JP2005507657A - 連結された色素/蛍光性ドメインをコードする核酸ならびにその使用法 - Google Patents

連結された色素/蛍光性ドメインをコードする核酸ならびにその使用法 Download PDF

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Abstract

少なくとも2個の連結された色素/蛍光性ドメインを有するポリペプチド産物をコードする核酸組成物、ならびにそれによりコードされるタンパク質が提供される。本発明の核酸によりコードされたポリペプチドに加えて、本発明のタンパク質に対する抗体、ならびにトランスジェニック細胞およびトランスジェニック生物も同様に提供される。本発明のタンパク質および核酸組成物は、様々な異なる適用において有益である。最後に、このような適用において使用するためのキット、例えば本発明の核酸組成物を含むキットが提供される。

Description

【技術分野】
【0001】
序論
発明の分野
本発明の分野は、色素タンパク質および蛍光性タンパク質である。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
標識は、関心対象のタンパク質、細胞、または生物に印をつけるための道具であり、多くの生化学、分子生物学、および医学的診断適用において顕著な役割を果たしている。放射性標識、色素標識、蛍光標識、化学発光標識等を含む多様な異なる標識が開発されている。しかしながら、新規の標識の開発への関心は依然としてある。特に関心があるのは、色素タンパク質および/または蛍光性タンパク質標識を含む、新規のタンパク質標識の開発である。
【0003】
最近開発された蛍光タンパク質の重要な新規クラスは、Matz, M.V.らの論文(Nature Biotechnol.、17:969-973(1999))に記されたような、造礁サンゴ(Reef Coral)蛍光タンパク質である。これらの蛍光タンパク質は、多くの肯定的な(poisitive)属性を示すが、ある種の型は、予測不能にオリゴマー化する傾向があり、これにより問題を生じ、結果的にそれらの利用可能性を制限しうる。
【0004】
従って、オリゴマー化特性が予測可能である蛍光タンパク質の重要な新規クラスの型の開発に強い関心がもたれている。本発明はこの要求を満足する。
【0005】
関連文献
関心対象の米国特許には、第6,066,476号;第6,020,192号;第5,985,577号;第5,976,796号;第5,968,750号;第5,968,738号;第5,958,713号;第5,919,445号;第5,874,304号;および第5,491,084号が含まれる。関心対象の国際特許出願には、国際公開公報第00/46233号;国際公開公報第99/49019号;およびDE 197 18 640 Aが含まれる。Anderluhら、Biochemical and Biophysical Research Communications(1996)220:437-442;Dove ら、Biological Bulletin(1995)189:288-297;Fradkovら、FEBS Lett.(2000)479(3): 127-30;Gurskayaら、FEBS Lett.,(2001)507(1):16-20;Gurskayaら、BMC Biochem.(2001)2:6;Lukyanov,K.ら、(2000)J Biol Chemistry 275(34):25879-25882;Macekら、Eur.J.Biochem.(1995)234:329-335;Martynovら、J Biol Chem.(2001)276: 21012-6;Matz,M.V.ら(1999)Nature Biotechnol.,17:969-973;Terskikhら、Science(2000)290:1585-8;Tsien, Annual Rev. of Biochemistry(1998)67:509-544;Tsien, Nat. Biotech. (1999)17:956-957;Wardら、J.Biol.Chem.(1979)254:781-788;Wiedermannら、Jarhrestagung der Deutschen Gesellschact fur Tropenokologie-gto.Ulm.17-19.02.1999.Poster P-4.20;Yanushevichら、FEBS Lett(2002年1月30日)511(1-3):11-4;およびYarbroughら、Proc Natl Acad Sci U S A(2001)98:462-7も関心対象である。
【発明の開示】
【0006】
発明の概要
少なくとも2個の連結された色素/蛍光性ドメインを有するポリペプチド産物をコードする核酸組成物に加え、それによりコードされるタンパク質が提供される。本発明の核酸によりコードされるポリペプチド、ならびに本発明のタンパク質に対する抗体およびトランスジェニック細胞とトランスジェニック生物も提供される。本発明のタンパク質および核酸組成物は、例えば、融合パートナー比に対する正確かつ予測可能なシグナルを有する、標識融合タンパク質の作成などの、多種多様な適用において有益である。最後に、そのような適用において使用するためのキット、例えば本発明の核酸組成物を含むキットが提供される。
【0007】
定義
本発明に従い、当技術分野の技術の範囲内にある従来の分子生物学、微生物学、および組み換えDNA技術が利用され得る。そのような技術は、文献中に充分に説明されている。例えば、Maniatis、Fritsch、およびSambrook、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」(1982);「DNA Cloning:A Practical Approach」、第IおよびII巻(D.N.Glover編 1985);「Oligonucleotide Synthesis」(M.J.Gait編 1984);「Nucleic Acid Hybridization」(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編(1985));「Transcription and Translation」(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編(1984));「Animal Cell Culture」(R.I.Freshney編(1986));「Immobilized Cells and Enzymes」(IRL Press,(1986));B. Perbal、「A Practical Guide To Molecular Cloning」(1984)を参照のこと。
【0008】
「ベクター」とは、別のDNAセグメントが、そのセグメントの複製が行われるように付加され得る、プラスミド、ファージ、またはコスミドのようなレプリコンである。
【0009】
「DNA分子」とは、一本鎖形態または二本鎖ヘリックスのいずれかのデオキシリボヌクレオチド(アデニン、グアニン、チミン、またはシトシン)の重合体形態をさす。この用語は、分子の一次構造および二次構造のみをさし、任意の特定の三次形態に分子構造を制限するものではない。従って、この用語には、特に直鎖状DNA分子(例えば、制限断片)、ウイルス、プラスミド、および染色体に見出される二本鎖DNAが含まれる。
【0010】
DNA「コード配列」とは、適切な制御配列の調節下に置かれた場合に、インビボで転写されポリペプチドへと翻訳されるDNA配列である。コード配列の境界は、5'(アミノ)末端の開始コドンおよび3'(カルボキシル)末端の翻訳終止コドンによって決定される。コード配列には、これらに制限はされないが、原核生物配列、真核生物mRNAに由来するcDNA、真核生物(例えば、哺乳動物)DNAに由来するゲノムDNA配列、および合成DNA配列が含まれ得る。ポリアデニル化シグナルおよび転写終結配列が、コード配列の3'に位置していてもよい。
【0011】
本明細書において使用されるように、「ハイブリダイゼーション」という用語は、相対するの核酸鎖の残基間の水素結合によって安定化された逆平行二重鎖を形成するための、2個の核酸鎖の会合の過程をさす。
【0012】
「オリゴヌクレオチド」という用語は、短い(100塩基長未満の)核酸分子をさす。
【0013】
「DNA制御配列」とは、本明細書において使用されるように、宿主細胞におけるコード配列の発現を提供および/または制御する、プロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、ターミネーター等のような転写および翻訳の調節配列である。
【0014】
「プロモーター配列」とは、細胞内でRNAポリメラーゼと結合し、下流(3'方向)のコード配列の転写を開始させることができるDNA制御領域である。本発明を定義する目的のため、プロモーター配列は、転写開始部位を3'末端の境界とし、バックグラウンドを超える検出可能なレベルで転写を開始させるために必要な最少数の塩基、または要素を含むように、上流(5'方向)に拡がっている。プロモーター配列内には、転写開始部位のみならずRNAポリメラーゼの結合を担うタンパク質結合ドメインが見い出されると考えられる。真核生物のプロモーターは、常にではないが、多くの場合、「TATA」ボックスおよび「CAT」ボックスを含有しているであろう。誘導可能プロモーターを含む様々なプロモーターが、本発明の様々なベクターを駆動するために使用され得る。
【0015】
本明細書において使用されるように、「制限エンドヌクレアーゼ」および「制限酵素」という用語は、各々が特異的なヌクレオチド配列で、またはその近傍で二本鎖DNAを切断する細菌酵素をさす。
【0016】
外因性または異種のDNAが細胞内に導入されている場合、その細胞は、そのようなDNAによって「形質転換」または「トランスフェクト」されている。形質転換DNAは、細胞のゲノムへ組み込まれて(共有結合して)いてもよく、またはそうでなくてもよい。例えば、原核生物、酵母、および哺乳動物細胞においては、形質転換DNAは、プラスミドのようなエピソーム要素上に維持され得る。真核細胞に関して、安定に形質転換された細胞とは、形質転換DNAが、染色体複製を通じて娘細胞によって受け継がれるように、染色体へ組み込まれているものである。この安定性は、形質転換DNAを含有している娘細胞の集団から構成される細胞株またはクローンを確立する真核細胞の能力によって証明される。「クローン」とは、有糸分裂によって単一の細胞または共通の祖先より派生した細胞の集団である。「細胞株」とは、多くの世代にわたりインビトロで安定に増殖することができる初代細胞のクローンである。
【0017】
DNA構築物の「異種」領域とは、自然界において、より大きなDNA分子に関連して見出されない、そのより大きな分子中の同定可能なDNAのセグメントである。従って、異種領域が哺乳動物遺伝子をコードする場合、その遺伝子は通常、起源生物のゲノムにおいて哺乳動物ゲノムDNAと隣接していないDNAと隣接していると考えられる。もう一つの例において、異種DNAには、融合タンパク質生成物を作製するために二つの異なる起源に由来する遺伝子の一部が集められた構築物の中のコード配列が含まれる。対立遺伝子変化または天然に存在する変異事象は、本明細書において定義されるようなDNAの異種領域を生成しない。
【0018】
本明細書において使用されるように、「レポーター遺伝子」という用語は、構築物が組織または細胞へ導入された場合に、産物が容易かつ定量的にアッセイされ得る、異種のプロモーター要素またはエンハンサー要素に付加されたコード配列をさす。
【0019】
本明細書に記載されたアミノ酸は、「L」異性体であることが好ましい。アミノ酸配列は、一文字記号(A:アラニン;C:システイン;D:アスパラギン酸;E:グルタミン酸;F:フェニルアラニン;G:グリシン;H:ヒスチジン;I:イソロイシン;K:リジン;L:ロイシン;M:メチオニン;N:アスパラギン;P:プロリン;Q:グルタミン;R:アルギニン;S:セリン;T:トレオニン;V:バリン;W:トリプトファン;Y:チロシン;X:任意の残基)で与えられる。NH2は、ポリペプチドのアミノ末端に存在する遊離アミノ基をさす。COOHは、ポリペプチドのカルボキシ末端に存在する遊離カルボキシ基をさす。標準的なポリペプチド命名法に沿って、J Biol.Chem.,243(1969),3552-59が使用される。
【0020】
「免疫学的に活性な」という用語は、天然の、組換えの、または合成の色素/蛍光性タンパク質またはそれらの任意のオリゴペプチドの、適切な動物または細胞において特異的な免疫応答を誘導する能力、および特異的抗体と結合する能力を定義する。本明細書において使用されるように、「抗原性アミノ酸配列」とは、単独でまたは担体分子と会合して、哺乳動物において抗体応答を誘発することができるアミノ酸配列を意味する。抗体の抗原への結合に関連して、「特異的結合」という用語は、当技術分野においてよく理解されている用語であり、抗体が、その抗体を産生させた抗原と結合し、その他の無関係な抗原とは結合しないことさす。
【0021】
本明細書において使用されるように、「単離された」という用語は、そのポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、または宿主細胞が天然に存在する環境とは異なる環境に存在するポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、または宿主細胞を記載することが意図される。
【0022】
生物発光(BL)とは、暗所において充分可視であり、動物の視覚的な行動に影響を与える、生物による光の放射と定義される(例えば、Harvey, E.N.(1952). Bioluminescence. New York:Academic Press;Cell Physiology (N. Speralakis編)pp.651-681における、Hastings,J.W.(1995). Bioluminescence. New York:Academic Press.;Wilson,T.およびHastings,J.W.(1998). Bioluminescence.Annu Rev Cell Dev Biol 14,197-230を参照のこと)。生物発光には、高感度の照度測定装置を使用して事実上全ての生物構造において検出され得る、いわゆる極微弱光放射(Murphy,M.E.およびSies,H.(1990), Visible-range low-level chemiluminescence in biological systems. Meth.Enzymol.186,595-610;Radotic,K,Radenovic,C,Jeremic,M.(1998)Spontaneous ultra-weak bioluminescence in plants:origin, mechanisms and properties. Gen Physiol Biophys 17,289-308)、およびタケ成長円錐の発光(Totsune,H.,Nakano,M.,Inaba,H.(1993). Chemiluminescence from bamboo shoot cut. Biochem.Biophys.Res Comm.194,1025-1029)、または動物卵の受精中の光の放射(Klebanoff,S. J., Froeder, C. A., Eddy, E. M.,Shapiro,B.M.(1979). Metabolic similarities between fertilization and phagocytosis. Conservation of peroxidatic mechanism. J.Exp.Med.149,938-953;Schomer,B.およびEpel,D.(1998). Redox changes during fertilization and maturation of marine invertebrate eggs. Dev Biol 203,1-11)のような、おそらくいかなる生態学的役割も果たさない微弱光放射は含まれない。
【0023】
特定の態様の説明
少なくとも2個の連結された色素/蛍光性ドメインを有するポリペプチド産物をコードする核酸組成物に加え、それによりコードされるタンパク質が提供される。本発明の核酸によりコードされたポリペプチド、更には本発明のタンパク質に対する抗体、ならびにトランスジェニック細胞およびトランスジェニック生物も提供される。本発明のタンパク質および核酸組成物は、例えば、融合パートナー比に対する正確かつ予測可能なシグナルを有する、標識融合タンパク質の作成などの、多種多様な適用における使用が認められる。最後に、そのような適用において使用するためのキット、例えば本発明の核酸組成物を含むキットが提供される。
【0024】
本発明をさらに記載する前に、本発明は下記の本発明の特定の態様に制限されず、特定の態様の変形物が作成されてもよく、それらも添付の特許請求の範囲内に含まれることを理解されたい。利用された語法は、特定の態様を記載するためのものであり、本発明を制限するものではないことも理解されたい。その代わり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって確立される。
【0025】
この明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形の「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」には、特記しない限り、複数形の言及が含まれる。他に定義しない限り、本明細書において使用された全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有している。
【0026】
ある範囲の値が提供される場合には、その範囲の上限と下限との間に入るそれぞれの値(特記しない限り、下限の単位の10分の1まで)、およびその記述された範囲における他の任意の記述された値または間に入る値が、本発明に包含されることが理解される。これらのより小さな範囲の上限および下限は、記述された範囲において任意の限度が特に除外される条件において、独立にそのより小さな範囲に含まれてもよく、同様に本発明に包含される。記述された範囲が、限度の一方または両方を含む場合、含まれている限度のいずれかまたは両方を除く範囲も、本発明に含まれる。
【0027】
他に定義しない限り、本明細書において使用される技術用語および科学用語は、全て、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有している。本明細書に記載されたものと類似しているかまたは等価である任意の方法、機器、および材料が、本発明の実施または試験において使用され得るが、好ましい方法、機器、および材料が以下に記載される。
【0028】
本明細書において言及された全ての刊行物は、本明細書に記載された発明に関して使用され得る、刊行物中に記載されている細胞株、ベクター、方法論、およびその他の発明の構成要素を記載かつ開示する目的のため、参照として本明細書に組み込まれる。
【0029】
本発明のさらなる記載においては、まず本発明の核酸組成物を記載し、続いて本発明のタンパク質組成物、抗体組成物、およびトランスジェニック細胞/生物について考察する。次に、本発明のタンパク質が有益である代表的な方法の概要を提供する。
【0030】
核酸組成物
上記で要約したように、本発明は、少なくとも2個の色素/蛍光性ドメインを含むポリペプチド産物をコードする核酸組成物を提供し、ここで2個またはそれ以上の色素/蛍光性ドメインは、連結ドメインにより連結されてもされなくても良く、すなわち、2個またはそれ以上のドメインは、連結ドメインにより任意に連結される。2個またはそれ以上の色素/蛍光性ドメインは、「頭部-尾部(head-to-tail)」様式で配置され、その結果これらのドメインはタンデムである。本発明の核酸の多くの態様の特徴は、コードされるポリペプチドの2個またはそれ以上の色素/蛍光性ドメインが、少なくとも細胞内条件下で互いに会合し、その結果コードされたポリペプチドは、互いに会合している2個またはそれ以上の色素/蛍光性ドメインの産物である三次構造をとることである。別の表現をすると、2個またはそれ以上の色素/蛍光性ドメインは、互いに「オリゴマー化」し、「連結された」オリゴマー性「三次」構造を有するポリペプチドを生成する。例えば、コードされたポリペプチドが二つの色素/蛍光性ドメインを有する場合、これらのドメインは、コードされた産物中で互いに会合し、「連結された」二量体構造を生じる。
【0031】
コードされたポリペプチド内の個別の色素/蛍光性ドメインの数は、変動してもよく、少なくとも2個であり、この数は10個までか、またはそれよりも多くてもよいが、典型的には約8個を超えず、通常は約6個を超えず、より通常には約4個を超えない。ある態様においては、コードされたポリペプチド内の個別の色素/蛍光性ドメインの数は、2個、3個または4個であり、多くの態様においては、2個または3個であり、2個であることが多い。色素/蛍光性ドメインは、以下により詳細に説明されている。
【0032】
前記のように、コードされたポリペプチドにおいて、2個またはそれ以上の色素/蛍光性ドメインは、連結ドメインにより連結されてもされなくても良く、すなわち、2個またはそれ以上の色素/蛍光性ドメインは、連結ドメインにより任意に結合されている。連結ドメインは、長さが約1残基から約50残基の範囲であることが多く、多くの態様においてこの連結ドメインは、約1残基から約25残基長、通常は約1残基から約15残基長、より通常には約1残基から約10残基長であり、ある好ましい態様においては約1残基から約5残基長である。連結ドメインは、任意の都合の良い残基配列、すなわちアミノ酸配列を有して良く、このドメインは、柔軟な(flexible)ドメインであるか、または所望のとおり、剛性(rigid)の立体配置をとってもよい。
【0033】
前記のように、コードされたポリペプチドは、2個またはそれ以上の色素/蛍光性ドメインを含む。色素および/または蛍光ドメインとは、有色である、すなわち着色しているドメインを意味し、このドメインは、蛍光性であってもなくても良く、例えば、励起波長光の照射時に、低い、中程度の、または高い蛍光を示してもよい。いずれにしても、色素/蛍光性ドメインは、有色特性、すなわち色素および/または蛍光特性が、タンパク質のドメインの2個またはそれ以上の残基の相互作用により生じるものであり、単独の残基、より具体的には単独の残基の単独の側鎖からは生じないものである。このように、本発明の色素/蛍光性ドメインには、それ自体が内在性の蛍光団(intrinsic fluor)として作用する残基、すなわちトリプトファン、チロシンおよびフェニルアラニンからのみの蛍光を示すドメインは含まれない。従って、本発明の色素/蛍光性ドメインは、その蛍光が、前記の特定の単一残基以外のドメイン内の何らかの構造から生じる、例えばこれは2個またはそれ以上の残基の相互作用から生じるドメインである。
【0034】
多くの態様において、本発明の核酸によりコードされるポリペプチドの色素/蛍光性ドメインは、刺胞動物(Cnidarian)種、例えば花虫綱(Anthozoan)種において生じる野生型タンパク質(または、その変異体)である。ある態様において、色素/蛍光性ドメインは、下記のいずれかに由来する野生型タンパク質(またはその変異体)である:(1)非生物発光性種、多くは非生物発光性刺胞動物種、例えば非生物発光性の花虫綱種;または、(2)ウミエラ目(Pennatulacean)種ではない、すなわちウミエラ(sea pen)ではない花虫綱種。従って、色素/蛍光性ドメインは、花虫綱種がウミエラ種ではない、例えばこれらはウミシイタケ(Renillan)またはプチロサルカン(Ptilosarcan)種ではない限りは、生物発光性の花虫綱種由来のタンパク質(またはその変異体)である。ある態様において特に関心があるのは、下記の野生型タンパク質(またはその変異体)である色素/蛍光性ドメインである:(1)その開示が本明細書に参照として組み入れられる、特許出願第10/006,922号に開示されている、amFP485、cFP484、zFP506、zFP540、drFP585、dsFP484、asFP600、dgFP512、dmFP592;(2)その開示が本明細書に参照として組み入れられる、特許出願第09/976,673号に開示されている、hcFP640;(3)その開示が本明細書に参照として組み入れられる、特許出願第60/255,533号に開示されている、CgCP;ならびに、(4)その開示が本明細書に参照として組み入れられる、特許出願第60/332,980号に開示されている、hcriGFP、zoanRFP、scubGFP1、scubGFP2、rfloRFP、rfloGFP、mcavRFP、mcavGFP、cgigGFP、afraGFP、rfloGFP2、mcavGFP2、mannFP。
【0035】
前述の特定の野生型タンパク質の変異体をコードする核酸も、コードされるポリペプチドの色素/蛍光性ドメインとしての使用に対する関心対象である。変異核酸は、当技術分野において慣例的である周知の技術を使用して、無作為突然変異誘発または標的突然変異誘発により生成され得る。いくつかの態様において、相同体または変異体をコードする核酸によってコードされる色素ドメインまたは蛍光性ドメインは、親の野生型蛍光性タンパク質と同じ蛍光特性を有している。その他の態様において、相同体または変異核酸は、その親と比較して、改変されたスペクトル特性を有する色素タンパク質または蛍光性タンパク質をコードする。
【0036】
特に関心がある変異体の一つのカテゴリは、非凝集性変異体である。多くの態様において、非凝集性変異体は、天然に存在するタンパク質または変異体の非凝集性変異体を作製するのに十分な様式で、例えば電荷を逆転させるかまたは中和するため、N末端残基の側鎖上に出現する電荷を調整するN末端の変異によって、親の野生型配列と異なっている(ここで、ある特定のタンパク質は、米国特許出願第60/270,983号(これの開示は参照として本明細書に組み込まれる)に報告されたアッセイを使用して非凝集性であると決定された場合に、非凝集性であると見なされる)。より具体的には、タンパク質のN-末端近傍に位置する塩基性残基は置換され、例えばN-末端に近接したLysおよびArg残基は、負に荷電した残基または中性残基により置換されている。関心対象の特定の非凝集性変異体は、FP1-NA;FP3-NA;FP4-NA;FP6-NA;E5-NA;6/9Q-NA;7A-NA;などを含むが、これらに限定されるものではなく、これらの特定の非凝集性変異体は、2001年12月4日に出願された特許出願第10/006,922号にさらに開示されており、その開示は本明細書に参照として組み入れられる。
【0037】
特に関心がある変異体のもう一つのカテゴリは、改変オリゴマー形成変異体(modulated oligomerization mutant)である。ある変異体は、オリゴマー形成特性が野生型タンパク質と比較して異なる場合、改変オリゴマー形成変異体であると見なされる。例えば、ある特定の変異体が、野生型よりオリゴマー形成の程度が高いかまたは低い場合、それは、オリゴマー形成変異体であると見なされる。特に関心があるのは、オリゴマー形成しない、即ち生理学的(例えば、細胞内)条件下で単量体であるか、または野生型よりオリゴマー形成の程度が低い、例えば細胞内条件下で二量体もしくは三量体であるオリゴマー形成変異体である。例えば、ある種の態様において、色素/蛍光性ドメインは天然に四量体を形成するタンパク質である。その他の態様において、ドメインは四量体形成タンパク質の変異体であって、四量体ではなく二量体を形成する変異体である。
【0038】
核酸組成物とは、前記のように本発明のポリペプチドをコードし、適切な条件の下で、前記のように本発明のポリペプチドとして発現され得る、オープン・リーディング・フレームを有するDNAの配列を含む組成物を意味する。この用語には、本発明の核酸と相同であるか、実質的に類似しているか、または同一である核酸も包含される。従って、本発明は、本発明のポリペプチドをコードするコード配列のみならず、それらの相同体も提供する。
【0039】
前記の特定の核酸組成物に加え、上記配列のホモログも関心対象である。ある種の態様において、ホモログ間の配列類似性は、少なくとも約20%であり、時には少なくとも約25%であり、30%、35%、40%、50%、60%、70%、またはそれ以上、例えば75%、80%、85%、90%、95%、またはそれ以上であってもよい。配列類似性は、保存されたモチーフ、コーディング領域、隣接領域等のようなより大きい配列のサブセットであり得る参照配列に基づき計算される。参照配列は、少なくとも約18nt長、より一般的には少なくとも約30nt長であると考えられるが、比較される完全配列にまで及んでいてもよい。Altschulら(1990)、J.Mol.Biol.215:403-10に記載されたBLAST(デフォルト設定、即ちパラメータw=4およびT=17を使用)のような、配列分析のためのアルゴリズムが、当技術分野において既知である。ある種の態様において特に関心があるのは、配列番号:1および3として同定される核酸と実質的に同じ長さの核酸であり(実質的に同じ長さ、とは、長さの差が、約20個数(number)%を超えないこと、一般的には約10個数%を超えないこと、より一般的には約5個数%を超えないことを意味する);かつ、核酸の全長にわたり少なくとも約90%、一般的には少なくとも約95%、より一般的には少なくとも約99%のこれらの配列のうちのいずれかとの配列同一性を有しているものである。多くの態様において、核酸は、配列番号:1および3の配列と実質的に類似している(即ち、同じである)か、または同一である配列を有している。実質的に類似している、とは、配列同一性が、一般に、少なくとも約60%、一般的には少なくとも約75%、多くの場合には少なくとも約80%、85%、90%、またはさらには95%であることを意味する。
【0040】
前記の核酸によってコードされるタンパク質をコードするが、遺伝暗号の縮重により前記の核酸と配列が異なっている核酸も、提供される。
【0041】
ストリンジェントな条件の下で前記の核酸とハイブリダイズする核酸も提供される。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の一例は、50℃またはそれ以上および0.1×SSC(15mM塩化ナトリウム/1.5mMクエン酸ナトリウム)におけるハイブリダイゼーションである。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件のもう一つの例は、溶液:50%ホルムアミド、5×SSC(150 mM NaCl、15mMクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%デキストラン硫酸、および20μg/ml変性剪断サケ精子DNAにおける42℃での一晩のインキュベーション、それに続く約65℃での0.1×SSCにおけるフィルターの洗浄である。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件とは、上記の代表的な条件と少なくとも同等にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件であって、上記の特定のストリンジェントな条件と比べて少なくとも約80%ストリンジェントである場合、典型的には少なくとも約90%ストリンジェントである場合、その条件は少なくとも同等にストリンジェントであると見なされる。その他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、当技術分野において既知であり、それらも本発明のこの特定の態様の核酸を同定するために利用され得る。
【0042】
本発明のポリペプチドの変異体をコードする核酸も提供される。変異核酸は、当技術分野において慣例的である周知の技術を使用して、無作為突然変異誘発または標的突然変異誘発により生成され得る。いくつかの態様において、相同体または変異体をコードする核酸によってコードされるポリペプチドは、親ポリペプチドと同じ蛍光特性を有している。その他の態様において、相同体または変異核酸は、改変されたスペクトル特性を有するポリペプチドをコードする。
【0043】
本発明の核酸は、以下により詳細に説明されるように、染色体外維持または宿主ゲノムへの組み込みのための適切なベクター中に存在してもよい。
【0044】
本発明の核酸組成物は、本発明のタンパク質の全部または一部をコードし得る。二本鎖または一本鎖の断片は、従来の方法によるオリゴヌクレオチドの化学合成、制限酵素消化、PCR増幅等によってDNA配列より入手され得る。大抵、DNA断片は、少なくとも約15nt、通常は少なくとも約18ntまたは約25 ntであると考えられるが、少なくとも約50ntであってもよい。いくつかの態様において、本発明の核酸分子は、約100nt、約200nt、約300nt、約400nt、約500nt、約600nt、約700nt、または約720ntの長さであり得る。本発明の核酸は、本発明のタンパク質の断片または完全長タンパク質をコードすることができ、例えば、本発明の核酸は、約25aa、約50aa 、約75aa 、約100aa 、約125aa、約150aa、約200aa、約210aa、約220aa、約230aa、または約240aa、最大でタンパク質全体の長さまでのポリペプチドをコードし得る。
【0045】
本発明のポリヌクレオチドおよびその構築物が提供される。これらの分子は、当業者に公知の多くの異なるプロトコールにより合成的に作成することができる。適当なポリヌクレオチド構築物は、例えば、Sambrookら、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」、第2版(1989)、Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、NY)に記載される標準の組換えDNA技術を用い、かつ米国保健社会福祉省(United States Dept. of HHS)国立衛生研究所(NIH)の組換えDNA研究に関する指針に記載された現行の規制に従い精製される。
【0046】
第二のタンパク質、例えば分解配列、シグナルペプチド、関心対象のタンパク質(すなわち、被験タンパク質)などに融合されている、2個またはそれ以上の色素/蛍光性ドメインをタンデムに含む融合タンパク質、またはそれらの断片をコードする核酸も提供される。融合タンパク質は、本発明のポリペプチドまたはそれらの断片、ならびに本発明のペプチドのN-末端および/またはC-末端にインフレームで融合された融合パートナー(これは、前記のような連結基により連結された、2個またはそれ以上、多くの場合2個の、色素/蛍光性ドメインを含む)を含んでも良い。融合パートナーは、融合パートナーに特異的な抗体に結合することができるポリペプチド(例えば、エピトープタグ);抗体またはその結合断片;触媒機能を提供するかまたは細胞反応を誘導するポリペプチド;リガンドもしくは受容体またはそれらの模倣体;などを含むが、これらに限定されない。このような融合タンパク質において、融合パートナーは、一般に、融合タンパク質の色素/蛍光性ドメインに天然には会合せず、ある態様においては、刺胞動物タンパク質またはその誘導体/断片ではなく、すなわちこれは刺胞動物種においては見出されない。このような融合タンパク質の重要な特徴は、細胞内条件下で、各融合パートナータンパク質が、既知数の色素/蛍光性ドメインと会合し、その結果融合パートナーに対する予測可能なシグナルを有する融合タンパク質が作成されることである。タンデムに配列され、かつ連結基により連結された二つの色素/蛍光性ドメインを有する好ましい態様において、これらの二つの色素/蛍光性ドメインは、互いに会合し、融合パートナーに融合された二量体構造を生じ、この構造はいかなる追加の色素/蛍光性ドメインにも会合せず、その結果、その融合パートナーに関して二つの色素/蛍光性ドメインを有することがわかっている融合タンパク質が作成される。これらの態様において特に興味深いのは、共に会合し、単量体のように挙動する連結された二量体を作成するための、二つのタンデム色素/蛍光性ドメインであり、すなわちこの二量体構造は、1個または複数の追加の色素/蛍光性ドメイン/タンパク質とはオリゴマー化しない。
【0047】
増幅、タンパク質生産等を含む、多数の異なる適用のために使用され得る、ベクターに挿入された本発明の核酸を含む構築物も提供される。プラスミドを含むウイルス・ベクターおよび非ウイルス・ベクターが、調製され使用され得る。ベクターの選択は、増幅が望まれる細胞の型および増幅の目的に依存するであろう。ある種のベクターは、所望のDNA配列を増幅し、大量に作製するために有用である。培養細胞における発現に適しているベクターも存在する。さらに、完全な動物またはヒトの体内の細胞における移入および発現に適しているベクターも存在する。適切なベクターの選択は、十分に当技術分野の技術の範囲内にある。多くのそのようなベクターが、市販されている。構築物を調製するためには、部分的または完全長のポリヌクレオチドが、典型的にベクター内の切断された制限酵素部位へのDNAリガーゼによる付加によって、ベクターへと挿入される。または、所望のヌクレオチド配列は、インビボにおける相同的組み換えによって挿入され得る。典型的には、これは、ベクターの所望のヌクレオチド配列の両側に相同領域を付加することにより達成される。相同領域は、例えば、オリゴヌクレオチドのライゲーションによって、または相同領域および所望のヌクレオチド配列の一部の両方を含むプライマーを使用した、ポリメラーゼ連鎖反応によって追加される。
【0048】
適用の中でも、とりわけ本発明のタンパク質の合成において有益である発現カセットまたは発現系も提供される。発現のため、本発明のポリヌクレオチドによってコードされる遺伝子産物は、例えば細菌、酵母、昆虫、両生動物、および哺乳動物の系を含む任意の便利な発現系において発現される。適当なベクターおよび宿主細胞は、米国特許第5,654,173号に記載されている。発現ベクターにおいて、本発明のポリヌクレオチドは、所望の発現特性を得るため、適宜制御配列と連結される。これらの制御配列には、プロモーター(センス鎖の5'末端、またはアンチセンス鎖の3'末端に付加される)、エンハンサー、ターミネーター、オペレーター、リプレッサー、およびインデューサーが含まれ得る。プロモーターは、制御型または構成型であってもよい。いくつかの状況においては、組織特異的プロモーターまたは発達段階特異的プロモーターのような、条件活性プロモーターを使用することが望まれ得る。これらは、ベクターとの連結に関する前記の技術を使用して、所望のヌクレオチド配列に連結される。当技術分野において既知の任意の技術が使用され得る。換言すると、発現ベクターは、誘導可能であるか、または構成型であってもよい、転写および翻訳の開始領域(コード領域が、転写開始領域の転写調節下で機能可能に連結されている)、ならびに転写および翻訳の終結領域を提供するであろう。これらの調節領域は、本発明の核酸が得られる本発明の種に在来するものであってもよいし、または外因的な起源に由来してもよい。
【0049】
発現ベクターは、一般に、異種タンパク質をコードする核酸配列の挿入を提供するため、プロモーター配列の近傍に位置する便利な制限部位を有している。発現宿主において機能する選択可能マーカーが存在してもよい。発現ベクターは、とりわけ前記の融合タンパク質の生産のために使用され得る。
【0050】
転写開始領域、遺伝子またはその断片、および転写終結領域を含む発現カセットが調製され得る。特に関心対象であるのは、通常は少なくとも8アミノ酸長、より通常には少なくとも約15アミノ酸長〜約25アミノ酸長、最大で遺伝子の完全なオープン・リーディング・フレームの長さまでの、機能性のエピトープまたはドメインの発現を可能にする配列の使用である。DNAの導入の後、構築物を含有している細胞が選択可能なマーカーによって選択され、その細胞が増幅され、次いで発現のために使用され得る。
【0051】
前記の発現系は、発現の目的に依って、従来の方式に従い原核生物または真核生物を用いて利用され得る。タンパク質の大量生産のためには、大腸菌、枯草菌(B.subtilis)、出芽酵母(S.cerevisiae)のような単細胞生物、バキュロウイルス・ベクターと組み合わされた昆虫細胞、または脊椎動物のような高等生物の細胞、例えばCOS7細胞、HEK293、CHO、アフリカツメガエル(Xenopus)卵母細胞等が、発現宿主細胞として使用され得る。いくつかの状況においては、発現したタンパク質が、在来の折り畳みおよび翻訳後修飾の恩恵を得ると考えられる真核細胞において遺伝子を発現させることが望ましい。小さなペプチドは、実験室において合成することもできる。完全タンパク質配列のサブセットであるポリペプチドは、機能にとって重要なタンパク質の部分を同定し検討するために使用され得る。
【0052】
関心対象の特定の発現系には、細菌、酵母、昆虫細胞、および哺乳動物細胞に由来する発現系が含まれる。これらの各カテゴリーからの代表的な系を、以下に挙げる。
【0053】
細菌
細菌における発現系には、Changら、Nature(1978)275:615;Goeddelら、Nature(1979)281:544;Goeddelら、Nucleic Acids Res.(1980)8:4057;欧州特許第0 036,776号;米国特許第4,551,433号;DeBoerら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1983)80:21-25;およびSiebenlistら、Cell(1980)20:269に記載されたものが含まれる。
【0054】
酵母
酵母における発現系には、Hinnenら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1978)75:1929;Itoら、J.Bacteriol.(1983)153:163;Kurtzら、Mol.Cell.Biol.(1986)6:142;Kunzeら、J.Basic Microbiol.(1985)25:141;Gleesonら、J.Gen.Microbiol.(1986)132:3459;Roggenkampら、Mol.Gen.Genet.(1986)202:302;Dasら、J.Bacteriol.(1984)158:1165;De Louvencourtら、J.Bacteriol.(1983)154:737;Van den Bergら、Bio/Technology(1990)8:135;Kunzeら、J.Basic Microbiol.(1985)25:141;Creggら、Mol.Cell.Biol.(1985)5:3376;米国特許第4,837,148号および第4,929,555号;BeachおよびNurse、Nature(1981)300:706;Davidowら、Curr.Genet.(1985)10:380;Gaillardinら、Curr.Genet.(1985)10:49;Ballanceら、Biochem.Biophys.Res.Commun.(1983)112:284-289;Tilburnら、Gene(1983)26:205-221;Yeltonら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1984)81:1470-1474;KellyおよびHynes、EMBO J.(1985)4:475479;欧州特許第0 244,234号;および国際公開公報第91/00357号に記載されたものが含まれる。
【0055】
昆虫細胞
昆虫における異種遺伝子の発現は、米国特許第4,745,051号;The Molecular Biology Of Baculoviruses(1986)(W.Doerfler編)における、Friesenら、The Regulation of Baculovirus Gene Expression;欧州特許第0 127,839号;欧州特許第0 155,476号;およびVlakら、J.Gen.Virol.(1988)69:765-776;Millerら、Ann.Rev.Microbiol.(1988)42:177;Carbonellら、Gene(1988)73:409;Maedaら、Nature(1985)315:592-594;Lebacq-Verheydenら、Mol.Cell.Biol.(1988)8:3129;Smithら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1985)82:8844;Miyajimaら、Gene(1987)58:273;およびMartinら、DNA(1988)7:99に記載されたようにして達成される。多数のバキュロウイルス株およびバリアント、ならびに対応する許容性昆虫宿主細胞が、Luckowら、Bio/Technology(1988)6:47-55、Millerら、Generic Engineering(1986)8:277-279、およびMaedaら、Nature(1985)315:592-594に記載されている。
【0056】
哺乳動物細胞
哺乳動物発現は、Dijkemaら、EMBO J.(1985)4:761、Gormanら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1982)79:6777、Boshartら、Cell(1985)41:521、および米国特許第4,399,216号に記載されたようにして達成される。哺乳動物発現のその他の特質は、HamおよびWallace,Meth.Enz.(1979)58:44、BarnesおよびSato、Anal.Biochem.(1980)102:255、米国特許第4,767,704号、第4,657,866号、第4,927,762号、第4,560,655号、国際公開公報第90/103430号、国際公開公報第87/00195号、米国再発行特許第30,985号に記載されたようにして促進される。
【0057】
上記の宿主細胞、またはその他の適切な宿主細胞もしくは宿主生物のいずれかが、本発明のポリヌクレオチドまたは核酸を複製、および/または発現させるために使用される場合、得られる複製した核酸、RNA、発現したタンパク質またはポリペプチドは、宿主細胞または宿主生物の産物として、本発明の範囲内に含まれる。産物は、当技術分野において既知の任意の適切な手段によって回収される。
【0058】
本発明の核酸は、当技術分野において公知の様々な方法で変異させられ、コードされたタンパク質の配列、コードされたタンパク質の蛍光特性などを含むコードされたタンパク質の特性に標的化された変化を生じることができる。このような変異のDNA配列またはタンパク質産物は、通常本明細書に提供された配列に実質的に類似しており、例えばそれぞれ、少なくとも1個のヌクレオチドまたはアミノ酸が異なり、かつ少なくとも2個であるが約10個以下のヌクレオチドまたはアミノ酸が異なっても良い。配列の変化は、置換、挿入、欠失、またはそれらの組み合わせであってよい。欠失は、例えばドメインまたはエキソンの欠失、例えば10、20、50、75、100、150またはそれよりも多いアミノ酸残基のストレッチの欠失などのより大きい変化をさらに含んでよい。クローニングされた遺伝子のインビトロ突然変異誘発のための技術は公知である。部位特異的突然変異誘発のプロトコールの例は、Gustinら(1993)、Biotechniques、14:22;Barany(1985)、Gene、37:111-23;Colicelliら(1985)、Mol. Gen. Genet.、199:537-9;および、Prentki(1984)ら、Gene、29:303-13に見出されうる。部位特異的突然変異誘発の方法は、Sambrookら、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」、CSH Press、1989年、pp.15.3-15.108;Weinerら(1993)、Gene、126:35-41;Sayersら(1992)、Biotechniques、13:592-6;JonesおよびWinistorter(1992)、Biotechniques、12:528-30;Bartonら(1990)、Nucleic Acids Res、18:7349-55;MarottiおよびTomich(1989)、Gene Anal. Tech.、6:67-70;ならびに、Zhu(1989)、Anal Biochem.、177:120-4に見出されうる。このような変異させられた核酸誘導体を使用し、特定の色素/蛍光タンパク質の構造-機能関係を研究するため、またはその機能または制御に影響を及ぼすタンパク質の特性を改変することができる。
【0059】
本発明の核酸のヒト化型も、関心対象である。本明細書において使用されるように、「ヒト化」という用語は、ヒト細胞におけるタンパク質の発現のためのコドンを最適化するために、核酸配列に対してなされる変化をさす(Yangら、Nucleic Acids Research 24 (1996),4592-4593)。タンパク質のヒト化を記載している米国特許第5,795,737号(その開示は参照として本明細書に組み込まれる)も、参照されたい。
【0060】
タンパク質/ポリペプチド組成物
本発明は、本発明の核酸によりコードされたポリペプチド、ならびにそれに関連したポリペプチド組成物も提供する。本明細書において使用されるポリペプチド組成物という用語は、完全長タンパク質、ならびにその一部または断片を意味する。この用語には、以下により詳細に説明されるように、親ポリペプチドの変形物(このような変形物は親ポリペプチドと相同であるか、または実質的に類似している)、および親ポリペプチドの変異体も含まれる。
【0061】
多くの態様において、本発明のポリペプチドの色素/蛍光性ドメインは、約300nm〜700nm、通常は約350nm〜650nm、より通常には約400nm〜600nmの範囲の吸光極大を有している。本発明のドメインが蛍光性ドメインである場合、即ち、ある波長の光により励起された後、別の波長で光を放射することができる場合、本発明のドメインの放射スペクトルは、典型的には約400nm〜800nm、通常は約425nm〜775nm、より通常には約450nm〜750nmの範囲である一方、本発明のドメインの励起スペクトルは、典型的には約300nm〜700nm、通常は約350nm〜650nm、より通常には約400nm〜600nmの範囲である。本発明のドメインは、一般に約10,000〜50,000、通常は約15,000〜45,000の範囲の極大吸光係数を有している。本発明のドメインは、典型的には、約150〜300アミノ酸残基長、一般的には約200〜300アミノ酸残基長であり、一般には、約15kDa〜35kDa、通常は約17.5kDa〜32.5 kDaの範囲の分子量を有している。
【0062】
ある種の態様において、本発明のドメインは明るい(明るいとは、通常の方法(例えば、視覚的スクリーニング、分光測光法、分光蛍光分析、蛍光顕微鏡検、FACS機等)により、色素タンパク質およびそれらの蛍光性変異体が検出され得ることを意味する)。特定の蛍光性タンパク質の蛍光輝度は、極大吸光係数を掛けた量子収量により決定される。色素タンパク質の輝度は、その極大吸光係数によって表され得る。
【0063】
ある種の態様において、本発明のドメインは、宿主細胞における発現の後、迅速に折り畳まれる。迅速な折り畳みとは、ドメインが、色素性または蛍光性を生じる三次構造に短時間で達することを意味する。これらの態様において、ドメインは、一般に約3日を超えない期間、通常は約2日を超えない期間、より通常には約1日を超えない期間に折り畳まれる。
【0064】
関心対象の特定のドメインは、以下の特定の花虫綱種由来の色素/蛍光タンパク質(およびその変異体)のポリペプチドまたは変種である:アネモニア・マジャノ(Anemonia majano)、クラブラリア(Clavularia)sp.、ゾアンツス(Zoanthus)sp.、ゾアンツス(Zoanthus)sp.、ジスコソマ・ストリアタ(Discosoma striata)、ジスコソマ(Discosoma)sp.「赤色」、アネモニア・スルカタ(Anemonia sulcata)、ジスコソマ(Discosoma)sp.「緑色」、ジスコソマ(Discosoma)sp.「赤紫色(magenta)」、ならびに前記で列挙された追加の特定の種。
【0065】
前記で提供される特定のポリペプチドのアミノ酸配列と配列が異なる、相同体またはタンパク質(またはそれらの断片)も、色素/蛍光性ドメインとして関心対象である。相同体とは、D.G.HigginsおよびP.M.Sharp、「Fast and Sensitive multiple Sequence Alignments on a Microcomputer」(1989)CABIOS、5:151-153に記載されているDNAstar(1998)クラスタル・アルゴリズムであるMegAlign(使用されるパラメータは、ktuple 1、ギャップ・ペナルティ(gap penalty)3、ウィンドウ(window)5、および保存対角(diagonals saved)5である)を使用して決定されるように、本発明のタンパク質と少なくとも約10%、通常は少なくとも約20%、より通常には少なくとも約30%、そして多くの態様においては少なくとも約35%、通常には少なくとも約40%、より通常には少なくとも約60%の、アミノ酸配列同一性を有するタンパク質を意味する。多くの態様において、関心対象の相同体は、はるかに高い配列同一性、例えば65%、70%、75%、80%、85%、90%、またはそれ以上を有する。
【0066】
前記で提供される特定のタンパク質の配列と実質的に同一のドメインも提供される(実質的に同一とは、タンパク質が、前記で具体的に提供されたタンパク質の一つと少なくとも約60%、通常は少なくとも約65%、より通常には少なくとも約70%のアミノ酸配列同一性を有することを意味し、いくつかの例において、同一性ははるかに高く、例えば75%、80%、85%、90%、95%、またはそれ以上であり得る)。
【0067】
多くの態様において、本発明の相同体は、β-can折り畳みを含む、前記で提供される特定の配列に見出される構造的特質を有している。
【0068】
上記に具体的に記載されたタンパク質の変異体であるタンパク質も色素/蛍光性ドメインとして関心対象である。変異体は、野生型の(例えば、天然に存在する)タンパク質の生物学的特性を保持するか、または野生型のタンパク質と異なる生物学的特性を有してもよい。本発明のタンパク質の「生物学的特性」という用語には、吸光極大、放射極大、極大吸光係数、輝度(例えば、野生型タンパク質またはA.ビクトリア(victoria)由来の緑色蛍光性タンパク質のような別の参照タンパク質と比較したもの)等のようなスペクトル特性;インビボおよび/またはインビトロの安定性(例えば、半減期)等が含まれるが、これらに制限はされない。変異体は、単一のアミノ酸変化、1個または複数のアミノ酸の欠失、N末端短縮、C末端短縮、挿入等を含む。
【0069】
変異体は、分子生物学の標準的な技術、例えば無作為突然変異誘発および標的突然変異誘発を使用して生成され得る。いくつかの変異体は、本明細書に記載されている。実施例に案内が提供されることを考慮すると、標準的な技術を使用して、当業者は極めて多様な追加の変異体を容易に製造し、生物学的特性が改変されているか否かを試験することができる。例えば、蛍光強度は、様々な励起波長で分光測光器を使用して測定され得る。
【0070】
上記で具体的に提供されるタンパク質の変異体も提供される。一般に、そのようなポリペプチドには、全長タンパク質およびその断片、特に生物学的活性を有する断片および/または機能性ドメインに相当する断片等を含み、本発明のポリペプチドの他のタンパク質またはその一部との融合体を含む、本発明の野生型タンパク質をコードする遺伝子のオープン・リーディング・フレーム(ORF)によりコードされたアミノ酸配列が含まれる。関心対象の断片は、典型的には、少なくとも10aa長、一般的には少なくとも約50aa長であり、300aa長またはそれ以上であってもよいが、一般的には約1000aa長を超えず、また、少なくとも約10aa長、一般的には少なくとも約15aa長、多くの態様においては少なくとも約50aa長の本発明のタンパク質と同一のアミノ酸のストレッチを有すると考えられる。いくつかの態様において、本発明のポリペプチドは、約25aa長、約50aa長、約75aa長、約100aa長、約125aa長、約150aa長、約200aa長、約210aa長、約220aa長、約230aa長、または約240aa長であり、最大で完全タンパク質である。いくつかの態様において、タンパク質断片は、野生型タンパク質の生物学的特性の全部または実質的に全部を保持している。
【0071】
色素/蛍光性ドメインを構成する本発明のタンパク質およびポリペプチドは、任意の都合の良いプロトコルを用いて、例えば前記のように、適当な宿主において、目的のタンパク質をコードする組換え遺伝子または核酸コーディング配列を発現させることにより、合成的に産生されてもよい。任意の便利なタンパク質精製手法が使用され得るが、適当なタンパク質精製方法論は、Guide to Protein Purification(Deuthser編)(Academic Press, 1990)に記載されている。例えば、最初の起源から溶解物を調製し、HPLC、排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、アフィニティ・クロマトグラフィー等を使用して精製することができる。
【0072】
抗体組成物
本発明のコードされるポリペプチドと特異的に結合する抗体も提供される。適当な抗体は、本発明のタンパク質の全部または一部を含むペプチドで宿主動物を免疫感作することにより得られる。適当な宿主動物には、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ハムスター、ウサギ等が含まれる。免疫原には、完全タンパク質、またはその断片および誘導体が含まれ得る。
【0073】
ポリクローナル抗体の調製のための第一段階は、約1%未満の汚染物質を含む、好ましくは実質的に純粋な形態で存在すると考えられる標的タンパク質による、宿主動物の免疫化である。免疫原には、完全な標的タンパク質、その断片または誘導体が含まれ得る。宿主動物の免疫応答を増加させるため、標的タンパク質は、アジュバントと組み合わせられてもよく、適当なアジュバントには、ミョウバン、デキストラン、硫酸塩、高分子重合体陰イオン、油水乳剤、例えばフロイントのアジュバント、フロイントの完全アジュバント等が含まれる。標的タンパク質は、合成担体タンパク質または合成抗原に抱合させられてもよい。多様な宿主が、ポリクローナル抗体を作製するために免疫化され得る。そのような宿主には、ウサギ、モルモット、げっ歯動物、例えばマウス、ラット、ヒツジ、ヤギ等が含まれる。標的タンパク質は、通常は皮内に初回用量を投与された後、1回または複数回、通常は少なくとも2回の付加的な追加用量を投与される。免疫化の後、宿主から血液が収集され、続いて血球から血清の分離が行われる。得られた抗血清の中に存在するIgは、アンモニウム塩分画、DEAEクロマトグラフィー等のような既知の方法を使用してさらに分画され得る。
【0074】
モノクローナル抗体は、従来の技術によって作製される。一般に、免疫化された宿主動物の脾臓および/またはリンパ節が、プラズマ細胞の起源を提供する。プラズマ細胞は、ハイブリドーマ細胞を作製するため、骨髄腫細胞との融合によって不死化される。産生される抗体が所望の特異性を有することを確認するため、個々のハイブリドーマに由来する培養上清が、標準的な技術を使用してスクリーニングされる。ヒト・タンパク質に対するモノクローナル抗体の作製に適した動物には、マウス、ラット、ハムスター等が含まれる。マウス・タンパク質に対する抗体を生成させるための動物には、一般に、ハムスター、モルモット、ウサギ等が考えられる。抗体は、従来の技術、例えば不溶性支持体、プロテインAセファロース等と結合したタンパク質を使用したアフィニティ・クロマトグラフィーによって、ハイブリドーマ細胞上清または腹水より精製され得る。
【0075】
抗体は、通常の多量体構造ではなく、単鎖として作製されてもよい。単鎖抗体は、Jostら(1994)J.B.C.269:26267-73、およびその他に記載されている。重鎖の可変領域および軽鎖の可変領域をコードするDNA配列が、グリシンおよび/またはセリンを含む、小さな中性アミノ酸を少なくとも約4アミノ酸コードするスペーサーへ連結される。この融合体によってコードされるタンパク質は、元の抗体の特異性および親和性を保持する機能性可変領域の組み立てを可能にする。
【0076】
ある種の態様において、ヒト化抗体も関心対象である。抗体をヒト化する方法は、当技術分野において既知である。ヒト化抗体は、遺伝子導入したヒト免疫グロブリン定常領域遺伝子を有する動物の産物であり得る(例えば、国際特許出願、国際公開公報第90/10077号および第90/04036号を参照のこと)。または、関心対象の抗体を組替えDNA技術によって設計して、CH1、CH2、CH3、ヒンジ・ドメイン、および/またはフレームワーク・ドメインを、対応するヒトの配列に置換してもよい(国際公開公報第92/02190号を参照のこと)。
【0077】
キメラ免疫グロブリン遺伝子の構築のためのIg cDNAの使用は、当技術分野において既知である(Liuら(1987)P.N.A.S.84:3439および(1987)J.Immunol.139:3521)。mRNAが、抗体を産生するハイブリドーマまたはその他の細胞から単離され、cDNAを作製するために使用される。関心対象のcDNAは、特異的プライマーを使用したポリメラーゼ連鎖反応によって増幅され得る(米国特許第4,683,195号および第4,683,202号)。または、ライブラリーが作成され、関心対象の配列を単離するためにスクリーニングされる。抗体の可変領域をコードするDNA配列は、次いで、ヒト定常領域配列と融合させられる。ヒト定常領域遺伝子の配列は、Kabatら(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest、N.I.H.刊行物第91-3242号に見出すことができる。ヒトC領域遺伝子は、既知のクローンより容易に入手可能である。アイソタイプの選択は、補体結合、または抗体依存性細胞毒性における活性のような所望のエフェクター機能によって導かれると考えられる。好ましいアイソタイプは、IgG1、IgG3、およびIgG4である。ヒト軽鎖定常領域であるκまたはλのいずれかが使用され得る。次いで、キメラ・ヒト化抗体が、従来の方法によって発現させられる。
【0078】
Fv、F(ab')2、およびFabのような抗体断片は、完全なタンパク質の切断によって、例えばプロテアーゼまたは化学的切断によって調製され得る。または、切断型遺伝子が設計される。例えば、F(ab')2断片の一部をコードするキメラ遺伝子は、H鎖のCH1ドメインおよびヒンジ・ドメインをコードするDNA配列の後に、切断型分子を生じるための翻訳終止コドンを含むと考えられる。
【0079】
後に続くV領域セグメントのヒトC領域セグメントへの連結のために、有用な制限部位をJ領域へ導入するためのプライマーとして使用するためのオリゴヌクレオチドを設計するために、HおよびLのJ領域のコンセンサス配列が使用され得る。C領域cDNAは、ヒト配列内の類似の位置に制限部位を置くための、部位特異的突然変異誘発により改変され得る。
【0080】
発現ベクターには、プラスミド、レトロウイルス、YAC、EBV由来エピソーム等が含まれる。便利なベクターは、任意のVHまたはVL配列が容易に挿入され、かつ発現させられるよう設計された適切な制限部位を有する、機能的に完全なヒトCHまたはCL免疫グロブリン配列をコードするものである。そのようなベクターにおいては、スプライシングが、通常は、挿入されたJ領域内のスプライス供与部位と、ヒトC領域の前に位置するスプライス受容部位との間に起こり、そしてヒトCHエクソン内に存在するスプライス領域においても起こる。ポリアデニル化および転写終結は、コード領域の下流の在来の染色体部位において起こる。得られたキメラ抗体は、レトロウイルスLTR、例えばSV-40初期プロモーター(Okayamaら(1983) Mol.Cell.Bio.3:280)、ラウス肉腫ウィルスLTR(Gormanら(1982)P.N.A.S.79:6777)、およびモロニーマウス白血病ウィルスLTR(Grosschedlら(1985) Cell 41:885);在来のIgプロモーター等を含む、任意の強力なプロモーターに接続され得る。
【0081】
トランスジェニック
本発明の核酸は、トランスジェニック非ヒト植物もしくは動物、または細胞株における部位特異的遺伝子改変を生じるために使用され得る。本発明のトランスジェニック細胞は、導入遺伝子として存在する本発明による核酸を1個または複数含んでいる(この定義には、導入遺伝子を含むよう形質転換された親細胞およびそれらの子孫が含まれる)。多くの態様において、トランスジェニック細胞は、本発明に係る核酸を通常は保有または含有していない細胞である。トランスジェニック細胞が本発明の核酸を天然に含有している態様においては、その核酸は、細胞内の天然の位置ではない位置に存在すると考えられ、即ち細胞のゲノム物質内に非天然の位置で組み込まれているであろう。内因性遺伝子座を改変したトランスジェニック動物は、相同的組み換えを介して作製され得る。または、核酸構築物は、ゲノム内へ無作為に組み込まれる。安定的な組み込みのためのベクターには、プラスミド、レトロウイルスおよびその他の動物ウイルス、YAC等が含まれる。
【0082】
本発明のトランスジェニック生物には、内因性遺伝子の発現が、排除されない場合には少なくとも減少している、内因性ノックアウトである細胞および多細胞生物、例えば植物および動物が含まれる。関心対象のトランスジェニック生物には、タンパク質またはそのバリアントが、それが通常発現しない細胞または組織において発現しており、かつ/またはそのような細胞または組織において通常は存在しないレベルで発現している、細胞および多細胞生物、例えば植物および動物も含まれる。
【0083】
相同的組替えのためのDNA構築物は、所望の(1個以上の)遺伝学的改変を有しており、標的遺伝子座と相同な領域を含む、本発明の遺伝子の少なくとも一部を含むと考えられる。無作為組み込みのためのDNA構築物には、組み換えを媒介するための相同領域が含まれている必要はない。都合のよいことには、ポジティブ選択およびネガティブ選択のためのマーカーが含まれる。相同的組替えを介して標的遺伝子を改変した細胞を産生するための方法は、当技術分野において既知である。哺乳動物細胞をトランスフェクトするための様々な技術については、Keownら(1990)、Meth.Enzymol.185:527-537を参照のこと。
【0084】
胚性幹(ES)細胞については、ES細胞株が使用されてもよいし、または胚細胞が、例えばマウス、ラット、モルモット等の宿主から新鮮に得られてもよい。そのような細胞は、適切な繊維芽細胞フィーダー層の上で増殖させられるか、または白血病阻止因子(LIF)の存在下で増殖させられる。ESまたは胚細胞が形質転換された場合、それらはトランスジェニック動物を作製するために使用され得る。形質転換の後、細胞は、適切な培地中でフィーダー層上に播かれる。構築物を含有している細胞は、選択培地を利用することにより検出され得る。コロニーが増殖するのに十分な時間の後、それらは選び取られ、構築物の相同的組み換えまたは組み込みの発生に関して分析される。次いで、陽性であるコロニーが、胚操作および胚盤胞注入のために使用され得る。胚盤胞は、4〜6週齢の過排卵雌より得られる。ES細胞がトリプシン処理され、改変した細胞が胚盤胞の胞胚腔へと注入される。注入の後、胚盤胞が偽妊娠雌の各子宮角に戻される。次いで、雌を満期に到達させ、得られた子孫を構築物に関してスクリーニングする。発現型の異なる胚盤胞および遺伝学的に改変した細胞を提供することにより、キメラ子孫は容易に検出され得る。
【0085】
キメラ動物は、改変遺伝子の存在に関してスクリーニングされ、改変を有している雄および雌がホモ接合性子孫を作製するために交配される。遺伝子改変が、発達中のある時点で致死を引き起こす場合には、組織または器官が、同種異系もしくは類遺伝子性の移植片もしくは移植物として、またはインビトロ培養物中に維持され得る。トランスジェニック動物は、実験動物、家畜等の任意の非ヒト哺乳類であり得る。トランスジェニック動物は、機能研究、薬物スクリーニング等において使用され得る。トランスジェニック動物の使用の代表的な例には、下記のものが含まれる。
【0086】
トランスジェニック植物は、類似の様式で作製され得る。トランスジェニック植物細胞およびトランスジェニック植物体を調製する方法は、米国特許第5,767,367号;第5,750,870号;第5,739,409号;第5,689,049号;第5,689,045号;第5,674,731号;第5,656,466号;第5,633,155号;第5,629,470号;第5,595,896号;第5,576,198号;第5,538,879号;第5,484,956号(これらの開示は本明細書に参照として組み込まれる)に記載されている。トランスジェニック植物体を作製する方法は、Plant Biochemistry and Molecular Biology(LeaおよびLeegood編、John Wiley&Sons)(1993)pp.275-295にも概説されている。簡潔には、植物種の性質に依って適当な植物細胞または組織が収穫される。そのため、ある種の例においては、プロトプラストが単離されると考えられ、そのようなプロトプラストは多様な異なる植物組織、例えば葉、胚軸、根等より単離され得る。プロトプラスト単離のためには、収穫された細胞が、細胞壁を除去するためセルラーゼの存在下でインキュベートされる(ここで、正確なインキュベーション条件は、細胞の由来した植物および/または組織の型に依って変動する)。次いで、ふるい分けおよび遠心分離により、得られた細胞砕片から、得られたプロトプラストが分離される。プロトプラストを使用する代わりに、体細胞を含む胚形成外植片が、トランスジェニック宿主の調製のために使用されてもよい。細胞または組織の収穫の後、関心対象の外因性DNAが、植物細胞へ導入され、そのような導入には、多様な異なる技術が利用可能である。単離されたプロトプラストを得ることにより、多価陽イオン、例えばPEGまたはPLO存在下における、関心対象の外因性コード配列を含む、裸のDNA、例えばプラスミドとのプロトプラストのインキュベーション;および関心対象の外因性配列を含む裸のDNAの存在下での、プロトプラストの電気穿孔を含む、DNA媒介性の遺伝子移入プロトコルを介した導入の機会が生じる。次いで、外因性DNAの取り込みに成功したプロトプラストを選択し、カルスへ成長させ、適切な量および比率の刺激因子、例えばオーキシンおよびサイトカイニンとの接触を通じて、最終的にはトランスジェニック植物体へと成長させる。胚形成外植片を用いる場合、標的体細胞に外因性DNAを導入する便利な方法は、粒子加速プロトコルまたは「遺伝子銃」プロトコルの使用を介したものである。次いで、得られた外植片を、キメラ植物体へと成長させ、交雑させ、トランスジェニック子孫を得る。前記の裸のDNAアプローチの代わりに、トランスジェニック植物を作製するもう一つの便利な方法は、アグロバクテリウム(Agrobacterium)により媒介される形質転換である。アグロバクテリウムにより媒介される形質転換では、外因性DNAを含む共組み込み(co-integrative)またはバイナリー・ベクターを調製し、次いで、適切なアグロバクテリウム株、例えばA.ツメファシエンス(A.tumefaciens)へと導入する。次いで、得られた細菌を、調製したプロトプラストまたは組織外植片、例えばリーフディスクと共にインキュベートし、カルスを作製する。次いで、カルスを選択条件下で成長させ、選択し、根および苗条の成長を誘導するための成長培地に供し、最終的にはトランスジェニック植物体を作製する。
【0087】
有用性
本発明のポリペプチドは、多様な異なる適用において有益であるが、適用は、色素/蛍光性ドメインが色素タンパク質であるかまたは蛍光性タンパク質であるかに依って必然的に異なる。これらの各タンパク質型の代表的な用途を以下に記載するが、以下に記載された用途は、単なる代表的なものであり、本発明のタンパク質の使用を下記のものに制限するものでは決してない。
【0088】
色素タンパク質
本発明のポリペプチドを含む色素タンパク質は、多様な異なる適用において有益である。一つの関心対象の適用は、問題としている特定の組成物に色または色素を付与することができる着色料としての本発明のタンパク質の使用である。ある種の態様において特に関心対象であるのは、無毒の色素タンパク質である。本発明の色素タンパク質は、問題とする多様な異なる組成物に取り込まれ得る(問題とする組成物の代表には、食物組成物、医薬品、化粧品、生物、例えば動物および植物等が含まれる)。着色料または色素として使用される場合、所望の色または色素を付与するために十分な量の色素タンパク質が、問題とする組成物に取り込まれる。色素タンパク質は、任意の便利なプロトコルを使用して、問題とする組成物に取り込まれてもよく、利用される特定のプロトコルは、少なくとも部分的には、着色すべき問題とする組成物の性質に必然的に依存すると考えられる。利用され得るプロトコルには、混和、拡散、摩擦、噴霧、注入、および入れ墨等が含まれるが、これらに制限はされない。
【0089】
色素タンパク質は、分析物検出アッセイ法、例えば関心対象の生物学的分析物に関するアッセイ法における標識としても有益であり得る。例えば、色素タンパク質は、分析物に特異的な抗体またはその結合性断片を含む付加体に取り込まれ、その後、米国特許第4,302,536号(この開示は参照として本明細書に組み込まれる)に記載されるように、複合試料中の関心対象の分析物に関する免疫アッセイ法において利用され得る。抗体またはその結合性断片の代わりに、本発明の色素タンパク質またはその色素生産性断片は、当業者には容易に明らかであるように、関心対象の分析物と特異的に結合するリガンド、またはその他の成分(moiety)、増殖因子、ホルモン等と抱合されてもよい。
【0090】
さらなる他の態様において、本発明の色素タンパク質は、組替えDNA適用、例えば前記のようなトランスジェニック細胞およびトランスジェニック生物の作製において、選択可能マーカーとして使用され得る。そのため、成功プロトコルまたは非成功プロトコルのいずれかのために、選択可能マーカーとして本発明の色素タンパク質の発現を利用するため、特定のトランスジェニック作製プロトコルを設計することが可能である。従って、特定のプロセスによって作製されたトランスジェニック生物の発現型における、本発明の色素タンパク質の色の出現は、特定の生物が、多くの場合、生物における導入遺伝子の発現を提供する様式で組み込まれる、関心対象の導入遺伝子の保有に成功したことを示すために使用され得る。選択可能マーカーとして使用される場合、本発明の色素タンパク質をコードする核酸は、より詳細に上記で記載されたトランスジェニック産生プロセスにおいて利用され得る。本発明のタンパク質が選択可能マーカーとして利用され得る特定の関心対象のトランスジェニック生物には、トランスジェニック植物、トランスジェニック動物、トランスジェニック細菌、トランスジェニック真菌等が含まれる。
【0091】
さらなる他の態様において、本発明の色素タンパク質(および蛍光性タンパク質)は、国際公開公報第00/46233号に記載されたタンパク質の用途と類似の様式で、日焼け止め、選択的フィルター等として有益である。
【0092】
蛍光性タンパク質
本発明のポリペプチドを含む蛍光性タンパク質(および前記の本発明のその他の構成要素)は、以下のものを含むがこれらに制限はされない、多様な異なる適用において有益である。第一の関心対象の適用は、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)の適用における本発明のタンパク質の使用である。これらの適用において、本発明のタンパク質は、第二の蛍光性タンパク質または染料、例えばMatzら、Nature Biotechnology(1999年10月)17:969-973に記載されたような蛍光性タンパク質、例えば米国特許第6,066,476号;第6,020,192号;第5,985,577号;第5,976,796号;第5,968,750号;第5,968,738号;第5,958,713号;第5,919,445号;第5,874,304号(これらの開示は参照として本明細書に組み込まれる)に記載されたようなエクオリア・ビクトリア(Aequoria victoria)由来の緑色蛍光性タンパク質またはその蛍光性変異体、その他の蛍光染料、例えばクマリンおよびその誘導体、例えば7-アミノ-4-メチルクマリン、アミノクマリン、ボディピー(Bodipy)FLのようなボディピー(bodipy)染料、カスケードブルー(cascade blue)、フルオレセインおよびその誘導体、例えばフルオレセイン・イソチオシアネート、およびオレゴングリーン(Oregon green)、ローダミン染料、例えばテキサスレッド、テトラメチルローダミン、エオシン、およびエリスロシン、シアニン染料、例えばCy3およびCy5、ランタニド・イオンの大環状キレート、例えば量子染料(quantum dye)等、化学発光染料、例えば米国特許第5,843,746号;第5,700,673号;第5,674,713号;第5,618,722号;第5,418,155号;第5,330,906号;第5,229,285号;第5,221,623号;第5,182,202号(これらの開示は本明細書に参照として組み込まれる)に記載されたものを含むルシフェラーゼと組み合わされて、供与体および/または受容体として機能する。本発明の蛍光性タンパク質を利用したFRETアッセイ法が使用され得る特定の例には、多数の異なる事象のバイオセンサーとしての、タンパク質−タンパク質相互作用、例えば哺乳動物ツー・ハイブリッド系、転写因子の二量体化、膜タンパク質の多量体化、多重タンパク質の複合体形成等の検出(この場合、ペプチドまたはタンパク質が、本発明の蛍光性タンパク質を含むFRET蛍光組合せと共有結合的に連結され、連結されるペプチドまたはタンパク質は、例えばカスパーゼ媒介切断などのためのプロテアーゼ特異的基質であるか、FRETを増加または減少させるシグナル、例えばPKA制御ドメイン(cAMPセンサー)、リン酸化(例えば、リンカー内にリン酸化部位が存在するか、またはリンカーが別のタンパク質のリン酸化/脱リン酸化ドメインとの結合特異性を有するか、またはリンカーがCa2+結合ドメインを有する場合)の受容によりコンフォメーション変化を起こすリンカーである)が含まれるが、これらに制限はされない。本発明のタンパク質が有益である代表的な蛍光共鳴エネルギー転移またはFRETの適用には、米国特許第6,008,373号;第5,998,146号;第5,981,200号;第5,945,526号;第5,945,283号;第5,911,952号;第5,869,255号;第5,866,336号;第5,863,727号;第5,728,528号;第5,707,804号;第5,688,648号;第5,439,797号(これらの開示は本明細書に参照として組み込まれる)に記載されたものが含まれるが、これらに制限はされない。
【0093】
本発明の蛍光タンパク質が有益である別の適用は、BRET(生物発光共鳴エネルギー移動)である。BRETは、生物発光性の供与体から蛍光性受容体タンパク質へのエネルギー移動に基づくタンパク質-タンパク質相互作用アッセイ法である。BRETシグナルは、供与体により放出された光量に対する受容体により放出された光量によって測定される。これらの二つの値の比は、2つのタンパク質が近接すると増加する。BRETアッセイ法は、文献で十分に説明されている。例えば米国特許第6,020,192号;第5,968,750号;および第5,874,304号;ならびに、Xuら(1999)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、96:151-156を参照のこと。BRETアッセイ法は、生物発光性の供与体タンパク質および蛍光性受容体タンパク質を、独立して二つの異なる生物学的パートナーに遺伝的に融合し、パートナーA-生物発光供与体およびパートナーB-蛍光性受容体融合体を作成することにより行うことができる。例えばリガンドまたは被験化合物により調節された、融合タンパク質のパートナー部分の間の相互作用の変化は、融合タンパク質の生物発光部分および蛍光部分により放出された光の比の変化によりモニターすることができる。この適用において、本発明のタンパク質は、供与体タンパク質および/または受容体タンパク質として利用される。BRETアッセイ法は、FRETと同様に上記の多くのアッセイ法において使用することができる。
【0094】
本発明の蛍光性タンパク質は、原核細胞および真核細胞におけるバイオセンサーとして、例えばCa2+イオン指示薬として;pH指示薬として、リン酸化指示薬として、その他のイオン、例えばマグネシウム・イオン、ナトリウム・イオン、カリウム・イオン、塩素イオン、およびハロゲン・イオンの指示薬としても有益である。例えば、Caイオンの検出に関して、EF-ハンド・モチーフを含有しているタンパク質は、Ca2+との結合により、細胞質ゾルから膜へと移動することが既知である。これらのタンパク質は、タンパク質の他の領域との疎水性相互作用によって分子内に埋め込まれているミリストイル基を含有している。Ca2+の結合は、ミリストイル基を露出させるコンフォメーション変化を誘導し、次いでミリストイル基が脂質二重層への挿入に利用可能となる(「Ca2+-ミリストイル・スイッチ」と呼ばれる)。そのようなEF-ハンド含有タンパク質のフルオレセント・プロテイン(FP)との融合体は、共焦点顕微鏡検によって細胞質ゾルから原形質膜への移動をモニタリングすることにより、細胞内 Ca2+の指示薬となり得る。この系において使用するのに適したEF-ハンド・タンパク質には、リカバリン(recoverin)(1-3)、カルシニューリンB、トロポニンC、ビシニン(visinin)、ニューロカルシン(neurocalcin)、カルモジュリン、パルブアルブミン等が含まれるが、これらに制限はされない。pHについては、ヒサクトフィリン(hisactophilins)に基づく系が使用され得る。ヒサクトフィリンは、ジクチオステリウム(Dictyostelium)に存在することが既知である、ミリストイル化されたヒスチジンリッチなタンパク質である。それらのアクチンおよび酸性脂質との結合は、細胞質pH変動の範囲内で鮮明にpH依存的である。生細胞において、膜結合は、ヒサクトフィリンとアクチン・フィラメントとの相互作用より優先されるようである。pH≦6.5においては、それらは、原形質膜および核へと移行する。対照的に、pH7.5においては、それらは、細胞質空間全体に均一に分布する。この分布の変化は可逆的であり、分子表面上のループ内に露出したヒスチジン・クラスターに起因する。細胞質pH変動の範囲内での細胞内分布の復帰は、ヒスチジン残基の6.5というpKと合致する。細胞分布は、タンパク質のミリストイル化には依存しない。FP(フルオレセント・プロテイン)をヒサクトフィリンと融合させることによって、融合タンパク質の細胞内分布は、レーザー走査型共焦点顕微鏡検、または標準的な蛍光顕微鏡検によって追跡され得る。定量的蛍光分析は、細胞のライン・スキャン(line scans)(レーザー走査型共焦点顕微鏡検)またはその他の電子データ分析(例えば、メタモルフ(metamorph)ソフトウェア(Universal Imaging社)を使用)を実行し、細胞集団において収集されたデータの平均をとることにより実施され得る。細胞質ゾルから原形質膜へのヒサクトフィリン-FPの実質的なpH依存性の再分布は、1分〜2分以内に起こり、5分〜10分後には定常状態レベルに達する。逆反応は同様のタイムスケールで起こる。そのため、類似の様式で働くヒサクトフィリン-蛍光性タンパク質融合タンパク質は、哺乳動物生細胞におけるリアルタイムの細胞質ゾルpH変化をモニタリングするために使用され得る。そのような方法は、高処理量の(high throughput)適用、例えば増殖因子受容体活性化(例えば、上皮増殖因子または血小板由来増殖因子)、走化刺激/細胞運動の結果としてのpH変化の測定において、セカンドメッセンジャーとしての細胞内pH変化の検出において、pH操作実験における細胞内pHのモニタリング等において有益である。PKC活性の検出のため、レポーター系は、MARCKS(ミリストイル化アラニンリッチCキナーゼ基質)と呼ばれる分子がPKC基質であるという事実を活用する。それは、ミリストイル化、および負の電荷を有する原形質膜と静電相互作用によって結合する、正の電荷を有するアミノ酸の領域(ED-ドメイン)によって原形質膜につながれている。PKC活性化により、PKCによってED-ドメインはリン酸化され、それにより負に荷電し、静電的反発の結果として、MARCKSが原形質膜から細胞質へと移動する(「ミリストイル-静電スイッチ」と呼ばれる)。MARCKSのミリストイル化モチーフからED-ドメインまでの範囲にわたるMARCKSのN末端の、本発明の蛍光性タンパク質との融合体は、PKC活性の検出系となる。PKCによってリン酸化されると、融合タンパク質は、原形質膜から細胞質ゾルへと移動する。この移動は、標準的な蛍光顕微鏡検または共焦点顕微鏡検によって、例えばセロミクス(Cellomics)技術、またはその他のハイ・コンテンツ・スクリーニング系(High Content Screening systems)(例えば、Universal Imaging社/Becton Dickinson)を使用して追跡される。上記のレポーター系は、ハイ・コンテンツ・スクリーニングにおける適用、例えばPKC阻害剤のスクリーニングにおける適用、およびこのシグナル伝達経路を妨害する可能性のある試薬に関する多くのスクリーニング・シナリオにおける、PKC活性の指示薬としての適用を有している。蛍光性タンパク質をバイオセンサーとして使用する方法には、米国特許第972,638号;第5,824,485号、および第5,650,135号(ならびに、これらの中に引用された参照)に記載されたものも含まれ、これらの開示は参照として本明細書に組み込まれる。
【0095】
本発明の蛍光性タンパク質は、顕微鏡による画像化、および電子分析を使用することによる、蛍光性レポート基を発現している細胞のアレイの、自動化スクリーニングを含む適用においても有益である。スクリーニングは、薬物発見のため、そして機能ゲノム科学の分野において使用され得る:例えば、本発明のタンパク質は、多細胞の再編成および遊走における変化、例えば内皮細胞による多細胞細管の形成(血管形成)、フルオロブロック・インサート・システム(Fluoroblok Insert System)(Becton Dickinson社)を介した細胞の遊走、創傷治癒、神経突起伸長等を検出するため、全細胞のマーカーとして使用され得る(この場合、タンパク質は、細胞活性、刺激によるキナーゼおよび転写因子の移動(プロテインキナーゼC、プロテインキナーゼA、転写因子NFkB、およびNFATなど);サイクリンA、サイクリンB1、およびサイクリンEなどの細胞周期タンパク質、切断された基質のその後の運動を伴うプロテアーゼ切断、リン脂質などのシグナル伝達の指標としての細胞内位置の変化の、小胞体、ゴルジ装置、ミトコンドリア、ペルオキシソーム、核、核小体、原形質膜、ヒストン、エンドソーム、リソソーム、微小管、アクチンなどの細胞内構造のマーカーをハイ・コンテンツ・スクリーニングのための道具として用いる(他の蛍光性融合タンパク質と、これらの局在マーカーとの共局在を、細胞内蛍光性融合タンパク質の運動の指標として用いる、またはマーカー単独として用いる)検出等を可能にするペプチド(例えば、ターゲティング配列)およびタンパク質と融合されたマーカーとして使用される)。本発明の蛍光性タンパク質が有益である細胞アレイの自動化スクリーニングを含む適用の例には、米国特許第5,989,835号;ならびに国際公開公報第0017624号;第00/26408号;第00/17643号;および第00/03246号(これらの開示は本明細書に参照として組み込まれる)が含まれる。
【0096】
本発明の蛍光性タンパク質は、ハイ・スループット・スクリーニング・アッセイ法においても有益である。本発明の蛍光性タンパク質は、24時間を超える半減期を有する安定なタンパク質である。薬物発見のための転写レポーターとして使用され得る、より短い半減期を有する本発明の蛍光性タンパク質の不安定化型も提供される。例えば、本発明によるタンパク質は、より短い半減期を有するタンパク質に由来する推定タンパク質分解シグナル配列、例えばマウス・オルニチン・デカルボキシラーゼ遺伝子由来のPEST配列、マウス・サイクリンB1破壊ボックス、およびユビキチン等と融合させられ得る。不安定化タンパク質およびそれを作製するために利用され得るベクターの記載については、米国特許第6,130,313号(この開示は参照として本明細書に組み込まれる)を参照されたい。シグナル伝達経路、例えばAP1、NFAT、NFkB、Smad、STAT、p53、E2F、Rb、myc、CRE、ER、GR、およびTRE等のプロモーターは、薬物スクリーニングのための本発明の蛍光性タンパク質の不安定化型を使用して検出され得る。
【0097】
本発明のタンパク質は、例えば本発明のタンパク質を特定のドメイン、例えばPKCγCa結合ドメイン、PKCγDAG結合ドメイン、SH2ドメイン、およびSH3ドメイン等と融合させることによって、セカンドメッセンジャー検出剤として使用され得る。
【0098】
本発明のタンパク質の分泌型を、例えば分泌型先導配列を本発明のタンパク質と融合させ、本発明のタンパク質の分泌型を構築することによって、調製することができ、そして、多様な異なる適用において使用され得る。
【0099】
本発明のタンパク質は、蛍光標示式細胞分取適用においても有益である。そのような適用においては、本発明の蛍光性タンパク質が、細胞集団に印をつけるための標識として使用され、次いで、得られた標識細胞集団が、当技術分野において既知である、蛍光標示式細胞分取機により分取される。FACS法は、米国特許第5,968,738号および第5,804,387号(これらの開示は本明細書に参照として組み込まれる)に記載されている。
【0100】
本発明のタンパク質は、動物(例えば、トランスジェニック動物)におけるインビボのマーカーとしても有益である。例えば、本発明のタンパク質の発現を、組織特異的プロモーターによって駆動することができ、そのような方法は、遺伝子治療の研究において、例えば適用の中でも特に導入遺伝子発現の効率の試験において有益である。本発明のタンパク質のこのクラスの適用を例示する、トランスジェニック動物における蛍光性タンパク質の代表的な適用は、国際公開公報第00/02997号(この開示は参照として本明細書に組み込まれる)に見出される。
【0101】
本発明のタンパク質のさらなる適用には、細胞または動物への注入の後の、定量的測定(蛍光およびタンパク質)のための較正におけるマーカーとしての適用;細胞生存率をモニタリングするための酸素バイオセンサー機器における、マーカーまたはレポーターとしての適用;動物、ペット、玩具、食物等のためのマーカーまたは標識としての適用等が含まれる。
【0102】
本発明の蛍光性タンパク質は、プロテアーゼ切断アッセイ法においても有益である。例えば、切断不活化蛍光アッセイ法が、本発明のタンパク質を使用して開発され得る。この場合、本発明のタンパク質は、タンパク質の蛍光性を破壊することなく、プロテアーゼ特異的切断配列を含むよう改造される。活性化されたプロテアーゼにより蛍光性タンパク質が切断されると、機能性発色団の破壊により、蛍光は鮮明に減少するであろう。または、切断によって活性化された蛍光が、本発明のタンパク質を使用して現像され得る。この場合、本発明のタンパク質は、発色団の近傍/または内部に付加的なスペーサー配列を含有するよう設計される。機能性発色団の部分がスペーサーによって分割されるため、このバリアントの蛍光活性は有意に減少するであろう。スペーサーは、2個の同一のプロテアーゼ特異的切断部位によって構成されるであろう。活性化されたプロテアーゼによる分解によって、スペーサーが切り出され、蛍光性タンパク質の2個の残存「サブユニット」が、機能性の蛍光性タンパク質が生成するよう再び組み立てられ得る。多様な異なる型のプロテアーゼ、例えばカスパーゼ等に関するアッセイ法において、上記の型の適用の両方が開発され得る。
【0103】
本発明のタンパク質は、生体膜中のリン脂質組成を決定するためのアッセイ法においても、使用され得る。例えば、特定のリン脂質ラフト(raft)における膜タンパク質の共局在をも可能にする、生体膜内のリン脂質分布のパターンを特定/可視化するための、特定のリン脂質との結合を可能にする本発明のタンパク質の融合タンパク質(または本発明のタンパク質のその他の任意の種類の共有結合的修飾または非共有結合的修飾)が、本発明のタンパク質を用いて達成され得る。例えば、GRP1のPHドメインは、ホスファチジルイノシトール三リン酸(PIP3)に対する高い親和性を有しているが、PIP2に対する親和性は有していない。そのため、GRP1のPHドメインと本発明のタンパク質との間の融合タンパク質が、生体膜内のPIP3リッチな区域を特異的に標識するために構築され得る。
【0104】
さらにもう一つの本発明のタンパク質の適用は、蛍光性タンパク質の加齢に付随する、ある蛍光色のもう一つの色への(例えば、緑色から赤色への)スイッチが、遺伝子発現、例えば発達遺伝子発現、細胞周期依存性遺伝子発現、概日リズム特異的遺伝子発現等の活性化/不活化を決定するために使用される、蛍光タイマーとしての適用である。
【0105】
本発明の蛍光性タンパク質は、米国特許出願第60/261,448号(この開示は参照として本明細書に組み入れられる)に記載されるように、細胞標識適用において用いられても良い。
【0106】
前記の本発明の抗体は、その他の蛍光性タンパク質からの本発明のタンパク質の区別を含む、多数の適用においても有益である。
【0107】
キット
典型的には、本発明のポリペプチドを作成するための要素、例えば本発明のタンパク質のコーディング領域を含むベクターを含む構築物を含む、前記の適用のうちの一つ以上の実施において使用するためのキットも、本発明によって提供される。本発明のキット成分は、典型的には、適当な容器内に、適当な保存媒体、例えば緩衝溶液の中に存在する。本発明のキットには、提供されたタンパク質に対する抗体も存在し得る。ある種の態様において、キットは、各々が本発明のポリペプチドをコードする複数の異なるベクター(この場合、ベクターは、異なる環境における、かつ/または異なる条件下での発現、例えば構成性発現のために設計されており、かつ哺乳動物細胞における発現のための強力なプロモーターを含む)、プロモーターのカスタム(custom)挿入およびテーラード(tailored)発現のためのマルチプル・クローニング・サイトを有するプロモーターレス・ベクター等を含む。
【0108】
上記の成分に加え、本発明のキットは、本発明の方法を実施するための説明をさらに含むであろう。これらの説明は、多様な形態で本発明のキット内に存在することができ、1個以上の形態がキット内に存在してもよい。これらの説明が存在し得る一つの形態は、キットの包装材の中、パッケージ・インサートの中等の適当な媒体または基体の上に印刷された情報(例えば情報が印刷された1枚以上の紙)としてである。さらにもう一つの手段は、情報が記録されたコンピューター読取可能媒体、例えばディスク、CD等であろう。さらにもう一つの存在し得る手段は、遠隔地において情報にアクセスするためにインターネットを介して使用され得る、ウェブサイト・アドレスである。任意の便利な手段が、キット内に存在し得る。
【0109】
以下の実施例は、制限のためではなく、例示のために提示されるものである。
【0110】
実施例
I. 融合体構築
Cr-44-9-タンデム(連結された二量体)、およびCr-44-9-タンデム-アクチン融合体を構築した。Cr-44-9タンデム融合タンパク質のアミノ酸配列およびそれをコードするヌクレオチド配列を、図1(配列番号:1および2)に示した。Cr-44-9タンデム-アクチン融合タンパク質のアミノ酸、およびそれをコードするヌクレオチド配列を、図2(配列番号:3および4)に示した。前記構築物を、哺乳類細胞において発現し、およびコードされた蛍光タンパク質は検出可能であった。
【0111】
下記の追加のタンデム構築物を調製した:HcRed-cr-1タンデム(図3;配列番号:5および6);AsRed-35-5NAタンデム(図4;配列番号:7および8);ならびに、AsRed-35-5Dタンデム(図5;配列番号:9および10)。Cr-44-9タンデム構築物のように、これらのタンデムがアクチンに融合された場合−これらのタンデムがアクチンフィラメントに組込まれた場合に、良好な結果が得られた。
【0112】
II. 追加の構築物および特徴決定
A. 材料および方法
1. プラスミド構築
pEGFP-アクチン(Clontech)を、全ての融合プラスミドの構築のための親ベクターとして用いた。HcRed2A、HcRed、M355NAおよびDsRed2コード領域を、EGFP-コード領域の代わりに、このベクターのAgeIおよびBglII制限部位の間にクローニングした。タンデムを作成するために、対応するFPの第二のコピーを、BglIIおよびEcoRV制限部位を用い、これらのプラスミドにクローニングした(第一のFPとβ-アクチン遺伝子の間)。全てのプラスミドは、FPおよびアクチンの間にアミノ酸4個のリンカーRTRAを含んだ。タンデムの場合、FP遺伝子は、アミノ酸4個のリンカーRSPGにより隔てられた。フィブリラリンコード領域は、プライマー
Figure 2005507657
および
Figure 2005507657
(制限部位を下線で示す)により、鋳型としてMarathon-Ready Human Liver cDNA(Clontech)を用いて増幅し、ならびにアクチンコード領域の代わりに、XhoIおよびBamHI制限部位の間にクローニングした。
【0113】
FPの原核生物発現のために、完全長コード領域を、pQE30ベクター(Qiagen社)にクローニングした。N-末端6×Hisタグに融合されたタンパク質を、大腸菌XL1 Blue株(Invitrogen社)において発現し、TALON金属アフィニティー樹脂(Clontech)を用いて精製した。Gurskayaら、FEBS Lett.(2001)、507:16-20に説明されているように、ゲルろ過分析を行った。
【0114】
2. 細胞培養
L929細胞およびHEK293細胞をATCCから入手し、10%FBS(Sigma社)を補充した標準のダルベッコ改変MEM培地(Invitrogen社)において培養した。LipofectAMINE PLUS試薬(Invitrogen社)またはFuGENE 6試薬(Roche社)を、それぞれL929細胞またはHEK293細胞に対して用い、35mmディッシュ(Falcon社)中の18×18mmカバーガラス上で50〜70%コンフルエントに増殖した細胞を、前記プラスミドでトランスフェクションした。トランスフェクション(48時間)後、細胞をダルベッコのPBSで洗浄し、PBS中の4%パラホルムアルデヒドで30分間固定した。蛍光顕微鏡用に、Vectashieldマウント培地(Vector Laboratories社)を用い、カバーガラスをスライドガラスにマウントした。
【0115】
3. 蛍光顕微鏡および画像解析
標準のGFP/FITC(励起460〜505nm;放出510〜560nm)、G-2A(励起510〜560;放出LP 590nm)、およびTxRed(励起540〜580nm;放出600〜660nm)フィルターセットを、それぞれEGFP、M355NA、およびHcRedまたはHcRed2Aに対して用い、Plan Apo 100×/1.40油浸レンズを装着したEclipse E800顕微鏡(Nikon社)に取付けられたORCA-ERデジタルカメラ(Hamamatsu社)を使用し、固定した細胞の画像を入手した。カメラは露光時間0.24〜4.08秒および高解像度1×1ビンニングモード(binning mode)にして用いた。デジタル画像をデコンボリューションし、疑似カラー化し(pseudocolored)、AquaCosmosソフトウェア(Hamamatsu社)において重ね合わせ、更にAdobe Photoshopにおいて組み立てた。
【0116】
4. FRETアッセイ法
三重融合体HcRed2A-HcRed2A-EYFPをコードする、pQE30を基にしたプラスミドを構築した。EYFPコード領域を、pEYFP-N1ベクター(Clontech社)から増幅した。第二のHcRed2AとEYFPとの間のアミノ酸リンカーRTRAPAGIEGRを、ポリメラーゼ連鎖反応により導入した(Xa因子の認識部位を下線で示す)。精製タンパク質は、100mM NaCl、2mM CaCl2および20mM Tris-Cl(pH8.0)を含有する緩衝液中のXa因子(Promega社)で消化した。消化前後の蛍光スペクトル(490nmで励起)を、Carry Eclipse Fluorescence Spectrophotometer(Varian社)を用いて測定した。励起光460〜490nm、放出LP 510nmおよび放出LP 610nmフィルターを、Olympus SZX12実体顕微鏡で使用し、タンパク質試料を視覚化した。
【0117】
B. 結果
以下に、タンパク質標識に一般に使用される近赤外(far red)蛍光タグを説明する。このタグは、640nmの最大放出を伴う色素タンパク質hcCPの、二つの頭部-尾部連結された同一のHcRed2A蛍光変異体を基にしている。精製HcRed2Aは溶液中において二量体を形成するので、本発明者らは、共有結合で連結されたこのタンパク質のコピーは、分子内二量体を形成し、これはインビボにおいてオリゴマー化しないタグとして使用することができると仮定した。
【0118】
最初に、本発明者らは、原核生物発現系においてHcRed2A-タンデム構築物を試験した。単量体間で異なる長さおよび組成のいくつかのアミノ酸リンカーを試験した。タンパク質成熟の速度および完全性ならびに蛍光輝度に関する最良の結果は、アミノ酸4個のリンカーRSPGで得られ、これを引き続き全ての更なる構築物において使用した。タンデムHcRed2Aは、親タンパク質と同じスペクトル特性を示した。更に、HcRed2A-タンデムを発現している大腸菌コロニーは、単体(singleton)のHcRed2Aのコロニーと比較して、より明るい蛍光およびより豊富な紫色の呈色を有した。前記結果は、遊離の単量体よりも、むしろ密接に連結された間でより効果的にタンパク質の二量体化が生じることを示している。ゲルろ過クロマトグラフィーは、HcRed2AとHcRed2A-タンデムの同様の移動度を明らかにした。両タンパク質は、四量体DsRedおよび単量体EGFPピーク間で観察された同様の単独のピークから明らかであるように「二量体」であるように見える(データは示していない)。従って、連結されたHcRed2Aは、分子内二量体を形成するが、分子間二量体は形成せず、従って融合パートナーの単量体タグとして利用することができる。
【0119】
真核細胞におけるHcRed2A-タンデムの特性を試験するために、本発明者らはこれを細胞質β-アクチンおよび核小体タンパク質フィブリラリンへ融合した。アクチンまたはフィブリラリンに連結されたタンデムHcRed2Aの1コピーまたは2コピーを発現する一連のプラスミドを構築した。対応するEGFPタグ付き機能性融合タンパク質を陽性対照として用い、望ましい蛍光パターンを視覚化した。EGFPタグおよびHcRed2Aタグ付き融合構築物を発現する二つのプラスミドによる細胞の同時の一過性共トランスフェクションは、同じ細胞内での緑色および赤色蛍光画像の比較を可能にし、従って使用した赤色タグの何らかの不完全さを推定することを可能にした。アクチンとの融合において、単体HcRed2Aタグは、L929線維芽細胞内で比較的高レベルの細胞質凝集を生じたが、多少のフィラメントおよび張線維が部分的に視覚化された。対照的に、HcRed2A-タンデムタグを用いたアクチン構造のパターンは、EGFP-アクチンのパターンに非常に類似していた。線維、細胞表層(cellular cortex)および突起のHcRed2A-タンデム標識およびEGFP標識は、事実上区別がつかなかった。
【0120】
HEK293細胞におけるフィブリラリンと一緒に使用した単体HcRed2AタグおよびタンデムHcRed2Aタグの間の差異は、それほど明確ではなかった。HcRed2A-フィブリラリンは、大半の細胞において正確なパターンを示したが、細胞の約20%は、依然EGFP-フィブリラリン分布と対応していない、高レベルの細胞質赤色蛍光を示した。他方、事実上全ての二色標識された細胞は、HcRed2A-タンデムタグの場合に非常に類似した緑色および赤色蛍光シグナルを明らかにした。タンデムタグの二倍の大きさは、細胞における高レベルの発現、線維状アクチンの適切な折り畳み、および繊細なアクチン構造へのタグ付け、または融合タンパク質の核への輸送に対し、作用を及ぼさなかった。これらの結果を基に、本発明者らは、HcRed2A-タンデム構築物が、タンパク質のタグ付けにEGFPと同程度有用であると結論付けた。
【0121】
本発明者らは更に、この手法を3種の他の四量体赤色FPに適用した。一つはDsRed2であり、これは市販のDsRedの改良型(非凝集性および迅速な折り畳み)である。第二はHcRedであり、これは非蛍光色素タンパク質hcCPの最も近赤外の蛍光変異体である。第三のM355NAは、色素タンパク質asFP595(asCP)の非凝集性でかつ最も輝度のある赤色変異体である。これらのFPは、単体型およびタンデム型の両方において、β-アクチンに融合され、かつEGFP-アクチン対照と共に、L929細胞において発現された。予想されたように、3種全ての単体FPは、極めて高度の細胞質凝集を伴う局在化の明らかに不正確なパターンを示した(図7)。対照的に、FP-タンデムタンパク質は、線維状アクチン構造に適切に標識された。後者の場合、アクチンフィラメントとバックグラウンドの細胞質シグナルとの間の標識の程度およびコントラストは、EGFP-アクチン画像のそれよりも依然低かったが、アクチン構造の主なパターンは明確に識別可能であった。一部の非特異的凝集形成は、3種全てのFPタンデムにおいて追加的に観察された。
【0122】
大腸菌において発現された組換え型DsRed2-タンデム、M355NA-タンデムおよびHcRed-タンデムタンパク質は、ゲルろ過実験において、それらの親の単体と区別がつかなかった(それらは四量体として移動した(データは示していない))。このことは、各タンデムタンパク質分子が、共有結合で連結された二つのFPバレルからなる分子内「二量体」を形成し、これらの二量体の二つが「四量体」構造へと結合することを示している(図6C)。結果的に、これらのタンデムタンパク質は、二量体タグとして挙動する。これは、タンパク質標識において、DsRed2、M355NAおよびHcRedタンデムが単体に勝ることの主な理由でありうる。
【0123】
本発明者らは、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)適用の重要性を考慮し、EYFPとHcRed2A-タンデムタンパク質の間のFRETを証明するために、単純なモデル系を使用した。三重融合体HcRed2A-タンデム-EYFPをコードし、かつ第二のHcRed2AとEYFPの間のリンカー内にXa因子プロテアーゼ切断部位を含む、pQE30を基にしたプラスミドを構築した。本発明者らは、異なる色のGFP変異体の対に関して十分に証明された例と同様、FRET消失(elimination)によって、Xa因子消化に応じたスペクトルの変化を検出することを予想した。実際、精製された融合構築物のXa因子とのインキュベーションにより、528nmでの黄色放出ピークの漸増、および625nmでの等吸収点を伴う650nmでの赤色放出の同時減少を導いた。プロテアーゼ消化は、黄色蛍光の80%の増加および赤色蛍光の30%の減少を生じた。供与体対受容体の蛍光の比は2.5倍まで変化し、これは他のFP対の間のFRETレベルに匹敵していた。
【0124】
本発明者らの結果は、新規近赤外HcRed2A-タンデムが、GFPおよびその変異体と同様に、多くのバイオテクノロジー適用および細胞生物学適用において首尾良く使用され得ることを示している。この近赤外タグは、融合構築物の高度の細胞質凝集のために単体赤色FPタグでは不可能である、融合タンパク質の多色タグ付けの可能性を秘めている。本発明者らの結果は、タンデム連結は、他の赤色四量体FPの標的化も改善することを示している。二重標識に使用されるGFP変種間の鮮明なスペクトルの差のため、赤色M355NA-タンデムまたはDsRed2-タンデムと共に近赤外HcRed2A-タンデムを追加導入することにより、潜在的に四色の適用を可能にするはずである。
【0125】
加えて本発明者らのデータは、他のFP供与体、例えばEYFPのためのFRET受容体としてのHcRed2A-タンデムの利用を証明している。このことは、インビボにおけるプロテアーゼ活性およびタンパク質-タンパク質相互作用を研究するため、ならびに細胞内センサーを作出するための、より深部の組織に浸透可能な近赤外FRETベースアッセイ法の開発における、その用途を支持している。更に、GFP変種に加え、赤色M355NAおよび近赤外HcRed2Aタンデムの放出および励起スペクトルの重ね合わせ(overlay)により、単独の生存細胞における二つの独立したFPのFRET対の同時使用を可能にするはずである。
【0126】
C. 結論
前記実験において、本発明者らは、共有結合により連結された二つの同一の赤色FPを非オリゴマー化融合タグとして使用することにより、オリゴマー化の問題点を克服する戦略を用いた。本発明者らは、この方法を二量体近赤外蛍光タンパク質HcRed2A(590/640nmの放出/励起)に適用し、かつ微細な細胞骨格構造および小さい核小体のインビボ標識におけるその優位性を証明した。得られた標識パターンは、一般に使用される類似の強化型GFP(EGFP)融合構築物により作成されたものと区別がつかなかった。この戦略の四量体赤色FP(DsRed2を含む)への適用は、融合タンパク質の非特異的凝集を有意に低下し、かつ細胞内局在化を大きく改善した。これらのFP-タンデムタグの蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の受容体としての使用の可能性は、プロテアーゼアッセイにおける、強化型黄色GFP変異体(EYFP)およびHcRed2A-タンデムFRET対の放出比の、2.5倍の変化により証明された。HcRed2A-タンデムは、高度にオリゴマー化するDsRed変種の主な欠点を欠き、かつ多種多様な用途において単量体GFP変異体として安全に使用することができる、最初の赤色蛍光タグであり、特有の近赤外色を提供する。
【0127】
本発明が、様々な異なる適用において有益である、色素/蛍光タンパク質をコードする重要な新規変異体核酸構築物を提供することは、前記考察および結果から明らかである。本発明の核酸構築物は、多くの異なる利点を提供する。例えば、本発明の核酸が、融合タンパク質の作出において使用される場合、この融合部分は、予測可能なオリゴマー構造を産生する蛍光タンパク質でタグ付けされ、その結果タンパク質レベルに対する正確なシグナルを測定することができる。このように、本発明は、当技術分野への有意な貢献を示している。
【0128】
この明細書中に引用された全ての刊行物および特許出願は、あたかも個々の出版物または特許出願が各々参照として組み込まれると特別に個々に示されたかのごとく、参照として本明細書に組み込まれる。任意の出版物の引用は、出願日より前の開示のためであり、本発明が、先行発明のためそのような刊行物に先行している権利を有しないことの承認として解釈されるべきではない。
【0129】
以上、本発明を、理解の明確のため、例示および具体例によってある程度詳細に記載したが、本発明の教示を考慮することにより、添付の請求請求の範囲の本旨または範囲から逸脱することなく、ある種の変化および修飾が、本発明に対してなされ得ることは、当業者には容易に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明のCr-449-タンデム態様のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を提供する(単量体間のアミノ酸4個のリンカーを二重下線で示す)(配列番号:01および02)。
【図2】本発明のCr-449-タンデム-アクチン態様のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を提供する(Cr-449単量体間のアミノ酸4個のリンカーを、二重下線で示し;第二のCr-449とアクチン間のアミノ酸4個のリンカーを破線で示す)(配列番号:03および04)。
【図3】本発明のHcRed-Cr1-タンデム態様のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を提供する(単量体間のアミノ酸4個のリンカーを二重下線で示す)(配列番号:05および06)。
【図4】本発明のAsRed 35-5 NA-タンデム態様のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を提供する(単量体間のアミノ酸4個のリンカーを二重下線で示す)(配列番号:07および08)。
【図5】図5は、本発明のAsRed 35-5D-タンデム態様のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を提供する(単量体間のアミノ酸4個のリンカーを二重下線で示す)(配列番号:09および10)。
【図6】図6Aから6Cは、使用された構築物の概略図である。(6A)標的タンパク質に融合されたタンデムFPのコード領域の概略である。黒長方形は、FPを示し、白長方形は標的タンパク質を示す。短い線は、第一のFP、第二のFPおよび標的タンパク質の間のリンカーに相当している。これらのリンカーのアミノ酸配列を下に示す。(6B)融合構築物における二量体FPの起こりうる挙動を示している。黒丸は、折り畳まれたFP分子を示すが、白四角は、折り畳まれた標的タンパク質分子を示す(その他の図の記号は6Aに示されている)。単体タグの場合、分子間FP二量体化によって、二つの標的タンパク質分子が強制的に隣接させられる。対照的に、タンデム型のFPは、分子内二量体を形成し、従って単量体タグとみなされる。(6C)融合構築物内の四量体FPの起こりうる挙動を示す。図の記号はAおよびBに示されている。単体タグの分子間四量体化は、4個の標的分子を非常に隣接させる。対照的に、タンデムタグについては、各「四量体」(二量体の二量体)は、2つの標的タンパク質のみを含む。
【図7】L929線維芽細胞において発現された様々なβ-アクチン融合構築物の比較である。

Claims (17)

  1. 連結ドメインによって任意に結合される第一および第二の色素/蛍光性ドメインを含む、ポリペプチド産物をコードする核酸であって、該コードされたポリペプチドが三次構造をとるように、該第一および第二の色素/蛍光性ドメインが細胞内条件下で互いに会合する核酸。
  2. 第一および第二の色素/蛍光性ドメインが、オリゴマー産生ドメインである、請求項1記載の核酸。
  3. 色素/蛍光性ドメインが、刺胞動物種由来の色素タンパク質もしくは蛍光性タンパク質、または刺胞動物種由来の色素タンパク質もしくは蛍光性タンパク質の変異体である、請求項2記載の核酸。
  4. 刺胞動物種が、非生物発光性刺胞動物種である、請求項3記載の核酸。
  5. 非生物発光性刺胞動物種が、花虫綱種である、請求項4記載の核酸。
  6. 核酸が、非色素/蛍光性タンパク質ドメインに融合された第一および第二の色素/蛍光性ドメインの融合タンパク質をコードする、請求項1記載の核酸。
  7. ベクターおよび請求項1記載の核酸を含む構築物。
  8. (a)発現宿主内で機能的な転写開始領域;
    (b)請求項1記載の核酸;および、
    (c)該発現宿主内で機能的な転写終結領域
    を含む、発現カセット。
  9. 発現カセットの宿主細胞への導入の結果、染色体外要素の一部として存在するか、または宿主細胞ゲノムに組み込まれた、請求項8記載の発現カセットを含む細胞、またはその子孫。
  10. 第一および第二の色素/蛍光性ドメインを含むポリペプチド産物を産生する方法であって、請求項9記載の細胞を増殖させ、これにより該ポリペプチド産物が発現される段階を含む方法。
  11. 請求項1記載の核酸によりコードされるタンパク質またはその断片。
  12. 請求項11記載のタンパク質に特異的に結合する抗体。
  13. 請求項1記載の核酸である導入遺伝子を含む、トランスジェニック細胞またはその子孫。
  14. 請求項1記載の核酸である導入遺伝子を含む、トランスジェニック生物。
  15. 色素または蛍光性タンパク質を利用する適用において、請求項11記載のタンパク質を利用する段階を含む改良。
  16. 色素または蛍光性タンパク質をコードする核酸を利用する適用において、請求項1記載の核酸を利用する段階を含む改良。
  17. 請求項1記載の核酸を含むキット。
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