JP2005518686A - 相互変調プロダクト相殺回路 - Google Patents

相互変調プロダクト相殺回路 Download PDF

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Abstract

電気回路中の望ましくない相互変調(IM)プロダクトを相殺するための相殺回路が提供される。該IM相殺回路は、必要周波数帯域の全範囲に渡って、RF信号の様々な信号成分の周波数及び振幅を検出し、測定するステッピングスペクトルアナライザを備えている。この情報は、RF信号中に存在するように意図された信号成分の周波数及び/又は振幅に関する情報を提供するルックアップテーブルなどを備えたプロセッサに送られる。前記ルックアップテーブルと、前記スペクトルアナライザの掃引によって測定され、検出された周波数及び振幅とを比較することにより、前記相殺回路のプロセッサは、RF信号中の信号成分が信号を運ぶ意図した「情報」であるか、あるいは意図しないIMプロダクトであるかを決定することができる。信号成分が意図しないIMプロダクトであることをプロセッサが決定すると、プロセッサは、可変電圧制御発振器及び可変増幅器を制御し、IMプロダクトの周波数及び振幅と同一の周波数及び振幅を有する相殺信号を生成する。IMプロダクトに対して、相殺信号の位相を180°シフトさせるための移相器が設けられており、相殺信号をRF信号と混合させることにより、IMプロダクトが相殺された出力信号が生成される。

Description

本発明は、無線周波数増幅器を含む増幅器における相互変調ひずみを検出し相殺する技術に関する。
(関連技術の説明)
本発明は、電気回路における歪みの低減に関する。より詳しくは、本発明は、増幅器に特に適した歪み低減回路に関する。
セルラー及びマイクロ波通信システムのような無線周波数(RF)システムは、通常、入力信号がRF電力増幅器に供給されることを要求する。残念なことに、全ての増幅器は、ある電力レベルにおいて入力信号を歪ませ、一般的に、望ましくない歪みプロダクト、スプリアスプロダクト、ノイズ摂動及び相互変調(IM)プロダクトを増幅器出力に含む原因となる傾向にある。簡単のために、これらを総称してIMプロダクトと呼ぶ。これらIMプロダクトは、増幅器の周波数範囲に渡って、望ましくない障害の原因となり得る。殆どの増幅器が、該増幅器の信号経路に何らかの形態の修正機能を組み込まなければならないのは、これらのためである。
IMプロダクトを低減するための1つの従来の方法は、スペクトル解析手法を使用する。この手法は、候補であるIMプロダクトの周波数に同調された受信機を使用して増幅器の出力をスキャンすることを含む。IMプロダクトが測定され、そのIMプロダクトを最小化するためにリニアライザが手動で調整される。この手順は、各々のIMプロダクトが予め決定された許容レベル未満の強度になるまで繰り返される。マイヤー(Myer)に発行された米国特許第4,580,105号に記載されているように、同様の手法においては、出力信号の一部が取り出され、位相及び振幅が調整された入力信号と混合される。この信号の混合は、位相及び振幅が調整されるべき歪み成分を分離する。この分離歪み成分は、歪み成分を消去するために、カプラーによって出力信号に戻されて加算される。残念なことに、このフィードフォワード技法の使用が有効である歪み減少量は、ゲイン及び位相の調節の精度によって制限される。
また、幾つかの基本的フィードフォワード技法において認識されている、サンプル数における問題がある。これらのシステムにおけるサンプルは、位相検出回路が相関信号を検出するときにのみ有効である。そのためエラー信号の分解能が悪く、対応するスパーを相殺するために使用されるのはこのエラー信号である。
さらに、多くのセルラー通信基地局は、基地局のコンポーネントの重大な直線性の問題のため、100%の能力で機能していないように思われる。また、セルラー通信の拡張に伴う能力拡大の必要性により、RF装置の伝送規格に対する要求を、現在のほとんどの増幅器回路の構造が合致するには厳し過ぎるようになるように強制している。さらに、時分割多重アクセス(TDMA)変調及び符号分割多重アクセス(CDMA)変調にはいずれも、現在利用可能な高効率RF電力増幅器では通常得ることができない、より優れた直線性及びIMプロダクトの無いことを要求する。従って、IMプロダクトを除去するための現在の修正技法は、発展を続ける通信システムのためには許容できないことは明らかである。
従って、電力増幅器などの電子回路においてIMプロダクトを低減する相殺回路が必要である。
また、前記IM相殺回路は、その製造費用が安く、かつ、極めて信頼性の高いものであれば、多いに有利であろう。
さらに、前記IM相殺回路がコンパクトかつ軽量構造で提供される場合、極めて有利であろう。
(概要)
簡潔には、本発明により、電気回路におけるIMプロダクトを自動的に低減するための改良された装置及び方法が提供される。このIM相殺回路は、入力搬送波信号を増幅する増幅器を使用する用途に、特に適していると思われる。
その最も基本的な形態においては、IMプロダクト相殺回路は、入力搬送波信号をサンプリングするための第1のカプラーを備えている。該第1のカプラーは、前記入力搬送波信号のエネルギーレベルに実質的に影響を及ぼさないように、信号の一部、好ましくは入力搬送波信号から6dB低い部分を分離する。このサンプル信号は、次に、前記搬送波信号中のその意図する信号成分及びIMプロダクトのすべてを含む、搬送波信号の信号成分の周波数及び振幅を検出し、測定するステッピングスペクトルアナライザに供給される。該ステッピングスペクトルアナライザは、搬送波信号中の様々な信号成分の周波数及び振幅に関する情報を、プロセッサに送信する。一方、該プロセッサは、搬送波信号中の意図する信号成分の振幅及び/又は周波数又は周波数帯域の識別に関する情報を記憶する。通常、この情報は、振幅又は周波数、あるいはTDMAシステム又はCDMAシステムの場合、意図する信号成分の存在が期待される周波数帯域を識別するルックアップテーブルの形態を取っている。この方法によれば、プロセッサは、このルックアップテーブルを参照することにより、ステッピングスペクトルアナライザによって検出され、測定された信号成分が意図した信号成分であるか、あるいは意図しないIMプロダクトであるかを決定することができる。
前記IMプロダクト相殺回路は、可変電圧制御発振器、可変増幅器及び可変移相器をさらに備えている。前記電圧制御発振器、増幅器及び移相器は直列に接続され、振幅及び位相を制御することができる発振器信号を生成する。電圧制御発振器、増幅器及び移相器の動作はすべて前記プロセッサによって制御される。ステッピングスペクトルアナライザ及びプロセッサがIMプロダクトを検出し、測定すると、プロセッサは、電圧制御発振器、増幅器及び移相器を制御し、振幅及び周波数が、検出されたIMプロダクトの振幅及び周波数と実質的に同一で、かつ、位相が180°だけシフトされた発振信号を生成する。この発振信号は、混合器のようなカプラー又は類似物によって、信号が元の搬送波信号中に再供給されると、IM相殺信号として作用する。次に、相殺信号によって意図しないIMプロダクトが相殺されている点を除き、意図した信号成分の元の特性のすべてが保存された元の搬送波信号が、カプラーから出力される。
好ましい実施の形態では、前記IM相殺回路は帰還回路を備えている。IMプロダクトが相殺されると、カプラー又は類似物を用いて出力信号を分割することにより、出力搬送波信号がサンプリングされ、出力搬送波信号のサンプルが生成される。生成された出力搬送波信号のサンプルは、次に前記ステッピングスペクトルアナライザ及びプロセッサに再供給される。従ってステッピングスペクトルアナライザ及びプロセッサは、IMプロダクトが相殺されたことを確証することができる。これに代わる実施の形態では、相殺信号が誤った周波数、振幅又は位相で送信されていることが決定されると、相殺信号が意図しないIMプロダクトを正しく相殺するまで、プロセッサによって前記電圧制御発振器、増幅器及び移相器が自動的に調整される。
当分野の技術者には理解されるように、前述の相殺回路は、意図しない単一のIMプロダクトを相殺するだけである。搬送波信号が複数の意図しないIMプロダクトを有している可能性がある場合は、相殺回路に複数の可変電圧制御発振器、可変増幅器及び可変移相器が設けられる。これらの電圧制御発振器、増幅器及び移相器のセットの各々はプロセッサに直列に接続され、必要に応じて複数の相殺信号が生成される。
別の好ましい実施の形態では、増幅器と共に、前記IMプロダクト相殺信号が使用される。増幅器の出力の一部が前記ステッピングスペクトルアナライザにフォワード供給され、意図する信号成分だけでなく、あらゆるIMプロダクトが検出され、測定される。この情報はプロセッサに送られ、ステッピングスペクトルアナライザが受信した信号が意図した信号成分であるか、あるいは意図しないIMプロダクトであるかどうかが決定される。搬送波信号がIMプロダクトを含んでいるか否かは、受信した信号と、意図した信号成分の振幅及び/又は周波数帯域を識別するルックアップテーブルとを比較することによって決定することができる。検出した信号がルックアップテーブルにリストされていない場合、その信号はIMプロダクトと見做される。
別の実施の形態では、増幅器の入力信号は、増幅器に入力する第1成分、及び増幅器への入力信号から通常6dB低い第2成分に分離され、解析のためにステッピングスペクトルアナライザに送られる。最初に増幅器に入力される信号の周波数が、意図する信号成分として識別され、プロセッサに記憶される。意図する信号成分の周波数は、次に、増幅器から出力される信号の周波数と比較される。そして、増幅器の入力信号には存在しなかった周波数のIMプロダクトが現れたことが認識される。次に、プロセッサが、可変電圧制御発振器及び可変増幅器を制御し、周波数及び振幅が、識別されたIMプロダクトの周波数及び振幅と実質的に等しい相殺信号が生成される。該相殺信号は、IMプロダクトの位相に対して180°位相がシフトされ、カプラー又は類似物を用いて搬送波と結合される。従って、その結果得られる搬送波信号は、IMプロダクトが除去されて「浄化されて」いる。
更なる好ましい実施の形態では、増幅器回路は、従来のフィードフォワード修正回路を備えている。該フィードフォワード修正回路は、通常、はるかに多くの増幅器の雑音及びIMプロダクトを相殺する。しかし、一般的に、混合器、増幅器及び移相器などのフィードフォワード修正回路のコンポーネントは、余分のIMプロダクトを増幅器の出力に付加する。これらのIMプロダクトは、本発明によるIM相殺回路を適用することによって相殺することができる。上記したように、増幅器の出力信号は、ステッピングスペクトルアナライザに入力する成分に分離される。IMプロダクトは、ルックアップテーブルを用いて、又は元の増幅器入力信号の解析との比較によって、プロセッサによって検出される。次に、プロセッサが、可変制御発振器、可変増幅器及び可変移相器を制御し、周波数及び振幅が、検出されたIMプロダクトの周波数及び振幅と実質的に等しく、かつ、180°だけ位相がシフトされた相殺信号を生成する。この相殺信号は、増幅器の出力信号と混合され、意図しないIMプロダクトを相殺する。
本発明の応用に使用されるステッピングスペクトルアナライザの好ましい実施の形態は、参照によりここに組み込まれている同時係属米国特許出願第09/313,435号に開示され、記載されている自動周波数ステッピング雑音測定試験システムに実質的に類似している。好ましい実施の形態では、ステッピングスペクトルアナライザは、周波数の調整が可能なローノイズ信号を作り出すための可変ローノイズ源を備えている。該可変ローノイズ源は、同一のローノイズ信号を出力するための2つの出力を備えているか、あるいはローノイズ信号を2つの同一のローノイズ信号に分離するための分離器に結合されている。第1のローノイズ信号は、該第1のローノイズ信号とサンプル信号からなる入力搬送波信号のその部分とを混合するカプラーに接続されている。第2のローノイズ信号は、該第2のローノイズ信号の位相を、サンプル信号と混合された前記第1のローノイズ信号に対して90°位相外れ(直角位相)になるように調整する可変移相器に接続されている。意図する搬送波信号成分及び意図しないあらゆるIMプロダクトを運ぶ前記サンプル信号、及び前記第1のローノイズ信号は共にミキサーに送られ、位相調整された前記第2のローノイズ信号と混合される。ミキサーの固有の特性により、ローノイズ源信号は、前記第2のローノイズ信号を、前記第1のローノイズ信号に対して90°位相シフトさせることにより、ミキサー出力信号中で相殺される。さらに、前記ミキサーは非線形であり、前記ローノイズ信号の周波数に対して単側波帯のみを含み、かつ、2倍の振幅を有する出力信号を作り出している。以下、「測定試験信号」と呼ぶ前記ミキサーの出力信号は、次に、可変ローノイズ整合増幅器に送られる。該可変ローノイズ整合可変ゲイン増幅器は、前記測定試験信号を増幅し、かつ、バッファとして作用している。前記整合可変ゲイン可変増幅器は、ステッピングスペクトルアナライザによるIM測定を妨害しないよう、極めて小さい雑音又はIMプロダクトを付加するように構成されており、また、元のサンプル信号中のあらゆるIMプロダクトを測定するステッピングスペクトルアナライザの能力を強化するための前記測定試験信号の増幅を提供するように構成されている。
ローノイズ整合増幅器を通過した測定試験信号は、アナログ測定試験信号をディジタルデータに変換するアナログ/ディジタル変換器(ADC)に送られる。変換されたディジタルデータは、次に、評価のためにプロセッサに伝送される。ステッピングスペクトルアナライザのプロセッサは、IMプロダクト相殺信号を生成する可変電圧制御発振器、可変増幅器及び移相器を制御するプロセッサとは別の、独立したプロセッサであり、あるいは両プロセッサの機能を1つのプロセッサに結合することもできる。ステッピングスペクトルアナライザのプロセッサは、標準フーリエ変換、ウィンドウ化フーリエ変換、高速フーリエ変換、あるいは離散フーリエ変換を使用して、前記測定試験信号の特性を正確に測定し、該測定試験信号が何らかのIMプロダクトを含んでいるかどうかを決定している。これらのフーリエ変換は、当分野の技術者に知られており、ここでは詳細な考察は省略する。
ステッピングスペクトルアナライザのプロセッサは、複数の制御線に接続され、可変増幅器、可変ローノイズ源、可変移相器及び可変ローノイズ整合増幅器に接続されている。これらの制御接続により、プロセッサは、増幅器、ローノイズ源、移相器及び整合増幅器のレベルを自動的に設定かつ調整し、その周波数帯域中のIMプロダクトを識別するために、必要な全周波数帯域に渡って、様々なオフセット周波数で前記ローノイズ源を「ステップ」させることができる。ステッピングスペクトルアナライザを制御するために、プロセッサは、ADCによってディジタル化された出力を利用してシステムを較正し、増幅器、ローノイズ源及び移相器が正しいレベルに設定されることを保証している。より詳細には、プロセッサは、ADCの出力により、前記ローノイズ源が正しい周波数で前記第1及び第2のローノイズ信号を供給しているかどうかを決定することができる。また、プロセッサは、ADCの出力を評価することにより、前記移相器が、ミキサーによって受信された信号を直角位相に適切に維持していることを確認することもできる。これらのコンポーネントのいずれかが最適に機能していない場合、プロセッサは自動的に必要な調整を施し、搬送波信号中のあらゆるIMプロダクトの的確な検出及び測定を保証する。周波数特性がステッピングスペクトルアナライザによって検出され、測定されると、その信号情報は、相殺信号を生成する可変電圧制御発振器、可変増幅器及び可変移相器を制御するプロセッサに送られる。このプロセッサは、(前記信号情報と内部ルックアップテーブルとを比較することにより)搬送波信号が何らかの意図しないIMプロダクトを運んでいるかどうかを決定し、前記可変制御発振器、可変増幅器及び可変移相器を制御して、搬送波信号に混合され、意図しないIMプロダクトを相殺する相殺信号を生成する。
一実施形態においては、比較的低電力の移相器を使用可能にするために、比較的高電力の回路パスではなく比較的低電力の回路パスに移相器を設ける。
従って、本発明の目的は、電子回路中のIMプロダクトを相殺するための改良された装置及び方法を提供することである。
本発明の他の目的は、製造費が安く、信頼性の高い、コンパクトかつ軽量構造のIM相殺回路を提供することである。
本発明のこれら及びその他の更なる利点は、添付の図面を参照して以下の詳細説明を読むことにより、当分野の技術者には理解されるであろう。
(詳細な説明)
本発明は様々な形態の実施の形態に改変され得るが、本発明の現在の好ましい実施の形態は、本開示が本発明の例示として考られるべきであり、示される特定の実施の形態に制限することは意図していないことを理解されることとして、図面に示され、以下に説明される。
図1及び図6を参照すると、本発明のIMプロダクト相殺回路1は、ステッピングスペクトルアナライザ9、プロセッサ11、可変電圧制御発振器13、可変増幅器15、及び可変移相器17を含む。IMプロダクトが相殺されることを意図された搬送波信号4は、入力3によって受信される。続いて、この搬送波信号は、カプラー5によって入力搬送波信号から通常6dB低い部分に分離され、ステッピングスペクトルアナライザ9に送られる。この信号(以下サンプル信号7と称する)は、ステッピングスペクトルアナライザ9に送られ、入力搬送波信号の信号成分の周波数及び振幅の検出及び測定のためにステッピングスペクトルアナライザ9によって解析される。搬送波信号4を含むこれらの信号成分は、意図された信号成分91及び何らかの意図されないIMプロダクト93の両方を含む(図6を参照)。ステッピングスペクトルアナライザ9が、一度、対象となる周波数帯にわたってステッピングし、その周波数帯内の搬送波入力信号の異なった信号成分の周波数及び振幅を確認すれば、この情報は、プロセッサ11に送られる。
プロセッサ11は、意図された信号が搬送波入力信号内に存在することを予想される周波数及び/又は周波数帯の識別に関した情報を保存する。意図された信号成分に関するこの情報は、振幅、周波数、又は搬送波入力信号4の意図された信号成分が位置すると意図される周波数帯を識別するルックアップテーブルの形で通常保存される。プロセッサ11は、ルックアップテーブルに保存された情報を備えた搬送波入力信号4内の確認された信号に関して、ステッピングスペクトルアナライザ9によって供給された情報を相互参照することによって、搬送波入力信号4内に何らかの意図されないIMプロダクトがあるかどうかを決定することができる。簡単には、プロセッサルックアップテーブルに振幅/周波数によってリストされていない、ステッピングスペクトルアナライザ9によって識別されたいかなる信号成分も、IMプロダクト93であると決定される。
本発明のIMプロダクト相殺回路1は、プロセッサ11を、可変電圧制御発振器13、可変増幅器15、及び可変移相器17に、それぞれ接続する複数の制御回線19、21、及び23をさらに含む。これらの制御回線19、21、及び23によって、プロセッサ11は、可変電圧制御発振器13及び可変増幅器15に、検出された意図されないIMプロダクトに周波数及び振幅が同一な発振信号を作成するよう指示する。この発振信号は、可変移相器17によって、搬送波入力信号4のIMプロダクトの位相に関して180度であるよう位相が調整される相殺信号25として機能する。図7も参照すると、相殺信号25は、続いて、出力信号29を作成するために、第2のカプラー27又は同様物によって本来の搬送波入力信号4と混合される。当業者には理解できるように、出力信号29は、本来の搬送波入力信号4と同一であり、意図されないIMプロダクト93が相殺信号25によって相殺されていることを除き、意図された信号成分91の本来の周波数及び振幅の特性の全てを保持している。
図2を参照すると、好ましい実施の形態において、IMプロダクト相殺回路1は、フィードバック信号33を作成する第3のカプラー31を含む付加フィードバック回路を含む。相殺信号25は搬送波入力信号4と混合されて相殺された後、その結果である出力信号29は、フィードバック信号33を作成するように、再び好ましくは出力信号29から6dB低い出力信号29の部分を分離するカプラー31又は類似物によって分離される。続いて、このフィードバック信号33は、それが、以前に検出されたIMプロダクトが適切に相殺されていることを確認するために、希望の周波数帯にわたって解析されるステッピングスペクトルアナライザ9に戻される。IMプロダクトが適切に相殺されていない場合、プロセッサ11は、相殺信号25が、搬送波入力信号4のIMプロダクトを適切に相殺するために、適切な周波数、振幅、及び位相シフトを有することを確実にするために、可変電圧制御発振器13、可変増幅器15、及び/又は、可変移相器17を調整できる。
上記したIMプロダクト相殺回路1は、1つの意図されないIMプロダクトを相殺することのみ可能である。図3を参照すると、好ましい実施の形態において、相殺回路25は、複数の可変電圧制御発振器13a〜c、可変増幅器15a〜c、及び可変移相器17a〜cを含む。可変電圧制御発振器13a〜c、可変増幅器15a〜c、及び可変移相器17a〜cのセットの各々は、直列に接続され、プロセッサ11が、可変増幅器15a〜cによって振幅を、且つ可変移相器17a〜cによって位相を調整することができる複数の制御可能な発振信号を作成することを可能とするために、制御回線19a〜c、21a〜c、及び23a〜cによってプロセッサ11に接続される。例えば、図3は、3つの相殺信号25a〜cを作成できる3組の可変電圧制御発振器13a〜c、可変増幅器15a〜c、及び可変移相器17a〜cを示す。ステッピングスペクトルアナライザ9及びプロセッサ11が、3つのIMプロダクトを測定し、確認した場合、可変電圧制御発振器13a〜c及び可変増幅器15a〜cは、ステッピングスペクトルアナライザ9及びプロセッサ11によって確認された3つのIMプロダクトと同じ周波数及び振幅を有する3つの相殺信号25a〜cを作成するために調整される。続いて、これらの相殺信号25a〜cは、移相器17a〜cによって別個に位相がシフトされ、これらが相殺することを意図されるIMプロダクトに関して、それぞれ180度シフトされる。続いて、これらの相殺信号25a〜cの各々は、出力信号29を作成するために、搬送波入力信号4に戻されて混合される。再び、出力信号29は、3つの検出されたIMプロダクトが今や相殺されていることを除き、搬送波入力信号4の信号特性の全てを含む。
本発明のIMプロダクト相殺回路1は、増幅器内のIMプロダクトの相殺に特に適用可能であると思われる。通常、増幅器は、増幅器によって作成されたIMプロダクトを相殺しようとして、ある種のフィードフォワード修正回路(FFCC)を使用する。残念ながら、フィードフォワード修正回路は通常、増幅器自体のIMプロダクトを実質的に相殺するが、フィードフォワード修正回路は、移相器、可変増幅器、及び混合器などのフィードフォワード修正回路の付加コンポーネントの結果として、付加的なIMプロダクトを導入する。従って、これらのIMプロダクトは、増幅器出力信号の部分として出力される。図5を参照すると、本発明のIMプロダクト相殺回路1は、一次増幅器77のIMプロダクトを相殺するために採用されるフィードフォワード修正回路67のIMプロダクトを相殺するために使用できる。この目的のために、用語「一次増幅器」は、RF増幅器、IF増幅器、電力増幅器などのいかなる増幅器をも含むように、最も広い意味で使用されることを意図されている。フィードフォワード修正回路67を採用する一次増幅器77は、通常、付加的な移相器75及び83、可変増幅器81、及び混合器79及び85を含む。入力信号69は、カプラー71によって分離され、この入力信号69の第1の部分は、移相器75によって90度シフトされ、混合器79に送られる。入力信号69の大部分は、一次増幅器77に送られ、そこで増幅される。何らかのIMプロダクトを含む、この増幅された信号の一部は、付加的なカプラー72によって分離され、同じく、混合器79に送られる。混合器79に送られた増幅された信号の一部は、位相シフトされた入力信号73と、混合器79内で結合され、第1の混合器出力信号80となる。信号69の本来の信号成分は実質的に相殺され、その代わりに、第1の混合器出力信号80は増幅器77のIMプロダクトのみを含む。一方、増幅器出力信号は、第2の移相器83によって180度位相シフトされ、第2の混合器に送られる。この位相シフトされた増幅器信号は、増幅器によって作成されたIMプロダクトのみを含む第1の混合器出力と混合される。この第1の混合器出力は、増幅器出力信号のIMプロダクトと実質的に同じ振幅を有するように、増幅器81によって振幅が調整される。増幅器出力信号が移相器83によって180度位相シフトされるため、一次増幅器のIMプロダクトは、出力搬送波信号4において実質的に相殺される。
図1、5、6、及び7を参照すると、フィードフォワード修正回路67の成分によって作成された付加的なIMプロダクトを相殺するため、フィードフォワード修正回路によって出力された搬送波信号4は、カプラー5によって分割され、出力信号7の一部は、ステッピングスペクトルアナライザ9に送られる。ステッピングスペクトルアナライザ9は、搬送波信号4の意図された信号成分91及び意図されないIMプロダクト93を確認しようとして、希望の周波数帯にわたってステッピングする。上記と同様に、ステッピングスペクトルアナライザ9は、搬送波信号4で確認された、異なった信号の周波数及び振幅に関する情報を、増幅器77の意図された出力信号の周波数に関する情報を保存する内蔵ルックアップテーブルとともに、この情報を相互参照するプロセッサ11に送る。従って、この内蔵ルックアップテーブルにリストされていない、ステッピングスペクトルアナライザ9によってカバーされないいかなる信号も、意図されないIMプロダクトであると決定される。これらの意図されないIMプロダクト93が確認されると、プロセッサ11は、相殺信号25を作成するために、可変電圧制御発振器13及び可変増幅器15を制御する。続いて、移相器17は、相殺信号25の位相を搬送波信号4のIMプロダクトに関して180度シフトし、相殺信号25はその後、出力信号29を作成するために戻されて搬送波信号4と混合される。相殺信号25は、位相が180度シフトしているがIMプロダクト93と同じ周波数及び振幅を有するため、出力信号29は、増幅器77によって作成された信号の意図された信号成分91の周波数及び振幅特性の全てを含むが、意図されないIMプロダクト93が相殺されている。
図5を参照すると、好ましい実施の形態において、入力信号69が、増幅器77又はフィードフォワード修正回路67によって受信される前に、入力信号69は、入力信号(図示せず)の部分を隔離するために、カプラー(図示せず)によって分離される。続いて、解析のために、入力信号のこの部分は、入力信号69の意図された周波数及び振幅の特性に関する情報をプロセッサ11に供給するためのルックアップテーブル又は類似物に保存するプロセッサ11に、入力信号69の周波数及び振幅成分の決定を含めてその結果を送るステッピングスペクトルアナライザ9に送られる。この情報は、増幅器77又はフィードフォワード修正回路67によって作成されたIMプロダクトのいずれも含まないため、サンプル信号7は、増幅器77又はフィードフォワード修正回路67によって作成された、搬送波信号4のIMプロダクトを識別するために、ルックアップテーブルに現在保存されている情報と比較されることができる。この情報は、今度は、相殺信号25を作成するために、可変電圧制御発振器13、可変増幅器15、及び可変移相器17を制御するために使用される。
当業者に理解されるように、ステッピングスペクトルアナライザ9が、搬送波信号の異なった信号成分、特にいかなる意図されないIMプロダクトの周波数及び振幅をも決定するために、対象となる周波数帯を、素早くかつ徹底的に解析することが重要である。図4を参照すると、好ましいステッピングスペクトルアナライザ9は、可変ローノイズ源37、可変移相器43、及びミキサー47を含む。可変ローノイズ源37は、周波数及び振幅が同一の第1及び第2の調整可能な発振信号39及び41を生成する。第1のローノイズ信号39は、混合されたサンプル信号/ローノイズ信号45を生成するために、カプラー35によって、サンプル信号7と混合される。一方、第2のローノイズ信号41は、移相器43によって、位相が90度シフトされる。サンプル信号/ローノイズ信号45及び第2のローノイズ信号41は、ミキサー出力信号49を生成するために、ミキサー47で混合される。ミキサー49の固有の特性のために、ローノイズ源信号39及び41は相殺され、残っている信号成分は、「搬送波からのオフセット」の形になって現われる。基本的に、ミキサー出力信号49の信号成分は、ベースバンドに直交下方変換されている。例えば、搬送波信号として機能するローノイズ源信号39及び41が、500.000MHzで作成された場合、500.000MHzのサンプリング信号7の信号成分は、ミキサー出力信号49の50KHzの信号として現われる。このミキサー出力信号49は、以下、「測定試験信号」と呼ぶが、測定試験信号49の振幅を増幅するローノイズ整合増幅器51に送られ、そのため、信号のいかなるIMプロダクトをも、さらに簡単に認識し、測定することができる。さらに、ローノイズ整合増幅器51は、インピーダンスが、ミキサー47と、ローノイズマッチング増幅器51を介して測定試験信号49が通過した後に測定試験信号49を受け取るアナログ/ディジタル変換器53との間に、最適に維持されることを確実にするためのバッファとして機能する。
アナログ/ディジタル変換器53は、測定試験信号49を受信し、先入れ先出し法でその試験信号をディジタルフォーマットに変換する。続いて、このディジタル情報は、プロセッサ55に送られる。ステッピングスペクトルアナライザ9は、プロセッサ55を、可変ローノイズ源37、可変移相器53、及びローノイズマッチング増幅器51に、それぞれ接続する複数の制御回線57、59、及び61をさらに含む。動作において、プロセッサ55は、ミキサー47によって受信される異なった搬送波信号を生成するように、異なったオフセット周波数において、希望の周波数帯にわたって、ローノイズ源37及び移相器53を調整する。通常のスペクトル解析システムは、ローノイズ源及び移相器の手動調整を必要とするが、本発明のステッピングスペクトルアナライザ9は、これらの成分の自動制御に対する用意があり、そのため、サンプル信号7の意図された信号成分及び意図されないIMプロダクトを、対象となる帯域幅全体にわたって確認し、測定することができる。
再び、図4を参照すると、プロセッサ55に到達した後、測定試験信号49は、スペクトルアナライザ65に送られる。アナログ/ディジタル変換器53によって変換され、今やディジタルフォーマットになった測定試験信号49は、いかなる意図された信号成分、及びいかなる意図されないIMプロダクトの周波数、及び振幅を含むサンプル信号7の異なった周波数成分を正確に測定する離散フーリエ変換を使用して、スペクトルアナライザ65によって解析される。続いて、この情報は、プロセッサ55に、図1を参照すると可変電圧制御発振器13、可変増幅器15、及び可変移相器17を制御するプロセッサ11に返送される。続いて、プロセッサ11は、この情報を取り込み、内蔵ルックアップテーブルとの比較によって、周波数成分が、意図された信号成分であるか、意図されないIMプロダクトであるかを決定する。IMプロダクトが一度決定されれば、可変電圧制御発振器13、可変増幅器15、及び移相器17は、意図されないIMプロダクトが相殺された出力信号29を作成するために搬送波信号4と混合される相殺信号25を生成するために、プロセッサ11によって、制御回線19、21、及び23を介して調整される。当業者に理解されるように、プロセッサ11及び55は、別個のプロセッサとしても、統合された単一のプロセッサとしても構成され得る。
図8は、比較的低電力の移相器を使用するIMプロダクト相殺システム800を示すブロック図である。このシステム800は、図5に示すIM相殺システムに多くの点で類似している。相殺システム800において、カプラー71は、入力信号69を第1および第2の部分に分離する。入力信号69の第1の部分は、可変移相器875の入力に供給される。可変移相器875の出力が、可変ゲイン増幅器810の入力へ供給される。可変ゲイン増幅器810の出力が、混合器79の第1の入力へ供給される。入力信号69の第2の部分は、一次増幅器77の入力へ供給され、よって増幅される。一次増幅器77の出力が、カプラー72から、混合器85の第1の入力へ供給される。カプラー72は、増幅器77により生成されたIMプロダクトを含む、増幅された信号の一部分を、混合器79の第2の入力へ供給する。混合器79の出力は、第1の混合器出力信号80である。
第1の混合器出力信号80は、可変移相器886の入力へ供給される。可変移相器886の出力が、可変ゲイン増幅器81の入力へ供給される。可変ゲイン増幅器81の出力が、相殺信号825である。相殺信号825は、混合器85の第2の入力へ供給される。混合器85の出力が、信号4であり、信号4は、カプラー5からカプラー27に供給される。カプラー27の出力が、出力信号29である。混合器は、2つまたはそれ以上の信号を混合して、2つの入力信号のベクトル和である出力信号を作り出す。したがって、混合器は、加算器、カプラー等として機能させることができる。
カプラー5は、出力信号4の比較的小さい部分をスペクトルアナライザ9の入力へ混合する。スペクトルアナライザ9の出力が、プロセッサ11の入力へ供給される。
VCO13の出力が、調整可能なゲイン増幅器15の入力へ供給される。調整可能なゲイン増幅器15の出力が、可変移相器17の入力へ供給される。可変移相器17の出力が、カプラー27に供給されて、カプラー5の出力と混合される。カプラー27の出力は、出力信号29である。制御出力によって、プロセッサ11は、可変移相器875、886および17の位相、可変ゲイン増幅器81および15のゲイン、並びにVCO13の周波数を制御する。
可変ゲイン増幅器810、81および/または15が、1未満、1、または1を超えるゲインを持ち得ることを、当業者は理解するだろう。希望信号レベルを作り出すために1を超えるゲインが必要でない時には、可変ゲイン増幅器810、81および/または15を可変減衰器に交換可能であることを、当業者はまた理解するだろう。可変移相器875および可変ゲイン増幅器810はともに、可変振幅位相モジュール820を形成する。可変移相器886および可変ゲイン増幅器81はともに、可変振幅位相モジュール821を形成する。可変移相器17および可変ゲイン増幅器15はともに、可変振幅位相モジュール823を形成する。可変振幅位相モジュール820〜823における移相器および増幅器の順番を逆にすることができることを、当業者はまた理解するだろう。
本システム800は、図5に示したIM相殺回路のシステムと同様に作動する。スペクトルアナライザ9は、信号4の一部分を受信する。信号4は、希望成分および非希望成分(例えば、IMプロダクト)を含む。スペクトルアナライザは、信号4を解析し、周波数、位相、および振幅により希望成分と非希望成分とを識別する。信号成分の周波数、位相、および振幅についての情報が、プロセッサ11に供給される。プロセッサ11は、可変移相器875の位相を調整して、その結果、混合器79の第1の入力へ供給される信号の位相が、混合器79の第2の入力に供給される信号に対して約180度ずれる。
プロセッサ11は、可変ゲイン増幅器810のゲインを調整して、その結果、混合器79の第1の入力へ供給される信号が、混合器79の第2の入力へ供給される信号とほぼ同じ振幅を有する。混合器79の第1の入力へ供給される信号は、希望信号成分を含むが、増幅器77により生成されたIMプロダクトは含まない。混合器79の第2の入力へ供給される信号は、希望信号成分と非希望信号成分とを含む。混合器79の2つの入力における信号は、位相が約180度ずれているので、第1の混合器出力信号80は、増幅器77により生成されたIMプロダクト(希望信号成分に対応し、比較的小さく望ましくない残留部分を有する)を本来含むエラー信号である。可変ゲイン増幅器810は、任意のものである。可変ゲイン増幅器810によって、混合器79の第1の入力に供給される信号のよりよい制御が可能となる。可変ゲイン増幅器810のゲインを適切に調整することは、エラー信号の残留部分の振幅を低減することに役立つ。可変ゲイン増幅器のゲインは、図8に示すプロセッサ11により制御可能であるか、または手動で調節可能である。
プロセッサ11は、可変移相器886および可変ゲイン増幅器81を調節することによって、信号825の位相および振幅を調整する。信号825の位相は、増幅器77の出力におけるIMプロダクトの位相に対して約180度ずれるように調整される。信号825の振幅は、増幅器77の出力のIMプロダクトの振幅とほぼ等しくなるように調整される。混合器85は、増幅器77の出力と相殺信号825とを混合して、(増幅器出力信号のIMプロダクトと相殺信号825とを180度相違させることによって)IMプロダクトを減少させた出力信号4を作り出す。一実施形態では、IMプロダクトは、最小二乗平均の観点で減少する。一実施形態では、IMプロダクトは、最小パワースペクトル密度の観点で減少する。一実施形態では、IMプロダクトは、ピークサーチの観点で減少し、その場合、最悪のIMプロダクトスペクトルピークが、検出され、プロセッサが、相殺信号を調整して、このようなピークの最悪のピークを減少させる。
本システム800においては、比較的高電力の移相器83が省略され、比較的低電力の移相器886が増幅器81の入力において比較的低電力の信号経路内へ挿入されている。一次増幅器77により生成されたIMプロダクトは、一部が、相殺信号825と一次増幅器77の出力とを混合することによって、相殺される。相殺は、増幅器77の出力の非希望成分に対して180度位相が異なる(が振幅および周波数は同様である)信号825内の生成信号成分に基づく。したがって、それは、混合器85の第1の入力におけるIM信号成分と、問題にしている混合器85の第2の入力におけるIM信号成分との相対位相であって、混合器85の入力における絶対位相ではない。混合器85の2つの入力の相対位相は、混合器85のいずれの入力においても移相器により調節可能である。移相器83に対する移相器86の利点は、移相器86では、比較的低電力の信号80しか処理する必要がないことであり、それに対して、移相器83では、増幅器77のフル出力電力を処理可能でなければならない。比較的低電力の移相器886は、比較的高電力の移相器83よりも、一般的に、高価ではなく小型で軽量であり、精密である。
相殺信号825は、多くの周波数のIMプロダクトを相殺可能な比較的広帯域の相殺信号である。プロセッサ11はまた、VCO13の周波数、増幅器15のゲイン、および移相器17の位相を調整して、所望の周波数、振幅、および位相を有する比較的狭帯域の相殺信号25を生成可能である。信号25の周波数および振幅は、特定の周波数または比較的狭い周波数帯において信号4の非希望IM成分の周波数および振幅と実質的に等しい。信号25の位相は、実質的に信号4の非希望IM成分に対して180度位相がずれている。相殺信号25は、信号4と混合されて、出力信号を生成し、そこでは、信号4の非希望IM成分の振幅は減少している。したがって、相殺信号25は、他のIMプロダクトに対して強力であるために、相殺信号825により十分相殺されなかった特定のIMプロダクト(例えば、スペクトルスパー)を処理するのに有用である。
図3に示すように、VCO13、可変ゲイン増幅器15、および可変移相器17は、他の非希望IMプロダクトを相殺するのに必要な数だけ複製することができる。
図9は、図8に示したIM相殺回路と同様のIM相殺回路を示しており、このIM相殺回路では、可変移相器886が、取り外されて(図5に示すように)増幅器77の出力と混合器85の第2の入力との間に接続した移相器83と交換されている。プロセッサ11は、可変移相器875、83および17の位相、増幅器810、81および15のゲイン、およびVCO13の周波数を調節する。図9におけるIM相殺回路の動作は、IM相殺回路800の動作と同様であり、可変移相器83によって、混合器85の2つの入力に供給されるIMプロダクト同士の間の位相を180度ずらすことができる。
本発明は、RF信号のIMプロダクト相殺に関して説明された。本発明がRFシステムに特に関連があると考えられるため、この説明が行なわれた。IMプロダクト相殺システムは、通信システム、レーダーシステム、衛星システムなどを含めた多くの増幅器システムにおいて使用可能である。しかし、本発明は、無線周波数スペクトルに限ることを意図せず、光ファイバ及びレーザなどの赤外線、可視光線、紫外線、及びX線を含めた無線周波数スペクトルを超えた応用をも含むことを意図している。
いくつかの実施形態に関して本発明を説明してきたが、当業者に明白な他の実施形態もまた、本発明の範囲内にある。本発明の精神および範囲から逸脱せずに種々の変更および変形を行うことができる。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲により定められる。
本発明に係るIMプロダクト相殺回路を簡易的に示す図である。 帰還回路を備えた本発明係るIMプロダクト相殺回路を示す図である。 複数のIMプロダクト相殺信号を生成するための複数の可変電圧制御発振器、可変増幅器及び可変移相器を備えた、本発明に係るIMプロダクト相殺回路を示す図である。 本発明に係るIMプロダクト相殺回路に利用されるステッピングスペクトルアナライザの好ましい実施の形態を示す図である。 従来のフィードフォワード修正回路及び本発明に係るIMプロダクト相殺回路を組み込んだ増幅器回路を示す図である。 従来のスペクトルアナライザの画面に表示される、意図する信号及び意図しないIMプロダクトの両方を搬送する搬送波信号を示すグラフである。 従来のスペクトルアナライザの画面に表示される、本発明に係るIMプロダクト相殺回路を適用することにより、IMプロダクトが実質的に相殺された図6の搬送波信号を示すグラフである。 比較的低電力の移相器を使用するIMプロダクト相殺システムを示すブロック図である。 調整可能なフィードフォワード回路を含むIMプロダクト相殺システムを示すブロック図である。

Claims (27)

  1. 増幅させた信号の1つ以上のIMプロダクトを減少させるIMプロダクト相殺システムであって、
    増幅器入力信号の一部分を受信し、所望の振幅および位相を有する調整済みの信号を生成するように構成された第1の可変振幅位相モジュールと、
    前記増幅器からの出力信号の少なくとも一部分を前記調整済みの信号の少なくとも一部分と混合して、エラー信号を生成するように構成された第1の混合器と、
    前記エラー信号の少なくとも一部分を受信し、所望の振幅および位相を有する相殺信号を生成するように構成された第2の可変振幅位相モジュールと、
    前記増幅器からの前記出力信号の少なくとも一部分を前記相殺信号の少なくとも一部分と混合して改善済み出力信号を生成するように構成された第2の混合器と、
    スペクトルアナライザ入力信号として前記改善済み出力信号の一部分を受信し、プロセッサへの前記改善済み出力信号のスペクトルの内容に関する情報を提供するように構成されたスペクトルアナライザと、
    を備え、
    前記プロセッサは、前記第1の可変振幅位相モジュールおよび前記第2の可変振幅位相モジュールを調節して、前記改善済み出力信号の非希望IMプロダクトを減少させるように構成されたIMプロダクト相殺システム。
  2. 前記スペクトルアナライザは、所望の周波数帯内において前記改善済み出力信号の特性を認識し測定するための、当該周波数帯にわたる調節可能なステッピングを行うことができる請求項1に記載のIMプロダクト相殺回路。
  3. 前記プロセッサは、搬送波信号の所望の特性に関する情報を提供するルックアップテーブルを含み、前記プロセッサが、該ルックアップテーブル内に格納された情報を有する前記スペクトルアナライザによって分析結果を比較することにより、非希望IMプロダクトの有無を決定できる請求項1に記載のIMプロダクト相殺回路。
  4. 前記ルックアップテーブル内に格納された情報は、前記搬送波信号が前記増幅器に入る前に、前記搬送波信号を分析することによって供給される請求項3に記載のIMプロダクト相殺回路。
  5. 前記増幅器は、電力増幅器である請求項1に記載のIMプロダクト相殺回路。
  6. 前記スペクトルアナライザは、アナログからデジタルへの変換を行う前に、前記スペクトルアナライザ入力信号の所望の部分をベースバンドへ直交ミキシングする請求項1に記載のIMプロダクト相殺回路。
  7. 前記スペクトルアナライザは、
    第1の周波数の第1のローノイズ信号、および実質的に前記第1の周波数の第2のローノイズ信号を作り出すローノイズ周波数源と、
    前記第1のローノイズ信号を前記スペクトルアナライザ入力信号と混合して、混合された信号を作り出すように構成されたカプラーと、
    前記第2のローノイズ信号の位相シフトされた部分を前記混合された信号とミキシングして、ダウンコンバートされた信号を作り出すように構成されたミキサーと、
    を備える請求項6に記載のIMプロダクト相殺回路。
  8. 第1の正弦波を作り出す第1の制御周波数源と、
    前記第1の正弦波の振幅および位相を調整して第1の修正信号を作り出すように構成された第3の可変振幅位相モジュールと、
    前記第1の修正信号を前記改善済み出力信号と混合するように構成されたカプラーと、
    をさらに備える請求項1に記載のIMプロダクト相殺回路。
  9. 第2の正弦波を作り出す第2の制御周波数源と、
    前記第2の正弦波の振幅および位相を調整して第2の修正信号を作り出すように構成された第4の可変振幅位相モジュールと、
    をさらに備える請求項8に記載のIMプロダクト相殺回路。
  10. 増幅器入力信号の一部分を受信し、所望の位相を有する調整済み信号を作り出すように構成された第1の可変移相器と、
    前記増幅器からの出力信号の少なくとも一部分を前記調整済み信号の少なくとも一部分と混合しエラー信号を作り出すように構成された第1の混合器と、
    前記エラー信号の少なくとも一部分を受信して所望の振幅および位相を有する相殺信号を作り出すように構成された第1の可変振幅位相モジュールと、
    前記増幅器からの前記出力信号の少なくとも一部分を前記相殺信号の少なくとも一部分と混合し、改善済み出力信号を作り出すように構成された第2の混合器と、
    スペクトルアナライザ入力信号として前記改善済み出力信号の一部分を受信し、前記改善済み出力信号のスペクトルの内容に関する情報をプロセッサに供給するように構成されたスペクトルアナライザと、
    を備え、
    前記プロセッサは、前記第1の可変移相器および前記第1の可変振幅位相モジュールを調節して、前記改善済み出力信号の非希望IMプロダクトを減少させるように構成されるIMプロダクト相殺回路。
  11. 前記スペクトルアナライザは、所望の周波数帯内において前記改善済み出力信号の特性を認識し測定するための、当該周波数帯にわたる自動ステッピングを行うことができる請求項10に記載のIMプロダクト相殺回路。
  12. 前記プロセッサは、搬送波信号の所望の特性に関する情報を提供するルックアップテーブルを含み、前記プロセッサが、該ルックアップテーブル内に格納された情報を有する前記スペクトルアナライザによって分析結果を比較することにより、非希望IMプロダクトの有無を決定できる請求項10に記載のIMプロダクト相殺回路。
  13. 前記ルックアップテーブル内に格納された情報は、前記搬送波信号が前記増幅器に入る前に、前記搬送波信号を分析することによって供給される請求項12に記載のIMプロダクト相殺回路。
  14. 前記スペクトルアナライザは、アナログからデジタルへの変換を行う前に、前記スペクトルアナライザ入力信号の所望の部分をベースバンドへ直交ミキシングする請求項10に記載のIMプロダクト相殺回路。
  15. 前記スペクトルアナライザは、
    第1の周波数の第1のローノイズ信号、および実質的に前記第1の周波数の第2のローノイズ信号を作り出すローノイズ周波数源と、
    前記第1のローノイズ信号を前記スペクトルアナライザ入力信号と混合して、混合された信号を作り出すように構成されたカプラーと、
    前記第2のローノイズ信号の位相シフトされた部分を前記混合された信号とミキシングして、ダウンコンバートされた信号を作り出すように構成されたミキサーと、
    を備える請求項14に記載のIMプロダクト相殺回路。
  16. 第1の正弦波を作り出す第1の制御周波数源と、
    前記第1の正弦波の振幅および位相を調整して第1の修正信号を作り出すように構成された第3の可変振幅位相モジュールと、
    前記第1の修正信号を前記改善済み出力信号と混合するように構成されたカプラーと、
    をさらに備える請求項10に記載のIMプロダクト相殺回路。
  17. 第2の正弦波を作り出す第2の制御周波数源と、
    前記第2の正弦波の振幅および位相を調整して第2の修正信号を作り出すように構成された第4の可変振幅位相モジュールと、
    をさらに備える請求項16に記載のIMプロダクト相殺回路。
  18. 増幅された信号の1つ以上のIMプロダクトを減少させるIMプロダクト相殺回路であって、
    エラー信号を生成する手段と、
    相殺信号を生成するように前記エラー信号の振幅および位相を調整する手段と、
    改善済み信号を生成するように前記相殺信号を増幅器の出力と混合する混合器と、
    分析データを生成するように前記改善済み信号のスペクトルを分析する手段と、
    前記分析データを用いて前記生成手段および前記調整手段を制御するように構成されたプロセッサと、
    を備えるIMプロダクト相殺回路。
  19. 増幅された信号の1つ以上のIMプロダクトを減少させるIMプロダクト相殺回路であって、
    エラー信号を生成する手段と、
    前記エラー信号を比較的広帯域の相殺信号へ変換する手段と、
    改善済み信号を生成するように前記相殺信号を増幅器の出力と混合する混合器と、
    分析データを生成するように前記改善済み信号のスペクトルを分析する手段と、
    前記分析データを用いて制御情報を生成するように構成されたプロセッサと、
    を備え、
    前記制御情報は、前記エラー信号および相殺信号の精度を改善するために用いられるIMプロダクト相殺回路。
  20. 1つ以上の比較的狭帯域の修正信号を生成する手段と、
    前記1つ以上の比較的狭帯域の修正信号を前記改善済み信号と混合する混合器と、
    をさらに備える請求項19に記載のIMプロダクト相殺回路。
  21. 増幅された信号の1つ以上のIMプロダクトを減少させる方法であって、
    選択された入力部分として入力信号の一部分を選択するステップと、
    調整された信号を生成するように前記選択された入力部分の位相を調整するステップと、
    選択された出力部分として増幅器出力信号の一部分を選択するステップと、
    エラー信号を生成するように前記選択された出力部分および前記調整された信号を混合するステップと、
    相殺信号を生成するように、前記エラー信号の位相および振幅を調整するステップと、
    改善済み増幅器出力信号を生成するように、前記相殺信号を前記増幅器出力信号と混合するステップと、
    分析データを生成するように前記改善済み増幅器出力信号のスペクトルの内容を分析するステップと、
    前記選択された入力部分の位相、前記相殺信号の位相、および前記相殺信号の振幅の少なくとも1つを変更するために前記分析データを用いるステップと、
    を含むIMプロダクト減少方法。
  22. 前記選択された入力部分の振幅を調整するステップをさらに含む請求項21に記載の方法。
  23. 前記分析データを用いるステップは、前記分析データとルックアップテーブル内に格納された情報とを比較することによって非希望IMプロダクトの有無を測定するために搬送波信号の所望の特性に関する情報を供給する前記ルックアップテーブルを使用するステップを含む請求項21に記載の方法。
  24. 前記改善済み増幅器出力信号の選択された部分をベースバンドへ直交ミキシングするステップをさらに含む請求項21に記載の方法。
  25. 第1の周波数の第1のローノイズ信号、および実質的に前記第1の周波数の第2のローノイズ信号を生成するステップと、
    混合された信号を生成するように、前記第1のローノイズ信号を前記改善済み増幅器出力信号の一部分と混合するステップと、
    ダウンコンバートされた信号を生成するように、前記第2のローノイズ信号の位相シフトされた部分と前記混合された信号とをミキシングするステップと、
    をさらに含む請求項21に記載の方法。
  26. 第1の正弦波信号を生成するステップと、
    第1の修正信号を生成するように前記第1の正弦波信号の位相および振幅を調整するステップと、
    前記第1の修正信号を前記改善済み増幅器出力信号と混合するステップと、
    をさらに含む請求項21に記載の方法。
  27. 第2の正弦波信号を生成するステップと、
    第2の修正信号を生成するように、前記第2の正弦波信号の位相および振幅を調整するステップと、
    前記第2の修正信号を前記改善済み増幅器出力信号と混合するステップと、
    をさらに含む請求項26に記載のIMプロダクト相殺回路。
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