JP2005507410A - Bcr/ablキナーゼ活性のATP競合的阻害剤とチロホスチンアナログとの組合せ剤 - Google Patents
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Abstract
本発明は(a)bcr/ablキナーゼ活性のATP−競合的阻害剤と(b)チロホスチンアナログとの組合せ剤;およびbcr/abl関連疾患を処置するためのこの組合せ剤または製品の使用;に関する。
Description
【0001】
本発明は;(a)bcr/ablキナーゼ活性のATP−競合的阻害剤および(b)チロホスチン(tyrphostin)アナログの組合せ剤;医薬的に許容される担体材料とともに(a)および(b)を含む医薬調製物;同時的、時間をずらして、および/または個別的またはそのいずれかの組合せ、による使用またはその組合せのいずれかのために前記定義の(a)および(b)および所望により医薬的に許容される担体材料を含む製品;bcr/abl−関連疾患を処置するための組合せ剤または製品の投与または使用;および/またはbcr/abl関連疾患処置用の薬剤を製造するための組合せ剤または製品の使用;に関する。
【0002】
本発明の背景
米国では毎年CMLの新症例が約4500も報告されている。この症例のほとんど大部分では特性的なt(9;22)転座はbcr遺伝子の5' 末端をabl遺伝子の3'末端に近接させ、独特な210kDaの融合プロテインp210bcr/abl2−5を与える。この構成的に活性な細胞キナーゼはマウスの線維芽細胞および造血細胞系統を形質転換できるのみならず、マウス骨髄に形質導入するとCMLに類似の慢性骨髄増殖性疾患も起こす。このp210bcr/abl誘導形質導入はRas−Raf経路およびホスファチジルイノシトール−3キナーゼ/Akt経路を含む多重シグナル伝達経路、ならびに転写5の(Stat5)および核ファクターκBのシグナルトランスデューサおよびアクティベータによって媒介される転写の活性化を包含すると思われる。結論として、これらのシグナルトランスダクション事象はBcl−XL、アポトーシス蛋白質のX−結合阻害剤(XIAP)およびサーバイビン(survivin)を含む、各種アポトーシス刺激に対するp210bcr/abl発現細胞の抵抗性に寄与する抗アポトーシス蛋白質の上方制御を起こす。
【0003】
最近までシタラビン存在下または不存在下におけるヒドロキシ尿素、α―インターフェロンの使用または幹細胞移植を含むCMLに対する処理選択は、患者の非耐容性またはこの疾患の自然史上に効果がない故に不満足なものであった。CML症例の大部分におけるp210bcr/ablキナーゼの存在とCMLの病因にこのキナーゼが関与する事実との組合せはこの融合プロテインをCML指向性治療法の興味ある標的とした。以前の研究で多くのp210bcr/ablキナーゼ阻害剤が確認されている。
【0004】
最も広範に研究されたp210bcr/abl阻害剤はSTI571 (旧名CGP57148)である。このATP結合部位指向性薬剤STI571はたとえば米国ではGleevec(登録商標)の商品名で既に市販されている。この薬剤はp210bcr/ablのATP結合ポケットを占拠し、不活性なコンホメーションにあるキナーゼを安定化する可逆的阻害剤である。前臨床試験でSTI571はまたc−abl、血小板由来増殖因子受容体、およびc−kit受容体のキナーゼ活性を阻害することが証明された。第I相試験で、STI571は慢性期のCMLには見事な活性を示すが、p190bcr/ablを発現する急性リンパ球性白血病およびCMLのブラストクライシス期に対しては活性が弱いことが示された。STI571を単独でまたは通常の細胞傷害性薬剤および組合せで用いる追加的前臨床試験および臨床試験が現在進行中である。
【0005】
プロテインキナーゼを阻害する別な手法には、ATPではなくペプチド基質の結合を変える低分子の使用を含む。一般的にチロホスチンと命名される、化学的には多様な群に属する薬剤が合成され、様々なチロシンキナーゼの阻害剤候補として評価された(Levitski, FASEB J. 6: 3275-3282 (1992) 参照)。以前にチロホスチンAG957が免疫コンプレックスキナーゼ検定法でp210bcr/abl活性を阻害し、および未処置細胞ではp210bcr/ablの自己燐酸化の減少を起こし、続いてbcr/ablが分解することが発見されている。
【0006】
AG957もアダプタープロテインc−cblのT細胞受容体媒介燐酸化も阻害することが発見されており、bcr/abl以外のキナーゼも影響されているかもしれないことが示唆されている。bcr/abl形質転換細胞系統に対する絶対的特異性の欠如に拘らず、AG957は正常骨髄前駆細胞と比べてCML前駆細胞の増殖を選択的に阻害することが観察されている(Carlo-Stella et al., Blood 93: 3973-3982 (1999) およびSvingen et al., Clin. Cancer Res. 6: 237-49 (2000) 参照)。後続する動物試験からAG957の血中半減期が非常に短いことが判明した(S. Stinson, V.L. Narayanan and E. A. Sausville 未公表)。一連のAG957アナログの試験からアダマンチルエステルであるアダホスチン(adaphostin)(NSC680410)がインビトロでの高力価(Svingen et al., loc. cit. 参照)およびインビボで血中半減期が長い(S. Stinson, V.L. Narayanan and E. A. Sausville 未公表)ことが確認された。アダホスチンはbcr/ablキナーゼ阻害剤としての評価が現在続行されているチロホスチン誘導体である。
【0007】
いずれかの活性成分に対する耐性発生の可能性を考慮すれば、未だに患者の最適な処置を可能にする新処置計画の確認ならびに新処置法の確認は主目標である。
【0008】
本発明の一般的記載
驚くべきことに(a)bcr/ablキナーゼ活性のATP競合的阻害剤と(b)チロホスチンアナログとの組合せ剤は、各々が相互に効果に対する影響が可能な短い時間間隔内に投与すれば、bcr/abl関連疾患の処置では相乗的および/または非交差耐性的効果さえも可能であることが発見された。
【0009】
本発明は最初にbcr/abl関連疾患に関して有益な効果を起こす戦略2種の結合を示す。本明細書に定義する組合せ剤の効果は、ここに定義する(a)および(b)の組合せ相手単独のいずれかで達成できる効果よりも特に大きい、すなわち組合せ相手(各成分)の一方のみを使用する単剤治療の効果よりも大きい。
【0010】
ある状況下では、作用機構が全く異なる薬剤を組合せてもよい。しかし、作用機構が異なる薬剤の組合せを考慮するだけでは必ずしも有益な効果をもつ組合せ剤が得られるとは限らない。
【0011】
bcr/abl関連疾患の処置における成分(a)と成分(b)との組合せ剤の効果は全く驚くべきことである。成分(a)も成分(b)も共にbcr/ablキナーゼ活性の阻害剤である;しかしながら本発明の結果は両成分が下流の異なる事象を触発することおよび両成分が組合せ剤によって相互に作用を強化する様式で作用できることを示唆する。
【0012】
さらなる利点は下記本発明の組合せ剤における各活性成分が低用量で使用されることである。たとえば用量は必ずしも低いことが必要なばかりでなく、また回数が少なくてもよく、または副作用発生率を低下させるようにも適用できる。これは、処置される患者の要望と必要性に従うものである。
【0013】
本発明の組合せ剤は特に相乗的治療効果(たとえばbcr/abl関連疾患の形成低速化、休止または逆転、または形成期間長期化など)のみならず、本発明の組合せ剤に使用する医薬的活性成分の一方のみを使用する単剤投与と比べてさらに驚くべき有益な効果(たとえば副作用減少、生活の質の向上および死亡率および罹病率低下など)も示す。
【0014】
本発明の詳細な記載
本発明は(a)bcr/ablキナーゼ活性のATP−競合的阻害剤および(b)チロホスチンアナログの組合せ剤に関する。
【0015】
さらに別な側面では、本発明は直前の節に前記した(a)および(b)を医薬的に許容される担体材料と組合せて含む医薬調製物に関する。
【0016】
本発明はまた、同時的、時間をずらして、および/または個別的、またはそのいずれかの組合せによる使用のための、前記(a)および(b)ならびに所望により医薬的に許容される担体材料を含む製品(商業的)に関する。
【0017】
本発明はまたbcr/abl関連疾患の処置用に(a)と(b)との組合せ剤または(a)および(b)を含む前記製品の投与方法または使用方法に関し;および/またはbcr/abl関連疾患の処置に用いる薬剤製造のための前記組合せ剤または製品の使用;に関する。
【0018】
これに加えて、本発明は特にbcr/abl関連疾患の処置において本明細書に定義する成分(b)と同時的、時間をずらしておよび/または個別的またはそのいずれかの組合せによる使用のための本明細書に定義する成分(a)またはその逆に本明細書に定義する成分(a)との組合せによる使用のための成分(b);特に包装品中にある前記成分およびこのような組合せ剤を示唆する記載(たとえば中入れ説明書)とともにある前記成分に関する。
【0019】
本明細書で使用する一般的用語は、好ましくは別段の指摘がない限り、本明細書の文脈内で以下の意味を有する:
【0020】
成分(a)および(b)としては、以下は非常に好適である:
成分(a):bcr/ablキナーゼ活性のATP−競合的阻害剤は好ましくは低分子量(Mr<1500)阻害剤bcr/ablキナーゼであって、特にp210bcr/abl210kDa融合プロテインまたはその医薬的に許容される塩、特に2−フェニルアミノピリミジン類、好ましくはEP0564409に記載の化合物、好ましくは(N−(5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミン、特にそのメタンスルホネート(モノメシレート)塩(STI571)の型におけるもの;または2−チオフェンキノキサリン類に属するもの、好ましくは6,7−ジメトキシ−2−チオフェン−3−イル−キノキサリン、特に塩酸塩型(RPR 101511A)である。
【0021】
bcr/ablキナーゼの阻害は当業者に知られた方法に従って判定できる(たとえばNature Medicine 2: 561-566 (1996) またはGombacorti et al., Blood Cells, Molecules and Diseases 23: 380-394 (1997) 参照)。
【0022】
成分(b):チロホスチンは好ましくは低分子量(Mr<1500)化合物またはその医薬的に許容される塩、特にベンジリデンマロンニトリル類またはS−アリールベンゼンマロンニトリルまたは二基質キノリン類の化合物から選択される化合物(Levitzki, FASEB J. 6: 3275-82 (1992)参照)であって、特にチロホスチンA23/RG−50810;AG99;チロホスチンAG213;チロホスチンAG1748;チロホスチンAG490;チロホスチンB44;チロホスチンB44(+)エナンチオマー;チロホスチン AG555;AG494;チロホスチンAG556(Levitsky et al., TiPS 12: 171 (1991);Ohmichi, Biochem. 32: 4650 (1993);Gazit et al., J. Med. Chem. 32: 2344;Levitski et al., Science 267: 1782 (1995);Gazit et al., J. Med. Chem. 39: 4905 (1996);Gazit et al., J. Med. Chem. 34: 189 (1991);Wang et al., J. Immunol. 162: 3897 (1999)参照)からなる群から選択されるいずれかの化合物、および好ましくは式:
【化1】
で示されるAG957および最も好ましくは式:
【化2】
で示されるアダホスチンすなわち4−{[(2,5−ジヒドロキシフェニル)メチル]アミノ}−安息香酸アダマンチルエステル(NSC 680410)、またはそれらの塩(各記載化合物の場合)である。
【0023】
各成分は遊離形または塩形(好ましくは医薬的に許容される)で存在してもよく、たとえば塩基性塩形成基が存在する場合(たとえばアミノまたはイミノまたはフェノールのヒドロキシ)、たとえば有機または無機酸(たとえば塩化物またはメシレートなど)の酸付加塩として;酸性基(たとえばカルボキシまたはスルホ)が存在する場合、金属塩(たとえばアルカリ金属)または4級アンモニウム塩(たとえば4級ブチルアンモニウム塩)の形で;または塩基性と酸性基とが存在する場合、分子内塩または混合塩;を含む。なお、成分に言及する時には常に遊離型および/または塩型が意図されている。組合せ相手(a)または(b)またはその医薬的に許容される塩は、水和物の形でまたは結晶化に使用した他の溶媒を含んだ形で用いてもよい。N−(5−「4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド」−2−メチルフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンは、組合せ相手(a)としては本発明では、好ましくはモノメシレート塩(STI571)の形で使用される。
【0024】
成分(a)、特にN−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンおよび成分(b)、特にアダホスチンを含み、活性成分が互いに独立に遊離型または塩(好ましくは医薬的に許容される)の型で存在し、および所望により少なくとも一種の医薬的に許容される担体を有し、および共に組合せ調製物の一部であるかまたは別な製品(たとえばキットの部品という意味で)の一部である組合せ剤を本明細書では「本発明の組合せ剤」と称する。
【0025】
組合せ相手(a)はEP0564409に記載のようにして製造し、投与できる。好ましくはWO 99/03854に記載のように特にN−(5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンのモノメシレート塩はWO99/03854の実施例4および6に記載のようにして製剤化できる。
【0026】
成分(a)および成分(b)に加えて、他の抗新生物剤との組合せ剤が可能である。本明細書では用語「抗新生物剤」はこれに限定するものではないがアロマターゼ阻害剤、たとえばレトロゾール、抗エストロゲン、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、微小管活性化剤、たとえばパクリタキセル、タキソテル、エポチロンAまたはB、アルキル化剤、たとえばサイクロホスファミド、抗新生物抗代謝剤、白金化合物、プロテインキナーゼ活性低下化合物およびさらに抗血管形成化合物、ゴナドレリンアゴニスト、抗アンドロゲン、ビスホスフォネートおよびトラスツズマブ(trastuzumab)を含む。
【0027】
成分(a)および(b)ならびにもしも存在すればさらに抗新生物剤の同様に対応する立体異性体ならびに対応する結晶形変異体、たとえば溶媒和物および結晶多形も含める。
【0028】
bcr/abl−関連疾患は特にbcr/abl−陽性の増殖性疾患、特に癌および腫瘍、特に白血病、たとえば慢性骨髄性白血病(CML)および急性リンパ母細胞性白血病(ALL)であり、ここではアポトーシスに基づく影響が見られ、さらにまた神経膠腫、肉腫、卵巣腫瘍、その他、白血病幹細胞の副母集団に影響を示し、およびそのような細胞を体外に取り出した後(たとえば骨髄除去)にインビトロで精製し、続いて癌細胞から精製した細胞を再移植(たとえば精製骨髄細胞の再移植)する可能性を示す。
【0029】
成分(a)および(b)の組合せ剤には単一成分に比べて高い効率が標準的方法で観察される。
【0030】
特に実施例1には、アポトーシス誘導の増加を判定できる方法を説明するが、ここでは単一成分に比べて組合せ剤での効率の高さを示す−これらの方法は各実施例に示すもの以外の様々な成分(a)および(b)にも使用できる。
【0031】
さらにbcr/abl−関連疾患、特に対応する増殖性疾患の処置における本発明の組合せ剤の効率を示すために動物(たとえばブタ、ミニブタ、ヒヒ、ラット、ウサギおよび特にマウス)を使用できる。たとえば、本組合せ剤の抗増殖活性、特に抗腫瘍活性および抗白血病活性は下記の実験を用いて証明できる。
【0032】
インビボ抗腫瘍活性は以下を用いて試験する:Balb/c−AmuLV−A6R1(ATCC:TIB90)、c−sisおよびv−sis形質転換BALB/c3T3細胞系統またはヒトエストロゲン依存性乳癌MCF−7(ATCC:HTB22)またはZR−75−1(ATCC:CRL1500);エストロゲン非依存性乳癌MDA−MB468(ATCC:HTB132)またはMDA−MB231(ATCC:HTB26);結腸癌Colo205(ATCC:CCL222);神経グリア芽細胞腫U−87MG(ATCC:HTB14)またはU−373MG(ATCC:HTB17);小細胞肺癌NCI−H69(ATCC:HTB119)およびNCI−H209(ATCC:HTB172);肺癌NCI−H596(ATCC:HTB178);メラノーマHs294T(ATCC:HTB140)またはA375(ATCC:CRL1619);卵巣癌NIH−Ovcar3(ATCC:HTB161);ならびに前立腺癌DU145(ATCC:HTB81)またはPC−3(ATCC:CRL1435); 膀胱癌T24(ATCC:HTB4);上皮癌KB31;または(特に白血病に関し)K562細胞(アメリカンタイプカルチャーコレクション、ATCC, Mannassas, VA);またはヒトCFU−G細胞(CFU−Gは顆粒球コロニー形成単位を意味し、血流中循環する早期に関係する顆粒球形成前駆体細胞または骨髄の前駆体細胞を示す)を各々雌性または雄性のBalb/cヌードマウスに移植する。
【0033】
腫瘍または白血病は担癌させるマウス(たとえば細胞系統当り4〜8マウス)に細胞(燐酸緩衝生理食塩水100mL中最低2×106細胞)を皮下注射して得られる。得られる腫瘍を処置開始前に順次に少なくとも3回移植する。腫瘍断片(各約25mg)を13ゲージ套管針によってForene(Abbott, スイス)麻酔下に動物の左脇腹部に皮下注射して移植する。これに加えてエストロゲン依存性腫瘍を移植したマウス全てにエストロゲンのペレット(エストラジオールSigma5mg入り医用1.0cmチューブ Dow Chemicals)を与える。この処置は常用的に(すなわち低いかまたは中間の腫瘍大きさ)腫瘍が平均直径100mm3に達したらすぐに開始する。腫瘍の増殖は毎週1回、2回または3回(細胞系統の腫瘍増殖度に依存して)および処置終了から24時間後に垂直直径を測定する。腫瘍容積は式:L×D×p/6で算出する(Evans, B.D., Smith, I.E., Shorthouse, A.J. and Millar, J.J., Brit. J. Cancer, 45: 466-468, 1982参照)。
【0034】
抗腫瘍活性はT/C%(処置動物の腫瘍容積増加平均に対する対象動物の腫瘍容積増加平均の商の100倍)で示す。腫瘍退縮(%)は処置開始時の平均腫瘍容積に比べた最小平均腫瘍容積を示す。腫瘍直径が1.5〜2cm3以上に達したら各動物を屠殺する。各成分は既知の計画に従って投与する。たとえば成分(a)は2〜7週間毎日経口的(p.o.)または静脈内(i.v.)に投与する。
【0035】
成分(b)の投与計画の例示(限定目的でない)は毎日5日間投与および/または1日、4日および9日目に投与し、一定期間の休薬後任意に反復するものである。あるいは、毎日数回(たとえば2〜5回)の処置またはたとえば前節に記載した時点での継続投与(たとえば点滴)による処置が可能である。一般に、投与は経口的または非経口的に行う。
【0036】
被験化合物は好ましくは水または滅菌0.9%食塩水で希釈する。
【0037】
ヒト腫瘍細胞系統は別段の指摘がない限り、全てATCC(Rockville, MD., USA)から入手し、別段の指摘がない限り、示唆した培地に対応する添加剤(ATCC culture conditions)を加えて培養する。c−sisおよびv−sisで形質転換したBALB/c3T3細胞はC. Stiles博士(Dana Farber Cancer Institute, Boston, MA, USA)から入手した。これを「ダルベッコの修正イーグル培地(DMEM)」に10%ウシ血清および0.2 mg/mL濃度のハイグロマイシンBまたは0.5mg/mL濃度のG418を添加して培養する。BALB/cAMuLVA.6R.1細胞(ATCC)を10%ウシ胎仔血清添加DMEM中に維持する。
【0038】
担腫瘍動物の末梢白血球数と脾臓および胸腺重量とから白血病の状況を評価する。
【0039】
「本発明の組合せ剤」が組合せ相手単独で観察される効果に比べてさらに効果的なbcr/abl−関連疾患の進行遅延または処置が起きることは樹立した試験モデルによっておよび特に本明細書記載の試験モデルによって証明できる。当業者は本明細書に示す治療処方および有益な効果を証明するための関連試験モデルを選択できる。「本発明の組合せ剤」の薬理的活性はたとえば臨床研究または本明細書に本質的に記載する操作の試験によって証明してもよい。
【0040】
適当な臨床試験はたとえば慢性骨髄性白血病(CML)患者におけるオープンラベル、非乱数化、容量漸増試験である。特にそのような研究は「本発明の組合せ剤」の活性成分に認められる相乗性を証明できる。増殖性疾患に対する有益な効果はこれらの研究の結果によってまたはそれ自体当業者に知られている研究計画の変更によって直接判定できる。このような研究は、「本発明の組合せ剤」の活性成分を用いる単独治療の効果と比較するために特に適する。好ましくは組合せ相手(a)を固定用量で投与し、および組合せ相手(b)の用量を最大耐容用量まで増加させて行う。本研究の好適な態様では各患者に組合せ相手(a)の日用量を投薬する。腫瘍の治療効果はたとえば18週または24週間の研究では6〜16週毎に腫瘍の放射線評価を行って判定できる。この処置のCMLに対する効果はそのような研究で血液学的反応、細胞遺伝学的および分子的反応についてたとえば血液および骨髄を試験することによって判定できる。
【0041】
あるいは、プラセボを対照とする二重盲検を用いて本明細書に示す「本発明の組合せ剤」の有利性を証明できる。
【0042】
本明細書に使用する用語「進行の遅延」は処置すべき疾患の前段階または早期にある患者に組合せ剤を投与することを意味する。たとえば対応する疾患の前型が診断された患者に組合せ剤を投与することまたはその患者がたとえば医学的処置中の病状にあるか、または偶然にも対応する疾患の進行が疑われた患者に組合せ剤を投与することである。
【0043】
「本発明の組合せ剤」は、組合せ医薬調製物または医薬組成物であり得る。
【0044】
この発明の特異的態様の一つは増殖性疾患または急性または慢性の移植拒絶に対して、共同して治療的に有効な量の「本発明の組合せ剤」を含む医薬組成物によって代表される。この組成物では組合せ相手(a)および(b)は一緒に、互いに前後してまたは別々に1個の単位用量剤型または2個の別々な単位用量剤型として投与できる。これらの単位用量剤型は固定した組合せ剤であってもよい。
【0045】
本発明の組合せ相手(a)および(b)の個別的投与のためのおよび本発明の少なくとも2種の組合せ相手(a)および(b)(活性成分)を含む単一ガレヌス組成物の固定的組合せ剤における投与のための医薬組成物はそれ自体公知の方法で製造でき、これらは少なくとも一種の薬理学的組合せ相手単独の治療的有効量を含むか、または医薬的に許容される担体1種またはそれ以上を有する組合せ剤、特に経口的または非経口的適用に適する担体と組合せて消化管経由たとえば経口的にまたは直腸経由でおよび非経口的にヒトを含む哺乳類(温血動物)に投与される。
【0046】
新規医薬組成物は、たとえば約10%から約100%、好ましくは約20%から約60%までの活性成分を含む(「約」は本開示では好ましくは±5%、特に±0%を示す)。組合せ剤療法のための経口用または非経口投与用医薬調製物はたとえば糖衣錠、錠剤、カプセル剤または坐剤およびさらにアンプル剤のような単位用量剤型である。別段の指摘がない限り、これらはたとえば通常の混合、顆粒化、糖衣、溶解または凍結乾燥工程など公知の様式で製造できる。複数の用量単位を投与すれば必要な有効容量は達成できるので各用量剤型の個々の用量に含まれる組合せ相手の単位含有量それ自体が有効用量を構成する必要はないことは認識されるであろう。
【0047】
特に、「本発明の組合せ剤」において組合せ相手の各治療的に有効な量は同時的にまたは逐次的におよびいかなる順序で投与してもよく、および各成分は別々にまたは固定の組合せ剤で投与してもよい。たとえば進行遅延方法または増殖疾患の処置および/または本発明による急性または慢性の移植拒絶は、(i)遊離型または医薬的に許容される塩型の組合せ相手(a)の投与;および(ii)同時的にまたはいかなる順序でもよいが逐次的に共同して治療的に有効な量、好ましくは相乗的に有効な量、たとえば前記の量に対応する日用量で遊離型または医薬的に許容される塩型の組合せ相手(b)の投与;を含んでいてもよい。「本発明の組合せ剤」の各組合せ相手は単一なまたは分割された組合せ剤として治療過程中の別の時点で個別的にまたは同時的に投与できる。さらに、用語「投与」はまた生体内で組合せ相手自体に変換される組合せ相手のプロドラッグの使用も含む。それ故、本発明は同時的なまたは交互的な処置の全ての投薬計画を含むと理解さるべきであり、用語「投与」はそのように解釈すべきである。
【0048】
「本発明の組合せ剤」に採用する各組合せ相手の有効用量は採用する特定化合物または医薬組成物、投与形態、処置する病状、処置する病状の重症度に依存することもある。そこで「本発明の組合せ剤」の用量計画は投与経路および患者の腎臓および肝臓機能を含む各種の因子に従って選択される。通常に熟練した医師、臨床医、または獣医は容易に病状を予防し、逆転し、または病状の進行を休止させるために必要な活性成分の有効量を判定し、処方できる。最適な正確さで毒性なしに有効性を得る範囲内の活性成分の濃度を達成するには、標的部位への活性成分の利用能の動力学に基づく計画が必要である。
【0049】
成分(a)、特にN−(5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミン・モノメシレートは好ましくは約2.5〜850mg/日、さらに好ましくは5〜600mg/日および最も好ましくは20〜300mg/日の範囲内の用量で温血動物、特にヒトに投与する。本明細書に別段の記載がない限り、本化合物は好ましくは毎日1回から4回投与する。
【0050】
成分(b)、特にアダホスチンは、好ましくは約1〜6000mg/日、さらに好ましくは25〜5000mg/日および最も好ましくは50〜4000mg/日の範囲内の用量で温血動物、特にヒトに投与される。本明細書に別段の記載がない限り、本化合物は好ましくは毎日1回から5回、特に1回から4回投与される。
【0051】
単位用量剤型は所望の担体材料のほかに成分(a)または(b)または(固定組合せ剤の場合)(a)および(b)を前二節に示した用量に等しいか、半分、三分の一、または四分の一量を含む。
【0052】
さらに、本発明は好ましくは前記のようにおよび進行の遅滞のための薬剤または疾患の処置のための「本発明の組合せ剤」によるbcr/abl関連疾患の進行遅滞または処置のための使用に関する。
【0053】
これに加えて、本発明は同時的、時間をずらして、または個別的(あまり好ましくはないが)、またはそのいずれかの組合せによる使用のために活性成分として前記(a)および(b)ならびに、所望により医薬的に許容される担体材料を含む製品(商業用)を提供する。
【0054】
「同時的」は成分(a)および(b)の双方を大体同時、好ましくは1分またはそれ以下の時間差内、特に直接的に同時に投与することを意味する。
【0055】
「時間をずらして」は好ましくは処置するヒトに未だ相互作用(好ましくは相乗的)すなわち共同して治療的に有効な作用を示せる時間間隔で両化合物を別々に与えられてもよいことを意味する。これに該当するかどうかは特に血中濃度に従って少なくとも一定時間は両化合物が処置するヒトの血中に存在することを示すことによって判定できる。
【0056】
「個別的」は好ましくは両化合物の測定可能な血中濃度の重複(同時的)が存在しないように成分(a)および(b)を投与することを意味する。
【0057】
「その組合せのいずれか」は好ましくは成分(a)および(b)を1時点で同時的に、続いて後の時点で1成分のみを投与すること、および後に別の成分または両成分の組合せ剤を、なお後の時点で、その他の時点に投与してもよいことなどを意味する。
【0058】
好適な態様では、製品(商業用)は同時的、時間をずらして、および/または個別的、またはそのいずれかの組合せによる使用に対する説明書とともにbcr/abl関連疾患の進行を遅滞させまたは処置するための活性成分として「本発明の組合せ剤」を含む商業用包装品である。
【0059】
本発明の方法は特にbcr/abl−関連疾患に罹患した温血動物、特にヒトを処置する方法、特に前記のように成分(a)特にN−(5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミン、および成分(b)特にアダホスチンをbcr/abl関連疾患に対して治療的に有効な量(特に共同して)で含み、および各成分は医薬的に許容される塩の形で存在してもよい組合せ剤を動物に投与する方法に関する。
【0060】
本明細書に参照する文献は、好ましくはその全体を、より好ましくは指摘した関連する文章に関して、参考のために引用するものである。
【実施例】
【0061】
以下の実施例は前記本発明を例示するがいかなる意味でも本発明の限定を意図するものではない。「本発明の組合せ剤」の有益な効果はまたそれ自体当業者に知られている別の試験法でも確認できる。
【0062】
実施例1
STI571とアダホスチンとの組合せ剤を用いる処理のK562細胞系統に対する効果
a)材料:アダホスチンは The Drug Synthesis and Chemistry Branch, Division of Cancer Treatment and Diagnosis, National Cancer Institute(Bethesda, MD)が合成した。STI571はNovartis Pharma AG (Basel, Switzerland)(WO 99/03854も参照)から入手した。両化合物をジメチルスルホキシドに溶解し、組織培養培地に1:1000まで希釈する。
【0063】
b)細胞:K562細胞(ATCC, Manassas, VA)を5%熱不活化ウシ胎仔血清、ペニシリンG100単位/mL、ストレプトマイシン100μg/mLおよびグルタチオン2ミリモル/L添加RPMI1640(培地A)で継代培養する。STI571耐性K562細胞(Weisberg et al., Blood 95: 3498-3505 (2000)参照)は0.5μM−STI571の存在または不存在下に培地Aに維持する。
【0064】
c)クロノゲニック検定:0.5×106K562細胞を含む培地A1mL量を希釈剤、STI571および/またはアダホスチン(下記参照)とともに指定時間インキュベーションし、100×gで5分間沈殿させ、希釈し、および0.3%(w/v)Bacto agar含有Pike and Robinson培地の35mm格子付プレートに塗布する。37℃で10〜14日間インキュベーションした後、>50細胞を有するコロニーを倒立位相差顕微鏡で計数する。
【0065】
臨床サンプルはThe US Department of Health and Human Services の施策に従って the Institutional Review Board of the Mayo Clinicが認定したプロトコルの下に研究する。正常対CMLCFU−Gに及ぼすアダホスチンおよびSTI571の効果を評価するために、正常ボランティアおよび治療歴のない同意した慢性相CML患者から、末梢血10mLを抗凝固剤にEDTAを用いて採取する。単核細胞(d=1.077g/cm3)をficoll-Hypaqueから収集し、段階グラジエントを20%(v/v)FBS(培地C)を加えたイスコーブ修正ダルベッコ培地中でアダホスチンまたはSTI571の増加する濃度を添加して1×106/mLの密度で24時間培養する。インキュベーション完了後、サンプルを200×gで10分間沈降させ、1×106/mLの濃度でG−CSF50ng/mL添加培地C中に再懸濁し、0.3%寒天に塗布し、7〜8日間インキュベーションする。細胞>32を有するコロニーを倒立位相差顕微鏡で計数する。
【0066】
d)アポトーシスに関連する形態変化の判定:
形態学的分析には、細胞を3:1(v:v)メタノール:酢酸で固定し、50%(v:v)グリセリン中1μg Hoechst 33258/mLで染色し、エピイルミネーションの下にZeiss Axioplan 顕微鏡を用いて検査する。200〜300細胞/サンプルをSvingen et al., Clin. Cancer Res. 6: 237-49 (2000) に記載のようにしてアポトーシス性変化(末梢クロマチンの縮合または核断片化)について記録する。
【0067】
e)結果:
K562細胞を指定濃度のアダホスチンとともに希釈剤または20μモル/LのSTI571の存在下で24時間インキュベーションする。インキュベーション完了後、細胞を洗浄し、0.3%寒天に塗布し、10〜14日間インキュベーション後、コロニー形成を評価する。結果は表(A)の(a)を参照。
【0068】
別の実験では(表(A)の(b)参照)細胞を指定濃度のSTI571とともにおよび5μモル/Lのアダホスチンの不存在または存在下で24時間インキュベーションする。インキュベーション完了後、コロニー形成能を前節記載のようにして評価した。
【0069】
表(A)の(c)ではK562細胞を下表に指定する濃度で希釈剤または10μモル/LのSTI571の存在下、インキュベーションし、固定し、およびアポトーシスによる形態学的変化を検査する。
【0070】
表(A)の(d)にはCML患者から得た循環単核細胞を20μモル/LのSTI571の不存在または存在下で、指定濃度のアダホスチンで24時間処理し、洗浄し、G−CSF50ng/mL添加0.3%寒天に塗布する。8日後、顆粒球コロニーを計数する。
【0071】
表(A)の(e)では(d)に記載の6個のサンプルについて実験を行った時に得られた要約を提供する。
【0072】
【表1】
データは指定の薬剤で処理した後の0.3%寒天に形成したコロニーの数と希釈剤で処理した後の0.3%寒天に形成したコロニーの数の比率×100で示す。
【0073】
【表2】
データは指定の薬剤で処理した後の0.3%寒天に形成したコロニーの数と希釈剤で処理した後の0.3%寒天に形成したコロニーの数の比率×100で示す。
【0074】
【表3】
データはSTI571の不存在または存在下に指定濃度のアダホスチンで処置後24時間に観察した形態学的にアポトーシスを起したK562細胞の百分率で示す。
【0075】
【表4】
データは指定の薬剤で処理した後の0.3%寒天に形成する顆粒球コロニー数と希釈剤で処理した後の0.3%寒天に形成するコロニー数との比率×100で示す。
【0076】
【表5】
顆粒球形成を50%阻害するに必要なアダホスチン濃度(IC50)は線形回帰を用いて表(A)(d)に類似のデータから判定する。
【0077】
STI571とアダホスチンとの間の相乗効果:元のK562細胞を様々なアダホスチン濃度で処理すると、分析した全てのアダホスチン濃度でSTI571の添加は抗増殖効果を強化する(表(A)、(a))。この強化はSTI571濃度2.5μモル/L(表(A)、(b))と低濃度でも明白である。さらに試験するとコロニー形成の強化された阻害は本組合せ剤による処理はいずれかの薬剤単独による処理と比べてさらに多い百分率の細胞にアポトーシスが誘導される(表(A)、(c))ことを反映することが判明する。
【0078】
追加実験はアダホスチンとSTI571との組合せ剤の効果はK562細胞に限定されないことを証明した。STI571を用いる処置は循環CML骨髄前駆体に対するアダホスチンの抗増殖効果も同様に強化した(表(A)、(d))。同様な効果は試験した患者6名中5名の骨髄前駆細胞でも得られる(表(A)、(e))。
【0079】
要約すると、この組合せ剤はどちらの薬剤単独(表(A)、(a)、(c))よりもずっと多くのK562細胞を殺菌する。これに加えてこの組合せ剤はCML−CFU−Gの増殖をどちらの薬剤単独よりも多く阻害する(表(A)、(e)、(f))。
本発明は;(a)bcr/ablキナーゼ活性のATP−競合的阻害剤および(b)チロホスチン(tyrphostin)アナログの組合せ剤;医薬的に許容される担体材料とともに(a)および(b)を含む医薬調製物;同時的、時間をずらして、および/または個別的またはそのいずれかの組合せ、による使用またはその組合せのいずれかのために前記定義の(a)および(b)および所望により医薬的に許容される担体材料を含む製品;bcr/abl−関連疾患を処置するための組合せ剤または製品の投与または使用;および/またはbcr/abl関連疾患処置用の薬剤を製造するための組合せ剤または製品の使用;に関する。
【0002】
本発明の背景
米国では毎年CMLの新症例が約4500も報告されている。この症例のほとんど大部分では特性的なt(9;22)転座はbcr遺伝子の5' 末端をabl遺伝子の3'末端に近接させ、独特な210kDaの融合プロテインp210bcr/abl2−5を与える。この構成的に活性な細胞キナーゼはマウスの線維芽細胞および造血細胞系統を形質転換できるのみならず、マウス骨髄に形質導入するとCMLに類似の慢性骨髄増殖性疾患も起こす。このp210bcr/abl誘導形質導入はRas−Raf経路およびホスファチジルイノシトール−3キナーゼ/Akt経路を含む多重シグナル伝達経路、ならびに転写5の(Stat5)および核ファクターκBのシグナルトランスデューサおよびアクティベータによって媒介される転写の活性化を包含すると思われる。結論として、これらのシグナルトランスダクション事象はBcl−XL、アポトーシス蛋白質のX−結合阻害剤(XIAP)およびサーバイビン(survivin)を含む、各種アポトーシス刺激に対するp210bcr/abl発現細胞の抵抗性に寄与する抗アポトーシス蛋白質の上方制御を起こす。
【0003】
最近までシタラビン存在下または不存在下におけるヒドロキシ尿素、α―インターフェロンの使用または幹細胞移植を含むCMLに対する処理選択は、患者の非耐容性またはこの疾患の自然史上に効果がない故に不満足なものであった。CML症例の大部分におけるp210bcr/ablキナーゼの存在とCMLの病因にこのキナーゼが関与する事実との組合せはこの融合プロテインをCML指向性治療法の興味ある標的とした。以前の研究で多くのp210bcr/ablキナーゼ阻害剤が確認されている。
【0004】
最も広範に研究されたp210bcr/abl阻害剤はSTI571 (旧名CGP57148)である。このATP結合部位指向性薬剤STI571はたとえば米国ではGleevec(登録商標)の商品名で既に市販されている。この薬剤はp210bcr/ablのATP結合ポケットを占拠し、不活性なコンホメーションにあるキナーゼを安定化する可逆的阻害剤である。前臨床試験でSTI571はまたc−abl、血小板由来増殖因子受容体、およびc−kit受容体のキナーゼ活性を阻害することが証明された。第I相試験で、STI571は慢性期のCMLには見事な活性を示すが、p190bcr/ablを発現する急性リンパ球性白血病およびCMLのブラストクライシス期に対しては活性が弱いことが示された。STI571を単独でまたは通常の細胞傷害性薬剤および組合せで用いる追加的前臨床試験および臨床試験が現在進行中である。
【0005】
プロテインキナーゼを阻害する別な手法には、ATPではなくペプチド基質の結合を変える低分子の使用を含む。一般的にチロホスチンと命名される、化学的には多様な群に属する薬剤が合成され、様々なチロシンキナーゼの阻害剤候補として評価された(Levitski, FASEB J. 6: 3275-3282 (1992) 参照)。以前にチロホスチンAG957が免疫コンプレックスキナーゼ検定法でp210bcr/abl活性を阻害し、および未処置細胞ではp210bcr/ablの自己燐酸化の減少を起こし、続いてbcr/ablが分解することが発見されている。
【0006】
AG957もアダプタープロテインc−cblのT細胞受容体媒介燐酸化も阻害することが発見されており、bcr/abl以外のキナーゼも影響されているかもしれないことが示唆されている。bcr/abl形質転換細胞系統に対する絶対的特異性の欠如に拘らず、AG957は正常骨髄前駆細胞と比べてCML前駆細胞の増殖を選択的に阻害することが観察されている(Carlo-Stella et al., Blood 93: 3973-3982 (1999) およびSvingen et al., Clin. Cancer Res. 6: 237-49 (2000) 参照)。後続する動物試験からAG957の血中半減期が非常に短いことが判明した(S. Stinson, V.L. Narayanan and E. A. Sausville 未公表)。一連のAG957アナログの試験からアダマンチルエステルであるアダホスチン(adaphostin)(NSC680410)がインビトロでの高力価(Svingen et al., loc. cit. 参照)およびインビボで血中半減期が長い(S. Stinson, V.L. Narayanan and E. A. Sausville 未公表)ことが確認された。アダホスチンはbcr/ablキナーゼ阻害剤としての評価が現在続行されているチロホスチン誘導体である。
【0007】
いずれかの活性成分に対する耐性発生の可能性を考慮すれば、未だに患者の最適な処置を可能にする新処置計画の確認ならびに新処置法の確認は主目標である。
【0008】
本発明の一般的記載
驚くべきことに(a)bcr/ablキナーゼ活性のATP競合的阻害剤と(b)チロホスチンアナログとの組合せ剤は、各々が相互に効果に対する影響が可能な短い時間間隔内に投与すれば、bcr/abl関連疾患の処置では相乗的および/または非交差耐性的効果さえも可能であることが発見された。
【0009】
本発明は最初にbcr/abl関連疾患に関して有益な効果を起こす戦略2種の結合を示す。本明細書に定義する組合せ剤の効果は、ここに定義する(a)および(b)の組合せ相手単独のいずれかで達成できる効果よりも特に大きい、すなわち組合せ相手(各成分)の一方のみを使用する単剤治療の効果よりも大きい。
【0010】
ある状況下では、作用機構が全く異なる薬剤を組合せてもよい。しかし、作用機構が異なる薬剤の組合せを考慮するだけでは必ずしも有益な効果をもつ組合せ剤が得られるとは限らない。
【0011】
bcr/abl関連疾患の処置における成分(a)と成分(b)との組合せ剤の効果は全く驚くべきことである。成分(a)も成分(b)も共にbcr/ablキナーゼ活性の阻害剤である;しかしながら本発明の結果は両成分が下流の異なる事象を触発することおよび両成分が組合せ剤によって相互に作用を強化する様式で作用できることを示唆する。
【0012】
さらなる利点は下記本発明の組合せ剤における各活性成分が低用量で使用されることである。たとえば用量は必ずしも低いことが必要なばかりでなく、また回数が少なくてもよく、または副作用発生率を低下させるようにも適用できる。これは、処置される患者の要望と必要性に従うものである。
【0013】
本発明の組合せ剤は特に相乗的治療効果(たとえばbcr/abl関連疾患の形成低速化、休止または逆転、または形成期間長期化など)のみならず、本発明の組合せ剤に使用する医薬的活性成分の一方のみを使用する単剤投与と比べてさらに驚くべき有益な効果(たとえば副作用減少、生活の質の向上および死亡率および罹病率低下など)も示す。
【0014】
本発明の詳細な記載
本発明は(a)bcr/ablキナーゼ活性のATP−競合的阻害剤および(b)チロホスチンアナログの組合せ剤に関する。
【0015】
さらに別な側面では、本発明は直前の節に前記した(a)および(b)を医薬的に許容される担体材料と組合せて含む医薬調製物に関する。
【0016】
本発明はまた、同時的、時間をずらして、および/または個別的、またはそのいずれかの組合せによる使用のための、前記(a)および(b)ならびに所望により医薬的に許容される担体材料を含む製品(商業的)に関する。
【0017】
本発明はまたbcr/abl関連疾患の処置用に(a)と(b)との組合せ剤または(a)および(b)を含む前記製品の投与方法または使用方法に関し;および/またはbcr/abl関連疾患の処置に用いる薬剤製造のための前記組合せ剤または製品の使用;に関する。
【0018】
これに加えて、本発明は特にbcr/abl関連疾患の処置において本明細書に定義する成分(b)と同時的、時間をずらしておよび/または個別的またはそのいずれかの組合せによる使用のための本明細書に定義する成分(a)またはその逆に本明細書に定義する成分(a)との組合せによる使用のための成分(b);特に包装品中にある前記成分およびこのような組合せ剤を示唆する記載(たとえば中入れ説明書)とともにある前記成分に関する。
【0019】
本明細書で使用する一般的用語は、好ましくは別段の指摘がない限り、本明細書の文脈内で以下の意味を有する:
【0020】
成分(a)および(b)としては、以下は非常に好適である:
成分(a):bcr/ablキナーゼ活性のATP−競合的阻害剤は好ましくは低分子量(Mr<1500)阻害剤bcr/ablキナーゼであって、特にp210bcr/abl210kDa融合プロテインまたはその医薬的に許容される塩、特に2−フェニルアミノピリミジン類、好ましくはEP0564409に記載の化合物、好ましくは(N−(5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミン、特にそのメタンスルホネート(モノメシレート)塩(STI571)の型におけるもの;または2−チオフェンキノキサリン類に属するもの、好ましくは6,7−ジメトキシ−2−チオフェン−3−イル−キノキサリン、特に塩酸塩型(RPR 101511A)である。
【0021】
bcr/ablキナーゼの阻害は当業者に知られた方法に従って判定できる(たとえばNature Medicine 2: 561-566 (1996) またはGombacorti et al., Blood Cells, Molecules and Diseases 23: 380-394 (1997) 参照)。
【0022】
成分(b):チロホスチンは好ましくは低分子量(Mr<1500)化合物またはその医薬的に許容される塩、特にベンジリデンマロンニトリル類またはS−アリールベンゼンマロンニトリルまたは二基質キノリン類の化合物から選択される化合物(Levitzki, FASEB J. 6: 3275-82 (1992)参照)であって、特にチロホスチンA23/RG−50810;AG99;チロホスチンAG213;チロホスチンAG1748;チロホスチンAG490;チロホスチンB44;チロホスチンB44(+)エナンチオマー;チロホスチン AG555;AG494;チロホスチンAG556(Levitsky et al., TiPS 12: 171 (1991);Ohmichi, Biochem. 32: 4650 (1993);Gazit et al., J. Med. Chem. 32: 2344;Levitski et al., Science 267: 1782 (1995);Gazit et al., J. Med. Chem. 39: 4905 (1996);Gazit et al., J. Med. Chem. 34: 189 (1991);Wang et al., J. Immunol. 162: 3897 (1999)参照)からなる群から選択されるいずれかの化合物、および好ましくは式:
【化1】
で示されるAG957および最も好ましくは式:
【化2】
で示されるアダホスチンすなわち4−{[(2,5−ジヒドロキシフェニル)メチル]アミノ}−安息香酸アダマンチルエステル(NSC 680410)、またはそれらの塩(各記載化合物の場合)である。
【0023】
各成分は遊離形または塩形(好ましくは医薬的に許容される)で存在してもよく、たとえば塩基性塩形成基が存在する場合(たとえばアミノまたはイミノまたはフェノールのヒドロキシ)、たとえば有機または無機酸(たとえば塩化物またはメシレートなど)の酸付加塩として;酸性基(たとえばカルボキシまたはスルホ)が存在する場合、金属塩(たとえばアルカリ金属)または4級アンモニウム塩(たとえば4級ブチルアンモニウム塩)の形で;または塩基性と酸性基とが存在する場合、分子内塩または混合塩;を含む。なお、成分に言及する時には常に遊離型および/または塩型が意図されている。組合せ相手(a)または(b)またはその医薬的に許容される塩は、水和物の形でまたは結晶化に使用した他の溶媒を含んだ形で用いてもよい。N−(5−「4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド」−2−メチルフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンは、組合せ相手(a)としては本発明では、好ましくはモノメシレート塩(STI571)の形で使用される。
【0024】
成分(a)、特にN−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンおよび成分(b)、特にアダホスチンを含み、活性成分が互いに独立に遊離型または塩(好ましくは医薬的に許容される)の型で存在し、および所望により少なくとも一種の医薬的に許容される担体を有し、および共に組合せ調製物の一部であるかまたは別な製品(たとえばキットの部品という意味で)の一部である組合せ剤を本明細書では「本発明の組合せ剤」と称する。
【0025】
組合せ相手(a)はEP0564409に記載のようにして製造し、投与できる。好ましくはWO 99/03854に記載のように特にN−(5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンのモノメシレート塩はWO99/03854の実施例4および6に記載のようにして製剤化できる。
【0026】
成分(a)および成分(b)に加えて、他の抗新生物剤との組合せ剤が可能である。本明細書では用語「抗新生物剤」はこれに限定するものではないがアロマターゼ阻害剤、たとえばレトロゾール、抗エストロゲン、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、微小管活性化剤、たとえばパクリタキセル、タキソテル、エポチロンAまたはB、アルキル化剤、たとえばサイクロホスファミド、抗新生物抗代謝剤、白金化合物、プロテインキナーゼ活性低下化合物およびさらに抗血管形成化合物、ゴナドレリンアゴニスト、抗アンドロゲン、ビスホスフォネートおよびトラスツズマブ(trastuzumab)を含む。
【0027】
成分(a)および(b)ならびにもしも存在すればさらに抗新生物剤の同様に対応する立体異性体ならびに対応する結晶形変異体、たとえば溶媒和物および結晶多形も含める。
【0028】
bcr/abl−関連疾患は特にbcr/abl−陽性の増殖性疾患、特に癌および腫瘍、特に白血病、たとえば慢性骨髄性白血病(CML)および急性リンパ母細胞性白血病(ALL)であり、ここではアポトーシスに基づく影響が見られ、さらにまた神経膠腫、肉腫、卵巣腫瘍、その他、白血病幹細胞の副母集団に影響を示し、およびそのような細胞を体外に取り出した後(たとえば骨髄除去)にインビトロで精製し、続いて癌細胞から精製した細胞を再移植(たとえば精製骨髄細胞の再移植)する可能性を示す。
【0029】
成分(a)および(b)の組合せ剤には単一成分に比べて高い効率が標準的方法で観察される。
【0030】
特に実施例1には、アポトーシス誘導の増加を判定できる方法を説明するが、ここでは単一成分に比べて組合せ剤での効率の高さを示す−これらの方法は各実施例に示すもの以外の様々な成分(a)および(b)にも使用できる。
【0031】
さらにbcr/abl−関連疾患、特に対応する増殖性疾患の処置における本発明の組合せ剤の効率を示すために動物(たとえばブタ、ミニブタ、ヒヒ、ラット、ウサギおよび特にマウス)を使用できる。たとえば、本組合せ剤の抗増殖活性、特に抗腫瘍活性および抗白血病活性は下記の実験を用いて証明できる。
【0032】
インビボ抗腫瘍活性は以下を用いて試験する:Balb/c−AmuLV−A6R1(ATCC:TIB90)、c−sisおよびv−sis形質転換BALB/c3T3細胞系統またはヒトエストロゲン依存性乳癌MCF−7(ATCC:HTB22)またはZR−75−1(ATCC:CRL1500);エストロゲン非依存性乳癌MDA−MB468(ATCC:HTB132)またはMDA−MB231(ATCC:HTB26);結腸癌Colo205(ATCC:CCL222);神経グリア芽細胞腫U−87MG(ATCC:HTB14)またはU−373MG(ATCC:HTB17);小細胞肺癌NCI−H69(ATCC:HTB119)およびNCI−H209(ATCC:HTB172);肺癌NCI−H596(ATCC:HTB178);メラノーマHs294T(ATCC:HTB140)またはA375(ATCC:CRL1619);卵巣癌NIH−Ovcar3(ATCC:HTB161);ならびに前立腺癌DU145(ATCC:HTB81)またはPC−3(ATCC:CRL1435); 膀胱癌T24(ATCC:HTB4);上皮癌KB31;または(特に白血病に関し)K562細胞(アメリカンタイプカルチャーコレクション、ATCC, Mannassas, VA);またはヒトCFU−G細胞(CFU−Gは顆粒球コロニー形成単位を意味し、血流中循環する早期に関係する顆粒球形成前駆体細胞または骨髄の前駆体細胞を示す)を各々雌性または雄性のBalb/cヌードマウスに移植する。
【0033】
腫瘍または白血病は担癌させるマウス(たとえば細胞系統当り4〜8マウス)に細胞(燐酸緩衝生理食塩水100mL中最低2×106細胞)を皮下注射して得られる。得られる腫瘍を処置開始前に順次に少なくとも3回移植する。腫瘍断片(各約25mg)を13ゲージ套管針によってForene(Abbott, スイス)麻酔下に動物の左脇腹部に皮下注射して移植する。これに加えてエストロゲン依存性腫瘍を移植したマウス全てにエストロゲンのペレット(エストラジオールSigma5mg入り医用1.0cmチューブ Dow Chemicals)を与える。この処置は常用的に(すなわち低いかまたは中間の腫瘍大きさ)腫瘍が平均直径100mm3に達したらすぐに開始する。腫瘍の増殖は毎週1回、2回または3回(細胞系統の腫瘍増殖度に依存して)および処置終了から24時間後に垂直直径を測定する。腫瘍容積は式:L×D×p/6で算出する(Evans, B.D., Smith, I.E., Shorthouse, A.J. and Millar, J.J., Brit. J. Cancer, 45: 466-468, 1982参照)。
【0034】
抗腫瘍活性はT/C%(処置動物の腫瘍容積増加平均に対する対象動物の腫瘍容積増加平均の商の100倍)で示す。腫瘍退縮(%)は処置開始時の平均腫瘍容積に比べた最小平均腫瘍容積を示す。腫瘍直径が1.5〜2cm3以上に達したら各動物を屠殺する。各成分は既知の計画に従って投与する。たとえば成分(a)は2〜7週間毎日経口的(p.o.)または静脈内(i.v.)に投与する。
【0035】
成分(b)の投与計画の例示(限定目的でない)は毎日5日間投与および/または1日、4日および9日目に投与し、一定期間の休薬後任意に反復するものである。あるいは、毎日数回(たとえば2〜5回)の処置またはたとえば前節に記載した時点での継続投与(たとえば点滴)による処置が可能である。一般に、投与は経口的または非経口的に行う。
【0036】
被験化合物は好ましくは水または滅菌0.9%食塩水で希釈する。
【0037】
ヒト腫瘍細胞系統は別段の指摘がない限り、全てATCC(Rockville, MD., USA)から入手し、別段の指摘がない限り、示唆した培地に対応する添加剤(ATCC culture conditions)を加えて培養する。c−sisおよびv−sisで形質転換したBALB/c3T3細胞はC. Stiles博士(Dana Farber Cancer Institute, Boston, MA, USA)から入手した。これを「ダルベッコの修正イーグル培地(DMEM)」に10%ウシ血清および0.2 mg/mL濃度のハイグロマイシンBまたは0.5mg/mL濃度のG418を添加して培養する。BALB/cAMuLVA.6R.1細胞(ATCC)を10%ウシ胎仔血清添加DMEM中に維持する。
【0038】
担腫瘍動物の末梢白血球数と脾臓および胸腺重量とから白血病の状況を評価する。
【0039】
「本発明の組合せ剤」が組合せ相手単独で観察される効果に比べてさらに効果的なbcr/abl−関連疾患の進行遅延または処置が起きることは樹立した試験モデルによっておよび特に本明細書記載の試験モデルによって証明できる。当業者は本明細書に示す治療処方および有益な効果を証明するための関連試験モデルを選択できる。「本発明の組合せ剤」の薬理的活性はたとえば臨床研究または本明細書に本質的に記載する操作の試験によって証明してもよい。
【0040】
適当な臨床試験はたとえば慢性骨髄性白血病(CML)患者におけるオープンラベル、非乱数化、容量漸増試験である。特にそのような研究は「本発明の組合せ剤」の活性成分に認められる相乗性を証明できる。増殖性疾患に対する有益な効果はこれらの研究の結果によってまたはそれ自体当業者に知られている研究計画の変更によって直接判定できる。このような研究は、「本発明の組合せ剤」の活性成分を用いる単独治療の効果と比較するために特に適する。好ましくは組合せ相手(a)を固定用量で投与し、および組合せ相手(b)の用量を最大耐容用量まで増加させて行う。本研究の好適な態様では各患者に組合せ相手(a)の日用量を投薬する。腫瘍の治療効果はたとえば18週または24週間の研究では6〜16週毎に腫瘍の放射線評価を行って判定できる。この処置のCMLに対する効果はそのような研究で血液学的反応、細胞遺伝学的および分子的反応についてたとえば血液および骨髄を試験することによって判定できる。
【0041】
あるいは、プラセボを対照とする二重盲検を用いて本明細書に示す「本発明の組合せ剤」の有利性を証明できる。
【0042】
本明細書に使用する用語「進行の遅延」は処置すべき疾患の前段階または早期にある患者に組合せ剤を投与することを意味する。たとえば対応する疾患の前型が診断された患者に組合せ剤を投与することまたはその患者がたとえば医学的処置中の病状にあるか、または偶然にも対応する疾患の進行が疑われた患者に組合せ剤を投与することである。
【0043】
「本発明の組合せ剤」は、組合せ医薬調製物または医薬組成物であり得る。
【0044】
この発明の特異的態様の一つは増殖性疾患または急性または慢性の移植拒絶に対して、共同して治療的に有効な量の「本発明の組合せ剤」を含む医薬組成物によって代表される。この組成物では組合せ相手(a)および(b)は一緒に、互いに前後してまたは別々に1個の単位用量剤型または2個の別々な単位用量剤型として投与できる。これらの単位用量剤型は固定した組合せ剤であってもよい。
【0045】
本発明の組合せ相手(a)および(b)の個別的投与のためのおよび本発明の少なくとも2種の組合せ相手(a)および(b)(活性成分)を含む単一ガレヌス組成物の固定的組合せ剤における投与のための医薬組成物はそれ自体公知の方法で製造でき、これらは少なくとも一種の薬理学的組合せ相手単独の治療的有効量を含むか、または医薬的に許容される担体1種またはそれ以上を有する組合せ剤、特に経口的または非経口的適用に適する担体と組合せて消化管経由たとえば経口的にまたは直腸経由でおよび非経口的にヒトを含む哺乳類(温血動物)に投与される。
【0046】
新規医薬組成物は、たとえば約10%から約100%、好ましくは約20%から約60%までの活性成分を含む(「約」は本開示では好ましくは±5%、特に±0%を示す)。組合せ剤療法のための経口用または非経口投与用医薬調製物はたとえば糖衣錠、錠剤、カプセル剤または坐剤およびさらにアンプル剤のような単位用量剤型である。別段の指摘がない限り、これらはたとえば通常の混合、顆粒化、糖衣、溶解または凍結乾燥工程など公知の様式で製造できる。複数の用量単位を投与すれば必要な有効容量は達成できるので各用量剤型の個々の用量に含まれる組合せ相手の単位含有量それ自体が有効用量を構成する必要はないことは認識されるであろう。
【0047】
特に、「本発明の組合せ剤」において組合せ相手の各治療的に有効な量は同時的にまたは逐次的におよびいかなる順序で投与してもよく、および各成分は別々にまたは固定の組合せ剤で投与してもよい。たとえば進行遅延方法または増殖疾患の処置および/または本発明による急性または慢性の移植拒絶は、(i)遊離型または医薬的に許容される塩型の組合せ相手(a)の投与;および(ii)同時的にまたはいかなる順序でもよいが逐次的に共同して治療的に有効な量、好ましくは相乗的に有効な量、たとえば前記の量に対応する日用量で遊離型または医薬的に許容される塩型の組合せ相手(b)の投与;を含んでいてもよい。「本発明の組合せ剤」の各組合せ相手は単一なまたは分割された組合せ剤として治療過程中の別の時点で個別的にまたは同時的に投与できる。さらに、用語「投与」はまた生体内で組合せ相手自体に変換される組合せ相手のプロドラッグの使用も含む。それ故、本発明は同時的なまたは交互的な処置の全ての投薬計画を含むと理解さるべきであり、用語「投与」はそのように解釈すべきである。
【0048】
「本発明の組合せ剤」に採用する各組合せ相手の有効用量は採用する特定化合物または医薬組成物、投与形態、処置する病状、処置する病状の重症度に依存することもある。そこで「本発明の組合せ剤」の用量計画は投与経路および患者の腎臓および肝臓機能を含む各種の因子に従って選択される。通常に熟練した医師、臨床医、または獣医は容易に病状を予防し、逆転し、または病状の進行を休止させるために必要な活性成分の有効量を判定し、処方できる。最適な正確さで毒性なしに有効性を得る範囲内の活性成分の濃度を達成するには、標的部位への活性成分の利用能の動力学に基づく計画が必要である。
【0049】
成分(a)、特にN−(5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミン・モノメシレートは好ましくは約2.5〜850mg/日、さらに好ましくは5〜600mg/日および最も好ましくは20〜300mg/日の範囲内の用量で温血動物、特にヒトに投与する。本明細書に別段の記載がない限り、本化合物は好ましくは毎日1回から4回投与する。
【0050】
成分(b)、特にアダホスチンは、好ましくは約1〜6000mg/日、さらに好ましくは25〜5000mg/日および最も好ましくは50〜4000mg/日の範囲内の用量で温血動物、特にヒトに投与される。本明細書に別段の記載がない限り、本化合物は好ましくは毎日1回から5回、特に1回から4回投与される。
【0051】
単位用量剤型は所望の担体材料のほかに成分(a)または(b)または(固定組合せ剤の場合)(a)および(b)を前二節に示した用量に等しいか、半分、三分の一、または四分の一量を含む。
【0052】
さらに、本発明は好ましくは前記のようにおよび進行の遅滞のための薬剤または疾患の処置のための「本発明の組合せ剤」によるbcr/abl関連疾患の進行遅滞または処置のための使用に関する。
【0053】
これに加えて、本発明は同時的、時間をずらして、または個別的(あまり好ましくはないが)、またはそのいずれかの組合せによる使用のために活性成分として前記(a)および(b)ならびに、所望により医薬的に許容される担体材料を含む製品(商業用)を提供する。
【0054】
「同時的」は成分(a)および(b)の双方を大体同時、好ましくは1分またはそれ以下の時間差内、特に直接的に同時に投与することを意味する。
【0055】
「時間をずらして」は好ましくは処置するヒトに未だ相互作用(好ましくは相乗的)すなわち共同して治療的に有効な作用を示せる時間間隔で両化合物を別々に与えられてもよいことを意味する。これに該当するかどうかは特に血中濃度に従って少なくとも一定時間は両化合物が処置するヒトの血中に存在することを示すことによって判定できる。
【0056】
「個別的」は好ましくは両化合物の測定可能な血中濃度の重複(同時的)が存在しないように成分(a)および(b)を投与することを意味する。
【0057】
「その組合せのいずれか」は好ましくは成分(a)および(b)を1時点で同時的に、続いて後の時点で1成分のみを投与すること、および後に別の成分または両成分の組合せ剤を、なお後の時点で、その他の時点に投与してもよいことなどを意味する。
【0058】
好適な態様では、製品(商業用)は同時的、時間をずらして、および/または個別的、またはそのいずれかの組合せによる使用に対する説明書とともにbcr/abl関連疾患の進行を遅滞させまたは処置するための活性成分として「本発明の組合せ剤」を含む商業用包装品である。
【0059】
本発明の方法は特にbcr/abl−関連疾患に罹患した温血動物、特にヒトを処置する方法、特に前記のように成分(a)特にN−(5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミン、および成分(b)特にアダホスチンをbcr/abl関連疾患に対して治療的に有効な量(特に共同して)で含み、および各成分は医薬的に許容される塩の形で存在してもよい組合せ剤を動物に投与する方法に関する。
【0060】
本明細書に参照する文献は、好ましくはその全体を、より好ましくは指摘した関連する文章に関して、参考のために引用するものである。
【実施例】
【0061】
以下の実施例は前記本発明を例示するがいかなる意味でも本発明の限定を意図するものではない。「本発明の組合せ剤」の有益な効果はまたそれ自体当業者に知られている別の試験法でも確認できる。
【0062】
実施例1
STI571とアダホスチンとの組合せ剤を用いる処理のK562細胞系統に対する効果
a)材料:アダホスチンは The Drug Synthesis and Chemistry Branch, Division of Cancer Treatment and Diagnosis, National Cancer Institute(Bethesda, MD)が合成した。STI571はNovartis Pharma AG (Basel, Switzerland)(WO 99/03854も参照)から入手した。両化合物をジメチルスルホキシドに溶解し、組織培養培地に1:1000まで希釈する。
【0063】
b)細胞:K562細胞(ATCC, Manassas, VA)を5%熱不活化ウシ胎仔血清、ペニシリンG100単位/mL、ストレプトマイシン100μg/mLおよびグルタチオン2ミリモル/L添加RPMI1640(培地A)で継代培養する。STI571耐性K562細胞(Weisberg et al., Blood 95: 3498-3505 (2000)参照)は0.5μM−STI571の存在または不存在下に培地Aに維持する。
【0064】
c)クロノゲニック検定:0.5×106K562細胞を含む培地A1mL量を希釈剤、STI571および/またはアダホスチン(下記参照)とともに指定時間インキュベーションし、100×gで5分間沈殿させ、希釈し、および0.3%(w/v)Bacto agar含有Pike and Robinson培地の35mm格子付プレートに塗布する。37℃で10〜14日間インキュベーションした後、>50細胞を有するコロニーを倒立位相差顕微鏡で計数する。
【0065】
臨床サンプルはThe US Department of Health and Human Services の施策に従って the Institutional Review Board of the Mayo Clinicが認定したプロトコルの下に研究する。正常対CMLCFU−Gに及ぼすアダホスチンおよびSTI571の効果を評価するために、正常ボランティアおよび治療歴のない同意した慢性相CML患者から、末梢血10mLを抗凝固剤にEDTAを用いて採取する。単核細胞(d=1.077g/cm3)をficoll-Hypaqueから収集し、段階グラジエントを20%(v/v)FBS(培地C)を加えたイスコーブ修正ダルベッコ培地中でアダホスチンまたはSTI571の増加する濃度を添加して1×106/mLの密度で24時間培養する。インキュベーション完了後、サンプルを200×gで10分間沈降させ、1×106/mLの濃度でG−CSF50ng/mL添加培地C中に再懸濁し、0.3%寒天に塗布し、7〜8日間インキュベーションする。細胞>32を有するコロニーを倒立位相差顕微鏡で計数する。
【0066】
d)アポトーシスに関連する形態変化の判定:
形態学的分析には、細胞を3:1(v:v)メタノール:酢酸で固定し、50%(v:v)グリセリン中1μg Hoechst 33258/mLで染色し、エピイルミネーションの下にZeiss Axioplan 顕微鏡を用いて検査する。200〜300細胞/サンプルをSvingen et al., Clin. Cancer Res. 6: 237-49 (2000) に記載のようにしてアポトーシス性変化(末梢クロマチンの縮合または核断片化)について記録する。
【0067】
e)結果:
K562細胞を指定濃度のアダホスチンとともに希釈剤または20μモル/LのSTI571の存在下で24時間インキュベーションする。インキュベーション完了後、細胞を洗浄し、0.3%寒天に塗布し、10〜14日間インキュベーション後、コロニー形成を評価する。結果は表(A)の(a)を参照。
【0068】
別の実験では(表(A)の(b)参照)細胞を指定濃度のSTI571とともにおよび5μモル/Lのアダホスチンの不存在または存在下で24時間インキュベーションする。インキュベーション完了後、コロニー形成能を前節記載のようにして評価した。
【0069】
表(A)の(c)ではK562細胞を下表に指定する濃度で希釈剤または10μモル/LのSTI571の存在下、インキュベーションし、固定し、およびアポトーシスによる形態学的変化を検査する。
【0070】
表(A)の(d)にはCML患者から得た循環単核細胞を20μモル/LのSTI571の不存在または存在下で、指定濃度のアダホスチンで24時間処理し、洗浄し、G−CSF50ng/mL添加0.3%寒天に塗布する。8日後、顆粒球コロニーを計数する。
【0071】
表(A)の(e)では(d)に記載の6個のサンプルについて実験を行った時に得られた要約を提供する。
【0072】
【表1】
データは指定の薬剤で処理した後の0.3%寒天に形成したコロニーの数と希釈剤で処理した後の0.3%寒天に形成したコロニーの数の比率×100で示す。
【0073】
【表2】
データは指定の薬剤で処理した後の0.3%寒天に形成したコロニーの数と希釈剤で処理した後の0.3%寒天に形成したコロニーの数の比率×100で示す。
【0074】
【表3】
データはSTI571の不存在または存在下に指定濃度のアダホスチンで処置後24時間に観察した形態学的にアポトーシスを起したK562細胞の百分率で示す。
【0075】
【表4】
データは指定の薬剤で処理した後の0.3%寒天に形成する顆粒球コロニー数と希釈剤で処理した後の0.3%寒天に形成するコロニー数との比率×100で示す。
【0076】
【表5】
顆粒球形成を50%阻害するに必要なアダホスチン濃度(IC50)は線形回帰を用いて表(A)(d)に類似のデータから判定する。
【0077】
STI571とアダホスチンとの間の相乗効果:元のK562細胞を様々なアダホスチン濃度で処理すると、分析した全てのアダホスチン濃度でSTI571の添加は抗増殖効果を強化する(表(A)、(a))。この強化はSTI571濃度2.5μモル/L(表(A)、(b))と低濃度でも明白である。さらに試験するとコロニー形成の強化された阻害は本組合せ剤による処理はいずれかの薬剤単独による処理と比べてさらに多い百分率の細胞にアポトーシスが誘導される(表(A)、(c))ことを反映することが判明する。
【0078】
追加実験はアダホスチンとSTI571との組合せ剤の効果はK562細胞に限定されないことを証明した。STI571を用いる処置は循環CML骨髄前駆体に対するアダホスチンの抗増殖効果も同様に強化した(表(A)、(d))。同様な効果は試験した患者6名中5名の骨髄前駆細胞でも得られる(表(A)、(e))。
【0079】
要約すると、この組合せ剤はどちらの薬剤単独(表(A)、(a)、(c))よりもずっと多くのK562細胞を殺菌する。これに加えてこの組合せ剤はCML−CFU−Gの増殖をどちらの薬剤単独よりも多く阻害する(表(A)、(e)、(f))。
Claims (14)
- (a)bcr/ablキナーゼ活性のATP−競合的阻害剤と(b)チロホスチンアナログとの組合せ剤。
- bcr/ablキナーゼ活性のATP−競合的阻害剤(a)が低分子量(Mr<1500)のbcr/ablキナーゼの阻害剤、特にp210bcr/abl、210kDa融合プロテイン、特に2−フェニルアミノピリミジン類またはその医薬的に許容される塩である請求項1に記載の組合せ剤。
- bcr/ablキナーゼ活性のATP−競合的阻害剤(a)が2−フェニルアミノピリミジン類または2−チオフェン−キノキサリン類の化合物またはその医薬的に許容される塩から選択される請求項1に記載の組合せ剤。
- bcr/ablキナーゼ活性のATP−競合的阻害剤(a)が(N−(5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミン、特にメタンスルホン酸塩型、または6,7−ジメトキシ−2−チオフェン−3−イル−キノキサリン、特に塩酸塩型、または他の医薬的に許容される塩から選択される請求項1に記載の組合せ剤。
- チロホスチンアナログがベンジリデンマロンニトリル類またはS−アリールベンゼンマロンニトリルまたはビサブストレートキノリン類の化合物から選択される好ましくは低分子量(Mr<1500)化合物またはその医薬的に許容される塩である請求項1に記載の組合せ剤。
- チロホスチンアナログがチロホスチンA23/RG−50810;チロホスチンAG99;チロホスチンAG213;チロホスチンAG1748;チロホスチンAG490;チロホスチンB44;チロホスチンB44(+)エナンチオマー;チロホスチンAG555;チロホスチンAG494;チロホスチンAG556;チロホスチン、AG957およびアダホスチン;またはその医薬的に許容される塩からなる群から選択される請求項1に記載の組合せ剤。
- bcr/ablキナーゼ活性のATP−競合的阻害剤(a)が好ましくは(N−(5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル)−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンであり、およびチロホスチンアナログ(b)がアダホスチンであるか、または成分(a)または(b)に塩形成基が存在すればそのいずれかの医薬的に許容される塩ある請求項1に記載の組合せ剤。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の(a)および(b)を含有する医薬調製物。
- 同時的な、時間をずらして、および/または個別的な、またはそのいずれかの組合せによる使用のための請求項1〜7のいずれかに記載の(a)および(b)および所望により医薬的に許容される担体材料を含んでなる製品。
- bcr/abl関連疾患を処置するために請求項1〜7のいずれかに記載する(a)および(b)の組合せ剤または(a)および(b)を含んでなる請求項9に記載の製品を、かかる処置を必要とする温血動物、ヒトに投与する方法。
- 成分(a)、特にN−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンおよび成分(b)、特にアダホスチンを、bcr/abl関連疾患に対して治療的に有効な量で含み、各成分が医薬的に許容される塩でも存在できる組合せ剤を動物に投与することを含んでなる、bcr/abl関連疾患、特に前記の疾患、に罹患した温血動物を処置する方法。
- bcr/abl関連疾患を処置する薬剤を製造するための、請求項1〜7のいずれかに記載の組合せ剤の使用または請求項10に記載の製品の使用。
- bcr/abl関連疾患を処置するための、請求項1〜7のいずれかに記載の組合せ剤の使用または請求項10に記載の製品の使用。
- bcr/abl関連疾患の処置において同時的または時間をずらした様式で使用するための、請求項1または請求項5〜7に記載の成分(b)との組合せ剤における使用のための請求項1〜4または請求項7のいずれかに記載の成分(a);またはその逆に本明細書に定義する成分(a)との組合せ剤における使用のための成分(b);特に、両成分のそのような組合せ剤を示唆または記載する文書(たとえば中入れ説明書)を入れた包装品中にある両成分。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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