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親和クロマトグラフィーマトリックスからのリガンド漏出を低減する方法 発明の詳細な説明
発明の分野
本発明は、リガンド漏出を低減するのに適した親和クロマトグラフィーマトリックスを処理する方法に関する。本発明は、さらにリガンド漏出を測定するための低漏出親和クロマトグラフィーマトリックス及び方法に関する。
背景
親和クロマトグラフィーマトリックス(以下、親和マトリックスとも呼ぶ。)は種々の物質の工業精製で使用される。固定化リガンドを用いて、使用した特定のリガンドに対してある特定の親和力を有する物質を特異的に濃縮及び精製することができる。抗体の工業精製、特にモノクローナル抗体の精製のために、固定化タンパク質Aを使用することは初期洗浄工程として十分であることが証明された。移動相の抗体はキャリア(例えば、セファロース)に共有結合的に結合するタンパク質Aリガンドと特異的に結合する。黄色ブドウ球菌のタンパク質A(野生型タンパク質A)及び遺伝子組換えタンパク質A(組換えタンパク質A)は非共有相互作用によって抗体の定常部(Fcフラグメント)と相互作用する。この特異的な相互作用は、宿主細胞タンパク質及び/又は媒体成分等のプロセス誘導汚染物質を抗体から効果的に分離するために使用できる。pHを変えることによって、抗体とタンパク質Aリガンドの間の相互作用を故意に停止し、抗体を固定相から解放又は溶出することができる。溶出の際、所望の抗体が放出されるだけでなく、使用されるタンパク質Aマトリックスの安定性に依存して、ある特定の範囲のタンパク質A、すなわちリガンド自体が放出されることがわかった。カラムマトリックスと共有結合的に結合したタンパク質Aの放出は、タンパク質A漏出又は一般に「リガンド漏出」(親和クロマトグラフィーマトリックスを使用する場合に一般に観測される効果)と呼ばれる。リガンド漏出の範囲は種々の因子に依存する。一方、リガンド漏出は、リガンドがキャリアと結合する結合効率の影響を受ける。低結合効率は、リガンド漏出を促進することが分かった。一方、リガンド漏出は、またクロマトグラフィーが行われる特別な作業条件の影響を受けるように見える。
使用したリガンドの漏出速度、すなわちマトリックスの単位当たり又は精製されるべき物質の単位当たりカラムの洗い流されるリガンドの量は、使用した親和クロマトグラフィーマトリックスの重要な品質基準である。過度に高いリガンド漏出は、精製される医薬活性物質の品質を損なう重要な汚染物質を一様にもたらす。高価な下流精製工程は、再度リガンドから活性物質を分離するために必要である。リガンド濃度が高すぎるために、不十分に精製された医薬品が患者に望ましくない副作用を誘発する危険もある。
工業プロセスにおけるタンパク質A漏出を低減するために、カラムマトリックスは、タンパク質Aマトリックスを始めて使用する前、及びある期間使用した後、適した緩衝条件で前処理される(してもよい)。マトリックスは、例えば6Mの尿素又は6Mのグアニジン塩酸塩(吸着床の容量の等倍)等のカオトロピック物質で前処理されることが推奨される。
この前処理に加えて、カラムマトリックスは、各カラムの実施前後に精製される。前記プロセスは、主としてプロセスの衛生(CIP)を維持するのに役立つ。タンパク質AセファロースのCIP/ゲル精製について、カラムマトリックスは2カラム体積(cv)の0.1%非イオン性界面活性剤で、37℃で濯がれることが推奨される。接触時間は1分間与えられる。起こり得る微生物汚染を低減するために、マトリックスを6時間2%ヒビテン−(2)−グルコナート及び20%EtOHで処理し、次いで結合緩衝剤(pH7〜8)で注意深く濯ぐことも推奨される。アマシャムファルマシアバイオテック社(ウプサラ、スウェーデン)によって製造される「Streamline rprotein A」のCIPについて、タンパク質Aマトリックスの5%ナトリウム−N−ラウロイルサルコシナート、20mMのEDTA及び0.1MのNaClを含むリン酸緩衝剤による処理は特異的である(「Streamline rprotein A」マニュアル、アマシャムファルマシアバイオテック、コード18−1115−67)。しかし、我々自身の実験が証明するように(表1、図1)、これらの方法は、タンパク質A漏出を再現よく低いレベルに確実に低減するのに十分に効果的ではない。
生物薬剤の調製について、再現よくタンパク質A漏出を低くする安定なタンパク質Aマトリックスを使用することは極めて重要である。しかし、現在、確実に漏出を低くするこの種のマトリックスは十分に信頼できる品質で得られていない。このことは、一例としてタンパク質Aセファロースの異なるバッチについて表1(図1)に示される。
本発明の目的は、親和クロマトグラフィーマトリックスを前処理及び/又は処理する適した方法を開発及び確立することであり、リガンド漏出が再現よく低レベルに低減され、それ故結果として一定の品質の親和マトリックスを保証することができることを保証する。
抗体を精製するために特異的に使用されるタンパク質Aマトリックスを前処理するための適した方法を提供することは、特に重要である。
発明の詳細な説明
本発明は、親和クロマトグラフィーマトリックスを前処理及び/又は処理する方法に関し、リガンド漏出が、信頼性があり、再現よく低減され、それ故親和クロマトグラフィーマトリックスの活性及び/又はそのクロマトグラフィー特性に負の影響を与えずに、一定の品質の親和クロマトグラフィーマトリックスを保証することができることを保証する。用語「処理」は、以下では、親和クロマトグラフィーマトリックスがクロマトグラフィーの目的で使用される前の親和クロマトグラフィーマトリックスの前処理をも意味する。
驚いたことに、必須工程として親和クロマトグラフィーマトリックスの界面活性剤による処理を含む方法が見出された。本発明の目的の界面活性剤は、非イオン性及び両性イオン界面活性剤を含むイオン性界面活性剤の両方である。本発明の親和クロマトグラフィーマトリックスの前記処理は、以下では、「界面活性剤処理」とも呼ばれる。
本発明の方法の有効性は、処理の長さ(接触時間)、体積、温度及び使用される界面活性剤によって決定される。驚いたことに、処理の長さと処理時間の始めのリガンド漏出の低減との間に線形な相関がないことが分かった。16未満〜20時間の接触時間(処理時間)が室温(RT)でのリガンド漏出の低減に対する影響が小さい又は影響がないということが分かる(図11及び14)。室温は15〜25℃の温度を意味する。約16時間の処理時間を経た上でのみリガンド漏出の明らかな低減が見られた。図11に示されるタンパク質Aの量は、適した前処理後のタンパク質Aマトリックスによって示されるリガンド漏出に反比例する。
処理の時間を長くすることによって、リガンド漏出はさらに低減できる。必要な処理の長さは、温度(処理温度)が高くなると短くなる。25℃よりも高い温度、特に30〜40℃、とりわけ36〜38℃で、親和クロマトグラフィーマトリックスの活性又はクロマトグラフィー特性に影響を及ぼさないで、再現よく低レベルにリガンド漏出を低減するのに必要な本発明の方法の処理時間は、4〜16時間である(図14)。図12は、例えばさらに55℃まで高めた温度は、リガンド漏出にさらにプラスの効果を有する(すなわち本発明のリガンド漏出の低減をもたらす)ことを示す。
従って、本発明は、リガンド漏出を低減するための方法に関し、親和クロマトグラフィーマトリックスを少なくとも1つの界面活性剤で、少なくとも16時間、好ましくは16〜48時間15〜25℃(RT)で処理することを含む。前記方法は15℃未満の温度(RT)で同じ処理時間(16〜48時間)行ってもよいが、RTで処理することが好ましい。25℃よりも高い温度、特に30〜40℃、とりわけ36〜38℃で、本発明の処理の長さは少なくとも4時間である。接触時間が4〜16時間である前記方法は、特に好ましい。40℃を超える温度に高めることは、接触時間のさらなる短縮をもたらす。最大約55℃、特に40〜55℃、とりわけ50〜55℃の温度は、特に好ましい。インキュベーション温度に依存する最適な接触時間は、リガンド漏出を決定するための、本明細書に詳細に説明された方法の1つ(インキュベーションテスト、小スケールプロセス)を用いて、たいした努力もしないで、極めて容易に決定できる。一般に、処理温度が25〜55℃であり、接触時間が4〜16時間である方法が好ましい。室温又はそれ以下の温度で、本発明の方法の接触時間は少なくとも16時間、好ましくは16〜48時間である。
本発明の別の実施態様は、親和クロマトグラフィーマトリックスを少なくとも16時間RTで吸着床の容量の少なくとも5〜30倍、好ましくは10倍以上の少なくとも1つの界面活性剤で処理することを含む。さらに、本発明の1つの方法は、親和クロマトグラフィーマトリックスを少なくとも4時間36〜48℃の温度で吸着床の容量の少なくとも5〜15倍の少なくとも1つの界面活性剤で処理することを含む。この最後の方法において、温度は、また38℃を超える温度、例えば最大約55℃の温度に高めてもよい。図12に示すように、前記温度の上昇はリガンド漏出のさらなる低減をもたらす。
しかし、本発明は、また接触時間が25℃よりも高い温度で4時間未満であり、最大25℃の温度で16時間未満である方法に関し、全体として前記方法の範囲で、親和クロマトグラフィーマトリックスの活性又はクロマトグラフィー特性に影響を及ぼさないで、再現よく低レベルにリガンド漏出を低減することができる。リガンド漏出の低減に対する反応温度の上昇のプラスの影響は、例えば図12から明らかである。
本発明の目的で再現よく低レベルとは、例えば以下に記載されるリガンド漏出を測定する方法(インキュベーションテスト、小スケールプロセス)の1つによって測定される親和クロマトグラフィーマトリックスのリガンド漏出が親和マトリックス1mg当たり80ng未満のリガンドの値を有することを意味する。本発明の好ましい実施態様において、これらの方法の1つを用いて測定されるリガンド漏出は親和マトリックス1mg当たり40ng未満のリガンドの値を有し、特に好ましい実施態様において、親和マトリックス1mg当たり20ng未満のリガンドであり、本発明の別の特に好ましい実施態様において、親和マトリックス1mg当たり10ng未満のリガンドである。
本明細書に記載される本発明の方法は、タンパク質Aマトリックスからのリガンド漏出を低減するのに特に適している。従って、本明細書に記載される方法は、タンパク質Aマトリックスを処理するために使用される場合、本発明の方法であるとみなされる。本発明の目的でタンパク質Aマトリックスは、リガンドとして固定化タンパク質Aを含む親和クロマトグラフィーマトリックスである。このようなものとしては、例えばリガンドとして黄色ブドウ球菌由来の野生型タンパク質Aを含む親和マトリックスが挙げられる。タンパク質Aは、特にLofdahl, S.ら, 1983及びLindmarkら, 1983に記載される。さらに、本発明は、リガンドとして組換えによって生成されたタンパク質Aを有するマトリックスに関する。組換えタンパク質Aは、例えばDuggleby C.J.及びJones, S.A., 1983又はLi, R.ら, 1998に記載され、当業者に知られている。
タンパク質Aは、例えばアガロース、多糖類、デキストラン、シリカゲル及びガラスビーズ等の種々のキャリア材料と結合していてもよい。決して完全ではない適したキャリア材料の一覧はHarlow, E.及びLane, D. 1999に示される。1つの使用頻度の高いキャリア材料は、アマシャムファルマシアバイオテック、ウプサラ、スウェーデンによって製造される「セファロース」等のアガロースベース材料から形成され、当業者に知られている。
タンパク質Aセファロースの特定の例は、2001年から始まる「親和クロマトグラフィー」の主題の前記企業によって作成されたマニュアルに見つけることができる。さらに、当業者は、例えばMabSelect(アマシャムファルマシアバイオテック社、ウプサラ、スウェーデン)、STREAMLINE(登録商標)rProtein A(アマシャムファルマシアバイオテック社、ウプサラ、スウェーデン)及びPoros A(ミリポア、ダラム、イングランド)等の他のタンパク質Aクロマトグラフィーマトリックスをよく知っている。本発明の方法は、前記マトリックスの処理を含むが、マトリックスの一覧は一例として与えられ、完全であることを意味しない。
リガンドの結合は、遊離アミノ、カルボキシル又は硫黄基を介して、キャリアマトリックスと結合する臭化シアン、活性剤、NHS活性剤又はチオールによって一般に達成される。例えば、マニュアル「親和クロマトグラフィー」、アマシャムファルマシアバイオテック、ウプサラ、スウェーデン、2001を参照のこと。
親和マトリックス1mg当たり1ngのリガンドリガンド漏出を与えることに加えて、抗体の濃度に対してリガンド(プロセス汚染物質)の濃度を特定するため、特にタンパク質Aセファロースのリガンド漏出について、抗体1mg当たり1ngのタンパク質A(=ppm)のデータを有するのに有用である。再現よく低レベルのリガンド漏出で、親和マトリックス1mg当たり1ngのリガンドの上述の数値は概ね互いに一致する。
従って、再現性のよい低レベルのタンパク質A漏出は、例えば80ppm未満のタンパク質Aの値の、以下に記載されるリガンド漏出を測定する方法の1つ(インキュベーションテスト、小スケールプロセス)によって測定される漏出と一致する。本発明の好ましい実施態様において、これらの方法の1つによって測定されるタンパク質A漏出は、40ppm未満のタンパク質Aの値を有し、特に好ましい実施態様において、20ppm未満のタンパク質Aの値を有し、本発明の別の特に好ましい実施態様において、10ppm未満のタンパク質Aの値を有する。
リガンド漏出、特にタンパク質A漏出が低減される本発明の方法の有効性は、マトリックスを追加の処理工程に供することによって高めることができる。効果を与える1つの方法は、(少なくとも1つの界面活性剤による)界面活性剤処理に加えて、カオトロピック物質で親和マトリックスの前処理及び/又は後処理することを含む。
本発明の好ましい実施態様において、カオトロピック物質による処理工程は、親和マトリックスに適した(stringent)溶離緩衝剤を伴う。用語「親和マトリックスに適した(stringent)溶離緩衝剤」とは、本発明の目的で、そのリガンドから精製されるべきである物質の特異的な溶離を与える溶離緩衝剤を意味する。例えば、精製されるべき物質が抗体であり、リガンドがタンパク質Aである場合、酸性溶離緩衝剤(pH2.0〜4.0)は本発明の目的で適した溶離緩衝剤の要求を満足する(親和クロマトグラフィー−原理及び方法、第63頁、アマシャムファルマシアバイオテック、ウプサラ、スウェーデン)。
特に好ましい実施態様において、親和マトリックスに適した緩衝剤による洗浄工程は、中性緩衝剤による別の洗浄工程を伴い、中性緩衝剤のpHは、例えば6.5〜8.5である。
従って、本発明は、上述の「界面活性剤処理」に加えて、以下の工程の1つを含む方法に関し:
(A)マトリックスをカオトロピック物質で処理する工程、又は
(B)親和マトリックスに適した(stringent)溶離緩衝剤による洗浄する工程を伴う、マトリックスをカオトロピック物質で処理する工程、又は
(C)親和マトリックスに適した(stringent)溶離緩衝剤及び中性洗浄緩衝剤(好ましくは、pH6.5〜8.5)による洗浄する工程を伴う、マトリックスをカオトロピック物質で処理する工程、
特にこれらの工程の1つを先に行い、及び/又は続いて界面活性剤処理を行う。特に好ましい方法において、カオトロピック物質は尿素又はグアニジン塩酸塩であり、好ましくは4〜6Mの濃度である。
前記方法は、特にタンパク質Aマトリックスからのリガンド漏出を低減するのに適し、それ故本発明は、特に酸性溶離緩衝剤を、好ましくは2.0〜4.0のpHを有するものを用いる方法に関する。
本発明の別の好ましい実施態様は、以下の工程を含む、又は以下の工程からなる方法に関する:
(A)酸性緩衝剤(好ましくは、pH2.0〜4.0)及び中性緩衝剤(好ましくは、pH6.5〜8.5)で処理する工程を伴う、親和クロマトグラフィーマトリックスをカオトロピック物質で前処理する工程、;
(B)親和クロマトグラフィーマトリックスをリガンド漏出を低減するのに適した上述の方法の1つに従う少なくとも1つの界面活性剤で処理する工程;
(C)その後、酸性緩衝剤(pH2.0〜4.0)及び中性洗浄緩衝剤(pH6.5〜8.5)で処理する工程を伴う、親和クロマトグラフィーマトリックスをカオトロピック物質で処理する工程。
本発明の別の実施態様において、酸性溶離緩衝剤は、親和マトリックスに適した任意の望ましい溶離緩衝剤によって置き代えてもよい。好ましくは、上述の本発明の方法は、タンパク質Aマトリックスからのリガンド漏出を低減するために使用してもよい。
本発明の目的で界面活性剤は、非イオン性及びイオン性界面活性剤、特に両性イオン界面活性剤である。非イオン性界面活性剤は、好ましくはPEG−アルキルエーテル、PEG−ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルフェニル−PEG−エーテル又はPEO−PPOブロックコポリマーの中から選択される。本発明の特に好ましい実施態様において、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエテル(Brij35、C1225(OCH2CH2nOH、n〜23、CAS:9002−92−0)及びポリオキシル−20−セトステアリルエテール等のPEG−アルキルエーテル、又はポリオキシエチレン(20)ソルビタン−モノラウラート(Polysorbate20、CAS:9005−64−5)又はポリオキシエチレン(20)ソルビタン−モノオレアート(Polysorbate80、CAS:9005−65−6)等のPEG−ソルビタン脂肪酸エステル(Polysorbate誘導体)、又はt−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(Triton−X−100、CAS:9002−93−1)等のアルキルフェニル−PEG−エーテル(オクトキシノール誘導体)、又はポリグリコールエーテル(非イオン性界面活性剤)タイプNP−40(Tergitol NP40、CAS:127087−87−0)又は分枝ポリオキシエチレン−ノニルシクロヘキシルエーテル(Triton N−101、C919610(OCH2CH2nOH、CAS:123359−41−1)等のノニルフェノール−ポリオキシエチレンエーテル、又はポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(Pluronic F68、Lutrol F68、Poloxamer 188、CAS:9003−11−6又はPoloxamer 407、Pluronic F127、Lutrol F127、CAS:9003−11−6)等のPEO−PPOブロックコポリマー(Poloxamer誘導体)が使用される。また、親和マトリックスを処理するためにポリエチレングリコール(PEG)を使用することは適しており、従って、また本発明はその使用に関する。
ポリグリコールエーテル(非イオン性界面活性剤)タイプNP−40(Tergitol NP40、CAS:127087−87−0)は、以下の構造式を有する化合物を意味する:
Figure 2005509169
ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(Pluronic F68、Lutrol F68、Poloxamer 188、CAS:9003−11−6)は、以下の構造式をゆする化合物を意味する:
Figure 2005509169
ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(Pluronic F127、Lutrol F127、Poloxamer 407、CAS:9003−11−6)は、以下の構造式を有する化合物を意味する:
Figure 2005509169
両性イオン界面活性剤の3−(3−コールアミドプロピル)−ジメチルアンモニオ−1−プロパンスルホナート(CHAPS、CAS:75621−03−3)又は3−(3−コールアミドプロピル)−ジメチル−アンモニオ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホナート(CHAPSO、CAS:82473−24−3)は、本発明のマトリックスの処理に特に適している。
非イオン性界面活性剤は、好ましくは0.001〜5%(v/v)の濃度で使用される。0.005%(v/v)よりも高い濃度でPolysorbate(20及び80)を、0.001%(v/v)よりも高い濃度でPluronic(F68)を、0.001%(v/v)よりも高い濃度でTriton−X−100を使用することは、特に好ましい。本発明の別の実施態様において、Polysorbate、好ましくはPolysorbate 20は、0.005〜0.5%(v/v)の濃度で使用され、Pluronic、好ましくはPluronic F68、及びTriton−X−100は、0.001〜0.1%(v/v)の濃度で使用される。ポリエチレングリコールは、また0.01(v/v)よりも高い濃度で適しており、好ましくは0.01〜1%の濃度で使用される。
両性イオン界面活性剤は、好ましくは0.01〜1%(v/v)の濃度で使用され、界面活性剤CHAPS及び/又はCHAPSOは、最も好ましくは0.01%(v/v)よりも高い濃度で使用される。別の実施態様において、CHAPS及び/又はCHAPSOの濃度は0.01〜1%(v/v)である。
本発明は、また親和クロマトグラフィーマトリックスの処理、好ましくはタンパク質Aマトリックスの前記界面活性剤の組み合わせによる処理に関する。
リガンド漏出を低減する方法に加えて、本発明は、また上述の本発明のリガンド漏出を低減する方法の1つによって処理された「低漏出」親和クロマトグラフィーマトリックスに関する。好ましい実施態様において、本発明は、タンパク質A漏出を低減する前記方法によって処理される範囲で、低漏出タンパク質Aマトリックスに関する。低漏出タンパク質Aマトリックスは、例えば黄色ブドウ球菌由来のタンパク質A等の野生型タンパク質Aを含むマトリックス、及び組換えタンパク質Aを含むものの両方を意味する。例としては、タンパク質Aセファロース及びタンパク質Aセファロースビーズ(例えば、アマシャムファルマシアバイオテック社、ウプサラ、スウェーデンのSTREAMLINE(登録商標)rProtein A)が挙げられるが、これらは単なる一例であり、網羅的であることを意図しない。
親和マトリックスからのリガンド漏出を低減する上記方法及びそれによって処理された低漏出親和クロマトグラフィーマトリックスに加えて、本発明はリガンド漏出を測定する方法を含む。1つの前記方法は、以下インキュベーションテスト、あるいは小スケールプロセスと呼ぶ。
本発明のインキュベーションテストは以下に記載される工程(A)〜(C)を含み、特に好ましい実施態様において、インキュベーションテストはこれらの工程からなる:
(A)本発明の上述の方法の1つによって親和クロマトグラフィーマトリックスを前処理する工程(前記方法はリガンド漏出を低減するのに適している)、
(B)前処理した親和クロマトグラフィーマトリックスを追加の溶液とともにインキュベートする工程(追加の溶液はプローブとも呼ばれる)、及び
(C)適した定量的テストを用いて追加の溶液(プローブ)中のリガンドを定量化する工程(定量的テストは、例えばリガンド特異的ELISAであってもよい)。
リガンド漏出を測定するために本明細書に示される本発明の方法の特別の実施態様において、親和クロマトグラフィーマトリックスは、以下のように工程Aで前処理される:
第1工程(工程(A1))において、親和マトリックスはカオトロピック物質、好ましくは尿素又はグアニジン塩酸塩で、最も好ましくは4〜6Mの濃度で処理され、続いて親和マトリックスに適した溶離緩衝剤で洗浄され、続いて中性緩衝剤、好ましくは6.5〜8.5のpHで洗浄される。
工程(A2)において、親和マトリックスは吸着床の容量の数倍、好ましくは5〜30倍の少なくとも1つの界面活性剤で処理され、接触時間は少なくとも4時間であり、インキュベーション温度は25〜37℃である。しかし、また前記温度は37℃を超えるまで、例えば最大約55℃のレベルに高めてもよい。
工程(A3)において、親和クロマトグラフィーマトリックスはカオトロピック物質、好ましくは尿素又はグアニジン塩酸塩で、最も好ましくは4〜6Mの濃度で再度処理され、続いて親和マトリックスに適した溶離緩衝剤で洗浄され、続いて中性緩衝剤、好ましくは6.5〜8.5のpHで洗浄される。
工程(B)に記載される追加の溶液は、好ましくは生産条件下で、親和クロマトグラフィー用出発材料として使用される中間生成物に相当するプローブである。例えば、親和クロマトグラフィーが初期精製工程である場合、例えば発酵工程由来の採収プローブであってもよい。しかし、また細胞培養液又は任意の所望の緩衝剤を使用することは、本発明で考えられる。本発明の別の好ましい実施態様において、追加のプローブはプロセス条件下で得られる溶離液である。特別の実施態様において、プローブの処理(工程B)の接触時間は8時間以上であり、インキュベーション温度は18℃以上、好ましくは約37℃である。
リガンドの定量的測定は、リガンドの定量化に適した当業界で知られた任意の望ましい測定方法を用いて行ってもよい。例えば、タンパク質含有リガンドの場合、タンパク質はビウレット又はローリーの方法(Harris及びAngal, 1995)によって測定してもよい。タンパク質又はペプチドリガンドを定量化する別の方法は、抗体−抗原相互作用を利用することである。リガンドがこのリガンドに対して作られる特異的な抗体によって測定される前記テストシステムの使用は、例えば「イムノアッセイ」、Diamandis, P.及びChristopoulos T.K. (1996)に記載され、いかなる発明的な努力もなく、当業者によって実施される。本明細書に記載される方法は、単なる例であり、網羅的であると理解されるべきではない。
本発明は、特にタンパク質Aマトリックスからのリガンド漏出を測定する方法の上述の実施態様に関する。1つの前記方法において、酸性緩衝剤、最も好ましくは2.0〜4.0のpHを有する緩衝剤が溶離緩衝剤として使用される。タンパク質A漏出を測定する方法の別の実施態様は、実施例に記載される(下記参照)。本発明は、さらに図2に示されるタンパク質A漏出を測定する方法に関する。
タンパク質Aを検出する1つの好ましい方法は、例えば少量(ppm)のタンパク質Aを検出できるいわゆる「サンドウィッチタンパク質A ELISA」の使用である。前記テストの原理は、例えば「ELISA」、Kemeny, D.M. (1994)に記載され、当業者は容易に使用できる。タンパク質A ELISAのために、高親和性抗タンパク質A抗体は、反応容器、主に96ウエルマイクロタイタープレートに固定される。分析されるサンプル中のタンパク質Aの検出は、酵素、例えばペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼによりさらに標識された第2の等しく高い親和性抗タンパク質A抗体を用いて、固定した抗タンパク質A抗体によりサンプルをインキュベートした後行われる。前記非標識抗タンパク質A抗体及び/又は酵素で標識されたものは当業界で知られており、例えばアメリカンリサーチプロダクツ社(ベルモント、USA)、バイオジェネイシス社(プール、イングランド)又はO.E.M.コンセプツ社(ニュージャージー、USA)から得ることができる。前記インキュベーションテストは、また再現よく低レベルのリガンド漏出、特に容認できるタンパク質A漏出のために、本発明に従って閾値を決定する参照方法として役立つ。
本発明は、また同じ原理に基づき、緩衝剤組成物及び/又はインキュベーション条件の変化によってのみ異なるインキュベーションテストに関する。リガンド漏出の測定として、同じ原理に基づく別のテストは、親和マトリックスが異なる溶液によってインキュベートされ、少なくとも1つの溶液中のリガンドの量を測定する方法である。
本発明は、さらにリガンド漏出を測定する別の方法に関する。これは、プロセス条件下でリガンド漏出を測定するために使用することができる方法であり、以下では小スケールプロセスとも呼ばれる。本発明の方法は、以下に記載される工程を含み、又は以下に記載される工程からなる:
(A)リガンド漏出を低減することができる上述の本発明の方法の1つによって親和クロマトグラフィーマトリックスを前処理する工程、
(B)親和クロマトグラフィーマトリックスに精製されるべき物質を加える工程、
(C)親和クロマトグラフィーマトリックスを特異的な洗浄緩衝剤で洗浄する工程、
(D)親和クロマトグラフィーマトリックスを適した溶離緩衝剤とともにインキュベートする工程、
(E)適した定量的テスト(例えば、リガンド特異的ELISAであってもよい)を用いて溶離緩衝剤中のリガンドを定量化する工程。
本発明に従って、前記方法はバッチ方法及びカラムクロマトグラフィー方法の両方を使用してもよい。前記方法の好ましい実施態様は、タンパク質Aマトリックスからのリガンド漏出を測定するために使用される。本発明の前記方法は実施例に記載される。1つの特別な実施態様は、図3に示される方法に実質的に相当するタンパク質A漏出を測定する方法である。
さらに、本発明は、親和クロマトグラフィーマトリックスからのリガンド漏出を低減するための本発明の方法の1つが生物薬剤生成物の精製で使用される方法に関する。従って、また本発明は、低漏出親和クロマトグラフィーマトリックスが生物薬剤生成物を精製するために使用される方法に関する。本発明の目的で低漏出親和マトリックスは、本明細書に記載される本発明の方法の1つによって処理又は前処理された前記マトリックスである。
本発明の目的で生物薬剤生成物は、タンパク質、ペプチド、核酸及びその誘導体である。
従って、また本発明は、生物薬剤生成物の精製における親和クロマトグラフィーマトリックスからのリガンド漏出を低減する方法の使用及び低漏出親和クロマトグラフィーマトリックスの使用に関する。
1つの特別な実施態様は、タンパク質A漏出を低減する本明細書に記載される方法の1つがそのフラグメント又は誘導体を含む抗体又はキメラ抗体分子の精製で使用される方法、従ってその使用である。従って、本発明は、また低漏出タンパク質Aマトリックスがそのフラグメント又は誘導体を含む前記抗体、キメラ抗体分子の精製で使用される方法、すなわち本明細書に記載されるタンパク質A漏出を低減する本発明の方法の1つによって処理又は前処理されたタンパク質Aマトリックスに関する。また、本発明は、そのフラグメント又は誘導体を含む前記抗体、キメラ抗体分子を精製するための低漏出タンパク質Aマトリックスの使用に関する。
実施態様の例
テストの説明:タンパク質Aマトリックスについて一例としてリガンド漏出をインキュベーションテスト又は小スケールプロセスで分析した。これを行うために、クロマトグラフィーマトリックス(この場合、タンパク質Aセファロース)をテストの記載/添付図面(図2及び3)に示されるテスト構造に示されるように処理し、次いでインキュベートし、又は所望の溶液(プローブ)を加えた。使用したプローブは、例えば細胞培養液又は発酵プロセスからの収集プローブであった:
工程1において、タンパク質Aセファロースを、吸着床の容量の1倍(BV)の尿素緩衝剤(6M)、4BVの酸性溶離緩衝剤(0.1MのNaCl、pH4.0)及び6BVの生理学的平衡緩衝剤(30mMのトリス−HCl、0.15MのNaCl、pH7〜8)で連続的に前処理する。
工程2において、タンパク質Aマトリックスを4〜48時間界面活性剤(主に0.2%のPluronic又は0.2%のTween 20)により25〜37℃でインキュベートし/濯ぐ。これはおよそ5〜30BVの緩衝剤(工程2)に相当する。
次いで工程3で、マトリックスを吸着床の容量の1倍(BV)の尿素緩衝剤(6M)、4BVの酸性溶離緩衝剤(0.1MのNaCl、pH4.0)及び6BVの中性緩衝剤(30mMのトリス−HCl、0.15MのNaCl、pH7〜8)で濯ぐ。
インキュベーションテストにおいてタンパク質A漏出を測定するために、タンパク質Aセファロースのサンプルを適した前処理したマトリックスから得、ある長さの時間にわたって特異的なプローブの容量でインキュベートする。たいていの場合、プローブとして細胞培養液を使用した。しかし、酸性溶離緩衝剤又は任意の所望の緩衝剤を使用することも可能である。タンパク質Aマトリックスを、次いで遠心分離(5分、13000rpm、Expender Rotor F45−24−11)により分離した。タンパク質A漏出を、次いでサンプル中のタンパク質Aの量から測定した(下記参照)。
あるいは、タンパク質A漏出を、使用した工業精製プロセスに直接基づく小スケールプロセスにより測定した。このため、処理工程1〜3(上記参照)に従うマトリックスに精製されるべき選択物質を含むチャージング緩衝剤を加えた。次いで、親和マトリックスをプロセス条件下で洗浄緩衝剤(30mMのトリス−HCl、0.15MのNaCl、pH7〜8)で洗浄した。この後、酸性溶離緩衝剤(0.1MのNaCl、pH4.0)による溶離工程を行った。溶離液を集め、タンパク質Aの量をタンパク質A漏出の指標として測定した。
いずれの場合も、タンパク質Aはサンドウィッチタンパク質A ELISA(極めて少量(ppm)のタンパク質Aでさえ検出できる)によって測定した。これを行うために、高親和性抗タンパク質A抗体を、反応容器、主として96ウエルマイクロタイタープレートに固定した。固定した抗タンパク質A抗体とともにサンプルをインキュベーションした後、さらに酵素、例えばペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼによって標識された同じように高親和性の第2抗タンパク質A抗体によって、タンパク質Aを測定した。前記非標識及び酵素標識抗タンパク質A抗体は当業者に知られ、例えばアメリカンリサーチプロダクツ社(ベルモント、USA)、バイオジェネイシス社(プール、イングランド)又はO.E.M.コンセプツ社(ニュージャージー、USA)から得ることができる。あるいは、タンパク質Aを測定する市販のテストキット(ELISA)は、例えばReliGen社(ニーダム、USA)から得ることができる。テストは製造業社の取扱説明書に従って行われる。
結果:タンパク質A漏出を低減するためのタンパク質Aセファロースの前処理
高タンパク質A漏出を示すタンパク質Aマトリックスのタンパク質A漏出特性は、尿素緩衝剤、溶離緩衝剤、平衡緩衝剤及び非イオン性界面活性剤による親和マトリックスの組み合わせた前処理によって明らかに低減することができる(図4)。使用した界面活性剤濃度は0.2%であった。処理前にすでに低漏出であるタンパク質Aセファロースのタンパク質A漏出特性は、安定した状態を保ち、前処理によって影響を受けない(図4)。記載されたタンパク質Aマトリックスの前処理は、親和マトリックスの活性又はそのクロマトグラフィー特性(性能)に負の影響を与えない。処理されたタンパク質Aセファロースは、多くの添加及び溶離サイクルに対して安定なリガンド漏出を示し(図5)、安定した状態を保ち、その容量及び溶離特性において影響を受けない。
界面活性剤濃度の関数としてのタンパク質A漏出の誘発
タンパク質A漏出の誘発は使用した界面活性剤の濃度に依存する。使用した界面活性剤の最適濃度範囲は0.001〜1.0%であり、物質に依存する(図6〜10参照)。最適界面活性剤濃度はインキュベーションテスト又は小スケールプロセス又は親和マトリックスの各適用に見合う方法に基づくテストによって決定される。
タンパク質A漏出反応の時間依存性
タンパク質Aセファロースの反応/前処理の時間依存性をインキュベーション実験で示した。タンパク質Aセファロースが界面活性剤含有緩衝剤中(例えば、0.1%Pluronic F68)でインキュベーションされる場合、タンパク質Aセファロースの漏出は時間に依存する(図11)。驚いたことに、タンパク質A漏出における明らかな低減が少なくとも16〜24時間の処理時間(接触時間)後にのみ達成されることが分かった。
また、図14は、25℃の接触時間は16〜48時間が理想的であることを示す。温度が約25℃、例えば37℃まで上昇する場合、必要な処理時間は少なくとも4時間、理想的には4〜16時間に短縮される。同様に、タンパク質Aマトリックスの界面活性剤による前処理の直接容積依存性も存在する。
タンパク質A漏出反応の温度依存性
タンパク質A漏出の溶離/誘導は、インキュベーション温度に依存する。2〜8℃、25℃(RT)及び37℃又は2〜8℃、37℃、45℃、50℃及び55℃の2つの独立のテストシリーズにおけるタンパク質Aセファロースのリガンド漏出の比較は、リガンド漏出が温度に直接依存することを示す:インキュベーション温度が高いほど、不安定な又は非共有結合的に結合したタンパク質Aはより効果的に親和マトリックスから溶解することができる(図12)。工業用途に理想的なインキュベーション温度は20〜25℃(RT)である。必要に応じて、温度は、また37℃以上、例えば約50℃又は約55℃に高めてもよく、その結果として、必要な処理の長さ及び濯ぎ量は、同じ効果を達成するために少なくすることができる(図14参照)。
種々のタンパク質Aマトリックスの前処理
タンパク質A漏出の誘導は、マトリックスが本発明に従って界面活性剤により処理された後、種々のタンパク質マトリックス(例えば、野生型/組換えタンパク質Aセファロース、MabSelect等)について得られる(図13)。
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本発明の方法の1つによって前処理されていないタンパク質Aセファロースからの異なるリガンド漏出を示す。 タンパク質Aマトリックスからのタンパク質A漏出を測定するための本発明のインキュベーションテストを示す。 タンパク質Aマトリックスからのタンパク質A漏出を測定するための本発明の小スケールプロセスを示す。 タンパク質A漏出の低減に対する、高及び低タンパク質A漏出によるタンパク質Aマトリックスの前処理の影響を示す。 マトリックスが小スケールプロセスにおいて生物学的プローブで繰り返し処理される場合の、タンパク質A漏出の低減に対する本発明の方法によるタンパク質Aマトリックスの処理の影響を示す。 タンパク質A漏出の低減に対するTween 20の濃度の影響を示す。 タンパク質A漏出の低減に対するPluronic F68の濃度の影響を示す。 タンパク質A漏出の低減に対するTriton−X−100の濃度の影響を示す。 タンパク質A漏出の低減に対するCHAPSの濃度の影響を示す。 タンパク質A漏出の低減に対するポリエチレングリコールの濃度の影響を示す。 タンパク質A漏出の低減に対する処理時間の影響を示す。 タンパク質A漏出の低減に対する処理温度の影響を示す。(A、B)及び(C、D)は独立に行われた2つのテストを示す。 種々のタンパク質Aマトリックスについてタンパク質A漏出の界面活性剤依存性誘導/低減を示す。 時間、温度及び濯ぎに用いた容量の関数としてタンパク質A漏出の低減を示す。濯ぎに用いた容量は処理の長さに直接依存する。

Claims (8)

  1. リガンド漏出を低減するために親和クロマトグラフィーマトリックスを少なくとも1つの界面活性剤で処理する方法であって、接触時間が少なくとも4時間であることを特徴とする前記方法。
  2. 以下の工程を含む請求項1記載の親和クロマトグラフィーマトリックスを処理する方法:
    a)親和クロマトグラフィーマトリックスをカオトロピック物質で処理し、続いて酸性緩衝剤(pH2.0〜4.0)及び中性緩衝剤(pH6.5〜8.5)で処理する工程;
    b)親和クロマトグラフィーマトリックスを少なくとも4時間25〜55℃の処理温度範囲で、又は少なくとも16時間25℃未満の処理温度で吸着床の容量の少なくとも5〜10倍の少なくとも1つの界面活性剤で処理する工程;
    c)その後、親和クロマトグラフィーマトリックスをカオトロピック物質で処理し、続いて酸性緩衝剤(pH2.0〜4.0)及び中性洗浄緩衝剤(pH6.5〜8.5)で処理する工程。
  3. 界面活性剤が非イオン性界面活性剤又は両性イオン界面活性剤である、請求項1又は2記載の方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の方法によって処理された低漏出親和クロマトグラフィーマトリックス。
  5. マトリックスがタンパク質Aマトリックスである、請求項4記載の低漏出親和クロマトグラフィーマトリックス。
  6. 以下の工程を含むリガンド漏出の測定方法:
    a)請求項1〜3のいずれか1項記載の方法によって親和クロマトグラフィーマトリックスを前処理する工程;
    b)前処理した親和クロマトグラフィーマトリックスを追加の溶液(プローブ)とともにインキュベートする工程;
    c)適した定量的テストを用いて追加の溶液(プローブ)中のリガンドを定量化する工程。
  7. 生物薬剤生成物の精製における請求項1〜3のいずれか1項記載の方法の使用。
  8. 生物薬剤生成物の精製における請求項4又は5記載の低漏出親和クロマトグラフィーマトリックスの使用。
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