JP2005506013A - ラウドスピーカ - Google Patents
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Abstract
ビーム形状のパネル状音響放射体と、撓み波エネルギーを加える位置で前記ビームに取り付けられ、放射体中の低周波数モードを該放射体の長手方向と放射体の横方向の両方に励起することを可能にする振動励振器と、長手方向及び横方向の低周波数モードの励起を許容するように放射体を取り付けるための手段とを備える共振撓み波ラウドスピーカ。別の態様においては、本発明は、ビームの物理的なパラメータからビーム中に共振モードのモデルを導出することによってビーム上に振動変換器を配置するための位置を決定し、このモデルを使用し、変換器からビームへの機械的な入力を周波数を関数として計算し、機械的な入力の滑らかさの尺度を計算し、この滑らかさの尺度の所望の値を有する振動変換器の位置を選定することからなる共振撓み波ラウドスピーカの設計方法である。
【選択図】図1
【選択図】図1
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル状ラウドスピーカに関し、より詳細には音響応答を生成するための撓み波の発生に依拠するラウドスピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
分布モードラウドスピーカ(DML)は国際特許出願番号WO97/09842に記載されており、パネルすなわちプレート内での共振撓み波モードの生成に依拠するものである。分布モードラウドスピーカは広い指向性を示し、50Hzから20kHzまでの音響応答を生成することができる。WO97/09842は、ラウドスピーカの低周波数領域において高密度のモードを生成する縦横比(Lx/Ly)が等方性材料の場合1.13対1及び1.41対1であるパネル又はプレートの好適な実施形態を教示している。
【0003】
長方形パネルの直交軸の1つに沿った最低周波数(f0)と、その同じ方向におけるパネルの長さは、特定方向における撓み強さすなわち剛性(B)により、下の式(1)で表すことができる(これは厚さが均一な等方性の材料と均質なパネルを想定している)。
ただし、
f0:基本周波数(Hz)
B:撓み強さ(Nm)
l:パネルの長さ
【0004】
式(1)は、パネルすなわちプレートのための2方向における基本周波数又は最低周波数を予測するものであるが、特定のパネルすなわちプレートのためにより高いモード周波数を予測することもできる。プレート又はパネルは、すべて多くの撓みモードすなわち曲げモードを呈示し、それぞれのモードは、特定の周波数で動作してそれぞれ対応する独自のモード形状を示す。物理的な寸法、パネルの機械的な特性、及びシステムの境界条件を介してシステムの固有値を考慮することによって、モードが発生する周波数の予測をすることができる。
【0005】
WO97/09842によって設計されたプレートの1例として、表1はEuro Composites社のAcoustic 88−2mmとして知られる材料(異方性比率が1.2)で作られた、フリー・フリー状態における150mm×131mm寸法のプレートのモード周波数を示す。Acoustic 88−2mmの特性は表2に示される。
表1. フリー・フリー状態における150mm×131mmのプレートのモード特性
表2. パネルの材料特性
【0006】
表1に使用された特定のモード形状を記述する表記について言えば、使用された表記は特定モードのノード線を考慮するものである。ノード線は、その特定の周波数に対しては変位を示さないモードの部分である。特定のモード形状についての表記のために、パネルの2つの直交軸に関して特定の軸を横切るノード線の数がカウントされる。
【0007】
表1から、パネルの周波数応答は、パネルの両方向に生成されるモードによって支配されることが明らかになる。例えば、1kHz未満では、次の(1,1)、(2,0)、(0,2)、(2,1)、(1,2)モードが励起される。
【0008】
このシステムについて言えば、両方向のモードは、1kHzより小さい周波数においては「モード充填」すなわちモード分布に対してほぼ等しく寄与する。縦横比又はその他の物理的なパネルのパラメータの使用を介して、低周波数において高密度となるモード構成をもつことができるパネル設計が可能であるが、これらのモードすべてが励起手段によりパネル内で促進されることもまた望ましい。従って励起力の位置は、励起されるべきモードを決定する上で重要である。好適な励振器の位置は、必要な低周波数モードの大部分又はすべてが促進される位置とすることが好ましい。
【0009】
パネルのいずれの縦横比についても、1組のモード周波数が解析によって予測できる。WO97/09842に基づいて設計された分布モードラウドスピーカについても、特定の周波数領域にわたるモード周波数を計算することができ、したがって、パネルの縦横比を調整し、また一方でパネルの機械的な特性を考慮することによって、このモード周波数を交錯させることが可能である。一般に、高周波数モードの数は低周波数のそれよりもはるかに多いので、DMLの高周波数性能は同じ程度のモードの交錯を必要としない。従って、要求される領域にわたるパネルのモード密度設計のときに、低い方の周波数のモード周波数が考慮される。
【0010】
等方性材料については、選択範囲の中で2つの縦横比(1.13対1と1.41対1)がWO97/09842において検討されており、これらは低周波数で良好なモード分布を取得するために使用できる。しかし、x及びyの2つの方向のパネル剛性が異なる場合(BxとByで示されるように)には、モード周波数は明らかに影響される。良好なモード分布を生成するために、そのような材料について新しい縦横比の組が考慮されるべきであり、それらもまたWO97/09842に記載されている。
【0011】
多くのDML製品に対しては、空間的制約と美的要求から、ビーム状の高い縦横比のパネルが有効なことが分かるであろう。例えば、TV用途に関しては、TVの前部フレームで使用できる限られた空間が、最大の帯域幅及びモード密度を得るためには、細長い、すなわち高い縦横比のパネルが要求されることを示す。
【0012】
縦横比が大きくなると、システム内のモードの関係は、単純な長方形プレートと比較して周波数が変化し、分布は、長い方の寸法内のモードによって支配される傾向にある。表3は、表1のパネルと面積が同じであるが、縦横比が50対1で、高度の異方性材料を使用し、剛性の高い方向がビーム幅を横切るように配置されたパネルについてのモード周波数を示す。
表3. ビーム幅を横切る方向に剛性が高いフリー・フリー状態の990×20mmのプレートに関するモード周波数
【0013】
この説明の中で、長軸に対して直交しない横方向モードについて、用語「ねじれモード」を使用することを選択した。
表3から、(0,n)長のモードが低周波数特性を支配することが明らかである。これは、WO00/78090に記載された発明の場合である。(1,n)すなわちねじれモードは、1.68kHzの周波数で始まり、一方で、(2,n)モードは、直交モード、幅方向モード、すなわち横断モードであり、82.6kHzの最低周波数を有する。これら後の組のモードは、いずれもこのビームの低周波数特性に寄与しないので、最適な励振器位置の決定にとっては重要ではない。1方向のモードを特に促進することによって、独自の特性を示す音響装置が生成される。
【0014】
【特許文献1】
国際特許出願番号WO97/09842公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、ビーム形状のパネル状音響放射体と、該放射体中に低周波数モードを該放射体の長手方向及び該放射体を横切る方向の両方向に励起することを可能にする放射体上の位置で該放射体に取り付けられた変換器と、長手方向及び横方向の低周波数モードの励起が許容されるように放射体を取り付けるための手段とを備える共振撓み波ラウドスピーカを提供する。
【0016】
ビームは、少なくとも5対1、そして50対1より小さい縦横比を有するものとすることができる。
【0017】
ビームは、x及びy軸方向の撓み剛性比が5対1から1対5までの間の異方性材料とすることができる。
【0018】
ビームの物理的な特性及びビーム上の変換器の位置は、ビーム内における長手方向及び横方向の周波数モードが交錯されて、滑らかな低周波数応答を生成するようにすることができる。
【0019】
取付手段は、ビームの短い縁部を拘束するようにすることができる。取付手段は、それが放射体のモード分布に対して最小限の影響を有するビーム領域に取り付けることができる。
【0020】
この又は各々の振動変換器の駆動位置は、図5から図16までに示されるように、「レベル1」及び「レベル2」として規定された領域内に含まれる。
【0021】
取付手段は、ビームの両側の側部について非対称の縁部条件又は境界条件を与えることができる。
【0022】
取付手段は、ビームの長手方向に取り付けられたコンプライアントなテープ/フィルム又は軟質低剛性発泡樹脂の懸架により構成して、低周波数モードを減衰し、周波数応答を滑らかにすることができる。
【0023】
ビームは、その機械的インピーダンスが周波数の平方根に比例して増加するような縦横比と機械的特性を備えることができる。
【0024】
振動変換器は電気力学的方式のものとし、低周波数でのビームの機械的インピーダンスが励振器のパラメータと相互作用して、低周波数領域のモードの周波数が励振器の存在によって変更されるラウドスピーカを創出することができる。
【0025】
別の態様では、本発明は前述した種類の共振撓み波ラウドスピーカを設計する方法であり、この方法は、ビームの物理的なパラメータから該ビームにおける共振モードのモデルを導出することによってビーム上に振動変換器を配置するための位置を決定し、このモデルを使用して変換器からビームへの機械的な入力を、周波数を関数として計算し、機械的な入力の滑らかさの尺度を計算し、滑らかさの尺度についての所望の値を有する振動変換器の位置を選択することからなる。
【0026】
機械的入力の滑らかさの尺度は、平均入力の一定値からの該入力の平均自乗偏差とすることができる。一定値は、すべての傾向(例えば周波数とともに増加する)が除去された平均入力にコンプライアントなする直線(又は水平線)とすることができる。従って、一定値に関しては周波数の変化はない。機械的な入力は、ビーム上の単一の点に対して一定の点状の力を加えるときのものとして計算できる。
本発明は、例として添付図面に図式的に示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は、分布モードラウドスピーカとして使用できる高い縦横比のパネルの範囲に適用される。そのような高い縦横比を使用するラウドスピーカを設計するときに考慮される必要があるビームの幾つかの特性がある。本発明は、以下に挙げる3つの態様を有し、それぞれを順に説明される。
1.励振器の位置と縦横比を介してのビームモードの励起
2.ビームの音響特性に対する懸架の影響
3.励振器とビームとの間の相互作用
【0028】
以下は、これらの特徴の一般的な説明であり、次いでこれらの特徴を表すものとして幾つかの実施形態が考慮される。
【0029】
1.励振器の位置と縦横比を介するビームモードの励起
本発明の1つの要素は、励振器と懸架位置を使用して、縦横比が高いラウドスピーカシステムの音響出力を制御することである。縦横比が約12対1の等方性パネルに関するモード周波数が表4に示される。
表4. Acoustic 88−2mmのフリー・フリー状態の490mm×40mmのパネルのモード周波数
【0030】
表4から、低周波数モードのほとんどは(0,n)及び(1,n)の組の周波数であることが明らかである。従って、このシステムにおいて低周波数の理想的なモード密度を得るためには、2つの組のモードを交錯させることが重要である。第1の(2,n)の直交する横方向モードは5.5kHzで発生するので、低周波数モードを促進するための励振器の位置決めには適切ではない。
【0031】
このビーム内に有効なモード周波数である(0,n)と(1,n)の両方を励起するためには、それに応じて励振器を配置することが重要である。(1,2)モードに関しては、基本的なモード形状は、図1に示されるように、短い方のビーム寸法に平行で該ビームに沿って1/3と2/3に配置されたノード線Aと、長オン・アクシスのビームに沿って延びるノード線Bとを有する。縦横比が高いパネルにおけるこの特定のモードを促進するために、励振器はノード線から離して配置されるべきである。上に示されたノード線Bは、パネル内におけるすべての(1,n)モードに関して共通であり、従ってこれらのモードを促進するためには、励振器は、例えばAのように、この線から離して配置されるべきである。(0,n)組のためのノード線はすべて短い方の寸法に平行であり、これらはまた励振器の配置の際に考慮されるべきである。
【0032】
従って、一般的な規則として、縦横比が5対1からほぼ50対1までの間の任意のパネルに関して、最適なモード密度、従って最も滑らかな低周波数応答を生成するためには、(1,n)モードが励起され、これに(0,n)モードが交錯されるべきである。励振器の好適な位置は、WO97/09842で特定された例えば4/9、3/7などのように実例に応じて異なる。本発明は、材料の種類の範囲に適用される。(0,n)長さモードと交錯させるために、低周波数においてこれらのねじり横断モードを使用することも、従来技術の手法とは異なる。
【0033】
縦横比が大きくなると、好適な励振器位置は長手方向の軸からより遠く離れる配置となる傾向にある。
【0034】
任意のシステムに関して、パネルすなわちビームのための入力は、特定の周波数領域にわたるパネルの物理的な寸法、境界条件、及び機械的な特性から計算することができる。モード周波数上の統計的な解析を使用することによって、励起位置の像を与える駆動マップ(ノード線マップと同様な)を生成することが可能である。これらのマップは「滑らかさ」駆動マップと呼ぶことができる。
【0035】
要するに、パネル上の励振器の位置を決定するための手法は、励振器が置かれた物体の特性のシステム的な評価である。詳細には、縦横比が高いパネルの固有モードの重ね合わせとしてシステムの解析モデルが設定される。これは、パネルの形状寸法と組成をベースとして行われる。次に、このモデルは、単一の点に一定の点状の力が付加されるものとして、機械的な入力を周波数を関数として計算するために使用される。次いで、この関数の滑らかさの尺度を与える最適化関数が、周波数を関数とする入力にコンプライアントなする直線からの平均自乗偏差から計算される。次に、周波数を関数として入力の滑らかさを最適化することによって、最良の励起点が求められる。
【0036】
上に呈示された励起マップは、縦横比の領域にグループ分けされた上記の最適化手順の結果を表示する。マップ中に示された領域には滑らかさが増加している3つの領域があり、それらは一般に相当する縦横比領域にわたる挙動の特性である。
【0037】
次に、それらは表5に挙げられるように3つの別々のレベルに分離される。図2から図5までは、これらの領域が縦横比の領域について特定された1組の励起マップを示す。各々のレベルは、その特定のシステムに関して表された交錯の相対的な程度を与える。これらの励起マップは、全体にわたるものではなく、境界条件がパネルの2つの直交軸に対称であるので、パネルの1/4を示すだけである。
表5. 励振器配置のためのパネル領域の最適化レベル
【0038】
幾つかの用途に関しては、設計者は特定モードすなわちビーム中のモードのより支配的な励起を選択する可能性があるので、「レベル1」の交錯は適切さが低いであろう。高い程度の交錯の目的が、ビーム中の実行可能な最低周波数の促進とは異なることに注目するのは重要である。幾つかの用途にとって、これはより重要な要求であり、設計者は交錯と帯域幅に対して特定のバランスのためのパラメータを選択することができる。
【0039】
前に説明したように、大抵のラウドスピーカシステムは、パネルが固定されてフレーム中で安定するように、パネルを何らかの形態で機械的に支持することを要求する。パネル中の振動又はモードがフレームに大幅に伝達されないことを確実にするのも、これらが不要な振動と騒音の原因になる可能性がある場合には重要である。柔軟な発泡樹脂又はコンプライアントな材料は、これらの振動を効果的に吸収するのに有効であり、そして、大きな質量や余分な剛性をラウドスピーカに付加することがないので、この目的のために使用されることが多い。しかし、懸架及びその位置のパネルにおけるモード分布に対する影響が良好であり、或いは有益でさえあることを確実にするために、これらの影響を考慮することが有用である。励振器を配置するための最適位置を見つけるのに使用される励起マップは、懸架又は材料取付のための適切な位置を見つけるのを助けるためにも使用できる。支持のための良好な位置は、対象物の特定の周波数領域に関するノード線である。従って、すべての励起マップ(図2から図5まで)において、レベル3の領域は、懸架/取付にとってシステムのモード周波数との相互作用を制御するのに好適な位置である。
【0040】
このセクションでは、縦横比の領域に有効な多くの励起マップが考えられるであろう。縦横比が最適な励起位置に対して大きな影響を有することは明らかであるので、5対1から35対1までの縦横比をカバーする多くの汎用励起マップが生成されている。これら励起マップ上の領域には、励振器の座標に関して±10%の許容差があることは注目されるべきである。これは、これらの励起マップが縦横比のある範囲に対して適用できるためである。セクション1で説明されたように、パネルの異方性比率は、パネル中のモードに対して、従って最適な励振器の位置に対して大きな影響を持つものである。従って、異方性の考慮は、励起マップを表示する場合に重要である。このセクションにおけるすべての励起マップ(図2から図5)では、各方向に7対1までの異方性が示される。
【0041】
特定のパネルにおいて、設計者は選択されたパラメータに基づいて特定の励起マップを解析することができる。
【0042】
図2は、Acoustic 88−2mm製で、フリー・フリー条件の18対1から50対1までの縦横比の自由端パネルについて、表5に示されるように領域が分けられている場合の、これら汎用励起マップの1つを示す。すべての側部上で同じ境界条件を有するビームにおいては、結果を示す必要があるのはパネルの四半分であるので、図2は、パネルのこの四半分だけについてのものである。先に説明されたように、明らかに、良好な位置(レベル1の)は、パネルの長い縁部寄りであり、また短い縁部寄りであることが分かる。実際問題として、短い縁部に隣接する領域は、有限サイズの励振器を取り付けるには狭い領域であるので、励起するのがより困難である。従って、長い縁部に隣接するより広い領域が最も実際的な解決としては好適である。
【0043】
異なる縦横比の範囲に関する場合がまた、以下で考慮される。
【0044】
図3は、フリー・フリー条件で縦横比ARが12対1≧AR<18対1のパネルについての汎用励起マップを示し、幾つかの異なる最適励起位置を示す。図2におけるように、短い縁部に隣接するレベル1の領域は実際的な解決法ではない。2つの別々の「レベル1」領域がここに提示され、拡張された「レベル3領域」が示されている。
【0045】
図4は、フリー・フリー条件で縦横比ARが7対1≧AR<12対1のパネルの汎用励起マップを示し、図3と比較して多くの類似点を示している。「レベル1」領域は図3と比較してパネルのより大きな部分の端から端まで延びるが、そこにはより大きな「レベル3」領域もある。
【0046】
図5は、フリー・フリー条件で縦横比ARが5対1≧AR<7対1のパネルの場合を示す励起マップである。パネルの長手方向寸法の中間点は、高い縦横比(レベル1からレベル2にグレードダウンした)と比較したとき、有用性がより少なくなっている。
【0047】
すべての励起マップ(図2から図5)についての共通の特徴は、ビームの長手方向寸法に関する中央軸が最適な励起位置(すなわち「レベル1」)ではなく、好適な懸架位置が長手方向寸法の縁部寄りであることである。最適な、すなわち「レベル1」の励起位置は、ビームの長い縁部寄りの位置になる傾向がある。これは、低周波数においてモードの交錯を最適化するときに、(1,n)モードが考慮される必要があるという事実を裏付ける。
【0048】
2.ビームの音響特性に対する懸架の影響
セクション1は、使用可能なモード密度が自由支持パネルのために最適化されるように、励振器及び懸架位置を特定するために、励起マップを使用することについてのものである。しかし実際には、非常に高い縦横比のパネルを使用するほとんどの用途は、パネルを支持するための境界条件と、パネルの前方放射を後方放射から分離するための、すなわち相殺問題及びそれに対応する低周波数の減衰を解消するための、バッフルの形態とを含むことになる。
【0049】
従って、このセクションでは、機械的特性(モード周波数)及び音響特性に対する境界条件の影響の幾つかが検討される。第1に、種々の境界条件とそれらの機械的/音響パネル的特性に対する影響の広義の説明が与えられる。
【0050】
支持なし縁部の境界条件
支持なし縁部の条件は、その縁部に何も力が加えられず、かつ何らかの形態の支持部に接続されない条件である。この条件は、特定のパネルについての最低の組のモードを導き出すものであるが、前述したように前方及び後方放射を分離するための要求と、パネルに対する支持を提供する要求のために、実用上は実行可能ではない。
【0051】
固定された境界条件
固定された境界条件はどの方向にもビームの変位又は回転が発生しない場合である。実際問題として、真の固定された境界条件は特に高周波数において達成するのが非常に難しい。縁部を固定することによってアクティブな振動領域はパネルの中央の領域に制限される。
【0052】
単純支持された境界条件
この縁部条件は振動は可能ではないが回転は自由な場合である。再度、この縁部の条件を生成することは、パネルの縁部におけるすべての回転がパネルの垂直方向の変位によって達成されること多いので、実際には難しい。
【0053】
コンプライアントな懸架縁部条件/複合インピーダンス縁部末端
薄いコンプライアントなフィルム又は100ミクロンより小さい厚さでヤング率が4GPaより低いテープは、パネルをその周縁部において支持するために使用することができる。そのような境界の末端には、支持なし縁部条件の効果と単純支持された境界条件の効果との間の効果がある。より低いモード周波数は、支持なし縁部条件のためのモード周波数と比較して、この末端によって高い周波数にシフトされる。縁部末端のこの方法を使用する1実施形態が後のセクションで説明される。
【0054】
ビーム上の異なる縁部条件の効果
短い縁部条件
縦横比が5対1を超えるビームのパネルモードの大部分は、長い方の寸法に平行である。ビーム中の(0,n)モードにおいては、短い縁部の縁部条件は大きな効果がなく、一方で(1,n)モード周波数に関する周波数の%変化はより大きくなる。それにもかかわらず、これら2組のモードの交錯は、低周波数特性に対して重要である。
【0055】
明らかに、ビームの短い端部を単純支持又は固定支持することによって、フリー・フリー状態の場合と比較して励起マップが変更されることになる。図6から図9までは、長い縁部が自由にされ、一方で、短い縁部が、先のセクションで詳細に説明されたのと同じ縦横比の領域にわたって単純支持される場合を示す。図10から図13までは、長い縁部が自由にされ、一方で、短い縁部が縦横比の範囲にわたって固定された場合を示す。
【0056】
図6から図13までに示されたすべての励起マップにおいて、固定又は単純支持された縁部のすぐ隣には、固定縁部の近傍にあるために励起点としては明らかに不適切な領域がある。図6から図13までに示された固定又は単純支持された縁部条件に関して同じ縦横比の領域を比較すると、それらには明らかに幾つかの共通の特徴がある。
【0057】
縦横比が高いラウドスピーカの音響特性を変えるために、ビームの非対称縁部条件もまた使用することができる。異なる縁部条件を使用することによって、非対称モードのシステムを創出することができる。このシステムについての結果として得られる励起マップもまた、非対称のパターンを示す。同じ範囲の縦横比に関連するが、短い方の端部において自由、単純支持、及び固定支持状態の縁部条件にある図2、3、6、及び10から、長い寸法に平行な中央軸がレベル1の領域ではないことが明らかである。しかし、システムの1つの側部に対してコンプライアントな縁部末端が適用される場合には、励起マップが非対称になり、中央軸がこのラウドスピーカにとって改良された励起位置となる。パネルの両側の2つの側部の特性は、モード分布のシフトが考慮されるか、又は低周波数特性が影響されるように調整されるべきであろう。
【0058】
長い縁部条件
ビームの長い側部に沿って単純支持又は固定された縁部は、モード周波数に対して有害な影響を有する。モードはより高い周波数にシフトされ、低周波数特性が制限される結果となる。しかし、非常にコンプライアントな発泡樹脂の懸架又はコンプライアントなテープ/フィルムは、長い縁部で或る程度の変位を許容し、スピーカの帯域幅を極端に犠牲にすることなく、その長い寸法に沿ってビームに使用することができる。先に説明したように、これはまた前方放射から後方放射を分離するために役立つ。
【0059】
高縦横比のパネルに対してコンプライアントな縁部条件を使用する実施例が、以下の実施形態のセクションにおいて考慮される。
【0060】
縁部におけるエネルギー吸収
ビームの縁部末端はまた、顕著なエネルギー吸収能力を有し、システムのモード形態又はモード密度に影響するように使用することもできる。ビーム周辺に配置された軟質発泡樹脂又はコンプライアントなテープ/フィルムは、特定周波数のエネルギーを吸収するために使用することができるので、境界から反射されたエネルギーに影響を及ぼす。これらの縁部末端の形態は、対応する剛性、質量、及び減衰(抵抗)を有し、それらはシステムのモード周波数に影響を及ぼす。これは縁部での機械的インピーダンスの解析を介してモデル化することができる。
【0061】
ビームの機械的インピーダンス
薄いビームでは、合成機械的インピーダンスは以下のように規定される(pg 317、「Structure−Borne Sound」「Kramer Heckel及びUngar」)。
Zm=2m′cB(1+j) (11)
ここで
m′ ビームの単位長さ当たり質量(kgm-1)
cB 撓み波の速度(ms-1)
機械的インピーダンス係数は従って次の通りである
(12)
【0062】
式(11)と(12)から、ビームの機械的インピーダンスはωの平方根の関数となることが分かる。これは励振器がその励起点で直面するインピーダンスに影響を及ぼす。
【0063】
ビームが励振器に取り付けられる場合には、関連する励振器/ビームのパラメータを解析するために、Acoustic 88−2mm(紙製ハニカムに紙の表皮が付いた)製のビーム(600mm×33mm)と、NEC製の13mm電気力学的励振器の特定の例が考察される。図14は、Hzで表示された周波数に対するdBで表示されたビームインピーダンスの計測値を示す。
【0064】
励振器は高周波数のときよりも低周波数においてより低いインピーダンスを示すことが図14から明白である。結果としての音響応答に対する励振器のパラメータの効果を解析するために、図15に示されるように、幾つかの基本的な励振器のパラメータを図14上に直接プロットすることができる。
【0065】
図15は、このビームの機械的インピーダンスの計測値を示すもので、これは、線として示される理論解析と非常に良く対応している。プレートZmは一定値としてプロットされ、計測値は高周波数においてこの限界の方向に向いている。しかし、励振器上のボイスコイルの局部的な剛性効果のために、計測されたビームZmが理論プレートZmより高くなることは、注目する価値がある。これは、図15に示されるようにZmの計測値の増大につながる。
【0066】
励振器のコンプライアンスCms
励振器についてのコンプライアンス(励振器の懸架)もまた、図15にプロットされる。その傾きは、低周波数での機械的インピーダンスの計測値の傾きと一致する。
【0067】
図16は、図15に示されたビームと励振器の組合せに関するオン・アクシス音圧に対して、励振器のコンプライアンスを変えた効果のシミュレーションを示す。ビームにおける最初の4つのモードでは、励振器懸架のコンプライアンスの変更が、モード周波数と振幅に対して大きな影響を及ぼした。励振器のコンプライアンスを増やすこと、これによって剛性を小さくすることは、モード周波数を下方にシフトする結果となったが、振幅は増加した。その反対に、励振器のコンプライアンスを減らすと、結果的に振幅が減少しモード周波数が増加した。このコンプライアンスの変更を介したモード周波数の変更は、50Hzから約300Hzまでの周波数領域で有効である。ビームのインピーダンスが増えると、より高い周波数における懸架のコンプライアンスの効果がより少なくなることが図16から明白である。
【0068】
図17aと図17bは同じ実験の設定を示すが、ここでは、10−100Hzと100Hz−1kHzの間の励振器の励起点速度をそれぞれ計測している。これは、図16に示されたのと同じ傾向を反映している。500Hzより下のモード周波数は、励振器のコンプライアンスの変更によって顕著に影響される。
【0069】
励振器に支持される質量Mms
励振器の質量は、システムの周波数応答が「減衰」し始める周波数を決定する。同じパネル領域では、ビームの方が同じ面積のパネルよりも低い減衰周波数を有する。
【0070】
励振器の位置
励振器を単純なプレート上に配置すると、これらの2つの部品は別々のものと見なすことができ、2つの部品間の交互作用はモード周波数に対して最小限の影響を有する。しかし、ビームにとって、低周波数でのより低い機械的インピーダンスにより、低周波数モードに伴って交互作用が増加する結果となる。図18は、ビームの長さに沿って別々の励振器位置の領域を有するビームBの図表である。図19は、これらの位置の3つの励起点で計測された速度を示す。明らかに、励振器の位置はビームの低周波数モードに対して影響を及ぼす。
【0071】
要約すると、図15は、低周波数における励振器のパラメータが、プレートのためよりも、ビームの機械的な挙動に対してより大きな影響を有することを示す。
【0072】
本発明の原理を説明するために、本発明の特徴を説明する多くの特定の実施形態が考察される。以下の図は、これら実施形態の設計/設定と音響応答を示すものである。
【実施例1】
【0073】
図20は、ラウドスピーカ(40)の第1の実施形態であり、パネルの低周波数モードを交錯させるのに最適な励振器の位置を決定するために励起マップを使用する利点を示している。
【0074】
材料の剛性の高い方向が長い方向に平行に配向されたAcoustic 88−2mmから成り、寸法が490mm×40mm(縦横比が12.25対1)のビーム状のパネル(41)が、短い方向のパネル縁部を剛性フレーム(42)に対して接着接合することによって、この縁部で単純支持される。ビームの長い方向の縁部は、フレームとパネル材料自体に剛に接合されたコンプライアントな自己接着型PVCの単一ストリップを介して支持される。単一の移動コイル式振動励振器が、位置BA及びBIの1方でパネルに対して接着接合され、励振器の背面すなわちマグネット組立体は、フレーム(42)に固定されたアルミニウムの部分(図示されていない)に剛に接地された。
【0075】
励振器の位置は、図3に示される励起マップに基づいて選択された。図3に示されるように、位置BIはレベル2の領域に配置され、一方位置BAはレベル1の領域に配置される。このラウドスピーカの音響出力は、2つの励振器領域について図21に示される。位置BAに関しては、音響出力は150Hzから2kHzの間でより滑らかであり、位置BAにおける音響出力の場合のように、ほぼ200Hzでのふらつきがない。モードの滑らかさは位置BAに関しては改良されているが、BIにおいては、低周波数限界周波数がより低くなる。前述したように、これは帯域幅ではなくモード密度すなわち滑らかさに基づいて励振器を配置した結果である。設計者は、これらの要因の好適なバランスを選択することができる。
【実施例2】
【0076】
図22は、ラウドスピーカ(40)の第2の実施形態であり、パネルの低周波数モードを交錯させるのに良好な励振器の位置を決定するために励起マップを使用する利点を示している。
【0077】
材料の剛性の高い方向が長い方向に平行に配向されたAcoustic 88−2mmから成り、寸法が600mm×33mm(縦横比が18.2対1)のビーム状のパネル(41)が、大きさが800mm×800mmのバッフル(43)中に、すべての縁部が自由な条件で設定される。ビームの前面はバッフルの前面とレベルに、すなわち「面一に」配置される。パネル縁部とバッフル間には1mmのギャップがビームの全周縁部の周りに保持される。単一の可動コイル式振動励振器が、図22に示す位置AD及びAIの1方でパネルに対して接着接合され、励振器の背面すなわちマグネット組立体が、バッフル(43)に固定されたアルミニウムの部分(図示されていない)に剛に接地された。この励振器の位置は、図2により与えられる励起マップに基づいて選択された。図22上の位置ADはレベル1領域内に位置するものとして、また、図22上の位置AIはレベル2の領域内に位置するものとして、この励振器の位置を示す。この励起マップはフリー・フリー条件のもとでのこの特定の縦横比のパネルと関連する。
【0078】
このラウドスピーカにおけるオン・アクシス音圧の設定は、半無反響条件のもとで実行され、この計測値は図23に示される。位置ADに関しては、位置AIに関する音響応答と比較した場合、150Hzから2kHzまでの音響応答は滑らかであり、平坦である。低周波数限界は両方のパネルにおいてよく似たものとなっている。
【実施例3】
【0079】
図24はラウドスピーカ(40)の第3の実施形態を示しており、低周波数におけるモード分布に対する懸架位置の影響を最小にするように懸架位置を配置するために励起マップを使用する利点を示している。
【0080】
この実施形態は、Acoustic 88−2mm(寸法490mm×40mm)で、すべての縁部が自由条件のビーム(41)から成る。2片のPVCからなるコンプライアントな発泡樹脂(44)(サイズ10mm×5mm×5mm)が、励振器と同じ側でビームに配置され、これらの発泡樹脂懸架の位置は、パネル上のレベル3の領域内に配置されるように励起マップ(図6)から導き出される。このようにして、システムの低周波数モードに対する懸架の影響が最小にされることになる。19mmの電気力学的励振器がADに配置され、発泡樹脂の懸架がある場合とない場合について、このシステムにおけるオン・アクシス音圧が測定された。発泡樹脂の懸架は剛性支持フレーム(42)に接着され、励振器もまた剛性支持フレームに接地された。発泡樹脂の懸架がある場合とない場合の音響の計測値が図25に示される。
【0081】
自由縁部の場合、ADの位置(レベル1領域)に配置された励振器について予測されるように、200Hzから2kHzまでの間の音響応答は滑らかである。システムに対する発泡樹脂の懸架パッドの追加により、この周波数領域間でこのモード分布が大幅に変わることはなかった。自由縁部の場合に110Hzで発生した低周波数モードだけが周波数の上方にシフトされ、そのためそれは隣のモードとより密接に交錯する。従って、励起マップによって提供されたガイドラインに従うことによって、この場合発泡樹脂懸架の追加は周波数応答に悪影響を及ぼさなかった。
【実施例4】
【0082】
図26はラウドスピーカ(40)の第4の実施形態であり、ビーム状パネル(41)の全周縁の周囲に配置された連続縁部末端(45)を有するシステムの音響特性を示している。
【0083】
この実施形態は、高縦横比のパネルの音響応答に対するコンプライアントな縁部末端を使用する効果を示している。この場合、縦横比が12.25対1(490mm×40mm)で、25mm直径の電気力学的励振器を使用して励起されるパネルのすべての縁部が自由状態に設定された。図6の励起マップを使用して考察し、励振器をレベル2の位置に配置した。前述したように、システムは、大きさが800mm×800mmのパネルの前面が、バッフルの表面と面一となるようにバッフル(43)内に設定される。励振器は前と同様にフレーム(42)に剛に接地される。
【0084】
オン・アクシス音圧がこのシステムにおいて計測され、図27に示される。ほぼ2kHzにおける「ふらつき」は回折効果であり、部分的に前部から後部への減衰のためである。励振器がレベル2の領域ではなく、パネル表面上のレベル1の領域に配置されていたとすれば、周波数応答はそれほど高密度ではない。これは、低周波数では不満足なモード密度となる。
【0085】
次に、システムは、コンプライアントな縁部末端の追加によって変更された。これは25ミクロン厚さの自己接着テープを介して、パネルのすべての周縁の周りでパネルとバッフルに接着接合された50ミクロン厚さのコンプライアントな熱可塑性フィルムから成る。このフィルムの密度は約110kg/m-3であり、引っ張りヤング率は約0.2−0.3Gpaである。このフィルムには引っ張り力は付与されず、そのためパネル縁部の変位が可能であった。
【0086】
図27は、このシステムの音響応答に対するこの縁部末端の影響を示す。高周波数の応答はそれほど大きな影響を受けなかったが、低周波数応答は大幅に変わった。100Hzから1kHzまでは変化の程度に伴って低周波数で最大限出力は増加した。低周波数でのパネルの個々のモードが拡げられ、そのために周波数応答はより滑らかになっている。懸架材料の追加により、システムに対する減衰の程度が追加され、そのためにこれらのモード周波数が拡げられた。
【0087】
図28から図31までは、フラットパネルモニタ用すなわちディスプレースクリーン(47)用の増設用ラウドスピーカとして意図された、縦横比が非常に高いパネル状ラウドスピーカ(40)の実用的な実施形態を示すものであり、ディスプレースクリーンはフレームすなわちケーシング(48)内の液晶ディスプレー(LCD)とすることができる。美的観点からのこの用途の要求は、分布モードラウドスピーカ又は従来のピストン式円錐スピーカにおけるより低い縦横比に比べて、高い縦横比における解決を有利にする。
スピーカの仕様は以下のとおりである。
【0088】
図28は、両側にビーム状のパネル状スピーカ(40)を備えたフラットパネル・ディスプレースクリーン(47)の全体的な図である。図29は、背面から見たスピーカパネル(41)であり、励振器の位置(49)と懸架領域(44)の位置の両方を示している。
【0089】
懸架位置の選択は2つのパラメータによって決定された。第1に、ほとんどの周波数領域にわたる自由パネルに対して良好な近似を提供するために、パネルの各端部にこの領域のノード線に隣接して、長さ32mmの2つの発泡樹脂の支持体(44)が配置された。これにより自由境界条件のために生成された励起マップが使用できるようになる。第2に、パネルの長い側部に沿った懸架が選択され、パネルの低周波数変位が制御された。これにはパネルに対していくぶんかの静的で構造的な安定性を提供し、装置を頑丈にするという利点もある。
【0090】
パネルは、LCDモニタ(47)のケーシング(48)に取り付けるためのフレーム(図示されていない)に取り付けられる。このフレームがパネルに対して呈示するエンクロージャは、後部が半解放型である。これにより低周波数特性が良好になり、完全にシールされたラウドスピーカユニットで経験される低周波数特性の急激な低下を、幾分かは防ぐことができる。
【0091】
スピーカの特性が図30に示されており、それは1Sの入力で励起されたときのモニタスクリーン(47)から0.5mの音圧レベルの空間平均を示すものである。軌跡は第3オクターブに滑らかにされた。
【0092】
2つのサテライトスピーカ(40)によって生成された音圧レベル(SPL)は単一のウーハ(図示されていない)によって増大され、低周波数出力がもたらされる。これは縦横比が高いパネルの出力とウーハに対する交差点との、両方のアクティブな均等化と組み合わせられる。図31は達成された最終的な周波数応答を示すもので、最終結果の滑らかさと高品質とを表している。データは滑らかにされた第3オクターブであり、任意のdBの尺度レベルに対して呈示される。
【0093】
本実施形態のキーとなる特性は、
1対8.8の高い縦横比のパネルと、
(0,n)と(1,n)の両方のモードを励起するための対称中心軸を外して配置された励振器と、
自由端境界条件と、
を含む。
【0094】
図4に示されるレベル1領域(7対1>AR>12対1)の近くに配置された励振器には、使用される励振器のサイズによって制約される本アプリケーションの機械的な拘束が付与される。励振器の位置は、励起マップで使用されるのと同じ位置の規則で0.17Lx、0.71Lyに対応する。追加の発泡樹脂支持体は、低周波数の変位を制御して構造的な安定性をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】ビーム状の高縦横比のDMパネルに関するノード線マップである。
【図2】縦横比が18対1から50対1までのパネルの駆動マップの四半分である。
【図3】縦横比が12対1から18対1までのパネルの駆動マップの四半分である。
【図4】縦横比が7対1から12対1までのパネルの駆動マップの四半分である。
【図5】縦横比が5対1から7対1までのパネルの駆動マップの四半分である。
【図6】縦横比が18対1から50対1までで、短軸が単純支持され長軸が自由端のパネルの駆動マップの四半分である。
【図7】縦横比が12対1から18対1までで、短軸が単純支持され長軸が自由端のパネルの駆動マップの四半分である。
【図8】縦横比が7対1から12対1までで、短軸が単純支持され長軸が自由端のパネルの駆動マップの四半分である。
【図9】縦横比が5対1から7対1までで、短軸が単純支持され長軸が自由端のパネルの駆動マップの四半分である。
【図10】縦横比が18対1から50対1までで、短軸が固定支持され長軸が自由端のパネルの駆動マップの四半分である。
【図11】縦横比が12対1から18対1までで、短軸が固定支持され長軸が自由端のパネルの駆動マップの四半分である。
【図12】縦横比が7対1から12対1までで、短軸が固定支持され長軸が自由端のパネルの駆動マップの四半分である。
【図13】縦横比が5対1から7対1までで、短軸が固定支持され長軸がフリー・フリー状態のパネルの駆動マップの四半分である。
【図14】理論上のビームインピーダンスに対する計測されたビームインピーダンスのグラフである。
【図15】計測されたビームインピーダンスに対するキーとなる励振器パラメータのグラフである。
【図16】周波数に対するシミュレートされたオン・アクシス音圧のグラフである。
【図17a】周波数に対するシミュレートされた駆動点速度のグラフである。
【図17b】周波数に対するシミュレートされた駆動点速度のグラフである。
【図18】異なる励振器の位置を示すパネルの線図である。
【図19】周波数に対する駆動点速度のグラフである。
【図20】ラウドスピーカの第1の実施形態の平面図である。
【図21】2つの別々の位置に励振器を有する、図20のラウドスピーカのオン・アクシス音圧のグラフである。
【図22】ラウドスピーカの第2の実施形態の平面図である。
【図23】2つの別々の位置に励振器を有する、図22のラウドスピーカのオン・アクシス音圧のグラフである。
【図24】ラウドスピーカの第3の実施形態の平面図である。
【図25】2つの異なる条件における、図24のラウドスピーカのオン・アクシスの音圧のグラフである。
【図26】ラウドスピーカの第4の実施形態の平面図である。
【図27】2つの異なる条件における、図24のラウドスピーカのオン・アクシス音圧のグラフである。
【図28】スクリーンの対向する側部にビーム状のパネルスピーカを備えたディスプレースクリーンすなわちモニタの正面図である。
【図29】図28の実施形態に関するスピーカパネルの背面図である。
【図30】図28及び29のスピーカに関する、周波数に対する空間的に平均化された音圧レベルのグラフである。
【図31】追加の低周波数用のスピーカを有する、図28から図30のスピーカの応答のグラフである。
【符号の説明】
【0096】
A ノード線
B ノード線
【0001】
本発明は、パネル状ラウドスピーカに関し、より詳細には音響応答を生成するための撓み波の発生に依拠するラウドスピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
分布モードラウドスピーカ(DML)は国際特許出願番号WO97/09842に記載されており、パネルすなわちプレート内での共振撓み波モードの生成に依拠するものである。分布モードラウドスピーカは広い指向性を示し、50Hzから20kHzまでの音響応答を生成することができる。WO97/09842は、ラウドスピーカの低周波数領域において高密度のモードを生成する縦横比(Lx/Ly)が等方性材料の場合1.13対1及び1.41対1であるパネル又はプレートの好適な実施形態を教示している。
【0003】
長方形パネルの直交軸の1つに沿った最低周波数(f0)と、その同じ方向におけるパネルの長さは、特定方向における撓み強さすなわち剛性(B)により、下の式(1)で表すことができる(これは厚さが均一な等方性の材料と均質なパネルを想定している)。
ただし、
f0:基本周波数(Hz)
B:撓み強さ(Nm)
l:パネルの長さ
【0004】
式(1)は、パネルすなわちプレートのための2方向における基本周波数又は最低周波数を予測するものであるが、特定のパネルすなわちプレートのためにより高いモード周波数を予測することもできる。プレート又はパネルは、すべて多くの撓みモードすなわち曲げモードを呈示し、それぞれのモードは、特定の周波数で動作してそれぞれ対応する独自のモード形状を示す。物理的な寸法、パネルの機械的な特性、及びシステムの境界条件を介してシステムの固有値を考慮することによって、モードが発生する周波数の予測をすることができる。
【0005】
WO97/09842によって設計されたプレートの1例として、表1はEuro Composites社のAcoustic 88−2mmとして知られる材料(異方性比率が1.2)で作られた、フリー・フリー状態における150mm×131mm寸法のプレートのモード周波数を示す。Acoustic 88−2mmの特性は表2に示される。
表1. フリー・フリー状態における150mm×131mmのプレートのモード特性
表2. パネルの材料特性
【0006】
表1に使用された特定のモード形状を記述する表記について言えば、使用された表記は特定モードのノード線を考慮するものである。ノード線は、その特定の周波数に対しては変位を示さないモードの部分である。特定のモード形状についての表記のために、パネルの2つの直交軸に関して特定の軸を横切るノード線の数がカウントされる。
【0007】
表1から、パネルの周波数応答は、パネルの両方向に生成されるモードによって支配されることが明らかになる。例えば、1kHz未満では、次の(1,1)、(2,0)、(0,2)、(2,1)、(1,2)モードが励起される。
【0008】
このシステムについて言えば、両方向のモードは、1kHzより小さい周波数においては「モード充填」すなわちモード分布に対してほぼ等しく寄与する。縦横比又はその他の物理的なパネルのパラメータの使用を介して、低周波数において高密度となるモード構成をもつことができるパネル設計が可能であるが、これらのモードすべてが励起手段によりパネル内で促進されることもまた望ましい。従って励起力の位置は、励起されるべきモードを決定する上で重要である。好適な励振器の位置は、必要な低周波数モードの大部分又はすべてが促進される位置とすることが好ましい。
【0009】
パネルのいずれの縦横比についても、1組のモード周波数が解析によって予測できる。WO97/09842に基づいて設計された分布モードラウドスピーカについても、特定の周波数領域にわたるモード周波数を計算することができ、したがって、パネルの縦横比を調整し、また一方でパネルの機械的な特性を考慮することによって、このモード周波数を交錯させることが可能である。一般に、高周波数モードの数は低周波数のそれよりもはるかに多いので、DMLの高周波数性能は同じ程度のモードの交錯を必要としない。従って、要求される領域にわたるパネルのモード密度設計のときに、低い方の周波数のモード周波数が考慮される。
【0010】
等方性材料については、選択範囲の中で2つの縦横比(1.13対1と1.41対1)がWO97/09842において検討されており、これらは低周波数で良好なモード分布を取得するために使用できる。しかし、x及びyの2つの方向のパネル剛性が異なる場合(BxとByで示されるように)には、モード周波数は明らかに影響される。良好なモード分布を生成するために、そのような材料について新しい縦横比の組が考慮されるべきであり、それらもまたWO97/09842に記載されている。
【0011】
多くのDML製品に対しては、空間的制約と美的要求から、ビーム状の高い縦横比のパネルが有効なことが分かるであろう。例えば、TV用途に関しては、TVの前部フレームで使用できる限られた空間が、最大の帯域幅及びモード密度を得るためには、細長い、すなわち高い縦横比のパネルが要求されることを示す。
【0012】
縦横比が大きくなると、システム内のモードの関係は、単純な長方形プレートと比較して周波数が変化し、分布は、長い方の寸法内のモードによって支配される傾向にある。表3は、表1のパネルと面積が同じであるが、縦横比が50対1で、高度の異方性材料を使用し、剛性の高い方向がビーム幅を横切るように配置されたパネルについてのモード周波数を示す。
表3. ビーム幅を横切る方向に剛性が高いフリー・フリー状態の990×20mmのプレートに関するモード周波数
【0013】
この説明の中で、長軸に対して直交しない横方向モードについて、用語「ねじれモード」を使用することを選択した。
表3から、(0,n)長のモードが低周波数特性を支配することが明らかである。これは、WO00/78090に記載された発明の場合である。(1,n)すなわちねじれモードは、1.68kHzの周波数で始まり、一方で、(2,n)モードは、直交モード、幅方向モード、すなわち横断モードであり、82.6kHzの最低周波数を有する。これら後の組のモードは、いずれもこのビームの低周波数特性に寄与しないので、最適な励振器位置の決定にとっては重要ではない。1方向のモードを特に促進することによって、独自の特性を示す音響装置が生成される。
【0014】
【特許文献1】
国際特許出願番号WO97/09842公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、ビーム形状のパネル状音響放射体と、該放射体中に低周波数モードを該放射体の長手方向及び該放射体を横切る方向の両方向に励起することを可能にする放射体上の位置で該放射体に取り付けられた変換器と、長手方向及び横方向の低周波数モードの励起が許容されるように放射体を取り付けるための手段とを備える共振撓み波ラウドスピーカを提供する。
【0016】
ビームは、少なくとも5対1、そして50対1より小さい縦横比を有するものとすることができる。
【0017】
ビームは、x及びy軸方向の撓み剛性比が5対1から1対5までの間の異方性材料とすることができる。
【0018】
ビームの物理的な特性及びビーム上の変換器の位置は、ビーム内における長手方向及び横方向の周波数モードが交錯されて、滑らかな低周波数応答を生成するようにすることができる。
【0019】
取付手段は、ビームの短い縁部を拘束するようにすることができる。取付手段は、それが放射体のモード分布に対して最小限の影響を有するビーム領域に取り付けることができる。
【0020】
この又は各々の振動変換器の駆動位置は、図5から図16までに示されるように、「レベル1」及び「レベル2」として規定された領域内に含まれる。
【0021】
取付手段は、ビームの両側の側部について非対称の縁部条件又は境界条件を与えることができる。
【0022】
取付手段は、ビームの長手方向に取り付けられたコンプライアントなテープ/フィルム又は軟質低剛性発泡樹脂の懸架により構成して、低周波数モードを減衰し、周波数応答を滑らかにすることができる。
【0023】
ビームは、その機械的インピーダンスが周波数の平方根に比例して増加するような縦横比と機械的特性を備えることができる。
【0024】
振動変換器は電気力学的方式のものとし、低周波数でのビームの機械的インピーダンスが励振器のパラメータと相互作用して、低周波数領域のモードの周波数が励振器の存在によって変更されるラウドスピーカを創出することができる。
【0025】
別の態様では、本発明は前述した種類の共振撓み波ラウドスピーカを設計する方法であり、この方法は、ビームの物理的なパラメータから該ビームにおける共振モードのモデルを導出することによってビーム上に振動変換器を配置するための位置を決定し、このモデルを使用して変換器からビームへの機械的な入力を、周波数を関数として計算し、機械的な入力の滑らかさの尺度を計算し、滑らかさの尺度についての所望の値を有する振動変換器の位置を選択することからなる。
【0026】
機械的入力の滑らかさの尺度は、平均入力の一定値からの該入力の平均自乗偏差とすることができる。一定値は、すべての傾向(例えば周波数とともに増加する)が除去された平均入力にコンプライアントなする直線(又は水平線)とすることができる。従って、一定値に関しては周波数の変化はない。機械的な入力は、ビーム上の単一の点に対して一定の点状の力を加えるときのものとして計算できる。
本発明は、例として添付図面に図式的に示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は、分布モードラウドスピーカとして使用できる高い縦横比のパネルの範囲に適用される。そのような高い縦横比を使用するラウドスピーカを設計するときに考慮される必要があるビームの幾つかの特性がある。本発明は、以下に挙げる3つの態様を有し、それぞれを順に説明される。
1.励振器の位置と縦横比を介してのビームモードの励起
2.ビームの音響特性に対する懸架の影響
3.励振器とビームとの間の相互作用
【0028】
以下は、これらの特徴の一般的な説明であり、次いでこれらの特徴を表すものとして幾つかの実施形態が考慮される。
【0029】
1.励振器の位置と縦横比を介するビームモードの励起
本発明の1つの要素は、励振器と懸架位置を使用して、縦横比が高いラウドスピーカシステムの音響出力を制御することである。縦横比が約12対1の等方性パネルに関するモード周波数が表4に示される。
表4. Acoustic 88−2mmのフリー・フリー状態の490mm×40mmのパネルのモード周波数
【0030】
表4から、低周波数モードのほとんどは(0,n)及び(1,n)の組の周波数であることが明らかである。従って、このシステムにおいて低周波数の理想的なモード密度を得るためには、2つの組のモードを交錯させることが重要である。第1の(2,n)の直交する横方向モードは5.5kHzで発生するので、低周波数モードを促進するための励振器の位置決めには適切ではない。
【0031】
このビーム内に有効なモード周波数である(0,n)と(1,n)の両方を励起するためには、それに応じて励振器を配置することが重要である。(1,2)モードに関しては、基本的なモード形状は、図1に示されるように、短い方のビーム寸法に平行で該ビームに沿って1/3と2/3に配置されたノード線Aと、長オン・アクシスのビームに沿って延びるノード線Bとを有する。縦横比が高いパネルにおけるこの特定のモードを促進するために、励振器はノード線から離して配置されるべきである。上に示されたノード線Bは、パネル内におけるすべての(1,n)モードに関して共通であり、従ってこれらのモードを促進するためには、励振器は、例えばAのように、この線から離して配置されるべきである。(0,n)組のためのノード線はすべて短い方の寸法に平行であり、これらはまた励振器の配置の際に考慮されるべきである。
【0032】
従って、一般的な規則として、縦横比が5対1からほぼ50対1までの間の任意のパネルに関して、最適なモード密度、従って最も滑らかな低周波数応答を生成するためには、(1,n)モードが励起され、これに(0,n)モードが交錯されるべきである。励振器の好適な位置は、WO97/09842で特定された例えば4/9、3/7などのように実例に応じて異なる。本発明は、材料の種類の範囲に適用される。(0,n)長さモードと交錯させるために、低周波数においてこれらのねじり横断モードを使用することも、従来技術の手法とは異なる。
【0033】
縦横比が大きくなると、好適な励振器位置は長手方向の軸からより遠く離れる配置となる傾向にある。
【0034】
任意のシステムに関して、パネルすなわちビームのための入力は、特定の周波数領域にわたるパネルの物理的な寸法、境界条件、及び機械的な特性から計算することができる。モード周波数上の統計的な解析を使用することによって、励起位置の像を与える駆動マップ(ノード線マップと同様な)を生成することが可能である。これらのマップは「滑らかさ」駆動マップと呼ぶことができる。
【0035】
要するに、パネル上の励振器の位置を決定するための手法は、励振器が置かれた物体の特性のシステム的な評価である。詳細には、縦横比が高いパネルの固有モードの重ね合わせとしてシステムの解析モデルが設定される。これは、パネルの形状寸法と組成をベースとして行われる。次に、このモデルは、単一の点に一定の点状の力が付加されるものとして、機械的な入力を周波数を関数として計算するために使用される。次いで、この関数の滑らかさの尺度を与える最適化関数が、周波数を関数とする入力にコンプライアントなする直線からの平均自乗偏差から計算される。次に、周波数を関数として入力の滑らかさを最適化することによって、最良の励起点が求められる。
【0036】
上に呈示された励起マップは、縦横比の領域にグループ分けされた上記の最適化手順の結果を表示する。マップ中に示された領域には滑らかさが増加している3つの領域があり、それらは一般に相当する縦横比領域にわたる挙動の特性である。
【0037】
次に、それらは表5に挙げられるように3つの別々のレベルに分離される。図2から図5までは、これらの領域が縦横比の領域について特定された1組の励起マップを示す。各々のレベルは、その特定のシステムに関して表された交錯の相対的な程度を与える。これらの励起マップは、全体にわたるものではなく、境界条件がパネルの2つの直交軸に対称であるので、パネルの1/4を示すだけである。
表5. 励振器配置のためのパネル領域の最適化レベル
【0038】
幾つかの用途に関しては、設計者は特定モードすなわちビーム中のモードのより支配的な励起を選択する可能性があるので、「レベル1」の交錯は適切さが低いであろう。高い程度の交錯の目的が、ビーム中の実行可能な最低周波数の促進とは異なることに注目するのは重要である。幾つかの用途にとって、これはより重要な要求であり、設計者は交錯と帯域幅に対して特定のバランスのためのパラメータを選択することができる。
【0039】
前に説明したように、大抵のラウドスピーカシステムは、パネルが固定されてフレーム中で安定するように、パネルを何らかの形態で機械的に支持することを要求する。パネル中の振動又はモードがフレームに大幅に伝達されないことを確実にするのも、これらが不要な振動と騒音の原因になる可能性がある場合には重要である。柔軟な発泡樹脂又はコンプライアントな材料は、これらの振動を効果的に吸収するのに有効であり、そして、大きな質量や余分な剛性をラウドスピーカに付加することがないので、この目的のために使用されることが多い。しかし、懸架及びその位置のパネルにおけるモード分布に対する影響が良好であり、或いは有益でさえあることを確実にするために、これらの影響を考慮することが有用である。励振器を配置するための最適位置を見つけるのに使用される励起マップは、懸架又は材料取付のための適切な位置を見つけるのを助けるためにも使用できる。支持のための良好な位置は、対象物の特定の周波数領域に関するノード線である。従って、すべての励起マップ(図2から図5まで)において、レベル3の領域は、懸架/取付にとってシステムのモード周波数との相互作用を制御するのに好適な位置である。
【0040】
このセクションでは、縦横比の領域に有効な多くの励起マップが考えられるであろう。縦横比が最適な励起位置に対して大きな影響を有することは明らかであるので、5対1から35対1までの縦横比をカバーする多くの汎用励起マップが生成されている。これら励起マップ上の領域には、励振器の座標に関して±10%の許容差があることは注目されるべきである。これは、これらの励起マップが縦横比のある範囲に対して適用できるためである。セクション1で説明されたように、パネルの異方性比率は、パネル中のモードに対して、従って最適な励振器の位置に対して大きな影響を持つものである。従って、異方性の考慮は、励起マップを表示する場合に重要である。このセクションにおけるすべての励起マップ(図2から図5)では、各方向に7対1までの異方性が示される。
【0041】
特定のパネルにおいて、設計者は選択されたパラメータに基づいて特定の励起マップを解析することができる。
【0042】
図2は、Acoustic 88−2mm製で、フリー・フリー条件の18対1から50対1までの縦横比の自由端パネルについて、表5に示されるように領域が分けられている場合の、これら汎用励起マップの1つを示す。すべての側部上で同じ境界条件を有するビームにおいては、結果を示す必要があるのはパネルの四半分であるので、図2は、パネルのこの四半分だけについてのものである。先に説明されたように、明らかに、良好な位置(レベル1の)は、パネルの長い縁部寄りであり、また短い縁部寄りであることが分かる。実際問題として、短い縁部に隣接する領域は、有限サイズの励振器を取り付けるには狭い領域であるので、励起するのがより困難である。従って、長い縁部に隣接するより広い領域が最も実際的な解決としては好適である。
【0043】
異なる縦横比の範囲に関する場合がまた、以下で考慮される。
【0044】
図3は、フリー・フリー条件で縦横比ARが12対1≧AR<18対1のパネルについての汎用励起マップを示し、幾つかの異なる最適励起位置を示す。図2におけるように、短い縁部に隣接するレベル1の領域は実際的な解決法ではない。2つの別々の「レベル1」領域がここに提示され、拡張された「レベル3領域」が示されている。
【0045】
図4は、フリー・フリー条件で縦横比ARが7対1≧AR<12対1のパネルの汎用励起マップを示し、図3と比較して多くの類似点を示している。「レベル1」領域は図3と比較してパネルのより大きな部分の端から端まで延びるが、そこにはより大きな「レベル3」領域もある。
【0046】
図5は、フリー・フリー条件で縦横比ARが5対1≧AR<7対1のパネルの場合を示す励起マップである。パネルの長手方向寸法の中間点は、高い縦横比(レベル1からレベル2にグレードダウンした)と比較したとき、有用性がより少なくなっている。
【0047】
すべての励起マップ(図2から図5)についての共通の特徴は、ビームの長手方向寸法に関する中央軸が最適な励起位置(すなわち「レベル1」)ではなく、好適な懸架位置が長手方向寸法の縁部寄りであることである。最適な、すなわち「レベル1」の励起位置は、ビームの長い縁部寄りの位置になる傾向がある。これは、低周波数においてモードの交錯を最適化するときに、(1,n)モードが考慮される必要があるという事実を裏付ける。
【0048】
2.ビームの音響特性に対する懸架の影響
セクション1は、使用可能なモード密度が自由支持パネルのために最適化されるように、励振器及び懸架位置を特定するために、励起マップを使用することについてのものである。しかし実際には、非常に高い縦横比のパネルを使用するほとんどの用途は、パネルを支持するための境界条件と、パネルの前方放射を後方放射から分離するための、すなわち相殺問題及びそれに対応する低周波数の減衰を解消するための、バッフルの形態とを含むことになる。
【0049】
従って、このセクションでは、機械的特性(モード周波数)及び音響特性に対する境界条件の影響の幾つかが検討される。第1に、種々の境界条件とそれらの機械的/音響パネル的特性に対する影響の広義の説明が与えられる。
【0050】
支持なし縁部の境界条件
支持なし縁部の条件は、その縁部に何も力が加えられず、かつ何らかの形態の支持部に接続されない条件である。この条件は、特定のパネルについての最低の組のモードを導き出すものであるが、前述したように前方及び後方放射を分離するための要求と、パネルに対する支持を提供する要求のために、実用上は実行可能ではない。
【0051】
固定された境界条件
固定された境界条件はどの方向にもビームの変位又は回転が発生しない場合である。実際問題として、真の固定された境界条件は特に高周波数において達成するのが非常に難しい。縁部を固定することによってアクティブな振動領域はパネルの中央の領域に制限される。
【0052】
単純支持された境界条件
この縁部条件は振動は可能ではないが回転は自由な場合である。再度、この縁部の条件を生成することは、パネルの縁部におけるすべての回転がパネルの垂直方向の変位によって達成されること多いので、実際には難しい。
【0053】
コンプライアントな懸架縁部条件/複合インピーダンス縁部末端
薄いコンプライアントなフィルム又は100ミクロンより小さい厚さでヤング率が4GPaより低いテープは、パネルをその周縁部において支持するために使用することができる。そのような境界の末端には、支持なし縁部条件の効果と単純支持された境界条件の効果との間の効果がある。より低いモード周波数は、支持なし縁部条件のためのモード周波数と比較して、この末端によって高い周波数にシフトされる。縁部末端のこの方法を使用する1実施形態が後のセクションで説明される。
【0054】
ビーム上の異なる縁部条件の効果
短い縁部条件
縦横比が5対1を超えるビームのパネルモードの大部分は、長い方の寸法に平行である。ビーム中の(0,n)モードにおいては、短い縁部の縁部条件は大きな効果がなく、一方で(1,n)モード周波数に関する周波数の%変化はより大きくなる。それにもかかわらず、これら2組のモードの交錯は、低周波数特性に対して重要である。
【0055】
明らかに、ビームの短い端部を単純支持又は固定支持することによって、フリー・フリー状態の場合と比較して励起マップが変更されることになる。図6から図9までは、長い縁部が自由にされ、一方で、短い縁部が、先のセクションで詳細に説明されたのと同じ縦横比の領域にわたって単純支持される場合を示す。図10から図13までは、長い縁部が自由にされ、一方で、短い縁部が縦横比の範囲にわたって固定された場合を示す。
【0056】
図6から図13までに示されたすべての励起マップにおいて、固定又は単純支持された縁部のすぐ隣には、固定縁部の近傍にあるために励起点としては明らかに不適切な領域がある。図6から図13までに示された固定又は単純支持された縁部条件に関して同じ縦横比の領域を比較すると、それらには明らかに幾つかの共通の特徴がある。
【0057】
縦横比が高いラウドスピーカの音響特性を変えるために、ビームの非対称縁部条件もまた使用することができる。異なる縁部条件を使用することによって、非対称モードのシステムを創出することができる。このシステムについての結果として得られる励起マップもまた、非対称のパターンを示す。同じ範囲の縦横比に関連するが、短い方の端部において自由、単純支持、及び固定支持状態の縁部条件にある図2、3、6、及び10から、長い寸法に平行な中央軸がレベル1の領域ではないことが明らかである。しかし、システムの1つの側部に対してコンプライアントな縁部末端が適用される場合には、励起マップが非対称になり、中央軸がこのラウドスピーカにとって改良された励起位置となる。パネルの両側の2つの側部の特性は、モード分布のシフトが考慮されるか、又は低周波数特性が影響されるように調整されるべきであろう。
【0058】
長い縁部条件
ビームの長い側部に沿って単純支持又は固定された縁部は、モード周波数に対して有害な影響を有する。モードはより高い周波数にシフトされ、低周波数特性が制限される結果となる。しかし、非常にコンプライアントな発泡樹脂の懸架又はコンプライアントなテープ/フィルムは、長い縁部で或る程度の変位を許容し、スピーカの帯域幅を極端に犠牲にすることなく、その長い寸法に沿ってビームに使用することができる。先に説明したように、これはまた前方放射から後方放射を分離するために役立つ。
【0059】
高縦横比のパネルに対してコンプライアントな縁部条件を使用する実施例が、以下の実施形態のセクションにおいて考慮される。
【0060】
縁部におけるエネルギー吸収
ビームの縁部末端はまた、顕著なエネルギー吸収能力を有し、システムのモード形態又はモード密度に影響するように使用することもできる。ビーム周辺に配置された軟質発泡樹脂又はコンプライアントなテープ/フィルムは、特定周波数のエネルギーを吸収するために使用することができるので、境界から反射されたエネルギーに影響を及ぼす。これらの縁部末端の形態は、対応する剛性、質量、及び減衰(抵抗)を有し、それらはシステムのモード周波数に影響を及ぼす。これは縁部での機械的インピーダンスの解析を介してモデル化することができる。
【0061】
ビームの機械的インピーダンス
薄いビームでは、合成機械的インピーダンスは以下のように規定される(pg 317、「Structure−Borne Sound」「Kramer Heckel及びUngar」)。
Zm=2m′cB(1+j) (11)
ここで
m′ ビームの単位長さ当たり質量(kgm-1)
cB 撓み波の速度(ms-1)
機械的インピーダンス係数は従って次の通りである
(12)
【0062】
式(11)と(12)から、ビームの機械的インピーダンスはωの平方根の関数となることが分かる。これは励振器がその励起点で直面するインピーダンスに影響を及ぼす。
【0063】
ビームが励振器に取り付けられる場合には、関連する励振器/ビームのパラメータを解析するために、Acoustic 88−2mm(紙製ハニカムに紙の表皮が付いた)製のビーム(600mm×33mm)と、NEC製の13mm電気力学的励振器の特定の例が考察される。図14は、Hzで表示された周波数に対するdBで表示されたビームインピーダンスの計測値を示す。
【0064】
励振器は高周波数のときよりも低周波数においてより低いインピーダンスを示すことが図14から明白である。結果としての音響応答に対する励振器のパラメータの効果を解析するために、図15に示されるように、幾つかの基本的な励振器のパラメータを図14上に直接プロットすることができる。
【0065】
図15は、このビームの機械的インピーダンスの計測値を示すもので、これは、線として示される理論解析と非常に良く対応している。プレートZmは一定値としてプロットされ、計測値は高周波数においてこの限界の方向に向いている。しかし、励振器上のボイスコイルの局部的な剛性効果のために、計測されたビームZmが理論プレートZmより高くなることは、注目する価値がある。これは、図15に示されるようにZmの計測値の増大につながる。
【0066】
励振器のコンプライアンスCms
励振器についてのコンプライアンス(励振器の懸架)もまた、図15にプロットされる。その傾きは、低周波数での機械的インピーダンスの計測値の傾きと一致する。
【0067】
図16は、図15に示されたビームと励振器の組合せに関するオン・アクシス音圧に対して、励振器のコンプライアンスを変えた効果のシミュレーションを示す。ビームにおける最初の4つのモードでは、励振器懸架のコンプライアンスの変更が、モード周波数と振幅に対して大きな影響を及ぼした。励振器のコンプライアンスを増やすこと、これによって剛性を小さくすることは、モード周波数を下方にシフトする結果となったが、振幅は増加した。その反対に、励振器のコンプライアンスを減らすと、結果的に振幅が減少しモード周波数が増加した。このコンプライアンスの変更を介したモード周波数の変更は、50Hzから約300Hzまでの周波数領域で有効である。ビームのインピーダンスが増えると、より高い周波数における懸架のコンプライアンスの効果がより少なくなることが図16から明白である。
【0068】
図17aと図17bは同じ実験の設定を示すが、ここでは、10−100Hzと100Hz−1kHzの間の励振器の励起点速度をそれぞれ計測している。これは、図16に示されたのと同じ傾向を反映している。500Hzより下のモード周波数は、励振器のコンプライアンスの変更によって顕著に影響される。
【0069】
励振器に支持される質量Mms
励振器の質量は、システムの周波数応答が「減衰」し始める周波数を決定する。同じパネル領域では、ビームの方が同じ面積のパネルよりも低い減衰周波数を有する。
【0070】
励振器の位置
励振器を単純なプレート上に配置すると、これらの2つの部品は別々のものと見なすことができ、2つの部品間の交互作用はモード周波数に対して最小限の影響を有する。しかし、ビームにとって、低周波数でのより低い機械的インピーダンスにより、低周波数モードに伴って交互作用が増加する結果となる。図18は、ビームの長さに沿って別々の励振器位置の領域を有するビームBの図表である。図19は、これらの位置の3つの励起点で計測された速度を示す。明らかに、励振器の位置はビームの低周波数モードに対して影響を及ぼす。
【0071】
要約すると、図15は、低周波数における励振器のパラメータが、プレートのためよりも、ビームの機械的な挙動に対してより大きな影響を有することを示す。
【0072】
本発明の原理を説明するために、本発明の特徴を説明する多くの特定の実施形態が考察される。以下の図は、これら実施形態の設計/設定と音響応答を示すものである。
【実施例1】
【0073】
図20は、ラウドスピーカ(40)の第1の実施形態であり、パネルの低周波数モードを交錯させるのに最適な励振器の位置を決定するために励起マップを使用する利点を示している。
【0074】
材料の剛性の高い方向が長い方向に平行に配向されたAcoustic 88−2mmから成り、寸法が490mm×40mm(縦横比が12.25対1)のビーム状のパネル(41)が、短い方向のパネル縁部を剛性フレーム(42)に対して接着接合することによって、この縁部で単純支持される。ビームの長い方向の縁部は、フレームとパネル材料自体に剛に接合されたコンプライアントな自己接着型PVCの単一ストリップを介して支持される。単一の移動コイル式振動励振器が、位置BA及びBIの1方でパネルに対して接着接合され、励振器の背面すなわちマグネット組立体は、フレーム(42)に固定されたアルミニウムの部分(図示されていない)に剛に接地された。
【0075】
励振器の位置は、図3に示される励起マップに基づいて選択された。図3に示されるように、位置BIはレベル2の領域に配置され、一方位置BAはレベル1の領域に配置される。このラウドスピーカの音響出力は、2つの励振器領域について図21に示される。位置BAに関しては、音響出力は150Hzから2kHzの間でより滑らかであり、位置BAにおける音響出力の場合のように、ほぼ200Hzでのふらつきがない。モードの滑らかさは位置BAに関しては改良されているが、BIにおいては、低周波数限界周波数がより低くなる。前述したように、これは帯域幅ではなくモード密度すなわち滑らかさに基づいて励振器を配置した結果である。設計者は、これらの要因の好適なバランスを選択することができる。
【実施例2】
【0076】
図22は、ラウドスピーカ(40)の第2の実施形態であり、パネルの低周波数モードを交錯させるのに良好な励振器の位置を決定するために励起マップを使用する利点を示している。
【0077】
材料の剛性の高い方向が長い方向に平行に配向されたAcoustic 88−2mmから成り、寸法が600mm×33mm(縦横比が18.2対1)のビーム状のパネル(41)が、大きさが800mm×800mmのバッフル(43)中に、すべての縁部が自由な条件で設定される。ビームの前面はバッフルの前面とレベルに、すなわち「面一に」配置される。パネル縁部とバッフル間には1mmのギャップがビームの全周縁部の周りに保持される。単一の可動コイル式振動励振器が、図22に示す位置AD及びAIの1方でパネルに対して接着接合され、励振器の背面すなわちマグネット組立体が、バッフル(43)に固定されたアルミニウムの部分(図示されていない)に剛に接地された。この励振器の位置は、図2により与えられる励起マップに基づいて選択された。図22上の位置ADはレベル1領域内に位置するものとして、また、図22上の位置AIはレベル2の領域内に位置するものとして、この励振器の位置を示す。この励起マップはフリー・フリー条件のもとでのこの特定の縦横比のパネルと関連する。
【0078】
このラウドスピーカにおけるオン・アクシス音圧の設定は、半無反響条件のもとで実行され、この計測値は図23に示される。位置ADに関しては、位置AIに関する音響応答と比較した場合、150Hzから2kHzまでの音響応答は滑らかであり、平坦である。低周波数限界は両方のパネルにおいてよく似たものとなっている。
【実施例3】
【0079】
図24はラウドスピーカ(40)の第3の実施形態を示しており、低周波数におけるモード分布に対する懸架位置の影響を最小にするように懸架位置を配置するために励起マップを使用する利点を示している。
【0080】
この実施形態は、Acoustic 88−2mm(寸法490mm×40mm)で、すべての縁部が自由条件のビーム(41)から成る。2片のPVCからなるコンプライアントな発泡樹脂(44)(サイズ10mm×5mm×5mm)が、励振器と同じ側でビームに配置され、これらの発泡樹脂懸架の位置は、パネル上のレベル3の領域内に配置されるように励起マップ(図6)から導き出される。このようにして、システムの低周波数モードに対する懸架の影響が最小にされることになる。19mmの電気力学的励振器がADに配置され、発泡樹脂の懸架がある場合とない場合について、このシステムにおけるオン・アクシス音圧が測定された。発泡樹脂の懸架は剛性支持フレーム(42)に接着され、励振器もまた剛性支持フレームに接地された。発泡樹脂の懸架がある場合とない場合の音響の計測値が図25に示される。
【0081】
自由縁部の場合、ADの位置(レベル1領域)に配置された励振器について予測されるように、200Hzから2kHzまでの間の音響応答は滑らかである。システムに対する発泡樹脂の懸架パッドの追加により、この周波数領域間でこのモード分布が大幅に変わることはなかった。自由縁部の場合に110Hzで発生した低周波数モードだけが周波数の上方にシフトされ、そのためそれは隣のモードとより密接に交錯する。従って、励起マップによって提供されたガイドラインに従うことによって、この場合発泡樹脂懸架の追加は周波数応答に悪影響を及ぼさなかった。
【実施例4】
【0082】
図26はラウドスピーカ(40)の第4の実施形態であり、ビーム状パネル(41)の全周縁の周囲に配置された連続縁部末端(45)を有するシステムの音響特性を示している。
【0083】
この実施形態は、高縦横比のパネルの音響応答に対するコンプライアントな縁部末端を使用する効果を示している。この場合、縦横比が12.25対1(490mm×40mm)で、25mm直径の電気力学的励振器を使用して励起されるパネルのすべての縁部が自由状態に設定された。図6の励起マップを使用して考察し、励振器をレベル2の位置に配置した。前述したように、システムは、大きさが800mm×800mmのパネルの前面が、バッフルの表面と面一となるようにバッフル(43)内に設定される。励振器は前と同様にフレーム(42)に剛に接地される。
【0084】
オン・アクシス音圧がこのシステムにおいて計測され、図27に示される。ほぼ2kHzにおける「ふらつき」は回折効果であり、部分的に前部から後部への減衰のためである。励振器がレベル2の領域ではなく、パネル表面上のレベル1の領域に配置されていたとすれば、周波数応答はそれほど高密度ではない。これは、低周波数では不満足なモード密度となる。
【0085】
次に、システムは、コンプライアントな縁部末端の追加によって変更された。これは25ミクロン厚さの自己接着テープを介して、パネルのすべての周縁の周りでパネルとバッフルに接着接合された50ミクロン厚さのコンプライアントな熱可塑性フィルムから成る。このフィルムの密度は約110kg/m-3であり、引っ張りヤング率は約0.2−0.3Gpaである。このフィルムには引っ張り力は付与されず、そのためパネル縁部の変位が可能であった。
【0086】
図27は、このシステムの音響応答に対するこの縁部末端の影響を示す。高周波数の応答はそれほど大きな影響を受けなかったが、低周波数応答は大幅に変わった。100Hzから1kHzまでは変化の程度に伴って低周波数で最大限出力は増加した。低周波数でのパネルの個々のモードが拡げられ、そのために周波数応答はより滑らかになっている。懸架材料の追加により、システムに対する減衰の程度が追加され、そのためにこれらのモード周波数が拡げられた。
【0087】
図28から図31までは、フラットパネルモニタ用すなわちディスプレースクリーン(47)用の増設用ラウドスピーカとして意図された、縦横比が非常に高いパネル状ラウドスピーカ(40)の実用的な実施形態を示すものであり、ディスプレースクリーンはフレームすなわちケーシング(48)内の液晶ディスプレー(LCD)とすることができる。美的観点からのこの用途の要求は、分布モードラウドスピーカ又は従来のピストン式円錐スピーカにおけるより低い縦横比に比べて、高い縦横比における解決を有利にする。
スピーカの仕様は以下のとおりである。
【0088】
図28は、両側にビーム状のパネル状スピーカ(40)を備えたフラットパネル・ディスプレースクリーン(47)の全体的な図である。図29は、背面から見たスピーカパネル(41)であり、励振器の位置(49)と懸架領域(44)の位置の両方を示している。
【0089】
懸架位置の選択は2つのパラメータによって決定された。第1に、ほとんどの周波数領域にわたる自由パネルに対して良好な近似を提供するために、パネルの各端部にこの領域のノード線に隣接して、長さ32mmの2つの発泡樹脂の支持体(44)が配置された。これにより自由境界条件のために生成された励起マップが使用できるようになる。第2に、パネルの長い側部に沿った懸架が選択され、パネルの低周波数変位が制御された。これにはパネルに対していくぶんかの静的で構造的な安定性を提供し、装置を頑丈にするという利点もある。
【0090】
パネルは、LCDモニタ(47)のケーシング(48)に取り付けるためのフレーム(図示されていない)に取り付けられる。このフレームがパネルに対して呈示するエンクロージャは、後部が半解放型である。これにより低周波数特性が良好になり、完全にシールされたラウドスピーカユニットで経験される低周波数特性の急激な低下を、幾分かは防ぐことができる。
【0091】
スピーカの特性が図30に示されており、それは1Sの入力で励起されたときのモニタスクリーン(47)から0.5mの音圧レベルの空間平均を示すものである。軌跡は第3オクターブに滑らかにされた。
【0092】
2つのサテライトスピーカ(40)によって生成された音圧レベル(SPL)は単一のウーハ(図示されていない)によって増大され、低周波数出力がもたらされる。これは縦横比が高いパネルの出力とウーハに対する交差点との、両方のアクティブな均等化と組み合わせられる。図31は達成された最終的な周波数応答を示すもので、最終結果の滑らかさと高品質とを表している。データは滑らかにされた第3オクターブであり、任意のdBの尺度レベルに対して呈示される。
【0093】
本実施形態のキーとなる特性は、
1対8.8の高い縦横比のパネルと、
(0,n)と(1,n)の両方のモードを励起するための対称中心軸を外して配置された励振器と、
自由端境界条件と、
を含む。
【0094】
図4に示されるレベル1領域(7対1>AR>12対1)の近くに配置された励振器には、使用される励振器のサイズによって制約される本アプリケーションの機械的な拘束が付与される。励振器の位置は、励起マップで使用されるのと同じ位置の規則で0.17Lx、0.71Lyに対応する。追加の発泡樹脂支持体は、低周波数の変位を制御して構造的な安定性をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】ビーム状の高縦横比のDMパネルに関するノード線マップである。
【図2】縦横比が18対1から50対1までのパネルの駆動マップの四半分である。
【図3】縦横比が12対1から18対1までのパネルの駆動マップの四半分である。
【図4】縦横比が7対1から12対1までのパネルの駆動マップの四半分である。
【図5】縦横比が5対1から7対1までのパネルの駆動マップの四半分である。
【図6】縦横比が18対1から50対1までで、短軸が単純支持され長軸が自由端のパネルの駆動マップの四半分である。
【図7】縦横比が12対1から18対1までで、短軸が単純支持され長軸が自由端のパネルの駆動マップの四半分である。
【図8】縦横比が7対1から12対1までで、短軸が単純支持され長軸が自由端のパネルの駆動マップの四半分である。
【図9】縦横比が5対1から7対1までで、短軸が単純支持され長軸が自由端のパネルの駆動マップの四半分である。
【図10】縦横比が18対1から50対1までで、短軸が固定支持され長軸が自由端のパネルの駆動マップの四半分である。
【図11】縦横比が12対1から18対1までで、短軸が固定支持され長軸が自由端のパネルの駆動マップの四半分である。
【図12】縦横比が7対1から12対1までで、短軸が固定支持され長軸が自由端のパネルの駆動マップの四半分である。
【図13】縦横比が5対1から7対1までで、短軸が固定支持され長軸がフリー・フリー状態のパネルの駆動マップの四半分である。
【図14】理論上のビームインピーダンスに対する計測されたビームインピーダンスのグラフである。
【図15】計測されたビームインピーダンスに対するキーとなる励振器パラメータのグラフである。
【図16】周波数に対するシミュレートされたオン・アクシス音圧のグラフである。
【図17a】周波数に対するシミュレートされた駆動点速度のグラフである。
【図17b】周波数に対するシミュレートされた駆動点速度のグラフである。
【図18】異なる励振器の位置を示すパネルの線図である。
【図19】周波数に対する駆動点速度のグラフである。
【図20】ラウドスピーカの第1の実施形態の平面図である。
【図21】2つの別々の位置に励振器を有する、図20のラウドスピーカのオン・アクシス音圧のグラフである。
【図22】ラウドスピーカの第2の実施形態の平面図である。
【図23】2つの別々の位置に励振器を有する、図22のラウドスピーカのオン・アクシス音圧のグラフである。
【図24】ラウドスピーカの第3の実施形態の平面図である。
【図25】2つの異なる条件における、図24のラウドスピーカのオン・アクシスの音圧のグラフである。
【図26】ラウドスピーカの第4の実施形態の平面図である。
【図27】2つの異なる条件における、図24のラウドスピーカのオン・アクシス音圧のグラフである。
【図28】スクリーンの対向する側部にビーム状のパネルスピーカを備えたディスプレースクリーンすなわちモニタの正面図である。
【図29】図28の実施形態に関するスピーカパネルの背面図である。
【図30】図28及び29のスピーカに関する、周波数に対する空間的に平均化された音圧レベルのグラフである。
【図31】追加の低周波数用のスピーカを有する、図28から図30のスピーカの応答のグラフである。
【符号の説明】
【0096】
A ノード線
B ノード線
Claims (13)
- ビーム形状のパネル状音響放射体と、
撓み波エネルギーを加える位置で前記ビームに取り付けられ、前記放射体中において低周波数モードを前記放射体の長手方向及び前記放射体の横方向の両方に励起することを可能にする振動励振器と、
長手方向及び横方向の低周波数モードの励起が許容されるように前記放射体を取り付けるための手段と、
を備えることを特徴とする共振撓み波ラウドスピーカ。 - 前記ビームの縦横比が、少なくとも5対1で、50対1より小さいことを特徴とする請求項1に記載のラウドスピーカ。
- 前記ビームは、x及びy方向の撓み剛性の比が5対1から1対5までの間の異方性材料であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のラウドスピーカ。
- 前記ビームの物理的なパラメータと前記ビーム上の前記変換器の位置は、前記ビーム内における長手方向及び横方向の周波数モードが交錯されて滑らかな低周波数応答を生成するようにされたことを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載のラウドスピーカ。
- 前記取付手段が前記ビームの短い縁部を拘束することを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載のラウドスピーカ。
- 前記取付手段は、前記放射体のモード分布に対する影響が最低限になる前記ビームの領域に取り付けられることを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載のラウドスピーカ。
- 前記取付手段は、前記ビームの対向する側部に非対称な縁部条件又は境界条件を提供することを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載のラウドスピーカ。
- 前記取付手段は、前記ビームの長い方の寸法に適用されたコンプライアントなテープ又はフィルム、或いは低弾性係数の発泡体の懸架を含み、低周波数モードを減衰させて周波数応答を滑らかにするものであることを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載のラウドスピーカ。
- 前記振動変換器は電気力学的方式のものであり、前記ビームの低周波数における機械的インピーダンスが励振器のパラメータと相互作用して、低周波数領域のモードの周波数が前記励振器の存在によって変更されるラウドスピーカを創出することを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載のラウドスピーカ。
- 前記請求項のいずれか1項に記載の共振撓み波ラウドスピーカの設計方法であって、
ビームの物理的なパラメータから該ビームにおける共振モードのモデルを導出することによって、該ビーム上に振動変換器を配置するための位置を決定し、
このモデルを使用し、前記変換器から前記ビームへの機械的な入力を周波数を関数として計算し、
前記機械的な入力の滑らかさの尺度を計算し、
前記滑らかさの尺度の所望の値を有する前記振動変換器の位置を選定する、
ことを特徴とする方法。 - 前記機械的な入力の滑らかさの尺度は、平均入力の一定値からの前記入力の平均自乗偏差であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
- 前記機械的な入力は前記ビーム上の単一点に対して一定の点状の力が加えられるときのものとして計算されることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の方法。
- 前記滑らかさの尺度を最適化する振動変換器の位置を選定することを特徴とする請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の方法。
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