JP2005516589A - 植物ポリペプチドおよびそれをコードするポリヌクレオチド - Google Patents

植物ポリペプチドおよびそれをコードするポリヌクレオチド Download PDF

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Abstract

本発明は、アルファ−アミラーゼ活性および/またはデンプン結合活性および/またはプラスチドを標的とするシグナルを有する単離ポリペプチドならびにポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドに関する。また、本発明は、DNA構築物、ポリヌクレオチド配列を組み入れるベクターおよび宿主細胞、植物、特にプラスチド中のデンプン含量を変調する、ならびにプラスチド特異的デンプンを改変するための方法に関する。出願人らは、プラスチドを標的とするシグナルおよびデンプン結合活性を有するアルファ−アミラーゼのクラスを確認した。

Description

(発明の分野)
本発明は、アルファ−アミラーゼ(α−アミラーゼ)活性および/またはデンプン結合活性および/またはプラスチドを標的とするシグナルを有する単離ポリペプチドならびにポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドに関する。また、本発明は、遺伝子構築物、ポリヌクレオチド配列を組み入れるベクターおよび宿主細胞、植物、特にプラスチド中のデンプン含量を変調する、ならびにプラスチド特異的デンプンを改変するための方法に関する。
(発明の背景)
デンプンは、大部分の植物にとって重要な炭素貯蔵分子である。デンプンは不溶性であり、植物細胞のプラスチド内に貯蔵される。デンプンは、その機能により2つの基本的グループのうちの一方に区分することができる。第1に、移動(transitory)(または、日周(diurnal))デンプンは、昼の間に光合成組織において生産され、夜間には糖に分解され、植物の他の部分に運ばれる。受容組織は、糖を異化経路に直接供給し、または長期の貯蔵のためにデンプンを再合成することがある。この貯蔵デンプンは、第2のグループを形成し、根、塊茎、樹皮/木および成育中の果実を含む様々な器官において生産される。
α−アミラーゼ(E.C.3.2.1.1)は、デンプンの内部加水分解酵素であり、デンプン分子内のα−1,4−グルカン結合を切断する。この酵素は、3つのドメインからなり、ドメインAは、(β/α)8バレルに折り重なり、酵素の触媒残基を含み、ドメインBは、ドメインAの3番目のβ鎖と3番目のαラセンの間から突き出している大きなループであり、ドメインCは、(β/α)8バレルのC末端に位置し、β鎖からなっている。ドメインBおよびCの機能はほとんど不明であるが、ドメインBは、オオムギα−アミラーゼの、基質結合、触媒、および低いpHにおける安定性を含むいくつかのアイソザイム特異的性質に影響を及ぼすことが分かっている。
植物α−アミラーゼに関する研究の多くは、単子葉植物、特に穀類のオオムギおよびコメからの酵素に重点を置いてきた。α−アミラーゼは、穀物の発芽に重要な役割を果たしており、糊粉層から、α−アミラーゼがデンプンの加水分解を開始する胚乳中に分泌される。しかしながら、α−アミラーゼは、発芽中の種子の組織に限られてはいない。α−アミラーゼ活性は、細胞壁およびアミロプラストに局在化され、オオムギの水ストレスを受けた葉、および培養コメ細胞でも検出されている。単子葉植物におけるα−アミラーゼ遺伝子の分子研究から、各植物における多数の遺伝子、例えばコメにおける少なくとも10個の遺伝子によって代表される大きいがよく保存されたファミリーが明らかにされている。これらの遺伝子によってコードされるタンパク質はすべて、それらのタンパク質を細胞性分泌経路に導くと考えられているN末端シグナルペプチドを有している。細胞内の場所を標的とする単子葉植物α−アミラーゼは、今日まで確認されていない。
双子葉植物α−アミラーゼは、単子葉植物酵素に比べ、ほとんど注目されてこなかった。今日まで、双子葉植物においては、主に発芽中の子葉においてほんの一握りのα−アミラーゼ遺伝子が確認されているに過ぎず、その大部分は、すでに特徴が明らかにされた単子葉植物遺伝子との高い相同性を持つ。単子葉植物と同様に、大部分の双子葉植物α−アミラーゼは、推定上のシグナルペプチドを有している。
知られている双子葉植物α−アミラーゼの場合、具体的な機能および細胞下の局在化は未だ解明されていない。植物、特にプラスチドにおけるデンプン貯蔵の重要性を考えると、プラスチドにおける機能に関係するα−アミラーゼを同定することが望ましいであろう。
また、このようなプラスチド局在性α−アミラーゼをプラスチドに導くポリペプチドシグナル配列を同定することが望ましいであろう。このようなプラスチドを標的とするシグナルをコードするヌクレオチド配列は、プラスチドを標的とするシグナルを含むキメラタンパク質を、トランスジェニック植物のプラスチドに導くために利用できる可能性がある。この区分化は、プラスチド外部の細胞の内容物に対する発現タンパク質のいかなる毒作用も回避する可能性がある。さらに、プラスチド局在化は、発現タンパク質に対する細胞質因子の有害作用を回避する可能性がある。また、プラスチド因子と相互作用することを意図したポリペプチドがプラスチドを標的とすることは有利であろう。
さらに、植物におけるデンプン結合に関与するポリペプチド配列を確認することが望ましいであろう。このようなデンプン結合配列が含まれるキメラ組み換えタンパク質を生産できる可能性がある。このような組み換えタンパク質は、工業プロセスにおいて高い価値を有する可能性がある。例えば、組み換えタンパク質を用い、生分解性フィルムなどのポリマー基材としてデンプンまたはデンプン誘導体を用いる工業材料を改変できる可能性がある。
今回、出願人らは、プラスチドを標的とするシグナルを含む新規α−アミラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをリンゴから確認し、単離した。本発明は、このポリヌクレオチド、その相同体および植物におけるその発現/機能を広く対象とする。
また、出願人らは、α−アミラーゼのプラスチドターゲティングに関与するペプチドモチーフを、植物α−アミラーゼにおいて初めて確認した。また、本発明は、トランスジェニック植物におけるキメラタンパク質のプラスチドターゲティングを容易にするためのこの配列およびその相同体の利用法に関する。
さらに、出願人らは、α−アミラーゼのデンプン結合に関与するポリペプチドモチーフを、植物α−アミラーゼにおいて初めて確認した。さらに、本発明は、デンプン結合特性を持つ組み換えキメラタンパク質を生産するためのこれらのペプチド配列の利用法に関する。
(発明の概要)
第1の態様では、本発明は、プラスチドα−アミラーゼをコードする単離ポリペプチドを提供する。
他の態様では、本発明は、配列番号2のMdamy10アミノ酸配列を有する単離ポリペプチド、または機能的に等価なその変異体を提供する。また、本発明は、単離成熟ポリペプチドを提供する。
他の態様では、本発明は、配列番号2のMdamy10アミノ酸配列を有する、プラスチドを標的とするα−アミラーゼポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチド、または機能的に等価なその変異体を提供する。
前記ポリヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド配列の一部またはすべてを含むことが好ましい。
一実施形態では、α−アミラーゼの新規N末端ドメインをコードし、配列番号3の配列を含む本発明のポリヌクレオチド配列を提供する。
また、本発明は、配列番号4を含むN末端ドメインをコードする本発明のポリヌクレオチド配列または機能的に等価なその変異体を提供する。
また、本発明は、配列番号5の新規デンプン結合ドメインポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列または機能的に等価なその変異体を提供する。
また、本発明は、配列番号6のポリヌクレオチド配列を提供する。
また、配列番号7、配列番号8、配列番号10の残基1〜70および配列番号53の残基1〜53から選択される、プラスチド標的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列または機能的に等価なその変異体を提供する。
また、本発明は、定義済みのポリペプチドモチーフ対の少なくとも1個、好ましくは2個の反復を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を提供する。モチーフ対は、ファミリー3α−アミラーゼのN末端半分、すなわちMdamy10、Mdamy11、Atamy3、Osamy10(コメ、Oryza sativa由来)、およびキーウィフルーツ(Actinidia chinensis)からの断片1のアライニングによって定義することができる(図8):
Figure 2005516589
または機能的に等価なその変異体。
(この表示法では、大文字は、保存されたアミノ酸を表すが、括弧内の文字は、部分的に保存されたアミノ酸を表し、yは、疎水性残基を表し、Xは、任意のアミノ酸を表し、[X]46は、連続した4〜6個の不特定のアミノ酸を表す。)
ポリヌクレオチドは、DNAであることが好ましい。
他の推定上のデンプン結合タンパク質からの配列が含まれる場合、モチーフをより大まかに定義することができる。付け加える配列は、ジャガイモからのR1タンパク質、Arabidopsisからのその相同体、Sex1、およびArabidopsisからの推定上のデンプン枝作り酵素(SBE様)とした(図9)。得られるモチーフは、
Figure 2005516589
または機能的に等価なその変異体である。上記と同一の表示法を用いる。
ポリヌクレオチドは、DNAであることが好ましい。
さらに、本発明は、上記で定義したポリヌクレオチドが含まれる遺伝子構築物を提供する。
より具体的には、本発明は、5’〜3’方向に、
(a)プロモーター配列、
(b)本発明のポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームポリヌクレオチドまたは機能的に等価なその変異体、および
(c)終止配列
を含む遺伝子構築物を提供する。
ポリペプチドは、配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号7および配列番号8から選択されるアミノ酸配列を含むことが好ましい。
一実施形態では、オープンリーディングフレームは、センス配向である。
代替実施形態では、オープンリーディングフレームは、アンチセンス配向である。
さらに他の実施形態では、本発明は、5’〜3’方向に、
(a)プロモーター配列、
(b)本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの非コーディング領域または機能的に等価なその変異体、および
(c)終止配列
を含む遺伝子構築物を提供する。
ポリペプチドは、配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号7および配列番号8から選択されるアミノ酸配列を含むことが好ましい。
この場合も、非コーディング領域は、センスまたはアンチセンス配向である。
さらに他の実施形態では、本発明は、5’〜3’方向に、
(a)プロモーター配列、
(b)本発明のポリペプチドをコードする配列の少なくとも一部と相補的なポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、または機能的に等価などちらかの変異体、および
(c)終止配列
を含む遺伝子構築物を提供する。
一実施形態では、(b)における遺伝子構築物のポリヌクレオチドには、転写物からヘアピン構造が形成できるような逆方向反復が含まれる。
各実施形態では、遺伝子構築物に、形質転換細胞を確認するためのマーカーが含まれることが好ましい。
他の態様では、本発明は、上記で定義した遺伝子構築物が含まれる宿主細胞を提供する。
さらに他の態様では、本発明は、上記で定義した遺伝子構築物が含まれるトランスジェニック植物細胞、ならびにそのような細胞を含むトランスジェニック植物を提供する。
さらに他の態様では、本発明は、配列番号2における配列のポリペプチドもしくは機能的に等価なその変異体の発現および/または活性を変えるために改変された植物を提供する。
他の態様では、本発明は、Mdamy10配列番号2もしくは配列番号4を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子構築物または機能的に等価なその変異体を含み、前記植物内の前記ポリペプチドの発現および/または活性が妨害されている植物を提供する。
このような植物は、プラスチド内およびデンプンが貯蔵される器官(例えば、葉、塊茎、根、樹皮/木、果実)内にデンプンを蓄積し、さらにデンプンの構造および組成は変化を受けている。さらに、形質転換組織では一次代謝が変化を受け、植物は、様々な器官の間の糖輸送に変化を受けている。
他の態様では、本発明は、配列番号4および配列番号5から選択されるポリペプチドを機能的に発現しないように遺伝子操作された植物を提供する。
このような植物では、ポリペプチドのデンプン結合能力が低下し、影響を受けたタンパク質は、デンプン代謝において機能できないことを意味する。
一形態では、ポリヌクレオチドによってコードされる前記ポリペプチドの機能的発現は、直接的に妨害されている。
別の形態では、ポリヌクレオチドによってコードされる前記ポリペプチドの機能的発現は、前記ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの機能的発現を妨害することなどを介して間接的に妨害される。
本明細書で使用する「植物」は、裸子植物、被子植物、単子葉植物および双子葉植物、葉、根、花、果実、樹皮/木、塊茎などの植物部分、挿し木、種、組織培養物、細胞培養物ならびに植物細胞を意味するが、これらに限定されるものではない。
本明細書で使用する前記ポリペプチドの「機能的発現」は、植物内で発現され、機能的であるポリペプチドの量を指す。例えば、ポリペプチドを機能的に発現しない植物は、そのポリペプチドの発現が全く存在しないこと、あるいはポリペプチドは発現されるが、もはやこれまでの機能を果たさないことを意味することができる。
発現および/または活性の妨害は、ポリヌクレオチド自体もしくはその調節要素の変異(フレームシフト、欠失、挿入またはノックアウト変異など)またはダウンレギュレーション(アンチセンスまたは同時抑制など)によっても、または遺伝子の異常もしくは発現低下を得ることができる当業者に知られている他のいかなる方法であってもよい。したがって、妨害は、Mdamy10の発現のダウンレギュレーションによって特異的に引き起こすことができる。
本発明のポリペプチドの発現レベルを減少するように設計された実験により、様々なトランスジェニック植物における発現レベルの範囲が得られることは理解されるであろう。様々なレベルの発現により、様々なレベルのα−アミラーゼ活性が得られ、いずれも有用な植物を提供することができる。
また、本発明は、植物のデンプン含量を変調するための方法であって、プラスチドを標的とするα−アミラーゼをコードする遺伝子の発現を変化させるための遺伝子組み換えにより、配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号7および配列番号8から選択されるポリペプチドの発現および/活性を増大または低減させることを含む方法を提供する。
デンプン代謝は、本発明の遺伝子構築物を植物に導入し、植物内でポリペプチドを発現することによって変化させることができる。
また、本発明は、広く、植物を含む生物体のデンプン含量を変調するための本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの使用法に関する。
また、N末端の使用法ならびにデンプン結合ドメインおよび/または特異的デンプン結合モチーフの、そのようなデンプン結合ドメインおよび/またはモチーフを含む組み換え発現されたキメラポリペプチドの製造における使用法を具体的に企図している。このような組み換えキメラポリペプチドは、デンプンと結合する能力を有している可能性がある。
また、トランスジェニック的に発現されたポリペプチドを、トランスジェニック植物のプラスチドに導くキメラ遺伝子構築物を調製するための、本発明のプラスチドを標的とするモチーフをコードするポリヌクレオチド配列の使用法を具体的に企図している。
本発明は、上記のように広く定義されているが、当業者は、本発明がこれらに限定されるものではないこと、および本発明には、以下の説明が例示する実施形態が含まれていることを理解しているであろう。
(図面の簡単な説明)
さらに、付随する図面を参照することにより、本発明はより良く理解されるであろう。
図1は、ファミリー3α−アミラーゼ配列とリンゴα−アミラーゼ8(Mdamy8)との比較アラインメントを示す図である。Mdamy8は、サイトゾルを標的とするα−アミラーゼである。配列によってコードされる4個のタンパク質ドメインを区別するため、各バーに陰影をつける。A、BおよびCは、構造ドメインA、BおよびCを表し、すべてのα−アミラーゼで見つかる。新規ドメインは、ファミリー3α−アミラーゼでのみ見つかるN末端ドメインを指す。Mdamy8、Atamy3、Mdamy10、およびOsamy10はすべて、完全長配列を表す。Mdamy11ならびにキーウィフルーツ、ブルーベリー、コーヒー、ワタ、およびバラからの配列はすべて、部分配列を表す。
図2は、Mdamy10のヌクレオチド配列を示す図である。プラスチドを標的とするペプチドをコードするヌクレオチド(ヌクレオチド55〜237)を太字で示し、新規なデンプン結合ドメインをコードするヌクレオチドに下線を引く(238〜1503)。
図3は、Mdamy10のアミノ酸配列を示す図である。プラスチドを標的とするペプチド(アミノ酸1〜61)を太字で示し、新規なデンプン結合ドメインに下線を引く(62〜483)。
図4は、Atamy3のヌクレオチド配列を示す図である。プラスチドを標的とするペプチドをコードするヌクレオチド(ヌクレオチド1〜165)を太字で示し、新規なデンプン結合ドメインをコードするヌクレオチドに下線を引く(166〜1410)。
図5は、Atamy3のアミノ酸配列を示す図である。プラスチドを標的とするペプチド(アミノ酸1〜55)を太字で示し、新規なデンプン結合ドメインに下線を引く(56〜470)。
図6は、Osamy10のヌクレオチド配列を示す図である。プラスチドを標的とするペプチドをコードするヌクレオチド(ヌクレオチド1〜159)を太字で示し、新規なデンプン結合ドメインをコードするヌクレオチドに下線を引く(160〜1371)。
図7は、Osamy10のアミノ酸配列を示す図である。プラスチドを標的とするペプチド(アミノ酸1〜53)を太字で示し、新規なデンプン結合ドメインに下線を引く(54〜457)。
図8は、ファミリー3α−アミラーゼのデンプン結合ドメインからのポリペプチド配列のアラインメントを示す図である。配列タイトルは、配列自体の左に示す。キーウィフルーツ配列は、配列1(配列番号21)を指す。文字「a」は、その配列が、配列内のモチーフ対の1番目(N末端に最も近い)の反復であることを示している。「b」は、モチーフ対の2番目の(C末端に最も近い)反復を示している。陰影付けは、配列保存を示し、黒は完全な保存、灰色地に白文字は、高度な保存、灰色地に黒文字は、中程度の保存である。
図9は、ファミリー3のα−アミラーゼのデンプン結合ドメインと、さらにジャガイモからのR1タンパク質(Genbank-CAA70725)、Arabidopsisからのその相同体、Sex1(Genbank-AAG47821)、およびArabidopsisからの推定上のデンプン枝作り酵素(SBE様)(Genbank-BAB02827)からのポリペプチド配列のアラインメントを示す図である。配列タイトルは、配列自体の左に示す。キーウィフルーツ配列は、配列1(配列番号21)を指す。文字「a」は、その配列が、配列内のモチーフ対の1番目(N末端に最も近い)の反復であることを示している。「b」は、モチーフ対の2番目の(C末端に最も近い)反復を示している。陰影付けは、配列保存を示し、黒は完全な保存、灰色地に白文字は、高度な保存、灰色地に黒文字は、中程度の保存である。
図10は、多くの植物種からのゲノムDNAに対するプライマーNewUNIf2およびNewUNIr2によるPCRの結果を示す図である(レーン1;マツ。レーン2;ジャガイモ。レーン3;タマネギ。レーン4;バラ。レーン5;オリーブ。レーン6;コーヒー。レーン7;バナナ。レーン8;マンゴー。レーン9;ワタ。レーン10;1kb+DNAラダー(Bio-Rad Laboratories)。指示サイズを右に示す。試料は、0.8%アガロースゲルにより電気泳動させ、臭化エチジウムで染色した。
図11は、N.benthamiana上皮細胞において発現されたGFP融合遺伝子構築物の蛍光顕微鏡画像を示す図である。左上、GFP単独(pDS-GFP-ART27)、GFP植物フィルタセットを使用;バーは50μmを表す。右上、cTP−GFP(pcTP-ART27)、UVフィルタセットを使用;バーは50μmを表す。左下、cTP−GFP、GFP植物フィルタセットを使用;バーは50μmを表す。右下、cTP−GFP、GFP植物フィルタセットを使用;バーは10μmを表す。
図12は、pET−30aをベースとするGFP構築物を含むIPTG誘導E.coliからのタンパク質のSDS-PAGE(A)およびウエスタンブロット(B)を示す図である。ウエスタンは、抗GFP抗体で探索した。レーン1〜4は、不溶性タンパク質分画である。レーン6〜9は、可溶性タンパク質分画である。レーン1および6−pET−30a;レーン2および7−pGFP−ET−30b;レーン3および8−pNterm−ET−30b;レーン4および9−pSBD−ET−30a;レーン5−Prestained Broad Range SDS-PAGE Standard(Bio-Rad)−サイズは図の右に示す。
図13は、ヨウ素で染色されたアミロペクチン含有ゲル上のタンパク質試料を示す図である。ゲルA:レーン1は、pET−30aを発現するE.coliからの粗製タンパク質抽出物を含む。レーン2は、pAmy10−ET−30aを発現するE.coliからの粗製タンパク質抽出物を含む。レーン3は、結合緩衝液中で脱塩された粗製のpET−30a抽出物を含む。レーン4は、結合緩衝液中で脱塩された粗製のpAmy10−ET−30a抽出物を含む。ゲルB:レーン5、7および9は、連続した2.5 mLの分画からのニッケル精製pET−30aタンパク質を含む。レーン6、8および10は、連続した2.5 mLの分画からのニッケル精製pAmy10−ET−30aタンパク質を含む。レーン11は、pAmy10−ET−30aを発現するE.coliからの粗製タンパク質抽出物を含む。
図14は、ヨウ素で染色されたデンプン移動ゲルを示す図である。レーン1は、pET−30aのみを発現するE.coliからの粗製タンパク質抽出物を含む。レーン2;pAmy10−ET−30aを発現するE.coliからの粗製タンパク質抽出物。レーン3;リンゴの葉から抽出されたタンパク質。レーン4;Arabidopsisの葉から抽出されたタンパク質。レーン5;pAmy10−ET−30aを発現するE.coliからの粗製タンパク質抽出物。
図15は、pET−30aおよびpAmy10−ET−30aプラスミドを含むIPTG誘導E.coli由来のタンパク質のSDS−PAGE(A)およびウエスタンブロット(B)を示す図である。ウエスタンは、抗His6抗体で探索した。レーン1−粗製pET−30a;レーン2−粗製pAmy10−ET−30a;レーン3−脱塩pET−30a;レーン4−脱塩pAmy10−ET−30a;レーン5−Pre-stained Broad Range SDS-PAGE Standard(Bio-Rad)−サイズは図の右に示す;レーン6−pAmy10−ET−30a、精製分画1;レーン7−pET−30a、精製分画2;レーン8−pAmy10−ET−30a、精製分画2;レーン9−pAmy10−ET−30a、精製分画3(セミドライブロッティングの前にレーンの一部を取り除いたため、ブロット(B)上に完全には現れない)。
図16は、10種の異なる組織からのArabidopsisα−アミラーゼ転写物のRT−PCRを示す図である。各Arabidopsisα−アミラーゼの一部(Atamy1、2、または3)を増幅するように設計されたプライマーを用い、PCR増幅を30サイクル行った。組織:1:吸水膨潤(imbibed)種子、2:子葉が出ている種子、3:(2)からの子葉のみ、4:丸ごとの苗木(whole seedling)(2葉)、5:(4)からの葉のみ、6:根、7:完全ロゼット植物、8:成長している茎からの葉、9:若い種子のさや、10:老化植物(種子のさやがない)。
(発明の説明)
上記で概述したように、出願人らは、植物のプラスチドを標的とする新規α−アミラーゼを確認した。好ましい実施形態では、植物は、結実植物である。また、新規ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。具体的なポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、植物のMalus x domestica、Arabidopsis thalianaおよびOryza sativaに由来する。
一ポリペプチドMdamy10のアミノ酸配列、およびそれをコードするポリヌクレオチド配列をそれぞれ図3および2に示す。しかしながら、本発明は、図3および2に示す具体的なアミノ酸/ヌクレオチド配列を有するポリペプチド/ポリヌクレオチドのみに限定されないことは理解されるであろう。それよりむしろ、本発明は、図3および2のポリペプチド/ポリヌクレオチドの機能的に等価な変異体にまで及ぶ。
本明細書で使用する用語「ポリヌクレオチド」は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド塩基の一本鎖または二本鎖ポリマーを意味し、DNAならびにhnRNAおよびmRNA分子、センスとアンチセンス鎖の双方を含む対応するRNA分子が含まれ、cDNA、ゲノムDNAおよび組み換えDNA、ならびに完全または部分合成ポリヌクレオチドを包含する。hnRNA分子はイントロンを含み、一般的には1:1でDNA分子に対応している。mRNA分子は、イントロンが切除されたhnRNAおよびDNA分子に対応している。ポリヌクレオチドは、全遺伝子、またはその任意の部分からなることができる。動作可能のアンチセンスポリヌクレオチドは、対応するポリヌクレオチドの断片を含み、したがって、「ポリヌクレオチド」の定義には、このような動作可能なアンチセンス断片すべてが含まれる。
本明細書で使用する用語「ポリペプチド」には、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質が含まれる。
語句「機能的に等価な変異体」は、実質的に等価な機能性を維持しつつ、ポリペプチドのアミノ酸/ヌクレオチド配列を変化させることが可能であると理解される。例えば、あるポリペプチドは、等価なポリペプチドが免疫学的に交差反応性であり、元のポリペプチドと少なくとも実質的に同一な機能を有する場合、具体的な機能に関して別のポリペプチドの機能的等価体と見なすことができる。例えば、等価体は、ポリペプチドの断片、ポリペプチドと別のポリペプチドもしくはキャリアとの融合物、またはアミノ酸が追加された断片の融合物であってもよい。
変異体ポリヌクレオチド配列には、イントロンのサイズ、組成、位置、および数、ならびに非翻訳末端領域のサイズおよび組成が異なる等価な配列が含まれる。
機能的に等価なポリヌクレオチドは、機能的に等価なポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。
Mdamy10の重要なN末端ポリペプチド領域をコードするポリヌクレオチド配列を図2に示す。Mdamy10からの対応するN末端アミノ酸配列を図3に示す。当初、大きなN末端伸長(約460〜480個のアミノ酸)が、Mdamy10およびArabidopsisからの相同体Atamy3(GenBank Accession No.A7050398;図4および5)において見いだされた。プラスチドを標的とする他の配列は、出願人らにより、リンゴから(Mdamy11)、その後コメから(Osamy10;図6および7)確認された。これらのN末端伸長には、Mdamy10における61個のアミノ酸(配列番号2および配列番号7)、Mdamy11における70個のアミノ酸(配列番号10)、Atamy3における55個のアミノ酸(配列番号17および配列番号8)およびOsamy10における53個のアミノ酸(配列番号53)の、プラスチドを標的とするペプチドが含まれる。
また、N末端領域には、強力なデンプン結合領域(配列番号5)、および前述の強力な特異的デンプン結合モチーフが含まれることが判明した。残りのC末端領域(Mdamy10における最後の420個のアミノ酸、Atamy3、およびOsamy10における最後の416個)には、α−アミラーゼ領域が含まれる。Mdamy11配列は、5’ポリペプチド断片(配列番号10)のアミノ酸71〜243中に、デンプン結合ドメインの大部分を含んでおり、デンプン結合モチーフの完全な対、および中心断片のアミノ酸1〜107(配列番号12)が含まれ、デンプン結合モチーフ2の一部が含まれている。中心断片のアミノ酸108〜172および3’断片の1〜142(配列番号14)はすべて、α−アミラーゼ領域の一部を構成している。
また、出願人らは、Mdamy10、Mdamy11、Atamy3、およびOsamy10がα−アミラーゼの異なるファミリーを形成していると判断し、これらをファミリー3α−アミラーゼと名付けた。このことは、それらのプラスチドターゲティングによってばかりでなくイントロンの数および分布に基づいて判断した。Atamy3およびOsamy10は、それらのコーディング配列を遮断する12個のイントロンを有し、イントロンを含むそれらの完全ゲノム配列は、それぞれ配列番号55および配列番号54である。それらのイントロンのうち6個は、以下の表1に示すように、遺伝子のα−アミラーゼコーディング領域内(3’側の半分)にある。
Figure 2005516589
ファミリー1およびファミリー3のα−アミラーゼ遺伝子におけるイントロンの分布。コドン番号は、Atamy3のアミノ酸配列(図5)に対応し、かつ相当する。イントロンの存在を+記号で示し、非存在を−記号で示す。ゲノムDNA配列が存在しないMdamy10およびMdamy11の領域には?印を付ける。Atamy3のアミノ酸1〜470の領域は、Hvamy2−2およびamyVm1と等価ではないため、これらの領域にはn/aと記入した。出願人らは、ファミリー1およびファミリー3の遺伝子中に合計15個の異なるイントロン位置を明らかにし、それらに、Atamy3遺伝子配列の5’から番号を付け、コドン番号および相によって定義する。1番目の塩基の後ろでトリプレットを分離するイントロンの場合、コドン番号の後ろに−1を続ける。2番目の塩基の後ろでトリプレットを分離するイントロンの場合、コドン番号の後ろに−2を続ける。トリプレット間に収まるイントロンの場合、イントロンの3’が位置するコドンの番号を示し、−0を続ける。GenBank Accession番号:Hvamy2−2(AAA98790)、AmyVm1(CAA37217)。
3種類のα−アミラーゼはすべて、35〜54塩基対の短い5’非翻訳領域(UTR)を有している。しかしながら、Mdamy10は、557塩基対までの極めて長い3’UTRを有している。
Mdamy10、Mdamy11およびAtamy3のUTRの特徴付けについての情報を表2に提供する。
Figure 2005516589
このα−アミラーゼファミリーを特徴付けている独自のイントロン構造も、α−アミラーゼの発現に影響を及ぼすと考えられる。
ポリペプチドの活性を担う構造を維持しつつ、アミノ酸の様々な置換が可能であることは理解されるであろう。保存的置換は、特許文献、例えば米国特許第5,264,558号または第5,487,983号に記載されている。すなわち、例えば、非極性脂肪族中性アミノ酸であるグリシン、アラニン、プロリン、バリンおよびイソロイシン間の交換が可能であろうと予想される。同様に、極性脂肪族中性アミノ酸であるセリン、スレオニン、メチオニン、アスパラギンおよびグルタミン間の置換を行うことができる。荷電した酸性アミノ酸であるアスパラギン酸およびグルタミン酸間の置換は、荷電した塩基性アミノ酸であるリジンおよびアルギニン間の置換と同様に行うことができる。フェニルアラニン、ヒスチジン、トリプトファン、およびチロシンを含む芳香族アミノ酸間の置換も可能である。このような置換および交換は、当業者によく知られている。
同様に、特定の産物をコードするヌクレオチド配列は、単なる核酸コードの縮重によって、著しく異なることがある。
ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列のアラインメントを行い、公に利用できるコンピュータアルゴリズムを用い、特定の領域における同一のヌクレオチドの割合を別の配列に対して決定することができる。アラインメントを行い、ポリヌクレオチド配列の類似性を確認するための2例のアルゴリズムは、BLASTNおよびFASTAアルゴリズムである。ポリペプチド配列の類似性は、BLASTPアルゴリズムを用いて調べることができる。BLASTNソフトウェアとBLASTPソフトウェアは共に、/blast/executables/によりNCBI匿名FTPサーバ(ftp://ncbi.nlm.nih.gov)上で入手可能である。BLASTNアルゴリズムバージョン2.0.4[1998年2月24日]は、本発明による変異体の付属文書に記載されているデフォルトパラメータに設定する。BLASTNおよびBLASTPを含むBLASTファミリーのアルゴリズムの使用法は、NCBIのウェブサイトのURL、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/newblast.htmlおよびAltschul、Stephen F.、他(1997)の発表に記載されている。コンピュータアルゴリズムFASTAは、インターネット上のftpサイト、ftp://ftp.virginia.edu/pub/fasta/において入手可能である。本発明による変異体の決定に使用するためには、付属文書に記載のデフォルトパラメータに設定されアルゴリズムと共に配布されている1996年2月のバージョン2.0u4が好ましい。FASTAアルゴリズムの使用法は、(PearsonおよびLipman1988、Pearson1990)に記載されている。
以下のランニングパラメータは、E値(下記の)および同一性比率に役立つBLASTNを用いるアラインメントおよび類似性の決定にとって好ましい。Unixランニングコマンド:blastall -P blastn -d embldb -e 10 -G 1 -E 1 -r 2 -v 50 -b 50 -I queryseq -o results;およびパラメータデフォルト値:
−p プログラム名[文字列]
−d データベース[文字列]
−e 期待値(E)[実数]
−G ギャップを開くためのコスト(0は、デフォルト挙動を呼び出す)[整数]
−E キャップを延長するためのコスト(0は、デフォルト挙動を呼び出す)[整数]
−r ヌクレオチドマッチに対する報酬(blastnのみ)[整数]
−v 一行説明文の数(V)[整数]
−b 示すアラインメントの数(B)[整数]
−i クエリーファイル[ファイルイン]
−o BLASTレポート出力ファイル[ファイルアウト]選択肢
BLASTPの場合、以下のランニングパラメータが好ましい:blastall -p blastp -d swissprotdb -e 10 -G 1 -E 1 -v 50 -b 50 -I queryseq -o results
−p プログラム名[文字列]
−d データベース[文字列]
−e 期待値(E)[実数]
−G ギャップを開くためのコスト(0は、デフォルト挙動を呼び出す)[整数]
−E キャップを延長するためのコスト(0は、デフォルト挙動を呼び出す)[整数]
−v 一行説明文の数(v)[整数]
−b 示すアラインメントの数(b)[整数]
−i クエリーファイル[ファイルイン]
−o BLASTレポート出力ファイル[ファイルアウト]選択肢
BLASTN、BLASTP、FASTA、または類似のアルゴリズムによって取り出されたクエリー配列による1個または複数のデータベース配列との「ヒット」は、アラインメントして配列の類似部分を確認する。ヒットは、類似性の程度および配列重複部分の長さの順に配置する。データベース配列とのヒットは、一般的に、クエリー配列のほんのわずかな配列長上の重複部分を表す。
また、BLASTNおよびFASTAアルゴリズムは、アラインメントに関する「期待」すなわちE値を取り出す。E値は、特定のサイズのデータベースを検索する場合、特定数の連続した配列上で偶然に見ることを「期待」できるヒットの数を示している。期待値は、好ましいEMBLデータベースなどのデータベースとのヒットが、真の類似性を示しているか否かを決定するための有意性閾値として使用される。例えば、あるヒットに割り当てられた0.1というE値は、EMBLデータベースのサイズのデータベースにおいて、一般に、類似したスコアを持つ配列のうちアラインメントされた部分上で、単なる偶然により0.1のマッチを見ることが期待できることを意味していると解釈される。この基準により、配列のうちアラインメントされマッチした部分は、同一である可能性を90%有することになる。アラインメントされマッチした部分上で0.01以下のE値を有する配列の場合、EMBLデータベースで偶然にマッチが見つかる確率は、BLASTNまたはFASTAアルゴリズムを用いると1%以下である。
一実施形態によれば、本発明の各ポリヌクレオチドに関して、「変異体」ポリヌクレオチドは、本発明の各ポリヌクレオチドと同数以下の核酸を有し、本発明のポリヌクレオチドと比較した場合、0.01以下のE値を生じる配列を含むことが好ましい。すなわち、変異体ポリヌクレオチドは、上記のパラメータに設定されたBLASTNまたはFASTAアルゴリズムを用いて0.01以下のE値を有すると測定され、本発明のポリヌクレオチドと同一であるという確率を少なくとも99%有する任意の配列である。
変異体ポリヌクレオチド配列は、一般的に、列挙したポリヌクレオチド配列と厳密な条件下でハイブリダイズする。本明細書で使用する「厳密な条件」は、6×SSC、0.2%SDSの溶液中で予備洗浄すること;65℃、6×SSC、0.2%SDSにおいて一夜ハイブリダイズさせること;続く、各々1×SSC、0.1%SDS中、65℃における30分間の洗浄を2回と各々0.2×SSC、0.1%SDS中、65℃における30分間の洗浄を2回行うことを指す。本発明の変異体ポリヌクレオチド配列は、長さが少なくとも50個のヌクレオチドである。
また、変異体ポリヌクレオチドには、本明細書に列挙する配列中に示されるそれぞれのネイティブなヌクレオチド配列のヌクレオチドに対し、少なくとも60%、一般的に70%、好ましくは80%、より好ましくは90%、さらにより好ましくは95%、極めて好ましくは98%、最も好ましくは99%以上の配列同一性を有するポリペプチドをコードする配列が含まれる。
一般に、α−アミラーゼ、デンプン結合ドメイン/モチーフ、プラスチドを標的とするシグナルおよび本発明の他のポリペプチドをコードする配列は、開示された配列と、少なくとも50%、一般的に少なくとも60%、好ましくは70%、さらに80%、85%、90%、95%、98%、最も好ましくは99%以上の相同性があるはずである。すなわち、配列類似性は、50%から99%以上まで及んでもよい。
また、本発明は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列の断片を包含する。ポリヌクレオチド断片は、ネイティブなタンパク質の生物活性を保持するタンパク質断片をコードすることができる。あるいは、ハイブリダイゼーションプローブとして用いられる断片は、一般的に、生物活性配列をコードしない。ポリヌクレオチドの断片は、少なくとも15、20、30、50、100、200、400または1000個の連続したヌクレオチドから、本明細書に開示されているネイティブな完全長のポリヌクレオチド配列まで及んでもよい。
本発明のポリペプチドの断片は、少なくとも5、10、15、30、50、75、100、150、200、400または500個の連続したアミノ酸から、本発明の完全長ポリペプチドにおけるアミノ酸の総数まで及んでもよい。
また、変異体は、そのような変異体が、機能的に等価な本発明のタンパク質もしくはポリペプチドまたはその断片を依然として提供する場合、同種または他種の遺伝子(α−アミラーゼを含む)からの1個または複数のヌクレオチドまたはドメイン/モチーフ(コーディング、非コーディングまたはイントロン領域からの)の再配列、転換または交換を可能にすることを意図している。
Mdamy10、Mdamy11、Atamy3、およびOsamy10の相同体が他の植物中に存在することを明確に企図していることは言うまでもない。そのような相同体は、本明細書で使用する語句と同様、Mdamy10、Mdamy11、Atamy3、およびOsamy10の「機能的に等価な変異体」である。これらの遺伝子には多くの相同体の例が存在し、実験の項にいくつかを記載する。Mdamy10、Atamy3、およびOsamy10はすべて、完全長配列である。Mdamy11ならびにキーウィフルーツ(Actinidia chinensis)、ブルーベリー(Vaccinium corymbosum)、コーヒー(Coffea arabica)、ワタ(Gossypium hirsutum)、およびバラ(Rosa woodsii)からの配列はすべて、部分配列である。各配列の範囲を、ファミリー3α−アミラーゼのN末端ドメインの等価体を有しない、サイトゾルを標的とするファミリー2のα−アミラーゼであるリンゴのα−アミラーゼMdamy8と対比して図1に示す。表3は、ヌクレオチドレベルとアミノ酸レベルの双方における各相同体についてのMdamy10との同一性比率を示している。
Figure 2005516589
Mdamy10、Mdamy11、Atamy3、およびOsamy10の相同体に相当する多くのESTを公開データベース中に見いだすことができる。これらのESTの一部は、Mdamy10のN末端ドメインに相当し、プラスチドを標的とするシグナルおよび/またはデンプン結合ドメインの一部またはすべてが含まれる;これらのESTの例(Genbankアクセッション番号を列挙する):
Figure 2005516589
他のESTは、Mdamy10のα−アミラーゼドメインに相当する。;これらのESTの例(Genbankアクセッション番号を列挙する):
Figure 2005516589
このESTリストは、双子葉および単子葉被子植物、ならびに裸子植物Pinus taedaからの配列を含んでいる。列挙した相同体以外に、Mdamy10、Mdamy11、Atamy3、およびOsamy10の相同体が存在することは明確に企図している。
本発明のポリヌクレオチド配列は、融合タンパク質をコードできるように、1個または複数の追加ポリペプチドをコードする1個または複数の追加配列、またはその断片をさらに含むことができる。本発明のポリペプチドの新規N末端領域、または1個もしくは複数のデンプン結合ドメイン/モチーフをコードする配列が含まれるキメラ遺伝子構築物を用い、デンプンと結合することができるキメラタンパク質を製造することができる。このような組み換え発現用の系には、哺乳動物、細菌、真菌および昆虫系が含まれるが、これらに限定されるものではない。
Malus x domestica以外の植物からMdamy10およびMdamy11の相同体であるDNA配列を確認し(コンピュータ支援データベース検索により)、そのような植物から調製したcDNAライブラリのハイスループットシークエンシングを経て単離することができる。あるいは、配列番号1、9、11および13で示される、Mdamy10およびMdamy11の配列をベースとするオリゴヌクレオチドプローブを合成して使用し、ハイブリダイゼーションまたはPCR技法により、他の植物からのcDNAまたはゲノムDNAライブラリ中の陽性クローンを確認することができる。プローブは、長さが少なくとも約10個、好ましくは少なくとも約15個、最も好ましくは少なくとも約20個のヌクレオチドでなければならない。このようなオリゴヌクレオチドプローブと共に使用するのに適当なハイブリダイゼーションおよびPCR技法は当技術分野でよく知られている。陽性クローンは、制限酵素消化、DNAシークエンシングなどによって分析することができる。
本発明のポリヌクレオチドは、当技術分野でよく知られている技法を用い、合成手段によって作製することができる。オリゴヌクレオチドの自動合成用機器は、Perkin Elmer/Applied Biosystems Division(Foster City、CA)などの供給業者から市販されており、製造者の使用説明書に従って操作することができる。
本発明のポリペプチド/ポリヌクレオチドを確認することの一番の重要性は、それらが、植物、特に葉緑体などの植物プラスチドにおけるデンプン含量の変調を可能にすることである。変調には、ポリペプチドの発現および/または活性の低下(すなわち、サイレンシング)が含まれる。
これを行うためには、従来のいかなる技法を用いてもよい。介入は、転写後または転写前に生じることがある。さらに、介入は、遺伝子自体または遺伝子に関連し、コードされているポリペプチドの発現に影響する調節要素に焦点を合わせてもよい。本明細書では、「調節要素」は可能な最も広い意味で使用され、当該ポリヌクレオチド/ポリペプチドと相互作用する他のポリヌクレオチド/ポリペプチドが含まれる。
転写前の介入は、遺伝子自体またはその調節要素の変異を含むことができる。このような変異は、点変異、フレームシフト変異、挿入変異または欠失変異であってもよい。これら後者の変異には、遺伝子の発現が完全に取り除かれたいわゆる「ノックアウト」変異が含まれる。
転写後の介入の例には、同時抑制もしくはアンチセンス戦略、ドミナントネガティブな手法、またはリボザイムに標的遺伝子の転写後RNAを消化させる、さもなければ致命的にする技法が含まれる。
同時抑制は、例えばNapoli他(1990)およびde Carvalho Niebel他(1995)により論じられた方法と類似の方法で行うことができる。場合により、構成的プロモーターの使用による当該遺伝子の過剰発現を含むことができる。また、遺伝子からのイントロンまたは5’もしくは3’非翻訳領域(UTR)などの、遺伝子の非コーディング領域による植物の形質転換を含むことができる。
アンチセンス戦略は、標的遺伝子から転写されたmRNAの翻訳を妨害することができる発現/転写産物の発現または転写を含む。これは、通常、標的mRNAとハイブリダイズし二重鎖を形成する発現/転写産物を介するものである。
発現/転写産物は比較的小さな分子であり、それでもなおmRNA翻訳を妨害することができる。しかしながら、同じ結果は、アンチセンス配向の遺伝子の転写によって産生されるRNAが内因性標的mRNAのすべてまたは一部と相補的であるように、アンチセンス配向で全ポリヌクレオチドを発現することによって得られる。
アンチセンス戦略は、一般にRobinson-Benion他(1995)およびKawasaki他(1996)により記載されている。
遺伝子サイレンシングのために設計された遺伝子構築物には、逆方向反復が含まれる。「逆方向反復」は、反復の後半が相補鎖、例えば
Figure 2005516589
で反復される配列である。生成した転写物は、反復領域間に少なくとも3〜5bpのスペーサーが存在するならば、相補的塩基対形成を受けてヘアピン構造を形成する。
別の手法は、標的遺伝子サイレンシングに使用できる可能性のあるmiRNA(Llave他、2002)に相当する転写物を標的とする小さなアンチセンスRNAを作製することである。
ドミナントネガティブな手法は、デンプン結合ドメインを含むが、触媒ドメインを欠く改変プラスチドα−アミラーゼポリペプチドの発現を含む。結果は、タンパク質は目的どおりデンプンと結合するがデンプンを消化できず、同時に内因性α−アミラーゼの結合をブロックすることである。
ポリペプチド発現の調節へのリボザイム手法は、リボザイム遺伝子構築物に適切な配列または部分配列(例えば、DNAまたはRNA)を挿入するものである(McIntyre、1996)。リボザイムは、各々が、本発明のポリヌクレオチドのうち1つによってコードされるmRNA分子の少なくとも5個の連続したヌクレオチドを含む2つの領域に相補的なハイブリダイズする領域を含む合成RNA分子である。リボザイムは、極めて特異的なエンドヌクレアーゼ活性を有し、mRNAを自己触媒的に切断する。
あるいは、変調は、ポリヌクレオチドの過剰発現、または宿主のゲノムにおけるポリヌクレオチドのコピー数を増加させることによるポリペプチドの発現または活性の増加を含むことができる。
上記の戦略を実行するため、本発明は、遺伝子構築物も提供する。遺伝子構築物には、所期のDNA(センスもしくはアンチセンス配向の本発明のポリヌクレオチド配列または適切なリボザイムをコードするポリヌクレオチドの1個または複数のコピーなど)、転写されるDNA配列と動作可能に連結されている(遺伝子の発現を制御する)プロモーター配列および終止配列が含まれる。プロモーター配列は、一般に、転写されるDNA配列の5’末端に位置し、DNA配列の転写を開始するために用いられる。プロモーター配列は、一般に遺伝子の5’非コーディング領域に見いだされるが、イントロン(Luehrsen、1991)またはコーディング領域に存在することがある。
本発明の遺伝子構築物において有用に用いることができる様々なプロモーター配列は、当技術分野でよく知られている。プロモーター配列、および終止配列もまた、標的宿主においてプロモーターが機能性であれば、標的植物宿主に対して内因性または外因性のどちらであってもよい。例えば、プロモーターおよび終止配列は、他の植物種、植物ウイルス、細菌プラスミドなどに由来してもよい。プロモーターおよび終止配列は、α−アミラーゼ遺伝子と内因的に関係のある配列であることが好ましい。
プロモーターの選択に影響を及ぼす因子には、遺伝子構築物の望ましい組織特異性、ならびに転写および翻訳のタイミングが含まれる。例えば、35S Cauliflower Mosaic Virus(CaMV 35S)プロモーターなどの構成的プロモーターは、植物のすべての部分において転写に影響する。組織特異的プロモーターを使用することにより、当該組織のみで望ましいセンスまたはアンチセンスRNAが産生される。誘導プロモーター配列を用いる遺伝子構築物により、RNAポリメラーゼ結合および開始の速度を、光、熱、嫌気性ストレス、栄養状態の変化などの外部刺激によって変調することができる。時間的に調節されたプロモーターを用い、形質転換細胞の作製中の特定の時間に、RNAポリメラーゼ結合および開始の速度の変調を行うことができる。当該遺伝子からの元のプロモーター、または形質転換される生物における特異的な組織を標的とする遺伝子からのプロモーターを用いることが好ましい。本発明において有用に用いることができるプロモーターの他の例には、マンノピンシンターゼ(mas)、オクトピンシンターゼ(ocs)およびChua他(1989)によって概説されているプロモーターが含まれる。
転写されるDNA配列の3’に位置する終止配列は、プロモーター配列と同じ遺伝子に由来する、または異なる遺伝子に由来してもよい。Agrobacterium tumefaciensノパリンシンターゼ遺伝子の3’末端などの当技術分野で知られている多くの終止配列を本発明で有用に用いることができる。しかしながら、好ましい終止配列は、元の遺伝子由来、または形質転換される標的Malus種由来の配列である。
また、本発明の遺伝子構築物は、細胞内で有効で、遺伝子構築物を含む形質転換細胞の検出を可能にする選択マーカーを含むことができる。このようなマーカーは、当技術分野ではよく知られており、通常、1個または複数の毒素に対する耐性を付与する。このようなマーカーの一例は、NPTII遺伝子で、その発現の結果、通常は中程度の濃度において植物細胞に有毒である抗生物質カナマイシンまたはハイグロマイシンに対する耐性がもたらされる(Rogers他、1988)。あるいは、形質転換細胞における所望の遺伝子構築物の存在は、PCRまたはサザンブロッティングなどの当技術分野でよく知られている他の技法により判定することができる。
本発明の遺伝子構築物の成分を動作可能に連結するための技法は、当技術分野でよく知られており、例えば、Maniatis他(1989)によって記載された1個または複数の制限エンドヌクレアーゼ部位を含む合成リンカーの使用法が含まれる。遺伝子構築物は、少なくとも1つの系、例えば、E.coliにおいて複製能力のあるベクターと連結してもよく、それによって、各操作後に得られる遺伝子構築物を配列決定し、操作の正確さを判断することができる。
本発明の遺伝子構築物を用い、農業用、装飾用および園芸用植物を含む様々な植物を形質転換することができる。好ましい実施形態では、遺伝子構築物を用いてリンゴ、バナナ、キーウィフルーツ、マツ、トマト、ワタ、バラ、オリーブ、コメ、ブルーベリー、Arabidopsis、およびジャガイモ植物を形質転換する。
前述のように、本発明のポリヌクレオチド配列を含むオープンリーディングフレームが含まれ、オープンリーディングフレームがセンス方向に配向している遺伝子構築物による植物の形質転換は、場合によっては同時抑制により、ポリペプチドの発現の減少につながることがある。アンチセンス配向の遺伝子のオープンリーディングフレームまたは非コーディング(非翻訳)領域を含む遺伝子構築物による植物の形質転換は、形質転換植物におけるポリペプチドの発現の減少につながることになる。
また、細菌(例えば、E.coli、Agrobacterium)、真菌、昆虫、および動物細胞などのよく知られている原核細胞および真核細胞を含む他の非植物宿主の形質転換が可能であり、予想されていることは理解されるであろう。このことは、本発明の組み換えポリペプチドまたはその変異体の生産を可能にするであろう。組み換えタンパク質を生産するための無細胞系(例えば、Roche Rapid Translation System)の使用も予想されている(Zubay、1973)。
このような宿主で生産される本発明のポリペプチドおよびタンパク質は、よく知られている技法を用い、それらから単離し、かつ精製することができる。
標的植物のゲノム中に遺伝子構築物を安定に組み入れるための技法は当技術分野ではよく知られており、Agrobacterium tumefaciens仲介性導入、電気穿孔法、原形質融合、生殖器官内注入、未成熟胚内注入、高速発射(projectile)導入、花浸漬法(floral dipping)などが含まれる。技法の選択は、形質転換される標的植物によって異なる。
細胞が形質転換されたら、ゲノムに組み入れられた遺伝子構築物を有する細胞を、前述のカナマイシン耐性マーカーなどのマーカーにより選択することができる。次いで、当技術分野でよく知られている技法を用い、トランスジェニック細胞を適切な培地中で培養して植物全体を再生する。原形質の場合、適切な浸透圧条件下で細胞壁を再形成させる。種子または胚の場合、適切な発芽またはカルス開始培地を用いる。外植体については、適切な再生培地を用いる。
前述の方法に加えて、裸子植物、被子植物、単子葉植物および双子葉植物を含む広範囲の植物種中に遺伝子構築物を移動するためのいくつかの方法が当技術分野で知られている(例えば、GlickおよびThompson(1993)、Birch(1997)およびForester他(1997)を参照)。木の再生の総説については、Dunstan他(1995)を参照されたい。
得られる形質転換植物は、当技術分野でよく知られている方法を用い、有性生殖的または無性生殖的に再生し、代々のトランスジェニック植物を得ることができる。
本明細書中で提供されるヌクレオチド配列情報は、例えば、他の生物体または組織、特に植物から核酸変異体を確認するため、およびMdamy10もしくはMdamy11、またはデンプン含量が変調される植物を作製するための加速育種プログラムで植物を有用にならしめるそれらの等価体に変異を持つ植物を予め選択するためのプログラムにも有用である。より具体的には、本明細書中で提供されるヌクレオチド配列情報を用い、Mdamy10、Mdamy11、またはそれらの変異体を探索または増幅するためのプローブおよびプライマーを設計することができる。プローブまたはPCRで使用するオリゴヌクレオチドは、長さが約30個以下のヌクレオチドであってもよい。一般に、具体的なプライマーは、長さが14個以上のヌクレオチドである。最適な特異性および対費用効果から、長さ16〜24個のヌクレオチドのプライマーが好ましい。当業者は、PCRなどのプロセスで使用するためのプライマーの設計に精通している。
必要に応じて、探索は、本明細書に開示された遺伝子の全制限断片について行うことができる。当然、図2に基づく配列またはそれらの相補体を用いてもよい。
このようなプローブおよびプライマーも、本発明の諸態様を形成する。
本発明によって提供される配列情報を用い、任意の種から本発明のポリヌクレオチドの変異体を見いだすための方法には、cDNAライブラリのスクリーニング、RT−PCR、ゲノムライブラリのスクリーニングならびにEST、cDNAおよびゲノムデータベースのコンピュータ支援検索が含まれるが、これらに限定されるものではない。このような方法は、当業者によく知られている。
次に、以下の非限定的実験を参照しながら本発明を例示する。
(実験)
材料および方法
本研究で使用したオリゴヌクレオチド:
配列は、5’から3’末端までとする:
Figure 2005516589
植物材料の試料採取
成熟リンゴ果実(Malus x domestica)は、ニュージーランドのオークランドにおいて成熟したリンゴの木から収穫した。これらの果実は、標準的な市販の箱に入れ、4℃で8日間貯蔵した。組織試料を採取し、直ちに液体窒素中で冷凍し、RNAの抽出に使用するまで-80℃で保存した。
RNA抽出
組織2g(葉、花、熟していない果実)〜10g(熟果)を液体窒素中で粉砕し、加熱した溶解緩衝液15mLに加え、Langenkamper他(1998)の方法に従ってRNAを抽出した。cDNAは、標準方法でmRNAから調製した。
EST遺伝子構築物およびシークエンシング
cDNAは、標準的なライブラリベクター、例えばLambda Zap 2およびLambda Zap Express(Stratagene)中にクローニングした。個々のクローンを切除し、標準方法を用いてプラスミドDNAを調製した。次いで、標準方法で5’末端と3’末端の両方からのシークエンシングにより配列を決定し、知られている配列に対して設計されたPCRプライマーを用い、中間の配列を標準方法で決定した。
5’RACE(cDNA末端の迅速増幅)
5’RACEは、その時点でMdamy10配列のいわゆる5’末端に位置する3種のMdamy10特異的プライマーSP1、SP2、およびSP3を用い、リンゴの花芽からのRNAに対して行った。3種のプライマーは、Mdamy10コーディング配列の逆相補体(reverse-complement)であり、入れ子構造である。SP1は、最も大きい3’配列であり、SP3は最も大きい5’配列である。
SP1を用い、Superscript II Reverse Transcriptase(Invitrogen)により42℃において30分間行われる初期逆転写ステップを行った。産物をRNase Hで消化し、次いで、PCR精製キット(Qiagen)により精製し、末端転移酵素およびdATPによりポリAテールを付加させた。第1回のPCRは、SP2およびRACEオリゴdTプライマーを用い、Expand Hi-Fidelity酵素(Roche)により行った。得られた混合物を、Qiagen PCR精製キットにより再度精製し、次いで最終回のPCRにはテンプレートとしてSP3およびRACE1プライマーを用いた。5’RACEの産物をpGEM−T Easy(Promega)中にクローニングし、シークエンシングを行った。
Arabidopsis α−アミラーゼ遺伝子のRT−PCR:
Arabidopsis RNA試料をDNase I(Roche)で処理し、プライマー対Atamy1エキソン3(F/R)、Atamy2エキソン5(F/R)、およびAtamy3エキソン8(F/R)を用い、Titan One Tube RT-PCR System(Roche)を用いて増幅させた。これらのプライマー対は、ドメインB内のそれぞれArabidopsis遺伝子Atamy1、Atamy2、およびAtamy3を増幅する。反応混合物を42℃で30分間インキュベートし、30回の標準PCRサイクリング条件に供した。
他の植物種からのファミリー3遺伝子配列の増幅
マツの木の針葉(Pinus radiata);発芽中のジャガイモの塊茎(Solanum tuberosum);発芽中のタマネギの鱗茎(Allium cepa);バラの花びら(Rosa woodsii);オリーブの葉(Olea europaea);コーヒーの葉(Coffea arabica);バナナの葉(Musa acuminata);およびマンゴーの果実(Mangifera indica)を含む多くの植物組織からゲノムDNAを抽出した。抽出は、製造者の使用説明書に従い、Dneasy Plant Mini Kit (Qiagen)により行った。ワタ(Gossypium hirsutum)からのDNAは、John Lunn博士(CSIRO Plant Industry、Canberra、Australia)から提供された。
PCRは、プライマーNewUNIf2およびNewUNIr2を用い、Expand Hi-Fidelity酵素(Roche)で行った。これらの縮重プライマーは、広範囲の種からファミリー3遺伝子のみを増幅するため、Atamy3、Mdamy10、およびOsamy10のアラインメントから設計した。PCRの産物をpGEM(登録商標)−T Easy(Promega)中にクローニングし、配列決定を行った。
配列情報のコンピュータ分析:
コンピュータ分析は、Wisconsin Package Version10.1(Genetics Computer Group(GCG)、Madison、Wisc.)を用いて行った。配列同一性は、NeedlemanおよびWunsch(J.Mol.Biol.、48巻、443〜453頁、1970年)のアルゴリズムを用いる2つ1組のアラインメントプログラムGapを用いて算出した。デフォルトパラメータは、Gap開始ペナルティ50(ヌクレオチド入力の場合)または8(アミノ酸入力の場合)、およびGap伸長ペナルティ3(ヌクレオチド)または2(アミノ酸)を用いた。アミノ酸配列アラインメントは、プログラムCLUSTALW(Thompson他、1994)を用いて行い、プログラムGeneDoc(NicholasおよびNicholas、1997)を用いて整理し陰影をつけた。
ファミリー3 α−アミラーゼの細胞下局在化の予測
Mdamy10、Mdamy11、Atamy3、およびOsamy10の細胞下局在化は、Center for Biological Sequence Analysisのサーバを用いて予測した(http://www.cbs.dtu.dk/services/)。最初に、プログラムTarget P(Emanuelsson他、2000)を用い、タンパク質のターゲティングを予測した。次いで、プログラムChloro P(Emanuelsson他、1999)を用い、各タンパク質についてプラスチドを標的とするシグナルの長さを予測した。
植物およびEscherichia coliにおける発現用のプラスミドの遺伝子構築物
HortResearch EST遺伝子構築物「62629」から、Mdamy10配列をクローニングまたは増幅した。GFP融合遺伝子構築物は、smGFPをコードする遺伝子を有する(DavisおよびVierstra、1998)プラスミドpDS−GFP−ART7中に、CaMV 35SプロモーターによってPCR産物をクローニングすることにより作製した。遺伝子のATG開始を含むフレーム内のKpnI部位と共に、smGFP遺伝子の上流にあるXhoIおよびKpnI制限エンドヌクレアーゼ部位を残すように、smGFP遺伝子をpDS−GFP−ART7中にクローニングした。E.coli発現ベクターは、ベクターpET−30aおよびpET−30b(Novagen)において作製した。
PCRを用い、smGFPとの融合のために断片「cTP」および「SBD」を増幅させた。cTP(プラスチドを標的とするペプチド)産物は、コーディング配列の5’末端に位置し、Mdamy10のATG開始の上流にXhoI制限エンドヌクレアーゼ部位を含み、クローニングを容易にするプライマーAmyten12−Xh;およびATG開始部位の約300bp下流に位置し、Mdamy10のオープンリーディングフレームを含むフレーム内にKpnI制限エンドヌクレアーゼ部位を含むプライマーAmyten13r−Kpを用いて増幅させた。この増幅された領域は、Mdamy10のプラスチドを標的とするシグナルに加え、そのシグナルに続く35個の別のアミノ酸をコードする。
「SBD」(デンプン結合ドメイン)産物は、cTP産物の場合と同じプライマーであるプライマーAmyten12−Xh、およびATG開始部位の約1250bp下流に位置し、Mdamy10のオープンリーディングフレームを含むフレーム内にKpnI制限エンドヌクレアーゼ部位を含むプライマーAmyten14r−Kp(このプライマーは、Mdamy10配列に見いだされる天然に存在するKpnI部位を除去する)を用いて増幅させた。この増幅された領域は、推定上のcTPに加え、推定上のデンプン結合ドメインモチーフ対の両コピーをコードする。
PCR後、両産物をpGEM(登録商標)−T Easy(Promega)中にクローニングし、XhoI(New England Biolabs)およびKpnI(Roche)制限エンドヌクレアーゼによる消化によって切除した。次いで、制限産物を、XhoIおよびKpnIによって同様に消化されたpDS−GFP−ART7中にクローニングした。得られたプラスミドをpcTP−ART7およびpSBD−ART7と名付けた。これら2つの遺伝子構築物の発現領域は、NotIによる消化と、続くNotIによって切断されているベクターpART27中へのクローニングにより切除した。これにより、最終発現ベクターpcTP−ART27およびpSBD−ART27が作製された。
制限エンドヌクレアーゼEcoRIおよびXhoIによる消化によって、EST遺伝子構築物62629からMdamy10を除去した。これにより、cDNAのcTPエンコーディング領域および他の13個のアミノ酸を含むMdamy10コーディング配列のうち最初の220bpが除去された。この断片を、同じ酵素を用いて切断されたpET−30a中にクローニングし、遺伝子構築物pAmy10ET−30aを作製した。これにより、Mdamy10のN末端に、His6タグを含む短いペプチドが付加され、ニッケルイオン親和性精製が可能となった。
KpnIおよびHindIII制限エンドヌクレアーゼ部位を用い、smGFPをpDS−GFP−ART7からpET−30b中にクローニングした。このように、Mdamy8−GFP融合物(Nterm−GFP)もpET−30b中にクローニングした。EcoRIおよびHindIII制限エンドヌクレアーゼ部位を用い、SBD−GFPをpSBD−ART27からpET−30a中にクローニングし、それによって遺伝子構築物からcTPドメインを除去した。もう1度、すべてのクローニング戦略により、発現したタンパク質のN末端にHis6タグを付加した。
適格なAgrobacterium tumefaciensGV3101の調製
ゲンタマイシン25μg/mLを含有するLBプレート上で増殖させたAgrobacteriumの単一コロニーを用い、やはりゲンタマイシン25μg/mLを含有する液体LB培地100mLに播種した。培養物は、28℃のインキュベーター中、200rpmで振盪しながら48時間インキュベートした。遠心分離(4℃において3800×gで5分間)により細胞を収集し、氷冷した10%グリセロール50mlに再懸濁した。グリセロール中で細胞をさらに2回洗浄し、最終的に、氷冷した10%グリセロール1mLに再懸濁し、微量遠心管に45μLずつ等分した。アリコートは、-80℃で保存した。
Agrobacterium tumefaciensGV3101の形質転換
適格なAgrobacterium細胞のアリコート45μLを氷の上で徐々に解凍した。各アリコートにプラスミドDNA50〜200ngを加えて穏やかに混ぜ、次いで細胞/プラスミド混合物40μLを、予冷した電気穿孔キュベット(ギャップ0.2cm、Bio-Rad)中にピペットで取った。以下の設定で、BioRad GenePulserを用い、細胞を電気穿孔した。
電圧:2.5 kV
キャパシタンス:25 μFd
抵抗:400 Ohms
パルスの時定数は、通常7〜9msとした。
LB培地1mLを加えることにより、細胞を直ちに回収し、次いで滅菌15ml遠心管中にデカントし、振盪しながら(60rpm)室温でインキュベートした。2時間後、形質転換細菌10μLおよび100μLを、リファンピシン(10μg/mL);ゲンタマイシン(25μg/mL);およびスペクチノマイシン(100μg/mL)を含有する別々のLBプレート上に広げ、次いで28〜30℃で48時間増殖させた。
Nicotiana benthamiana葉の一過性形質転換
形質転換は、Hawes他(2000)の方法によって行った。Agrobacterium tumefaciensは、リファンピシン(10μg/mL);ゲンタマイシン(25μg/mL);およびスペクチノマイシン(100μg/mL)を含有するLB培地の培養液5mL中で48時間増殖させた。細胞を遠心分離によって集め、浸透(infiltration)培地(50mM MES pH 5.6、0.5%(w/v)グルコース、2mM Na3PO4、100μMアセトシリンゴン(200mM DMSOストックから新たに加える))に再懸濁して最終OD600を0.5〜0.6とした。N.benthamiana葉の裏面上の気孔から、「鈍い」1mL注射器(すなわち、針を取り付けない)を用いて細菌懸濁液を注入した。葉を切り取り、室温で2〜3日間、暗く湿った条件に保った。
鏡検
Olympus Vanox AHBT3顕微鏡を用い、葉の試料を調べた。蛍光は、2種類のフィルタセットのうち1種類を用いて検出した。
UVフィルタセット−OlympusコードBH2-DMU:励起 320〜380nm、発光 420nm。
GFP植物−OmegaフィルタセットXF100−2:励起 455〜495nm、発光 515〜560nm。
E.coliにおけるタンパク質の発現
製造者の使用説明書に従い、すべてのpET−30ベースの発現ベクターを、発現用BL21 CodonPlus RIL細胞(Stratagene)中に形質転換した。単一コロニーをプレートから選別し、カナマイシン30μg/mLおよびクロラムフェニコール50μg/mLを含有する2YT培地(16g/Lバクトトリプトン、10g/L酵母エキス、5g/L NaCl、pH7)15mLに播種するのに用いた。培養液を、激しく振盪しながら(150rpm)37℃で一夜増殖させた。15mLの培養液のうち各5mLを用い、1Lフラスコ中の2YT(カナマイシン30μg/mLおよびクロラムフェニコール50μg/mLを含む)の330mlアリコート3個のうちの1個に播種した。培養液のOD600が〜1.0に達するまで37℃で3〜4時間振盪させ、次いでフラスコおよびインキュベーターを18℃まで冷却し、IPTGを最終濃度0.5mMまで加えることにより発現を誘導した。振盪を継続して18℃でさらに24時間、細胞を増殖させた後、収集した。
E.coli細胞からの可溶性タンパク質の抽出
細胞は、遠心分離(2500×gで10分間)により収集した。次いで、培養液1Lからの細胞を、適切な緩衝液20mLに再懸濁した。α−アミラーゼ活性ゲルの場合、細胞は、活性緩衝液(100mM Hepes pH 7.5、5mM酢酸カルシウム、10mM DTT)に再懸濁した。GFP遺伝子構築物は、結合緩衝液(5mMイミダゾール、0.5M NaCl、20mM Tris−HCl pH7.9)に再懸濁した。すべての緩衝液には、緩衝液50ml当たり1個の、EDTAを含まない完全プロテアーゼ阻害薬錠剤(Roche)を入れた。
細胞懸濁液20mLを12,700 psiの圧力でFrench Pressure Cell Press(American Instrument Co.Inc.、Silver Spring、Maryland、USA)に2回通過させることにより、細菌細胞を溶解した。12000×gで20分間、ライセートを遠心分離し、次いで孔径0.45μmのフィルタに通した。得られた上清を、粗製抽出物と名付けた。
粗製抽出物からの組み換えタンパク質の部分精製
α−アミラーゼ緩衝液で行われたタンパク質抽出物については、粗製抽出物約10mLを、結合緩衝液により予め平衡化されたPD−10ゲル濾過カラムにかけた。GFP試料は、緩衝液交換の対象としなかった。精製は、NiSO4を充填した5mLのHi-Trap Chelating HPカラム(Amersham-Pharmacia Biotech)で行った。抽出物10mLをカラムにかけ、製造者の使用説明書に従って洗浄した。組み換えタンパク質は、溶出緩衝液(1Mイミダゾール、0.5M NaCl、20mM Tris−HCl pH 7.9)により2.5mLの分画中に溶出された。α−アミラーゼおよびpET−30aは、PD−10カラムを用いて活性緩衝液中へ直ちに交換した。
タンパク質試料の変性ゲル電気泳動およびウエスタン分析
タンパク質精製ステップからの粗製抽出物および特定の分画を、10%ポリアクリルアミド分離用ゲルおよび4%ポリアクリルアミド濃縮用ゲルからなるSDS−PAGEゲル上で標準手順より分析した。電気泳動後、ゲルは、コロイド状クーマシータンパク質染色法で染色するか、セミドライ電気泳動によりImmobilon−P PVDF膜(Millipore)に転写した。His6モチーフの検出については、ブロットを、抗His6モノクローナル抗体(Roche)と、続いて抗マウスIgGアルカリホスファターゼ(Stressgen)二次抗体と共にインキュベートした。GFPモチーフの検出については、ブロットを、抗GFPポリクローナル抗体、IgG分画(Molecular Probes)と、続いて抗ウサギIgG−二次抗体と共にインキュベートした。両タイプのブロットは、1−STEP(商標)NBT/BCIPアルカリホスファターゼ検出試薬(Bio-Lab laboratories)を用いて検出した。
リンゴおよびArabidopsisからのタンパク質抽出
葉の試料は、12時間の照明サイクルの終わりに、リンゴの苗木およびArabidopsisの完全ロゼット植物から切り取った。葉を液体窒素中で冷凍し、乳鉢と乳棒を用いて粉砕し、次いで抽出緩衝液(50mM Hepes pH 7.8、5mM酢酸カルシウム、5mM塩化マグネシウム、10mM DTT、0.5%(w/v)PVPP)に加えた。次いで、2層のMiracloth(Calbiochem、La Jolla、CA.、USA)を通して試料を濾過し、14,000×gで10分間遠心分離した。上清を、ネイティブPAGEゲル上へ直ちに載せた。
ネイティブゲル電気泳動
タンパク質精製ステップからの粗製抽出物および特定の分画を、2タイプのネイティブPAGEゲルで分析した。デンプンゲルは、分離用ゲル中に2%のアミロペクチンを含んでいた。10mAの定電流で16〜20時間、試料を電気泳動させ、電気泳動後、ゲルを蒸留水で洗浄し、活性緩衝液2(50mM Hepes pH 7.8、5mM酢酸カルシウム、5mM塩化マグネシウム、10mM DTT、20(g/mLシクロヘキシミド)中で24時間インキュベートした。デンプン加水分解は、ヨウ素溶液(180mMヨウ化カリウム、50mMヨウ素)による染色と、続く固定液(30%メタノール、5%酢酸)による脱染により検出した。デンプンゲルをSaranプラスチックラップで覆い、4℃で保存した。
また、20mAの定電流で3〜4時間、アミロペクチンを含まないネイティブPAGEゲルでも試料を分析した。次いで、活性緩衝液2を使用するキャピラリブロッティングにより、2%アミロペクチンを含有する分離用ゲル中にタンパク質を移した。一夜移動後、アミロペクチン含有ゲル(デンプン移動ゲルと呼ぶ)を洗浄し、活性緩衝液2中でさらに24時間インキュベートした。染色、脱染および保管は、デンプンゲルの場合と同様に行った。
結果
リンゴからのMdamy10遺伝子の同定:
リンゴからのα−アミラーゼ遺伝子を確認するため、多くの様々なリンゴ組織に由来する配列を含むESTデータベースを、知られているリンゴα−アミラーゼ遺伝子Mdamy8(Wegrzyn他、2000)のコーディング配列と比較した。HortResearchデータベース内で発見されたα−アミラーゼ様配列の大部分は、これまで特徴が明らかにされていないα−アミラーゼ遺伝子(2000年7月17日に初めて確認された)に一致した。この遺伝子の転写物は、花芽、花弁、熟していない果実および熟した果実のライブラリを含む多くの組織ライブラリ中に存在する。Genbankデータベースに対するBlast検索は、Arabidopsisからの推定上のα−アミラーゼ、ならびにArabidopsis、Lycopersicon esculentum(トマト)、Medicago truncatula、Glycine max(ダイズ)、Solanum tuberosum(ジャガイモ)およびPinus taeda(テーダマツ)を含む様々な植物からの多くのESTとのマッチを示した。出願人らがMdamy10と名付けたこのα−アミラーゼの完全長cDNA配列は、部分ESTからの重複配列の確認に加えて、単一完全長ESTクローン、EST62629のシークエンシングによって得られた。Mdamy10のコーディング領域は、長さが2706bpであり、901個のアミノ酸をコードする。Mdamy10の最後の400個のアミノ酸は、Mdamy8(46%)とVigna mungoからのα−アミラーゼ、amyVm1(48%)の双方と適度の同一性を示す。しかしながら、最初の500個のアミノ酸は、特徴が明らかにされているどのα−アミラーゼにも見いだされない(図1)。
リンゴにおけるMdamy10の相同体の同定:
Mdamy10の5’領域とマッチしたリンゴEST配列は、79%のヌクレオチド同一性を示し、長さが900個しかないヌクレオチドである完全長cDNAに由来するもののみであった(図1)。転写物は、Mdamy10の3番目のイントロン(表1)の等価体が転写物からスプライスされていないことを除いては、Mdamy10の遺伝子相同体の産物であるように見える。これが、3番目のイントロンにおける転写物の切断およびポリアデニル化をもたらし、切断型タンパク質が生じた可能性がある。我々は、転写物Mdamy11を試みに標識化した。
我々は、Mdamy11配列のさらに2つの断片を得ている。1番目は、ゲノムDNAからのわずかに異なるサイズ(1028bpおよび831bp)の2個の産物を増幅させた、Mdamy10cDNA配列に対して設計されたプライマー対により産生される。これらの断片は、極めて類似したエキソン配列(ヌクレオチドレベルとアミノ酸レベルの双方で95%の同一性)を有し、各々は、同一位置に見いだされる3個のイントロンを含んでいた。しかしながら、2つの断片のイントロンは、配列(ヌクレオチドレベルで80%の同一性)およびサイズ(合計602bpに対し405bp)が著しく異なる。大きな断片(したがって、大きなイントロン)はMdamy10に由来し、小さな断片は、Mdamy11に由来すると推定される。この配列は、α−アミラーゼドメインの3’末端に近接しているため、Mdamy11転写物とは重複しない(図1)。
最後の追加断片は、リンゴの花芽RNAからのMdamy10の5’RACE(cDNA末端の迅速増幅)中に単離された。600bpの領域がMdamy10からの配列と重複し、重複95bpのうち6bpは一致しない。当初、これらは、EST遺伝子構築と5’RACEの双方から蓄積された配列エラーであると考えられたが、5’RACEを用いてこの領域の上流へ続ける試みは失敗した。最後に、完全長EST62629からの配列は、5’RACE断片の領域に達し、ヌクレオチドレベルで86%の同一性を共有するに過ぎないことが分かった。5’RACE断片は、Mdamy10配列コンティグから自動的に除去された。この断片は、ここまでのMdamy11配列のいずれとも重複しないが、Mdamy10の新規N末端ドメインおよびα−アミラーゼドメインの接合部に対応している(図1)。
Mdamy11のこれら3個の断片を合わせると、Mdamy10の全コーディング配列の61%を占め、これらの領域における2つの遺伝子間のアミノ酸同一性は86%である。同一性は、N末端ドメインにおける(79%)よりC末端(α−アミラーゼ)ドメインにおいて(96%)はるかに大きかった。
ArabidopsisにおけるMdamy10の相同体の同定:
Atamy3は当初、ゲノム配列から予測され、TIGRによってGenbank中にアノテーションされた。アノテーションは、(他の植物α−アミラーゼでは約415個のアミノ酸であるのに比べ)826個のアミノ酸からなるタンパク質をコードする長さ2478bpのコーディング配列を示唆した。我々は、遺伝子スプライシングを予測するためEukaryotic GeneMark.hmm (LUKASHIN & BORODOVSKY、1998)を用い、適切な染色体セグメントを再分析した。このアルゴリズムは、2個の余分なエキソンを含むためにサイズが887個のアミノ酸であるタンパク質を生じ(図5)、予測されるMdamy10産物と68%の同一性を示す(図1)もっと大きな2661bpのコーディング領域を予測した(図4)。N末端ドメイン(図5における太字および下線部)は、Mdamy10に対し56%の同一性を有し、タンパク質の残りは、Mdamy10に対し82%の同一性を有している。ポリヌクレオチド配列は、70%の同一性を示す。
我々の配列予測は、2001年8月21日にGenbankで公表された(アクセッションAY050398)Salk Institute、CA.におけるAtamy3 cDNAクローンのシークエンシングによって裏付けられた。Atamy3は、染色体1(BAC T17F3)上に位置する。Blast検索からは、Arabidopsisゲノム中にその他のファミリー3 α−アミラーゼ遺伝子は得られなかった。
コメ(Oryza sativa)におけるMdamy10の相同体の同定:
Osamy10は当初、BlastPプログラムを用い、クエリー配列としてMdamy10を用いてgenbank非冗長データベースを検索することにより発見された。この配列は、「推定上のα−アミラーゼ」として、コメゲノム研究プログラムのメンバーによってGenbank中にアノテーションされた。コーディング配列は、ゲノム配列から予測された(アクセッションAP003408-2002年5月23日)。Atamy3と同様に、我々は、遺伝子スプライシングを予測するためEukaryotic GeneMark.hmmを用い、適切な染色体セグメントを再分析した。これは、遺伝子のミスアノテーション、すなわち、実際はイントロンの一部である99bpDNAセグメントが含まれることを示した(これは、Atamy3の相対的なイントロン位置を比較することによって裏付けられた)。Eukaryotic GeneMark.hmmにより予測された配列は2619bpであり(図6)、873個のアミノ酸をコードする(図1および7)。ポリヌクレオチド配列は、Mdamy10に対して63%の同一性を示す。タンパク質配列は、その全長にわたりMdamy10に対して61%の同一性を示すが、N末端ドメイン(図7における太字および下線部)は、Mdamy10に対し44%の同一性を有するに過ぎず、タンパク質の残りは、Mdamy10に対し80%の同一性を有している。
他の植物種からのゲノム配列:
縮重プライマーによりPCRを行い、多くの植物種のゲノムDNAからのファミリー3配列を増幅させた。図10は、PCRの結果を示している。タマネギ以外のすべてのDNA試料は、プライマー対によるMdamy10 cDNAの増幅から予想される産物のサイズである約320bpの分子を産生した。これらの産物のうちいくつかのクローニングおよびシークエンシングは、それらがMdamy10 cDNA配列であり、おそらくエアロゾル汚染によって引き起こされることを裏付けた。この産物が豊富にあることによって、試料中の他のPCR産物のクローニングが阻害されたが、その後の実験は、汚染源を特定し、かつ/または除去できなかった。
大部分のDNA試料は、320bpバンドより大きな、少なくとも1個の他のDNA分子を産生した。書き込み時に、これらの産物のうち、以下の3個のみが首尾よくクローニングされた。バラからの約800bpの産物(部分的にのみ配列決定)(図10、レーン4)、コーヒーからの962bpの産物(図10、レーン6)、およびワタからの808bpの産物(図10、レーン9)。3個の配列はすべて、単一のイントロンを含み、これが、様々な種の産物間のサイズの差のほとんどすべてを占めている。各イントロンの位置は、3個の産物間で保存され、Atamy3の7番目のイントロン(表1のイントロン9)に対応している。このイントロン位置は、ファミリー1または2からのα−アミラーゼには見いだされない。ファミリー1およびファミリー2の保存位置に見いだされるイントロンは存在しない。
3個の断片はすべて、これまでに特徴が明らかにされているα−アミラーゼのドメインAおよびBの一部をコードするα−アミラーゼ遺伝子の領域を包含している(図1)。イントロンは、配列から除去され、得られたセグメントは、予想されるポリペプチドに翻訳された。3種のα−アミラーゼファミリーの代表例である、Mdamy10(ファミリー3)、Mdamy8(ファミリー2)、およびAmyVm1(ファミリー1)について、ポリヌクレオチド配列とポリペプチド配列をアラインメントした。各対間の同一性の程度を、百分率で算出した(表4)。
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3個の断片はすべて、特にアミノ酸レベルにおいて、他のファミリーからのα−アミラーゼに対するよりもMdamy10に対して著しく高い同一性を示す。
植物におけるα−アミラーゼおよびα−アミラーゼ様遺伝子の構造:
植物α−アミラーゼの遺伝子構造は、これまでHUANG他(1990)において最も広く比較されている。このタイプ、しかし新たなArabidopsis、リンゴおよびコメα−アミラーゼ配列を用いて、分析を繰り返すことは、α−アミラーゼイントロン進化についてはるかに複雑な状況を生み出すことになる。これまでに配列決定されたα−アミラーゼ遺伝子は、多くても3個のイントロンを有する。一部の穀類遺伝子は、2番目のイントロンを失っているように見えるが(HUANG他、1990)、各イントロンの位置は、遺伝子間および種間で保存されている。
Mdamy10のイントロン/エキソン構造は、これまでに配列決定されたα−アミラーゼ遺伝子と著しく異なっている(表1)。この遺伝子は12個のイントロンを含み、これに比べると、特徴が明らかにされた他の植物α−アミラーゼは2または4個のイントロンを有する。Atamy3のコーディング配列を遮断する12個のイントロンのうち、6個は、遺伝子のα−アミラーゼをコードする領域内(すなわち、3’側の半分)にある。ファミリー3 α−アミラーゼのどのイントロンも、ファミリー1 α−アミラーゼのイントロンに対応していない。
α−アミラーゼ様遺伝子の転写後プロセシング:
Mdamy8転写物とは対照的に、Mdamy10、Mdamy11およびAtamy3はすべて、19bpから46bpの短い5’UTRを有しているように見える。しかしながら、Mdamy10は、557bpまでの極めて長い3’UTRを有しており、4個の異なるポリアデニル化部位のうち1個は、428bpという短い3’UTRを産生することができる。Atamy3の3’UTR配列は、220bpであるに過ぎない。
植物α−アミラーゼの細胞下局在化:
すべてのファミリー3タンパク質は、プラスチドを標的とすることが確認され、プログラムChloroP(EMANUELSSON他、1999)は、輸送ペプチド長として61個のアミノ酸(Mdamy10)、70個のアミノ酸(Mdamy11)、55個のアミノ酸(Atamy3)および53個のアミノ酸(Osamy10)を予測した。これをテストするため、Mdamy10のプラスチドを標的とする配列を、緑色蛍光タンパク質と融合させ、N.benthamianaの葉で一過性に発現させた。GFP局在化のパターンをGFP単独と比較した。
GFPは、上皮細胞のサイトゾル(図11)と、核にも(上皮細胞の中心に見える、左上のパネル、図11)局在化するが、細胞容積の中心となる液胞には局在化しない。それに比べ、cTP−GFP融合物は、各細胞内の円盤状の形をした多数の細胞小器官に局在化する(図11、右上および下のパネル)。各ディスクは、最大で約4μmの直径を有し、それに比べると、核の直径は約10μmである。同じ細胞小器官は、UV照明の下でクロロフィル自己蛍光(赤色)を示し(図11、右上のパネル)、それらが葉緑体であることが確認される。GFPおよびクロロフィルの同時局在化は、オレンジ色/黄色(UV照明の下でのみ)として現れる。
Mdamy10の大部分のN末端ドメイン(cTPを含む)を含み、GFPと融合させた第2の融合遺伝子構築物SBD−GFPを作製した。これもまたN.benthamianaの葉で発現させたが、検出可能な蛍光を生じなかった。これがGFPの不適切な折りたたみによるものか、植物細胞におけるタンパク質の分解のためであるかは不明であった。我々は、抗GFP抗体を用いる免疫学的検出によって融合タンパク質の局在化を判定しようと試みたが、GFPから有意なシグナルを一切検出できなかった。
E.coliにおけるGFP融合タンパク質の発現:
pDS−GFP−ART7、pDS−Nterm−ART7(Mdamy8のN末端と融合したGFP)、およびpSBD−ART7の挿入配列をpET−30ベクター中に移し、E.coli中で発現させた。Mdamy10のcTPは、タンパク質の全体的な溶解性を増すことができるように、天然に存在するEcoRI部位においてSBD融合遺伝子構築物から除去した。IPTGによる誘導後、培養物の試料を蛍光顕微鏡によって調べた。緑色の蛍光は3種のタンパク質すべてについて観察されたが、pGFP−ET−30bは、他の2種の試料よりも強い蛍光を生じ、pET−30a単独は、一切蛍光を生じなかった。このことは、培養液から抽出した可溶性タンパク質分画についても当てはまった。細胞の可溶性および不溶性分画で抽出物を作製し、試料を、図12に示すSDS−PAGEおよびウエスタン分析にかけた。
これらの分析は、pGFP−ET−30bが、最も可溶性の高い完全長(31kDa)タンパク質を産生したことを示している。これは、最高レベルの蛍光に対応していた。pNterm−ET−30bは、可溶性完全長タンパク質(78kDa)をほとんど産生しなかったが、pSBD−ET−30aは、少量の可溶性完全長産物(71kDa)を有していた。すべての融合タンパク質は、予想サイズよりもゲル上でわずかに大きく見える。pSBD−ET−30aによって産生されるタンパク質の大部分は、不溶性分画中に見いだされた。両融合遺伝子構築物は、より小さな可溶性産物を産生し、これは、GFPの分解産物であるか、融合遺伝子の内部開始に由来し、非融合GFP分子の翻訳につながる可能性がある。このGFPは、誘導培養に見られる蛍光を担うことができる。
E.coliにおけるα−アミラーゼMdamy10の発現:
低温でE.coliにおいてMdamy10タンパク質を発現させ、タンパク質を抽出してニッケルカラム上で部分的に精製した。精製タンパク質と未精製タンパク質の双方について、2%アミロペクチンを含有するポリアクリルアミドデル中に電気泳動させた。これらのゲルは、アミロペクチンに対する親和性に基づいてタンパク質を区別し、低親和性のタンパク質は、高親和性タンパク質以上に移動する。アミロペクチンと紫色のコンプレックスを形成するヨウ素でゲルを染色する。ゲル上の透明な領域は、基質の加水分解を示している(図13)。
ゲルは、加水分解活性を持つ多くの内因性E.coliタンパク質を示し、pET−30aを発現する細菌からのタンパク質抽出物中に認めることができる(図13でX、YおよびZとラベルを付けた)。同じ内因性活性は、pAmy10−ET−30aを発現する細菌培養液において見ることができるが、濃縮用ゲルと分離用ゲルの境界の近くにも余分な2つのバンドが存在した(図13で1および2とラベルを付けた)。これらのバンドは、粗製タンパク質抽出物中にのみ見られ、ニッケルカラム上の脱塩または精製は、この活性の喪失をもたらした。
Mdamy10タンパク質の粗製抽出物を、リンゴおよびArabidopsisの葉からの全タンパク質試料と平行してデンプン移動ゲル上で調べた。この分析では、タンパク質は、デンプンに対する親和性よりむしろサイズおよび電荷に基づいて区別される。
図14は、ヨウ素で染色されたデンプン移動ゲルを示している。pAmy10−ET−30aを含むE.coliからの抽出物は、pET−30a単独の対照には存在しないデンプン分解のバンドをゲルの中央に示す(図14でAとラベルを付けた、レーン2および5)。同じサイズのかすかなバンドをリンゴの葉組織の抽出物に認めることができる(レーン3、図14)。デンプンゲルに見られる内因的なE.coli活性は、デンプン移動ゲルの最下端においてのみ見られたが、それらは、ネイティブPAGEゲルにおいて高い移動性を有するため、移動前にゲルから大部分が溶出してしまったのであろう。
我々は、様々なタンパク質分画のSDS−PAGEと、続いて抗His6抗体を用いるウエスタンブロッティングを行った(図15)。Mdamy10タンパク質にpET−30aの6×Hisタグを加えた予想サイズは99kDaである。6×Hisタグを持つ105kDAタンパク質は、pAmy10−ET−30a培養液中でのみ発現され、ニッケルカラム精製によって首尾よく回収された。予想タンパク質と発現タンパク質のサイズ間の差は、このようにサイズを決めるのに固有の不正確さによるのかもしれない。また、少量の二次産物も精製され、主なタンパク質のサイズは約55kDaであった。この断片は、3番目の2.5mL溶出分画中に大部分が溶出したが、105kDaタンパク質は、2番目および3番目の分画に溶出した。バンド2の強度が抽出物中の55kDaタンパク質の量と関連しているように見えることから(データは示さず)、55kDA産物は、デンプンゲルのMdamy10レーンにおける下方のバンド(バンド2)の元と思われる(図13)。Mdamy10は、分解されるか置き換えられるというよりむしろ、生成中に不活性化されるようである。
植物におけるMdamy10および相同体の発現プロファイル:
Mdamy10をコードするESTを以下の多種多様なリンゴ組織から配列決定した。
リンゴ果実のスキンピール、満開後日数(DAFB)が150日の木で熟した果実から。
リンゴ果実の皮質組織、150DAFBの木で熟した果実から。
熟していないリンゴ果実、10DAFB。
熟していないリンゴ果実、24DAFB。
0.5℃で24時間保存したリンゴ果実。
リンゴの木からの芽(spur bud)。
開く前のリンゴの花芽。
Venturia inaequalisに感染したリンゴの葉。
キーウィフルーツからのESTは、皮および内部皮質を含む熟果からのいくつかの組織と、割れつつある花芽にも見いだされた。単一ESTは、ブルーベリー(Vaccinium crymbosum)の皮から単離された。
Arabidopsisからの発育中の一連の組織に対し、いくつかのRT−PCR実験を行った。実験は、3種のArabidopsis遺伝子の各々に特異的なプライマーを用い、各ファミリーの相対的発現を確かめた(図16)。
RT−PCRは、ArabidopsisにおけるAtamy1の発現レベルは極めて低いが(40回のPCR後に一部の組織で転写物が検出可能であった(データは示さず))、Atamy2およびAtamy3は類似の発現レベルであるが異なる発現パターンを有していることを示している。Atamy3発現は、成育中の茎の葉で最高であり、多くの他の組織(新生の子葉、丸ごとの苗木、および若い種子のさや)では中程度であった。
考察:
リンゴ遺伝子のシークエンシングおよび配列データベースの分析から、少数の非定型α−アミラーゼ配列が得られた。リンゴは、3つのファミリーに分類され、各々が2個の遺伝子を含む少なくとも6個の異なるα−アミラーゼ様遺伝子を有しているが、Arabidopsisは、各ファミリーに関して1個の代表例を有しているに過ぎない。リンゴは、潜在性の2倍体植物であり、すなわちリンゴは、各々が、自身の遺伝子の組および各α−アミラーゼファミリーからの1個の遺伝子コピーを持つ2個の先祖ゲノムの融合によって進化した。したがって、我々は、他のファミリー3遺伝子(Mdamy10)が完全に配列決定されていることから、Mdamy11による3つの配列断片がすべて単一遺伝子に由来すると仮定することができる。我々がキーウィフルーツからの配列断片に関して同じ仮定ができないのは、単一ファミリーの3個の遺伝子を完全に配列決定しなかったためである。
おそらく、各遺伝子ファミリー間の最も著しい差は、各遺伝子内のイントロン数およびそれらの相対的位置である。3種のファミリーの各々は、それぞれの特徴的なイントロン構造を有し、2個から12個のイントロンがどこかでコーディング配列を遮断している。ファミリー1および3は、共通のイントロン/エキソン境界を共有していないが、両者は、ファミリー2と境界を共有している。
我々の検討は、多くの植物種において様々な異なる組織でファミリー3 α−アミラーゼが発現されることを示した。最近の、A.thalianaにおける日周的および概日的に調節される遺伝子のマイクロアレイ分析(SCHAFFER他、2001)は、日周発現パターンを示す多くの転写物の1つとしてAtamy3からのESTを確認した。Atamy3転写物は、ヘキソース輸送体とともに午後にアップレギュレートされ、早朝には再び抑制される。このパターンは、夜間に起きる、葉緑体におけるデンプンの日周性分解と、続く光合成組織からの糖の搬出に対応しており、予測されたAtamay3のプラスチド局在化と整合している。Mdamy10についての発現パターンは具体的に探索されてこなかったが、多くの異なる組織におけるその存在は、ESTシークエンシングおよび一部の初期マイクロアレイ実験により立証されている。広範囲な植物からの情報は、ファミリー3α−アミラーゼが、光合成細胞(夜間)、成熟中の果実および春に破れる花芽を含む、プラスチド結合デンプンの分解に関与する植物組織中で発現されることを示唆している。
各遺伝子の5’および3’非翻訳領域は、転写後の調節に重要であり、おそらくmRNA転写物の安定性または局在化を制御している可能性がある。コメα−アミラーゼ転写物の3’UTRは、糖が豊富にある場合、転写物を不安定化することにより、糖依存的にmRNAレベルを仲介することが分かった(CHANおよびYU、1998)。Mdamy10は、類似のmRNA安定性要素を含む長い3’UTRを有する。
我々は、Atamy3、Mdamy10、およびOsamy10のDNA配列から設計した縮重プライマーを用い、いくつかの異なる植物種からのファミリー3遺伝子の配列を増幅することができた。コーヒー、ワタおよびバラからの配列はすべて、Mdamy10に対して高度な同一性を示し、各配列内における同一性の程度およびイントロンの位置に基づき、ファミリー3遺伝子に由来するのはほぼ確かである。図10に示す他のPCR産物もファミリー3α−アミラーゼに相当し、このファミリーが植物中に広範囲に分布する可能性は十分にある。このPCR断片をプローブとして用い、ソース生物体、ならびに関連生物種から完全長α−アミラーゼ配列を単離できる。また、品種改良における分子マーカーとして使用できる可能性もある。
Mdamy10は、E.coliにおいて首尾よく発現され、ネイティブゲル中でアミロペクチンを酵素的に分解する能力を有することが分かった。残念なことに、酵素の活性は、ニッケルイオン親和性クロマトグラフィによる精製で失われるように見える。粗製タンパク質抽出物は、アミロペクチン含有ゲル中を電気泳動させた場合には2つのMdamy10特異的バンドを生じるが、ネイティブPAGEゲルからアミロペクチンゲル中に移動させた場合には、1つのバンドを生じるに過ぎない。デンプンゲル上に認められる下方のバンドは、部分的に分解された蛋白質によってもたらされた可能性がある。これに関するある程度の証拠が抗His6抗体を用いるウエスタンブロットにおいて見られ、105kDaのMdamy10バンドよりわずかに遅れて小さな(55kDa)タンパク質が溶出する。55kDaのバンドは、Mdamy10タンパク質のN末端半分に相当し、His6タンパク質タグを保持し、タンパク質のC末端部分が取り除かれているが、酵素的には依然として活性なままであると考えられる。C末端断片は、ニッケルイオン親和性クロマトグラフィによって精製されないようであり、抗His6抗体によるウエスタンブロット上に現れないであろう。しかしながら、この断片の喪失は、(この断片を除去しないと思われる)PD−10カラム上の脱塩により活性が失われることから、精製中に活性が失われる理由ではない。C末端断片は、ネイティブPAGEゲル上を完全長タンパク質よりも遠く移動すると思われ、デンプンゲル上に見られる内因性E.coli活性と一緒にゲルから溶出された可能性が十分にある。
デンプン移動ゲル上の第2活性バンドの欠如は、発現したMdamy10タンパク質のプールがデンプンに対して均一な親和性を有していなければ説明できる可能性がある。これは、タンパク質のドメインのうち1個または複数の誤った折りたたみ、またはE.coliからの抽出前、抽出中、もしくは抽出後にタンパク質に対してなされた何らかの化学変化、例えばアミロペクチンと結合するのに重要なアミノ酸残基の酸化が原因である可能性がある。あるいは、Mdamy10タンパク質がアミロペクチンの存在下で多量体複合体を形成し、デンプンゲル内の移動性が低下し、複数の活性バンドを生じる可能性がある。また、デンプン移動ゲルは、E.coliにおいて発現したMdamy10タンパク質と共移動するリンゴの葉に固有のデンプン分解活性が存在することを示している。
デンプンを分解するMdamy10の能力は、これまでに特徴が明らかにされたα−アミラーゼ遺伝子との配列類似性とともに、Mdamy10が活性化α−アミラーゼであることをおおむね裏付けている。
植物細胞におけるMdamy10−GFP融合タンパク質の発現は、タンパク質のN末端が、N.benthamiana細胞の葉緑体へのGFP移入を行うことができるプラスチドを標的とするシグナルを含んでいることを立証することができた。このことは、タンパク質におけるこのようなターゲティングシグナルに関する以前のコンピュータ予測を裏付けている。他のファミリー3タンパク質における極めて類似したペプチド配列の存在は、ファミリー全体がプラスチドを標的としていることを示す。このことが有意義であるのは、植物内のデンプン貯蔵および分解の主要部位であるプラスチドを標的とするα−アミラーゼが他に報告されていないためである。
我々は、今回報告したファミリー3α−アミラーゼ(Mdamy10、Mdamy11、Atamy3およびOsamy10を含む)は、すべての形態のプラスチド結合デンプン、すなわち日周デンプンと貯蔵デンプンを共に分解することを担う酵素であると考えている。
(産業上の応用例)
主な態様では、本発明は、植物を含む生物体、および植物プラスチドのデンプン含量の変調における応用例を有している。本ファミリーのα−アミラーゼは、プラスチド結合デンプン、すなわち日周デンプンと貯蔵デンプンの双方の改変および分解に関与している。本発明を用い、植物を含む様々な態様の生物体を改変することができる。そのような態様には、デンプン含量、デンプン組成、デンプンポリマーのタイプ、糖度、熟成、構成(texture)、固形物含量、加工組織の粘度、冷害への抵抗力、プロセシング特性、木の品質および収量が含まれる。
トランスジェニック植物におけるデンプン分解の変調を対象とする本発明の方法が有用である商業的に価値のある方法の例には、
1)デンプン分解の阻害を必要とする、ジャガイモの塊茎における低温甘化(sweetening)の予防、
2)デンプン分解の阻害を必要とする、塊茎の発芽予防、
3)デンプン分解の阻害が、おそらく低温貯蔵の必要性のない果実の貯蔵の助けとなる、バナナ、リンゴ、キーウィフルーツ、パパイアおよびマンゴーなどのデンプン含有果実の貯蔵の改善、および
4)新たな成長のためのエネルギーを得るためにデンプン分解酵素の作用を必要とする休眠打破(および種子の発芽)
が含まれる。
本発明によるキメラ遺伝子構築物を用い、ワクチンのバイオファーミング、またはトランスジェニック植物においてプラスチドもしくは非プラスチドデンプンを改変するためのタンパク質のターゲティングを含む様々な目的で、プラスチドおよび/またはデンプン粒をキメラタンパク質の標的にすることができる。また、このような遺伝子構築物を用い、トランスジェニック植物のデンプン粒および/またはプラスチドを細菌、真菌、または藻類アミラーゼの標的とすることができる。また、本発明の配列を用いるDNAシャフリングの機会も存在する。
本発明のα−アミラーゼは、知られているデンプン分解が必要とされる産業上の応用例で用いられることは言うまでもない。これには、動物飼料の加工、洗浄剤、飲食料品、繊維、ヘルスケアおよび醸造が含まれる。
また、産業上の応用例で使用するために、発酵プロセスまたは組み換え発現により、本発明のα−アミラーゼ、酵素の変異体またはデンプン結合ドメイン/モチーフを含むキメラタンパク質を生産する機会も存在する。例えば、本発明の遺伝子構築物を用い、廃棄物処理における植物デンプンのより効率的な分解のために、本発明の真菌アミラーゼおよびデンプン結合ドメイン/モチーフを含むキメラタンパク質を産生できる可能性がある。
さらに、本説明は一例として提供されているに過ぎず、本発明の範囲は本説明に限定されないことは当業者に理解されるであろう。
Figure 2005516589
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ファミリー3α−アミラーゼ配列とリンゴα−アミラーゼ8(Mdamy8)との比較アラインメントを示す図である。 Mdamy10のヌクレオチド配列を示す図である。 Mdamy10のアミノ酸配列を示す図である。 Atamy3のヌクレオチド配列を示す図である。 Atamy3のアミノ酸配列を示す図である。 Osamy10のヌクレオチド配列を示す図である。 Osamy10のアミノ酸配列を示す図である。 ファミリー3α−アミラーゼのデンプン結合ドメインからのポリペプチド配列のアラインメントを示す図である。 ファミリー3のα−アミラーゼのデンプン結合ドメインと、さらにジャガイモからのR1タンパク質(Genbank-CAA70725)、Arabidopsisからのその相同体、Sex1(Genbank-AAG47821)、およびArabidopsisからの推定上のデンプン枝作り酵素(SBE様)(Genbank-BAB02827)からのポリペプチド配列のアラインメントを示す図である。 多くの植物種からのゲノムDNAに対するプライマーNewUNIf2およびNewUNIr2によるPCRの結果を示す図である。 N.benthamiana上皮細胞において発現されたGFP融合遺伝子構築物の蛍光顕微鏡画像を示す図である。 pET−30aをベースとするGFP構築物を含むIPTG誘導E.coliからのタンパク質のSDS-PAGE(A)およびウエスタンブロット(B)を示す図である。 ヨウ素で染色されたアミロペクチン含有ゲル上のタンパク質試料を示す図である。 ヨウ素で染色されたデンプン移動ゲルを示す図である。 pET−30aおよびpAmy10−ET−30aプラスミドを含むIPTG誘導E.coli由来のタンパク質のSDS−PAGE(A)およびウエスタンブロット(B)を示す図である。 10種の異なる組織からのArabidopsisα−アミラーゼ転写物のRT−PCRを示す図である。
【配列表】
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Claims (52)

  1. プラスチドアルファ−アミラーゼを含む単離ポリペプチド。
  2. 配列番号2のMdamy10アミノ酸配列に由来する成熟配列を有する請求項1に記載の単離ポリペプチドまたは機能的に等価なその変異体。
  3. 成熟配列が配列番号2の配列と少なくとも70%の同一性を有する配列に由来する請求項2に記載の単離ポリペプチド。
  4. 成熟配列が配列番号2の配列と少なくとも90%の同一性を有する配列に由来する請求項2に記載の単離ポリペプチド。
  5. 成熟配列が配列番号2の配列と少なくとも95%の同一性を有する配列に由来する請求項2に記載の単離ポリペプチド。
  6. 配列番号2の配列に由来する成熟配列を含む請求項2に記載の単離ポリペプチド。
  7. 配列番号2のアミノ酸配列を有するプラスチドを標的とするアルファ−アミラーゼをコードする単離ポリヌクレオチドまたは機能的に等価なその変異体。
  8. アミノ酸配列が配列番号2の配列と少なくとも70%の同一性を有する請求項7に記載の単離ポリヌクレオチド。
  9. アミノ酸配列が配列番号2の配列と少なくとも90%の同一性を有する請求項7に記載の単離ポリヌクレオチド。
  10. アミノ酸配列が配列番号2の配列と少なくとも95%の同一性を有する請求項7に記載の単離ポリヌクレオチド。
  11. 配列番号2のアミノ酸配列をコードする請求項7に記載の単離ポリヌクレオチド。
  12. 配列番号1の配列を有する単離ポリヌクレオチドまたは機能的に等価なその変異体。
  13. ポリヌクレオチドの配列が配列番号1の核酸配列に対し少なくとも70%同一である請求項7に記載の単離ポリヌクレオチド。
  14. ポリヌクレオチドの配列が配列番号1の核酸配列に対し少なくとも90%同一である請求項7に記載の単離ポリヌクレオチド。
  15. ポリヌクレオチドの配列が配列番号1の核酸配列に対し少なくとも95%同一である請求項7に記載の単離ポリヌクレオチド。
  16. 配列番号1の配列すべてを含む請求項7に記載の単離ポリヌクレオチド。
  17. 配列番号1の配列のうち少なくとも15個の連続したヌクレオチドを含む単離ポリヌクレオチド。
  18. 配列番号3のポリヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド。
  19. 配列番号4のアミノ酸配列をコードする配列を含む単離ポリヌクレオチドまたは機能的に等価なその変異体。
  20. 配列番号4のアミノ酸配列をコードする配列を含む単離ポリヌクレオチド。
  21. 配列番号5のアミノ酸配列をコードする単離ポリヌクレオチドまたは機能的に等価なその変異体。
  22. 配列番号6のポリヌクレオチド配列を有する単離ポリヌクレオチド。
  23. 配列番号7、配列番号8、配列番号10の残基1〜70および配列番号53の残基1〜53から選択されるアミノ酸配列の、プラスチドを標的とするペプチドをコードするキメラタンパク質をコードする単離ポリヌクレオチドまたは機能的に等価なその変異体。
  24. 下式に定義したポリペプチドモチーフ対のうち少なくとも1個の反復を含むポリペプチドを含むキメラポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチド。
    Figure 2005516589
    [式中、大文字は保存されたアミノ酸を表し、括弧内の文字は部分的に保存されたアミノ酸を表し、yは疎水性残基を表し、Xは任意のアミノ酸を表し、[X]46は連続した4〜6個の不特定のアミノ酸を表す。]
  25. 下式に定義したポリペプチドモチーフ対のうち少なくとも1個の反復を含むキメラポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチド。
    Figure 2005516589
    [式中、大文字は保存されたアミノ酸を表し、括弧内の文字は部分的に保存されたアミノ酸を表し、yは疎水性残基を表し、Xは任意のアミノ酸を表し、[X]46は連続した4〜6個の不特定のアミノ酸を表す。]
  26. 請求項7から25のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む遺伝子構築物。
  27. 5’−3’方向に、
    (a)プロモーター配列、
    (b)請求項1から6のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームポリヌクレオチド、および
    (c)終止配列
    を含む請求項26に記載の遺伝子構築物。
  28. コードされるポリペプチドのアミノ酸配列が配列番号2の配列を含む請求項27に記載の遺伝子構築物。
  29. オープンリーディングフレームがセンス配向である請求項27に記載の遺伝子構築物。
  30. オープンリーディングフレームがアンチセンス配向である請求項27に記載の遺伝子構築物。
  31. 5’−3’方向に、
    (a)プロモーター配列、
    (b)請求項1から6のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする遺伝子の非コーディング領域または機能的に等価なその変異体、および
    (c)終止配列
    を含む遺伝子構築物。
  32. ポリペプチドが配列番号2のアミノ酸配列を有し、非コーディング領域がアンチセンス配向である請求項31に記載の遺伝子構築物。
  33. 5’−3’方向に、
    (a)プロモーター配列、
    (b)請求項1から6のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする配列のうち少なくとも15個の残基と相補的なポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、または機能的に等価な変異体、および
    (c)終止配列
    を含む遺伝子構築物。
  34. 請求項26から33のいずれか一項に記載の遺伝子構築物を含む宿主細胞。
  35. 請求項26から33のいずれか一項に記載の遺伝子構築物を含むトランスジェニック植物細胞。
  36. 植物のデンプン含量を変調するための方法であって、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリペプチドの発現を増大または低減させることを含み、前記増大または低減は、遺伝子組み換えにより、プラスチドを標的とするアルファ−アミラーゼをコードする遺伝子の発現を変化させることによって行われる方法。
  37. ポリペプチドが配列番号2の配列を有するポリペプチドを含む請求項36に記載の方法。
  38. 配列番号7のプラスチドを標的とするシグナルを含むポリヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物。
  39. 植物におけるデンプン代謝を変えるための方法であって、
    (a)請求項26から33に記載の遺伝子構築物を植物中に導入すること、および
    (b)植物中でポリヌクレオチドを転写的に発現させること
    を含む方法。
  40. 植物におけるデンプン代謝を変えるための方法であって、
    (a)請求項26から33に記載のDNA遺伝子構築物を植物中に導入すること、および
    (b)植物中でポリペプチドを発現させること
    を含む方法。
  41. 5’−3’方向に、
    (a)プロモーター配列、
    (b)付加的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに翻訳的に融合されている、請求項23に記載のプラスチドを標的とするシグナルポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列または機能的に等価なその変異体、および
    (c)終止配列
    を含む遺伝子構築物。
  42. プラスチドを標的とするシグナルポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列が配列番号6の配列を含む請求項41に記載の遺伝子構築物または機能的に等価なその変異体。
  43. 本発明のプラスチドを標的とするシグナルポリペプチドが配列番号7の配列を含む請求項42に記載の遺伝子構築物または機能的に等価なその変異体。
  44. 請求項41から43に記載の遺伝子構築物を含む宿主細胞。
  45. 請求項41から43に記載の遺伝子構築物を含むトランスジェニック植物細胞。
  46. デンプン結合ドメインポリペプチドをコードする請求項24または25に記載のポリヌクレオチドを含む遺伝子構築物。
  47. 5’−3’方向に、
    (a)プロモーター配列、
    (b)付加的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに翻訳的に融合されている、請求項24または25に記載のデンプン結合ドメインポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列または機能的に等価なその変異体、および
    (c)終止配列
    を含む遺伝子構築物。
  48. デンプン結合ドメインポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列が配列番号5の配列を含む請求項47に記載の遺伝子構築物および機能的に等価なその変異体。
  49. 請求項46から48に記載の遺伝子構築物を含む宿主細胞。
  50. 請求項46から49に記載の遺伝子構築物を含むトランスジェニック植物細胞、ならびにそのような細胞を含むトランスジェニック植物。
  51. 配列番号4および配列番号5から選択されるペプチドが発現されないように遺伝子組み換えされた植物、または機能的に等価なその変異体。
  52. 遺伝子構築物が配列番号1、配列番号15および配列番号52、または機能的に等価なそれらの変異体から選択されるポリヌクレオチドを含む請求項39または40に記載の方法。
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