JP2005517626A - 被覆済みダイヤモンド粒子 - Google Patents

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Abstract

被覆したダイヤモンド粒子を製造する方法において、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ及びタンタルから選ばれる遷移金属と、活性化金属と、被覆されていないダイヤモンド粒子との組み合せを与える工程;並びに、前記組み合せを、非酸化性雰囲気中で加熱処理して、前記活性化金属を前記ダイヤモンド粒子及び前記遷移金属に結合させ、該ダイヤモンド粒子上に炭化物コーティングを形成する工程;を包含する上記製造方法。

Description

本発明は、被覆されたダイヤモンドの粒子、即ちグリットに関するものであって、いっそう詳しく言えば、のこ刃セグメントにおける保持力及び耐酸化性が改善された被覆したグリットに関する。
ダイヤモンド及び立方晶窒化ホウ素粒子のような研磨用グリットは、のこ引き用途、穿孔用途、研削用途、研磨用途及び、他の研磨及び切削の用途において、広く使用されている。そのような用途において、グリットは通常、金属(例えば、Fe、Co、Ni、Cu、及びそれらの合金)(金属ボンド)から成るマトリックスによって取り囲まれている。代替的に、樹脂(樹脂ボンド)、ガラス(ガラスボンド)のマトリックスを用いることができ、マトリックスの選択は、研磨材が使用される予定である特定用途の相関的要素である。
IVa族、Va族及びVIa族の遷移金属(Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo及びW)若しくはそれらの合金から成る金属、及び/又は、それら金属の各々の炭化物でダイヤモンドを被覆することによって、研磨用グリットの性能が改善されることが分かってきた。とりわけ、被覆したダイヤモンドは、金属ボンド用途(例えば、のこ引き及び/又は穿孔)において大規模に使用されている。
研磨用グリット上に金属層を堆積する方法には、「L.ホランド(Holland),チャップマン(Chapman)及びホール(Hall):薄膜の真空蒸着(Vacuum Deposition of Thin Films),第1版(1956)」に記述されているようなPVD法が包含される。「化学蒸着(Chemical Vapour Deposition),第1巻,No.1(1995)」においてM.J.ハムデン・スミス(Hampden-Smith)及びT.T.コダス(Kodas)により記述されているような気相CVD法もまた用いることができる。代わりのCVD法には、研磨用グリットを酸化した金属粉末と混合し、不活性雰囲気(通常、真空)で加熱すること(例えば、V.G.シュプリナ(Chuprina)「ソビエト粉末冶金及び金属セラミックス(Soviet Powder Metallurgy and Metal Ceramics),第31巻,No.7,pp.578〜83(1992),及び同文献,第31巻,No.8,pp.687〜92(1992)」によって記述されているような方法)、又は、研磨用グリット及び金属粉末も混合して、不活性ガスを含有するハロゲン化物(フッ素、塩素、ヨウ素及び臭素、又はそれらの水素化合物)の中で加熱すること(例えば、クロム拡散被覆のための「ASTM B874−96標準仕様」、及びアルミニウム拡散被覆のための「ASTM B875−96標準仕様」に記述されているような方法)が包含される。これら後者の方法はしばしば、用語「パックセメンテーション(Pack Cementation)」で呼ばれる。溶融ハロゲン化アルカリ金属の使用方法(例えば、「溶融塩の化学と技術に関する第1回国際会議議事録(Proceedings of 1st International Conference on Molten Salt Chemistry and Technology),第265頁(1983)」においてオオキ(Oki)及びタニカワ(Tanikawa)によって記述されているような方法)もまた、IVa族、Va族及びVIa族遷移金属でダイヤモンドを被覆する方法を提案している。この後者の方法は、CVD法の化学に類似する化学を用いている。
米国特許第5,024,680号明細書は、ツール・マトリックスにおける保持力を改善するための、多重の被覆したダイヤモンドグリットを記述する。この被覆したダイヤモンドグリットは、該ダイヤモンドに化学的に結合されている、堅固な炭化物形成体(好ましくは、クロム、チタン又はジルコニウム)の金属炭化物の第1のコーティング層と、第1の金属層に化学的に結合されている、耐酸化性の炭化物形成体(好ましくは、タングステン又はタンタル)の第2の金属コーティングとを含有して成る。ニッケル等の合金化金属の第3の金属層コーティングを添加することができる。被覆したグリットは、金属蒸着によって、第1の金属層をグリットに施し、次いで、化学蒸着によって第2の金属層を施すことによって造られる。別々で異なる被覆工程が必要であり、それは高価となる。更に、第2の層又はコーティングは、本質的に金属形態である。ダイヤモンドグリットの幾つかの用途(例えば、自由焼結(free sintered)鉄マトリックスを有している工具)に関し、グリットのためのあらゆるコーティングは、炭化物コーティングであり、金属コーティングでないのが好ましい。
(発明の概要)
本発明の第1の面による、被覆したダイヤモンド粒子を製造する方法は、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ及びタンタルから選ばれる遷移金属と、活性化金属と被覆されていないダイヤモンド粒子との組み合せを与える工程、並びに、前記組み合せを、非酸化性雰囲気中で加熱処理して、前記活性化金属を前記ダイヤモンド粒子及び前記遷移金属に結合させ、前記ダイヤモンド粒子上に炭化物コーティングを形成する工程を包含する。
本発明の方法において、活性化金属は、ダイヤモンド粒子上に、適切な数の遷移金属のための核成長部位を創り出すことによって、それらダイヤモンド粒子の表面を活性化する機能を持っている、と思われる。従って、活性化金属は通常、それが結合されるダイヤモンド表面の一部分のみを覆うであろう。更に、それら部位が用意されることによって、炭化物コーティングは、従来技術の方法で用いられている温度より低い温度で形成することが可能となると思われる。
発明を実施するための形態
本発明の方法において、遷移金属と、活性化金属と、被覆されていないダイヤモンド粒子との組み合せは、加熱処理される。遷移金属は、前記組み合せにおける粒子形態であることがあり、又は、それは、例えば、被覆されていないダイヤモンド粒子と活性化金属とを包むキャニスターとしての、メッシュ、層又はシートの形態であることがある。活性化金属は、粒子形態であるか、又はシート層又はメッシュであることもあり、また、他の金属との合金であることもある。
本発明の一つの特定の形態において、前記組み合せは、粒子形態の遷移金属の粒子集合体と、更に粒子形態でもある活性化金属と、被覆されていないダイヤモンド粒子とを含有して成る。それら粒子は通常、混合して粒子集合体を形成する。
加熱処理は、気体状ハロゲン化物(とりわけ、気体状塩化物)の存在下で行うのが好ましい。気体状ハロゲン化物は、加熱処理の条件下で揮発するハロゲン化物から元の場で生成することができる。揮発する適切なハロゲン化物の例は、ハロゲン化アンモニウム(例えば、塩化アンモニウム)である。気体状ハロゲン化物は、ダイヤモンドと活性化金属の結合の助けとなり、また、遷移金属の炭化物形成の助けとなる。
加熱処理は通常、少なくとも800℃の温度、好ましくは850℃の温度で行う。加熱処理の時間は、所望の炭化物コーティングの程度によって変わり、通常、1〜4時間であろう。
加熱処理は、非酸化性雰囲気中で行なう。非酸化性雰囲気は、不活性ガス(例えば、アルゴン)、還元性ガス(例えば、水素)、又はそれらの組み合せである場合がある。例えば、その方法を、ハロゲン化アンモニウムの存在下で行う場合、水素が発生して、還元雰囲気が創り出される。
遷移金属の炭化物は、個々のダイヤモンド粒子を被覆して、該粒子を完全に包む。そのコーティングは、本質的に炭化物コーティングである。該コーティングの外面は、比較的少ない量の、金属形態の遷移金属を有していることがあるが、該コーティングは本質的に炭化物コーティングである。
適切な活性化金属の例は、チタン、バナジウム及びクロムである。好ましい活性化金属は、クロムである。
好ましい遷移金属は、タンタルである。
活性化金属の量は、遷移金属に比べて少なく、活性化金属及び遷移金属の、通常2重量%以下であり、好ましくは0.2重量%以下である。
上述の方法によって製造された被覆したダイヤモンドは、新規であると思われ、本発明の別の面を成す。従って、本発明のこの面によると、被覆したダイヤモンド粒子において、そのコーティングが、該ダイヤモンドの表面に結合されている活性化金属と、該ダイヤモンド粒子を完全に包み、且つ、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ及びタンタルから選ばれる遷移金属の炭化物の層とを含有して成る、上記被覆したダイヤモンド粒子が提供される。上述の活性化金属は通常、それが結合されているダイヤモンド表面の一部分のみを覆っている。そのような一部分は、連続した領域であるか、又は複数の孤立した地点である場合がある。
それらダイヤモンド粒子は、のこぎり用途に適切なものであるのが好ましく、また、塊状であり、事実上、堅固であることがある。そのような粒子は通常、立方体面{100}、及び/又は八面体面{111}を有している。そのような粒子は通常、少なくとも170μmの粒径を有している。
被覆したダイヤモンド粒子は、マトリックスが鉄又は鉄のボンドマトリックスであるのこぎり用途において特有の用途を有する。
(実施態様の記述)
次に、以下の実施例によって、本発明を例示する。
595〜420μmのElement Six SDB1100ダイヤモンドグリット5gを、タンタル粉末20g及び塩化アンモニウム(NHCl)0.024gと混合した。混合物は、ニッケルのカプセルに包んで、アルゴン雰囲気中、900℃に加熱し、次いで、この温度に4時間保持し、その後、周囲温度まで冷却した。
グリットは、篩い分けを行うことによって、混合物から回収し、そのダイヤモンドは完全に被覆されていないことが分かった。
クロム粉末0.01重量%を前記タンタル粉末と混合したことを除き、実施例1に記述した手順と同一の手順に従った。
加熱サイクルを行った後、ダイヤモンドグリットを回収した時、ダイヤモンド粒子は全て、部分的に金属で被覆されていることが認められ、該金属は、X線回折法により炭化タンタルであることが分かった。
炭化タンタルの優先的成長(preferential growth)は{100}又は立方晶面の上に起こっていることが認められた。
前記タンタル粉末と、混合したクロム粉末を0.05重量%、0.10重量%、0.20重量%、0.50重量%、1.0重量%及び2.0重量%含有する一組の試料を調製したことを除き、実施例2に記述した手順と同一の手順に従った。
加熱サイクルを行った後、ダイヤモンドグリットを回収した時、それらダイヤモンド粒子は全て、金属の密着性で高密度の層(coherent dense layer)で被覆されていることが認められ、この層は、X線回折法により炭化タンタルであることが分かった。
出発混合物中のクロム濃度がクロムの最高濃度(2重量%)まで増大するにつれて炭化クロム層の厚さが厚くなるのは、これらコーティングの更なる特徴であった。これらのより高いクロム濃度では、そのコーティングにひびが入って剥落する傾向がある。
従って、密着性の炭化タンタル層の堆積を引き起こすのに必要な程度の少量のクロムを使用することが好ましい。
クロム粉末0.1重量%を含有するタンタル粉末を用いて、被覆速度に及ぼす温度と時間との影響を調べた。
次の表は、用いた温度及び加熱時間と、測定したコーティングの質量とを示す。コーティングの質量は、被覆された粒子の質量の百分率として表した、コーティングの平均質量である。
Figure 2005517626
加熱サイクルを行った後、ダイヤモンドグリットを回収した時、それらダイヤモンド粒子は、全ての場合、密着性で高密度の層で被覆されていることを示し、この層は、X線回折法により炭化タンタルであることが分かった。
595〜420μmのElement Six SDB1100ダイヤモンドグリット6gを、ニオブ粉末8g及び塩化アンモニウム(NHCl)0.024gと混合した。混合物は、ニッケルのカプセルに包んで、アルゴン雰囲気中、850℃に加熱し、次いで、この温度に4時間保持し、その後、周囲温度まで冷却した。
グリットは、篩い分けを行うことによって、混合物から回収した。そのダイヤモンドはまばらにしか被覆されていないことが分かった。
{100}立方体面は、{111}八面体面に比べていっそう容易に被覆されることを示した。
前記ニオブ粉末と混合したクロム粉末をCr 0.01重量%、0.05重量%、0.01重量%及び0.20重量%を含有する一組の試料を調製したことを除き、例5に記述した手順と同一の手順に従った。
それらダイヤモンドグリットを回収した時、0.01重量%及び0.05重量を用いて被覆されたものは密着性のないコーティング(incoherent coating)を示したが、クロム添加の多い2つものでは、完全に密着性コーティングを有するグリットが生じた。次の表に、これらグリットの被覆データを記載する。
Figure 2005517626
595〜420μmのElement Six SDB1100ダイヤモンドグリット6gを、ニオブ0.08重量%を含有するタングステン10g及び塩化アンモニウム(NHCl)0.024gと混合した。混合物は、タンタルのカプセルに包んで、アルゴン雰囲気中、900℃に加熱し、次いで、この温度に4時間保持し、その後、周囲温度まで冷却した。
グリットを回収した時、炭化タンタルで、ダイヤモンドの立方体面が被覆され、八面体面は部分的に被覆されることが分かった。
この結果は、実施例1と比較することができ、また、タングステン粉末中に存在するクロムが、ダイヤモンドグリット上における炭化タンタルの核形成を向上させたことを示している。

Claims (25)

  1. 被覆したダイヤモンド粒子を製造する方法において、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ及びタンタルから選ばれる遷移金属と、活性化金属と、被覆されていないダイヤモンド粒子との組み合せを与える工程、並びに、前記組み合せを、非酸化性雰囲気中で加熱処理して、前記活性化金属を前記ダイヤモンド粒子及び前記遷移金属に結合させ、前記ダイヤモンド粒子上に炭化物コーティングを形成する工程を包含する上記製造方法。
  2. 遷移金属は粒子形態である、請求項1に記載の方法。
  3. 遷移金属は、メッシュ、シート又は層の形態である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 活性化金属は粒子形態である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 遷移金属及び活性化金属は粒子形態であり、且つ、組み合せは粒子集合体である、請求項1に記載の方法。
  6. 活性化金属は、遷移金属及び活性化金属の2重量%以下の量で存在する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 活性化金属は、遷移金属及び活性化金属の0.2重量%以下の量で存在する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  8. 加熱処理は、気体状ハロゲン化物の存在下で行う、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 気体状ハロゲン化物は気体状塩化物である、請求項8に記載の方法。
  10. 気体状ハロゲン化物は、加熱処理の条件下で揮発するハロゲン化物から元の場で生成される、請求項8又は9に記載の方法。
  11. 加熱処理の条件下で揮発するハロゲン化物は、ハロゲン化アンモニウムである、請求項10に記載の方法。
  12. ハロゲン化アンモニウムは、塩化アンモニウムである、請求項11に記載の方法。
  13. 加熱処理は、少なくとも800℃の温度で行う、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 加熱処理の時間は1〜4時間である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 活性化金属は、チタン、バナジウム及びクロムから選ばれる、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 活性化金属はクロムである、請求項15に記載の方法。
  17. 遷移金属はタンタルである、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. ダイヤモンドに結合された活性化金属は、前記ダイヤモンドの表面の一部分のみを覆う、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 被覆したダイヤモンド粒子において、そのコーティングが、前記ダイヤモンドの表面に接合されている活性化金属と、前記ダイヤモンド粒子を完全に包み、且つ、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ及びタンタルから選ばれる遷移金属の炭化物の層とを含んで成る、上記被覆したダイヤモンド粒子。
  20. 活性化金属が、ダイヤモンド表面の一部分のみを覆っている、請求項19に記載の被覆したダイヤモンド粒子。
  21. 遷移金属がタンタルである、請求項19又は20に記載の被覆したダイヤモンド。
  22. 活性化金属が、チタン、バナジウム及びクロムから選ばれている、請求項19〜21のいずれか1項に記載の被覆したダイヤモンド。
  23. 活性化金属がクロムである、請求項22に記載の被覆したダイヤモンド。
  24. 請求項1に記載の、金属で被覆されているダイヤモンド粒子を製造する方法であって、実施例2〜4、6及び7のいずれか1つに関連して本明細書に実質的に記述されている上記製造方法。
  25. 請求項16に記載の被覆したダイヤモンドであって、実施例2〜4、6及び7のいずれか1つに関連して本明細書に実質的に記述されている上記被覆したダイヤモンド。
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