JP2005534301A - 植物抽出物における栄養価を高める方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、その内因性タンパク含有物の分解を防止することにより、植物抽出物の栄養価を高める方法に関する。内因性タンパク質の内因性タンパク質統合性の保存は、粗抽出物中のタンパク質分解の中和、特に、組換えプロテアーゼ阻害物質を発現するか、又は特異的標的プロテアーゼの活性が改変された植物細胞又は植物の遺伝的改変により生起する。
Description
本発明は、その内因性タンパク含有物の分解を防止することにより、植物抽出物の栄養価を高める方法に関する。前記方法は、プロテアーゼを介した内因性タンパク質の分解を防止するための遺伝的改変を用いる。
植物は、ヒトの健康のみならず動物の飼育にも有用な栄養成分の優れた採取源として認識されている。動物飼育用の植物飼料作物の栄養価を改善する方法はすでに報告されており、一部は以下の段落に記載される。
飼料作物の栄養価を改善する手法の1つは、そのアミノ酸バランスを最適化することである。これは、強力な構成的プロモータまたは葉プロモータによって発動される、メチオニンを多く含むタンパク質をコードする遺伝子をこれらの植物に導入することによって行うことができる。豆飼料のアミノ酸バランスを大きく変えるために、外因性タンパク質は約15から25%のS−アミノ酸を含み、総葉タンパク質の5から10%を構成しなければならない。このようなレベルのタンパク蓄積を達成するために、遺伝子の転写および翻訳の最大レベルのみならず、タンパク質の安定性も確保しなければならない。
植物の栄養的改善という点で予定した効果の大半は、種子タンパク質に重点を置いている。トウモロコシおよび他の穀物は形質転換が容易でないため、種子タンパク質の修飾に向けられた研究の大半は、トランスジェニックタバコにおける修飾プロラミンタンパク質の安定性の検討に関係していた。リジンを含有するアルファルファゼインの合成も、トランスジェニックタバコおよびツクバネアサガオ種子において分析された(Williamson et al., 1988)。正常および修飾タンパク質はいずれも半減期がきわめて短いことが確認された。
植物における特定のアミノ酸のプールを増加させる手段の1つは、植物のアミノ酸生合成経路において鍵となる調節酵素をコードする細菌遺伝子を導入することであった。リジンおよびトレオニンによるフィードバック阻害に対して脱感作されたアスパラギン酸キナーゼをコードする細菌遺伝子を、βファセオリン遺伝子プロモータに組込み、さらにタバコに導入した。トランスジェニックタバコの種子は、遊離トレオニンおよびメチオニンレベルの上昇を示した(Galili, 1995, Plant Cell. 7: 899−906)。
植物のアミノ酸含有量を改善する方法が開発されているものの、飼料作物のタンパク質の品質向上についての努力はほとんどなされていない。例えばSchoederらは(199, Aust. J. Plant Physiol. 495−505)CaMV35Sプロモータにより発動するニワトリオボアルブミン遺伝子をアルファルファに導入した。しかし、トランスジェニックアルファルファ植物が示した葉タンパク質の蓄積レベルは非常に低かった(0.005%)。トランスジェニックアルファルファ葉中でこのタンパク質の量がこのように低いことを説明する理由は特定されていないが、この所見は、植物に外因性高品質タンパク質を導入することが、必ずしも植物の栄養価を高めるのに適した方法でないことがあり、その理由はおそらく発現レベルが低いためと思われることを示している。
植物抽出物中の栄養価は、その内因性タンパク質の品質に部分的に依存している。植物中で生成した組換えタンパク質については、安定した内因性タンパク質の収率は、植物における蓄積中、および植物抽出物の処理時におけるタンパク質の安定性と密接に関連している。
高品質タンパク質の産生収率が低い原因の1つは、タンパク質を分解する内因性プロテアーゼのタンパク分解活性である。植物細胞は、数種類の特異性の低いプロテアーゼを有することが知られている。具体的には、弱酸性pH範囲で活性である葉液胞プロテアーゼは、多くのタンパク質の安定性を大きく変化させ、かつ植物抽出物の栄養価を低下させることがある。
実際に、植物プロテアーゼは植物から栄養抽出物を生成する際の2つの重要な段階において内因性タンパク質を分解することがある。1)タンパク質蓄積時にin
plantaで、および2)抽出過程における細胞破砕時のex plantaで分解が起こることがある。後者においては細胞破砕により植物のすべての部分および細胞コンパートメントからプロテアーゼのプールが放出されるので、この段階は非常に重要である。植物の葉より栄養抽出物を生成するための基本的過程は、一般的に植物バイオマスを分解し、生成するパルプを圧縮して緑汁を生成することから始まる。緑汁は、典型的にはプロテアーゼおよび緑色物質を含む多様なタンパク質を含有する。処理中および処理後のタンパク質のレベルが比較的低い場合は、タンパク質レベルの高い植物を処理することは無益である。本発明は、植物抽出物の処理における細胞破砕時にex
plantaで起こるタンパク質分解の防止に焦点を置いている。
plantaで、および2)抽出過程における細胞破砕時のex plantaで分解が起こることがある。後者においては細胞破砕により植物のすべての部分および細胞コンパートメントからプロテアーゼのプールが放出されるので、この段階は非常に重要である。植物の葉より栄養抽出物を生成するための基本的過程は、一般的に植物バイオマスを分解し、生成するパルプを圧縮して緑汁を生成することから始まる。緑汁は、典型的にはプロテアーゼおよび緑色物質を含む多様なタンパク質を含有する。処理中および処理後のタンパク質のレベルが比較的低い場合は、タンパク質レベルの高い植物を処理することは無益である。本発明は、植物抽出物の処理における細胞破砕時にex
plantaで起こるタンパク質分解の防止に焦点を置いている。
植物プロテアーゼとその阻害物質の相互作用についてはほとんど知られておらず、タンパク分解の低い表現形を有する植物株はまだ入手できない。植物におけるタンパク分解の問題を克服するための実践的方法は、適当なターゲティングシグナルを用いた組換えタンパク質のオルガネラへのターゲティング、およびその結果としての特定の細胞内コンパートメントにおけるその蓄積である。この戦略は元のタンパク質配列を修飾する必要があるので、内因性タンパク質には適用できない。
植物抽出物中のタンパク加水分解レベルを低下させるもう1つの方法は、細断後の植物材料の「冷却」(冷凍)である。収穫時には内因性タンパク質のタンパク分解の相当なリスクがある(Michaud and Asselin, 1995, J. Chromatography A698: 263−279)。例えば、収穫およびアルファルファペレットを調製する際、植物細胞は破砕され、この時有用な内因性タンパク質の完全性を損なうことのあるプロテアーゼを含む多様な化合物が媒質中に放出される。
この分解の問題は、抽出バッファーに低分子量プロテアーゼ阻害物質を添加することによっても解決することができる(Michaud, 1998, Anal. Chimica Acta 372: 173−185)。しかし、この戦略は小スケール生産レベルでは有用であるものの、工業的スケール、および大量のタンパク質を生産する食品および飼料市場には不適当である。
植物における組換えプロテアーゼ阻害物質の発現は、プロテアーゼが多様な代謝事象に関与することから、トランスジェニック植物の正常な発育に好ましくない影響を与えることがあることは、技術上既知である。望ましい農学的特性を得るために植物の代謝を操作することを目的として、組換えプロテアーゼ阻害物質を植物に挿入できることも、技術上既知である。さらに、植物における外因性プロテアーゼ阻害物質の蓄積は、内因性プロテアーゼのタンパク分解活性によって弱まることが文献において示唆されている。前記阻害物質は植物においても大量に蓄積することがあるが、以前OC−1シスタチンについて述べたように、抽出時に内因性プロテアーゼによって分解することもある(Michaud et al., 2000, in Michaud Ed., Austin TX, pp. 195−200)。
植物が内因性プロテアーゼによるタンパク分解活性に高い感受性を示す栄養タンパク質の優れた採取源であることを考慮すると、植物の正常な代謝および発育を変化させることなく、食品生産過程における植物および植物抽出物のタンパク含有量を維持するための効率のよい方法を開発することが非常に好ましい。
本発明の目的の1つは、植物またはその一部分の栄養価を高めるための方法であって、植物またはその一部分の天然の生理機能を著しく変化させないことを含み、その植物細胞の破砕時に前記植物または植物抽出物細胞から放出される阻害物質による、少なくとも1つの内因性タンパク質に対する少なくとも1つの植物タンパク分解活性または作用を中和することを含む方法を提供することである。前記一部分は前記植物の抽出物であっても濃縮物であってもよい。中和はそのニーズに応じて部分的であっても完全であってもよいことが理解される。
前記植物細胞は、前記植物若しくは植物の一部分を処理する際、抽出物若しくは濃縮物の調製時、又は、植物若しくは植物の一部分の嚥下若しくは消化時に破砕される。
またタンパク分解の中和は、細胞破砕が起こる際に内因性タンパク質の分解に特異的に関与する少なくとも1つのタンパク分解反応を完全または部分的に阻害するための条件を引き起こすために、植物を遺伝的改変することによっても得られる。
前記植物プロテアーゼは、生育中の前記植物プロテアーゼの活性および天然の植物の生理機能を維持するため、植物の生育中には阻害されない。
本発明の方法は、事前に定めた時間中にヒトまたは動物において嚥下または消化過程にある内因性タンパク質の安定性を高めることを可能にする。例えば、動物において嚥下および消化される植物の一部分の分解および細胞破砕は、より優れた栄養効果を有するタンパク質全体あるいはペプチドを系に供給するために胃あるいは腸に到達するときに始めて完遂されることができる。
前記方法は、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、金属プロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、トレオニンプロテアーゼおよび多特異的広域プロテアーゼからなる群から選択されるプロテアーゼを中和するために実施される。
前記植物は、好ましくは細胞が溶解または破砕される際にタンパク分解的消化を中和する条件を引き起こす因子またはペプチドと機能的に連結されたプロモータを含む発現カセットによって、遺伝子的に形質転換される。例えば中和因子は、植物抽出物を処理する際に植物プロテアーゼの活性より内因性タンパク質を保護するようにリーダーペプチド、シグナルペプチドまたは固定ペプチド、あるいは前記プロテアーゼ阻害物質を細胞の一部または細胞外コンパートメントに誘導または固定するタンパク質に連結させることができる。前記細胞の一部分または細胞外コンパートメントは、植物抽出物を処理する際の細胞破砕時に植物プロテアーゼの活性から内因性タンパク質を保護するが、前記植物の成育中の植物プロテアーゼの活性を維持するために前記植物の成育中は保護しないように選択することができる。例えば、前記細胞の一部分はミトコンドリア、葉緑体、貯蔵液胞、小胞体およびサイトゾルからなる群から選択されたオルガネラであることもある。
本発明の他の態様に従い、抗体あるいはそのフラグメント、センスmRNAあるいはアンチセンスmRNA,転写阻害物質またはその調節物質、翻訳阻害物質またはその調節物質、リーディングまたはシグナルペプチド阻害物質、代謝によるプロテアーゼの活性化を阻害する物質(プロテアーゼ活性の代謝的獲得を阻害する物質)、プロテアーゼ特異性プロテアーゼ、および前記プロテアーゼをオルガネラあるいは細胞コンパートメントに隔離するよう誘導するアフィニティペプチドプロテアーゼからなる群から選択されているプロテアーゼ阻害物質を用いて、前記方法を実施することができる。カセットはコード配列が構成的、双極性または誘導性プロモータによって調節される発現ベクターからなることもある。前記発現ベクターは、組織特異的プロモータ、時間特異的プロモータ、または創傷誘導性プロモータである誘導性プロモータを含むこともある。
好ましくは、本発明の方法を実施する植物または植物細胞はアルファルファまたはジャガイモに由来する。
本発明の目的の1つは、植物、植物組織、植物の一部分、植物細胞または植物抽出物を処理する際の細胞破砕時に内因性タンパク質の分解を防止することにより、植物抽出物の栄養価を高める方法を提供することである。
本発明の他の目的は、細胞が破砕、溶解、嚥下または消化されるときに、プロテアーゼを介した前記内因性タンパク質のタンパク分解の中和によって、植物および植物細胞における内因性タンパク質の分解の阻害がおこる方法を提供することである。
本発明は、例えば植物細胞内に蛋白粒として局在しているがこれに限定されない高レベルの安定したタンパク質を発現することのできる植物および植物組織にも関する。
本発明の他の目的は、タンパク分解の中和がプロテアーゼの機能特性を遺伝的改変することを含む方法であって、前記プロテアーゼがアルファルファおよびジャガイモプロテアーゼを含む方法を提供することである。
本発明の他の目的は、細胞破砕時に植物内因性タンパク質の収率を維持する植物または植物細胞を提供することである。さらに、例えば植物を破砕する際、あるいは植物抽出物または植物濃縮物の調製の過程において細胞破砕が起こることが、当業者によって認識されるであろう。摂食時に植物または植物細胞が咀嚼または嚥下される際にも、細胞破砕が発生する。これは、前記内因性タンパク質のプロテアーゼを介したタンパク分解を阻害することによって実施される。好ましくは、前記植物はMedicago sativa(アルファルファ)およびジャガイモを含む。
本発明の目的のために、下記に以下の用語を定義する。
用語「内因性タンパク質」は、植物または植物細胞によって天然に生成されるタンパク質を意味することを意図している。
本明細書で使用される用語「プロモータ」または「プロモータ領域」または「転写調節配列」は、通常はコード配列の上流(5‘)に認められ、RNAポリメラーゼおよび/あるいは正しい部位での転写の開始に必要な他の因子に認識部位を提供することによりメッセンジャーRNA(mRNA)の産生を調節することによってコード配列の発現を調節するDNA配列を意味する。本明細書で考察されるように、プロモータまたはプロモータ領域は多様な調節配列との連結、ランダムあるいは調節された突然変異誘発、およびエンハンサー配列の追加あるいは複製によって誘導される多様なプロモータを含む。本明細書に開示されるプロモータ領域、およびその生物学的機能的等価物は、そのmRNA産生能力によって証明されるように、適当な組換えベクターの一部として宿主に導入されるときその調節の下で遺伝子配列の転写の発動を担う。
本明細書で使用される表現「植物細胞」または「植物の一部」は栄養分体、プロトプラスト、カルス、根、塊茎、珠芽、種子、実生、花粉、他のあらゆる植物組織を指すか、あるいは含むことを意図している。
用語「プロテアーゼ」は、ポリペプチドのより小さなポリペプチド、フラグメントあるいはアミノ酸、あるいは目的のタンパク質の安定性の喪失に至る形態への分解を直接的あるいは間接的に実行する酵素を意味することを意図している。
本発明は、動物飼育用に処理されるか、あるいは農業、工業および医学に使用される植物におけるプロテアーゼ阻害物質を発現することによって、植物抽出物の内因性タンパク質含有量を高める方法を提供する。
本発明は、内因性植物タンパク質のタンパク分解を防止するために、選択したプロテアーゼ阻害物質を遺伝学的に導入することにより、飼料作物のタンパク質の品質を改善するための新規の手法を提案する。
また本発明は、植物抽出物の処理における細胞破砕時の目的とする内因性タンパク質の完全性を維持することを目的として、少なくとも1つのプロテアーゼを阻害するために遺伝的改変された植物株を生成するための方法にも向けられる。
本発明の態様の1つにおいては、プロテアーゼ阻害物質を特異的に発現し、かつ向かわせる戦略は、トランスジェニック植物の代謝あるいは発育に好ましくない影響を与えないように選択される。
本発明の実施態様の1つにおいては、プロテアーゼ阻害物質は、植物の生育中にはプロテアーゼの生体活性を保持し、かつ植物抽出物の処理における細胞破砕時の内因性タンパク質の保護を促進するために、ターゲティングしたプロテアーゼの天然の局在とは異なる細胞内コンパートメントにターゲティングすることができる。
本発明は、目的の植物におけるプロテアーゼの生成または合成の阻害を通じても実現することができる。
代替的に、植物または植物組織におけるプロテアーゼ活性の阻害は、プロテアーゼが活性または潜在的活性を獲得するのを防止するように転写または翻訳機序を調節することによって実施することができる。
本発明の他の好ましい実施態様においては、植物の代謝あるいは発育を著しく変化させないよう、あるいは維持するために、プロテアーゼ阻害物質を特異的に発現し、かつターゲティングする戦略が選択される。本明細書においては、細胞溶解する際の、目的のタンパク質であるプロテアーゼの活性あるいは作用を阻害するための条件を変更しないことが好ましい植物または植物細胞の正常な生理機能が理解されるであろう。例えば、遺伝子修飾の結果そのプロテアーゼが阻害された植物は非修飾植物と同じ速度で生長するが、これに限定されない。他の態様の下では、プロテアーゼの阻害をもたらす植物または植物細胞の条件によっては、タンパク質合成も影響されない。
本発明に従い、植物細胞が破砕または溶解される際に、プロテアーゼ作用あるいは活性の一部または全体の阻害を引き起こす条件を与える方法が提供される。好ましくは、前記方法はプロテアーゼ阻害物質を利用し、かつこれらの植物または植物細胞において生成される内因性タンパク質をプロテアーゼの活性より保護するよう、植物または植物細胞を遺伝的改変する配列を利用する。本発明に従ってプロテアーゼ活性を阻害するもう1つの条件は、その作用または活性を遮断することを目的として、例えばプロテアーゼとの直接結合などの開裂部位にプロテアーゼが接触することを回避するために、阻害物質が目的のタンパク質と直接結合するというものである。
代替的には、本発明によるプロテアーゼ阻害はプロテアーゼ自体の特異性、あるいは細胞溶解時における目的の栄養タンパク質へのプロテアーゼの特異性の変更を引き起こす条件を変更することで実施することができる。プロテアーゼの特異性の変更は、好ましくは植物または植物細胞に天然に発生する活性に影響しない。
本発明に従い、そのタンパク内容物の収率を高めることによって植物または植物抽出物の栄養価を高める方法が提供される。より具体的には、植物プロテアーゼによって触媒される内因性タンパク質の分解を防止することによって、栄養価が改善される。
本発明の実施態様の1つは、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害物質をコードするポリヌクレオチド分子によって植物または植物組織を形質転換すること、あるいは細胞が破砕または溶解されるときにプロテアーゼ作用または活性を中和する条件を引き起こすタンパク質を含む植物の飼料品質を向上させる方法を提供することである。
本発明の他の実施態様においては、植物または植物細胞中の内因性栄養タンパク質の回収率を高める方法であって、前記方法が内因性タンパク質の分解に関係する内因性植物プロテアーゼを標的とする1つまたはそれ以上の阻害物質を発現している植物または植物細胞を得る段階を含む方法が提供される。
広い意味では、前記方法はa)特定の細胞内コンパートメントに1種類のプロテアーゼ阻害物質をターゲティングすることでも、あるいはb)2種類のプロテアーゼ阻害物質を異なる細胞内コンパートメントにターゲティングすることでも、あるいはc)2種類のプロテアーゼ阻害物質を同じ細胞内コンパートメントにターゲティングすることでもよい。3種類以上のプロテアーゼ阻害物質も、1または数個の細胞内コンパートメントに発現させることができる。細胞内コンパートメントは、サイトゾル、小胞体、細胞外コンパートメント、ミトコンドリア、葉緑体、アポプラストおよび貯蔵液胞からなる群から選択してもよい。
プロテアーゼ阻害物質についてのターゲティング戦略の選択は、内因性プロテアーゼの生体機能を変化させることによりトランスジェニック植物の代謝および生育を劇的に変化させることがあるので重要である。例えば、液胞タンパク質であるエンドウマメビシリンは、保持シグナルを用いることによりアルファルファ細胞の小胞体内に発現させることができる(Wandelt et al., 1992, Plant J. 2: 181−192)。
外因性タンパク質をミトコンドリアおよび葉緑体にターゲティングする他の例、および植物の外来タンパク質を液胞にターゲティングする例は、技術上報告されている(Di Sansebastiano et al., 1998, Plant J. 15: 449−457)。
タンパク質からのターゲティングペプチドの除去によりサイトゾルタンパク質を得ることができ、かつ外因性タンパク質に分泌ペプチドを添加するとタンパク質の分泌が促進される。外因性タンパク質の天然の分泌ペプチドは、植物分泌装置によって正しく処理されることができる。
実施態様の1つに従い、プロモータと機能的に連結され、阻害物質を植物または植物細胞の特定の細胞内または細胞外コンパートメントに向かわせるターゲティングペプチドの融合を任意に含む阻害物質をコードするDNA配列を含む植物または植物細胞を用いることによって本発明を実施することができる。
代替的に、本発明は、特定のプロモータと機能的に連結し、かつ阻害物質を植物または植物細胞の特定の細胞内または細胞外コンパートメントに向かわせる特定のターゲティングペプチドの融合を任意に含む特定のプロテアーゼ阻害物質をいずれも含む2つの異なる植物を交配させて得られる植物または植物細胞において実現することもできる。
強力なプロテアーゼをコードする遺伝子は、いずれも植物のゲノムに導入されて、動物飼料用の植物の内因性タンパク質含有量を高めるために望ましい植物のタンパク質分解活性を低下させることができる。組換えによってアルファルファまたはジャガイモ内で生成することができるプロテアーゼ阻害物質の例は、植物のシスタチンプロテアーゼを阻害する植物シスタチンOC1,OCIIおよびTMC−8,および植物のセリンプロテアーゼを阻害するヒトセルピンα−1−抗キモトリプシン(AACT)からなるが、これに限定されない。ジャガイモ植物体に発現することができるプロテアーゼ阻害物質の例は、植物のアスパラギン酸プロテアーゼを阻害するアスパラギン酸型プロテアーゼ阻害物質(CD−I)である。
本発明は、プロテアーゼまたはプロテアーゼペプチドに特異的な抗体または抗体のフラグメント群より選択することができるが、これに限定されない、他の種類のプロテアーゼ阻害物質を用いることもできる。
本発明の実施態様の1つに従い、正常な活性を阻害するプロテアーゼに特異的な抗体またはそのフラグメントを、トランスジェニック植物において生成することができる。この阻害の方法は、抗体が植物細胞においてその抗原と結合する能力に依存する。従って植物が抗体またはそのフラグメントを産生できることが必要とされ、かつこれは完全かつ活性な抗体を産生するのに必要な単独または複数のトランスジーンによって植物を遺伝的に形質転換させることによって達成できる。トランスジェニック植物においては、免疫グロブリン(IgG,IgAおよびIgM)、単鎖抗体フラグメント(ScFv)、フラグメント抗体結合ドメイン(Fab)および重鎖可変ドメインなどの様々な抗体を発現することができる。
本発明の実施態様の1つにおいては、抗体またはそのフラグメントは、植物の成長中にはプロテアーゼの生体活性を保持し、かつ抽出および植物食品生産時に内因性タンパク質の保護を促進するために、ターゲティングしたプロテアーゼの天然の局在とは異なる細胞内コンパートメントにターゲティングすることができる。本発明の具体的実施態様の1つにおいては、遺伝的改変された植物または植物細胞を生成することによってタンパク分解が部分的または完全に防止される。プロテアーゼによるタンパク分解阻害は、植物の収穫植物の貯蔵、あるいはヒトまたは動物における嚥下および消化にまで至る過程を通じて、生成される遺伝的改変された植物または植物細胞において特異的に可能とすることができる。
本明細書に例示されているように、本発明の方法を実施するために、植物を遺伝的改変して本質的にセリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、トレオニンプロテアーゼおよび金属プロテアーゼに向けられた少なくとも1つの組換えプロテアーゼを発現することができる。
本発明のもう1つの実施態様においては、本明細書に示すように、同じ細胞内コンパートメントまたは異なるコンパートメントにおいて、2種類のプロテアーゼ阻害遺伝子を植物ゲノムに共発現することができる。
植物を操作するために様々な戦略を用いることができる。例えば、プロテアーゼ阻害物質をコードする遺伝子を植物ゲノムに挿入してこれを実施することができるが、これに限定されない。
また、本発明はプロテアーゼ阻害物質の発現を調節するために構成的または誘導的プロモータを用いることによって実施することができる。例えば、収穫前に誘導物質を添加することによって、収穫時にのみ阻害物質の発現を誘導することが可能である。1または数種類のプロテアーゼ阻害物質を発現している植物を、1種類またはそれ以上の組換えタンパク質を発現している植物と交配してもよい。
本発明の実施態様の1つは、プロテアーゼ阻害物質の発現を調節するための多様なプロモータの使用を提案する。提案された方法で使用することが可能なプロモータは:構成的、誘導的、ウイルス、合成、発育特異性、組織特異性、時間調節、空間調節、および空間−時間調節であるが、これに限定されない。
本発明を実施する上で使用することができるプロモータは、外因性誘導物質の有無に反応して誘導し、これによりタンパク質と同時に阻害物質が発現することを可能とし、これにより全産生処理過程を通じて植物プロテアーゼによる前記タンパク質の分解を低下させることができる。本発明に従って使用する誘導性プロモータは:創傷誘導性プロモータ、栄養誘導性プロモータ、低温誘導性プロモータの群から選択することができるが、これに限定されない。例えば、本発明の誘導性プロモータはMedicaco sativa(アルファルファ)ゲノムに由来する亜硝酸レダクターゼプロモータを含むことができるが(WO01/25454)、これに限定されない。Cd2+の存在下でタバコのβ−グルクロニダーゼの発現を調節することが知られている35S
CAMV−由来プロモータなどの重金属誘導性プロモータも用いることができる(Brandle et al. , 1993,
Genome 36: 255−260)。誘導性プロモータのもう1つの例は、自然界でARABIDOPSIS thalianaのcorl5a遺伝子発現を調節する低温誘導性プロモータである(Dordrecht,
1994, Plant Mol. Biol. 24: 701−713)。
CAMV−由来プロモータなどの重金属誘導性プロモータも用いることができる(Brandle et al. , 1993,
Genome 36: 255−260)。誘導性プロモータのもう1つの例は、自然界でARABIDOPSIS thalianaのcorl5a遺伝子発現を調節する低温誘導性プロモータである(Dordrecht,
1994, Plant Mol. Biol. 24: 701−713)。
本発明の実施態様の1つに従い、プロテアーゼの活性を阻害するために植物または植物細胞に挿入するようデザインされた発現ベクターは、2種類のプロテアーゼ阻害物質をコードする2種類のDNA配列を含むことができる。 前記の2種類のコードDNA配列は、独自の双極プロモータと機能的に連結させることができる。
本発明と関連して、プロテアーゼ阻害物質遺伝子を多様な植物のゲノムに挿入するために、異なる形質転換法を用いることができる。これには粒子衝撃、組織電気穿孔法、マイクロインジェクション、ポリエチレングリコール(PEG)を用いたプロトプラストへのDNAの直接的転移、および最終的にシリコンカーバイド「ひげ」法が含まれる。これらの方法は全て技術上既知である。
本発明の範囲内で意図されている植物は、例えば本発明のタンパク質を発現するよう形質転換されたアルファルファ、クローバー、トウモロコシサイレージ、モロコシ、および他の豆作物などの飼料作物植物を含む。
また、栄養を改善するために植物のタンパク質の品質を高めるタンパク質またはRNAを発現するよう形質転換されたヒトまたは動物が消費するための植物も本発明の範囲内で意図されている。
本発明を実施する上で有用な植物の1つは、アルファルファMedicago sativaである。アルファルファは世界で最も重要な栽培飼料作物と見なされ、かつ生育範囲が広く、優れたビタミンおよび無機質バランスを有し、収量が高く、優れた生物学的窒素固定源であり、かつミツバチにとって魅力的な花蜜源として機能することから、しばしば「飼料作物の女王」と呼ばれる。アルファルファは、飼料品質および植物の特性について長年交配されていた。
栄養価の高い飼料作物、植物組織、または植物抽出物の各タンパク質の安定性および完全性は、本発明の適用を通じて適切に維持される。例えば、ルビスコは適当な栄養価を植物に与えるこのようなタンパク質の1つであるが、これに限定されない。
本発明は、その範囲を制限するためではなく、本発明を例示するために提供された以下の例を参照することによってより容易に理解することができる。
(ジャガイモおよびアルファルファ葉抽出物のタンパク質の分解および保護)
植物抽出物中の標的プロテアーゼの同定およびこれらのプロテアーゼに対して効果的な阻害物質の選択の根拠を確立するために、アルファルファおよびジャガイモの葉組織中のタンパク分解活性を、植物中に最も多いリボース1,5−二リン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(ルビスコ)を基質に用いてモニタリングした。
植物抽出物中の標的プロテアーゼの同定およびこれらのプロテアーゼに対して効果的な阻害物質の選択の根拠を確立するために、アルファルファおよびジャガイモの葉組織中のタンパク分解活性を、植物中に最も多いリボース1,5−二リン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(ルビスコ)を基質に用いてモニタリングした。
図1は、アルファルファ(A)およびジャガイモ(B)葉抽出物における内因性タンパク質の運命を例示し、低pHで抽出した後の限定的な安定性を示す。葉サンプル(先端より1〜4枚目の葉)を液体窒素中で破砕した。10mMβ−メルカプトエタノールの存在下で、50mMトリス−塩酸(pH7.5)または0.1Mクエン酸リン酸(pH4.5)中でタンパク質を抽出した(1:3w/v)。可溶性タンパク抽出物を4℃で10分間浸透し、18000Gで10分間遠心分離した。上清を回収し、Bradford法でタンパク濃度を測定した(Bradford, 1976, Anal Biochem. 72: 248− 254)。トリス−塩酸バッファー中のタンパク質を最終濃度1mg/mLに調節する一方で、クエン酸リン酸バッファー中のタンパク質は最終濃度0.5mg/mLに調節した。抽出物を25℃でインキュベートしてタンパク質分析を実施した。反応開始後に時間を変えて70μLをピペッティングし、変性電気泳動バッファー30μLと速やかに混合し(200mMトリス−塩酸pH8.8,10%(v/v)β−メルカプトエタノール、2%(w/v)SDS,10%(v/v)グリセロール)、さらに95℃で5分間加熱した。次に変性したタンパク質7μgを標準10%SDS−PAGEゲルに適用し、クマシー染色した。図1は、例として、ルビスコの分子量の大きい52KDAサブユニットの有意な分画が(矢印)、pH4.0およびpH7.5においてわずか数分後に内因性プロテアーゼによって分解したことを示す。
診断的PIおよび植物組換えPIのジャガイモ葉およびアルファルファ抽出物プロテアーゼ活性に対する影響をモニタリングするために、ルビスコに対する総プロテアーゼ活性(ルビスカーゼ活性と命名)を、サクシニルエステル蛍光体ボディピィ(登録商標)FL,SE(Molecular Probes, OR, USA)とコンジュゲートしたルビスコを基質として用いて蛍光測定した。ボディピィ(登録商標)FL,SEへのルビスコのコンジュゲーションは、供給者の指示に従って実施した。植物組織を液体窒素中で破砕し、2mM
MgCl2,1mM DTTおよび1%(w/v)PVPPを含有する100mM Hepes(pH7.5)バッファー中で抽出した(1:3w/v)。可溶性抽出物を4℃において12000rpmで15分間遠心分離した。上清を除去し、50mM
Hepes(pH7.5)(中性反応バッファー)または0.15Mリン酸酢酸(pH5.5)(酸性反応バッファー)のいずれかで構成される反応バッファーで事前に平衡化したセファデックスG−25カラム上で透析した。植物抽出物50gLを、5μL反応バッファー(対照)、5μL
DMSO,5μLメタノール、5μL SBTI(1mg/mL),5μL BBTI(1mg/ml),5μLアプロチニン(1mM),5μL α−1抗トリプシン(1mg/mL),5μLα−1抗キモトリプシン(1MG/ML),5μLキモスタチン(6mM),5μL
TPCK(20mg/mL),5μL TLCK(20mg/mL),5μL PMC8,5μL E−64(100mM),5μLペプスタチン(1mM),5μL GST−CCIIまたは5μL
GST−CDIと共に20分間プレインキュベートした。診断用PIは全てシグマ−アルドリッチ社(米国、セントルイス)より入手した。GST−CDIおよびGST−CCIIはEscherichia
coliにおいて組換えタンパク質として発現させ、かつアフィニティグルタチオンカラムで精製した(Brunelle et al. , 1999, Arch.
Insect Biochem. Physiol. 42: 88−98)。蛍光分析は、ルビスコ−ボディリーFLを基質として30℃で実施した。ルビスコ−ボディリーFL2μgを反応混合物に加え、さらに中性(DMSOで分析、メタノール、SBTI,BBTI,アプロチニン、抗トリプシン、抗キモトリプシン、キモスタチン、PMSF,TPCK,TLCK)または酸性(PMC8で分析、E−64,ペプスタチン、GST−CCII、GST−CDI)反応バッファーを補って体積100μLとした。蛍光強度は、Fluostar Polastar Galaxy fluorimeter(BMG Lab Technologies)を用いて、それぞれ485nmおよび520nmの励起および発光フィルターによって5000秒間の間に100回測定した。1秒ごとの蛍光単位で表されるプロテアーゼ活性は、発光曲線の傾斜に対応していた。図2(アルファルファ)および3(ジャガイモ)に示すように、アルファルファおよびジャガイモ葉プロテアーゼによるルビスコ加水分解は、診断用プロテイナーゼ阻害物質を添加すると有意に低下し、植物内因性プロテアーゼの阻害を通じた内因性栄養タンパク質の完全性の保護を目的とした戦略を開発するための興味深い標的として、数種類のプロテアーゼ群が指摘される。これらのデータより、培地中に他の(非感受性)プロテアーゼが存在するにもかかわらず、単一のプロテアーゼ(またはプロテアーゼ群)の阻害は粗抽出物中に存在する大部分のタンパク質を保護するのに充分であることも示される。具体的には、キモトリプシン阻害物質(TPCK,キモスタチン、α1−抗キモトリプシン)、トリプシン(TLCK,α1−抗トリプシン)、システイン(CCII)およびアスパラギン酸(ペプスタチン、CDI)プロテアーゼは興味深い保護作用を示し、ルビスカーゼ活性率を−15から40%の範囲で低下させた。
MgCl2,1mM DTTおよび1%(w/v)PVPPを含有する100mM Hepes(pH7.5)バッファー中で抽出した(1:3w/v)。可溶性抽出物を4℃において12000rpmで15分間遠心分離した。上清を除去し、50mM
Hepes(pH7.5)(中性反応バッファー)または0.15Mリン酸酢酸(pH5.5)(酸性反応バッファー)のいずれかで構成される反応バッファーで事前に平衡化したセファデックスG−25カラム上で透析した。植物抽出物50gLを、5μL反応バッファー(対照)、5μL
DMSO,5μLメタノール、5μL SBTI(1mg/mL),5μL BBTI(1mg/ml),5μLアプロチニン(1mM),5μL α−1抗トリプシン(1mg/mL),5μLα−1抗キモトリプシン(1MG/ML),5μLキモスタチン(6mM),5μL
TPCK(20mg/mL),5μL TLCK(20mg/mL),5μL PMC8,5μL E−64(100mM),5μLペプスタチン(1mM),5μL GST−CCIIまたは5μL
GST−CDIと共に20分間プレインキュベートした。診断用PIは全てシグマ−アルドリッチ社(米国、セントルイス)より入手した。GST−CDIおよびGST−CCIIはEscherichia
coliにおいて組換えタンパク質として発現させ、かつアフィニティグルタチオンカラムで精製した(Brunelle et al. , 1999, Arch.
Insect Biochem. Physiol. 42: 88−98)。蛍光分析は、ルビスコ−ボディリーFLを基質として30℃で実施した。ルビスコ−ボディリーFL2μgを反応混合物に加え、さらに中性(DMSOで分析、メタノール、SBTI,BBTI,アプロチニン、抗トリプシン、抗キモトリプシン、キモスタチン、PMSF,TPCK,TLCK)または酸性(PMC8で分析、E−64,ペプスタチン、GST−CCII、GST−CDI)反応バッファーを補って体積100μLとした。蛍光強度は、Fluostar Polastar Galaxy fluorimeter(BMG Lab Technologies)を用いて、それぞれ485nmおよび520nmの励起および発光フィルターによって5000秒間の間に100回測定した。1秒ごとの蛍光単位で表されるプロテアーゼ活性は、発光曲線の傾斜に対応していた。図2(アルファルファ)および3(ジャガイモ)に示すように、アルファルファおよびジャガイモ葉プロテアーゼによるルビスコ加水分解は、診断用プロテイナーゼ阻害物質を添加すると有意に低下し、植物内因性プロテアーゼの阻害を通じた内因性栄養タンパク質の完全性の保護を目的とした戦略を開発するための興味深い標的として、数種類のプロテアーゼ群が指摘される。これらのデータより、培地中に他の(非感受性)プロテアーゼが存在するにもかかわらず、単一のプロテアーゼ(またはプロテアーゼ群)の阻害は粗抽出物中に存在する大部分のタンパク質を保護するのに充分であることも示される。具体的には、キモトリプシン阻害物質(TPCK,キモスタチン、α1−抗キモトリプシン)、トリプシン(TLCK,α1−抗トリプシン)、システイン(CCII)およびアスパラギン酸(ペプスタチン、CDI)プロテアーゼは興味深い保護作用を示し、ルビスカーゼ活性率を−15から40%の範囲で低下させた。
(カテプシンDプロテイナーゼ阻害物質のジャガイモへの異所性発現の内因性タンパク質(例:ルビスコ)の安定性への影響)
植物において組換えプロテアーゼ阻害物質を異所的に発現させることの、抽出時の内因性プロテアーゼ活性に対する影響を評価するために(ex
vitro)、トマト由来カテプシンD阻害物質であるトマトCDI(Werner et al. 1993, Plant
Physiology 103: 1473)を発現ベクターに組込み、カリフラワーモザイクウイルス35S(CAMV 35S)プロモータ(CD株)の調節下でジャガイモ(cultivar
Kennebec)に安定的に発現させた。トマトCDIをコードするDNA配列は、BamHIおよびEcoRIによる消化によって発現ベクターpGEX−3X/CDIより分離し(Brunelle
et al. 1999, Arch. Insect Biochem Physiol. 42: 88−98)、さらに市販のベクターpCAMBIA2300(CAMBIA,オーストラリア、キャンベラ)のBamHIおよびEcoRIクローニング部位の間にサブクローニングした。CaMV35Sプロモータは、BamHI/SALI処理を用いて市販のプラスミドpBI−121(Clontech,
Palo Alto, CA)より分離し、また次にCDIトランスジーンを含むpCAMBIA構成のBamHIとSalIの間のクローニング部位に連結した。選択マーカーであるネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPTII)を発現しているがCDIを発現していないトランスジェニック対照(SPCD株)も、プロモータを伴わずにCDIトランスジーンを融合することで開発した。ジャガイモの無菌生育栄養分体(Solanum
tuberosum L. cultivar Kennebec)を遺伝的形質転換の原材料として用いた。栄養分体は、22℃、光度60μmolm−2s−1、冷蛍光灯照明により明期16時間/日とした組織培養室において、0.8%(w/v)寒天(Difco,
Detroit, MI)および3%(w/v)ショ糖を添加したMS増殖培地(Murashige and Skoog 1962, Physiologia
Plant 15 : 473−497)中で維持した。カルベニシリンの代わりにセフォタキシムをA.tumefaciensの発育の調節に用いた以外はWenzlerら(1989,
Plant Sci. 63: 79−85)の報告に従い、細菌ベクターAgrobacterium tumefaciens LBA4404を用いて、直径約10mmの葉ディスクを遺伝的に形質転換した。根の再生成と栄養分体の増殖のために、再生成した茎頂を、カナマイシンおよびセフォタキシムを加えた選択培地に移した。順化のため、標準生育条件下の温室に移す前に、昼/夜温度周期24℃/21℃、明期:暗期12時間、光度200μmolm−2s−1、かつ相対湿度60%とした生育チャンバーに、栄養分体を14日間移した。nptii(マーカー)トランスジーンのカナマイシン耐性植物への融合は、Edwardsらの方法に従い(1991,
Nuc. Acids Res. 19: 1349)、〜30cmのジャガイモ植物体の(先端から)4,5および6番目の葉より抽出したDNAを用いて、PCR法により確認した。トランスジェニック株におけるcdiトランスジーンの発現は、Logemannらの方法(1987,
Anal Biochem. 163: 16−20)に従い、nptiiトランスジーン陽性植物の先端から第4,5および6番目の葉から抽出した総RNAを用いてRT−PCRおよびノーザンブロット法でモニタリングした。
植物において組換えプロテアーゼ阻害物質を異所的に発現させることの、抽出時の内因性プロテアーゼ活性に対する影響を評価するために(ex
vitro)、トマト由来カテプシンD阻害物質であるトマトCDI(Werner et al. 1993, Plant
Physiology 103: 1473)を発現ベクターに組込み、カリフラワーモザイクウイルス35S(CAMV 35S)プロモータ(CD株)の調節下でジャガイモ(cultivar
Kennebec)に安定的に発現させた。トマトCDIをコードするDNA配列は、BamHIおよびEcoRIによる消化によって発現ベクターpGEX−3X/CDIより分離し(Brunelle
et al. 1999, Arch. Insect Biochem Physiol. 42: 88−98)、さらに市販のベクターpCAMBIA2300(CAMBIA,オーストラリア、キャンベラ)のBamHIおよびEcoRIクローニング部位の間にサブクローニングした。CaMV35Sプロモータは、BamHI/SALI処理を用いて市販のプラスミドpBI−121(Clontech,
Palo Alto, CA)より分離し、また次にCDIトランスジーンを含むpCAMBIA構成のBamHIとSalIの間のクローニング部位に連結した。選択マーカーであるネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPTII)を発現しているがCDIを発現していないトランスジェニック対照(SPCD株)も、プロモータを伴わずにCDIトランスジーンを融合することで開発した。ジャガイモの無菌生育栄養分体(Solanum
tuberosum L. cultivar Kennebec)を遺伝的形質転換の原材料として用いた。栄養分体は、22℃、光度60μmolm−2s−1、冷蛍光灯照明により明期16時間/日とした組織培養室において、0.8%(w/v)寒天(Difco,
Detroit, MI)および3%(w/v)ショ糖を添加したMS増殖培地(Murashige and Skoog 1962, Physiologia
Plant 15 : 473−497)中で維持した。カルベニシリンの代わりにセフォタキシムをA.tumefaciensの発育の調節に用いた以外はWenzlerら(1989,
Plant Sci. 63: 79−85)の報告に従い、細菌ベクターAgrobacterium tumefaciens LBA4404を用いて、直径約10mmの葉ディスクを遺伝的に形質転換した。根の再生成と栄養分体の増殖のために、再生成した茎頂を、カナマイシンおよびセフォタキシムを加えた選択培地に移した。順化のため、標準生育条件下の温室に移す前に、昼/夜温度周期24℃/21℃、明期:暗期12時間、光度200μmolm−2s−1、かつ相対湿度60%とした生育チャンバーに、栄養分体を14日間移した。nptii(マーカー)トランスジーンのカナマイシン耐性植物への融合は、Edwardsらの方法に従い(1991,
Nuc. Acids Res. 19: 1349)、〜30cmのジャガイモ植物体の(先端から)4,5および6番目の葉より抽出したDNAを用いて、PCR法により確認した。トランスジェニック株におけるcdiトランスジーンの発現は、Logemannらの方法(1987,
Anal Biochem. 163: 16−20)に従い、nptiiトランスジーン陽性植物の先端から第4,5および6番目の葉から抽出した総RNAを用いてRT−PCRおよびノーザンブロット法でモニタリングした。
ジャガイモにおけるCDIの異所性発現の外因性プロテアーゼ活性に対する影響をモニタリングするために、ルビスコに対する総プロテアーゼ活性をルビスコ−ボディリーFLを基質とする蛍光法で測定した(上記を参照)。可溶性タンパク質を0.15M酢酸カリウム(pH5.5)(1:3w/v)中で対照(SPCD株)またはcdi発現(CD株)トランスジェニックジャガイモ植物体の葉(先端より4番目の葉)より抽出した。可溶性タンパク抽出物50μLを、ルビスコボディピイ2μg(抽出バッファー100μLに溶解)と共に20mMのL−システインの存在下において30℃でインキュベートした。図4に示すように、組換えcdi
mRNA(例:clone21A)を高レベルで発現しているトランスジェニック株由来の葉タンパク質抽出物によるルビスコ−ボディピイFLの分解は、対照と比較して有意に低下した(FisherのLSD検定(p<0.05)。より正確には、分析条件下でCDIを持たないトランスジェニック対照(SP4,SP7およびSP12)と比較したルビスカーゼ活性の阻害率は〜40%に達し、CDI発現株についてはルビスコに対する「タンパク分解力」が低下したことが明示された。
mRNA(例:clone21A)を高レベルで発現しているトランスジェニック株由来の葉タンパク質抽出物によるルビスコ−ボディピイFLの分解は、対照と比較して有意に低下した(FisherのLSD検定(p<0.05)。より正確には、分析条件下でCDIを持たないトランスジェニック対照(SP4,SP7およびSP12)と比較したルビスカーゼ活性の阻害率は〜40%に達し、CDI発現株についてはルビスコに対する「タンパク分解力」が低下したことが明示された。
ジャガイモ葉細胞の細胞質へのCDIの隔離は、トランスジェニック植物の生育および発育に有意に影響せず、推定標的であるアスパラギン酸プロテアーゼはin
vivoで阻害物質により著しい影響も好ましくない影響も受けないことが示唆された。その一方で、図4に示したデータは、収穫、ホモジネーションおよび/あるいは抽出処理中にトマト組換えCDIが内因性プロテアーゼによるタンパク加水分解を速やかに阻害し、主要な葉タンパク質ルビスコを有意に保護することを示す。
vivoで阻害物質により著しい影響も好ましくない影響も受けないことが示唆された。その一方で、図4に示したデータは、収穫、ホモジネーションおよび/あるいは抽出処理中にトマト組換えCDIが内因性プロテアーゼによるタンパク加水分解を速やかに阻害し、主要な葉タンパク質ルビスコを有意に保護することを示す。
(アルファルファにおけるプロテアーゼ阻害物質の異所性発現による内因性タンパク質の保護)
上述のように、アルファルファ葉細胞は抽出時に媒質中に放出される非特異的プロテアーゼを相当量含む。同様にWandeltら(1992, Plant J. 2: 181−192)は、Vicia fabaに由来する液胞種子貯蔵タンパク質ビシリンは、その液胞への通常の蓄積を指示するペプチドシグナリングスキームが障害されたとき、アルファルファ葉において大量に蓄積することを示し、葉に発現する多様なタンパク質の安定性にこの植物の液胞プロテアーゼが潜在的に好ましくない影響を示すことを明示した。現在一般に、植物葉細胞における重要な非特異的タンパク分解活性源は、酸性〜弱酸性pH範囲で活性であり、通常はシステインおよびアスパラギン酸クラスタンパク分解酵素に属するプロテアーゼで占められていると推測されている(Callis,
1995, Plant Cell 7: 845−857)。上述の我々のデータより、例えばキモスタチン感受性プロテアーゼなどの様々な種類のプロテアーゼも、有用な内因性タンパク質の安定性に著しい影響を与えることが明らかである(図2参照)。細胞質以外の細胞コンパートメント内に特異性の低いプロテアーゼが認められることが多いので、これらのプロテアーゼに対して活性であるPI(例:α1−抗キモトリプシンまたはCCII)は、in
vivoで植物プロテアーゼに対して好ましくない干渉をすることなく葉細胞の細胞質コンパートメントに発現されることができるが、その後の回収プロセスにおいては細胞破砕後に同じこれらの酵素に対して作用することができる。
上述のように、アルファルファ葉細胞は抽出時に媒質中に放出される非特異的プロテアーゼを相当量含む。同様にWandeltら(1992, Plant J. 2: 181−192)は、Vicia fabaに由来する液胞種子貯蔵タンパク質ビシリンは、その液胞への通常の蓄積を指示するペプチドシグナリングスキームが障害されたとき、アルファルファ葉において大量に蓄積することを示し、葉に発現する多様なタンパク質の安定性にこの植物の液胞プロテアーゼが潜在的に好ましくない影響を示すことを明示した。現在一般に、植物葉細胞における重要な非特異的タンパク分解活性源は、酸性〜弱酸性pH範囲で活性であり、通常はシステインおよびアスパラギン酸クラスタンパク分解酵素に属するプロテアーゼで占められていると推測されている(Callis,
1995, Plant Cell 7: 845−857)。上述の我々のデータより、例えばキモスタチン感受性プロテアーゼなどの様々な種類のプロテアーゼも、有用な内因性タンパク質の安定性に著しい影響を与えることが明らかである(図2参照)。細胞質以外の細胞コンパートメント内に特異性の低いプロテアーゼが認められることが多いので、これらのプロテアーゼに対して活性であるPI(例:α1−抗キモトリプシンまたはCCII)は、in
vivoで植物プロテアーゼに対して好ましくない干渉をすることなく葉細胞の細胞質コンパートメントに発現されることができるが、その後の回収プロセスにおいては細胞破砕後に同じこれらの酵素に対して作用することができる。
実際に使用することができる戦略は、飼料作物のトランスジェニック株、例えば適当なPIを発現しているアルファルファなどを開発し、次にこの株を用いた内因性プロテアーゼからの内因性タンパク質の保持により収穫後により高いタンパク含有量を保持している動物飼料を製造することである。
本発明はその具体的実施態様と関連付けて説明されているものの、さらなる改変が可能であり、一般的に本発明の原則に従い、かつ既知の範囲内の本開示からの逸脱あるいは本発明が関係する技術の範囲内で既知であるかまたは慣習的実践であり、かつ前記に記載された本質的特性に適用できるよう、および付属する特許請求の範囲のように本明細書は本発明のあらゆる変法、用途、または変更を含むことを意図することが理解されるであろう。
Claims (18)
- 植物あるいはその一部分の栄養価を高めるための方法であって、前記植物あるいはその一部分の天然の生理機能を著しく変化させないことを含み、その植物細胞の破砕時に前記植物または植物抽出物細胞から放出される阻害物質による少なくとも1つの内因性タンパク質に対する少なくとも1つの植物タンパク分解活性あるいは作用を中和することを含む方法。
- 請求項1の方法であって、前記一部分が前記植物の抽出物あるいは濃縮物である方法。
- 請求項1の方法であって、前期中和が部分的あるいは完全である方法。
- 請求項1の方法であって、前記植物若しくは植物の一部分を処理する際、抽出物若しくは濃縮物を調製する際、又は、前記植物若しくは植物の一部分の嚥下若しくは消化する際に前記植物細胞が破砕される方法。
- 請求項1の方法であって、細胞破砕が起こる際に内因性タンパク質の分解に特異的に関与する少なくとも1つのタンパク分解反応を完全または部分的に阻害するための条件を引き起こすために前記植物を遺伝的改変することによって前記タンパク分解の中和が得られる方法。
- 請求項5の方法であって、前記タンパク分解反応がプロテアーゼによって行われる方法。
- 請求項6の方法であって、成育中の前記植物プロテアーゼの活性および天然の植物の生理機能を維持するために前記植物または植物抽出物の前記処理中に前記細胞破壊が起こる場合は前記プロテアーゼが阻害されるが前記植物の生育中には阻害されない方法。
- 請求項1の方法であって、事前に定めた時間の間のヒトあるいは動物の嚥下あるいは消化過程中の前記内因性タンパク質の安定性を高める方法。
- 請求項1の方法であって、前記中和がシステインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、金属プロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、トレオニンプロテアーゼおよび多特異的、広域プロテアーゼからなる群から選択されるプロテアーゼに対して行われる方法。
- 請求項1の方法であって、前記植物が前記タンパク分解の中和を引き起こす因子またはペプチドに機能的に連結されたプロモータを含む発現カセットによって形質転換される方法。
- 請求項10の方法であって、前記植物抽出物を処理する際に植物プロテアーゼの活性より前記内因性タンパク質を保護するようにリーダーペプチド、シグナルペプチドあるいは固定ペプチド、あるいは前記プロテアーゼ阻害物質を細胞の一部または細胞外コンパートメントに誘導または固定するタンパク質に前記因子を連結することを含む方法。
- 請求項10の方法であって、前記因子がプロテアーゼ阻害物質である方法。
- 請求項11の方法であって、前記植物抽出物を処理する際の細胞破砕時には植物プロテアーゼの活性から前記内因性タンパク質を保護するが前記植物の成育中は前記植物プロテアーゼの活性を維持するために前記植物の生育中は保護しないように前記細胞の一部あるいは細胞外コンパートメントが選択される方法。
- 請求項13の方法であって、前記細胞部分がミトコンドリア、葉緑体、貯蔵液胞、小胞体およびサイトゾルからなる群から選択されたオルガネラである方法。
- 請求項12の方法であって、前記プロテアーゼ阻害物質が抗体あるいはそのフラグメント、センスmRNAあるいはアンチセンスmRNA,転写阻害物質あるいはその調節物質、翻訳阻害物質あるいはその調節物質、リーディングあるいはシグナルペプチド阻害物質、代謝によるプロテアーゼの活性化を阻害する物質、プロテアーゼ特異性プロテアーゼ、および前記プロテアーゼをオルガネラあるいは細胞コンパートメントに隔離するために誘導するアフィニティペプチドプロテアーゼからなる群から選択されている方法。
- 請求項1の方法であって、前記植物がアルファルファあるいはジャガイモである方法。
- 請求項10の方法であって、前記カセットが構成的、双極性または誘導性プロモータによってコード配列が調節される発現ベクターを含む方法。
- 請求項17の方法であって、前記誘導プロモータが組織特異性プロモータ、時間特異性プロモータ、または創傷誘導性プロモータである方法。
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US39878302P | 2002-07-29 | 2002-07-29 | |
PCT/CA2003/001146 WO2004011657A1 (en) | 2002-07-29 | 2003-07-29 | Method for enhancing the nutritive value of plant extract |
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