JP2005535881A - 分子間相互作用のモニター方法及びシステム - Google Patents

分子間相互作用のモニター方法及びシステム Download PDF

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Abstract

本発明は導管内の流体流に存在するTaylor−Aris分散現象を使用して分子の相互作用を測定するための新規方法及びシステムに関する。本方法は分子の分散の変化をその相互作用のレベルと相関させる。本発明は更に種々の化学的及び生物学的システムで分子間相互作用を試験するためにマイクロ流体システムでTaylor−Aris分散を使用するアッセイ方法に関する。

Description

関連出願とのクロスリファレンス
本願は米国仮特許出願第60/402,508号(出願日2002年8月12日)の優先権を主張し、その開示内容全体を参考資料として全目的で本明細書に組込む。
(連邦政府支援研究開発から創出された発明の権利に関する陳述)
適用外。
本願は流体システム内を流れる分子の物性(例えばTaylor−Aris分散率)の変化を使用して分子間相互作用又は会合をモニターするための新規方法及びシステムを開示する。本発明は一般には流体導管、好ましくはマイクロ流体チャネルネットワークで分子間の会合レベルの変化を観測する方法に関する。
最近、種々の化学的及び生物学的プロセスを試験することができるマイクロスケールアッセイ方法の開発が進められている。制御可能に流通及び/又は移送される微量の流体、又は他の材料を使用し、化学的及び生物学的反応条件、酵素プロセス等を制御するために再現性が高く、迅速に変化可能な微小環境を生成するマイクロ流体チップは特に注目されている。
分析物溶液中の分子間の相互作用の存在を検出することが可能なマイクロ流体を使用して数種の方法が開発されている。溶液中の分析物の非反応性相互作用(例えば結合)を測定する主要方法は不均質フォーマットでラベル又はタグを使用することにより実施されている。要約すると、標識した分析物を予想結合パートナーと接触させる。次に、結合したラベルを分離段階(例えばクロマトグラフィー、電気泳動、又はどちらかの成分を固体支持体に固相化)とその後の洗浄段階で遊離(例えば未結合)ラベルから分離する。これらの不均質フォーマットの欠点は時間と手間のかかる付加段階を必要とすることである。
場合によっては、分子間相互作用が生じた場合に変化するシグナルを発生するラベルが利用可能である。しかし、多数の該当分析物(蛋白質、ポリヌクレオチド、多糖及び特に小分子等の高分子)は(1)該当反応を生じた場合のみにシグナルを発生する容易に入手可能なラベルがないか、又は(2)分析物の標識が分子間相互作用を妨げるという事実により、相互作用又は反応プロセスの測定は困難になっている。
更に、多くの反応では、相互作用対の一方の分子を標識しても、複合体の形成により複合体と標識分子単独の間に検出可能な差異が生じないことは明白である。従って、生物学研究分野に極めて有用な多くの反応の分子は慣用手段により容易に検出できるように修飾することができない。これらの問題を解決するために、研究者らは分析物が会合すると光学的性質が変化する数種の方法を開発している。
例えば、Pirrungら(米国特許第5,143,854号)は結合対の一方の分子の固相化を利用する技術を記載している。次に、標識分子を固相化した分子と接触させ、固相化支持体を洗浄する。次に、標識成分と未標識固相化成分の結合の指標である標識分子の存在について支持体を試験する。アッセイフォーマットのスループットを高めるためには、膨大な結合メンバー対を作製することが多い。
あるいは、核酸ハイブリダイゼーションアッセイの場合には、結合又は未結合状態で蛍
光シグナルを発生するために結合エレメントの近接を利用する相補的標識システムが研究者らにより開発されている。例えばFRET色素の記載についてはMathiesらの米国特許第5,668,648号;5,707,804号;5,728,528号;5,853,992号及び5,869,255号、分子ビーコンの記載についてはTyagiら,Nature Biotech.14:303−8(1996)及びTyagiら,Nature Biotech.16:49−53(1998)参照。
更に、Yamauchiら(米国特許第5,723,345号)は液体サンプル中の物質がチャネルを流れてシグナル物質と相互作用し、複数の検出器により検出されるシグナルを発生する特異的結合アッセイ方法を開示している。
Maracas,G.N.(米国特許第6,048,691号)はチップ型分子検出デバイスと結合アッセイを実施するための方法及びシステムを開示している。
結合を検出する別法は蛍光偏光を使用する均質法である。蛍光偏光検出では、大きい分子と小さい標識分子の結合の結果、標識種の回転拡散速度が変化し、従って、偏光活性化エネルギーに応答して偏光蛍光を発生できなくなる。例えばNikiforovの米国特許第6,287,774号参照。
以上の記載から明らかなように、殆どの慣用技術は検出物質もしくは材料の介在、又は基質が物質と結合して検出可能なシグナルを発生できることが必要である。これらの方法にはいくつかの欠点があり、例えば、対象分子の光学的性質の欠如、検出物質又はラベルが実験対象である結合又は分子会合を妨害する可能性、及び結合イベントを指示するのに適したラベルの欠如が挙げられる。従来技術の方法の共通の欠点は、標識又は基質結合分子がその遊離パートナーと同一の結合特性を示さない可能性があるという点である。分子を標識するか又は固定検出基質に結合することにより、分子形態、結合部位利用可能性又は接近可能性が変化し、その結果、他の分子とのその結合特性の測定が不正確になる恐れがある。
米国特許第5,143,854号 米国特許第5,668,648号 米国特許第5,707,804号 米国特許第5,728,528号 米国特許第5,853,992号 米国特許第5,869,255号 米国特許第5,723,345号 米国特許第6,048,691号 米国特許第6,287,774号 Tyagiら,Nature Biotech.14:303−8(1996) Tyagiら,Nature Biotech.16:49−53(1998)
従って、(1)分子会合が発生すると識別可能なシグナルを発生するラベルに依存しないか、又は(2)結合ラベルから分離するために分子会合後に分離段階を必要としないアッセイ検出方法が必要である。
本発明はこれらの必要を満たすためにTaylor−Aris分散現象を利用する。T
aylor−Aris現象は従来認識されている(例えばTaylor,Sir Geoffrey,F.R.S.,Dispersion of soluble matter in solvent flowing slowly through a tube,Proc.Roy.Soc.(London)219A:186−203(1953);Taylor,Sir Geoffrey,F.R.S.,Conditions
under which dispersion of a solute in a
stream of solvent can be used to measure molecular diffusion,Proc.Roy.Soc.(London)A225:473−477(1954);Aris,R.,On the dispersion of a solute in a fluid flowing through a tube,Proc.Roy.Soc.(London)A235:67−77(1956))が、このプロセスを利用して複数の分子間の相互作用を測定する方法及び装置は従来記載されていない。
1態様では、本発明は複数の分子間の相互作用の測定方法を提供する。本方法は複数の分子を圧力駆動流下に流体導管に流す段階と;Taylor−Aris分散である分子の少なくとも1種の分散を測定する段階と;分散を複数の分子間の相互作用と相関させる段階を含む。
別の態様では、本発明は複数の分子間の相互作用の測定方法を提供する。本方法は複数の分子のうちの第1の分子をマイクロ流体導管に導入する段階と;複数の分子のうちの第2の分子をマイクロ流体導管に導入する段階と;圧力駆動流条件下にマイクロ流体導管内を流れる第1の分子と第2の分子の少なくとも一方の分散を測定する段階と;分散を複数の分子間の相互作用と相関させる段階を含む。
別の態様では、本発明はマイクロ流体システムを提供する。本システムは相互に交差する第1のチャネルと第2のチャネルが内部に形成された本体構造をもつマイクロ流体デバイスと;第1のチャネルと第2のチャネルにサンプルを導入する流体サンプル入口と;第1のチャネルと流体連通しており、第1のチャネルの入口を介して第1のチャネルに移送される第1の流体を収容する第1の流体リザーバーと;第2のチャネルと流体連通しており、第2のチャネルの入口を介して第2のチャネルに移送される第2の流体を収容する第2の流体リザーバーと;流体サンプル入口と第1の流体入口の下流に配置された第1のチャネルの第1の検出ゾーンと、流体サンプル入口と第2の流体入口の下流に配置された第2のチャネルの第2の検出ゾーンと;第1の検出ゾーンと第2の検出ゾーンを流れる流体中の少なくとも1種の分子の相対分散率を測定するための手段を備える。
本発明の別の態様はマイクロ流体システムを提供する。本システムは第1のチャネルと第2のチャネルが内部に形成された本体構造をもつマイクロ流体デバイスと;少なくとも第1の分子を含む第1の流体を第1のチャネルに導入する手段と;少なくとも第2の分子を含む第2の流体を第2のチャネルに導入する手段と;1種以上の試験分子を含む流体を第1のチャネルと第2のチャネルの両者に導入する手段と;第1の流体と、第2の流体と、1種以上の試験分子を含む流体の圧力駆動流を第1のチャネルと第2のチャネルに誘導する手段と;第1のチャネルと第2のチャネルに配置されており、第1の分子、第2の分子、又は試験分子の少なくとも1種の分散を測定する手段と;試験分子、第1の分子、及び第2の分子のうちの2種以上の相互作用と分散を相関させる手段を備える。
本発明は分子の拡散率の差と、分散に及ぼすTaylor−Aris現象の緩和効果を分子アッセイで使用する。本発明は、拡散率比が比較的小さい分子間の相互作用を測定できるという点が特に有利である。
更に、本発明は会合的又は解離的分子間相互作用が発生すると識別可能なシグナルを発生するラベル、又は標識種の分子会合後の分離段階を必要としないアッセイ検出方法を提供する。
本発明は会合的及び解離的相互作用等の各種分子間相互作用を測定するために使用することができる。本明細書に開示する方法、デバイス、及びシステムは医薬ライブラリー用汎用蛋白質結合アッセイ等の蛋白質結合の測定に特に有用である。
以下、添付図面を参照して本発明のその他の特徴と利点を詳細に記載する。
図面の簡単な説明
図1は大分子と小分子のチャネル軸方向位置に対する予想濃度プロフィルを示す。
図2は本発明を実施するための流体導管システムの模式図を示す。
図3Aはピペッターエレメント、サイドチャネル、及びメインチャネルを備えるシングルチャネルアッセイ用マイクロ流体デバイスの模式図を示す。
図3Bはピペッターエレメント、サイドチャネル、及びメインチャネルを備える自己参照シングルチャネルアッセイ用代替マイクロ流体デバイスの模式図を示す。
図4は自己参照デュアルチャネルアッセイ用マイクロ流体デバイスの模式図を示す。
図5は競合的結合実験で使用するシングルチャネルアッセイ用マイクロ流体デバイスの模式図を示す。
図6は実施例1に従って使用したシングルチャネルアッセイ用マイクロ流体デバイスの模式図を示す。
図7は実施例1に従い、標識ビオチンからの参照蛍光レベルを示す。
図8は実施例1に従い、標識ビオチンの反復注入から得られた蛍光シグナルを示す。
図9は実施例1に従い、標識ビオチンと緩衝液及びストレプトアビジンの注入による結合アッセイ実験の標準化実験蛍光シグナル結果を示す。挿入図は1回の注入の結果を示す。
図10は実施例1に従い、ビオチン及びストレプトアビジンとの結合アッセイの分散モデル結果を示す。
図11は実施例2に従って使用するためのマイクロ流体デバイスの模式図を示す。
図12は実施例2に従い、蛋白質、リガンド、及びサンプル分子の予想分布図を示す。
図13は実施例2に従い、軸方向位置の関数として小分子と大分子の濃度を示す。
図14は実施例2に従い、軸方向位置の関数として小分子と大分子の濃度を示す別の図である。
図15は実施例2に従い、軸方向位置の関数として小分子と大分子の濃度を示す別の図
である。
本発明はTaylor−Aris分散現象を使用して複数の分子間の相互作用を測定するための新規方法、デバイス、及びシステムを提供する。本発明の態様はマイクロ流体導管内を流れる複数の分子間の会合的及び解離的相互作用等の相互作用を測定するためにTaylor−Aris分散現象を使用する方法、デバイス、及びシステムを提供する。
本発明は分子間相互作用を検出、観測、測定及び分析するためにTaylor−Aris分散現象を使用する。本発明は検出にタグ付き又は標識分子を必要としないので、このようなタグが分子間相互作用を妨げる場合や、このような標識を実施できない場合に有用である。しかし、本発明の所定態様では、ラベル又はタグを使用することができる。
1態様では、本発明はマイクロ流体デザインによる小型化の結果、サンプル試験サイズを小さくし、分析物の使用を節約できるという利点がある。また、本発明は迅速なサンプリングにより、実験結果の高スループットで即座の反復が可能になるという利点もある。
本明細書において「分散」とは層状圧力駆動流における流線内の速度変動の結果として流体媒体内に対流により誘導される材料の長手方向分散(サンプル広がり)として定義される。本発明の目的では、分散とは一般に流れと分子拡散の結合、即ちTaylor− Aris分散に起因するものとして定義される。このレジームでは、対流輸送による分散のタイムスケールは流れの方向に垂直な方向における分子拡散のタイムスケールと同等以上である。この現象の詳細な説明はTaylorとArisの上記論文に記載されている。
Taylor−Arisレジームでは、分散は導管の軸方向の圧力駆動流を横断する分子の迅速な拡散により特徴付けられる。従って、分子は流れの場の低速と高速の両方の領域に「入る」ことができる。従って、圧力駆動流下にあるときに、概してサンプルはTaylor−Arisレジーム外のサンプルに比較してゆっくりと分散する。即ち、Taylor−Aris現象は圧力駆動流下の流体の分子の分散を緩和する。Taylor−Aris分散に関する記載については、その開示内容全体を参考資料として本明細書に組込む米国特許第6,150,119号とその引用文献も参照されたい。
本発明は分子間の相互作用の測定に分子の拡散率の差を利用する。特に、本発明者らは分子間の相互作用のレベルを測定するためにTaylor−Arisレジーム下の導管内の流体流における大分子と小分子の拡散率の差を利用する方法を発見した。
本発明の方法、システム、及びデバイスは拡散率比(拡散率が高いほうの分子の拡散率/拡散率が低いほうの分子の拡散率)が少なくとも約2である分子間の相互作用を測定するために適用可能である。具体的に、拡散率の比は2〜3、又はそれ以上、例えば,約8〜約10とすることができる。他の態様では、拡散率の比は約2〜約10、又は約10以上でもよい。本発明は拡散率比が小さい小分子と大分子の相互作用を測定できるという点が特に有利である。
当業者に自明の通り、分子の拡散率は主にそのサイズにより異なる。一般に、小さい分子のほうが大きい分子よりも拡散率が高い。便宜上、本明細書では拡散率が高い分子と低い分子のことを「小」分子及び「大」分子と言う。しかし、当然のことながら、分子の拡散率は他の因子によっても異なり、限定されないが分子の形状等が挙げられる。
本発明の方法、システム、及びデバイスは小分子と大分子の相互作用を測定するのに特
に有用である。小分子の分子量は約5000Da以下、例えば約300Da〜約1000Daとすることができる、大分子の分子量は約15000Daを上回ることができ、これよりも有意に高分子量でもよい。当然のことながら、Taylor−Aris現象を補助する流れ条件下に分子を導管内で使用することができ且つ拡散率比が少なくとも約2である限り、本発明で使用する分子のサイズを限定するものではない。例えば、試験分子が気相にある場合には、小及び/又は大分子の分子量は上記値よりも低くすることができる。
本発明はTaylor−Aris現象を利用することができる任意流体導管、即ち導管内の分子拡散が導管内の分子流通速度と同等以上である任意流体導管で使用することができる。導管は例えばマイクロ流体デバイスの被覆チャネル又はキャピラリーとすることができる。当業者に自明の通り、一定速度では導管が小さいほどTaylor−Aris現象が圧力駆動流による分散を緩和する程度は大きくなる。例えば、分析しようとする分子の拡散率に基づいて使用する導管の最適寸法を決定することができる。例えば、その開示内容全体を参考資料として本明細書に組込む米国特許出願第10/206,787号(出願日2002年7月26日)参照。
液体媒体中の分子間の相互作用を分析する場合には、適切な導管はマイクロチャネル又は更に横断面の小さい導管とすることができる。しかし、当然のことながら、Taylor−Aris現象が存在するならば、導管はマイクロチャネルよりも大型でもよい。Taylor−Aris現象は例えば気相中の分子のアッセイで存在する可能性もある。また、本発明で使用することができる導管の形状も特に限定されず、例えば円筒形、楕円形、及び長方形導管が挙げられる。
本発明の方法の態様で使用することができる分子の種類は限定されないが、アミノ酸、ポリアミノ酸、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、糖、多糖、抗体、受容体蛋白質、シグナル蛋白質、酵素、補因子、サイトカイン、ホルモン、ケモカイン、ポリマー及び薬剤が挙げられる。以上は例示に過ぎず、多様な分子の任意のものを本発明で使用できることに留意すべきである。本明細書で使用する分析物なる用語は溶液中に存在する場合のこれらの分子を意味する。
本発明の1態様では、流体導管内を流れる複数の分子(例えば大分子と小分子)のうちの少なくとも1種の分散を測定する。分散は当業者に公知の種々の方法により測定することができる。1態様では、流体導管内を流れる分子の1種以上の濃度を検出することにより分散を測定する。
流体導管内部に存在するか又は外部に排出される分子の存在又は濃度を検出するためには当業者に公知の任意手段を使用することができる。これらの手段としては、吸収又は蛍光分光法、熱レンズ分光法(例えばKitamoriら,Jpn.J.Appl.Phys.39,5316−5322,(2000)参照)及び紫外線分光法等の光学的方法と、電位差及び電流検出等の電気化学的方法と、限定されないが、質量分析、磁気共鳴法(例えば核磁気共鳴又は電子常磁性共鳴)、及び放射線測定等の当業者に公知の他の物理的方法及び化学的方法が挙げられる。好適手段は蛍光又は吸収分光法である。
本発明は流体導管内を流れる大分子が小分子ほど迅速に側方拡散しないという認識を利用するものである。その結果、大分子を圧力駆動流下に導管に導入すると、導管の横断面方向の流速範囲による大分子の分散は側方拡散により低下しない。この結果、大分子は小分子に比較して導管内を流れる間に分散し易くなる。
図1は導管に導入した大分子と小分子の2個の同一パルス(即ち同一濃度及び持続時間のパルス)に及ぼすTaylor−Aris現象の効果を示す。大分子のほうが分散性が
高いため、パルスが導管内を流れるにつれて、(導管内の軸方向位置の関数として測定した)大分子パルスの濃度プロフィルは小分子の濃度プロフィルに比較して広くなる。図1は大小分子パルスの導入後の任意時間における圧力駆動流下の流体導管内の軸方向位置(x)の関数として拡散率30μm/sの大分子の濃度プロフィル(C1)と拡散率300μm/sの小分子の濃度プロフィル(C2)を示す。図1に示すように、パルスが導管内を流れるにつれてパルス濃度プロフィルのピーク幅と振幅に差が生じる。図から明らかなように、小分子のほうが流体導管内を迅速に拡散(即ち流れの方向を横切る方向に拡散)するので速度プロフィルの種々の領域をサンプリングし、分散量が減るため、小分子パルスのプロフィル(C2)は大分子のプロフィル(C1)に比較してピーク濃度が鋭く高い。
流体導管内を流れる分子の分散を更に複数の分子間の相互作用と相関させる。例えば、分子の少なくとも1種の分散が他の分子の不在下に得られる分散から変化している場合に分子間の相互作用が生じる。
本発明の方法から測定することができる相互作用の種類は特に限定されない。具体的に、本発明により測定することができる相互作用としては会合的相互作用と解離的相互作用が挙げられる。会合的相互作用としては限定されないが、抗体/抗原、相補的核酸、核酸会合蛋白質とその核酸リガンド等の受容体/リガンド相互作用;核酸ハイブリダイゼーション反応、非特異的及び特異的結合、部位特異的結合、触媒蛋白質認識、受容体−基質認識、又は酵素/基質、及び分子間の他の共有(例えば立体又は静電相互作用)、非共有、又はイオン相互作用が挙げられる。解離的相互作用としては限定されないが、会合的反応の逆と、溶解又は開裂反応(例えば比較的小さい標識種が大きい標識基質から開裂される反応)が挙げられる。
本発明の実施に特に有用な相互作用としては生化学的分子間の相互作用(例えば受容体−リガンド相互作用、酵素−基質相互作用、細胞シグナル伝達経路、バイオアベイラビリティスクリーニング用モデルバリヤーシステム(例えば細胞又は膜フラクション)を利用する輸送反応、及び種々の他の一般システムが挙げられる。
例えば、望ましくない効果をもつ生化学システムに関連する主要イベントの阻止、減速又は他の方法の抑制における効果について化合物をスクリーニングすることができる。例えば、疾病発症又は疾病(例えば遺伝病、癌、細菌又はウイルス感染)の特定症状の発症に少なくとも部分的に関与するシステムを阻止する能力について試験化合物をスクリーニングすることができる。その後、これらのスクリーニングアッセイ方法で有望な結果を示す化合物を更に試験し、疾病又は疾病の症状の治療に有効な薬剤を同定することができる。
具体的に、本発明は生化学システムの2成分間の相互作用(例えば受容体−リガンド相互作用又は酵素−基質相互作用)に及ぼす試験化合物の効果をスクリーニングするために使用することができる。この形態では、生化学システムモデルは一般にそのエフェクターが求められているシステムの2種の正常に相互作用する成分(例えば受容体とそのリガンド又は酵素とその基質)を含む。
次に、システムを試験化合物と接触させ、システムの機能(例えば受容体−リガンド結合又は基質ターンオーバー)をアッセイすることにより、試験化合物がこの相互作用に及ぼす効果を測定する。次に、アッセイした機能を対照(例えば試験化合物の不在下又は既知エフェクターの存在下の同一反応)と比較する。
本発明の方法は、システムの結果又は終産物が分かっており、所定レベル(例えば酵素
経路又は細胞シグナル伝達経路)でアッセイ可能である場合には著しく複雑なシステムのエフェクターをスクリーニングするためにも使用することができる。あるいは、本明細書に記載する方法及び装置はシステムの単一成分と相互作用する化合物(例えば受容体、リガンド、酵素、核酸又は構造高分子等の生化学的化合物等の特定化合物と特異的に相互作用する化合物)をスクリーニングするために使用することもできる。本発明でアッセイすることができる生化学的相互作用の詳細な記載についてはその開示内容全体を参考資料として本明細書に組込む米国特許第5,942,443号を参照されたい。
上述のように、複数の分子の相互作用は一般に検出可能なシグナルを伴う。例えば、第1の分子が受容体であり、第2の分子がリガンドである場合には、リガンド又は受容体のどちらかに検出可能なシグナルを付けることができる。本発明の態様では標識エレメントを使用してもよいが、本発明は標識エレメントの使用を必要としない点に注目すべきである。従って、本発明はこのようなラベルもしくはタグが結合を妨げる場合又はこのような標識を実施できない場合に特に有用である。
本発明の1態様による装置を図2に模式的に示す。Taylor−Arisレジームで操作し、圧力駆動流条件下にサイドチャネル104を通して大分子を含む溶液をリザーバー102から導管100に導入することができる。次に、小分子を含む分画量の溶液を導管の点106に導入することができる。各種態様では、小分子を含む溶液をリザーバー(図示せず)又は外部ソースからピペッター(図示せず)により導入することができる。検出器(図示せず)により検出領域108をサンプリングし、点110における小分子及び/又は大分子の濃度を検出する。
上述のように、Taylor−Arisレジーム下で流れる小分子は導管の全長を流れる間に大分子よりも分散しにくい。小分子は導管内を迅速に拡散するので圧力駆動流による分散が緩和されるため、大分子と小分子か相互作用しない場合には、小分子の濃度は検出時に比較的鋭いピークをもつと予想される。他方、小分子と大分子が相互作用する場合には小分子の濃度プロフィルが変化する。例えば、小分子が大分子と結合したとするならば、その結果、小分子よりも大きい小分子/大分子複合体となる。従って、複合体は小分子よりも迅速に分散する。従って、結合した小分子の濃度プロフィルは未結合小分子の濃度プロフィルよりも小さく、広くなる。大分子と混合後に検出領域108における小分子の濃度プロフィルを分析することにより、小分子と大分子が相互作用したか否かを判定することができる。
本発明は複数の分子間の相互作用の更に別の測定方法を提供する。本発明の方法では、複数の分子のうちの第1の分子をマイクロ流体導管に導入する。複数の分子のうちの第2の分子をマイクロ流体導管に導入する。圧力駆動流条件下にマイクロ流体導管内を流れる分子の少なくとも一方の分散を測定する。次に、分散を分子間の相互作用と相関させる。
本発明のマイクロ流体アッセイ方法は分子間相互作用を検出、観測、測定及び分析するためにTaylor−Aris分散現象を利用し、従来記載されている結合アッセイ方法にまさる実質的利点を提供する。本発明の方法はマイクロ流体デザインによる小型化の結果、サンプル試験サイズを小さくし、分析物の使用を節約できるという利点がある。また、本発明の方法は迅速なサンプリングにより、実験結果の高スループットで即座の反復が可能になるという利点もある。
上述のように、マイクロ流体アッセイ方法は拡散率比が少なくとも約2の分子間の相互作用を測定するために使用することができる。所定態様では、拡散率比はもっと大きくてもよく、例えば約2〜約3、又はそれ以上、例えば約2〜10、又は約8〜約10、あるいは10以上でもよい。
多くの場合には、ゲル又は他のシーブマトリックスの存在下にアッセイを実施すると、2種の異なるサイズの分子の拡散率比を増加することができる。一般に、シーブマトリックスを通る分子はマトリックス内の細孔により規定される蛇行路を辿らなければならない。シーブマトリックスの細孔寸法が特定分子よりも大きい場合には、その分子の拡散率はマトリックスの存在によりさほど影響されない。他方、分子がマトリックスを通過できないほど大きい場合には、分子の拡散率は一桁も大きくなる。従って、本発明の態様では適当なシーブ媒体を使用することにより、大分子と小分子の拡散率比を増すことができる。DNA、RNA、及び蛋白質分子の拡散率を低下させるシーブマトリックスはゲル形態で市販されている。従って、例えば、溶液中で拡散率比が2〜3の特定蛋白質−リガンド結合対は蛋白質の拡散率を低下させるが、リガンドの拡散率に有意に影響しない蛋白質ゲル中では20〜30の拡散率比となる。蛋白質ゲル等のシーブマトリックスは図2の態様で導管100の全部又は一部に充填することができる。
本明細書で使用する「マイクロスケール」又は「マイクロ流体」なる用語は一般に少なくとも1個の加工寸法が約0.1μm〜約500μmであるデバイスの構造エレメント又は部品を意味する。チャネル、通路、チャンバー、又は導管等の流体エレメントを表すために使用する場合には、「マイクロスケール」又は「マイクロ流体」なる用語は一般に少なくとも1個の内部横断面寸法(例えば深さ、幅、長さ、又は直径)が500μm未満、一般には約0.1μm〜約500μmである1個以上の流体チャネル、通路、チャンバー、又は導管を意味する。本発明の1態様では、マイクロスケールチャネル、通路、チャンバー、又は導管は少なくとも1個の横断面寸法が約0.1μm〜200μmであることが好ましい。本発明により使用されるマイクロ流体デバイス又はシステムは一般に単一本体構造に配置された少なくとも1本のマイクロスケールチャネル、通常は少なくとも2本の交差するマイクロスケールチャネル、多くの場合には3本以上の交差するチャネルを含む。チャネル交点は多数のフォーマットで存在することができ、例えば十字形交点、「T」字形交点、又は2本以上のチャネルを流体連通させる任意数の他の構造が挙げられる。
多くの態様では、マイクロ流体デバイスはデバイスの1本以上のチャネルを横切って配置された光学検出窓を含む。光学検出窓は窓が配置されているチャネルから光シグナルを送ることができるように一般に透明とする。例えば、光学検出窓は透明カバー層の1領域とすることができ、カバー層はガラスもしくは石英又は透明ポリマー材料(例えばPMMA又はポリカーボネート)とする。あるいは、デバイスの製造に不透明基板を使用する場合には、上記材料から製造した透明検出窓を別にマイクロ流体デバイスにはめ込んでもよい。適切な光学的検出方法としては限定されないが、吸収又は蛍光分光法、熱レンズ分光法及び紫外線分光法が挙げられる。
他方、他の態様では、検出システムは検出領域又はゾーン内に配置された特定特性を検出するための非光学検出器又はセンサーを備えることができる。適切な非光学的検出方法としては限定されないが、電位差及び電流検出等の電気化学的方法と、質量分析、磁気共鳴法(例えば核磁気共鳴又は電子常磁性共鳴)、及び放射線測定等の当業者に公知の他の物理的方法及び化学的方法が挙げられる。
本発明のこれらのマイクロ流体デバイスとアッセイ方法は会合的及び/又は解離的分子間相互作用の測定を利用する種々の用途で使用することができ、例えば薬剤発見における高スループットスクリーニングアッセイ、イムノアッセイ、診断、及び核酸分析(例えば遺伝子分析)の実施等が挙げられる。従って、本発明で使用されるデバイスは多くの場合には多重サンプルの平行又は順次導入及び分析用多重サンプル導入口又はリザーバーを備える。このような多重サンプル導入リザーバーの例はその開示内容全体を参考資料として本明細書に組込む米国特許第5,976,336号に記載されている。あるいは、多重サ
ンプルを分析のためにデバイスに順次導入する多重サンプル導入口(例えばピペッター)にこれらのマイクロ流体デバイスを結合してもよい。このようなサンプル導入システムの例はその開示内容全体を参考資料として本明細書に組込む米国特許第6,046,056号及び5,880,071号に記載されている。
本発明は更に溶液中の分子の相互作用を試験するために分子分散の変化等のシグナル情報を発生及び逆重畳するのにマイクロ流体デバイス、システム及び検出分析システムを使用するアッセイ方法を提供する。例えば、1種以上の分子分析物が溶液中で相互作用している程度を定量的又は定性的に測定するために溶液中の結合及び未結合種の分散シグナルプロフィルの形状を観測、測定及び分析することができる。
本発明の方法及びアッセイを実施するための試薬は場合によりこれらのアッセイを使用者に利用し易くするためにキット形態で提供される。このようなキットは更に該当アッセイを実施するための説明書を添付してもよく、場合により、その中でアッセイを実施する流体容器(例えばキュベット、マルチウェルプレート、及びマイクロ流体デバイス)を付属してもよい。
一般に、キットに含まれる試薬としては(必要に応じて)ラベルと、マイクロ流体デバイスと、必要な任意緩衝液が挙げられる。試薬は使用者による測定用バイアル、又は予め計量されたバイアルもしくはアンプルに入れて提供することができ、適切な混合物が得られるように単純に組み合わせる。試薬は液体及び/又は凍結乾燥形態で提供することができ、場合により試薬の希釈及び/又は再水和用の適当な緩衝液を付属してもよい。一般に、全試薬と説明書を単一の箱又はパウチに同梱し、すぐに使用できるようにする。
本発明の1態様では、方法はマイクロスケール流体導管にサンプル材料のパルス(「スラグ」)を注入して流すことにより、サイドチャネルを通して導管に導入された試薬が分子間相互作用(例えば会合的又は解離的相互作用)を生じる。導管は試薬及びサンプル材料が導入される別個導管(例えばキャピラリー又はチューブ)でもよいし、1種以上の成分のサンプリング及び/又は混合物の各種成分の混合等の種々の段階が行われる統合マイクロスケールチャネルネットワーク又はマイクロ流体デバイスのチャネルでもよい。
本発明の1態様では、第1の分子と第2の分子が流体連通するように第1の分子を連続流体流としてマイクロ流体導管に導入し、第2の分子を流体ボーラスとしてマイクロ流体導管に導入することができる。
マイクロ流体導管で圧力駆動流下のサンプルスラグは分散率が分子拡散率に反比例するTaylor−Aris分散により拡散する。マイクロ流体チャネルネットワークで流体運動を厳密に制御するためにはコンピューター制御圧を使用することができる。適切な圧力制御システムはその開示内容全体を参考資料として本明細書に組込む米国特許出願公開第US2001/0052460号に記載されている。本発明により得られる利点は主に圧力駆動流で生じるTaylor−Aris分散に起因するが、Taylor−Arisレジームを不当に妨げない限り、動電力又は電気浸透力も付加的に使用することができる。
1態様では、本発明はシングルチャネルマイクロ流体分子結合アッセイに関する。本発明のこの態様で使用するのに適したシングルチャネル構成のマイクロ流体デバイスの1例を図3Aに示す。図3Aはチャネル204及び206を形成する溝がエッチングされた平面基板からなるマイクロ流体デバイスを示す。平面基板は透明カバープレートで覆われている。カバープレートはリザーバー208及び212を夫々形成する2個のアパーチャーを備える。マイクロ流体デバイス200は更に平面基板から下方に突出し、交点205で
チャネル206と交差するピペッターエレメント又はサンプリングエレメント(例えばキャピラリーガラスチューブ(「シッパー」)202)を備える。この特定デザインでは、小分子を含む溶液はシッパー202に吸引された後にメインチャネル206に流入し、蛋白質溶液等の大分子を含む溶液はリザーバー208からサイドチャネル204を通って定常的にメインチャネル206に流入する。「シングルチャネル」とは分子の分散が測定される場である単一メインチャネル206を意味する。
上述のように、種々の検出方法を使用して1種以上の分子の濃度を検出することができる。図3Aの態様では、メインチャネルに流入する分子から定常レベルの吸収(又は検出方法に応じて蛍光、又は他のパラメーター)を検出領域210で観測することができる。小分子のスラグがシッパー202を通って吸引されると、サンプルスラグはサイドチャネル204を通って流入する大分子(蛋白質)流と接触し、十分に混合される。
1態様では、第2の分子の不在下にマイクロ流体導管内を流れる第1の分子の分散と分子の分散を比較する。代法又は付加法として、第1の分子の不在下にマイクロ流体導管内を流れる第2の分子の分散と分子の分散を比較する。
例えば、図3Aに関して上述した小分子が蛋白質と結合する場合には、結合した小分子は結合の不在下の小分子に比較して流体流中でよく分散する。他方、小分子と大きい蛋白質分子の間に親和性がない場合には、小分子の濃度プロフィル(及び分散)は変化しない。従って、検出される濃度ピーク形状(幅又は高さ)に基づいて結合イベントを検出、観測、測定及び分析することができる。検出領域210を通過後、流体混合物は廃棄物リザーバー212に廃棄される。
図3Aのデバイスに対応する所定態様では、シッパー202は一連の試験化合物を逐次サンプリングし、試験化合物がリザーバー208からメインチャネル206に導入される蛋白質と結合するか否かを試験する。図3Aの態様の1変形例では、蛋白質と試験化合物をマイクロ流体デバイスの外部で混合し、得られた混合物をシッパー202によりマイクロ流体デバイスに導入する。この変形例では蛋白質溶液をリザーバー208から導入する必要がないので、リザーバー208とチャネル204を省略することによりマイクロ流体デバイス200のデザインを簡略化することができる。簡略化デバイスを流れる流体流は廃棄物リザーバー212に連結した真空源等の単一圧力源により制御することができる。
図3Bはマルチポート制御型のシングルチャネルを使用するマイクロ流体デバイスの代替態様を示す。チップデザイン250はシッパー252と、サイドチャネル254及び256と、メインチャネル258を含む。このデザインでは、小分子を含む溶液はシッパー252に吸引された後にメインチャネル258に流入し、蛋白質溶液等の大分子は蛋白質リザーバー260からサイドチャネル254を通って定常的にメインチャネル258に流入し、定量用検出領域262を経て廃棄物リザーバー264に至る。得られる濃度プロフィルを測定する。次に、蛋白質リザーバー260からの流れを遮断し、小分子を含む溶液をメインチャネル258に吸引すると共に、リザーバー266からサイドチャネル256を通って緩衝液をメインチャネル258に流入させ、検出領域262を経て廃棄物リザーバー264に送る。
蛋白質と緩衝液に混合する小分子の濃度プロフィルを比較する。小分子と蛋白質の間に相互作用(例えば小分子と蛋白質の結合)がある場合には、濃度プロフィルは小分子/緩衝液流に比較して低く、広いピークをもつ。他方、ピーク振幅と幅が2つの流れで等価の場合には、結合イベントは生じていない。
図3A及び3Bはシングルチャネルを使用するマイクロ流体デバイスの本発明の範囲内
の態様を示すものに過ぎず、本発明の所期範囲を限定するものではない。当業者に自明の通り、本発明に従って多数の潜在的チップデザインが実施可能である。
別の態様では、本発明はデュアルチャネルデザインのマイクロ流体デバイスを備えるマイクロ流体システムに関する。本デバイスは相互に交差する第1のチャネルと第2のチャネルを内部に形成した本体構造を含むことができる。システムは更にサンプルを第1のチャネルと第2のチャネルに導入する流体サンプル入口を備える。システムは更に第1のチャネル及び第2のチャネルと流体連通する流体リザーバーを備えることができ、流体をリザーバーからチャネルに導入することができる。更に、システムは第1のチャネルと第2のチャネルに検出ゾーンを備えることができる。検出ゾーンは流体サンプル入口及び流体リザーバーと流体連通するチャネルの入口の下流に配置することができる。システムは更に第1及び第2の検出ゾーンを流れる流体中の少なくとも1種の分子の相対分散率の測定手段を備えることができる。
図4はこのようなシステムの1例とその使用法を示す。小分子を含む溶液のスラグはシッパー302に吸引され、スラグは参照チャネル304と試験チャネル306の2個のチャネルに分割される。分割後には、2個の流体学的に等価の回路が存在する。スラグの半分は試験チャネル306で蛋白質リザーバー312からの蛋白質溶液と混合され、定量のために検出領域308に送られる。スラグの残りの半分は参照チャネル304で緩衝液リザーバー314からの緩衝液と混合され、検出領域310に送られる。蛋白質と緩衝液は夫々サイドチャネル316及び318を通して導入される。検出領域308及び310を通過後にチャネルはいずれも廃棄物リザーバー320に至る。図4の態様では、チャネル304及び306はいずれも廃棄物リザーバー320と直接流体連通している。代替態様では、2本のチャネルは合流し、シングルチャネルとなって廃棄物リザーバー320に至る。
図3A及び3Bについて上述したように、小分子の濃度プロフィルのピーク振幅及び幅が2つの流れで等価である場合には、結合イベントは生じていないと判断することができる。他方、蛋白質と相互作用する流れの小分子濃度プロフィルが有意に広がっている場合には、結合イベントが生じていると判断することができる。
更に、本発明の態様では、1種以上の付加分子をマイクロ流体導管に導入することができ、導管内を流れる分子の分散を測定することができる。具体的には、本発明は結合する可能性のある種々の分析物を使用する競合的結合アッセイを包含する。このようなアッセイでは、各競合分子が別の(一般には大きい)分子と結合する程度を測定するために分散の測定を使用する。
図5は競合的結合アッセイの1例を示す。流体ネットワークを満たして主導管406内を定常速度で流れるように緩衝液を容器418からシッパー402によりシッピングする。リザーバー408からの蛋白質溶液もサイドチャネル404を通して導管406に定常速度で導入する。蛋白質溶液と緩衝液は主導管406を流れ、検出領域410を経て廃棄物リザーバー412に至る。圧力制御を使用して蛍光標識リガンドの分画スラグをリザーバー414からサイドチャネル416を通して主導管406に導入する。主導管に導入されたリガンドの濃度を検出領域410で測定し、リガンドの濃度プロフィルを測定する。
次に、シッパー402は第2の容器420から溶液をサンプリングする。第2の容器420内の溶液は小分子(試験化合物)を含んでいる。この溶液はシッパー402により定常速度で容器420から導入され、主導管406を流れ、蛋白質溶液はリザーバー408からサイドチャネル404を通って流入する。蛋白質溶液と小分子溶液の流れに伴い、蛍光標識リガンドの分画スラグがリザーバー414からサイドチャネル416を通って主導
管406に圧力制御下にパルスされる。主導管内を流れる標識リガンドの濃度は検出領域410で測定され、リガンドの濃度プロフィルが測定される。
試験化合物が蛋白質とリガンドの相互作用に影響する場合には、検出されるリガンドにより発生されるシグナルに変化が現われる。例えば、試験化合物がリガンドと蛋白質の相互作用を阻害する場合、例えばリガンドと蛋白質の結合を阻害する場合には、未結合リガンドは小分子として挙動し続け、圧力駆動速度プロフィルの各種部分を迅速にサンプリングし、その結果、分散が低下し、その濃度プロフィルのピークが急になる(蛍光シグナルにより測定した場合)。他方、試験分子がリガンドと蛋白質の相互作用を増加する場合、例えばリガンドと蛋白質の結合を増加する場合には、結合したリガンドは導管内をよりゆっくりと拡散し、その結果、分散が増加し、その濃度プロフィルは広く、小さくなる。試験分子がリガンドと蛋白質の相互作用に影響しない場合には、検出されるリガンドの濃度プロフィルは試験分子の不在下から変化しない。第2の容器420からサンプルを獲得した後に、シッパー402は他の容器からサンプルを獲得することができる。所定態様では、容器はマルチウェルプレートのウェルである。
以上、複数の分子を別々に導入する本発明の態様について記載した。しかし、複数の分子の導入順序又は方法は特に限定しないことに留意すべきである。例えば、複数の分子を同時に導入することができる。具体的には、複数の分子を予め混合し、流体ボーラスとして導入することができる。例えば、図5の競合的アッセイの1変形例では、蛋白質、リガンド、及び種々の試験化合物を含む溶液をマイクロ流体デバイスの外部で調製することができる。その後、シッパー(例えば図5の態様ではシッパー402)によりこれらの溶液のスラグをマイクロ流体デバイスに順次導入することができる。図5の態様と全く同様に、検出領域410の通過時にリガンドの濃度を測定することにより各スラグにおける標識リガンドの濃度プロフィルを測定する。上述したように、試験化合物の存在下に生じた濃度プロフィルの形状を試験化合物の不在下に生じた濃度プロフィルと比較し、試験化合物かリガンドと蛋白質の相互作用に影響するか否かを判定する。
当業者に自明の通り、Taylor−Aris分散現象と複数の参照、試験、シッパー及び他の導管と検出器を使用する付加態様も明らかに本発明の範囲に含まれる。本発明は分子間相互作用を測定するために導管内でTaylor−Aris現象を使用する任意方法を包含するものである。
(実施例)
以下、実施例により本発明を更に例証する。但し、当然のことながら、これらの実施例は例証のみを目的とし、本発明の範囲を定義するものではない。
蛋白質結合アッセイ
マイクロ流体デバイスデザイン及び計器:
使用するマイクロ流体デバイスデザインはSP299Aシングルシッパーチップ(Caliper Technologies Corp.,Mountain View,California)とした。SP299Aデバイスのマイクロ流体回路は図6に示す通りであり、メインチャネル502と2個のサイドチャネル504及び506に流体連通するシッピングキャピラリー(「シッパー」)(図示せず)から構成される。シッパーは点512でチップに物理的に結合されている。
本実験に使用する計器はCaliper 100シングルシッパーシステム(Caliper Technologies Corp.,Mountain View,California)(図示せず)とした。この計器にx−y−zロボットを装着し、このロ
ボットを使用してマイクロタイタープレートに保存された試薬をサンプリングするためにシッパーをマイクロタイタープレートに接近させた。
更に、蛍光光学素子(即ち光源、光ダイオード、検出/集光レンズ、フィルター等)を使用してデバイスのメインチャネルでサンプルを検出した。この実験セットでは、励起/発光フィルターセットを485nm/535nmとした。Caliper 100システムの付加ハードウェアとして、デバイスのウェル510に駆動真空を印加するためのシリンジポンプを装着した。計器を制御し、計器に接続したコンピューターによりデータを収集分析した。
ウェル510に定常真空を印加しながらデバイスを運転した。メインチャネル502に送られる流れの70%がシッパーに由来し、15%がサイドチャネル504及び506の各々に由来するように流体導管の流体力学的抵抗を設計した。
サンプルをマイクロタイタープレートに配置してシッパーによりデバイスに導入し、デバイスに存在する試薬を2個のサイドチャネル504及び506からメインチャネル502に送り、これらのサンプルと反応させた。サイドチャネルは標準ピペッターを使用して約40μlの最大容量まで流体を分配した試薬ウェルと流体連通させた。
ウェル510の印加駆動圧を−1psiとしたときの流速はシッパーで0.56nl/s、サイドチャネルの各々から0.11nl/sとし、メインチャネルでの総流速が0.78nl/sとなるようにした。シッパーの遠端からメインチャネル502との交点512までの通過時間は約11.3秒とし、交点512から検出領域514までの通過時間は約33.7秒とし、シッパーから検出領域514までの総通過時間が約45秒となるようにした。
試薬:
実験では以下の試薬を使用した:アッセイ緩衝液(50mM HEPES,pH7.5);ストレプトアビジンと結合後の蛍光消光を防ぐためにT10リンカーを付けた分子量3100g/molの標識ビオチン(チミジン残基10個のリンカーによりビオチンにフルオレセインを結合)をOligos Etc.,Inc.から注文合成;及び分子量約60,000g/molのストレプトアビジン(Sigma,製品番号S4762)。
未結合参照シグナルの獲得:
バックグラウンド又は基線蛍光条件を確認するために、サイドチャネル504及び506への緩衝液注入を使用して第1の試験を実施した。これらの第1組の実験では、50mM HEPESをウェル508及び516にロードし、50mM HEPES(緩衝液)とマイクロタイタープレート(図示せず)のウェルからの5μM Bi−T10−Fl(サンプル)を交互にシッピングした。サンプル注入のパルス系列をシッパーによりデバイスに送る前に、時間に対する蛍光シグナルをy軸上に示す図7に示すように、定常シグナルに達するまでBi−T10−Flサンプルを連続的にシッピングすることにより、蛍光参照レベルを設定した。蛍光参照レベルを使用して注入データを標準化した。
次に、ウェル滞留時間を夫々20秒及び0.5秒とする一連の緩衝液−サンプルシップサイクルを実施するように計器をプログラミングした。測定した蛍光レベルを図8に示す。サンプル注入は注入したサンプルの分散により参照レベルと同一蛍光レベルに達せず、その結果、検出領域514で観測される濃度が低下した(それに伴い、注入時間に対してピークが広がった)。図8の未処理注入データを図7に示す参照に対して標準化した結果を図9に示す(ビオチン−Fl/緩衝液,大きいピーク)。データは以下の関係式:標準化シグナル=(未処理シグナル)/(参照最大値−参照最小値)を使用して参照に対して
標準化した。
ストレプトアビジンの注入による結合アッセイ:
図6に戻り、HEPES緩衝液に代えてアッセイ緩衝液中10μMストレプトアビジンをウェル508及び516に加え、ストレプトアビジンで試験を実施した。流れ条件は緩衝液/サンプルシップ交互サイクルについて上述した条件と同一とした。
サイドチャネル504及び506からの総流速はメインチャネル502における総流速の30%であったので、メインチャネルにおけるストレプトアビジン濃度は3μM(10μM×0.30)であった。各ストレプトアビジンは1分子当たり4個の結合部位をもつので、結合部位濃度は12μM(4×3μM)であった。メインチャネルまでの総流速の70%がシッパーに由来するので、サイドチャネルの下流のメインチャネルにおけるBi−T10−Flの濃度は3.5μM(0.7×5μM)であった。従って、本実験では結合分子に対して結合部位が約3.4倍(12/3.5)の過剰であり、全ビオチンがサイドチャネル504及び506のすぐ下流に結合していることが確認された。参照及び注入データ(図示せず)は上述のように獲得した。
Bi−T10−Fl/ストレプトアビジン結合アッセイの標準化結果を図9に示し、サイドチャネル504及び506に緩衝液を注入した実験結果と共にプロットした。図9の挿入図は1回の注入の拡大図を示す。
図9に示すように、ストレプトアビジンと相互作用する注入したBi−T10−FlのピークシグナルはBi−T10−Fl/緩衝液アッセイに比較して小さく、広いことから、結合したビオチン種は未結合種に比較して高い分散を示したことが分かる。結合/未結合種の標準化ピーク最大値は夫々0.61/0.46であった。データはストレプトアビジンがサイドチャネルに存在する場合にビオチンの分散が増加することを示しており、従って、結合分子と未結合分子の分散レベルの分析により複数の分子間の相互作用(ここではビオチンとストレプトアビジンの結合)の測定を実施できることが裏付けられた。
モデル結果:
拡散と分散の数理解析をマイクロチャネルに適用することは周知である。以下の仮定:
(1)Bi−T10−Fl拡散係数:236μm/s(分子量に基づいて計算);
(2)ストレプトアビジン(又は結合複合体)拡散係数:81μm/s(分子量に基づいて計算);及び
(3)実験の流速と注入時間に基づく初期サンプル注入スラグサイズ
の下に実験結果を数理モデルに比較した。
方形パルス形状の流体スラグの分散を表す数式は下式:
により与えられ、式中、C(x,t)は時間tで点xにおける濃度であり、hは濃度スラグの初期長であり、Keffは分子拡散率、マイクロチャネル形状、及び直線流体速度の関数である有効分散係数である。
上記式の誘導の詳細については、参考資料として本明細書に組込む上記に挙げた論文に
おけるSir Geoffrey TaylorとR.Arisの報告を参照されたい。モデルは未結合種と結合種の両者についてサイドチャネルの下流で生じる分散に加え、サイドチャネルの前のキャピラリーで生じる分散も考慮することができる。
結合種と未結合種の分散モデル結果を図10に示す。時間軸は経過時間と解釈すべきであり、ピークの中心はt=0である。図10から明らかなように、結合ピークは小さく、広いことから、分散性が高いことが分かる。モデル結果は図9に示す実験データに定量的に一致する。
オフチップ競合的結合アッセイ
本実施例は結合分子と未結合分子のTaylor−Aris分散の差に基づくオフチップ競合的結合アッセイの実施方法を要約する。
このようなアッセイを実施するためには、図11に示すようなチップデザインを使用することができる。チップ600はシッパー602、2個のサイドチャネル606及び610、メインチャネル612、リザーバー604及び608、検出領域614、並びに廃棄物リザーバー616を備える。チップの外部にはマイクロタイタープレートウェル618が配置されている。
図11に示すように、蛋白質とリガンドはいずれも夫々リザーバー604及び608とサイドチャネル606及び610からメインチャネル612に連続的に移送され、蛋白質との競合的結合のアッセイ対象である小分子は緩衝液スペーサーにより分離されたスラグとしてマイクロタイタープレートウェル618からシッパー602を通って吸引される。リガンドは該当蛋白質と結合することが分かっており、蛍光標識される。
リガンドはチップで唯一の蛍光種であるので、検出領域614で観測されるシグナルは実験工程中にリガンド種(又はリガンドを含む任意複合体)から発生する蛍光シグナルを試験することにより測定することができる。他の全種、即ち小分子、蛋白質、又は小分子と蛋白質の複合体は蛍光シグナルを発生しない。
リガンドサイドチャネルにより供給される流れフラクションは時間と共に変化しないので、定常レベルの蛍光が検出領域で観測されると予想される。しかし、分散の差によりチャネル内のリガンド量が再配分され、蛋白質とリガンドの結合度の変化を表すデータシグネチャーが得られる。
図12はリガンドと蛋白質の結合を妨げる分子のスラグを注入した結果として、サイドチャネル606,610がチャネル612と交差する点のすぐ下流のチャネル612の1領域におけるリガンド(L)及び蛋白質−リガンド複合体(P−L)の分布を示す。チャネル612を流れる流体の前縁部706はシッパーが緩衝液スペーサーを導入した流体の一部に相当する。部分706にはリガンドと蛋白質の結合を妨げるものは何もないので、部分706は蛋白質とリガンドの複合体を含む。他方、部分704では、シッパーは蛋白質上の結合部位をリガンドと競合する分子のスラグを導入している。図12の実施態様では、蛋白質はリガンド以外の導入分子とほぼ完全に結合する。部分704ではリガンドは蛋白質と結合しないので、部分704のリガンドは未結合である。後縁部702はシッパーが緩衝液スペーサーを導入した流れの第2の部分に相当する。部分706の場合と同様に、部分702におけるリガンドは蛋白質−リガンド複合体を構成する。
蛋白質−リガンド複合体の量子効率がリガンドと等価であると仮定すると、リガンド分子(結合又は未結合)の総数は一定に維持されるので、シグナル変化は観測できないよう
に思われる。しかし、未結合リガンドを含む溶液と蛋白質−リガンド複合体を含む溶液の界面には2種の拡散率の差によりTaylor−Aris分散に差が生じるので、これは事実ではない。未結合リガンドはサイズが小さいので拡散率が高い。従って、大きい蛋白質−リガンド複合体のほうが迅速に分散する。
予測データシグネチャーを検討するために数理モデルを使用することができる。初期条件は図12に示した模式図と同様であり、小分子(未結合リガンド)のスラグが大きい分子(蛋白質−リガンド複合体)を含む領域に挟まれている。
図13は小分子と隣接する大分子の濃度を短時間(即ちサイドチャネルの直ぐ下流)のチャネル軸方向位置の関数として示す。換言するならば、図13の濃度プロフィルは図12に示す状況に対応する。実線は未結合リガンドの濃度プロフィルを表し、点線は蛋白質−リガンド複合体に存在するリガンドの濃度を表す。図13では、結合リガンドと未結合リガンドの濃度の和である総リガンド濃度はチャネルの全点で同一である。この一定濃度を1濃度単位の任意値に設定した。本実験では蛋白質−リガンド複合体における結合リガンドの量子効率は未結合リガンドと等価であるので、図13に示すチャネルの部分から発生する蛍光シグナルは一定である。
図14は図13に示した点の下流のチャネルの点まで流れた後の流体の同一部分の濃度プロフィルを示す。図14の計算濃度プロフィルは小分子が大分子の10倍の速度で拡散するという仮定に基づく。結合及び未結合蛍光標識リガンドから発生する蛍光は同一であるので、検出領域における総蛍光シグナルは両者の和である。
図14から発生する総蛍光を図15に示す。図15では、曲線700は検出領域で観測可能なシグナルであり、リガンド(曲線702)とリガンド−蛋白質複合体(曲線704)からのシグナルの和である。シグナルが初期値1からずれているのは分散の差による。本態様では、データシグネチャーは谷、ピーク、谷の順である。一般に、ピークは分散速度の遅い種に由来するので谷よりも大きい。(谷から山ピークまでの)データシグネチャーの大きさは結合度に比例するはずなので、定量に使用することができる。
当然のことながら、本明細書の教示は種々の化学的相互作用を流れシステムの各種位置で測定する任意用途に拡大できる。
当業者に自明の通り、本明細書に開示する発明は多数の方法で変更することができ、上記に具体的に記載した好適形態以外の態様も可能である。従って、特許請求の範囲は本発明の真の精神と範囲に該当する本発明の全変形を含むものとする。
以上、明確に理解できるように本発明を多少詳細に記載したが、本発明の真の範囲を逸脱することなく形態や細部に種々の変更が可能であることは以上の開示から当業者に自明である。例えば、上記全技術及び装置は種々に組合せて使用することができる。本明細書に引用した全刊行物、特許、特許出願、及び/又は他の文献はその開示内容全体を全目的で参考資料として組込み、各刊行物、特許、特許出願、及び/又は他の文献を全目的で参考資料として組込むと個々に記載しているものとして扱う。
大分子と小分子のチャネル軸方向位置に対する予想濃度プロフィルを示す。 本発明を実施するための流体導管システムの模式図を示す。 ピペッターエレメント、サイドチャネル、及びメインチャネルを備えるシングルチャネルアッセイ用マイクロ流体デバイスの模式図を示す。 ピペッターエレメント、サイドチャネル、及びメインチャネルを備える自己参照シングルチャネルアッセイ用代替マイクロ流体デバイスの模式図を示す。 自己参照デュアルチャネルアッセイ用マイクロ流体デバイスの模式図を示す。 競合的結合実験で使用するシングルチャネルアッセイ用マイクロ流体デバイスの模式図を示す。 実施例1に従って使用したシングルチャネルアッセイ用マイクロ流体デバイスの模式図を示す。 実施例1に従い、標識ビオチンからの参照蛍光レベルを示す。 実施例1に従い、標識ビオチンの反復注入から得られた蛍光シグナルを示す。 実施例1に従い、標識ビオチンと緩衝液及びストレプトアビジンの注入による結合アッセイ実験の標準化実験蛍光シグナル結果を示す。挿入図は1回の注入の結果を示す。 実施例1に従い、ビオチン及びストレプトアビジンとの結合アッセイの分散モデル結果を示す。 実施例2に従って使用するためのマイクロ流体デバイスの模式図を示す。 実施例2に従い、蛋白質、リガンド、及びサンプル分子の予想分布図を示す。 実施例2に従い、軸方向位置の関数として小分子と大分子の濃度を示す。 実施例2に従い、軸方向位置の関数として小分子と大分子の濃度を示す別の図である。 実施例2に従い、軸方向位置の関数として小分子と大分子の濃度を示す別の図である。

Claims (50)

  1. (a)複数の分子を流体導管に流す段階と、
    (b)Taylor−Aris分散である分子の少なくとも1種の分散を測定する段階と、
    (c)分散を複数の分子間の相互作用と相関させる段階を含む複数の分子間の相互作用の測定方法。
  2. 分子を圧力駆動流下におく請求項1に記載の方法。
  3. 少なくとも1種の分子の分散を他の分子の不在下における複数の分子の各々の分散と比較する請求項1に記載の方法。。
  4. 流体導管中の分子の濃度を検出することにより分散を測定する請求項1に記載の方法。
  5. 検出のために分子を標識しない請求項4に記載の方法。
  6. 相互作用が会合的相互作用である請求項1に記載の方法。
  7. 分子がリガンドと受容体を含む請求項6に記載の方法。
  8. 相互作用が解離的相互作用である請求項1に記載の方法。
  9. 複数の分子がアミノ酸、ポリアミノ酸、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、糖、多糖、抗体、受容体蛋白質、シグナル蛋白質、酵素、補因子、サイトカイン、ホルモン、ケモカイン、ポリマー及び薬剤から構成される群から選択される請求項1に記載の方法。
  10. 分子の2種の拡散率比が少なくとも約2である請求項1に記載の方法。
  11. (a)複数の分子のうちの第1の分子をマイクロ流体導管に導入する段階と、
    (b)複数の分子のうちの第2の分子をマイクロ流体導管に導入する段階と、
    (c)圧力駆動流条件下にマイクロ流体導管内を流れる第1の分子と第2の分子の少なくとも一方の分散を測定する段階と、
    (d)分散を複数の分子間の相互作用と相関させる段階を含む複数の分子間の相互作用の測定方法。
  12. 第1の分子を連続流体流としてマイクロ流体導管に導入する請求項11に記載の方法。
  13. 第2の分子を流体ボーラスとしてマイクロ流体導管に導入する請求項11に記載の方法。
  14. 第1の分子と第2の分子を同時に導入する請求項11に記載の方法。
  15. 第1の分子と第2の分子を予め混合し、流体ボーラスとして導入する請求項14に記載の方法。
  16. 第1の分子と第2の分子が流体連通している請求項11に記載の方法。
  17. 分子の濃度を検出することにより分散を測定する請求項11に記載の方法。
  18. 検出が蛍光分光法、吸収分光法、熱レンズ分光法、又は紫外線分光法により実施される請求項17に記載の方法。
  19. 検出が質量分析、電気化学的方法、磁気共鳴法、又は放射線法により実施される請求項17に記載の方法。
  20. 第2の分子の不在下にマイクロ流体導管内を流れる第1の分子の分散と第1の分子の分散を比較する請求項11に記載の方法。
  21. 第1の分子の不在下にマイクロ流体導管内を流れる第2の分子の分散と第2の分子の分散を比較する請求項11に記載の方法。
  22. 複数の分子のうちの2種の拡散率比が少なくとも約2である請求項11に記載の方法。
  23. 拡散率比が約8〜10である請求項22に記載の方法。
  24. 拡散率比が10を上回る請求項22に記載の方法。
  25. 相互作用が会合的相互作用である請求項11に記載の方法。
  26. 相互作用が解離的相互作用である請求項11に記載の方法。
  27. 複数の分子がアミノ酸、ポリアミノ酸、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、糖、多糖、抗体、受容体蛋白質、シグナル蛋白質、酵素、補因子、サイトカイン、ホルモン、ケモカイン、ポリマー及び薬剤から構成される群から選択される請求項11に記載の方法。
  28. 分子が受容体とリガンドを含む請求項11に記載の方法。
  29. 分子が酵素と基質を含む請求項11に記載の方法。
  30. 1種以上の付加分子をマイクロ流体導管に導入する段階と、導管内を流れる1種以上の付加分子の分散を測定する段階を更に含む請求項11に記載の方法。
  31. 分散を測定する段階が流れの軸に沿って長手方向の分散を測定することを含む請求項11に記載の方法。
  32. 第1の分子と第2の分子が並流で流れない請求項11に記載の方法。
  33. 相互に交差する第1のチャネルと第2のチャネルが内部に形成された本体構造をもつマイクロ流体デバイスと、
    第1のチャネルと第2のチャネルにサンプルを導入する流体サンプル入口と、
    第1のチャネルと流体連通しており、第1のチャネルの入口を介して第1のチャネルに移送される第1の流体を収容する第1の流体リザーバーと、
    第2のチャネルと流体連通しており、第2のチャネルの入口を介して第2のチャネルに移送される第2の流体を収容する第2の流体リザーバーと、
    流体サンプル入口と第1の流体入口の下流に配置された第1のチャネルの第1の検出ゾーンと、流体サンプル入口と第2の流体入口の下流に配置された第2のチャネルの第2の検出ゾーンと、
    第1の検出ゾーンと第2の検出ゾーンを流れる流体中の少なくとも1種の分子の相対分散率を測定するための手段を備えるマイクロ流体システム。
  34. サンプル入口がサンプル流体源に結合されている請求項33に記載のシステム。
  35. 第1の検出ゾーンと第2の検出ゾーンが各々第1のチャネルと第2のチャネル内を流れる流体の少なくとも1種の分子の濃度を測定する検出器を備える請求項33に記載のシステム。
  36. 蛍光分光法、吸収分光法、熱レンズ分光法、又は紫外線分光法により濃度を測定する請求項35に記載のシステム。
  37. 質量分析、電気化学的方法、磁気共鳴法、又は放射線法により濃度を測定する請求項35に記載のシステム。
  38. 第1のチャネルと第2のチャネルに流体の圧力駆動流を誘導するための手段を更に備える請求項33に記載のシステム。
  39. 第1のリザーバーが蛋白質溶液を収容しており、第2のリザーバーが緩衝液を収容している請求項38に記載のシステム。
  40. サンプル分子を含む流体がサンプル入口を通って第1のチャネルと第2のチャネルに導入され、蛋白質溶液が第1のチャネルに導入され、緩衝液が第2のチャネルに導入され、サンプル分子を含む流体が第1のチャネルで蛋白質溶液と混合され、第2のチャネルで緩衝液と混合される請求項39に記載のシステム。
  41. 第1のチャネルと第2のチャネルの検出ゾーンでサンプル分子の濃度を測定する請求項40に記載のシステム。
  42. サンプル分子と蛋白質の拡散率比が少なくとも約2である請求項40に記載のシステム。
  43. 第1のチャネルと第2のチャネルにおけるサンプル分子の分散を測定及び比較し、サンプル分子と蛋白質の相互作用を測定する請求項42に記載のシステム。
  44. 第1のチャネルと第2のチャネルが内部に形成された本体構造をもつマイクロ流体デバイスと、
    少なくとも第1の分子を含む第1の流体を第1のチャネルに導入する手段と、
    少なくとも第2の分子を含む第2の流体を第2のチャネルに導入する手段と、
    1種以上の試験分子を含む流体を第1のチャネルと第2のチャネルの両者に導入する手段と、
    第1の流体と、第2の流体と、1種以上の試験分子を含む流体の圧力駆動流を第1のチャネルと第2のチャネルに誘導する手段と、
    第1のチャネルと第2のチャネルに配置されており、第1の分子、第2の分子、又は試験分子の少なくとも1種の分散を測定する手段と、
    試験分子、第1の分子、及び第2の分子のうちの2種以上の相互作用と分散を相関させる手段を備えるマイクロ流体システム。
  45. 測定手段が第1のチャネルと第2のチャネルで第1の分子、第2の分子、又は試験分子の1種以上の濃度を検出する請求項44に記載のシステム。
  46. 試験分子と第1又は第2の分子の少なくとも1種の拡散率比が少なくとも約2である請
    求項44に記載のシステム。
  47. 第1の流体が蛋白質分子を含む溶液であり、第2の流体が第1の分子又は前記1種以上の試験分子と相互作用しない分子を含む溶液であり、前記1種以上の試験分子が蛋白質分子との相互作用を試験される分子である請求項44に記載のシステム。
  48. 第1の流体が蛋白質分子を含む溶液であり、第2の流体が蛋白質分子と相互作用することが分かっているリガンドを含む溶液であり、前記1種以上の試験分子がリガンドの存在下で蛋白質分子との相互作用を試験される分子である請求項44に記載のシステム。
  49. 流体導管の少なくとも一部がシーブマトリックスを含む請求項1に記載の方法。
  50. シーブマトリックスがゲルを含む請求項49に記載の方法。
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