JP2005537723A - ダイレクトコンバージョン受信機 - Google Patents

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Abstract

ダイレクトコンバージョン受信機は、混合信号を生成するため局部発振(LO)信号と受信したRF信号を混合する。局部発振信号はまた、直交信号を生成するためにおよそ90°移相される。ミキサはベースバンド出力信号を生成するために前記混合信号と前記直交信号との乗算信号を形成する。

Description

本発明はダイレクトコンバージョン受信機に関し、より詳しくはDCオフセット成分を軽減するダイレクトコンバージョン受信機アーキテクチャに関する。
従来のラジオ受信機は一般的にスーパーヘテロダイン・アーキテクチャを採用している。そのようなアーキテクチャでは、受信機は受信したRF信号を中間周波数(IF)にダウンコンバートする。更なる処理を経て、IF信号はベースバンド信号へ変換される。一方、ダイレクトコンバージョン受信機は受信したRF信号をたった1回の処理でベースバンドに変換する。なぜならダイレクトコンバージョン受信機はRF信号を中間周波数に変換しないからであり、それらは”ゼロIF”受信機としても知られる。受信機の各処理段階は必然的に雑音を生成し多くのコンポーネントを必要とするとすれば、相当の努力がダイレクトコンバージョン受信機の設計に注がれている。
ダイレクトコンバージョン受信機の魅力に富むS/N、及び生産上の利点にも関わらず、局部発振(LO)の自己混合(self-mixing)から発生するDCオフセットの問題、LOの低雑音増幅器(LNA)への漏れ、偶数次の歪み、及びAM信号を妨害する包路線検波のために、無線端末のようなほとんどの活用はスーパーヘテロダイン受信方式を使い続けている。また、重要な問題はLOの1/fノイズ、相互混合(reciprocal mixing)、及びLOのスプリアス信号から発生する。
LOの自己混合はダイレクトコンバージョン受信機に次のように発生する。ミキサは1つの端子に搬送周波数で受信したRF信号を受信し、他方の端子にも搬送周波数かそれに近い周波数のLO信号を受信する。この局部発振信号は一般的に受信したRF信号よりも非常に大きな電力であり、不可避的反動的にRF端子に伝わる。このようにして自己混合する。この自己混合の過程において、LO信号のような正弦波は調和して、DCオフセット成分を生成する。そのようなベースバンドのDCオフセット成分は、特に現代デジタル通信システムに共通の高速処理においてデジタル信号の復調を妨害する。
従って、DCオフセットの問題を軽減するダイレクトコンバージョン受信機を改良する技術が必要である。
本発明の第1の態様に従って、ダイレクトコンバージョン受信機は局部発振信号を提供する発振器を含む。移相器はLO信号を受信して前記LO信号と実質的に90°の位相差を有する位相信号を提供するために形成される。受信機はLO信号と入力RF信号とを混合し、ミキサの第1入力端子に混合信号を提供する。ミキサは位相信号を受信するための第2の端子を含み、第1の入力端子及び第2の入力端子へ入力される信号の乗算信号(product)であるベースバンド出力信号を提供する。
本発明の他の態様に従って、RF信号を直接ダウンコンバートする方法を提供する。この方法では、前記RF信号は混合信号を生成するためにLO信号と混合される。前記LO信号はまた、直交信号を提供するために実質的に90°移相される。前記直交信号と前記混合信号はベースバンド出力信号を生成するため互いに掛け合わされる。
本発明は添付した図面と一体である以下の詳細な説明を考慮したときに、より完全に理解されるであろう。
図1はミキサ20からのベースバンド信号出力15のDCオフセット成分を軽減するダイレクトコンバージョン受信機10のブロック図である。ミキサ20は両側波帯及び側波帯のいずれかでよく、そのベースバンド信号出力は、そのRF入力端子21及び局部発振(LO)入力端子22の入力との乗算信号を表す。ダイレクトコンバージョン受信機10は、ミキサ20のRF入力端子21へ接続される搬送周波数の入力RF信号25を受信する。入力RF信号25はアンテナ(図示されていない)で受信され、ミキサ20に接続される前に、ダイレクトコンバージョン受信機先行技術において慣習的に行われるようにフィルタ及び低雑音増幅器による処理を経てもよい。ダイレクトコンバージョン受信機10は信号源30を含み、これは電圧制御発振器(VCO)又は適切なLO出力の似たような発振器であってよい。例えば、これは正弦波出力35であってよい。LO出力のタイプは入力RF信号25に含まれる特殊な変調に依存するであろうことは当業者に認識されるであろう。正弦波出力45及び入力RF信号25は、ミキサ20のRF入力に接続する前にRF結合器40を通して混合される。RF結合器40の設計は、入力RF信号25及び正弦波出力35を伝搬するために選定された導波管のタイプ(ストリップ線路、同軸ケーブル、又はマイクロストリップのような)に依存し、当業者に良く知られている。言い換えると、用いられる導波管のタイプは搬送周波数、信号電力値、空間関係、及び他の良く知られた設計上の選択に依存する。
RF入力端子21への接続に加えて、正弦波出力35はRF結合器55へも接続される。RF結合器55の代わりに信号分配器を使用してもよいことは認識されるであろう。正弦波出力35はこのRF結合器55を通って移相器45へ接続される。移相器45は、ミキサ20のLO入力端子22へ直交局部発振信号50を提供するために、正弦波出力35を90°移相するよう設定される。移相器45は個別部品として示されているが、ミキサ20と一体であってよい。そのような設計は、直交局部発振信号50がRF入力端子21へ伝わりこれにより自己混合をしてベースバンド信号出力15における不要なDCオフセット成分を生成する機会を最小化する。もう1つの方法として、直交局部発振信号50がRF入力端子21へ放出的に又は反動的に伝達するのを最小化するため、移相器45をミキサ20のLO入力端子22にできるだけ近くに配置すればよい。
有利なことに、源信号35及び直交局部発振信号50は、以下の数学的算出により表されるベースバンド信号出力15にDCオフセット成分を生成しない。RF端子21への入力をf(t)と、LO入力端子22への入力をf(t)と、ベースバンド信号出力15をf(t)とすると、
(t)=(mf(t))*(nf(t))となり、
ここで、m,n=...,−2,−1,0,1,2,...であり、
以下の算出においては、簡単にするためにm=n=1だと仮定するが、異なる値をとっても類似する結果となる。搬送周波数をωRFと、キャリア位相をψRFとし、入力RF信号25が、fRF(t)=Acos(ωRFt+ψRF)で表され、正弦波出力35が、Bcos(ωLOt)で表されるなら、
(t)=Acos(ωRFt+ψRF)+Bcos(ωLOt)
となる。
正弦波出力35が上記のように与えられるとすれば、直交局部発振信号は、理想的には、Bsin(ωLOt)として表される。しかし、位相誤差及び、振幅損失又は利得を考慮するため、移相器45により提供される位相をψとすると、直交局部発振信号はCcos(ωLOt−ψ)により表される。直交誤差項をεとし、ψ=90°−εとしてこれらの式を考えると、f(t)は、DCオフセット項、2倍周波数項、DC周波数オフセット項、及び2倍周波数オフセット・プラス・オフセット項の合計として表されることとなる。
DCオフセット項
(t)=(AB/2)(cos(ε−90°))
2倍周波数項
+(AB/2)cos(2ωLOt+90°−ε))
周波数オフセット項
+(BC/2)cos((ωRF−ωLO)t+ψRF−90°+ε
2倍周波数プラス・オフセット項
+(BC/2)cos(2(ωRF+ωLO)t+ψRF+90°+ε
2倍周波数(高周波数)項は容易にフィルタされ、又は他の方法で除去される。仮に移相器45が直交誤差項をゼロ若しくは非常に小さく保つように形成されているならば、DCオフセット項はゼロ若しくは非常に小さなものである。これは周波数オフセット項だけを残し、この項はωRFとωLO間の差だけDCから周波数オフセットしたダウンコンバートされた入力RF信号を表す。そして受信機10からのベースバンド信号出力は、(BC/2)cos((ωRF−ωLO)t+ψRF−90°+ε)として表されうる。
前記DCオフセット項は、直交誤差項がゼロ若しくは非常に小さいものであるときにだけ軽減される。仮にε−90°<−90°である場合、前記DCオフセット項はマイナスになることに注意されたい。逆にε−90°>−90°である場合、前記DCオフセット項はプラスになる。図2において、この特性は位相フィードバックループ60が移相器45を制御する指令を送り、直交誤差項εを十分に小さく保ち、ベースバンド信号出力15におけるDCオフセット成分を軽減する。例えば、位相フィードバックループ60はオンオフ制御ループを形成してよく、仮にDCオフセット成分がプラスであれば移相器45が追加の所定の遅延量、例えば1°位相を遅らせて直交局部発振信号を調整する。逆に、仮にDCオフセット成分がマイナスであれば移相器45は追加の所定の量、例えば1°位相を進めて直交局部発振信号を調整する。所定の位相量を使用する方法よりも、位相量が予定されないような適応性のある制御方法又はファジー制御方法を使用してもよい。図2に示したダイレクトコンバージョン受信機100には、信号源30は電圧制御発振器(VCO)65によって表されている。
ベースバンド信号出力15はアナログ信号なので,位相制御ループ60をアナログドメインで実行してよい。もう1つの方法として、ベースバンド信号出力15をデジタル化して、位相制御ループ60をデジタルドメインで実行してもよい。図3において、ダイレクトコンバージョン受信機110は、ベースバンド信号出力15をデジタル化するアナログ−デジタル・コンバーター70を含む。デジタル信号プロセッサ80は、デジタル化されたベースバンド信号出力15を受信し(低域通過フィルタ又は2倍周波数成分を除去する帯域通過フィルタは図示されていないことに注意されたい)、DC周波数オフセット項及びDCオフセット項を検波するために離散フーリエ変換(DFT)を行う。DTFのサンプリング周波数は、エイリアシングを生じずにDC周波数オフセット項を検波するのに適した大きさのDFTウィンドウをかけるために選択されればよい。適切なサンプリング周波数は、搬送周波数ωRFと正弦波出力/局部発振周波数ωLOの間の差に依存する。例えば、PCS(Personal Communication Services)のアプリケーションではωRFは1.8GHzでありえ、この場合ωLOはωRFマイナス・オフセット(20MHzのような)にセットされうる。そしてDTFウィンドウをおよそ25MHzに設定することができる。DC周波数オフセット成分の検波に加えて、前記DFTをDCオフセット項の大きさ及び相(プラス又はマイナス)を検波するために用いることもできる。そして、検波したDCオフセット項を前述したように移相器45を調整する位相制御ループ60に用いてよい。
ここに開示したダイレクトコンバージョン受信機は、I/Q変調通信システムの同相(I)アーム(arm)および直交(Q)アーム双方に実施されてもよいことに注意されたい。通信システムのIアームとQアーム間の利得及び不整合が復調信号にイメージ及び他の不要な副産物を生成することは良く知られている。従って、ダイレクトコンバージョン受信機120はデジタル制御された減衰器72を含み、直交局部発振信号50の振幅を調整してこれらイメージを最小化する。図4において、減衰器72の代わりにデジタル制御された増幅器75を用いてダイレクトコンバージョン受信機120を形成してもよい。増幅器75はプラス又はマイナス利得の一方を有すればよく、必要に応じて直交局部発振信号50の振幅に作用すればよい。代わりに、図5のダイレクトコンバージョン受信機に示すようにデジタル制御された増幅器75を配置してRF出力35を調整してもよい。更に代わりとして、図5のダイレクトコンバージョン受信機150に示すようにデジタル制御された増幅器75により両信号を調整してもよい。
従って、本発明は特定の実施態様について説明されたが、この説明は本発明の適用の一例であるだけであってこれに限定されるものではない。その結果、本発明の範囲は特許請求の範囲に記載される。
本発明の一実施態様によるダイレクトコンバージョン受信機のブロック図である。 本発明の一実施態様による移相器のフィードバック制御を含むダイレクトコンバージョン受信機のブロック図である。 本発明の一実施態様によるミキサの局部発振パスに可変減衰器を含むダイレクトコンバージョン受信機のブロック図である。 本発明の一実施態様によるミキサの局部発振パスに可変増幅器を含むダイレクトコンバージョン受信機のブロック図である。 本発明の一実施態様によるミキサのRFパスに可変増幅器を含むダイレクトコンバージョン受信機のブロック図である。 本発明の一実施態様によるミキサのRFパス及びLOパス双方に可変増幅器を含むダイレクトコンバージョン受信機のブロック図である。

Claims (14)

  1. ダイレクトコンバージョン受信機であって、
    局部発振(LO)信号を提供する発振器と、
    前記LO信号を受信して前記LO信号と実質的に90°の位相差を有する位相信号を提供する移相器と、
    前記LO信号及びRF信号の双方を受信する第1の入力端子、及び前記位相信号を受信する第2の端子を有し、前記第1及び第2の入力端子へ入力される信号との乗算信号(product)であるベースバンド出力信号を提供するミキサとを有することを特徴とするダイレクトコンバージョン受信機。
  2. 前記移相器が前記ミキサと一体化されていることを特徴とする請求項1に記載のダイレクトコンバージョン受信機。
  3. 前記LO信号が正弦波であることを特徴とする請求項1に記載のダイレクトコンバージョン受信機。
  4. 前記ベースバンド出力信号のDCオフセット成分を検波し、且つ検波した前記DCオフセット成分を最小化するために、前記位相信号の位相量を調整する前記移相器を制御するコントローラを更に有することを特徴とする請求項1に記載のダイレクトコンバージョン受信機。
  5. 前記コントローラが、検波した前記DCオフセット成分がマイナスのときに、前記移相器に前記位相信号の相を第1の量だけ進める指令を出し、検波した前記DCオフセット成分がプラスのときに、前記移相器に前記位相信号の相を第2の量だけ遅らせる指令を出すことを特徴とする請求項5に記載のダイレクトコンバージョン受信機。
  6. 前記第1及び第2の量が所定のものであることを特徴とする請求項5に記載のダイレクトコンバージョン受信機。
  7. 前記第1及び第2の量が適応性のあるものであることを特徴とする請求項5に記載のダイレクトコンバージョン受信機。
  8. 前記ベースバンド出力信号をデジタル化するためのアナログ−デジタル変換器と、
    ダウンコンバートされたRF信号を、前記RF信号及びLO信号との周波数の前記差によって測定される離散周波数で検波することができ、且つデジタル化された前記ベースバンド出力信号を処理するデジタル信号プロセッサとを更に有することを特徴とする請求項1に記載のダイレクトコンバージョン受信機。
  9. 前記デジタル信号プロセッサによりデジタル制御され、且つ前記移相器へ提供された前記LO信号の利得を調整する第1の増幅器を更に有することを特徴とする請求項8に記載のダイレクトコンバージョン受信機。
  10. 前記デジタル信号プロセッサによりデジタル制御され、且つ前記ミキサの前記第1の入力へ提供されたLO信号の利得を調整する第2の増幅器を更に有することを特徴とする請求項8に記載のダイレクトコンバージョン受信機。
  11. RF信号を直接ダウンコンバートする方法であって、
    (a)位相信号を生成するために局部発振信号(LO)を実質的に90°移相する過程と、
    混合信号を生成するために前記RF信号及びLO信号とを混合する過程と、
    ベースバンド信号出力を生成するために前記混合信号及び前記位相信号との乗算信号を形成する過程とを有することを特徴とする方法。
  12. 前記ベースバンド信号出力のDCオフセットを検波する過程と、
    検波した前記DCオフセットを最小化するために、過程(a)によって生成された前記位相信号の位相量を調整する過程とを更に有することを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 前記ベースバンド信号出力をデジタル化する過程と、
    (b)ダウンコンバートされたRF信号を検波するために、デジタル化された前記ベースバンド信号出力を処理する過程とを更に有することを特徴とする請求項11に記載の方法。
  14. (b)の過程が、デジタル化された前記ベースバンド信号を離散フーリエ変換する過程を含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
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