JP2005534300A - 植物由来組換えタンパク質の収率を向上させるための方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、遺伝的に形質転換された植物において生成される組換えタンパク質の収率を向上させるための方法に関する。具体的には、本発明の大半は植物由来生成物の処理中における、植物のハーベスト後の組換えタンパク質の好ましくないタンパク分解を防止する方法に関する。本発明は、特に抽出過程における細胞破砕時の組換えタンパク質の好ましくないタンパク分解の防止を目的とした植物におけるプロテアーゼ阻害物質の導入に焦点を置く。
Description
本発明は、遺伝的に形質転換された植物において生成される組換えタンパク質の収率を向上させるための方法に関する。具体的には、本発明の大半は植物由来生成物の処理中における、植物のハーベスト後の組換えタンパク質の好ましくないタンパク分解を防止する方法に関する。本発明は、特に抽出過程における細胞破砕時の組換えタンパク質の好ましくないタンパク分解の防止を目的とした植物におけるプロテアーゼ阻害物質の導入に焦点を置く。
タンパク質の組換え発現は、目的のタンパク質を生成するために幅広く用いられる。一般的に使用される宿主系は、細菌、酵母、昆虫細胞、哺乳類細胞、動物および植物である。しかし、組換えタンパク質の発現は複数の因子によって障害される。具体的には、組換えタンパク質生成の収率は蓄積および抽出の過程におけるタンパク質の安定性と密接に関係している。
植物においては、数種類の組換えタンパク質の生成に成功しているが、遭遇する主な問題は組換えタンパク質の回収レベルが低いことである。回収率が低い理由の一つは、タンパク質を分解するプロテアーゼの活性である。植物においては、組換えタンパク質とプロテアーゼの相互作用は現時点で十分に定義されていないが、植物はその液胞中に数種類の非特異的プロテアーゼを有することは既知である。弱酸性pH範囲において活性である葉液胞プロテアーゼは、組換えタンパク質の安定性および完全性に大きく影響し、さらに無傷のタンパク質の収率を低下させることもある。
植物プロテアーゼは、タンパク質生成過程の重要な2つの段階において組換えタンパク質を分解することがある。1)タンパク質蓄積時にin
plantaで、および2)抽出過程における細胞破砕時にex plantaで分解が起こることがある。後者の段階においては、細胞破砕により植物のすべての部分および細胞コンパートメントからプロテアーゼのプールが放出されるので、これはより重要である。例えば、臨床的に有用なタンパク質であるコメシスタチンI(OC−1)はトランスジェニックジャガイモ葉細胞の細胞質中に安定な形態で蓄積されるが、抽出時にプロテアーゼによって分解される(Michaud And Yelle, 2000, Michaud Ed., Austin TX, pp. 195−206)。
plantaで、および2)抽出過程における細胞破砕時にex plantaで分解が起こることがある。後者の段階においては、細胞破砕により植物のすべての部分および細胞コンパートメントからプロテアーゼのプールが放出されるので、これはより重要である。例えば、臨床的に有用なタンパク質であるコメシスタチンI(OC−1)はトランスジェニックジャガイモ葉細胞の細胞質中に安定な形態で蓄積されるが、抽出時にプロテアーゼによって分解される(Michaud And Yelle, 2000, Michaud Ed., Austin TX, pp. 195−206)。
植物の葉より組換えタンパク質を抽出するための基本的過程は、一般的に植物バイオマスを分解し、生成するパルプを圧縮して緑汁を生成することから始まる。緑汁は、典型的にはプロテアーゼおよび緑色物質を含む多様なタンパク質を含有する。抽出過程でのex
plantaレベルがプロテアーゼ活性によって激しく低下する場合、in plantaでの組換えタンパク質蓄積を高度に達成しても無益である。本発明は、抽出過程における細胞破砕時にex
plantaで起こるタンパク分解の防止に重点を置いている。
plantaレベルがプロテアーゼ活性によって激しく低下する場合、in plantaでの組換えタンパク質蓄積を高度に達成しても無益である。本発明は、抽出過程における細胞破砕時にex
plantaで起こるタンパク分解の防止に重点を置いている。
組換えタンパク質をプロテアーゼによる分解から保護するために、技術上多様な方法が提案されている。
今のところ、研究は主としてin plantaタンパク分解の低下に焦点を置いている。例えば、植物におけるタンパク分解の問題を克服するための戦略の1つは、代替的オルガネラらにタンパク質をターゲティングし、その蓄積をタンパク質がより安定である細胞内コンパートメントに向けることである。様々な研究により、液胞をターゲティングする代わりに、カルボシキ末端シグナルKDEL(Tabe et al. , 1995, J. Plant Sci. 73: 2752−2759)を用いて小胞体にターゲティングした場合、抗体あるいはビシリンなどの目的のタンパク質の細胞内蓄積が増加することが証明されている。しかし、この戦略は組換えタンパク質発現時のタンパク分解の防止を促進するものの、抽出時のタンパク分解リスクは低下させない。抽出時には植物細胞が破砕され、その後プロテアーゼなどの多様な化合物を媒質中に放出し、これが組換えタンパク質の完全性を重大に変化させる。
もう1つの戦略は、植物内のタンパク分解代謝の変更である。一例においては、米国特許第2002/0108149号に開示されているように、植物を遺伝的改変して液胞プロセシング酵素(VPE)などの特異的プロテアーゼの活性を低下あるいは消失させる。もう1つの例においては、器官の老化を遅延させることによってタンパク分解などの異化過程を抑制する(国際公開番号WO01/61023)。これらの戦略は、やはり組換えタンパク質のin planta蓄積時にその分解を防止するが、抽出過程におけるタンパク分解のリスクを減少しない。さらに、これらの戦略はタンパク分解代謝および/あるいは植物の生長に必須でないプロテアーゼの修飾に限られている。
抽出時において組換えタンパク質のex planta分解を低下させる古典的な方法は、抽出バッファーのpH(例:pH7)を速やかに調節することおよび/あるいは低分子量プロテアーゼ阻害物質を抽出バッファーに含めることにある。
酸性pHが抽出混合物中のタンパク分解を高めることは、技術上既知である。pH調節法は、抽出混合物中の組換えタンパク質の分解を制限する実用的な方法である。しかし、この方法は全ての組換えタンパク質に対しては有効でない。さらに、抽出混合物中でのタンパク質の沈殿化、および目的の組換えタンパク質を含む可溶性分画の分離のために酸性pHを用いることは、これらのタンパク質を部分的に精製する上で非常に有用な方法であり、またそれゆえpHを7に維持することは工業スケールにおいて除外することが望まれる拘束である。植物由来のタンパク質の膨大な多様性、および工業的および医学的用途における厳格な純度用件により効率的かつ経済的な分離および精製方法が必要であるため、植物において組換えタンパク質を産生する場合この可能性は非常に興味深い。
タンパク分解を防止するためのもう1つの古典的な方法は、フッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)あるいはキモスタチンなどの低分子量プロテアーゼ阻害物質を抽出混合物に添加することであり、小スケール生成においては有用となりうる。
しかしこの方法は、高い費用対効果でタンパク質を大量に製造する必要のある工業的スケールでの植物組換えタンパク質製造に対しては、経済的に不適当である。
植物において組換えタンパク質を産生する高価な過程を考慮すると、組換えタンパク質の高生産性レベルを得ることが望ましい。特に、抽出過程における細胞破砕時の組換えタンパク質レベルは高くなければならず、また抽出後の生成レベルが比較的低ければ、高いin
planta組換えタンパク質レベルを達成しても無益である。この状況においては、細胞/組織破砕後に媒質中に放出される植物プロテアーゼによる組換えタンパク質の分解を低下させるための、費用対効果の高い新たな方法が必要である。
planta組換えタンパク質レベルを達成しても無益である。この状況においては、細胞/組織破砕後に媒質中に放出される植物プロテアーゼによる組換えタンパク質の分解を低下させるための、費用対効果の高い新たな方法が必要である。
本発明の目的の1つは、植物細胞の天然の生理機能を著しく変化させることなく、植物細胞中の組換えタンパク質の回収率を高めるための方法であって、前記植物の細胞の破砕時に前記植物細胞から放出される阻害物質によって、組換えタンパク質の分解に関与する少なくとも1つの植物プロテアーゼの活性または作用を中和することを含む方法を提供することである。前記植物細胞は植物あるいはin
vitro培養に由来する。前記中和は部分的または完全であり、かつ組換えタンパク質を抽出するために植物細胞を処理する際に起こることがあり、かつ組換えタンパク質を抽出する処理を行う際に植物細胞が破砕されることは、当業者によって認識されるであろう。前記阻害物質は、好ましくは機能的に連結されたプロモータを含む発現カセットによって形質転換された植物細胞において、組換えによって生成される。また阻害物質は、抽出過程において植物プロテアーゼの活性より組換えタンパク質を保護するように、リーダーペプチド、シグナルペプチドあるいは固定ペプチド、あるいは前記阻害物質を細胞の一部(部分)または細胞外コンパートメントに誘導または固定するタンパク質と連結することができる。例えば、前記細胞の一部はミトコンドリア、葉緑体、貯蔵液胞、小胞体およびサイトゾルからなる群より選択されたオルガネラであることもあるが、これに限定されない。また、阻害物質は構成的または誘導的プロモータ、あるいは組織または生長(development)特異的プロモータの調節の下で遺伝子によりコードされることもある。
vitro培養に由来する。前記中和は部分的または完全であり、かつ組換えタンパク質を抽出するために植物細胞を処理する際に起こることがあり、かつ組換えタンパク質を抽出する処理を行う際に植物細胞が破砕されることは、当業者によって認識されるであろう。前記阻害物質は、好ましくは機能的に連結されたプロモータを含む発現カセットによって形質転換された植物細胞において、組換えによって生成される。また阻害物質は、抽出過程において植物プロテアーゼの活性より組換えタンパク質を保護するように、リーダーペプチド、シグナルペプチドあるいは固定ペプチド、あるいは前記阻害物質を細胞の一部(部分)または細胞外コンパートメントに誘導または固定するタンパク質と連結することができる。例えば、前記細胞の一部はミトコンドリア、葉緑体、貯蔵液胞、小胞体およびサイトゾルからなる群より選択されたオルガネラであることもあるが、これに限定されない。また、阻害物質は構成的または誘導的プロモータ、あるいは組織または生長(development)特異的プロモータの調節の下で遺伝子によりコードされることもある。
阻害あるいは中和される標的プロテアーゼはシステインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、金属プロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、トレオニンプロテアーゼおよび多特異的プロテアーゼからなる群より選択されることもある。
本発明の具体的態様の1つに従い、前記阻害物質は植物細胞あるいは植物細胞を含む植物の生理機能あるいは生育を維持する為のプロテアーゼの活性を顕著に干渉しない。
本発明の他の態様は、阻害物質をin plantaで中和あるいは調節するための方法であって、阻害物質が抗体またはそのフラグメント、センスmRNAまたはアンチセンスmRNA,転写阻害物質はまたはその調節物質、翻訳阻害物質またはその調節物質、リーディングまたはシグナルペプチド阻害物質、代謝によるプロテアーゼ活性化を阻害する物質(プロテアーゼ活性の代謝的獲得を阻害する物質)、プロテアーゼ特異性プロテアーゼ、および前記プロテアーゼをオルガネラあるいは細胞コンパートメントに隔離するために誘導するアフィニティペプチドからなる群から選択されている方法を提供することである。
好ましくは、遺伝的改変(修飾)植物はアルファルファまたはジャガイモである。
中和される標的プロテアーゼはキモスタチン感受性セリンプロテアーゼまたはシステイン感受性システインプロテアーゼであることもある。
好ましくは、組換えタンパク質あるいは阻害物質は前記植物細胞の色素体で生成される。
本発明のもう1つの目的は:
a)前記植物細胞の破砕時に少なくとも1つのプロテアーゼの作用あるいは活性を部分的または完全に中和することを目的として、少なくとも1つの遺伝的あるいは代謝的反応を調節するために、遺伝的改変された植物細胞において組換えタンパク質の生成を可能にする段階;および
b)植物細胞破砕後に組換えタンパク質を回収する段階を含む、
植物中の組換えタンパク質の回収率を高める方法を提供することである。
a)前記植物細胞の破砕時に少なくとも1つのプロテアーゼの作用あるいは活性を部分的または完全に中和することを目的として、少なくとも1つの遺伝的あるいは代謝的反応を調節するために、遺伝的改変された植物細胞において組換えタンパク質の生成を可能にする段階;および
b)植物細胞破砕後に組換えタンパク質を回収する段階を含む、
植物中の組換えタンパク質の回収率を高める方法を提供することである。
前記植物細胞は植物あるいはin vitro培養に由来する。
プロテアーゼの作用または活性は、あるいは組換えタンパク質をプロテアーゼの作用あるいは発生から保護するようその活性プロテアーゼへの転写または翻訳を阻害することによって、あるいは植物細胞より生成される阻害物質によって、又は、組換えタンパク質をペプチドまたはタンパク質と連結することによって中和することができる。
本発明に従い、植物細胞あるいは植物の複数の細胞が破砕される際の植物細胞または植物に由来する組換えタンパク質の回収率を改善するために、少なくとも1つのプロテアーゼの作用または活性を部分的または完全に中和することを目的として、少なくとも1つの遺伝的または代謝的反応を調節するために遺伝的改変された植物細胞または植物が提供される。
本発明のもう1つの目的は、抽出過程において発生あるいは実施する細胞破砕の際の組換えタンパク質の好ましくないタンパク分解を防止するために、植物にプロテアーゼ阻害物質を導入する方法を提供することである。
本発明は、葉および茎の粗抽出物中に認められるジャガイモおよびアルファルファプロテアーゼの重要なフラクションの阻害に有効なタンパク阻害物質の同定に部分的に基づいている。ジャガイモおよびアルファルファにおける標的プロテアーゼ活性は、ヒトフィブロネクチンなどの目的のタンパク質に対するタンパク分解について試験されている。これらの植物プロテアーゼは、目的の組換えタンパク質に対してタンパク分解活性を示し、かつ本発明は抽出過程におけるこれらのプロテアーゼの望ましくない活性を変化させるための新たな戦略を提供する。
本発明の目的の1つは、細胞破砕後のタンパク分解を防止しながらも、宿主細胞の正常な代謝または生長に好ましくない変化を与えることなく、植物における組換えタンパク質の生成収率を高める方法を提供することでもある。
また、本発明の1つの目的は、抽出過程における細胞破砕時の組換えタンパク質のタンパク分解を防止する方法であって、この方法が例えば抽出混合物において酸性pHを用いてタンパク質を沈殿し、かつ目的の組換えタンパク質を含有する可溶性分画を分離することを可能とする方法を提供することでもある。
本発明の他の目的は、植物に発現させる阻害物質の慎重な選択、および抽出過程における細胞破砕時に組換えタンパク質の最適な保護作用に到達することを目的とした、阻害物質の充分なin
platna蓄積および収穫、貯蔵および抽出時の阻害物質の充分な安定性を保証するための細胞内ターゲティングである。
platna蓄積および収穫、貯蔵および抽出時の阻害物質の充分な安定性を保証するための細胞内ターゲティングである。
本発明の態様の1つによると、植物あるいは植物細胞における組換えタンパク質生成収率を高めるための方法であって、この方法が少なくとも(a)組換えタンパク質、および(b)前記組換えタンパク質の分解に関与する内因性植物プロテアーゼ阻害物質を共に発現する植物または植物細胞を得る段階を含む方法であり、(b)に明記した阻害物質の調節発現によって(a)に明記した組換えタンパク質のタンパク分解が防止または低下されることが可能になり、これにより植物または植物細胞の代謝または生育に悪影響を与えることなく組換えタンパク質の回収率が高まる方法が提供される。
阻害物質は、植物において目的のタンパク質と共に共発現されるか、あるいは目的のタンパク質に融合される。阻害物質は同じ、あるいは異なる細胞内コンパートメントにおいて組換えタンパク質と共に共発現されることができる。
プロテアーゼ特異的阻害物質としての抗体またはそのフラグメントの使用も、本発明のもう1つの態様である。
本発明の方法に従い、プロテアーゼの発現を阻害することを目的とした、植物へのDNAフラグメント挿入などの遺伝的改変が提供される。遺伝的改変にはノックアウトあるいはサイレンシング法を含むこともある。本発明は、構成的あるいは誘導的プロモータの使用によって可能となる方法であって、阻害作用が構成的または誘導的である方法も含む。
本発明は、細胞溶解および/または抽出操作中に放出される植物の内因性プロテアーゼから目的の組換えタンパク質を保護することを目的として、目的のタンパク質を発現しているトランスジェニック植物が、少なくとも1つのプロテアーゼ特異的阻害物質を発現しているトランスジェニック植物と共に収穫される方法も提供する。
本発明の目的のために、下記に以下の用語を定義する。
本明細書で使用される用語「組換えタンパク質」は、植物または植物細胞により組換え技術を用いて生成されるタンパク質、ペプチドまたはポリペプチドを意味することを意図している。組換えタンパク質は、遺伝的改変された植物または植物細胞を有するために植物または植物細胞に導入され、かつ発現している対応するトランスジーンの発現によって産生される。組換えによって産生することができるタンパク質または因子は、例えばα−、β−およびγ−インターフェロン、免疫グロブリン、インターロイキン1,2および3などのリンホカイン,インスリン様成長因子、上皮成長因子、血小板由来成長因子、トランスホーミング成長因子−α,βなどの成長因子、成長ホルモン、インスリン、コラーゲンプラスミノーゲン活性化因子、組織プラスミノーゲン活性化因子、トロンビン、フィブリノーゲン、アプロチニン、第I〜XII因子などの血液因子、コラーゲン、ゼラチン、スーパーオキシドディスムターゼなどの酵素あるいは他の哺乳類タンパク質、具体的にはヒトタンパク質などであってもよいが、これに限定されない。
本明細書で使用される用語「プロモータ」または「プロモータ領域」または「転写調節配列」は、通常はコード配列の上流(5‘)に認められ、RNAポリメラーゼおよび/あるいは正しい部位での転写の開始に必要な他の因子の認識部位を提供することによりメッセンジャーRNA(mRNA)の産生を調節することによってコード配列の発現を調節するDNA配列を意味する。本明細書で考察されるように、プロモータまたはプロモータ領域は多様な調節配列との連結、ランダムあるいは調節された突然変異誘発、およびエンハンサー配列の追加あるいは複製によって誘導される多様なプロモータを含む。本明細書に開示されるプロモータ領域、およびその生物学的機能的等価物は、そのmRNA産生能力によって証明されるように、適当な組換えベクターの一部として宿主に導入されるときその調節の下で遺伝子配列の転写の発動を担う。
本明細書で使用される表現「植物細胞」または「植物の一部」は栄養分体、プロトプラスト、カルス、根、塊茎、珠芽、種子、実生、花粉、他のあらゆる植物組織を指すことを意図している。
用語「プロテアーゼ」は、ポリペプチドのより小さなポリペプチド、フラグメントあるいはアミノ酸、あるいは目的のタンパク質の安定性あるいは活性の喪失に至る形態への分解を直接的あるいは間接的に実行する酵素を意味することを意図している。
本発明は、トランスジェニック植物または植物細胞から回収される組換えタンパク質の収率を高めるための新たな方法を提供する。
また本発明は、抽出過程における細胞破砕時に目的とする組換えタンパク質の完全性を維持することを目的として、少なくとも1つのプロテアーゼを阻害するために遺伝的改変された植物株を生成するための方法に向けられる。
また、本発明の1つの目的は、抽出過程における細胞破砕時の組換えタンパク質のタンパク分解を防止する方法であって、この方法が抽出混合物において酸性pHを用いてタンパク質を沈殿し、さらに目的の組換えタンパク質を含有する可溶性分画を分離することを可能とする方法を提供することでもある。
本発明の実施態様の1つにおいては、プロテアーゼは抽出過程における目的の組換えタンパク質の分解に特異的に関与するプロテアーゼとして同定され、かつ阻害されるための標的となることができる。
本発明の他の好ましい実施態様においては、トランスジェニック植物の代謝あるいは生長を著しく変化させないよう、あるいは維持するように、組換えタンパク質およびプロテアーゼ阻害物質を特異的に発現し、かつターゲティングする戦略が選択される。本明細書においては、細胞溶解を含む目的のタンパク質を回収する際のプロテアーゼの活性あるいは作用を阻害するための条件が好ましくは変更されない植物または植物細胞の正常な生理機能が理解されるであろう。例えば、遺伝的改変の結果そのプロテアーゼが阻害された植物は非操作植物と同じ速度で生長するが、これに限定されない。他の態様の下では、目的のタンパク質を回収または抽出する際にプロテアーゼの阻害に至る植物または植物細胞における条件によってもタンパク質の合成が影響されない。
本発明の他の実施態様においては、植物の成長中にはプロテアーゼの生体活性を保持し、かつ組換えタンパク質の抽出過程における細胞破砕時には組換えタンパク質の保護を促進するために、ターゲティングしたプロテアーゼの天然の局在とは異なる細胞内コンパートメントにプロテアーゼ阻害物質をターゲティングすることができる。
本発明に従い、植物または植物細胞より目的のタンパク質が回収または抽出される際に、プロテアーゼの作用あるいは活性の一部または全体の阻害を引き起こす条件を与える方法が提供される。好ましくは、前記方法はプロテアーゼ阻害物質を利用し、かつこれらのトランスジェニック植物または植物細胞において生成される組換えタンパク質をプロテアーゼ活性より保護するよう、植物または植物細胞を遺伝的改変するための配列を利用する。本発明に従ってプロテアーゼ活性を阻害するもう1つの条件は、その作用または活性を遮断することを目的として、例えばプロテアーゼとの直接結合などの開裂部位にプロテアーゼが接触することを回避するために、阻害物質が目的のタンパク質と直接結合するというものである。
本発明の他の実施態様においては、前記阻害物質は(i)システインプロテアーゼ阻害物質、(ii)アスパラギン酸プロテアーゼ阻害物質、(iii)金属プロテアーゼ阻害物質、(iv)セリンプロテアーゼ阻害物質、(v)トレオニンプロテアーゼ阻害物質、および(vi)広域特異性の天然またはハイブリッド阻害物質からなる群より選択することができるが、これに限定されない。
代替的には、本発明によるプロテアーゼ阻害はプロテアーゼ自体の特異性、あるいはその回収または抽出時に目的のタンパク質に対するプロテアーゼの特異性の変更を引き起こす条件を変更することで実施することができる。特異性の変更または目的のタンパク質へのプロテアーゼは、好ましくは植物または植物細胞に天然に発生する活性に影響しないであろう。
植物を操作するために様々な戦略を用いることができる。例えば、1)プロテアーゼ阻害物質コード遺伝子を植物ゲノムに挿入してこれを実施することができるが、これに限定されない。
本発明の他の実施態様は、組換えタンパク質の高収率での生成にとって望ましい抽出過程におけるタンパク分解活性を低下させるために、強力なプロテアーゼ阻害物質をコードする何らかの遺伝子を植物のゲノムに導入する方法を提供することである。植物に導入することが可能なプロテアーゼ阻害物質の例は、植物シスタチンOCI,OCIIおよびTMC−8,ヒトセルピンα−1−抗キモトリプシン(AACT)、およびアスパラギン酸型阻害物質CDI(トマトカテプシン−D阻害物質)からなるが、これに限定されない。例えば、ヒトセルピンα−1−抗キモトリプシン(AACT)はアルファルファ内因性プロテアーゼを阻害するために用いることが可能である一方で、トマトCDIは内因性アスパルタエプロテイナーゼを阻害するためにジャガイモに発現させることが可能である。アルファルファおよびジャガイモにプロテアーゼ阻害物質を導入するための方法は、本明細書のこれ以降の部分で例示する。
阻害物質は、代替的にプロテアーゼペプチドであってもよい。
プロテアーゼ阻害を達成するための1つの方法は、その正常な活性を妨げるためにプロテアーゼに向けた特異的抗体あるいは抗体フラグメントの、トランスジェニック植物における産生でもある。この阻害の方法は、抗体が植物細胞においてその抗原と結合する能力に依存的である。従って植物が抗体を産生することが必要とされ、このことは活性免疫グロブリンを産生するのに必要な単独または複数のトランスジーンによって植物を遺伝的に形質転換させることによって達成することができる。トランスジェニック植物において、免疫グロブリン(IgG,IgAおよびIgM)、単鎖抗体フラグメント(ScFv)、抗体結合フラグメント(Fab)および重鎖可変ドメインなどの多様な抗体が発現されているので、植物における抗体またはそのフラグメントの産生は当業者に周知である。
抗体またはそのフラグメントは、植物の成長時にはプロテアーゼの生体活性を維持し、かつ組換えタンパク質の抽出または細胞溶解の際には特異的に組換えタンパク質の保護を促進するために、ターゲティングしたプロテアーゼの天然の局在とは異なる細胞内コンパートメントにターゲティングすることが可能である。
本発明の実施態様の1つは、少なくとも1つのDNAフラグメントを利用して、組換えタンパク質を産生する遺伝的改変された植物における内因性プロテアーゼの発現を阻害する方法を提供することである。
本発明の他の態様によると、組換えタンパク質をコードするDNA配列および阻害物質をコードするDNA配列を含む植物または植物細胞の形質転換に有用なベクターを用いて、植物または植物細胞を得る。
本発明の他の態様に従い、少なくとも:(a)第1のプロモータと機能的に連結した、タンパク質を植物または植物細胞の特定の細胞内または細胞外コンパートメントに向けるためのターゲティングペプチドと融合しているか、または融合していない目的とする組換えタンパク質をコードするDNA配列を有する第1のDNAフラグメント;および(b)第2のプロモータと機能的に連結した、阻害物質を植物または植物細胞の特定の細胞内または細胞外コンパートメントに向けるためのターゲティングペプチドと融合しているか、または融合していないプロテアーゼ阻害物質をコードするDNA配列を有する第2のDNAフラグメントを含む1つまたはそれ以上の有用なベクターを用いた、植物全体、植物細胞、植物プロトプラストまたは植物色素体の形質転換により、トランスジェニック植物または植物細胞を得る。
本発明の他の態様に従い、(a)第1のプロモータと機能的に連結した、タンパク質を植物または植物細胞の特定の細胞内または細胞外コンパートメントに向けるための第1のターゲティングペプチドと融合または融合していない組換えタンパク質をコードするDNA配列を有する第1のDNAフラグメントを含む第1の植物を、(b)第2のプロモータと機能的に連結した、阻害物質を植物または植物細胞の特定の細胞内または細胞外コンパートメントに向けるための第2のターゲティングペプチドと融合または融合していないプロテアーゼ阻害物質をコードするDNA配列を有する第2のDNAフラグメントを含む第2の植物と交配することにより植物または植物細胞を得る。
本発明の態様の1つにおいて、シグナルペプチドの有無は、目的とする組換えタンパク質と同じ細胞内または細胞外コンパートメントへのプロテアーゼ阻害物質のターゲティングを達成する。代替的に、シグナルペプチドの有無は目的とする組換えタンパク質と異なる細胞内または細胞外コンパートメントへの、阻害物質のターゲティングを可能にする。
本発明の態様の1つにおいては、ターゲティングされる植物の細胞内または細胞外コンパートメントは、ミトコンドリア、色素体、貯蔵液胞、小胞体、サイトゾル、および細胞外コンパートメントからなる群より選択されるが、これに限定されない。
また本発明に従い、組換えタンパク質をコードするDNA配列、および色素体内でプロモータに機能的に連結された阻害物質をコードするDNA配列を含む色素体の形質転換に適したベクターを用いた植物または植物細胞の遺伝的形質転換によっても、トランスジェニック植物または植物細胞を得る。
また本発明の態様の1つにおいては、プロテアーゼ阻害物質をコードする遺伝子は、同じ細胞コンパートメント内あるいはその外で、目的とするタンパク質の遺伝子と共に植物ゲノムに共挿入してもよい。阻害物質は、植物において生成される組換えタンパク質と融合してもよい。1または数種類のプロテアーゼ阻害物質を発現している植物を、前記組換えタンパク質を発現している植物と交配してもよい。
本発明の他の実施態様においては、独自のプロモータと機能的に連結したプロテアーゼ阻害物質をコードするDNA配列と融合した組換えタンパク質をコードするDNA配列を含み、かつ融合したタンパク質と阻害物質を植物または植物細胞の特定の細胞内または細胞外コンパートメントに向けるためのターゲティングペプチドを任意に含むベクターを用いて、遺伝的形質転換によりトランスジェニック植物または植物細胞を得る。
本発明の他の実施態様においては、本発明に従った方法を実施するために用いられる発現ベクターは、構成的、誘導的、生長特異的、組織特異的、あるいはストレス特異的でありうるプロモータを含むことがある。
また、本発明に従った方法を実施するために、プロテアーゼの活性または発現は直接的または間接的に遺伝的改変することができる。
また本発明の一部は、阻害物質の発現を調節するために構成的であるが誘導的でもあるプロモータを用いることである。例えば、収穫前に誘導物質を添加することによって、収穫時にのみ阻害物質またはその合成を誘導することが可能である。
代替的に、本発明の他の実施態様に従い、前記方法は、組換えタンパク質の回収率を高めるために、収穫時に特異的プロテアーゼ阻害物質を阻害するための内因性植物阻害物質の外因性誘導に関与することがある。
本発明に従い、分子農業用植物株を生産する方法が提供される。目的の組換えタンパク質に対するプロテアーゼの作用を部分的あるいは完全に阻害するために、本明細書に記載されたあらゆる方法、戦略または手法を実施するために、あらゆる植物種を用いることができる。
特に興味深いことに、本発明はアルファルファあるいはジャガイモに適用することができる。
本発明は、その範囲を制限するためではなく、本発明を例示するために提供された以下の実施例を参照することによってより容易に理解することができる。
(植物プロテアーゼによるNPTIIタンパク質の分解)
(材料と方法)
特異的組換えタンパク質の分解は外因性プロテアーゼ阻害物質の発現によって低下させることができるという仮説を、簡便なモデルを用いて検討した。トランスジェニック植物の選択的マーカーとして頻繁に使用するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPTII)タンパク質を、プロテアーゼ阻害タンパク質を全く伴うことなくジャガイモに発現させ、さらにNPIIタンパク質の分解をモニタリングした。プロテアーゼ阻害物質遺伝子がnptII遺伝子と同じ構成に存在かつ発現している状況を模倣するために、プロテアーゼ阻害遺伝子であるトマトカテプシン−D阻害物質CDI(Werner et al, 1993, Plant Physioly 103: 1473)をNPTIIの近傍に導入したが、全くプロモータを伴わなかったためにCDI遺伝子が発現しなかった。
(材料と方法)
特異的組換えタンパク質の分解は外因性プロテアーゼ阻害物質の発現によって低下させることができるという仮説を、簡便なモデルを用いて検討した。トランスジェニック植物の選択的マーカーとして頻繁に使用するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPTII)タンパク質を、プロテアーゼ阻害タンパク質を全く伴うことなくジャガイモに発現させ、さらにNPIIタンパク質の分解をモニタリングした。プロテアーゼ阻害物質遺伝子がnptII遺伝子と同じ構成に存在かつ発現している状況を模倣するために、プロテアーゼ阻害遺伝子であるトマトカテプシン−D阻害物質CDI(Werner et al, 1993, Plant Physioly 103: 1473)をNPTIIの近傍に導入したが、全くプロモータを伴わなかったためにCDI遺伝子が発現しなかった。
トマトCDIをコードするDNA配列は、BamHIおよびEcoRIによる消化によって発現ベクターpGEX−3X/CDIより分離し(Brunelle
et al. 1999, Arch. Insect Biochem Physiol. 42: 88−98)、さらに市販のベクターpCAMBIA2300(CAMBIA,オーストラリア、キャンベラ)のBamHIおよびEcoRIクローニング部位の間にサブクローニングした。ジャガイモの無菌生育栄養分体(Solanum
tuberosum L. cultivar Kennebec)を遺伝的形質転換の原材料として用いた。栄養分体は、22℃、冷蛍光灯照明下で光度60μmol/m2/sの明期16時間/日とした組織培養室において、0.8%(w/v)寒天(Difco,
Detroit, MI)および3%(w/v)ショ糖を添加したMS増殖培地(Murashige and Skoog 1962, Physiologia
Plantarum 15 : 473−497)中で維持した。カルベニシリンの代わりにセフォタキシムをA.tumefaciensの生長の調節に用いた以外はWenzler
et al.(1989, Plant Sci. 63: 79−85)の報告に従い、細菌ベクターAgrobacterium tumefaciens
LBA4404を用いて、直径約10mmの葉ディスクを遺伝的に形質転換した。根の再生成と栄養分体の増殖のために、カナマイシンおよびセフォタキシムを加えた選択培地に再生成した茎頂を移した。順化のため、標準生育条件下の温室に移す前に、昼/夜温度周期24℃/21℃、明期:暗期12時間、光度200μmol/m2/s、かつ相対湿度60%とした生育チャンバーに、栄養分体を14日間移した。nptII(マーカー)トランスジーンのカナマイシン耐性植物への融合は、Edwardsらの方法に従い(1991,
Nuc. Acids Res. 19: 1349)、〜30cmのジャガイモ植物体の(先端から)4,5および6番目の葉より抽出したDNAを用いて、PCR法により確認した。
et al. 1999, Arch. Insect Biochem Physiol. 42: 88−98)、さらに市販のベクターpCAMBIA2300(CAMBIA,オーストラリア、キャンベラ)のBamHIおよびEcoRIクローニング部位の間にサブクローニングした。ジャガイモの無菌生育栄養分体(Solanum
tuberosum L. cultivar Kennebec)を遺伝的形質転換の原材料として用いた。栄養分体は、22℃、冷蛍光灯照明下で光度60μmol/m2/sの明期16時間/日とした組織培養室において、0.8%(w/v)寒天(Difco,
Detroit, MI)および3%(w/v)ショ糖を添加したMS増殖培地(Murashige and Skoog 1962, Physiologia
Plantarum 15 : 473−497)中で維持した。カルベニシリンの代わりにセフォタキシムをA.tumefaciensの生長の調節に用いた以外はWenzler
et al.(1989, Plant Sci. 63: 79−85)の報告に従い、細菌ベクターAgrobacterium tumefaciens
LBA4404を用いて、直径約10mmの葉ディスクを遺伝的に形質転換した。根の再生成と栄養分体の増殖のために、カナマイシンおよびセフォタキシムを加えた選択培地に再生成した茎頂を移した。順化のため、標準生育条件下の温室に移す前に、昼/夜温度周期24℃/21℃、明期:暗期12時間、光度200μmol/m2/s、かつ相対湿度60%とした生育チャンバーに、栄養分体を14日間移した。nptII(マーカー)トランスジーンのカナマイシン耐性植物への融合は、Edwardsらの方法に従い(1991,
Nuc. Acids Res. 19: 1349)、〜30cmのジャガイモ植物体の(先端から)4,5および6番目の葉より抽出したDNAを用いて、PCR法により確認した。
PCR陽性植物よりタンパク質抽出物を調製し、さらにNPTIIタンパク質の分解を市販の抗体を用いたウエスタン分析でモニタリングする経時変化実験に供した。図1Aは、nptII遺伝子を発現し、プロモータを伴わないCDI遺伝子を含む対照トランスジェニック株由来の粗抽出物におけるジャガイモ葉プロテアーゼによるNPTIIタンパク質の分解を例示する。NPTIIタンパク質の検出は、ウエスタン法により実施した。ウエスタンブロットに見られるように(図1A)、NPTIIタンパク質の分解はインキュベーション開始より10分以内に認められた。
(植物葉プロテアーゼによる臨床的に有用なタンパク質の分解)
(材料と方法)
抽出操作中、他の組換えタンパク質もタンパク分解による分解の標的となることがある。特に、この分解は植物生成医薬品の回収に非常に好ましくない作用を有することがある。ジャガイモにおいて発生するこの過程が他の植物でも認められうることを例示するために、アルファルファ葉抽出物における臨床的に有用なタンパク質の分解をモニタリングした。この実験は、市販のタンパク質をアルファルファ葉抽出物にin vitro添加し、これらのタンパク質の分解をウエスタン分析で一定時間モニタリングするものであった。第1の実験では(図1B)、アルファルファプロテアーゼ存在下におけるヒトフィブロネクチンのin vitro分解を、10mMβ−メルカプトエタノールを含む50mMトリス−塩酸pH7.0(1:3w/v)中で調製したアルファルファ(cultivar Saranac)葉抽出物5μLをフィブロネクチン2μg(Boehringer Mannheim, cat #
1080938)と混合することによりモニタリングした。混合物を37℃でインキュベートし、SDS−PAGE変性/適用バッファー5μLを添加して反応を停止させた。タンパク質サンプル(T=0,およびT=1時間)を10%(w/v)SDS−PAGEゲルに適用し、ニトロセルロース膜上で電気泳動させた。基質タンパク質およびそのタンパク分解フラグメントは、ヒトフィブロネクチンに対するポリクローナル抗体(Sigma
Aldrich, cat # F3648)により免疫検出した。
(材料と方法)
抽出操作中、他の組換えタンパク質もタンパク分解による分解の標的となることがある。特に、この分解は植物生成医薬品の回収に非常に好ましくない作用を有することがある。ジャガイモにおいて発生するこの過程が他の植物でも認められうることを例示するために、アルファルファ葉抽出物における臨床的に有用なタンパク質の分解をモニタリングした。この実験は、市販のタンパク質をアルファルファ葉抽出物にin vitro添加し、これらのタンパク質の分解をウエスタン分析で一定時間モニタリングするものであった。第1の実験では(図1B)、アルファルファプロテアーゼ存在下におけるヒトフィブロネクチンのin vitro分解を、10mMβ−メルカプトエタノールを含む50mMトリス−塩酸pH7.0(1:3w/v)中で調製したアルファルファ(cultivar Saranac)葉抽出物5μLをフィブロネクチン2μg(Boehringer Mannheim, cat #
1080938)と混合することによりモニタリングした。混合物を37℃でインキュベートし、SDS−PAGE変性/適用バッファー5μLを添加して反応を停止させた。タンパク質サンプル(T=0,およびT=1時間)を10%(w/v)SDS−PAGEゲルに適用し、ニトロセルロース膜上で電気泳動させた。基質タンパク質およびそのタンパク分解フラグメントは、ヒトフィブロネクチンに対するポリクローナル抗体(Sigma
Aldrich, cat # F3648)により免疫検出した。
第2の実験においては(図1C)、アルファルファプロテアーゼ存在下におけるヒトヘモグロビンのin
vitroでの安定性を、0.1%Triton X−100,2mM PMSFおよび10μMキモスタチンを含む20mM Mops,pH7.5により調製した20μgのアルファルファ葉抽出物中を最終体積8μLとしたヘモグロビン200ngと混合してモニタリングした。混合物を室温でインキュベートし、β−メルカプトエタノールにより5倍希釈した変性/適用バッファー2μLを添加し(0,15,30分、1時間および1時間30分)、反応を停止させた。タンパク質サンプルを15%(w/v)SDS−PAGEゲルに適用し、PVDF膜上で電気泳動させた。基質タンパク質は、ヒトヘモグロビンに対するモノクローナル抗体(Fitzgerald
Cat # 1OH03)を用いて免疫検出した。ゲル上の「Std」レーンは純粋なヘモグロビン200ngに相当する。簡潔に述べると、図1はアルファルファ葉抽出物存在下におけるフィブロネクチン(B)およびヘモグロビン(C)の分解を例示し、これらのタンパク質に対する植物の内因性プロテアーゼの加水分解作用を示している。例えばフィブロネクチンは、アルファルファ(cultivar Saranac)内因性プロテアーゼによって容易に分解され、中間体となって最終的に加水分解される(図1B)。ヘモグロビンもアルファルファプロテアーゼと共にインキュベーションすると30分後に分解される(1C)。
vitroでの安定性を、0.1%Triton X−100,2mM PMSFおよび10μMキモスタチンを含む20mM Mops,pH7.5により調製した20μgのアルファルファ葉抽出物中を最終体積8μLとしたヘモグロビン200ngと混合してモニタリングした。混合物を室温でインキュベートし、β−メルカプトエタノールにより5倍希釈した変性/適用バッファー2μLを添加し(0,15,30分、1時間および1時間30分)、反応を停止させた。タンパク質サンプルを15%(w/v)SDS−PAGEゲルに適用し、PVDF膜上で電気泳動させた。基質タンパク質は、ヒトヘモグロビンに対するモノクローナル抗体(Fitzgerald
Cat # 1OH03)を用いて免疫検出した。ゲル上の「Std」レーンは純粋なヘモグロビン200ngに相当する。簡潔に述べると、図1はアルファルファ葉抽出物存在下におけるフィブロネクチン(B)およびヘモグロビン(C)の分解を例示し、これらのタンパク質に対する植物の内因性プロテアーゼの加水分解作用を示している。例えばフィブロネクチンは、アルファルファ(cultivar Saranac)内因性プロテアーゼによって容易に分解され、中間体となって最終的に加水分解される(図1B)。ヘモグロビンもアルファルファプロテアーゼと共にインキュベーションすると30分後に分解される(1C)。
(植物葉抽出物中の主なプロテアーゼ活性の同定)
(材料と方法)
各植物種に認められる数種類のプロテアーゼが存在する。アルファルファおよびジャガイモに認められる主なプロテアーゼ活性をキャラクタライゼーションするために、これらの2種の葉より粗タンパク抽出物を得た。図2は、ゼラチンの分解に対する内因性アルファルファ(A)およびジャガイモ(B)葉プロテアーゼ(矢印)の加水分解作用を例示する。50mMトリス−塩酸pH7.5を用いてアルファルファ(cultivar Saranak)またはジャガイモ(cultivar cultivarKennebec)葉より可溶性タンパク質を抽出し(1:3w/v)、さらに0.1%(w/v)ゼラチン包埋した非還元条件下の10%(w/v)SDS−ポリアクリルアミドスラブゲル上にて分離した(Michaud
et al., 1993, Electrophoresis 14: 94−98)。2.5%(v/v)Triton X−100中で前記ゲルを25℃で30分間インキュベートし、プロテイナーゼ再生を行った。0.1%TritonX−100および5mM
L−システインを含む37℃の100mMクエン酸リン酸pH6.0中にゲルを30分間置くことにより、ゼラチナーゼ反応を活性化した。プロテイナーゼは、クマシーブリリアントブルーで染色した後、青色の背景と対比した透明(溶解)バンドとして視覚化した。
(材料と方法)
各植物種に認められる数種類のプロテアーゼが存在する。アルファルファおよびジャガイモに認められる主なプロテアーゼ活性をキャラクタライゼーションするために、これらの2種の葉より粗タンパク抽出物を得た。図2は、ゼラチンの分解に対する内因性アルファルファ(A)およびジャガイモ(B)葉プロテアーゼ(矢印)の加水分解作用を例示する。50mMトリス−塩酸pH7.5を用いてアルファルファ(cultivar Saranak)またはジャガイモ(cultivar cultivarKennebec)葉より可溶性タンパク質を抽出し(1:3w/v)、さらに0.1%(w/v)ゼラチン包埋した非還元条件下の10%(w/v)SDS−ポリアクリルアミドスラブゲル上にて分離した(Michaud
et al., 1993, Electrophoresis 14: 94−98)。2.5%(v/v)Triton X−100中で前記ゲルを25℃で30分間インキュベートし、プロテイナーゼ再生を行った。0.1%TritonX−100および5mM
L−システインを含む37℃の100mMクエン酸リン酸pH6.0中にゲルを30分間置くことにより、ゼラチナーゼ反応を活性化した。プロテイナーゼは、クマシーブリリアントブルーで染色した後、青色の背景と対比した透明(溶解)バンドとして視覚化した。
この検出法は、得られた1つまたはそれ以上のプロテアーゼ活性に対する特異的プロテアーゼ阻害物質活性の同定を容易に可能とするであろう。当業者は、同様なタンパク抽出を行い、特異的プロテアーゼ阻害物質を添加し、かつ使用したプロテアーゼ阻害物質がこの特異的プロテアーゼ活性を不活性化できることを示す、ゼラチンゲル上での溶解バンドの消失を検出することが可能である。
(特異的植物プロテアーゼ活性に対する多様なタンパク阻害物質の作用)
(材料と方法)
実施例3に記載の方法を用いて、どのプロテアーゼ活性が臨床的に有用な特異的タンパク質の分解を担うか同定することが可能である。そこからプロテアーゼ活性を選択的に失効させる特異的プロテアーゼ阻害物質を確認できることは興味深いと思われる。この用途向けに合成蛍光プロテアーゼ基質の使用を検討した。蛍光プロテアーゼ基質は、各植物プロテアーゼの阻害に対する多様な診断的または組換えPIの効力を判定する上で有用である。10mMβ−メルカプトエタノールを含有する50mMトリス−塩酸pH7.5で葉タンパク質を抽出し(1:3w/v)、抽出バッファーを用いてタンパク含有量を最終濃度1mg/mLに調節した。主反応混合物は、抽出バッファー1080μL,植物抽出物108μL、および1mMのAla−Ala−Phe−MCA,1mMのsuc−Ala−Ala−Pro−Phe−MCA,1mMのsuc−Leu−Val−Tyr−MCAまたは1mMのBz−Arg−MCAのうちいずれか12μLを混合して調製した。主反応混合物100μLを96ウェルマイクロプレートに分注し、さらに100mM
PMSF(セリンプロテアーゼ阻害物質),1mMアプロチニン(セリンプロテアーゼ阻害物質),10mMキモスタチン(セリンプロテアーゼおよび一部のシステインプロテアーゼの阻害物質),1mg/mLα−1抗キモトリプシン(キモトリプシン様プロテアーゼ阻害物質),10mMロイペプシン(トリプシン様プロテアーゼおよび一部のシステインプロテアーゼの阻害物質),1mMペプスタチン(アスパラギン酸プロテアーゼ阻害物質),100mME−64(システインプロテアーゼ阻害物質),組換えCDI(カテプシン−D阻害物質;アスパラギン酸プロテアーゼ阻害物質),組換えOCI(オリザシスタチンI;システインプロテアーゼ阻害物質),組換えCCII(トウモロコシシスタチン2;システインプロテアーゼ阻害物質)および組換えPMC8(ジャガイモマルチシスタチンドメイン8;システインプロテアーゼ阻害物質)5μLを最終的に反応混合物に加えた。蛍光強度は、Fluostar
Polastar GalaxyTM 蛍光光度計(BMG Lab Technologies)を用いて、それぞれ485nmおよび520nmの励起および発光フィルターによって30℃で5000秒間の間に100回測定した。1分ごとの蛍光を単位として表されるプロテアーゼ活性は、発光曲線の勾配に対応していた。図3および4に示すように、セリン(例:PMSF−、アプロチニン、キモトリプシンおよびキモスタチン−感受性)、システイン(E−64/システイン感受性)、およびアスパラギン酸(ペプスタチン感受性)プロテアーゼなどのアルファルファおよびジャガイモ葉に由来する多様な種類のプロテアーゼ活性を低下のための可能な標的と見なしてもよい。
(材料と方法)
実施例3に記載の方法を用いて、どのプロテアーゼ活性が臨床的に有用な特異的タンパク質の分解を担うか同定することが可能である。そこからプロテアーゼ活性を選択的に失効させる特異的プロテアーゼ阻害物質を確認できることは興味深いと思われる。この用途向けに合成蛍光プロテアーゼ基質の使用を検討した。蛍光プロテアーゼ基質は、各植物プロテアーゼの阻害に対する多様な診断的または組換えPIの効力を判定する上で有用である。10mMβ−メルカプトエタノールを含有する50mMトリス−塩酸pH7.5で葉タンパク質を抽出し(1:3w/v)、抽出バッファーを用いてタンパク含有量を最終濃度1mg/mLに調節した。主反応混合物は、抽出バッファー1080μL,植物抽出物108μL、および1mMのAla−Ala−Phe−MCA,1mMのsuc−Ala−Ala−Pro−Phe−MCA,1mMのsuc−Leu−Val−Tyr−MCAまたは1mMのBz−Arg−MCAのうちいずれか12μLを混合して調製した。主反応混合物100μLを96ウェルマイクロプレートに分注し、さらに100mM
PMSF(セリンプロテアーゼ阻害物質),1mMアプロチニン(セリンプロテアーゼ阻害物質),10mMキモスタチン(セリンプロテアーゼおよび一部のシステインプロテアーゼの阻害物質),1mg/mLα−1抗キモトリプシン(キモトリプシン様プロテアーゼ阻害物質),10mMロイペプシン(トリプシン様プロテアーゼおよび一部のシステインプロテアーゼの阻害物質),1mMペプスタチン(アスパラギン酸プロテアーゼ阻害物質),100mME−64(システインプロテアーゼ阻害物質),組換えCDI(カテプシン−D阻害物質;アスパラギン酸プロテアーゼ阻害物質),組換えOCI(オリザシスタチンI;システインプロテアーゼ阻害物質),組換えCCII(トウモロコシシスタチン2;システインプロテアーゼ阻害物質)および組換えPMC8(ジャガイモマルチシスタチンドメイン8;システインプロテアーゼ阻害物質)5μLを最終的に反応混合物に加えた。蛍光強度は、Fluostar
Polastar GalaxyTM 蛍光光度計(BMG Lab Technologies)を用いて、それぞれ485nmおよび520nmの励起および発光フィルターによって30℃で5000秒間の間に100回測定した。1分ごとの蛍光を単位として表されるプロテアーゼ活性は、発光曲線の勾配に対応していた。図3および4に示すように、セリン(例:PMSF−、アプロチニン、キモトリプシンおよびキモスタチン−感受性)、システイン(E−64/システイン感受性)、およびアスパラギン酸(ペプスタチン感受性)プロテアーゼなどのアルファルファおよびジャガイモ葉に由来する多様な種類のプロテアーゼ活性を低下のための可能な標的と見なしてもよい。
(アルファルファ様抽出物中のフィブロネクチンタンパク分解の阻害)
(材料と方法)
ヒトフィブロネクチンは、アルファルファ葉抽出物中のプロテアーゼ分解に対して感受性があることが示されている(図1C)。以下の段階は、フィブロネクチン分解を阻害する多様なプロテアーゼ阻害物質の用途を証明するものである。フィブロネクチンの安定性は、セリン型阻害物質α−1抗キモトリプシンを用いてアルファルファプロテアーゼを阻害することによって著明に高まった(図5)。まず、アルファルファ葉由来のタンパク質抽出物をクロマトグラフィにより分離し、プロテアーゼ活性含有量の最も高い特異的分画を分離した。アルファルファ(cultivar Saranac)葉は液体窒素内で破砕し、10mM β−メルカプトエタノールを含有する50mMトリス−塩酸pH6.8で再可溶化することにより抽出した。粗抽出物は10000G,4℃で15分間遠心分離し、上清を孔径0.3μmのフィルターで濾過した。次に葉タンパク質15mgを抽出バッファーで平衡化したMono−Q
FPLCカラム(Pharmacia)に適用した。流速2mL/分の抽出バッファー中でKClのリニアグラジエント(0から0.7M)によりタンパク質を溶離した。500μLの分画を捕集し、各分画サンプルをゼラチン/PAGEゲルに適用した(図5A)。ゲル内で最も高いゼラチンタンパク分解を引き起こした分画#8は、α−1抗キモトリプシンの保護作用の評価に用いた。
(材料と方法)
ヒトフィブロネクチンは、アルファルファ葉抽出物中のプロテアーゼ分解に対して感受性があることが示されている(図1C)。以下の段階は、フィブロネクチン分解を阻害する多様なプロテアーゼ阻害物質の用途を証明するものである。フィブロネクチンの安定性は、セリン型阻害物質α−1抗キモトリプシンを用いてアルファルファプロテアーゼを阻害することによって著明に高まった(図5)。まず、アルファルファ葉由来のタンパク質抽出物をクロマトグラフィにより分離し、プロテアーゼ活性含有量の最も高い特異的分画を分離した。アルファルファ(cultivar Saranac)葉は液体窒素内で破砕し、10mM β−メルカプトエタノールを含有する50mMトリス−塩酸pH6.8で再可溶化することにより抽出した。粗抽出物は10000G,4℃で15分間遠心分離し、上清を孔径0.3μmのフィルターで濾過した。次に葉タンパク質15mgを抽出バッファーで平衡化したMono−Q
FPLCカラム(Pharmacia)に適用した。流速2mL/分の抽出バッファー中でKClのリニアグラジエント(0から0.7M)によりタンパク質を溶離した。500μLの分画を捕集し、各分画サンプルをゼラチン/PAGEゲルに適用した(図5A)。ゲル内で最も高いゼラチンタンパク分解を引き起こした分画#8は、α−1抗キモトリプシンの保護作用の評価に用いた。
続いて、同定された分画#8を多様なプロテアーゼ阻害物質と共に用い、フィブロネクチンタンパク分解の阻害の潜在的候補を同定した。図5Bに例示した実験において、5μLの分画#8を350ngのフィブロネクチンと混合し、2μLのH2O(レーン2)、2μLの10mMキモスタチン(レーン3)または2μLα−1抗キモトリプシン(レーン4)の存在下において37℃で15分間インキュベートした。対照(レーン1)は、アルファルファプロテアーゼの代わりに5μLの抽出物のバッファーを含んでいた。15分後に反応を停止させ、図1Cに示すようにフィブロネクチンを免疫検出した。図5Bに示すように、Mono−Qクロマトグラフィで溶離された分画は著明なフィブロネクチンタンパク分解を引き起こすが、セリン様プロテアーゼ、キモスタチンおよびα−1アンチキモトリプシンの阻害物質によって阻害された。タンパク質(α−1抗キモトリプシン)および化学物質(キモスタチン)のいずれの分子もフィブロネクチン分解の低下に有効であることに留意されたい。
(ジャガイモ葉抽出物中の特異的アスパラギン酸型プロテアーゼ阻害物質によるカテプシンD様プロテアーゼ活性の阻害)
(材料と方法)
実施例5と同様に、可溶性タンパク質をジャガイモ(cultivar Kennebec)葉より調製し、Mono−Qクロマトグラフィで分離し、さらに図5Aに記載されるようにゼラチン/PAGEに供した(図6A)。カテプシンD特異性基質(MOCAc−Gly−Lys−Pro−Ile−Leu−Phe−Phe−Arg−Leu−Lys(Dnp)−D−Arg−NH2)を最終濃度6μMとして用いて、各クロマトグラフィ分画について蛍光測定法によりプロテアーゼ活性を測定した(図6B)。図6Cに図示されるように、最も高いカテプシンD−様活性を示すジャガイモ葉タンパク質分画(分画#13)におけるプロテアーゼ活性は、アスパラギン酸型阻害物質トマトカテプシンD阻害物質「CDI」によって劇的に変化し、植物の内因性プロテアーゼ阻害を通じたタンパク質の完全性の保護を目的とする戦略の開発に向けた興味深い標的としてCDI−感受性プロテアーゼを同定した。興味深いことに、媒質中には他の(非感受性)プロテアーゼが存在するにもかかわらず、単一のプロテアーゼ(またはプロテアーゼ群)の阻害は粗抽出物中に存在する大部分のタンパク質を保護するのに充分であることも、我々のデータより示される。
(材料と方法)
実施例5と同様に、可溶性タンパク質をジャガイモ(cultivar Kennebec)葉より調製し、Mono−Qクロマトグラフィで分離し、さらに図5Aに記載されるようにゼラチン/PAGEに供した(図6A)。カテプシンD特異性基質(MOCAc−Gly−Lys−Pro−Ile−Leu−Phe−Phe−Arg−Leu−Lys(Dnp)−D−Arg−NH2)を最終濃度6μMとして用いて、各クロマトグラフィ分画について蛍光測定法によりプロテアーゼ活性を測定した(図6B)。図6Cに図示されるように、最も高いカテプシンD−様活性を示すジャガイモ葉タンパク質分画(分画#13)におけるプロテアーゼ活性は、アスパラギン酸型阻害物質トマトカテプシンD阻害物質「CDI」によって劇的に変化し、植物の内因性プロテアーゼ阻害を通じたタンパク質の完全性の保護を目的とする戦略の開発に向けた興味深い標的としてCDI−感受性プロテアーゼを同定した。興味深いことに、媒質中には他の(非感受性)プロテアーゼが存在するにもかかわらず、単一のプロテアーゼ(またはプロテアーゼ群)の阻害は粗抽出物中に存在する大部分のタンパク質を保護するのに充分であることも、我々のデータより示される。
(ジャガイモ中のトマトカテプシンD阻害物質の異所性発現による組換えタンパク質の安定化)
(材料と方法)
植物において組換えプロテアーゼ阻害物質を異所的に発現させることの、抽出時の内因性プロテアーゼの活性に対する影響を評価するために(ex vitro)、トマト由来カテプシンD阻害物質であるトマトCDI(Werner et al. 1993, Plant Physiology 103: 1473)を発現ベクターに組込み、ジャガイモ(cultivar
Kennebec)に安定的に発現させた。選択マーカーであるネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPTII)を発現しているがCDIを発現していないトランスジェニック対照も、プロモータを伴わずにCDIトランスジーンを組込むことで開発した。トマトCDIをコードするDNA配列は、BamHIおよびEcoRIによる消化によって発現ベクターpGEX−3X/CDIより分離し(Brunelle
et al. 1999, Arch. Insect Biochem Physiol. 42: 88−98)、さらに市販のベクターpCAMBIA2300(CAMBIA,オーストラリア、キャンベラ)のBamHIおよびEcoRIクローニング部位の間にサブクローニングした。CaMV35Sプロモータは、BamHI/SalI処理を用いて市販のプラスミドpBI−121(Clontech,
Palo Alto, CA)より分離し、また次にCDIトランスジーンを含むpCAMBIA構成のBamHIとSalIの間のクローニング部位に連結した。選択マーカーであるネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPTII)を発現しているがCDIを発現していないトランスジェニック対照(SPCD株)も、プロモータを伴わずにCDIトランスジーンを融合することで開発した。ジャガイモ植物体の形質転換は、実施例1に示された方法に従って実施した。トランスジェニック株におけるCDIトランスジーンの発現は、Logemannらの方法(1987,
Anal Biochem. 163: 16−20)に従い、nptiiトランスジーン陽性植物の第4,5および6番目の葉から抽出した総RNAを用いてRT−PCRおよびノーザンブロット法でモニタリングした。
(材料と方法)
植物において組換えプロテアーゼ阻害物質を異所的に発現させることの、抽出時の内因性プロテアーゼの活性に対する影響を評価するために(ex vitro)、トマト由来カテプシンD阻害物質であるトマトCDI(Werner et al. 1993, Plant Physiology 103: 1473)を発現ベクターに組込み、ジャガイモ(cultivar
Kennebec)に安定的に発現させた。選択マーカーであるネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPTII)を発現しているがCDIを発現していないトランスジェニック対照も、プロモータを伴わずにCDIトランスジーンを組込むことで開発した。トマトCDIをコードするDNA配列は、BamHIおよびEcoRIによる消化によって発現ベクターpGEX−3X/CDIより分離し(Brunelle
et al. 1999, Arch. Insect Biochem Physiol. 42: 88−98)、さらに市販のベクターpCAMBIA2300(CAMBIA,オーストラリア、キャンベラ)のBamHIおよびEcoRIクローニング部位の間にサブクローニングした。CaMV35Sプロモータは、BamHI/SalI処理を用いて市販のプラスミドpBI−121(Clontech,
Palo Alto, CA)より分離し、また次にCDIトランスジーンを含むpCAMBIA構成のBamHIとSalIの間のクローニング部位に連結した。選択マーカーであるネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPTII)を発現しているがCDIを発現していないトランスジェニック対照(SPCD株)も、プロモータを伴わずにCDIトランスジーンを融合することで開発した。ジャガイモ植物体の形質転換は、実施例1に示された方法に従って実施した。トランスジェニック株におけるCDIトランスジーンの発現は、Logemannらの方法(1987,
Anal Biochem. 163: 16−20)に従い、nptiiトランスジーン陽性植物の第4,5および6番目の葉から抽出した総RNAを用いてRT−PCRおよびノーザンブロット法でモニタリングした。
カテプシンD様活性は、低(Kennebec,SPCD4およびSPCD7)または高(CD3A,CD18A,CD21A)レベルのCDImRNAを発現しているトランスジェニックジャガイモ植物体において測定した。葉のタンパク質は実施例4の記載に従って抽出した。カテプシンD活性の蛍光分析は実施例6の記載に従って分析した。図7に示すように、カテプシンD様活性はCDIトランスジーンを発現しているトランスジェニックジャガイモ株において有意に低下した。適当なポリクローナル抗体を用いたウエスタンブロット法で示されるように(図8)、高レベル組換えCDImRNA(クローン21A)発現トランスジェニック株に由来する粗タンパク質抽出物中のジャガイモ葉プロテアーゼによる組換えマーカータンパク質NPTIIの分解は、トランスジェニック対照株SPCD4について認められる分解パターンと比較して有意に低下した。NPTIIタンパク質は、CDIを高レベルで発現しているCD21トランスジェニック植物体抽出物中では50分後でも検出できるのに対し、CDI構成が低いプロモータ(SPCD)を含む対照株においてはインキュベーションよりわずか10分後に完全に分解する。この所見は、実践上の観点より、ジャガイモ葉抽出物中のアスパラギン酸プロテアーゼ活性はトマトCDIによって効率的に阻害され、組換えタンパク質をこの酵素による加水分解から保護することを示す。
アルファルファとジャガイモについて上で述べたように、植物葉細胞は抽出時に媒質中に放出される非特異的プロテアーゼを相当量含む。一般的には、植物葉中の非特異的タンパク分解活性の大半は、酸性〜弱酸性pH範囲で活性な、多くの場合システインおよびアスパラギン酸クラスタンパク分解酵素に属するプロテアーゼで占められていると推測されている。本明細書に提示されたデータより、例えばCIDおよびキモスタチン感受性プロテアーゼなどの様々な種類のプロテアーゼは、有用なタンパク質の安定性に重大な影響を与えうることが明らかである。大半の非特異的プロテアーゼは細胞質以外の細胞コンパートメント内に認められることが多いので、これらのプロテアーゼに対して活性な阻害物質(例:トマトCDIまたはα1−抗キモトリプシン)は、宿主植物のin
vivo代謝に好ましくない影響を与えないようにし、さらに回収過程における細胞破砕後には内因性プロテアーゼに作用できるように、葉細胞の細胞質コンパートメント(または他の部位)に発現させることがある。
vivo代謝に好ましくない影響を与えないようにし、さらに回収過程における細胞破砕後には内因性プロテアーゼに作用できるように、葉細胞の細胞質コンパートメント(または他の部位)に発現させることがある。
実際には、この目的を達成するために2種類の戦略を用いることができる(図9Bおよび9C)。第1の戦略は、適当なプロテアーゼ阻害物質を発現しているアルファルファトランスジェニック株を開発し、次にこの株を有用なタンパク質を発現する二重形質転換株を生成するための「抗タンパク分解」(または「低タンパク分解」)工場として用いることからなる(図9B)。第2の戦略は、プロテアーゼ阻害物質候補および目的のタンパク質を含む融合タンパク質をデザインし、融合の開裂および遊離タンパク質の回収を可能にするプロテアーゼ感受性開裂部位により連結することからなる(図9C)。戦略1については、プロテアーゼ阻害物質を発現しているトランスジェニック株は、その後アルファルファにおいて多様なタンパク質を生成するための「普遍的」工場の役割を果たす。戦略2は、発現する各タンパク質について遺伝子融合を生成するので特異性は高くなるが、1段階の形質転換でタンパク質を保護することができる。いずれの場合も、共に用いる阻害物質はin vivoで植物細胞中に存在し、その後抽出時の細胞破砕後にはいかなる活性植物標的プロテアーゼも阻害することができる。
本発明はその具体的実施態様と関連付けて説明されているものの、さらなる改変が可能であり、一般的に本発明の原則に従い、かつ既知の範囲内の本開示からの逸脱あるいは本発明が関係する技術の範囲内で既知であるかまたは慣習的実践であり、かつ本明細書に記載された本質的特性に適用できるよう、および付属する特許請求の範囲のように本明細書は本発明のあらゆる変法、用途、または変更を含むことを意図することが理解されるであろう。
Claims (24)
- 植物細胞中の組換えタンパク質の回収率を前記植物細胞の天然の生理機能を著しく変化させることなく高めるための方法であって、前記植物細胞の破砕時に前記植物細胞から放出される阻害物質によって前記組換えタンパク質の分解に関与する少なくとも1つの植物プロテアーゼの活性または作用を中和することを含む方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記植物細胞が植物またはin vitro培養に由来する細胞。
- 請求項1の方法であって、前記中和が部分的または完全である方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記組換えタンパク質を抽出するために前記植物細胞を処理する際に前記中和が起こる方法。
- 請求項1の方法であって、前記組換えタンパク質を抽出するための過程を実施する際に前記植物細胞が破砕される方法。
- 請求項1の方法であって、前記プロテアーゼがシステインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、金属プロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、トレオニンプロテアーゼおよび多特異的プロテアーゼからなる群から選択される方法。
- 請求項1の方法であって、前記阻害物質が機能的にこれと連結されたプロモータを含む発現カセットによって形質転換された前記植物細胞において組換えによって生成される方法。
- 請求項1の方法であって、前記抽出過程において植物プロテアーゼの活性より前記組換えタンパク質を保護するように、前記阻害物質がリーダーペプチド、シグナルペプチドあるいは固定ペプチド、あるいは前記阻害物質を細胞の一部または細胞外コンパートメントに誘導あるいは固定するタンパク質と連結される方法。
- 請求項7の方法であって、前記阻害物質が前記植物細胞あるいは前記植物細胞を含む植物の生理機能あるいは生育を維持するための前記プロテアーゼ活性を干渉しない方法。
- 請求項7の方法であって、前記細胞の一部(部分)がミトコンドリア、葉緑体、貯蔵液胞、小胞体およびサイトゾルからなる群から選択されたオルガネラである方法。
- 請求項7の方法であって、前記阻害物質が抗体またはそのフラグメント、センスmRNAまたはアンチセンスmRNA,転写阻害物質またはその調節物質、翻訳阻害物質またはその調節物質、リーディングまたはシグナルペプチド阻害物質、代謝によるプロテアーゼ活性化を阻害する物質、プロテアーゼ特異性プロテアーゼ、および前記プロテアーゼをオルガネラあるいは細胞コンパートメントに隔離するために誘導するアフィニティペプチドプロテアーゼからなる群から選択されている方法。
- 請求項8の方法であって、前記の遺伝的改変された植物がアルファルファまたはジャガイモである方法。
- 請求項1の方法であって、前記プロテアーゼがキモスタチン感受性セリンプロテアーゼである方法。
- 請求項1の方法であって、前記プロテアーゼがシスタチン感受性システインプロテアーゼである方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記阻害物質がプロテアーゼ阻害物質である方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記植物細胞が遺伝的改変されている方法。
- 請求項1の方法であって、構成的あるいは誘導性プロモータ、あるいは組織あるいは生長特異性プロモータの調節を受ける遺伝子によりコードされる阻害物質によって前記中和が実施される方法。
- 請求項3あるいは請求項5の方法であって、前記組換えタンパク質あるいは阻害物質が前記植物細胞の核または色素体で生成される方法。
- 植物中の組換えタンパク質の回収率を高める方法であって:
a)前記植物細胞の破砕時に少なくとも1つのプロテアーゼの作用あるいは活性を部分的または完全に中和することを目的として、少なくとも1つの遺伝的あるいは代謝的反応を調節するために遺伝的改変された植物細胞において組換えタンパク質の生成を可能にする段階;および
b)前記植物細胞破砕後に前記組換えタンパク質を回収する段階を含む方法。 - 請求項19に記載の方法であって、前記植物細胞が植物またin vitro培養に由来する細胞。
- 請求項19の方法であって、前記組換えタンパク質を前記プロテアーゼの作用あるいは活性から保護するよう、その活性プロテアーゼへの転写または翻訳を阻害することによって、あるいは前記植物細胞より生成される阻害物質によって、あるいは前記組換えタンパク質をペプチドあるいはタンパク質と連結することによって前記プロテアーゼの前記作用または活性が中和される方法。
- 植物細胞または植物であって、前記植物細胞または前記植物の細胞が破砕される際の前記植物細胞または植物に由来する組換えタンパク質の回収率を改善するために、少なくとも1つのプロテアーゼの作用または活性を部分的または完全に中和することを目的として少なくとも1つの遺伝的または代謝的反応を調節するために遺伝的改変された植物細胞または植物。
- 請求項22の植物または植物細胞であって、前記調節がプロテアーゼをコードする遺伝子の転写あるいは翻訳を阻害するか、あるいは前記植物あるいは植物細胞において生成するプロテアーゼ阻害物質によってプロテアーゼを中和する植物または植物細胞。
- 請求項22に記載の植物細胞または植物であって、少なくとも1つのプロテアーゼからの前記組換えタンパク質の保護を高めるように、前記組換えタンパク質あるいはプロテアーゼ阻害物質がリーダーペプチド、シグナルペプチドあるいはタンパク質と連結される植物細胞または植物。
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