JP2005522277A - 乾燥薬剤粉末の解凝集および空気中への分散 - Google Patents

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Abstract

エア−レザーツールに基づいた方法が開示され、これによって微小に分割された薬剤粉末の投与量の解凝集および空気中への分散が提供される。ノズルを通って空気を吸引する目的で、ノズルに対して利用可能にされた粉末投与量の粒子は、徐々に解凝集され、ノズルに入る空気流中に分散される。この漸進的解凝集または分散は、ノズルと投与量との間に導入される相対運動によって生じる。好ましい実施形態において、粉末は支持体上に沈着され、ノズル入口の面積よりも大きい面積を占める。ノズルは好ましくは粉末区域の外に配置され、ノズルに入って行く生成空気流が閾値流速度を超えるまで、その相対運動で粉末に接近しない。同時に、ノズルが粉末投与量を徐々に横断するように相対運動が開始される。ノズル入口に入って行く高速度空気は、空気流が投与量輪郭の境界における先導点に衝突する時に多量の剪断応力および慣性エネルギーを供給する。空気流の剪断応力および慣性によって生じる、この粉末エア−レザー方法は、非常に強力なため、移動ノズルの入口に隣接する粉末の粒子凝集体中の粒子は、放出され、非常に高度に解凝集されるとともに分散され、その後、ノズルを通る生成空気流中に伴出される。

Description

本発明は、支持体部材からの乾燥薬剤粉末の計量された投与量を解凝集および空気中へ分散する方法に関する。より具体的には、乾燥粉末吸入器具を通して吸入する使用者へ、連続的に投与定量を送達する方法に関する。
(背景)
薬剤投与は今日、医療業務においていくつかの異なる方法で実施されている。医療において、このような薬剤の効果的で迅速、かつ使用者に優しい投与を得るために、吸入器によって患者の気道および肺へ、処方粉末投与量にて局部的または全身的に作用する薬剤を直接的に投与することへの関心が急速に高まっている。
乾燥粉末吸入器、すなわちDPIは、経口吸入による深部および/または上部肺気道中への粉末薬の投与のために意図された器具である。しかしながら薬剤の深部肺沈着は、比較的難しい問題であり、最近になって初めて焦点が当てられた。現在販売されている大部分の吸入器は、気道または局部肺の病気、例えば喘息の治療のために設計されている。この場合その目的は、局部的な沈着であって、深部肺ではない沈着であることが多い。この目的が薬剤の全身的送達である時、その場合には粉末の深部肺沈着が好ましく、通常、最大限の効率のために必要である。深部肺は、末梢肺および肺胞と規定され、ここで、血液への物質の直接輸送が発生しうる。粒子が深部肺に到達することになるならば、空気力学的粒子サイズは一般的に3μm未満、局部肺沈着のためには一般的に約5μmであるべきである。より大きい粒子サイズは、口および喉に容易に粘着する。したがってこの目的が薬物の局部的送達であるか全身的送達であるかにかかわらず、確実に投与量の高い割合が実際に最も効果的になりそうな場所に沈着されるように、投与量の粒子サイズ分布を狭い限度内に維持することが重要である。
粒子サイズは、吸入した時に深部肺への首尾よい送達のために特に重要である。さらには最適な結果のために、空気速度を減少させ、これによって上気道への衝突による沈着を減らすために、吸気は静かに行なわれなければならない。吸入サイクル内の長時間連続投与量送達間隔において、使用者の吸入力を最大の可能性まで利用する利点は、当社のスエーデン特許第SE9904081−8号(WO 01/34233A1)に開示されている。この特許は参照して本明細書に組み込まれる。この特許は、使用者の吸入空気力以外のエネルギー源を用いることなく、吸気空気中への細かい粉末形態での医薬組成物の効率的な分配のためのいくつかの器具を提示している。
吸入のための粉末は、凝集傾向、換言すれば、固まるか、あるいはより小さいかまたはより大きい粒子塊を形成する傾向を有し、これらはついで、これらの粒子が使用者の口内に入る前に解凝集されなければならない。解凝集とは、エネルギー、例えば電気、機械、空気、または空気力学的エネルギーを導入することによって、凝集された粉末を壊すこととして規定される。深部肺への吸入によって薬剤粉末の全身送達を成功させるためには、吸入された空気中の薬剤粉末の高度の解凝集を達成することが重要である。大部分の場合、患者の治療は、1回の出来事ではなく、反復されなければならず、いくつかの慢性症例においては、治療は継続的に行なわれなければならない。すべての場合、解凝集は、何度も反復可能なものでなければならず、投薬は、毎回の投与が厳しい許容範囲内に維持されなければならない。
今日の乾燥粉末吸入器の大部分は、やや中程度の解凝集能力を有する。通常、喘息およびその他の肺疾患のために意図された現在の吸入器具は、深部肺沈着に最適であるものよりも大きいサイズ範囲の調剤された薬剤粒子を送達する。このことは、2〜3μmの範囲内の一次粒子サイズを有する粉末粒子凝集体の不適切な解凝集によって引き起こされることが多い。したがって、吸入される投与量は、より小さい粒子の凝集体からなる。これは、次のようないくつかの欠点を伴う。
・異なる投与量間の空気力学的粒子サイズ分布の均一性は、かなり様々であることがあるが、その理由は、解凝集が、吸入毎の吸気条件におけるわずかな差に敏感であるからである。
・送達される投与量の粒子サイズ分布は、大きい凝集体の尾部を有することがあり、これは口および上気道に沈着する。
・吸入器におけるこの物質の保持は、空気力学的粒子サイズ分布とともに様々に変わることがあり、これによって予測が難しくなることがある。
したがって、薬剤の一貫した予測しうる反復可能な肺への送達のために、乾燥粉末薬剤の非常に高度の解凝集を再生可能に生じうる解凝集方法へのニーズがある。このことは、深部肺沈着が通常必要とされる全身作用薬に特にあてはまる。さらに、通常は局部的肺沈着が好ましい局部作用薬剤にとって、薬剤粉末の高度の解凝集は利点である。好ましくは、この解凝集方法は、吸入空気中の送達された空気力学的粒子サイズ分布が吸入力とは無関係になるように、使用者によって生じた吸入力に対してできるだけ敏感でないものであるべきである。肺における沈着パターンに影響を与える平均空気力学的粒子サイズは、この粉末を構成する粒子の一次粒子サイズ分布を規制することによって制御することができる。
吸入行動の間、使用者によって与えられる吸入エネルギーを増幅するために、例えばスペーサーおよび/または外部エネルギー源などの特別な器具を導入することは、先行技術の吸入器において、解凝集および投薬の予測性および反復性の点での性能を改良するための通常の方法である。外部エネルギー源の追加は、必要以上に複雑かつ高価な吸入器につながり、さらには吸入器を維持する際に使用者に課せられる要求を増やす。
吸入に基づいた薬物送達系の性能を改良するために、何年にもわたって多くの方法および器具が試されてきた。例えば、1892年8月9日という非常に初期の米国特許第480,505号は、鼻腔呼吸器具について記載している。これは、網状材料を含み、医薬で含浸された多孔質媒質を受け入れるのに適している。隙間を有するネット、スクリーン、または膜は、薬剤の運搬装置としてか、または使用者への投与量の放出を容易にするための要素のどちらかとして、多くの吸入器設計の構成要素として、当業者によく知られている。薬剤の活性化合物のための調剤要素として膜を用いる先行技術の吸入器具の一例が、優先権主張日1981年7月8日の欧州特許EP0069715B1に開示されている。この特許は、貯蔵室から空気導管中へ薬剤を調剤するために、ノズル、空気導管、および穿孔膜の形態の移動可能な調剤要素を含んでいる吸入器を教示している。粉末投与量の解凝集強化のための隙間を有する乾燥粉末吸入器薬剤運搬装置は、いくつかのその後の文献において取り扱われている。例えば、米国特許第5,388,572号、第5,388,573号、第5,460,173号、第5,647,347号、第5,823,182号、第6,245,339B1号、およびWIPO公報第WO94/20164号、第WO98/04308号である。これらの参考文献に教示されている運搬装置および方法は、この粉末薬剤が、この運搬装置の間隔があけられた位置において隙間の中またはこれ全体に含浸または包埋され、このようにして薬剤の1つまたはそれ以上の投与量を形成することを特徴とする。ついで投与量が、マウスピースに連結された流路に入れられる。使用者がマウスピースを通して吸入するにつれて、生じた空気流は、この運搬装置上または中に載せられた投与量の凝集乾燥粉末粒子を強制的に空気中に放出させ、これが隙間を通って凝集粉末粒子を通過するにつれて空気の剪断力によって解凝集させる。したがって、これらの参考文献に提示された運搬装置のネットまたはスクリーン型の主要目的は、投与量の解凝集を容易にすることである。しかし、これらの文献のいくつかにおける実施例は、運搬装置から投与量を吹き出すのに必要な高圧空気パルス、1つの事例では70psig(=490kPa)を生じるための圧力室または同様な手段を示している。70psigの圧力は、使用者の吸入によって生じる圧力低下よりも約100倍高い。成人による正常な吸気は、約5kPaを生じ、したがって空気パルスを生じるために外部エネルギー源が必要である。提案されている方法は、投薬質量の点で制限されているように思われる。すなわち、かなり小さい投与量にのみ適する。これらの教示はまた、解凝集をさらに改良するために、活性物質となんらかの賦形剤とのオーダードミクスチャを用いることも提案している。このことは、この投与量中の活性薬剤質量をさらに制限する。
解凝集の問題に対処する吸入器具のもう1つの例は、米国特許第5,694,920号に開示され、この吸入器のさらなる改良は、米国特許第6,026,809号および第6,142,146号に開示されている。これらの発明は、薬剤粉末の解凝集が、適切な周波数および出力の機械的エネルギーを直接または間接的に粉末に与えるバイブレータによって与えられることを教示している。粉末はこのようにして流動化され、解凝集される。ついで、吸入に適したサイズの粒子が、流動化粉末から持ち上げられ、空気流全体に確立された適切な強度の電場によって空気流中に導入される。ついで、これらの粒子は、空気流によって使用者に送達される。解凝集を達成するために、外力を電気機械的形態で供給することが必要であるのは明らかであるが、このことは依然として一部しか成功していないように思われる。
先行技術の方法および器具は、これが投与量画一性、粒子解凝集、および薬物の効率的投与に関係する時、遺憾な点が多い。さらに、投与量の解凝集および空気中への分散の先行技術の方法は、高レベルの解凝集エネルギーを必要とするように思われる。このことは、多少なりとも複雑な吸入器設計につながる。さらに、利用可能な粉末質量に対する、空気中に分散される5μm未満の粒子の質量割合という点での効率的解凝集の目的の達成は、はるかに遠いように思われる。特に、使用者の吸入力を唯一のエネルギー源として用いる時、多量の薬剤粉末を解凝集して空気中に分散するための、使用者に優しく非常に効率的な方法および器具を開発する試みは、現在に至るまでほとんど何もなされていない。
微小に分割された薬剤粉末の投与量を解凝集し、空気中に分散するための方法、より具体的にはこの投与量を使用者に投与する方法が開示されている。先行技術と対照的に、本発明は、乾燥粉末投与量の非常に高度の解凝集および空気中への効率的な分散を生じるために、使用者による吸入力の力以外、ほかのエネルギー源を必要としない。
(要約)
微小に分割された薬剤粉末の投与量の解凝集および空気中への分散を提供する、粉末エア−レザー方法が開示される。ノズルを通って空気を吸引する力を利用して、ノズルに対して利用可能にされた粉末投与量中の粒子は、徐々に解凝集され、ノズルに入る空気流中に分散される。漸進的解凝集および分散は、ノズルとこの投与量との間に導入された相対運動によって生じる。好ましい実施形態において、この粉末は支持体上に沈着され、この蓄積された粉末は、ノズル入口の面積よりも大きい面積を占める。ノズルは好ましくは粉末区域の外側に配置され、吸引によって生じたノズル中への空気流が、閾値流速を超えてしまうまで相対運動によって粉末に接近しない。吸引を加えると同時に、またはその後まもなく、相対運動が開始され、したがってノズルが徐々にこの粉末投与量を横断する。ノズル入口に入って行く高速度空気は、流入空気が投与量輪郭の境界の先導点に衝突する時、多量の剪断応力および慣性エネルギーを与える。空気流の剪断応力および慣性によって生じるこの粉末エア−レザー方法は非常に強力なので、移動するノズルの入口に隣接する粉末における粒子凝集体中の粒子が放出され、非常に高度に解凝集され、ならびに分散され、その後ノズルを通る生成空気流中に伴出される。
本発明による投与定量を解凝集および分散するための粉末エア−レザー方法は、独立請求項1によって示され、使用者への定量投与方法は、独立請求項2によって示され、その他の実施形態は、従属請求項3から14によって規定されている。
本発明は、その他の目的および利点とともに、添付図面とともに考察される次の詳細な説明を参照することによって最もよく理解することができる。
(説明)
本発明は、少なくとも一投与量を支持する投薬部材の一部である支持体部材上に沈着されている乾燥薬剤粉末の定量を、解凝集および空気中に分散するための粉末エア−レザー方法を開示する。本発明は、微小に分割された乾燥薬剤粉末の投与量が、この粉末の非常に高度の解凝集にて使用者に送達されうることを教示する。
このエア−レザー方法の重要な一要素は、ノズルと粉末投与量との間の相対運動である。本明細書において、「相対運動」という用語は、多少なりとも凝集された形態にある非浮遊粉末について言う。これは、相対的に言えば、前記ノズル中への極めて接近した運動によって徐々に移動させられる投与量を構成する。ここで、個々の粉末粒子の解凝集および空気中への分散が発生しうる。前記用語は、既に空気中に伴出された浮遊粉末粒子のことを言うのではない。したがって、「粉末」または「粉末投与量」または「投与量」に関連した「運動」または「移動している」という言い方は、これらの粉末粒子が放出され、空気中に分散される前の投与量の輪郭について言う。
この薬剤粉末は、少なくとも1つの薬理活性物質、および任意に1つ以上の賦形剤を含んでいる。本明細書において、「粉末」または「薬剤粉末」という用語は、開示されている発明による解凝集および空気中への分散の対象であり、かつ使用者の気道の選択標的区域における沈着が意図されている、乾燥粉末の形態を呈する物質を意味するために用いられる。任意の賦形剤は、粉末の設計に応じて、薬理活性物質と同様な方法で解凝集してもよく、しなくてもよい。例えばオーダードミクスチャは、薬理活性物質の粒子よりもかなり大きい粒子を特徴とする賦形剤を含んでいる。
図面の図1から30を参照すると、同様な数字は、いくつかの図面全体で同様な要素を示しており、支持体部材の3つの異なる実施形態が、例としてここに提供されている図1から3において図解されている。図1は、非多孔質、非穿孔支持体部材141を示し、一方、図2は穿孔支持体部材140を示し、図3は、多孔質支持体部材を示し、これも同様に140で示されている。一方で穿孔または多孔質支持体部材140と、他方で非多孔質または非穿孔支持体部材141との間の特徴的な差は、前者が、指定された投与量標的区域160を含んでいる支持体を通って空気を通すが、一方、後者は空気を通さないということである。支持体部材例140および141の上に沈着された投与量の異なる物理的構成が、図4から12に図解されている。これらのすべては、図8以外は、細長い投与量ストリップを示している。図8は、等しいサイズまたは様々なサイズの一連の連続スポットとして形成された投与量を示している。投与量基盤要素140、141は、例えば投薬部材の小さい割当てられた空間中に大きい投薬区域を入れるために、必要であれば折り畳まれてもよい。異なる型の投薬部材10が、図13から16に開示されている。
本発明の好ましい実施形態が、図17aに図解されており、これは、非穿孔非多孔質支持体部材141の表面上に沈着された薬剤粉末180、および支持体部材のこの粉末と同じ側で、粉末が放出される前の開始位置にあるノズル1の一例を、断面図A−Aとして示している。図17bは、支持体部材に対して移動しているノズルを示すことによって、および移動ノズルの入口開口部に入る前に粉末に衝突する空気流によって、どのようにして粉末180が放出され、解凝集され、支持体部材141の表面から空気20中に分散されるかを示すことによって、粉末エア−レザー方法を図解している。
もう1つの実施形態が図18aに図解されており、これは、穿孔支持体部材140の表面上に沈着された薬剤粉末180、およびこの支持体部材のこの粉末と同じ側で、粉末が放出される前の開始位置にあるノズル1の一例を、断面図A−Aとして示している。図18bは、支持体に対して移動しているノズルを示すことによって、および少なくとも一部がまずこれらの穿孔を通過し、ついで粉末を通り、移動ノズル中に入る空気流によって、どのようにして粉末が放出され、解凝集され、支持体部材140の表面から空気20中に分散されるかを示すことによって、粉末エア−レザー方法を図解している。
粉末エア−レザー方法のさらにもう1つの実施形態が、図19aに図解されている。この図は、図18aと類似しているが、粉末投与量180が支持体の下側に沈着され、ノズル1が支持体140の投与量とは反対の上側に隣接し、粉末が放出される前の開始位置にある。図19bは、この支持体部材のこの投与量とは反対側で、主として粉末を通過し、ついで穿孔を通り、移動ノズル中に入る空気流によって、放出され、解凝集され、支持体部材140の表面から分散されつつある粉末を示すことによって、この粉末エア−レザー方法を図解している。
粉末エア−レザー方法のさらにもう1つの実施形態が、図20aに図解されており、この図は、図18aおよび図19aと類似しているが、穿孔支持体部材140の両側に2つの部分投与量180Aおよび180Bとして沈着された薬剤粉末を示している。180A側のノズル1は、粉末が放出される前の開始位置にある。図20bは、180B側で粉末に接近し、ついで穿孔を通過し、相対運動として、ノズル中に入る前に180A側の粉末に接近する空気流を図解している。
図21および22は、それぞれ上に粉末180を有する支持体部材141および140、および楕円形入口開口部3を有するノズル1を上面図および側面図として図解し、ノズル1が粉末180の方向にその相対運動を始めてしまう前の支持体部材、粉末投与量、およびノズルを断面図A−Aとして図解している。
図23は、吸入器の状況における粉末エア−レザー方法の実施形態を図解しており、これは、それぞれ投与定量粉末180を備えた6つの支持体部材140または141を含む投薬部材10を示している。ノズル1、吸引管33の一部、および支持体部材140または141の1つを有する投薬部材10が、一定量の粉末を放出するための位置にある。スプリング9が投薬部材10を解放する時(解放メカニズムはここに示されておらず、図25に示されている)、これは運動させられ、支持体部材140または141を、粉末180を含めてノズル1を通過するようにさせる。エアブレーキ22は、投薬部材の速度を制御し、これによって粉末180の放出間隔を制御し、粉末は、吸引管33に加えられた吸引力のためにノズル1中に入って行く空気流20によって徐々に吸い上げられる。ホイルカッター11が任意にノズルの前に配置されてもよい。したがって、投与量がホイルによって保護されるならば、ホイルはまず切り開かれ、折り畳まれてノズルに粉末への十分な接近を許すであろう。
図24は、作動している粉末エア−レザー方法、すなわち、支持体部材140または141の1つに沈着された粉末180が、投薬部材および吸引管33が互いに対して相対運動させられるにつれて、如何にしてノズル1および空気流によって徐々に接近されるかを図解している。
図25は、それぞれが使用者に順次投与されることになる定量粉末180を備えた1つ以上の支持体部材140または141を含む投薬部材10を有する吸入器8に適用される粉末エア−レザー方法の1つの実施形態を図解している。呼吸作動メカニズム16は、空気を取り入れ、吸引管33と流体が流れる関係にあるマウスピース19に加えられる吸引力が十分に強い時、投薬部材を保持している留め金12を解放する(投与量および完全な解放メカニズムは図示されていない)。
投薬部材10は、異なる型の吸入器に適するように、多くの異なる方法で実施されてもよい。投薬部材は、当社のスエーデン特許第SE504458C2号に記載されているように、支持体部材140、141上に1つまたはそれ以上の投与量を有してもよい。この文献は参照して本明細書に包含される。すべての場合、適切な支持体部材は、特定薬剤の定量180の最適な吸入性能を付与するために、導電性、散逸性または絶縁性材料、あるいは異なるこのような材料の組合せから選択されてもよい。適切な支持体部材材料の選択はまた、薬剤投与量を沈着させる方法の選択にもよる。支持体部材は好ましくは、5〜1,000mmの面積を有し、0.5〜1,000mmの範囲の投与量に対する標的面積を有する、2mm未満の厚さの薄い平らなシートまたはフィルムである。投与量は、投与量標的区域160内に形成されるよう意図されるが、投与量面積と呼ばれる、投与量が占める実際の面積は、この投与量標的面積の100%未満であってもよい。投与量180は好ましくは、空間的に延ばされ、幅0.5〜25mm、長さ1〜500mmの粉末ストリップとして形成される。延ばされた投与量180、すなわち関連する支持体部材140または141とノズル1間の、図13〜24に図解されている相対運動は、投薬部材上の支持体のレイアウトに従うように配列されなければならない。また、この延ばされた投与量の輪郭は、投与量が投与されると想定される吸入器の型によって規定される。この結果、この投与量の輪郭は、例えば線形、円形、螺旋形、一連の個別スポット、またはこれらのなんらかの組合せでもよい。
粉末エア−レザー方法の概念の理論的背景
粒子の付着
ほかの粒子または支持体部材に隣接する粒子は、互いに付着する。多くの異なる型の付着力が、別の粒子であれ、粒子の凝集体であれ、支持体部材であれ、これらの組合せであれ、粒子と環境との間の総付着力においてその役割を果たす。粒子に作用する付着力の型は、ファン・デル・ワールス力、毛管力、電気力、静電力などであってもよい。これらの力の相対的強度および範囲は、例えば材料、環境、粒子のサイズおよび形状とともに変わる。粒子に作用するこれらの力のすべての和は、以後付着力と呼ばれる。
粒子の解凝集および伴出
エア−レザー方法の主要目的は、沈着粒子の解凝集および空気流中への伴出である。これらの粒子は、支持体部材と接触する粒子もあれば、ほかの粒子とのみ接触する粒子もあるようにして、多くの層として支持体部材に載せられてもよい。完全な解凝集は、多くの粒子を互いから分離することである。粒子をその環境から分離することは、粒子に作用する付着力ならびに摩擦力を克服することに関わる。
図26は、粒子に作用する力を図解している。粒子101に作用する空気流303によって引起こされる力は、次の2つの部分に分けることができる。すなわち、空気流と平行に作用する流体抵抗305、および空気流に垂直に作用する揚力304である。粒子を解放するための条件は、揚力および流体抵抗が、付着力301および摩擦力302を超える静的な場合である。
完全にまたはほぼ完全に粒子を解凝集するためには、放出および伴出に十分な強度で力を粒子に作用させるだけでは十分ではない。多少なりとも同じ力がすべての粒子に作用するように、強い力が粒子の凝集体に作用するならば、この凝集体は、解凝集を伴なわずに空気流中に伴出されるであろう。したがって、解凝集のための条件は、次のものとして記載することができる。すなわち、2つの粒子に作用する外力の差は、これらを結合する付着力および摩擦力に打ち勝たなければならないということである。空気流からの力の差の達成は、剪断力を生じさせることによって効率的に行なうことができ、したがってエア−レザー方法は、例えば支持体部材上に沈着された粉末の区域における高剪断力を利用する。
剪断力
高剪断力を生じさせることは、流中に大きい速度勾配を作り出すことを意味する。これは、流体中の剪断応力についての等式によって示される。
Figure 2005522277

高剪断応力、したがって粒子への高剪断力を発生させるために、このエア−レザー方法によって用いられる主要な原理は、次のとおりである。
・空気流の高速度
・壁に近いフローの流線の利用
・乱流の利用(高速度からの副作用)
高速度流
高速度流は、(壁に近い)高剪断力、流体抵抗、揚力、および乱流の基礎である。ある一定の圧力低下駆動空気流の場合、目的は最大速度に到達するようにすべきである。ある静的圧力低下からの理論的最大速度は、ベルヌーイの流線定理に由来しうる。実際、常にエネルギー損失があるであろうし、この速度は、等式によって示されるレベルに達しないであろうが、これは限界値として用いることができる。
Figure 2005522277

この等式は、ベルヌーイの流線定理と呼ばれる。Hは、「理想」流体についての流線に沿う定数である。静水圧は、ここではこの等式から除外される。
エア−レザー方法の効率は、解凝集区域における可能な限りの高速度、および同時にほかの区域における空気の円滑な輸送に到達することをも目的とし、関連するフロー要素の形状の注意深い設計によって最適化されてもよい。このことは、望まれない場合、散逸損失を最小限にし、したがって粉末に隣接した区域で用いるエネルギーを保存するであろう。吸引がノズルに加えられた時、低圧が生じ、これは定常状態条件に達する前の短時間、空気を加速させてノズルを通過させる。当初、空気が慣性を増す始動期間の間、速度は、必要な剪断力を発生させるのに十分なほど速くない。好ましくは、この開始期間の間、空気流は、支持体部材への粉末がノズルに隣接するようにされる前に、増大することが可能である。このことによって、粉末輪郭の境界上の一点に空気流が当たる前に、粉末の効率的解凝集のための条件が確実に存在するようにされる。
壁の近くの流れ
壁に近い高速度流は、高剪断力を作り出し、これが本発明において利用される。壁から距離ゼロの流量は常にゼロである。このことは、「無スリップ」状態として知られており、すべての流体にあてはまる。壁に近い薄い層において、流速度は、壁からの距離とともに急激に増加し、この境界層における剪断応力は、これに対応して高くなる。この境界層は、層流または乱流であることがある。速度プロフィールおよび勾配は、乱流と層流との境界層間で異なり、この場合、高い方の勾配、したがって剪断応力が、乱流層に存在する。このエア−レザー発明は、壁の内部のノズルに近い濃縮流、ならびに支持体部材の壁、特にノズル入口の開口部壁と支持体部材との間の小さい隙間を利用する。
高剪断応力を受ける区域は通常、粉末が占めている区域に対して小さい。したがって、ノズルと粉末との間の相対運動が導入される。これによって、高剪断応力の集中した小さい区域を、例えば支持体部材上の全粉末量を横断させることができる。
乱流
図27は、層流311および乱流310境界層についての典型的な速度特徴を、図表の形態で図解している。速度勾配、したがって、剪断応力は乱流層の方が大きい。境界層または自由に流れる流のどちらかにおける乱流は、様々なサイズおよび周波数における小さい渦巻きを有する不規則流を特徴とする。乱流は、時間と空間の両方において変動する。なんらかの特定の瞬間後、高速度勾配を認めることができ、したがって、壁表面から離れた乱流中に高剪断応力が存在することは明らかである。このことは、粒子凝集体の空気中への伴出後であっても、粒子凝集体が乱流空気流の中で解凝集されうることを意味する。乱流のもう1つの利点は、経時的な乱流中の変動による。このことは、時間によって変わる力で、これらの粒子に影響を与えるであろう。完全に発達した乱流において、変動の周波数は、大きいスパン、すなわち低周波数から高周波数までをカバーする。様々な力の周波数が、粒子−粒子系または粒子−壁系の共振周波数に近づくとすれば、振幅は強くなり、たとえ静的力が分離には弱すぎるとしても分離が発生しうる。
この流が乱流であるかどうかを決定する基準は、流体輸送路の形状とともに、レイノルズ数でもある。層流から乱流への転移が発生するレイノルズ数の絶対レベルは、表面粗さおよび前記形状による。これらを一定に保った場合、レイノルズ数の値は、この流の性質を決定するであろう。下に見られるように、レイノルズ数は速度に比例し、したがって速度は、乱流に対して直接的影響を有する。
Figure 2005522277

エア−レザー運動
粒子の効率的解凝集に対する剪断力の重要性、およびその理由の理論的背景が、前記において考察された。ノズルと、粉末、すなわち通常は運搬手段としての機能を果たす支持体部材との間に導入される相対運動は、粉末投与量の単なる一部ではなくその全部を解凝集するための記載した所望の条件を達成し、維持することにおいて有益である。
この運動によって得られる主な利点は次のものである。
・当初の加速段階の間、慣性が確立し、高速度空気流を生じる。
・壁の近くの剪断力は、経時的に大きい区域に広がる。
・エネルギーの効率的な使用。
慣性の確立
ノズルを通る吸引によって生じた低圧は、空気を低圧の方向に流れるように推進する。慣性の確立とは、系中の質量、すなわち空気自体の質量を加速することを意味する。これによって、加速期間後に所望の高速度空気流を生じる。フロー速度は、低圧のレベルが低下しなければ、すなわち圧力低下が増大するか、またはフロー抵抗が低下しなければ、フロー抵抗がさらなる増加を不可能にする点まで増加する。
剪断力の拡大
高剪断力での解凝集区域は、ノズルの壁の近くに集中している。この集中区域は、特に投与量が高多孔性の微小に分割された粉末を含んでいるならば、支持体部材上の投与量区域と比べて小さい。ノズルと投与量との間に導入された相対運動は、高剪断応力の小集中区域を、投与量によって占められた区域の上を横断させる。延ばされた投与量中の粉末の実際の空間分布、および粉末とノズル入口開口部との間の運動方向に対して垂直な距離に応じて、ノズルがこの粉末の一部と接触するということが発生しうる。このような場合、エア−レザー方法の効率は、「フーバー」効果によって不利な影響は受けない。空気流の速度は、粉末投与量に対するノズルの運動によって影響されないであろうが、その理由は、相対運動の速度が、ノズル入口に入って行く空気流の速度よりもはるかに低いからである。しかし、ノズルの運動は、投与量の輪郭に対する駆動低圧の位置を運動方向にシフトさせる。したがって、高剪断力の区域は、ノズルの相対運動によって制御されて経路に沿って移動する。したがって、高剪断力は、粉末粒子を空気中に徐々に分散する。好ましくは、この経路は、流れる空気の高剪断力区域と、粉末投与量輪郭の境界との間の接触点のすぐ外側から始まり、初めから終わりまで輪郭アウトラインにしたがう。したがって、薬剤粉末の漸進的解凝集および分散は、エア−レザー方法の固有の本質的特徴である。
ノズルに隣接する高剪断応力の区域が、図28に図解されている。図28は、ノズル出口に加えられる吸引力から生じる空気速度を、支持体部材平面の縦方向中心線を通る支持体部材平面に対して垂直な平面における座標の関数として図で示し、このようにしてノズル1の断面図の半分を示している。空気速度は、このフローの方向を示している多数の矢印によって図解されている。矢印の長さは、問題の地点での空気の相対速度を示しており、したがって、どのようにして空気速度はノズル開口部に対する位置とともに変わるかを示している。ノズルと粉末との間の相対運動の方向は、矢印「v」によって示されている。静止空気21は徐々に加速されて、定常状態である60l/分の空気流20になり、ノズルに入り、吸引力によって制御される。その結果生じた剪断力は、25に示す区域において最大に達する。図28の図は、ノズルの実施形態の一例である。ノズル開口部の区域は、異なる用途に対して異なる形状3(図21および22参照)を有していてもよいが、円形または楕円形状が好ましい。同様に、開口部の壁の厚さおよび湾曲26は、用途に応じて異なる形態が与えられてもよい。その理由は、この形状がノズル中に吸込まれる空気についてのフローパターンへ大きい影響を有するからである。
エネルギーの効率的な利用
エア−レザー方法による粉末の解凝集および分散のための投薬時間間隔は、用途に応じて、吸入の時間枠内で選択されてもよい。大部分の先行技術の吸入器は、使用者からの吸入力を短時間のみ利用する。このことは、外部解凝集エネルギーが供給されなければ、解凝集に用いられる総エネルギーが、これらの吸入器においてこれに対応して低いということを意味する。エア−レザー送達のための時間間隔は、例えば1秒に設定されてもよい。このことは、この1秒全体の間の吸入力が、粒子凝集体を解凝集するために利用されることを意味する。
Figure 2005522277

総エネルギーEは、全体の期間Tにわたる力Pの時間積分に等しい。例えばT=1秒である。
選択された投薬時間間隔が短すぎるならば、粒子の完全な伴出は発生しないであろう。エア−レザー方法を用いた系に対する効果は、支持体部材への粉末の大規模な保持であろう。したがって、経時的に空気中に分散される粒子の数を評価するためのモデルが必要とされる。このようなモデルの1つは、変動乱流が粒子に作用すると仮定する。小さい渦巻きの一部は、凝集体中で、または表面から粒子を分離するのに十分なほど強いであろう。確率に基づいた典型的な時間間隔を用いた場合、首尾よい小さい渦巻きが発生するであろう。各々の渦巻きは、粒子全体の一フラクションを解放するであろう。すべての粒子が同じ付着力を受けるならば、このモデルも同じであり、伴出率は一般的に指数曲線にしたがうであろう。しかし、付着力は、粒子毎に変わり、ほかのものよりも強力に粘着するものもあり、強力に粘着する粒子のフラクションは、経時的に増加する。このことは放出速度を減速させる。したがって、修正モデルが提案された。これは、粒子放出率を1/t−曲線として記載し、式中、tは時間を表わし、したがって空気流中に分散された粒子の総数nは、一般的にその積分、すなわち図28に図解されているlog(t)−曲線に従う。この曲線は、「長時間」にわたる伴出について説明している。粉末のかなり大きいフラクションも、短時間内(一般的には10ms)に放出される。このグラフは、ノズルと粉末外膜との間の中程度の速度vを用いる重要性を強調している。高すぎる速度は、「各スポット」に不十分な時間しか与えず、したがってかなり多量の粉末がなおも支持体部材上に分散されないままに残る。低すぎる速度は、特定の投薬時間間隔内に粉末を送達する目的を危うくするであろう。
好ましい実施形態は、支持体部材を運搬装置としての機能を果たすように利用する。この運搬装置の上に薬剤粉末が延ばされた構造として沈着させることができ、これらの構造は、占有面積、粉末輪郭、粒子サイズ、質量、多孔度、付着などの点で、この粉末エア−レザー方法を適用することによる解凝集および空気中への分散に適した特性を示す。支持体部材は、粉末投与量へこのエア−レザー方法を適用するのに便利な手段であるが、ほかの手段もあり、このことは当業者には明らかであろう。粒子凝集および投与量多孔性の程度は、放出プロセスの結果として空気中に強制的に伴出されるので、可能な限り最良の微粒子フラクション、および空気中への分散を達成する上で重要な役割を果たす。10μm未満の主要な粒子サイズを有する微小に分割された薬剤粉末は、めったに自由に流れず、逆に凝集体を形成する傾向がかなりある。したがって、凝集体を形成する傾向があまりないか、および/または形成された凝集体を壊すのにあまりエネルギーを必要としない微小に分割された粉末が、エア−レザー用途には好ましい。例えば、活性物質の解凝集および空気中への分散を促進するために、オーダードミクスチャが用いられてもよい。これは任意に、例えば活性物質を希釈するために、または実際に、活性物質の1つまたはそれ以上の品質、例えばバイオアベイラビリティーまたは静電特性を改良するために用いられる、薬理的に許容しうる賦形剤を含んでいてもよい。
エア−レザー用途に適した粉末の一例は、電気粉末である。電気粉末は、最適な静電投与量形成特性についての一組の電気規格に合致する1つまたはそれ以上の賦形剤を用いて、あるいは用いずに調製された乾燥粉末薬剤物質として規定される。これ以上の詳細については、当社のスエーデン特許第SE0002822−5号を参照されたい。この特許は参照して本明細書に組み込まれる。
エア−レザー用途に用いられることになる支持体部材上に形成される薬剤粉末の適切な投与量の例は、電気投与量である。参照して本明細書に組込まれる当社のスエーデン特許第SE0003082−5号に提示されている電気投与量という用語は、乾燥粉末吸入器に用いられる、予め計量された薬剤粉末の投与量のことを言う。この電気投与量は、活性粉末物質または乾燥粉末薬剤配合物を、1つまたはそれ以上の賦形剤を伴って、あるいはこれを伴わずに含む電気粉末から形成される。この電気投与量は、投薬部材の一部である支持体部材上に形成される。
投与定量の好ましい形成方法の一例は、薬剤粉末の荷電粒子を支持体部材、例えば静電チャックまたは投薬部材上に沈着させるために、静電場もしくは電気力学場沈着プロセスまたはこれらの組合せを利用する。このように形成された電気投与量は、占有面積、粉末輪郭、粒子サイズ、質量、多孔度、付着などの点で、この粉末エア−レザー方法による容易な解凝集および空気中への分散に適した特性を示す。しかし、先行技術において、ほかの粉末投与量の形成方法が存在する。これらは、エア−レザー用途、例えば機械的、空気的、または化学的方法に適している。例えば、投与量は、従来の容積測定または重量測定計量方法によって、任意についでこれらの投与量をエネルギー供給に暴露して、生成することができる。例えばこの投与量を振動させるか、またはこれにエネルギーインパルスを与えることによるエネルギー供給の目的は、この投与量に、粉末エア−レザー用途に適すように最適な空間的および多孔性品質を与えることであろう。
図17aおよび17bに例示されている好ましい実施形態において、粉末エア−レザー方法は、支持体部材141上に沈着された粉末の延ばされた投与量180と、適切に配列されたノズル1との間の制御された相対運動の導入を含む。このノズルは、局部的な高速度空気流20を収集し、方向付ける。ノズル入口を、支持体要素上の粉末輪郭の方に向けることによって、吸引力から生じる空気流の力は、支持体部材上の接近された粉末の粒子101を解凝集し、空気中に分散する。ノズルが投与量の沈着粉末の広げられた輪郭の方向に移動するにつれて、一次粒子および粒子凝集体は、徐々に接近され、ノズル入口開口部に入って行く空気流の剪断応力および慣性力を受ける。このようにして、粉末エア−レザー方法は順次、ノズルに流れ込む空気中に個々の粒子を解凝集し、放出し、分散し、伴出する。
粉末エア−レザー方法のほかの実施形態において、支持体部材は、ノズルに対する薬剤粉末の必要な相対運動を実施するために、ほかの器具または配置と替えられてもよい。例えば、振動要素もしくは重力供給器、またはスクリュー供給器もしくはコンベヤ供給器もしくは空気管供給器、および粉末貯蔵部から、ノズルに入って行く空気流がこの粉末に接近することができる位置まで、徐々に粉末を動かすための同様な器具を配置し、このようにしてエア−レザー効果を得ることも可能である。ノズルは、静止したままであってもよく、または粉末の解凝集および空気中への分散プロセスに関与するほかの要素に対して動いているものでもよいが、依然としてこのプロセスの結果は、粉末とノズルとの間の相対運動による。粉末エア−レザー方法の高い効率の結果は、如何にして粉末が提示されるかに関わらず、すなわち支持体部材が粉末用の運搬装置としての機能を果たすか、または粉末がほかの手段によって利用可能にされるかどうかに関わらず、吸入に先立って提示される高い割合の利用可能な粉末が、解凝集され、空気中に分散されるということである。エア−レザー方法によって吸入空気中に分散される投与量中の活性薬剤粒子の累積質量は、粉末投与量中の利用可能な活性薬剤粒子を基準にして、少なくとも40質量%の微粒子フラクション(FPF)まで解凝集されうる。好ましくは、エア−レザー方法は、前記粉末質量を少なくとも50%FPF、より好ましくは少なくとも60%FPFまで解凝集することができる。この文脈におけるFPFの定義は、最大空気力学的粒子サイズ5μmを有する、送達される活性薬剤粒子の質量フラクションである。
エア−レザー方法の第一の目的は、個々の微粒子を空気中に放出することである。すなわち、粉末の凝集体中のほかの粒子および/または支持体表面に粒子を結合する付着力、例えばファン・デル・ワールス、静電、重力、摩擦などを克服することである。エア−レザー方法の第二の目的は、できるだけ損失粒子を少なくして、すべての浮遊粒子をノズル中に向けることである。ついで、ノズルに入る粒子は、適切に配置された流体路によって、空気中に伴出されて使用者の気道へと輸送されるべきである。これらの目的を達成するために、エネルギー源が必要とされる。驚くべきことに、使用者の吸入による吸引力からの利用可能な駆動力は、粉末エア−レザー方法に十分なエネルギーを与えることが見出されている。成人使用者による正常な吸気力は、約1〜8kPaの範囲の低圧を生じることを示すことができる。この範囲内の低圧が使用可能であるが、好ましい実施形態は、大部分の人々による使用の簡便性のために、1〜4kPaの範囲を用いる。実験により、このようにして生じる限定された低圧または駆動圧は、非常に効率的に用いることができ、吸入プロセスにおいて外力源を不要にすることが示されている。粉末エア−レザー方法は、部分的にまたは完全に吸引力を供給する外力源を用いても等しく良好に作動するが、外力源は、なんの利点も提供せず、したがって余分である。しかし、エア−レザー方法を利用するために必要な、粉末とノズルとの間の相対運動は、好ましくは吸入力によって動力供給されないが、このことは完全に可能であろう。その代わり、この相対運動は、多くの異なる方法で配置されてもよい。これには例えば、吸入器具を取り扱う際に使用者によって与えられる潜在的エネルギーを貯蔵する能力を有するスプリング要素を含むメカニズムが含まれる。
エア−レザー方法についての結論は次のとおりである。
1.利用可能な吸入圧力低下のエネルギーができるだけ少量しか失われないように、ノズル入口開口部を効率的に流れるようにする。その代わり、ノズル中にできるだけ高速度の空気流を生じ、これによって、粒子に作用する剪断応力および乱流を最適化するために、圧力低下が用いられるべきである。
2.粉末とノズルとの間に相対運動を導入する。相対速度は、用途に応じて、例えば投薬区域、投与量サイズ、患者の型などに応じて、かつ利用可能な粉末のすべての粒子が高い空気速度に付され、したがって保持が低く保たれることを確認するほどには急速でないように選ばれるべきである。
第一の結論の線に沿って、本発明は、先行技術の一般的な解決法とは逆に、乱流、衝突、およびこれによって必要以上の解凝集を作り出すために、下流流路においてバッフルまたはほかの制限物の使用を行なう。解凝集および分散に利用可能なエネルギーは、ノズル入口開口部の周りの区域に集中し、マウスピースを含めマウスピースまでの相互連結流路に、最小限の粒子保持しか伴わずに、使用者への浮遊粒子の輸送という負担のみを残す。エア−レザー方法を用いることによって、したがって下流流路における保持は、実質的に減少され、このようにして、優れたFPF値を伴って、使用者へ非常に高い割合の利用可能な粉末投与量を送達する機会を与える。
本明細書の文脈において、「隣接する」という用語は、ノズル入口開口部の平面と、支持体部材の表面の平面もしくは支持体部材の表面上の粉末投与量の輪郭の上部平面との間の距離を記載するために用いられることが多い。通常、これらの平面は平行である。最大限のエア−レザー効果のために、ノズル入口平面から、空気流によってノズル中に吸い上げられようとしている投与量までの距離が、1ミリメートル未満であれば有利である。エア−レザー方法が実施される吸入器の設計目的、製造公差、およびほかの要因は、ノズルが支持体部材または投与量に対してどこに配置されるべきかの決定に影響を与える。
本発明の教示は、関与する部材間の相対運動をもたらすために、どのメカニズムを採用するかによって影響されない。したがって、ノズルが移動部分であり、支持体部材が静止しているか、もしくはその逆であるか、またはさらに別の固定もしくは移動要素に対するノズル/支持体運動の組合せが用いられるかどうかは、本発明にとって重要でない。好ましい実施形態において(図21参照)、ノズル1の入口開口部3は、楕円形またはスリット様形状であり、したがってこの開口部は、支持体140上の粉末180によって占められている区域の幅をカバーするのに十分なほど幅広い。相対的に言えば、好ましい実施形態において、ノズルは、開始位置から終了位置までの運動を行ない、1ストロークで投与量の占有区域の全体を横断する。有利なことに、ノズルの開始位置は、吸引開始された空気流が、相対運動によってノズルが粉末に隣接する前に、ノズルを通ってある点まで徐々に増大するように、距離「s」(s≧0+開口部のサイズ)だけ占有区域の外側にある。このような好ましい実施形態において、粉末エア−レザー方法の力および剪断応力は、投与量輪郭の境界に近づき、粉末の粒子凝集体に当たり始める前に確立される。粉末エア−レザー方法のもう1つの改良は、ノズル中へのフローの吸引に関連する誘発の導入であり、したがってその結果として生じる空気速度は、必要な粉末エア−レザー効果を発生させるのに十分なほど高い。好ましい実施形態において、ノズルの開口部は、支持体部材の直近にまで移動し、これと接触することさえある。ただし一般的には、支持体部材上の粉末と接触しない。投与量輪郭に応じて、例えば投与量が吸入サイクルの前に乱される場合、ノズルは、解凝集および分散有効性に関するエア−レザー性能の有意な低下を伴わずに、送達の間、投与量中の一部の粉末と接触しうる。ほかの実施形態において、支持体部材とノズルとの間の相対運動は、1つを超える工程を含んでいてもよい。これは、不連続パターンとして配置されてもよい。例えば、粉末区域の様々な部分を2回以上横断し、その都度粉末の凝集区域全体の小さい区域をカバーすることによって、比較的小さい開口部を有するノズルに、粉末の占有区域をカバーさせるようにパターンが考案されてもよい。このようにして、粉末エア−レザー方法によって順次切り離され、粒子凝集体から解凝集された粒子101は、ノズルに入って行く空気流中に迅速に伴出される。
これに対して、多くの先行技術の吸入器具は、空気の入口と最終マウスピース空気出口とを連結するチャネルに粉末を導入することによって、粉末放出サイクルを開始する。このようにして、粉末は、ある容積の静止空気によって取囲まれる。ついで、この相当量の容積の空気は、通常は使用者によって供給され、時には追加の外部エネルギーによって、例えば薬剤粉末を振動させるか、またはこれに加圧空気の特別な一吹きを付与することによって増大する吸引力によって加速される。粉末のすべては、同時にこの処理に付され、その結果として空気中に伴出される粉末全質量の不十分な解凝集が生じる。要するに、このことは、粉末のすべてが、解凝集が実際に起こるのに必要な剪断応力に付されるわけではないので、低い有効性を意味する。さらに、粉末を取り囲んでいる空気の速度は、放出プロセスが開始される時にゼロなので、粉末中の粒子凝集体の一部は、空気流の剪断応力がこれらの凝集体を解凝集させるのに十分なほど強くなく、したがってこれらがそのままの凝集体として送達される時、加速段階の間にばらばらに引き裂かれる。公開された明細書の範囲内で、粉末エア−レザーの本発明は、移動ノズルが接近する粉末のすべてが実際に、解凝集されるのに必要な剪断応力に付されることを開示している。
興味深いことに、実験では、エア−レザー用途に用いられる時、穿孔支持体部材140と非穿孔支持体部材141との間に明確な性能の差はないことが示されている。非穿孔支持体部材の場合、ノズルは、粉末に隣接して支持体部材の粉末と同じ側に配置されなければならない。これは、図17aおよび17bに図解されている。空気流20は、これらの側からノズルに入り、これによってこのプロセスにおける粉末180から粒子101をばらばらに切断する。他方、穿孔支持体部材140が用いられるならば、解凝集および分散は、空気流20がノズル1に入る前に、穿孔を通り、さらに粉末180を通る空気によって促進することができる。図18aおよび18b参照。解凝集および分散のさらなる改良は、ノズルが支持体部材の粉末の反対側に配置されうるならば、穿孔支持体部材から得ることができ、したがって空気流は、まず粉末に衝突し、その後続いて穿孔を通り、ついでノズル入口開口部に入る。図19aおよび19b参照。理論的には、穿孔支持体部材は、ほかのすべてのパラメーターが等しいならば、非穿孔支持体部材に比し、FPF結果がよい。その理由は、穿孔支持体部材上の粉末が受ける剪断力は、任意の所定の吸引時に空気流が当たる粉末の部分において、よりよく分散されうるからである。優勢な空気流は、穿孔を介して真っ直ぐに粉末を通過するかまたはその逆であり、非穿孔支持体部材の場合のようにノズル入口周辺部の周りで90〜180°回転するのではなく、ノズルの中に入って行く。平均して、支持体部材が穿孔されているならば、このようにしてより高い割合の粉末が強い剪断力に付される。しかし、実際には、どの型の支持体部材を用いるべきかは、用途による。その理由は、非穿孔または穿孔支持体部材に適用されるエア−レザー方法についての性能の差は、非常に少ないことがわかっているからである。
穿孔支持体部材のさらにほかの実施形態では、支持体部材の薬剤粉末と同じ側にノズルを配置することがある。粉末の近くに移動しうるが、好ましくはこれと接触しないようにノズルを配置することは、図20aおよび20bに図解されているように、例えば支持体部材の両側に部分投与量を形成する可能性を提供する。このような場合、2部分投与量180Aおよび180Bは、好ましくは、上記と同じ方法で送達されるが、ただ、180Bと名付けられた、ノズルと反対側の支持体部材の部分投与量が穿孔を通して吸引され、180Aと名付けられた他方の投与量と混合される。支持体部材の両側に部分投与量を形成することについて可能な用途は、2種類の薬剤が混合には不適合であるが、使用者に同時に投与される必要がある場合であろう。
試験例
投与量の放出の間、静止ノズルと投与量に対して移動するノズルとの間で、使用者に送達される投与量における微粒子フラクションの差を考察するために、一次粒子サイズ3μm未満の粒子85質量%を含む、微小に分割されたラクトース粉末を用いて次の試験管内実験が実施された。
A.静止ノズルおよび穿孔支持体部材
各々直径約3mm、質量約70μgのラクトースのいくつかの30スポット様投与量が、支持体部材としての機能を果たす150メッシュ(1インチあたり150網目)金属ワイヤーネット上に形成された。ついで、支持体部材は、支持体部材の投与量の側と反対側に入口を有するノズルに隣接して配置された。このノズル開口部の面積は、投与量よりも幾分大きかった。ノズル出口は、アンダーソンインパクタに連結された。ついで、吸引はできるだけ迅速に2kPaの圧力低下に至るようにされ、その結果、空気速度が1分あたり33.4リットルになった。投与量は、ノズルに入る空気流中に分散され、インパクタに送達された。この放出処置が30投与量すべてに対して反復され、総質量は約2mgであった。これらの投与量の粉末は、インパクタの段階に沈降した。インパクタの様々な段階における送達質量の粒子分布は、表1に示されている。インパクタに連結されたノズル中の保持は、54μgと定量された。全質量はHPLC方法によって定量された。
5μm未満の微粒子フラクションは、段階2と3との間の補間法によって、送達質量の17.1%、および総測定質量の16.7%と定量された。
Figure 2005522277

B.穿孔支持体部材に適用されたエア−レザー方法
この装置は、Aと同じラクトースバッチからの10投与量が、支持体部材としての機能を果たす、Aと同じ型の150メッシュ(1インチあたり150網目)金属ワイヤーネット上に、長さ15mm、幅3mmのストリップとして形成されるように準備された。ついで、ネットは、ネットの投与量の側と反対側に入口を有する前記と同じノズルに隣接して配置されたが、横の距離の一部が、投与量によって占められた区域から除去された。ノズル開口部の直径は、投与量の幅よりも幾分大きかった。
ノズルは、前記と同じ測定装置の一部であった。前記と同じアンダーソンインパクタが用いられた。ここでの違いは、まず2kPaの吸引力が加えられ、ネット(この場合)を投与量ストリップに平行にノズルを通過して移動させる前に空気流は安定化させられ、したがって、投与量は、ノズル中に入って行く流入空気によって徐々に吸い上げられ、インパクタに送達されることであった。放出処置が10投与量すべてに対して反復され、総質量は約2.6mgであった。インパクタの様々な段階における送達質量の粒子分布は、表2に示されている。インパクタに連結されたノズル中の保持は、256μgと定量された。質量は前記のようにHPLC方法によって定量された。
Figure 2005522277

5μm未満の微粒子フラクションは、段階2と3との間の補間法によって、送達質量の70.1%および総測定質量の63.8%と定量された。
C.非穿孔支持体部材に適用されたエア−レザー方法
前記の実験AおよびBと同じラクトースバッチのサンプルを、一連のラクトース投与量から採取した。各投与量が非穿孔支持体部材上に形成され、投与量は、長さ15mm、幅3mmの粉末ストリップであった。ついで、選択サンプル投与量が、支持体部材の投与量と同じ側に入口を有する同じノズルに隣接して配置されたが、横の距離の一部が、投与量によって占められた区域から除去された。ノズル開口部の直径は、投与量の幅よりも幾分大きかった。
ノズルは、前記と同じ測定配列の一部であった。前記と同じアンダーソンインパクタが用いられた。この場合、まず4kPaの吸引力が加えられ、支持体部材(この場合)を投与量ストリップに平行にノズルを通過して移動させる前に空気流は安定化させられ、したがって、投与量は、ノズルに入って行く流入空気によって徐々に吸い上げられ、インパクタに送達された。インパクタの様々な段階における送達質量の粒子分布は表3に示されている。インパクタに連結されたノズル中の保持は、74.3μgと定量された。質量は、前記のようにHPLC方法によって定量された。
Figure 2005522277

5μmまたはそれ以下の微粒子フラクションは、段階1と2との間の補間法によって、送達質量の83.7%および総測定質量の72.0%と定量された。この場合の圧力は、前記の2実験の2kPaと比較して4kPaであったことに注目すべきである。したがって、本結果は、直接比較可能ではないが、試験圧力は、1〜4kPaの好ましい範囲内にある。
本実験の証拠は、ノズルと薬剤粉末の投与量との間に相対運動を導入することによる、漸進的解凝集および空気中への分散の本発明の工程について特許請求されている利点を裏付ける。ノズル入口周辺部の近くでの剪断応力、および薬剤粉末輪郭の境界部への最大限の空気流の衝撃使用によって、非常に高度の解凝集、および空気中に分散された粒子の微細粒子フラクションが得られる。ノズルと粉末との間の相対運動は、相当量の投与量の放出を可能にする剪断力による、粉末への漸進的接近を意味する。本実験は、非穿孔支持体部材上の投与量に適用されるエア−レザー方法が、穿孔支持体部材上の粉末に適用されるエア−レザー方法のように、非常に良好な性能を与えうることを示している。粒子間、および粒子と沈着粒子における支持体との間の付着力を最適化することによって、粉末面積を最適化することによって、ノズル形状を最適化することによって、ならびにノズルと粉末との間の相対運動の速度を最適化することによって、5μmまたはそれ以下の微粒子フラクション質量の解凝集が、利用可能な薬剤粉末の質量の100%に非常に近く近づけられる。
好ましい実施形態において、図17b、18b、19b、20bにおける相対転位粉末投与量−ノズルの速度「v」は、適切な手段によって制御される。この手段の1つの要素は、空気取入れバルブであってもよく、これは、吸引からの圧力差が適度に強い時に開く。ついで、その結果として生じる空気流は、粉末エア−レザー方法が投与量の粒子を効率的に解凝集し、空気中に分散するのに必要な速度に達する。流量損失をできるだけ最小限にするために、ノズルおよび下流の連結チャネルは、出口区域が入口区域よりも大きくなるように円錐形状が与えられてもよい。「v」の制御とは、最も適切な投薬時間間隔は投与量の送達が発生する期間と規定されうることを意味する。投薬時間間隔は、いくつかの要因、例えば気道の標的区域、公称粉末投与量質量、およびこの薬物療法の使用者のタイプによる。開始点から終了点まで、ノズルに対する投与量の相対運動は、この規定された時間間隔を受け入れなければならない。これは通常、0.01〜5秒の範囲内にある。タイミング、すなわち発生しつつある空気の吸引の時間枠内でこの運動が開始され、終了する時点は、用途に対して適切に選択されるべきであるである。
したがって、粉末エア−レザー方法を十分に活用する新しいタイプの吸入器具によって、投与量の送達を最適化することが重要である。このような新しい吸入器具の実施形態は、図25に開示されている。このようにして、本発明の方法は、本明細書記載の新しい粉末エア−レザー方法および延ばされた投与量の品質を十分に活用することによって、投与量の送達を最適化する。
非多孔質非穿孔支持体部材の第一実施形態を、上面図および側面図として図解している。 穿孔支持体部材の第一実施形態を、上面図および側面図として図解している。 多孔質支持体部材の第一実施形態を、上面図および側面図として図解している。 非穿孔支持体部材の標的区域上のストリップとして形成された投与定量を、上面図および側面図として図解している。 非穿孔支持体部材の標的区域上のストリップとして形成された別の投与定量を、上面図および側面図として図解している。 穿孔支持体部材の標的区域上のストリップとして形成された投与定量を、上面図および側面図として図解している。 穿孔支持体部材の標的区域上のストリップとして形成された別の投与定量を、上面図および側面図として図解している。 穿孔支持体部材の標的区域上の一連のドットとして形成された別の投与定量を、上面図および側面図として図解している。 穿孔支持体部材の標的区域上のストリップとして形成された別の投与定量を、上面図および側面図として図解している。 穿孔支持体部材の標的区域上のストリップとして形成された別の投与定量を、上面図および側面図として図解している。 穿孔支持体部材の標的区域上のストリップとして形成された別の投与定量を、上面図および側面図として図解している。 穿孔支持体部材の各々の側に1つずつの、標的区域上の2つの部分投与量として形成された投与定量を、上面図および側面図として図解している。 縦方向に配置された多重投与量基盤要素を有する円筒形状の投薬部材を図解している。 円形に配置された多重投与量基盤要素を有する円筒形状の投薬部材を図解している。 放射状に配置された多重投与量基盤要素を有する円盤形状の投薬部材を図解している。 円形多重投与量基盤要素を有するシート形状の投薬部材を図解している。 非穿孔支持体部材の表面にある投与量、およびこの投与量と同じ側に隣接して、投与量が放出される前の開始位置にあるノズルの一例を、断面図として図解している。 非穿孔支持体部材の表面にある投与量、およびこの投与量と同じ側に隣接して、空気流中に分散された粉末粒子を吸い上げる移動ノズルの一例を、断面図として図解している。 穿孔支持体部材の表面にある投与量、およびこの投与量と同じ側で、投与量が放出される前の開始位置にあるノズルの一例を断面図として図解している。 穿孔支持体部材の表面にある投与量、およびこの投与量と同じ側に隣接し、空気流中に分散された粉末粒子を吸い上げる移動ノズルの一例を、断面図として図解している。 穿孔支持体部材の表面にある投与量、およびこの投与量が放出される前の開始位置にある、支持体部材の他方の側に隣接するノズルの一例を、断面図として図解している。 穿孔支持体部材の表面にある投与量の一例を断面図として図解しており、支持体部材の投与量と反対側に隣接する移動ノズルによって支持体部材の表面から吸い上げられる投与量を示している。 穿孔支持体部材の各々の側に1つずつの、2つの部分投与量として形成された投与定量、および投与量が放出される前の開始位置にある、支持体部材の第一側に隣接したノズルの一例を、断面図として図解している。 穿孔支持体部材の各々の側に1つずつの、2つの部分投与量として形成された投与定量、および空気流中に分散された粉末粒子を両側から吸い上げる、支持体部材の第一側に隣接した移動ノズルの一例を、断面図として図解している。 粉末投与量が上にある非多孔質・非穿孔支持体部材、および支持体の投与量と同じ側に隣接した、楕円形入口開口部を有するノズルを図解している。 粉末投与量が上にある穿孔支持体部材、および支持体の投与量の他方の側に隣接した、楕円形入口開口部を有するノズルを図解している。 ノズル、および放出前の載せられた状態にある投薬部材の実施形態を図解している。 粉末投与量の放出プロセスにおける、互いに相対運動にあるノズルと投薬部材とを示している、粉末エア−レザー方法の実施形態を図解している。 粉末エア−レザー方法を適用するように設計された吸入器の実施形態を図解している。 空気流中に位置する静止粒子に対して作用する異なる力を図解している。 層流および乱流についての物体までの距離の関数としての流体速度を図解している。 ノズル入口開口部、および吸引力を加える間に生じる空気速度パターンの実施形態を図解している。 時間の関数としての空気中に放出される粒子数を図解している。 本発明による方法の主要工程をフローチャートとして図解している。

Claims (14)

  1. 支持体部材上に放出可能に保持された、微小に分割された薬剤粉末の投与量を解凝集および分散する方法であって、該投与量は吸入を意図している方法において、
    入口および出口を含むノズルを備えさせ、ノズル入口開口部を該支持体部材に隣接するように配置するか、またはこれと接触するように配置する工程と、
    該ノズル出口に吸引力を加えることにより、該ノズル入口開口部の中へ流入し、かつ該出口を通って流出する局部的高速度空気流を生成する工程と、
    該ノズルと支持体部材との間に相対運動を導入し、ノズル入口、およびノズル入口開口部に流入する局部的高速度空気流が、微小に分割された薬剤粉末の投与量を横断することにより、粉末投与量を放出および分散する際に粉末エア−レザー効果を生じるように相対運動を配置する工程と、
    該ノズル入口開口部に入って行く局部的高速度空気流中の空気の剪断応力と、慣性と、空気の乱流とを利用することによって、微小に分割された薬剤粉末の投与量内の粒子凝集体を解凝集し、これによって、微小に分割された薬剤粉末の投与量の解凝集された粒子が、ノズルと投与量とが互いに対して移動するため、投与量中の利用可能な粉末に、投与量区域の境界において空気流が徐々に接近するにつれて空気中に徐々に分散される工程と、
    を特徴とする方法。
  2. 乾燥粉末吸入器を通して吸入する使用者に対し、支持体部材上に放出可能に保持され微小に分割された薬剤粉末の投与量を投与する方法であって、
    少なくとも1つの薬理活性物質が、意図された医薬用途および作用部位に適した空気力学的粒子サイズ分布を与えるような薬剤粉末の乾燥粉末配合物を選択する工程と、
    入口および出口を含むノズルを備えさせ、ノズル入口開口部を該支持体部材に隣接するように配置するか、またはこれと接触するように配置する工程と、
    該ノズル出口に使用者による吸引力を加えることによって、ノズル入口開口部の中へ流入し、かつ該出口から流出して使用者の気道に流入する局部的高速度空気流を生じさせる工程と、
    該ノズルと支持体部材との間に相対運動を導入し、ノズル入口、およびノズル入口開口部に流入する局部的高速度空気流が、微小に分割された薬剤粉末の投与量を横断することにより、吸入される直前に粉末投与量を放出および分散する際に粉末エア−レザー効果を生じるように相対運動を配置する工程と、
    ノズル入口開口部に流入する局部的高速度空気流中の空気の剪断応力と、慣性と、乱流とを利用することによって、解凝集された形態の薬剤粉末の投与量を送達し、これによって、投与量の粒子凝集体が、ノズルと投与量とが互いに対して移動するため、この投与量中の利用可能な粉末に、投与量区域の境界において空気流が徐々に接近するにつれて徐々に解凝集され、かつ吸入空気中に分散され、これによって、送達される投与量が、重量で大部分の微粒子から構成される工程と、
    を特徴とする方法。
  3. 該ノズル入口を投与量区域の外側の開始位置に配置することによって、ノズル入口中への適切な空気流入が粉末エア−レザー効果を生じるために確立する時間を有する前に、投与量の粉末の擾乱および当初の低解凝集を防ぐさらなる工程を特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 支持体部材上の投与量中の薬剤粉末質量の少なくとも40%が、ノズルから離間する吸入空気流中に微粒子として分散されることを達成するさらなる工程であって、前記微粒子が、5μmまたはそれ以下の空気力学的直径を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  5. 空気吸引が発生する時間枠内でノズルの相対運動のタイミングを調節するさらなる工程を特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  6. 空気吸引が発生する時間枠内で、開始位置から終了位置までのノズルの相対運動のために、0.01〜5秒の範囲の時間間隔を選択するさらなる工程を特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  7. 投与量形成プロセスにおいて、微小に分割された薬剤粉末の静電場または電気力学場沈着に適した帯電処置を完了した後に、誘導、コロナ、または摩擦効果によって帯電可能になるように、かつこのように獲得された電荷を保持しうるように、この支持体部材を配置することによって、
    薬剤粉末投与量を形成し、これは吸入に関連し、粉末エア−レザー効果によって解凝集され、空気中に分散されるさらなる工程
    を特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  8. 1つまたは複数の支持体部材材料を、電気的に絶縁性、散逸性、または導電性、またはこれらの組合せになるように選択し、これによって、粉末エア−レザー効果によって、吸入との関連において薬剤粉末投与量の粒子の解凝集および空気中への分散を容易にすることによって、支持体部材を、多孔質であっても、穿孔されていても、またはそのどちらでもない場合でも、電気的に中性になるように、すなわち粒子付着力に電気的に影響を与えないように配置するさらなる工程を特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  9. 少なくとも1つの微小に分割された薬剤粉末を、支持体部材の第一側もしくは第二側、または両側に沈着させるさらなる工程を特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  10. 微小に分割された薬剤粉末を、支持体部材の第一側および第二側へ沈着させ、前記粉末が任意に異なる薬剤粉末、すなわち支持体部材の第一側の第一薬剤粉末、および支持体部材の第二側の第二薬剤粉末を含むさらなる工程を特徴とする、請求項9に記載の方法。
  11. 該ノズルが、第一側に配置されているならば、粉末(存在するとすれば)を第一側から、および第二側にある粉末(存在するとすれば)を第二側から、この支持体部材の細孔または穿孔を通って吸引することができるように、第一側および第二側からの粉末が、片側または両側で利用可能であれば、空気の吸引によってノズル中に吸引されるように、多孔質または穿孔支持体部材を選択するさらなる工程を特徴とする、請求項9に記載の方法。
  12. 該投与量区域と同程度であるか、またはそれよりも小さいノズル入口区域を生成し、
    該ノズル入口が、空気の吸引が発生する時間枠内で1つまたはそれ以上の横断工程において少なくとも投与量区域をカバーするように、ノズルの相対運動を配置する
    さらなる工程を特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  13. 1〜8kPa、より好ましくは1〜4kPaの範囲内の使用者の吸引によって、使用しうる圧力低下を提供するさらなる工程を特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  14. ノズル中への空気の流入を誘発するのに必要な吸引から真空の閾値を規定し、これによって、必要な粉末エア−レザー効果を発生させるのに十分なほど、確実に空気流が高くなるようにするさらなる工程を特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
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