JP2005538147A - 下肢静止不能症候群の治療用医薬品の製造のためのビュープロピオンの使用 - Google Patents
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Abstract
本発明は、ビュープロピオンまたは製薬学的に受容可能なその塩の、ヒトにおける下肢静止不能症候群の治療での使用を提供する。
Description
本発明は、一般的に、下肢静止不能症候群の治療、特にビュープロピオン(bupropion)または薬理学的に受容可能なその塩の下肢静止不能症候群の治療での使用に関する。
下肢静止不能症候群(restless legs syndrome (RLS))は、特色のある臨床症候群であり、全人口の約5〜10%の発症率を示す、最も普通にみられる神経学的疾患である。下肢静止不能症候群には、特発性(idiopathic)および尿毒性(uremic)という二つの型がみられる。「下肢静止不能症候群」または「RLS」という用語は、ここでは、RLSの特発性および尿毒性の両方の型を意味する。RLSの特徴は、休息(rest)、静かな覚醒状態(quiet wakefulness)または眠ろうとしたときに引き起される、感覚系および運動系の症状である。RLS患者には下肢に不愉快な感覚があり、そして休息時にそうした感覚から逃れようと努力した場合、制御不可能な運動への衝動を感じる。RLSの感覚は、人々によってしばしば、焼けるような、むずむずするような、引っ張られるような、または、下肢の内部で虫が這い回っているような感覚として表現されている。しばしば、異常感覚(paresthesias)または不快な異常感覚(dysesthesias)とよばれる、この感覚は、不快感から、苛立つような、あるいは、痛みを感じるまでの様々な症状の程度を示す。その症状の最も特異的で異常な局面は、横臥し、寛ごうと試みることが、症状を活発化させることである。
RLSを有する人々の80%以上が、周期的四肢運動障害(periodic limb movement disorder、PLMD)として知られている症状も経験している。PLMDは、睡眠時の、典型的には10秒から60秒毎に、時には夜を通して発症する下肢の不随意性の落ち着きのないまたはギクシャクした動きが特徴的である。この症状により、覚醒が繰り返し起こり、睡眠がひどく妨げられる。RLSとは異なって、PLMDで生じる動作は、不随意性で人々が制御できないものである。多くのRLS患者はPLMDも発症するが、多くのPLMDの人々はRLSを経験しない。RLSと同じように、PLMDの原因は不明である。
RLSは、Karin Stiasny等による:Clinical symptomatology and treatment of restless legs syndrome and periodic limb movement disorder. Sleep Medicine Review. 6巻、4号、253-265頁、2002年、ならびに、US特許6,001,861および6,114,326に引用されている参考文献の中で詳しく記載されており、ここで参照により組み入れられる。
RLSの臨床的診断基準は、国際RLS研究グループ(IRLSSG)によって確立されてきた。これは、患者の病歴のみに基づいた4つの最小限の基準から成っている。それは、(1)四肢を動かしたいという欲求、通常、異常感覚/不快な異常感覚を伴っている;(2)運動静止不能(すなわち、足をこすり、ベッドでごろごろ寝返りをうち、下肢を引き伸ばしたり縮めたり、または床を歩き回ったりする);(3)活動によって少なくとも部分的または一時的な緩和が得られる休息時(すなわち、横たわっていたり、座っているとき)の症状または特有の症状の存在; および、(4)夕方または夜間での症状の悪化;である。睡眠障害、不随意の夜間性周期的四肢運動、進行性の臨床経過、特発性RLSにおける顕著ではない神経学的試験、または陽性の家族歴が、頻繁にRLSでは観察されるが、診断のためには必須ではない(Karin Stiasny等:上述、を参照)。RLSの重症度はRLS重度スケール(RLS Severity Scale)で定量化でき、最近、IRLSSDによって開発され有効性が確認されてきた(Karin Stiasny等:上述、を参照)。
現在のところRLSに対する治療法は存在しない。幾年にも渡って、種々の薬剤が提案されRLSの症状を治療するために用いられてきた。1つの治療薬、レステックス(R)(Restex(R))(ロシュ製薬会社により販売されている、レボドーパをベースにした製品)が最近ドイツでRLSの治療用に承認を受けたと報告されているが、米国では現在この適応症により承認を受けたものはない。
RLSの治療のために提案され使用されている典型的な薬剤は4つのカテゴリーに分類される:抗けいれん剤、ベンゾジアゼピン類、オピオイド類およびドパーミン作用性薬剤である。
抗けいれん剤は、感覚障害(不快な感覚)および運動衝動を減少させることによって効果をもたらすようである。これらの薬剤は、日中に著しい症状を示すとりわけRLSに関連する痛みの症状を示す特定の患者に(その全てではないが)特に効果的である。ガバペンチン(ノイロンチン)は、RLSの症状治療のために有望であることが示された抗けいれん剤である。ガバペンチンの発生しうる副作用には、めまい、眠気、疲労感、食欲亢進、および落ち着かなさが含まれる。ガバペンチンの鎮静作用は、自動車を含む重機を操作する能力を損なう。
RLSを治療するために使用されてきたベンゾジアゼピン類には、クロナゼパム(クロノピン)、ニトラゼパム、ロラゼパムおよびテマゼパムが含まれる。ベンゾジアゼピンはRLSの感覚または下肢の動作を完全に抑制しはしないが、患者にそうした問題があったとしても、睡眠をより取りやすくさせる。そうした薬剤を用いた場合の欠点には、錯乱の可能性および日中の眠気が含まれる。さらに、全てのベンゾジアゼピンの使用に伴って依存性が発現するようになり、薬物の中断は患者に重い不安感を伴わせる。
麻酔性鎮痛剤(痛み止め)および弛緩剤のようなオピオイド類は、特にRLSの重篤で絶え間のない症状に罹っている患者のRLSおよびPLMSを抑制することができる。RLSを治療するために用いるこのカテゴリーの医薬品の例としては、コデイン、プロポキシフェン(ダーボンまたはダーボセット)、オキシコドン(パーコセット、タイロックス、ロキシプリン)、ペンタゾシン(タルウイン)、ハイドロコドン(ビコジン)、および、メタドンが含まれる。副作用および不都合な反応には、めまい、沈静、むかつき、吐き気、便秘、幻覚、および頭痛が含まれる。さらに、オピオイド類の使用は薬物濫用および薬物耽溺の危険性をもたらす。
ドパーミン作用性薬剤は、RLSの薬剤治療の第一選択薬と考えられている。これらの薬剤は、RLSとは異なった独特の症状を示すパーキンソン病の治療に、通常は用いられている。RLSを治療するために用いるこのカテゴリーの薬剤の例としては、L−ドーパ、ブロモクリプチン、およびペルゴライドが含まれる。末梢性カルボキシラーゼ阻害剤と10:1の割合で組み合わせたL−ドーパがRLSを治療する場合に有効であることが、多くの研究で示されている。例として、下記の文献が参照できる:Brodeur C, Montplaisir J, Marinier R, Godbout R., “Treatment of RLS and PMS with L-dopa: a double-blind controlled study,”, Neurology; 35巻, 1845-1848頁 (1988年);Montplaisir J, Godbout R, Poirier G, Bledard M. A.、“Restless legs syndrome and periodic movements in sleep: physiopathology and treatment with L-dopa,” Clinical Neuropharmacology, 9巻, 456-463頁 (1986年); Von Scheele C,“Levodopa in restless legs,” Lancet, 2巻, 426-427頁 (1986年); Akpinar S., ”Restless legs syndrome treatment with dopaminergic drugs,” Clinical NeuroPharmacology, 10巻, 69-79頁 (1987年)。L−ドーパの使用に伴って一般に見られる顕著な2つの問題:1)最初の治療に対する応答の後、後になって夜間に再発する体質と複合化し、しばしば劣った睡眠の質をもたらす薬剤の短い半減期、ならびに、2)症状のぶり返し発症および増強(augmentation)、がこれ迄に認められている。増強とは、日中の早い時間に発症し、L−ドーパ治療の開始される前に現れていた身体の状態よりさらに重篤になる身体の傾向である。増強は最も重大で、広く見られるL−ドーパ治療の合併症である。最近の経験から、増強は症例の65〜80%でみられる合併症であることが示唆されている。さらに、L−ドーパ治療が、夜中に反復されると、重篤な症例の患者では、日中に新たな(de novo)異常感覚および静止不能症を経験することがある。
D2受容体作用薬であるブロモクリプチンは、RLSの治療にも使用される(Walters A.S., Henning W.A., Chokroverty S, Gidro-Franck S., A double blind randomized crossover trial of bromocriptine and placebo in restless leg syndrome. Ann Neurol, 1988年 24巻, 455-458頁)。報告されている副作用は、一過性の鼻づまりおよび一例の患者での頭の立ちくらみであった。
ドパーミンD1/D2作用薬であるペルゴライドは、低用量のL−ドーパと組み合わされて、L−ドーパ単独には応答しない患者の臨床的な改善をもたらすが、起立性低血圧および胃腸管障害および増強のような、様々の重大な副作用も生じさせる。
RLSの治療のために、非薬理学的な治療が用いられまたは示唆されてきており、その例としては、栄養の改善、運動、睡眠健康法、経皮的電気性神経刺激、条件付けの治療、および機能不全の静脈を減少させる種々の手段が挙げられる。しかしながら、それらの非薬理学的な治療のなかで明らかに効果があることが確立されてきたものはない。
ごく最近の特許文献では、新規な治療が利用可能であり有用であろうことが示唆されているが、これらの新治療法はまだ広く処方されてはいない。例えば、米国特許第6,114,326には、RLSの治療として、合成エルゴリン誘導体でかつドパーミン作用薬であるカベルゴリンを、それ単独かまたはレボドーパと組み合わせて、使用することが開示されている。米国特許第6,001,861には、ドパーミンD3/D2作用薬であるプラミペキソールをRLSの治療に用いることが開示されている。
上述の全ての可能な治療に伴う問題を考えた場合でも、公平な言い方をすれば、RLSの好ましい効果的な治療は現在は無い。どこでRLSの可能な治療に変更するかの選択は、その可能な知られた治療が重篤な難点も有するということも考えれば、治療にたずさわるあらゆる医師の問題である。最近、医師は、レボドーパを、カルビドーパのようなドーパ・デカルボキシラーゼ阻害剤(DDCI)と組み合わせて、使用しようとしているようだ。多くのRLS患者が、レボドーパに対して良好な応答を示しているものの、作用の比較的短期の持続性および症状の増強が、レボドーパ治療の制限的因子となることが多くの証拠により示されている。レボドーパ治療に伴う増強の問題を考慮すると、RLSのための代替治療の選択肢が、特に重篤なRLS患者において、主たる関心事である。これらの上述に挙げたことに鑑みて、現在明らかに、RLSの効果的な治療への必要性が存在している。
ビュープロピオンは、化合物、1−(3−クロロフェニル)−2−〔(1,1−ジメチル−エチル)アミノ〕−1−プロパノンの一般名である。構造的に、ビュープロピオンは立体異性体で存在している。ビュープロピオンのラセミ体混合物、すなわち(±)−ビュープロピオン、は現在うつ病の治療および禁煙のために、商業的に利用できるようになっている。市販されているビュープロピオンのラセミ体混合物は、塩酸塩として投与される。ウエルブトリン(R)(Wellbutrin(R))というのが、グラクソ・ウエルカム社により製造された抗うつ剤である、ビュープロピオン塩、すなわちビュープロピオン塩酸塩、の商品名である。ビュープロピオン塩酸塩の持続性放出製剤である、ウエルブトリンSR(R)(Wellbutrin SR(R))はまた、うつ病の治療の適応を有している。グラクソ・ウエルカム社は、また、禁煙の適応のための禁煙治療剤として、ビュープロピオン塩酸塩の持続性放出製剤の販売承認を、FDAから得ている。グラクソ・ウエルカム社は、この製品をジバン(R)(Zyban(R))という商品名で販売している。ジバン(R)は、単独でもまたは、ニコチン経皮システム(NTS)と組み合わせても使用できる。さらに、欧州特許出願第84101070.5は、ビュープロピオンのマレイン酸塩がビュープロピオンの塩酸塩より効果が高いことを開示している。
さらに、ビュープロピオンのラセミ体混合物は、以下の症状の治療に使用することが開示されている:エタノールの効果(米国特許第4,393,078);遅発性ジスキネジー(Tardive Dyskinesia)(米国特許第4,425,363);微小脳機能不全(米国特許第4,435,449);前立腺肥大および性機能不全の改善(米国特許第4,835,147);精神刺激剤の中毒症(米国特許第4,935,429);精神的性機能不全(米国特許第4,507,323);および、体重増加(米国特許第4,895,845)。
米国特許第6,280,763には、パーキンソン病の治療のための光学的に純粋な(−)−ビュープロピオンの使用を開示している。米国特許第6,110,973は、肥満および体重増加の治療のための光学的に純粋な(−)−ビュープロピオンの使用を開示している。
本発明は、下肢静止不能症候群の治療のためのビュープロピオンおよびその薬理学的に受容可能な塩の使用についてのものである。
本発明は、有効量のビュープロピオンおよびその薬理学的に受容可能な塩を投与することを含む、下肢静止不能症候群に罹っているまたはそうした症状に感受性のある患者の、下肢静止不能症候群の治療方法を提供する。本発明は、また、下肢静止不能症候群に罹っているまたはそうした症状に感受性のある患者の治療に有用な医薬品を製造するための、ビュープロピオンおよびその薬理学的に受容可能な塩の使用を提供する。
ビュープロピオンは、ビュープロピオンのラセミ体混合物(以下、「(±)−ビュープロピオン」)、その(+)エナンチオマー(以下、「(+)−ビュープロピオン」)、その(−)エナンチオマー(以下、「(−)−ビュープロピオン」)、または(+)エナンチオマーと(−)エナンチオマーのあらゆる割合での混合物、の形態で投与することができる。好ましい実施例では、本発明は、有効量の(±)−ビュープロピオン塩酸塩の投与を含む、下肢静止不能症候群の治療方法を目指している。他の好ましい実施例では、本発明は、有効量の(−)−ビュープロピオンまたはその薬理学的に受容可能な塩の投与を含む、下肢静止不能症候群の治療方法を目指している。
特定の実施例では、ビュープロピオンは、(+)−ビュープロピオンを実質的に含まない(−)−ビュープロピオンを含んだ組成物として投与される。好ましい実施例では、ビュープロピオンは、少なくとも90質量%の(−)−ビュープロピオンと10質量%の(+)−ビュープロピオンを含んだ組成物として投与される。他の好ましい実施例では、ビュープロピオンは、約99質量%の(−)−ビュープロピオンと1質量%以下の(+)−ビュープロピオンを含んだ組成物として投与される。さらに他の好ましい実施例では、ビュープロピオンは、存在するビュープロピオンの総量に基づいて、99質量%を超えるビュープロピオンの(−)−エナンチオマーを含んだ組成物として投与される。
本発明は、有効量のビュープロピオンおよびその薬理学的に受容可能な塩を投与することを含む、下肢静止不能症候群に罹っているまたはそうした症状に感受性のある患者の、下肢静止不能症候群の治療方法を包含する。本発明で使用するために適切なビュープロピオンの薬理学的に受容可能な塩の例には、ビュープロピオンマレイン酸塩およびビュープロピオン塩酸塩が挙げられる。
ビュープロピオンの製造方法は当技術分野で知られている。例えば、ビュープロピオンは、米国特許第3,819,706および3,885,046に記載された方法に従って製造することができる。光学的に純粋なビュープロピオンのエナンチオマーを製造する方法もまた、当分野では知られている。例えば、ビュープロピオンの(−)−エナンチオマーを製造する方法は、米国特許第6,277,887に記載されている。簡略していえば、ビュープロピオンの(−)−異性体の合成は、容易に入手できる3−クロロプロピオフェノン(1)を出発物質としてできる。Castaldi (G.Castaldi等、J.Org.Chem., 1987年, 52巻, 3018頁)に従って、(1)と、酒石酸(+)−ジメチルまたはジエチルのような(2R,3R)−(+)−酒石酸ジアルキルと、メタンスルホン酸のような酸触媒の存在下で反応させることにより、キラルアセタール(2)を与える。Castaldiおよびその共同研究者により開発された上記の方法により、四塩化炭素、または代わりに酢酸エチル中での臭素による立体選択的臭素化反応で、主生成物として対応する臭化アセタールを生成する。この臭化アセタール(3)をカラムクロマトグラフィーで精製して、光学的に純粋な臭化アセタールを得、これは次に酸の存在下で加水分解を受け臭化ケトン(4)を与える。臭化ケトン(4)をtert−ブチルアミンで処理し、次に塩化水素無水物と反応させることで、光学的に純粋な塩化(−)−ビュープロピオン(5)が再結晶後に得られる。
別法として、光学的に純粋なビュープロピオンの異性体は、Musso等(“Synthesis and
Evaluation of the Antidepressant Activity of the Enantiomer of Bupropion”, Chirality, 5巻, 495-500頁 (1993年))が報告した方法に従って、非対称的に製造することができ、この文献は参照によって全体がここに組み込まれる。
Evaluation of the Antidepressant Activity of the Enantiomer of Bupropion”, Chirality, 5巻, 495-500頁 (1993年))が報告した方法に従って、非対称的に製造することができ、この文献は参照によって全体がここに組み込まれる。
上述の方法に加えて、ビュープロピオンの立体異性体は、光学活性分解剤のような、慣用の方法を用いて得ることもできる。例えば、Eliel E. L.,“Stereochemistry of Carbon Compounds”(McGraw-Hill社、ニューヨーク、1962年)、および、Wilen S.H.編集, “Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions”(Univ. of Notre Dame Press、ノートルダム、インジアナ州、1972年)を参照されたい。
いかなる適切な投与経路も、ビュープロピオンの有効量を患者に提供するために採用することができる。例えば、経口、経直腸、非経口、経皮、皮下、経髄膜下、筋肉内等を、必要に応じて用いることができる。本発明の最も好ましい投与経路は経口経路である。単位用量形で、都合よく表され、製薬学の技術分野で周知のいかなる方法でも製造することができる。
本発明のビュープロピオンの剤形には、錠剤、被覆錠剤、カッシェ剤、カプセル剤、トローチ剤、分散剤、持続放出製剤、懸濁剤、溶液剤、パッチ剤等が挙げられる。
本発明の剤形は、ビュープロピオン剤を製造するための公知の適切な方法で製造できる。一般に、ビュープロピオンは、活性成分として、慣用の製剤学的配合技術により、製剤担体と緊密な混合物として組み合わせることができる。担体は、投与で所望の製造物の形態、例えば経口または非経口(静脈内注射または輸液を含む)に従って、非常に多種類の形態をとることができる。経口投与剤形のための組合せ剤を製造するために、どのような通常製剤学で用いられる媒体を使用してもよく、それは例えば、水、グリコール、油脂、アルコール、矯味芳香剤、保存剤、発色剤等であり、液体製剤の場合は例えば懸濁液、エキシール剤および溶液であり;またはエアゾール剤;または、デンプン、糖、微結晶セルロース、安定剤、希釈剤、顆粒化剤、潤滑剤、結合剤、充填剤、崩壊剤等のような担体であり、経口固体製剤の場合は、粉剤、カプセル剤および錠剤であって、固形の経口製剤は、液体製剤より好まれる。好ましい固形の経口製剤は錠剤である。錠剤は、場合によっては1個またはそれ以上の付随する成分と共に、圧縮または成型によって製造される。圧縮化錠剤は、粉末または顆粒のような自由流動性のある活性成分を、場合によっては、結合剤、充填剤、潤滑剤、不活性希釈剤、および/または界面活性剤または拡散剤と共に、適切な機械で成型することにより製造することができる。必要な場合は、錠剤は標準的な水性または非水性技術によって被覆することができる。好ましくは、それぞれの錠剤は約10mg〜約250mgの活性成分を含んでおり、および、それぞれのカシェ剤またはカプセル剤は約10mg〜約250mgの活性成分を含んでいる。最も好ましくは、錠剤、カシェ剤、またはカプセル剤は4つの用量;約50mg、約75mg、約100mg、および約150mgのいずれかを含有している。
上述の通常の用量の他に、本発明の化合物は、また、制御型放出または持続型放出手段、および/または、米国特許第3,845,770;3,916,899;3,536,809;3,598,123;3,630,200;4,008,719;4,687,660および4,769,027;5,427,798;6,210,716に記載されているようなデリバリー器具で投与することもできる。
RLSを治療するためのビュープロピオンの有効量は、治療行為を行っている医師が知っている種々の因子、例えば、治療されている症状の重症度、投与経路、製剤および投与形態、用いるビュープロピオンの物理的性質、ならびに個々の患者の年齢、体重および応答性に依存して変更されるであろう。一般に、推奨される一日用量は、一日当たり約10mgから約750mgの範囲に入り、通常は一日当たり3ないし4回分の投与量に均等に分けられる。典型的には、一日投与量は、一日当たり50mgから600mgの間であり、通常、一日投与量を3ないし4回分に均等に分けている。より典型的には、一日投与量は、一日当たり60mgから450mgの間であり、通常、一日投与量を3ないし4回分に均等に分けている。ある場合は、それらの範囲の外の用量を用いることが必要になろう。医師は、患者の応答性を基にして、増量したり、減量したり、または治療を中断する方法を知っているだろう。
上記の本発明の実施態様は、単に例示のためであり、当業者は、ここで記載されている特定の方法には、多くの均等方法があることを、認識、または平常の試行錯誤の範囲内で確認できる。そうした全ての均等物は、本発明の範囲の内であり、請求の範囲でカバーされている。
定義
ここで用いられている「ビュープロピオン」という用語は、ビュープロピオンのラセミ体混合物(以下、「(±)−ビュープロピオン」)、その(+)エナンチオマー(以下、「(+)−ビュープロピオン」)、その(−)エナンチオマー(以下、「(−)−ビュープロピオン」)、または(+)エナンチオマーと(−)エナンチオマーのあらゆる割合での混合物を意味している。
ここで用いられている「ビュープロピオン」という用語は、ビュープロピオンのラセミ体混合物(以下、「(±)−ビュープロピオン」)、その(+)エナンチオマー(以下、「(+)−ビュープロピオン」)、その(−)エナンチオマー(以下、「(−)−ビュープロピオン」)、または(+)エナンチオマーと(−)エナンチオマーのあらゆる割合での混合物を意味している。
ここで用いられている「下肢静止不能症候群の治療」という用語は、下肢静止不能症候群の全ての症状からの回復、緩和、または頻度もしくは重症度もしくはその両方の減少を意味している。
ここで用いられている「(−)−ビュープロピオン」という用語は、ビュープロピオン
の光学的に純粋な(−)−エナンチオマー、または、実質的に(+)−エナンチオマーを含まないビュープロピオンの組成物を意味する。
の光学的に純粋な(−)−エナンチオマー、または、実質的に(+)−エナンチオマーを含まないビュープロピオンの組成物を意味する。
ここで用いられている「実質的に(+)−エナンチオマーを含まない」という用語は、ビュープロピオンの(+)−エナンチオマーに対して相対的に多くの割合でビュープロピオンの(−)−エナンチオマーを含んでいる組成物を意味する。これらのパーセンテージは、組成物中に存在するビュープロピオンの総量に基づいている。
ここで用いられているビュープロピオンまたはその製薬学的に受容可能な塩の「有効量」とは、患者の下肢静止不能症候群の治療に十分な、患者に投与するビュープロピオンまたはその製薬学的に受容可能な塩の量を意味する。
実施例
以下の実施例で、本発明の組成物の製造を説明する。当業者には、材料および方法の両方で多くの修正が、本発明の目的および利益から離脱することなく、できることは明らかであろう。
全ての温度は、摂氏で示される。
以下の実施例で、本発明の組成物の製造を説明する。当業者には、材料および方法の両方で多くの修正が、本発明の目的および利益から離脱することなく、できることは明らかであろう。
全ての温度は、摂氏で示される。
実施例1
経口製剤(被覆錠剤)
製剤 錠剤当たりの量(mg)
ビュープロピオン 75
乳糖 125
コーンスターチ 5.0
水(1000錠当たり) 30.0mL*
ステアリン酸マグネシウム 0.5
コーンスターチ 25.0
* 水は製造中に蒸発する。
経口製剤(被覆錠剤)
製剤 錠剤当たりの量(mg)
ビュープロピオン 75
乳糖 125
コーンスターチ 5.0
水(1000錠当たり) 30.0mL*
ステアリン酸マグネシウム 0.5
コーンスターチ 25.0
* 水は製造中に蒸発する。
活性成分を、乳糖と混合し、均一な混合物を形成する。少ないほうの量のコーンスターチを適切な量の水と混合し、コンースターチペーストを得る。次に、この均一な混合物と混合し、均一な湿潤塊が形成される。得られた湿潤塊に残ったコーンスターチを加え、均一な顆粒が得られるまで混合する。次に、この顆粒を、適切な粉砕機で、1/4インチのステンレス鋼スクリーンを用いて、ふるいにかける。粉砕された顆粒を次に適切な乾燥オーブンで、所望の水分量のものが得られるまで乾燥する。乾燥した顆粒を次に適切な粉砕機で、1/4インチのステンレス鋼スクリーンを用いて、ふるいにかける。次いで、ステアリン酸マグネシウムを混合し、得られた混合物を圧縮して、所望の形状、厚味、硬度、および崩壊性を有する錠剤を得る。錠剤は、標準的な水性または非水性技術によって被覆される。
実施例2
経口製剤(カプセル剤)
カプセル剤1mg当たりの量
剤形 A B C
ビュープロピオン 25 50 75
乳糖 149.5 124.5 374
コーンスターチ 25 25 50
ステアリン酸マグネシウム 0.5 0.5 1.0
圧縮重量 200.0 200.0 500.0
経口製剤(カプセル剤)
カプセル剤1mg当たりの量
剤形 A B C
ビュープロピオン 25 50 75
乳糖 149.5 124.5 374
コーンスターチ 25 25 50
ステアリン酸マグネシウム 0.5 0.5 1.0
圧縮重量 200.0 200.0 500.0
活性成分のビュープロピオン、乳糖、およびコーンスターチを混合し、均一にした。次に、ステアリン酸マグネシウムを混合し、粉末を得た。得られた混合物を、適切な大きさの二区分型(two−piece)硬ゼラチンカプセルに封入する。
実施例3
持続性放出型経口製剤(錠剤)
製剤 錠剤当たりの量(mg)
ビュープロピオン塩酸塩 100
コントラアミド架橋アミロース 98.8
システイン塩酸塩 7.5
ステアリン酸マグネシウム 0.5
コーンスターチ 1.2
持続性放出型経口製剤(錠剤)
製剤 錠剤当たりの量(mg)
ビュープロピオン塩酸塩 100
コントラアミド架橋アミロース 98.8
システイン塩酸塩 7.5
ステアリン酸マグネシウム 0.5
コーンスターチ 1.2
ビュープロピオン塩酸塩は、コントラミド(R)(Contramid(R))(Labopharm,Inc.、ケベック)技術により製剤化した。製剤は、上記の(乾燥)成分を混合し、錠剤に圧縮成型することで製造した。別法として、成分は、当該技術分野で周知の湿式顆粒法を用いて製造できる(実施例1、参照)。
実施例4
持続性放出型経口製剤(錠剤)
製剤 錠剤当たりの量(mg)
コントラアミド.RTM.架橋アミロース 98.8
システイン塩酸塩 7.5
(−)−ビュープロピオン塩酸塩 75
ステアリン酸マグネシウム 1.2
持続性放出型経口製剤(錠剤)
製剤 錠剤当たりの量(mg)
コントラアミド.RTM.架橋アミロース 98.8
システイン塩酸塩 7.5
(−)−ビュープロピオン塩酸塩 75
ステアリン酸マグネシウム 1.2
(−)−ビュープロピオン塩酸塩は、コントラミド(R)(Contramid(R))(Labopharm,Inc.、ケベック)技術により製剤化した。製剤は、上記の(乾燥)成分を混合し、錠剤に圧縮成型することで製造した。別法として、成分は、当該技術分野で周知の湿式顆粒法を用いて製造できる(実施例1、参照)。
本発明の上記の実施態様は、単に例示のためであり、当業者は、ここで記載されている特定の方法には、多くの均等方法があることを、認識、または平常の試行錯誤の範囲内で確認できる。そうした全ての均等物は、本発明の範囲の内であり、以下の請求の範囲でカバーされている。
ここで記載された全ての参照文献の内容は、参照によりここに組み込まれる。
Claims (16)
- ビュープロピオンまたは製薬学的に受容可能なその塩の、患者における下肢静止不能症候群の治療用医薬品の製造のための使用。
- 化合物が(±)−ビュープロピオン塩酸塩である、請求項1の使用。
- 化合物が(±)−ビュープロピオンマレイン塩である、請求項1の使用。
- 化合物が(−)−ビュープロピオンまたは製薬学的に受容可能なその塩である、請求項1の使用。
- 化合物が、静脈内、経皮、または経口により投与される、請求項1〜4のいずれかの化合物の使用。
- ビュープロピオンが、錠剤、カシェ剤、カプセル剤、トローチ剤、分散剤、懸濁剤または溶液の形態で投与される、請求項1〜4のいずれかの化合物の使用。
- ビュープロピオンが経口投与される、請求項5の使用。
- 投与量が、約10mgから約750mgである、請求項1〜7のいずれかの使用。
- 投与量が、約50mgから約600mgである、請求項1〜7のいずれかの使用。
- 投与量が、約60mgから約450mgである、請求項1〜7のいずれかの使用。
- 化合物が塩酸塩として投与される、請求項1〜7のいずれかの使用。
- ビュープロピオンが、持続型または制御型放出剤形で投与される、請求項1〜7のいずれかの使用。
- ビュープロピオンの製薬学的に受容可能な塩が、(±)−ビュープロピオンの塩酸塩またはマレイン塩である、請求項1の使用。
- (−)−ビュープロピオンまたは製薬学的に受容可能なその塩の用量が、ビュープロピオンの総量の約90質量%を超える、請求項4の使用。
- (−)−ビュープロピオンまたは製薬学的に受容可能なその塩の用量が、実質的に(+)−立体異性体を含まず、製薬学的に受容可能な担体と一緒に投与される、請求項14の使用。
- ヒト下肢静止不能症候群の治療において、ビュープロピオンは静脈内、経皮、または経口により投与され、また、ビュープロピオンは錠剤、カシェ剤、カプセル剤、トローチ剤、分散剤、懸濁剤または溶液の形態で投与される、治療を必要としている該疾患患者に、有効量のビュープロピオンまたは製薬学的に受容可能なその塩を投与し、該患者における下肢静止不能症候群を治療する方法。
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