(発明の要旨)
本発明は、コアペプチド4〜39および42〜55からなる群から選択されるコアペプチドを有する単離された因子を提供する。ここで、因子は、IAP阻害カスパーゼを抑制解除する図5、9、10、14B、および21〜24で示される構造のうちのいずれかから選択されるコア構造を有する単離された因子もまた提供され、ここで、因子は、IAP阻害カスパーゼを抑制解除する。さらに、本発明は、IAP阻害カスパーゼを抑制解除する方法を提供する。この方法は、IAP阻害カスパーゼとIAP阻害カスパーゼを抑制解除するための有効量の因子を接触させる工程からなり、この因子は、コアペプチド4〜39および42〜55のうちのいずれかに示される配列を有するコアペプチドからなる群から選択されるコアモチーフ、ならびにTPI759、TPI882、TPI914またはTPI927からなる群から選択されるコア構造を有する。本発明の方法はまた、細胞中のアポトーシスを促進させ、そしてアポトーシスのレベルの減少によって特徴付けられる病理の重篤度を低減させるために使用され得る。IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子を同定するための方法もまた、提供される。
(発明の詳細な説明)
本発明は、アポトーシスタンパク質のインヒビター(IAP)がカスパーゼのプロテアーゼ活性を阻害するのを抑制するか、またはカスパーゼに結合するのを抑制する因子を提供する。本発明の因子の有利な点は、それが細胞内(アポトーシスがIAPの調節活性によって防止される)でアポトーシスを生じさせるために使用され得ることである。従って、本発明は、細胞にIAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子を投与することによるインビトロまたはエクスビボでの細胞集団の生存能力を低減させるための方法を提供する。そのような方法において、特定のIAP阻害カスパーゼに対する特異性を有する因子の使用は、より大きな混合集団における細胞の部分集団を選択的に標的化し得、そして殺傷し得る。本発明の因子を個体に対して投与することによって、病理的なアポトーシスのレベルの減少によって特徴付けられる状態(例えば、癌または肥厚)を有する個体を処置する方法もまた提供され、ここで、因子は、IAP阻害カスパーゼを活性化し、それによって、アポトーシスのレベルを上昇する。
さらに本発明は、アポトーシスのインヒビターを調節する因子を同定する方法を提供する。本発明の方法の使用によって、候補因子は、カスパーゼのプロテアーゼ活性を阻害することまたはカスパーゼへ結合することからアポトーシス(IAP)インヒビタータンパク質を抑制する能力に関して試験され得る。抑制されない場合、カスパーゼは、アポトーシスを媒介する。従って、IAP阻害カスパーゼを抑制解除するために本方法によって決定される因子は、アポトーシスを負の調節成分の存在下で生じさせる因子として同定される。本発明の方法の利点は、候補因子の巨大ライブラリーがIAP阻害カスパーゼの種々の抑制解除剤の同定のために効率的にスクリーニングされ得るように高処理能力形式において、それらが実行され得ることである。
本明細書中で使用される場合、用語「カスパーゼ」は、ポリペプチドにおけるアスパラギン酸残基でC末端を切断するシステインアスパルチル−特異的プロテアーゼのファミリーのメンバーを意味することが意図され、そしてアポトーシスを導く細胞死経路に関与する。この用語は、例えば、MartinおよびGreen、Cell 82:349〜352(1995)において記載されるように当該分野における使用と一致することが意図される。以前にカスパーゼとは、そのファミリーのうちで最初に同定されたメンバーであるインターロイキン−1β(IL−1β)変換酵素(Ice)(IL−1βの不活性33キロダルトン(kDa)形態を活性17.5kDa形態に変換する)との相同性に基づいて「Ice」プロテアーゼとして呼ばれた。Iceプロテアーゼは、Caenorhabditis elegans ced−3遺伝子(C.elegans発生の間のアポトーシスに関与される)と相同であることが見出され、そしてトランスフェクション実験は、繊維芽細胞におけるIceの発現が細胞におけるアポトーシスを誘導することを示した(MartinおよびGreen(前出)、1995)。それゆえ、この用語は、Iceおよびced−3を含む。
Iceおよびced−3と相同性を共有するさらなるポリペプチドが同定され、そしてカスパーゼ(各カスパーゼは、数によって区別される)として呼ばれる。例えば、元来同定されたIceプロテアーゼは、現在、カスパーゼ−1として呼ばれ、カスパーゼ−3として呼ばれたプロテアーゼは、以前CPP32、YAMAおよびアポペインとして種々に公知であり、そして現在カスパーゼ9として示されるプロテアーゼは、以前はMch6またはICE−LAPとして公知であった。プロテアーゼのカスパーゼファミリーは、それぞれが、アスパラギン酸残基でC末端を切断するシステインプロテアーゼであることで特徴付けられ、そしてそれぞれは、概してアミノ酸配列QACXG(配列番号1)(Xは、任意のアミノ酸であり得、そしてしばしばアルギニンである)を含む、保存された活性部位システインを有する。さらにカスパーゼは、DEVD(配列番号2)切断活性(カスパーゼ−3およびカスパーゼ−7を含む)を有するもの、そしてYVAD(配列番号3)切断活性(カスパーゼ1を含む)を有するものに下位区分される(MartinおよびGreen(前出)、1995)。
本明細書中で使用される場合、用語「IAP」または「アポトーシスインヒビター」は、カスパーゼのタンパク質分解活性を阻害するタンパク質を意味することが意図される。この用語は、カスパーゼに結合する場合にカスパーゼのタンパク質分解活性を阻害するタンパク質を含み得る。この用語はまた、カスパーゼの前駆体を成熟形態に進める上流カスパーゼの能力を阻害することにより下流カスパーゼのタンパク質分解活性を阻害するタンパク質を含み得る。カスパーゼのユビキチン化および分解を誘導するタンパク質もまた、この用語中に含まれる。
抗アポトーシスタンパク質のアポトーシスインヒビター(IAP)タンパク質ファミリーのメンバーは、脊椎動物種および非脊椎動物種の両方において見出されるホモログとともに、進化にわたって保存される。バキュロウイルスIAP、Cp−IAPおよびOp−IAPは、細胞死インヒビターp35(カスパーゼに結合し、そして阻害するバキュロウイルスタンパク質)における欠損を機能的に補完する能力に基づいて同定され得たこのファミリーの最初のメンバーであった。続いて、少なくとも7個のさらなるヒトホモログ(X染色体結合IAP(XIAP、Genbank受け入れ番号U32974);細胞性IAPタンパク質(c−IAP−1/HIAP−2/hMIHBおよびc−IAP−2/HIAP−1/hMIHC(Listonら,Nature 379:349〜353(1996);Rotheら,Cell 83:1243〜1252(1995));ニューロンアポトーシス阻害性タンパク質(NAIP)(Royら,Cell 80:167〜178(1995));LIVINとしても称されるML−IAP(Vucicら,Cur.Biol.10:1359〜1366(2000)およびKasofら,J.Biol.Chem.276:3238〜3246(2001));アポロン(Apollon)(Chenら,Biochem.Biophys.Res.Commun.264:847〜854(1999));およびサービビン(survivin)(Ambrosiniら,Nature Med.3:917〜921(1997)を含む)が同定され、そしてこれが細胞死を阻害することが証明された。2つのDrosophilaホモログ(DIAP1およびDIAP2)がまた同定され、そして細胞死を阻害することが証明された(Deverauxら,Genes and Development 13:239〜252(1999))。Drosophilaにおけるプログラムされた細胞死の調節におけるIAP−ファミリータンパク質の主要な役割は、ハエにおける多数のアポトーシス誘導タンパク質(リーパ(reaper)、ヒド(hid)、およびグリム(grim)を含む)が、その細胞傷害機構の一部としてIAPに結合することを見出すことによって示唆される。他のIAPタンパク質としては、例えば、CiIAP、PoIAP、CpIAPおよびASFIAPのようなウイルス性IAPが挙げられる(Deverauxら(前出)(1999))。
本発明のIAPタンパク質としては、カスパーゼ−3またはカスパーゼ7のようなエフェクターカスパーゼの活性を阻害するもの、およびカスパーゼ−9のようなカスパーゼインヒビターを阻害するものを含む。ヒトIAP(XIAP、cIAP1、およびcIAP2)は、0.2〜10nMの範囲内のKiをともなって、カスパーゼ−3およびカスパーゼ−7に結合し、そして強力に阻害することが報告されている。これらのカスパーゼは、アポトーシスプロテアーゼカスケードの遠位部分で作動し、そしてアポトーシス開始剤としてよりエフェクターとして機能する。
全IAPファミリーメンバーの一般的な構造的特徴は、バキュロウイルスIAPリピート(BIR)と名付けられた約70個のアミノ酸モチーフであり、これは、例えば、Deverauxら、Gene and Development 13:239〜252(1999)に記載されるように、1〜3コピー中に存在する。BIRドメイン内で観察されるシステイン残基およびヒスチジン残基の存在およびその空間の保存は、この構造が亜鉛結合性ドメインを示すことを示す。BIRドメインは、異なる機能を示すことが示されている。例えば、XIAPの第2BIRドメイン(BIR2)は、カスパーゼ3のための効力のあるインヒビターであり、一方で、XIAPの第3BIRドメイン(BIR3)は、カスパーゼ−9を標的化する(Wuら,Nature 408:1008〜1012(2000)を参照のこと)。IAPのN末端部分および中心部分に局在化されたBIRモチーフに加えて、RINGフィンガードメインは、IAPタンパク質ファミリーのメンバーのC末端部分に局在化される(Birnbaumら,J.Virol.68:2521〜2528(1994))。
本明細書中で使用される場合、用語「IAP阻害カスパーゼ」は、アポトーシスタンパク質のインヒビターの存在に起因して、タンパク質分解活性から防げられるか、またはそれを抑制するシステインアスパルチル特異的プロテアーゼを意味することが意図される。この用語は、結合したアポトーシスインヒビタータンパク質に起因して活性を減少したシステインアスパルチル特異的プロテアーゼを含み得る。この用語はまた、アポトーシスインヒビタータンパク質の存在に起因して、タンパク質分解活性し得る成熟形態にプロセスされることから防げられるか、またはこれを抑制するシステインアスパルチル特異的プロテアーゼを含み得る。本発明において有用である非プロセスシステインアスパルチル特異的プロテアーゼの例は、結合したドメイン前駆体(prodomain)を有するカスパーゼ前駆体(pro−caspase)である。あるいは、本発明の組成物および方法は、ドメイン前駆体を含まないか、またはカスパーゼ前駆体でないIAP阻害カスパーゼに関し得る。
本明細書中で使用される場合、用語「抑制解除」は、IAP阻害カスパーゼに対する参照において使用される場合、IAPのカスパーゼのタンパク質分解活性を阻害する能力の減少、阻害または防止を意味することが意図される。従って、IAP阻害カスパーゼの抑制解除剤は、IAPのカスパーゼタンパク質分解活性を阻害する能力を阻害するか、または防止する分子である。この用語は、IAPのカスパーゼのユビキチン化および分解を誘導する能力の阻害または防止を含み得る。
本明細書中で使用される場合、用語「因子」は、IAP阻害カスパーゼを抑制解除し得る単純有機分子または複合体化有機分子、ペプチド、ペプチド模倣物、タンパク質あるいはオリゴヌクレオチドのような合成または単離された生物学的分子を意味する。
本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に受容可能なキャリア」は、ヒトに対して使用するために十分な純度および質を有する培体を意味することが意図される。そのような培体は、ヒトの薬学的等級であり得、無菌培体(例えば、水、リン酸ナトリウム緩衝剤、リン酸緩衝生理食塩水、正常な生理食塩水またはリンガー溶液あるいは他の生理学的緩衝生理食塩水)、または他の溶媒あるいは媒体(例えば、グリコール、グリセロール、オリーブ油のような油または注入可能な有機エステル)であり得る。薬学的に受容可能な培体は、引き続いて粒子および生物体の混入を含まない。
本明細書で使用される場合、用語「阻害」は、タンパク質活性に対する参照において使用される場合、基質に対するタンパク質の親和性を減少するか、またはタンパク質が基質を産物に転化する触媒速度を減少することによる活性の減少を意味することが意図される。例えば、この用語は、カスパーゼ基質に対するIAPの親和性の減少、ポリペプチド基質に対するカスパーゼの親和性の減少、カスパーゼがアスパラギン酸残基でポリペプチドC末端を切断する速度の減少、またはカスパーゼがユビキチン化されるか、またはタンパク質分解性分解される速度の減少を含む。
本明細書で使用される場合、用語「単離された」は、因子に対する参照において使用される場合、因子は1つ以上の試薬、前駆体または他の反応産物から分離されることを意味する。それゆえ、単離された因子は、因子を産生する合成反応または反応経路において見出される1つ以上の化合物を含まない因子である。天然において見出される1つ以上の化合物を含まない因子もまた、この用語において含まれる。単離された因子はまた、実質的に純粋な因子を含む。この用語は、コンビナトリアル化学方法によって産生され、そして化学精製または第2分子(第2分子とともに共精製されるように十分な安定性を有する)への結合による前駆体および他の産物を分離される分子を含み得る。この用語は、例えば、生合成反応の産物のような天然の因子または非天然の因子を含み得る。
本明細書で使用される場合、用語「ペプチド」とは、1つのアミノ酸のカルボキシルと別のアミノ基との間の共有結合によって連結される2つ以上アミノ酸を含む分子をいう。本発明のペプチドは、より大きな分子または因子(例えば、より大きなペプチド、タンパク質、タンパク質のフラグメント、ペプトイド、ペプチド模倣体など)中に含まれ得る。ペプチドは、非天然の分子(天然に存在しない)であり得るが、インビトロの方法の結果として産生されるか、またはcDNAライブラリーから発現されるタンパク質もしくはそれらのフラグメントのような天然の分子であり得る。ペプチドは、線状、環状または多価などのいずれかであり得、この立体配座は、当該分野で周知の方法を使用して達成され得る。この用語は、天然のタンパク新生のアミノ酸および非天然のアミノ酸(例えば、Dアミノ酸)ならびにアミノ酸アナログを有する分子を含み、これらのいずれかが、当該分野で公知の方法を使用してペプチドに取り込まれ得る。この定義に照らせば、当業者は、アミノ酸に関する本明細書中の参照は、他の点で特に示されない限り、例えば、天然のタンパク新生のLアミノ酸、Dアミノ酸、化学的に改変されたアミノ酸(例えば、アミノ酸アナログ)、天然の非タンパク新生のアミノ酸(例えば、ノルロイシン、および化学的に合成された因子)を含むことを理解する。さらに、本発明において有用な例示的アミノ酸は、以下に記載される。
本明細書中で使用される場合、用語「タンパク新生」は、アミノ酸に関する参照において使用される場合、アミノ酸が周知の代謝経路を介して細胞中のタンパク質に取り込まれ得ることを示す。このアミノ酸は、α炭素での立体配置に関する参照において、DまたはLとして示される。立体配置に関する特定の参照なしに本明細書中で言及されるアミノ酸は、α炭素でL配置を有することが理解される。タンパク新生アミノ酸は、本明細書中で、一文字コードまたは三文字コードを使用して示され、そして当該分野で使用される命名法(例えば、BrandenおよびTooze Introduction to Protein Structure、Garland Publishing、New York、6〜7頁(1991)に記載される)と一致することが意図される。他のアミノ酸は、当該分野で公知の命名法を使用して示され、ここで、pClPheとは、p−クロロ−フェニルアラニンをいい、ThiAlaとは、2−チエニルアラニンをいい、Nalとは、3−(2−ナフチル)−アラニンをいい、3I−Tyrとは、3−ヨード−チロシンをいい、Chaとは、シクロヘキシルアラニンをいい、Lys−ε−Fmocとは、リジン(ε−フルオロエニルメトキシルオキシカルボニル)をいい、そしてOEt−Tyrとは、チロシン(O−エチル)をいう。
本明細書中で使用される場合、用語「コア」は、分子の化学構造またはモチーフ、あるいはそれらの部分を意味することが意図される。化学構造またはモチーフは、例えば、ペプチドまたはペプチド含有分子のアミノ酸配列、あるいは分子内の原子の共有結合を示す化学式であり得る。この用語に含まれる化学構造またはモチーフは、さらに、キラリティについて規定され得る。コアペプチドまたは他の化学実体は、分子の中心に局在される必要はない。
本発明は、IAP阻害カスパーゼを抑制解除する単離された因子を提供する。IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子は、以下に対応するコアペプチドまたはアミノ酸配列モチーフを有し得る:
ここで、X
1は、L−TrpまたはD−Trpであり、そしてX
2は、L−ThiAlaまたはL−pClPheである。コアペプチド4に含まれる例示的コアペプチドは、例えば:
IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子は、以下に対応するコアペプチドまたはアミノ酸配列モチーフを有し得る:
ここで、X
1は、L−Ala、L−Cha、L−Nal、D−TrpまたはD−Trp(CHO)であり;X
2は、D−Nal、D−Trp、D−Trp(CHO)、L−Trp、L−Trp(CHO)、D−ChaまたはD−ThiAlaであり;X
3は、L−Trp、L−Trp(CHO)またはD−Pheであり;そしてX
4は、L−Nal、D−Nal、D−Trp、D−Trp(CHO)、L−ThiAla、L−3I−TyrまたはL−pClPheである。コアペプチド23に含まれる例示的コアペプチドは、例えば:
IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子は、以下に対応するコアペプチドまたはアミノ酸配列モチーフを有し得る:
ここで、X
1は、D−NalまたはL−ThiAlaであり;X
2は、Lys−εFmoc、D−pClPheまたはL−Nalであり;X
3は、D−Nal、L−pClPheまたはD−Lys(Fm)であり;そしてX
4は、Lys−εFmocまたはD−pFPheである。コアペプチド8に含まれる例示的コアペプチドは、例えば:
IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子は、以下に対応するコアペプチドまたはアミノ酸配列モチーフを有し得る:
ここで、X
1は、L−ThiAlaまたはPheであり;X
2は、D−pClPheまたはD−OEt−Tyrであり;X
3は、D−Nal、またはD−OEt−Tyrであり;そしてX
4は、D−pClPheまたはD−pNO
2Pheである。コアペプチド35に含まれる例示的コアペプチドは、例えば:
IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子は、以下に対応するコアペプチドまたはアミノ酸配列モチーフを有し得る:
ここで、X
1は、Met、Ser、Thr、Trp、またはThiAlaであり、そしてX
2およびX
3は、Ala、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、Tyr、D−Ala、D−Asp、D−Glu、D−Phe、D−His、D−Ile、D−Lys、D−Lue、D−Met、D−Asn、D−Pro、D−Gln、D−Arg、D−Ser、D−Thr、D−Val、D−Trp、D−Tyr、N−Nle、D−Nle、L−Cha、D−Cha、L−PyrAla、D−PyrAla、L−ThiAla、D−ThiAla、L−Tic、D−Tic、L−pClPhe、D−pClPhe、L−pIPhe、D−pIPhe、L−pNO
2Phe、D−pNO
2Phe、L−Nal、D−Nal、β−Ala、e−アミノカプロン酸、L−Met[O
2]、L−dehydPro、またはL−3I−Tyrから選択される。
IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子は、以下に対応するコアペプチドまたはアミノ酸配列モチーフを有し得る:
ここで、X
1およびX
2は、Ala、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、Tyr、D−Ala、D−Asp、D−Glu、D−Phe、D−His、D−Ile、D−Lys、D−Leu、D−Met、D−Asn、D−Pro、D−Gln、D−Arg、D−Ser、D−Thr、D−Val、D−Trp、D−Tyr、L−Nle、L−Cha、D−Cha、L−PyrAla、D−PyrAla、L−ThiAla、D−ThiAla、L−Tic、D−Tic、L−pClPhe、D−pClPhe、L−pIPhe、D−pIPhe、L−pNO
2Phe、D−pNO
2Phe、L−Nal、D−Nal、β−Ala、e−アミノカプロン酸、L−Met[O2]、L−dehydPro、またはL−3I−Tyrから選択される。
IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子は、以下に対応するコアペプチドまたはアミノ酸配列モチーフを有し得る:
ここで、X
1、X
2およびX
3は、Ala、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、CysまたはTyrから選択され、そしてX
4は、Ala、His、Lys、Asn、Gln、Arg、Ser、ThrまたはValから選択される。
IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子は、以下のいずれかに対応するコアペプチドまたはアミノ酸配列モチーフを有し得る:
ここで、X
1、X
2およびX
4は、Ala、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、CysまたはTyrから選択され、そしてX
3は、Ala、Lys、SerまたはThrから選択される。
本発明のコアペプチド配列は、分子または分子の一部のコアぺプチド配列であり得る。例えば、4つの位置を有する上述の配列は、テトラペプチド分子であり得、そして4つまたは6つの位置を有する上述の配列は、ヘキサペプチド分子であり得る。本発明のコアペプチドはまた、より大きな分子(例えば、少なくとも5個のアミノ酸、少なくとも6個のアミノ酸、少なくとも7個のアミノ酸、少なくとも8個のアミノ酸、少なくとも9個のアミノ酸、少なくとも10個のアミノ酸、少なくとも20個のアミノ酸または少なくとも25個のアミノ酸を有する分子を含む)中に含まれ得る。いくつかの実施形態において、本発明のペプチドを含む分子のアミノ酸長は、ペプチドがIAP阻害カスパーゼを抑制解除し得る限り、最大の長さ(例えば、長さが約4個以下、約5個以下、約6個以下、約7個以下、約8個以下、約9個以下、約10個以下、約20個以下、約25個以下、約50個以下、約100個以下、約150個以下、または約200個以下あるいはそれ以上の個数以下のアミノ酸を含む)によって規定され得る。本発明のコアペプチドを有する分子はまた、上述される最小および最大の長さのうちのいずれかの組み合わせによって定められたサイズ範囲内に規定され得る。
さらに、本発明は、非ペプチドベースのコア構造をを有するIAP阻害カスパーゼの効果的な抑制解除剤である因子を提供する。従って、本発明は、IAP阻害カスパーゼ抑制解除する因子を提供し、そしてこの因子は、図8において示されるTPI759のようなN−ベンジル−1,4,5−三置換−2,3−ジケトピペラジンに対応するコア構造を有する。TPI759コア構造を有する因子は、例えば、図8において示されるように、ノルロイシン、NapAla、シクロヘキシルアラニン、Lys、ノルバロイシンまたはバリンのアミノ酸側鎖基に由来するR1位置で;Leu、NapAla、Phe、IleまたはValのアミノ酸側鎖基に由来するR2位置で;そして4−イソブチル−α−メチルフェニル酢酸、3,5−ビス(トリフルオロメチル)−フェニル酢酸、ヘプタン酸、(α−α−α−トリフルオロ−m−トリル)酢酸、4−tert−ブチル−シクロへキサンカルボン酸、m−トリル酢酸、3,4−ジクロロフェニル酢酸、3,3−ジフェニルプロピオン酸、ジクロロヘキシル酢酸、シクロヘプタンカルボン酸、p−トリル酢酸またはシクロへキサン酪酸に由来する官能基によってR3位置で、置換され得る。
IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子は、図7において示されるTPI882のような、C−6−アシルアミノ二環式グアニジンに対応するコア構造を有し得る。TPI882コア構造を有する因子は、例えば、図7において示されるように、L−シクロヘキシルアラニン、D−シクロヘキシルアラニン、D−2−クロロPhe、O−エチル−D−Tyr、p−ヨード−L−Phe、p−ヨード−D−Phe、D−ホモ−Phe、L−ホモ−Phe、L−ナフチルAla、D−ナフチルAlaまたはL−4,4−ビフェニルアラニンのアミノ酸側鎖基に由来するR1位置で;2−フェニル酪酸、3−フェニル酪酸、m−トリル酢酸、3−フルオロフェニル酢酸、p−トリル酢酸、4−フルオロフェニル酢酸、3−メトキシフェニル酢酸、4−メトキシフェニル酢酸、4−エトキシフェニル酢酸、4−ビフェニル酢酸、フェニル酢酸、4−フェニル酪酸、ヘプタン酸、4−メチル吉草酸、tert−酪酸、シクロヘキシルカルボン酸、シクロヘキシル酢酸、シクロヘキシル酪酸、シクロヘプタンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、シクロペンチルカルボン酸、3−シクロペンチルプロピオン酸、シクロヘキシルプロピオン酸、4−メチル−1−シクロヘキシルカルボン酸、4−t−ブチルシクロヘキシルカルボン酸、2−ノルボルナン酢酸、1−アダマンタン酢酸、2−エチル酪酸、3,3−ジフェニルプロピオン酸またはシクロペンチル酢酸に由来する官能基によってR2位置で;そして3−フルオロフェニル酢酸、4−エトキシフェニル酢酸、4−ビフェニル酢酸または3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル酢酸に由来する官能基によってR3位置で、置換され得る。図10で示されるように、TPI882コア構造を有する因子は、フェニル酢酸に由来する官能基によってR2およびR3で、そしてL−シクロヘキシルアラニン、D−シクロヘキシルアラニン、D−p−クロロ−Phe、D−p−フルオロ−Phe、L−p−フルオロ−Phe、D−2−クロロ−Phe、O−エチル−L−Tyr、O−エチル−D−Tyr、O−メチル−D−Tyr、3,5−ジヨード−TyrまたはL−ナフチルAlaのアミノ酸側鎖基に由来するR1で;Pheのアミノ酸側鎖によってR1で;フェニル酢酸に由来する官能基によってR3で、そしてp−トリル酢酸、4−フルオロフェニル酢酸、3−メトキシフェニル酢酸、4−メトキシフェニル酢酸、4−エトキシフェニル酢酸、4−ビフェニル酢酸、フェニル酢酸、4−フェニル酪酸、ヘプタン酸、3−メチル吉草酸または4−メチル吉草酸に由来する官能基によってR2で;あるいは、Pheのアミノ酸側鎖によってR1で;フェニル酢酸に由来する官能基によってR2で;そして4−ビフェニル酢酸、シクロへキサンカルボン酸、シクロヘキシル酢酸、シクロヘキシル酪酸、シクロペンタンカルボン酸、3−シクロペンチルプロピオン酸または3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル酢酸に由来する官能基によってR3で、置換され得る。
IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子は、図6において示されるように、TPI927のようなポリフェニルウレアに対応するコア構造を有し得る。図6において示されるように、TPI927コア構造を有する因子は、例えば、D−Lys(Me)、L−3−(2Nap)Ala、D−Chala、L−Phe、Pro、LeuまたはSerのアミノ酸側鎖基に由来するR1位置で;ε−Lys、L−Nle、D−Phe、Pro、D−Orn(Me)、Gln、L−3−(2−Nap)AlaまたはD−Thrのアミノ酸側鎖基に由来するR2位置で;そして4−メトキシフェニル酢酸、1−アダマンタン酢酸、シクロへキサン酪酸、4−tert−ブチルシクロヘキサンカルボン酸、シクロヘプタンカルボン酸、3−フルオロフェニル酢酸、3,3−ジフェニルプロピオン酸、4−エトキシフェニル酢酸、1−フェニル−1−シクロプロパンカルボン酸、1−ナフチル酢酸、またはシクロブタンカルボン酸に由来する官能基によってR3位置で、置換され得る。図9において示されるように、TPI927コア構造を有する因子は、Pheのアミノ酸側鎖基によってR1およびR2で、そしてトリメチル酢酸、ヒドロ桂皮酸、4−tert−ブチルシクロヘキサンカルボン酸、4−メチル−1−シクロへキサンカルボン酸、シクロペンチル酢酸、1−フェニル−1−シクロプロパンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、フェニル酢酸、シクロヘプタンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、シクロヘキサン酪酸、1−アダマンタン酢酸、シクロペンタンカルボン酸、イソ酪酸、シクロヘキシル酢酸;3−メトキシフェニル酢酸、酪酸、3−(3,4,5)−トリメトキシフェニルプロピオン酸;ヘプタン酸;2−ノルボルナン酢酸、シクロヘキサンプロピオン酸、tert−酪酸、4−エトキシフェニル酢酸、3,3−ジフェニルプロピオン酸、4−メトキシフェニル酢酸、酢酸、メチル吉草酸p−トリル酢酸または4−イソブチル−α−メチルフェニル酢酸に由来する官能基によってR3で、置換され得る。
IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子は、図4において示されるように、TP914のようなN−アシルトリアミンに対応するコア構造を有し得る。TPI914コア構造を有する因子は、図4において示されるように、例えば、Nap−Alaまたは4−フルオロ−フェニルアラニンのアミノ酸側鎖基に由来するR1位置で;L−Trp、Nap−Ala、D−Trp、4−クロロフェニルアラニン、D−シクロヘキシルアラニンまたはTyrのアミノ酸側鎖基に由来するR2位置で;および4−ビニル安息香酸、4−エチル−4−ビフェニルカルボン酸、3,5−ビス(トリフルオロメチル)−フェニル酢酸、4−ビフェニルカルボン酸、4−ビフェニル酢酸または3,5−ビス−(トリフルオロメチル)−安息香酸に由来する官能基によってR3で、置換され得る。TPI914コア構造を有する因子は、それぞれ図5において示されるように、Leuのアミノ酸側鎖基に由来する官能基によってR1で、D−Trpのアミノ酸側鎖基に由来する官能基によってR2で、そしてメチルを有するR3で;Leuのアミノ酸側鎖基に由来する官能基によってR1で、Pheのアミノ酸側鎖基に由来する官能基によってR2で、そして3,5−ビス(トリフルオロメチル)−フェニル酢酸に由来する官能基によってR3で;Leuのアミノ酸側鎖基に由来する官能基によってR1で、Pheのアミノ酸側鎖基に由来する官能基によってR2で、および4−ビニル安息香酸に由来する官能基によってR3で;またはLeuのアミノ酸側鎖基に由来する官能基によってR1で、Pheのアミノ酸側鎖基に由来する官能基によってR2で、そして4−エチル−4−ビフェニルカルボン酸に由来する官能基によってR3で置換され得る。
当業者は、TPI914、TPI927、TPI759またはTPI882のコア構造を有するライブラリーが、1つ以上の位置でコンビナトリアル化(combinatorialize)され得ることを認識する。コンビナトリアル化された位置とは、その位置でコンビナトリアル化された分子のライブラリーが、その位置での化学的構造が異なる分子の混合物であるように、異なる部分によって種々に置換されている位置をいう。そのようなライブラリーは、例えば、実施例VIにおいて記載されるようなポジショナルスキャニングを利用するスクリーンニングにおいて、IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子を同定するために使用され得る。従って、R1位置、R2位置またはR3位置のいずれか1つは、別個の部分に対して固定されたままであり得る一方で、残りの2つの位置はコンビナトリアル化され、それゆえ位置の固定化をベースにしたサブライブラリーを生成する。そのうえ、コンビナトリアル化され得るか、または不変に保たれ得るコア構造に対してさらなる位置を付加し得る一方で、1つ以上の他の位置がコンビナトリアル化される。従って、異なるライブラリーまたはより多様なライブラリーが、特定のコア構造またはIAP阻害カスパーゼを抑制解除し得るとしてライブラリーから同定された種に基づいて、創られ得る。
当業者は、TPI914、TPI927、TPI759またはTPI882に対応するコア構造を有する本発明の因子が、さらに、ペプチド部分のような1つ以上の結合部分を含み得ることを理解する。結合部分がTPI914、TPI927、TPI759またはTPI882に対応する1つ以上のコア構造;上述される配列を有するコアペプチド;または1つ以上のこれらのコア構造およびコアペプチドの組み合わせであり得る場合、本発明の因子は、上述されるように多価であり得る。
IAP阻害カスパーゼを抑制解除し得る因子(ペプチドコア構造に基づこうと、非ペプチドコア構造に基づこうと)は、生物学的タンパク質において天然に存在することが公知である部分を含み得る。タンパク質の部分である場合、そのような部分は、一般的にアミノ酸R基として称される。これらのR基は、種々の物理的または化学的特性によって特徴付けられ得る。例として必須アミノ酸を取り上げた場合、Gly、Ala、Val、Leu、またはIleに見出されるR基は、非極性であるという特徴を有する;極性R基としては、Cysのスルフヒドリル部分、Metのチオエーテル、SerおよびThrのヒドロキシル部分、ならびにAsnおよびGlnのアミド部分が挙げられる;AspおよびGluは、カルボン酸部分の存在に起因して、極性の酸性基として特徴付けられる;極性の塩基性R基としては、アミノ部分を有するLys、グアニジノ部分を有するArgおよび第二級アミンを有するイミダゾールを有するHisが挙げられる;そしてPhe、Trp、Tyr、およびHisは、フェニル環またはヘテロ環式環の存在に起因して、芳香族アミノ酸として特徴付けられる。本発明の因子は、1つ以上のこれらの部分または特徴を含み得、それによって、この因子を、IAP阻害カスパーゼを抑制解除させ得るようにする。
存在する場合、この因子を、IAP阻害カスパーゼを抑制解除させ得るようにする他の部分または部分の組み合わせによって、本発明の因子は、記載または特徴付けされ得る。本発明の因子中に存在し得る種々の部分についての定義は、以下に示される。
本明細書中で使用される場合、用語「アルキル」は、単独または組み合わせで、飽和性の、直鎖または分枝鎖の炭化水素部分(1個〜10個、好ましくは1個〜6個、そしてより好ましくは1個〜4個の炭素原子を含む)をいう。そのような部分の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソ−アミル、ヘキシル、デシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
用語「アルケン」は、単独または組み合わせで、合計2個〜10個、好ましくは2個〜6個、そしてより好ましくは2個〜4個の炭素原子において、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素部分をいう。そのような部分の例としては、エチル、E−プロペニルおよびZ−プロペニル、イソプロペニル、E−ブテニルおよびZ−ブテニル、E−イソブテニルおよびZ−イソブテニル、E−ペンテニルおよびZ−ペンテニル、デセニル、メチリデン(=CH2)、エチリデン(−CH=CH−)、プロピリデン(−CH2−CH=CH−)などが挙げられるが、これらに限定されない。
用語「アルキン」は、単独または組み合わせで、合計2個〜10個、好ましくは2個〜6個、そしてより好ましくは2個〜4個の炭素原子において、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素部分をいう。そのような部分の例としては、エチニル(アセチレニル)、プロピニル(プロパルギル)、ブチニル、ヘキシニル、デシニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
用語「シクロアルキル」は、単独または組み合わせで、炭素原子の飽和性の環状整列(3個〜8個、そして好ましくは3個〜6個の炭素原子を数える)をいう。そのようなシクロアルキル部分の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
用語「アリール」とは、フェニル、ナフチル、インデニル(indenyl)、インダニル(indanyl)、アズレニル(azulenyl)、フルオロレニル、およびアンスラセニルからなる群から選択される炭素環(全体が炭素および水素からなる)芳香族基;または、フリル、チエニル、ピリジル、ピロリル、オキサゾリル(oxazolyly)、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、2−ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、1,3,5−トリチアニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フラニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾ[b]チオフェニル、1H−インダゾリル、ベンズムイミダゾリル、ベンズチアゾイル、プリニル、4H−キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル(phthalazinyl)、キナゾリニル、キノキサリニル、1,8−ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、およびフェノキサジニルからなる群から選択されるヘテロ環芳香族基をいう。
本明細書中で定義されるように、「アリール」基は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シアノ、カルボキシ、カルボアルコキシ、1,2−ジオキシエチレン、アルコキシ、アルケノキシまたはアルキノキシ、アルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、脂肪族アシルもしくは芳香族アシル、アルコキシ−カルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ、チオモルホリノカルボニルアミノ、N−アルキルグアニジノ、アラルキルアミノスルホニル;アラルコキシアルキル;N−アラルコキシウレア;N−ヒドロキシウレア;N−アルケニルウレア;N,N−(アルキル、ヒドロキシル)ウレア;ヘテロシクリル;チオアリールオキシ置換アリール;N,N−(アリール、アルキル)ヒドラジノ;Ar’置換スルホニルヘテロシクリル;アラルキル置換へテロシクリル;シクロアルキルおよびシクロアケニル置換ヘテロシクリル;シクロアルキル縮合アリール;アリールオキシ置換アルキル;ヘテロシクリルアミノ;脂肪族または芳香族アシルアミノカルボニル;脂肪族または芳香族アシル置換アルケニル;Ar’置換アミノカルボニロキシ;Ar’、Ar’二置換アリール;脂肪族または芳香族アシル置換アシル;シクロアルキルカルボニルアルキル;シクロアルキル置換アミノ;アリールオキシカルボニルアルキル;ホスホロジアミジル酸またはエステルからなる群から独立して選択される1個〜4個の置換基を独立して含み得る。
「Ar’」は、上で定義されるような炭素環またはヘテロ環アリール基(水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、1,2−ジオキシメチレン、1,2ージオキシエチレン、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アルキルアミノ、アルケニルアミノまたはアルキニルアミノ、アルキルカルボニロキシ、脂肪族または芳香族アシル、アルキルカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アルキルスルフォニルアミノ、N−アルキルまたはN,N−ジアルキルウレアからなる群から選択される1個〜3個の置換基を有する)である。
用語「アルコキシ」とは、単独または組み合わせで、アルキルエーテル部分をいい、ここで、用語「アルキル」は上で定義された通りである。適切なアルキルエーテル部分の例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、イソ−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
用語「アルケノキシ」とは、単独または組み合わせで、式アルケニル−O−の部分をいい、ここで、用語「アルケニル」は、上で定義された通りである。適切なアルケノキシ部分の例としては、アリールオキシ、E−およびZ−3−メチル−2−プロペノキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
用語「チオアルコキシ」とは、式アルキル−S−のチオエーテル部分をいい、ここでアルキルは、上で定義された通りである。
用語「アルキルアミノ」とは、単独または組み合わせで、モノ−またはジアルキル置換アミノ基(例えば、式アルキル−NH−または(アルキル)2−N−の基)をいい、ここで、用語「アルキル」は、上で定義された通りである。適切なアルキルアミノ部分の例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、t−ブチルアミノ、N,N−ジエチルアミノなどが挙げられるが、これらに限定されない。
用語「アミド」とは、−N(R1)−C(=O)−または−C(=O)−N(R1)のいずれかをいい、ここで、(R1)は、本明細書中で水素および他の基を含むように定義される。用語「置換アミド」とは、(R1)が水素でない状態をいい、用語「非置換アミド」とは、(R1)は水素である状態をいう。
用語「アリールオキシ」とは、単独または組み合わせで、式アリール−O−の部分をいい、ここで、アリールは、上で定義された通りである。アリールオキシ部分の例としては、フェノキシ、ナフトキシ、ピリジルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
用語「アリールアミノ」とは、単独または組み合わせで、式アリール−NH−の部分をいい、ここで、アリールは上で定義された通りである。アリールアミノ部分の例としては、フェニルアミノ(アニリド)、ナフチルアミノ、2−、3−および4−ピリジルアミノが挙げられるが、これらに限定されない。
用語「アリール縮合シクロアルキル」とは、単独または組み合わせで、2つの近接の原子をアリール部分と共有するシクロアルキルをいい、ここで、用語「シクロアルキル」および「アリール」は上で定義された通りである。アリール縮合シクロアルキル部分の例は、ベンゼン縮合シクロブチル基である。
用語「アルキルカルボニルアミノ」とは、単独または組み合わせで、式アルキル−CONHの部分をいい、ここで用語「アルキル」は、上で定義された通りである。
用語「アルコキシカルボニルアミノ」とは、単独または組み合わせで、式アルキル−OCONH−の部分をいい、ここで用語「アルキル」は、上で定義された通りである。
用語「アルキルスルホニルアミノ」とは、単独または組み合わせで、式アルキル−SO2NH−の部分をいい、ここで用語「アルキル」は、上で定義された通りである。
用語「アリールスルホニルアミノ」とは、単独または組み合わせで、式アルキル−SO2NH−の部分をいい、ここで用語「アリール」は、上で定義された通りである。
用語「N−アルキルウレア」とは、単独または組み合わせで、式アルキル−NH−CO−NH−の部分をいい、ここで用語「アルキル」は、上で定義された通りである。
用語「N−アリールウレア」とは、単独または組み合わせで、式アリール−NH−CO−NH−の部分をいい、ここで用語「アルキル」は、上で定義された通りである。
用語「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、ホウ素およびヨードを意味する。
上の定義に照らせば、この明細書を通して使用される他の化学的用語は、当業者によって容易に理解され得る。用語は、単独または組み合わせで使用することで、認知された化学命名法に従って部分の組み合わせを記載する。
本発明の因子は、予測可能な部分または特徴を有する産物を生じることが周知の因子および条件を使用して合成され得る。例えば、ペプチドは、比較的低コストで多数で合成され得、そしてそれらは、多様な特性を示すように容易に改変され得る(例えば、Reesら、Protein Engineering:A Practical Approach(IRL Press 1992)を参照のこと)。IAP阻害カスパーゼのペプチド性抑制解除剤は、固相ペプチド合成方法の改変(Merrifield(J.Am.Chem.Soc.,85:2149(1964);1986年12月23日に発行されたHoughten、米国特許第4,631,211号)または当該分野で周知の標準的溶液方法(例えば、Bodanszky,M.,Principles of Peptide Synthesis 第2編(Springer−Verlag,1988および1993(前出))を参照のこと)を使用して合成され得る。Merrifieldの方法によって調製されたペプチドは、自動ペプチド合成機(例えば、Applied Biosystems 431A−01 Peptide Synthesizer(Mountain View、CA)または手作業のペプチド合成方法(Houghten(前出),1986)を使用して合成され得る。
さらに、以下に記載されるような組み合わせ方法は、IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子を作るために使用され得る。ライブラリーは、特定の部分(例えば、上で定義されたもの、または以下で示される実施例において記載されるもの)を持つ候補因子を有するように合成され得る。さらに、合成条件は、本明細書中で記載される1つ以上の部分において固有な特定の特徴(例えば、アミノ酸R基について上述された特徴)を有する候補化合物のライブラリーを産生するために選択され得る。例えば、ライブラリーは、SMAC(天然に存在するIAPインヒビター)の特徴を有するように合成され得る。SMACのN末端領域は、IAPへの結合およびIAPの阻害を媒介することが示されている(Srinivasulaら,Nature 410:112〜116(2001),Wuら,Nature 408:1008〜1012(2000),Liuら,Nature 408:1004〜1008(2000)を参照のこと)。従って、このN末端ドメインは、反応物および条件が、ライブラリーにおける候補因子に類似の部分および特徴を選択的に組み込むために選択されるようなライブラリー合成を導くために使用され得る。類似のストラテジーが、本明細書中に記載の因子を使用して用いられ得るか、または本発明の方法によって同定され得、ここで、ライブラリーは、特定の因子において見出されるか、または複数の因子に共通の特徴または部分を選択的に含むよう作られる。そのように設計されたストラテジーは、効果的なIAP阻害カスパーゼの抑制解除剤が同定される確率を増加させる。
IAP阻害カスパーゼを抑制解除し得る本発明の因子は、スクリーニングにおいて同定され得るか、またはそうでなければ、本明細書中で記載された種々の機能的特性のいずれかによって特徴付けられる。1つの実施形態において、IAP阻害カスパーゼの抑制解除剤が同定されるか、またはそうでなければ、IAPの存在下においてカスパーゼの活性を可能にする能力に基づいて特徴付けられる。例えば、本発明の化合物の効果は、本発明の因子の存在下および非存在下におけるIAP阻害カスパーゼに対するカスパーゼ活性の比率によって決定され得る。
IAP阻害カスパーゼを抑制解除する化合物を同定するための例示的なアッセイは、実施例1において提供され、そしてそのような抑制解除化合物を同定するためのアッセイの使用は、実施例I〜VIにおいて証明される。以下の実施例においてで記載されるように、IAP阻害カスパーゼのための因子の存在下および非存在下におけるVmaxの比率(少なくとも約1.7である)は、アッセイ条件に依存して、IAP阻害カスパーゼの効果的な抑制解除剤であることを示す。当業者は、効果を示すこの比率についての値は、使用される因子の濃度および因子のIC50に依存することを理解する。従って、より高濃度の因子が使用される場合、因子の存在下および非存在下におけるVmaxの比率についての閾値は、少なくとも約2、少なくとも約2.5、少なくとも約3、または少なくとも約4であり得るか、あるいはより高くあり得る。より低濃度の因子が使用される場合、この比率は、少なくとも約1.5、少なくとも約1.3、少なくとも1.0と同じほど低くあり得るか、またはより低くあり得る。従って、アッセイ中に存在するIAPに対する因子の相対量(例えば、IAP当たり1モル濃度当量、IAP当たり2モル濃度当量、IAP当たり5モル濃度当量、IAP当たり10モル濃度当量またはIAP当たり50モル濃度当量、あるいはより高量)との組み合わせで、比率を表すことが理解され得る。
IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子はまた、例えば結合アッセイにおいて、IAPに対する親和性またはそれらのカスパーゼ結合フラグメントに対するそ親和性によって決定され得る。IAPの機能フラグメント、カスパーゼまたは両方が、結合アッセイにおいて、IAP阻害カスパーゼの抑制解除剤を同定するために使用され得ることが理解される。望ましくは、結合アッセイを使用して決定されるIAPに対する因子の親和性は、平衡解離定数(Kd)または平衡結合定数(Ka)によって定量され得る。IAP阻害カスパーゼ抑制解除因子は、マイクロモル濃度の範囲(例えば、約1×10−6M、1×10−7M、または1×10−8M未満を含む)にあるKdを有する因子として同定され得る。より高い親和性因子(約1×10−9M、1×10−10M、1×10−11M未満のKdのようなナノモル濃度の範囲の親和性を有する因子を含む)がまた、同定され得る。本発明の因子はまた、ピコモル濃度の親和性(例えば、1×10−12M未満であるKdを含む)を有し得る。
あるいは、IAP阻害カスパーゼを抑制解除に対する因子の効果は、IAPとカスパーゼとの間の結合の阻害(例えば、阻害結合アッセイ)に基づいて決定され得る。IAPの機能的フラグメント、カスパーゼまたは両方が、阻害結合アッセイにおいて使用され得ることが理解される。あるいは、IAP阻害カスパーゼの抑制解除剤は、IAPと別のインヒビター(例えば、SMAC)との間の結合を阻害する能力に基づいて同定され得る。SMACへのIAP結合の阻害を決定するための例示的なアッセイは、実施例VIIにおいて提供される。望ましくは、阻害は、平衡阻害定数(例えば、Ki)によって定量化され得る。Kiに関する値は、本明細書中で記載されるような、漸増濃度の因子および各結合パートナーの固定濃度をもって抑制解除アッセイを実行することによって決定され得る。結合または阻害は、上述される平衡定数を、Segel、Enzyme Kinetics John Wiley and Sons、New York(1975)において記載されるような周知の運動分析を使用して決定するために分析され得る。IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子は、マイクロモル濃度、ナノモル濃度またはピコモル濃度範囲(例えば、Kdに関して上述される範囲および値)にあるKiを有するものとして同定され得る。
従って、本発明は、因子(本発明のコアペプチドまたはコア構造(例えば、上述されたコア構造を含む)を有する因子)に結合したIAPを有する複合体を提供する。複合体は、通常IAPとともに天然に生じる少なくとも1つの他の細胞成分から分離され得る。例えば、複合体は、通常IAPとともに天然に生じる他の細胞成分が実質的に無い精製された状態であり得る。複合体はまた、通常IAPを発現しない組換え細胞中に生じ得る。
本発明はさらに、IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子と結合する部分を含む結合体を提供する。本発明の結合体は、因子を特定の細胞に対して標的化させるために、あるいはIAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子の安定性または生物学的半減期を増加するために有用な部分を含み得る。例えば、部分は、特定の抗体、それらの機能性フラグメント、またはアポトーシスを促進することが望ましい特定の細胞(例えば、腫瘍細胞)に対する特異性を有する他の結合性ポリペプチドであり得る。因子を、IAP阻害カスパーゼが抑制解除され得る細胞に対して標的化させ得る任意の部分は、結合体として使用され得る。
IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子の結合体はまた、因子を、細胞の細胞質ゾルに導入し得るか、またはそうでなければ細胞膜を通る因子の通過を助成し得る部分であり得る。因子は、例えば異種標的ドメインによって、または脂質ベースのキャリアを使用して細胞へ導入され得る。従って、本発明は、IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子の細胞質送達を提供する。
部分はまた、チャンバー式マイクロデバイス、細胞、リポソームまたはウイルスなどの安定性、またはそうでなければIAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子の投与に有利な特性を提供する薬物送達ビヒフルであり得る。一般的に、そのようなマイクロデバイスは、非毒性であるべきであり、そして望ましくは、生体分解性であるべきである。因子を含み得る種々の部分(マイクロカプセルを含む)および部分(チャンバー式マイクロデバイスを含む)を治療因子に結合するための方法は当該分野において周知であり、そして市販されている(例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」第18編(Mack Publishing Co.1990)、第89〜91章;HarlowおよびLane、Antibodies:Alaboratory manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press 1988)を参照のこと;また、Hermanson(前出)、1996を参照のこと)。
さらに、IAP阻害カスパーゼ抑制解除処方物は、化合物の徐放性を可能にする生体分解性ポリマー(薬物送達が所望される付近に(例えば、腫瘍部位に)移植されるポリマー)に組み込まれ得るか、または移植され得、その結果、薬物は経時的に全身に放出される。浸透性のミニポンプはまた、カニューレを介した目的の部位に対する特定の濃度のIAP阻害カスパーゼ種の抑制解除剤および処方物の制御化送達(例えば、腫瘍成長または腫瘍の血管供給へ直接)を提供するために使用され得る。生体分解性ポリマーおよびその使用は、例えば、Bremら、J.Neurosurg.74:441〜446(1991)において詳細に記載される。
本発明の結合体は、標識である部分を含み得る。IAPおよび/またはカスパーゼに結合する標識化因子は、IAPおよび/またはカスパーゼの細胞下局在を同定するために、あるいは以前に同定されてなかったIAPまたはカスパーゼを同定するために使用され得る。IAPおよび/またはカスパーゼに結合する標識化因子はまた、IAPおよび/またはカスパーゼと相互作用する他の分子を同定するために使用され得る。以下にさらに記載されるように、そのような結合競合アッセイは、IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子を同定するために使用され得る。部分として組み込まれ得る標識としては、例えば、フルオロフォア(fluorophore)、クロモフォア(chromophore)、常磁性スピン標識、放射性ヌクレオチドまたは検出され得る別の分子に対する特異性を有する結合基が挙げられる。
本発明の標識化因子は、IAP阻害カスパーゼによってアポトーシスが阻害される組織内の細胞を同定するために有用であり得る。従って、この標識化因子は、IAP阻害カスパーゼの抑制解除剤の投与がアポトーシスの発生を可能にする細胞を同定するための診断方法において使用され得る。この方法は、本発明の標識化因子を組織に投与するステップおよび標識化因子を組み込む1つ以上の細胞を同定するステップを包含し得る。標識化因子は、上述されるようなインビボ送達のための方法を使用して投与され得る。診断方法は、種々の解決法で使用され得る。例えば、この方法は、因子によって標識された細胞を含む組織を同定するために実行され得る。あるいは、より高度な解決方法としては、IAP阻害カスパーゼの存在下で標識される組織内の特定細胞または細胞型を同定するために使用され得る。診断方法は、IAP阻害カスパーゼ抑制解除の投与が非標識化細胞からアポトーシスを発生させる細胞を識別するために使用され得ることに起因して、この方法は、本発明の治療方法において使用するための標的結合体または送達結合体の選択における基準として有用であり得る。
標識化因子が、注射または組織を標識化因子を含む溶液中に浸すことによって投与され得る場合、診断方法は、インビトロで実行され得る。ここでも、この方法は、IAP阻害カスパーゼを有する細胞と、この方法ではアポトーシスを阻害しないものとを組織内で区別するために十分な分解能で使用され得る。そのような分解は、例えば、顕微鏡ベースの技術の使用によって達成され得る。さらなる分解は、IAP阻害カスパーゼの細胞下局在化を提供する。細胞下局在化は、適切な細胞質ゾル送達結合体を決定するために、または研究中の特定の組織または細胞におけるアポトーシスの役割をさらに同定するために使用され得る。
本発明はまた、IAP阻害カスパーゼおよび薬学的キャリアの抑制解除剤を含む薬学的組成物を提供する。そのような組成物は、アポトーシスの病的に減少したレベルによって特徴付けられる病的状態の重症性を阻害するか、処置するかまたは減少するような本発明のアポトーシス促進方法において使用され得る。例えば、IAP阻害カスパーゼの抑制解除剤は、薬学的に受容可能な培体とともに溶液または懸濁液として投与され得る。
IAP阻害カスパーゼの抑制解除処方物としては、皮下、腹腔内、筋内、静脈内、皮内、頭蓋内、気管内、および硬膜投与のような非経口投与に適用可能なものが挙げられる。同様に、経口投与、直腸投与、眼(ガラス体またはレンズ)投与、鼻投与、局所(頬および舌下)投与、子宮内投与、または膣投与に適用可能なものが挙げられる。IAP阻害カスパーゼ処方物の抑制解除剤は、単回用量形態で存在し得、そして当業者に周知の薬学的技術によって調製され得る。そのような技術は、活性成分および薬学的なキャリアまたは賦形剤との関連を導く工程を包含する。
経口投与に適切な処方物としては、上述される薬学的に受容可能な培体のような水性および非水性無菌注射溶液が挙げられる。溶液は、さらに、例えば、抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬および処方物を意図されたレシピエントの血液と等張性にする溶質が挙げられる。他の処方物としては、例えば、懸濁剤および濃化剤を含み得る水性および非水性無菌懸濁液が挙げられる。処方物は、単回用量(unit−does)または複数用量(multi−does)コンテナー(例えば、封鎖性アンプルおよびバイアル)において存在し得、そして例えば、使用直前に無菌の液体キャリアの添加を必要とする凍結乾燥状態で保存され得る。即時注射溶液および懸濁剤は、以前記載された種の無菌粉末、顆粒および錠剤から調製され得る。
薬学的に受容可能な培体は、さらに、例えば、IAP阻害カスパーゼ因子の抑制解除剤を安定にするように作用する生理学的に受容可能な化合物を含み得る。そのような生理学的に受容可能な化合物としては、例えば、グルコース、ショ糖またはデキストランのような炭水化物;アスコルビン酸またはグルタチオンのような抗酸化剤;微生物の膜を破壊するEDTAのようなキレート剤;カルシウムまたはマグネシウムのような二価の金属イオン;低分子量のタンパク質;脂質またはリポソーム;あるいは他の安定化剤または賦形剤が挙げられる。以前に記載されるように、IAP阻害カスパーゼの抑制解除処方物はまた、生体分解性ポリマーのような薬学的に受容可能な培体で処方され得る。上述される薬学的キャリアおよび培体の全ては、当該分野において、それらがヒトにおいて使用するために十分な純度および質であり、研究等級の処方物における相当する試薬と区別可能であることを意味する薬学的等級と呼ばれるものであり得る。
本発明はまた、IAP阻害カスパーゼの抑制解除剤および治療活性を有する分子を含む組成物を提供する。本発明の抑制解除剤とともに含まれる分子は、アポトーシスの病的に減少したレベルによって特徴付けられる状態に対して活性を有する化合物であり得る。例えば、化合物は、癌に対する活性を有し得る。前立腺癌に対して活性を有し、そして本発明の抑制解除化合物との組み合わせで使用され得る例示的な化合物は、VP−16(エトポシド)である。実施例Xの結果によって証明され得るように、TPI792−33またはTPI792−35のいずれかとともにVP−16を投与することは、これらの化合物のいずれか単独よりも癌細胞の殺傷に関してより効力のある効果を有した。
他の抗癌剤はまた、IAP阻害カスパーゼの抑制解除剤との組み合わせで使用され得、この抗癌剤としては、メクロレタミン、クロラムブシル、シクロフォスファミド、メルファラン、イホスファミド(ifosfamide)のようなアルキル化剤;メトトレキサート、6−メルカプトプリン、5−フルオロウラシルまたはシタラビンのような抗代謝産物;Rituxan、Herceptin、またはMabTheraのような抗体;ビンブラスチンまたはビンクリスチン、あるいはエトポシドのような植物アルカロイド;ドクソルビシン、ダウノマイシン、ブレオマイシン、またはマイトマイシンのような抗生物質;カルムスチンまたはロムスチンのようなニトロ素尿素類;シスプラチンのような無機イオン;インターフェロンのような生物学的応答改変体;アスパラギナーゼのような酵素;あるいはタモキシフェンまたはフルタミドのようなホルモンが挙げられるが、これらに限定されない。これらの、および他の抗癌性化合物は、当該分野において公知であり、そして薬学的な使用に適切な処方物は、例えば、The Merck Manual 第16編、Merck Res.Labs.、Rahway N.J.(1992)において記載されるように公知である。
本発明はさらに、IAP阻害カスパーゼの抑制解除剤として活性を有する本発明の少なくとも1つの化合物および治療活性を有する第2の化合物を含むキットを提供する。キットに含まれ得る本発明の化合物としては、例えば、コアペプチド4〜39および42〜55からなる群から選択されるコアペプチドを有するか、または図5、9、10、14B,および21〜24において示される構造のいずれかから選択されるコア構造を有する化合物が挙げられ、ここで、この化合物は、IAP阻害カスパーゼを抑制解除する。そのようなキットは、例えば、アポトーシスが減少したレベルによって特徴付けられる状態の処置において有用である。例えば、VP−16をTPI792−33またはTPI792−35とともに含むキットは、前立腺癌を処置するために使用され得る。
化合物が、各化合物の少なくとも1回の投与に続く治療効果を有するために十分な量で提供される限り、適切なキットは、別個にパッケージされた処方物としてまたは混合処方物において化合物を含む。処方物は、上述されるもののいずれかであり得るか、またはそうでなければ、特定の化合物および投与様式のために適切であることが公知のもののいずれかであり得る。
本発明のキットの中身は、好ましくは無菌の混入の無い環境を提出するために、パッケージ品または他の適切な物理的構造において保存される。さらに、このパッケージ品は、病的なアポトーシスのレベルの減少によって特徴付けられる状態の処置のために、どのようにキット内の物質が投与され得るかを示す指示書を含む。使用のための指示書は、代表的に、投与経路、必要ならば、投与のための処方物を調製するための方法を示す具体的な表現を含む。この指示書はまた、キットの中身の使用による潜在的な効果の同定またはキットの中身の不適切な使用に関する警告を含み得る。
本発明は、IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子を同定する方法を提供する。この方法は、(a)IAPおよびカスパーゼを、IAP阻害カスパーゼを抑制解除し得ることが予測される因子と接触させる工程(ここで、カスパーゼはIAPによって阻害されるIAP阻害カスパーゼであり、ここで、この接触はIAPの非存在下でのカスパーゼ活性を可能にする条件下で生じる);そして(b)IAP阻害カスパーゼの抑制解除を検出する工程を包含する。
IAP阻害カスパーゼの抑制解除は、例えば、タンパク質分解活性を含むIAP阻害カスパーゼ活性における増加として検出され得る。タンパク質分解活性は、特異的な基質を使用するインビトロアッセイにおいて測定され得る。例えば、連続蛍光比色アッセイは、C末端のアミノメチルクマリンで誘導体化されたDEVD(配列番号2)、C末端のアミノメチルクマリンで誘導体化されたYVAD(配列番号)(Try−Val−Ala−Asp−アミノメチルクマリン)に由来する7−アミノ−4−トリフルオロメチル−クマリン(AFC)またはカルボベンゾキシ−Glu−Val−Asp−アミノメチルクマリンのいずれかの放出に引き続く加水分解速度;または米国特許番号第6,228,603 B1号において記載されるように、類似のペプチド(pNAで標識された)からのp−ニトロアニリド(pNA)の放出に引き続く加水分解速度を測定するために使用され得る。
免疫ブロットまたは他のクロマトグラフィーベースのアッセイは、基質と比較して変更された分子量の産物に従って、カスパーゼによる基質のタンパク質分解を検出するために使用され得る。例えば、米国特許第6,228,603 B1号において記載されるような免疫ブロットアッセイにおいてカスパーゼ−9のような上流のイニシエーターカスパーゼのタンパク質分解活性は、プロカスパーゼ−3のような下流のエフェクタープロカスパーゼへのプロセシングに基づいて決定され得る。本発明の因子の存在および非存在におけるIAP阻害カスパーゼについてのそのようなアッセイの結果の比較は、因子の存在下でカスパーゼ活性における相対的な増加に従って、IAP阻害カスパーゼの抑制解除剤を同定するために使用され得る。
カスパーゼのタンパク質分解活性はまた、アポトーシスに特徴的な細胞または細胞の核における形態学的変化を同定することによって決定され得る。アポトーシスに特徴的なそのような変化としては、例えば、クロマチン濃縮、核断片化、細胞収縮、または細胞水胞化が挙げられ、これらは、アポトーシス体と称されるフラグメントを取り囲む小膜内で結果として生じる破損を導く。従って、IAP阻害カスパーゼの抑制解除剤である因子は、IAP阻害カスパーゼによるアポトーシスを被ることから保護される細胞に対して添加された場合に特徴的なアポトーシス変化を引き起こす能力に従って同定され得る。類似のアッセイは、クロマチン濃縮または核断片化のようなアポトーシス性変化がこの添加された因子の存在および非存在において区別され得る限り、そのような細胞に由来する無細胞抽出物に対して実行され得る。
IAP阻害カスパーゼの抑制解除はまた、IAPカスパーゼ種の分解として検出され得る。IAP阻害カスパーゼは、当該分野で公知の結合アッセイを使用して関連するIAPを有するカスパーゼとして同定され得る。そのような複合体は、例えば、非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動、サイズ排除クロマトグラフィー、または分析遠心分離を使用する分子量またはサイズに従って同定され得る。IAPカスパーゼ複合体はまた、共沈殿析出技術を使用して同定され得る。例えば、IAPカスパーゼ複合体は、抗体の、両方のパートナーと共沈殿するが、一方または他方単独とは共沈殿しない能力に起因して同定され得る。同様に、組換えDNA方法によって改変される場合、IAPまたはカスパーゼのいずれかが、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(Amersham Pharmacia;Piscataway、NJ)(グルタチオンビーズとともに沈殿され得る);ポリヒスチジンタグ(Qiagen ;Chatsworth、CA)(ニッケルNTAセファロースとともに沈殿され得る);フラッグペプチド(Sigma;St Louis、MO)のような抗体エピトープ(免疫沈降され得る)のような親和性タグ;または他の公知の親和性タグを組み込む技術が使用され得る。IAPカスパーゼ複合体形成を防止する、またはそうでなければ、複合体の分離を引き起こす因子は、そのようなアッセイにおいてIAP阻害カスパーゼの抑制解除剤として同定され得る。
カスパーゼは、プロカスパーゼと称される前駆体ポリペプチドとして細胞内に存在する。カスパーゼの活性化は、プロカスパーゼのタンパク質分解プロセッシングに起因して生じる。例えば、カスパーゼ−3は、32kDaのポリペプチド前駆体(プロカスパーゼ−3)のタンパク質分解によって形成される、おおよそ17〜20kDaのポリペプチドおよび11kDaのポリペプチドからなるヘテロテトラマーである。プロカスパーゼ−3の切断は、2つの工程で進行する。第1の切断は、以前としてプロドメインを含む部分的にプロセシングされた大きいサブユニット(22〜24kDa)およびより小さくて十分にプロセシングされた約11kDaのサブユニットを産生する。第2の工程において、このプロドメインは、おそらく自己触媒反応工程によってカスパーゼ−3酵素の17〜20kDaの成熟した、十分にプロセシングされた大きなサブユニットを産生するために、部分的に重合した大きいサブユニットから切断される。しかし、部分的にプロセシングされたカスパーゼはまたカスパーゼ活性を有するので、プロドメインの除去は、必ずしもプロテアーゼ活性を必要としない。
IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子を同定するための本発明の方法は、IAPの存在に起因して成熟した十分なタンパク質分解活性形態へのプロセシングを防止するカスパーゼを同定するために使用され得る。例えば、この方法は、IAPがプロカスパーゼからカスパーゼへのプロセシングを阻害するのを防止するかまたは抑制する因子を同定するために使用され得る。プロカスパーゼからカスパーゼへのプロセシングは、カスパーゼタンパク質分解活性における増加と一致するので、タンパク質分解活性を同定するための上述される方法は、IAPがプロカスパーゼからカスパーゼへのプロセシングを阻害するのを防止するかまたは抑制する因子を同定するための方法において使用され得る。同様に、上述されるような結合アッセイは、組み合わされたパートナーの分子量に従ってプロカスパーゼ−IAP複合体を同定するために使用され得る。複合体形成を阻害するか、または複合体を分解させる因子は、IAP阻害カスパーゼの抑制解除剤のようなアッセイにおいて同定され得る。IAPの存在に起因して成熟した十分なタンパク質分解活性形態へのプロセシングを防止する因子はまた、成熟形態およびプロカスパーゼ形態の分子量またはサイズにおける違いに従って同定され得る。従って、抑制性のIAPの存在下でプロカスパーゼと接触された場合に成熟形態であることを示す分子量またはサイズにおける変化を引き起こす因子は、IAP阻害カスパーゼの抑制解除剤として同定され得る。
本発明の方法は、特定のIAPまたはカスパーゼあるいは特定のIAPおよびカスパーゼの組み合わせに対して特異性を有するIAP阻害カスパーゼの抑制解除剤を同定するために使用され得る。例えば、本発明は、XIAP、c−IAP−1またはc−IAP−2のような真核生物IAPおよびカスパーゼ−3、カスパーゼ−7またはカスパーゼ−9のようなカスパーゼの特異的結合を変化させる因子と同定するためのスクリーニングアッセイを提供する。任意の真核生物IAPを含む任意のIAPは、本発明の方法において、適切なカスパーゼとの組み合わせで使用され得る。特定のカスパーゼの調節に関与する他のIAPタンパク質は、本明細書中で開示される方法を使用して同定され得、次いで、カスパーゼとIAPの特定の組み合わせが、IAPによるカスパーゼ活性の調節を調節するか、またはIAPおよびカスパーゼの特異的関連を変化させる因子の同定するためのスクリーニングアッセイにおいて使用され得る。
本明細書中で開示されるように、本発明のコアペプチドは、コアテトラペプチドおよびヘキサペプチド構造を有するコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによって同定された。開示された方法に照らせば、当業者は、6個を超えるアミノ酸または4個未満のアミノ酸を有するペプチドのコンビナトリアルライブラリーもまた、IAP阻害カスパーゼを抑制解除する他のコアペプチドを同定するためにスクリーニングされ得ることを認識する。さらに、この開示された方法がIAP阻害カスパーゼを抑制解除するコアペプチドを最初に同定するために使用され得る一方で、当業者は、この方法が以下で記載されるようなIAP阻害カスパーゼを抑制解除するさらなるコアペプチドを最適化するか、または同定するために反復の様式で使用され得ることを知るだろう。
当業者が、IAPに対する増加した結合親和性またはIAP阻害カスパーゼの抑制解除における増加した活性を有するさらなる抑制剤を最適化しそして同定するための迅速なスクリーニング方法と組み合わせたコンビナトリアル合成方法を使用し、その結果、高められた治療法の可能性を保有し得ることが推測される。
反復アプローチは、当該分野において周知であり、そして一般的に、Houghtenら、Nature、354、84〜86(1991);およびDooleyら、Science、266、2019〜2022(1994)(両方とも本明細書中で参考として援用される)において記載される。例えば、反復アプローチにおいて、3つの変化群を有する分子のサブライブラリーが作られ、第1の変化が規定される。この規定された変化群を有する各化合物は、他の2つの変化群での他の可能性の全てと反応する。これらのサブライブラリーは、それぞれ、選択のスクリーニングにおいて最高活性を有するサブライブラリーにおける第2の変化の同定を規定するために試験される。規定された第1の2つの変化位置を有する新たなライブラリーは、再度残りの未規定の変化位置での他の可能性全てと反応される。前記のとおり、最大活性を有するサブライブラリーにおける第3の変化位置の同定が決定される。さらなる変化が存在する場合、このプロセスは、全ての変化に対して繰り返され、そしてスクリーニングプロセスにおける最大の所望の活性に寄与するそれぞれの変化を有する化合物を生じる。このプロセスから見込まれる化合物は、次いで、さらなる生物学的調査のために従来の単一化合物合成方法においてより大きなスケールで合成され得る。
ポジショナルスキャンニングアプローチは、種々の有機ライブラリーおよび種々のペプチドライブラリーに関して記載される(例えば、R.Houghtenら、PCT/US91/08694および米国特許第5,556,762号(両方とも本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。ポジショナルスキャンニングアプローチにおいて、ライブラリーは、各サブライブラリーのセットを有する1つの変化のみを規定して作られ、そして規定された各単一変化(および全ての他の変化位置での他の可能性全て)を有する全ての可能なライブラリーが作られ、そして試験される。この簡単な説明から、当業者はライブラリーを合成し得、そして2個の固定位置が同時に規定される。ライブラリーを規定する各単一の変化の試験から、その位置での最適な置換が決定され、最大の所望の生物学的活性を有する最適化合物または少なくとも一連の化合物を示す。従って、規定された単一の位置を有する化合物についてのサブライブラリーの数は、その位置での所望される異なる置換であり、そして各サブライブラリーにおける全ての化合物の数は、他の変化位置それぞれでの置換の数の産出である。
ファージディスプレイ方法は、無作為ペプチドまたは選択的に無作為化されたペプチドの種々の集団を発現するための方法を提供する。ファージディスプレイの種々の方法およびペプチドの種々の集団を産生するための方法は、当該分野において周知である。例えば、Ladnerら(1993年6月29日に発行された米国特許第5,223,409号)は、ファージの表面上の結合ドメインの種々の集団を調製するための方法を記載する。特に、Ladnerらは、ファージディスプレイライブラリーを産生するために有用なファージベクター、および可能な結合ドメインを選択し、そして無作為にまたは選択的に突然変異された結合ドメインを産生する方法を記載する。
ペプチド部分を含む本発明のIAP阻害カスパーゼの抑制解除剤は、アミノ酸(例えば、必要とされる場合、t−ブチルジ炭酸塩(t−BOC)基またはフルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)基を使用して保護される活性基)を使用して合成され得る。アミノ酸およびアミノ酸アナログは、購入され得る(Sigma、Chemical Co.,St.Louis MO;Advanced Chemtec,Louisville KY)か、または当該分野で公知の方法を使用して合成され得る。固相方法を使用して合成されるペプチドは、例えば、4−メチルベンジルドリルアミン(MBHA)、4−(オキシメチル)−フェニルアセトアミドメチルおよび4−(ヒドロキシメチル)フェノキシメチル−コポリ(スチレン−1% ジビニルベンゼン(Wang樹脂)を含む種々の樹脂(これらの全ては、市販されている)、またはp−ニトロベンゾフェノンオキシムポリマー(オキシム樹脂)(De GradoおよびKaiser、J.Org.Chem.47:3258(1982)によって記載されるように合成され得る)に結合し得る。
本発明のペプチドに組み込まれるアミノ酸またはアミノ酸アナログの選択は、部分的に、IAP阻害カスパーゼの抑制解除剤に必要な特定の物理的、化学的または生物学的特徴に依存する。例えば、ペプチドがインビボまたはインビトロで使用されるべきであるか否かによって、そしてインビボで使用される場合、本発明のペプチドが投与される経路またはペプチドが指向される被験体における位置によって、そのような特徴は決定される。例えば、本明細書中で例示されるIAP阻害カスパーゼコアペプチドの抑制解除剤は、L−アミノ酸のみを使用して合成され得る。しかし、当業者は、ペプチドがIAP阻害カスパーゼを抑制し得る場合、本発明のペプチド中の任意のアミノ酸または全てのアミノ酸は、天然のL−アミノ酸、非天然のアミノ酸またはアミノ酸アナログであり得ることを理解する。
本発明のペプチドにおいてL−アミノ酸またはD−アミノ酸を含むことの選択は、部分的に、このペプチドの所望される特徴に依存する。例えば、1つ以上のD−アミノ酸の取り込みは、インビトロまたはインビボでのペプチドに対して増加した安定性を付与する。1つ以上のD−アミノ酸の取り込みはまた、例えば、本明細書中の実施例VIIにおいて記載されるようなアッセイまたは特定のペプチドの特定のタンパク質への結合親和性を決定するための、他の周知の方法を使用して決定されるようなペプチドの活性(例えば、IAP結合親和性)を増加または減少し得る。
上で示されるように、本発明のペプチドは、線状、環式または多価性などのいずれかでであり得、その立体配座は、当該分野で周知の方法を使用して達成され得る。本明細書中で使用される場合、「環式」ペプチドとは、構造を環式形態に化学的に転化することによって作られ得る合成線状ペプチドのアナログをいう。線状ペプチドの環状化は、標的タンパク質への結合能力を増加するか、または減少することによって生物活性を調節し得る(Pelton,J.T.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.,82:236〜239)。線状ペプチドは非常に柔軟であり、そして溶液中で多くの異なる立体配座を選択する傾向にある。環状化は、溶液中で利用可能な立体配座の数を抑制するように作用し、従って、IAP阻害カスパーゼの抑制解除剤として、IAPに対するより高い親和性またはより強力な活性を有する立体配座を与え得る。
線状ペプチドの環状化は、遊離のN末端とC末端との間のペプチド結合を形成すること(ホモデティックシクロペプチド)またはアミノ酸のバックボーンおよび/あるいはN−末端またはC−末端の近くに位置する側鎖基との間の新たな共有結合を形成すること(ヘテロデティックシクロペプチド)のいずれかによって達成される(Bodanszky,N.,1984(前出))。後者の環状化は、共有結合(例えば、ジスルフィド、ラクトン、エステル、またはチオエステル)を形成するような代替の化学ストラテジーを使用する。本明細書中で示されるように、5個以上のアミノ酸残基の線状ペプチドは、比較的容易に環状化される。中心の4個の残基におけるβ回転立体配座を形成するようなペプチドの傾向は、ホモデティックおよびヘテロデティックシクロペプチドの両方の形成を容易にする。N末端またはC末端におけるプロリン残基またはグリシン残基の存在はまた、シクロペプチドの形成、特に長さが6個の残基より短い線状ペプチドからの形成を容易にする。
本発明の因子は、IAP阻害カスパーゼ配列または部分が1分子ごとに存在する抑制解除剤の数に関して多価であり得る。多価の因子中に存在する配列または部分は、同じまたは異なる配列または部分のいずれかであり得る。例示的な多価性ペプチドは、周知の複数抗原ペプチドシステム(MAPS;例えば、Briandら、1992、J.Immunol Meth.、156(2):255〜265;Schottら、1996、Cell Immun.、174(2):199〜209などを参照のこと)を使用して産生され得る。存在する抑制解除性IAP阻害カスパーゼ配列または部分の数に関して多価である因子は、1つを超えるBIRドメインを有するIAPと相互作用するために有用であり得る。例えば、単一の因子は、同じIAP上に別個のBIRドメインと相互作用する2つ以上の配列または部分を含むように作られ得る。多価の因子およびIAPにおける複数の相互作用するパートナーの存在は、その相互作用の親和性または特異性を増加し得る。
いくつかの場合、IAP阻害カスパーゼの抑制解除剤を短期間のみ活性なままにさせておくことが望ましい。その場合、因子中の1つ以上のL−アミノ酸の取り込みは、例えば、被験体における内因性ペプチダーゼがインビボで因子を消化することを可能にし得、その結果、この抑制解除剤に対する被験体の曝露を制限する。1つの実施形態において、因子(ペプチドバックボーンまたは他の構造に基づくか否か)は、L−アスパラギン酸塩部分または残基を介したペプチド結合を含み得る。L−アスパラギン酸塩を含む因子のカスパーゼ(因子が抑制解除する)による分解は、因子によって可能にされるアポトーシスの範囲を最小にするフィードバック制御機構を提供し得る。当業者は、本発明の因子に必要とされる望ましい特徴を、例えば被験体の年齢および一般的な健康状態などを考慮して決定し得る。例えば、対応するL−アミノ酸と置換される1つ以上のD−アミノ酸を有する被験体におけるペプチドの半減期は、薬学分野の当業者に周知の方法を使用して決定され得る。
ペプチド中の反応性基の選択的な修飾はまた、IAP阻害カスパーゼの抑制解除剤に対して所望の特徴を与え得る。本発明のペプチドは、樹脂へ付着されたままま、例えば、Nアセチル化ペプチドのような、N末端修飾ペプチドを得るために操作され得る。あるいは、ペプチドは、フッ化水素または等価な切断試薬を用いて樹脂から除去され得、次いで修飾され得る。C末端カルボキシ基を含有して合成された物質(Wang樹脂)は、樹脂からの切断後に修飾され得るか、または、いくつかの場合では、液体相合成の前に修飾され得る。ペプチドのN末端またはC末端を修復するための方法は、当該分野で周知であり、例えば、N末端のアセチル化のための方法およびC末端のアミド化のための方法がある。
ペプチドアナログもまた、発明範囲内に包含される。本明細書で使用される場合、「ペプチドアナログ」という用語は、本明細書に具体的に示される配列(例えばコアペプチド1〜55)と実質的に同一のアミノ酸配列を有する、任意のペプチドを含み、ここで、一つ以上の残基が機能的に類似の残基で保存的に置換され、そして本明細書に記載されているように、本発明のレクチン結合ペプチドを機能的に模倣する能力を表す。保存的置換の例としては、一つの非極性(疎水性)残基(例えばイソロイシン、バリン、ロイシンまたはメチオニン)の別の残基での置換、一つの極性(親水性)残基の別の残基での置換(例えば、アルギニンとリシンとの間、グルタミンとアスパラギンとの間、グリシンとセリンとの間)、一つの塩基性残基(例えば、リシン、アルギニンまたはヒスチジン)の別の残基での置換、または一つの酸性残基(アスパラギン酸またはグルタミン酸)の別の残基での置換が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「保存的置換」という語句はまた、このようなペプチドが、必要とされたIAP結合または抑制活性を示すという条件で非誘導体化残基に代わり、化学的に誘導体化された残基の使用を包含する。化学的な誘導体は、例えば、遊離アミノ基が、アミン塩酸塩、p−トルエンスルホニル基、カルボベンゾキシ基、t−ブチルオキシカルボニル基、クロロアセチル基またはホルミル基を形成するように誘導体化されている分子を包含し得る。遊離カルボキシル基は、塩、メチルエステルおよびエチルエステル、もしくは他の型のエステルまたはヒドラジドを形成するように誘導体化され得る。遊離ヒドロキシル基は、O−アシル誘導体またはO−アルキル誘導体を形成するように誘導体化され得る。ヒスチジンのイミダゾール窒素は、N−im―ベンジルヒスチジンを形成するように誘導体化され得る。また、化学的誘導体としては、20の標準アミノ酸の天然に存在するアミノ酸誘導体を一つ以上含むペプチドが挙げられる。例えば:4−ヒドロキシプロリンは、プロリンで置換され得る;5−ヒドロキシリジンは、リシンで置換され得る;3−メチルヒスチジンは、ヒスチジンで置換され得る;ホモセリンは、セリンで置換され得る;およびオルニチンは、リジンで置換され得る。本発明のペプチドはまた、必要とされるIAP結合または阻害活性が保持される限りペプチド配列(これらの配列は本明細書に示されている)に対して、一つ以上の付加、欠失または残基の付加および欠失の組み合わせを有する任意のペプチドを含む。
当業者は、本明細書で提供された指針から、本発明の因子がIAP阻害カスパーゼを抑制解除し得る限り、本発明の因子は、アナログまたは誘導体を用いて修飾され、誘導体化されるかもしくは置換される、コアペプチドまたはコア構造を含み得ることを認識する。コアペプチドまたはコア構造におけるこのような変化は、本明細書に記載される方法のような周知の合成方法により作製され得る。そのように変化された因子は、実施例Iに記載される抑制解除アッセイまたは実施例VIIに記載される分極結合アッセイのような、本明細書に記載される方法を用いて活性を試験され得る。
IAP阻害カスパーゼの抑制解除剤として同定された因子は、例えば、上記に記載されたアッセイを包含する、カスパーゼタンパク分解性活性または因子の存在または非存在におけるIAPおよびカスパーゼの結合を決定するアッセイするアッセイを用いて試験され得る。このようなアッセイを用いて、IAP阻害カスパーゼを抑制解除し得るとして同定された因子は、上記に記載された相互作用アプローチを用いて一つ以上の位置で、さらに組み合わ(combinatorialized)され得る。あるいは、同定された抑制解除剤または複数の抑制解除剤は、第2世代因子の合理的な設計のための基礎として使用され得る。例えば、複数の確認された因子の間において共通の構造の特徴は、これらの共有された特徴を取り込む一般構造の合成を導くために使用され得る。IAPまたはカスパーゼと結合された場合、因子に関しての構造情報はまた、第2世代因子(有利な相互作用を提供する一方で、カスパーゼまたはIAPとの不利な相互作用を導く成分を除去するものとして同定された成分を、保持または改良する)を設計するために使用され得る。
本発明は、IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子を同定する方法を提供する。この方法は、(a)IAPまたはカスパーゼに結合されるIAP阻害カスパーゼの標識化抑制解除剤を検出する工程;(b)この結合されたIAPまたはカスパーゼを候補因子と接触させる工程であって、この候補因子がIAP阻害カスパーゼを抑制解除し得ることが憶測される、工程;および(c)IAPおよびカスパーゼからのIPA阻害カスパーゼの標識抑制解除剤の解離を検出する工程であって、それによりこの候補因子が、IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子として同定される、工程、を包含する。この方法で使用されるIAP阻害カスパーゼの標識化抑制解除剤は、本発明のコアペプチド(例えば、コアペプチド4〜39および42〜55またはTPI759、TPI882、TPI914もしくはTPI927から選択されるコア構造)から選択されたコアモチーフを有し得る。この方法は、上記に記載されたスクリーニング形式および実施例においてIAP阻害カスパーゼのすぐれた抑制解除剤を同定するために使用され得る。
本発明の方法で使用されたIAP阻害カスパーゼの抑制解除剤は、例えば、上記に記載される方法を包含する、任意の多様な標識を用いて標識化され得る。IAPまたはカスパーゼに結合された標識化抑制解除剤は、公知の測定可能な標識特性に従って、検出され得る。例えば、発蛍光団は、発蛍光団の励起波長または発光波長、発蛍光団の蛍光偏光または発蛍光団から放出された蛍光強度に基づいて検出され得る。あるいは、検出は、結合状態および非結合状態について、測定可能な標識特性における相違に基づき得る。例えば、実施例VIIに示されるように、非結合基質と比較してIAPに結合された基質の遅い循環に起因する蛍光偏光における相違は、会合を検出するために使用され得る。IAPまたはカスパーゼとの発蛍光団標識化因子の会合を決定するために使用され得る、他の測定可能な相違は、例えば、クエンチング因子の存在または非存在に起因する異なった発光強度、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)ドナーまたはアクセプターの存在または非存在に起因する発光波長における相違、あるいは発蛍光団立体配座または環境における相違に起因する発光波長における相違、を包含する。
IAPまたはカスパーゼからIAP阻害カスパーゼの標識化抑制解除剤の解離は、競合結合候補因子の存在下におけるIAPまたはカスパーゼからの標識の非存在もしくは標識量の減少として、または競合結合候補因子の存在下におけるカスパーゼもしくはIAPとの標識因子の会合の際に生じる変化の反転として検出され得る。従って、解離は、放射性ヌクレオチド(radionucloetide)標識化抑制解除剤の存在下におけるIAPまたはカスパーゼの放射能の減少もしくは消失、発色団標識化抑制解除剤の存在下におけるIAPもしくはカスパーゼに特異的な波長での電磁吸光度の減少もしくは消失、常磁性のスピン標識化抑制解除剤の存在下におけるIAPもしくはカスパーゼに特異的な磁場強度もしくは高周波数での磁気シグナルの減少もしくは消失、または、第2標識のために結合基で標識化される抑制解除剤の存在下でIAPまたはカスパーゼと会合した第2標識の減少もしくは消失として、非標識候補因子の存在下で検出され得る。会合の際に生じる変化の反転により測定される解離の例は、実施例VIIに提供され、IAP結合基質と比較して速い解離基質循環に起因する偏光における相違が、解離を検出するために使用される。
適切な標識抑制解除剤とIAPまたはカスパーゼとの結合あるいは解離を決定するために検出し得る標識の特性における他の変化としては、例えば、熱の吸収および放出、電磁放射の吸収および放出、レセプターに対する親和性、分子量、密度、質量、電荷、伝導率、核磁気モーメント、電子のスピン状態、極性、分子の形状、または分子の大きさが挙げられる。適切な標識抑制解除剤とIAPまたはカスパーゼとの結合あるいは解離の際に変化し得る周囲の環境の特性としては、例えば、周囲の溶媒の温度および屈折率が挙げられる。IAPまたはカスパーゼからの抑制解除剤の結合および解離は、周知の方法を用いて、抑制解除剤とIAPまたはカスパーゼとの間における標識抑制解除剤の任意の多様な特性、または、複合体の任意の多様な特性に基づいて計測され得、これらの方法としては、例えば、Segel、EnzymeKinetics John WileyおよびSons,New York(1975)、およびKyte、Mechanism in Protein ChemistryGarland Pub.(1995)に記載されるような、平衡結合分析、競合アッセイおよび動力学的アッセイが挙げられる。
さらに本発明は、データベースにおいてIAP阻害カスパーゼの抑制解除剤を同定する方法を提供する。ペプチドまたは低分子のような分子のデータベースは、クエリー構造に対して同一部分または類似部を有する、候補因子を同定するために、IAP阻害カスパーゼの抑制解除剤の構造を用いて検索され得る。データベース検索において同定された候補因子は、合成され得るか、単離され得るか、または公知の方法を用いて他の方法で得られ得、次いで、上記および実施例に記載されるアッセイを用いて、IAP阻害カスパーゼの抑制解除剤としての活性のそのレベルについて試験され得る。
ペプチドベースの抑制解除剤に対して、クエリーは、アミノ酸配列(一次構造)または三次元構造(三次構造)、あるいは同一の構造または実質的な類似構造を有する、ペプチドあるいはタンパク質を同定するために両方の組み合わせに基づいたデータベースで作製され得る。二つの配列が実質的に同一であるということを決定するために使用され得る一次配列構造を比較する方法は、データベースにあるように、当該分野において周知であり、これらの方法としては、例えば、SwissProtおよびGenPeptが挙げられる。例えば、二つの配列が実質的に同一かどうかを決定するための一つの方法はBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)であり、これは、Tatianaら、FEMS Microbial Lett.174:247―250(1999)またはNational Center for Biotechnology Informationウェブページに記載されたように、デフォルトパラメーターに従って使用され得る。BLASTは、全ての利用可能な配列データベースを試験するために設計された同様の検索プログラムのセットであり、そしてアミノ酸または核酸配列において類似点を検索するために機能を果たし得る。BLAST検索は、十分に規定された統計学的な解釈を有する検索スコアを提供する。さらに、BLASTは、局所的なアライメントを捜す発見的アルゴリズムを使用し、従って、類似性の単離された領域(例えば、タンパク質ドメイン(Altschulら、J.Mol.Biol.215:403―410(1990))が挙げられる)のみを共有する配列間の関係を検出し得る。
初めに記載されたBLAST(Altschulら、前出、1990)に加えて、アルゴリズムに対する改変がなされている(Altschulら、Nucleic Acids Res.25:3389−3402(1997))。第1の改変は、ギャップ(gapped BLASTであり、これは、アライメントへ導入されるような、挿入または欠失のいずれかにギャップを可能にする。アライメント中のギャップを可能にすることは、より密接な生物学的関係を示す傾向がある。例えば、ギャップBLASTは、2つ以上のポリペプチドの類似のドメイン内での配列同一性を同定するために使用され得る。第2の改変は、PSI−BLASTであり、これは、配列相同性について検索するための感度のよい方法である。PSI―BLASTは、初回ギャップBLAST検索を実施し、そして、位置特異的スコアマトリクス(これは、データベース調査の次のラウンドのためのクエリー配列を置き換える)を構築するために任意の有意なアライメントからの情報を使用する。PSI−BLAST検索は、しばしば弱いが、生物学的に関連する配列類似性に対してより感受性である。
二つの配列が実質的に同一であるかどうかを決定するために使用され得る第2のリソースは、PROSITEであり、ExPASyでのworldwide webで利用可能である。PROSITEは、ゲノムまたはcDNA配列から翻訳された特性のないポリペプチドの機能を決定する方法である(Bairochら、Nucleic Acids Res.25:217−221(1997))。PROSITEは、公知のポリペプチドのファミリー、たとえあるとしても、新しい配列がどこに属するかを同定するために使用され得る生物学的に有意な部位およびパターンのデータベースからなる。このアルゴリズムまたは類似のアルゴリズムを使用して、別のポリペプチドと実質的に同一であるポリペプチドは、アミノ酸残基の特定のクラスター(これは、パターン、モチーフ、特徴、またはフィンガープリントと呼ばれ得る)のその配列中の存在により同定され得、参照ポリペプチドにおけるアミノ酸残基の特定のクラスターと実質的に同一であり、例えば、これらとしては、類似のドメインにおいて見られるこれらが挙げられる。PROSITEは、ファミリーメンバーとしてポリペプチドを同定するモチーフを検索するために、コンピューターアルゴリズムを使用する。PROSITEはまた、以前に同定されたモチーフの編集を維持し、これは、新しく同定されたポリペプチドが公知のファミリーのメンバーであるかどうかを決定するために使用され得る。
IAP阻害カスパーゼの抑制解除剤の三次構造は、当該分野で公知のアルゴリズムを用いるabinitioタンパク質折りたたみのような理論的な方法により決定され得るか、あるいは、構造決定に基づくX線結晶構造解析または核磁気共鳴のような実験的な方法により決定され得る。抑制解除剤の構造モデルは、ポリペプチド構造、例えば、HadleyおよびJones Structure7:1099―1112(1999)により総説されるSCOP、CATHまたはFSSPを含む、および、実質的に類似の領域を同定するための第2のポリペプチドとの配列比較のための領域として使用される特定の折りたたみまたは特定のコンフォメーションを有する領域を比較するアルゴリズムにおいて使用され得る。
類似のデータベースを検索する方法は、非ペプチドベースの抑制解除剤化に対して使用され得るか、または、構造に基づいた非ペプチドベースの候補因子のデータベースを検索するために使用され得る。データベースは、例えば、化学的特性情報または構造的情報に基く検索により検索され得る。後者のアプローチにおいて、テンプレートとのマッチの発見に基づくアルゴリズムは、例えば、Martin、「Database Searching in Drug Design」J.Med.Chem.35:2145―2154(1992)に記載されるように使用され得る。
IAP阻害カスパーゼの抑制解除剤はまた、クエリーとして、位置的スキャニングの合成コンビナトリアルライブラリーの結果を用いるデータベース中で同定され得る。このような結果は、モチーフとして表され得、そしてこのモチーフは、IAP阻害カスパーゼの抑制解除剤について、データベースで検索するために使用される。モチーフ検索は、位置的スキャニングの合成コンビナトリアルライブラリーのスクリーニング結果から作製され、そして、特定された値より大きい活性閾値を有する混合物に一致するアミノ酸は、各々の位置に含まれる。活性閾値の例は、実施例Iに記載されるように、候補因子の存在および非存在において、カスパーゼ活性に対するVmaxの割合である。データベース検索に基づくモチーフは、例えば、Hemmerら、Nat.Med.5:1375−1382(1999)、Hemmerら、J.Exp.Med.185:1651−1659(1997)およびHemmerら、Immunol Today 19:163−168(1998)に記載されるように、当該分野において公知である。
あるいは、位置的スキャニングの合成コンビナトリアルライブラリーからの結果は、スコアマトリクスとして表され得、そして、そのスコアマトリックスは、配列データベースにおけるIAP阻害カスパーゼの他の抑制解除剤について検索するために使用される。データベースのスコアマトリクスベースの検索に基づいて候補ペプチドまたは候補タンパク質を同定するための方法は、Zhaoら、J.Immunol.167:2130−2141(2001)に記載される。簡単には、マトリクスは、列が位置を表し、行が20アミノ酸を表し、そして各々がスコアに関連するマトリクスにおいて構築される。特定の位置およびアミノ酸に対するスコアは、その位置で規定されたアミノ酸に対応する、位置的スキャニングの合成コンビナトリアルライブラリーの混合物に対するアッセイ結果に基づく。例えば、各スコアは、特定の位置において規定されるアミノ酸に対応する混合物の存在または非存在において、カスパーゼ活性に対するVmaxの割合に対応し得る。次いで、スコアリングマトリックスは、1アミノ酸増加において、スコア化マトリックスをデータベース登録へ移すことにより、IAP阻害カスパーゼの候補抑制解除剤を検索するために使用される。スコアは、検索されたデータベース登録について計算され、各々は区別される。予め決定されたカットオフより上のスコアを有する候補抑制解除剤は、IAP阻害カスパーゼの候補抑制解除剤として同定される。
本発明は、IAP阻害カスパーゼを抑制解除する方法を提供し、この方法は、IAP阻害カスパーゼを抑制解除するような有効量の因子とIAP阻害カスパーゼとを接触することにより、そして、因子は、本発明のコアペプチド(例えば、4〜39と42〜55のコアペプチド、またはTPI759、TPI882、TPI914またはTPI927のような本発明のコア構造)から選択されたコアモチーフを有する。
アポトーシスタンパク質インヒビター(IAP)のカスパーゼ阻害活性を阻害するために、IAP阻害カスパーゼは、IAP阻害カスパーゼを抑制解除するのに、有効量の抑制解除剤とを接触させる。従って、有効量の因子は、IAP阻害カスパーゼについてカスパーゼ活性と比較して、抑制解除されたIAP阻害カスパーゼから、カスパーゼタンパク分解活性の増加をもたらすために十分な量である。抑制解除されたIAP阻害カスパーゼからのタンパク分解活性の増加は、IAP阻害カスパーゼの抑制解除剤を同定するための方法を参照して、上記の任意の方法を用いて決定され得る。
本発明の因子は、カスパーゼ活性に対して適切な条件下で、IAP阻害カスパーゼと接触させ得、カスパーゼを阻害することから阻害されるIAPを一旦生じる。このような条件としては、実施例Iに記載される条件が挙げられる。IAP阻害カスパーゼと接触させる因子は、化合物の混合物、単離された形成または実質的に純粋な形成で存在され得る。上記のように、化合物の混合物は、位置的スキャニングまたは反復を使用するスクリーニング方法で、IAP阻害カスパーゼと接触され得る。このような混合物は、IAP阻害カスパーゼを抑制解除する能力を有するので、同定され得る。混合物は、IAP阻害カスパーゼを抑制解除するために、本発明の方法において使用され得る。あるいは、このような活性を有する混合物における特定の種は、混合物において個々の種を単離し、そして抑制解除アッセイを繰り返すか、またはIAP阻害カスパーゼの抑制解除のために第2のアッセイを実施することにより、さらに規定され得る。IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子は、実質的に純粋な形態(結合体として)、または上記のような処方物において、IAP阻害カスパーゼと接触され得る。
本発明のさらなる実施形態において、IAP阻害カスパーゼは、細胞内において本発明の因子と接触され得る。従って、本発明は、IAP阻害カスパーゼを抑制解除するための有効量の因子と細胞とを接触することにより、細胞中のアポトーシスを促進する方法を提供し、この因子は、本発明のコアペプチド(例えば、コアペプチド4〜39およびコアペプチド42〜55、または例えば、TPI759、TPI882、TPI914もしくはTPI927のような本発明のコア構造)から選択されたコアモチーフを有する。
IAP阻害カスパーゼの細胞質ゾルの送達(例えば、結合体の一部の結合)について本明細書中に記載される方法は、細胞中のアポトーシスを促進する方法で使用され得る。有効量の因子は、アポトーシスが細胞内に生じるのに十分な量で同定され得る。アポトーシスの特徴である細胞または核中の形態学的な変化を決定する方法(例えば、IAP阻害カスパーゼの抑制解除剤の同定に関する上記の方法)は、細胞中のアポトーシスを促進する方法を実施する間、アポトーシスをモニターするために使用され得る。
本発明はまた、細胞集団がエキソビボで生存する能力を減少するための方法を提供する。この方法は、本発明の因子と細胞とを接触する工程を包含し得、ここで、この因子はIAP阻害カスパーゼを抑制解除する。細胞は、細胞中のアポトーシスを促進するための上記の方法を用いて、因子と接触され得る。この方法は、上記の標的化方法(例えば、因子への標的化部分の結合)を使用して、サンプル内の細胞の特定の亜集団を除去するために使用され得る。
本発明の方法は、IAP阻害カスパーゼが抑制解除された場合アポトーシスが生じ得る任意の生物由来の細胞中で実施され得、これらの細胞としては、例えば、真核生物細胞(例えば、哺乳類細胞、ヒト細胞、非ヒト霊長類細胞、マウス細胞、ハムスター細胞、または他の動物細胞);無脊椎動物細胞(例えば、ハエまたは線虫細胞、もしくは酵母細胞)が挙げられる。種々の細胞型は、本発明の方法において使用され得、これらとしては、例えば、腫瘍細胞、幹細胞、神経細胞、脂肪細胞、造血細胞、肝細胞または筋細胞が挙げられる。特定の場合において、この方法は、異常に調節された細胞におけるアポトーシスを誘発するのに有用であり、これらの細胞としては例えば、非制御細胞増殖を示す細胞ならびに細胞周期の特定の相において機能障害を示す細胞が挙げられ、これは、改変された増殖性の特徴または形態学的な表現型を引き起こす。異常に調節された細胞型の特定の例としては、腫瘍性細胞(例えば、癌および組織過形成の過形成性細胞の特徴)が挙げられる。別の特定の例としては、異常に活性化されるようになる免疫細胞、または刺激後にダウンレギュレーションできない免疫細胞が挙げられる。自己免疫疾患は、このような異常に調節された免疫細胞により媒介される。異常に調節された細胞はまた、生物化学的な機能障害または生理学的な機能障害の細胞を含む。細胞機能異常調節または増殖異常調節の他の型は、当業者に公知であり、同様に本発明の方法を用いるアポトーシスの破壊に対して適用できる本発明の標的細胞である。
細胞のアポトーシスに関連する多くの特徴的な変化は、カスパーゼのタンパク分解活性に起因するので、この方法は、アポトーシスの特徴的な変化を誘導するために使用され得る。例えば、ラミンBのカスパーゼ誘導性タンパク分解は、核膜へのクロマチンの付着に関係し、アポトーシスに関連するクロマチンの崩壊の原因である(MartinおよびGreen、前出、1995)。DNAフラグメント化因子(DFF―45)の45kDaサブユニットのカスパーゼ誘導性タンパク分解は、ヌクレオソームフラグメントへのゲノムDNAのフラグメント化を引き起こす経路を活性化する(Liuら、Cell 89:175−184(1997))。さらに、PARPのカスパーゼ誘導性タンパク分解は、PARPがDNA損傷を修復する能力を妨げ得、さらに、アポトーシスに関連する形態学的変化に寄与する。従って、本発明の方法は、クロマチンの崩壊およびアポトーシスに関連するゲノムDNAのフラグメント化を誘導するために使用され得る。他のカスパーゼ標的タンパク質としては、ステロール調節エレメント結合タンパク質;網膜芽細胞腫(RB)タンパク質;DNA依存キナーゼ;U1 70−Kキナーゼ;およびDNA複製複合体の大サブユニットが挙げられ(Wangら、EMBO J.15:1012−1020(1996);Takahashiら、Proc.Natl.Acad.Sci.、USA 93:8395−8400(1996);Casciola−Rosenら、J.Exp.Med.183:1957−1964(1996);およびUbedaおよびHabener、J.Biol.Chem.272:19562−19568(1997))、各々は、本発明の方法によりタンパク分解されるよう誘導され得る。
哺乳細胞において、カスパーゼの活性化は、少なくとも二つの独立したメカニズムを通じて達成され、それは、別個のカスパーゼにより開始されるが、共通の「実行者(executioner)」カスパーゼ活性化を生じる。Fasレセプターに結合するリガンドにより開始されたアポトーシスは、細胞死の経路でよく記載される一つである。この経路において、Fasとリガンドの結合は、Fasの細胞内ドメインを細胞内MORT1(FADD)タンパク質に結合させ、それは、次に、カスパーゼ8(MACH;FLICE;Mch5;Boldinら、Cell 85:803−815(1996);Muzioら、Cell 85:817−827(1996)参照)と結合する。これらの結果は、Fas細胞死の経路に含まれる上流カスパーゼとして、カスパーゼ8を規定する。さらに、カスパーゼ3は、Fas細胞死経路で活性化され、それは、例えば、カスパーゼ8、またはカスパーゼ8により活性化されたプロテアーゼのような上流プロテアーゼが、カスパーゼ3活性化に含まれていることを示している。従って、本発明の方法は、IAP阻害カスパーゼ8を直接的に抑制解除するために使用され得、それにより下流カスパーゼ3プロテアーゼを効果的に抑制解除する。
カスパーゼ活性化はまた、シトクロムCを含み、それは、哺乳細胞内において、アポトーシスの間、ミトコンドリアから細胞質ゾルへしばしば放出される(Liuら、Cell 86:147−157(1996);Kharbandaら、Proc.Natl.Acad.Sci.、USA 94:6939−6942(1997);Kluckら、Science 275:1132−1136(1997);およびYangら、Science 275:1129−1132(1997)。細胞質ゾルに入ると、シトクロムCは、タンパク質複合体のATP依存性形成またはdATP依存性形成を誘導し、プロカスパーゼ3のタンパク分解性活性化および核のアポトーシス破壊という結果となる(Liuら、前出、1996)。この複合体のメンバーのうちでもとりわけ、CED−4相同体Apaf−1およびカスパーゼ9である。(Apaf−3;Liuら、前出、1996;Liら、Cell 91:479−489(1997);Zouら、Cell 90:405−413(1997))。XIAP、c−IAP−1およびc−IAP−2は、ミトコンドリアからのシトクロムCの放出を引き起こすことが公知の刺激によって誘導されたアポトーシスを抑制し、インビトロにおいてシトクロムCによって誘導されるカスパーゼ活性化を阻害し得る。従って、本発明の因子および方法は、XIAP、c−IAP−1またはc−IAP−2によるカスパーゼの阻害を抑制することにより、ミトコンドリアからのシトクロムの放出に応答してアポトーシスを起こすために、使用され得る。
さらに本発明は、IAP阻害カスパーゼを抑制解除するために有効な量の因子を、病理学的に減少したアポトーシスのレベルにより特徴付けられた病的状態を有する個体へ投与することにより、個体における病的状態の重症度を和らげる方法を提供する。本発明の方法において処置され得る、病理学的に減少したアポトーシスレベルにより特徴付けられた状態の例は、非制限であるが、以下;再狭窄、狼瘡または慢性関節リウマチのような自己免疫疾患;同種移植拒絶、湿疹のような皮膚増殖性病変;あるいは良性前立腺肥大症、が含まれる。因子は、本発明のコアペプチド(例えば、コアペプチド4〜39およびコアペプチド42〜55)、または本発明のコア構造(例えば、TPI759、TPI882、TPI914もしくはTPI927)から選択されたコアモチーフを有し得る。
病的状態を処置するために使用される場合、IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子の有効量は、個体に投与される場合において、アポトーシスの増加を与えるための必要量である。治療効果的であるために必要とされる本発明の因子の投与量は、例えば、処置される病的状態、投与経路および投与形態、個体の体重および個体の状態、ならびに以前の治療歴および最近の治療に依存する。この方法の特定の適用のために、効果的な量と考えられる適切な量は、本明細書で提供される指針を用いて、当業者によって決定され得る。例えば、その量は、上述されたようにインビトロアッセイまたはインビボアッセイから推定され得る。当業者は、患者の状態が、一連の段階的治療にわたり監視され得るということを認識し、そして投与される因子の量はそれに従って調節され得ることを認識する。
病的状態を処置するかもしくはこの重症度を和らげるために、有効量は、病理学的に減少されるアポトーシスを増大し得る因子の有効(efficious)量である。有効量は、治療レジメに依存して、例えば約10μg/kg体重〜500mg/kg体重、例えば約0.1mg/kg体重〜100mg/kg体重または好ましくは約1mg/kg体重〜50mg/kg体重であり得る。例えば、因子または因子を含む処方物が、1日1回〜数回投与された場合、処方物が週単位または月単位、もしくは少ない頻度で投与された場合、より低用量が必要とされる。同時に、因子の経時的放出を可能にする処方物は(例えば上述の通り)、単一ボーラス量として投与されるというより、より少量のアポトーシス抑制解除剤の連続的な放出を提供する。例えば、本発明の因子は、約1〜5mg/kg/週の間で投与され得る。
IAP阻害カスパーゼ抑制解除剤の処方物は、改変体およびその組合せで、時間を通じてアポトーシスを増大させる効果を組み合わせるように、交互の投与で送達され得る。例えば、本発明のコアペプチドまたは構造を有する因子は、単一ボーラス量の後に、一つ以上のこのような因子の種類もしくは改変体単独の多様な投与により投与され得、または、このような因子の異なる処方物もしくは異なる因子の処方物との組合せで投与され得る。因子処方物(改変体もしくはその組合せ)の同時送達であっても交互送達であっても、投与方法は、上記に記載される任意の投与の型であり得、そして、目的に対して選択されるIAP阻害カスパーゼの抑制解除剤において、特定の治療の必要性および効能に依存する。一時的な投与レジメにおいて結合する因子、処方物、種類および改変体を決定することは、治療される病的状態および疾患を有する個々の調子の特定の身体特徴に依存する。当業者は、特定の病的状態の当該分野内における公知の診断基準および臨床基準と共に、本明細書で提供される教示および指針を用いて、特定の適用に対して有効である特定の投与のレジメを知っているか、または決定し得る。
さらに病理学的に減少したアポトーシスにより特徴付けられた病的状態を処置する方法は、他の治療に関連して実施され得る。例えば、癌を処置するために、本発明の方法は、従来の癌処置(例えば、手術、化学療法(サイトカインならびに増殖因子の投与が挙げられる)、放射線または当該分野で公知の他の方法)の前、間、または後に実施され得る。上に記載され、実施例Xの結果によって示されているように、TPI792−33またはTPI792−35は、癌を処置するためのVP−16に関連して投与され得る。
同様に、感染症を含む病的状態を治療するために、本発明の方法は、従来の処置(例えば、抗生物質投与、抗感染症因子または当該分野で公知の他の方法)の前、間、または後に実施され得る。自己免疫障害の病的状態の処置はまた、特定の自己免疫疾患に対する従来の処置と、IAP阻害カスパーゼを抑制解除するための本発明の方法とを結合することによって実行され得る。従来の処置としては、例えば、化学療法、ステロイド療法、インスリンおよび他の増殖因子ならびにサイトカイン療法、受動免疫、T細胞レセプター結合の阻害剤、ならびにT細胞レセプター予防接種が挙げられる。本発明の方法は、本方法または当該分野において公知の他の方法に関連して投与され得、そして、従来の処置の開始の前、間、または後に何回も投与され得る。異常な細胞増殖により特徴付けられた病的状態に対する処置の記載に対して、例えば、The Merck Manual、第16版、(Berkow、R.編)Rahway、N.J.、1992を参照。さらに、抗癌剤は、例えば、組成物の組合せに関して上述の任意のものが挙げられ、処置方法におけるIAP阻害カスパーゼの抑制解除剤の投与の、前、間、または後に投与され得る。
上記に記載されるように、IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子の処方物の投与は、例えば、従来の治療と同時に用いられ得るか、または従来の治療との交互投与に送達され得、多様な投与が挙げられる。同時投与は、例えば、同一の処方物と共に、または同時にかもしくはすぐ連続して送達される異なる処方物中であり得る。交互投与は、例えば、一時的な分割投与において、本発明の因子および従来の治療処置を送達し得る。前記に記載されているように、本発明の因子および従来の治療の一時的な分割投与は、異なる送達方法および異なる経路を同様に使用し得る。
本発明の因子および方法を用いて処置され得る、病理学的に減少したアポトーシスレベルにより特徴付けられた状態としては、例えば、癌、過形成、自己免疫疾患ならびに再狭窄が挙げられる。ヒト疾患の発生数は、自己免疫として分類されており、例えば、慢性関節リウマチ、重症筋無力症、多発性硬化症、乾癬、全身性エリテマトーデス、自己免疫性甲状腺炎、グレーヴズ病、炎症性腸疾患、自己免疫性ブドウ膜強膜炎、多発性筋炎ならびに糖尿病が挙げられる。病理学的に減少したアポトーシスのレベルにより特徴付けられた多くの状態に対する動物モデルが開発され、IAP阻害カスパーゼを抑制解除する因子を使用する治療処置の予測的評価のために使用され得る。さらに、IAP阻害カスパーゼ抑制解除剤の薬学的な組成物は、このような動物モデルからこれらの状態の処置に対して、確実に推定され得る。
当業者は、適切な動物モデルにおける慣用的試験の結果に基づいて、投与するための、本発明の因子の効能または量をどのように決定するか知っている。投与される因子の量は、治療される個体の応答に基づき、臨床背景で決定され得る。効能の調節は、病的状態に依存し、病的状態の処置または重症度の緩和のためにアポトーシスの進行が所望される程度に依存する。調節は、IAP阻害カスパーゼを抑制解除するために使用された特定因子、処方物、または投与戦略を調節することにより、実行され得る。本明細書で提供される指針に基づいて、当業者は、処置中の特定状態の重症度の、周知の適応症に対する応答において、効能を調節し得る。本明細書に記載される多様な病的状態に対する適応症の記載、または病理学的に減少したアポトーシスレベルによって特徴付けられた公知の病的状態に対する適応症については、例えば、The Merck Manual、第16版、(Berkow,R.編)Rahway、N.J.、1992を参照。
以下の実施例は、例示を意図し、本発明を限定しない。