JP2005521665A - 心血管障害の予防および治療のための、アルドステロンアンタゴニストおよび非ステロイド系抗炎症剤の併用治療 - Google Patents

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Abstract

炎症の治療に有用なアルドステロン遮断薬およびNSAIDの併用を開示する。

Description

発明の属する技術分野
本発明は心血管障害の予防および治療に関する分野に属する。より限定的には本発明は、アテローム硬化症を含む心血管疾患の予防または治療における、アルドステロンアンタゴニストおよび非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)の併用治療の使用に関する。
発明の背景
プロスタグランジン類は炎症過程において主要な役割を担っているため、プロスタグランジン産生、特にPGG、PGHおよびPGEの産生、の阻害が、抗炎症剤の開発の一般的な標的となってきた。しかし炎症過程に伴うプロスタグランジンに誘発される疼痛および腫脹の低減に活性である一般的な非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)はまた、炎症過程とはかかわりのないプロスタグランジンに制御される他の過程への影響においても活性である。したがって最も一般的なNSAIDの高用量の使用は、これら薬剤の治療の潜在能を限定することになる生命にかかわる潰瘍を含む重症の副作用をきたす可能性がある。NSAIDに代わるものとしてコルチコステロイド類の使用があるが、同薬剤もまた特に長期治療に関与する場合には、重症の副作用をきたす。
NSAIDは、酵素のシクロオキシゲナーゼ(COX)を含む、ヒトのアラキドン酸/プロスタグランジン経路における酵素を阻害することにより、プロスタグランジンの産生を妨げることが発見された。近年、炎症に関連する誘導酵素(“シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)”または“プロスタグランジンG/HシンターゼII”と命名された)が発見された。
いくつかの研究は、心血管の疾患において炎症反応が一役を担っていることを示唆した。例えばRidkerら(New Eng. J. Med., 336. 973-9 (1997))は、心血管疾患における炎症の役割の可能性について述べている。J. Boyle (J. Path., 181, 93-9 (1997))は、プラークの破裂とアテローム硬化症の炎症との関連について述べている。
心血管障害の治療または予防において、現在の薬剤治療は治療を行っている被験者に常に有効である、または十分に耐えられる訳ではない。したがって新規薬剤治療がこのニーズを満たすために必要である。そのため本発明は、心血管障害を治療または予防するための、アルドステロンアンタゴニストおよびNSAIDを併用する新規薬剤治療を対象とする。より具体的には本発明は、心血管障害の予防または治療におけるアルドステロンアンタゴニストおよびNSAIDの併用治療の使用に関する。
発明の詳細な説明
本発明は、心血管障害の予防または治療を必要とする被験者における同障害の予防法および治療法を提供する。該方法は、治療有効量のアルドステロン受容体アンタゴニスト(その誘導体または医薬的に受容可能なその塩を含むが、これに限定されない)をNSAID(その誘導体または医薬的に受容可能なその塩を含むが、これに限定されない)と併用して、被験者を治療することを含む。
上記方法は、心臓、腎臓および脳の炎症に関連する障害、特に血管の炎症に関連する障害を含む(ただしこれに限定されない)被験者における炎症に関連する障害を予防または治療するために有用となるが、これに限定されない。該方法は高血圧、心不全、心筋梗塞に続発する心不全、うっ血性心不全、冠動脈疾患、動脈瘤、動脈硬化、心移植によるアテローム硬化症を含むアテローム硬化症、心筋梗塞、塞栓症、脳卒中、静脈血栓症を含む血栓症、不定型狭心症を含むアンギナ、カルシウム沈着(例えば血管のカルシウム沈着および弁のカルシウム沈着)、カワサキ病および炎症(例えば冠動脈のプラークの炎症、クラミジア誘発性炎症を含む細菌誘発性炎症、およびウイルス誘発性炎症)の予防または治療に有用となる。
該方法は、直接的または間接的に炎症を制御する1つまたはそれより多くの発現産生物の発現を変化させることにより、炎症に関連する障害を治療または予防するために有用であるが、これに限定されない。炎症に関連する障害、特に炎症に関連する心血管障害は、増加したまたは低減した発現を受けうる1つまたはそれより多くの発現産生物により、全体的または部分的に仲介され得る。前記発現産生物は、共同でまたは単独で作用して直接的または間接的に影響を及ぼす、有機分子、タンパク質、DNAを基本とするまたはRNAを基本とする分子、およびこのような産生物のネットワークまたはアグリゲートを含むことができるが、これに限定されない。前記発現産生物の発現のパターンの変化は、2つまたはそれより多くの発現産生物を伴って、連続的にまたは同時に起こり得る。これらの発現産生物は、他の分子または発現産生物により誘導される病理学的影響を誘導または増幅して、被験者の組織または臓器に直接的または間接的に炎症の影響を及ぼすと考えることができる。これらの発現産生物は、前炎症発現産生物または抗炎症発現産生物としてのそれらの各機能に依存して、増加したまたは低減した発現により前炎症効果を生じると考えることができる。
該方法は、シクロオキシゲナーゼおよびオステオポンチンを含む、炎症の影響を受けた組織に見出される前炎症成分のアップレギュレーションを調節することにより、一方でまた腎臓、特にアルドステロンの拮抗作用がシクロオキシゲナーゼの発現を誘導し得る密集斑におけるシクロオキシゲナーゼの活性を阻害することにより、状態を治療または予防するために特に有用である。アルドステロンアンタゴニストの使用は、炎症に関連する障害により誘導されるシクロオキシゲナーゼの発現低下をもたらすが、シクロオキシゲナーゼ活性を完全に妨げることはできない。シクロオキシゲナーゼ活性を阻害するNSAIDを加えるという共同的作用(co-action)がまた、炎症の影響を受けた組織または臓器の炎症の低減をもたらすことになるだろう。アルドステロンアンタゴニストの使用は、腎臓内の密集斑およびヘンレ係蹄の皮質の太い上行脚(CTAL)では、シクロオキシゲナーゼのアップレギュレーションを誘導し得る。腎臓において、シクロオキシゲナーゼの産生物であるプロスタグランジンは、腎臓の血行力学の制御および塩/水のホメオスタシスに関与している。その結果、腎臓の密集斑およびCTAL領域における、非炎症性のアルドステロンアンタゴニストによるシクロオキシゲナーゼの誘導が、病理学的影響、例えば血圧上昇ならびに塩および水の貯留をきたし得る。したがってシクロオキシゲナーゼを阻害するNSAIDをアルドステロンアンタゴニストと共同投与することが、腎臓におけるアルドステロンアンタゴニストによるシクロオキシゲナーゼの誘導に対する病理学的な腎臓の反応の進行を緩徐、阻止、または逆転させることになる。
上記方法において心血管障害として、炎症成分を有することが知られている障害、およびアルドステロンまたはシクロオキシゲナーゼまたはその双方により仲介され得る障害を含むが、これに限定されない。上記方法はまた、シクロオキシゲナーゼおよびオステオポンチンの発現のアップレギュレーションの調節を必要とする、アルドステロンアンタゴニストおよびNSAIDの併用による患者の治療もまた含む。腎臓、心臓および脳を含む(ただしこれに限定されない)組織においてシクロオキシゲナーゼは、この前炎症酵素の発現のアップレギュレーションの結果として誘導され、組織および臓器の軽度から重度の損傷の原因となり得る。上記方法において、アルドステロンアンタゴニストおよびNSAIDの併用投与を使用して、シクロオキシゲナーゼの発現のアップレギュレーションを調節する。上記方法はまた、前炎症タンパク質のオステオポンチンのアップレギュレートされた発現が誘導されて、組織および臓器の軽度から重度の損傷に至る可能性のある、腎臓、心臓および脳を含む(ただしこれに限定されない)組織内で起こり得る状態を、予防または治療するためにも有用である。上記方法において、アルドステロンアンタゴニストおよびNSAIDの併用投与を使用して、オステオポンチンのアップレギュレートされた発現を調節する。
もう一つの態様において本発明は、前炎症発現産生物であるMCP−1、IL−1、IL−6、VCAM−1およびICAM−1のいずれか一つのアップレギュレートされた発現が起こり、組織および臓器の軽度から重度の損傷に至る可能性のある、腎臓、心臓および脳を含む(ただしこれに限定されない)組織および臓器における状態を予防または治療する上で、有用である。上記方法において、アルドステロンアンタゴニストおよびNSAIDの併用投与を使用して、MCP−1、IL−1、IL−6、VCAM−1およびICAM−1のいずれか一つのアップレギュレートされた発現を調節する。
アルドステロンアンタゴニストおよびNSAIDの併用治療により、その発現を調節して炎症に関連する心血管疾患を低減することのできる発現産生物の非限定的な例を、図24に示す。アップレギュレートされ得る前炎症の発現産生物の非限定的な例として、以下の1つまたはそれより多くを含む:
(a)アンジオテンシンIIおよびエンドセリンの受容体、
(b)単球活性化分子のavβ3(接着、増殖、遊走)およびCD44(遊走)、
(c)血管炎症のメディエーターのインターフェロン−γ(Inf−γ)、インターロイキン−1(IL−1)および腫瘍壊死因子−a(TNF−a)、
(d)組織を損傷するスーパーオキシドラジカルを産生するNADH/NADPHオキシダーゼ、および
(e)活性組織プラスミノーゲンアクチベーター(t−PA)の減少を引き起こすプロトロンビンのプラスミノーゲンアクチベーター阻害因子−1(PAI−1)。
本発明のもう一つの態様において、アルドステロンアンタゴニストおよびNSAIDの併用治療により、その発現を調節して炎症に関連する心血管疾患を低減することのできる発現産生物の非限定的な例として、以下の1つまたはそれより多くを含む:
C反応性タンパク質(CRP)のような急性期反応物質、
インターロイキン−6(IL−6)、IL−10、IL−12、可溶性細胞内接着分子−1(sICAM−1)のような多面的サイトカイン、
トロポニンTまたはI、熱ショックタンパク質65(HSP65)、アミロイド、ホスホリパーゼA2、フィブリノーゲン、CD40/CD40Lシグナル伝達経路
およびコラーゲン結合性インテグリンa1β1(間充織細胞)およびa2β1(上皮細胞)のような接着メディエーター。
本発明のもう一つの態様において、炎症に関連する発現産生物の1つまたはそれより多くを、アルドステロン受容体アンタゴニストおよびNSAIDの併用治療により、少なくとも10%の発現の増加または減少を通して、調節または変化させることができる。もう一つの態様において、前記発現産生物をアルドステロン受容体アンタゴニストおよびNSAIDの併用治療により、少なくとも25%の発現の増加または減少を通して、調節または変化させることができる。もう一つの態様において、前記発現産生物をアルドステロン受容体アンタゴニストおよびNSAIDの併用治療により、少なくとも50%の発現の増加または減少を通して、調節または変化させることができる。もう一つの態様において、前記発現産生物をアルドステロン受容体アンタゴニストおよびNSAIDの併用治療により、少なくとも100%の発現の増加または減少を通して、調節または変化させることができる。
心疾患の障害の予防に使用するアラキドン酸代謝のシクロオキシゲナーゼ経路の阻害剤は、多様なメカニズムを通して酵素活性を阻害してもよい。例として本明細書に記載する方法に使用する阻害剤は酵素活性の発現を阻害してもよい。アルドステロンアンタゴニストを用いて、炎症の損傷部位でのシクロオキシゲナーゼ−2の発現を遮断することは、特にNSAIDの高用量での長期的な予防的処置が予測される場合には、非選択的なNSAID類により起こり得る消化管の副作用を最小限とする上で、非常に有利である。
投与計画および治療計画
投与するアルドステロン受容体アンタゴニスト遮断薬の量および本発明の方法に関する投与計画は、被験者の年齢、体重、性別および医学的状態、病原の影響の重症度、投与経路および投与頻度、ならびに使用する特定のアルドステロン遮断薬など依存し、したがって広範囲に変えてもよい。約0.001から30mg/kg体重、好ましくは約0.005および約20mg/kg体重の間、より好ましくは約0.01および約15mg/kg体重の間、さらにより好ましくは約0.05および約10mg/kg体重の間、そして最も好ましくは約0.01および5mg/kg体重の間、の被験者に投与する1日の用量が適当であろう。
ヒトの被験者に投与するアルドステロンアンタゴニストの1日の用量は、典型的には約0.1mgから約2000mgの範囲とする。本発明の1つの態様において、1日の用量の範囲は約0.1mgから約400mgである。本発明のもう1つの態様において、1日の用量の範囲は約1mgから約200mgである。本発明のさらなる態様において、1日の用量の範囲は約1mgから約100mgである。本発明のもう1つの態様において、1日の用量の範囲は約10mgから約100mgである。本発明のさらなる態様において、1日の用量の範囲は約25mgから約100mgである。本発明のもう1つの態様において、1日の用量は5mg、10mg、12.5mg、25mg、50mg、75mg、および100mgからなる群から選択される。本発明のさらなる態様において、1日の用量は25mg、50mg、および100mgからなる群から選択される。被験者における実質的な利尿効果および/または降圧効果を起こさないアルドステロン遮断薬の1日の用量を、本発明の方法に特に包含する。1日の用量は1日1回から4回の投与回数で投与することができる。
アルドステロン遮断薬の投与量は、血圧測定または適当な代替のマーカー(例えばナトリウム利尿ペプチド、エンドセリン、および以下に述べる他の代替のマーカー)の測定に基づいて決定、調節することができる。アルドステロン遮断薬の投与後の血圧および/または代替マーカーのレベルを、アルドステロン遮断薬投与前の対応するベースラインレベルと比較して、本方法の有効性を決定し、必要に応じて滴定することができる。本方法に有用な代替マーカーの非限定的な例は、腎臓疾患および心血管疾患に関する代替マーカーである。
予防的投与量
前記の炎症に関連する心血管疾患の診断前に予防的にアルドステロン遮断薬を投与し、同被験者の炎症に関連する心血管疾患にかかりやすい期間、同アルドステロン遮断薬の投与を継続することは、有益である。顕著な臨床的所見はないが、それでもなお病理学的影響を受けやすい状態の人には、したがってアルドステロン遮断化合物の予防的な用量を与えることができる。アルドステロン遮断薬のこのような予防的な用量は、目的の特異的な病原の影響を治療するために使用する用量より少なくしてもよいが、そうでなくてもよい。
心血管の病理における投与量
心血管機能の病理を治療するための投与量は、ナトリウム利尿ペプチドの血中濃度の測定に基づいて決定、調節することができる。ナトリウム利尿ペプチドは、構造的に類似する群であるが、心血管、腎臓および内分泌のホメオスタシスにおいて多様な作用を行う、発生的には異なるペプチドである。心房性ナトリウム利尿ペプチド(“ANP”)および脳性ナトリウム利尿ペプチド(“BNP”)は心筋細胞由来であり、C型ナトリウム利尿ペプチド(“CNP”)は内皮由来である。ANPおよびBNPは、3’、5’−サイクリックグアノシンモノホスフェート(cGMP)を介してナトリウム利尿、血管拡張、レニン阻害、抗有糸分裂誘発、および変弛緩(lusitropic)特性を仲介する、ナトリウム利尿ペプチドA受容体(“NPR−A”)に結合する。血中のナトリウム利尿ペプチドレベル、特に血中BNPレベルの増加は、血液量増加の状態下および血管の傷害、例えば急性心筋梗塞後の被験者に一般に認められ、心筋梗塞後も長期間、高レベルが維持される(Uusimaa et al.: Int. J. Cardiol 1999; 69: 5-14)。
アルドステロン遮断薬の投与前に測定されたベースラインレベルと比較してのナトリウム利尿ペプチドレベルの低下は、アルドステロンによる病理学的影響の低下を示し、したがって病理学的影響の阻害との相関を提供する。
したがって所望のナトリウム利尿ペプチドレベルの血中レベルを、アルドステロン遮断薬の投与前の対応するベースラインレベルと比較して、病理学的影響の治療における本方法の有効性を決定することができる。このようなナトリウム利尿ペプチドレベルの測定に基づいて、アルドステロン遮断薬の投与量を調整し、心血管の病理学的影響を低減することができる。
同様に、循環血および尿中のcGMPレベルに基づいて心臓の病理を同定し、適当な投与量を決定することもできる。cGMPの血漿レベルの増加は、平均的な動脈圧の降下と平衡する。cGMPの尿中排泄の増加は、ナトリウム利尿と相関する。
心臓の病理はまた、駆出率の低下または心筋梗塞もしくは心不全もしくは左心室肥大の存在により同定することもできる。左心室肥大は、心エコー図または磁気共鳴画像により同定し、治療の進行および投与量の適性をモニターするために使用することができる。
したがって本発明のもう1つの態様において、本発明の方法を使用してナトリウム利尿ペプチドレベル、特にBNPレベルを低減し、それにより関連する心血管の病理を治療することもまたできる。
腎臓の病理における投与量
腎臓機能の病理を治療するための投与量は、タンパク尿、ミクロアルブミン尿、糸球体濾過速度(GFR)の低下、またはクレアチニン・クリアランスの低下に基づいて、決定し調節することができる。タンパク尿は、24時間の採尿において0.3gより多い尿タンパク質の存在により同定される。ミクロアルブミン尿は、イムノアッセイ可能な尿中アルブミンの増加により同定される。このような測定に基づいて、アルドステロン遮断薬の投与量を調整し、腎臓の病理学的影響を低減することができる。
ニューロパチーの病理における投与量
ニューロパチー、特に末梢のニューロパチーは、知覚欠損または知覚運動能の神経学的試験により同定し、これらに基づいて投与量を調節することができる。
網膜症の病理における投与量
網膜症は眼科学的試験により同定し、これらに基づいて投与量を調節することができる。
炎症マーカー
ある種のマーカーは炎症または前炎症の状態を示すことができる、または原因となり得る。これらのマーカーの測定は、投与するアルドステロン遮断薬の適当な投与量の決定、または投与後のアルドステロン遮断薬の有効な用量の決定に有用となり得る。このようなマーカーの非限定的例として:オステオポンチン;急性期の反応物質、例えばC反応性タンパク質(CRP)、フィブリノーゲン、第VIII因子、血清銅(担体タンパク質のセルロプラスミン)、血清鉄(担体タンパク質のフェリチン)、プラスミノーゲンアクチベーター阻害因子−1(PAI−1)およびリポタンパク質(a);ナトリウム利尿ペプチド;エンドセリン;VCAM−1;ICAM−1;IL−1β;TNF−α;IL−6;COX−2;フラクタルカイン;MCP−1;およびトリグリセリドが挙げられる。
本発明に有用なNSAIDとして、表1に列記した化合物(これら化合物の誘導体を含む)を含む。表1に列記した各公開文献は、NSAIDの選択された側面、例えばこのような化合物の化学的製造または生物学的特性について述べている。これらの各文献の内容を当明細書において参照として援用する。
Figure 2005521665
1つの態様においてNSAIDは、アセトアミノフェン、ベノキサプロフェン(benoxaprofen)、カルプロフェン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナメート、メフェナミン酸、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、スプロフェン、テニダップ、トルメチン、ゾメピラク、およびアスピリンからなる群から選択される。
もう1つの態様においてNSAIDは、アセトアミノフェン、ベノキサプロフェン、カルプロフェン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、およびフルルビプロフェンからなる群から選択される。
もう1つの態様においてNSAIDは、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナメート、メフェナミン酸、ナブメトン、ナプロキセン、およびオキサプロジンからなる群から選択される。
もう1つの態様においてNSAIDは、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、スプロフェン、テニダップ、トルメチン、ゾメピラク、およびアスピリンからなる群から選択される。
“NSAID”という用語は、構造的にNSAIDに関連し、実質的に均等の生物学的活性を有するあらゆる化合物(例えば誘導体および医薬的に受容可能な塩)を含む。例として、このような化合物はそれらのプロドラッグを含むことができるが、これに限定されない。
“アルドステロン受容体アンタゴニスト”または“アルドステロンアンタゴニスト”という用語は、受容体の仲介するアルドステロンの活性を調節するために、受容体部位でアルドステロン自身の作用の競合的阻害剤として、アルドステロン受容体に結合することのできる化合物を示す。
アルドステロンアンタゴニスト
本発明の方法で使用するアルドステロンアンタゴニストは、一般にスピロラクトン型のステロイド化合物である。“スピロラクトン型”という用語は、ステロイドの核、典型的にはステロイドの“D”環にスピロ結合の配置で結合したラクトン部分を含む構造を特徴とすることを意図する。スピロラクトン型のアルドステロンアンタゴニスト化合物の1つのサブクラスは、エポキシ−ステロイドの(epoxy-steroidal)アルドステロンアンタゴニスト化合物、例えばエプレレノン、からなる。スピロラクトン型のアンタゴニスト化合物のもう1つのサブクラスは、非エポキシ−ステロイドの(non-epoxy-steroidal)アルドステロンアンタゴニスト化合物、例えばスピロノラクトン、からなる。
本発明の方法に使用するエポキシ−ステロイドのアルドステロンアンタゴニスト化合物は、一般にエポキシ型の部分で置換されているステロイドの核を有する。“エポキシ型”の部分という用語は、2つの炭素原子間の酸素原子による架橋を特徴とするあらゆる部分を包含することを意図しており、それらの例として以下の部分を含む:
Figure 2005521665
“ステロイドの”という用語は、“エポキシ−ステロイドの”という語句で使用する場合、従来の“A”、“B”、“C”および“D”環を有する、シクロペンテノ−フェナントレン部分により提供される核を示す。エポキシ型部分は、あらゆる結合可能な位置または置換可能な位置でシクロペンテノフェナントレン核に結合することができる、すなわちステロイド核の環の1つと融合することができる、またはエポキシ型部分は環システムの環を構成する原子と置換することができる。“エポキシ−ステロイドの”という語句は、ステロイドの核に結合した1つまたは複数のエポキシ型を有するステロイドの核を包含することを意図する。
本方法の使用に適するエポキシ−ステロイドのアルドステロンアンタゴニストは、ステロイド核の“C”環に融合したエポキシ部分を有する化合物のファミリーを含む。特に好ましいのは、9α、11αで置換したエポキシ部分の存在を特徴とする20−スピロキサン(spiroxane)化合物である。以下の表1の化合物1から11は、本方法で使用することのできる9α,11α−エポキシ−ステロイド化合物を示す。これらのエポキシ化ステロイドは、Grobらの米国特許第4,559,332号に記載されている方法により製造することができる。9,11−エポキシ−ステロイド化合物およびそれらの塩の製造に関するさらなる方法は、NgらのWO97/21720およびNgらのWO98/25948に開示されている。
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特に対象となるのは、上に示した化合物1である化合物エプレレノン(エポキシメクスレノン(epoxymexrenone)およびCGP 30 083としても知られている)である。エプレレノンの化学名は、プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ、γ−ラクトン、メチルエステル、(7α、11α、17α)−である。この化学名はエプレレノンのCAS登録名に対応する(エプレレノンのCAS登録番号は107724−20−9である)。米国特許第4,559,332号は9α、11α−エポキシ−7α−メトキシカルボニル−20−スピロックス−4−エン−3,21−ジオンというこれに代わる化学名でエプレレノンを同定している。このような“スピロキサン”という命名については、例えば米国特許第4,559,332号の段落2、16行から段落4、48行までにさらに記載されている。エプレレノンはアルドステロン受容体アンタゴニストであり、そして、例えばスピロノラクトンよりアルドステロンに対してより高い特異性を有する。本方法においてアルドステロンアンタゴニストとしてエプレレノンを選択することは、より特異性の低いアルドステロンアンタゴニストに使用に伴って起こるある種の副作用、例えば女性化乳房の低減に有益であろう。
本方法の使用に適する非エポキシ−ステロイドのアルドステロンアンタゴニストは、式Iに定義したスピロラクトン型の化合物のファミリーを含む:
Figure 2005521665
低級アルキル残基には分枝鎖および分枝鎖のない基、好ましくはメチル、エチルおよびn−プロピルを含む。
式Iに含まれる目的の具体的な化合物は以下の通りである:
7α−アセチルチオ−3−オキソ−4,15−アンドロスタジエン−[17(β−1’)−スピロ−5’]ペルヒドロフラン−2’−オン;
3−オキソ−7α−プロピオニルチオ−4,15−アンドロスタジエン−[17(β−1’)−スピロ−5’]ペルヒドロフラン−2’−オン;
6β,7β−メチレン−3−オキソ−4,15−アンドロスタジエン−[17(β−1’)−スピロ−5’]ペルヒドロフラン−2’−オン;
15α,16α−メチレン−3−オキソ−4,7α−プロピルニルチオ−4−アンドロステン[17(β−1’)−スピロ−5’]ペルヒドロフラン−2’−オン;
6β,7β,15α,16α−ジメチレン−3−オキソ−4−アンドロステン[17(β−1’)−スピロ−5’]ペルヒドロフラン−2’−オン;
7α−アセチルチオ−15β,16β−メチレン−3−オキソ−4−アンドロステン−[17(β−1’)−スピロ−5’]ペルヒドロフラン−2’−オン;
15β,16β−メチレン−3−オキソ−7β−プロピオニルチオ−4−アンドロステン−[17(β−1’)−スピロ−5’]ペルヒドロフラン−2’−オン;および
6β,7β,15β,16β−ジメチレン−3−オキソ−4−アンドロステン−[17(β−1’)−スピロ−5’]ペルヒドロフラン−2’−オン。
式Iの化合物を製造する方法は、1978年12月12日にWiechartらに対して発行された米国特許第4,129,564号に記載されている。
目的の非エポキシ−ステロイド化合物のもう1つのファミリーを、式IIに定義する:
Figure 2005521665
式中RはC1−3−アルキルまたはC1−3アシルであり、RはHまたはC1−3−アルキルである。
式IIに含まれる目的の具体的な化合物は以下の通りである:
1α−アセチルチオ−15β,16β−メチレン−7α−メチルチオ−3−オキソ−17α−プレグン−4−エン−21,17−カルボラクトン;および
15β,16β−メチレン−1α,7α−ジメチルチオ−3−オキソ−17α−プレグン−4−エン−21,17−カルボラクトン。
式IIの化合物を製造する方法は、1988年12月6日にNickischらに対して発行された米国特許第4,789,668号に記載されている。
目的の非エポキシ−ステロイド化合物のなおもう1つのファミリーを、式IIIに定義する:
Figure 2005521665
式中Rは低級アルキルであり、好ましい低級アルキル基はメチル、エチル、プロピルおよびブチルである。目的の具体的な化合物は以下を含む:
3β,21−ジヒドロキシ−17α−プレグナ−5,15−ジエン−17−カルボン酸γ−ラクトン;
3β,21−ジヒドロキシ−17α−プレグナ−5,15−ジエン−17−カルボン酸γ−ラクトン 3−アセタート;
3β,21−ジヒドロキシ−17α−プレグン−5−エン−17−カルボン酸γ−ラクトン;
3β,21−ジヒドロキシ−17α−プレグン−5−エン−17−カルボン酸γ−ラクトン 3−アセタート;
21−ヒドロキシ−3−オキソ−17α−プレグン−4−エン−17−カルボン酸γ−ラクトン;
21−ヒドロキシ−3−オキソ−17α−プレグナ−4,6−ジエン−17−カルボン酸γ−ラクトン;
21−ヒドロキシ−3−オキソ−17α−プレグナ−1,4−ジエン−17−カルボン酸γ−ラクトン;
7α−アシルチオ−21−ヒドロキシ−3−オキソ−17α−プレグン−4−エン−17−カルボン酸γ−ラクトン;および
7α−アセチルチオ−21−ヒドロキシ−3−オキソ−17α−プレグン−4−エン−17−カルボン酸γ−ラクトン。
式IIIの化合物を製造する方法は、1966年6月21日にPatchettらに対して発行された米国特許第3,257,390号に記載されている。
目的の非エポキシ−ステロイド化合物のさらにもう1つのファミリーを、式IVで表す:
Figure 2005521665
式中E’はエチレン、ビニレンおよび(低級アルカノイル)チオエチレンのラジカルからなる群から選択され、E”はエチレン、ビニレン、(低級アルカノイル)チオエチレン、および(低級アルカノイル)チオプロピレンのラジカルからなる群から選択される;E’およびE”が各々エチレンラジカルおよび(低級アルカノイル)チオエチレンラジカルである場合以外は、Rはメチルラジカルであり、上記の場合にはRは、水素およびメチルのラジカルからなる群から選択される;そしてE’およびE”の選択は、少なくとも1つの(低級アルカノイル)チオラジカルが存在するようにする。
式IVの非エポキシ−ステロイド化合物の好ましいファミリーを、式Vで表す:
Figure 2005521665
式Vのより好ましい化合物は、1−アセチルチオ−17α−(2−カルボキシエチル)−17β−ヒドロキシ−アンドロスト−4−エン−3−オン ラクトンである。
式IVに含まれる非エポキシ−ステロイド化合物のもう1つの好ましいファミリーを、式VIで表す:
Figure 2005521665
式VIに含まれるより好ましい化合物として以下を含む:
7α−アセチルチオ−17α−(2−カルボキシエチル)−17β−ヒドロキシ−アンドロスト−4−エン−3−オン ラクトン;
7β−アセチルチオ−17α−(2−カルボキシエチル)−17β−ヒドロキシ−アンドロスト−4−エン−3−オン ラクトン;
1α,7α−ジアセチルチオ−17α−(2−カルボキシエチル)−17β−ヒドロキシ−アンドロスタ−4,6−ジエン−3−オン ラクトン;
7α−アセチルチオ−17α−(2−カルボキシエチル)−17β−ヒドロキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−3−オン ラクトン;
7α−アセチルチオ−17α−(2−カルボキシエチル)−17β−ヒドロキシ−19−ノルアンドロスト−4−エン−3−オン ラクトン;および
7α−アセチルチオ−17α−(2−カルボキシエチル)−17β−ヒドロキシ−6α−メチルアンドロスト−4−エン−3−オン ラクトン;
式IVからVIにおいて“アルキル”という用語は、1から約8個の炭素を含む直鎖および分枝鎖のアルキルラジカルを包含することを意図する。“(低級アルカノイル)チオ”という用語は以下の式
Figure 2005521665
のラジカルを包含する。
特に対象となるのは、以下の構造式:
Figure 2005521665
および正式名:“スピロノラクトン”:17−ヒドロキシ−7α−メルカプト−3−オキソ−17α−プレグン−4−エン−21カルボン酸γ−ラクトン アセタートを有する化合物スピロノラクトンである。
式IVからVIの化合物を製造する方法は、1961年12月12日にCellaらに対して発行された米国特許第3,013,012号に記載されている。スピロノラクトンは登録商標“ALDACTONE”にて、G.D. Searle & Co., Skokie, Illinoisより錠剤の剤形で1錠剤当たり25mg、50mgおよび100mgの用量で販売されている。
ステロイドのアルドステロンアンタゴニストのもう1つのファミリーをドロスピレノン、すなわち[6R−(6アルファ,7アルファ,8ベータ,9アルファ,10ベータ,13ベータ,14アルファ,15アルファ,16アルファ,17ベータ)−1,3’,4’,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,20,21−ヘキサデカヒドロ−10,13−ジメチルスピロ[17H−ジシクロプロパ[6,7:15,16]シクロペンタ[a]フェナントレン−17,2’(5’H)−フラン]−3,5’(2H)−ジオン、CAS登録番号67392−87−4により例示する。ドロスピレノンの製造法および使用法については、特許GB 1550568 1979、優先権 DE 2652761 1976に記載されている。
定義
“治療”または“治療すること”という用語は、病理学的な心血管の状態の発症を阻害または逆行させる、ある量のアルドステロンアンタゴニストおよびNSAIDを併用して、必要とするヒトに投与することを含む。
“予防”または“予防すること”という用語は、各個体において臨床的に明らかな複数の心血管障害の開始を全体として予防する、または心血管障害の前臨床的に明らかな段階の開始を予防することのいずれかを含む。この用語は心血管障害の発症するリスクのあるヒトの予防的治療を含む。
“治療上有効な”という語句は、副作用は避けつつも障害の重症度および発生率の頻度の改善という目標を達成する、併用して投与する2つの薬剤の量を適切にすることを意図する。
治療の目的に関する “被験者”という用語は、心血管障害に罹りやすいまたは罹っている、あらゆるヒトまたは動物の被験者(好ましくは哺乳類であり、家畜、例えばウシ、ブタ、ヒツジまたはウマのファミリーからの動物、ならびに愛玩動物、例えばイヌおよびネコのファミリーからの動物を含むがこれに限定されない)を含むが、好ましくはヒトの被験者である。被験者は例えば、食事、細菌感染またはウイルス感染への暴露、一般的なマーカーの存在を有している、心血管障害の遺伝的傾向がある、等によるリスクがある可能性がある。
“アルドステロンアンタゴニスト”および“アルドステロン受容体アンタゴニスト”という用語は、鉱質コルチコイド受容体へのアルドステロンの結合を阻害し、それによりアルドステロンの生物学的効果を遮断する化合物を含む。
“非ステロイド系抗炎症剤”または“NSAID”という用語は、その構造にステロイド環を持たず、組織または臓器における炎症反応を予防、低減、または阻害する化合物を含む。
“前炎症の”という用語は、体内で産生されて、組織または臓器における炎症反応を誘発、活性化、または増大させる分子を特徴とする。
“ヒドリド”という用語は、1つの水素原子(H)を示す。このヒドリドラジカルは、例えば酸素原子に結合してヒドロキシルラジカルを形成する、または2つのヒドリドラジカルが炭素原子に結合してメチレン(−CH−)ラジカルを形成することができる。この用語“アルキル”は、単独でまたは、例えば“ハロアルキル”、“アルキルスルホニル”、“アルコキシアルキル”および“ヒドロキシアルキル”のように、他の用語と合わせて用いられる場合、1から約20個の炭素原子、または好ましくは1から約12個の炭素原子を有する、直鎖または分枝鎖のラジカルを包含する。より好ましいアルキルラジカルは、1から約10個の炭素原子を有する“低級アルキル”ラジカルである。最も好ましくは、1から約6個の炭素原子を有する低級アルキルラジカルである。このようなラジカルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル等である。“アルケニル”という用語は、2から約20個の炭素原子、または好ましくは2から約12個の炭素原子のうち、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する、直鎖または分枝鎖のラジカルを包含する。より好ましいアルキルラジカルは、2から約6個の炭素原子を有する“低級アルケニル”ラジカルである。アルケニルラジカルの例として、エテニル、プロペニル、アリル、プロペニル、ブテニルおよび4−メチルブテニルを含む。“アルキニル”という用語は、2から約20個の炭素原子、または好ましくは2から約12個の炭素原子を有する、直鎖または分枝鎖のラジカルを示す。より好ましいアルキニルラジカルは、2から約10個の炭素原子を有する“低級アルキニル”ラジカルである。最も好ましくは、2から約6個の炭素原子を有する低級アルキニルラジカルである。このようなラジカルの例として、プロパルギル、ブチニル等を含む。“アルケニル”、“低級アルケニル”という用語は、“シス”および“トランス”の配向、あるいは“E”および“Z”の配向を有するラジカルを包含する。“シクロアルキル”という用語は、3から12個の炭素原子を有する飽和炭素環式(carbocyclic)ラジカルを包含する。より好ましいシクロアルキルラジカルは、3から約8個の炭素原子を有する“低級シクロアルキル”ラジカルである。このようなラジカルの例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを含む。“シクロアルケニル”という用語は、3から12個の炭素原子を有する部分的に不飽和な炭素環式ラジカルを包含する。より好ましいシクロアルケニルラジカルは、4から約8個の炭素原子を有する“低級シクロアルケニル”ラジカルである。このようなラジカルの例として、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、およびシクロヘキセニルを含む。“ハロ”という用語はハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。“ハロアルキル”という用語は、アルキル炭素原子のいずれか1つまたはそれより多くが上に定義したようなハロで置換されているラジカルを包含する。とりわけ、モノハロアルキル、ジハロアルキルおよびポリハロアルキルのラジカルを限定的に含む。モノハロアルキルラジカルは、一例として、ラジカル中に1つのヨード、ブロモ、クロロまたはフルオロの原子のいずれかを有してもよい。ジハロアルキルおよびポリハロアルキルのラジカルは、2つまたはそれより多くの同じハロ原子または異なるハロラジカルの組み合わせを有してもよい。“低級ハロアルキル”は、1−6炭素原子を有するラジカルを包含する。ハロアルキルラジカルの例として、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチルおよびジクロロプロピルを含む。“ヒドロキシアルキル”という用語は、1から約10個の炭素原子を有し、それら炭素原子のいずれか1つが1つまたはそれより多くのヒドロキシルラジカルで置換されている、直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルを包含する。より好ましいヒドロキシアルキルラジカルは、1から6個の炭素原子および1つまたはそれより多くのヒドロキシルラジカルを有する、“低級ヒドロキシアルキル”ラジカルである。このようなラジカルの例として、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチルおよびヒドロキシヘキシルを含む。“アルコキシ”および“アルキルオキシ”という用語は、1から約10個の炭素原子のアルキル部分を各々有する、直鎖または分枝鎖のオキシを含むラジカルを包含する。より好ましいアルコキシラジカルは、1から6個の炭素原子を有する“低級アルコキシ”ラジカルである。このようなラジカルの例としてメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシおよびtert−ブトキシを含む。“アルコキシアルキル”という用語は、アルキルラジカルに結合した1つまたはそれより多くのアルコキシラジカルを有する、すなわちモノアルコキシアルキルラジカルおよびジアルコキシアルキルラジカルを形成するアルキルラジカルを包含する。“アルコキシ”ラジカルはさらに1つまたはそれより多くのハロ原子、例えばフルオロ、クロロまたはブロモで置換され、ハロアルコキシラジカルを提供してもよい。より好ましいハロアルコキシラジカルは、1から6個の炭素原子および1つまたはそれより多くのハロラジカルを有する“低級ハロアルコキシ”ラジカルである。このようなラジカルの例として、フルオロメトキシ、クロロメトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、フルオロエトキシおよびフルオロプロポキシを含む。“アリール”という用語は単独でまたは組み合わせて、1、2または3つの環を含み、ここでそのような環はぶらさがる(pendent)様式で共に結合してもよく、または融合してもよい、炭素環式芳香属システムを意味する。“アリール”という用語は芳香族のラジカル、例えばフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダンおよびビフェニルを包含する。アリール部分はまた置換可能な位置で、アルキル、アルコキシアルキル、アルキルアミノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アルコキシ、アラルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、ハロ、ニトロ、アルキルアミノ、アシル、シアノ、カルボキシ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルおよびアラルコキシカルボニルから独立に選択される1つまたはそれより多くの置換基で置換してもよい。“複素環の”という用語は、飽和、部分的に不飽和、および不飽和のヘテロ原子を含む環状ラジカルを包含し、この場合ヘテロ原子は窒素、イオウおよび酸素から選択することができる。飽和複素環のラジカルの例として、1から4個の窒素原子を含む3から6員の飽和複素単環基(例えばピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジノ、ピペラジニル等);1から2個の酸素原子および1から3個の窒素原子を含む3から6員の飽和複素単環基(例えばモルホリニル等);1から2個のイオウ原子および1から3個の窒素原子を含む3から6員の飽和複素単環基(例えばチアゾリジニル等)を含む。部分的に不飽和の複素環ラジカルの例として、ジヒドロチオフェン、ジヒドロピラン、ジヒドロフランおよびジヒドロチアゾールを含む。“ヘテロアリール”という用語は、不飽和複素環ラジカルを包含する。不飽和複素環ラジカルは、“ヘテロアリール”ラジカルともいうが、その例として1から4個の窒素原子を含む3から6員の不飽和複素単環基、例えばピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル(例えば4H−1,2,4−トリアゾリル、1H−1,2,3−トリアゾリル、2H−1,2,3−トリアゾリル等)、テトラゾリル(例えば1H−テトラゾリル、2H−テトラゾリル等)、等;1から5個の窒素原子を含む不飽和縮合複素環基、例えばインドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾロピリダジニル(例えばテトラゾロ[1,5−b]ピリダジニル等)、等;1つの酸素原子を含む3から6員の不飽和複素単環基、例えばピラニル、フリル、等;イオウ原子を含む3から6員の不飽和複素単環基、例えばチエニル、等;1から2個の酸素原子および1から3個の窒素原子を含む3から6員の不飽和複素単環基、例えばオキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル(例えば1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、等)等;1から2個の酸素原子および1から3個の窒素原子を含む不飽和縮合複素環基(例えばベンゾキサゾリル、ベンゾキサジアゾリル、等);1から2個のイオウ原子および1から3個の窒素原子を含む3から6員の不飽和複素単環基、例えばチアゾリル、チアジアゾリル(例えば1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、等)等;1から2個のイオウ原子および1から3個の窒素原子を含む不飽和縮合複素環基(例えばベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、等)等を含む。この用語はまた複素環ラジカルがアリールラジカルと融合しているラジカルも含む。このような融合したニ環式ラジカルの例として、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、等を含む。前記“複素環基”は1から3個の置換基、例えばアルキル、ヒドロキシル、ハロ、アルコキシ、オキソ、アミノおよびアルキルアミノを有してもよい。“アルキルチオ”という用語は、2価のイオウ原子に結合した1から約10個の炭素原子の直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルを含むラジカルを包含する。より好ましいアルキルチオラジカルは、1から6個の炭素原子のアルキルラジカルを有する“低級アルキルチオ”ラジカルである。このような低級アルキルチオラジカルの例は、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオおよびヘキシルチオである。“アルキルチオアルキル”という用語は、2価のイオウ原子を介して1から約10個の炭素原子のアルキルラジカルに結合した、アルキルチオラジカルを含有するラジカルを包含する。より好ましいアルキルチオアルキルラジカルは、1から約6個の炭素原子のアルキルラジカルを有する“低級アルキルチオアルキル”ラジカルである。このような低級アルキルチオアルキルラジカルの例としてメチルチオメチルを含む。“アルキルスルフィニル”という用語は、2価の−S(=O)−ラジカルに結合した1から10個の炭素原子の、直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルを含むラジカルを包含する。より好ましいアルキルスルフィニルラジカルは、1から6個の炭素原子のアルキルラジカルを有する“低級アルキルスルフィニル”ラジカルである。このような低級アルキルスルフィニルラジカルの例として、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、ブチルスルフィニルおよびヘキシルスルフィニルを含む。“スルホニル”という用語は、単独でまたは例えばアルキルスルホニルのように他の用語と結びついてのいずれで用いても、各々2価のラジカル−SO−を示す。“アルキルスルホニル”は、スルホニルラジカルに結合したアルキルラジカルを包含するが、この場合アルキルは上記のように定義する。より好ましいアルキルスルホニルラジカルは、1から6個の炭素原子を有する“低級アルキルスルホニル”ラジカルである。このような低級アルキルスルホニルラジカルの例として、メチルスルホニル、エチルスルホニルおよびプロピルスルホニルを含む。“アルキルスルホニル”ラジカルは、1つまたはそれより多くのハロ、例えばフルオロ、クロロまたはブロモでさらに置換して、ハロアルキルスルホニルラジカルを提供してもよい。“スルファミル”、“アミノスルホニル”および“スルホンアミジル”という用語は、NHS−を示す。“アシル”という用語は


有機酸からヒドロキシルを取り除いた後の残基により提供されるラジカルを示す。このようなアシルラジカルの例には、アルカノイルラジカルおよびアロイルラジカルを含む。このような低級アルカノイルラジカルの例として、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、トリフルオロアセチルを含む。“カルボニル”という用語は、単独でまたは他の用語と合わせて(例えば “アルコキシカルボニル”)のいずれで用いても、−(C=O)−を示す。“アロイル”という用語は、上記のようなカルボニルラジカルを含むアリールラジカルを包含する。アロイルの例には、ベンゾイル、ナフトイルなどを含み、このアロイル中のアリールは付加的に置換されていてもよい。“カルボキシ”または“カルボキシル”という用語は、単独でまたは他の用語と合わせて(例えば “カルボキシアルキル”)のいずれかで用いても、−COHを示す。“カルボキシアルキル”という用語は、カルボキシラジカルで置換されているアルキルラジカルを包含する。より好ましくは、上に定義したような低級アルキルラジカルを含む “低級カルボキシアルキル”であり、アルキルラジカル上でハロにより付加的に置換されていてもよい。このような低級カルボキシアルキルラジカルの例は、カルボキシメチル、カルボキシエチルおよびカルボキシプロピルを含む。“アルコキシカルボニル”という用語は、酸素原子を介してカルボニルラジカルに結合した、上に定義したアルコキシラジカルを含むラジカルを意味する。より好ましくは、1から6個の炭素を有するアルキル部分を含む“低級アルコキシカルボニル”ラジカルである。このような低級アルコキシカルボニル(エステル)ラジカルの例として、置換されているまたは置換されていないメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニルおよびヘキシルオキシカルボニルを含む。“アルキルカルボニル”、“アリールカルボニル”および“アラルキルカルボニル”という用語は、カルボニルラジカルに結合した、上に定義したアルキル、アリールおよびアラルキルラジカルを有するラジカルを含む。このようなラジカルの例には、置換されているまたは置換されていないメチルカルボニル、エチルカルボニル、フェニルカルボニルおよびベンジルカルボニルを含む。“アラルキル”という用語は、アリールで置換されたアルキルラジカル、例えばベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、フェニルエチル、およびジフェニルエチルを含む。前記アラルキル中のアリールは、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル(halkoalkyl)およびハロアルコキシで付加的に置換されていてもよい。ベンジルおよびフェニルメチルという用語は互換性がある。“複素環アルキル”という用語は、飽和および部分的不飽和の複素環で置換されているアルキルラジカル、例えばピロリジニルメチル、およびヘテロアリールで置換されているアルキルラジカル、例えばピリジルメチル、キノリルメチル、トリエニルメチル、フリルエチル、およびキノリルエチルを包含する。前記へテロアラルキル中のヘテロアリールは、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル(halkoalkyl)およびハロアルコキシで付加的に置換されていてもよい。“アラルコキシ”という用語は、酸素原子を介して他のラジカルに結合したアラルキルラジカルを包含する。“アラルコキシアルキル”という用語は、酸素原子を介してアルキルラジカルに結合したアラルコキシラジカルを包含する。“アラルキルチオ”という用語は、イオウ原子に結合したアラルキルラジカルを包含する。“アラルキルチオアルキル”という用語は、イオウ原子を介してアルキルラジカルに結合したアラルキルチオラジカルを包含する。“アミノアルキル”という用語は、1つまたはそれより多くのアミノラジカルで置換されているアルキルラジカルを包含する。より好ましくは“低級アミノアルキル”ラジカルである。このようなラジカルの例はアミノメチル、アミノエチル等を含む。“アルキルアミノ”という用語は、1つまたは2つのアルキルラジカルで置換されているアミノ基を示す。好ましくは、1から6個の炭素原子を有するアルキル部分を有する“低級N−アルキルアミノ”ラジカルである。適切な低級アルキルアミノは、モノまたはジアルキルアミノ、例えばN−メチルアミノ、N−エチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ等であってよい。“アリールアミノ”という用語は、1つまたは2つのアリールラジカルで置換されているアミノ基、例えばN−フェニルアミノを示す。“アリールアミノ”ラジカルは、同ラジカルのアリール環部分上でさらに置換されていてもよい。“アラルキルアミノ”という用語は、アミノの窒素原子を介して他のラジカルに結合したアラルキルラジカルを包含する。“N−アリールアミノアルキル”および“N−アリール−N−アルキル−アミノアルキル”という用語は、それぞれ、1つのアリールラジカルまたは1つのアリールおよび1つのアルキルのラジカルで置換されているアミノ基で、アルキルラジカルに結合したアミノ基を有することを示す。このようなラジカルの例は、N−フェニルアミノメチルおよびN−フェニル−N−メチルアミノメチルを含む。“アミノカルボニル”という用語は、式−C(=O)NHのアミド基を示す。“アルキルアミノカルボニル”という用語は、アミノの窒素原子上で1つまたは2つのアルキルラジカルで置換されているアミノカルボニル基を示す。好ましくは“N−アルキルアミノカルボニル”ラジカル、“N,N−ジアルキルアミノカルボニル”ラジカルである。より好ましくは、上記のように低級アルキル部分を含む“低級N−アルキルアミノカルボニル”、“低級N,N−ジアルキルアミノカルボニル”のラジカルである。“アルキルアミノアルキル”という用語は、アミノアルキルラジカルに結合した1つまたはそれより多くのアルキルラジカルを有するラジカルを包含する。“アリールオキシアルキル”という用語は、2価の酸素原子を介してアルキルラジカルに結合したアリールラジカルを有するラジカルを包含する。“アリールチオアルキル”という用語は、2価のイオウ原子を介してアルキルラジカルに結合したアリールラジカルを有するラジカルを包含する。
本発明の方法で使用する化合物は、遊離塩基またはそれらの医薬的に受容可能な酸付加塩の形で存在することができる。“医薬的に受容可能な塩”という用語は、アルカリ金属塩を形成するため、および遊離酸または遊離塩基の付加塩を形成するために、一般的に使用される塩を含む。塩の性質は重要ではないが、ただし医薬的に受容可能なものとする。本発明の化合物の、適切な医薬的に受容可能な酸付加塩は、無機酸からまたは有機酸から製造してもよい。このような無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸およびリン酸である。適当な有機酸は、脂肪族、環状脂肪族、芳香族、芳香族−脂肪族(aralphatic)、複素環、カルボン酸およびスルホン酸の有機酸のクラスから選択してもよく、その例としてギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(embonic acid)(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルギニン酸、b−ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、ガラクタール酸およびガラクツロン酸がある。適切な医薬的に受容可能な塩基付加塩は、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛から生成される金属塩、またはN,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)およびプロカインから生成される有機塩を含む。これらの塩はすべて、例えば対応する化合物と適当な酸または塩基とを反応させることにより、同化合物から従来の方法により製造することができる。
併用
本発明はさらに、アルドステロンアンタゴニストおよびNSAIDを含む併用を対象とする。1つの態様において該併用は、アルドステロンアンタゴニストおよびNSAIDを含む医薬組成物である。1つの説明としての非限定的な例は、エプレレノンおよびジクロフェナクを含む医薬組成物である。
医薬組成物
本発明は、アルドステロンアンタゴニストおよびNSAIDを併用した治療有効量を、少なくとも1つの医薬的に受容可能な担体、アジュバントまたは希釈剤(まとめて当明細書では“担体”材という)、そして所望であれば他の活性成分と共に含む、心血管障害の予防または治療用の医薬組成物を含む。本発明の活性化合物は、当業者に公知のあらゆる適切な投与経路により、好ましくはこのような経路に適する医薬組成物の形で、意図した治療に有効な用量で投与することができる。活性化合物および組成物は、例えば経口、静脈内、腹腔内、鼻腔内、気管支内、皮下、筋肉内または局所(エアゾールを含む)にて投与することができる。
アルドステロンアンタゴニストおよびNSAIDの併用投与は、別々の製剤で連続して行うことができる、または単一の製剤中にまたは別々の製剤で同時に投与することにより行うことができる。投与は経口経路で、または静注、筋注または皮下注により行うことができる。製剤はボーラスの形で、または水溶性および非水溶性の等張滅菌注射溶液または懸濁液の形とすることができる。これらの溶液または懸濁液は、1つまたはそれ以上の医薬的に受容可能な担体または希釈剤、または結合剤 例えばゼラチンもしくはヒドロキシプロピル−メチルセルロースを、1つまたはそれ以上の滑剤、保存剤、界面活性剤または分散剤と共に含む、滅菌した粉末または顆粒から調製することができる。
経口投与用として医薬組成物は、例えば錠剤、カプセル、懸濁液または液体の形とすることができる。医薬組成物は好ましくは、活性成分の特定量を含む投与量ユニットの形で製造する。このような投与量ユニットの例は錠剤またはカプセルである。これらは例えば各活性化合物の量を、約1mgから約1000mg、または約5mgから約500mg、または約10mgから約250mg、または約25mgから約150mg含むことができる。哺乳類用の適切な1日の用量は、患者の状態およびその他の因子に依存して広範に変わりうる。しかし約0.01から30mg/kg体重、特に約1から15mg/kg体重の用量を適当とすることができる。
活性成分はまた組成物として注射により投与することもでき、その場合組成物は例えば生理食塩水、デキストローズまたは水を適切な担体として使用することができる。各活性成分の適切な1日の用量は、治療する疾患に依存して1日に複数回の注射として、約0.01から15mg/kg体重とする。好ましい1日の用量は約1から10mg/kg体重であろう。予防的治療に適応する化合物は、好ましくは一般に1日当たり体重の1キログラム当たり約0.1mgから約15mgの範囲を1日の用量として投与するものとする。より好ましい投与量は、体重1キログラム当たり約1mgから約15mgの範囲とする。最も好ましいのは、1日当たり、体重1キログラム当たり約1mgから約10mgの範囲の投与量である。適切な用量を1日に複数回のサブ投与 (sub-doses)で投与することができる。これらのサブ投与はユニット投与量の形で投与することができる。
1つの態様において、アルドステロン受容体アンタゴニストは約1mgから約200mgの範囲の量で存在してよく、そしてNSAIDは約1mgから約800mgの範囲の量で存在してよく、この場合アルドステロンアンタゴニスト 対 NSAID比は約200:1から約1:800の範囲となる。
もう1つの態様において、アルドステロン受容体アンタゴニストは約5mgから約400mgの範囲の量で存在してよく、そしてNSAIDは約1mgから約200mgの範囲の量で存在してよく、この場合アルドステロンアンタゴニスト 対 NSAID比は約400:1から約1:40の範囲となる。
もう1つの態様において、アルドステロン受容体アンタゴニストは約10mgから約200mgの範囲の量で存在してよく、そしてNSAIDは約5mgから約100mgの範囲の量で存在してよく、この場合アルドステロンアンタゴニスト 対 NSAID比は約40:1から約1:10の範囲となる。
もう1つの態様において、アルドステロン受容体アンタゴニストは約20mgから約100mgの範囲の量で存在してよく、そしてNSAIDは約10mgから約80mgの範囲の量で存在してよく、この場合アルドステロンアンタゴニスト 対 NSAID比は約10:1から約1:4の範囲となる。
被験者に投与するまたは医薬組成物中に含まれるNSAIDの用量は様々に変えることができ、一般に使用する特定のNSAID、組成物の固有の効能、バイオアベイラビリティーおよび代謝の不安定性、ならびに速放性または徐放性として製剤化されているかどうかに依存することになる。具体的なNSAIDの用量の範囲の非限定的な例を以下に列記する:
Figure 2005521665
当業者は、本治療の投与を行うための適切な開始時の用量としてこれらの用量の範囲を利用し、その後治療を行う被験者の反応に応じて用量を漸増または漸減して調節することができるだろう。
本発明の併用治療を用いて疾患の状態を治療するための投与量計画は、患者のタイプ、年齢、体重、性別および医学的状態、疾患の重症度、投与経路、ならびに使用する特定の化合物を含む様々な因子に従って選択し、そのため広範囲に変えてもよい。
以下に、本発明の併用の非限定的な例を列記するが、ここでこの併用は第1の量のアルドステロン受容体アンタゴニストおよび第2の量のNSAIDを含み、第1の量および第2の量を合わせて、アルドステロン受容体アンタゴニストおよびNSAIDの治療有効量を含むものとする:
Figure 2005521665
Figure 2005521665
治療を目的とする場合、本併用治療発明の活性成分は、通常、適応投与経路に適する1つまたはそれより多くのアジュバントと組み合わせる。経口投与の場合、成分はラクトース、スクロース、スターチ粉末、アルカン酸のセルロースエステル、セルロースアルキルエステル、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸および硫酸のナトリウム塩およびカルシウム塩、ゼラチン、アカシアガム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、および/またはポリビニルアルコールと混合した後、投与に便利なように錠剤化またはカプセル化してもよい。このようなカプセルまたは錠剤は、ヒドロオキシプロピルメチルセルロース中に活性化合物を分散させて提供して、徐放性処方物を含んでもよい。非経口投与用処方物は、水性または非水性の等張滅菌注射溶液または懸濁液の形とすることができる。これらの溶液および懸濁液は、経口投与用処方物での使用について述べた、1つまたはそれより多くの担体または希釈剤を含む滅菌した粉末または顆粒から調製することができる。これらの成分は水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、コーン油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム、および/または様々なバッファー中に溶解させてもよい。他のアジュバントおよび投与方法についても、医薬分野において十分に広く知られている。
本発明はさらに、上述の治療法および/または予防法を行う上での使用に適するキットを含む。1つの態様においてキットは、先に同定した1つまたはそれより多くのエポキシ−ステロイドのアルドステロンアンタゴニストを含む第1の投与剤形、および表1に同定したNSAIDを含む第2の投与剤形を、本発明の方法を実行するために十分な量で含む。好ましくは第1の投与剤形および第2の投与剤形を合わせて、化合物の治療有効量の化合物を含む。もう1つの態様においてキットはさらに、被験者がキットの内容物をどのように使用できるかを記載する取扱説明書を含む。この取扱説明書は、例えば望ましくない副作用を誘発することなく治療効果を被験者が得るために有用となる。もう1つの態様において取扱説明書は、キットについて薬剤の規制当局に認可された製品ラベルのすべてまたは一部を含む。
活性化合物の結晶形
取り扱いが容易で、剤形の再現性があり、容易に製造でき、安定で、そして吸湿性のない各活性化合物の形を選択することは、特に有用である。説明としてでありこれに限定するものではないが、アルドステロンアンタゴニストのエプレレノンについて、いくつかの結晶形が同定されている。これらはH型、L型、様々な結晶溶媒和物およびアモルファスのエプレレノンを含む。これらの形、これらの形の製造法、ならびに組成物および薬剤の調製におけるこれらの形の使用については、以下の公開文献に開示されており当明細書において参照として援用する:WO 01/41535およびWO 01/42272。
被験者の母集団
ある種の群は、アルドステロンによる疾患を調節する効果をより受けやすい。アルドステロンへの感受性の高いこれらの群のメンバーは典型的には塩にも感受性が高く、この場合その人達の血圧は、一般に各々ナトリウム消費量の増加および減少に伴って、各々上昇および下降する。本発明はこれらの群に対して行うものと限定して解釈されるべきではないが、ある種の被験者群は、本発明のアルドステロン遮断薬の抗炎症剤投与による治療に特に適する可能性があると考えられる。したがって本発明の方法に従っての治療または予防が有益となり得る被験者は、一般に以下の特徴の1つまたはそれより多くを示すヒトの被験者である。
(a)被験者による塩化ナトリウムの平均1日摂取量が少なくとも約4グラムであり、特に所定の1年間にわたり少なくとも1ヶ月またはそれより多くの期間についてどの1ヶ月の期間中も、この状態が満たされている場合とする。被験者によるナトリウムの平均1日摂取量は、好ましくは少なくとも約6グラム、より好ましくは少なくとも約8グラム、そしてなおより好ましくは少なくとも約12グラムである。
(b)被験者による1日の塩化ナトリウム摂取量が約3g/日未満から少なくとも約10g/日まで増加した場合に、被験者が、収縮期血圧および/または拡張期血圧において、少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約7%、そしてより好ましくは少なくとも約10%の増加を示す。
(c)被験者における血漿レニン(ng/ml/時間)に対する血漿アルドステロン(ng/dL)の活性比率が、約30以上、好ましくは約40以上、より好ましくは約50以上;そしてなおより好ましくは約60以上である。
(d)被験者が低レベルの血漿レニン値を有する;例えば被験者の朝の血漿レニン活性が約1.0ng/dL/時間未満、および/または被験者の活性型レニン値が約15pg/mL未満である。
(e)上昇した収縮期血圧および/または拡張期血圧を患っている、またはそれにかかりやすい被験者。一般に被験者の収縮期血圧(例えば座位でのカフ付水銀血圧計による測定)が少なくとも約130mmHg、好ましくは少なくとも約140mmHg、より好ましくは少なくとも約150mmHg、および被験者の拡張期血圧(例えば座位でのカフ付水銀血圧計による測定)が少なくとも約85mmHg、好ましくは少なくとも約90mmHg、より好ましくは少なくとも約100mmHgである。
(f)被験者の尿中のカリウムに対するナトリウム比(mmol/mmol)が約6未満、好ましくは約5.5未満、より好ましくは約5未満、そしてなおより好ましくは約4.5未満である。
(g)被験者の尿中ナトリウムレベルが少なくとも1日当たり60mmolであり、特に所定の1年間にわたり少なくとも1ヶ月またはそれより多くの期間について、どの1ヶ月の期間中も、この状態を満たす場合とする。被験者の尿中ナトリウムレベルは、好ましくは少なくとも1日当たり約100mmol、より好ましくは少なくとも1日当たり約150mmol、そしてなおより好ましくは少なくとも1日当たり200mmolである。
(h)被験者の1つまたはそれより多くのエンドセリン、特に血漿の免疫反応性のET−1の血漿濃度が高値である。ET−1の血漿濃度は、好ましくは約2.0pmol/Lより大きく、より好ましくは約4.0pmol/Lより大きく、そしてなおより好ましくは約8.0pmol/Lより大きい。
(i)ACE阻害薬による治療に対して実質的に治療抵抗性がある血圧を有する被験者;特にエナラプリル10mg/日に対する反応で、降圧治療をしていない時の被験者の血圧と比較して、血圧の降下が約8mmHg未満、好ましくは5mmHg未満、そしてより好ましくは3mmHg未満である被験者。
(j)被験者が、血液量増加による高血圧、または血液量増加による境界高血圧、すなわちナトリウム貯留の結果としての血液量の増加が血圧に寄与している高血圧である。
(k)被験者が調節のできない (non-modulating)個体である、すなわちナトリウム摂取の増加、またはアンジオテンシンIIの投与に対して、腎臓の血流速度および/または副腎のアルドステロン産生におけるポジティブな反応が鈍い人であり、特にその反応が、一般的な地理的母集団からサンプル抽出された人(例えば被験者の母国または被験者の居住国からサンプル抽出された人)の反応に満たない場合、好ましくはその反応が母集団の平均の40%未満、より好ましくは30%未満、そしてより好ましくはさらに20%未満である場合、とする。
(l)被験者が腎不全、特に、糸球体濾過速度の低下、ミクロアルブミン尿、およびタンパク尿からなる群の1つまたはそれ以上から選択される腎機能不全を有している、またはなりやすい。
(m)被験者が心血管疾患、特に、心不全、左心室拡張期機能不全、肥大型心筋症、および拡張期心不全からなる群の1つまたはそれより多くから選択される心血管疾患を有している、またはなりやすい。
(n)被験者が肝疾患、特に肝硬変を有している、またはなりやすい。
(o)被験者が浮腫、特に末梢組織の浮腫、肝臓または脾臓のうっ血、肝疾患による腹水、および呼吸器または肺のうっ血からなる群の1つまたはそれ以上から選択される浮腫を有する、またはなりやすい。
(p)被験者がインスリン抵抗性、特にI型またはII型糖尿病、および/またはグルコース感受性である、またはなりやすい。
(q)被験者が少なくとも55歳である、好ましくは少なくとも約60歳である、より好ましくは少なくとも約65歳である。
(r)被験者が完全にまたは一部、アジア(特に日本)民族の群、アメリカンインディアン民族の群、および黒人の民族の群から選択される、少なくとも1つの民族群のメンバーである。
(s)被験者が、塩の感受性に関連する1つまたはそれ以上の遺伝子マーカーを有している。
(t)被験者が肥満であり、好ましくは体脂肪が25%より大きい、より好ましくは体脂肪が30%より大きい、そしてなおより好ましくは体脂肪が35%より大きい。
(u)被験者が、塩感受性であるまたは塩感受性であった第1度、第2度、または第3度の親族を有する。この場合第1度親族は両親、または同じ両親の1人またはそれ以上を共有する親族を意味し、第2度親族は祖父母、および1人またはそれ以上の同じ祖父母を共有する親族を意味し、第3度親族は曽祖父母、および1人またはそれ以上の同じ曽祖父母を共有する親族を意味する。好ましくはこのような人は4人またはそれ以上の塩感受性の第1度、第2度、第3度の親族;より好ましくは8人またはそれ以上のこのような親族;さらにより好ましくは16人またはそれ以上のこのような親族;そしてさらにより好ましくはなお32人またはそれ以上のこのような親族を有する。
他に断りがなければ、上記の値は好ましくは平均値を、より好ましくは少なくとも2回の測定に基づいた1日の平均値を表す。
好ましくは治療を必要とする被験者は、上記の特徴の少なくとも2つまたはそれより多く、または上記の特徴の少なくとも3つまたはそれより多く、または上記の特徴の少なくとも4つまたはそれより多くを満たすものとする。
生物学的評価
ヒトの心血管障害は複雑な状態であり、しばしば血管性高血圧または心筋梗塞(MI)から始まる。心血管障害のための治療効果の可能性を決定するため、いくつかのアッセイで成分の有効性を決定することが重要である。したがってアッセイ“A”では、アンジオテンシンIIの注入を用いての血管の炎症を伴う高血圧ラットモデルにおいて、アルドステロンアンタゴニストのエプレレノン(エポキシメクスレノン)の効能を決定した。アッセイ“B”では、調査はアルドステロンの注入を用いた血管の炎症を伴う高血圧を作製したラットモデルにおいて、アルドステロンアンタゴニストのエプレレノン(エポキシメクセレノン)の効能を評価することとして記載される。アッセイ“C”では、さらなる調査はアルドステロンの注入を用いて血管の炎症を伴う高血圧を作製したラットモデルにおいて、アルドステロンアンタゴニストのエプレレノン(エポキシメクスレノン)の効能を評価することとして記載される。
加えて、臨床的試みを使用して、ヒトにおけるアルドステロンアンタゴニスト治療を評価することができる。American Journal of Cardiology 78, 902-907 (1966)に記載のRALES 003スタディー、またはNew England Journal of Medicine 341, 709-717 (1999)に記載のRALES 004スタディーの研究を含む、このような治療試験の多数の例が発表されている。
アッセイA:in vivoアンジオテンシンII注入モデル
プロトコル
方法:
・オスのWistarラット(n=50、10/群;体重=200g)
・1% NaCl 飲用
実験群
1.コントロール
2.アンジオテンシンII(25ng/分、alzetミニポンプにより皮下)
3.アンジオテンシンII(25ng/分、皮下)+エプレレノン100mpk
4.アンジオテンシンII(25ng/分、皮下)+副腎摘出+デキサメタゾン(12μg/kg/d、皮下)
5.アンジオテンシンII(25ng/分、皮下)+副腎摘出+デキサメタゾン(12μg/kg/d、皮下)+アルドステロン(40mg/kg/d、alzetミニポンプにより皮下)
・尾に付けたカフにより毎週、収縮期血圧測定
・24時間給餌および液体摂取、および尿排泄を毎日測定
・尿の電解質の決定のため、尿サンプルを毎日採集。
・4週間後、失血(exanguination)により屠殺。血清電解質測定用の乾燥チューブ、およびアルドステロンおよびコルチコステロンのレベル測定用のEDTAを含むチューブに血液採集。
心臓をヘマトキシリン&エオシンで染色し、形態学的異常(すなわち壊死、血管の傷害)を決定するための分析を行った。
結果
血圧。 収縮期血圧は、アンジオテンシンIIの注入を行ったすべての動物で増加した。ビヒクルを投与した動物との比較において、エプレレノンも副腎摘出も血圧を減少させることはなかった。アルドステロンの注入は、アンジオテンシンII/塩、副腎摘出のラットにおける血圧を上昇させた。図1はこの収縮期血圧の増加を示す。
電解質の排泄。 1日の尿中Na排泄および尿中K排泄の比率(U Na/K比)を、ナトリウム利尿の指標として使用した。尿中Na/K比は、処置開始前はすべての群で類似しており、高塩食の開始ですべての動物で同様に増加した。尿中Na/K比は、アンジオテンシンII注入を行った動物においても17日目まで変化がなかったわけではないが、17日目に、担体を注入したラットに対してこれらの動物において有意な増加が認められた。同様の効果が、エプレレノンを投与したアンジオテンシンII注入動物でも起こり、注入の14日目から尿中Na/K比の増加を示した。しかしどのタイムポイントでもエプレレノン処置のラットが、ビヒクル処置したアンジオテンシンIIを注入したラットに比して、より高い尿中Na/K比を示すことはなかった。事実、有意差は21日目のみでしか観察されず、この時点ではアンジオテンシンII注入、ビヒクル処置のラットは、エプレレノン処置の動物の示した値に比して、より高い尿中Na/K比を示したが、これらの実験条件下ではエプレレノンは有意な利尿効果またはナトリウム利尿効果は得られなかった。副腎摘出の動物はアルドステロンを注入した場合もそうでない場合も、副腎未処置の動物に比して、常により高値の尿中Na/K比を示した。
心筋の傷害。 アンジオテンシンII/塩の処置を行った動物10頭のうち7頭が、冠動脈に血管炎症性の変化を発症した。これらの変化は、主にマクロファージによる末梢血管スペースの白血球の浸潤を特徴とした。中膜のフィブリノイド壊死もまた一部の動脈で観察された。一部のケースでは病変が拡大している場合、周囲の心筋層に及ぶ心筋の壊死が認められた。これらのケースでは実質性の出血が観察され、心筋壊死の所見と一致した。アンジオテンシンII注入のエプレレノンを投与した動物は、ビヒクル処置、アンジオテンシンII注入の動物と同程度の高血圧を示したという事実にもかかわらず、これらの血管の炎症性病変は、これらのエプレレノン投与の動物10頭のうちの1頭のみにしか観察されなかった。(図2参照)。同様に副腎摘出も、心臓における血管の炎症性病変を妨げた。しかしアルドステロンの補充により、アンジオテンシンII注入、副腎未処置、ビヒクル処置のラットで観察された重症の冠動脈および心筋の炎症および傷害が、この場合にも発症した。
アンジオテンシンII注入のラット由来の心臓の、シクロオキシゲナーゼ−2特異的抗体による免疫染色により、動脈周囲の炎症領域、主に単球/マクロファージ中にこの酵素の存在を同定した。末梢血管スペースに形態学的変化または炎症性の凝集のエビデンスが認められていない時でさえ、冠動脈の中膜の血管平滑筋細胞中にシクロオキシゲナーゼ−2の染色が観察された(図4)。エプレレノンの処置は副腎摘出と同様に、アンジオテンシンII注入のラット由来の心臓におけるシクロオキシゲナーゼ−2の発現を顕著に減少させ、ほとんどのケースでは完全に予防していた(図3および5参照のこと)。アンジオテンシンII、副腎摘出のラットにおけるアルドステロンの補充は、冠動脈中のシクロオキシゲナーゼ−2の存在を回復させることになった。
オステオポンチン(初期T細胞活性化−1(early T-cell activation-1)、Eta−1としても知られている)は、単球の化学誘引、活性化および遊走を仲介する、前炎症的特徴を有する分泌性の糖タンパク質である。アンジオテンシンII注入、生理食塩水を飲用とするラット由来の心臓の、オステオポンチン特異的抗体による免疫染色は、冠動脈の中膜にオステオポンチンの存在を同定した。エプレレノン処置および副腎摘出の双方とも、アンジオテンシンII注入、生理食塩水飲用ラットの心臓におけるオステオポンチンの発現を予防した(図6および7)。アルドステロンの補充により、副腎摘出した動物におてもオステオポンチンの発現を回復させることになった。
アッセイB:in vivoアルドステロン注入モデル
プロトコル2
方法:
・オスSprague Dawley ラット(n=39;体重=250g)
・1% NaCl 飲用
・ミニポンプ埋め込みの間に、片腎摘出
・実験群
1.コントロール
2.アルドステロン(0.75mg/時間、皮下 alzetミニポンプにて)
3.アルドステロン(0.75mg/時間、皮下 alzetミニポンプにて)+エプレレノン 100mpk 経口
4.アルドステロン(0.75mg/時間、皮下 alzetミニポンプにて)+飲用水 0.6%KCl
・群1,2および3は飲用水中にKClを0.3%だけ与えた
・腹部大動脈に挿入した放射線遠隔測定プローブにより収縮期血圧を測定。
・4週間後屠殺。
→心臓を摘出し、心室の中央で横方向に2分した:上半分をホルマリン中に保存した。下半分を生化学的分析のため液体窒素中で瞬間凍結した。
・心臓はヘマトキシリン&エオシンおよびコラーゲン特異的色素のピクロ−シリウスレッドで染色し、間質性コラーゲンの容積比率の決定および形態学的異常(すなわち壊死、血管の損傷)について分析した。
・ヒドロキシプロリン濃度は凍結した心臓で測定した。
・オステオポンチンおよびCOX−2の測定は定量的RT−PCR(Taqman)により行った。オステオポンチンはまた、免疫組織化学により心臓においても同定された。
結果
血圧。 収縮期血圧は、アルドステロン注入を行ったすべての動物で増加した。エプレレノン処置は有意に降圧したが、血圧を正常化することはなかった。図21はこれらの結果をグラフで示す。
心筋の傷害。 生理食塩水飲用、片腎摘出のラットには心筋の損傷はなかった。間質性コラーゲンの容積比率の組織学的測定またはヒドロキシプロリン濃度の生化学的測定による間質性コラーゲンの測定は、アルドステロン/塩処置の動物では心筋が繊維化していないことを明らかにした。しかしアルドステロン/塩処置のラット由来のヘマトキシリン−エオシン染色した心臓の検査は、重症の血管の炎症性病変を明らかにした。これらの病変はプロトコル1に記載したものと等しかった。エプレレノンの投与は、血圧を正常化することはなかったのであるが、アルドステロン注入、生理食塩水飲用、片腎摘出のラットにおいって血管の炎症性の変化を完全に予防した(図10)。餌のカルシウムの増量は、これらの動物がビヒクル投与のアルドステロン/塩処置のラットと類似の傷害レベルを示したように、アルドステロン誘発性の傷害の発症に有意な効果は示さなかった。
血清オステオポンチンレベルは28日に決定し、各群(NaCl 1%飲用のラット、アルドステロン投与のNaCl 1%飲用のラット、アルドステロンおよびエプレレノン投与のNaCl 1%飲用のラット)について測定した。図23はエプレレノンを処置したラットにおける循環オステオポンチンレベルの顕著な低下を示す。
オステオポンチンの免疫染色もまた、これらの動物由来の心臓において行った。オステオポンチンは、アルドステロンを受けていない食塩水飲用、片腎摘出の動物では検出されなかった。しかしアルドステロン注入を受けた動物では、冠動脈の中膜にオステオポンチンが明確に同定された。エプレレノンの処置は、アルドステロン注入のラット由来の心臓におけるオステオポンチンの発現を妨げた(図8および18)。餌のカリウムの増量は、オステオポンチンの発現を低減させなかった。定量的RT−PCRによるオステオポンチンmRNAの決定は、アルドステロン/塩処置、ビヒクル投与のラットの心臓において、このサイトカインの顕著な(7倍)アップレギュレーションを示した(mRNAの相対的発現:1.7±.2対12.25±1.7、P<.0001)。この効果はエプレレノンにより予防された(mRNAの相対的発現:2.5±.6、P<.0001、対 アルドステロン/塩+ビヒクル群)。アルドステロン/塩+ビヒクル処置のラットにおいては、心臓のアルドステロン誘発性の血管炎症の発症におけるシクロオキシゲナーゼ−2の役割と一致して、COX−2 mRNAの発現が3倍に増加した(mRNAの相対的発現:1.2±.12対3.7±.46、P<.0001)。エプレレノンは、オステオポンチンの発現に関する効果と同様、アルドステロン/塩処置のラットにおけるCOX−2の発現の増加を予防した(相対的mRNA発現:1.8±.36、P<.01、対 アルドステロン/塩+ビヒクル群、図9および17を参照のこと)。同様に、MCP−1の発現およびIL−6の発現もエプレレノンの処置により弱められた(図24)。
上記データは、アルドステロンが高血圧のラットの心臓における血管炎症のフェノタイプを仲介することを示唆する。このフェノタイプは、動脈中膜の血管平滑筋細胞におけるサイトカインのオステオポンチンおよび酵素のシクロオキシゲナーゼ−2のアップレギュレーションに関連しており、このアップレギュレーションが、観察された末梢血管の炎症、そして結果的には冠動脈および心筋層の虚血性/壊死性傷害を仲介する可能性がある。いかなる理論にも束縛されるものではないが、このことが例えば心不全、冠動脈疾患、自己免疫性またはウイルス性心筋炎、結節性動脈周囲炎、脳卒中、および腎硬化症のような疾患において観察される血管の変化を仲介するメカニズムであると考えられる。図11は、オステオポンチンおよびシクロオキシゲナーゼ−2が、冠動脈壁の類似領域に発現していることを明らかにしている。本発明における理論的裏づけはないが、図12にこのモデルについて提案したメカニズムを示す。これらの実施例において、プロトコル#1で示したようにエプレレノンの処置は、副腎摘出の処置と同程度にまで心臓における血管の炎症を予防した。エプレレノンの効果は、プロトコル#1で示したように、主要な収縮期血圧の降下からはほとんど独立していた。アンジオテンシンII/塩の高血圧ラットにおいて、エプレレノンの利尿効果またはナトリウム利尿効果の欠如は、選択的アルドステロンアンタゴニストの防御効果もまた、上皮組織における潜在的効果から独立していたことを示唆する。加えて、餌のカリウムの増量がエプレレノンの効果を模倣できなかったという事実は、エプレレノンがそのカリウム貯留特性を通して有益性を提供する、という可能性を否定する。したがってアルドステロンは、上皮組織での電解質のホメオスタシスにおけるこのホルモンの効果、または血圧におけるその効果とは無関係に、冠動脈中で直接有害な影響を及ぼすことができることを提案する。ヒトへのエプレレノンの投与は、本実施例で示唆したように、心臓、腎臓および脳を含む(ただしこれに限定されない)血管の分布している臓器における抗炎症効果により、有益性を提供することができる。
アッセイC:さらなるin vivoアルドステロン注入の研究
アッセイBの方法をさらなる研究で発展させた。片腎摘出したSprague−Dawleyラットに飲用の1%NaCl−0.3%KClを与え、以下の処置の1つを割り付けた:担体;アルドステロン注入;またはエプレレノン(100mg/kg/日)を併用してのアルドステロン注入。アルドステロン/塩の処置は、30日後にラットに重症の高血圧を誘発したが、この状態はエプレレノンにより有意に低減した。各治療群の動物由来の心筋組織を、7日、14日、または30日間の処置後に調べた。組織病理学的分析は、14日に始まる血管の炎症性病変が周囲の心筋層にまで拡大し、病巣の虚血/壊死敵変化に至ることを明らかにした。病変に先行して前炎症分子の発現および進行性のアップレギュレーションが認められた。前炎症性分子のアップレギュレーションおよびそれに伴う血管および心筋の損傷は、エプレレノン処置により顕著に軽減された。これらのデータは、エプレレノンが降圧に有効であり、そして心臓におけるアルドステロン誘発性の血管炎症性損傷に対する終末器官の保護を提供することを示している。
動物
オスのSprague−Dawleyラット、体重230−250g、(Harlan Sprague-Dawley Industries, Indianapolis, IN)を、1日のサイクルを12時間採光/12時間遮光とした部屋で、22±1℃の周囲温度で飼育した(n=96)。動物は到着後1週間適応させ、実験開始まで、TEKLAD 22/5げっ歯類用餌(Harlan TEKLAD, Madison, WI)および水道水を自由給餌とした。
実験のプロトコル
外科的処置の前に各動物の体重を測定し、以下の群の1つに分けた:(I)高塩のコントロール(ビヒクル/正常な餌/1% NaClおよび0.3% KCl飲用水、3つのタイムポイントに対してn=31)、(II)アルドステロンのコントロール(アルドステロン/正常な餌/1% NaClおよび0.3% KCl飲用水、3つのタイムポイントに対してn=28)、(III)100mg/kg/日 エプレレノン(アルドステロン/エプレレノンの餌/1% NaClおよび0.3% KCl飲用水、3つのタイムポイント群に対してn=30)。アルドステロン過剰に伴う低カリウム血症の可能性を予防するため、生理食塩水溶液に塩化カリウムを補充した。
処置
手術時、ビヒクル(9% エタノール/87% プロピレングリコール/4% dHO)または1.0mg/mL d−アルドステロン(Sigma Chemical, St. Louis, MO)のいずれかを含むAlzet 2002浸透圧ミニポンプ(Alza Corp., Palo Alto, CA)を、首のうなじの皮下に挿入した。アルドステロンは0.75μg/時間の用量で投与した。エプレレノンはTEKLAD 22/5のげっ歯類用餌(Harlan TEKLAD, Madison, WI)中に1mg/g餌の濃度(100mg/kg/日 送達されるように算出)で混合した。先の分析研究はこの餌中のエプレレノンの安定性、同様に調整後に得られる均質性について示している。動物は処置7、14または30日後、各群から(n=8−13)屠殺した。
外科的処置
処置7または14日後に屠殺する動物は、片腎摘出およびAlzetミニポンプの埋め込みを行った。30日間処置を行う動物は、片腎摘出およびAlzetミニポンプの装着、および以下の方法に従っての遠隔測定ユニット(モデル# TA11PA-C40, Data Sciences Inc., St. Paul, MN)の埋め込みを行った。動物は5%イソフルラン(SOLVAY Animal Health Inc., Mendota Heights, MN)にて、VMS麻酔装置(Matrix Medical, Inc., Orchard Park, NY)を用いてO中に送達して、麻酔した。外科的処置の間ずっと麻酔は1−2%イソフルランにて維持した。手術部位は刈り込み、ノルバサンでこすり洗いし、ベタジンをスプレーした。頭−尾方向の切開は、胸郭基底部から恥骨領域まで#11のメスの刃で皮膚を通して行った。第2の切開は腹壁の筋肉を通して行い、腹腔を露出させた。左側腎の尿道、腎動脈および腎静脈を単離し、4−0絹糸で結さつし、腎臓を切除、摘出した。腹部大動脈を露出させるため、臓器を組織開創器を用いて注意深く転置した。腹部大動脈から腸骨動脈に入る分岐点のすぐ吻側の1.5cmの部分から過剰な結合組織を取り除き、4−0絹糸を用いて大動脈に沿うアンカーを作った。次にマイクロ血管クリップで、清浄にした領域の両端を止め、過剰な血流をストップさせた。曲がった21ゲージ針を用いて、腹部大動脈を貫通させた。遠隔測定ユニットのカニューレを挿入して、4−0絹糸のアンカーを用いて大動脈に安定させた。臓器を元の位置に戻し、遠隔測定ユニットを臓器の上に設置した。4−0絹糸による断続的でない(non-interrupted) 縫合パターンを用いて腹壁を閉じ、続いて皮膚を断続的な(interrupted) 縫合パターンで4−0絹糸を用いて閉じた。動物には縫合周囲に麻酔薬マーカインHCl(Sanofi Winthrop Pharmaceuticals, New York, NY)100μLを注射し、抗生物質のマンドル(Mandol)(Eli Lily & Co., Indianapols, IN)を注射(筋肉内)した。術後のケアは麻酔からの回復期間、胸を地面につけて腹ばいになる姿勢を再確立するまで、ヒーティングパッド上で動物をモニターすることを含めた。動物は、手術部位の苦痛および感染の兆候について毎日モニターした。術後持続的不快を示す動物にはり0.1−0.5mg/kg ブプレノルフィン(Buphrenorphine)(Rickett & Colman Pharmaceuticals, Inc. Richmond, VA)を皮下にて処置した。その後動物には水道水およびTEKLAD22/5げっ歯類用餌(Harlan TEKLAD, Madison, WI)を設置した。
血圧分析
遠隔測定による動脈血圧は、DATAQUEST A.R.T. Version 1.1-Gold ソフトウェア(Data Sciences International, St. Paul, MN)にて算出した。データポイントは各動物について5分毎に10秒間読み取る収集レートのセットで、24時間にわたり収集した。使用する24時間は6:00a.m.から6:00a.m.とした。
(屠殺)
各実験のタイムポイントの停止時に、動物をペントバルビタール(65mg/kg、腹腔内、Sigma Chemical, St. Louis MO)で麻酔し、Mettler PM6000重量計(Mettler-Toledo, Inc., Hightstown, NJ)で体重を計測した。腹腔を開いて腹部大動脈を露出させた。16ゲージ針を腹部大動脈に挿入し、12ccシリンジ内に動物の全採血を行った。血液サンプルは薬剤レベルの分析のため、直ちにガラス製の血清採取チューブ(Terumo Medical Corp., Elkton, MD)に移した。サンプルはサンプル採取が完了するまで氷水上に置き、4℃、3000rev/分で15分間遠心した。
全採血後、心臓および腎臓を単離、摘出し、冷却したリン酸緩衝化生理食塩水ですすぎ、水分を吸い取って乾燥させた。腎臓は直ちに長軸に沿ってカミソリの刃で二分し、10%中性緩衝化ホルマリン(NBF, Richard-Allen Scientific, Kalamazoo, MI)中に置いた。心臓は、右心室(RV)を左心室(LV)から切り離し、双方の心室をMettler AE163重量計(Mettler-Toledo, Inc., Hightstown, NJ)を用いて重さを測定し、右心室を10%NBF中に置いた。左心室尖の2mmの環状スラブを切除し、遺伝子発現の分析用にドライアイス/イソペンタンで凍結した。左心室の残りの部分は固定のため10%NBF中に置いた。3−4日間の固定後、ヒドロキシプロリン分析用に第2の2mmの環状スラブ、および組織学用に赤道領域から第3の2mmの環状スラブを切除し、最終の湿性(wet)のトリミングを完了した。
組織の加工処理&染色
心臓の赤道領域は、自動式組織プロセッサー(Hypercenter XP, Shandon/Lipshaw Inc., Pittsburgh, PA)によりルーチーンにパラフィン中に処理し、新しいパラフィン中にさかさまの状態で包埋させた(Shandon Embedding Center, Shandon/Lipshaw Inc.)。組織の各ブロックから5および10μm切片を、Leica RM2035 ロータリーマイクロトーム(Leica Inc., Houston, Texas)を用いて切り出し、Superfrost/Plus 顕微鏡スライドグラス(Fisher Scientific,, Pittsburgh, PA)上にマウントした。10μm切片は、コラーゲン特異的染色剤のピクロシリウスレッドF3BA(0.1%(w/v)シリウスレッドF3BA(C. I. #35780, Pfalzt & Bauer, Inc. Waterbury, CN)を含む飽和ピクリン酸(Sigma Chemical, St. Louis, MO))にて染色した(6)。マウントした組織を水で水和した。スライドを次に0.2%(w/v)リンモリブデン酸(Sigma Chemical, St. Louis MO)を含む蒸留水中で15分間インキュベーションし、0.1%ピクロシリウスレッドF3BA染色液に110分間移し、95%エタノール w/1%酢酸(v/v)に1分間つけ、続いて2回、100%エタノール中で1分間のインキュベーションを行い、キシレン中で1分間洗浄した。スライドをPermount Histological Mounting Media (Fisher Scientific) を用いて#1カバーグラスでカバーした。5 μm切片を乗せたの2枚のスライドを各動物について作成した。1つのスライドはH&E染色、もう1つは過ヨウ素酸シッフ(PAS)染色を行った。H&EおよびPAS標本は心臓の病理学的スコア評価に使用した。
組織病理学的分析
心筋の傷害の半定量化を、先行技術に記述されているものを多少修飾して行った(7)。簡潔には0から4のスケールを用いて、心筋の傷害のレベルをスコア化した。スコア0は損傷のないことを表した。スコア1は、心筋細胞の傷害を伴わない血管および末梢血管の炎症性病変の存在を表した。スコア2は、心筋の壊死の1つの明確な領域が観察された場合とした。心筋の壊死は、心筋細胞中の壊死性変化、例えば核の核濃縮もしくは核溶解、細胞質の収縮していない縁の波状の繊維(non-contracting marginal wavy fibers)および過好酸球増加、または心筋細胞膜の破壊の明確なエビデンス、の存在として定義した。2つまたはそれ以上の分離する領域の壊死が認められた場合(2つの異なる梗塞をおこした領域の存在に関係する)、心臓はスコア3とした。スコア4は、左心室の50%以上を含む拡大した領域の壊死を示す心臓に対して設定した。
画像分析
ピクロシリウスレッドF3BA染色したスライドを用いて、Videometric 150 Image Analysis System (Oncor Inc., Gaitherburg, MD)により間質性コラーゲンの定量を行った。簡潔には、Nikon Optiphot顕微鏡(Nikon Inc.)に取り付けたNikon E Plan 10/0.25;160/− Objective (Nikon Inc. Garden City, NY)を用いて画像を捉えた。東芝3CCDカラービデオカメラ (Model #IK-T30T, Toshiba Corp.日本)にて、RGBフォーマットの画像を顕微鏡からV150ビデオボードを搭載した386コンピュータに中継した。RGB画像を305倍の倍率でソニートリニトロンカラービデオモニター (Model #PVM-1342Q, Sony Corp,東京、日本)にディスプレイして分析するため、V150ビデオボード/V150ソフトウェアアプリケーション(Oncor Inc.)で、HIS(Hue, Intensity, Saturation)フォーマットに変換した。一度画像を画像モニターにディスプレイした後;測定するピクセルの色相、強度、および彩度は、閾値の設定という過程により定義した。次にV150アプリケーションで、閾値内のピクセルのみを測定した。システムをマイクロメーターのスケールに換算し(EM Sciences, FT. Washington, PA 19034)、それによりデータをmmまたはμmで表すことができた。各測定の後、データを自動的にASCIIファイルフォーマットに保存し、最終集計用にMicrosoft Excel バージョン7.0に移した。
免疫組織化学
5μm切片をキシレン中で脱パラフィン化(2回、5-10分インキュベーション)し、以下のようにエタノール中で3分インキュベーションして再度水和した:100%エタノール中で2回インキュベーションの後、95%アルコール中で2回 インキュベーション、および70%アルコール中で1回インキュベーション。一度水和した後、切片を水道水で1分間、蒸留水で1分間すすいだ。スライドを3.0%H中に15分間つけた後、蒸留水中で5分間すすぐことにより、標本の内因性の過酸化物の活性を遮断した。スライドをクエン酸、pH6.0を用いて抗原回復の処置を行った。スライドを沸点まで過熱、25℃で20分間冷却し、蒸留水中ですすいだ。スライドをDAKO自動染色装置(DAKO Corporation, Carpinteria, CA)を用いて染色した。染色前に、スライドをブロッキングバッファーですすぎ、ブロッキングバッファー中で20分間インキュベーションした。ブロッキングバッファーについてはVectastain ABCキット(Vector Labs, Burlingame, CA)に記載されており、そして、10mL TNB(NEN TSA Biotin System キット、Cat#NEL700A, NEN Life Science Products, Boston, MA)および正常な(第2抗体に対応して)血清3滴を含む。
染色に使用する第1抗体は以下を含む:オステオポンチン、1:100希釈(マウスモノクローナル、Cat#MPIIIb10, Developmental Studies Hybridoma Bank, The University of Iowa, Iowa City, IA);ED−1 1:500希釈(抗マクロファージ糖タンパク質、マウスモノクローナル、MAB1435、Chemicon International Inc., Temecula, CA);CD−3 1:300希釈(抗T細胞、ウサギポリクローナル−アフィニティ精製による抗体、A0452、DAKO Corporation, Carpineria, CA);ICAM−1 1:100希釈(ヤギポリクローナル−アフィニティ精製、M−19:sc−1511、Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA);VCAM−1 1:100希釈(ヤギポリクローナル−アフィニティ精製、C−19:sc−1504、Santa Cruz Biotechnology)。スライドを第1抗体と共に60分間インキュベートし、続いて最終濃度5μL/mLで、30分間、25℃でビオチンか抗体と共にインキュベートした。Vectastain ABC-AP キット(Vector Laboratories)およびジアミノベンジジン染色(DAKO Corporation, Carpinteria, CA)で染色を行い視覚化した。スライドグラスを水ですすぎ、ヘマトキシリンで約30秒間カウンター染色した。イソタイプのマッチしたIgG(Sigma Chemical, St. Louis, MO)を第1抗体のネガティブコントロールとして使用した。
オステオポンチンmRNAに関するin situ のハイブリダイゼーション
RNAプローブをラットのオステオポンチンの配列(GenBankアクセション番号 NM 008608−1)に基づいて作製した。簡潔には、ラットのオステオポンチンのcDNAフラグメントを以下のプライマーを用いてRT−PCRにより作製した:すなわちforward プライマー、5’−TGG CAC ATT TGT CTT;reverse プライマー、3’AGC CCA TCC AGTC。cDNAフラグメントを、TAクローニングキット(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)を用いてPCR IIプラスミド中に挿入した。プローブをin vitroで以下を含む転写反応液100μL中で60分間、37℃で標識した:転写反応液には、rRNasin(2U)、DNase(0.5U)、TEバッファー(1X)、rGTP(10mM)、rCTP(10mM)、rATP(10mM)、rUTP(10mM)、(PROMEGA, Madison, WI)、5/μL(50μCi)33P−UTP(Elkin Pelmer, Boston, MA)および適当なRNAポリメラーゼ(Sp6 RNAポリメラーゼ(20U/μL));T7 RNAポリメラーゼ(15UμL)、PROMEGA)を含むものとした。フリーの標識物質をMicrocon YM−50 Microconcentrators(Amicon, Bedford, MA)を用いて反応液から除去した。切片はキシレン中で脱パラフィン化し、上述のように段階的な濃度のエタノール溶液中で再度水和し、4%パラホルムアルデヒド(EMS, Ft. Washington, PA)中で10分間、4℃で固定した。次に組織をプロテイナーゼK(5mg/mL;10分、37℃、Roche, Indianapolis, IN)で消化し、0.5X SSCバッファー(生理食塩水−クエン酸ナトリウムバッファー)で洗浄した(10分)。再水和のための上述の方法とは逆の過程の、段階的濃度の一連のエタノール中での連続的な脱水の後、プレハイブリダイゼーションを行い、続いてハイブリダイゼーションバッファー(50% ホルムアルデヒド、2x SSC、10% 硫酸デキストラン、v/v)中で2時間42℃でインキュベーションした。ハイブリダイゼーションは、tRNA(50μg/mL、Sigma, St. Louis, MO)および適切に標識したプローブを含む、ハイブリダイゼーションバッファーを用いてオーバーナイト、55℃で行った。次にハイブリダイズした組織を、2x SSCバッファー、0.1x SSC−EDTAバッファー(0.1x SSC、1mM EDTA)、および2x SSCバッファー中で1時間40分間、連続して洗浄した。最後にスライドを、上述のようにNHOAcを含む段階的濃度の一連のエタノール中で(2分づつ)脱水し、真空デシケータ中で1.5時間、室温で乾燥させた。組織をリンのスクリーン(phosphorus screen)にオーバーナイト暴露した。スライドを写真乳剤(Kodak, Rochester, NY)でコートし、現像する前に4℃で、3−5週間暴露させた。現像したスライドをヘマトキシリンおよびエオシンでカウンター染色した。
TaqMan分析の原理
Applied Biosystemの 7700 Sequence Detection System(配列検出システム) (Applied Biosystems, Foster City, CA)を用いて蛍光発生的な(fluorogenic)5’−ヌクレアーゼアッセイ(TaqMan PCR)にて、遺伝子特異的、色素標識したオリゴヌクレオチドプローブの蛍光の増加をモニターすることにより、特異的な遺伝子の リアルタイムの検出/定量を行うことができた。標的遺伝子および基準遺伝子のプローブは、5’末端を6−カルボキシフルオレセイン(6FAM)レポーター色素で、3’末端を6−カルボキシ−N,N,N’,N’−テトラメチルローダミン(TAMRA)クエンチ剤色素により標識した。プローブが標的遺伝子とアニーリングすると、TAMRAがごく近位にあるため6FAMの蛍光発光が妨げられた。Taqポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性により、標的配列からプローブがはずれることでオリゴヌクレオチドプローブから色素が放出され、その結果標的メッセージの存在量に直接比例して蛍光の励起が起こった。データ分析は、Applied Biosystems のSequence Detection System(配列検出システム)ソフトウェアを用いて行った。
TaqManプライマーおよびプローブ:TGFβ1、ANP、I型コラーゲン、III型コラーゲン
プライマーおよびプローブはOligo Primer Analysis Software(オリゴプライマー分析ソフトウェア), Version 5.0 (National Biosciences Inc. (NBI)- Wojciech Rychlik, Cascade, CO)を用いてデザインした。プライマーはLife Technologies (Grand Island, NY)により合成され、プローブはApplied Biosystemsにより合成された。プライマー/プローブのセットは、分析を行うラットの遺伝子の公知の配列からデザインした。すべての標的遺伝子の値は、構成的に発現するシクロフィリンを基準遺伝子として標準化した。プライマー/プローブのセットの配列を表8に示す。
Figure 2005521665
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RNAの単離:TGFβ1、ANP、I型コラーゲンI、III型コラーゲン
RNAは、凍結(−70℃)左心室(LV)組織(約10−20mg)から製品の取扱説明書に従って1.5mL RNA−STAT60(Leedo Medical Laboratories, Inc., Houston, Texas)を用いて抽出した。簡潔には組織は、5mmのプローブを付けた組織用ホモジェナイザー(Ultra-Turrax T8 Homogenizer, IKA Works, Inc. Wilmington, NC)を用いてホモジェネートした。ホモジェネートの後、等量のモレキュラー・グレードのクロロホルム(Sigma Chemical Co., St. Louis, Mo.)を加えて、断続的に撹拌しながら10分間、室温でインキュベーションした。サンプルを12,000gで10分間遠心し、等量のモレキュラー・グレードのイソプロパノール(Sigma Chemical Co.)を加えることにより、上層からRNAを沈殿させた後、−80℃でオーバーナイトインキュベーションした。12,000gで遠心してRNAをペレット状にし、75%エタノールで洗浄し、ヌクレアーゼを含まない水(Promega, Madison, WI)に可溶化させた。RNAを希釈して、分光光度計により濃度および純度について分析した(A260/A280=1.9−2.0、平均収量 RNA2−5μg)。
逆転写:TGFβ1、ANP、I型コラーゲン、III型コラーゲン
15% ヌクレアーゼを含まない水(Promega, Madison, WI)、1X RTバッファー(Life Technologies, Grand Island, NY)、10mM DTT(Life Technologies)、0.5mMの各dATP、dTTP、dGTP、dCTP(PE Biosystems, Foster City, CA)、2.5μM Oligo d(T)15(Oligo Therapeutics, Inc., Wilsonville, OR)、40ユニット RNAsin(Promega)、および200ユニット SupetScript II逆転写酵素(Life Technologies)を含む最終容量20μLの溶液に、400ng RNA(4uL)を加えて、二本鎖cDNAの合成を行った。反応は、正確な反応温度を確実にするためキャップ付の壁の薄い反応チューブ(Applied Biosystems)中で行った。反応はGeneAmp 9600 thermal cycler(加熱式撹拌器)(Applied Biosystems)を用いて、以下のプロトコル:すなわち37℃で1時間、95℃で5分間、4℃で10分間、により行った。
TaqMan分析:TGFβ1、ANP、I型コラーゲン、III型コラーゲン
各PCR反応は以下を含むものとした:すなわち各cDNA 2.5μL(50ng)を、以下のPCR混合液 22.5μLに加えた:PCR混合液は38.5% ヌクレアーゼを含まない水(Promega)、1X PCRバッファーII、2mM MgCl、0.05U/μL AmpliTaq Gold(PCR Core Reagent Kit(PCRコア試薬キット),N808-0228, Applied Biosystems)、300nMの各forwardおよびreverseプライマー(Life Technologies)、200nMのプローブ(Applied Biosystems)、および200μMの各dATP、dTTP、dGTPおよびdCTP(Applied Biosystems)を含むものとした。1回の一連の反応は、MicroAmp光学測定用キャップ付のMicroAmp光学測定用チューブ(Applied Biosystems)にセットアップし、7700 Sequence Detector(配列検出機)に装填した。すべての反応は以下のプロトコルで行った:95℃で10分間(ポリメラーゼ活性化)、95℃で10秒間(変性)および57℃で1分間(アニーリング)を40サイクル。
TaqManプライマーおよびプローブ:COX−2、オステオポンチン、MCP−1、ICAM−1、VCAM−1
すべてのプライマーおよびプローブは、7700配列検出システムに搭載されたPrimaer Expressソフトウェアを用いてデザインし、Applied Biosystemsにより合成した。総RNA(200ngから320pg)の5倍希釈を用いて検量線を作成し、実験サンプルの分析の前に、TaqMan反応にセットした各プライマー/プローブの有効性の決定を行った。プライマー/プローブのセットは、分析を行うラットの遺伝子の公知の配列からデザインした。すべての標的遺伝子の値は、構成的に発現するシクロフィリンを基準遺伝子として標準化した。プライマー/プローブのセットの配列を表8に示す。
RNA単離:COX−2、オステオポンチン、MCP−1、ICAM−1、VCAM−1
RNAを、凍結(−80℃)ラットの心臓組織からTotally RNA Isolation Kit (Ambion, Inc., Austin, TX)を用いて抽出した。組織は−80℃まで冷却しておいたステンレス製の乳鉢および乳棒にて粉砕し、3−10mLの冷却した変性バッファーを含むダウンスホモジェナイザー(Kontes, Vineland, NJ)に移した。組織をホモジェネートし、滅菌した15mLのポリプロピレン遠心チューブに移した。等量のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)を加え、サンプルを激しく振って1分間撹拌し、氷上で少なくとも15分間インキュベーションした。サンプルを10,000gで30分間遠心した。水相を除去し、1/10量の酢酸ナトリウム溶液(3.0M NaOAc pH4.5)を加え、サンプルを振ったり上下をひっくり返して10秒間撹拌し、酸−フェノール(イソアミルアルコールを予め混合しておいた):クロロホルム(5:1、Ambion, Inc.を、開始時のサンプル量と均等な量を加えた。サンプルを激しく振って1分間撹拌し、続いて氷上で15分間インキュベーションし、そして10,000gで30分間遠心した。水相を除去し、清浄なポリプロピレンチューブに入れた。等量のイソプロパノール(Sigma, St. Louis, MO)を加え、サンプルを混合し、−20℃でオーバーナイト、インキュベーションした。サンプルを10,000gで30分間遠心し、上清を除去し、RNAペレットをDNAse/RNAseを含まない水に再懸濁させた。サンプルを−80℃で少なくとも2時間凍結し、氷水上で解凍し、定量用に希釈した。
すべてのRNAは、DNaseにより消化してゲノムDNAを除去し、LiCl沈殿により炭水化物を除去することにより、さらに精製した。各RNA(100μg)を、40mM Tris pH7.8、6mM MgCl、10mM CaClを含むバッファー中の、1ユニットのDNAse(Roche Diagnostics, Indianapolis, IN)および10ユニットのRNAse阻害剤(Applied Biosystems, Foster City, CA)と共に、37℃で45分間インキュベーションした。DNAseおよびバッファーを、RNA精製用のRNeasy Miniプロトコル(Qiagen, Valencia, CA)を用いて除去した。その後RNAを、サンプル容量の半量の7.5M LiCl/50mM EDTA(Ambion, Inc., Austin, TX)で沈殿させ、オーバーナイト、−20℃でインキュベーションし、30分間、13−16,000g、4℃で遠心した。すべてのRNAは少なくとも2時間、-80℃で凍結し、解凍し、希釈し、ならびに、濃度および純度測定のため分光光度計で分析した。
TaqMan分析:COX−2、オステオポンチン、MCP−1、ICAM−1、VCAM−1
TaqMan反応を以下のように行った。(DNAse処理およびLiCl沈殿を行った)総RNA 10μL(200ng)を、以下のRT−PCR反応混合液 15μLに加えた:すなわちRT−PCR反応混合液は、12.5μLの2X One−Step PCR Master Mix(ウラシル−N−グリコシラーゼを含まない)(AmpliTaq Gold DNA Polymerase、dUTPを含むdNTP類、受動的基準(passive reference)、およびバッファー至適化成分)、0.625μLの40X MultiScribeおよびRNAse Inhibitor Mix(RNAse阻害混合物)、0.625μLの20μM forwardプライマー、0.625μLの20μM reverseプライマー、0.5μLの5μM TaqManプローブ、ならびに0.125μLのDNAse/RNAseを含まない水、を含むものとする。反応は、MicroAmp光学測定用キャップまたは接着タイプのカバー付の、MicroAmp光学用96ウェル反応プレート(Applied Biosystems)に二重に(in duplicate)セットアップし、7700配列検出器に装填した。以下のプロトコルをすべての反応について行った:すなわち、48℃で30分間(逆転写)、95℃で10分間(逆転写酵素の不活性化およびポリメラーゼ活性化)、および95℃で15秒間(変性)および60℃で1分間(アニーリング)を40サイクルとした。
ヒドロキシプロリンのアッセイ
心筋のヒドロキシプロリンの濃度を従来技術に述べられているように、酸化ヒドロキシプロリンおよびp−ジメチルアミノベンズアルデヒド間の反応を定量化する比色アッセイにより測定した(4)。簡潔には組織(180−250mg)を、Reacti−Thermヒーティングブロック(Pierce, Rockford, IL)を用いて、60℃で18時間乾燥し、重さを測定した。乾燥した組織およびポジティブなコラーゲンのコントロール(Bovine Collagen Type I(ウシのI型コラーゲン), Sigma, St. Louis, MO)をReacti−Thermヒーティングブロック中で、3時間、150℃で、2mL 6N HClにて加水分解した。酸を窒素ガス下で蒸発させ、サンプルを4mL イソプロパノールの存在下の1mL クエン酸−酢酸バッファー(0.7M NaOAc、0.2M クエン酸塩、45mM クエン酸、pH6.0)中で再度水和し、0.4 μm Millex LCRフィルター(Gelman Science, Ann Arbor, MI)を通して濾過した。
ヒドロキシプロリンの含有量は、60μLの加水分解したサンプルまたはコラーゲンのスタンダードを、350μLのクエン酸−酢酸−イソプロパノールバッファー(40%イソプロパノールを含むクエン酸−酢酸バッファー、v/v)および100μLの300mM Chloramine T (J.T. Baker, Phillipsburg, NJ)と共に、5分間、25℃でインキュベーションすることにより、測定した。ヒドロキシプロリンの視覚化および定量のため、Erlichの試薬(80%(v/v)イソプロパノールを含む70%(v/v)過塩素酸中の3.5M p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、1.25mL)を加えた。サンプルを60℃で30分間インキュベーションし、室温まで冷却し、558nmで吸収をモニターした。ヒドロキシプロリン含有量を、trans−4−ヒドロキシ−L−プロリン(Sigma, St. Louis, MO)の新しく作成した検量線から定量した。すべてのサンプルおよび標準物質は二重に(in duplicate)行った。
統計学的分析
データは一元配置分散分析(ANOVA)を用いて分析した。群内の正規分布性および群間の分散が等しいという仮定を一貫して満たすことができなかったため、分析は生データの順位付けした変換値(ノンパラメトリック分析)で行った。有意性のアルファ=0.05レベルを、平均値間の計画比較として使用した。最小有意差(LSD)法を、群間の計画比較として使用した。データは、SAS統計ソフトウェアパッケージ(SAS PC, version 6.12, SAS Institute, Cary, NC)のPROC TTESTを用いて分析した。すべてのデータは、平均値±平均値の標準誤差(SEM)として報告している。
動物の除外
実験の期間中、3頭の動物が死亡した:ラット#17(アルドステロン+塩群、注入24日後に死亡が発見された)、ラット#64(アルドステロン+塩群、外科手術後死亡した)、およびラット#5(ビヒクル群、外科手術後死亡した)。動物が割り付けられた処置群に該当しない(例えばその処置群の平均から3標準偏差より大きい場合)ことが複数のパラメータで認められた場合、さらにその動物を除外した。このような動物3頭を研究から除外した:ラット#57(7日プロトコルから、アルドステロン+塩群)、ラット#97(14日プロトコルから、アルドステロン+塩群)、およびラット#24(30日プロトコルから、100mg/kg/日 エプレレノン群)。これら3頭の動物は、同処置群の平均から3標準偏差より高い炎症マーカー遺伝子(COX−2、オステオポンチン、MCP−1、ICAM−1、およびVCAM−1)の発現を示した。ラット#24もまた、遠隔測定ユニットの故障の結果除外した。これらの動物から得られた値は表9.10−表9.19において、データ表の他の動物のデータとは別に示した。
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結果
血圧
血圧は、ビヒクル+塩のコントロールでは実験の期間を通して正常に維持されていた(表10)。アルドステロン+塩は、時間と共に血圧の進行性の増加を誘発した。エプレレノン+アルドステロン+塩を投与した動物では、収縮期血圧は8−30日では有意に低かった。しかし血圧はビヒクル+塩のコントロールとの比較では、高い値のままであった。
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体重、心筋肥大およびANP
7日目、14日目、および30日目のアルドステロン+塩を投与の動物における体重は、ビヒクル+塩の正常血圧のコントロールと比較して有意に低かった(表11−13)。アルドステロン+塩の処置により誘発された体重の減少は、エプレレノンの投与により30日目では有意に軽減されていた(表11)。アルドステロン+塩の処置に反応して、左心室および右心室の有意な肥大が生じた。左心室肥大は、アルドステロン+塩の処置7日後に明らかになった(表11)が、右心室肥大は、アルドステロン+塩の処置30日後でのみ明らかになった(表13)。エプレレノンは、アルドステロン+塩の処置に誘発される絶対的な心室の重さまたは脛骨の長さに対する心室の重さの比率には影響を与えなかった(表11−13)。心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)mRNAレベルの有意な増加もまた、アルドステロン+塩で処置した動物において観察された(表11−13)。ANP mRNAのアップレギュレーションはエプレレノンにより、処置30日後には有意に低下したが、処置14日後には認められなかった(表13)。
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心筋の繊維化
間質性コラーゲンの容量比率およびヒドロキシプロリンレベルは、実験群の間のいかなるタイムポイントにおいても統計学的差異はなかった(表14−16)。I型コラーゲン のメッセージの中程度の増加が、ビヒクル+塩のコントロールと比較して、アルドステロン+塩処置およびアルドステロン+エプレレノン+塩の処置30日目で検出された(表16)。III型コラーゲンのmRNAレベルは、いかなるタイムポイントでも有意な増加は認められなかった(表14−16)。
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心筋の組織病理学
心筋組織の損傷を、半定量的なスコア化システムを用いて処置7,14、および30日後に評価した。ビヒクル+塩コントロール由来の心臓は、すべてのタイムポイントにおいて組織学的に正常であった。血管または心筋の病変は、アルドステロン+塩投与の処置7日後のラット由来の心臓では同定されなかった(表14)。ところが動脈および心筋の病巣の変化が、処置14日で始まっていることが観察された(表15および16)。動脈および心筋の質的変化はアルドステロン+塩の処置14日および30日後で類似していたが、頻度および重症度は時間と共に増加していた。エプレレノンの投与は、すべてのタイムポイントおいて心筋の傷害を顕著に軽減した(表14−16;図44)。
炎症メディエーターの遺伝子の発現
複数の前炎症性分子の発現レベルを、定量的Taqman PCR分析を用いて評価した(表17−19)。シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)および単球化学誘引タンパク質−1(MCP−1)の発現レベルは類似しており、アルドステロン+塩の処置によりすべてのタイムポイントで有意に増加した。オステオポンチンの発現レベルもまた、アルドステロン+塩の処置14日後(〜6倍)および30日後(〜13倍)に顕著にアップレギュレートした(表18−19)。トランスフォーミング成長因子ベータワン(TGF−β)のmRNAレベルは、観察したいかなるタイムポイントでもアップレギュレートしていなかった。細胞間接着分子−1(ICAM−1)mRNAの発現は、アルドステロン+塩の処置14日および30日に、中程度の増加ではあったが、アップレギュレートしていた(表9−10)。血管細胞接着分子−1(VCAM−1)の遺伝子の発現は、アルドステロン+塩の処置30日に2倍に増加したが、この増加は統計学的有意性には至らなかった(表19)。すべてのマーカー遺伝子の発現は、アルドステロン+塩で処置した動物の遺伝子の発現と比較して、エプレレノンにより有意に低下した。
Figure 2005521665
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免疫組織化学
アルドステロン+塩により誘発された前炎症反応の分子の分析について、免疫組織化学的分析を用いてさらに特徴を明らかにした。内皮に接着している細胞および末梢血管スペースに浸潤している細胞のほとんどは、単球/マクロファージ抗体(ED−1)に対してはポジティブに、T細胞抗体(CD−3)に対してはネガティブに染色された。ビヒクル+塩のコントロール由来の心臓にオステオポンチンの染色が認められなかったことと比較して、アルドステロン+塩で処置したラット由来の心臓においてオステオポンチンの有意な発現が明らかになった。オステオポンチンの発現は、炎症の影響を受けたおよび影響を受けていない一部の冠動脈の内側細胞に主として局在していたが、末梢血管スペースおよび心筋壊死領域の一部のマクロファージ中にも存在していた。オステオポンチンの有意な発現のエビデンスは、心筋細胞内には見出されなかった。ICAM−1の染色が、内皮細胞中および末梢血管スペース中で同定された;しかし、VCAM−1は主として内皮細胞中に発現していた。エプレレノンの投与は、評価を行ったすべてのマーカータンパク質に関する、アルドステロン+塩処置誘発性の心筋組織内の染色を、顕著に低減させた。
オステオポンチンmRNAのin−situハイブリダイゼーション
in−situハイブリダイゼーションを行い、オステオポンチンの心筋組織内での発現を局在化させた。オステオポンチンmRNAの大半は、冠動脈の内側細胞内に見出された(図3);しかし、オステオポンチンのメッセージは末梢血管細胞、ならびに虚血領域および壊死領域に浸潤している細胞内でも同定された。オステオポンチンmRNAは、心筋細胞中または炎症の影響を受けていない間質領域では明らかではなかった。
結論
塩の存在下でのアルドステロンによるラットの処置は、血管の炎症および心臓組織の損傷を誘発した。アルドステロン+塩の処置に誘発されるこの損傷は、前炎症性分子のアップレギュレーションを特徴とする、炎症反応により進行した。エプレレノンは、この初期の血管の炎症反応およびその後の心筋の傷害を顕著に軽減した。
腎性高血圧のラットモデル
アルドステロン阻害薬およびシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害薬の併用治療は、腎動脈を結さつした高血圧のラット、すなわち高レニン性高血圧モデルにおいて、降圧活性を評価することができる。このモデルでは、左側腎動脈結さつ後6日に、血漿レニン活性および血圧の双方が有意に増加する(J.L. Cangiano et al, J. Pharmacol. Exp. Ther., 206, 310-313 (1979))。血圧を持続的モニターするため、オスのSprague−Dawleyラットに遠隔血圧測定用送信器を装着する。ラットをケタミン−HCl(100mg/kg)およびマレイン酸アセプロマジン(2.2mg/kg)の混合液で麻酔する。正中線を切開して腹部大動脈を露出させる。末梢血管用クランプを腎動脈および腸骨分岐から遠位の大動脈に固定する。22ゲージ針で大動脈を穿刺し、カテーテルの先端を導入する。カテーテルを腰筋に結さつ糸で固定し、遠隔血圧測定用送信器に接続する(Mini-Mitter Co., Inc., Sunriver, OR)。送信器は腹腔に設置し、切開を閉じる際に腹部の筋肉に縫合する。ラットは遠隔受診器上で1頭で飼育し、標準的なラットの餌および水を自由給餌とする。術後の回復に少なくとも5日間おく。平均動脈圧および心拍を適当なデータレコーダー、例えばミニコンピュータで測定する。データは、1日当たり24時間、2.5から10分間の間隔で10秒間、200−500Hzでサンプリングする。24時間のコントロールデータを収集した後、ラットをメトヘキシタール(30mg/kg、腹腔内注射)で麻酔し、必要に応じて補充する。正中線の腹部切開は約2cmの長さとし、左側腎臓を露出させる。腎動脈を大動脈付近の静脈から、静脈を傷つけないように気をつけながら分離する。動脈を滅菌4−0絹糸で完全に結さつする。切開は、筋肉層および皮膚を注意深く縫合して閉じる。6日後、MAP(平均動脈圧)が典型的には50−70mgまで上昇したら、1つのアルドステロンアンタゴニストを、または1つもしくはそれより多くのシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害薬を併用して、毎日、約8週間、胃管栄養により投与する。1回の薬剤投与は、アルドステロン阻害薬(例えばエプレレノン)20および200mg/kg/日、ならびにシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害薬 1、3、10、30、および100mg/kg/日を使用して行う。薬剤の混合は、シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害薬 1、3、10、30、または100mg/kg/日の用量を、アルドステロン阻害薬 20または200mg/kg/日の用量と合わせて投与することにより行う。血圧の降下は遠隔測定システムによりモニターし、化合物による反応を、ビヒクル処置した動物で得られた反応と比較する。血漿および尿中のナトリウムレベルおよびカリウムレベルを、アルドステロン遮断薬の有効性の基準としてモニターする。尿サンプルは代謝ケージを用いてオーバーナイト採集し、サンプルを単離する。血漿サンプルは静脈カテーテルより得る。ナトリウムおよびカリウムは炎光光度法により測定する。心臓の繊維化は、灌流固定後に摘出した心臓の組織学的および化学的測定により決定する。左心室および右心室の重さを測定し、包埋し、切片を作成する。その後切片をピクロシリウスレッドで染色し、赤く染色しているコラーゲン領域を、コンピュータ画像分析により定量する。心尖を酸で消化し、フリーのヒドロキシプロリンを比色法により測定する。併用治療で処置した検査動物において、平均動脈圧が正常圧に向けて有意に低下し、心筋の繊維化の状態を阻止または避けられることが予測される。
アテローム硬化症の予防を含む心血管の状態の予防の評価に適する、いくつかのその他の動物モデルを利用することができる。Stehbens, Prog. Card. Dis., XXIX, 1007-28 (1986)および Zhang et al., Science, 258, 468-71(1992)を参照のこと。
アテローム硬化症に関するAPOeマウスモデルが、Roselear et al. (Arterioscle. Thromb. Vasc. Biol., 16, 1013-18 (1996))により記載されている。アルドステロン遮断薬は、アテローム硬化症の病変の予防に活性であるはずである。
当明細書に述べた生物学的評価は、心血管障害の治療または予防のための、アルドステロン受容体アンタゴニストおよびNSAIDを含む併用治療の効能を示す上で有用である。
本発明は限定的な態様に関して記載してきたが、これら態様の詳細は限定を意味すると解釈されるべきではない。
当明細書で参照したすべての特許文献を、参照として援用する。
図1は、アンジオテンシンIIを注入したラットの研究における収縮期血圧の変化を示す。 図2は、アンジオテンシンIIを注入したラットの心臓において、血管の炎症がエプレレノン(エポキシメクスレノン)により予防されていることを示す。 図3は、ビヒクルを注入したラットの心臓において、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)の発現が欠如していることを示す。 図4は、アンジオテンシンIIを注入したラットの心臓において、COX−2の発現が誘導されていることを示す。 図5は、アンジオテンシンIIを注入したラットの心臓において、COX−2の発現の誘導がエプレレノンにより予防されていることを示す。 図6は、ビヒクルを注入したラットの心臓において、オステオポンチンの発現が欠如していることを示す。 図7は、アルドステロンを注入したラットの心臓において、オステオポンチンの発現の誘導がエプレレノンにより予防されていることを示す。 図8は、アルドステロンを注入したラットの心筋層において、オステオポンチンのアップレギュレーションがエプレレノンにより予防されていることを示す。 図9は、アルドステロンを注入したラットの心筋層において、COX−2のアップレギュレーションがエプレレノンにより予防されていることを示す。 図10は、アルドステロンを注入したラットの心筋層の傷害が、エプレレノンにより予防されていることを示す。 図11は、アルドステロンを注入したラットの冠動脈の中膜において、COX−2およびオステオポンチンの共発現がアップレギュレートされていることを示す。 図12は、アルドステロン誘発性の血管の炎症および傷害に関するメカニズムの一部を示す。 図13は、アンジオテンシンII注入、カプトプリル処置した脳卒中になりやすい自発性高血圧ラットにおいて、エプレレノンの処置により尿タンパク質の排泄の増加が阻害されていることを示す。 図14は、アンジオテンシンII注入、カプトプリル処置した脳卒中になりやすい自発的高血圧ラットにおいて、エプレレノンの処置により腎臓の傷害の組織病理学的スコアが低下することを示す。 図15は、脳卒中になりやすい自然発症高血圧ラットにおいて、エプレレノンの処置により生存が増加し大脳の傷害が低減することを示す。 図16は、脳卒中になりやすい自然発症高血圧ラットにおいて、エプレレノン処置により大脳の傷害が減少することを示す。 図17は、エプレレノン処置をしたアルドステロン注入の高血圧ラットにおいて、心筋のCOX−2の初期のタイムコースの発現が阻害されることを示す。 図18は、エプレレノン処置をしたアルドステロン注入の高血圧ラットにおいて、心筋のオステオポンチンの初期のタイムコースの発現が阻害されることを示す。 図19は、エプレレノン処置をしたアルドステロン注入の高血圧ラットにおいて、心筋のMCP−1の初期のタイムコースの発現が阻害されることを示す。 図20は、エプレレノン処置をしたアルドステロン注入の高血圧ラットにおいて、心筋のICAM−1およびVCAM−1の初期のタイムコースの発現が阻害されることを示す。 図21は、アルドステロン注入による収縮期血圧の上昇、およびアルドステロン注入およびエプレレノン処置による同血圧の上昇の降下を示す。 図22は、コントロールラット、アルドステロンを注入したラットおよびアルドステロンを注入しエプレレノンで処置したラットについての28日での心筋の組織病理学的スコア、ならびに、アルドステロンを注入したラットおよびアルドステロンを注入しエプレレノンで処置したラットについての体重に対する心臓の重さの比率を示す。 図23は、コントロールラット、アルドステロンを注入したラット、およびアルドステロンを注入しエプレレノンで処置したラットについての28日での循環オステオポンチンレベルを示す。 図24は、コントロールラット、アルドステロンを注入したラット、およびアルドステロンを注入しエプレレノンで処置したラットにおける、炎症性サイトカインの28日での相対的mRNA発現を示す。

Claims (69)

  1. 第1の量のアルドステロン受容体アンタゴニストおよび第2の量のNSAIDを含む、心血管障害の治療または予防のための組み合わせであって、前記第1の量および前記第2の量を合わせて、前記アルドステロン受容体アンタゴニストおよび前記NSAIDの治療有効量含む、前記組み合わせ。
  2. 第1の量のアルドステロン受容体アンタゴニスト、第2の量のNSAID、および1つまたはそれより多くの医薬的に受容可能な担体材を含む、心血管障害の治療または予防のための医薬組成物であって、前記第1の量および前記第2の量を合わせて、前記アルドステロン受容体アンタゴニストおよび前記NSAIDの治療有効量含む該医薬組成物。
  3. 前記アルドステロン受容体アンタゴニストがエポキシ−ステロイドのアルドステロン受容体アンタゴニストである、請求項2に記載の医薬組成物。
  4. 前記エポキシ−ステロイドのアルドステロン受容体アンタゴニストが、20−スピロキサン化合物のステロイド核の“C”環に融合したエポキシ部分を有する、請求項3に記載の医薬組成物。
  5. 前記20−スピロキサン化合物が、9α−、11α−で置換したエポキシ部分の存在を特徴とする、請求項4に記載の医薬組成物。
  6. 前記アルドステロン受容体アンタゴニストが以下からなる群:
    エプレレノン;
    プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−ジメチルエステル、(7α、11α、17β)−;
    3’H−シクロプロパ[6,7]プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−ラクトン、(6β、7β、11α、17β)−;
    プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、7−(1−メチルエチル)エステル、モノカリウム塩、(7α、11α、17β)−;
    プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、7−メチルエステル、モノカリウム塩、(7α、11α、17β)−;
    3’H−シクロプロパ[6,7]プレグナ−1,4,6−トリエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−ラクトン、(6β、7β、11α、)−;
    3’H−シクロプロパ[6,7]プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、メチルエステル、(6β、7β、11α、17β)−;
    3’H−シクロプロパ[6,7]プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、モノカリウム塩、(6β、7β、11α、17β)−;
    3’H−シクロプロパ[6,7]プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−ラクトン、(6β、7β、11α、17β)−;
    プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−ラクトン、エチルエステル、(7α、11α、17β)−;および
    プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−ラクトン、1−メチルエチルエステル、(7α、11α、17β)−、から選択される、請求項2に記載の医薬組成物。
  7. 前記アルドステロン受容体アンタゴニストがエプレレノンである、請求項2に記載の医薬組成物。
  8. 前記NSAIDが、アセトアミノフェン、ベノキサプロフェン、カルプロフェン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナメート、メフェナミン酸、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、スプロフェン、テニダップ、トルメチン、ゾメピラク、およびアスピリンからなる群から選択される、請求項7に記載の医薬組成物。
  9. 前記NSAIDが、アセトアミノフェン、ベノキサプロフェン、カルプロフェン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、およびイブプロフェンからなる群から選択される、請求項8に記載の医薬組成物。
  10. 前記NSAIDが、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナメート、メフェナミン酸、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、およびオキシフェンブタゾンからなる群から選択される、請求項8に記載の医薬組成物。
  11. 前記NSAIDが、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、スプロフェン、テニダップ、トルメチン、ゾメピラク、およびアスピリンからなる群から選択される、請求項8に記載の医薬組成物。
  12. 前記NSAIDおよび前記アルドステロン受容体アンタゴニストが前記組み合わせ中に、前記NSAID 対 前記アルドステロン受容体アンタゴニストの重量比、約1対1から約1対20の範囲で存在する、請求項8に記載の医薬組成物。
  13. 前記重量比の範囲が約1対5から約1対15である、請求項12に記載の医薬組成物。
  14. 前記重量比が約1対10である、請求項12に記載の医薬組成物。
  15. 前記アルドステロン受容体アンタゴニストがスピロノラクトンである、請求項2に記載の医薬組成物。
  16. 前記NSAIDが、アセトアミノフェン、ベノキサプロフェン、カルプロフェン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナメート、メフェナミン酸、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、スプロフェン、テニダップ、トルメチン、ゾメピラク、およびアスピリンからなる群から選択される、請求項15に記載の医薬組成物。
  17. 前記NSAIDおよび前記アルドステロン受容体アンタゴニストが前記組み合わせ中に、前記NSAID 対 前記アルドステロン受容体アンタゴニストの重量比、約1対1から約1対20の範囲で存在する、請求項16に記載の医薬組成物。
  18. 前記重量比の範囲が約1対5から約1対15である、請求項17に記載の医薬組成物。
  19. 前記重量比が約1対10である、請求項18に記載の医薬組成物。
  20. 前記NSAIDが、アセトアミノフェン、ベノキサプロフェン、カルプロフェン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナメート、メフェナミン酸、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、スプロフェン、テニダップ、トルメチン、ゾメピラク、およびアスピリンからなる群から選択される、請求項2に記載の医薬組成物。
  21. 心血管障害の治療または予防を必要とする被験者における同傷害の治療または予防のための方法であって、第1の量のアルドステロン受容体アンタゴニストおよび第2の量のNSAIDを当該被験者に投与することを含み、ここで、前記第1の量および前記第2の量は合わせて、前記アルドステロン受容体アンタゴニストおよび前記NSAIDの治療有効量を含む、前記方法。
  22. 心血管障害が、高血圧、心不全、冠動脈疾患、動脈瘤、動脈硬化、アテローム硬化症、心筋梗塞、塞栓症、脳卒中、血栓症、アンギナ、血管のプラークの炎症、血管のプラークの破裂、カワサキ病、カルシウム沈着、および炎症からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
  23. 心血管障害が、冠動脈疾患、動脈瘤、動脈硬化、アテローム硬化症、心筋梗塞、塞栓症、脳卒中、血栓症、アンギナ、血管のプラークの炎症、血管のプラークの破裂、カワサキ病、カルシウム沈着、および炎症からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
  24. 前記アルドステロン受容体アンタゴニストがスピロラクトン型の化合物である、請求項21に記載の方法。
  25. 前記アルドステロン受容体アンタゴニストがスピロノラクトンである、請求項21に記載の方法。
  26. 前記NSAIDが、アセトアミノフェン、ベノキサプロフェン、カルプロフェン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナメート、メフェナミン酸、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、スプロフェン、テニダップ、トルメチン、ゾメピラク、およびアスピリンからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
  27. 前記NSAIDが、アセトアミノフェン、ジクロフェナク、フェノプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナメート、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、およびアスピリンからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
  28. 前記アルドステロン受容体アンタゴニストが、エポキシ−ステロイドのアルドステロン受容体アンタゴニストである、請求項21に記載の方法。
  29. 前記エポキシ−ステロイド化合物が、20−スピロキサン化合物のステロイド核の“C”環に融合したエポキシ部分を有する、請求項28に記載の方法。
  30. 前記20−スピロキサン化合物が、9−アルファ、11−ベータで置換したエポキシ部分の存在を特徴とする、請求項29に記載の方法。
  31. 前記エポキシ−ステロイド化合物が以下からなる群:
    エプレレノン;
    プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−ジメチルエステル、(7α、11α、17β)−;
    3’H−シクロプロパ[6,7]プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−ラクトン、(6β、7β、11α、17β)−;
    プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、7−(1−メチルエチル)エステル、モノカリウム塩、(7α、11α、17β)−;
    プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、7−メチルエステル、モノカリウム塩、(7α、11α、17β)−;
    3’H−シクロプロパ[6,7]プレグナ−1,4,6−トリエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−ラクトン、(6β、7β、11α、)−;
    3’H−シクロプロパ[6,7]プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、メチルエステル、(6β、7β、11α、17β)−;
    3’H−シクロプロパ[6,7]プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、モノカリウム塩、(6β、7β、11α、17β)−;
    3’H−シクロプロパ[6,7]プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−ラクトン、(6β、7β、11α、17β)−;
    プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−ラクトン、エチルエステル、(7α、11α、17β)−;および
    プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−ラクトン、1−メチルエチルエステル、(7α、11α、17β)−、から選択される、請求項28に記載の方法。
  32. 前記アルドステロン受容体アンタゴニストがエプレレノンである、請求項21に記載の方法。
  33. 前記NSAIDが、アセトアミノフェン、ベノキサプロフェン、カルプロフェン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナメート、メフェナミン酸、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、スプロフェン、テニダップ、トルメチン、ゾメピラク、およびアスピリンからなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
  34. 前記NSAIDが、アセトアミノフェン、ベノキサプロフェン、カルプロフェン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナメート、メフェナミン酸、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、スプロフェン、テニダップ、トルメチン、ゾメピラク、およびアスピリンからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
  35. 前記アルドステロン受容体アンタゴニストおよび前記NSAIDを、連続的な方法で投与する、請求項21に記載の方法。
  36. 前記アルドステロン受容体アンタゴニストおよび前記NSAIDを、実質的に同時に投与する、請求項21に記載の方法。
  37. 前記エプレレノンを約0.1mgから約400mgの1日の用量の範囲で投与する、請求項32に記載の方法。
  38. 前記エプレレノンを約1mgから約200mgの1日の用量の範囲で投与する、請求項32に記載の方法。
  39. 前記エプレレノンを約1mgから約100mgの1日の用量の範囲で投与する、請求項32に記載の方法。
  40. 前記エプレレノンを約10mgから約100mgの1日の用量の範囲で投与する、請求項32に記載の方法。
  41. 前記エプレレノンを約25mgから約100mgの1日の用量の範囲で投与する、請求項32に記載の方法。
  42. 前記エプレレノンを5mg、10mg、12.5mg、25mg、50mg、75mg、および100mgからなる群から選択される1日の用量で投与する、請求項32に記載の方法。
  43. 前記エプレレノンを25mg、50mg、および100mgからなる群から選択される1日の用量で投与する、請求項32に記載の方法。
  44. 炎症に関連する傷害の治療又は予防を必要とする被験者における同傷害の治療または予防のための方法であって、第1の量のアルドステロン受容体アンタゴニストおよび第2の量のNSAIDを当該被験者に投与することを含み、ここで、前記第1の量および前記第2の量は合わせて、該被験者における炎症の制御に直接的または間接的に関与する1つまたはそれより多くの発現産生物の発現を変化させるのに十分である、前記方法。
  45. 炎症に関連する障害が前記被験者の組織中で起こる、請求項44に記載の方法。
  46. 炎症に関連する障害が前記被験者の臓器中で起こる、請求項44に記載の方法。
  47. 前記臓器が心臓である請求項46に記載の方法。
  48. 前記臓器が脳である請求項46に記載の方法。
  49. 前記臓器が腎臓である請求項46に記載の方法。
  50. 前記発現産生物の1つまたはそれより多くの発現の増加が、被験者の炎症の制御に直接的または間接的に関与する、請求項44に記載の方法。
  51. 前記発現産生物の1つまたはそれより多くの発現の低下が、被験者の炎症の制御に直接的または間接的に関与する、請求項44に記載の方法。
  52. 前記発現産生物の2つまたはそれより多くが同時に共発現する、請求項44に記載の方法。
  53. 前記発現産生物の2つまたはそれより多くが連続的に共発現する、請求項44に記載の方法。
  54. 前記発現産生物が、シクロオキシゲナーゼ−2、オステオポンチン、MCP−1、ICAM−1、VCAM−1、ANF、aβ、Inf−γ、IL−1、TNF−a、NADH/NADPHオキシダーゼ、スーパーオキシドフリーラジカル、TXA2、b−FGF、CD44、エンドセリン、アンジオテンシンII受容体、活性t−PA、不活性t−PA、PAI−1、CRP、IL−6、IL−10、IL−12、トロポニンT、HSP65、アミロイド、ホスホリパーゼA2、フィブリノーゲン、CD40/CD40L、コラーゲン結合インテグリンa1β1、およびコラーゲン結合インテグリンa2β1、からなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
  55. 前記発現産生物が、シクロオキシゲナーゼ−2、オステオポンチン、MCP−1、ICAM−1、VCAM−1、ANF、aβ、Inf−γ、IL−1、TNF−a、NADH/NADPHオキシダーゼ、スーパーオキシドフリーラジカル、TXA2、b−FGF、CD44、エンドセリン、アンジオテンシンII受容体、活性t−PA、不活性t−PA、およびPAI−1、からなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
  56. 前記発現産生物がシクロオキシゲナーゼ−2である、請求項44に記載の方法。
  57. 前記シクロオキシゲナーゼ−2が、オステオポンチン、MCP−1、ICAM−1およびVCAM−1からなる群から選択される1つまたはそれより多くの発現産生物と共発現する、請求項56に記載の方法。
  58. 前記発現産生物がオステオポンチンである、請求項44に記載の方法。
  59. 前記オステオポンチンが、シクロオキシゲナーゼ−2、MCP−1、ICAM−1およびVCAM−1からなる群から選択される1つまたはそれ以上の発現産生物と共発現する、請求項58に記載の方法。
  60. 前記発現産生物がMCP−1である、請求項44に記載の方法。
  61. 前記MCP−1が、シクロオキシゲナーゼ−2、オステオポンチン、ICAM−1およびVCAM−1からなる群から選択される1つまたはそれ以上の発現産生物と共発現する、請求項60に記載の方法。
  62. 前記発現産生物がICAM−1である、請求項44に記載の方法。
  63. 前記ICAM−1が、シクロオキシゲナーゼ−2、オステオポンチン、MCP−1およびVCAM−1からなる群から選択される1つまたはそれ以上の発現産生物と共発現する、請求項62に記載の方法。
  64. 前記発現産生物がVCAM−1である、請求項44に記載の方法。
  65. 前記VCAM−1が、シクロオキシゲナーゼ−2、オステオポンチン、ICAM−1およびMCP−1からなる群から選択される1つまたはそれ以上の発現産生物と共発現する、請求項64に記載の方法。
  66. アルドステロン受容体アンタゴニストおよびNSAIDを含む、心血管障害の治療または予防のためのキット。
  67. 前記キットの内容物を被験者がどのように使用することができるかを記載する取扱説明書をさらに含む、請求項66に記載のキット。
  68. 取扱説明書が、前記キットの内容物を被験者がどのように使用して、望ましくない副作用を誘発することなく治療効果を得ることができるかをさらに記載している、請求項67に記載のキット。
  69. 取扱説明書が、前記キットについて薬剤の規制当局により認可された製品ラベルのすべてまたは一部を含む、請求項67に記載のキット。
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