JP2005509688A - マレエート化ポリプロピレンおよびその調製方法 - Google Patents

マレエート化ポリプロピレンおよびその調製方法 Download PDF

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Abstract

グラフト反応生成物中に存在する無水マレイン酸部分の全量に基づき比較的高いパーセンテージの結合した無水マレイン酸を有するマレエート化ポリプロピレンを有利に生成するための方法と、それから生成されるマレエート化ポリプロピレンが開示される。この方法は、グラフト反応生成物中の無水マレイン酸部分の少なくとも約60%がポリプロピレンに結合しているマレエート化ポリプロピレンを生成する。

Description

発明の詳細な説明
関連出願の相互参照
本出願は、2001年5月6日出願の米国仮特許出願第60/289269号の優先的特典に関連し、かつこれを請求するものである。該米国仮特許出願は、本発明の譲受人に譲渡されており、これを本明細書中で参照によって援用する。
発明の分野
本発明は、マレエート化ポリプロピレンおよびマレエート化ポリプロピレンの生成方法に関する。より詳細には、本発明は、比較的高いパーセンテージの結合した無水マレイン酸部分を有するマレエート化ポリプロピレンの生成方法と、そのような方法から得られるマレエート化ポリプロピレンに関する。
背景
マレエート化ポリオレフィン、詳細にはマレエート化ポリプロピレンは、当分野で公知であり、幅広い範囲の適用での使用が見いだされる。例えば、マレエート化ポリプロピレンは、ポリマー、詳細にはポリオレフィンを、極性ポリマー、無機充填剤などを含むさまざまな極性基体と相溶化するのに有用である。そのようなコポリマーは、金属結合接着剤組成物での使用も知られている。
多くのクラスの技術が、無水マレイン酸をポリマー主鎖にグラフトさせるために知られている。例えば、固体状態でのマレイン化はポリマーの融点未満で行われ、反応はポリマーの暴露表面で起こる。溶媒に基づくグラフトでは、基体ポリマーを適切な溶媒に溶解し、グラフト反応は溶液中で起こる。溶融グラフトでは、無水マレイン酸またはその前駆体をポリプロピレンポリマーの溶融物中に典型的には触媒存在下で導入することにより、無水マレイン酸をポリプロピレン主鎖上にグラフトさせる。
出願人らは、無水マレイン酸をポリマー主鎖上にグラフトするためにこれまで典型的に用いられてきた状態、詳細には、溶融グラフトで典型的に起こる状態が、望ましくなく少ないパーセンテージの無水マレイン酸がポリマー主鎖に結合しているという結果をもたらす傾向にあることを見いだした。より詳細には、出願人らは、例えば米国特許第3642722号−Knowles et al.および第4506056号−Gaylord(これらのそれぞれを、本明細書中で参照によって援用する)に開示されているような従来技術の方法が、グラフト反応の生成物中の無水マレイン酸の約50%未満がポリプロピレン主鎖に結合しているマレエート化ポリプロピレン生成物をもたらすことを発見した。出願人らは、従来技術のグラフト反応生成物中に存在する無水マレイン酸の残りは、本明細書の共同発明者の一人であるScott M.Hackerの“Not All Maleated Polyolefins Are Created Equal”という名称の論文/研究(これを、本明細書に補遺として添える)に示されているように、未反応および/またはオリゴマー性の無水マレイン酸であると考える。
出願人らは、従来技術の上記欠点のみならず、これらの欠点が特定の適用において不十分な性能特性を有する生成物をもたらすことを認識した。より詳細には、出願人らは、マレエート化ポリプロピレンに関する一つの重要な使用が、相溶化剤、詳細には極性基体、繊維および充填剤のための相溶化剤としてであることに気づいた。出願人らは、結合した無水マレイン酸のレベルが上昇するにつれ、生成物の相溶特性が上昇すると理解している。結合した無水マレイン酸はマレエート化ポリプロピレンの望ましい特性をもたらすが、生成物中に存在する未反応およびオリゴマー性の無水マレイン酸はそのような特性を抑制する傾向にある。実際、マレエート化ポリプロピレン生成物中に残存する結合していない無水マレイン酸化合物は脱除剤(scavengers)として働き、マレエート化ポリプロピレンの相溶特性を抑制する傾向にある。
発明の概要
本発明は、グラフト反応生成物中に存在する無水マレイン酸部分の全量に基づき比較的高いパーセンテージの結合した無水マレイン酸を有するマレエート化ポリプロピレンを有利に生成するための方法と、それから生成されるマレエート化ポリプロピレンを対象とする。本発明の方法は、グラフト反応生成物中の無水マレイン酸部分の少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約75%がポリプロピレンに結合しているマレエート化ポリプロピレンの生成を促進することにより、従来技術の難点を克服する。本明細書中では、特記しない限り、すべてのパーセンテージは重量パーセントをさすものとする。
改良された方法は、用いる反応物のタイプおよび性質を慎重に選択し、無水マレイン酸を、選択したポリプロピレン、好ましくはポリプロピレン溶融物に、無水マレイン酸の少なくとも約55%、さらにより好ましくは少なくとも約60%をポリマー主鎖にグラフトさせるのに有効な期間、温度および圧力条件下で加えることを特徴とし、ここで前記パーセンテージは、グラフト反応生成物中に存在する全ての無水マレイン酸部分(その前駆体を含む)に基づく。
本明細書で用いる“グラフト反応生成物”という用語は、グラフト反応が実質的に完了したとみなされる後であるが、それに続くあらゆる精製工程の前の、マレエート化ポリプロピレンならびにあらゆる未反応成分、副生成物および不純物をさす。本明細書中で用いる“ポリプロピレン”という用語は、ポリプロピレンのホモポリマーと、モルパーセント基準でポリマーの少なくともほぼ大部分がポリプロピレン部分で形成されている場合のポリプロピレンコポリマーのすべての形、とりわけポリプロピレン−ポリエチレンコポリマーとをさし、それらを含む。本明細書中で用いるコポリマーという用語は、ターポリマーなどをさし、それらを含む。好ましくは、本発明のポリオレフィン反応物は、ポリプロピレンホモポリマーか、エチレンの重量基準濃度が約10%未満、より好ましくは約5%未満であるプロピレンとエチレンのコポリマーである。本明細書で用いる“マレエート化ポリプロピレン”という用語は一般に、無水マレイン酸をポリプロピレンのポリマー主鎖に好ましくは共有結合によりグラフトさせることにより形成する反応生成物をさす。したがって、当分野で公知のように、商業的適用でのそのようなグラフト反応生成物は一般に、マレエート化ポリプロピレンのみならず、結合していない無水マレイン酸およびオリゴマー性無水マレイン酸のようなものを含んでなる。本明細書中で用いる“結合した無水マレイン酸”という用語は一般に、本発明に従ってポリプロピレン主鎖にグラフトしている無水マレイン酸に由来する部分をさす。“結合していない無水マレイン酸”は一般に、グラフト反応生成物中に存在する未反応無水マレイン酸またはオリゴマー性無水物をさす。溶融状態で反応が起こる態様では、グラフト反応生成物は一般に、グラフト反応工程の最後において溶融物である。
ある種の好ましい態様では、無水マレイン酸を、ポリプロピレン、好ましくはポリプロピレン溶融物に、反応混合物中(例えば溶融物中)の無水マレイン酸の濃度を、反応条件におけるポリプロピレン中の無水マレイン酸の溶解限度の約120%以下、さらにより好ましくは100%以下に維持する速度で導入する。
出願人らは、混合物中の未反応無水マレイン酸の量が比較的低レベルに維持されている反応混合物中でポリプロピレンに無水マレイン酸をグラフトさせると、非常に高レベルの結合した無水マレイン酸を含有しおよび/または比較的低レベルのオリゴマー性無水マレイン酸を含有する反応生成物コポリマーをもたらすことができることを、予想外かつ反直感的に発見した。
反応物がポリプロピレン−ポリエチレンコポリマーを含んでなる態様の場合、出願人らはまた、グラフト反応において結合する無水マレイン酸の量が一般に、コポリマー中のポリエチレンの量に関連することを、予想外に発見した。より詳細には、コポリマーが、約10モル%以下のポリエチレン、より好ましくは約5モル%以下のポリエチレン、およびさらにより好ましくは約0.5モル%〜約3モル%のポリエチレンを含んでなることが、一般に好ましい。出願人らは、本明細書中に記載するようなポリエチレンレベルが、反応生成物の相溶特性に悪影響を及ぼすことなく、請求している高レベルの結合した無水マレイン酸を生成するのに役立つことを発見した。
したがって、本発明は、ポリプロピレン主鎖、結合した無水マレイン酸、および約0%〜約40%の結合していない無水マレイン酸を含んでなる改良された無水マレイン酸/ポリプロピレングラフトコポリマー生成物であって、反応生成物中の全無水マレイン酸部分に基づき、少なくとも約60重量%の前記無水マレイン酸部分、より好ましくは少なくとも約65重量%の前記無水マレイン酸部分、さらにより好ましくは少なくとも約70%の前記部分が、結合した無水マレイン酸である、前記コポリマー生成物を提供する。特に好ましい態様では、反応生成物中の全無水マレイン酸部分に基づき少なくとも約75%の前記部分が、結合した無水マレイン酸である。
好ましい態様の説明
本発明の一観点は、無水マレイン酸またはその前駆体を反応混合物中でポリプロピレンと反応させることを含んでなる、マレエート化ポリプロピレンの生成方法を対象とする。さまざまな特定のプロセスおよび単位パラメーターを本反応工程での使用に適合させることができ、反応混合物中で無水マレイン酸とポリプロピレンを組み合わせ、反応させるための幅広い範囲の公知の方法および工程を、本発明に従って用いることができると予想する。例えば、本発明のプロセスは、当分野で公知の1種以上のクラスの反応手順、例えば、溶融グラフト、固体状態でのグラフト、溶液グラフトなどを含んでなることができる。しかしながら、本発明は、好ましくは溶融グラフトにより実施する。
本発明の工程は、連続基準、バッチ基準、または両方の組合わせで実施することができる。当分野の技術者は、本明細書中に含有される教示に照らして、必要以上の実験を行うことなく、これら任意の操作モードを本発明に採用することができるであろう。
本発明の反応工程で結合する無水マレイン酸の量は、上記のようなポリプロピレンの性質を含む多くの反応パラメーターによる影響を受ける可能性があり、出願人らは、高レベルの結合した無水マレイン酸ならびに/または低レベルの未反応およびオリゴマー性無水マレイン酸を達成するために、本発明の教示に従って1種以上の関連パラメーターを制御することは、非常に有利であると考える。一般に、本発明のグラフト反応工程は、特定のグラフト反応条件を任意に組み合わせた条件下で実施することができ、ただし、ポリプロピレンと無水マレイン酸との反応が、無水マレイン酸とそれ自体または反応混合物中の他の成分、例えば無水マレイン酸オリゴマーとの反応に比べ促進されるという条件が付く。
反応混合物を得るための好ましいメカニズムの1種で、ポリプロピレン/無水マレイン酸のグラフト反応が非常に促進されるものは、反応混合物中の未反応無水マレイン酸濃度を従来技術のプロセスで用いられているレベルに比べ比較的低レベルに維持することである。出願人らはあらゆる操作理論によりまたはそれに結びつけようとしないが、本方法の好ましい生成物中に見いだされる予想外に高いパーセンテージの結合した無水マレイン酸は、少なくとも部分的に、無水マレイン酸がポリプロピレン中、より詳細にはポリプロピレンポリマー溶融物中で限定された溶解度を有することに起因して達成することが考えられる。したがって、低濃度の無水マレイン酸を使用すると、反応混合物中での無水マレイン酸またはその前駆体とポリプロピレンとの相分離が少なくなる。したがって、ポリマーの溶解限度を実質的に超えない無水マレイン酸濃度の使用は、2種の別個の有益な結果を有する。第1に、それは、非常に高いパーセンテージの無水マレイン酸がポリマー分子と同じ相にありかつそれと密接に接触しているという結果をもたらし、これは、無水物/ポリマー反応に好ましい。第2に、本発明により、ポリマー相から離れた相中に存在する無水マレイン酸と起こるような無水物/無水物反応を促進する条件に暴露される未反応無水マレイン酸の量が、最小限に抑えられる。したがって、相分離が少なくなると、ポリマー溶融物中に導入される無水マレイン酸のより高いパーセンテージでの結合が可能になる。さらに、初期に形成し軽くマレエート化した生成物は、続いて本発明の好ましい態様でポリマー溶融物に導入される任意の追加的な無水マレイン酸反応物を可溶化するのに役立つと考えられる。
ある種の好ましい態様、特に190℃で約200cps〜190℃で約2000cpsの粘度を有するグラフトポリプロピレンコポリマーの生成を包含する態様に従って、本発明の方法は、グラフト工程の実質的部分の期間中、好ましくは少なくとも約75%の期間中に、反応混合物中の未反応無水マレイン酸濃度を約2.5%未満、より好ましくは約2%未満、さらにより好ましくは約1%未満に維持するのに有効な条件下で、無水マレイン酸をポリプロピレンと反応させることを含んでなる。ある種の態様では、このグラフト反応工程は、添加工程の実質的部分の期間中、好ましくは少なくとも約75%の期間中に、反応混合物中の無水マレイン酸濃度を約2.5未満、より好ましくは約2%未満、さらにより好ましくは約1%未満の重量パーセントに維持するのに有効な条件下で、無水マレイン酸を、ポリプロピレン、好ましくはポリプロピレン溶融物を含んでなる反応混合物に添加することを含んでなる。
反応工程および添加工程に関し本明細書中で用いる“実質的部分”という用語は、全体として少なくとも50%の無水マレイン酸−ポリプロピレン結合が形成している、グラフト反応の任意の部分または複数部分をさす。
反応がバッチ反応である特定の態様の場合、無水マレイン酸を、1時間につきポリプロピレン(“PP”)1ポンドあたり約0.045ポンド未満の無水マレイン酸またはその前駆体(“MA”)の速度というグラフト反応条件(MA/PP/hr)、さらにより好ましくは約0.040MA/PP/hr未満で、反応混合物に加えることが好ましい。
これに加えて、出願人らは、マレイン化プロセスに用いるポリプロピレンの分子量、ならびに、典型的には最終製品のケン化価により特徴づけられるマレエート化ポリプロピレンの無水マレイン酸含量が、最終製品に見いだされる結合した無水マレイン酸のパーセントに影響を及ぼすことを発見した。本明細書中で用いるケン化価(“SAP”)という用語は、マレエート化ポリプロピレン中に存在するケン化性物質、例えば結合した単一単位の無水マレイン酸、結合したオリゴマー性無水マレイン酸、未反応無水マレイン酸、結合していないオリゴマー性無水マレイン酸、および他の加水分解しうる部分の量の尺度をさす。SAPは一般に、1グラムの試料を加水分解するのに必要とされる水酸化カリウムのミリグラム数(mg KOH/g)として算出される。図1は、低分子量ポリプロピレンと高分子量ポリプロピレンのSAPに対しプロットした結合した無水マレイン酸のパーセントを表すグラフである。図1に例示するように、一般に、結合した無水マレイン酸のパーセントはSAPが増大すると低下する。これに加えて、ポリプロピレンの分子量が増大すると、結合したもののパーセントは低下する。そのような変数を本発明に従って制御すると、高いパーセントの結合した無水マレイン酸を有する有用なマレエート化ポリプロピレンが生成すると考えられる。より詳細には、ポリプロピレン反応物の分子量および反応物のSAPを選択して、本発明に従った結合した無水マレイン酸を達成することが好ましい。当分野の技術者が用いる用語のとおりの高分子量ポリプロピレンを使用する態様の場合、高分子量ポリプロピレンが、約70を超えない、より好ましくは約75を超えない、さらにより好ましくは80を超えないSAPを有することが好ましい。当分野の技術者が用いる用語のとおりの低分子量ポリプロピレンを使用する態様の場合、ポリプロピレンが、約100を超えない、より好ましくは約120を超えない、さらにより好ましくは150を超えないSAPを有することが好ましい。
あらゆる商業用グレードの無水マレイン酸またはその前駆体、例えばマレイン酸(これを、多くの一般に用いられているグラフト反応条件下で無水マレイン酸に転化する)が、本発明での使用に適している。適切な無水マレイン酸の例には、例えば、Monsanto Company(St.Louis,NO)によりMaleic Anhydrideとして市販されているもの、およびHuntsman Petrochemical Corporation(Chesterfield,MO)によりManbri Maleic Anhydrideとして市販されているものが含まれる。
本発明での使用に適したポリプロピレンには、例えば、Honeywell(Morristown,NJ)によりACX1089の商品名で市販されているポリプロピレンが含まれる。
あらゆる適量の無水マレイン酸およびポリプロピレンを、本明細書の方法に用いることができる。ある種の好ましい態様において、本方法に用いられるポリプロピレン対無水マレイン酸の重量比は、約5:1〜約40:1である。より好ましくは、重量比は約5:1〜約25:1、さらにより好ましくは約10:1〜約20:1である。
本発明のある種の好ましい態様において、反応工程はさらに、無水マレイン酸をポリプロピレンと触媒存在下で反応させることを含んでなる。あらゆる幅広い範囲の触媒を本発明に用いることができる。適切な触媒には、例えば、当分野で公知でありかつ例えば過酸化ジアルキル、第三ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、p−メンタンペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、またはアゾビス(イソブチロニトリル)などのアキソ(axo)化合物を含む遊離基形成剤、あるいは照射源が含まれる。好ましい遊離基源は過酸化物で、ブチルペルオキシドがより好ましい。もっとも好ましい過酸化物は、入手しやすく、それにより得られる結果が適切かつ良好であるため、ジ第三ブチルペルオキシド(ジ−t−ブチルペルオキシド)である。これらの化合物は、例えばElf AtochemによりLupersol 101またはDi−t−Butyl Peroxideとして、およびAkzo Nobel Chemicals Inc.によりTrigonox Bとして、市販されている。
用いる過酸化物または遊離基剤の量は、一般に極めて少なく、出発材料に基づき約0.01〜約5重量%、好ましくは約0.1〜約3重量%のオーダーであり、約0.75〜約1.25重量%がもっとも好ましい。5重量%を大きく上回る量は良好な特性のために必要ではなく、約0.01重量%を下回る量は、過度に遅く不完全な反応をもたらす。
ポリカルボン酸化合物フィードと同様に、遊離基開始剤を多量の反応物に徐々に加えることが非常に好ましい。遊離基開始剤を、反応物に、好ましくは1時間あたり約0.01〜約3重量%の出発材料、より好ましくは1時間あたり約0.1〜約1重量%の出発材料、さらにより好ましくは1時間あたり約0.3重量%の出発材料の速度で加える。
ある種の態様に従って、触媒を、本発明の反応混合物に加える。触媒は、無水マレイン酸に関して同時および/または別個に加えることができる。好ましい態様では、無水マレイン酸および触媒を、時間的な意味では実質的に同時に、しかしそれらを反応混合物に加える位置の意味では別個に、反応混合物に加える。すなわち、無水マレイン酸および触媒を、重なっている期間にわたるが、無水マレイン酸導入の位置から移動させた場所で触媒を導入する異なるノズルまたは入口を介して、反応混合物に加える。
本発明のプロセスはさらに、反応混合物および/または最終製品における他の添加剤の使用を含んでなる。一般に、本発明の生成物の形成を実質的に妨げない任意の添加剤を、適切な量で用いてもよい。適切な添加剤の例には、スチレンなどのコモノマー、連鎖移動剤、安定剤などが含まれる。
本発明の反応は、あらゆる適切な反応条件下で実施することができる。一般に、ポリプロピレンがポリプロピレン溶融物を含んでなることが好ましい。したがって、反応温度は、ポリプロピレンの溶融温度より高いが、好ましくは約200℃未満であることが、一般に好ましい。温度は、特定のポリプロピレン、遊離基開始剤/触媒、およびグラフト反応速度に影響を及ぼす他のパラメーターに依存する。約150℃を大きく下回る温度では、好ましい出発材料の多くは融解した形になく、したがって無水マレイン酸と適切に反応しない。しかしながら、約200℃を超える温度では、乳化の容易さおよび得られる乳化しうる(emulsible)ポリオレフィンワックスの溶融粘度が、好ましい程度に高くない。したがって、反応温度は一般に、好ましくは約150〜約200℃、好ましくは約180〜約190℃である。
反応圧力は、とりわけ反応温度および所望の反応速度に依存する。一般に、反応は、好ましくは約0〜約50psig、より好ましくは約5〜約30psig、さらにより好ましくは約10〜約20psigの圧力下で実施する。大気圧においてまたはその付近で実施する反応では、高価な高圧設備が避けられる。
一般に、本発明のグラフト反応は、グラフト反応生成物中の無水マレイン酸の全重量に基づき少なくとも約60重量%の無水マレイン酸が、ポリマー主鎖に結合するように実施する。好ましくは、反応を、少なくとも70重量%の無水マレイン酸が結合し、さらにより好ましくは少なくとも80重量%が結合するように実施する。
実施例
比較実施例
この実施例は、米国特許第3642722号に表されているような従来技術に従ったマレエート化プロピレンの生成を例示する。
1.5のインヘレント粘度(inherent viscosity)を有する高分子量ポリプロピレンを、30分の平均接触時間にわたり熱分解ユニットにフィードする。熱分解装置を、370℃の温度で、分解のための熱エネルギーのすべてが混合摩擦により供給されるような速さで操作される攪拌機を用いて、操作する。分解したポリプロピレンワックスは、190℃で測定して約800センチポアズの溶融粘度を有する。この材料を、5重量%の無水マレイン酸および0.25重量%のジ第三ブチルペルオキシドと一緒に、約200℃で維持された熱的に撹拌された反応器に通すと、反応生成物の混合物が生成し、これは、反応混合物から未反応マレイン水素化物(maleic hydride)を分離するための標準的技術の後であっても、約50%未満の結合した無水マレイン酸濃度を有していた。
実施例1
窒素をパージした清浄で乾燥した反応器に、89重量部(pbw)のポリプロピレン(Hiwax NP055)を入れる。ポリプロピレンを加熱して溶融させ、そのポリプロピレンの撹拌を開始した後、温度を185〜187℃に調整する。窒素を中断し、反応器に9pbwの無水マレイン酸を0.034lbs無水マレイン酸/lbsポリプロピレン/hrの速度で、そして1pbwのLupersolおよび1pbwのParol 100を含んでなる2pbwの過酸化物の混合物を0.008lbs/lbsポリプロピレン/hrの速度で入れた。無水マレイン酸および触媒の導入は、実質的に同時に、しかし移動させた反応器入口ノズルを用いて開始した。
過酸化物の混合物を完全に添加した後(無水マレイン酸の添加が完了して15分後に起こる)、反応混合物を追加的に10分間かき混ぜる。未反応無水マレイン酸を除去するための尽力において、標準的技術を用いる。より詳細には、25”Hgの減圧をグラフト反応生成物に適用し、定期的に試料を取り出して未反応無水マレイン酸について試験する。減圧を止め、反応混合物を170℃に冷却すると、標準的減圧精製後のグラフト反応生成物の混合物は、70%を超える、より好ましくは約80%を超える、さらにより好ましくは85%を超える結合した無水マレイン酸を含んでなる。
低分子量ポリプロピレンと高分子量ポリプロピレンのSAPに対しプロットした結合した無水マレイン酸のパーセントを表すグラフである。

Claims (4)

  1. ポリプロピレン主鎖、結合した無水マレイン酸、および約0%〜約40%の結合していない無水マレイン酸を含んでなる改良されたグラフトコポリマー生成物であって、その改良が、前記無水マレイン酸部分の少なくとも約60重量%を、結合した無水マレイン酸である状態で有する、前記生成物により特徴づけられる、前記グラフトコポリマー生成物。
  2. 前記結合していない無水マレイン酸が、未反応無水マレイン酸と、無水マレイン酸部分を含有する結合していないオリゴマーとを含んでなる、請求項1に記載の改良されたグラフトコポリマー生成物。
  3. 溶融反応において無水マレイン酸をポリプロピレンにグラフトさせることによりマレエート化ポリプロピレン生成物を生成するための改良された方法であって、その改良が、グラフト反応生成物中の結合したおよび結合していない無水マレイン酸の全重量に基づき、少なくとも約50重量%の結合した無水マレイン酸を含んでなるグラフト反応生成物を生成するのに有効な速度および条件下で、無水マレイン酸を溶融物に添加することを特徴とする、前記方法。
  4. マレエート化ポリプロピレンを生成するための方法であって、反応生成物中の結合したおよび結合していない無水マレイン酸の全重量に基づき、反応生成物中の無水マレイン酸部分の少なくとも約60重量%が、結合した無水マレイン酸であるところの、反応生成物を生成するように維持された濃度の無水マレイン酸を含んでなる反応混合物中で、無水マレイン酸をポリプロピレンと反応させる工程を含んでなる、前記方法。
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