JP2005510470A - 二重特異性分子を用いた癌の予防、診断、および治療の方法ならびに組成物 - Google Patents

二重特異性分子を用いた癌の予防、診断、および治療の方法ならびに組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、(霊長目では補体受容体1(CR1)またはCD35として知られる)C3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および哺乳動物の血液循環中に存在する腫瘍関連抗原に結合する第二抗原認識部分を持つ二重特異性分子を提供する。本発明はまた、哺乳動物の血液循環中から脱離腫瘍関連抗原を除去するための二重特異性分子の使用方法を提供する。本発明はまた、癌の診断および治療のための二重特異性分子の使用方法を提供する。

Description

1.発明の属する技術分野
本発明は、(霊長目では補体受容体(CR1)またはCD35として知られる)C3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および腫瘍関連抗原のエピトープに結合する第二抗原認識部分を持つ二重特異性分子に関する。本発明はまた、癌の予防、診断、および治療における二重特異性分子の使用方法に関する。
2.発明の背景
癌の治療は、現在利用可能な治療および癌に対する生体自身の防御システムをもってしても困難な課題である。外科的処置がすべての転移を締め出せることは滅多になく、癌細胞を破壊する治療は一般的に正常細胞に対しても同様に毒性を持つ。たとえ少しの癌細胞でも残っていた場合、それらは増殖して疾患の再発を引き起こすことができる。正常細胞とは異なり、癌細胞はまたそれらに対して用いられる有毒な薬物に対する耐性を急速に進化させるかもしれない。抗体およびある種のリンパ球が有する腫瘍細胞への特有の標的能力のために、免疫学的癌治療は大きな関心をもたらした。
免疫応答には2つの広義の分類がある。すなわち、(1)抗体応答および(2)細胞性免疫応答である。抗体応答は、免疫グロブリンと呼ばれるタンパク質である抗体の産生を伴う。抗体は血流を循環して、他の体液に浸透し、そこでそれらはそれらを誘導する外来抗原に特異的に結合する。抗体による結合は、標的細胞上の受容体に結合するそれらの能力を遮断することによって、ウイルスおよびバクテリアを不活性化する。結合した抗体はまた、食細胞にとってそれらの貪食を容易にさせることによって、または、侵入物を殺す補体と総称される血中タンパク質のシステムを活性化することによって破壊するために、侵入した微生物を標識する(MOLECULAR BIOLOGY OF THE CELL, Albert B.ら、第2版、Garland Publishing Inc., 1989)。
細胞性免疫応答は、他の宿主細胞の表面上の外来抗原に反応する特殊化した細胞の産生を伴う。胸腺で発達するTリンパ球は細胞性免疫に関与する。ヘルパーT細胞およびサプレッサーT細胞と呼ばれるTリンパ球の大部分は、免疫を調節する役割を持ち、他の白血球の応答を増強または抑制するように作用する。細胞傷害性T細胞と呼ばれる他のTリンパ球は、ウイルス感染細胞、寄生生物および癌細胞を破壊する。(MOLECULAR BIOLOGY OF THE CELL, Albert B.ら、第2版、Garland Publishing Inc., 1989)。T細胞の表面は、他の細胞表面上の外来分子を認識する、T細胞受容体と呼ばれる膜貫通タンパク質を含有する。T細胞受容体は抗体様タンパク質である。外来分子は、主要組織適合複合体(MHC)と呼ばれる複合遺伝子によってコードされる特定の膜タンパク質によってT細胞に提示される必要がある。組織適合分子はすべての高等脊椎動物の細胞上で発現されている。MHC分子には2つの基本分類、クラスI MHCおよびクラスII MHCがある。細胞傷害性Tリンパ球は、任意の宿主細胞の表面上でクラスI MHC糖タンパク質と結合した外来抗原を認識し、一方、ヘルパーT細胞は、抗原提示細胞の表面上でクラスII MHC糖タンパク質と結合した外来抗原を認識する。細胞傷害性Tリンパ球は、感染細胞の表面上でクラスI MHC分子に結合したウイルスタンパク質の断片を認識した時、ウイルス感染細胞を破壊する(BIOCHEMISTRY, Stryer, 911-914, 第3版、Freeman & Co., New York, 1975)。
抗体性および細胞性免疫応答はともに、癌の臨床診断および治療に活用されている。種々の腫瘍は抗原を産生することが示されている。癌胎児性抗原(CEA)のようなこれらの抗原のいくつかは、血液循環中に離脱または分泌され、血漿および/または血清中で検出できる。(Hansen H. J. ら、1974, Human Path. 5:139-147; Hagan P. L.ら、1985, J. Nucl. Med. 26:1418-1423)。脱離抗原は臨床的に癌の危険性、診断、予後診断、または治療への応答性の判断に用いられているが、細胞膜結合性腫瘍抗原は、抗体を介したもしくは細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を介した、腫瘍細胞に対する治療のための標的または潜在的な標的に相当することが示されている(Stearnsら、1998, Breast Cancer Research and Treatment, 52:239-259参照)。
抗体はいくつかの方法で癌治療に使用され得る。第一に、外来の侵入物に対する生体防御の第一線として、各々の抗体は腫瘍特異抗原または腫瘍関連抗原などの特異的な抗原に結合し、腫瘍を破壊するその後の免疫系を始動させる。(MOLECULAR BIOLOGY OF THE GENE, Watson J. D. ら、第4版、The Benjamin/Cumming Publishing Company, Inc., 1987)。第二に、抗体は抗癌効果を向上させ、薬物の毒性を減少させるために化学療法に使用され得る。化学療法薬は全身に広がり、腫瘍だけでなく腸および骨髄などの正常な臓器にも到達し、そこでそれらは正常な分裂細胞を絶滅させる。抗体とコンジュゲートした薬物は選択的に腫瘍細胞を標的にすることができ、従って、薬物の感受性および特異性を増加させる。最後に、抗体はターゲッティング手段として他のいくつかの腫瘍治療に使用され得る。例えば、腫瘍関連抗原に対する放射性標識抗体は腫瘍の診断と治療との両方に使用されている(Davies Q. ら、1997, Eur. J. Nucl. Med. 24:206-209)。
いくつかの抗体は有望であることを示した。例えば、治療用の癌抗体の臨床試験では、Panorexと呼ばれるマウス抗体は手術後の大腸癌の拡散防止に効果的であることが示された。Panorexは、細胞同士の結合を補助し、癌細胞の場合では、転移の形成を補助しうる、また、正常および癌性の消化管細胞の両方で見られるタンパク質を標的とする。研究の7年後でも、Panorexは対照治療より有意な効果を維持し続けている(Dickman S., 1998, Science, 280:1196-1197)。
抗乳癌抗体医薬であるHERCEPTIN(抗体Trastuzumabを含有する)もまた、特異的な標的、すなわち一部の乳癌細胞では正常量より多く存在するHER-2/neuという増殖因子受容体を攻撃するために用いられている。多数の研究は、腫瘍がより多くのHER-2/neuを産生している不運な乳癌患者の25%から30%は、より悪い予後およびより短い平均余命を持つことを示した。HERCEPTINの臨床試験は、癌が既に転移した女性での乳癌の進行を遅延させ得ることを示した。その抗体を化学療法薬タキソールと併用した場合、転移性乳癌を持つ96人の女性のうち42%において効果を示し、半分またはそれ以上において腫瘍を縮小させた。この結果は、タキソールのみで改善された92人の患者のうちの16%よりずっと良好であった。抗体の添加はまた、再発までの平均時間を4ヶ月から11ヶ月程度まで延長したと考えられる(Dickman S., 1998, Science, 280:1196-1197; HERCEPTIN Summary Basis for Approval (SBA)-FDA)。
米国特許第6,241,985号は別の癌免疫療法の例である。その発明は多重エピトープ腫瘍関連抗原の所定のエピトープに結合する結合剤を使用する。このような結合は、宿主の免疫系がこれまで認識しなかった腫瘍関連抗原を認識し、免疫応答を開始できるように、抗原を変化させるであろう。米国特許第6,086,873号は、UV照射した抗体に対する免疫応答を誘導するという特定の目的で、癌患者にUV照射した抗体を用いる発明を記載する。この応答は、癌細胞に対する体液性および細胞性の効果の向上を介して、治療上の利点を提供しうる。
抗体に加えて、細胞傷害性Tリンパ球もまた、従来のウイルス感染に対して行うのと同様に、ウイルス性癌から生体を防御する。更に、非Tおよび非B細胞(Fcおよび補体受容体を持つ、いわゆる「ヌル」細胞またはK細胞)は抗体依存性細胞傷害(ADCC)を成立させる。特異的および非特異的に活性化されるマクロファージもまた、腫瘍細胞を破壊しうる。(例えば、Black, Advances in Cancer Research, 1980, 32:75-199参照)。
宿主は高頻度で抗原の非自己性を認識し、おそらくこのような腫瘍細胞を排除しているのにも関わらず、多くの場合、腫瘍は効果的に宿主の免疫による抑制を回避している。動物の腫瘍細胞が宿主の免疫性破壊を回避する多数の機構が記述されている(例えば、Black, Advances in Cancer Research, 1980, 32:75-199参照)。脱離は腫瘍細胞がそれらの抗原性を喪失する機構の1つである。更に、脱離腫瘍関連抗原はまた、遮断機構においても役割を果たしているかもしれない。T細胞受容体にとって、T細胞が腫瘍細胞を破壊し得る前に、腫瘍関連抗原を認識することが不可欠なので、腫瘍の回避機構の1つはT細胞受容体を遮断することである。多くの場合、その遮断は脱離腫瘍抗原のみによって達成され得るという証拠が示されている。(例えば、Black, Advance in Cancer Research, 1980, 32:75-199ならびにPriceおよびBaldwin, 1997, Dynamic Aspects of Cell Surface Organization, 423, G. PostおよびG. L. Nicolson、編 参照)。抗原による遮断は、脱離腫瘍抗原がリンパ球と相互作用する主要な様式によって起こる。標的細胞と反応する脱離腫瘍抗原は遮断を引き起こさない(例えば、Black, Advances in Cancer Research, 1980, 32:75-199参照)。免疫複合体もまた in vitroにおいて遮断を引き起こし得る。癌血清中の免疫複合体は、様々な抗原特異性の細胞表面物質、例えば、腫瘍抗原、胎児抗原またはウイルス抗原から構成されうる。腫瘍に罹患した宿主において体液性免疫応答を喚起するこのような抗原は、それらの腫瘍細胞表面からの離脱に続いて血液循環中の抗体と結合すると思われる。遮断因子は、全腫瘍細胞から可溶化された腫瘍抗原と遊離抗腫瘍抗体の反応によって擬似的に産生されている(Baldwin R. W. ら、1973, Br. J. Cancer, 28(Suppl. I):37)。免疫複合体による遮断が主として起こるのか、または標的細胞レベルで起こるのかははっきりしない。ある研究は、74%の癌患者からの血清がADCCを阻害することを示し、転移性疾患を持つ患者由来の血清において最も強い阻害が見いだされた(Mikulskiら、1977, J. Natl. Cancer Inst. 58:1485)。Fc受容体を介してマクロファージに結合する免疫複合体もまた実証された。(Ryanら、1975, J. Exp. Med. 142:814)。最後に、腫瘍惹起の前に動物を可溶性腫瘍抗原に繰り返し暴露すると腫瘍の成長が促進されうるという証拠がある(Black, 1980, Advances in Cancer Research, 32:75-199)。腫瘍抗原は抑制活性の誘導に不可欠な因子であると思われる。腫瘍抗原の脱離と悪性度との間の正の相関は、脱離が癌における免疫応答の破棄に不可欠な要素であり、抑制活性を減少させるための1つの方法は脱離を減少させる試みを含みうることを示唆する(例えば、Black, Advances in Cancer Research, 1980, 32:75-199参照)。
従って、癌の免疫療法は常に有効とは限らない。腫瘍抗原レベルは、悪性細胞によるタンパク質の発現、特定のタンパク質を形成している細胞数、およびタンパク質の消失速度(クリアランス)の関数である(Stearns V.ら、1998, Breast Cancer Research and Treatment, 52:238-259)。脱離腫瘍抗原は以下であり得るがそれらに限定されない。すなわち、(1)癌胎児性抗原(CEA)という、胎児の消化管および種々の癌、特に内胚葉由来(結腸直腸、肺、膵臓、胃)の悪性腫瘍の抽出物に存在する抗原(Hansen H. J.ら、1974, Human Path. 5:139-147; Hagan P. L.ら、1985, J. Nucl. Med. 26:1418-1423);(2)多型上皮ムチン(PEM)という、卵巣癌に存在する抗原(Davies Q.ら、1997, Eur. J. Nucl. Med., 24:206-209);(3)乳癌で増加するHER2-/neuタンパク質(HERCEPTIN Prescribing Information-Genentech; HERCEPTIN Summary Basis for Approval (SBA)-FDA; Hayes D. F. ら、1993, Proc. Am. Soc. Clin. Oncol. 12:58a; Leitzel K.ら、1992, J. Clin. Oncol. 10: 1463-1443);(4)卵巣癌に関連するCA125(Sakarhara H.ら、1996, Jpn. J. Cancer Research 87:655-661; Canney P. A.ら、1984, Br. J. Cancer 50:765-9; Kudlacek Sら、1989, Gynecol. Oncol. 35:323-9);(5)種々の悪性腫瘍、特に、胃腸および卵巣の癌の患者に見いだされる腫瘍関連糖タンパク質-72(TAG-72)(Filella X.ら、1994, Acta. Oncol. 33:747-51; Filella X.ら、1992, Bull Cancer 79:271-7);(6)前立腺癌に関連する前立腺特異抗原(PSA)(Kuriyama M.ら、Cancer Res. 40:4658-62; Chu TM および Murphy GP., 1986, Urology XXVII(6):487-91);(7)膵臓癌に関連する糖鎖抗原19-9(CA19-9)(Tanaka N.ら、2000, Pancreas 20:378-81);(8)組織ポリペプチド特異的抗原(TPS)という、膵臓癌の検出におけるCA19-9の補完物(Slesak B.ら、2000, Cancer 89:83-8);ならびに(9)乳癌に関与する細胞関連ムチン様タンパク質である、MUC-1遺伝子産物(分析によってCA15-3、CA27-29、CA549、乳癌ムチン(BCM、乳腺血清抗原(MSA)およびムチン様悪性腫瘍関連抗原(MCA))を含む血液循環MUC-1産物が検出される)(Stearns V.ら、1998, Breast Cancer Research and Treatment 52: 239-259)である。
脱離腫瘍抗原は癌の免疫療法または診断に様々な問題を引き起こしうる。例えば、腫瘍抗原は抗体の投薬計画の体内薬物動態に影響を及ぼし、従って、抗体の大量および頻繁な投与を必要とするかもしれない。HERCEPTINの臨床治療の再検討では、HER2/neu受容体由来の脱離抗原の存在はHERCEPTINのクリアランスを増加させることが観察された。例えば、HERCEPTINの投与が(アナフィラキシーを含む)重篤な過敏反応、注入反応および肺障害を起こし得るように(HERCEPTIN製品情報の枠組み警告を参照)、ほとんどの抗体医薬または抗体コンジュゲート医薬は重度の副作用を持つので、脱離抗原に起因した薬物の投与量の増加または頻繁な投与もまた治療の副作用を深刻にするであろう。更にDavies Q.らは、放射性標識したhCTM01抗体がPEMを発現するが抗原を分泌しない腫瘍に高レベルに局在することを示した。しかし、腫瘍が血液循環中にPEM抗原を分泌すると、抗体は、腫瘍では最低限の特異的局在を示し、脾臓および肝臓に局在していた(Davies Q.ら、1997, Eur. J. Nucl. Med. 24: 206-209)。その結果、脱離抗原は抗体を腫瘍部位への到達から逸脱させ、従って、全体の応答因子の有効性および割合または全体の応答因子の持続性を低下させうる。抗体-抗原複合体の広範な分布は、腫瘍画像の特異性および感度を減少させ、従って、腫瘍の診断の特異性および感度を減少させるので、このような逸脱はまた抗体を介した腫瘍の造影においても問題となる。
Taylorらは、病原性抗原に特異的な第一のモノクローナル抗体と霊長目C3b受容体に特異的な第二のモノクローナル抗体の細胞外化学的架橋が、病原性抗原分子と迅速且つ効率的に結合でき、霊長目の血液循環中から除去できる二重特異性ヘテロ重合型抗体を創出することを示した(米国特許第5,487,890号および5,470,570号;図1,パネルB)。二重特異性分子を産生する他の方法は、Himawanにより米国仮出願第60/276,200号, 2001年3月15日出願;第60/199,603号, 2000年4月26日出願;第60/244,812号, 2000年11月1日出願;および第 60/244,811号, 2000年11月1日出願に記載される。
脱離腫瘍抗原のクリアランスによって、腫瘍の免疫療法の有効性および特異性が著しく改善され、その副作用が減少するので、脱離腫瘍関連抗原を除去する方法および組成物は大いに必要とされている。
本明細書における参考文献の記述および引用は、このような参考文献が本発明の先行技術であることを承認するものとして解釈されるべきではない。
3.発明の概要
本発明は、C3b様受容体またはその機能的同等物に結合する第一抗原認識部分、および脱離腫瘍抗原のエピトープに結合する第二抗原認識部分を持つ二重特異性分子に関する。本発明において、二重特異性分子の第一抗原認識部分は、C3b様受容体結合ドメインおよびエフェクタードメインを含む任意のポリペプチドであり得る。好ましい実施形態では、第一抗原認識部分は抗CR1 mAbである。別の実施形態では、第一抗原認識部分は、免疫グロブリンFcドメインのN末端に融合したC3b様受容体に対する特異性を持つ単鎖可変領域フラグメント(scFv)を含むがこれに限定されない抗CR1ポリペプチド抗体である。本発明で、二重特異性分子の第二抗原認識部分は、脱離腫瘍抗原のエピトープを認識し結合する任意の抗体または抗原結合フラグメントを含むがこれに限定されない任意の分子部分であり得る。第二抗原認識部分が結合する腫瘍関連抗原は、癌胎児性抗原(CEA)、多型上皮ムチン(PEM)、HER2-/neuタンパク質、CA125、腫瘍関連糖タンパク質-72(TAG-72)、前立腺特異抗原(PSA)、糖鎖抗原19-9(CA19-9)、組織ポリペプチド特異的抗原(TPS)およびMUC-1遺伝子産物からなる群より選択される抗原であり得る。
二重特異性分子の第二抗原認識部分は、脱離腫瘍関連抗原の任意のエピトープを認識し結合することができる。二重特異性分子は、例えば治療用抗体などの治療薬、または、例えばリンパ球などの治療用細胞と同じエピトープを認識し結合できる。二重特異性分子はまた、例えば治療用抗体などの治療薬、または、例えばリンパ球などの治療用細胞と異なるエピトープを認識し結合できる。ある実施形態では、二重特異性分子の第二抗原認識部分によって認識、結合されるエピトープは、細胞表面に結合した腫瘍関連抗原が露出していないエピトープであり得る。
本発明において使用される二重特異性分子は、第一抗体が霊長目C3b-様受容体に特異的であり、第二抗体が脱離腫瘍抗原に特異的である、架橋抗体であり得る。好ましい実施形態では、二重特異性分子は、上記の脱離腫瘍関連抗原のエピトープを認識し結合するモノクロナール抗体に架橋された抗CR1モノクロナール抗体を含有する。二重特異性分子はまた、組換えによって産生することができ、霊長目C3b様受容体を認識する第一ドメインおよび脱離腫瘍抗原を認識する第二ドメインを持つ抗体である。二重特異性分子は同様に、タンパク質トランススプライシング法を用いて産生することができ、霊長目C3b様受容体を認識する第一抗原認識部分および脱離腫瘍抗原を認識する第二抗原認識部分を持つ。
本発明はまた、複数の異なる二重特異性分子、すなわち、C3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および腫瘍関連抗原分子のエピトープに結合する異なる第二抗原認識部分を含む各々の異なる二重特異性分子を含有する二重特異性分子のポリクローナル集団に関する。本発明のポリクローナル集団は、例えば、脱離腫瘍抗原上の複数の認識部位に対する特異性を有する異なる第二抗原認識部分を持つ、複数の異なる二重特異性分子を含有する。ある実施形態では、二重特異性分子の集団は、脱離腫瘍抗原上の異なるエピトープを認識し結合する、複数の異なる第二抗原認識部分を持ち得る。別の実施形態では、二重特異性分子の集団はまた、脱離腫瘍抗原上の同一のエピトープを認識し結合する、複数の異なる第二抗原認識部分を持ち得る。好ましい実施形態では、二重特異性分子のポリクローナル集団中の各二重特異性分子は、脱離腫瘍関連抗原のエピトープを認識し結合するモノクロナール抗体に架橋された抗CR1モノクローナル抗体を含有する。
本発明はまた、以下を含有するキットを提供する。すなわち、(a)二重特異性分子と、(b)薬剤とを含有し、そこでは、該二重特異性分子がC3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および腫瘍細胞によって分泌される腫瘍関連抗原のエピトープに結合する第二抗原認識部分を含有し、上記哺乳動物の治療において治療的効果を達成するために、該薬剤が上記腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原に結合することを特徴とする。好ましい実施形態では、二重特異性分子の第一抗原認識部分は抗CR1 mAbである。好ましい別の実施形態では、二重特異性分子は、腫瘍関連抗原のエピトープを認識し結合するモノクロナール抗体に架橋された抗CR1 mAbを含有する。第二抗原認識部分が結合する腫瘍関連抗原は、癌胎児性抗原(CEA)、多型上皮ムチン(PEM)、HER2-/neuタンパク質、CA125、腫瘍関連糖タンパク質-72(TAG-72)、前立腺特異抗原(PSA)、糖鎖抗原19-9(CA19-9)、組織ポリペプチド特異的抗原(TPS)およびMUC-1遺伝子産物からなる群より選択される抗原であり得る。
本発明はまた、以下を含有するキットを提供する。該キットは、(a)二重特異性分子のポリクローナル集団と、(b)薬剤とを含有し、ここで、上記の二重特異性分子のポリクローナル集団が複数の異なる二重特異性分子からなり、上記の複数の中の各二重特異性分子がC3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および腫瘍細胞によって分泌される腫瘍関連抗原のエピトープに結合する異なる第二抗原認識部分を含有し、上記哺乳動物の治療において治療的効果を達成するために、該薬剤が上記腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原に結合することを特徴とする。好ましい実施形態では、二重特異性分子の第一抗原認識部分は抗CR1 mAbである。好ましい別の実施形態では、二重特異性分子の各々は、腫瘍関連抗原のエピトープを認識し結合するモノクロナール抗体に架橋された抗CR1 mAbを含有する。第二抗原認識部分が結合する腫瘍関連抗原は、癌胎児性抗原(CEA)、多型上皮ムチン(PEM)、HER2-/neuタンパク質、CA125、腫瘍関連糖タンパク質-72(TAG-72)、前立腺特異抗原(PSA)、糖鎖抗原19-9(CA19-9)、組織ポリペプチド特異的抗原(TPS)およびMUC-1遺伝子産物からなる群より選択される抗原であり得る。
本発明はまた、1つ以上の二重特異性分子に各々結合された複数の造血細胞を含有する改変造血細胞の集団を提供し、そこでは、各々の該二重特異性分子が、腫瘍関連抗原分子のエピトープに結合する異なる第二抗原認識部分に架橋されたC3b様受容体に結合する第一抗原認識部分を含有し、上記の改変造血細胞の集団に結合する該二重特異性分子は異なる第二抗原認識部分を含む二重特異性分子の集団を形成することを特徴とする。
本発明は、腫瘍細胞が哺乳動物の血液循環中に腫瘍関連抗原を分泌する腫瘍を持つ、例えばヒトなどの哺乳動物を治療する方法を提供し、該方法は該哺乳動物に治療上十分量の二重特異性分子を投与することを含み、該二重特異性分子はC3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および該脱離腫瘍関連抗原のエピトープに結合する第二抗原認識部分を含有し、該哺乳動物が癌治療の対象であり、その哺乳動物の治療において治療的効果を達成するために、上記腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原に結合する薬剤を用いて該哺乳動物を治療することを含む。特定の実施形態において、本発明は、腫瘍細胞が哺乳動物の血液循環中に腫瘍関連抗原を分泌する腫瘍を持つ哺乳動物を治療する方法を提供し、上記方法は(a)該哺乳動物に、C3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および脱離腫瘍関連抗原のエピトープに結合する第二抗原認識部分を含有する二重特異性分子を投与すること、および(b)該哺乳動物の治療において治療的効果を達成するために、該哺乳動物に、腫瘍細胞上の該腫瘍関連抗原に結合する薬剤を投与することを含む。好ましい実施形態では、二重特異性分子の第一抗原認識部分は抗CR1 mAbである。好ましい別の実施形態では、二重特異性分子は、腫瘍関連抗原のエピトープを認識し結合するモノクロナール抗体に架橋された抗CR1 mAbを含有する。第二抗原認識部分が結合する腫瘍関連抗原は、癌胎児性抗原(CEA)、多型上皮ムチン(PEM)、HER2-/neuタンパク質、CA125、腫瘍関連糖タンパク質-72(TAG-72)、前立腺特異抗原(PSA)、糖鎖抗原19-9(CA19-9)、組織ポリペプチド特異的抗原(TPS)およびMUC-1遺伝子産物からなる群より選択される抗原であり得る。ある実施形態では、薬剤は腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原と結合する治療用抗体である。別の実施形態では、薬剤は腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原と結合する抗体にコンジュゲートした化学療法薬である。更に別の実施形態では、薬剤は腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原と結合する放射性標識抗体である。更に別の実施形態では、薬剤は腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原と結合する、刺激または培養されたリンパ球である。二重特異性分子は、治療用抗体もしくは薬剤の投与の前、同時、または後に投与され得る。ある実施形態では、二重特異性分子は、薬剤と共に投与される。別の二重特異性分子は、薬剤が投与される前に投与される。更に別の実施形態では、二重特異性分子は薬剤が投与された後に投与される。
本発明はまた、腫瘍細胞が哺乳動物の血液循環中に腫瘍関連抗原を分泌する腫瘍を持つ哺乳動物を治療する方法を提供し、その方法は該哺乳動物に、治療上十分量の二重特異性分子を投与することを含み、その二重特異性分子はC3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および該脱離腫瘍関連抗原のエピトープに結合する第二抗原認識部分を含有し、そこでは、該哺乳動物が癌治療の対象であり、該哺乳動物の治療において治療的効果を達成するために、上記腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原に結合する細胞の産生を活性化する薬剤を用いて該哺乳動物を治療することを含む。特定の実施形態において、本発明は、腫瘍細胞が哺乳動物の血液循環中に腫瘍関連抗原を分泌する腫瘍を持つ哺乳動物を治療する方法を提供し、上記方法は(a)該哺乳動物に、C3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および脱離腫瘍関連抗原のエピトープに結合する第二抗原認識部分を含有する二重特異性分子を投与すること、および(b)該哺乳動物の治療において治療的効果を達成するために、該哺乳動物に、腫瘍細胞上の該腫瘍関連抗原に結合する薬剤を投与することを含む。好ましい実施形態では、二重特異性分子の第一抗原認識部分は、抗CR1 mAbである。好ましい別の実施形態では、二重特異性分子は、腫瘍関連抗原のエピトープを認識し結合するモノクロナール抗体に架橋された抗CR1 mAbを含有する。第二抗原認識部分が結合する腫瘍関連抗原は、癌胎児性抗原(CEA)、多型上皮ムチン(PEM)、HER2-/neuタンパク質、CA125、腫瘍関連糖タンパク質-72(TAG-72)、前立腺特異抗原(PSA)、糖鎖抗原19-9(CA19-9)、組織ポリペプチド特異的抗原(TPS)およびMUC-1遺伝子産物からなる群より選択される抗原であり得る。ある実施形態では、薬剤は腫瘍関連抗原に対する免疫応答の形成を促進するサイトカインである。二重特異性分子は、治療薬の投与の前、同時、または後に投与され得る。ある実施形態では、二重特異性分子は、薬剤と共に投与される。別の二重特異性分子は、薬剤が投与される前に投与される。更に別の実施形態では、二重特異性分子は薬剤が投与された後に投与される。
本発明はまた、腫瘍細胞が哺乳動物の血液循環中に腫瘍関連抗原を分泌し、その腫瘍関連抗原が該哺乳動物において腫瘍に対して免疫応答を誘導する腫瘍を持つ哺乳動物を治療する方法を提供し、該方法は、治療上十分な量のC3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および該脱離腫瘍関連抗原のエピトープに結合する第二抗原認識部分を含有する二重特異性分子を該哺乳動物に投与することを含む。好ましい実施形態では、二重特異性分子の第一抗原認識部分は抗CR1 mAbである。好ましい別の実施形態では、二重特異性分子は、腫瘍関連抗原のエピトープを認識し結合するモノクロナール抗体に架橋された抗CR1 mAbを含有する。第二抗原認識部分が結合する腫瘍関連抗原は、癌胎児性抗原(CEA)、多型上皮ムチン(PEM)、HER2-/neuタンパク質、CA125、腫瘍関連糖タンパク質-72(TAG-72)、前立腺特異抗原(PSA)、糖鎖抗原19-9(CA19-9)、組織ポリペプチド特異的抗原(TPS)およびMUC-1遺伝子産物からなる群より選択される抗原であり得る。
本発明はまた、腫瘍細胞が哺乳動物の血液循環中に腫瘍関連抗原を分泌する腫瘍を持つ哺乳動物において、腫瘍を検出する方法を提供し、その方法は(a)治療上十分量の、C3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および該脱離腫瘍関連抗原のエピトープに結合する第二抗原認識部分を含有する二重特異性分子を、該哺乳動物に投与すること、(b)該腫瘍関連抗原を認識し結合する標識とコンジュゲートした薬剤を該哺乳動物に投与すること、ならびに、(c)該標識を検出することを含む。ある実施形態では、薬剤は、該腫瘍細胞上で該腫瘍関連抗原と結合する放射性標識抗体である。好ましい実施形態では、二重特異性分子の第一抗原認識部分は抗CR1 mAbである。好ましい別の実施形態では、二重特異性分子は、腫瘍関連抗原のエピトープを認識し結合するモノクロナール抗体に架橋された抗CR1 mAbを含有する。第二抗原認識部分が結合する腫瘍関連抗原は、癌胎児性抗原(CEA)、多型上皮ムチン(PEM)、HER2-/neuタンパク質、CA125、腫瘍関連糖タンパク質-72(TAG-72)、前立腺特異抗原(PSA)、糖鎖抗原19-9(CA19-9)、組織ポリペプチド特異的抗原(TPS)およびMUC-1遺伝子産物からなる群より選択される抗原であり得る。二重特異性分子は、放射性標識薬剤の投与の前、同時、または後に投与され得る。ある実施形態では、二重特異性分子は、薬剤と共に投与される。別の二重特異性分子は、薬剤が投与される前に投与される。更に別の実施形態では、二重特異性分子は薬剤が投与された後に投与される。
4.図面の簡単な説明
図面の簡単な説明については、後述する。
5.発明の説明
本発明は、腫瘍の予防、診断および治療のための方法および組成物を提供する。本発明は、様々な腫瘍細胞が例えばそれらの表面上の腫瘍関連抗原または腫瘍特異抗原のような抗原を産生するという観察に基づく。これらの抗原のいくつかは、血液循環中に離脱または分泌される。血液循環中からの脱離腫瘍抗原の除去は、例えば抗体または細胞傷害性T細胞のような免疫成分の、腫瘍細胞へのターゲッティング能力の特異性および有効性を改善しうる。本発明の二重特異性分子は、脱離腫瘍抗原を血液循環中から迅速且つ効率的に除去するために、造血細胞の表面で発現される(例えばヒトの赤血球上のCR1のような)C3b様受容体の独自の特性を利用する。
C3b受容体は、霊長目における補体受容体1(CR1)またはCD35として知られている。本明細書で用いる場合、「C3b様受容体」という用語は、例えばCR1のような霊長目C3b受容体に類似の機能を持つ、任意の哺乳動物の血液循環分子を意味すると解される。本明細書で用いられる場合、「腫瘍」(または、「癌」と置換可能に用いられる)という用語は、異常な良性もしくは悪性の組織塊、または、炎症性でなく、生理的機能を有さず、局所的には浸潤により、全身的には転移によって拡大する潜在的に無制限の増殖を持つ、組織中の細胞数の異常な増加を表すことが理解される。本明細書で用いられる場合、「腫瘍関連抗原」(TAA)という用語は、腫瘍細胞に関連し得るが、必ずしも特異的に関連している必要はない抗原分子、例えば、癌細胞および特定の正常細胞の両方で発現するが癌細胞で過剰発現している、または、癌患者の血液循環中でより高レベルで検出され得る抗原を表す。腫瘍関連抗原の例は、以下を含むがこれに限定されない。すなわち、癌胎児性抗原(CEA)という、胎児の消化管および種々の癌、特に内胚葉由来(結腸直腸、肺、膵臓、胃)の悪性腫瘍の抽出物に存在する抗原(Hansen H. J. ら、1974, Human Path. 5:139-147; Hagan P. L. ら、1985, J. Nucl. Med. 26:1418-1423);乳癌において増加するHER2-/neuタンパク質のような増殖因子受容体(HERCEPTIN Prescribing Information - Genentech; HERCEPTIN Summary Basis for Approval (SBA) - FDA; Hayes D. F.ら、1993, Proc. Am. Soc. Clin. Oncol. 12: 58a; Leitzel K.ら、1992, J. Clin. Oncol. 10:1463-1443)。「腫瘍特異抗原」という用語は腫瘍細胞に特異的に関連する抗原を表し、正常細胞はそのような抗原を発現しない。腫瘍関連抗原は腫瘍細胞の表面上に発現し、それはまた、「表面結合腫瘍関連抗原」という用語によっても表される。腫瘍関連抗原はまた、腫瘍細胞によって血液循環中に離脱または分泌され得る。腫瘍関連抗原の脱離型(shed form)は、「脱離腫瘍抗原(Shed tumor antigen)」という用語によって表され、それは、血液循環している腫瘍特異抗原および癌細胞によって排出または分泌される腫瘍関連抗原を含むことが理解される。
本発明は、抗体療法に使用できる方法および組成物を提供する。ある実施形態では、二重特異性分子は治療用抗体と共に使用される。別の実施形態では、二重特異性分子は、抗体性の化学療法薬または薬剤と共に使用される。治療用抗体は、癌細胞を標的とするために用いられ、抗癌増殖効果または抗転移効果を有する抗体を指すことができる。例えば治療用抗体は、標的癌細胞の破壊を引き起こす宿主の免疫系を活性化するかもしれず、または、転移速度を低下させ得るように癌細胞が連結することを妨げるかもしれない。治療用抗体の例は、PanorexおよびTrastuzumab(HERCEPTIN)であり得るがこれに限定されない(Dickman S., 1998, Science, 280:1196-1197)。二重特異性分子による脱離腫瘍抗原の除去によって、抗体療法に用いられる抗体が癌細胞をより特異的に標的とするため、治療はより高い有効性およびより低い副作用を持つ。
本発明はまた、細胞療法に使用できる方法および組成物を提供する。ある実施形態では、二重特異性分子は、癌細胞を標的とし破壊する細胞の産生を活性化するサイトカインと共に使用される。サイトカインの例は、インターロイキン-1(IL-1aおよびb)、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-4(IL-4)、腫瘍壊死因子(TNF)、リンフォトキシン(LT)、インターフェロン(IFN-a, b)、マクロファージコロニー刺激因子ならびに顆粒球マクロファージコロニー刺激因子を含むがこれに限定されない(Sivanandham M.ら、1992, Annals of Plastic Surgery, 28:114-118)。別の実施形態では、二重特異性分子は、腫瘍細胞を特異的に標的とする、活性化され培養されたリンパ球と共に使用される。別の実施形態では、二重特異性分子は、腫瘍細胞を特異的に標的とする、サイトカインに活性化された腫瘍特異的な腫瘍浸潤リンパ球(TIL)と共に使用される(Di Pierroら、1993, Med Oncl. & Tumor Pharmacother. 10:53-9; Sivanandham M.ら、1992 Annals of Plastic Surgery, 28:114-118)。更に別の実施形態では、二重特異性分子は、CTLによる癌治療において細胞傷害性Tリンパ球(CTL)と共に使用される。更に別の実施形態では、二重特異性分子は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)においてK細胞と共に使用される。K細胞は抗体依存性細胞傷害(ADCC)を仲介し、そこで該K細胞は外来抗原を発現する細胞を破壊することができる。二重特異性分子は、脱離腫瘍抗原を除去するために使用され、このような除去によって、脱離腫瘍抗原によってもたらされる遮断または抑制が除去されるため、例えばリンパ球のような治療薬は腫瘍細胞をより効率的に標的とするであろう。
本発明は、腫瘍に対する宿主の免疫応答を向上させる方法および組成物を提供する。二重特異性分子は脱離腫瘍抗原を除去するために投与され、その結果、血液循環中からの脱離腫瘍抗原の除去により、腫瘍抗原によって誘導される抗体および細胞傷害性T細胞のような宿主自身の免疫成分は血液循環している腫瘍抗原によって遮断されず、従って、腫瘍細胞をより特異的且つ効率的に標的とする。その結果、宿主自身の免疫系による攻撃を逃れる腫瘍細胞はより少なくなる。ある実施形態では、二重特異性分子は腫瘍発達の初期に投与され、その結果、宿主の免疫応答が腫瘍細胞をより特異的に標的として、腫瘍成長を遅らせ、転移速度を低下させるであろう。別の実施形態では、二重特異性分子は、残存腫瘍細胞を破壊する患者の免疫系の能力を向上させ、それによって生存率が増加するように、腫瘍の外科的切除の後の患者に投与される。
二重特異性分子はまた、腫瘍関連抗原を発現する細胞の抗原性能力を増強する治療を補助するために使用でき、宿主により強い免疫応答を誘導する。ある実施形態では、二重特異性分子は、多重エピトープ腫瘍関連抗原の決定前エピトープに結合する結合剤と共に使用され、そのような結合は、宿主の免疫系が以前に認識していない腫瘍関連抗原を認識し、免疫応答を開始できるように抗原を変化させるであろう(米国特許第6,241,985号および6,086,873号)。
本明細書で用いられる場合、「エピトープ」という用語は抗原決定基、すなわち、宿主に免疫応答を引き起こす、または、抗体によって結合される分子の領域を指す。この領域は、連続的なアミノ酸を含有し得るが、必ずしもその必要はない。エピトープという用語はまた、当技術分野で「抗原決定基」として知られている。エピトープは、宿主の免疫系に特有の空間的立体構造においてはわずか3つのアミノ酸を含有しうる。通常、エピトープは少なくとも5つのこのようなアミノ酸から成り、より一般的には少なくとも8-10のこのようなアミノ酸からなる。当技術分野では、このようなアミノ酸の空間的立体構造を決定する方法が知られている。
本発明はまた、腫瘍の診断または癌の放射線治療において用いられる放射性標識抗体と共に使用できる方法および組成物を提供する。本発明のある実施形態では、二重特異性分子は腫瘍の検出の際に放射性標識抗体と共に使用され、例えば、放射性標識抗体は宿主に注入され、その後、放射部位を特異的に検出する当技術分野において既知の任意の造影方法によって視覚化できる。本明細書で用いられる場合、「放射性標識抗体」という用語は、インジウム-111(111In)のような放射性標識と結合した抗体を表す(Hagan P. L.ら、1985, J. Nucl. Med. 26:1418-1423参照)。放射線治療に使用される放射性標識抗体の例は、放射性標識抗CEAモノクロナール抗体(mAB)、放射性標識抗PEM mAB、放射性標識抗HER2/neu mAB、放射性標識抗CA-125 mAB、放射性標識抗TAG-72 mAB、放射性標識抗PSA mAB、放射性標識抗CA19-9 mAB、放射性標識抗TPS mAB、および放射性標識抗MUC-1 mABであり得るがこれに限定されない。本発明の別の実施形態においては、二重特異性分子は、放射線治療と共に使用される。放射線治療において、放射線は、遺伝物質に傷害を与え、細胞の増殖を不可能にすることにより、治療領域内の細胞を傷害または破壊するためのエネルギーを蓄積させるために用いられる。放射線治療の例は、例えばX線、γ線のような放射線量を直接癌の部位に供給する放射性標識抗体であり得るがこれに限定されない。放射線治療は、単独で、または化学療法もしくは外科手術のような他の癌治療法と組合せて使用されうる。
本発明の方法および組成物が、脱離腫瘍抗原の除去が患者に有益であろうという点で、任意の癌治療に使用され得ることは当業者にとって明白であろう。
本発明の方法および組成物は、ヒトおよびヒト以外の動物(例えば、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、マウス、ラット等)を含むがこれに限定されない任意の哺乳動物に使用され得る。好ましい実施形態では、本方法および組成物は、ヒトまたはヒト以外の霊長目において癌を治療するために使用される。
本発明の方法および組成物によって治療される哺乳動物の好ましい特徴は、脱離腫瘍抗原の急速且つ効率的なクリアランスを提供するために十分な量の肝臓への血流、ならびに、肝臓および脾臓における組織定着マクロファージ(例えばKupffer細胞)の存在を含む。脱離腫瘍抗原のクリアランスは動物種から比較的独立しており、むしろ、クリアランスは動物の大きさ、全マクロファージ細胞数および二重特異性分子の投与量に依存する。
5.1二重特異性分子
本発明は、例えば、C3b様受容体またはその機能的同等物に結合する第一抗原認識部分および被験者の血液循環中から除去するため脱離腫瘍抗原のエピトープに結合する第二抗原認識部分を有することによって特徴づけられる二重特異性抗体のような、二重特異性分子に関する。
補体成分C3bは、C3b受容体のリガンドであり、免疫系によるクリアランスの標的とされる細胞または免疫複合体(IC)に結合するために活性化される。C3b成分は、標的細胞またはICに結合した後、続いてC3b受容体に結合し、その結果、例えば細胞またはICのような抗原を、循環している赤血球(RBC)に繋留して複合体にする。この赤血球-抗原複合体は、その後血液循環中を通り肝臓または脾臓に至り、その後そこで複合体は細網内皮系によって認識され、排除されると思われる。抗原はその後マクロファージによって細網内皮系で貪食され、赤血球は血液循環中に戻される(Cornacoff, J.ら、1983, J. Clin. Invest., 71:236-47)。
本発明において、二重特異性分子の第一抗原認識部分は、CR1結合ドメインおよびエフェクタードメインを含む任意のポリペプチドであり得る。好ましい実施形態では、第一抗原認識部分は抗CR1 mAbである。別の実施形態では、第一抗原認識部分は、免疫グロブリンFcドメインのN末端に融合したC3b様受容体特異的な単鎖可変領域フラグメント(scFv)を含むがこれに限定されない、抗CR1ポリペプチド抗体である。第一抗原結合部分はまた、相補性決定領域がマウスでありフレームワーク領域がヒトであることによって、抗体療法を受けるヒト患者での免疫応答の可能性を減少させる、ヒト化モノクロナール抗体のようなキメラ抗体であり得るが、これに限定されない(参照により本明細書にそれら全体が組み入れられる米国特許第4,816,567号、4,816,397号、5,693,762号、5,585,089号、5,565,332号および5,821,337号)。キメラ抗体のFcドメインは食細胞のFc受容体によって認識されることができ、その結果、RBC-免疫複合体の移動およびその後のタンパク質分解を促進することが好ましい。簡単にするために、本開示はしばしば抗CR1抗原認識部分または抗CR1抗体と述べるが、本開示は任意のC3b様受容体と結合する抗原認識部分または抗体に等しく適用可能であることが理解されるであろう。
本発明において、二重特異性分子の第二抗原認識部分は、脱離腫瘍抗原を認識し結合する任意の抗体またはその抗原結合フラグメントを含むがこれに限定されない任意の分子部分であり得る。腫瘍細胞によって血液循環中へ分泌され、第二抗原認識部分によって結合され得る腫瘍関連抗原の例は、癌胎児性抗原(CEA)という、胎児の消化管および種々の癌、特に内胚葉由来(結腸直腸、肺、膵臓、胃)の悪性腫瘍の抽出物に存在する抗原(Hansen H. J.ら、1974, Human Path. 5:139-147; Hagan P. L.ら、1985, J. Nucl. Med. 26:1418-1423);多型上皮ムチン(PEM)という、卵巣癌に存在する抗原(Davies Q.ら、1997, Eur. J. Nucl. Med., 24:206-209);乳癌で増加するEHR2-/neuタンパク質(HERCEPTIN Prescribing Information - Genentech; HERCEPTIN Summary Basis for Approval (SBA) - FDA; Hayes D. F. ら、1993, Proc. Am. Soc. Clin. Oncol. 12:58a; Leitzel K.ら、1992, J. Clin. Oncol. 10: 1463-1443);卵巣癌に関連するCA125(Sakarhara H.ら、1996, Jpn. J. Cancer Research 87:655-661; Canney P. A.ら、1984, Br. J. Cancer 50:765-9; Kudlacek Sら、1989, Gynecol. Oncol. 35:323-9);種々の悪性腫瘍、特に、胃腸および卵巣の癌の患者に見いだされる腫瘍関連糖タンパク質-72(TAG-72)(Filella X.ら、1994, Acta. Oncol. 33:747-51; Filella X.ら、1992, Bull Cancer 79:271-7);前立腺癌に関連する前立腺特異抗原(PSA)(Kuriyama M.ら、Cancer Res. 40:4658-62; Chu TM および Murphy GP., 1986, Urology XXVII(6):487-91);膵臓癌に関連する糖鎖抗原19-9(CA19-9)(Tanaka N.ら、2000, Pancreas 20:378-81);組織ポリペプチド特異的抗原(TPS)という、膵臓癌の検出におけるCA19-9の補完物(Slesak B.ら、2000, Cancer 89:83-8);ならびに、乳癌に関与する細胞関連ムチン様タンパク質である、MUC-1遺伝子産物(分析によってCA15-3、CA27-29、CA 549、乳癌ムチン(BCM、乳腺血清抗原(MSA)およびムチン様悪性腫瘍関連抗原(MCA))を含む血液循環MUC-1産物が検出される)(Stearns V.ら、1998, Breast Cancer Research and Treatment 52: 239-259)を含むがこれに限定されない。
二重特異性分子の第二抗原認識部分によって認識され結合され得る脱離腫瘍抗原のエピトープは、脱離腫瘍抗原の任意のエピトープであり得る。二重特異性分子の第二抗原認識部分によって認識され結合されるエピトープは、腫瘍細胞を標的とする治療用抗体またはリンパ球によって認識され結合されるものと同一のエピトープであり得るが必ずしもその必要はない。二重特異性分子の第二抗原認識部分によって認識され結合されるエピトープは、細胞表面に結合した腫瘍関連抗原によって露出されないエピトープであり得る。
二重特異性分子の第二抗原認識部分はまた、非タンパク質性部分であり得る。ある実施形態では、第二抗原認識部分は核酸である。別の実施形態では、第二抗原認識部分は有機小分子である。更に別の実施形態では、第二抗原結合部分はオリゴ糖である。
種々の精製された二重特異性分子は、組み合わされて二重特異性分子の「カクテル」と成り得る。本明細書で用いられる場合、本発明の二重特異性分子のカクテルとは、脱離腫瘍抗原の1つまたは混合物を標的とするための精製された二重特異性分子の混合物を指す。特に、二重特異性分子のカクテルは、異なるまたは同一の抗原分子を標的とし、混合された種類である、複数の第二抗原結合ドメインを有する精製された二重特異性分子の混合物を指す。例えば、第二抗原結合ドメインの混合物は、ペプチド、核酸および/または有機小分子の混合物であり得る。二重特異性分子のカクテルは、一般的に種々の精製された二重特異性分子を混合することによって調製される。このような二重特異性分子カクテルは、特に、個々の患者の必要に応じた個別のオーダーメイド医薬として有用である。
本発明において使用される二重特異性分子は、第一抗体が霊長目C3b-様受容体に特異的であり、第二抗体が脱離腫瘍抗原に特異的である、架橋抗体であり得る。二重特異性分子はまた、組換えによって産生され、霊長目C3b様受容体を認識する第一ドメインおよび脱離腫瘍抗原を認識する第二ドメインを持つ抗体であり得る。二重特異性分子は同様に、タンパク質トランススプライシング法を用いて産生することができ、霊長目C3b様受容体を認識する第一抗原認識部分および脱離腫瘍抗原を認識する第二抗原認識部分を持ち得る。図1〜4および下記の5.5項を参照のこと。
5.1.1. 抗体
二重特異性分子の第二抗原認識部分は、任意の抗体または抗原結合フラグメントを含むがこれに限定されない任意の分子部分であり得る。脱離腫瘍抗原を認識し結合する「抗体」という用語は、本明細書で用いられる場合、免疫グロブリン分子またはその断片を指す。本発明はまた、特異的に脱離腫瘍抗原と結合する抗原結合部を含む抗体フラグメントの使用をも包含する。免疫学的に活性のある免疫グロブリン分子の断片の例は、ペプシンまたはパパインなどの酵素を用いた抗体の処理によって生成され得るF(ab)およびF(ab')2断片を含む。免疫学的に活性のある抗体の断片を生成および発現する方法の例は、参照により本明細書にその全体が組み入れられる米国特許第5,648,237号に見いだすことができる。
免疫グロブリン分子は、無数の免疫グロブリン可変領域だけでなく、κ、λ、α、γ、δ、εおよびμ定常領域を含む遺伝子によってコードされる。軽鎖は、κまたはλのいずれかに分類される。軽鎖は、軽鎖可変(VL)および軽鎖定常(CL)ドメインを含有する。重鎖は、γ、μ、α、δ、または、εに分類され、それらはそれぞれ、順に免疫グロブリンのクラスIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEを定義する。重鎖は、重鎖可変(VH)、重鎖定常1(CH1)、ヒンジ、重鎖定常2(CH2)および重鎖定常3(CH3)ドメインを含有する。IgG重鎖は、更にそれらの配列変異型に基づいてサブクラス化され、サブクラスはG1、IgG2、IgG3およびIgG4と呼ばれる。
抗体は、更に2対の軽鎖および重鎖ドメインに分解され得る。一対のVLおよびVHドメインは各々、以下の一連の7つのサブドメインを含有する。すなわち、抗体-抗原認識ドメインを構成するフレームワーク領域1(FR1)、相補性決定領域1(CDR1)、フレームワーク領域2(FR2)、相補性決定領域2(CDR2)、フレームワーク領域3(FR3)、相補性決定領域3(CDR3)、フレームワーク領域4(FR4)である。
キメラ抗体は、適切な抗原特異性を有するモノクローナル抗体からの遺伝子を、適切な生物学的活性を有する第二のヒト抗体からの遺伝子と共にスプライシングすることによって作製されうる。特に、キメラ抗体は、抗体の可変領域をコードする遺伝子を、第二の抗体分子由来の定常領域と共にスプライシングすることによって作製されうる。この方法は、相補性決定領域がマウスでありフレームワーク領域がヒトであることによって、抗体療法を受けるヒト患者での免疫応答の可能性を減少させる、ヒト化モノクロナール抗体の作製に用いられる(参照により本明細書にそれら全体が組み入れられる米国特許第4,816,567号、4,816,397号、5,693,762号、5,585,089号、5,565,332号および5,821,337号)。
本発明での使用に適切な抗体は、天然源から得られる、または、遺伝子工学技術による定常領域の機能の改変(米国特許第5,624,821号)を含む、ハイブリドーマ、組み換え、もしくは、化学合成法によって作製されうる。本発明の二重特異性抗体は、任意のアイソタイプでありうるが、ヒトIgG1であることが好ましい。
抗体は、例えば、完全な免疫グロブリンとして存在する、または、パパインもしくはペプシンのような様々なペプチダーゼを用いた消化によって産生される多数のよく解析された断片に切断され得る。ペプシンは、ヒンジ領域のジスルフィド結合の下で抗体を消化し、ジスルフィド結合によってVH-CH1と結合した軽鎖で構成されるFabの二量体である、抗体のF(ab)'2断片を産生する。F(ab)'2は、ヒンジ領域のジスルフィド結合を切断してF(ab)'2二量体をFab'単量体に変換するために、穏やかな条件下で還元されうる。Fab'単量体は、基本的にヒンジ領域の一部を持つFabである。エピトープ、抗体および抗体フラグメントの詳細な記述は、Paul, 編, 1993, Fundamental Immunology, Third Edition (New York: Raven Press) を参照せよ。当業者は、このようなFab'断片が化学的にまたは組換えDNA技術の使用のいずれかによって新規に合成されうることを認識するであろう。従って、本明細書で用いられる場合、抗体フラグメントという用語は、完全な抗体の改変によって産生される抗体の断片または新規に合成されるそれらを含む。
本明細書で用いられる場合、抗体はまた、一般に、ポリペプチドリンカーを介して重鎖の可変ドメインに融合した軽鎖の可変ドメインからなる融合ポリペプチドを含有する単鎖抗体(scFv)であり得る。
5.1.2. 二重特異性分子のポリクローナル集団
本発明は、複数の異なる二重特異性分子を含有する二重特異性分子のポリクローナル集団を提供し、異なる二重特異性分子の各々はC3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および腫瘍関連抗原分子に結合する異なる第二抗原認識部分を含有している。従ってその集団は、例えば、腫瘍関連抗原分子の異なる変異型および/または異なる脱離抗原の異なるエピトープを対象とする、複数の異なる抗原認識特異性を含有する。ある実施形態では、二重特異性分子のポリクローナル集団は、C3b様受容体に結合する第一抗原認識部分を、複数の異なる特異性を含有する第二抗原認識部分のポリクローナル集団に架橋することによって産生される(例えば、2001年3月15日に出願された米国仮出願第60/276,200号参照)。別の実施形態では、二重特異性分子のポリクローナル集団は組換えによって産生される(2000年4月26日に出願された米国仮出願第60/199,603号および2000年11月1日に出願された第60/244,812号参照)更に別の実施形態では、二重特異性分子のポリクローナル集団は、タンパク質トランススプライシング法を用いて産生される(2000年11月1日に出願された米国仮出願第60/244,811号参照)。
本発明のポリクローナル集団における複数の異なる二重特異性分子中の二重特異性分子の第一抗原認識部分は、C3b様受容体結合ドメインおよび好ましくはエフェクタードメインを含有する任意の分子またはその断片であり得る。好ましい実施形態では、第一抗原認識部分は抗CR1モノクローナル抗体からなる。第一抗原認識部分はまた、Fcドメインに融合された単鎖FvフラグメントまたはC3b様受容体結合ドメインおよびエフェクタードメインを含有するキメラ抗体であり得る。
本発明のポリクローナル集団における複数の異なる二重特異性分子中の二重特異性分子の第二抗原認識部分は、任意の抗体またはその抗原結合フラグメントを含むがそれに限定されない、腫瘍関連抗原分子を認識し結合する任意の分子部分であり得る。本発明のポリクローナル集団は、例えば脱離腫瘍抗原上の複数の認識部位に対する特異性を持つ異なる第二抗原認識部分を有する、複数の異なる二重特異性分子を含有する。限定されない例として、二重特異性分子の集団は、脱離腫瘍抗原上の異なるエピトープを認識し結合する複数の異なる第二抗原認識部分を持ち得る。二重特異性分子の集団はまた、脱離腫瘍抗原の同一のエピトープを認識し結合する複数の異なる第二抗原認識部分を持ち得る。
ポリクローナル集団における複数の二重特異性分子中の各々の二重特異性分子の特性および機能は、既知または未知であり得る。ポリクローナル集団における複数の二重特異性分子中の各々の二重特異性分子の正確な比率もまた、既知または未知であり得る。このような二重特異性分子の正確な比率が最適な治療および/または予防法の効能のために必要に応じて調整できるように、ポリクローナル集団における複数の二重特異性分子中の少なくともいくつかの二重特異性分子の特性および比率は既知であることが好ましい。二重特異性分子のポリクローナル集団は、標的腫瘍抗原に結合しない二重特異性分子を含有しうる。例えば、二重特異性分子の集団は、標的腫瘍抗原上以外の抗原分子に結合する抗体を含む高免疫血清から調製され得る。ポリクローナル集団中の複数の二重特異性分子は少なくとも集団の10%、20%、50%または80%を構成することが好ましい。より好ましくは、ポリクローナル集団中の複数の二重特異性分子は少なくとも集団の90%を構成する。二重特異性分子のポリクローナル集団中の複数の二重特異性分子は、多数性の90%、80%または50%を上回る比率を有する、いかなる単一の二重特異性分子をも含有しないことが好ましい。より好ましくは、二重特異性分子のポリクローナル集団中の複数の二重特異性分子は、多数性の20%を上回る比率を有する、いかなる単一の二重特異性分子をも含有しない。ポリクローナル集団中の複数の二重特異性分子は、異なる抗原認識特異性を持つ少なくとも2つの異なる二重特異性分子からなる。好ましくは、ポリクローナル集団中の複数の二重特異性分子は、異なる抗原認識特異性を持つ少なくとも10の異なる二重特異性分子からなる。より好ましくは、ポリクローナル集団中の複数の二重特異性分子は、異なる抗原認識特異性を持つ少なくとも100の異なる二重特異性分子からなる。ポリクローナル集団は、ポリクローナル免疫グロブリン調製品に限定されないがこのような適切な抗原認識部分のポリクローナル集団から作製され得る。ポリクローナル集団中の各々の二重特異性分子は、他の二重特異性分子の活性を阻害または低下させないことが好ましい。より好ましくは、ポリクローナル集団中の1つ以上の二重特異性分子は、他の1つ以上の二重特異性分子の有効性を増強する。
別の実施形態では、本発明は、各々1つ以上の二重特異性分子に結合した複数の造血細胞を含有する改変造血細胞の集団を提供し、そこでは、各々の該二重特異性分子は腫瘍関連抗原分子に結合する異なる第二抗原認識部分に架橋されたC3b様受容体に結合する第一抗原認識部分から成り、改変造血細胞の集団に結合した該二重特異性分子は異なる第二抗原認識部分を含有する二重特異性分子の集団を形成することを特徴とする。
5.2. 癌の診断および治療における二重特異性分子の使用方法
本発明は、癌の診断および治療に使用できる方法ならびに組成物を提供する。二重特異性分子は抗体を介した癌治療、細胞を介した癌治療、放射線治療を増強するために、および/もしくは宿主自身の腫瘍に対する免疫応答を向上させるために、またはそれらの任意の組合せで使用され得る。本発明はまた、腫瘍の視覚化を向上させるために、抗体を介した腫瘍造影技術にも使用され得る。
5.2.1.抗体を介した癌治療における二重特異性分子の使用方法
本発明は、抗体を介した癌治療の増強における二重特異性分子の使用方法を提供する。本発明の方法において、1つ以上の二重特異性分子は、治療用抗体、複数の抗体、または、癌治療のためのモノクローナルもしくはポリクローナル抗体とコンジュゲートした化学療法薬と組み合わせて使用される。投与後、二重特異性分子は脱離腫瘍抗原に結合し、それらを血液循環中から除去する。二重特異性分子による脱離腫瘍抗原の除去は、治療用抗体、複数の抗体、または、癌治療におけるモノクローナルもしくはポリクローナル抗体とコンジュゲートした化学療法薬の副作用を低下させるだけでなく、特異性および有効性を向上させる。上記の5.1項に記載された任意の二重特異性分子はこの目的のために使用されうる。
本発明のある実施形態では、二重特異性分子は治療用モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体医薬と併せて使用される。このような治療用モノクローナルまたはポリクローナル抗体医薬が結合する抗原は、例えば腫瘍特異抗原もしくは腫瘍細胞上に過剰発現される増殖因子受容体のような、任意の腫瘍関連抗原であり得る。その実施形態において、二重特異性分子は、治療用抗体医薬によって標的とされるこのような腫瘍関連抗原の脱離型を血液循環中から除去するために使用される。脱離抗原の除去は、治療用抗体の表面結合腫瘍抗原への結合を改善し、癌細胞への治療用抗体の局在を促進し、従って治療用抗体の特異性と有効性を向上させる。
本発明の別の実施形態では、二重特異性分子はモノクローナルまたはポリクローナル抗体とコンジュゲートした化学療法薬と併せて使用される。化学療法薬はコンジュゲートしたモノクローナルまたはポリクローナル抗体の誘導を介して腫瘍細胞を標的とする。コンジュゲートしたモノクローナルまたはポリクローナル抗体が結合する抗原は、例えば腫瘍特異抗原もしくは腫瘍細胞上に過剰発現される増殖因子受容体のような、任意の腫瘍関連抗原であり得る。その実施形態において、二重特異性分子は、化学療法薬にコンジュゲートされた抗体によって標的とされるこのような腫瘍関連抗原の脱離型を血液循環中から除去するために使用される。このような脱離抗原の除去は、表面結合腫瘍抗原への抗体の結合を改善し、癌細胞への化学療法薬の局在を促進し、従って化学療法薬の特異性と有効性を向上させる。更に、化学療法薬の有効性の増加は、このような薬剤の投与所要量を低下させ、従って癌の化学療法の副作用を低下させうる。
治療用抗体または抗体とコンジュゲートした化学療法薬と組み合わせて使用された場合、二重特異性分子は、治療用抗体もしくは化学療法用抗体医薬と同一のまたは異なる抗原部位を標的にできる。二重特異性分子はまた、治療用抗体もしくは化学療法用抗体医薬と同一のまたは異なる脱離腫瘍抗原を標的にできる。例えば、脱離腫瘍抗原は細胞膜の他の分子と複合体形成して、異なる高分子会合体を形成できる(Black, P. H., Advances in Cancer Research, 1980, 32:75-199)。このような会合体は、表面結合抗原上には露出されないエピトープを保有するかもしれない。ある実施形態では、二重特異性分子は、乳癌治療においてHER2/neuを標的とする治療用抗体と同一の抗原のエピトープを標的とする。別の実施形態では、二重特異性分子は、化学療法薬とコンジュゲートした治療用抗体または複数の抗体と異なるエピトープを標的とする。例えば、治療用抗体は癌細胞上に発現した腫瘍関連抗原の特有のエピトープを標的とする一方、二重特異性分子は脱離型の抗原の異なるエピトープを標的とする。二重特異性分子が治療用抗体または化学療法薬にコンジュゲートした抗体によって標的とされるエピトープとは異なるエピトープを標的とする場合、二重特異性分子によって標的とされるエピトープは、抗原が細胞表面に結合している際には露出されないエピトープであり得る。二重特異性分子のカクテルまたは二重特異性分子のポリクローナル集団もまた、治療用抗体もしくは抗体とコンジュゲートした化学療法薬と併せて使用され得る。
二重特異性分子は、抗体を介した癌治療において使用される治療用抗体もしくは薬剤の投与の前、同時、または後に投与され得る。ある実施形態では、二重特異性分子は治療用抗体または化学療法薬の投与の前に投与される。二重特異性分子と治療用抗体または薬剤との投与の間の時間差は、当業者によく知られている通常の実験によって決定できる。ある実施形態では、治療用抗体または薬剤は、血液循環中の脱離腫瘍抗原レベルが好ましい閾値以下に低下した後に与えられる。脱離腫瘍抗原のレベルは、当技術分野において既知の任意の技術、例えば酵素結合免疫吸着法(ELISA)を用いて測定され得る(Leitzelら、1992, J. of Clinical Oncology, 10:1436-1443)。いくつかの事例では、例えば細胞表面のヒトメラノーマ腫瘍抗原の約半分の分泌が3時間で起こるように、腫瘍は予想外に短期間に大量の抗原を分泌しうる(Black, P. H., Advances in Cancer Research, 1980, 32:75-199)。この状況下では、二重特異性分子の大量の投与量またはより頻繁な投与が短期間に与えられ、その後次第に維持投与量へと減少させ得る。ある実施形態では、治療用抗体または抗体コンジュゲート化学療法薬は、血液循環中の脱離抗原レベルを十分な閾値に低下させる、1つ以上の二重特異性分子を用いた初期治療の後に与えられる。別の実施形態では、二重特異性分子は、あらゆる治療用抗体または化学療法薬の投与の、少なくとも1、2、4もしくは5日前に与えられる。腫瘍が少量だが一定の割合で抗原を分泌する場合、これは特に有益である。
別の実施形態では、二重特異性分子は治療用抗体または化学療法薬と同時に投与される。
更に別の実施形態では、二重特異性分子は、治療用抗体または化学療法薬の投与の、少なくとも1、2、4もしくは5日後に投与される。このような投与は、治療用抗体または薬剤が治療に用いられる二重特異性分子よりも長い半減期を持つ場合、特に有益であり得る。
二重特異性分子の異なる投与時期の任意の組合せが使用できることは、当業者にとって明白であろう。例えば、治療用抗体が用いられる二重特異性分子よりも長い半減期を持つ場合、治療用抗体の投与の前後に二重特異性分子を投与することが好ましい。
二重特異性分子の投与の頻度または間隔は、脱離腫瘍抗原の血清濃度に依存し、それは、例えばELISAのような、当技術分野において既知の任意の技術によって測定され得る(Leitzelら、1992, J. of Clinical Oncology, 10:1436-1443)。脱離腫瘍抗原レベルが血液循環中で以前に測定したレベルより高くまたは低く変化した際には、二重特異性分子の投与頻度を増減することができる。
二重特異性分子の投与量は、当業者によく知られている通常の実験によって決定できる。それは、RBCの数および各RBC上のCR1部位の数だけでなく、血液循環中の脱離腫瘍抗原レベル、二重特異性分子の半減期に基づいて決定され得る。血液循環中の脱離腫瘍抗原レベルは、例えばELISAのような、当技術分野において既知の任意の技術によって測定され得る。二重特異性分子の半減期もまた、例えば異なる時点で二重特異性分子の血清濃度を測定するELISAを用いた、別の実験によって測定され得る。二重特異性分子の半減期は、二重特異性分子自身および特定の脱離腫瘍抗原ならびに二重特異性分子が複合体形成する脱離腫瘍抗原レベルの両方に依存する。
二重特異性分子の投与の効果または利点は、当技術分野において既知の任意の方法によって、例えば、生存率、副作用、治療用抗体或いは化学療法薬の投与所要量、治療薬のクリアランス速度、もしくはその任意の組合せの測定に基づく方法によって評価できる。もし二重特異性分子の投与が患者に、生存率の増加、副作用の減少、治療用抗体または化学療法薬にコンジュゲートした抗体の投与所要量の低下、治療用抗体または化学療法薬のクリアランス速度の減少などの、任意の1つ以上の利点をもたらすならば、二重特異性分子は抗体療法を増強したと考えられ、その方法は効果を持つと言える。
5.2.2.細胞を介した癌治療における二重特異性分子の使用方法
本発明は、細胞を介した癌治療の増強における二重特異性分子の使用方法を提供する。1つ以上の脱離腫瘍抗原の血液循環中からの除去は、脱離腫瘍抗原によってもたらされる遮断もしくは抑制効果の除去または減少を引き起こし、従って、細胞を介した癌治療をより効果的にさせる。上記の5.1項に記載された任意の二重特異性分子はこの目的のために使用されうる。
本発明のある実施形態では、二重特異性分子は、腫瘍細胞を標的として破壊する細胞の産生を活性化するサイトカインと併せて使用される。
本発明の別の実施形態では、二重特異性分子は、腫瘍細胞を特異的に標的として破壊する活性化され培養されたリンパ球(CTLを介した治療)と併せて使用される。
別の実施形態では、二重特異性分子は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)におけるK細胞(非T、非B細胞)と併せて使用される。
本発明の更に別の実施形態では、二重特異性分子は、腫瘍組織部位に遺伝子産物を特異的に送達する、サイトカイン遺伝子をトランスフェクトした腫瘍特異的な腫瘍浸潤リンパ球(TIL)と併せて使用される。(Sivanandham M.ら、1992, Annals of Plastic Surgery, 28:114-118)。
遺伝子組み換え技術を用いて、組換えサイトカインを大量に産生することができる。サイトカインをコードする遺伝子の例は、インターロイキン-1(IL-1αおよびβ)、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-4(IL-4)、腫瘍壊死因子(TNF)、リンフォトキシン(LT)、インターフェロン(IFN-α,β,γ)、マクロファージコロニー刺激因子ならびに顆粒球マクロファージコロニー刺激因子であり得るがこれに限定されない。(Sivanandham M.ら、1992, Annals of Plastic Surgery, 28:114-118)。IL-2は、例えばリンフォカイン活性化キラー(LAK)細胞の活性化、腫瘍細胞特異的な活性化Tリンパ球の増殖、ナチュラルキラー細胞の増加、ならびにIFN-γ、LT、およびTNFの分泌の補助などの複数の機能を持つことが示されている(Sivanandham M.ら、1992, Annals of Plastic Surgery, 28:114-118)。Rosenbergらは、高い投与量のIL-2に加えてLAK細胞による治療を受けたメラノーマの患者が腫瘍の緩解を示すことを実証した(Rosenberg S.A.ら、1985, N Engl. J. Med. 313:1485)。IL-2の単独投与もまた、メラノーマの患者において有望な結果を示した(Lotze M.T. ら、J.A.M.A. 256:3117. 1986)。しかし、これらの治療の全体的な成果は25%以下であった(Sivanandham M.ら、1992, Annals of Plastic Surgery, 28:114-118)。これらの細胞によって標的とされる脱離腫瘍抗原を除去するための二重特異性分子の投与は、これらの治療の効能を増強する。
細胞を介した治療と組み合わせて用いた場合、二重特異性分子は、治療用細胞と同一のまたは異なる抗原部位を標的にできる。例えば、脱離腫瘍抗原は細胞膜の他の分子と複合体形成して、異なる高分子会合体を形成できる(Black, P. H., Advances in Cancer Research, 1980, 32:75-199)。ある実施形態では、二重特異性分子は治療用細胞と同一のエピトープまたは同一の抗原を標的とする。別の実施形態では、二重特異性分子は治療用細胞と異なるエピトープを標的とする。例えば、治療用細胞は癌細胞上に発現した腫瘍関連抗原の特有のエピトープを標的とする一方、二重特異性分子は脱離型の抗原の異なるエピトープを標的とする。二重特異性分子が細胞を介した治療において治療用細胞によって標的とされるエピトープとは異なるエピトープを標的とする場合、二重特異性分子によって標的とされるエピトープは、抗原が細胞表面に結合している場合には露出されないエピトープであり得る。二重特異性分子のカクテルまたは二重特異性分子のポリクローナル集団もまた、細胞を介した治療と併せて使用され得る。
二重特異性分子は、細胞を介した癌治療に使用される例えばサイトカインおよび/もしくは治療用細胞のような薬剤の投与の前、同時、または後に投与され得る。ある実施形態では、二重特異性分子は薬剤投与の前に投与される。二重特異性分子の投与と薬剤の投与との間隔は、当業者によく知られている通常の実験によって決定できる。ある実施形態では、薬剤は、血液循環中の脱離腫瘍抗原レベルが好ましい閾値以下に低下した後に与えられる。
脱離腫瘍抗原のレベルは、当技術分野において既知の任意の技術、例えば酵素結合免疫吸着法(ELISA)を用いて測定され得る(Leitzelら、1992, J. of Clinical Oncology, 10:1436-1443)。いくつかの事例では、例えば細胞表面のヒトメラノーマ腫瘍抗原の約半分の分泌が3時間で起こるように、腫瘍は予想外に短期間に大量の抗原を分泌しうる(Black, P. H., Advances in Cancer Research, 1980, 32:75-199)。この状況下では、二重特異性分子の大量の投与量またはより頻繁な投与が短期間に与えられ、その後次第に維持投与量へと減少させ得る。ある実施形態では、細胞を介した治療に用いられる薬剤は、血液循環中の脱離抗原レベルを十分な閾値に低下させる、二重特異性分子による初期治療の後に与えられる。別の実施形態では、二重特異性分子は、あらゆる薬剤の投与の、少なくとも1、2、4または5日前に与えられる。腫瘍が少量だが一定の割合で抗原を分泌する場合、これは特に有益である。
別の実施形態では、二重特異性分子は薬剤と同時に投与される。
更に別の実施形態では、二重特異性分子は、薬剤の投与の、少なくとも1、2、4または5日後に投与される。このような投与は、細胞を介した治療に用いられる薬剤が治療に用いられる二重特異性分子よりも長い半減期を持つ場合、特に有益であり得る。
二重特異性分子の異なる投与時期の任意の組合せが使用できることは、当業者にとって明白であろう。例えば、治療用抗体が用いられる二重特異性分子よりも長い半減期を持つ場合、治療用抗体の投与の前後に二重特異性分子を投与することが好ましい。
二重特異性分子の投与の頻度または間隔は、脱離腫瘍抗原の血清濃度に依存し、それは、例えばELISAのような、当技術分野において既知の任意の技術によって測定され得る(Leitzelら、1992, J. of Clinical Oncology, 10:1436-1443)。脱離腫瘍抗原レベルが血液循環中で以前に測定したレベルより高くまたは低く変化した際には、二重特異性分子の投与頻度を増減することができる。
二重特異性分子の投与量は、当業者によく知られている通常の実験によって決定できる。それは、RBCの数および各RBC上のCR1部位の数だけでなく、血液循環中の脱離腫瘍抗原レベル、二重特異性分子の半減期に基づいて決定され得る。血液循環中の脱離腫瘍抗原レベルは、例えばELISAのような、当技術分野において既知の任意の技術によって測定され得る。二重特異性分子の半減期もまた、例えば異なる時点で二重特異性分子の血清濃度を測定するELISAを用いた、別の実験によって測定され得る。二重特異性分子の半減期は、二重特異性分子自身とそれが複合体形成する特定の脱離腫瘍抗原との両方に依存する。
二重特異性分子の投与の効果または利点は、当技術分野において既知の任意の方法によって、例えば、生存率、副作用、細胞を介した治療に用いられる薬剤の投与所要量、薬剤のクリアランス速度、もしくはその任意の組合せの測定に基づく方法によって評価できる。もし二重特異性分子の投与が、患者に、生存率の増加、副作用の減少、細胞を介した治療に用いられる薬剤の投与所要量の低下、薬剤のクリアランス速度の減少などの、任意の1つ以上の利点をもたらすならば、二重特異性分子は細胞を介した治療を増強したと考えられ、その方法は効果を有すると言える。
5.2.3.宿主の免疫応答を利用する治療における二重特異性分子の使用方法
本発明は癌に対する宿主の免疫応答の効果を向上させる方法および組成物を提供する。本発明は、宿主に強い免疫応答を引き起こす強い抗原性の腫瘍関連抗原を産生する腫瘍の治療に特に有用である。上記の5.1項に記載された任意の二重特異性分子はこの目的のために使用されうる。
本発明の方法では、二重特異性分子は、例えば宿主に免疫応答を引き起こす脱離腫瘍特異抗原および脱離腫瘍関連抗原などの、脱離腫瘍抗原を除去するために投与される。二重特異性分子による血液循環中からの脱離腫瘍抗原の除去は、例えば腫瘍抗原によって誘導される抗体および/または細胞傷害性T細胞などの宿主自身の免疫成分に対する、脱離腫瘍抗原によってもたらされる或いは誘導される遮断もしくは抑制効果を排除または減少する。従って、宿主の免疫成分は腫瘍細胞をより特異的且つより効果的に標的とする。その結果、宿主自身の免疫攻撃を逃れる腫瘍細胞はより少なくなるであろう。
ある実施形態では、二重特異性分子は腫瘍発達の初期段階で投与される。初期段階では、自身の免疫防御機構によって腫瘍を排除することが宿主にとってずっと容易であるため、これは特に有益である。
別の実施形態では、二重特異性分子は、腫瘍の外科的切除後、患者に投与される。外科手術はしばしばすべての腫瘍細胞を除去しないので、二重特異性分子の投与は残存する腫瘍細胞を攻撃するための宿主自身の免疫系の能力を向上させるために有益であり得る。
二重特異性分子はまた、TAAを発現する細胞の抗原性能力を増強する治療を補助するために使用でき、それは宿主により強い免疫応答を誘導する。ある実施形態では、二重特異性分子は、多重エピトープ腫瘍関連抗原の決定前エピトープに結合する結合剤と共に使用され、そのような結合は、宿主の免疫系が以前に認識していない腫瘍関連抗原を認識し、免疫応答を開始できるように抗原を変化させる(米国特許第6,241,985号および6,086,873号)。
二重特異性分子が宿主自身の免疫応答を増強するために使用される場合、投与の頻度は当業者によく知られている通常の実験によって決定できる。血液循環中の脱離腫瘍抗原レベルは、二重特異性分子の投与前および二重特異性分子の投与後の異なる時点、例えば毎時、測定され得る。好ましくは、二重特異性分子の投与の時間間隔は、血液循環中の脱離腫瘍抗原レベルの再度上昇に必要なほど長くあるべきではない。血液循環中の脱離腫瘍抗原の濃度を低く保つ速度で二重特異性分子を投与することが好ましい。
腫瘍抗原の抗原性を増加させるために用いられる薬剤と組み合わせて使用される場合、二重特異性分子は薬剤と同一のまたは異なる抗原部位を標的とし得る。二重特異性分子はまた、薬剤と同一のまたは異なる脱離型の腫瘍抗原を標的とし得る。例えば、脱離腫瘍抗原は細胞膜の他の分子と複合体形成して、異なる高分子会合体を形成できる(Black, P. H., Advances in Cancer Research, 1980, 32:75-199)。ある実施形態では、二重特異性分子は薬剤と同一のエピトープを標的とする。好ましい実施形態では、二重特異性分子は薬剤と異なるエピトープを標的とする。例えば、薬剤は癌細胞上に発現する腫瘍関連抗原の特有のエピトープを標的とし、一方、二重特異性分子は脱離型の抗原の異なるエピトープを標的とする。二重特異性分子が腫瘍抗原の抗原性を増加させるために用いられる薬剤によって標的とされるエピトープとは異なるエピトープを標的とする場合、二重特異性分子によって標的とされるエピトープは、抗原が細胞表面に結合されている際には露出されないエピトープであり得る。二重特異性分子のカクテルまたは二重特異性分子のポリクローナル集団もまた薬剤と併せて使用され得る。
二重特異性分子が宿主自身の免疫系を活性化する抗原性を増強するために使用される薬剤を補助するために投与される場合、二重特異性分子は同時にまたは薬剤の投与後に投与され得る。ある実施形態では、二重特異性分子は薬剤の投与と同時に投与される。二重特異性分子および薬剤の投与量の比率は、当業者によく知られている通常の実験によって決定でき、少なくとも一部は血液循環中の脱離腫瘍抗原のレベルに依存する。その比率はまた、脱離腫瘍抗原に対する二重特異性分子および薬剤の結合の相対的な強度にも依存する。好ましくは、二重特異性分子は、脱離腫瘍抗原レベルが免疫応答を引き起こすために十分となる程度に、脱離腫瘍抗原を除去する。二重特異性分子の投与量は当業者によく知られている通常の実験によって決定できる。それは、RBCの数および各RBC上のCR1部位の数だけでなく、血液循環中の脱離腫瘍抗原レベル、二重特異性分子の半減期に基づいて決定され得る。血液循環中の脱離腫瘍抗原レベルは、例えばELISAのような、当技術分野において既知の任意の技術によって測定され得る。二重特異性分子の半減期もまた、例えば異なる時点で二重特異性分子の血清濃度を測定するELISAを用いた、別の実験によって測定され得る。二重特異性分子の半減期は、二重特異性分子自身およびそれが複合体形成する特定の脱離腫瘍抗原の両方に依存する。脱離腫瘍抗原のレベルは、当技術分野において既知の任意の技術、例えば酵素結合免疫吸着法(ELISA)を用いて測定され得る(Leitzelら、1992, J. of Clinical Oncology, 10:1436-1443)。
好ましい実施形態では、二重特異性分子は薬剤の投与の少なくとも1、2、4もしくは5日後に投与される。このような投与は、免疫応答が確立された後に二重特異性分子が投与される場合、特に有益である。
二重特異性分子の投与の頻度または間隔は、脱離腫瘍抗原の血清濃度に依存し、それは、例えばELISAのような、当技術分野において既知の任意の技術によって測定され得る(Leitzelら、1992, J. of Clinical Oncology, 10:1436-1443)。脱離腫瘍抗原レベルが血液循環中で以前に測定したレベルより高くまたは低く変化した際には、二重特異性分子の投与頻度を増減することができる。
二重特異性分子の投与の効果または利点は、当技術分野において既知の任意の方法によって、例えば、生存率、副作用、腫瘍抗原の抗原性を増加させるために使用される薬剤の投与所要量、薬剤のクリアランス速度、またはその任意の組合せの測定に基づく方法によって評価できる。もし二重特異性分子の投与が患者に、生存率の増加、副作用の減少、腫瘍抗原の抗原性を増加させるために使用される薬剤の投与所要量の低下、薬剤のクリアランス速度の減少などの、任意の1つ以上の利点をもたらすならば、二重特異性分子は宿主の免疫応答を増強したと考えられ、その方法は効果を持つと言える。
5.2.4.抗体を介した腫瘍の造影および放射線治療における二重特異性分子の使用方法
本発明は、抗体を介した腫瘍の造影または放射線治療における二重特異性分子の使用方法を提供する。二重特異性分子は、脱離腫瘍抗原を血液循環中から除去するために、抗体を介した腫瘍の造影の前に投与され、それによって腫瘍細胞に対する放射性標識抗体の局在を向上させる。従って本方法は、腫瘍画像の質、および腫瘍診断の特異性だけでなく感度の向上に有用である。二重特異性分子はまた、腫瘍細胞に対する放射性標識抗体の局在を向上させるため、放射線治療において脱離腫瘍抗原を血液循環中から除去するためにも使用され得る。このような脱離腫瘍抗原の除去により、抗体を介した放射線治療はより効率的、より特異的に癌細胞を標的とし、より少ない副作用を持つ。上記の5.1項に記載された任意の二重特異性分子はこれらの目的のために使用されうる。
本発明のある実施形態では、二重特異性分子は腫瘍の検出において放射性標識抗体と併せて使用される。抗体を標識するために任意の放射性標識が使用でき、インジウム-111(111In)を含むがこれに限定されない。放射性標識抗体の例は、放射性標識抗CEAモノクロナール抗体(mAB)、放射性標識抗PEM mAB、放射性標識抗HER2/neu mAb、放射性標識抗CA-125 mAB、放射性標識抗TAG-72 mAB、放射性標識抗PSA mAB、放射性標識抗CA19-9 mAB、放射性標識抗TPS mAB、および放射性標識抗MUC-1 mABを含むがこれに限定されない。放射性標識抗体は、宿主に投与され、その後特異的に放射部位を検出する当技術分野において既知の任意の造影方法によって視覚化できる。
本発明の別の実施形態では、二重特異性分子は放射線治療と併せて使用される。当技術分野において既知の放射線治療のための任意の薬剤が使用され得る。電離放射線は、治療領域において、遺伝物質に障害を与えることによって細胞を傷害または破壊し、細胞が成長するのを不可能にするエネルギーを蓄積させる。放射線治療の例は、例えばX線、ガンマ線のような放射線量を直接癌部位に供給する放射性標識抗体を含むがこれに限定されない。放射線治療は、単独で、または化学療法もしくは外科手術と組み合わせて使用されうる。放射線治療において用いられる放射性標識抗体の例は、放射性標識抗CEAモノクロナール抗体(mAB)、射標識抗PEM mAB、放射性標識抗HER2/neu mAB、放射性標識抗CA-125 mAB、放射性標識抗TAG-72 mAB、放射性標識抗PSA mAB、放射性標識抗CA19-9 mAB、放射性標識抗TPS mABおよび放射性標識抗MUC-1 mABであり得るがこれに限定されない。
二重特異性分子が放射性造影に使用される際、投与の頻度は当業者によく知られている通常の実験によって決定できる。血液循環中の脱離腫瘍抗原レベルは、二重特異性分子の投与前および二重特異性分子の投与後の異なる時点、例えば毎時、測定され得る。好ましくは、二重特異性分子の投与の時間間隔は、血液循環中の脱離腫瘍抗原レベルの再度上昇に必要なほど長くあるべきではない。血液循環中の脱離腫瘍抗原の濃度を閾値レベル以下に保つ速度で二重特異性分子を投与することが好ましい。血液循環中の脱離二重特異性分子の濃度が満足な閾値になり次第、腫瘍部位の視覚化のために放射性標識抗体を投与できる。
放射線治療において使用される薬剤と組み合わせて用いられる場合、二重特異性分子は薬剤と同一のまたは異なる抗原部位を標的とし得る。二重特異性分子はまた、薬剤と同一のまたは異なる腫瘍抗原の脱離型を標的とし得る。例えば、脱離腫瘍抗原は細胞膜の他の分子と複合体形成して、異なる高分子会合体を形成できる(Black, P. H., Advances in Cancer Research, 1980, 32:75-199)。このような会合体は、表面結合抗原上には露出されないエピトープを保有するかもしれない。ある実施形態では、二重特異性分子は薬剤と同一のエピトープまたは同一の抗原を標的とする。別の実施形態では、二重特異性分子は薬剤と異なるエピトープを標的とする。例えば、薬剤は癌細胞上に発現する腫瘍関連抗原の特定のエピトープを標的とする一方、二重特異性分子は脱離型の抗原の異なるエピトープを標的とする。二重特異性分子が放射線治療において用いられる薬剤によって標的とされるエピトープと異なるエピトープを標的とする場合、二重特異性分子によって標的とされるエピトープは、抗原が細胞表面結合性である時には露出されないエピトープであり得る。二重特異性分子のカクテルまたは二重特異性分子のポリクローナル集団もまた、薬剤と併せて使用され得る。
二重特異性分子が放射線治療に使用される場合、二重特異性分子は、放射線治療に用いられる薬剤、例えば放射性標識抗体の投与の前、同時、または後に投与され得る。ある実施形態では、二重特異性分子は薬剤の投与前に投与される。二重特異性分子投与と薬剤投与との時間間隔は、当業者によく知られている通常の実験によって決定できる。ある実施形態では、薬剤は血液循環中の脱離腫瘍抗原レベルが好ましい閾値以下に低下した後に与えられる。脱離腫瘍抗原のレベルは、当技術分野において既知の任意の技術、例えば酵素結合免疫吸着法(ELISA)を用いて測定され得る(Leitzelら、1992, J. of Clinical Oncology, 10:1436-1443)。いくつかの事例では、例えば細胞表面のヒトメラノーマ腫瘍抗原の約半分の分泌が3時間で起こるように、腫瘍はかなりの短期間に大量の抗原を分泌しうる(Black, P. H., Advances in Cancer Research, 1980, 32:75-199)。この状況下では、二重特異性分子の大量の投与量またはより頻繁な投与が短期間に与えられ、その後次第に維持投与量へと減少させ得る。ある実施形態では、放射線治療に用いられる薬剤は、血液循環中の脱離抗原レベルを好ましい閾値に低下させる、二重特異性分子による初期治療の後に与えられる。別の実施形態では、二重特異性分子は、あらゆる薬剤の投与の、少なくとも1, 2, 4, または5日前に与えられる。腫瘍が少量だが一定の割合で抗原を分泌する場合、これは特に有益である。
別の実施形態では、二重特異性分子は薬剤と同時に投与される。
更に別の実施形態では、二重特異性分子は、薬剤の投与の1、2、4、または5日後に投与される。このような投与は、放射線治療に使用される薬剤が治療に用いられる二重特異性分子より長い半減期を持つ場合、特に有益であり得る。
二重特異性分子の異なる投与時期の任意の組合せが使用できることは、当業者にとって明白であろう。例えば、放射線治療に使用される薬剤が用いられる二重特異性分子よりも長い半減期を持つ場合、薬剤投与の前後に二重特異性分子を投与することが好ましい。
二重特異性分子の投与の頻度または間隔は、脱離腫瘍抗原の血清濃度に依存し、それは、例えばELISAのような、当技術分野において既知の任意の技術によって測定され得る(Leitzelら、1992, J. of Clinical Oncology, 10:1436-1443)。脱離腫瘍抗原レベルが血液循環中で以前に測定したレベルより高くまたは低く変化した際には、二重特異性分子の投与頻度を増減することができる。
二重特異性分子の投与量は、当業者によく知られている通常の実験によって決定できる。それは、RBCsの数および各RBC上のCR1部位の数だけでなく、血液循環中の脱離腫瘍抗原レベル、二重特異性分子の半減期に基づいて決定され得る。血液循環中の脱離腫瘍抗原レベルは、例えばELISAのような、当技術分野において既知の任意の技術によって測定され得る。二重特異性分子の半減期もまた、例えば異なる時点で二重特異性分子の血清濃度を測定するELISAを用いた、異なる実験によって測定され得る。二重特異性分子の半減期は、二重特異性分子自身およびそれが複合体形成する特定の脱離腫瘍抗原の両方に依存する。
二重特異性分子の投与の効果または利点は、当技術分野において既知の任意の方法によって、例えば、生存率、副作用、放射線治療に使用される薬剤の投与所要量、薬剤のクリアランス速度、もしくはその任意の組合せの測定に基づく方法によって評価できる。もし二重特異性分子の投与が患者に、生存率の増加、副作用の減少、放射線治療に使用される薬剤の投与所要量の低下、薬剤のクリアランス速度の減少などの、任意の1つ以上の利点をもたらすならば、二重特異性分子は抗体を介した腫瘍の造影または放射線治療を増強したと考えられ、その方法は効果を持つと言える。
5.2.5. 治療の組合せ
5.2.1項から5.2.4項に記載されたような二重特異性分子を用いる任意の治療が患者の癌治療における効果を最大にするために併用され得ることは、当業者にとって明白である。当業者は誰でも、個々の患者のために最適な治療の組合せを決定し得るであろう。
5.3. 二重特異性抗体の投与
投与量は通常の実験の実施により医師によって決定され得る。ヒトへの投与の前に動物モデルで有効性が示されることが好ましい。当技術分野において既知の任意の血液循環疾患の動物モデルが使用され得る。
特に、二重特異性抗体の投与量は、造血細胞濃度および造血細胞あたりの抗C3b様受容体モノクロナール抗体によって結合されるC3b様受容体エピトープ部位の数に基づいて決定され得る。二重特異性抗体が過剰に加えられた場合、二重特異性抗体の一部は造血細胞に結合せず、造血細胞への病原性抗原の結合を阻害するであろう。その理由は、遊離の二重特異性抗体が溶液中にある場合、それが、結合可能な脱離腫瘍抗原に対して、造血細胞に結合した二重特異性抗体と競合するためである。従って、結合を投与された二重特異性抗体濃度の関数として調べた場合、二重特異性抗体を介した造血細胞への脱離腫瘍抗原の結合はベル形曲線をとる。
治療用二重特異性抗体の投与量は、好ましくは、最小で血中標的脱離抗原数の約10倍でなければならない。
一般に、抗体について好ましい用量は、0.1mg/kg〜100mg/kg(体重)(通常10mg/kg〜20mg/kg)である。抗体が脳において作用する場合、通常50mg/kgから100mg/kgの用量が適切である。一般的に、部分的ヒト抗体および完全ヒト抗体は人体内で他の抗体より長い半減期を持つ。従って、しばしばより低い投与量およびより低頻度の投与が可能である。脂質付加のような修飾は、抗体を安定させ、(例えば脳への)取り込みおよび組織への浸透を向上させるために用いられ得る。抗体の脂質付加の方法は、Cruikshankら、1997, J. Acquired Immune Deficiency Syndromes and Human Retrovirology 14:193に記載される。
本明細書で定義されるように、二重特異性抗体の治療上効果的な量(すなわち有効用量)は約0.001〜30mg/kg(体重)に及び、望ましくは、約0.01〜25mg/kg(体重)、より望ましくは約0.1〜20mg/kg(体重)、更により望ましくは約1〜10mg/kg、2〜9mg/kg、3〜8mg/kg、4〜7mg/kg、または5〜6mg/kg(体重)である。
当業者は、疾患または障害の重症度、以前の治療、被験者の全身の健康および/または年齢、ならびに他の疾患の存在を含むがこれに限定されない特定の要因が、効果的に被験者を治療するために必要とされる投与量に影響しうることを認識するであろう。更に、治療上効果的な量の二重特異性抗体を用いた被験者の治療は、単一の治療を含み、または望ましくは、一連の治療を含み得る。好ましい実施例では、被験者は約0.1〜20mg/kg(体重)の範囲で、週1回、約1〜10週間、望ましくは2〜8週間、より望ましくは約3〜7週間、更により望ましくは約4、5または6週間、二重特異性抗体で治療される。治療に用いられる二重特異性抗体の効果的な用量は特定の治療経過に渡って増減しうることもまた認識されるであろう。用量の変更は、本明細書に記載されたような診断法の結果から明白に得られうる。
二重特異性抗体薬剤の適切な投与量は、通常の技術のある医師、獣医師または研究者の知識の範囲内の多数の要因に依存することが理解される。二重特異性抗体の投与量は、例えば、治療される被験者またはサンプルの個体差、サイズおよび状態に依存して、更に、適用可能であれば、組成物が投与される経路、および、実施者が二重特異性抗体に求める病原性抗原性分子または自己抗体への効果に依存して変動する。
二重特異性抗体の適切な投与量は、除去される抗原に対する二重特異性抗体の有効性に依存することもまた理解される。このような適切な投与量は、本明細書に記載された検定法を用いて決定されうる。これらの1つ以上の二重特異性抗体が抗原を除去するために動物(例えばヒト)に投与される場合、医師、獣医師または研究者は、例えば、最初は比較的低い投与量を処方し、その後、適切な反応が得られるまで投与量を増加させうる。更に、任意の特定動物被験体のための特異的な投与レベルは、使用される二重特異性抗体の活性、被験体の年齢、体重、全身の健康、性別および食事、投与時間、投与経路、排出の速度、任意の薬剤の組合せ、ならびに除去される抗原の濃度を含む様々な要因に依存することが理解される。
5.4. 製剤設計および投与
本発明の二重特異性抗体は投与に適した医薬組成物に組み込まれ得る。このような組成物は一般的に、二重特異性抗体および薬学的に容認される基剤を含有する。本明細書で用いられる場合、「薬学的に容認される基剤」という用語は、任意且つすべての医薬投与に適合した溶剤、分散媒、被覆剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含むことを意図する。薬学的に活性を持つ物質に対するこのような媒体および薬剤の使用は、当技術分野においてよく知られている。任意の従来の媒体および薬剤が二重特異性抗体と適合しない場合を除き、組成物中でのその使用が想定される。補助的な二重特異性抗体もまた、その組成物に組み込まれ得る。
本発明の医薬組成物は、目的とする投与経路に適合するように処方される。好ましい投与経路は静脈注射である。他の投与経路の例は、非経口、皮内、皮下、経皮(局所)および経粘膜を含む。非経口、皮内、または皮下への適用のために用いられる溶液または懸濁液は以下の成分を含有できる。すなわち、注射のための水、食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶剤などの滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などのバッファー、および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張度の調整のための薬剤である。pHは、塩酸もしくは水酸化ナトリウムなどの酸または塩基によって調整できる。非経口製剤は、ガラスもしくはプラスチックで作られたアンプル、使い捨ての注射器、または複数回投与用バイアルに封入され得る。
注射剤使用に適した医薬組成物は、滅菌水溶液(水溶性の)または分散液、および即座に滅菌注射用水溶液または分散液を調製するための滅菌粉末を含む。静脈内投与のために適切な基剤は、生理食塩水、静菌水、Cremophor ELTM(BASF; Parsippany, NJ)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む。いかなる場合でも、その組成物は滅菌されていなければならず、粘性が低く二重特異性抗体が注射可能である程度の流体であるべきである。それは製造および保存条件下で安定でなくてはならず、細菌および菌類などの微生物の汚染作用から保護されなければならない。
基剤は、例えば水、エタノール、多価アルコール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)ならびにその適切な混合物などを含む溶剤または分散媒であり得る。例えば、レシチンのような被覆剤の使用によって、分散の場合には必要とされる粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって、適切な流動性が維持できる。微生物作用の防止は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどの様々な抗菌剤および抗真菌剤によって実現できる。多くの場合、組成物中に、例えば、糖質、マンニトール、ソルビトールのような多価アルコール、塩化ナトリウムなどの等張剤を含有することが望ましい。注射用組成物の緩慢な吸収は、組成物中に、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤を含有することによってもたらされ得る。
滅菌した注射用溶液は、上記に列挙した成分の1つまたは組合せと共に、必要量の二重特異性抗体(例えば1つ以上の二重特異性抗体)を適切な溶剤に組み込むことによって調製でき、必要に応じて濾過滅菌される。一般的に分散は、基本的な分散媒および上記に列挙されたものから必要とされる他の成分を含む滅菌媒体中に、二重特異性抗体を組み込むことによって調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製の好ましい方法は、予め濾過滅菌された溶液から任意の付加的な望ましい成分を加えた活性成分の粉末を生じる、真空乾燥法および凍結乾燥法である。
ある実施形態では、二重特異性抗体は、埋め込みおよびマイクロカプセル送達システムを含む制御放出処方のように、身体からの急速な排出から化合物を保護する基剤と共に調製される。エチレン酢酸ビニル、ポリアンヒドライト、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸などの、生体分解性、生体適合性ポリマーが使用され得る。このような処方の調製方法は当業者にとって明白であろう。その素材はまたAlza Corporation および Nova Pharmaceuticals, Incからも購入できる。(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を持ち感染細胞を標的とするリポソームを含む)リポソーム懸濁液もまた薬学的に容認される基剤として使用され得る。これらは、例えば参照により本明細書に完全に組み入れられる米国特許第4,522,811号に記載されるような、当業者にとって既知の方法に従って調製され得る。
投与を容易にし用量を均一にするために1用量単位の形で非経口組成物を処方することは利点を持つ。本明細書で用いられる場合、1用量単位の形とは、治療される被験者に対する一回の用量に相当する物理的に個別の単位を表す。すなわち必要とされる製薬基剤と共に望ましい治療効果を生じるように計算された、所定量の二重特異性抗体を含有する各々の単位である。本発明の1用量単位の形のための仕様は、二重特異性抗体の特有の性質および達成されるべき特定の治療効果、ならびに個人の治療のためにこのような二重特異性抗体を配合する当技術分野に固有の制限によって決定され、それに直接依存する。
その医薬組成物は、投与説明書とともに容器、包装、または分包内のキットに包括され得る。
5.5. 二重特異性分子の産生
本発明において使用される二重特異性分子は、様々な方法で産生され得る。産生方法の例は、架橋、組換え技術、またはタンパク質トランススプライシングを含むがこれに限定されない。(5.5.1-5.5.4項を参照)。
5.5.1. 抗体作製
抗体は、免疫原として例えば腫瘍特異抗原または腫瘍関連抗原などの抗原で、適切な被験体を免疫することによって調製できる。免疫された被験体の抗体力価は、固定化ポリペプチドを用いた酵素結合免疫吸着法(ELISA)のような標準的な技術によって経時観測され得る。必要とされる場合、抗体分子は哺乳動物から(例えば血液から)単離でき、IgG分画を得るために更にプロテインAクロマトグラフィーのような既知の技術によって精製され得る。
免疫後の適切な時期、例えば特異的な抗体力価が最も高い時に、被験体から抗体産生細胞を得て、KohlerおよびMilstein (1975, Nature 256:495-497)に最初に記載されたハイブリドーマ法、Kozbor ら(1983, Immunol. Today 4:72)によるヒトB細胞ハイブリドーマ法、Coleら(1985, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96)によるEBVハイブリドーマ法、または、トリオーマ法のような標準的な技術によってモノクロナール抗体を調製するために使用できる。ハイブリドーマを作製する技術はよく知られている(通常、Current Protocols in Immunology, 1994, John Wiley & Sons, Inc., New York, NYを参照)。本発明のモノクロナール抗体を産生するハイブリドーマ細胞は、例えば標準的なELISA法を用いて、関心のポリペプチドに結合する抗体に対する、ハイブリドーマ培養液上清のスクリーニングによって検出される。
モノクロナール抗体は、実質的に均一な抗体集団から得られる。すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量存在しうる自然に生じる可能性のある突然変異を除いて同一である。従って、「モノクローナル」という修飾語は、個別の抗体の混合物ではない抗体の性質を示す。例えば、モノクロナール抗体はKohler ら、1975, Nature, 256:495によって最初に記載されたハイブリドーマ法を用いて、または、組み換えDNA法(米国特許第4,816,567号)によって作製されうる。本明細書で用いられる場合、「モノクロナール抗体」という用語はまた、抗体が免疫グロブリンであることをも示す。
モノクロナール抗体を作製するハイブリドーマ法において、マウスまたはハムスターのような他の適切な宿主動物が上述されたように免疫され、免疫に用いられたタンパク質に特異的に結合する抗体を産生するもしくは産生できるリンパ球を誘導する(通常、参照により本明細書に完全に組み入れられる、米国特許第5,914,112号を参照。)
代替として、in vitroでリンパ球を免疫してもよい。その後、リンパ球は、ハイブリドーマ細胞を形成するために、ポリエチレングリコールのような適切な融合剤を用いてミエローマ細胞と融合される(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice,pp. 59-103(Academic Press, 1986))。このようにして調製されたハイブリドーマ細胞は、望ましくは融合されなかった親ミエローマ細胞の増殖または生存を阻害する1つ以上の物質を含む適切な培地に播種され培養される。例えば、親ミエローマ細胞がヒポキサンチングアニンホスホリボシル転移酵素(HGPRTまたはHPRT)を欠如している場合、ハイブリドーマのための培地は一般的に、ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含み(HAT培地)、それらの物質はHGPRT欠損細胞の増殖を妨げる。
好ましいミエローマ細胞は、効率的に融合し、選抜された抗体産生細胞による安定で高レベルな抗体の産生を支援し、HAT培地のような培地に感受性のあるものである。これらの中で、好ましいミエローマ細胞株は、Salk Institute Cell Distribution Venter, San Diego, Calif. USAから入手可能なMOPC-21およびMPC-11マウス腫瘍に由来するもの、ならびにAmerican Type Culture Collection, Rockville, Md. USAから入手可能なSP-2細胞などの、マウスミエローマ株である。
ヒトモノクロナール抗体の作製のために、ヒトミエローマおよびマウス-ヒトヘテロミエローマ細胞株もまた記載されている(Kozbor, 1984, J. Immunol., 133:3001; Brodeurら、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51-63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987))。抗原に対するモノクロナール抗体の生産について、ハイブリドーマ細胞が増殖している培地をアッセイする。ハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクロナール抗体の結合特異性は、免疫沈降によって、または、放射性免疫測定法(RIA)もしくは酵素結合免疫吸着法(ELISA)のようなin vitroの結合アッセイによって決定されることが望ましい。モノクロナール抗体の結合親和性は、例えば、Munsonら、1980, Anal. Biochem. 107:220のScatchard分析によって決定され得る。
所望の特異性、親和性および/または活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞を同定した後、そのクローンは限界希釈法によってサブクローニングされ、標準的な方法によって培養されうる(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, pp. 59-103 (Academic Press, 1986))。この目的のために適切な培地は、例えば、D-MEMまたはRPMI-1640培地を含む。更に、ハイブリドーマ細胞は動物の腹水腫瘍としてin vivoで増殖されうる。サブクローンによって分泌されるモノクロナール抗体は、例えばプロテインA-セファロース、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、もしくは、アフィニティークロマトグラフィーなどの従来の免疫グロブリン精製方法によって、培地、腹水、または、血清から適切に分離される。
モノクロナール抗体分泌ハイブリドーマを調製する代わりに、本発明の病原体または病原体の抗原分子ポリペプチドに対するモノクロナール抗体は、組換え組み合せ免疫グロブリンライブラリー(例えば抗体ファージディスプレイライブラリー)を関心の抗原でスクリーニングすることによって同定し単離できる。ファージディスプレイライブラリーを作製しスクリーニングするためのキットが市販されている(例えば、Pharmacia Recombinant Phage Antibody System, Catalog No. 27-9400-01;およびStratagene antigen SurfZAPTM Phage Display kit, Catalog No. 240612)。更に、抗体ディスプレイライブラリーの作製およびスクリーニングに特に使用しやすい方法ならびに試薬の例は、米国特許第5,223,409号および5,514,548号; PCT 公開番号WO 92/18619; PCT公開番号WO 91/17271; PCT公開番号WO 92/20791; PCT公開番号WO 92/15679; PCT公開番号WO 93/01288; PCT公開番号WO 92/01047; PCT公開番号WO 92/09690; PCT公開番号WO 90/02809; Fuchsら、1991, Bio/Technology 9:1370-1372; Hay ら、1992, Hum. Antibod. Hybridomas 3:81-85; Huseら、1989, Science 246:1275-1281; Griffithsら、1993, EMBO J. 12:725-734に見いだすことができる。
更に、適切な生物学的活性のヒト抗体分子由来の遺伝子と適切な抗原特異性のマウス抗体分子由来の遺伝子のスプライシングによる、「キメラ抗体」の産生のために開発された技術(Morrisonら、1984, Proc. Natl. Acad. Sci., 81, 6851-6855; Neubergerら、1984, Nature 312, 604-608; Takedaら、1985, Nature, 314, 452-454)が使用できる。キメラ抗体は、マウスmAbに由来する可変領域およびヒト免疫グロブリン定常領域を有するような、異なる部分が異なる動物種に由来する分子である(例えば 、参照により本明細書にそれら全体が組み入れられる Cabillyら、米国特許第4,816,567号;およびBossら、米国特許第4,816,397号を参照)。
ヒト化抗体は、ヒト以外の種由来の1つ以上の相補性決定領域(CDRs)およびヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域を有する、ヒト以外の種からの抗体分子である。(例えば、参照により本明細書にその全体が組み入れられる米国特許第5,585,089号を参照)。このようなキメラのヒト化モノクロナール抗体は、当技術分野において既知の組換えDNA技術によって、例えば、PCT公開番号WO 87/02671;欧州特許出願第184,187号;欧州特許出願第171,496号;欧州特許出願第173,494号;PCT公開番号WO86/01533;米国特許第4,816,567号および5,225,539号; 欧州特許出願第125,023; Betterら、1988, Science 240:1041-1043; Liuら、1987, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84;3439-3443; Liuら、1987, J. Immunol. 139:3521-3526; Sunら、1987, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:214-218; Nishimuraら、1987, Canc. Res. 47:999-1005; Woodら、1985, Nature 314:446-449; Shawら、1988, J. Natl. Cancer Inst. 80:1553-1559; Morrison 1985, Science 229:1202-1207; Oiら、1986, Bio/Techniques 4:214; Jonesら、1986, Nature 321:552-525; Verhoeyanら、1988, Science 239:1534;およびBeidlerら、1988, J. Immunol. 141:4053-4060に記載される方法を用いて産生できる。
相補性決定領域(CDR)の移植は、抗体をヒト化する別の方法である。それは、完全な抗原特異性および結合親和性をヒトフレームワークに転移するためにマウス抗体を再構成することを伴う(Winterら、米国特許第5,225,539号)。CDR移植抗体は、Tempestら(1991, Bio-Technology 9:267)におけるウイルス抗原-呼吸器合胞体ウイルスに対するものだけでなく、例えば、Queenら、1989(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:10029)に記載されたIL-2受容体に対する抗体;Riechmannら(1988, Nature, 332:323)に記載された細胞表面受容体-CAMPATHに対する抗体; Coleら(1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 2869)におけるB型肝炎に対する抗体など、様々な抗原に対して構築が成功している。CDR移植抗体は、マウスモノクロナール抗体のCDRがヒト抗体に移植されて作製される。おそらくフレームワーク残基がCDR立体構造の維持に必要であり、いくつかのフレームワーク残基は抗原結合部位の一部であることが実証されたため、移植の後、大部分の抗体は親和性を維持するためにフレームワーク領域での付加的なアミノ酸の置換によって利益を得る。しかし、任意の抗原部位を導入しないようフレームワーク領域を保存するために、その配列は確立された生殖細胞系列の配列と比較され、次いでコンピューターモデリングが行われる。
完全なヒト抗体は、ヒト患者の治療に特に好ましい。このような抗体は、内在性の免疫グロブリン重鎖および軽鎖遺伝子を発現できないが、ヒトの重鎖および軽鎖遺伝子を発現できるトランスジェニックマウスを用いて産生され得る。トランスジェニックマウスは、選択された抗原、例えば免疫原の全体または一部によって通常の方法で免疫される。
抗原に対するモノクロナール抗体は、従来のハイブリドーマ技術を用いて得られる。トランスジェニックマウスによって含有されるヒト免疫グロブリントランス遺伝子は、B細胞分化の間に再構成し、次いでクラススイッチングおよび体細胞突然変異を受ける。従って、このような技術を用いて、治療上有用なIgG、IgAおよびIgE抗体を産生することが可能である。ヒト抗体を産生するためのこの技術の概要についてはLonbergおよびHuszar(1995, Int. Rev. Immunol. 13:65-93)を参照せよ。ヒト抗体およびヒトモノクロナール抗体を産生するためのこの技術の詳細な議論およびこのような抗体を産生するための方法については、例えば、米国特許第5,625,126号;米国特許第5,633,425号;米国特許第5,569,825号;米国特許第5.661,016号;および米国特許第5,545,806号を参照せよ。更に、Abgenix, Inc.(Freemont, CA(例えば、米国特許第5,985,615号を参照))およびMedarex, Inc.(Princeton, NJ)などの企業は、上述のそれと同様の技術を用いて、選択された抗原に対するヒト抗体を提供することを保証できる。
選択されたエピトープを認識し結合する完全なヒト抗体は、「誘導選択」と呼ばれる技術を用いて作製され得る。このアプローチにおいて、選択された非ヒトモノクロナール抗体、例えばマウス抗体は、同じエピトープを認識する完全なヒト抗体の選抜を誘導するために用いられる(Jespersら、(1994) antigen Bio/technology 12:899-903)。
脱離腫瘍抗原に対する既存の抗体は、例えば与えられた治療法の効力の決定のような、臨床試験方法の一部として、組織での病原体レベルを観測するために診断的に用いられ得る。検出は、抗体を検出可能な物質に結合させることによって容易にできる。検出可能な物質の例は、様々な酵素、補欠分子団、蛍光物質、発光物質、生物発光物質および放射性物質を含む。適切な酵素の例は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β‐ガラクトシダーゼ、または、アセチルコリンエステラーゼを含み、適切な補欠分子団複合体の例は、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンを含み、適切な蛍光物質の実施例は、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロライド、または、フィコエリトリンを含み、発光物質の例はルミノールを含み、生物発光物質の例はルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンを含み、適切な放射性物質の例は125I、131I、35S、または、3Hを含む。
市販の抗体が購入でき、例えばATCCから二重特異性抗体を作製するために使用され得る。本発明の好ましい実施形態では、抗体は市販のハイブリドーマ細胞株によって産生される。より好ましい実施形態では、ハイブリドーマはヒト抗体を分泌する。
5.5.2. 二重特異性分子の作製方法:化学的架橋
本発明で使用される二重特異性分子は、化学的架橋抗体によって産生することができ、各々参照により本明細書にその全体が組み入れられる米国特許第5,487,890号、第5,470,570号、第5,879,679号および米国仮出願第60/276,200号, 2001年3月15日出願を参照せよ。
ある実施形態では、本発明において使用される二重特異性分子は、化学的架橋剤による抗CR1部分および抗原認識部分の架橋を含む方法によって調製される。本発明において任意の標準的な化学的架橋方法が使用され得る。例えば、プロテインA、グルタルアルデヒド、カルボジイミド、N-スクシニミジル-S-アセチル-チオアセテート(SATA)、N-スクシニミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)およびスルホスクシニミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(sulfo-SMCC)を含むがこれに限定されない架橋剤が使用され得る。好ましい実施形態では、抗CR1部分および抗原認識部分を架橋するために、架橋剤N-スクシニミジルS-アセチルチオアセテート(SATA)およびスルホスクシニミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(sulfo-SMCC)が用いられる。好ましい別の実施形態では、抗CR1部分および抗原認識部分を架橋するために、N-スクシニミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)が用いられる。
5.5.3. 二重特異性分子の作製方法:組換え技術
本発明で使用される二重特異性分子はまた、所望の結合特異性を持つ抗体可変ドメイン(抗体-抗原結合部位)をコードするヌクレオチド配列を、免疫グロブリン定常ドメイン配列をコードするヌクレオチド配列と融合する、組換えによっても産生することができ、例えば、各々参照により本明細書にその全体が組み入れられる米国仮出願第60/199,603号、2000年4月26日出願、および第60/244,812号、2000年11月1日出願を参照せよ。融合は、少なくともヒンジ、CH2およびCH3領域の一部を含有する免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含むことが好ましい。ハイブリドーマでのタンパク質の翻訳の際、可変ドメインと重鎖との間でジスルフィド結合の形成が可能となりうるように、遊離チオール基をもつアミノ酸残基を含有する第一重鎖定常領域(CH1)を持つことも好ましい(Arathoonら、WO 98/50431を参照)。
このアプローチの好ましい実施形態では、二重特異性抗体は、一方のアームでの定常CH2およびCH3ドメインと融合された第一の結合特異性を持つハイブリッド免疫グロブリン重鎖、ならびに、他方のアームでの(第二の結合特異性を備えている)ハイブリッド免疫グロブリン重鎖-軽鎖対から構成される(例えば、WO94/04690、1994年3月3日公開を参照)。ある実施形態では、免疫グロブリン重鎖融合物および必要であれば免疫グロブリン軽鎖をコードしているDNAは、別々の発現ベクターに挿入され、適切な宿主生物にコトランスフェクトされる。別の実施形態では、2つまたは3つすべてのポリペプチド鎖のコード配列は、1つの発現ベクターに挿入される。単一のポリペプチドからなる二重特異性分子もまた、組換え的に産生され得る。ある実施形態では、単一ポリペプチド二重特異性分子をコードする融合核酸を得るために、脱離腫瘍抗原に結合する抗原認識部分をコードする核酸が、C3b様受容体に結合する抗原認識部分をコードする核酸と融合される。その後、核酸は二重特異性分子を産生するために適切な宿主において発現される。
特定の実施形態では、二重特異性分子は、C3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および脱離腫瘍関連抗原のエピトープに結合する第二抗原認識部分を有する二重特異性免疫グロブリンを分泌する細胞の産生を含む方法によって産生される。その方法は、C3b様受容体に結合する免疫グロブリンを発現している第一細胞を脱離腫瘍関連抗原に結合する免疫グロブリンを発現している第二細胞と融合する段階、および、二重特異性免疫グロブリンを発現する細胞を選抜する段階を含む。特定の別の実施形態では、少なくともC3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および脱離腫瘍関連抗原のエピトープに結合する第二抗原認識部分を含有する二重特異性分子は、上記第一および第二抗原認識部分が単一形質転換細胞内で会合する別々の分子として産生されるように、少なくとも第一抗原認識部分をコードする第一DNA配列および少なくとも第二抗原認識部分をコードする第二 DNA配列で細胞を形質転換する段階、ならびに、上記第一DNA配列および上記第二DNA配列を独立に発現する段階を含む方法によって生成され、それは、第一抗原認識部分でC3b様受容体に結合でき、また、第二抗原認識部分で血液循環中から除去される抗原に結合できる。
5.5.4. 二重特異性分子の作製方法:タンパク質トランススプライシング
本発明において使用される二重特異性分子はまた、タンパク質トランススプライシング法を用いて産生でき、例えば、参照により本明細書にその全体が組み入れられる米国仮出願第60/244,811号、2000年11月1日出願を参照せよ。その方法は、二重特異性分子を形成するために、直接またはリンカーを介して、第一抗原認識部分、例えば抗CR1 mABを、脱離腫瘍関連抗原のエピトープに結合する第二抗原認識部分、例えばペプチド、もしくは、ポリペプチド、核酸および有機低分子に結合させるために使用され得る。代替として、その方法は、ビオチン化された第二抗原認識部分と結合できる第一抗原認識部分-ストレプトアビジン融合分子を形成するために、第一抗原認識部分をストレプトアビジンに結合させるために使用され得る。
タンパク質トランススプライシングを用いる方法では、N-インテイン第一抗原認識部分断片を産生するために、第一抗原認識部分は適切な分割インテインのN-インテインのN末端に結合され、一方、C-インテイン第二抗原認識部分断片を産生するために、第二抗原認識部分は分割インテインのC-インテインのC末端に結合される。二重特異性分子を産生するために、N-インテイン第一抗原認識部分断片およびC-インテイン第二抗原認識部分断片は、その後、再構成されトランススプライシングを受けるよう混合される。
タンパク質トランススプライシングによって産生される二重特異性分子は、第一抗原認識部分に結合された単一の第二抗原認識部分を含有できる。代わりに、本発明の二重特異性分子はまた、第一抗原認識部分の異なる領域に結合された2つ以上の第二抗原認識部分を含有することもできる。例えば、二重特異性分子は、第一抗原認識モノクロナール抗体の各々の重鎖に結合された2つの第二抗原認識部分を含有することができる。二重特異性分子に2つ以上の第二抗原認識部分が含まれる場合、このような第二抗原認識部分は同一のまたは異なる抗原認識部分であり得る。第一および第二の第二抗原認識部分は、除去される同一の脱離腫瘍関連抗原を標的とする異なる抗原認識部分であり得る。本発明の好ましい実施形態では、第一および第二の第二抗原認識部分は、除去される抗原分子を協調的に標的とする。限定されない例として、第二抗原認識部分の1つは、他の第二抗原認識部分の脱離腫瘍関連抗原への結合を増強し、それによって脱離腫瘍関連抗原の除去を容易にするかもしれない。第一および第二の第二抗原認識部分はまた、除去されるべき異なる脱離腫瘍関連抗原を標的とする異なる抗原認識部分でもある得る。
本発明の二重特異性分子の産生のために、様々な分割インテイン(split intein)が使用できる。本発明のあるの態様では、二重特異性分子の産生のために、天然型の分割インテインが用いられる。本発明の別の態様では、二重特異性分子の産生のために、天然型の非分割インテインに基づいて設計された分割インテインが用いられる。本発明の様々な実施形態において、修飾がトランススプライシングにおけるインテインの能力を改善または向上させおよび/またはトランススプライシング過程の制御を可能にするように、分割インテインは、N-インテインやC-インテインに1つ以上のアミノ酸残基を付加、削除および/または突然変異させることによって修飾され得る。ある好ましい実施形態では、C-インテインに結合される分子部分がCysで始まらなければならないという要求が解決されるように、C-インテインのカルボキシ末端にCys残基を含有させることができる。他の好ましい実施形態では、外来のエクステイン内容物でのトランススプライシングを容易にするために、1つ以上の天然の隣接エクステイン残基がN-および/またはC-インテインに付加される。
好ましい実施形態では、本発明の二重特異性分子の産生のために、Synechocystis sp. PCC6803のDnaE遺伝子にコードされた分割インテインのトランススプライシングシステムが用いられる。本発明の別の実施形態では、ヒト結核菌RecAインテインに基づいて設計された分割インテインシステムが用いられる。二重特異性分子の産生は、インテイン抗原認識部分断片が別々の宿主で発現されるように、in vitroで実施され得る。二重特異性分子の産生はまた、in vivoでも実施され得る。ある実施形態では、インテイン抗原認識部分断片をコードしている核酸は別々のベクターに挿入され、その後、in vivoでの二重特異性分子の産生のために宿主にコトランスフェクトされる。別の実施形態では、インテイン断片をコードしている核酸は同一のベクターに挿入され、その後、in vivoでの二重特異性分子の産生のために宿主にトランスフェクトされる。
その方法では、N-インテイン第一抗原認識部分断片は、適切な分割インテインのN-インテインのN末端に、C3b様受容体に結合する適切な抗原認識部分を融合させることによって産生されるのが好ましい。好ましい実施形態では、抗CR1 mAbの重鎖のC末端が分割インテインのN-インテインのN末端に融合される。C-インテイン第二抗原認識部分断片は、適切な分割インテインのC-インテインのC末端に、除去される脱離腫瘍関連抗原のエピトープに結合する適切な抗原認識部分を融合させることによって産生されるのが好ましい。C-インテインのスプライス部位のC末端側に隣接するアミノ酸残基は、システイン、セリン、または、スレオニンである。本発明の別の実施形態では、C-インテインストレプトアビジンは、スプライス部位のすぐ下流にシステイン、セリン、または、スレオニンを含有するC-インテインのC末端にストレプトアビジンを融合させることによって産生され、その後、二重特異性分子を産生するためにビオチン化第二抗原認識部分と反応する、第一抗原認識部分-ストレプトアビジン融合分子を産生するために、トランススプライシングに使用される。アビジンを含むがこれに限定されないビオチンを特異的に結合する他の分子もまた、本発明の範囲内であることが理解される。
ある実施形態では、二重特異性分子は、断片が再構成されトランススプライシングを受けるように、N-インテイン第一抗原認識部分断片およびC-インテイン第二抗原認識部分断片をin vitroで混合することによって産生される。別の実施形態では、第一抗原認識部分-ストレプトアビジン分子を産生するためにN-インテイン第一抗原認識部分断片およびC-インテインストレプトアビジン断片をin vitroで混合することによって、第一抗原認識部分-ストレプトアビジン分子が産生される。その後、ビオチン化第二抗原認識部分と第一抗原認識-ストレプトアビジン分子の反応によって、二重特異性分子が産生される。
5.5.5. 二重特異性分子のポリクローナル集団の作製方法
本発明の二重特異性分子のポリクローナル集団は、例えば、架橋、組換え、または、タンパク質トランススプライシングなど、当技術分野において既知の任意の方法によって産生でき、例えば、各々が参照により本明細書にその全体が組み入れられる、米国仮出願第60/276,200号、2001年3月15日出願; 第60/199,603号、2000年4月26日出願; 第60/244,812号、2000年11月1日出願;および、第60/244,811号、2000年11月1日出願を参照せよ。
ある実施形態では、本発明の二重特異性分子のポリクローナル集団は、C3b様受容体に結合する抗原認識部分の集団に、脱離腫瘍抗原に結合する抗原認識部分のポリクローナル集団を架橋することによって産生される。好ましい実施形態では、二重特異性分子のポリクローナル集団全体が、1回の反応で産生され得る。それは通常、先ず抗原認識部分のポリクローナル集団を産生し、このような抗原認識部分の集団全体を、個々の構成因子を単離せずに、C3b様受容体結合部分の集団に架橋することによって行われる。他の好ましい実施形態では、ポリクローナル集団の構成因子および/または画分は別々に産生され、その後、ポリクローナル集団を形成するために混合され得る。このような実施形態は、特定の組成物によるポリクローナル集団を産生する場合に有効である。
二重特異性分子のポリクローナル集団は、C3b様受容体に結合する免疫グロブリンを発現するハイブリドーマ細胞株を、異なる脱離腫瘍抗原に結合する免疫グロブリンのポリクローナル集団の重鎖および軽鎖可変領域をコードする核酸を含有する真核生物発現ベクターの集団でトランスフェクトすることによって産生できる。C3b様受容体に結合する第一結合ドメインおよび脱離腫瘍抗原に結合する第二結合ドメインを含有する二重特異性免疫グロブリンを発現する細胞は、その後、当技術分野において既知の標準的な方法を用いて選抜される。免疫グロブリンのポリクローナル集団は、当技術分野において既知の任意の方法によって、例えばファージディスプレイライブラリーから得られる。ファージディスプレイライブラリーを使用する場合、このようなファージディスプレイライブラリーの特異性の数は、リンパ球によって一度に発現される異なる特異性の数に近いことが好ましい。より好ましくは、ファージディスプレイライブラリーの特異性の数は、リンパ球によって一度に発現される異なる特異性の数より多い。最も好ましくは、ファージディスプレイライブラリーは、リンパ球によって発現され得る特異性の完全な一式を含有する。ファージディスプレイライブラリーを作製しスクリーニングするためのキットが市販されている(例えば、Pharmacia Recombinant Phage Antibody System, Catalog No. 27-9400-01;およびthe Stratagene antigen SurfZAPTM Phage Display Kit, Catalog No. 240612)。加えて、抗体ディスプレイライブラリーの作製およびスクリーニングに使用するために特に適した方法および試薬の例は、例えば、米国特許第5,223,409号および第5,514,548号 ;PCT公開番号WO 92/18619; PCT公開番号WO 91/17271; PCT公開番号WO 92/20791; PCT公開番号WO 92/15679; PCT公開番号WO 93/01288; PCT公開番号WO 92/01047; PCT公開番号WO 92/09690; PCT公開番号WO 90/02809; Fuchsら、1991, Bio/Technology 9:1370-1372; Hayら、1992, Hum. Antibod. Hybridomas 3:81-85; Huseら、1989, Science 246:1275-1281; Griffithsら、1993, EMBO J. 12:725-734に見いだされる。
他の実施形態では、二重特異性抗体のポリクローナル集団は、所望の結合特異性を持つ抗体可変ドメイン(抗体-抗原結合部位)をコードする核酸のポリクローナル集団が、免疫グロブリン定常ドメイン配列をコードするヌクレオチドと融合される、組換えによって産生される。融合は、少なくともヒンジ、CH2およびCH3領域の一部を含有する免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含むことが好ましい。ハイブリドーマでのタンパク質の翻訳の際、可変ドメインと重鎖との間でジスルフィド結合の形成が可能となりうるように、遊離チオール基をもつアミノ酸残基を含有する第一重鎖定常領域(CH1)を持つことも好ましい(Arathoonら、WO 98/50431を参照)。
単一ポリペプチドの二重特異性分子からなる二重特異性分子のポリクローナル集団は、組換え的に産生され得る。二重特異性分子の集団をコードする融合核酸の集団を得るために、選択された抗原認識部分のポリクローナル集団をコードしている核酸のポリクローナル集団は、C3b様受容体に結合する抗原認識部分をコードしている核酸と融合される。核酸の集団は、その後、二重特異性分子のポリクローナル集団を産生するために適切な宿主で発現される。
タンパク質トランススプライシングもまた、異なる抗原認識特異性を持つ複数の二重特異性分子からなる二重特異性分子の集団を産生するために使用できる。このような実施形態では、C-インテインとの組換え融合の前に、脱離腫瘍抗原に対して十分に大きく多様な範囲の特異性を有する抗体ファージディスプレイライブラリーの親和性スクリーニングによって、ポリクローナル抗体を得ることができる。選抜された各々の抗体をコードする核酸は、その後、適切なトランススプライシングシステムのC-インテインに融合され、適切な宿主で発現される。C-インテイン抗原認識部分断片は、対応するN-インテイン抗CR1断片と再構成することができ、トランススプライシング反応を受けることが可能となる。複数の抗原認識部分が標的抗原性分子の複数のエピトープに対しておよび/または標的脱離腫瘍抗原の複数の変異型に対して特異性を持つポリクローナル集団は、特に興味深い。このような二重特異性分子のポリクローナルライブラリーは、通常単一の特異性を持つモノクロナール抗体では効果的に標的とされ除去されることができない、複数のエピトープを持つ脱離腫瘍抗原および/または複数の変異型もしくは突然変異体を持つ脱離腫瘍抗原の、より効率的な除去のために使用され得る。
5.6. キット
本発明はまた、腫瘍関連抗原に結合する細胞に結合するまたはその産生を促進する免疫療法抗腫瘍薬、ならびに、各々がC3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および腫瘍細胞から血液循環中に分泌される腫瘍関連抗原のエピトープに結合する第二抗原認識部分を含有する1つ以上の二重特異性分子を含むキットを提供する。本発明はまた、腫瘍関連抗原に結合する放射性標識薬剤、ならびに、各々がC3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および腫瘍細胞から血液循環中に分泌される腫瘍関連抗原のエピトープに結合する第二抗原認識部分を含有する1つ以上の二重特異性分子を含むキットを提供する。
5.7. 二重特異性分子のex vivoでの調製
代替の実施形態では、二重特異性抗体のような二重特異性分子は、投与に先立ちex vivoで被験体の造血細胞に前もって結合される。例えば、治療されるべき個体から造血細胞を採取し(または代わりに血液型が適合する非自己ドナーからの造血細胞を採取し)、造血細胞の表面上のC3b様受容体に抗体が結合可能となる十分な時間、適切な投与量の治療用二重特異性抗体とともに培養する。造血細胞/二重特異性抗体混合物は、その後、適切な投与量で治療されるべき被験体に投与される(例えば、Taylorら、米国特許第5,487,890号参照)。
造血細胞は血液細胞であることが好ましく、最も好ましいのは赤血球である。
従って、特定の実施形態では、本発明は、患者に治療上効果的な量の造血細胞/二重特異性分子複合体を投与する段階を含む、望ましくない脱離腫瘍抗原の存在する癌患者の治療方法を提供するが、上記複合体は原則的に1つ以上の二重特異性分子に結合したC3b様受容体を発現している造血細胞から成り、上記二重特異性分子は(a)造血細胞上のC3b様受容体に結合する第一結合ドメインを含有し、(b)脱離腫瘍抗原に結合する第二結合ドメインを含有する。その方法は、代わりに、(a)造血細胞/二重特異性分子複合体を形成するために、C3b様受容体を発現している造血細胞に、(i)C3b様受容体に結合する第一結合ドメイン、および(ii)脱離腫瘍抗原に結合する第二結合ドメインを含有する、二重特異性分子を接触させる段階、ならびに、(b)患者に治療上効果的な量の造血細胞/二重特異性分子複合体を投与する段階からなる、脱離腫瘍抗原の存在する癌患者の治療方法を含有する。
本発明はまた、複合体を形成するように結合を助長する条件下での二重特異性分子とC3b様受容体を発現する造血細胞との接触を含む、造血細胞/二重特異性分子複合体を生成する方法を提供するが、上記二重特異性分子は(a)造血細胞上のC3b様受容体に結合する第一結合ドメインを含有し、(b)脱離腫瘍抗原に結合する第二結合ドメインを含有する。
Taylorら(米国特許第5,879,679号、以下「'679 特許」)は、いくつかの事例では、血漿中の自己抗体(または他の病原性抗原)の濃度が非常に高過ぎて、最適投与量の二重特異性分子であっても、標準的な条件下ですべての自己抗体が造血細胞に結合できるとは限らないため、システムが飽和状態になることを実証した。例えば、非常に高い力価の自己抗体血清に対して、自己抗体の一部は高濃度が原因で造血細胞に結合されない。
しかし、C3b様受容体上の異なる部位に結合するモノクローナル抗体を含む二重特異性抗体の組合せを用いることによって飽和は解決され得る。例えば、モノクローナル抗体7G9および1B4は、霊長目C3b受容体上の別個の非競合部位に結合する。従って、各々C3b様受容体に対する異なるモノクローナル抗体で作製された2つの二重特異性抗体の混合物を含む「カクテル」は、赤血球への抗体のより大きな結合を生じさせうる。本発明の二重特異性抗体はまた、静脈内注射に使用されるある種の流動体と組み合わせて使用されることもできる。
更に別の実施形態では、二重特異性抗体のような二重特異性分子は、少なくとも2つの異なる二重特異性抗体の「カクテル」を用いて、上述のようにin vitroで赤血球と前もって結合される。この実施形態では、2つの異なる二重特異性抗体は同一の抗原に結合するが、またC3b様受容体上の異なる重複しない認識部位にも結合する。C3b様受容体への結合について重複しない少なくとも2つの二重特異性抗体を用いることによって、単一の赤血球に結合できる二重特異性抗体-抗原複合体の数が増加する。従って、単一のC3b様受容体に結合する1つ以上の二重特異性抗体を与えることによって、特に抗原が非常に高濃度である場合、抗原のクリアランスが増強される(例えば、'679特許、6項、41-64行を参照)。
6. 実施例:乳癌治療においてHERCEPTINとともに用いられる二重特異性分子
この実施例は、二重特異性分子が乳癌治療においてHERCEPTIN(Trastuzumab)とともに用いられ得る方法を記述する。
Trastuzumabは、特異的な標的、すなわちある種の乳癌細胞において正常量より大量に存在する増殖因子受容体HER-2/neuを攻撃する、組換えDNA由来のヒト化モノクロナール抗体(mAB)である。多数の研究は、その腫瘍がより多くのHER-2/neuを産生する乳癌患者の25%から30%が、より悪い予後およびより短い平均余命を持つことを示した。HERCEPTINの臨床試験は、癌がすでに転移した女性において、乳癌の進行を遅延させ得ることを示した。それはまた、再発までの平均時間を4ヶ月から11ヶ月程度にまで延期することができる。(Dickman S., 1998, Science, 280:1196-1197; HERCEPTIN Summary Basis for Approval (SBA)-FDA)。
免疫組織化学法(IHC)によって測定した際に乳癌細胞表面上に最も高いレベルのHER2/neu発現を伴う患者は、HERCEPTINへの最良の臨床反応を有する。具体的には、腫瘍組織において最も高いレベルのHER2/neu発現を伴う患者(IHC法によるHER2/neu測定値が3+)は、反応速度、進行時間および短期的な生存率について、統計的に有意な利点を持つ。脱離HER2/neuの除去は更にHERCEPTINによる治療の効力を増強する。腫瘍組織においてより低いレベルのHER2/neuを持つ患者(HER2/neu測定値が2+)は、上記のいずれの利点も持たない。2+細胞が3+細胞と同程度のHER2/neuタンパク質を産生するが、2+細胞が可溶型で産生したものの大部分を分泌する場合、脱離抗原の除去もまた治療に有利でありえる。
臨床試験はまた、HERCEPTINのクリアランスの増加は患者の脱離抗原レベルと相関することを実証した。脱離抗原とHERCEPTINクリアランスとの関連性は、例えば500ng/mlといった特定の限界値を伴う階段関数というよりはむしろ連続的であることが見いだされた。(Clinical review of HERCEPTIN, BLA 98-0369)。ベースライン血清サンプルにおける脱離抗原の測定によって、細胞性HER2/neu発現を伴う患者の64%が検出可能な脱離抗原を有することが示された。より高い脱離抗原のベースライン濃度を示す患者は、より低いHERCEPTINの血清濃度を持つ可能性が高い。
7G9 x Trastuzumabと表される二重特異性分子を産生するために、抗CR1モノクロナール抗体7G9(米国特許第5,879,679号参照)をTrastuzumabに架橋する。7G9とTrastuzumabとを架橋するするために、架橋剤、N-スクシニミジルS-アセチルチオアセテート(SATA)およびスルホスクシニミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(sulfo-SMCC)が用いられる。7G9 x Trastuzumabは、高い血清HER2/neuレベルを伴う乳癌患者の静脈内に、HERCEPTINの投与と同時に投与される。7G9 x Trastuzumabは、10mg/kgの投与量で投与される。製造者の指示に従って、4mg/kgの負荷量に続いて毎週2mg/kgの投与量でHERCEPTINを投与する。HERCEPTINクリアランス(Clt)を測定し、二重特異性分子を使用していないCltと比較する。7G9 x TrastuzumabおよびHERCEPTINを用いた複合治療は、3+および2+両患者の反応速度、進行時間および短期的な生存率を有意に改善する。
7. 引用文献
本明細書のすべての引用文献は、あたかも個々の出版物または特許もしくは特許出願がすべての目的のために参照によりそれら全体が組み入れられるために特異的におよび個々に示された場合と同程度に、全ての目的のため参照により本明細書にそれら全体がに組み入れらる。
当業者にとって明白であるように、その精神および範囲から逸脱することなく、本発明の多くの改変および変化が為され得る。本明細書において記載された特定の実施形態は単に実施例として提供され、本発明は添付された請求項の項目のみによって、このような請求項が権利を有する相当物の完全な範囲にそって、制限されるものである。
図1は架橋されたモノクローナル抗体を含有する二重特異性分子を表す。波線は架橋剤を表す。 図2は、抗体を産生しているハイブリドーマの融合によって作製される二重特異性免疫グロブリンである、本発明の二重特異性分子を表す。描写されたように抗体の左腕はC3b様受容体に結合し、右腕は脱離腫瘍抗原であるAg2に結合する。 図3A〜Fは、図2に図解されたようないくつかの二重特異性分子の実施形態を説明する。左から右へ(または図3Cおよび3Dでは上から下へ)、アミノ末端からカルボキシ末端への方向を表す。図3Aは、基本的に、そのカルボキシ末端で第二結合ドメインに融合する免疫グロブリン重鎖のCH2およびCH3部分のアミノ末端に融合した第一結合ドメイン(BD1)からなる単一ポリペプチドである二重特異性分子を表す。図3Bは、基本的に抗体のFcドメイン(ヒンジ領域、CH2ドメインおよびCH3ドメイン)のアミノ末端に融合したBD1からなる第一ポリペプチド、ならびに、基本的にFcドメインのカルボキシ末端に融合したBD2を持つFcドメインからなる第二ポリペプチドで構成されている二量体を表す。図3Cは、特定の実施形態における、図3Bの二量体ポリペプチドの1つまたは両方の構造を表す。図3Cは、基本的に、CH1ドメイン、ヒンジ領域、CH2ドメインおよびCH3ドメインが続くVHドメインのアミノ末端にリンカー分子を介して融合した、軽鎖可変ドメイン(LV)および軽鎖定常ドメイン(CL)からなるポリペプチドを表す。図3Dは、特定の実施形態における、図3Bの二量体ポリペプチドの1つまたは両方の構造を表す。図3Dは、ヒンジ領域、CH2ドメインおよびCH3ドメインが続くCH1ドメインのアミノ末端に融合したscFvを含むポリペプチドを表す。図3Eは、2つの異なる抗原に特異性を持つ2つの異なるscFvを含有するポリペプチドを表し、そのポリペプチドは基本的にCH3ドメインおよび第二scFvドメインが続くCH2ドメインに融合した第一scFvドメインからなる。" "は「〜に結合する」ことを示す。図3Fは、2つの異なる抗原に特異性を持つ2つの可変領域を含有するポリペプチドを表し、そのポリペプチドは基本的に軽鎖可変領域に融合した第一重鎖可変領域、CH2ドメイン、CH3ドメイン、重鎖可変領域および軽鎖可変領域からなる。 図4Aは、トランススプライシング法によって産生される本発明の二重特異性分子を図解するものであり、二重特異性分子のいくつかの構造の概略図である。 図4Bは、トランススプライシング法によって産生される本発明の二重特異性分子を図解するものであり、ストレプトアビジン-ビオチンリンカーを含む二重特異性分子のいくつかの構造の概略図である。

Claims (80)

  1. 哺乳動物の血液循環中から脱離腫瘍関連抗原を除去する方法であって、該哺乳動物に十分量の二重特異性分子を投与することを含み、該二重特異性分子は、C3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および該脱離腫瘍関連抗原のエピトープに結合する第二抗原認識部分を含有するものである、上記方法。
  2. 上記哺乳動物がヒトであり、上記C3b様受容体がCR1である、請求項1記載の方法。
  3. 上記脱離腫瘍関連抗原が、癌胎児性抗原(CEA)、多型上皮ムチン(PEM)、HER2-/neuタンパク質、CA125、腫瘍関連糖タンパク質-72(TAG-72)、前立腺特異抗原(PSA)、糖鎖抗原19-9(CA19-9)、組織ポリペプチド特異的抗原(TPS)およびMUC-1遺伝子産物からなる群より選択される腫瘍関連抗原の脱離型である、請求項2記載の方法。
  4. 上記二重特異性分子が上記脱離腫瘍関連抗原のエピトープを認識し結合するモノクローナル抗体に架橋された抗CR1モノクローナル抗体を含有する、請求項2または3記載の方法。
  5. 上記脱離腫瘍関連抗原が脱離HER2-/neuタンパク質であり、該脱離腫瘍関連抗原を認識し結合する上記モノクローナル抗体がTrastuzumabである、請求項4記載の方法。
  6. 上記哺乳動物が非ヒト哺乳動物である、請求項1記載の方法。
  7. 腫瘍細胞が哺乳動物の血液循環中に腫瘍関連抗原を分泌する腫瘍を持つ哺乳動物を治療する方法であって、哺乳動物に治療上十分量の二重特異性分子を投与することを含み、該二重特異性分子がC3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および該脱離腫瘍関連抗原のエピトープに結合する第二抗原認識部分を含有し、該哺乳動物が癌治療の対象であり、該癌治療が該哺乳動物の治療に効果をもたらすために、該腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原に結合する薬剤を用いて該哺乳動物を治療することを含む、上記方法。
  8. 腫瘍細胞が哺乳動物の血液循環中に腫瘍関連抗原を分泌する腫瘍を持つ哺乳動物を治療する方法であって、哺乳動物の治療に効果をもたらすために、該腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原に結合する治療上十分量の薬剤を哺乳動物に投与することを含み、該哺乳動物が二重特異性分子による治療の対象であり、該二重特異性分子はC3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および該脱離腫瘍関連抗原のエピトープに結合する第二抗原認識部分を含有するものである、上記方法。
  9. 上記薬剤が上記腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原に結合する治療用抗体である、請求項7記載の方法。
  10. 上記薬剤が上記腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原に結合する抗体とコンジュゲートした化学療法薬である、請求項7記載の方法。
  11. 上記薬剤が上記腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原に結合する放射性標識抗体である、請求項7記載の方法。
  12. 上記薬剤が上記腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原に結合する刺激または培養されたリンパ球である、請求項7記載の方法。
  13. 上記哺乳動物がヒトであり、上記C3b様受容体がCR1である、請求項7記載の方法。
  14. 上記腫瘍関連抗原が、癌胎児性抗原(CEA)、多型上皮ムチン(PEM)、HER2-/neuタンパク質、CA125、腫瘍関連糖タンパク質-72(TAG-72)、前立腺特異抗原(PSA)、糖鎖抗原19-9(CA19-9)、組織ポリペプチド特異的抗原(TPS)およびMUC-1遺伝子産物からなる群より選択される、請求項13記載の方法。
  15. 上記二重特異性分子が、上記脱離腫瘍関連抗原のエピトープを認識し結合するモノクローナル抗体に架橋された抗CR1モノクローナル抗体を含有する、請求項13または14記載の方法。
  16. 脱離腫瘍関連抗原が、HER2-/neuタンパク質であり、該脱離腫瘍関連抗原を認識し結合する上記モノクローナル抗体がTrastuzumabであり、上記薬剤がHERCEPTINである、請求項15記載の方法。
  17. 上記哺乳動物が非ヒト哺乳動物である、請求項7記載の方法。
  18. 上記二重特異性分子が上記薬剤と同時に投与される、請求項7記載の方法。
  19. 上記二重特異性分子が上記薬剤が投与される前に投与される、請求項7記載の方法。
  20. 上記二重特異性分子が上記薬剤が投与された後に投与される、請求項7記載の方法。
  21. 上記二重特異性分子が上記薬剤と同一のエピトープを認識し結合する、請求項7記載の方法。
  22. 上記二重特異性分子が上記薬剤と異なるエピトープを認識し結合する、請求項7記載の方法。
  23. 腫瘍細胞が哺乳動物の血液循環中に腫瘍関連抗原を分泌する腫瘍を持つ哺乳動物を治療する方法であって、
    (a)該哺乳動物に二重特異性分子を投与すること、ここで、該二重特異性分子は、C3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および脱離腫瘍関連抗原のエピトープに結合する第二抗原認識部分を含有するものとする、および、
    (b)該哺乳動物の治療に効果をもたらすために、該腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原に結合する薬剤を該哺乳動物に投与すること
    を含む、上記方法。
  24. 上記薬剤が上記腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原に結合する治療用抗体である、請求項23記載の方法。
  25. 上記薬剤が上記腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原に結合する抗体とコンジュゲートした化学療法薬である、請求項23記載の方法。
  26. 上記薬剤が上記腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原に結合する放射性標識抗体である、請求項23記載の方法。
  27. 上記薬剤が上記腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原に結合する活性化または培養されたリンパ球である、請求項23記載の方法。
  28. 上記哺乳動物がヒトであり、上記C3b様受容体がCR1である、請求項23記載の方法。
  29. 上記腫瘍関連抗原が癌胎児性抗原(CEA)、多型上皮ムチン(PEM)、HER2-/neuタンパク質、CA125、腫瘍関連糖タンパク質-72(TAG-72)、前立腺特異抗原(PSA)、糖鎖抗原19-9(CA19-9)、組織ポリペプチド特異的抗原(TPS)およびMUC-1遺伝子産物からなる群より選択される、請求項28記載の方法。
  30. 上記二重特異性分子が上記脱離腫瘍関連抗原のエピトープを認識し結合するモノクローナル抗体に架橋された抗CR1モノクローナル抗体を含有する、請求項28または29記載の方法。
  31. 腫瘍関連抗原がHER2-/neuタンパク質であり、該脱離腫瘍関連抗原を認識し結合する上記モノクローナル抗体がTrastuzumabであり、上記薬剤がHERCEPTINであることを特徴とする、請求項30記載の方法。
  32. 上記哺乳動物が非ヒト哺乳動物である、請求項23記載の方法。
  33. 上記二重特異性分子が上記薬剤と同時に投与される、請求項23記載の方法。
  34. 上記二重特異性分子が上記薬剤が投与される前に投与される、請求項23記載の方法。
  35. 上記二重特異性分子が上記薬剤が投与された後に投与される、請求項23記載の方法。
  36. 上記二重特異性分子が上記薬剤と同一のエピトープを認識し結合する、請求項23記載の方法。
  37. 上記二重特異性分子が上記薬剤と異なるエピトープを認識し結合する、請求項23記載の方法。
  38. 腫瘍細胞が哺乳動物の血液循環中に腫瘍関連抗原を分泌する腫瘍を持つ哺乳動物を治療する方法であって、該腫瘍関連抗原が該哺乳動物において該腫瘍に対する免疫応答を誘導し、該哺乳動物に治療上十分量の二重特異性分子を投与することを含み、該二重特異性分子がC3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および該脱離腫瘍関連抗原のエピトープに結合する第二抗原認識部分を含有することを特徴とする、上記方法。
  39. 上記哺乳動物がヒトであり、上記C3b様受容体がCR1である、請求項38記載の方法。
  40. 上記腫瘍関連抗原が癌胎児性抗原(CEA)、多型上皮ムチン(PEM)、HER2-/neuタンパク質、CA125、腫瘍関連糖タンパク質-72(TAG-72)、前立腺特異抗原(PSA)、糖鎖抗原19-9(CA19-9)、組織ポリペプチド特異的抗原(TPS)およびMUC-1遺伝子産物からなる群より選択される、請求項39記載の方法。
  41. 上記二重特異性分子が上記脱離腫瘍関連抗原のエピトープを認識し結合するモノクローナル抗体に架橋された抗CR1モノクローナル抗体を含有する、請求項39または40記載の方法。
  42. 腫瘍関連抗原がHER2-/neuタンパク質であり、該脱離腫瘍関連抗原を認識し結合する上記モノクローナル抗体がTrastuzumabである、請求項41記載の方法。
  43. 上記哺乳動物が非ヒト哺乳動物である、請求項38記載の方法。
  44. 腫瘍細胞が哺乳動物の血液循環中に腫瘍関連抗原を分泌する腫瘍を持つ哺乳動物を治療する方法であって、哺乳動物に治療上十分量の二重特異性分子を投与することを含み、該二重特異性分子がC3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および該脱離腫瘍関連抗原のエピトープに結合する第二抗原認識部分を含有し、該哺乳動物が癌治療の対象であり、その癌治療が該哺乳動物の治療に効果をもたらすために、該腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原に結合する細胞の産生を活性化する薬剤で該哺乳動物を治療することを含む、上記方法。
  45. 腫瘍細胞が哺乳動物の血液循環中に腫瘍関連抗原を分泌する腫瘍を持つ哺乳動物を治療する方法であって、哺乳動物の治療に効果をもたらすために、該腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原に結合する細胞の産生を活性化する治療上十分量の薬剤を該哺乳動物に投与することを含み、該哺乳動物が二重特異性分子による治療の対象であり、該二重特異性分子がC3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および該脱離腫瘍関連抗原のエピトープに結合する第二抗原認識部分を含有するものである、上記方法。
  46. 腫瘍細胞が哺乳動物の血液循環中に腫瘍関連抗原を分泌する腫瘍を持つ哺乳動物を治療する方法であって、
    (a)該哺乳動物に、C3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および脱離腫瘍関連抗原のエピトープに結合する第二抗原認識部分を含有する二重特異性分子を投与すること、および
    (b)該哺乳動物の治療に効果をもたらすために、該腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原に結合する薬剤を該哺乳動物に投与すること、
    を含む、上記方法。
  47. 上記薬剤が上記腫瘍関連抗原に対する免疫応答の形成を活性化するサイトカインである、請求項44,45、または46記載の方法。
  48. 腫瘍細胞が哺乳動物の血液循環中に腫瘍関連抗原を分泌する腫瘍を持つ哺乳動物において腫瘍を検出する方法であって、
    (a)該哺乳動物に、治療上十分量の、C3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および脱離腫瘍関連抗原のエピトープに結合する第二抗原認識部分を含有する二重特異性分子を、投与すること、
    (b)該哺乳動物に標識とコンジュゲートした薬剤、すなわち該腫瘍関連抗原を認識し結合する薬剤を投与すること、および
    (c)該標識を検出すること、
    を含む、上記方法。
  49. 上記薬剤が、上記腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原に結合する放射性標識抗体である、請求項48記載の方法。
  50. 上記哺乳動物がヒトであり、上記C3b様受容体がCR1である、請求項48記載の方法。
  51. 上記脱離腫瘍関連抗原が、癌胎児性抗原(CEA)、多型上皮ムチン(PEM)、HER2-/neuタンパク質、CA125、腫瘍関連糖タンパク質-72(TAG-72)、前立腺特異抗原(PSA)、糖鎖抗原19-9(CA19-9)、組織ポリペプチド特異的抗原(TPS)およびMUC-1遺伝子産物からなる群より選択される、請求項50記載の方法。
  52. 上記二重特異性分子が、上記脱離腫瘍関連抗原のエピトープを認識し結合するモノクローナル抗体に架橋された抗CR1モノクローナル抗体を含有する、請求項50または51記載の方法。
  53. 上記哺乳動物が非ヒト哺乳動物である、請求項48記載の方法。
  54. 上記二重特異性分子が上記薬剤と同時に投与される、請求項48記載の方法。
  55. 上記二重特異性分子が上記薬剤が投与される前の時期に投与される、請求項48記載の方法。
  56. 上記二重特異性分子が上記薬剤が投与された後の時期に投与される、請求項48記載の方法。
  57. 上記二重特異性分子が上記薬剤と同一のエピトープを認識し結合する、請求項48記載の方法。
  58. 上記二重特異性分子が上記薬剤と異なるエピトープを認識し結合する、請求項48記載の方法。
  59. 上記投与が静脈注射である、請求項1、7、23、38、44、45、46、または48記載の方法。
  60. C3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および哺乳動物の腫瘍細胞によって分泌される腫瘍関連抗原のエピトープに結合する第二抗原認識部分を含有する、二重特異性分子。
  61. 上記哺乳動物がヒトであり、上記C3b様受容体がCR1である、請求項60記載の二重特異性分子。
  62. 上記腫瘍関連抗原が、癌胎児性抗原(CEA)、多型上皮ムチン(PEM)、HER2-/neuタンパク質、CA125、腫瘍関連糖タンパク質-72(TAG-72)、前立腺特異抗原(PSA)、糖鎖抗原19-9(CA19-9)、組織ポリペプチド特異的抗原(TPS)およびMUC-1遺伝子産物からなる群より選択される、請求項61記載の二重特異性分子。
  63. 上記二重特異性分子が、上記脱離腫瘍関連抗原のエピトープを認識し結合するモノクローナル抗体に架橋された抗CR1モノクローナル抗体を含有する、請求項61または62記載の二重特異性分子。
  64. 上記腫瘍関連抗原が、HER2-/neuタンパク質であり、該脱離腫瘍関連抗原を認識し結合する上記モノクローナル抗体がTrastuzumabである、請求項63記載の二重特異性分子。
  65. 複数の異なる二重特異性分子を含有する二重特異性分子のポリクローナル集団であって、その複数の中の各二重特異性分子がC3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および腫瘍細胞によって分泌される腫瘍関連抗原のエピトープに結合する異なる第二抗原認識部分を含有する、二重特異性分子のポリクローナル集団。
  66. 上記哺乳動物がヒトであり、上記C3b様受容体がCR1である、請求項65記載の二重特異性分子のポリクローナル集団。
  67. 上記腫瘍関連抗原が癌胎児性抗原(CEA)、多型上皮ムチン(PEM)、HER2-/neuタンパク質、CA125、腫瘍関連糖タンパク質-72(TAG-72)、前立腺特異抗原(PSA)、糖鎖抗原19-9(CA19-9)、組織ポリペプチド特異的抗原(TPS)およびMUC-1遺伝子産物からなる群より選択される、請求項66記載の二重特異性分子のポリクローナル集団。
  68. 上記二重特異性分子の各々が上記脱離腫瘍関連抗原のエピトープを認識し結合するモノクローナル抗体に架橋された抗CR1モノクローナル抗体を含有する、請求項66または67記載の二重特異性分子のポリクローナル集団。
  69. 上記腫瘍関連抗原がHER2-/neuタンパク質であり、該脱離腫瘍関連抗原を認識し結合する上記モノクローナル抗体が脱離HER2-/neuタンパク質に結合するモノクローナル抗体である、請求項68記載の二重特異性分子のポリクローナル集団。
  70. (a)二重特異性分子と、(b)薬剤とを含有するキットであって、該二重特異性分子はC3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および腫瘍細胞によって分泌される腫瘍関連抗原のエピトープに結合する第二抗原認識部分を含有するものであり、該薬剤は該腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原に結合して哺乳動物の治療に効果をもたらすものである、上記キット。
  71. 上記哺乳動物がヒトであり、上記C3b様受容体がCR1である、請求項70記載のキット。
  72. 上記腫瘍関連抗原が癌胎児性抗原(CEA)、多型上皮ムチン(PEM)、HER2-/neuタンパク質、CA125、腫瘍関連糖タンパク質-72(TAG-72)、前立腺特異抗原(PSA)、糖鎖抗原19-9(CA19-9)、組織ポリペプチド特異的抗原(TPS)およびMUC-1遺伝子産物からなる群より選択される、請求項71記載のキット。
  73. 上記二重特異性分子が上記脱離腫瘍関連抗原のエピトープを認識し結合するモノクローナル抗体に架橋された抗CR1モノクローナル抗体を含有する、請求項71または72記載のキット。
  74. 上記腫瘍関連抗原がHER2-/neuタンパク質であり、該脱離腫瘍関連抗原を認識し結合する上記モノクローナル抗体がTrastuzumabであり、上記薬剤がHERCEPTINであることを特徴とする、請求項73記載のキット。
  75. (a)二重特異性分子のポリクローナル集団と、(b)薬剤とを含有するキットであって、該二重特異性分子のポリクローナル集団が複数の異なる二重特異性分子を含み、その複数の中の各二重特異性分子がC3b様受容体に結合する第一抗原認識部分および腫瘍細胞によって分泌される腫瘍関連抗原のエピトープに結合する異なる第二抗原認識部分を含有し、該薬剤が哺乳動物の治療に効果をもたらすために該腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原に結合するものである、上記キット。
  76. 上記哺乳動物がヒトであり、上記C3b様受容体がCR1である、請求項75記載のキット。
  77. 上記腫瘍関連抗原が、癌胎児性抗原(CEA)、多型上皮ムチン(PEM)、HER2-/neuタンパク質、CA125、腫瘍関連糖タンパク質-72(TAG-72)、前立腺特異抗原(PSA)、糖鎖抗原19-9(CA19-9)、組織ポリペプチド特異的抗原(TPS)およびMUC-1遺伝子産物からなる群より選択される、請求項76記載のキット。
  78. 上記二重特異性分子の各々が上記脱離腫瘍関連抗原のエピトープを認識し結合するモノクローナル抗体に架橋された抗CR1モノクローナル抗体を含有する、請求項76または77記載のキット。
  79. 上記腫瘍関連抗原がHER2-/neuタンパク質であり、該腫瘍関連抗原を認識し結合する上記モノクローナル抗体の各々がHER2-/neuタンパク質に結合するモノクローナル抗体であり、上記薬剤がHERCEPTINである、請求項78記載のキット。
  80. 上記薬剤が治療用抗体、化学療法薬とコンジュゲートした抗体、培養されたリンパ球および放射性標識抗体からなる群より選択される、請求項70記載のキット。
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