JP2005504320A - プリオンタンパク質の検出のための試験ストリップ - Google Patents

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Abstract

【課題】サンプルにおけるプリオンを実質的に容易に検出することが可能な試験ストリップ及びデバイスを提供する。
【解決手段】液体サンプル、液化サンプル、又はホモジナイズされたサンプルにおける分析物の検出のための試験ストリップであって、該試験ストリップ(10)上に、前記サンプルと接触させられ得るセクション(11)、及び少なくとも第1の規定された領域(12)を備え、該試験ストリップ(10)は吸収材料からなり、該プリオンタンパク質に特異的に結合する検出試薬が、前記第1の規定された領域(12)中に固定されていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

【技術分野】
【0001】
この発明は、請求項1の包括的部分による試験ストリップ、及びいくつかの試験ストリップが異なるサンプル容器に導入されることを可能にするホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
試験ストリップは、液体、又はホモジナイズされたサンプルにおける、多数の異なる分析物の検出のために用いられている。一般に、試験ストリップは、少なくとも1つの規定された領域を備えて提供され、この領域に、特定の分析物についての検出試薬が固定されている。
【0003】
通常、この試験ストリップの下部セクションは、サンプルと接触される。この規定された検出領域は、試験ストリップの下部セクションに存在し、そしてサンプルによって直接湿らされる。別の選択肢によれば、この検出領域は、試験ストリップの更に上部に備えられるが、このストリップが、液状−伝導性材料から作成されること、及びサンプル液体が、毛管現象の効果に基づいて、接触セクションから検出領域へ流れることができることが、必要である。
【0004】
試験が陽性であるか陰性であるか否かは、例えば、前記検出領域における色調変化によって観察され得る。
【0005】
通常、試験ストリップは、特に、標準化に特に十分適合しているか、及び/又は他に訓練を受けていない個人が自宅で実施できるなどの場合の、検出適用において用いられる。公知の例としては、例えば、妊娠試験、又は腎機能をモニタリングするための試験ストリップが挙げられる。
【非特許文献1】
Korth, C et al. Nature 1997, 390巻、74頁〜77頁
【非特許文献2】
Barry, R.A.et al.:J.Immunol. 1988, 第140 巻、1188〜1193頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
対照的に、プリオンタンパク質の検出には、その実施は、現時点では、安全な実験室で作業する高度に専門化された人員に対して限定される大々的な準備が必要である。これは通常、各サンプルについて別々に実施される検出反応自体は、サンプル調製に比べて相対的に少ない労力しか伴わず、このことが、標準化及び簡易化が現時点では重要であると考えられていない理由である。
【0007】
一方では、例えば、動物の屠殺におけるような、増大している試験の数を考慮すれば、プリオンタンパク質の検出のための反応の標準化によって、労力及び費用の両方の観点から、実質的な削減を十分にもたらすことができるということは無視できない。
【0008】
したがって、液体サンプル、液化サンプル、又はホモジナイズしたサンプルにおけるプリオンの、現時点で可能であるよりも、実質的に容易な検出を可能にするデバイスを提供することが本発明の課題である。いくつかのサンプルの特に簡易な同時測定を可能にするデバイスを提供することが、本発明の他の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、請求項1において記載された特徴を有する試験ストリップ、及び請求項9に記載された特徴を有するデバイスによって解決される。
【0010】
他の分析物について公知の試験ストリップと同様に、本発明に係る試験ストリップは、液体サンプル又はホモジナイズされたサンプルと接触させられ得る下部セクションを備え、それによって、本発明に従って、第1の規定された領域が設けられ、この領域にプリオンタンパク質に結合する抗体又は他の検出試薬が固定される。適切な抗体は、Korth, C et al. Nature 1997, 390巻、74頁〜77頁による刊行物から、当該分野における専門家に公知である。
【0011】
請求項1によれば、この試験ストリップは、吸収材料、詳細には、ニトロセルロース、又はフッ化ポリビニリデン(PVDF)により形成され、それによって、サンプルと接触され得る下部セクションと、第1の規定された領域との間の液体の輸送が可能である。
【0012】
本発明に係る試験ストリップを用いる通常の試験において、検出試薬、例えば、抗体を、最初にサンプルに添加して、マーカーの存在において、プリオンタンパク質と共に検出可能複合体を形成する。マーカー、例えば、放射性同位体、蛍光物質、UV又は可視光を吸収する発色団を検出に用いることができる。後者の場合、このようなマーカーは、例えば、ラテックスビーズなどの着色されたポリマービーズ、金粒子、リポソーム、及び色素粒子、又は同様の物質を含んでもよい。原理の問題として、抗体又は他の検出試薬に、能動的に又は受動的に結合するか、又は結合できる、全ての検出可能なマーカーが、この目的に適切である。簡易化のために、着色されたマーカーに結合する抗体のわずかな例を以下に記載する。
【0013】
引き続いて、試験ストリップは、サンプルと接触されて、このサンプル液体は第1の規定された領域を横切って移動し、そこに固定された検出試薬は、そのサンプルに含有された、プリオンタンパク質、及びそこに付着された着色されたマーカーに結合する。これによって第1の規定された領域における色調の変化が生じ、これは、例えば、肉眼で検出できる。
【0014】
適切な検出試薬としては、例えば、プリオンタンパク質を特異的に認識する、抗体、アプタマー(aptamers)、又は他の手段が挙げられる。
【0015】
検出試薬が、正確に進行するか否かをチェックするために、試験ストリップは、1つ、又はいくつかの他の規定された領域であって、ここにコントロール試薬が固定される領域を備えてもよい。
【0016】
これに関連して、好ましい実施例による試験ストリップは、第2の規定された領域を含み、この領域に、サンプル中の着色された試薬−マーカー複合体に結合できる試薬が固定されている。これによって、試薬−マーカー複合体がサンプルに真に添加されていたか否か、及び/又はその濃度が正確であるか否か、などがチェックできる。この目的のために用いられるコントロール試薬は、特に、抗体又は機能的試薬であって、その複合体がプリオンタンパク質に明確に結合できる場合、着色された試薬−マーカー複合体のみに対して結合する、抗体又は機能的試薬を含んでもよい。詳細には、組み換えプリオンタンパク質は、コントロール試薬として用いることができる。
【0017】
別の好ましい実施例は、PrPSc検出試薬における使用のための試験ストリップに関する。プリオンタンパク質は、PrPc 及びPrPScと表される2つの異なる異性体(isoforms)として存在することが公知である。PrPc は、正常な哺乳動物タンパク質の異性体であるが、PrPScは、異常な、病的な異性体である。
【0018】
現在のところ、PrPScは、プリオン病に特異的であると推測されている。一般的な試験及び検出手順は、PrPScが、疾患のマーカーであり、したがって、サンプル中のこの分子の存在について試験するという推定に基づいている。
【0019】
しかし、この手順には、感染した供給源由来のサンプルは通常、PrPScを排他的に含まないが、PrPc もそうであるという問題が伴っている。したがって、この検出手順は、通常存在するPrPc と、可能性として存在するPrPScとの間を識別しなければならない。
【0020】
現在のところ、この識別は、プロテアーゼを用いてサンプルを消化することによって達せられる。これは、PrPc 型は完全に消化可能であるが、PrPSc型のN末端セクションのみがプロテアーゼ感受性であり、一方PrP27−30と表されるセクションは消化されないという事実を利用している。
【0021】
したがって、特定のPrPScアッセイにおいては、PrPc 型の対応する領域は、不完全な消化に基づいて結合されるということは無視できないが、PrP27−30に特異的に結合する抗体は、本発明による試験ストリップの第1の規定された領域に固定される。
【0022】
これに関して、確認するために、別の好ましい実施例によって、第3の規定された領域を備える、本発明に係る試験ストリップを提供することができる。この領域には、PrPタンパク質のN末端を特異的に認識して結合するコントロール試薬が固定される。消化が完了するまで進行すれば、PrPのN末端領域は、もはや検出できないはずである。対照的に、この領域における色調の変化は、サンプル中の残りの元のままのPrPc の存在(これは、消化が不完全であることを意味する)を示す。適切なコントロール試薬としては、例えば、Barry, R.A.et al.:J.Immunol. 1988, 第140 巻、1188〜1193頁の刊行物から公知の抗体が挙げられる。
【0023】
この構成によって、消化が、プリオンの検出と完全に同時であるか否かをチェックするための特に簡易な手段が提供される。一方、最新技術のELISA手順では、この目的のためには別々の試験が必要であった。
【0024】
更に、本発明による試験ストリップであって、このストリップを通して流れた液体を吸い上げる「ウエイストパッド(waste pad)」と表記された領域を備える試験ストリップが提供されえる。この領域は、例えば、吸収マット、又はフリース、又は吸い取り紙、又は同様の手段によって提供されてもよい。この試験ストリップの形状及び深さは、大容量においてでもPrPの分離及び検出を可能にする、小型のクロマトグラフィーカラムが形成されるような様式で設計され得る。
【0025】
上記のような本発明に係るウエイストパッドを備える試験ストリップは、好ましくは、吸収剤から作成されていて、液体がサンプルから、おそらく別々に、検出及びコントロール領域へ流れることを可能にする。
【0026】
明らかに、吸収剤から作成されてない試験ストリップを使用することも考えられる。この場合、規定された検出領域、及び可能性としては、コントロール領域は、それらがサンプルにより直接湿らされるような方法で、この試験ストリップ上に設けられなければならないか、又は液体が、能動的に(例えば、吸い込み/吸い出し、又は遠心分離の手段によって)動かされなければならない。
【0027】
上記で言及された試験ストリップ以外に、本発明は、複数のサンプルの同時試験のためのデバイスを包含する。
【0028】
通常、複数のサンプルは、マイクロタイタープレートの使用によって、又は規定された幾何学的配置を有する複合システム中に数個のサンプル容器を組み合わせる他の様式の手段によって、同時に処理される。
【0029】
したがって、本発明に係る好ましいデバイスは、ホルダーを備え、このホルダーに、いくつかの試験ストリップが整列されており、そして配向された様式で支持されており、この手法によって、それらの下部セクションは、用いられた複合システムの各サンプル容器の1つに同時に導入されることができる。
【0030】
したがって、ストリップ形状のホルダーが考えられる。このホルダーでは、試験ストリップは、互いに平行に、そして互いに一定の距離(この距離は、マイクロタイタープレートの行におけるサンプル容器の距離に相当する距離である)で固定される。
【0031】
本発明の他の実施例は、特定の様式に必要である全ての試験ストリップを同時に取り上げるホルダーを提供する。例えば、マイクロタイタープレートのためのホルダーが考えられるが、ここでは、サンプル容器ウェルの数に相当するほどの多数のストリップが取り上げられる。
【0032】
特に好ましい実施例では、この種類のデバイスは、例えば、フレームであって、対応する数の試験ストリップを有するストリップ形状のホルダーの1つが、マイクロタイタープレートの各行に導入されることができるフレームを備えてもよい。結果を読み取るために、このホルダーを、このフレームから連続して取り外してもよく、これによって分析が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下において、本発明は、異なる実施例を描写するいくつかの図によって詳細に例示される。更なる図面が、本発明による試験ストリップが用いられた試験の結果を示している。
【実施例】
【0034】
図1は、プリオンタンパク質の検出のための、試験ストリップ10を示す。この試験ストリップ10は、下部セクション11を備え、この下部セクション11は、ホモジナイズされたサンプル又は液体サンプルと接触することができる。
【0035】
更に、いくつかの規定された領域12,13,及び14が、試験ストリップ10に設けられ、その各々が検出試薬又はコントロール試薬を含む。これらの試薬は、例えば噴霧によって、試験ストリップ10に付与されてもよい。
【0036】
試験ストリップ10は、吸収剤、例えば、ニトロセルロースから構成される。下部セクション11においてストリップ10と接触するサンプル液体は、領域14,12,13に沿って試験ストリップを通じてウエイストパッド15に吸引され、ウエイストパッド15は、試験ストリップを通じた流れの後に液体を吸い上げる。試験ストリップ10の上端部に識別番号16を与えて、例えば、マイクロタイタープレートにおけるサンプルの座標を示す。
【0037】
上記で言及したとおり、規定された領域12,13,及び14に異なる試薬を固定する。サンプル中に存在し得る任意のプリオンタンパク質を認識する試薬を含むことが、いずれの試験ストリップにも必須である。例示した場合では、これらの試薬は、プリオンタンパク質に対する特定の抗体であり、そしてこの試薬は、規定された領域12に含まれる。
【0038】
領域13は、コントロール試薬を含み、これによって、上記で言及された着色された検出試薬−マーカー複合体の濃度、及び/又は存在が、サンプル中でチェックされることが可能になる。
【0039】
最後に、領域14は、試薬を含み、これによって、プリオンタンパク質の消化をチェックすることが可能になる。
【0040】
図2は、多数のサンプルを同時に分析できる、デバイス20を示す。デバイス20は、ホルダー21を含み、このホルダーにおいて、試験ストリップ10,10′などは、下向きの下部セクション11をもち平行な配列で保持されている。試験ストリップ10,10′の間の相互の距離は、マイクロタイタープレートにおけるウェルの通常の距離に対応する手法で選択される。ホルダー21を用いて、マイクロタイタープレートの行のウェル中のサンプルを同時にチェックすることができる。
【0041】
個々の試験ストリップ10,10′の分離を容易にする穿孔22は、ホルダー21上の個々の試験ストリップ10,10′の間に設けられてもよく、ここでホルダー21は、例示した場合では、ストリップの形状をとっている。
【0042】
マイクロタイタープレート全体に対して、この形態を拡大することが考えられる。
【0043】
これに関連して、図3は、フレーム30を示し、その基部は、このフレームがアダプター32によって従来のマイクロタイタープレート上に配置され得る手法で選択される。その結果、このマイクロタイタープレートは、このフレームによって完全に覆われる。長手方向に伸びるフレーム30の上部エッジのエリアにおいて、相互に対向するスリットの対31,31′が設けられており、それに対して、各々が試験ストリップ10,10′を有する1つのホルダー21が配置されることができる。
【0044】
スリット31、31’の対向する対の数は、マイクロタイタープレート中の行の数に対応しており、その結果、1つのホルダー21は各々が、マイクロタイタープレートの1つの行毎に導入されることができる。
【0045】
ホルダー30は、その完全に組み立てられた状態で、図4に示されており、ここではアダプター32は示されない。
【0046】
例示される試験ストリップは、各々が規定された領域12,13,14を備え、それらは異なる検出試薬及びコントロール試薬を含んでいる。本発明は、また、1つではなくいくつかの規定された領域、すなわちサンプル中に存在するプリオンタンパク質を検出できる検出試薬を保有する2つ以上の規定された領域、あるいは消化をチェックする試薬を含む2つ以上の領域などが、各試薬に対して試験ストリップ上に設けられている実施例を考慮していることは自明である。
【0047】
図5は、種々の濃度で、組み換えウシプリオンタンパク質(RecBoPrP)の検出のためにいくつかの試験ストリップを用いた試験の結果を示している。この試験ストリップを、上記で提示した方法に従って、種々の開始濃度のRecBoPrPと共にインキュベートした。サンプル希釈は、1:1〜1:32の範囲であった。各々の希釈は、試験ストリップの図の下に示される。ブランクコントロールとして、RecBoPrPを含有しないサンプルと共に、試験ストリップをインキュベートした。
【0048】
サンプル中の検出試薬−マーカー複合体の存在に応答する試験ストリップの領域13は、常に着色されているが、PrP27−30を認識する試験ストリップの領域12は、RecBoPrPの濃度の低下に対応する色調強度の低下を示す。この試験ストリップの領域12の色調強度における、濃度範囲(32倍)を上回る相違は、肉眼で容易に検出可能である。したがって、この試験ストリップは、RecBoPrPの半定量的検出のために用いることもできる。
【0049】
図6は、4匹のトランスジェニックマウス又は野生型マウス由来の尿と共にインキュベーションした後の、いくつかの試験サンプル各々を有する、3つの行60,60′,及び60″を示す。
【0050】
前と同様に、この試験ストリップは、PrP27−30を認識する領域12,及びサンプル中の検出試薬−マーカー複合体の存在に対応する領域13を備える。
【0051】
行60の試験ストリップを、正常な量のプリオンタンパク質を産生する、4匹の野生型マウス(WT1−WT4)由来の尿と共にインキュベートしたところ、これは、試験ストリップの領域12の実質的な着色を生じた。
【0052】
行60′の試験ストリップを、強度に増大した量のプリオンタンパク質を産生する、4匹のトランスジェニックマウス(Tg201−Tg204)由来の尿と共にインキュベートした。これによって、試験ストリップの領域12は、より強力に着色される。
【0053】
行60″の試験ストリップを、プリオンタンパク質を産生しない、4匹のトランスジェニックマウス(Prnp%1〜Prnp%4)由来の尿と共にインキュベートした。その結果、試験ストリップの領域12は、着色されない。
【0054】
図中の各々の試験ストリップ上の略記によって、試験ストリップが対応するマウスの識別が可能になる。
【0055】
上記の試験ストリップは、複雑な環境(尿)中に存在する場合でさえ、プリオンタンパク質を特異的に認識することが、この図から明白である。
【0056】
図7は、健常なウシ、対するBSEに罹患したウシに由来する、プロテアーゼ処理した脳ホモジネートを分析するために用いた試験ストリップA及びBを示す。
【0057】
上記のように、プリオンタンパク質(PrPc )の非感染アイソフォームは、プロテアーゼ処理によって完全に消化されるが、感染性アイソフォーム(PrPSc)は、PrP27−30と表示されるドメインが残る程度に、部分的にしか消化されない。
【0058】
すでに述べたように、試験ストリップA及びBは、PrP27−30を認識する領域12、及びサンプル中の検出試薬−マーカー複合体の存在に応答する領域13を備えている。
【0059】
試験ストリップAを、健常なウシのプロテアーゼ処理した脳ホモジネートと共にインキュベートした。試験ストリップの領域12は、未着色のままである。なぜならPrPc は、完全に消化されたからである。
【0060】
試験ストリップBを、BSEに罹患したウシのプロテアーゼ処理した脳ホモジネートと共にインキュベートした。試験ストリップの領域12は、着色されることが明白である。このことは、PrP27−30が、プロテアーゼ処理にかかわらず存在することを意味し、このことは、消化の前にはサンプルがPrPScを含んでいたことを示す。
【0061】
したがって、ここで示されるタイプのストリップ試験は、ウシ脳サンプルの迅速なBSEスクリーニングに十分に適している。
【0062】
図8は、異なる程度に消化された、異なるホモジネートとともにインキュベートした後の試験ストリップA,B,及びCを示す。
【0063】
PrP27−30を認識する領域12,及びサンプル中の検出試薬−マーカー複合体の存在に応答する領域13とは別に、試験ストリップA,B,及びCは、領域14を含み、この領域は、プリオンタンパク質のN末端領域に結合することができ、したがって、未消化、又は不完全に消化されたプリオンタンパク質を排他的に認識するが、N末端領域を欠失する消化されたプリオンタンパク質を認識しない。
【0064】
試験ストリップAを、BSEに罹患したウシの、完全に消化した、プロテアーゼ処理した脳ホモジネートと共にインキュベートした。このホモジネートは、PrP27−30を含むので、領域12は、着色されるが、領域14は未着色のままである。なぜなら完全な消化によってN末端領域がなくなるからである。
【0065】
試験ストリップBを、健常なウシの、完全に消化した、プロテアーゼ処理した脳ホモジネートと共にインキュベートした。このサンプルは、PrP27−30も、N末端領域も含まず、これによって、領域12及び14は未着色のままとなる。
【0066】
試験ストリップCを、健常なウシの、不完全に消化した、プロテアーゼ処理した脳ホモジネートと共にインキュベートした。試験ストリップの領域12は、着色されるが、この理由は、消化が乏しければ、ホモジネートは、依然としてPrP27−30ドメイン(PrPc にも存在する)を含むことになるからである。領域14は、依然としてある程度N末端領域が存在するために、着色される。この試験ストリップに領域14がなければ、領域12の着色が、陽性サンプルにおけるPrP27−30の存在の指標であるか、又は代わりに正常なプリオンタンパク質の不完全な消化に関連しているものであるかを、確実に識別することは、不可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係る試験ストリップを示す図である。
【図2】数個の試験ストリップが互いに平行に付着されて行を形成するホルダーの実施例を示す図である。
【図3】共通のマイクロタイタープレート形態におけるフレームであって、図2に示されるホルダーを配置することができるフレームを示す図である。
【図4】図2によるホルダーと完全に適合されたフレームを示す図である。
【図5】試験結果であって、図2に示されるもののようなホルダー中に付着された数個の試験ストリップが、種々の濃度で組み換えウシプリオンタンパク質の検出のために用いられた、試験結果を示す図である。
【図6】トランスジェニックマウスおよび野生型における細胞状プリオンタンパク質の検出のための、数個の試験ストリップを用いた試験結果を示す図である。
【図7】疾患特異的なプロテアーゼ耐性プリオンタンパク質の検出のための、2つの試験ストリップを用いた試験の結果を示す図である。
【図8】BSEホモジネートの消化条件をチェックするための、3つの試験ストリップを用いた試験結果を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
10,10′ 試験ストリップ
11 下部セクション
12,13,14 規定された領域
15 ウエイストパッド
16 識別番号
20 デバイス
21 ホルダー
22 穿孔
30 フレーム
31,31′ スリット対
32 アダプター

Claims (11)

  1. 液体サンプル、液化サンプル、又はホモジナイズされたサンプルにおける分析物の検出のための試験ストリップであって、該試験ストリップ(10)上に、前記サンプルと接触させられ得るセクション(11)、及び少なくとも第1の規定された領域(12)を備え、該試験ストリップ(10)は吸収材料からなり、プリオンタンパク質に特異的に結合する検出試薬が、前記第1の規定された領域(12)中に固定されていることを特徴とする試験ストリップ。
  2. 前記試験ストリップが、ニトロセルロース、又はフッ化ポリビニリデンから構成されていることを特徴とする請求項1に係る試験ストリップ。
  3. 第2の規定された領域(13)を備え、該領域に前記サンプルに存在する着色された検出試薬−マーカー複合体に結合するコントロール試薬が固定されていることを特徴とする請求項1又は2に係る試験ストリップ。
  4. 前記着色された検出試薬−マーカー複合体における検出試薬に結合する抗体が、前記第2の規定された領域(13)中に結合されていることを特徴とする請求項3に係る試験ストリップ。
  5. 第3の規定された領域(14)を備え、該領域にコントロール試薬が固定されており、該コントロール試薬は、実行されたプリオンタンパク質消化の成就をチェックするために用いられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に係る試験ストリップ。
  6. 前記プリオンタンパク質のN末端を認識する検出試薬が、前記第3の規定された領域(14)に固定されていることを特徴とする請求項5に係る試験ストリップ。
  7. 前記規定された第1の領域(12)が、前記第2の規定された領域(13)と、前記第3の規定された領域(14)との間に配列されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に係る試験ストリップ。
  8. 規定された領域の1又はいくつかを備える試験ストリップであって、該規定された領域が、該試験ストリップが、サンプルに接触するとき、サンプル液によって直接湿らされる前記試験ストリップのセクションに設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に係る試験ストリップ。
  9. 規定された幾何的配列を有する複合システムに結合される、サンプル容器中の複数のサンプルの同時試験のためのデバイスであって、該デバイスがホルダー(21)を備え、該ホルダーにいくつかの試験ストリップ(10,10′)が、前記サンプル容器の該規定された幾何的配列に対応させた配列中に保持され、これによって該試験ストリップの底部セクション(11)は、各々のサンプル容器の1つに同時に導入され得るように構成されていることを特徴とするデバイス。
  10. 前記ホルダー(21)が、横切る方向のストリップの形状で構成され、該ホルダー上に前記試験ストリップが、直交するように配列されていることを特徴とする請求項9に係るデバイス。
  11. フレーム(30)を備え、該フレームはマイクロタイタープレート上に配置されることができ、該フレームの対向する縁部領域に対向するレセプタクル(31,31′)を備え、該レセプタクルに前記ストリップ形状のホルダー(21)が導入されうるように構成されていることを特徴とする請求項10に係るデバイス。
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