JP2005508338A - 免疫性疾患を処置するためのガンマグロブリンの使用 - Google Patents

免疫性疾患を処置するためのガンマグロブリンの使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、免疫グロブリンの消化管投与を使って免疫性神経変性疾患を処置する方法に関する。より詳細には、免疫グロブリンの経口投与を使って自閉症スペクトラム障害を処置する。

Description

【技術分野】
【0001】
本願は2001年10月4日に出願された米国仮特許出願第60/327,043号および2002年5月16日に出願された米国仮特許出願第60/380,960号に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は神経学および免疫学の分野に関する。より詳しくは、本発明は、対象に免疫グロブリン組成物を消化管経路で投与することによって、免疫性神経変性疾患を処置する方法に関する。特に、前記神経変性疾患は自閉症スペクトラム障害である。
【背景技術】
【0003】
1.免疫性疾患
免疫性疾患は、抗体および細胞性免疫によって慢性化する慢性炎症性疾患である。免疫応答は、体内に侵入した異物への攻撃の結果として意図せずに、または偶然にも異物に似ている自己組織を攻撃すること(自己免疫と呼ばれる過程)によって、健康な器官を傷つける。これらの疾患には、多くの形態の関節炎(たとえば慢性関節リウマチおよび乾癬性関節炎)、炎症性腸疾患(たとえば潰瘍性大腸炎およびクローン病)、内分泌疾患(たとえば1型糖尿病およびグレーブス病)、神経変性疾患(たとえば多発性硬化症、自閉症スペクトラム障害、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、ハンチントン病、ギラン・バレー症候群、重症筋無力症、および慢性特発性脱髄疾患(CID))、ならびに血管疾患(たとえば自己免疫性難聴、全身性血管炎、およびアテローム性動脈硬化症)が含まれる。これらの疾患はよくみられる一般的な疾患であり、社会経済に大きな影響を及ぼしている。
【0004】
現在、治療の最重点は、免疫を抑制し炎症を阻止することに置かれている。しかし免疫反応性および炎症は、微生物病原体および癌に対する宿主防御にとって極めて重要である。したがって現在行われている治療の主な欠点は、感染および癌に対するし疾病素因である。現在行われている治療の多くは有効であるが、長期間にわたるそれらの使用は、その毒性のために不可能である場合も多い。
【0005】
免疫性疾患は複雑であり、多因性である。最近の研究により、免疫性疾患は遺伝的疾病素因と環境的誘因の両方を必要とすることが示されている。多くの場合、一次刺激として微生物が関係するとされており、胃腸管はこれらの微生物の一般的な供給源である。自己免疫疾患に関係づけられている微生物には遍在性のものもあり、疾患の発生は罹患しやすい個体の遺伝的性質によって決定されると、現在考えられている。
【0006】
自己免疫の原因に関する大きな手がかりは免疫不全との関係である。最もよくみられる免疫不全はIgA抗体の不在および/または減少である。IgA抗体は重要な宿主防御機構として胃腸管中に分泌される。これらの抗体は、数多くの細菌毒素を中和することにより、我々をそれらの細菌毒素から守っている。IgAが存在する場合でも、自己と微生物の間の外観上の偶発的な類似性と同じ程度に潜行性の機構によって、免疫不全は起こりうる。
【0007】
2.自閉症スペクトラム障害
自閉症スペクトラム障害(ASD)は複雑な発達障害である。この能力障害は社会的相互作用およびコミュニケーション能力に影響を及ぼす。自閉症を持つ小児および成人は言語コミュニケーション、非言語コミュニケーション、社会的相互作用および余暇活動に困難を伴う。
【0008】
多くのASD小児は一般的な食物タンパク質抗原(Ag)に対して不寛容であるらしく、下痢、便秘、疝痛、胃食道逆流(GER)、およびGI不快感を含むさまざまな胃腸(GI)徴候および胃腸症状を患う。除外食を実施すると、ASD小児の親は、ASD小児のGI症状および異常行動の改善を報告することが多い(Berney,2001)。
【0009】
GI粘膜は数多くの食物タンパク質に対する免疫寛容の誘導にとって重要である。しかし末梢リンパ器官における寛容誘導は、精巧で複雑な機構によって調節されている(Krauseら,2000)。GI粘膜における免疫反応性の活性化が調節不全に陥ると、自己反応性T細胞の活性化および自己抗体産生が起こりうる。炎症性腸疾患(IBD)および他の全身性自己免疫障害では腸における微生物感染がしばしば疾患の憎悪を引き起こすことは、よく知られている。免疫寛容を維持するには腸管粘膜免疫系が極めて重要であると言える。
【0010】
何千人もの成人献血者から得られるプールガンマグロブリンは、免疫抑制を誘導せずにこれを大量に静脈内投与すると、さまざまな自己免疫障害で、抗炎症作用を発揮することが知られている。ガンマグロブリンの静脈注射(IVIG)は、数多くの直接的作用機序および間接的(免疫調節的)作用機構により、さまざまな薬効を発揮して自己免疫状態を軽減する(KazatchkineおよびKaveri,2001)。ASD患者の小さい部分集団でIVIGは自閉症の臨床兆候に改善をもたらしたと報告されているが(Guptaら,1996)、その作用機序はわからなかった。
【0011】
IVIG投与は多少の改善をもたらしているが、IVIGは高価であり、3〜4週間ごとに数時間の長時間注入が必要である。したがって、ASDおよび他の免疫性神経変性疾患を処置するために、より安全で、より便利な治療法を開発する必要がある。
【0012】
本発明は免疫性疾患の処置方法を対象としている。この処置方法では、免疫グロブリンを消化管経路で、たとえば経口経路、直腸経路、舌下経路または口腔経路で投与する。特定の実施態様では、前記免疫性疾患が神経変性疾患、たとえば自閉症スペクトラム障害である。さらにまた、本発明は、神経変性障害に関係するGI兆候の処置も包含する。
【0013】
本発明の一実施態様は、対象の免疫性神経変性疾患を処置する方法であって、前記対象における神経変性疾患の改善をもたらすのに十分な量の免疫グロブリン組成物を前記対象に消化管経路で投与するステップを含む方法である。消化管経路の具体例には、経口経路、口腔経路、直腸経路および舌下経路などがあるが、これらに限るわけではない。特に、前記消化管経路は経口経路である。さらなる実施態様では、前記免疫グロブリン組成物が、制酸薬と一緒に投与される。さらにまた、前記制酸薬は、前記免疫グロブリン組成物の前に、または前記免疫グロブリン組成物と同時に投与される。
【0014】
特定の実施態様では、神経変性疾患が、多発性硬化症、自閉症およびアルツハイマー病からなる群より選択される。さらには、前記免疫グロブリン組成物は、医薬的に許容できる担体中に分散させることができるヒト免疫グロブリンを含む。特に、前記ヒト免疫グロブリンはヒト免疫グロブリンG、免疫グロブリンAまたはそれらの組合せである。
【0015】
もう一つの実施態様は、対象の自閉症スペクトラム障害を処置する方法であって、前記対象における自閉症スペクトラム障害の改善をもたらすのに十分な量の免疫グロブリン組成物を前記対象に消化管経路で投与するステップを含む方法である。
【0016】
さらにまた、もう一つの実施態様は、免疫性疾患を処置する方法であって、粘膜免疫系を補充するステップを含む方法である。前記免疫性疾患は自閉症スペクトラム障害である。特に、前記粘膜免疫系の補充には、胃腸管における免疫グロブリンG、免疫グロブリンAまたはそれらの組合せの量を増加させることが含まれる。さらにまた、特定の実施態様では、前記免疫グロブリンG、免疫グロブリンAまたはそれらの組合せが、対象に消化管経路で投与される。好ましい実施態様では、前記消化管経路が経口経路である。
【0017】
さらにまた、もう一つの実施態様は、対象の胃腸管における粘膜免疫応答を増強する方法であって、免疫グロブリンG、免疫グロブリンAまたはそれらの組合せを含む組成物を前記対象に投与するステップを含む方法である。特に、前記対象は免疫性疾患、たとえば関節炎、炎症性腸疾患、皮膚病、内分泌疾患、神経変性疾患および血管疾患など(ただしこれらに限らない)を患っている。特定の実施態様では、前記粘膜免疫系の補充に、消化管における天然抗体の存在を増やすことが含まれる。
【0018】
上記の説明では、以下に記載する本発明の詳細な説明をより良く理解することができるように、本発明の特徴および技術的利点をかなり大まかに概説した。本発明の特許請求の範囲の主題を形成する本発明のさらなる特徴および利点を以下に説明する。本明細書に開示する概念および特定の実施態様は、本発明の同じ目的を実行するために他の構造を改変または設計する際の根拠として、容易に利用できることを、当業者は理解すべきである。また、そのような等価な構成が、本願特許請求の範囲に記載する本発明の精神および範囲から逸脱しないことを、当業者は理解すべきである。構成および実施方法の両面で本発明に特有であると考えられる新規な特徴は、さらなる目的および利点と共に、以下の説明を読むことで、より良く理解されるだろう。
【0019】
本発明がより完全に理解されるように、添付の図面を参照しながら、以下の説明を行う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本願が開示する発明には、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、さまざまな実施態様および変更が可能であることは、当業者には明白である。
【0021】
A.定義
特許請求の範囲および/または明細書で「含む」という用語に関連して本願で使用する単語「a」または「an」は、「1つ」を意味しうるが、これは「1つ以上」「少なくとも1つ」および「1つまたは複数」という意味も持ちうる。
【0022】
本願で使用する「消化管経路」という用語は、対象の口から肛門に至る消化管に関係する任意の経路と定義される。たとえば、消化管経路には口または口腔、咽頭、食道、胃、小腸、大腸または直腸が含まれるが、これらに限るわけではない。薬物および/または組成物の代表的な消化管投与経路として、経口経路、直腸経路、舌下経路または口腔経路が挙げられるが、これらに限るわけではない。
【0023】
本願で使用する「抗体」という用語は、抗原と結合するための特異的結合部位を持つ血清免疫グロブリンと定義される。すべての抗体は同じ全体構造を持ち、免疫グロブリンと総称されている。したがって、本願で使用する用語「抗体」と「免疫グロブリン」とは可換である。
【0024】
本願で使用する用語「自閉症スペクトラム障害」または「ASD」は、臨床特徴に基づいて診断される複雑な発達障害と定義される(米国精神医学会「診断・統計マニュアル」第4版,1994)。しかしその症状はさまざまな環境因子による影響を受けうる。
【0025】
本願で使用する「ガンマグロブリン」という用語は、抗体または免疫グロブリンを含んでいる血清または抗血清のタンパク質画分と定義される。抗血清が抗体または免疫グロブリンの不均一な集団を含むことは、当技術分野ではよく知られている。したがって「ガンマグロブリン」はIgA、IgG、IgD、IgMおよび/またはIgEを含む。
【0026】
本願で使用する「免疫性疾患」という用語は、抗体および細胞性免疫によって慢性化する慢性炎症性疾患を指す。免疫性疾患には、たとえば、関節炎(例:慢性関節リウマチおよび乾癬性関節炎)、炎症性腸疾患(例:潰瘍性大腸炎およびクローン病)、内分泌疾患(例:1型糖尿病およびグレーブス病)、神経変性疾患(例:多発性硬化症、自閉症スペクトラム障害、アルツハイマー病、ギラン・バレー症候群、強迫性障害、視神経炎、網膜変性、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、ハンチントン病、ギラン・バレー症候群、重症筋無力症、および慢性特発性脱髄疾患(CID))、血管疾患(例:自己免疫性難聴、全身性血管炎、およびアテローム性動脈硬化症)、ならびに皮膚病(例:皮膚筋炎、全身性エリテマトーデス、円板状エリテマトーデス、強皮症、および血管炎)などが含まれるが、これらに限るわけではない。
【0027】
本願で使用する用語「免疫グロブリン」または「Ig」は、抗体として機能する一群の血漿タンパク質と定義される。免疫グロブリンにはIgA、IgG、IgM、IgE、もしくはIgDおよび/またはそれらのサブタイプ、たとえばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1またはIgA2などが含まれる。IgAは、唾液、涙液、母乳、胃腸分泌物ならびに気道および尿生殖管の粘液分泌物などの身体分泌物中に存在する一次抗体として機能する。IgGは最も一般的な循環抗体として機能する。
【0028】
本願で使用する「と一緒に」という用語は、制酸薬の経口投与前、制酸薬の経口投与と実質的に同時、または制酸薬の経口投与後を指す。もちろん、たとえば免疫グロブリンなどの組成物の投与と制酸薬の投与との間に、最初に投与された物質の関連する効果が切れてしまうほど長い間隔を空けることはできない。したがって免疫グロブリン組成物は通常は治療有効時間内に投与される。
【0029】
本願で使用する「経口投与」という用語は、経口投与、口腔内投与、腸内投与または胃内投与を包含する。
【0030】
本願で使用する「医薬的に許容できる担体」という用語は、ありとあらゆる溶剤、分散媒、コーティング、抗細菌剤、抗真菌剤、等張化剤、吸収遅延剤などを包含する。そのような媒質および薬剤の医薬活性物質への使用は当技術分野ではよく知られている。通常の媒質または薬剤がいずれも本発明のベクターまたは細胞に適合しない場合を除いて、治療組成物には、その使用が考えられる。組成物には補助活性成分も組み込むことができる。
【0031】
本願で使用する「対象」という用語は、本明細書に記載する方法に従って免疫グロブリン組成物が経口投与される任意の哺乳動物対象を意味すると解釈される。特定の一実施態様では、本発明の方法がヒト対象を処置するために使用される。もう一つの実施態様にはヒト小児を処置することが含まれる。
【0032】
本願で使用する「治療有効時間」という用語は、免疫グロブリン組成物および/または制酸薬が対象内でまだ活性である時間枠を指す。
【0033】
本願で使用する「治療有効量」という用語は、当該疾患または状態の症状の改善または矯正をもたらす量を指す。
【0034】
本願で使用する用語「処置する(こと)」および「処置」は、対象に免疫性神経変性疾患の改善が起こるように治療有効量の免疫グロブリンを前記対象に投与することを指す。改善は、症状の任意の改善または矯正である。改善は、観察可能なまたは測定可能な改善である。したがって、処置は疾患状態を改善しうるが、処置が疾患の完全な治療であるとは限らないことは、当業者には理解される。
【0035】
B.免疫グロブリン組成物の製造
本発明の実施態様では、免疫グロブリン組成物を、対象に消化管経路で対象に投与する。特に、本明細書に開示する免疫グロブリン組成物は、経口投与、口腔内投与、直腸投与または舌下投与することができる。さらにまた、本発明の免疫グロブリン組成物は、吸入によって投与することもできると考えられる。
【0036】
本発明の実施に適した免疫グロブリン調製物は、さまざまな量のIgA、IgG、IgM、IgE、もしくはIgDおよび/またはそれらのサブタイプ(たとえばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1またはIgA2)を含みうる。本発明の特定の一実施態様では、免疫グロブリン組成物が主としてIgG免疫グロブリン、IgA免疫グロブリン、またはIgG免疫グロブリンとIgA免疫グロブリンの組合せから構成される。さらにまた、免疫グロブリン組成物はIgGもしくはIgAの特定サブタイプまたはそれらの組合せを含みうる。IgGまたはIgAの代表的サブタイプとしては、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1またはIgA2が挙げられるが、これらに限るわけではない。より好ましくは、免疫グロブリンはヒト免疫グロブリンである。
【0037】
さらにまた、本発明方法の実施には免疫グロブリンの断片も適していると考えられる。免疫グロブリンの断片としては完全な免疫グロブリンの一部分、たとえばFc、Fab、Fab'、F(ab')2および一本鎖免疫グロブリンなどが挙げらられるが、これらに限るわけではない。
【0038】
本発明に従って使用される免疫グロブリンは、限定されることなく、天然供給源、たとえば血液ならびに身体分泌物、たとえば唾液、涙液、母乳、胃腸分泌物ならびに気道および尿生殖管の粘液分泌物などからの単離および精製によって得ることができる。別の実施態様では、遺伝子改変動物における組換え発現もしくは直接産生または化学合成など、当技術分野で使用されている周知の遺伝子工学技術を使って、免疫グロブリンを組換え生産する。
【0039】
消化管投与用の天然免疫グロブリンの単離は、非経口投与用の免疫グロブリン(たとえば静脈内投与用に製造される免疫グロブリン(IVIGともいう))を製造する際に使用される手法を使って、血液から行われる。通常は、多くの健常ボランティアから血液を収集し、プールする。献血者数は少なくとも約5または10、好ましくは少なくとも約100、より好ましくは少なくとも約1000、さらに好ましくは少なくとも約10,000である。
【0040】
免疫グロブリンは、数多くの周知の方法により、ヒトプール血液から単離される。そのような方法には、たとえばCohnのアルコール分画(Cohnら,1946;Oncleyら,1949)、分画(Schneiderら,1976)、超遠心(Barundernら,1962)、またはKistlerとNitschmannの方法(1962)、高分子電解質アフィニティー吸着、大規模電気泳動、イオン交換吸着、およびポリエチレングリコール分画などがあるが、これらに限るわけではない。ヒト供給源から免疫グロブリンを分画するどの方法を使っても、本発明の方法を実施する際に使用するのに適した免疫グロブリンが得られる。
【0041】
ヒトプール血液から分画された免疫グロブリンは、主としてIgGを含むと共に、それより少量のIgAと、さらに少量または痕跡量のIgM、IgE、IgDとを含み、献血者集団に特有な広範囲にわたる抗体特異性およびサブクラス分布を持つ。そのような調製物は、痕跡量の可溶性CD4、CD8およびHLA分子、ならびに血漿に由来する一定のサイトカイン、たとえばTGF-β、も含みうる。ある特定種類の免疫グロブリンを濃縮するには、追加の製造ステップを使用する。たとえばプロテインGセファロース処理を行うと、IgAを主成分とする調製物が得られる(Leiblら,1996)。また、免疫グロブリン断片の製造には、通常の方法が使用される。そのような方法は、たとえばColiganら「Current Protocols in Immunology」John Wiley & Sons Inc.,ニューヨーク州ニューヨーク(1994)などに記載されている。
【0042】
免疫グロブリン調製物を本発明の方法での使用にとって安全なものとするために、さらなる製造ステップを使用する。そのようなステップは、IVIGを安全にするためのステップと同じであり、たとえば酵素的修飾(Faheyら,1963;Kneaplerら,1977)、化学修飾(Stephan,1975;Masukoら,1977)、還元およびアルキル化(米国特許第3,903,262号)、スルホン化、構造修飾(Barundernら,1975)、β-プロピオラクトンによる処理、低pHでの処理(Barandunら,1962;Kobletら,1976)、イオン交換クロマトグラフィーによる精製、溶剤/洗剤による処理、ナノろ過、低温殺菌および滅菌などが挙げられるが、これらに限るわけではない。これらの方法は、たとえばRomerら,1982;Romerら,1990;およびRutter,1994などにも説明されている。
【0043】
本発明の方法での使用に適した市販免疫グロブリンの一つはSandoglobulin I.V.(登録商標)(Sandoz Pharmaceuticals)であり、これは96%のIgGと、微量のIgAおよびIgMとを含んでいる。もう一つの市販免疫グロブリンはIgAbulin(登録商標)(Immuno AG,オーストリア国ウィーン)であり、これは主としてIgAを含んでいる。さらにもう一つの供給源は、Panglobulin(登録商標)IVIGであり、これは主としてIgGを含むと共に、少量のIgAと痕跡量のIgMとを含んでいる。さらにもう一つの市販品はOralgamである。
【0044】
経口投与用免疫グロブリン組成物の安全基準は、IVIGに関して提案されているものと同じである。たとえば、IVIGの調製物に関する基準は1989年に世界保健機関(WHO)の報告書で提案され、製造された免疫グロブリンおよび他の血液製品の安全性を高めるために、1989年に改訂されている。実施される安全性試験には、たとえば滅菌性試験、発熱原試験、B型肝炎抗原試験、抗補体活性試験などを含めることができる。たとえばA.Gardi(1984)などを参照されたい。
【0045】
ヒトプール血液から単離された免疫グロブリンは通常の凍結乾燥法によって粉末にすることが考えられる。凍結乾燥工程に先立って1つ以上の安定化物質を免疫グロブリン調製物に加える。たとえばグリシンおよびリジンなどのアミノ酸、デキストロース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、ソルビトール、マンニトールなどの糖質を含むさまざまな安定化物質が使用される。
【0046】
本発明の方法を実施する際に使用される凍結乾燥型の免疫グロブリン調製物は市販もされている。そのような市販品には、たとえばGammagard S/D(登録商標)(Baxter Healthcare)、Sandoglobulin I.V.(登録商標)(Sandoz Pharmaceuticals)、Polygam S/D(登録商標)(American Red Cross)、Venoglobulin(登録商標)-I(Alpha Therapeutic)、VZIG(登録商標)(American Red Cross)、IgAbulin(登録商標)(Immuno AG,オーストリア国ウィーン)およびIntraglobin-F(登録商標)(Biotest Pharma GmbH,ドイツ国フランクフルト)などがあるが、これらに限るわけではない。
【0047】
C.医薬組成物
さらに本発明では、経口投与に適した免疫グロブリン調製物または免疫グロブリン組成物が、不活性希釈剤と共に、または不活性希釈剤なしで、医薬的に許容できる担体に入れて提供される。この担体は同化可能で食用に適するべきであり、担体には液状担体、半固形担体(たとえばペースト)または固形担体が包含される。通常の媒質、薬剤、希釈剤または担体がいずれも受容者にとって、またはそこに含まれる免疫グロブリン調製物の治療有効性にとって有害である場合を除いて、本発明の方法を実施する際に使用される投与可能な免疫グロブリンには、それを使用することが適切である。担体または希釈剤の例として、脂肪、油、水、食塩溶液、脂質、リポソーム、樹脂、結合剤、充填剤など、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0048】
本発明では、免疫グロブリン組成物を、任意の便利で実用的な方法により、たとえば溶解、懸濁、乳化、混合、封入、吸収などによって、担体と混合する。これらは当業者にとっては日常的な方法である。
【0049】
本発明の特定の一実施態様では、粉末状の免疫グロブリン組成物を、半固形担体または固形担体と十分に混和または混合する。この混合は粉砕などの任意の常法で行うことができる。胃での変性などによって免疫グロブリン組成物が治療活性を失うのを防ぐために、この混合工程で安定剤を加えることもできる。経口投与可能な免疫グロブリン調製物に使用される安定剤の例としては、緩衝剤、胃酸の分泌に対する拮抗薬、グリシンおよびリジンなどのアミノ酸、デキストロース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、ソルビトール、マンニトールなどの糖質、タンパク質分解酵素阻害剤などが挙げられる。
【0050】
また、半固形担体または固形担体と混合される免疫グロブリン組成物は、さらに硬殻ゼラチンカプセル剤、軟殻ゼラチンカプセル剤、錠剤または丸剤に製剤化することができる。より好ましくは、ゼラチンカプセル剤、錠剤または丸剤に、腸溶性コーティングを施す。腸溶性コーティングは、pHが酸性である胃または腸上部で免疫グロブリン組成物が変性するのを防ぐ。たとえば米国特許第5,629,001号を参照されたい。小腸に到達すると、そこでの塩基性pHがコーティングを溶解して、免疫グロブリン組成物の放出と、特殊化した細胞、たとえば腸上皮細胞およびパイエル板M細胞などによる吸収とを可能にする。
【0051】
本発明の特定の一実施態様では、Panglobulin(登録商標)がゼラチンカプセルに封入される(IgPO,カプセル化Panglobulin(登録商標))。
【0052】
もう一つの態様では、粉末状免疫グロブリン組成物を、安定剤と共に、または安定剤なしで、たとえば水または食塩溶液などの液状担体と混合する。溶液中に復元されたそのような製剤は市販もされている。そのような市販品には、BayRho-D(登録商標)Full Dose(Bayer Biological)、BahRho-D(登録商標)Mini-Dose(Bayer Biological)、Gamimune N(登録商標),5%(Bayer Biological)、Gamimune N(登録商標),5% Solvent/Detergent Treated(Bayer Biological)、Gamimune NO,10%(Bayer Biological)、Gamimmune N 5%(Miles)、Gammagard S/D(登録商標)(Baxter Healthcare)、Isiven V.I. 2.5%(Isiven)、MICRhoGAM(登録商標)(Ortho Diagnostic)、RhoGAM(登録商標)(Ortho Diagnostic)、Sandoglobulin I.V.(登録商標)(Sandoz Pharmaceuticals)、Polygam S/D(登録商標)(American Red Cross)、Venoglobulin-S(登録商標)5% Solution Solvent Detergent Treated(Alpha Therapeutic)、Venoglobulin-S(登録商標)10% Solution Solvent Detergent Treated(Alpha Therapeutic)、およびIgAbulin(登録商標)(Immuno AG,オーストリア国ウィーン)などがある。
【0053】
他の投与形態に適したさらなる製剤として坐剤が挙げられる。坐剤はさまざまな重量および形状を持つ通常は薬用の固体剤形で、直腸、膣または尿道に挿入されるものである。挿入後に坐剤は体腔液中で軟化、融解または溶解する。一般に、坐剤の場合、伝統的な担体として、たとえばポリアルキレングリコール、トリグリセリドまたはそれらの組合せを挙げることができる。いくつかの態様では、たとえば約0.5%〜約10%、好ましくは約1%〜約2%の範囲の活性成分を含む混合物から、坐剤を形成させることができる。
【0054】
別の実施態様として、本発明では、点眼剤、点鼻液または鼻腔スプレー、エアロゾルまたは吸入剤を使用することができる。非限定的な例として、通常、点鼻液は、点滴剤としてまたはスプレーとして鼻腔に投与するように考えられた水溶液である。点鼻液は、多くの点で鼻汁に似ていて、正常な繊毛運動が維持されるように製造される。したがって、好ましい実施態様では、水性点鼻液は、通常、等張性であるか、または約5.5〜約6.5のpHが維持されるように、弱く緩衝剤処理されている。また、眼科用調製物に使用されるような抗微生物保存剤、薬物、または適当な薬物安定剤も、必要に応じて、製剤に含めることができる。
【0055】
製剤化したら、その投与製剤に適した方法により、徴候および/または症状の改善または矯正をもたらすのに治療上有効であるような量で、液剤を投与する。製剤は、摂取可能な液剤、薬物放出カプセル剤などのさまざまな剤形で容易に投与される。投与量は処置する対象の状態に応じていくらか変えることができる。いずれにせよ、投与責任者は個々の対象に適した用量を決定することができる。さらに、ヒトに投与する場合、調製物は、FDA生物製剤局の基準が要求する滅菌性基準、発熱原性基準、一般的安全基準および純度基準を満たす。
【0056】
D.経口免疫グロブリンを使った処置
本発明では、免疫性疾患が疑われる対象または免疫性疾患を患っている対象を、本発明の免疫グロブリン組成物で処置する。この処置には、対象に免疫性疾患の改善が起こるように治療有効量の免疫グロブリン組成物を消化管経路で前記対象に投与することが含まれる。
【0057】
本発明の免疫性疾患としては、たとえば関節炎(例:慢性関節リウマチおよび乾癬性関節炎)、炎症性腸疾患(例:潰瘍性大腸炎およびクローン病)、内分泌疾患(例:1型糖尿病およびグレーブス病)、神経変性疾患(例:多発性硬化症、自閉症スペクトラム障害、アルツハイマー病、ギラン・バレー症候群、強迫性障害、視神経炎、網膜変性、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、ハンチントン病、ギラン・バレー症候群、重症筋無力症、および慢性特発性脱髄疾患(CID))、血管疾患(例:自己免疫性難聴、全身性血管炎、およびアテローム性動脈硬化症)、ならびに皮膚病(例:皮膚筋炎、全身性エリテマトーデス、円板状エリテマトーデス、強皮症、および血管炎)などが挙げられるが、これらに限るわけではない。
【0058】
特定の態様では、自閉症スペクトラム障害(ASD)などの免疫性神経変性疾患が疑われる対象、または自閉症スペクトラム障害(ASD)などの免疫性神経変性疾患を患っている対象を、本発明の免疫グロブリン組成物で処置する。この処置には、対象に自閉症スペクトラム障害(ASD)などの免疫性神経変性疾患の改善が起こるように治療有効量の免疫グロブリン組成物を消化管経路で前記対象に投与することが含まれる。さらにまた、神経変性疾患の処置が、付随するGI症候の処置を包含することも考えられる。
【0059】
改善は、疾患または状態に関係する症状の任意の矯正である。免疫グロブリン組成物の治療効果は、Fc受容体の遮断(Samuelssonら,2000)、免疫グロブリン組成物中に存在する抗イディオタイプ抗体による自己抗体の中和、抗原に対するB細胞受容体を抗イディオタイプ抗体が結合し、ダウンレギュレーションすることによる自己抗体産生の減少(Dietrichら,1993)、補体による組織損傷および免疫複合体による組織損傷の軽減、抗炎症性サイトカインの産生量の増加(Prasadら,1998)、抗原特異的T細胞の増殖の抑制(Aktasら,2001)、活性化T細胞および活性化B細胞のアポトーシスの誘導(Prasadら,1998)、微生物毒素の中和、またはそれらの組合せに起因すると考えられる。
【0060】
1.免疫グロブリンの投与
本発明では、上述した医薬担体のいずれかに含まれている免疫グロブリン組成物を、免疫性疾患が疑われる対象または免疫性疾患を持つ対象に消化管経路で投与する。投与すべき免疫グロブリン組成物の正確な治療有効量は、年齢、体重、疾患重症度およびその治療法への応答に関する個別的な相違を考慮して、医師によって決定される。消化管投与経路としては、経口経路、鼻腔経路、口腔経路、舌下経路または直腸経路が挙げられるが、これらに限るわけではない。より好ましくは、消化管経路は経口経路である。免疫グロブリン組成物の経口投与には、経口投与、口腔内投与、腸内投与または胃内投与が含まれる。本組成物を食品添加物とすることも考えられる。たとえば、摂食前に本組成物を食物に振りかけたり、液体に加えたりする。
【0061】
特定の一実施態様では、免疫グロブリン組成物を、約100mg/日〜1000mg/日の用量で、1日に約1回〜5回投与する。免疫グロブリン組成物は食事前、食事中または食事後に投与される。さらにもう一つの実施態様では、免疫グロブリン組成物を100〜1000mg/日の用量で1日に1回投与する。1日ごとの投与は通常は就寝前に行われる。
【0062】
本発明の方法による処置を受けている個体の胃における免疫グロブリン組成物の不活化の度合いをさらに低下させるには、免疫グロブリン組成物の経口投与の直前または直後に、制酸薬を投与する。制酸薬を免疫グロブリン組成物と同時に投与する場合もある。適切な制酸薬の例には、重炭酸ナトリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、三ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、および水酸化アルミニウムゲルなどがあるが、これらに限るわけではない。
【0063】
特定の実施態様では、制酸薬が、市販の水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウム、たとえばMaalox(登録商標)またはMylanta(登録商標)などである。さらなる特定の実施態様では、制酸薬がシメチジンまたはラニチジンなどのH2遮断薬である。用量範囲は、Mylantaの場合は15ml〜30ml、シメチジンの場合は1日あたり400〜800mgである。
【0064】
本発明では、1クールの処置を完了するのに必要な時間は医師によって決定され、わずか1日から1週間以上まで変動しうる。好ましい処置クールは2〜8週間である。より好ましくは、処置クールは8週間続けられる。患者に対する治療上の利益が維持または延長されるように、医師が決定した必要な頻度で、処置クールを繰り返す。
【0065】
2.改善の決定
免疫グロブリン組成物を対象に投与した後、その対象を評価して、その処置が対象の改善をもたらすかどうかを決定する。改善は、疾患または状態の徴候または症状の任意の改善または矯正である。
【0066】
改善は、胃腸徴候または胃腸症状、社会的相互作用、コミュニケーションおよび/または行動などの観察可能な改善である。そのような改善は、臨床分野で使用されている周知の評価システムを使って測定される。改善が測定可能な改善、たとえば免疫学的パラメータであることも考えられる。
【0067】
特定の態様では、本明細書に記載する方法で処置されるASD対象を、観察可能な改善を決定するための標準的な評価システム、たとえば異常行動の評価(例:異常行動チェックリスト(Amanら,1997);小児自閉症評価尺度(Coniglioら,2001)、小児発達の評価(例:臨床全般印象(Sandlerら,1999)、就学前言語尺度(Dunn-Geierら,2000))、または小児のQTL評価(Collierら,2000)などを使って評価する。ASDで観察される他の臨床症状には、たとえば便通の頻度、便の堅さ、便の色と匂いなどがあるが、これらに限るわけではない。さらにまた、免疫学的パラメータも当技術分野で知られる標準的技術を使って測定される。これらのパラメータには、一般的な食物抗原(グリアジン、カゼイン、α-ラクトアルブミン、およびβ-ラクトグロブリン)、LPS、およびMBPに反応して起こるサイトカイン産生、IFN-γ、TNF-α、IL-5、IL-1β、IL-6、IL-10、sTNFRII、およびIL-12p40、ならびに胃腸管炎症のマーカー(たとえば便中のカルプロテクチンレベル)などがあるが、これらに限るわけではない。
【0068】
3.免疫補充療法
胃腸管における選択的免疫不全は多くの自己免疫疾患に対する素因を決定する。このことから見て、胃腸管における免疫不全を免疫補充療法によって修正することができる。ヒト免疫グロブリンは、自己免疫疾患を発症する遺伝的素因を持つ患者には存在しないものを含めて、微生物に対するあらゆる抗体を含んでいる。静脈内投与された免疫グロブリンは胃腸管内にあまり分泌されないので、経口経路などの消化管経路で免疫グロブリンを与える必要がある。たとえば、消化管経路で投与(すなわち経口投与)された免疫グロブリンの大半は胃腸管内で無傷の状態を保ち、細菌、ウイルス、真菌および寄生虫ならびにそれらの産物を中和することができる。
【0069】
消化管経路で投与された免疫グロブリンは、消化管の粘膜組織中の特殊化した細胞、たとえば腸管リンパ組織中の腸上皮細胞およびパイエル板M細胞などによって吸収され、プロセシングされることで、対象における自己寛容の構築および自己免疫反応の阻止を可能にすると考えられる。さらにまた、投与された免疫グロブリンは、腸免疫グロブリンG受容体、すなわちFcγRを結合することができ、そのような結合により、自己免疫障害の調節、すなわちFcによる免疫調節が開始される。Fcによるこの免疫調節は、たとえば自己免疫疾患を持つ(Kobayashiら,2001)ヒトでの炎症および免疫調節に重要な役割を果たす(Haradaら,1997)腸FcγRBP、すなわちFcγ結合タンパク質(Haradaら,1991)や、IgGの異化を防止する(JunghansおよびAnderson,1996)ことによって、一部の自己免疫障害の増加した血清免疫グロブリンの調節に役割を果たす(Bleekerら,2001)腸上皮中のIgG受容体FcRn(Israelら,1997)など(これらに限定されない)を、免疫グロブリンが結合することによって起こりうる。
【0070】
そこで本発明は、粘膜免疫系を刺激、増強または補充し、自己免疫障害を調節して、免疫性疾患の処置がもたらされるように、免疫グロブリンを消化管経路で投与しようとするものである。
【0071】
4.併用処置
処置対象である免疫性疾患の既知の処置方法と組み合わせて免疫グロブリン組成物を投与することも、本発明の範囲に含まれる。たとえばASD患者に、食物タンパク質不寛容のための治療法または行動療法プログラムと組み合わせて、経口免疫グロブリンを投与する。経口免疫グロブリン療法と併用するのに適した治療法を決定することは、当業者の知識で十分に可能である。
【0072】
E.実施例
本発明の好ましい実施態様を例証するために、以下に実施例を記載する。下記の実施例で開示する技術は、本発明の実施に際してうまく機能することを本発明者らが見いだした技術に相当し、したがって本発明の好ましい実施の形態を構成するとみなしうることを、当業者は理解すべきである。しかし、ここに開示する特定の実施態様には多くの変更を施すことができ、それでもなお本発明の精神および範囲から逸脱することなく同様のまたは同等の結果が得られることを、本明細書の開示に照らして当業者は理解すべきである。
【実施例1】
【0073】
経口処置
ASDおよび食物タンパク質不寛容のための基礎治療への追加処置として、対象に、免疫グロブリン組成物を、毎日1回、就寝前に経口投与する。
【0074】
対象には、IgGおよびIgAを含むカプセル剤を毎日1回、8週間にわたって投与する(420mg/日)。
【0075】
8週間後に、下記のパラメータを評価し、その結果を処置前に得た結果と比較する。たとえば、一般的な食物抗原(グリアジン、カゼイン、α-ラクトアルブミン、およびβ-ラクトグロブリン)、LPS、およびMBPに反応して起こるサイトカイン産生などの免疫学的パラメータを測定する。サイトカインのレベルはタンパク質レベルまたはmRNAレベルで決定される。
【0076】
測定される他のパラメータには、IFN-γ、TNF-α、IL-5、IL-1β、IL-6、IL-10、sTNFRII、およびIL-12p40が含まれる。GI管炎症のマーカー、たとえば便中のカルプロテクチンレベルなどを測定する。便通の頻度、便の堅さ、便の色と匂いなどの臨床症状を記録する。
【0077】
他の評価には、異常行動の評価(Amanら,1997)、小児自閉症評価尺度(Coniglioら,2001)、小児発達の評価(神経精神医学的評価)、臨床全般印象(Sandlerら,1999)、就学前言語尺度(Dunn-Geierら,2000)、小児のQTL評価(Collierら,2000)が含まれる。
【0078】
GI管での先天性免疫応答に異常があると、ASDを持つ小児は、一般的な食物タンパク質(DP)に対する感作を起こしやすくなり、これが慢性GI炎症と、さらには自己免疫状態をもたらす。そこで本発明は、免疫グロブリンを経口投与すれば、さまざまな抗炎症作用および免疫調節作用が発揮されることにより、食物タンパク質および腸内微生物によって誘発されるGI炎症が防止または軽減されると考える。
【実施例2】
【0079】
Oralgam(商標)による経口処置
ASDおよび食物タンパク質不寛容のための基礎治療への追加処置として、対象に、免疫グロブリン組成物を、毎日1回、就寝前に経口投与した。
【0080】
対象には、就寝前に、一回経口量のヒトIgGを、8週間にわたって投与した。一回量はIgGの140mgカプセル剤3粒とした。
【0081】
処置前(ベースライン)、4週間、8週間、および12週間の時点で、臨床評価を行った。各評価は、身体検査および臨床活動性の評価(GI重症度スコア、医師による全般評価、患者による全般評価、および自閉症行動チックリスト)からなった。便通の頻度、便の堅さ、便の色と匂いなどの臨床症状を記録した。
【0082】
臨床検査は、尿分析、全血球計算値(CBC)マニュアル分類付き、ウェスターグレン赤血球沈降速度(ESR)、C反応性タンパク質(CRP)、生化学検査14項目、免疫グロブリン定量値(QIG)、クロストリジウム・ディフィシルに関する便培養、および血清部分の凍結からなった。8週間後に、同じパラメータを評価し、その結果を処置前に得た結果と比較した。
【0083】
臨床的応答は、GI重症度指標スコアがベースラインから少なくとも4ポイント低下することと定義した。臨床的寛解は、ベースラインから少なくとも4ポイントの全体的改善を示す4以下のGI重症度スコアによって定義した。
【0084】
【表1】
Figure 2005508338
【0085】
表1および図1は、患者の55%でGI症状が寛解し、患者の78%でGI徴候およびGI症状の改善がみられたことを示している。さらにまた、表2は、ABC平均スコアに、行動の改善を示唆する21.8ポイントの低下が起こったことを示している。
【0086】
【表2】
Figure 2005508338
【0087】
したがって、上記のデータから、免疫グロブリンの経口投与は、GI炎症またはGI徴候およびGI症状を防止または軽減し、自閉症行動チェックリスト(ABC)によって決定される総合的行動を改善することが示唆された。
【実施例3】
【0088】
自閉症および関連胃腸問題を処置するための経口ガンマグロブリンの使用
ある対象を2.5歳時に「自閉症」と診断した。この時点で、MRIまたはCNSにより、限局性脱髄が認められた。この対象は、3.75歳の時にも、VZVワクチン接種後に著しい退行を起こした。この著しい退行の症状後に行ったMRIでは、脱髄の増加が認められた。除外食、セクレチン、数多くの栄養補助剤および行動療法を試みたが、限定された応答しか得られなかった。
【0089】
さらに検査を行ったところ、脳脊髄液(CSF)に自己免疫/炎症状態が認められた。特にこの対象はその血清およびCSF中の抗MBP抗体に対して陽性だった。またこの対象は、炎症誘発性サイトカイン(IL-1β、IL-6、IL-12p40、IL-18およびTNF-α)および逆調節性サイトカイン(血清中のIL-1ra、TGF-β、sTNFRI、およびsTNFRIIレベル)の血清レベルが上昇していることもわかった。さらに重要なことに、これらのサイトカインレベルは、MS患者で見られるように、CSF中で上昇していた。これはCNSにおける自己免疫状態を表す。sTNFRIとsTNFRIIは特に上昇していた。
【0090】
処置を行うため、この患者に、1日あたり400mgの免疫グロブリン組成物を、約10ccの水に溶解したPanglobulin(IVIg)の形で、就寝時に経口投与した。
【0091】
6〜7週間の処置後に、GI問題および患者の認知発語に改善があった。
(参考文献)
本明細書で言及したすべての特許および刊行物は、本発明が関係する技術分野の当業者の水準を示すものである。すべての特許および刊行物は、個々の刊行物が参照によって本明細書に組み込まれることを個別に明示した場合と同様に、参照によって本明細書に組み込まれるものとする。
【0092】
米国特許第3,903,262号
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本発明およびその利点を詳細に説明したが、これには、本願特許請求の範囲により定義された本発明の精神と範囲から逸脱することなく、さまざまな変更、置換および改変を施すことができると理解すべきである。さらに、本願の範囲は、本明細書に記載したプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法およびステップの特定の実施態様に限定されないものとする。当業者には本発明の開示からすぐに理解されるだろうが、既存のまたは今後開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、またはステップであって、本明細書に記載の対応する実施態様と実質的に同じ機能を果たすか、実質的に同じ結果をもたらすものは、本発明に従って利用することができる。したがって、本願特許請求の範囲は、そのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、またはステップを、その範囲に包含するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】経口IgG投与後のGI重症度スコアを示す図。

Claims (32)

  1. 対象の免疫性神経変性疾患を処置する方法であって、前記対象における神経変性疾患の改善をもたらすのに十分な量の免疫グロブリン組成物を前記対象に消化管経路で投与するステップを含む方法。
  2. 前記消化管経路が経口経路、直腸経路、舌下経路および口腔経路からなる群より選択される請求項1の方法。
  3. 前記消化管経路が経口経路である請求項2の方法。
  4. 前記神経変性疾患が多発性硬化症、自閉症およびアルツハイマー病からなる群より選択される請求項1の方法。
  5. 前記免疫グロブリン組成物が天然免疫グロブリンまたは組換え免疫グロブリンを含む請求項1の方法。
  6. 前記免疫グロブリン組成物がヒト免疫グロブリンを含む請求項1の方法。
  7. 前記ヒト免疫グロブリン組成物がヒト免疫グロブリンGを含む請求項5の方法。
  8. 前記ヒト免疫グロブリン組成物がヒト免疫グロブリンGおよび免疫グロブリンAを含む請求項5の方法。
  9. 前記ヒト免疫グロブリン組成物がヒト免疫グロブリンAを含む請求項5の方法。
  10. 前記免疫グロブリン組成物が医薬的に許容できる担体に分散される請求項1の方法。
  11. 前記免疫グロブリン組成物と一緒に制酸薬を投与することをさらに含む請求項3の方法。
  12. 対象の自閉症スペクトラム障害を処置する方法であって、前記対象における自閉症スペクトラム障害の改善をもたらすのに十分な量の免疫グロブリン組成物を前記対象に経口投与するステップを含む方法。
  13. 前記免疫グロブリン組成物がヒト免疫グロブリンを含む請求項12の方法。
  14. 前記ヒト免疫グロブリン組成物がヒト免疫グロブリンGを含む請求項13の方法。
  15. 前記ヒト免疫グロブリン組成物がヒト免疫グロブリンGおよび免疫グロブリンAを含む請求項13の方法。
  16. 前記ヒト免疫グロブリン組成物がヒト免疫グロブリンAを含む請求項13の方法。
  17. 前記免疫グロブリン組成物が医薬的に許容できる担体に分散される請求項12の方法。
  18. 前記免疫グロブリン組成物と一緒に制酸薬を投与することをさらに含む請求項12の方法。
  19. 前記制酸薬が前記免疫グロブリン組成物の前に投与される請求項18の方法。
  20. 前記制酸薬が前記免疫グロブリン組成物と同時に投与される請求項18の方法。
  21. 免疫性疾患を処置する方法であって、粘膜免疫系を補充するステップを含む方法。
  22. 前記免疫性疾患が自閉症スペクトラム障害である請求項21の方法。
  23. 粘膜免疫系の補充が、胃腸管における免疫グロブリンG、免疫グロブリンAまたはそれらの組合せの量を増加させることを含む、請求項22の方法。
  24. 免疫グロブリンG、免疫グロブリンAまたはそれらの組合せが消化管経路で投与される請求項23の方法。
  25. 前記消化管経路が経口経路、直腸経路、舌下経路および口腔経路からなる群より選択される請求項24の方法。
  26. 前記消化管経路が経口経路である請求項25の方法。
  27. 対象の胃腸管における粘膜免疫応答を増強する方法であって、免疫グロブリンG、免疫グロブリンAまたはそれらの組合せを含む組成物を前記対象に投与するステップを含む方法。
  28. 前記投与が経口経路、直腸経路、舌下経路および口腔経路からなる群より選択される消化管経路で行われる請求項27の方法。
  29. 前記消化管経路が経口経路である請求項28の方法。
  30. 粘膜免疫系の補充が、消化管における天然抗体の存在を増やすことを含む、請求項27の方法。
  31. 前記対象が免疫性疾患を患っている請求項27の方法。
  32. 前記免疫性疾患が関節炎、炎症性腸疾患、皮膚病、内分泌疾患、神経変性疾患および血管疾患からなる群より選択される請求項27の方法。
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