JP2005505378A - 試料の緊張状態を測定する方法と、その方法の応用 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
本発明はある試料、とくに腱、靱帯または筋肉などのような生物試料の緊張状態の測定分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生物または非生物試料の緊張状態測定は、数多くの産業分野で大きな利益を有する。
【0003】
数多くの力学的仕組みの場合、特にこれらの仕組みを通常使用する間のその力学的強度能力を評価するために、動作の異なる段階で異なる要素の緊張状態を知ることが重要である。かかる仕組みは、運動中に、特定の複合試料の部品が大きな力学的応力を受けるおそれのある、地上走行車両または航空機を含む。
【0004】
例えば、等尺性収縮など静的にかけられた、あるいは正常または病的移動の際の、あるいはさらに各種の運動またはスポーツ動作の途中で動的にかけられた力学的外力に応じる生物試料、より詳細には腱、靱帯または筋肉の緊張状態の測定も、大きな技術的利益を有する。
【0005】
ヒトにおいても動物においても、例えば、競走、跳躍などの活動類型に固有の各種の力学的外力に適応した履物あるいは蹄鉄の開発は、問題の活動における対象の運動の異なる段階での腱、靱帯または筋肉の緊張状態を測定するための単純かつ再現可能な測定を産業人が利用できるならば、至適化されるだろう。かかる測定が利用可能になれば、例えば、とくにスポーツ実践に至適な力学的特性値を有する靴底、蹄鉄または足ヒレの設計を可能にするだろう。
【0006】
同様に、損傷したか、あるいはヒトの矯正靴底やウマ科の矯正蹄鉄のようなリハビリテーション段階にある腱、靱帯または筋肉組織のために、かかる測定は歩行、競走または他のいっさいの静的または動的動作の矯正装置の研究または選択を可能にするだろう。
【0007】
かかる測定はまた、とくに履き物または蹄鉄、足ヒレ、スキー靴固定具、筋力トレーニング器具のような、新規なスポーツまたは医療器具の設計の支援を可能にするだろう。
【0008】
インビトロ内の研究は、歩幅の様々な段階におけるウマの前脚の腱にかかる負荷と変形を評価することを可能にした。中でも、変形ゲージ式腱内センサを用いるJansenら、およびRiemersmaらの研究(Jansen MO et al.,In vivo tendon forces in the forelimb of ponies at the walk validated by ground reaction forces measurements,Acta Anatomica,1993,146:162−167;Riemersma DJ et al.,Influence of shoeing on ground reaction forces and tendon strains in the forelimb in ponies,Equine Vet.J.,1996,28(2):126−132;Riemersma DJ et al.,Tendon strain in the forelimbs as a function of gait and ground characteristics and in vitro limb loading in ponies,Equine Vet.J.,1996,28(2):133−138;Riemersma DJ et al.,Kinetics and kinematics of the equine hindleg:II,in vivo tendon strain and joint kinematics,Am,J.Vet.Res.,1988,49:1353−1359)、あるいはさらにホール効果センサを用いるStephensらの研究(Stephens PR et al.,Application of a Hall−effect transducer for measurement of tendon strain in Horses,Am.J.Vet.Res,1989,50:1089−1095)が挙げられる。
【0009】
光ファイバを用いて、腱にかけられる力を測定することも提案された(Erdemir et al.,In vitro evaluation of a fiberoptic transducer for tendon force measurements,Congres de la Societe Internationale de Biomecanique,Zurich,Juillet 2001)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
先行技術に用いられるセンサは、侵襲性または侵入性であるので、倫理的性質の問題だけではなく方法上でも数多くの問題を発生させる。
【0011】
例えば、全身麻酔を必要とするかかるセンサを埋め込むと、数日間腱の局部力学特性に影響し、そのことが測定を大幅に誤らせる。他方で、動物の苦痛が大きいので遅い歩法(並足と早足)での測定しか一般的に実現できない。最後に、測定の検定に関係する理由のために、実験が終わったら動物を安楽死させなければならない。したがって、現状技術においては「生体内センサ」を構成できる方法、また腱、靱帯または筋肉の緊張状態の、直接かつ非侵襲的測定を可能にする方法を開発する必要性が存在する。
【0012】
したがって、本発明によると、前記試料内に超音波を伝播させた後に受信した超音波信号から抽出した、少なくとも一つのパラメータの値の計算に基づいて、生物または非生物試料の緊張状態を測定する簡単かつ再現可能な方法が提供される。
【0013】
超音波は、十年ほど前から生物または非生物試料の特性化に用いられている。エコー造影法は、医学画像における一つの超音波使用例である。例えば、2001年2月27日交付の米国特許第6,193,658号明細書は、腱、靱帯および筋肉を含む、柔軟組織と骨内の創傷の広がりを測定するのに使用可能な超音波装置を記載している。かかる装置は、超音波測定装置がその上に当てられるフィルムを用いて創傷を閉塞する前に、流体媒質で空洞状創傷を充填した後、空洞状創傷を検出し測定するのに適している。
【0014】
1997年11月11日交付の米国特許第5,685,307号明細書は、動物の骸骨上の脂肪の塊の超音波測定法を記載している。
【0015】
とくに欧州特許出願公開第1 079 240号明細書に記載のごとく、超音波エコーの分析による心拍の監視のために、ドップラ効果もまた有効に利用された。
【0016】
国際公開出願99/45 348号パンフレットに記載のごとく、骨部位の微細骨折または変形の検出、骨密度の推定、骨の治癒過程の評価、または骨皮質の厚み測定のためにもまた、超音波速度の測定は用いられた。
【0017】
硬質構造が受ける力学的応力に応じてその硬質組織の変形を評価するため、超音波伝播時間を測定することも提案された。例えば、米国特許第号5,170,366号明細書は、独立した二台の超音波変換器を用いる測定方法を記載し、超音波の伝播時間を測定することによって二台の変換器間の距離の評価を可能にし、したがって、力学的応力の影響の下にある硬質試料の変形の測定を可能にしている。この特許に記載の方法によれば、二台の超音波変換器はそれぞれ、試験される硬質試料の所与の箇所に固定されるが、前記変換器は、互いに対して可動である。
【0018】
本出願人の知る限りでは、生物試料にしろ非生物試料にしろ、試料の緊張状態を測定することを目的として超音波を使用する方法が提案されたことはない。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明によって示されたごとく、試料の緊張状態は、前記試料内への超音波の伝播の後に受信した超音波信号から抽出された少なくとも一つのパラメータの測定によって測定されることができる。
【0020】
本発明は、所与の瞬間において試料の緊張状態を測定するための方法を対象としており、該方法は、前記試料内に発射された超音波の伝播の後に受信した超音波信号から抽出された、少なくとも一つのパラメータの値を計算する過程を含み、一つまたは複数のパラメータの値が、超音波源と前記源から所定の固定距離に位置づけられた少なくとも一つの超音波受信器との間の試料の緊張状態とともに変動し、一つまたは複数のパラメータの前記変動が、前記試料の緊張状態の変動に正比例または反比例するものである。
【0021】
本発明によれば、試料の「緊張状態」は、所与の瞬間において前記試料が受けた、とくに力学的応力(例えば、外力、変形)をはじめとする応力全体の結果としての、この試料を特徴づける物理的状態を意味する。
【0022】
本発明によれば、超音波信号から抽出されたパラメータの変動は、試料の緊張状態の増加につれて前記パラメータの値が上昇するとき、そして試料の緊張状態の減少につれて前記パラメータの値が低下するときに、試験された試料の緊張状態の変動に「比例する」。
【0023】
本発明によれば、超音波信号から抽出されたパラメータの変動は、試料の緊張状態の増加につれて前記パラメータの値が低下するとき、そして試料の緊張状態の減少につれて前記パラメータの値が上昇するときに、試験された試料の緊張状態の変動に「反比例する」。
【0024】
このことは、超音波信号から抽出されたパラメータの値が、試料の緊張状態の値の単純な倍数になることを必ずしも意味しない。超音波信号から抽出されたパラメータの値と試料の緊張状態の値の間の関係は、複雑な数学関数になることもある。
【0025】
超音波信号から抽出されたパラメータの変動と、試験された試料の緊張状態の変動を関係づける数学関数は、当業者によって従来通り測定されることができる。
【0026】
くわえて、超音波信号から抽出されたパラメータの値の変動を、試験された試料の緊張状態の変動に結びつける数学関数を知ることは、必ずしも要求されない。対象のパラメータのそれぞれについて、当業者は、第一の軸が超音波信号から抽出されたパラメータの値に対応し、第二の軸が試験された試料の緊張状態の値に対応する標準グラフを作成することができる。標準グラフは、既知の値の一連の力学的応力、例えば既知の値の一連の負荷を試験された試料に適用し、この力学的応力のそれぞれの点について音響信号から抽出されたパラメータの値を測定することによって、作り上げられる。ついで、所与の瞬間において、試験された試料の緊張状態を評価するために、超音波信号から抽出されたパラメータの値を測定し、この値を、予め作成した標準グラフに移すことによって、その所与の瞬間において試験された試料の力学的応力(例えば、負荷)の値を測定することができる。
【0027】
代案として、所与の瞬間において、試験された試料の緊張状態の値の定量的測定は、必ずしも要求されるものではない。数多くの状況において重要なのは、二つの測定時点の間、あるいは二つの別個の測定条件の間にある前記試料の緊張状態の変動を測定することであり、したがって、それら二つの時点のそれぞれにおいて測定することによって、あるいは超音波信号から抽出されたパラメータの値の二つの測定条件のそれぞれについて、これら二つの時点の間で得られた緊張の値を単に比較することである。
【0028】
上記の方法は、試料内の超音波の伝播の後に受信した超音波信号から計算された一つまたは複数のパラメータが、以下のパラメータの中から選択されることである:
(i)前記試料内の所定の距離にわたる超音波伝播時間、
(ii)超音波信号受信点での超音波の振幅、
(iii)超音波信号受信点での超音波の減衰、
(iv)超音波信号受信点での超音波の平均周波数、
(v)超音波信号受信点での超音波の最大周波数。
【0029】
とくに本発明によって示されたのは、腱、靱帯または筋肉型の組織を通る超音波の伝播時間、振幅および減衰が、この組織の緊張状態に応じて変動することである。
【0030】
より特徴的には、本発明によって示されたのは、腱、靭帯または筋肉組織内の超音波の振幅が、対象の組織にかけられる緊張負荷に応じて増加することである。さらに、超音波の伝播時間および減衰は、この同じ負荷に応じて減少することも示された。この後者の特徴は、とくにヒトとウマについて示された。
【0031】
本出願人はまた、超音波の平均周波数と最大周波数が、とくに腱、靱帯または筋肉をはじめとする試料の緊張状態に応じて変動することを観察した。
【0032】
何らかの理論に結びつけられたいとは望まないが、本出願人が思料するのは、超音波の伝播時間、振幅、減衰、平均周波数、および最大周波数が、非生物試料上でも、そしてより特徴的には、物理的構造が、腱、靱帯または筋肉のそれに類似している非生物試料上、すなわち主軸に沿って配向された繊維で構成される構造を有する非生物試料上でも、観察されることができるということである。このことは、とくに複合材質内のように、基質内に含まれる繊維で構成された非生物試料に該当する。
【0033】
推奨非生物試料の中では、とくに炭素繊維、ガラス繊維またはKevlar(登録商標)繊維で構成された複合材料が推奨される。
【0034】
これらの所見を利用して、本出願人は少なくとも一つのパラメータの、測定、あるいは測定と計算によって、腱、靱帯または筋肉の緊張状態を測定するための方法を開発した。
【0035】
好適には、超音波信号から抽出された一つまたは複数のパラメータは、(i)前記組織の所定の距離にわたる超音波の伝播時間、(ii)超音波信号受信点での超音波の振幅、(iii)減衰、(iv)平均周波数、および(v)超音波の受信点での超音波信号の最大周波数の中から選択される。
【0036】
本発明は、所与の瞬間において、腱、靱帯または筋肉の緊張状態を測定するための方法にも関するものであり、該方法は、伝播時間、振幅および減衰がこの所与の瞬間における前記腱、前記靱帯または前記筋肉の緊張負荷の関数であるので、前記腱、前記靱帯または前記筋肉の組織内の、超音波の伝播時間、振幅または減衰を計算する過程を含むものである。
【0037】
有利には、本発明による方法は、超音波信号から抽出された複数個のパラメータ、好適には先に挙げたものの中の複数個のパラメータの値を計算することによって実現される。
【0038】
有利には、本発明による方法は、下記のパラメータの組み合わせの少なくとも一つについて、パラメータの値を計算することを特徴とする:
(i)超音波の伝播時間および振幅、
(ii)超音波の伝播時間および減衰、
(iii)超音波の振幅および減衰、
(iv)超音波の伝播時間、振幅および減衰。
【0039】
現状技術の方法とは反対に、上記の方法は、変形ゲージ、ホール効果センサあるいはさらに光ファイバのような測定機器の埋込という侵襲過程なしに、腱、靱帯または筋肉の緊張状態の測定を可能にする。
【0040】
同様に非生物試料については、本発明の方法は、その構造を変えることなしに、試料、例えば航空機の部品の緊張状態の測定実現を可能にする。測定の後、試料、例えば航空機の部品は、その原状で正常に再使用されることができる。
【0041】
該方法によれば、発信超音波変換器を、処理される試料の接点に押し当て、ついでこの発信器からの、所定の長さまたは距離にわたって前記試料を通過した信号は、一つまたは複数の受信超音波変換器を用いて受信される。
【0042】
腱、靱帯または筋肉タイプの生物試料でその方法が実現される場合、緊張状態の測定が望まれる腱、靱帯または筋肉に対向した皮膚の接点に、発信超音波変換器を押し当て、ついでこの発信器からの信号は、一つまたは複数の受信超音波変換器を用いて受信される。
【0043】
本発明によって示されたのは、超音波発信点および受信点が、腱、靱帯または筋肉に直接当てられるか、あるいは単にその上の皮膚に接触させられるかによって、腱、靱帯または筋肉の緊張負荷に応じた超音波の伝播時間、振幅または減衰の変動の測定が変わらないことである。
【0044】
皮膚と、腱、靱帯または筋肉の結合組織とを通る超音波の通過は、超音波の伝播時間、振幅または減衰の変動測定に影響しない。
【0045】
結果として、本発明による方法は、緊張負荷が測定される組織を囲繞する、皮膚または結合組織を通る超音波束の経路を計算に入れる測定補正の複雑なシステムを、必要としない。
【0046】
本発明は、所与の瞬間において試料の緊張状態を測定するための方法に関するものであり、以下の過程を含むことを特徴とするものである:
a)試験される試料の接点に超音波源を当て、その源と一つまたは複数の受信器を結ぶ線は試験される試料の長手方向軸に平行になり、前記源から所定の固定距離に位置づけられた、少なくとも一つの受信器を用いて前記試料内を伝播した後に、この超音波源から来る信号を記録し、
b)所与の瞬間において超音波信号から抽出された、一つまたは複数のパラメータの値を計算することによって、試料の緊張状態を測定する。
【0047】
本方法の有利な特徴によれば、超音波源と一つまたは複数の超音波受信器は、試験される試料に接触して配置され、前記試料の主軸、一般的には前記試料の長手方向軸に沿って配列される。
【0048】
試験される試料の長手方向軸は、繊維を構成する繊維の配向主軸である。
【0049】
本発明はまた、腱、靱帯または筋肉の緊張状態を測定するための方法にも関するものであり、前記方法は以下の過程を含む:
a)腱、靱帯または筋肉に対向する皮膚の接点に超音波源を当て、その源と一つまたは複数の受信器が、調査された腱、靱帯または筋肉の主軸に沿って配列され、前記源から所定の固定距離に位置づけられた、少なくとも一つの受信器を用いて前記試料内を伝播した後に、この超音波源から来る信号を受信し、
b)所与の瞬間において超音波信号から抽出された、一つまたは複数のパラメータの値を計算することによって、腱、靱帯または筋肉の緊張状態を測定する。
【0050】
好適には、超音波源と、超音波源から来る信号の受信を可能にする一つまたは複数の受信器は、従来の超音波変換器、つまりそれぞれ現状技術で周知の発信変換器および一つまたは複数の受信変換器をもって成る。
【0051】
該方法の有利な一つの特徴によれば、超音波源と一つまたは複数の超音波受信器は、試験される試料に接触して配置され、前記試料の主軸に沿って配列される。
【0052】
上述の方法の有利な一つの特徴によれば、超音波源と一つまたは複数の超音波受信器は、調査された組織の主軸に沿って皮膚の上に配置され、一つまたは複数の受信器は超音波発信源から固定かつ所定の距離に位置づけられる。この有利な特徴によれば、超音波が伝播する距離は、一連の測定が実施される際、経時的に一定であり、唯一の変動パラメータはこのとき、調査された組織の緊張状態にある。
【0053】
上述の方法のもう一つの有利な一つの特徴によれば、超音波発信源と一つまたは複数の受信器が配置される軸は、調査された組織の主軸であり、すなわち該主軸に沿って、腱、靱帯または筋肉の繊維が配列されている。この特徴によれば、腱、靱帯または筋肉の繊維の軸に垂直に変換器を配置することによって課された超音波の経路の結果として発生することのある測定アーティファクトが回避され、該アーティファクトは、とくに筋肉の収縮や腱または靱帯の伸長の際に、前記組織に加えられた緊張負荷に沿った対象組織(腱、靱帯または筋肉)の直径の変動に結びつけられたものである。
【0054】
実施例に示されたごとく、腱に加えられた緊張負荷と、該腱の組織内での超音波の伝播時間、振幅及び減衰との間に、相関が確立された。腱に加えられた緊張負荷が上昇するにつれて振幅は増加し、一方、超音波信号の伝播時間および減衰は低下する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
本発明の推奨実施態様によれば、超音波源から来る信号は、源に対して所定の距離に位置づけられた複数の受信器によって、受信される。
【0056】
この実施態様によれば、超音波源と複数の受信器は、腱、靱帯または筋肉の繊維の軸にそって配列される。
【0057】
有利には、超音波源と一つまたは複数の受信器は同一のケース内に含まれ、このことは、受信器を相互に離隔する距離のように、発信器を一つまたは複数の受信器から離隔する距離を、持続的に一定に維持することを可能にする。
【0058】
本発明にかなう別の実施態様によれば、前記ケースは複数個の超音波発信器を含み、発信器は、例えば上述のケース内で軸に沿って配置され、該軸は、先に述べたような発信器と受信器または複数個の受信器の配列によって形成された軸に垂直である。この特定の実施態様において、それぞれの発信器は一つの受信器または複数個の受信器と配列され、所与の発信器および対応する一つまたは複数の受信器の配列によって形成された軸は互いに平行、かつ、発信器の配列によって形成された軸に垂直である。この実施態様によれば、例えば、番号WO99/45348で1999年9月10日に公開された国際出願PCTに記載のごとく、発信器と受信器はマトリックスに沿って配置される。
【0059】
かかる装置のおかげで、至適信号の受信を可能にする発信器およびそれと配列された受信器を、測定の間に選択することが可能であり、このことは、例えば、競走中のヒトまたは動物の腱の緊張状態測定の際に、測定の間に試験される試料の表面上を装置が移動することによって発生することがある機能障害を緩和することを可能にする。
【0060】
好適には、発信器と一つまたは複数の受信器を含む装置は、超音波信号の制御および処理の電子ケースに接続される。この電子ケース自体は、デジタルコンピュータに接続されることができ、該デジタルコンピュータの記憶装置には、超音波発信と採取された信号の収集の管理が可能な情報処理プログラムが予め積み込まれている。
【0061】
試験される試料の主軸に沿った、とくに腱、靱帯または筋肉の主軸に沿った超音波の伝播時間は、発信器と少なくとも受信器の一つとの間の超音波伝播時間として表されることができる。
【0062】
別の態様によれば、超音波の伝播時間は、複数個の受信器から選択された少なくとも二つの受信器の間の信号伝播時間として表されることができる。この特定の態様によれば、その間で超音波の伝播時間を測定する受信器の数が多いだけにいっそう、測定精度は高くなる。例えば、図7Aと7Bに示されたごとく、測定装置が五個の受信器R1からR5を含むとき、受信器R1からR5の間の超音波伝播時間は測定されることができ、ついでこれらのセンサを離隔する距離に応じて表されることができる。
【0063】
この実施態様において、受信器R1と他の受信器の間で順次、すなわちR1とR2、R1とR3、R1とR4、R1とR5の間で順次、超音波の伝播時間が測定される。
【0064】
これらの測定値を、横座標がR1と四つの他の受信器それぞれとの間で測定された伝播時間を表し、縦座標がR1と四つの他の受信器それぞれとの間の距離を表すグラフの形で表したとき、このようにして得られたグラフの傾きは、超音波の速度が速いだけにいっそう、急な傾きになる。
【0065】
調査された組織の緊張状態に応じて超音波の伝播時間の変動を測定するために、上述のもの以外の方法を使用することもできる。逓増または逓減負荷について得られた信号のグラフが、その位相においてもその振幅においても一度に段階的変化を示すことを確認することにより、この方法は、所与の時間枠にわたってこれら二つの信号の内部相関関数の最大値を測定することによって順次記録された、二つの信号の間の時間的ずれ(遅延または先行)を計算することをもって成る。
【0066】
内部相関を実行する時間枠は、1MHzの超音波発信について、1マイクロ秒から50マイクロ秒まで、好適には2マイクロ秒から10マイクロ秒まで変動することができる。
【0067】
所与の時間枠にわたってこれら二つの信号の内部相関関数の最大値を求めるために、当業者は、M.KUNTの著作(1981, <<Traitement numerique des signaux>> DUNOD Ed., pp.16−17 et 57)を有利に参照することができる。
【0068】
超音波信号サンプリング周波数に結びつけられた時間分解能から解放されるために、最大値を定義する3点から、例えば、高速フーリエ変換(M.Kuntの著作、1981,<<Traitement numerique des signaux>>DUNOD Ed.,pp.173−174)、あるいは放物線補間(F.SCHIEDの著作、1986,<<Analyse numerique>>Serie Schaum,Mc Gray Hill Ed.,pp 82−87 および 90−99)によって、内部相関関数の最大値の補間を実施する。
【0069】
伝播時間同様に、超音波の振幅および減衰は、腱、靱帯または筋肉にかけられた負荷の関数である。一つの超音波変換器または複数の超音波変換器によって受信された超音波は、振幅と周波数が別個である波の和で構成された複合信号である。本発明によって示されたのは、例えば、腱などの試験される試料に加えられた負荷について、一つまたは複数の変換器によって受信された超音波信号は、とくに振幅、減衰および周波数の値によって、特性化されることができるということである。
【0070】
超音波信号の振幅は、この信号のフーリエ変換のモジュールの最大値として表されることができ、これを当業者は、とくにM.KUNTの著作(1981, <<Traitement numerique des signaux>> DUNOD Ed.,pp.133 および 165−170)の教示にかなう形で計算することができる。
【0071】
超音波信号の減衰は、周波数スペクトルのモジュールを基準として取ったモジュールに当てはめて得られた減衰関数の傾き(単位dB/MHz)として表されることができる。基準モジュールは、例えば、加えられた最も高い負荷について計算されたものとすることができる。
【0072】
超音波信号の周波数は、とくに、二つのパラメータで特性化されることができる。最大周波数は、周波数スペクトルのモジュールの振幅最大値に対応する周波数として、また平均周波数は周波数スペクトルの重心として表されることができる。
【0073】
超音波の振幅は、調査された組織にかけられた負荷が大きいだけにいっそう大きくなる。逆に、超音波の減衰は、調査された組織にかかる負荷が小さいだけにいっそう大きくなる。
【0074】
周波数スペクトルと振幅スペクトルの計算について、当業者はとくにM.KUNTの著作(1981,<<Traitement numerique des signaux>> DUNOD Ed.,pp.12−13)を有利に参照することができる。
【0075】
本発明の方法のさらに別の態様によれば、本出願人が示したのは、発信器と一つまたは複数の受信器の間の角度は、とくに超音波の振幅に対して有意の入射角もっていたこと、また結果として測定の精度に対して有意の影響があるということである。
【0076】
一方の超音波発信器と、他方の、一つまたは複数の超音波受信器の間の角度は、0度と180度の間で変動することがあり、至適角度は、とくに試料または調査された生物組織、その音響インピーダンス、その厚み、あるいはさらにそれに達するために通過しなければならない層の数に依存するが、本発明によって、ウマの趾の表面の腱に対する測定を実施するために、至適操作条件は、この角度が20度と160度の間に含まれるときに達成されたことが示された。
【0077】
きわめて好適には、超音波発信器と一つまたは複数の受信器の間に形成される角度は、60度と100度の間に含まれ、さらに好適には約80度である。
【0078】
有利には、源によって発信された超音波周波数は、15kHzと10GHzの間に、好適には20kHzと100MHzの間に、きわめて好適には20kHzと50MHzの間に含まれる。
【0079】
好適には、本発明による方法は、受信超音波信号から抽出された一つまたは複数のパラメータが、少なくとも二つの受信器の間で計算されることを特徴とする。
【0080】
所与の複数個の瞬間について上述の方法を反復することによって、例えば、運動中であるか否かを問わずヒトまたはウマについて、腱、靱帯または筋肉をはじめとする試験される試料の緊張状態は、その使用条件またはその作動条件において試料に対して連続測定されることができ、それによって、試料または試験された生物組織に課された緊張負荷を実時間で追跡することができる。
【0081】
本発明はまた、試料の緊張状態の連続測定法にも関するものであり、該方法は、時間間隔を置いた複数個の所与の瞬間について、先に定義したような試料の緊張状態の測定方法を実施することを特徴とするものである。
【0082】
試験される試料が、腱、靱帯または筋肉である場合、上記の方法は、ヒトまたは動物の移動(並足、早足、襲歩、競歩、跳躍、水泳)をはじめとする運動の様々な状況において、歩法の全ての段階(緩衝、推進、引き寄せ、抱え込み、踏切)において、あるいは如何なる静的または動的運動の状況においても実施されることができる。
【0083】
好適には、研究された組織の緊張状態の測定周波数は、緊張状態の変化が実施される周波数のサンプリング周波数の2.5倍以上のサンプリング周波数である。
【0084】
例として、ある肢の完全なサイクル、すなわち毎秒3メートルから毎秒4メールの速度の小走りで早足するウマの歩幅は、平均0.68秒で実現され、踏切段階は約0.34秒継続する。
【0085】
この踏切段階で調査しようとする腱の緊張が進展する最大周波数を40Hzとするならば、踏切段階の間にこの腱の緊張状態を測定するためには、毎秒100回の測定を実施しなければならない。
【0086】
上述の方法は、所与の瞬間のヒトまたは動物における、腱、靱帯または筋肉の緊張状態の測定に応用されることができ、あるいは経時的に、例えば、正常または病的な移動(歩行または競走)を通じて、あるいはさらにスポーツ動作の間の、対象生物組織の緊張状態の変動の調査に応用されることができる。
【0087】
とくに、本発明による方法は、例えば、腱の炎症またはその他の創傷の場合の、損傷した組織に対して、あるいはまた補綴を肢に装着した後に実現されることができる。
【0088】
ヒトにおいて、上述の方法は、アキレス腱、上腕三頭腱あるいはさらに膝蓋腱または膝蓋靱帯などの、特定の腱の緊張状態を測定するのに、例えば、実施されることができる。
【0089】
本発明による方法をヒトまたは動物の組織に実施することは、さまざまな解剖学的形成にかかる力を直接測定することを可能にし、該力は例えば、健康な組織、損傷した組織、あるいはまた補綴を肢に装着した後であるかにかかわらず、各種の状況、すなわち正常な移動または病的移動の間あるいはさらに様々な動作(とくにスポーツ動作)の際に、腱、靱帯または筋肉が受ける外力である。
【0090】
本発明による方法を用いることは、臨床検査の際と、特定の化学、力学またはリハビリ療法の効果の評価の際に実現されることができる。
【0091】
本発明による方法を用いることはまた、運動靴、ダイビングの足ヒレ、スキー靴固定具、筋肉増強器具などの新規なスポーツ、リハビリまたは医療器具の設計に有用であることができる。
【0092】
本発明による方法は、腱、靱帯または筋肉の創傷の特性化に、あるいはさらに、かかる創傷の広がりの測定にも応用されることができる。
【0093】
例として、先に定義された、腱、筋肉または靱帯の緊張状態の連続測定方法は、競走馬に応用されることができる。実際、腱は構造が高度に専門化し、牽引に耐えるのに適した形成物である。いっさいの創傷は、この組織の喪失を招き、きわめて緩慢な瘢痕化過程は、一般的に不完全で、腱が元の構造的および力学的特性を回復することを可能にしない。損傷した腱の力学的特性は、瘢痕化の際に変化する。新しい創傷の場合、腱は−その断面積が増加するにもかかわらず−弱く、変形しやすい。創傷が古いとき、残留肥大がより大きな剛性と組み合わされて、初期創傷に隣接する部分を比較的により弱くするので、一般的にその部位に再発が起きる。瘢痕化段階で、ウマは従来、整形外科矯正蹄鉄を装着され、該蹄鉄は、趾の関節形状に対する該蹄鉄の効果によって、瘢痕化している腱の緊張負荷を制限するのに適していなければならない。瘢痕化の速度とレベルを助けるために、とくに下記の原則を守らなければならない:
1)第一段階において、すなわち腱創傷経過の最初の四週間から六週間の間、悪化を防止し、瘢痕化を促進するために、腱が受ける緊張を減らすことによって、損傷した腱の負担を最小にすることができる矯正蹄鉄を選択することが適切である;
2)ついで、約二箇月目から四箇月目にわたる次の段階においては、(i)繊維の長手方向再配列の促進、および(ii)瘢痕退縮の防止のために、腱にわずかに力をかけるようにすることが望ましい。瘢痕組織の変形を改善するように、瘢痕化が進んでいる間に、腱の段階的伸長を引き起こすことができる蹄鉄を選択するのが適切であろう。最終目的は、後の再発のおそれを減らすことにある、なぜなら短くて肥厚した部分は、腱を健康な組織と損傷した組織の間の結合部で再発しやすくするからである;
3)最後に、スポーツ活動を再開するときに、一般的に創傷後4箇月から6箇月の期間を超えてからは、この段階で一番再発が起きやすい腱を、できるだけいたわることができる蹄鉄を選択することが必要である。
【0094】
本発明による、腱、筋肉または靱帯の緊張状態の連続測定方法は、ウマ科の動物に適用されるとき、図1に示された、趾の表層屈曲腱(TFSD)またはその附随靱帯(LA−TFSD)や、趾の深部屈曲腱(TFPD)またはその附随靱帯(LA−TFPD)や、あるいはまた骨間筋IIIの緊張状態を測定するのに好適に実施される。
【0095】
このように、本発明は、先に定義したような腱の緊張状態の連続測定方法を、歩行、早足または襲歩の間のウマの腱の緊張の測定に応用することを対象とする。
【0096】
本発明はまた、ウマ科の動物における腱の緊張を変えることを目的とした補正蹄鉄を選択するための方法に関するものであり、前記方法は以下の課程を含む:
a)ウマに補正蹄鉄を装着した後、腱に対して上述の、前記腱の緊張状態の連続測定方法を実施し;
b)補正蹄鉄を選択することによって、腱の緊張状態を変えることができる。
【0097】
腱の緊張状態を「変える」とは、所望の特定の目的によって緊張状態を増減することを意味する。
【0098】
好適には、上述の選択方法の過程a)は複数個の補正蹄鉄で順次実現され、それによって推進緊張負荷の軽減目的を考慮に入れて最も適切な補正蹄鉄の選択が可能になる。
【実施例】
【0099】
本発明はさらに、以下の図と実施例によって、非制限的に説明される。
【0100】
図面の簡単な説明
図1は、ウマの前脚の筋肉腱器官を概略的に示している。
1)趾の表層屈曲腱(TFSD)
2)TFSDの附随靱帯(LA−TFSD)
3)マニカ・フレクソリア
4)趾の深部屈曲腱(TFPD)
5)TFPDの附随靱帯(LA−TFPD)
6)骨間筋III
7)直種子骨靭帯(表層面)
8)斜種子骨靱帯(中央面)
9)近位趾節間関節の掌側靱帯
【0101】
図2は、記録された超音波信号に対する、発信器と受信器の間の角度の影響を示している。図2aは、使用された角度の約束を表している。変換器間角度αは、皮膚における法線に対して、対称に置かれた二つの変換器によって形成された角度に対応する。図2b、2cおよび2dはそれぞれ、α=40度、α=80度およびα=110度の値の変換器間角度について採取された超音波信号を図示している。横軸は、マイクロ秒単位で表された時間を表している。縦軸は、ミリボルト単位で表された、受信器によって記録された信号の振幅を表している。
【0102】
図3は、本書に表された五つの実験条件の内の四つを示している。図3Aは、下記の、実施例1に表された実験装置の図を示している。趾の深部屈曲腱(TFPD)は、近位端が低温のペンチ内に、遠位端が蹄の中に位置づけられた遠位端趾節上に骨挿入することによって固定され、ついで0Nから5000Nの間で牽引試験にかけられた。図3B、3Cおよび3Dはそれぞれ、実験a)(無傷の皮膚)、c)(切除された皮膚)およびd)(切除された皮膚と基底の形成体から音響的に隔離されたTFSD)を示している。これら4つの図において、固定システム(薄い灰色)上に取り付けられた、二つの変換器(黒)を判別することができ、該固定システムは、該二つの変換器を腱の主軸に沿って配列して保ち、該軸に対して所定の角度をつけることを可能にする。
【0103】
図4は、隔離された腱FDPにかけられる牽引力に応じて、超音波の伝播時間(図4A)、振幅(図4B)および減衰(図4C)の変化を示している。横軸は、ニュートン(N)単位で表された、腱FDPにかけられる牽引力を表している。縦軸は、ナノ秒(ns)単位で表された超音波信号の伝播時間の変動(図4A)、ミリボルト(mV)単位で表された信号の振幅(図4B)、およびメガヘルツあたりのデシベル(dB/MHz)単位で表されたその減衰を示している(図4C)。
【0104】
図5は、ある肢全体にかけられた圧縮力に応じて、超音波の伝播時間(図5A)、振幅(図5B)および減衰(図5C)の変化を示し、変換器は腱FSDに向かい合った皮膚の上に配置されており、皮膚は毛を刈られ、無傷である。横軸は、ニュートン(N)単位で表された、肢にかけられる圧縮力を示している。縦軸は、ナノ秒(ns)単位で表された超音波信号の伝播時間の変動(図5A)、ミリボルト(mV)単位で表された信号の振幅(図5B)、およびメガヘルツあたりのデシベル(dB/MHz)単位で表されたその減衰を示している(図5C)。
【0105】
図6は、肢全体にかけられる圧縮力に応じた受信器によって受け取られた、超音波信号の変化を示している。図6A、6B、6Cおよび6Dは、四つの試験した実験条件、すなわち無傷の皮膚(図6A)、切開された皮膚(図6B)、切除された皮膚(図6C)および基底の解剖形成体から音響的に隔離された趾の表層屈曲腱において、それぞれ得られたグラフの四つの例を表している。これらの図に見る様々な線は、キロニュートン(kN)単位で表されたそれぞれの外力の値について記録された超音波信号に対応している。横軸はミリ秒単位の時間を、縦軸はミリボルト単位の信号の振幅を表している。縦軸は、(それぞれの図で黒い垂直線で具体化した)最初の超音波の出現時間を見つけやすくするために拡張された。
【0106】
図7は、本発明による方法の実施を可能にする変換器の図である。図7Aは、一つの発信器と5つの受信器を含む変換器の平面図である。図7Bは変換器の長手方向断面図、7Cは側面図である。(10)は超音波発信器、(11)から(15)はそれぞれ超音波受信器R1からR5を表している。
【0107】
図8は、本発明による連続測定法の実施を可能にする完全な装置の説明図である。図8Aは、変換器(21)とその肢への固定システムを表している。図8Bは、図8Aに示された固定システムを用いて変換器(21)が上に固定されたウマの前肢の細部と、運動の過程での肢の着地と引き上げの検出を可能にする加速度計(25)とを示している。変換器(21)と加速度計(25)は、電気ケーブル(22)または光ケーブル(24)を介して、測定記録装置に接続されている。図8Cは、ウマに装備される完全な装置の全体図である。変換器(21)と加速度計(25)は、動物の背に固定されたケース(23)に接続されている。このケース(23)は、変換器制御電子装置、超音波信号処理電子装置と情報保存システムとを収納している。
【0108】
図9は、図8の装置をウマの腱FSDに対して当てた後、発信変換器と受信変換器R5の間の超音波伝播時間を示している。
図9A:並足のウマ
図9B:早足のウマ
時間t=0において、ウマは停止している。時間t=2.4秒から、ウマは並足になる。横軸上の低い棒線は、前脚の着地の瞬間を表している。
【0109】
図10は、ヒトにおいて図8の装置をアキレス腱に対して当てた後の、発信変換器と受信変換器R5の間の超音波伝播時間を示している。
【0110】
図10A:並足のヒト;図10B:階段を登るヒト。
【0111】
横軸上の黒い棒線は、下脚の着地の瞬間を表している。
【0112】
実施例1:逓増牽引負荷を受ける隔離された腱に対する、超音波の伝播時間、振幅および減衰の変化の測定
【0113】
a)機器と方法
【0114】
A.1 測定装置
【0115】
測定装置は、それ自体デジタルコンピュータに接続された電子ボードから成るケースに接続された、二つの超音波変換器(発信器と受信器)とで構成される。
・発信器と受信器は円筒形で、振動子は、いずれの場合にも、1MHzの中心周波数の前後の広帯域(100%)で、非合焦の、断面12mmのディスクである。
・ケースは、下記の電子ボードで構成される:
― 発信変換器で送信される、200Vで広帯域電気パルスを発生する発信ボード、
― 可変利得(24から66dB)の取得および増幅ボード、と
― 一方で増幅受信信号の数値化を、他方でコマンドとデータの通過のためにデジタルコンピュータとのインターフェイスを、確実に行うアナログ/デジタル変換ボード。
・デジタルコンピュータは、設備全体の管理ソフトウェアを備えている。このソフトウェアは、以下を確実に行う:
― 使用者とのインターフェイス、
― 測定の開始と管理、
― 得られたデータの保存。
【0116】
二つの変換器は、腱の主軸に沿ってそれらを配列して維持することを可能にする、四肢への固定システム上に固定される(図3A)。皮膚との良好な音響的接触を確実に行うために、超音波伝達媒質として水性ジェルが用いられた。このとき、超音波が発射され、腱内を伝播した後に収集される。
【0117】
より詳細には、固定システムに固定された二つの変換器は、その肢からそれが隔離された後、ウマの趾の深部屈曲腱(TFPD)の掌面上に置かれた。TFPDは、図1では番号(4)で示されている。
【0118】
TFPDは、0Nから5000Nで牽引試験にかけられた。腱は、近位端が低温発生ペンチ内に、遠位端が蹄の中に位置づけられた遠位端趾節上に骨挿入することによって固定された。
【0119】
b)結果
【0120】
B.1 超音波に対して変換器がなす角度の影響
【0121】
超音波信号が出現する際の、超音波信号の振幅に対する発信器と受信器がなす角度の影響が、研究された。この研究は、変換器間角度α(図2A参照)を0度から10度ずつ増やして110度まで変化させて実現された。角度αが40度、80度および110度のときに得られた結果は、図2B、2Cおよび2Dに示された。この研究の結果は、角度の値を問わず信号が検出されるにも関わらず、信号の最大振幅が、とくにそれが出現するとき、変換器間角度αが80度のときに得られたことを示した。
【0122】
結果として、実施例に表された実験の続きは、発信器と受信器の間の角度を80度にして実現された。
【0123】
B.2 腱に加えられた牽引力に応じた超音波の伝播時間、振幅および減衰の変動測定
【0124】
図4に示されたごとく、腱組織内の超音波の伝播時間(図4A)と減衰(図4C)は、腱にかけられる牽引負荷が増加するにつれて低下する。逆に、超音波信号の振幅(図4B)は、牽引負荷とともに増加する。
【0125】
このように、1000Nの牽引について、伝播時間(500Nで観察された伝播時間に対する変動)、振幅および減衰の変動の値はそれぞれ、−54ns、3.16mVと24.56dB/MHzであり、他方4000Nの牽引については、これらの変数はそれぞれ、−262ns、4.08mVと0.69dB/MHzとなる。
【0126】
実施例2:逓増圧縮負荷を受ける肢全体の趾の表層屈曲腱に対する、超音波の伝播時間、振幅および減衰の変化の測定
【0127】
A.機器と方法
【0128】
A.1 測定装置
【0129】
測定装置は、実施例1に記載のものと合致する。
【0130】
肢全体に対する試験のために、ウマの前脚は、上腕骨から遠位端側三分の一が隔離され、ついで0Nから6000Nの間で変動する圧縮応力にかけられた。肢に対する圧縮は、肢の3つの腱に牽引応力をかける効果がある。測定装置は、図1において番号(1)で示された趾の表層屈曲腱(TFSD)に対して、肢の中間中手骨領域の掌面に押し当てられた。
【0131】
順次、四つの条件が試験された:
a)毛を刈られた無傷の皮膚(図3B);
b)二つの変換器の間で切開された皮膚;
c)切除された皮膚(図3C);および
d)TFSDとTFPDの間に挿入された一枚の紙片を用いて、基底の形成体(他の腱と中手骨)から音響的に隔離したTFSD(図3D).
【0132】
B)結果
【0133】
肢全体に対する実施例2の試験において、趾の屈曲腱は、四肢の圧縮応力の増加につれて次第に延伸された。
【0134】
実施例1でみたごとく、肢全体にかけられる圧縮負荷が大きいほど、すなわち腱にかけられる牽引応力が大きいほど、超音波の伝播時間(図5A)および減衰(図5C)は低く、逆に、超音波信号の振幅(図5B)は高くなる。これらの所見は、実験条件にかかわらず有効である(無傷の、切開された、あるいは切除された皮膚、あるいは音響的に隔離されたTFSD)。
【0135】
これら4つの実験条件で測定された平均伝播時間の比較(図6の垂直な線)は、無傷または切開された皮膚が存在するとき、超音波が受信器に到達する時間は、皮膚が切除されている場合よりも1.25マイクロ秒長いことを示している。皮膚内の超音波の伝播速度が1500m/sであることを考慮に入れると、この時間は約1mmの皮膚の厚みに相当し、これは解剖データと完全に整合している。
【0136】
他方で、条件c)(切除された皮膚)と条件d)(切除された皮膚と基底の形成体から音響的に隔離されたTFSD)の間では、この平均伝播時間のいっさい有意差は認められなかった。
【0137】
したがって、これら二つの所見から、受信器が受信した最初の超音波は、皮膚または他の解剖形成体を介してではなく、もっとも表層の腱(TFSD)を介してまさに伝わったと結論することができる。
【0138】
実施例3:本発明による方法の実施に用いることができる測定装置
【0139】
図7Bに示されたごとく、一方の発信器(10)と他方の受信器(11から15)は、記録された超音波信号の振幅を至適化するように選択された角度をなす。変換器は、信号の制御、処理および保存の電子ケースに接続されている。
【0140】
図8は、本発明による方法の実施のために、腱、靱帯または筋肉の緊張状態を測定する完全な装置のウマへの装備の代表的実施態様を示している。
【0141】
図8Aは、調査した腱、靱帯または筋肉に対して、ベルトを用いて変換器を保持することを可能にする、変換器固定器(21)を表している。
【0142】
図8Bは、超音波発信と受信器によって受信した超音波信号の受信とのコマンドの伝達を可能にする、電気ケーブル(22)が出ている装置(21)を装備した、ウマの前脚を示している。
【0143】
図8Bの実施態様において、システムは加速度計信号の伝達ケーブル(24)が出ている加速度計(25)も含んでいる。
【0144】
図8Cは、信号の制御および処理の電子ケース(23)も含み、変換器(21)および(25)から出された情報を保存する手段も含む、完全な測定装置を装備したウマの全体図を示している。
【0145】
実施例4:並足と早足で移動するウマの趾の表層屈曲腱に対して測定された、超音波伝播時間
【0146】
a)機器と方法:
【0147】
A.1 測定装置
【0148】
実施例3に記載の測定装置を、ウマに装着した。図8Bおよび図8Cに示されたごとく、電子装置は動物の背中に、加速度計は動物の右の蹄に固定された。超音波センサは、右前脚の中間中手骨領域の皮膚に対して、FSD腱に向かい合って配置された。
【0149】
A.2 記録
【0150】
一方が並足、他方が早足の10秒の二回の記録を実現した。2つの場合では、ウマが前脚を止めたままの状態で、記録が開始された。約一秒の記録後、直線状に固い地面の上で、ウマは、一方では並足で、そして他方では次第に早足で移動させられた。
【0151】
A.3 記録処理
【0152】
超音波伝播時間の計算のために、記録された信号は、本明細書に記載の方法に従って処理された。肢の着地段階と支持段階に対応する時間を求めるために、蹄の上げ下げによって引き起こされた加速ピークは、加速度測定信号で識別された。
【0153】
b)結果
【0154】
図9Aおよび図9Bは、それぞれ並足と早足において、受信器R5で得られた超音波伝播時間を表している。例として、5つの最後の歩幅(すなわち、ウマの速度が安定したとき)の際の並足と早足で観察された最小伝播時間を、結果としてあげることができる。それらは、それぞれ並足と早足において、24.37±0.02μsと24.20±0.02μsであった。
【0155】
これらの結果が明らかに示しているように、超音波発信と前記発信器から所定の固定距離に位置づけられた超音波受信器との間の超音波伝播時間の値は、ウマの腱の緊張負荷に反比例する。
【0156】
実施例5:歩行(並足)、および階段を登って移動するヒトのアキレス腱に対して測定された、超音波伝播時間
【0157】
a)機器と方法
【0158】
A.1 測定装置
【0159】
測定装置は、実施例3および実施例4に記載のものと同一である。被験者には、リュックを背負わせ、その中に電子装置を入れた。加速度計は、被験者の右の踵に固定され、超音波センサは、発信器を下に向けて、被験者の右のアキレス腱に向かい合う皮膚に対して配置された。
【0160】
A.2 記録
【0161】
一方が直線に進む並足、他方が階段の数段の登りである10秒の二回の記録を実現した。先の例と異なり、被験者の右の下肢が支持段階(または振り子段階)にあるときに、記録が開始された。
【0162】
A.3 記録の処理
【0163】
超音波伝播時間を計算するため、記録された信号は、本明細書に記載の方法に従って処理された。肢の着地段階と支持段階に対応する時間を求めるために、脚の上げ下げによって引き起こされた加速ピークは、加速度測定信号の上で識別された。
【0164】
b)結果
【0165】
図10Aおよび図10Bは、それぞれ並足と階段上りの際に、受信器R5で得られた超音波伝播時間を示している。結果の例として、7つの並足の歩調で観察された平均伝播時間は26.38±0.54μs、対して、連続する7回の階段上りについては26.13±0.56μsであった。
【0166】
これらの結果が明らかに示しているように、超音波発信器と前記発信器から所定の固定距離に位置づけられた超音波受信器との間の超音波伝播時間の値は、ヒトの腱の緊張負荷に反比例する。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】ウマの前脚の筋肉腱の仕組みを概略的に示した図
【図2A】発信器と受信器の間の角度の角度の約束を表した図
【図2B】α=40度の値の変換器間角度について採取された超音波信号を示す図
【図2C】α=80度の値の変換器間角度について採取された超音波信号を示す図
【図2D】α=110度の値の変換器間角度について採取された超音波信号を示す図
【図3A】実施例1の実験験装置を示す図
【図3B】無傷の皮膚と基底の形成体から音響的に隔離されたTFSDを示す図
【図3C】切除された皮膚から音響的に隔離されたTFSDを示す図
【図3D】切除された皮膚と基底の形成体から音響的に隔離されたTFSDを示す図
【図4A】隔離された腱FDPにかけられる牽引力に応じた、超音波の伝播時間の変化を示す図
【図4B】隔離された腱FDPにかけられる牽引力に応じた、振幅の変化を示す図
【図4C】隔離された腱FDPにかけられる牽引力に応じた、減衰の変化を示す図
【図5A】肢全体にかけられた圧縮力に応じて、超音波の伝播時間の変化を示す図
【図5B】肢全体にかけられた圧縮力に応じて、超音波の振幅の変化を示す図
【図5C】肢全体にかけられた圧縮力に応じて、超音波の減衰を示す図
【図6A】無傷の皮膚について、肢全体にかけられる圧縮力に応じた受信器によって受け取られた超音波信号の変化を示す図
【図6B】切開された皮膚について、肢全体にかけられる圧縮力に応じた受信器によって受け取られた超音波信号の変化を示す図
【図6C】切除された皮膚について、肢全体にかけられる圧縮力に応じた受信器によって受け取られた超音波信号の変化を示す図
【図6D】基底の解剖形成体から音響的に隔離された趾の表層屈曲腱において、肢全体にかけられる圧縮力に応じた受信器によって受け取られた超音波信号の変化を示す図
【図7A】一つの発信器と五つの受信器を含む変換器の平面図
【図7B】変換器の長手方向断面図
【図7C】変換器の側面図
【図8A】本発明による連続測定法の実施を可能にする装置の説明図で、変換器の肢への固定システムを表す図
【図8B】要部の説明図
【図8C】ウマに装備される完全な装置の全体図
【図9A】図8の装置を並足ウマの腱FSDに対して当てた後の、発信変換器と受信変換器の間の超音波伝播時間を示す図
【図9B】図8の装置を早足ウマの腱FSDに対して当てた後の、発信変換器と受信変換器の間の超音波伝播時間を示す図
【図10A】並足のヒトにおいて図8の装置をアキレス腱に対して当てた後の、発信変換器と受信変換器の間の超音波伝播時間を示す図
【図10B】階段を登るヒトにおいて図8の装置をアキレス腱に対して当てた後の、発信変換器と受信変換器の間の超音波伝播時間を示す図
【符号の説明】
【0168】
10 超音波発信器
11 受信器
21 変換器
22 光ケーブル
24 電気ケーブル
23 電子ケース
25 加速度計
Claims (18)
- 所与の瞬間において試料の緊張状態を測定するための方法であり、該方法は、超音波源と前記源から所定の固定距離に位置づけられた少なくとも一つの超音波受信器の間で、前記試料内に発射された超音波の伝播の後に受信した超音波信号から抽出された、少なくとも一つのパラメータの値を計算する過程を含み、一つまたは複数のパラメータの値が試料の緊張状態とともに変動し、一つまたは複数のパラメータの前記変動が、前記試料の緊張状態の変動に正比例または反比例することを特徴とする方法。
- 超音波信号から計算された一つまたは複数のパラメータが、
(i)前記試料内の所定の距離にわたる超音波伝播時間、
(ii)超音波信号受信点での超音波の振幅、
(iii)超音波信号受信点での超音波の減衰、
(iv)超音波信号受信点での超音波の平均周波数、
(v)音響信号受信点での超音波の最大周波数、
以上のパラメータの中から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。 - (i)超音波の伝播時間および振幅、
(ii)超音波の伝播時間および減衰、
(iii)超音波の振幅および減衰、
(iv)超音波の伝播時間、振幅および減衰、
以上のパラメータの組み合わせの少なくとも一つについて、値を計算することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。 - 試験される材料が、腱、靱帯または筋肉から選択された生物試料であることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の方法。
- 該試料が、
a)試験される試料の接点に超音波源を当て、その源と一つまたは複数の受信器を結ぶ線は試験される試料の長手方向軸に平行になり、前記源から所定の固定距離に位置づけられた、少なくとも一つの受信器を用いて前記試料内を伝播した後に、この超音波源から来る信号を記録し、
b)所与の瞬間において超音波信号から抽出された、一つまたは複数のパラメータの値を計算することによって、試料の緊張状態を測定する過程を含むことを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の方法。 - 超音波源と一つまたは複数の超音波受信器が、試験される試料に接触して配置され、前記試料の主軸に沿って配列されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
- 前記方法が、
a)腱、靱帯または筋肉に対向する皮膚の接点に超音波源を当て、その源と一つまたは複数の受信器が、調査された腱、靱帯または筋肉の主軸に沿って配列され、前記源から所定の固定距離に位置づけられた、少なくとも一つの受信器を用いて前記試料内を伝播した後に、この超音波源から来る信号を受信し、
b)所与の瞬間において超音波信号から抽出された、一つまたは複数のパラメータの値を計算することによって、腱、靱帯または筋肉の緊張状態を測定する過程を含むことを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の方法。 - 腱、靱帯または筋肉について、源と一つまたは複数の受信器を結ぶ線が軸に平行であり、該軸に沿って、腱、靱帯または筋肉の線維がそれぞれ配列されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
- 超音波源から来る信号が、互いに、または超音波源に対して所定の距離に位置づけられた複数の受信器によって記録されることを特徴とする、請求項5から請求項8のいずれか一つに記載の方法。
- 一方の超音波源と、他方の、一つまたは複数の受信器とが、その間に0度と180度の間に含まれる角度を、好適には60度と100度の間に含まれる角度を、そしてきわめて好適には約80度の角度をなすことを特徴とする、請求項5から請求項9のいずれか一つに記載の方法。
- 源によって発信された超音波周波数が、15KHzと10GHzの間に、有利には20KHzと100MHzの間に、好適には20KHzと50MHzの間に含まれることを特徴とする、請求項1から請求項10のいずれか一つに記載の方法。
- 受信超音波信号から抽出された一つまたは複数のパラメータが、少なくとも二つの受信器の間で計算されることを特徴とする、請求項5から請求項11のいずれか一つに記載の方法。
- 時間間隔を置いた、複数個の所与の瞬間について、請求項1から請求項10のいずれか一つに記載の方法を実施することを特徴とする、試料の緊張状態の連続測定法。
- 請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の方法が、緊張状態の変化が実施される周波数のサンプリング周波数の2.5倍以上のサンプリング集波数で実施されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
- ヒトまたは動物における、腱、靱帯または筋肉の緊張状態を測定する、請求項1から請求項14のいずれか一つに記載の方法の応用。
- 腱、靱帯または筋肉の緊張状態の測定が、正常または病的移動を通じて、スポーツ動作の間の、活動中のヒトまたは動物において実現されることを特徴とする、請求項15に記載の応用。
- 方法が、損傷した組織に対して、あるいはまた補綴を肢に装着した後に実現されることを特徴とする、請求項15または請求項16に記載の応用。
- a)一つの補正蹄鉄を、あるいは複数個の補正蹄鉄を、連続してウマ科の動物に装着した後、前記腱に請求項13または請求項14に記載の方法を実施し、
b)腱の緊張状態を変えるために補正蹄鉄を選定する過程を含むことを特徴とする、ウマ科の動物において腱の緊張を変えることを目的とした補正蹄鉄を選定するための方法。
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