JP2005520562A - 成長ホルモン分泌促進受容体(ghs)に関連する疾患の診断および治療 - Google Patents

成長ホルモン分泌促進受容体(ghs)に関連する疾患の診断および治療 Download PDF

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Abstract

本発明は、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症に関連するヒトGHSを提供する。本発明はさらに、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患の処置または予防に有用な化合物の同定のためのアッセイを提供する。本発明はさらに、GHSと結合および/または活性化あるいはGHSの活性を阻害する化合物並びにそのような化合物を含有する医薬組成物に関する。

Description

本発明は分子生物学の分野に関し、より具体的には、本発明は、ヒトGHSの核酸配列およびアミノ酸配列、並びに哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患の処置のためのその調節に関する。
Gタンパク質共役受容体
GHSは7回膜貫通型Gタンパク質共役受容体(GPCR)である[Smith RG et al. (1999), Guan XM et al. (1997), Kim K et al. (2001), WO97/22004, WO2001/38355, US 6242199]。多くの医学的に重要な生体プロセスは、Gタンパク質が関与するシグナル伝達経路により媒介されている(Lefkowitz et.al. 1991)。Gタンパク質共役受容体(GPCR)のファミリーには、ホルモン、神経伝達物質、成長因子、およびウイルスに対する受容体が含まれる。GPCRの具体例としては、ドーパミン、カルシトニン、アドレナリン作動性ホルモン、エンドセリン、cAMP、アデノシン、アセチルコリン、セロトニン、ヒスタミン、トロンビン、キニン、卵胞刺激ホルモン、オプシン、内皮細胞分化遺伝子−1、ロドプシン、臭気物質、サイトメガロウイルス、Gタンパク質自身、エフェクタータンパク質(例えばホスホリパーゼC、アデニル酸シクラーゼおよびホスホジエステラーゼ)、およびアクチュエータータンパク質(例えばプロテインキナーゼAおよびプロテインキナーゼC)などの物質に対する受容体が挙げられる。
GPCRは、少なくとも8個の異なる親水性ループを連結する、膜を貫通する7個の保存されたドメインを持っている。GPCR(7TMレセプターとしても知られる)は、少なくとも8個の異なる親水性ループを連結する、約20ないし30のアミノ酸のこれら7個の保存された疎水性ストレッチを含むものとして特徴付けられている。殆どのGPCRは、最初の二つの細胞外ループの各々に単一の保存されたシステイン残基を持っており、これがジスルフィド結合を形成し、機能的タンパク質構造を安定化させると考えられている。この7個の膜貫通領域はTM1、TM2、TM3、TM4、TM5、TM6、およびTM7と呼ばれる。TM3はシグナル伝達に関わっている。システイン残基のリン酸化および脂質化(パルミチル化またはファルネシル化)は、幾つかのGPCRのシグナル伝達に影響を及ぼし得る。殆どのGPCRは、第三細胞質ループおよび/またはカルボキシ末端内部にリン酸化の可能性ある部位を含んでいる。幾つかのGPCR、例えばβ−アドレナリン作動性レセプターでは、プロテインキナーゼAおよび/または特異的レセプターキナーゼによるリン酸化によってレセプターの脱感作が仲介される。
幾つかのレセプターについては、GPCRのリガンド結合部位が、数個のGPCR膜貫通ドメインにより形成された親水性ソケットを含むと考えられる。この親水性ソケットは、GPCRの疎水性残基に取り囲まれている。各GPCR膜貫通ヘリックスの親水性側は、内側を向き、極性リガンド結合部位を形成していると仮定されている。TM3は、リガンド結合部位、例えばTM3アスパラギン酸残基を持っている幾つかのGPCRと関連している。TM5のセリン、TM6のアスパラギン、およびTM6またはTM7のフェニルアラニンまたはチロシンもまたリガンド結合に関連している。
GPCRは細胞内部でヘテロ三量体Gタンパク質により、種々の細胞内酵素、イオンチャンネルおよび輸送体と共役している。種々のGタンパク質αサブユニットは優先的に特定のエフェクターを刺激し、細胞の様々な生体機能を調整する。GPCRの細胞質残基のリン酸化は、幾つかのGPCRの調節にとって重要な機構である。例えば、或る形のシグナル伝達においては、ホルモン結合の効果は、細胞内部での酵素アデニルシクラーゼの活性化である。ホルモンによる酵素の活性化はヌクレオチドGTPの存在に依存する。GTPはホルモン結合にも影響を及ぼす。Gタンパク質はホルモンレセプターをアデニルシクラーゼに結合させる。Gタンパク質はホルモンレセプターによって活性化されると、GTPを、結合したGDPに交換する。すると、GTPを有する型が、活性化アデニルシクラーゼに結合する。Gタンパク質自身により触媒されるGTPからGDPへの加水分解が、Gタンパク質をその基本的な不活性型へと戻す。したがってGタンパク質は、レセプターからエフェクターへとシグナルを中継する仲介物質としての、そしてシグナルの持続を制御する時計としての、二重の役割を果たしている。
過去15年間にわたり、7TM受容体を標的とする350近くの治療薬が成功裏に上市されてきた。この事は、これらのレセプターが治療薬として確立された折り紙付きの歴史を持っていることを示すものである。明らかに、細菌、真菌、原虫といった感染症、およびウイルス感染症、とりわけHIVウイルスによる感染症、癌、喘息を含むアレルギー、急性心不全を含む心疾患、低血圧症、高血圧症、狭心症、心筋梗塞、血液の疾患、秘尿生殖器系の疾患、尿失禁および良性前立腺肥大、骨粗鬆症、および疼痛、アルツハイマー病およびパーキンソン病を含む末梢神経系および中枢神経系の障害、が挙げられるがこれらに限定されない機能不全または疾患を予防、改善または是正において役割を果たし得る、さらなる受容体の同定および特徴づけが必要とされている。
TaqMan法/ヒト組織の局在
TaqManは最近開発された技術であり、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)中のリアルタイムでのハイブリダイゼーションプローブからの蛍光レポーター色素の放出がPCR産物の累積量に比例する。定量は、反応初期の、直線部分に基づき、バックグラウンド上の蛍光が最初に検出される閾サイクル(threshold cycle)(CT)を決定することにより行う。
遺伝子発現技術は、標的の同定、リード最適化、および作用機序の同定などの薬物送達および薬物開発のいくつかの分野において有用であろう。TaqMan技術は、正常組織と病的組織の発現プロファイルとの違いを比較するのに使用することができる。発現プロファイリングは、様々な疾患を上方調節または下方調節する遺伝子の同定に用いられてきた。発現プロファイリングの興味深い応用は、疾患が進行間と薬物処置の間または患者対健常者の遺伝子発現における変化の一時的な監視である。このアプローチの前提は、生理学的または取り巻く刺激(例えば薬物)に応答する遺伝子発現パターンの変化が、疾患を誘発する遺伝子または薬物標的についての間接的な手掛かりとして供しうるということである。さらに、全体的な遺伝子発現パターンに対する確立された効力を有する薬物の効果は、新しい薬物をそれと比較することができる指針、即ち遺伝子による署名(genetic signature)を提供し得る。
GHS
GHS受容体のヌクレオチド配列は、公開されているデータベースにて、アクセス番号U60179でアクセス可能であり、配列番号1で示される。GHSのアミノ酸配列は配列番号2で示される。GHSは、成長ホルモン放出ペプチド(例えば、GHRP-6、GHRP-2)の受容体として記載される[Smith RG et al. (1999)]。GHS受容体はまた、WO9722004およびWO200138355に公開されている。この受容体は、下垂体腺腫、下垂体、視床下部、海馬において発現する[Guan XM et al., 1997; Kim K et al., 2001]。
(発明の要旨)
本発明は、新たな、GHSポリペプチドおよびポリヌクレオチドの疾患の関連に関する。本発明は、さらに哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患の処置のための治療物質のスクリーニング方法に関する。本発明はさらに、GHSポリペプチド、GHSポリヌクレオチドまたはGHSの調節物質、GHS活性の調節物質を含有する、哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患の処置のための医薬組成物に関する。本発明は、さらに哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患の診断方法を包含する。
(発明の詳細な記載)
用語の定義
「オリゴヌクレオチド」は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)においてオリゴマー、アンプリマーまたはプローブとして用いられる十分な数の塩基を有するヌクレオチド残基の鎖である。オリゴヌクレオチドは、ゲノムまたはcDNA配列調製し、特定の細胞または組織において同様のDNAまたはRNAの存在を増幅し、明らかにし、または確認するために用いられる。オリゴヌクレオチドまたはオリゴマーは、少なくとも約10ヌクレオチドであって約35ヌクレオチド、好ましくは約25ヌクレオチドを有するDNA配列の一部を含んでいる。
「プローブ」は、天然のまたは組換えの1本鎖または2本鎖の核酸から誘導するかまたは化学的に合成することができる。これらは、同一または同様の配列の存在を検出するのに有用である。このようなプローブは、ニック翻訳、Klenow fill-in反応、PCRまたは当分野で周知の他の方法を用いてレポーター分子により標識することができる。核酸プローブをサザン、ノーザンまたはin situ ハイブリゼーションにおいて用いて、ある特定のタンパク質をコードするDNAまたはRNAが細胞、組織または器官に存在するか否かを決定することができる。
「ポリヌクレオチドの断片」は、約6kb以下のヌクレオチド、好ましくは約1kb以下のヌクレオチドを有するヌクレオチド配列の全部または一部を含む核酸である。
「レポーター分子」は、特定のヌクレオチドまたはアミノ酸配列を会合し、それにより特定の配列の存在を確定するまたは特定の配列の定量が可能な、放射性ヌクレオチド、酵素、蛍光性、化学発光性または発色性の試薬である。
「キメラ」分子は、本発明のヌクレオチド配列の全部または一部を、以下のGHSの特性のいずれか1つまたはいくつかを変えると期待し得るさらなる核酸配列を含有するベクターに導入することによって、構築することができる:細胞内の位置、分布、リガンド結合アフィニティー、相互作用アフィニティー、分解/回転率、シグナル伝達など。
GHSポリペプチドについて、「活性な」は、GHSの生物学的および/または抗原活性を保持するGHSの形態、断片またはドメインを意味する。
「天然のGHS」は、遺伝子操作されていない細胞によって産生したポリペプチドを意味し、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質付加、およびアセチル化が挙げられるがこれらに限定されないポリペプチドの翻訳後修飾から生じた様々なポリペプチドを具体的に企図する。
「誘導体」は、ユビキチン化、標識(上記参照)、ペギレーション(ポリエチレングリコールによる誘導体化)、および化学挿入またはヒトのタンパク質に通常存在しないオルチニンのようなアミノ酸の置換等の技術によって化学的に修飾されたポリペプチドを意味する。
「保存的アミノ酸置換」は、1つのアミノ酸を類似の構造および/または化学特性を有する別のアミノ酸で置換、例えば、ロイシンをイソロイシンまたはバリンで、アスパラギン酸をグルタミン酸で、またはトレオニンをセリンで置換することによって生じる。
「挿入」または「欠失」は、典型的には、約1〜5アミノ酸の範囲である。可能な変化は、ペプチドを合成により製造することによって実験的に決定してもよいが、配列へのヌクレオチドの挿入、欠失または置換は、組換えDNA技術を用いて計画的に行う。
「シグナル配列」または「リーダー配列」は、所望であるならば、ポリペプチドを細胞膜へ向かわせるのに用いることができる。そのような配列は、本発明のポリペプチドに自然に存在しているかまたは組換えDNA技術により異種の供給源に由来する。
「オリゴペプチド」は、アミノ酸残基の短い鎖であり、オリゴヌクレオチドから発現し得る。オリゴペプチドは、少なくとも3、5、10アミノ酸、最大で10、15、25アミノ酸、典型的には9〜13アミノ酸であって、生物学的および/または抗原活性を示すに十分な長さのアミノ酸残基の鎖を包含する。
「阻害剤」は、化学的または生理学的反応または応答を妨げるまたは阻止する任意の物質である。一般的な阻害剤としては、アンチセンス分子、抗体およびアンタゴニストが挙げられるがこれに限定されない。
「標準」なる表現は、比較のための量的または質的な大きさである。これは、統計的に適当な数の正常なサンプルに基づくものであり、診断アッセイを行う場合、臨床試験を行う場合、または患者の治療プロファイルを遵守する場合の比較の基礎として用いるために作成するものである。
本明細書において用いる「動物」は、ヒト、家庭用(ネコ、イヌなど)、農業用(ウシ、ウマ、ヒツジなど)または試験用(マウス、ラット、ウサギなど)の動物を包含するものと定義される。
本発明の意味における「GHSポリヌクレオチド」は、以下からなる群から選択される核酸分子であると理解される:
(i)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、
(ii)配列番号1の配列を含む核酸分子、
(iii)配列番号1の配列を有する核酸分子、
(iv)その相補鎖が、ストリンジェントな条件下で(i)(ii)または(iii)の核酸分子とハイブリダイズする核酸分子;および
(v)その配列が、遺伝コードの縮重により(iii)の核酸分子の配列とは異なる核酸分子
であって、ここに該核酸分子によってコードされるポリペプチドはGHS活性を有する。
本発明の意味における「GHSポリペプチド」、以下からなる群から選択される核酸分子であると理解される:
(i)配列番号2の配列を有するポリペプチド
(ii)配列番号2の配列を含むポリペプチド
(iii)GHSポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド;および
(iv)(i)、(ii)または(iii)のポリペプチドと少なくとも99%、98%、95%、90%または80%の相同性を示すポリペプチド
であって、ここに該ポリペプチドはGHS活性を有する。
GHSをコードするヌクレオチド配列(またはその相補的な配列)は、分子生物学の分野の当業者に周知の技術において数多くの応用がある。これらの技術には、ハイブリダイゼーションプローブとしての使用、PCRのためのオリゴマーの構築物における使用、染色体および遺伝子マッピングにおける使用、GHSの組換え生産における使用、およびアンチセンスDNAまたはRNAそれらの化学的類縁体の作成における使用などが挙げられる。本明細書に記載のGHSをコードするヌクレオチドの使用は、周知技術の例示であり、当業者に知られている技術におけるそれらの使用を限定することを意図するものではない。さらに、本明細書に開示のヌクレオチド配列を未だ開発されていないが、現在知られているヌクレオチド配列の特性、例えば3つ一組の遺伝子コード、特異的な塩基対相互作用など、を頼みとする新しい技術分子生物学の技術に使用することができる。
遺伝コードの縮重の結果として、多くのGHSをコードするヌクレオチド配列を製造し得ることは当業者に認識されよう。これらのいくつかは単に既知の天然のGHSのヌクレオチド配列に対して最小限の相同性を有するであろう。本発明は、可能なコドンの選択に基づいた組合せを選択することによって作成することができるヌクレオチド配列のありとあらゆる可能な変異を企図した。これらの組合せは、天然のGHSのヌクレオチド配列に対して適用される標準の3つ一組の遺伝子コードにしたがって作成し、その変異のすべてが具体的に記載されているものと解釈される。
GHSをコードするヌクレオチド配列、その誘導体またはその変異体は好ましくはストリンジェントな条件下で天然のGHSのヌクレオチド配列にハイブリダイズすることが可能であるが、実質的に異なるコドンの使用を有するGHSをコードするヌクレオチド配列またはその誘導体を産生することは有用であろう。コドンは、宿主が特定のコドンを利用する頻度にしたがって特定の原核または真核生物の発現宿主におけるペプチドの発現する比率を増大するように選択することができる。コードされたアミノ酸配列を改変することなく、GHSをコードするヌクレオチド配列および/またはその誘導体を実質的に改変する他の理由としては、より望ましい特性、例えば天然の配列から産生した転写物よりも長い半減期、を有するRNAを製造することが挙げられる。
GHSをコードするヌクレオチド配列は、十分に確立された組換えDNA技術によって様々なヌクレオチド配列に結合させることができる。GHSに連結するのに有用なヌクレオチド配列としては、例えば、プラスミド、コスミド、λファージ誘導体、ファージミドなどのクローニングベクターの分類が挙げられる。所望のベクターとしては、発現ベクター、複製ベクター、プローブ作成ベクター、配列決定ベクター等が挙げられる。一般に、所望のベクターに、少なくとも1つの生物において機能的な複製基点、制限エンドヌクレアーゼ感受性部位、および1またはそれ以上の宿主細胞系のための選択マーカーを含ませることができる。
本発明のさらなる態様は、GHSをコードするヌクレオチド配列にハイブリダイズすることが可能なGHSに特異的なハイブリダイゼーション プローブを提供することである。そのようなプローブはまた、同様のGPCRコード配列の検出に用いることができ、好ましくはGHS配列と少なくとも40%同一のヌクレオチドを含む。本発明のハイブリダイゼーション プローブは、配列番号1で示されるヌクレオチド配列または天然の遺伝子のプロモーター、エンハンサーまたはイントロンを含むゲノム配列から誘導することができる。ハイブリダイゼーションプローブは、当分野で周知の技術を用いて様々なレポーター分子によって標識することができる。
GHSポリペプチドの多くの欠失または突然変異類縁体が、GHSポリヌクレオチドの有効なハイブリダイゼーションプローブとなることは認識されよう。したがって、本発明は、そのようなGHSをコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列に関する。
「ストリンジェントな条件」は、実質的に関連する核酸配列のハイブリダイゼーションが可能な条件を意味する。例えば、そのような条件は、少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有する配列のハイブリダイゼーションが一般に可能である。ハイブリダイゼーション条件およびプローブは、十分に特徴付けられた方法において調整してヒト由来プローブの選択的なハイブリダイゼーションを達成することができる。本発明が意味するストリンジェントな条件は、1mM EDTA、0.5M NaHPO4(pH7.2)、7%(w/v)SDS中65℃である。
ストリンジェントな条件下でGHSポリヌクレオチドをコードする核酸にハイブリダイズする核酸分子は、機能的に同定することができる。ハイブリダイゼーションプローブのための使用の例としては以下のものが挙げられるがこれに限定されない:組織化学的使用、例えばGHSを発現する組織の同定;例えばサンプル組織の種類を同定するための、または異常なレベルのGHSを発現する細胞を同定するための、mRNAレベルの測定;およびGHSにおける多型の検出。
PCRは、GHSをコードするヌクレオチド配列に基づくオリゴヌクレオチドのためのさらなる使用を提供する。PCRにおいて用いられるそのようなプローブは、組換え体、化学的合成物または両者の組合せであってよい。オリゴマーは、具体的な組織におけるGHSの同定または診断的使用のために最適化された条件下で用いられる別個のヌクレオチド配列を含んでいてもよい。同一の2つのオリゴマー、即ちオリゴマーの入れ子のセット、またはさらにはオリゴマーの縮重プールは、密接に関連するDNAまたはRNAの同定のためにより低いストリンジェンシー条件下で用いることができる。
ポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)プライマーを設計するためのルールをPCRプロトコルを参照してここに確立する。縮重プライマー、即ち、与えられた配列の位置がヘテロローガスなプライマーの調製物を設計し、GHSに対して相同性が高いが同一ではない核酸配列を増幅させることができる。1つのプライマーのみが既知の配列に特異的にハイブリダイズするに必要なプライマーとなる方策がここに得られる。例えば、適当な核酸プライマーを、増幅してプライマーの1つのハイブリダイゼーションパートナーをもたらすと考えられる核酸にライゲーションすることができる。この方法では、プライマーの1つのみが、増幅すると思われる核酸の配列に基づいている必要がある。
核酸を増幅するためのPCR法は、少なくとも2つのプライマーを用いる。これらプライマーの1つは、増幅される核酸の第1の鎖にハイブリダイズすることができ、酵素主導の核酸合成を最初の方向でプライムすることができる。他方は、第1の鎖の逆の配列にハイブリダイズすることができ(増幅される配列が1本鎖である場合、この配列は、最初は推測上のものであるが、最初の増幅サイクルで合成される)、第1の方向とは反対方向でその配列からの核酸合成をプライムすることができ、第1のプライマーについてのハイブリダイゼーション部位に向かう。具体的には好ましいストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下での、そのような増幅を行うための条件はよく知られている。
GHSのための特異的なハイブリダイゼーションプローブを製造するための他の手段としては、GHSまたはGHS誘導体をコードする核酸配列の、mRNAプローブの製造のためのベクターへのクローニングが挙げられる。そのようなベクターは、当分野で周知であり、商業的に入手可能であり、T7またはSP6RNAポリメラーゼのような適当なRNAポリメラーゼおよび適当なレポーター分子を加えることにより、RNAプローブを合成するためにin vivoで用いることができる。
全体的に化学合成により、DNA配列またはその一部分を製造することができる。合成後、核酸配列を、当分野で周知の技術を用いて、多くの入手可能なDNAベクターおよびそれらのそれぞれの宿主細胞のいずれかに挿入することができる。さらに、化学合成を用いて突然変異をそのヌクレオチド配列に導入することができる。あるいは、突然変異が望まれる配列の部分を合成し、存在するゲノムまたは組換え配列のより長い部分で組換えることができる。
GHSポリヌクレオチドを用い、組換えDNAのよく知られた方法を用いて、精製されたオリゴペプチドまたはポリペプチドを製造することができる。オリゴペプチドは、原核または真核の様々な宿主細胞で発現し得る。宿主細胞は、ヌクレオチド配列が由来する種と同じ種に由来するものでよく、または異なる種に由来するものであってもよい。組換えDNA技術によりオリゴヌクレオチドを製造する利点としては、精製に適当な量のタンパク質が得られ、単純な精製手法が利用可能であるという点が挙げられる。
核酸の定量的測定
ヒトの疾患の分子遺伝子解析の重要なステップは、しばしば、核酸のコピー数の計数および特定の組織における遺伝子の相対的な発現である。
核酸の定量的な測定を行うためのいくつかの異なった方法が現在利用可能である。例えば比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)や蛍光in situ ハイブリダイゼーション(FISH)などの、染色体ベースの技術は、腫瘍細胞において変化したゲノムの領域を細胞遺伝学的に特定することを容易にする。ゲノムの変化した領域は、疾患DNAを分析し、ヘテロ接合性多型マーカーの欠失について正常なDNAと比較する、ヘテロ接合性の欠失解析(LOH)を用いてさらに絞り込むことができる。最初の実験は、制限酵素断片長多型(RFLPs)[Johnson(1989)]、または超可変ミニサテライトDNA[Barnes, 2000]を用いた。ここ数年、主としてマイクロサテライトのマーカーのPCR増幅および放射能標識された[Jeffreys(1985)]または蛍光標識されたPCR産物[Weber(1990)]の電気泳動を用いてLOHが行われており、正常なDNAと疾患DNAとを比較している。
他の数多くの方法もまた、核酸を定量するために開発されている [Gergen (1992)]。さらに最近になって、サンプル中の核酸の量を測定することが可能なPCRおよびRT−PCR法が開発された。1つの方法は、例えば、反応産物の形成が水平状態になる前に反応の対数期のPCR産物量を測定する[Thomas (1980)]。
すべてのサンプルに比較的一定の量で含まれている遺伝子配列は、標準化に有効なサンプル増幅に典型的に用いられる。但し、この方法にはいくつかの欠点がある。この方法は、各サンプルの核酸投入量が等しく、サンプル間の増幅効率が解析するまで同一である必要がある。さらに、ゲル電気泳動またはプレート補足ハイブリダイゼーション等のPCR定量の慣用的方法を用いて、この方法が必要とする反応の対数期の間にすべてのサンプルが実際に解析されるということを決定するのは困難である。
定量競合(QC)−PCRと呼ばれるさらなる方法は、その名前が示すように、各反応における内部対照競合物質の包含を頼みにする[Piatak (1993) BioTechniques]。各反応の効率を内部競合物質に標準化する。内部競合物質の既知の量を典型的に各サンプルに加える。既知の標的PCR産物を既知の競合PCR産物と比較して相対的な量を測る。この一般的方法では、標的分子と同じ効率で増幅する内部標準を開発することが難しい。
5’螢光ヌクレアーゼ解析
蛍光ヌクレアーゼ解析は、プローブを用いて増幅産物の形成をモニターするリアルタイムの定量法である。増幅産物の形成をモニターするこの方法の基礎は、二重標識した蛍光オリゴヌクレオチドプローブを用いてPCR産物の蓄積を継続的の測定することにあり、単純に「TaqMan法」として文献にしばしば引用されている[Piatak (1993), Science; Heid (1996); Gibson, (1996) Holland, (1991)]。
このようなアッセイに用いるプローブは、典型的には2つの異なる蛍光色素で標識した短い(約20〜25塩基)オリゴヌクレオチドである。このプローブの5’末端をレポーター色素に結合し、3’末端をクエンチング色素に結合するが、色素をプローブの他の位置に結合させることができる。プローブは、プローブ結合部位と少なくとも実質的な配列相補性を有する様に設計する。その位置のフランキング領域に結合する上流および下流のPCRプライマーを反応混合物に加える。プローブがインタクトであるとき、2つの蛍光間のエネルギー遷移が起こり、クエンチャーがレポーターからの発光をクエンチする。PCRの発光持続期間中に、Taqポリメラーゼ等の核酸ポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性によってプローブが開裂を受け、それによりオリゴヌクレオチド−クエンチャーからレポーターが放出され、レポーター発光強度の増加をもたらし、これを適当な検出器により測定することができる。
蛍光分析の間に生じるような蛍光発光を測定するために特別に調整された検出器の1つは、Applied Biosystems, Inc.社(Foster City,Calif)製のABI 7700または4700 HT である。ABI 7700は、96または384ウェルのPCRチューブ列の各ウェルに連結した光ファイバーを用いる。この装置は標識を励起するためのレーザーを含み、PCR増幅の間継続的にモニタリングしながら各試験管からの蛍光スペクトルの強度を測定することができる。各チューブは8.5秒毎に再試験を行う。
装置に供給されているコンピュータソフトウェアは、増幅の経過に渡ってレポーターおよびクエンチャーの蛍光強度を記録することが可能である。次いで、記録された値は、継続的に標準化されたレポーター強度の増加を計算するのに用いられる。発光強度の増大を時間、即ち増幅サイクルに対してプロットして、増幅の継続的な測定を行う。各増幅反応における位置を定量するために、増幅プロットを産物増幅の対照期のある時点で試験する。これは、バックグラウンドの上の蛍光閾値を割り当てて、各増幅プロットが閾値と交差する点(閾サイクル数またはCtとして定義される)を求めることによって行う。閾サイクル数の差を用いて各チューブ内に含まれるPCR標的の相対的量を算出する。各反応が100%のPCR効率であると考えると、1のCtの差は、初発のテンプレートの量で2倍の差異を示す。蛍光値は、標準曲線と関連して用いて、存在する増幅産物の量を決定することができる。
非プローブベースの検出法
形成する増幅産物を測定するために様々な選択肢が利用可能である。1つの方法は、色素等の、二本鎖のDNAのみに結合する標識を利用する。このタイプの方法では、増幅産物(二本差の)は溶液中の色素分子と結合して複合体を形成する。適当な色素により、溶液中の遊離の色素分子と増幅産物に結合した色素分子とを区別することができる。例えば、ある蛍光色素は、増幅産物と結合するときのみ蛍光を発する。この一般的なタイプの方法に用いることができる色素の例としては、Syber Green(登録商標)およびPico Green(Molecular Probe, Inc.(Eugene, Oreg.)社製)、臭化エチジウム、ヨウ化プロピジウム、クロモマイシン、アクリジンオレンジ、Hoechst 33258, Toto-1,Yoyo-l, DAPI(4',6-ジアミジノ−2−pフェニルインドール塩酸塩)が挙げられるがこれに限定されない。
別のリアルタイム検出技術は、PCRプライマーに結合した蛍光間のエネルギー蛍光エネルギー遷移の変化を測定する[Livak, (1995)]。
プローブベースの検出方法
これらの検出方法は、増幅プライマーの対の間の座とハイブリダイズするプローブの構造またはコンフォメーションに対する変化が関係する。いくつかの場合では、この変化は、増幅過程の間の核酸ポリメラーゼによって触媒されるテンプレート依存的発現によって引き起こされる。この増幅は、形成した増幅産物の量の間接的な測定値である検出可能なシグナルを生じる。
例えば、いくつかの方法は、伸張反応の間のプローブの分解または消化が関係する。これらの方法は、核酸ポリメラーゼに関する5’−3’ヌクレアーゼ活性の結果である。この活性を有するポリメラーゼは、その座に存在するその相補配列にアニールしたオリゴヌクレオチドプローブからモノヌクレオチドまたは小さいオリゴヌクレオチドを開裂する。
上流プライマーの3’末端は、核酸ポリメラーゼについての最初の結合部位をもたらす。ポリメラーゼは、上流プライマーの伸張と触媒し、プローブと結合するので、核酸ポリメラーゼは、プローブの5’末端の部分を置換し、そのヌクレアーゼ活性によってプローブからヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドを開裂する。
上流プライマーおよびプローブは、それらがアニールされて相補鎖が互いに近接するように設計することができる。事実、上流プライマーの3’末端およびプローブの5’末端は互いに接する。この場合では、上流プライマーの伸張は、核酸ポリメラーゼがプローブの開裂を開始するのには必要ではない。介在ヌクレオチドが上流プライマーとプローブとを分離しているような場合では、核酸ポリメラーゼがプローブの5’末端に遭遇する前にプライマーの伸張が必要である。いったん接触が起こり、重合化が継続すると、核酸ポリメラーゼの5’−3’エンドヌクレアーゼ活性によって、モノヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドのプローブの5’末端からの開裂が開始される。プローブの消化は、プローブの残存部分が相補鎖から解離するまで続く。
さらに、2つの末端部分は、互いにハイブリダイズしてヘアピンループを形成することができる。このコンフォメーションでは、レポーターおよびクエンチャー色素は、レポーターからの蛍光がクエンチャーにより効果的にクエンチされるように十分に近接している。対照的に、ハイブリダイズしたプローブは、クエンチングの程度が減少する線状のコンフォメーションとなる。したがって、2つの色素について発光の変化をモニターすることにより、増幅産物の形成を間接的にモニターすることが可能である。
プローブ
その配列が試験座または参照座の断片に実質的に相補的になるように標識されたプローブを選択する。上で説明したように、プローブが結合する核酸部位は、上流プライマーのプライマー結合部位と下流の増幅プライマーとの間に位置させる。
プライマー
本増幅において用いるプライマーは、増幅する座のフランキング領域で配列とハイブリダイズすることが可能となるように選択する。プライマーは、増幅する核酸の異なる鎖と少なくとも実質的な相補性を有する様に選択する。プローブを増幅産物の形成を検出するために用いる場合、プライマーがプローブを結合するように、即ち、プローブの上流および下流に位置するように選択する。
プライマーは、重合化のための薬剤の存在下で伸張産物の合成を開始することができるように十分な長さでなければならない。プライマーの長さと組成は、例えば、アニーリング反応を行う温度、プローブ結合部位とプライマーのそれとの近接、プライマーおよびプローブの相対濃度およびプローブの具体的な核酸組成を含む、多くのパラメータに依存する。典型的には、プライマーは、15〜30ヌクレオチドを含む。但し、プライマーの長さはプライマー結合部位および上記の因子の複雑さに依存してより長くても短くてもよい。
プローブおよびプライマーの標識
本発明のプローブまたはプライマーを標識するために用いる、増幅産物の量に対応するシグナルをもたらすことができる標識は、様々な形態を取ることができる。5’蛍光ヌクレアーゼ法に関して上に示したように、蛍光シグナルは、測定することができるシグナルである。但し、例えば、放射能、比色、吸光度、磁性粒子または酵素活性をモニターすることにより、測定を行うこともできる。したがって、利用することができる標識としては、蛍光、発色団、放射性同位元素、電子密度の高い試薬、酵素および特定の結合パートナーを有するリガンド(例えばビオチン−アビジン)が挙げられるが、これに限定されない。
蛍光の変化をモニターすることは、増幅産物の蓄積をモニターするための特に有用な方法である。プローブまたはプライマーに結合させるための、FAM、HEX、TETおよびJOE(これらはすべてApplied Biosystems(Foster City, Calif.)から入手可能である)、lucifer yellowおよびクマリン誘導体等の、フルオレセインおよび様々なフルオレセイン誘導体を含む数多くの標識が商業的に入手可能である。
標識は、様々な技術を用いて、5'末端および/または3'末端および/または内部のヌクレオチドでプローブまたはプライマーに結合することができる。さらに、標識は、プローブまたはプライマーに結合する様々な大きさのスペーサーアームに結合することもできる。これらのスペーサーアームは、プローブまたはプライマーに結合した複数の標識間の距離を得るのに有用である。
いくつかの場合では、単一の標識を用いることができるが、5’蛍光ヌクレアーゼアッセイのような別の場合では、例えば、2またはそれ以上の標識がプローブに結合する。プローブが複数の標識を含んでいる場合には、一般に、核酸ポリメラーゼの5’−3’ヌクレアーゼ活性によるプローブの消化の間、標識の分離を可能にするのに十分な標識間のスペースを維持することが望ましい。
疾患の症状を示す患者
数多くの疾患が、ある特定の遺伝子のコピー数の変化に関連している。疾患の症状を有する患者について、リアルタイムPCR法を用いて、その患者が有している症状に関連した疾患と関係することが知られているコピー数の変化を有しているかどうかを調べることができる。
GHS発現
GHS融合タンパク質
融合タンパク質は、GHSアミノ酸配列に対する抗体を作成するため、および様々な分析系において用いるために有用である。例えば、融合タンパク質を用いて、GHSペプチドの一部分と相互作用するタンパク質を同定することができる。この目的のために、タンパク質アフィニティクロマトグラフィーまたはタンパク質タンパク質相互作用に関するライブラリーベースのアッセイ、例えば酵母ツーハイブリッドまたはファージディスプレイシステム、を用いることができる。そのような方法は当分野において周知であり、薬物スクリーニングに用いることもできる。
GHS融合タンパク質は、ペプチド結合で互いに融合した2つのポリペプチドセグメントを含んでなる。第1のポリペプチドセグメントは、上記のような、配列番号2の少なくとも54、75、100、125、139、150、175、200、225、250、または275の連続したアミノ酸配列またはその生物学的に活性な変異体を含んでなる。第1のポリペプチドセグメントはまた完全長のGHSを含んでなることもある。
第2のポリペプチドセグメントは完全長のタンパク質またはタンパク質断片であってよい。融合タンパク質構造において一般に用いられるタンパク質としては、β−ガラクトシダーゼ、p−グルクロニダーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、自己蛍光タンパク質(青色蛍光タンパク質(BFP)を含む)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、ルシフェラーゼ、ホースラディシュ・ペルオキシダーゼ(HRP)およびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)が挙げられるが、これに限定されない。さらに、融合タンパク質構造において、ヒスチジン(His)タグ、FLAGタグ、インフルエンザヘマグルチニン(HA)タグ、Mycタグ、VSV−Gタグおよびチオレドキシン(Trx)タグを含むエピトープタグが用いられる。他の融合構築物としては、マルトース結合蛋白質(MBP)、S−タグ、Lex DNA結合ドメイン(DBD)融合物、GAL4 DNA 結合ドメイン融合物、単純ヘルペスウイルス(HSV)BP16タンパク質融合物およびG−タンパク質融合物(例えば、G(アルファ)16、Gs、Gi)が挙げられる。融合タンパク質はまた、GHSの隣に位置に開裂部位を含むことができる。
ポリヌクレオチドの調製
天然のGHSポリヌクレオチドは、膜成分や脂質などの他の細胞成分を含まないように単離することができる。ポリヌクレオチドは、細胞によって産生され、標準的な核酸精製技術を用いて単離することができるか、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)等の増幅技術、あるいは自動化された合成装置を用いて合成することができる。ポリヌクレオチドを単離する方法は、常套的で当分野において周知である。ポリヌクレオチドを得るためのそのような任意の方法を用いて単離されたGHSポリヌクレオチドを得ることができる。例えば、制限酵素およびプローブを用いて、GHSヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド断片を単離することができる。単離されたポリヌクレオチドは、他の分子を少なくとも70、80、または90%含まない調製物中に存在する。
GHScDNA分子は、GHSmRNAをテンプレートして用いて標準的な分子生物学の技術によって作成することができる。GHScDNA分子はその後で当分野で周知の分子生物学の技術を用いて複製することができる。PCR等の増幅技術を用いて、ヒトゲノムDNAまたはcDNAのいずれかをテンプレートとして用い、本発明のさらなるポリヌクレオチドを得ることができる。
あるいは、化学合成法を用いて、GHSポリヌクレオチドを合成することができる。遺伝コードの縮重によって、合成される、例えば、配列番号2に示すアミノ酸配列を有するGHSまたは生物学的に活性なその変異体をコードするさらに別のヌクレオチド配列が可能である。
ポリヌクレオチドの伸張
様々なPCRをベースとする方法を用いてヒトGHSをコードする核酸配列を伸張することができ、例えば、プロモーターや調節エレメントなどのGHS遺伝子の上流配列を検出することができる。例えば、制限部位PCRはユニバーサルプライマーを用いて、既知の座に隣接する未知の配列を読み出すことができる。リンカー配列に対するプライマーおよび既知の領域に特異的なプライマーの存在下で最初にゲノムDNAを増幅する。増幅した配列を、同じリンカープライマーと、最初のプライマーの内部の別の特異的プライマーを用いて第2のPCRに付す。各PCRの産物を適当なRNAポリメラーゼを用いて転写し、逆転写酵素を用いて配列を決定する。
インバースPCRもまた、既知の領域に基づいたダイバージェントプライマーを用いて配列を増幅または伸張するために使用することができる。OLIGO4.06プライマー解析ソフトウェア(National Biosciences Inc.,Plymouth, Minn. )等の商業的に入手可能なソフトウェアを用いて、長さ22〜30ヌクレオチド、GC含量50%以上で、約68〜72℃で標的配列をアニールするプライマーを設計することができる。この方法は、いくつかの制限酵素を用いて遺伝子の既知の領域の適当な断片を調製する。次いでこの断片を 分子内ライゲーションにより環状にし、PCRテンプレートとして用いる。
使用できるさらなる方法は、捕捉PCRであり、これはヒトおよび酵母の人工染色体DNAの既知の配列に隣接するDNAのPCR増幅が関わる。この方法では、複数の酵素消化とライゲーションを用いて遺伝し操作した2本鎖の配列を、PCRを行う前にDNA分子の未知の断片内に配置させることができる。
完全長のcDNAをスクリーニングする場合、より大きなcDNAを含むようにサイズ選択されたライブラリーを用いることが好ましい。遺伝子の5'領域を含む配列をより多く含む点で、ランダムにプライミングされたライブラリーが好ましい。ランダムにプライミングされたライブラリーの使用は、オリゴd(T)ライブラリーが完全長のcDNAを生じない状況では、特に好ましいであろう。ゲノムライブラリーは、5'非転写調節領域へ配列を伸張するのに有用である。
商業的に入手可能なキャピラリー電気泳動システムを用いて、大きさを解析またはPCRのヌクレオチド配列を確認または産物の配列を決定することができる。例えば、キャピラリー配列決定は、電気泳動の分離のために流動性ポリマー、レーザー励起される4つの異なる蛍光染料(各ヌクレオチドについて1つ)、および放射された波長のCCDカメラによる検出を用いることができる、出力/光強度を電気的信号に変換することができる。適当な装置とソフトウェア(例えば、GENOTYPERおよびSequence NAVIGATOR, Perkin Elmer)を用い、試料の投入からコンピュータ解析までの全課程と電子データ表示をコンピュータ制御することができる。キャピラリー電気泳動は、特定の試料における限られた量に存在し得るDNAの小さい部分の配列決定に特に好ましい。
ポリペプチドの取得
GHSは、例えばヒト細胞からの精製によって、GHSポリヌクレオチドの発現によって、または直接的化学合成によって取得できる。
蛋白精製
GHSは、GHSポリヌクレオチドでトランスフェクトした宿主細胞を包含する、該レセプターを発現する任意のヒト細胞から精製できる。精製GHSは、細胞内のGHSに通常付随するその他の化合物、例えば或る種の蛋白、炭水化物、または脂質から、当分野で周知の方法を用いて分離する。このような方法は、サイズ排除クロマトグラフィー、硫酸アンモニウム分画、イオン交換クロマトグラフィー、親和クロマトグラフィー、および調製用ゲル電気泳動を包含するが、これらに限定されない。
ポリヌクレオチドの発現
GHSを発現させるため、挿入されたコード化配列の転写と発現に必要な要素を含む発現ベクター中にGHSポリヌクレオチドを挿入することができる。GHSをコードしている配列および適当な転写および翻訳調節要素を含む発現ベクターを組み立てるため、当業者に周知の方法が利用できる。これらの方法には、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ遺伝子組換えがある。このような技術は、例えば[Devlin et al. , Science, (1990)]に記載されている。
GHSをコードしている配列を含みそして発現する様々な発現ベクター/宿主系が利用できる。これらには、微生物、例えば組換えバクテリオファージ、プラスミド、またはコスミドDNA発現ベクターにより形質転換された細菌;酵母発現ベクターにより形質転換された酵母、ウイルス発現ベクター(例えばバキュロウイルス)により感染を受けた昆虫細胞系、ウイルス発現ベクター(例えばカリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)、もしくは細菌発現ベクター(例えばTiまたはpBR322プラスミド)により形質転換された植物細胞系、または動物細胞系が包含されるがこれらに限定される訳ではない。
調節要素または調節配列は、宿主細胞蛋白と相互作用して転写と翻訳を実行する、ベクターの非翻訳領域−エンハンサー、プロモーター、5’および3’非翻訳領域−である。係る要素はその強さと特異性において異なっている。利用するベクター系および宿主に応じて、構成的および誘導的プロモーターを包含する、多数の好適な転写および翻訳要素を使用できる。例えば、細菌系でクローニングを行う場合、BLUESCRIPTファージミド(Stratagene, LaJolla,Calif.)またはpSPORT1プラスミド(Life Technologies)等のハイブリッドlacZプロモーターのような誘導的プロモーターを使用できる。バキュロウイルスのポリヘドリンプロモーターは昆虫細胞に使用できる。植物細胞のゲノムから(例えば熱ショック、RUBISCO、および貯蔵蛋白遺伝子)、または植物ウイルスから(例えば、ウイルスプロモーターまたはリーダー配列)誘導したプロモーターまたはエンハンサーを該ベクター中にクローニングすることができる。哺乳動物細胞系では、哺乳動物遺伝子由来の、または哺乳動物ウイルス由来のプロモーターが好ましい。GHSをコードしているヌクレオチド配列を複数コピー含むセルラインを作製する必要がある場合は、SV40またはEBVに基づくベクターを適当な選択マーカーと共に使用することができる。
細菌および酵母発現系
細菌系では、GHSに対して意図する用途に応じて幾つかの発現ベクターを選択できる。例えば、抗体の誘導のため大量のGHSが必要である場合は、容易に精製できる融合蛋白の高レベル発現を指令するベクターが使用できる。このようなベクターは、BLUESCRIPT(Stratagene)のような多機能E.coliクローニングおよび発現ベクターを包含するが、これに限定される訳ではない。BLUESCRIPTベクターにおいては、GHSをコードしている配列を、β−ガラクトシダーゼのアミノ末端Metとこれに続く7残基の配列と共にフレーム内で該ベクター中にライゲーションすることができ、その結果ハイブリッド蛋白が産生される。pINベクター(Van Heeke & Schuster, J.Biol.Chem. 264,5503-5509,1989)またはpGEXベクター(Promega, Madison, Wis.)もまた、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)を伴う融合蛋白として外来ポリペプチドを発現させるのに使用できる。一般に、このような融合蛋白は可溶性であり、グルタチオン−アガロースビーズに吸着させ、その後遊離グルタチオンの存在下で溶離することにより、溶菌させた細胞から容易に精製できる。このような系で調製した蛋白は、ヘパリン、トロンビン、または第Xa因子プロテアーゼ開裂部位を含むよう設計でき、その結果、主題とするクローンポリペプチドをGST部分から随意に解放することができる。
植物および昆虫発現系
植物発現ベクターを使用する場合、GHSをコードしている配列の発現は、幾つかのプロモーターのうち任意のものにより駆動できる。例えば、CaMVの35Sおよび19Sプロモーターのようなウイルスプロモーターを、単独で、またはTMV由来のオメガリーダー配列と組み合わせて使用できる[Scott et al. (1990)]。別法として、RUBISCOの小サブユニットのような植物プロモーターまたは熱ショックプロモーターを使用することもできる[Takamatsu et al. (1987) ]。これらの組み立て物は、直接DNA形質転換または病原体仲介トランスフェクションにより植物細胞中に導入できる。
昆虫系もまたGHSの発現に使用できる。例えば、係る系の1つAutographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)は、Spodoptera frugiperda細胞またはTrichoplusiaの幼虫で外来遺伝子を発現させるベクターとして使用する。GHSをコードしている配列を、ポリヘドリン遺伝子のような該ウイルスの非必須領域中にクローニングし、ポリヘドリンプロモーターの調節下に置くことができる。GHSをうまく挿入すると、ポリヘドリン遺伝子は不活性化し、コート蛋白を欠く組換えウイルスが生成する。次いでこの組換えウイルスをS.frugiperda細胞またはTrichoplusiaの幼虫への感染に使用し、そこでGHSを発現させることができる[Fodor et al., (1993)]。
哺乳動物発現系
ウイルスに基づく多くの発現系を用いて哺乳動物宿主細胞でGHSを発現させることができる。例えば、発現ベクターとしてアデノウイルスを使用する場合、GHSをコードしている配列は、後期プロモーターおよび3部に分かれたリーダー配列を含むアデノウイルス転写/翻訳複合体中にライゲーションできる。該ウイルスゲノムの非必須E1またはE3領域における挿入を用いて、感染宿主細胞においてGHSを発現できる生存ウイルスを取得できる[Engelhard et al.(1994)]。所望によりラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサーのような転写エンハンサーを用いて哺乳動物宿主細胞での発現を増大させることができる。
ヒト人工染色体(HAC)もまた、プラスミドが内包し発現するDNA断片よりも大きなDNA断片の運搬に使用できる。6Mないし10MのHACを組み立て、常套的デリバリー法により細胞に到達させる(例えば、リポソーム、ポリカチオンアミノポリマー、または小胞)。さらに、GHSをコードしている配列の、より効率的な翻訳を達成するために、特異的開始シグナルを使用できる。係るシグナルはATG開始コドンおよび連続配列を包含する(Kozak配列)。GHSをコードしている配列、その開始コドン、および上流配列を適当な発現ベクター中に挿入した場合、さらなる転写または翻訳調節シグナルは必要ないであろう。しかしながら、コード化配列またはその断片のみを挿入した場合は、外因性の翻訳調節シグナル(ATG開始コドンを包含する)を供給すべきである。開始コドンは挿入物全体を確実に翻訳させるために、正しいリーディングフレームになければならない。外因性翻訳要素および開始コドンは天然および合成両者の様々な起源であってよい。
宿主細胞
宿主細胞菌株は、挿入した配列の発現を調節する能力または発現されたGHSを所望の方法で処理できる能力を主題として選択できる。該ポリペプチドのこのような修飾には、アセチル化、カルボキシ化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、およびアシル化が包含されるがこれらに限定されない。該ポリペプチドの「プレプロ」型を開裂する翻訳後プロセシングもまた、正しい挿入、折り畳み、および/または機能を促進するために使用できる。翻訳後活性のための特異的な細胞機構および特徴的メカニズムを持つ異なる宿主細胞(例えばCHO、HeLa、MDCK、HEK293、1321N1およびWI38)が、American Type Culture Collection(ATCC;10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110-2209)から入手でき、外来蛋白の正しい修飾およびプロセシングを確実とするために選択できる。
組換え蛋白の、長期高収量産生のために、安定な発現が好ましい。例えば、セルラインは、クローニングされたCysLT2様GPCR cDNAまたはゲノムDNA、ウイルス複製起点および/または内因性発現要素、および同じまたは別のベクター上にある選択マーカー遺伝子を含む発現ベクターを使用して、常套的トランスフェクション法、例えばリポソーム、ポリカチオンアミノポリマー、小胞、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム等によって安定にトランスフェクトされ得る。該ベクターの導入に続いて、細胞を強化培地で1−2日間生育させた後、培地を選択培地に交換することができる。選択マーカーの主題は選択に対する抵抗性を付与することであり、その存在が、導入されたCysLT2様GPCR配列をうまく発現する細胞の生育と回収を可能にする。安定に形質転換された細胞の耐性クローンは、その細胞型にとって適当な組織培養技術を用いて増殖させることができる。幾つかの選択系を用いて、形質転換されたセルラインを回収できる。これらには、それぞれtk-またはaprt-細胞で使用できる単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ[Logan, (1984)]およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ[Wigler, (1977)]遺伝子が包含されるがこれらに限定される訳ではない。さらに、代謝拮抗物質、抗生物質、または除草剤耐性を選択の基準に用いることができる。例えば、dhfrはメソトレキサート[Lowy, (1980)]に対する耐性を付与し、nptはアミノグリコシド、ネオマイシンおよびG−418に対する耐性を付与し、G-418 [Wigler, (1980)]、そしてalsおよびpatはそれぞれクロルスルフロンおよびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼに対する耐性を付与する[Colbere-Garapin et al. , (1981) ]。さらなる選択遺伝子が記載されている。例えば、trpBは細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用するようにさせ、hisDは細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノールを利用するようにさせる[Murray,(1992)]。アントシアニンのような可視マーカー、β−グルクロニダーゼとその基質GUS、およびルシフェラーゼとその基質ルシフェリンは、形質転換体を同定し、特異的ベクター系に帰すことのできる一過性または安定な蛋白発現の量を定量するために使用できる。
ポリペプチド発現の検出
マーカー遺伝子発現の存在はGHSポリヌクレオチドもまた存在することを示唆しているが、その存在と発現は確認する必要がある。例えば、もしGHSをコードしている配列がマーカー遺伝子配列内部に挿入されるならば、GHSをコードしている配列を含む形質転換された細胞は、マーカー遺伝子機能の不在によって同定できる。これに代わり、マーカー遺伝子は、単一のプロモーターの調節下にGHSをコードしている配列とタンデムに並べて位置させることもできる。誘導または選択に応答したマーカー遺伝子の発現は、通常、GHSポリヌクレオチドの発現を示す。
これとは別に、GHSポリヌクレオチドを含みGHSを発現する宿主細胞は、当業者に知られる様々な方法によって同定できる。これらの方法には、DNA−DNAまたはDNA−RNAハイブリダイゼーションおよび蛋白生検またはイムノアッセイ技術(核酸または蛋白の検出および/または定量のための膜、溶液、またはチップに基づく技術を包含する)が包含されるがこれらに限定されない。例えば、GHSをコードしているポリヌクレオチド配列の存在は、プローブまたは断片またはGHSをコードしているポリヌクレオチドの断片を使用するDNA−DNAまたはDNA−RNAハイブリダイゼーションまたは増幅によって検出できる。核酸増幅に基づく検定は、GHSポリヌクレオチドを含む形質転換体を検出するための、GHSをコードしている配列から選択されるオリゴヌクレオチドの使用を含む。
GHSに対し特異的なポリクローナルまたはモノクローナル抗体のいずれかを使用して該ポリペプチドの発現を検出および測定するための様々なプロトコルが当分野で知られている。例として、酵素結合イムノソルベント検定(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、および蛍光活性化セルソーティング(FACS)がある。GHS上の2個の非干渉性エピトープに反応するモノクローナル抗体を用いる、2部位のモノクローナルに基づくイムノアッセイが使用でき、または、競合的結合検定を使用することができる。
多岐にわたる標識およびコンジュゲーション技術が当業者に知られており、様々な核酸およびアミノ酸検定に使用できる。GHSをコードしているポリヌクレオチドに関連する配列を検出するための標識化ハイブリダイゼーションまたはPCRプローブを調製する手段は、標識したヌクレオチドを使用する、オリゴ標識化、ニック翻訳、末端標識化、またはPCR増幅を包含する。これとは別に、GHSをコードしている配列を、mRNAプローブの産生のためのベクター中にクローニングすることもできる。このようなベクターは当分野で既知であり、市販品が入手でき、標識化ヌクレオチドおよび適当なRNAポリメラーゼ、例えばT7、T3、またはSP6を添加することによりインビトロでのRNAプローブの合成に使用することができる。これらの方法は、市販の様々なキットを用いて実施できる(Amersham Pharmacia Biotech、 Promega、およびUS Biochemical)。検出を容易にするために使用できる適当なリポーター分子または標識には、放射性核種、酵素、および蛍光、化学ルミネセント、または色素生成物質、ならびに基質、補助因子、阻害物質、磁性粒子などが包含される。
ポリペプチドの発現および精製
GHSをコードしているヌクレオチド配列で形質転換させた宿主細胞は、発現と、細胞培養からの蛋白の回収に適した条件下で培養できる。形質転換細胞により産生されたポリペプチドは、その配列および/または使用したベクターに応じて分泌されまたは細胞内に貯留され得る。当業者には理解できるであろうが、GHSをコードしているポリヌクレオチドを含む発現ベクターは、原核または真核細胞膜を通った可溶性GHSの分泌を指令する、または膜結合GHSの、膜挿入を指令する、シグナル配列を含むよう設計できる。
上に論じたように、他の組み立て物を用いて、GHSをコードしている配列を、可溶性蛋白の精製を促進するポリペプチドドメインをコードしているヌクレオチド配列と結合させることができる。このような精製促進ドメインは、金属キレート化ペプチド、例えば固定化金属上での精製を可能にするヒスチジン−トリプトファンモジュール、固定化免疫グロブリン上での精製を可能にする蛋白Aドメイン、およびFLAGS伸長/アフィニティ精製系で利用するドメインが包含されるが、これらに限定されない(Immunex Corp., Seattle, Wash.)。精製ドメインとGHSとの間に開裂可能リンカー配列、例えば第Xa因子またはエンテロキナーゼに特異的なリンカー配列を入れること(Invitrogen, San Diego, CA)もまた、精製を促進するために利用できる。このような発現ベクターの1つは、GHSと、チオレドキシンまたはエンテロキナーゼ開裂部位に先立つ6個のヒスチジン残基とを含む融合蛋白の発現を提供する。このヒスチジン残基はIMAC(固定化金属イオン親和クロマトグラフィー)Maddox et al. , (1983) ]による精製を促進し、一方エンテロキナーゼ開裂部位は融合蛋白からのGHSの精製手段を提供する。融合蛋白を含むベクターは[Porath et al. , (1992)]に開示されている。
化学合成
GHSをコードしている配列は、その全体または一部を、当分野で周知の化学的方法を用いて合成できる。これとは別に、GHS自身を、そのアミノ酸配列を合成するための化学的方法、例えば固相技術を用いる直接ペプチド合成を用いて調製できる。蛋白合成は手動のまたは自動化された技術を用いて実施できる。自動化合成は、例えばApplied Biosystems 431Aペプチド合成機(Perkin Elmer)を用いて達成できる。所望により、GHSの断片を別々に合成し、化学的方法を用いて合成して完全長の分子を調製することもできる。
新たに合成したペプチドは、調製用高速液体クロマトグラフイーにより実質的に精製できる。合成GHSの組成はアミノ酸分析または配列決定により確認できる。さらに、直接合成中にGHSのアミノ酸配列の任意の部分を改変させ、そして/または化学的方法を用いて他の蛋白由来の配列と合して、変異体ポリペプチドまたは融合蛋白を調製することができる。
改変GHSの調製
当業者には理解できるであろうが、天然に存在しないコドンを有するGHSコード化ヌクレオチドを調製することは有利であり得る。例えば、特定の原核または真核宿主が好むコドンを選択して、蛋白発現の速度を増大させ、または所望の性質、例えば天然に存在する配列から産生される転写物の半減期より長い半減期を持つRNA転写物を調製することができる。
本明細書に開示するヌクレオチド配列は、当分野で一般的に知られる方法を用いて、該ポリペプチドまたはmRNA産物のクローニング、プロセシング、および/または発現を修飾する改変を包含する(但しこれらに限定される訳ではない)様々な理由で、GHSコード化配列を改変させるように設計できる。無作為断片化によるDNAシャフリングと遺伝子断片および合成オリゴヌクレオチドのPCR再集合を用いてヌクレオチド配列を設計できる。例えば、位置指定突然変異誘発を用いて、新たな制限部位を挿入し、グリコシル化パターンを変え、コドンの優先性を変え、スプライス変異体を調製し、突然変異を導入する等を実施できる。
抗体
当分野で知られているいかなる型の抗体も、GHSのエピトープに特異的に結合するよう作製できる。
本明細書で使用する「抗体」とは、無傷の免疫グロブリン分子、およびその断片、例えばFab、F(ab')2、およびFvを包含し、これらはGHSのエピトープに結合できる。典型的には、エピトープを形成するためには少なくとも6、8、10、または12の連続するアミノ酸が必要である。しかしながら、非連続アミノ酸を含むエピトープはより多くの、例えば少なくとも15、25、または50のアミノ酸を必要とするかも知れない。GHSのエピトープに特異的に結合する抗体は治療に使用でき、そして免疫化学検定、例えばウェスタンブロット、ELISA、ラジオイムノアッセイ、免疫組織化学検定、免疫沈降、またはその他の当分野で既知の免疫化学的検定に使用できる。所望の特異性を有する抗体の同定のため、様々なイムノアッセイが使用できる。競合的結合または免疫放射検定のための多数のプロトコルが当分野でよく知られている。このようなイムノアッセイは典型的には、免疫原と、その免疫原に特異的に結合する抗体との間の複合体形成の測定を含んでいる。
典型的には、GHSに特異的に結合する抗体は、免疫化学検定に使用する場合、他の蛋白が提供する検出シグナルより少なくとも5、10、または20倍高い検出シグナルを提供する。好ましくは、GHSに特異的に結合する抗体は、免疫化学検定で他の蛋白を検出せず、GHSを溶液から免疫沈降させることができる。
GHSは、哺乳動物、例えばマウス、ラット、ウサギ、モルモット、サル、またはヒトを免疫してポリクローナル抗体を産生させるのに使用できる。所望により、GHSは、担体蛋白、例えば牛血清アルブミン、チログロブリン、およびスカシガイヘモシアニンとコンジュゲートさせることができる。宿主の種に応じて、免疫学的反応を増大させるために種々のアジュバントを使用できる。このようなアジュバントは、フロイントアジュバント、鉱物性ゲル(例えば水酸化アルミニウム)、および界面活性物質(例えばリゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油性エマルジョン、スカシガイヘモシアニン、およびジニトロフェノール)を包含するがこれらに限定されない。ヒトに使用するアジュバントの中ではBCG(bacilli Calmette-Guerin)およびCorynebacterium parvumが特に有用である。
GHSに特異的に結合するモノクローナル抗体は、培養中の連続的セルラインにより抗体分子の産生を提供する任意の技術を用いて調製できる。これらの技術には、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、およびEBV−ハイブリドーマ技術があるがこれらに限定されない[Roberge et al, (1995)]。
さらに、マウス抗体遺伝子をヒト抗体遺伝子にスプライシングして適当な抗原特異性と生物活性を持つ分子を得る、「キメラ抗体」の産生のために開発された技術が利用できる。モノクローナルおよびその他の抗体はまた、これを治療に使用した場合に患者が該抗体に対する免疫反応を起こすのを防ぐため、「ヒト化」することができる。このような抗体は、治療に直接使用できるほど配列が充分ヒトに類似しているかも知れず、または幾つかの重要残基の変更を必要とするかも知れない。齧歯類の抗体とヒト配列の間の配列相違は、個々の残基の位置指定突然変異誘発により、または相補性決定領域全体のgratingにより、ヒト配列内の残基と相違する残基を置き換えることによって最小化することができる。GHSに特異的に結合する抗体は、米国特許第5,565,332号に開示のように、部分的または完全にヒト化した抗原結合部位を含むことができる。
これに代わり、当分野で既知の方法を用いて、一本鎖抗体の調製のために記載した技術を適合させ、GHSに特異的に結合する一本鎖抗体を調製することができる。関連する特異性を持つが別個のイディオタイプ組成を有する抗体を、無作為組み合わせ免疫グロブリンライブラリーから鎖シャフリングによって調製することができる。一本鎖抗体はまた、ハイブリドーマcDNAを鋳型に用いて、PCRのようなDNA増幅法を用いて組み立てることができる。一本鎖抗体は単一または二重特異性であり得、また、二価または四価であり得る。四価二重特異性一本鎖抗体の組み立ては教示されている。下記のように、一本鎖抗体をコードしているヌクレオチド配列を手動または自動ヌクレオチド合成を用いて組み立て、標準的組換えDNA法を用いて発現組み立て物中にクローニングし、そして細胞中に導入してコード化配列を発現させることができる。別法として、一本鎖抗体を、例えば糸状ファージ技術を用いて直接調製することもできる。
GHSに特異的に結合する抗体はまた、リンパ球集団においてインビボ産生を誘導することによって、または、文献に開示されている極めて特異的な結合試薬のパネルまたは免疫グロブリンライブラリーをスクリーニングすることによって調製することもできる。その他の型の抗体を、本発明方法において組み立て、治療に使用することができる。例えば、WO93/03151に開示のように、キメラ抗体を組み立てることができる。免疫グロブリンから誘導され多価且つ多重特異的である結合蛋白、例えばWO94/13804に記載の「二重特異性抗体(diabody)」もまた調製できる。
本発明の抗体は当分野で周知の方法により精製できる。例えば、抗体は、GHSが結合しているカラムを通過させることによりアフィニティ精製できる。次いで、結合した抗体を、高い塩濃度の緩衝液を用いてカラムから溶出することができる。
アンチセンスオリゴヌクレオチド
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、特定のDNAまたはRNA配列に対し相補的なヌクレオチド配列である。いったん細胞中に導入されるとこの相補的ヌクレオチドは、該細胞が産生した天然配列と結合して複合体を形成し、転写または翻訳のいずれかを遮断する。好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチドは少なくとも11ヌクレオチド長であるが、少なくとも12、15、20、25、30、35、40、45、もしくは50またはそれ以上のヌクレオチド長であってもよい。より長い配列もまた使用できる。アンチセンスオリゴヌクレオチド分子をDNA組み立て物に提供し、上記のように細胞中に導入して、その細胞におけるGHS遺伝子産物のレベルを低下させることができる。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、またはこの両者の組み合わせであってよい。オリゴヌクレオチドは、1つのヌクレオチドの5’末端を、アルキルホスホネート、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、アルキルホスホノチオエート、アルキルホスホネート、ホスホロアミデート、リン酸エステル、カルバメート、アセトアミデート、カルボキシメチルエステル、カルボネート、およびリン酸トリエステルといった非ホスホジエステルヌクレオチド間結合を有する別のヌクレオチドの3’末端と共有結合させることにより、手動で、または自動合成機によって合成できる。
GHS遺伝子の制御配列、5’配列、または調節領域と二本鎖を形成するアンチセンスオリゴヌクレオチドを設計することにより、GHS遺伝子発現の修飾が得られる。転写開始部位、例えば開始部位から−10および+10位の間から誘導されるオリゴヌクレオチドが好ましい。同様に、「三重らせん」塩基対合法を用いて阻害を達成できる。三重らせん対合は、二重らせんがポリメラーゼ、転写因子またはシャペロンの結合に足るほど開く能力の阻害を惹起するため、有用である。三本鎖DNAを用いる治療上の進歩が文献に記載されている[Nicholls,(1993)]。転写物がリボソームに結合するのを防ぐことによりmRNAの翻訳を遮断するアンチセンスオリゴヌクレオチドもまた設計できる。
アンチセンスオリゴヌクレオチドとGHSポリヌクレオチドの相補配列との間に好結果の複合体を形成させるためには、正確な相補性は必要ない。例えばGHSポリヌクレオチドに対し正確に相補的である2、3、4、もしくは5またはそれ以上の長さの連続するヌクレオチドであって、その各々が、隣接するGHSヌクレオチドとは相補的ではない連続する或る長さのヌクレオチドによって隔てられているものを含有するアンチセンスオリゴヌクレオチドは、GHSmRNAに対する充分な標的化特異性を提供できる。好ましくは、相補的な連続ヌクレオチドの長さはそれぞれ少なくとも4、5、6、7もしくは8またはそれ以上のヌクレオチド長である。非相補的な介在配列は、好ましくは1、2、3、または4ヌクレオチド長である。当業者は、アンチセンス−センスの対の算出融点を容易に使用して、特定のアンチセンスオリゴヌクレオチドと特定のGHSポリヌクレオチド配列間で寛容されるミスマッチの程度を決定できるであろう。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、GHSポリヌクレオチドとハイブリダイズする能力に影響を及ぼすことなく修飾できる。これらの修飾は該アンチセンス分子の内部、または一端もしくは両端である。例えば、ヌクレオシド間のリン酸結合は、アミノ基と末端リボースの間にいろいろな数の炭素残基を有するコレステリルまたはジアミン部分を加えることによって修飾できる。修飾された塩基および/または糖、例えばリボースの代わりのアラビノース、または3’ヒドロキシ基または5’リン酸基が置換されている3’,5’−置換オリゴヌクレオチドもまた修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドに使用できる。これらの修飾オリゴヌクレオチドは当分野で周知の方法により調製できる。
リボザイム
リボザイムは触媒活性を有するRNA分子である[Uhlmann,(1987)]。当分野で知られるように、リボザイムは、RNA配列を開裂することにより遺伝子機能を阻害するのに使用できる。リボザイムの作用機構は、相補的標的RNAに対するリボザイム分子の配列特異的ハイブリダイゼーションと、その後のendonucleolyticな開裂を含む。例には、特異的ヌクレオチド配列のendonucleolyticな開裂を特異的且つ効果的に触媒できる、設計されたハンマーヘッドモチーフリボザイム分子がある。GHSポリヌクレオチドのコード化配列、例えば配列番号1に示したものの相補物を用いて、GHSポリヌクレオチドから転写されたmRNAに特異的に結合するリボザイムを作製できる。他のトランスのRNA分子を極めて配列特異的に開裂できるリボザイムを設計し組み立てる方法が開発され、当分野で記載されている。例えば、リボザイムの開裂活性は、別個の「ハイブリダイゼーション」領域を該リボザイム中に組み入れることによって、特定のRNAを標的とさせることができる。このハイブリダイゼーション領域は標的RNAに対し相補的な配列を含んでおり、したがってその標的RNAと特異的にハイブリダイズする。
GHS RNA標的内部の特異的リボザイム開裂部位は、この標的分子を、以下の配列:GUA、GUU、およびGUCを包含するリボザイム開裂部位についてスキャンすることにより同定できる。同定できたならば、該開裂部位を含む標的RNAの領域に対応する、15および20の間のリボヌクレオチドを有する短いRNA配列を、標的を非機能的にし得る二次構造の特徴について評価できる。さらに、候補のGHS RNA標的の適合性を、リボヌクレアーゼ防護検定を用いて相補的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションに対する利用可能性を試験することによって評価できる。配列番号1、3に示すヌクレオチド配列およびこれらの相補物は、適当なハイブリダイゼーション領域配列の供給源を提供する。より長い相補配列を用いて、標的に対するハイブリダイゼーション配列の親和性を増大させることができる。リボザイムのハイブリダイズおよび開裂する領域は、相補領域を介して標的RNAにハイブリダイズする場合、リボザイムの触媒領域が標的を開裂し得るといったように、完全に相関している。
リボザイムはDNA組み立て物の一部として細胞内に導入できる。マイクロ注入、リポソーム仲介トランスフェクション、エレクトロポレーション、またはリン酸カルシウム沈殿といった機械的方法を用いて、GHS発現の低下が望まれる細胞中にリボザイム含有DNA組み立て物を導入することができる。これとは別に、細胞がDNA組み立て物を安定的に保持することが望まれる場合は、該組み立て物をプラスミド上で供給し、当分野で知られるように、別個の要素として維持するか、または細胞のゲノム中に組み込むことができる。リボザイムコード化DNA組み立て物は、細胞におけるリボザイムの転写調節のために、プロモーターエレメント、エンハンサーまたはUASエレメント、および転写ターミネーターシグナルといった転写調節エレメントを含み得る(米国特許5641673)。リボザイムはまた、mRNAの破壊はリボザイムと標的遺伝子の両者が細胞内で誘導された場合にのみ起こるように、追加レベルの調節を提供するよう設計できる。
スクリーニング/スクリーニングアッセイ
調節物質
本明細書において用いられる調節物質は、 in vivo および in vitro でGHSの活性に影響を及ぼす化合物を意味する。調節物質は、GHSポリペプチドのアゴニストおよびアンタゴニストであり、GHS活性に対するその効果をその発現を介して、翻訳後修飾を介してまたは他の手段によって発揮する化合物である。GHSのアゴニストは、GHSに結合したときにGHSの活性を増大または長引かせる分子である。GHSのアゴニストとしては、タンパク質、核酸、炭化水素、小分子またはGHSを活性化する任意の他の分子が挙げられる。GHSのアンタゴニストは、GHSと結合したときに、GHSの活性の量または持続を減少させる分子である。アンタゴニストとしては、タンパク質、核酸、炭化水素、抗体、小分子またはGHSの活性を減少させる任意の他の分子が挙げられる。
用語「調節」は、本明細書に示されるように、GHSの活性の変化を意味する。例えば、調節によって、GHSのタンパク質活性、結合特性または任意の他の生物学的、機能的または免疫学的特性の増大または減少を引き起こしうる。
本明細書において用いられているとおり、用語「特異的な結合」または「特異的に結合する」は、タンパク質またはペプチドとアゴニスト、抗体またはアンタゴニストとの間の相互作用を意味する。本発明は、結合する分子によって認識されるタンパク質の特定の構造(即ち、抗原決定基またはエピトープ)の存在に依存する。例えば、抗体がエピトープAに特異的である場合、フリーの標識されたAと抗体を含む反応物における、エピトープAを含むポリペプチドの存在またはフリーの標識されたAの存在は、抗体と結合する標識されたAの量を減少するであろう。
本発明は、血液疾患、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPD、喘息、生殖泌尿系の疾患、および炎症疾患の処置に使用することができる化合物を同定するための方法(本明細書では「スクリーニングアッセイ」ともいう)を提供する。本方法は、GHSに結合する、および/またはGHSの生物学的活性またはその発現に対して刺激または阻害効果を有する候補化合物または試験化合物または試薬(例えば、ペプチド、ペプチド模擬物、小分子、または他の分子)を同定し、次いで、血液疾患、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPD、喘息、生殖泌尿系の疾患、および炎症疾患に関する症状または疾患に対して効果を有する化合物を決定する。
GHSに結合する、および/またはGHSの活性または発現に対して刺激または阻害効果を有する、候補または試験化合物または試薬は、細胞表面にGHSを発現する細胞を用いるアッセイ(細胞ベースのアッセイ)か、または単離されたGHSを用いたアッセイ(細胞不含アッセイ)のいずれかにおいて同定する。様々なアッセイにおいて、様々なGHSの変異体(例えば、完全長のGHS、GHSの生物学的に活性な断片またはGHSの全部または一部分を含む融合タンパク質)が用いられる。さらに、GHSは、任意の適当な哺乳類(例えば、ヒトGHS、ラットGHSまたはマウスGHS)に由来し得る。アッセイは、試験化合物またはGHSに対する既知のGHSリガンドの結合の間接的または直接的な測定を伴う結合アッセイであってよい。アッセイはまた、GHSの活性の直接的または間接的測定を伴う活性分析であり得る。このアッセイはまた、GHSmRNAまたはGHSタンパク質の発現の直接的または間接的測定を伴う発現アッセイであり得る。様々なスクリーニングアッセイを、血液疾患、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPD、喘息、生殖泌尿系の疾患、および炎症疾患の症状に対する試験化合物の効果の測定を伴うin vivo アッセイと組み合わせる。
1つの態様では、本発明は、GHSの膜に結合した(細胞表面で発現した)形態に結合またはその活性を調節する候補化合物または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。そのようなアッセイは、完全長のGHS、GHSの生物学的に活性な断片またはGHSの全部または一部分を含む融合タンパク質を用いることができる。以下により詳細に記載するように、試験化合物を任意の適当な手段によって、例えば、慣用の化合物ライブラリーから得ることができる。GHSの膜結合形態に結合する試験化合物の能力の測定は、例えば、試験化合物とGHSを発現している細胞との結合が、複合体における標識化合物の検出によって測定することができるように、放射性同位元素標識または酵素標識とをカップリングさせることにより行うことができる。例えば、試験化合物を、125I、35S、14Cまたは3Hで、直接的または間接的に標識し、放射能放射の直接的計測により、またはシンチレーション計測により放射性同位元素を検出することができる。あるいは、試験化合物を、例えばホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはルシフェラーゼで酵素的に標識し、酵素標識を適当な基質の生成物への変換を測定することにより検出することができる。
競合結合方式では、アッセイは、GHSを発現している細胞を、GHSに結合し分析混合物を形成する既知の化合物に接触させ、その分析混合物を試験化合物と接触させて、試験化合物がGHSを発現している細胞と相互作用する能力を測定することを含み、ここで、GHSを発現している細胞と相互作用する能力の測定は、GHSを発現している細胞に優先的に結合する試験化合物の既知の化合物と比較した能力を測定することを含む。
さらなる態様では、アッセイは、細胞表面に発現したGHSの膜結合形態(例えば、完全長GHS、GHSの生物学的に活性な断片またはGHSの全部または一部分を含む融合タンパク質)を発現している細胞を試験化合物と接触させること、およびGHSの膜結合形態の活性を調節する(例えば、刺激または阻害する)試験化合物の能力を測定することを含む、細胞ベースのアッセイである。GHSの膜結合形態の活性を調節する試験化合物の能力の測定は、GHSの活性を測定するのに適当な方法、例えばGタンパク質共役受容体または他の7回膜貫通型受容体の活性の測定にて適当な任意の方法(以下により詳細に記載)によって行うことができる。7回膜貫通型受容体は、数多くの方法(任意の与えられた受容体に適当な方法がこれらのすべてではない)によって測定することができる。活性の測定のなかには以下のものがある:細胞内Ca2+濃度の変化、ホスホリパーゼCの活性化、細胞内イノシトール三リン酸(IP3)濃度の変化、細胞内ジアシルグリセロール(DAG)濃度の変化、および細胞内アデノシンサイクリック3',5'−一リン酸(cAMP)濃度の変化。
GHSの活性を調節する試験化合物の能力の測定は、例えば、標的分子に結合または相互作用するGHSの能力を測定することによって行うことができる。標的分子は、GHSが現実に結合するまたは相互作用する分子、例えば、GHSを発現している細胞の表面上の分子、第2の細胞の表面上の分子、細胞外の環境の分子、細胞膜の内部表面に会合している分子または細胞質の分子であり得る。標的分子は細胞外シグナル(例えば、GHSリガンドの結合によって生じる細胞膜を介する細胞へのシグナル)の伝達を助長するシグナル伝達経路を構成するものであってよい。標的分子は、例えば、触媒活性を有する第2の細胞内タンパク質または下流のシグナル伝達分子とGHSとの会合を促進するタンパク質であってよい。
標的分子と結合または相互作用するGHSの能力の測定は、直接的な結合について上記した方法の1つによって行うことができる。1つの態様では、標的分子と結合するまたは相互作用する本発明のポリペプチドの能力の測定は標的分子の活性を測定することによって行うことができる。例えば、標的分子の活性は、標的の細胞の第2のメッセンジャー(例えば、細胞内Ca2+、ジアシルグリセロール、IP3など)の誘導を検出すること、適当な基質に対する標的の触媒/酵素活性を検出すること、レポーター遺伝子(例えば、検出可能なマーカー例えばルシフェラーゼをコードする核酸に作動可能な様に連結した本発明のポリペプチドに応答する調節エレメント)の誘導を検出すること、または細胞の応答を検出することによって測定することができる。
本発明は、さらに細胞不含のアッセイを含む。そのようなアッセイは、GHSの形態(例えば、完全長のGHS、生物学的に活性なGHSの断片またはGHSのすべてまたは一部を含む融合タンパク質)と試験化合物との接触、およびGHSに結合する試験化合物の能力の測定を伴う。GHSに対する試験化合物の結合は、上記のように直接的または間接的に測定することができる。1つの態様では、アッセイは、GHSとGHSに結合する既知の化合物と接触させてアッセイ混合物を形成し、アッセイ混合物を試験化合物と接触させ、およびGHSと相互作用する試験化合物の能力の測定することを含み、GHSと相互作用する試験化合物の能力の測定は、既知の化合物と比較して、GHSに優先的に結合する試験化合物の能力を測定することを含む。
本発明の細胞不含アッセイは、GHSの膜結合形態を用いるかまたは可溶性の断片を用いるかに影響を受けやすい。ポリペプチドの膜結合形態を用いる細胞不含アッセイでは、可溶化剤を用いて、ポリペプチドの膜結合形態を溶液中に維持することが望ましいであろう。そのような可溶化剤の例としては、非イオン界面活性剤、例えばn−オクチルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、n−ドデシルマルトシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、デカノイル−N−メチルグルカミド、TritonX−100、TritonX−114、Thesit、イソトリデシポリ(エチレングリコールエーテル)n、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアミノ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアミノ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート(CHAPSO)、またはN−ドデシル=N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネートが挙げられる。
本発明の上記アッセイ法の様々な態様では、GHS(またはGHS標的分子)を固定化して、1つのまたは両方のタンパク質の、複合体を形成していない形態からの複合体の分離を容易にし、並びにそのアッセイを自動化に適応させることが望ましいであろう。候補化合物の存在下および非存在下でのGHSに対する試験化合物の結合、GHSと標的分子との相互作用は、試薬を入れるのに適当な任意の容器内で行うことができる。そのような容器の例としては、マイクロタイタープレート、試験管およびマイクロ遠心チューブが挙げられる。1つの態様では、融合タンパク質は、一方または両方のタンパク質がマトリックスに結合することが可能なドメインを付加して提供される。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ融合タンパク質をグルタチオンセファロースビーズ (Sigma Chemical; St. Louis, Mo. )またはグルタチオン誘導マイクロタイタープレート上に吸着させた後、それを試験化合物、または試験化合物および吸着させていない標的タンパク質またはGHSのいずれかと混合し、その混合物を、複合体形成を引き起こす条件下(例えば、塩およびpHについての生理学的条件)でインキュベーションさせることができる。インキュベーションした後、ビーズまたはマイクロタイタープレートのウェルを洗浄して、結合しなかった成分を除去し、複合体形成を直接的または間接的に、例えば上記のように測定する。あるいは、複合体をマトリックスから解離させ、結合のレベルまたはGHSの活性を標準的な技術を用いて測定することができる。
タンパク質をマトリックス上に固定化する他の技術はまた、本発明のスクリーニングアッセイに用いることができる。例えば、GHSまたはその標的分子のいずれかをビオチンおよびストレプタビジンのコンジュゲーションを用いて固定化することができる。本発明のビオチン化されたポリペプチドまたは標的分子は、当分野に周知の技術を用いてビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−サクシンイミド)から調製することができ(例えば、ビオチニル化キット、Pierce Chemicals; Rockford, Ill.)、ストレプタビジンをコーティングしたプレート(Pierce Chemical)のウェルにおいて固定化することができる。あるいは、GHSまたは標的分子と反応するが、本発明のポリペプチドとその標的分子との結合に干渉しない抗体をプレートのウェルに誘導し、結合しなかった標的または本発明のポリペプチドを抗体結合によってウェルにおいてトラップすることができる。GST固定化複合体について上記した方法に加えて、そのような複合体を検出する方法としては、GHSまたは標的分子と反応する抗体を用いた複合体の免疫検出、並びにGHSまたは標的分子に関連する酵素活性を検出することによる酵素結合アッセイが挙げられる。
スクリーニングアッセイはまた、GHSの発現のモニタリングを伴う。例えば、GHSの発現の調節物質を、細胞を候補化合物と接触させ、GHSタンパク質または細胞内のmRNAを測定する方法において同定することができる。候補化合物存在下でのGHSタンパク質またはmRNAの発現のレベルを、候補化合物非存在下でのGHSタンパク質またはmRNAの発現のレベルと比較する。次いで、この比較に基づき、候補化合物をGHSの発現の調節物質として同定することができる。例えば、候補化合物の存在下で非存在下よりもGHSタンパク質またはmRNAの発現がより大きい(実質的に有意に大きい)場合、候補化合物をGHSタンパク質またはmRNA発現の刺激物質として同定する。あるいは、候補化合物の存在下で非存在下よりもGHSタンパク質またはmRNAの発現がより小さい(実質的に有意に小さい)場合、候補化合物をGHSタンパク質またはmRNA発現の阻害物質として同定する。細胞におけるGHSタンパク質またはmRNA発現のレベルを、以下に記載の方法によって測定することができる。
結合検定
結合検定については、被験化合物は好ましくは、GHSの活性部位に結合してこれを占有し、それにより基質がリガンド結合部位に接近できなくさせ、その結果正常な生物活性が妨げられるような小分子である。このような小分子の例は小ペプチドまたはペプチド様分子を包含するが、これらに限定される訳ではない。本発明のポリペプチドに結合する可能性あるリガンドは、既知のGHSの天然リガンドおよびその類似体または誘導体を包含するが、これらに限定されない。
結合検定では、被験化合物またはGHSのいずれかが検出可能な標識、例えば蛍光、放射性同位元素、化学ルミネセント、または酵素標識(例えばホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはルシフェラーゼ)を含むことができる。そこで、GHSに結合している被験化合物の検出は、例えば放射能の放出を直接計数することにより、またはシンチレーション計数により、または検出可能産物への適当な基質の変換を測定することにより、達成できる。別法として、GHSへの被験化合物の結合を、反応体のいずれをも標識せずに測定することができる。例えば、マイクロフィジオメーターを用いて、被験化合物とGHSとの結合を検出できる。マイクロフィジオメーター(例えばサイトセンサー(商標))とは、細胞がその環境を酸性化する速度を光アドレッサブル電位差センサー(LAPS)を用いて測定する分析機器である。この酸性化速度の変化は、被験化合物とGHSの相互作用の指標として使用できる[Haseloff,(1988)]。
被験化合物がGHSに結合する能力の測定はまた、リアルタイムの分子間相互作用解析(BIA)のような技術を用いて達成できる[McConnell et al. (1992), Sjolander (1991) ]。BIAは、いかなる反応体をも標識せずに、生体特異的相互作用をリアルタイムで研究するための技術である(例えばBIAcore(商標))。光学的現象表面プラズモン共鳴(SPR)の変化を、生体分子間のリアルタイム反応の指標に使用できる。
本発明のさらに別の態様では、GHS様タンパク質をツーハイブリッド検定またはスリーハイブリッド検定[Szabo, (1995); U.S.5,283,317)における「おとり蛋白」として使用し、GHSに結合またはこれと相互作用してその活性を調節する他の蛋白を同定することができる。
ツーハイブリッド系は殆どの転写因子のモジュール的性格に基づくものであり、それは、分離可能なDNA結合および活性化ドメインから成っている。簡潔に述べると、この検定は二種の異なるDNA組み立て物を利用する。例えば、一方の組み立て物においては、GHSをコードしているポリヌクレオチドが、既知の転写因子のDNA結合ドメインをコードしているポリヌクレオチドに融合できる(例えばGAL−4)。別の組み立て物においては、未同定蛋白(「餌」または「試料」)をコードしているDNA配列が、既知の転写因子の活性化ドメインをコードしているポリヌクレオチドに融合できる。もし「おとり」および「餌」蛋白がインビボで相互作用して蛋白依存複合体を形成できたならば、該転写因子のDNA結合および活性化ドメインは極めて近位に招来される。この近位性が、転写因子に応答する転写調節部位と機能的に結合しているリポーター遺伝子(例えばLacZ)の転写を可能にする。リポーター遺伝子の発現が検出でき、機能的転写因子を含む細胞コロニーを単離し、GHSと相互作用する蛋白をコードしているDNA配列取得に使用することができる。
反応体の一方または両方の非結合型からの結合型の分離を促進するため、そして検定の自動化の便宜を図るため、GHS(またはポリヌクレオチド)または被験化合物のいずれかを固定化することが望ましいかも知れない。したがって、GHS(またはポリヌクレオチド)または被験化合物のいずれかを固体支持体に結合させることができる。好適な固体支持体は、ガラスまたはプラスチックスライド、組織培養プレート、微量定量ウェル、管、シリコンチップ、またはビーズ(ラテックス、ポリスチレン、またはガラスビーズを包含するがこれらに限定されない)のような粒子を包含するがこれらに限定されない。共有および非共有結合、受動吸収、またはそれぞれポリペプチド(またはポリヌクレオチド)または被験化合物に付着させた結合部分と固体支持体の対、の使用を包含する、当分野で既知の任意の方法を用いてGHS(またはポリヌクレオチド)または被験化合物を固体支持体に付着させることができる。被験化合物は好ましくは整列して固体支持体に結合させ、その結果個々の被験化合物の位置を追跡することができる。GHS(またはポリヌクレオチド)への被験化合物の結合は、反応体を入れるのに適した任意の容器で達成できる。そのような容器の例には微量定量プレート、試験管、および微量遠沈管がある。
一つの態様において、GHSは、GHSを固体支持体に結合させるドメインを含む融合蛋白である。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ融合蛋白をグルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical, St.Louis, Mo.)上またはグルタチオン誘導体化微量定量プレート上に吸着させ、次いでこれを被験化合物または被験化合物および非吸着GHSに合し;次にこの混合物を複合体形成が行われる条件下でインキュベートする(例えば、塩およびpHに関して生理的条件)。インキュベーションの後、ビーズまたは微量定量プレートのウェルを洗浄して未結合成分を除去する。反応体の結合は上記のように直接的または間接的に測定できる。別法として、複合体を固体支持体から解離させた後に結合を測定することもできる。
本発明のスクリーニング検定には、蛋白またはポリヌクレオチドを固体支持体上に固定化するためのその他の技術を使用することもできる。例えば、GHS(またはポリヌクレオチド)または被験化合物のいずれかを、ビオチンとストレプトアビジンのコンジュゲーションを利用して固定化できる。当分野で周知の技術(例えばビオチニル化キット、Pierce Chemicals, Rockford,Ill.)を用いて、ビオチニル化したGHS(またはポリヌクレオチド)または被験化合物をビオチン−NHS(N-ヒドロキシスクシンイミド)から調製し、ストレプトアビジン被覆した96ウェルプレート(Pierce Chemical)のウェルに固定化できる。別法として、GHS、ポリヌクレオチド、または被験化合物に特異的に結合するが、所望の結合部位、例えばGHSの活性部位に干渉しない抗体をプレートのウェルに誘導体化することができる。未結合の標的または蛋白が抗体コンジュゲーションによりウェル中に捕捉できる。
GST−固定化複合体について上に記載した方法に加え、このような複合体を検出する方法には、GHSまたは被験化合物に特異的に結合する抗体を用いる、複合体の免疫検出、GHSの活性検出へと引き継がれる酵素結合検定、および非還元条件下でのSDSゲル電気泳動がある。
GHSまたはポリヌクレオチドに結合する被験化合物を求めるスクリーニングは、インタクトな細胞で実施することもできる。GHSまたはポリヌクレオチドを含む任意の細胞が、細胞に基づく検定系で使用できる。GHSポリヌクレオチドは細胞中に天然に存在し、または上記のような技術を用いて導入できる。GHSまたはポリヌクレオチドに対する被験化合物の結合は、上記のように測定する。
機能検定
GHSの生物学的効果を増大または低下させる能力について被験化合物を試験できる。係る生物学的効果は、下記の具体的実施例に記載の機能検定を用いて測定できる。機能検定は、精製したGHS、細胞膜調製物、またはインタクトな細胞を被験化合物と接触させた後に実施できる。GHSの機能的活性を少なくとも約10、好ましくは約50、より好ましくは約75、90、または100%低下させる被験化合物を、GHS活性を低下させる可能性ある物質として同定する。GHSの活性を少なくとも約10、好ましくは約50、より好ましくは約75、90、または100%増大させる被験化合物を、GHS活性を増大させる可能性ある物質として同定する。
このようなスクリーニング方法の1つは、GHSを発現するようトランスフェクトしたメラニン保有細胞の使用を含む。係るスクリーニング技術は1992年2月6日公開のWO92/01810に記載されている。したがって、例えばこのような検定を使用して、該レセプターを含むメラニン保有細胞を、レセプターリガンドと、スクリーニングされる被験化合物の両者に接触させることにより、レセプターポリペプチドの活性化を阻害する化合物を求めるスクリーニングができる。リガンドが生成するシグナルの阻害は、被験化合物がそのレセプターについての可能性あるアンタゴニストであること、即ち該レセプターの活性化を阻害することを示す。このスクリーニングは、係る細胞をスクリーニングすべき化合物と接触させることにより、レセプターを活性化する被験化合物を同定するために、そして各被験化合物がシグナルを生成するかどうか、即ちレセプターを活性化するかどうかを決定するために使用できる。
その他のスクリーニング技術は、レセプター活性化により惹起される細胞外pH変化を測定する系においてヒトGHSを発現する細胞(例えば、トランスフェクトされたCHO細胞)を使用することを包含する[Iwabuchi(1993)]。例えば、被験化合物を、ヒトGHSを発現する細胞に接触させ、二次メッセンジャー反応、例えばシグナル伝達またはpH変化を測定して、被験化合物が該レセプターを活性化するか阻害するかを決定できる。別のこのようなスクリーニング技術は、ヒトGHSをコードしているRNAをXenopus卵母細胞内に導入し、該レセプターを一過性発現させることを含む。次いでトランスフェクトさせた卵母細胞をレセプターリガンドおよびスクリーニングすべき被験化合物に接触させ、その後、該レセプターの活性化を阻害すると思われる被験化合物についてスクリーニングする場合は、カルシウムシグナルの活性化または阻害の検出を行う。
別のスクリーニング技術は、レセプターがホスホリパーゼCまたはDに結合している細胞でヒトGHSを発現させることを含む。このような細胞には、内皮細胞、平滑筋細胞、胚性腎細胞などがある。スクリーニングは上記のように、ホスホリパーゼ活性の変化から該レセプターの活性化程度を定量することにより行うことができる。
遺伝子発現
別の態様では、GHS遺伝子の発現を増大または減少させる被験化合物を同定する。本明細書において用いるように、「ポリヌクレオチドの発現に関連する」なる語は、核酸の存在、GHSをコードする核酸の存在、その核酸自体またはその核酸配列に関係する核酸の検出が、ノーザン分析またはリアルタイムPCRにより、試料中のGHSをコードする核酸の存在の指標であり、それにより、GHSをコードするポリヌクレオチドからの転写物の発現に関連することを示す。本明細書において用いられる「マイクロアレイ」なる語は、紙、ナイロン、または他の種類の膜、フィルターチップ、スライドガラスまたは他のいずれかの適当な固体の支持体等の基材の上に配列された個々のポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドを意味する。GHSポリヌクレオチドを被験化合物と接触させ、RNAまたはGHSポリヌクレオチドのポリペプチド産物の発現を測定する。被験化合物存在下での適当なmRNAまたはポリペプチドの発現レベルを、該被験化合物不在下でのmRNAまたはポリペプチドの発現レベルと比較する。すると被験化合物が、この比較に基づく発現のモジュレーターとして同定できる。例えば、mRNAまたはポリペプチドの発現が、被験化合物の不在時よりも存在時により大きい場合は、この被験化合物を、該mRNAまたはポリペプチド発現の刺激物質または増強物質と同定する。そうではなく、mRNAまたはポリペプチドの発現が、被験化合物の不在時よりも存在時により小さい場合は、この被験化合物を、該mRNAまたはポリペプチド発現の阻害物質と同定する。
細胞におけるGHSmRNAまたはポリペプチド発現のレベルは、mRNAまたはポリペプチドを検出するための当分野で周知の方法により決定できる。定性または定量的方法のいずれかが使用できる。GHSポリヌクレオチドのポリペプチド産物の存在は、例えばラジオイムノアッセイのような免疫化学的方法、ウエスタンブロッティング、および免疫組織化学を包含する、当分野で周知の様々な技術を用いて決定できる。別法として、ポリペプチド合成は、GHS内への標識アミノ酸の取り込みを検出することにより、インビボで、細胞培養で、またはインビトロ翻訳系で決定できる。
このようなスクリーニングは、無細胞検定系またはインタクトな細胞のいずれかで実施できる。GHSポリヌクレオチドを発現する任意の細胞が、細胞に基づく検定系で使用できる。GHSポリヌクレオチドは細胞内に天然に存在するか、または上記のような技術を用いて導入することができる。一次培養または確立されたセルラインを使用できる。
被験化合物
本発明のスクリーニング分析において用いるための適当な被験化合物は、任意の適当な供給源、例えば慣用の化合物ライブラリーから入手することができる。被験化合物は、生物学的ライブラリー、空間的アドレス特定可能な並行固相または液相ライブラリー、デコンボルーションを要する合成ライブラリー法、「一ビーズ一化合物」ライブラリー法、および親和クロマトグラフィー選択を用いる合成ライブラリー法を包含する当分野で既知の数多くの組み合わせライブラリー法のいずれかを用いて入手することができる。生物学的ライブラリーアプローチはポリペプチドライブラリーに限定されているが、他の4種のアプローチはポリペプチド、非ペプチドオリゴマー、または化合物の小分子ライブラリーに適用できる。[Lam et al. (1997)]。分子ライブラリーの合成法は当分野でよく知られている。化合物のライブラリーは、溶液中、またはビーズ、細菌、胞子、プラスミドまたはファージ上に提示される。
調節物質のモデリング
コンピュータモデリングおよびサーチ技術によって、化合物の同定、またはGHS発現または活性を調節することができる既に同定されている化合物の改良が可能である。そのような化合物または組成物が同定されていれば、活性部位または領域が同定される。そのような活性部位は典型的には、GHSに対するリガンドの相互作用ドメインのようなリガンド結合であろう。活性部位は、例えば、ペプチドのアミノ酸配列から、核酸のヌクレオチド配列から、または関連する化合物または組成物とその天然リガンドとの複合体の研究から、当分野で周知の方法を用いて同定することができる。後者の場合、化学的またはX線結晶学的方法を用いて、その因子において複合体化したリガンドが認められる場所を見つけることにより活性部位を見つけることができる。
次に、活性部位の3次元幾何構造を決定する。これは、完全な分子構造を決定することができる、X線結晶学を含む当分野において周知の方法によって行うことができる。他方、固相または液相NMRを用いて特定の分子内距離を決定することができる。他の任意の構造決定の実験方法を用いて部分的または完全な幾何構造を得ることができる。幾何構造は、天然または人工の、決定された活性部位の精度を増し得る複合体化したリガンドを用いて測定することができる。
精度の不完全なまたは不十分な構造を決定する場合、コンピュータベースの数値モデリングの方法を用いて構造を比較または精度を改善することができる。タンパク質または核酸のような具体的な生物高分子に対して特異的なパラメーター化されたモデル、分子運動の計算に基づく分子動力学モデル、熱集団(thermal ensemble)に基づく統計力学モデル、または組合せモデルを含む、認識されている任意のモデリング方法を用いることができる。大部分のタイプのモデルとしては、構成原子と基との間の力を示す標準分子力場、を必要とし、物理化学において知られている力場から選択することができる。不完全または精度の低い、実験で得られた構造は、これらのモデリング方法によって計算される完全なそしてより精度の高い構造に対する制約として供する。
最後に、活性部位の構造が決定されれば、実験的に、モデリングによりまたは組合せにより、候補の調節化合物をその分子構造に関する情報と共に含むデータベースを検索することにより同定することができる。そのような検索は、決定された活性部位の構造と合致し、活性部位を定義する基と相互作用する構造を有する化合物を探す。このような検索は、手動でもよいが、コンピュータを使用するものであることが好ましい。この検索から見いだされたこれらの化合物は、可能性のあるGHS調節化合物である。
あるいは、これらの方法を用いて既に知られている調節化合物またはリガンドから改善された調節化合物を同定することができる。既知の化合物の組成物を修飾し、実験的なおよび新たな組成物に適用された上記のコンピュータモデリング法を用いて修飾の構造上の効果を決定することができる。次いで、変化した構造を化合物の活性部位の構造と比較して、改善された適合かまたは相互作用の結果かを決定する。このやり方では、例えば様々な側鎖基による、組成における体系的な変化を迅速に評価して修飾された調節化合物または改善された活性または特異性を有するリガンドを得ることができる。
治療上の適応および方法
本願によりGHSが様々なヒト組織において発現することが分かった。
中枢神経系(CNS)障害
CNS障害は、中枢神経系の障害並びに末梢神経系の障害を包含する。
CNS障害には、脳損傷、脳血管疾患およびその帰結、パーキンソン病、大脳皮質基底核変性症、運動ニューロン疾患、ALSを含む痴呆、多発性硬化症、外傷性脳損傷、脳卒中、脳卒中後、外傷後脳損傷、および小血管脳血管疾患などが含まれる。また、アルツハイマー病、血管性痴呆、レビ小体を伴う痴呆、17番染色体に連鎖する前頭側頭型痴呆およびパーキンソニズム、ピック病を含む前頭側頭型痴呆、進行性核性麻痺、大脳皮質基底核変性症、ハンチントン病、視床変性症、クロイツフェルトヤコブ病、HIV痴呆、痴呆を伴う精神分裂病、およびコルサコフ精神病などの痴呆も、本発明の意味においてCNS障害であるとされる。
同様に、軽度認知障害、加齢性記憶障害、加齢性認知低下、血管性認知障害、注意欠陥障害、注意欠陥多動障害、および学習障害を伴う小児における記憶障害などの認識関連障害もまたCNS障害と考えられる。
本発明の意味において、疼痛もまたCNS障害に関連すると考えられる。疼痛は、多発性硬化症、脊髄損傷、坐骨神経痛、背部手術失敗(failed back surgery)症候群、外傷性脳損傷、癲癇、パーキンソン病、脳卒中後、及び脳や脊髄における血管破壊(例えば、梗塞、出血、血管新生異常)等のCNS障害と関連しうる。非中枢神経因性疼痛には、乳房切除術後疼痛、幻覚、反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)、三叉神経痛ラジオキュロパシー(trigeminal neuralgiaradio-culopathy)、術後の疼痛、HIV/AIDS関連疼痛、癌疼痛、代謝神経痛(例えば、糖尿病性神経障害、結合組織疾患に対する第2の血管炎神経障害)、例えば肺癌、白血病、リンパ腫、前立腺、大腸若しくは胃の癌種、三叉神経痛及び疱疹後神経痛と関連する腫瘍随伴性多発神経障害が挙げられる。疼痛は、末梢神経の損傷、中枢性疼痛(即ち、脳虚血に起因する)、および様々な慢性疼痛、即ち腰痛、背痛(腰痛(low back pain))、炎症性およびリウマチ痛、と関連する。頭痛(例えば前兆を伴う片頭痛、前兆を伴わない片頭痛、および他の片頭痛障害)、偶発性及び慢性緊張性頭痛、緊張型様頭痛、群発性頭痛や慢性発作性片頭痛もCNS障害である。
膵臓炎、膀胱炎、月経困難、過敏性大腸症候群、クローン病、胆石疝痛、尿管疝痛、心筋梗塞および骨盤腔の疼痛症候群、例えば会陰部痛、精巣痛、尿道症候群およびprotatodynia等の内臓の疼痛もまたCNS障害である。
例えば、術後疼痛や外傷後疼痛等の急性疼痛もまた、神経系の障害であると考えられる。
GHSは、様々な脳組織、例えば、小脳(右、左)、視床、大脳皮質、アルツハイマー状態の大脳皮質、前頭葉、側頭葉、中心後回、後根神経節および網膜等において高度に発現する。上記の組織における発現は、GHSと神経系の疾患との関連を示唆している。GHSは神経系の疾患を処置または診断するために使用することができる。
心疾患:
心不全とは、心機能の異常が、代謝している組織の要求に相応じた速度で心臓が血液を送り出せないことに起因する、病態生理学的状態として定義される。これは、基礎原因に関わりなく、例えば高拍出量および低拍出量、急性および慢性、右側および左側、収縮期および拡張期といったような全ての型のポンプ不全を包含する。
心筋梗塞(MI)は一般に、冠血流の突然の低下と、これに続き既に動脈硬化によって狭隘化していた冠動脈が血栓により閉塞することにより惹起される。MI予防(一次および二次的防止)、ならびにMIの急性期治療および合併症の防止が包含される。
虚血性疾患は、冠血流が制限され、その結果、心筋の酸素要求を満たすに充分でない灌流となる状態である。この群の疾患には、安定アンギナ、不安定アンギナ、および無症候性虚血がある。
不整脈とは全ての形の心房性および心室性頻脈(心房性頻脈、心房性粗動、心房性細動、心房−心室リエントリー頻脈、早期興奮症候群、心室性頻脈、心室性粗動、および心室性細動)、および徐脈型の不整脈を包含する。
高血圧性血管疾患は、原発性および全ての種の二次性動脈性高血圧症(腎性、内分泌性、神経性、その他)を包含する。ここに開示する遺伝子およびその産物は、高血圧症の治療および心疾患から生じる全合併症の防止のための薬物標的として使用できる。
末梢血管疾患とは、動脈および/または静脈血流が減少し、その結果、血液供給と組織の酸素要求の間に不均衡が生じている血管疾患として定義する。これには、慢性末梢動脈閉塞疾患(PAOD)、急性動脈血栓症および塞栓症、炎症性血管疾患、レイノー現象、および静脈疾患が包含される。
アテローム性動脈硬化症は、血管の壁が改造(リモデリング)され、血管の内張が脅かされる心疾患である。アテローム硬化のリモデリング過程には、血管の内膜における、平滑筋細胞と単球/マクロファージ炎症細胞の両方の集積を伴う。これらの細胞は、循環血と同様、脂質を取込み、成熟したアテローム性動脈硬化病変を形成する。これら病変の形成は、慢性過程であり、成人のヒトの人生の数十年にわたって起こり、アテローム性動脈硬化症の病的状態の大部分は、病変が破断し、血栓形成の破片が遊離し、動脈がすぐに閉塞する場合に起きる。そのような急性の事象が冠状動脈において起こるとき、結果として心筋梗塞が起こり得、最悪の場合に死に至る。
アテローム性動脈硬化症の病変の形成は、遊走、脂質の蓄積、炎症細胞の動員、血管平滑筋細胞の増殖および細胞外マトリックスの沈積のような、5つの重複する段階において起こると考えられる。これら過程はそれぞれ、ヒトおよびアテローム性動脈硬化症の動物モデルにおいて起きることを示すことができるが、病理および病変の臨床的意味に対するそれぞれの関連する寄与は明らかではない。
したがって、アテローム性動脈硬化症や冠状動脈疾患に関連する他の状態などの心疾患の病状を処置するための治療方法や治療剤に対する必要性がある。
心疾患としては、心臓および血管系の以下の障害が挙げられるがこれらに限定されない:鬱血性心不全、心筋梗塞、心臓の虚血性疾患、様々な心房および心室不整脈高血圧血管障害、末梢血管の疾患、およびアテローム性動脈硬化症。
GHSは、心臓、大動脈、硬化した大動脈、硬化した冠動脈等の種々の心臓血管に関連する組織において高度に発現する。上記組織における発現は、GHSと心疾患との間の関連を示唆している。GHSを調節して心疾患を処置または診断することができる。
血液疾患
血液疾患には、血液およびその成分のすべての障害、並びに血液のすべての構成成分の産生または分解に関わる臓器および組織の疾患が含まれる。これらには、以下のものが含まれるがそれに限定されない:1)貧血、2)骨髄増殖症候群、3)出血性障害、4)白血球減少症、5)好酸球増加症、6)白血病、7)リンパ腫、8)血漿細胞疾患、9)血液疾患における膵臓障害。1)の障害には以下のものが挙げられるがそれらに限定されない:欠陥のあるまたは不十分な血球合成に起因する貧血、不完全な赤血球生成。2)の障害には以下のものが挙げられるがそれらに限定されない:真性赤血球増加、腫瘍関連赤血球増加症、骨髄線維症、血小板血症。3)の障害には以下のものが挙げられるがそれらに限定されない:脈管炎、血小板減少症、へパリン誘導性血小板減少症、血栓性血小板減少性紫斑病、溶血性尿毒症症候群、血小板機能の遺伝性のおよび後天性の障害、遺伝性の凝固障害。4)の障害には以下のものが挙げられるがそれらに限定されない:好中球減少症、リンパ球減少症。5)の障害には以下のものが挙げられるがそれらに限定されない:過好酸球増加症、突発性好酸球増加症候群。6)の障害には以下のものが挙げられるがそれらに限定されない:急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄異形成症候群。7)の障害には以下のものが挙げられるがそれらに限定されない:ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、菌状息肉腫皮膚T細胞リンパ腫。8)の障害には以下のものが挙げられるがそれらに限定されない:多発性骨髄腫、マクログロブリン血症、重鎖病。突発性血小板減少紫斑、鉄欠乏性貧血、巨赤芽球性貧血(ビタミンB12欠乏)、再生不良性貧血、サラセミア、悪性リンパ腫骨髄侵襲、悪性リンパ腫皮膚侵襲、溶血性尿毒症症候群、巨大血小板疾患もまた血液疾患であると考えられる。
GHSは、白血球および他の血液系の組織において高度に発現する。上記組織における発現は、GHSと血液疾患との間の関連を示唆している。血液疾患を処置または診断するためにGHSを調節することができる。
喘息およびCOPD障害
喘息は、複数の遺伝子と環境因子との相互作用による結果として起こると考えられており、以下の3つの主要な特性により特徴付けられる:1)気管支収縮、粘液生産増大、気道の狭小化を引き起こす気道壁の肥厚化により引き起こされる断続的かつ可逆的な気道閉塞、2)気道反応亢進、及び3)気道炎症。特定の細胞は、喘息の炎症反応に重要であり、それらにはT細胞、及び抗原提示細胞、IgEを産生するB細胞、並びに肥満細胞、好塩基球、好酸球及びIgEと結合する他の細胞が含まれる。これらのエフェクター細胞は、気道のアレルギー反応部位に蓄積しており、そして急性病状に及び最終的に該疾患に関連する組織破壊に関与する毒性産物を放出する。平滑筋細胞、肺上皮細胞、粘液生産細胞及び神経細胞などの他の常在(resident)細胞もまた喘息を患っている個体においては異常なものとなり得、病状に寄与し得る。臨床的に断続喘鳴及び呼吸不足などを示す喘息の気道閉塞は、一般に緊急処置が必要とされる疾患の多くの圧迫症状を引き起こすと同時に、該疾患と関連した炎症及び組織破壊は、最終的に喘息を長期管理が必要な身体障害とする不可逆な変化を引き起こし得る。
慢性閉塞性肺(又は気道)疾患(COPD)は、慢性気管支炎による肺気腫及び末梢気道閉塞の併発が一般的な原因である、気流閉塞として生理的に定義される状態である(Botstein, 1980)。肺気腫は、肺空気間隙の異常な拡張を引き起こす肺胞壁の破壊によって特徴付けられる。慢性気管支炎は、連続2年間それぞれに3ヶ月間の慢性的な湿性咳が存在することによって臨床的に定義される。COPDにおいては、気流閉塞は通常進行性であり、希に好転することがある。COPDの発症において、タバコの喫煙はかなり重要な危険因子であるが、この疾患は非喫煙者にも発症する。
GHSは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の状態にある肺等の呼吸器組織に高度に発現する。COPDに冒された肺におけるGHSの発現は正常な肺よりも高い。上記の組織におけるGHSの発現は、GHSと喘息やCOPD等の呼吸器系の疾患との間の関連を示唆している。GHS受容体の治療的調節および測定を用いて呼吸器系の疾患を診断および処置することができる。
炎症性疾患
炎症性疾患には、身体組織の炎症を引き起こし、それに続いて急性または慢性の炎症状態をもたらす免疫系または組織の細胞性または非細胞性のメディエーターが引き金となる疾患が含まれる。そのような炎症性疾患の例として、I〜IV型の過敏性反応、例えば以下のものが挙げられるがこれに限定されない:喘息を含む肺の過敏性症候群、アトピー症候群、アレルギー性鼻炎、瞼の血管浮腫、遺伝性の血管浮腫、アンチレセプター過敏性反応および自己免疫疾患、橋本甲状腺炎、全身性エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、天疱瘡、重症筋無力症、グラーベ病およびレイノー病、B型インスリン抵抗性糖尿病、慢性関節リウマチ、乾癬、クローン病、強皮症、混合結合組織病、多発筋炎、サルコイドーシス、糸球体腎炎、急性または慢性の移植片対宿主反応。
GHSは、免疫系の種々の組織および免疫系の構成成分と反応する組織並びに炎症のメディエーターと反応し得る組織において高度に発現する。上記組織における発現は、GHSと炎症性疾患との間の関連を示唆している。炎症性疾患を処置するためにGHSを調節し、そのような疾患を診断するためにGHSを測定することができる。
胃腸疾患
胃腸疾患には、後天性または遺伝性の、良性または悪性または転移性であり、胃腸管または身体全体の臓器を冒す、胃腸管の器官の原発性または続発性の急性または慢性の疾患が含まれる。これらには以下のものが挙げられるがこれらに限定されない:1)アカラシア、激しいアカラシア、嚥下困難、輪状咽頭の協調不良、前食道の嚥下困難(pre-esophageal dysphagia)、広範性食道痙攣症、球感覚(globus sensation)、Barrett's 化生(Barrett's metaplasia)、胃食道逆流等の食道の障害、2)機能性消化不良、胃粘膜の炎症、ストレス性胃炎、慢性びらん性胃炎、胃腺の萎縮、胃組織の化生、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃の新生物等の胃および十二指腸の障害、3)急性または慢性膵炎、脂肪便、糖尿病等の外分泌組織または内分泌組織の機能不全、3.1)多発性内分泌腺腫、腺管由来腺癌、嚢胞腺癌、島細胞癌、インスリノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、グルカゴン産生腫瘍、Zollinger-Ellison 症候群、Vipoma症候群、吸収不良症候群等の外分泌または内分泌膵臓の新生物等の膵臓障害、4) 慢性の炎症性腸疾患、クローン病、腸閉塞、下痢および便秘、結腸無力症、巨大結腸、吸収不良症候群、潰瘍性大腸炎等の腸疾患、4.1)過敏性腸症候群等の機能性腸疾患、4.2)家族性ポリポーシス、腺癌、原発性の悪性リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、ポリープ、大腸癌等の腸の新生物。
GHSは、直腸や回腸等の胃腸系の種々の組織において高度に発現する。上記組織における発現は、GHSと胃腸疾患との間の関連を示唆している。GHSを調節して胃腸疾患を処置することができ、そのような疾患を診断するためにGHSを測定することができる。
癌障害
本発明の範囲に含まれる癌障害には、制御が不十分であるかまたは制御されない、正常なまたは異常な細胞の増殖によって特徴付けられる、哺乳類における臓器または組織の任意の疾患が含まれる。本発明の範囲の癌疾患には、良性の新生物、異形成、過形成、並びに転移性の増殖を示す新生物、または他のいずれかの形質転換、例えばしばしば癌の発症に先立つ白斑症が含まれる。細胞および組織は、増殖が正常の細胞よりも急速になり、周囲の健康な組織または他のいずれかの他の組織へと転移または広がり、転移性の増殖、恐らくは異常な形状として記述され、それらの核細胞質の比率(nucleocytoplasmatic ratio)、核多色性における変化を示し、最後には停止する場合に癌になる。癌になった細胞および組織は、腫瘍随伴症候群を引き起こしたときに身体全体に影響を及ぼし、または、癌が生命維持に必要な臓器または組織に起こったとき、正常な機能が害されまたは停止し、致命的になることもある。重要臓器が最終的に癌に冒されると、原発性または転移性に関わらず、冒された哺乳類は死に至ることがある。癌は広がる傾向にあり、その広がる速度は通常その人の生存する機会と関連する。癌は、一般に3つの進行段階のいずれかで言われる:初期または局在、癌が依然として臓器の組織または最初の場所に留まっている状態;直接的拡張(direct extension)、腫瘍から癌細胞が隣接する組織に侵襲し、単に領域リンパ節に広がる場合;または転位、癌細胞が血液またはリンパ系を介して最初の部位から離れた身体の部分に移動し、伝搬の二次的部位を確立した状態。癌は、処置しなければ死を引き起こす傾向のために、悪性であるといわれている。良性の腫瘍は、通常は死を引き起こさないが、その場所、大きさ、または腫瘍随伴性の副作用によっては、正常な身体機能を妨害する場合死をもたらすことがある。したがって、良性腫瘍も同様に本発明の癌の定義に含まれる。一般に、癌細胞は正常な細胞よりも速い速度で分裂するが、それは癌細胞における増殖抑制の部分的または完全な喪失であり、正常組織の機能的に均等な増殖を特徴付ける有用な、限られた種類の組織に区別することができないので、癌組織と正常組織の増殖はあまり区別できない。癌組織はある特定の分子量の受容体を発現し、乳癌および前立腺癌が例えばそれらの存在のための特定のホルモンに依存することが知られているように、宿主の感受性および免疫によって影響を受けることがある。本発明の範囲における「癌」なる用語は、単純な良性の新生物に限られないが、任意の他の良性および悪性の新生物を包含する、例えば:1)癌腫、2)肉腫、3)癌肉腫、4)血液形成組織の癌、5)脳を含む神経組織の癌、6)皮膚細胞の癌。1)の癌は、身体の外側を覆っている上皮組織(皮膚)、およびライン粘膜および内腔構造粘膜、例えば乳房、肺、呼吸器および消化管、内分泌腺および尿生殖器系を含む臓器に起こる。管状または線状のエレメントが、腺癌として上皮組織に存在し得る。例えば、甲状腺癌、胃の腺癌、子宮腺癌。皮膚の上皮のおよび特定の粘膜の舗装細胞(pavement-cell)癌、例えば、舌、唇、咽頭、膀胱、子宮頸または陰茎は、各組織の類表皮のまたは扁平上皮細胞の癌と称し、同様に本発明の癌の定義に包含される。2)の癌は、繊維状組織、脂肪(fat)組織、筋肉、血管、骨および関節等の結合組織において進行する。例えば骨肉腫、脂肪肉腫、繊維肉腫、滑液肉腫等。3)の癌は上皮細胞および結合組織の両方で進行する。本定義に含まれる癌疾患は、原発性または続発性であり得、それによって原発性は、それが見つかった場所が、別の病巣からの転位により二次的部位を確立した場所と別の場所にもともと存在していることを示す。本定義における癌および腫瘍疾患は良性または悪性であり、哺乳類の身体のすべての解剖学的構造に影響を及ぼす。それらには、以下の癌および腫瘍疾患が例示されるがこれに限定されない:I)骨髄および骨髄に由来する細胞(白血病)、II)内分泌腺および外分泌腺、甲状腺、上皮小体、下垂体、副腎、唾液腺、膵臓、III)乳房、例えば男性または女性の乳腺の良性または悪性腫瘍、乳管、腺癌、髄様癌、面疱癌、乳首のページェット病、若い女性の炎症性乳癌、IV)肺、V)胃、VI)肝臓および脾臓、VII)小腸、VIII)結腸、IX)骨およびその支持・結合組織(悪性または良性の骨癌、例えば悪性骨肉腫、良性の骨腫、軟骨腫瘍、悪性の軟骨腫瘍または良性の骨髄腫または悪性の骨髄腫のような)または良性の好酸球性肉芽腫、並びに骨組織からの身体の他の場所での転移性の腫瘍;X)口、咽、咽頭、および食道、XI)男性または女性の膀胱および生殖泌尿器系の内部および外部気管および構造、例えば卵巣、子宮、子宮頸、精巣、および前立腺、XII)前立腺、XIII)膵臓、例えば膵臓の腺管癌;XIV)リンパ組織、例えばリンパ腫および他のリンパ節の腫瘍、XV)皮膚、XVI)呼吸および呼吸器系に属する胸筋および内面を含むすべての解剖学的構造の癌および腫瘍疾患、XVII)リンパ節の原発性または続発性の癌、XVIII)舌および硬口蓋または洞の骨性構造、XVIV)口、頬、頸および唾液腺、XX)心臓またはその内張を含む血管、XXI)平滑筋または骨格筋およびそれらの靱帯および内張り、XXII)末梢神経、自律神経、中枢神経系(脳を含む)、XXIII)脂肪組織。
GHSは、乳癌および肺癌等の種々の癌組織において高度に発現する。上記の組織における発現は、GHSと癌との間の関連を示唆している。癌を処置または診断するためにGHSを調節および測定することができる。
応用
本発明は、心疾患、末梢神経および中枢神経系の障害、COPDや喘息等の呼吸器系の疾患、血液疾患、癌、胃腸疾患および炎症の予防方法および治療方法の両方を提供する。
本発明の調節方法は、GHSの1またはそれ以上の活性を調節する薬剤と細胞を接触させることを伴う。活性を調節する薬剤は、核酸またはタンパク質、ポリペプチドの天然の同族のリガンド、ペプチド、ペプチド模擬物または任意の小分子などの本明細書に記載の薬剤であってよい。1つの態様では、その薬剤は、GHSの1またはそれ以上の生物学的活性を刺激する。そのような刺激物質の例としては、活性なGHSおよびGHSの一部をコードする核酸分子が挙げられる。別の態様では、その薬剤は、GHSの1またはそれ以上の生物学的活性を阻害する。そのような阻害物質の例としては、アンチセンス核酸分子および抗体が挙げられる。これらの調節方法は、in vitro(例えば、細胞を薬剤とともに培養することによって)で行うかまたは、あるいはin vivo(例えば、薬剤を患者に投与することによって)で行うことができる。したがって、本発明は、望ましくない発現またはGHSの活性またはGHSシグナル伝達経路におけるタンパク質によって特徴付けられる疾患または障害に冒されている人を処置する方法を提供する。1つの態様では、本方法は、本明細書に記載のスクリーニングアッセイによって同定されるまたは同定可能な任意の薬剤のような薬剤または発現またはGHSの活性またはGHSシグナル経路における任意のタンパク質の活性を上方調節または下方調節するそのような薬剤の組合せを投与することを伴う。別の態様では、本方法は、GHSを、GHSまたはGHSシグナル伝達経路におけるタンパク質の減少したまたは望ましくない低い発現または活性を補うための治療として投与することを含む。
GHSの活性または発現の刺激は、活性または発現が異常に低く、増加した活性が有益な効果を有すると思われる状況において望ましい。逆に、GHSの活性または阻害は、GHSの活性または発現が異常に高く、その活性が有益な効果を有すると思われる状況において望ましい。
本発明はさらに、限定として解釈してはならない以下の実施例によって説明される。本願において引用したすべての文献、特許および公開された特許出願の内容は、ここに参考として本明細書の一部を構成する。
医薬組成物
本発明はさらに、上記のスクリーニングアッセイによって同定された新規の薬剤および本明細書に記載した処置のためのその使用に関する。
本発明の核酸分子、ポリペプチド、および抗体(「活性化合物」ともいう)は、投与に適当な医薬組成物に組み込むことができる。そのような組成物は典型的に核酸分子、タンパク質または抗体と製薬的に許容し得る担体とを含む。本明細書において用いられる「製薬的に許容し得る担体」なる語は、医薬の投与に適合するあらゆる溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤などを含有することを意図する。製薬的に活性な物質のためのそのような媒体や試薬の使用は当分野においてよく知られている。任意の慣用の媒体または試薬が活性化合物と適合しない場合を除いて、組成物におけるその使用を企図する。さらに活性化合物を本組成物に添加することもできる。
本発明は、GHS発現または活性(および/またはGHSシグナル伝達経路におけるタンパク質の活性または発現の調節物質)の調節物質を含む医薬組成物ならびに1またはそれ以上のそのような調節物質を製薬的に許容し得る担体と組み合わせることによるそのような組成物の製造方法を包含する。さらに、使用説明書と共に包装された。本発明のスクリーニングアッセイを用いて同定された調節物質を含む医薬組成物もまた本発明の範囲に含まれる。GHS活性のアンタゴニストであり、GHS発現を減少させる調節物質について、該使用説明書は、血液疾患、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPD、喘息、生殖泌尿系の疾患および炎症疾患の処置のためのその医薬組成物の使用について詳細に記載する。GHS活性のアゴニストであるまたはGHS発現を増大する調節物質について、該使用説明書は、血液疾患、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPD、喘息、生殖泌尿系の疾患および炎症疾患の処置のためのその医薬組成物の使用について詳細に記載する。
当分野で一般的に知られている方法を用いてGHSのアンタゴニストを製造することができる。特に、精製したGHSを用いて、抗体を製造するか、または医薬のライブラリーをスクリーニングしてGHSに特異的に結合する医薬を同定することができる。GHSに対する抗体はまた、当分野に周知の方法を用いて作製することもできる。そのような抗体としては、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、一本鎖抗体、Fab断片、およびFab発現ライブラリーによって産生した断片が挙げられる。二量体形成を阻害するような中和抗体は、治療的使用に特に好ましい。
本発明のさらなる態様では、GHSをコードするポリヌクレオチドまたはその任意の断片または相補体を治療目的で用いることができる。1つの態様では、GHSをコードするポリヌクレオチドを、mRNAの転写をブロックすることが望ましい状況において使用することができる。特に、細胞を、GHSをコードするポリヌクレオチドに相補的な配列で形質転換することができる。したがって、相補的な分子または断片を用いてGHS活性を調節するまたは遺伝子機能の調節を達成することができる。そのような技術は今や当分野においてよく知られており、GHSをコードする配列のコード配列または制御領域に沿った様々な位置からセンスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはより長い断片を設計することができる。
発現ベクター、レトロウイルス、アデノウイルス、またはヘルペスまたはワクシニアウイルスからまたは様々な細菌プラスミド誘導された発現ベクターを用いて、ヌクレオチド配列の標的の器官、組織または細胞集団へ送達することができる。当業者に周知の方法を用いて、GHSをコードする遺伝子のポリヌクレオチドに相補的な核酸配列を発現するベクターを構築することができる。これらの技術は、例えば、Scott and Smith (1990) Science 249:386-390に記載されている。
上記の任意の治療方法をそのような治療を必要とする患者(例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、サルおよびもっと好ましくはヒトなどの哺乳類を含む)に適用することができる。
本発明のさらなる態様は、上記の治療効果のいずれかのための製薬的に許容し得る担体とともにGHSを含有する医薬組成物の投与に関する。そのような医薬組成物は、GHS、GHSに対する抗体および模擬物、GHSのアゴニスト、アンタゴニストまたは阻害物質からなることができる。組成物を単独で投与するかまたは少なくとも1つの他の試薬、例えば、安定化化合物と組み合わせて投与することができ、任意の滅菌された、生物的に適合する製薬的担体(生理食塩水、緩衝化生理食塩水、デキストリンおよび水を含むがこれに限定されない)担体中で投与することができる。本組成物は、単独で患者に投与するかまたは他の試薬、薬物またはホルモンと組み合わせて投与することができる。
本発明の医薬組成物は、その意図した投与経路に適合するように製剤化する。投与経路の例としては、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下および経口(例えば吸入)、経皮(局所)、経粘膜および直腸投与が挙げられる。非経口、皮内、または皮下適用に用いることができる溶液剤または懸濁剤としては、以下の成分が含まれる:滅菌希釈剤、例えば注射用の水、生理食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;抗菌剤、例えばベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸または硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸;緩衝剤、例えば、酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩など;および浸透圧を調整するための試薬、塩化ナトリウムまたはデキストロースなど。pHは、塩酸塩または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基により調整することができる。非経口用調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨ての注射器または複数回用量のバイアルに入れられる。
注射での使用に適した医薬組成物は、滅菌水溶液(水に可溶である場合)または滅菌注射溶液または分散液の即席の調製のための分散液および粉末が挙げられる。静脈内投与について、適当な担体としては、生理食塩水、静菌性の水、Cremophor EL(登録商標)(BASF; Parsippany, N. J.)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)。すべての場合において、組成物は無菌で注射器に容易に入れられる程度に流動性である。製造および保存の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染から守られていなければならない。担体は、例えば水、エタノール、製薬的に許容し得るポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール、およびをそれらの適当な混合物)を含む溶媒または分散媒体であってよい。例えば、分散剤の場合、レシチン等のコーティングの使用により、必要な粒子サイズを維持することにより、および界面活性剤の使用により、適当な流動性を維持することができる。微生物の作用の阻止は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどの様々な抗菌および抗真菌剤によって達成することができる。多くの場合、等張剤、例えば糖、ポリアルコール(例えばマンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム)を組成物に含有させることが好ましいであろう。注射用組成物の長時間の吸収は、例えば、モノステアリン酸アルミニウム、ゼラチン等の吸収を遅らせる試薬を組成物に含有させることにより引き起こすことができる。滅菌注射用溶液は、必要な量の活性化合物(例えばポリペプチドまたは抗体)を、必要であれば、上に列挙した成分の1つまたは組合せと共に適当な溶媒中に含有させた後、滅菌濾過することにより調製することができる。一般に、分散物は、ベースとなる分散媒体および上に列挙した必要な他の成分を含有する滅菌ビークルに活性化合物を入れることによって調製する。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい製造方法は、活性成分とさらなる所望の成分の粉末を得る、予め滅菌濾過された溶液からの減圧乾燥、凍結乾燥である。
経口用組成物は一般に、不活性な希釈剤または食用に適する担体が挙げられる。それらは、ゼラチンカプセルに入れるかまたは圧縮して錠剤にすることができる。経口での治療的投与を目的とする場合、活性化合物を入れることができる。
添加剤とともに含有させ、錠剤、トローチまたはカプセルの形態で使用することができる。経口用組成物はまた、口洗剤として使用するための流動性担体を用いて調製することができ、化合物を流動性担体中で経口で適用し、口の中ですすぎ、吐き出すかまたは飲み込む。
製薬的に適合し得る結合剤および/またはアジュバント物質を組成物の一部として含有させることができる。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチなどは、任意の以下の成分または同様の性質の化合物を含有し得る:微晶性セルロース、トラガカント・ゴムまたはゼラチン等の結合剤;デンプンまたはラクトース等の賦形剤;アルギン酸、Primogelまたはトウモロコシデンプン等の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはステロート(sterotes)等の滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素等の流動促進剤;スクロースまたはサッカリン等の甘味料;またはペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジフレーバー等の香料。
吸入による投与については、化合物を適当なプロペラント(例えば、二酸化炭素等の気体)を含む加圧された容器またはディスペンサーまたは噴霧器からエアロゾルスプレーの形態で導出する。
全身投与は、経粘膜または経皮的手段によっても行うことができる。経粘膜または経皮投与については、浸透させるべきバリアーに適当な浸透剤を製剤において用いる。そのような浸透剤は一般に当分野において知られており、例えば、経粘膜投与、界面活性剤、胆汁塩、およびフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、鼻用スプレーまたは坐剤の使用によって行うことができる。経皮投与については、活性化合物を、当分野で一般的に知られている軟膏、塗薬(salve)、ゲル、またはクリームに製剤化する。
化合物を坐薬(例えば、ココアバターおよび他のグリセリド等の慣用的な坐剤基剤を用いて)または直腸送達のための停留浣腸の形態に製造することもできる。
1つの態様では、活性化合物を、制御された放出製剤(インプラントおよびマイクロカプセルに入れられたデリバリーシステムを含む)等の、体内からの化合物の急速な消失に対して化合物を保護する担体とともに調製する。ビニル酢酸エチル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸等の生物適合性のポリマーを用いることができる。そのような製剤の製造方法は、当業者には明らかであろう。材料はAlza CorporationおよびNova Pharmaceuticals, Inc. から商業的に入手可能である。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体で感染細胞に標的化したリポソームを含む)を製薬的に許容し得る担体として用いることもできる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載のように、当業者に周知の方法にしたがって製造することができる。
経口または非経口組成物を、投与を容易にし、用量を均一にするための単位投与形態に製剤化することは特に有用である。本明細書において使用する単位投与形態は、処置される患者にとっての単位用量として適した物理的に分離された単位を意味し;各単位は、所望の治療効果をもたらすように計算された予め決められた量の活性化合物を必要な医薬担体と共に含有している。本発明の単位投与形態の規格は、活性化合物固有の特性、達成すべき具体的な治療効果、および個人の処置のためにそのような活性化合物を配合する分野において内在する制限によって変わり、直接的に依存する。
医薬組成物は、投与の説明書と共に、容器、パックまたはディスペンサーに入れることができる。GHS活性のアンタゴニスト、GHSの発現を減少させる化合物、またはGHSシグナル伝達経路におけるタンパク質の発現または活性を減少させる化合物、またはその任意の組合せを含む医薬組成物について、投与の説明書は、血液疾患、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPD、喘息、生殖泌尿系の疾患、および炎症疾患に対する組成物の使用について詳細に記載する。GHS活性のアゴニスト、GHSの発現を増大する化合物、GHSシグナル伝達経路におけるタンパク質の発現または活性を増大する化合物、またはその任意の組合せを含む医薬組成物について、投与の説明書は、血液疾患、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPD、喘息、生殖泌尿系の疾患、および炎症疾患に対する組成物の使用について詳細に記載する。
診断
さらなる態様において、GHSに特異的に結合する抗体を、GHSの発現によって特徴付けられる障害の診断のため、またはGHSまたはGHSのアゴニスト、アンタゴニストおよび阻害剤で処置されている患者をモニターするための分析において使用することができる。診断目的に有用な抗体は、治療物質について上に記載したものと同様に製造することができる。GHSについての診断分析には、抗体およびGHSをヒトの体液または細胞もしくは組織の抽出物において検出するための標識を利用する方法を含む。抗体は、修飾してまたは修飾せずに用いることができ、レポーター分子と共有結合または非共有結合により連結させることにより標識することができる。上にそのいくつかを記載した様々なレポーター分子は、当分野において周知であり、使用することができる。
ELISA、RIA、およびFACSを含むGHSを測定するための様々なプロトコルは、当分野で周知であり、GHS発現の変化したまたは異常なレベルを診断するための基礎を提供する。GHS発現についての正常または標準的な値は、正常な哺乳類患者、好ましくはヒト、から採取した体液または細胞抽出物を、GHSに対する抗体と、複合体形成に適当な条件下で混合することによって確立する。標準の複合体形成の量は、様々な方法、好ましくは分光的手段により、定量することができる。生検組織からの患者の試料において発現したGHSの量を標準値と比較する。標準と対象の値との偏差が、疾患を診断するためのパラメーターである。
本発明のさらなる態様では、GHSをコードするポリヌクレオチドを診断目的で使用することができる。用いることができるポリヌクレオチドとしては、オリゴヌクレオチド配列、相補RNAおよびDNA分子、およびPNAが挙げられる。ポリヌクレオチドを用いて、GHSの発現が疾患と相関し得る生検組織における遺伝子発現を検出し、定量することができる。この診断アッセイを用いて、GHSの不在、存在および過剰発現を区別し、治療的介入を行っている間のGHSレベルの調節をモニターすることができる。
GHSをコードするポリヌクレオチド配列を、GHSの発現に関連する心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDや喘息等の呼吸器系の疾患、血液疾患、癌、胃腸疾患および炎症の診断に用いることができる。GHSをコードするポリヌクレオチド配列を、サザンブロット、ノーザンブロットまたはドットブロット解析;または他の膜ベースの技術;PCR技術;ディップスティック、ピン、およびELISAアッセイ;および患者の生検組織からの体液または組織を利用するマイクロアレイにおいて用い、変化したGHS発現を検出することができる。そのような定性または定量方法は当分野において周知である。
具体的な態様では、GHSをコードするヌクレオチド配列は、上に具体的に記載したような関連する障害の存在を検出するアッセイにおいて有用であろう。GHSをコードするヌクレオチド配列を標準的な方法により標識し、ハイブリダイゼーション複合体の形成に適当な条件下で患者から得た体液または組織サンプルに加える。適当なインキュベーション期間の後、サンプルを洗浄し、シグナルを定量し、標準値と比較する。患者のサンプル中のシグナルの量が、比較する対照のサンプルのシグナルよりも有意に変化している場合、ヌクレオチド配列は、サンプル中のヌクレオチド配列とハイブリダイズしており、サンプル中のGHSをコードするヌクレオチド配列における変化したレベルの存在は、関連する障害の存在を示している。そのようなアッセイは動物実験、臨床試験または患者の処置を監視することにおいて、治療的処置レジメの効力を評価するのにも使用することができる。
GHSの発現に関連する心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDや喘息等の呼吸器系の疾患、血液疾患、癌、胃腸疾患および炎症の診断の基礎を提供するために、発現に関する正常または標準的なプロファイルを確立する。これは、動物またはヒトのいずれかの正常な患者から採取した体液または細胞抽出物と、GHSをコードする配列またはその断片とを、ハイブリダイゼーションまたは増幅に適した条件下で混合することによって行うことができる。標準のハイブリダイゼーションは、正常な患者から得られた値と、既知の量の実質的に精製されたポリペプチドを用いた実験から得られた値とを比較することによって定量することができる。正常なサンプルから得られた標準値は、障害の症状を示している患者から採取したサンプルから得られた値と比較することができる。標準値との偏差を用いて障害の存在を証明する。
使用することができる薬物スクリーニングのさらなる技術は、公開されたPCT出願W084/03564に記載の、目的のタンパク質に対して適当な結合親和性を有する化合物のハイスループットスクリーニングである。この方法では、大量の種々の小さい試験化合物を、プラスチックピンなどの固形物質上または他の表面上に合成する。試験化合物をGHSまたはその断片と反応させ、洗浄する。次いで、結合したGHSを当分野において周知の方法によって検出する。精製したGHSを、前述の薬物スクリーニング法に使用するために直接プレート上にコーティングすることもできる。あるいは、非中和抗体を用いてペプチドを捕捉し、それを固体の支持体に固定化することもできる。
さらなる態様では、GHSに結合することができる中和抗体が、GHSの結合に関して試験化合物と特異的に競合する競合的薬物スクリーニングアッセイを用いてもよい。この方法では、抗体を用いて、GHSと1またはそれ以上の抗原決定基を共有するペプチドの存在を検出することができる。
Gタンパク質共役型受容体は、哺乳類の宿主に遍在し、多くの病状を含む多くの生物学的機能に応答する。したがって、一方でGタンパク質共役型受容体を刺激し、他方でGタンパク質共役型受容体の機能を阻害することができる化合物や薬物を見いだすことが望ましい。例えば、Gタンパク質共役型受容体を活性化する化合物を治療目的、例えば喘息、パーキンソン病、急性心不全、尿閉および骨粗鬆症などに用いることができる。特に、本発明の受容体を活性化する化合物は、肺の血流の欠如または高血圧によって引き起こされるような様々な心臓血管の病気の処置に有用である。さらに、これらの化合物を体液および電解液のホメオスタシスの制御の異常に関連する様々な生理学的障害の処置に、および異常なアンジオテンシン誘発性アルドステロン分泌に関連する疾患において使用することもできる。
一般に、Gタンパク質共役型受容体を阻害する化合物は、様々な治療目的に用いることができる。例えば、低血圧および/または高血圧の処置、狭心症、心筋梗塞、潰瘍、喘息、アレルギー、良性前立腺肥大、および精神学的および神経学的障害(統合失調症、躁病性興奮、鬱病、精神錯乱、痴呆または重篤な知能発育不全、ジスキネジー、例えばハンチントン舞踏病またはトゥレット症候群等を含む)に用いることができる。Gタンパク質共役型受容体を阻害する化合物は、内因性の拒食症の逆転および過食症の抑制において有用である。
治療的有効量の決定
治療的有効量の決定は、充分当業者の能力の範囲内にある。治療的有効量とは、治療的有効量の不在下で起こるGHSの活性に比較してGHSの活性を増大させまたは低下させる活性成分の量を指す。いかなる化合物に関しても、治療的有効量は最初に細胞培養検定で、または動物モデル、通常マウス、ウサギ、イヌ、またはブタで見積もることができる。動物モデルは適当な濃度範囲および投与経路の決定にも使用できる。次にこのような情報を用いてヒトでの有用な用量と投与経路を決定できる。
治療的有効性および毒性、例えばED50(集団の50%で治療的に有効な用量)およびLD50(集団の50%で致死的な用量)は、細胞培養または実験動物における標準的薬学的方法により決定できる。治療効果に対する毒性効果の用量比が治療指数であり、比LD50/ED50で表すことができる。大きな治療指数を示す医薬組成物が好ましい。細胞培養検定および動物研究から得られるデータを、ヒトへの使用のための用量範囲を処方する際に使用する。係る組成物に含まれる用量は、好ましくは殆どまたは全く毒性を持たないED50を包含する循環濃度の範囲内である。この用量は、使用する投与剤型、患者の感受性、および投与経路に応じてこの範囲内で変わる。正確な用量は、治療を必要とする対象に関連する因子に照らして医師が決定する。用量および投与は、充分なレベルの活性成分を提供するよう、または所望の効果を維持するよう、調節する。考慮できる因子は、疾病状態の重篤度、対象の全身健康状態、年齢、体重、および対象の性別、食餌、投与の時間および頻度、薬物の組み合わせ、反応の感受性、および療法に対する寛容/応答を包含する。長時間作用性医薬組成物は、その製剤の半減期およびクリアランス率に応じて3ないし4日毎、毎週、または2週間に1回投与することができる。
標準的な用量は投与経路に応じて0.1から100000マイクログラムまで変えることができ、約1gまでの総用量とすることができる。特定の用量およびデリバリー方法についての指針は文献に提供されており、一般に当分野の医師が入手できる。当業者は、ヌクレオチド用には蛋白またはそれらの阻害物質用のものとは異なる製剤を使用するであろう。同様に、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドのデリバリーは特定の細胞、状態、場所などに特異的である。この試薬が一本鎖抗体である場合、この抗体をコードしているポリヌクレオチドを組み立て、トランスフェリン−ポリカチオン−仲介DNA転移、裸のまたはカプセル内核酸を用いるトランスフェクション、リポソームの仲介する細胞融合、DNA被覆ラテックスビーズの細胞内輸送、プロトプラスト融合、ウイルス感染、エレクトロポレーション、「遺伝子銃」、およびDEAE−またはリン酸カルシウム−仲介トランスフェクションを包含する(但しこれらに限定される訳ではない)充分確立した技術を用いて、ex vivoまたはインビボで細胞内に導入できる。
発現産物がmRNAである場合、試薬は好ましくはアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイムである。アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイムを発現するポリヌクレオチドは、上記のように多岐にわたる方法によって細胞中に導入できる。好ましくは、試薬は、GHS遺伝子の発現またはGHSの活性を、該試薬の不在時と比較して少なくとも約10、好ましくは約50、より好ましくは約75、90、または100%低下させる。GHS遺伝子の発現レベルまたはGHSの活性を低下させるよう選択した機構の有効性は、当分野で周知の方法、例えばGHS特異的mRNAへのヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーション、定量的RT−PCR、GHSの免疫学的検出、またはGHS活性の測定を用いて評価できる。
上記のいずれの態様においても、本発明の任意の医薬組成物は他の適当な治療薬と組み合わせて投与できる。併用療法に使用するための適当な物質の選択は、慣用の製薬における原理に従い、当業者により実施することができる。治療薬の組み合わせは、相乗的に働いて、上記の様々な疾患の治療または予防を奏効させる。このアプローチを用いて、より低い各物質の用量で治療効果を達成することができ、したがって有害な副作用の可能性を低減することができる。上記の治療方法のいずれも、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、サル、および最も好ましくはヒトといった哺乳動物を包含する、このような治療を必要とする任意の対象に適用することができる。
本発明の核酸分子は、以下からなる核酸分子の群から選択される核酸分子である:(i)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子;(ii)配列番号1の配列を含む核酸分子;(iii)配列番号1の配列を有する核酸分子;(iv)ストリンジェントな条件下で(i)、(ii)または(iii)の核酸分子にハイブリダイズする相補的鎖の核酸分子;および(v)遺伝コードの縮重により(iii)の核酸分子の配列とは異なる配列の核酸分子であって、該核酸分子によってコードされるポリペプチドがGHS活性を有する、核酸分子。
本発明のポリペプチドは、以下からなる群から選択されるポリペプチドである:(i)配列番号2の配列を有するポリペプチド、(ii)配列番号2の配列を含むポリペプチド、(iii)本発明の核酸分子によってコードされるポリペプチド、および(iv)(i)、(ii)、または(iii)のポリペプチドと少なくとも99%、98%、95%、90%、または80%の相同性を示すポリペプチドであって、該精製されたポリペプチドがGHS活性を有するポリペプチド。
本発明の主題は、以下の工程:
i)試験化合物をGHSポリペプチドと接触させる工程、
ii)該試験化合物の該GHSポリペプチドへの結合を検出する工程
を含んでなる、哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症からなる疾患の群に含まれる疾患の処置に有用な治療剤のスクリーニング方法である。例えば、GHSポリペプチドに結合する化合物を、そのような疾患に対する可能性のある治療剤として同定する。
本発明のさらなる主題は、以下の工程:
i)試験化合物の或る特定の濃度でまたは該試験化合物の非存在下でGHSポリペプチドの活性を測定する工程、
ii)該試験化合物の異なる濃度で該ポリペプチドの活性を測定する工程
を含んでなる、哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症からなる疾患の群に含まれる疾患の処置に有用な治療剤のスクリーニング方法である。例えば、(i)および(ii)においてGHSポリペプチドの活性の変化をもたらす化合物をそのような疾患の可能性のある治療剤として同定する。
本発明のさらなる主題は、以下の工程:
i)試験化合物の或る特定の濃度でGHSポリペプチドの活性を測定する工程、
ii)GHSポリペプチドの調節物質であることが知られている化合物の存在下でGHSポリペプチドの活性を測定する工程
を含んでなる、哺乳類における心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDや喘息等の呼吸器系の疾患、血液疾患、癌、胃腸疾患および炎症からなる群に含まれる疾患の処置に有用な治療剤のスクリーニング方法である。例えば、(ii)で使用した化合物と比較して(i)においてGHSポリペプチドの活性に対し刺激効果を示す化合物を、そのような疾患に対する可能性のある治療剤として同定する。
本発明の他の主題は、接触させる工程を細胞内または細胞表面で行う上記方法である。
本発明の他の主題は、細胞が in vitro で存在する上記方法である。
本発明の他の主題は、接触させる工程を細胞を含まない系で行う上記方法である。
本発明の他の主題は、ポリペプチドを検出可能な標識に結合させる上記方法である。
本発明の他の主題は、化合物を検出可能な標識に結合させる上記方法である。
本発明の他の主題は、試験化合物がポリペプチドに最初に結合していたリガンドと置き換わる上記方法である。
本発明の他の主題は、ポリペプチドが固体の支持体に結合している上記方法である。
本発明の他の主題は、化合物が固体の支持体に結合している上記方法である。
本発明のさらなる主題は、以下の工程:
i)試験化合物をGHSポリヌクレオチドと接触させる工程、
ii)該試験化合物と該GHSポリヌクレオチドとの結合を検出する工程
を含んでなる、哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症からなる疾患の群に含まれる疾患の処置に有用な治療剤のスクリーニング方法である。例えば、GHSポリヌクレオチドに結合する化合物をそのような疾患の処置の可能性のある治療剤である。
本発明のさらなる主題は、核酸分子がRNAである上記方法である。
本発明のさらなる主題は、接触させる工程を細胞内または細胞表面で行う上記方法である。
本発明のさらなる主題は、接触させる工程を細胞を含まない系で行う上記方法である。
本発明のさらなる主題は、ポリヌクレオチドを検出可能な標識に結合させる上記方法である。
本発明のさらなる主題は、試験化合物を検出可能な標識に結合させる上記方法である。
本発明のさらなる主題は、以下の工程:
i)該哺乳類から採取したサンプル中のGHSポリヌクレオチドの量を測定する工程;
ii)健康な哺乳類および/または疾患を有する哺乳類におけるGHSポリヌクレオチドの量を測定する工程
を含んでなる、哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症からなる疾患の群に含まれる疾患を診断する方法である。例えば、該試験哺乳類におけるGHSポリヌクレオチド量が、疾患を有する哺乳類と比較して実質的に同様であれば、疾患が診断される。
本発明のさらなる主題は、GHSポリペプチドに結合する治療剤を含有する、哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症からなる疾患の群に含まれる疾患を処置するための医薬組成物である。
本発明のさらなる主題は、GHSポリペプチドの活性を調節する治療剤を含有する、哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症からなる疾患の群に含まれる疾患を処置するための医薬組成物である。
本発明のさらなる主題は、GHSポリペプチドの活性を調節する治療剤を含有する、哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症からなる疾患の群に含まれる疾患を処置するための医薬組成物であって、該治療剤が、
i)小分子、
ii)RNA分子、
iii)アンチセンスオリゴヌクレオチド、
iv)ポリペプチド、
v)抗体または
vi)リゾチーム
である医薬組成物である。
本発明のさらなる主題は、GHSポリヌクレオチドを含有する、哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症からなる疾患の群に含まれる疾患を処置するための医薬組成物である。
本発明のさらなる主題は、GHSポリペプチドを含有する、哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症からなる疾患の群に含まれる疾患を処置するための医薬組成物である。
本発明のさらなる主題は、哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症からなる疾患の群に含まれる疾患を処置するための医薬組成物の製造のためのGHSの調節物質の使用である。
本発明のさらなる主題は、以下の工程:
i)GHSの調節物質を同定する工程、
ii)該調節物質が、哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症からなる疾患の群に含まれる疾患の症状を改善するかどうかを調べる工程;および
iii)該調節物質を許容し得る製薬的担体と組み合わせる工程
を含んでなる、哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症からなる疾患の群に含まれる疾患を処置するための医薬組成物の製造方法である。
本発明のさらなる主題は、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症からなる疾患の群に含まれる疾患を有する哺乳類におけるGHS活性の調節のための、GHSの調節物質の使用である。
本発明を説明するために以下の実施例を記載する。これらの実施例は、説明のために記載するものであって、本発明を限定する目的で記載するものではない。
実施例1:
公開された配列データベースの相同的配列の検索
相同性の程度は容易に計算することができる。相同性を決定するための好ましい方法は、試験した配列間の最も大きな一致を与える様に設計する。相同性を決定するための方法は、BestFit、BLASTP、BLASTNおよびFASTA等の公に入手可能なコンピュータプログラムによりコード化される。BLASTプログラムはNCBIからインターネットで公に入手可能である。
GHSについて、BLASTアルゴリズム[Altschul SF, Madden TL, Schaffer AA, Zhang J, Zhang Z, Miller W, Lipman DJ; Nucleic Acids Res 1997 Sep 1 ; 25 (17): 3389-402]および以下のパラメータの組を用いて既知の配列に対する以下のヒットを同定した:
マトリックス=BLOSUM62および低複雑度フィルター。以下のデータベースを検索した:NCBI(非重複配列)およびDERWENT親データベース(Geneseq)。
以下のヒットが見つかった:
>NA2001:AAF83680 Aaf83680 ヒトGタンパク質共役型受容体、GHS-R、をコードするcDNA. 7/2001、長さ=1101、ソース=2183 bits (1101)、期待値=0.0、同一性=1101/1101 (100%)

>NA2000:AAZ51463 Aaz51463 ヒト Gタンパク質共役型オーファン受容体、GHSR をコードするcDNA. 6/2000、長さ=1101、ソース=2183 bits (1101)、期待値=0.0、同一性=1101/1101 (100%)

>NA2000:AAA30643 Aaa30643 ヒト Gタンパク質共役型受容体 GHSR cDNA. 8/2000、長さ=1101、ソース=2183 bits (1101)、期待値=0.0、同一性=1101/1101 (100%)

>emb|AX154584.1|AX154584 特許WO0138355の配列4、長さ=1101、ソース=2183 bits (1101)、期待値=0.0、同一性=1101/1101 (100%)

>gb|U60179.1|HSU60179 ヒト成長ホルモン分泌促進因子受容体 1a型 mRNA、完全cds、長さ=1101、ソース=2183 bits (1101)、期待値=0.0、同一性=1101/1101 (100%)

>ref|XM_003199.4| ヒト成長ホルモン分泌促進因子受容体(GHSR)、mRNA、長さ=1101、ソース=2175 bits (1097)、期待値=0.0、同一性=1100/1101 (99%)

>NA2000:AAA30732 Aaa30732 ヒトGタンパク質共役型受容体GHSR変異体をコードするDNA (V262K). 8/2000、長さ=1101、ソース=2167 bits (1093)、期待値=0.0、同一性=1099/1101 (99%)

>NA1997:AAT68664 Aat68664 ヒト成長ホルモン分泌促進因子受容体 I型 cDNA クローン 1146. 8/1997、長さ=1088、ソース=2157 bits (1088)、期待値=0.0、同一性=1088/1088 (100%)

>gb|AR156353.1|AR156353 米国特許第6242199号の配列6、長さ=1088、ソース=2157 bits (1088)、期待値=0.0、同一性=1088/1088 (100%)

>NA1997:AAT69756 Aat69756 ヒト成長ホルモン分泌促進因子受容体 I型 cDNA クローン 1146. 9/1997、長さ=1088、ソース=2153 bits (1086)、期待値=0.0、同一性=1086/1086 (100%)

>NA1997:AAT69758 Aat69758 ヒト成長ホルモン分泌促進因子受容体 I型 cDNA クローン 1143. 9/1997、長さ=836、ソース=1657 bits (836)、期待値=0.0、同一性=836/836 (100%)

>NA1997:AAT68666 Aat68666 ヒト成長ホルモン分泌促進因子受容体 I型 cDNA クローン 1143. 8/1997、長さ=836、ソース=1657 bits (836)、期待値=0.0、同一性=836/836 (100%)

>gb|AR156355.1|AR156355 米国特許第6242199号の配列11、長さ=836、ソース=1657 bits (836)、期待値=0.0、同一性=836/836 (100%)

>NA1997:AAT68665 Aat68665 ヒト成長ホルモン分泌促進因子受容体 II型 cDNA クローン 1141. 8/1997、長さ=1122、ソース=1578 bits (796)、期待値=0.0、同一性=796/796 (100%)

>gb|AR156354.1|AR156354 米国特許第6242199号の配列9、長さ=1122、ソース=1578 bits (796)、期待値=0.0、同一性=796/796 (100%)

>ref|NM_004122.1| ヒト成長ホルモン分泌促進因子受容体(GHSR)、mRNA、長さ=870、ソース=1578 bits (796)、期待値=0.0、同一性=796/796 (100%)

>gb|U60181.1|HSU60181 ヒト成長ホルモン分泌促進因子受容体 1b型 mRNA、完全cds、長さ=870、ソース=1578 bits (796)、期待値=0.0、同一性=796/796 (100%)

>NA1997:AAT69757 Aat69757 ヒト成長ホルモン分泌促進因子受容体 II型 cDNA クローン 1141. 9/1997、長さ=1122、ソース=1570 bits (792)、期待値=0.0、同一性=795/796 (99%)

>gb|AC016938.16| ヒト染色体 3 クローン RP11-196F13、WORKING DRAFT SEQUENCE、9 つの記録されていない部分、長さ=156885、ソース=1570 bits (792)、期待値=0.0、同一性=795/796 (99%)

>gb|AF369786.1|AF369786 ヒト成長ホルモン分泌促進因子受容体遺伝子、完全cds、スプライシング済、長さ=6787、ソース=1570 bits (792)、期待値=0.0、同一性=795/796 (99%)

>gb|U60178.1|SSU60178 Sus scrofa 成長ホルモン分泌促進因子受容体 1a型 mRNA、完全cds、長さ=1101、ソース=1358 bits (685)、期待値=0.0、同一性=997/1101 (90%)
実施例2:
発現プロファイリング
2つの標準的方法:1)グアニジンイソチオシアネート/塩化セシウム密度勾配遠心[Kellogg,(1990)];または製造業者の説明書に従うTri-Reagentプロトコル((Molecular Research Center, Inc. , Cincinatti, Ohio)のうちの1つによって細胞から全細胞RNAを単離した。Tri-Reagentプロトコルにより調製した全RNAをDNAaseIで処理してゲノムDNA汚染を除去した。
GHSのmRNA分布の相対的定量について、各細胞または組織由来の全RNAをまず逆転写した。最終容量680μL中、1μmoleのランダムヘキサマープライマー、各0.5μMのdATP、dCTP、dGTP、およびdTTP(Qiagen, Hilden, Germany)、3000UのRnaseQut(Invitrogen, Groningen, Netherlands)を用いて85μgの全RNAを逆転写した。第1鎖の合成緩衝液およびOmniscript逆転写酵素(2U/μL)はQiagen, Hilden, Germanyから入手した。反応物を37℃にて90分間インキュベーションし、氷冷した。体積を水で6800μLに調節し、初発RNAの最終濃度を12.5ng/μLとした。
細胞および組織におけるGHSmRNAの分布の相対的定量については、Perkin Elmer ABI Prism RTM. 7700 配列決定システムまたはBioradiCyclerを、取り扱い説明書とプロトコルにしたがって使用した。PCR反応をGHSおよびハウスキーピング遺伝子HPRT(ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ)、GAPDH(グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ)、β−アクチンなどを定量するよう設定した。GHSに対するフォワードおよびリバースプライマーおよびプローブを、Perkin Elmer ABI Primer Express(登録商標)ソフトウェアを用いて設計し、TibMolBiol (Berlin, Germany)によって合成した。GHSフォワードプライマー配列は以下の通りである:プライマー1(配列番号3)。GHSリバースプライマーはプライマー2(配列番号5)である。レポーター色素としてFAM(カルボキシフルオレセイニミジルエステル)、クエンチャーとしてTAMRA(カルボキシテトラメチルローダミン)で標識したプローブ1(配列番号4)をGHSについてのプローブとして用いた。以下の試薬を調製して総体積25μLとした:1×TaqMan緩衝液A、5.5mM MgCl2、200nMのdATP、dCTP、dGTPおよびdUTP、0.025U/LのAmpliTaq Gold、0.01U/LのAmpEraseおよびプローブ1(配列番号4)、各200nMのGHSフォワードおよびリバースプライマー、200nMのGHSFAM/TAMRA−標識プローブおよび5plのテンプレートcDNA。熱サイクルパラメータは、50℃で2分間、95℃で10分間、次いで95℃、15秒間の融解工程を40サイクルおよび60℃で1分間のアニーリング/伸張工程であった。
補正されたCT値の計算
1.PCR反応をセットアップして、各cDNAサンプルについてハウスキーピング遺伝子を定量する
2.CTHKG−値(ハウスキーピング遺伝子についての閾サイクル)を、「核酸の定量測定」の節に記載のとおり計算する。
3.各cDNAについてすべてのHKGのCTHKG−平均値(1つのcDNAについて試験したすべてのHKGのCT平均値)を計算する(n=HKGの数):
CTHKG-N−平均値=(CTHKG1−値+CTHKG2−値+...+CTHKG-N−値)/n
4.CTPANNEL平均値(試験したすべてのcDNAにおけるすべてのHKGのCT平均値)
=(CTHKG1−平均値+CTHKG2−平均値+...+CTHKG-Y−平均値)/y
(y=cDNAの数)
5.CFCDNA-N(cDNA nについての補正係数)=CTPANNEL−平均値−CTHKG-N−平均値
6.CTCDNA-N(cDNA nについて試験した遺伝子のCT値)+CFEDNA-N(cDNA nについての補正係数)=CTCOR-CDNA-N(cDNAnに対する遺伝子についての補正CT値)
相対的発現の計算
定義:最も高いCTCOR-CDNA-N≠40をCTCOR-CDNA [high] と定義する
相対的発現=2(CTCOR-CDNA[HIGH]-CTCOR-CDNA-N)
組織
GHSの発現を以下の組織において調べた:脳、全アルツハイマー脳、胎児脳、大脳皮質、アルツハイマー脳皮質、前頭葉、アルツハイマー脳前頭葉、小脳、小脳(右)、小脳(左)、小脳扁桃、中心前回、海馬、後頭葉、大脳脚、中心後回、側頭葉、頭頂葉、脳髄膜、橋、脳梁、小脳虫部、脊髄、視床、後根神経節、網膜、心臓、胎児心臓、心室中隔、心房(右)、心房(左)、心室(左)、心膜、白血球、赤血球、大動脈、胎児大動脈、硬化動脈、動脈、冠動脈硬化、冠状平滑筋細胞、静脈、HUVEC細胞、甲状腺、甲状腺癌、脾臓、脾臓肝硬変、胸腺、骨髄、リンパ節、JurkatT細胞、血小板、肺、胎児肺、肺癌、肺COPD、肝臓、胎児肝臓、肝臓肝硬変、HEP G2細胞、膵臓、膵臓肝硬変、胃、小腸、結腸、結腸癌、直腸、回腸、回腸慢性炎症、回腸リンパ腫、食道、腎臓、胎児腎臓、HEK293細胞、骨格筋、子宮頸、HeLa細胞、乳房、乳癌、乳腺、MDA MB 231細胞、精巣、陰茎、海綿体、気管、副腎、唾液腺、皮膚、膀胱、前立腺、前立腺BPH、胎盤、子宮、脂肪。
発現プロファイル
mRNAの定量(発現プロファイル)の結果を以下の表1に示す。
[表1]
様々なヒト組織におけるGHSの相対的発現
組織 相対的発現
脳 0,00
全アルツハイマー脳 43,07
胎児脳 18,55
大脳皮質 214,60
アルツハイマー脳皮質 24,50
前頭葉 42,13
アルツハイマー脳前頭葉 497,60
小脳 0,00
小脳(右) 407,17
小脳(左) 879,88
小脳扁桃 84,67
中心前回 66,44
海馬 105,12
後頭葉 43,30
大脳脚 18,56
中心後回 1851,53
側頭葉 6,51
頭頂葉 58,14
脳髄膜 1151,66
橋 30,84
脳梁 28,47
小脳虫部 47,68
脊髄 4,86
視床 62,84
後根神経節 711,56
網膜 1598,50
心臓 1,32
胎児心臓 2,61
心室中隔 0,00
心房(右) 136,22
心房(左) 711,64
心室(左) 259,27
心膜 29,31
白血球 26,51
赤血球 229,34
大動脈 444,89
胎児大動脈 0,00
硬化動脈 408,82
動脈 53,72
冠動脈硬化 963,06
冠状平滑筋細胞 45,77
静脈 29,65
HUVEC細胞 20,42
甲状腺 0,00
甲状腺癌 0,00
脾臓 4,45
脾臓肝硬変 5,04
胸腺 0,00
骨髄 0,00
リンパ節 418,48
JurkatT細胞 6,29
血小板 105,38
肺 0,00
胎児肺 6,65
肺癌 375,80
肺COPD 494,56
肝臓 0,00
胎児肝臓 0,00
肝臓肝硬変 64,19
HEP G2細胞 19,94
膵臓 0,00
膵臓肝硬変 9,29
胃 0,00
小腸 0,00
結腸 0,00
結腸癌 16,03
直腸 699,17
回腸 48,67
回腸慢性炎症 113,63
回腸リンパ腫 48,13
食道 265,00
腎臓 0,00
胎児腎臓 2,73
HEK293細胞 12,81
骨格筋 7,47
子宮頸 20,98
HeLa細胞 0,00
乳房 30,65
乳癌 245,91
乳腺 0,00
MDA MB 231細胞 5,10
精巣 5,44
陰茎 534,79
海綿体 49,76
気管 0,00
副腎 1,00
唾液腺 0,00
皮膚 0,00
膀胱 0,00
前立腺 1,88
前立腺BPH 41,37
胎盤 3,60
子宮 58,71
脂肪 78,10
実施例3: アンチセンス解析
GHSをコードする、正しい、完全なcDNA配列の知見は、遺伝子機能の研究においてアンチセンス技術のためのツールとして用いることが可能である。GHSをコードするポリヌクレオチドのアンチセンス鎖を含む、オリゴヌクレオチド、cDNAまたはゲノム断片を、 in vitro または in vivoのいずれかで、mRNAの翻訳を阻害するために使用する。そのような技術はいまや周知であり、ヌクレオチド配列上の様々な座でアンチセンス分子を設計することができる。細胞または試験動物全体をそのようなアンチセンス配列で処理することにより、目的の遺伝子を有効に抑えることができる。しばしば、遺伝子の機能は、細胞内、細胞、組織または生物レベルでの振る舞いを観察することによって確かめられる(例えば、致死性、分化した機能の喪失、形質の変化など)。
構築した配列を用いて特定のオープンリーディングフレームに分断することに加えて、イントロン領域、プロモーター/エンハンサーエレメントまたはさらにはトランス作用調節遺伝子に対するアンチセンス配列を設計することによって遺伝子発現を修飾することができる。
実施例4:
GHSの発現
GHSの発現は、cDNAを適当な発現ベクターにサブクローニングし、このベクターを大腸菌等の発現宿主にトランスフェクトすることにより行う。具体的な場合では、ベクターを操作して、クローニング部位の上流にβ−ガラクトシダーゼのためのプロモーター、続いてアミノ末端のメチオニンおよびそれに続くβ−ガラクトシダーゼの7つの残基を含む配列を導入する。これら8残基のすぐ下流は、人工的なプライミングと転写およびクローニングのための多くの独特なエンドヌクレアーゼ制限部位を生じるのに有用な、遺伝子操作されたバクテリオファージプロモーターである。
標準な方法を用いてイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を用いて単離した、トランスフェクトされた細菌株の誘導により、β−ガラクトシダーゼの最初の7残基、約15残基の「リンカー」およびcDNA内でコードされたペプチドを含む融合タンパク質を産生する。cDNAクローン挿入物は、本質的にランダムな過程で作製されるので、適切な翻訳のために正しいリーディングフレームでcDNAが導入される可能性は33%である。cDNAが適切なリーディングフレームにない場合は、in vitro 突然変異誘発、エキソヌクレアーゼIIIまたは緑豆ヌクレアーゼによる消化、または適当な長さのオリゴヌクレオチドリンカーの導入などの周知の方法を用いて、適当な数の塩基を欠失させるかまたは挿入することによって得られる。
GHScDNAを、特定の宿主におけるタンパク質の発現に有用であると知られている他のベクターにシャトルする。クローニング部位並びに標的cDNAの両端で鎖を加水分解するのに十分な長さのDNAの断片(約25塩基)を含むオリゴヌクレオチドプライマーを標準的な方法により化学的に合成する。次いで、これらのプライマーを用いて所望の遺伝子断片をPCRにより増幅する。得られた遺伝子断片を標準的な条件下で適当な制限酵素で消化し、ゲル電気泳動により単離する。あるいは、適当な制限酵素を用いたcDNAの消化により同様の遺伝子断片を製造する。適当なプライマーを用いて、1以上の遺伝子に由来するコード配列を共に連結し、適当なベクターにクローニングする。そのようなキメラ配列の構築によって発現を最適化することが可能である。
このようなキメラ分子の適当な発現宿主としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、ヒト293細胞等の哺乳類細胞、sf9細胞等の昆虫細胞、Saccharomyces cerevisiae等の酵母細胞、大腸菌等の細菌が挙げられるがこれに限定されない。これら細胞系のそれぞれについて、有用な発現ベクターはさらに細菌における増殖を可能にする複製起点、および細菌におけるプラスミド選択を可能にするためのβ−ラクタマーゼ耐性遺伝子等の選択マーカーを含む。さらに、ベクターは、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子等のトランスフェクトされた真核宿主細胞における選択を可能にする第2の選択マーカーを含むことができる。真核発現宿主において使用するためのベクターは、目的のcDNAの一部として存在していなければ、3'ポリアデニル化配列などのRNAプロセシングエレメントが必要である。
さらに、ベクターは、遺伝子発現を増大させるプロモーターまたはエンハンサーを含む。そのようなプロモーターは、宿主に特異的であり、CHO細胞に対してはMMTV、SV40、およびメタロチオネインプロモーター;細菌宿主に対しては、trp、lac、tacおよびT7プロモーター;そして酵母に対しては、アルファ因子、アルコールオキシダーゼおよびPGHプロモーターが挙げられる。哺乳類細胞宿主においては、ラウス肉腫ウイルスエンハンサー等の転写エンハンサーを用いる。標準的な培養法により組換え細胞の均一な培養細胞が得られたら、組換えで産生した大量のGHSを、ならし培地から回収し、当分野で周知のクロマトグラフィー法を用いて解析する。例えば、本明細書において例示するように、GHSを発現ベクターpcDNA3にクローニングすることができる。生成物を用いて、当分野における標準的な方法により、例えばHEK293またはCOSを形質転換する。具体的には、例えば、リポフェクタミン(Gibco BRL catolog no. 18324-020)介在の遺伝子導入を用いる。
実施例5: 組換えGHSの単離
GHSを、付加した1またはそれ以上のさらなるポリペプチドドメインと共にキメラタンパク質として発現させて、タンパク質の精製を容易にする。そのような精製を容易にするドメインとしては、固定化された金属上での精製が可能なヒスチジン−トリプトファンモジュール等の金属キレートペプチド[Appa Rao, 1997]、およびFLAGS伸張/アフィニティー精製システムにおいて用いられるドメイン(Immunex Corp., Seattle, Washington)が挙げられるがこれに限定されない。精製ドメインとGHS配列との間の、Xa因子またはエンテロキナーゼ(Invitrogen, Groningen, The Netherlands)等の開裂可能なリンカー配列の導入は、GHSの発現を促進するのに有用である。
実施例6:キメラGPCRの試験
新しいアイソフォームの細胞外の受容配列を、試験目的で既知の同位体の膜貫通および細胞内領域と組み合わせることにより、機能的なGPCRを構築する。この概念は、段階的に増大させた量のα2−AR膜貫通配列をβ2−ARに挿入することにより一連のキメラα2−β2アドレナリン作動性受容体(AR)を作製した、Kobilka ら (1988), Science 240: 1310-1316) により実証された。既知のアンタゴニストの結合活性は、β2コンフォメーションよりもα2コンフォメーションを多く有するところからシフトした分子として変化し、中間体構築物は組み合わされた特異性を示した。但し、アンタゴニストの結合の特異性は、VIIドメインの供給源と関連していた。T7GドメインVIIの重要性は、2つの酵母α因子受容体を用いてキメラにおいて認められ、酵母受容体はその他の受容体として分類されているので有意である。したがって、特異的ドメインの機能的役割はカテゴリーに関係なくGPCRファミリーにおいて保存されているようである。
並行して、特定のアイソフォームフォームの内部領域または細胞質ドメインを、既知のGPCRの同様のドメインと交換し、三量体Gタンパク質に対する受容体の結合の原因である構造的な決定因子を同定する。β2-ARからドメインV、VIおよび細胞内連結ループがα2-ARに置換されたキメラ受容体は、α2−AR特異性でもってリガンドに結合するが、β2−ARと同様にアデニル酸サイクラーゼを刺激することが示された。このことは、アドレナリン作動性受容体について、Gタンパク質認識がドメインV、VIおよびそれらの連結ドメインに存在することを示している。α1−ARのV−>VIループでβ2−ARにおいて対応するドメインを置換したキメラについて、これと正反対の状況が予想され、観察され、得られた受容体は、β2―AR特異性でもってリガンドと結合し、α1−ARと同様に、Gタンパク質介在のホスファチジルイノシトール代謝回転を活性化した。最後に、ムスカリン様受容体から構築したキメラはまた、V−>VIループがGタンパク質活性の特異性についての主要な決定因子であることを示した。
細胞外および膜貫通領域において置換を含むキメラまたは修飾GPCRは、受容体のこれらの位置がリガンド結合特異性を決定していることを示した。例えば、すべてのアドレナリン作動性およびDカテコールアミンGPCRのドメインVに保存されている2つのセリン残基は、強力なアゴニスト活性に必要である。これらのセリンは、GPCR結合部位内でアゴニストのカテコール部分と水素結合を形成すると考えられている。同様に、生物由来のアミンと結合するすべてのGPCRのドメインIIIに存在するAsp残基は、GPCR結合部位におけるリガンドアミン基とイオン対を形成すると考えられている。
機能的な、クローニングされたGPCRは、ヘテロローガスな発現系において発現し、それらの生物学的活性が評価される。1つのヘテロローガスな発現系は、哺乳類GPCRの遺伝子と哺乳類Gタンパク質を酵母細胞に導入する。GPCRは適当なリガンド特異性と親和性を有し、酵母細胞の生物学的活性化(成長阻止および形質の変化)の引き金となることが示される。
キメラ受容体を試験するための別の方法は、プリン受容体(P2u)を用いる方法に基づいている。培養したK562ヒト白血病細胞において機能が容易に測定される。これら細胞はP2u受容体を欠いているので。K562細胞を、正常なまたはキメラP2uのいずれかを含む発現ベクターで形質転換し、fura-a、Ca++のための蛍光プローブを導入する。細胞外UTPまたはATPによる、適切に構築され機能的なP2u受容体の活性化により、fura-aと反応し、分光光度計により測定される細胞内Ca++が移動する。
上記のGPCRと同様に、いずれかの新規のGPCRポリペプチドの細胞外受容領域の配列を、既知のP2u分子の膜貫通および細胞内領域をコードするヌクレオチドと組み合わせることにより、キメラ遺伝子を作製する。適当なリガンドを含むマイクロウェルにてK562細胞を一度にトランスフェクトして、結合を引き起こし、GPCR分子のエフェクターを規定する蛍光活性を生じさせる。リガンドおよび機能が確立されれば、P2u系は、結合をブロックし、そのような蛍光反応を阻止するアンタゴニストまたは阻害剤を定義するのに有用である。
実施例7:GHS特異的抗体の産生
2つの方法をGHSに対する抗体を惹起するための利用し、それらの方法は、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体のいずれかを惹起するために有用である。1つの方法では、逆相HPLC分離によって変性タンパク質が75mgまでの量で得られる。この変性タンパク質は、標準的なプロトコルを用いて免疫するのに用いられ、マウスの免疫については約100μgが適当であり、ウサギの免疫には1mgまでを使用する。マウスハイブリドーマの同定については、変性タンパク質を放射能標識して用い、可能性のあるマウスB細胞を抗体を産生するものとしてスクリーニングする。この方法は、少量のタンパク質しか必要とせず、数千のクローンのスクリーニングには20mgで十分である。
第2の方法では、cDNAの翻訳から推定される、適当なGHSドメインのアミノ酸配列を解析して抗原性の高い領域を解析する。適当な親水性の領域を含むオリゴペプチドを合成して、適当な免疫化のプロトコルにおいて用いて抗体を惹起させる。免疫化に最適なアミノ債配列は、通常、そのタンパク質が天然のコンフォーメーションで存在しているときに外部の環境に露出していると思われるポリペプチドのC末端、N末端およびその間に存在する親水性の領域に存在する。
典型的には、約15残基の長さの選択されたペプチドを、fmoc化学反応を用い、Applied Biosystems Peptide Synthesizer Model431Aを用いて合成し、M−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシサクシンイミドエステル、MBSとの反応によってキーホールリンペットモシアニン (KLH; Sigma, St. Louis, MO)と結合させる。要すれば、システインをペプチドのN末端に導入してKLHとの結合を可能にする。ウサギを、完全Freundアジュバント中、ペプチド−KLH複合体で免疫する。ペプチドをプラスティックと結合させ、1%ウシ血清アルブミンでブロックし、抗血清と反応させ、洗浄し、標識(放射能または蛍光)されアフィニティー精製された特異的なヤギ抗ウサギIgGと反応させることによって試験する。
標準的な技術を用いてハイブリドーマを調製し、スクリーニングする。目的のハイブリドーマを、標識GHSによるスクリーニングによって検出して、所望の特異性を有するモノクローナル抗体を生じる融合物を同定する。典型的なプロトコルでは、プレートのウェル(FAST; Becton-Dickinson, Palo Alto, CA)を、インキュベーションの間、アフィニティー精製された、特異的ウサギ抗マウス(または適当な抗特異物質(antispecies)1g)抗体を10mg/mLにて用いコーティングする。コーティングしたウェルを1%ウシ血清アルブミン(BSA)でブロックし、洗浄し、ハイブリドーマの上清とインキュベーションする。洗浄後、ウェルを1mg/mLの標識したGHSとインキュベーションする。特異的な抗体を有する上清は、検出可能なバックグラウンドよりも標識されたGHSにより結合する。次いで、特異的抗体を産生するクローンを培養し、希釈率を限定した2サイクルのクローニングに付する。クローニングしたハイブリオーマをプリスタン処理したマウスに注射し腹水症を生じさせ、マウスの腹水から、プロテインAでのアフィニティークロマトグラフィーによりモノクローナル抗体を精製する。標準的な方法によって、少なくとも108-1の親和性、好ましくは109〜1010-1またはそれ以上、を有するモノクローナル抗体が典型的に作製される。
実施例8:GHS特異的抗体を用いた診断試験
特定のGHS抗体は、シグナル伝達の研究、およびGHSまたは活性なシグナル伝達のカスケードの下流の生成物の量または分布の違いによって特徴付けられる感染性のまたは遺伝的な状態の診断に有用である。
GHSの診断試験としては、ヒトの体液、膜、細胞、組織またはそれらの抽出物におけるGHSを検出するための抗体および標識を用いる方法が挙げられる。本発明のポリペプチドおよび抗体は、修飾するかまたは修飾なしで用いる。しばしば、ポリペプチドおよび抗体は、それらを共有結合または非共有結合により、検出可能なシグナルを生じる物質と連結することによって標識する。様々な標識およびコンジュゲーション法が知られており、学術文献と特許文献の両方において広く報告されている。適当な標識としては、放射性核種、酵素、基質、コファクター、阻害物質、蛍光物質、化学ルミネセンス物質、発光物質、時勢物質などが挙げれられる。
当分野において、タンパク質に特異的なポリクローナルまたはモノクローナル抗体のいずれかを用いる、可能性または膜結合型のGHSを測定するための様々なプロトコルが知られている。例としては、酵素結合免疫吸着分析(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)および蛍光標示式細胞分取(FACS)が挙げられる。GHS上の2つの非干渉エピトープに反応するモノクローナルを用いる、2部位モノクローナルベースのイムノアッセイが好ましいが、競合結合アッセイも用いることができる。
実施例9:特異的な抗体を用いる天然GHSの精製
天然または組換えGHSを、GHSに特異的な抗体を用いるイムノアッセイクロマトグラフィーにより精製する。一般に、イムノアッセイカラムは、抗TRH抗体を、活性化したクロマトグラフィー樹脂に共有結合させることにより構築する。
ポリクローナル免疫グロブリンは、硫酸アンモニウムによる沈殿または固定化したプロテインA(PharmaciaLKB Biotechnology, Piscataway N.J.)での精製により、免疫血清から調製する。同様に、モノクローナル抗体を、硫酸アンモニウムによる沈殿または固定化したプロテインAでのクロマトグラフィーによりマウス腹水から調製する。特定の精製した免疫グロブリンを、CnBr−活性化セファロース(Pharmacia LKB Biotechnology)等のクロマトグラフィー樹脂に共有結合させる。抗体を樹脂に結合させ、樹脂をブロックし、得られた樹脂を製造業者の取扱説明書にしたがって洗浄する。
このようなイムノアッセイカラムは、可溶性の形態でGHSを含む細胞から画分を調製することによってGHSの精製に用いる。この調製物は、全細胞のまたは分画遠心(界面活性剤を添加するまたは添加しない)により得られた細胞成分の画分を可溶化することによって、あるいは当分野において周知の他の方法によって得られる。あるいは、シグナル配列を含む可溶性のGHSを、その細胞を培養している培地中に有用な量で分泌させる。
可溶性のGHSを含有する調製物をイムノアッセイカラムに通し、GHSの選択的に吸着が可能な条件下(例えば、界面活性剤の存在下での高いイオン強度の緩衝液)でそのカラムを洗浄する。次いで、抗体/タンパク質結合を切断する条件下(例えば、pH2〜3、または尿素またはチオシアン酸イオン等の攪乱物質(chaotrope)の高い濃度の緩衝液)でカラムを溶出し、GHSを回収する。
実施例10:薬物スクリーニング
本発明は、GHSまたはその結合断片を、様々な薬物スクリーニング法のいずれかにおいて用いることにより、治療化合物のスクリーニングに特に有用である。GHSはGタンパク質共役型受容体であるので、当分野において一般的に用いられる方法はいずれもGHSリガンドを同定するために使用することができる。例えば、GHS等のGタンパク質共役型受容体の活性を、受容体の活性化によってアデニル酸サイクラーゼ、グアニリルサイクラーゼ、カルシウム移動またはイノシトールリン酸加水分解等のいくつかのセカンドメッセンジャー系のレベルにおける観察可能な変化がもたらされる、様々な適当な機能解析のいずれかを用いて測定することができる。あるいは、そのような試験において用いられるポリペプチドまたは断片は。溶液中に遊離しているか、固体の支持体に固定されているか、細胞表面に存在するかまたは細胞内に存在する。薬物スクリーニングの1つの方法は、ポリペプチドまたは断片を発現する組換え核酸によって安定に形質転換された真核または原核宿主細胞を用いる。適合結合アッセイにおいて、薬物をそのような形質転換細胞に対してスクリーニングする。標準的な結合アッセイに、そのような細胞を生きた状態でまたは固定化された形態のいずれかで、用いる。
例えば、GHSと試験物質との間の複合体の形成を測定する。あるいは、試験物質によって引き起こされた、GHSとリガンドとの間の複合体形成の減少を調べる。
したがって、本発明は、薬物候補、薬物、またはシグナル伝達に変化を及ぼす他のいずれかの物質をスクリーニングするための方法を提供する。当分野において周知のこれらの方法は、そのような物質をGHSポリペプチドまたはその断片と接触させ、(i)その物質とGHSポリペプチドまたは断片との間の複合体の存在、または(ii)GHSポリペプチドまたは断片と細胞との間の複合体の存在について分析することを含む。このような結合分析では、典型的にはGHSポリペプチドまたは断片を標識する。適切にインキュベーションした後、遊離のGHSポリペプチドまたは断片を、結合した形態で存在しているポリペプチドと分離し、遊離または複合体を形成していない標識の量は、具体的な物質がGHSに結合するまたはGHS−物質複合体と相互作用する能力の指標である。
薬物スクリーニングの別の技術は、GHSポリペプチドに対する適切な結合親和性を有するハイスループットスクリーングを提供する。簡潔に言えば、大量の異なった小さいペプチド試験化合物を、プラスチック製のピンまたは他の表面などの固体の物質上に合成する。ペプチド試験化合物をGHSポリペプチドと反応させ、洗浄する。結合したGHSポリペプチドを当分野で周知の方法により検出する。精製したGHSは、上記の薬物スクリーニング技術において使用するため、直接プレートにコーティングすることができる。さらに、非中和抗体を用いてペプチドを捕捉し、それを固体の支持体に固定化する。
本発明はさらに、GHSと結合することができる中和抗体が、GHSポリペプチドまたはその断片に対する結合について試験化合物と特異的に競合する、競合薬物スクリーニングアッセイの使用を意図する。このようにして、抗体を用いて、GHSと1またはそれ以上の抗原結合基を共有するペプチドの存在を検出する。
実施例11:合理的薬物設計
合理的薬物設計の目的は、所望の生物学的に活性なポリペプチドの構造的類縁体またはそれらが相互作用する小分子、アゴニスト、アンタゴニストを提供することである。これらの例はいずれも。ポリペプチドのより活性なまたは安定な形態、または in vivo でポリペプチドの機能を増大または相互作用する薬物を設計するために用いられる。
1つの方法としては、目的のタンパク質、タンパク質−阻害物質複合体の3次元構造をX線結晶学により、コンピュータモデリングにより、または最も典型的にはその2つの方法の組合せによって決定する。ポリペプチドの形状および電荷の両方を解明し、その分子の構造を明らかにし、活性部位を決定しなければならない。頻繁ではないが、ホモローガスなタンパク質に基づくモデリングによってポリペプチドに関する有用な情報が得られる。両方の場合において、関連する構造の情報を用いて有効な阻害剤を設計する。合理的薬物設計の有用な例としては、天然のペプチドの、改善された活性または安定性を有するまたは阻害剤、アゴニストまたはアンタゴニストとして作用する分子が挙げられる。
上記のように、機能的分析によって選択された、標的に特異的な抗体を単離し、その結晶構造を解明することも可能である。この方法によって、原則的に、後に薬物設計がそれに基づいて行われるファーマコア(pharmacore)が得られる。機能的な、製薬的に活性な抗体に対する抗イディタイプ抗体(anti-ids)を作製することによって、タンパク質結晶学をすべて省略することが可能である。鏡像の鏡像のように、抗idsの結合部位は、もとの受容体の類縁体であると期待される。次いで、この抗idsを用いて、化学的または生物学的に製造されたペプチドのバンクからペプチドを同定し単離する。単離されたペプチドはファーマコアとして作用する。
本発明によって、十分な量のポリペプチドを作製して、X線結晶学としてそのような分析実験を行うことを可能にする。さらに、本明細書において提供されるGHSアミノ酸配列の知見は、X線結晶学の代わりとしてまたはそれに加えてコンピュータモデリング技術を用いるための指針を与える。
実施例12:シグナル伝達複合体の他のメンバーの同定
本発明の精製されたGHSは、関係するGタンパク質または他のシグナル伝達経路のタンパク質の同定、キャラクタリゼーションおよび精製のための検索ツールである。放射能標識を、当分野で周知の様々な方法により、選択したGHSドメインに導入して用い、相互作用する分子を捕捉する。好ましい方法としては、125IBolton-Hunter試薬による、GHSにおける第一級アミン基の標識である。この試薬は、付随する生物学的活性の消失なしに様々な分子を標識するために用いられている。
標識したGHSはそれが相互作用する分子の精製のための試薬として有用である。アフィニティー精製の1つの態様では、膜結合GHSを共有結合によりクロマトグラフィーカラムに結合させる。滑液細胞から得られた無細胞抽出液または推定の標的細胞をカラムに通し、適当な親和性を有する分子をGHSに結合させる。GHS複合体をカラムから回収し、GHSを結合したリガンドを解離させN末端タンパク質配列決定に付する。次いで、アミノ酸配列の情報を用いて、捕捉された分子を同定するかまたは適当なcDNAライブラリーから関連の遺伝子をクローングするための縮重オリゴヌクレオチドプローブを設計する。
別の方法においては、GHSに対する抗体、特にモノクローナル抗体、を惹起させる。モノクローナル抗体をスクリーニングして、標識されたGHSの結合を阻害する抗体を同定する。次いで、これらのモノクローナル抗体を治療に用いる。
実施例13:抗体、阻害剤またはアンタゴニストの使用および投与
シグナル伝達の抑制剤(LST)であるGHSの抗体、阻害剤またはアンタゴニストまたは他の治療物質および化合物は、治療的に投与した場合に種々の効果をもたらす。LSTは、好ましくは約5〜8、より好ましくはpH6〜8の、非毒性の、不活性な製薬的に許容し得る水性担体媒体中で形成されるが、pHは形成する抗体、阻害剤またはアンタゴニストの特性および処置される状態にしたがって変更することができる。LSTの特性としては、分子の可溶性、その半減期および抗原性/免疫原性が挙げられる。これらのおよびその他の特性は、有効な担体を規定するときの助けとなる。天然のヒトタンパク質は、LSTとして好ましいが、薬物スクリーニングからスクリーニングされた有機または合成分子は、特定の状況においては同様に有効である。
LSTは、局所クリームおよびゲル;経粘膜スプレーおよびエアゾール;経皮パッチおよびバンデージ、注射用、静脈用および洗浄液製剤;および特に胃酸と酵素に耐えるように製剤化された経口投与液剤および丸剤が挙げられるがこれに限定されない、既知の投与経路によって送達することができる。具体的な製剤、詳細な用量および投与経路は、主治医が決定し、それぞれの具体的な状況にしたがって変化する。
そのような決定は、処置される状態、投与されるLST、および具体的なLSTの薬理学的プロフィール、によってなされる。さらに、疾患の状態の重篤度、患者の年齢、体重、性別および食習慣、LST投与の時間と頻度、他の薬物の可能性のある組合せ、反応感受性、および治療に対する許容度/応答を含むさらなる要素も考慮に入れる。長期間作用するLST製剤は、具体的なLSTの半減期およびクリアランス速度によって、3〜4日毎、1週間毎、または2週間毎に投与することができる
通常の適量量は、投与経路に依存して0.1〜105μgの範囲で、総用量約1gまで、変更することができる。送達の具体的容量および方法に関する指針は文献に記載されている:米国特許第4,657,760;5,206,344; 5,225,212号公報参照。当業者は、異なるLSTに対して異なる公式を用いる。神経細胞のような細胞への投与は、血管内皮細胞等の他の細胞とは異なった手段で行われる。
GHS活性を誘発する異常なシグナル伝達、外傷を誘発する疾患がLSTにより治療可能であると考えられる。これらの状態または疾患は、上に論議される試験によって特異的に診断され、そのような試験は、ウイルス、細菌、真菌感染、アレルギーの応答、外傷を伴う機械的損傷、遺伝性の病気、リンパ腫、癌、あるいはリンパ球のまたは神経組織の遺伝子を活性化するその他の状態が疑われる場合に行われる。
実施例14:非ヒトトランスジェニック動物の作製
GHSの生理学的および行動に対する役割を解明する動物モデル系を、様々な技術により、GHSの活性が増加または減少している、あるいは発現したGHSのアミノ酸配列が変化している非ヒトトランスジェニック動物を作出することによって作成する。これらの技術の例としては、1)トランスジェニック動物を作製するための、GHSをコードするDNAの正常な形態または突然変異体の、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、レトロウイルストランスフェクションまたは当分野で周知の他の技術による適当な受精胚への挿入、または2)トランスジェニック動物において、突然変異体のまたは正常な、ヒトまたは動物のこれら遺伝子を、天然の遺伝子座について相同的組換えを行い、これらGHS配列の発現調節または構造を変化させることが挙げられる。相同的組換えの技術は当分野において周知である。天然の遺伝子が挿入遺伝子で置換されるために、天然のGHSを発現することができないが、挿入されたGHS突然変異体を発現する。例えば、組換えによってその動物のゲノムにおいて天然GHSから置き換わり、そのトランスポーターの発現低下をもたらす。マイクロインジェクションはゲノムに遺伝子を追加し、遺伝子は除去されず、その技術は、もともとのそして追加されたGHSを発現し、GHSの過剰発現をもたらす。
例えばマウスについて、トランスジェニック動物を作製するために利用できる手段は次の通りである:雌性マウスを交尾させて得られた受精卵を卵管から採取する。受精卵を塩化セシウムM2培地等の適切な媒体で保存する。GHSをコードするDNAまたはcDNAを当業者に周知の方法によりベクターから精製する。導入プロモーターをDNAのコード領域に融合して、導入遺伝子を調節するための実験手段を提供することができる。あるいはまたはさらに、組織特異的調節エレメントをコード領域に融合し、導入遺伝子の組織特異的発現を可能にすることができる。適切に緩衝化された溶液中で、DNAをマイクロ注射針に吸い込み(piper pullerを用いてキャピラリーチューブから作製してもよい)、注入する卵を凹みを付けたスライドに置く。針を卵の生殖核に挿入し、DNA溶液を注入する。次いで、注入された卵を偽妊娠マウスの卵管に移し、偽妊娠を維持するために適切なホルモンによってマウスを刺激し、卵を子宮へと進ませ、着床させ、期間がくるまで生育させる。上に記載したように、マイクロインジェクションは卵にDNAを挿入するための唯一の方法でなく、ここでは単に例示的な目的で用いる。
参考文献
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GHS受容体ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列(配列番号1)である。 GHS受容体ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号2)である。 本発明に有用なプライマーのヌクレオチド配列(配列番号3)である。 本発明に有用なプライマーのヌクレオチド配列(配列番号4)である。 本発明のタンパク質を検出するためのプローブとして有用なヌクレオチド配列(配列番号5)である。
【配列表】
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Claims (26)

  1. 哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症からなる疾患の群に含まれる疾患の処置に有用な治療剤のスクリーニング方法であって、以下の工程からなる方法:
    i)試験化合物をGHSポリペプチドと接触させる工程、
    ii)該試験化合物の該GHSポリペプチドへの結合を検出する工程。
  2. 哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症からなる疾患の群に含まれる疾患の処置に有用な治療剤のスクリーニング方法であって、以下の工程からなる方法:
    i)試験化合物の或る特定の濃度でまたは該試験化合物の非存在下でGHSポリペプチドの活性を測定する工程、
    ii)該試験化合物の異なる濃度で該ポリペプチドの活性を測定する工程。
  3. 哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症からなる疾患の群に含まれる疾患の処置に有用な治療剤のスクリーニング方法であって、以下の工程からなる方法:
    i)試験化合物の或る特定の濃度でGHSポリペプチドの活性を測定する工程、
    ii)GHSポリペプチドの調節物質であることが知られている化合物の存在下でGHSポリペプチドの活性を測定する工程。
  4. 接触させる工程を細胞内または細胞表面で行う請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 細胞が in vivo で存在する請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  6. 接触させる工程を、細胞を含まない系で行う請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  7. ポリペプチドを検出可能な標識に結合させる請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  8. 化合物を検出可能な標識に結合させる請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  9. 試験化合物がポリペプチドに最初に結合していたリガンドと置き換わる請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  10. ポリペプチドが固体の支持体に結合している請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  11. 化合物が固体の支持体に結合している請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  12. 哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症からなる疾患の群に含まれる疾患の処置に有用な治療剤のスクリーニング方法であって、以下の工程からなる方法:
    i)試験化合物をGHSポリヌクレオチドと接触させる工程、
    ii)該試験化合物と該GHSポリヌクレオチドとの結合を検出する工程。
  13. 核酸分子がRNAである請求項12に記載の方法。
  14. 接触させる工程を細胞内または細胞表面で行う請求項12に記載の方法。
  15. 接触させる工程を細胞を含まない系で行う請求項12に記載の方法。
  16. ポリヌクレオチドを検出可能な標識に結合させる請求項12に記載の方法。
  17. 試験化合物を検出可能な標識に結合させる請求項12に記載の方法。
  18. 哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症からなる疾患の群に含まれる疾患を診断する方法であって、以下の工程からなる方法:
    i)該哺乳類から採取したサンプル中のGHSポリヌクレオチドの量を測定すること;
    ii)健康な哺乳類および/または疾患を有する哺乳類におけるGHSポリヌクレオチドの量を測定すること。
  19. GHSポリペプチドに結合する治療剤を含有する、哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症からなる疾患の群に含まれる疾患を処置するための医薬組成物。
  20. GHSポリペプチドの活性を調節する治療剤を含有する、哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症からなる疾患の群に含まれる疾患を処置するための医薬組成物。
  21. GHSポリペプチドの活性を調節する治療剤を含有する、哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症からなる疾患の群に含まれる疾患を処置するための医薬組成物であって、該治療剤が、
    i)小分子、
    ii)RNA分子、
    iii)アンチセンスオリゴヌクレオチド、
    iv)ポリペプチド、
    v)抗体または
    vi)リゾチーム
    である医薬組成物。
  22. GHSポリヌクレオチドを含有する、哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症からなる疾患の群に含まれる疾患を処置するための医薬組成物。
  23. GHSポリペプチドを含有する、哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症からなる疾患の群に含まれる疾患を処置するための医薬組成物。
  24. 哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症からなる疾患の群に含まれる疾患を処置するための医薬組成物の製造のためのGHSの調節物質の使用。
  25. 哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症からなる疾患の群に含まれる疾患を処置するための医薬組成物の製造方法であって、以下の工程を含む製造方法:
    i)GHSの調節物質を同定する工程、
    ii)該調節物質が、哺乳類における、心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症からなる疾患の群に含まれる疾患の症状を改善するかどうかを調べる工程;および
    iii)該調節物質を許容し得る製薬的担体と組み合わせる工程。
  26. 心疾患、末梢神経および中枢神経系の疾患、COPDおよび喘息等の呼吸器系の疾患、血液病、癌、胃腸疾患および炎症からなる疾患の群に含まれる疾患を有する哺乳類におけるGHS活性の調節のための、GHSの調節物質の使用。
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