JP2005525123A - 進化分子工学的手法により配列特異的プロテアーゼを生成する方法及びその使用 - Google Patents

進化分子工学的手法により配列特異的プロテアーゼを生成する方法及びその使用 Download PDF

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Abstract

スクリーニングに基づいた進化分子工学的手法により配列特異的プロテアーゼを生成する方法を開示する。前記方法の使用により高度に配列特異的であり、ユーザーが任意に定義可能なアミノ酸配列を認識して切断するプロテアーゼが提供される。前記方法により得られうるプロテアーゼは種々の医学上、診断上及び産業上の用途に使用しうる。

Description

スクリーニング系進化分子工学的手法により配列特異的プロテアーゼを発生させる方法を開示する。前記方法の使用により高度に配列特異的であり、ユーザーが任意に定義可能なアミノ酸配列を認識して切断するプロテアーゼが提供される。前記方法により得られうるプロテアーゼは種々の医学上、診断上及び産業上の用途において使用しうる。
タンパク質分解酵素、すなわち、プロテアーゼは、プロテアーゼにより触媒される反応が他のタンパク質中のペプチド結合を切断することであるため、種々の酵素のうちでも重要な位置を占める酵素の種類である。プロテアーゼは自然界において極めて一般的な酵素であるのみならず、医学及び産業用の最も重要な酵素に属する。年間10億米ドル超と推定される酵素の全世界的総販売量のうち、プロテアーゼは約60%に相当する。活性部位に存在する官能基に基づき、プロテアーゼは4グループ、即ち、セリンプロテアーゼ(EC3.4.21)、システインプロテアーゼ(EC3.4.22)、アスパラギン酸プロテアーゼ(EC3.4.23)及びメタロプロテアーゼ(EC3.4.24)に分類される。4つグループのうちの1グループへの分類は、典型的には、プロテアーゼ阻害剤の異なるタイプへの感受性を実験的に測定することにより行われる。さらに、また、4グループのプロテアーゼはその生化学的特性が異なっている。例えば、セリンプロテアーゼは阻害剤3,4-DCI、DFP、PMSF及びTLCKに対して感受性であり、至適pHは7〜11である。アスパラギン酸プロテアーゼはペプスタチン、DAN及びEPNPにより阻害され、主に至適pHは3〜4である。システインプロテアーゼはPCMB等のスルフィドリル阻害剤に対して感受性であり、いくつかの例外を除き、中性のpHが至適である。メタロプロテアーゼはその活性化に2価の金属イオンを要求するという特質がある。従って、メタロプロテアーゼはEDTA等のキレート剤により阻害され、中性又はアルカリ性のpHで至適である。これらの4グループの中では、さらなる分類は、通常、構造的な類似性に基づいて行われる。
このような生化学的及び構造的な分類の組合せのほかに、プロテアーゼはその基質スペクトルによっても分類しうる。識別すべき2つの最も一般的なグループはエキソプロテアーゼ及びエンドプロテアーゼである。エキソプロテアーゼはペプチドの最末端でしかペプチド結合を切断しないのに対し、エンドプロテアーゼはペプチド鎖中の任意の場所での結合の切断をも触媒する。プロテアーゼの特異性、即ち、特定のペプチド基質を特異的に認識して加水分解するが、他は未切断のまま残すというその能力は、定性的及び定量的に表現しうる。定性的特異性とは、ペプチド基質の特定の位置においてプロテアーゼに認識されるアミノ酸残基の種類である。例えば、トリプシン及び組織型プラスミノーゲン活性化物質は、共にP1位においてアルギニン又は同様の残基を要するため、その定性的特異性に関して関連している(ペプチド基質位置の命名法についてはSchlechter & Berger,Biochem.Biophys.Res.Commun.27(1967)157-162の命名法に従う)。一方、定量的特異性とは基質として認識されるペプチド基質の相対数をいう。定量的特異性は以下の式:
s=−log(Q)
により表され、式中Qは全ての可能なペプチド基質に対する、認識された全てのペプチド基質の比である。いくつかのプロテアーゼの定量的特異性を表Iに例示する。定量的特異性の計算は20種の天然アミノ酸に基づき、そして、これらの20種のアミノ酸の全ての組み合わせが可能であるという推定に基づいている。その結果、全ての可能なペプチドのうち僅か一部のみを認識するプロテアーゼは高い特異性を有するのに対し、極端な例としては、如何なるペプチド基質も切断するプロテアーゼの特異性は理論的にはゼロである。
Figure 2005525123
プロテアーゼの定量的特異性は広範囲にまたがる。極めて非特異的なプロテアーゼが知られているが、例えば、パパインはフェニルアラニン、バリン又はロイシン残基を含む全てのポリペプチドを切断し(s=0.82)、トリプシンはアルギニン又はリジン残基を含む全てのポリペプチドを切断する(s=1.0)。一方、高度に特異的なプロテアーゼも知られており、例えば、組織型プラスミノーゲン活性化物質(t-PA)は単一の特異的配列においてのみプラスミノーゲンを切断する(s=9.11)。高い基質特異性を有するプロテアーゼは生物におけるタンパク質の機能の調節に重要な役割を果たす。ポリペプチド基質の特異的切断は、例えば前駆体タンパク質を活性化したり、活性なタンパク質又は酵素を不活化したりして、その機能を調節する。基質特異性が高いプロテアーゼのいくつかは医療用に用いられている。特定のポリペプチド基質切断による活性化又は不活化の医薬的な例としては、プラスミノーゲンを活性化してフィブリンの凝血を溶解する急性心筋梗塞におけるt-PAの適用、又は、フィブリノーゲンを不活化して血液の粘度を低下させて、その輸送能力を増強する脳梗塞におけるアンコード(Ancord)の適用である。t-PAがヒトの血液調節に必要な活性を有するヒトプロテアーゼであるのに対し、アンコードは非ヒトプロテアーゼである。これはヘビであるAgkistrodon rhodostomaから単離され、蛇毒の主要成分を構成する。従って、治療上適用しうる非ヒトプロテアーゼの存在は僅かである。しかしながら、その同定は、通常は極めて偶発性が高い。
薬剤の投与による疾患の治療は、典型的には、内因性タンパク質であるか感染微生物又はウイルスのタンパク質である、患者の体内の特定のタンパク質の機能を活性化又は不活性化する薬剤により開始される分子機序に基づく。これらの標的に対する化学薬剤の作用を理解又は予測することは未だに困難であるが、タンパク質薬剤は数百万の他のタンパク質のうちのこれらの標的タンパク質を特異的に認識しうる。他のタンパク質を認識しうる内因性タンパク質を有するタンパク質の顕著な例は、抗体、受容体及びプロテアーゼである。潜在的な標的タンパク質は多数存在するが、現在、これらの標的タンパク質に対応する、適用可能なプロテアーゼはほとんどない。タンパク質分解活性のため、プロテアーゼはタンパク質標的の不活化又は活性化に特に適している。ヒトのタンパク質のみを考えた場合、潜在的な標的タンパク質の数はなお多数ある。ヒトゲノムは30,000〜100,000の遺伝子を含み、その各々が異なるタンパク質をコードしていると推定されている。これらのタンパク質の多くが、ヒトの疾患に関与しており、それゆえ、潜在的な医薬品の標的となる。高い特異性によりこれらの標的タンパク質を認識して切断するプロテアーゼは、結果的に、潜在的な薬剤として高い価値がある。しかしながら、これらのプロテアーゼの医薬用途はその存在により限定される。例えば、s=10.4の特異性(8アミノ酸残基の唯一の配列の特異的認識に相当)に対しては理論的に250億種類の可能性がある。天然の単離体をスクリーニングすることにより1つの特定の定性的特異性を有するようなプロテアーゼを同定することは極めて可能性が低い。
公知の特異性のプロテアーゼの選択システムは当該分野で知られており、例えばSmithら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.88(1991)に記載されている。例示されたように、システムは選択マーカーとして酵母転写因子GAL4、TEVプロテアーゼと共にGAL4に挿入される特定の切断可能な標的配列を含む。切断により転写活性ドメインからDNA結合ドメインが分離され、これにより転写因子は不活化される。その結果、細胞がガラクトースを代謝できなくなるという表現型を比色分析により、又は、自殺基質2−デオキシガラクトースでの選択性により検出しうる。
さらに、選択は、修飾部分、例えばHarrisら(US2002/022243)により以前報告されたACCのような基に基づいた蛍光部分を有するペプチド基質を用いて行いうる。
改変された配列特異性を有するタンパク質分解酵素を発生させる実験室的な技術は原理的としては公知である。それらはその発現及び選択のシステムにより分類しうる。遺伝子的選択とは、産生する生物の生育挙動を改変する前駆体タンパク質を切断できるプロテアーゼを有するある生物内においてプロテアーゼを生産することを意味する。種々多様のプロテアーゼを有する生物集団から、改変された生育挙動を有するものを選択しうる。この原理はDavisら(US5258289,WO96/21009)により報告されている。ファージ系の作製は、ファージタンパク質を切断しうるタンパク質分解酵素又は抗体の存在下にのみ活性化しうるファージタンパク質の切断に依存している。選択されたタンパク質分解酵素又は抗体はファージ生産の活性化のためのアミノ酸配列切断能を有する。さらにまた、選択されたプロテアーゼの特異性は制御できない。システムは、使用されたペプチド基質以外のペプチドに対しては活性が低いプロテアーゼを選別しない。さらにまた、このシステムは選択されたプロテアーゼの速度定数(Kcat、KM)を厳密には特定できない。細胞内プロテアーゼ発現を用いた他のシステムもいくつか報告されているが、それらには全て上記の欠点がある。それらの一部は遺伝子選択の代わりにスクリーニングによる選択を可能とする遺伝子レポーターシステムを使用しているが、やはりプロテアーゼの細胞内特定において内因的には不十分なままである。
膜結合プロテアーゼを用いた、配列特異性が変化したタンパク質分解酵素を生成するシステムが報告されている。Iversonら(WO98/49286)は細胞表面上に表示された膜結合プロテアーゼの発現系を開示する。実験設計の本質的要素は、触媒反応を細胞表面において実施しなければならず、即ち、基質及び生成物は表面で酵素を発現している細菌と会合した状態のままででなければならない点にある。この制約により、配列特異性が変化したタンパク質分解酵素の生成が制限され、そして、選択されたプロテアーゼの速度定数(Kcat、KM)を厳密に特定しえない。さらにまた、その方法では、ペプチドが切断される位置を制御できない。また、陽性と同定されたプロテアーゼは特定のアミノ酸(aa)配列の切断能があるが、他に多くのaa配列も切断する場合もある。従って、選択されたプロテアーゼの特異性は制御できない。
自己分泌プロテアーゼを用いて配列特異性が変化したタンパク質分解酵素を生成するシステムが公知である。Duffら(WO98/11237)は自己分泌プロテアーゼに対する発現系を開示する。実験設計の必須要素は、細胞膜から細胞外に成熟プロテアーゼを放出するための膜結合前駆体分子の自己タンパク質分解プロセシングにより、触媒反応がプロテアーゼ自身に対して作用することである。従って、自己タンパク質分解に対する天然の切断部位を標的ペプチド配列で置換した融合タンパク質を構築しなければならない。このようなシステムの限界は、陽性として同定されたプロテアーゼは、特定のaa配列の切断能を有するものの、他のペプチド配列も多数切断する場合がある点である。従って、高度な基質特異性はこのような方法では達成できない。さらにまた、このような系は、その選択されたプロテアーゼが、定義されたaa配列における特定の位置で切断するように制御できず、そして、選択されたプロテアーゼの速度定数(Kcat、KM)を厳密に特定できない。
Broadら(WO99/11801)はプロテアーゼの特異性の改変に適する異種細胞系を開示する。この系は、プロテアーゼ切断部位を介して膜固定ドメインに転写因子が連結している転写因子前駆体を含む。プロテアーゼによるプロテアーゼ切断部位における切断により、転写因子が放出され、これにより、該当するプロモーターの制御下にある標的遺伝子の発現が始まる。特異性改変の実験的設計は、修飾された配列のプロテアーゼ切断部位の挿入及びプロテアーゼを突然変異誘発させることよりなる。得られた新しいプロテアーゼは、標的遺伝子の発現によりその作用がモニタリングされる修飾された配列を認識しうる。このような系は選択されたプロテアーゼの生化学的特性を厳密には制御しえない。
これらの方法の大部分は、配列特異性が変化したタンパク質分解酵素の生成のために進化分子工学の方法を適用する。遺伝子ライブラリを生成するための様々な突然変異及び組換え方法がいたるところで報告され開示されている。それら種々の方法の全てが、大型ライブラリからの陽性プロテアーゼ変異体を正確に選択しないという欠点がある。第1に、これらの方法は、kcatが低い変異体の選択を防止するために必要なペプチド基質の単数回及び複数回の代謝回転(ターンオーバー)を識別しえない。第2に、より低いKMに対するプロテアーゼ変異体を選択するような酵素及び基質濃度を設定できない。第3に、これらの系のいずれも所望のペプチド基質に対しての活性が上昇することにより元のペプチド基質に対する活性が低下するようなプロテアーゼを選択しえない。
スクリーニングに基づいた進化分子工学的手法を適用した、配列特異性が高いタンパク質分解酵素を生成するための上記した3種の選択基準(kcat、KM及び基質特異性)を満たす方法はこれまでにない。
即ち、本発明の根拠となる技術的問題点は、進化分子工学的手法を適用することにより、ユーザーに定義された基質特異性を有する新しいプロテアーゼを生成するための方法を提供することである。特に、本発明は特定のアミノ酸配列のみの、選択的認識及び切断を目標とした新しいプロテアーゼの展開の方法に関する。この技術的問題点は以下に記載する本発明の実施形態及び添付した請求項により解決された。
即ち本発明は、下記工程:
(1)標的基質特異性により配列特異的プロテアーゼを生成する方法であって、以下の工程を含む。
(a)1個の第1プロテアーゼ変異体、又は、2個若しくはそれ以上の第1プロテアーゼ変異体若しくはキメラを含むプロテアーゼの集団を提供し、ここで前記第1プロテアーゼは第1ペプチド基質の特定のアミノ酸配列に対して基質特異性を有するものであり;
(b)前記プロテアーゼ集団に、標的ペプチド基質のアミノ酸配列に類似しているが第1ペプチド基質内に存在しない少なくとも1個の特異的アミノ酸配列を含む、1個又はそれ以上の第2基質1を接触させること;及び、
(c)第2基質内の前記特異的なアミノ酸配列1個を好ましくは認識して加水分解するプロテアーゼを同定しうる条件下で、工程(b)において提供された第2基質の前記特異的アミノ酸配列に対して特異性を有する工程(a)において提供されたプロテアーゼの集団から1個又はそれ以上のプロテアーゼ変異体を選択すること;
(2)上記(1)の好ましい実施形態において、1つの第2基質のみが(a)〜(c)の1個又はそれ以上のサイクルで用いられ、すなわち、第2基質は標的基質と同一であり;
(3)上記(1)のさらに好ましい実施形態としては、異なる第2基質が用いられ、第2基質は第1基質及び標的基質に関して中間的な特質を有し、そして、用いられる最後の第2基質が標的基質と同一であり;
(4)上記(1)〜(3)の特に好ましい実施形態において、標的プロテアーゼが組織型プラスミノーゲン活性化物質と同様の特異性を有し、そして、標的基質CPGR↓VVGGを切断し;そして、
(5)上記(1)〜(4)の方法、好ましくは上記(4)の方法により得ることができる配列特異的プロテアーゼ、
に関する。
標的特異性を目的として進化したプロテアーゼの同定及び選択は、親和性が高まるものをスクリーニングすることにより、又は、比較のために2基質を使用することにより、又は競合物質として非特異的ペプチドを使用することにより、又は中間的なペプチド基質を使用することにより、異なるペプチド基質に対する触媒活性についてスクリーニングすることによりなされる。
以下の詳細な説明は本発明の好ましい特質、利点及び利用性を開示するものである。
以下の図は詳細な説明の補足として本発明をさらにいうために提示する。
本発明で包括的に以下の用語及び定義を使用する。
「プロテアーゼ」という用語は、ペプチド結合の加水分解において作用するいずれかのタンパク質分子を意味する。これには天然のタンパク質分解酵素、並びに、部位指向性(特異的)又はランダム突然変異誘発又はいずれかの他のタンパク質操作法により得られたその変異体、タンパク質分解酵素のいずれかの断片、又は、上記したタンパク質の1個を含むいずれかの分子複合体又は融合タンパク質が包含される。「プロテアーゼのキメラ」とは異なるもとのプロテアーゼから誘導された2個又はそれ以上の断片を含む融合タンパク質を意味する。
「基質」又は「ペプチド基質」という用語は、プロテアーゼにより触媒的に加水分解され得るペプチド結合を含むいずれかのアミノ酸組成、配列又は長さのいずれかのペプチド、オリゴペプチド、又はタンパク質分子を意味する。加水分解されるペプチド結合は「切断部位」と称される。基質における位置の番号付けはSchlechter & Berger (Biochem. Biophys. Res. Commun. 27(1967)157-162)により導入されたシステムに従って行う。切断部位に対してN末端で隣接しているアミノ酸残基はP1、P2、P3等と番号付けされ、切断部位に対してC末端で隣接している残基はP1'、P2'、P3'等と番号付けされる。
「特異性」という用語は、特定のペプチド基質を選択的に認識して加水分解するが、他のものは切断しないでいるプロテアーゼの能力を意味する。特異性は定性的及び定量的に表現しうる。「定性的特異性」とは、ペプチド基質の特定の位置においてプロテアーゼにより認識されるアミノ酸残基の種類を指す。「定量的特異性」とは、基質として認識されるペプチド基質の数を指す。定量的特異性は項sにより表示でき、これは全ての認識されるペプチド基質の数を全ての可能なペプチド基質の数で割ったものの対数の負数である。全ての可能なペプチド基質のうち僅かな部分のみを認識するプロテアーゼは「高い特異性」(s>>1)を有する。ほとんどすべてのペプチド基質も認識するプロテアーゼは「低い特異性」を有する。極めて低い特異性(s≦1)を有するプロテアーゼもまた「非特異的プロテアーゼ」という。
「第1プロテアーゼ」という用語は、この第1プロテアーゼと関連するプロテアーゼ変異体の集団を生成するために出発点として本発明の工程(a)において使用されるいずれかのプロテアーゼをいう。「第1基質」又は「第1ペプチド基質」という用語は、第1プロテアーゼにより認識されて加水分解される基質をいう。「第1特異性」という用語は、第1プロテアーゼの定性的及び定量的な特異性をいう。
「進化したプロテアーゼ」という用語は本発明の方法の使用により生成するいずれかのプロテアーゼをいう。「標的基質」又は「標的ペプチド基質」という用語は進化したプロテアーゼにより認識され切断される基質をいう。「標的特異性」とは本発明の方法を用いて生成する進化したプロテアーゼの定性的及び定量的な特異性をいう。即ち、標的特異性は、他の基質は全く、又は、ごく弱くしか認識及び加水分解されなくても、標的ペプチド基質に対する進化したプロテアーゼの特異性を定義する。
「中間体」又は「中間的基質」という用語は2個の他の基質の間の中間的特質を有するいずれかの基質をいう。中間的特質はアミノ酸組成、アミノ酸配列、基質に含有されるアミノ酸残基の特性、又はこれらの特徴の組み合わせに基づく。
プロテアーゼの触媒特性は、ミカエリスーメンテンの定義に従って速度パラメーター「KM」即ち「ミカエリスーメンテン定数」、「kcat」即ち「触媒速度定数」及び「kcat/KM」即ち「触媒効率」を用いて表される(Fersht,A.,Enzyme Structure and Mechanism,W.H.Freeman and Company,New York,1995)。「触媒活性」という用語は所定の条件下における基質の変換速度をいう。
アミノ酸は1又は3文字コードのいずれかにおいて以下の表IIに従って略記する。
Figure 2005525123
上記のように、本発明は分子の進化の原理を適用して標的基質特異性を有する配列特異的プロテアーゼを生成する方法に関する。本発明によれば、これは相互に関連するプロテアーゼの集団、並びに、標的基質に類似したペプチド基質を提供し、提供された基質に対するその特異性に関してプロテアーゼの集団から1個又はそれ以上のプロテアーゼ変異体を選択することにより達成される。選択は、標的配列を好ましく認識して加水分解するプロテアーゼを同定しうる条件下で行う。
特に、本発明の実施形態(1)は標的基質特異性を有する配列特異的プロテアーゼを生成するための方法に関し、ここでは、以下の工程が実施される:
(a)プロテアーゼの集団を提供し、ここで各変異体は1個又はそれ以上の第1プロテアーゼに関連し、これらの第1プロテアーゼは第1基質特異性を有すること;
(b)標的ペプチド基質に類似した少なくとも1個のアミノ酸配列を含む1個又はそれ以上のペプチド基質を提供し;
(c)標的配列を好ましく認識して切断するプロテアーゼを同定しうる条件下、工程(b)において提供された提供された基質に対するその特異性に関して工程(a)において提供されたプロテアーゼの集団から1個又はそれ以上のプロテアーゼ変異体を選択する。
そして、工程(a)〜(c)は、標的配列特異性を有する1個又はそれ以上のプロテアーゼ変異体が同定されるまで循環的に実施される。
工程(a)〜(c)を反復する際、1サイクルの工程(c)において選択される1個又はそれ以上のプロテアーゼ1を次のサイクルの工程(a)における1個又はそれ以上の第1プロテアーゼとして使用する。
本発明の1つの選択肢において、本方法の工程(a)の出発点として作用する1個又はそれ以上の第1プロテアーゼは標的特異性を目標とした進化分子工学的手法で高度に維持される高い配列特異性を有する。
本発明の別の選択肢において、本方法の工程(a)の出発点として作用する1個又はそれ以上の第1プロテアーゼは、標的特異性を目標とした進化分子工学的手法で低い配列特異性が増大する。
上記方法の工程(a)〜(c)は少なくとも1サイクルで実施される。しかしながら、これらの工程は数サイクル実施され、1サイクルにおいて選択された1個又はそれ以上のプロテアーゼ変異体各々は次のサイクルにおけるプロテアーゼ変異体の集団のもとになるのが好ましい。好ましくは、1より多く100より少ない、より好ましくは2より多く50より少ない、特に好ましくは3より多く20より少ない、特に好ましくは4より多く10より少ない、そして最も好ましくは5サイクルの工程(a)〜(c)を、標的配列特異性を有する1個又はそれ以上のプロテアーゼ変異体が同定されるまで実施する。
本発明はWO9218645において極めて詳細に記載されたように進化の手段を適用しており、その内容はその全体が参照して全目的のために本明細書に組み込まれる。
通常は「進化分子工学」又は「進化バイオテクノロジー」という分子バイオテクノロジーへの進化の原理の適用に関する概説については、Koltermann & Kettling (Biophys. Chem. 66 (1997)159-177) による総説を参照しうる。
本発明の一部は各変異体が1個又はそれ以上の第1プロテアーゼに関連するプロテアーゼ変異体の集団の提供である。原則的に、これらの第1プロテアーゼは多数存在することができ、全てがまとまって本方法の第1サイクルの起源となる。しかしながら、好ましくはこれらの第1プロテアーゼは50種以下の異なるプロテアーゼ、より好ましくは10種以下の異なるプロテアーゼ、特に好ましくは2個以下の異なるプロテアーゼを含む。最も好ましくは1個のみの第1プロテアーゼを用いる。
本発明によれば、如何なるプロテアーゼも第1プロテアーゼとして使用しうる。エンドプロテアーゼを第1プロテアーゼとして使用するのが好ましい。プロテアーゼは、セリンプロテアーゼ(EC3.4.21)、システインプロテアーゼ(EC3.4.22)、アスパラギン酸プロテアーゼ(EC3.4.23)及びメタロプロテアーゼ(EC3.4.24)よりなるプロテアーゼの群に属するものが好ましい。第1プロテアーゼは、特定の定性的及び定量的特異性でペプチド基質を認識して加水分解する能力を特徴とする。第1プロテアーゼは、生成すべきプロテアーゼの特異性として同じ程度の特異性を有しうる。比較的特異性が高いプロテアーゼの例はTEVプロテアーゼ、HIV-1プロテアーゼ、BAR1プロテアーゼ、第Xa因子、トロンビン、組織型プラスミノーゲン活性化物質、Kex2プロテアーゼ、TVMV-プロテアーゼ、RSVプロテアーゼ、MuLVプロテアーゼ、MPMVプロテアーゼ、MMTVプロテアーゼ、BLVプロテアーゼ、EIAVプロテアーゼ、SIVmacプロテアーゼである。あるいは、第1プロテアーゼの特異性は生成すべきプロテアーゼの特異性よりも低い。後者の極端な例として、極めて配列特異性が低いプロテアーゼ、例えばパパイン、トリプシン、キモトリプシン、サブチリシン、SET(ストレプトマイセス・エリスラエウス(Streptomyces erythraeus)由来のトリプシン様セリンプロテアーゼ)、エラスターゼ、カテプシンG又はキマーゼが使用される。
特に適するプロテアーゼはS. cerevisiaeのsp│P12630│BAR1プロテアーゼ(BAR1_YEASTバリアペプシン前駆体(EC3.4.23.35)(細胞外「バリア」タンパク質)(BARプロテイナーゼ)である(配列番号8参照)。
プロテアーゼの集団の提供は基本的にWO9218645に記載の通り行う。本発明によれば、プロテアーゼ変異体をコードする遺伝子を標準的な分子クローニング法(Sambrook,J.F.;Fritsch,E.F.;Maniatis,T.;Cold Spring Harbor Laboratory Press,Second Edition,1989,New York)により適当な発現ベクターに連結する。ベクターは、対応するプロテアーゼ変異体を発現する適当な発現宿主細胞内にベクターを導入する。特に適する発現宿主は大腸菌(Escherichia coli)又は枯草菌(Bacullus subtillis)のような細菌発現宿主、又は、Saccharomyces cerevisiae又はピシア・パストリス(Pichia pastoris)のような酵母発現宿主、又は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)又はベビーハムスター腎臓(BHK)細胞系統のような哺乳類発現宿主、又は、バキュロウイルス系のようなウイルス発現系である。あるいは、in vitroタンパク質発現系も使用しうる。
本発明の好ましい実施形態において、遺伝子は細胞外空間内へのプロテアーゼ変異体の分泌をもたらす適当なシグナル配列の後方の発現ベクター内で連結され、これにより細胞上清中のプロテアーゼ活性を直接検出しうる。大腸菌について特に好ましいシグナル配列は、HlyAであり、枯草菌については、AprE、NprB、Mpr、AmyA、AmyE、Blac、SacBであり、S. cerevisiaeについてはBar1、Suc2、Matα、Inu1A、Ggplpである。
本発明の別の好ましい実施形態としては、プロテアーゼ変異体は細胞内で発現され、そして、ペプチド基質もまた細胞内で発現される。これは本質的にはWO0212543に記載されており、基質アミノ酸配列により連結された2つの自己蛍光タンパク質を含む融合ペプチド基質を用いて行われるのが好ましい。
本発明の別の好ましい実施形態としては、プロテアーゼ変異体は細胞内で発現されるか、又は、原形質周囲空間内に分泌され、その際、シグナル配列、例えば、大腸菌ではDsbA、PhoA、PelB、OmpA、OmpT又はgIIIが使用され、その後、浸透又は溶解工程を経て、上清中にプロテアーゼ変異体が放出される。膜変異体の破壊は、強制的に、機械的手段、例えば超音波処理、フレンチプレス、又はリゾチーム等の膜消化酵素を用いて行いうる。
別の選択肢として、プロテアーゼ変異体をコードする遺伝子を適当な無細胞発現系を用いて無細胞内で発現させる。特に好ましい実施形態としては、この目的のために、大腸菌体から得たS30抽出液を、Leslyら(Methods in Molecular Biology 37(1995)265-278)に記載の通りに用いる。
1個又はそれ以上の第1プロテアーゼの同系は数種類の操作法により達成しうる。例えば、1個又はそれ以上の第1プロテアーゼをコードする遺伝子は、ランダム核酸突然変異誘発の方法で改変される。本発明の好ましい実施形態としては、ランダム突然変異誘発はWO9218645に記載の通り、ポリメラーゼを用いて達成する。本実施形態によれば、1個又はそれ以上の第1プロテアーゼをコードする1個又はそれ以上の遺伝子を、誤読率が高いポリメラーゼを用いるか、誤取込みの比率が高まる条件下で増幅して、1個又はそれ以上の第1プロテアーゼに関連するプロテアーゼを各遺伝子がコードするような遺伝子の集団が得られるようにする。例えばCadwell,R.C.及びJoyce,G.F.に従った方法を用いることができる(PCR Methods Appl.2(1992)28-33)。使用しうるランダム突然変異誘発の別法は突然変異惹起菌株、UV照射又は化学的突然変異誘発物質を使用する。WO9218645に記載のエラー閾値又はその付近であるが、低値でエラーを遺伝子内に導入するのが最も好ましい。
本発明の別の好ましい実施形態としては、プロテアーゼ変異体をコードする遺伝子の特定の部分をアミノ酸配列に関して完全にランダム化し、そしてオリゴヌクレオチドカセットとして遺伝子内に再導入する。この手法は通常はカセット突然変異誘発と称される(Oliphant,A.R.ら,Gene 44(1989)177-183;Horwitz,M.S.ら、Genome 31 (1989)112-117)。本発明の特に好ましい実施形態としては、基質の認識のために必須のアミノ酸残基をコードする遺伝子の部分をカセット突然変異誘発によりランダム化する。このような残基は構造解析により同定しうる。特に、基質結合ポケットの部分を含む残基はカセット突然変異誘発によりターゲティングされる。あるいは、アラニンで各アミノ酸残基を置換して、触媒活性に対する作用があるかどうかを分析して、このような残基を同定しうる。さらに別の選択肢として、これらの残基は遺伝子内にまずランダム突然変異を導入し、特異性、親和性又は触媒活性の効果についてスクリーニングし、そして、その後、特異性、親和性又は触媒活性が変化した変異体における突然変異の位置を決定することにより同定しうる。この方法の極端な例として、完全ランダム化配列は1ヌクレオチドのみの長さである。この方法は典型的には部位飽和突然変異誘発という。
本発明の別の好ましい実施形態としては、プロテアーゼの集団を提供するために、第1プロテアーゼ1個又はそれ以上の遺伝子において、核酸配列をランダムに導入するか欠失させる。この方法は挿入及び/又は欠失突然変異誘発という。挿入突然変異誘発には、定義された又はランダムな長さのランダム配列を遺伝子内にランダムに導入する。一例として、Halletら(Nucleic Acids Res.1997,vol.25,p.1866ff)の記載する方法を用いて遺伝子内にランダム15nt配列をランダムに導入しうる。あるいは、定義された配列、例えば特定のタンパク質二次構造モチーフをコードする配列を遺伝子内にランダムに挿入しうる。あるいは、定義された又はランダムな長さのランダム配列を遺伝子の特定の部位に挿入しうる。これは制限部位を用いるか、又は、Horton(Gene 1989,vol.77,p.61ff)により記載された方法等のオリゴヌクレオチドオーバーラップ伸長法により行いうる。欠失突然変異には、定義された又はランダムな長さの配列を遺伝子からランダムに欠失させる。本発明の特定の実施形態としては、1部位における挿入が潜在的に複合化されて別の部位における欠失で相殺されうるように、欠失及び挿入の突然変異誘発を組み合わせる。
本発明の別の好ましい実施形態としては、相同的インビトロ組換えの方法を用いてプロテアーゼ集団を提供する。適用しうる方法の例は、WO0134835記載の組換え連鎖反応(RCR)、WO9522625記載のDNAシャッフリング法、WO9842728記載のスタッガード伸長法、又はWO9842728記載のランダムプライミング組換えである。さらにまた、イッチー法等の非相同的組換え法も適用しうる(Ostermeier,M.ら,Nature Biotechnology 17(1999)1205-1209)。上記した参考文献の全ては参照してその全体が全ての目的のために本明細書に組み込まれる。
本発明の別の実施形態において、上記した方法を相互に組み合わせる。特に好ましい実施形態としては、組換連鎖反応を、ランダム突然変異誘発、例えばCadwell,R.C.及びJoyce,G.F.(PCR Methods Appl.2(1992)28-33)による易エラー性(error-prone)PCRと組み合わせて、そのラウンドにおいて先に選択された突然変異を脱カップリングし、同時に所定数の新しいランダム突然変異を集団に導入する。
プロテアーゼ遺伝子型及び表現型のカップリングは試料の区画化を可能とする試料キャリアを用いることにより達成され、そして遺伝子型の試料キャリアへの分配は、表現型を十分分化しうる区画当たりの多重度において行う。
前記方法の出発点として作用する1個又はそれ以上の第1プロテアーゼは、前記方法により生成されるであろう標的特異性の範囲内の特異性を有するか、又は、標的特異性より特異性が低い。従って、本発明の方法は、特異性を定量的に維持しつつ、定性的に改変する条件下に行うか(選択肢A)、又は、本発明の方法は、特異性を定性的に維持しつつ、定量的に増大させる条件下に行う(選択肢B)。さらにまた、両方の方法を組み合わせることができる。これらの3種の主な選択肢を図2に模式的に示す。
選択肢Aに対応する本発明の好ましい実施形態において、1個又はそれ以上の第1プロテアーゼは、定量的には標的特異性の範囲内であるが、定性的には標的特異性とは別個の第1特異性を有する。標的基質特異性を有するプロテアーゼは、標的配列を認識して切断するプロテアーゼを同定しうる条件下でプロテアーゼ変異体を選択することにより本発明の方法を用いて達成されるのが好ましい。
選択肢Bに対応する本発明の別の好ましい実施形態としては、1個又はそれ以上の第1プロテアーゼ特異性は、標的特異性と比較して定量的に低値である。このことは、それらがより多数のペプチド基質を認識して加水分解することを意味する。この低い第1特異性は、その後、標的特異性の範囲内となるまで本発明の方法により高められる。本実施形態の好ましい変法として、第1特異性は標的特異性と定性的に関連する。即ち、認識されて加水分解される多数のペプチド基質は既に標的基質を包含している。従って、第1基質内で必須のアミノ酸残基は、標的基質でも必須の残基となる。次に、標的基質特異性を有するプロテアーゼは、標的配列を好ましく認識して切断するプロテアーゼを同定しうる条件下でプロテアーゼ変異体を選択することにより、本発明の方法を用いて達成される。
本発明の別の部分は、標的基質に類似したペプチド基質の提供、及び、その触媒活性に関するプロテアーゼ変異体をスクリーニングするためのこれらの基質の使用である。
本発明の好ましい実施形態としては、適当なペプチド基質はMerrifieldら(Nature. 207 (1965)522-523)の固相ペプチド合成法により合成する。次にこれらのペプチド基質を試験されるべきプロテアーゼ変異体を含有する試料緩衝液中で所定時間インキュベートする。次に、ペプチドの加水分解を適当な方法で分析する。例えば断片化されたペプチドの量はクロマトグラフィーにより分析しうる。特に、ペプチド断片は逆相HPLC系上で好都合に分析される。あるいは、ペプチド基質を、ペプチド加水分解を分析しうるいずれかの方法において修飾する。特にペプチド基質は、基質の加水分解を検出しうる官能基を担持してよい。このような官能基には、例えば、限定されるものではないが、下記のものが含まれる:
ペプチドの加水分解によりスペクトル特性が変化する1個又はそれ以上の蛍光団又は発色団であって、これにより、スペクトル特性の変化の測定によりスクリーニングを実施するもの;又は、
蛍光特性により識別可能であり、第2基質の両端に結合している2個の蛍光団であって、これにより、1μM未満の蛍光団濃度において共焦点蛍光スペクトル分析によりスクリーニングを実施するもの;又は、
蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)対を形成し第2基質の両端に結合している2個の蛍光団であって、これにより、2個の蛍光団の間のエネルギー移動の低下の測定によりスクリーニングを実施するもの;又は、
第2基質にフランキングする第1及び第2の自己蛍光タンパク質であって、これにより、1μM未満の基質濃度における共焦点蛍光スペクトル分析によりスクリーニングを実施するもの;又は、
第2基質の両端に結合した蛍光団及びクエンチャー分子であって、これにより、蛍光団のクエンチング減少の測定によりスクリーニングを実施するもの;又は、
第2基質の両端に結合した蛍光団又は発色団及び結合部分であって、これにより特異的結合相手への結合部分の結合の測定によりスクリーニングを実施するもの;又は、
第2基質の両端に結合した放射標識及び結合部分であって、これにより、シンチレーションプロキシミティアッセイの使用によりスクリーニングを実施するもの;又は、これらのいずれかの組み合わせ、
である。
上記した官能基に関し、化学基はペプチドが加水分解されるとその特性を改変するペプチドに連結される。例えば、パラニトロフェニル基はこの目的で使用しうる。別の例として、1個又はそれ以上の蛍光団及び/又はクエンチャー分子をペプチドに結合し、蛍光団の蛍光の相違を測定することにより断片化したペプチドの量を分析する。例えば、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)対を形成するのに適する2個の蛍光団をペプチドに両端で結合し、そして、2個の蛍光団の間のエネルギー移動の低下によりペプチドの加水分解を測定する。例えばローダミングリーン(Molecular Probes Inc.,Oregon,USA)及びテトラメチルローダミン(Molecular Probes Inc.,Oregon,USA)をこのようなFRET対を形成するのに適する蛍光団として使用しうる。
本発明の特に好ましい実施形態としては、実質的なFRET対を形成しない2個の蛍光団を合成ペプチド基質の両端に結合させる。一例として、ローダミングリーン(Molecular Probes Inc.,Oregon,USA)及びCy-5(Amersham Biosciences Europe GmbH,Freiburg)をこの目的で使用でき、そして、染料の共有結合はペプチドの第1アミノ基へのスクシンイミジルエステル結合により達成しうる。これらのペプチドの加水分解は、特許出願WO9416313及びWO9613744に従って共焦点蛍光スペクトル分析を用いて分析し、これらは全ての目的のためにその全体が参照して本明細書に組み込まれるのが好ましい。共焦点蛍光スペクトル分析は高感度であるため、基質は1マイクロモル未満、より好ましくは、100ナノモル未満、最も好ましくは10ナノモル未満の濃度で使用される。従って、本実施形態によるスクリーニングは典型的なプロテアーゼのKMよりも実質的に低値で行われる。
本発明の別の特に好ましい実施形態としては、第1の自己蛍光タンパク質、ペプチド及び第2の自己蛍光タンパク質を含む融合タンパク質をペプチド基質として使用する。全ての目的のためにその全体が参照して本明細書に組み込まれるWO0212543によれば、自己蛍光には緑色蛍光タンパク質GFP及びその突然変異体、並びにdsRED及びその突然変異体が含まれる。融合タンパク質は大腸菌における適当な融合遺伝子の発現、細胞の溶解及びイオン交換クロマトグラフィー又はアフィニティークロマトグラフィー等の定法による融合タンパク質の精製により調製しうる。
標的基質特異性を有するプロテアーゼが、標的配列を好ましく認識して切断するプロテアーゼを同定しうる条件下でプロテアーゼ変異体を選択することにより生成する点は本発明の本質的な部分である。この選択は、以下に記載する本発明の種々の様相に従って達成しうる。
本発明の第一の様相において、標的配列を好ましく認識して切断するプロテアーゼは標的基質配列に対して高い親和性を有するプロテアーゼをスクリーニングして同定される。高い親和性は低いKMに相当し、第1プロテアーゼのKMより実質的に低い標的基質濃度でスクリーニングすることにより選択される。この様相を「親和性方法(affinity approach)」という。
本発明のこの様相の好ましい実施形態において、工程(b)において提供されたペプチド基質を、10μM未満、好ましくは1μM未満、より好ましくは100nM未満、そして最も好ましくは10nM未満の濃度でペプチド基質の加水分解を検出しうる1個又はそれ以上の蛍光団に連結する。
本発明の第2の様相において、標的配列のみを認識して切断するプロテアーゼは、工程(b)において2個又はそれ以上のペプチド基質を提供し、相対的に、2個又はそれ以上のペプチド基質に対する活性についてスクリーニングして同定される。この様相を「比較方法(comparison approach)」という。
本発明のこの様相の好ましい実施形態において、工程(b)において提供された2個又はそれ以上のペプチド基質を異なるマーカー分子に連結し、2個又はそれ以上のペプチド基質の連続的な又は並行した切断を検出しうる。本発明の特に好ましい実施形態としては、2個のペプチド基質が工程(b)において提供され、1個のペプチド基質は第1ペプチド基質と同一又は類似のアミノ酸配列を有することにより第1プロテアーゼの本来の活性をモニタリングでき、そして、もう1個のペプチド基質は標的基質配列と同一又は類似のアミノ酸配列を有することで標的基質に対する活性をモニタリングしうる。本発明の特に好ましい実施形態としては、これらの2個のペプチド基質を蛍光マーカー分子に連結し、そして、2個のペプチド基質の蛍光特性は十分に異なっており、連続的に又は並行して測定された場合に、両方の活性を識別しうる。例えば、この目的のため、特許出願WO0212543に従って、第1自己蛍光タンパク質、ペプチド、及び第2自己蛍光タンパク質を含有する融合タンパク質を使用しうる。あるいは、ローダミン等の蛍光団をペプチド基質に化学的に連結する。
本発明の第3の様相において、標的配列を好ましく認識して切断するプロテアーゼは、工程(b)において、標的ペプチドに類似した1個又はそれ以上のペプチド基質を極めて過剰の競合ペプチド基質とともに提供することにより同定される。次に、標的基質に類似した基質に対する活性に関するスクリーニングを競合基質存在下に行う。定性的には標的特異性に対応する特異性を有するものの定量的特異性は低いプロテアーゼは、このようなスクリーニングにおける負の試料として同定される。一方、標的特異性に定性的及び定量的に対応する特異性を有するプロテアーゼは陽性に同定される。この様相を「競合方法(competitor approach)」という。
本発明のこの様相の好ましい実施形態としては、標的基質に類似した1個又はそれ以上のペプチド基質をマーカー分子に連結し、これにより加水分解を検出しうるが、競合ペプチド基質はマーカー分子を担持しない。競合ペプチド基質は第1ペプチド基質と同一又は類似のアミノ酸配列を有するか、又は、ランダムアミノ酸配列を有しており、これにより、マーカー担持ペプチド基質の加水分解の競合的阻害剤として作用する。
本発明の第4の様相において、標的配列を好ましく認識して切断するプロテアーゼは標的配列特異性を目標とするプロテアーゼの進化のために中間的基質を用いて同定する。この様相を以後「中間的方法(intermediate approach)」という。本発明の本様相の第1の変法において、これは異なるペプチド基質を異なるサイクルにおいて提供することにより達成されるが、各ペプチド基質は前のサイクル及び標的ペプチド基質に関して中間的な特質を有する。この変法によれば、変異体は標的特異性を目標として徐々に進化する。図4は中間的方法の本変法の基本的原理を模式的に示している。
より一般的には、本発明の本様相の第1の変法は標的基質特異性を有する配列特異的プロテアーゼを生成するための方法に関するが、ここで下記工程を実施する:
(a)プロテアーゼの集団を提供し、ここで各変異体は1個又はそれ以上の第1プロテアーゼに関連し、これらの第1プロテアーゼはあるスペクトルのペプチド基質又は単一のペプチド基質に対する特異性を有するものであり;
(b)第1ペプチド基質及び標的基質に関して中間的特質を有する1個又はそれ以上のペプチド基質を提供し;
(c)工程(a)で提供されたプロテアーゼの集団から工程(b)で提供された基質に対する特異性に関して1個又はそれ以上のプロテアーゼ変異体を選択し;
(d)工程(b)で提供された中間的基質に対する活性を有する1個又はそれ以上のプロテアーゼ変異体が同定されるまで工程(a)〜(c)を反復し;
(e)工程(a)及び(b)における第1ペプチド基質を中間的基質により、そして、工程(a)における第1プロテアーゼを工程(c)において選択されたプロテアーゼ変異体により置換すること;
及び標的基質特異性を有する1個又はそれ以上のプロテアーゼ変異体が同定されるまで工程(a)〜(e)を反復する。
本発明の本様相のこの第1の変法において、プロテアーゼ特異性の進化は特定数の中間的ペプチド基質に対する連続的選択により方向付けられるが、これにより、各ペプチド基質は標的ペプチド基質に益々類似する。この方法は、関連する基質を認識するプロテアーゼが、通常、相互に関連するという知見に基づく。本発明の文脈におけるプロテアーゼの関連性とは、2個又はそれ以上の酵素アミノ酸配列の相同性の尺度である。さらに、前記方法は、プロテアーゼ活性部位における識別可能な下位部位が別々に進化でき、そして、その分子構造がペプチド基質の種々の残基に帰属しうるという意外な発見に基づく(Schlechter & Berger,Biochem. Biophys. Res. Commun.27(1967)157-162)。
中間的基質は、第1のペプチド配列の1またはそれ以上の位置におけるアミノ酸残基を、標的ペプチド配列の同位置におけるアミノ酸残基で置換して具現化しうる。このような中間体は「アミノ酸組成中間体」という。さらにまた中間的ペプチド基質は、第1ペプチド配列の残基でも、その位置における標的ペプチド配列の残基でもないが、第1及び標的の基質中の残基に関して中間的特質を有するアミノ酸残基である1またはそれ以上の位置における1またはそれ以上のアミノ酸残基を含みうる。このような中間体は「アミノ酸特性中間体」という。この種の中間的特質は1つ以上の物理的又は化学的パラメーターに基づいており、限定されるものではないが、例えば残基の表面、その体積、等電点、側鎖のpKa、極性、水素結合形成能又は疎水性が包含される。以下の表において、20種の天然のアミノ酸残基をこれらのパラメーターに従って分類する。
Figure 2005525123
例えば、第1基質がALYであり標的基質がNRFであるとすれば、アミノ酸組成に関する中間的基質は、例えばALF、NRY又はARF(第1基質に関する修飾を示す)となる。アミノ酸特性に関する中間的基質は、例えば、AQFとなり、グルタミン残基は未荷電であるという意味においては元のロイシンと類似するが、疎水性及び水素結合形成能に関しては標的基質のアルギニン残基により類似している。この方法のその他の例はSLYであり、この場合、Sは体積及び表面に関してはAに類似しているが、疎水性と水素結合の点では標的のNとより類似性する。
さらにまた、用いられる連続したペプチド基質の数は、第1のペプチド配列及び標的ペプチド配列の関連性並びに1個又はそれ以上の第1プロテアーゼの定量的特異性に依存する。第1のペプチド配列及び標的ペプチド配列の関連性が低く、1個又はそれ以上の第1プロテアーゼの特異性が高いほど、より多くの連続した中間的ペプチド基質が必要になる。
本発明のこの様相の第2の変法においては、種々の中間体に対する特異性を有する種々のプロテアーゼを方法の第1工程において並行して選択する。次に、第2工程において、標的特異性を有するプロテアーゼを、第1工程において選択されたプロテアーゼの無作為に組換えられたキメラを含む集団から選択する。並行して選択された種々のプロテアーゼの組換えを、インビトロ相同的組換え手法、例えば特許出願WO0134835に記載の組換連鎖反応を用いて達成するのが好ましい。中間体の両方の形態をこの変法において使用しうる。しかしながら、アミノ酸組成中間体を用いるのが好ましい。図11はこの本発明の第4の様相の変法の基本的原理を模式的に示している。
本変法の第1工程において使用される種々の中間体は、これらの中間体内に導入される全ての修飾の合計が標的基質の特徴と等しいか類似するような方法で選択するのが好ましい。一例として、第1基質がALYであり標的基質がNRFである場合、この実施形態の適当なアミノ酸組成中間体はNLY、ARY及びALFとなる。次にこれらの3種の基質に対して特異性を有するプロテアーゼをランダムに組換え、この例のNRFの標的基質を対象とした特異性をスクリーニングする。修飾が1つより多い中間体を包含する他の例も同様に構築する。
本発明の他の様相においては、上記した2、3又は全4種の異なる様相を相互に組み合わせる。ミカエリスーメンテン定数が低下したプロテアーゼのスクリーニングと中間的基質の使用を組み合わせるのが好ましい。他には、ミカエリスーメンテン定数が低下したプロテアーゼのスクリーニングを、連続又は並行して2個又はそれ以上の基質のスクリーニングと組み合わせるのが好ましい。ミカエリスーメンテン定数が低下したプロテアーゼのスクリーニングを過剰量の競合未標識基質の使用と組み合わせるのがさらに好ましい。第4の様相として、ミカエリスーメンテン定数が低下したプロテアーゼのスクリーニング、並行して2個又はそれ以上の基質のスクリーニング、競合未標識基質の過剰量の使用、及び、中間的基質の使用を相互に組み合わせるのが特に好ましい。
本発明の特に好ましい実施形態としては、標的プロテアーゼが組織型プラスミノーゲン活性化物質と同様の特異性を有し、そして、標的基質CPGR↓VVGGを切断する。このような標的プロテアーゼは、とりわけ、原料プロテアーゼがS. cerevisiae由来のBAR1である場合に、本発明の上記の定義した方法により生成する。このような方法においては、以下の第2/中間的基質を利用する:
(i)WLGLVPGG
(ii)WLGQVPGG
(iii)WLGRVPGG
(iv)WLGRVVGG
(v)CPGRVVGG
本発明はまた、上記の方法により獲得しうる配列特異的プロテアーゼに関する。好ましい実施形態としては、配列特異的プロテアーゼは組織型プラスミノーゲン活性化物質と同様の特異性を有し、そして、標的基質CPGR↓VVGGを切断する。原料プロテアーゼは、限定されるものではないが、BAR1プロテアーゼ、例えば配列番号8に記載するものが好ましい。さらに、200aaまで、好ましくは100〜200aaの範囲、より好ましくは120〜180aaの範囲、最も好ましくは140〜160aaの範囲で、C又はN末端において切断により改変体されたBAR1プロテアーゼを原料プロテアーゼとして使用しうる。さらに、前記配列特異的プロテアーゼは前記BAR1由来プロテアーゼであり、改変体L33I、Y45D、T47A、T59I、N82D、E96V、M107I、N123D、E143D,N151V、I152F、K161E、A163T、T165A、R178S、T221I、E231V、D321N、D367G、M369L、V370I、A399S、K404R及びS440Lを含む群から選択される突然変異が少なくとも1個あるものがより好ましい。このようなプロテアーゼのうち特に好ましいのはD367G、V370I、M107I、I152F、E143D及びE231Vのうち少なくとも1つである。BAR1プロテアーゼの特に好ましい突然変異は、さらに例えばそのC又はN末端において10aaまで切断により、又は、その配列内で50aaまで、好ましくは20aaまで、最も好ましくは10aaまでの欠失、挿入又は置換により改変体されうる。
図面の簡単な説明
図1は、本発明の方法の2個の選択肢A及びBを模式的に示す。第1プロテアーゼから出発して、本発明の目標は、アミノ酸配列から特定される標的ペプチド基質に対して特異性が高い進化したプロテアーゼの生成である。この図の目的上、異なる形状は異なるアミノ酸残基を示し、そして、形状が逆転している輪郭はそれぞれプロテアーゼの認識部位を示す。上部の屈曲した波型の形状はその位置におけるいずれかのアミノ酸残基を示す。酵素の活性部位はアステリクスで示し、矢印は基質内の切断部位を示す。第1プロテアーゼとして使用される1個又はそれ以上のプロテアーゼ1の型は、選択肢A又は選択肢Bのいずれが採用されるかにより決定される。選択肢Aにおいて、第1プロテアーゼは、定義された第1基質に対する特異性が十分高いことにより特徴づけられる。本発明の方法によれば、この特異性は標的特異性に定性的に変化させなければならない。選択肢Bにおいて、第1プロテアーゼは特異性が比較的低く、即ち、例えばP1、P1'及び/又はP2'の位置において異なる基質のプール内では判別しえない。
図2は、標的特異性を目標とした進化の間の特異性の定性的及び定量的変化を模式的に示すことにより、本発明の方法の2個の選択肢A及びBを識別する。本発明の枠組み内において定義される定量的特異性sは、全ての認識される基質及び全ての可能な基質の間の比を指す。定性的特異性は認識される基質のアミノ酸組成及び配列を指す。第1プロテアーゼ(○)及び進化したプロテアーゼ(●)の特異性を模式的に示す。選択肢Aにおいては、第1プロテアーゼは、標的特異性の範囲に定量的特異性を有しているが、定性的特異性は標的特異性とは異なる。標的特異性を獲得するために定性的にのみ特異性を変化させる。選択肢Bにおいては、第1プロテアーゼは標的基質の定性的特異性を有するが、定量的特異性は標的特異性よりも極めて低い。標的特異性を獲得するためには定量的にのみ特性を変化させる。両方の選択肢を組み合わせる場合、第1プロテアーゼは標的基質の定性的特異性も定量的特異性もいずれも有さない。標的特異性を獲得するためには定量的及び定性的に特異性を変化させる。
図3は、本発明の方法の2つの選択肢A及びBを用いて、触媒活性が変化したプロテアーゼをどのように進化させるかを模式的に示す。本発明の方法によれば、触媒活性(Aと略記する)は選択パラメーターとして使用しうる。選択肢Aにおいて、第1プロテアーゼは基質1しか加水分解しないが、標的基質(T)を含む他の基質は全く加水分解されないか、極めて緩徐にされるにすぎない。本発明の方法を用いると、プロテアーゼは標的基質を特異的に加水分解するが、第1基質を含む他の基質は全く加水分解されないか、極めて緩徐にしか加水分解されないように進化する。これらの進化したプロテアーゼは標的基質に対する触媒活性の増大、及び、第1基質に対する触媒活性の低減により選択される(比較方法)。あるいは、選択は標的基質に対する親和性に基づくことができる(親和性方法)。選択肢Bにおいては、第1プロテアーゼは標的基質(T)も含む全ての基質を加水分解する。本発明の方法を用いることにより、プロテアーゼは、標的配列を特異的に加水分解するが、第1基質を含む他の基質は全く加水分解されないか、極めて緩徐にしか進行しないように進化する。
これらのプロテアーゼは過剰量の競合基質を用いてスクリーニングすること(競合物質方法)により、又は、より高い基質親和性に関してスクリーニングすること(親和性方法)により選択される。一般的に、進化したプロテアーゼは、第1基質及び標的基質を含む、提供された基質に対する触媒活性を比較することにより同定しうる。
図4は、本発明の1つの特定の様相としての中間的方法を2個の形態において模式的に示す。符号の説明については、図1を参照する。中間的方法は必要最低限の工程で標的特異性に向けて徐々に特異性を進化させるための指針となる1またはそれ以上の中間的基質を使用する。中間的基質は、第1及び標的基質と比較した場合に中間的な特質を有する基質である。中間体は2形態に分類しうる。第1に、中間的基質は、第1基質のうち、少なくとも1個であるが全部ではないアミノ酸残基を標的基質のアミノ酸残基で置換することにより提供される(アミノ酸組成に関して中間的な方法1)。第2に、中間的基質は第1及び標的基質の対応するアミノ酸残基の間でその特性が変動する基質アミノ酸残基の定義された位置において選択的に導入することにより提供される(アミノ酸の特性に関して中間的、方法2)。さらに他の選択として、両方の中間的方法を組み合わせうる。図に示すとおり、2つの中間体の間の工程が大きすぎる場合は常時、第2の方法を第1の方法に包含させるのが好ましい。
図5は、中間的方法を用いて、本発明により触媒活性が変化したプロテアーゼをどのように進化させるかを模式的に示す。第1プロテアーゼは第1基質(1)に対して活性が高いものの、標的基質(T)を含む他の全ての基質に対しては活性がないか又は極めて低い。以下の本質的な工程により、図4に示されるとおり中間的基質(2)が提供される。基質に対する触媒活性についてスクリーニングすることにより、中間的基質に対して活性が上昇したプロテアーゼ変異体が選択される。この中間的工程は、標的基質のみに対して触媒活性を示し、第1基質及び他の基質に対しては活性がないか又は極めて低い進化したプロテアーゼが単離されるまで、標的基質の性質に向けて中間的基質の段階的変異を伴いながら反復しうる。
図6は、本発明の方法に使用しうるシャトルベクターpPDEを模式的に示している。ベクターはS. cerevisiae起点(2μ ori)、大腸菌起点(pMB1 ori)、S. cerevisiaeマーカー(URA3)、大腸菌マーカー(AmpR)及びガラクトース誘導性S. cerevisiaeプロモーター(GAL)よりなる発現カセット、発現されたタンパク質分泌のためのシグナル配列(シグナル)、目的遺伝子を挿入するためのKpnI及びXhoI認識部位、並びにターミネーター(Cyc1)を含む。
図7は、交差相関共焦点蛍光スペクトル分析(cc-FCS)によりモニタリングしたタバコエッチウイルスプロテアーゼにより触媒されたペプチド基質の加水分解を例示する。配列ENLYFQSを有するペプチド基質がTEVプロテアーゼにより特異的に認識され、加水分解される。100nMの2重標識ペプチド(Alexa488,Cy5)を50mMトリス塩酸pH8.0、0.5mM EDTA、10mM DTT、0.05%グリセロールを含む試験緩衝液中0.01U/μlプロテアーゼの存在下(■)及び非存在下(○)でインキュベートした。
図8は、共焦点蛍光スペクトル分析器を用いて基質WLGLVPGGに対するプロテアーゼ変異体集団をスクリーニングすること(中間体1、実施例VI参照)により得られた触媒活性の分布を例示する。示されているものは、特定の触媒活性(性能、任意の単位)が同定される頻度Nである。数値が低いものは触媒活性が低く、数値が高いものは基質に対する触媒活性が高いことを示す。最も高い性能数値を有する変異体をコードする遺伝子を単離し、その特異性に関して評価する。次に、これらの変異体を次のサイクルのための第1プロテアーゼとして使用する。この操作法を、標的特異性を有するプロテアーゼ変異体が同定されるまで反復する。
図9は、本発明の親和性方法を用いたより高い親和性に向けて進化する間にKMが低下することを例示する。本実験において第1プロテアーゼ(野生型)として使用したプロテアーゼは、194μMのKMを有する枯草菌由来のサブチリシンEであった。このKMを徐々に、7.5のファクターで26μMまで本発明の方法を用いて低下させた。
図10は、t-PAの特異性を目標としたプロテアーゼの進化過程での特異性の変化を例示する。変異体1、2及び3の活性は実施例VIの基質中間体1、中間体2及び中間体3を用いて評価した。基質濃度の低下はタンパク質分解活性に対応する。低下が早いほど、プロテアーゼ変異体の触媒活性は高くなる。第1プロテアーゼは中間体1に対して極めて低活性であり、中間体2又は3に対しては無活性であるが、進化した変異体は3種の中間的基質に対して種々の活性を示す。
図11は、本発明の中間的方法の好ましい変法を模式的に示したものであり(第4の様相、下記参照)、ここでは、プロテアーゼは第1工程において、並行して種々の中間的基質に対する特異性に従って選択される。次にプロテアーゼを、第1の工程において選択されたプロテアーゼ変異体の組換え変異体を含む集団から、標的基質に対する特異性に従って選択する。
図12は、本発明による至適化方法のラウンド5において得られた進化したプロテアーゼと比較した場合の第1プロテアーゼに関する速度論的進行曲線を示す。第1基質の場合、進化したプロテアーゼの活性は第1プロテアーゼと比較すると低値である。これは第1及び第4の中間体の場合には逆転し、第1プロテアーゼの基質のターンオーバーは、各々極めて限定的か皆無であった。
本発明を以下の実施例によりさらに説明する。本明細書に記載する実施例及び実施形態は例示のみを目的としており、それを参考にした種々の修飾又は変更は当業者に示唆されるとおりであり、そして、本出願の精神及び権限内に含まれるものであり、そして、添付した請求項の範囲内のものとみなされる。本明細書において引用した全ての出版物、特許及び特許出願は、全ての目的のためにその全体が参照して本明細書に組み込まれる。
以下の実施例において、前記方法により得られた酵素の触媒特性の測定も含めて本発明の材料及び方法を提供する。これらの実施例は例示のみを目的としており、如何なる方法においても本発明を限定するものではないものと理解すべきである。
以下に記載する実験例において、組換えDNA技術の標準的手法は種々の出版物、例えば、Sambrookら,(1989),Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory、又は、Ausbelら(1987),Current Protocols in Molecular Biology 1987-1988, Wiley Interscience, Methods in Yeast Genetics (1994),A Cold Spring Harbor Laboratory Manualに記載され、それらはその全体が参照して本明細書に組み込まれる。特段の記載がない限り、制限酵素、ポリメラーゼ及び他の酵素並びにDNA精製キットは製造元の説明書に従って使用した。
実施例I:プロテアーゼ変異体をコードする遺伝子の分子クローニング
プロテアーゼ変異体をコードする遺伝子を酵母であるS. cerevisiaeによるタンパク質の細胞外発現に適するベクターにクローニングした。使用したベクターはプラスミドpYES2の誘導体であり、これはInvitrogen,Inc.より市販されている。プラスミドの地図は図6に示す。ベクターはS. cerevisiaeの増幅の2μ起点、大腸菌の増幅のpMB1起点、S. cerevisiaeの選択のためのURAマーカー、大腸菌の選択のためのアンピシリン耐性マーカー、並びに、S. cerevisiae中の誘導性発現のためにGALプロモーター及びCyc1転写ターミネーターを含む。S. cerevisiaeのBAR1遺伝子からのシグナルペプチドをコードするリーダー配列を含む90bpの断片をGAL1プロモーターの下流に導入した。制限部位KpnI及びXhoIは発現すべき異種遺伝子のための挿入部位とした。プロテアーゼ変異体をコードする遺伝子のクローニングは以下の通り行った:即ち、成熟タンパク質のコード配列は5’末端にKpnI部位、3’末端にXhoI部位を導入するプライマーを用いたPCRにより増幅した。このPCR断片をベクターの適切な部位にクローニングし、同一性を配列決定により確認した。
実施例II:プロテアーゼ変異体の集団の提供
プロテアーゼ変異体の集団は、公知の基質特異性を有するプロテアーゼをコードする遺伝子をランダム改変した後、適当な宿主生物としてS. cerevisiaeを用いて、この改変遺伝子によりコードされるプロテアーゼ変異体を発現することにより提供された。第1に、公知の基質特異性を有するプロテアーゼ変異体をコードする遺伝子は、本質的にはCadwell,R.C.and Joyce,G.F.(PCR Methods Appl.2(1992)28-33)に記載の通り、易エラー性の条件下にPCR増幅した。易エラー性PCRは、10mMトリス塩酸pH7.6、50mM KCl、7mM MgCl2、0.5mM MnCl2、0.01%ゼラチン中、30pmolの各プライマー、20nmol dGTP及びdATP、100nmol dCTP並びにdTTP、20fmol鋳型及び5UのTaqDNAポリメラーゼを用いて、94℃1分間、65℃1分間、72℃1分間を20サイクル行った。得られたDNAライブラリは入手元の取扱説明書に従ってQiaquick PCR精製キットを用いて精製した。PCR産物は制限酵素XhoI及びKpnIを用いて消化し、実施例1に記載の通り精製した。その後、PCR産物をXhoI及びKpnIで消化したベクター内に連結し、ゲル精製し、脱リン酸化した。ライゲーション産物を大腸菌内に形質転換し、マーカーとしてアンピシリンを含有するLB中で増幅し、プラスミドを入手元の取扱説明書に従ってQiagenプラスミド精製キットを用いて精製した。得られたプラスミドをS. cerevisiae細胞に形質転換した。プロテアーゼ変異体の集団は、培地に2%ガラクトースを添加することにより形質転換されたS. cerevisiae中で発現を誘導することにより提供した。あるいは、公知の基質特異性を有するプロテアーゼ変異体をコードする遺伝子は、本質的にWO0134835に記載の通り、組換え連鎖反応を用いて相同的位置において統計学的に組換えた。プロテアーゼ変異体をコードする遺伝子のPCR産物は、入手元の取扱説明書に従ってQiaquick PCR精製キットを用いて精製し、アガロースゲル電気泳動により正確な大きさであることを確認し、そして、等モル量で混合した。150mMトリス塩酸pH7.6、6.6mM MgCl2中のこのPCRミックス80μgを94℃で5分間加熱し、その後0.05℃/秒で37℃まで冷却することにより鎖を再アニーリングし、これにより確率論的な方法でヘテロ2本鎖を作成した。次に、DNAμg当たり2.5UのエキソヌクレアーゼIIIを添加し、20、40又は60分間37℃でインキュベートすることによりヘテロ2本鎖の両方の3’末端から種々の長さで消化した。部分的に消化されたPCR産物は、入手元の取扱説明書に従って0.17mM dNTPs及びPfuポリメラーゼ緩衝液中72℃で15分間インキュベートすることによりDNAμg当たり0.6UのPfuポリメラーゼで再充填した。単回のPCRサイクルを実施した後、得られたDNAを入手元の取扱説明書に従ってQIAquickPCR精製キットを用いて精製し、KpnI及びXhoIで消化し、線状化されたベクター内に連結した。ライゲーション産物を大腸菌内に形質転換し、マーカーとしてアンピシリンを含有するLB中で増幅し、プラスミドを入手元の取扱説明書に従ってQiagenプラスミド精製キットを用いて精製した。得られたプラスミドをS. cerevisiae細胞に形質転換した。プロテアーゼ変異体の集団は、培地に2%ガラクトースを添加することにより形質転換されたS. cerevisiae中で発現を誘導することにより提供した。
実施例III:標的基質に類似したペプチド基質の提供
全てのペプチド基質は、Merrifield等の方法を用いてペプチド合成装置で合成した(Nature.207(1965)522-523)。標的配列に類似するペプチド基質は、1以上の第1ペプチド基質の位置におけるアミノ酸残基を1以上の位置における標的基質のアミノ酸残基で置換することにより設計した。あるいは、第1ペプチド基質の1以上の位置におけるアミノ酸残基を、第1ペプチド基質のアミノ酸残基及び標的ペプチド基質のアミノ酸残基に関して中間的な特質を有するアミノ酸残基で置換した。アミノ酸残基の中間的特質は、表IIIを参照して決定しうる。マーカー蛍光団は、N末端のアミノ基を介するか、C末端のカルボキシ基を介して、ペプチド基質に結合させた。あるいは、ペプチドのN末端又はC末端においてシステイン残基を付加し、マーカー蛍光団をシステイン残基のチオール基に化学的に結合させた。
Alexa488(Molecular Probes Inc.,Oregon,USA)及びCy-5(Amersham Biosciences Europe GmbH,Freiburg,Germany)を蛍光団マーカーとして典型的に使用した。ペプチド基質のプロテアーゼ切断は、交差相関FCS(Proc.Natl.Acad.Sci.USA.95(1998)1416-1420)によりモニタリングした。一例として、タバコエッチウイルスプロテアーゼ(TEVプロテアーゼ)に対する標的基質を含み、そして、ペプチドのC末端に結合したAlexa488蛍光団及びペプチドのN末端に結合したCy-5蛍光団を有するペプチド基質の切断を図7に示す。TEVプロテアーゼは既に相対的に高い特異性を有している(s=4.9、表I参照)。切断は、50mMトリス塩酸pH8.0、0.5mM EDTA、10mM DTT及び0.05%グリセロールを含む試験緩衝液中0.01U/μl TEVプロテアーゼを添加することにより、100nMのペプチド濃度で行った。
実施例IV:スクリーニング手順
所望の基質特異性を有する酵素変異体を同定するために、WO9416313に開示された共焦点蛍光スペクトル分析条件に基づいたスクリーニング方法を用いた。S. cerevisiaeの培養液の細胞懸濁液を直接、又は、無細胞上清の一部のいずれかを、分泌されたプロテアーゼ変異体を含有する試料として使用した。基質を試料に添加して所定時間インキュベートした後、試料を共焦点蛍光スペクトル分析により測定した。必要に応じて、この操作法を数回反復することでタンパク質分解切断の速度論的動態を測定した。その結果、試料をタンパク質分解活性に従ってランク付けし、特定の活性閾値を超過した試料を同定して対応するプロテアーゼ変異体をコードする遺伝子を単離した。本操作法により得られたプロテアーゼ変異体のタンパク質分解活性の分布を図8に示す。
実施例V:低基質濃度におけるスクリーニングによる標的ペプチド基質に対して親和性が増大した配列特異的プロテアーゼの生成
標的ペプチド基質に対して親和性が上昇したプロテアーゼ変異体は、低基質濃度におけるスクリーニングに基づいて、本発明の方法により生成させた。易エラー性PCR(Cadwell,R.C.and Joyce,G.F.、PCR Methods Appl.2(1992)28-33)により、比較的特異性が低い(s=0.82)枯草菌由来のアルカリプロテアーゼサブチリシンEに関連するプロテアーゼ変異体の集団を生成した。これは、150〜200μMの範囲内にある比較的高いKMに相関する。プロテアーゼ変異体の集団は、10nMの範囲の基質濃度を用いた共焦点蛍光スペクトル分析により106変異体のコンプレキシティーでスクリーニングした。この初回のスクリーニングで単離された変異体を、別のプロテアーゼ変異体集団を得るための第2のサイクルにおける第1プロテアーゼとして使用した。同様にして、次のサイクルで単離された変異体をその後のサイクルにおける第1プロテアーゼとして使用した。第2のサイクル及びその後の全サイクルにおいて得られた変異体の集団は、易エラー性PCR(上記参照)及びインビトロ相同的組換え(WO0134835による)の組み合わせにより生成させた。本操作法の最初の4サイクルから単離された変異体を速度論的に分析した。4ラウンドにわたる基質に対する親和性の増大は、図9に示す各サイクルの最良の性能のKMの低下に対応する。
実施例VI:組織型プラスミノーゲン活性化物質の活性に類似した標的基質特異性を有する配列特異的プロテアーゼの生成
組織型プラスミノーゲン活性化物質(t-PA)の特異性に対して特異性が変化したプロテアーゼを本発明の方法により生成した。S. cerevisiae由来のBAR1プロテアーゼ(配列番号8)を第1プロテアーゼとして使用した。本プロテアーゼはアスパラギン酸プロテイナーゼのグループに属する(MacKayら,;Structure an Function of the Aspartic Proteinases (1991)161-172)。これは、アミノ酸配列WLQLKPGQを含むペプチド基質に対して特異的であり、第2のロイシンとリジン残基との間のペプチド結合における切断を触媒する。BAR1プロテアーゼ又はその後のスクリーニングサイクルにおいて単離されるプロテアーゼに関連するプロテアーゼ変異体の集団は、易エラー性PCR(Cadwell,R.C.and Joyce,G.F.、PCR Methods Appl.2(1992)28-33)及び組換え連鎖反応を用いたインビトロ相同的組換え(WO0134835)により生成させた。プロテアーゼ変異体は、共焦点蛍光スペクトル分析により106変異体のコンプレキシティーでタンパク質分解活性についてスクリーニングした。第1プロテアーゼとして使用したBAR1プロテアーゼは、既に、標的特異性の範囲で特異性が比較的高かった。従って、親和性方法と中間的方法の組み合わせを使用した。低濃度におけるスクリーニングはプロテアーゼの特異性を高いまま維持し、中間的基質に対するスクリーニングは新しい特異性を目標とした進化が可能となった。4種の中間的基質を構築した。中間的基質1はアミノ酸配列WLGLVPGGを有し、中間的基質2はアミノ酸配列WLGQVPGGを有し、中間的基質3はアミノ酸配列WLGRVPGGを有し、そして中間的基質4はアミノ酸配列WLGRVVGGを有していた。t-PAの標的基質特異性はアルギニン残基と第1のバリン残基との間の切断を有するCPGRVVGGを指向している。全基質を表IVに示す。
Figure 2005525123
中間体1はアミノ酸組成中間体であったが、それは、位置P4、P3、P1及びP2'において第1基質と同じアミノ酸を、そして、位置P2、P1'及びP4'において標的基質と同じ残基を含むという事実による。中間体2は中間体1と標的基質に関して中間的なアミノ酸の特性を有していた。これは中間体1に類似していたが、第1基質のその位置に存在するロイシン残基及び標的基質のその位置に存在するアルギニン残基と比較して中間的な特質を有するグルタミン残基を位置P1において含んでいた。別のアミノ酸組成中間体としての中間体3は、第1基質及び標的基質の両方から派生したアミノ酸残基に基づいている点は中間体基質1と同様であったが、後者とは対照的に、標的基質ともう1つ別の位置を共有していた。中間体3と比較して、中間体4はP2’において標的配列ともう1つさらに別のアミノ酸を共有している。本方法により生成した種々の変異体の変化した特異性を図10に示す。
基質特異性の増大は図12に例示するとおり基質の時間依存性変換としても測定しうる。基質の変換は経時的に非変換の基質の部分として示される。図12に示すとおり、第1プロテアーゼ及びラウンド5の進化変異体は、それぞれ、第1基質、中間体1及び中間体4に対するそのタンパク質分解活性において異なっている。第1基質の場合、進化したプロテアーゼの活性は第1プロテアーゼと比較して低値である。これは第1及び第4の中間体の場合には逆転し、第1プロテアーゼの基質のターンオーバーは、それぞれ、極めて限定的及び皆無であったのに対し、進化したプロテアーゼは両方の基質に対して多大な活性を示している。
このようにして本発明の方法に従ってヒト組織型プラスミノーゲン活性化物質と同様の基質特異性を有するプロテアーゼを生成する。プロテアーゼは、33、45、47、59、82、96、107、123、143、151、152、161、163、165、178、221、231、321、367、369、370、399、404、440の群から選択される位置において少なくとも1種の突然変異を有する(配列番号8に示したプロテアーゼBAR1のアミノ酸配列の番号付けに基づく)。ヒト組織型プラスミノーゲン活性化物質の特異性を目標としてBAR1 wtプロテアーゼから進化したプロテアーゼ変異体は、D367G、M369L、V370I、M107I、I152F、E143D、E231V、L33I、Y45D、T47A、T59I、N82D、E96V、N123D、N151V、K161E、A163T、T165A、R178S、T221I、D321N、A399S、K404R及びS440Lよりなる群から選択される少なくとも1種の突然変異を有するのが好ましい。
図12は原料(第1の)プロテアーゼと比較した場合の本発明の方法に従って進化したプロテアーゼの触媒挙動を示す。BAR1プロテアーゼ(配列番号8)から出発して、種々の突然変異を有する変異体が得られる。図12はラウンド5の変異体の基質特異性の増大を反映したプロットである。ラウンド5の例示変異体のアミノ酸配列に対して行った検討によれば、Y45D、T47A、N82D、M107I、E143D、I152F、T165A、E231V、D367G、V370Iのようなアミノ酸置換の特定の組み合わせが明らかになった(Bar1プロテアーゼの番号付けに等しい番号付け)。
図1は本発明の方法の2個の選択肢A及びBを模式的に示すものである。 図2は標的特異性を目標とした進化分子間の特異性の定性的及び定量的変化を模式的に示すことにより本発明の方法の2個の異なる選択肢A及びBを識別するものである。 図3は本発明の方法の選択肢A及びBを用いてどのようにして変化した触媒活性を有するプロテアーゼを進化させるかを模式的に示す。 図4は中間的基質を用いる本発明の1つの特定の態様としての中間的方法を2個の形態において模式的に示す。 図5は中間的方法を用いてどのようにして、本発明に従って、変化した触媒活性を有するプロテアーゼを進化させるかを模式的に示す。 図6は本発明の方法のために使用しうるS. cerevisiaeの発現ベクターを例示する。 図7はタバコエッチウイルスプロテアーゼによるペプチド基質の加水分解を例示する。 図8は共焦点蛍光スペクトル分析器を用いたスクリーニングにより得られた触媒活性の分布を例示する。 図9は高親和性を目標とした進化においてKMが低下したことを例示する。 図10はt-PAの特異性を目標としたプロテアーゼの進化における特異性の変化を例示する。 図11は中間的方法の好ましい変法を模式的に示す。 図12は進化した変異体の1つと比較した原料プロテアーゼの時間依存性変換を例示する。
【配列表】
Figure 2005525123
Figure 2005525123
Figure 2005525123
Figure 2005525123

Claims (17)

  1. 標的基質特異性を有する配列特異的プロテアーゼを生成するための方法であって、下記工程:
    (a)1個の第1プロテアーゼ変異体、又は、第1プロテアーゼ2個若しくはそれ以上の変異体若しくはキメラを含むプロテアーゼの集団を提供し、ここで前記第1プロテアーゼは第1ペプチド基質の特定のアミノ酸配列に対して基質特異性を有するものであり;
    (b)標的ペプチド基質のアミノ酸配列に類似しているが第1ペプチド基質内に存在しない少なくとも1個の特異的アミノ酸配列を含む1個又はそれ以上の第2基質に、前記プロテアーゼ集団を接触させ;及び、
    (c)第2基質内の前記特異的なアミノ酸配列1個を好ましくは認識して加水分解するプロテアーゼを同定することを可能とする条件下で、工程(b)において提供された第2基質の前記特異的アミノ酸配列に対して特異性を有する工程(a)において提供されたプロテアーゼの集団から1個又はそれ以上のプロテアーゼ変異体を選択すること;
    を含む、前記方法。
  2. 工程(c)における選択条件が下記:
    (i)低基質濃度下でプロテアーゼ活性をスクリーニングし、それにより、第2基質に対する親和性を増大させること、
    (ii)比較において2個又はそれ以上の基質を用いることによりプロテアーゼ活性をスクリーニングし、それにより酵素の選択性を増大させること、
    (iii)第2のペプチド以外のペプチドを過剰に添加することによりプロテアーゼ活性をスクリーニングし、それにより、競合物として添加したペプチドを使用すること、又は、
    (iv)これらのいずれかの組み合わせ、
    により達成される、請求項1に記載の方法。
  3. 第2基質に対する特異性を有する1個又はそれ以上のプロテアーゼ変異体が同定されるまで工程(a)〜(c)を循環的に反復し、そして、1つのサイクルにおいて選択されたプロテアーゼ変異体をその後のサイクルにおける第1プロテアーゼとして使用し、そして、少なくとも1サイクル〜100サイクル未満で実施する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 1サイクル以上において1個の第2基質のみを使用し、ここで、第2基質は標的基質と同一である、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 異なる第2基質を使用し、ここで、第2基質は第1基質及び標的基質に関して中間的な特質を有するものであり、そして、使用される最後の第2基質は標的基質と同一である、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 異なる第2基質を連続するサイクルにおいて使用し、そして、各第2基質は先に使用された第2基質及び標的基質に関して中間的な特質を有する、請求項5に記載の方法。
  7. 少なくとも1サイクルにおいて工程(b)〜(c)を異なる第2基質を並行して用いて実行し、そして、このような並行方式において単離されたプロテアーゼ変異体を組合わせ、次のサイクルにおいて第1プロテアーゼとして使用する、請求項5又は6に記載の方法。
  8. 中間的基質の中間的特質が下記:
    (i)アミノ酸組成、
    (ii)アミノ酸配列、
    (iii)特定のアミノ酸配列内のアミノ酸残基の物理的及び/又は化学的特性、ここで好ましくは以下のアミノ酸の特性、即ち、表面、体積、等電点、側鎖pKa、電荷、極性、疎水性よりなる群から選択される1個又はそれ以上の特性が使用される上記特性、
    (iv)これらのいずれかの組み合わせ、
    に基づくものである、請求項5から7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記第2基質は前記1〜5における第1基質と異なっており、好ましくは特定のアミノ酸配列内のアミノ酸残基が置換されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載の方法であって、第2基質が、前記基質の加水分解の検出を可能にする官能基を担持しており、前記官能基は下記:
    (i)ペプチドの加水分解によりスペクトル特性が変化する1個又はそれ以上の蛍光団又は発色団であって、これにより、スペクトル特性の変化の測定によりスクリーニングを実施するもの;又は、
    (ii)蛍光特性により識別可能であり、第2基質の両端に結合している2個の蛍光団であって、これにより、1μM未満の蛍光団濃度において共焦点蛍光スペクトル分析によりスクリーニングを実施するもの;又は、
    (iii)蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)対を形成し、第2基質の両端に結合している2個の蛍光団であって、これにより、2個の蛍光団の間のエネルギー移動の低下の測定によりスクリーニングを実施するもの;又は、
    (iv)第2基質にフランキングする第1及び第2の自己蛍光タンパク質であって、これにより、1μM未満の基質濃度における共焦点蛍光スペクトル分析によりスクリーニングを実施するもの;又は、
    (v)第2基質の両端に結合した蛍光団及びクエンチャー分子であって、これにより、蛍光団のクエンチングの減少の測定によりスクリーニングを実施するもの;又は、
    (vi)第2基質の両端に結合した蛍光団又は発色団及び結合部分であって、これにより特異的結合相手への結合部分の結合の測定によりスクリーニングを実施するもの;又は、
    (vii)第2基質の両端に結合した放射標識及び結合部分であって、これにより、シンチレーションプロキシミティー試験の使用によりスクリーニングを実施するもの;又は、
    (viii)これらのいずれかの組み合わせ、
    である、前記方法。
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載の方法であって、
    (i)ランダム核酸突然変異誘発、カセット突然変異誘発、部位飽和突然変異誘発、部位特異的又はランダム挿入及び/又は欠失突然変異誘発、相同的インビトロ組換え、相同的インビボ組換え、非相同的組換え又はこれらの組み合わせによりプロテアーゼの集団が得られ;及び/又は、
    (ii)プロテアーゼの発現は好ましくは細菌、酵母、昆虫、ウイルス又は哺乳類起源の宿主細胞の使用により行われるか、又は、無細胞タンパク質発現系の使用により行われ、及び/又は、
    (iii)プロテアーゼの遺伝子型及び表現型のカップリングが試料の区画化を可能とする試料キャリアの使用により達成され、そして、試料キャリアへの遺伝子型の分布が表現型の十分な分化を可能にする区画当たりの多重度において行われる、
    前記方法。
  12. 請求項1から11のいずれかに記載の方法であって、第1プロテアーゼがセリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ及びメタロプロテアーゼよりなるプロテアーゼ群から選択され、そして、第1プロテアーゼが好ましくはパパイン、ブロメライン、トリプシン、ペプシン、キモトリプシン、サブチリシン、SET、ヒトエラスターゼ、カテプシン、キマーゼ、サッカロマイコプシス・フィブリゲラPEP I、カリクレイン、ウロキナーゼ、サーモリシン、コラゲナーゼ、シュードモナス・アエルギノーサ エラスターゼ、TEVプロテアーゼ、HIV-1プロテアーゼ、BAR1プロテアーゼ、第Xa因子、トロンビン、組織型プラスミノーゲン活性化物質、Kex2プロテアーゼ、TVMV−プロテアーゼ、RSVプロテアーゼ、MuLVプロテアーゼ、MPMVプロテアーゼ、MMTVプロテアーゼ、BLVプロテアーゼ、EIAVプロテアーゼ、SIVmacプロテアーゼよりなるプロテアーゼ群から選択される、前記方法。
  13. 標的プロテアーゼが組織型プラスミノーゲン活性化物質と類似の特異性を有し、そして、標的基質CPGR↓VVGGを切断する、請求項1から12のいずれか1項、好ましくは請求項5から12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 出発プロテアーゼがS. cerevisiae由来のBAR1プロテアーゼであり、好ましくは以下:
    (i)WLGLVPGG
    (ii)WLGQVPGG
    (iii)WLGRVPGG
    (iv)WLGRVVGG
    (v)CPGRVVGG
    の第2/中間的基質を利用する、請求項13に記載の方法。
  15. 請求項1から14のいずれか1項に記載の方法、好ましくは請求項13又は14に記載の方法により得られうる配列特異的プロテアーゼ。
  16. 組織型プラスミノーゲン活性化物質と類似の特異性を有し、標的基質CPGR↓VVGGを切断し、そして、S. cerevisiae由来のBAR1プロテアーゼから誘導される、配列特異的プロテアーゼ、好ましくは請求項15に記載の配列特異的プロテアーゼ。
  17. 前記配列特異的プロテアーゼが配列番号8に示す配列を有する野生型(wt)BAR1プロテアーゼ、又は、C末端において200aaまで切断されたその修飾型から誘導され、そして、好ましくはそのアミノ酸配列内に、BAR1プロテアーゼのナンバリングに基づいて改変体L33I、Y45D、T47A、T59I、N82D、E96V、M107I、N123D、E143D,N151V、I152F、K161E、A163T、T165A、R178S、T221I、E231V、D321N、D367G、M369L、V370I、A399S、K404R及びS440Lよりなる群から選択される少なくとも1個の突然変異を有する、請求項16に記載の配列特異的プロテアーゼ。
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