JP2005503772A - エラスターゼインヒビター分泌のモジュレータ - Google Patents

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Abstract

本発明は、細胞から単球/好中球エラスターゼインヒビターの放出を促進する方法および物質を提供する。また、本発明は、細胞から単球/好中球エラスターゼインヒビターの放出を促進する物質を同定する方法を提供する。開示された方法および物質は、炎症状態および炎症性疾患の管理に役立つ。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞生物学、生化学、医薬および薬理学の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
セルピン類(セリンプロテアーゼインヒビター)および関連するプロテインは、HuntとDayhoffによって1981年にコンピュータ分析によるアミノ酸配列同定で認められた、最も初期に記述されているプロテインスーパーファミリーの一つである(Huntその他、(1981年)Biochem.Biophys.Res.Commun. 95:864-871)。このスーパーファミリー内の一グループに、「Ov-ファミリー」(配列同定単独のみでは、識別できないであろう)がある(Remold-O'Donnell、E.(1993) FEBS 315:105-108)。
【0003】
Ov-ファミリーメンバーには、例えば、ヒト扁平上皮細胞抗原、ヒトプラスミノーゲン活性化因子(PAI-2)、ヒト単球/好中球エラスターゼインヒビター(MNEI)、チキンオボアルブミン(Oval)、およびチキンジーンY(id.)が含まれる。Ov-ファミリープロテインは、本来ならセルピンファミリーメンバーが有する特質である、N-末端エクステンション領域および分裂性疎水シグナル配列の2つを欠いている。このファミリーメンバーのいくつかは、分泌されるか細胞質内に存在するかのいずれかをとる二元的な分子として存在するため、非分裂性内在シグナル配列に依存すると考えられる。
【0004】
食細胞のプロテアーゼおよびプロテアーゼインヒビターの微妙なバランスの維持は、局所臓器の機能の保全を維持するために重要である。このバランスの崩れは、気腫、喘息、慢性気管支炎、サルコイドーシス、気管支拡張症、呼吸窮迫症候群、関節炎およびある種の皮膚疾患の病因の主要な原因因子となりうる。
【0005】
ヒト単球/好中球エラスターゼインヒビター(MNEI)(ジェンバンク 受入番号 P30740)は、好中球顆粒プロテアーゼであるエラスターゼ(ジェンバンク 受入番号 AAD45239)、カテプシンG(cat G)(ジェンバンク 受入番号 XP-007318)、およびプロテイナーゼ−3(PR-3)(ジェンバンク 受入番号 XP-009264)を急速に阻害するセルピンスーパーファミリープロテインである。MNEIは培養マクロファージ由来の分泌物中から最初に検出されたものであり、肺の細胞外液セリンプロテアーゼ活性を制御する中心的役割を果たすと考えられている。MNEIは、深刻な肺炎症を伴った嚢胞性線維症の患者の気管支肺胞洗浄(BAL)液中で高濃度に見られ、炎症状態に応じて放出増加が観察される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
MNEIの細胞からの分泌あるいは放出を促進する化合物および方法は知られていない。そのような化合物および方法は、炎症状態および炎症性疾患のコントロールに役立つと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、MNEIがこれまで知られていなかった分泌経路により細胞から放出されること、および様々な物質がMNEIの細胞からの分泌あるいは放出を促進するのに有用であることが発見された。これらの発見は、細胞からMNEIの放出を促進する方法および細胞からのMNEI放出を促進する物質を同定する方法含む、本発明を提供するために活用された。これらの方法は、炎症状態および炎症性疾患の治療に役立つ。
【0008】
一面では、本発明は、細胞からMNEIの放出を促進する方法を提供する。この方法には、細胞を、細胞からMNEIの放出を促進する物質と接触させることが含まれる。一の実施形態では、前記物質はプロテアーゼである。ある実施形態では、前記プロテアーゼは好中球顆粒プロテアーゼである。さらに別の実施形態では、前記プロテアーゼは、単球/好中球エラスターゼ、カテプシンG、プロテイナーゼ−3、膵エラスターゼ、およびキモトリプシンからなる群から選択される。別の実施形態では、前記プロテアーゼは、単球/好中球エラスターゼ、カテプシンG、プロテイナーゼ−3、膵エラスターゼ、あるいはキモトリプシンの類似体である。他の実施形態では、前記物質は、MNEI放出の小分子アゴニストである。
【0009】
別の面では、本発明は、細胞からMNEIの分泌を促進する方法を提供する。この方法には、細胞をプライミング物質と接触させ、続いてその細胞を、細胞からのMNEI放出を促進する物質と接触させることが含まれる。ある実施形態では、前記物質はプロテアーゼである。別のある実施形態では、前記プロテアーゼは好中球顆粒プロテアーゼである。さらに別の実施形態では、前記プロテアーゼは、単球/好中球エラスターゼ、カテプシンG、プロテイナーゼ−3、膵エラスターゼ、およびキモトリプシンからなる群から選択される。別の実施形態では、前記プロテアーゼは、単球/好中球エラスターゼ、カテプシンG、プロテイナーゼ−3、膵エラスターゼ、あるいはキモトリプシンの類似体である。ある実施形態では、前記プライミング物質は、リポ多糖体(LPA)あるいはシクロヘキサミド(CHX)からなる群から選択される。他の実施形態では、前記物質は、MNEI放出の小分子アゴニストである。
【0010】
また別の面では、本発明は、細胞からMNEIの分泌を促進する方法を提供する。この方法には、細胞をプライミング物質および細胞からのMNEI放出を促進する物質と接触させることが含まれる。ある実施形態では、前記プライミング物質はエトポシド(etop)である。いくつかの実施形態では、細胞からMNEI放出を促進する物質はプロテアーゼである。ある実施形態では、前記プロテアーゼは好中球顆粒プロテアーゼである。別の実施形態では、前記プロテアーゼは、単球/好中球エラスターゼ、カテプシンG、プロテイナーゼ−3、膵エラスターゼ、およびキモトリプシンからなる群から選択される。別の実施形態では、前記プロテアーゼは、単球/好中球エラスターゼ、カテプシンG、プロテイナーゼ−3、膵エラスターゼ、あるいはキモトリプシンの類似体である。別のある実施形態では、前記物質は、MNEI放出の小分子アゴニストである。
【0011】
本発明は、細胞からMNEIの放出を促進する物質を同定する方法を提供する。この方法には、細胞を試験物質と接触させて、MNEI放出を分析することが含まれる(試験物質で処理していない対照サンプルと比較して、MNEIの放出が増加していれば、その試験物質が、細胞からのMNEI放出を促進させたことが分かる)。ある実施形態では、前記試験物質は、MNEI放出の小分子アゴニストである。
【0012】
また別の面では、本発明は、炎症を治療するための方法を提供する。この方法には、細胞を、MNEIの放出を促進する物質と接触させ、それにより炎症を緩和することが含まれる。ある実施形態では、炎症の治療は、嚢胞性線維症、気腫、喘息、慢性気管支炎、サルコイドーシス、気管支拡張症、呼吸窮迫症候群、関節炎およびある種の皮膚疾患に罹患している患者を対象にする。特に好ましい実施形態では、当該方法は、嚢胞性線維症患者の炎症の治療に用いられる。
【0013】
さらに別の面では、本発明は、炎症状態および炎症性疾患の治療に有用な薬剤組成物を提供する。当該組成物には、MNEIの放出を促進する物質および許容できる製剤キャリアーが含まれる。いくつかの実施形態では、細胞からMNEIの放出を促進する物質は、プロテアーゼである。ある実施形態では、前記プロテアーゼは好中球顆粒プロテアーゼである。別の実施形態では、前記プロテアーゼは、単球/好中球エラスターゼ、カテプシンG、プロテイナーゼ−3、膵エラスターゼ、およびキモトリプシンからなる群から選択される。さらに別の実施形態では、前記プロテアーゼは、単球/好中球エラスターゼ、カテプシンG、プロテイナーゼ−3、膵エラスターゼ、あるいはキモトリプシンの類似体である。他の実施形態では、前記物質は、MNEI放出の小分子アゴニストである。
【0014】
また別の面では、本発明は、炎症状態あるいは炎症性疾患の治療に有効な薬剤組成物と、炎症状態あるいは炎症性疾患の治療に用いるためのその組成物の使用方法をプリントした説明書とを含むキットを提供する。前記キットの薬剤組成物には、MNEIの放出を促進する物質が含まれる。ある実施形態では、この物質はプロテアーゼである。ある実施形態では、前記プロテアーゼは好中球顆粒プロテアーゼである。別の実施形態では、前記プロテアーゼは、単球/好中球エラスターゼ、カテプシンG、プロテイナーゼ−3、膵エラスターゼ、およびキモトリプシンからなる群から選択される。さらに別の実施形態では、前記プロテアーゼは、単球/好中球エラスターゼ、カテプシンG、プロテイナーゼ−3、膵エラスターゼ、あるいはキモトリプシンの類似体である。他の実施形態では、前記物質は、MNEI放出の小分子アゴニストである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
ここで使用される、「MNEIの放出を促進する」という語句は、細胞から分泌されるMNEIの量を増加させる、物質(例えば、蛋白質あるいは化合物)の性質を指す。また、「促進する」という語は、新たなMNEIの産出および放出を意味してもよい。
【0016】
ここで使用される、「プロテアーゼ」という言葉は、蛋白質を小さなフラグメントに切断するエンドペプチダーゼを意味する。より具体的には、この語は、セリンプロテアーゼ(活性中心のセリン残基に生じたアシル酵素中間体の構造に基づく共通の反応メカニズムを有する一群の蛋白質)に言及する。セリンプロテアーゼは全て、ジ-イソプロピルフルオロリン酸(DFP)のような、一群の有機リンエステルによって、および自然発生的なインヒビター(例えば、セルピン)によって、不可逆的に失活する。
【0017】
「細胞」という語は、正常にMNEIを発現するものを含む意味で用いられる。例えば、単球および好中球も含まれる。
【0018】
ここで使用される「小分子アゴニスト」という言葉は、好ましくは分子量が1000Da未満、より好ましくは800Da未満、特に好ましくは600ダルトン(Da)未満の化合物であって、細胞からMNEIの放出を促進する能力を持つ化合物を指す。
【0019】
ここで使用される、「類似体」という言葉は、基準となる化合物に対し、関連した構造を持つと共に少なくとも同等の活性が測定される化合物を指す。
【0020】
「好中球顆粒プロテアーゼ」という言葉は、好中球顆粒中で正常に生じるプロテアーゼを含む意味で用いられる。
【0021】
ここに記載される特許及び科学文献は、当業者に利用可能な知識を明確にするためのものである。ここに記載された、発行された米国特許、許可された出願、公開された外国出願、および参考文献は、これによって、参照により包含される。
【0022】
本発明の各面は、分子生物学、細胞生物学および免疫学の分野に共通する技術と方法を使用する。これらの手順のために利用できる実験参考資料は、当業者に容易に入手可能である。参考文献として、例えば、「分子クローニング、実験マニュアル」第二版、編集:Sambrook,J.、Fritsch,B.F.およびManiatis,T.(1989年)、コールド・スプリング・ハーバー研究所出版;「分子生物学の現在のプロトコル」および「免疫学の現在のプロトコル」、Wiley Interscience、ニューヨーク;Harlow&Lane、「抗体:実験マニュアル」、コールド・スプリング・ハーバー出版、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1988年)がある。
【0023】
本発明は、細胞からMNEIを放出する新しい経路を開示する。当業者に明らかなように、細胞からMNEI放出を促進する能力は、炎症状態及び炎症性疾患を管理するのに役立つ。例えば、本発明により、細胞からMNEIの放出を促進することによって、嚢胞性線維症の管理が可能になる。
【0024】
一面では、本発明は、細胞からMNEIの放出を促進(刺激)する方法を提供する。この方法には、細胞を、細胞からMNEIの放出を促進する物質と接触させることが含まれる。本発明の方法に有用な細胞には、単球および好中球が含まれる(これに限定されない)。本発明の方法で行われる細胞の刺激は、インビトロまたはインビボ中でなされてもよい。そのような細胞の単離および取り扱いは当業者に周知である。
【0025】
ある実施形態では、前記物質はプロテアーゼである。ある実施形態では、前記プロテアーゼは好中球顆粒プロテアーゼである。また、前記プロテアーゼは、単球/好中球エラスターゼ、カテプシンG、プロテイナーゼ−3、膵エラスターゼ、キモトリプシン、あるいは単球/好中球エラスターゼ、カテプシンG、プロテイナーゼ−3、膵エラスターゼ、キモトリプシンの類似体である。前記物質はまた、MNEI放出の小分子アゴニストであってもよい。
【0026】
別の面では、本発明は、細胞からMNEIの分泌を促進する方法を提供する。この方法には、細胞をプライミング物質と接触させ、続いてその細胞を、細胞からMNEIの放出を促進する物質と接触させることが含まれる。前記物質は、好中球顆粒プロテアーゼなどのプロテアーゼであってもよい。または、前記プロテアーゼは、単球/好中球エラスターゼ、カテプシンG、プロテイナーゼ−3、膵エラスターゼ、およびキモトリプシン、あるいは単球/好中球エラスターゼ、カテプシンG、プロテイナーゼ−3、膵エラスターゼ、キモトリプシンの類似体である。前記プライミング物質は、好ましくは、リポ多糖(LPA)、シクロヘキサミド(CHX)あるいはMNEI放出の小分子アゴニストからなる群から選択される。
【0027】
また別の面では、本発明は、細胞からMNEIの分泌を促進する方法を提供する。この方法には、細胞をプライミング物質および細胞からMNEIの放出を促進する物質と接触させることが含まれる。好ましくは、前記プライミング物質はエトポシド(etop)である。好ましくは、細胞からのMNEI放出を促進する物質は、プロテアーゼであり、例えば、好中球顆粒プロテアーゼあるいは単球/好中球エラスターゼ、カテプシンG、プロテイナーゼ−3、膵エラスターゼ、キモトリプシン、あるいはそれらの類似体である。または、前記物質は、MNEI放出の小分子アゴニストである。
【0028】
また別の面では、本発明は、細胞からMNEIの放出を促進する物質を同定する方法を提供する。この方法には、細胞を試験物質と接触させ、MNEIの放出を分析することが含まれる(試験物質で処理していない対照サンプルと比較して、MNEIの放出が増加していれば、その試験物質が細胞からMNEIの放出を促進させたことが分かる)。好ましくは、前記試験物質は、MNEI放出の小分子アゴニストである。
【0029】
ここに開示される本発明には、MNEI分泌の小分子アゴニストを同定するための種々のライブラリの使用が包含される。本発明の目的のために有用なライブラリには、(1)化学物質ライブラリ、(2)天然物ライブラリ、および(3)無作為のペプチド、オリゴヌクレオチド及び/又は有機分子からなるコンビナトリアル・ライブラリが含まれるが、これに限定されない。
【0030】
化学物質ライブラリは、既知の化合物あるいは天然物スクリーニングによって「ヒット(hits)」あるいは「リード(leads)」として同定される化合物の構造類似体から構成される。例えば、単球/好中球エラスターゼ、カテプシンG、プロテイナーゼ−3、膵エラスターゼ、およびキモトリプシンは、MNEI放出を促進する類似体を設計するための主要な物質である(これに限定されない)。従って、別のある実施形態では、前記プロテアーゼは、単球/好中球エラスターゼ、カテプシンG、プロテイナーゼ−3、膵エラスターゼ、あるいはキモトリプシンの類似体である。天然物ライブラリは、(1)土壌、植物あるいは海洋微生物由来の培養液の発酵および抽出、あるいは(2)植物あるいは海洋生物の抽出、によってスクリーニング用混合物を作り出すために使用される微生物、動物、植物、あるいは海洋生物のコレクションから得られる。天然物ライブラリには、ポリケチド、非リボソームペプチド、およびその変異体(非自然的に発生する)が含まれる。
【0031】
コンビナトリアル・ライブラリは、多数のペプチド、オリゴヌクレオチドあるいは有機化合物の混合物で構成されている。それらは従来の自動化合成法、PCR、クローニングあるいは特許権の対象となる合成法によって、比較的容易に調製される。特に興味深いのは、ペプチドおよびオリゴヌクレオチドのコンビナトリアル・ライブラリである。
【0032】
より具体的には、コンビナトリアル化学物質ライブラリは、化学合成あるいは生物学的合成によって、試薬などの複数の化学的な「ビルディングブロック」を組み合わせることによって生成される様々な化合物のコレクションである。例えば、ポリペプチドライブラリのような直鎖状のコンビナトリアル化学物質ライブラリは、所定の化合物の長さ(すなわち、ポリペプチド化合物中のアミノ酸の数)にするためのなんらかの可能な手段で、化学的ビルディングブロック(アミノ酸)のセットを結合させることによって形成される。何百万もの化合物が、このような化学的ビルディングブロックのコンビナトリアル混和によって合成されうる。
【0033】
コンビナトリアル・ケミストリーおよびそれから創り出されたライブラリの概説は、以下の文献に参照される。Huc, I.とNguyen, R.(2001)Comb. Chem. High Throughput Screen 4 : 53-74;Lepre, C.A. (2001) Drug Discov. Today 6:133-140 ; Peng, S.X. (2000) Biomed. Chromatogr. 14 : 430-441 ; Bohm, H.J. とStahl, M. (2000) Curr. Opin. Chem. Biol. 4 : 283-286 ; Barnes, C. とBalasubramanian, S. (2000) Curr. Opin. Chem. Biol. 4 : 346-350 ; Lepre, Enjalbal, C., その他 (2000) Mass Septrom Rev. 19 : 139-161 ; Hall, D.G., (2000) Nat. Biotechnol. 18 : 262-262 ; Lazo, J.S., と Wipf, P. (2000) J. Pharmacol. Exp. Ther. 293 : 705-709 ; Houghten, R.A., (2000) Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 40 : 273-282 ; コバヤシ, S. (2000) Curr. Opin. Chem. Biol. (2000) 4 : 338-345 ; Kopylov, A.M. と Spiridonova, V.A. (2000) Mol. Biol. (Mosk) 34 : 1097-1113 ; Weber, L. (2000) Curr. Opin. Chem. Biol. 4 : 295-302 ; Dolle, R.E. (2000) J. Comb. Chem. 2 : 383-433 ; Floyd, C.D., その他 (1999) Prog. Med. Chem. 36 : 91-168; Kundu, B., その他 (1999) Prog. Drug Res. 53 : 89-156 ; Cabilly, S. (1999) Mol. Biotechnol 12 : 143-148 ; Lowe, G. (1999) Nat. Prod. Rep. 16 : 641-651 ; Dolle, R. E. と Nelson, K. H. (1999) J. Comb. Chem. 1 : 235-282 ; Czarnick, A. W. と Keene, J. D. (1998) Curr. Biol. 8 : R705-R707 ; Dolle, R. E. (1998) Mol. Divers. 4 : 233-256 ; Myers, P. L., (1997) Curr. Opin. Biotechnol. 8 : 701-707 ; と Pluckthun, A. と Cortese, R. (1997) Biol. Chem. 378: 443。
【0034】
コンビナトリアル・ライブラリの調製に用いる装置は市販されている(例えば、357 MPS, 390 MPS, Advanced Chem-Tech, Louisville Ky., Symphony, Rainin, Woburn, Mass., 433A Applied Biosystems, Foster Clty, Calif., 9050 Plus, Millipore, Bedford, Mass. 参照)。さらに、多数のコンビナトリアル・ライブラリはそれ自体が市販されている(例えば、ComGenex, Princeton, N. J., Asinex, Moscow, Ru, Tripos, Inc., St. Louis, Mo., ChemStar, Ltd., Moscow, RU, 3D Pharmaceuticals, Exton, Pa., Martek Biosciences, Columbia, Md.等参照)。
【0035】
さらに、対象となる他のライブラリには、ペプチド、プロテイン、ペプチド様物質、マルチパラレル合成コレクション、レコンビナトリアル、およびポリペプチドのライブラリが含まれる。
【0036】
MNEI放出の小分子アゴニストは、明細書中に記載したライブラリから、当該技術分野で既知のいずれかの方法(例えば、機能的スクリーニングアッセイ、親和性結合法)によって、同定され単離される。これに限定されるわけではないが、例えば明細書中で詳述する実験は、物質が、細胞からMNEIの放出を促進するかどうかを決定する一般的な検定法を提示する。さらに、MNEI分泌の小分子アゴニストの同定に利用されるスクリーニング法には、ハイスループットアッセイが含まれる。
【0037】
また別の面では、本発明は、炎症を治療するための方法を提供する。この方法には、細胞をMNEIの放出を促進する物質と接触させ、それにより炎症を緩和することが含まれる。好ましくは、炎症の治療は、嚢胞性線維症、気腫、喘息、慢性気管支炎、サルコイドーシス、気管支拡張症、呼吸窮迫症候群、関節炎およびある種の皮膚疾患に罹患している患者を対象に行われる。例えば、当該方法は、嚢胞性線維症の患者の炎症治療に有用である。
【0038】
また別の面では、本発明は、炎症状態あるいは炎症性疾患の治療に有効な薬剤組成物と、炎症状態あるいは炎症性疾患の治療に用いるためのその組成物の使用方法をプリントした説明書とを含むキットを提供する。前記キットの薬剤組成物には、MNEIの放出を促進する物質が含まれる。好ましくは、細胞からMNEIの放出を促進する物質は、好中球顆粒プロテアーゼ、単球/好中球エラスターゼ、カテプシンG、プロテイナーゼ−3、膵エラスターゼ、キモトリプシンおよびそれらの類似体などのプロテアーゼである。好ましくは、前記物質は、MNEI放出の小分子アゴニストである。
【0039】
本発明の薬剤組成物は、当該技術分野で既知の方法を用いることにより、容易に調製される。例えば、「Remington's Pharmaceutical Sciences」第17版、(1990年)Mack出版社、イーストン、PA;及び「Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems」、第6版、Williams とWilkins (1995)は、薬剤組成物の調製を実行する人のガイダンスとなる。
【0040】
本発明に係る有効な物質は、本発明の薬剤組成物中に、約0.0001〜約50重量%、より好ましくは約0.001〜約10重量%、さらに好ましくは約0.05〜約5重量%含まれる。
【0041】
本発明は、以下の実施例により、より詳細に説明されるが、以下の実施例は、このような組成物の使用を当業者に明確にするために例示的に記載されるものであり、限定を示すものではない。
【実施例1】
【0042】
MNEIの放出を促進するための一般的な手順
MNEIの放出を促進するための一般的な手順を図1に示す。簡潔に言えば、ヒトの単球系のTHP−1(ATCC番号)は、バージニア州のマナッサスにあるアメリカの組織タイプコレクション(American Tissue Type Collection =ATCC)から得た。細胞を、RPMI/5%エンドトキシンフリーウシ胎児血清(FCS)中で培養し、5%CO雰囲気下の培養器中で各種の物質と共に37℃で表示時間インキュベートした。プロテアーゼとインキュベートした際には、FCSは加えなかった。図に示すように、細胞を、プライミング物質でプレインキュベートあるいはコ-インキュベートした。細胞を遠心分離によって収集し、細胞基質フラクションおよび核フラクションを、10mMトリス塩酸,pH7.6,0.5% NP-40,25mM KCl,5mM MgCl2 0.5mg/ml EDTA,50μg/ml ロイペプチン,2mM DFP(細胞基質)および10mMトリス塩酸,pH8.0,0.1% NP-40,50μg/ml ロイペプチン,2mM DFP(核フラクション)で溶解することによって調製した。
【0043】
培地上清および細胞基質中のMNEIの量をELISA及び/又はウエスタンブロットによって測定した。細胞融解に起因する非特異的な放出を、GAPDHの放出を定量することによって(ウエスタンブロット)およびトリパンブルー色素排除法による細胞生存度の定量によって測定した。
【0044】
各種物質によって誘導されたアポトーシスを、核フラクション中のPARPの分解(ウエスタンブロット)及び細胞基質フラクション中のプロカスパーゼ−3の切断(ウエスタンブロット)によってモニターした(データは示さない)。
【実施例2】
【0045】
MNEI放出への各種試薬の影響
THP−1細胞培養および試料捕集は、基本的に実施例1に記述した方法で行われた。THP−1細胞は、MNEIと共に、または非古典的分泌に影響を与えるあるいはアポトーシスを誘導することが知られている各種の物質と共に、4時間インキュベートされた。培養上清中のMNEIおよびGAPDHは、それぞれELISAおよびウエスタンブロットによって測定した。細胞生存度はトリパンブルー色素排除法によって測定した。
【0046】
実験の結果を図2Aおよび2Bに示す(Cont=対照;NE=好中球エラスターゼ(5μg/ml);TNF=TNF−α(5ng/ml);TBN=トロンビン(0.3U/ml);CHX=シクロヘキシミド;MA=メチルアミン(10mM);Col=コルヒチン(5μg/ml);Glyb=グリブリド(100μM);PMA(10nM);Etop=エトポシド(25μM);Staur=スタウロスポリン(0.5μM))。ヒト好中球エラスターゼ(NE)は、THP−1細胞からMNEIの放出を促進した。N末端シグナルペプチドが欠如している他のプロテインの分泌に、影響を与えることで知られる物質は、MNEI分泌に影響を及ぼさなかった。
【実施例3】
【0047】
ヒト好中球エラスターゼ ( NE ) は、THP−1細胞中のMNEI放出を用量依存的に促進する
THP−1細胞培養および試料捕集は、基本的に実施例1に記述した方法で行われた。簡潔に述べると、無血清培地中のTHP−1細胞を、精製ヒト好中球エラスターゼ(NE)と共に、様々な濃度で3時間インキュベートした。培養上清中のMNEIおよびGAPDHの量を、それぞれ、全MNEIおよびGAPDHに対するパーセントとして、ウエスタンブロットによって測定した。
【0048】
実験結果を図3Aおよび3Bに示す。この結果により、細胞外好中球エラスターゼ(NE)が用量依存的にMNEIの放出を促進することが実証される。細胞基質プロテインであるGAPDHの放出によって、非特異的放出を測定したが、エラスターゼによっては増加されない。
【実施例4】
【0049】
好中球顆粒セリンプロテアーゼによるMNEI放出の増加
THP−1細胞培養および試料捕集は、基本的に実施例1に記述した方法で行われた。簡潔に述べると、無血清培地中のTHP−1細胞を様々なプロテアーゼ5μg/mlと共に4時間インキュベートした。培養上清中のMNEI放出を、ウエスタンブロットによって測定し、プロテアーゼ処理を行わない対照細胞と比較してグラフに表す。
【0050】
実験結果を図4に示す。この結果から、好中球プロテアーゼである好中球エラスターゼ(NE)、カテプシンG(Cat G)、プロテイナーゼ3(PR-3)を用いたインキュベートが、ブタ膵エラスターゼ(PPE)およびキモトリプシン(CT)を用いたインキュベートと同様、MNEI分泌の増加を誘発することが実証される。これらのプロテアーゼは、MNEIによってインビトロで阻害される(データは示さない)。DPF−不活化好中球エラスターゼを用いたTHP−1細胞のインキュベートでは、MNEI分泌は増加しない。
【実施例5】
【0051】
「プライミング」によるプロテアーゼ誘発MNEI分泌の増強
THP−1細胞培養および試料捕集は、基本的に実施例1に記述した方法で行われた。簡潔に述べると、25μM CHXあるいは1μg/ml LPSそれぞれとともに3時間活性化した後、無血清培地中のTHP−1細胞をカテプシンG(10μg/ml)あるいはヒト好中球エラスターゼ(NE,10μg/ml)と共に3時間インキュベートした。もう一つの方法として、細胞をエトポシド(25μM)およびNE(10μg/ml)と共に4時間コ-インキュベートした。対照細胞には、プレインキュベートおよびプロテアーゼ処理を行わなかった。培養上清中のMNEI放出は、ウエスタンブロット(CHXおよびLPS)によっておよびELISA(エトポシド)によって測定した。
【0052】
実験結果を図5A,5Bおよび5Cに示す。この結果から、シクロヘキシミド(CHX)、LPSを用いたTHP−1細胞のプレインキュベートが、あるいはエトポシド(etop)を用いたコ-インキュベートが、エラスターゼあるいはカテプシンGによって誘発されるMNEI分泌の増加を増強することが実証される。
【実施例6】
【0053】
THP−1細胞におけるエラスターゼおよびカテプシンG誘発MNEI放出のキネティクス
THP−1細胞培養および試料捕集は、基本的に実施例1に記述した方法で行われた。簡潔に述べると、1μg/ml LPSとともに3時間活性化した後、無血清培地中のTHP−1細胞をヒト好中球エラスターゼ(NE,1μg/ml)あるいはカテプシンG(1μg/ml)と共に表示時間インキュベートした。LPSで活性化したがプロテアーゼ処理を行わなかった細胞を対照として用いた。培養上清中のMNEI放出は、ウエスタンブロットによってモニターした。
【0054】
実験結果を図6に示す。この結果から、エラスターゼあるいはカテプシンGあるいはLPS単独でインキュベートした活性化THP−1細胞中のMNEI分泌は、時間の経過により、いずれも、LPSプレインキュベートを行わなかった対照試料が示すMNEI放出を上回ることが実証される。LPSによる第一期中のMNEI放出を示す(破線)。プロテアーゼは時間=0で加えた。
【実施例7】
【0055】
MNEIは小胞体(ER)/ゴルジ経路経由で放出されない
THP−1細胞培養および試料捕集は、基本的に実施例1に記述した方法で行われた。簡潔に述べると、1μg/ml LPSとともに3時間プレインキュベートした後、無血清培地中のTHP−1細胞を、精製したヒト好中球エラスターゼ(NE)10μg/mlあるいはブレフェルジンA(0.5μg/ml)と共に3時間インキュベートした。培養上清中のMNEIおよびTNF−αの放出は、ウエスタンブロットによってモニターした。
【0056】
実験結果を図7A,7Bに示す。この結果から、MNEI分泌は、ブレフェルジンA(小胞体からゴルジへの蛋白質輸送をブロックする真菌代謝産物)によって阻害されないことが実証される。従って、MNEI分泌は、古典的小胞体/ゴルジ経路によって起こるものではない。MNEIとは対照的に、小胞体/ゴルジ経路によって分泌される蛋白質であるTNF−αの分泌は、ブレフェルジンAによって完全にブロックされる。
【0057】
当業者は、平均的な実験により、明細書中に記載された本発明の具体的実施例と均等な多数のものを認識しあるいは解明できるであろう。このような均等物は、本発明の特許請求の範囲に含まれると理解される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、細胞からMNEI放出を促進する方法を、概略的に図式化したものである。
【図2A】図2Aは、MNEI分泌に対する各種の物質の効果を示すグラフである。
【図2B】図2Bは、MNEI分泌に対する各種の物質の効果を判断するために行った実験において利用した細胞の生存度を示すグラフである。
【図3A】図3Aは、ヒト好中球エラスターゼが、MNEIの放出を用量依存的に促進できることを示すグラフである。
【図3B】図3Bは、ヒト好中球エラスターゼが、MNEIの放出を用量依存的に促進することを証明するために行った実験において、細胞によって放出されるグリセルアルデヒド三リン酸脱水素酵素(GAPDH)の割合を測定するために行われた対照実験の結果を示すグラフである。
【図4】図4は、各種の好中球顆粒プロテアーゼがMNEIの放出を促進することを示すグラフである。
【図5A】図5Aは、シクロヘキサミド(CHX)による前処理が、カテプシンGが誘発するMNEI放出の促進を増強することを示すグラフである。
【図5B】図5Bは、リポ多糖(LPS)による前処理が、好中球エラスターゼが誘発するMNEI放出の促進を増強することを示すグラフである。
【図5C】図5Cは、エトポシド(etop)とのコ-インキュベートが、好中球エラスターゼが誘発するMNEI放出の促進を増強することを示すグラフである。
【図6】図6は、エラスターゼおよびカテプシンGが誘発するMNEI放出のキネティクスを示すグラフである。
【図7A】図7Aは、MNEIの放出が、ブレフェルジンAによる処理によって影響を受けないことを示すウエスタンブロット表示である。これにより、このプロテインは小胞体/ゴルジ経路によって放出されないことが分かる。
【図7B】図7Bは、TNF-αの放出が、ブレフェルジンAによる処理によって阻害されることを示すウエスタンブロット表示である。これにより、このプロテインが小胞体/ゴルジ経路によって放出されることが分かる。

Claims (15)

  1. ヒト細胞を好中球エラスターゼと接触させ、当該接触させたヒト細胞が単球/好中球エラスターゼインヒビターを放出することを特徴とする、ヒト細胞から単球/好中球エラスターゼインヒビターの放出を促進する方法。
  2. 前記好中球エラスターゼが、ヒト由来のものである、請求項1記載の方法。
  3. 前記好中球エラスターゼと接触させたヒト細胞が、用量依存的に単球/好中球エラスターゼを放出する、請求項1記載の方法。
  4. 前記ヒト細胞が、炎症を起こしている患者のものである、請求項1記載の方法。
  5. 前記患者が、嚢胞性線維症、気腫、喘息、慢性気管支炎、サルコイドーシス、気管支拡張症、呼吸窮迫症候群、関節炎および皮膚疾患からなる群から選択される炎症性疾患に罹患している、請求項4記載の方法。
  6. 前記接触させた細胞からの単球/好中球エラスターゼインヒビターの放出が、古典的小胞体/ゴルジ体経路による蛋白質輸送を遮る物質によって遮られない、請求項1記載の方法。
  7. 前記物質がブレフェルジンAである、請求項6記載の方法。
  8. ヒト細胞を、好中球エラスターゼ、カテプシンG、プロテイナーゼ−3、ブタ膵エラスターゼ、およびキモトリプシンからなる群から選択されるプロテアーゼと接触させ、この接触させたヒト細胞が単球/好中球エラスターゼインヒビターを放出することを特徴とする、ヒト細胞から単球/好中球エラスターゼインヒビターの放出を促進する方法。
  9. 前記好中球エラスターゼが、ヒト由来のものである、請求項8記載の方法。
  10. 前記ヒト細胞が、炎症を起こしている患者のものである、請求項8記載の方法。
  11. 前記患者が、嚢胞性線維症、気腫、喘息、慢性気管支炎、サルコイドーシス、気管支拡張症、呼吸窮迫症候群、関節炎および皮膚疾患からなる群から選択される炎症性疾患に罹患している、請求項10記載の方法。
  12. ヒト細胞を、シクロヘキサミド、リポ多糖体、およびエトポシドからなる群から選択される第一物質と接触させ、更に当該ヒト細胞を、カテプシンGおよび好中球エラスターゼからなる群から選択される第二物質と接触させ、第一物質および第二物質と接触させたヒト細胞が単球/好中球エラスターゼインヒビターを放出することを特徴とする、ヒト細胞から単球/好中球エラスターゼインヒビターの放出を促進する方法。
  13. 前記好中球エラスターゼが、ヒト由来のものである、請求項12記載の方法。
  14. 前記ヒト細胞が、炎症を起こしている患者のものである、請求項12記載の方法。
  15. 前記患者が、嚢胞性線維症、気腫、喘息、慢性気管支炎、サルコイドーシス、気管支拡張症、呼吸窮迫症候群、関節炎および皮膚疾患からなる群から選択される炎症性疾患に罹患している、請求項12記載の方法。
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