JP2005513199A6 - 各種原料から得られた非鹸化性有用生成物を分離するための方法 - Google Patents

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Abstract

各種原料から得られた非鹸化性有用生成物を分離するための方法
主に鹸化性物質及び非鹸化性物質からなるいずれかの母体又は原料から非鹸化性物質を含む有用生成物を分離する方法。好ましい方法としては 初期材料の鹸化によって得られたナトリウム石鹸又はカリウム石鹸を、融点が低く、溶融したとき蒸留/蒸発法によってこれらを処理できるだけの低い粘度の金属石鹸に変える方法が挙げられる。選択される原料としては動物性又は植物性製品及び動物性又は植物性製品や食品、セルロース及び/又は類似物質の加工の副産物、残留物、廃棄物が挙げられる。本法で得られる有用生成物にはステロール類、ビタミン類、フラボノイド類、トコフェロール類その他が含まれる。

Description

本発明は動物及び植物由来製品加工の廃棄物及び副産物などの各種原料から得られた非鹸化性物質の分離のための改良方法に関し、好ましくは高真空による蒸留/蒸発による方法に関する。この方法で生成される非鹸化性物質として、脂溶性ビタミン及びプロビタミン、 成長因子、動物ホルモン及び植物ホルモンその他の有用生成物が挙げられる。この方法では、鹸化性物質は脂肪酸やその他の高品質の有機酸及び/又はこれらの混合物を得るための蒸留/蒸発によって得られた残留物の親水化によっても分離できる。
一定原料の非鹸化性物質の留分の回収は、多くの場合有用生成物が、例えばトコフェロール類 (ビタミン E)、トコトリエノール類、カロテノイド類、 ビタミン A、ビタミン K、ビタミン D のようにビタミン的活性を持っていたり、ステロール類, トコトリエノール類のようにコレステロール価低下特性を持っていたり、トコトリエノール類、ステロール類、リコペン、アルファカロチンのように抗癌特性を持っていたり、ステロール類のように化学生合成に使用されたり、またあるものはヒト成長ホルモンやビタミン Dの合成に使用されたり、さらにあるものは栄養特性やnutriceutic特性などを有するため、商業上大変意義がある。また、化粧品の処方において安定化乳剤及び/又は粘度変化剤として使用可能なステロール類などの一部の生成物については特に大きな意義がある。 脂肪酸のような鹸化性成分も商業的に価値があり非常に有用である。また、この方法では脂肪酸のような動物由来の母体から取れる非鹸化性物質としてコレステロールも分離できるほか、タール油ピッチ酸も分離できる。
工業廃棄物や動物性、植物性製品及び/又は他の原料の加工副産物から得られる非鹸化性物質を分離濃縮するために現在使用されている方法の殆どは、溶媒を使用し、非鹸化性物質と、工程で使用される石鹸の原料との溶解度の差を利用する。これらの方法の一部は、高真空による蒸留/蒸発法により各物質の成分を分離するために揮発性非鹸化性物と脂肪酸、ピッチ酸、ナトリウム又はカリウムの有機酸石鹸の揮発性の差を利用するが、本法とは異なった形で行うものである。
既存の溶媒では、現行の各方法で非鹸化性物質と脂肪酸ピッチ酸性石鹸及びその他の非鹸化性成分の分離を選択的かつ充分に得ることは不可能である。そのため、しばしば一種以上の溶媒を使用する必要があり、このことがその回収と再利用を困難にするとともにそのコストを著しく上げる結果となっている。これらの溶媒又は溶媒混合物は特殊なものであり、そのためこれらの方法は非常に経費のかさむものとなっている。 そればかりでなく、溶媒又は溶媒混合物は各物質の抽出のために供される材料の量に比較して非常に大きな割合で使用され、さらに有用生成物の抽出及び予備濃縮工程の結果生成される残留物や再生品・再利用品から溶媒を除去するために追加工程を必要とする。上述の理由から、溶媒を基本とする方法はより制限的で複雑で困難で経費のかさむものとなり、最終的製品は希少で高価なものとなる。
蒸留による分離の場合、非鹸化性物質のような揮発性物質の沸点とナトリウムやカリウムの 有機酸石鹸の沸点の差は非常に大きく、高い効率でこれらを分離することは理論上では可能である。しかし、この分離法に関する問題として、石鹸は融点が非常に高く、ナトリウムやカリウム石鹸、すなわちナトリウム塩又はカリウム塩、脂肪酸、ピッチ酸等の分解温度に近く、溶融するとこれらの石鹸は非常に粘性の高い液体となる点が挙げられる。これら二つの 要素があいまって、工業的操作を困難にしている。また、これらの流動性を維持するために必要な温度が高いため、これらの石鹸は常時分解を続けており、最終的製品の製造と品質を損なう。
特許US 3,887,537号は石鹸及び非鹸化性物質を対象に、アルキルアルコール(例えばブタノール)存在下でタール油を水酸化アルカリ金属(水酸化 ナトリウム)で鹸化することにより脂肪酸及びタール油ピッチ酸を回収する方法を説明している。 これにおいて、混合物は薄膜蒸発器に供給され、軽質非鹸化性物質、水及びアルコールを含む融点の低い物質を蒸発させ除去する。次いで残った留分は第二の薄膜蒸発器に供給され、ステロールを含む重質非鹸化性物質を除去する。最後に、第二蒸発の後残った石鹸の留分は脂肪酸とピッチ酸を得るために鉱酸を添加される。この方法の難点の一つはこれらの石鹸は非常に粘度が高く操作が困難であることである。
特許出願WO-99/16785号は脂肪酸やピッチ酸のナトリウム塩及びカリウム塩を作るために油を水酸化 ナトリウムと水酸化カリウムの混合物によって鹸化し、薄膜蒸発器によってステロール類を含む非鹸化性物質を蒸発させることによってタール油から非鹸化性物質を分離する方法を記述している。鹸化性物のナトリウム塩及びカリウム塩を含むピッチの非蒸発部分はピッチ酸及び脂肪酸を得るために酸添加される。この方法もやはりカリウム及び/又はカリウム石鹸の材料の操作が難しい。
特許出願WO-99/42471号は、水酸化ナトリウム、 水酸化カリウム又はこれらの混合物を含むアルカリ金属の塩基を使用してタール油又はピッチを鹸化することによりステロール類を分離し、次いで鹸化されたピッチを酸で中和した後、中和したピッチを加熱し水分を除去するする方法を述べている。このようにして得られた、遊離ステロール類を含む変性ピッチは、軽質残留物を除去するために蒸発させられ、この蒸発の結果残る留分は遊離ステロール類を含む軽質相の留出物を生成するために乾式蒸発器で蒸発させられる。次いでこの流出物はアルコールを含む溶媒で溶解され、遊離ステロール類は溶液の冷却によって結晶化される。この方法の不利な点はエステロール類の収量が非常に少ないことである。
特許US 4,151,160号は脂肪酸を亜鉛又は鉛の石鹸に変換し真空蒸留によって非鹸化性物質を除去してタール油の主要留分に含まれる非鹸化性物質の脂肪酸を分離し、次いで蒸留の残留物としての非揮発性金属石鹸は希望する脂肪酸を生成するために酸を添加する方法を述べている。典型的な融点の低い非鹸化性物質としては長鎖アルコールやピッチ分解物が挙げられるが、これらの商品価値は副次的である。このピッチ油(タール油)におけるステロール類含有量は非常に小さく、約1重量%以下で、従ってこの種の油はステロール類生成源として満足できるものではない。
特許US. 4,483,791号はタール油に含まれる脂肪酸を真空下でマグネシウム石鹸とナトリウム石鹸の混合物に変換し、この反応の結果として脂肪酸を回収する方法を記述している。最終的にこれらの石鹸は希望する脂肪酸を得るために酸を添加した。
米国特許第 3,887,537号 国際特許出願第99/16785号 国際特許出願第WO-99/42471号 米国特許第4,151,160号 米国特許第4,483,791号
この特許報告書に記述されているこの方法は、主に鹸化性成分や非鹸化性成分からなる一切の母体又は原料から目的とする有用生成物を分離し非鹸化性物質を得ることから先行技術において見られる上述の課題を解決するものである。
これらの方法の一つとして、初期材料を鹸化することによって得られるナトリウム石鹸又はカリウム石鹸をより低い融点を有する金属石鹸に変換する方法が挙げられる。これらの金属石鹸は溶融したときの粘度が大変低く、蒸留/蒸発工程における操作を容易にする。これらの材料は、後に詳述する通り、先にナトリウム/カリウム塩の段階を経ることなく、融点及び粘度がより低い金属石鹸に直接変換することが出来る。この方法は、“有用生成物”、特にステロール類の含有量がかなり大きい、すなわち好ましくは少なくとも1重量%、更に好ましくは少なくとも3重量%含む原料に含まれる他の脂肪酸にも応用できる。
本法で使用される原料、すなわち鹸化性物及び非鹸化性物質を有する材料としては動物性又は植物性油脂、これらの動植物加工の副産物及び工業廃棄物、動物性又は植物性製品加工の廃棄物、あるいは製紙工場製品の廃棄物などが挙げられる。好ましい原料としてはセルロース生産のための木材加工から得られる石鹸に含まれるタール油 (BLSS)、タール油又はピッチその他セルロース加工由来の油であって、好ましくは 約 3〜7重量%のステロール類を含むもの、ピッチ油の石鹸に酸を添加することによって得られるピッチ油(CTO)であって好ましくは 約 3〜7重量%のステロール類を含むもの、同石鹸の蒸留の残留物として得られる タール油又はピッチ油であって好ましくは 約 8〜20重量%ステロール類を含むものが挙げられる。これらの原料において分離すべき非鹸化性物質又は有用生成物としては主にステロール類が含まれている。他の好ましい原料としてはサトウキビ油、工業における搾油残留物、脱ガム残留物、レシチンなどの油脂の精製品、中和石鹸の残余物、脱臭加工の流出物、物理的精製品、"hot well"石鹸残留物、脱ろう残留物、脂肪酸及びエステル類 (エチル、メチル、ブチル)の蒸留の残留物、各種植物油, ダイズ油, ふすま油、米ぬか油、生サメ油、牛肉脂肪, コーヒー油, 魚油, 生鱈油の脱臭加工留出物、及び麦芽油、トウモロコシ油、パーム潤滑剤、アンジロバ潤滑剤、トマト残留物由来潤滑剤その他の残留物のように非鹸化性物質に富む動物性又は植物性油脂。
そればかりでなく、ここに述べる方法は、目的とする単数又は複数の物質が非鹸化性成分及び/又は鹸化性成分であれば、母体とする初期材料を構成する個々の物質の組み合わせを回収するための基盤として使用できる。なぜなら、初期材料を構成する二つの主要留分、すなわち鹸化性成分及び非鹸化性物質は別々に回収されるからである。非鹸化性成分としてはトコフェロール類、トコトリエノール類、カロチノイド類、ビタミン A、ビタミン K、ビタミン D、リポ蛋白質、プロビタミン類、 成長因子、フラボノイド類、ステロール類、スチルベン類、スクアラン類、オリザノール類及びリコペン類が含まれるがこれに限定されるものではない。鹸化性成分としては改良油、脂肪酸、脂肪、ビッチ酸及びエステル類が含まれるがこれに限定されるものではない。
本法は、広範な初期材料又は原料から多様な有用生成物を分離するために使用できることから、大変有用である。例えば、初期材料がタール油石鹸であるとすれば、非鹸化性物質の留分には次の組み合わせが含まれる。すなわちセロールアルコールやリグノセロールアルコールを含む脂肪やワックスのアルコールとベヘニアルコール、炭化水素、樹脂アルコール、樹脂アルデヒドを含むジテルペンとラバデン類、シトエステロール、スチグマスタノール、カンペステロール、カンペスタノール、シクロアルテノールを含むステロイドと 3,5-stigmastadien-7-one、セラテンジオール及びスクアレンを含むトリテルペンと プレノール、トランスピノシルビンジメチルエーテルを含むスチルベン類である。同種の初期材料の鹸化性留分には下記のものが含まれる:アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、イソピマリン酸、ピマリン酸及び paulstric acidを含むピッチ酸、さらにオレイン酸、リノレン酸、 ステアリン酸及びパルミチン酸を含む脂肪酸。
好ましい取り込みとしては、鹸化性物留分に酸を添加した後鹸化性物の留分を酸の混合物として回収するものである。初期材料としてタール油石鹸又は生タール油(CTO)を使用する場合、鹸化性物質由来の生成物として改良生タール油があり、ピッチと脂肪酸の混合物がこれに含まれる。このCTO改良物の酸価は170〜180 (mg KOH/g)の範囲にあり、非鹸化性物質の含有量は3%と非常に少ない。収量の少ない方法と同じく、脂肪酸及びピッチ酸は従来の分別蒸留又はその他の良好な方法で分離することができる。初期材料がピッチ及び/又は タール油ピッチであって1種以上の脂肪酸とピッチ酸、エステル脂肪酸とピッチ、ステロールエステル類及び中性物質を含む場合、本法実施によって回収された鹸化性物の留分は酸を添加され、蒸留されて、それをしなければピッチの中に含まれたままになった脂肪酸及びピッチ酸の混合物を生成する。このタール油からの回収物は180という高い酸価を示し、ピッチ酸含量は40%、非鹸化性物質はわずか1.2%である。タール油ピッチ又はピッチ油の酸価が15〜50 (mg KOH/g)であることを考えると、これは優れた成績である。得られる結果は蒸留される生タール油(CTO)の品質に依存する部分があり、また蒸留が行われる蒸留装置内の条件にも依存する。それとは関係なく、ここに示す好ましい取り込みによる方法は、既知の各分別方法において失われる可能性のある脂肪酸及びピッチ酸を回収するためにこれらの取り込み又は改良がどのように使用できるかを明白に示すものである。そればかりでなく、好ましい取り込みにおいては、この方法はタール油ピッチ又はピッチ油に含まれていた非鹸化性物質、特にステロール類をも回収する。
非鹸化性物質の留分については、タール油の例の場合は非鹸化性物質は主要非鹸化性物質の三つの留分に分けられる。第1の留分は主にモノテルペン類及びセスキテルペン類を含むより軽質の非鹸化性物質からなるが、これらに限定されるものではない。第2の留分は主にジテルペン及びスチルベンを含む軽質及び半軽質物質からなるが、これらに限定されるものではない。第3の留分は主にワックスアルコール及びトリテルペンを含むステロール類からなるが、これらに限定されるものではない。
上記のもののほか、行われる取り込みによって、本法で使用すべき初期材料や原料のソースは非常に豊富であり、動物又は植物の加工の結果生成される副産物又は廃棄物も含まれる。例えば、トマトの加工廃棄物(皮も含む)は好ましい初期材料又は原料であって、リコペンその他の有用な栄養的組成物を豊富に含む。そればかりでなく、二つの独立した留分から成分群及び/又は個別的な成分を独立して分離することができる。脂肪酸及びピッチ酸からのそれぞれ異なる鹸化性留分の場合、従来の分別蒸留又は他の物理的又は化学的分離法で分離することができる。非鹸化性ステロール類の純粋な留分の場合、非鹸化性物質の留分に含まれているかも知れない非鹸化性成分の混合物の結晶化によって分離することができる。また、その他の成分も他の化学的又は物理的分離法によって分離することができる。
別段の記述がある場合を除き、本明細書に記載の比率は全て重量パーセントである。
非鹸化性物質の分離濃縮法として知られる各方法の規定とは異なり、本法は非鹸化性物質の留分と鹸化性物質の留分を分離するために溶媒を必要としない。溶媒の使用を基本とする既存の方法の重要な制限として、非鹸化性留分と鹸化性物質の留分を効率的に分離するにはあまり有効でないことが挙げられる。その結果、溶媒を使う多くの抽出方法は1種以上の溶媒の混合物を使い、そのため上記有用生成物を製造したい場合溶媒の回収が困難になり、品質を損なうとともに現在の市場が要求する経済性が得られない。そのため、数段階に分けて抽出したり、作用範囲の非常に広い、分離工程において望ましい全ての点に作用する溶媒を使用する必要がある。
溶媒を基本とする工程における上述した困難を踏まえ、溶媒を使用しない方法を開発した。これらの方法は、非鹸化性成分及び鹸化性成分及び/又はそのナトリウム石鹸又はカリウム石鹸の蒸留及び/又は蒸発を記述する。理論的にはナトリウム/カリウム石鹸に含まれている、又は塩の状態にある非鹸化性成分及び鹸化性成分の分離は難しい。なぜなら、カリウム石鹸及び/又ナトリウム石鹸は揮発性でなく非鹸化性成分は揮発性であるからである。しかし、実践上は、これらの方法が失敗するのは石鹸の融点と粘度が非常に高く、そのため鹸化性成分と非鹸化性成分の分離を実行不可能にしている。例えば、乾式工程でナトリウム石鹸の水分と軽質非鹸化性成分(テルペン類, スチルベン類)を蒸発させるために流下液膜式蒸発器又は 薄膜蒸発器)を使用する場合、より軽質の成分は石鹸から脱離し粘度と融点が上がる。それによって石鹸の残留物が蒸発器の壁に大量に蓄積し、従って初期材料を薄膜の上に振り撒く乾式方法は失敗することがある。また、これらの材料をポンプで送る方法でも、管に蓄積する石鹸で詰まるなど問題が起こる。従って、これらのナトリウム/カリウム石鹸の工業的操作は非常に困難になる。
目的とする留出物がステロール類及び/又は他の有用生成物を含む中・軽質の非鹸化性成分である場合のように追加蒸発又は蒸留が必要な場合、上述したのと同じような操作上の問題がある。非常に高い温度を使用してこれらの困難を克服しようとする試みは収量を下げ、生成物の質を低下させ、分離の効率が低くなる。このような操作条件では、非鹸化性物質留分からステロール類を、及び脂肪酸又はピッチ酸から鹸化性物の留分を抽出するのは、これらが熱に弱いため非常に困難である。高い蒸留温度は熱に弱い石鹸を分解し、非鹸化性物質の留分とともに脂肪酸及びピッチ酸の蒸留を引き起こし、分離工程の効率を著しく損なうことになる。 さらに、ナトリウム/カリウム石鹸の分解によって発生する酸性物質は非鹸化性物質の留分中に存在するアルコールと結合してエステル類を生成し、留出物におけるステロール回収効率を下げる。
本法が先行技術における上述の課題を解決する手段の一つとして、ポンプによる流入、蒸留、排出などにおける工業的操作が可能にする金属石鹸の粘度及び融点の低さを利用する方法がある。これは、初期段階の鹸化によって得られる金属石鹸の高い融点と高い粘度を、希望する特性を有する石鹸を生成する第2の金属を、操作を困難にする石鹸を生成する第1の金属と置換するイオン交換又は置換によって融点及び粘度を下げ、熱安定性を上げることによって可能である。石鹸における金属置換の程度は、完全又は完全に近いことが好ましい。
特性を向上させた金属石鹸は、鹸化性成分を直接、希望する特性が向上した石鹸を生成する金属を含む基剤と反応させて得ることができる。融点と粘度が低いという望ましい特性を有する金属石鹸を生成する金属は亜鉛、鉄、マンガン、マグネシウム、カルシウム及びアルミニウムであるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、これらの組み合わせには塩(すなわち、金属とこれに対する物質との間のイオン的連結を行う組成物)が含まれているべきである。例として金属の各種酸化物、硫酸塩, 水酸化物、 炭酸塩、 塩化物が挙げられるがこれらに限定されるものではない。石鹸から直接、又は置換によって低い融点と粘度が得られるなら、融点及び粘度の低い石鹸の金属(すなわち、酸に対抗するもの)の大部分よりこの方が好ましい。しかし、少量、好ましくはカリウム及び/又はナトリウムの石鹸の5〜30%が混じっていても石鹸の特性に悪影響は与えないと思われる。
融点の低い金属石鹸(例えばマグネシウム石鹸、亜鉛石鹸、鉄石鹸、マンガン石鹸、カルシウム石鹸、アルミニウム石鹸、カリウム石鹸が挙げられるがこれに限定されるものではない)及び/又は1種以上の金属石鹸の混合(例えばナトリウム-マンガン-鉄石鹸、アルミニウム-マグネシウム-ナトリウム石鹸、鉄-亜鉛-ナトリウム石鹸、亜鉛-マグネシウム-カリウム石鹸、亜鉛-ナトリウム石鹸、マグネシウム-ナトリウム石鹸、亜鉛-カリウム石鹸、マンガン-ナトリウム石鹸、亜鉛-カルシウム石鹸などを含むがこれらに限定されるものではない)を生成する1種以上の金属を含む成分を使用する方法がある。金属石鹸の蒸留における性能と、この工程に含まれる石鹸の採算性によって、一定の金属石鹸の混合は他のそれより好ましいとされる。
また、エステルは鹸化性物質の酸性成分と非鹸化性成分であるアルコールに加水分解される。 したがって、本法によって非鹸化性留分からエステルのアルコール分を回収することができる。この違いは、初期材料を回収するために使用された条件によっては有用な成分がエステルの形で含まれているかも知れないので重要である。例えば、タール油におけるステロール類は 主にエステルの形で含まれている。このような場合は初期材料の処理として、ステロールエステルを、非鹸化性成分であるエステルのアルコール分である遊離ステロール類に加水分解する方法を取るのが適切である。ステロールエステルから遊離されるもう一つの成分は鹸化性物質である酸性成分である。エステル類の加水分解はエステル類の含有量が有意であり及び/又は初期材料がステロールエステルの成分の一つである有用な組み合わせを有していれば実行可能である。このように初期材料に前処理を施すことによって非鹸化性成分の回収量、酸の量及び鹸化性成分の回収量が多くなる。
金属石鹸の融点と粘度がすでに低められたら、石鹸に含まれる水分を除去するために乾燥をしなければならない。これは特に、石鹸が完成した時点で石鹸に含まれる水分が約10%以上である場合には行うことが好ましい。この乾燥は、加熱による蒸留装置、好ましくはヒーターを用いて、減圧又は真空下、遠心分離、デカンテーションその他石鹸のような性質の物質の水分を除去することのできる既知の、あるいは今後開発される方法又は装置で行うことができる。
準備と乾燥は高真空蒸留ユニットに供給する金属石鹸の融点と粘度を下げるために必要である。本法における改良においては、非鹸化性成分の抽出は連続的に行われる、複数の段階に分かれて行われ、それが本法の効果を上げることになっている。例えば、一定の母体から非鹸化性成分を、揮発性の差を利用して多重蒸発で分離することによって多種の有用生成物を得ることができる。 こうすることによってそれぞれ異なる有用生成物をそれぞれ異なる留出物に分離することができる。例えば、スチルベン類の沸点はステロール類のそれより低く、したがってより軽質の留分はよりスチルベン類に富み、より重質の留分はよりステロール類に富む。同様に、軽質の成分から順次除去していけば、各蒸留段階は高真空及びより低い蒸留温度で効率よく操作することができ、金属石鹸の安定性を高めるとともにより高品質の非鹸化性成分の回収が可能になる。ステロール類の場合、最終的製品の分解と酸化が抑えられ、その結晶化において不純物が少なくなり、それによって最終的なステロール類分離の工程がより容易になる。
前述のように、初期材料に含まれる要素、希望する物質の分離の程度と純度、及び/又は希望する物質の特性又はアイデンティティーによって蒸留を1、2、3あるいはそれ以上の段階に分けて行うのが適切である。蒸留に使用される装置は好ましくは流下薄膜式蒸留器及び/又は薄膜蒸留器、あるいは分子蒸留器であるが他の良好な装置や方法を用いてもかまわない。例えば、初期材料としてCTO 又はタール油石鹸を選択した場合、好ましい方法としては3段階の蒸留を行うべきである。第1段階は残留水分とより軽質な非鹸化性成分の除去を、 第2段階は軽質及びやや軽質の非鹸化性成分の除去を、第3段階は非鹸化性成分の残りの留分、主にステロール類の抽出を行う。一定回数蒸留した後、前回の蒸留の留出物又は残留物について次の蒸留を行うか、又は後で残留物及び留出物を別に蒸留する。この2回目の蒸留は物質の品質と純度を高めるために行う。最後に、希望する物質又は有用生成物を含む留出物又は残留物を後にクロマトグラフィー、濾過及び結晶化などの方法で純化することもできる。 また、先行技術において知られているような、留出物又は残留物の成分の純化と分離のための他の良好な化学物質や物理的な方法も使用できる。最終的結晶化を含む本改良において、濃度 (純度) 90〜99%のステロール類が最終的製品として得られる。
上述した通り、本法は複数の段階からなる。これらの各段階は初期材料及び目的とする製品の特性やアイデンティティーを含むがこれに限定されない色々な要素によって数が異なる。好ましい工程の変化は、粘度と融点の低下のための蒸留の(軽質成分と残留水分を除去する)第1ステップの供給材料である金属石鹸の調製と乾燥を含む大部分の段階で多く行われるが、他の変化も行うことができる。
このように、ある原料から単数又は複数の有用生成物を分離する方法は多数ある。工程の第1段階は融点の低い金属石鹸生成から始まるが、そこに至る道は色々ある。原料によっては、不純物を除去するために単数又は複数回の前処理を行う必要がある。この不純物除去法としてゆすぐ、洗浄する、濾過する、デカンテーションするなどの方法があるがこれらに限定されるものではない。例えば、製紙工場の廃棄物由来のBLSSは固形物を含むためこれらを濾過しなければならず、他の汚染物質を除去するために水で洗浄するのもよい。
原料がステロールエステル類を含むなら、希望する場合は融点の低い石鹸を得る前にステロールエステル類の加水分解を行うこともできる。このステロールエステル類の前処理としての加水分解にはこれらの成分の加水分解をもたらす従来の好ましいいずれの方法を用いてもよい。 ここでは水を含むステロールとエステルを組み合わせ、好ましくは20〜30 Barの高圧及び及び好ましくは約225°C以上(約250-300°Cに達しても可)の高温で加水分解する方法を優先する。もう一つの好ましい加水分解法としてはステロールエステルを含む原料を、NaOH及びKOHを含むがこれに限定されない強い塩基と組み合わせ、好ましくは約 80°C以上(約90〜120°Cに達しても可)の高温で行う方法がある。これは圧力下で常時振とうして行ってもよい。 後者は原料を加水分解し鹸化する利点がある。
原料がナトリウム石鹸又はカリウム石鹸として供給され、あるいは原料の前処理のある段階でナトリウム石鹸又はカリウム石鹸に変換された場合 (例えばNaOH又はKOH存在下で加水分解した場合)、融点の低い金属石鹸となり、金属石鹸として現れる少なくとも1種の化合物と反応してナトリウム石鹸又はカリウム石鹸となる。(訳者注:意味不明、原文通り)。 良好な反応条件は真空下で約100〜200°Cに達する温度であるが、他の条件を用いてもよい。 好ましい金属石鹸形態の化合物としては 亜鉛、鉄、マンガン、マグネシウム、カルシウム又はアルミニウムの塩基、好ましくは 亜鉛、鉄、マンガン、マグネシウム、アルミニウム及び/又はカルシウムの酸化物、硫酸塩、水酸化物、炭酸塩及び/又は塩化物が含まれる。180°C以下の温度で流動金属石鹸を生成する他の金属化合物なども好ましい。この反応は 金属塩、好ましくは硫酸塩又は塩化物との二重交換によって行われ、ナトリウム石鹸及びカリウム石鹸を融点の低い金属石鹸に変える。金属の交換は部分的であっても良く、ナトリウム塩又はカリウム塩の残留物が最大30%であって5〜30% を含み、完全であるか殆ど完全(すなわち、ナトリウム塩又はカリウム塩が10%以下)であってもよい。
直接或いは何らかの前処理後使用される原料の鹸化性成分が遊離一級酸(又は有意な量の遊離酸)を含む場合、融点の低い金属石鹸を得るためには二つの好ましい選択肢がある。一つはより適した単数又は複数の金属塩、好ましくは 酸化物を用いて直接反応を行い、脂肪酸、ピッチ酸その他原料に含まれるいずれかの有機酸と反応させて融点の低い金属石鹸を得ることである。この方法では、すでに金属石鹸に鹸化されたいずれの組み合わせも変換できる。第二の選択肢は、前段で述べたように、最初に酸をカリウム又はナトリウムの化合物、好ましくはKOH 又はNaOHと反応させ、融点の低い金属石鹸を作ることである。この第二選択肢によるカリウム又はナトリウム石鹸を得るための初期鹸化は様々な条件下で行うことが出来る。好ましい条件はカリウム又はナトリウムの溶液又は塩基、好ましくはこれらの水酸化物を40〜60%の濃度及び65〜120°Cの温度の使用を含む。これ以外の温度や濃度を使用してもよいが、希釈液を使用する場合は予め高濃度の液のそれより多い余剰水分を除去する必要があることを念頭に置かなければならない。塩基は液体でも固形でもよく、後者は鹸化した混合物に水分が多く含まれている場合特に有用である。いま、原料は粘度と融点の低い金属石鹸を含む鹸化性成分と、非鹸化性成分からなる物質に変換された。この物質を乾燥させ、希望すれば水及び/又は軽質又はやや軽質の非鹸化性物質を除去する。特に原料の水分含有量が大きい、即ち5〜20 %以上である場合は乾燥させる。乾燥は半固形又は粘性物質から水を抽出する良好な方法のいずれによってもよく、真空又は減圧(加熱付き又はなし)、回転蒸発、蒸留 (好ましくは真空下)、 デカンテーション及び/又は遠心分離器による方法を含むがこれらに限定されるものではない。原料を希望する程度まで乾燥させるには1種以上の方法を用いてもよい。水分が多い場合は、遠心分離などの大規模の方法が好ましく経済的である。薄膜蒸発器も多量の水分の除去に用いることができ、良好な作動条件は170〜240°Cまでの温度と約3〜500 mbarの圧力 である。金属塩生成の際水分が少なかったか原料が前段階で乾燥されたかで水分が少ない場合は、残りの水分を除去し軽質非鹸化性成分の留分を除去するために真空下蒸留を使用してもよい。残留水分及び軽質又はやや軽質の化合物を除去するための好ましい条件の一つとして約150〜200°Cの温度範囲と約0.1〜40 mbarの圧力が挙げられる。
ここで融点と粘度の低い乾燥金属石鹸が得られる。次のステップは、非鹸化性成分及び鹸化性成分の分離(最初は一つずつであるが以後は一定の物質カテゴリーのうちのそれぞれ異なる留分の分離を行ってもよい)を行うことで、好ましくは 高真空蒸発器又は蒸留装置で行われる。良好な反応条件は約100°C〜350°Cの温度と5 mbar e 1x10-3 mbarの圧力である。 この蒸留/蒸発は希望する濃度又は分離の程度に応じて単数又は複数の段階に分けて行うことができる。最初の蒸留は、後に希望に応じて別々に処理することのできる鹸化性物質及び非鹸化性物質を分離するためのみに行われる。 しかし、初期材料に含まれる非鹸化性物質及び鹸化性物質がかなりの分量である場合は1回以上蒸留することができる。非鹸化性物質からいろいろ異なる留分を分離するために使用されるこれらの蒸留を比較するとき、たいていの場合蒸留は一定の圧力下で高温で行われるとき起こる。
単数又は複数の蒸留/蒸発法によるとき、分離された物質は後に処理され、純度を高められ、 各成分を商業上の理由またはその他の理由で望ましい形の組み合わせにする。結晶化、 クロマトグラフィーその他の周知の方法で追加純化を行ってもよい。 この段階で分離又は純化するためにも、溶媒を用いて異なる溶解度を使用してもよい。この段階における溶媒の使用は、量が少なく混合が単純(成分の種類が少ない)ため前述したような他の段階における場合ほど不利ではない。鹸化性材料の場合、その成分の全部又は一部を遊離酸の状態に戻すために無機酸による酸添加を行ってもよい。次いで、鹸化性材料を遊離酸に変換し、これらを後に、希望の留分を得るための蒸留、クロマトグラフィー、その他類似の前述の方法によって行うことが出来るが、これらに限定されるものではない。タール油蒸留残留物、中和石鹸の在庫、動物性又は植物性油脂、及び非鹸化性物質を含む脱臭工程や動物性及び植物性油の脂肪廃棄物はこれらの廃棄物を酸に加工する際の良好なソースである。
この記述において各種混合物の蒸留/蒸発に使用される装置として薄膜蒸発器、分子蒸留カラム及び短管蒸発器を挙げているが、これらの段階においては良好又は好都合な装置であればどんなものでも使用できることは明白である。真空下でない通常の条件下で装置を使用することもできるが、常圧下で操作するため高温必要となり、これが石鹸の分解を起こすこともあるので好ましくない。また、より低い圧力又は温度下では一定の留分を蒸留しなければならないことが知られている。ここで好ましいとしている範囲はただ指針とすべきであって、他のニーズ、結合、装置及び/又はその他に、専門技術者の技能に適した形で合わせるために変更することができる。
タール油のように非常に粘度の高い材料の流動性と融点の向上は、鹸化の前又は後により粘度の低い非鹸化性残留物と混ぜることによって得ることができる。より粘度の低い残留物 としては植物油の中和石鹸の在庫、タール油、タール油石鹸及びその他石鹸生成後200°C以下の温度で流動物となる残留物又は製品が含まれる。
グリセリン類 (ジグリセリン又はトリグリセリン) 又はショ糖重合体などの存在もタール油石鹸(タール油蒸留の残留物)などの物質の融点を下げ流動性を向上させるのに役立つ。
下記の方法は最初の鹸化に使用する材料として水酸化ナトリウムを挙げているが、これに限定されるものではなく、他の強力な塩基を使用しても良いことは当然である。 他の強力な塩基を鹸化に使用することをここに検討する。水酸化 ナトリウム低価であること、手に入りやすいこと及びその化学的特性など様々な理由から好ましい材料である。
同様に、一定の化学物質の組み合わせが挙げられても、同様な性質を有する他の化学物質の使用を排除するものではない。温度、圧力、反応物、希望濃度の達成法、装置、機器技術等の条件及び/又は本明細書で述べる他の詳細はそれぞれの個所で明記されていなくとも好ましい条件、範囲、材料、装置として下に示す全般的な記述や例に含まれているものとする。 発明の意図から外れなければ専門技術者が他の好ましい条件や新規又は既存の材料、装置、技術をこれらに代えて使用することを妨げない。
初期材料として生タール油を使用する場合。
通常、生タール油(CTO)から非鹸化性物質を除去するための好ましい工程は下記のとおりである。 まずCTOはNaOH、好ましくは濃度約40%〜50%程度、好ましくは約70〜105°の温度の溶液にしたもので鹸化されCTOに含まれる脂肪酸及びピッチ酸のNa石鹸又はNa塩を生成する。NA石鹸又はNa塩は全部及び/又は一部、硫酸 亜鉛 (ZnSO4)及び硫酸 マグネシウム (MgSO4)を含むがこれらに限定されない単数又は複数の金属硫酸塩、金属酸化物、金属酸化物、又は金属炭酸塩と反応させられ、融点及び粘度の低い金属石鹸を生成する。生成される金属石鹸は通常約40〜50%の水分を含有している。金属石鹸はさらに加えた水で洗浄され、その水の一部は遠心分離法で完全に分離される。石鹸の粘度は水分除去によって著しく上がるため、後に遠心分離された金属石鹸は残留水分含有量として約15〜20%を含む。水分約15〜20%を含む金属石鹸は薄膜蒸発器に供給され、金属石鹸にはわずかしか水分が残らないように乾燥させる。薄膜蒸発器は好ましくは約180〜230°の温度及び約3〜500 mBarの圧力下で使用する。この装置の正確な使用条件は金属石鹸の種類により、金属塩の性質の調査や通常の試行によって決定することができる。金属石鹸が乾燥したら次の段階に進むことができる。
前段で述べた製品はより少数の段階からなる方法によって得ることもできる。まずCTOを金属酸化物又は金属水酸化あるいは両者の組み合わせで直接中和されるが、石鹸及び塩の提供源として使用される金属の少なくとも1種以上が低い融点を有することが必要である。まずCTOと金属酸化物及び/又は金属水酸化物のよく分散した混合液を作り、この混合液を真空下及び約105〜200°Cの温度下に置き一定時間反応させる。反応生成物はかなり乾燥した金属石鹸で、次の段階に進むことができる。
乾燥した金属石鹸は薄膜蒸発器に供給されて軽質及びやや軽質な成分と残留水分の一部又は全部を除去される。使用条件としては好ましくは約150〜200°Cの温度と約0.1〜40 mbarの圧力である。留出物収量は通常約1〜5%(より軽質な材料)の範囲である。
金属石鹸(又は上記蒸留の残留物)は分子蒸留カラム又は短管蒸発器に供給される。これらの装置は基本的には同種の装置であって、名称が違うだけである。このステップでは、ステロール類及び非鹸化性物質の残りは蒸留される。使用条件としては好ましくは約240〜300°Cの温度と約0.001〜0.1 mbarの圧力である。留出物収量は通常約7〜15%(ステロールに富む留分)の範囲である。残留物は留出物分離後の初期材料の85〜93%の残りである。残留物には、非鹸化性物質の含量の少ない脂肪酸及びピッチ酸を得るために鉱酸を添加してもよい。CTOの品質をさらに上げるために、再度蒸留して高品質のDTOを得、あるいは脂肪酸及びピッチ酸を分離するために分別してもよい。
ステロール類を含む残余留出物に追加純化を行ってもよい。この純化は要求された最初の製品又は留出物の品質による。追加純化の選択肢としては留出物に含まれる材料を、短管蒸発器を使用して再度蒸留することである。短管蒸発器を使用する条件としては約110〜160°Cの温度と約0.001〜0.01 mbarの圧力であるが、これらは留出物の内容によって変化させてもよい。再蒸留した物質から分別された留出物の収量は通約15〜30%で、酸性成分と非鹸化性成分に富む。再蒸留した物質の残留物の収量は約70〜85%でステロール類に富み、ステロール類濃度は35〜50%である。
また、純化を行うばあいは蒸留及びクロマトグラフ法など他の分離 及び/又は 純化方法を使用することができる。さらに、物質の酸度がより高く結晶化を抑制する場合は、工程を続ける前に中和する必要がある場合がある。酸価は金属酸化物及び/又は金属水酸化物で中和しステロール類含有量の非常に大きい金属石鹸を生成してもよい。金属石鹸の蒸留と同じ原理を応用して、材料を小さな蒸発器で、好ましくは約240〜300°Cの温度及び約0.001〜0.1 mbarの圧力で蒸留してもよい。留出物の収量は通常約80〜90%であり、ステロール類約35〜50%で、希望すれば最終的な結晶化に供することもできる状態になっている。
こうして、後述するエステロール結晶化の項で詳細に述べる原留出物又は原留出物の再蒸留の残留物を結晶化した場合高品質の製品が得られる。この結晶化はステロール類を純化するために行われる。
初期材料としてタール油残留物を使用する場合
通常、生タール油(CTO)から非鹸化性物質を除去するための好ましい工程は下記のとおりである。タール油から後の工程で使用する乾燥金属石鹸を得るには色々な方法が可能である。 下に5つの方法を示すが、下記の各段階を混ぜたり並行させたりして他の取り込みや形式を生み出すことも可能であることは専門技術者にとっては明白である。
タール油はタール油エステルの形でステロール類を含むので、両ステロールエステル類を加水分解しNaOH50%溶液で約95〜115°Cの温度下で、好ましくは常時振とう及び圧力下で、ステロール類が加水分解されるに充分な時間反応させる。その結果として、混合液は脂肪酸及びピッチ酸 及び/又はこれらのNa石鹸及びNa塩、並びにアルコールの形で遊離ステロールを含む。
Na石鹸又はNa塩は全部及び/又は一部は単数又は複数の金属硫酸塩、金属酸化物及び金属水酸化物、又は金属炭酸塩と反応させられ、融点と粘度の低い金属石鹸混合物(単に金属石鹸と称してもよい)を生成する。生成される金属石鹸は通常約40〜50%の水分を含む。金属石鹸はさらに加えた水で洗浄され、その水の一部は遠心分離法で分離される。石鹸の粘度は水分除去によって著しく上がるため、遠心分離された金属石鹸は残留水分含有量として約15〜20%を含む。水分約15〜20%を含む金属石鹸は薄膜蒸発器に供給され、金属石鹸にはわずかしか水分が残らないように乾燥させる。薄膜蒸発器は好ましくは約180〜230°の温度及び約3〜500 mBarの圧力下で使用する。この装置の正確な使用条件は金属石鹸の種類により、金属塩の性質の調査や通常の試行によって決定することができる。金属石鹸が乾燥したら次の段階に進むことができる。
乾燥金属石鹸を得るための第2の方法として、タール油はNaOH50%溶液で約95〜115°Cの温度下で、好ましくは常時振とう及び圧力下で、ステロール類が加水分解されるに充分な時間反応させる。その結果として、混合液は脂肪酸及びピッチ酸 及び/又はこれらのNa石鹸及びNa塩、並びにアルコールの形で遊離ステロールを含む。この混合液に低濃度の鉱酸溶液で酸添加することによって脂肪酸及びピッチ酸と遊離ステロール類の混合物を得ることもできる。
上記混合物の酸価は約90〜100 (mg KOH/g)で、単数又は複数の金属硫酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、又は金属炭酸塩(これらの組み合わせも含む)で直接中和され、中和のための混合物を真空及び約105〜200°C度の温度下で反応させて中和する。反応生成物はかなり乾燥した金属石鹸で、次の段階に進むことができる。
乾燥金属石鹸を得るための第2の方法として、タール油はNaOH50%溶液で約95〜115°Cの温度下で、好ましくは常時振とう及び圧力下で、ステロール類が加水分解されるに充分な時間反応させる。その結果として、混合液は脂肪酸及びピッチ酸 及び/又はこれらのNa石鹸及びNa塩、並びにアルコールの形で遊離ステロールを含む。この混合液に低濃度の鉱酸溶液で酸添加することによって脂肪酸及びピッチ酸と遊離ステロール類の混合物を得ることもできる。
上記混合物は短管蒸留器に入れられ、脂肪酸及びピッチ酸並びに遊離ステロール類を含む非鹸化性物質の大部分を蒸留する。蒸留の条件としては好ましくは約270〜320°Cの温度と約 0.001 - 0.1 mbarの圧力である。留出物収量は通常約65〜80%の範囲にあり、 好ましくは脂肪酸及びピッチ酸及び遊離ステロール類を含む。残留物の収量は通常20〜35%の範囲にありより重質の二量体化物を含み、これが通常タール油の残留物の粘度を大いに高めている。この二量体化物を混合物から除去した上で、留出物は金属石鹸を生成するために中和される。
上記混合物の酸価は好ましくは約90〜100 (mg KOH/g)で、単数又は複数の金属硫酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、又は金属炭酸塩(これらの組み合わせも含む)で直接中和され、中和のための混合物を真空及び約105〜200°C度の温度下で反応させて中和する。反応生成物はかなり乾燥した金属石鹸で、次の段階に進むことができる。
タール油の残留物に含まれるステロールエステルは4回目も約250〜280°Cの温度の水の入った高圧容器で加水分解される。生成される混合物はアルコールの形でのステロール類及び脂肪酸 / ピッチ酸を含む。
上記混合物はさらに、緩やかにかつ短時間で供給され、脂肪酸及びピッチ酸及び遊離ステロール類を含む非鹸化性物質の大部分を蒸留する。蒸留の条件としては好ましくは約270〜320°Cの温度と約 0.001 〜 0.1 mbarの圧力である。留出物収量は通常約65〜80%の範囲にあり、 好ましくは脂肪酸及びピッチ酸及び遊離ステロール類を含む。残留物の収量は通常20〜35%の範囲にありより重質の二量体化物を含み、これが通常タール油の残留物の粘度を大いに高めている。この二量体化物を混合物から除去した上で、留出物は金属石鹸を生成するために中和される。
上記混合物の酸価は好ましくは約90〜100 (mg KOH/g)で、単数又は複数の金属硫酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、又は金属炭酸塩(これらの組み合わせも含む)で直接中和され、中和のための混合物を真空及び約105〜200°C度の温度下で反応させて中和する。反応生成物はかなり乾燥した金属石鹸で、次の段階に進むことができる。
タール油の残留物に含まれるステロールエステルは5回目も約250〜280°Cの温度の水の入った高圧容器で加水分解される。生成される混合物はアルコールの形でのステロール類及び脂肪酸 / ピッチ酸を含む。この混合液に低濃度の鉱酸溶液で酸添加する。
上記混合物の酸価は好ましくは約90〜100 (mg KOH/g)で、単数又は複数の金属硫酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、又は金属炭酸塩(これらの組み合わせも含む)で直接中和され、中和のための混合物を真空及び約105〜200°C度の温度下で反応させて中和する。反応生成物はかなり乾燥した金属石鹸で、次の段階に進むことができる。
上述した、タール油残留物から乾燥金属石鹸を得る5つの方法(段階、ステップ)及び同様の手段を使用する他の方法はここから同じように行うことができる。乾燥金属石鹸は軽質及びやや軽質の成分及び全残留水分又は一部を除去するために薄膜蒸発器 に供給される。操作条件としては好ましくは約150〜200°Cの温度と約 0.1〜40 mbarの圧力である。留出物収量は通常約1〜2%の範囲にある。ピッチには通常軽質成分が少ないのでこの収量は初期材料としてのCTOのそれより低い。
軽質成分を除いた金属石鹸 (上記蒸留の残留物) 分子蒸留カラム又は短管形蒸発器に入れられる。このステップではステロール類及び他の非鹸化性物質蒸留される。蒸留の条件としては好ましくは約240〜300°Cの温度と約 0.001〜0.1 mbarの圧力である。留出物収量は通常約25〜30%の範囲にあり、ステロールは約40〜50%である。留出物が分離された後出る70〜75%の材料残余物は残留物である。残留物には、非鹸化性物質の含有量が小さい脂肪酸及びピッチ酸を得るために鉱酸を添加してもよく、これを蒸留することによってタール油の分別工程で失われたより品質の高い脂肪酸及びピッチ酸を得ることができる。
ステロール類を含む蒸気留出物には、追加純化を行ってもよい。最初の物質又は留出物の品質によっては後に再度純化する必要がある。追加純化の方法の一つとして、短管形蒸発器を使用するなどして留出物を再度蒸留する方法がある。短管蒸発器の使用条件は約110〜160°Cの温度と約0.001〜0.01 mbarの圧力であるが、留出物の内容によって変化できる。 留出物(再留出物)の留分の収量は通常10〜20%で、酸性成分と軽質非鹸化性成分に富む。再留出物の残留物の収量は通常約80〜90%で、ステロール類が約45〜65%である。
また、随意の純化として他の分離 及び/又は 純化法が使用でき、他の蒸留法やクロマトグラフ法もそれに含まれる。上述した、蒸留に次ぐ酸添加は、CTOの随意純化については、物質がより高い酸価を有する場合行ってもよい。
高品質の物質が得られたら、原留出物であるにせよ、原留出物の再蒸留の残留物であるにせよ、ステロール結晶化の項で詳細に述べる通り結晶化を行い、ステロール純化をすることができる。
初期材料としてダイズ脱臭留出物(DDOS)を使用する場合
全般的に、DDOSの非鹸化性物質を除去する好ましい工程は次の通りである。ダイズ由来製品を扱う場合は、非鹸化性物質としてトコフェロール類の存在を考慮しなければならない。DDOSを後の工程段階で使用される乾燥金属石鹸に変化させる方法は沢山ある。 下に3つの方法を示すが、下記の各段階を混ぜたり並行させたりして他の取り込み生み出すことも可能であることは専門技術者にとっては明白である。
第一の方法では、脱臭留出物はNaOH50%溶液で、約70-105°Cの温度で 鹸化される。DDOSの鹸化により初期材料に含まれる脂肪酸のNa塩及び/又はNa石鹸が生成され、ステロールエステル類を含む一切のエステル類の加水分解も行われる。これによって、脂肪酸及びステロール類の回収収量が多くなる。
Na石鹸又はNa塩は全部及び/又は一部は単数又は複数の金属硫酸塩、金属酸化物及び金属水酸化物、又は金属炭酸塩と反応させられ、融点と粘度の低い金属石鹸混合物(単に金属石鹸と称してもよい)を生成する。生成される金属石鹸は通常約40〜50%の水分を含む。金属石鹸はさらに加えた水で洗浄され、その水の一部は遠心分離法で分離される。石鹸の粘度は水分除去によって著しく上がるため、遠心分離された金属石鹸は通常残留水分含有量として約15-20%を含む。水分約15〜20%を含む金属石鹸は薄膜蒸発器に供給され、金属石鹸にはわずかしか水分が残らないように乾燥させる。薄膜蒸発器は好ましくは約180〜230°の温度及び約3〜500 mBarの圧力下で使用する。この装置の正確な使用条件は金属石鹸の種類により、金属塩の性質を調べたり通常の試行によって決定することができる。金属石鹸が乾燥したら次の段階に進むことができる。
第二の方法では、脱臭留出物はNaOH 50%で約70〜105°Cの温度で鹸化される。 DDOSの鹸化によって初期材料に含まれる脂肪酸のNa塩及び/又はNa石鹸が生成され、ステロールエステル類を含む一切のエステル類の加水分解も行われる。
上記混合液に低濃度の鉱酸溶液で酸添加することによって脂肪酸、遊離ステロール類、トコフェロール類及び他の遊離非鹸化性物質を含む混合物を得ることもできる。
上記混合物は約90 〜100の酸価を有し、金属酸化物または金属水酸化物あるいはこれらの組み合わせで直接中和される。また、他の金属塩基を使用することもできる。まずこれらの材料が合わされ、約105 〜200°Cの温度と減圧下で反応させられる。乾燥金属石鹸の混合物が形成され、次の段階に進むことができる。
乾燥金属石鹸を得るための第3の方法として、DDOSを好ましくは分子蒸留器で約290〜310°Cの温度で、約2.0x10-2mBARの圧力下で蒸留することである。DDOSはそのまま蒸留され、通常DDOSの約30%を占め蒸留されるには重質すぎる中性油や重合体が残留物に出るようにする。この蒸留の留出物は脂肪酸と非鹸化性物質の混合物を含む。
上記混合物の酸価は好ましくは約95〜120 (mg KOH/g)で、金属酸化物、金属水酸化物、又はこれらの組み合わせで直接中和される。これらの材料はまず合わされ、好ましくは約105〜200°C度の温度下減圧下で反応させられる。乾燥した金属石鹸が生成され、次の段階に進むことができる。
上述した、DDOSから乾燥金属石鹸を得る3つの方法及び同様の手段を使用する他の方法はここから先同じように行うことができる。乾燥金属石鹸は軽質及びやや軽質の成分及び全残留水分又は一部を除去するために薄膜蒸発器 に供給される。操作条件としては好ましくは約150〜215°Cの温度と約 0.1〜40 mbarの圧力である。留出物収量は通常約3〜7%の範囲にある。
軽質成分を除いた金属石鹸 (上記蒸留の残留物) 分子蒸留カラム又は短管形蒸発器に入れられる。このステップではステロール類、トコフェロール類及び他の非鹸化性物質が蒸留される。蒸留の条件としては好ましくは約240〜300°Cの温度と約 0.001〜0.1 mbarの圧力である。留出物収量は通常約25〜30%の範囲にあり、ステロールは約40〜50%である。留出物が分離された後出る70〜75%の材料残余物は残留物である。残留物には、非鹸化性物質の含有量が小さい脂肪酸や改良脂肪酸を得るために鉱酸を添加してもよい。こられの脂肪酸は脂肪酸蒸発用として知られている方法や薄膜蒸発器や短管蒸発器などを用いて蒸留し、酸価約190〜200のより良質な脂肪酸を得ることもできる。これらは脱臭留出物の中まぎれていたものである。
ステロール類、トコフェロール類その他の非鹸化性物質を含む蒸気留出物には、最初の生成物又は留出物の品質によって追加純化を行ってもよい。この随意純化には他の蒸留法やクロマトグラフィーを含む他の分離及び又は純化法を使用してもよい。追加純化の方法の一つとして、短管形蒸発器を使用するなどして留出物を再度蒸留する方法がある。短管蒸発器の使用条件は約110〜160°Cの温度と約0.001〜0.01 mbarの圧力であるが、留出物の内容によって変化できる。 留出物(再留出物)の留分の収量は通常15〜30%で、酸性成分(例えば脂肪酸)とより軽質な非鹸化性成分、さらにいずれかのトコフェロールに富む。再留出物の残留物の収量は通常約70〜85%で、ステロール類が約25〜35%である。
高品質の物質が得られたら、原留出物であるにせよ、原留出物の再蒸留の残留物であるにせよ、ステロール結晶化の項で詳細に述べる通り結晶化を行い、ステロール純化をすることができる。初期材料をDDOSとする場合は結晶化の原液は通常トコフェロール類に富む。

初期材料としてBLSS石鹸− Black Liquor Soap Skimmingsを使用する場合
初期材料としてKraft sulfate paper pulping processの浮きかすであるBLSS−Black Liquor Soap Skimmingが使用できる。鹸化性成分は主に脂肪酸とピッチ酸で、非鹸化性成分として約4%のステロール類が含まれ、その正確な組成はマツの種類や産地を含め種々の要素に依存する。Kraftはタール油の回収に使用する条件や方法を処理する(訳者注:原文の通り) 通常、BLSSに含まれる鹸化性成分はナトリウム石鹸として存在する。BLSSは実質的に廃棄物又は副産物であるので、粉砕に起因する不純物を除去するために濾過及び/又は洗浄するなどの前処理を行うことがしばしば望ましい。
BLSS苛性溶液と水で、好ましくは約65〜75°Cの温度で洗浄する。BLSS は粉砕の際利用されなかった木片などの固形物やその他の不純物を分離するために濾過される。洗浄したBLSS はデカンテーション用容器に入れられ、洗浄の汚水を分離する。
洗浄したBLSSは単数又は複数の金属硫酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、又は金属炭酸塩、あるいは他の金属塩基で全部及び/又は一部反応させられ金属石鹸の混合物の融点と粘度を下げる。その結果得られる金属石鹸は通常約40〜50%の水分を含む。この金属石鹸にさらに水を加えて洗浄し、この水の全量の一部を、好ましくは遠心分離法で分離する。水を除去すると石鹸の粘度は著しく上がるので、この物質は遠心分離において約15〜20%の水分を含む。約15〜20%の水分を含む金属石鹸は、わずかな量の水分しか残らないよう金属石鹸を乾燥させるために薄膜蒸発器に入れられる。薄膜蒸発器は好ましくは約180〜230°Cの温度と約3〜500 mBarの圧力に設定する。この装置の正確な使用条件は金属石鹸の種類により、金属塩の性質の調査や通常の試行によって決定することができる。金属石鹸が乾燥したら次の段階に進むことができる。
乾燥した金属石鹸は薄膜蒸発器に供給されて軽質及びやや軽質な成分と残留水分の一部又は全部を除去される。使用条件としては好ましくは約150〜200°Cの温度と約0.1〜40 mbarの圧力である。留出物収量は通常約1〜6%(より軽質な材料)の範囲である。
殆ど軽質成分のなくなった金属石鹸混合物は分子蒸留カラム又は短管蒸発器に供給される。このステップでは、ステロール類及び非鹸化性物質の残りは蒸留される。使用条件としては好ましくは約240〜300°Cの温度と約0.001〜0.1 mbarの圧力である。留出物収量は通常約7〜15%でステロールの留分を多量に含む。残留物は留出物分離後の初期材料の85〜93%の残りである。残留物には、非鹸化性物質の含量の少ない脂肪酸及びピッチ酸を得るために鉱酸を添加してもよい。CTOの品質をさらに上げるために、再度蒸留して高品質のDTOと約0.5〜1.5%の非鹸化性物質と酸190を得、あるいはピッチ酸から脂肪を分離するために分別してもよい。
ステロール類を含む上記留出物に随意追加純化を行ってもよい。この追加純化は最初のスラリー又は留出物の品質による。追加純化の選択肢としては留出物に含まれる材料を、短管蒸発器を使用して追加蒸留(再蒸留)することである。短管蒸発器を使用する条件としては約110〜160°Cの温度と約0.001〜0.01 mbarの圧力であるが、これらは留出物の内容によって変化させてもよい。再蒸留した物質から分別された留出物の収量は通約15〜30%で、酸性成分とワックスや脂肪アルコールのように明らかな非鹸化性成分に富む。再蒸留した物質の残留物の収量は約70〜85%でステロール類に富み、ステロール類濃度は35〜50%である。
また、蒸留及びクロマトグラフ法など他の分離及び/又は 純化方法を使用することができる。さらに、物質の酸度がより高く結晶化を抑制する場合は、工程を続ける前に中和する必要がある場合がある。酸価は金属酸化物及び/又は金属水酸化物で中和しステロール類含有量の非常に大きい金属石鹸を生成してもよい。上記の軽質成分を除いた金属石鹸の混合物をから始まる蒸留と同じ原理を応用して、材料を小さな蒸発器で、好ましくは約240〜300°Cの温度及び約0.001〜0.1 mbarの圧力で蒸留してもよい。留出物の収量は通常約80〜90%であり(ステロール類約35〜50%)、希望すれば最終的な結晶化に供することもできる状態になっている。
高品質の物質が得られたら、原留出物であるにせよ、原留出物の再蒸留の残留物であるにせよ、ステロール結晶化の項で詳細に述べる通り結晶化を行い、ステロール純化をすることができる。
ステロール類の結晶化
結晶化はエタノール、メタノールなどのアルコール類を除くヘプタンやヘキサン、水及びアセトンのような有機溶媒を含むどんな良好な溶媒を使用して行ってもよい。一つ以上の溶媒の混合を使用することもできる。場合によっては溶媒の混合は回収の費用がかさむため工程全体の経済性を損なうので好ましくない。医薬品のように採算がとれる場合は溶媒の混合を行ってもよい。結晶化に要する最終的温度は、純度や要求される収量によるが約0〜30°Cである。
ステロール類の最終的純化によって得られる純度は好ましくは85〜98%である。
非鹸化性物質及び鹸化性物を含む他の動物又は植物由来の粗材料も新法の応用における初期材料として好ましく使用される。これらの材料を使用する方法は前述したものと同様であり、適当な装置で通常の試行によって実行できる。
動物性脂肪のように酸が遊離していない母体では、トリグリセリドを脂肪酸に加水分解(脂肪の分割)し、再び脂肪酸及び非鹸化性物質が含まれる母体が得られる。同じ方法を、最も関心のある物質である非鹸化性物質を抽出濃縮するためにも使用できる。最終的には非鹸化性物質を含まない金属石鹸が得られ、これにさらに酸を添加して高品質の酸を得ることができる。
下記の各表は本法と例を説明するためのものである。表1 は亜鉛、鉄、マグネシウム石鹸及びこれらとセルロース生産の工程で生成されるBLSS (black liquor soap skimmins)の乾燥ナトリウム石鹸との混合物の融点を示す。
Figure 2005513199
表1に示す結果の通り、BLSSナトリウム石鹸をZn、Mg、又はFeの石鹸に変換することによって融点を有意に下げることができる。ナトリウム又はカリウム石鹸をナトリウム石鹸の一部を変化させたZn、Mg、又はFeの石鹸あるいはこれらの混合と混ぜることによっても融点を下げることができる。
表 2は短管蒸発後加水分解されたBLSSマグネシウム石鹸の残留物から得たタール油の(例1参照)特徴を、BLSSに直接酸を添加して得たタール油と比較して示す。
Figure 2005513199
トールオイルをデピッチ(depitch) し、アップグレイドされたDTOを与え、トールオイルを蒸留するように、蒸留後のアップグレイドされたCTOの詳細を表3に示す。
Figure 2005513199
次いで、脂溶性ビタミン類及びプロビタミン類、成長因子及び動物や植物性加工品由来の植物ホルモンを含む非鹸化性物質の分離の例を挙げる。すなわち、本法の、溶媒を使わずに「高級な物質」を分離する方法を記述する。
例 1:
セルロース生産工程で得られた水を50%含む5 KgのBLSS (Black Liquor Sodium Soap Skimming) を50%の水で希釈して硫酸 マグネシウム余剰分が約30%と推定されるマグネシウムマグネシウム石鹸を作った。この変化は加熱振とう反応器で行った。反応温度は80〜95°Cに維持した。ナトリウム石鹸の大部分がマグネシウム石鹸に変換されると、分離の段階に入る。その後、BLSS由来の硫酸ナトリウム及びマグネシウムの余剰分を含む水相がデカンテーションによってマグネシウム石鹸から分離された。マグネシウム石鹸は減圧下で 90〜150° Cの温度下で40 分間乾燥させられた。乾燥石鹸は固形物除去のためにろ過され、次いで短管蒸発パイロット装置で蒸発 / 蒸留させられた。使用されたパイロット蒸発器はガラス製で蒸発/蒸留面が4.8 dm、温度 25〜350° C、回転速度50〜1000 rpm のinternal superficial scraper stirrer 及び内部面積が6.5dmで温度が25〜250° Cに設定可能のコンデンサー付きである。この装置はさらに調整可能なポンプを有し、供給速度が0.1〜5リットル/時間で温度が25〜250° Cに調整可能な供給容器も近代的な2相真空システムを有し、前真空は機械的ポンプで行い、最終的真空は絶対圧が大気圧から1x10-3 mbarまで調整できるポンプの分子拡散によって得られる。石鹸におけるステロール類の濃縮は短管蒸発の色々な段階で実行された。最初の蒸発は280〜300° Cで行われ、供給流量は1〜1.5 1/hに維持され、蒸発圧は絶対圧1x10-3 mbaであった。内部コンデンサー温度は 70〜80° Cに、供給温度は150〜170° C維持された。このような条件のもとで、残留物及び留出物の収量は それぞれ84%〜16%であった。石鹸のステロール類の殆どが蒸留され、残留物に濃縮された。残留物と留出物における濃度はそれぞれde 0.9と20.3% であった。最初に得られた留出物は280° Cでさらに蒸留され(再留出され、最初と同じパラメーターを保った。この第2の蒸留は初期材料と比較して、残留物と留出物でそれぞれ1.6%及び14.4%であった。 この第2の蒸留で、ステロール類は留出物に濃縮された。残留物と留出物におけるステロール類の濃度はそれぞれ1.6%及び22.4%であった。第2蒸留の留出物は160° Cで第3の蒸留に供された。第3蒸留の目的は酸価と沸点の低い成分を除去することであった。使用された初期材料については、最終蒸留工程において最終的に得られた残留物及び留出物はそれぞれ8.4%及び6.0%であった。これらにおけるステロール類の濃度は、残留物で35.4%、留出物で4.23%であった。第3蒸留の残留物におけるステロール類増加は、4%であった最初の濃度の8.9 倍であった。この実験におけるステロール類の総収量は80%であった。最初の蒸留の後、残留物の酸を加水分解後非常に良質のタール油が得られた。BLSSナトリウム石鹸を直接加水分解して得たものに対するこのタール油の品質向上は、加水分解の前に中性物質及び非鹸化性物質の大部分を除去したこと、すなわち蒸留によるものである。最初の蒸留によって得られた残留物の加水分解から得たタール油の分析結果を表2に示す。
例 2:
5 Kgの DDOS (Soybean oil deodorizer distillate)を、水酸化ナトリウム50%液1.4kgを用いて2 Kg/cm の圧力と120° Cの温度で2時間鹸化した。次いで、このナトリウム石鹸は5kgの水で希釈され、その後硫酸マグネシウム硫酸余剰分が約30%と推定されるマグネシウム溶液と反応させてマグネシウム石鹸を作った。この変化は加熱振とう反応器で90〜95° Cの温度で行った。反応後、デカンテーションによってマグネシウム石鹸から水相を除去した。次いでこの石鹸混合物は減圧下で90〜140° Cの温度で乾燥させられた。その後石鹸は濾過され数段階の短管蒸発を受けた。最初の蒸留/蒸発は例1と同じパラメーターで行われた。最初の蒸留/蒸発によって得られた残留物と留出物の収量はそれぞれ63%と37%であった。トコフェロール類及びステロール類は留出物に濃縮され、その比率はそれぞれ8.0%及び10.4%であった。残留物にはトコフェロール類及びステロール類がそれぞれ0.4%及び1.37%の濃度で含まれていた。最初の留出物は280°C下で第2の蒸留/蒸発に供され、最初の留出物に残る石鹸を分離した。第2の蒸留における残留物及び留出物の収量は初期材料の 2.6%及び34.4%であった。留出物におけるトコフェロールとステロールの合計濃度はそれぞれ8.5%及び11.4%であった。残留物におけるトコフェロール類及びステロール類の濃度はそれぞれ0.38%及び0.24%であった。第2の留出物は140°Cで、例1と同じパラメータ−デ蒸留させられた。この蒸留において残留物及び留出物の収量はそれぞれ初期材料の21.6%及び12.8%であった。残留物におけるトコフェロール及びステロールの濃度はそれぞれ13.0%及び17.9%であった。一方、留出物におけるトコフェロール及びステロールの濃度はそれぞれ 0.93%及び50%であった。これはトコフェロールの4倍、ステロールの3.7倍の量で、初期材料に対し87.8%及び80.5%の回収である。
例 3
5 Kgタール油ピッチを高圧蒸気下で2時間加水分解した。加水分解されたピッチは280°Cで蒸発/蒸留させられた。残留物及び留出物の収量はそれぞれ35%及び65%であった。 蒸留され加水分解されたピッチの製品は余剰分なしで酸化マグネシウムを水に懸濁した液で95°C下で3時間中和された。このマグネシウム石鹸は減圧下で乾燥させられ、280° Cの温度で短管蒸発させられた。残留物及び留出物の収量はそれぞれ37%及び63%であった。ステロール類は留出物に濃縮された。残留物及び留出物におけるステロール類の比率はそれぞれ 0.8%及び39.5%であった。これは初期材料における濃度の3.9 倍である。本実験におけるステロールの回収率は79%であった。
例 4
8 KgのCTO (生タール油)を工業用ミキサーで1.04 KgのZnOと予備混合し、CTOとCTOに分散されたZnOとの均質な混合物を得た。この混合物は白黄色のペーストで、この特徴は ZnOがまだCTOと反応していないが、CTOの中に良く混じっていることを示す。反応後は褐色になる。
次いで上記混合物は反応器に入れられ約100°Cの温度で反応させられ、分散していた ZnOがピッチの脂肪酸を一部又は全部中和した。さらに320グラムの水に溶解した320グラムのNaOH を反応器の内容物に加え、この混合によって真空下で、最終温度160°Cで反応を続けることが可能になった。この反応は真空(減圧)下の反応器で行われ、中和反応により生成された水(約6%)を除去 することが出来た。この反応後、混合物は褐色であった。この混合物の反応時間総計は約90分で、亜鉛とナトリウム石鹸(Zn-Na soap)の混合物を含む供給材料を生成した。
本物質は軽質の非鹸化性物質を蒸留し残留水分全部を約0.01%にするために乾膜蒸発器に入れられた。この程度の水分が約0.01〜0.001 mbarの真空下での操作には好ましい。用いられた条件は次の通りである。蒸留温度180°C、蒸留圧0.1 mbar、供給温度120°C、コンデンサー温度60°C。留出物の比率は約5.5% (軽質留分、スチルベン類及び水分)。残留物の収量は約94.5% (ステロール−ステロール類約4.30%を含む)。
残留物はステロール類を含む非鹸化性物質を蒸留する目的で分子蒸留カラムに入れられた。用いられた条件は次の通りである。蒸留温度270°C、蒸留圧2.0 x10-2 mBar、供給温度 140°C、コンデンサー内温度70°C。留出物収量は9.0%で、留出物のステロール濃度35.0%とされた。これによって初期供給材料の76.26%のステロールが回収される。残留物の収量は91%であった。残留物は非鹸化性物質の含有量が小さいより高品質のCTOを得るために硫酸を添加された。
例 5
この例はDDOSのトコフェロール及びステロール類 抽出及び濃縮方法として一定の方法を好ましいとする。DDOSは一般に約30%の脂肪酸、約30%の中性油及び重合体、約35%の非鹸化性物質(ステロール類及びトコフェロール類を含む)を含有する。
DDOSは約300°Cの温度と約2.0 x10-2 mbarの圧力下で分子蒸留器を用いて蒸留させられた。留出物を採集し、周知の方法で酸価を定量し、Zn石鹸を作るために脂肪酸を中和するのに必要なZnOの量を計算した。算出された量のZnOを添加し、出来たZn石鹸は例4のステロールの場合と同様の条件で乾膜蒸発器で蒸留され、軽質成分を除去した。
残留物は例4と同様の条件で非鹸化性物質を分離するために短管蒸留器で蒸留させられた。 留出物は約20% のトコフェロール類及び約15%のステロール類、そしていくつかの脂肪酸を含む。
この生成物は後に純化されてステロール類からトコフェロール類を分離し、又はいずれかの酸で中和され、生成物は化粧品として売ることができる。最後に、蒸留残留物は高品質の脂肪酸を得るために酸を添加される。
例 6
20 Kgの(Pitch) タール油を高圧加水分解し、ステロールエステル類を遊離ステロール類 と脂肪酸及びピッチ酸に加水分解するために水を溶媒として用いた。この反応は約20 bar の圧力と約212°Cの温度下で高圧オートクレーブで行われた。こうして得られた、約15%の遊離ステロール類を含むピッチは、工業用ミキサーで1.5 Kg(約7.5%)のZnOと予備混合し、ピッチとピッチに分散された固形ZnOとの均質な混合物を得た。この混合物は白黄色のペーストで、ZnOがまだピッチと完全に反応していないことを示す。
次いで上記混合物は反応器に入れられ100°Cの温度で反応させられ、分散していた ZnOがピッチの脂肪酸を一部又は全部中和した。この反応は真空(減圧)下の反応器で行われ、中和反応により生成された水(約6%)を除去 することが出来た。この反応後、混合物は褐色であった。ここで800グラムのNaOH(約4%)を800グラムの水に溶解した液を反応器の内容物に加え、混合物は真空下で160°Cの温度で反応した。反応時間総計は約90分で、亜鉛とナトリウム石鹸(Zn-Na soap)の混合物を含む供給材料を生成した。
Zn-Na石鹸は軽質成分を蒸留するために乾膜蒸発器に入れられた。用いられた条件は次の通りである。蒸留温度200°C、蒸留圧3 mbar、供給温度120°C、コンデンサー温度60°C。留出物の比率は約2% (軽質留分、少量の水分)。残留物の収量は約98% (約18%の濃度のステロールを含む)。
残留物はステロール類を含む非鹸化性物質を蒸留する目的で分子蒸留カラムに入れられた。用いられた条件は次の通りである。蒸留温度270°C、蒸留圧2.0 x10-2 mBar、供給温度 140°C、コンデンサー温度80°C。留出物収量は30%で、留出物のステロール濃度は51.43%とされた。これによって初期供給材料の85%のステロールが回収される。残留物の収量は70%であった。残留物は非鹸化性物質の含有量が小さい残りの脂肪酸及びピッチ酸を回収するために硫酸を添加された。留出物はステロール類を約96%の濃度まで純化するために最終温度20°Cでエタノールを用いて1回のみの結晶化を受けた(結晶化の結果として得られた生成物は70%であった)
例 7
20 Kgのタール油を高圧加水分解し、ステロールエステル類を遊離ステロール類 と脂肪酸及びピッチ酸に加水分解するために水を溶媒として用いた。この反応は約20 mbarの圧力と約200°C の温度下で高圧オートクレーブで行われた。加水分解後、遊離ステロール類、脂肪酸及びピッチ酸、及びより重質な一部の二量体化物が加えられた。
加水分解したピッチは酸及び遊離ステロール類を含む非鹸化性物質を蒸留し、残留物により重質の成分を放出し、ピッチのpitching をなくするために短管形蒸発器に入れられる。用いられた条件は次の通りである。蒸留温度300°C、蒸留圧2.0 x10-2 mbar、供給温度80°C、 コンデンサー温度 70°Cである。留出物は75%で、ピッチ酸、脂肪酸、及びステロール類を含む 非鹸化性物質の混合物が加わっていた。残留物の収量は25%二量体化重質物もわずかに含まれていた。
上記留出物は工業用ミキサーで1.5 Kg(約7.5%)のZnOと予備混合し、ピッチとピッチに分散された固形ZnOとの均質な混合物を得た。この混合物は白黄色のペーストであった。
上記混合物は反応器に入れられ100°Cの温度で反応させられ、分散していた ZnOがピッチの脂肪酸を一部又は全部中和した。この反応は真空(減圧)下の反応器で行われ、中和反応により生成された水(約6%)を除去することが出来た。この反応後、混合物は褐色であった。ここで800グラムのNaOH(約4%)を800グラムの水に溶解した液を反応器の内容物に加え、混合物は真空下で160°Cの温度で反応した。反応時間総計は約90分で、Zn-Na石鹸を生成した。
Zn-Na石鹸は軽質成分を蒸留し水分を除去するために乾膜蒸発器に入れられた。用いられた条件は次の通りである。蒸留温度215°C 、蒸留圧20 mbar 、供給温度150°C、コンデンサー温度80°C。留出物の比率は約1.2% (軽質留分、少量の水分)。残留物の収量は約19% (約19%の濃度のステロールを含む)。
残留物はステロール類を含む非鹸化性物質を蒸留する目的で分子蒸留カラムに入れられた。用いられた条件は次の通りである。蒸留温度270°C、蒸留圧2.0 x10-2 mbar、供給温度 150°C、コンデンサー温度85°C。留出物収量は28.6%で、留出物のステロール濃度51.36%とされた。これによって初期供給材料の76.30%のステロールが回収される。残留物の収量は71.4%であった。残留物は非鹸化性物質の含有量が小さい残りの脂肪酸及びピッチ酸を回収するために硫酸を添加された。留出物はステロール類を約95%以上の濃度まで純化するために最終温度10°Cでエタノールを用いて結晶化を受けた。
残留物は非鹸化性物質の含有量が小さいより残りの脂肪酸及びピッチ酸を回収するために硫酸を添加された。酸添加の残留物はより良質な脂肪酸及びピッチ酸を得るために蒸留された。用いられた条件は次の通りである。 蒸留温度240°C、蒸留圧3.0 mbar、供給温度85°C、及びコンデンサー温度 65°C。この工程の留出物としてGardnerスケールで8番( Gardnerの色及び単位# 8)の色の、酸価188.54で、ピッチ酸37.49%、中性成分1.88%を含む脂肪酸及びピッチ酸の混合物である。
例 8
20 Kgのタール油を5 Lのエタノール存在下で2 Kgの水溶液 (NaOH50 %水溶液)で鹸化した。これに3 Kgのsolnと50%の硫酸を添加した。反応は大気圧下で130°Cの温度で作動する30 Lの反応器で行われた。
上記生成物は酸及び遊離ステロール類を含む非鹸化性物質を蒸留し、残留物により重質の成分を蓄積する(ピッチをなくする)ために短管形蒸発器に入れられる。用いられた条件は次の通りである。蒸留温度290°C、蒸留圧2.0 x10-2 mBar、供給温度80°C、 コンデンサー温度 70°Cである。留出物は75.4%で、ピッチ酸、脂肪酸、及びステロール類を含む 非鹸化性物質の混合物が加わっていた。残留物の収量は25%で二量体化重質物もわずかに含まれていた。
上記留出物は工業用ミキサーで1.5 Kg(約7.5%)のZnOと予備混合し、ピッチとピッチに分散された固形ZnOとの均質な混合物を得た。この混合物は白黄色のペーストであった。
上記混合物は反応器に入れられ100°Cの温度で反応させられ、分散していた ZnOがピッチの脂肪酸を一部又は全部中和した。この反応は真空(減圧)下の反応器で行われ、中和反応により生成された水(約6%)を除去 することが出来た。この反応後、混合物は褐色であった。ここで800グラムのNaOH(約4%)を800グラムの水に溶解した液を反応器の内容物に加え、混合物は真空下で160°Cの温度で反応した。反応時間総計は約90分で、Zn-Na石鹸を生成した。
Zn-Na石鹸は軽質成分を蒸留し水分を除去するために乾膜蒸発器に入れられた。用いられた条件は次の通りである。蒸留温度215°C、蒸留圧20 mbar 、供給温度150°C、コンデンサー温度80°C。留出物の比率は約1.2% (軽質留分、少量の水分)。残留物の収量は約98.8% (ステロール留分を含む)。
上述の各例はこの方法を実施し、堅固にし実行可能にするいくつかの方法を明示するとともに、本特許の目的である方法の効率と利点を示し、"有用生成物”を得るという観点からばかりでなく廃棄物の利用手段としても有用であり、その結果環境保護にもつながる。
従って、上述した機能、新規性、実用性、工業化の可能性その他の特徴からいって、この“各種原料から得られた非鹸化性有用生成物を分離するための方法”は特許権を得るに充分な特徴を備えている。

Claims (10)

  1. 一定の原料から有用生成物を分離する方法であって、同原料が1種以上の非鹸化性成分及び1種またはそれ以上の 鹸化性成分を含み、これら1種又はそれ以上の鹸化性成分が遊離酸及び/又は石鹸の成分を含み、従って遊離酸及び/又は石鹸の成分を1種又はそれ以上含む鹸化性成分を金属石鹸の成分と反応させることによって金属石鹸及び1種又はそれ以上の非鹸化成分 を含む 一次生成物が得られ、次いで金属石鹸と1種又はそれ以上の非鹸化成分の混合物を蒸留させることによって少なくとも一つの非鹸化成分を含む留出物と、金属石鹸を含む 残留物が得られ、使用される原料が動物性、植物性油脂、これらの加工廃棄物、製紙工場やアルコール飲料工場の廃棄物、セルロースを得るための木材加工工程で得られる石鹸(tall oil, tall, oil black liquor soap skimming)、これらの蒸留の残留物、サトウキビ粕の油、工業における搾油、脱ガムの残留物、精製油脂、脂肪酸やエステルの蒸留の残留物、植物油の脱臭工程の留出物、ダイズ油、ふすま油、米ぬか油、未加工生サメ油、牛肉の脂肪、コーヒー油、未加工生鱈油、麦芽油、トウモロコシ油、パーム油、アンジロバ油、及びトマトの廃棄物の油の中から選ばれ、金属石鹸の反応成分が酸化物、硫酸塩、水酸化物、炭化水素、亜鉛、鉄、マンガン、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムの塩化物の中から選ばれ、得られる有用生成物がプロビタミン、成長因子、フラボノイド、エステロール、リポプロテイン、スチルベン、ビタミン、アルコール、脂肪アルコール及びワックスアルコール、ジテルペン、ステロイド、トリテルペン、スチルベン、脂肪酸及びピッチ酸のほか、トコフェロール、トコトリエノール、カロチノイド、ビタミンA 、ビタミンK、ビタミンD、スクアラン、オリザノール、リコペン、セロールアルコール、リグノセロールアルコール、ベヘニルアルコール、樹脂アルコール、樹脂アルデヒド、ラブダン、シトステロール、スチグマスタノール、カンペステロール、カンペスタノール、シクロアルテノール、3,5-stigmastadien-7-one、セラテネジオール、スクアレン、プレノール、trans-pinosilvin dimethyl eter 、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、イソピマリン酸、ピマリン酸、paulstric acid、オレイン酸、リノレン酸、ステアリン酸、パルミチン酸などの特殊な物質の中から選ばれることを特徴とする “各種原料から得られた非鹸化有用生成物を分離するための方法”。
  2. 原料をナトリウム又はカリウム塩基で反応させ鹸化性遊離酸の成分を鹸化することによって第1次有用生成物を生成するための反応の前に鹸化性成分及び非鹸化性成分からなる混合物を得る方法であって、ナトリウム又はカリウム塩基が水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなるグループの中から選ばれ、原料に加水分解したエステルが含まれナトリウム又はカリウム塩基と反応させられ、一次生成物を得るための反応の前に酸を添加した混合物を生成するために少なくとも一部の鹸化性成分に鉱酸を加え、酸を添加した混合物を蒸留することによって1種又はそれ以上の非揮発性成分を含む残留物と1種又はそれ以上の非鹸化性成分を含む留出物と1種又はそれ以上の鹸化性成分が得られる方法であることを特徴とする請求項1の“各種原料から得られた非鹸化有用生成物を分離するための方法”。
  3. 第1次有用生成物を生成するための反応の前に原料を蒸留することにより1種又はそれ以上の非揮発性成分を含む残留物と1種又はそれ以上の非鹸化性成分を含む留出物と1種又はそれ以上の鹸化性成分が得られる方法であることを特徴とする請求項1の“各種原料から得られた非鹸化有用生成物を分離するための方法”。
  4. 第1次有用生成物を生成するための反応の前に原料においてエステルを加水分解し、加水分解したエステルを含む原料を作り、この加水分解が原料を加圧と高温下で水と合わすことによって行われ、加水分解したエステルを含む原料を蒸留することにより1種又はそれ以上の非揮発性成分を含む残留物と1種又はそれ以上の非鹸化性成分を含む留出物と1種又はそれ以上の鹸化性成分が得られる方法であることを特徴とする請求項1の“各種原料から得られた非鹸化有用生成物を分離するための方法”。
  5. 第1次有用生成物を生成するための反応の前に不純物及び/又は非揮発性成分を除去するために原料を処理する方法であることを特徴とする請求項1の“各種原料から得られた非鹸化有用生成物を分離するための方法”。
  6. 一次生成物が本質的に乾燥したものである方法であることを特徴とする請求項1の“各種原料から得られた非鹸化有用生成物を分離するための方法”。
  7. 金属石鹸の非鹸化性成分の少なくとも一部を分離するために蒸留の前に水分を除去するべく一次生成物を処理する方法であって、この水分除去が薄膜蒸発、デカンテーション及び/又は遠心分離によって行われることを特徴とする請求項1の“各種原料から得られた非鹸化有用生成物を分離するための方法”。
  8. 金属石鹸の非鹸化性成分の少なくとも一部を分離するために蒸留の前に超軽質、軽質又は揮発性或いは中級揮発性物質のうちから選ばれる1種又はそれ以上の成分と水を蒸留又は蒸発させる方法であることを特徴とする請求項1の“各種原料から得られた非鹸化有用生成物を分離するための方法”。
  9. 少なくとも非鹸化性有用生成物の一部を含む留出物を二次蒸留に供して二次留出物と二次残留物を生成し、次いで非鹸化成分を純化し、浄化し及び/又は分離する方法であって、二次留出物由来のエステルを結晶化する方法であることを特徴とする請求項1の“各種原料から得られた非鹸化有用生成物を分離するための方法”。
  10. 金属石鹸を含む 残留物 に酸添加し、これに対応する遊離酸を精製する方法であって、これらの遊離酸の蒸留を含む方法であることを特徴とする請求項1の“各種原料から得られた非鹸化有用生成物を分離するための方法”。

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