JP2005536200A - プロテアーゼ阻害剤に対する病原性ウイルスの感受性を決定するための組成物および方法 - Google Patents

プロテアーゼ阻害剤に対する病原性ウイルスの感受性を決定するための組成物および方法 Download PDF

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Abstract

この発明は、表現型臨床的カットオフにより導かれる表現型と遺伝子型のデータ対の包括的解析に基づき抗ウイルス剤の有効性を決定するアルゴリズムを開発する方法を提供する。一態様において、アルゴリズムは、有効な治療を患者に施すことを可能にする。それは、感染個体が抗ウイルス化合物による治療に反応するか否かを予測するのに役立ち、それにより、患者が無用な副作用を受けることがないように有効な治療法をデザインすることが可能になる。また、効果のない薬剤の投与を回避することにより、時間と資金がかなり節約される。

Description

1.発明の分野
本発明は、抗ウイルス化合物に対する病原性ウイルスの感受性を決定するための組成物および方法に関する。組成物および方法は、ウイルス感染症の治療に有効な薬剤療法の確認ならびに治療化合物候補の生物学的有効性の確認および決定に有用である。
2. 発明の背景
1980年代初期以来、6000万人を超える人々が、後天性免疫不全症候群(「AIDS」)の原因因子であるヒト免疫不全ウイルス(「HIV」)に感染している。Lucas, 2002, Lepr Rev. 73 (1):64-71を参照されたい。HIV/AIDSは、現在、サハラ以南のアフリカで第1位の死亡原因であり、世界で第4位の死亡原因である。2001年末には、全世界で推定4000万人の人々がHIVに感染して生存していた。Norris, 2002, Radiol Technol. 73(4):339-363を参照されたい。
現代の抗HIV剤は、HIV生活環のさまざまな時期ならびにHIVの複製および/または生存に不可欠なさまざまな酵素を標的にする。AIDS治療用としてこれまでに承認を受けた薬剤の中には、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、たとえば、AZT、ddI、ddC、d4T、3TC、アバカビル、ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤、たとえば、テノフォビル、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、たとえば、ネビラピン、エファビレンツ、デラビルジン、ならびにプロテアーゼ阻害剤、たとえば、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、およびロピナビルがある。
抗ウイルス剤の作用の結果の1つは、薬剤耐性突然変異体を選択するために十分な選択圧をウイルス複製に加えうるということである(Herrmann et al., 1977, Ann NY Acad Sci 284:632-637)。薬剤への暴露が増大するにつれて、複製ウイルス集団に加わる選択圧が増大し、薬剤耐性突然変異体のより急速な出現が促進される。
回避不能な薬剤耐性の出現に伴い、耐性ウイルス集団に対抗して治療を最適化するよう戦略を立てなければならなくなる。薬剤耐性が、薬剤が効かない一因になっているか否かを確認することは困難である。なぜなら、薬剤耐性を生じる可能性のある患者は、予後不良の素因となる他の因子を有する可能性もあるからである(Richman, 1994, AIDS Res Hum Retroviruses 10:901-905)。さらに、各患者は、典型的には、ウイルスの突然変異株と、抗ウイルス剤に対して異なる感受性を有する、異なる突然変異株とのさまざまな混合物を保有する。
抗ウイルス剤耐性の評価に利用可能な伝統的なツールでは不十分である;抗ウイルス剤に対するHIVの耐性を決定する古典的試験は複雑であり、時間がかかり、高価であり、有害な可能性があり、しかも所与の患者の治療に合わせて個別に調整されるものでもない。Barre-Sinoussi et al., 1983, Science 220:868-871; Popovic et al., 1984, Science 224:497-500)およびその変形例(たとえば、Goedert et al., 1987, JAMA 257:331-334; Allain et al., 1987, N. Engl. J. Med. 317:1114-1121; Piatak et al., 1993, Science 259:1749-1754; Urdea, 1993, Clin. Chem. 39:725-726; Kellam and Larder, 1994, Antimicrobial Agents and Chemo. 38:23-30参照)を参照されたい。
2つの一般的な方法が、現在、抗ウイルス剤に対する耐性を測定するために使用されている。表現型試験と呼ばれる第1の方法では、特定の抗ウイルス剤に対する感染者のウイルスから採取されたウイルスの感受性を直接測定する。Petropoulos et al., 2000, Antimicrob. Agents Chemother. 44:920-928およびHertogs et al., 1998, Antimicrob Agents CHEMOTHER 42 (2):269-76には、現在広く使用されている表現型アッセイの説明が提供されている。Gunthard et al., 1998, AIDS Res Hum Retroviruses 14:869-76およびSchuurman et al., 1999, J Clin Microbiol. 37:2291-96には、現在普及している遺伝子型アッセイが論述されている。Hirsch et al., 2000, JAMA 283:2417-26には、薬剤感受性を試験するための現在利用可能なアッセイの一般的な解析が提供されている。
遺伝子型試験と呼ばれる第2の方法では、薬剤感受性に影響を及ぼし特異的遺伝子突然変異を薬剤耐性および薬剤無効に関連づけることのできるウイルス中の突然変異を検出する。遺伝子型試験では、患者から採取されたウイルスを検査して、特定の薬剤に対する耐性に関連する特異的遺伝子突然変異が存在するか否かを調べる。遺伝子型試験は、表現型試験よりも優れたいくつかの利点を有する。最も顕著な点は、比較的単純なことと試験を実施しうる速さである。数日間程度の短い期間で試験を終了させることが可能であり、それほど複雑ではないため、安価である。しかしながら、遺伝子型データの解釈は、特異的突然変異と薬剤感受性の変化との関係についての予備知識に依存する。
感受性低下に関連する遺伝子型を用いて抗ウイルス剤(とくに、進化し続けるHIVを標的とした薬剤)の有効性を予測するこれまでの努力は、ひいき目にみても不完全である。所与の抗ウイルス剤または薬剤の組合せが所与の患者を治療するのに有効であるかをより正確に予測することのできるアルゴリズムがあれば、患者に投与する前に見込みのない薬剤を同定することにより、時間と資金が節約されるであろう。より重要な点として、HIV感染症に関して改善が得られない強力な毒素による治療に伴う傷害を取り除くことにより、患者の生活の質が改善されるであろう。したがって、特定の薬剤が特定の患者を治療するのに有効であるかを予測するより正確なアルゴリズムに対する緊急の必要性が存在する。さらに、遺伝子型に基づくアッセイは、表現型アッセイよりも迅速で、費用対効果がありうる。
3.発明の概要
本発明は、抗ウイルス療法または併用療法の有効性を決定するためのアルゴリズムを開発し使用するための方法および組成物を提供する。アルゴリズムは、表現型臨床カットオフ(治療耐性が現れて感受性が失われる点)による制御下で行われる表現型と遺伝子型のデータ対の解析に基づく。アルゴリズムは、所与の抗ウイルス剤が患者を治療するのに有効であるかを正確に予測することにより、患者の生活の質を有意に改善する。それにより、HIV感染症の改善が得られない強力な毒素による治療に伴う傷害が回避される。
一態様において、本発明は、抗ウイルス治療に対するウイルスの感受性を決定する方法を提供する。この方法は、ウイルスゲノムまたはウイルス酵素において、抗ウイルス治療に対する高感受性に関連する突然変異の存在または不存在を検出することを含む。
他の態様において、本発明は、ウイルスに感染した個体の抗ウイルス治療の有効性を決定する方法を提供する。この方法は、該個体から得たサンプルにおいて、抗ウイルス治療に対する高感受性に関連する突然変異の存在または不存在を検出することを含む。
本発明はまた、同一のまたは異なる抗ウイルス治療の有効性を上述したように決定することにより、抗ウイルス治療を受けている個体におけるウイルス感染の臨床進行をモニターする方法を提供する。
一実施形態では、本発明は、プロテアーゼ阻害剤に対する高感受性に関連するヒト免疫不全ウイルス(「HIV」)のプロテアーゼ中に突然変異を含む核酸およびポリペプチドを提供する。プロテアーゼ阻害剤の例としては、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、およびロピナビルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
他の態様において、本発明は、HIVがプロテアーゼ阻害剤による治療に対して高感受性である可能性が高くなっているか否かを決定する方法であって、該HIVによりコードされるプロテアーゼが、該プロテアーゼ阻害剤による治療に対する高感受性に関連する突然変異の存在または不存在を、該プロテアーゼのアミノ酸配列のアミノ酸位置16,20,33,36,37,39,45,65,69,77,89または93に呈するか否かを検出することを含み、該突然変異の存在により、該HIVは該プロテアーゼ阻害剤による治療に対して高感受性である可能性が高くなっていることが示唆されるが、但し、該突然変異はL33Fでないものとする、上記方法を提供する。
他の態様において、本発明は、HIVに感染した個体がプロテアーゼ阻害剤による治療に対して高感受性である可能性が高くなっているか否かを決定する方法であって、該個体に由来するサンプルにおいて、該プロテアーゼ阻害剤による治療に対する高感受性に関連する突然変異の存在または不存在を、該HIVのプロテアーゼのアミノ酸配列のアミノ酸位置16,20,33,36,37,39,45,65,69,77,89または93で検出することを含み、該突然変異の存在により、該個体は該プロテアーゼ阻害剤による治療に対して高感受性である可能性が高くなっていることが示唆されるが、但し、該突然変異はL33Fでないものとする、上記方法を提供する。
他の好ましい実施形態では、ヒト免疫不全ウイルスはヒト免疫不全ウイルス1型(「HIV-1」)である。
他の態様において、本発明は、HIVプロテアーゼの一部分をコードする約10〜約40塩基長のオリゴヌクレオチドであって、該HIVプロテアーゼが、該ヒト免疫不全ウイルス中の該プロテアーゼのアミノ酸配列のアミノ酸位置16,20,33,36,37,39,45,65,69,77,89または93に突然変異を含み、該突然変異はプロテアーゼ阻害剤に対する高感受性に関連するが、但し、該突然変異はL33Fでないものとする、上記オリゴヌクレオチドを提供する。
他の実施形態では、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列の少なくとも10連続残基を含む単離されたポリペプチドであって、先に列挙した本発明の突然変異を少なくとも1つ含み、該突然変異がプロテアーゼ阻害剤に対する高感受性に関連する、上記ポリペプチドを提供する。
他の実施形態では、前記1つまたは複数の突然変異を含むポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドと少なくとも70%かつ100%未満同一であるか、該ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列と80%超同一であるアミノ酸配列を有するか、または該ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列と90%超同一であるアミノ酸配列を有し、該突然変異は、プロテアーゼ阻害剤に対する高感受性に関連する。
一実施形態では、本発明は、プロテアーゼ中の突然変異の存在または不存在が、配列特異的オリゴヌクレオチドプローブと、前記突然変異をコードするヒト免疫不全ウイルスの核酸配列とのハイブリダイゼーションにより検出され、ハイブリダイゼーションの形成により、該突然変異の存在または不存在が示唆される、方法を提供する。
他の実施形態では、本発明は、プロテアーゼ中の突然変異の存在または不存在が、前記突然変異をコードする核酸配列を決定することにより検出される、方法を提供する。
他の実施形態では、本発明は、プロテアーゼ中の突然変異の存在または不存在が、たとえばポリメラーゼ連鎖反応により核酸を増幅することにより検出される方法を提供する。
一実施形態では、個体は、抗ウイルス剤による先行治療を受けているかまたは受けたことがある。他の実施形態では、抗ウイルス剤は、上述のまたは別のプロテアーゼ阻害剤である。
別の態様において、本発明は、前記プロテアーゼ阻害剤による治療に対する高感受性に関連する突然変異の存在または不存在を、少なくとも2,3,4,5,6,7,8,9,10,11または12ヶ所のアミノ酸位置で検出する方法を提供する。
別の態様において、本発明は、HIVがプロテアーゼ阻害剤による治療に対する低レベルの低下した感受性を示す可能性が高くなっているか否かを決定する方法であって、該HIVによってコードされるプロテアーゼが、該プロテアーゼ阻害剤による治療に対する高感受性と否定的に関連する突然変異の存在又は不存在を、該プロテアーゼのアミノ酸配列のアミノ酸位置10,15,36,41,57,60,63,71または93位で呈するか否かを検出することを含み、該突然変異の存在が、HIVがプロテアーゼ阻害剤による治療に対する低レベルの低下した感受性を示す可能性が高くなっていることを示唆する、上記方法を提供する。
別の態様において、本発明は、HIVに感染した個体が、プロテアーゼ阻害剤による治療に対する低レベルの低下した感受性を示す可能性が高くなっているか否かを決定する方法であって、該個体に由来するサンプルにおいて、該プロテアーゼ阻害剤による治療に対する高感受性と否定的に関連する突然変異の存在又は不存在をHIVプロテアーゼのアミノ酸配列のアミノ酸位置10,15,36,41,57,60,63,71または93で検出することを含み、該突然変異の存在が、個体がプロテアーゼ阻害剤による治療に対する低レベルの低下した感受性を示す可能性が高くなっていることを示唆する、上記方法を提供する。
4.図面の簡単な説明
(後述の「図面の簡単な説明」の項を参照のこと。)
5.発明の詳細な説明
本発明は、表現型臨床カットオフにより実施される表現型と遺伝子型のデータ対の包括的解析に基づいて抗ウイルス剤の有効性を決定するアルゴリズムを開発するための方法および組成物を提供する。本発明はまた、抗ウイルス治療に対するウイルスの感受性を決定する方法、ウイルスに感染した個体の抗ウイルス治療の有効性を決定する方法、および抗ウイルス治療を受けている個体においてウイルス感染の臨床進行をモニターする方法を提供する。他の態様において、本発明はまた、プロテアーゼ阻害剤に対する高感受性に関連するヒト免疫不全ウイルス(「HIV」)のプロテアーゼ中に突然変異を含む核酸およびポリペプチドを提供する。
5.1 略号
APV」は、プロテアーゼ阻害剤アンプレナビル(amprenavir)の略語である。
「IDV」は、プロテアーゼ阻害剤インジナビル(indinavir)の略語である。
「LPV」は、プロテアーゼ阻害剤ロピナビル(lopinavir)の略語である。
「NFV」は、プロテアーゼ阻害剤ネルフィナビル(nelfinavir)の略語である。
「RTV」は、プロテアーゼ阻害剤リトナビル(ritonavir)の略語である。
「SQV」は、プロテアーゼ阻害剤サキナビル(saquinavir)の略語である。
PI」は、プロテアーゼ阻害剤の略語である。
「PT-HS」は、「表現型高感受性」の略語である。
「GT-HS」は、「遺伝子型高感受性」の略語である。
PCR」は、「ポリメラーゼ連鎖反応」に対する略語である。
FC」は、「倍数変化(fold change)」に対する略語である。
「RC」は、「複製能」の略語である。
遺伝子によりコードされる20種のL-アミノ酸に対して本明細書中で使用されるアミノ酸表記は、従来方式であり、次のとおりである:
アミノ酸 一文字略号 三文字略号
アラニン A Ala
アルギニン R Arg
アスパラギン N Asn
アスパラギン酸 D Asp
システイン C Cys
グルタミン Q Gln
グルタミン酸 E Glu
グリシン G Gly
ヒスチジン H His
イソロイシン I Ile
ロイシン L Leu
リシン K Lys
メチオニン M Met
フェニルアラニン F Phe
プロリン P Pro
セリン S Ser
トレオニン T Thr
トリプトファン W Trp
チロシン Y Tyr
バリン V Val
別段の記載がないかぎり、ポリペプチド配列が一連の一文字略号および/または三文字略号として提示される場合、配列は、慣例に従ってN→C方向に提示される。
配列中の個々のアミノ酸は、本明細書中では、ANとして表される。ここで、Aは、配列中のアミノ酸に対する標準的な一文字記号であり、Nは、配列中の位置である。突然変異は、本明細書中では、A1NA2として表される。ここで、A1は、参照タンパク質配列中のアミノ酸に対する標準的な一文字記号であり、A2は、突然変異タンパク質配列中のアミノ酸に対する標準的な一文字記号であり、そしてNは、アミノ酸配列中の位置である。たとえば、G25M突然変異は、アミノ酸位置25におけるグリシンからメチオニンへの変化を表す。突然変異はまた、本明細書中では、NA2として表される場合もある。ここで、Nは、アミノ酸配列中の位置であり、A2は、突然変異タンパク質配列中のアミノ酸に対する標準的な一文字記号である(たとえば、25Mは、アミノ酸位置25における野生型アミノ酸からメチオニンへの変化を表す)。このほか、突然変異はまた、本明細書中ではA1Nとして表される場合もある。ここで、A1は、参照タンパク質配列中のアミノ酸に対する標準的な一文字記号であり、Nは、アミノ酸配列中の位置である(たとえば、G25は、アミノ酸位置25におけるグリシンから任意のアミノ酸への変化を表す)。突然変異タンパク質配列中のアミノ酸が既知でない場合、または突然変異タンパク質配列中のアミノ酸が参照タンパク質配列中に見いだされる以外の任意のアミノ酸であってよい場合、典型的には、この表記が使用される。アミノ酸位置は、突然変異を包含する領域を取り出す元になるタンパク質の全長配列に基づいて番号づけされる。DNA配列中のヌクレオチドおよび点突然変異の表現は、類似している。
特異的核酸塩基配列を含む核酸を参照するために本明細書全体を通して使用される略号は、従来の一文字略号である。したがって、核酸を組み入れる場合、天然に存在するコード核酸塩基は、次のように略記される:アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)、およびウラシル(U)。別段の記載がないかぎり、一連の一文字略号として表される一本鎖核酸配列および二本鎖配列のトップ鎖は、5'→3'方向に提示される。
5.2 定義
本明細書中で使用する場合、以下の用語は以下の意味を有するものとする:
別段の記載がないかぎり、「一次突然変異」とは、酵素活性部位に影響を及ぼす突然変異、すなわち、酵素-基質複合体に関与するアミノ酸位置の突然変異、またはウイルスが抗ウイルス剤の選択圧を受けたときに複製の初期ラウンドで再現性よく現れる突然変異、または抗ウイルス剤に対する表現型感受性に大きな影響を及ぼす突然変異を意味する。
二次突然変異」とは、一次突然変異ではなく、感受性低下に寄与するかまたは一次突然変異により付加される大きな欠損を補償する突然変異を意味する。
表現型アッセイ」とは、特定の抗ウイルス剤に対するウイルス(たとえば、HIV)の感受性を測定する試験である。
遺伝子型アッセイ」とは、生物、生物の一部分、遺伝子、または遺伝子の一部分の遺伝子配列を決定する試験である。そのようなアッセイは、薬剤耐性に関連する特定の突然変異が存在するか否かを確定するために、HIVで頻繁に行われる。
本明細書中で使用する場合、「遺伝子型データ」とは、たとえばウイルスの遺伝子型に関するデータである。遺伝子型データの例としては、ウイルス、ウイルスの一部分、ウイルス遺伝子、ウイルス遺伝子の一部分の塩基配列もしくはアミノ酸配列、またはウイルスの核酸中またはタンパク質中の1つ以上のヌクレオチド残基もしくはアミノ酸残基の同一性が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
感受性」とは、特定の薬剤に対するウイルスの反応を意味する。薬剤に対する感受性が軽減または低下しているウイルスは、薬剤に対する耐性が増加しているかまたは感受性が低下している。薬剤に対する感受性が増加または増強または増大されているウイルスは、薬剤に対する感受性が増加しているかまたは耐性が低下している。
所与の薬剤に対するウイルスの表現型感受性は、連続的なものである。それにもかかわらず、特定の倍数変化(fold change)の結果の解釈を単純化すべく1つまたは複数の閾値を定義することが実用上有用である。十分な臨床転帰データが収集されている薬剤では、「臨床カットオフ値」を以下のように定義することが可能である。
「高感受性 (HS)」とは、薬剤に対する感受性が増強又は増大されている、薬剤に対する感度が増加している、あるいは薬剤に対する耐性が軽減していることを意味する。高感受性は、各プロテアーゼ阻害剤の倍数変化分布の第10パーセンタイルと等しいかまたはこれより小さい倍数変化(「FC」)(下記を参照)として規定されている。
臨床カットオフ値」とは、耐性が現れて感受性が失われる特定のポイントを意味する。それは、患者が特定の薬剤による治療を受けて失敗する確率が有意に増大する薬剤感受性レベルにより定義される。カットオフ値は、臨床試験で決定した場合、抗ウイルス剤ごとに異なる。臨床カットオフ値は、耐性および転帰のデータを評価することにより臨床試験で決定される。薬剤感受性(表現型)は、治療開始時に測定される。治療の全過程にわたりあらかじめ決められた時間点で、ウイルス量の変化のような治療反応をモニターする。薬剤感受性を治療反応と関連づけ、治療失敗に関連する耐性レベルにより臨床カットオフ値を決定する(全試験結果の統計解析)。
IC n 」とは、阻害濃度を意味する。それは、疾患誘発微生物(たとえば、HIV)の複製をn%抑制するのに必要とされる患者の血液中またはin vitroの薬剤の濃度である。したがって、「IC50」とは、薬剤の不存在下で観測されるレベルの50%までウイルス複製を阻害する抗ウイルス剤の濃度を意味する。「患者IC50」とは、患者由来のウイルスの複製を50%阻害するのに必要な薬剤濃度を意味し、「参照IC50」とは、参照ウイルスまたは野生型ウイルスの複製を50%阻害するのに必要な薬剤濃度を意味する。同様に、「IC90」とは、ウイルス複製の90%を阻害する抗ウイルス剤の濃度を意味する。
倍数変化」とは、患者ウイルスと薬剤感受性参照ウイルスとの薬剤感受性の数値比較である。それは、患者IC50と薬剤感受性参照IC50との比、すなわち、患者IC50/参照IC50=倍数変化 (「FC」)である。1.0の倍数変化は、患者ウイルスが薬剤感受性参照ウイルスと同程度の薬剤感受性を呈することを示唆する。1未満の倍数変化は、患者ウイルスが薬剤感受性参照ウイルスよりも感受性であることを示唆する。1よりも大きい倍数変化は、患者ウイルスが薬剤感受性参照ウイルスほど感受性でないことを示唆する。臨床カットオフ値に等しいかまたはそれよりも大きい倍数変化は、患者ウイルスがその薬剤に反応する確率がより低いことを意味する。臨床カットオフ値未満の倍数変化は、患者ウイルスがその薬剤に対して感受性であることを意味する。
2.5未満のAPV、IDV、NFV、SQV及びRTV 倍数変化をそれぞれ有する場合、ウイルスはAPV、IDV、NFV、SQV及びRTVに対して「感受性」である。10未満のLPV 倍数変化を有する場合、ウイルスはLPVに対して感受性である。
2.5以上のAPV、IDV、NFV、SQV及びRTV 倍数変化をそれぞれ有する場合、ウイルスはAPV、IDV、NFV、SQV及びRTVに対して「耐性」である。10以上のLPV 倍数変化を有する場合、ウイルスはLPVに対して耐性である。
ウイルスが、抗ウイルス治療に対する高感受性に関連する性質(たとえば、突然変異)を有する場合、ウイルスは、抗ウイルス治療に対して「高感受性である可能性が高くなっている」。この性質を有するウイルスの集団が、平均して、この性質が欠如していること以外は類似しているウイルスの集団よりも抗ウイルス治療に対してより感受性が高い場合、ウイルスの性質は高感受性に関連する。したがって、性質の存在と高感受性との相関は、絶対的なものである必要はなく、性質が高感受性を引き起こすための必要条件(すなわち、性質が、感受性低下の原因となる役割を担う条件)も、十分条件(すなわち、性質の存在だけで十分であるという条件)も、存在しない。
配列相同性%」という用語は、本明細書中では、「相同性%」という用語と同義的に使用される。「配列同一性%」および「同一性%」とは、配列アライメントプログラムを用いてアライメントしたときの2つ以上のペプチド配列間のアミノ酸配列同一性のレベルを意味する。たとえば、本明細書中で使用する場合、80%の相同性は、既定のアルゴリズムにより決定された80%の配列同一性と同じことを意味する。したがって、所与の配列の相同体は、所与の配列の長さ全体にわたり80%超の配列同一性を有する。配列同一性の例示的レベルとしては、所与の配列に対して60、70、80、85、90、95、98%、またはそれ以上の配列同一性が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
2つの配列間の同一性を決定するのに使用可能な例示的なコンピュータープログラムとしては、BLASTプログラム一式、たとえば、BLASTN、BLASTX、およびTBLASTX、BLASTP、およびTBLASTN(インターネット上でhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/から公的に入手可能)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このほかに、Altschul et al., 1990, J. Mol. Biol. 215:403-10(とくに、発表されたデフォルト設定、すなわち、パラメーターw=4、t=17を参照されたい)、およびAltschul et al., 1997, Nucleic Acids Res., 25:3389-3402を参照されたい。GenBank Protein Sequences、および他の公共のデータベース中のアミノ酸配列と対比して所与のアミノ酸配列を評価する場合、典型的には、BLASTPプログラムを用いて配列検索が行われる。BLASTXプログラムは、すべてのリーディングフレーム中の翻訳された核酸配列を、GenBank Protein Sequencesおよび他の公共のデータベース中のアミノ酸配列と対比して検索するのに好適である。BLASTPおよびBLASTXは、両方とも、オープンギャップペナルティー11.0および伸長ギャップペナルティー1.0のデフォルトパラメーターを用いて実行され、BLOSUM-62マトリックスを利用する。Altschul, et al., 1997を参照されたい。
2つ以上の配列間の「同一性%」を決定するための選択された配列の好ましいアライメントは、たとえば、MacVector version 6.5中のCLUSTAL-Wプログラム用いて行われる。このプログラムは、オープンギャップペナルティー10.0、伸長ギャップペナルティー0.1、およびBLOSUM 30類似度行列を含むデフォルトパラメーターを用いて実行される。
極性アミノ酸」とは、生理学的pHで非荷電である側鎖を有する親水性アミノ酸を意味するが、但し、この側鎖は、2個の原子により共有された電子対が一方の原子の方により近接して保持される少なくとも1つの結合を有する。遺伝子によりコードされる極性アミノ酸としては、Asn(N)、Gln(Q)、Ser(S)、およびThr(T)が挙げられる。
非極性アミノ酸」とは、生理学的pHで非荷電である側鎖を有する疎水性アミノ酸を意味する。但し、この側鎖は、2個の原子により共有された電子対が一般的には2個の各原子によって等しく保持される結合を有する(すなわち、側鎖は極性ではない)。遺伝子によりコードされる無極性アミノ酸としては、Ala(A)、Gly(G)、Ile(I)、Leu(L)、Met(M)、およびVal(V)が挙げられる。
親水性アミノ酸」とは、Eisenberg et al., 1984, J. Mol. Biol. 179:125-142の規格化コンセンサス疎水性スケールに基づいてゼロ未満の疎水性を呈するアミノ酸を意味する。遺伝子によりコードされる親水性アミノ酸としては、Arg(R)、Asn(N)、Asp(D)、Glu(E)、Gln(Q)、His(H)、Lys(K)、Ser(S)、およびThr(T)が挙げられる。
疎水性アミノ酸」とは、Eisenberg et al., 1984, J. Mol. Biol. 179:125-142の規格化コンセンサス疎水性スケールに基づいてゼロよりも大きい疎水性を呈するアミノ酸を意味する。遺伝子によりコードされる疎水性アミノ酸としては、Ala(a)、Gly(G)、Ile(1)、Leu(L)、Met(M)、Phe(F)、Pro(P)、Trp(W)、Tyr(Y)、およびVal(V)が挙げられる。
酸性アミノ酸」とは、7未満の側鎖pK値を有する親水性アミノ酸を意味する。酸性アミノ酸は、典型的には、水素イオンの消失により生理学的pHで負に荷電した側鎖を有する。遺伝子によりコードされる酸性アミノ酸としては、Asp(D)およびGlu(E)が挙げられる。
塩基性アミノ酸」とは、7よりも大きい側鎖pK値を有する親水性アミノ酸を意味する。塩基性アミノ酸は、典型的には、ヒドロニウムイオンとの会合により生理学的pHで正に荷電された側鎖を有する。遺伝子によりコードされる塩基性アミノ酸としては、Arg(R)、His(H)およびLys(K)が挙げられる。
突然変異」とは、参照の核酸またはポリペプチドに対するアミノ酸配列の変化または対応する核酸配列の変化である。HIVプロテアーゼまたは逆転写酵素を含む本発明の実施形態では、プロテアーゼまたは逆転写酵素をコードする参照核酸は、それぞれ、NL4-3 HIV(GenBank Accession No. AF324493)中に存在するプロテアーゼまたは逆転写酵素のコード配列である。同様に、参照プロテアーゼまたは逆転写酵素ポリペプチドは、NL4-3 HIV配列によりコードされるものである。ペプチドのアミノ酸配列は、たとえば、エドマン分解または質量分析により、直接決定することができるが、より典型的には、ペプチドのアミノ配列は、ペプチドをコードする核酸の塩基配列から推測される。当技術分野で公知の任意の核酸配列決定法を用いることができる。たとえば、Maxam-Gilbert配列決定法(Maxam et al., 1980, Methods in Enzymology 65:499)、ジデオキシ配列決定法(Sanger et al., 1977, Proc. Natl. Acad Sci. USA 74:5463)、またはハイブリダイゼーションに基づく方法(たとえば、Sambrook et al., 2001, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold spring Harbor Laboratory 3rd ed., NY;およびAusubel et al., 1989, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, NYを参照されたい)。
ウイルス中の「耐性関連突然変異」(「RAM」)とは、抗ウイルス剤に対するウイルスの感受性低下に関連する突然変異である。RAMは、いくつかのウイルス(たとえば、限定されるものではないが、ヒト免疫不全ウイルス(「HIV」))のいずれか1つで見いだすことができる。そのような突然変異は、1種以上のウイルスタンパク質(たとえば、HIVのプロテアーゼ、インテグラーゼ、エンベロープ、または逆転写酵素)中に見いだすことができる。RAMは、参照株に対比して定義される。HIVプロテアーゼを含む本発明の実施形態では、参照プロテアーゼは、NL4-3 HIV(GenBank 受託番号. AF324493)によりコードされるプロテアーゼである。
ウイルスにおける「高感受性に関連する突然変異」(「HSAM」)は、抗ウイルス剤に対するウイルスの高感受性と相関する突然変異である。HSAMはいくつかのウイルス(たとえば、限定されるものではないが、ヒト免疫不全ウイルス(「HIV」))のいずれか1つで見いだすことができる。そのような変異は1以上のウイルスタンパク質(たとえば、HIVのプロテアーゼ、インテグラーゼ、エンベロープ、または逆転写酵素)中に見いだすことができる。HSAMは参照株との比較により規定される。HIVプロテアーゼを含む本発明の実施形態では、参照プロテアーゼはNL4-3 HIV(GenBank 受託番号AF324493)によりコードされるプロテアーゼである。
突然変異体」とは、参照のウイルス、遺伝子、またはタンパク質に対して1つ以上の変化を有する配列を有するウイルス、遺伝子、またはタンパク質である。
ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」という用語は、全体を通して同義的に用いられる。
参照」および「野生型」という用語は、全体を通して同義的に用いられる。
ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、および「核酸」という用語は、全体を通して同義的に用いられる。
5.3 高感受性関連突然変異
一態様において、本発明は、HIVのプロテアーゼ中に突然変異を含む核酸およびポリペプチドを提供する。好ましくは、HIVは、ヒト免疫不全ウイルス1型(「HIV-1」)である。一実施形態では、突然変異は、プロテアーゼ阻害剤に対する高感受性に関連する。プロテアーゼ阻害剤は、当業者に公知の任意のプロテアーゼ阻害剤であってよい。プロテアーゼ阻害剤の例としては、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、およびロピナビルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
一態様において、本発明は、プロテアーゼ阻害剤に対する高感受性に関連するH1Vプロテアーゼ中の突然変異を含むペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を提供する。一実施形態では、本発明は、HIVプロテアーゼに由来し、かつプロテアーゼ阻害剤に対する高感受性に関連する突然変異を含む、ポリペプチドを提供する。他の実施形態では、ポリペプチドは、プロテアーゼ阻害剤に対する高感受性に関連する2つ以上の突然変異を含む。本発明のポリペプチドは、これらのポリペプチドから改変または誘導されたペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質を含む。一実施形態では、ポリペプチドは、翻訳後修飾を含む。他の実施形態では、ポリペプチドは、1種以上のアミノ酸類似体を含む。
好適な実施形態において、ポリペプチドは、1以上のプロテアーゼ阻害剤に対する高感受性に関連する1以上の突然変異を含む。プロテアーゼ阻害剤に対する高感受性に関連する突然変異のリストを表1に提供する。
他の好適な実施形態では、本発明は、HIVプロテアーゼに由来し、かつ16,20,33,36,37,39,45,65,69,77,89及び93位からなる群から選択されるアミノ酸位置で少なくとも1つの突然変異を含む、ポリペプチドを提供する。1つの実施形態では、33位のアミノ酸はフェニルアラニン(F)ではない。
他の好ましい実施形態では、前記突然変異を含むポリペプチドは、配列番号1の少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、85、90、または95連続アミノ酸(これらの配列中には、前記の1つまたは複数の突然変異が存在しうる)を含む。
他の実施形態では、前記の1つまたは複数の突然変異を含むポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドと少なくとも70%かつ100%未満同一であるか、該ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列と80%超同一であるアミノ酸配列を有するか、または該ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列と90%超同一であるアミノ酸配列を有し、該突然変異は、プロテアーゼ阻害剤に対する感受性低下に関連する。
一実施形態では、該ポリペプチドは、天然に存在する。他の実施形態では、該ポリペプチドは、人工的にデザインされる。
2つのアミノ酸配列または2つの核酸の同一性パーセントを決定するために、配列は、最適の比較が行われるようにアライメントされている(たとえば、第2のアミノ酸または核酸の配列との最適のアライメントが行われるように、第1のアミノ酸配列または核酸配列にギャップを導入することができる)。次に、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置のアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列の位置が、第2の配列の対応する位置と同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドにより占有されていた場合、分子は、その位置で同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、配列により共有される同一である位置の数の関数である(同一性%=同一の位置の数/位置(たとえば、重なる位置)の合計数×100)。一実施形態では、2つの配列は同一の長さである。
2つの配列間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを用いて行うことができる。2つの配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの好ましい例は、Karlin and Altschul (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-2268のアルゴリズムに、Karlin and Altschul (1993) Proc. Natl. Acad Sci. USA 90:5873-5877のような変更が加えられたものであるが、これに限定されるものではない。そのようなアルゴリズムは、Altschul, et al. (1990) J. Mol. Biol. 215:403-410のNBLASTおよびXBLASTのプログラムに組み込まれている。本発明の核酸分子に相同的な塩基配列を得るために、NBLASTプログラム(スコア=100、ワード長=12)を用いてBLASTヌクレオチド検索を行うことができる。本発明のタンパク質分子に相同的なアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラム(スコア=50、ワード長=3)を用いてBLASTタンパク質検索を行うことができる。比較のためにギャップ付きアライメントが得られるように、Altschul et al. (1997) Nucleic Acids Res. 25:3389-3402に記載されているGapped BLASTを利用することができる。他の選択肢として、PSI-Blastを用いることにより、分子間の遠隔関係を検出する反復検索を行うことができる。上掲文献参照。BLAST、ギャップ付きBLAST、およびPSI-Blastプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(たとえば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメーターを使用することができる。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。
配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの他の好ましい例は、MYERS and Miller, CABIOS (1989)のアルゴリズムであるが、これに限定されるものではない。そのようなアルゴリズムは、CGC配列アライメントソフトウェアパッケージの一部分であるALIGNプログラム(バージョン2.0)中に組み込まれている。アミノ酸配列を比較するためのALIGNプログラムを利用する場合、PAM120加重残基表、ギャップ長ペナルティー12、およびギャップペナルティー4を使用することができる。配列解析用のこのほかのアルゴリズムは、当技術分野で公知であり、Torellis and Robotti (1994) Comput. Appl. Biosci.,10:3-5に記載のADVANCEおよびADAM;ならびにPearson and Lipman (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. 85:2444-8に記載されているFASTAが包含される。FASTA内のktupは、検索の感度および速度を設定する制御オプションである。ktup=2の場合、アライメントされた残基対を調べることにより、比較された2つの配列の類似領域が見いだされ;ktup=1の場合、単一のアライメントされたアミノ酸が調べられる。タンパク質配列を対象にするときは、ktupを2または1に設定することができ、DNA配列を対象とするときは、1〜6に設定することができる。ktupを指定しなかった場合、デフォルトは、タンパク質では2、DNAでは6である。
2つの配列間の同一性パーセントは、ギャップを許容してまたは許容せずに先に記載のものと類似した方法を用いて決定することができる。同一性パーセントを計算する際、典型的には、完全一致の数を求める。
他の態様において、本発明は、本発明のポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分をコードするかまたはそれらに関連するポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、または核酸、たとえば、本発明の核酸の同定、分析、突然変異、または増幅を行うためのハイブリダイゼーションプローブ、PCRプライマー、または配列決定用プライマーとして使用するのに十分な核酸分子、を提供する。
一実施形態では、核酸は、プロテアーゼ阻害剤(たとえば、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル及びロピナビル)に対する高感受性に関連するHIVプロテアーゼ中の突然変異を含むポリペプチドをコードする。一実施形態では、本発明は、HIVプロテアーゼに由来し、かつプロテアーゼ阻害剤に対する高感受性に関連する1つ以上の突然変異を含む、ポリペプチドをコードする核酸を提供する。本発明の核酸は、これらの核酸配列から改変または誘導された核酸、ポリヌクレオチド、およびオリゴヌクレオチドを包含する。一実施形態では、核酸は核酸類似体を包含する。
一実施形態では、核酸は天然に存在する。他の実施形態では、該核酸は人工的にデザインされる。
核酸は、任意の長さであってよい。核酸は、たとえば、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、100、110、120、125、150、175、200、250、300、350、375、400、425、450、475、または500塩基長でありうる。核酸は、たとえば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、100、110、120、125、150、175、200、250、300、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、または10000塩基未満の長さでありうる。好ましい実施形態では、核酸は、たとえばプローブまたはプライマーとして、本明細書に記載の突然変異を検出するのに好適な長さおよび配列を有する。
一実施形態では、核酸は、1以上のプロテアーゼ阻害剤に対する高感受性と関連する1以上の突然変異を含むポリペプチドをコードする。プロテアーゼ阻害剤に対する高感受性と関連する突然変異のリストを表1に提供する。
他の実施形態では、本発明は、HIVプロテアーゼに由来するポリペプチドをコードし、かつ16,20,33,36,37,39,45,65,69,77,89及び93位からなる群から選択されるアミノ酸位置で少なくとも1の突然変異を含む、オリゴヌクレオチドを提供する。一実施形態では、33位のアミノ酸はFではない。
他の好適な実施形態では、該突然変異を含む該オリゴヌクレオチドは、配列番号2の15、30、45、60、75、90、105、120、135、150、180、210、240、255、270、または285連続核酸(この配列内には、前記の1つまたは複数の突然変異が存在しうる)を含む。
他の実施形態では、前記の1つまたは複数の突然変異を含むオリゴヌクレオチドは、配列番号2の核酸配列を有するオリゴヌクレオチドと少なくとも60%かつ100%未満同一であるか;該オリゴヌクレオチドは、配列番号2の核酸配列と70%超同一である核酸配列を有するか;該オリゴヌクレオチドは、配列番号2の核酸配列と80%超同一である核酸配列を有するか;または該オリゴヌクレオチドは、配列番号2の核酸配列と90%超同一である核酸配列を有し、該突然変異は、プロテアーゼ阻害剤に対する感受性低下に関連する。2つの核酸配列の同一性パーセントは、上述したように決定することができる。
配列番号2の塩基配列に加えて、アミノ酸配列に変化をもたらすDNA配列多型が集団(たとえば、ヒト集団)内に存在しうることは、当業者であれば理解されよう。そのような遺伝的多型は、天然の対立遺伝子変異により集団内の個体間で存在しうる。天然の対立遺伝子変異は、典型的には、所与の遺伝子の塩基配列に1〜5%の変異をもたらしうる。任意のすべてのそのようなヌクレオチド変異および得られるアミノ酸変異、または天然の対立遺伝子変異の結果でありかつ機能活性を改変しない多型は、本発明の範囲内に包含されるものとする。
他の実施形態では、本発明は、本発明の核酸配列を検出するためのプライマーまたはハイブリダイゼーションプローブとして使用するのに好適な核酸分子を提供する。本発明の核酸分子は、本発明の全長ポリペプチドをコードする核酸配列の一部分だけ、たとえば、プローブもしくはプライマーとして使用することができる断片、または本発明のポリペプチドの生物学的に活性な部分をコードする断片を含みうる。プローブは、それに結合された標識化基、たとえば、放射性同位体、蛍光性化合物、酵素、または酵素補因子を含みうる。種々の実施形態では、本発明の核酸分子は、ヌクレオチド部分、糖質部分、またはリン酸バックボーンが修飾されていてもよい。
他の態様において、本発明はHIV、例えばHIV-1が、プロテアーゼ阻害剤に対する感受性低下を示す可能性が高くなっているか否かを決定する方法であって、該HIV-1によってコードされるプロテアーゼが、プロテアーゼ阻害剤に対する感受性低下に関連する突然変異の存在又は不存在を、該プロテアーゼのアミノ酸配列のアミノ酸位置10,15,36,41,57,60,63,71または93で呈するか否かを検出することを含み、該突然変異の存在が、HIV-1がプロテアーゼ阻害剤による治療に対する感受性低下を示す可能性が高くなっていることを示唆する、上記方法を提供する。一般的に、この方法は、プロテアーゼ阻害剤に対する感受性低下に関連する本明細書中に挙げられる突然変異のあらゆる組み合わせの存在または不存在を検出することを含むことができる。例えば、この方法は、2,3,4,4,5,6,7,8または9ヶ所のアミノ酸位置で、プロテアーゼ阻害剤に対する感受性低下に関連する突然変異の存在または不存在を検出することを含むことができる。
別の態様において、本発明はHIV、例えばHIV-1に感染した個体が、プロテアーゼ阻害剤による治療に対する感受性低下を示す可能性が高くなっているか否かを決定する方法であって、該個体に由来するサンプルにおいて、該HIV-1によってコードされるプロテアーゼが、プロテアーゼ阻害剤に対する感受性低下に関連する突然変異の存在または不在を、該プロテアーゼのアミノ酸配列のアミノ酸位置10,15,36,41,57,60,63,71または93に呈するか否かを検出することを含み、該突然変異の存在が、HIV-1がプロテアーゼ阻害剤による治療に対する感受性低下を示す可能性が高くなっていることを示唆する、上記方法を提供する。一般的に、この方法は、プロテアーゼ阻害剤に対する感受性低下と関連する本明細書中に挙げられる突然変異のあらゆる組み合わせの存在または不存在を検出することを含むことができる。例えば、この方法は、2,3,4,4,5,6,7,8または9ヶ所のアミノ酸位置でプロテアーゼ阻害剤に対する感受性低下に関連する突然変異の存在または不存在を検出することを含むことができる。
5.4 高感受性関連ウイルス突然変異の検出
他の態様において、本発明は、ウイルスまたは該ウイルスの派生物において感受性関連突然変異を見いだす方法を提供する。
5.4.1 ウイルスおよびウイルスサンプル
本発明に係る高感受性関連突然変異(「HSAM」)は、任意のタイプのウイルス(たとえば、動物に見いだされる任意のウイルス)中に存在しうる。本発明の一実施形態では、ウイルスは、イヌ、ネコ、ウマ、ヒツジ、ウシなどの哺乳動物に感染することが知られているウイルスを包含する。好ましい実施形態では、ウイルスは、霊長類に感染することが知られている。さらにより好ましい実施形態では、ウイルスは、ヒトに感染することが知られている。ヒトウイルスの例としては、ヒト免疫不全ウイルス(「HIV」)、単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、他のヒトヘルペスウイルス、A型インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、A型、B型、およびC型肝炎ウイルス、ライノウイルス、ならびにヒトパピローマウイルスが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の好ましい実施形態では、ウイルスはHIVである。好ましくは、ウイルスはヒト免疫不全ウイルス1型(「HIV-1」)である。以上は、現在利用可能な抗ウイルス化学療法が存在する特定のウイルスの代表であり、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、オルトミクソウイルス、パラミクソウイルス(paramxyxovirus)、ピコルナウイルス、フラビウイルス、ニューモウイルス、およびヘパドナウイルスのウイルス科を代表するものである。本発明は、これらの科に属する他のウイルスに起因する他のウイルス感染症、および現在利用可能な療法が存在するかまたは存在しない他のウイルス科のウイルスが原因で生じるウイルス感染症、に使用することができる。
本発明に係るHSAMは、ウイルスサンプルを取得するための当技術分野で公知の任意の手段により取得されるウイルスサンプル中に見いだすことができる。そのような方法としては、ウイルスに感染したヒトもしくは動物からウイルスサンプルを取得する方法またはウイルス培養物からウイルスサンプルを取得する方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態では、ウイルスサンプルは、ウイルスに感染したヒト個体から取得される。ウイルスサンプルは、感染個体の生体の任意の部分またはウイルスを含有することが予想される任意の分泌物から取得しうる。そのような部分の例としては、血液、血清、血漿、喀痰、リンパ液、精液、膣粘液、および他の体液のサンプルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましい実施形態では、サンプルは、血液、血清、または血漿のサンプルである。
他の実施形態では、本発明に係るHSAMは、培養物から取得しうるウイルス中に存在する。いくつかの実施形態では、培養物は、実験室から取得可能である。他の実施形態では、培養物は、コレクション(たとえば、American Type Culture Collection)から取得可能である。
特定の実施形態では、本発明に係るHSAMは、ウイルスの派生物中に存在する。一実施形態では、ウイルスの派生物は、それ自体は病原性ではない。他の実施形態では、ウイルスの派生物は、プラスミドまたはプラスミドをトランスフェクトした細胞の複製が、選択圧に対する耐性を増大させる突然変異が選択されるように選択圧の存在または不存在により影響を受ける、プラスミド系である。いくつかの実施形態では、ウイルスの派生物は、対象の核酸またはタンパク質、たとえば、抗ウイルス治療の標的とされる核酸またはタンパク質を含む。一実施形態では、対象の遺伝子をベクター中に組み込むことができる。たとえば、米国特許第5,837,464号および同第6,242,187号ならびにPCT公開WO 99/67427(いずれも、参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい。好ましい実施形態では、遺伝子は、プロテアーゼまたは逆転写酵素をコードする遺伝子でありうる。
他の実施形態では、インタクトなウイルスを使用する必要はない。その代わりに、ベクター中に組み込まれたウイルスの一部分を使用することができる。好ましくは、抗ウイルス剤の標的となるウイルスの一部分を使用する。
他の実施形態では、本発明に係るHSAMは、遺伝子改変ウイルス中に存在する。ウイルスを遺伝子改変するための当技術分野で公知の任意の方法を用いて、ウイルスを遺伝子改変することができる。たとえば、実験室培養により所望の世代数でウイルスを増殖させることができる。一実施形態では、選択圧を加えない(すなわち、ウイルスは、特定の特性を有するウイルスの複製に有利な処理に付されない)、そして新しい突然変異は、遺伝的浮動を介して蓄積される。他の実施形態では、培養で増殖させるときに選択圧をウイルスに加える(すなわち、1つ以上の特性を有するウイルスの複製に有利な条件下でウイルスを増殖させる)。一実施形態では、選択圧は抗ウイルス治療である。任意の公知の抗ウイルス治療を選択圧として使用することができる。一実施形態では、ウイルスはHIVであり、選択圧はプロテアーゼ阻害剤である。他の実施形態では、ウイルスはHIV-1であり、選択圧はプロテアーゼ阻害剤である。任意のプロテアーゼ阻害剤を用いて、選択圧を加えることができる。プロテアーゼ阻害剤の例としては、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、およびロピナビルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態では、プロテアーゼ阻害剤は、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、およびロピナビルよりなる群から選択される。他の実施形態では、プロテアーゼ阻害剤はアンプレナビルである。in vitroで培養されたHIVをプロテアーゼ阻害剤(たとえば、アンプレナビル)で処理することにより、該プロテアーゼ阻害剤、例えばアンプレナビル、に対する耐性が増大されたHIVの突然変異株を選択することができる。選択圧のストリンジェンシーを操作することにより、選択特性を有していないウイルスの生存率を増大させたり低下させたりすることができる。
他の態様において、本発明に係るHSAMは、ウイルス、ウイルスゲノム、またはウイルスゲノムの一部分を突然変異させることにより生成される。当技術分野で公知の任意の突然変異誘発方法をこの目的のために使用することができる。一実施形態では、突然変異誘発は、本質的にランダムである。他の実施形態では、ウイルス、ウイルスゲノム、またはウイルスゲノムの一部分を突然変異誘発処理に付することにより、本質的にランダムな突然変異誘発を行う。他の実施形態では、抗ウイルス療法の標的であるウイルスタンパク質をコードする遺伝子を突然変異させる。本質的にランダムな突然変異誘発処理の例としては、たとえば、突然変異誘発物質(たとえば、臭化エチジウム、エチルメタンスルホン酸、エチルニトロソウレア(ENU)など)、放射線(たとえば、紫外光)への暴露、転移因子(たとえば、Tn5、Tn10)の挿入および/もしくは除去、または増大された突然変異誘発率を有する細胞、細胞抽出物、もしくはin vitro複製系における複製が挙げられる。たとえば、Russell et al., 1979, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 76:5918-5922; Russell, W., 1982, Environmental Mutagens and Carcinogens: Proceedings of the Third International Conference on Environmental Mutagensを参照されたい。これらの突然変異誘発方法はいずれも、本質的にランダムであるが、分子レベルで、それぞれ、それ自体の好ましい標的を有することは、当業者であればわかるであろう。
他の態様において、抗ウイルス療法に対するウイルスの感受性に影響を及ぼしうる突然変異は、部位特異的突然変異誘発を用いて行われる。当技術分野で公知の任意の部位特異的突然変異誘発方法を使用することができる(たとえば、Sambrook et al., 2001, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 3rd ed., NY;およびAusubel et al., 1989, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, NYを参照されたい)。部位特異的突然変異誘発は、たとえば、特定の遺伝子もしくはゲノム領域、遺伝子もしくはゲノム領域の特定部分、または遺伝子もしくはゲノム領域内の1つもしくはいくつかの特定のヌクレオチドを対象に行うことができる。一実施形態では、部位特異的突然変異誘発は、1つ以上の基準に基づいて、ウイルスのゲノム領域、遺伝子、遺伝子断片、またはヌクレオチドを対象に行われる。一実施形態では、遺伝子または遺伝子の一部分が、部位特異的突然変異誘発に付される。なぜなら、それは、抗ウイルス療法の標的であることが知られているかまたは推測されるタンパク質をコードするからである(たとえば、HIVプロテアーゼをコードする遺伝子)。他の実施形態では、遺伝子の一部分または遺伝子内の1つもしくはいくつかのヌクレオチドが、部位特異的突然変異誘発に付すべく選択される。一実施形態では、突然変異の対象となるヌクレオチドは、抗ウイルス化合物と相互作用することが知られているかまたは推測されるアミノ酸残基をコードする。他の実施形態では、突然変異の対象となるヌクレオチドは、抗ウイルス治療に対する感受性が低下しているウイルス株中で突然変異を起こすことが知られているかまたは推測されるアミノ酸残基をコードする。他の実施形態では、突然変異ヌクレオチドは、抗ウイルス化合物と相互作用することが知られているかもしくは推測されるタンパク質残基または抗ウイルス治療に対する感受性が低下しているウイルス株中で突然変異を起こすことが知られているかもしくは推測されるタンパク質残基の一次配列中の隣接するまたは近接するアミノ酸残基をコードする。他の実施形態では、突然変異ヌクレオチドは、抗ウイルス化合物と相互作用することが知られているかもしくは推測されるタンパク質残基または抗ウイルス治療に対する感受性が低下しているウイルス株中で突然変異を起こすことが知られているかもしくは推測されるタンパク質残基の二次、三次、または四次構造中の隣接するまたは近接するアミノ酸残基をコードする。他の実施形態では、突然変異ヌクレオチドは、抗ウイルス化合物に結合することが知られているかまたは推測されるタンパク質の活性部位またはその近傍のアミノ酸残基をコードする。たとえば、Sarkar and Sommer, 1990, Biotechniques, 8:404-407を参照されたい。
5.4.2 ウイルス中の突然変異の存在または不存在の検出
ウイルス中の本発明に係るRAMの存在または不存在は、突然変異を検出するための当技術分野で公知の任意の手段により検出することができる。突然変異は、特定のタンパク質をコードするウイルス遺伝子中で、またはタンパク質自体の中で、すなわち、タンパク質のアミノ酸配列中で、検出することができる。
一実施形態では、突然変異は、ウイルスゲノム中に存在する。そのような突然変異は、たとえば、ウイルスタンパク質をコードする遺伝子中に、ウイルスタンパク質をコードする遺伝子のシスまたはトランス作用性調節配列、遺伝子間配列、またはイントロン配列の中に存在しうる。突然変異は、抗ウイルス治療に対する感受性を変化させるウイルスの構造、機能、複製、または環境のいずれかの側面に影響を及ぼしうる。一実施形態では、突然変異は、抗ウイルス治療の標的であるウイルスタンパク質をコードする遺伝子中に存在する。
ウイルス遺伝子内の突然変異は、いくつかの方法を利用することにより検出することができる。そのようなアッセイ方法の出発点としてウイルスのDNAまたはRNAを使用することができ、当業者に周知の標準的手順に従って単離することが可能である。
特定の核酸配列中(たとえば、ウイルス遺伝子の特定の領域中)の突然変異の検出は、さまざまな方法により、たとえば、限定されるものではないが、対立遺伝子特異的制限酵素切断に基づく制限断片長多型検出(Kan and Dozy, 1978, Lancet ii: 910-912)、ミスマッチ修復検出(Faham and Cox, 1995, Genome Res 5:474-482)、MutSタンパク質の結合(Wagner et al., 1995, Nucl Acids Res 23:3944-3948)、変性勾配ゲル電気泳動(Fisher et al., 1983, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 80:1579-83)、一本鎖コンフォメーション多型検出(Orita et al., 1983, Genomics 5:874-879)、ミスマッチ塩基対におけるRNAase切断(Myers et al., 1985, Science 230:1242)、ヘテロ二本鎖DNAの化学的(Cotton et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:4397-4401)または酵素的(Youil et al., 1995, Proc. Natl. Acad Sci. U.S.A. 92:87-91)切断、オリゴヌクレオチド特異的プライマー伸長に基づく方法(Syvaenen et al., 1990, Genomics 8:684-692)、遺伝子ビット解析(Nikiforov et al., 1994, Nucl Acids Res 22:4167-4175)、オリゴヌクレオチド連結アッセイ(Landegren et al., 1988, Science 241:1077)、オリゴヌクレオチド特異的連結連鎖反応(「LCR」)(Barrany, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 88:189-193)、ギャップLCR(Abravaya et al., 1995, Nucl Acids Res 23:675-682)、当技術分野で周知の標準的手順を用いる放射性または蛍光性DNA配列決定、およびペプチド核酸(PNA)アッセイ(Orum et al., 1993, Nucl. Ac
ids Res. 21:5332-5356; Thiede et al., 1996, Nucl. Acids Res. 24:983-984)により行うことができる。
さらに、ウイルスのDNAまたはRNAは、遺伝子構造が関与する異常、たとえば、点突然変異、挿入、欠失、およびゲノム再配列を検出するためのハイブリダイゼーションアッセイまたは増幅アッセイで使用可能である。そのようなアッセイとしては、限定されるものではないが、サザン分析(Southern, 1975, J. Mol. Biol. 98:503-517)、一本鎖コンフォメーション多型分析(SSCP)(Orita et al., 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:2766-2770)、およびPCR分析(米国特許第4,683,202号; 同第4,683,195号; 同第4,800,159号; および同第4,965,188号; PCR Strategies, 1995 Innis et al. (eds.), Academic Press, Inc.)を挙げることができる。
遺伝子特異的突然変異を検出するためのそのような診断方法は、たとえば、ウイルス核酸を、組換えDNA分子、クローン化遺伝子、またはそれらの縮重変異体を含む1種以上の標識化核酸試薬に、これらの試薬がそれらの相補的配列に特異的にアニーリングするのに有利な条件下で、接触させてインキュベートすることを含みうる。好ましくは、これらの核酸試薬の長さは、少なくとも15〜30塩基である。インキュベーション後、アニーリングされていないすべての核酸を核酸分子ハイブリッドから除去する。次に、ハイブリダイズした核酸の存在を、そのような分子が存在するのであれば、検出する。そのような検出スキームを用いて、ウイルス由来の核酸を、たとえば、固体担体(たとえば、膜またはプラスチック表面、具体的には、マイクロタイタープレートまたはポリスチレンビーズの表面)に固定することができる。この場合、インキュベーション後、アニーリングされていない先に記載したタイプの標識化核酸試薬は、容易に除去される。残留するアニーリングされた標識化核酸試薬の検出は、当業者に周知の標準的方法を用いて行われる。核酸試薬がアニーリングした遺伝子配列を正常な遺伝子配列から予想されるアニーリングパターンと比較することにより、遺伝子突然変異が存在するかを決定することができる。
遺伝子特異的核酸分子を検出するための代替的な診断方法は、それらの増幅を行ってから、たとえば、PCR(米国特許第4,683,202号; 同第4,683,195号; 同第4,800,159号; および同第4,965,188号; PCR Strategies, 1995 Innis et al. (eds.), Academic Press, Inc.)により増幅を行ってから、当業者に周知の方法を用いて、増幅された分子を検出することを含みうる。得られた増幅配列を、増幅核酸がそれぞれの遺伝子の正常コピーだけを含有する場合に予想される配列と比較することにより、遺伝子突然変異が存在するかを決定することができる。
このほか、当技術分野で公知の任意の配列決定法により、核酸の配列決定を行うことができる。たとえば、Sanger et al., 1977, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74:5463のジデオキシ法(これについては、Messing et al., 1981, Nuc. Acids Res. 9:309にさらなる解説がある)により、またはMaxam et al., 1980, Methods in Enzymology 65:499の方法により、ウイルスDNAの配列決定を行うことができる。また、Sambrook et al., 2001, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 3rd ed., NY;およびAusubel et al, 1989, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, NYに記載されている方法をも参照されたい。
ウイルス遺伝子産物(すなわち、ウイルスタンパク質)またはウイルスペプチド断片に対する抗体も、ウイルスタンパク質中の突然変異を検出するために使用することができる。他の選択肢として、当技術分野で公知の任意の配列決定法を用いて対象のウイルスタンパク質またはペプチド断片の配列決定を行うことにより、対象のタンパク質のアミノ酸配列を得ることができる。そのような方法の一例は、小型のタンパク質またはポリペプチドの配列決定に使用可能なエドマン分解法である。より大型のタンパク質の場合には、最初に、当技術分野で公知の化学試薬または酵素試薬(たとえば、ブロモシアン、ヒドロキシルアミン、トリプシン、またはキモトリプシン)により切断し、次に、エドマン分解法により配列決定を行うことができる。
5.5 突然変異ウイルスの表現型高感受性の測定
当技術分野で公知の任意の方法を用いて、抗ウイルス療法に対する突然変異ウイルスまたはウイルス集団の表現型感受性を決定することができる。たとえば、米国特許第5,837,464号および同第6,242,187号(その全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい。いくつかの実施形態では、表現型分析を行う。すなわち、突然変異のない参照ウイルスの感受性と対比して、所与の抗ウイルス剤に対するウイルスの感受性をアッセイする。これは薬剤感受性の直接的定量的測定であり、抗ウイルス剤に対するウイルスの感受性を決定すべく当技術分野で公知の任意の方法により行うことができる。そのような方法の一例としては、参照ウイルスに対するIC50値の倍数変化を決定することが挙げられるが、これに限定されるものではない。表現型試験では、特定のウイルス株が薬剤阻害剤の存在下でin vitro増殖する能力を測定する。参照ウイルスを阻害するのに必要な薬剤の量に対して、ウイルス活性を阻害するのにより少ない薬剤が必要とされる場合、ウイルスは、特定の薬剤に対する感受性がより高い。
一実施形態では、表現型分析を行い、これを用いてウイルス株に対する薬剤のIC50またはIC90を計算する。分析結果はまた、薬剤感受性対照株または同一の患者に由来する先行ウイルス株と比較して、ウイルス株ごとにIC50またはIC90の倍数変化として提示することができる。ウイルスが各利用可能な抗ウイルス薬物療法に直接付されるので、結果を治療反応に直接結びつけることができる。たとえば、患者ウイルスが特定の薬剤に対して耐性を示す場合、その薬剤を回避するかまたは患者の治療法から除外することにより、医師は、より長期間にわたり効果を示す可能性が高くなっている治療計画をデザインすることできる。逆に、もし患者ウイルスが特定の薬剤に対して増大した感受性を示す場合には、その薬剤を反復することができる。
他の実施形態では、組換えウイルスアッセイ(「RVAS」)を用いて表現型分析を行う。RVAでは、ウイルスベクターと、患者ウイルスから増幅させたウイルス遺伝子配列と、の間で相同的組換えを行うことにより生成させたウイルスストックを使用する。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターはHIVベクターであり、ウイルス遺伝子配列はプロテアーゼ配列および/または逆転写酵素配列である。
好ましい実施形態では、PHENOSENSETM(ViroLogic INC., South San Francisco, CA)を用いて表現型分析を行う。Petropoulos et al., 2000, Antimicrob. Agents Chemother. 44:920-928;米国特許第5,837,464号および同第6,242,187号を参照されたい。PHENOSENSETMは、表現型試験の利点を活かし以前のアッセイの欠点を克服した表現型アッセイである。アッセイが自動化されているので、PHENOSENSETMでは、制御条件でより高いスループットが得られる。その結果、このアッセイでは、すべての現在利用可能な抗レトロウイルス剤に対する患者のHIV単離物の感受性プロファイルが正確に規定され、サンプルを受け取ってから約10〜約15日以内に結果が医師に直接送付される。PHENOSENSETMは、正確であり、わずか1ラウンドのウイルス複製で結果が得られるので、ウイルスのサブ集団の選択が回避される。結果は定量的であり、さまざまな度合の薬剤感受性の尺度となり、かつ感度が高いので、試験は、約500コピー/mLのウイルス量の血液検体で行うことができ、全ウイルス集団の10%以下の濃度のいくつかの薬剤耐性ウイルスの小集団を検出することができる。さらに、結果は再現性があり、薬剤にもよるが、実施されるアッセイの約95%において、約1.4〜2.5倍未満の変動が達成される。
PHENOSENSETMは、増幅されたウイルス遺伝子配列に由来する核酸と併用することができる。第5.4.1節に論述されているように、ウイルスを含有するサンプルは、ウイルスに感染したヒトまたは動物に由来するサンプルであってもよいし、ウイルス細胞の培養物に由来するサンプルであってもよい。一実施形態では、ウイルスサンプルは、遺伝子改変実験株を含む。
次に、遺伝子配列をベクター中に組み込む当技術分野で公知の任意の方法を用いて、増幅されたウイルス遺伝子配列を複製欠損ウイルスベクター中に組み込むことにより、耐性試験ベクター(「RTV」)を構築することができる。一実施形態では、制限酵素および従来のクローニング法を使用する。Sambrook et al., 2001, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 3rd ed., NY;およびAusubel ET al., 1989, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, NYを参照されたい。好ましい実施形態では、ApaIおよびPinAI制限酵素を使用する。好ましくは、複製欠損ウイルスベクターは、インジケーター遺伝子ウイルスベクター(「IGVV」)である。好ましい実施形態では、ウイルスベクターは、RTVの複製を検出する手段を含有する。好ましくは、ウイルスベクターは、ルシフェラーゼ発現カセットを含有する。
アッセイは、次のように行うことができる。最初に、RTV DNAと、他のレトロウイルス(たとえば、アンホトロピックマウス白血病ウイルス(MLV))のエンベロープタンパク質を発現するプラスミドとを宿主細胞にコトランスフェクトする。トランスフェクション後、ウイルス粒子を採取し、これを用いて新たな標的細胞に感染させることができる。1ラウンドのウイルス複製の完了は、ベクター中に含まれる複製検出手段により検出することができる。好ましい実施形態では、1ラウンドのウイルス複製の完了により、ルシフェラーゼが産生される。トランスフェクションステップまたは感染ステップのいずれかで、一連の濃度の抗ウイルス剤を添加することができる。
抗ウイルス剤に対する感受性は、抗ウイルス剤の存在下および不存在下でベクターの複製を比較することにより測定することができる。たとえば、抗ウイルス剤に対する感受性は、抗ウイルス剤の存在下および不存在下でルシフェラーゼ活性を比較することにより測定することができる。感受性ウイルスは、抗ウイルス剤の存在下で低レベルのルシフェラーゼ活性を生じ、一方、感受性の低下したウイルスは、より高レベルのルシフェラーゼ活性を生じるであろう。
好ましい実施形態では、PHENOSENSETMを用いて、抗ウイルス剤に対するHIV-1の表現型感受性を評価する。好ましくは、抗ウイルス剤はプロテアーゼ阻害剤である。プロテアーゼ阻害剤の例は、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ロピナビルを含むがこれに限定されるものではない。好ましい実施形態では、参照ウイルス株は、NL4-3 HIV株またはHXB-2である。
一実施形態では、ウイルス核酸(たとえば、HIV-1 RNA)を血漿サンプルから抽出し、限定されるものではないが、PCRなどの方法により全ウイルス遺伝子およびその断片を増幅することが可能である。たとえば、Hertogs et al, 1998, Antimicrob Agents Chemother 42 (2):269-76を参照されたい。一例を挙げると、全HIV-1 PRおよびRTコード配列を含有する2.2kbの断片をネステッド逆転写PCRにより増幅する。次に、増幅された核酸(たとえば、PR-RTコード配列)のプールを、ほとんどのPR(コドン10〜99)およびRT(コドン1〜482)配列が欠失したpGEMT3deltaPRTプラスミドと共に、CD4+Tリンパ球(MT4)のような宿主細胞中にコトランスフェクトする。相同的組換えにより、ウイルスコード配列(たとえば、血漿中のHIV-1 RNAに由来するPRおよびRTコード配列)を含有するキメラウイルスを産生させる。トランスフェクトされた遺伝子の産物を標的にするすべての現在利用可能な抗ウイルス剤(たとえば、proRTおよび/またはPR阻害剤)に対するキメラウイルスの感受性は、当技術分野で公知の任意の細胞生存能力アッセイにより決定することができる。たとえば、MT4細胞-3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド系の細胞生存能力アッセイを、高いサンプルスループットを可能にする自動化システムで、使用することができる。RTおよびPR阻害剤のようなすべての抗ウイルス剤に対する耐性のプロファイルを、単一のPR-RT-Antivirogramでグラフ表示することができる。
当業者に公知の抗ウイルス剤に対するウイルスの表現型感受性を評価するための他のアッセイを使用することができる。たとえば、Shi and Mellors, 1997, Antimicrob Agents Chemother. 41 (12):2781-85; Gervaix et al., 1997, Proc Natl Acad Sci U.S.A. 94 (9):4653-8; Race et al., 1999, AIDS 13:2061-2068(その全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい。
他の実施形態では、抗ウイルス治療剤による治療に対するウイルスの感受性は、抗ウイルス治療剤の存在下で抗ウイルス治療剤の標的の活性をアッセイすることにより決定される。一実施形態では、ウイルスはHIVであり、抗ウイルス治療剤はプロテアーゼ阻害剤であり、そして抗ウイルス治療剤の標的はHIVプロテアーゼである。たとえば、米国特許第5,436,131号、同第6,103,462号(その全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい。
5.6 表現型高感受性と遺伝子型高感受性の関連付け
当技術分野で公知の任意の方法を用いて、突然変異が抗ウイルス治療剤に対するウイルスの感受性増加に関連するかつまり本発明に係るHSAMであるかを決定することができる。一実施形態では、P値を用いて相関の統計的有意性を決定する。その際、P値が小さいほど、測定が有意であるものとする。好ましくは、P値は0.05未満であろう。より好ましくは、P値は0.01未満であろう。P値は、当業者に公知の任意の手段により算出することができる。一実施形態では、P値は、フィッシャーの直接確率検定を用いて算出される。たとえば、David Freedman, Robert Pisani & Roger Purves, 1980, STATISTICS, W. W. Norton, New Yorkを参照されたい。他の実施形態では、P値はt検定及びノンパラメトリックなKruskal-Wallis検定(Statview 5.0 software,SAS,Cary,NC)を用いて算出される。
好ましい実施形態では、分析対象の突然変異を有しかつ各プロテアーゼ阻害剤の倍数変化分布の第10パーセンタイルと等しいかまたはこれ未満のIC50倍数変化を有するサンプルの数を、突然変異のないサンプルの数と比較する。2×2の表を作成し、フィッシャーの直接確率検定を用いてP値を算出することができる(実施例1参照)。0.05または0.01未満のP値は、統計的に有意なものとして分類することができる。
5.7 抗ウイルス治療剤に対する高感受性の決定
他の態様において、本発明は、抗ウイルス治療剤に対するウイルスの高感受性を決定する方法を提供する。高感受性関連突然変異(HSAM)は、先の第5.3〜5.6節に記載されているように同定し抗ウイルス治療剤に関連づけることができる。ウイルス中のHSAMの存在は、当技術分野で公知の任意の手段により、たとえば、先の第5.4.2節で論述したように、検出することができる。ウイルス中のHSAMの存在により、ウイルスが抗ウイルス治療剤に対する感受性増加を示す可能性が高くなっていることを示唆しうる。一実施形態では、ウイルスはヒト免疫不全ウイルス(HIV)である。他の実施形態では、ウイルスはヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)である。他の実施形態では、抗ウイルス治療剤はプロテアーゼ阻害剤である。プロテアーゼ阻害剤の例としては、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、およびロピナビルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態では、プロテアーゼ阻害剤は、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、およびロピナビルよりなる群から選択される。
他の実施形態において、本発明は、HIVがプロテアーゼ阻害剤による治療に対して高感受性である可能性が高くなっているか否かを決定する方法であって、該HIVによってコードされるプロテアーゼが、該プロテアーゼ阻害剤による治療に対する高感受性に関連する突然変異の存在又は不在を、該プロテアーゼのアミノ酸配列のアミノ酸位置16,20,33,36,37,39,45,65,69,77,89または93に呈するか否かを検出することを含み、該突然変異の存在により、HIVがプロテアーゼ阻害剤による治療に対して高感受性である可能性が高くなっていることが示唆されるが、但し、該突然変異はL33Fでないものとする、上記方法を提供する。
他の態様において、本発明は、抗ウイルス治療剤に対するウイルスに感染した個体の感受性を決定する方法を提供する。高感受性関連突然変異 (HSAM)は、先の第5.3〜5.6節に記載されているように同定し抗ウイルス治療に対する感受性増加と関連付けることができる。個体由来のサンプル中に存在するウイルス中のHSAMの存在は、当技術分野で公知の任意の手段により、たとえば、先の第5.4.2節で論述したように、検出することができる。ウイルス中のHSAMの存在により、個体が抗ウイルス治療剤に対する感受性増加を示す可能性が高くなっていることを示唆しうる。一実施形態では、ウイルスはHIVである。他の実施形態では、ウイルスはHIV-1である。他の実施形態では、抗ウイルス治療剤はプロテアーゼ阻害剤である。プロテアーゼ阻害剤の例としては、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、およびロピナビルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態では、プロテアーゼ阻害剤は、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、およびロピナビルよりなる群から選択される。
他の実施形態において、本発明は、HIVに感染した個体がプロテアーゼ阻害剤による治療に対して高感受性である可能性が高くなっているか否かを決定する方法であって、該個体に由来するサンプルにおいて、該プロテアーゼ阻害剤による治療に対する高感受性に関連する突然変異の存在又は不存在を、HIVプロテアーゼのアミノ酸配列のアミノ酸位置16,20,33,36,37,39,45,65,69,77,89または93で検出することを含み、該突然変異の存在により、個体がプロテアーゼ阻害剤による治療に対して高感受性である可能性が高くなっていることが示唆されるが、但し、該突然変異はL33Fでないものとする、上記方法を提供する。
5.8 アルゴリズムの構築
一態様において、本発明は、ウイルスに関する遺伝子型データをウイルスに関する表現型データと関連づけるアルゴリズムを構築する方法を提供する。一実施形態では、表現型データを抗ウイルス治療剤に対するウイルスの感受性に関連づける。他の実施形態では、抗ウイルス治療剤は抗ウイルス化合物である。他の実施形態では、抗ウイルス化合物はプロテアーゼ阻害剤である。プロテアーゼ阻害剤の例は、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ロピナビルを含むがこれに限定されない。
一実施形態では、アルゴリズムの構築方法は、1セットのウイルスに関する遺伝子型データをその組のウイルスに関する表現型データと関連づける1つまたは複数の規則を作成することを含む。
一実施形態では、1セットのウイルス中の各ウイルスに関する遺伝子型および表現型のデータを含むデータセットを集成する。当技術分野で公知の任意の方法を用いて、ウイルスに関する遺伝子型データを収集することができる。そのようなデータ収集方法の例は前述した。ウイルスに関する表現型データを収集するために、当技術分野で公知の任意の方法を使用することができる。そのような方法の例は前述した。好ましい実施形態では、データセットは、上述したような1つ以上のHSAMを含む。一実施形態では、各遺伝子型データは、そのウイルスセット中のウイルスのウイルスタンパク質の全部または一部分の配列である。他の実施形態では、データセット中の各遺伝子型データは、参照ウイルス中の参照タンパク質に対する、ウイルスによりコードされるタンパク質の単一アミノ酸変化である。他の実施形態では、遺伝子型は、ウイルスタンパク質中に2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上のアミノ酸変化を含む。他の実施形態では、ウイルスはHIVであり、タンパク質はHIVプロテアーゼである。好ましい実施形態では、ウイルスはHIV-1である。他の実施形態では、参照タンパク質はNL4-3 HIV由来のプロテアーゼである。
一実施形態では、データセット中の各表現型データは、そのウイルスセット中のウイルスの抗ウイルス治療剤に対する感受性である。一実施形態では、抗ウイルス治療剤は抗ウイルス化合物である。他の実施形態では、抗ウイルス化合物はプロテアーゼ阻害剤である。一実施形態では、感受性は、参照ウイルスに対するウイルスの感受性の変化として測定される。他の実施形態では、感受性は、参照ウイルスに対するウイルスのIC50の変化として測定される。他の実施形態では、IC50の変化は、IC50の倍数変化として表される。一実施形態では、ウイルスはHIVである。好ましい実施形態では、ウイルスはHIV-1である。他の好ましい実施形態では、参照HIVは、NL4-3 HIVである。
データセット中の遺伝子型および表現型のデータは、当技術分野で公知の任意の方法により表現または編成することができる。一実施形態では、グラフの形態でデータを表示する。このタイプの表現では、y軸は、参照ウイルスに対するデータセット中のウイルスのIC50の倍数変化を表す。グラフ上の各点は、データセット中の1つのウイルスに対応する。x軸は、データセット中のウイルスが有する突然変異の数を表す。点の位置は、突然変異の数と、ウイルスが有する抗ウイルス療法治療における倍数変化と、の両方を示し、両方とも参照株に対して測定される。他の実施形態では、データセット中の遺伝子型および表現型のデータは、チャートの形態で表示される。
一態様において、データセット中の遺伝子型データを表現型データと関連づけるアルゴリズムを定式化する。一実施形態では、表現型カットオフ点を規定する。好ましい実施形態では、表現型は、抗ウイルス治療剤に対する感受性である。他の実施形態では、表現型は、参照ウイルスと対比したときの抗ウイルス治療剤に対する感受性の変化である。他の実施形態では、カットオフ点は、その値以下であればウイルスまたはウイルス集団が抗ウイルス療法に対して表現型高感受性として規定され、その値以上であればウイルス又はウイルス集団が表現型感受性であるが抗ウイルス療法に対して高感受性でない、そのような値である。他の実施形態では、カットオフ点は参照ウイルスのIC50に対する0.9,0.8,0.7,0.6,0.5,0.4,0.3,0.2,0.1,0.07,0.05,0.03,0.02または0.01の倍数変化値である。好ましい実施形態では、ウイルスはHIVであり、抗ウイルス療法はプロテアーゼ阻害剤による治療である。より好ましい実施形態では、ウイルスはHIV-1である。
他の実施形態では、表現型カットオフ点を用いて遺伝子型カットオフ点を規定する。一実施形態では、これは、データセットのウイルス中の突然変異の数をウイルスの表現型感受性と関連づけることにより行われる。これは、たとえば、先に論述したように行うことができる。遺伝子型カットオフ点は、その値よりも大きい突然変異数を有するデータセット中のほとんどのウイルスが表現型高感受性(「PT-HS」)でありかつその値よりも小さい突然変異数を有するほとんどのウイルスがPT-HSではないように選択される。定義により、遺伝子型カットオフに等しいかまたはそれよりも大きい突然変異数を有するデータセット中のウイルスは、抗ウイルス治療剤に対して遺伝子型高感受性(「GT-HS」)であり、突然変異の遺伝子型カットオフ数よりも少ない数を有するデータセット中のウイルスは、抗ウイルス治療剤に対してGT-HSではない。
このアルゴリズムはデータセット中の遺伝子型データと表現型データとの関係の有用な近似を提供することができるが、ほとんどの場合、GT-HSであるがPT-HSでない株またはPT-HSであるがGT-HSでない株が、有意な数存在するであろう。したがって、好ましい実施形態では、データセット中の不一致結果のパーセントを減少させるように、アルゴリズムをさらに改良する。これは、たとえば、試験したアルゴリズムで対象とした1つの位置に野生型を含む突然変異の混合を含むウイルス集団に対応する各データ点をデータセットから除去することにより行われる。
他の実施形態では、データセットで観測される1つ以上の突然変異に示差的加重値を割り当てる。このステップを含まないアルゴリズムでは、データセット中の各突然変異が抗ウイルス療法に対するウイルスまたはウイルス集団の全体的耐性に等しく寄与することが仮定される。一実施形態では、いくつかの突然変異に「加重」を行う。すなわち、増大された突然変異スコアを割り当てる。たとえば、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上の加重を突然変異に割り当てることができる。たとえば、2の加重が割り当てられた突然変異は、ウイルス中の2つの突然変異としてカウントされるであろう。小数加重値を割り当てることもできる。他の実施形態では、突然変異が抗ウイルス治療剤に対するウイルスの感受性の低下に関連する場合、1未満およびゼロ未満の値を割り当てることができる。
特定の突然変異に増大された加重を割り当てることに伴うトレードオフが存在することは、当業者であればわかるであろう。突然変異の加重を増大させるにつれて、GT-RであるがPT-Sでない不一致結果の数が増大する可能性がある。このため、大きすぎる加重を突然変異に割り当てると、アルゴリズムの全体的不一致が増大する可能性がある。したがって、一実施形態では、PT-HSであるがGT-HSでない不一致結果の減少とGT-RであるがPT-Sでない不一致結果の増大とのバランスをとる加重を突然変異に割り当てる。
他の実施形態では、データセット中の異なる突然変異間の相互作用も、アルゴリズム中に因子として組み込む。たとえば、2つ以上の突然変異が相乗的に作用することが見いだされる可能性がある。すなわち、ウイルス中の突然変異の同時発生が、各突然変異の作用が互いに独立しているとしたときに予測より有意に多くウイルスの高感受性に寄与する可能性がある。他の選択肢として、ウイルス中の2つ以上の突然変異の同時発生が、各突然変異が独立して起こったときの高感受性への寄与から予想されるよりも有意に少なくウイルスの耐性に寄与することが見いだされる可能性がある。また、2つ以上の突然変異が独立した突然変異として起こるよりも頻繁に同時発生することが見いだされる可能性がある。したがって、一実施形態では、同時に起こる突然変異に同時に加重を行う。たとえば、GT-HSであるがPT-HSでない不一致結果の数の増大を回避するために、突然変異のうちの1つだけに1以上の加重を割り当て、他の1つまたは複数の突然変異にゼロの加重を割り当てる。
他の態様において、データセットのウイルス中の突然変異の数および種類をウイルスの表現型高感受性に関連づけることにより、表現型カットオフ点を用いて遺伝子型カットオフ点を規定することができる。突然変異の種類の例としては、第一級アミノ酸突然変異、第二級アミノ酸突然変異、ポリペプチド上の実効電荷が保存される突然変異、および特定の位置のアミノ酸の極性、疎水性、または親水性が変化しない突然変異が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の範囲内にある他の突然変異の種類は、本明細書中の教示に基づいて、当業者に自明であろう。
一実施形態では、突然変異の1つ以上の種類に対する要件を因子として組み込んだアルゴリズムを構築する。他の実施形態では、突然変異の1つ以上の種類の最小数に対する要件をアルゴリズムに因子として組み込む。他の実施形態では、一次または二次突然変異の最小数に対する要件をアルゴリズムに因子として組み込む。他の実施形態では、一次または二次突然変異に対する要件を他の突然変異と組み合わせてアルゴリズムに因子として組み込む。たとえば、突然変異の特定の組合せを有するウイルスは、抗ウイルス治療剤に対して高感受性であるが、その組合せ中の任意の突然変異を単独でまたはその組合せの一部でない他の突然変異と共に有するウイルスは、抗ウイルス治療剤に対して高感受性でないことが見いだされる可能性がある。
たとえば、先に述べた方法を用いて、任意の所望の結果が得られるように、アルゴリズムをデザインすることができる。一実施形態では、全体的一致(PT-HS, GT-HS群のパーセントと非PT-HS, 非GT-HS群のパーセントとの合計、または100−(PT-HS, 非GT-HS群のパーセント + 非PT-HS,GT-HS群のパーセント))を最大化するようにアルゴリズムをデザインする。好ましい実施形態では、全体的一致は、約75%、80%、85%、90%、または95%超である。他の実施形態では、PT-HS, 非GT-HS結果のパーセントを最小化するようにアルゴリズムをデザインする。他の実施形態では、非PT-HS, GT-HS結果のパーセントを最小化するようにアルゴリズムをデザインする。他の実施形態では、非PT-HS, 非GT-HS結果のパーセントを最大化するようにアルゴリズムをデザインする。他の実施形態では、PT-HS, GT-HS結果のパーセントを最大化するようにアルゴリズムをデザインする。
アルゴリズムの構築時または構築後の任意の時点で、第2のデータセットでさらに試験することができる。一実施形態では、第2のデータセットは、データセットに含まれないウイルスよりなる。すなわち、第2のデータセットは、未処理データセットである。他の実施形態では、第2のデータセットは、データセット中に存在した1つ以上のウイルスと、そのデータセット中に存在しなかった1つ以上のウイルスと、を含有する。第2のデータセット(とくに、未処理データセット)でアルゴリズムを用いれば、アルゴリズムの予測性能を評価することができる。したがって、一実施形態では、第2のデータセットを用いてアルゴリズムの確度を評価し、上述したようにアルゴリズムの規則に変更を加えて、その確度を改良する。好ましい実施形態では、反復法を用いてアルゴリズムを生成する。その際、アルゴリズムを試験し、次に、所望のレベルの確度が得られるまで、繰返し変更を加える。
5.9 ウイルスの高感受性を予測するアルゴリズムの使用
他の態様において、本発明はまた、ウイルスの遺伝子型に基づいて抗ウイルス治療剤に対するウイルスまたはウイルス派生物の表現型高感受性を予測すべく本発明のアルゴリズムを使用する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、ウイルスまたはウイルス派生物において1つ以上のHSAMの存在または不存在を検出することと、ウイルスにアルゴリズムの規則を適用することを含み、アルゴリズムの規則を満たすウイルスは、抗ウイルス治療剤に対して遺伝子型高感受性であり、アルゴリズムの規則を満たさないウイルスは、抗ウイルス治療剤に対して遺伝子型高感受性ではない。他の実施形態では、本方法は、ウイルスまたはウイルス派生物において1つ以上のHSAMの存在または不存在を検出することと、検出されたHSAMにアルゴリズムの規則を適用することを含み、遺伝子型カットオフスコアに等しいかまたはそれ以上であるスコアは、ウイルスが抗ウイルス治療剤に対して遺伝子型高感受性であることを示唆し、遺伝子型カットオフ未満のスコアは、ウイルスが抗ウイルス治療剤に対して遺伝子型高感受性でないことを示唆する。
本発明のアルゴリズムは、先に第5.4.1.節で述べたように、抗ウイルス剤感受性が問題となる任意のウイルス性疾患に使用することができる。特定の実施形態では、本発明のアッセイは、抗ウイルス剤に対するレトロウイルスの感受性を決定するために使用することができる。好ましい実施形態では、レトロウイルスはHIVである。好ましくは、ウイルスはHIV-1である。
本発明の抗ウイルス剤は、ウイルスに有効な任意の治療剤でありうる。たとえば、本発明の薬剤感受性試験で試験することのできるウイルスの構造、生活環、および遺伝因子を理解することは、本発明を実施するうえで有用である。当業者であれば、これらについて熟知していよう。また、これらは、たとえば、抗ウイルス剤の標的となりうる鍵となる酵素および他の分子を提供するであろう。本発明の抗ウイルス剤の例としては、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、たとえば、AZT、ddI、ddC、d4T、3TC、アバカビル、ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤、たとえば、テノフォビル、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、たとえば、ネビラピン、エファビレンツ、デラビルジン、融合阻害剤、たとえば、T-20およびT-1249、ならびにプロテアーゼ阻害剤、たとえば、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、およびロピナビルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のいくつかの実施形態では、抗ウイルス剤はレトロウイルスを標的とする。特定の実施形態では、抗ウイルス剤は、プロテアーゼ阻害剤、たとえば、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、およびロピナビルである。
抗ウイルス剤による治療に対する高感受性に関連するいくつかの突然変異が公知であり、例えばプロテアーゼ阻害剤アンプレナビルに対するN88Sがある(Ziermannら、J Virol 74:4414-4419(2000))。その他は上述の5.4〜5.8節で記載される方法によって決定することができる。例えば、プロテアーゼ阻害剤に対する高感受性に関連する突然変異のリストを表1に提供する。
5.10 個体に対する抗ウイルス治療剤の有効性を予測するアルゴリズムの使用
他の態様において、本発明はまた、抗ウイルス治療剤に対してウイルスの遺伝子型に基づいてウイルスに感染した個体に対する抗ウイルス治療剤の有効性を予測すべく本発明のアルゴリズムを使用する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、ウイルスまたはウイルス派生物において1つ以上のHSAMの存在または不存在を検出することと、ウイルスにアルゴリズムの規則を適用することを含み、アルゴリズムの規則を満たすウイルスは、抗ウイルス治療剤に対して遺伝子型高感受性であり、アルゴリズムの規則を満たさないウイルスは、抗ウイルス治療剤に対して遺伝子型高感受性ではない。他の実施形態では、本方法は、ウイルスまたはウイルス派生物において1つ以上のHSAMの存在または不存在を検出することと、検出されたHSAMにアルゴリズムの規則を適用することを含み、遺伝子型カットオフスコアに等しいかまたはそれ以上であるスコアは、ウイルスが抗ウイルス治療剤に対して遺伝子型高感受性であることを示唆し、遺伝子型カットオフ未満のスコアは、ウイルスが抗ウイルス治療剤に対して遺伝子型高感受性でないことを示唆する。
上記の第5.4.1節に記載されているように、本発明のアルゴリズムは、抗ウイルス剤感受性が問題となる任意のウイルス性疾患に使用することができる。また、本発明の抗ウイルス剤は、ウイルスに有効な任意の治療剤でありうる。特定の実施形態では、本発明のアッセイは、抗ウイルス剤に対するレトロウイルスの感受性を決定するために使用される。好ましい実施形態では、レトロウイルスはHIVである。好ましくは、ウイルスはHIV-1である。本発明のいくつかの実施形態では、抗ウイルス剤はレトロウイルスを標的とする。特定の実施形態では、抗ウイルス剤は、プロテアーゼ阻害剤、たとえば、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、およびロピナビルである。
上記の第5.9節に記載されているように、抗ウイルス剤による治療に対する高感受性に関連する突然変異は、当技術分野で取得可能であるかまたは先に第5.4〜5.8節に記載した方法により決定可能である。
いくつかの実施形態では、本発明は、ウイルスに感染しかつ同一であるかまたは異なっている抗ウイルス治療剤による先行治療を受けているかまたは受けたことがある個体において抗ウイルス治療剤の有効性をモニターする方法であって、該個体のサンプルにおいて抗ウイルス治療剤の治療に対する高感受性に関連するアミノ酸残基の存在または不存在を検出することを含み、残基の存在が抗ウイルス治療剤による治療に対応する高感受性に関連する、上記方法を提供する。好適な実施形態において、抗ウイルス治療剤はプロテアーゼ阻害剤である。
5.11 一方の抗ウイルス治療剤に対する高感受性と他方の抗ウイルス治療剤に対する高感受性との相関
他の態様において、本発明は、異なる抗ウイルス治療剤に対するウイルスの遺伝子型感受性に基づいてウイルスに対する抗ウイルス治療剤の有効性を予測すべく本発明のアルゴリズムを使用する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、ウイルスまたはウイルス派生物において抗ウイルス治療剤に対する高感受性に関連する1つ以上の突然変異の存在または不存在を検出することと、検出された突然変異に本発明のアルゴリズムの規則を適用することを含み、遺伝子型カットオフスコアに等しいかまたはそれ以上であるスコアは、ウイルスが、異なる抗ウイルス治療剤に対して遺伝子型高感受性であることを示唆し、遺伝子型カットオフ未満のスコアは、ウイルスが、異なる抗ウイルス治療剤に対して遺伝子型高感受性ではないことを示唆する。他の実施形態では、2つの抗ウイルス治療剤は、同一のウイルスタンパク質に影響を及ぼす。他の実施形態では、2つの抗ウイルス治療剤は、両方とも、プロテアーゼ阻害剤である。プロテアーゼ阻害剤の例としては、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、およびロピナビルが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態では、一方のプロテアーゼ阻害剤に対する耐性に関連する突然変異を、他方のプロテアーゼ阻害剤に対する耐性に関連づける。
6. 実施例
以下の実施例は、本発明の特定の態様を例示するために提供されるものであり、本発明の主題を限定しようとするものではない。
6.1 実施例1:高感受性関連突然変異を同定する患者サンプルの分析
この実施例は、プロテアーゼ阻害剤に対する高感受性に関連する突然変異を同定すべく患者サンプルを分析する方法を実証する。
HIV-1株のプロテアーゼ配列と、プロテアーゼ阻害剤による治療に対するその感受性との関係を決定するために、患者血漿サンプルのデータセットを遺伝子型及び表現型により分析した。表現型アッセイはPHENOSENCETM(Virologic,South San Francisco,CA)HIV
アッセイ(Petropoulosら、2000,Antimicrob.Agents Chemother.44:920-928;米国特許第5,837,464及び6,242,187)を用いて実施した。血漿サンプルはHIV-1に感染した患者から収集した。同一の患者由来の重複サンプルを、特有の突然変異の組み合わせに起因し得る偏りを防ぐために除いた。さらに、HIV-1プロテアーゼまたはHIV-1逆転写酵素中にいずれかの耐性選択突然変異(表2参照)を有するサンプルを除いた。これにより1515サンプルのデータセットを得た。サンプルセットの少なくとも1%(すなわち少なくとも15サンプル)中で変化するプロテアーゼ中の位置を分析において考慮した。数種のプロテアーゼ阻害剤のIC50値は、患者サンプル由来のHIV-1に対して得られたものである。これをNL4-3(GenBank 受託番号AF324493)参照ウイルス株に対するプロテアーゼ阻害剤のIC50と比較した。表現型データはプロテアーゼ阻害剤の50%阻害濃度(IC50)での「倍数変化(fold change)」(または倍数変化の対数値(log fold change))として表した。IC50倍数値は、患者血漿サンプル由来のHIV-1に対するプロテアーゼ阻害剤のIC50値を、NL4-3(GenBank 受託番号AF324493) 参照ウイルス株に対するプロテアーゼ阻害剤のIC50値で割ることにより算出した。
図2に見られるように、観察される倍数変化値は通常全てのプロテアーゼ阻害剤について分散された。表3は、アンプレナビル(「APV」)、インジナビル(「IDV」)、ネルフィナビル(「NFV」)、リトナビル(「RTV」)、サキナビル(「SQV」)及びロピナビル(「LPV」)における倍数変化(FC)の平均値、中間値、第90及び第10パーセンタイル値を示しめしている。
高感受性は、各プロテアーゼ阻害剤の倍数変化分布の第10パーセンタイルと等しいかまたはこれ未満の倍数変化として規定した。図3は野生型または参照ウイルスに対する異なるプロテアーゼ阻害剤の阻害曲線、並びに異なるプロテアーゼ阻害剤に対して高感受性を有するサンプルの阻害曲線を示している。阻害率をY軸にプロットし、そしてプロテアーゼ阻害剤濃度(mM)をX軸にプロットした。図から分かるように、プロテアーゼ阻害剤に対する高感受性を有するサンプルの曲線(実線)は野生型ウイルスの曲線と比べて左に移動しており、野生型と比較してサンプルのより低いIC50(従って増大した感受性)を示している。
各位置に突然変異を有するまたは有しないサンプルの対数変換した倍数変化の平均値を、平均値比較についてのt検定及びノンパラメトリックなKruskal-Wallis検定によって比較した。各位置に突然変異を有するまたは有しない高感受性として規定されたサンプル数をフィッシャーの直接確率検定を用いることによって比較した。0.05未満の P値は有意とみなした。3つ全ての統計学的検定によって、異なるプロテアーゼ阻害剤に対して高感受性と関連すると見いだされた位置を表1に列挙する。「正の関連」の欄内の突然変異は、プロテアーゼ阻害剤に対して高感受性であることが見いだされたサンプル中に過剰に表れていたが、「負の関連」の欄中の突然変異は、プロテアーゼ阻害剤に対して高感受性であると見いだされたサンプル中に十分に表れていなかった。「負の関連」の欄内に列挙された位置に突然変異を有するウイルスは、プロテアーゼ阻害剤に対する感受性低下を示すようである。しかし、低下した感受性は低レベルであろう。下線が引かれた位置は倍数変化の平均値の最大変化と関連した。図4は、種々のプロテアーゼ阻害剤に対する、野生型ウイルス(「wt」)、野生型ウイルスと表示の突然変異体を含むサンプルの混合物(「mix」)、表示の突然変異体(「mt」)を含むサンプル、のFC対数値を示している。これらの突然変異体については、倍数変化の平均値の最大変化を有するものを選択した(例えばAPVについてP39、IDVについてE65など)。
表1に列挙される突然変異及び高感受性に関連する突然変異のいくつかは、69+89、20+36、及び36+89の位置での突然変異のように、しばしば一緒に生じた。M36I、R41K、H69K、及びL89Mは非BクレードHIVの代表的な突然変異であるが、非BクレードHIVは数種のプロテアーゼ阻害剤に対して増大した感受性を有するかもしれない可能性がある。図5は、Bクレード及び非Bクレードウイルスのプロテアーゼ阻害剤感受性を示している。図から分かるように、非Bクレードウイルスは、(SQVを除いて)一般的にBクレードウイルスよりもプロテアーゼ阻害剤に対する高い感受性を有する。これはHIV-1に感染した個体の治療において重要な意味を有する。非BクレードHIVに感染した個体はBクレードHIVに感染した個体と比較してプロテアーゼ阻害剤に対して高感受性となり得る増大した可能性がある。
図6はHIVクレード毎のプロテアーゼ阻害剤感受性を示す。HIVクレード及び各クレードに含まれるサンプル数を図の右に示す。図から分かるように、異なるクレードのHIVは異なるプロテアーゼ阻害剤に対する異なる感受性を有する。個体に感染しているHIVのクレードが分かれば、HIVクレードに対して最も感受性であるプロテアーゼ阻害剤を使用することが可能である。
6.2 実施例2:1つのプロテアーゼ阻害剤に対する高感受性と関連する突然変異が他のプロテアーゼ阻害剤に対する高感受性に及ぼす影響
PhenoSenseTMアッセイ実施が、野生型ウイルスで観察される多様性の範囲内で、表現型感受性の小さな違いを区別することが可能であること確認するため、プロテアーゼ阻害剤対間の関係を調べた。多様性のすべてがアッセイ実施に起因した場合、1つの薬剤のFCと別の薬剤のFCとの間に全く関係がないことを見出すこと予想されるだろう。対照的に、ある近接した関係が多くのプロテアーゼ阻害剤対について観察された。表4に、各対についての回帰係数をまとめた。図7は、2対のプロテアーゼ阻害剤についてのプロテアーゼ阻害剤感受性の共分散を示す。図から分かるように、プロテアーゼ阻害剤間の相関は非常に高い(相関係数は、IDVとRTVについてR2=0.69、LPVとAPVについてR2=0.74)。
プロテアーゼ阻害剤に対する高感受性が複製能(「RC」)の低下と関連するかどうかを決定するため、各プロテアーゼ阻害剤対RCについての点図表プロット(図8)を、薬剤知識のない、全ての薬剤に対して感受性低下を欠く(FC>2.5)、最近感染した患者、またはウイルスのRCデータを含むデータベースサンプルであって全ての薬剤に対する感受性低下も欠く(FC>2.5)サンプルのランダムサンプリング、から得られた402ウイルスのデータセットを用いることによって作成した。図から分かるように、いくつかの薬剤(例えばSQVとLPV)については弱い関連性を有したが、全てのケースで低RCであるが標準(HSでない)FC、及び高RCであるがHSである多くのサンプルが存在する。
本明細書中で引用されたすべての文献は、その全体を参照として組み入れるものとする。
本明細書に提供されている実施例は、実際のものであっても予測的なものであっても、単に本発明の実施形態に過ぎず、なんら本発明を限定しようとするものではない。
Figure 2005536200
Figure 2005536200
Figure 2005536200
Figure 2005536200
図1は、HIV-1のゲノム構造の概略図である。 図2は、プロテアーゼ阻害剤の倍数変化分布を示す。 図3は、プロテアーゼ阻害剤に対する高感受性を有するサンプルの阻害曲線を示す。 図4は、プロテアーゼ阻害剤に対する高感受性と関連する突然変異を有するサンプルのプロテアーゼ阻害剤感受性を示す。 図5は、Bクレード及び非Bクレードウイルスのプロテアーゼ阻害剤感受性を示す。 図6は異なるクレードのウイルスのプロテアーゼ阻害剤感受性を示す。 図7は、異なる対のプロテアーゼ阻害剤の感受性共分散を示す。 図8は、異なるプロテアーゼ阻害剤についての、RC対プロテアーゼ阻害剤FCのプロットを示す。 図9Aは、NL4-3 HIV(GenBank 受託番号P12497)プロテアーゼのアミノ酸配列(配列番号1)を示す。 図9Bは、NL4-3 HIV(GenBank 受託番号AF324493)プロテアーゼ遺伝子の核酸配列(配列番号2)を示す。
【配列表】
Figure 2005536200
Figure 2005536200

Claims (23)

  1. HIVがプロテアーゼ阻害剤による治療に対して高感受性である可能性が高くなっているか否かを決定する方法であって、該HIVによってコードされるプロテアーゼが、該プロテアーゼ阻害剤による治療に対する高感受性に関連する少なくとも1つの突然変異の存在または不存在を、該プロテアーゼのアミノ酸配列のアミノ酸位置16,20,33,36,37,39,45,65,69,77,89または93に呈するか否かを検出することを含み、該突然変異の存在により、HIVがプロテアーゼ阻害剤による治療に対して高感受性である可能性が高くなっていることが示唆されるが、但し、該突然変異はL33Fでないものとする、上記方法。
  2. HIVに感染した個体がプロテアーゼ阻害剤による治療に対して高感受性である可能性が高くなっているか否かを決定する方法であって、該個体に由来するサンプルにおいて、該プロテアーゼ阻害剤による治療に対する高感受性に関連する少なくとも1つの突然変異の存在または不存在を、HIVプロテアーゼのアミノ酸配列のアミノ酸位置16,20,33,36,37,39,45,65,69,77,89または93で検出することを含み、該突然変異の存在が、個体がプロテアーゼ阻害剤による治療に対して高感受性である可能性が高くなっていることが示唆されるが、但し、該突然変異はL33Fでないものとする、上記方法。
  3. HIVプロテアーゼの一部分をコードする約10〜約40塩基長の単離されたオリゴヌクレオチドであって、前記ヒト免疫不全ウイルスプロテアーゼ中の該プロテアーゼのアミノ酸配列のアミノ酸位置16,20,33,36,37,39,45,65,69,77,89または93に少なくとも1つの突然変異を含み、該突然変異がプロテアーゼ阻害剤に対する高感受性に関連するが、但し、該突然変異はL33Fでないものとする、上記オリゴヌクレオチド。
  4. 前記ヒト免疫不全ウイルスがヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)である、請求項1または2に記載の方法。
  5. プロテアーゼが配列番号1と90%以上同一である配列を有する、請求項1または2に記載の方法。
  6. 前記プロテアーゼ阻害剤がアンプレナビル(amprenavir)である、請求項1または2に記載の方法。
  7. 前記アミノ酸位置が20,36,39,65,69,77または89位である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記プロテアーゼ阻害剤がインジナビル(indinavir)である、請求項1または2に記載の方法。
  9. 前記アミノ酸位置が16,39または65位である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記プロテアーゼ阻害剤がネルフィナビル(nelfinavier)である、請求項1または2に記載の方法。
  11. 前記アミノ酸位置が16,39,65,69または89位である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記プロテアーゼ阻害剤がリトナビル(ritonavir)である、請求項1または2に記載の方法。
  13. 前記アミノ酸位置が39,65または93位である、請求項12に記載の方法。
  14. 前記プロテアーゼ阻害剤がサキナビル(saquinavir)である、請求項1または2に記載の方法。
  15. 前記アミノ酸位置が33,37,45,65または77位である、請求項14に記載の方法。
  16. 前記プロテアーゼ阻害剤がロピナビル(lopinavir)である、請求項1または2に記載の方法。
  17. 前記アミノ酸位置が33,39,65,77または93位である、請求項16に記載の方法。
  18. 前記プロテアーゼ中の前記突然変異の前記存在または不存在が、配列特異的オリゴヌクレオチドプローブと、該突然変異をコードする前記ヒト免疫不全ウイルスの核酸配列とのハイブリダイゼーションにより検出され、ハイブリダイゼーションの形成により、該突然変異の前記存在または不存在が示唆される、請求項1または2に記載の方法。
  19. 前記プロテアーゼにおける前記突然変異の存在または不存在が、該突然変異をコードする核酸配列を決定することにより検出される、請求項1または2に記載の方法。
  20. 前記個体が抗ウイルス剤による先行治療を受けているまたは受けたことがある、請求項2に記載の方法。
  21. 前記プロテアーゼ阻害剤による治療に対する高感受性に関連する突然変異の存在又は不存在を、少なくとも2,3,4,5,6,7,8,9,10,11または12ヶ所のアミノ酸位置で検出することを含む、請求項1または2に記載の方法。
  22. HIVがプロテアーゼ阻害剤による治療に対して低レベルの低下した感受性を示す可能性が高くなっているか否かを決定する方法であって、該HIVによってコードされるプロテアーゼが、該プロテアーゼ阻害剤による治療に対する高感受性と否定的に関連する少なくとも1つの突然変異の存在又は不存在を、該プロテアーゼのアミノ酸配列のアミノ酸位置10,15,36,41,57,60,63,71または93で呈するか否かを検出することを含み、該突然変異の存在が、HIVがプロテアーゼ阻害剤による治療に対して低レベルの低下した感受性を示す可能性が高くなっていることを示唆する、上記方法。
  23. HIVに感染した個体がプロテアーゼ阻害剤による治療に対する低レベルの低下した感受性を示す可能性が高くなっているか否かを決定する方法であって、該個体に由来するサンプルにおいて、該プロテアーゼ阻害剤による治療に対する高感受性と否定的に関連する少なくとも1つの突然変異の存在又は不存在を、HIVプロテアーゼのアミノ酸配列のアミノ酸位置10,15,36,41,57,60,63,71または93で検出することを含み、該突然変異の存在が、個体がプロテアーゼ阻害剤による治療に対する低レベルの低下した感受性を示す可能性が高くなっていることを示唆する、上記方法。
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