JP2005534375A - 液体ジェット生成のための装置および方法 - Google Patents

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Abstract

次のa)筺体、b)該筺体に取り付けたまたは閉じ込めた、少なくとも1つの開口と少なくとも1つの可動壁または圧平可能壁または壁部分を有する注射液貯蔵用圧力室およびc)該圧力室の内容物を加圧し該開口より液体ジェットとして射出するために該筺体と該壁の間の力連鎖に力を直接または間接に加えるようにすることができる、少なくとも1つの力生成系をオプションとしての該力生成系と該壁の間の伝達系と共に含む、該筺体に取り付けたまたは閉じ込めた加圧機構、を含むジェット式注射装置。該装置は該力生成系と該壁の間に直列配置した非弾性要素を含む。液体ジェットを生成させる方法は、i)非弾性要素の一部分に直接または間接に一次力を加えるステップ、ii)該要素の別の部分により該加圧力を加え、以って該要素を該一次力と該加圧力の間で押圧するステップおよびiii)該要素中にエネルギーを消散させるステップを含む。

Description

技術分野
本発明は次のa)、b)およびc)を含むジェット式注射装置に関する: a)筺体、b)該筺体に取り付けたまたは閉じ込めた、少なくとも1つの開口と少なくとも1つの可動壁または圧平可能壁または壁部分を有する注射液用圧力室およびc)該圧力室の内容物を加圧し該開口より液体ジェットとして射出するために該筺体と該壁の間の力連鎖に力を直接または間接に加えるようにすることができる、少なくとも1つの力生成系をオプションとしての該力生成系と該壁の間の伝達系と共に含む、該筺体に取り付けたまたは閉じ込めた加圧機構。本発明はまた液体ジェットを生成する方法に関する。
背景
液体デリバリー用のジェット式注射器では、ジェットの推進力と慣性だけで皮膚または他組織を貫通するに足る速度と体積を液体に与える。ジェット式注射器には所要のジェット貫通力を小さくするために短い針または尖子を補助具とするものもあるが、ほとんどのジェット式注射器は貫通をジェットだけに依存し、一般に無針注射器という。いずれにせよ、組織を貫通するに足る液体速度を実現するには、注射に際し液体を強く加圧する必要がある。また昇圧時間を短くして、ジェット貫通力不足とならないようにするのが望ましい。ジェット貫通力不足では、皮膚の抵抗で液体が側方にそらされる「ウェットショット」のため過少投与になるか、または皮膚が注射器の開口から勝手にずれるか注射器が皮膚表面をすべるかして注射が完全に失敗するか、いずれかの結果となりかねない。最後にずっと以前から、短い初期貫通段階では高い圧力・速度ピークを実現し、それに続く比較的長い注射段階では(過度の痛み、出血、組織破壊や深すぎる液体デリバリーを防ぐために)もっと低い圧力・速度を実現するのが好ましいとされてきた。
前記のようなジェット式注射器に関する好ましい圧力プロファイルには若干の問題もある。そうした問題は大体が、強い、高変動性の圧力を必要とすることに由来する。静的な見地からでも、必要とされる異常な高圧力は他の注射装置の場合よりも構成材料を歪ませやすいし、またたとえ小さな相対変動でも大きな名目の差(nominal differences)および力勾配につながる。動的効果を考慮すると問題はさらに難しくなる。急昇圧は塑性変形材料の何らかの降伏によって相殺されるが、諸々の硬質材料に弾性張力を生じさせるし、また力勾配が大きく、圧力や圧力波が収まるには時間がかかるので、結果として装置の振動や液体の脈動が生じよう。弾性変形が大きすぎれば、それは引き続き、圧力プロファイルの後段での変動源となろう。第2の急変動は初期貫通段階でのピーク直後の急速な降圧に起因し、またそれほどではないが後続のやや持続的な注射段階での変動に起因する。装置の多様な部分がこれらの変動に寄与し、その発生/吸収源として作用しよう。たとえば、特に何らかの支持構造、ピストン、ガスケット等を有する該圧力室であり、また何らかの中実構成部品が同様に振る舞う可能性のある加圧機構特に高弾性でかつ圧力変動や静的または動的圧力波を支えることができる通常の力生成系(ばね、加圧ガスなど)である。実際、圧力室部分と加圧機構部分は圧力を交換するよう設計されているが、その欠点はこれらの装置部品が共鳴し、望ましくない変動を持続させ、場合によっては増幅しかねないことである。期待変動は圧力室内の圧力変動とジェット衝撃時の圧力変動の両方として測定することができたが、それらは比較的遅い圧力プロファイル変動の上に重なった速い脈動または「共鳴」として現れる。この共鳴は注射過程には大いに有害であると考えられる。この脈動は貫通段階ではジェットの貫通性を低下させる。やたらに発射される力の弱い矢が的を射抜く効果は力の強い一発の矢よりも弱いのとおそらく同じである。脈動する液流は注射段階では、対応する振動を組織に及ぼしそうであり、貫通口から全用量を目標深さまで到達させるのがますます困難になる。また、振動と脈動は連続した一様な液流よりも痛覚を強く刺激すると考えられる。しかし、共鳴が最も極端な、甚大な影響を及ぼすのは、圧力の反跳が大きくて、射出口の過圧を負圧に、従って射出を吸収に変化させる場合である。圧力プロファイルの貫通ピーク後の少なくとも最初の反跳ではそうした現象が現に観測、測定、記録されている。装置内への吸収が起こるとすれば滅菌保証はもはやできなくなり、血液感染症の感染が懸念される。ジェット式注射器は注射がスピーディで1回ごとの注射針交換が不要などのため一斉注射に好適であり、家畜の一斉注射にずっと使用されてきた。人間の集団ワクチン接種も検討され、試みられたが、射出口部分を交換または清浄しても相互感染が起きたため断念された。観測された吸引が問題の原因であるとすれば、この問題の解決はジェット式注射器を人間の集団注射のための有力な選択肢としてよみがえらせることを可能にするかもしれない。
興味深いことに、ジェット式注射器からの液体流の脈動は古くから知られていたのに、この問題の解決策や改善策はそれほど関心を集めてこなかったように見受けられる。1954年の米国特許第2762370号明細書は、液体が一様にではなく波として排出されると指摘している。しかし、発明者は観測されるような問題が使用ばね系の固有振動数に起因するものであり、別の固有振動数をもつ補完的な一群のばねを追加することで変動を打ち消すことを提案している。提案の対策は当然ばね系に限定されるし、またこの系に少なからぬ弾性を追加導入することになる。それ以外の点では、先行技術はこの問題に対する指針または解決策をあまり与えてくれない。好ましい全般的な圧力プロファイルを実現するための一般的な設計原理は、液体を丈夫な圧力室に入れて、または軟質または脆性の圧力室を丈夫な支持室に入れて、前記のような二段階に応じた強い力と比較的弱い力を与える機構により圧力室の可動壁たとえばピストンまたは膜に作用を及ぼして圧力室を加圧するというものである。より精巧な装置は各段階に対応した別々の駆動系を備えて、レベルと持続時間に制御された差異を与えられるようにしてあるが、それほど精巧でない装置は一般に全速距離(dead run distance)で加圧機構を加速させて、可動壁への衝撃時にピークを形成させ、続いてもっと低く長い平衡圧力を実現するだけである。一般にそうした一般的な設計は変動または脈動問題に何ら対処していないし、そうした問題を明示的にも暗示的にも何ら解消していない。こう言えるのは、この問題が発生するための必要条件すなわち系統弾性と組み合わさった目標圧力プロファイル中の高圧力レベル、短い昇降圧時間などの存在などがすべて揃っているからである。参考文献の国際公開第WO 01/89614号明細書などは、1個の弾性ピストンから弾性を解消することで二重ピストン系ジェット式注射器の全弾性を低減させる方法を開示している。これは圧力室部分の弾性を単一ピストン系並みに低減する対策であるが、共鳴の防止に必要なレベルまで弾性を低減するものではない。またこの対策は加圧機構の共鳴寄与因子に影響を及ぼすものでもない。
前記の共鳴問題は、ジェット式注射器に見られる他の振動問題と混同してはならない。たとえば、ジェット式注射器内の質量の相対運動に起因する反跳効果の制御のために種々の制動手段が提案されてきた。参考文献の国際公開第WO 96/28202号明細書は、内部射出機構に対して可動である外部トリガースリーブを有する注射器に関する。この外部スリーブと内部機構の間には粘性制動媒体があって、装置を皮膚に押し付けたときに緩慢な相対運動を許容するが、トリガー作動時の急な反跳運動には抵抗する。そうした処置は明らかに、外部スリーブと内部機構の間の相対運動に対してだけ有効であって、機構自体内部の共鳴には無効である。米国特許第4722728号明細書は、プランジャーを一番奥まで押した込んだときの衝撃による反跳を相殺するための筺体と主コイルばねの間に配置した円盤ばねを開示している。この場合にも、そうした処置は機構内部の共鳴に対しては無効であり、また決定的に重要な初期および主注射段階で終始有効なわけでもない。同様に、注射機構の運動速度の制御特にジェット式注射器以外での遅延を目的とする種々の制動処置が提案されてきた。米国特許第6270479号明細書は自己注射器用の注射機構と並列に配置した制動機構を開示している。それは高注射力を非破壊的速度でゆっくりと加えるようにする。これは、突然の貫通ピークと高注射力の実現に速度が不可欠となるジェット式注射器には適用できない。
このように、ジェット式注射器の共鳴に起因する脈動の防止対策は先行技術によっても解決されず、長年の懸案となっていた。
発明の概要
本発明の主目的は既存ジェット式注射器に見られる前記の問題を回避または緩和するようなジェット式注射器の提供にある。本発明の目的は特に、共鳴、変動または脈動問題を緩和または解消したジェット式注射器の提供である。別の目的は、負圧または吸収のリスクを緩和または解消したジェット式注射器の提供である。さらなる目的は、圧力室部分と加圧機構部分の両方に由来する共鳴因子を緩和または解消したジェット式注射器の提供である。さらに別の目的は、望ましいプロファイルパターン上に共鳴が重なり合うことのない弾力的な圧力プロファイルを与えることである。別の目的は、高圧の使用をなお可能にするような、そうしたジェット式注射器の提供である。なお別の目的は短い昇圧または降圧時間を許容するようなジェット式注射器の提供である。さらに別の目的は、高貫通圧とそれに続く低注射圧を与えるジェット式注射器の提供である。さらなる目的は衝撃を利用してピーク圧力を生成するような、そうしたジェット式注射器の提供である。なお別の目的は、開示の利点を実現するためのそうしたジェット式注射器の操作方法の提供である。
これらの目的は、添付の特許請求の範囲に記載した特徴によって実現される。
本明細書中の見解にはこだわらないが、共鳴現象の原因に関わる主要素は系統弾性と強い、変動性の力との組合せであると考えられる。非弾性材料は、後で意図的または非意図的に復元しうるようなエネルギーまたは張力の蓄積を伴うことなく不可逆降伏する傾向がある。他方、弾性変形では後で意図的または非意図的に放出されるようなエネルギーまたは力が蓄えられる。確かにある種の材料は完全弾性と完全非弾性の中間の挙動を示すが、差し当たりは理想非弾性成分と理想弾性成分に分ければ十分である。多数の非弾性成分は短い昇圧時間の実現を妨げるのでジェット式注射器には望ましくない。弾性成分でも、それらが低弾性率であり、従って(ピストン弾性を極小化しようという従来の取組みの根拠となっている)対向力の蓄積に多大の変形を必要とする限りで、同じことが言える。しかし現在の目的のためには、ジェット式注射器の強い力および圧力との関係で、通常は「硬質」とみなされるガラス、金属、構造用プラスチックといった材料や、通常は非圧縮性とみなされる液体自体をもまた弾性成分とみなす必要があると考えるのが重要である。この見解に対する裏付けは、圧力室に加圧機構を取り付けていない(従って吸引力を伝達することができない)場合にでも観測される高共鳴振動数と負圧に求められる。同様の考察は加圧機構にも、それがプランジャー等に硬質材料を含む限りで、当てはまるが、加圧機構は通常、力生成部分たとえばばねまたは加圧ガスに実質的弾性成分を含む必要があり、その弾性は意図的に「弱く」し、全射出過程の必要を満たすに足るエネルギーを蓄積させるようにしてある。要するに系統弾性は多かれ少なかれ不可避であり、この弾性の低減または除去は一般的な共鳴対策ではない。また、力または圧力の変動はみな共鳴の原因かもしれないと考えられる。すなわち力の増大だけでなく低減もまた、おそらく質量の運動と組み合わさった種々の弾性張力の増強または減衰と組み合わさって、目標を超える「過度」の圧縮と減圧を引き起こしかねない。確かに開示の好ましい圧力プロファイルの主成分はこのように振る舞うであろうが、関連する力が大きく遷移時間が極端に短いため、加えられた力と弾性の間に瞬間的平衡を期待することはできず、互いに他と作用しまた様々な圧縮特性の材料と作用する進行圧力波もまたおそらく主要な共鳴生成源となろう。従って、完全な均圧制御もまた一般的な共鳴対策として有効であるとは期待できない。
本発明の主態様では、主力生成系と圧力室の内容物を加圧するための作用を受ける圧力室壁との間の力連鎖のどこかに、少なくとも1つの非弾性成分を挿入する。該要素は通常の意味の非弾性要素またはダンパーでは、複数の部品を有し、その相対的な変位によりその変位を引き起こすエネルギーを少なくとも部分的に消散、消費または蓄積させる。該要素を使用すると、必要な運動は残し、有害な運動は選択的に解消しまたは遅延させることが可能になる。また、該要素は非弾性的に振る舞うため、系統弾性を増すのでなく、系統の後段階に反跳効果をもたらすことなくエネルギーを解消することにより正反対に作用し、以って系統に共鳴を生じさせないという主目的を達成するであろう。該要素は力連鎖に「並列」ではなく「直列」に挿入する。こうして筺体と加圧機構と間の、または筺体と圧力室壁との間の、相対運動を遅延させるようには作用しないことにより、該配置は系統に対して好ましい圧力プロファイルをもたらすという可能性を損なうことなく、この点での高い自由度が保持されるため、高圧の適用、急昇降圧、射出パターン変動などに対応しよう。この直列配置は、該要素が伝達系内への該要素の挿入点からもわかるように力生成系と圧力室壁の間の相対運動に対して有効であり、伝達系のてこ比またはギア比の修正または補正となることを意味する。この直列配置と挿入点は、該要素がジェット式注射器の主要部分すなわち圧力室部分と加圧機構部分の間の力伝達の制御に有効であり、主な力交換と主な弾性特性差異の両方にとってのインタフェースをなすことを意味する。該要素は圧力室部分と加圧機構部分の間の振動を減衰させ、以って共鳴に回される有効系統弾性を小さくすることにより、両部分を互いに孤立させる働きをしよう。該要素は、両部分間の共鳴振動数の交換を防ぐ一方で圧力プロファイル上の力は許容するように最適化されたフィルターとして機能し、通過する運動を少なくしよう。該要素はまた、該インタフェースに到達する変動を減衰させることにより、各部分内の既存共鳴を減らす役目も果たそう。さらに重要なことに、該要素は大きな振動源すなわち該インタフェースでの力の変動に由来する反跳効果を解消する役目を果たす。そうした変動は弾性成分が絡む場合にはいつでも反跳効果をもたらす可能性がある。本発明の要素は、特に全速衝突(dead-run hit)でピークを生成させる場合に、第1ピークに関連する特に重要な力積伝達を弾性から非弾性へと変換させることで反跳を解消する。該要素は絶対運動よりもむしろ相対運動に対して有効であるため、諸々の部分が絶対的な意味で前進し続けるときにも、反跳に対して等しく有効である。高圧を狙うときに非弾性衝突を与えるのは直観に反するように見えよう。弾性衝突のほうがより多くの力積を伝達し、より少ないエネルギーを消散するためである。しかし、これはすぐ帳消しになる。その差はこの過程内の全エネルギー収支に比して微々たるものだからである。この非弾性要素の一般的な影響は共鳴を有意に緩和または解消するに足る。しかもこの種の要素はフレキシブルであるため、追加の利点に合わせた性質、独自の力プロファイル、片方向性などを与えることができる。
さらなる目的および利点は発明の詳細な説明で明らかとなろう。
定義
本願で使用する「を含む」、「を含めた」、「を有する」、「をもつ」等の表現は特に断らない限り、明記した要素だけに限定せずそれ以外の要素の存在を許容するものと解し、また一体型、分割型または集積型の任意の要素を包摂するものと解する。同様に、「の間に・を」「結合した」、「取り付けた」、「配置した」、「設けた」等の表現は、明記した要素の間での直接的な接触だけに限定せず1個または数個の介在要素または構造の存在を許容するものと解する。力や作用の説明に使用される類似の表現もまた同様とする。
本願で使用する「の前(部)に」、「の後(部)に」、「前(方)へ」、「後(方)へ」、「軸方向の」、「半径方向の」といった位置および方向表示は特に断らない限り、液体を加圧するために加える力に関して、その力の向きが「前」方向であることを前提とする。そうした力の向きは直線的でもよい(直線的である必要はない)が、たとえば種々の伝達系の場合には力が絶対方向を変えながら伝達されることもある。また、力の向きは射出されるジェットの向きと同じとは限らない。ジェット射出用の開口の向きは、可動壁の変位の向きとは異なる向きにさえ、自由に変えることができるからである。
弾性装置の構成要素は本願では大まかに「硬質」、「弾性」または「軟質」(成分)という。これらの概念はジェット式注射器との関連で機能的な見地から解する。「硬質」成分は、関係する力を受けて弾性的に降伏するようには設計されないが、前記の理由によりわずかながら弾性的に降伏する可能性もあるような、ガラス、金属、プラスチック、液体などの構成要素または材料をいうものとする。「弾性」体はゴムやエラストマーなどのシーリングピストン、ガスケットなどであり、ある程度降伏するように設計される。「軟質」体は機械ばねまたはガスばねなどであり、可動壁を変位させるためのエネルギーの蓄積を主目的に、降伏するよう設計される。一般に軟質成分は可動壁で測定して少なくとも1mm好ましくは3mm好ましくは少なくとも5mm、移動するよう設計するが、硬質成分と弾性成分は同じ測定点での移動幅がもっと小さくなるよう設計する。
ほとんどの材料は理想弾性成分(完全に可逆的な挙動を示す)と理想非弾性成分(完全に不可逆的な挙動を示す)の中間にある。本発明の要素の可逆的な弾性挙動の指標として(可能ならば%表示の)「力比」Fr/Faを使用する。式中Faは要素部分を変位させるために加える力であり、Frは該要素を解放したときに反対方向に戻る力であり、どちらも装置の肝心な作動条件に対応または類似する力または距離で、たとえば速度感受性の要素の場合なら同じ速度で、または非線形要素の場合なら同じ距離で、測定するのが好ましいし、またもしも値が一定でない場合には漸増的に検討する必要があろう。たとえば純粘性ダンパー要素などのような準非弾性成分では戻る力がほとんど生じないのでゼロに近い力比となろうし、形状記憶材料では有限の低い値になろう。また、ばねを併用したダンパー装置ではずっと高い値になりうる。
詳細な説明
一般
本発明の原理は広義のジェット式注射器に様々な目的で適用することができる。冒頭部分で述べたように、ジェット式注射器は液体ジェットの推進力と慣性だけで組織を貫通するように設計される。これとは対照的に、たとえば針による注射では針が組織を貫通する役目を果たし、それ以外の組織への損傷は液体の慣性ではなく静水圧の結果である。ジェット式注射器には、たとえば目標深さを4〜8mmとする皮下注射やそれ以上とする筋内注射の場合に、最外層の貫通を楽にし、以って所要ジェット貫通力を小さくするための補助具としてたとえば1〜3mmの短い針または尖子を必要とするものもある。本発明は、最高のジェット貫通力を有する完全無針注射器へと有利に適用することができる。他の補助的な手段たとえば皮膚を伸ばしまたは固定するための機構などを併用してもよい。本発明の注射器は単回注射用の使い捨て型でもよい。その場合、注射液はたとえば開口から装置に予め充填しておくかまたは(参照により本願に組み込まれる)国際公開第WO 01/89614号明細書で例示されているように装置の部分である別個の貯蔵室から注射時に装置に注入する。該注射器は再使用型でもよいが、それには注射液を一体型の充填済み貯蔵室から装置に注入する場合のように使用回数が限定されるものと、注射液を交換型貯蔵室または供給管路から装置に注入する場合のように使用回数が特に限定されないものとがある。装置の貯蔵室への注射液の注入は公知慣用の弁機構の助けを借りて、貯蔵室の開口を経由して、または圧平可能壁または可動壁もしくは特殊導管を経由して、行う。再使用型注射器では(参照により本願に組み込まれる)国際公開第WO 01/89613号明細書で例示されているように、圧力室の部品を、または圧力室全体を使い捨てにするのが望ましいかもしれない。ジェット式注射器は、やはり同明細書で例示されているように、用量固定型、用量可変型のいずれにも設計することができる。
本発明の注射器は医療分野の枠内または枠外の多様な目的に、また任意の目的でデリバリー(送達)される任意タイプの液体製剤たとえば化合物、組成物または混合物に、使用することができる。前述のような理由から、該注射器は、設計上の制約が他の大方の用途分野よりもずっと厳しい薬物送達装置としてある種特別の意義を有する。以下、本発明を便宜上この用途分野との関連で説明する。
送達対象の物質は液体であり、乳濁液または懸濁液などのような液体として振る舞う物質を含む。こうした所見は、他の成分特に固体が最終調製前に存在する場合もある最終調剤に関連する。圧力室の内容物もまた広義の薬物を含み、また該薬物は工場で調製されるのが最も一般的であるものの、たとえば圧力室に予め充填または吸引される前の天然成分や体液を包含するものとする。
以下、冒頭で開示したような構成要素との関連で本発明を説明していく。
筺体(housing)
筺体は広義に、また基本的には他の部分および構成要素に関する位置および方向表示の基準点として、理解されるものとする。しかし筺体は、少なくとも装置の機構を実際に閉じ込める一方で、主としてユーザーにアクセス可能であるのがよい部分たとえばアーミング、トリガーリングおよびコッキングの各制御機構や使い易くするためのグリップ、ハンドルまたは支持構造といった手段は露出させたままにしておくのが好ましい。圧力室は筺体と一体構造にしてもよいし、筺体に取り付けて、圧力室が露出するように、または(特に筺体が圧力室を支持して圧力抵抗を付与する場合には)やはり筺体に閉じ込めるようにしてもよい。前述のように、圧力室は一体型でも交換型でもよい。圧力室の交換は任意公知の係脱/開閉機構またはねじ、バヨネットロック、ボールロックなどのような着脱機構によって楽に行えるようしてよい。圧力室への注入を別個の貯蔵容器または供給管路から行う場合には、そうした機能のための付属機構を筺体に閉じ込めまたは組み込んでもよい。
圧力室(pressure chamber)
圧力室は自力で、または支持構造の助けで、射出圧に耐えうる必要があるし、また内容物の液体を加圧しうるように設計する必要もある。これらの要求を満たす限りで、見込まれるまたは公知の任意タイプの圧力室が使用可能である。圧力室はモノリシック構造、一体構造、複合構造のいずれでもよい。可動壁は各タイプの圧力室に合わせた改造が必要かもしれない。たとえば圧力室は外部的な支持を受ける完全軟質袋でもよい。その例は米国特許第2642062号明細書が開示しているような、無支持の後端から圧平しうるような軟質袋であり、該後端はばね+弁機構で加圧される作動媒体との接触を通じて可動壁として機能する。米国特許第3308818号明細書は、軟質袋と該袋に直接作用して該袋を圧縮させるための火工技術用噴射剤とを閉じ込めた支持筺体を開示している。米国特許第5026343号明細書は、ばね式のプランジャー機構によって圧平することができる後壁を備えたもっと硬質のアンプルを開示している。圧力室はまた、通常のシリンダー/ピストン機構または総じて容器の形と可動壁を互いに適合させる必要のある容器/壁に見られるような可動壁としての役目を果たす隔離体を備えた、全般に剛直な構造でもよい。可動壁が運動または形状変化によって容器の内表面に適合しうるような軟質の、またはゆったりしたサイズの薄膜または隔膜であるとき、容器は最も自由に設計することができる。しかし、容器は前部と後部の間で実質的に一定の内断面と同様に一定の容器軸とを有する概して筒型の容器であるのが好ましく、また該断面が円形であるほぼ円筒型の容器であるのが最も好ましい。その場合、可動壁は実質的に形状不変の、ただしおそらく弾性の、物体であって、容器内表面に密封適合させた、そして好ましくは容器内移動時に転倒せず自ら安定に向かうに足る長さを備えたプランジャー型の、物体であるのが好ましい。剛性の圧力室は一般に金属、ガラス、または好ましくはポリカーボネートなどの硬質プラスチックを素材とする。前述のように、圧力室は二次的な目的のための任意の追加機構、たとえば単回または反復充填用の入口流路、入口および/または出口弁、または係脱/交換機構を備えてもよい。圧力室はまた、後述のような二重または多重区画室として設計してもよい。しかし、そうした予備的なステップは製剤を圧力室に注入する前に行うのが好ましい場合も多いが、そうした場合には多重区画室を圧力室から分離することもできる。
注射器用の二重または多重区画室は、たとえば投与前に複数の成分または前駆体を混合する必要のある製剤に対応するタイプが公知である。製剤成分は種々の公知設計の1つまたは複数の中間壁で分離しておく。この中間壁は室を数区画に分割するものであり、円筒型の室ならば円筒軸に沿って並列に配置する場合もあるが、円筒軸に沿って重ねた形にするのが最も一般的である。複数成分の一体化は中間壁の破壊、貫通または弁の開放によって行う。別の公知設計では、中間壁はピストンタイプであり、区画間の流体連通はバイパス部へのピストン移動によって形成されるが、パイパス部の内壁はピストン変形部、1つまたは複数の肥大部、または連続的な周縁溝山を有していて、後部区画の可動壁の変位により後部区画内容物の前部区画へのバイフローが生じるようにしてある。区画室の内容物は気体、液体、固体のいずれでもよい。一般的には少なくとも1つの液体が存在する。医薬品への適用の場合には2区画だけが存在し、一方には液体を、他方には固体を入れておき、混合時に固体を溶解還元するのが最も一般的である。
圧力室は少なくとも1つの開口(オリフィスともいう)を有し、製剤は注射器の主ジェット送達動作時にその開口を通過する。充填、混合または溶解などの準備ステップのための圧力室への注入にも開口が必要であり、これらの動作にもこの開口を使用することはやはり公知である。装置のある種の動作たとえば始動などは連通の形成前に来ることも可能であり、場合によっては好ましいので、その場合の開口条件は取外し可能締切り手段または貫通/破壊可能部品の存在などような連通形成のための準備処置をもって満たされたものとみなす。開口には、予め閉鎖位置にセットしておき、注入時に手動でまたは加圧により開放するようにした弁機構を設けてもよい。開口径は確実に貫通させるに足ると同時に過度の組織破壊を生じさせないような大きさとする。一般的な開口径は0.01mm超、好ましくは0.03mm超、最も好ましくは0.06mm超であり、また1mm未満、好ましくは0.6mm未満、最も好ましくは0.3mm未満である。形成されるジェットは1つだけであるのが好ましいが、複数のジェットを形成するようにいくつかの開口を設けてもよい。一般に開口軸は圧力室加圧時の壁移動の主方向と平行であるか、場合によっては同軸であるが、歯科用注射器などの場合にはオフセットまたは角度つき配置にし、処置時の口腔へのアクセスが改善されるようにしてもよい。
圧力室内の一般的な圧力は総じて25気圧(2.5MPa)超、しばしば50気圧(5MPa)超または100気圧(10MPa)超であり、また通常は1000気圧(100MPa)未満、しばしば800気圧(80MPa)未満または500気圧(50MPa)未満である。
加圧機構(pressurizing mechanism)
加圧機構は液体と力連鎖のインタフェースとして、圧力室の可動壁または圧平可能壁に力を加えるような配置とする。従って該機構は「力生成系」を含まなければならない。力はある距離を介して加えられるので、この力生成系は「エネルギー源」とみなすこともできるが、これらの概念は本願では互換的に使用する。また「力」、「圧力」という概念も本願では文脈次第で互換的に使用する。たとえば該機構は力の点から理解するほうがよいかもしれないし、また圧力室に加えられる力は単位面積あたりの力という通常の意味での圧力として理解するほうがよいかもしれない。
力生成系は人力を利用して可動壁を移動させるようにしてもよいが、通常は人力エネルギー以外の貯蔵エネルギーをエネルギー源として使用する。これは、力生成系のコッキングまたはエネルギー源のチャージングが人力または人力エネルギーの使用によるという可能性を排除するものではない。そうした方式は、たとえば機械ばねを使用するときにはごく普通であり、またガス圧を使用するときにも時々見られる。その他の点では、任意タイプの貯蔵エネルギーを力生成系に使用することができる。たとえば圧縮状態の機械ばね、圧縮ガスまたは噴射剤、火工技術的・化学的または電気化学的に放出されるガス、電気機械エネルギーなどが米国特許第5116313号明細書などで例示されている。力生成系は単なる注射装置から分離して、たとえば前記明細書で例示されているように遠隔配置にし伝達リンクを介して力が伝達されるようにしてもよいが、真に携帯型、手持ち式の装置に内蔵させるのが好ましい。コッキングにも同種または異種のエネルギーや力を使用してよい。同様に、コッキング機構もまた携帯型装置の筺体に収めてよいが、米国特許第5704911号および第3815594号明細書が例示するように、装置から分離してもよい。複数の力生成系を設けて、複数のばねが一体として協調的に作用する(前述の米国特許第2762370号明細書)ようにしても、また異なる段階で作用する(前述の米国特許第5116313号明細書)ようにしてもよい。
力生成系は(例示のばねやガスなどのように)可動壁に直接作用してもよいが、注射装置はオプションとして、液体と接した状態の力生成系の少なくとも一部分と可動壁の少なくとも一部分の間に伝達系を含んでもよい。該伝達系は単純な機械的結合、たとえば膜の形をとる壁に作用するプランジャーロッドまたはピストンなどでもよい。伝達系は、たとえば機械的なリンク機構または流体回路を介して力の向きを変える役目を果たし、以ってたとえば前述の明細書で例示されているように注射装置の全般的なレイアウトに影響を及ぼすようにしてもよい。伝達系は力を変換する、たとえば歯車、リンクまたはレバー機構により、あるいは気体および油圧式伝達系ではプランジャーおよびピストンの表面積の公知のやり方での変更により、力対距離のプロファイルを変化させ、力をシフトダウンし、またはジェット式注射器ではより一般的であるが力をシフトアップする、といった役目を果たしてもよい。複数の力生成系を設けるときは、各々が独自の伝達系部品たとえば径の異なるプランジャー(米国特許第2762370号および第5116313号明細書)、および/または共通の伝達系部品たとえば液圧リンク(米国特許第5116313号明細書)を有してもよい。
制御系(control system)
注射器はまた、種々の動作段階特に貫通段階と注射段階を順序付けるための制御系を含んでもよい。前述のように、貫通圧ピークは単に加速質量(たとえば力生成系に含まれる)、伝達系または本発明の要素の衝撃によって生成させることができる。この場合、制御系に求められるのは、力生成系の運動開始をある位置で確実に起こして、力生成系と可動壁の間の力連鎖内のどこかに、好ましくは壁移動との関係で可能な限りはるか前方に、また最も好ましくは壁と力生成系または場合によっては伝達系との真ん中に、その後ろに十分な質量が存在するようなギャップを生じさせるだけである。このギャップは調節可能にして、たとえば貫通条件または製剤粘度の違いを補正するようにしてもよいし、また出発点を調節可能にして、たとえば圧力室の大きさや充填度合いの違いを容認する場合に可動壁の出発位置の違い許容するようにしてもよい。あるいは、貫通圧ピークは、ギャップを必要とせずまったく同一の力生成系または力生成装置を使用するだけで生成させることもできる。これは、たとえばほぼ類似した力を、例示のようにまず可動壁の比較的小さい面積に、次に可動壁の比較的大きい面積に、順次加えることによって実現することができる。この場合、制御系は小さいほうの表面に対応する所定の動作距離の後に、この大きいほうの表面と係合するように配置してもよい。使用する力生成系が1つでも、力の変換はたとえば前述のような伝達系関連の任意の手段によって、貫通段階で力を強めるまたは注射段階で力を弱めることによって、起こりうるので、制御系は両段階間の変換を、たとえば流体用の機械ロックまたは弁によって、有効または無効とするよう設計してもよい。さらに別の選択肢では、両段階に別々の、同種または異種の力生成系を使用する。その場合、制御系は貫通段階の終りに、注射用の力生成系を始動させまたは有効とするように、また好ましくは貫通用の力生成系を停止させまたは無効とするように、設計してもよいが、やはり流体用の機械ロックまたは弁が必要となろう。制御系にはプロセッサー制御などのような他の手段を使用してもよい。開示の機能を実現するための制御項目は変化する可能性が、たとえば力生成系または可動壁に関して、または筺体に関して、予定使用期間後に、または予定時点で、変化する可能性がある。開示の選択肢は種々組み合せて使用してもよい。
制御系はまた、他の機構を含んでもよい。制御系がユーザーと実際の機構との間のインタフェースをなす手動制御を含んでよいのは当然である。貯蔵エネルギーの場合には、その制御はトリガー操作たとえば機械ロックまたは弁の解除、開放による力生成系の起動という形をとってもよい。ジェット式注射器用の別の一般的なトリガー機構は、すでに例示されているような、標的に対して一定の圧力がかかったときに作動するトリガーである。手動制御の例は通常の安全対策たとえば装置を子供には操作できないようにする安全ロックまたはコマンド規定などである。制御系のさらなる機構は用量設定機構であろう。圧力室には可動壁の同時的な後退・後進の下で異なる体積の用量を充填または注入することができる。あるいは可動壁を固定した状態で圧力室に種々の体積を注入し、その後で可動壁の前進による圧力室の脱気を行ってもよい。これらの目的のためには、制御系は注入のための機構や力生成または伝達系の対応する可変開始位置への調整のための機構を含んでもよい。前述の国際公開第WO 01/89613号明細書はこうした代替機構のための種々の構造を開示している。圧力室を部分的に空にすることだけで行う用量制御も可能であり、その場合、制御系には調節式のストッパー機構が必要となる。力生成系からの力を調節するための制御機構や力生成系のコッキングを容易にするための機構もまた技術上周知である。
要素(element)
本発明では、少なくとも1つの非弾性要素を、概説した目的たとえば共鳴発生の防止または発生した共鳴の解消のために利用する。「非弾性」的性質は、該要素が互いに内部的または外部的に変位しうる少なくとも2つの該要素部分に加えられたエネルギー形態としての仕事量すなわち力×距離を除去しうることを意味する。この除去は少なくとも部分的には不可逆である(弾性的に作用しない)必要があり、また不可逆的除去のための任意の原理を、たとえばエネルギーの一方向的な消費または蓄積を、用いることができる。ただしほとんどの場合は熱としてのエネルギー消散という通常の不可逆的な原理で間に合うし、それが望ましい。その場合は広義の「摩擦」機構をエネルギー消散に使用することができる。摩擦機構は最良の調節および制御を目的とし、たとえば迷走電流の誘発による、または抵抗性導管内での、電気抵抗損失に基づくものでもよい。摩擦は通常の粘性ダンパー中で発生させることができる。これは、流体すなわち気体好ましくは液体が流路狭窄部またはせん断面間を、その変位時に、通過するように配置した装置という意味である。粘性ダンパーは伸縮的であり、またその部品の変位後ただちに遅滞なくまたは全速で(dead run)作動してもよい。粘性ダンパーまたはダッシュポットはそれ自体周知の構成部品であり、たとえばピストン内または周囲(または制御分流路内)の狭窄部を流体が通過するピストン/シリンダータイプに代表されるアキシャル型、またはせん断力の生成下に流体中を回転する羽根車に代表される回転型など種々の形態をとってよい。摩擦はたとえばブレーキ装置に見られるような任意の原理を使用して圧縮摩擦面間に機械的に発生させることができ、たとえば摩擦力と運動距離の無限制御を可能にする。部分変位時に非弾性変形能を示す構造により特殊な機械的摩擦を発生させて、変形と共に、従ってまた距離と共に増大する応答力を自動的に与える性質をしばしばもたらすこともできる。この変形は圧平可能な空洞格子構造たとえばハニカム構造の場合のように不可逆的であってもよい(使い捨て装置ならそれで間に合う)し、またそうした構造に形状記憶またはフォーム材料を使用する場合のように可逆的であってもよい。そうした変形性構造の、不可逆であるにもかかわらず再使用可能であるような例として粒子を満たした容器があり、そこでは粒子間のランダムな衝突と摩擦によって仕事量が熱として消散されると考えられる。そうした装置はそのうえ、集塊(mass)を提供することができるし、また複数方向への変形も可能である。該容器は衝撃を受けてすぐ作用する周知の砂袋のように軟質または圧平可能であってもよいが、形状一定の空洞または外縁として、部分充填に対応しうるようにするのが好ましい。この部分充填は、より再現性の高い結果と、またおそらく装置の弾性部品の予備圧縮と調和した若干の遅延を伴う作用とをもたらすと信じられている。これらの要素はギャップなどのような衝撃効果と併用しうるのが好ましい。設計上の見地からは、そうした要素は形状一定であり、その集塊中心の転位はその諸部分の内部変位として機能する。そうした要素はいわゆる「デッドブロー」ハンマーからそれ自体周知であり、本発明の目的に使用すると上守備であった。空洞は少なくとも1つの可動集塊を具備しうるが、その場合にはその錘は該空洞に摩擦で、たとえば摩擦レール、ガイドピンまたは液体への浸漬により、案内または結合するのが好ましい。しかし、好ましいのは気体を無数の金属粒子たとえばショットで高度に、ただし部分的に満たすタイプであり、その意味は金属粒子がかさ体積の、たとえば50%超好ましくは65%超最も好ましくは80%超〜100%未満好ましくは99%未満最も好ましくは95%未満を占めうることを意味する。本願で開示の要件に従って選択または形成する限りで、以上例示した以外の非弾性要素を使用してもよい。
開示の要素または一般に非弾性要素は数多くの変数の関数としての対向力に関して種々の性質を有してよい。該要素の諸部分の相対運動速度に関しては、該要素は一定の力で、すなわち一定の単位距離あたりエネルギー(仕事量)消費で、応答してもよい。これは、系統弾性の蓄積を最小に抑えるための、たとえば一様な力積(すなわち力×時間)伝達に有用である機械的表面摩擦要素では一般的である。その力はたとえば層流用の粘性ダンパーでは速度に正比例してもよいし、また乱流用の粘性ダンパーでは速度の二乗またはもっと高い増加率に比例し、以ってたとえば既存共鳴の効率的減衰または高剛性を実現するようにしてもよい。これらの一般的な関係または関数は単位距離あたりエネルギー(仕事量)消費にも適用されよう。この一般的な関係はアクティブ制御により、または設計により、修正変更することもできる。たとえば力は粘性ダンパー内の流体流量弁の配置または調節により多かれ少なかれ速度依存的にすることが、あるいは摩擦要素たとえばウェッジ装置内の接触圧の変動または粘性ダンパー内の距離によるスリットサイズの変動により移動距離依存的にすることができる。そうした修正は要素の応答を運動方向に関して非対称にすることもできる。これはたとえば前記の応答を一方向に限り与え、反対方向には与えない、または異なる応答または形式的な応答を与えるようにするなど、それ自体周知の技術であり、粘性ダンパーへの逆止め弁の使用、ラチェットなどによる吸引または反跳の防止、またはおそらく解除装置による装置機構のリセット支援などがその目的である。本発明への使用を目的としてはいないが、種々のダンパー設計やその変更がそれ自体として技術上周知である。以上述べたような性質は固定的にセットしてもよいし、調節可能にしてもよい。
前述のように、いくつかの要素たとえば非弾性変形性材料は複数方向のエネルギーを吸収することができるが、本発明の目的のためには、ダンパーは一方向のエネルギーを、必要なら前後両方向の運動を含めて、吸収できれば十分である。それでもたとえば装置内の直線運動を回転型粘性ダンパー内の循環運動に変換するために、省スペース的なダンパーの再ポジショニングを可能にするために、または力加減用のてこ機構を導入するためには、伝達系が必要かもしれない。
後述のように、本発明の要素は力生成系から圧力室の可動壁に至るまでの力連鎖内に直列に挿入される。これは力連鎖内を伝達される静力と動力が該要素に作用して力生成機構の移動距離の一部を消費するおそれがあるが、その部分は機構設計時に追加の移動距離を必要とする「損失距離」にあたる。本発明の目的のためには、そうした移動距離は一般に少なくとも1mm、好ましくは少なくとも2mm、最も好ましくは少なくとも3mmである。これらの値は該要素の最小ストロークすなわち該要素の諸部分の最小変位量を表わすとも言える。最大ストロークは、しばしばその全部が利用される必要はないので、それほど重要ではない。ストロークの喪失は管理する必要がある。ジェット式注射工程は短いので、無限ストロークの要素たとえばブレーキタイプの要素さえをも使用できるし、また行程が早めに、または全ストロークにわたって振れる前に終わってもよいため、底を打つことのない有限ストロークの要素たとえばシリンター/ピストンタイプの要素を使用することもできる。しかし、ストロークリミッターを設けるのがしばしば好ましい。リミッターはシリンダー/ピストンタイプの要素に見られるような取り付けた、または自然に備わった単純な停止面でもよいが、全ストローク長にわたって逓増対向力を提供し、以って系統に衝撃を与えることなくストローク損失を限定するような、または該要素を力連鎖に加えられた力と平衡させうるようにするような、リミッターを使用するのが一般に好ましい。前述のように、いくつかの例示要素たとえば非弾性変形材料は本来的にこの性質を提供する。そうした逓増対向力を反復的に提供するようなリミッター、たとえばこの非弾性要素と並列的に結合した弾性リミッターを使用するのも好ましいであろう。そうした弾性リミッターはたとえば力生成系用に示唆されている任意の弾性手段たとえば機械ばねやガスばねでもよいし、またそうしたリミッターは相当の距離にわたって作用するという意味で「軟質」であるのが好ましい。非弾性要素と並列に結合した弾性リミッターというこの組合せ装置は、この組合せ装置を力連鎖内の種々の変動力と平衡させるのに役立とう。この組合せ装置はまた、伝達系が平衡力のまわりで振動することを、該要素中の運動の同時的減衰下に、許容することにより、特定の(たとえば共鳴)振動数に対する「フィルター」としても役立とう。その場合は、この組合せ装置を最適化して望みの振動特性をフィルターで除外するようにする。リミッターは、たとえば再使用しやすくするために、該要素を初期の非圧縮状態にリセットする役目を果たしてもよい。リミッターを使用するときは、一般的な最大ストロークは30mm未満、好ましくは25mm未満、最も好ましくは20mm未満とする。前述の機構の運動および要素のストロークは可動壁での移動距離をいい、該距離は力連鎖の他部分では、たとえば伝達系の部品などのために異なることもあるし、また該要素の内部でも異なることがある。
該要素は、該要素に適用される振幅と該要素中の実際のストロークの間に内部ギア比またはてこ比を有してもよい。これは内部ストロークを短くするために使用してもよいが、内部ストロークを増幅するために使用するのが好ましい。それは減衰の再現性と効率を高め、また対向力弾性成分の設計を容易にするのに役立つ。というのは、このストローク振幅は強い力にもかかわらず力連鎖内では小さい可能性があるからである。該比は伝達系との関連で述べた任意の手段たとえばレバー、歯車または液圧面などにより実現することができる。ストロークの増幅は好ましくは原ストロークの2倍超、より好ましくは5倍超、最も好ましくは10倍超である。
有用な要素はほぼ完全に非弾性的な、たとえば圧平可能な要素であってもよいし、またたとえば平衡目的のための組合せ要素のように弾性成分を組み込んでもよいことが明らかであり、該要素全体の弾性特性について一般的な指示を与えるのは困難である。しかし指針としては、該要素が全体として非弾性成分となり、従って前述の定義による力比が明らかに100%未満、たとえば90%未満、75%未満、50%未満、さらには25%未満でなければならない。意図的な弾性成分を欠く要素は力比がさらに低く25%未満、たとえば10%未満、5%未満であるのが好ましく、1%未満であるのが最も好ましい。組合せ要素中の非弾性成分にもこれらの低い力比値を適用するが、弾性成分の力比値は非弾性成分の場合よりも高く、たとえば25%超、50%超、75%超、さらには90%超である。これらの性質は常に区別しうるとは限らない(たとえば弾性成分と非弾性成分の中間体としてのフォーム材料の場合)ので、その場合には全体としての要素に関する前記の値を用いる。力比を求めるときは、該要素の一部分が装置の動作に関連する限りでその一部分のストロークを考えるだけでしばしば十分である。
要素の使用(element use)
本発明では、力生成系から可動壁に至るまでの力連鎖に、少なくとも1つの要素を含めなければならない。もちろん、該要素の前部が可動壁としての役目を果たしてもよいが、一般的には可動壁を該要素から分離し、該要素には取り付けないのが好ましい。該要素は力連鎖内に「直列」に配置しなければならない。これは、その可動部分が力連鎖中を伝達される力の作用を要素挿入点で受ける(該挿入点で、たとえば可動壁を前進させる力によって、または一般的には加えられる全圧力プロファイルとそれと重層する共鳴によって、圧迫される)ことを意味する。この直列挿入は力生成系または伝達される力の運動速度に負の影響を及ぼさないが、ジェット式注射器に要求されるすばやい動作にはそれが肝心である。これは「並列」配置とは大違いであり、並列配置では該要素は支持体特に筺体と力連鎖内の挿入点の間で加えられる力の作用を受けるため、力生成系の反作用速度を遅らせることになろう。ある種のばねたとえば重ね板ばねまたはコイルばねにはばね運動時に作用する内部摩擦があり、そうした摩擦はそうしたばね運動に逆らって作用することによりばね弾性成分と並列配置になる。力連鎖中の液圧または空気圧伝達系部品の狭窄部にも、特に該狭窄部が筺体に対して固定されている場合には、同じことが言える。
前記の理由から、該要素の直列配置は他の機能単位たとえば前記の弾性リミッターが該要素と並列に結合されることを排除しない。というのは、そうした単位またはリミッターは力連鎖内の運動を遅らせるのではなく、そうした運動に追随するからである。非弾性要素を補助機能単位として並列に含んでもよいが、それも初期開始段階の下での遅延といった二次的な目的(たとえば製剤の混合、たとえば吸引を防ぐための一方向要素による後進運動の防止または遅延、またはコッキング運動の速度制限)のためであるのが好ましい。
以下概説するような種々の目的を実現するために1つまたは複数の要素を力連鎖内の1つまたは複数の位置に挿入してもよい。
筺体と力生成系の間の力連鎖の最後部に直列に要素を配置してもよい。そうした要素は力生成系から力連鎖に加えられる力の影響を受けるであろうが、該要素はこの力に耐え、この力と平衡しうる前述のような補完機構であるのが好ましい。そうした要素はアクティブであって、たとえば力連鎖のこの部分に到達しまた潜在的に反響する可能性のある共鳴振動を減衰させる役目を果たす。該要素は、力発生機構の突然の解放およびそれに伴う質量の加速と変位という異なる原因に由来する共鳴振動に対しても、たとえ該要素がそうした反跳(recoil)に対してアクティブではないとしても、逆らう働きをしてもよい。
類似の要素を力生成系の「軟質」部分内に、たとえば類似のまたは異なる直列配列ばね要素の部分間に、配置して、たとえば該ばね系内を進行する共鳴または共振を減衰させるようにしてもよい。1つまたはいくつかの類似のまたは異なる要素を、力生成系内に並列配置されたいくつかのばね要素の一部分または全体に配置して、たとえば共振に対向するかまたは打ち克つための種々のばね部分に対応した振動特性の変動を、追加的にもたらすようにしてもよい。
しかしながら、前記のような、また類似の目的のための単数または複数の要素は、力生成系の軟質部分内に配置するよりは、力生成系の、少なくとも軟質(たとえばばね)部分の前に配置するのが好ましい。これはしばしば設計を容易にし、ガスばねを含むほとんどの力生成系に適用可能であり、また力生成系の軟質部分に質量を加えるのを防ぐ。冒頭部分で述べたように異なる弾性特性を有する力連鎖の硬質部分と軟質部分の間のインタフェースへの配置もまた、その両側のために該要素を最大限に利用することになる。
前述のように、力生成系と可動壁の間には伝達系が存在してもよい。伝達系内には、たとえば遊びや許容差に由来する任意の振動をその発生源で減衰させるための要素を配置してもよい。伝達系が軟質部品たとえば逆ばねを含む場合には、該軟質部品の前のインタフェースに要素を配置してもよい。一般に、力連鎖内に1つの要素だけが存在する場合には特に、該要素の一方の側にすべての弾性部品を集中させるのが好ましい。若干の硬質部品を同じ側に組み込むことはそれほど重要ではないので、望むならたとえば設計上の配慮から該要素を伝達系の前に配置してもよい。
要素を配置する好ましい位置は力連鎖の最前部、圧力室可動壁またはその近辺、あるいはアクセスのために必要なら該可動壁に対応するピストン棒またはその近辺である。そうした配置は加圧機構前部の系統弾性部品を多かれ少なかれやむをえない圧力室関係の部品だけに減らし、この位置に配置される要素はたとえば不可避の弾性応答に対して可能な限り最速の反作用を到達させるためなどに使用することができる。この位置では、該機構と交換式圧力室または圧縮性部品たとえばピストンタイプ可動壁の間の、後述のような衝撃および反跳効果をもたらす可能性を秘めた、少なくとも小さなギャップを防ぐのは困難でもあろう。必要ならこの位置の要素は前述の目的のための、もう少し後部側に寄せた補完的要素としてもよい。
要素の使用ではこれまで、主に系統内の共鳴または類似振動の減衰に言及してきた。そうした目的のためには、ただ1つの、または限られた数の振動を、たとえば圧力プロファイルの貫通ピーク後の最初の急降圧だけを、減衰させることが可能である。既存の共鳴を減衰させることを目的とした「ダンパー要素」の他に、単一用途要素たとえば前述の変形性要素をも使用することができる。前述の一方向要素は、一方向の変化を減衰させる(たとえば一般に圧力を降下させる)のが望ましい場合に使用可能である。しかし通常は、一般に共鳴型の振動を減衰させるのが望ましい。その目的のためには要素部分間の反復相対運動が該振動に追随することを許容するような要素を使用するのが好ましく、また前述の組合せ装置を使用して、圧力プロファイルの主な力成分に対応する平衡位置に重なるそうした運動を許容するようにするのが最も好ましい。該要素は、共鳴を除去する一方でもっと遅い圧力変動は通過させるように最適化するのがよいことは明らかである。
本発明の別の目的は、すでに発生した共鳴等の振動を除去制止させるのではなくその発生自体を防止することである。冒頭部分でも述べたように、力または圧力の変化はみな望ましくない振動の原因になるおそれがあると考えられる。やはり前述のように、若干の原因は設計に関連するかもしれない。たとえば衝撃効果をもたらす可能性のある遊びや許容差などである。他の原因は貫通目的のための初期の急昇圧とそれに続く非破壊的注射圧への急降圧などであり、望ましい圧力プロファイルの一部分として不可避である。力の変化に伴う共鳴の原因は反跳効果の反響として考えることができる。力連鎖内のすべての部分が物理的に接触していて、従って衝撃効果が絡むことはない場合であっても、系統弾性部品内に正または負の圧縮が蓄積し、そうした圧縮が力連鎖内の力の変化に伴いアクティブになったときに、反跳は起こる。これは、たとえば貫通圧と注射圧がそれぞれより小さい表面とより大きい表面に対する力の印加によって、または異なるまたは追加のばね系の逐次起動によって、生成される例示のようなジェット式注射器では、重要な因子であるかもしれない。力連鎖内のギャップが衝撃効果に伴う追加の反跳の原因となることも確かにあろう。これは、たとえば貫通圧ピークの生成に加圧機構の全速移動(dead run)と衝撃を使用する通常タイプの注射器では、重要な因子であるかもしれない。これらいずれの場合にも非弾性要素が反跳効果の低減または解消に役立つかもしれない。得られる効果は、非弾性成分間の衝突に相当すると考えることができる。そこでは、両非弾性成分は初期質量および速度とは無関係にそれぞれの運動を共に停止または継続する傾向がある。
反跳効果の防止という目的のための「衝撃要素(impact element)」としては、前に既存共鳴の減衰に関連して述べたのと同じタイプの要素を、目標圧力プロファイル上の力に適応させる限りで使用することができる。たとえば、より複雑な圧力プロファイルなどにおいて反復的な力の変動に逆らう作用を追求するときなどには特に、力連鎖内の力と平衡しそのまわりで振動することができるような組合せ要素を使用してもよい。しかし他タイプの要素もまた、前述のような特に変形性要素などを含めて、使用可能である。共鳴の発生を防ぐ場合には、個別の原因たとえば力連鎖内に存在する衝撃ギャップに対処することが可能になる。数多くのジェット式注射器では、反跳と共鳴の主因は初期貫通ピークの生成であり、このピークに対処して設計するだけで十分であろう。最初の急昇圧とそれに続くもっと低い注射圧への急降圧は共に望ましい圧力プロファイル特性であり、なくしてはならない。従って降圧の行き過ぎを抑えれば十分かもしれない。こうした目的のためには、一方向に、または一度だけ作用するような要素たとえば前述の固定空洞タイプなどのような変形または圧平可能要素タイプをも、使用することができる。該要素は力積伝達の所要時間を降圧持続時間よりも延ばすことにより、力生成系の表示値を安定させる役目を少なくとも部分的には果たすと考えられる。そうした目的のためには少なくとも1つの要素が力連鎖内に存在するのがよいし、またその位置は、反跳に関与する系統弾性を最小にするには、好ましくは力生成系の軟質部分の前であり、また好ましくは任意の伝達系の中または前であり、最も好ましくは加圧機構の前部近辺すなわち可動壁またはそのオプション部品としてのピストン棒の近辺である。
設計上の検討項目(design considerations)
前述の要素は初期対向力を、たとえば初期ピークの急形成の妨害または損失距離の無用の延長を目的としない初期対向力を提供するのが好ましい。該要素は初期最大ピーク値の少なくとも10%未満の、好ましくは20%未満の、最も好ましくは30%未満の力では実質的に降伏しないのがよい。該要素は最大ピーク値未満で、好ましくはピーク値の90%未満で、最も好ましくは80%未満で降伏するのがよい。好ましい大まかな目標は、主ばね曲線が初期ピークと交差するときの力である。これらの特性は、前述の任意の手段によって与えることができる。たとえば圧平可能な要素には対応する設計上の初期変形抵抗を与えることができるし、粒子を充填した形状一定空洞要素はこれらの特性を本来的に備えるし、また組合せ要素には、たとえばトリガーを作動させる前に力生成系によって圧縮させることにより、たとえば力連鎖を組み合わせ要素の前部に固定することにより、初期の対応する平衡力を作用させることができる。
さらに、該要素はその対向力を増強して、たとえばピーク時に最高値および最高速度を許容し、振動を妨げる働きをしうるように設計するのが好ましい。該要素は少なくともピーク時の最大値に対応する力に対しては剛化しうるのが好ましい。ただし、ばね式力生成系をより小さな力の側へと広げるために該要素を所期設計値で実質的に降伏するよう設計することにより、ピーク値を管理することも可能である。前述のように、多数の圧平可能要素は自然に剛化するか、または剛化させることができるし、また組合せ要素には所期の対向力増強後でもまた平衡を可能にするだけの強い弾性成分を与えることができる。
さらに組合せ要素の非弾性成分の対向力は、弾性成分をすべて無視すれば、「弱」と「強」の間にあるのが好ましい。その非弾性(または摩擦抵抗)力が弱すぎれば、力×距離のエネルギー形態の「力」の値が小さいため消散エネルギーは小さすぎるであろうし、また逆に強すぎても、力×距離のエネルギー形態の「距離」の値が小さいため消散エネルギーはやはり小さすぎるであろう。目安として弱と強の非弾性抵抗の間の好適なバランスは動作中の圧力プロファイルの最大力たとえば前記の最大ピーク値を指してもよい。該抵抗力は最大力の10%超、好ましくは20%超、最も好ましくは30%超とし、かつ最大力の90%未満、好ましくは80%未満、最も好ましくは60%未満とすることができる。なお良いのは、これらの限界がピーク値ではなく伝達される瞬間力に適用される場合、すなわちたとえば本来的に剛化性の要素または力調節成分の粘性ダンパーへの使用(それは減衰を最適化することになろう)により、非弾性対向力成分が被伝達力の変動に対して適合する場合である。なお弾性成分が存在する場合には該成分からの寄与のため、要素全体としての対向力は開示の値を上回る可能性もある。
図面の説明
図1は本発明に基づく仮想ジェット式注射器とその様々な構成要素の図解である。注射装置1は筺体2に圧力室3を取り付けて含み、該圧力室は注射液を射出するための開口4、ピストン形の可動壁5および該可動壁に作用させて変位させるためのピストン棒6とその端部7を有する。これらの部品は該装置の圧力室部分とみなすことができるので、装置のA部として図示する。装置のB部は該装置の加圧機構または力連鎖を表わすと言える。この部分は前述の任意タイプの加圧ばね8(その後端9は該筺体に取り付け、その前端10はさらなる力連鎖部分に取り付ける)、オプションの伝達系11構成部品たとえばシフトアップ/シフトダウン機構、非弾性要素12(これは15で示すように互いに軸方向に可動である前部13と後部14を具備する)、それにオプションの第2要素12’(これも同様に15’で示すように互いに軸方向に可動である前部13’と後部14’を具備する)を含む。力連鎖はピストン棒端部7に力を加えるように配置した加圧面16を終端とする。加圧面16とピストン棒端部7の間にはオプションのギャップ17を設けるが、これは初期貫通ピーク圧力の生成に衝撃を必要とする場合に有用である。あるいは、衝撃によらずに必要な圧力を生成させるようばねの寸法を決めることにより、ギャップを設けないようにする。要素12とオプションの要素12’は力連鎖内に直列に配置するが、これはそれぞれの前部13、13’および後部14、14’が力連鎖内の隣接部分と直接結合されることにより力伝達連鎖系を構成し、たとえば力連鎖内の圧縮力によって圧縮されること、あるいは逆に圧縮を解除されること、また圧力室に加えられるのと同じ力を受けることを意味する。説明目的のために、要素18について別の並列配置を示すが、該要素は両末端が筺体2とばね8の前端10または力連鎖の末端16に取り付けられることにより、それぞればね8の区間または加圧機構の全区間にわたり、結合される。そうした要素はばねまたは加圧機構の運動を遅らせるであろうし、また該要素は可動壁に加わる力とは異なるばねの力(=ばねの力マイナス該要素の摩擦力)を受けることになろう。さらに該要素は、逆に設定されない限り、圧縮力の伝達に際して伸長作用を受けるし、逆もまた同様であろう。最後にばねの前端10にトリガー19を示す。この位置が好適であるのは、たとえばトリガー作動前に要素12および12’にばねの静力を作用させるのが好ましくない場合たとえばいずれかの要素がそうした作用で圧平される場合などである。しかし、たとえばトリガー作動前に前述のような組合せ要素を該静力と平衡させるには、その逆が望ましいかもしれない。トリガー19’は要素12と要素12’の間に位置し、たとえば要素12が圧平可能で、要素12’が平衡要素である場合に使用できる。
図2は衝撃ギャップを使用する注射器の代表的な圧力プロファイル曲線の図解である。縦軸21は圧力室内の圧力または可動壁に加わる力を表し、横軸22は可動壁で見た加圧機構の伸びを表すが、その代りに時間を使用してもグラフの曲線は大差ないであろう。力連鎖内に要素が存在する場合には、加圧機構の伸びは該要素の前部側よりも後部側のほうが該要素のストロークを上限としてもっと長くなるかもしれない。グラフの実線は目標プロファイルを表し、点線はそれと重なった共鳴パターンを表す。可動壁またはそのピストン棒に対する加圧機構の衝撃で、ギャップ通過に起因する初期遅延23の後、実線で始まりピーク24に至る急激な昇圧が得られる。衝撃効果が収まると圧力は、ばね特性によって表されさらなるばねの伸びに伴い低下していく値曲線25へと、たとえば機械ばねの場合なら一次関数またガスばねの場合なら逆関数へと、復帰する。しかし点線は、よく見られるこの理想的なパターンからの逸脱を表す。圧力は、ピーク値から降下するとき、ばね曲線25の目標を大幅に超える急降下26を示し、ときには負圧27にまで達する。この圧力変動はばね曲線25の目標を超過し続けながら、逓減共鳴パターン28を描く。初期昇圧とばね曲線25のほぼ交点を通る線29は、共鳴の発生を防ぐために挿入する要素が降伏し始める(好ましくは少なくともストローク長にわたり、またはピーク24の完成とばね曲線25への復帰のための十分な持続時間にわたり、降伏し続ける)のに好適な圧力レベルを表す。前記の理由から、こうした要素は必要なピーク時の力を伝達しうるよう、剛直であるかまたは降伏時に剛化するのが好ましい。既存の共鳴を制止除去するために挿入する要素は、ばね曲線25によって表される力と平衡しうる、かつこれらの力の値のまわりで、非減衰曲線28の少なくとも一部分好ましくは26および27の極値の少なくとも一部分である力の振幅で減衰下に振動しうる要素でもよい。好ましい要素はこれらの極端な振幅を示しうるものの、これは必ずしも必要ではない。共鳴振幅は減衰時にはずっと小さなると見られるからである。
図3は衝撃ギャップを使用しない注射器の代表的な圧力プロファイル曲線の図解である。グラフの軸31と32、実線と曲線はそれぞれ図2の場合と同じ意味をもつ。加圧機構をギャップなしで、いきなり可動壁と接触させる形で作動させると、昇圧はトリガー作動とほぼ同時に33で始まる。この場合にも前述のような動的効果のためにばね曲線35の目標を超過するピーク34が得られる。ただし衝撃ギャップを使用しない場合、全速移動(dead run)後のばね曲線35を超過するピークはそれほど高くはならないであろう。ギャップを使用する場合と同じピーク値を実現するには、ばね曲線35および25の比較から明らかなように、より強力なばねを使用してさらに大きな最大力が得られるようにする必要があろう。さらに、相応の非破壊的な注射圧が最終的に得られるようにするには、ばね曲線35はばね曲線25よりももっと急勾配で降下するのが好ましいが、それはたとえばより強いがより短い機械ばね、より高圧であるがより低容量または大伝動面のガスばねによって実現される。共鳴曲線に関しては、これは一般に衝撃ギャップを使用する場合ほど著しくはなく、より小幅な急降圧36、より高い最低値37、より小幅な振動38を特徴とする。図2の場合と同様に、線39は共鳴の防止を目的に挿入される要素に関するは好適な降伏力を表し、また共鳴の制止除去を目的に挿入される要素はばね曲線35のまわりで平衡しうるのがよい。
図4〜7は、たとえば力積伝達時の共鳴または反跳の発生を制止するのに役立つ種々の非弾性要素の図解である。各図とも右側は降伏前の初期状態を表し、左側は降伏後の最終状態を表す。
図4では要素40は力連鎖への直列挿入用に前端41と後端42を備える。該要素は容器43を含み、該容器は粒子44たとえばショットを高充填度に詰めた形状一定空洞の形をしている。距離Aは初期状態と最終状態の間の粒子集塊の変位を示すが、粒子集塊を初期状態に戻すにはこの距離にわたり該要素を加速する必要があるので、ほぼストロークを、また場合によっては損失距離を表すと言える。この距離は衝撃時に対応する遅延をもたらすことにもなろう。そうした遅延は系統圧縮弾性に適合させている場合には有利であるが、必要ならたとえば液体の充填などで小幅にすることもできる。この要素は容器が中空ではないので本来的に剛直であり、従って高ピーク力でさえも容易に伝達することができる。
図5では要素50は前部51と後部52を備える。これは図4のそれとやや類似するが、ただしその空洞型容器53は、距離Bにわたって可動である1個の錘54だけを含む。この錘は遅延時に衝撃だけでな連続的な対向力をも生み出すようにするため、図の案内棒55を介して容器と摩擦係合させ、その案内棒に沿って摩擦運動しうるようにする。あるいは空洞に液体を充填し、錘と容器壁の間の隙間56に好適な減衰摩擦を生じさせるようにしてもよい。確かにたとえば力逓増型の全長可変力プロファイルにはこの摩擦を与えうる。弱い伸縮ばね57を設けて、錘を初期状態に戻し反復使用できるようにしてもよいが、該伸縮ばねの力はたとえば錘を重力に反して初期状態に保つよりもやや大きい程度で、注射絡みの力よりはずっと弱くてよい。容器53は図4の実施態様に見られるように、やはり本来剛直であり、また距離Bも類似の意味をもつ。
図6では要素60は前部61と後部62を備え、容器支持体63とその中に収めた軟質構造64 [右図に示すようにより短い最終状態へと押し潰すまたは軸方向に圧縮することができる(その場合の距離Cはストロークまたは損失距離である)]とを含むことにより圧平可能である。該容器は、圧平を許容する単純な支持体から本格的な囲いに至るまでの多様な形体をとりうるが、ここでは2つの入れ子部品として描いている。該構造は圧平時に自然に剛化する性質を有し、該容器の耐力性の欠如を補う。この要素は該構造に廉価材料を使用して、たとえば使い捨てを目的に、設計してもよいが、該構造に形状記憶材料を使用して反復使用型としてもよい。
図7では要素70は前部71と後部72を備え、砂袋として設計してあり圧平可能である。もちろん、それに充填する粒子74は砂である必要はなく、他材料たとえば図4の場合と同様の重い金属ショットでもよい。容器73は弾性の膜または袋75を場合によってはプレストレス状態にして含み、初期状態のたとえば丸みをおびた形体を維持すると同時に圧平時には右図に描いたような扁平化を許容するのに役立つようにしてもよい。その場合の変形距離Dはストロークまたは損失距離にあたる。要素の構造を安定化させ、また力連鎖内への取付けを容易にするためには、剛性の支持体76を使用してもよい。物理的前部71構造を取り除き、袋75が直接可動壁、ピストン棒等に作用するようにしてもよい。この種の要素もまた、接触面の増大によって自動的に剛化するので、反復使用が可能である。
図8〜10は組合せ要素の原理の図解であり、該要素は力連鎖内の加えられた力と平衡しうるし、かつ既存共鳴振動に対するフィルターまたはダンパーとして有用である。ダンパーは粘性シリンダー型のものを、またばねはコイルばねまたはガスばねを例示しているが、当然、他タイプのものも使える。前の図と同様に、要素の前部と後部は略図では仮想力連鎖に結合するための線として示しているが、当然ながら任意の付属品を使用してよいし、また前部と後部を置き換えても要素は作動する。
図8では組合せ要素80は前と同様の前端81および後端82の他に、ダンパー部分83結合具とばね部分84とを、それぞれ共通の支持体85および86の間に、並列配置して有し、該ダンパーおよびばねが類似の距離を共に伸縮するようにしてある。ばね84は、注射時のどの力レベルでも部分的に圧縮されるだけであって、該要素がそれらの力と平衡することを許容するように、強さを選択するのが好ましい。左の図は外部圧縮力が作用していない初期状態を示し、右の図は距離Eにわたる部分圧縮状態を示す。この状態が主要な目標プロファイル中の力レベルとの平衡を表すものと仮定すれば、該要素はなお、左右矢印87で示すように、この力レベルのまわりで振動するができる。ダンパー83は力に抵抗しその内部にエネルギーを消散させることにより、非減衰系に比して振動を制止または緩和する働きをする。ダンパーはピストン内部または周囲にバイパス機構をもつとみなされる粘性シリンダー/ピストン型として図示したが、開示のような任意のタイプおよび特性のものでよい。同様にばねもコイルばねとして図示したが、任意のタイプでよい。該要素のストロークは振動87の最大サイズを主に考慮して適合させるのがよいが、この振動は、大きな圧力振幅にもかかわらず系統弾性に関与する硬質材料のせいで、軸方向距離に変換しするとごく小さいかもしれない。ダンパーが液体粘性ダンパーのように変位速度に応じた逓増抵抗を有する場合には、該要素は初期の急昇圧時にはきわめて剛直であろう。注目するべきは、ダンパー83とばねが前述の意味で並列に結合されていることである。該ダンパーは該ばねの作用を遅らせることができるからである。
図9は図8の原理図よりももっと実際的な設計の組合せ要素の略図である。要素90の前端91と後端92はもちろん置換え可能である。該要素のダンパー部分は粘性シリンダー93/ピストン94タイプであり、該ピストンはピストン棒95に取り付けてあるが、これはシリンダー内外を移動し要素前端91としての機能を果たし、また96でシリンダーに密封係合することができる。シリンダーは流体好ましくは液体を充填してあり、またピストン内部または周囲に摩擦発生用のバイパス機構をもつものとする。ばね97は図8のばね84と同じ機能を果たすので、同じ原理で設計してよい。該ばねはシリンダー93とピストン94の間で作用し、また両要素の間に位置するにもかかわらず、ばねの伸びを遅らせることができるので本願の意味ではダンパー部分にたいして並列配置になる。この要素は図8で述べた要領で作動する。
図10は損失距離に対応するストローク増幅機構を備えた組合せ要素の略図である。要素100は前部101と後部102を備え、メインシリンダー103とメインピストン104を含むが、メインピストンは該要素の後部102として機能し、また該要素の前部101として機能するメインシリンダー103壁に密封係合してある。メインピストン104は長い矢印105で示される大きな断面積をもつ。メインシリンダーの内部は液体106で満たしてある。メインシリンダーの内部は組合せ要素と結合してあるが、該要素は図では、それぞれ択一使用を意図した2つの択一物110および110’として示す。どちらの組合せ要素もメインシリンダー内の液体106との液体連通部111または111’と流路112または112’とを有するが、矢印113または113’で示す該流路の断面積は矢印105で示すメインシリンダーの断面積よりも小さい。どちらの組合せ要素もさらに、それぞれ弾性膜115または可動ピストン115’により液体とは分離されたガスアキュムレーター114または114’という形のばね要素と通過する液体に対して摩擦を発生させるための固定狭窄部116または116’とを有する。メインシリンダー103内をメインピストン104が運動すると、液体106は連通部111または111’を経由して、また流路112または112’内部へと、往復移動して、ガスアキュムレーター114または114’の体積変化、膜112またはピストン112’の運動、および狭窄部116または116’でのエネルギー消散を招く。メインピストン104の断面積105と流路112または112’の断面積113または113’との関係は、矢印107で示すような小さなメインピストン振動を組合せ要素の流路112または112’内の矢印117または117’で示すようなより大きな液体運動へと変換することになろう。これは減衰作用を増強し、該要素の信頼性を高めるが、そのことは本発明との関係では特に価値がある。系統内の硬質弾性成分は大きな圧力変動さえをもかなり小さな変位量の変動に対応させるからである。ストローク変換の場合を除いて、この組合せ要素は図8および9の要素と同じように振る舞い、たとえばガスばねは該要素を目標圧力プロファイル上の力と平衡させ、そうした平衡値のまわりで減衰振動を行わせよう。
図11Aおよび11Bは、参照により本願に組み込まれる米国特許第5704911号明細書で実質的に開示されている先行エアジェット式注射器で得られた2つの圧力プロファイル見本である。圧力室は前端をピストンとするプラスチック棒を嵌入したプラスチックシリンダーであった。この圧力室を表示全充填量にあたる0.3mlの水で満たした。コイルばね駆動式のプランジャーによりプラスチック棒をギャップに対して激しく押し込んだ。圧力室壁を横に貫くように挿入したセンサーで圧力室内の圧力を測定し、圧力(バール)と時間(ミリ秒)の関係を記録した。分解能の関係で、タイムスケールは注射の当初20ミリ秒しか示していない。曲線の注射部分に相当の共鳴が重なっていることは明らかであり、その共鳴はほぼ14ミリ秒後に収まるように見受けられる。
図12Aおよび12Bは図11で使用した同じジェット式注射器を圧平可能要素によって改良して得られた2つの圧力プロファイル見本である。該要素は形状一定空洞をもつ前述のようなタイプの要素であり、その容積の約90%には金属ショット粒子を充填してあった。図11Aおよび11Bとの関連で述べた要領で記録を作成した。改良プランジャーはその目的のために最適化してはいなかったものの、共鳴が比較的弱く、また約8ミリ秒後に収まるのは明らかである。
本発明に基づく仮想ジェット式注射器とその様々な構成要素の図解である。 衝撃ギャップを使用する注射器の代表的な圧力プロファイル曲線の図解である。 衝撃ギャップを使用しない注射器の代表的な圧力プロファイル曲線の図解である。 種々の圧平可能な非弾性要素の図解である。 種々の圧平可能な非弾性要素の図解である。 種々の圧平可能な非弾性要素の図解である。 種々の圧平可能な非弾性要素の図解である。 組合せ要素の原理の図解である。 組合せ要素の原理の図解である。 損失距離に対応するストローク増幅機構を備えた組合せ要素の略図である。 先行エアジェット式注射器で得られた2つの圧力プロファイル見本である。 図11A−Bで使用した同じジェット式注射器を圧平可能要素によって改良して得られた2つの圧力プロファイル見本である。

Claims (48)

  1. 次の:
    a)筺体、
    b)該筺体に取り付けたまたは閉じ込めた、少なくとも1つの開口と少なくとも1つの可動または圧平可能壁または壁部分を有する注射液用圧力室、および
    c)該圧力室の内容物を加圧し該開口より液体ジェットとして射出するために該筺体と該壁の間の力連鎖に力を直接または間接に加えるようにすることができる、少なくとも1つの力生成系をオプションとしての該力生成系と該壁の間の伝達系と共に含む、該筺体に取り付けたまたは閉じ込めた加圧機構
    を含むジェット式注射装置において、該力生成系と該壁の間に直列配置した非弾性要素を含むことを特徴とする前記装置。
  2. 要素が互いに内部的または外部的に変位しうる少なくとも2つの該要素部分に加えられた力から仕事量というエネルギー形態を少なくとも部分的には不可逆的に除去するよう設計される、請求項1に記載の装置。
  3. 摩擦機構によって仕事量を除去するように要素が設計される、請求項2に記載の装置。
  4. 要素が粘性ダンパー成分を含む、請求項1に記載の装置。
  5. 要素が機械摩擦成分を含む、請求項1に記載の装置。
  6. 要素が非弾性変形成分を含む、請求項5に記載の装置。
  7. 要素が圧平可能容器部分を含む、請求項6に記載の装置。
  8. 要素が形状一定容器を含む、請求項6に記載の装置。
  9. 容器が少なくとも1つの可動集塊を含む、請求項8に記載の装置。
  10. 容器がかさ体積の少なくとも50%の充填度で粒子を含む、請求項9に記載の装置。
  11. 要素が可動壁で測定して少なくとも1mmの、好ましくは2mmの、最も好ましくは3mmの最小ストロークを有する、請求項1に記載の装置。
  12. 要素がストロークリミッターを含む、請求項1に記載の装置。
  13. リミッターが全長逓増対向力を与える、請求項12に記載の装置。
  14. リミッターが弾性成分を含む、請求項13に記載の装置。
  15. 要素が装置作動中に伝達される種々の力と平衡するのを許容するようにリミッターを配置する、請求項14に記載の装置。
  16. 要素が外部および内部ストロークの間の内比を有する、請求項1に記載の装置。
  17. 内比が内部ストロークを増幅するよう設定された、請求項16に記載の装置。
  18. 要素が100%未満、好ましくは90%未満、75%未満、50%未満または25%未満の、定義のような力比を有する、請求項1に記載の装置。
  19. 硬質および軟質力連鎖の間の、定義のようなインタフェース中に要素を配置した、請求項1に記載の装置。
  20. 要素を力連鎖の最前部に、または圧力室可動壁または該壁に対応するピストン棒またはその近辺に配置した、請求項1に記載の装置。
  21. 既存共鳴の制止除去を目的に要素を配置する、請求項1に記載の装置。
  22. 反復ストロークを許容するために要素を配置する、請求項21に記載の装置。
  23. 要素が少なくとも1つの非弾性成分と少なくとも1つの弾性成分からなる組合せ要素である、請求項22に記載の装置。
  24. 衝撃時の反跳効果の防止を目的に要素を配置する、請求項1に記載の装置。
  25. 衝撃が力連鎖内のギャップに由来する、請求項24に記載の装置。
  26. 要素が少なくとも1つの非弾性成分と少なくとも1つの弾性成分からなる組合せ要素である、請求項25に記載の装置。
  27. 要素が変形性要素である、請求項26に記載の装置。
  28. 初期貫通ピーク力とその後のより小さい注射力とを与えるように機構を配置する、請求項1に記載の装置。
  29. 初期対向力を与えるために要素を配置する、請求項28に記載の装置。
  30. 要素を、初期最大ピーク値の力の少なくとも10%未満、好ましくは20%未満、最も好ましくは30%未満に対応する力では降伏しないように、配置する請求項29に記載の装置。
  31. 要素を、最大ピーク値未満、好ましくはピーク値の90%未満、最も好ましくは80%未満に対応する力で降伏するように配置する、請求項29に記載の装置。
  32. 要素を目標ばね曲線と初期ピークとの交点にほぼ相当する値の力で降伏し始めるよう配置する、請求項31に記載の装置。
  33. 要素を要素部分の変位への対向力を増大させるように配置する、請求項32に記載の装置。
  34. 対向力を少なくとも最大ピーク値の力に相当する力まで増大させることを可能にするよう要素を配置する、請求項32に記載の装置。
  35. 対向力が非弾性成分の抵抗力を、要素の弾性成分を無視して、含み、該抵抗力は最大ピーク値の10%超、好ましくは20%超、最も好ましくは30%超であり、かつ最大ピーク値の90%未満、好ましくは80%未満、最も好ましくは60%未満である、請求項28に記載の装置。
  36. 要素を、その弾性成分を無視した非弾性成分の抵抗力を与えるように配置し、該抵抗力は力連鎖内を伝達される瞬間力の10%超、好ましくは20%超、最も好ましくは30%超であり、かつ90%未満、好ましくは80%未満、最も好ましくは60%未満である、請求項1に記載の装置。
  37. 圧力室の吸引圧力を防止するための、請求項1〜36のいずれか1項に記載の装置の使用。
  38. 液体ジェット射出用の少なくとも1つの開口と少なくとも1つの可動または圧平可能壁または壁部分とを備える圧力室の中の液体を、該壁に加圧力を加えることによって加圧するステップを含む高速液体ジェットを生成させる方法において、i)非弾性要素の一部分に直接または間接に一次力を加えるステップ、ii)該要素の別の部分により該加圧力を加え、以って該要素を該一次力と該加圧力の間で押圧するステップ、およびiii)該要素中にエネルギーを消散させるステップを含むことを特徴とする方法。
  39. 一次力で質量を加速させるステップを含む、請求項38に記載の方法。
  40. 加速ステップが加圧力を加える前に来る、請求項39に記載の方法。
  41. 加圧力を加える前に要素を一次力と支持体の間で圧迫するステップを含む、請求項38に記載の方法。
  42. 圧迫ステップが、要素を一次力と実質的に平衡する対向力で反応させるステップを含む、請求項38に記載の方法。
  43. 消散ステップが要素を振動させるステップを含む、請求項38に記載の方法。
  44. 消散ステップが要素を圧平させるステップを含む、請求項38に記載の方法。
  45. 消散ステップが要素をして集塊中心を変化させるステップを含む、請求項38に記載の方法。
  46. 請求項1〜37の任意の特質に従って要素を設計する、請求項38に記載の方法。
  47. 圧力室の吸引圧力を防止するための、請求項38〜46のいずれか1項に記載の方法の使用。
  48. 液体用圧力室と該圧力室内の該液体を加圧するための機構とを具備し、圧力室内に吸引圧力を生じさせることなく注射を行えるようにした注射装置。
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