JP2005513073A - ポリヌクレオチドを細胞へトランスフェクションするための組成物の製造のためのリゾ脂質の使用 - Google Patents
ポリヌクレオチドを細胞へトランスフェクションするための組成物の製造のためのリゾ脂質の使用 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005513073A JP2005513073A JP2003552962A JP2003552962A JP2005513073A JP 2005513073 A JP2005513073 A JP 2005513073A JP 2003552962 A JP2003552962 A JP 2003552962A JP 2003552962 A JP2003552962 A JP 2003552962A JP 2005513073 A JP2005513073 A JP 2005513073A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polynucleotide
- use according
- formula
- lysolipid
- cell
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
- 0 C*(C)NC(C)(C)C(C*)O** Chemical compound C*(C)NC(C)(C)C(C*)O** 0.000 description 2
Images
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K48/00—Medicinal preparations containing genetic material which is inserted into cells of the living body to treat genetic diseases; Gene therapy
- A61K48/0008—Medicinal preparations containing genetic material which is inserted into cells of the living body to treat genetic diseases; Gene therapy characterised by an aspect of the 'non-active' part of the composition delivered, e.g. wherein such 'non-active' part is not delivered simultaneously with the 'active' part of the composition
- A61K48/0025—Medicinal preparations containing genetic material which is inserted into cells of the living body to treat genetic diseases; Gene therapy characterised by an aspect of the 'non-active' part of the composition delivered, e.g. wherein such 'non-active' part is not delivered simultaneously with the 'active' part of the composition wherein the non-active part clearly interacts with the delivered nucleic acid
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P21/00—Drugs for disorders of the muscular or neuromuscular system
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P25/00—Drugs for disorders of the nervous system
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P31/00—Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
- A61P31/12—Antivirals
- A61P31/14—Antivirals for RNA viruses
- A61P31/18—Antivirals for RNA viruses for HIV
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P35/00—Antineoplastic agents
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P9/00—Drugs for disorders of the cardiovascular system
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K14/00—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
- C07K14/795—Porphyrin- or corrin-ring-containing peptides
- C07K14/805—Haemoglobins; Myoglobins
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N15/00—Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
- C12N15/09—Recombinant DNA-technology
- C12N15/87—Introduction of foreign genetic material using processes not otherwise provided for, e.g. co-transformation
- C12N15/88—Introduction of foreign genetic material using processes not otherwise provided for, e.g. co-transformation using microencapsulation, e.g. using amphiphile liposome vesicle
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K48/00—Medicinal preparations containing genetic material which is inserted into cells of the living body to treat genetic diseases; Gene therapy
Abstract
本発明はポリヌクレオチドの細胞へのトランスフェクションまたは導入を向上させるための組成物の製造のための少なくとも一種のリゾ脂質の使用に関する。このような組成物は遺伝子治療、ワクチン接種、および、遺伝子に基づく生成物をinvivoで細胞に投与する任意の治療もしくは予防上の局面において有用である。
Description
本発明はポリヌクレオチドの細胞へのトランスフェクションまたは導入を向上させるための組成物の製造のための少なくとも一種のリゾ脂質(lysolipid)の使用に関する。このような組成物は遺伝子治療、ワクチン接種、および遺伝子に基づく生成物をin vivoで細胞に投与する任意の治療的または予防的局面に有用である。
遺伝子治療は一般に主として、機能的遺伝子の導入により永久的治癒が果たされる得る遺伝性欠損症(嚢胞性繊維症、ジストロフィー、血友病など)に適用できると考えられてきた。しかし、もっと大きな疾病群、特に後天性疾患(癌、エイズ、多発性硬化症など)も有益なタンパク質を生産するよう宿主細胞を一時的に操作することにより治療され得る。
例えば筋ジストロフィーや嚢胞性繊維症の治療適用がある。デュシェーヌ/ベッカー(Duchenne/Becker)筋ジストロフィーおよび嚢胞性繊維症の遺伝子は同定されており、それぞれジストロフィン、そして嚢胞性繊維症膜貫型コンダクタンス制御因子(cystic fibrosis transmembrane conductance regulator)(CFTR)と呼ばれるポリペプチドをコードしている。これらの遺伝子を患者の筋肉細胞または肺細胞で直接発現させれば、標的組織内で機能的ポリペプチドが発現することでこれらの症状の著しい緩和に寄与するはずである。さらに嚢胞性繊維症では、研究により、肺症状を著しく改善するにはわずか約5%の肺上皮細胞でCFTR遺伝子産物の発現を達成する必要があるだけであることが示唆されている。
遺伝子治療のもう一つの適用がワクチン接種である。これに関しては、脊椎動物の細胞内へ導入されたポリヌクレオチドによりコードされる免疫生成物を該細胞により発現および分泌させること、または該細胞によって主要組織適合性抗原を提示させ、それにより発現した免疫原に対する免疫応答を誘発することができる。機能的ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドがプラスミド由来ポリヌクレオチドからなる場合の、目的遺伝子の一時的発現(一時的トランスフェクションと呼ばれる)、またはポリヌクレオチドがウイルス由来ポリヌクレオチドからなる場合の形質導入、またはポリヌクレオチドが宿主ゲノムに組み込まれることになる宿主細胞の永久的形質転換のいずれかをもたらす種々の技術によって細胞へ導入することができる。
遺伝子治療の成功は生きた生物の細胞への遺伝情報の効率的な送達およびその細胞内での遺伝子情報の効率的な発現にかかっている。これまでに用いられてきたほとんどの送達機構はウイルスベクター、特にアデノウイルスおよびレトロウイルスベクターを含んでいる。結局のところ、多様に開発されきたウイルス、および細胞膜の通過、リソソーム分解の回避、それらのゲノムの核への送達を含むこの目標を達成するために極めて緻密な機構はヒトへ適用されるワクチン接種または遺伝子治療における多くの遺伝子送達適用に用いられてきた。
この他、受容体媒介機構に基づくもの(Perales et al., Eur. J. Biochem. 226 (1994), 255-266; Wagner et al., Advanced Drug Delivery Reviews 14 (1994), 113-135)、ポリアミドアミン(Haensler and Szoka, Bioconjugate Chem. 4 (1993), 372-379)、樹枝状ポリマー(WO95/24221)、ポリエチレンイミンもしくはポリプロピレンイミン(WO96/02655)、ポリリシン(US−A−5595897またはFR2719316)などのポリマー媒介トランスフェクションに基づくもの、またはDOTMA(Felgner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84 (1987), 7413-7417)、DOGSもしくはトランスフェクタム(商標)(Behr et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86 (1989), 6982-6986)、DMRIEもしくはDORIE(Felgner et al., Methods 5 (1993), 67-75)、DC−CHOL(Gao and Huang, BBRC 179 (1991), 280-285)、DOTAP(商標)(McLachlan et al., Gene Therapy 2 (1995), 674-622)もしくはリポフェクタミン(商標)などの脂質媒介トランスフェクションに基づくもの(Felgner et al., Nature 337 (1989), 387-388)など非ウイルス送達系も開発されている。これらの系は大規模生産、安全性、トランスフェクト可能な細胞のターゲッティング、低い免疫原性、および大きなDNA断片を送達できる能力の点で潜在的な利点を提供する。しかしながらやはりそれらのin vivo効率は依然として限られている。
1990年、ついに、Wolff et al. (Science 247 (1990), 1465-1468)は、裸のRNAまたはDNA、すなわち、特別な送達系を用いずに裸のRNAまたはDNAをマウスの骨格筋へ直接注入すると筋細胞内でリポーター遺伝子が発現することを示した。細胞をトランスフェクトするためのこの技術は単純であるという利点をもたらし、肺(Tsan et al., Am. J. Physiol. 268 (1995), L1052-L1056; Meyer et al., Gene Therapy 2 (1995), 450-460)、脳(Schwartz et al., Gene Therapy 3 (1996), 405-411)、関節(Evans and Roddins, Gene Therapy for arthritis; In Wolff (ed) Gene Therapeutics: Methods and Applications of direct Gene Transfer. Birkhaiser. Boston (1990), 320-343)、甲状腺(Sikes et al., Human Gen. Ther. 5 (1994), 837-844)、皮膚(Raz et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91 (1994), 9519-9523)および肝臓(Hickman et al., Hum. Gene Therapy 5 (1994), 1477-1483)への送達のためのこの系の有用性を支持する実験が行われてきた。
しかしながら、Davis et al. (Human Gene Therapy 4 (1993), 151-159およびHuman Mol. Genet. 4 (1993), 733-740)は、骨格筋へとin vivo注入された裸のDNAの発現には大きな変動があって、これは例えば原発性筋障害の治療には十分でないことを見出した。この筆者らは、筋肉の再生を刺激するために筋肉に比較的多量の高張スクロースまたは例えばヘビから単離された心臓毒などの毒素を予め注射することにより遺伝子導入の効率の改善を得るための溶液を提案している。しかしながら、これらの方法は有望ではあるが、ヒトの治療には適用できない。
このように利用できる送達法はin vivo遺伝子治療で実施するには、安全性または効率の点で満足のいくものではない。
従って、本発明の基礎にある技術的課題は、裸の、または特別な送達促進剤と組み合わせた核酸分子を送達する改良法および手段を提供することである。
Felgner et al. (EP0523189B1)は陽イオン脂質とポリヌクレオチドを含んでなる組成物のトランスフェクション効率を促進するリゾ脂質の使用を提案した。Felgner et al.によれば、リゾ脂質の有益な作用は安定性を好み、陽イオン脂質小胞の凝集を阻害する能力によるものである。このような使用への関心は、最終的に、陽イオン脂質、ポリヌクレオチドを中性脂質の存在下または不在下でさらに含んでなる複合体へリゾ脂質を添加してもこのような複合体の活性を有意に高めることはできないことを別の刊行物(J. Biol. Chem, 1994, 269, 2550-2561)に開示した同じチームにより否定されている。
驚くべきことに、1以上の陽イオン脂質と会合していないポリヌクレオチドを脊椎動物細胞、特に脊椎動物組織へ導入する場合、リゾ脂質の特定の添加は、その遺伝子導入効率の劇的な向上をもたらすことがわかった。よって、本発明は好ましくは、ポリヌクレオチドの細胞への導入を向上させるための組成物の製造のための少なくとも一種のリゾ脂質の使用に関する(ただし、該ポリヌクレオチドは1以上の陽イオン脂質と会合していない)。
本発明の範囲内で「ポリヌクレオチド」とは、裸の核酸と裸でない核酸の双方をさすものとする。「核酸」はDNAであってもRNAであっても、一本鎖であっても二本鎖であっても、直鎖であっても環状であっても、天然であっても合成であっても、修飾されていてもされていなくともよい(修飾の例としては米国特許第5525711号、米国特許第4711955号または欧州特許EP−A302175参照)。それはとりわけゲノムDNA、ゲノムRNA、cDNA、mRNA、アンチセンスRNA、リボゾームRNA、リボザイム、トランスファーRNAまたはそのようなRNAをコードするDNAであり得る。この核酸はポリペプチド、リボザイム、アンチセンスRNAまたは細胞送達上対照となる別の分子を生成し得る少なくとも1つの発現配列を含むプラスミドまたは直鎖核酸の形態であってもよい。この核酸は、例えばアンチセンスまたはリボザイム機能を目的に細胞へ送達されるオリゴヌクレオチド(すなわち、100bp未満といった小さな核酸)であってもよい。本発明によれば、該核酸は裸であっても裸でなくともよい。「裸」(naked)とは、該核酸がその性質(DNAかRNAか)、その大きさ、その形態(一本鎖/二本鎖、環状/直鎖など)によらず、トランスフェクションを促進するウイルス粒子、リポソーム製剤、荷電脂質またはポリマー、および沈殿剤と会合していないものと定義される(Wolff et al., Science 247 (1990), 1465-1468;欧州特許EP465529)。一方、「裸でない」(non-naked)とは、該核酸が、通常ウイルスと呼ばれるもの(アデノウイルス、レトロウイルス、ポックスウイルスなど)を形成する、またはその核酸がウイルスキャプシドなどのウイルスエレメントと会合してはいるがそこに包摂されていない複合体を形成するウイルスポリペプチドと(米国特許第5,928,944号およびWO9521259)、または(ii)リポソーム製剤、荷電化合物(ただし、この荷電化合物は陽イオン脂質ではない)と、または細胞への核酸の導入取り込み関わり得るいずれかの成分と(総説としてはLedley, Human Gene Therapy 6 (1995), 1129-1144参照)。好ましくはこの核酸はプラスミドDNAの形態であり、ポリヌクレオチドは裸のプラスミドDNAである。広範なプラスミドが市販されており、当業者に周知である。これらの利用可能のプラスミドは分子生物学的技術により容易に修飾される(Sambrook et al, 1989, Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York)。pBR322(Gibco BRL)、pUC(Gibco BRL)、pBluescript(Stratagene)、pREP4、pCEP4(Invitrogen)、また、p Poly(Lathe et al, 1987, Gene 57, 193-201)由来プラスミドがこのような修飾の例である。
核酸が適切な遺伝情報を含む場合、コードされるポリペプチドの比較的多量の合成を命令する。細胞へ送達されるポリヌクレオチドが免疫ポリペプチドをコードする核酸を含む場合、本発明の使用は細胞内ウイルスを含む感染性病原体、また、腫瘍細胞に対して向上した効果的な免疫を達成するのに適用できる。標的細胞による発現に必要な遺伝情報は該DNAのmRNAへの転写およびmRNAのポリペプチドへの翻訳に必要な全てのエレメントを含む。種々の脊椎動物系での使用に適した転写プロモーターは広く文献に記載されている。例えば、好適なプロモーターとしては、RSV、MPSV、SV40、CMVまたは7.5kなどのウイルスプロモーター、ワクシニアプロモーター、誘導プロモーターなどがある。核酸はまた、イントロン配列、ターゲッティング配列、輸送配列、複製または組み込みに関与する配列を含み得る。これらの配列は文献で報告されており、当業者ならば容易に入手できる。核酸またはポリヌクレオチドはまた、スペルミンなどの特定の成分で安定化させるために修飾することもできる。
本発明によれば、「導入」(introduction or transfer)とは、ポリヌクレオチドが細胞へ導入され、そのプロセスの終了時に細胞内、あるいはその膜内またはその膜上に置かれることを意味する。それはまたポリヌクレオチドの性質によって「トランスフェクション」または「形質導入」とも呼ばれ、「トランスフェクション」はキャプシドまたはウイルスポリペプチドなどのウイルスエレメントを含まないポリヌクレオチドの導入を意図する場合をさし、「形質導入」はウイルスの導入をさす。これらの用語は本発明の技術分野で通常のものである。
これに関して本発明の範囲内で「向上した導入」(improved transfer)とは、リゾ脂質を用いずに行った導入に比べてリゾ脂質が存在する場合に細胞によるポリヌクレオチドのより効率的な導入を意味する。これはリゾ脂質を用いずに取り込まれたポリヌクレオチドの量と同じ実験条件下でリゾ脂質を用いた場合に細胞によって取り込まれた量を比較することによって判定することができる。好ましくは向上した導入は、リゾ脂質を用いない場合と比較してリゾ脂質を用いた場合に細胞へ導入されたポリヌクレオチドの発現量がより高いことによって判定することができる。
本発明の使用に従って製造された組成物はin vivoまたはex vivoにおける細胞へのポリヌクレオチドのトランスフェクションに使用することができる。これに関して、ex vivoとは、ポリヌクレオチドが導入される細胞が生物体内にはなく、トランスフェクション後に生物体へ導入されることを意味する。
「遺伝子治療法」とは、好ましくは、in vivoにおいて細胞へポリヌクレオチドを導入するための方法として理解される。特に「遺伝子治療」は遺伝子産物が標的組織で発現する場合、ならびに遺伝子産物が特に血流中へ分泌される場合に関する。
本発明の「リゾ脂質」は式(I)の化合物をさす:
[式中、
nは1〜5までの整数であり、
R1は、R5または式(II)
もしくは
式(III)
{式中、
R3は−CH2−または−CO−であり;
R4は−H、−OH、−O−(CH2)q−CH3であり、
ここで、qは0〜2の整数であり、
R5はC8−30脂肪族炭化水素基であり、
mは0〜5の整数である}
のものであり;
R2は
−H、
−(CH2)p−CHOH−CH2OH、
−(CH2)p−CH(COOH)−N+R6R7R8、
−(CH2)p−N+R6R7R8、または
{式中、pは0〜10までの整数であり、
R6、R7およびR8は独立に水素または置換されていてもよい低級アルキルであり、低級アルキル基としては、例えば、C1−5アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、n−ブチル)が挙げられ、これらの基はヒドロキシカルボニル、低級(C1−3)アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、シアノまたは低級(C1−3)アルコキシなどの1以上の置換基をさらに有してもよいか、
または−N+R6R7R8は環式アンモニオ基であり、例えば、ピリジニオ、オキサゾリオ、ピリダジニオ、キノリニオまたはイソキノリニオが挙げられ、これらの基はC1−4アルキル(例えば、メチル、エチル)、ヒドロキシ、ヒドロキシエチル、アミノエチル、アミノ(イミノ)、カルバモイルまたはウレイドなどの1以上の置換基をさらに有してもよい。上記の環式アンモニオ基としては、R6、R7およびR8のいずれか2つの基が第四級窒素原子とともに環を形成し、残りの1つの基がC1−4アルキル基(例えば、メチル、エチル)、例えばN−メチルモルホリノまたはN−メチルピペラジニオである場合が挙げられる。}]
nは1〜5までの整数であり、
R1は、R5または式(II)
式(III)
R3は−CH2−または−CO−であり;
R4は−H、−OH、−O−(CH2)q−CH3であり、
ここで、qは0〜2の整数であり、
R5はC8−30脂肪族炭化水素基であり、
mは0〜5の整数である}
のものであり;
R2は
−H、
−(CH2)p−CHOH−CH2OH、
−(CH2)p−CH(COOH)−N+R6R7R8、
−(CH2)p−N+R6R7R8、または
R6、R7およびR8は独立に水素または置換されていてもよい低級アルキルであり、低級アルキル基としては、例えば、C1−5アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、n−ブチル)が挙げられ、これらの基はヒドロキシカルボニル、低級(C1−3)アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、シアノまたは低級(C1−3)アルコキシなどの1以上の置換基をさらに有してもよいか、
または−N+R6R7R8は環式アンモニオ基であり、例えば、ピリジニオ、オキサゾリオ、ピリダジニオ、キノリニオまたはイソキノリニオが挙げられ、これらの基はC1−4アルキル(例えば、メチル、エチル)、ヒドロキシ、ヒドロキシエチル、アミノエチル、アミノ(イミノ)、カルバモイルまたはウレイドなどの1以上の置換基をさらに有してもよい。上記の環式アンモニオ基としては、R6、R7およびR8のいずれか2つの基が第四級窒素原子とともに環を形成し、残りの1つの基がC1−4アルキル基(例えば、メチル、エチル)、例えばN−メチルモルホリノまたはN−メチルピペラジニオである場合が挙げられる。}]
本発明のある好ましい実施形態では、R5はC12−22脂肪族炭化水素基である。
本発明のより好ましくは実施形態では、R5はC16脂肪族炭化水素基である。
さらに好ましい実施形態では、R5で示されるC8−30またはC12−22またはC16脂肪族炭化水素基としては、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニルなど)が挙げられ、これは置換されていてもよい置換されていなくともよい。アルケニル基はZ配置でもE配置でもよい。R3は、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、オキソ、カルバモイル、カルボキシ、ハロゲン、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルケニル、アリール(例えば、フェノキシ、トリル、フェニルなど)などの1以上の置換基をさらに有してもよい。例えば、C8−30アルキル基[例えば、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、3,7,11−トリメチルドデシル、n−ペンタデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−エイコシル、n−ドコシル、3,7−ジメチルオクチル、(1−オクチル)ノニル、3,7,11,15−テトラメチルヘキサデシル](とりわけ、C10−30アルキル基がより好ましい)、C8−30アルケニル基[例えば、8−トリデセニル(.DELTA.8)、3,7,11−トリメチル−2,6,10−ドデカトリエニル、8−テトラデセニル(.DELTA.8)、8,11−テトラデカジエニル(.DELTA.8,11)、8−ヘプタデセニル(.DELTA.8)、2−オクタデセニル、9−オクタデセニル(オレイル)、9,15−オクタデカジエニル、9,12,15−オクタデカトリエニル、8,11,14−ヘプタデカトリエニル(.DELTA.8,11,14)、8,11−オクタデカジエニル(.DELTA.8,11)、4,7,10,13−ノナデカテトラエニル(.DELTA.4,7,10,13)、フィチル、3,7,11,15−テトラメチル−2,6,10,14−ヘキサデカテトラエニル、3,7,11,15−テトラメチル−2,4,6,10,14−ヘキサデカペンタエニル、12−(2,3−シクロペンテニル)ドデシル、12−(2,3−シクロペンテニル)−5−ドデセニル、11−ヒドロキシ−8−ヘプタデセニル、3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−2,4,6,8−ノナテトラエニル、4,7,10,13−ノナデカテトラエニル]、C8−30アルキニル基[例えば、9−オクタデシニル、9,15−オクタデカジイニル、ヘプタデカン−8−イニル、4−デシニル]、C8−30アラルキル[例えば、15−(4−n−ブチルフェニル)ペンタデシル、.omega.−(p−トリル)ヘプタデシル、6−(4−n−ペンチルフェニル)ヘキサデシル、15−フェニルペンタデシル]、および15−(4−n−ブチルフェノキシ)ペンタデシルまたは6−(4−n−ペンチルフェノキシ)ヘキサデシルが挙げられる。
特に好ましい式Iの化合物としては、以下の化合物がある:
− R1が直鎖飽和C16脂肪族炭化水素基であるR5であり、n=1であり、R2が−(CH2)p−N+R6R7R8(ここで、R6、R7およびR8はメチル基であり、p=2である)である、化合物;
− R1が、式(II)または式(III)のものであり(ここで、m=1である)、n=1であり、かつ、R2が−(CH2)p−CHOH−CH2OH(ここで、p=1である)である、化合物;
− R1が、式(II)または式(III)のものであり(ここで、m=1である)、n=1であり、かつ、R2が−(CH2)p−CH(COOH)−N+R6R7R8(ここで、R6=R7=R8=H、かつ、p=1である)である、化合物;
− R1が、式(II)または式(III)のものであり(ここで、m=1である)、n=1であり、かつ、R2が−(CH2)p−N+R6R7R8(ここで、R6=R7=R8=H、かつ、p=2である)である、化合物;
− R1が、式(II)または式(III)のものであり(ここで、m=1である)、n=1であり、かつ、R2が−(CH2)p−N+R6R7R8(ここで、R6=R7=R8=CH3、かつ、p=2である)である、化合物;
− R1が、式(II)または式(III)のものであり(ここで、m=1である)、n=1であり、かつ、R2が下式である、化合物。
− R1が直鎖飽和C16脂肪族炭化水素基であるR5であり、n=1であり、R2が−(CH2)p−N+R6R7R8(ここで、R6、R7およびR8はメチル基であり、p=2である)である、化合物;
− R1が、式(II)または式(III)のものであり(ここで、m=1である)、n=1であり、かつ、R2が−(CH2)p−CHOH−CH2OH(ここで、p=1である)である、化合物;
− R1が、式(II)または式(III)のものであり(ここで、m=1である)、n=1であり、かつ、R2が−(CH2)p−CH(COOH)−N+R6R7R8(ここで、R6=R7=R8=H、かつ、p=1である)である、化合物;
− R1が、式(II)または式(III)のものであり(ここで、m=1である)、n=1であり、かつ、R2が−(CH2)p−N+R6R7R8(ここで、R6=R7=R8=H、かつ、p=2である)である、化合物;
− R1が、式(II)または式(III)のものであり(ここで、m=1である)、n=1であり、かつ、R2が−(CH2)p−N+R6R7R8(ここで、R6=R7=R8=CH3、かつ、p=2である)である、化合物;
− R1が、式(II)または式(III)のものであり(ここで、m=1である)、n=1であり、かつ、R2が下式である、化合物。
本発明のリゾ脂質は陰イオンであるので、リゾ脂質の電荷のバランスをとるには1以上の陽イオンが必要とされ得る。この目的にはいずれかの医薬上許容される陽イオンが好適である。
本発明によるリゾ脂質は、いずれの常法によっても製造することができ、または、その開示内容を引用することによりそのまま本明細書の一部とされる米国特許第4935520号に開示されているように製造することができる。
一つの好ましい形態では、本発明の用途に従って製造される組成物中のリゾ脂質の量は約0.01〜約50mg/ml、好ましくは約0.1〜約20mg/ml、さらに好ましくは約0.2〜約10mg/mlの範囲である。
一つの好ましい形態では、本発明の用途に従って製造される組成物は、脊椎動物組織へ投与するための形態である。これらの組織としては、筋肉、皮膚、脳、肺、肝臓、脾臓、骨髄、胸腺、心臓、リンパ、骨、軟骨、膵臓、腎臓、膀胱、胃、腸、精巣、卵巣、子宮、直腸、神経系、眼、腺、結合組織、血液、腫瘍などである。外来ポリヌクレオチドの導入の向上が得られる細胞は挙げられた各標的組織に見られるものである(筋細胞、気道細胞、造血細胞など)。投与は皮内、皮下、静脈内、筋肉内、鼻内、脳内、気管内、動脈内、腹腔内、膀胱内、胸膜腔内、歯冠内、または腫瘍内経路により、シリンジまたはその他の装置を用いた注射によって行われてもよい。経皮投与も考えられ、吸入またはエアゾール投与がある。投与部位およびポリヌクレオチドの導入部位は同じ場合もあるし、異なる場合もある。一つの好ましい形態では、本発明に従って製造される治療組成物は、筋細胞への導入のためのものであり、より好ましくは筋肉内注射経路または静脈内経路による。これに関して、投与方法は輸入管および/または輸出管注射を組み合わせてその血管の浸透性を上昇させることにより有利に向上させることができる。一つの特定の形態では、このような上昇は、静水圧の上昇により(すなわち、流出および/または流入を遮断することにより)、および/または浸透圧により(高張液を用いる場合)、および/または生体活性分子の導入(例えば、投与組成物へのヒスタミンの導入)により得られる(WO98/58542)。
もう一つの好ましい形態では、本発明の用途に従って製造される治療組成物は、腫瘍細胞へ導入するためのものである。
もう一つの好ましい形態では、本発明はポリヌクレオチドの細胞への導入を向上させるための治療組成物の製造のためのリゾ脂質の使用を提供し、ここでは該治療組成物は、少なくとも一種のポリヌクレオチドを含有する組成物の投与からなる第二の投与とは独立に投与される。本発明によれば、第一の投与は第二の投与の前、第二の投与と同時、または第二の投与の後、およびその逆で行うことができる。治療組成物の投与および第二の投与は異なる送達経路によっても同じ送達経路によっても行うことができる。一つの好ましい形態では、各々は同じ標的組織へ、最も好ましくは注射により、行うべきである。
本発明に従う使用のさらに好ましい形態では、この組成物は少なくとも1種のポリヌクレオチドをさらに含んでなる。一つの特に好ましい形態では、組成物中に含まれるポリヌクレオチドは、その細胞内で、コード核酸配列を機能的に発現し得る。
一般に、組成物中のポリヌクレオチドの濃度は約0.01mg/ml〜約1mg/ml、一つの好ましい形態では、約0.1mg/ml〜10mg/mlである。本発明によれば、ポリヌクレオチドはそれが導入される標的細胞と同種であっても異種であってもよい。有利には該ポリヌクレオチドはポリペプチド、特に組成物に治療または予防特性を与える治療または予防ポリペプチドの全てまたは一部をコードする。ポリペプチドは大きさ、およびグリコシル化されているかされていないかに関係なく、ポリヌクレオチドの任意の翻訳産物であると理解され、ペプチドおよびタンパク質を含む。治療ポリペプチドとしては、主な例として、動物またはヒト生物体の欠陥または欠損タンパク質を補償し得るポリペプチド、あるいは身体の有害細胞を制限する、または身体から有害細胞を除去するために毒性作用を介して働くものが挙げられる。それらは内在免疫原として働いて体液性応答または細胞応答、あるいはその双方を誘発する免疫付与ポリペプチドであってもよい。ポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの例としては、酵素、ホルモン、サイトカイン、膜受容体、構造ポリペプチド、輸送ポリペプチド、アドヘシン、リガンド、転写因子、輸送因子、複製因子、安定性因子、抗体、より具体的にはCFTR、ジストロフィン、VIII因子またはIX因子、HPV由来のE6またはE7、MUC1、BRCA1、インターフェロン、インターロイキン(IL−2、IL−4、IL−6、IL−7、IL−12、GM−CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子))、1型単純ヘルペスウイルス(HSV−1)由来tk遺伝子、p53またはVEGFがある。このポリヌクレオチドはまた抗体をコードすることもできる。これに関して、抗体はいずれのクラスの全免疫グロブリン、キメラ抗体、および二重または多重抗原またはエピトープ特異性を有するハイブリッド抗体、ならびにF(ab)2、Fab’、Fabなどのフラグメント(ハイブリッドフラグメントおよび抗イディオタイプを含む)を包含する(米国特許第4,699,880号)。
さらに好ましい形態では、組成物はクロロキン、プロトン性化合物(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、エタノール、1−メチルL−2ピロリドンまたはその誘導体など)、非プロトン性化合物(ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチルスルホキシド、ジ−n−プロピルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホラン、ジメチル−ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、アセトニトリルまたは誘導体など)からなる群から選択される少なくとも一種の成分をさらに含んでなる。該組成物はまた、サイトカイン(特にインターロイキン−10(IL−10))、Mg2+、Li+、および例えばアクチンGなどのヌクレアーゼ阻害剤からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含んでなることもできる。
もう一つの好ましい形態では、本発明の使用に従って製造される組成物は、ヒトまたは動物の治療的処置のための方法において使用できる。この特定の場合においては、組成物はまた医薬上好適な注射用担体または希釈剤を含んでもよい(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th ed. 1980, Mack Publishing Co参照)。担体または希釈剤は好ましくは等張、低張、またはやや高張であり、スクロース溶液によって提供されるものなど、比較的低いイオン強度を有する。また、それは滅菌パイロジェンフリー水、分散媒、コーティング剤、および同等のもの、または希釈剤(例えば、Tris−HCl、酢酸、リン酸)、乳化剤、安定剤もしくはアジュバントを含む適切な溶媒、水性または部分水性液体担体を含んでよい。この医薬製剤のpHは適宜調整し、in vivo適用に有用とするために緩衝させる。これは液剤として調製してもよいし、あるいは投与前に溶液に懸濁させる固体状(例えば凍結乾燥状)として調製してもよい。
もう一つの態様では、本発明はまた、ポリヌクレオチドを細胞へ導入する方法に関する。この方法は、該細胞を、ポリヌクレオチドと接触させる前、接触させると同時、または接触させた後に、本発明の使用に従って製造された組成物と接触させることを含んでなる。この方法は、in vivoで動物の細胞へ該組成物を直接投与することによって適用されてもよい。本発明の実施によれば、標的化された「細胞」および「in vivo投与経路」は上記のように定義される。「標的化された細胞」(targeted cells)とは、ポリヌクレオチドの取り込みおよび発現が起こる細胞であり、それらは必ずしも注射された組織(投与部位)に存在しなくてもよい。ある特定の態様では、投与は血管へ行い、ポリヌクレオチドのトランスフェクションまたは感染は、例えば肺、筋肉、肝臓、腎臓、心臓などのような器官または組織の近位または遠位部位で起こる。
動物は皮膚からの直接注射によって便宜に接触できる比較的大きな筋肉塊を持っているので、いくつかの治療適用においてはポリヌクレオチドの送達および発現のための部位としては、好ましくは筋肉が用いられる。よって、一つの好ましい場合では、本発明は、ポリヌクレオチド、好ましくは裸の形態のものをin vivoで筋細胞へ導入する方法に関し、本方法は、少なくとも一種のポリヌクレオチドとリゾ脂質を、in vivoにおいて好ましくは筋肉内投与し、それによりポリヌクレオチドが組織の筋細胞へ直接投与されるか、または、血管内投与し、それによりポリヌクレオチドが輸入および/または輸出筋肉血管へ投与される工程を含んでなる。このポリヌクレオチドは筋細胞によって発現され接触工程の後に最終的に血流中へ分泌されて脊椎動物に治療法を提供する治療ポリペプチドをコードし得る。同様に、これは接触工程の後に筋細胞により発現され、免疫応答を生起し、それにより脊椎動物を免疫化する免疫ポリペプチドをコードし得る。本発明の一つの重要な態様は筋ジストロフィーの治療のための方法であって、ここでは該ポリヌクレオチドは機能し得るようにジストロフィンをコードする。好ましくは該組成物は筋肉組織へ直接投与される。
もう一つの好ましい実施形態によれば、治療する症状が癌である場合、ポリヌクレオチドの送達および発現部位としては腫瘍が用いられる。よって、ある好ましい場合では、本発明は、ポリヌクレオチド、好ましくは裸の形態のものをin vivoで腫瘍細胞へ導入するための方法に関し、本方法は少なくとも一種のポリヌクレオチドとリゾ脂質をin vivoにおいて好ましくは腫瘍内投与し、それによりポリヌクレオチドが腫瘍細胞へ直接投与されるか、あるいは、血管内投与し、それによりポリヌクレオチドが輸入および/または輸出腫瘍血管へ投与される。
最後に、本発明はin vitro(またはex vivo、上記参照)またはin vivoのいずれかでポリヌクレオチドの細胞への導入を向上させるためのリゾ脂質の使用に関する。
本発明を例示的に記載してきたが、用いてきた用語は限定ではなく記載の言葉の本質を意図するものであると理解される。明らかに上記の技術を鑑みて本発明の多くの変形や変更が可能である。よって、クレームの範囲内で本発明は具体的に記載されているもの以外でも実施し得ると理解される。
上記に挙げた特許、刊行物およびデータベースの収録内容の開示は総て、そのような個々の特許、刊行物または収録物を各々引用することにより具体的に個々に示する場合と同様にして、それらの全開示内容を引用することにより具体的に本明細書の一部とされる。
材料および方法
実施例においては以下の材料および方法を用いる。
実施例においては以下の材料および方法を用いる。
1.プラスミド/HPC組成物の腫瘍内投与
プラスミドDNA(pTG11236:CMVプロモーター、β−グロビンイントロン、ルシフェラーゼカセット、5739塩基対)をBischoff et al., Analytical Biochemistry254 (1997), 69-81に従って調製した。
プラスミドDNA(pTG11236:CMVプロモーター、β−グロビンイントロン、ルシフェラーゼカセット、5739塩基対)をBischoff et al., Analytical Biochemistry254 (1997), 69-81に従って調製した。
RENCAまたはP815細胞を8週齢の雌B6D2マウスの皮下に注射した(3.105細胞/動物)。細胞を注射して11日後、触知可能な腫瘍が現れる。腫瘍内注射に先立ち、HPCをプラスミドDNA調製物と混合した。その後、種々の量のプラスミドおよびHPCを3回腫瘍に直接注射した(次の注射までに3日の間隔をおいた)。
2.腫瘍生検およびルシフェラーゼの測定
組成物を注射して24時間後、マウスを殺し、腫瘍を取り出し、冷凍した。
通常の測定キット(Luciferase Assay System, Promega)を用いて全腫瘍抽出物に対してルシフェラーゼ活性を定量した。要するに、腫瘍を200μlのリポーター溶解バッファー(Promega)に希釈した。10μlのサンプルを96ウェルプレートに入れ、基質100μlと混合した。ルシフェラーゼ活性はPLU放出数/分/タンパク質mgとして表した。
組成物を注射して24時間後、マウスを殺し、腫瘍を取り出し、冷凍した。
通常の測定キット(Luciferase Assay System, Promega)を用いて全腫瘍抽出物に対してルシフェラーゼ活性を定量した。要するに、腫瘍を200μlのリポーター溶解バッファー(Promega)に希釈した。10μlのサンプルを96ウェルプレートに入れ、基質100μlと混合した。ルシフェラーゼ活性はPLU放出数/分/タンパク質mgとして表した。
3.タンパク質の測定
VCAタンパク質アッセイキット(Pierce)を用い、10μlのサンプルに対してタンパク質を測定した。
得られた結果を図1および2に示す。これらは、HPCが注射された腫瘍のルシフェラーゼ活性に対して積極的な影響を有することを示している。ルシフェラーゼ活性は0.4または2mg/mlのHPCの存在下で注射された腫瘍でより高かった。
VCAタンパク質アッセイキット(Pierce)を用い、10μlのサンプルに対してタンパク質を測定した。
得られた結果を図1および2に示す。これらは、HPCが注射された腫瘍のルシフェラーゼ活性に対して積極的な影響を有することを示している。ルシフェラーゼ活性は0.4または2mg/mlのHPCの存在下で注射された腫瘍でより高かった。
Claims (25)
- ポリヌクレオチドを細胞へ導入するための組成物の製造のための少なくとも一種のリゾ脂質の使用(ただし、該ポリヌクレオチドは1以上の陽イオン脂質と会合していない)。
- リゾ脂質が、下式(I)のものである、請求項1に記載の使用:
nは1〜5までの整数であり、
R1はR5または式(II)
式(III)
R3は−CH2−または−CO−であり;
R4は−H、−OH、−O−(CH2)q−CH3であり、
ここで、qは0〜2の整数であり、
R5はC8−30脂肪族炭化水素基であり、
mは0〜5の整数である}
のものであり;
R2は
−H、
−(CH2)p−CHOH−CH2OH、
−(CH2)p−CH(COOH)−N+R6R7R8、
−(CH2)p−N+R6R7R8、または
pは0〜10までの整数であり、
R6、R7およびR8は独立に水素または低級アルキルであるか、または
−N+R6R7R8は環式アンモニオ基である}
である]。 - R5がC12−22脂肪族炭化水素基である、請求項2に記載の使用。
- R5がC16脂肪族炭化水素基である、請求項3に記載の使用。
- R1が直鎖飽和C16脂肪族炭化水素基であるR5であり、n=1であり、R2が−(CH2)p−N+R6R7R8(ここで、R6、R7およびR8はメチル基であり、p=2である)である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の使用。
- R1が、式(II)または式(III)のものであり(ここで、m=1である)、n=1であり、かつ、R2が−(CH2)p−CHOH−CH2OH(ここで、p=1である)である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の使用。
- R1が、式(II)または式(III)のものであり(ここで、m=1である)、n=1であり、かつ、R2が−(CH2)p−CH(COOH)−N+R6R7R8(ここで、R6=R7=R8=H、かつ、p=1である)である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の使用。
- R1が、式(II)または式(III)のものであり(ここで、m=1である)、n=1であり、かつ、R2が−(CH2)p−N+R6R7R8(ここで、R6=R7=R8=H、かつ、p=2である)である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の使用。
- R1が、式(II)または式(III)のものであり(ここで、m=1である)、n=1であり、かつ、R2が−(CH2)p−N+R6R7R8(ここで、R6=R7=R8=CH3、かつ、p=2である)である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の使用。
- 組成物が約0.01〜約50mg/ml、好ましくは約0.1〜約20mg/mlの間のリゾ脂質を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の使用。
- 組成物が脊椎動物標的組織への投与のためのものである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の使用。
- 標的組織が筋肉である、請求項12に記載の使用。
- 標的組織が腫瘍である、請求項12に記載の使用。
- リゾ脂質の投与が、少なくとも一種のポリヌクレオチドを含有する組成物を同じ標的組織へ投与することからなる第二の投与とは独立して行われる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の使用。
- リゾ脂質の投与が第二の投与の前に行われる、請求項15に記載の使用。
- 前記治療組成物が、少なくとも一種のポリヌクレオチドをさらに含んでなる、請求項1〜16のいずれか一項に記載の使用。
- 前記ポリヌクレオチドが、遺伝子を含み、かつ、該遺伝子を細胞内で機能的に発現し得るものである、請求項1〜17のいずれか一項に記載の使用。
- 前記ポリヌクレオチドが裸の核酸である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の使用。
- 前記ポリヌクレオチドが裸の核酸でない、請求項1〜18のいずれか一項に記載の使用。
- 前記組成物中のポリヌクレオチド濃度が、約0.01mM〜約1の範囲である、請求項19〜20のいずれか一項に記載の使用。
- 組成物が、医薬上許容される注射用担体をさらに含んでなる、請求項1〜21のいずれか一項に記載の使用。
- ポリヌクレオチドを細胞へ導入する方法であって、該細胞をポリヌクレオチドと接触させる前、接触させると同時、または接触させた後に、リゾ脂質を含んでなる少なくとも一種の組成物と接触させることを含んでなる、方法。
- 細胞をリゾ脂質およびポリヌクレオチドに同時に接触させる、請求項23に記載の方法。
- ポリヌクレオチドの細胞への導入を向上させるためのリゾ脂質の使用(ただし、該ポリヌクレオチドは1以上の陽イオン脂質を会合していない)。
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
EP01440419 | 2001-12-14 | ||
EP01440419.8 | 2001-12-14 | ||
US34185301P | 2001-12-21 | 2001-12-21 | |
US60/341,853 | 2001-12-21 | ||
PCT/IB2002/005723 WO2003052095A2 (en) | 2001-12-14 | 2002-12-13 | Use of a lysolipid for the preparation of a composition for transfection of a polynucleotide into a cell |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005513073A true JP2005513073A (ja) | 2005-05-12 |
JP2005513073A6 JP2005513073A6 (ja) | 2005-08-04 |
Family
ID=56290367
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003552962A Pending JP2005513073A (ja) | 2001-12-14 | 2002-12-13 | ポリヌクレオチドを細胞へトランスフェクションするための組成物の製造のためのリゾ脂質の使用 |
Country Status (6)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20050152959A1 (ja) |
EP (1) | EP1465597A2 (ja) |
JP (1) | JP2005513073A (ja) |
AU (1) | AU2002353426A1 (ja) |
CA (1) | CA2469799A1 (ja) |
WO (1) | WO2003052095A2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5564640B2 (ja) * | 2003-12-10 | 2014-07-30 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 発光性渦鞭毛藻由来青色発光酵素を用いた細胞内遺伝子転写活性測定法 |
JP2012504650A (ja) * | 2008-10-02 | 2012-02-23 | セルタクシス,インコーポレイテッド | 免疫細胞の負の走化性の調節方法 |
US20120070829A1 (en) | 2010-09-10 | 2012-03-22 | Bio-Rad Laboratories, Inc. | Size selection of dna for chromatin analysis |
EP2675913B1 (en) | 2011-02-15 | 2016-12-14 | Bio-Rad Laboratories, Inc. | Detecting methylation in a subpopulation of genomic dna |
EP2739752B1 (en) | 2011-08-03 | 2017-07-19 | Bio-Rad Laboratories, Inc. | Filtering small nucleic acids using permeabilized cells |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH05508626A (ja) * | 1990-04-19 | 1993-12-02 | バイカル・インコーポレイテッド | 生物学的活性分子の細胞内配達のための陽イオン脂質 |
EP1046394A2 (en) * | 1999-04-19 | 2000-10-25 | ImaRx Pharmaceutical Corp. | Novel compositions useful for delivering compounds into a cell |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5984824A (ja) * | 1982-11-08 | 1984-05-16 | Takeda Chem Ind Ltd | 抗腫瘍剤 |
CA2366522A1 (en) * | 2000-02-07 | 2001-08-16 | Jerome Gaucheron | Non-naturally occurring nucleic acid compositions, their use for the preparation of formulations useful for transfecting a nucleic acid into cells and applications |
-
2002
- 2002-12-13 AU AU2002353426A patent/AU2002353426A1/en not_active Abandoned
- 2002-12-13 CA CA002469799A patent/CA2469799A1/en not_active Abandoned
- 2002-12-13 JP JP2003552962A patent/JP2005513073A/ja active Pending
- 2002-12-13 US US10/498,563 patent/US20050152959A1/en not_active Abandoned
- 2002-12-13 WO PCT/IB2002/005723 patent/WO2003052095A2/en not_active Application Discontinuation
- 2002-12-13 EP EP02788451A patent/EP1465597A2/en not_active Withdrawn
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH05508626A (ja) * | 1990-04-19 | 1993-12-02 | バイカル・インコーポレイテッド | 生物学的活性分子の細胞内配達のための陽イオン脂質 |
EP1046394A2 (en) * | 1999-04-19 | 2000-10-25 | ImaRx Pharmaceutical Corp. | Novel compositions useful for delivering compounds into a cell |
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
FELGNER J.H. ET AL., JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY, vol. 269, no. 4, JPN5004006419, 28 January 1994 (1994-01-28), US, pages 2550 - 2561, ISSN: 0001158807 * |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
CA2469799A1 (en) | 2003-06-26 |
EP1465597A2 (en) | 2004-10-13 |
WO2003052095A3 (en) | 2003-10-30 |
US20050152959A1 (en) | 2005-07-14 |
WO2003052095A2 (en) | 2003-06-26 |
AU2002353426A1 (en) | 2003-06-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3499137B2 (ja) | 標的細胞へ治療学上活性な物質を輪送するのに有用な組成物及びその遺伝子治療における使用 | |
CA2284399C (en) | Use of magnesium (mg2+) for the preparation of a therapeutic composition for transfection of a polynucleotide into a cell and compositions useful in gene therapy | |
JP2005513073A (ja) | ポリヌクレオチドを細胞へトランスフェクションするための組成物の製造のためのリゾ脂質の使用 | |
JP2005513073A6 (ja) | ポリヌクレオチドを細胞へトランスフェクションするための組成物の製造のためのリゾ脂質の使用 | |
AU782912B2 (en) | Use of lithium (Li+) for the preparation of a composition for transfection of a polynucleotide into a cell and compositions useful in gene therapy | |
EP0987029B1 (en) | Use of a catonic polymer for the preparation of a complex with nucleic acid and related compositions | |
JP2002533354A (ja) | 安定なポジプレックスの懸濁液の製造法 | |
AU770607B2 (en) | Complex for transferring an anionic substance of interest into a cell | |
EP1052288A1 (en) | Complex for transferring an anionic substance of interest into a cell | |
US20020193331A1 (en) | Non-naturally occurring nucleic acid compositions, their use for the preparation of formulations useful for transfecting a nucleic acid into cells and applications | |
CA2349404A1 (en) | Use of an immuno complex for the preparation of a therapeutic composition useful for transfecting a polynucleotide into macropinocyte cells |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050921 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20081017 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090407 |