JP2005521417A - アデノウイルスの大規模産生方法及びアデノウイルス種子ストック - Google Patents

アデノウイルスの大規模産生方法及びアデノウイルス種子ストック Download PDF

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Abstract

大規模ウイルス産生方法、特に大規模アデノウイルス産生方法を開示する。本明細書に記載の方法を培養中、十分なエアレーションを与えるためにガス散布が必須となる大規模バイオリアクター中の哺乳動物宿主細胞の懸濁培養物に適用させることが好ましい。この方法は、ガス散布及び撹拌の剪断作用から宿主細胞を保護する高濃度の化合物、及び細胞溶解試薬なしに作成したウイルス種子ストックの使用を含む。本発明はまた、前記ウイルス種子ストックの拡張可能な作成方法、及び得られた非清澄化ウイルス種子ストックであって、大規模培養物の感染のために保存容量を減らすべく濃縮されており且つ細胞溶解成分、例えば洗剤トリトンX−100またはポリソルベート80を含まないものにも関する。

Description

本発明は、細胞溶解成分を含まない濃縮ウイルス種子ストック(virus seed stocks)の使用、及び宿主細胞、特に培養物にウイルスを感染させた後の宿主細胞のダメージを低減させるために高量の剪断防護試薬(shear−protection reagent)の使用に依存する大規模ウイルス産生のための散布培養物(sparged cultures)の使用方法に関する。本発明はまた、本質的に細胞溶解成分を含まないように作成及び処方された清澄化もしくは非清澄化ウイルス種子ストックに関する。
遺伝子治療及びDNAワクチン接種用組換えウイルスベクターの使用の分野の進歩により、臨床グレードのウイルスの大規模産生及び精製が必要となっている。そのようなウイルス科の1つがアデノウイルスである。アデノウイルスは、アビアデノウイルス属(鳥類)及びマストアデノウイルス属(ヒト、サル、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、イヌ及びオポッサム)に分割されるアデノウイルス科に分類される。アデノウイルス科の概説は、援用により本明細書に含まれるとするB.N.Fields,D.M.Knipe及びP.M.Howley,編,「基本的生物学(Foundamental Biology)」,第3版,第30章,p.979−1016(1996)に見出すことができる。遺伝子ワクチン接種及び/または遺伝子治療用途において特に興味深いことは、“ガットレス”アデノウイルスベクターを含めたE1または更なる欠失によりクリプルした第一または第二世代複製インコンピテントなアデノウイルスの使用である。アデノウイルスゲノムは通常ヒトの良性症状に関連しており、このウイルスのゲノム構成は1950年代の初期に発見されて以来十分に研究されてきた。加えて、ゲノムは各ベクターを構築するために使用される方法に依存して操作され得る。複製インコンピテントなウイルス(例えば、本明細書中に例示されているようにHIV gag導入遺伝子を発現するE1/E3欠失Ad5gagベクター)は欠失を補う細胞株を必要とする。前記細胞株は組換えウイルスベクターを作成するために使用され得る。好ましい細胞株は293細胞及びPER.C6(商品名)細胞を含めた細胞株であるが、これらに限定されない。このために、多数の第一世代組換えアデノウイルスベクターが文献(例えば、Bettら,Proc.Natl.Acad.Sci.,91:8802−8806(1994);国際公開第01/02607号パンフレット及び同第02/22080号パンフレット参照)に記載されている。“ガットレス”アデノウイルスベクターは、通常、ウイルスタンパク質コード配列を欠く第二世代アデノウイルスベクターであり、しばしば、パッケージング細胞株(例えば、PER.C6(商品名))においてヘルパー依存(HD)アデノベクターと一緒に増殖させたヘルパーウイルス(しばしばE1−欠失アデノウイルス)によりトランスに補充されるウイルスタンパク質を有する。或いは、ウイルスタンパク質が不在では、これらのウイルスベクターは複製、パッケージング及びレスキューを成功させるのに必要な構造及び機能的アデノウイルスタンパク質を発現し得る細胞株によりトランスに補充され得る。ウイルスベクターの高い人気及びウイルスベクターをベースとするワクチンまたは遺伝子治療ベヒクルを商用規模量で製造する最終的必要性にてらして、商用グレードの組換えアデノウイルスベクターを作成するためのより効率的な定性的及び定量的方法を開発することが必須となった。
アデノウイルス産生、特に無血清PER.C6(商品名)細胞培養物中でのアデノウイルス産生は酸素化のためにガス散布(sparging)が必要な大規模では日常的には実施されていなかった。小規模では、ガス散布の代わりに表面エアレーションにより通常十分量の酸素が供給され、COが除去されるので、散布に対する感受性の問題は回避され得る。大規模の場合、酸素化及びCO除去のためにガス散布がしばしば必要であり、よって大規模バイオリアクター設計及びウイルス産生のためにこの便利な酸素方法を使用できるようにするためにはウイルス感染細胞培養物へのガス散布に対する感受性の問題を解決することが必要である。細胞をガス散布によるダメージから保護するためには、Pluronic F−68のような剪断防護試薬を使用してもよい。
アデノウイルスを商用規模で産生するための1つの態様はウイルス種子ストックの作成である。細胞培養でのウイルス種子ストックの作成及びそのウイルス種子ストックそのものは当業界で公知である(例えば、米国特許第4,055,466号明細書、同第4,072,565号明細書、同第4,080,258号明細書、及び特にアデノウイルスに関する例として米国特許第5,994,134号明細書参照)。前記米国特許第’134号明細書は、アデノウイルスを含むウイルスを大量に産生するためにマイクロキャリア依存細胞系を使用することを開示している。
ウイルス種子ストックは、感染細胞培養物の細胞外及び/または細胞内ウイルスを無菌条件下で回収することにより作成される。細胞内ウイルスは細胞溶解により回収され得、ウイルスは溶解前にウイルス含有細胞を限外濾過するかまたは分離することにより濃縮され得る。通常、ウイルスを遊離させるべく細胞溶解するためにポリソルベート80またはトリトンX−100のような洗剤を含有する緩衝液または凍結/融解が使用されている。洗剤を用いる細胞溶解手順により、十分に細胞が溶解し、ウイルスが遊離する。これは単純で拡張性があり(scalable)、広く使用されているが、生じたウイルス種子は希薄濃度でも細胞膜にダメージを与え得る洗剤を含むであろう。このことは、培養条件に応じてウイルス増殖のためのその後の使用に悪影響を及ぼすかもしれない。一方、凍結/融解を用いる細胞溶解手順は単純で主として小規模で使用されるが、容易にスケールアップすることができない。よって、この手順は1,000〜50,000Lまたはそれ以上で実施する商用的規模産生のように培養物を大規模に感染させるために使用されるウイルス種子を大規模作成するためには実際的でない。
米国特許第6,186,941号明細書は、感染前に新鮮な培地を培養物に連続灌流させることに依存するアデノウイルスストックの作成方法を開示する。
米国特許第6,146,891号明細書及び同第6,168,944号明細書は、培養中にマイクロキャリアに細胞を付着させることに依存する細胞培養及びウイルス産生方法を開示している。
米国特許第5,837,520号明細書(Huygheら,Human Gene Therapy,6:1403−1406(1995)も参照)は、細胞溶解物をヌクレアーゼで処理した後(1)アニオン交換及び(2)金属イオンクロマトグラフィーに供することを含むアデノウイルスの精製方法を開示している。
米国特許第6,261,823号明細書は、アデノウイルス調製物をアニオン交換クロマトグラフィーに供した後、サイズ排除クロマトグラフィーに供することを含むアデノウイルスの精製方法を開示している。
米国特許第6,194,191号明細書は、細胞培養、洗剤溶解工程及び/または1回のクロマトグラフィー工程中低い灌流速度を用いるアデノウイルスの精製方法を開示している。
哺乳動物細胞バイオリアクター法の設計において最も重要な因子の1つは細胞への酸素供給である。研究規模では表面エアレーション、膜エアレーション及びガス散布を含む多様な方法が使用されている。ガス散布が多くの大規模細胞培養バイオリアクター法においてエアレーションのために選択されている方法である。なぜならば、酸素移動速度が速く、リアクターの設計及びスケールアップが容易であるからである。しかしながら、細胞−バブルの相互作用により剪断感受性哺乳動物細胞及び昆虫細胞がダメージを受けることは公知であり、このことが本発明の教示の中心をなす大規模産生運転では重要な問題として残る。散布により誘導される細胞ダメージのメカニズムが気液界面でのバブル破裂に関連する剪断であると当業界で考えられている。バルク液体中にバブルが付着すると、そのバブルの周りの液体層中に細胞が局在化し、その結果バブルが破裂したときに細胞死が生ずる。バブル直径が小さくなり、ガス流量が増加すると、バイオリアクターでの細胞ダメージが増えることが分かっている。剪断感受性細胞培養物に対する散布の悪影響の解決に関する研究の大部分は培地に対する成分の添加に向けられてきた。細胞−バブル付着、フォーミング及びバルク液体の物理的特性に影響を及ぼす恐れがある各種培地添加物が同定されている。散布培養物の生存度を改良させるための一般的方法は、細胞付着率の低下、表面張力の低下及び液体粘度の上昇を含む。散布式バイオリアクターにおける生存度に対するフォーム安定性の影響はまだ明らかでない。散布環境での細胞増殖を改良するために血清及び/または界面活性剤がしばしば使用されている。培地中の血清濃度を増加させると散布式リアクターにおける細胞ダメージが物理的及び生物学的に減少することは公知である。これは低下した細胞付着、培地粘度の増加により低下した乱流、低い血漿膜流動性及び培養での細胞の低い剪断感受性の結果であると仮定される。血清が散布培養物中のフォームを安定化させることは判明している。残念ながら、血清濃度を増加させることは現在の調節環境において優勢な無血清細胞培養方法において実行可能な選択肢ではない。ポリビニルアルコールのような界面活性剤は細胞−バブル付着を低下させるが、フォーム安定性に対していろいろな影響を及ぼすことが判明している。前記ポリマーについての防御的メカニズムはまだ明らかでない。界面活性剤はバブルへの細胞付着を低下させることに加えて、培地の表面張力も低下させ得、よって散布条件下で保護を与え得る。
Pluronic(登録商標)F−68のブロックコポリマーは、疎水性コア(ポリオキシプロピレンブロック)の周りに2つの親水性末端(ポリオキシエチレンブロック)から構成される。Pluronic(登録商標)F−68は昆虫及び哺乳動物細胞培養における防護剤として広く使用されている。Pluronic(登録商標)F−68は散布培養物における細胞−バブル付着及び表面張力を低下させることが判明している。防御効果に関する他の仮説は、PF68と細胞膜との直接的相互作用及び安定なフォーム層の形成であり、これにより破裂するバブルの近くの膜から細胞が排出されることを可能にする。PF68の多くの研究は培地中0.1%の濃度で実施されているが、その効果は濃度依存的であることが立証されている。散布したバキュロウイルス感染Spodoptera frugiperdaSf9培養物中最高0.5%の濃度で毒性は見られなかった。Murhammer及びGoochee(Bio/Technology,6:1411−1418(1988))は構造の異なる数種のPluronic(登録商標)ポリマーの使用を試験し、最高の親水性−親油性バランス(HLB)を有するものが最も防御的であることを見つけた(事実、最低のHLB値のものは細胞を溶解させた)。
感染哺乳動物細胞培養物の剪断感受性は余り知られていない。ウイルス感染マイクロキャリア培養物は撹拌ダメージを受けやすいことは判明しているが、ウイルス感染の影響に関する他の証拠はいずれも間接的である。今日まで、場合によりアデノウイルスを感染させたPER.C6(商品名)細胞に関する文献にも利用できる情報はない。後期段階でアデノウイルスを感染させると細胞は溶解する恐れがあるが、ウイルス感染が散布からの細胞ダメージを増悪させるかどうかは未知である。従って、こうした報告にもかかわらず、ワクチン及び/または遺伝子治療用途のために商用規模でのアデノウイルス産生の厳密な定量的・定性的要件を補うアデノウイルス種子ストックの大規模作成方法の開発が依然として要望されている。本発明は、細胞溶解剤を含まない濃縮した清澄化または非清澄化アデノウイルス種子ストックを大量に作成するための拡張可能な方法を開示することにより前記要望に取り組むものであり、かつこれを満たすものである。前記したアデノウイルス種子ストックはその後大規模アデノウイルス産生において細胞溶解剤の存在により引き起こされる悪影響のない改良された大規模細胞培養方法において利用され得る。
本発明は大規模ウイルス産生方法に関する。本明細書に記載の方法は、培養中十分なエアレーションを与えるためにガス散布が必須となる大規模バイオリアクター中の哺乳動物宿主細胞の懸濁培養物に適用することが好ましい。好ましくは、本発明の大規模方法は細胞溶解試薬、例えば洗剤トリトンX−100またはポリソルベート80(C1833)なしに作成したウイルス種子ストックを宿主細胞培養物に感染させるために使用することを含む。本明細書には、散布と一緒に高レベルの個々の剪断防護化合物または1種以上の剪断防護化合物の組合せも含みつつ、細胞培養物に前記したウイルス種子ストックを感染させる結果、再現性ある商用的に実行可能な大規模ウイルス産生方法が提供されることが開示されている。好ましい剪断防護化合物は、無血清哺乳動物増殖培地において効果的な剪断耐性化合物であることが判明しているノニオン性洗剤ブロックコポリマーであるであるPluronic(登録商標)F−68のような界面活性剤であるが、これに限定されない。本明細書には、剪断耐性/防護化合物は各ウイルス種子を感染させるまでの細胞培養プロセス中の任意の時間に添加され得ることが示されている。従って、細胞を(例えば大規模培養の開始から)培地中で増殖させ続けながら感染前に剪断防護化合物を添加することが便利であるが、培養物にウイルス種子ストックを接種するときまたは該接種時に合理的に近い時間に剪断防護化合物のすべてまたはバルクを添加することが十分合理的であり、本発明の範囲内である。
本発明の特定実施態様は、散布培養系内でのアデノウイルスの大規模産生方法に関する。上記したように、任意の野生型、修飾または組換えアデノウイルス血清型に適用される本明細書に記載の方法を十分なエアレーションを与えるようにガスを散布しながら大規模バイオリアクター中の哺乳動物宿主細胞の懸濁培養物に適用させることが好ましい。好ましくは、この大規模方法は細胞溶解試薬なしに作成したアデノウイルス種子ストックの使用及び宿主細胞に対するガス散布条件による有害な影響を相殺するための剪断防護化合物の配合を含む。ここでも、好ましい剪断防護化合物はPluronic(登録商標)F−68のような界面活性剤であるが、これに限定されない。
本発明の特定実施態様、すなわちガス散布条件下で無血清細胞培地中でのHIV−1導入遺伝子gag(援用により本明細書に含まれるとする国際公開第02/22080号パンフレットに記載されているMRKAd5gag)をコードする組換えアデノウイルスの大規模産生を本明細書中に例示する。より具体的には、(1)細胞培養物に細胞溶解成分を含まないウイルス種子を感染させる工程及び(2)方法の強健さ(robustness)を改良するために少なくとも約1g/L以上の濃度でPluronic(登録商標)F−68を培養物に添加する工程の組合せにより、アデノウイルスを産生するための改良された大規模スキームが提供される。前記した2つの工程を含むことにより、10,000L以上のロットでアデノウイルスを産生するためのバイオリアクターのスケールアップを含む、大規模産生運転のために再現され得る強健なウイルスロットの産生が可能である。
本発明はまた、細胞溶解成分を含まないウイルス種子ストック、特にアデノウイルス種子ストックの作成方法に関する。本発明のこの方法は、まず細胞溶解成分を含まない細胞増殖培地に宿主細胞を接種及び培養することと、前記宿主細胞に野生型、修飾(例えば、弱毒化ウイルス)または多分組換え型の任意の血清型のアデノウイルスを感染させることとを含む。生じたアデノウイルス感染宿主細胞を適切な時間培養した後、細胞溶解成分を添加したり凍結融解を使用することなく感染宿主細胞(細胞内アデノウイルス)及び細胞培地(細胞外アデノウイルス)からアデノウイルスを収集する。アデノウイルスを当業界で公知の方法で更に処理してもよい。例えば、細胞溶解成分を含まないアデノウイルスを濃縮して、細胞溶解試薬を含まない非清澄化濃縮アデノウイルス種子ストックを生成してもよい。或いは、清澄化とウイルス遊離を組み合わせた工程を施した後、残りのウイルス容量を濃縮して、細胞溶解成分を含まない清澄化ウイルス種子ストックを作成してもよい。本発明の最終ウイルス種子ストックを作成するための他の可能性ある方法には、(1)非清澄化ウイルス種子を生ずる溶解/濃縮段階、(2)清澄化ウイルス種子を生ずる溶解/濃縮段階後、公知の方法(例えば、濾過または遠心)による清澄化、(3)溶解/清澄化後、清澄化ウイルス種子の濃縮、及び/または(4)非濃縮ウイルス種子に対する溶解/清澄化が含まれるが、これらに限定されない。上記したプロトコルは滅菌条件下で実施される。非滅菌方法に続いて滅菌濾過工程を実施する。換言すると、本発明者らはウイルス種子ストックを作成するときに滅菌プロセッングすることを好む。しかしながら、ウイルス回収プロセス中非滅菌工程を実施した後に滅菌濾過工程を実施するかまたは本来的に非滅菌種子を作成することも明らかに当業者にとって本発明の教示の範囲内である。また、上記したように、細胞溶解成分なしにウイルス種子を作成するためには任意の方法及びその組合せが使用され得る。なお、前記ウイルス種子には清澄化ウイルス種子、非清澄化ウイルス種子、または後で清澄化工程にかけられる非清澄化ウイルス種子が含まれるが、これらに限定されない。
細胞溶解成分を含まないウイルス種子ストック(非限定的にアデノウイルス種子ストックが含まれる)を作成するための好ましい方法は、ウイルス産生のために大量の細胞培養物を感染させる際に使用される濃縮非清澄化ウイルス種子ストックを供するためにウイルス感染細胞培養物からのウイルスの収集、宿主細胞の機械的溶解及び使用可能なウイルス粒子(例えば、アデノウイルス粒子)の濃縮を同時に実施する中空糸限外濾過装置を使用することである。非清澄化ウイルス種子ストックを更に清澄化してもよい。上記したように、本発明のこの部分は、非清澄化のまま維持された最終ウイルス種子ストックの作成方法に決して限定されない。換言すると、本発明のこの部分には非清澄化ストック、清澄化ストックまたは後に清澄化される非清澄化ストックである濃縮ウイルス種子ストックが含まれ得る。
本発明は、細胞溶解成分を欠くウイルス種子ストックに関する。
本発明は、細胞溶解成分を欠くウイルス種子ストックに関し、このウイルス種子ストックには非限定的にアデノウイルス種子ストックが含まれる。
本発明はまた、本明細書に記載の方法により作成した細胞溶解成分を欠くウイルス種子ストックに関し、このウイルス種子ストックには非限定的にアデノウイルス種子ストックが含まれる。
上記したように、本発明の好ましい実施態様は細胞溶解成分を欠くアデノウイルス種子ストックに関する。アデノウイルス種子ストックは当業界で公知のアデノウイルスの任意の野生型、修飾(例えば、弱毒化形態)及び/または組換え血清型のストックであり得る。
本発明の目的は、細胞溶解試薬なしで作成したウイルス種子ストックを培養物に感染させ、培養物に高レベルの剪断耐性化合物[例えば、Pluronic(登録商標)F−68、ヒドロキシエチルスターチ、セルロース誘導体、血清、トリプトースホスフェート、ポリビニルアルコール(PVA)、ウシ血清アルブミン、ポリエチレングリコール(PEG)及び/またはデキストラン]1種、またはその1種を超える合理的な組み合わせであって、宿主細胞に対するウイルス感染前及び/または感染後のダメージに対して保護を与える組合せを添加することにより、ガス散布を用いるが、ガス散布の悪影響は克服する大規模ウイルス産生方法を提供することである。
本発明の更なる目的は、細胞溶解成分を含まない清澄化及び/または非清澄化ウイルス種子ストック(例えば、アデノウイルス種子ストック)並びに前記清澄化及び/または非清澄化ウイルス種子ストックを大規模に作成するための関連方法を提供することである。
本明細書中、用語「L」はリットルの略語である。
本明細書中、用語「VVM」はガス容量/液体容量/分の略語である。
本明細書中、用語「TMP」は膜貫通圧の略語である。
本明細書中、用語「PF−68」はPluronic(登録商標)F−68の略語である。
本明細書中、用語「LMH」はL/分/時の略号である。
本明細書中、用語「vp」または「VP」はウイルス粒子を意味する。
本明細書中、用語「vp/細胞」はウイルス粒子/細胞を意味する。
本明細書中、用語「剪断耐性化合物」、「剪断防護化合物」、「剪断防護試薬」及び類似の用語は同義的に使用されており、大規模哺乳動物細胞バイオリアクターにおいて優勢であり得る剪断力、例えば過剰の撹拌及びガス散布に対して十分な保護を与えるべく細胞培地に添加され得る化合物または試薬を意味する。「剪断防護化合物」にはPluronic(登録商標)F−68、ヒドロキシエチルスターチ、セルロース誘導体、血清、トリプトースホスフェート、ポリビニルアルコール(PVA)、ウシ血清アルブミン、ポリエチレングリコール(PEG)及び/またはデキストラン、並びにその組合せが含まれるが、これらに限定されない。これらの化合物は多様なメカニズムに対して剪断関連細胞ダメージからの保護を与えるが、トリトンX−100等の洗剤のように、感染または非感染宿主細胞の溶解は促進しない。
本明細書中、「大規模」、「商用的規模」、「パイロット規模」、「製造規模」及び類似の用語は宿主細胞、特に哺乳動物細胞の多分約10L〜50,000Lまたはそれ以上の総容量を有し得るバイオリアクターでの培養に関し、好ましい大規模産生は100〜20,000Lである。これらの用語は、本発明では哺乳動物細胞培養物でのウイルス産生を最大限とするためにガス散布が基本的に必要となるものとしての大規模哺乳動物細胞培養物を区別し、定義するために使用される。優れたウイルス産生をもたらす改良培養条件を作成するために本発明者らが導いた感染前及び感染後のガス散布に関する要件である。
本明細書中、用語「細胞溶解成分を含まない」または類似の表現は本明細書中に言及されている組成物が該組成物に悪影響を与えるであろう細胞溶解成分を少しも含まないことを意味する。この組成物には細胞培養増殖培地、清澄化ウイルス種子ストックまたは非清澄化ウイルス種子ストックが含まれるが、これらに限定されない。微量の前記化合物が組成物中に存在していてもよいが、宿主細胞または回収されたウイルス粒子のような組成物内の多数の成分のために細胞溶解化合物の悪影響は無視できることを当業者は理解している。
本発明は大規模ウイルス産生方法に関する。本明細書に開示されている方法は、好ましくは培養中十分なエアレーションを与えるためにガス散布が必須となる大規模バイオリアクター中の哺乳動物宿主細胞の培養懸濁物に適用される。本発明の大規模方法では洗剤トリトン−X−100またはボリソルベート80のような細胞溶解試薬なしで作成したウイルス種子ストックを宿主細胞培養物に感染させるために使用することが好ましい。本明細書には、散布し且つ高レベルの少なくとも1種の剪断保護化合物を配合しながら細胞培養物に前記ウイルス種子ストックを感染させると、再現可能で商用的に実現可能な大規模ウイルス産生方法が提供されることが開示されている。好ましい剪断耐性化合物は界面活性剤、例えば無血清哺乳動物増殖培地において効果的な剪断耐性化合物(すなわち、宿主細胞の一体性を特にウイルス感染後に保護することを助ける)であることが判明しているノニオン性洗剤ブロックコポリマーであるPluronic(登録商標)F−68であるが、これに限定されない。Pluronic(登録商標)シリーズの他のブロックコポリマーまたは感染宿主細胞に対してPluronic(登録商標)F−68(PF−68)と同レベルの保護を与える他の界面活性剤のような、他の界面活性剤を用いることも本発明の範囲内である。例えば、高い親水性−親油性バランスを有するPluronic(登録商標)コポリマー(Murhammer及びGoochee,Bio/Technology,6:1411−1418(1988)参照)は本明細書に記載の方法の候補であり得る。他の可能性ある化合物には、ヒドロキシエチルスターチ、セルロース誘導体、血清、トリプトースホスフェート、ポリビニルアルコール(PVA)、ウシ血清アルブミン、ポリエチレングリコール(PEG)及びデキストランが含まれ、培地の無血清性を保持する成分が重要であるが、これらに限定されない。本明細書に開示の大規模ウイルス産生レベル及び不変の再現性ある大規模ウイルス産生レベルを真似るように1種〜数種乃至多数の剪断防護化合物を混合し、適合させることも本発明の範囲である。よって、単独でまたは合理的な組合せで感染前及び/または感染後、宿主哺乳動物細胞に対して例示のPluronic(登録商標)F−68に匹敵する保護レベルを与える当業者が利用可能な剪断保護化合物または試薬が本発明の範囲内であると考えられる剪断防護化合物またはその組合せ配合である。剪断防護化合物の添加時期に関して、本明細書にはウイルス種子を感染させるまでの細胞培養プロセス中の任意の時期に剪断耐性/防護化合物を添加し得ることが示されている。従って、感染前に剪断防護化合物を添加し、細胞を培地で増殖し続けること(例えば、大規模培養の開始から)は、便宜上決定すればよいが、培養物にウイルス種子ストックを接種する時またはその合理的に近くの時で剪断防護物質の全部またはバルクを添加することが合理的であり、本明細書の方法の範囲内であることは明らかである。例えば、低濃度(例えば、約0.5g/L)のPF68を含む培地において一定時間培養物を増殖させ、その後感染時に濃度を1〜2g/L以上に増加させることが合理的である。或いは、剪断防護化合物の濃度は細胞培養物にウイルス種子ストックを感染させる時またはその付近までの任意の段階で感染後レベルまでもたらされ得ることは当然である。
本明細書に記載の方法で使用するための宿主細胞は、熱安定性ウイルスの複製を支持する哺乳動物細胞株、特に第1世代または第2世代アデノウイルスベクターの感染及び複製を支持する当業界で公知の宿主細胞からなる。好ましい宿主細胞は、E1及び/またはE1/E3欠失組換えアデノウイルスの感染及び複製を支持する宿主細胞株である。本明細書中に開示されているように、複製インコンピテントなウイルス(例えば、本明細書中に例示されているAd5gag)はAd5 E1欠失を補うヘルパー細胞株を必要とする。前記細胞株のいずれもが組換えウイルスを産生するために使用され得、好ましい細胞株には293細胞、PER.C6(商品名)細胞、ヒト胚網膜細胞株由来の911細胞(Fallauxら,Human Gene Therapy,7:215−222(1996));E1−形質転換羊膜細胞(Schiednerら,Human Gene Therapy,11:2105−2106(2000));ヒト肺癌のためのE1−形質転換A549細胞株(Imlerら,Gene Therapy,3:75−84(1996))及びGH329:HeLa(Gaoら,Human Gene Therapy,11:213−219(2000))が含まれるが、これらに限定されない。前記細胞株はそれぞれの組換えアデノウイルス(例えば、E1及び/またはE1/E3欠失組換えアデノウイルス)の複製及びパッキングを支持するように形質転換される。本発明で使用され得る別の細胞株は特定の熱安定性ウイルスに対する宿主細胞として機能するように改変された細胞株である。細胞株が連続細胞株であることが好ましく、培養細胞のソースが非新生物組織を起源とすることがより好ましい。また、哺乳動物ソースであり、最も多くは霊長類起源、特にヒト起源のものも好ましい。好ましい細胞株はAd E1またはE1/E3欠失組換えウイルスを増殖させるのに有用である細胞株;形質転換表現型について選択されたAdE1をコードする遺伝子をトランスフェクトした細胞株を含むE1−欠失アデノウイルスベクターを補う組換えウイルス、例えば293細胞(ヒト腎臓由来の上皮細胞)及びPER.C6(商品名)(ヒト胚網膜芽細胞)である。他の細胞タイプにはHeLa細胞、A549細胞、KB細胞、CKT1細胞、NIH/sT3細胞、ベロ細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、またはアデノウイルス生活環を支持するいずれもの真核細胞が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書中に示されているように、アデノウイルスのようなウイルスを散布条件下で増殖するための大規模適用の問題を解決するために幾つかの工程を採用し得る。工程の組合せは、(1)細胞培養物に細胞溶解成分を含まないウイルス種子を感染させること及び(2)培養物に界面活性剤(例えば、Pluronic(登録商標)F−68)のような剪断防護剤の少なくとも1種を少なくとも約1g/L以上の濃度で添加することを含む。これらの2つの工程を加えることにより、10,000L以上のロットでのアデノウイルス産生のためのバイオリアクターのスケールアップを含む、大規模生産運転のために再現性であり得る強健なウイルスロットを作成し得る。培地中にPluronic(登録商標)F−68のような界面活性剤を本明細書に記載されているレベルで配合することは、たとえ少量でも細胞溶解物質を含んでいるウイルス種子ストックを使用する場合には有用でない。ウイルス産生は別の培地ロット及び細胞溶解物質を含むウイルス種子を用いるときに大規模での散布条件では低下し、一定でないので、細胞溶解剤を含まないウイルス種子ストックを作成し、使用する追加工程が必要となる。このために、ウイルス種子を細胞溶解成分を使用せずに作成した。上記した2つの手段を実施することにより、ウイルス生産性は非散布の小規模コントロールと同レベルまで改良され、変動は大きく抑えられた。異なる培地ロットを用い、バッチが異なっても一定のウイルス産生が達成された。全体的な方法の強健さが有意に改良された。このことは、アデノウイルス産生のために10,000L規模で使用されるであろう最悪な場合でのスケールダウンガス散布条件下での一定のウイルス生産性を示している。
無血清PER.C6(商品名)細胞培養物におけるアデノウイルス産生は、酸素化のためにガス散布が必要な大規模では日常的に実施されていなかった技術である。小規模では、十分量の酸素供給を維持するために通常ガス散布の代わりに表面エアレーションが使用され、よって散布に対する感受性が回避され得る。大規模の場合、酸素化のためにガス散布がしばしば必要であり、よってウイルス感染細胞培養物のガス散布に対する感受性の問題を解決することが大規模バイオリアクター設計及びウイルス産生のためにこの便利な酸素方法を使用するために必要である。ウイルス種子はしばしば効果的な細胞溶解及びウイルス遊離のために使用されている細胞溶解成分、例えばポリソルベート80またはトリトンX−100の存在下で作成されている。その後、前記した細胞溶解試薬を含むウイルス種子は精製することなく培養物に直接使用される。本発明者らが現在知る限り、ウイルス感染のために前記種子を使用する影響に関するレポートはない。本明細書には、ガス散布条件下で、1種以上の細胞溶解成分(例えば、ポリソルベート80またはトリトン−X−100)を細胞溶解のための濃度で含む緩衝液を用いて作成したウイルス種子を使用したときにはアデノウイルス生産性が一定でなく、表面エアレーションした場合よりも通常非常に低いことが判明している。洗剤含有溶解緩衝液の用量依存効果はガス散布条件下で小規模バイオリアクターで実施した実験で本明細書中に示されている。
上記したように、ガス散布は依然として広く使用されており、大規模哺乳動物細胞培養物における酸素化及びCO除去のために必要な方法である。細胞をガス散布によるダメージから保護するために界面活性剤Pluronic(登録商標)F−68が通常使用されている。しかしながら、ウイルス感染細胞はガス散布に対して非感染細胞と異なる挙動を示すことがある。Pluronic(登録商標)F−68はたとえ比較的低濃度でも非感染細胞をガス散布によるダメージから保護し得るとしても、Pluronic(登録商標)F−68はウイルス種子の作成方法に依存してウイルス産生のために感染細胞をガス散布によるダメージから保護したりしなかったりする。本明細書には、ポリソルベート80またはトリトンX−100のような細胞溶解化合物を1種以上含む緩衝液を用いて作成したウイルス種子を使用したときにはアデノウイルス生産性が一定でなく、通常ガス散布条件下では表面エアレーション下よりも非常に低いことが判明し、開示されている。ガス散布条件下で小規模バイオリアクターにおいて実施した実験は洗剤含有溶解緩衝液の用量依存効果を示している。ウイルス生産性は前記洗剤の存在下でのガス散布条件下で損なわれる。たとえ少量であっても細胞溶解成分は細胞膜にダメージを与えることがあり、よって細胞は撹拌やガス散布からの剪断に対してより感受性となる。細胞溶解成分は培地添加物、特にPluronic(登録商標)F−68のような剪断防護物質とも相互作用し得る。これにより、Pluronic(登録商標)F−68を欠乏させる及び/または細胞のバブルへの付着を防止する能力を損なって、感染細胞を散布から保護できなくなり得る。PER.C6(商品名)細胞及びアデノウイルス培養のために使用される無血清培地(293 SFM II,Invitrogen)は0.3g/LのPluronic(登録商標)F−68を含む。非感染PER.C6(商品名)細胞をダメージから保護するのに十分であったとしても、前記無血清培地は細胞溶解試薬の存在下に散布条件下で作成したウイルス種子を感染させたPER.C6(商品名)細胞を効果的に保護しない。
アデノウイルス種子は通常、感染細胞培養物の細胞外及び/または細胞内ウイルスを回収することにより作成される。細胞内ウイルスは細胞溶解により回収され得、ウイルス濃縮は溶解前にウイルス含有細胞を限外濾過または分離することにより達成され得る。通常、ウイルスを遊離させるための細胞溶解のためにはポリソルベート80またはトリトンX−100のような洗剤を含有する緩衝液が使用されている。洗剤を用いる細胞溶解手順により、十分に細胞が溶解し、ウイルスが遊離する。この手順は簡単で、拡張可能なで広く使用されているが、得られるウイルス種子は洗剤を含む。しかしながら、本発明者らは、前記した一般的な処方物を使用すると培養条件に依存してウイルス増殖のためのその後の使用が影響を受けたり受けなかったりすることを知見した。一方、凍結/融解を用いる細胞溶解手順は簡単で、小規模で最も多く使用されているとしても、簡単にスケールアップされ得ない。よって、この手順は大規模で(1,000L以上)培養物を感染させるために使用されるウイルス種子を大規模に作成するためには実際的でない。
本明細書には、細胞溶解用の洗剤を使用せずに作成したウイルス種子を使用することが重要であることが開示されている。従って、本発明は細胞溶解成分を含まないウイルス種子ストック、特にアデノウイルス種子ストックの作成方法に関し、その方法はまず細胞溶解成分を含まない細胞増殖培地に宿主細胞を接種及び培養することと、前記宿主細胞に野生型または組換え型のいずれかの血清型のアデノウイルスを感染させることとを含む。生じたアデノウイルス感染宿主細胞を適当な時間培養し、その後アデノウイルスを感染宿主細胞(細胞内アデノウイルス)及び細胞培養培地(細胞外アデノウイルス)から細胞溶解成分を添加せずに収集し、収集したアデノウイルスを濃縮して、細胞溶解物質を含まない非清澄化アデノウイルス種子ストックを得る。このために、細胞溶解添加物を用いずに感染PER.C6(商品名)細胞懸濁液培養物から無菌条件下でアデノウイルス種子を作成するための拡張可能な方法を開発した。
本発明の特定態様は、細胞溶解成分を用いずに、細胞溶解及びウイルス遊離のために機械的剪断を用い、保存用に容量を減らすためにウイルスを濃縮するために中空糸技術を用いることを含む拡張可能な方法に関する。接線流濾過は細胞収集、組換えタンパク質及びウイルスを含む産物の清澄化及び濃縮のためにバイオプロセッシング産業で広く使用されている。接線流設計により膜の近傍で高い剪断率及び乱流が生じて、高い物質輸送率が得られる。この系は供給溶液、透過物及び保持物の3つの異なるプロセス流からなる。用途に応じて、異なる孔径を有するフィルターを使用する。細胞収集及び細胞破片の清澄化のためには0.1μm以上の孔径を有するフィルターを用いる。保持物または透過物が産物である。限外濾過は通常0.1μmよりも小さい孔径を有するフィルターを用いる濾過を指す。産物は通常保持されるが、容量は透過により減量する。生物薬剤業界において接線流濾過のために2つの最も広く使用されている形態はプレート及びフレームモジュール並びに中空糸モジュールである。限外濾過及び精密濾過用中空糸ユニットは1970年代始めにAmicon and Ramiconが開発した(M.Cheryan,「限外濾過ハンドブック(Ultrafiltration Handbook)」)が、現在ではSpectrum及びA/G Technologyを含めた複数の業者から販売されている。中空糸モジュールは、膜に透過選択性を与える濃密なスキン層を有する多数の自己支持性糸から構成されている。糸直径は0.5〜3mmである。中空糸モジュールの主な利点の1つは、ファィバの直径が比較的小さく、流体速度が速いために膜壁で高い剪断率(よって、高い物質輸送率)が得られることである。中空糸モジュールの別の利点は、非常に小さい膜面積(約16cm)〜非常に広い膜面積(約28cm)のフィルターが利用でき、直線的且つ簡単にスケールアップできる。
ウイルス種子作成のためには、フィルターモジュールがオートクレーブ処理可能かまたはその場で蒸気処理可能でなければならない滅菌プロセッシングが主に考慮される。Spectrum Laboratories(カリフォルニア州)及びA/G Technologyが前記ユニットの主な業者である。これらの業者は50〜750kDaの公称分子量カットオフ(NMWC)のポリスルホン限外濾過モジュールを提供し、このモジュールは滅菌され得る。
他の濾過方法も本発明の上記の部分を実施するために使用され得ることに注目されたい。なお、その濾過方法の幾つかは本明細書中に例示されている。例えば、中空糸膜の代わりにプレート及びフレーム法も使用され得るが、これに限定されない。本発明者らは最近アデノウイルス感染PER.C6(登録商標)細胞培養物からウイルスバルクを同時に溶解し、かつ清澄化する方法を開発した。Sartoriusが提供する精密濾過モジュール(Sartocon製0.45μm Hydrostart(商品名))はウイルスを透過物中に収集する方法で使用される。感染細胞を回転型ローブポンプで発生する剪断及び精密濾過モジュールを同時に用いて溶解すると、細胞内ウイルスが遊離する。ウイルス透過を最大限とし、膜汚損を最小限とするために、この方法の最中に流量を約20L/時/m−膜面積に調節する。その後、ウイルスを含む透過物を限外濾過クロスフロー濾過により濃縮して減量させる。この工程の膜はウイルスを保持しながら高い流量を与えるように選択され、例えば300kDa NMWCポリエーテルスルホン膜(Sartorius)が使用される。
本発明の上記部分の好ましい実施態様では、アデノウイルス種子が感染PER.C6(商品名)細胞懸濁培養物から滅菌条件下で作成される。感染から約48時間後に保持しようとするウイルスよりも小さい分子量カットオフを有する中空糸限外濾過システム中を再循環させることにより感染させた細胞培養物を収集する。効果的な細胞溶解及びウイルス遊離のために壁剪断を最大限とするように小管腔直径が選択される。再循環中細胞内ウイルスは機械的切断による細胞溶解のために上清に遊離し、細胞溶解前に上清中に存在する細胞外ウイルスと一緒に濃縮される。濃縮の終了時に透過物は閉じられ、細胞溶解及びウイルス遊離を確実に完了させるために追加の再循環を使用してもよい。その結果、濃縮した非清澄化ウイルス種子が作成される。前記アプローチは、限外濾過が非清澄化ウイルス培養収集物で実施されるので減量のための濃縮プロセスを単純化させるだけでなく、細胞溶解試薬を用いずにウイルス遊離のための完全な細胞溶解を同時に保証する。この方法を用いて実験室規模及び240L規模で作成した非清澄化ウイルス種子は、その後に感染試験を行い、成功裏に一定のウイルス生産性が得られた。上記したように、本発明はまた細胞溶解成分を含まないウイルス種子ストック、特にアデノウイルス種子ストックの作成方法に関する。本発明のこの部分は、まず細胞溶解成分を含まない細胞増殖培地に宿主細胞を接種及び培養することと、前記宿主細胞に野生型、修飾型(例えば、弱毒化ウイルス)またはより確かには組換え型のいずれかの血清型を有するアデノウイルスを感染させることとを含む。本発明の大規模方法における好ましい実施態様では、剪断耐性化合物としてPluronic(登録商標)F−68(PF−68)を使用する。本明細書中、PF−68は少なくとも10g/Lくらいの高レベルで問題なく使用されることが示されている。これらの教示にてらし、当業者はPF−68レベルを適当に増加させ得る。従って、PF−68の使用可能な範囲は当業者が試験できるように少なくとも約0.3〜約10g/Lまたはそれ以上である。PF−68のより使用可能な範囲は1〜2g/Lである。また、(PF−68と細胞溶解成分を含まないウイルス種子との組合せで使用される)ガス散布条件は大規模産生運転のために必要な散布流量と一致することが判明している。従って、大規模ウイルス産生方法では0.001〜0.05VVM、最も好ましくは0.01VVMの流量に対応する流量でのガス散布を用いる。
細胞溶解成分を含まないウイルス種子ストック(非限定的に、アデノウイルスストックを含む)を作成するための好ましい方法は、感染細胞培養物からウイルスを収集すると同時に宿主細胞を機械的に溶解し、かつ利用可能なウイルス粒子(例えば、アデノウイルス粒子)を濃縮するために中空糸限外濾過を用いることであり、もってウイルス産生のために大規模細胞培養物を感染する際に有用な濃縮された非清澄化ウイルス種子ストックが得られる。本明細書中に言及したように、アデノウイルスは当業界で公知の多数の方法により更に処理され得る。例えば、細胞溶解成分を含まないアデノウイルスを濃縮すると、細胞溶解試薬を含まない非清澄化濃縮アデノウイルス種子ストックが得られ得る。また、清澄化及びウイルス遊離を組み合わせた1工程で実施し、その後残りのウイルス容量を濃縮して細胞溶解成分を含まない清澄化ウイルス種子ストックを作成し得る。本発明の最終的にウイルス種子ストックを作成するための他の可能性ある方法は、(1)非清澄化ウイルス種子を生じさせる溶解/濃縮段階、(2)清澄化ウイルス種子を生じさせる、溶解/濃縮段階及びその後の任意の公知の方法(例えば、濾過または遠心)による清澄化、(3)溶解/清澄化及びその後の清澄化ウイルス種子の濃縮、及び/または(4)非濃縮ウイルス種子に対する溶解/清澄化が含まれるが、これらに限定されない。上記したプロトコルは滅菌条件下で実施される。非滅菌プロセッシングを行った場合には、その後に滅菌濾過工程を実施し得る。細胞溶解成分を含まずに生じさせたウイルス種子を作成するためには、いずれもの方法またはその組合せが使用され得る。このウイルス種子には清澄化ウイルス種子、非清澄化ウイルス種子、またはその後清澄化工程にかけられる非清澄化ウイルス種子が含まれるが、これらに限定されない。従って、ウイルス回収プロセス中に非滅菌工程を実施した後、滅菌濾過工程を実施すること、またはその代わりに、非滅菌種子そのものを作成することが当業者にとって本発明の教示の範囲内であることは明らかである。
本発明はまた、細胞溶解成分(例えば、洗剤)を欠くウイルス種子ストックに関し、前記ウイルス種子ストックにはアデノウイルス種子ストックが含まれるが、これらに限定されない。
本発明はまた、本明細書に開示の方法により作成した細胞溶解成分(例えば、洗剤)を欠くウイルス種子ストックに関し、前記ウイルス種子ストックにはアデノウイルス種子ストックが含まれるが、これらに限定されない。
上記したように、本発明の好ましい実施態様は、細胞溶解成分(例えば、洗剤)を欠くアデノウイルス種子ストックに関する。アデノウイルス種子ストックは当業界で公知のアデノウイルスの野生型及び/または組換え血清型のストックであり得る。
本明細書の実施例の欄に特定の細胞培養及びウイルス産生条件が開示されているが、各宿主細胞/ウイルス培養系に使用すべく最適化するために本発明の教示を使用することは当業者の権限の範囲内である。また、培養条件、培地成分、または細胞溶解成分を含まないウイルス種子ストックと、さらには培地中に高レベルの界面活性剤を特にウイルス感染後に使用することと組合せて使用し得る当業者の公知の他の工程または方法を変化または修飾することも本発明の範囲内である。適用される特定パラメーターに関係なく、これらの教示によりウイルスは大規模商用的施設で常に再現可能に作成され得る。本発明は組換えアデノウイルス5血清型に関して例示されているが、これらの教示を他のアデノウイルス血清型に適用することは本発明の範囲内である。これらの教示が他のウイルスに適用されることもまた当業者の権限の範囲内である。なお、他のウイルスにはベロ細胞でのロタウイルスのように哺乳動物細胞培養物中で産生した細胞内ウイルスが含まれるが、必ずしもこれに限定されない。換言すると、この技術はウイルス遊離のために細胞溶解が必要な場合に有用である。
本発明の特定実施態様は、散布式培養系内でのアデノウイルスの大規模作成方法に関する。上記したように、野生型または組換えアデノウイルス血清型に適用される本明細書に記載の方法を十分なエアレーションを与えるためにガスを散布しながら大規模バイオリアクターでの哺乳動物宿主細胞の懸濁培養物に適用することが好ましい。この大規模方法は、好ましくは、細胞溶解試薬なしに作成したアデノウイルス種子ストックの使用及び感染宿主細胞に対するガス散布条件による悪影響を相殺するための剪断保護化合物の配合を含む。また、好ましい剪断保護化合物はPluronic(登録商標)F−68のようなノニオン性界面活性剤であるが、これに限定されない。よって、本発明はガス散布条件下で無血清細胞培養での組換えアデノウイルスベクターを大規模に作成するための強健な方法に関する。上記したように、大規模容量でウイルスを再現可能に産生するプロトコールを可能にするために幾つかの手段を採用した。第1に、Pluronic(登録商標)F−68のような剪断保護化合物の濃度を方法の強健さを改良するために1g/L以上に増加させる。第2に、細胞を溶解することが当業界で公知の洗剤または酵素(例えば、トリトンX−100、ポリソルベート80)のような細胞溶解化合物を用いずにウイルス種子を作成する。本明細書中に教示しているように、この2つの手段を採用することによりウイルス生産性は高まり、大規模な運転毎の変動は最小限となる。異なるバッチ間で別の培地ロットを用いて一定のウイルス産生が達成された。全体的な方法強健さは大きく改良された。この方法は、300Lバイオリアクターにおいて複数のバッチで、アデノウイルス産生のためのずっと大規模のバイオリアクター規模(1,000L以上)のために予想されるガス散布速度を用いて一定のウイルス生産性で立証された。この目的のために、本発明の特定実施態様を本明細書に例示する。すなわち、組換えAd5gagウイルスを無血清細胞培養物においてガス散布条件下でPluronic(登録商標)F−68を少なくとも約1g/Lの濃度で培養物に添加して大規模に産生する一方で、宿主細胞培養物を感染させるために使用されるアデノウイルス種子は洗剤や酵素のような細胞溶解試薬を用いずに作成する。この2つの工程を導入することにより、1,000L以上のロットでアデノウイルスを産生するためのバイオリアクターのスケールアップを含む大規模産生運転のために再現され得る強健なウイルスロットが産生され得る。
従って、感染PER.C6(商品名)懸濁培養物から細胞溶解用洗剤を使用せずに滅菌条件下でアデノウイルス種子を作成するための拡張可能な方法を開発する。この拡張可能な方法は、ウイルス種子を大規模に(1,000L以上)作成し得るために必要である。小規模では、洗剤を使用せずに細胞溶解及びウイルス遊離のために凍結/融解が通常使用される。たとえ簡単であっても、この方法はウイルス種子を1,000L以上で作成するためにスケールアップできない。本発明者らの実験室では、洗剤を使用せずに細胞溶解及びウイルス遊離のために機械的剪断を用い、保存容量を減量するためのウイルス濃縮のために中空糸濾過技術を用いる拡張可能な方法を開発している。特に、中空糸濾過技術を用いる方法を開発し、これは、ウイルス遊離のために有意に細胞溶解すると同時にウイルス濃縮のために減量するものである。感染PER.C6(商品名)細胞懸濁培養物から滅菌条件下でアデノウイルス種子を作成するために、感染から約48時間後に保持しようとするウイルスよりも小さい分子量カットオフを有する中空糸限外濾過システムを介する再循環を開始することにより感染細胞培養物を収集する。小さい管腔直径を選択し、効果的な細胞溶解及びウイルス遊離のために壁剪断を最大限とする。再循環中、機械的剪断による細胞溶解のために細胞内ウイルスは上清に遊離し、細胞溶解前の上清中に存在する細胞外ウイルスと一緒に濃縮される。濃縮終了時に、透過物を閉じ、完全な細胞溶解及びウイルス遊離を確保するために追加の再循環を使用してもよい。その結果、濃縮された非清澄化ウイルス種子が作成される。前記方法は、非清澄化ウイルス培養物収集物で限外濾過を実施しているので減量のための濃縮プロセスを単純化するだけでなく、洗剤を使用せずに同時にウイルス遊離のために完全な細胞溶解も確保する。実験室規模及び240L規模でこの方法を用いて作成した非清澄化ウイルス種子はその後に感染試験を行い、成功裏に一定のウイルス生産性が得られた。
本発明を更に説明するために下記非限定的実施例を提示する。
アデノウイルス種子ストック作成:凍結融解
ウイルス種子ストック作成のためにウイルス感染から48〜72時間後にHIV導入遺伝子gagをコードする組換えアデノウイルスベクターを感染させた培養物を収集する。感染細胞懸濁液を集め、100〜1000gで10〜20分間遠心することにより沈降させる。次いで、生じた細胞ペレットを少量の使用ずみまたは新鮮な培地中に元の収集細胞懸濁液の10〜20倍の濃縮係数で再懸濁する。濃縮細胞懸濁液を3回凍結融解して、細胞を壊し、ウイルス遊離を促進させる。次いで、細胞破片を500〜1000gで10〜30分間遠心することにより除去し、こうして生じた細胞溶解物上清がウイルス種子ストックである。次いで、このウイルス種子ストックを少量ずつに分配し、将来使用するまで−70℃で保存する。
実験室規模でのアデノウイルス種子ストック作成:中空糸限外濾過
10L作業容量を有する20L ウェーブバイオリアクターにおいて培養したPER.C6(商品名)細胞にHIV導入遺伝子nefをコードする組換えアデノウイルスベクターを290ウイルス粒子/細胞(vp/細胞)の感染効率(MOI)及び0.72×10細胞/mlの生細胞濃度で感染させた。感染から49時間後(hpi)に、0.66×10細胞/mlの総細胞濃度及び81%の生存度で2つのウエーブバイオリアクターから収集した。アニオン交換HPLC(AEX)アッセイによると、濃縮開始の時点でウイルスの20.4%は上清中にあった。
ウイルス種子作成のために、0.39mの表面積及び0.05μmの孔径を有するSpectrum製ポリスルホン中空糸膜を用いて収集培養物を溶解し、濃縮した。単位操作は、オートクレーブ処理により滅菌し、浸出成分を除去するためにオートクレーブ処理の前後に注射用水(WFI)を流した中空糸フィルターを用いて滅菌条件下4.4L/分の一定クロスフロー速度及び約7psigの膜貫通圧(TMP)で実施した。
全収集物約17Lを15倍に濃縮し、平均流量は55L/m/h(LMH)とした。この間細胞はウイルス遊離のために溶解した。図1は単位操作中の流量及びTMPプロフィールを示す。所望濃度係数に達したら、保持物を更に20分間(保持物バルブは制限したままにし、膜の透過側は完全に閉じて)システムを介して再循環させた。
表1にウイルス及び材料バランスを要約する。濃縮の最終時に上清中に遊離したウイルスは86%であった。回収された容量に基づいて、使用可能なウイルスの72%が保持物上清中に回収された。2.84×1014VP/Lの非清澄化濃縮ウイルス種子約1Lを得て、さらなる使用に供した。
Figure 2005521417
大規模なアデノウイルス種子ストック作成:中空糸限外濾過
240L作業容量を有する300Lバイオリアクターにおいて培養したPER.C6(商品名)細胞にHIV導入遺伝子gagをコードする組換えアデノウイルスを0.59×10細胞/mlの生細胞濃度及び280vp/細胞の感染効率(MOI)で感染させた。感染から52時間後(hpi)に、0.55×10細胞/mlの総細胞濃度及び55%の生存度でバイオリアクターから収集した。この単位操作の開始時点でウイルスの25%は上清中にあった(AEXにより)。
ウイルス種子作成のために、5.6mの表面積及び300kDaの孔径を有するA/G Technology製ポリスルホン中空糸膜を用いて収集培養物200Lを溶解し、濃縮した。単位操作は、製造業者の推奨に従ってその場で水蒸気(SIP)を用いて殺菌し、浸出成分を除去するために滅菌前にWFIを流した中空糸を用いて滅菌条件下27LPMのクロスフロー速度及び7.5psigに維持したTMPで実施した。収集物200Lを32倍に濃縮し、このプロセス中の平均流量は33LMHであった。操作に入って60分後にフォーミング及び空気同伴を防ぐためにクロスフロー速度を下げた。その結果、TMP及び流量の両方が低下した。図2は単位操作中の流量及びTMPプロフィールを示す。所望濃度係数に達したら、保持物を更に5分間(保持物バルブを開き、膜の透過側は完全に閉じて)システム中を再循環させた。
表2にウイルス及び材料バランスを要約する。濃縮の終了時に上清中に遊離したウイルスは79.9%であった。回収された容量に基づいて、使用可能なウイルスの58.7%が保持物上清中に回収された。14.4×1014VP/Lで非清澄化濃縮ウイルス種子約4.4Lを得て、さらなる使用に供した。
Figure 2005521417
実験室規模でのアデノウイルス種子ストック作成:プレート及びフレーム膜を用いる精密濾過及び限外濾過
240L作業容量を有する300Lバイオリアクターにおいて培養したPER.C6(商品名)細胞にHIV導入遺伝子gagをコードする組換えアデノウイルスを0.51×10細胞/mlの生細胞濃度及び70vp/細胞の感染効率(MOI)で感染させた。感染から48時間後(hpi)に、0.64×10細胞/mlの総細胞濃度及び63%の生存度でバイオリアクターから収集した。この単位操作の開始時点でウイルスの29.7%は上清中にあった(AEXにより)。
0.24mの合計表面積及び0.45μmの孔径を有するSartorius製再生セルロース膜スライス2枚を用いて収集培養物20Lを溶解し、清澄化した。この単位操作は溶解と清澄化の2つの工程とした。溶解工程は、透過物ポートを閉じて4.0LPMのクロスフロー速度で実施した。溶解後、4.0LPMのクロスフロー速度及び21.4LMHにコントロールした透過流量で清澄化を実施した。膜は製造業者の推奨に従ってその場で水蒸気(SIP)を用いて殺菌し、浸出成分を除去するために滅菌の前後にWFIを流した。
約19Lを透過物として回収し、膜透過圧(TMP)をこのプロセスの最中に7.5psigから9.0psigに増加させた。図3は清澄化工程の流量及びTMPプロフィールを示す。表3にウイルス及び物質バランスを要約する。40分の溶解ステッブの終了時点で上清中に遊離されたウイルスは92%であった。回収された容量に基づいて、使用可能なウイルスの65.7%が透過物中に回収された。類似の溶解/清澄化実験を同一の収集物を用いて実施して、両実験からの追加の容量及び透過物をプールした。
Figure 2005521417
ウイルス種子を作成するために、0.14mの表面積及び300kDaの孔径を有するSartorius製ポリエーテルスルホン(PES)膜片を用いてプールした透過物32Lを濃縮した。この単位操作は1.4LPMで実施し、TMPは約9.1psigに維持した。膜は製造業者の推奨に従ってその場で水蒸気(SIP)を用いて殺菌し、浸出成分を除去するために滅菌の前後にWFIを流した。
透過物32Lを18.8倍に濃縮し、このプロセス中の平均流量は38.2LMHであった。図4は単位操作中の流量及びTMPプロフィールを示す。表4にウイルス及び材料バランスを要約する。回収された容量に基づいて、使用可能なウイルスの84%が濃縮工程からの保持物中に回収された。約4.0×1014VP/Lの清澄化濃縮ウイルス種子約1.7Lを得て、さらなる使用に供した。
Figure 2005521417
アデノウイルス感染中の散布に対するPER.C6(商品名)細胞の感受性
本実施例は、2L撹拌式タンクバイオリアクター中で実施した一連の実験に記載するように、感染PER.C6(商品名)細胞の散布に対する感受性及びそのHIV導入遺伝子gag(Ad5gag)をコードする組換えアデノウイルス産生に対する影響を示す。初期実験では、散布培養物のウイルス生産性は表面エアレートしたローラーボトル培養物及び2L撹拌式タンクバイオリアクター培養物よりも低かった。散布のダメージを抑えるために、培養物中のPluronic(登録商標)F69(PF−68)の濃度を増加させた。細胞増殖率及び代謝は最高10g/Lの濃度でもPF−68により影響されないことが判明した。低濃度の細胞溶解試薬含有ウイルス種子緩衝液の存在は散布ダメージの可能性ある原因として同定された。その後、ウイルス種子緩衝液を除去し(すなわち、細胞溶解成分なし)、PF−68を添加することが3種の異なる培地ロットを用いて散布の問題の解決方法として成功裏に立証された。この解決法は最悪の散布条件下での300L規模での感染培養物でも確認された。従って、これらの結果に基づいて、PF−68濃度を1g/Lに上昇させ且つ細胞溶解剤を使用せずに作成したウイルス種子を使用することが1,000〜10,000L及びそれ以上の産生規模のような大規模アデノウイルス産生のために有用である。
材料及び方法
(細胞株及び維持)
すべての実施例で用いたPER.C6(商品名)細胞を無血清条件下での懸濁培養に適用し、撹拌式バイオリタクターにおいて6mM L−グルタミン(メリーランド州ウォーカービルに所在のBiowhittaker Inc.)を補充した293 SFM II(ニューヨーク州グランドアイランドに所在のInvitrogen)中で定法どおり維持する。293 SFM IIは0.3g/LのPF−68を含み、所望により追加のPF−68(ニューヨーク州グランドアイランドに所在のInvitrogen)を補充した。
(ウイルス種子ストック)
Ad5gagをPER.C6(登録商標)細胞において増殖させた。ウイルス種子は5mM トリス、1mM MgCl、75mM NaCl、5%(w/v) スクロース及び1%(w/v) ポリソルベート−80(緩衝液A)または使用済み(または新鮮な)培地を含む緩衝液中に保存した。緩衝液Aウイルス種子ストックは別段のことわりがない限りすべての実験に使用した。
(バイオリアクター系)
小規模バイオリアクター実験は、2Lの作業容量のB.Braun Biostat MDツインバイオリアクター系(ペンシルバニア州アレンタウンに所在のB.Braun Biotech)において実施した。
(定量用ウイルスサンプルの作成)
総ウイルス濃度を上清(SupまたはS)と清澄化細胞溶解物(CL)中のウイルスの合計またはトリトンX−100溶解物(TL)サンプル中のウイルス濃度により調べた。Supサンプルは、収集した培養物を1800×gで20分間遠心し、上清を収集することにより作成した。残りの細胞ペレットを再懸濁し、1% PS−80を含有する緩衝液Aで10倍に濃縮し、3回凍結融解して溶解した後、細胞破片を除去するために遠心した。TL全ブロスサンプルは0.1%(w/v)の最終濃度までトリトンX−100を添加し、150RPMで1時間撹拌することにより作成した。次いで、1800×gで20分間遠心した後上清を回収することによりサンプルを清澄化した。Sup、CL及びTLサンプルはいずれも分析まで−70℃で保存した。
(分析方法)
細胞濃度は血球計数計を用いて測定し、生存度はトリパンブルー排除により得た。ウイルス濃度はShabramら(Human Gene Therapy,8:453−465(1997))が開発した方法を用いてアニオン交換HPLC(AEXアッセイ)により検出した。
実験1:バイオリアクター及びローラーボトルでのウイルス産生に対する散布の影響
4個の2Lバイオリアクター(1個は散布式及び3個は非散布式)に同一MOIで上記したウイルス種子を感染させた。感染後、培養物100mlを散布式バイオリアクターからローラーボトル(RB)に移し、空気中5% COを30秒間流した。感染から48時間後(hpi)に細胞濃度、生存度、代謝物及びウイルス濃度を調べるために培養物をサンプリングした(S及びCLサンプルのみ)。
実験2及び3:PER.C6(商品名)細胞増殖に対するPF−68の毒性
本実験の目的は、細胞増殖のために使用され得るPH−68の濃度限界を同定することであった。実験2には、PF−68を0.3(添加なし)、1.0及び2.0g/Lの最終濃度まで補充した培地に接種した3つの非散布式バイオリアクターを含めた。実験3には、PF−68を1.0及び10g/Lの最終濃度まで補充した培地に接種した2つの散布式リアクターを含めた。いずれのバイオリアクターからも細胞計数、生存度及び代謝物濃度を調べるために毎日サンプリングした。
実験4:1% PS−80を含有する緩衝液Aの濃度のウイルス産生に対する影響
本実験の目的は、不在または高量の緩衝液Aがウイルス産生方法に与える影響を調べることであった。7個のバイリアクター(6個は散布式)に2.0×10細胞/mlで接種し、同一MOIで感染させた。バイオリアクター中の緩衝液Aの濃度は、緩衝液Aに添加するかまたは使用済みもしくは新鮮な培地中で作成したウイルス種子を用いることにより変化させた。使用した量は0X、1X、7X及び21X(1X=0.025%v/v)であった。非散布コントロールは1Xの最終緩衝液A濃度を有していた。2個の追加リアクターは1.0g/LのPF−68濃度、0X及び1Xの緩衝液濃度を有していた。48hpiに細胞数、生存度及びウイルス濃度を調べるためにすべてのバイオリアクターからサンプリングした(S、CL及びTL)。
実験5:散布の問題に対する可能性ある解決法の強健さの試験
本実験は、PF−68濃度を1g/Lまで増加させ、緩衝液Aをウイルス種子から除去したときに散布及び非散布培養物のウイルス生産性に差異がないことを示す。6個のバイオリアクターでは1g/LのPF−68を培地に接種し、新鮮培地(緩衝液A添加せず)中で作成したウイルス種子を感染させた。293 SFM IIの3種のロット(各ロットに対して1個はバイオリアクター散布及び1個は表面エアレーション)を用いた。48hpiに細胞数、生存度及びウイルス濃度(S、CL及びTL)を調べるためにバイオリアクターからサンプリングした。
結果及び考察
2つの初期実験(実験1及び2)でウイルス産生に対する散布のネガティブな影響が観察された。実験1では、3個の非散布式表面エアレーションバイオリアクターでのウイルス生産性は殆ど変化を示さなかった(表5)。しかしながら、散布培養物での生産性はコントロールの表面エアレーションローラーボトル及び3個の非散布式2Lバイオリアクターよりも有意に低かった。更に、上清で見られたウイルスの割合(%)は散布式リアクターで10倍高かった。このことは、散布の存在下での細胞溶解が高いことを示している。実験2(表6)から、散布式バイオリアクターとコントロールローラーボトル間の第2の比較で散布の有害な影響が確認された。ここでも、48hpiでの散布式バイオリアクターで産生されたウイルスは、72hpiで収集されたRBに比してかなり少なかった。追加のデータはウイルス濃度が48hpi後一定のままであることを示している。
Figure 2005521417
Figure 2005521417
(細胞増殖及び代謝に対するPF−68濃度の影響)
散布式細胞培養バイオリアクターでは通常最高2g/LのPF−68が使用されている。感染プロセスでPF−68の濃度を増加させる前に、高レベルのPF−68により引き起こされるPER.C6(商品名)細胞に対する毒性の問題を調べなければならない。各種濃度のPF−68での細胞増殖を散布条件(実験4)及び非散布条件(実験3)下で調べた。生細胞濃度を図5及び6の半対数スケールでプロットした。勾配から倍化時間を計算し、細胞増殖速度を比較するために示す。これらの図は、最高10g/LまではPF−68が細胞増殖に対して影響を与えないことを示している。その結果、1g/LのPF−68の最終濃度を、散布を伴うウイルス産生を調べる次の実験のために使用した。
実験4:1% PS−80を含有する緩衝液Aの散布培養でのウイルス産生に対する影響
2L規模及びローラーボトル規模で実施した本実施例の以前のすべての実験で、使用したウイルス種子は緩衝液A(1% PS−80を含む)中で処方した。リアクターに添加したら、培養物中の緩衝液Aの濃度は最終的に0.025%v/vとなった。実験4は、散布条件下でこの緩衝液がウイルス産生にどのように影響を及ぼすかを調べるために企画された。表7にウイルス緩衝液(場合により1g/LのPF−68を含む)の濃度を変化させた非散布コントロールでのウイルス産生を要約する。図7は、ウイルス緩衝液の濃度を増加させることにより散布式バイオリアクターでのウイルス産生が大きく影響されることを示している。PF−68添加と種子からのウイルス緩衝液の除去との組み合わされた効果によりアデノウイルス産生方法の強健さが有意に向上することは明らかである。
Figure 2005521417
実験5:散布の問題の解決法の試験
実験4で得たデータの結果として、より高い1g/LのPF−68濃度及び細胞溶解物質を含まない培地で処方したウイルス種子の感染を試験した。この解決法の強健さを調べるために、散布及び非散布感染を3つの培地ロットで対戦形式で試験した。293 SFM IIの3つすべてのロットで、散布式バイオリアクターは非散布コントロールとほぼ同量のウイルスを産生した。表8に要約したこれらの結果は、1g/LへのPF−68の増加及びウイルス種子からの1% PS−80含有緩衝液Aの除去が、2L規模で散布の問題を解決することを示している。
Figure 2005521417
大規模で散布条件下で細胞溶解試薬を含まないウイルス種子を感染させたアデノウイルス培養物
直近の実験で、ウイルス種子から1% ポリソルベート80を除去し、0.7g/LのPluronic F−68を添加すると2L規模での散布の悪影響を解消することが立証されている。しかしながら、大規模(300L〜)での散布では、小規模(2L)での散布よりもガス流量を非常に高くしなければならない(表9参照)。本実施例は、本発明の方法における300L規模での散布に対するPER.C6(登録商標)細胞の感受性を示す。
Figure 2005521417
材料及び方法
本研究用のアデノウイルス種子は溶解させた10L収集ウイルスバルクストックから作成し、実施例2と同様にして溶解緩衝液を添加せずに中空糸限外濾過により濃縮した。この非清澄化種子からアリコートを採取した。
2つの10LバイオリアクターからのPER.C6(登録商標)培養物をプールし、300Lを接種するために使用した。6個の2L容量培養物を接種から約2時間後に300L容器から6個の2L容器に移した。2Lリアクター及び300Lバイオリアクターの両方中の細胞にMRKAd5gag種子(MRKAd5gagベクターは援用により本明細書に含まれるとする国際公開第02/22080号パンフレットに記載されている)を〜280VP/細胞のMOIで感染させた。感染から約1時間後に3個の2L容量の感染培養物を300L容器から3個の2L容器に移した。感染から48時間目(hpi)にすべてのバイオリアクターからサンプリングした。また約72hpi及び96hpiにすべてのバイオリタクターからサンプリングした。上清及びトリトン−X100溶解サンプル(TL)由来のウイルス濃度をAEXアッセイにより求めた。散布流量、接種時間及び使用した種子等の実験条件を表10に要約する。
結果
本実施例に示したデータは、アデノウイルスの大規模産生において細胞溶解材料を欠くウイルス種子ストックを用い得ることを示している。図8(細胞増殖)及び図9(細胞生存度)は、大規模(300L)産生が実施例2及び3に例示したように作成したウイルス種子ストックを用いたときと同様の結果を与えることを示している。300L及び2Lコントロールバイオリアクターにおけるウイルス産生を表10に要約する。
Figure 2005521417
本発明の範囲は本明細書に記載されている特定実施態様により限定されない。実際、本明細書に記載されている実施態様に加えて本発明の各種修飾が本明細書の記載から当業者に自明である。その修飾は添付の特許請求の範囲の範疇に入ることを意思している。
複数の刊行物が本明細書中に引用されているが、これらの開示内容は援用により本明細書に含まれるとする。
中空糸限外濾過系を用いてウイルス種子を実験室規模で作成するための単一工程細胞溶解及び濃縮ユニット操作中の流量及び膜貫通圧(TMP)プロフィールを示す。 中空糸限外濾過系を用いてウイルス種子を大規模に作成するための単一工程細胞溶解及び濃縮ユニット操作中の流量及び膜貫通圧(TMP)プロフィールを示す。 実験室規模で0.45μm再生セルロースSartorius膜を用いる実験室規模運転のための清澄化工程中の流量及びTMPプロフィールを示す。 実験室規模で濃縮中300kDa PES Sartorius膜を用いる実験室規模での産生のための濃縮ユニット操作中の流量及びTMPプロフィールを示す。 異なる濃度のPluronic(登録商標)F−68に対する2L容量の非散布式バイオリアクターにおける生存細胞濃度(実施例4の実験3)を示す。 1〜10g/LのPluronic(登録商標)F−68を含む培地を有する2L容量の散布式バイオリアクターにおける生存細胞濃度(実施例4の実験4)を示す。 散布式リアクターにおけるウイルス産生に対するウイルス緩衝液濃度の影響(実施例4の実験4)を示す。 実施例6における散布式または非散布式の2L容量及び300L容量のバイオリアクターにおけるPER.C6(商品名)細胞増殖を示す(エラーバーは95%信頼間隔を示す)。 実施例6における散布条件を300Lまでスケールアップして増殖させたPER.C6(商品名)細胞増殖を示す(エラーバーは95%信頼間隔を示す)。

Claims (46)

  1. a)有効量の剪断防護化合物を含む細胞増殖培地に宿主細胞のポピュレーションを接種し、b)前記細胞増殖培地において前記宿主細胞を培養し、c)前記細胞増殖培地中の前記宿主細胞に、本質的に細胞溶解成分を含まないウイルス種子のストックのアリコートを感染させ、d)工程c)のウイルス感染細胞をガス散布しながら培養し、e)前記宿主細胞及び細胞増殖培地から細胞内及び/または細胞外ウイルスを収集し、並びにf)工程e)の収集ウイルスを精製することを含む大規模ウイルス産生方法。
  2. 前記剪断防護化合物がPluronic(登録商標)F−68、他のPluronic(登録商標)コポリマー、ヒドロキシエチルスターチ、セルロース誘導体、血清、トリプトースホスフェート、ポリビニルアルコール(PVA)、ウシ血清アルブミン、ポリエチレングリコール(PEG)及びデキストランからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
  3. 前記剪断防護化合物がPluronic(登録商標)F−68である請求項2に記載の方法。
  4. Pluronic(登録商標)F−68が約0.3〜約10g/Lの濃度で存在する請求項3に記載の方法。
  5. Pluronic(登録商標)F−68が約1〜約2g/Lの濃度で存在する請求項4に記載の方法。
  6. ガスを最高約0.1VVMの流量に相当する流量で散布する請求項1に記載の方法。
  7. ガスを最高約0.001〜0.05VVMの流量に相当する流量で散布する請求項6に記載の方法。
  8. ガスを最高約0.1VVMの流量に相当する流量で散布する請求項2に記載の方法。
  9. ガスを最高約0.001〜0.05VVMの流量に相当する流量で散布する請求項8に記載の方法。
  10. ガスを最高約0.1VVMの流量に相当する流量で散布する請求項3に記載の方法。
  11. ガスを最高約0.001〜0.05VVMの流量に相当する流量で散布する請求項10に記載の方法。
  12. ガスを最高約0.1VVMの流量に相当する流量で散布する請求項4に記載の方法。
  13. ガスを最高約0.001〜0.05VVMの流量に相当する流量で散布する請求項12に記載の方法。
  14. ガスを最高約0.1VVMの流量に相当する流量で散布する請求項5に記載の方法。
  15. ガスを最高約0.001〜0.05VVMの流量に相当する流量で散布する請求項14に記載の方法。
  16. a)有効量の剪断防護化合物を含む細胞増殖培地に宿主細胞のポピュレーションを接種し、b)前記細胞増殖培地において前記宿主細胞を培養し、c)前記細胞増殖培地中の前記宿主細胞に本質的に、細胞溶解成分を含まないアデノウイルス種子のストックのアリコートを感染させ、d)工程c)のアデノウイルス感染細胞をガス散布しながら培養し、e)前記宿主細胞及び前記細胞増殖培地から細胞内及び/または細胞外アデノウイルスを収集し、並びにf)工程e)の収集アデノウイルスを精製することを含む大規模アデノウイルス産生方法。
  17. 剪断防護化合物がPluronic(登録商標)F−68、他のPluronic(登録商標)コポリマー、ヒドロキシエチルスターチ、セルロース誘導体、血清、トリプトースホスフェート、ポリビニルアルコール(PVA)、ウシ血清アルブミン、ポリエチレングリコール(PEG)及びデキストランからなる群から選択される請求項16に記載の方法。
  18. 前記剪断防護化合物がPluronic(登録商標)F−68である請求項17に記載の方法。
  19. Pluronic(登録商標)F−68が約0.3〜約10g/Lの濃度で存在する請求項18に記載の方法。
  20. Pluronic(登録商標)F−68が約1〜約2g/Lの濃度で存在する請求項19に記載の方法。
  21. ガスを最高約0.1VVMの流量に相当する流量で散布する請求項16に記載の方法。
  22. ガスを最高約0.001〜0.05VVMの流量に相当する流量で散布する請求項21に記載の方法。
  23. ガスを最高約0.1VVMの流量に相当する流量で散布する請求項17に記載の方法。
  24. ガスを最高約0.001〜0.05VVMの流量に相当する流量で散布する請求項23に記載の方法。
  25. ガスを最高約0.1VVMの流量に相当する流量で散布する請求項18に記載の方法。
  26. ガスを最高約0.001〜0.05VVMの流量に相当する流量で散布する請求項25に記載の方法。
  27. ガスを最高約0.1VVMの流量に相当する流量で散布する請求項19に記載の方法。
  28. ガスを最高約0.001〜0.05VVMの流量に相当する流量で散布する請求項27に記載の方法。
  29. ガスを最高約0.1VVMの流量に相当する流量で散布する請求項20に記載の方法。
  30. ガスを最高約0.001〜0.05VVMの流量に相当する流量で散布する請求項29に記載の方法。
  31. a)細胞溶解成分を含まない細胞増殖培地に宿主細胞を接種及び培養し、c)工程a)の宿主細胞にウイルスを感染させて、ウイルス感染宿主細胞を得、d)前記ウイルス感染宿主細胞を培養し、e)いずれもの添加細胞溶解成分による助勢を伴わずに前記宿主細胞及び前記細胞増殖培地から細胞内及び/または細胞外ウイルスを収集し、並びにf)工程e)の収集ウイルスを濃縮して、非清澄化ウイルス種子ストックを得ることを含む細胞溶解成分を含まないウイルス種子ストックの作成方法。
  32. 工程e)のウイルスを非機械的剪断により宿主細胞から遊離させる請求項31に記載の方法。
  33. 工程e)のウイルスを機械的剪断により宿主細胞から遊離させる請求項31に記載の方法。
  34. 前記機械的剪断方法が中空糸限外濾過、プレ−ト及びフレーム精密濾過、超音波、高圧ホモジナイジェーション、ポンプ、衝突ジェット(impinging jet)、並びに機械的粉砕からなる群から選択される請求項33に記載の方法。
  35. 工程e)及びf)を、細胞溶解及び減量のために感染細胞培養物を中空糸限外濾過にかけることにより同時に実施する請求項31に記載の方法。
  36. 請求項31〜35に記載の方法により作成した非清澄化ウイルス種子ストック。
  37. a)細胞溶解成分を含まない細胞増殖培地に宿主細胞を接種及び培養及びc)工程a)の宿主細胞にアデノウイルスを感染させて、アデノウイルス感染宿主細胞を得、d)前記アデノウイルス感染宿主細胞を培養し、e)いずれもの添加細胞溶解成分による助勢を伴わずに前記宿主細胞及び前記細胞増殖培地から細胞内及び/または細胞外アデノウイルスを収集し、並びにf)工程e)の収集アデノウイルスを濃縮して、非清澄化アデノウイルス種子ストックを得ることを含む細胞溶解成分を含まないアデノウイルス種子ストックの作成方法。
  38. 工程e)のウイルスを非機械的剪断により宿主細胞から遊離させる請求項37に記載の方法。
  39. 工程e)のウイルスを機械的剪断により宿主細胞から遊離させる請求項37に記載の方法。
  40. 前記機械的剪断方法が中空糸限外濾過、プレ−ト及びフレーム精密濾過、超音波、高圧ホモジナイジェーション、ポンプ、衝突ジェット、並びに機械的粉砕からなる群から選択される請求項39に記載の方法。
  41. 工程e)及びf)を、細胞溶解及び減量のために感染細胞培養物を中空糸限外濾過に供することにより同時に実施する請求項37に記載の方法。
  42. 請求項37〜41に記載の方法により作成した非清澄化ウイルス種子ストック。
  43. 前記非清澄化ウイルス種子ストックを更に清澄化工程に供する請求項31に記載の方法。
  44. 請求項43に記載の方法により作成した清澄化ウイルス種子ストック。
  45. 前記非清澄化ウイルス種子ストックを更に清澄化工程に供する請求項37に記載の方法。
  46. 請求項45に記載の方法により作成した清澄化ウイルス種子ストック。
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