JP2005516939A - 診断及び治療用途の精製c型肝炎ウイルス外被タンパク質 - Google Patents

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Abstract

本発明は、E1及び/又はE2及び/又はE1/E2からなる群の中から選択された組換え型HCV単一又は特異的オリゴマー外被タンパク質を精製するための方法であって、組換えにより発現されたタンパク質を単離するべく形質転換された宿主細胞を溶解させた時点で、ジスルフィド結合開裂剤を用いたジスルフィド結合開裂又は還元工程が実施されることを特徴とする方法に関する。本発明は同様に、かかる方法により単離された組成物にも関する。本発明は同様に、これらの組成物の診断及び治療的応用にも関する。さらに、本発明は、HCV治療の臨床的有効性及び/又は臨床的成果を予後診断し、監視することを目的としたHCVE1タンパク質及びペプチドの使用に関する。

Description

(技術分野)
本発明は、組換え型タンパク質発現、組換え型タンパク質の精製、合成ペプチド、HCV感染の診断、HCV感染に対する予防的治療という一般的分野及び、慢性肝炎を患う個体の治療の臨床的効率の予後診断/監視又は自然疾患の予後診断/監視に関する。
より詳細には、本発明は、C型肝炎ウイルス外被タンパク質のための精製方法、本発明で記載された方法に従って精製されたHCV外被タンパク質の診断、予防又は療法における使用、疾病を監視するための検定、及び/又は疾病の診断及び/又は疾病の治療における単一又は特異的オリゴマーE1及び/又はE2及び/又はE1/E2外被タンパク質の使用に関する。本発明は、同様に、E1及び/又はE2外被タンパク質のエピトープ及びそれに対するモノクローナル抗体、ならびに診断、予防又は治療におけるそれらの使用にも関する。
(背景技術)
本発明の中で記載されている方法に従った細胞溶解産物から精製されたE2タンパク質は、患者の血清の約95%と反応する。この反応性は、CHO細胞から分泌されるE2で得られる反応性と類似している(Spaeteら、1992年)。しかしながら、E2の細胞内発現された形態は、高いマンノース炭水化物モチーフを含有するため、未変性ウイルス外被タンパク質とより密に類似している可能性があり、これに対し、CHO細胞から分泌されたE2タンパク質はガラクトシダーゼ及びシアル酸糖部分でさらに修飾されている。E2のアミノ末端半分がバキュロウイルス系内で発現された場合、複数の患者グループ由来の血清の約13〜21%しか検出することができない(Inoueら、1992年)。E.coli由来のE2の発現の後、HCV血清の反応性はさらに低くなり、14(Yokosukaら、1992年)から17%(Mitaら、1992年)の範囲内となった。Koharaら(1992年)及びHsuら(1993年)の結果とはきわだった対照をなして、本発明の精製済みのワクチニア発現された組換え型E1タンパク質を用いると、HCV血清の約75%(そして慢性患者の95%)が抗−E1陽性である。Koharaらは、ワクチニアウイルス発現されたE1タンパク質を使用し、患者の7〜23%において抗−E1抗体を検出したが、一方Hsuらは、バキュロウイルス発現されたE1を用いて14/50(28%)の血清だけを検出した。
これらの結果は、ヒトの患者血清と外被タンパク質の反応性を高めるためには、優れた発現系のみならず優れた精製プロトコルも必要とされるということを示している。これは、タンパク質の天然の折畳みの保存を保証する本発明の適切な発現系及び/又は精製プロトコル、及び汚染性タンパク質の除去を保証しかつHCV外被タンパク質の立体配座ひいては反応性を保つ本発明の精製プロトコルを用いて得ることができる。診断的スクリーニング検定のために必要とされる精製済みHCV外被タンパク質の量は、年間グラム単位の範囲内である。ワクチンを目的とすると、外被タンパク質がさらに一層大量に必要となると思われる。従って、最良の発現構築物を選択するため及び制限されたスケールアップのためにワクチニアウイルス系を使用することが可能であり、複数の酵母菌株から発現された場合、高マンノース炭水化物を含有する単一又は特異的オリゴマー外被タンパク質の大規模発現及び精製を達成することができる。例えばB型肝炎の場合、哺乳動物細胞からのHBsAgの製造は、酵母由来のB型肝炎ワクチンに比べはるかにコストが高いものであった。
HCV感染における壊死−炎症及び線維症の臨床的重要性
HCV感染後の肝疾患の変遷は、まさに、患者毎に著しく異なる。急性感染者の約20%は、自発的に感染を消散させることができるが、一方感染者の80%は、慢性感染に至るまで進行する。慢性感染は、肝生検の組織学的分析により診断され得るか又は血清中の肝酵素ALTの存在といったような代理マーカーを用いて診断され得る肝臓内で進行する炎症及び/又は壊死(=壊死−炎症)を結果としてもたらす。この慢性感染は、肝硬変そして究極的には肝ガンの発生を導く可能性のある線維症の発生の危険性を増大させる。進行中の壊死−炎症が線維症及び肝硬変への進行を駆動するということを、数多くのデータが示唆している。HCV慢性キャリヤの最高20%が、約20年の期間にわたって肝硬変を発生する可能性があり、肝硬変を患う人のうち毎年1〜4%が肝ガンを発生させる危険性を有するものと推定されている(Lauer及びWalker 2001年、Shiffman 1999年)。肝硬変と肝ガンの両方共、治療の選択肢が肝移植に限られる末期肝疾患である。従って、HCVに対する療法の最も重要なねらいは、肝臓の壊死−炎症を低減させ及び/又は線維症の進行を抑制することにより、末期肝疾患の発生危険度を低減させることにある。
肝臓の損傷の調査及び/又は診断に関しては、いくつかの評定システムが肝生検の組織学的解釈を目的として開発されてきた。これらの評定システムは、炎症、壊死及び線維症を組織学的活動指数(HAI)といったような単一の評点の形に組合わせることができる。その他の評定システムは、壊死/炎症用評点(グレード決定)を線維症/肝硬変用評点(=ステージ決定)から分離してきた。これらのシステムには、Ishakが提案したシステム又はMetavir評定システムが含まれる。これらの評定システムの再考は、1997年にLefkowitchにより公表された。
インターフェロンでの治療、そしてより近年ではインターフェロンとリバビリンを伴う又は伴わないペジル化インターフェロンでの治療が、実際にHCVの自然歴を変え、特に持続的ウイルス応答をもつ患者における肝線維症のさらなる進行を食い止めるということが、複数の研究で示されてきた(Schvarczら、1999年、Shiffman 1999年、Reichardら、1999年、Roynardら、2002年)。持続性ウイルス学的応答さらには持続性生化学応答を有する人における肝ガン誘発の危険性の減少も同様に調査されてきた(Takimotoら、2002年)。
インターフェロンベースの療法に対する持続性ウイルス学的応答をもたない人については、組織学的進行を防止するためには、維持インターフェロン療法が役立つ可能性があるが、これも、一部の患者の場合にすぎない(Alricら、2001年)。
かくして、インターフェロンベースの療法に応答しないか又は複数の理由でこれらの療法から除外されている数多くの患者(これは診療所に来る患者の最高70%に昇り得る、Falck−Ytterら、2002年)は、今日、末期肝疾患を回避するべく肝臓の壊死/炎症を低減させかつ/又は線維症の進行を抑制するための治療上の選択肢が無い状態にあり続けている。
(発明の目的)
本発明の目的は、組換えにより発現されたE1及び/又はE2及び/又はE1/E2タンパク質の新規精製方法を提供して、該タンパク質を、凝集体の代わりに汚染物質を含まない単一または特異的なオリゴマー組換えタンパク質として、診断及びワクチンを目的として直接使用できるようにすることである。
本発明のもう1つの目的は、HCVのE1及び/又はE2ドメイン由来の立体配座エピトープを含む精製された(単一又は特異的オリゴマー)組換え型E1及び/又はE2及び/又はE1/E2糖タンパク質を含んで成る組成物を提供することにある。
本発明のさらにもう1つの目的は、E1及び/又はE2及び/又はE1/E2タンパク質を組換えにより発現するための新規の組換え型ベクター構築物、ならびに前記ベクター構築物で形質転換された宿主細胞を提供することにある。
組換え型HCVE1及び/又はE2及び/又はE1/E2タンパク質を生成させ、精製するための方法を提供することも又、本発明の1つの目的である。
本発明の組換え型HCVE1及び/又はE2及び/又はE1/E2タンパク質の診断及び免疫学的使用を提供すること、ならびに本発明の組換え型HCVE1及び/又はE2及び/又はE1/E2タンパク質のいずれかを含む診断的使用、ワクチン又は治療法のためのキットを提供することも又、本発明の目的である。
本発明のさらにもう1つの目的は、HCV感染を患う患者の(例えばインターフェロンを用いた)治療に対する応答を監視/予後診断するためのE1、E2及び/又はE1/E2タンパク質の新しい使用を提供することにある。
同様に、HCVスクリーニング及び確認的抗体試験における本発明の組換え型E1、E2及び/又はE1/E2タンパク質の使用を提供することも又、本発明の目的である。
HCV感染の診断及び抗体の生成のために使用可能なE1及び/又はE2ペプチドを提供することも、本発明の目的である。
ペプチド内に含まれるE1及び/又はE2エピトープ又は組換え型タンパク質内に含まれる立体配座エピトープと特異的に反応する、モノクローナル抗体、より特異的にはヒトモノクローナル抗体又はヒト化されたマウスモノクローナル抗体を提供することも又、本発明の目的である。
本発明の目的は、HCV抗原検出のため又は慢性HCV感染の療法のための抗−E1又は抗−E2モノクローナル抗体の使用の可能性を提供することにもある。
本発明の目的は同様に、HCV感染を患う患者の(例えばインターフェロンを用いた)治療に対する応答を監視/予後診断するか又は疾病の転帰を監視/予後診断するためのキットを提供することにもある。
本発明の目的は全て、以下で記す通りの実施形態により満たされたものと考えられている。
定義
以下の定義は、本発明の中で用いられるさまざまな用語及び表現を例示するのに役立つ。
「C型肝炎ウイルス単一外被タンパク質」という語は、E1又はE2のいずれかの領域の少なくとも1つのHCVエピトープを定義するアミノ酸配列(及び/又はアミノ酸類似体)を含むポリペプチド又はその類似体(例えばミモトープ)を意味する。これらの単一の外被タンパク質は、その語の広い意味において、組換えにより発現された外被タンパク質の単量体又はホモオリゴマーの両方の形態でありうる。標準的には、エピトープを定義づける配列は、HCVのE1又はE2領域のいずれかのアミノ酸配列に(同一のものとしてか又はエピトープを破壊しない未変性アミノ酸残基の類似体の置換を介して)対応する。一般に、エピトープを定義づける配列は長さが3アミノ酸以上、5アミノ酸以上、より標準的には8アミノ酸以上、そしてさらに一層標準的には10アミノ酸以上となる。立体配座エピトープに関しては、エピトープ定義づけ配列の長さは、これらのエピトープが抗原の三次元形状(例えば折畳み)により形成されていると考えられていることから、幅広く変動し得る。かくして、エピトープを定義づけるアミノ酸は、数が比較的少ないものの、折畳みを介して適正なエピトープ立体配座内に導かれている分子の長さに沿って広く分散している。エピトープを定義づける残基の間の抗原の部分は、エピトープの立体配座構造にとってさほど重要でないかもしれない。例えば、これらの介入する配列の欠失又は置換は、エピトープ立体配座にとってきわめて重要な配列が維持される(例えば、ジスルフィド結合に関与するシステイン、グリコシル化部位など)ことを条件として、立体配座エピトープに影響を及ぼさない可能性がある。立体配座エピトープは同様に、ホモオリゴマー又はヘテロオリゴマのサブユニットの2つ以上の必須領域によって形成されてもよい。
本発明のHCV抗原は、HCVのE1及び/又はE2(外被)ドメインからの立体配座エピトープを含む。ウイルス外被タンパク質に対応すると考えられているE1ドメインは、現在HCVポリタンパク質のアミノ酸192〜383にわたると推定されている(Hijikataら、1991年)。(グリコシル化された)哺乳動物系内での発現の時点で、SDS−PAGEを介して決定されるように、それは35kDaのおおよその分子量を有すると考えられている。以前NS1と呼ばれていたE2タンパク質は、HCVポリタンパク質のアミノ酸384〜809又は384〜746にわたると考えられ(Grakouiら、1993年)、同様に外被タンパク質であると考えられている。(グリコシル化された)ワクチニア系内での発現の時点で、それは約72kDaの見かけのゲル分子量をもつと考えられている。これらのタンパク質終点は近似であると理解される(例えば、E2のカルボキシ末端は、アミノ酸730、735、740、742、744、745、好ましくは746、747、748、750、760、770、780、790、800、809、810、820で終わる730〜820アミノ酸領域内のどこかに存在し得る)。E2タンパク質は同様に、E1、P7(aa747〜809)、NS2(aa810〜1026)、NS4A(aa1658〜1711)又はNS4B(aa1712〜1972)と合わせて発現され得る。これらのその他のHCVタンパク質と一緒になった発現は、適正なタンパク質折畳みを得るために重要でありうる。
同様に、本発明の実施例の節で使用される分離株は本発明の範囲を制限するように意図されたものではなく、タイプ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はその他のあらゆる新しいHCV遺伝子型からのあらゆるHCV分離株が、本発明の実践のためのE1及び/又はE2配列の適切な供給源である、ということもわかる。
本発明で使用されるE1及びE2抗原は、全長ウイルスタンパク質、その実質的全長バージョン又はその機能的フラグメント(例えば、エピトープの形成又は保持にとって不可欠な配列が欠如していないフラグメント)であってよい。さらに、本発明のHCV抗原は、同様に、問題の立体配座エピトープの形成を遮断又は防止しないその他の配列をも包含することができる。立体配座エピトープの有無は、抗体(ポリクローナル血清又は立体配座エピトープに対しモノクローナル)で問題の抗原をスクリーニングし、その反応性を線状エピトープ(該当する場合)のみを保持する抗原の変性バージョンの反応性と比較することを通し、容易に決定可能である。ポリクローナル抗体を使用するこのようなスクリーニングにおいては、まず最初にポリクローナル血清を変性抗原で吸着させ、それが問題の抗原に対する抗体を保持するか否かを見ることが有利であるかもしれない。
本発明のHCV抗原は、問題のエピトープを提供するあらゆる組換え型方法により作ることができる。例えば、哺乳動物又は昆虫の細胞における組換え型細胞内発現が、天然のHCV抗原についてそうであるように「未変性」立体配座のグリコシル化されたE1及び/又はE2抗原を提供するための好ましい方法である。酵母細胞及び突然変異体酵母菌株(例えばmnn9突然変異体(Kniskernら、1994年)又はバナジウム酸塩耐性選択を用いて誘導されたグリコシル化突然変異体(Ballouら、1991年)は、分泌された高マンノースタイプの糖の産生に理想的に適している可能性があるが、一方哺乳動物細胞から分泌されたタンパク質は、或る種の診断又はワクチン応用分野にとって望ましくないものでありうるガラクトース又はシアル酸を含む修飾を含有する可能性がある。しかしながら、タンパク質についてわかっているように、その他の組換え型宿主(例えばE.coli)内で抗原を発現し回収後タンパク質を再生することも又、可能であり、或る種の利用分野にとっては充分であるかもしれない。
「融合ポリペプチド」という語は、HCV抗原(単複)が天然で発生しないアミノ酸の連続一本鎖の一部であるポリペプチドを意味している。HCV抗原は、ペプチド結合によって互いに直接連結されるか又は介入するアミノ酸配列により分離される可能性がある。融合ポリペプチドは、同じく、HCVに対し外因性のアミノ酸配列を含有することもできる。
「固相」という語は、それに対して個々のHCV抗原又はHCV抗原から成る融合ポリペプチドが共有的にか又は疎水性吸着といったような非共有手段によって結合される固形物を意味する。
「生物学的標本」という語は、個体により産生された抗体、より詳細にはHCVに対する抗体を一般に含有する哺乳動物の個体(例えば、類人猿、ヒト)の流体又は組織を意味する。流体又は組織は同様に、HCV抗原を含有し得る。このような構成成分は、当該技術分野において既知であり、制限的な意味なく血液、血漿、血清、尿、髄液、リンパ液、気道、腸管又は尿生殖器の分泌物、涙、唾液、乳汁、白血球及び骨髄腫が含まれる。身体構成成分は生物学的液体を含む。「生物学的液体」という語は、生体から得られる流体を意味する。一部の生物学的流体は、凝固因子(例えば第VIII因子:C)、血清アルブミン、増殖ホルモンなどといったその他の産物の供給源として使用される。このような場合、生物学的流体の供給源がHCVといったウイルスに汚染されていないことが重要である。
「免疫学的に反応性ある」という語は、問題の抗原が、HCV感染した個体からの身体構成成分中に存在する抗HCV抗体と特異的に反応することを意味する。
「免疫複合体」という語は、抗体が抗原上のエピトープに結合するときに形成される組合せを意味する。
本書で使用されている「E1」という語は、時としてE、ENV又はSタンパク質と呼ばれるHCVポリタンパク質の最初の400個のアミノ酸の内部で発現されるタンパク質又はポリペプチドを意味する。その天然の形態において、それは、膜と強く結びついた状態で発見される35kDaの糖タンパク質である。大部分の天然HCV菌株の中で、E1タンパク質は、C(コア)タンパク質の後に続くウイルスポリタンパク質の中でコード化される。E1タンパク質は、全長ポリタンパク質のおおよそアミノ酸(aa)192から約aa383まで延びている。
本書で使用される「E1」という語は、天然のE1と免疫学的に交差反応する切形形態及び類似体をも包含し、遺伝子型1、2、3、4、5、6、7、8、9、10のE1タンパク質又はその他の新たに同定されたあらゆるHCV型又は亜型を包含する。
本書で使用されている「E2」というのは、時としてNS1タンパク質とも呼ばれる。HCVポリタンパク質の最初の900個のアミノ酸の内部で発現されるタンパク質又はポリペプチドを意味する。その天然の形態において、それは、膜と強く結びついた状態で発見される72kDaの糖タンパク質である。大部分の天然HCV菌株の中で、E2タンパク質は、E1タンパク質の後に続くウイルスポリタンパク質の中でコード化される。E2タンパク質は、おおよそ位置384からアミノ酸位置746まで延び、もう1つの形のE2は、アミノ酸位置809まで延びている。本書で使用される「E2」という語は、天然のE2と免疫学的に交差反応する切形形態及び類似体をも包含する。例えば、コドン383と384の間の多重コドンの挿入ならびにアミノ酸384〜387の欠失がKatoら(1992年)により報告されてきた。
本書で使用されているような「E1/E2」は、少なくとも1つのE1構成成分及び少なくとも1つのE2構成成分を含有する外被タンパク質のオリゴマー形態を意味する。
「特異的オリゴマー」E1及び/又はE2及び/又はE1/E2外被タンパク質という語は、集合体でない組換えにより発現されたE1及び/又はE2外被タンパク質の考えられる全てのオリゴマー形態を意味する。E1及び/又はE2特異的オリゴマー外被タンパク質は、同様に、ホモ−オリゴマーE1又はE2外被タンパク質とも呼ばれる(以下参照)。
「単一又は特異的オリゴマー」E1及び/又はE2及び/又はE1/E2外被タンパク質は、単一の単量体E1又はE2タンパク質(厳密な意味での単一)ならびに特異的オリゴマーE1及び/又はE2及び/又はE1/E2組換え型発現タンパク質を意味する。本発明に従ったこれらの単一又は特異的オリゴマー外被タンパク質は、以下の公式(E1)(E2)によってさらに定義づけされ得、ここでxとyが両方共0でないことを条件として、xは0〜100の間の数でありyは0と100の間の数であり得る。x=1でy=0である場合、前記外被タンパク質は単量体E1を包含する。
本書で使用されている通りの「ホモ−オリゴマー」という語は、複数のE1又はE2単量体を含むE1及び/又はE2の複合体を意味し、例えばE1/E1二量体、E1/E1/E1三量体又はE1/E1/E1/E1四量体及びE2/E2二量体、E2/E2/E2三量体又はE2/E2/E2/E2四量体、E1五量体及び六量体、E2五量体及び六量体又はE1又はE2のより高次のあらゆるホモ−オリゴマーが全て当該定義の範囲内の「ホモオリゴマー」である。オリゴマーは、例えば、両方共当該出願人による国際公開第94/25601号パンフレット及び欧州出願第94870166.9号明細書として公示された国際出願の中で記載されたものを含むC型肝炎ウイルスのさまざまな型又は亜型から得られたE1又はE2の1つ、2つ又は複数の異なる単量体を含み得る。このような混合オリゴマーはなお、本発明の範囲内のホモオリゴマーであり、HCVのより普遍的な診断、予防又は治療を可能にすることができる。
本書のタンパク質に適用される「精製された」という語は、所望のタンパク質が内部の合計タンパク質構成成分の少なくとも35%を構成する組成物を意味する。所望のタンパク質は好ましくは合計タンパク質構成成分の少なくとも40%、より好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約60%、なお一層好ましくは少なくとも約70%、さらに一層好ましくは約80%、さらに一層好ましくは少なくとも約90%、そして最も好ましくは少なくとも約95%を構成する。組成物は、本書で使用されているような百分率純度の決定に影響を与えることなく炭水化物、塩、脂質、溶媒などといったようなその他の化合物を含有できる。「単離された」HCVタンパク質というのは、少なくとも35%の純度をもつHCVタンパク質組成物を意味する。
「本質的に精製されたタンパク質」という語は、インビトロ診断方法用及び治療用化合物として使用できるように精製されたタンパク質を意味する。これらのタンパク質は、実質的に細胞タンパク質、ベクター由来のタンパク質又はその他のHCVウイルス構成成分を含まない。通常、これらのタンパク質は、均質になるまで精製され(少なくとも純度80%、好ましくは90%、より好ましくは95%、より好ましくは97%、より好ましくは98%、より好ましくは99%、さらに一層好ましくは99.5%)、最も好ましくは、汚染性タンパク質は、SDS−PAGE及び銀染色法といった従来の方法で検出不可能であるべきである。
本発明の状況下で用いられる「組換えにより発現された」という語は、本発明のタンパク質が、以下で詳述するように、原核生物又は下等又は高等真核生物のいずれにおいてであれ組換え型発現方法により生成されているという事実を意味する。
「下等真核生物」というのは、酵母、真菌などといった宿主細胞を意味する。下等真核生物は一般に(ただし必然的にではなく)単細胞である。好ましい下等真核生物は酵母、特にSaccharomyces、Schizosaccharomyces、Kluyveromyces、Pichia(例えばPichia pastoris)、Hansenula(例えばHansenula polymorpha)、Yarowia、Schwaniomyces、Schizosaccharomyces、Zygosaccharomycesなどの中に入る種である。Saccharomyces cerevisiae、 S.carlsbergensis及びK.lactisは、最も一般的に用いられる母宿主であり、好都合な真菌宿主である。
「原核生物」という語は、E.coli、Lactobacillus、Lactococcus、Salmonella、 Streptococcus、Bacillus subtilis又はStreptomycesといったような宿主を意味する。同様に、これらの宿主が、本発明の中で考慮されている。
「高等真核生物」という語は、哺乳動物、は虫類、昆虫などといったような高等動物に由来する宿主細胞を意味する。現在好ましい高等真核生物宿主細胞は、チャイニーズハムスター(例えばCHO)、サル(例えばCOS及びVero細胞)、ベビーハムスター腎臓(BHK)、ブタ腎臓(PK15)、ウサギ腎臓13細胞(RK13)、ヒト骨肉腫細胞系統143B、ヒト細胞系統HeLa及びヒト肝ガン細胞系統例えばHepG2、及び昆虫細胞系統(例えばSpodoptera frugiperda)に由来する。宿主細胞は、懸濁液又はフラスコ培養、組織培養、器官培養などの中で提供され得る。代替的には、宿主細胞は同じく遺伝子導入動物でもありうる。
「ポリペプチド」という語は、アミノ酸重合体を意味し、産物の特定の長さを意味しない。かくしてペプチド、オリゴペプチド及びタンパク質が、ポリペプチドの定義内に含まれる。この語は同様に、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化などといったポリペプチドの発現後修飾を意味しないか又はこれを除外する。該定義中に含まれるのは、例えば、(例えば非天然アミノ酸、PNAなどを包含する)アミノ酸の単数又は複数の類似体を含有するポリペプチド、置換済みリンケージを伴うポリペプチドならびに天然に発生するもの及び非天然に発生するものの両方を含めた当該技術分野において既知のその他の修飾である。
「組換え型ポリヌクレオチド又は核酸」という語は、その由来又は操作によって、(1)それが天然に会合しているポリヌクレオチドと会合していない、(2)それが天然にリンクされているもの以外のポリヌクレオチドにリンクされている、又は(3)天然に発生しない、ゲノミック、cDNA、半合成又は合成由来のポリヌクレオチド又は核酸を意味している。
「組換え型宿主細胞」、「宿主細胞」、「細胞」、「細胞系統」「細胞培養」その他の、単細胞実体として培養された微生物又は高等真核生物細胞系統を表わすこのような語は、組換え型ベクター又はその他のトランスファポリヌクレオチドのためのレシピエントとして用いることのできる又は用いられてきた細胞を意味し、トランスフェクションを受けてきたもとの細胞の後代を包含する。単一の親細胞の後代が天然の、偶発的な又は意図的な突然変異に起因して、もとの親と形態、又はゲノミック又は合計DNA補体に関して必ずしも完全に同一でない可能性があるということがわかっている。
「レプリコン」という語は、例えばプラスミド、染色体、ウイルス、コスミドなどといった、1つの細胞内でポリヌクレオチド複製の自律的単位として挙動するすなわちその独自の制御下で複製する能力をもつあらゆる遺伝的要素を意味する。
「ベクター」という語は、所望の読取り枠の複製及び/又は発現を提供する配列をさらに含むレプリコンである。
「制御配列」という語は、連結されているコーディング配列の発現をもたらすのに必要であるポリヌクレオチド配列を意味する。かかる制御配列の性質は、宿主生体に応じて異なる;原核、生物においては、かかる制御配列は一般にプロモータ、リボソーム結合部位、及びターミネータを包含する;真核生物においては、一般にかかる制御配列はプロモータ、ターミネータそして一部のケースではエンハンサを包含する。「制御配列」という語は、最小限、発現のためにその存在が必要である全ての構成成分を包含するように意図され、又、例えば分泌を支配するリーダー配列といったその存在が有利である付加的な構成成分をも包含し得る。
「プロモータ」という語は、mRNA産生が隣接する構造遺伝子のための正常な転写開始部位で開始するような形でDNA鋳型に対するRNAポリメラーゼの結合を可能にするコンセンサス配列から成るヌクレオチド配列を表わす。
「作動可能に連結された」という表現は、このように記載された複数の構成成分が互いに意図された形で機能できるようにする関係にある並置を意味する。コーディング配列に対して「作動可能に連結された」制御配列は、コーディング配列の発現が該制御配列に適合する条件下で達成されるような形で連結されている。
「読取り枠」(ORF)というのは、1つのポリペプチドをコードし、停止コドンを含まないポリヌクレオチド配列の1領域である。この領域は、コーディング配列の一部分又は全コーディング配列を表わす可能性がある。
「コーディング配列」というのは、適切な調節配列の制御下に置かれた場合にmRNA内に転写される及び/又はポリペプチドに翻訳されるポリヌクレオチド配列である。コーディング配列の境界は、5’末端の翻訳開始コドンと3’末端にある翻訳停止コドンにより決定される。コーディング配列には、mRNA、DNA(cDNAを含む)、及び組換え型ポリヌクレオチド配列が含まれるが、これらに制限されるわけではない。
ここで使用される「エピトープ」又は「抗原決定基」というのは、免疫反応性あるアミノ酸配列である。一般に、1つのエピトープは少なくとも3〜4個のアミノ酸から成り、より一般的には、少なくとも5個又は6個のアミノ酸から成り、時としてエピトープは約7〜8個さらには約10個のアミノ酸から成る。本書で使用する指定されたポリペプチドのエピトープというのは、指定されたポリペプチド内のエピトープと同じアミノ酸をもつエピトープ及びその免疫学的等価物を意味する。かかる等価物には同様に、例えば遺伝子型1a、1b、1c、1d、1e、1f、2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、2h、2i、3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g、4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g、4h、4i、4j、4k、4l、5a、5b、6a、6b、6c、7a、7b、7c、8a、8b、9a、9b、10a又はその他の新たに定義されたあらゆるHCV(亜)型に属する現在知られている配列又は菌株の、菌株、亜型(=遺伝子型)又は型(グループ)特異的変異体も含まれる。エピトープを構成するアミノ酸が線状配列の一部である必要はなく、任意の数のアミノ酸が組入れられかくして立体配座エピトープを形成することができるということがわかっている。
「免疫原性」という語は、アジュバントの存在下又は不在下で、単独か又は担体にリンクされた場合に、体液性及び/又は細胞性応答をひき起こす1つの物質の能力を意味する。「中和」というのは、感染性作用物質の伝染力を部分的又は完全に遮断する免疫応答を意味する。「ワクチン」というのは、部分的であれ完全であれ、HCVに対する保護を惹起する能力をもつ免疫原性組成物のことである。ワクチンは、個体の治療に有用でもあり得、その場合は治療的ワクチンと呼ばれる。
「治療的」という語は、HCV感染を治療する能力をもつ組成物を意味する。
「有効量」という語は、投与対象の個体の中で免疫原性応答をひき起こす又はその意図された系の中でその他の要領で検出可能な形で免疫反応する(例えば免疫検定)のに充分なエピトープ担持ポリペプチドの量を意味する。好ましくは、有効量は、上で定義づけされた通りの治療を達成するのに充分なものである。正確な必要量は、利用分野に応じて変動することになる。例えば、ワクチンの利用分野又はポリクローナル抗血清/抗体の生成のためには、有効量は、個体の種、年齢及び全身状態、治療対象条件の重症度、選択された特定のポリペプチド及びその投与様式などに応じて変動し得る。有効量は比較的大きい非臨界的範囲内に見い出されることになるとも考えられている。適切な有効量は、日常的実験のみを用いて容易に決定可能である。HCV疾患の予防のためのE1及び/又はE2及び/又はE1/E2単一又は特異的オリゴマー外被タンパク質の好ましい範囲は、1用量あたり0.01〜100μg、好ましくは0.1〜50μgである。HCV疾患に対する充分な免疫応答及びその後の防御を達成するためには、一個体毎に数回の用量が必要となる可能性がある。
(発明の詳細な説明)
より特定的に言うと、本発明は、E1及び/又はE2及び/又はE1/E2からなる群の中から選択された組換え型HCV単一又は特異的オリゴマー外被タンパク質を単離又は精製するための方法であって、組換えにより発現されたタンパク質を単離するべく形質転換された宿主細胞を溶解させた時点で、ジスルフィド結合開裂剤を用いたジスルフィド結合開裂又は還元工程が実施されることを特徴とする方法に関する。
本発明のこれらの「単一又は特異的オリゴマー」外被タンパク質の最重要点は、それらが汚染性タンパク質を含まないこと、及びジスルフィド結合により汚染物質と連結されていないことにある。
本発明に従ったタンパク質は、下等又は高等真核生物細胞又は原核細胞の中で組換えにより発現される。本発明の組換え型タンパク質は好ましくはグリコシル化されており、高マンノースタイプ、ハイブリッド又は複合グリコシル化を含み得る。好ましくは、前記タンパク質は、実施例の節で詳述されるような哺乳動物細胞系統から発現されるか、又は同じく実施例の節で詳述されるような突然変異体酵母菌株といった酵母菌内で発現される。
本発明に従ったタンパク質は、ER又はゴルジ体といったような細胞の構成成分内部で分泌又は発現され得る。しかしながら、好ましくは、本発明のタンパク質は、高マンノースタイプのグリコシル化を担持し、哺乳動物細胞のER又はゴルジ体の中に保持されるか又は酵母細胞内に保持されるか又は酵母細胞から分泌され、好ましくは、mnn9突然変異体といったような酵母突然変異体菌株(Kniskernら、1994年)からか又はバナジウム酸塩耐性を用いて選択された突然変異体(Ballouら、1991年)から分泌される。
HCV外被タンパク質の発現時点で、当該発明者らは、分子内又は分子間ジスルフィド架橋に関与しないシステインの遊離チオール基のいくつかが宿主又は発現系由来(例えばワクシニア)タンパク質又はその他のHCV外被タンパク質(単一又はオリゴマー)のシステインと反応し、非特異的分子間架橋を形成するということを示すことができた。この結果として、汚染性タンパク質と合わせてHCV外被タンパク質の「集合体」が形成されることになる。国際公開第92/08734号パンフレットの中でも、「集合体」が精製後に得られることが示されていたが、どのタンパク質相互作用が関与したかについては記載されていなかった。特許出願国際公開第92/08734号パンフレットの中では、ワクシニアウイルス系で発現された組換え型E1/E2タンパク質が、集合体として部分的に精製され、70%の純度しかもたないことがわかり、精製された集合体は診断、予防又は治療目的にとって有用なものでなくなっていた。
従って、本発明の主たる目的は、汚染性タンパク質から単一又は特異的オリゴマーHCV外被タンパク質を分離すること、そして精製されたタンパク質(95%を上回る純度)を診断、予防及び治療目的で使用することにある。これらの目的のため、当該発明者らは、集合したタンパク質複合体(「集合体」)がジスルフィド架橋及び非共有タンパク質−タンパク質相互作用に基づいて形成されるという証拠を提供することができた。かくして、本発明は特異的条件下でジスルフィド結合を選択的に開裂し、診断、予防及び治療向け利用分野と大幅に干渉する汚染性タンパク質から開裂済みタンパク質を分離するための手段を提供する。遊離チオール基は、ジスルフィド架橋の再形成を防止する目的で遮断される(可逆的又は不可逆的に)か又は、その他の外被タンパク質と酸化及びオリゴマー化するべく放置され得る(ホモ−オリゴマーの定義づけを参照のこと)。かかるタンパク質オリゴマーは、汚染性タンパク質のレベルが検出不可能であることから、基本的に、国際公開第92/08734号パンフレット及び国際公開第94/01778号パンフレットに記載されている「集合体」とは異なるものであることがわかっている。
前記ジスルフィド結合の開裂は、以下の要領でも達成可能である:
(1) システイン酸を用いた過ギ酸酸化による。この場合システイン残基はシステイン酸へと修飾される(Mooreら、1963年)。
(2) 例えばCu2+といったような適切な酸化剤と合わせて亜硫酸塩(SO2− )を用いた亜硫酸分解(R−S−S−R→2R−SO )による。この場合、システインはS−フルフォシステインへと修飾される(Bailey及びCole、1959年)。
(3) ジチオトレイトール(DTT)、β−メルカプト−エタノール、システイン、グルタチオンレッド、ε−メルカプト−エチルアミン又はチオグリコール酸といったような用いた還元(このうち、DTT及びβ−メルカプト−エタノールが一般的に用いられる(Cleland、1964年)は、水環境内で実施できシステインが未修飾状態にとどまることから、本発明の好ましい方法である。
(4) ホスフィン(例えばBuP)を用いた還元による(Ruegg及びRudinger、1977年)。
かくしてこれらの化合物は全て、本発明に従ったジスルフィド結合を開裂するための作用物質又は手段としてみなされるべきものである。
本発明の前記ジスルフィド結合開裂(又は還元工程は、好ましくは、(部分的開裂又は還元条件下で実施される)部分的ジスルフィド結合開裂(還元)工程である。
本発明に従った好ましいジスルフィド結合開裂又は還元剤は、ジチオトレイトール(DTT)である。部分的還元は、前記還元剤を低濃度で用いることにより、すなわち例えばDTTについては約0.1〜約50mM、好ましくは約0.1〜約20mM、好ましくは約0.5〜約10mM、好ましくは1mM超、2mM超又は5mM超、より好ましくは約1.5mM、約2.0mM、約2.5mM、約5mM又は約7.5mMの濃度範囲内で用いることにより得られる。
前記ジスルフィド結合開裂工程は、DecylPEG、EMPIGEN−BB、NP−40、コール酸ナトリウム、トリトンX−100といったような発現されたタンパク質を解離することのできる適切な洗浄剤の(例えば開裂剤と組合わせた形での又はジスルフィド結合を開裂するための手段の)存在下で実施することも可能である。
前記還元又は開裂工程(好ましくは部分的還元又は開裂工程)は、洗浄剤の存在下で(を伴って)実施される。本発明に従った好ましい洗浄剤は、Empigen−BBである。使用される洗浄剤の量は、好ましくは、Empigen−BBといったような洗浄剤で1〜10%の範囲内、好ましくは3%超、より好ましくは約3.5%である。
ジスルフィド結合開裂を得るための特に好ましい方法では、以上で詳述されたとおりの古典的なジスルフィド結合開裂剤と(同じく以上で詳述された通りの)洗浄剤の組合せが用いられる。実施例の節で考慮されているように、低濃度のDTT(1.5〜7.5mM)及び約3.5%のEmpigen−BBの特定の組合せは、組換えにより発現されたE1及びE2タンパク質の精製にとって特に好ましい還元剤及び洗浄剤の組合せであることが立証されている。ゲルろ過クロマトグラフィの時点で、前記部分的還元は、2量体の可能性があるE1タンパク質の産生、及び免疫検定において使用した時点で偽反応性をひき起こす汚染性タンパク質からのこのE1タンパク質の分離を結果としてもたらすことが示されている。
しかしながら、システインにより優れたアクセス可能性を与えるための当該技術分野において既知のあらゆる洗浄剤又はその他の手段と当該技術分野において既知のあらゆる還元剤のその他のあらゆる組合せが、本発明で例示されている好ましい組合せと同じジスルフィド架橋開裂という最終目的を達成するかぎりにおいて、同様に本発明の範囲内に入る。
ジスルフィド結合を還元することとは別に、本発明に従ったジスルフィド結合開裂手段は同様に、以下のタイプの反応を発生させることができるようにする当該技術分野において既知のあらゆるジスルフィド架橋交換剤(競合薬は有機又はタンパク性のいずれかである。例えばCreighton、1988年を参照のこと):
R1S−SR2+R3SH→R1S−SR3+R2SH
R1,R2:タンパク質集合体の化合物
R3SH:競合薬(有機、タンパク性)
「ジスルフィド架橋交換剤」という語は、ジスルフィド結合再形成ならびにジスルフィド結合遮断薬を包含するものとして、解釈されるべきである。
本発明は同様に、以下のリストの中から選択されるような当該技術分野において既知あらゆるSH遮断又は結合試薬の使用をさらに包含する、以上で記した通りのHCV単一又は特異的オリゴマー外被タンパク質を精製又は単離するための方法にも関する:
− グルタチオン、
− 5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸)又はビス−(3−カルボキシ−4−ニトロフェニル)−ジスルフィド(DTNB又はEllman試薬)(Elmann、1959年)、
− N−エチルマレイミド(NEM;Beneschら、1956年)、
− タンパク質に色を与えるN−(4−ジメチルアミノ−3,5−ジニトロフェニル)マレイミド又はTuppyのマレイミド、
− P−クロロ水銀ベンゾエート(Grassettiら、1969年)、
−4−ビニルピリジン(Friedman 及び Krull、1969年)は、酸加水分解による反応後に遊離されうる。
−アクリロニトリル、これは酸加水分解による反応後に遊離され得る(Weil及びSeibles、1961年)、
− NEM−ビオチン(例えばSigma B1267から得られる)、
− 2,2’−ジチオピリジン(Grassetti及びMurray、1967年)、
− 4,4’−ジチオピリジン(Grassetti及びMurray、1967年)、
− 6,6’−ジチオジニコチン酸(DTDNA;Brown及びCunnigham、1970年)、
− 2,2’−ジチオビス(5’−ニトロピリジン)(DTNP;米国特許3597160)又はその他のジチオビス(複素環式誘導体)化合物(Grassetti及びMurray、1969年)。
列挙された刊行物を調査すると、往々にしてスルフヒドリル基のための異なる試薬が同じタンパク質又は酵素分子の種々の数のチオール基と反応することになるということがわかる。チオール基の反応性におけるこの変動が、分子の形状及び周囲の原子基及びその電荷といったようなこれらの基の立体構造環境、ならびに試薬分子又はイオンのサイズ、形状及び電荷に起因すると結論づけすることが可能である。往々にして、ドデシル硫酸ナトリウム、尿素又は塩酸グアニジンといったような変性剤が適切な濃度で存在することにより、チオール基のための試薬の全てに対し等しいアクセスを可能にするのに充分なタンパク質分子の折畳み解除がひき起こされることになる。変性剤の濃度を変動させることにより、折畳み解除の度合を制御し、かくして異なる反応性をもつチオール基を明らかにすることが可能である。これまでのところ、報告された研究作業の大部分はp−クロロ水銀ベンゾエート、N−エチルマレイミド及びDTNBを用いて行なわれてきたが、その他のさらに最近になって開発された試薬も同等に有用でありうる。それらの構造は様々であることから、実際にはそれらがチオール基の立体構造環境の変化に対し異なる形で応答する可能性が高いと思われる。
代替的には、遊離SH基が酸化するのを防ぎかくしてE1及びE2(外被)タンパク質の組換え型発現及び精製の時点での大きい分子間集合体の形成を防止するための低pH(好ましくはpH6未満)といった条件が、同様に本発明の範囲内に入る。
本発明に従った好ましいSH基遮断試薬は、N−エチルマレイミド(NEM)である。前記SH基遮断試薬は、組換え型宿主細胞の溶解中及び上述の部分的還元プロセスの後又はジスルフィド架橋を開裂するためのその他の何らかのプロセスの後に投与され得る。前記SH基遮断試薬は同様に、例えばビオチニル化されたNEMといった固体基板に対して前記組換え型タンパク質を固定化するのを助けるあらゆる基及び/又は検出可能な標識を提供する能力をもつあらゆる基で修飾させることもできる。
システイン架橋を開裂し遊離システインを遮断するための方法も同様に、Darbre(1987年)、Means及びFeeney(1971年)及びWong(1993年)により記載されてきた。
上で定義づけされたとおりの本発明に従った単一又は特異的なオリゴマー組換え型E1及び/又はE2及び/又はE1/E2タンパク質を精製する方法はさらに、以下の工程を含むものとして特徴づけられる:
− 好ましくはSH基遮断薬例えばN−エチルマレイミド(NEM)そして場合によっては適切な洗浄剤好ましくはEmpigen−BBの存在下で、組換え型E1及び/又はE2及び/又はE1/E2発現宿主細胞を溶解させる工程、
− 例えば抗−E1及び/又は抗−E2特異的モノクローナル抗体を用いたイムノアフィニティクロマトグラフィ又はレンチルレクチンクロマトグラフィといったレクチンクロマトグラフィを使用した親和性精製により、前記HCV外被タンパク質を回収する工程、及びそれに続く、
− 好ましくは同じくNEM又はビオチン−NEMといったようなSH基遮断薬の存在下での、DTTといったジスルフィド結合開裂剤を用いたジスルフィド結合の還元又は開裂工程;及び
− 例えばゲルろ過(サイズ排除クロマトグラフィ又は分子ふるい)そして場合によっては付加的なNi2+−IMACクロマトグラフィ及び脱塩工程による、還元されたHCVE1及び/又はE2及び/又はE1/E2外被タンパク質の回収工程。
上述の回収工程が同様に、当業者にとって既知のその他のあらゆる適切な技術を用いて実施することもできるということを理解すべきである。
好ましいレクチン−クロマトグラフィシステムには、実施例の節で例示されているように、Galanthus nivalisアグルチニン(GNA)−クロマトグラフィ又はLens culinarisアグルチニン(LCA)(レンチル)レクチンクロマトグラフィが含まれる。その他の有用なレクチンには、Narcissus pseudonarcissus agglutinin(NPA)、Pisum sativumアグルチニン(PSA)又はAllium ursinumアグルチニン(AUA)といったような高マンノースタイプの糖を認識するものが含まれる。
好ましくは、前記方法は、以上で詳述したように細胞内で産生された単一又は特異的オリゴマーHCV外被タンパク質を精製するために使用可能である。
分泌されたE1又はE2又はE1/E2オリゴマーについては、Ricinus communisアグルチニンI(RCAI)といったような複合糖を結合するレクチンが好ましいレクチンである。
本発明は、より詳細には、基本的に、上述の方法により単離又は精製されることを特徴とするE1及び/又はE2及び/又はE1/E2からなる群の中から選択された、精製済みの組換え型HCV単一又は特異的オリゴマー外被タンパク質を意図している。
本発明はさらに詳細には、ワクシニアといったような組換え型哺乳動物細胞から発現される組換え型外被タンパク質の精製又は単離に関する。
本発明は、同様に、組換え型酵母細胞から発現される組換え型外被タンパク質の精製又は単離にも関する。
本発明は同様に、組換え型細菌(原核生物)細胞から発現される組換え型外被タンパク質の精製又は単離に関する。
本発明は同様に、ベクター配列、適切な原核生物、真核生物又はウイルス又は合成プロモータ配列とそれに続く本発明の単一又は特異的オリゴマーE1及び/又はE2及び/又はE1/E2の発現を可能にするヌクレオチド配列を含む組換え型ベクターをも意図する。
特に、本発明は、ベクター配列、適切な原核生物、真核生物又はウイルス又は合成プロモータ配列とそれに続く本発明の単一のE1又はE2の発現を可能にするヌクレオチド配列を含む組換え型ベクターをも意図する。
特に、本発明は、ベクター配列、適切な原核生物、真核生物又はウイルス又は合成プロモータ配列とそれに続く本発明の単一のE1又はE2の発現を可能にするヌクレオチド配列を含む組換え型ベクターをも意図する。
ベクター配列内に挿入された所望のE1及び/又はE2配列をコードするHCVcDNAのセグメントは、シグナル配列に付着され得る。前記シグナル配列は、非HCV源からのもの、例えば哺乳動物細胞内での発現のためのIgG又は組織プラスミノーゲン賦活物質(tpa)リーダー配列又は酵母細胞内への発現のためのα−交配因子配列でありうるが、本発明に従った特に好ましい構築物は、E1及びE2タンパク質のそれぞれの出発点の前にHCVゲノム内に出現するシグナル配列を含有する。ベクター内に挿入された所望のE1及び/又はE2配列をコードするHCVcDNAのセグメントは、例えば実施例の節で例示されているような疎水性ドメイン又はE2超可変領域Iの欠失をも包含し得る。
より詳細には、本発明に従った組換え型ベクターは、HCV単一E1タンパク質の発現のため、HCVポリタンパク質のアミノ酸位置1〜192の間の領域内で開始し、位置250〜400の間の領域内、より好ましくは位置250〜341の間の領域内、さらに一層好ましくは位置290〜341の間の領域内のいずれかの位置で終わるポリタンパク質をコードするHCVcDNAセグメントをもつ核酸を包含する。最も好ましくは、この組換え型ベクターは、HCV単一E1タンパク質の発現のため、位置117〜192の間の領域内で開始し位置263〜326の間の領域内のいずれかの位置で終わるHCVポリタンパク質の一部分をコードするHCVcDNAセグメントをもつ組換え型核酸を包含している。同様に本発明の範囲内に入るのは、第1の疎水性ドメインを欠失させた(位置264〜293+/−8アミノ酸)形態又は、5’末端ATGコドン及び3’末端停止コドンが付加された形態、又は、第Xa因子開裂部位を有するかつ/又は3〜10、好ましくは6個のヒマチジンコドンが付加された形態である。
より詳細には、本発明に従った組換え型ベクターは、HCV単一E2タンパク質の発現のため、HCVポリタンパク質のアミノ酸位置290〜460の間の領域内で開始し、位置600〜820の間の領域内で終わり、より好ましくは位置322〜406の間の領域内で開始し、さらに一層好ましくは位置347〜406の間の領域内、さらに一層好ましくは位置364〜406の間の領域内で開始するポリタンパク質をコードするHCVcDNAセグメントをもつ核酸を包含する。最も好ましくは、この組換え型ベクターは、HCV単一E2タンパク質の発現のため、位置290〜406の間の領域内で開始し位置623、650、661、673、710、715、720、746又は809のいずれかの位置で終わるポリタンパク質をコードするHCVcDNAセグメントをもつ組換え型核酸を包含している。同様に本発明の範囲内に入るのは、5’末端ATGコドン及び3’末端停止コドンが付加された形態、又は、第Xa因子開裂部位を有するかつ/又は3〜10、好ましくは6個のヒマチジンコドンが付加された形態である。
本発明のHCV単一又は特異的オリゴマー外被タンパク質の組換え型発現を得るために、さまざまなベクターを使用することができる。酵母といった下等真核動物及びグリコシル化突然変異体菌株は、標準的にプラスミドで形質転換されるか又は組換え型ウイルスで形質転換される。ベクターは、宿主の内部で独立して複製するか又は宿主細胞ゲノムへと一体化することができる。
高等真核生物は、ベクターで形質転換されるか、又は例えば組換え型ワクシニアウイルスといった組換え型ウイルスに感染する可能性がある。ワクシニアウイルス内への外因性DNAの挿入のための技術及びベクターは、当該技術分野において周知であり、例えば相同組換えを利用する。全て哺乳動物の発現のために必要とされる多様なウイルスプロモータ配列、場合によってはターミネータ配列及びポリ(A)−付加配列、場合によってはエンハンサ配列及び場合によっては増幅配列が、当該技術分野において利用可能である。ワクシニアは同様に、生きた組換え型ワクシニアウイルスで免疫化されている細胞又は個体内のHCVのE1及びE2タンパク質の発現を可能にすることから、非常に好ましい。ヒトへのワクチン接種用には、アビポックス及びアンカラ修飾ウイルス(AMV)が特に有用なベクターである。
同様に知られているのは、ヘルパー独立型ウイルス発現ベクターであるバキュロウイルスAutographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)に由来する昆虫発現トランスファベクターである。この系に由来する発現ベクターは通常、非相同遺伝子の発現を駆動するべく、強いウイルスポリヘドリン遺伝子プロモータを使用する。バキュロウイルス発現のためには、当業者はバキュロウイルスの所望の部位に非相同性DNAを導入するための異なるベクターならびに方法を利用することができる。同様に、当該技術分野においては、昆虫細胞により認識される翻訳後修飾のための異なるシグナルが知られている。
同じく本発明の範囲内に含まれているのは、集合体形成に関与するシステイン残基が、集合体形成を妨げるようなその他の残基によって核酸配列のレベルで置換されている、精製済みの組換え型単一又は特異的HCVE1又はE2又はE1/E2タンパク質を産生するための方法である。核酸をコードするこのような突然変異を受けたE1及び/又はE2タンパク質を担持する組換え型ベクターによって発現された組換え型タンパク質も同様に、本発明の範囲内に入る。
本発明は同様に、そのグルコシル化部位のうちの少なくとも1つが除去されその結果グリコシル化突然変異体と呼ばれることを特徴とする、組換え型E1及び/又はE2及び/又はE1/E2タンパク質にも関する。実施例の節で説明するように、問題の患者に従ってHCV疾患を診断(スクリーニング、確認、予後診断など)しこれを防止するためには、異なるグリコシル化突然変異体が望まれる可能性がある。例えば、GLY4の欠如したE2タンパク質グリコシル化突然変異体が、診断における或る種の血清の反応性を改善するということがわかった。これらのグリコシル化突然変異体は好ましくは、本発明に開示されている方法に従って精製される。同様に本発明の中で考慮されているのは、このようなE1及び/又はE2及び/又はE1/E2グリコシル化突然変異体をコードする核酸インサートを担持する組換え型ベクターならびに、かかる組換え型ベクターで形質転換された宿主細胞である。
本発明は、同じく本発明の一部を成すポリヌクレオチドを包含する組換え型ベクターにも関する。本発明は、より詳細には、配列番号3、5、7、9、11、13、21、23、25、27、29、31、35、37、39、41、43、45、47及び49の中で表わされている通りの組換え型核酸又はその一部分に関する。
本発明は同様に前記HCVE1及び/又はE2及び/又はE1/E2配列に作動可能に連結され前記HCVE1及び/又はE2及び/又はE1/E2タンパク質の発現を調節する能力をもつ調節配列に加えて上述の通りのHCVE1及び/又はE2及び/又はE1/E2タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む上述の組換え型ベクターで形質転換された宿主細胞をも意図している。
真核生物宿主には、定義づけの節で記載された通りの下等及び高等真核生物宿主が包含される。下等真核生物宿主には、当該技術分野において周知である酵母細胞が含まれる。高等真核生物宿主には主として、当該技術分野において既知の哺乳動物細胞系統が含まれ、HeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、PK15、RK13及び他の数多くの細胞系統を含めた、ATCCから入手可能な数多くの不死化された細胞系統が含まれる。
本発明は、詳細には、上で定義された通りの組換えベクターを含有する上で定義された通りの宿主細胞によって発現された組換え型E1及び/又はE2及び/又はE1/E2タンパク質に関する。これらの組換え型タンパク質は、特定的に、本発明の方法に従って精製される。
上で定義されている通りのHCV外被タンパク質を単離又は精製するための好ましい方法は、少なくとも以下の工程を含むものとしてさらに特徴づけされる:
− 本発明に従った組換え型ベクター又はE1及び/又はE2及び/又はE1/E2HCV外被タンパク質を発現する既知の組換え型ベクターで形質転換された、上で定義された通りの宿主細胞を適切な培地内で増殖させる工程、
− 適切な条件下で、上で定義された通りに前記ベクター配列の発現をひき起こす工程、及び
− 好ましくはSH基遮断薬例えばN−エチルマレイミド(NEM)そして場合によっては適切な洗浄剤好ましくはEmpigen−BBの存在下で、前記形質転換された宿主細胞を溶解させる工程、
− 例えば、レクチンが好ましくはレンチル−レクチン又はGNAであるものとして、抗−E1及び/又は抗−E2特異的モノクローナル抗体を用いたイムノアフィニティクロマトグラフィ又はレクチンクロマトグラフィを使用した親和性精製により、前記HCV外被タンパク質を回収する工程、及びそれに続く、
− 好ましくはNEM又はビオチン−NEMといったようなSH基遮断薬とのインキュベーションが後続する、DTTといったジスルフィド結合開裂手段を用いた、先行する工程の溶出物のインキュベーション工程、及び
− 例えばゲルろ過そして場合によっては同様にその後のNi2+−IMACクロマトグラフィとそれに続く脱塩工程を用いた、HCV単一又は特異的オリゴマーE1及び/又はE2及び/又はE1/E2タンパク質を単離する工程。
上述のプロセスの結果として、E1及び/又はE2及び/又はE1/E2タンパク質は、実施例の節で例示されているようにゲルろ過カラム又はIMACカラムの空隙容量内でベクター由来の成分及び/又は細胞成分を含む大きな集合体とは異なる形で溶出する形態で産生することが可能である。ジスルフィド架橋開裂工程は有利には同様に、宿主及び/又は発現系由来のタンパク質の存在に起因する為反応性をも無くする。NEM及び適切な洗浄剤が細胞の溶解中に存在することですでに、HCV外被タンパク質と汚染物質の間の集合を部分的に又さらには完全に防止することができる。
Ni2+−IMACクロマトグラフィとそれに続く脱塩工程は、好ましくはJanknechtら、1991年、及びHochuliら、1988年により記載された通りの(His)を担持する構築物のために使用される。
本発明は同様に、マウス又はラットといった小動物の体内でモノクローナル抗体を産生するための方法ならびに本発明のHCV単一又は特異的オリゴマー外被タンパク質を用いて抗−HCV抗体を認識するヒトB細胞をスクリーニングし単離するための方法にも関する。
本発明はさらに、表3に列挙され本書の他の箇所で記載されているような以下のE1ペプチドのうちの少なくとも1つを含む組成物にも関する:
コア/E1V1領域のアミノ酸181〜200にわたるE1〜31(配列番号56)、
E1領域のアミノ酸193〜212にわたるE1〜33(配列番号57)、
E1V2領域のアミノ酸205〜224にわたるE1〜35(配列番号58)(エピトープB)、
E1V2領域のアミノ酸208〜227にわたるE1〜35A(配列番号59)(エピトープB)、
E1領域(V1、C1及びV2領域(エピトープBを含む))のアミノ酸192〜228にわたる1bE1(配列番号53)、
E1領域のアミノ酸301〜320にわたるE1〜51(配列番号66)、
E1C4領域のアミノ酸313〜332にわたるE1〜53(配列番号67)(エピトープA)、
E1領域のアミノ酸325〜344にわたるE1〜55(配列番号68)、
本発明は同様に、表3に列挙されているような以下のE2ペプチドのうちの少なくとも1つを含む組成物にも関する:
E2領域のアミノ酸位置397〜416にわたるEnv67又はE2〜67(配列番号72)(モノクローナル抗体2F10H10により認識されるエピトープA、図19参照)、
E2領域のアミノ酸位置409〜428にわたるEnv69又はE2〜69(配列番号73)(エピトープA)、
E2領域の位置583〜602にわたるEnv23又はE2〜23(配列番号86)(エピトープE)、
E2領域の位置595〜614にわたるEnv25又はE2〜25(配列番号87)(エピトープE)、
E2領域の位置607〜626にわたるEnv27又はE2〜27(配列番号88)(エピトープE)、
E2領域の位置547〜566にわたるEnv17B又はE2〜17B(配列番号83)(エピトープD)、
E2領域の位置523〜542にわたるEnv13B又はE2〜13B(配列番号82)(モノクローナル抗体16AE7により認識されるエピトープC、図19参照)。
本発明は同様に、以下のE2立体配座エピトープのうちの少なくとも1つを含む組成物にも関する:
モノクローナル抗体15C8C1、12D11F1及び8G10D1H9により認識されるエピトープF、
モノクローナル抗体9G3E6により認識されるエピトープG、
モノクローナル抗体10D3C4及び4H6B2により認識されるエピトープH(又はC)、又は
モノクローナル抗体17F2C2により認識されるエピトープI。
本発明は同様に、ペプチド又はタンパク質組成物での免疫化の時点で発生させられるE1又はE2特異的抗体にも関し、ここで該抗体は、上で定義された通りの、ポリペプチド又はペプチドのいずれかと特異的反応性をもち、前記抗体は好ましくはモノクローナル抗体である。
本発明は同様に、当該技術分野において既知のプロセスを用いてプラスミド又はファージ内の可変鎖ライブラリから又はヒトB細胞集団からスクリーニングされたE1又はE2特異的抗体にも関し、ここで、該抗体は、上で定義された通りの、ポリペプチド又はペプチドのいずれかと反応性をもち、前記抗体は好ましくはモノクローナル抗体である。
本発明のE1又はE2特異的モノクローナル抗体は、一方では骨髄腫細胞系統の細胞の、又他方では上で定義された通りの本発明に従ったHCVポリペプチド又はペプチドに対し免疫化された小動物の特にマウス又はラットからの脾細胞から古典的方法に従って形成されかつ動物の免疫化のために当初使用されてきたポリペプチドを認識するモノクローナル抗体を産生するその能力のために選択されるべきあらゆるハイブリドーマによって産生可能である。
本発明に関与する抗体は、酵素、蛍光又は放射能タイプの適切な標識によって標識づけすることができる。
本発明のこの好ましい実施形態に従ったモノクローナル抗体は、H及びL鎖についてコードするゲノミッククローン又はcDNAからのH及びL鎖についてコードするマウス及び/又はヒトゲノミックDNA配列の一部分から出発して、組換え型DNA技術を用いて作られたマウスモノクローナル抗体のヒト化されたバージョンでありうる。
代替的には、本発明のこの好ましい実施形態に従ったモノクローナル抗体はヒトモノクローナル抗体であり得る。本発明のこの実施形態に従った抗体は同様に、HCVでの感染を受けた又はHCV対するワクチン接種を受けた患者のヒト末梢血リンパ球に由来するものでもあり得る。かかるヒトモノクローナル抗体は例えば、重症の組換え型免疫不全(SCID)マウスのヒト末梢血リンパ球(PBL)再集団を用いて調製される(最近のレビューについては、Duchosalら、1992年を参照のこと)。
本発明は同様に、レパートリクローニングプロセスによる組換え型抗体の選択のための本発明のタンパク質又はペプチドの使用にも関する(Perssonら、1991年)。
或る種の遺伝子型に由来する単一又は特異的オリゴマー外被タンパク質又はペプチドに向けられた抗体を、薬剤として、より詳細には、(HCVE1又はE2抗原の存在を検出するための)HCV遺伝子型の検出用の免疫検定への取込みのため又はHCV疾患の予後診断/監視のために又は治療剤として使用することが可能である。
代替的には、本発明は同様に、生体標本中のE1又はE2抗原の存在を検出するための免疫検定キットの調製のため、HCV疾患の予後診断/監視用キットの調製のため、又はHCV薬剤の調製のための、上述のE1又はE2特異的モノクローナル抗体のいずれかの使用にも関する。
本発明は同様に、生体標本中に存在するHCV抗原のインビトロ診断又は検出の方法であって、
(i) 免疫複合体の形成を可能にする適切な条件の下で好ましくは固定化された形で、上で定義された通りのE1及び/又はE2特異的モノクローナル抗体のいずれかと前記生体標本を接触させる工程、
(ii) 未結合成分を除去する工程、
(iii) 適切な条件下で検出可能な標識に異種抗体が接合した状態で、分析すべき標本中に存在する抗体に特異的に結合する該異種抗体と共に形成された免疫複合体をインキュベートする工程、
(iv) 前記免疫複合体の存在を視覚的に又は機械的に(例えばデンシトメトリ、蛍光測定、比色分析)検出する工程、
を少なくとも含んで成る方法にも関する。
本発明は同様に、生体標本中に存在するHCV抗原のインビトロ診断用キットであって、
− 好ましくは固体基質上に固定化された、上で定義された通りの少なくとも1つのモノクローナル抗体、
− 生体標本中に存在するHCV抗原とこれらの抗体の間の結合反応を可能にする緩衝液又はそれを生成するのに必要な構成成分、
− 先行する結合反応において形成された免疫複合体を検出するための手段、
を含んで成り、場合によっては、観察された結合パターンから標本内に存在するHCV抗原を推測するための自動走査及び解釈デバイスをも包含するキットにも関する。
本発明は同様に、本発明の方法に従って精製されたE1及び/又はE2及び/又はE1/E2組換え型HCVタンパク質を含む組成物又は、薬剤として使用するための以上で規定された通りの少なくとも1つのペプチドを含む組成物にも関する。
本発明はより詳細には、免疫応答を生成するべく薬学的に受容可能なアジュバントを場合によって伴って充分な量の組成物を投与する工程を含む、HCVに対して哺乳動物好ましくはヒトを免疫化するためのワクチンとして使用するための、上で定義された通り組換え型外被タンパク質又は以上で規定された外被ペプチドのうちの少なくとも1つを含んで成る組成物に関する。
さらに詳細には、本発明は、上述の通りのワクチンの調製のための上述の通りの組成物のうちのいずれかの使用に関する。
同様に、本発明は、上述の通りのE1及び/又はE2領域に由来するHCV単一又は特異的オリゴマータンパク質又はペプチドを含んで成る、HCVに対する哺乳動物好ましくはヒトを免疫化するためのワクチン組成物に関する。
当該技術分野において既知の方法に従って、免疫原性組成物を調製することが可能である。当該組成物は、通常は薬学的に受容可能な担体と組合され、好ましくはさらにアジュバントを含む、上で定義された通りの組換え型E1及び/又はE2及び/又はE1/E2単一又は特異的オリゴマータンパク質又は上に定義されたE1又はE2ペプチドを免疫原性量だけ含んで成る。
本発明の単一又は特異的オリゴマー外被タンパク質、E1及び/又はE2及び/又はE1/E2のいずれかは、E1又はE2のいずれかに対する抗体の形成がその他の外被タンパク質に対するよりもさらに望ましいものであり得ること、又E2タンパク質がHCV型相互間で交差反応性をもちE1タンパク質が型特異的であることから、特に有用なワクチン抗原を提供すると予想されている。複数の遺伝子型に由来するE1タンパク質及び1型E2タンパク質を包含するカクテルが特に有利である。E1対E2又はE2対E1のモル余剰分を含有するカクテルも同じく、特に有用である。抗体供給源を提供するか又は動物体内で防御免疫を誘発するかのいずれかの目的で、抗体産生を誘発するべく動物に対し免疫原性組成物を投与することができる。
薬学的に受容可能担体には、それ自体組成物を受ける個体にとって有害な抗体の産生を誘発することのないあらゆる担体が含まれる。適切な担体は、標準的に、タンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合体アミノ酸、アミノ酸共重合体及び不活性ウイルス粒子といったようなゆっくりと代謝される大きな高分子である。このような担体は、当業者にとって周知のものである。
組成物の有効性を増強させるための好ましいアジュバントには、水酸化アルミニウム(ミョウバン)、米国特許第4,606,918号に見られるようなN−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(nor−MDP)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)及び、2%のスクアレン/Tween80エマルジョン中に細菌から抽出された3つの成分、モノホスホリル脂質A、トレハロースジミコレート及び細胞壁骨格(MPL+TDM+CWS)を含むRIBIが含まれるが、これらに制限されるわけではない。3つの成分MPL、TDM又はCWSのいずれかを単独で使用することも、2つずつ組合せて使用することも可能である。さらには、Stimulon(マサチューセッツ州ウスター(Worcester,MA)のCambridge Bioscience)又はSAF−1(Syntex)といったアジュバントも使用できる。さらに、ヒト以外での利用分野及び研究のためには、完全フロインドアジュバント(CFA)及び不完全フロインドアジュバント(IFA)を使用することができる。
免疫原性組成物は標準的には、薬学的に受容可能ビヒクル例えば水、食塩水、グリセロール、エタノールなどを含有することになる。付加的には、加湿又は乳化剤、pH緩衝物質、防腐剤などといったような補足的物質をかかるビヒクル内に包含させることもできる。
典型的には、免疫原性組成物は、液体溶液又は懸濁液のいずれかとして、注射物質として調製され、注入に先立ち液体ビヒクル内に溶かすか又は懸濁させるのに適した固体形態も同様に調製可能である。調製物は同様に、アジュバントの効果を増強させるため、リポゾーム内に乳化又は封入されてもよい。E1及びE2タンパク質は同様に、例えばQuil A(ISCOMS)といったサポニンと共に「免疫刺激複合体」内に取込むこともできる。
ワクチンとして用いられる免疫原性組成物は、「充分な量」又は「免疫学的に有効な量」の外被タンパク質、ならびに必要に応じて上述の成分のうちのその他のいずれかを含んで成る。「免疫学的に有効な」というのは、個体に対する単一用量として又は一セットの用量の一部分としての投与量が、上で定義された通りの治療にとって有効であることを意味している。この量は、治療すべき個体の健康状態及び身体的条件、治療すべき個体の分類群(例えば非ヒト霊長類、霊長類など)、抗体を合成する個体の免疫系の能力、望まれる防御の度合、ワクチンの剤形、医学的状況についての治療医の査定、感染性HCVの菌株及びその他の関連因子に応じて変動する。この量は、日常的試行を通して決定できる比較的広い範囲の中に入ると予想される。通常、この量は0.01〜1000μg/用量、より詳細には0.1〜100μg/用量の間で変動することになる。
単一又は特異的オリゴマー外被タンパク質は、同じく、B型肝炎表面抗原と同じ要領で相同(例えばコア、NS2、NS3、NS4又はNS5領域からのB細胞エピトープ又はT細胞エピトープ)又は非相同(非HCV)ハプテンを提示するべくワクチン担体としても役立つ可能性がある(欧州特許出願第174,444号)。この場合、外被タンパク質は、集合体に接合された抗原又はハプテンに対する免疫応答をシミュレートする能力をもつ免疫原性担体を提供する。抗原は、従来の化学的方法によって接合されてもよいし、又タンパク質の親水性領域に対応する場所でE1及び/又はE2をコードする遺伝子中にクローニングされてもよい。かかる親水性領域は、V1領域(アミノ酸位置191〜202を包含する)、V2領域(アミノ酸位置213〜223を包含する)、V3領域(アミノ酸位置230〜242を包含する)、V4領域(アミノ酸位置230〜242を包含する)、V5領域(アミノ酸位置294〜303を包含する)及びV6領域(アミノ酸位置329〜336を包含する)を包含する。ハプテンの挿入のためのもう1つの有用な場所は、疎水性領域(およそアミノ酸位置264〜293を包含する)である。本発明では、欠失を受けたE1タンパク質の抗血清との反応性に影響を及ぼすことなくこの領域を欠失させることができるということが示されている。従って、ハプテンは欠失部位に挿入され得る。
免疫原性組成物は、従来、標準的に例えば皮下又は筋肉注射により、非経口投与される。その他の投与方法に適した付加的な剤形には、経口剤形及び坐薬が含まれる。投薬治療は単一回投与計画又は多数回投与計画であってよい。ワクチンは、その他の免疫調節剤と併用で投与可能である。
本発明は同様に、生体標本中に存在するHCV抗体のインビトロ検出のための、上述の通りのペプチド又はポリペプチドを含んで成る組成物にも関する。
本発明は同様に、生体標本中に存在するHCV抗体を検出するための免疫検定キットの調製を目的とした上述の通りの組成物の使用にも関する。
本発明は同様に、生体標本中に存在するHCV抗体のインビトロ診断の方法であって、
(i) 免疫複合体の形成を可能にする適切な条件の下で好ましくは固定化された形で、上で定義された通りの外被ペプチド又はタンパク質のいずれかを含む組成物と前記生体標本を接触させる工程であって、前記ペプチド又はタンパク質が、ストレプトアビジン又はアビジン複合体を用いて固体基質に共有結合されているビオチニル化ペプチド又はタンパク質である工程、
(ii) 未結合成分を除去する工程、
(iii) 適切な条件下で検出可能な標識に異種抗体が接合した状態で、該異種抗体と共に形成された免疫複合体をインキュベートする工程、
(iv) 前記免疫複合体の存在を視覚的に又は機械的に(例えばデンシトメトリ、蛍光測定、比色分析)検出する工程、
を少なくとも含んで成る方法にも関する。
代替的には、本発明は同様に、以上で開示されている通りの組換えにより産生された精製済みの単一又は特異的オリゴマータンパク質E1及び/又はE2及び/又はE1/E2タンパク質が、生体標本中に存在するHCV抗体について競合する目的でE1及び/又はE2ペプチドと組合せて使用される。競合免疫検定形式にも関する。
本発明は同様に、生体標本中のHCV抗体の存在を見極めるためのキットであって、
− 好ましくは固体基質上、より好ましくは同じELISA平板の異なるマイクロウェル上そしてさらに一層好ましくは同一の膜ストリップ上に固定化された状態にある、場合によってHCVからのその他のポリペプチド又はペプチド又はその他のHCV型と組合わされている、上で定義された通り少なくとも1つのペプチド又はタンパク質組成物、
− 生体標本中に存在するHCVに対する抗体とこれらの抗体の間の結合反応を可能にする緩衝液又はそれを生成するのに必要な構成成分、
− 先行する結合反応において形成された免疫複合体を検出するための手段、
を含んで成り、場合によっては、観察された結合パターンから標本内に存在するHCV抗原を推測するための自動走査及び解釈デバイスをも包含するキットにも関する。
本発明に従った免疫検定方法は、HCVの感染を受けた個体からの血清中の抗体により認識された線状(ペプチドの場合)及び立体配座エピトープ(単一又は特異的オリゴマータンパク質)を維持するE1及び/又はE2ドメインからの単一又は特異的オリゴマー抗原を利用する。例えば、単一又は特異的オリゴマー抗原、二量体抗原ならびに単一又は特異的オリゴマー抗原の組合せを使用することが、本発明の範囲内に入る。本発明のHCVE1及びE2抗原は、抗体を検出するために既知の抗原を利用する事実上あらゆる検定形式において利用可能である。当然のことながら、HCV立体配座エピトープを変性するような形式は、回避又は適合化すべきである。これらの検定全てに共通の特長は、身体構成成分中に存在するいずれかのこのような抗体に対し抗原が結合できるようにする条件の下でHCV抗体を含有する疑いのある構成成分と抗原を接触させるという点にある。かかる条件は、標準的には、余剰の抗原を用いて、生理学的温度、pH及びイオン強度となる。供試体との抗原のインキュベーションの後には、抗原から成る免疫複合体の検出が行なわれる。
免疫検定の設計は、大幅に変更される場合があり、多数の形式が当該技術分野において既知である。例えば、プロトコルが、固体支持体又は免疫沈降を使用する可能性もある。大部分の検定には、標識づけされた抗体又はポリペプチドの使用が関与している。該標識は、例えば酵素、蛍光、化学発光、放射性又は染料分子であり得る。免疫複合体からのシグナルを増幅する検定も同様に知られている。その例としては、ビオチン及びアビジン又はストレプトアピジンを利用する検定、及びELISA検定といったような酵素で標識づけ又は媒介される免疫検定がある。
免疫検定は、制限的意味なく、同種の又は異種の形式で、かつ標準型又は競合型であってよい。異種形式の場合、ポリペプチドは標準的に、インキュベーションの後でポリペプチドから標本を分離することを容易にするべく、固体マトリックス又は支持体に結合されている。使用可能な固体支持体の例としては、ニトロセルロース(例えば、膜又はマイクロタイターウェル形態の場合)、ポリ塩化ビニル(例えばシート又はマイクロタイターウェルの場合)、ポリスチレンラテックス(例えば、ビーズ又はマイクロタイター平板の場合)、ポリフッ化ビニリデン(Immunolon(商標)として知られている)、ジアゾ化紙、ナイロン膜、活性化ビーズ及びプロテインAビーズがある。例えば、異種形式においては、Dynatech Immunolon(商標)1又はImmunolon(商標)2マイクロタイター平板又は0.25インチのポリスチレンビーズ(Precision Plastic Ball)を使用することができる。抗原ポリペプチドを含有する固体支持体は、標準的に、試験用標本からそれを分離した後及び結合した抗体を検出する前に洗浄される。標準型及び競合型の両方の形式が当該技術分野において既知である。
同種形式では、試験用標本は、溶解した抗原の組合せと共にインキュベートされる。例えば、それは、形成されるあらゆる抗原−抗体複合体を沈降させることになる条件の下であってよい。これらの検定のための標準型及び競合型の両方の形式が当該技術分野において既知である。
標準形式では、抗体−抗原複合体中のHCV抗体の量は、直接監視される。これは、抗HCV抗体上のエピトープを認識する標識づけされた抗異種(例えば非ヒト)抗体が複合体形成に起因して結合することになるか否かを見極めることにより達成できる。競合形式では、標本中のHCV抗体の量は、複合体中の既知の量の標識づけされた抗体(又はその他の競合するリガンド)の結合に対する競合的効果を監視することによって演繹される。
抗−HCV抗体を含む形成された複合体(又は、競合検定の場合は、競合する抗体の量)は、形式に応じて一定数の既知の技術のいずれかによって検出される。例えば、複合体中の標識づけされていないHCV抗体は、標識(例えば酵素標識)と複合体形成された抗−異種Igの接合体を用いて検出可能である。
免疫沈降又は凝集検定形式では、HCV抗原と抗体の間の反応が、溶液又は懸濁液から沈降する網状組織を形成し、沈降物の目に見える層又はフィルムを形成する。試験用供試体の中にいかなる抗−HCV抗体も存在しない場合、いかなる沈降物も形成されない。
現在、3つの特異的タイプの粒子凝集(PA)検定が存在している。これらの検定は、支持体にコーティングされた場合のさまざまな抗原に対する抗体の検出のために用いられる。この検定の1つのタイプは、RBCに対して抗原(又は抗体)を受動的に吸着させることによって感作される赤血球(RBC)を用いた血球凝集検定である。身体構成成分の中に存在する特異的抗原抗体の添加は(該当する場合)、精製された抗原でコーティングされたRBCを凝集させる。
血球凝集検定において潜在的な非特異的反応を無くするため、PA内のRBCに代って2つの人工的担体を使用することができる。これらのうち最も一般的であるのは、ラテックス粒子である。しかしながら、ゼラチン粒子も同様に使用することができる。これらの担体のうちのいずれかを利用する検定は、精製された抗原でコーティングされた粒子の受動的凝集に基づいている。
立体配座エピトープを含む本発明のHCV単一又は特異的オリゴマーE1及び/又はE2及び/又はE1/E2抗原は標準的に、これらの免疫検定において使用するため、キットの形に包装されることになる。このキットは通常、別々のコンテナ内に、未変性HCV抗原、対照抗体製剤(正及び/又は負)、検定形式がそれを必要とする時には標識づけされた抗体、そして標識がシグナルを直接生成しない場合にはシグナル生成試薬(例えば酵素基質)を収納することになる。未変性HCV抗原はすでに固体マトリクスに結合されていてもよいし、又はそれをマトリクスに結合させるために試薬と別々であってもよい。通常、キットには検定を実施するための使用説明書(例えば文書、テープ、CD−ROMなど)が含まれる。
潜在的に感染性のHCVが欠如している供給物の調製のために血液をスクリーニングするにあたっては、未変性HCV抗原を利用する免疫検定が有用である。血液供給物の調製方法には、以下の工程が含まれる。すなわち、HCV抗体(存在する場合)とHCV抗原の間の免疫学的反応を可能にするべく本発明のHCVE1及び/又はE2タンパク質と、血液提供個体からの身体構成成分(好ましくは血液又は血液成分)を反応させる工程、反応の結果として抗−HCV抗体−HCV抗原複合体が形成されるか否かを検出する工程。血液供給物に寄与される血液は、未変性HCV抗原E1又はE2に対する抗体を示さないドナーからのものである。
HCV抗原に対する陽性反応性の場合、偽陽性の可能性を少なくするため、免疫検定をくり返すことが好ましい。例えば、血液製剤(例えば輸血、血漿、第VIII因子、免疫グロブリンなど)の生産用の血液の大規模スクリーニングにおいては、「スクリーニング」試験は、標準的に特異性を犠牲にして(汚染血が全く通らないことを保証するため)感応性を増大させるように形式決定されている。すなわち偽陽性の率は増大する。かくして、「反復的に反応する、すなわち提供された標本に対する2回以上の免疫検定において陽性であるドナーをさらにテストするのを保留するのが標準的である。しかしながら、HCV陽性の確認のために、「確認」試験は、標準的に感応性を犠牲にして(いかなる偽陽性標本も確認されないことを保証するべく)特異性を増大させるように形式決定されている。従って、E1及びE2について本発明の中で記載されている精製方法は、HCV診断検定中に単一又は特異的オリゴマー外被タンパク質を包含させるために非常に有利なものとなる。
選択された固体相は、重合体又はガラスビーズ、ニトロセルロース、微粒子、反応トレイとしてのマイクロウェル、試験管及び磁気ビーズを包含しうる。シグナル発生化合物には、酵素、発光性化合物、色原体、放射性元素及び化学発光性化合物が含まれる可能性がある。酵素の例としては、アルカリホスファターゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ及びベータ−ガラクトシダーゼが含まれる。エンハンサ化合物の例としては、ビオチン、抗ビオチン及びアビジンが含まれる。エンハンサ化合物結合成員の例としては、ビオチン、抗ビオチン及びアビジンが含まれる。リウマチ因子様物質の効果を遮断するために、試験用標本は、リウマチ因子様物質の効果を遮断するのに充分な条件に付される。これらの条件には、混合物を形成させるべく一定量の抗ヒトIgGと試験用標本を接触させること、及び実質的にリウマチ因子様の物質を含まない反応混合物製品を形成するのに充分な条件下でかつそのような時間だけ混合物をインキュベートさせることが含まれる。
本発明は、さらに、HIV疾患をインビトロ監視するか又はHCV感染を患う患者の(例えばインターフェロンでの)治療に対する応答を予後診断する目的での、上で定義された通りのE1タンパク質又はその一部分、より詳細にはHCV単一又は特異的オリゴマーE1タンパク質の使用であって、
− 免疫原性複合体の形成を可能にする条件下でE1タンパク質又はその適切な部分と共にC型肝炎感染患者からの生体標本をインキュベートする工程、
− 未結合成分を除去する工程、
− (例えば(インターフェロン)療法の開始時点及び/又はその経過中の)前記標本中に存在する抗−E1力価を計算する工程、
− HCV疾患の自然な経過を監視するか、又は、治療の開始時点及び/又は治療の経過中に見い出された抗−E1力価の量に基づいて前記患者の治療に対する応答を予後診断する工程、
を含んで成る使用を意図している。
初期抗−E1力価の2、3、4、5、7、10、15又好ましくは20倍超の減少を示す患者については、HCV療法、より詳細にはインターフェロン療法に対し長期にわたる持続的応答を示す者という結論を下すことができると思われる。実施例の節では、抗−E1検定が、IFN治療又はC型肝炎ウイルス疾患の治療全般に対する長期応答を予後診断するために非常に有用でありうるということが例示されている。
より詳細には、表3に列挙されている通りの以下のE1ペプチドが、HCV疾患をインビトロ監視するか又はHCV感染を患う患者のインターフェロン治療に対する応答を予後診断するために有用であることが発見された:
コア/E1V1領域のアミノ酸181〜200にわたるE1〜31(配列番号56)、
E1領域のアミノ酸193〜212にわたるE1〜33(配列番号57)、
E1V2領域のアミノ酸205〜224にわたるE1〜35(配列番号58)(エピトープB)、
E1V2領域のアミノ酸208〜227にわたるE1〜35A(配列番号59)(エピトープB)、
E1領域(V1、C1及びV2領域(エピトープBを含む))のアミノ酸192〜228にわたる1bE1(配列番号53)、
E1領域のアミノ酸301〜320にわたるE1〜51(配列番号66)、
E1C4領域のアミノ酸313〜332にわたるE1〜53(配列番号67)(エピトープA)、
E1領域のアミノ酸325〜344にわたるE1〜55(配列番号68)。
上述のペプチドのより小さなフラグメントも又、本発明の範囲内に入るということを理解すべきである。前記より小さなフラグメントは、化学合成によって容易に調製可能であり得、以上で及び実施例の節で詳述されるような検定において使用されるそれらの能力についてテストされ得る。
本発明は同様に、HCV疾患を監視するか又はHCV感染を患う患者の治療(例えばインターフェロン)に対する応答を予後診断するためのキットであって、
− 少なくとも1つのE1タンパク質又はE1ペプチド、より詳細には、上で定義された通りのE1タンパク質又はE1ペプチド、
− 生体標本中に存在する抗−E1抗原とこれらのタンパク質又はペプチドの間の結合反応を可能にする緩衝液、又はそれを生成するのに必要な構成成分、
− 先行する結合反応において形成された免疫複合体を検出するための手段、
− 場合によっては同様に、治療の進行中の抗−E1力価の減少を推測するための自動走査及び解釈デバイス、
を含んで成るキットにも関する。
抗−E2レベルはその他のHCV抗原に対する抗体と比較して減少することから、E1タンパク質又はペプチドについて以上で記したようなHCV治療を監視/予後診断するために、本発明に従ったE2タンパク質及びペプチドも或る程度は使用できるということを理解すべきである。しかしながら、HCV疾患を監視し予後診断するための試験の中で使用するのに同じく適していると思われるE2領域内の或る種のエピトープを見極めることが可能であるかもしれないということを理解すべきである。
本発明は同様に、生体標本中に存在するHCVの単数又は複数の血清型を検出するため、より詳細には1つの検定形式に組合わされた検出すべき異なる型のHCVの抗体を検出するための血清型割り出し検定において、
(i) 免疫複合体の形成を可能にする適切な条件の下で好ましくは固定化された形で、上で定義された通りのE1及び/又はE2及び/又はE1/E2タンパク質組成物のうちの少なくとも1つ又はE1又はE2ペプチド組成物のうちの少なくとも1つと、単数又は複数の血清型のHCV抗体の存在について分析すべき生体標本を接触させる工程、
(ii) 未結合成分を除去する工程、
(iii) 適切な条件下で検出可能な標識に異種抗体が接合させられている状態で、該異種抗体と共に形成された免疫複合体をインキュベートする工程、
(iv) 前記免疫複合体の存在を視覚的に又は機械的に(例えばデンシトメトリ、蛍光測定、比色分析)検出し、観察された結合パターンから存在する単数又は複数のHCV血清型の存在を推測する工程、
を少なくとも含んで成る方法にも関する。
この方法で使用されるタンパク質又はペプチドの組成物が、組換えにより発現された型特異的外被タンパク質又は型特異的ペプチドであることを理解すべきである。
本発明はさらに、生体標本中に存在する単数又は複数のHCV血清型を割出すため、より詳細にはこれらのHCV血清型に対する抗体を検出するためのキットであって、
− 上で定義された通りの少なくとも1つのE1及び/又はE2及び/又はE1/E2タンパク質又はE1又はE2ペプチド、
− 生体標本中に存在する抗−E1抗体とこれらのタンパク質又はペプチドの間の結合反応を可能にする緩衝液又はそれを生成するのに必要な構成成分、
− 先行する結合反応において形成された免疫複合体を検出するための手段、
− 場合によっては、同様に、観察された結合パターンから存在する単数又は複数の血清型の存在を検出するための自動走査及び解釈デバイス、
を含んで成るキットにも関する。
本発明は同様に、上で定義された通りの方法に従ってHCV遺伝子型の存在を見極めるため、固体基質上に固定化し逆相ハイブリダイゼーション検定内に取込むことを目的とする、上で定義された通りのペプチド又はタンパク質組成物の使用にも関する。その他のHCVポリタンパク質領域からのその他の型特異的抗原との組合せも同様に本発明の範囲内に入る。
本発明は、前記タンパク質をジスルフィド結合開裂又は還元剤と接触させる工程を含む組換え型プロセスにより産生されたE1及び/又はE2及び/又はE1/E2タンパク質の中から選択された組換え型HCV単一又は特異的オリゴマー外被タンパク質を精製するための方法を提供している。本発明の接触方法は、部分的開裂又は還元条件下で実施可能である。好ましくは、ジスルフィド結合開裂剤は、好ましくは0.1〜50mM、好ましくは0.1〜20mM、より好ましくは0.5〜10mMの濃度範囲内のジチオトレクトール(DTT)である。代替的には、ジスルフィド結合開裂剤は、好ましくは1〜10%、より好ましくは3.5%の濃度でのEmpigen−BB(これは主成分としてN−ドセシル−N,N−ジメチルグリシンを含有する混合物である)といった洗浄剤であってよい。洗浄剤、ジスルフィド開裂剤及び/又は還元剤の混合物を使用することも可能である。1つの実施形態においては、ジスルフィド結合再形成は、N−エチルマレイミド(NEM)又はその誘導体といったSH基遮断薬で妨げられる。好ましい1実施形態においては、ジスルフィド結合再形成は、低pH条件を使用して遮断される。
本発明はさらに、任意にはN−エチルマレイミド(NEM)といったSH遮断薬の存在下で宿主細胞を発現する組換え型E1及び/又はE2及び/又はE1/E2を溶解させる工程;抗−E1及び/又は抗−E2特異的モノクローナル抗体を用いたイムノアフィニティ又はレンチルレクチンクロマトグラフィといったレクチンクロマトグラフィを使用した親和性精製により、前記HCV外被タンパク質を回収する工程;好ましくは同じくNEM又はビオチンNEMといったようなSH遮断薬の存在下での、DTTといったジスルフィド結合開裂剤を用いたジスルフィド結合の還元又は開裂工程;及びゲルろ過そして場合によっては付加的にNi2+−IMACクロマトグラフィ及び脱塩工程による、還元されたHCVE1及び/又はE2及び/又はE1/E2外被タンパク質の回収工程がさらに関与する、本書で記載されている通りの方法を提供する。
本発明は、好ましくは本書に記載された方法で単離されたE1及び/又はE2及び/又はE1/E2の中から選択された、実質的に単離及び/又は精製された、及び/又は単離及び/又は精製された組換え型HCV単一又は特異的オリゴマー組換え型外被タンパク質を含有する組成物を提供する。好ましい実施形態においては、本発明の組換え型HCV外被タンパク質は、ワクシニア、組換え型酵母細胞といったような組換え型哺乳動物細胞の中で発現された。
本発明は、操作可能な組合せの形で、単一又は特異的オリゴマーE1及び/又はE2及び/又はE1/E2タンパク質の発現を可能にするヌクレオチド配列、原核生物、真核生物又はウイルスプロモータ配列及びベクター配列を含有する組換え型ベクターを提供する。1つの実施形態においては、ベクターのヌクレオチド配列は、アミノ酸位置1〜192の間の、領域内で開始し、アミノ酸位置250〜400の間の領域内、より詳細にはアミノ酸位置250〜341の間の領域内、さらに一層好ましくは位置290〜341の間の領域内のいずれかの位置で終わる単一HCVE1タンパク質をコードする。もう1つの実施形態においては、ベクターのヌクレオチド配列は、アミノ酸位置117〜192の間の領域内で開始しアミノ酸位置263〜400の間の領域内、さらに詳細には位置250〜326の間の領域内で終わる単一HCVE1タンパク質をコードする。さらにもう1つの実施形態では、ベクターのヌクレオチド配列は、位置264〜293の間±8アミノ酸の第1の疎水性ドメインの欠失を担持する単一HCVE1タンパク質をコードする。さらなる実施形態においては、ベクターのヌクレオチド配列は、アミノ酸位置290〜406の間の領域内で開始しアミノ酸位置600〜820の間の領域内で終わる、より詳細には位置322〜406の間の領域内、さらに一層好ましくは位置347〜406の間の領域、そして最も好ましくは位置364〜406の間の領域内で開始し;好ましくはアミノ酸位置623、650、661、673、710、715、720、746又は809のうちのいずれかで終わる単一HCVE2タンパク質をコードする。1つの実施形態において本発明のベクターは、ヌクレオチド配列に対し作動可能に連結された3’末端停止コドン及び5’末端ATGコドンを含有している。該ベクターは、1実施形態において、コーディング領域に3’末端で付加された3〜10個好ましくは6個のヒスチジンコドン及び/又は第Xa因子開裂部位に……をさらに含むヌクレオチド配列をさらに含んでいる。本発明のベクターは任意には、E1又はE2タンパク質内に存在するグリコシル化部位のうちの少なくとも1つが核酸レベルで除去されている1つのヌクレオチド配列を含有する。
本発明は、配列番号3、5、7、9、11、13、21、23、25、27、29、31、35、37、39、41、43、45、47及び49のうちのいずれか1つを含有する核酸又はその一部分を提供する。本発明のベクターは、好ましくは、配列番号3、5、7、9、11、13、21、23、25、27、29、31、35、37、39、41、43、45、47及び49のうちのいずれか1つを含有する核酸又はその一部分を含むヌクレオチド配列を含んでいてよい。
本発明の組成物はさらに、発現されたか又は本書で記載されているベクターの発現産物である組換え型HCV外被タンパク質を含む。
本発明は、宿主細胞内で操作可能でありかつHCVE1及び/又はE2及び/又はE1/E2タンパク質の発現を調節する能力をもつ調節配列に加えて本書に記載されている通りのHCVE1及び/又はE2及び/又はE1/E2タンパク質をコードするヌクレオチド配列をベクターが含有している、本書に記載されている通りの少なくとも1つの組換え型ベクターで形質転換された宿主細胞を提供している。さらに、本発明は、本発明の宿主細胞により発現された組換え型E1及び/又はE2及び/又はE1/E2タンパク質を提供している。
本発明はさらに、本書で記載されている通りの組換え型ベクターで形質転換された本書で記載されている通りの宿主細胞を適切な培地内で増殖させる工程;適切な条件下で本書で記載されている通りのベクターのベクターヌクレオチド配列の発現をひき起こす工程;好ましくはSH基遮断薬、例えばN−エチルマレイミド(NEM)の存在下で、形質転換された宿主細胞を溶解させる工程;例えば、レクチンが好ましくはレンチル−レクチンであるものとして、抗−E1及び/又は抗−E2特異的モノクローナル抗体を用いたイムノアフィニティクロマトグラフィ又はレクチンクロマトグラフィを使用した親和性精製により、前記HCV外被タンパク質を回収する工程、及びそれに続く;好ましくは同じくNEM又はビオチン−NEMといったようなSH基遮断薬の存在下で、DTTといったジスルフィド結合開裂手段を用いた、先行する工程の溶出物のインキュベーション工程;及び例えばゲルろ過そして場合によっては同様に付加的なNi2+−IMACクロマトグラフィと脱塩工程を用いた、HCV単一又は特異的オリゴマーE1及び/又はE2及び/又はE1/E2タンパク質を単離する工程、を含む、本書で記載されている通りの方法を提供する。
本発明は、以下のE1及び/又はE2ペプチドのうちの少なくとも1つを含む組成物を提供している:
コア/E1V1領域のアミノ酸181〜200にわたるE1〜31(配列番号56)、
E1領域のアミノ酸193〜212にわたるE1〜33(配列番号57)、
E1V2領域のアミノ酸205〜224にわたるE1〜35(配列番号58)(エピトープB)、
E1V2領域のアミノ酸208〜227にわたるE1〜35A(配列番号59)(エピトープB)、
E1領域(V1、C1及びV2領域(エピトープBを含む))のアミノ酸192〜228にわたる1bE1(配列番号53)、
E1領域のアミノ酸301〜320にわたるE1〜51(配列番号66)、
E1C4領域のアミノ酸313〜332にわたるE1〜53(配列番号67)(エピトープA)、
E1領域のアミノ酸325〜344にわたるE1〜55(配列番号68)、
E2領域のアミノ酸位置397〜416にわたるEnv67又はE2〜67(配列番号72)(エピトープA)、
E2領域のアミノ酸位置409〜428にわたるEnv69又はE2〜69(配列番号73)(エピトープA)、
E2領域の位置583〜602にわたるEnv23又はE2〜23(配列番号86)(エピトープE)、
E2領域の位置595〜614にわたるEnv25又はE2〜25(配列番号87)(エピトープE)、
E2領域の位置607〜626にわたるEnv27又はE2〜27(配列番号88)(エピトープE)、
E2領域の位置547〜566にわたるEnv17B又はE2〜17B(配列番号83)(エピトープD)、
E2領域の位置523〜542にわたるEnv13B又はE2〜13B(配列番号82)(エピトープC)。
本発明は同様に、以下のE2立体配座エピトープのうちの少なくとも1つを含む組成物を提供している:
モノクローナル抗体15C8C1、12D11F1及び8G10D1H9により認識されるエピトープF、
モノクローナル抗体9G3E6により認識されるエピトープG、
モノクローナル抗体10D3C4及び4H6B2により認識されるエピトープH(又はC)、
モノクローナル抗体17F2C2により認識されるエピトープI。
本発明は同様に、本書で記載されている通りの組成物での免疫化の時点で発生させられるE1及び/又はE2特異的モノクローナル抗体をも提供する。本発明の抗体は、例えば、HCVE1又はE2抗原の存在を検出するための免疫検定キットの中に包含するため、疾患の予後診断/監視のため又はHCV療法のための薬剤として使用することができる。本発明は、HCVE1又はE2抗原を検出するための免疫検定キットの調製のため、HCV疾患の予後診断/監視用キットの調製又はHCV薬剤の調製のための本書に記載されている通りのE1及び/又はE2特異的モノクローナル抗体の使用を提供する。
本発明は、生体標本中に存在するHCV抗原のインビトロ診断の方法であって、
(i) 免疫複合体の形成を可能にする適切な条件の下で好ましくは固定化された形で、本書で記載されている通りのE1及び/又はE2特異的モノクローナル抗体と前記生体標本を接触させる工程、
(ii) 未結合成分を除去する工程、
(iii) 適切な条件下で検出可能な標識に異種抗体が接合されている状態で、異種抗体と共に形成された免疫複合体をインキュベートする工程、
(iv) 前記免疫複合体の存在を視覚的に又は機械的に検出する工程、
を少なくとも含んで成る方法を提供している。
本発明は同様に、生体標本中に存在するHCV抗原の存在を見極めるためのキットであって、好ましくは固体基質上に固定化された形の本書で記載されている通りの少なくとも1つのE1及び/又はE2特異的モノクローナル抗体、生体標本中に存在するHCV抗原とこれらの抗体の間の結合反応を可能にする緩衝液又はそれを生成するのに必要な構成成分、そして任意には、先行する結合反応において形成された免疫複合体を検出するための手段を少なくとも包含するキットを提供している。
本発明の組成物は、薬剤の形で提供されうる。
本発明は、免疫応答を生成するべく、薬学的に受容可能なアジュバントを任意に伴う有効量の前記組成物を投与する工程を含んで成る、HCVに対して哺乳動物好ましくはヒトを免疫化するためのワクチンとして使用するための、本書で記載されている通りの組成物を提供する。
本発明は、免疫応答を生成するべく、薬学的に受容可能なアジュバントを任意に伴う有効量の前記組成物を投与する工程を含んで成る、HCVに対して哺乳動物好ましくはヒトを免疫化するためのワクチンの調製を目的として、本書で記載されている通りの組成物を使用する方法を提供している。
本発明は、任意には同じく薬学的に受容可能なアジュバントを伴う本書で記載されている通りのE1及び/又はE2含有組成物を含む有効量の組成物を含有する、HCVに対し哺乳動物好ましくはヒトを免疫化するためのワクチン組成物を提供する。
本発明の組成物は、生体標本中に存在するHCV抗体のインビトロ検出用の形で提供され得る。本発明は同様に、生体標本中に存在するHCV抗体を検出するための免疫検定キットを調製する方法及び生体標本中に存在するHCV抗体を診断するべく本発明のキットを用いて生体標本中に存在するHCV抗体を検出する方法をも提供する。本発明のこのような方法には、少なくとも以下の工程が含まれている:
(i) 生体標本中に存在するHCV抗体との免疫複合体の形成を可能にする適切な条件の下で好ましくは固定化された形で、本書で記載されている通りの組成物と前記生体標本を接触させる工程、
(ii) 未結合成分を除去する工程、
(iii) 適切な条件下で検出可能な標識に異種抗体が接合されている状態で、異種抗体と共に形成された免疫複合体をインキュベートする工程、
(iv) 前記免疫複合体の存在を視覚的に又は機械的に検出する工程。
本発明は、生体標本中に存在するHCV抗体の存在を見極めるためのキットであって、好ましくは固体基質上に固定化された形の本書で記載されている通りの少なくとも1つのペプチド又はタンパク質組成物;生体標本中に存在するHCVに対する抗体とこれらのタンパク質又はペプチドの間の結合反応を可能にする緩衝液又はそれを生成するのに必要な構成成分、そして任意には、先行する結合反応において形成された免疫複合体を検出するための手段を包含するキットを提供している。
本発明は、HIV疾患をインビトロ監視するか又はHCV感染を患う患者の、好ましくはインターフェロンでの治療に対する応答を診断する方法であって、免疫原性複合体の形成を可能にする条件下でE1タンパク質又はその適切な部分と共にHCV感染患者からの生体標本をインキュベートする工程;未結合成分を除去する工程;治療の開始時点及びその経過中に前記標本中に存在する抗−E1力価を計算する工程;HCV疾患の自然な経過を監視するか、又は、治療の開始時点及び/又は治療の経過中に見い出された抗−E1力価の量に基づいて患者の治療に対する応答を予後診断する工程、を含んで成る方法を提供している。
本発明は、HCV疾患を監視するか又はHCV感染を患う患者の特にインターフェロンを用いた治療に対する応答を予後診断するためのキットであって、少なくとも1つのE1タンパク質又はE1ペプチド、より詳細には本書で記載されている通りのE1タンパク質又はE1ペプチド;生体標本中に存在する抗―E1抗体とこれらのタンパク質又はぺプチド間の結合反応を可能にする緩衝液又はそれを生成するのに必要な構成成分;及び、任意には先行する結合反応において形成された免疫複合体を検出するための手段;任意には治療の進行中の抗−E1力価の減少を推測するための自動走査及び解釈デバイスをも包含するキットを提供している。
本発明は、生体標本中に存在するHCVの単数又は複数の血清型を検出するため、より詳細には、1つの検定形式に組合わされた、検出すべきHCVの異なる型の抗体を検出するための血清型割り出し検定において、
(i)単数又は複数の血清型のHCV抗体の存在について分析すべき生体標本を、免疫複合体の形成を可能にする適切な条件の下で好ましくは固定化された形で、本書で記載されている通りのE1及び/又はE2及び/又はE1/E2タンパク質組成物の内の少なくとも1つ又は本書で記載されている通りのE1及び/又はE2ペプチド組成物の内の少なくとも1つと接触させる工程、(ii)未結合成分を除去する工程、(iii)適切な条件下で検出可能な標識に異種抗体が接合させられた状態で、該異種抗体と共に形成された免疫複合体をインキュベートする工程、及び任意には、(iv)前記免疫複合体の存在を視覚的に又は機械的に(例えばデンシトメトリ、蛍光測定、比色分析)検出し、観察された結合パターンから存在する単数又は複数のHCV血清型の存在を推測する工程、を少なくとも含んで成る検定を提供している。
本発明は、生体標本中に存在するHCVの単数又は複数の血清型を割出すため、より詳細にはこれらのHCV血清型に対する抗体を検出するためのキットであって;本書で記載されている通りの少なくとも1つのE1及び/又はE2及び/又はE1/E2タンパク質又は本書で記載されている通りのE1又はE2ペプチド;生体標本中に存在する抗−E1抗体とこれらのタンパク質又はペプチドの間の結合反応を可能にする緩衝液又はそれを生成するのに必要な構成成分;及び任意には先行する結合反応において形成された免疫複合体を検出するための手段、任意には、同様に、観察された結合パターンから存在する単数又は複数の血清型の存在を検出するための自動走査及び解釈デバイスをも含むキットを提供する。
本発明は、固体基質上の固定化及び逆相ハイブリダイゼーション検定内への取込みのため、好ましくは本書で記載されている通りの方法に従ってHCVの存在又は遺伝子型を決定するための膜ストリップといった固体支持体上への平行線としての固体化のための、本書で記載されている通りのペプチド又はタンパク質組成物を提供している。
本発明は、E1タンパク質、E2タンパク質、前記E1及びE2タンパク質の一部分、精製済みHCV単一又は特異的オリゴマー組換え型E1又はE2タンパク質又はその一部分から形成されたE1/E2タンパク質複合体からなる群の中から選択された治療上有効な量の少なくとも1つの精製済み組換え型HCV単一又は特異的オリゴマー組換え型外被タンパク質を含有する治療上有効な量の組成物、及び任意には薬学的に受容可能なアジュバントを含んで成る又は含有する、治療用HCVワクチン組成物といったような治療用ワクチン組成物を提供する。本発明の治療用HCVワクチン組成物といったようなもう1つの治療用ワクチン組成物は、異なるHCV遺伝子型又は亜型から誘導されたE1タンパク質、異なるHCV遺伝子型又は亜型から誘導されたE2タンパク質、前記E1及びE2タンパク質の一部分、及び異なるHCV遺伝子型又は亜型から誘導された精製済みHCV単一又は特異的オリゴマー組換え型E1又はE2タンパク質又はその一部分から形成されたE1/E2タンパク質複合体からなる群の中から選択された治療上有効な量の少なくとも2つの精製済みHCV単一又は特異的オリゴマー組換え型外被タンパク質の組合せ、及び任意には薬学的に受容可能なアジュバントを含んで成っていてよい。
本発明のワクチン、より詳細にはHCVワクチンのHCV外被タンパク質は、任意には、組換え型哺乳動物細胞、組換え型酵母細胞によって、又は組換え型ウイルスによって又はそれを介して産生される。本発明は、
コア/E1V1領域のアミノ酸181〜200にわたるE1〜31(配列番号56)、
E1領域のアミノ酸193〜212にわたるE1〜33(配列番号57)、
E1V2領域のアミノ酸205〜224にわたるE1〜35(配列番号58)(エピトープB)、
E1V2領域のアミノ酸208〜227にわたるE1〜35A(配列番号59)(エピトープB)、
(エピトープBを含む)E1領域V1、C1及びV2領域のアミノ酸192〜228にわたる1bE1(配列番号53)、
E1領域のアミノ酸301〜320にわたるE1〜51(配列番号66)、
E1C4領域のアミノ酸313〜332にわたるE1〜53(配列番号67)(エピトープA)、
E1領域のアミノ酸325〜344にわたるE1〜55(配列番号68)、
E2領域のアミノ酸位置397〜418にわたるEnv67又はE2〜67(配列番号72)(エピトープA)、
E2領域のアミノ酸位置409〜428にわたるEnv69又はE2〜69(配列番号73)(エピトープA)、
E2領域の位置583〜602にわたるEnv23又はE2〜23(配列番号86)(エピトープE)、
E2領域の位置595〜614にわたるEnv25又はE2〜25(配列番号87)(エピトープE)、
E2領域の位置607〜626にわたるEnv27又はE2〜27(配列番号88)(エピトープE)、
E2領域の位置547〜586にわたるEnv17B又はE2〜17B(配列番号83)(エピトープD)、
E2領域の位置523〜542にわたるEnv13B又はE2〜13B(配列番号82)(エピトープC)、
E1領域の位置192〜211にわたるIGP1626(配列番号112)、
E1領域の位置204〜223にわたるIGP1627(配列番号113)、
E1領域の位置216〜235にわたるIGP1628(配列番号114)、
E1領域の位置228〜247にわたるIGP1629(配列番号115)、
E1領域の位置240〜259にわたるIGP1630(配列番号116)、
E1領域の位置252〜271にわたるIGP1631(配列番号117)、
E1領域の位置264〜283にわたるIGP1632(配列番号118)、
E1領域の位置276〜295にわたるIGP1633(配列番号119)、
E1領域の位置288〜307にわたるIGP1634(配列番号120)、
E1領域の位置300〜319にわたるIGP1635(配列番号121)、
E1領域の位置312〜331にわたるIGP1636(配列番号122)、
といったE1及びE2ペプチドのうちの少なくとも1つを含む組成物を治療上有効な量含有するか又は含んで成る、治療用HCVワクチン組成物といったような治療用ワクチン組成物であって、前記ペプチドが組換え型又は合成由来のものであって任意には薬学的に受容可能なアジュバントと組合わされていてよい、組成物を提供している。
上述の治療用ワクチン組成物のいずれでも治療用HCVワクチン組成物として、又は治療用組成物又は治療用HCV組成物として、又は組成物又はHCV組成物として考慮する又はみなすことが可能である。
本発明は、上述のようなワクチン又は治療用組成物といった本書で記載されている通りの有効量の組成物そして任意には薬学的に受容可能なアジュバントを投与する工程を含んで成る、HCVに感染したヒトといった哺乳動物の治療方法を提供する。1実施形態において、本発明の組成物は、抗ウイルス療法と組合せて又は抗ウイルス療法と併せて一度に、本発明の組成物の投与に先立って又はこの投与の後又はこの投与と共に投与される。例えば治療用HCVワクチン組成物といった発明の組成物のいずれかを、HCVに慢性的に感染した哺乳動物(「慢性HCV感染哺乳動物」)を治療するために使用することができる、ということが明白となるだろう。
本発明は、E1タンパク質及びE2タンパク質からなる群の中から選択された少なくとも1つの精製済み組換え型HCV組換え型外被タンパク質及び任意にはアジュバントを含有するか又は含んで成る、治療用HCV組成物又はHCV組成物といった組成物を提供している。好ましい実施形態においては、組成物は、
コア/E1V1領域のアミノ酸181〜200にわたるE1〜31(配列番号56)、
E1領域のアミノ酸193〜212にわたるE1〜33(配列番号57)、
E1V2領域のアミノ酸205〜224にわたるE1〜35(配列番号58)(エピトープB)、
E1V2領域のアミノ酸208〜227にわたるE1〜35A(配列番号59)(エピトープB)、
(エピトープBを含む)E1領域V1、C1及びV2領域のアミノ酸192〜228にわたる1bE1(配列番号53)、
E1領域のアミノ酸301〜320にわたるE1〜51(配列番号66)、
E1C4領域のアミノ酸313〜332にわたるE1〜53(配列番号67)(エピトープA)、
E1領域のアミノ酸325〜344にわたるE1〜55(配列番号68)、
E2領域のアミノ酸位置397〜418にわたるEnv67又はE2〜67(配列番号72)(エピトープA)、
E2領域のアミノ酸位置409〜428にわたるEnv69又はE2〜69(配列番号73)(エピトープA)、
E2領域の位置583〜602にわたるEnv23又はE2〜23(配列番号86)(エピトープE)、
E2領域の位置595〜614にわたるEnv25又はE2〜25(配列番号87)(エピトープE)、
E2領域の位置607〜626にわたるEnv27又はE2〜27(配列番号88)(エピトープE)、
E2領域の位置547〜586にわたるEnv17B又はE2〜17B(配列番号83)(エピトープD)、
E2領域の位置523〜542にわたるEnv13B又はE2〜13B(配列番号82)(エピトープC)、
E1領域の位置192〜211にわたるIGP1626(配列番号112)、
E1領域の位置204〜223にわたるIGP1627(配列番号113)、
E1領域の位置216〜235にわたるIGP1628(配列番号114)、
E1領域の位置228〜247にわたるIGP1629(配列番号115)、
E1領域の位置240〜259にわたるIGP1630(配列番号116)、
E1領域の位置252〜271にわたるIGP1631(配列番号117)、
E1領域の位置264〜283にわたるIGP1632(配列番号118)、
E1領域の位置276〜295にわたるIGP1633(配列番号119)、
E1領域の位置288〜307にわたるIGP1634(配列番号120)、
E1領域の位置300〜319にわたるIGP1635(配列番号121)、
E1領域の位置312〜331にわたるIGP1636(配列番号122)、
といったE1及びE2ペプチドのうちの少なくとも1つを含む組成物を治療上有効な量含有し、ここで前記ペプチドは組換え型又は合成由来のものであって任意には薬学的に受容可能なアジュバントと組合わされていてよい。
本発明の治療用HCVワクチン組成物又はHCV組成物といったもう1つの組成物は、異なるHCV遺伝子型又は亜型から誘導されたE1タンパク質、異なるHCV遺伝子型又は亜型から誘導されたE2タンパク質、前記E1及びE2タンパク質の一部分、及び異なるHCV遺伝子型又は亜型から誘導された精製済みHCV単一又は特異的オリゴマー組換え型E1又はE2タンパク質又はその一部分から形成されたE1/E2タンパク質複合体からなる群の中から選択された治療上有効な量の少なくとも2つの精製済みHCV単一又は特異的オリゴマー組換え型外被タンパク質の組合せ、及び任意には薬学的に受容可能なアジュバントを含んで成っていてよい。
本発明は、HCV特異的抗体を誘発するため又はT細胞活性を刺激するため又はサイトカイン分泌又はサイトカイン産生を刺激するための治療用組成物又は治療用ワクチン組成物又は組成物を提供する。本発明は、HCV特異的抗体を誘発するため又はT細胞活性を刺激するため又はサイトカイン分泌又はサイトカイン産生を刺激するための、治療用HCV組成物又は治療用HCVワクチン組成物を提供する。
治療用HCVワクチン組成物又は治療用HCV組成物といったような本発明に従った治療用組成物は同様に、E1、E2又はE1/E2タンパク質複合体が誘導された単数又は複数のHCV遺伝子型とは異なるHCV遺伝子型に感染したHCVキャリヤにおいて治療上有効であり得る。
組換え型HCV外被タンパク質は、組換え型哺乳動物細胞によって産生され得、組換え型HCV外被タンパク質は組換え型酵母細胞によって産生されるか又は組換え型ウイルスによってか又はそれを介して産生される。本発明は、治療用HCVワクチン組成物といった本書で記載されている通りの有効量の組成物そして任意には薬学的に受容可能なアジュバントを投与する工程を包含する、HCVに感染したヒトといった哺乳動物の治療方法を提供する。治療用HCVワクチン組成物といったような本発明の組成物のいずれでも、慢性HCV感染哺乳動物の治療のために使用することができるということが明白となるだろう。本発明は、HCV特異的抗体を誘導するため、T細胞活性を刺激するため及びサイトカイン分泌又はサイトカイン産生を刺激するための治療用組成物であって、E1タンパク質及びE2タンパク質からなる群の中から選択された少なくとも1つの精製された組換え型HCV単一又は特異的オリゴマー組換え型外被タンパク質を含有する治療上有効な量の組成物及び任意には薬学的に受容可能なアジュバントを含む組成物を提供する。
特に、(ワクチン組成物及び治療用組成物を含めた)本発明に従った組成物のいずれも、そのシステインが遮断されている組換え型HCV外被タンパク質を含むこともできるし、そうでなければ、そのシステインが遮断されているE1及び/又はE2ペプチドを含むこともできる。
本発明のもう1つの実施形態においては、(ワクチン組成物及び治療用組成物を含めた)本発明に従った組成物は、ウイルス様粒子(VLP)としてその組成物に添加される組換え型HCV外被タンパク質を含むことができる。
さらなる実施形態においては、治療用HCVワクチン組成物といったような本発明の組成物は、組換え型HCVE1外被タンパク質として、E1sタンパク質を含み得る。より詳細には、前記E1sタンパク質は配列番号123によって定義づけされる。
本発明のもう1つの態様は、E1タンパク質及び/又はE2タンパク質及びE1タンパク質及び/又はE2タンパク質の一部分の中から選択された少なくとも1つのHCV組換え型外被タンパク質の発現を可能にする組換え型ウイルス及び任意には薬学的に受容可能なアジュバントを含んで成る免疫原性組成物特にHCV免疫原性組成物に関する。
さらにもう1つの態様においては、本発明は、E1タンパク質及び/又はE2タンパク質及びE1タンパク質及び/又はE2タンパク質の一部分の中から選択された少なくとも1つのHCV組換え型外被タンパク質の発現を可能にする組換え型ウイルス及び任意には薬学的に受容可能なアジュバントを含んで成るHCVワクチン組成物といったようなワクチン組成物を考慮している。
1つの実施形態においては、上述の組換え型ウイルス組成物は、前記E1タンパク質及び/又はE2タンパク質又は前記その一部分が由来するHCV遺伝子型又は亜型とは異なるHCV遺伝子型又は亜型に対して有効でありうる。
もう1つの実施形態においては、以上の組換え型ウイルス組成物は、HCV特異的抗体を誘発するため又はT細胞活性を刺激するため又はサイトカイン分泌又はサイトカイン産生を刺激するために使用することができる。
組換え型ウイルス組成物に対するもう1つの実施形態においては、前記組換え型ウイルスはワクシニアウイルス、組換え型アビポックスウイルス又は組換え型アンカラ修飾ウイルスである。
本発明のもう1つの態様は、上述のような組換え型ワクチン組成物を有効量投与する工程を含んで成る、HCVに感染した哺乳動物の治療方法に関する。
本発明の上述の態様のいずれかにおける哺乳動物は、特にヒトであり得る。
本発明の1つのさらなる態様は、前記哺乳動物又はヒトに対し治療用ワクチンを投与する工程を含んで成る慢性HCV感染哺乳動物又はヒトにおける肝疾患を低減させる方法に関する。
もう1つの態様においては、前記哺乳動物又はヒトに対し治療用ワクチンを投与する工程を含んで成る、慢性HCV感染哺乳動物又はヒトにおける肝線維症の進行を抑制する方法が網羅されている。
さらなる1つの態様は、前記哺乳動物又はヒトに対して治療用ワクチンを投与する工程を含んで成る、慢性HCV感染哺乳動物又はヒトにおける肝線維症を低減するための方法に関する。
さらなる1つの態様は、前記哺乳動物又はヒトに治療用ワクチンを投与する工程を含んで成る、慢性HCV感染哺乳動物又はヒトにおける肝脂肪症を低減させる方法に関する。
本発明のさらにもう1つの態様は、前記哺乳動物又はヒトに対して治療用ワクチンを投与する工程を含んで成る、慢性HCV感染哺乳動物又はヒトにおいて全Ishak評点又はIshak活性評点に従って少なくとも2点だけ肝疾患を低減させる方法を施している。
もう1つのさらなる態様は、前記哺乳動物又はヒトに対し治療用ワクチンを投与する工程を含んで成る、慢性HCV感染哺乳動物又はヒトにおいてIshak線維症評点に従って少なくとも1点だけ肝疾患又は肝線維症を低減させる方法に関する。
本発明のさらなる態様は、前記哺乳動物又はヒトに対して治療用ワクチンを投与する工程を含んで成る慢性HCV感染哺乳動物又はヒトにおいて血清ALTレベルを低減させる方法を提供している。
本発明のさらにもう1つの態様は、前記哺乳動物又はヒトに対し治療用ワクチンを投与する工程を含んで成る、慢性HCV感染哺乳動物又はヒトの肝臓内の抗−E1及び/又は抗−E2免疫反応性を低減させる方法に関する。
さらに本発明に包含されているのは、前記哺乳動物又はヒトに対し治療用HCVワクチン組成物といったような本発明の組成物のいずれかの多数回の用量の投与を含んでおり、前記多数回用量が規定の時間的間隔だけ分離されて該哺乳動物又はヒトに投与される、慢性HCV感染哺乳動物又はヒトの治療方法である。かくして、慢性HCV感染キャリヤを治療するための本発明の組成物の前記複数回の投与は、例えば4週間以下の時間的間隔だけ分離され得る。かくして前記時間的間隔は、1又は1.5又は2又は2.5又は3又は3.5又は4週間であってもよいし、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27又は28日であり得る。特に、慢性HCV感染哺乳動物又はヒトを治療する前記方法には、投与が3週間という時間的間隔で分離されている前記哺乳動物又はヒトに対する治療用HCVワクチン組成物といったような本発明の組成物の複数の投与が含まれている。さらなる実施形態においては、前記複数回の投与は、少なくとも5回の投与の第1セットとそれに続く少なくとも12週間の投与の無い期間とそれに続く少なくとも3回の投与の第2セットで構成されている。特に、1つの投与セットは少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12以上の投与を含むことができる。投与の無い期間は少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18以上の週数であり得る。
以上のようなさまざまな方法が目標と定めている効果のいずれかを得るために、治療用HCVワクチン組成物といったような本発明の組成物のいずれかを使用できる、ということがさらに明らかとなることだろう。以上で記載された方法において応用される通りの前記治療用ワクチンは、治療用HCVワクチン組成物といったような本発明のあらゆる組成物であり得る。
以上で概略説明された方法のいずれかにおいて使用するため、又は以上で概略説明されたさまざまな方法が目標と定めている効果のいずれかを得るために使用される組成物、HCV組成物、ワクチン、HCVワクチン、治療用ワクチン又は治療用HCVワクチンの製造を目的とした、以上の記載全体を通して概略説明されている通りのHCVE1/E2タンパク質又はその一部分又はE1/E2ペプチドの使用も又、本発明により考慮されている。
これらの方法のいずれにおいても、前記治療用ワクチンは、少なくとも1つのHCV抗原及び任意にはミョウバンといったような薬学的に受容可能なアジュバントを含んで成る。その1実施形態において、前記HCV抗原はE1又はE2抗原又はそれらの免疫原性部分である。HCV抗原をE1s抗原と呼ぶ場合、E1s抗原は配列番号123により定義され得る。
「肝疾患」という語は、この状況下では、炎症、線維症、肝硬変、壊死、壊死/炎症及び肝細胞ガンを含むC型肝炎ウイルスでの感染によりひき起こされるあらゆる異常な肝臓状態を意味する。
「脂肪症」というのは、多種多様な全身性障害、毒性又は薬物誘発型肝臓障害ならびに、C型肝炎感染、ウイルソン病及びガラクトース血症を含むさまざまな特異的肝疾患への肝臓の関与を表わす肝細胞内の脂質蓄積の組織学的特長を意味している。
「肝疾患を低減させる」というのは、肝疾患の状態のあらゆる安定化又は低減を意味する。肝疾患は、例えばKnodell評定システム又はIshakが適合させたKnodell評定システムによって決定することができる。この評点の2点低減は、いくつかの研究において治療上有益な効果として受入れられている(例えば、Shiffman 1999年の表2に示されているように1996年以降に公表された研究を参照のこと)。
「肝線維症の進行を抑制する」というのは、肝線維症の通常予想される進行のあらゆる抑制、停止又は復帰を意味する。肝線維症の進行は、例えば、Metavir評定システムによって決定することができる。このシステムに従った肝線維症の通常予想される進行とは、未治療の慢性HCV患者における年間約0.133というMetavir評点の増加として公表された。(Poynardら、1997)線維症は、例えば類洞周囲線維症を含めた、Metavir又はIshakシステムにより評定されるようなあらゆる形の線維症を含むものとみなされる。
「HCV抗原」という語は、少なくとも1つのT細胞エピトープ又はB細胞エピトープを含むあらゆるHCVタンパク質又はそのフラグメントを意味する。
本発明のさらなる態様は、慢性HCV感染哺乳動物又はヒトにおける肝疾患の変化を予測する方法であって、
(i) E1抗原を含むHCVワクチン組成物を用いた治療用ワクチン接種に先立って血清抗−E1抗体レベルを決定する工程;
(ii) E1抗原を含むHCVワクチン組成物を用いた治療用ワクチン接種後の血清抗−E1抗体レベルを決定する工程;
(iii) (i)及び(ii)で決定された血清抗−E1抗体レベルの差を推測し、そこから肝疾患の変化を予測する工程、
を含んで成る方法を提供している。
当業者にとっては、(ii)で測定された値から(i)で測定された値を引いたものとして計算された血清抗−E1抗体のレベルの著しく高い正の差が、陽性の予測、すなわち肝疾患の度合が減少するであろうという予測に有利に作様することになるということが明白になるだろう。又、持続する著しく高い正の差が、減少した肝疾患の予測の陽性度をさらに拍車をかけるであろうということも明白となるだろう。しかしながら、この差が著しく高くないかゼロであるか、負であるか又は或る時点で著しく高く正であるが持続しない場合には、これは、陰性の予測すなわち肝疾患の度合が変わらない状態にとどまるか又は増大するであろうという予測に有利に働くことになろう。血清抗−E1抗体の持続した高レベルは、投与の無い期間の後新たな一連の免疫化を投与すること又は、例えば3週間といった短かい時間的間隔での投与から成る最初の1セットの初回免疫の後、例えば6週間といったより大きな時間的間隔で免疫化を反復することのいずれかによる付加的免疫化を通して達成可能である。
実施例1:C型肝炎ウイルスE1タンパク質のクローニング及び発現
1.ワクシニアウイルス組換え型ベクターの構築
pgptATA18ワクシニア組換えプラスミドは、ワクシニアウイルス13中間プロモータの制御下でE.coliキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子を含有する付加的な挿入を伴うpATA18の修飾済みバージョンである(Stunnenbergら、1988年)(図1)。プラスミドpgsATA18は、PstI及びHindIII−切断pATA18ベクター内へと、3つの読取り枠内で停止コドンを含有する配列番号1/94のオリゴヌクレオチドリンカーを挿入することによって構築された。こうして、追加のPacI制御部位が作り出された(図2)。もとのHindIII部位は復元されなかった。
配列番号1/94をもつオリゴヌクレオチドリンカー
Figure 2005516939
組換え型タンパク質に融合した工学処理済みのヒスチジンストレッチのNi2+キレート化を用いて高速かつ効率の良い精製を容易にするために、ワクシニア組換えベクターpMS66は、付加的なカルボキシ末端ヒスチジンタグを用いて分泌タンパク質を発現するように設計された。平滑末端を生成する3つの酵素(SmaI、StuI及びPmlI/Bbr PI)のためのユニーク部位を含む配列番号2/95のオリゴヌクレオチドリンカーが、プロテアーゼ第Xa因子開裂部位をコードする配列とそれに続く、6つのヒスチジンと2つの停止コドンをコードするヌクレオチド配列と同一枠内で任意のcDNAのカルボキシ末端を挿入できるような形で合成された(3’末端の下流側に新しいPacI制限部位も作り出された)。配列番号2/95のこのオリゴヌクレオチドは、pgptATA18のXmaI及びPstI部位の間に導入された(図3)。
配列番号2/95のオリゴヌクレオチドリンカー
Figure 2005516939
Escherichia coli MC1061(ラムダ)内に含有されたプラスミドpgptATA−18をBCCM/LMBPが、(ベルギー、B−9000ゲント、K.L.Ledeganckstraat35番地のベルギー微生物保存機関/Laboratorium voor Moleculaire Biologie−Plasmidencollectie,Universiteit Gent)にブダペスト条約の条項に基づいて寄託され、受入れ番号LMBP4486を有している。この寄託は2002年1月9日に行なわれた。
実施例2.HCV組換え型プラスミドの構築
2.1 異なる形態のE1タンパク質をコードする構築物
以前に記載されたように(Stuyverら、1993年b)RNA調製及びその後の逆転写及びPCRにより血清標本からポリメラーゼ連鎖反応(PCR)産物を誘導した。表1は、増幅のために用いられるプライマー及びそれぞれのクローンの特長を示している。PCRフラグメントをSmaI−切断pSP72(Promega)プラスミドの中にクローニングさせた。ワクシニア組換えベクター内への挿入のためには、図21に描かれているようにHCC19A(配列番号3)、HCC110A(配列番号5)、HCC111A(配列番号7)、HCC112A(配列番号9)、HCC113A(配列番号11)及びHCC117A(配列番号13)といったクローンが選択された。E1コーディング領域を含むcDNAフラグメントをそれぞれのpSP72プラスミドからEcoRI及びHindIII制限により開裂させ、11Kのワクシニアウイルス後期プロモータの下流側でEcoRI/HindIII−切断pgptATA−18ワクシニア組換えベクター(実施例1内に記載されている)の中にこれを挿入した。それぞれのプラスミドをpvHCV−9A、pvHCV−10A、pvHCV−11A、pvHCV−12A、pvHCV−13A及びpvHCV−17Aと呼称し、そのうちpvHCV−11Aが図4に示されている。
2.2 疎水性領域E1欠失突然変異体
コドンAsp264〜Val287(ヌクレオチド790〜861、疎水性ドメインIをコードする領域)の欠失を含むクローンHCC137を以下のように生成した:すなわち、2つのPCRフラグメントを、クローンHCC110Aから、プライマーセットHCPr52(配列番号16)/HCPr107(配列番号19)及びHCPr108(配列番号20)/HCPr54(配列番号18)を用いて生成した。これらのプライマーは図21に示されている。2つのPCRフラグメントを電気泳動の後アガロースゲルから精製し、プライマーHCPr52(配列番号16)及びHCPr54(配列番号18)を用いてPCRのための鋳型として各フラグメントを1ngずつ合わせて使用した。結果として得られたフラグメントをSmaI−切断pSP72ベクター内にクローニングし、24コドン(72塩基対)が欠失していたため、欠失を含むクローンを直ちに同定した。クローンHCC137(配列番号15)を含むプラスミドpSP72HCC137を選択した。ワクシニアプラスミドpvHCV−10AのXmaI−BamHI部位内に欠失をとり囲むHCV配列(ベクターpSP72−HCC137由来のXmaI及びBamHIにより開裂されたフラグメント)を挿入することにより、疎水性ドメインIが欠如した全長E1cDNAを含有する組換え型ワクシニアプラスミドを構築した。結果として得たプラスミドをpvHCV−37と命名した。確認用配列決定の後、内部欠失を含むアミノ末端領域をこのベクターpvHCV−37から単離し(EcoRI及びBstEIIによる開裂)、EcoRI及びBstEII−切断pvHCV−11Aプラスミドの中にこれを再度挿入した。この構築物は、両方の疎水性ドメインが欠失した状態でE1タンパク質を発現するものと予想され、pvHCV−38と命名された。クローンHCC138のE1コーディング領域は配列番号23によって表わされている。
(理論的にはアミノ酸337〜340の前後まで延びている)E1カルボキシ末端にある親水性領域は構築物pvHCV−38の中に完全に含まれていなかったため、疎水性ドメインIが欠けるさらに大きなE1領域をEcoRI/BamHI開裂によりpvHCV−37プラスミドから単離し、EcoRI/BamHI−切断pgsATA−18ベクター内にクローニングさせた。結果として得たプラスミドをpvHCV−39と命名し、これにはクローンHCC139(配列番号25)が含まれていた。同じフラグメントを、(クレノウDNAポリメラーゼI(Boehringer)で充たされた粘着末端をもつ)BamHIにより、そしてその後EcoRI(5’付着末端)によりpvHCV−37ベクターから開裂させた。この配列を、EcoRI及びBbrPI−切断ベクターpMS−66内に挿入した。この結果として、そのカルボキシ末端に6ヒスチジンテイルを含むプラスミドpvHCV−40内のクローンHCC140(配列番号27)が得られた。
2.3 その他の遺伝子型のE1
クローンHCC162(配列番号29)は、慢性C型肝炎3a型感染患者に由来し(血清BR36、クローンBR36−9−13、国際公開第94/25601号パンフレット)中の配列番号19、同様にStuyverら、1993年aも参照のこと)、HCC163(配列番号31)は、輸血後肝炎を患う5a型感染小児に由来していた(血清BE95、クローンPC−4−1、国際公開第94/25601号パンフレット中の配列番号45)。
2.4 E2構築物
Stuyverら、1993年bに記載されている通りのRNA調製、逆転写及びPCRの技術を用いて、プライマーHCPr109(配列番号33)及びHCPr72(配列番号34)を用いて血清BE11(遺伝子型1b)からHCVE2PCRフラグメント22を得、このフラグメントをSmaI切断pSP72ベクター内にクローニングした。クローンHCC122A(配列番号35)をNcoI/Alw壊死/炎症で、又はBamH2/Alw壊死/炎症により切断し、フラグメントの粘着末端を平滑にした(クレノウDNAポリメラーゼI(Boehringer)を伴うNcoI及びBamHI部位及びT4DNAポリメラーゼ(Boehringer)を伴うAlw壊死/炎症)。次にBamHI/Alw壊死/炎症cDNAフラグメントを、EcoRI及びHindIII開裂により線状化されかつクレノウDNAポリメラーゼ(Boehringer)で満たされた付着末端をもつワクシニアpgsATA−18ベクター内に挿入した。結果として得たプラスミドをpvHCV−41と命名し、これは、シグナル配列として役立ち得るE1タンパク質の37個のアミノ酸(Met347からGly383まで)を含むアミノ酸Met347〜Gln673のE2領域をコードした。その後クレノウDNAポリメラーゼで平滑末端化されたEcoRI及びBbrPI切断ベクターpMS66内に、同じHCVcDNAを挿入した。結果として得たプラスミドをpvHCV−42と命名し、これは同様にアミノ酸347〜683をコードした。NcoI/Alw壊死/炎症フラグメントを同様の要領で、pgsATA−18(pvHCV−43)又はpMS−66ワクシニアベクター(pvHCV−44)の同じ部位内に挿入した。pvHCV−43及びpvHCV−44は、HCVポリタンパク質のアミノ酸364〜673をコードし、そのうちアミノ酸364〜383はE2のためのシグナル配列をコードするE1タンパク質の天然カルボキシ末端領域に由来し、アミノ酸384〜673は成熟E2タンパク質のものに由来していた。
2.5 組換え型HCV−ワクシニアウイルスの生成
アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(米国メリーランド州ロックヴィル(Rockville,MD)のATCC)から、ウサギ腎臓RK13細胞(ATCCCCL37)ヒト骨肉腫143Bチミジンキナーゼ欠乏(TK質)(ATCCCRL8303)、HeLa(ATCCCCL2)及びHepG2(ATCCHB8065)細胞系統を得た。RK13及び143B(TK−)については10%のウシ胎児血清とアール(Earl's)塩(EMEM)で補足され、HepG2についてはグルコース(4g/l)で補足されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)の中で、細胞を増殖させた。ワクシニアウイルスWR菌株(Western Reserve、ATTCVR119)を、以前に記載された通りに(Panicali及びPaoletti、1982年;Picciniら、1987年;Mackettら、1982年、1984年、1986年)143B又はRK13細胞の中で日常的に繁殖させた。143B細胞の集密的単層を、0.1(=細胞1個あたり0.1プラーク形成単位(PFU))の感染多重度(m.o.i)で野生型ワクシニアウイルスで感染させた。2時間後に、ワクシニア組換えプラスミドを、相同的組換えを可能にするべくプラスミドDNAを500ng含有するリン酸カルシウム共沈物の形で、感染した細胞の中にトランスフェクションさせた(Graham及びvan der Eb、1973年;Mackettら、1985年)。E.coliキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(gpt)タンパク質を発現する組換え型ウイルスを、選択培地(25μg/mlのマイコフェノール酸(MPA)、250μg/mlのキサンチン及び15μg/mlのヒポキサンチンを含有するEMEM;Falkner及びMoss、1988年;Janknechtら、1991年)の中でインキュベートしたウサギ腎臓RK13細胞上で選択した。選択培地内の0.9%のアガロースオーバーレイの下で、RK13細胞の新鮮な単層上で、単一組換え型ウイルスを精製した。チミジンキナーゼ欠乏(TK)組換え型ウイルスを選択し、次に25μg/mlの5−ブロモ−2’−デオキシウリジンの存在下でヒト143B細胞(TK−)の新鮮な単層上でプラークを精製した。0.05のm.o.iでウサギRK13又はヒト143B細胞のいずれかを感染させることによって、精製済み組換え型HCVワクシニアウイルスストックを調製した(Mackettら、1988年)。組換え型ワクシニアウイルス中へのHCVcDNAフラグメントの挿入を、それぞれのHCVフラグメントをクローニングするのに用いられるプライマーでのPCRを使用してMPA選択の後細胞溶解産物のアリコート(50μl)について確認した(表1参照)。組換え型ワクシニアHCVウイルスをワクシニア組換え型プラスミド番号に従って命名した。例えば組換え型ワクシニアウイルスvvHCA−10Aは、pvHCV−10Aプラスミドで野生型WR菌株を組換えることにより得られた。
実施例3:組換え型ワクシニアウイルスでの細胞の感染
実施例2に記載されているような組換え型HCVワクシニアウイルスで3というm.o.iで、RK13細胞の集密的単層を感染させた。感染のためには、細胞をpH7.4のリン酸緩衝液(PBS)で2度洗浄し、MEM培地の中で組換え型ワクシニアウイルスストックを希釈させた。m.o.iが3となるように10個の細胞あたり200μlのウイルス溶液を添加し、24℃で45分間インキュベートした。ウイルス溶液を吸引し、10個の細胞あたり2mlの完全増殖培地(実施例2参照)を添加した。細胞を37℃で24時間インキュベートし、その間にHCVタンパク質の発現が発生した。
実施例4:ウェスタンブロット法を用いた組換え型タンパク質の分析
感染した細胞を、PBSで2回洗浄し、溶解緩衝液(50mMのトリス・HCl pH7.5、150mMのNaCl、1%のトリトンX−100、5mMのMgCl、1μg/mlのアプロチニン(ベルギー、ボルネム(Bornem,Belgium)のSigma))で直接溶解させるか又は、50mMのトリス・HCLpH7.5/10mMEDTA/150mMのNaCl中で5分間インキュベートすることでフラスコから離脱させ、遠心分離により収集した(1000gで5分間)。その後細胞ペレットを、10個の細胞につき200μlの溶解緩衝液(50mMのトリス・HCLpH8.0、2mMのEDTA、150mMのNaCl、5mMのMgClアプロチニン、1%のトリトンX−100)中で再懸濁させた。
細胞溶解産物をエッペンドルフ遠心分離機内で14,000rpmで5分間清澄させて、不溶性デブリを除去した。20μlの溶解産物のタンパク質を、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)を用いて分離した。その後、タンパク質をゲルから、トランスファ緩衝液(25mMのトリス・HClpH8.0、192mMのグリシン、20%(v/v)のメタノール)中で、100Vの定電圧で2時間4℃まで冷却されたHoefer HSIトランスファユニットを用いてニトロセルロースシート(Amersham)からエレクトロトランスファした。ニトロセルロースフィルタをBlotto(PBS中の5%(w/v)の無脂肪インスタント粉乳;Johnsonら、1981年)で遮断し、Blotto/0.1%Tween20の中で希釈させた一次抗体と共にインキュベートした。通常、ヒトの負の対照血清又はHCVに感染した患者の血清を200倍に希釈し、非特異的結合を減少させるべく、200倍に希釈させた野生型ワクシニアウイルス感染細胞溶解産物を用いて室温で1時間予備インキュベートさせた。Blotto/0.1%Tween20での洗浄の後、ニトロセルロースフィルタを、Blotto/0.1%Tween20内で希釈したアルカリホスファターゼ基質溶液と共にインキュベートした。PBS中の0.1%Tween20で洗浄した後、フィルタをアルカリホスファターゼ基質溶液(100mMのトリス・HClpH9.5、100mMのNaCl、5mMのMgCl、0.38μg/mlのニトロブルーテトラゾリウム、0.165μg/mlの5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスファターゼ)でインキュベートした。エレクトロトランスファを除き、全ての工程は、室温で実施された。
実施例5:組換え型E1又はE2タンパク質の精製
5.1 溶解
感染したRK13細胞(E1又はE2構築物を担持する)をリン酸緩衝溶液(PBS)で2度洗浄し、10mMのEDTAを含有するPBS中でのインキュベーションにより培養レシピエントから離脱させた。離脱した細胞をPBSで2回洗浄し、10個の細胞について2mMのビオモニル化N−エチルマレイミド(ビオチン−NEM)(Sigma)を含有する1mlの溶解緩衝液(50mMのトリス・HClpH7.5、150mMのNaCl、1%のトリトンX−100、5mMのMgCl、1μg/mlのアプロチニン(ベルギー、ボルネン(Bornem,Belgium)のSigma)を4℃で添加した。この溶解産物をB型douncerで均質化し、0.5時間室温に放置した。10mMのN−エチルマレイミド(NEM、ベルギー、ボルネン(Bornem,Belgium)のAldrich)を含有する溶解緩衝液をさらに5体積、一次溶解産物に添加し、混合物を15分間室温で放置した。4℃で1時間、14,000rpm(rmaxで30100g)でBeckman JA−14ローターの中での遠心分離により、不溶性細胞デブリを溶液から一掃した。
5.2. レクチンクロマトグラフィ
清澄した細胞溶解産物を、1ml/分の速度で5カラム体積の溶解緩衝液で平衡化した0.8×10cmのレンチル−レクチンセファロース4Bカラム(Pharmacia)上に1ml/分の速度で装てんした。レンチル−レクチンカラムを、5〜10カラム体積の緩衝液1(0.1Mのリン酸カリウムpH7.3、500mMのKCl、5%のグリセロール、1mMの6−NH−ヘキサン酸、1mMのMgCl、及び1%のDecylPEG(オランダ、ボダム(Bedum,The Netherlands)のKWANT)で洗浄した。いくつかの実験では、カラムをその後、1%のDecylPEGの代りに0.5%のEmpigen−BB(米国カリフォルニア州サンディエゴのCalbiochem)を含有する10カラム体積の緩衝液1で洗浄した。結合した材料を、溶出緩衝液(10mMのリン酸カリウムpH7.3、5%のグリセロール、1mMのヘキサン酸、1mMのMgCl、0.5%のEmpigen−BB及び0.5Mのα−メチル−マンノピラノシド)を適用することによって溶出した。溶出した材料を分画し、実施例6で記載するようなELISAを用いて、E1又はE2タンパク質の存在について画分をスクリーニングした。図22は、vvHCV39(1b型)、vvHCV40(1b型)、vvHCV62(3a型)及びvvHCV63(5a型)に感染した細胞溶解産物の4回の異なるE1精製のレンチルレクチン溶出液から得られたELISAの結果を示している。図23は、図22に示された値から得たプロフィールを示す。これらの結果は、異なるタイプのHCVの外被タンパク質についてレクチン親和性カラムを利用できるということを示している。
5.3 濃縮及び部分的還元
E1−又はE2−陽性画分をプールし、4℃でBeckman JA−20ローターの中で5000rpmで3時間、遠心分離によりCentricon 30kDa(Amicon)上で濃縮した。いくつかの実験では、E1−又はE2陽性画分をプールし、窒素エバポレーションによってこれを濃縮した。3.10個の細胞の等価物を約200μlに濃縮させた。部分的還元のためには、この200μlに対し、最終濃度3.5%となるまで、30%のEmpigen−BB(米国カリフォルニア州サンディエゴのCalbiochem)を添加し、その後、1.5〜7.5mMの最終濃度までHO中の1MのDTTを添加し、37℃で30分間インキュベートした。その後NEM(ジメチルスルフォキシド中1M)を50mMの最終濃度まで添加し、37℃でさらに30分間反応させて、遊離スルフヒドリル基を遮断した。
5.4 ゲルろ過クロマトグラフィ
3カラム体積のPBS/3%Empigen−BBでSuperdex−200HR10/20カラム(Pharmacia)を平衡化した。還元混合物をSmart System(Pharmacia)の500μl標本ループ中に注入し、ゲルろ過のためにPBS/3%Empigen−BB緩衝液を添加した。250μlの画分をVからVまで収集した。実施例6に記載するように、E1又はE2タンパク質の存在について、画分をスクリーニングした。
図24は、vvHCV39(1b型)、vvHCV40(1b型)、vvHCV62(3a型)及びvvHCV63(5a型)で感染した細胞溶解産物の4つの異なるE1精製のゲルろ過クロマトグラフィの後に得られた画分から得たELISA結果を示す。図25は、(レンチルレクチン上で精製され先行例の場合と同様に還元された、それぞれvvHCV39、vvHCV62及びvvHCV63に感染したRK13細胞からの)1b型、3a型及び5a型のE1タンパク質の精製から得られたプロフィールを示している。「1」「2」及び「3」と記されたピークは、純粋なE1タンパク質ピーク(主として画分26〜30中のE1反応性)を表わしている。これらのピークは、2量体E1タンパク質に対応する約70kDaの非常に類似した分子量を示している。3つのプロフィール内のその他のピークは、実施例5.3に概略説明されている通りの還元工程そして適切な洗浄剤の存在下でのその後のゲルろ過工程のみを理由としてE1から分離されうるワクシニアウイルス及び/又は細胞タンパク質を表わしている。図26に示されているように、(画分10〜17を表わす)プール1及び(画分18〜25を表わす)プール2は、E1プール(画分26〜30)中に存在しない汚染性タンパク質を含む。E1ピーク画分をSDS/PAGE上でランさせ、実施例4で記載されている通りにブロッティングした。NEM−ビオチンで標識づけされたタンパク質を、図27に示されているようなストレプトアビジン−アルカリホスファターゼによって検出した。なかでも、ゲルろ過クロマトグラフィの前に存在する29kDa及び45kDaの汚染性タンパク質(レーン1)が、画分26〜30中では非常に低いレベルでしか存在しないということは容易にわかる。およそ65kDaでのバンドは、単量体E1形態に完全に分断され得なかったE1二量体形態を表わしている。3a型E1タンパク質(レーン10〜15)についても類似の結果が得られるが、炭水化物が6個ではなく5個しか存在しないことを理由として、SDS/PAGE上でより高速の移動度を示す。図28は、図26と同一の条件で走らせたSDS/PAGEゲルの銀染色を示す。精製手順の全概要は図29に示される。
精製済みE1タンパク質の存在を、実施例4中に記載されている通りのウェスタンブロット法を用いてさらに確認した。2量体E1タンパク質は、未集合で汚染物質を含まないように思われた。上述のスキームに従ったvvHCV40感染細胞から精製された亜型1bE1タンパク質は、477Perkin−Elmerシーケンサ上でアミノ末端配列決定され、最初の残基としてチロシンを含有するように思われた。これにより、E1タンパク質がそのシグナル配列から適正な位置(A191とY192の間)でシグナルペプチダーゼにより開裂されたということが確認された。こうして、成熟E1タンパク質のアミノ末端がアミノ酸位置192で開始するというHijikataら(1991年)の発見事実が確認される。
5.5 E2タンパク質の精製
実施例5.1〜5.4で記されているように、vvHCV44に感染したRK13細胞からE2タンパク質(アミノ酸384〜673)を精製した。図30は、レンチルレクチンクロマトグラフィのOD280プロフィール(実線)を示している。破線は、ELISAにより検出されているようなE2反応性を表わす(実施例6参照)。図31は、一部分が実施例5.3で記されている通りの方法に従って還元され遮断され、一部分がカラムに直ちに適用される、レンチル−レクチンE2プールのゲルろ過クロマトグラフィ(図30参照)から得た同じプロフィールを示している。E2プールの両方の部分共、別々のゲルろ過カラム上で走らせた。いかなる還元も実施されなかった場合には、E2が汚染性タンパク質と共有結合集合体を形成する、ということを実証することができた。還元と遮断の後、大部分の汚染性タンパク質は、V分画へと分離した。E2タンパク質と同時精製されたその他の汚染性タンパク質は、次の工程でこれらの汚染物質を除去できたため、もはやE2タンパク質に共有結合されなかった。図32は、E2タンパク質の精製のために実施された付加的なNi2+−IMAC精製工程を示している。この親和性精製工程は、vvHCV44から発現された通りのE2タンパク質に添加された6ヒスチジン残基を利用する。汚染性タンパク質は、カラムを通過させるか又は、30mMのイミダゾール洗浄によりこれを除去することが可能である。図33は、0.5μgの精製済みE2タンパク質の銀染色されたSDS/PAGE及び30mMのイミダゾール洗浄を示す。純粋なE2タンパク質は、200mMのイミダゾール溶出工程によって容易に回収可能であった。図34は、イミダゾールを除去し例えばPBS、炭酸塩緩衝液、食塩水といった所望の緩衝液へと切替えできるように意図された付加的な脱塩工程を示す。
E1の産生のためvvHCV11A(又はvvHCV40)に、又はE2タンパク質の産生のためvvHCV41、vvHCV42、vvHCV43又はvvHCV44に感染させられた約50,000cmのRK13細胞から出発して、実施例5.1〜5.5に記載されている手順は、約1.3mgのE1タンパク質及び0.6mgのE2タンパク質の精製を可能にする。
(60〜70%が細胞内形態である状態で、約30〜40%を構成する)分泌されたE2タンパク質が(予想に反して)集合体形成によって特徴づけされているということにも留意すべきである。かくして、分泌されたE2を精製するためにも同じ問題が提起される。分泌されたE2は、以上で開示された通りに精製可能である。
実施例6:抗−E1又は抗−E2抗体の検出のため又はE1又はE2タンパク質の検出のためのELISA
Maxisorbマイクロウェルプレート(デンマーク、ロスキルドのNunc)に、4℃で16時間又は37℃で1時間、PBS中のストレプトアビジン(Boehringer Mannheim)の5μg/ml溶液を1ウェルにつき1体積(例えば50μl又は100μl又は200μl)コーティングした。代替的には、ウェルに、4℃で16時間又は37℃で1時間、pH9.6の50mMの炭酸ナトリウム緩衝液中の5μg/mlのGalanthus nivalisアグルチニン(GNA)をコーティングした。GNAでのコーティングの場合、Innotest HCVAbIIIキット(ベルギーのInnogenetics)の洗浄溶液400μlで2回プレートを洗浄した。未結合コーティング表面を、37℃で1時間又は4℃で16時間1.5〜2体積の遮断溶液(PBS中の0.1%のカゼイン及び0.1%のNaN)で遮断した。遮断溶液を吸引した。精製したE1又はE2を、100〜1000ng/ml(A=280nmで測定された濃度)まで希釈するか又はE1又はE2(例えば実施例5参照)又は非精製細胞溶解産物中のE1又はE2(実施例5.1)についてスクリーニングされるべきカラム画分を遮断溶液中で20倍に希釈し、各ウェルに対してE1又はE2溶液を1体積添加し、ストレプトアビジン又はGNA−コーティングされたプレート上で37℃で1時間インキュベートした。マイクロウェルをInnotest HCVAbIIIキット(ベルギーのInnogenetics)の「洗浄溶液」1体積で3回洗浄した。血清標本を20倍希釈するか又はモノクローナル抗−E1又は抗−E2抗体をInnotest HCVAbIIIキットの「標本希釈剤」中で20ng/mlの濃度まで希釈し、溶液1体積を37℃で1時間E1又はE2タンパク質と反応させた。マイクロウェルを、Innotest HCVAbIIIキット(ベルギーのInnogenetics)の「洗浄溶液」400μlで5回洗浄した。Innotest HCVAbIIIキット(ベルギーのInnogenetics)の「接合体希釈剤」1体積中で1/80000に希釈したヤギ抗ヒト又は抗マウスIgG、ペルオキシダーゼ接合二次抗体(DAKO,Glostrup,Denmark)と共に37℃で1時間各ウェルをインキュベートすることにより、結合した抗体を検出し、Innotest HCVAbIIIキット(ベルギーのInnogenetics)の「洗浄溶液」400μlでプレートを3回洗浄した後24℃で30分間Innotest HCVAbIIIキット(IベルギーのInnogenetics)の「基質溶液」1体積中で100倍希釈されたInnotest HCVAbIIIキット(ベルギーのInnogenetics)の基質を添加することによって、着色が得られた。
実施例7:異なる臨床プロフィールをもつ患者グループの追跡調査
7.1 抗−E1及び抗−E2抗体の監視
現在のC型肝炎(HCV)診断検定は、HCV抗体のスクリーニング及びその存在の確認のために開発されてきた。かかる検定は、疾病の治療の監視及びその転帰の予後診断にとって有用である情報を提供すると思われない。しかしながら、B型肝炎の場合がそうであるように、抗外被抗体の検出及び数量化は、臨床環境においてより有用であることが判明するかもしれない。C型肝炎疾患の転帰についての予後診断マーカーとしての抗−E1抗体力価及び抗−E2抗体力価の使用の可能性を調査するため、(少なくとも治療後1年の期間中血液中のトランスアミナーゼレベルが正常でHCV−RNA試験(5’非コーデイング領域内のPCR)が陰性であった患者として定義づけられる)長期持続性応答を有する一連のIFN−α治療を受けた患者を、治療の終りにおける再発を伴う生化学応答を示すか又は応答を全く示さない患者と比較した。
長期持続性応答(LTR、追跡調査1〜3.5年、3a型3人、1b型5人)を有する8人のIFN−αでの治療を受ける患者のグループを、治療に対する非完全応答を示す9人の患者(NR、追跡調査1〜4年、1b型6人、3a型3人)と比較した。1b型(vvHCV−39、実施例2.5参照)及び3aE1(vvHCV−62、実施例2.5参照)タンパク質は、ワクシニアウイルス系(実施例3及び4参照)によって発現され、均質になるまで精製された(実施例5)。1b型C型肝炎ウイルスに感染した患者に由来する標本を、精製済み1b型E1タンパク質との反応性についてテストし、一方3a型感染の標本は実施例6で記載されているようにELISAにおいて抗3a型E1抗体の反応性についてテストした。異なる患者に感染したC型肝炎ウイルスの遺伝子型をInno−LiPA遺伝子型割出し検定(ベルギーのInnogenetics)を用いて決定した。図5は、インターフェロン治療中及び治療後の追跡調査期間中に調査したこれらの患者の抗−E1信号対雑音比を示している。LTRの症例は、一貫して、抗−E1レベルの急速な低下を示し(3つの症例で完全に陰性化)、一方、NR症例の抗−E1レベルはほぼ一定にとどまっていた。獲得した抗−E1データの一部が平均S/N比±SD(平均抗−E1力価)として表2に示されている。抗−E1力価は、図5、6、7及び8に示されているように信号対雑音比から演繹できた。
治療の終りにすでに、2つのグループ間に顕著な差が観察できた。抗−E1抗体力価はLTRでは6.9分の1に減少したがNRでは1.5分のに1しか減少しなかった。追跡調査の終りで、抗−E1力価は、持続的応答をもつ患者において22.5の率で低下し、NRにおいてはさらにわずかしか低下しなかった。従って、これらのデータに基づくと、IFN−α療法の監視中の抗−E1抗体レベルの低下は、治療に対する長期の持続的応答と相関関係をもつ。抗−E1検定は、IFN治療又はC型肝炎疾患全般の治療に対する長期応答の予後診断にとってひじょうに有用であり得る。
この発見事実は、予想外であった。反対に、発明者らは、長期応答をもつ患者においてIFN治療の最中に抗−E1抗体レベルが増大するものと予想していた。B型肝炎の場合がそうであるように、ウイルスは、抗HBsAg抗体についての血清変換の結果として一掃される。同様にその他の数多くのウイルス感染においても、ウイルスは、抗外被抗体が発生させられた時点で除去される。しかしながら、本発明の実験においては、抗−E1抗体は、治療に対する長期応答をもつ患者において明らかに減少し、一方応答しない患者では抗体レベルはほぼ同じレベルにとどまった。これらの実験の成果は、予想外であったが、この明白でない発見事実は、HCV感染の臨床診断にとって非常に重要かつ有用でありうる。図9、10、11、及び12内で示されているように、抗−E2レベルは、研究対象の同じ患者において非常に異なる形で挙動し、抗−E1抗体に関しては、力価の明白な低下は全く観察されなかった。図35が、パイロット研究の完全な概覧を示している。
表2から演繹できるように、抗−E1力価は平均して、治療に対する不完全な応答者と比較して長期応答者においては治療の開始時点で少なくとも2倍高いものであった。従って、治療の開始時点で抗−E1抗体の力価を測定すること、又は感染の進行中に患者を監視するし抗−E1力価を測定することが、C型肝炎の臨床的診断にとって有用なマーカーとなりうる。さらに、実施例7.3で示されているように、E1又はE2タンパク質のより明確な領域の使用が望ましくなるかもしれない。
7.2 より広い患者コホート内でのE1及びE2抗体の分析
パイロット研究により、発明者らは、感染が完全に一掃された場合、HCV外被タンパク質に対する抗体はより慣習的に研究されたHCV抗原に対する抗体に比べより急速に変化し、E1抗体が最も活発に変化する、と結論づけするに至った。従って我々は、より多くの1b型及び3a型感染LTRを含み入れ、さらにコホートを整合したNRセットで補足し、両方のグループが各々14人の患者を包含するようにした。一部の部分的応答者(PR)及び再発を伴う患者(RR)も同様に分析された。
図36は、LTR及びNR基の中の平均的E1抗体(E1Ab)及びE2抗体(E2Ab)レベルを描いており、表4及び5は、統計的分析を示している。このより大きいコホートにおいては、IFN−α療法の前のさらに高いE1抗体レベルは、LTRと結びつけられていた(P<0.03)。1b型感染患者(図37)に比べて3a型感染患者においてはるかに高いE1抗体レベルが観察されたことから、遺伝子型が考慮に入れられた(表4)。1b型感染グループの中で、LTRは同じく、治療の開始時点でNRよりも高いE1抗体レベルを有していた(P<0.05);3a型感染NRの数が制限されたものであったため、統計的分析はできなかった。
1.5年の追跡調査期間中LTRにおいて監視された抗体レベルのうち、E1抗体のみが、治療当初に測定されたレベルと比べ急速に清澄化した[治療の終りでP=0.0058、治療から6ヶ月及び12ヵ月後にはそれぞれP=0.0047及びP=0.0051]。この清澄化は、1型又は3型感染LTRの内部で有意なものにとどまった(平均P値<0.05)。これらのデータは、早期消散工程で急速にE1Abレベルが減少するという初期発見事実を確認した。この特長は、ウイルス遺伝子型と無関係であると思われる。NR、PR又はRRにおいては、追跡調査期間全体を通して、測定された抗体のいずれにおいても変化は全く見られなかった。ALTレベルの正規化を伴って治療に対し有利に応答し治療中HCV−RNAが陰性であった患者においては、持続的応答者(LTR)及び再発を伴う応答者(RR)の間には顕著な差が存在していた。LTRとは対照的に、RRはいかなるE1抗体レベルの減少も示さず、これは、HCV−RNAの検出のためのPCR又はその他の古典的技術によってもALTレベルの上昇によっても実証され得なかった潜在的なHCV感染の存在を表わしている。治療中の応答者グループにおいてもなお存在するわずかな量のウイルスRNAは、抗−E1B細胞を刺激する能力をもつように思われる。従って、抗−E1監視は、NRからのみならずRRからもLTRを弁別することができるかもしれない。
7.3 E1タンパク質の明確な領域の抗体の監視
HCV抗原を同定する分子生物学的アプローチはウイルス診断の開発における前例を見ない突破口を結果としてもたらしたが、λgt11ライブラリの免疫スクリーニング方法は、コア及び非構造的領域全体にわたり分散した線状エピトープを主に生み出し、外被領域の分析は、哺乳動物細胞におけるE1/E2領域のクローニング及び発現を待たなくてはならなかった。このアプローチは、ゲノム構造の解説よりはるかに前にすでにその外被領域に対するエピトープがマッピングされていたその他の数多くのウイルス感染と著しい対照をなすものである。このようなエピトープ及び対応する抗体は往々にしてワクチン開発にとって有用な中和活性を有し、かつ/又は臨床的又は予後診断的意味をもつ診断検定の開発を可能にした(例えば、B型肝炎表面抗原に対する抗体)。
今日、C型肝炎疾患の臨床的診断及び予後診断を可能にするHCVワクチン又は試験が全く利用できないことから、免疫監視にさらされたウイルス外被領域の特徴づけは、HCVの診断及び予防における新しい傾向に著しく貢献する可能性がある。
8つのアミノ酸により互いに重ね合わされた複数の20量体ペプチド(表3)を、HC−J1配列に基づいて以前に記載された方法(EP−A−0489968)に従って合成した(Okamotoら、1990年)。ペプチドenv35(E1−35とも呼ばれている)を除きこれらのいずれも、約200のHCV症例の血清中に抗体を検出することができなかった。2つの血清のみがenv35ペプチドとわずかに反応した。しかしながら、実施例6に記載したような抗−E1 ELISAを用いると以下のように付加的なエピトープを発見することができた。すなわち、実施例6に記載されるような抗−E1ELISAを、標本希釈物中の1/20希釈されたヒト血清と50μg/mlのE1ペプチドの混合によって修飾させた。図13は、単一のE1ペプチド又はその混合物の存在下での(vvHCV−40から発現された)組換え型E1タンパク質に対するヒト血清の反応性の結果を示している。ライン免疫検定形式ではストリップ上にコーティングされたE1ペプチドを用いて血清の2%しか検出することができなかったものの、組換え型E1タンパク質上でテストした場合、血清の半分以上が、同じペプチドを用いて競合させられ得る抗−E1抗体を含有していた。精製済みE1タンパク質を注射した後Balb/Cマウスから得たマウスモノクローナル抗体の一部を、その後単一ペプチドと、E1に対する反応性について競合させた(図14)。明らかに、env53の領域は、env53の添加が実質的にE1と複数の血清の反応性を競合させることができたことから優勢なエピトープを含有しており、env31領域に対する抗体も又検出された。env53及びenv31ペプチドが固相に直接コーティングされた場合にいかなる反応性も示さなかったことから、この発見事実は驚くべきことであった。
従って、ペプチドは、以前に(国際公開第93/18054号パンフレットの中で)出願人により詳述された技術を用いて合成された。
ペプチドenv35A−ビオチン
E1領域内のHCVポリタンパク質のアミノ酸208〜227にわたるタルNH−SNSSEAADMIMHTPGCV−GKビオチン(配列番号51)、
ペプチドビオチン−env53(「エピトープA」)
E1領域内のHCVポリタンパク質のアミノ酸313〜332にわたるビオチン−GG−ITGHRMAWDMMMNWSPTTAL−COOH(配列番号52)、
ペプチド1bE1(「エピトープB」)
E1領域内のHCVポリタンパク質のアミノ酸192〜228にわたるHN−YEVRNVSGIYHVTNDCSNSSIVYEAADMIMHTPGCGK−ビオチン(配列番号53)、
といったペプチドを合成し、それぞれ遺伝子型1a及び1bの配列の同じ領域に由来しかつ1993年のグラスゴーにおける第9回国際ウイルス学会で記載されたEla−BB(ビオチン−GG−TPTVATRDGKLPATQLRRHIDLL、配列番号54)及びElb−BB(ビオチン−GG−TPTLAARDASVPTTTIRRHVDLL、配列番号55)(「エピトープC」)の反応性と比較した。一連のHCV血清の反応性をエピトープA、B及びCについてテストし、エピトープをenv35Aとも比較した(47のHCV陽性血清のうち、8個がエピトープB上で陽性であり、env35Aと反応したものは全くなかった)。エピトープA、B及びCに向かう反応性を、実施例6で記載されている通りのストレプトアビジンコーティング済みプレートに結合したビオチニル化ペプチド(50μg/ml)に対し直接テストした。明らかに、エピトープA及びBは最も反応性が高く、一方エピトープC及びenv35A−ビオチンははるかに反応性が低かった。完全E1タンパク質に向かうその反応性について監視された同じ一連の患者(実施例7.1)をエピトープA、B及びCに対する反応性についてテストした。エピトープCに対する反応性はほとんど見られなかったが一方、図15、16、17及び18で示されているように、エピトープA及びBは大部分の血清と反応した。しかしながら、大部分の反応性エピトープ(エピトープA)に対する抗体が疾病の沈静化を予測するとは思われず、一方抗1bE1抗体(エピトープB)はIFN治療の開始時点で長期応答者においてほぼ排他的に存在していた。従って、抗−1bE1(エピトープB)抗体及び抗env53(エピトープA)抗体がC型肝炎疾患の予後診断にとって有用なマーカであることを示すことができた。env53エピトープは有利には、交差反応性抗体(主要な遺伝子型間で交差反応する抗体)の検出のために使用することができ、env53領域に対する抗体は、血清又は肝組織内での普遍的なE1抗原検出のために非常に有用であり得る。env53領域を認識したモノクローナル抗体をランダムエピトープライブラリと反応させた。モノクローナル抗体5E1A10と免疫スクリーニングの時点で反応した4つのクローンの中には、配列−GWD−が存在していた。env53領域内の全てのHCV変異体の中に存在する普遍的HCV配列とのその類似性のため、配列AWDは、env53交差反応性マウスエピトープの必須配列を含むものと考えられている。env31は明らかに、アミノ末端配列−YQVRNSTGL−(配列番号93)内にエピトープを含み得かつ診断のために有用でありうる可変領域をも含んでいる。表3に示されているようなEnv31又はE1−31は、ペプチド1bE1の一部である。ペプチドE1−33及びE1−51は同様に、或る程度までマウス抗体と反応し、(可変領域6(V6)を含有し、アミノ酸位置329〜336にまたがる)ペプチドE1−55は、患者血清の一部とも反応した。
抗−E2抗体は明らかに、特に治療に対する長期応答をもつ患者において、抗−E1抗体とは異なるパターンに従っていた。従って、抗外被抗体の減少は、単一の抗−E1又は抗−E2タンパク質の場合と同様に効率良く組換え型E1/E2タンパク質を利用する検定を用いて測定可能であった。抗−E2応答は、両方の種類の抗体を同時に測定する検定において抗−E1応答を明らかにあいまいにすることになる。従って、単一E1及びE2タンパク質に対する抗外被抗体をテストする能力が有用であることが立証された。
7.4 抗−E2抗体のマッピング
24の抗−E2Mabsのうち3つのみがペプチドによる組換え型E2に対する反応性について競合させることができ、そのうち2つがHVRI領域(エピトープAと呼称されるペプチドE2−67及びE2−69)及びペプチドE2−13Bにより競合されたエピトープ(エピトープC)を認識するものと反応した。マウス抗体の大部分が、立体配座抗−E2エピトープを認識した(図19)。HVRI(エピトープA)及びそれよりも低い程度でHVRII(エピトープB)、そして(エピトープEと呼称される、ペプチドE2−23、E2−25又はE2−27により競合されている)第3の線状エピトープ領域、及び(ペプチドE2−17Bにより競合されている、エピトープDである)第4の線状エピトープ領域に対するヒト応答も往々にして観察されたが、血清の大部分は立体配座エピトープと反応した(図20)。これらの立体配座エピトープは、以下のようにその相対的位置に従ってまとめることができた。すなわち、立体配座エピトープを認識するハイブリドーマ15C8C1、12D11F1、9G3E6、8G10D1H9、10D3C4、4H6B2、17F2C2、5H6A7、15B7A2の上清中のIgG抗体をプロテインAアフィニティクロマトグラフィを用いて精製し、結果として得たIgG1mg/mlをビオチンの存在下でホウ酸塩緩衝液内でビオチニル化した。ビオチニル化された抗体を、ゲルろ過クロマトグラフィを用いて遊離ビオチンから分離した。プールしたビオチニル化抗体画分を100〜10,000倍に希釈した。固相に結合したE2タンパク質を、非ビオチニル化競合抗体量の100倍の存在下でビオチニル化IgGにより検出し、その後、アルカリホスファターゼで標識づけしたストレプトアビジンで検出した。
表6中に競合の百分率が示されている。これらの結果に基づき、4つの立体配座抗−E2エピトープ領域(エピトープF、G、H及びI)を描写することができた(図38)。代替的にはこれらのMabsは、本研究において用いられるペプチドによって表わされていない突然変異体線状エピトープを認識することができる。Mabs4H6B2及び10D3C4は、16A6E7の反応性について競合したが、16A6E7と異なり、これらはペプチドE2−13Bを認識しなかった。これらのMabsは、同じ線状エピトープ(エピトープC)の変異体を認識するか又は、E2−13B領域に対する16A6E7の結合の後に立体障害を受けるか又は立体配座を変える立体配座エピトープ(エピトープH)を認識することができる。
実施例8:E1グリコシル化突然変異体
8.1 序
哺乳動物細胞から発現されたvvHCV10AによりコードされたE1タンパク質及びvHCV41〜44によりコードされたE2タンパク質は、それぞれ6〜11個の炭水化物部分を含有している。このことは、(E1を含む)溶解産物中のタンパク質が部分的に脱グリコシル化されるような形で、グリコシダーゼ(メーカーの指示に従ってPNGase F又はエンドクリコシダーゼH(Boehringer Mannheim Biochemica))の濃度を減少させながらvvHCV10A感染又はvvHCV44感染したRK13細胞の溶解産物をインキュベートすることによって示すことができた(それぞれ図39及び40)。
そのグリコシル化部位の一部が欠けている突然変異体は、改善された免疫学的反応をもつ外被タンパク質の選択を可能にすることができた。例えばHIVについては、或る種の選択された糖付加モチーフが欠如しているgp120が診断又はワクチンを目的として特に有用であることがわかった。A/ホンコン/3/68(H3N2)インフルエンザウイルスのエスケープミュウータントのヘマグルチニンタンパク質内の新しいオリゴ糖側鎖の付加は、中和モノクローナル抗体との反応性を妨げる(Skehelら、1984年)。部位特異的突然変異誘発によりインフルエンザヘマグルチニンタンパク質内に新規のグリコシル化部位が導入された時点で、劇的な抗原変化が観察され、このことは、炭水化物が抗原性モジュレータとして役立つということを示唆していた(Gallagherら、1988年)。もう1つの分析では、フレンドマウス白血病ウイルスの表面タンパク質gp70の8つの炭水化物付加モチーフが欠失された。突然変異のうち7つはウイルスの感染度に影響を及ぼさなかったが、アミノ酸末端との関係における第4番目のグリコシル化シグナルの突然変異が、非感染性表現型を結果としてもたらした(Kaymanら、1991年)。さらに、当該技術分野では、折畳み中間体の安定化ひいては効率の良い折畳み、折畳み不良の防止及び小胞体内の分解、オリゴマー化、生物活性及び糖タンパク質の輸送にとって、Nリンクされた炭水化物の付加が重要であることがわかっている(Roseらによる再考、1988年;Domsら、1993年;Helenius、1994年を参照のこと)。
HCV遺伝子型の異なる外被タンパク質配列の整列の後、或る種の(亜)型の中でいくつかは欠如していることから、HCV亜型1bE1タンパク質上の6つのグリコシル化部位全てが適切な折畳み及び反応性のために必要であるわけではないということを推測することができる。1b、6a、7、8及び9型の内に存在する第4の炭水化物モチーフ(Asn251上)は、今日知られているその他全ての型の中で存在していない。この糖付加モチーフは突然変異を受けて改善された反応性をもつ1b型E1タンパク質を生成することができる。同様に2b型配列は、V5領域(Asn299上)内で追加のグリコシル化部位を示す。遺伝子型2cに属する分離株S83には、V1領域(Asn上)内で第1の炭水化物モチーフさえ欠如しているのに対し、これはその他の全ての分離株上には存在している(Stuyverら、1994年)。しかしながら、完全に保存された糖付加モチーフの間でさえ、炭水化物の存在は折畳みのために必要とされないものの、免疫監視の回避における役割を有し得る。従って、適切な折畳み(及び反応性)に必要とされない炭水化物付加モチーフの同定は明白ではなく、各々の突然変異体を分析し反応性についてテストしなければならない。グリコシル化モチーフ(NXS又はNXT配列)の突然変異誘発は、N.S.又はTについてのコドンを突然変異させて、これらのコドンがNの場合にはNと異なるアミノ酸をコードしSの場合及びTの場合にはS又はTと異なるアミノ酸をコードするようにすることによって達成することが可能である。代替的には、NPS又はNPTが頻繁に炭水化物で修飾されないことがわかっているため、X位置をPへと突然変異させることができる。折畳み及び/又は反応性のためにどの炭水化物付加モチーフが必要とされどれが必要とされないかを立証した後、このような突然変異の組合せを行なうことができる。
8.2 E1タンパク質の突然変異誘発
全ての突然変異は、クローンHCC110AのE1配列(配列番号5)上で実施された。第1回目のPCRは、ワクシニア11K遅発性プロモータの上流側に位置設定されたGPT配列をターゲティングするセンスプライマー「GPT」(表7参照)及び突然変異誘発を得るための所望の塩基変更を含むアンチセンスプライマー(#がグリコシル化部位の番号を表わすものとしてGLY#と呼称される;図41参照)を用いて実施された。(各々一定の与えられたグリコシル化部位に特異的である)以下のような6つのGLY#プライマーが設計された:
− Glnコドン(CAA又はCAGへのN−グリコシル化Asn(AAC又はAAT)についてコードするコドンの修飾。アスパラギンに非常に類似していることから(両方のアミノ酸共に中性で、非極性残基を含み、グルタミンの方が長い側鎖をもつ(−CH−基が1つ多い))、グルタミンが選ばれた。
− 新しいユニーク又は稀な(例えばE1Gly5のための第2のSmaI部位)制限酵素部位を作り出すための、グリコシル化部位の下流側のコドンのうちの単数又は複数のものの中へのサイレント突然変異の導入。アミノ酸配列を修飾することなく、この突然変異は、もとのE1配列(pvHCV−10A)から又は互いから突然変異を受けた配列を識別する方法を提供することになる(図41)。この付加的な制限部位は、新しいハイブリッド(2重、3重など)グリコシル化突然変異の構築にとっても有用であり得る。
− 18個のヌクレオチドが最初の不整合ヌクレオチドの5’を延長し、12〜16個のヌクレオチドが3’末端まで延長する。表7は、Nリンクしたグリコシル化部位の配列と重複する6個のGLY#プライマーの配列を表している。
部位特異的突然変異誘発のためには、「ミスプライミング」又は「重複拡張」(Horton、1993年)が用いられた。この概念は図42及び43で例示されている。まず最初に、2つの別々のフラグメントを、突然変異を受けた各部位についてターゲット遺伝子から増幅した。5’末端から得たPCR産物(産物GLY#)を5’センスGPTプライマー(表7参照)及びそれぞれの3’アンチセンスGLY#プライマーで増幅させた。第2のフラグメント(産物OVR#)を3’アンチセンスTKプライマー及びそれぞれの5’センスプライマー(OVR#プライマー、表7参照、図43)で増幅させた。
OVR#プライマーは、GLY#プライマー配列の一部をターゲティングする。従って、PCR産物の2つのグループは、同一の配列の重複領域を共有する。これらの中間産物が混合され(GLY−1とOVR−1、GLY−2とOVR−2など)、高温で溶融され、再アニールされた時点で、産物GLY#のトップセンスストランドは、2つのストランドが互いにとってのプライマーとして作用するような形で、産物OVR#のアンチセンスストランドに(及びその逆に)アニールすることができる(図42B参照)。2つのPCRサイクル中のTaqポリメラーゼによるアニールされた重複の拡張が、グリコシル化部位番号#を破壊する突然変異を担持する全長突然変異体分子E1Gly#を作り上げた。2つの内部的ネスト化プライマーの共通のセットを用いて、第3のPCRにおいてクローニングのための充分な量のE1GLY#が生成された。これら2つの新しいプライマーが、ワクシニア11Kプロモータの3’末端(センスGPT−2プライマー)及びワクシニアチミジンキナーゼ遺伝子座の5’末端(アンチセンスTK−2プライマー、表7参照)とそれぞれ重複している。全てのPCR条件を、Stuyverら(1993年)に記載されている通りに実施した。
これらのPCR産物の各々は、もとのE1配列(pvHCV−10A)を含有するEcoRI/BamHI切断ワクシニアベクター内へのEcoRI/BamHIの開裂によってクローニングされた。
EcoRI/BamHI開裂によるインサートの長さ及び各々の新しい制限部位の存在について、選択されたクローンを分析した。突然変異を受けた部位と重複する配列は、2本鎖配列決定によって確認した。
8.3 E1グリコシル化突然変異体の分析
実施例8.2に記載されている通りの突然変異体E1を含有する6つのプラスミドから出発して、実施例2.5に記載されているように、wtワクシニアウイルスでの組換えにより組換え型ワクシニアウイルスを生成した。簡単に言うと、亜集密なRK13細胞の175cmのフラスコを、突然変異体E1配列を担持する6つの組換え型ワクシニアウイルスならびに(突然変異を受けていないE1配列を担持する)vvHCV−10A及びwtワクシニアウイルスで感染させた。24時間の感染後、細胞を溶解させ、実施例4に記載されている通りウェスタンブロット上で分析した(図44A参照)。全ての突然変異体は、もとのE1タンパク質に比べSDS−PAGE上で(約2〜3kDaのより小さい分子量に対応する)より早い移動度を示し、これは、1つの炭水化物が付加されなかったことを確認するものであった。組換え型ウイルスも同様にPCR及び制限酵素分析により分析して、異なる突然変異体の同一性を確認した。図44Bは、全ての突然変異体(図41に示されているような)が、予想された付加的な制限部位を含んでいたことを示している。ELISAにより異なる突然変異体の反応性をテストするために、細胞溶解産物のもう1つの部分を使用した。溶解産物を20倍に希釈し、実施例6で記載したとおり、レクチンGNAでコーティングされたマイクロウェルプレートに添加した。捕獲された(突然変異体)E1糖タンパク質を、実施例6で記載した通り、24人のHCV感染患者の20倍希釈血清と反応させた。6つの突然変異体及びE1についての信号対雑音(S/N)値(GLY#のOD/wtのOD)が表8に示されている。この表は同様にGLY#とE1タンパク質のS/N値の比も示している。患者の血清との反応性の比較のため異なる突然変異体の細胞溶解産物を使用するアプローチが、反応性レベルではなくむしろ異なる発現レベルの帰結である観察事実を結果としてもたらす可能性があるということを理解すべきである。かかる問題点は、実施例5に記載されている通りの異なる突然変異体の精製によって及び同量の全ての異なるE1タンパク質をテストすることによって克服できる。しかしながら、表5に示されている結果はすでに、第1(GLY1)、第3(GLY3)及び第6(GLY6)のグリコシル化モチーフの除去が一部の血清の反応性を減少させる一方で、第2及び第5の部位の除去はこれを減少させないということを表わしている。GLY4の除去は、或る種の血清の反応性を改善するように思われる。これらのデータは、異なる患者が本発明のグリコシル化突然変異体に対し異なる形で反応するということを表わしている。かくして、かかる突然変異体E1タンパク質は、HCV疾患の診断(スクリーニング、確認、予後診断など)及びその予防にとって有用でありうる。
実施例9:グリコシル化−欠損酵母におけるHCVE2タンパク質の発現
クローンHCC141に対応するE2配列に、酵母発現ベクター内に挿入されたα−交配因子プリノプロシグナル配列を具備し、この構築物で形質転換したS.cerevisiae細胞は、増殖培地内にE2タンパク質を分泌した。大部分のグリコシル化部位が、S.cerevisiae菌株内でのこのような構築物の発現の時点で高マンノースタイプのグリコシル化で修飾されたことが観察された(図45)。この結果、異種性が高過ぎることになり反応性が遮へいされ、これはワクチン又は診断のいずれの目的のためにも望ましいことではない。この問題を克服するために、バナジウム酸塩耐性クローンの選択を用いて、修飾されたグリコシル化経路をもつS.cerevisiae突然変異体が生成された。糖タンパク質転化酵素の分子量及び異質性の分析により、修飾されたグリコシル化経路について、かかるクローンを分析した。こうして我々は、異なるグリコシル化欠損S.cerevisiae突然変異体を同定することができた。E2タンパク質をその後、選択された突然変異体のうちの一部の中で発現させ、実施例4に記載されている通りのウェスタンブロット上で実施例7に記載されている通りにモノクローナル抗体と反応させた(図46)。
実施例10 一般的有用性
当該結果は、ヒト患者血清とHCV外被タンパク質の間で高い反応性に達するためには、優れた発現系のみならず優れた精製プロトコルも必要とされる、ということを示している。これは、タンパク質の天然の折畳みの保存を保証する本発明の適切なHCV外被タンパク質発現系及び/又は精製プロトコル、及び汚染性タンパク質の除去を保証し、HCV外被タンパク質の立体配座ひいては反応性を保つ本発明の精製プロトコルを用いて得ることができる。診断スクリーニング検定のために必要とされる精製されたHCV外被タンパク質の量は、一年あたりグラム数の範囲内にある。ワクチンを目的とする場合には、さらに多量の外被タンパク質が必要となると思われる。従って、最良の発現構築物を選択しスケールアップを制限するためにワクシニアウイルス系を使用することができ、複数の酵母菌株から発現された時点で高いマンノース炭化水素を含む単一又は特異的オリゴマー外被タンパク質の大規模発現及び精製を達成することができる。例えばB型肝炎の場合、哺乳動物細胞からのHBsAgの製造は、酵母由来のB型肝炎ワクチンと比べはるかにコストの高いものであった。
本発明で開示された精製方法は同様に、「ウイルス外被タンパク質」全般のために使用することもできる。例としては、フラビウイルス、新たに発見されたGB−A、GB−B及びGB−C型肝炎ウイルス、ペスチウイルス(例えばウシウイルス性下痢性ウイルス(BVDV)、豚コレラウイルス(HCV)、ボーダー病(BDV))に由来するもの、のみならず、(主としてHBsAgの精製用の)B型肝炎ウイルスといった関連性の低いウイルスに由来するものがある。
本発明の外被タンパク質精製方法は、詳細な説明の節で記されているような原核生物内又は下等又は高等真核生物細胞における細胞内及び細胞外発現されたタンパク質のために使用することができる。
実施例11:予防及び治療上の有用性の実証
HCVに慢性感染したチンパンジーにおける肝疾患は、E1での免疫化により低減させることができる。しかしながら、有意な免疫応答に達するためには、多数回の免疫化が必要とされた。当業者であれば、ウイルス自体又は宿生のいずれかによって組織される免疫変調によりウイルスの持久性が生み出されることを認識するであろう。このような免疫変調がHCV内で実際に存在するか否かを分析するために、ナイーブ(naive)なチンパンジーおよび慢性的に感染したチンパンジーにおけるE1及びNS3に対する免疫応答を比較した。慢性感染した動物における比較的低い応答が予想されたことから、ナイーブ動物のために使用されるアジュバントであったミョウバンに比べて細胞応答(表9)を誘発する効能がより高いことがマウスにおいて証明されたアジュバントの使用;そして、ナイーブ動物の場合の6回に比べ12回の免疫化から成る慢性感染した動物に対する免疫化計画(図47)を含めたより厳しい免疫化計画のために、この動物グループが選択された。
免疫化された動物の数は統計的分析を可能にするものではないが、体液性応答において以下の明確な傾向が検出できる(表10)。すなわち血清変換のための免疫化の回数は、ナイーブ動物においてより低く、免疫応答の規模は、ナイーブ動物において実質的に大きく、2/3の感染動物は、12回の免疫化の後でさえ10内部単位のレベルに達しない。
3回の免疫化の後の細胞応答の分析は、以下のものを含めた、さらに大きい差(図48a−d)を明らかにしている。すなわち、ナイーブ動物では明確な刺激が見られるのに対し、慢性感染動物では、E1特異的T細胞増殖はほとんど見られない。又IL−2測定は、慢性キャリヤにおけるT細胞区画の低い刺激を確認した。さらに、ミョウバンアジュバント含有ワクチンについて予測されるように、ナイーブ動物における明確なTh2(IL−4)応答が誘発されている。
このことは、少なくともE1免疫化が、ナイーブ動物における予防的効果を提供することを確認し、かつE2及び/又はE1とE2タンパク質及び/又はペプチドの組合せがナイーブ動物において有用な治療的及び/又は予防的利点を提供しうるということを示唆している。
HCVE1抗原に対する細胞及び体液性応答の両方を誘発することの「障害」は、各注射の後の抗体力価の増大が指摘されたがナイーブ動物の場合のようなレベルは2/3の動物において達成されなかったこと及びT細胞増殖性応答が非常に低いものにとどまっていること(図49)といった結果により実証されるように、多数回の免疫化により部分的に克服できるにすぎない。しかしながら、ELISPOTの結果は、IL−2のわずかな増大(図示せず)、IFN−gの無変化(図示せず)及びTh2型応答がより容易に誘発されることを表わすIL−4の増加(図49)を示している。IL−4は、ナイーブ動物における3回の免疫化の後達したレベルに比べ低いレベルにとどまるということが指摘された。
慢性チンパンジーにおいてさらに一層強いアジュバント(RIBI)が使用されたNS3の免疫化について、かなり類似した観察がなされた。ナイーブ動物におけるミョウバン製剤と比較して、以下のことが指摘されてきた。すなわち、誘発された抗体力価は、両方のグループにおいて比較可能なものであり(図示せず)、サイトカイン分泌及びT細胞増殖は両方共、ナイーブ動物における応答に比べ慢性動物においてはほぼ欠如している(図49a−b)。
現在、慢性キャリヤにおけるHCVに対する免疫応答は、低いか又は少なくとも感染の一掃を可能にするには不充分なものであるといういくつかの指摘が存在してきた。上述の結果は、HCV慢性キャリヤの免疫系が損なわれる可能性があり、ナイーブな状況の場合と同じ位効率良くHCV抗原に応答しないという仮説を裏づけている。
Wiedmannら、(Hepatology 2000;31:230〜234)による研究の中で、HBVのためのワクチン接種はHCV慢性キャリヤの場合より効力が低く、これは、このような免疫機能障害がHCV抗原に制限されないことを表わしている。De Mariaら、(Hepatology 2000;32:444〜445)は、これらのデータを確認し、HCV患者について適合されたワクチン用量・用法を提供してきた。ここで提示されたデータは、免疫化の回数を増加させることで実際に体液性応答を増大させ得るが、細胞(特にTh1)応答は強力なアジュバントを使用した場合でさえ誘発が困難であるということを表わしている。免疫系がより応答傾向をもつ場合、抗ウイルス療法の時点で免疫化を始めることが有利であり得る。
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実施例12:HCV亜型Ibに慢性的に感染したチンパンジーの免疫化
すでに13年にわたり(免疫化まで5015日)HCV亜型Ib菌株に感染していたチンパンジー(Phil)に、アミノ酸レベルで95.1%の同一性をもつ(本書にその全体が参考として包含されている国際公開第99/67285号パンフレットの表2も参照のこと)遺伝子型1bの異なる菌株に由来しかつ国際公開第99/97285号パンフレットの実施例1−3に記載されている通りに調製されたE1(aa192〜326)をワクチン接種した。メーカーのプロトコル(モンタナ州ハミルトンのRiki Inc.)に従って、RIBI R−730(MPLA+TDM+CWS)と混合した各々50μgのPBS/0.05%CHAPS中のE1の合計6回の免疫化をチンパンジーに施した。6回の免疫化は、3週間の間隔で3回の注射から成る2セットで与えられ、2セット間に6週間の遅滞期間をおいた。免疫化の150日前に開始して、免疫化期間中そして免疫化後1年まで(以下及び国際公開第99/67285号パンフレットを参照のこと)、チンパンジーを、HCV誘発疾患の活性を表わすさまざまなパラメータについて連続的に監視した。これらのパラメータには、血液化学、ALT、AST、ガンマGT、血液化学、血清中のウイルス量、肝臓中のウイルス量及び肝臓組織学が含まれていた。さらに、免疫化に対する免疫応答を、体液性及び細胞性の両方のレベルで監視した。この期間中、挙動変化、臨床的症候、体重、体温及び局所的反応(赤み、膨れ、硬結)といったような免疫化のあらゆる不利な効果についても、動物を監視した。このような効果は検出されなかった。
明らかに、ALT(そして特にガンマGT、データは図示せず)レベルは、E1に対する抗体レベルがその最大値に達した時点で直ちに減少した(国際公開第99/67285号パンフレットの図8参照)。ALTは、抗体レベルが低下し始めると直ちにむしろ急激にぶり返したが、ガンマGTは抗−E1が検出可能な状態にとどまっているかぎり、より低いレベルにとどまった。
肝臓内のE2抗原は、抗−E1が検出可能である期間中ほぼ検出できないレベルまで減少し、E2抗原はこれらの抗体の消滅後すぐにぶり返した。コア及びE2抗原が肝臓内で検出できなくなったのと同時に、肝臓の炎症は、著しく低減した(国際公開第99/67285号パンフレットの表3も参照のこと)。これは、おそらくは少なくとも部分的にウイルス抗原をその主要な標的器官つまり肝臓から一掃することによって肝臓の損傷の減少をワクチンが誘発するということの主たる証拠である。
Amplicor HCVモニター(スイス、バーゼルのRoche)により測定された通りのウイルス血症レベルは、全研究期間中血清内でほぼ不変にとどまった。
体液性応答をさらに詳細に分析すると、最大終末点力価が(6番目の免疫化の後)14.5×10に達したこと及びこの力価が免疫化から1年後に検出できないレベルまで降下したこと(国際公開第99/67285号パンフレットの図8)が明らかになった。国際公開第99/67285号パンフレットの図9は、B細胞により認識されたペプチドにより模倣されうる主要エピトープが、E2のN末端領域に位置特定されていることを示している(ペプチドVIV2及びV2V3、使用されるペプチドについての詳細は、国際公開第99/67285号パンフレットの表4を参照のこと)。組換え型E1に対する反応性はより高くより長く持続するものであることから、この図から、これらのペプチドを認識する抗体がE1に対する全抗体集会の1部分のみを表わすものであるということを演繹することもできる。残りの部分は、ペプチドにより模倣され得ないエピトープ、すなわち不連続エピトープに対し向けられている。このようなエピトープは、完全E1分子上のみに存在するかさらには粒子様構造上のみに存在している。E1に対するこのような応答は、少なくともその自然の感染経過において抗−E1抗体を発生させる、ヒト慢性HCVキャリヤ(Maertensら、.に対する国際公開第96/13590号パンフレット)内及びチンパンジー(van Doornら、1996年)において通常見られるものに比べて、独特のものである。これらの患者においては、抗−E1はその一部分が、不連続エピトープに対しても向けられるが、大部分はC4エピトープに対して向けられ(患者血清の±50%)、わずかな割合が(遺伝子型に応じて2〜70%の範囲内)V1V2に対し向けられ、V2V3に対する反応性は例外的に記録されたにすぎない(Maertensら、1997年)。
T細胞の反応性の分析は、これらのT細胞の刺激指数が1から2.5まで上昇し、追跡調査期間中幾分か高い状態にとどまることから、免疫系のこの区画も又ワクチンにより特異的に刺激されるということを示した(国際公開第99/67285号パンフレットの図10)。インターフェロン療法に対する長期応答者においてしか見られないのは、このT細胞反応性である(Leroux−Roelsら、.に対するPCT/EP94/03555;Leroux−Roelsら、1996年を参照のこと)。
実施例13:異なる亜型での慢性HCVキャリヤの免疫化
すでに10年にわたり(免疫化まで3809日)GN型Iaに由来するHCVに感染していたチンパンジー(Ton)に、アミノ酸レベルで79.3%の同一性しかもたず(国際公開第99/67285号パンフレットの表2も参照のこと)、かつ国際公開第99/97285号パンフレットに記載されている通りに調製されたGN型1b由来のE1をワクチン接種した。メーカーのプロトコル(モンタナ州ハミルトンのRiki Inc.)に従って、RIBI R−730と各々混合した50μgのPBS/0.05%CHAPS中のE1の合計6回の筋肉免疫化をチンパンジーに施した。6回の免疫化は、3週間の間隔をおいた3回注射から成る2セットで行われ、セット間に4週間の遅滞期間をおいた。免疫化の250日前に開始して、免疫化期間中そして免疫化後9ヶ月まで(以下及び国際公開第99/67285号パンフレットを参照のこと)、チンパンジーを、HCV誘発疾患の活性を表わすさまざまなパラメータについて連続的に監視した。これらのパラメータには、血液化学、ALT、AST、ガンマGT、血清中のウイルス量、肝臓中のウイルス量及び肝臓組織学が含まれていた。さらに、免疫化に対する免疫応答を、体液性及び細胞の両方のレベルで監視した。この期間中、挙動変化、臨床的症候、体重、体温及び局所的反応(赤み、膨れ、硬結)といったような免疫化のあらゆる不利な効果についても、動物を監視した。このような効果は検出されなかった。
明らかに、ALTレベル(そしてガンマGT、データは図示せず)は、E1に対する抗体レベルがその最大値に達した時点で直ちに減少した(国際公開第99/67285号パンフレットの図11参照)。ALT及びガンマGTは、抗体レベルが低下し始めると直ちにむしろ急激にぶり返したが、ATLとガンマGTは全追跡調査期間中、より低いレベルにとどまった。ALTレベルは、ワクチン接種前の期間(85±11U/l)と比べてワクチン接種後に著しくとさえ言えるほどに低減した(62±6U/l)。血清中で回収された組織損傷マーカーは比較的少ないものであったため、これらの発見事実は、該ワクチン接種が肝疾患の改善を誘発したことの最初の表れであった。
E2抗原レベルは、抗−E1が1.0×10の力価より高くとどまった期間において検出不能となったが、より低いE1抗体レベルの時点で再び検出可能になった。HCV抗原の消滅と合わせて、肝臓の炎症は、穏やかな慢性活性肝炎から最小限の慢性持続性肝炎形態へと顕著な形で減少した(国際公開第99/67285号パンフレットの表3)。これは、おそらくは少なくとも部分的にウイルスをその主要な標的器官つまり肝臓から一掃することによって肝臓の損傷の減少をワクチンが誘発するということのもう1つの主たる証拠である。
血清中のAmplicor HCVモニター(Roche,Basel,Switzerland)により測定された通りのウイルス血症レベルは、全研究期間中ほぼ類似のレベルにとどまった。体液性応答をさらに詳細に分析すると、達成された最大終末点力価が(6番目の免疫化の後)30×10であったこと及びこの力価が免疫化から9ヶ月後に0.5×10まで降下したこと(国際公開第99/67285号パンフレットの図11)が明らかになった。国際公開第99/67285号パンフレットの図12は、ペプチドにより模倣され得、B細胞により認識された主要エピトープが、N末端領域に位置特定されていることを示している(ペプチドV1V2及びV2V3、使用されるペプチドについての詳細は、国際公開第99/67285号パンフレットの表4を参照のこと)。組換え型E1に対する反応性はより高くより長く持続するものであることから、この図から、これらのペプチドを認識する抗体がE1に対する全抗体集会の1部分のみを表わすものであるということを演繹することもできる。残りの部分は、ペプチドにより模倣され得ないエピトープ、すなわち不連続エピトープに対し向けられる確率が高い。このようなエピトープは、おそらくは完全E1分子上のみに存在するかさらには粒子様構造上のみに存在している。E1に対するこのような応答は、少なくとも検出可能な抗−E1を有する、ヒト慢性HCVキャリヤにおいて通常見られるものに比べて、独特のものである。これらの患者においては、抗−E1はその一部分が、同様に不連続であるものの、大部分はC4エピトープに対して向けられ(患者血清の50%)、わずかな割合が(遺伝子型に応じて2〜70%の範囲内)V1V2に対し向けられ、例外的にV2V3に対する反応性が記録された(Maertensら、1997年)。このチンパンジーは1a分離株に感染していることから、抗体応答は、E1−1a抗原に対する交差反応性についても評価された。国際公開第99/67285号パンフレットの図13を見ればわかるように、このような交差反応性抗体が実際に生成されるものの、これらは全抗体集団の一部分を形成しているにすぎない。注目に値するのは、肝臓内のウイルス抗原の再出現と血清中の検出可能な抗1aE1抗体の消滅の相関関係である。
T細胞の反応性の分析は、これらのT細胞の刺激指数が0.5から5まで上昇し、追跡調査期間中高い状態にとどまることから、免疫系のこの区画も又ワクチンにより特異的に刺激されるということを示した(国際公開第99/67285号パンフレットの図14)。
実施例14:E1でのHCV慢性キャリヤの再追加抗原投与
実施例12及び13で観察された通りのE1抗体力価は安定せず、1b感染したチンパンジーに対してさえ経時的に低下したことから、この抗体応答を付加的追加抗原投与により再び増大させることができるか否かが調査された。両方のチンパンジーを、3週間の間隔を置いて3回の連続的筋内免疫化によって再度免疫化した(RIBIアジュバントと混合した50μgのE1)。国際公開第99/67285号パンフレットの図8及び11から判断できるように、抗−E1応答を実際に追加抗原投与により促進することができ、再び肝臓内のウイルス抗原は検出限界より下に減少した。それでも血清中のウイルス量は、Tonにおいて一定にとどまった(国際公開第99/67285号パンフレットの図11)。1mlあたりの10未満のゲノム当量というウイルス血症レベルが、追跡調査期間中に初めて測定された。
注目に値するのは、第1セットの免疫化についてすでにそうであったように、1b亜型HCV菌株に感染したチンパンジー(Phil)が、1a亜型HCV菌株に感染したチンパンジーに比べて低い抗−E1力価で応答するという発見事実である(第1回目の最大力価はTonについて30×10であるのに対し14.5×10、さらなる追加抗原投与の後ではTonについて40×10であるのに対しPhilについてはわずか1.2×10)。両方の動物について有益な効果は類似していると思われるが、この実験から、もう1つの亜型又は遺伝子型に由来するE1タンパク質での慢性キャリヤの免疫化が、恐らくは宿主内に存在し感染性亜型又は遺伝子型により誘発された予め存在する特異的な免疫抑制を回避して、より高い力価に達するのに特に有益であるかもしれない、という結論を下すことができた。代替的には、相同性環境(1bワクチン+1b感染)内で見られたより低い力価は、ウイルスに対する大量の抗体の結合を示している可能性がある。従って、誘発された抗体は、中和能力を有する可能性がある。
実施例15:チンパンジーにおけるE1−ワクチン接種の予防的有用性の実証
組換え型ワクシニアウイルスHCV11Bを用いてHCV Elsタンパク質(アミノ酸192〜326)を、ベロタンパク質内で発現させた。このワクシニアウイルスは基本的に(本書にその全ての内容が参考として包含されている米国特許第6,150,134号に記載されているような)vvHCV11Aと同一であるが、RK13からベロタンパク質へと継代された。(レンチルクロマトグラフィ、還元−アルキル化及びサイズ排除クロマトグラフィを用いて)、基本的にPCT/E99/04342(国際公開第99/67285号パンフレット)の実施例9に記載されているように、システインのためのアルキル化剤としてヨードアセタミドを使用して、タンパク質を精製した。3%のエンピゲン−BBをPCT/E99/04342の実施例1に記載されているようにサイズ排除クロマトグラフィによって3%のベタインに交換した後、このプロセスにより、Elsを1つの粒子として回収できるようにする。最終的に、PBSが0.5%のベタインを含有しEls濃度が500μm/mlとなるまで、材料を脱塩した。このE1を等体積のAlhydrogel 1.3%(デンマークのSuperfos)と混合し、最終的に0.9%のNaCl8体積でさらに希釈して、0.13%のAdhydrogel及び50μgEl/mlの濃度でミョウバンをアジュバントとするE1を生み出した。
野生型ワクシニアウイルス及びPCT/E99/04342の実施例8で記載されたpvHCV−101から組換えられた組換え型ワクシニアウイルスHCV101を用いて基本的にE1について記載されている通りに、HCV E2デルタHVRI(アミノ酸412〜715)をベロの中で発現させそこから精製した。同様に、E2デルタHVRIは、エンピゲンからベタインへの免疫の後、(動的光散乱により測定される)1つの粒子として挙動する。
HCV−RNA及びHCV−抗体についてテストで陰性となった5匹のチンパンジーを選択した。そのうちの一匹(Huub)は、免疫化されず、2匹は、ミョウバンをアジュバントとした50μgのE1で6回の免疫化を受け(Marti及びYoran)、一方残りの2匹は、ミョウバンをアジュバントとして50μgのE2デルタHVRIで6回の免疫化を受けた。全ての免疫化は、3週間の間隔をおいて筋内投与された。動物を免疫化した抗原に対する体液性及び細胞性免疫応答を、各動物において査定し、各々の動物において表11に示されるように両方のタイプの応答が検出された。
全てのチンパンジーが、抗原投与後7日目にHCV−RNA陽性となり(スイス、バーゼルのRoche社のモニターHCVで決定)、最初のALT及びガンマGTピークは35日目と63日目の間で測定された。このことは、全てのチンパンジーが急性肝炎を発生させたということを明示している。注目すべきことに、E1で免疫化された両方の動物はその感染を消散させたのに対し、E2デルタHVRI及び制御動物は消散させなかった。このことは、E1で免疫化された動物が98日目(Yoran)及び133日目(Marti)にHCV−RNAを失ない(スイス、バーゼルのRoche社のモニターHCVで決定)、これまでのところ毎月の試験で273日目まで陰性にとどまった。その他の動物は全て、今までのところ、E1で免疫化されたチンパンジーに関してALT及びガンマGT値が正常に戻らない状態で273日の追跡調査期間全体にわたりRNA陽性にとどまった。
表11
6回目の免疫化から2週間後にELISAにより抗体力価を決定した。標本の階段希釈を、社内規準と比較した(1000mU/mlのE1又は抗−E2デルタHVRI抗体をもつものとして定義されているこの社内規準は、高い抗外被力価に基づいて選択されたHCV慢性キャリヤからの3つの血清の混合物である)。細胞性免疫応答を反映する刺激指数は、外被抗原の存在下又は不在下で第3の免疫化から2週間後に動物から抜取られたPBMCを培養し、5日間の培養後18時間のパルス中にこれらの細胞内に取込まれたトリチウム標識チミジンの量を決定することによって得られた。刺激指数というのは、外被抗原と共に培養された細胞内に取込まれたチミジン対抗原無しで培養されたものの比率である。3を上回る刺激指数が、陽性信号であるとみなされる。
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6回のうちの最後免疫化から3週間後、対照を含む全ての動物に、遺伝子型1b接種材料100CID(チンパンジー感染用量)(メリーランド州ベテスダのJ.Bukh博士より提供して頂いたもの)で抗原投与した。ワクチンタンパク質とJ4.91分離株(その配列情報は受入れ番号BAA01583で入手可能)の間のアミノ酸配列の相違は、Elsについては7%(135個のうち9個のアミノ酸)であり、E2デルタHVRIについては11%(304個のうち32個のアミノ酸)である。従って、この抗原投与は、異種とみなされ、現実の抗原投与を反映している。
結論として、我々は、HCVに関連する大きな健康上の問題である慢性感染に至るまでの進行を防ぐことによって、E1免疫化がHCV感染の変遷を変えるということを示してきた。
実施例16:チンパンジーにおける感染の一掃を可能にした類似のE1応答を、ヒトで誘発させることができる。
ヒトにおいてE1の免疫化の予防的効果を得るためには、チンパンジーに比べて類似の免疫応答がヒトにおいて誘発できることが必要とされる。従って我々は、抗−E1応答(体液性又は細胞)が全く検出できなかった20人の男性志願者に、0.5ml中0.13%のAlhydrogelで処方された20μgのElsの3用量をワクチン接種した。全ての免疫化は、3週間の間隔をおいて筋内投与した。表12に明示されているように、20人の志願者のうち17人は実際に、E1に対し有意な体液性及び細胞性免疫応答を起こし、しかも重大な不利な事象は発生しなかった。1人の志願者(対象021)だけは、体液性応答も細胞応答も3回のE1免疫化の後カットオフレベルより高くなかったことから、非応答者としてみなさなくてはならなかった。体液性応答がチンパンジーに比べ低いという観察事実は、20μgでの3回の免疫化のみが投与され50μgで6回投与されたのではないという事実に関係している。
表12
3回目の免疫化から2週間後にELISAにより抗体力価を決定した。標本の階段希釈を、社内規準と比較した(1000mU/mlのE1又は抗−E2デルタHVRI抗体をもつものとして定義されているこの社内規準は、高い抗外被力価に基づいて選択されたHCV慢性キャリヤからの3つの血清の混合物である)。刺激指数(細胞性免疫応答)は、1μgのE1の存在下又は不在下で第3の免疫化から2週間後に固体から抜取られたPBMCを培養し、5日間の培養後18時間のパルス中にこれらの細胞内に取込まれたトリチウム標識チミジンの量を決定することによって得られた。刺激指数というのは、外被抗原と共に培養された細胞内に取込まれたチミジン対抗原無しで培養されたものの比率である。3を上回る刺激指数が、陽性信号であるとみなされる。
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実施例17:ワクチン接種を受けた健康な志願者におけるE1応答の追加抗原投与
実施例16の20人のヒトの志願者のうち19人に再び、26週目で(すなわち3回目の免疫化の20週後)0.5ml中の0.13%のAlhydrogelに基づいて処方された20μgのElsを追加抗原投与した。この付加的な免疫化から2週間後に再び抗体力価及び細胞性免疫応答を決定した。全ての個体において、20週間の間隔の間に抗体力価は減少したが、この付加的な免疫化により、8週目に見られたもの以上のレベルまで容易に引上げることができた。平均して、抗体力価は、8週目の力価に比べこの追加抗原投与後2倍高く、又26週目の力価に比べて7倍高いものであった(表13)。
注目すべきことに、T細胞応答は、大部分の個体について20週の間隔後なおも高いものであった。以前のワクチン接種の結果として大部分の個体において存在する破傷風応答への正規化を考慮に入れると、刺激指数の幾何学平均にはいかなる変化もない。付加的な追加抗原投与の後、破傷風応答への正規化を考慮に入れると、いかなる変化も見られない(図51)。このことは、強いTヘルプ応答が3E1の免疫化の後に誘発されたということを確認しており、又、これらの免疫化が少なくとも6ヶ月の期間中はさらなる追加抗原投与を全く必要としない非常に優れたTヘルプメモリーをすでに誘発したことを表わしている。
表13
3回目の免疫化から2週間(=8週目)、及び20週間後(=26週目)そして最終的に追加抗原投与から2週間後(=28週目)にも、ELISAにより抗体力価を決定した。標本の階段希釈を、社内規準と比較した(1000mU/mlのE1抗体をもつものとして定義されているこの社内規準は、高い抗外被力価に基づいて選択されたHCV慢性キャリヤからの3つの血清の混合物である)。正確な比較のため、8週目での力価の決定を26及び28週目の標本の場合と同じ検定内で反復したが、このことが実施例16の表12との差異を説明している。
Figure 2005516939
図51の説明:刺激指数(細胞性免疫応答)は、3μgの組換え型E1s又は2μgの破傷風トキソイドの存在下又は不在下で、免疫化前(0週目)、三回目の免疫化の2週間後(8週目)、追加抗原免疫化(26週目)及び追加抗原免疫化の2週間後(28週目)に個体から抜取られたPBMC(10個の細胞)を培養し、5日間の培養後の18時間のパルス中のこれらの細胞内に取込まれたトリチウム標識チミジンの量を決定することによって得られた。刺激指数というのは、外被抗原と共に培養された細胞内に取込まれたチミジンと抗原無しで培養されたものとの比率である。0週目と8週目の標本は、1回目の検定(A)で決定され、一方26週目と28週目の標本は、0週目の標本が再度分析された第2の検定(B)において決定された。結果は、全20人(A.実験)又は19人(B.実験)の志願者の幾何平均刺激指数として表わされている。
さらに、Th1サイトカインインターフェロンガンマ及びTh2サイトカインインタロイキン−5は、26週目と28週目で取上げられE1で再刺激された標本のPBMC培養の上清中で測定した。図52から判断できるように、E1で刺激されたPBMCにより分泌された優勢なサイトカインはインターフェロンガンマである。強いTh1でバイアスされた応答がミョウバンをアジュバントとするE1で見られたということは、ミョウバンがTh2誘発物質として知られていることからきわめて驚くべきことである。ここでも又、結果は、最終的追加抗原投与(26週目)の前にすでに非常に強い応答が見られていることから優れたT細胞メモリー応答が誘発されることを確認するものである。付加的な実験において、0週目に抜取られた標本を用いたこれらの志願者の刺激を受けていない細胞培養とE1刺激を受けた細胞培養の間にはインターフェロンガンマ分泌の差異が全く見られなかったことから、インターフェロンガンマ分泌は特異的であることが発見された。
図52の説明:追加抗原免疫化(26週目)の前及び追加抗原免疫化の2週間後(28週目)に個体から抜取られたPBMC(10個の細胞)を、3μgの組換え型E1s(E1)又は2μgの破傷風(TT)の存在下で又は抗原の全くない状態で(B1)培養した。24時間後(インタロイキン−5)又は120時間後(インターフェロンガンマ)にELISAを用いて取った上清の中で、サイトカインを測定した。刺激指数は、外被抗原と共に培養された細胞の上清内と抗原無しで培養されたものの上清内で測定したサイトカインとの比率である。結果は、19人の志願者すべてが分泌したpgサイトカイン/mlの幾何平均として表現されている。検出限界より低いサイトカイン量をもつ標本には、検出限界の値が割当てられた。同様にして、検定の線形範囲の外のきわめて高いサイトカイン濃度をもつ標本には、検定の線形範囲の限界の値が割当てられた。
実施例18:ワクチン接種を受けた健康な志願者におけるE1に対する細胞応答のマッピング
E1特異的応答をマッピングするために、E1sの全配列を網羅し、8アミノ酸の重複を伴って、標準的Fmoc化学を用いて、一連の20量体ペプチドを合成した。遊離アミノ末端をもつIGP1626を除いて、全てのペプチドはC末端アミド化され、N末端アセチル化された。
IGP1626:YEVRNVSGIYHVTNDCSNSS(アミノ酸192−211)(配列番号112)
IGP1627:TNDCSNSSIVYEAADMIMHT(アミノ酸204−223)(配列番号113)
IGP1628:AADMIMHTPGCVPCVRENNS(アミノ酸216−235)(配列番号114)
IGP1629:PCVRENNSSRCWVALTPTLA(アミノ酸228−247)(配列番号115)
IGP1630:VALTPTLAARNASVPTTTIR(アミノ酸240−259)(配列番号116)
IGP1631:SVPTTTIRRHVDLLVGAAAF(アミノ酸252−271)(配列番号117)
IGP1632:LLVGAAAFCSAMYVGDLCGS(アミノ酸264−283)(配列番号118)
IGP1633:YVGDLCGSVFLVSQLFTISP(アミノ酸276−295)(配列番号119)
IGP1634:SQLFTISPRRHETVQDCNCS(アミノ酸288−307)(配列番号120)
IGP1635:TVQDCNCSIYPGHITGHRMA(アミノ酸300−319)(配列番号121)
IGP1636:HITGHRMAWDMMMNWSPTTA(アミノ酸312−331)(配列番号122)
E1sのワクチン接種を受けていない14人の異なる健康なドナーから又はE1でのワクチン接種を受けた10人のドナーからのPBMCを25μg/ml(ワクチン接種を受けていない人)又は10μg/ml(ワクチン接種を受けた人、3回目又は追加抗原注射後に採取した標本)の存在下で培養した。図53から判断できるように、ペプチドIGP1627、1629、1630、1631、1633、1635及び1635は全て、ワクチン接種を受けていない人と比べてワクチン接種を受けた人において著しく高い応答を誘発した。3という刺激指数をカットオフとして用いると、ペプチドIGP1627、1629、1631及び1635が最も頻繁に認識された(すなわち、テスト対象のワクチン接種を受けた人の少なくとも半数により認識された)。
この実験は、哺乳動物細胞培養に由来するE1sによって誘発されたT細胞応答が、哺乳動物細胞培養に由来する同じE1sによってのみならず合成ペプチドによっても呼び起こされ得ることから、これらの応答がE1に対し特異的であることを試すものである。さらに、この実験は、E1中の最も免疫原性の高いT細胞ドメインがアミノ酸204〜223、228〜271、276〜295、300〜331そしてより詳細にはアミノ酸204〜223、228〜247、252〜271及び300〜319の間に位置設定されていることを描写している。
図53の説明:刺激指数(細胞性免疫応答)は、ペプチドの存在下又は不在下でPBMC(3×10個の細胞)を培養し、5〜6日の培養後パルス中にこれらの細胞内に取込まれたトリチウム標識チミジンの量を決定することによって得られた。刺激指数というのは、ペプチドと共に培養された細胞内に取込まれたチミジン対ペプチド無しで培養されたものの比率である。結果は、ワクチン接種された人(上の図版)又はワクチン接種を受けていない人又は対照(下の図版)についての個々の値として表現されている。
そのため、本発明は同様に、以下のE1ペプチド、タンパク質組成物及びこれらを含むキット、これらのペプチド及びそれを含有するタンパク質についてコードする核酸配列そして、本発明のその他のE1及び関連するペプチドについて本書に一般的に記載されているようなそれらの製造方法及び使用をも提供する。
E1領域の位置192〜211にわたるIGP1626(配列番号112)、
E1領域の位置204〜223にわたるIGP1627(配列番号113)、
E1領域の位置216〜235にわたるIGP1628(配列番号114)、
E1領域の位置228〜247にわたるIGP1629(配列番号115)、
E1領域の位置240〜259にわたるIGP1630(配列番号116)、
E1領域の位置252〜271にわたるIGP1631(配列番号117)、
E1領域の位置264〜283にわたるIGP1632(配列番号118)、
E1領域の位置276〜295にわたるIGP1633(配列番号119)、
E1領域の位置288〜307にわたるIGP1634(配列番号120)、
E1領域の位置300〜319にわたるIGP1635(配列番号121)、
E1領域の位置312〜331にわたるIGP1636(配列番号122)、
実施例19
実施例19:ヒトにおけるE1−ワクチン接種の治療的有用性の例証
HCV E1s タンパク質(アミノ酸192〜326(配列番号123):YEVRNVSGMYHVTNDCSNSSIVYEAADMIMHTPGCVPCVRENNSSRCWVALTPTLAARNASVPTTTIRRHVDLLVGAAAFCSAMYVGDLCGSVFLVSQLFTISPRRHETVQDCNCSIYPGHITGHRMAWDMMMNW))を、組換え型ワクシニアウイルス、HCV11Bを用いてベロ細胞内で発現させた。このワクシニアウイルスは基本的にvvHCV11A(その各々の全内容が本書に参考として包含されているPCT/EP95/03031及び米国特許第6,510,134号に記載されているもの)と同一であるが、RK13からベロ細胞まで継代された。(レンチルクロマトグラフィ、還元−アルキル化及びサイズ排除クロマトグラフィを用いて)、基本的にPCT/E99/04342(その各々の全内容が本書に参考として包含されている)の実施例9に記載されているように、システインのためのアルキル化剤としてヨードアセタミドを使用して、タンパク質を精製した。3%のエンピゲン−BB(N−ドデシル−N,N−ジメチルグリシン)をPCT/E99/04342の実施例1に記載されているようにサイズ排除クロマトグラフィによって3%のベタインに交換した後、このプロセスにより、Elsを1つの粒子として回収できるようにする。最終的に、PBSが0.5%のベタインを含有しEls濃度が400μm/mlとなるまで、材料を脱塩した。このE1を等体積のAlhydrogel 1.3%(デンマークのSuperfos)と混合し、最終的に0.9%のNaCl8体積でさらに希釈して、0.13%のAlhydrogel及び40μgEl/mlの濃度でミョウバンをアジュバントとするE1を得た。
ヒトにおけるE1免疫化の治療的効果を実証するために、慢性感染した患者の体内で免疫応答を誘発した。この免疫応答は、かかる患者の体内に存在するE1に対する基線応答とは量的にも質的にも異なっていた。
26人の慢性的に遺伝子型1に感染したHCV患者に、0.5mL中の0.13%のAlhydrogelに基づいて処方された20μgのE1sの5用量をワクチン接種した。全ての免疫化は、筋内投与された。免疫化は、0、4、8、12及び24週目に実施した。さらに9名の患者は、ミョウバンのみから成るプラシーボ注射を同じ回数受けた。
下表14の中で明示されているように、T細胞応答は、慢性HCVキャリヤの中で通常不在である(わずか4%、26人中1人、が検出可能なT細胞反応性をもつ)。免疫化の時点で、これは、4回の免疫化の後すでに約70%(26人中18人)まで増大する。この観察事実は、免疫応答が、T細胞非応答性から明確な応答に至るまで質的に変化したことを実証している。さらに、3ヵ月後5回目の免疫化の後、細胞性免疫応答がなおも同じレベルのものであるか又はわずかに増大していることから、より大きい間隔で追加抗原投与することによって、この免疫応答を持続させることができる。
表14
刺激指数(SI;免疫応答)は、3μgのE1sの存在下又は不在下で、4回目の免疫化の4週間後(W16)及び5回目の免疫化の2週間後(W26)に個体から抜取られたPBMCを培養し、5日間の培養後の18時間のパルス中のこれらの細胞内に取込まれたトリチウム標識チミジンの量を決定することによって得られた。刺激指数というのは、外被抗原と共に培養された細胞内に取込まれたチミジンと抗原無しで培養されたものとの比率である3を上回る刺激指数が、陽性信号であるとみなされる。
Figure 2005516939
さらに、1回目の免疫化の前(これは各患者について免疫化の前の異なる時点で取られた3つの標本について行なわれた)及び5回の免疫化の後(これは各患者について2つの標本について行なわれた:W26及びW28)にELISAによって抗体力価を決定した。標本の段階希釈物を、社内規準と比較した(前述のように1000mU/mlのE1抗体をもつものとして定義されているこの社内規準は、高い抗外被力価に基づいて選択されたHCV慢性キャリヤからの3つの血清の混合物である)。この分析から、平均して、力価が331から715mU/mlまで倍増したという結論が下された。この結果は、免疫応答の体液性部門が少なくとも量的に改変されたということを実証している。
ミョウバンをベースとして処方されたE1ワクチンは、E1に対する質的及び量的免疫応答の両方を著しく変える。このようなE1ベースのワクチン及び/又は本書に記載されたワクチンのいずれも、インターフェロンといったような(ただしこれに制限されるわけではない)抗ウイルス療法及び代替的にはリバビリンとそれの組合せと併用して投与された場合(すなわち本発明の組成物の前後又はそれと同時)にさらに有用であり得る。
以下の、ならびに以前に及び後に識別される全てのテキスト、参考文献、特許、出版物などは本書にその全体が参考として包含される。
実施例20:慢性感染した患者の体内での治療用E1ワクチン接種の効果
この研究の第1の治療ユニットでは、26人の患者が実施例19に記載されている通りに20μgのE1sを5回投与された。第2の治療ユニットでは、前記26人の患者のうち25人が、0.5mL中の0.13%のAlhydrogelに基づいて処方された20μgのE1sのさらに6回の筋内投与を受けた(実施例19の場合と同様)。この第2セットの免疫化は、3週間の間隔をおいて投与され、1回目の注射は第50週目に行なわれた。2回目の治療ユニットの最後の注射から4週間後に、肝臓生検を、治療用E1sワクチン接種の2回の治療ユニットを完了した25人の患者のうち24人において実施した。同様に、治療用ワクチン治療の開始前にも、全ての患者において肝臓生検を行なった(すなわち治療ユニット1のワクチン接種療法の前)。治療前及び治療後の生検の間に経過した平均時間は、17ヵ月であった。このようにして治療用ワクチン接種の前後に得られた肝臓組織学スライドは、線維症及び炎症についての2人の専門病理学者により、Ishak及びMetavirの評点システム(Knodellら、1981年の評定システムの修正版であるIshakら、1995年;Bedossa及びPoynard、1996年)に従って、ならびに抗−E2免疫染色については国際特許出願国際公開第99/50301号パンフレットに記載されているようなIGH222マウス抗−E2 HVRIモノクローナル抗体を用いて、主として盲目的に評定された。(肝臓の組織学スライド上で)シリウスレッドでのコラーゲンの染色に基づいて、類洞周囲線維症を査定した。
Ishak評点は、炎症のグレード決定のためには0〜18、線維症/肝硬変のステージ決定のためには0〜6の範囲を有する。Ishakの炎症及び線維症評点の合計は、広く使用されてきた組織学的活動指数(HAI:Knodellら、1981年)に最も近くなる。治療用E1sワクチン接種を2治療ユニット受けた24人の患者におけるIshak線維症評点の変化は、(−0.60及び+0.68の95%信頼区間を伴って)−0.04であり、基線値から終点値までの変化は2.54(基線)から2.50(終点)である。
異なる査定済み壊死/炎症強度(Ishak評定)の概覧は、表15に示されている。
治療対象患者についてのHAI評点のIshak等価物は、(−1.36〜1.03の95%の信頼区間を伴って)−0.17という基線からの平均絶対変化を示し、基線値から終点値までの変化は8.88(基線)から8.71(終点)であった。さらに、24人の患者のうち9人(38%)が、Ishak炎症評点及びIshak線維症評点の合計について2点以上改善し、24人の患者のうち10人が安定状態にとどまり(変化無し又は+1又は−1の変化)、5人の患者がさらに悪条件へと推移した(2点以上の悪化)。
Metavir評点は、炎症のグレード決定については0〜3、線維症/肝硬変のステージ決定については、0〜4の範囲を有する。未治療患者におけるMetavir評点の全体的進行速度は、一年あたり0.133であると推定されている(Paynardら、1997年)。
現行の研究の患者については、基線評点の線形拡張及び感染の推定持続時間(これは、治療用E1sワクチン接種の2回の治療ユニットを受けた24人の患者のうち19人について報告されている)に基づく17ヵ月にわたる平均的進行は0.20となる。これは、17ヵ月間について0.19となる公表された全体的進行速度と充分相関関係をもつものである。
しかしながら、治療済みの患者について観察されたMetavir評点の変化は、(−0.43〜+0.43の95%信頼区間を伴って)0.00であり、平均基線及び終点評点は1.67である。2回目の治療ユニットの治療の基線及び終点におけるMetavir評点の概覧が、表16に記されている。治療前後のスライドの非盲検比較は、10人の患者がシリウスレッド染色に基づいて類洞周囲線維症を減少させていたことを明らかにした。
抗−E2免疫染色評点は、0〜4の範囲を有し、0は、E2抗原が全く検出できないことを表わし、1は、検出可能なE2抗原をもつ細胞が時々存在することを表わし、2は、E2抗原陽性細胞のクラスタがあるが陽性細胞は25%未満であることを表わし、3はE2抗原陽性細胞のクラスタがあり、陽性細胞は25〜50%であることを表わし、4はE2抗原陽性細胞のクラスタがあり、50%を上回る細胞が陽性であることを表わしている。治療済み患者についての抗−E2免疫染色評点は、(−1.64〜0.14の95%信頼区間を伴って)−0.75の基線からの平均絶対変化を示し、基線値から終点値までの変化は2.54(基線)から1.79(終点)であった。盲検評定を用いて肝臓内の抗−E2免疫反応性について見られた減少は、患者毎の対になったスライドの非盲検比較により確認された。11人の患者が、HCV E2免疫染色の陰転又は顕著な減少を示し、一方、治療後より強い免疫染色を有したのはわずか3人であった。これら11名の患者のうち3人が同様に脂肪症の減少を示した。
血清HCV RNAレベルを、Amplicor HCV Monitorキット(スイス、バーゼルのRoche)を用いて決定した。血清HCV RNAレベルは1人の患者を除き不変のままにとどまるか、又は基線から1ログ以上変化しなかった。この1人の患者は、遺伝子型1aウイルスに感染し、基線においてインフルエンザ様の症候をもつ37歳の治療投薬を受けていない女性患者であった。HCV−RNAは、8週目から(E1での2回の注射後)3ログ降下して16週目及び20週目に3000IU/ml未満のレベルに達し、並行してALTは8週目の400U/mlの単一ピーク値から16、20及び24週目の正常なALT値まで降下した。これには、インフルエンザ様の症候の消滅が伴っていた。この期間の後、ALT及びHCV−RNAの両方が再び増加し、症候が再び出現した。新生ウイルス量の増加中に存在するウイルスの配列を基線配列と比較した。エスケープ突然変異体ウイルスの存在についての証拠は全く発見されなかった。
治療済み患者における血清ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ活性)レベルは、基線レベルと比べて平均22%(−15%〜−30%の95%信頼区間を伴って)減少した。ALTレベルの基線からの変化%と線維症評点における基線からの絶対的変化の間に正の相関関係が指摘された:Ishak線維症評点についてはP=0.0007そしてMetavir線維症評点についてはP=0.002のSpearmanランクは、血清ALTの基線からの変化とそれぞれ基線Ishak及びMetavir線維症評点からの絶対的変化の間の相関関係として得られた。
現行の研究のさらなる成果は、組織学的評点(線維症及び全体)ならびに血清ALTレベルの改善のため、治療に対する(血清抗−E1s抗体レベルの増大という形での)免疫応答が予言的性質をもつという点にある。
抗体力価はELISAにより決定された。血清標本の段階希釈を社内規準と比較した(1000mU/mlのE1抗体をもつものとして定義されているこの社内規準は、高い抗外被力価に基づいて選択されたHCV慢性キャリヤからの3つの血清の混合物である)。この検定の検出限界は、5mU/mLである。
p=0.007のSpearmanランクを、血清抗−E1抗体レベルの基線からの変化と合計Ishak(炎症プラス線維症)評点の基線からの絶対的変化の間の相関関係として得た。血清抗−E1抗体レベルの基線からの変化とそれぞれIshak線維症評点の基線からの絶対的(p=0.06)及び相対的(p=0.009)変化の間の相関関係として、Pearsonのp値、p=0.06及びp=0.009を得た。血清抗−E1抗体レベルの基線からの変化とALT値の基線からの相対的変化の間の相関関係として、Pearsonのp値、p=0.01を得た。
これらの結びつきは、基線肝臓組織学評点、ALT、血清HCV−RNAウイルス量、年齢及び性別、及びIFN露出についてひいては治療用E1sワクチン接種治療により誘発される実際の正の効果の確率に対する付加として補正を行なった後も残っている。
治療用ワクチン候補に応えて血清抗体レベルの最高の増加を示す7人の患者(すなわち、少なくとも700mU/mLの抗−E1抗体レベルの増加を伴う患者)は、Metavir肝臓線維症評点について平均して−0.9点の有意な減少(−0.2〜−1.5の95%信頼区間を伴って)を示していた。このサブグループ内で、血清ALTは平均して37%減少した(−25〜−49%の95%信頼区間を伴って)。表17は、(治療によって誘発された抗−E1s抗体レベルの形での)免疫応答とIshak評点の(基線との関係における)全体的変化の間の相関関係の概覧を提供している。図54は、Ishak線維症評点の変化、ALTレベルの変化及び抗−E1s抗体レベルの変化の相関関係を例示している。図55は、Metavir線維症評点の変化、ALTレベルの変化及び抗体E1抗体レベルの変化の間の相関関係を例示している。図56は、第1の治療ユニット(図版A)の開始時と第2の治療ユニット(図版B)の終りの両方におけるIshak線維症評点対ALTレベルの関係を例示している。図57は、第1の治療ユニット(図版A)の開始時と第2の治療ユニット(図版B)の終りの両方における、患者の年齢とIshak線維症評点の関係を例示している。図56及び57は両方共、治療用ワクチン接種により誘発される抗−E1抗体レベルの最高の増加を示す7人の患者をさらに表わしている。
第2の治療ユニットの終りにおけるT細胞増殖指数と血清抗−E1抗体レベルの間の正の相関関係が、Pearsonのp値、p=0.009で観察された。
結論としては、E1sワクチン接種までの抗体レベルの増加は、有意な形で、その他のあらゆる基線予後診断変数について補正した後でさえ、肝臓線維症(Metavir及びIshak評点)、炎症及び線維症評点(Ishak)の合計及びALTレベルが改善することを予測した。ワクチン接種後の抗−E1抗体の増加も同様に、E1に対するT細胞増殖指数の増大とも有意な形で相関された。
この研究は、E1ベースの治療用ワクチン接種戦略が、肝硬変に向かう疾病の進行を止める潜在能力をもつことを明らかに裏づけている。
表15
門脈周囲性肝炎、集密的壊死、限局性炎症、門脈炎症についての壊死/炎症強度のIshakグレード決定及び全体的合計炎症グレード決定。評点は、基線からの変化(平均及び95%の信頼区間)及び平均基線〜終点値変化として表わされている。
Figure 2005516939
表16
(左欄に示されている:EOT0〜4)治療的E1sワクチン接種の第2の治療ユニットの終りにおける一定の与えられたMetavir評点に対する(上段に示されている:基線0〜4)一定の与えられた基線Metavir評点の変化の(患者数として示された)頻度の概覧。例えば、「*」でマークされた「5」(すなわち「5」)は、5人の患者が、第2の治療ユニットの治療の終り(EOT=治療の終点)において0のMetavir評点と1の基線Metavir評点を有していたことを意味している。
Figure 2005516939
表17
治療用E1sワクチン接種により誘発される血清抗−E1抗体レベルと全体的Ishak評点の変化の間の相関関係。ここで与えられているのは、表中の概略的に示されているとおりの考えられる基準に対応する患者の数である。
Figure 2005516939
実施例21:治療用E1ワクチン接種処方計画効果
この研究の第1の治療ユニットにおいては、26人の患者は、20μgのElsを5回投与され(「E1s患者」)、9人の患者は実施例19で記載されている通り、ミョウバンのみから成る同一数のプラシーボ注射を受けた(「プラシーボ患者」)。第2の治療ユニットにおいては、第1の治療ユニット中にE1を受けた前記26人の患者のうちの25人及びプラシーボを受けた前記9人の患者のうちの9人を、(実施例19の場合と同様)0.5mL中の0.13%のAlhydrogelに基づいて処方された20μgのE1sのさらに6回の筋内用量で全て免疫化し、2つの患者グループ、すなわち「E1s/E1s患者」と「プラシーボ/E1s患者」を生み出した。この第2のセットすなわち治療ユニット2の免疫化は、(第1のセットすなわち治療ユニット1の間の4週間の間隔に比して)3週間の間隔で投与され、第1回注射は、50週目に行なわれた。
4回のE1s注射の後の抗−E1抗体のための中央値は、(E1s患者から演繹される通り)4週間の間隔について195mU/mLであり、(プラシーボ/E1s患者から演繹される通り)3週間の間隔について274mU/mLであり、かくして、3週間の間隔の処方計画がより短期間でより強い体液性免疫応答を誘発することを表わしていた。
プラシーボ/E1s患者においては、基線での9人中0人の患者から3週間の間隔をおいて6回の注射の後69週目での9人中9人の患者に至るまで、E1s特異的T細胞増殖が増大した。
健康な男性の志願者におけるE1sに対する体液性及び細胞性免疫応答(実施例16及び17参照)を患者グループ内のものと比べた場合、抗−E1抗体レベルとT細胞応答の幾分か緩慢な増加が観察される。健康な志願者において見られた追加抗原効果は患者においてはほぼ見られず(4回目の免疫化から12週間後に追加抗原としてE1s/E1s患者に投与された5回目の免疫化の後の165mU/mLの中央力価)、かくして、患者におけるE1sに対する免疫学的メモリーの蓄積が幾分か損われたことを示唆していた。3週間の間隔を置いた反復的筋内注射は、この欠損を克服すると思われ(プラシーボ/E1s患者における3週間の間隔をおいた6回の連続的免疫化の後の530mU/mLの中央力価)、かくして3週間の間隔でのE1ワクチン接種処方計画及び/又は最初の免疫化セットにおける4用量を上回る投与のもう1つの利点を表わしている。
表の説明
表1:実施例1で記載されている通りのE1タンパク質の異なる形態を構築するため、増幅に使用されるそれぞれのクローン及びプライマーの特長。
表2:抗−E1試験の要約
表3:競合研究用の合成ペプチド
表4:経時的な外被抗体レベルの変化
表5:LTRとNRの間の差異
表6:マウスE2モノクローナル抗体間の競合実験
表7:E1グリコシル化突然変異体の構築のためのプライマー
表8:ELISAによるE1グリコシル化突然変異体の分析
表9:Balb/cマウス内のアジュバント入りE1のプロフィール
表10:体液性応答:異なるE1−抗体レベルについて必要とされる免疫化回数
表11:チンパンジー抗体力価
表12:ヒト抗体力価
表13:ヒト抗体力価(8〜28週)
表14:3μgのE1sの存在下又は不在下で、4回目の免疫化の4週間後(W16)及び5回目の免疫化の2週間後(W26)に個体から抜取られた培養されたPBMCの刺激指数(SI)。3を上回る刺激指数が、陽性信号であるとみなされる。
表15:門脈周囲性肝炎、集密的壊死、限局性炎症、門脈炎症についての壊死/炎症強度のIshakグレード決定及び全体的合計炎症グレード決定。評点は、基線からの変化(平均及び95%の信頼区間)及び平均基線〜終点値変化として表わされている。
表16:(左欄に示されている:EOT0〜4)治療的E1sワクチン接種の第2の治療ユニットの終りにおける一定の与えられたMetavir評点に対する(上段に示されている:基線0〜4)一定の与えられた基線Metavir評点の変化の(患者数として示された)頻度の概覧。例えば、「*」でマークされた「5」(すなわち「5」)は、5人の患者が、第2の治療ユニットの治療の終り(EOT=治療の終点)において0のMetavir評点と1の基線Metavir評点を有していたことを意味している。
表17:治療用E1sワクチン接種により誘発される血清抗−E1抗体レベルと全体的Ishak評点の変化の間の相関関係。ここで与えられているのは、表中の概略的に示されているとおりの考えられる基準に対応する患者の数である。
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国際公開第96/04385号パンフレット(PCT/EP95/03031)−診断及び治療用途向けの精製済みC型肝炎ウイルス外被タンパク質。

本書に引用されている全ての参考文献は、その全体が参考として包含されている。
プラスミドpgptATA18の制限地図 プラスミドpgsATA18の制限地図 プラスミドpMS66の制限地図 プラスミドpvHCV−11Aの制限地図 IFN治療に対する非応答者における抗−E1レベル IFN治療に対する応答者における抗−E1レベル IFN治療に対する完全な応答を示す患者における抗−E1レベル IFN治療に対する不完全応答者における抗−E1レベル IFN治療に対する非応答者における抗−E2レベル IFN治療に対する応答者における抗−E2レベル IFN治療に対する不完全応答者における抗−E2レベル IFN治療に対する完全応答者における抗−E2レベル ペプチドと競合させられたヒト抗−E1反応性 ペプチドと抗−E1モノクローナル抗体の反応性の競合 IFN治療に対する非応答者における抗−E1(エピトープ1)レベル IFN治療に対する応答者における抗−E1(エピトープ1)レベル IFN治療に対する非応答者における抗−E1(エピトープ2)レベル IFN治療に対する応答者における抗−E1(エピトープ2)レベル ペプチドと競合させられたヒト抗−E2反応性 ペプチドと競合させられたヒト抗−E2反応性 本発明の核酸配列。本発明に従ったE1又はE2タンパク質をコードする核酸配列を、配列リストに示されているように、それぞれのE1又はE2タンパク質のアミノ酸配列へと翻訳することができる(配列番号3〜13、21〜31、35及び41〜49は、残基番号1から開始する読取り枠内で翻訳され、配列番号37〜39は、残基番号2から開始する読取り枠内で翻訳される)。 vvHCV39(1b型)、vvHCV40(1b型)、vvHCV62(3a型)及びvvHCV63(5a型)に感染した細胞溶解産物の4回の異なるE1精製のレンチルレクチンクロマトグラフィ溶出液画分から得られたELISA結果 図22に示されている通りの値に基づいた4つの異なるE1構築物のレンチルレクチンクロマトグラフィから得られた結果 vvHCV39(1b型)、vvHCV40(1b型)、vvHCV62(3a型)及びvvHCV63(5a型)に感染した細胞溶解産物の4回の異なるE1精製のゲルろ過クロマトグラフィの後に得られた画分から得られたELISA結果 (レンチルレクチン上で精製され実施例5.2〜5.3にある通りに還元された、それぞれvvHCV39、vvHCV62及びvvHCV63に感染したRK13細胞からの)1b型(1)、3a型(2)及び5a型(3)及び標準(4)のE1タンパク質の精製から得られたプロフィール。「1」、「2」及び「3」で標示されているピークは、純粋なE1タンパク質ピークを表わす(図24、主として画分26〜30中のE1反応性)。 E1vvHCV40(1b型)の未加工溶解産物(レーン1)、図25に示されている通りの画分10〜17を表わすvvHCV40のゲルろ過のプール1(レーン2)、図25に示されている画分18〜25を表わすvvHCV40のゲルろ過のプール2(レーン3)及びE1プール(画分26〜30)(レーン4)の、実施例4に記載された通りのSDS−PAGEの銀染色。 E1構築物39(1b型)及び62(3a型)のゲルろ過の画分のストレプトアビジン−アルカリホスファターゼブロット。タンパク質はNEM−ビオチンで標識付けされた。レーン1:出発ゲルろ過構築物39、レーン2:画分26構築物39、レーン3:画分27構築物39、レーン4:画分28構築物39、レーン5:画分29構築物39、レーン6:画分30構築物39、レーン7:画分31構築物39、レーン8:分子量マーカー、レーン9:出発ゲルろ過構築物62、レーン10:画分26構築物62、レーン11:画分27、構築物62、レーン12:画分28構築物62、レーン13:画分29構築物62、レーン14:画分30構築物62、レーン15:画分31構築物62。 :図26と同じ条件下で行なわれたvvHCV−39(E1s、1b型)及びvvHCV−62(E1s、3a型)のゲルろ過のSDS−PAGEゲルの銀染色。レーン1:出発ゲルろ過構築物39、レーン2:画分26構築物39、レーン3:画分27構築物39、レーン4:画分28構築物39、レーン5:画分29構築物39、レーン6:画分30構築物39、レーン7:画分31構築物39、レーン8:分子量マーカー、レーン9:出発ゲルろ過構築物62、レーン10:画分26構築物62、レーン11:画分27、構築物62、レーン12:画分28構築物62、レーン13:画分29構築物62、レーン14:画分30構築物62、レーン15:画分31構築物62。 :精製手順の完全な概覧を与える抗−E1マウスモノクローナル抗体5E1A10を用いたウェスタンブロット分析。レーン1:粗製溶解産物、レーン2:レンチルクロマトグラフィの流入、レーン3:レンチルクロマトグラフィ後のEmpigen BBでの洗浄、レーン4:レンチルクロマトグラフィの溶出液、レーン5:レンチル溶出液の濃縮中の流入、レーン6:サイズ排除クロマトグラフィ(ゲルろ過)後のE1のプール。 vvHCV44に感染したRK13細胞からのE2タンパク質のレンチルレクチンクロマトグラフィのOD280プロフィール(実線)。破線は(実施例6にあるように)ELISAにより検出された通りのE2反応性を表わす。 E2プールがゲルろ過カラムに直ちに適用される(非還元条件)、vvHCV44に感染したRK13細胞からのE2タンパク質プールのレンチルレクチンゲルろ過クロマトグラフィのOD280プロフィール(実線)。破線は(実施例6にあるように)ELISAにより検出された通りのE2反応性を表わす。 実施例5.3に従って、E2プールが還元され遮断される(還元条件)、vvHCV44に感染したRK13細胞からのE2タンパク質プールのレンチルレクチンゲルろ過クロマトグラフィのOD280プロフィール(実線)。破線は(実施例6にあるように)ELISAにより検出された通りのE2反応性を表わす。 図31Bに示されているような還元条件下でゲルろ過の後vvHCV44から発現される通りのE2タンパク質のELISA反応性及びNi2+−IMACクロマトグラフィ。 図32に示されているようなNi2+−IMACクロマトグラフィの200mMのイミダゾール溶出工程(レーン2)及び30mMのイミダゾール洗浄(レーン1)により回収された0.5μgの精製済みE2タンパク質のSDS−PAGEの銀染色。 イミダゾールを除去することを意図した、図33に示されている通りの200mMのイミダゾールにより回収された精製済みE2タンパク質の脱塩工程のODプロフィール。 LIAscan方法を用いて決定された、治療中及び治療後6〜12ヵ月後の期間にわたり追跡調査されたNR及びLTRについての異なるHCV抗原(コア1、コア2、E2HCVR、NS3)に対する抗体レベル。平均値は、白色正方形を伴う曲線によって表わされている。 LIAscan方法を用いて決定された、治療中及び治療後6〜12ヵ月後の期間にわたり追跡調査されたNR及びLTRについての異なるHCV抗原(NS4、NS5、E1及びE2)に対する抗体レベル。平均値は、白色正方形を伴う曲線によって表わされている。 LTR及びNRグループにおける平均E1抗体(E1Ab)及びE2抗体(E2Ab)レベル。 1b型及び3a型についての非応答者(NR)及び長期応答者(LTR)の平均E1抗体(E1Ab)レベル。 抗−E2モノクローナル抗体の相対的地図の位置。 HCVE1外被タンパク質の部分的脱グリコシル化。vvHCV10Aに感染したRK13細胞の溶解産物をメーカーの指示事項に従って、異なる濃度のグリコシダーゼと共にインキュベートした。右図版:グリコペプチダーゼF(PNGaseF)。左図版:エンドグリコシダーゼH(EndoH)。 HCVE2外被タンパク質の部分的脱グリコシル化。vvHCV64感染(E2)及びvvHCV41−感染(E2s)RK13細胞の溶解産物を、メーカーの指示事項に従って、異なる濃度のグリコペプチダーゼF(PNGaseF)と共にインキュベートした。 HCVE1糖タンパク質のインビトロ突然変異誘発。新しい制限部位の生成及び突然変異を受けた配列の地図。 HCVE1糖タンパク質のインビトロ突然変異誘発(パート1)。PCR増幅の第1工程。 HCVE1糖タンパク質のインビトロ突然変異誘発(パート2)。重複拡張及びネスト化されたPCR。 HCVE1糖タンパク質のインビトロ突然変異誘発。第1の増幅工程中に合成されたPCR突然変異されたフラグメント(GLY−#及びOVR−#)の地図。 HeLa(左)及びRK13(右)細胞の中で発現されたウェスタンブロットによるE1糖タンパク質突然変異体の分析。レーン1:野生型VV(ワクシニアウイルス)、レーン2:もとのE1タンパク質(vvHCV−10A)、レーン3:E1突然変異体Gly−1(vvHCV−81)、レーン4:E1突然変異体Gly−2(vvHCV−82)、レーン5:E1突然変異体Gly−3(vvHCV−83)、レーン6:E1突然変異体Gly−4(vvHCV−84)、レーン7:E1突然変異体Gly−5(vvHCV−85)、レーン8:E1突然変異体Gly−6(vvHCV−86)。 PCR増幅/制限によるE1グルコシル化突然変異体ワクシニアウイルスの分析。レーン1:E1(vvHCV−10A),BspEI、レーン2:E1.GLY−1(vvHCV−81)、BspEI、レーン4:E1(vvHCV−10A)、SacI、レーン5:E1.GLY−2(vvHCV−82)、SacI、レーン7:E1(vvHCV−10A)、SacI、レーン8:E1.GLY−3(vvHCV−83)、SacI、レーン10:E1(vvHCV−10A)、StuI、レーン11:E1.GLY−4(vvHCV−84)、StuI、レーン13:E1(vvHCV−10A)、SmaI、レーン14:E1.GLY−5(vvHCV−85)、SmaI、レーン16:E1(vvHCV−10A)、StuI、レーン17:E1.GLY−6(vvHCV−86)、StuI、レーン3−6−9−12−15:低分子量マーカー、pBluescript SK+,MspI. S.cerevisiaeの中で発現された組換え型E2のSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動。接種材料を、72時間ロイシン選択培地内で増殖させ、完全培地中で1/15に希釈した。28℃で10日間の培養の後、培地標本を採取した。Speedvacによって濃縮させた200μlの培養上清の当量を、ゲル上に投入した。2つの独立した形質転換体を分析した。 グリコシル化欠損S.cerevisiae 突然変異体の中で発現された組換え型E2のSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動。接種材料を72時間、ロイシン選択培地中で増殖させ、完全培地中で1/15に希釈した。28℃で10日間の培養後、培養標本を採取した。イオン交換クロマトグラフィにより濃縮された培養上清350μlの当量をゲル上に投入した。 チンパンジーのプロフィールと免疫化計画。 3回の免疫化の後の細胞応答。 反復したE1免疫化の時点での細胞応答の推移。 NS3免疫化時点での細胞応答。 28週目までの刺激指数。刺激指数(SI:細胞性免疫応答)は、3μgの組換え型E1s又は2μgの破傷風トキソイドの存在下又は不在下で、免疫化前(0週目)、三回目の免疫化の2週間後(8週目)、追加抗原免疫化(26週目)及び追加抗原免疫化の2週間後(28週目)に個体から抜取られたPBMC(10個の細胞)を培養し、5日間の培養後の18時間のパルス中のこれらの細胞内に取込まれたトリチウム標識チミジンの量を決定することによって得られた。刺激指数というのは、外被抗原と共に培養された細胞内に取込まれたチミジン対抗原無しで培養されたものの比率である。0週目と8週目の標本は、1回目の検定(A)で決定され、一方26週目と28週目の標本は、0週目の標本が再度分析された第2の検定(B)において決定された。結果は、全20名(A.実験)又は19名(B.実験)の志願者の幾何平均刺激指数として表わされている。 PBMCのサイトカイン産生。追加抗原免疫化(26週目)の前及び追加抗原免疫化の2週間後(28週目)に個体から抜取られたPBMC(10個の細胞)を、3μgの組換え型E1s(E1)又は2μgの破傷風(TT)の存在下で又は抗原の全くない状態で(B1)培養した。24時間後(インタロイキン−5)又は120時間後(インターフェロンガンマ)にELISAを用いて取った上清の中で、サイトカインを測定した。刺激指数は、外被抗原と共に培養された細胞の上清内対抗原無しで培養されたものの上清内で測定したサイトカインの比率である。結果は、19人の志願者すべてが分泌したpgサイトカイン/mlの幾何平均として表現されている。検出限界より低いサイトカイン量をもつ標本には、検出限界の値が割当てられた。同様にして、検定の線形範囲の外のきわめて高いサイトカイン濃度をもつ標本には、検定の線形範囲の限界の値が割当てられた。 チミジン取込みの結果。刺激指数(細胞性免疫応答)は、ペプチドの存在下又は不在下でPBMC(3×10個の細胞)を培養し、5〜6日の培養後パルス中にこれらの細胞内に取込まれたトリチウム標識チミジンの量を決定することによって得られた。刺激指数というのは、ペプチドと共に培養された細胞内に取込まれたチミジン対ペプチド無しで培養されたものの比率である。結果は、ワクチン接種された人(上の図版)又はワクチン接種を受けていない人又は対照(下の図版)についての個々の値として表現されている。 個々の患者(各々1つのドットで表わされている)について、X軸にはALTレベルの変化%(基線からの絶対変化)、Y軸には血清抗−E1抗体レベル(mU/mL単位)そしてZ軸にはIshak線維症評点の変化を示す3次元グラフである。 個々の患者(各々1つのドットで表わされている)について、X軸にはALTレベルの変化%(基線からの絶対変化)、Y軸には血清抗−E1抗体レベル(mU/mL単位)そしてZ軸にはMetavir線維症評点の変化を示す3次元グラフである。 (ドット又は「黒星」により表わされた)各々の個々の患者について、Ishak 線維症評点(X軸)及びALT値(Y軸)が示されている。図版A(上)には、基線(ワクチン接種前)状況が示されており、一方図版B(下)は、肝臓生検材料の採取時における状況を例示している。血清抗−E1抗体レベルの最高の増加を示す7人の患者は、「黒星」により表わされている。 Ishak線維症評点(Y軸)に対する各々の個々の患者(ドット又は「黒星」により表わされている)の年齢(X軸)の影響が示されている。図版A(上)には、基線(ワクチン接種前)状況が示されており、一方図版B(下)は、肝臓生検材料の採取時における状況を例示している。血清抗−E1抗体レベルの最高の増加を示す7人の患者は、「黒星」により表わされている。
【配列表】
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Claims (30)

  1. 慢性HCV感染哺乳動物における肝疾患を低減させるための治療用HCVワクチン組成物。
  2. 慢性HCV感染哺乳動物における肝線維症の進行を抑制するための治療用HCVワクチン組成物。
  3. 慢性HCV感染哺乳動物における肝線維症を低減させるための治療用HCVワクチン組成物。
  4. 慢性HCV感染哺乳動物において、全Ishak評点に従って少なくとも2点だけ肝疾患を低減させるための治療用HCVワクチン組成物。
  5. 慢性HCV感染哺乳動物においてIshak線維症評点に従って少なくとも1点だけ肝疾患を低減させるための治療用HCVワクチン組成物。
  6. 慢性HCV感染哺乳動物における血清ALTレベルを低減させるための治療用HCVワクチン組成物。
  7. 慢性HCV感染哺乳動物における脂肪症を低減させるための治療用HCVワクチン組成物。
  8. 慢性HCV感染哺乳動物の肝臓における抗−E2免疫反応性を低減させるための治療用HCVワクチン組成物。
  9. HCV抗原及び任意には薬学的に受容可能なアジュバントを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の治療用HCVワクチン組成物。
  10. 前記HCV抗原がE1又はE2抗原であるか又はE1又はE2抗原の免疫原性部分である、請求項9に記載の治療用HCVワクチン組成物。
  11. 前記薬学的に受容可能なアジュバントがミョウバンである、請求項9に記載の治療用HCVワクチン組成物。
  12. 慢性HCV感染哺乳動物における肝疾患の変化を予測するための方法であって、
    (i) E1抗原を含むHCVワクチン組成物を用いた治療用ワクチン接種に先立って血清抗−E1抗体レベルを決定する工程;
    (ii) E1抗原を含むHCVワクチン組成物を用いた治療用ワクチン接種後の血清抗−E1抗体レベルを決定する工程;
    (iii) (i)及び(ii)で決定された血清抗−E1抗体レベルの差を推測し、そこから肝疾患の変化を予測する工程、
    を含んで成る方法。
  13. E1タンパク質、E2タンパク質、前記E1及びE2タンパク質の一部分、精製済みHCV単一又は特異的オリゴマー組換え型E1又はE2タンパク質又はその一部分から形成されたE1/E2タンパク質複合体からなる群の中から選択された治療上有効な量の少なくとも1つの精製済みHCV単一又は特異的オリゴマー組換え型外被タンパク質、及び任意には薬学的に受容可能なアジュバントを含んで成る治療用HCVワクチン組成物。
  14. 異なるHCV遺伝子型又は亜型から誘導されたE1タンパク質、異なるHCV遺伝子型又は亜型から誘導されたE2タンパク質、前記E1及びE2タンパク質の一部分、及び異なるHCV遺伝子型又は亜型から誘導された精製済みHCV単一又は特異的オリゴマー組換え型E1又はE2タンパク質又はその一部分から形成されたE1/E2タンパク質複合体からなる群の中から選択された治療上有効な量の少なくとも2つの精製済みHCV単一又は特異的オリゴマー組換え型外被タンパク質の組合せ、及び任意には薬学的に受容可能なアジュバントを含んで成る治療用HCVワクチン組成物。
  15. 治療上有効な量の下記のE1及びE2ペプチド:
    コア/E1V1領域のアミノ酸181〜200にわたるE1〜31(配列番号56)、
    E1領域のアミノ酸193〜212にわたるE1〜33(配列番号57)、
    E1V2領域のアミノ酸205〜224にわたるE1〜35(配列番号58)、
    E1V2領域のアミノ酸208〜227にわたるE1〜35A(配列番号59)、
    E1領域V1、C1及びV2領域のアミノ酸192〜228にわたる1bE1(配列番号53)、
    E1領域のアミノ酸301〜320にわたるE1〜51(配列番号66)、
    E1C4領域のアミノ酸313〜332にわたるE1〜53(配列番号67)、
    E1領域のアミノ酸325〜344にわたるE1〜55(配列番号68)、
    E2領域のアミノ酸位置397〜418にわたるEnv67又はE2〜67(配列番号72)、
    E2領域のアミノ酸位置409〜428にわたるEnv69又はE2〜69(配列番号73)、
    E2領域の位置583〜602にわたるEnv23又はE2〜23(配列番号86)、
    E2領域の位置595〜614にわたるEnv25又はE2〜25(配列番号87)、
    E2領域の位置607〜626にわたるEnv27又はE2〜27(配列番号88)、
    E2領域の位置547〜586にわたるEnv17B又はE2〜17B(配列番号83)、
    E2領域の位置523〜542にわたるEnv13B又はE2〜13B(配列番号82)、
    E1領域の位置192〜211にわたるIGP1626(配列番号112)、
    E1領域の位置204〜223にわたるIGP1627(配列番号113)、
    E1領域の位置216〜235にわたるIGP1628(配列番号114)、
    E1領域の位置228〜247にわたるIGP1629(配列番号115)、
    E1領域の位置240〜259にわたるIGP1630(配列番号116)、
    E1領域の位置252〜271にわたるIGP1631(配列番号117)、
    E1領域の位置264〜283にわたるIGP1632(配列番号118)、
    E1領域の位置276〜295にわたるIGP1633(配列番号119)、
    E1領域の位置288〜307にわたるIGP1634(配列番号120)、
    E1領域の位置300〜319にわたるIGP1635(配列番号121)、
    E1領域の位置312〜331にわたるIGP1636(配列番号122)、
    のうちの少なくとも1つのペプチド、及び任意には薬学的に受容可能なアジュバントを含んで成る治療用HCVワクチン組成物。
  16. E1タンパク質、E2タンパク質、前記E1及びE2タンパク質の一部分、精製済みHCV単一又は特異的オリゴマー組換え型E1又はE2タンパク質又はその一部分から形成されたE1/E2タンパク質複合体からなる群の中から選択された治療上有効な量の少なくとも1つの精製済みHCV単一又は特異的オリゴマー組換え型外被タンパク質、及び任意には薬学的に受容可能なアジュバントを含んで成る治療用HCV組成物。
  17. 異なるHCV遺伝子型又は亜型から誘導されたE1タンパク質、異なるHCV遺伝子型又は亜型から誘導されたE2タンパク質、前記E1及びE2タンパク質の一部分、及び異なるHCV遺伝子型又は亜型から誘導された精製済みHCV単一又は特異的オリゴマー組換え型E1又はE2タンパク質又はその一部分から形成されたE1/E2タンパク質複合体からなる群の中から選択された治療上有効な量の少なくとも2つの精製済みHCV単一又は特異的オリゴマー組換え型外被タンパク質の組合せ、及び任意には薬学的に受容可能なアジュバントを含んで成る治療用HCV組成物。
  18. 治療上有効な量の下記のE1及びE2ペプチド:
    コア/E1V1領域のアミノ酸181〜200にわたるE1〜31(配列番号56)、
    E1領域のアミノ酸193〜212にわたるE1〜33(配列番号57)、
    E1V2領域のアミノ酸205〜224にわたるE1〜35(配列番号58)、
    E1V2領域のアミノ酸208〜227にわたるE1〜35A(配列番号59)、
    E1領域V1、C1及びV2領域のアミノ酸192〜228にわたる1bE1(配列番号53)、
    E1領域のアミノ酸301〜320にわたるE1〜51(配列番号66)、
    E1C4領域のアミノ酸313〜332にわたるE1〜53(配列番号67)、
    E1領域のアミノ酸325〜344にわたるE1〜55(配列番号68)、
    E2領域のアミノ酸位置397〜418にわたるEnv67又はE2〜67(配列番号72)、
    E2領域のアミノ酸位置409〜428にわたるEnv69又はE2〜69(配列番号73)、
    E2領域の位置583〜602にわたるEnv23又はE2〜23(配列番号86)、
    E2領域の位置595〜614にわたるEnv25又はE2〜25(配列番号87)、
    E2領域の位置607〜626にわたるEnv27又はE2〜27(配列番号88)、
    E2領域の位置547〜586にわたるEnv17B又はE2〜17B(配列番号83)、
    E2領域の位置523〜542にわたるEnv13B又はE2〜13B(配列番号82)、
    E1領域の位置192〜211にわたるIGP1626(配列番号112)、
    E1領域の位置204〜223にわたるIGP1627(配列番号113)、
    E1領域の位置216〜235にわたるIGP1628(配列番号114)、
    E1領域の位置228〜247にわたるIGP1629(配列番号115)、
    E1領域の位置240〜259にわたるIGP1630(配列番号116)、
    E1領域の位置252〜271にわたるIGP1631(配列番号117)、
    E1領域の位置264〜283にわたるIGP1632(配列番号118)、
    E1領域の位置276〜295にわたるIGP1633(配列番号119)、
    E1領域の位置288〜307にわたるIGP1634(配列番号120)、
    E1領域の位置300〜319にわたるIGP1635(配列番号121)、
    E1領域の位置312〜331にわたるIGP1636(配列番号122)、
    のうちの少なくとも1つのペプチド、及び任意には薬学的に受容可能なアジュバントを含んで成る治療用HCV組成物。
  19. HCV特異的抗体の誘発、T細胞活性の刺激及びサイトカイン分泌の刺激のうちの少なくとも1つのための、請求項13〜18のいずれか1項に記載の治療用HCV組成物。
  20. 前記E1、E2又はE1/E2タンパク質複合体が誘導された単数又は複数のHCV遺伝子型とは異なるHCV遺伝子型に感染したHCVキャリヤにおいて治療上有効である請求項13〜18のいずれか1項に記載の治療用HCV組成物。
  21. 下記のE1及びE2ペプチド:
    E1領域の位置192〜211にわたるIGP1626(配列番号112)、
    E1領域の位置204〜223にわたるIGP1627(配列番号113)、
    E1領域の位置216〜235にわたるIGP1628(配列番号114)、
    E1領域の位置228〜247にわたるIGP1629(配列番号115)、
    E1領域の位置240〜259にわたるIGP1630(配列番号116)、
    E1領域の位置252〜271にわたるIGP1631(配列番号117)、
    E1領域の位置264〜283にわたるIGP1632(配列番号118)、
    E1領域の位置276〜295にわたるIGP1633(配列番号119)、
    E1領域の位置288〜307にわたるIGP1634(配列番号120)、
    E1領域の位置300〜319にわたるIGP1635(配列番号121)、
    E1領域の位置312〜331にわたるIGP1636(配列番号122)、
    のうちの少なくとも1つのペプチド、及び任意には薬学的に受容可能なアジュバントを含んで成る治療用HCV組成物。
  22. 前記E1又はE2抗原、前記組換え型HCV外被タンパク質又は前記E1及びE2ペプチドのシステインが遮断されている、請求項10及び13〜21のいずれか1項に記載の組成物。
  23. 前記E1又はE2抗原又は前記組換え型HCV外被タンパク質がウイルス様粒子として添加されている、請求項10、13、14、16、17、19、20及び22のいずれか1項に記載の組成物。
  24. 前記E1抗原又は前記組換え型HCVE1外被タンパク質がE1sタンパク質である、請求項10、13、14、16、17、19、20及び22のいずれか1項に記載の組成物。
  25. 前記E1抗原又は前記E1sタンパク質が配列番号123によって定義づけされている、請求項24に記載の組成物。
  26. 前記HCV抗原又は前記組換え型HCV外被タンパク質が組換え型哺乳動物細胞、組換え型酵母細胞又は組換え型ウイルスによって産生される、請求項1〜10、13、14、16、17、19、20及び22〜25のいずれか1項に記載の組成物。
  27. 前記ペプチドが組換え型ペプチド又は合成ペプチドである、請求項15及び18〜25のいずれか1項に記載の組成物。
  28. HCVに感染した哺乳動物を治療するための請求項1〜11及び13〜27のいずれか1項に記載の組成物。
  29. 前記哺乳動物がヒトである、請求項1〜11及び28のいずれか1項に記載の組成物。
  30. 前記哺乳動物がヒトである請求項12に記載の方法。
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