JP2005526729A - レトロウイルス免疫療法の戦略 - Google Patents

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Abstract

本発明者らは、哺乳動物を感染させるレトロウイルスに応答して少なくとも二つの免疫細胞集団が産生されることに注目した。特に、レトロウイルスに感染した哺乳動物の免疫系は、本明細書において一般に「エフェクター細胞」と呼ばれる細胞群を通じてウイルスに対する免疫応答を増大させることができるが、本明細書において一般に「レギュレーター細胞」(またはサプレッサー細胞)と呼ばれる、「エフェクター細胞」を調節する第二の細胞集団も産生され、哺乳動物がレトロウイルス感染を有効に制御または根絶する能力を制限する。したがって、本発明はこれらの知見を用いて、レトロウイルス感染症を有する哺乳動物の治療方法を提供する。さらに本発明者は、急性期炎症マーカーが、レトロウイルス抗原に応答する「エフェクター細胞」の検出およびモニターに使用できることを見出した。

Description

発明の分野
本発明は、哺乳動物対象におけるレトロウイルス感染症の治療方法を提供する。特に、本発明は、ヒト対象における免疫不全関連疾患につながるレトロウイルス感染症の治療方法を提供する。
発明の背景
ヒト免疫不全ウィルス(HIV)は、多くの場合に、後天性免疫不全症候群(AIDS)の発症につながる持続性かつ進行性の感染症を引き起こす。HIVには、HIV-1およびHIV-2の少なくとも二つの異なる型がある。ヒトにおいては、HIV感染症はついには免疫不適格、日和見感染症、神経機能不全、新生物増殖を引き起こし、最終的には死につながる。
HIVはレトロウイルスのレンチウイルスファミリーの一員である。レトロウイルスは、一本鎖RNAゲノムを含む小さなエンベロープを持つウイルスであり、ウイルスがコードする逆転写酵素によって産生される宿主DNAへのDNA中間体の挿入を介して複製する。他のレトロウィルスには、例えばヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-I、HTLV-II、HTLV-III)、ネコ白血病ウイルス、およびマウスC型レトロウィルスなどの腫瘍ウイルスが含まれる。
HIVウイルス粒子は、p24およびp18と呼ばれるカプシドタンパク質の一部からなるウイルスコア、ならびにウイルスのRNAゲノムおよび初期の複製事象に必要な酵素からなる。ミリスチル化gagタンパク質は、ウイルスコアの周囲にウイルス外殻を形成し、次に感染細胞膜由来の脂質膜エンベロープによって囲まれている。HIVエンベロープ表面糖タンパク質は単一の160キロダルトンの前駆体タンパク質として合成され、これはウイルス出芽中に細胞プロテアーゼによって二つの糖タンパク質、gp41およびgp120へと切断される。gp41は膜貫通糖タンパク質であり、gp120は細胞外糖タンパク質で、おそらくは三量体または多量体の形でgp41と非共有結合したまま残る。
HIV感染症は汎流行病で、HIV関連疾患は世界的に重大な健康問題である。有効な治療薬の設計に多大な努力が払われているが、現在のところ治癒のための抗レトロウィルス薬またはAIDS治療法はない。そのような薬物を開発するために、HIV生活環のいくつかの段階は治療的介入のための標的段階と考えられている(ミツヤ(Mitsuya)ら、1991)。
HIV感染症を治療するためのワクチンの開発が注目されてきた。HIV-1エンベロープタンパク質(gp160、gp120、gp41)は、AIDS患者で認められる抗HIV抗体の主要な抗原であることが明らかにされている(Barinら、1985)。したがって、今までのところはHIV-1エンベロープタンパク質は抗HIVワクチン開発のための抗原としてはたらく最も有望な候補であると考えられる。いくつかのグループがgp160、gp120、および/またはgp41の様々な部分を宿主免疫系に対する免疫原標的として用い始めている(米国特許第5,141,867号;国際公開公報第92/22654号;国際公開公報第91/09872号;国際公開公報第90/07119号;米国特許第6,090,392号)。これらの努力にも関わらず、HIV感染症を治療するための有効なワクチン戦略は開発されていない。
本発明は、レトロウイルス感染症を治療するための既存の方法に代わる免疫療法を提供する。
発明の概要
本発明者らは、哺乳動物に感染するレトロウイルスに応答して少なくとも二つの免疫細胞集団が産生されることに注目した。特に、レトロウイルスに感染した哺乳動物の免疫系は、本明細書において一般に「エフェクター細胞(effector cell)」と呼ばれる細胞群によってウイルスに対する免疫応答を増加させることができるが、本明細書において一般に「レギュレーター細胞(regulator cell)」と呼ばれる、「エフェクター細胞」を調節する第二の細胞集団も産生され、哺乳動物がレトロウイルス感染を有効に制御または根絶する能力を制限している。
理論に制限されるわけではないが、ヒトは安定な遺伝性要素としてそのゲノム全体に断片化された、レトロウイルスに相同またはほぼ相同である多くの配列を含むことが提唱されている。したがって、免疫応答の発生中にこれらの配列によってコードされるタンパク質は「自己」として認識されることもある。そのため、次のレトロウイルスによる感染も部分的に「自己」として認識され、免疫系がうまく免疫応答を増大させる能力を制限すると考えられる。この提唱は、少なくとも部分的には、これまでHIVに対する有効なワクチンの開発が困難であった理由を説明している。
この仮説の裏付けが、Rakowicz-Szulczynskaら(1998および2000)によって提供されており、彼らは乳癌に関連するいくつかの抗原が、HIV-1によってコードされるタンパク質に分子的かつ免疫学的に類似していることを明らかにしている。同様の知見が他の癌についても得られている。加えて、コル(Coll)ら(1995)は、シェーグレン症候群および全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患の患者でHIV-1に結合する抗体を報告している。さらに、ヒトゲノムデータベースのヒト免疫不全ウイルスゲノム配列とのBLAST検索によれば、この二つのゲノムの間には著しい同一性を示す多くの領域があることが示されている。
エフェクター細胞の相対数は、レギュレーター細胞が増加する前に、抗原に応答して増加することも判明している。このことは、「エフェクター細胞」を維持しながら、「レギュレーター細胞」の産生を阻害、「レギュレーター細胞」の機能を制限、または「レギュレーター細胞」を破壊する可能性を示している。
さらに、本発明者らは、急性期炎症マーカーのレベルを、「レギュレーター細胞」に対する作用物質を投与できる時点の指標として、レトロウイルス感染症の治療に利用できることも見出した。
したがって、本発明の第一の局面は、哺乳動物対象におけるレトロウイルス感染症の治療法であって、レトロウイルスに対するエフェクター細胞の数を増やし、かつ/またはエフェクター細胞を活性化する組成物を対象に投与する段階と、続いてレギュレーター細胞の産生を阻害、レギュレーター細胞の機能を制限、および/またはレギュレーター細胞を破壊する作用物質を対象に投与する段階とを含み、作用物質の投与のタイミングはエフェクター細胞の活性が著しく低下しないように選択され、そして作用物質の投与時期の決定を補助するために、対象における急性期炎症マーカーレベルの変動が用いられる方法を提供する。
レトロウイルスに対するエフェクター細胞の数、および/または活性を高めることができる多くの方法がある。いくつかの場合には、これは不注意によるレトロウイルス感染、例えば、ウイルスを含むシリンジの針刺傷によって起こると思われる。公知のとおり、医療従事者および研究者は、針穿刺傷害によるウイルス感染の危険を冒している。同様に、一般の人々も特に海岸に廃棄されたシリンジによって、およびそのようなシリンジで襲われることによって、この危険にさらされる。したがって、レトロウイルス、特にHIVへの曝露が疑われる場合、哺乳動物対象は本発明の方法を利用することができると考えられる。
本発明の方法は、かなり長い間レトロウイルスに感染している哺乳動物対象を治療するためにも用いることができる。そのような対象の免疫系はすでにレトロウイルスに曝露されているが、さらにレトロウイルス抗原が追加されると、さらなるエフェクター細胞の応答を引き起こし、続いてこれらの新しいエフェクターがレギュレーターを除去する可能性が得られる。
レトロウイルスに感染した対象は、ウイルス負荷を低く保つように、HAART治療におけるような抗レトロウイルス薬で治療することができる。そのような対象に、新しいエフェクター細胞の免疫応答を増大させるための組成物を投与し、その一方で、作用物質を続けて投与することによりレギュレーター細胞を除去することもできる。
好ましい態様において、急性期炎症マーカーのレベルは、作用物質が投与される時点を決定するために、モニタリングされる。
当技術分野において公知であるように、一部の急性期炎症マーカーは、免疫応答時の最初に増大する(以後、陽性急性期炎症マーカーと称す)が、他のものは免疫応答時の最初に低下する(以後、陰性急性期炎症マーカーと称す)。
好ましい急性期炎症マーカーは、陽性急性期炎症マーカーであり、およびこの作用物質は、陽性急性期炎症マーカーのレベルが、最初のマーカーレベルの増大後に低下し始めるおおよその時点で投与される。この場合、エフェクター細胞の産生および/または活性は、陽性急性期炎症マーカーのレベル増大により示される。レギュレーター細胞のクローン性増殖に対し、エフェクター細胞の活性は下方制御され、陽性急性期炎症マーカーレベルの低下を生じる。
好ましい陽性急性期炎症マーカーは、c-反応性タンパク質である。
特に好ましい態様において、この作用物質は、c-反応性タンパク質のレベルがピークに達しかつ低下し始めるおおよその時点で投与される。
効果的な免疫応答は、その後比較的低い急性期炎症マーカーレベルにつながるような比較的低いウイルス負荷をもたらすため、急性期炎症マーカーは、ウイルス負荷の指標となることもわかっている。急性期炎症マーカーレベルは少量の血液試料中で容易に測定することができるため、これを、ウイルス負荷のモニタリングを開始する際の指標として使用することができる。
従って、別の好ましい態様において、この作用物質は、組成物の投与後にウイルス粒子の数が安定または増加し始めるおおよその時点で投与され、対象におけるウイルス粒子レベルの試験は、組成物投与後に、陽性急性期炎症マーカーレベルが増大し始めた時点で開始される。作用物質の投与のタイミングが最初のピーク後のウイルス粒子数の減少と同時であることも、注目されるべきである(図18参照)。
好ましくは、陽性急性期炎症マーカーは、c-反応性タンパク質である。
第一の局面のさらにもう一つの好ましい態様において、感染した哺乳動物対象のエフェクター細胞の再刺激は、レトロウイルス抗原ポリペプチドを含む組成物によって達成することができる。好ましくは、抗原ポリペプチドは、レトロウイルス抗原ポリペプチドおよび薬学的に許容される担体を含むワクチンを投与することによって対象に提供される。より好ましくは、ワクチンはアジュバントをさらに含む。
もう一つの態様において、抗原ポリペプチドはレトロウイルス抗原ポリペプチドをコードするDNAワクチンを投与することによって対象に提供される。
さらにもう一つの態様において、抗原ポリペプチドはレトロウイルス抗原ポリペプチドを発現するトランスジェニック植物の消費によって対象に提供される。
抗レトロウイルス治療の中止は、典型的には、感染した対象において再出現したウイルスに対するエフェクター細胞の急速な再増加を引き起こす。したがって、適当な時点で作用物質を投与して、本明細書において定義される組成物を投与することなく、レギュレーター細胞を除去することができる。
したがって、第二の局面において、本発明は哺乳動物対象におけるレトロウイルス感染症の治療法であって、抗レトロウイルス薬療法に対象を曝露する段階と、続いてレギュレーター細胞の産生を阻害、レギュレーター細胞の機能を制限、および/またはレギュレーター細胞を破壊する作用物質を対象に投与する段階とを含み、作用物質は、抗レトロウイルス薬療法が終了し、レトロウイルス数が増加した結果によってレトロウイルスに対するエフェクター細胞の数が増加し、および/またはエフェクター細胞の活性化がもたらされた後に投与され、かつ作用物質の投与のタイミングはエフェクター細胞の活性が著しく低下しないように選択され、そして作用物質の投与時期の決定を補助するために、対象における急性期炎症マーカーレベルの変動が用いられる方法を提供する。
好ましくは、この急性期炎症マーカーは、陽性急性期炎症マーカーである。好ましくは、急性期炎症マーカーは、c-反応性タンパク質である。
好ましい態様において、この作用物質は、c-反応性タンパク質のレベルがピークに達しかつ低下し始めるおおよその時点で投与される。
好ましくは、抗レトロウイルス薬療法は、HAARTである。
抗レトロウイルス薬療法の除去後直ちに、ウイルス負荷は上昇する(例えば、Daarら、1998、および図18参照)。これにより、ウイルス負荷を安定し始めるレトロウイルスに対して、エフェクター細胞の増加および/または活性化が起こる。作用物質を投与すべき時点は、レトロウイルス数が最大になった時点、または最大になった後に低下し始めた時点とほぼ同時である。以上のように、急性期炎症マーカーレベルがウイルス負荷の指標となりうる。
したがって、第二の局面のさらに好ましい態様において、作用物質はウイルス粒子の数が抗レトロウイルス薬療法の終了に応答して最大になった時点、または最大になった後に低下し始めた時点とほぼ同時に投与し、対象におけるウイルス粒子レベルの試験は、抗レトロウイルス薬療法の終了後、陽性急性炎症マーカーレベルが増大し始める時点で開始する。
別の局面において、本発明は、レトロウイルス感染症を伴う哺乳動物対象に投与するための医薬の製造に関する、レトロウイルスに対するエフェクター細胞の数を増加および/またはエフェクター細胞を活性化する組成物の使用を提供し、続いてレギュレーター細胞の産生を阻害、レギュレーター細胞の機能を制限、および/またはレギュレーター細胞を破壊する作用物質を対象に投与し、作用物質の投与のタイミングはエフェクター細胞の活性が著しく低下しないように選択され、そして作用物質の投与時期の決定を補助するために、対象における急性期炎症マーカーレベルの変動が用いられる。
さらに別の局面において、本発明は、レトロウイルス感染症を伴う哺乳動物対象に投与するための医薬の製造に関する、レギュレーター細胞の産生を阻害、レギュレーター細胞の機能を制限、および/またはレギュレーター細胞を破壊する作用物質の使用を提供し、レトロウイルスに対するエフェクター細胞の数を増加および/またはエフェクター細胞を活性化する組成物を先に対象に投与し、作用物質の投与のタイミングはエフェクター細胞の活性が著しく低下しないように選択され、そして作用物質の投与時期の決定を補助するために、対象における急性期炎症マーカーレベルの変動が用いられる。
更なる局面において、本発明は、レトロウイルス感染症を伴う哺乳動物対象に投与するための医薬の製造に関する、抗レトロウイルス薬の使用を提供し、続いてレギュレーター細胞の産生を阻害、レギュレーター細胞の機能を制限、および/またはレギュレーター細胞を破壊する作用物質を対象に投与し、作用物質の投与のタイミングはエフェクター細胞の活性が著しく低下しないように選択され、そして作用物質の投与時期の決定を補助するために、対象における急性期炎症マーカーレベルの変動が用いられる。
別の局面において、本発明は、レトロウイルス感染症を伴う哺乳動物対象に投与するための医薬の製造に関する、レギュレーター細胞の産生を阻害、レギュレーター細胞の機能を制限、および/またはレギュレーター細胞を破壊する作用物質の使用を提供し、抗レトロウイルス薬を先に対象に投与し、作用物質の投与のタイミングはエフェクター細胞の活性が著しく低下しないように選択され、そして作用物質の投与時期の決定を補助するために、対象における急性期炎症マーカーレベルの変動が用いられる。
好ましくは、レギュレーター細胞消失(ablation)において使用される作用物質は、レギュレーター細胞の下方制御活性を阻害する、抗増殖薬、放射線照射、および抗体からなる群より選択される。好ましい抗増殖薬は、ビンブラスチンおよびアンヒドロビンブラスチンからなる群より選択される。
好ましい抗体の例は、抗CD4+、抗CTLA-4(細胞傷害性リンパ球関連抗原-4)、および抗CD28を含むが、これらに限定されるものではない。
好ましくは、レトロウイルスは、HIV-1、HIV-2、HTLV-1、およびHTLV-2からなる群より選択される。
当業者には容易に理解されるように、本発明の方法は、より完全な治療を提供するために反復される。
好ましい哺乳動物対象は、ヒトである。
更なる局面において、本発明は、下記を備えるキットを提供する:
i)哺乳動物対象のレトロウイルスに対するエフェクター細胞の数を増加および/またはエフェクター細胞を活性化するための組成物;
ii)レギュレーター細胞の産生を阻害、レギュレーター細胞の機能を制限、および/またはレギュレーター細胞を破壊するための作用物質;および
iii)急性期炎症マーカーのレベルを決定するための手段。
別の態様において、本発明は、下記を備えるキットを提供する:
i)少なくとも1種の抗レトロウイルス薬;
ii)レギュレーター細胞の産生を阻害、レギュレーター細胞の機能を制限、および/またはレギュレーター細胞を破壊する作用物質;および
iii)急性期炎症マーカーのレベルを決定するための手段。
先に概説した各局面では、「レギュレーター」集団の消失において、エフェクターの何らかの下方制御(自己寛容機構による)を除くように、「エフェクター」集団により、レトロウイルス負荷を低下させるまたはなくすことが可能となる。
本発明の1つの局面の好ましい特徴および特性は、本発明の別の局面に適用可能であることは明らかである。
本明細書の全体を通して、「含む(comprise)」なる用語、または「comprises」もしくは「comprising」などの変形は、述べられる一つの要素(完全体もしくは段階)、または複数の要素(完全体もしくは段階群)を含むが、いかなる他の一つの要素(完全体もしくは段階)、または複数の要素(完全体もしくは段階群)も除外しないことを意味することが理解されると思われる。
本発明は図および実施例によって後述されるが、これらに限定されない。
発明の詳細な説明
定義
本明細書において使用される「治療すること(処置すること、treating)」または「治療する(処置する、treat)」という用語は、レトロウイルス負荷の低下が達成されることを意味する。より好ましくは、レトロウイルス負荷が完全になくなる。
「レギュレーター細胞」は、CD4+T細胞の亜集団を含むが、必ずしもこれに限定されない。このような細胞は、当技術分野において「サプレッサー細胞(suppressor cell)」と称することもできる。レギュレーター細胞は、直接エフェクター細胞に作用するか、または他の機構を通じてのエフェクター細胞へのそれらの影響を確立するかのいずれかでありうる。
CD4+細胞は、CD4として当技術分野における公知のマーカーを発現する。典型的には、本明細書において使用される「CD4+T細胞」という用語は、CD8も発現する細胞は意味しない。しかしこの用語は、CD25のような他の抗原性マーカーも発現するT細胞は含むことができる。
「エフェクター細胞」は、CD8+細胞として公知のT細胞集団を含むが、必ずしもこれに限定されない。
本明細書において使用される「消失する」または「消失」という用語は、その作用物質に対する「レギュレーター細胞」の曝露について言及される場合、これはレギュレーター細胞の数および/または活性が、この作用物質により下方制御されることを意味する。最も好ましくは、レギュレーター細胞の数および/または活性は、この作用物質により完全に絶滅される。
特に記さない限りは、本発明に利用される組換えDNAおよび免疫学的技術は、当業者に周知の標準の手法である。このような技術は、J. Perbal、「A Practical Guide to Molecular Cloning」、John Wiley and Sons(1984);J. Sambrookら、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbour Laboratory Press(1989);T.A. Brown(編)、「Essential Molccalar Biology: A Praclical Approach」、第1巻および第2巻、IRL Press(1991);D.M. GloverおよびB.D. Hames(編)、「DNA Cloning: A Practical Approach」、第1-4巻、IRI Press(1995および1996);ならびにF. M. Ausubelら(編)、「Current Protocols in Molecular Biology」、Grerne Pub. Associates and Wiley-Interscience(1988、現在までの改訂版全てを含む);Ed HarlowおよびDavid Lane(編)、「Antibodies: A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Laboratory(1988);ならびにJ.E. Coliganら(編)、「Current Protocols in Immunology」、John Wiley & Sons (現在までの改訂版全てを含む)などを出典とする文献において言及および説明されており、ならびにこれらは本明細書に参照として組入れられている。
レギュレーター細胞の産生を阻害、レギュレーター細胞の機能を制限、および/またはレギュレーター細胞を破壊する作用物質
作用物質は、レギュレーター細胞の破壊、またはレギュレーター細胞産生の阻害を選択的または非選択的に引き起こす、いかなる因子または治療であってもよい。例えば、CD4+T細胞を特異的に標的とするために、CD4+特異抗体を用いることもできる。しかし、抗増殖薬または放射線はいずれも分裂中の細胞を破壊するが、このような非選択的作用物質を用いることができる場合もある。
「抗増殖薬」という用語は、当技術分野においてよく理解されており、分裂中の細胞を破壊するか、またはこれらの細胞がさらに増殖を続けることを阻害する、いかなる化合物も意味する。抗増殖薬には、限定されないが、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ヘキサメチルメラミン、チオテパ、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、メトトレキセート、フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン、ビンブラスチン、無水ビンブラスチン、ビンクリスチン、エトポシド、テニポシド、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、マイトマイシン、L-アスパラギナーゼ、シスプラチン、ミトキサントロン、ヒドロキシ尿素、プロカルバジン、ミトタン、アミノグルテチミド、プレドニソン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロプロゲステロン、酢酸メゲストロール、ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール、タモキシフェン、プロピオン酸テストステロン、放射性同位体、リシンA鎖、タキソール、ジフテリア毒素およびシュードモナス外毒素Aが含まれる。
この作用物質は、当技術分野において使用されるような標準の用量で投与することができる。ひとつの態様において、この作用物質は、単回ボーラス注射として投与される。別の態様において、この作用物質は、例えば24時間の時間をかけた注入により投与される。
対象を作用物質に曝露するタイミング
前述のとおり、本発明はエフェクター細胞の相対数がレギュレーター細胞よりも前に抗原に応答して増加するとの知見に頼っている。したがって、本明細書において用いられる「エフェクター細胞の活性が著しく低下しない」なる用語は、作用物質投与のタイミングが、作用物質がエフェクター細胞よりもレギュレーター細胞に対して比例的に大きい効果を発揮するようなタイミングであることを意味する。作用物質は、エフェクター細胞への効果に対するレギュレーター細胞への効果の比が最大となる時点で投与することが、明らかに好ましい。
例えばHIVに感染した対象において、抗レトロウイルス治療の後、最初にウイルス負荷が低下した後に、治療を中止するとただちにウイルス負荷が上昇し、続いてウイルス負荷上昇に対する免疫応答の刺激が観察されるとの報告がある(Oritzら、1999;Kilbyら、2000;Lifsonら、2000)。したがって、対象の抗ウイルス療法への曝露と、続く治療の除去は、標的としうるレギュレーター細胞の増加を可能にするレトロウイルスに対するエフェクター細胞の数を増やし、かつ/またはエフェクター細胞を活性化するために用いることができる。
作用物質を投与する適当な時点の例は、Daarら(1998)を参照することによって決定することができる。この文書は、強力な抗レトロウイルス療法(HAARTとしても知られている)を中断した患者からの、ウイルス負荷ならびにCD8+およびCD4+T細胞レベルを提供している。ウイルス負荷が最初に上昇した後、CD8+T細胞が最大数なり、したがって効果も最大になった時点でウイルス負荷の低下が起こる(Daarら、1998の図1参照)。この時点の直後(2〜3日後)に、CD8+T細胞は減少し始め、ウイルス負荷は低下後安定し始める。
同様に、図18は、HAARTの結果に対する患者におけるウイルス負荷の最初の上昇、それに続くエフェクター細胞活性の結果としてのHIV RNAの減少を示し、これには次にエフェクター細胞の調節の結果としてのHIV RNAレベルの別の増大が続く。
これらのピークは、その後のレギュレーター細胞のクローン性増殖を推定するための推論点として、およびその結果レギュレーター細胞消失の介入点として使用することができる。この作用物質は、レギュレーターの大半が、クローン性増殖(有糸分裂)している時点で適用されるべきであり、これは一般に、ウイルス負荷が、最初の上昇後安定するおよび/もしくは最初の上昇後ピークに達する時点、ならびに/または最初の上昇後可能性のあるウイルス負荷が低下する時点(図18参照)、および/または第二のウイルス負荷の上昇が正に開始する際の最後の時点に対応する。
ほとんどの場合、この作用物質が投与される時点では、それらの免疫応答動態は変動し得るので、感染症の異なる段階の対象において経験的に決定することが必要であろう。対象の全身の健康状態および/または対象の遺伝的背景(makeup)のような他の要因も、この作用物質の投与に適した時点に影響を及ぼすであろう。
c-反応性タンパク質レベルは、ウイルス負荷の上昇とほぼ同時に増大することが確立されている(図18参照)。これに、ウイルス負荷時のレトロウイルス数を低下させるエフェクター細胞活性の結果としての、c-反応性タンパク質レベルの低下が続く。従ってこの情報を使用し、この作用物質の投与の正しいタイミングを決定することができる。従って好ましい態様において、この作用物質は、c-反応性タンパク質のレベルがピークに達しかつ低下し始めるおおよその時点で投与される。
作用物質を投与するタイミングを決定する別の手段は、免疫応答の刺激後ウイルス負荷をモニタリングすることである。c-反応性タンパク質アッセイ法は、比較的簡単で感度がよく、およびc-反応性タンパク質のレベルはウイルス負荷と相関している(図18参照)ので、このようなアッセイ法を用い、ウイルス負荷の密なモニタリングを開始する時点を決定することができる。例えば、c-反応性タンパク質レベルが増大し始めた時点で、ウイルス負荷のモニタリングを始める。
c-反応性タンパク質に関連して先に説明されたこれらの方法は、他の陽性急性期炎症マーカーを用いて行うことができる。
エフェクター細胞の活性のために、ウイルス負荷は低下するが、次のレギュレーター細胞の増加は、エフェクター細胞を下方制御し、結果としてウイルス負荷の低下を遅らせることが予見される。従ってこの作用物質は、ウイルス負荷の低下が遅延される前に投与することができる。例えばRT-PCRのような、当技術分野において公知の技術を用い、これらの状況におけるウイルス負荷をモニタリングすることができる。
モニタリングは、作用物質の投与に正確な時点が選択されたことを確実にするために、例えば、数時間毎のように、非常に頻繁である必要があろう。好ましくは、モニタリングは、少なくとも48時間毎に行われる。より好ましくは、モニタリングは少なくとも24時間毎に行われる。
最適には、モニタリングは、この作用物質の作用を決定するために継続される。レギュレーター細胞の不充分な消失、再出現、または例えば治療の約7日以内のウイルス負荷の上昇は、本発明の方法が反復されるべきであることを意味する。このような治療の反復サイクルにより、免疫記憶を形成することができる。従って、反復様式で使用される本発明は、ある程度の予防的保護作用を提供することが可能である。
急性期炎症マーカー
前述のように、一部の急性期炎症マーカーは免疫応答の間に最初に増大する(以後、陽性急性期炎症マーカーと称す)のに対し、他のものは、免疫応答時に最初に低下する(以後、陰性急性期炎症マーカーと称す)。急性期炎症マーカーは当技術分野において、急性期反応物質または急性期タンパク質とも称される。
陽性急性期炎症マーカーの例は、c-反応性タンパク質、血清アミロイドA、血清アミロイドP成分、C2、C3、C4、C5、C9、Bのような補体タンパク質、C1インヒビターおよびC4結合タンパク質、フィブリノーゲン、フォンビルブラント因子、α1-アンチトリプシン、α1-アンチキモトリプシン、α2-アンチプラスミン、ヘパリン補因子II、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビターI、ハプトグロビン、ヘモペクキン、セルロプラスミン、マンガンスーパーオキシドジスムターゼ、α1-酸性糖タンパク質、ヘモオキシゲナーゼ、マンノース結合タンパク質、白血球タンパク質I、リポタンパク質(a)、およびリポ多糖結合タンパク質を含むが、これらに限定されるものではない。陰性急性期炎症マーカーの例は、アルブミン、プレアルブミン、トランスフェリン、アポAI、アポAII、α2 HS糖タンパク質、インター-α-トリプシンインヒビター、ヒスチジンリッチな糖タンパク質を含むが、これらに限定されるものではない。
血清アミロイドAレベルは、当技術分野において公知の技術により決定することができ、これは例えばO'Haraらの論文(2000)を参照されたい。
c-反応性タンパク質(CRP)は、重要な陽性急性期反応タンパク質であり、その血清中の濃度は、急性期反応の間に1,000倍も多く増加する。CRPは、5個の同一サブユニットからなり、各々分子量約23,500の五量体である。
c-反応性タンパク質レベルは、当技術分野における公知の技術を用いて、決定することができ、これらは、Senjuら(1983)、Priceら(1987)、およびEdaら(1998)の論文に明らかにされたものを含むが、これらに限定されるものではない。
HAART
「HAART」という用語は、少なくとも3種の抗レトロウイルス薬の併用療法を網羅することが意図されており、その各々は治療有効量で対象に投与される。本発明の目的のために、抗レトロウイルス薬は、細胞のレトロウイルス感染症を阻害、軽減、または除去することができるいずれか作用物質を含有している。これらの作用物質の多くは、製造業者の推奨量に従い投与するために市販されている。このような抗レトロウイルス薬は、逆転写酵素インヒビターおよびプロテアーゼインヒビターとして公知の2つのクラス、更にはウイルス侵入のインヒビターである作用物質を含むが、これらに限定されるものではない。これらの作用物質の3種またはそれよりも多い組合せを使用することができるが、好ましいHAARTは、少なくとも1種の逆転写酵素インヒビターおよび少なくとも1種のプロテアーゼインヒビターの治療有効量を、少なくとも1種の追加の抗レトロウイルス剤と組合わせた投与を含む。
多くの逆転写酵素インヒビターは、HAART投与に使用するために市販されている。その例は、グラクソ・ウェルカム社(Glaxo-Wellcome, Inc.)(Research Triangle、NC、27709)から商標RETROVIRとして入手可能なジドブジン(AZT);日本でブリストル・マイヤーズスクイブ社(Bristol-Myers Squibb Co.)(Princeton, NJ 08543)から商標VIDEXとして入手可能なジダノシン(ddl);ロシュファーマシューティカルズ(Roche Pharmaceuticals)(Nueley, NJ、07110)から商標HIVIDとして入手可能なザルシタビン(ddC);ブリストル・マイヤーズスクイブ社(Princeton, NJ、08543)から商標ZERITとして入手可能なスタブジン(d4T);グラクソ・ウェルカム社(Research Triangle, NC、27709)から商標EPIVIRとして入手可能なラミブリン(3TC);国際公開公報第90/30025号に開示されおよびグラクソ・ウェルカム社(Research Triangle, NC、27709)から商標ZIAGENとして入手可能なアバカビル(1592U89);ギリアドサイエンシズ(Gilead Sciences)(Foster City, CA、94404)から商標PREVONとして入手可能なアデフォビルジピボキシル[ビス(POM)-PMEA];欧州特許(EP)第0358154号および第0736533号に開示されならびにブリストル・マイヤーズスクイブ社(Princeton, NJ、08543)の開発によるヌクレオシド逆転写酵素インヒビター、ロブカビル(BMS-180194);バイオケムファーマ(Biochem Pharma)(Laval, Quebec H7V, 4A7, カナダ)の開発による、逆転写酵素インヒビター、BCH-10652(BCH-10618およびBCH-10619のラセミ混合物の形);エモリー(Emory)大学の米国特許第5,814,639号の下でエモリー大学が実施権を持ちおよびトライアングルファーマシューティカルズ(Triangle Pharmaceuticals)(Durham, NC、27707)の開発による、エミトリシタビン[(-)-FTC];エール(Yale)大学によりバイオンファーマシューティカルズ(Vion Pharmaceuticals)(New Haven Coen. 06511)へと実施権供与された、β-L-FD4(β-L-D4Cとも称され、および名称はβ-L-2',3'-ジクレオキシ-5-フルオロシチデンである);ならびに、欧州特許(EP)第0656778号に開示されならびにエモリー大学およびジョージア(Georgia)大学によりトライアングルファーマシューティカルズ(Durham, NC、27707)へ実施権が供与された、プリンヌクレオシド、DAPD、(-)-β-D-2,6,-ジアミノプリンジオキソラーン;ならびに、NIHにより明らかにされおよびU.S.バイオサイエンス社(U.S. Bioscience, Inc.)(West Conshohoken, PA、19428)の開発による酸安定性プリン塩基の逆転写酵素インヒビター、ロデノシン(FddA)、9-(2,3-ジデオキシ-2-フルオロ-b-D-トレオ-ペントフラノシル)アデニンを含むが、これらに限定されるものではない。
本発明に有用なプロテアーゼインヒビターの例は、ロシュファーマシューティカルズ(Nutley, NJ、07110-1199)から硬ゲルカプセル型商標INVIRASEおよび軟ゲルカプセル型商標FORTOUASEとして入手可能な、サクイナビル(Ro31-6959);アボットラボラトリーズ(Abbott Laboratories)(Abbott Park, IL、60064)から商標NORVIRとして入手可能な、リトナビル(ABT-538);メルク社(Merck & Co., Inc.)(West Point, Pa, 19486-0004)から商標CRIXIVANとして入手可能なインジナビル(MK-639);アグロンファーマシューティカルズ社(Agouron Pharmaceuticals, Inc.)(LaJolla, CA、92037-1020)から商標VIRACEPTとして入手可能なネルフナビル(AG-1 343);ベルテックスファーマシューティカルズ(Vertex Pharmaceuticals, Inc.)(Cambridge, MA、02139-4211)による開発およびグラクソ・ウェルカム社(Researab Triangle, NC)から拡大された入手プログラム(expanded access program)で入手可能な、非ペプチド性プロテアーゼインヒビター、アンプレナビル(141W94);ブリストル・マイヤーズスクイブ社(Princetue, NJ、08543)から入手可能なラシナビル(BMS-234475)(当初はノバルティス(Novartis)(Basal, スイス)により発見された)(CGP-61755);デュポン(Dupont)により発見されおよびトライアングルファーマシューティカルズの開発による、環状尿素、DMP-450;第2世代HIV-1 PIとしてブリストル・マイヤーズスクイブ社(Princeton, NJ、08543)の開発によるアザペプチド、BMS-2322623;ならびに、アボット(Abbott Park, IL、60064)の開発による、ABT-378;ならびに、シオノギ(Shionogi)(Shionogi #S-1153)により発見され、アグロンファーマシューティカルズ社(LaJolla, CA、92037-1020)の開発による経口活性のあるイミダゾールカルバメート、AG-1549を含むが、これらに限定されるものではない。
これらの化合物に関する適切なヒト用量は、非常に広範である。しかしこのような用量は、当業者は容易に決定することができる。これらの薬物の治療有効量が、HAART期間に投与される。「治療有効量」は、HIV感染症の作用を軽減するのに十分である抗レトロウイルス薬の量、またはHAARTプロトコールにおいて使用される1種もしくは複数の他の抗レトロウイルス薬の薬物動態プロファイルに好ましく影響するのに十分である量を意図している。「好ましく影響する(favorably influence)」とは、抗レトロウイルス薬が治療有効量で投与された場合に、HAARTにおいて使用される1種もしくは複数の他の抗レトロウイルス薬の代謝、例えば他の1種又は複数の作用物質のバイオアベイラビリティが増大することを意図している。
投与された抗レトロウイルス薬の用量に関する指針は、当技術分野において利用可能であり、ならびに市販の作用物質をそれらの推奨量で投与することを含む。
抗原ポリペプチド
本明細書において用いられる「抗原」ポリペプチドとは、レトロウイルスに対して免疫応答を発生することができるエピトープを含む任意のポリペプチド配列である。典型的には、抗原ポリペプチドはほとんどのレトロウイルス分離株において高度に保存されている配列を含む。しかし、有効な免疫応答の可能性を最大にするために、個人が感染している特定のレトロウイルスの特徴を分析し、単離株の配列に合う抗原ポリペプチドを産生することができると考えられる。
gp120および他の候補などのHIV抗原に関する情報は、Stottら(1998)によって提供されている。
抗原ポリペプチドは、当技術分野において公知の、免疫応答を引き起こすいかなる様式でも提供することができる。抗原ポリペプチドは、例えば、天然、組換えまたは合成ポリペプチドでありうる。そのような抗原ポリペプチドには、感染過程を開始するための細胞表面受容体への接着を担う、エンベロープ糖タンパク質などのウイルスタンパク質が含まれるが、これらに限定されることはない。
天然の抗原ポリペプチドは、例えば、弱毒レトロウイルス、熱不活化レトロウイルス、または任意の他の死滅レトロウイルスを提供することにより調製することができる。
抗原ポリペプチドは、ワクチン組成物中の分離ポリペプチドとして提供することもできる。この場合、ポリペプチドはレトロウイルス感染細胞からの精製、組換え細胞からの発現および分離、またはペプチド合成機を用いた合成によって産生することができる。
ワクチン
ワクチンは一つまたは複数のレトロウイルスポリペプチドから調製することができる。抗原ポリペプチドを含むワクチンの調製は当業者には公知である。典型的には、そのようなワクチンは注射用または経口用として、溶液または懸濁液のいずれかとして調製する。注射または経口で使用する前に溶液または懸濁液とするのに適した固体型も調製することができる。調製物は乳化してもよく、またはリポソーム中に封入されたタンパク質でもよい。抗原ポリペプチドは、薬学的に許容され、活性成分に適合性の担体/賦形剤と混合することも多い。適当な担体/賦形剤は、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびその組み合わせである。
さらに、必要に応じて、ワクチンは少量の湿潤もしくは乳化剤、pH緩衝剤、および/またはワクチンの有効性を増強するアジュバントなどの補助的物質を含むこともできる。
本明細書において用いられる「アジュバント」なる用語は、抗原ポリペプチドに対する免疫応答を非特異的に増強する物質を意味する。有効でありうるアジュバントの例には、N-アセチル-ムラミル-L-トレオニル-D-イソグルタミン(thr-MDP)、N-アセチル-ノル-ムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン(CGP11637、ノル-MDPと呼ばれる)、N-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミニル-L-アラニン-2-(1'-2'-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ヒドロキシホスホリルオキシ)-エチルアミン(CGP19835A、MTP-PEと呼ばれる)、ならびに細菌から抽出した三つの成分、すなわちモノホスホリルリピドA、トレハロースジマイコレート、および細胞壁骨格(MPL+TDM+CWS)を2%スクアレン/トゥイーン80乳濁液中に含むRIBIが含まれるが、これらに限定されることはない。アジュバントのさらなる例には、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)、細菌内毒素、リピドX、コリネバクテリウム-パルヴム(プロピオノバクテリウム-アクネス)、百日咳菌、ポリリボヌクレオチド、アルギン酸ナトリウム、ラノリン、リゾレシチン、ビタミンA、サポニン、リポソーム、レバミソール、DEAE-デキストラン、ブロック共重合体または他の合成アジュバントが含まれるが、これらに限定されることはない。そのようなアジュバントは様々な供給元から市販されており、例えば、メルクアジュバント65(Merck Adjuvant 65)(Merck and Company, Inc.、ニュージャージー州ラーウェイ)またはフロイントの不完全アジュバントおよび完全アジュバント(Difco Laboratories、ミシガン州デトロイト)がある。
抗原ポリペプチドおよびアジュバントの比は、両方が有効な量で存在する限り、広範囲で変動しうる。例えば、水酸化アルミニウムはワクチン混合物の約0.5%の量で存在することができる(Al2O3基準)。ワクチンは抗原ポリペプチドを最終濃度0.2〜200μg/mlの範囲、好ましくは5〜50μg/mlの範囲、最も好ましくは15μg/mlで含むように調合すると好都合である。
調合後、ワクチンは無菌容器に入れ、次いでこれを密封し、低温、例えば4℃で保存してもよく、または凍結乾燥してもよい。凍結乾燥により、安定化した形での長期保存が可能になる。
ワクチンは、従来通りに注射、例えば皮下または筋肉内注射のいずれかによって非経口投与する。他の投与様式に適した別の製剤には坐剤および場合によっては経口製剤が含まれる。坐剤の場合、通常の結合剤および担体には、例えばポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドが含まれると考えられ、そのような坐剤は活性成分を0.5%から10%、好ましくは1%から2%の範囲で含む混合物から形成することができる。経口製剤には、例えば薬学的等級のマンニトール、乳糖、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの通常用いられる賦形剤が含まれる。これらの組成物は液剤、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放性製剤または散剤の形を取り、10%から95%、好ましくは25%から70%の活性成分を含む。ワクチン組成物が凍結乾燥されている場合、凍結乾燥材料を投与前に例えば懸濁液として再構成することもできる。再構成は好ましくは緩衝液中で行う。
患者に経口投与するためのカプセル剤、錠剤および丸剤は、例えばオイドラギット「S」、オイドラギット「L」、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む腸溶コーティングを施して提供することもできる。
DNAワクチン接種
DNAワクチン接種は、対象の組織細胞から抗原を発現するために、抗原をコードするDNAを対象の組織へ直接的にインビボ導入することを要する。そのようなワクチンは本明細書において「DNAワクチン」または「核酸ワクチン」と呼ばれる。DNAワクチンは米国特許第5,939,400号、米国特許第6,110,898号、国際公開公報第95/20660号および国際公開公報第93/19183号に記載されており、その開示は全体が参照として本明細書に組み込まれる。直接注入された、抗原をコードするDNAの保護免疫応答を誘発する能力は、多くの実験系で示されている(例えば、Conryら、1994;Cardosoら、1996;Coxら、1993;Davisら、1993;Sedegahら、1994;Montgomeryら、1993;Ulmerら、1993;Wangら、1993;Xiangら、1994;Yangら、1997参照)。
今日まで、哺乳動物系におけるほとんどのDNAワクチンはサイトメガロウイルス(CMV)由来のウイルスプロモーターに依存していた。これらは数種の哺乳動物種の筋肉および皮膚いずれへの接種でも高い有効性を有していた。DNA免疫化により誘発される免疫応答に影響をおよぼすことが知られている要因はDNAの送達法であり、例えば、非経口経路では遺伝子移入の速度が遅く、遺伝子発現にかなりの変動を生じうる(Montgomeryら、1993)。遺伝子銃を用いてのプラスミドの高速接種はマウスの免疫応答を促進し(Fynanら、1993;Eisenbraunら、1993)、これはおそらくDNAトランスフェクションの効率がより高く、樹状細胞による抗原提示がより有効であったためと考えられる。本発明の核酸ワクチンを含むベクターも、当技術分野において公知の他の方法、例えば、トランスフェクション、電気穿孔法、マイクロインジェクション、形質導入、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション(リソソーム融合)、またはDNAベクター輸送体によって所望の宿主中に導入することができる。
トランスジェニック植物由来ワクチン
レトロウイルス抗原ポリペプチドを産生するトランスジェニック植物を、当技術分野において公知の方法を用いて構築することができる。いくつかの植物由来食用ワクチンが、動物およびヒト両方の病原体に対して現在開発中である(HoodおよびJilka、1999)。ウイルス様粒子(VLP)を産生するトランスジェニック植物、または抗原エピトープを示すキメラ植物ウイルスによる経口免疫化からも免疫応答が引き起こされている(Masonら、1996;Modelskaら、1998;Kapustraら、1999;Brennanら、1999)。これらのVLPまたはキメラウイルスの粒子形は、胃における抗原の安定性を増大させ、消化管に取り込むことができる抗原量が効率的に増加する可能性が示唆されている(Masonら、1996、Modelskaら、1998)。
実施例
実施例1
本発明を示すために、マウスAIDSモデルを用いた。
感受性マウスでLP-BM5マウス白血病ウイルス(MuLV)により誘導したマウスAIDS(MAIDS)の病状は、レトロウイルスによる免疫不全のメカニズムを調査するための有効な道具である。MAIDS動物モデルはヒトAIDSのいくつかの特徴を示す。C57BL/6マウスなどの感受性株はLP-BM5感染することにより、慢性脾腫、ガンマグロブリン過剰血症ならびにTおよびB細胞両方の免疫不全の発生を引き起こす。インビトロでは、T細胞およびB細胞のマイトジェンまたは特定の抗原刺激に対する反応性において進行性の障害が見られる。インビボでは、感染マウスは徐々に、様々な日和見微生物のチャレンジ(challenge)に対する感受性が増し、B細胞リンパ腫を発生することもある。感染後(pi)8〜10週で最初の死亡例が認められ、24週間以内に全例が死亡した(図1)。これらの免疫機能における変化は、免疫ネットワークのすべての成分の表現型および機能における複雑な変化を反映している。
1. 感染後の異なる時点で投与したビンブラスチン単回投与の治療効果
感染後の異なる時点で抗有糸分裂剤ビンブラスチン(Vb)を単回投与する処置により、MAIDSの発生/進行が防止できる。図2は、感染後6時間から28日目の範囲での様々な時点でVb 6mg/kgを腹腔内単回投与したことによる、MAIDS発生に対する効果(感染10週後の平均脾重量で表す)を示している。明らかに、Vb処置は感染後6時間または14日目で投与した場合に顕著な治療効果を示し、感染後10週目の時点ではそれぞれ100%(10/10)および74%(20/27)のマウスでMAIDS発生の徴候が全く認められなかった(脾重量、組織検査およびFACS分析による)。同様の保護効果は、感染後6日目に処置したマウスの一部(6/13すなわち46%)で観察された。さらなる実験により、感染後14日目のVb処置後少なくとも12ヶ月間は、100%のマウスでMAIDS発生の徴候が全くないという結果を得た。第14日目での処置後に見られた保護効果ほど明白ではなかったが、MAIDSからの中等度の保護効果がまだ観察された。しかし、感染後2日目および感染後7日目などの多くの他の時点での処置では、MAIDS発生に対する保護効果は得られなかったことに留意することも重要である。ウイルスは抗有糸分裂剤の標的である活発に複製している細胞で複製し、したがってウイルスに感染したいかなる細胞もVbによって死滅し、ウイルスが宿主中で急速に感染を確立することを防止するため、感染後6時間でVbを投与したマウスで見られたMAIDS発生からの完全な保護は意外なことではない。しかし、感染後14日目のVbによる単回処置後に観察された高度の保護効果は、この段階までにウイルス感染は十分に確立されており、初期の疾患過程はすでに進行しているため、全く驚くべきことである。本発明者らは、この高度の治療効果は、Vbが免疫レギュレーター細胞の特定のサブセットを、その増大期の間に標的とし、それによってウイルス感染に対する免疫応答が変更されることによると提唱している。免疫エフェクター細胞の下方制御がレギュレーター細胞を標的とするVb処置によって除去され、それによって免疫系のエフェクター細胞によって、より有効に、おそらくは完全にウイルスが排除される。このことにより、感染後数ヶ月および数ヶ月の治療にわたり、際限のない生存が長期疾患にもたらされる。
2. 第14日目での治療効果の詳細な特徴分析
2.1. 感染10週後にVb処置を受けたマウスの脾組織検査
感染後14日目にVb処置を受けたマウスならびに感染および非感染対照マウスからの脾臓を秤量し、組織検査を行った。すべてのMAIDS感染マウスの脾臓構造は、以前に報告されている(Hartleyら、1989)とおり、甚だしく崩壊していた。これに対して、Vb処置マウスでは脾重量は正常(0.25g未満)で、その脾臓構造は非感染対照マウスのものと比べて崩壊していなかった(図3)。
この組織検査データを支持して、感染後14日目にVb処置を受けたマウスの感染後10週目の時点での脾細胞のFACS分析に基づく予備的結果は、正常な非感染マウスで観察されたものと同様の細胞比(CD4+、CD8+およびB細胞)および分布を示した(データは示していない)。
2.2. Vb処置後のMAIDS発生からの長期保護
感染マウスがMAIDS発生から完全に保護されているか、またはVb処置は単に疾患の発症および進行を遅らせるだけであるかを調べるために、発明者らはマウスを感染後14日目にVbで処置し、感染後20週目まで待ってマウスを検査した。この実験の結果(図4)は、感染後20週目の時点で80%(4/5マウス)がいかなる脾腫からも保護されていたことを示し、第14日目のVb処置方法は高度に有効な作用であることが確認された。
2.3. Vb処置後のウイルス再チャレンジ(rechallenge)からの非保護
感染後14日目のVb処置によってMAIDSから保護されたマウスが、その後のMAIDSウイルスによる再チャレンジからマウスを保護する免疫応答を生じるかどうかを調べるために、感染後14日目にVb処置を受けたマウス群をVb処置後3週または8週の時点でMAIDSウイルスにより再チャレンジした。マウスはウイルス再チャレンジからは保護されず、20週の時点でMAIDS発症を示す脾腫およびリンパ節症を発症した(図5)。これは、二回目の(未処置の)感染に対する免疫エフェクター応答の結果、レギュレーター細胞集団による優勢な免疫抑制が回復していたと考えられるため、驚く結果ではない。
3. CD4 + 細胞を標的とするVb処置
3.1. 感染14日後のVb処置に続く脾細胞の直接FACS分析
感染後14日目にVb処置を受けたマウスの脾臓から調製したCD4+およびCD8+T細胞のFACS分析を実施した(図6)。CD25+CD4+T細胞も、最近になってマウスの自己免疫疾患および腫瘍免疫学モデルにおいて重要な調節機能を有することが特定された(Takahashiら、1998;Shimizuら、1999)ため、これらの検査も行った。これらの細胞がMAIDSへの免疫応答の調節において重要な役割を果たしている可能性がある。感染後14日目および非感染対照マウスにVb処置を行い、Vb処置後48時間の時点で脾臓を採取した。データの分析により、すべての細胞サブセットがVb処置によって減少していることが明らかにされたが、非感染群の感染群に対する比を比較すると、MAIDS感染マウスのVb処置によって優先的に標的されるのはCD4+T細胞およびCD25+CD4+T細胞であることが示された。
3.2. 脾細胞移入実験:CD4+細胞を標的とするVb処置
前の実験により、脾臓にある主な免疫細胞サブセット(CD4+およびCD8+細胞)はすべてVb処置の影響を受けることが判明したが、CD4+細胞が優先的に標的とされている可能性があり、これらの細胞のサブセットは感染後14日目でクローン増大している可能性を示している。感染後14日目に行ったVbの単回投与により、増大中のCD4+レギュレーターT細胞の集団が除去され、それによりエフェクター細胞が下方制御から解放され、かつ宿主のMAIDSウイルスが排除されるかどうかを調べるために、図7に示す実験を設計した。
マウスをMAIDSに感染させ、感染後14日目に処置を施し、次いで図7に概略を示すとおりに調製したドナーマウスからの〜107個の脾細胞を養子移入した。各実験[(I)、(II)および(III)]で、マウス群は7匹のレシピエントマウスと9匹のドナーマウスからなっていた。I群のマウスには、Vb処置を全く受けていない感染マウスからの全脾臓を移入した。II群のマウスには、蛍光色素標識した抗CD4モノクローナル抗体で染色後、FACSセルソーターを用いてCD4+細胞を除去した、感染マウスからの全脾細胞調製物を移入した。細胞選別により脾細胞調製物から99.5%のCD4+細胞が除去された。III群のマウスには、感染後14日目に同様にVb処置を施した感染ドナーマウスからの全脾臓を移入した。
Vb処置を施したMAIDS感染マウスにMAIDS感染ドナーマウスからの脾細胞を注入したところ、VbによるマウスのMAIDS発症からの保護を完全に妨げた(図8)。さらに、FACS選別によって移入前にドナーマウスの脾細胞からCD4+細胞を除去した場合、Vbの保護効果が抑えられなかったことから、Vbの保護効果を抑えた脾細胞はCD4+細胞であった。加えて、Vb処置を施したMAIDS感染マウスに、第14日目に同様にVb処置を施したMAIDS感染ドナーマウスからの脾細胞を注入したところ、これらのマウスはMAIDS発症から完全に保護されることが明らかとなった(図8)。
3.3. 感染14日後のインビボでのCD4+細胞除去によりMAIDS発症から得られる保護
脾臓移入の結果は、感染後14日目の時点で免疫エフェクター細胞が、CD4+であるレギュレーター細胞のクローン増大中の集団と共存しており、Vbはレギュレーター細胞を破壊する能力があるため、治療効果があるという解釈と一致している。したがって、感染後14日目の時点のインビボでのCD4+細胞除去は、Vbの効果を模していると考えられる。実験の流れを図9に示している。5匹のマウス群をMAIDSウイルスに感染させ、次いで感染後14日目にモノクローナル抗体で処置して、宿主のCD4+またはCD8+いずれかのT細胞サブセットを除去した。抗体産生ハイブリドーマ細胞株の上清からモノクローナル抗体を回収し、硫酸アンモニウム沈殿により精製した。インビボでの試験により、適当に濃縮されたモノクローナル抗体調製物を単回投与(腹腔内に0.5mg)し、CD4+細胞の98%減少およびCD8+細胞の95%減少を認めた。
明らかに、感染後14日目の抗CD4+モノクローナル抗体による処置によって感染マウスのMAIDS発症が防止され、それにより感染後14日目のVb注入の効果を模していた(図10)。これに対して、感染後14日目にインビボでCD8+細胞を除去しても、疾患の進行に全く効果はなかった。この結果は、ウイルス感染に応答している免疫エフェクター細胞はCD4+T細胞集団によって機能的に下方制御されるという仮説をさらに支持している。加えて、優勢なCD4+レギュレーター細胞の除去により、免疫エフェクター細胞はウィルス感染に対して、より有効に応答することができ、その結果疾患の進行がはるかに遅くなるか、またはおそらくはMAIDSウイルスがその宿主から完全に排除されることになる。
4. CD4+CD25+T細胞のレギュレーター細胞としての役割
養子移入実験を、CD4+CD25+T細胞は、マウスAIDSモデルにおいてレギュレーター細胞として機能するという仮説を直接検証するように設計した。同じ方法を使用し、レギュレーター細胞はCD4+であることを決定した。T細胞を使用し、CD4+CD25+サブセットが、14日目のビンブラスチン処置の標的であるかどうかを試験した。図11は、本実験の背景となる全体の理論を示している。レギュレーターCD4+CD25+表現型の2.0x106個の細胞を、2種の陽性選択工程を使用するMACSビーズ(Miltenyi Biotec)を用い、ドナー脾の単独の細胞懸濁液から精製した。その後これらの細胞を、非感染(対照)およびMAIDS感染した14日目にビンブラスチン処置したマウスへ移入する前に、純度について、フローサイトメトリー(CD4+CD25+およびCD4+CD25-の両方の画分は、純度>90%である)および生存度についてトリパンブルー色素排除試験を用い試験した。Gavinらの論文(2002)に記されたように、CD4+CD25-細胞も移入させ、レギュレーター細胞は、CD25+画分に存在しないようにし、同じくこれらの推定レギュレーター細胞も増殖しおよび活性化されるので、これらはCD25発現を喪失する可能性がある。
細胞の養子移入を受けたマウスは、非感染(対照)およびMAIDS感染のいずれかであり、ならびに14日目にビンブラスチン処置し、細胞の移入が疾患進行を生じたかどうかについて試験した。基本的には、CD4+CD25+T細胞は、レギュレーター細胞として機能し、その後養子移入を介したこれらの細胞の回復は、疾患進行を生じ、14日目のビンブラスチン処置の保護的作用を排除する。疾患進行は、MAIDS感染後10週目の脾重量で評価した。
非感染ドナーマウスを使用する養子移入実験の結果は、図12に示した。陰性対照実験において、CD4+CD25+/-表現型の非感染ドナー細胞の移入は、非感染レシピエントの脾重量に感染後10週目に変化を生じなかった。しかし、CD4+CD25+/-細胞がMAIDS感染した14日目のVb処置したレシピエントに移入された場合、疾患進行は容易に明らかであった。興味深いことに、これら2群の脾重量において統計学的有意差が存在し(p=0.033)、これはこの疾患がCD4+CD25+細胞を受け取った群においてより顕著に進行したことを示している。実際、これらの実験において、対照MAIDS脾の感染後10週目には約0.5〜0.6gであった。これらの結果は、レギュレーター細胞は、CD4+CD25+およびCD25-画分の両方に存在し、CD25+部分はエフェクター細胞の抑制においてより活性があることを示唆している。
5. MAIDS感染後のサイトカインレベル
5.1 血清ELISA
感染後最初の3週間のマウス血清中のIL-4およびIL-10の存在に関する定量的ELISAを行った。IL-4およびIL-10は両方とも、レギュレーター細胞の成熟に必要でありおよびレギュレーター細胞により産生されることが明文化されているサイトカインである(Gavinら、2002、McGuirkおよびMills、2002)。簡単に述べると、感染後様々な日時で、血液をマウスの尾部出血により得、高速で遠心し、血清を収集した。その後これらの試料を、サイトカインレベルについてアッセイし、および得られたデータを図13および14に示した。
IL-4産生にはふたつの明確なピークが存在し、第一のピークは感染後7日目でありおよび第二のピークは感染後14〜16日目であり、その後感染後21日目以降増大した。最後の増大は、恐らくMAIDSの後期段階のドミナントな特徴である、B細胞オリゴクローン性増殖に関連していると思われる。
同じ血清試料を、IL-10の存在についてもアッセイした。IL-10も、3個のピークのあるパターンを示し、早期のピークは感染後4〜5日目に、第二は12〜14日目に、および第三は感染後16日目であった。興味深いことに第二のIL-10ピークと重複する、10〜12日目に生じたCD4+CD25+細胞の割合におけるピーク(データは示さず)が注目された。注目に値するのは、CD25(すなわちIL-2受容体)は、細胞集団の細胞周期および有糸分裂への進行前に、一過性の様式で発現する(Roittら、1989)ことである。一緒にしたパターンは、正確にVbまたは抗CD4処置がMAIDS進行を消失させる時点で、増殖しおよび機能的となり始めている小さいレギュレーター細胞集団を示唆している。すなわち、このデータは本明細書に説明されたT細胞調節仮説に合致することを示す。
5.2 細胞内フローによるサイトカインレベル
細胞内フローは、フローサイトメトリーを用い、個々の細胞内に存在するサイトカインのエクスビボレベルを試験するために開発されおよび使用される方法である。この実験において、マウスをMAIDSで感染させ、および脾を感染後4日毎(4、8、12、16、および20日目)に、更には細胞間サイトカイン産生のベースラインレベルを得るために非感染対照の0日目に、摘出した。脾を、単独の細胞懸濁液として調製し、赤血球を溶解し、およびその後WBCを固定し、透過性をあげ、ならびに細胞表面マーカーおよびサイトカインの組合せで染色した。実験の結果は図15に示した。
IL-4およびIL-10の発現レベルは、感染後16日目のピークおよびその後の感染後20日目の低下の両方において非常に類似しているが、ベースラインレベルには回復しなかった。このデータは、両方のサイトカイン産生のピークが感染後16日目で認められた、血清ELISAの結果(図13および14)に合致しており、ならびに先に記したように、MAIDS感染後のCD4+CD25+割合のプロファイルと良く相関している。
5.3 ELISpotによるサイトカインレベル
ELISpotは、単独の細胞レベルでのサイトカイン産生の分析を可能にするELISAベースの技術である。関心のある細胞を、関心のあるサイトカインのモノクローナル抗体で予め被覆した膜を基材とするウェル内でインキュベーションした。このインキュベーション工程は、これらの細胞の刺激を伴っても伴わなくても良い。プレートはインキュベーションの間は動かないので、分泌されたサイトカインは膜基材に結合した抗体により捕獲されるため、細胞の位置に局在化し、その結果サイトカインを分泌する各細胞は、抗体検出後目視可能となる膜上にスポットを残す。この技術は、関心のあるサイトカインを産生する細胞数の定量を、単独の細胞レベルにまでさげることを可能にする。この実験のために、脾WBCを、細胞内フローと同じプロトコールを使用し、感染後0、4、8、12、16、および20日目にマウスから収集した。その後これらの細胞を、刺激せずに、IL-4およびIL-10 ELISpotプレート上で一晩インキュベーションした。その後これらのプレートを発色し、スポットを数えた。IL-4に関する結果を図16におよびIL-10に関する結果を図17に示した。
同じく、細胞内フローおよび血清ELISA同様に、両方のサイトカインに関して同様の傾向が認められ、各サイトカインを発現する細胞の数の増加は、感染後16日目のピークで最大であり、その後感染後20日目まで顕著に減少した。
6. まとめ
MAIDSウイルスへの免疫応答を下方制御し、ウイルスを増殖させて疾患をもたらす「レギュレーター」細胞の集団があることを本実施例は示している。感染後適当な時点でレギュレーター細胞を除去することにより、エフェクター細胞(B細胞およびCD8+T細胞など)がより有効にウイルスを排除して、疾患の発生を防止することが可能となる。ウイルス感染と戦うために、エフェクター細胞として作用するCD8+T細胞およびB細胞などの細胞の活性化および/または機能をレギュレーター細胞によって制御することが提唱されている。
免疫レギュレーター細胞集団の特異的な除去による免疫応答の調節は、以前にRobert Northらにより、マウスT細胞リンパ腫モデルを用いて調査されている(NorthおよびAwwad、1990)。Northは、CD4+レギュレーターT細胞の集団による免疫応答の下方制御により、免疫原性腫瘍が樹立し、増殖することができたと提唱した。この制御では、免疫応答は腫瘍の退縮を引き起こすほど十分に引き出されなかった。腫瘍接種後異なる時点でのビンブラスチン(Vb)の単回投与処置によって、腫瘍の増大(第10日目)または退縮(第4、6、13および15日目)が起こることが判明した。Northは、観察された退縮はそれらの時点でのCD4+レギュレーターT細胞の除去によるとの仮説を立てた。CD4+およびCD8+T細胞の除去を含む一連の実験において、レギュレーター細胞はCD4+表現型であることが特定された。
近交系および野生マウスの染色体DNAは、MuLV核酸プローブに反応性の配列の複数のコピーを含む。これらの配列の中には、完全で、感染の可能性を持つゲノムには多くのMuLVがある(Chattopadhyayら、1980)。すべてのMuLVは高い配列相同性を有している。発明者らは、発生中にこれらの内因性MuLVタンパク質が発現される場合、これらは免疫系によって自己抗原として認識されるとの仮説を立てた。内因性および外因性MuLVの核酸配列間およびアミノ酸配列間の高いレベルの相同性によって、感染しているMuLVも免疫系によって部分的に自己として認識される可能性があり、ウイルス感染に対するいかなる免疫応答も下方制御されて、その結果ウイルスが排除されず、疾患が発症することになる。
実施例2
HIV感染症に罹患しているヒト対象に、HAARTを少なくとも6ヶ月間施し、その後治療をやめた。ウイルス負荷およびc-反応性タンパク質レベルを、HAARTの期間および終了後に、得られた試料について標準技術を用い決定した。
図18に見られるように、これらの結果は、HAART終了時のウイルス負荷の上昇を示している。これには、エフェクター細胞活性の結果としての、ウイルス負荷の低下が続き、次にエフェクター細胞の調節から生じたウイルス負荷の別の上昇が続いた。c-反応性タンパク質レベルは、ウイルス負荷を密に反映しており、このことはこのタンパク質のアッセイ法が、ウイルス負荷に加え、エフェクター細胞活性のマーカーとして有用であることを指摘している。
実施例3
HIV感染症に罹患しているヒト患者に、レトロウイルス抗原性ポリペプチドを含有するワクチンを投与した。このようなワクチンの例は、Deanehy(2001)およびMooreら(2001)の論文に検証されている。
ワクチン投与後、c-反応性タンパク質レベルを、実施例2に概説されたように分析した。好ましくは、c-反応性タンパク質レベルを、少なくとも24時間毎に決定した。当然のことながら、この患者は、例えばc-反応性タンパク質レベルの増大に寄与し得る他のウイルスまたは細菌の感染症の徴候について試験されるべきである。このような徴候が存在しない場合、c-反応性タンパク質レベルは、c-反応性タンパク質レベルがピークに達しかつ低下し始めるまで、モニタリングが継続される。エフェクター細胞の調節の指標としてのc-反応性タンパク質レベルが低下し始めるおおよその時点で、この対象に、抗CD4+抗体を、300mgのような標準用量で投与する。
その後この患者を、ウイルス負荷の決定などで、HIVマーカーについてモニタリングし続ける。この感染症が適切に制御されていない証拠が存在するならば、この治療を反復してもよい。
実施例4
HIV感染症に罹患しているヒト患者に、標準のHAART治療を施した。HAARTの終了後、この対象のc-反応性タンパク質レベルを、実施例2に概説した方法のように分析した。好ましくは、c-反応性タンパク質レベルを、少なくとも24時間毎に決定した。エフェクター細胞の調節の指標としてのc-反応性タンパク質レベルが低下し始めるおおよその時点において、この対象に、ビンブラスチンを3〜4mg/m2のような標準用量で、静脈内投与する(CasciatoおよびLowitz、1985)。ビンブラスチンは、レギュレーター細胞のような、分裂している細胞を標的とし、これはエフェクター細胞レベルを制御するために、コロニー状に増殖し始める。
その後患者は、ウイルス負荷の決定のような、HIVマーカーについてモニタリングを継続した。感染が適切に制御されないという証拠が存在するならば、この治療を反復してもよい。
当業者であれば、広く記載されている本発明の精神または範囲から逸脱することなく、特定の態様に示されるとおり、本発明に多くの変更および/または改変を加えうることを理解すると思われる。したがって、本態様はすべて例示的であり、限定的ではないと考えられるべきである。
前述のすべての出版物は、全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書に含まれている、文書、行為、材料、道具、または物品などのいかなる記述は、単に本発明の文脈をなすことを目的としている。本明細書の各特許請求の範囲の優先権の日付よりも前に(特にオーストラリアに)存在しているとして、これらのいずれかまたはすべてが、先行技術の基礎の一部を構成するとの自認、または本発明に関連する分野の一般的知識であるとの自認として解釈されるべきではない。
引用文献
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LP-BM5に感染したB6マウスにおけるMAIDSの時間経過を示す。 感染10週後の時点でMAIDS進行に対しビンブラスチン(6mg/kg、i.p.)を単回投与した効果を示す。 感染10週後の時点でビンブラスチン処置したマウスの脾臓組織像である。 ビンブラスチン処置後の、感染20週後の時点でのMAIDSからの保護を示す。n=5。 保護的ビンブラスチン処置後の、MAIDSウイルスによる再チャレンジを示す。n=5。 MAIDS感染マウス(MAIDS+)および対照マウス(MAIDS-)の脾細胞パーセンテージにおいて、第14日目にビンブラスチン処置した効果を示す。n=3。 脾移入実験プロトコールを示す。 MAIDS感染ドナーマウスから移入された脾細胞を示す。n=7。 インビボ抗原除去実験プロトコールを示す。 感染14日後のインビボでのCD4+またはCD8+細胞除去を示す。n=5。 実施例のセクション4において説明された養子移入実験のプロトコールのフローチャートである。 感染していないドナー細胞を使用しCD4+CD25+/-を養子移入した結果である。脾重量は、MAIDS感染後10週目に得た(n=5マウス/群)。 MAIDS感染マウスの血清中のIL-4である。各時点は、9匹のマウスに関する平均+/-SEMを表している。 MAIDS感染マウスの血清中のIL-10である。各時点は、9匹のマウスに関する平均+/-SEMを表している。 脾由来の総WBCの細胞内フローにより決定されたIL-4およびIL-10レベルである。示したデータは、各群3匹のマウスに関する平均+/-SEMである。 MAIDS感染マウスの脾WBCのELISpotによるIL-4産生である。示したデータは、各群3匹のマウスに関する平均+/-SEMである。 MAIDS感染マウスの脾WBCのELISpotによるIL-10産生である。示したデータは、各群3匹のマウスに関する平均+/-SEMである。 HAART治療をやめたヒト患者に対する反応におけるHIV RNA、c-反応性タンパク質、およびT細胞レベルである。

Claims (26)

  1. 哺乳動物対象におけるレトロウイルス感染症の治療法であって、レトロウイルスに対するエフェクター細胞の数を増加および/またはエフェクター細胞を活性化する組成物を対象に投与する段階と、続いてレギュレーター細胞の産生を阻害、レギュレーター細胞の機能を制限、および/またはレギュレーター細胞を破壊する作用物質を対象に投与する段階とを含み、作用物質の投与のタイミングはエフェクター細胞の活性が著しく低下しないように選択され、そして作用物質の投与時期の決定を補助するために、対象における急性期炎症マーカーレベルの変動が用いられる、方法。
  2. 急性期炎症マーカーが陽性急性期炎症マーカーである、請求項1記載の方法。
  3. 陽性急性期炎症マーカーがc-反応性タンパク質である、請求項2記載の方法。
  4. 作用物質が、陽性急性期炎症マーカーのレベルがピークに達しかつ低下し始めるおおよその時点で投与される、請求項2または3記載の方法。
  5. 作用物質が、組成物の投与後、ウイルス粒子の数が安定または増加し始めるおおよその時点で投与され、対象におけるウイルス粒子レベルの試験は、組成物の投与後、陽性急性期炎症マーカーレベルが増大し始める時点で開始する、請求項2〜4のいずれか一項記載の方法。
  6. 組成物がレトロウイルス抗原性ポリペプチドを含有する、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
  7. レトロウイルス抗原性ポリペプチドおよび薬学的に許容される担体を含有するワクチンの投与により、レトロウイルスの抗原性ポリペプチドが対象に提供される、請求項6記載の方法。
  8. ワクチンがアジュバントをさらに含有する、請求項7記載の方法。
  9. レトロウイルス抗原性ポリペプチドをコードするDNAワクチンの投与により、抗原性ポリペプチドが対象に提供される、請求項6記載の方法。
  10. レトロウイルス抗原性ポリペプチドを発現するトランスジェニック植物の消費により、抗原性ポリペプチドが対象に提供される、請求項6記載の方法。
  11. 哺乳動物対象におけるレトロウイルス感染症の治療法であって、抗レトロウイルス薬療法に対象を曝す段階と、続いてレギュレーター細胞の産生を阻害、レギュレーター細胞の機能を制限、および/またはレギュレーター細胞を破壊する作用物質を対象に投与する段階とを含み、作用物質は、抗レトロウイルス薬療法が終了し、レトロウイルス数の拡大を得たことでレトロウイルスに対するエフェクター細胞数の増加および/またはエフェクター細胞の活性化がもたらされた後に投与され、作用物質の投与のタイミングはエフェクター細胞の活性が著しく低下しないように選択され、そして作用物質の投与時期の決定を補助するために、対象における急性期炎症マーカーレベルの変動が用いられる、方法。
  12. 急性期炎症マーカーが陽性急性期炎症マーカーである、請求項11記載の方法。
  13. 陽性急性期炎症マーカーがc-反応性タンパク質である、請求項12記載の方法。
  14. 作用物質が、急性期炎症マーカーのレベルがピークに達しかつ低下し始めるおおよその時点で投与される、請求項12または13記載の方法。
  15. 作用物質が、組成物の投与後、ウイルス粒子の数が安定または増加し始めるおおよその時点で投与され、対象におけるウイルス粒子レベルの試験は、抗ウイルス薬療法の終了後、陽性急性期炎症マーカーレベルが増大し始める時点で開始する、請求項12〜14のいずれか一項記載の方法。
  16. 抗レトロウイルス薬療法がHAARTである、請求項11〜15のいずれか一項記載の方法。
  17. レギュレーター細胞の下方制御活性を阻害する、抗増殖薬、放射線照射、および抗体からなる群より作用物質が選択される、請求項1〜16のいずれか一項記載の方法。
  18. 抗増殖薬が、ビンブラスチンおよびアンヒドロビンブラスチンからなる群より選択される、請求項17記載の方法。
  19. 抗体が抗CD4+である、請求項17記載の方法。
  20. レトロウイルスが、HIV-1、HIV-2、HTLV-1、およびHTLV-2からなる群より選択される、請求項1〜19のいずれか一項記載の方法。
  21. 方法が少なくとも1回繰り返される、請求項1〜20のいずれか一項記載の方法。
  22. 哺乳動物対象がヒトである、請求項1〜21のいずれか一項記載の方法。
  23. レトロウイルス感染症を伴う哺乳動物対象に投与するための医薬の製造に関する、レトロウイルスに対するエフェクター細胞の数を増加および/またはエフェクター細胞を活性化する組成物の使用であって、続いてレギュレーター細胞の産生を阻害、レギュレーター細胞の機能を制限、および/またはレギュレーター細胞を破壊する作用物質を対象に投与し、作用物質の投与のタイミングはエフェクター細胞の活性が著しく低下しないように選択され、そして作用物質の投与時期の決定を補助するために、対象における急性期炎症マーカーレベルの変動が用いられる、使用。
  24. レトロウイルス感染症を伴う哺乳動物対象に投与するための医薬の製造に関する、レギュレーター細胞の産生を阻害、レギュレーター細胞の機能を制限、および/またはレギュレーター細胞を破壊する作用物質の使用であって、レトロウイルスに対するエフェクター細胞の数を増加および/またはエフェクター細胞を活性化する組成物を先に対象に投与し、作用物質の投与のタイミングはエフェクター細胞の活性が著しく低下しないように選択され、そして作用物質の投与時期の決定を補助するために、対象における急性期炎症マーカーレベルの変動が用いられる、使用。
  25. レトロウイルス感染症を伴う哺乳動物対象に投与するための医薬の製造に関する、抗レトロウイルス薬の使用であって、続いてレギュレーター細胞の産生を阻害、レギュレーター細胞の機能を制限、および/またはレギュレーター細胞を破壊する作用物質を対象に投与し、作用物質の投与のタイミングはエフェクター細胞の活性が著しく低下しないように選択され、そして作用物質の投与時期の決定を補助するために、対象における急性期炎症マーカーレベルの変動が用いられる、使用。
  26. レトロウイルス感染症を伴う哺乳動物対象に投与するための医薬の製造に関する、レギュレーター細胞の産生を阻害、レギュレーター細胞の機能を制限、および/またはレギュレーター細胞を破壊する作用物質の使用であって、抗レトロウイルス薬を先に対象に投与し、作用物質の投与のタイミングはエフェクター細胞の活性が著しく低下しないように選択され、そして作用物質の投与時期の決定を補助するために、対象における急性期炎症マーカーレベルの変動が用いられる、使用。
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