JP2005505261A - 樹状細胞単離法 - Google Patents

樹状細胞単離法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005505261A
JP2005505261A JP2003510775A JP2003510775A JP2005505261A JP 2005505261 A JP2005505261 A JP 2005505261A JP 2003510775 A JP2003510775 A JP 2003510775A JP 2003510775 A JP2003510775 A JP 2003510775A JP 2005505261 A JP2005505261 A JP 2005505261A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
dendritic
fril
cell
population
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2003510775A
Other languages
English (en)
Inventor
ムーア,ジェフリー・ジー
Original Assignee
ファイロジックス・インコーポレーテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ファイロジックス・インコーポレーテッド filed Critical ファイロジックス・インコーポレーテッド
Publication of JP2005505261A publication Critical patent/JP2005505261A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • C12N5/06Animal cells or tissues; Human cells or tissues
    • C12N5/0602Vertebrate cells
    • C12N5/0634Cells from the blood or the immune system
    • C12N5/0639Dendritic cells, e.g. Langherhans cells in the epidermis

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Abstract

開示されたものは、樹状細胞および/または樹状前駆細胞を単離することを目的とした方法である。その方法は複数のFRILファミリー構成分子と細胞集団との接触、および、非結合細胞の除去を含み、FRILファミリー構成分子に結合する細胞は、単離された樹状細胞および/または樹状前駆細胞の集団である。

Description

【0001】
発明の背景
本発明は樹状細胞、樹状前駆細胞、および、これらの細胞を単離する方法に関連する。
生体の免疫機構は、複数の型の骨髄由来免疫細胞を伴う複雑な一連の段階を経て、外来抗原を除去する。皮膚および粘膜に存在する樹状細胞(DC)と相互作用することにより、抗原ははじめに免疫系と接触する。樹状細胞(DC)は抗原提示細胞の希少な型であり、骨髄由来で、また、生体全体に分布が見い出され得る(Steinman, Annu. Rev. Immunol. 9: 271-296, 1991)。感染により起こる炎症は、抗原の捕捉および処理のため、追加の多数のDCを引き寄せる。DCによる抗原の処理は、結合、吸収(internalization)、および、DC表面膜上への抗原決定基の提示が関与する。処理された抗原をもつDCは、リンパ器官へと移動し、そこで主要組織適合複合体(MHC)-ペプチド抗原決定基からなる複合体を認識する。DCの接触はT細胞を活性化してサイトカインを分泌させ、次にBリンパ球を刺激し、分裂させそして抗原を産生させる。
【0002】
DCは、ナイーブT細胞を刺激し、また、一次免疫応答を開始する特別な能力をもつ(Liuら、Nat Immunol. 2 (7): 585-589, 2001)。しかしながら、この能力にも関わらず、DCは非常に希少であり、さらに費用効率的で、時間効率的な方法で有用な量を単離することは困難だった。血液DCを単離する一つの方法には、ロゼット形成、培養への接着、および勾配(gradients)を利用して、望ましい細胞表面マーカーであるCD11cを主として発現する(80〜90%)細胞集団を得る、特異的な免疫細胞集団を枯渇させるためのいくつかの段階を含む。血液からDCを単離する他の方法は、T細胞、B細胞、および、ナチュラルキラー細胞を枯渇させ、また、CD4細胞を濃縮するための、磁気マイクロビーズに結合した抗体の使用を含む。得られた細胞集団はCD11c+およびCD11c-細胞のサブセットを含む。
【0003】
しかしながら、上述のDCを単離するための方法は、いくつかの操作段階を必要とする研究室内および研究室間において首尾一貫したDC集団を得るという研究者の能力を危うくしている。このように、効率的で費用効率のよい、樹状細胞を単離する方法を発見する必要が残っている。
【0004】
発明の概要
本発明は、効率的で費用効率のよい、樹状細胞を単離する方法を提供する。一度単離された樹状細胞は免疫応答の刺激に有用である(例えば、Schonら、J. Reprod. Immunol. 50 (2):87-104, 2001参照)。
【0005】
従って、一つの観点では、本発明は樹状細胞および/または樹状前駆細胞の集団を単離する方法を提供する。本方法は、複数のFRILファミリー構成分子と細胞集団との接触、および、非結合細胞の除去を含み、FRILファミリー構成分子に結合する細胞は、樹状細胞および/または樹状前駆細胞の単離された集団である。
【0006】
この観点のある態様において、FRILファミリー構成分子は固体支持体に固定されている。いくつかの態様において、固体支持体は磁気ビーズである。いくつかの態様において、固体支持体は組織培養プレートである。
【0007】
この観点のいくつかの態様において、複数のFRILファミリー構成分子は標識される(例えば、検出可能であるように標識される)。ある態様において、樹状細胞の単離された集団の少なくとも70%はCD11cを発現する。ある態様において、樹状前駆細胞の単離された集団の少なくとも70%はCD11cを発現する。ある態様において、樹状細胞の単離された集団の少なくとも78%はCD11cを発現する。
【0008】
ある態様において、細胞集団は、末梢全血液、末梢血液単核細胞、臍帯血、リンパ節細胞、リンパ系細胞、骨髄細胞、胎児肝臓細胞、および、脾臓細胞からなる群から選択される。ある態様において、細胞集団は、ヒト、家畜動物、あるいは研究用動物由来である。いくつかの態様において、細胞集団は、樹状細胞および/または樹状前駆細胞の集団の濃度を高めるように前もってソートされる。
【0009】
さらなる観点として、本発明は、複数のFRILファミリー構成分子と細胞集団との接触、および、非結合細胞の除去により単離された、樹状細胞および/または樹状前駆細胞の単離された集団を提供し、FRILファミリー構成分子に結合する細胞は、樹状細胞および/または樹状前駆細胞の単離された集団である。ある態様において、樹状細胞および/または樹状前駆細胞の単離された集団は、ヒト、家畜動物、あるいは、研究用動物由来である。
【0010】
さらなる観点として、本発明は、FRILファミリー構成分子と特異的に結合する結合剤を提供する。ある態様において、結合剤は抗体である。ある態様において、抗体はモノクローナル抗体、または、ポリクローナル抗体である。いくつかの態様において、結合剤は標識される(例えば検出可能であるように標識される)。
【0011】
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、樹状細胞および/または樹状前駆細胞を単離、および、保存する方法を提供する。樹状細胞は不均質で、かつ、骨髄で産生される細胞中の希少な集団(<1%)を示し、また、動物(ヒトを含む)の生体中至るところに分布する。それらの由来が骨髄、あるいは、リンパ系統のどちらかであるため、樹状細胞は表現型および機能の不均質性(heterogeneity)をもつ。この、樹状細胞の表現型および機能の不均質性(heterogeneity)は、生体内、リンパ管内、末梢血、器官の間質空間、リンパ系器官、および、上皮においてもまた分布する。
【0012】
本明細書中で引用される特許および出版物のすべては、その分野の知識を反映しており、また、それぞれが特別に参考文献として援用されると言及されるのと同様の範囲で、全体として本明細書中で参考文献として援用される。これらの特許および出版物と、本公開との間の不一致は、本開示の方を選択することで解決されるだろう。
【0013】
一つの観点において、本発明は、複数のFRILファミリー構成分子と細胞集団との接触、および、非結合細胞の分離を含む、樹状細胞および/または樹状前駆細胞の集団を単離する方法を提供し、FRILファミリー構成分子に結合する細胞は、樹状細胞および/または樹状前駆細胞の単離された集団である。
【0014】
“樹状細胞”は、骨髄由来の抗原提示細胞を意味し、いくつかの態様においてSteinman, Annu. Rev. Immunol. 9: 271-296, 1991に記述される樹状細胞の表現型および性質をもつ。いくつかの態様において、樹状細胞はその細胞表面上にMHCクラスIIを発現する。いくつかの態様において、本発明の樹状細胞はSantinら、Obstet. Gynecol. 96(3): 422-430, 2000に記述される樹状細胞の表現型および性質をもつ。いくつかの態様において、本発明の樹状細胞はアメリカ合衆国特許番号6,017,527に記述される樹状細胞の表現型および性質をもつ。いくつかの態様において、本発明の樹状細胞はアメリカ合衆国特許番号6,274,378に記述される樹状細胞の表現型および性質をもつ。いくつかの態様において、本発明の樹状細胞はTurleyら、Science 288: 522-527, 2000に記述される樹状細胞の表現型および性質をもつ。特定の態様において、本発明の樹状細胞はその細胞表面上にCD11cを発現する。いくつかの態様において、本発明の樹状細胞はその細胞表面上にCD11bを発現する。ある態様において、本発明の樹状細胞はその細胞表面上にCD83を発現する。いくつかの態様において、本発明の樹状細胞はその細胞表面上にCD32を発現する。特定の態様において、本発明の樹状細胞は、次の分子の中の一つ、あるいはそれ以上をその細胞表面上に発現する:CD1a、CD4、および、CD86。
【0015】
“樹状前駆細胞”とは、完全に分化すると(上で定義された)樹状細胞に成長するであろう、前駆細胞を意味する。本明細書中で使用されている場合に、“前駆細胞”とは、分化および増殖により、完全に分化し、機能的な結果(progeny)を生み出す能力をもつ、すべての正常体細胞を言う。前駆細胞は、血液、間葉の、髪、胚性の、神経、筋肉、皮膚、消化管(すなわち、胃腸の)、骨、腎臓、肝臓、膵臓、胸腺、および、脳を含むがこれらには限定されない、すべての組織または器官由来の前駆体を含む。ある態様において、前駆細胞は樹状前駆細胞である。
【0016】
“FRILファミリー”という用語は、レクチンのファミリーを意味して用いられ、ここで各FRILファミリー構成分子が前駆細胞を保持し、また、各FRILファミリー構成分子が正常に糖鎖付加されたFLT3受容体に結合する(Mooreら、Biochim. Biophys. Acta 25027: 1-9, 2000参照)。“レクチン”とは、糖残基と高親和性で結合するタンパク質を意味する。本発明の第一の観点に従って、“結合する(bind)”、“結合する(binds)”、または“結合した(bound)”は、交換可能に使用され、本発明のFRILファミリー構成分子が、正常に糖鎖付加されたFLT3受容体と、FLT3リガンドと正常に糖鎖付加されたFLT3受容体が結合する場合の親和性と少なくとも同じか、または、より高い親和性で、結合することを意味する。いくつかの態様において、FRILファミリー構成分子は、正常に糖鎖付加されたFLT3受容体と、抗体がその特異的リガンドと結合するのと少なくとも同じ高さの親和性で結合する。いくつかの態様において、本発明のFRILファミリー構成分子は正常に糖鎖付加されたFLT3受容体と、抗体がその特異的リガンドと結合するのよりも高い親和性で結合する。いくつかの態様において、本発明のFRILファミリー構成分子は正常に糖鎖付加されたFLT3受容体と、少なくとも10-7M、または、10-8 M、または、10-9 M、または少なくとも10-10 Mの解離定数(KD)で結合し、または、本発明のFRILファミリー構成分子は正常に糖鎖付加されたFLT3受容体と、少なくとも10-11Mの解離定数(KD)で結合する。結合および結合親和性を決定する標準的方法は既知である。
【0017】
本明細書中で使用される場合、“前駆細胞を保持する”は、FRILファミリー構成員(あるいはその変異体、またはFRILファミリー構成員を含む融合タンパク質、あるいはその変異体)の、前駆細胞を未分化の状態で維持する(すなわち、保持する)能力を意味する。未分化の状態の前駆細胞の決定は、既知の分析法を使用して決定されうる(例えばKolletら、Exp. Hematol. 28: 726-726, 2000;アメリカ合衆国特許番号6,084,060を参照)。
【0018】
本発明に従って、“正常に糖鎖付加されたFLT3受容体”とは、正常細胞により糖鎖付加されたFLT3受容体の糖鎖付加パターンをもつ、FLT3受容体を意味する。本発明のすべての観点に従って、本明細書中で使用される場合、“正常細胞”とは腫瘍性ではない細胞を意味する。本明細書中で使用される場合、“腫瘍細胞”とは、異常な増殖、特に上昇した増殖であって、細胞-細胞接触阻害、および、可溶性レギュレーター(例えば、サイトカインまたはホルモン)といった因子により制御されない増殖を示す細胞を意味し、また、腫瘍細胞におけるFLT3受容体の糖鎖付加パターンが異常になり、また腫瘍細胞上のFLT3受容体はFRILファミリー構成分子により結合しないといったように、FLT3受容体に異常な糖鎖付加を行う。
【0019】
“FRILファミリー構成員”または“FRILファミリー構成分子”とは、一つ、または、それ以上のFRILファミリーの分子を意味する。ある態様において、FRILファミリー構成員はエンドウ(garden peaまたはcommon pea)などのマメ科植物(Legume)由来である。マメ科植物はその根に根粒をもつ(窒素固定細菌)、双子葉植物である草のファミリー(Leguminosae)、潅木、および樹木由来の植物(“マメ科植物(leguminous plants)”)である。いくつかの態様において、FRILファミリー構成員は、限定しないが、Phaseolus vulgaris、Dolichos lab lab、Sphenostylis stenocarpa、Vigna sinensis、または、Voandzeia subterraneaを含む、Phaseoleae族の構成員由来である。いくつかの態様において、FRILファミリー構成分子はマンノース/グルコース特異的なマメ科レクチンである(Mooreら、Biochim. Biophys Acta 25027: 1-9, 2000;Colucciら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96: 646-650, 1999;Moら、Glycobiology 9: 173-179, 1999;および、Hamelryckら、J. Molec. Biol. 299: 875-883, 2000参照)。ある態様において、ヒヤシンス豆(すなわち、Dolichos lab lab)から単離されるFRILファミリー構成分子は、次の8アミノ酸配列を含むアミノ酸配列をもつ:TNNVLQXT(SEQ ID NO: 11)。本発明のFRILファミリー構成員は、いくつかの態様において、SEQ ID NO: 1、SEQ ID NO: 3、SEQ ID NO: 5、またはSEQ ID NO: 7の配列を含むか、またはそれからなる、核酸分子によりコードされる。いくつかの態様において、本発明のFRILファミリー構成分子は、SEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 4、SEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 9、またはSEQ ID NO: 10の配列を含むか、またはそれからなる、アミノ酸配列をもつ。
【0020】
FRILファミリー構成分子の定義に区分される他の分子(例えば、変異体、または、融合タンパク質)、リコンビナントFRILファミリー構成分子、および、前記FRILファミリー構成分子を作製および精製する方法(および、前記FRILファミリー構成分子をコードする核酸分子を精製する方法)は、アメリカ合衆国特許番号6,084,060;1999年12月30日提出アメリカ合衆国特許出願番号09/476,485;ColucciらのPCT出願番号PCT/US99/31307(PCT公開番号WO01/49851);および、ColucciらのPCT出願番号PCT/US98/13046(PCT公開番号W098/59038)に記述され、それらすべての開示全体は、本明細書中で参考文献として援用される。
【0021】
いくつかの態様において、各FRILファミリー構成分子は樹状細胞(または樹状前駆細胞)上の細胞表面分子と結合し、また、他のFRILファミリー構成員と少なくとも約45%アミノ酸配列相同性、または、少なくとも約55%相同性、または、少なくとも約65%相同性、または、少なくとも約75%相同性、または、少なくとも約85%相同性をもつ。ある態様において、各FRILファミリー構成分子は状細胞(または樹状前駆細胞)上の細胞表面分子と結合し、また、他のFRILファミリー構成員と少なくとも約95%アミノ酸配列相同性をもつ(例えばSEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 4、SEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 9、またはSEQ ID NO: 10)。二つのタンパク質、あるいは、二つの核酸分子間での、アミノ酸配列相同性、および、核酸配列相同性は、標準的な方法に従って測定され得る(例えば、PearsonおよびLipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 2444-2448, 1988;George, D.G.ら、in Macromolecular Sequencing and Synthesis, Selected Methods and Applications, pps. 127-149, Alan R. Liss, Inc. 1988;FengおよびDoolittle, Journal of Molecular Evolution 25: 351-360, 1987;および、HigginsおよびSharp, CABIOS 5: 151-153, 1989;および、the National Center for Biotechnology, National Library of Medicine, Bethesda, MDの様々なBLASTプログラム参照)。
【0022】
本発明は、単離された樹状細胞および/または樹状前駆細胞が、樹状細胞および/または樹状前駆細胞を含むことが予想される集団とFRILファミリー構成分子との接触、および、FRILファミリー構成分子と結合する細胞(すなわち、樹状細胞および/または樹状前駆細胞)の保持により得られることの発見により生じる。樹状細胞および/または樹状前駆細胞上に発現する、FRILファミリー構成分子が結合する細胞表面分子は、正常に糖鎖付加されたFLT3受容体である可能性があり、または、他の分子である可能性がある。樹状細胞および/または樹状前駆細胞上に発現するどの細胞表面分子にFRILファミリー構成分子が結合するかに関わらず、本発明は、これらの細胞がFRILファミリー構成分子に結合する能力に基づいて、樹状細胞および/または樹状前駆細胞を単離する方法を提供する。
【0023】
いくつかの態様において、本発明のFRILファミリー構成員は精製される。FRILファミリー構成分子は標準的な技術を使用して容易に精製される。タンパク質精製の方法は当該技術分野において既知であり、限定はしないが、HPLC、SDS-PAGE、免疫沈降、リコンビナントタンパク質産生、特異的な抗体を用いるアフィニティークロマトグラフィー、イオン交換、サイズ排除、および、疎水性相互作用クロマトグラフィー、または、これらの手法のいずれかの組み合わせを含む。これらおよびその他の適する方法は、例えばMarston著“The purification of eukaryotic proteins expressed in E. coli,”in DNA Cloning, Glover D. M., ed., Volume III, IRL Press Ltd., Oxford, 1987;MarstonおよびHartley, “Solubilization of protein aggregates,” pp. 266-267 in Guide to Protein Purification, Deutscher M. P., ed., Academic Press, San Diego, 1990;Laemmli, U. K., Nature 227: 680-685, 1970;Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, NY, 1999;アメリカ合衆国特許番号6,084,060;および、Gowdaら、J. Biol. Chem. 269: 18789-18793, 1994に記述される。FRILファミリー構成分子は、固体支持体(例えばセファロースビーズ)上に結合されうる、マンノースへの結合により、精製することもできる。天然に生じるFRILファミリー構成分子をそれから精製することができる、限定的ではない原料には、Dolichos lab lab、Phaseolus vulgaris、Sphenostylis stenocarpa、Vigna sinensis、およびVoandzeia subterraneaが含まれる。
【0024】
マメ科植物からのFRILファミリー構成分子の精製は、迅速および安価であり、また、大量の精製FRILファミリー構成分子を得る。FRILファミリー構成員はマメ科植物中に比較的豊富である。例えば、Dl-FRILはヒヤシンス豆の質量の約0.02%を占める。“精製された”は、タンパク質(例えば、FRILファミリー構成分子または、結合剤、または、抗体)などの分子またはその分子の成分といったものであって、不純である分子とともに天然に生じる他の有機分子(例えば糖、核酸、タンパク質、および、脂質)がより除去されているもの、および、同様に精製過程において使用される物質が十分除去されているものを意味する。例えば、少なくとも約60%、または、少なくとも約75%、または、およそ少なくとも85%、または、およそ少なくとも90%、または、およそ少なくとも95%純粋である、すなわち、それとともに天然に生じる他の有機分子が存在せず、また、精製過程において使用される物質が存在しない場合、タンパク質は精製されているとみなされる。FRILファミリー構成分子は、ヒヤシンス豆(殺虫剤なしで成育され得る)といったマメ科植物から、マンノース-アフィニティークロマトグラフィー、または、卵白アルブミンアフィニティークロマトグラフィーにより容易に精製することができ、リコンビナントサイトカインより100倍以上安く産生できる。
【0025】
“複数のFRILファミリー構成分子”という用語は、一つあるいはそれ以上のFRILファミリー構成分子を意味して使用される。分子が同一である(例えば複数のFRILファミリー構成分子中のすべてのFRILファミリー構成分子がDolichos lab lab由来である)可能性がある場合、この用語は、1つ以上の同一のFRILファミリー構成分子(例えば、Dolichos lab lab由来のFRILファミリー構成分子である、二つのDl-FRIL分子)、または、一つ以上のの原料由来のFRILファミリー構成分子(例えば、Dolichos lab lab由来のFRILファミリー構成分子、および、Phaseolus vulgaris由来のFRILファミリー構成分子)をまた含む。
【0026】
細胞集団と複数のFRILファミリー構成分子とを接触させ、FRILファミリー構成分子と結合する細胞が本発明に従う単離された樹状細胞および/または樹状前駆細胞であるとき、単離された樹状細または樹状前駆細胞に、複数のFRILファミリー構成分子のすべてのFRILファミリー構成分子が結合するのではないことが理解されている。むしろ、複数の中には、余分なFRILファミリー構成分子が存在する可能性があり、その結果すべてのFRILファミリー構成分子が結合するわけではないであろうが、むしろFRILファミリー構成分子と結合する細胞表面分子を発現しているすべての樹状細胞および/または樹状前駆細胞は、FRILファミリー構成分子と結合するであろうし、その結果単離される。
【0027】
“単離された”は、より大きい細胞集団から分離された樹状細胞および/または樹状前駆細胞集団のことを意味し、ここで単離された集団における樹状細胞および/または樹状前駆細胞の百分率は、より大きい集団における樹状細胞および/または樹状前駆細胞の百分率の少なくとも2倍以上である。いくつかの態様において、単離された集団における樹状細胞および/または樹状前駆細胞の百分率は、より大きい集団における樹状細胞および/または樹状前駆細胞の百分率の少なくとも2倍以上である。いくつかの態様において、樹状細胞および/または樹状前駆細胞の単離された集団は、少なくとも約70%の樹状細胞および/または樹状前駆細胞、または少なくとも約75%の樹状細胞および/または樹状前駆細胞、あるいは、少なくとも約80%の樹状細胞および/または樹状前駆細胞、または、少なくとも約90%の樹状細胞および/または樹状前駆細胞を含有する。
【0028】
例えば、複数のFRILファミリー構成分子と接触させた細胞集団が末梢全血液である場合、全血液中の樹状細胞の百分率は、例えば、1%であり得る。樹状細胞および/または樹状前駆細胞の単離された(すなわち、本発明の方法に従って単離された)集団は、例えば、少なくとも約70%樹状細胞および/または樹状前駆細胞を含有し得る。
【0029】
樹状細胞および/または樹状前駆細胞はFRILファミリー構成分子と結合する。従って、本発明のFRILファミリー構成分子は、樹状細胞および/または樹状前駆細胞を濃縮し、また、単離する、効率的かつ矛盾のない方法を提供する。下の実施例に記述するとおり、FRILを装填した磁気ビーズは成人末梢血由来の希少な集団(0.05%-1%)を捕捉する。FRIL-ビーズに捕捉される細胞の大多数は、その細胞表面にCD11cを発現している(図1A-1C参照)。
【0030】
本発明に従って単離された樹状細胞および/または樹状前駆細胞は、ex vivoでの増殖、操作、および、特異的抗原を負荷したヒト樹状細胞および/または樹状前駆細胞の患者への再注入が可能であり、それにより、通常免疫応答を起こさないか、または、弱い免疫応答しか起こさない抗原に対する、強い免疫応答を引き起こす免疫系の能力を増強し得る。例えば、腫瘍抗原は、しばしば強い免疫応答を引き起こさない。加えて、抗原を負荷した樹状細胞および/または樹状前駆細胞は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対する応答を増強するため、患者に再注入されることができ、また、ワクチン調製物に再注入され得る。
【0031】
ex vivoの操作は、増殖および分化を誘導する可溶性のメディエーター中における、樹状前駆細胞の単離および培養に関連する。例えば、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CFS)およびFLT3チロシンキナーゼ受容体に対するリガンド(FLT3-L)中で培養した、CD34で選択された造血幹細胞および前駆体は、増殖し、そして樹状前駆細胞を分化させて、成熟樹状細胞を作り出す(例えば、アメリカ合衆国特許番号6,017,527参照)。ex vivoで作られた樹状細胞を癌関連ペプチドでパルスすることで、強い抗腫瘍免疫応答を引き起こすことができる。例えば、樹状細胞を卵巣がん細胞関連ペプチドによりパルスすると、細胞傷害性CD8+T細胞を活性化し、進行性卵巣がんの女性由来の自己腫瘍細胞を殺す(Santinら、Obstet. Gynecol. 96 (3): 422-430, 2000)。
【0032】
本発明のある態様において、樹状細胞および/または樹状前駆細胞が精製される細胞集団は、限定的ではないが、家畜動物、研究用動物、または、ヒトを含む、動物由来である。“家畜動物”は、人間に飼育された動物を意味し、限定はしないが、ネコ、イヌ、ゾウ、ラマ、ウマ、ヒツジ、ウシ、ブタ、および、ヤギを含む。家畜動物として、非哺乳動物(例えば、シチメンチョウ、および、ニワトリ)もまた含まれる。“研究用動物”の限定しない例は、ヒトではない霊長類(例えば、チンパンジー、ヒヒ)、魚、カエル、虫、マウス、ラット、および、ウサギである。
【0033】
本発明の樹状細胞および/または樹状前駆細胞集団を単離することができる細胞集団は、骨髄由来細胞を含有する、どのような細胞集団をも含む。さらに、限定的ではない本発明の細胞集団の源泉には、末梢全血液、末梢血液単核細胞、臍帯血、リンパ節由来細胞(例えば、扁桃腺)、リンパ系由来細胞、骨髄細胞、胎児肝臓細胞、および、脾臓細胞が含まれる。
【0034】
本発明のある態様において、FRILファミリー構成分子は標識され、その結果FRILファミリー構成分子(および、それにFRILファミリー構成分子が結合する細胞)の精製がなされ得る。タンパク質を標識する多数の方法が当該技術分野において既知である。標識は、FRILファミリー構成員に官能基を介して直接結合され得る。FRILファミリー構成分子は、官能基を含有する様に、標準的な技術を用いて修飾され得る。適する官能基のいくつかの例には、限定的ではないが、アミノ、カルボキシル、スルフヒドリル、マレイミド、イソシアネート、イソチオシアネートが含まれる。FRILファミリー構成分子に組み込み得る、限定的ではない標識の一つは、ビオチンである。ビオチンはアビジンと高親和性で結合するため、ビオチン標識したFRILファミリー構成分子(およびFRILファミリー構成分子が結合するすべての細胞)は、例えば、アビジン(またはストレプトアビジン)コートされた磁気ビーズ上で精製されうる。
【0035】
更なる観点としては、本発明は、FRILファミリー構成分子と特異的に結合する、抗体といった、結合剤を提供する。“特異的に結合する”とは、本発明の結合剤が、本発明のFRILファミリー構成員を認識し、少なくとも10-5M、または少なくとも10-6 M、または少なくとも10-7 M、または少なくとも10-8 Mの解離定数(KD)で結合すること、または、本発明の結合剤がFRILファミリー構成員と、生理学的条件下、生理学的に許容できる水溶液中において、またはイオン強度に関してほぼ生理学的条件(例えば、140 mM NaCl、5 mM MgCl2)下、少なくとも10-10 Mの解離定数(KD)で結合することを意味する。“生理学的に許容できる水溶液”とは、無菌生理食塩水、または、組織培養培地といった、細胞に毒性のない、不活性の水溶液を意味する。限定的ではない、生理学的に許容できる水溶液は、140 mM NaClまたは5 mM MgCl2を含むものである。結合および結合親和性を決定する標準的な方法は既知である。
【0036】
本発明に従った結合剤は、それがFRILファミリー構成分子に特異的に結合する限り、特別な大きさ、または、特別な構造をもつ必要はない。限定的ではない結合剤の例には、小分子、化学物質、ペプチド、および、ホルモンや、抗体といったタンパク質が含まれる。
【0037】
いくつかの態様において、結合剤が抗体である場合、抗体は精製される。FRILファミリー構成分子に特異的に結合する本発明の抗体は、限定しないが、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、遺伝子的に設計された抗体、二つの特異性をもつ抗体(二つの特異性をもつ抗体の特異性の一つは、FRILファミリー構成分子に特異的に結合することである)、抗体断片(限定的ではないが“Fv”、“F(Ab)2”、“F(Ab)”、および、“Dab”を含む)、および、抗体の反応部位を示す一本鎖(“SC-MAb”)であり得る。抗体および他の結合剤を作製する方法は良く知られている(例えば、Coliganら、Current Protocols in Immunology, John Wiley and Sons, New York City, NY, 1991;Jonesら、Nature 321: 522-525, 1986;Marx, Science 229: 455-456, 1985;Rodwell, Nature 342: 99-100, 1989;Clackson, Br. J. Rheumatol. 3052: 36-39, 1991;Reichmanら、Nature 332: 323-327, 1988;Verhoeyenら、Science 239: 1534-1536, 1988参照)。
【0038】
FRILファミリー構成員と特異的に結合する抗体を用いて樹状細胞を単離する方法の限定的ではない例では、細胞集団を、複数のFRILファミリー構成員と接触させ、そして次いで抗FRIL抗体(すなわちFRILファミリー構成員と特異的に結合する抗体)と接触させる。細胞集団を次に、例えば固体支持体上に固定されたプロテインAと接触させ、そして、非結合細胞を生理学的に許容できる水溶液で洗浄する。この方法において、単離された樹状細胞集団は固体支持体に結合したままである。“固体支持体”という用語には、限定はしないが、セファロースビーズ、ゲル、マトリックス、磁気ビーズの表面、または、プラスチック表面(例えば、組織培養ディッシュまたはフラスコの底)を含むどんな表面も含まれる。ある態様において、固体支持体は組織培養プレートの底であり、また、非結合細胞は、組織培養プレートを生理学的に許容できる水溶液で洗浄することにより、分離される。
【0039】
加えて、抗FRIL抗体が特定の動物由来である場合(例えば抗FRIL抗体がマウス抗体である)、FRIL結合細胞は、例えば固体支持体(例えば磁気ビーズ)に固定されたヤギ抗マウス抗体との接触により精製され得る。FRILに結合する樹状細胞は次に、細胞集団と磁気との接触、および、非結合細胞の洗浄除去により、精製され得る。
【0040】
本発明のある態様において、複数のFRILファミリー構成分子は、それ自体が固体支持体上に固定される。固体支持体が磁気ビーズである場合、非結合細胞は、磁気ビーズ上に固定されたFRILファミリー構成分子と接触した細胞集団に磁石をあて、次に非結合細胞を洗浄除去することにより分けられる。FRILファミリー構成分子コートされた磁気ビーズと結合する細胞を単離する方法は、下記実施例に記述する。磁気ビーズは商業的に入手可能である(例えばDynabeads, Lake Success, NYより(例えばFRILとビーズとを直接結合できるトシル活性化(tosylactivated)ビーズ);または、Miltenyi Biotec, Auburn, CAより(例えばストレプトアビジンコートされたビーズ))。FRILファミリー構成分子は、磁気ビーズと既知の方法により結合され得る(例えば、FRILファミリー構成分子のアミノ基またはスルフヒドリル基を介して)。
【0041】
いくつかの態様において、FRIL、あるいは、FRILファミリー構成分子に特異的に結合する結合剤(例えばFRIL特異的抗体)を表面に固定する磁気ビーズは、大変小さく、直径が約50 nmであるMACSスーパー-パラ磁性(sufer-paramagnetic)MicroBeads(Miltenyi Biotecより)である(MACSビーズは真核細胞より体積が約100万分の1である)。MACSビーズは磁気抗体のように反応する。従って、磁気標識は数分間内で達成される。MACS MicroBeadsは安定なコロイド状懸濁液を形成し、また、磁場において沈殿または凝集しない。MACS MicroBeadsは生物分解性であり、そのためMACS MicroBeadsに結合した細胞はその生理学的機能を保持することができる。MACSビーズのこの特徴は、FRILファミリー構成員が非常に高親和性で結合するためビーズを除くことが困難である、ビーズでソートされたFRILファミリー構成員結合性細胞にとって特に有用である。
【0042】
しかしながら、FRILファミリー構成分子に結合する表面分子を発現している樹状細胞および/または樹状前駆細胞が固体表面に結合している(固体支持体上のFRILファミリー構成員との結合を介して)、本発明のすべての方法において、樹状細胞および/または樹状前駆細胞が、標準的な方法によって容易に固体表面から取り除くことができることは理解されるだろう。前記方法の限定的ではない一つの例は、余剰のフリーなFRILファミリー構成分子を固体表面結合細胞に加え、それにより樹状細胞および/または樹状前駆細胞をフリーなFRILファミリー構成分子で競合させて固体表面から外す。
【0043】
FRILファミリー構成分子は直接、または、間接的に、組織培養プレートの底と結合され得る。標準的な“パニング”プロトコール(Stengelinら、EMBO J. 7 (4): 1053-1059, 1988;AruffoおよびSeed, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84 (23): 8573-8577, 1987参照)に従って、樹状細胞および/または樹状前駆細胞を含有することが予想される細胞集団を、プレート上でインキュベートし、そのため、FRILファミリー構成分子に結合する細胞表面分子を発現している細胞は固定されたFRILファミリー構成分子と結合するだろう。次にプレートを生理学的に許容可能な水溶液で穏やかに洗浄し、それにより非結合細胞を除去し、一方、FRILファミリー構成員をコートしたプレートに結合した、FRILファミリー構成分子に結合する細胞集団を残す。
【0044】
ある態様において、FRILファミリー構成分子、または、FRILファミリー構成分子に特異的に結合する結合剤は、検出可能であるように標識される。“検出可能であるように標識される”とは、FRILファミリー構成員または結合剤が、視覚的、または、機器的に検出することのできる標識と結合することを意味する。例えば、発色性分子または蛍光生成分子は、FRILファミリー構成分子または結合剤と、ジアルデヒド、カルボジイミド、および、ジマレイミドといったカップリング剤の手段により、結合され得る。限定的ではない検出可能な標識には、フィコエリスリン、および、FITCが含まれる。したがって、細胞集団が検出可能であるように標識されたFRILファミリー構成分子と接触した場合(または、FRILファミリー構成分子と接触し、その後検出可能であるように標識された、FRILファミリー構成分子に特異的に結合する抗体といった結合剤と接触した場合)、結合した細胞はフローサイトメトリー装置における細胞ソーティングにより単離され得る。
【0045】
本発明のある態様において、樹状細胞および/または樹状前駆細胞が単離される細胞集団は、樹状細胞および/または樹状前駆細胞が濃縮された細胞集団である。例えば、樹状細胞および/または樹状前駆細胞が濃縮された細胞集団は、細胞がT細胞受容体および/またはB細胞受容体を発現しない、ソートされた細胞集団である可能性がある。この陰性ソート(すなわち残った細胞はT細胞受容体および/またはB細胞受容体を発現しないというソート)に続いて、ソートされた集団は、FRILファミリー構成員に結合する能力により陽性にソートされる。
【0046】
一つの例としては、はじめに細胞集団を、フローサイトメトリーにより、または磁気ビーズ選択により、集団をソートすることにより、樹状細胞および/または樹状前駆細胞を濃縮する。このように、細胞集団(例えばヒト臍帯血細胞)を、はじめに発色団標識した、T細胞受容体に特異的に結合する抗体(あるいはリガンドといった他の分子)と接触させ得る。結合に続いて、細胞集団を次にフローサイトメトリーにより陰性にソートして、抗体に結合しない(およびそのためT細胞受容体を発現しない)細胞は保持され、また、さらに、FRILファミリー構成分子に結合する能力でソートされ、そのFRILファミリー構成員に結合する細胞集団は本発明に従った、単離された樹状細胞および/または樹状前駆細胞の集団である。
【0047】
細胞集団はまた、B細胞受容体に特異的に結合する抗体といった分子と集団との接触により、樹状細胞および/または樹状前駆細胞を濃縮されることができ、その分子は磁気ビーズといった固体支持体に結合している。集団は次にビーズに磁石をあて、ビーズに結合しない、またそのため磁石に引き寄せられない細胞を保持することにより、陰性にソートされる。これらソートされた細胞は次に、FRILファミリー構成員に結合する能力でさらにソートされ、ここでそのFRILファミリー構成員に結合する細胞集団は、本発明に従った単離された樹状細胞および/または樹状前駆細胞である。
【0048】
他の観点において、本発明は複数のFRILファミリー構成分子と細胞集団との接触、および、非結合細胞の分離を含む方法により単離される、樹状細胞および/または樹状前駆細胞の単離された集団を提供し、ここでそのFRILファミリー構成員に結合する細胞は、樹状細胞および/または樹状前駆細胞の単離された集団である。“単離された”、“FRILファミリー構成分子”、“前駆細胞”、および、“結合”は、上述の通りである。
【0049】
ある態様において、単離された前駆細胞集団は、ヒトまたは家畜動物由来である。
以下の実施例は、さらに本発明のある好ましい態様を示すことを意図し、また、全く限定的ではない。当業者は、日常的な実験だけを用いて、本明細書中に記載の具体的な物質及び手法に対して同等の多数のものを認識し、また確認することができるであろう。
【実施例】
【0050】
実施例 1 末梢血単核細胞の濃縮
以下の標準的な手順を使用して、末梢血単核細胞(PMBC)を、臍帯血または末梢血から調製し、また、赤血球を除いた。(ヒト臍帯血(CB)試料は、満期産より得られた。)この手順は常に無菌条件下で行われた(例えば、組織培養フード内で)。この一般的なプロトコールは記載されている(例えばRubinstein ら、Proc. Natl. Acad. Sci. 92: 10119-10122, 1995;Clin. Lab. Haem. 20: 341-343, 1998;Vox Sang. 76: 237-240, 1999参照)。
【0051】
血液を無菌条件下で回収し(100μlは細胞数計測用にとっておく)、次に、血液の全容量を記録した。血液は適切な量の抗凝固剤、クエン酸-リン酸-デキストロース-アデニン(Sigma Chemical 社, St. Louis MOより商業的に入手可能である;カタログ番号C4431、50 ml)を含有するチューブに集められた。クエン酸-リン酸-デキストロース-アデニンのストックは10 ccシリンジに5 ml作った。
【0052】
次に、hetastarch(ストックは0.9%NaCl中6%であり、Abbottより商業的に入手可能である、NDC 0074-7248-03、500 ml)を終濃度1.2%になるように血液に加え、さらに、よく混合した。血液を次に室温(約25℃)に45分間置いた。最上層の色、及び、透明度をこの時間に書き留めた。
【0053】
この45分の“放置時間”の間に、最初の細胞数計測を行った(ヘマトサイトメーターを用いて)。これを行うために、180μlの2%酢酸を、とっておいた20μlの細胞(80μlは残す)と1:10の希釈で混ぜ、そして、細胞数を数えた。
【0054】
この45分の“放置時間”の後、白血球が濃縮された最上層を新しい50 mlコニカルチューブに移し、次に、白血球を脱気したHAEMで2回洗浄した。(HAEMはHBSS(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA;カタログ番号 14025076)+0.1%AIM V培地(Invitrogen Life Technologies,カタログ番号12055083)+2 mM EDTA(Sigma,カタログ番号E-7889, Lot番号110K89271)であり、また、5分間振とうにより脱気する。)洗浄のため、細胞の容量を、脱気したHAEMで40 mlに増やし、その後、細胞を400×g、11℃で10分間、Beckman GS-6R 遠心分離器で遠心し、そして、上清を吸引した。
【0055】
洗浄後、細胞のペレットを1 mL HAEMに再懸濁し、また、残っている赤血球を溶解した。赤血球を溶解するため、9 mLのNH4Cl溶液(0.72% NH4Cl、10 mM EDTA、StemCell Technologies, Inc., Vancouver, Canada)を1 mlの細胞懸濁液に加え、チューブを混ぜ、そして、氷上に5分間静置した。
【0056】
次に、細胞を脱気したHAEMで2回洗浄した(容量を脱気したHAEMで40 mlに上昇させ、細胞を1300 RPM、11℃で5分間遠心し、その後、上清を吸引した)。細胞の沈殿は次に脱気したHAEM 20 mlに再懸濁した。最後に、残った細胞を計測し、そして、使用する準備ができた。
【0057】
実施例 2 非血液組織から樹状細胞を単離する方法
以下の方法を使用して、非血液組織から単一細胞を得、それからFRIL結合樹状細胞を実施例3〜6に従って単離することができる。この手順は常に無菌条件下で行われた(例えば、組織培養フード内で)。
【0058】
扁桃腺組織
扁桃腺組織は小片に刻み、次に、組織をコラゲナーゼ及びDNaseI(両方ともSigma Chemical 社.より商業的に入手可能である)を含有する培地中に置くことにより、その小片を消化する。この消化により、ばらばらな(すなわち単一)細胞は、標準的な方法に従って50%Percoll勾配上に層になる(PercollはAP Biotechより商業的に入手可能である)。標準的な細胞生物学的方法は既知である(Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, NY, 1999;Coliganら、Current Protocols in Immunology, John Wiley & Sons, New York, NY, 1994参照)。低密度細胞はPercoll勾配により集められ、そしてこれらの細胞はここで、FRIL細胞選択のための準備が整う(実施例3,4,5、または6参照)。
【0059】
皮膚
皮膚は形成手術(例えば、胸部または腹部)を受けている患者より得られる。組織を低濃度のトリプシン中でインキュベートし、単一細胞懸濁液を作成する。この単一細胞懸濁液はここで、FRIL細胞選択のための準備が整う。
【0060】
リンパ節
リンパ節組織はCa2++不含培地中コラゲナーゼで処理し、単一細胞懸濁液を作成する。この単一細胞懸濁液はここで、FRIL細胞選択のための準備が整う。
【0061】
脾臓
脾臓組織はCa2++不含培地中コラゲナーゼで処理し、単一細胞懸濁液を作成する。次に、single細胞は、標準的な方法に従って50%Percoll勾配上に層になる。低密度細胞画分はPercoll勾配から回収され、そして、これらの細胞はここで、FRIL細胞選択のための準備が整う。
【0062】
実施例 3 樹状細胞を単離するための FRIL 細胞選択
以下の標準的な手順を使用して、実施例1に記載の通り調製された、末梢血単核細胞(PBMC)から樹状細胞を単離した。この手順は、常に無菌条件下で行われた(例えば、組織培養フード内で)。
【0063】
はじめに、ビオチン化FRIL(bFRIL)を調製した。これを行うため、FRILを標準的な方法に従って精製した(アメリカ合衆国特許番号6,084,060;Moら、Glycobiology 9: 173-179, 1999;Kolletら、Exp. Hematol. 28: 726-726, 2000;Hamelryckら、J.Molec. Biol. 299: 875-883, 2000参照。次に、精製されたFRILはPierce Chemical社のプロトコール(Pierce Biotechnology, Rockford, IL)に従ってビオチン化され、そして1 ug/mlのストックとして維持した。
【0064】
実施例1由来の白血球に富むPBMCを、1300 RPM、11℃で5分間遠心した(細胞は実施例1に記載されたプロトコールに由来する20 mlであった。次に上清を吸引し、そして細胞を450 ulの脱気したHAEMとともに500 ulに再懸濁した(これは細胞及び余剰のHAEMが50 ulあることを仮定する)。
【0065】
次に細胞をbFRILとともに調製する。これを行うため、50 ulのbFRIL(ストックは1 ug/ml)に、500 ulの細胞を加え、混合した。これによりbFRIL対細胞の容量1:10の希釈液を作成した。bFRILに細胞を足した混合液は次に、氷上に30分間おいた。次に、bFRILに細胞を足した混合液の容量を脱気したHAEMで40 mlに増加させ、そして、混合液を1300 RPM、11℃で5分間遠心した。上清を吸引し、そして細胞を500 ulの脱気したHAEMで前と同様に再懸濁した。
【0066】
次に、細胞をストレプトアビジン(SA)ビーズ(Miltenyi Biotec Auburn, CAより、商業的に入手可能である;カタログ番号100-18-101)で調製した。SAビーズが107細胞あたり5 ulの濃度になるように、SAビーズを500 ulの細胞に加えた。細胞を混合し、氷上に5分間置いた。次に、1.5 mlの脱気したHAEMで、容量を2 mlに増加した。
【0067】
他方、細胞選択のためのカラムを調製した。これを行なうため、プレ-分離フィルター(“プレフィルター”;30 um;Miltenyi Biotec, カタログ番号414-07)をつけたMACS LS+分離カラムを、磁石中に設置し(MidiMACS分離装置;Miltenyi Biotec,カタログ番号423)、カラムの下に50 mlコニカル試験チューブを置いた。脱気したHAEM 3 mlを、“FRIL陰性細胞”の回収開始のためプレフィルターに流した。
【0068】
カラム調製後すぐに(すなわち、カラム内にまだHAEMのメニスカスがある間に)、細胞試料(すなわちbFRIL+SAビーズを含む細胞)を試験チューブからプレフィルターに移した。生じる真空状態を解放するため時々、プレフィルターを少し押した。カラム壁に対して細胞が非常に高くまではねることを防止する様に注意した。カラムに試料を流した後、2 mlの脱気したHAEMを、カラムに流す前に細胞が維持されていたコニカル試験チューブにピペットで入れ、試験チューブを洗浄し、そして余剰の細胞を集めた。それから、その2 mlをプレフィルターにピペットで入れ、そして、カラムに流し入れた。次に、2 mlの脱気したHAEMを、カラムが最後の洗浄で乾燥する前に、プレフィルターに流し入れた。
【0069】
プレフィルターに滴がなくなった後、プレフィルターを押し、そしてその後取り除いた。次に、カラムを一連の洗浄液で洗浄した。はじめに、2 mlの脱気したHAEMをカラムに加え、そしてカラム内にこれを流し出すことにより、3回洗浄を行った。次に、5 mlの脱気したHAEMをカラムに加え、そしてカラム内にこれを流し出すことにより、2回洗浄を行った。カラムが決して乾かないように注意した。言い換えれば、カラムの先端は常にぬれていた。
【0070】
洗浄の後、“FRIL陽性細胞”を回収した。これを行うために、カラムを磁石から取り出し、そして、カラムの先端の直接下に位置し、そのため先端は試験チューブ内にある、“FRIL陽性細胞”とラベルした無菌15 mlコニカル試験チューブの上に置いた。これはカラムを磁石から外した際にそれらがはねたとしても、細胞がチューブ内に捕らえられるように行なわれた。
【0071】
カラムを取り除いた後すぐに、2 mlの脱気したHAEMをカラムにピペットで入れ(すなわち加え)、そして、カラムとともに提供された無菌ピストンで、HAEMを、力強く、カラムを通して試験チューブへと、速やかに押し込んだ。細胞を含有する最終容量は、2 mlと2.5 mlの間であった。
【0072】
押し出された細胞を、1300 RPM、11℃で5分間遠心し、そして、上清を捨てた。細胞のペレットは次に2 mlのフレッシュなHAEM中に再懸濁した(ピペットを用いて混ぜた)。
次に、FRIL陽性細胞を計測した。これを行なうために、180 ulの1:100トリパンブルー染色液(ストック0.4%;Sigma Chemical 社、カタログ番号T-8154)と、20 ulの“FRIL陽性細胞”とを混ぜることにより1:10希釈とし、1:100の細胞希釈液を作成した。200 ulのこの1:10希釈液のうちの20 ulを次に180 ulの1:100トリパンブルー染色液と混ぜることにより1:100の希釈液とした。200 ulの1:10希釈液のうちの20 ulを、96マイクロウェルプレート(NunclonTM△;Nunc, Rochester, NYより商業的に入手可能である;カタログ番号136528)の6ウェルからなる一列の、各ウェルにピペットで入れた。これを96マイクロウェルプレートの次の列は1:100細胞希釈液で繰り返した。1:10希釈液の3つのウェルは、生存率調査のため、トリパンブルー存在下において1分後の死および生細胞を数えることにより、すぐに計測された(生細胞はトリパンブルーを排除する)。生存率計測のため、生細胞数を、生および死細胞の総数で除し、そして次に百分率とするため100倍した。
【0073】
次に、96マイクロウェルプレートを作成した15分後、1:100希釈液の各6ウェルの生及び死細胞を、一つの総細胞数として計測した。細胞数と回復を計算するため、細胞数の平均値を0.02 mlで除し、各ウェルの濃度とした。この数は次に希釈因子として100倍した。この数は次に、押し出された細胞の全容量でかけた。回復として、最終細胞数を最初の細胞数によって除し、そして百分率とするため100倍した。ここで、FRIL陽性細胞を使用するための準備ができた。
【0074】
FRIL陽性細胞上のCD11細胞表面分子を決定するため、細胞を(遠心により)FACSチューブ(5 mlポリカーボネート丸底チューブ(VWR, West Chester, PA;カタログ番号352063)にペレットとし、そして、吸引により培地を除去した。次に、各チューブに以下の抗体20 ulを加えた:マウスIgG1-PEアイソタイプコントロール(BioSource International, Camarillo, CA;カタログ番号 AML2317)及びマウス抗ヒトCD11c-PE(BioSource International,カタログ番号AHS1157)。細胞を抗体中に再懸濁し、チューブを遮光のためホイルで覆い、そして次に氷上で30分間インキュベートした。次に、細胞をフェノールレッドを含まないHBSS(Invitrogen, Carlsbadより商業的に入手可能である)で洗浄した(すなわち、チューブをHBSSで満たし、遠心により細胞をペレット化し、そして上清を吸引した。細胞のペレットを次にHBSSを加えて総容量0.5 mlにすることにより、フェノールレッドを含まないHBSSに再懸濁した。次に、20 ulのヨウ化プロピジウム(PI)(新たに解凍した50 ug/mlストック;Sigma Chemical社、St. Louis, MOより商業的に入手可能である)を細胞に加え、さらに混合した。細胞は次にBecton Dickson FACScan (Becton Dickson, Franklin Lakes, NJ)によるフローサイトメトリー分析により分析した。
【0075】
本実施例中に概説した手順を用いて、3×108末梢血単核細胞から約1.6×105樹状細胞が単離された。
一つの代表的な実験の結果を示す図1に示した通り、単離された樹状細胞の約78%は、CD11c細胞表面抗原の発現が陽性である。
【0076】
実施例 4 樹状細胞を単離するための FRIL ファミリー構成員をコートした磁気ビーズの使用
限定しないFRILファミリー構成員、Dl-FRILをコートした磁気ビーズを使用して、樹状細胞集団を単離した。これを行なうために、以下の方法を用いた。
【0077】
細胞単離のための FRIL ビーズの調製
Dl-FRILはDolichos lab labの種子より標準的な方法に従って精製した(アメリカ合衆国特許番号6,084,060;Moら、Glycobiology 9 : 173-179, 1999;Kolletら、Exp. Hematol. 28: 726-726, 2000;Hamelryckら、J. Molec. Biol. 299: 875-883, 2000参照。Dl-FRILは、レクチンのアミノ基及びスルフヒドリル基を介して、製造者の指示に従って、磁気ビーズ(M-280 Dynabeads Tosylactivated;Dynal, Lake Success, NY)上に固定され得る。Dl-FRILはまた、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用によっても磁気ビーズ上に固定され得る。
【0078】
本実施例において、Dl-FRILは、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用によって磁気ビーズ上に固定された。第一アミノ基を介したDl-FRILのビオチン化(EZ-LinkJ Sulfo-NHS-LC LC-Biotin, Pierce Chemical Company, Rockford,IL)は、製造者の指示に従って、行なわれた。ビオチン化されたDl-FRILをストレプトアビジン標識した磁気ビーズ(DynalまたはMiltenyi Biotec, Auburn, CA)と、製造者の指示に従って、インキュベートした。
【0079】
臍帯血単核細胞(CBmnc)を実施例1に記載のとおりに調製した。
Dl-FRIL- ビーズ細胞単離
Dl-FRILコートされたビーズは、CB、末梢血、及び、骨髄に見出される少数のmnc集団に特異的に結合した。10倍過剰のDl-FRILビーズを細胞とインキュベートした。Dl-FRILビーズが約1%のmncを捕らえたCBにおいて、ビーズ対細胞の割合は1:10、または、各標的細胞に対して10倍以上のビーズ数であった。
【0080】
Dl-FRILビーズは使用前に血清限定培地で2回洗浄した。Dl-FRILビーズの一部分を15 mlコニカル遠心チューブ(Falcon, Becton-Dickinson, Lincoln, NJ)中の10 mlの血清限定培地に加え、混合し、そして磁石(Dynal または Miltenyi Biotec,磁気ビーズの出所に依存する)中に10分間置いた。磁石の磁力によって遠心チューブの壁に結合したビーズを動かさないように、培地を10 mlピペットで吸引した。洗浄後、0.5 mlの血清限定培地をチューブに加え、コニカルチューブの壁から底へビーズを洗浄した。少量(<2 ml)の培地をビーズに加え、そして、遠心チューブを冷室(すなわち約4℃)で1時間、揺汰器(rocker)で揺すった。インキュベーション後、血清限定培地を最終容量10 mLになるように加え、そして、チューブを磁石中に10分間置いた。磁力装填によって遠心チューブの壁上のDl-FRILビーズに結合した細胞を動かさないように、培地を吸引により除去した。2回目は、コニカルチューブを磁石から外し、10 mlの血清限定培地を加え、細胞を混ぜ、そして、コニカルチューブを磁石上に戻して置くことにより細胞を洗浄した。培地の吸引に続いて、最終容量を2 mLに合わせた。
【0081】
Dl-FRIL ビーズ選択 CB mnc の細胞表面表現型の特徴
Dl-FRILビーズにより選択されたCB mncの細胞表面表現型の特性は、フローサイトメトリーにより特徴づけられた。表1は、3つのCB細胞集団:(1)Dl-FRILビーズに選択されなかった細胞(Dl-FRIL-);(2)冷室(すなわち約4℃)で一晩、揺汰器上でインキュベーションの後、Dl-FRILビーズから外れた細胞(Dl-FRIL+);(3)一晩のインキュベーションの後、Dl-FRILビーズに保持されていた細胞(Dl-FRIL++)の表現型を(示した細胞表面表現型マーカーを発現する細胞の百分率により)示す。結合の強さ(親和性;avidity)が選択された細胞の型に関連するかどうかを確かめるために、2つのDl-FRIL結合細胞集団を分析した。アイソタイプ対照レベルは2%に設定した;すべての2%の値は試験抗体の反応性がないことを示す。
【0082】
【表1】
Figure 2005505261
樹状細胞(DC)マーカー、CD11b及びCD11cを発現している細胞は、Dl-FRIL+細胞集団では約2倍に、そしてDl-FRIL++細胞集団では3倍以上に濃縮された(表1)。希少な造血系樹状細胞集団は腫瘍の退行の誘導、及び、AIDSの治療に有用である。
【0083】
実施例 5 樹状細胞および/または樹状前駆細胞を単離するための FRIL ファミリー構成員がコートされた組織培養プレートの使用
本実施例では、樹状細胞および/または樹状前駆細胞を、FRILファミリー構成員が吸着されたプラスチックペトリ皿上で、樹状細胞および/または樹状前駆細胞を含有することが予想される細胞集団を“パニング”により精製する。このプロトコールは、例えば、Stengelinら、EMBO J.7 (4) : 1053-1059, 1988;Aruffo及びSeed, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84 (23): 8573-8577, 1987に記載のプロトコールに一般的に従う。
【0084】
これを行うために、Pv-FRILをPhaseolus vulgarisより、標準的な方法に従って精製する(Colucciら、PCT公開番号WO01/49851)。精製されたPv-FRILをHBSSに再懸濁し、そして、微生物用(すなわち組織培養処理されていない)プラスチックペトリ皿に無菌条件下吸収させた。Pv-FRILをプラスチック上に吸収させた後(例えば、室温で2時間インキュベーションの後)、Pv-FRIL溶液を取り除き、そして、プレートをウシ血清アルブミン溶液でブロックする。
【0085】
次に実施例1または2に記載の通り調製した細胞集団を、ペトリディッシュに加え、そして、ディッシュ上でインキュベートさせた。限定的ではない一つのインキュベーションは37℃、30分間である。次に、ペトリ皿を傾け、そして非結合細胞はプレートを滑り落とされる。非結合細胞は吸引により除かれる。ペトリ皿を次いで無菌HBSSで穏やかに洗浄し、そして、ペトリ皿を傾けて非結合細胞はプレートを滑り落とされ、そして吸引により除かれる。
【0086】
プレート上に結合して残った細胞は、本発明の樹状細胞および/または樹状前駆細胞の単離された集団である。
実施例 6 樹状細胞および/または樹状前駆細胞を単離するための細胞ソート
ビオチン化Dl-FRILは実施例4に記載の通り調製する。
【0087】
樹状細胞および/または樹状前駆細胞を含有することが予想される細胞集団を、無菌下、氷上でビオチン化Dl-FRILとインキュベートする(例えば、約30〜60分間)。細胞をHBSSで洗浄し、次に、FITC標識されたストレプトアビジンを加える。細胞を氷上でインキュベートさせる。細胞を次にHBSSで洗浄し、そして、無菌HBSSに懸濁する。
【0088】
対照細胞群は、FITC標識ストレプトアビジンのみで染色する。
次に細胞をフローサイトメトリー(例えば、Becton-Dicksonより商業的に入手可能である)に流す。FITC標識陽性に染まった細胞を回収する。これらのFITC陽性細胞は、本発明の樹状細胞および/または樹状前駆細胞の単離された集団である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
図1A〜1Cは、本発明に従って単離された樹状細胞集団のフローサイトメトリー分析のスキーム図である。
【図1A】図1Aは、細胞の比較的一定のサイズを示す。
【図1B】図1Bは、単離された細胞が非特異的IgG-PE(フィコエリスリン標識IgG抗体)により結合しないことを示す。
【図1C】図1Cは、その細胞の78%が、CD11cに特異的に結合するフィコエリスリン標識された抗体(CD11c-PE)により結合することを示す。

Claims (20)

  1. 複数のFRILファミリー構成分子と細胞集団との接触、および、非結合細胞の除去を含む、樹状細胞および/または樹状前駆細胞の集団を単離する方法であって、FRILファミリー構成分子に結合する細胞は、樹状細胞および/または樹状前駆細胞の単離された集団である、前記方法。
  2. 複数のFRILファミリー構成分子が固体支持体に固定されている、請求項1の方法。
  3. 固体支持体が磁気ビーズである、請求項2の方法。
  4. 固体支持体が組織培養プレートである、請求項2の方法。
  5. 複数のFRILファミリー構成分子が標識されている、請求項1の方法。
  6. 複数のFRILファミリー構成分子が検出可能であるように標識されている、請求項1の方法。
  7. 樹状細胞および/または樹状前駆細胞の単離された集団の少なくとも約70%がCD11cを発現している、請求項1の方法。
  8. 樹状細胞および/または樹状前駆細胞の単離された集団の少なくとも約78%がCD11cを発現している、請求項1の方法。
  9. 細胞集団が末梢全血液、末梢血液単核細胞、臍帯血、リンパ節細胞、リンパ系細胞、骨髄細胞、胎児肝臓細胞、および、脾臓細胞からなる群から選択される、請求項1の方法。
  10. 細胞集団がヒト由来である、請求項1の方法。
  11. 細胞集団が、家畜および研究用動物からなる群由来である、請求項1の方法。
  12. 細胞集団が、樹状細胞および/または樹状前駆細胞の集団の濃度を高めるように前もってソートされる、請求項1の方法。
  13. 複数のFRILファミリー構成分子と細胞集団との接触、および、非結合細胞の除去により単離される、樹状細胞および/または樹状前駆細胞の単離された集団。
  14. 樹状細胞および/または樹状前駆細胞の単離された集団の少なくとも約70%がCD11cを発現している、請求項13の単離された集団。
  15. 樹状細胞および/または樹状前駆細胞の単離された集団の少なくとも約78%がCD11cを発現している、請求項13の単離された集団。
  16. 細胞集団が末梢全血液、末梢血液単核細胞、臍帯血、リンパ節細胞、リンパ系細胞、骨髄細胞、胎児肝臓細胞、および、脾臓細胞を含む群から選択される、請求項13の単離された集団。
  17. 細胞集団がヒト由来である、請求項13の単離された集団。
  18. FRILファミリー構成分子と特異的に結合する結合剤。
  19. 結合剤が抗体である、請求項12の結合剤。
  20. 結合剤が標識されている、請求項12の結合剤。
JP2003510775A 2001-07-05 2002-07-03 樹状細胞単離法 Withdrawn JP2005505261A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US30326501P 2001-07-05 2001-07-05
PCT/US2002/021355 WO2003004616A2 (en) 2001-07-05 2002-07-03 Dendritic cell isolation methods

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005505261A true JP2005505261A (ja) 2005-02-24

Family

ID=23171264

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003510775A Withdrawn JP2005505261A (ja) 2001-07-05 2002-07-03 樹状細胞単離法

Country Status (5)

Country Link
US (2) US20030087429A1 (ja)
EP (1) EP1509595A4 (ja)
JP (1) JP2005505261A (ja)
CA (1) CA2452691A1 (ja)
WO (1) WO2003004616A2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007312737A (ja) * 2006-05-29 2007-12-06 Kaneka Corp 単球分離材料及びそれを利用した単球・樹状細胞調製方法

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101279748B1 (ko) * 2003-11-04 2013-07-04 가부시키가이샤 디나벡크 겐큐쇼 유전자 도입된 수상세포의 제조방법
JP5296983B2 (ja) 2004-06-24 2013-09-25 株式会社ディナベック研究所 Rnaウイルスが導入された樹状細胞を含む抗癌剤
US8357522B2 (en) * 2006-05-29 2013-01-22 Kaneka Corporation Separating material and method for collecting cell or the like using the same
US20090142271A1 (en) * 2007-09-14 2009-06-04 The Rockefeller University Dendritic cells
US10696961B2 (en) 2017-12-01 2020-06-30 Global Life Sciences Solutions Usa Llc Magnetic cell isolation techniques
US20220027620A1 (en) * 2018-12-04 2022-01-27 Arizona Board Of Regents On Behalf Of Arizona State University Dendritic tags

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4742046A (en) * 1984-08-03 1988-05-03 Medisearch S.A. Methods and compositions for inhibiting the infectious activity of viruses
US4808611A (en) * 1986-07-30 1989-02-28 Immunex Corporation Use of interleukin-1 to induce development of multipotent hemopoietic cell populations
US5186931A (en) * 1986-08-06 1993-02-16 Ajinomoto Co., Inc. Composition and method for supporting bone marrow transplantation
JPH0825890B2 (ja) * 1987-06-18 1996-03-13 呉羽化学工業株式会社 抗ウイルス剤
US5053386A (en) * 1987-07-24 1991-10-01 Tung Ta C Orally administrable anti-metastatic lectin compositions and methods
JP3322871B2 (ja) * 1990-07-30 2002-09-09 ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト 殺虫性タンパク質
DE4240635C2 (de) * 1992-12-03 1997-07-10 Lothar Prof Dr Kanz Vermehrung hämatopoetischer Vorläuferzellen ex vivo sowieZusammensetzungen hämatopoetischer Wachstumsfaktoren
US6110891A (en) * 1996-06-21 2000-08-29 Alizyme Therapeutics Ltd. Lectin compositions and uses thereof
US6017527A (en) * 1996-07-10 2000-01-25 Immunex Corporation Activated dendritic cells and methods for their activation
US6194204B1 (en) * 1996-08-02 2001-02-27 Center For Blood Research, Inc. Enrichment of dendritic cells from blood
US6084060A (en) * 1996-12-09 2000-07-04 Imclone Systems Incorporated Composition and method for preserving progenitor cells
US6991794B1 (en) * 1997-06-24 2006-01-31 Imclone Systems Incorporated Progenitor cell preservation factors and methods for and products of their use
US6310195B1 (en) * 1997-06-24 2001-10-30 Imclone Systems Incorporated Nucleic acid encoding a lectin-derived progenitor cell preservation factor
ATE428769T1 (de) * 1997-10-27 2009-05-15 Univ Rockefeller Methode und zusammensetzung zur herstellung von reifen dendritischen zellen
US6385602B1 (en) * 1998-11-03 2002-05-07 E-Centives, Inc. Presentation of search results using dynamic categorization

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007312737A (ja) * 2006-05-29 2007-12-06 Kaneka Corp 単球分離材料及びそれを利用した単球・樹状細胞調製方法

Also Published As

Publication number Publication date
CA2452691A1 (en) 2003-01-16
EP1509595A2 (en) 2005-03-02
US20060280727A1 (en) 2006-12-14
EP1509595A4 (en) 2006-02-22
WO2003004616A2 (en) 2003-01-16
US20030087429A1 (en) 2003-05-08
WO2003004616A3 (en) 2004-11-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20210115401A1 (en) Methods and Materials for the Generation of Regulatory T Cells
JP2021045176A (ja) 未成熟な単球性樹状細胞の活性化を誘導するための組成物および方法
US7919316B2 (en) Hematopoietic stem cell identification and isolation
US20120122207A1 (en) Method for Expanding Monocytes
JP2009518045A5 (ja)
US20060280727A1 (en) Dendritic cell isolation methods
WO2008118369A2 (en) Methods for inducing a natural killer (nk) cell-mediated immune response and for increasing nk cell activity
JPWO2009145238A1 (ja) 免疫調節剤及びその利用
JP2020195408A (ja) ナチュラルキラーt(nkt)細胞を刺激する樹状細胞の製造方法
JP2003534006A (ja) ヒト循環樹状細胞組成物および方法
AU2002320304A1 (en) Dendritic cell isolation methods
US20230149523A1 (en) Treatment of autoimmunity and transplant rejection through establishment and/or promotion of tolerogenic processes by fibroblast-mediated reprogramming of antigen presenting cells
CN110628715B (zh) 体外扩增自然杀手细胞及自然杀手t细胞的方法及其医药组成物
AU2013206016B2 (en) Compositions and methods for inducing the activation of immature monocytic dendritic cells
JP2004503215A (ja) 造血細胞集団において静止細胞を濃縮するための方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050906