脂封止材で封止される。
このようにして形成された円形孔16を有する微小粒子選別用篩10は、例えば、高温ガス炉用燃料の製造において、(a)燃料核粒子に被覆を施して被覆燃料粒子を形成する工程前に行われる燃料核の粒径選別工程、(b)被覆燃料粒子に黒鉛マトリックス材をコーティングしてオーバーコート粒子を形成するオーバーコート工程前に行われる被覆燃料粒子の粒径選別工程及び(c)オーバーコート粒子をコンパクト化する工程前に行われるオーバーコート粒子の粒径選別工程で所定の粒径を選別するのに用いられる。各工程で用いられる選別用篩10は、それぞれの選別に必要な所定のメッシュ寸法を有するように上記のエッチングによって円形孔16が形成される。
多孔板14の円形孔16は、レーザ光線の照射パターンやマスクのパターンによって決定されるので、高い寸法精度で形成されると共に、機械的処理による場合のようにバリやカエリや加工ひずみが生ずることがない。
従って、(a)乃至(c)の選別工程で、各粒子の粒径を正確に選別することができる上に、篩上に異なる濃縮度の粒子が残留することがなく、粒子の濃縮度の変動を防止することができ、更に粒子がバリなどによって損傷するのを有効に防止することができる。
また、選別用篩10に目詰まりが生じ難くいので、選別工程を自動化することができ、もし目詰まりが起こっても、詰まった粒子を除去する際に、ワイヤメッシュのように篩目が変形することがない。
本発明の微小粒子選別用篩は、エッチングによって形成された高い寸法精度の円形孔を有するので、特に、粒径の高度な選別性能が要求される高温ガス炉用燃料の製造に有益に利用することができる。
本発明に係わる微小粒子選別用篩の斜視図である。 図1の篩のガイドリングと多孔板との取付構造の拡大断面図である。
符号の説明
10 微小粒子選別用篩
12 ガイドリング
14 多孔板
16 円形孔
18 固定リング部分
20 ボルト




































Claims (6)

  1. 多数の孔を有する多孔板から成る微小粒子選別用篩において、前記多孔板は、エッチングによって形成された円形孔から成っていることを特徴とする微小粒子選別用篩。
  2. 請求項1に記載の微小粒子選別用篩であって、前記エッチングは、フォトエッチング、フォトケミカルエッチング又はデジタルエッチングであることを特徴とする微小粒子選別用篩。
  3. 請求項1又は2に記載の微小粒子選別用篩であって、前記微小粒子は、燃料核粒子、被覆燃料粒子、オーバーコート粒子であることを特徴とする微小粒子選別用篩。
  4. 高温ガス炉燃料用微小粒子を製造する際に前記微小粒子を多数の孔を有する多孔板から成る篩によって選別する方法において、エッチングによって形成された多数の円形孔を有する篩を用いて前記微小粒子を選別することを特徴とする高温ガス炉燃料用微小粒子の選別方法。
  5. 請求項4に記載の高温ガス炉燃料用微小粒子の選別方法であって、前記エッチングは、フォトエチング、フォトケミカルエッチング又はデジタルエッチングであることを特徴とする高温ガス炉燃料用微小粒子の選別方法。
  6. 請求項4又は5に記載の高温ガス炉燃料用微小粒子の選別方法であって、前記微小粒子は、燃料核粒子、被覆燃料粒子、オーバーコート粒子であることを特徴とする高温ガス炉燃料用微小粒子の選別方法。



























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