JP2005504730A - Gsk−3インヒビターとして有用な組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、式Iの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体を提供する:ここで、Xは、酸素またはイオウである;Yは、−S−、−O−または−NR1−である;そしてR2、R3およびR4は、本明細書中で記述したとおりである。これらの化合物は、タンパク質キナーゼのインヒビター、特に、GSK−3哺乳動物タンパク質キナーゼのインヒビターである。本発明はまた、本発明のインヒビターを含有する薬学的組成物、ならびに種々の障害(例えば、糖尿病およびアルツハイマー病)を処置および予防する際にこれらの組成物を使用するための方法を提供する。
Description
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2001年4月20日に出願された米国仮特許出願第60/205,217号から優先権を主張しており、その内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、医薬品化学の分野であり、プロテインキナーゼンヒビターである化合物、該化合物を含有する組成物、およびそれらの使用方法に関する。さらに特定すると、これらの化合物は、GSK−3のインヒビターであり、GSK−3インヒビターで改善される疾患または状態(例えば、糖尿病およびアルツハイマー病)を処置するかその重篤度を軽減するのに有用である。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
新しい治療薬の研究は、近年、標的疾患に関連した酵素および他の生体分子の構造をよく理解することにより、非常に促進されている。広範囲な研究の対象となっている1つの重要な種類の酵素には、プロテインキナーゼがある。
【0004】
プロテインキナーゼは、細胞内のシグナル伝達を媒介する。それらは、ヌクレオシド三リン酸からシグナル伝達経路に関与しているタンパク質アクセプターへのホスホリルの移動に影響を与えることにより、これを行う。伝達経路を通って細胞外および他の刺激による種々の細胞応答が細胞の内側で起こるようにする多数のキナーゼおよび経路が存在している。このような刺激の例としては、環境および化学ストレス信号(例えば、浸透圧ショック、熱ショック、紫外線照射、菌体内毒素、H2O2)、サイトカイン(例えば、インターロイキン−1(IL−1)および腫瘍壊死因子α(TNF−α))、および成長因子(例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)ならびに線維芽細胞成長因子(FGF))が挙げられる。細胞外刺激は、細胞の成長、移動、分化、ホルモンの分泌、転写因子の活性化、筋肉の収縮、グルコースの代謝、タンパク質合成の制御および細胞系の調節に関連した1種またはそれ以上の細胞応答に影響し得る。
【0005】
多くの疾患状態は、プロテインキナーゼ媒介事象により誘発される異常な細胞応答に関連している。これらの疾患としては、自己免疫疾患、炎症疾患、代謝疾患、神経疾患および神経変性疾患、癌、心血管疾患、アレルギーおよび喘息、アルツハイマー病およびホルモン関連疾患が挙げられる。従って、医薬品化学において、治療薬として有効なプロテインキナーゼンヒビターを発見する相当な努力がなされている。
【0006】
グリコーゲンシンターゼキナーゼ(GSK−3)は、セリン/スレオニンプロテインキナーゼであり、これは、αおよびβアイソフォームから構成され、これらは、別個の遺伝子でコード化されている[Coghlanら、Chemistry & Biology,7,793〜803(2000);KimおよびKimmel,Curr.Opinion Genetics Dev.,10,508〜514(2000)]。GSK−3は、糖尿病、アルツハイマー病、CNS障害(例えば、躁鬱障害および神経変性疾患および心筋細胞肥大)を含めた種々の疾患に関与している[WO99/65897;WO00/38675;およびHaqら、J.Cell Biol.,(2000)151,117]。これらの疾患は、GSK−3が一定の役割を果たす特定の細胞シグナル伝達経路の異常な操作により引き起こされ得るか、そのような異常な操作を招き得る。GSK−3は、多数の調節タンパク質の活性をリン酸化して変調することが発見されている。これらには、グリコーゲンシンターゼ(これは、グリコーゲン合成に必要な速度制限酵素である)、微小管関連タンパク質Tau、遺伝子転写因子β−カテニン、翻訳開始因子e1F2Bだけでなく、ATPクエン酸融解酵素アキシン、熱ショック因子−1、c−Jun、c−Myc、c−Myb、CREBおよびCEPBαが挙げられる。これらの異なる標的は、細胞の代謝、増殖、分化および発生の多くの局面において、GSK−3と関係する。
【0007】
II型糖尿病の処置に関連しているGSK−3媒介経路では、インシュリン誘発シグナル伝達は、細胞グルコースの摂取およびグリコーゲンの合成を引き起こす。この経路に沿って、GSK−3は、このインシュリン誘発シグナルの負の制御因子である。通常、インシュリンが存在していると、グリコーゲンシンターゼのGSK−3媒介リン酸化および不活性化の阻害を生じる。GSK−3を阻害すると、グリコーゲンの合成およびグルコースの摂取が増大する[Kleinら、PNAS,93,8455−9(1996);Crossら、Biochem.J.,303,21〜26(1994);Cohen,Biochem.Soc.Trans.,21,555〜567(1993);Massillonら、Biochem J.299,123〜128(1994)]。しかしながら、インシュリン応答が損なわれた糖尿病患者では、グリコーゲンの合成およびグルコースの摂取は、インシュリンの血液レベルが比較的に高いにもかかわらず、増大しない。これにより、急性または慢性の影響を伴って、血糖値が異常に高くなり、最終的には、心血管疾患、腎不全および失明を引き起こし得る。このような患者では、GSK−3の正常なインシュリン誘発阻害が起こらない。また、II型糖尿病の患者では、GSK−3は、過剰発現されることが報告される[WO00/38675]。従って、GSK−3の治療的な阻害は、インシュリンの応答が損なわれた糖尿病患者を処置するのに有用となる可能性がある。
【0008】
GSK−3活性はまた、アルツハイマー病と関連している。この疾患は、周知のβ−アミロイドペプチドおよび細胞内神経原線維変化の形成により、特徴付けられる。この神経原線維変化は、リン酸化過剰のTauタンパク質を含有し、この場合、Tauは、異常な部位でリン酸化されている。GSK−3は、細胞モデルおよび動物モデルにおける異常部位をリン酸化することが明らかとなっている。さらに、GSK−3の阻害は、細胞にあるTauのリン酸化を阻止することが明らかとなっている[Lovestoneら、Current Biology,4,1077−86(1994);Brownleesら、Neuroreport 8,3251−55(1997)]。従って、GSK−3活性は、神経原線維変化の発生およびアルツハイマー病の進行を促進し得ると考えられている。
【0009】
GSK−3の別の基質は、β−カテニンであり、これは、GSK−3によるリン酸化後、分解される。精神分裂病の患者では、β−カテニンのレベルが低下していることが報告されており、これはまた、神経細胞死の増大に関係している他の疾患と関連している[Zhongら、Nature,395,698〜702(1998);Takashimaら、PNAS,90,7789−93(1993);Peiら、J.Neuropathol.Exp,56,70〜78(1997);Smithら、Bioorg.Med.Chem.11、635−639(2001)]。最近では、GSK−3の阻害は、インビトロでの神経細胞死を防止することが明らかとなっており、虚血ストレスにより引き起こされる神経細胞死経路に関係しており(Crossら、J.Neurochemistry,2001,77,94〜102;Sasakiら、Neurological Research,2001,23,588〜592)、これは、脳卒中の処置における標的としてのGSK−3に関係している。
【0010】
最近では、GSK−3の低分子インヒビターが報告されている[WO 99/65897(Chiron)およびWO 00/38675(SmithKline Beecham)]。
【0011】
別の目的のキナーゼには、Rhoに関連したコイルドコイル形成キナーゼ(ROCK)がある[Ishizakiら、EMBO J.1996,15,1885〜1893]。ROCKキナーゼは、160kDaのセリン/スレオニンキナーゼであり、これは、低分子G−タンパク質RhoAを活性化する。ROCKは、多数の疾患に関係しており、これには、高血圧症[Chitaleyら、Curr Hypertens Rep 2001 Apr;3(2):139−44;Uehataら、Nature,1997,389,990〜994]、勃起障害[Chitaleyら、Nature Medicine,2001,7,119〜122]、新脈管形成[Uchidaら、Biochem Biophys Res Commun 2000,269(2),633−40]、神経再生[Bitoら、Neuron,2000,26,431〜441]、転移[Takamuraら、Hepatology,2001,33,577〜581;Gendaら、Hepatology,1999,30,1027〜1036]、緑内障[Raoら、Invest Ophthalmol Vis Sci 2001,42,1029−37]、炎症[Ishizukiら、J.Immunol.,2001,167,2298〜2304]、動脈硬化症[Smimokawaら、Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.,2000,11,2351〜2358]、免疫抑制[Louら、J.Immunol.,2001,167,5749〜5757]、再狭窄[Seaholtzら、Circ.Res.,1999,84,1186〜1193]、喘息[Yoshiiら、Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.,1999,20,1190〜1200]、および心臓肥大[Kuwaharaら、FEBS Lett.,1999,452,314〜318]が挙げられる。
【0012】
ヒトの疾患を処置する新しい治療薬を発見することが、引き続いて必要とされている。プロテインキナーゼであるGSK−3(特に、GSK−3β)およびROCKキナーゼは、糖尿病、アルツハイマー病および種々の他の疾患において重要な役割を果たすことから、新しい処置の開発に特に魅力的な標的である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の説明)
現在、本発明の化合物およびこれらの化合物を含有する薬学的に受容可能な組成物が、プロテインキナーゼンヒビター、特に、GSK−3のインヒビターとして有効であることが発見された。従って、本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体に関する:
【0014】
【化8】
ここで、
Xは、酸素またはイオウである;
Yは、−S−、−O−または−NR1−である;
R1は、R、CO2R、C(O)R、CON(R)2、SO2R、SO2N(R)2、または必要に応じて置換した5員〜7員の単環式または8員〜10員の二環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜3個のヘテロ原子を有し、これらのヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される;
各Rは、独立して、水素または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基から選択される;
R2は、R、N(R)2、OR、SR、C(O)R、CO2R、C(O)N(R)2、NRN(R)2、NRCOR、NRCO2(C1〜6脂肪族)、NRSO2(C1〜6脂肪族)、S(O)(C1〜6脂肪族)、SO2R、SO2N(R)2、または必要に応じて置換した5員〜7員の単環式または8員〜10員の二環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択されるか、または
(a)Yが−NR1−のとき、R1およびR2は、一緒になって、飽和、部分不飽和または完全不飽和の4員〜9員の単環式または二環式環を形成し、該環は、−NR1−の窒素に加えて、1個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、酸素またはイオウから選択され、ここで、R1およびR2により形成されたこの環は、必要に応じて、1個〜2個のR6で置換されている;または
(b)R2およびR3は、一緒になって、飽和、部分不飽和または完全不飽和の5員〜9員の単環式または二環式環を形成し、該環は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、酸素またはイオウから選択され、ここで、R2およびR3により形成されたこの環は、必要に応じて、1個〜2個のR6で置換されている;
R3は、R、CN、ハロゲン、NO2またはQ(n)R5から選択され、ここで、nは、0または1から選択される;
Qは、C1〜4直鎖または分枝アルキリデン鎖であり、ここで、Qの2個までの非隣接メチレン単位は、必要に応じて、独立して、O、S、NR、C(O)、CO2、CONR、OC(O)NR、NRCO、NRCO2、NRCONR、S(O)、SO2、NRSO2またはSO2NRで置換される;
R4は、R、N(R)2、NRCOR、NRCO2R、または必要に応じて置換した5員〜7員の単環式または8員〜10員の二環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、この環は、0個〜3個のヘテロ原子を有し、これらのヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される;
R5は、Rまたは必要に応じて置換した5員〜14員の単環式、二環式または三環式の芳香族の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、この環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、これらのヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される;そして
各R6は、独立して、R、オキソ、ハロゲン、CN、C(O)R、CO2R、SO2R、OR、SR、N(R)2、NRC(O)R、C(O)N(R)2、NRCO2R、OC(O)N(R)2、NRSO2RまたはSO2NRから選択される。
【0015】
特に明記しない限り、本明細書中で使用する以下の定義を適用する。
【0016】
用語「必要に応じて置換した」とは、「置換または非置換」との用語と交換可能に使用される。これらの用語の各々は、1個以上の水素原子が他の部分で置換される必要性ではなく可能性を意味する。任意の置換基がその定義内で水素原子を含有するとき、水素原子は、このような置換の選択肢としては、明確に排除されることが理解できるはずである。
【0017】
本明細書中で使用する「脂肪族」または「脂肪族基」との用語は、直鎖または分枝鎖C1〜C12炭化水素鎖(これは、完全に飽和されているか、または1個以上の不飽和単位を含有する)または単環式C3〜C8炭化水素または二環式C8〜C12炭化水素(これは、完全に飽和されているか、または1個またはそれ以上の不飽和単位を含有する)であるが、芳香族ではなく(これはまた、本明細書中にて、「炭素環式」または「シクロアルキル」とも呼ぶ)、これは、分子の残りと単一の結合点を有し、ここで、その二環式の環系にある任意の個々の環は、3員〜7員を有する。例えば、適切な脂肪族基としては、直鎖または分枝のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、およびそれらのハイブリッド(例えば、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキル)アルケニル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
用語「アルキル」、「アルケニル」および「アルキニル」は、単独で、またはそれより大きい部分の一部として使用され、1個〜12個の炭素原子を含有する直鎖および分枝鎖の両方を含み、これは、アルケニルの場合、少なくとも2個の炭素原子および1個の二重結合を含有し、また、アルキニルの場合、少なくとも2個の炭素原子および1個の三重結合を含有する。
【0019】
用語「アルキリデン鎖」は、直鎖または分枝炭素鎖であって、完全に飽和であり得るかまたは1個以上の不飽和単位を有し得かつ分子の残りと2個の結合点を有するものを意味する。
【0020】
用語「ハロ」および「ハロゲン」は、単独で、またはそれより大きい部分の一部として使用されるが、F、Cl、BrまたはIを意味する。
【0021】
用語「メチレン基」または「メチレン単位」は、脂肪族またはアルキリデンに存在している任意の−CH2−部分を意味し、これには、脂肪族中の末端−CH3基の−CH2−部分が挙げられる。
【0022】
用語「ヘテロ原子」は、窒素、酸素または硫黄を意味し、そして窒素および硫黄の任意の酸化形態、および任意の塩基性窒素の四級化形態を含む。
【0023】
用語「アリール」は、単独で、または「アラルキル」のようなそれより大きい部分の一部として使用されるが、全部で5員環〜14員環を有する単環式、二環式および三環式の環系を意味し、ここで、この系内の各環は、3員環〜7員環を含有する。用語「アリール」は、用語「アリール環」と交換可能に使用され得る。用語「アリール」はまた、「ヘテロアリール」環を意味する。
【0024】
用語「ヘテロアリール」は、単独で、または「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアリールアルコキシ」のようなそれより大きい部分の一部として使用され、全部で5員環〜14員環を有する単環式、二環式および三環式の環系を意味し、ここで、この系内の少なくとも1個の環は、芳香族であり、この系内の少なくとも1個の環は、1個以上のヘテロ原子を含有し、ここで、この系内の各環は、3員環〜7員環を含有する。用語「ヘテロアリール」は、用語「ヘテロアリール環」または用語「ヘテロ芳香族」と交換可能に使用され得る。
【0025】
用語アリールおよびヘテロアリールとしては、フェニル、ベンジル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントラシルおよび2−アントラシル、2−フラニル、3−フラニル、N−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、2−オキサジアゾリル、5−オキサジアゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ピリミジル、3−ピリダジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、5−テトラゾリル、2−トリアゾリル、5−トリアゾリル、2−チエニルまたは3−チエニルのような環が挙げられる。
【0026】
炭素環式芳香族環またはヘテロアリール環が1個以上の他の環に縮合した縮合多環式芳香族環系の例としては、テトラヒドロナフチル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、インドリル、キノリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、イソインドリル、アクリジニル、ベンゾイソキサゾリルなどが挙げられる。また、本明細書中で使用する用語「アリール」の範囲内には、1個以上の炭素環式芳香族環および/またはヘテロアリール環がシクロアルキル環または非芳香族複素環式環に縮合した基、例えば、インダニル、1−フタルイミジニル、ベンゾキサン、ベンゾトリアゾール−1−イル、ベンゾピロリジン、ベンゾピペリジン、ベンゾキソラン、ベンゾチオラン、ベンゾチアンまたはテトラヒドロベンゾピラニルが含まれる。
【0027】
本明細書中で使用する用語「複素環」、「ヘテロシクリル」または「複素環式環」は、5員環〜14員環を有する非芳香族の単環式、二環式または三環式の環系であって、1員環以上がヘテロ原子であるものを意味し、ここで、この環系内の各環は、3員環〜7員環を含有する。例としては、3−1H−ベンズイミダゾール−2−オン、3−1H−アルキル−ベンズイミダゾール−2−オン、2−テトラヒドロフラニル、3−テトラヒドロフラニル、2−テトラヒドロチオフェニル、3−テトラヒドロチオフェニル、2−モルホリノ、3−モルホリノ、4−モルホリノ、2−チオモルホリノ、3−チオモルホリノ、4−チオモルホリノ、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、4−チアゾリジニル、ジアゾロニルおよびN−置換ジアゾロニルが挙げられる。
【0028】
アリール基(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキルなどを含む)またはヘテロアリール基(ヘテロアラルキルおよびヘテロアリールアルコキシなどを含む)は、1個以上の置換基を含有し得る。アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基またはヘテロアラルキル基の不飽和炭素原子上の適切な置換基は、ハロゲン、−R0、−OR0、−SR0、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、必要に応じてR0で置換したフェニル(Ph)、必要に応じてR0で置換した−O(Ph)、必要に応じてR0で置換した−CH2(Ph)、必要に応じてR0で置換した−CH2CH2(Ph)、−NO2、−CN、−N(R0)2、−NR0C(O)R0、−NR0C(O)N(R0)2、−NR0CO2R0、−NR0NR0C(O)R0、−NR0NR0C(O)N(R0)2、−NR0NR0CO2R0、−C(O)C(O)R0、−C(O)CH2C(O)R0、−CO2R0、−C(O)R0、−C(O)N(R0)2、−OC(O)N(R0)2、−S(O)2R0、−SO2N(R0)2、−S(O)R0、−NR0SO2N(R0)2、−NR0SO2R0、−C(=S)N(R0)2、−C(=NH)−N(R0)2または−(CH2)yNHC(O)R0から選択され、ここで、各R0は、独立して、水素、必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基、非置換5員〜6員ヘテロアリール環または複素環、フェニル、−O(Ph)または−CH2(Ph)から選択される。R0の脂肪族基上の任意の置換基は、NH2、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)2、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO2、CN、CO2H、CO2(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロC1〜4脂肪族から選択され、ここで、各R0は、水素、必要に応じて置換されたC1〜6脂肪族、非置換5〜6員のヘテロアリール環または複素環式環、フェニル、−O(Ph)、あるいは−CH2(Ph)から独立して選択される。R0のしぼうぞくにおける任意の置換基は、NH2、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)2、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO2、CN、CO2H、CO2(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロC1〜4脂肪族から選択され、ここで、各C1〜4脂肪族は、非置換である。
【0029】
脂肪族基または非芳香族複素環式環は、1個以上の置換基を含有し得る。脂肪族基または非芳香族複素環式環の飽和炭素上の適切な置換基は、アリール基またはヘテロアリール基の不飽和炭素について上で列挙したものおよび以下から選択される:=O、=S、=NNHR*、=NN(R*)2、=NNHC(O)R*、=NNHCO2(アルキル)、=NNHSO2(アルキル)または=NR*であって、ここで、各R*は、水素または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族から独立して選択される。R*の脂肪族基上の任意の置換基は、NH2、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)2、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO2、CN、CO2H、CO2(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロ(C1〜4脂肪族)から選択され、ここで、各C1〜4脂肪族は、非置換である。
【0030】
非芳香族複素環式環の窒素上の任意の置換基は、−R+、−N(R+)2、−C(O)R+、−CO2R+、−C(O)C(O)R+、−C(O)CH2C(O)R+、−SO2R+、−SO2N(R+)2、−C(=S)N(R+)2、−C(=NH)−N(R+)2または−NR+SO2R+から選択される;ここで、R+は、水素、必要に応じて置換したC1〜6脂肪族、必要に応じて置換したフェニル、必要に応じて置換した−O(Ph)、必要に応じて置換した−CH2(Ph)、必要に応じて置換した−CH2CH2(Ph)、または非置換5員〜6員ヘテロアリール環または複素環式環である。R+の脂肪族基またはフェニル環上の任意の置換基は、NH2、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)2、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO2、CN、CO2H、CO2(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロ(C1〜4脂肪族)から選択され、ここで、各C1〜4脂肪族基は、置換されていない。
【0031】
置換基または改変体の組合せは、このような組合せが安定な化合物または化学的に実現可能な化合物を生じる場合にのみ、許容できる。安定な化合物または化学的に実現可能な化合物とは、水分または他の化学的に反応性の状態なしで、少なくとも1週間にわたって、40℃以下の温度で保ったとき、実質的に変化しないものである。
【0032】
本発明の特定の化合物が互変異性形態を示し得、これらの化合物のこのような互変異性形態の全てが本発明の範囲内であることは、当業者に明らかである。
【0033】
特に指定のない限り、本明細書中で描写した構造はまた、これらの構造の全ての立体化学形態(すなわち、各非対称中心に対するR形態およびS形態)を含むことを意味する。従って、本発明の化合物の単一立体化学異性体だけでなく、鏡像異性体およびジアステレオマーの混合物も、本発明の範囲内である。特に指定のない限り、本明細書中で描写した構造はまた、1個以上の同位体的に富んだ原子の存在だけが異なる化合物を含むことを意味する。例えば、水素を重水素もしくは三重水素で置換したこと以外または炭素を13Cまたは14Cに富んだ炭素で置換したこと以外は本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。
【0034】
式Iの好ましいR1基は、R、C(O)R、C(O)N(R)2、SO2R、CO2R、または必要に応じて置換した5員〜6員の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択され、ここで、各Rは、上で定義したとおりである。 式Iのさらに好ましいR1基は、水素、メチル、エチル、i−プロピル、i−ブチル、フェニル、CH2CH2(モルホリン−4−イル)、CH2CH2フェニル、CH2フェニル、COMe、CONH2、CH2CONH2、SO2Me、CH2SO2NH2、CO2Etまたはシクロプロピルから選択される。
【0035】
式Iの好ましいR2基は、R、N(R)2、OR、SR、C(O)R、CO2R、C(O)N(R)2、NRN(R)2、NRC(O)R、SO2R、または必要に応じて置換した5員〜7員の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される。式Iのさらに好ましいR2基は、水素、メチル、エチル、i−プロピル、i−ブチル、CF3、フェニル、CH2CH2NH2、NH2、NHC(O)CH3、CH2CH2NHC(O)OCH2フェニル、SCH3、SO2CH3、NHCH3、SEt、CH2フェニル、Oi−プロピル、モルホリン−4−イル、ピペリジン−1−イル、4−メチル−ピペリジン−1−イル、チオモルホリン−4−イル、ピロリジン−1−イル、チアゾール−3−イル、オキサゾール−3−イル、アゼピン−1−イル、N(Me)2、NHi−プロピル、NHプロピル、NHi−ブチル、NHシクロペンチル、NH−シクロヘキシル、NHCH2フェニル、NHSO2CH3、NHNH2、N(Me)プロピル、NH−シクロプロピル、NHCH2シクロヘキシル、NHCH2CH2CH(CH3)2またはNHCH2CH2イミダゾール−4−イルから選択される。
【0036】
Yが−NR1−でありR2およびR1が一緒になって環を形成するとき、R2およびR1により形成される好ましい環は、必要に応じて置換した5員〜8員の飽和、部分不飽和または芳香族環から選択され、該環は、R1の窒素に加えて、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される。R2およびR1により形成されるさらに好ましい環は、シクロペント環、シクロヘキソ環、シクロヘプト環、ベンゾ環、ピリド環、ピリダゾ環、オキサシクロヘプト環、テトラヒドロアゼピノ環またはチアシクロヘプト環から選択される。R2およびR1により形成される環がR6で置換されるとき、好ましいR6置換基は、R、OR、N(R)2、オキソ、ハロゲン、NRCO2RまたはNRC(O)Rから選択される。さらに好ましいR6基は、NH2、メチル、OCH3、NHCOCH3、NHCO2CH3またN(Me)2である。
【0037】
式Iの好ましいR3は、R、CNまたはQ(n)R5から選択され、ここで、nは、0または1であり、Qは、C1〜4アルキリデン鎖から選択され、ここで、Qの1個のメチレン単位は、必要に応じて、O、S、NR、C(O)、CO2、CONR、NRC(O)、NRC(O)NR、SO2またはNRSO2で置き換えられ、そしてR5は、Rまたは必要に応じて置換した5員〜7員の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される。式Iのさらに好ましいR3基は、水素、CN、CO2H、CH2CN、メチル、CH2CONH2、CH2CO2CH3、−C≡CH、C(O)CH3、CH2CH2CN、CH2CH2CH2NH2、水素、CH2CO2H、CO2Et、CH2SO2CH3、CH2NHSO2CH3、C(O)NH2、CH2NHC(O)CH3、CH2CH2OH、C(O)CH2CH3、オキサジアゾリル、NH2、NHC(O)CH3、NHSO2CH3、NHCO2CH3、テトラゾリル、C(O)ピペリジン−1−イル、C(O)モルホリン−4−イル、C(O)チオモルホリン−4−イル、C(O)−4−メチルピペラジン−1−イル、C(O)NHCH2フェニル、CH2NHCONH2、CH2NHS)2フェニル、トリアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、C(O)NH−チアゾール−2−イル、C(O)NH−ピラゾール−3−イルまたはC(O)NHC(CH3)3から選択される。
【0038】
式Iの好ましいR4基は、R、N(R)2、または必要に応じて置換した5員〜6員の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される。式Iのさらに好ましいR4は、水素、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、CF3、フェニル、NH2、CH2フェニルまたはN(CH3)CH2フェニルから選択される。
【0039】
本発明の1実施形態は、Yが−NR1−である式Iの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体に関し、これは、式IIで表わされる:
【0040】
【化9】
ここで、R1、R2、R3、R4およびXは、式Iについて上で定義したとおりである。
【0041】
式IIの好ましいR1基、R2基、R3基およびR4基には、式Iの化合物について上で記述したものがある。
【0042】
式IIのさらに好ましい化合物は、以下からなる群から選択される1つ以上の特徴、さらに好ましくは、全部の特徴を有する:
(a)R1は、R、C(O)R、C(O)N(R)2、SO2R、CO2R、または必要に応じて置換した5員〜6員の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される;
(b)R2は、R、N(R)2、OR、SR、C(O)R、CO2R、C(O)N(R)2、NRN(R)2、NRC(O)R、SO2R、または必要に応じて置換した5員〜7員の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素もしくは硫黄から選択されるか、またはR2およびR1は、一緒になって、必要に応じて置換した5員〜8員の飽和、部分不飽和または芳香族環を形成し、該環は、R1の窒素に加えて、0個〜1個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される;
(c)R3は、R、CNまたはQ(n)R5から選択され、ここで、nは、0または1であり、Qは、C1〜4アルキリデン鎖から選択され、ここで、Qの1個のメチレン単位は、必要に応じて、O、S、NR、C(O)、CO2、CONR、NRC(O)、NRC(O)NR、SO2またはNRSO2で置き換えられ、そしてR5は、Rまたは必要に応じて置換した5員〜7員の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される;そして
(d)R4は、R、N(R)2、または必要に応じて置換した5員〜6員の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される。
【0043】
本実施形態の1局面は、R1およびR2が一緒になって環を形成した式IIの化合物に関する。R1およびR2により形成された環が1個のヘテロ原子(R1が結合した窒素)を含有する式IIの化合物は、式II−Aにより表わされるかまたはそれらの薬学的に受容可能な誘導体である:
【0044】
【化10】
ここで、yは、0〜4であり、そしてR3、R4、XおよびR6は、上で定義したとおりである。
【0045】
式II−Aの好ましいR3基、R4基、X基およびR6基には、式Iの化合物について上で記載したものがある。R1およびR2により形成された環は、好ましくは、5員〜8員環である(yは、1〜4である)。
【0046】
式II−Aの化合物の代表的な例は、表1にて、以下で示す。
【0047】
(表1、化合物II−Aの例)
【0048】
【化11】
【0049】
【表1】
本実施形態の別の局面は、R1およびR2がそれぞれ非環式置換基である式IIの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体に関し、該化合物は、本明細書中では、式II−Bの化合物と呼ぶ:
【0050】
【化12】
ここで、R1、R2、R3、R4およびXは、式Iについて上で定義したとおりである。
【0051】
式II−Bの好ましいR1基、R2基、R3基およびR4基には、式Iの化合物について上で記載したものがある。
【0052】
式II−Bの化合物の代表的な例は、表2にて、以下で示す。
【0053】
(表2、化合物II−Bの例)
【0054】
【表2】
本発明の別の実施形態は、R1およびR2が一緒になってジヒドロピリド環を形成した式Iの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体に関し、この化合物は、以下の式II−Cで表わされる:
【0055】
【化13】
ここで、R3、R4、R6およびXは、式Iについて上で定義したとおりである。
【0056】
式II−Cの好ましいR3基、R4基およびR6基には、式Iの化合物について上で記述したものがある。
【0057】
本発明の別の実施形態は、式II−Dの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体に関する:
【0058】
【化14】
ここで、X、R3およびR4は、上で記述したとおりであり、yは、1〜3であり、そしてW−Vは、CH2−NH、CH2−O、CH2−S、NH−CH2、O−CH2、S−CH2、N=CHまたはCH=Nから選択される。W−Vを有する環上の任意の炭素上の好ましい置換基は、C1〜4脂肪族、=O、−OR、−CN、−CO2R、−COR、−SO2R、−C(=O)N(R)2から選択される。W−Vを有する環上の適切な原子価の任意の窒素上の好ましい置換基は、C1〜4脂肪族、CO(C1〜4脂肪族)、CO2(C1〜4脂肪族)またはSO2(C1〜4脂肪族)から選択される。
【0059】
式II−Dの好ましいR3基およびR4基には、式Iの化合物について上で記載したものがある。
【0060】
式II−Dの化合物の具体的な例は、以下の表3で示されている。
【0061】
(表3、式II−Dの例)
【0062】
【表3】
本発明の別の実施形態は、Yが−S−である式Iの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体に関し、この化合物は、式IIIの化合物により表わされる:
【0063】
【化15】
ここで、R2、R3、R4およびXは、式Iについて上で定義したとおりである。
【0064】
式IIIの好ましいR2基、R3基およびR4基には、式Iの化合物について上で記載したものがある。
【0065】
式IIIの好ましい化合物は、以下からなる群から選択される1つ以上の特徴、好ましくは、全部の特徴を有する:
(a)R2は、R、N(R)2、OR、SR、C(O)R、CO2R、C(O)N(R)2、NRN(R)2、NRC(O)R、SO2R、または必要に応じて置換した5員〜7員の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される;
(b)R3は、R、CNまたはQ(n)R5から選択され、ここで、nは、0または1であり、Qは、C1〜4アルキリデン鎖から選択され、ここで、Qの1個のメチレン単位は、必要に応じて、O、S、NR、C(O)、CO2、CONR、NRC(O)、NRC(O)NR、SO2またはNRSO2で置き換えられ、そしてR5は、Rまたは必要に応じて置換した5員〜7員の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される;および
(c)R4は、R、N(R)2、または必要に応じて置換した5員〜6員の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される。
【0066】
式IIIの化合物の具体的な例は、以下の表4で示されている。
【0067】
(表4、式IIIの化合物の例)
【0068】
【表4】
化合物III−40は、R2およびR3が一緒になって必要に応じて置換した縮合環を形成する化合物の一例である。
【0069】
さらに別の実施形態によれば、本発明は、式IVの化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体に関する:
【0070】
【化15A】
ここで、
Xは、酸素またはイオウであり;
Yは、−S−または−NR1−であり;
R1は、R、CO2R、C(O)R、CON(R)2、SO2R、SO2N(R)2、または必要に応じて置換した5員〜7員の単環式または8員〜10員の二環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択され;
各Rは、独立して、水素または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基から選択される;
R2は、R、N(R)2、OR、SR、C(O)R、CO2R、C(O)N(R)2、NRN(R)2、NRCOR、NRCO2(C1〜6脂肪族)、NRSO2(C1〜6脂肪族)、S(O)(C1〜6脂肪族)、SO2R、SO2N(R)2、または必要に応じて置換した5員〜7員の単環式または8員〜10員の二環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和環系から選択され、該環は、0個〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択されるか、または:
Yが−NR1−のとき、R1およびR2は、一緒になって、飽和、部分不飽和または完全不飽和の4員〜9員の単環式または二環式環を形成し、該環は、−NR1−の窒素に加えて、1個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択され、ここで、R1およびR2により形成された該環は、必要に応じて、1個〜2個のR6で置換されているか;または
R5は、Rまたは必要に応じて置換した5員〜14員の単環式芳香族、二環式芳香族もしくは三環式芳香族の飽和、部分不飽和または和環から選択され、該環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択され;そして
各R6は、独立して、R、オキソ、ハロゲン、CN、C(O)R、CO2R、SO2R、OR、SR、N(R)2、NRC(O)R、C(O)N(R)2、NRCO2R、OC(O)N(R)2、NRSO2RまたはSO2NRから選択され;
但し、もし、R1およびR2が、一緒になって、5員〜7員縮合環を形成するなら、この縮合環は、1個より多いヘテロ原子を含有する。
【0071】
式IVの好ましいR1基およびR2基には、式Iの化合物について上で記載したものがある。
【0072】
本発明の化合物は、以下で記載する合成例を参照して、類似の化合物についての以下の公知方法により、公知の出発物質から調製され得る。本発明の化合物を製造するのに有用な参考文献には、以下が挙げられる:Kadushkin,A.V.ら、Pharm.Chem.J.,(1994)28(11),792〜798; Kadushkin,A.V.ら、Pharm.Chem.J.,(1990)24(12),875〜881;Granik,V.G.ら、Chemistry of Heterocyclic Compounds(1982)18(4),321;Kadushkin,A.V.ら、Chem.Heterocycl.Compd.(English Translation),(1991)27(3),283〜287;Stezhko,T.V.ら、Pharm.Chem.J.(Eng.Translation),(1985),18(3),154〜161; Kadushkin,A.V.ら、Chem.Heterocycl.Compd.(English Translation),(1988),23(12),1297〜1301;Kadushkin,A.V.ら、Pharm.Chem.J.,(1987),21(5),317〜322。
【0073】
(図式I)
【0074】
【化16】
試薬および条件:(a)R4CN、酸触媒;(b)R4COCl;(c)NaOEt、還流;(d)i)POCl3、Et3N・HCl、100℃;ii)チオ尿素、トルエン、100℃。
【0075】
上記図式Iは、本発明の特定の化合物を調製する代替経路を示し、ここで、R4は、脂肪族基、アリール基またはアラルキル基である。R4がNH2である化合物を調製するために、化合物11は、シアナミドで処理される。非置換R4アミノ基は、本発明のさらに別の化合物を提供するために、誘導体化され得る。例えば、II−A(X=O)(ここで、R4は、非置換アミノ基である)をR−CHOで処理することに続いてNaBH4またはR−COClで処理すると、II−Aが得られ、ここで、R4は、それぞれ、NH−RまたはNH−CORである。
【0076】
(図式II)
【0077】
【化17】
試薬および条件:(a)[(CH3)3Si]2NH、触媒(CH3)3SiCl、キシレン、還流;(b)Cbz−Cl、(c)CH2(CN)2。
【0078】
上記図式IIは、式II−Aの化合物(ここで、R1およびR2により形成された7員縮合環は、置換されている)に至る一般経路を示す。この経路は、リシン(14)で出発して図示されており、アミノ置換II−A50を提供する。リシンは、式II−Aの他の化合物(ここで、R1およびR2は、種々の基で置換された7員環を形成する)を調製するために、他の(置換)−6−アミノカプロン酸で置き換えられ得ることが当業者に明らかである。II−A52の調製は、この7員環上の他の置換基を導入する一般経路を示す。
【0079】
(図式III)
【0080】
【化18】
試薬および条件:(a)POCl3、トルエン、加熱;(b)CH2(CN)2、Et3N、CH2Cl2;(c)BrCH2CO2Me、K2CO3、DMF、加熱;(d)i)DMF−DMA、DMF、100℃;ii)NH3、MeOH、100℃;(e)i)POCl3、Et3N・HCl、100℃;ii)チオ尿素、トルエン、100℃(f)(CH3)3OBF4、CH2Cl2(g)CH2(CN)2、Et3N、還流。
【0081】
上記図式IIIは、本発明の化合物(ここで、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素または必要に応じて置換した脂肪族基から選択される)に至る一般アプローチを示す。中間体22(これは、工程a、bまたはf、gのいずれかを使用して、化合物20から調製される)から、類似の中間体から図式IまたはIIのいずれかにて上で概説した工程の対応する順序に従い、II−Bが提供され得る。
【0082】
これらの工程を実行する手順、またはそれに類似した反応は、公知である。Tamuraら、K.J.Org.Chem.(1993)、58、32を参照のこと。
【0083】
(図式IV)
【0084】
【化19】
試薬および条件:(a)i)DMF−DMA、DMF、100℃;ii)NH3、MeOH、100℃;(b)i)POCl3、Et3N・HCl、100℃;ii)チオ尿素、トルエン、100℃。
【0085】
上記図式IVは、式II−Bの化合物(ここで、R1は、アリールである)に至る経路を示す。出発物質24(ここで、R2は、水素またはメチルである)は、市販されている。上記環化により、II−B(ここで、Xは、酸素である)が得られ、これらは、式II−Bの化合物(ここで、Xは、イオウである)に容易に変換される。
【0086】
(図式V)
【0087】
【化20】
試薬および条件:(a)H2N−OSO3H、酢酸、還流;(b)CH2(CN)2。
【0088】
上記図式Vは、式II−Dの化合物(ここで、R1およびR2は、一緒になって、2個のヘテロ原子を有する7員縮合環を形成する)を調製する経路を示す。中間体27から、類似の中間体から図式IまたはIIのいずれかにて上で概説した工程の対応する順序に従い、II−Dが提供され得る。この7員環中のNHは、アシル化またはアルキル化されて、本発明のさらなる化合物を提供し得る。このNHは、それぞれ、[1,4]オキサゼパン−3−オンまたは[1,4]チアゼパン−3−オンのいずれかで出発する類似の経路により、酸素または窒素で置き換えられ得ることもまた、当業者に明らかである。
【0089】
(図式VI)
【0090】
【化21】
試薬および条件:(a)[(CH3)3Si]2NH、触媒(CH3)3SiCl、キシレン、還流;(b)CH2(CN)2。
【0091】
上記VIは、式II−Dのさらなる化合物(ここで、R1およびR2は、一緒になって、2個のヘテロ原子を含有する7員縮合環を形成する)を調製する経路を示す。中間体30から、類似の中間体から図式IまたはIIのいずれかにて上で概説した工程の対応する順序に従い、II−Dが提供され得る。
【0092】
(図式VII)
【0093】
【化22】
試薬および条件:(a)DMF−DMA、アセトニトリル、90℃;(b)酢酸、90℃;(c)Lawesson試薬;(d)Oxone(登録商標);(e)RNH2、DMF;(f)mCPBA、CH2Cl2;(g)RNH2、CH3CN、70℃。
【0094】
上記図式VIIは、本発明の化合物(ここで、Yは、−S−である)に至る経路を示す。これらの工程のための手順、またはそれと類似の反応は、文献で公知である。Briel,D.ら、J.Med.Chem.(1999)42,1849;Briel,D.ら、Pharmazie(1992)47,577〜579およびBriel,D.Pharmazie(1998)53,227を参照。
【0095】
これらの化合物を製造するのに使用される条件の詳細は、実施例で示す。当業者は、容易に合成できるか市販されている試薬を使用して、本明細書の教示に従って、本発明の他の化合物を合成し得る。
【0096】
GSK−3インヒビターとして本発明で使用される化合物の活性は、インビトロ、インビボまたは細胞株にて、アッセイされ得る。インビトロアッセイとしては、活性化したGSK−3のリン酸化活性またはATP分解酵素活性のいずれかの阻害を決定するアッセイが挙げられる。代替のインビトロアッセイは、そのインヒビターがGSK−3に結合する能力を定量化する。インヒビターの結合は、そのインヒビターを結合前に放射標識することにより、インヒビター/GSK−3複合体を単離することにより、そして結合した放射標識の量を決定することにより、測定され得る。あるいは、インヒビターの結合は、競合実験を実行することにより決定され得、この場合、新しいインヒビターは、公知の放射性リガンドに結合したGSK−3タンパク質キナーゼと共にインキュベートされる。
【0097】
他の実施形態によれば、本発明は、本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体と、薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクルとを含有する組成物または薬学的に受容可能な組成物を提供する。本発明の組成物中での化合物の量は、生物学的サンプルまたは患者において、タンパク質キナーゼ(特に、GSK−3タンパク質キナーゼ)を検出可能に阻害するのに有効な量である。好ましくは、本発明の組成物は、このような組成物が必要な患者に投与するように処方される。最も好ましくは、本発明の組成物は、患者に経口投与するように、処方される。
【0098】
本明細書中で使用する「患者」との用語は、動物、好ましくは、哺乳動物、最も好ましくは、ヒトを意味する。
【0099】
「薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクル」との用語は、共に処方される化合物の薬理学的な活性を壊さない、無毒性のキャリア、アジュバントまたはビヒクルを意味する。本発明の組成物で使用され得る薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクルには、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝液基質(例えば、リン酸塩)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、植物性飽和脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、硫酸プロタミン)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの基質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
本明細書中で使用する「検出可能に阻害する」との用語は、該組成物およびGSK−3の活性を含有するサンプルと、該組成物なしでGSK−3タンパク質キナーゼを含有する等価サンプルとの間のGSK−3タンパク質キナーゼの測定可能な変化を意味する。
【0101】
「薬学的に受容可能な塩」とは、本発明の化合物の任意の無毒性の薬学的に受容可能な塩、エステル、エステルの塩または他の誘導体であって、レシピエントに投与した際、本発明の化合物またはそれらの阻害活性な、代謝物または残留物を直接的または間接的のいずれかで提供できるものを意味する。
【0102】
本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩には、薬学的に受容可能な無機および有機の酸および塩基から誘導したものが挙げられる。適切な酸塩の例には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレートおよびウンデカン酸塩が挙げられる。他の酸(例えば、シュウ酸)は、それ自体は薬学的に受容可能ではないものの、本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製で、使用できる。
【0103】
適切な塩基から誘導した塩には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびN+(C1〜4アルキル)4塩が挙げられる。本発明はまた、本明細書中で開示した化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化を想定している。このような四級化により、水溶性もしくは油溶性または水分散性もしくはは油分散性の生成物を得ることができる。
【0104】
本発明の組成物は、経口的、非経口的に、吸入噴霧により、局所的に、直腸から、鼻から、頬から、膣から、または移植したレザバを介して、投与され得る。本明細書中で使用する「非経口的」との用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、鞘内、肝臓内、病巣内および頭蓋内の注射方法または注入方法を含める。好ましくは、これらの組成物は、腹腔内、経口的または静脈内で投与される。本発明の組成物の無菌の注射可能な形態は、水性懸濁液または油性懸濁液であり得る。これら懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて、当該技術分野で公知の技術に従って、処方できる。この無菌の注射可能な製剤はまた、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として、無毒性の非経口的に適切な希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液であり得る。使用できる受容可能なビヒクル賦形剤および溶媒には、水、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、従来、溶媒的にまたは懸濁媒体として、無菌の非揮発性油が使用されている。
【0105】
この目的には、いずれかの無刺激の非揮発性油が使用でき、これには、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドが含まれる。脂肪酸(例えば、オレイン酸)およびそのグリセリド誘導体は、天然の薬学的に受容可能なオイル(例えば、オリーブ油またはひまし油、特に、それらのポリオキシエチレン化した型)と同様に、注射可能物の調製に有用である。これらのオイル溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤(例えば、カルボキシメチルセルロース)または類似の分散剤(これらは、乳濁液または懸濁液を含めた薬学的に受容可能な投薬形態を処方する際に、通常、使用される)を含有できる。他の通常使用される界面活性剤(例えば、Tween、Spanおよび他の乳化剤)または生体利用能向上剤(これらは、薬学的に受容可能な固体、液状または他の投薬形態を製造する際に、通常使用される)もまた、処方の目的のために、使用できる。
【0106】
本発明の薬学的組成物は、いずれかの経口的に適切な投薬形態(これには、カプセル、錠剤、および水性懸濁液および水性溶液が含まれるが、それらに限定されない)で、投与できる。経口用途のための錠剤の場合には、通常使用されるキャリアには、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)もまた、典型的に添加される。カプセル形態での経口投与に有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。経口用途に水性懸濁液が必要なとき、その活性成分は、乳化剤および懸濁剤と組み合わされる。望ましいなら、ある種の甘味料、香料または着色剤を添加してもよい。
【0107】
あるいは、本発明の薬学的組成物はまた、直腸投与のための座剤の形態で投与され得る。これら組成物は、この薬剤と、適切な非刺激性の賦形剤(これは、室温で固体であるが、直腸温では液体であり、従って、直腸で溶解して活性成分を放出する)と混合することにより、調製できる。このような物質には、ココアバター、密ろうおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0108】
本発明の薬学的に受容可能な組成物はまた、特に、治療の標的が局所的な適用により容易にアクセスできる領域または器官(目、皮膚または下部腸道の疾患を含めて)を含む場合、局所的に投与できる。これらの領域または器官のそれぞれに適切な局所製剤は、容易に調製される。
【0109】
下部腸道に対する局所適用は、直腸座剤処方(上記)により、または適切な浣腸処方にて、行うことができる。局所的な皮膚間パッチもまた、使用できる。
【0110】
局所的に適用するためには、この薬学的に受容可能な組成物は、1種またはそれ以上のキャリアに懸濁するかまたは溶解した活性成分を含む適切な軟膏で、処方できる。本発明の化合物の局所投与用のキャリアには、鉱油、液状石油、ホワイト石油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、この薬学的に受容可能な組成物は、1種またはそれ以上の薬学的に適切なキャリアに懸濁するかまたは溶解した活性成分を含む適切なローションまたはクリームで処方できる。適切なキャリアには、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
眼科用途には、この薬学的に受容可能な組成物は、防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム)と共にまたはそれなしのいずれかで、pHを調整した等張性無菌生理食塩水の微細化懸濁液として、または、好ましくは、pHを調整した等張性無菌生理食塩水の溶液として、処方され得る。あるいは、眼科用途には、この薬学的に受容可能な組成物は、軟膏(例えば、ワセリン)に処方され得る。
【0112】
本発明の薬学的に受容可能な組成物はまた、鼻エアロゾルまたは鼻吸入により投与するために投与され得る。このような組成物は、製薬処方の当該技術分野で周知の技術に従って、調製され、生理食塩水中の溶液として、ベンジルアルコールまたは他の適切な防腐剤、生物学的利用能を高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の通常の可溶化剤または分散剤を使用して、調製され得る。
【0113】
最も好ましくは、本発明の薬学的に受容可能な組成物は、経口投与用に処方される。
【0114】
単一投薬形態の組成物を製造するキャリア物質と組み合わされ得る本発明の化合物の量は、処置する宿主および特定の投与様式に依存して、変わる。好ましくは、これらの組成物は、これらの組成物を受ける患者に0.01〜100mg/体重1kg/日の間の投薬量のインヒビターが投与され得るように、処方されるべきである。
【0115】
任意の特定の患者のための特定の投薬量および処置レジメンは、種々の因子(使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、常食、投与時間、排泄率、薬物の組合せ、ならびに処置する医師の判断および処置される特定の疾患の重篤度を含む)に依存することもまた理解されるべきである。この組成物中の本発明の化合物の量はまた、その組成物中の特定の化合物に依存する。
【0116】
治療または予防する特定の状態または疾患に依存して、本発明の組成物中には、その状態を治療または予防するのに通常投与される追加治療薬もまた、存在し得る。本明細書中で使用される場合、特定の疾患または状態を治療または予防するのに通常投与される追加治療薬は、「処置される疾患または状態に適切である」として、知られている。
【0117】
例えば、増殖性疾患および癌を処置するために、化学療法剤または他の抗増殖剤が本発明の化合物と併用され得る。公知の化学療法剤の例には、GleevecTM、アドリアマイシン、デキサメタゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、フルオロウラシル、トポテカン、タキソール、インターフェロンおよび白金誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
本発明の化合物がまた併用され得る他の薬剤の例には、抗炎症薬(例えば、コルチコステロイド、TNF遮断薬、IL−1 RA、アザチオプリン、シクロホスファミドおよびスルファサラジン);免疫調節剤または免疫抑制剤(例えば、サイクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチル、インターフェロン、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリンおよびスルファサラジン);神経栄養因子(例えば、アセチルコリンエステラーゼインヒビター、MAOインヒビター、インターフェロン、抗痙攣薬、イオンチャンネル遮断薬、リルゾールおよび抗パーキンソン病剤);循環器疾患の治療薬(例えば、β−遮断薬、ACEインヒビター、利尿薬、硝酸塩、カルシウムチャンネル遮断薬およびスタチン);肝臓疾患の治療薬(例えば、コルチコステロイド、コレステラミン、インターフェロンおよび抗ウイルス剤);血液疾患の治療薬(例えば、コルチコステロイド、抗白血病剤および成長因子);糖尿病の治療薬(例えば、インシュリン、インシュリン類似物、α−グリコシダーゼインヒビター、ビグアナイドおよびインシュリン感作物質);および免疫不全障害の治療薬(例えば、γ−グロブリン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
本発明の組成物中に存在する追加治療薬の量は、唯一の活性剤としてその治療薬を含有する組成物で通常投与される量以下である。好ましくは、現在開示された組成物中の追加治療薬の量は、唯一の治療活性剤としてその治療薬を含有する組成物中で通常存在する量の約50%〜100%の範囲である。
【0120】
他の実施形態によれば、本発明は、生物学的サンプルにおいて、GSK−3キナーゼ活性を阻害する方法に関し、該方法は、該生物学的サンプルを、本発明の化合物または該化合物を含有する組成物と接触させる工程を包含する。
【0121】
本明細書中で使用する場合、「生物学的サンプル」との用語は、細胞培養物またはそれらの抽出物;哺乳動物から得られる生検材料またはその抽出物;および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液、または他の体液もしくはそれらの抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
生物学的サンプルでのGSK−3タンパク質キナーゼ活性の阻害は、当業者に公知の種々の目的のために有用である。このような目的の例には、輸血、臓器移植、生物学的サンプルの保存および生物検定が挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
他の実施形態によれば、本発明は、患者において、GSK−3が媒介する疾患または状態を処置するかまたはその重篤度を軽減する方法を提供し、該方法は、該患者に、本発明の組成物を投与する工程を包含する。
【0124】
本明細書中で使用する場合、用語「GSK3が媒介する疾患」とは、GSK3が一定の役割を果たすことが知られている任意の疾患または他の有害な状態を意味する。従って、これらの化合物は、GSK3キナーゼの活性により影響されることが知られている疾患または状態を処置するのに有用である。このような疾患または状態には、糖尿病、神経変性疾患、AIDS関連痴呆、多発性硬化症(MS)、精神分裂病、心筋細胞肥大または禿頭症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0125】
本発明の化合物で治療または予防され得る神経変性疾患には、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、癲癇、発作、ハンティングトン病、外傷性脳傷害、虚血性および出血性発作、または脳虚血が挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
他の好ましい実施形態は、糖尿病、アルツハイマー病、ハンティングトン病、パーキンソン病、多発性硬化症(MS)または筋萎縮性側索硬化症(AMS)から選択されるGSK3が媒介する疾患を治療または予防するのに使用される方法に関する。
【0127】
本発明の特定の化合物はまた、ROCKキナーゼのインヒビターである。特に、式IIIの化合物は、ROCKキナーゼのインヒビターである。従って、本発明の他の実施形態は、生物学的サンプルにおいて、ROCKキナーゼを阻害する方法に関し、該方法は、該生物学的サンプルを、式IIIの化合物または該化合物を含有する組成物と接触させる工程を包含する。
【0128】
他の実施形態によれば、本発明は、患者において、ROCKが媒介する疾患または状態を処置するかその重篤度を軽減する方法を提供し、該方法は、該患者に、式IIIの化合物または該化合物を含有する組成物を投与する工程を包含する。
【0129】
本明細書中で使用する場合、用語「ROCKが媒介する疾患」とは、ROCKが一定の役割を果たすことが知られている任意の疾患または他の有害な状態を意味する。従って、これらの化合物は、ROCKキナーゼの活性により影響されることが知られている疾患または状態を処置するのに有用である。このような疾患または状態には、高血圧症、勃起障害、新脈管形成、神経再生、転移、緑内障、炎症、動脈硬化症(artheriosclerosis)、免疫抑制、再狭窄、喘息および心臓肥大が挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
本発明の化合物に加えて、本発明の化合物の薬学的に受容可能な誘導体もまた、上記障害を治療または予防するために、組成物中で使用され得る。
【0131】
代替実施形態では、追加治療薬を含有しない組成物を利用する本発明の方法は、前記患者に、追加治療薬を別々に投与する追加工程を包含する。これらの追加治療薬は、別々に投与されるとき、これらは、本発明の組成物の投与前、投与と連続して、または投与後、該患者に投与され得る。
【0132】
本発明の化合物またはそれらの薬学的組成物はまた、移植可能医療装置(例えば、人工器官、人工弁、血管移植片、ステントおよびカテーテル)を被覆する組成物に取り込まれ得る。例えば、血管ステントは、再狭窄(傷害後に血管壁が再び狭くなること)を克服するのに使用されている。しかしながら、ステントまたは他の移植可能装置を使用している患者は、血餅の形成または血小板の活性化というリスクがある。これらの好ましくない影響は、その装置を、キナーゼインヒビターを含有する薬学的に受容可能な組成物で予め被覆することにより、防止または軽減され得る。適切な被覆および被覆した移植可能装置の一般的な製品は、米国特許第6,099,562号;第5,886,026号;および第5,304,121号で記述されている。これらの被覆には、典型的には、生体適合性高分子材料(例えば、ヒドロゲル重合体、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレン−酢酸ビニルおよびそれらの混合物)がある。これらの被覆は、さらに、その組成物で制御した放出特性を与えるために、フルオロシリコーン、多糖類、ポリエチレングリコール、リン脂質またはそれらの組合せの適切なトップコートにより、必要に応じて、覆われ得る。本発明の化合物で被覆される移植可能装置は、本発明の他の実施形態である。
【0133】
本明細書中に記述される本発明をより十分に理解し得るために、以下の実施例を示す。これらの実施例は、例示の目的だけのものであり、いずれの様式でも、本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではないことが理解されるべきである。
【実施例】
【0134】
(合成実施例)
(実施例1) 4−チオキソ−3,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,3,4b−トリアザ−フルオレン−9−カルボニトリル(II−A2):
トルエン(5mL)中の市販の4−クロロ−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,3,4b−トリアザフルオレン−9−カルボニトリル(0.05g、0.21mmol)およびチオ尿素(0.02g、0.27mmol)の混合物を、封管中にて、110〜115℃で、2時間加熱した。追加のチオ尿素(0.02g、0.27mmol)を加え、さらに2時間、加熱を続けた。その反応物を冷却し、そして2N水酸化ナトリウム(9mL)と共に、10分間攪拌した。その水相(6N塩酸)を分離し酸性化したのに続いて、酢酸エチルで3回抽出した。その有機相をブラインで洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、そして蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2)(これは、2:98のメタノール:ジクロロメタンで溶出する)で抽出すると、白色固形物として、表題化合物(0.04g、収率78%)が得られた。
【0135】
【化23】
(実施例2) 4−チオキソ−3,4,5,6,7,8,9,10−オクタヒドロ−1,3,4b−トリアザ−クロロオクタ[a]インデン−11−カルボニトリル(II−A4):
(工程A;2−アザカン−2−イリデン−マロニトリル)
アザカン−2−オン(0.50g、3.93mmol)のジクロロメタン(4mL)溶液を、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボレート(0.70g、4.72mmol)で処理し、そして室温で、窒素下にて、5時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、その残留物に、エタノール(20mL)、トリエチルアミン(0.68mL、5.11mmol)およびマロノニトリル(0.28mL、4.32mmol)を加えた。その反応物を3時間還流し、室温まで冷却し、次いで、酢酸エチルで希釈した。これを、10%硫酸水素カリウムおよびブラインで洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、そして蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2)(これは、3:7の酢酸エチル:ヘキサンで溶出する)で精製すると、白色固形物として、表題化合物(0.16g、収率23%)が得られた。
【0136】
【化24】
(工程B;2−アミノ−1−シアノ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピロール[1,2a]アゾシン−3−カルボン酸メチルエステル)
2−アザカン−2−イリデン−マロニトリル(0.49g、2.77mmol)で出発したこと以外は、実施例13、工程Bで記述した手順を使用して、この化合物を調製し、灰白色固形物として、表題化合物(0.32g、収率47%)を得た。
【0137】
【化25】
(工程C;4−オキソ−3,4,5,6,7,8,9,10−オクタヒドロ−1,3,4b−トリアザ−シクロオクタ[a]インデン−11−カルボニトリル)
2−アミノ−1−シアノ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−ピロール[1,2a]アゾシン−3−カルボン酸メチルエステル(0.31g、1.25mmol)で出発したこと以外は、実施例9で記述した手順を使用して、この化合物を調製し、白色固形物として、表題化合物(0.26g、収率86%)を得た。
【0138】
【化26】
(工程D;4−チオキソ−3,4,5,6,7,8,9,10−オクタヒドロ−1,3,4b−トリアザ−シクロオクタ[a]インデン−11−カルボニトリル(II−A4))
4−オキソ−3,4,5,6,7,8,9,10−オクタヒドロ−1,3,4b−トリアザ−シクロオクタ[a]インデン−11−カルボニトリル(0.23g、0.95mmol)で出発したこと以外は、実施例11で記述した手順を使用して、この化合物を調製し、黄色固形物として、表題化合物(0.05g、収率76%)を得た。
【0139】
【化27】
(実施例3) 6,7,8,9−テトラヒドロ−3H,5H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−4−チオン(II−A17):
4−チオキソ−4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−3H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−10−カルボニトリル(100mg、41mmol)を、ポリリン酸の溶液(これは、五酸化リン1.4gおよび濃リン酸6mLから得た)に懸濁し、そして18時間にわたって、200℃まで加熱した。その反応物を室温まで冷却し、そして50mL砕氷に注いだ。得られたスラリーを、6N NaOHを使用して、pH8まで塩基化し、この水層を、ジクロロメタン(3×30mL)で抽出した。その有機層をNa2SO4で乾燥し、蒸発させ、得られた残留物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(90/10のジクロロメタン/メタノール)で精製して、所望生成物21mg(収率24%)を得た。
【0140】
【化28】
(実施例4) N−メチル−4−チオキソ−4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−3H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−10−カルボニトリル(II−A59):
(工程A;N−メチル−4−オキソ−4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−3H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−10−カルボニトリル(II−A70))
2−アミノ−1−シアノ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピロロ[1,2−a]アゼピン−3−カルボン酸(これは、文献方法(Kadushkin,A.V.ら、Pharm.Chem.J.,(1990)24(12),875〜881)に従って調製した)(760mg、3.07mmol)およびN,N−ジメチルアセトアミドジメチルアセタール(900μL、4.95mmol)のジメチルホルムアミド(10mL)溶液を、100℃で、5.5時間加熱し、次いで、蒸発させた。その中間体をMeOH(5ml)に溶解し、そしてメタノール(10mL)中の7Nアンモニアで処理し、そして封管中にて、110℃で、3日間加熱した。その反応物を冷却し、沈殿を濾過して、褐色固形物(647mg、収率34%)として、表題化合物を得た。
【0141】
【化29】
(工程B;N−メチル−4−チオキソ−4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−3H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−10−カルボニトリル(II−A59))
オキシ塩化リン(2.5mL)中のN−メチル−4−オキソ−4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−3H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−10−カルボニトリル(0.079g、0.33mmol)およびトリエチルアミン塩酸塩(0.05g、0.36mmol)の混合物を、封管中にて、100℃で、1時間加熱した。冷却後、溶媒を蒸発させ、その残留物を水で処理し、炭酸カリウムおよび酢酸エチル(3×5mL)で、pH9に調節した。その有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させて、白色固形物として、中間体(0.061g)を得た。この中間体(0.030g、0.115mmol)をトルエン(2.5mL)に溶解し、そしてチオ尿素(0.013g、0.17mmol)で処理し、次いで、100℃で、封管中にて、1.5時間加熱した。その反応物を冷却し、そして10%(w/v)水酸化ナトリウム(5mL)で、15分間攪拌した。その水相を(6N塩酸で)分離し酸性化(pH1)し、続いて、酢酸エチルで3回抽出した。その有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させた。シリカでフラッシュクロマトグラフィー(これは、まず、ジクロロメタン中の2%メタノールで溶出する)によって、白色固形物(0.01g、収率34%)として、表題化合物が得られた。
【0142】
【化30】
(実施例5) 2−シクロプロピル−4−オキソ−4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−3H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−10−カルボニトリル(II−A71):
2−アミノ−1−シアノ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピロロ[1,2−a]アゼピン−3−カルボン酸(これは、文献方法(Kadushkin,A.V.ら、Pharm.Chem.J.,(1990) 24 (12),875〜881)に従って、調製した)(0.221g、0.89mmol)およびシアン化シクロプロピル(400μL、5.43mmol)(4N HCl中)のジオキサン(4mL)溶液を、110℃で、3時間加熱した。形成された沈殿物を、濾過した(55mg)。その中間体を、MeOH(4ml)中にて、7N HClに溶解し、そして封管中にて、110℃で、18時間加熱した。その反応物を冷却し、溶媒を蒸発させた。その粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2)(これは、ジクロロメタン中にて、1〜5%MeOHで溶出する)で精製して、白色固形物(10mg、収率4%)として、表題化合物を得た。
【0143】
【化31】
(実施例6) N−(10−シアノ−4−オキソ−4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−3H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−2−イル)−N−メチルベンズアミド(II−A72):
2−アミノ−1−シアノ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピロロ[1,2−a]アゼピン−3−カルボン酸(0.24g、0.97mmol)およびイソチオシアン酸ベンゾイル(160μL、1.18mmol)のCH2Cl2(10ml)溶液を、室温で、3時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、得られた固形物をヘキサン(3×5ml)で倍散して、褐色固形物を得た。この中間体をCH2Cl2(2mL)に溶解し、そしてDBU(100μL、0.67mmol)およびヨードメタン(40μL、0.64mmol)で処理し、その溶液を、室温で、18時間攪拌した。その粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2)(これは、ジクロロメタン中にて、1%MeOHで溶出する)で精製して、黄色オイル(44mg)を得た。その中間体(44mg、0.10mmol)を、MeOH(3mL)中にて、7N NH3に溶解し、そして封管中にて、110℃で、1時間加熱した。室温まで冷却すると、白色沈殿物が得られた。この沈殿物を濾過して、白色固形物(6mg、17%)として、表題化合物を得た。
【0144】
【化32】
(実施例7) 4−オキソ−4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−3H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−10−カルボン酸アミド(II−A74):
4−オキソ−4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−3H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−10−カルボニトリル(110mg、48mmol)を、6N塩酸(25mL)および氷酢酸(15mL)の溶液に懸濁した。この溶液を、4時間にわたって、50℃まで加熱し、その後、濃硫酸5滴を加え、その溶液を、さらに30分間攪拌した。溶媒を蒸発させ、その残留物を冷水で処理し、その生成物を沈殿させた。この沈殿物を濾過し、そして50℃で、24時間乾燥して、表題化合物76mg(収率65%)を得た。
【0145】
【化33】
(実施例8) 6,7,8,9−テトラヒドロ−3H,5H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−4−オン(II−A75):
4−オキソ−4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−3H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−10−カルボニトリル(50mg、22mmol)を、ポリリン酸の溶液(これは、五酸化リン700mgおよび濃リン酸3mLから得た)に懸濁し、そして攪拌しながら、5時間にわたって、200℃まで加熱した。その反応物を室温まで冷却し、そして破砕した氷50mLに注いだ。得られたスラリーを、6N NaOHを使用して、pH8に塩基化した。その水層をジクロロメタン(3×20mL)で抽出し、この有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、そして蒸発させた。その残留物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(90/10のジクロロメタン/メタノール)で精製して、所望生成物30mg(収率68%)を得た。
【0146】
【化34】
(実施例9) 6−メチル−4−オキソ−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(II−B10):
3−アミノ−4−シアノ−5−メチル−1−フェニル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル(0.10g、0.38mmol)およびジメチルホルムアミドジメチルアセタール(0.10mL、0.75mmol)のジメチルホルムアミド(2mL)溶液を、100〜105℃で、1.5時間加熱し、次いで、蒸発させた。その中間体をメタノール(2mL)に溶解し、メタノール(5mL)中の7Nアンモニアで処理し、チューブに密封し、そして100〜105℃で、3時間加熱した。その反応物を冷却し、蒸発させ、そしてフラッシュクロマトグラフィー(SiO2)(これは、1:99のメタノール:ジクロロメタンで溶出する)で精製して、白色固形物として、表題化合物(0.08g、収率82%)を得た。
【0147】
【化35】
(実施例10) 実施例9で記述した様式と類似の様式で、4−オキソ−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(II−B12)を調製した。
【0148】
【化35A】
(実施例11) 6−メチル−5−フェニル−4−チオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル3(II−B11)
オキシ塩化リン(2mL)中の6−メチル−4−オキソ−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(化合物II−B10)(0.06g、0.23mmol)およびトリエチルアミン塩酸塩(0.03g、0.24mmol)の混合物を、封管中にて、100〜105℃で、1時間加熱した。冷却後、溶媒を蒸発させ、その残留物を水で処理し、炭酸カリウムでpH9に調節し、そして酢酸エチル(3×)で抽出した。その有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させて、白色固形物として、中間体(0.06g)を得た。この中間体をトルエン(3ml)に溶解し、そしてチオ尿素(0.02g、0.29mmol)で処理し、次いで、100〜105℃で、封管中にて、4時間加熱した。その反応物を冷却し、そして2N水酸化ナトリウム(9mL)で、10分間攪拌した。その水相を(6N塩酸で)分離し酸性化し、続いて、酢酸エチルで3回抽出した。その有機相をブラインで洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、そして蒸発させた。2回のフラッシュクロマトグラフィー(SiO2)(これは、ジクロロメタン中にて、0.75〜1.5%メタノールに次いで、1:1の酢酸エチル:ヘキサンで溶出する)で精製して、淡黄色固形物として、表題化合物(0.03g、収率49%)を得た。
【0149】
【化36】
(実施例12) 類似の様式で、5−フェニル−4−チオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(II−B13)を調製した。
【0150】
【化37】
(実施例13) 5,6−ジエチル−4−チオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(II−B2):
(工程A;2−(1−エチルアミノ−ピロリデン)マロノニトリル)
N−エチルプロピオンアミド9(1.0g、9.9mmol)のトルエン(5mL)溶液を、オキシ塩化リン(0.92mL、9.9mmol)のトルエン(5mL)溶液で2分間にわたって処理し、そして室温で、窒素下にて、2時間攪拌した。10分間にわたって、マロニトリル(0.63mL、9.9mmol)およびトリエチルアミン(1.65mL、11.9mmol)のジクロロメタン(15mL)溶液を加えた。得られた溶液を、室温で、3日間攪拌した。その反応物を飽和炭酸水素ナトリウムおよび10%硫酸水素カリウムで洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、そして蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2)(これは、35:65の酢酸エチル:ヘキサンで溶出する)で精製すると、無色半固形物として、表題化合物(0.38g、収率26%)が得られた。
【0151】
【化38】
(工程B;3−アミノ−4−シアノ−1,5−ジエチル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル)
上で調製した2−(1−エチルアミノ−ピロリジン)マロニトリル(0.38g、2.51mmol)および炭酸カリウム(0.38g、2.76mmol)のジメチルホルムアミド(5mL)懸濁液に、ブロモ酢酸メチル(0.25mL、2.64mmol)を加えた。その反応物を、100〜105℃で、窒素下にて、4時間攪拌し、そして冷却した。その反応物を酢酸エチルで希釈し、水で4回洗浄し、そしてブラインで1回洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、そして蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2)(これは、2:8の酢酸エチル:ヘキサンで溶出する)で精製すると、白色固形物として、表題化合物(0.37g、収率67%)が得られた。
【0152】
【化39】
(工程C;5,6−ジエチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル12(II−B1))
この化合物は、3−アミノ−4−シアノ−1,5−ジエチル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル(0.20g、0.79mmol)で出発したこと以外は、実施例9で記述した手順を使用して調製し、白色粉末として、表題化合物(0.13g、収率76%)を得た。
【0153】
【化40】
(工程D;5,6−ジエチル−4−チオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル13(II−B2))
この化合物は、5,6−ジエチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(0.05g、0.23mmol)で出発したこと以外は、実施例11で記述した手順を使用して調製し、淡黄色固形物として、表題化合物(0.05g、収率86%)を得た。
【0154】
【化41】
(実施例14) 5,6−ジフェニル−4−チオキソ−4,4a,5,7a−テトラヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(II−B18):
(工程A;(ベンゾイル−フェニルアミノ)酢酸メチルエステル)
ベンズアニリド(1.0g、5.07mmol)のジメチルホルムアミド(12.5mL)溶液に、室温で、窒素下にて、60%水素化ナトリウム/鉱油懸濁液(0.24g、6.08mmol)を加え、その反応物を、0.5時間攪拌した。その反応物に、ブロモ酢酸メチル(0.53mL、5.58mmol)を滴下し、攪拌を3時間継続した。その反応物を酢酸エチルで希釈し、10%硫酸水素カリウムで洗浄し、水およびブラインで3回洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、そして蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2)(これは、35:65の酢酸エチル:ヘキサンで溶出する)で精製すると、無色オイルとして、表題化合物(1.06g、収率77%)が得られた。
【0155】
【化42】
(工程B;[(2,2−ジシアノ−1−フェニル−ビニル)−フェニル−アミノ]酢酸メチルエステル)
この化合物は、(ベンゾイル−フェニルアミノ)酢酸メチルエステル(0.53g、1.95mmol)で出発したこと以外は、実施例2、工程Aで記述した手順を使用して調製し、灰白色固形物として、表題化合物(0.12g、収率19%)を得た。
【0156】
【化43】
(工程C;3−アミノ−4−シアノ−1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−カルボン酸エチルエステル)
[(2,2−ジシアノ−1−フェニル−ビニル)−フェニル−アミノ]酢酸メチルエステル(0.10g、0.30mmol)のエタノール(5mL)溶液を、ナトリウムエトキシド(0.02g、0.36mmol)で処理し、そして還流状態で、窒素下にて、4時間攪拌した。その反応物を冷却し、水で希釈し、ジクロロメタンで3回抽出し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、そして蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2)(これは、2:8の酢酸エチル:ヘキサンで溶出する)で精製すると、白色固形物として、表題化合物(0.09g、収率94%)が得られた。
【0157】
【化44】
(工程D;5,6−ジフェニル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(II−B17))
この化合物は、3−アミノ−4−シアノ−1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−カルボン酸エチルエステル22(0.09g、0.29mmol)で出発したこと以外は、実施例9で記述した手順を使用して調製し、灰白色固形物として、表題化合物(0.07g、収率77%)を得た。
【0158】
【化45】
(工程E;5,6−ジフェニル−4−チオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(II−B18))
この化合物は、5,6−ジフェニル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(0.05g、0.17mmol)で出発したこと以外は、実施例11で記述した手順を使用して調製し、淡黄色固形物として、表題化合物(0.05g、収率85%)を得た。
【0159】
【化46】
(実施例15) 5,6−ジイソブチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(II−B29):
(工程A;2−(1−イソブチルアミノ−3−メチル−ブチリデン)−マロニトリル)
この化合物は、N−イソブチル−3−メチル−ブチルアミド(3.64g、23mmol)で出発したこと以外は、実施例2で記述した手順を使用して調製し、無色オイルとして、表題化合物(0.86g、収率18%)を得た。
【0160】
【化47】
(工程B;3−アミノ−4−シアノ−1,5−ジイソブチル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル)
この化合物は、2−(1−イソブチルアミノ−3−メチル−ブチリデン)−マロニトリル(0.50g、2.44mmol)で出発したこと以外は、実施例13、工程Bで記述した手順を使用して調製し、黄色固形物として、表題化合物(0.32g、収率47%)を得た。
【0161】
【化48】
(工程C;5,6−ジイソブチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル)
この化合物は、3−アミノ−4−シアノ−1,5−ジイソブチル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル(0.31g、1.1mmol)で出発したこと以外は、実施例9で記述した手順を使用して調製し、灰白色固形物として、表題化合物(0.17g、収率59%)を得た。
【0162】
【化49】
(実施例16) [2−(7−シアノ−5−エチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−6−イル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル(II−B30)
(工程A;(4,4−ジシアノ−3−エチルアミノ−ブト−3−エニル)−カルバミン酸ベンジルエステル)
この化合物は、(2−エチルカルバモイル−エチル)−カルバミン酸ベンジルエステル(1.26g、5.0mmol)で出発したこと以外は、実施例2、工程Aで記述した手順を使用して調製し、無色オイルとして、表題化合物(0.35g、収率24%)を得た。
【0163】
【化50】
(工程B;3−アミノ−5−(2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−エチル)−4−シアノ−1−エチル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル)
この化合物は、(4,4−ジシアノ−3−エチルアミノ−ブト−3−エニル)−カルバミン酸ベンジルエステル(0.54g、1.81mmol)で出発したこと以外は、実施例13、工程Bで記述した手順を使用して調製し、無色ガラス状固形物として、表題化合物(0.34g、収率51%)を得た。
【0164】
【化51】
(工程C;[2−(7−シアノ−5−エチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−6−イル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル(II−B30))
この化合物は、3−アミノ−5−(2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−エチル)−4−シアノ−1−エチル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル(0.50g、1.38mmol)で出発したこと以外は、実施例9で記述した手順を使用して調製し、白色固形物として、表題化合物(0.22g、収率44%)を得た。
【0165】
【化52】
(実施例17) [2−(7−シアノ−5−エチル−4−チオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−6−イル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル(II−B31)
この化合物は、[2−(7−シアノ−5−エチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−6−イル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル(0.10g、0.26mmol)で出発したこと以外は、実施例11で記述した手順を使用して調製し、淡黄色固形物として、表題化合物(0.03g、収率28%)を得た。
【0166】
【化53】
(実施例18) 6−メチルスルファニル−4−チオキソ−3,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(III−5)
(工程A;6−メチルスルファニル−4−オキソ−3,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(III−4))
K2CO3(2.1g、15mmol)のDMF(4.5mL)懸濁液に、マロノニトリル(5mmol)を加えた。10分後、CS2(7.5mmol)を一度に加え、得られた混合物を、室温で、さらに10分間攪拌した。1−クロロアセトアミド(5mmol)のDMF(5mL)溶液を、冷却しつつ加え、1時間後、MeI(5.5mmol)のDMF(2mL)溶液を滴下した。30分後、この混合物を水(90mL)の上に注ぎ、得られた混合物を、16時間にわたって激しく攪拌して、粗中間体である3−アミノ−4−シアノ−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−カルボン酸アミドの懸濁液を得た。この粗生成物を濾過により除き、そして水および少量の冷メタノールで広く洗浄して、粗中間体(0.5g、収率46%)を得た。
【0167】
【化54】
この粗中間体(100mg、0.47mmol)およびDMF−DMA(0.56mmol)をアセトニトリル(3mL)に混合し、そして90℃で、3時間加熱した。この反応混合物を濃縮して、4−シアノ−3−(ジメチルアミノ−メチレンアミノ)−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−カルボン酸アミドを得、これを、次の工程で、直接使用した。この粗アミドを氷酢酸(3mL)に溶解し、得られた混合物を、30分間にわたって、90℃まで加熱した。次いで、この反応混合物を濃縮し、この反応物混合物を少量の酢酸エチルおよびエーテルで洗浄し、そして真空中で乾燥した。さらに精製することなく、6−メチルスルファニル−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チオノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(化合物III−4)を得た(75mg、74%)。
【0168】
【化55】
(工程B;6−メチルスルファニル−4−チオキソ−3,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(III−5))
化合物III−4(30mg、0.135mmol)をトルエン(1.5mL)に溶解し、そしてLawesson試薬(0.161mmol)を加え、その反応混合物を、18時間にわたって、還流状態まで加熱した。この反応混合物を濃縮し、次いで、水性ワークアップ後、その生成物を予備HPLCで精製して、表題化合物(4.5mg、13%)を得た。
【0169】
【化56】
(実施例19) 6−イソプロピルアミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(III−21)
(工程A;6−メタンスルホニル−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(III−6)
ジクロロメタン(4mL)中の化合物III−4(100mg、0.44mmol)に、m−CPBA(3当量)を加え、その反応混合物を、室温で、5時間攪拌した。その固形沈殿物を濾過し、そしてジクロロメタンで広く洗浄して、粗化合物(III−6)を得た。
【0170】
(工程B;6−イソプロピルアミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(III−21))
粗生成物III−6(50mg、0.2mmol)およびイソプロピルアミン(3当量)をアセトニトリル2mLに混合し、そして70℃で、18時間加熱した。その固形沈殿物を濾過により除き、そして少量のアセトニトリルで洗浄し、ジクロロメタンで洗浄して、さらに精製することなく、化合物III−21を得た(収率50%)。
【0171】
【化57】
(実施例20) 6−プロピルアミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(化合物III−22)
この化合物は、プロピルアミンで出発したこと以外は、実施例19で記述した手順を使用して調製し、化合物III−22(収率63%)を得た。
【0172】
【化58】
(実施例21) 6−イソブチルアミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(化合物III−23)
この化合物は、イソブチルアミンで出発したこと以外は、実施例19で記述した手順を使用して調製し、化合物III−23(収率45%)を得た。
【0173】
【化59】
(実施例22) 6−ベンジルアミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(化合物III−26)
この化合物は、ベンジルアミンで出発したこと以外は、実施例19で記述した手順を使用して調製し、化合物III−26(収率70%)を得た。
【0174】
【化60】
(実施例23) 6−シクロペンチルアミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(化合物III−24)
この化合物は、シクロペンチルアミンで出発したこと以外は、実施例19で記述した手順を使用して調製し、化合物III−24(収率42%)を得た。
【0175】
【化61】
(実施例24) 6−シクロヘキシルアミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(化合物III−25)
この化合物は、シクロヘキシルアミンで出発したこと以外は、実施例19で記述した手順を使用して調製し、化合物III−25(収率47%)を得た。
【0176】
【化62】
(実施例25) 10−(2H−テトラゾール−5−イル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−3H,5H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−4−チオン(II−A28)
無水THF(10mL)に、4−チオキソ−4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−3H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−10−カルボニトリル(65mg、26mmol)を懸濁し、AlCl3(36mg、26mmol)およびNaN3(76mg、12mmol)を加えた。この溶液を、N2下にて、96時間にわたって、還流状態まで加熱した。その反応物を室温まで冷却し、そして2N HClを使用して、pH3まで酸性化した。この酸性溶液を蒸発させて、固形物質40mgを得た。これを、10〜100%勾配の0.1%TFAおよびアセトニトリル/水を使用して、15分間にわたって、HPLCで精製して、所望生成物15mg(20%)を得た。
【0177】
【化63】
(実施例26) 4−チオキソ−4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−3H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−10−カルボン酸アミド(II−A82)
4−チオキソ−4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−3H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−10−カルボニトリル(100mg、0.41mmol)に、5N NaOH(3mL)を加え、その濁った懸濁液を100℃まで加熱した。14時間後、その反応混合物を水に注ぎ、5℃まで冷却し、そして酢酸でpH5まで酸性化した。この結果、淡黄色の沈殿物が得られ、これを濾過により集めて、減圧下にて乾燥し、表題化合物(87mg、収率81%)を得た。
【0178】
【化64】
(実施例27) 5,6−ジイソブチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(II−B29)
(工程A;2−(1−イソブチルアミノ−3−メチル−ブチリデン)−マロニトリル)
この化合物は、N−イソブチル−3−メチル−ブチルアミド(3.64g、23mmol)で出発したこと以外は、実施例2で記述した手順を使用して調製し、表題化合物(0.86g、収率18%)を無色オイルとして得た。
【0179】
【化65】
(工程B;3−アミノ−4−シアノ−1,5−ジイソブチル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル)
この化合物は、2−(1−イソブチルアミノ−3−メチル−ブチリデン)−マロニトリル(0.50g、2.44mmol)で出発したこと以外は、実施例13、工程Bで記述した手順を使用して調製し、表題化合物(0.32g、収率47%)を黄色オイルとして得た。
【0180】
【化66】
(工程C;5,6−ジイソブチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル)
この化合物は、3−アミノ−4−シアノ−1,5−ジイソブチル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル(0.31g、1.1mmol)で出発したこと以外は、実施例9で記述した手順を使用して調製し、灰白色固形物として、表題化合物(0.17g、収率59%)を得た。
【0181】
【化67】
(実施例28) [2−(7−シアノ−5−エチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−6−イル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル(II−B30)
(工程A;(4,4−ジシアノ−3−エチルアミノ−ブト−3−エニル)カルバミン酸ベンジルエステル)
この化合物は、(2−エチルカルバモイル−エチル)−カルバミン酸ベンジルエステル(1.26g、5.0mmol)で出発したこと以外は、実施例2、工程Aで記述した手順を使用して調製し、無色オイルとして、表題化合物(0.35g、収率24%)を得た。
【0182】
【化68】
(工程B;3−アミノ−5−(2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−エチル)−4−シアノ−1−エチル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル)
この化合物は、(4,4−ジシアノ−3−エチルアミノ−ブト−3−エニル)−カルバミン酸ベンジルエステル(0.54g、1.81mmol)で出発したこと以外は、実施例13、工程Bで記述した手順を使用して調製し、無色ガラス状固形物として、表題化合物(0.34g、収率51%)を得た。MS(ES+):m/e 371.20(M+H)。分析用HPLC(C18カラム):3.279分(および不純物)。
【0183】
(工程C;[2−(7−シアノ−5−エチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−6−イル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル)(II−B30)
この化合物は、3−アミノ−5−(2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−エチル)−4−シアノ−1−エチル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル(0.50g、0.38mmol)で出発したこと以外は、実施例9で記述した手順を使用して調製し、白色固形物として、表題化合物(0.22g、収率44%)を得た。
【0184】
【化69】
(実施例29) [2−(7−シアノ−5−エチル−4−チオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−6−イル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル(II−B31)
この化合物は、[2−(7−シアノ−5−エチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−6−イル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル(0.10g、0.26mmol)で出発したこと以外は、実施例11で記述した手順を使用して調製し、淡黄色固形物として、表題化合物(0.03g、収率28%)を得た。
【0185】
【化70】
(実施例30) 6−(2−アミノ−エチル)−5−エチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(II−B27)
[2−(7−シアノ−5−エチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−6−イル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル(0.02g、0.06mmol)のメタノール(3mL)溶液を、Pd(OH)2(0.01g)で処理し、そして水素下(1atm)にて、1時間攪拌した。その反応物をセライトで濾過し、蒸発させ、そしてフラッシュクロマトグラフィー(SiO2)(これは、2:8のメタノール:ジクロロメタンで溶出する)で精製して、白色固形物として、表題化合物(0.01g、収率69%)を得た。
【0186】
【化71】
(実施例31) 5−エチル−4−オキソ−6−フェニル−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(II−B32)
(工程A;2−(エチルアミノ−フェニル−メチレン)−マロニトリル)
この化合物は、N−エチルベンズアミド(3.43g、23.0mmol)で出発したこと以外は、実施例2、工程Aで記述した手順を使用して調製し、白色固形物として、表題化合物(1.12g、収率25%)を得た。
【0187】
【化72】
(工程B;3−アミノ−4−シアノ−1−エチル−5−フェニル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル)
この化合物は、2−(エチルアミノ−フェニル−メチレン)−マロニトリル(0.50g、2.53mmol)で出発したこと以外は、実施例13、工程Bで記述した手順を使用して調製し、白色固形物として、表題化合物(0.60g、収率89%)を得た。
【0188】
【化73】
(工程C;5−エチル−4−オキソ−6−フェニル−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(II−B32))
この化合物は、3−アミノ−4−シアノ−1−エチル−5−フェニル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル(0.60g、2.21mmol)で出発したこと以外は、実施例9で記述した手順を使用して調製し、白色固形物として、表題化合物(0.07g、収率13%)を得た。
【0189】
【化74】
(実施例32) 5−エチル−6−フェニル−4−チオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(II−B26)
この化合物は、5−エチル−4−オキソ−6−フェニル−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(0.05g、0.17mmol)で出発したこと以外は、実施例11で記述した手順を使用して調製し、黄色固形物として、表題化合物(0.01g、収率30%)を得た。
【0190】
【化75】
(実施例33) 6−ピペリジン−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(III−33)
この化合物は、ピペリジンで出発したこと以外は、実施例19で記述した手順を使用して調製し、収率42%で、表題化合物を得た。LC−MS(ES+):m/e=261.0(M+H)。
【0191】
(実施例34) 6−シクロプロピルアミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(III−34)
この化合物は、シクロプロピルアミンで出発したこと以外は、実施例19で記述した手順を使用して調製し、収率42%で、表題化合物を得た。LC−MS(ES+):m/e=233.0(M+H)。
【0192】
(実施例35) 6−シクロヘキシルメチルアミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(III−35)
この化合物は、イソプロピルアミンの代わりにシクロヘキシルメチルアミンで出発したこと以外は、実施例19で記述した手順を使用して調製し、収率42%で、表題化合物を得た。LC−MS(ES+):m/e=289.1(M+H)。
【0193】
(実施例36) 6−(3−メチル−ブチルアミノ)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(III−36)
この化合物は、6−(3−メチル−ブチルアミノ)−で出発したこと以外は、実施例19で記述した手順を使用して調製し、化合物III−36(収率42%)を得た。LC−MS(ES+):m/e=263.1(M+H)。
【0194】
(実施例37) 6−[2−(1H−イミダゾール−4−イル)エチルアミノ]−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(III−37)
この化合物は、6−[2−(1H−イミダゾール−4−イル)−エチルアミンで出発したこと以外は、実施例19で記述した手順を使用して調製し、収率42%で、表題化合物を得た。LC−MS(ES+):m/e=287.0(M+H)。
【0195】
(実施例38) 6−エチルアミン−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(III−38)
この化合物は、エチルアミンで出発したこと以外は、実施例19で記述した手順を使用して調製し、収率42%で、表題化合物を得た。LC−MS(ES+):m/e=221.0(M+H)。
【0196】
(実施例39) 6−(メチル−プロピル−アミノ)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(III−39)
この化合物は、N−メチル−プロピルアミンで出発したこと以外は、実施例19で記述した手順を使用して調製し、収率42%で、表題化合物を得た。LC−MS(ES+):m/e=249.0(M+H)。
【0197】
(生物学的方法)
(GSK−3の阻害に関するIC50の決定)
標準結合酵素系(Foxら、(1998) Protein Sci.7,2249)を使用して、化合物を、それらがGSK−3β(AA 1−420)の活性を阻害する能力について、スクリーニングした。100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl2、25mM NaCl、300μM NADH、1mM DTTおよび1.5%DMSOを含有する溶液にて、反応を実行した。このアッセイでの最終基質濃度は、10μm ATP(Sigma Chemicals,St Louis,MO)および300μMペプチド(HSSPHQS(PO3H2)EDEEE,American Peptide,Sunnyvale,CA)であった。反応は、30℃および60nM GSK−3βで実行した。この結合酵素系の成分の最終濃度は、2.5mMのホスホエノールピルビン酸、300μMのNADH、30μg/mlのピルビン酸キナーゼおよび10μg/mlの乳酸デヒドロゲナーゼであった。
【0198】
ATPおよび対象試験化合物以外の上で挙げた試薬の全てを含有させて、アッセイストック緩衝液を調製した。試験反応物59μlを、96ウェルの1/2直径プレート(Corning,Corning,NY)に入れ、次いで、この試験化合物を含有する2mM DMSOストック(1μl)で処理した(最終化合物濃度、30μM)。このプレートを、30℃で、約10分間インキュベートし、次いで、ATP7μl(最終濃度、10μM)を加えることにより、その反応を開始した。30℃で、5分間の読み取り時間にわたって、Molecular Devices Spectramaxプレートリーダー(Sunnyvale,CA)を使用して、反応速度を得た。DMSOを含有するが化合物を含有しない標準ウェルと対比して50%より高い阻害を示す化合物を滴定し、そのアッセイを200μlの最終容量に縮尺設計して、標準96ウェルプレートでの類似のプロトコルを使用して、IC50値を決定した。
【0199】
上記GSK−3阻害アッセイでは、試験した本発明の化合物の多くは、1マイクロモル未満のIC50値を生じることが分かった。
【0200】
(GSK−3の阻害に関するKiの決定)
標準結合酵素系(Foxら、(1998) Protein Sci.7,2249)を使用して、化合物を、それらがGSK−3β(AA 1−420)の活性を阻害する能力について、スクリーニングした。100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl2、25mM NaCl、300μM NADH、1mM DTTおよび1.5%DMSOを含有する溶液にて、反応を実行した。このアッセイでの最終基質濃度は、10μm ATP(Sigma Chemicals,St Louis,MO)および300μMペプチド(HSSPHQS(PO3H2)EDEEE,American Peptide,Sunnyvale,CA)であった。反応は、30℃および20nM GSK−3βで実行した。この結合酵素系の成分の最終濃度は、2.5mMのホスホエノールピルビン酸、300μMのNADH、30μg/mlのピルビン酸キナーゼおよび10μg/mlの乳酸デヒドロゲナーゼであった。
【0201】
ATPおよび対象試験化合物以外の上で挙げた試薬の全てを含有させて、アッセイストック緩衝液を調製した。このアッセイストック緩衝液(175μl)を、96ウェルプレートにて、0.002μM〜30μMに及ぶ最終濃度で、30℃で、対象試験化合物5μlと共に、10分間インキュベートした。典型的には、娘プレートにて、これらの試験化合物のDMSOでの連続希釈物を(10mMの化合物ストックから)調製することにより、12ポイント滴定を実行した。その反応は、20μlのATPを加えることにより、開始した(最終濃度20μM)。30℃で、10分間の読み取り時間にわたって、Molecular Devices Spectramaxプレートリーダー(Sunnyvale,CA)を使用して、反応速度を得た。インヒビター濃度の関数として、その速度データから、Ki値を決定した。
【0202】
上記GSK−3阻害アッセイでは、試験した本発明の化合物の多くは、1マイクロモル未満のKi値を生じることが分かった。
【0203】
(Rock阻害アッセイ)
標準結合酵素系(Foxら、(1998) Protein Sci.7,2249)を使用して、化合物を、それらがROCKを阻害する能力について、スクリーニングした。100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl2、25mM NaCl、1mM DTTおよび1.5%DMSOを含有する溶液にて、反応を実行した。このアッセイでの最終基質濃度は、13μm ATP(Sigma Chemicals)および200μMペプチド(KKRNRTLSV,American Peptide,Sunnyvale,CA)であった。アッセイは、30℃および200nMのROCKで、実行した。この結合酵素系の成分の最終濃度は、2.5mMのホスホエノールピルビン酸、400μMのNADH、30μg/mlのピルビン酸キナーゼおよび10μg/mlの乳酸デヒドロゲナーゼであった。
【0204】
ROCK、DTTおよび対象試験化合物以外の上で挙げた試薬の全てを含有させて、アッセイストック緩衝液を調製した。試験反応物56μlを、384ウェルプレートに入れ、続いて、この試験化合物を含有する2mM DMSOストック(1μl)を加えた(最終化合物濃度、30μM)。このプレートを、30℃で、約10分間予備インキュベートし、そして酵素10μl(最終濃度、10nM)を加えることにより、その反応を開始した。30℃で、5分間の読み取り時間にわたって、BioRad Ultramarkプレートリーダー(Hercules,CA)を使用して、反応速度を得た。DMSOを含有するが化合物を含有しない標準ウェルと対比して50%より高い阻害を示す化合物を滴定し、類似のプロトコルを使用して、IC50値を決定した。
【0205】
上記ROCK阻害アッセイでは、本発明の特定の化合物を試験したところ、ROCKキナーゼを阻害することが分かった。
【0206】
本発明者らは、本発明の多数の実施形態を記述しているものの、本発明者らの基本的な実施例は、他の実施形態(これらは、本発明の化合物および方法を利用する)を提供するように変更できることが明らかである。従って、本発明の範囲は、特定の実施形態(これらは、一例として、表わされている)よりもむしろ、添付の特許請求の範囲で規定されるべきであることが理解できるはずである。
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2001年4月20日に出願された米国仮特許出願第60/205,217号から優先権を主張しており、その内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、医薬品化学の分野であり、プロテインキナーゼンヒビターである化合物、該化合物を含有する組成物、およびそれらの使用方法に関する。さらに特定すると、これらの化合物は、GSK−3のインヒビターであり、GSK−3インヒビターで改善される疾患または状態(例えば、糖尿病およびアルツハイマー病)を処置するかその重篤度を軽減するのに有用である。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
新しい治療薬の研究は、近年、標的疾患に関連した酵素および他の生体分子の構造をよく理解することにより、非常に促進されている。広範囲な研究の対象となっている1つの重要な種類の酵素には、プロテインキナーゼがある。
【0004】
プロテインキナーゼは、細胞内のシグナル伝達を媒介する。それらは、ヌクレオシド三リン酸からシグナル伝達経路に関与しているタンパク質アクセプターへのホスホリルの移動に影響を与えることにより、これを行う。伝達経路を通って細胞外および他の刺激による種々の細胞応答が細胞の内側で起こるようにする多数のキナーゼおよび経路が存在している。このような刺激の例としては、環境および化学ストレス信号(例えば、浸透圧ショック、熱ショック、紫外線照射、菌体内毒素、H2O2)、サイトカイン(例えば、インターロイキン−1(IL−1)および腫瘍壊死因子α(TNF−α))、および成長因子(例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)ならびに線維芽細胞成長因子(FGF))が挙げられる。細胞外刺激は、細胞の成長、移動、分化、ホルモンの分泌、転写因子の活性化、筋肉の収縮、グルコースの代謝、タンパク質合成の制御および細胞系の調節に関連した1種またはそれ以上の細胞応答に影響し得る。
【0005】
多くの疾患状態は、プロテインキナーゼ媒介事象により誘発される異常な細胞応答に関連している。これらの疾患としては、自己免疫疾患、炎症疾患、代謝疾患、神経疾患および神経変性疾患、癌、心血管疾患、アレルギーおよび喘息、アルツハイマー病およびホルモン関連疾患が挙げられる。従って、医薬品化学において、治療薬として有効なプロテインキナーゼンヒビターを発見する相当な努力がなされている。
【0006】
グリコーゲンシンターゼキナーゼ(GSK−3)は、セリン/スレオニンプロテインキナーゼであり、これは、αおよびβアイソフォームから構成され、これらは、別個の遺伝子でコード化されている[Coghlanら、Chemistry & Biology,7,793〜803(2000);KimおよびKimmel,Curr.Opinion Genetics Dev.,10,508〜514(2000)]。GSK−3は、糖尿病、アルツハイマー病、CNS障害(例えば、躁鬱障害および神経変性疾患および心筋細胞肥大)を含めた種々の疾患に関与している[WO99/65897;WO00/38675;およびHaqら、J.Cell Biol.,(2000)151,117]。これらの疾患は、GSK−3が一定の役割を果たす特定の細胞シグナル伝達経路の異常な操作により引き起こされ得るか、そのような異常な操作を招き得る。GSK−3は、多数の調節タンパク質の活性をリン酸化して変調することが発見されている。これらには、グリコーゲンシンターゼ(これは、グリコーゲン合成に必要な速度制限酵素である)、微小管関連タンパク質Tau、遺伝子転写因子β−カテニン、翻訳開始因子e1F2Bだけでなく、ATPクエン酸融解酵素アキシン、熱ショック因子−1、c−Jun、c−Myc、c−Myb、CREBおよびCEPBαが挙げられる。これらの異なる標的は、細胞の代謝、増殖、分化および発生の多くの局面において、GSK−3と関係する。
【0007】
II型糖尿病の処置に関連しているGSK−3媒介経路では、インシュリン誘発シグナル伝達は、細胞グルコースの摂取およびグリコーゲンの合成を引き起こす。この経路に沿って、GSK−3は、このインシュリン誘発シグナルの負の制御因子である。通常、インシュリンが存在していると、グリコーゲンシンターゼのGSK−3媒介リン酸化および不活性化の阻害を生じる。GSK−3を阻害すると、グリコーゲンの合成およびグルコースの摂取が増大する[Kleinら、PNAS,93,8455−9(1996);Crossら、Biochem.J.,303,21〜26(1994);Cohen,Biochem.Soc.Trans.,21,555〜567(1993);Massillonら、Biochem J.299,123〜128(1994)]。しかしながら、インシュリン応答が損なわれた糖尿病患者では、グリコーゲンの合成およびグルコースの摂取は、インシュリンの血液レベルが比較的に高いにもかかわらず、増大しない。これにより、急性または慢性の影響を伴って、血糖値が異常に高くなり、最終的には、心血管疾患、腎不全および失明を引き起こし得る。このような患者では、GSK−3の正常なインシュリン誘発阻害が起こらない。また、II型糖尿病の患者では、GSK−3は、過剰発現されることが報告される[WO00/38675]。従って、GSK−3の治療的な阻害は、インシュリンの応答が損なわれた糖尿病患者を処置するのに有用となる可能性がある。
【0008】
GSK−3活性はまた、アルツハイマー病と関連している。この疾患は、周知のβ−アミロイドペプチドおよび細胞内神経原線維変化の形成により、特徴付けられる。この神経原線維変化は、リン酸化過剰のTauタンパク質を含有し、この場合、Tauは、異常な部位でリン酸化されている。GSK−3は、細胞モデルおよび動物モデルにおける異常部位をリン酸化することが明らかとなっている。さらに、GSK−3の阻害は、細胞にあるTauのリン酸化を阻止することが明らかとなっている[Lovestoneら、Current Biology,4,1077−86(1994);Brownleesら、Neuroreport 8,3251−55(1997)]。従って、GSK−3活性は、神経原線維変化の発生およびアルツハイマー病の進行を促進し得ると考えられている。
【0009】
GSK−3の別の基質は、β−カテニンであり、これは、GSK−3によるリン酸化後、分解される。精神分裂病の患者では、β−カテニンのレベルが低下していることが報告されており、これはまた、神経細胞死の増大に関係している他の疾患と関連している[Zhongら、Nature,395,698〜702(1998);Takashimaら、PNAS,90,7789−93(1993);Peiら、J.Neuropathol.Exp,56,70〜78(1997);Smithら、Bioorg.Med.Chem.11、635−639(2001)]。最近では、GSK−3の阻害は、インビトロでの神経細胞死を防止することが明らかとなっており、虚血ストレスにより引き起こされる神経細胞死経路に関係しており(Crossら、J.Neurochemistry,2001,77,94〜102;Sasakiら、Neurological Research,2001,23,588〜592)、これは、脳卒中の処置における標的としてのGSK−3に関係している。
【0010】
最近では、GSK−3の低分子インヒビターが報告されている[WO 99/65897(Chiron)およびWO 00/38675(SmithKline Beecham)]。
【0011】
別の目的のキナーゼには、Rhoに関連したコイルドコイル形成キナーゼ(ROCK)がある[Ishizakiら、EMBO J.1996,15,1885〜1893]。ROCKキナーゼは、160kDaのセリン/スレオニンキナーゼであり、これは、低分子G−タンパク質RhoAを活性化する。ROCKは、多数の疾患に関係しており、これには、高血圧症[Chitaleyら、Curr Hypertens Rep 2001 Apr;3(2):139−44;Uehataら、Nature,1997,389,990〜994]、勃起障害[Chitaleyら、Nature Medicine,2001,7,119〜122]、新脈管形成[Uchidaら、Biochem Biophys Res Commun 2000,269(2),633−40]、神経再生[Bitoら、Neuron,2000,26,431〜441]、転移[Takamuraら、Hepatology,2001,33,577〜581;Gendaら、Hepatology,1999,30,1027〜1036]、緑内障[Raoら、Invest Ophthalmol Vis Sci 2001,42,1029−37]、炎症[Ishizukiら、J.Immunol.,2001,167,2298〜2304]、動脈硬化症[Smimokawaら、Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.,2000,11,2351〜2358]、免疫抑制[Louら、J.Immunol.,2001,167,5749〜5757]、再狭窄[Seaholtzら、Circ.Res.,1999,84,1186〜1193]、喘息[Yoshiiら、Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.,1999,20,1190〜1200]、および心臓肥大[Kuwaharaら、FEBS Lett.,1999,452,314〜318]が挙げられる。
【0012】
ヒトの疾患を処置する新しい治療薬を発見することが、引き続いて必要とされている。プロテインキナーゼであるGSK−3(特に、GSK−3β)およびROCKキナーゼは、糖尿病、アルツハイマー病および種々の他の疾患において重要な役割を果たすことから、新しい処置の開発に特に魅力的な標的である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の説明)
現在、本発明の化合物およびこれらの化合物を含有する薬学的に受容可能な組成物が、プロテインキナーゼンヒビター、特に、GSK−3のインヒビターとして有効であることが発見された。従って、本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体に関する:
【0014】
【化8】
ここで、
Xは、酸素またはイオウである;
Yは、−S−、−O−または−NR1−である;
R1は、R、CO2R、C(O)R、CON(R)2、SO2R、SO2N(R)2、または必要に応じて置換した5員〜7員の単環式または8員〜10員の二環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜3個のヘテロ原子を有し、これらのヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される;
各Rは、独立して、水素または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基から選択される;
R2は、R、N(R)2、OR、SR、C(O)R、CO2R、C(O)N(R)2、NRN(R)2、NRCOR、NRCO2(C1〜6脂肪族)、NRSO2(C1〜6脂肪族)、S(O)(C1〜6脂肪族)、SO2R、SO2N(R)2、または必要に応じて置換した5員〜7員の単環式または8員〜10員の二環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択されるか、または
(a)Yが−NR1−のとき、R1およびR2は、一緒になって、飽和、部分不飽和または完全不飽和の4員〜9員の単環式または二環式環を形成し、該環は、−NR1−の窒素に加えて、1個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、酸素またはイオウから選択され、ここで、R1およびR2により形成されたこの環は、必要に応じて、1個〜2個のR6で置換されている;または
(b)R2およびR3は、一緒になって、飽和、部分不飽和または完全不飽和の5員〜9員の単環式または二環式環を形成し、該環は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、酸素またはイオウから選択され、ここで、R2およびR3により形成されたこの環は、必要に応じて、1個〜2個のR6で置換されている;
R3は、R、CN、ハロゲン、NO2またはQ(n)R5から選択され、ここで、nは、0または1から選択される;
Qは、C1〜4直鎖または分枝アルキリデン鎖であり、ここで、Qの2個までの非隣接メチレン単位は、必要に応じて、独立して、O、S、NR、C(O)、CO2、CONR、OC(O)NR、NRCO、NRCO2、NRCONR、S(O)、SO2、NRSO2またはSO2NRで置換される;
R4は、R、N(R)2、NRCOR、NRCO2R、または必要に応じて置換した5員〜7員の単環式または8員〜10員の二環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、この環は、0個〜3個のヘテロ原子を有し、これらのヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される;
R5は、Rまたは必要に応じて置換した5員〜14員の単環式、二環式または三環式の芳香族の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、この環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、これらのヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される;そして
各R6は、独立して、R、オキソ、ハロゲン、CN、C(O)R、CO2R、SO2R、OR、SR、N(R)2、NRC(O)R、C(O)N(R)2、NRCO2R、OC(O)N(R)2、NRSO2RまたはSO2NRから選択される。
【0015】
特に明記しない限り、本明細書中で使用する以下の定義を適用する。
【0016】
用語「必要に応じて置換した」とは、「置換または非置換」との用語と交換可能に使用される。これらの用語の各々は、1個以上の水素原子が他の部分で置換される必要性ではなく可能性を意味する。任意の置換基がその定義内で水素原子を含有するとき、水素原子は、このような置換の選択肢としては、明確に排除されることが理解できるはずである。
【0017】
本明細書中で使用する「脂肪族」または「脂肪族基」との用語は、直鎖または分枝鎖C1〜C12炭化水素鎖(これは、完全に飽和されているか、または1個以上の不飽和単位を含有する)または単環式C3〜C8炭化水素または二環式C8〜C12炭化水素(これは、完全に飽和されているか、または1個またはそれ以上の不飽和単位を含有する)であるが、芳香族ではなく(これはまた、本明細書中にて、「炭素環式」または「シクロアルキル」とも呼ぶ)、これは、分子の残りと単一の結合点を有し、ここで、その二環式の環系にある任意の個々の環は、3員〜7員を有する。例えば、適切な脂肪族基としては、直鎖または分枝のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、およびそれらのハイブリッド(例えば、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキル)アルケニル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
用語「アルキル」、「アルケニル」および「アルキニル」は、単独で、またはそれより大きい部分の一部として使用され、1個〜12個の炭素原子を含有する直鎖および分枝鎖の両方を含み、これは、アルケニルの場合、少なくとも2個の炭素原子および1個の二重結合を含有し、また、アルキニルの場合、少なくとも2個の炭素原子および1個の三重結合を含有する。
【0019】
用語「アルキリデン鎖」は、直鎖または分枝炭素鎖であって、完全に飽和であり得るかまたは1個以上の不飽和単位を有し得かつ分子の残りと2個の結合点を有するものを意味する。
【0020】
用語「ハロ」および「ハロゲン」は、単独で、またはそれより大きい部分の一部として使用されるが、F、Cl、BrまたはIを意味する。
【0021】
用語「メチレン基」または「メチレン単位」は、脂肪族またはアルキリデンに存在している任意の−CH2−部分を意味し、これには、脂肪族中の末端−CH3基の−CH2−部分が挙げられる。
【0022】
用語「ヘテロ原子」は、窒素、酸素または硫黄を意味し、そして窒素および硫黄の任意の酸化形態、および任意の塩基性窒素の四級化形態を含む。
【0023】
用語「アリール」は、単独で、または「アラルキル」のようなそれより大きい部分の一部として使用されるが、全部で5員環〜14員環を有する単環式、二環式および三環式の環系を意味し、ここで、この系内の各環は、3員環〜7員環を含有する。用語「アリール」は、用語「アリール環」と交換可能に使用され得る。用語「アリール」はまた、「ヘテロアリール」環を意味する。
【0024】
用語「ヘテロアリール」は、単独で、または「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアリールアルコキシ」のようなそれより大きい部分の一部として使用され、全部で5員環〜14員環を有する単環式、二環式および三環式の環系を意味し、ここで、この系内の少なくとも1個の環は、芳香族であり、この系内の少なくとも1個の環は、1個以上のヘテロ原子を含有し、ここで、この系内の各環は、3員環〜7員環を含有する。用語「ヘテロアリール」は、用語「ヘテロアリール環」または用語「ヘテロ芳香族」と交換可能に使用され得る。
【0025】
用語アリールおよびヘテロアリールとしては、フェニル、ベンジル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントラシルおよび2−アントラシル、2−フラニル、3−フラニル、N−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、2−オキサジアゾリル、5−オキサジアゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ピリミジル、3−ピリダジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、5−テトラゾリル、2−トリアゾリル、5−トリアゾリル、2−チエニルまたは3−チエニルのような環が挙げられる。
【0026】
炭素環式芳香族環またはヘテロアリール環が1個以上の他の環に縮合した縮合多環式芳香族環系の例としては、テトラヒドロナフチル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、インドリル、キノリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、イソインドリル、アクリジニル、ベンゾイソキサゾリルなどが挙げられる。また、本明細書中で使用する用語「アリール」の範囲内には、1個以上の炭素環式芳香族環および/またはヘテロアリール環がシクロアルキル環または非芳香族複素環式環に縮合した基、例えば、インダニル、1−フタルイミジニル、ベンゾキサン、ベンゾトリアゾール−1−イル、ベンゾピロリジン、ベンゾピペリジン、ベンゾキソラン、ベンゾチオラン、ベンゾチアンまたはテトラヒドロベンゾピラニルが含まれる。
【0027】
本明細書中で使用する用語「複素環」、「ヘテロシクリル」または「複素環式環」は、5員環〜14員環を有する非芳香族の単環式、二環式または三環式の環系であって、1員環以上がヘテロ原子であるものを意味し、ここで、この環系内の各環は、3員環〜7員環を含有する。例としては、3−1H−ベンズイミダゾール−2−オン、3−1H−アルキル−ベンズイミダゾール−2−オン、2−テトラヒドロフラニル、3−テトラヒドロフラニル、2−テトラヒドロチオフェニル、3−テトラヒドロチオフェニル、2−モルホリノ、3−モルホリノ、4−モルホリノ、2−チオモルホリノ、3−チオモルホリノ、4−チオモルホリノ、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、4−チアゾリジニル、ジアゾロニルおよびN−置換ジアゾロニルが挙げられる。
【0028】
アリール基(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキルなどを含む)またはヘテロアリール基(ヘテロアラルキルおよびヘテロアリールアルコキシなどを含む)は、1個以上の置換基を含有し得る。アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基またはヘテロアラルキル基の不飽和炭素原子上の適切な置換基は、ハロゲン、−R0、−OR0、−SR0、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、必要に応じてR0で置換したフェニル(Ph)、必要に応じてR0で置換した−O(Ph)、必要に応じてR0で置換した−CH2(Ph)、必要に応じてR0で置換した−CH2CH2(Ph)、−NO2、−CN、−N(R0)2、−NR0C(O)R0、−NR0C(O)N(R0)2、−NR0CO2R0、−NR0NR0C(O)R0、−NR0NR0C(O)N(R0)2、−NR0NR0CO2R0、−C(O)C(O)R0、−C(O)CH2C(O)R0、−CO2R0、−C(O)R0、−C(O)N(R0)2、−OC(O)N(R0)2、−S(O)2R0、−SO2N(R0)2、−S(O)R0、−NR0SO2N(R0)2、−NR0SO2R0、−C(=S)N(R0)2、−C(=NH)−N(R0)2または−(CH2)yNHC(O)R0から選択され、ここで、各R0は、独立して、水素、必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基、非置換5員〜6員ヘテロアリール環または複素環、フェニル、−O(Ph)または−CH2(Ph)から選択される。R0の脂肪族基上の任意の置換基は、NH2、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)2、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO2、CN、CO2H、CO2(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロC1〜4脂肪族から選択され、ここで、各R0は、水素、必要に応じて置換されたC1〜6脂肪族、非置換5〜6員のヘテロアリール環または複素環式環、フェニル、−O(Ph)、あるいは−CH2(Ph)から独立して選択される。R0のしぼうぞくにおける任意の置換基は、NH2、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)2、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO2、CN、CO2H、CO2(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロC1〜4脂肪族から選択され、ここで、各C1〜4脂肪族は、非置換である。
【0029】
脂肪族基または非芳香族複素環式環は、1個以上の置換基を含有し得る。脂肪族基または非芳香族複素環式環の飽和炭素上の適切な置換基は、アリール基またはヘテロアリール基の不飽和炭素について上で列挙したものおよび以下から選択される:=O、=S、=NNHR*、=NN(R*)2、=NNHC(O)R*、=NNHCO2(アルキル)、=NNHSO2(アルキル)または=NR*であって、ここで、各R*は、水素または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族から独立して選択される。R*の脂肪族基上の任意の置換基は、NH2、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)2、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO2、CN、CO2H、CO2(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロ(C1〜4脂肪族)から選択され、ここで、各C1〜4脂肪族は、非置換である。
【0030】
非芳香族複素環式環の窒素上の任意の置換基は、−R+、−N(R+)2、−C(O)R+、−CO2R+、−C(O)C(O)R+、−C(O)CH2C(O)R+、−SO2R+、−SO2N(R+)2、−C(=S)N(R+)2、−C(=NH)−N(R+)2または−NR+SO2R+から選択される;ここで、R+は、水素、必要に応じて置換したC1〜6脂肪族、必要に応じて置換したフェニル、必要に応じて置換した−O(Ph)、必要に応じて置換した−CH2(Ph)、必要に応じて置換した−CH2CH2(Ph)、または非置換5員〜6員ヘテロアリール環または複素環式環である。R+の脂肪族基またはフェニル環上の任意の置換基は、NH2、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)2、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO2、CN、CO2H、CO2(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロ(C1〜4脂肪族)から選択され、ここで、各C1〜4脂肪族基は、置換されていない。
【0031】
置換基または改変体の組合せは、このような組合せが安定な化合物または化学的に実現可能な化合物を生じる場合にのみ、許容できる。安定な化合物または化学的に実現可能な化合物とは、水分または他の化学的に反応性の状態なしで、少なくとも1週間にわたって、40℃以下の温度で保ったとき、実質的に変化しないものである。
【0032】
本発明の特定の化合物が互変異性形態を示し得、これらの化合物のこのような互変異性形態の全てが本発明の範囲内であることは、当業者に明らかである。
【0033】
特に指定のない限り、本明細書中で描写した構造はまた、これらの構造の全ての立体化学形態(すなわち、各非対称中心に対するR形態およびS形態)を含むことを意味する。従って、本発明の化合物の単一立体化学異性体だけでなく、鏡像異性体およびジアステレオマーの混合物も、本発明の範囲内である。特に指定のない限り、本明細書中で描写した構造はまた、1個以上の同位体的に富んだ原子の存在だけが異なる化合物を含むことを意味する。例えば、水素を重水素もしくは三重水素で置換したこと以外または炭素を13Cまたは14Cに富んだ炭素で置換したこと以外は本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。
【0034】
式Iの好ましいR1基は、R、C(O)R、C(O)N(R)2、SO2R、CO2R、または必要に応じて置換した5員〜6員の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択され、ここで、各Rは、上で定義したとおりである。 式Iのさらに好ましいR1基は、水素、メチル、エチル、i−プロピル、i−ブチル、フェニル、CH2CH2(モルホリン−4−イル)、CH2CH2フェニル、CH2フェニル、COMe、CONH2、CH2CONH2、SO2Me、CH2SO2NH2、CO2Etまたはシクロプロピルから選択される。
【0035】
式Iの好ましいR2基は、R、N(R)2、OR、SR、C(O)R、CO2R、C(O)N(R)2、NRN(R)2、NRC(O)R、SO2R、または必要に応じて置換した5員〜7員の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される。式Iのさらに好ましいR2基は、水素、メチル、エチル、i−プロピル、i−ブチル、CF3、フェニル、CH2CH2NH2、NH2、NHC(O)CH3、CH2CH2NHC(O)OCH2フェニル、SCH3、SO2CH3、NHCH3、SEt、CH2フェニル、Oi−プロピル、モルホリン−4−イル、ピペリジン−1−イル、4−メチル−ピペリジン−1−イル、チオモルホリン−4−イル、ピロリジン−1−イル、チアゾール−3−イル、オキサゾール−3−イル、アゼピン−1−イル、N(Me)2、NHi−プロピル、NHプロピル、NHi−ブチル、NHシクロペンチル、NH−シクロヘキシル、NHCH2フェニル、NHSO2CH3、NHNH2、N(Me)プロピル、NH−シクロプロピル、NHCH2シクロヘキシル、NHCH2CH2CH(CH3)2またはNHCH2CH2イミダゾール−4−イルから選択される。
【0036】
Yが−NR1−でありR2およびR1が一緒になって環を形成するとき、R2およびR1により形成される好ましい環は、必要に応じて置換した5員〜8員の飽和、部分不飽和または芳香族環から選択され、該環は、R1の窒素に加えて、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される。R2およびR1により形成されるさらに好ましい環は、シクロペント環、シクロヘキソ環、シクロヘプト環、ベンゾ環、ピリド環、ピリダゾ環、オキサシクロヘプト環、テトラヒドロアゼピノ環またはチアシクロヘプト環から選択される。R2およびR1により形成される環がR6で置換されるとき、好ましいR6置換基は、R、OR、N(R)2、オキソ、ハロゲン、NRCO2RまたはNRC(O)Rから選択される。さらに好ましいR6基は、NH2、メチル、OCH3、NHCOCH3、NHCO2CH3またN(Me)2である。
【0037】
式Iの好ましいR3は、R、CNまたはQ(n)R5から選択され、ここで、nは、0または1であり、Qは、C1〜4アルキリデン鎖から選択され、ここで、Qの1個のメチレン単位は、必要に応じて、O、S、NR、C(O)、CO2、CONR、NRC(O)、NRC(O)NR、SO2またはNRSO2で置き換えられ、そしてR5は、Rまたは必要に応じて置換した5員〜7員の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される。式Iのさらに好ましいR3基は、水素、CN、CO2H、CH2CN、メチル、CH2CONH2、CH2CO2CH3、−C≡CH、C(O)CH3、CH2CH2CN、CH2CH2CH2NH2、水素、CH2CO2H、CO2Et、CH2SO2CH3、CH2NHSO2CH3、C(O)NH2、CH2NHC(O)CH3、CH2CH2OH、C(O)CH2CH3、オキサジアゾリル、NH2、NHC(O)CH3、NHSO2CH3、NHCO2CH3、テトラゾリル、C(O)ピペリジン−1−イル、C(O)モルホリン−4−イル、C(O)チオモルホリン−4−イル、C(O)−4−メチルピペラジン−1−イル、C(O)NHCH2フェニル、CH2NHCONH2、CH2NHS)2フェニル、トリアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、C(O)NH−チアゾール−2−イル、C(O)NH−ピラゾール−3−イルまたはC(O)NHC(CH3)3から選択される。
【0038】
式Iの好ましいR4基は、R、N(R)2、または必要に応じて置換した5員〜6員の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される。式Iのさらに好ましいR4は、水素、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、CF3、フェニル、NH2、CH2フェニルまたはN(CH3)CH2フェニルから選択される。
【0039】
本発明の1実施形態は、Yが−NR1−である式Iの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体に関し、これは、式IIで表わされる:
【0040】
【化9】
ここで、R1、R2、R3、R4およびXは、式Iについて上で定義したとおりである。
【0041】
式IIの好ましいR1基、R2基、R3基およびR4基には、式Iの化合物について上で記述したものがある。
【0042】
式IIのさらに好ましい化合物は、以下からなる群から選択される1つ以上の特徴、さらに好ましくは、全部の特徴を有する:
(a)R1は、R、C(O)R、C(O)N(R)2、SO2R、CO2R、または必要に応じて置換した5員〜6員の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される;
(b)R2は、R、N(R)2、OR、SR、C(O)R、CO2R、C(O)N(R)2、NRN(R)2、NRC(O)R、SO2R、または必要に応じて置換した5員〜7員の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素もしくは硫黄から選択されるか、またはR2およびR1は、一緒になって、必要に応じて置換した5員〜8員の飽和、部分不飽和または芳香族環を形成し、該環は、R1の窒素に加えて、0個〜1個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される;
(c)R3は、R、CNまたはQ(n)R5から選択され、ここで、nは、0または1であり、Qは、C1〜4アルキリデン鎖から選択され、ここで、Qの1個のメチレン単位は、必要に応じて、O、S、NR、C(O)、CO2、CONR、NRC(O)、NRC(O)NR、SO2またはNRSO2で置き換えられ、そしてR5は、Rまたは必要に応じて置換した5員〜7員の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される;そして
(d)R4は、R、N(R)2、または必要に応じて置換した5員〜6員の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される。
【0043】
本実施形態の1局面は、R1およびR2が一緒になって環を形成した式IIの化合物に関する。R1およびR2により形成された環が1個のヘテロ原子(R1が結合した窒素)を含有する式IIの化合物は、式II−Aにより表わされるかまたはそれらの薬学的に受容可能な誘導体である:
【0044】
【化10】
ここで、yは、0〜4であり、そしてR3、R4、XおよびR6は、上で定義したとおりである。
【0045】
式II−Aの好ましいR3基、R4基、X基およびR6基には、式Iの化合物について上で記載したものがある。R1およびR2により形成された環は、好ましくは、5員〜8員環である(yは、1〜4である)。
【0046】
式II−Aの化合物の代表的な例は、表1にて、以下で示す。
【0047】
(表1、化合物II−Aの例)
【0048】
【化11】
【0049】
【表1】
本実施形態の別の局面は、R1およびR2がそれぞれ非環式置換基である式IIの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体に関し、該化合物は、本明細書中では、式II−Bの化合物と呼ぶ:
【0050】
【化12】
ここで、R1、R2、R3、R4およびXは、式Iについて上で定義したとおりである。
【0051】
式II−Bの好ましいR1基、R2基、R3基およびR4基には、式Iの化合物について上で記載したものがある。
【0052】
式II−Bの化合物の代表的な例は、表2にて、以下で示す。
【0053】
(表2、化合物II−Bの例)
【0054】
【表2】
本発明の別の実施形態は、R1およびR2が一緒になってジヒドロピリド環を形成した式Iの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体に関し、この化合物は、以下の式II−Cで表わされる:
【0055】
【化13】
ここで、R3、R4、R6およびXは、式Iについて上で定義したとおりである。
【0056】
式II−Cの好ましいR3基、R4基およびR6基には、式Iの化合物について上で記述したものがある。
【0057】
本発明の別の実施形態は、式II−Dの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体に関する:
【0058】
【化14】
ここで、X、R3およびR4は、上で記述したとおりであり、yは、1〜3であり、そしてW−Vは、CH2−NH、CH2−O、CH2−S、NH−CH2、O−CH2、S−CH2、N=CHまたはCH=Nから選択される。W−Vを有する環上の任意の炭素上の好ましい置換基は、C1〜4脂肪族、=O、−OR、−CN、−CO2R、−COR、−SO2R、−C(=O)N(R)2から選択される。W−Vを有する環上の適切な原子価の任意の窒素上の好ましい置換基は、C1〜4脂肪族、CO(C1〜4脂肪族)、CO2(C1〜4脂肪族)またはSO2(C1〜4脂肪族)から選択される。
【0059】
式II−Dの好ましいR3基およびR4基には、式Iの化合物について上で記載したものがある。
【0060】
式II−Dの化合物の具体的な例は、以下の表3で示されている。
【0061】
(表3、式II−Dの例)
【0062】
【表3】
本発明の別の実施形態は、Yが−S−である式Iの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体に関し、この化合物は、式IIIの化合物により表わされる:
【0063】
【化15】
ここで、R2、R3、R4およびXは、式Iについて上で定義したとおりである。
【0064】
式IIIの好ましいR2基、R3基およびR4基には、式Iの化合物について上で記載したものがある。
【0065】
式IIIの好ましい化合物は、以下からなる群から選択される1つ以上の特徴、好ましくは、全部の特徴を有する:
(a)R2は、R、N(R)2、OR、SR、C(O)R、CO2R、C(O)N(R)2、NRN(R)2、NRC(O)R、SO2R、または必要に応じて置換した5員〜7員の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される;
(b)R3は、R、CNまたはQ(n)R5から選択され、ここで、nは、0または1であり、Qは、C1〜4アルキリデン鎖から選択され、ここで、Qの1個のメチレン単位は、必要に応じて、O、S、NR、C(O)、CO2、CONR、NRC(O)、NRC(O)NR、SO2またはNRSO2で置き換えられ、そしてR5は、Rまたは必要に応じて置換した5員〜7員の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される;および
(c)R4は、R、N(R)2、または必要に応じて置換した5員〜6員の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される。
【0066】
式IIIの化合物の具体的な例は、以下の表4で示されている。
【0067】
(表4、式IIIの化合物の例)
【0068】
【表4】
化合物III−40は、R2およびR3が一緒になって必要に応じて置換した縮合環を形成する化合物の一例である。
【0069】
さらに別の実施形態によれば、本発明は、式IVの化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体に関する:
【0070】
【化15A】
ここで、
Xは、酸素またはイオウであり;
Yは、−S−または−NR1−であり;
R1は、R、CO2R、C(O)R、CON(R)2、SO2R、SO2N(R)2、または必要に応じて置換した5員〜7員の単環式または8員〜10員の二環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和環から選択され、該環は、0個〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択され;
各Rは、独立して、水素または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基から選択される;
R2は、R、N(R)2、OR、SR、C(O)R、CO2R、C(O)N(R)2、NRN(R)2、NRCOR、NRCO2(C1〜6脂肪族)、NRSO2(C1〜6脂肪族)、S(O)(C1〜6脂肪族)、SO2R、SO2N(R)2、または必要に応じて置換した5員〜7員の単環式または8員〜10員の二環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和環系から選択され、該環は、0個〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択されるか、または:
Yが−NR1−のとき、R1およびR2は、一緒になって、飽和、部分不飽和または完全不飽和の4員〜9員の単環式または二環式環を形成し、該環は、−NR1−の窒素に加えて、1個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択され、ここで、R1およびR2により形成された該環は、必要に応じて、1個〜2個のR6で置換されているか;または
R5は、Rまたは必要に応じて置換した5員〜14員の単環式芳香族、二環式芳香族もしくは三環式芳香族の飽和、部分不飽和または和環から選択され、該環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択され;そして
各R6は、独立して、R、オキソ、ハロゲン、CN、C(O)R、CO2R、SO2R、OR、SR、N(R)2、NRC(O)R、C(O)N(R)2、NRCO2R、OC(O)N(R)2、NRSO2RまたはSO2NRから選択され;
但し、もし、R1およびR2が、一緒になって、5員〜7員縮合環を形成するなら、この縮合環は、1個より多いヘテロ原子を含有する。
【0071】
式IVの好ましいR1基およびR2基には、式Iの化合物について上で記載したものがある。
【0072】
本発明の化合物は、以下で記載する合成例を参照して、類似の化合物についての以下の公知方法により、公知の出発物質から調製され得る。本発明の化合物を製造するのに有用な参考文献には、以下が挙げられる:Kadushkin,A.V.ら、Pharm.Chem.J.,(1994)28(11),792〜798; Kadushkin,A.V.ら、Pharm.Chem.J.,(1990)24(12),875〜881;Granik,V.G.ら、Chemistry of Heterocyclic Compounds(1982)18(4),321;Kadushkin,A.V.ら、Chem.Heterocycl.Compd.(English Translation),(1991)27(3),283〜287;Stezhko,T.V.ら、Pharm.Chem.J.(Eng.Translation),(1985),18(3),154〜161; Kadushkin,A.V.ら、Chem.Heterocycl.Compd.(English Translation),(1988),23(12),1297〜1301;Kadushkin,A.V.ら、Pharm.Chem.J.,(1987),21(5),317〜322。
【0073】
(図式I)
【0074】
【化16】
試薬および条件:(a)R4CN、酸触媒;(b)R4COCl;(c)NaOEt、還流;(d)i)POCl3、Et3N・HCl、100℃;ii)チオ尿素、トルエン、100℃。
【0075】
上記図式Iは、本発明の特定の化合物を調製する代替経路を示し、ここで、R4は、脂肪族基、アリール基またはアラルキル基である。R4がNH2である化合物を調製するために、化合物11は、シアナミドで処理される。非置換R4アミノ基は、本発明のさらに別の化合物を提供するために、誘導体化され得る。例えば、II−A(X=O)(ここで、R4は、非置換アミノ基である)をR−CHOで処理することに続いてNaBH4またはR−COClで処理すると、II−Aが得られ、ここで、R4は、それぞれ、NH−RまたはNH−CORである。
【0076】
(図式II)
【0077】
【化17】
試薬および条件:(a)[(CH3)3Si]2NH、触媒(CH3)3SiCl、キシレン、還流;(b)Cbz−Cl、(c)CH2(CN)2。
【0078】
上記図式IIは、式II−Aの化合物(ここで、R1およびR2により形成された7員縮合環は、置換されている)に至る一般経路を示す。この経路は、リシン(14)で出発して図示されており、アミノ置換II−A50を提供する。リシンは、式II−Aの他の化合物(ここで、R1およびR2は、種々の基で置換された7員環を形成する)を調製するために、他の(置換)−6−アミノカプロン酸で置き換えられ得ることが当業者に明らかである。II−A52の調製は、この7員環上の他の置換基を導入する一般経路を示す。
【0079】
(図式III)
【0080】
【化18】
試薬および条件:(a)POCl3、トルエン、加熱;(b)CH2(CN)2、Et3N、CH2Cl2;(c)BrCH2CO2Me、K2CO3、DMF、加熱;(d)i)DMF−DMA、DMF、100℃;ii)NH3、MeOH、100℃;(e)i)POCl3、Et3N・HCl、100℃;ii)チオ尿素、トルエン、100℃(f)(CH3)3OBF4、CH2Cl2(g)CH2(CN)2、Et3N、還流。
【0081】
上記図式IIIは、本発明の化合物(ここで、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素または必要に応じて置換した脂肪族基から選択される)に至る一般アプローチを示す。中間体22(これは、工程a、bまたはf、gのいずれかを使用して、化合物20から調製される)から、類似の中間体から図式IまたはIIのいずれかにて上で概説した工程の対応する順序に従い、II−Bが提供され得る。
【0082】
これらの工程を実行する手順、またはそれに類似した反応は、公知である。Tamuraら、K.J.Org.Chem.(1993)、58、32を参照のこと。
【0083】
(図式IV)
【0084】
【化19】
試薬および条件:(a)i)DMF−DMA、DMF、100℃;ii)NH3、MeOH、100℃;(b)i)POCl3、Et3N・HCl、100℃;ii)チオ尿素、トルエン、100℃。
【0085】
上記図式IVは、式II−Bの化合物(ここで、R1は、アリールである)に至る経路を示す。出発物質24(ここで、R2は、水素またはメチルである)は、市販されている。上記環化により、II−B(ここで、Xは、酸素である)が得られ、これらは、式II−Bの化合物(ここで、Xは、イオウである)に容易に変換される。
【0086】
(図式V)
【0087】
【化20】
試薬および条件:(a)H2N−OSO3H、酢酸、還流;(b)CH2(CN)2。
【0088】
上記図式Vは、式II−Dの化合物(ここで、R1およびR2は、一緒になって、2個のヘテロ原子を有する7員縮合環を形成する)を調製する経路を示す。中間体27から、類似の中間体から図式IまたはIIのいずれかにて上で概説した工程の対応する順序に従い、II−Dが提供され得る。この7員環中のNHは、アシル化またはアルキル化されて、本発明のさらなる化合物を提供し得る。このNHは、それぞれ、[1,4]オキサゼパン−3−オンまたは[1,4]チアゼパン−3−オンのいずれかで出発する類似の経路により、酸素または窒素で置き換えられ得ることもまた、当業者に明らかである。
【0089】
(図式VI)
【0090】
【化21】
試薬および条件:(a)[(CH3)3Si]2NH、触媒(CH3)3SiCl、キシレン、還流;(b)CH2(CN)2。
【0091】
上記VIは、式II−Dのさらなる化合物(ここで、R1およびR2は、一緒になって、2個のヘテロ原子を含有する7員縮合環を形成する)を調製する経路を示す。中間体30から、類似の中間体から図式IまたはIIのいずれかにて上で概説した工程の対応する順序に従い、II−Dが提供され得る。
【0092】
(図式VII)
【0093】
【化22】
試薬および条件:(a)DMF−DMA、アセトニトリル、90℃;(b)酢酸、90℃;(c)Lawesson試薬;(d)Oxone(登録商標);(e)RNH2、DMF;(f)mCPBA、CH2Cl2;(g)RNH2、CH3CN、70℃。
【0094】
上記図式VIIは、本発明の化合物(ここで、Yは、−S−である)に至る経路を示す。これらの工程のための手順、またはそれと類似の反応は、文献で公知である。Briel,D.ら、J.Med.Chem.(1999)42,1849;Briel,D.ら、Pharmazie(1992)47,577〜579およびBriel,D.Pharmazie(1998)53,227を参照。
【0095】
これらの化合物を製造するのに使用される条件の詳細は、実施例で示す。当業者は、容易に合成できるか市販されている試薬を使用して、本明細書の教示に従って、本発明の他の化合物を合成し得る。
【0096】
GSK−3インヒビターとして本発明で使用される化合物の活性は、インビトロ、インビボまたは細胞株にて、アッセイされ得る。インビトロアッセイとしては、活性化したGSK−3のリン酸化活性またはATP分解酵素活性のいずれかの阻害を決定するアッセイが挙げられる。代替のインビトロアッセイは、そのインヒビターがGSK−3に結合する能力を定量化する。インヒビターの結合は、そのインヒビターを結合前に放射標識することにより、インヒビター/GSK−3複合体を単離することにより、そして結合した放射標識の量を決定することにより、測定され得る。あるいは、インヒビターの結合は、競合実験を実行することにより決定され得、この場合、新しいインヒビターは、公知の放射性リガンドに結合したGSK−3タンパク質キナーゼと共にインキュベートされる。
【0097】
他の実施形態によれば、本発明は、本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体と、薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクルとを含有する組成物または薬学的に受容可能な組成物を提供する。本発明の組成物中での化合物の量は、生物学的サンプルまたは患者において、タンパク質キナーゼ(特に、GSK−3タンパク質キナーゼ)を検出可能に阻害するのに有効な量である。好ましくは、本発明の組成物は、このような組成物が必要な患者に投与するように処方される。最も好ましくは、本発明の組成物は、患者に経口投与するように、処方される。
【0098】
本明細書中で使用する「患者」との用語は、動物、好ましくは、哺乳動物、最も好ましくは、ヒトを意味する。
【0099】
「薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクル」との用語は、共に処方される化合物の薬理学的な活性を壊さない、無毒性のキャリア、アジュバントまたはビヒクルを意味する。本発明の組成物で使用され得る薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクルには、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝液基質(例えば、リン酸塩)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、植物性飽和脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、硫酸プロタミン)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの基質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
本明細書中で使用する「検出可能に阻害する」との用語は、該組成物およびGSK−3の活性を含有するサンプルと、該組成物なしでGSK−3タンパク質キナーゼを含有する等価サンプルとの間のGSK−3タンパク質キナーゼの測定可能な変化を意味する。
【0101】
「薬学的に受容可能な塩」とは、本発明の化合物の任意の無毒性の薬学的に受容可能な塩、エステル、エステルの塩または他の誘導体であって、レシピエントに投与した際、本発明の化合物またはそれらの阻害活性な、代謝物または残留物を直接的または間接的のいずれかで提供できるものを意味する。
【0102】
本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩には、薬学的に受容可能な無機および有機の酸および塩基から誘導したものが挙げられる。適切な酸塩の例には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレートおよびウンデカン酸塩が挙げられる。他の酸(例えば、シュウ酸)は、それ自体は薬学的に受容可能ではないものの、本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製で、使用できる。
【0103】
適切な塩基から誘導した塩には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびN+(C1〜4アルキル)4塩が挙げられる。本発明はまた、本明細書中で開示した化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化を想定している。このような四級化により、水溶性もしくは油溶性または水分散性もしくはは油分散性の生成物を得ることができる。
【0104】
本発明の組成物は、経口的、非経口的に、吸入噴霧により、局所的に、直腸から、鼻から、頬から、膣から、または移植したレザバを介して、投与され得る。本明細書中で使用する「非経口的」との用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、鞘内、肝臓内、病巣内および頭蓋内の注射方法または注入方法を含める。好ましくは、これらの組成物は、腹腔内、経口的または静脈内で投与される。本発明の組成物の無菌の注射可能な形態は、水性懸濁液または油性懸濁液であり得る。これら懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて、当該技術分野で公知の技術に従って、処方できる。この無菌の注射可能な製剤はまた、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として、無毒性の非経口的に適切な希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液であり得る。使用できる受容可能なビヒクル賦形剤および溶媒には、水、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、従来、溶媒的にまたは懸濁媒体として、無菌の非揮発性油が使用されている。
【0105】
この目的には、いずれかの無刺激の非揮発性油が使用でき、これには、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドが含まれる。脂肪酸(例えば、オレイン酸)およびそのグリセリド誘導体は、天然の薬学的に受容可能なオイル(例えば、オリーブ油またはひまし油、特に、それらのポリオキシエチレン化した型)と同様に、注射可能物の調製に有用である。これらのオイル溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤(例えば、カルボキシメチルセルロース)または類似の分散剤(これらは、乳濁液または懸濁液を含めた薬学的に受容可能な投薬形態を処方する際に、通常、使用される)を含有できる。他の通常使用される界面活性剤(例えば、Tween、Spanおよび他の乳化剤)または生体利用能向上剤(これらは、薬学的に受容可能な固体、液状または他の投薬形態を製造する際に、通常使用される)もまた、処方の目的のために、使用できる。
【0106】
本発明の薬学的組成物は、いずれかの経口的に適切な投薬形態(これには、カプセル、錠剤、および水性懸濁液および水性溶液が含まれるが、それらに限定されない)で、投与できる。経口用途のための錠剤の場合には、通常使用されるキャリアには、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)もまた、典型的に添加される。カプセル形態での経口投与に有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。経口用途に水性懸濁液が必要なとき、その活性成分は、乳化剤および懸濁剤と組み合わされる。望ましいなら、ある種の甘味料、香料または着色剤を添加してもよい。
【0107】
あるいは、本発明の薬学的組成物はまた、直腸投与のための座剤の形態で投与され得る。これら組成物は、この薬剤と、適切な非刺激性の賦形剤(これは、室温で固体であるが、直腸温では液体であり、従って、直腸で溶解して活性成分を放出する)と混合することにより、調製できる。このような物質には、ココアバター、密ろうおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0108】
本発明の薬学的に受容可能な組成物はまた、特に、治療の標的が局所的な適用により容易にアクセスできる領域または器官(目、皮膚または下部腸道の疾患を含めて)を含む場合、局所的に投与できる。これらの領域または器官のそれぞれに適切な局所製剤は、容易に調製される。
【0109】
下部腸道に対する局所適用は、直腸座剤処方(上記)により、または適切な浣腸処方にて、行うことができる。局所的な皮膚間パッチもまた、使用できる。
【0110】
局所的に適用するためには、この薬学的に受容可能な組成物は、1種またはそれ以上のキャリアに懸濁するかまたは溶解した活性成分を含む適切な軟膏で、処方できる。本発明の化合物の局所投与用のキャリアには、鉱油、液状石油、ホワイト石油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、この薬学的に受容可能な組成物は、1種またはそれ以上の薬学的に適切なキャリアに懸濁するかまたは溶解した活性成分を含む適切なローションまたはクリームで処方できる。適切なキャリアには、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
眼科用途には、この薬学的に受容可能な組成物は、防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム)と共にまたはそれなしのいずれかで、pHを調整した等張性無菌生理食塩水の微細化懸濁液として、または、好ましくは、pHを調整した等張性無菌生理食塩水の溶液として、処方され得る。あるいは、眼科用途には、この薬学的に受容可能な組成物は、軟膏(例えば、ワセリン)に処方され得る。
【0112】
本発明の薬学的に受容可能な組成物はまた、鼻エアロゾルまたは鼻吸入により投与するために投与され得る。このような組成物は、製薬処方の当該技術分野で周知の技術に従って、調製され、生理食塩水中の溶液として、ベンジルアルコールまたは他の適切な防腐剤、生物学的利用能を高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の通常の可溶化剤または分散剤を使用して、調製され得る。
【0113】
最も好ましくは、本発明の薬学的に受容可能な組成物は、経口投与用に処方される。
【0114】
単一投薬形態の組成物を製造するキャリア物質と組み合わされ得る本発明の化合物の量は、処置する宿主および特定の投与様式に依存して、変わる。好ましくは、これらの組成物は、これらの組成物を受ける患者に0.01〜100mg/体重1kg/日の間の投薬量のインヒビターが投与され得るように、処方されるべきである。
【0115】
任意の特定の患者のための特定の投薬量および処置レジメンは、種々の因子(使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、常食、投与時間、排泄率、薬物の組合せ、ならびに処置する医師の判断および処置される特定の疾患の重篤度を含む)に依存することもまた理解されるべきである。この組成物中の本発明の化合物の量はまた、その組成物中の特定の化合物に依存する。
【0116】
治療または予防する特定の状態または疾患に依存して、本発明の組成物中には、その状態を治療または予防するのに通常投与される追加治療薬もまた、存在し得る。本明細書中で使用される場合、特定の疾患または状態を治療または予防するのに通常投与される追加治療薬は、「処置される疾患または状態に適切である」として、知られている。
【0117】
例えば、増殖性疾患および癌を処置するために、化学療法剤または他の抗増殖剤が本発明の化合物と併用され得る。公知の化学療法剤の例には、GleevecTM、アドリアマイシン、デキサメタゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、フルオロウラシル、トポテカン、タキソール、インターフェロンおよび白金誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
本発明の化合物がまた併用され得る他の薬剤の例には、抗炎症薬(例えば、コルチコステロイド、TNF遮断薬、IL−1 RA、アザチオプリン、シクロホスファミドおよびスルファサラジン);免疫調節剤または免疫抑制剤(例えば、サイクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチル、インターフェロン、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリンおよびスルファサラジン);神経栄養因子(例えば、アセチルコリンエステラーゼインヒビター、MAOインヒビター、インターフェロン、抗痙攣薬、イオンチャンネル遮断薬、リルゾールおよび抗パーキンソン病剤);循環器疾患の治療薬(例えば、β−遮断薬、ACEインヒビター、利尿薬、硝酸塩、カルシウムチャンネル遮断薬およびスタチン);肝臓疾患の治療薬(例えば、コルチコステロイド、コレステラミン、インターフェロンおよび抗ウイルス剤);血液疾患の治療薬(例えば、コルチコステロイド、抗白血病剤および成長因子);糖尿病の治療薬(例えば、インシュリン、インシュリン類似物、α−グリコシダーゼインヒビター、ビグアナイドおよびインシュリン感作物質);および免疫不全障害の治療薬(例えば、γ−グロブリン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
本発明の組成物中に存在する追加治療薬の量は、唯一の活性剤としてその治療薬を含有する組成物で通常投与される量以下である。好ましくは、現在開示された組成物中の追加治療薬の量は、唯一の治療活性剤としてその治療薬を含有する組成物中で通常存在する量の約50%〜100%の範囲である。
【0120】
他の実施形態によれば、本発明は、生物学的サンプルにおいて、GSK−3キナーゼ活性を阻害する方法に関し、該方法は、該生物学的サンプルを、本発明の化合物または該化合物を含有する組成物と接触させる工程を包含する。
【0121】
本明細書中で使用する場合、「生物学的サンプル」との用語は、細胞培養物またはそれらの抽出物;哺乳動物から得られる生検材料またはその抽出物;および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液、または他の体液もしくはそれらの抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
生物学的サンプルでのGSK−3タンパク質キナーゼ活性の阻害は、当業者に公知の種々の目的のために有用である。このような目的の例には、輸血、臓器移植、生物学的サンプルの保存および生物検定が挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
他の実施形態によれば、本発明は、患者において、GSK−3が媒介する疾患または状態を処置するかまたはその重篤度を軽減する方法を提供し、該方法は、該患者に、本発明の組成物を投与する工程を包含する。
【0124】
本明細書中で使用する場合、用語「GSK3が媒介する疾患」とは、GSK3が一定の役割を果たすことが知られている任意の疾患または他の有害な状態を意味する。従って、これらの化合物は、GSK3キナーゼの活性により影響されることが知られている疾患または状態を処置するのに有用である。このような疾患または状態には、糖尿病、神経変性疾患、AIDS関連痴呆、多発性硬化症(MS)、精神分裂病、心筋細胞肥大または禿頭症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0125】
本発明の化合物で治療または予防され得る神経変性疾患には、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、癲癇、発作、ハンティングトン病、外傷性脳傷害、虚血性および出血性発作、または脳虚血が挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
他の好ましい実施形態は、糖尿病、アルツハイマー病、ハンティングトン病、パーキンソン病、多発性硬化症(MS)または筋萎縮性側索硬化症(AMS)から選択されるGSK3が媒介する疾患を治療または予防するのに使用される方法に関する。
【0127】
本発明の特定の化合物はまた、ROCKキナーゼのインヒビターである。特に、式IIIの化合物は、ROCKキナーゼのインヒビターである。従って、本発明の他の実施形態は、生物学的サンプルにおいて、ROCKキナーゼを阻害する方法に関し、該方法は、該生物学的サンプルを、式IIIの化合物または該化合物を含有する組成物と接触させる工程を包含する。
【0128】
他の実施形態によれば、本発明は、患者において、ROCKが媒介する疾患または状態を処置するかその重篤度を軽減する方法を提供し、該方法は、該患者に、式IIIの化合物または該化合物を含有する組成物を投与する工程を包含する。
【0129】
本明細書中で使用する場合、用語「ROCKが媒介する疾患」とは、ROCKが一定の役割を果たすことが知られている任意の疾患または他の有害な状態を意味する。従って、これらの化合物は、ROCKキナーゼの活性により影響されることが知られている疾患または状態を処置するのに有用である。このような疾患または状態には、高血圧症、勃起障害、新脈管形成、神経再生、転移、緑内障、炎症、動脈硬化症(artheriosclerosis)、免疫抑制、再狭窄、喘息および心臓肥大が挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
本発明の化合物に加えて、本発明の化合物の薬学的に受容可能な誘導体もまた、上記障害を治療または予防するために、組成物中で使用され得る。
【0131】
代替実施形態では、追加治療薬を含有しない組成物を利用する本発明の方法は、前記患者に、追加治療薬を別々に投与する追加工程を包含する。これらの追加治療薬は、別々に投与されるとき、これらは、本発明の組成物の投与前、投与と連続して、または投与後、該患者に投与され得る。
【0132】
本発明の化合物またはそれらの薬学的組成物はまた、移植可能医療装置(例えば、人工器官、人工弁、血管移植片、ステントおよびカテーテル)を被覆する組成物に取り込まれ得る。例えば、血管ステントは、再狭窄(傷害後に血管壁が再び狭くなること)を克服するのに使用されている。しかしながら、ステントまたは他の移植可能装置を使用している患者は、血餅の形成または血小板の活性化というリスクがある。これらの好ましくない影響は、その装置を、キナーゼインヒビターを含有する薬学的に受容可能な組成物で予め被覆することにより、防止または軽減され得る。適切な被覆および被覆した移植可能装置の一般的な製品は、米国特許第6,099,562号;第5,886,026号;および第5,304,121号で記述されている。これらの被覆には、典型的には、生体適合性高分子材料(例えば、ヒドロゲル重合体、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレン−酢酸ビニルおよびそれらの混合物)がある。これらの被覆は、さらに、その組成物で制御した放出特性を与えるために、フルオロシリコーン、多糖類、ポリエチレングリコール、リン脂質またはそれらの組合せの適切なトップコートにより、必要に応じて、覆われ得る。本発明の化合物で被覆される移植可能装置は、本発明の他の実施形態である。
【0133】
本明細書中に記述される本発明をより十分に理解し得るために、以下の実施例を示す。これらの実施例は、例示の目的だけのものであり、いずれの様式でも、本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではないことが理解されるべきである。
【実施例】
【0134】
(合成実施例)
(実施例1) 4−チオキソ−3,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,3,4b−トリアザ−フルオレン−9−カルボニトリル(II−A2):
トルエン(5mL)中の市販の4−クロロ−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,3,4b−トリアザフルオレン−9−カルボニトリル(0.05g、0.21mmol)およびチオ尿素(0.02g、0.27mmol)の混合物を、封管中にて、110〜115℃で、2時間加熱した。追加のチオ尿素(0.02g、0.27mmol)を加え、さらに2時間、加熱を続けた。その反応物を冷却し、そして2N水酸化ナトリウム(9mL)と共に、10分間攪拌した。その水相(6N塩酸)を分離し酸性化したのに続いて、酢酸エチルで3回抽出した。その有機相をブラインで洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、そして蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2)(これは、2:98のメタノール:ジクロロメタンで溶出する)で抽出すると、白色固形物として、表題化合物(0.04g、収率78%)が得られた。
【0135】
【化23】
(実施例2) 4−チオキソ−3,4,5,6,7,8,9,10−オクタヒドロ−1,3,4b−トリアザ−クロロオクタ[a]インデン−11−カルボニトリル(II−A4):
(工程A;2−アザカン−2−イリデン−マロニトリル)
アザカン−2−オン(0.50g、3.93mmol)のジクロロメタン(4mL)溶液を、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボレート(0.70g、4.72mmol)で処理し、そして室温で、窒素下にて、5時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、その残留物に、エタノール(20mL)、トリエチルアミン(0.68mL、5.11mmol)およびマロノニトリル(0.28mL、4.32mmol)を加えた。その反応物を3時間還流し、室温まで冷却し、次いで、酢酸エチルで希釈した。これを、10%硫酸水素カリウムおよびブラインで洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、そして蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2)(これは、3:7の酢酸エチル:ヘキサンで溶出する)で精製すると、白色固形物として、表題化合物(0.16g、収率23%)が得られた。
【0136】
【化24】
(工程B;2−アミノ−1−シアノ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピロール[1,2a]アゾシン−3−カルボン酸メチルエステル)
2−アザカン−2−イリデン−マロニトリル(0.49g、2.77mmol)で出発したこと以外は、実施例13、工程Bで記述した手順を使用して、この化合物を調製し、灰白色固形物として、表題化合物(0.32g、収率47%)を得た。
【0137】
【化25】
(工程C;4−オキソ−3,4,5,6,7,8,9,10−オクタヒドロ−1,3,4b−トリアザ−シクロオクタ[a]インデン−11−カルボニトリル)
2−アミノ−1−シアノ−5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−ピロール[1,2a]アゾシン−3−カルボン酸メチルエステル(0.31g、1.25mmol)で出発したこと以外は、実施例9で記述した手順を使用して、この化合物を調製し、白色固形物として、表題化合物(0.26g、収率86%)を得た。
【0138】
【化26】
(工程D;4−チオキソ−3,4,5,6,7,8,9,10−オクタヒドロ−1,3,4b−トリアザ−シクロオクタ[a]インデン−11−カルボニトリル(II−A4))
4−オキソ−3,4,5,6,7,8,9,10−オクタヒドロ−1,3,4b−トリアザ−シクロオクタ[a]インデン−11−カルボニトリル(0.23g、0.95mmol)で出発したこと以外は、実施例11で記述した手順を使用して、この化合物を調製し、黄色固形物として、表題化合物(0.05g、収率76%)を得た。
【0139】
【化27】
(実施例3) 6,7,8,9−テトラヒドロ−3H,5H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−4−チオン(II−A17):
4−チオキソ−4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−3H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−10−カルボニトリル(100mg、41mmol)を、ポリリン酸の溶液(これは、五酸化リン1.4gおよび濃リン酸6mLから得た)に懸濁し、そして18時間にわたって、200℃まで加熱した。その反応物を室温まで冷却し、そして50mL砕氷に注いだ。得られたスラリーを、6N NaOHを使用して、pH8まで塩基化し、この水層を、ジクロロメタン(3×30mL)で抽出した。その有機層をNa2SO4で乾燥し、蒸発させ、得られた残留物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(90/10のジクロロメタン/メタノール)で精製して、所望生成物21mg(収率24%)を得た。
【0140】
【化28】
(実施例4) N−メチル−4−チオキソ−4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−3H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−10−カルボニトリル(II−A59):
(工程A;N−メチル−4−オキソ−4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−3H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−10−カルボニトリル(II−A70))
2−アミノ−1−シアノ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピロロ[1,2−a]アゼピン−3−カルボン酸(これは、文献方法(Kadushkin,A.V.ら、Pharm.Chem.J.,(1990)24(12),875〜881)に従って調製した)(760mg、3.07mmol)およびN,N−ジメチルアセトアミドジメチルアセタール(900μL、4.95mmol)のジメチルホルムアミド(10mL)溶液を、100℃で、5.5時間加熱し、次いで、蒸発させた。その中間体をMeOH(5ml)に溶解し、そしてメタノール(10mL)中の7Nアンモニアで処理し、そして封管中にて、110℃で、3日間加熱した。その反応物を冷却し、沈殿を濾過して、褐色固形物(647mg、収率34%)として、表題化合物を得た。
【0141】
【化29】
(工程B;N−メチル−4−チオキソ−4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−3H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−10−カルボニトリル(II−A59))
オキシ塩化リン(2.5mL)中のN−メチル−4−オキソ−4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−3H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−10−カルボニトリル(0.079g、0.33mmol)およびトリエチルアミン塩酸塩(0.05g、0.36mmol)の混合物を、封管中にて、100℃で、1時間加熱した。冷却後、溶媒を蒸発させ、その残留物を水で処理し、炭酸カリウムおよび酢酸エチル(3×5mL)で、pH9に調節した。その有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させて、白色固形物として、中間体(0.061g)を得た。この中間体(0.030g、0.115mmol)をトルエン(2.5mL)に溶解し、そしてチオ尿素(0.013g、0.17mmol)で処理し、次いで、100℃で、封管中にて、1.5時間加熱した。その反応物を冷却し、そして10%(w/v)水酸化ナトリウム(5mL)で、15分間攪拌した。その水相を(6N塩酸で)分離し酸性化(pH1)し、続いて、酢酸エチルで3回抽出した。その有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させた。シリカでフラッシュクロマトグラフィー(これは、まず、ジクロロメタン中の2%メタノールで溶出する)によって、白色固形物(0.01g、収率34%)として、表題化合物が得られた。
【0142】
【化30】
(実施例5) 2−シクロプロピル−4−オキソ−4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−3H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−10−カルボニトリル(II−A71):
2−アミノ−1−シアノ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピロロ[1,2−a]アゼピン−3−カルボン酸(これは、文献方法(Kadushkin,A.V.ら、Pharm.Chem.J.,(1990) 24 (12),875〜881)に従って、調製した)(0.221g、0.89mmol)およびシアン化シクロプロピル(400μL、5.43mmol)(4N HCl中)のジオキサン(4mL)溶液を、110℃で、3時間加熱した。形成された沈殿物を、濾過した(55mg)。その中間体を、MeOH(4ml)中にて、7N HClに溶解し、そして封管中にて、110℃で、18時間加熱した。その反応物を冷却し、溶媒を蒸発させた。その粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2)(これは、ジクロロメタン中にて、1〜5%MeOHで溶出する)で精製して、白色固形物(10mg、収率4%)として、表題化合物を得た。
【0143】
【化31】
(実施例6) N−(10−シアノ−4−オキソ−4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−3H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−2−イル)−N−メチルベンズアミド(II−A72):
2−アミノ−1−シアノ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピロロ[1,2−a]アゼピン−3−カルボン酸(0.24g、0.97mmol)およびイソチオシアン酸ベンゾイル(160μL、1.18mmol)のCH2Cl2(10ml)溶液を、室温で、3時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、得られた固形物をヘキサン(3×5ml)で倍散して、褐色固形物を得た。この中間体をCH2Cl2(2mL)に溶解し、そしてDBU(100μL、0.67mmol)およびヨードメタン(40μL、0.64mmol)で処理し、その溶液を、室温で、18時間攪拌した。その粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2)(これは、ジクロロメタン中にて、1%MeOHで溶出する)で精製して、黄色オイル(44mg)を得た。その中間体(44mg、0.10mmol)を、MeOH(3mL)中にて、7N NH3に溶解し、そして封管中にて、110℃で、1時間加熱した。室温まで冷却すると、白色沈殿物が得られた。この沈殿物を濾過して、白色固形物(6mg、17%)として、表題化合物を得た。
【0144】
【化32】
(実施例7) 4−オキソ−4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−3H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−10−カルボン酸アミド(II−A74):
4−オキソ−4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−3H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−10−カルボニトリル(110mg、48mmol)を、6N塩酸(25mL)および氷酢酸(15mL)の溶液に懸濁した。この溶液を、4時間にわたって、50℃まで加熱し、その後、濃硫酸5滴を加え、その溶液を、さらに30分間攪拌した。溶媒を蒸発させ、その残留物を冷水で処理し、その生成物を沈殿させた。この沈殿物を濾過し、そして50℃で、24時間乾燥して、表題化合物76mg(収率65%)を得た。
【0145】
【化33】
(実施例8) 6,7,8,9−テトラヒドロ−3H,5H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−4−オン(II−A75):
4−オキソ−4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−3H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−10−カルボニトリル(50mg、22mmol)を、ポリリン酸の溶液(これは、五酸化リン700mgおよび濃リン酸3mLから得た)に懸濁し、そして攪拌しながら、5時間にわたって、200℃まで加熱した。その反応物を室温まで冷却し、そして破砕した氷50mLに注いだ。得られたスラリーを、6N NaOHを使用して、pH8に塩基化した。その水層をジクロロメタン(3×20mL)で抽出し、この有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、そして蒸発させた。その残留物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(90/10のジクロロメタン/メタノール)で精製して、所望生成物30mg(収率68%)を得た。
【0146】
【化34】
(実施例9) 6−メチル−4−オキソ−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(II−B10):
3−アミノ−4−シアノ−5−メチル−1−フェニル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル(0.10g、0.38mmol)およびジメチルホルムアミドジメチルアセタール(0.10mL、0.75mmol)のジメチルホルムアミド(2mL)溶液を、100〜105℃で、1.5時間加熱し、次いで、蒸発させた。その中間体をメタノール(2mL)に溶解し、メタノール(5mL)中の7Nアンモニアで処理し、チューブに密封し、そして100〜105℃で、3時間加熱した。その反応物を冷却し、蒸発させ、そしてフラッシュクロマトグラフィー(SiO2)(これは、1:99のメタノール:ジクロロメタンで溶出する)で精製して、白色固形物として、表題化合物(0.08g、収率82%)を得た。
【0147】
【化35】
(実施例10) 実施例9で記述した様式と類似の様式で、4−オキソ−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(II−B12)を調製した。
【0148】
【化35A】
(実施例11) 6−メチル−5−フェニル−4−チオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル3(II−B11)
オキシ塩化リン(2mL)中の6−メチル−4−オキソ−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(化合物II−B10)(0.06g、0.23mmol)およびトリエチルアミン塩酸塩(0.03g、0.24mmol)の混合物を、封管中にて、100〜105℃で、1時間加熱した。冷却後、溶媒を蒸発させ、その残留物を水で処理し、炭酸カリウムでpH9に調節し、そして酢酸エチル(3×)で抽出した。その有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させて、白色固形物として、中間体(0.06g)を得た。この中間体をトルエン(3ml)に溶解し、そしてチオ尿素(0.02g、0.29mmol)で処理し、次いで、100〜105℃で、封管中にて、4時間加熱した。その反応物を冷却し、そして2N水酸化ナトリウム(9mL)で、10分間攪拌した。その水相を(6N塩酸で)分離し酸性化し、続いて、酢酸エチルで3回抽出した。その有機相をブラインで洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、そして蒸発させた。2回のフラッシュクロマトグラフィー(SiO2)(これは、ジクロロメタン中にて、0.75〜1.5%メタノールに次いで、1:1の酢酸エチル:ヘキサンで溶出する)で精製して、淡黄色固形物として、表題化合物(0.03g、収率49%)を得た。
【0149】
【化36】
(実施例12) 類似の様式で、5−フェニル−4−チオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(II−B13)を調製した。
【0150】
【化37】
(実施例13) 5,6−ジエチル−4−チオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(II−B2):
(工程A;2−(1−エチルアミノ−ピロリデン)マロノニトリル)
N−エチルプロピオンアミド9(1.0g、9.9mmol)のトルエン(5mL)溶液を、オキシ塩化リン(0.92mL、9.9mmol)のトルエン(5mL)溶液で2分間にわたって処理し、そして室温で、窒素下にて、2時間攪拌した。10分間にわたって、マロニトリル(0.63mL、9.9mmol)およびトリエチルアミン(1.65mL、11.9mmol)のジクロロメタン(15mL)溶液を加えた。得られた溶液を、室温で、3日間攪拌した。その反応物を飽和炭酸水素ナトリウムおよび10%硫酸水素カリウムで洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、そして蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2)(これは、35:65の酢酸エチル:ヘキサンで溶出する)で精製すると、無色半固形物として、表題化合物(0.38g、収率26%)が得られた。
【0151】
【化38】
(工程B;3−アミノ−4−シアノ−1,5−ジエチル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル)
上で調製した2−(1−エチルアミノ−ピロリジン)マロニトリル(0.38g、2.51mmol)および炭酸カリウム(0.38g、2.76mmol)のジメチルホルムアミド(5mL)懸濁液に、ブロモ酢酸メチル(0.25mL、2.64mmol)を加えた。その反応物を、100〜105℃で、窒素下にて、4時間攪拌し、そして冷却した。その反応物を酢酸エチルで希釈し、水で4回洗浄し、そしてブラインで1回洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、そして蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2)(これは、2:8の酢酸エチル:ヘキサンで溶出する)で精製すると、白色固形物として、表題化合物(0.37g、収率67%)が得られた。
【0152】
【化39】
(工程C;5,6−ジエチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル12(II−B1))
この化合物は、3−アミノ−4−シアノ−1,5−ジエチル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル(0.20g、0.79mmol)で出発したこと以外は、実施例9で記述した手順を使用して調製し、白色粉末として、表題化合物(0.13g、収率76%)を得た。
【0153】
【化40】
(工程D;5,6−ジエチル−4−チオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル13(II−B2))
この化合物は、5,6−ジエチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(0.05g、0.23mmol)で出発したこと以外は、実施例11で記述した手順を使用して調製し、淡黄色固形物として、表題化合物(0.05g、収率86%)を得た。
【0154】
【化41】
(実施例14) 5,6−ジフェニル−4−チオキソ−4,4a,5,7a−テトラヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(II−B18):
(工程A;(ベンゾイル−フェニルアミノ)酢酸メチルエステル)
ベンズアニリド(1.0g、5.07mmol)のジメチルホルムアミド(12.5mL)溶液に、室温で、窒素下にて、60%水素化ナトリウム/鉱油懸濁液(0.24g、6.08mmol)を加え、その反応物を、0.5時間攪拌した。その反応物に、ブロモ酢酸メチル(0.53mL、5.58mmol)を滴下し、攪拌を3時間継続した。その反応物を酢酸エチルで希釈し、10%硫酸水素カリウムで洗浄し、水およびブラインで3回洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、そして蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2)(これは、35:65の酢酸エチル:ヘキサンで溶出する)で精製すると、無色オイルとして、表題化合物(1.06g、収率77%)が得られた。
【0155】
【化42】
(工程B;[(2,2−ジシアノ−1−フェニル−ビニル)−フェニル−アミノ]酢酸メチルエステル)
この化合物は、(ベンゾイル−フェニルアミノ)酢酸メチルエステル(0.53g、1.95mmol)で出発したこと以外は、実施例2、工程Aで記述した手順を使用して調製し、灰白色固形物として、表題化合物(0.12g、収率19%)を得た。
【0156】
【化43】
(工程C;3−アミノ−4−シアノ−1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−カルボン酸エチルエステル)
[(2,2−ジシアノ−1−フェニル−ビニル)−フェニル−アミノ]酢酸メチルエステル(0.10g、0.30mmol)のエタノール(5mL)溶液を、ナトリウムエトキシド(0.02g、0.36mmol)で処理し、そして還流状態で、窒素下にて、4時間攪拌した。その反応物を冷却し、水で希釈し、ジクロロメタンで3回抽出し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、そして蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2)(これは、2:8の酢酸エチル:ヘキサンで溶出する)で精製すると、白色固形物として、表題化合物(0.09g、収率94%)が得られた。
【0157】
【化44】
(工程D;5,6−ジフェニル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(II−B17))
この化合物は、3−アミノ−4−シアノ−1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−カルボン酸エチルエステル22(0.09g、0.29mmol)で出発したこと以外は、実施例9で記述した手順を使用して調製し、灰白色固形物として、表題化合物(0.07g、収率77%)を得た。
【0158】
【化45】
(工程E;5,6−ジフェニル−4−チオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(II−B18))
この化合物は、5,6−ジフェニル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(0.05g、0.17mmol)で出発したこと以外は、実施例11で記述した手順を使用して調製し、淡黄色固形物として、表題化合物(0.05g、収率85%)を得た。
【0159】
【化46】
(実施例15) 5,6−ジイソブチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(II−B29):
(工程A;2−(1−イソブチルアミノ−3−メチル−ブチリデン)−マロニトリル)
この化合物は、N−イソブチル−3−メチル−ブチルアミド(3.64g、23mmol)で出発したこと以外は、実施例2で記述した手順を使用して調製し、無色オイルとして、表題化合物(0.86g、収率18%)を得た。
【0160】
【化47】
(工程B;3−アミノ−4−シアノ−1,5−ジイソブチル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル)
この化合物は、2−(1−イソブチルアミノ−3−メチル−ブチリデン)−マロニトリル(0.50g、2.44mmol)で出発したこと以外は、実施例13、工程Bで記述した手順を使用して調製し、黄色固形物として、表題化合物(0.32g、収率47%)を得た。
【0161】
【化48】
(工程C;5,6−ジイソブチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル)
この化合物は、3−アミノ−4−シアノ−1,5−ジイソブチル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル(0.31g、1.1mmol)で出発したこと以外は、実施例9で記述した手順を使用して調製し、灰白色固形物として、表題化合物(0.17g、収率59%)を得た。
【0162】
【化49】
(実施例16) [2−(7−シアノ−5−エチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−6−イル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル(II−B30)
(工程A;(4,4−ジシアノ−3−エチルアミノ−ブト−3−エニル)−カルバミン酸ベンジルエステル)
この化合物は、(2−エチルカルバモイル−エチル)−カルバミン酸ベンジルエステル(1.26g、5.0mmol)で出発したこと以外は、実施例2、工程Aで記述した手順を使用して調製し、無色オイルとして、表題化合物(0.35g、収率24%)を得た。
【0163】
【化50】
(工程B;3−アミノ−5−(2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−エチル)−4−シアノ−1−エチル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル)
この化合物は、(4,4−ジシアノ−3−エチルアミノ−ブト−3−エニル)−カルバミン酸ベンジルエステル(0.54g、1.81mmol)で出発したこと以外は、実施例13、工程Bで記述した手順を使用して調製し、無色ガラス状固形物として、表題化合物(0.34g、収率51%)を得た。
【0164】
【化51】
(工程C;[2−(7−シアノ−5−エチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−6−イル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル(II−B30))
この化合物は、3−アミノ−5−(2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−エチル)−4−シアノ−1−エチル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル(0.50g、1.38mmol)で出発したこと以外は、実施例9で記述した手順を使用して調製し、白色固形物として、表題化合物(0.22g、収率44%)を得た。
【0165】
【化52】
(実施例17) [2−(7−シアノ−5−エチル−4−チオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−6−イル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル(II−B31)
この化合物は、[2−(7−シアノ−5−エチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−6−イル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル(0.10g、0.26mmol)で出発したこと以外は、実施例11で記述した手順を使用して調製し、淡黄色固形物として、表題化合物(0.03g、収率28%)を得た。
【0166】
【化53】
(実施例18) 6−メチルスルファニル−4−チオキソ−3,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(III−5)
(工程A;6−メチルスルファニル−4−オキソ−3,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(III−4))
K2CO3(2.1g、15mmol)のDMF(4.5mL)懸濁液に、マロノニトリル(5mmol)を加えた。10分後、CS2(7.5mmol)を一度に加え、得られた混合物を、室温で、さらに10分間攪拌した。1−クロロアセトアミド(5mmol)のDMF(5mL)溶液を、冷却しつつ加え、1時間後、MeI(5.5mmol)のDMF(2mL)溶液を滴下した。30分後、この混合物を水(90mL)の上に注ぎ、得られた混合物を、16時間にわたって激しく攪拌して、粗中間体である3−アミノ−4−シアノ−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−カルボン酸アミドの懸濁液を得た。この粗生成物を濾過により除き、そして水および少量の冷メタノールで広く洗浄して、粗中間体(0.5g、収率46%)を得た。
【0167】
【化54】
この粗中間体(100mg、0.47mmol)およびDMF−DMA(0.56mmol)をアセトニトリル(3mL)に混合し、そして90℃で、3時間加熱した。この反応混合物を濃縮して、4−シアノ−3−(ジメチルアミノ−メチレンアミノ)−5−メチルスルファニル−チオフェン−2−カルボン酸アミドを得、これを、次の工程で、直接使用した。この粗アミドを氷酢酸(3mL)に溶解し、得られた混合物を、30分間にわたって、90℃まで加熱した。次いで、この反応混合物を濃縮し、この反応物混合物を少量の酢酸エチルおよびエーテルで洗浄し、そして真空中で乾燥した。さらに精製することなく、6−メチルスルファニル−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チオノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(化合物III−4)を得た(75mg、74%)。
【0168】
【化55】
(工程B;6−メチルスルファニル−4−チオキソ−3,4−ジヒドロチエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(III−5))
化合物III−4(30mg、0.135mmol)をトルエン(1.5mL)に溶解し、そしてLawesson試薬(0.161mmol)を加え、その反応混合物を、18時間にわたって、還流状態まで加熱した。この反応混合物を濃縮し、次いで、水性ワークアップ後、その生成物を予備HPLCで精製して、表題化合物(4.5mg、13%)を得た。
【0169】
【化56】
(実施例19) 6−イソプロピルアミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(III−21)
(工程A;6−メタンスルホニル−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(III−6)
ジクロロメタン(4mL)中の化合物III−4(100mg、0.44mmol)に、m−CPBA(3当量)を加え、その反応混合物を、室温で、5時間攪拌した。その固形沈殿物を濾過し、そしてジクロロメタンで広く洗浄して、粗化合物(III−6)を得た。
【0170】
(工程B;6−イソプロピルアミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(III−21))
粗生成物III−6(50mg、0.2mmol)およびイソプロピルアミン(3当量)をアセトニトリル2mLに混合し、そして70℃で、18時間加熱した。その固形沈殿物を濾過により除き、そして少量のアセトニトリルで洗浄し、ジクロロメタンで洗浄して、さらに精製することなく、化合物III−21を得た(収率50%)。
【0171】
【化57】
(実施例20) 6−プロピルアミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(化合物III−22)
この化合物は、プロピルアミンで出発したこと以外は、実施例19で記述した手順を使用して調製し、化合物III−22(収率63%)を得た。
【0172】
【化58】
(実施例21) 6−イソブチルアミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(化合物III−23)
この化合物は、イソブチルアミンで出発したこと以外は、実施例19で記述した手順を使用して調製し、化合物III−23(収率45%)を得た。
【0173】
【化59】
(実施例22) 6−ベンジルアミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(化合物III−26)
この化合物は、ベンジルアミンで出発したこと以外は、実施例19で記述した手順を使用して調製し、化合物III−26(収率70%)を得た。
【0174】
【化60】
(実施例23) 6−シクロペンチルアミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(化合物III−24)
この化合物は、シクロペンチルアミンで出発したこと以外は、実施例19で記述した手順を使用して調製し、化合物III−24(収率42%)を得た。
【0175】
【化61】
(実施例24) 6−シクロヘキシルアミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(化合物III−25)
この化合物は、シクロヘキシルアミンで出発したこと以外は、実施例19で記述した手順を使用して調製し、化合物III−25(収率47%)を得た。
【0176】
【化62】
(実施例25) 10−(2H−テトラゾール−5−イル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−3H,5H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−4−チオン(II−A28)
無水THF(10mL)に、4−チオキソ−4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−3H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−10−カルボニトリル(65mg、26mmol)を懸濁し、AlCl3(36mg、26mmol)およびNaN3(76mg、12mmol)を加えた。この溶液を、N2下にて、96時間にわたって、還流状態まで加熱した。その反応物を室温まで冷却し、そして2N HClを使用して、pH3まで酸性化した。この酸性溶液を蒸発させて、固形物質40mgを得た。これを、10〜100%勾配の0.1%TFAおよびアセトニトリル/水を使用して、15分間にわたって、HPLCで精製して、所望生成物15mg(20%)を得た。
【0177】
【化63】
(実施例26) 4−チオキソ−4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−3H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−10−カルボン酸アミド(II−A82)
4−チオキソ−4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−3H−1,3,4b−トリアザ−ベンゾ[a]アズレン−10−カルボニトリル(100mg、0.41mmol)に、5N NaOH(3mL)を加え、その濁った懸濁液を100℃まで加熱した。14時間後、その反応混合物を水に注ぎ、5℃まで冷却し、そして酢酸でpH5まで酸性化した。この結果、淡黄色の沈殿物が得られ、これを濾過により集めて、減圧下にて乾燥し、表題化合物(87mg、収率81%)を得た。
【0178】
【化64】
(実施例27) 5,6−ジイソブチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(II−B29)
(工程A;2−(1−イソブチルアミノ−3−メチル−ブチリデン)−マロニトリル)
この化合物は、N−イソブチル−3−メチル−ブチルアミド(3.64g、23mmol)で出発したこと以外は、実施例2で記述した手順を使用して調製し、表題化合物(0.86g、収率18%)を無色オイルとして得た。
【0179】
【化65】
(工程B;3−アミノ−4−シアノ−1,5−ジイソブチル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル)
この化合物は、2−(1−イソブチルアミノ−3−メチル−ブチリデン)−マロニトリル(0.50g、2.44mmol)で出発したこと以外は、実施例13、工程Bで記述した手順を使用して調製し、表題化合物(0.32g、収率47%)を黄色オイルとして得た。
【0180】
【化66】
(工程C;5,6−ジイソブチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル)
この化合物は、3−アミノ−4−シアノ−1,5−ジイソブチル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル(0.31g、1.1mmol)で出発したこと以外は、実施例9で記述した手順を使用して調製し、灰白色固形物として、表題化合物(0.17g、収率59%)を得た。
【0181】
【化67】
(実施例28) [2−(7−シアノ−5−エチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−6−イル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル(II−B30)
(工程A;(4,4−ジシアノ−3−エチルアミノ−ブト−3−エニル)カルバミン酸ベンジルエステル)
この化合物は、(2−エチルカルバモイル−エチル)−カルバミン酸ベンジルエステル(1.26g、5.0mmol)で出発したこと以外は、実施例2、工程Aで記述した手順を使用して調製し、無色オイルとして、表題化合物(0.35g、収率24%)を得た。
【0182】
【化68】
(工程B;3−アミノ−5−(2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−エチル)−4−シアノ−1−エチル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル)
この化合物は、(4,4−ジシアノ−3−エチルアミノ−ブト−3−エニル)−カルバミン酸ベンジルエステル(0.54g、1.81mmol)で出発したこと以外は、実施例13、工程Bで記述した手順を使用して調製し、無色ガラス状固形物として、表題化合物(0.34g、収率51%)を得た。MS(ES+):m/e 371.20(M+H)。分析用HPLC(C18カラム):3.279分(および不純物)。
【0183】
(工程C;[2−(7−シアノ−5−エチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−6−イル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル)(II−B30)
この化合物は、3−アミノ−5−(2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−エチル)−4−シアノ−1−エチル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル(0.50g、0.38mmol)で出発したこと以外は、実施例9で記述した手順を使用して調製し、白色固形物として、表題化合物(0.22g、収率44%)を得た。
【0184】
【化69】
(実施例29) [2−(7−シアノ−5−エチル−4−チオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−6−イル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル(II−B31)
この化合物は、[2−(7−シアノ−5−エチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−6−イル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル(0.10g、0.26mmol)で出発したこと以外は、実施例11で記述した手順を使用して調製し、淡黄色固形物として、表題化合物(0.03g、収率28%)を得た。
【0185】
【化70】
(実施例30) 6−(2−アミノ−エチル)−5−エチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(II−B27)
[2−(7−シアノ−5−エチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−6−イル)−エチル]−カルバミン酸ベンジルエステル(0.02g、0.06mmol)のメタノール(3mL)溶液を、Pd(OH)2(0.01g)で処理し、そして水素下(1atm)にて、1時間攪拌した。その反応物をセライトで濾過し、蒸発させ、そしてフラッシュクロマトグラフィー(SiO2)(これは、2:8のメタノール:ジクロロメタンで溶出する)で精製して、白色固形物として、表題化合物(0.01g、収率69%)を得た。
【0186】
【化71】
(実施例31) 5−エチル−4−オキソ−6−フェニル−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(II−B32)
(工程A;2−(エチルアミノ−フェニル−メチレン)−マロニトリル)
この化合物は、N−エチルベンズアミド(3.43g、23.0mmol)で出発したこと以外は、実施例2、工程Aで記述した手順を使用して調製し、白色固形物として、表題化合物(1.12g、収率25%)を得た。
【0187】
【化72】
(工程B;3−アミノ−4−シアノ−1−エチル−5−フェニル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル)
この化合物は、2−(エチルアミノ−フェニル−メチレン)−マロニトリル(0.50g、2.53mmol)で出発したこと以外は、実施例13、工程Bで記述した手順を使用して調製し、白色固形物として、表題化合物(0.60g、収率89%)を得た。
【0188】
【化73】
(工程C;5−エチル−4−オキソ−6−フェニル−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(II−B32))
この化合物は、3−アミノ−4−シアノ−1−エチル−5−フェニル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル(0.60g、2.21mmol)で出発したこと以外は、実施例9で記述した手順を使用して調製し、白色固形物として、表題化合物(0.07g、収率13%)を得た。
【0189】
【化74】
(実施例32) 5−エチル−6−フェニル−4−チオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(II−B26)
この化合物は、5−エチル−4−オキソ−6−フェニル−4,5−ジヒドロ−3H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(0.05g、0.17mmol)で出発したこと以外は、実施例11で記述した手順を使用して調製し、黄色固形物として、表題化合物(0.01g、収率30%)を得た。
【0190】
【化75】
(実施例33) 6−ピペリジン−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(III−33)
この化合物は、ピペリジンで出発したこと以外は、実施例19で記述した手順を使用して調製し、収率42%で、表題化合物を得た。LC−MS(ES+):m/e=261.0(M+H)。
【0191】
(実施例34) 6−シクロプロピルアミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(III−34)
この化合物は、シクロプロピルアミンで出発したこと以外は、実施例19で記述した手順を使用して調製し、収率42%で、表題化合物を得た。LC−MS(ES+):m/e=233.0(M+H)。
【0192】
(実施例35) 6−シクロヘキシルメチルアミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(III−35)
この化合物は、イソプロピルアミンの代わりにシクロヘキシルメチルアミンで出発したこと以外は、実施例19で記述した手順を使用して調製し、収率42%で、表題化合物を得た。LC−MS(ES+):m/e=289.1(M+H)。
【0193】
(実施例36) 6−(3−メチル−ブチルアミノ)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(III−36)
この化合物は、6−(3−メチル−ブチルアミノ)−で出発したこと以外は、実施例19で記述した手順を使用して調製し、化合物III−36(収率42%)を得た。LC−MS(ES+):m/e=263.1(M+H)。
【0194】
(実施例37) 6−[2−(1H−イミダゾール−4−イル)エチルアミノ]−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(III−37)
この化合物は、6−[2−(1H−イミダゾール−4−イル)−エチルアミンで出発したこと以外は、実施例19で記述した手順を使用して調製し、収率42%で、表題化合物を得た。LC−MS(ES+):m/e=287.0(M+H)。
【0195】
(実施例38) 6−エチルアミン−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(III−38)
この化合物は、エチルアミンで出発したこと以外は、実施例19で記述した手順を使用して調製し、収率42%で、表題化合物を得た。LC−MS(ES+):m/e=221.0(M+H)。
【0196】
(実施例39) 6−(メチル−プロピル−アミノ)−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボニトリル(III−39)
この化合物は、N−メチル−プロピルアミンで出発したこと以外は、実施例19で記述した手順を使用して調製し、収率42%で、表題化合物を得た。LC−MS(ES+):m/e=249.0(M+H)。
【0197】
(生物学的方法)
(GSK−3の阻害に関するIC50の決定)
標準結合酵素系(Foxら、(1998) Protein Sci.7,2249)を使用して、化合物を、それらがGSK−3β(AA 1−420)の活性を阻害する能力について、スクリーニングした。100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl2、25mM NaCl、300μM NADH、1mM DTTおよび1.5%DMSOを含有する溶液にて、反応を実行した。このアッセイでの最終基質濃度は、10μm ATP(Sigma Chemicals,St Louis,MO)および300μMペプチド(HSSPHQS(PO3H2)EDEEE,American Peptide,Sunnyvale,CA)であった。反応は、30℃および60nM GSK−3βで実行した。この結合酵素系の成分の最終濃度は、2.5mMのホスホエノールピルビン酸、300μMのNADH、30μg/mlのピルビン酸キナーゼおよび10μg/mlの乳酸デヒドロゲナーゼであった。
【0198】
ATPおよび対象試験化合物以外の上で挙げた試薬の全てを含有させて、アッセイストック緩衝液を調製した。試験反応物59μlを、96ウェルの1/2直径プレート(Corning,Corning,NY)に入れ、次いで、この試験化合物を含有する2mM DMSOストック(1μl)で処理した(最終化合物濃度、30μM)。このプレートを、30℃で、約10分間インキュベートし、次いで、ATP7μl(最終濃度、10μM)を加えることにより、その反応を開始した。30℃で、5分間の読み取り時間にわたって、Molecular Devices Spectramaxプレートリーダー(Sunnyvale,CA)を使用して、反応速度を得た。DMSOを含有するが化合物を含有しない標準ウェルと対比して50%より高い阻害を示す化合物を滴定し、そのアッセイを200μlの最終容量に縮尺設計して、標準96ウェルプレートでの類似のプロトコルを使用して、IC50値を決定した。
【0199】
上記GSK−3阻害アッセイでは、試験した本発明の化合物の多くは、1マイクロモル未満のIC50値を生じることが分かった。
【0200】
(GSK−3の阻害に関するKiの決定)
標準結合酵素系(Foxら、(1998) Protein Sci.7,2249)を使用して、化合物を、それらがGSK−3β(AA 1−420)の活性を阻害する能力について、スクリーニングした。100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl2、25mM NaCl、300μM NADH、1mM DTTおよび1.5%DMSOを含有する溶液にて、反応を実行した。このアッセイでの最終基質濃度は、10μm ATP(Sigma Chemicals,St Louis,MO)および300μMペプチド(HSSPHQS(PO3H2)EDEEE,American Peptide,Sunnyvale,CA)であった。反応は、30℃および20nM GSK−3βで実行した。この結合酵素系の成分の最終濃度は、2.5mMのホスホエノールピルビン酸、300μMのNADH、30μg/mlのピルビン酸キナーゼおよび10μg/mlの乳酸デヒドロゲナーゼであった。
【0201】
ATPおよび対象試験化合物以外の上で挙げた試薬の全てを含有させて、アッセイストック緩衝液を調製した。このアッセイストック緩衝液(175μl)を、96ウェルプレートにて、0.002μM〜30μMに及ぶ最終濃度で、30℃で、対象試験化合物5μlと共に、10分間インキュベートした。典型的には、娘プレートにて、これらの試験化合物のDMSOでの連続希釈物を(10mMの化合物ストックから)調製することにより、12ポイント滴定を実行した。その反応は、20μlのATPを加えることにより、開始した(最終濃度20μM)。30℃で、10分間の読み取り時間にわたって、Molecular Devices Spectramaxプレートリーダー(Sunnyvale,CA)を使用して、反応速度を得た。インヒビター濃度の関数として、その速度データから、Ki値を決定した。
【0202】
上記GSK−3阻害アッセイでは、試験した本発明の化合物の多くは、1マイクロモル未満のKi値を生じることが分かった。
【0203】
(Rock阻害アッセイ)
標準結合酵素系(Foxら、(1998) Protein Sci.7,2249)を使用して、化合物を、それらがROCKを阻害する能力について、スクリーニングした。100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl2、25mM NaCl、1mM DTTおよび1.5%DMSOを含有する溶液にて、反応を実行した。このアッセイでの最終基質濃度は、13μm ATP(Sigma Chemicals)および200μMペプチド(KKRNRTLSV,American Peptide,Sunnyvale,CA)であった。アッセイは、30℃および200nMのROCKで、実行した。この結合酵素系の成分の最終濃度は、2.5mMのホスホエノールピルビン酸、400μMのNADH、30μg/mlのピルビン酸キナーゼおよび10μg/mlの乳酸デヒドロゲナーゼであった。
【0204】
ROCK、DTTおよび対象試験化合物以外の上で挙げた試薬の全てを含有させて、アッセイストック緩衝液を調製した。試験反応物56μlを、384ウェルプレートに入れ、続いて、この試験化合物を含有する2mM DMSOストック(1μl)を加えた(最終化合物濃度、30μM)。このプレートを、30℃で、約10分間予備インキュベートし、そして酵素10μl(最終濃度、10nM)を加えることにより、その反応を開始した。30℃で、5分間の読み取り時間にわたって、BioRad Ultramarkプレートリーダー(Hercules,CA)を使用して、反応速度を得た。DMSOを含有するが化合物を含有しない標準ウェルと対比して50%より高い阻害を示す化合物を滴定し、類似のプロトコルを使用して、IC50値を決定した。
【0205】
上記ROCK阻害アッセイでは、本発明の特定の化合物を試験したところ、ROCKキナーゼを阻害することが分かった。
【0206】
本発明者らは、本発明の多数の実施形態を記述しているものの、本発明者らの基本的な実施例は、他の実施形態(これらは、本発明の化合物および方法を利用する)を提供するように変更できることが明らかである。従って、本発明の範囲は、特定の実施形態(これらは、一例として、表わされている)よりもむしろ、添付の特許請求の範囲で規定されるべきであることが理解できるはずである。
Claims (29)
- 式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体:
Xは、酸素またはイオウである;
Yは、−S−、−O−または−NR1−である;
R1は、R、CO2R、C(O)R、CON(R)2、SO2R、SO2N(R)2、または必要に応じて置換した5員〜7員の単環式または8員〜10員の二環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和の環から選択され、該環は、0個〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される;
各Rは、独立して、水素または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基から選択される;
R2は、R、N(R)2、OR、SR、C(O)R、CO2R、C(O)N(R)2、NRN(R)2、NRCOR、NRCO2(C1〜6脂肪族)、NRSO2(C1〜6脂肪族)、S(O)(C1〜6脂肪族)、SO2R、SO2N(R)2、または必要に応じて置換した5員〜7員の単環式または8員〜10員の二環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和の環から選択され、該環は、0個〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択されるか、または
(a)Yが−NR1−のとき、R1およびR2は、一緒になって、飽和、部分不飽和または完全不飽和の4員〜9員の単環式環または二環式環を形成し、該環は、−NR1−の窒素に加えて、1個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択され、ここで、R1およびR2により形成された該環は、必要に応じて、1個〜2個のR6で置換されている;または
(b)R2およびR3は、一緒になって、飽和、部分不飽和または完全不飽和の5員〜9員の単環式環または二環式環を形成し、該環は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択され、ここで、R2およびR3により形成された該環は、必要に応じて、1個〜2個のR6で置換されている;
R3は、R、CN、ハロゲン、NO2またはQ(n)R5から選択され、ここで、nは、0または1から選択される;
Qは、C1〜4直鎖または分枝アルキリデン鎖であり、ここで、Qの2個までの非隣接メチレン単位は、必要に応じて、独立して、O、S、NR、C(O)、CO2、CONR、OC(O)NR、NRCO、NRCO2、NRCONR、S(O)、SO2、NRSO2またはSO2NRで置き換えられる;
R4は、R、N(R)2、NRCOR、NRCO2R、または必要に応じて置換した5員〜7員の単環式または8員〜10員の二環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和の環から選択され、該環は、0個〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される;
R5は、Rまたは必要に応じて置換した5員〜14員の単環式、二環式または三環式芳香族の、部分不飽和または飽和の環から選択され、該環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される;そして
各R6は、独立して、R、オキソ、ハロゲン、CN、C(O)R、CO2R、SO2R、OR、SR、N(R)2、NRC(O)R、C(O)N(R)2、NRCO2R、OC(O)N(R)2、NRSO2RまたはSO2NRから選択される、化合物。 - 請求項1に記載の化合物であって、ここで:
Yは、−NR1−であり、前記化合物が、以下からなる群から選択される1つ以上の特徴を有する:
(a)R1は、R、C(O)R、C(O)N(R)2、SO2R、CO2R、または必要に応じて置換した5員〜6員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の環から選択され、該環は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される;
(b)R2は、R、N(R)2、OR、SR、C(O)R、CO2R、C(O)N(R)2、NRN(R)2、NRC(O)R、SO2R、または必要に応じて置換した5員〜7員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の環から選択され、該環は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択されるか、またはR2およびR1は、一緒になって、必要に応じて置換した5員〜8員の飽和環、部分不飽和環または芳香族環を形成し、該環は、R1の窒素に加えて、0個〜1個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される;
(c)R3は、R、CNまたはQ(n)R5から選択され、ここで、nは、0または1であり、Qは、C1〜4アルキリデン鎖であり、ここで、Qの1個のメチレン単位は、必要に応じて、O、S、NR、C(O)、CO2、CONR、NRC(O)、NRC(O)NR、SO2、またはNRSO2で置き換えられ、そしてR5は、Rまたは必要に応じて置換した5員〜7員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の環から選択され、該環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される;そして
(d)R4は、R、N(R)2、または必要に応じて置換した5員〜6員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の環から選択され、該環は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される、化合物。 - 請求項2に記載の化合物であって、ここで:
R1は、水素、メチル、エチル、i−プロピル、i−ブチル、フェニル、CH2CH2(モルホリン−4−イル)、CH2CH2フェニル、CH2フェニル、COMe、CONH2、CH2CONH2、SO2Me、CH2SO2NH2、CO2Etまたはシクロプロピルから選択され、
R2は、水素、メチル、エチル、i−プロピル、i−ブチル、CF3、フェニル、CH2CH2NH2、NH2、NHC(O)CH3、CH2CH2NHC(O)OCH2フェニル、SCH3、SO2CH3、NHCH3、SEt、CH2フェニル、Oi−プロピル、モルホリン−4−イル、ピペリジン−1−イル、4−メチル−ピペリジン−1−イル、チオモルホリン−4−イル、ピロリジン−1−イル、チアゾール−3−イル、オキサゾール−3−イル、アゼピン−1−イル、N(Me)2、NHi−プロピル、NHプロピル、NHi−ブチル、NH−シクロペンチル、NH−シクロヘキシル、NHCH2フェニル、NHSO2CH3、NHNH2、N(Me)プロピル、NH−シクロプロピル、NHCH2シクロヘキシル、NHCH2CH2CH(CH3)2またはNHCH2CH2イミダゾール−4−イルから選択され、
R3は、水素、CN、CO2H、CH2CN、メチル、CH2CONH2、CH2CO2CH3、−C≡CH、C(O)CH3、CH2CH2CN、CH2CH2CH2NH2、水素、CH2CO2H、CO2Et、CH2SO2CH3、CH2NHSO2CH3、C(O)NH2、CH2NHC(O)CH3、CH2CH2OH、C(O)CH2CH3、オキサジアゾリル、NH2、NHC(O)CH3、NHSO2CH3、NHCO2CH3、テトラゾリル、C(O)ピペリジン−1−イル、C(O)モルホリン−4−イル、C(O)チオモルホリン−4−イル、C(O)−4−メチルピペラジン−1−イル、C(O)NHCH2フェニル、CH2NHCONH2、CH2NHS)2フェニル、トリアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、C(O)NH−チアゾール−2−イル、C(O)NH−ピラゾール−3−イルまたはC(O)NHC(CH3)3から選択され、そして
R4は、水素、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、CF3、フェニル、NH2、CH2フェニルまたはN(CH3)CH2フェニルから選択される、化合物。 - 請求項2に記載の化合物であって、ここで:
R2およびR1は、一緒になって、必要に応じて置換したシクロペント環、シクロヘキソ環、シクロヘプト環、ベンゾ環、ピリド環、ピリダゾ環、オキサシクロヘプト環、テトラヒドロアゼピノ環またはチアシクロヘプト環を形成し、
R3は、水素、CN、CO2H、CH2CN、メチル、CH2CONH2、CH2CO2CH3、−C≡CH、C(O)CH3、CH2CH2CN、CH2CH2CH2NH2、水素、CH2CO2H、CO2Et、CH2SO2CH3、CH2NHSO2CH3、C(O)NH2、CH2NHC(O)CH3、CH2CH2OH、C(O)CH2CH3、オキサジアゾリル、NH2、NHC(O)CH3、NHSO2CH3、NHCO2CH3、テトラゾリル、C(O)ピペリジン−1−イル、C(O)モルホリン−4−イル、C(O)チオモルホリン−4−イル、C(O)−4−メチルピペラジン−1−イル、C(O)NHCH2フェニル、CH2NHCONH2、CH2NHS)2フェニル、トリアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、C(O)NH−チアゾール−2−イル、C(O)NH−ピラゾール−3−イルまたはC(O)NHC(CH3)3から選択され、そして
R4は、水素、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、CF3、フェニル、NH2、CH2フェニルまたはN(CH3)CH2フェニルから選択される、化合物。 - 請求項1に記載の化合物であって、該化合物は、式II−Aまたはその薬学的に受容可能な誘導体である:
Xは、酸素またはイオウである;
yは、0〜4である;
R3は、R、CNまたはQ(n)R5から選択される;
各Rは、独立して、水素または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基から選択される;
nは、0または1である;
Qは、C1〜4アルキリデン鎖から選択され、ここで、Qの1個のメチレン単位は、必要に応じて、O、S、NR、C(O)、CO2、CONR、NRC(O)、NRC(O)NR、SO2またはNRSO2で置き換えられる;
R4は、R、N(R)2、または必要に応じて置換した5員〜6員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の環から選択され、該環は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される;
R5は、Rまたは必要に応じて置換した5員〜7員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の環から選択され、該環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される;そして
R6は、R、OR、N(R)2、オキソ、ハロゲン、NRCO2RまたはNRC(O)Rから選択される、化合物。 - 請求項5に記載の化合物であって、ここで:
yは、1〜4であり、
R3は、水素、CN、CO2H、CH2CN、メチル、CH2CONH2、CH2CO2CH3、−C≡CH、C(O)CH3、CH2CH2CN、CH2CH2CH2NH2、水素、CH2CO2H、CO2Et、CH2SO2CH3、CH2NHSO2CH3、C(O)NH2、CH2NHC(O)CH3、CH2CH2OH、C(O)CH2CH3、オキサジアゾリル、NH2、NHC(O)CH3、NHSO2CH3、NHCO2CH3、テトラゾリル、C(O)ピペリジン−1−イル、C(O)モルホリン−4−イル、C(O)チオモルホリン−4−イル、C(O)−4−メチルピペラジン−1−イル、C(O)NHCH2フェニル、CH2NHCONH2、CH2NHS)2フェニル、トリアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、C(O)NH−チアゾール−2−イル、C(O)NH−ピラゾール−3−イルまたはC(O)NHC(CH3)3から選択され、
R4は、水素、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、CF3、フェニル、NH2、CH2フェニルまたはN(CH3)CH2フェニルから選択され、そして
R6は、水素、NH2、メチル、OCH3、NHCOCH3、NHCO2CH3またN(Me)2から選択される、化合物。 - 請求項1に記載の化合物であって、該化合物は、式II−Dまたはその薬学的に受容可能な誘導体である:
Xは、酸素またはイオウである;
yは、1〜3である;
W−Vは、CH2−NH、CH2−O、CH2−S、NH−CH2、O−CH2、S−CH2、N=CHまたはCH=Nから選択される;
R3は、R、CNまたはQ(n)R5から選択され、ここで、nは、0または1である;
各Rは、独立して、水素または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基から選択される;
Qは、C1〜4アルキリデン鎖であり、ここで、Qの1個のメチレン単位は、必要に応じて、O、S、NR、C(O)、CO2、CONR、NRC(O)、NRC(O)NR、SO2またはNRSO2で置き換えられる;
R4は、R、N(R)2、または必要に応じて置換した5員〜6員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の環から選択され、該環は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される;そして
R5は、Rまたは必要に応じて置換した5員〜7員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の環から選択され、該環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される、化合物。 - 請求項7に記載の化合物であって、ここで:
R3は、水素、CN、CO2H、CH2CN、メチル、CH2CONH2、CH2CO2CH3、−C≡CH、C(O)CH3、CH2CH2CN、CH2CH2CH2NH2、水素、CH2CO2H、CO2Et、CH2SO2CH3、CH2NHSO2CH3、C(O)NH2、CH2NHC(O)CH3、CH2CH2OH、C(O)CH2CH3、オキサジアゾリル、NH2、NHC(O)CH3、NHSO2CH3、NHCO2CH3、テトラゾリル、C(O)ピペリジン−1−イル、C(O)モルホリン−4−イル、C(O)チオモルホリン−4−イル、C(O)−4−メチルピペラジン−1−イル、C(O)NHCH2フェニル、CH2NHCONH2、CH2NHS)2フェニル、トリアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、C(O)NH−チアゾール−2−イル、C(O)NH−ピラゾール−3−イルまたはC(O)NHC(CH3)3から選択され、そして
R4は、水素、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、CF3、フェニル、NH2、CH2フェニルまたはN(CH3)CH2フェニルから選択される、化合物。 - 請求項1に記載の化合物であって、ここで:
Yは、−S−であり、該化合物は、以下からなる群から選択される1つ以上の特徴を有する:
(a)R2は、R、N(R)2、OR、SR、C(O)R、CO2R、C(O)N(R)2、NRN(R)2、NRC(O)R、SO2R、または必要に応じて置換した5員〜7員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の環から選択され、該環は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択されるか、またはR2およびR1は、一緒になって、必要に応じて置換した5員〜8員の飽和、部分不飽和または芳香族環を形成し、該環は、R1の窒素に加えて、0個〜1個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される;
(b)R3は、R、CNまたはQ(n)R5から選択され、ここで、nは、0または1であり、Qは、C1〜4アルキリデン鎖から選択され、ここで、Qの1個のメチレン単位は、必要に応じて、O、S、NR、C(O)、CO2、CONR、NRC(O)、NRC(O)NR、SO2、またはNRSO2で置き換えられ、そしてR5は、Rまたは必要に応じて置換した5員〜7員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の環から選択され、該環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される;そして
(c)R4は、R、N(R)2、または必要に応じて置換した5員〜6員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の環から選択され、該環は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される、化合物。 - 請求項9に記載の化合物であって、ここで:
R2は、水素、メチル、エチル、i−プロピル、i−ブチル、CF3、フェニル、CH2CH2NH2、NH2、NHC(O)CH3、CH2CH2NHC(O)OCH2フェニル、SCH3、SO2CH3、NHCH3、SEt、CH2フェニル、Oi−プロピル、モルホリン−4−イル、ピペリジン−1−イル、4−メチル−ピペリジン−1−イル、チオモルホリン−4−イル、ピロリジン−1−イル、チアゾール−3−イル、オキサゾール−3−イル、アゼピン−1−イル、N(Me)2、NHi−プロピル、NHプロピル、NHi−ブチル、NHシクロペンチル、NH−シクロヘキシル、NHCH2フェニル、NHSO2CH3、NHNH2、N(Me)プロピル、NH−シクロプロピル、NHCH2シクロヘキシル、NHCH2CH2CH(CH3)2またはNHCH2CH2イミダゾール−4−イルから選択され、
R3は、水素、CN、CO2H、CH2CN、メチル、CH2CONH2、CH2CO2CH3、−C≡CH、C(O)CH3、CH2CH2CN、CH2CH2CH2NH2、水素、CH2CO2H、CO2Et、CH2SO2CH3、CH2NHSO2CH3、C(O)NH2、CH2NHC(O)CH3、CH2CH2OH、C(O)CH2CH3、オキサジアゾリル、NH2、NHC(O)CH3、NHSO2CH3、NHCO2CH3、テトラゾリル、C(O)ピペリジン−1−イル、C(O)モルホリン−4−イル、C(O)チオモルホリン−4−イル、C(O)−4−メチルピペラジン−1−イル、C(O)NHCH2フェニル、CH2NHCONH2、CH2NHS)2フェニル、トリアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、C(O)NH−チアゾール−2−イル、C(O)NH−ピラゾール−3−イルまたはC(O)NHC(CH3)3から選択され、そして
R4は、水素、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、CF3、フェニル、NH2、CH2フェニルまたはN(CH3)CH2フェニルから選択される、化合物。 - 式IVの化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体:
Xは、酸素またはイオウである;
Yは、−S−または−NR1−である;
R1は、R、CO2R、C(O)R、CON(R)2、SO2R、SO2N(R)2、または必要に応じて置換した5員〜7員の単環式または8員〜10員の二環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和の環から選択され、該環は、0個〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される;
各Rは、独立して、水素または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基から選択される;
R2は、R、N(R)2、OR、SR、C(O)R、CO2R、C(O)N(R)2、NRN(R)2、NRCOR、NRCO2(C1〜6脂肪族)、NRSO2(C1〜6脂肪族)、S(O)(C1〜6脂肪族)、SO2R、SO2N(R)2、または必要に応じて置換した5員〜7員の単環式または8員〜10員の二環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和の環から選択され、該環は、0個〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択されるか、または
Yが−NR1−のとき、R1およびR2は、一緒になって、飽和、部分不飽和または完全不飽和の4員〜9員の単環式または二環式環を形成し、該環は、−NR1−の窒素に加えて、1個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択され、ここで、R1およびR2により形成された該環は、必要に応じて、1個〜2個のR6で置換されている;または
R5は、Rまたは必要に応じて置換した5員〜14員の単環式、二環式または三環式の飽和、部分不飽和または完全不飽和の環から選択され、該環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素またはイオウから選択される;そして
各R6は、独立して、R、オキソ、ハロゲン、CN、C(O)R、CO2R、SO2R、OR、SR、N(R)2、NRC(O)R、C(O)N(R)2、NRCO2R、OC(O)N(R)2、NRSO2RまたはSO2NRから選択される、
化合物。 - Yが、−NR1−である、請求項11に記載の化合物。
- Yが、−S−である、請求項11に記載の化合物。
- 請求項1に記載の化合物および薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクルを含有する、組成物。
- さらに、
(a)神経栄養因子;または
(b)糖尿病治療薬、
から選択される追加治療薬を含有する、請求項18に記載の組成物。 - 生物学的サンプルにおいて、GSK−3キナーゼ活性を阻害する方法であって、該方法は、該生物学的サンプルを、以下のa)またはb)と接触させる工程を包含する:
a)請求項1に記載の化合物;または
b)請求項18に記載の組成物。 - 患者において、GSK−3が媒介する疾患または状態を処置するかその症状を軽減する方法であって、該患者に、請求項18に記載の組成物を投与する工程を包含する、方法。
- 糖尿病、神経変性疾患、AIDS関連痴呆、多発性硬化症(MS)、精神分裂病、心筋細胞肥大または禿頭症から選択される患者の疾患または状態を処置するかその症状を軽減する方法であって、該患者に、請求項18に記載の組成物を投与する工程を包含する、方法。
- 請求項21に記載の方法であって、該方法は、前記患者に、追加治療薬を投与する追加工程を包含し、
該追加治療薬は、処置する疾患に適切であり、そして
該追加治療薬は、単一投薬形態として、前記組成物と共に投与されるか、または複数投薬形態の一部として、該組成物とは別に投与される、方法。 - 生物学的サンプルにおいて、ROCKキナーゼ活性を阻害する方法であって、該方法は、該生物学的サンプルを、以下の(a)または(b)と接触させる工程を包含する:
(a)請求項9に記載の化合物;または
(b)請求項9に記載の化合物、および薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクルを含有する組成物。 - 患者において、ROCKが媒介する疾患または状態を処置するかその症状を軽減する方法であって、該患者に、請求項9に記載の化合物、および薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクルを含有する組成物を投与する工程を包含する、方法。
- 高血圧症、勃起障害、新脈管形成、神経再生、転移、緑内障、炎症、動脈硬化症、免疫抑制、再狭窄、喘息または心臓肥大から選択される患者の疾患または状態を処置するかその症状を軽減する方法であって、該患者に、請求項9に記載の化合物、および薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクルを含有する組成物を投与する工程を包含する、方法。
- 請求項26に記載の方法であって、該方法は、前記患者に、追加治療薬を投与する追加工程を包含し、
該追加治療薬は、処置する疾患に適切であり、そして
該追加治療薬は、単一投薬形態として、前記組成物と共に投与されるか、または複数投薬形態の一部として、該組成物とは別に投与される、方法。 - 移植可能装置を被覆する組成物であって、請求項1に記載の化合物および該移植可能装置を被覆するのに適切なキャリアを含有する、組成物。
- 請求項28に記載の組成物で被覆された、移植可能装置。
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