JP2005503131A - Rizに関するスクリーニング、診断および治療の方法 - Google Patents

Rizに関するスクリーニング、診断および治療の方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、RIZヒストンメチルトランスフェラーゼ(HMT)活性を調節する化合物を、HMT活性を有するRIZまたはRIZフラグメントを、1つ以上の候補化合物と接触する工程、および該接触させたRIZまたはRIZフラグメントのHMT活性を決定する工程により、スクリーニングする方法を提供する。プロゲステロンレセプター(PR)活性を調節する化合物を、RIZ1調節化合物を提供する工程、およびこのRIZ1調節化合物のPR活性を調節する能力を決定する工程により、スクリーニングする方法もまた提供される。内分泌治療に応答する可能性の低減したエストロゲンレセプター陽性(ER+)腫瘍をもつ個体を識別する方法もまた提供される。この方法は、腫瘍のRIZ1状況を決定する工程を包含し、ここで、異常なRIZ1状況が、個体を、内分泌治療に応答する可能性が低減した個体として同定する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、国立衛生研究所により授与された認可番号CA76146およびCA60988の下、合衆国政府の支援でなされた。合衆国政府は、本発明において特定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、一般に、癌生物学および内分泌学の分野に関し、そしてより詳細には、RIZポリペプチドの生物学的活性に関する。
【0003】
(背景の情報)
ヒストンタンパク質のアミノ末端テイルへのメチル基の翻訳後付加は、ヒストンメチルトランスフェラーゼ(HMT)として知られるタンパク質のファミリーにより触媒される。ヒストンの部位特異的メチル化は、種々の基礎的細胞プロセスと関連し、これには、転写調節、後成的サイレンシングおよびヘテロクロマチン形成が含まれる。HMT機能の損失は、癌に特徴的な脱分化およびゲノム不安定性に直接寄与すると期待される。
【0004】
HMTをさらにガンに関連させるものとして、食餌メチオニンまたは葉酸の欠如が癌を引き起こすことが示されている。食餌メチオニンおよび葉酸は、次に、S−アデノシルメチオニン(SAM)の細胞レベルを調節し、これは、メチルトランスフェラーゼによるメチル基ドナーとして用いられる。さらに、いくつかの独立したラインの調査は、メチオニン代謝経路における改変(これは、SAMの欠如および/またはメチルトランスフェラーゼインヒビターであるS−アデノシルホモシステイン(SAH)の増加に至る)癌と関連していることを示した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、ヒストンメチルトランスフェラーゼ活性をもつタンパク質を同定すること、それらの基質および調節因子を決定すること、およびそれらの活性を調節する化合物を同定する必要性が存在している。特に、細胞増殖を調節することにおいて重要な役割を演じることが既に認められているタンパク質内のヒストンメチルトランスフェラーゼ活性を同定する必要性が存在している。このようなタンパク質のHMT活性を調節する化合物は、細胞生長を調節するための治療薬として有用であると考えられる。
【0006】
ステロイドホルモンであるプロゲステロンは、雌性の生殖サイクルの重要な成分であり、そして妊娠を維持するために必要である。プロゲステロンの分子標的は、細胞内プロゲステロンレセプターである。プロゲステロンへの結合に際し、このプロゲステロンレセプターは、核に転座し、そこで、それは、プロゲステロン調節遺伝子群中に存在するDNA転写エレメントに転写因子として結合する。
【0007】
プロゲステロンレセプターに対するリガンドは、雌性の生殖医薬および癌において重要な役割を演じている。例えば、プロゲステロンおよびその合成アナログは、出生コントロール処方物において、子宮内膜症の処置において、および妊娠を維持することにおいて有用である。プロゲステロンに対するアンタゴニストは、胸部、卵巣および子宮内膜(子宮の管壁)のホルモン依存性癌の特定の形態のような慢性疾患を処置することにおいて、および子宮線維症を処置することにおいて有用である。プロゲステロンアンタゴニストはまた、初期段階妊娠を終結するためのその他の薬物と組合せて有用である。
【0008】
プロゲステロンレセプター活性を調節する化合物は、したがって、生殖適用において、および悪性疾患を処置するために有用であると期待される。しかし、このような化合物を同定するための適切な高スループットアッセイは現在不足しており、これは一部、プロゲステロンレセプターの細胞分子との生理学的に関係する相互作用の理解の欠如に起因する。したがって、プロゲステロンレセプター活性を調節する化合物のスクリーニングの改良された方法に対する必要性が存在する。
【0009】
ステロイドホルモンエストロゲンは、エストロゲンレセプターを発現する組織の増殖を直接的および間接的に促進する。エストロゲンの増殖効果を低減する内分泌治療は、タモキシフェンのような選択的エストロゲンレセプター調節因子(SERM)での治療を含み、エストロゲンレセプター陽性(ER+)腫瘍をもつ患者における現在の第一線治療である。しかし、ER+腫瘍をもつ患者の顕著な部分は、内分泌治療に応答しない。これらの患者では、生存の可能性を改良するために、代替の治療が召喚されている。現在、ER+腫瘍が内分泌治療に応答すると予測される満足な方法はない。
【0010】
したがって、どの個体が多かれ少なかれ内分泌治療に応答するかをより正確に決定するために、ER+腫瘍におけるエストロゲン応答性の損失と関連する分子を同定する必要性が存在している。このような相関を用い、成功の改良された可能性をもつ治療の個別化された計画が選択され得る。
【0011】
本発明は、これらの必要性を満足し、そして同様に関連する利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要旨)
本発明は、RIZヒストンメチルトランスフェラーゼ活性を調節する化合物をスクリーニングする方法を提供する。この方法は、ヒストンメチルトランスフェラーゼ活性を有するRIZまたはRIZフラグメントを、1つ以上の候補化合物と接触する工程、およびこの接触させたRIZまたはRIZフラグメントのヒストンメチルトランスフェラーゼ活性を決定する工程を包含する。RIZヒストンメチルトランスフェラーゼ活性を調節する化合物が同定される。
【0013】
本発明はまた、プロゲステロンレセプター活性を調節する化合物をスクリーニングする方法を提供する。この方法は、RIZ1調節化合物を提供する工程、およびこのRIZ1調節化合物のプロゲステロンレセプター活性を調節する能力を決定する工程を包含する。プロゲステロンレセプター活性を調節する化合物がそれによって同定される。
【0014】
内分泌治療に応答する可能性の低減したエストロゲンレセプター陽性(ER+)腫瘍をもつ個体を識別する方法もまた、提供される。この方法は、腫瘍のRIZ1状況を決定する工程を包含し、ここで、異常なRIZ1状況が、個体を、内分泌治療に応答する可能性が低減した個体として同定する。
【0015】
(発明の詳細な説明)
網膜芽細胞腫(retinoblatoma)−タンパク質−相互作用ジンクフィンガー遺伝子、すなわち「RIZ」遺伝子は、Rb腫瘍サプレッサーに結合するタンパク質についての機能的スクリーニングにおいてもともと単離された(Buyseら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:4467−4471(1995))。選択的プロモーター使用法によって、RIZ遺伝子の2つの産物が産生される。RIZ2は、これがN末端の200アミノ酸(ラット)または201アミノ酸(ヒト)を欠くこと以外は、RIZ1と同一である(Liuら,J.Biol.Chem.272:2984−2991(1997))。
【0016】
RIZ1は、以下の一連の証拠によって示されるように、腫瘍サプレッサー遺伝子であるとみなされる。RIZ遺伝子は、ヒトの癌において最も一般的に欠失している領域の1つである染色体1p36へとマッピングされる。RIZ1の遺伝子サイレンシングは、乳癌、肝臓癌、結腸癌、神経芽細胞腫、黒色腫、肺癌および骨肉腫(Chadwickら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:2662−2667(2000);Heら,Cancer Res.58:4238−4244(1998);Jiangら,Int.J.Cancer 83:541−547(1999))を含む多くの型のヒト腫瘍において通常であり、プロモーターDNAメチル化と関連する(Duら,Cancer Res.22:8094−8099(2001))が、RIZ2の遺伝子サイレンシングはそうではない。RIZ1ミスセンス変異(Steele−Perkinsら,Genes Dev.15:2250−2262(2001))およびフレームシフト変異(Chadwickら,前出(2000);Piaoら,Cancer Res.60:4701−47−4(2000);Sakuradaら,Genes,Chroms.Cancer 30:207−211(2001))は、ヒトの腫瘍において通常である。RIZ1発現は、細胞周期停止、アポトーシス誘導および異種移植片腫瘍の抑制を誘導する(Chadwickら,前出、2000;Heら,前出(1998);Jiangら,前出(1999);JiangおよびHuang,Cancer Res.61:1796−1798(2001))。最終的に、RIZ1の不活化を示し、一方で正常なRIZ2を保持するマウス遺伝子ノックアウトモデルは、腫瘍感受性を引き起こす(Steele−Perkinsら,前出(2001))。これらの研究は、その腫瘍サプレッサー活性におけるRIZ1のN末端についての重要な機能を示唆する。
【0017】
RIZ1のN末端は、RIZ1のほぼ残基30〜160の間に、「PR−ドメイン」と呼ばれる約130残基のドメインを含む。このPR−ドメインは、RIZ1と転写リプレッサーPRDI−BF1との間で相同性を示す領域として最初に同定された。このドメインは、SET−ドメインと構造的に関連することが後に見出され(Huangら,J.Biol.Chem.273:15933−15940(1988))、SET−ドメインは、近年、リジンヒストンメチルトランスフェラーゼ(HMT)の触媒モチーフであることが示された(Reaら,Nature 406:593−599(2000))。PRとSETとの間の配列類似性にもかかわらず、PRドメインおよびSETドメインは、明らかに異なる。第1に、PR−ドメイン間の同一性またはSETドメイン間の同一性は通常約40%であるが、一方、PRドメインとSETドメインとの間の同一性は代表的にはほんの約20〜30%である。第2に、SETドメインは主に、タンパク質のカルボキシル末端に見いだされるが、一方、PR−ドメインはほとんどがアミノ末端に位置する。本開示の前には、PR−ドメインの酵素活性は記載されていない。さらに、RIZ1のPR−ドメインのヒストンメチルトランスフェラーゼ活性もRIZ内の他のドメインのヒストンメチルトランスフェラーゼ活性も記載されていない。
【0018】
本明細書中に開示されるように、RIZ1タンパク質およびRIZ2タンパク質は両方とも、ヒストンメチルトランスフェラーゼ活性を有する。腫瘍抑制としてのその作用にもかかわらず、RIZ1はまた、エストロゲン応答性組織およびプロゲステロン応答性組織の正常な増殖および分化を調節することに関与する、エストロゲンレセプター(ER)およびプロゲステロンレセプターのコアクチベーターとして作用する(実施例Iを参照のこと)。増殖サプレッサーおよび増殖プロモーターとしてのRIZの二重の役割に起因して、RIZヒストンメチルトランスフェラーゼ活性を調節する化合物は、過剰増殖障害(例えば、新形成、過形成、炎症状態など)の処置および過少増殖障害(例えば、造血の種々の障害、創傷治癒など)の処置を含む、細胞増殖をポジティブまたはネガティブに調節することが望ましい適用において有用であると予想される。
【0019】
従って、本発明は、RIZヒストンメチルトランスフェラーゼ活性を調節する化合物についてスクリーニングする方法を提供する。この方法は、ヒストンメチルトランスフェラーゼ活性を有するRIZまたはRIZフラグメントを、1以上の候補化合物と接触させ、そして接触したRIZまたはRIZフラグメントのヒストンメチルトランスフェラーゼ活性をアッセイすることによって実施される。このようにして、RIZまたはRIZフラグメントのヒストンメチルトランスフェラーゼ活性を調節する化合物が同定される。
【0020】
本明細書中に開示されるように、HMT活性は、RIZ1に特異的なPR−ドメインにおいて、そしてまたRIZ1およびRIZ2に共通のC末端PR結合ドメイン(すなわちPBD)においての両方で存在する。従って、RIZ1もしくはRIZ2、またはHMT活性を保持するそれらのフラグメントのいずれかを、本発明の方法において用い得る。
【0021】
いくつかの種由来のRIZ遺伝子がクローニングされて特徴付けられている(Buyseら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:4467−4471(1995);Liuら,前出(1997))。従って、任意の種由来のRIZポリペプチドを、本発明のスクリーニング方法において用い得る。ヒトRIZ遺伝子は、配列番号1(GenBank登録番号AAC50820;gi:9955379)として示されるRIZ1アミノ酸配列および配列番号2として示されるRIZ2アミノ酸配列をコードする。ラットRIZ遺伝子は、配列番号3(GenBank登録番号AAA74468;gi:949996)に示されるRIZ1アミノ酸配列および配列番号4として示されるRIZ2アミノ酸配列をコードする。マウスRIZ遺伝子は、部分的に配列決定されている(米国特許第5,811,304号)。
【0022】
ヒトおよびラットのRIZ1ポリペプチドおよびRIZ2ポリペプチドは、その全長にわたって高度に相同である(例えば、米国特許第6,323,335号;同第6,069,231号;および同第5,811,304号を参照のこと)。2つの哺乳動物種をまたがってのこの高度の同一性に起因して、他の天然に存在する哺乳動物RIZポリペプチド(例えば、非ヒト霊長類種、マウス種、ウサギ種、ウシ種、ブタ種、ヒツジ種、イヌ種またはネコ種に由来するRIZポリペプチド)、ならびに他の脊椎動物(魚類、鳥類、爬虫類および両生類(例えば、Xenopus)を含む)に由来する天然に存在するRIZポリペプチドもまた、ヒトRIZおよびラットRIZとそれらの全長にわたって高度の同一性を示すことが予想される。
【0023】
ヒトもしくはラットのRIZコード核酸配列およびRIZポリペプチドの知識を用いて、当業者は、従来のcDNAライブラリースクリーニング方法もしくは発現ライブラリースクリーニング方法を用いて、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、RIZコード遺伝子を他の種から容易にクローニングし得る。さらに、ヒトまたはラットのRIZコード核酸配列およびRIZポリペプチドの知識を用いて、当業者は、利用可能なデータベース中に存在するESTおよびゲノム配列の分析から、他の種からcDNAおよびコード配列を容易に決定し得る。これらの配列から、全長RIZ1ポリペプチドまたは全長RIZ2ポリペプチド、およびHMT活性を有するそれらのフラグメントは、本明細書中に開示されるスクリーニング方法における使用のために調製され得る。
【0024】
本発明の方法において有用なRIZポリペプチドはまた、天然に存在する配列に対して1以上の微小改変(例えば、1以上の置換、付加または欠失)を有し得る。改変されたRIZポリペプチドは一般に、ネイティブなRIZ配列との少なくとも70%、75%、80%、90%、95%、98%以上の同一性を保持する。このような改変は、例えば、このポリペプチドの安定性、バイオアバイラビリティー、生物活性もしくは免疫原性を増強する際に、またはその精製を容易にするために、有利であり得る。
【0025】
RIZアミノ酸配列に対する置換は、保存的または非保存的のいずれかであり得る。保存的アミノ酸置換としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:別の非極性アミノ酸での非極性アミノ酸の置換(例えば、イソロイシン、バリン、アラニン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニンまたはメチオニンでのロイシンの置換);同様に荷電したアミノ酸での荷電アミノ酸の置換(例えば、アスパラギン酸でのグルタミン酸の置換、またはリジンもしくはヒスチジンでのアルギニンの置換);別の非荷電の極性アミノ酸での非荷電の極性アミノ酸の置換(例えば、グリシン、トレオニン、チロシン、システイン、アスパラギンまたはグルタミンでのセリンの置換);または同様のサイズおよび形状の残基での、異なる官能基を有する残基の置換(例えば、アラニンでのセリンの置換;メチオニンでのアルギニンの置換;またはフェニルアラニンでのチロシンの置換)。
【0026】
RIZアミノ酸配列に対する付加としては、「タグ」配列(これは従来、N末端もしくはC末端に、シグナルペプチドの後ろに、または細胞外ループ内もしくは細胞内ループ内に付加される)の付加が挙げられるがこれに限定されない。このようなタグ配列としては、例えば、エピトープタグ、ヒスチジンタグ、グルタチオン−Sトランスフェラーゼ(GST)、蛍光タンパク質(例えば、増強されたグリーン蛍光タンパク質(EGFP))などが挙げられる。このようなさらなる配列を用いて、例えば、RIZポリペプチドの発現、精製または特徴付けを容易にし得る。
【0027】
RIZアミノ酸配列に対する欠失としては、機能に重要でない、N末端またはC末端の残基の欠失が挙げられるがこれらに限定されない。欠失した配列は、上記の通り、タグ配列または融合配列によって必要に応じて置換され得る。
【0028】
RIZアミノ酸配列に対する改変は、例えば、このポリペプチドをコードする核酸分子中のヌクレオチドのランダムな挿入、欠失または置換によってランダムに作製され得る。あるいは、改変は、例えば、このポリペプチドをコードする核酸分子の部位特異的変異誘発によって指向され得る。
【0029】
生物学的活性を保持しながらRIZポリペプチドの配列を改変する際のガイダンスは、ヒトおよびラット由来のRIZオルソログの配列のアラインメントによって提供され得る。進化的に保存されたアミノ酸残基が、それほど保存されていない残基よりも、生物学的活性を維持するためにより重要であるようであることは当該分野で周知である。従って、種をまたがってRIZポリペプチド間で高度に保存される残基を保存されていない残基で置換することは、有害であり得、一方、種間で異なる残基で同じ置換を行うことは、生物学的活性に対して重大な影響を与えないようであることが予想される。ラットおよびヒトのRIZ1アミノ酸配列のアラインメントは、米国特許第5,811,304号の図10に提示される。
【0030】
当該分野で周知のコンピュータプログラムはまた、RIZポリペプチドの構造的特徴または機能的特徴をなくさずにどのアミノ酸残基が改変され得るかを予測する際のガイダンスを提供し得る。
【0031】
本明細書中に開示されるように、RIZヒストンメチルトランスフェラーゼ活性は、RIZ1に特異的なN末端PRドメイン含有部分に存在する。従って、本発明の方法において有用な例示的なRIZまたはRIZフラグメントは、RIZ1のアミノ酸1〜200(例えば、RIZ1のアミノ酸1〜332)を含む。本発明の方法において有用なさらなる例示的RIZまたはRIZフラグメントは、RIZ1のアミノ酸1〜520を含む。対照的に、ヒトRIZ1の残基1〜161からなるRIZフラグメントは、HMT活性を欠き、同様に、腫瘍中に見出される、PRドメインにミスセンス変異(すなわち、C106Y、I88VおよびA159V)を含むRIZ1もHMT活性を欠いていた。
【0032】
さらに、本明細書中に開示されるように、RIZヒストンメチルトランスフェラーゼ活性もまた、RIZ1およびRIZ2に共通のC末端PR結合ドメイン(PBD)含有部分に存在する(Huangら,J.Biol.Chem.273:15933−15940(1988))。従って、本発明の方法において有用な例示的なRIZまたはRIZフラグメントは、RIZ1のアミノ酸1514〜1680(例えば、アミノ酸1514からRIZ1のC末端)を含む。
【0033】
他のRIZポリペプチドおよびフラグメント(上記の通りの改変された配列を有するポリペプチドおよびフラグメントを含む)のHMT活性は、本スクリーニング方法において使用するためのヒストンメチルトランスフェラーゼ活性を有するRIZまたはRIZフラグメントを選択するために、本明細書中に記載されるアッセイによって容易に決定され得る。
【0034】
本明細書中に記載される場合、RIZまたはRIZフラグメントに関して、用語「ヒストンメチルトランスフェラーゼ活性」または「HMT活性」とは、RIZまたはRIZフラグメントが、ヒストンまたはヒストンペプチドのメチル化を適切なアッセイ条件下で触媒する能力をいう。対照的に、同じ条件下で、コントロールポリペプチド(例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST))は、ヒストンのメチル化もヒストンペプチドのメチル化も触媒できない。HMT活性は、精製RIZもしくは部分精製RIZを用いたインビトロアッセイ、または細胞ベースのアッセイのいずれかにおいて示され得る。HMT活性としては、任意のヒストン(例えば、ヒストンH1、H2A、H2B、H3またはH4)に対して示されるHMT活性が挙げられる。
【0035】
HMT活性アッセイにおける基質としての使用に適切なヒストンは、(例えば、Roche Molecular Biochemicalsから)市販され得るか、既知の核酸配列に基づいて組換えによって調製され得るか、または当該分野で公知の方法を用いて細胞から抽出され得る。HMTアッセイにおける基質としての使用に適切なヒストンペプチド(ネイティブ配列を有するペプチドおよびリジン残基でのアセチル化によって改変されたペプチドを含む)は、(例えば、Upstate Biotechから)市販され得るか、または合成によって産生され得る。適切なヒストンペプチドとしては、例えば、lys−9(K9)を含むH3のN末端ペプチド(例えば、H3のアミノ酸1〜20)およびlys−25(K25)を含むH1のN末端ペプチド(例えば、H1のアミノ酸15〜37またはアミノ酸12〜31)が挙げられ得る。H4におけるメチル化部位は、lys−20(K20)であると予想される。従って、適切なヒストンH4ペプチドは、lys−20を含むN末端ペプチドであり得る。
【0036】
HMTアッセイのため、望ましい任意の配列のRIZまたはRIZフラグメントが、組換えにより、例えば、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、または哺乳動物細胞におけるコード核酸分子の発現により、簡便に産生され得る。その後、発現されたポリペプチドは、抗RIZ抗体を用いて単離され得るか、または標準的生化学的分画法により精製もしくは部分精製され得る。あるいは、単離を容易にするために、そのRIZポリペプチドは、タグ配列(例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、6×Hisタグまたはエピトープタグ)との融合物として発現され得る。タグ化組換えタンパク質および非タグ化組換えタンパク質を生成および単離するための方法は、当該分野で周知である(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Press,Plainview,New York(2001);Ausubelら(Current Protocols in Molecular Biology(補遺47)、John Wiley&Sons,New York(1999)を参照のこと)。
【0037】
組換えRIZまたはRIZフラグメントを調製するための代替法としては、内因性RIZ1またはRIZ2が、簡便な細胞供給源または組織供給源から、精製または部分精製され得る。従って、RIZフラグメントは、その内因性RIZの酵素的切断または化学的切断によって調製され得る。あるいは、RIZフラグメントは、合成方法により調製され得る。
【0038】
RIZのHMT活性は、当該分野で公知の方法によって決定され得る。例えば、そのRIZおよびヒストンまたはヒストンペプチドが、標識されたメチルドナー(例えば、S−アデノシル−[メチル−14C]−L−メチオニンまたはS−アデノシル−[メチル−H]−L−メチオニン)とともに、適切なアッセイ条件下でインキュベートされ得る。そのヒストンまたはヒストンペプチドへの放射性標識の転移が、例えば、SDS−PAGE電気泳動および蛍光間接撮影法によって検出され得る。あるいは、その反応の後、そのヒストンまたはヒストンペプチドは、濾過によりメチルドナーから分離され得、そしてそのフィルター上に保持された放射性標識の量が、シンチレーション計数によって定量され得る。メチルドナーに結合され得る他の適切な標識(例えば、色素原性標識および蛍光標識)、ならびにヒストンおよびヒストンペプチドへのこれらの標識の転移を検出するための方法は、当該分野で公知である。
【0039】
あるいは、RIZのHMT活性が、非標識メチルドナー(例えば、S−アデノシル−L−メチオニン)と、メチル化ヒストンまたはメチル化ヒストンペプチドを選択的に認識する試薬とを使用することによって、決定され得る。例えば、そのRIZと、メチルドナーと、ヒストンまたはヒストンペプチドを適切なアッセイ条件下でインキュベーションした後、メチル化ヒストンまたはメチル化ヒストンペプチドが、メチル化ヒストンエピトープに特異的な抗体を用いるイムノブロッティングまたはELISAアッセイによって、検出され得る。適切な抗体は、例えば、Nakayamaら、Science 292:110〜113(2001)、Nomaら、Science 293:1150〜1155(2001)および公開された米国特許出願番号20020039776に記載されるか、または当該分野で公知の方法(例えば、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1988)を参照のこと)に記載される。
【0040】
抗体を使用する代わりに、メチル化ヒストンが、高親和性でメチル化ヒストンに選択的に結合する試薬を使用して検出され得る。そのような試薬は、当該分野で公知であるか、または当該分野で公知のスクリーニングアッセイによって決定され得る。例示的な結合試薬は、ヘテロクロマチンタンパク質であるHP1であり、これは、リジン9でメチル化された場合ヒストンH3に結合する(H3−K9)。HP1またはその結合フラグメントが、標識され得、そしてメチル化H3−K9に結合したHP1またはフラグメントが、検出され得る。あるいは、そのHP1またはフラグメントは、標識される必要がなく、代わりに、ELISAアッセイにおいて抗HP1抗体を使用して検出され得る。
【0041】
種々の低スループット酵素アッセイ形式および高スループット酵素アッセイ形式が、当該分野で公知であり、そしてRIZ HMTアッセイのために容易に適合され得る。高スループットアッセイのために、そのヒストン基質またはヒストンペプチド基質は、固体支持体(例えば、マルチウェルプレート、スライドガラスまたはチップ)上に都合良く固定され得る。この反応の後、メチル化産物が、上記の方法によってその固体支持体上で検出され得る。あるいは、そのHMT反応は、溶液中で生じ得、その後、そのヒストンまたはヒストンペプチドが、固体支持体上に固定され得、そしてメチル化産物が検出され得る。そのようなアッセイを容易にするために、その固体支持体は、ストレプトアビジンでコートされ得、そしてヒストンがビオチンで標識され得るか、またはその固体支持体が、抗ヒストン抗体でコートされ得る。当業者は、所望のスクリーニングスループット能力に依存して、適切なアッセイ形式を決定し得る。
【0042】
本発明のスクリーニング方法は、ヒストンメチルトランスフェラーゼ活性を有するRIZまたはRIZフラグメントを、1つ以上の候補化合物と接触させる工程、およびその接触されたRIZまたはRIZフラグメントのヒストンメチルトランスフェラーゼ活性をアッセイする工程、を包含する。本発明の方法において有用な候補化合物は、天然に存在する高分子(例えば、ペプチド、核酸、糖質、脂質、またはそれらの任意の組み合わせ)であり得る。あるいは、候補化合物は、そのような高分子の部分合成もしくは完全合成された、誘導体、アナログもしくは模倣物であり得るか、または合成低分子(例えば、コンビナトリアル化学法により調製された有機分子)であり得る。候補化合物は、望ましい場合は、特定のアッセイにおいて適切なように、検出可能に標識され得るかまたは固体支持体に付着され得る。
【0043】
大きな化合物(単純な有機分子もしくは複雑な有機分子、金属含有化合物、糖質、ペプチド、タンパク質、ペプチド模倣物、糖タンパク質、リポタンパク質、核酸、抗体などを含む)ライブラリーを生成するための方法が、当該分野で周知であり、そして例えば、Huse,米国特許第5,264,563号;Francisら、Curr.Opin.Chem.Biol.2:422〜428(1998);Tietzeら、Curr.Biol.2:363〜371(1998);Sofia,Mol.Divers.3:75〜94(1998);Eicherら、Med.Res.Rev.15:484〜496(1995)に記載されている。多数の天然化合物および合成化合物を含むライブラリーはまた、商業的供給源から入手され得る。
【0044】
特定のアッセイにおいてスクリーニングする異なる候補化合物の数は、当業者により決定され得、そしてこれは、2つ以上(例えば、5つ、10個、15個、20個、50個、または100個以上)の異なる化合物であり得る。特定の適用のために、例えば、ランダムな化合物のライブラリーがスクリーニングされる場合、自動化手順のためには、10個以上の化合物(例えば、10個以上の化合物(10個以上の化合物を含む)をスクリーニングすることが望ましくあり得る。望ましい場合、複数の候補化合物が、プールにてアッセイされ得、そのプールは、望ましい活性を備える1つの化合物が同定されるまで、繰返し細分割され得る。候補化合物は、同時にか、並行してか、または連続して、アッセイされ得る。
【0045】
反応において使用するために候補化合物の量は、その化合物の性質、アッセイの性質、および反応物質の濃度に基づいて、当業者により決定され得る。望ましい場合、一定範囲の候補化合物の用量が、試験され得る。
【0046】
一般的に、その候補化合物は、RIZ、ヒストン基質またはヒストンペプチド基質、およびメチルドナーとともに、HMT反応に含められる。必要に応じて、その候補化合物とRIZとが、まず一緒にインキュベートされ得、その後、他の反応物質が、添加され得る。望ましい場合、他の成分(例えば、異なるRIZポリペプチドまたはRIZフラグメント)が、その反応中に含められ得、そしてそのような条件下でRIZ HMT活性を調節することに対するその候補化合物の効果が、決定され得る。当業者は、反応物質および成分の適切な組み合わせを決定し得る。
【0047】
細胞ベースのスクリーニングアッセイのために、RIZを発現する細胞が、候補化合物と接触され得る。単離されたヒストンのインビボメチル化が、接触後に決定され得るか、またはRIZポリペプチドが単離され得、そして単離されたヒストンまたはヒストンフラグメントをメチル化する際のそのRIZポリペプチドの活性が、上記のようにアッセイされ得る。望ましい場合、候補化合物が生理学的に適切な条件下でRIZ活性を調節する能力が、細胞ベースのスクリーニングアッセイにおいて決定され得る。例えば、候補化合物が、エストロゲンまたはプロゲステロンの存在下で、同時発現したポリペプチドに応答してかまたは腫瘍細胞中でRIZ活性を調節する能力が、決定され得る。
【0048】
候補化合物がRIZ HMT活性を正または負のいずれかに調節するか否かを決定するには、一般的に、コントロールに対する比較が必要とされる。コントロールは、それが候補化合物に曝露されないこと以外は、試験反応に対して同一の反応であり得る。そのコントロール反応のHMT活性は、その試験反応の前、後、または同時のいずれかで評価され得る。HMT活性を「調節する」化合物は、コントロールと比較して、少なくとも2倍(例えば、少なくとも5倍、10倍、またはそれ以上)HMT活性を増加または減少する化合物である。
【0049】
実施例Iに記載される結果は、RIZ1のH3−K9メチル化活性が増殖停止に関連しており、一方そのH1−K25メチル化活性が細胞増殖と関連していることを、示唆する。従って、これらの2つの活性を差次的に調節する化合物が、同定され得、そして特定の適用に適切なように、細胞増殖を促進または阻害するために使用され得る。
【0050】
本明細書中に開示されるように、RIZ1は、雌性ステロイドであるエストロゲン(ERα)およびプロゲステロンについての核ホルモンレセプターの転写コアクチベーターとして作用するが、RIZ2はそうは作用しない。さらに、RIZ1は、エストロゲンおよびプロゲステロンに応答した、雌性標的器官(例えば、子宮、膣、および乳腺)の正常な成長および発達に必要とされる。従って、RIZ1(特に、RIZ1のPRドメイン)は、プロゲステロンおよびエストロゲンのレセプター活性の生理学的に重要なレギュレーターである。従って、RIZ1活性を調節する化合物はまた、プロゲステロンレセプターおよび/またはERα活性を調節することができる可能性がある。そのような化合物は、雌性ステロイドレセプター活性の調節により利益を受ける状態(生殖状態を含む)および癌を予防、改善、または処置するための治療剤として使用され得る。
【0051】
1つの実施形態において、本発明は、プロゲステロンレセプター活性を調節する化合物についてスクリーニングする方法を提供する。その方法は、RIZ1調節化合物を提供すること、およびその化合物がプロゲステロンレセプター活性も調節する能力を決定することによって、実施される。
【0052】
本明細書中で使用される場合、用語「RIZ1調節化合物」とは、RIZ1生物学的活性(例えば、細胞分子との結合相互作用または酵素的活性(例えば、ヒストンメチルトランスフェラーゼ活性)に影響する化合物を指す。従って、RIZ1調節化合物は、例えば、RIZ1に選択的に結合する化合物、RIZ1と結合パートナーとの間の相互作用を(増加するかまたは減少するかのいずれかによって)調節する化合物、RIZ1の機能的活性を調節する化合物、またはこれらの効果のうちのいくつかを有する化合物であり得る。
【0053】
RIZ1に選択的に結合する化合物は、当該分野で公知であるか、または利用可能なスクリーニング法によって同定され得る。例えば、RIZ1に選択的に結合する化合物としては、RIZ1特異的抗体(例えば、米国特許第5,811,304号に記載される)およびRIZ1結合パートナーが挙げられる。本明細書中に記載される場合、用語「RIZ1結合パートナー」とは、高親和性でRIZ1に通常は結合する細胞分子(例えば、細胞タンパク質、核酸分子、酵素基質および補因子、これらの分子由来のRIZ1結合ドメイン、ならびにこれらの分子のRIZ1結合改変体およびRIZ1結合アナログ)を指すことが意図される。
【0054】
RIZ1結合パートナーの「改変体」は、そのネイティブ分子と実質的に同じアミノ酸配列またはヌクレオチド配列(例えば、少なくとも70%、75%、80%、90%、95%、98%、またはそれ以上の同一性)を有し、そしてそのネイティブ分子と実質的に同じ結合活性を保持する。ポリペプチドの場合、そのポリペプチドは、天然に存在する配列と比較して、1つ以上の保存的もしくは非保存的な、アミノ酸の置換、付加、もしくは欠失を有し得る。RIZ1結合パートナーの改変体を調製しそしてその改変体の結合活性をアッセイする方法は、当該分野で周知である。
【0055】
RIZ1結合パートナーの「アナログ」は、そのネイティブ分子と実質的に同じコア化学構造を有し、そしてそのネイティブ分子と実質的に同じ結合活性を保持する。RIZ1結合パートナーのアナログを調製しそしてそのアナログの結合活性をアッセイする方法は、当該分野で周知である。
【0056】
RIZ1に結合する例示的細胞タンパク質は、網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)である。米国特許第5,811,304号は、全長RbへのRIZ1の特異的結合およびRb結合ポケットを含むRbのC末端の56kDaフラグメントへのRIZ1の特異的結合を記載する(Buyseら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:4467〜4471(1995)もまた参照のこと)。RIZ1に選択的に結合する他の細胞タンパク質としては、エストロゲンレセプター(ERα)(Abbondanzaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:3130〜3135(2000)および実施例Iを参照のこと)およびプロゲステロンレセプター(PR)(実施例Iを参照のこと)が挙げられる。さらに、GATA−3(Shapiroら、Gene 163:329〜330(1995))、p53、SRC1およびp300が、RIZ1に選択的に結合する例示的細胞タンパク質である。
【0057】
RIZ1に選択的に結合する核酸分子は、例えば、米国特許第5,811,304号に記載される。RIZ1が、そのジンクフィンガーDNA結合モチーフを介して選択的に結合する例示的核酸分子は、GCリッチエレメントまたはSp−1結合エレメントを含む。
【0058】
RIZ1に選択的に結合する例示的酵素基質および補因子としては、GTP(米国特許第5,811,304号)、亜鉛イオン(これは、ジンクフィンガーモチーフと会合する)、およびS−アデノシル−メチオニン(SAM)が挙げられる。
【0059】
SAMは、RIZ1メチルトランスフェラーゼ活性のための基質およびメチル基ドナーとして作用する。SAMのアナログとしては、S−アデノシル−L−ホモシステインまたはS−アデノシル−D−ホモシステイン(SAH)、およびアデノシル−L−エチオニンが挙げられる。他の結合化合物としては、例えば、A−アデノシル−γ−チオ−α−ケトブチレート、S−アデノシル−L−ホモシステインスルホキシド、メチルチオアデノシン(MTA)、L−ホモシステイン、L−ホモセリン、アデノシン、アデニン、ATP、CAMPおよびメチオニンが挙げられ得る。
【0060】
従って、上記の化合物またはこれらの化合物の改変体、アナログ、アゴニストおよびアンタゴニストのいずれかが、本発明の方法によりプロゲステロンレセプター活性を調節する能力についてアッセイされ得る。
【0061】
RIZ1と結合パートナーとの間の相互作用を調節する化合物もまた、当該分野で公知であるか、または利用可能なスクリーニング方法により同定され得る。例えば、米国特許第5,811,304号は、RIZ1とRbとの間の相互作用に干渉する化合物として、SV40ラージT抗原由来の17アミノ酸Rb結合ペプチド(101〜118:T−pep)を記載する。RIZ1結合パートナーに結合する他の分子またはRIZ1結合パートナー由来の結合ドメインを含む他の分子は、RIZ1と結合パートナーとの間の相互作用を調節する化合物であると予期される。RIZ1と結合パートナーとの間の相互作用を調節し得る他の化合物は、RIZ1結合ドメインを含み得、従って、その結合パートナーについて全長RIZ1と競合し得る。RIZ結合ドメインとしては、例えば、本明細書中に記載されるLXXLLステロイドレセプター結合モチーフ、ならびにE1A関連領域;ロイシンジッパー、保存領域1および保存領域2;共通エピトープ1;ジンクフィンガー;GTPアーゼドメイン;SH3ドメイン;SH3結合ドメイン;およびPMT(PR)ドメインが挙げられ、その各々が、米国特許第5,811,304号に記載される。
【0062】
RIZ1に選択的に結合する他の化合物またはRIZ1と結合パートナーとの間の相互作用を調節する他の化合物は、上記のように、既知の化合物のライブラリーまたは未知の化合物のライブラリーから開始する手動のスクリーニングアッセイまたは高スループットスクリーニングアッセイのいずれかによって、同定され得る。
【0063】
結合アッセイは、検出可能に標識された候補化合物および標識されていないRIZ1(および、必要に応じて標識されていない結合パートナー)を使用し得る。あるいは、結合アッセイは、標識されていない候補化合物または結合パートナーおよび標識されたRIZ1を使用し得る。標識された分子と標識されていない分子との他の適切な組合わせは、アッセイ形式に依存して当業者によって決定され得る。
【0064】
分子間の結合を測定するための種々の競合的結合アッセイ形式および非競合的結合アッセイ形式は、当該分野において公知である。これらのアッセイは、溶液ベースの方法および固相法(例えば、プレート、チップ、アフィニティカラムなどに結合された分子)の両方を含む。結合アッセイは、手動または高スループット自動化のいずれかでの化合物のスクリーニングに従う。2つの例示的な結合アッセイを、実施例IIAおよびIIBに示す。
【0065】
検出可能な標識としては、例えば、放射性同位元素、蛍光色素、強磁性物質、または蛍光物質が挙げられ得る。化合物を標識するに有用な例示的放射標識としては、125I、14CおよびHが挙げられる。合成中に化合物に標識されたアミノ酸を組み込むか、または合成後に化合物を誘導体化するかのいずれかによって、有機分子を検出可能に標識する方法は、当該分野において公知である。
【0066】
RIZ1機能的活性は、本明細書中に記載されるか、または当該分野において公知である。例示的活性としては、例えば、転写活性(例えば、米国特許第5,811,304号を参照のこと)、転写抑制(例えば、Xieら、J.Biol.Chem.,272:26360−26366(1977)を参照のこと)、ヒストンメチルトランスフェラーゼ活性(実施例Iを参照のこと)およびホルモンレセプター同時活性化(実施例IおよびIIを参照のこと)が挙げられる。
【0067】
RIZ1転写活性、抑制機能および同時活性化機能を調節する化合物を同定するために適切なアッセイは、当業者によって決定され得る。このようなアッセイは、一般に、細胞において、特定量の転写が生じる条件下でのRIZ1と適切なプロモーター連結レポーター遺伝子との同時発現に基き、この細胞を候補化合物と接触させて転写活性の変化(すなわち、増加または減少のいずれか)が存在するか否かを決定する。転写ベースのアッセイは、当該分野において周知であり、高スループットスクリーニングアッセイに容易に従う。メチルトランスフェラーゼ活性アッセイは、上記に記載されている。
【0068】
上記の任意の方法のいずれかによってRIZ1調節化合物として同定される化合物は、次いでインビトロアッセイまたはインビボアッセイのいずれかで試験されて、プロゲステロンレセプター活性もまた調節するか否かを決定する。プロゲステロンレセプター活性を「調節する」化合物は、PR生物学的活性を増加または減少させる化合物をいうことが意図される。
【0069】
プロゲステロンレセプターは、通常細胞質内に不活性な形態で存在する;ここで、このレセプターは、分子シャペロン、イムノフィリン、および熱ショックタンパク質と相互作用する。活性なPRは、プロゲステロンを結合し、そして核に移行し、核で、プロゲステロン調節遺伝子中に存在する規範的DNA転写エレメントに転写因子として結合する。本明細書中で記載されるように、RIZ1は、PRの転写活性を同時活性化する。よって、プロゲステロンレセプター(PR)活性を調節する化合物は、例えば、以下のような化合物であり得る:PRと、不活性な形態では正常にホールディングする分子との間の相互作用を変更する;PRとプロゲステロンとの間の相互作用を変更する;RIZ1とプロゲステロンとの間の相互作用を変更する;またはPR調節遺伝子に対するPRの転写活性または特異性を増加または減少させる。
【0070】
競合的結合アッセイおよび非競合的結合アッセイは、RIZ1に関して上記されており、そしてPRとプロゲステロン、調節分子またはRIZ1との相互作用を調節する化合物の同定に適用され得る。PR転写活性を測定するアッセイをまた使用して、PR活性を調節する化合物を同定し得る。簡単には、プロゲステロン応答エレメント(PRE)は、レポーター遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質、β−ガラクトシダーゼなど)に作動可能に連結され得、そして細胞中で発現され得、そして化合物に応じたこのレポーター遺伝子の発現の増加または減少が、測定される。このようなアッセイを、実施例IおよびIICに記載する。あるいは、PRによって天然に誘導される遺伝子(例えば、カゼイン)が、このようなアッセイにおいて使用され得、そしてmRNA産物またはタンパク質産物が検出される。
【0071】
転写ベースのアッセイ、レポーター遺伝子および遺伝子発現を検出するための方法、高スループットスクリーニングのためのこれらのアッセイに適合する方法は、当該分野において公知であり、例えば、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons、Baltimore,MD(2001)に記載される。
【0072】
プロゲステロンレセプター活性を調節する化合物についての他のアッセイとしては、PR機能を報告するインビボアッセイ(例えば、実施例IおよびIIDに記載される、子宮、膣および乳腺での発達についてのアッセイ)が挙げられる。特定の化合物での動物の処置に応じたこれらの器官の発生における変化は、PR活性に対する効果を有する化合物と矛盾しない。
【0073】
一旦同定されると、プロゲステロンレセプター活性を調節する化合物は、薬学的組成物として処方され得、そして生殖系の障害および癌ならびに内分泌系の障害および癌を予防または処置するために使用され得る。このような障害としては、例えば、以下が挙げられる:不妊症、卵管疾患、排卵不全、発情周期の崩壊、月経周期の崩壊、卵巣高刺激症候群、子宮内膜腫瘍および卵巣腫瘍、自己免疫障害、異所性妊娠、奇形発生、乳癌、乳房線維嚢胞病、濫書症、精子形成の崩壊、異常精液生理機能、精巣癌、前立腺癌、良性前立腺過形成、前立腺炎、雄性の乳癌および女性化乳房。プロゲステロンレセプター活性を増加または減少させることが有利である他の状態は、当該分野において公知であるか、または当業者によって決定され得る。よって、本発明は、上記の障害および状態のいずれかを予防または改善するために、プロゲステロンレセプター活性を調節する化合物を含有する薬学的組成物の投与を提供する。
【0074】
RIZ1 HMT活性を調節する化合物、およびプロゲステロンレセプター活性を調節する化合物を含む、本発明の薬学的組成物は、単独でか、または少なくとも1つの他の薬剤(例えば、安定化化合物)と組合わせて投与され得、この組成物は、任意の滅菌した、生物適合性の薬学的キャリア中で投与され得る。このキャリアとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:生理食塩水、緩衝化生理食塩水、デキストロースおよび水。この組成物は、単独でか、または他の因子、薬物またはホルモンと組合わせて投与され得る。
【0075】
本発明において利用され得る薬学的組成物は、以下の手段が挙げられるがこれらに限定されない任意の投与経路によって投与され得る:経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、髄腔内、心室内、経皮的、皮下、腹腔内、鼻内、経腸的、局所、舌下、または直腸。
【0076】
活性成分に加えて、これらの薬学的組成物は、薬学的に使用され得る調製物への活性化合物の加工を容易にする賦形剤および補助剤を含む、適切な薬学的に受容可能なキャリアを含み得る。処方および投与のための技術のさらなる詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.,Easton,Pa)の最新版に見出され得る。
【0077】
経口投与のための薬学的組成物は、経口投与に適切な投薬形態で、当該分野において周知の薬学的に受容可能なキャリアを使用して処方され得る。このようなキャリアは、薬学的組成物を、患者による摂取のために、錠剤、丸剤、糖剤、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして処方され得る。
【0078】
経口用途のための薬学的調製物は、活性化合物を固体賦形剤と組合わせ、必要に応じて、生じた混合物を粉砕し、そして顆粒の混合物を処理し、その後適切な補助剤を添加して、所望ならば、錠剤または糖衣錠コアを得ることによって取得され得る。適切な賦形剤は、炭水化物またはタンパク質フィラー(例えば、糖(ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む);トウモロコシ、コムギ、コメ、イモ、または他の植物からの澱粉;セルロース(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースナトリウム;ゴム(アラビアゴムおよびトラガカントガムを含む);およびタンパク質(例えば、ゼラチンおよびコラーゲン))である。所望ならば、架橋ポリビニルピロリドン、アガー、アルギン酸またはその塩形態(例えば、アルギン酸ナトリウム)のような崩壊剤または安定剤が添加される。
【0079】
丸剤、カプセル、錠剤などはさらに、適切なコーティング(例えば、濃縮糖溶液)を含み、これはまた、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポル(carbopol)ゲル、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタニウム、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒または溶媒混合物を含み得る。生成物同定のため、または活性化合物の量(すなわち、投薬量)を特徴付けるために、染料または顔料が、丸剤またはコーティングに添加され得る。
【0080】
経口的に使用され得る薬学的調製物としては、ゼラチン製のカプセル、およびゼラチン製の柔らかな封入されたカプセル、ならびにコーティング(例えば、グリセロールまたはソルビトール)が挙げられる。プッシュフィット(push−fit)カプセルは、フィラーまたは結合剤と混合された活性成分(例えば、ラクトースまたは澱粉、潤滑剤(例えば、タルクまたはステアリン酸マグネシウム))および必要に応じて、安定剤を含み得る。柔らかなカプセル中に、活性化合物は、安定剤を含むかまたは含まずに、適切な液体(例えば、脂肪油、液体、または液体ポリエチレングリコール)中に溶解または懸濁され得る。
【0081】
非経口投与に適切な薬学的調製物は、生理学的に適合性の緩衝液(例えば、ハンクス液、リンガー液または生理学的緩衝化生理食塩水)水溶液中で処方され得る。水性注射懸濁液は、この懸濁液の粘度を増加させる物質(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストラン)を含み得る。さらに、活性化合物の懸濁液は、適切な油様注射懸濁液として調製され得る。適切な親油性溶媒またはビヒクルとしては、脂肪油(例えば、セサミ油)または合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルまたはトリグリセリド)あるいはリポソームが挙げられる。非脂質ポリカチオンアミノポリマーがまた、送達に使用され得る。必要に応じて、懸濁液はまた、適切な安定剤、または調製物の高度に濃縮された溶液を可能にする化合物の安定性を増加させる薬剤を含み得る。
【0082】
局所投与または鼻内投与について、透過されるべき特定のバリアに適切な浸透剤が、処方物中で使用される。このような浸透剤は、一般に当該分野において公知である。
【0083】
本発明の薬学的組成物は、当該分野において公知の様式で(例えば、混合プロセス、溶解プロセス、顆粒化プロセス、糖衣形成プロセス、研磨プロセス、乳化プロセス、カプセル化プロセス、封入プロセス、または凍結乾燥プロセスによって)製造され得る。
【0084】
薬学的組成物は、塩として提供され得、そして、以下が挙げられるがこれらに限定されない多くの酸とともに形成され得る:硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸など。塩は、その対応する塩基形態であるよりも、水性溶媒または他のプロトン性溶媒中でより可溶性である傾向がある。他の場合では、好ましい調製物は、使用前に緩衝液と合わせられる以下のいずれかまたは全てを含み得る凍結乾燥粉末であり得る:pH範囲が4.5〜5.5での1〜50mMヒスチジン、0.1〜2%スクロース、および2〜7%マンニトール。
【0085】
薬学的組成物が調製された後、これらは、適切な容器中に置かれ得、そして示された状況の処理についてラベルされ得る。このようなラベリングは、投与量、投与頻度、および投与法を含み得る。
【0086】
本発明の用途に適切な薬学的組成物は、意図される目的を達成するために効果的な量で含まれる。効果的用量の決定は、十分に当業者の能力内である。
【0087】
任意の化合物について、治療有効用量が、細胞培養アッセイまたは動物モデル(通常、マウス、ラット、ウサギ、イヌまたはブタ)のいずれかで最初推定され得る。動物モデルをまた使用して、投与の適切な濃度範囲及び経路を決定し得る。次いで、このような情報を使用して、ヒトでの投与に有用な用量及び経路を決定し得る。
【0088】
治療有効用量は、症状及び状態を改善する活性成分の量をいう。治療効率および毒性(例えば、ED50(集団の50%に治療的に効果的な用量)およびLD50(集団の50%に対する致死用量))は、細胞培養または実験動物において標準的な薬学的手順によって決定され得る。毒性効果の治療効果に対する用量比は、治療指数であり、そしてLD50/ED50の比として表され得る。高い治療指数を示す薬学的組成物が好ましい。細胞培養アッセイおよび動物研究より得られるデータが、ヒト用途に対してある範囲の投薬量を処方する際に使用される。このような組成物中に含まれる投薬量は、好ましくは、毒性をほとんど有さないかまたは全く有さない、ED50を含む循環濃度の範囲内である。投薬量は、使用される投薬形態、患者の重篤度、および投与経路に依存してこの範囲内で変化する。
【0089】
正確な投薬量は、処置を必要とする被験体に関する要因の観点で、開業医によって決定される。投薬量および投与は、十分なレベルの活性部分を提供するかまたは所望の効果を維持するように調整される。考慮され得る要因としては、疾患状態の重篤度、被験体の一般的健康、被験体の年齢、体重、および性別、食事、投与時間及び投与頻度、薬物複合反応感受性、ならびに治療に対する寛容/応答が挙げられる。長時間作用する薬学的組成物は、特定の処方物の半減期およびクリアランス速度に依存して3〜4日毎、毎週、または2週間に1回投与され得る。
【0090】
通常の投薬量は、総用量約1gまでで、投与経路に依存して0.1μg〜100mgまで変動し得る。特定の投薬量および送達方法の手引きは、文献中に提供され、そして一般に当該分野において外科医に利用可能である。
【0091】
本明細書中に開示されるように、RIZ1は、エストロゲンレセプターコアクチベーターである。RIZ1サイレンシングは、ERポジティブ乳癌と比較してERネガティブ乳癌において有意により一般的であり、そしてエストロゲン耐性の獲得に関与するようである。なぜなら、試験したER+癌組織のほぼ半分が、RIZ1発現ネガティブにあると決定されたからである。
【0092】
エストロゲンの作用は、特異的レセプター(ER)との相互作用を介して媒介され、一連の下流の事象を開始し、ホルモン応答遺伝子の調節および細胞増殖を導く。内分泌治療(エストロゲン作用を減少するための外科的治療および内科的治療の両方を含む)は、ER+癌を有する患者における、好ましい第一線の治療である。
【0093】
しかし、ER陽性腫瘍を有する大部分の患者は、内分泌治療に応答しない。RIZ1の不活性化が、乳癌細胞における減少したエストロゲン応答性に高度に関連することを決定することにより、RIZ1状態は、ER+腫瘍を有する個体が内分泌治療に対して応答する可能性があるか否かを予測するために使用されることを可能にする。
【0094】
RIZ1状態に関する情報に基づき、臨床医は、潜在的な副作用を有する不必要な処置に個体を曝すのを回避しつつ、無疾患状態で生存する期間を延長し、そして/または死亡率を低下させる上で有効である可能性がより高い、特定の個体に適切な処置を決定し得る。本発明の方法によって、内分泌治療に応答する通常の見込みを有すると決定される個体については、内分泌治療が適切である。しかし、本発明の方法によって、内分泌治療に応答する減少した見込みを有すると決定される個体については、代替の処置が、利用可能な処置の選択肢の中から選択され得る。あるいは、このような個体については、内分泌治療は、さらなる処置と組み合わされ得る。
【0095】
このような個体に対する代替の処置またはさらなる処置の性質は、腫瘍の型および段階、転移の程度、個体の全体的な健康状態、ならびに他の併用する処置に基づき、臨床医により選択され得る。例えば、内分泌治療に応答する減少した見込みを有すると決定される個体において、化学治療、外科手術、または放射線照射が、内分泌治療と組み合わせられ得るか、または内分泌治療の代わりとして使用され得る。
【0096】
従って、本発明は、内分泌治療に応答する減少した見込みを有するエストロゲンレセプター陽性(ER+)腫瘍を有する個体を同定する方法を提供する。この方法は、この腫瘍のRIZ1状態を決定することにより実施され得る。この方法において、異常なRIZ1状態は、その個体を、内分泌治療に応答する減少した見込みを有する個体として識別する。正常なRIZ1状態は、その個体を、内分泌治療に応答する通常の見込みを有する個体として識別する。
【0097】
本明細書中で使用する場合、用語「内分泌治療」は、エストロゲンの増殖能を減少させる治療をいう。内分泌治療は、外科的または内科的のいずれかであり得、そしてエストロゲン作用の任意の局面(エストロゲン生成およびエストロゲンレセプターのシグナル伝達を含む)に影響を及ぼす。
【0098】
エストロゲン生成を除去する方法としては、閉経前女性におけるエストロゲンの主要な供給源である、卵巣の外科的切除または放射線照射が挙げられる。エストロゲン生成の除去はまた、黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニストまたは性腺刺激ホルモン放出ホルモンアゴニストを用いることによって、薬理学的に達成され得る。
【0099】
選択的エストロゲンレセプターモジュレーター(SERM)は、試験系において同時に投与される場合に、エストロゲンアゴニスト(例えば、17β−エストラジオール)の効果を鈍化またはブロックする化合物をいう。癌治療において使用されるSEMS(一般的に、「抗エストロゲン」としても知られている)は、一般的に、抗エストロゲン効果およびエストロゲン効果の組み合わせを示す。最も広く使用されているSERMであるタモキシフェンのアンタゴニスト効果は、細胞増殖のためのE2−ER−開始シグナルの伝達をブロックする結果である。他のSERMとしては、4−ヒドロキシタモキシフェンおよび関連するトリフェニレン抗エストロゲン;クロミフェン;ならびに非子宮栄養性抗エストロゲン(non−uterotrophic antiesestrogen)(例えば、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、イドキシフィン(idoxifine)、ナホキシジン(nafoxidine)、トレミフェン、TAT−59、レボメロキシフェン、LY−353381、CP−336156、MDL−103323、EM−800、ERA−923、ICI−182、780、など)が挙げられる。他のSERMは、当該分野で公知であるか、または決定され得る。
【0100】
アロマターゼインヒビターもまた、閉経後女性におけるER+癌の内分泌治療において使用される。アロマターゼは、アンドロゲンからのエストロゲン(エストロンおよびエストラジオール)の合成における最終工程を触媒し、従って、アロマターゼのインヒビターは、エストロゲン生成を減少する。代表的なアロマターゼインヒビターとしては、アミノグルテチミド、メゲストロールアセテート、アナストロゾール、レトロゾール、およびエキセメスタンが挙げられる。
【0101】
本明細書中で使用する場合、用語「エストロゲンレセプター陽性(ER+)腫瘍」は、当該分野で認識されている閾値レベルを超えるエストロゲンレセプターを発現する腫瘍をいう。腫瘍をER+またはER−と分類するために、多くのアッセイが、当該分野で慣用的に使用されている。このようなアッセイとしては、例えば、リガンド結合アッセイ(LBA)および免疫組織化学(IHC)が挙げられる。好適には、免疫組織化学が、本明細書中に記載されるように、腫瘍のER状態およびRIZ1状態の同時決定を可能にし得る。一般的に、3fmol/mg細胞質タンパク質より大きいERレベル(LBAによる)がER+とみなされるのに対し、1%より高い陽性細胞(IHCアッセイによる)がER+とみなされる(Harveyら,J.Clin.Oncol.17:1474−1481(1999);Elledgeら,Int.J.Cancer(Pred.Oncol.)89:111−117(2000))。10%陽性細胞のカットオフを、実施例Iに記載される免疫組織化学アッセイにおいてER+とみなした。しかし、結果は、1%カットオフを用いても大きく変化しない。
【0102】
本明細書中で使用する場合、用語「腫瘍」は、悪性新生物をいう。腫瘍は、原発性病巣または転移性病巣のいずれかであり得る。エストロゲンレセプターを発現することが示されている腫瘍としては、乳癌腫、子宮内膜癌腫、前立腺癌、卵巣癌腫、腫腎臓癌腫、黒色腫、結腸直腸腫瘍、類腱腫、膵臓癌腫、および下垂体腫瘍が挙げられる。本発明の方法は、これらの型の任意のER+腫瘍、およびER+であると決定された他の腫瘍に適用可能である。本発明の方法は、任意の臨床段階のER+癌(局在化した癌、局所的に伝播した癌、および遠くに伝播した癌)に適用可能である。
【0103】
さらに、この方法は、生検において、悪性でないと決定される組織(正常または前癌であると決定される組織を含む)を有する個体に対して実施され得る。このようなER+組織における異常なRIZ1状態は、その組織において腫瘍が発生した個体の増大した見込みの予測となる。特に、低量の循環エストロゲンを有する女性(閉経後女性および卵巣が切除された女性を含む)において、ER+組織における異常なRIZ1状態は、その組織において腫瘍が発生した個体の増大した見込みの予測となる。このような患者については、内分泌処置以外の予防的処置が、妥当であり得る。適切な予防的処置(生活様式の変更(例えば、食事および運動)および薬物処置を含む)は、当業者により決定され得る。
【0104】
本明細書中で使用する場合、RIZ1に関する用語「状態」は、腫瘍におけるRIZ1ポリペプチドの機能に関連する測定可能な特性をいう。決定される測定可能な特性は、RIZ1ポリペプチドの特性またはコードRIZ1遺伝子もしくはコードRIZ1mRNAの特性であり得る。
【0105】
腫瘍におけるRIZ1ポリペプチド機能に関連する例示的な測定可能な特性は、腫瘍におけるRIZ1遺伝子、RIZ1 mRNA、またはRIZ1ポリペプチドの量である。従って、この場合の「異常なRIZ1状態」は、腫瘍サンプルにおける、RIZ1遺伝子、RIZ1 mRNA、またはRIZ1ポリペプチドの減少した量であり得る。一般的に、腫瘍におけるRIZ1遺伝子、RIZ1 mRNA、またはRIZ1ポリペプチドの減少した量とは、コントロールサンプルにおける量に対する、腫瘍サンプルにおけるRIZ1遺伝子、RIZ1 mRNA、またはRIZ1ポリペプチドの量の少なくとも80%の減少(例えば、90%の減少)をいう。当業者は、特定のアッセイに適切なコントロール(例えば、同じ個体由来の近接する正常な組織、または正常な量のRIZ1遺伝子、RIZ1 mRNA、またはRIZ1ポリペプチドを有することが以前に同定されている腫瘍サンプル)を決定し得る。
【0106】
腫瘍におけるRIZ1ポリペプチド機能に関連するさらなる例示的な測定可能な特性は、RIZ1遺伝子の構造的完全性である。従って、この場合の「異常なRIZ1状態」は、腫瘍サンプルにおけるRIZ1遺伝子の正常なヌクレオチド配列における変異であり得る。このような変異は、RIZ1遺伝子またはRIZ1 mRNAの全てまたは選択された部分を配列決定することによって直接決定され得る。RIZ1遺伝子配列における変異はまた、間接的に(例えば、RIZ1 mRNAの正常な大きさまたは量における変化、RIZ2/RIZ1の正常な比における変化を検出することによって、あるいはRIZ1ポリペプチド産物の正常な大きさ、安定性、もしくは局在性における変化を検出することによって)推定され得る。RIZ1ポリペプチドが正常に発現されるかまたは機能する能力に影響を及ぼし得る変異としては、例えば、ゲノム欠失、フレームシフト変異(Chadwickら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:2662−2667(2000);Piaoら,Cancer Res.60:4701−4704(2000);Sakuradaら,Genes,Chroms.Cancer 30:207−211(2001))、ミスセンス変異、非センス変異、および調節領域における変異(米国特許第5,811,304)が挙げられる。
【0107】
サンプル中の特定の遺伝子、mRNA、またはポリペプチドの量または構造的完全性を決定する方法は、当該分野で周知であり、例えば、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第3版,Cold Spring Harbor Press,Plainview,New York(2001);Ausubelら(Current Protocols in Molecular Biology(捕遺47),John Wiley & Sons,New York(1999))に記載される。所定の適用に対する特定の方法は、当業者により選択され得る。代表的な方法としては、例えば、DNA配列決定、SSCP、サザンブロッティング、PCR、ノザンブロッティング、RT−PCR、RNAse保護、インサイチュハイブリダイゼーション、免疫組織化学、イムノブロッティング、および免疫沈降が挙げられる。これらの方法においてRIZ1核酸分子を検出するのに適した試薬(例えば、ハイブリダイゼーションプローブおよびPCRプライマー)は、当該分野で公知であり、例えば、Heら,Cancer Res.4238−4244(1998)および本明細書の実施例に記載される。これらの方法においてRIZ1ポリペプチドを検出するのに適した試薬(例えば、KG7.1Sおよび2D7抗体)もまた当該分野で公知であり、例えば、Buyseら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:4467−4471(1995)に記載される。
【0108】
腫瘍におけるRIZ1ポリペプチド機能と関連する別の例示的な測定可能な特性は、RIZ1遺伝子プロモーターのメチル化の程度である。Duら,Cancer Res.61:8094−8099(2001)に記載されるように、RIZ1プロモーターにおける35CpGsの部分的または完全なメチル化は、減少したRIZ1 mRNA発現と強く関連し、減少したRIZ1ポリペプチド量をもたらす。従って、この場合の「異常なRIZ1状態」は、部分的または完全なRIZ1プロモーターCpGのメチル化であり得る。
【0109】
RIZ1プロモーターのメチル化は、例えば、Duら,前出(2001)に記載される方法によって決定され得る。簡単にいうと、1つの方法は、サンプル由来のゲノムDNAを亜硫酸水素塩で処理する工程、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いてRIZ1プロモーターDNAを増幅する工程、その後、増幅産物をクローニングおよび配列決定する工程を包含する。亜硫酸水素塩処理により、非メチル化シトシンがウリジンに変換されるが、メチル化シトシンは変換に対して耐性である。本発明によるRIZ1プロモーターの増幅に適した例示的なプライマーセットは、5’−GGTTGGGTGGTGGTTATTGGG−3’(配列番号5)および5’−CAAAAACCGCCCTGCGCCACTCCTTACC−3’(配列番号6)である。代替の方法は、サンプル由来のゲノムDNAを亜硫酸水素塩で処理する工程、およびRIZ1特異的プライマーを用い、メチル化特異的ポリメラーゼ連鎖反応(MSP)を用いてこのDNAを増幅する工程を包含する。メチル化RIZ1プロモーターDNAを選択的に増幅するための例示的なプライマーセットは、5’−GTGGTGGTTATTGGGCGACGGC−3’(配列番号7)および5’−GCTATTTCGCCGACCCCGACG−3’(配列番号8)であるのに対し、非メチル化RIZ1プロモーターDNAを選択的に増幅するための例示的なプライマーセットは、5’−TGGTGGTTATTGGGTGATGGT−3’(配列番号9)および5’−ACTATTTCACCAACCCCAAGA−3’(配列番号10)である。
【0110】
腫瘍におけるRIZ1ポリペプチド機能と関連する別の例示的な測定可能な特性は、RIZ1ポリペプチドのヒストンメチルトランスフェラーゼ活性である。従って、この場合の「異常なRIZ1状態」は、変更されたH1−K25メチル化活性、変更されたH3−K9メチル化活性、または別の同定されたヒストンメチル化部位に対する正常なRIZ活性の変化であり得る。このような変化は、正常なコントロールに対して増大したHMT活性または減少したHMT活性のいずれかであり得る。ヒストンメチルトランスフェラーゼアッセイは、前に記載されており、そして腫瘍サンプルにおけるRIZ1ポリペプチドのヒストンメチルトランスフェラーゼ活性を決定するための当業者により適合され得る。
【0111】
当業者は、腫瘍におけるRIZ1ポリペプチド機能と関連する他の測定可能な特性を決定し得、これは、RIZ1状態を決定するために本発明において使用され得る。これらの基準のいずれかによって、RIZ1ポリペプチドが、変化した量、構造、または活性から、腫瘍において正常に機能していない可能性があると決定される場合、その腫瘍は、「異常なRIZ1状態」を有すると表され、そしてその個体は、「内分泌治療に対して応答する減少した見込み」を有すると同定される。従って、内分泌治療の代替治療、または他の治療と組み合わせた内分泌治療の使用は、このような個体において、無疾患の生存および完全な生存の機会を改善するために妥当であり得る。
【0112】
以下の実施例は、本発明を例示することを意図しており、限定することを意図しない。
【実施例】
【0113】
(実施例I)
この実施例は、腫瘍抑制遺伝子RIZ1(PRDM2)がヒストンメチルトランスフェラーゼスーパーファミリーのメンバーであり、そして雌性ホルモンレセプターのコアクチベーターであることを示す。この実施例はまた、RIZ1がインビボで雌性ホルモン作用を媒介すること、およびRIZ1の機能の欠損が、乳癌のホルモン抵抗性およびホルモン非依存性の増殖への移行に関与することを示す。
【0114】
(材料および方法)
(プラスミドおよび一過性トランスフェクション)
使用されたヒトRIZ1発現ベクターおよびヒトRIZ2発現ベクターならびにRIZ1変異体ベクターは、Steele−Perkinsら、Genes Dev.15:2250−2262(2001)に記載される。全長野生型ヒトRIZ1 cDNAをpcDNA3ベクター(Invitrogen)中にクローニングすることにより、哺乳動物RIZ1発現ベクターp3RIZ1RH4.1を構築した。ミスセンス変異(ロイシンからアラニン)を含むベクターp3RIZ1RH4.1−L965Aを、Quick−Change mutagenesis kit(Stratagene)により構築し、そしてDNA配列決定により確認した。RIZタンパク質の発現ベクターおよび全長哺乳動物ERα、全長哺乳動物PR、全長哺乳動物RARα、全長哺乳動物RXRα、全長哺乳動物VDR、全長哺乳動物AR、全長哺乳動物TRおよび全長哺乳動物GRを含む発現ベクターを、tk−CATレポーターに連結された合成ホルモン応答エレメントを含む適切なレポーター構築物とともにCV−1細胞にトランスフェクションした。RAR、RXR、およびTRに対する合成応答エレメントを含むレポーターTREpal−tk−CAT(Zhangら、Nature 355:441−446(1992))を使用して、RARα、RXRα、およびTRの効果を評価し、GRおよびARについてはGRE−tk−CAT(Zhangら、J.Biol.Chem.266:8248−8254(1991))を、ERαについてはERE−tk−CAT(Leeら、Mol.Cell.Biol.15:4194−4207(1995))を、PRについてはPRE−tk−cat(MckayおよびCidlowski、Mol.Endocrinol.12:45−56(1998))を、ならびにVDRについてはVDRE−tk−CAT(Agadirら、Carcinogenesis 20:577−582(1999))を使用した。
【0115】
リン酸カルシウム沈殿手順を、以前に記載されたように一過性のトランスフェクションのために使用した(Leeら、Mol.Cell.Biol.15:4194−4207(1995))。簡潔には、0.5〜1.0×10細胞/ウェルを、24ウェルプレートに播種し、そして50〜400ngのRIZプラスミド、100ngのNHRについての発現ベクター、100ngのレポータープラスミドおよび100ngのβ−gal発現ベクターを、1μgの全DNA/ウェルになるようにキャリアDNAと混合した。MCF−7細胞(6ウェルプレートにおいて2×10細胞/ウェル)のトランスフェクションには、Effectene Transfection Reagent(Qiagen)を、製造業者の指示書に従って使用した。細胞を、示したホルモン(エストラジオール(E2)について50nM、ならびにR5020(合成Pアゴニスト)、オール−トランスレチノイン酸(オール−トランス−RA)、9−シスレチノイン酸(9−シス−RA) 1,25ジヒドロキシビタミンD3(VD3)、ジヒドロテストステロン(DHT)、トリヨードサイロニン(T3)、およびデキサメタゾン(DEX)について100nM;R5020以外はすべてSigmaから、R5020をNENから)の有りまたは無しで、24時間処理し、そしてCAT活性を、記載されるように測定した(Leeら、Mol.Cell.Biol.15:4194−4207(1995))。CATの値を、対応するβ−gal活性によってトランスフェクション効率に対して標準化した。
【0116】
GSTタンパク質産生のために使用するプラスミドを、以下のようにPCRクローニングによって構築した。ヒトRIZ1タンパク質の1〜200残基領域を発現させるために、全長ヒトRIZ1 cDNAプラスミドを、プライマーhRP109.2(AAA CCA TGG ATC AGA ACA CTA CTG AG(配列番号11))およびRP274(CCG TAA GCT TCA TGC AGA GGT GAA ATC TGG C(配列番号12))によるPCR(Pfuポリメラーゼ、Stratagene)のための鋳型として使用した。このPCRフラグメントを、ベクターpKG−PBR(Huangら、J.Biol.Chem.273:15933−15940(1998b))中のNcoI部位およびHindIII部位にクローニングして、pKG−HN1を作製した。GST−RIZ200タンパク質を作製するために、BL−21細胞を、pKG−HN1によって形質転換した。RIZタンパク質の1〜161残基領域を発現させるために、Quick−Change mutagenesis kit(Stratagene)を使用することによって、プラスミドpKG−HN1中の残基162に終止コドンを導入した。使用したプライマーは、RP296P1(CGA GCC AGC GCC CGG AGC TAA GCT TAA GCG GAG CTC CCC(配列番号13))およびRP296P1の相補配列を有するRP296P2であった。ミスセンス変異体GST−RIZ200タンパク質を作製するために、pKG−HN1プラスミド鋳型においてQuick−Changeによる変異誘発を、以前に記載されたようなプライマーを使用して実施した(Steele−Perkinsら、Genes Dev.15:2250−2262(2001))。細菌中で、より長いRIZ1のペプチドフラグメントを作製するために、PCRによってN末端520残基フラグメントを最初にpKG−PBRベクターのNcoI部位およびHindIII部位にクローニングして、プラスミドpKGH205を作製した。しかし、このプラスミドは、高収量の期待のタンパク質産物を与えなかった。次に、Quickchange変異誘発によって、このプラスミドに終止コドンを導入して、pKGRIZ332を作製した。pKGRIZ332は、次いで、高収量のRIZ1のN末端332残基ペプチドを産生した。変異誘発に使用したPCRプライマーは、以下:RP307:GAT TTA TTA GAG GAA tgA AAA ACA ACT TCA GAA G(配列番号14)、およびRP308:CTT CTG AAG TTG TTT TTc aTT CCT CTA ATA AAT C(配列番号15)である。
【0117】
(免疫沈降および免疫ブロット)
MCF−7乳癌細胞およびT47−D乳癌細胞を、15cmディッシュにおいて5%FCSおよび2mM L−グルタミンを含むDMEM中で増殖させた。次いで、コンフルエント前(subconfluent)の細胞(4×10)を、フェノールレッドも、血清もホルモンも含まないDMEMでさらに3日間培養した。その間、培地を1日2回交換した。ホルモン(E2について50nMおよびR5020について100nM)有りまたは無しで、細胞を24時間インキュベートし、そしてRIZ1を含むアデノウイルスベクター(AdRIZ1;1×1010ウイルス粒子/15cmディッシュの濃度で)または空ベクター(AdNull)を感染させた(Heら、Cancer Res.58:4238−4244(1998))。次いで、細胞を、炭処理された5%のFCS(Omega Scientific)を補充した、フェノールレッドを含まないDMEM中でさらに48時間増殖させた。細胞を回収し、(Buyseら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.92:4467−4471(1995);Liuら、J.Biol.Chem.272:2984−2991(1997))に本質的に記載されるようにして免疫沈降および免疫ブロットを続けた。使用した抗体としては、RIZモノクローナル抗体2D7(Buyseら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.92:4467−4471(1995))、ERαに対するモノクローナル抗体(sc−8005、Santa Cruz Biotechnology)、プロゲステロンレセプターに対するモノクローナル抗体(1A6、DAKO)が挙げられる。ヒストンメチル化解析のために、抗ジメチル−H3−K9抗体および抗ジメチル−H3−K4抗体(Upstate Biotech)を、コントロールウイルスおよびAdRIZ1ウイルスを48時間感染させた細胞から酸抽出したヒストンの免疫ブロット解析に使用した。H1リン酸化解析のために、抗ホスホ−H1抗体および抗H1抗体(Upstate Biotech)を、酸抽出したヒストンの免疫ブロット解析に使用した。
【0118】
(マウス)
RIZ1−/−マウスを、Steele−Perkinsら、Genes Dev.15:2250−2262(2001)に記載されるように作製した。簡潔には、マウスゲノムDNAを得るために、ラットRIZ1 cDNAの、PRドメインをコードするcDNAフラグメントを使用して、マウス129Svゲノムライブラリー(Stratagene)をスクリーニングした。標的化構築物を、PGK−neo−BpAカセット(Sorianoら、Cell 64:693−702(1991))をエキソン5中に挿入し、そして相同の領域の外側に隣接してPMC1−TK(Mansourら、Nature 336:348−352(1988))由来の単純ヘルペスウイルスTKカセットを位置付けるように設計した。標的化プラスミドを、XhoI消化により直線化し、そしてD3 ES細胞(Gosslerら、Proc.Natl.Acad,Sci.USA 83:9065−9069(1986))にエレクトロポレーションした。このESクローンを、G418(150μg/ml)およびガンシクロビル(2.0μM)を含む培地で選択した。相同組換え事象を、XbaI消化と0.5−kb XbaI−BglII5’プローブへのハイブリダイゼーションまたはNotIおよびEcoRI消化と0.5−kb SacII−NotI3’プローブへのハイブリダイゼーションを使用したサザンブロット解析によってスクリーニングした。5つのRIZ1+/−ES細胞株を、C57BL/6胚盤胞に微量注入した。次いで、この胚盤胞をBalb/c養母の子宮に移植した。2つのRIZ1+/−ESクローンから作製された雄のキメラマウスが、RIZ変異を生殖系列に伝達された。F1動物におけるRIZ1変異体対立遺伝子の存在を、動物の尾由来のゲノムDNAのサザンブロット解析およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)解析によって確認した。RIZ1+/−F1動物どうしを交配させて、RIZ1−/−マウスを作製した。
【0119】
生殖機能を試験するために、雌RIZ1−/−マウスを、雄RIZ1+/−マウスと交配し、雌RIZ1+/−マウスを、雄RIZ1−/−マウスと交配し、そしてヘテロ接合体の変異体間の交配もまた実施した。同腹仔の数を記録し、研究全体を通してルーチン的に、全てのマウスを体重測定した。
【0120】
(遺伝子発現の分析)
RIZ染色について、RIZウサギ抗血清KG7.1S(Buyseら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.92:4467−4471(1995))を1/200の最適希釈で使用した。ERα染色について、ポリクローナルウサギ抗ERα抗体(sc−542 Santa Cruz)を、1/250の希釈で使用し、そしてPR染色については、ポリクローナルウサギ抗PR抗体(A0098 DAKO)を、1/100の希釈で使用した(基本的には、(Tibbettsら,Biol.Reprod.59:1143−1152(1998))に記載されるとおり)。組織をブワン溶液中で固定化し、そしてパラフィン中への包埋および断片化(5μm)の従来の方法によって処理した。RIZ染色およびER染色については、断片をトリプシン(Zymed)で処理したが、PR染色については、断片をTarget Retrieval Solution(DAKO)を使用する処理に供した。これらの全ては、製造者の指示に従って実施した。次いで、断片を1次抗体と共にインキュベートし、その後ビオチン化二次抗体と共にインキュベートした。1次抗体の局在性を、褐色染色を生じるイミダゾール−DAB反応によって可視化し、その後ヘマトキシリン対比染色および明視野顕微鏡分析(bright−field microscopy analysis)の慣用的処理を続けた。ネガティブコントロールは、1次抗体の欠損および免疫前KG7.1S抗血清とのインキュベーションを含んだのに対して、AdRIZ1に感染した直腸結腸異種移植片腫瘍をRIT発現についてのポジティブコントロールとして使用した(JiangおよびHuang,Cancer Res.61:1796−1798(2001))。
【0121】
RIZ遺伝子発現のRT−PCR分析のために、7週齢のRIZ1+/+マウス由来の組織を液体窒素中で微粉砕し、そして総RNAをTRIZOL試薬(Gibco BRL)を使用して単離した。第1鎖cDNA合成キット(Gibco BRL)を使用して、cDNAを合成した。オリゴRP260(5’−CTC ATT CAT CTA AGA AAG GTG G−3’;配列番号16)+RP259(5’−TGA TTC CAG GTC ACT TCA GG−3’;配列番号17)およびRP170(5’−GAA GCC AAA GGC CTC TCA TC−3’;配列番号18)+K05(5’−AGA CTC TGG CTG AGG TAC C−3’;配列番号19)を59℃のアニーリング温度での30サイクルを含む標準的なPCR条件において使用し、それぞれ、RIZ1+2およびRIZ1特異的フラグメントを増幅させた。
【0122】
(ホルモン処理に対する応答における標的器官の分析)
子宮の増殖および充血ならびに膣上皮の細胞組織化の変化におけるE2媒介性増大(Xuら,Science 279:1922−1925(1998))を試験するために、8週齢雌RIZ−/−マウスおよびRIZ+/+マウスを卵巣摘出(OVX)した。OVX後の15〜17日目に、マウスをE2のS.C.注射(0.8ng/g/日;Sigma)またはビヒクル(0.1ml トウモロコシ油)のみで、3日間処理した。次いで、このマウスを、18日目に屠殺し、子宮の湿潤重量を測定し、そして膣組織を収集した。この組織を上記のとおりに処理し、膣試料を慣習的なH&Eでおよび子宮試料をPR発現のために染色した。この膣上皮および角質化層の厚さを撮影し、Spot 3.2.4.ソフトウエア(Diagnostic Instruments)を使用して図4に記載するとおりに測定した。
【0123】
P媒介性脱落膜応答およびE2媒介性脱落膜応答を評価するために、以前に記載されたプロトコルを使用した(Lydonら,Genes Dev.9:2266−2278(1995));Xuら,Science 279:1922−1925(1998))。簡単に言うと、8週齢の雌マウスをOVXし、そしてOVX後10〜12日目に、マウスをトウモロコシ油中のE2のS.C.注射で処置し(100ng/日)、次いで、16〜23日目からP(1mg/日;Sigma)+E2(6.7ng/日)で処置した。18日目の3度目のP+E2注射から6時間後、左側の子宮角(右側の角は、コントロールとして供された)を、頸部の近くにギザギザのついた針を挿入し、子宮角の全長を、子宮間膜に対して(antimesometrially)長軸方向に引っかくことによって外傷的に刺激した。このマウスを23日目の最後のP+E2注射から6時間後に屠殺し、そして左側および右側の子宮角の湿潤重量を測定した。
【0124】
正常な発達による乳房生成(mammopoiesis)、妊娠、および女性ホルモン処理に対する影響を測定するために、以下のプロトコルを使用した(Xuら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA97:6379−6384(2000);Xuら,Science 279:1922−1925(1998))。乳腺発達に対する正常な青春期発達の影響を測定するために、7週齢の処女雌マウスを屠殺した。さらに、最初の妊娠の19日目に、妊娠した雌マウスを屠殺した。乳腺発達に対するE2+P処置の影響を試験するために、8週齢の雌マウスをOVXし、そしてOVX後14日目に、0.1mgのE2および10mgのP4を含有するS.C.21日間放出ホルモンペレットまたはS.C.プラシーボペレット(Innovative Research of America)で処置した。35日目に、このマウスを屠殺し、そして子宮を湿潤状態で重さを量り、実際のホルモン放出を裏付けるために顕微鏡で分析した。全ての場合において、ホールマウントを第4乳腺から調製し、標準的な手順(Evansら,Oncogene 19:989−991(2000))に従ってカルミン染色し、そして乳管と乳房脂肪パッド(mammary fat pad)との間の関係、ブランチングの程度ならびにブランチの数を顕微鏡で調べた。
【0125】
テストステロンに対する応答を評価するために、12週齢の雄マウスを精巣摘除(ORC)し、精巣を湿潤状態で重量測定した(Xuら,Science 279:1922−1925(1998))。ORCの9日後、マウスをテストステロンのS.C.注射(3mg/kg/日,Sigma)またはビヒクルのみ(0.1ml トウモロコシ油)で、9〜15日間の間処置した。16日目に、マウスを屠殺し、その前立腺および尿道前立腺部(技術的理由のため)を除去し、湿潤状態で重量測定した。
【0126】
(統計学分析)
独立スチューデントt−検定を、P<0.05を有意とみなして、統計学的評価手順として使用した。全ての結果を平均値±SEM(平均値の標準誤差)または平均値±SD(定常時の標準偏差)として表した。フィッシャーの直接確率検定を使用して、ER陰性乳癌とER陽性乳癌との間の差異を、P<0.05を有意とみなして評価した。
【0127】
(メチル化アッセイ)
メチル化反応物(30〜40μl)は、20mM Tris−HCl(pH8.0)、0.2M NaCl、0.4mM EDTA、親和性精製GST−RIZ1または免疫沈降産物、ヒト癌細胞(A549またはU2OS)の酸抽出物から精製された遊離ヒストン(20〜40μg)、および3μl(1.65μCiおよび21pmole)[メチル−H]−アデノシルメチオニン(Amersham−Pharmacia)を含有した。核抽出物を標準的な手順に従って調製し、そして免疫沈降に使用した。免疫沈降のために使用した抗血清は、抗KG7.1Sおよび以前に記載された免疫前血清(Buyseら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.92:4467−4471(1995))であった。類似のHMT活性もまた、異なる血清(データ示さず)、以前に記載された1715(Steele−Perkinsら,Genes Dev.15:2250−2262(2001))を使用する免疫沈降で観察された。様々な量のSAH(Sigma)をいくつかのメチル化反応物に加えた。
【0128】
H3およびH1におけるメチル化残基を決定するために、H3 N末端の1〜20残基ペプチド(Upstate Biotech)、K9およびK14における非アセチル化残基およびアセチル化残基、ならびにH1 N末端の15〜37および12〜31ペプチドを、上記のようなインビトロメチル化反応のための基質として使用した。この反応物をTris−トリシン10〜20%ゲル(Invitrogen)に溶解させた後、蛍光光度分析した。H−標識化H3またはH1ペプチドをHPLCによって精製し、そしてApplied Biosystems model 477A Protein Sequencerにおいてアミノ末端から配列決定した。変換後、このサンプルをシンチレーション計数による放射活性の決定のために回収した。
【0129】
ノコダゾール(nocodazole)処理した細胞由来のヒストンを50ng/mlのノコダゾールで48時間処理したU2OS細胞の酸抽出によって単離した。ヒストン(20 mg)を、λプロテインホスファターゼ(400U)(New England Biolabs)で、緩衝液中において、30℃で1時間処理した。コントロールのヒストンには、ホスファターゼをインキュベーション混合物から取り除くこと以外は同じ処理をした。
【0130】
(結果)
(RIZ1は、ERおよびプロゲステロンレセプターの特異的コアクチベーターである)
RIZ1は、エストロゲンレセプター(ER)のコアクチベーターであることが示されている(Abbondanzaら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:3130−3135(2000);Steele−Perkinsら,Genes Dev.15:2250−2262 (2001))。RIZ1のコアクチベーター機能をより理解するために、ERに対するRIZ1の効果を他のいくつかのNHRに対するRIZ1の効果と比較した。図1Aに示すように、RIZ1は、リガンド依存様式および用量依存様式においてERおよびプロゲステロンレセプター(PR)機能を増強した。対照的に、RIZ1は、アンドロゲンレセプター、レチノイン酸レセプターα(RARα)、レチノイン酸Xレセプターα(RXRα)、甲状腺ホルモンレセプター(示さず)、糖質コルチコイドレセプター(示さず)およびビタミンDレセプター(示さず)の活性に対してほとんど効果を有さなかった。同様のことがERによっても見出され(Steele−Perkinsら,Genes Dev.15:2250−2262(2001))、RIZ2およびRIZ1ミスセンス変異体(C106YおよびI188V)は、プロゲステロンレセプターを同時活性化できなかった(図1A)。RIZのLXXLLモチーフ中の点変異の導入はまた、プロゲステロンレセプターに対してコアクチベーターとして作用し得ないタンパク質を産生した(図1A)。ERおよびプロゲストロンレセプターに対するRIZ1効果と一致して、RIZ1およびこれらのレセプターを含有するタンパク質複合体を、同時免疫沈降アッセイによって検出した(図1B)。従って、RIZ1は、エストロゲンレセプターおよびプロゲステロンレセプターの特異的コアクチベーターであるが、他の核ホルモンレセプターのコアクチベーターではなく、そして、RIZ1のインタクトなPR/SET−ドメインが、その機能のために必須である。
【0131】
E2およびプロゲステロンの標的器官において、予測されるRIZ発現を確認するために、RIZ発現を、免疫組織化学によって決定した。この遺伝子産物は、子宮(腺上皮および管腔上皮、ならびに間質細胞および子宮筋層細胞の両方を含む)において、ERの発現と類似した、核染色を示した(図1C)。さらに、RIZを、乳房上皮および膣上皮の両方において発現させる。これらの試験のために、血清抗KG7.1S(これは、RIZ1およびRIZ2の両方を認識する)を使用した(Buyseら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:4467−4471(1995);Liuら,J.Biol.Chem.272:2984−2991(1997))。この抗体からの陽性の結果は、おそらく、両方のタンパク質の発現を反映する。なぜなら、これらのタンパク質は、大部分の組織において同時発現されるからである(Buyseら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:4467−4471(1995);Liuら,J.Biol.Chem.272:2984−2991(1997))。それにもかかわらず、RIZ1とRIZ2とを区別し得るプライマーセットを使用するRT−PCR分析によって、RIZ1は、実際には、女性ステロイドホルモンの種々の標的組織において発現されることが確認された(図1D)。
【0132】
(RIZ1欠損雌マウスの標的組織における部分的ホルモン耐性)
RIZ1変異マウスは、RIZ1を欠損しているが、RIZ2を欠損しておらず、そのため、特に、このRIZ1遺伝子のすべてのPRドメイン関連機能を欠損している(Steele−Perkinsら、Genes Dev.15:2250−2262(2001))。これらの動物は、生存可能でかつ妊娠可能であり、そして全体的な発生上の欠損を示さない(Steele−Perkinsら、前出(2001))。ステロイドホルモン作用におけるRIZ1の生理学的役割を決定するために、E2に応答した子宮成長を、卵巣切除した(OVXed)マウス(Lubahnら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:11162−11166(1993))において、最初に試験した。野生型またはヘテロ接合性のRIZ1変異マウスは、E2処置に対して応答し、子宮の湿重量が、5.3±0.5倍増加および5.4±0.4倍増加した。ホモ接合性RIZ1変異体の子宮は、約3.7±0.4倍のより少量の増加を示した(+/+ 対 −/−について、P<0.001;図2AおよびB)。機械的外傷(脱落膜刺激)に対する子宮の応答は、主に、プロゲステロンレセプター依存性プロセスである(Lydonら、Gene Dev.9:2266−2278(1995))。OVXedマウスを、高用量のプロゲステロンおよび低用量のE2で処置し、続いて、各動物の左子宮角を機械的に刺激した。刺激していない左子宮角は、コントロールとして役立てた。脱落膜応答は、子宮角サイズの増加を生じ、そしてこれは、野生型マウスの刺激した左子宮角において一貫して観察された。部分的な応答のみが、RIZ1ヌル変異体の子宮角において観察された(図2C)。これらの結果は、RIZ1が、インビボにおいて、E2およびプロゲステロンに対して最大の子宮応答のために必要とされることを示唆する。
【0133】
3日間のE2処置に応答した腟角化を、OVXedマウスにおいて試験した。このホルモンは、膣肥厚の増加およびその上皮の角化を生じる(Lubahnら、前出(1993))。このことが、野生型マウスにおいて一貫して見られた(図2D、E)。しかし、RIZ1ヌル雌マウスは、このような最大応答を示さず、従って、このことは、RIZ1がインビボでE2に対する膣応答のために必要とされることを示唆する。
【0134】
次いで、子宮の上皮区画および間質区画を、プロゲステロンレセプター発現のE2誘導性変化について分析した。ERによるこのような調節は、非常に区画特異的であり、発情周期の間の子宮における変化を模倣する(Tibbettsら、Biol.Reprod.59:1143−1152(1998))。ビヒクルで処置したOVXed RIZ1 +/+マウスおよびOVXed RIZ1 −/−マウスにおけるプロゲステロンレセプター染色は、明らかに類似しており、管腔上皮(LE)および腺上皮(GE)の両方のほとんど全ての細胞において、強力な免疫反応性を示したが、間質細胞および子宮筋層細胞の画分のみが、ポジティブであった(図2G、データは示さず)。予測されたように、野生型動物のE2処置は、プロゲステロンレセプター発現に対して二重の効果を有した。この効果は、LEにおけるレベルを低下させること、ならびに間質区画および子宮筋層区画におけるレベルを増加させることである。GEにおける免疫反応性は変化しなかった、このことは、E2単独ではこの区画におけるプロゲステロンレセプター発現を調節しないことを示した以前の知見と一致している(図2F、G)(Tibettsら、前出(1998))。RIZ1欠損動物のE2処置の際に、LEにおけるプロゲステロンレセプターレベルの低下は、野生型組織におけるプロゲステロンレセプターレベルの低下の1/8倍であり、そして間質および子宮筋層におけるレセプターレベルの増加は、正常よりもほぼ1/2倍であった。これらの知見は、RIZ1が子宮におけるプロゲステロンレセプター発現のE2調節において役割を担っていることを示唆する。
【0135】
ステロイドホルモンは、乳汁生成(mammopoiesis)において重要な役割を担っている(HennighausenおよびRobinson,Gene Dev.12:449−455(1998))。E2およびプロゲステロンの両方が、妊娠中の肺胞発生のために必須である。7週齢の野生型雌において、乳管は、乳房の脂肪パッドへと成長し始めたが、年齢の一致したRIZ1ヌル変異体において、明確な差異を有さなかった(図3AおよびB)。しかし、妊娠によって刺激された場合、野生型乳腺における肺胞性構造は、高度に発達し、そして全ての管部分に現れ、管内空間を満たした。RIZ1変異乳腺において、肺胞は、その肺胞の数およびサイズの点では、全く発達せず、わずかな肺胞が、妊娠の同じ段階において管の末端にて観察された(図3C〜F)。RIZ1ヌル変異体の乳腺は、依然として乳汁を生成し得るが、これらの結果は、RIZ1が、妊娠中にインビボでの正常な乳管伸長および肺胞発生のために必要とされることを示唆する。OVXed成体マウスにおいて、E2処置およびプロゲステロン処置に応答した乳腺の発達もまた、試験した。E2およびプロゲステロンは、野生型マウスの乳腺において複雑な管の分枝および広範な肺胞形成を刺激した。これは、妊娠初期の乳汁生成の段階を模倣する。RIZ1変異マウスの乳腺においては、ホルモン処置の後に、部分的な管成長のみが観察された(図3G〜J)。従って、RIZ1は、E2およびプロゲステロンに応答した乳腺の効率的な増殖および分化のために必要とされるようである。
【0136】
(RIZ1欠損雄マウスにおける正常なステロイドホルモン応答)
RIZ1は雄性ステロイドホルモンの標的組織(例えば、精巣)において発現され(Buyseら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:4467−4471(1995))るが、アンドロゲンレセプターのためのコアクチベーターとして働くようには見えない(図1A)。このことをさらに研究するために、前立腺の成長を、アンドロゲンで処置した後に精巣摘出した雄マウスにおいて測定した。雌マウスと同様に、総体重における差異は、RIZ1ヌル変異雄性動物において全く注目されなかった(表1)。
【0137】
【表1】
Figure 2005503131
精巣摘出の8日後、野生型動物および変異動物の両方の前立腺は、退行した。7日間にわたるテストステロンの注射は、野生型動物およびRIZ1ヌル動物における前立腺成長を刺激した。野生型動物およびRIZ1ヌル変異動物は、体重に対する前立腺および尿道の重量比が類似していた(1.19±0.03 対 1.14±0.03;+/+および−/−のそれぞれについて、n=10匹および9匹(マウス);p=0.23)。野生型動物およびRIZ1ヌル変異動物はまた、体重に対する精巣重量比が類似していた(7.7±0.4 対 7.4±0.4;両方の遺伝子型について、n=14;p=0.58)。従って、テストステロンに対する組織応答は、RIZ1を欠損しているマウスにおいて、有意には影響を及ぼさず、これは、アンドロゲンレセプタートランス活性化機能に対する遺伝子の効果の欠損と一致している(図1A)。
【0138】
(RIZ1欠損雌マウスによる、同腹仔サイズの低下)
RIZ1変異マウスの生殖能力を評価した。雌のRIZ1 −/−マウスを、雄のRIZ1 +/−マウスと交配させ、コントロールとして、雌のRIZ1 +/−マウスを、雄のRIZ1 −/−マウスと交配させた。また、ヘテロ接合性変異体の間で、交配を行った。RIZ1 −/−雌マウス×RIZ1 +/−雄マウスの交配からの平均同腹仔サイズは、6.6±3.2(標準偏差;n=35匹の同腹仔)であったが、RIZ1 +/−雌マウス×RIZ1 −/−雄マウスの交配の同腹仔については、平均同腹仔サイズは、8.4±2.0(n=20匹の同腹仔)であり(P<0.01)、そしてヘテロ接合性マウス間での交配の同腹仔については、平均同腹仔サイズは、8.0±2.2(n=50匹の同腹仔)であった(P<0.02)。これらの結果は、RIZ1が欠損した雌(雄ではない)マウスに関係するわずかに弱まった生殖能力を示し、これは、雄動物(雌動物ではない)においてステロイドに対する欠損性組織応答を示した上記の結果と一致している。
【0139】
(RIZ1およびRIZ2による、乳癌におけるER依存性転写の調節)
上記の結果は、正常組織のE2応答におけるRIZ1の生理学的役割を示唆する。RIZ1の腫瘍サプレッサーの役割を考慮して、RIZが乳癌細胞のE2応答における役割もまた担うか否かという疑問を問いただした。RIZ1は、しばしば欠失しているが、RIZ2は、一様に乳癌中に存在している(Heら、Cancer Res.58:4238−4244(1998);JiangおよびHuang,Histol.Histopathol.15:109−117(2000))。RIZ2は、ERのコアクチベーターとして働かず、実際には、RIZ1のコアクチベーター機能を無効にし得る(Steele−Perkinsら、Genes Dev.15:2250−2262(2001))。従って、MCF−7において過剰発現したRIZ1およびRIZ2の効力を、ERおよびRIZ1を発現する乳癌細胞において試験した(Heら、前出(1998))。ERE−tr−CATレセプターを用いてMCF−7細胞に同時トランスフェクトした場合、RIZ1は、エストロゲン誘導性レセプター活性を増加した(図4A)。対照的に、E2誘導性レセプター遺伝子転写は、RIZ2発現によって抑制された。ERを欠いたCV−1細胞において、レセプター遺伝子発現は、RIZ1、RIZ2、およびE2によって影響を受けなかった(図4B)。このデータは、RIZ1が、E2に対して乳癌を感作し得ること、およびRIZ2発現によって達成されるような、低下したRIZ1活性が、乳癌のE2感受性を阻害し得ることを示唆する。
【0140】
(ホルモン耐性乳癌におけるRIZ1遺伝子サイレンシング)
上記の研究によって示されるように、RIZ1がE2媒介性正常癌増殖およびE2媒介性乳癌増殖を促進するようである場合、RIZ1はまた、なぜ腫瘍サプレッサーであり、そしてしばしば乳癌においてサイレンスであるのだろうか(Heら、前出(1998))。公開されたデータの再分析によって、RIZ1欠失は、試験された乳癌細胞株の間の(ER状態によって表わされるような)ホルモン耐性に関連することが見出された(表2)。
【0141】
メチル化特異的PCRが、RIZ1プロモーターのメチル化を試験するために開発された。これは、DNAメチル化が、腫瘍細胞株および組織におけるRIZ1 mRNA発現の損失または減少の良好な指標であることを示した(Duら、Cancer Res.22:8094−8099(2001))。RIZ1プロモーターのメチル化は、乳癌組織において共通していることが見出された(試験した25個の乳癌組織のうち11個の乳癌組織において生じた)。BT20細胞株およびZR75−1細胞株を除いて、表2のmRNA発現データは、Heら、前出(1998)からのデータである。正常の10%より低い発現レベルを、ネガティブ(−)とスコア付けした。
【0142】
【表2】
Figure 2005503131
RIZ1と乳癌組織のホルモン応答性との間の関係に取り組むために、ER発現状態を、組織切片が利用可能な、25個のサンプルのうちの18個について試験した。ER発現を、免役組織化学によって決定し(10%より低い陽性を、ネガティブとみなした)、そしてこれらのサンプルのメチル化状態を認識することなく、二重盲検様式でスコア付けした。これらの結果は、ERネガティブ腫瘍がRIZ1ネガティブである傾向があるという、細胞株において以前に見出された傾向と同じ傾向を示した(表3)。
【0143】
【表3】
Figure 2005503131
従って、6つのERネガティブ症例のうちの5つの症例は、12のERポジティブ症例のうちの5つの症例と比較して、RIZ1ネガティブであった。細胞株からのデータと一緒に、これらの結果は、RIZ1サイレンシングとERネガティブ乳癌との間に有意な関連性があることを示す(12個のERネガティブサンプルのうち9個のサンプルにおいて見出されるRIZ1サイレンシング 対 16個のERポジティブサンプルのうち5個のサンプルにおいて見出されるRIZ1サイレンシング、p<0.05)。これらの結果はまた、ERポジティブ癌組織のほぼ半分(12個のうち5個)が、RIZ1ネガティブであったことを示しており、これは、ERポジティブ乳癌のホルモン耐性の発生におけるRIZ1サイレンシングの潜在的な役割を示す。総合すると、これらの研究は、ERの存在または非存在、次に、乳癌疾患の初期段階または後期段階に関連した、乳癌におけるRIZ1の二重状態を示す。遺伝子の二重状態は、腫瘍サプレッサーおよびER/E2依存性腫瘍プロモーターとしての、この遺伝子の二重の役割と一致するようである(以下の議論を参照のこと)。
【0144】
(RIZ1のヒストンメチルトランスフェラーゼ活性およびエストロゲンによる調節)
本明細書中および以前に示された動物ノックアウト研究の結果(Steele−Perkinsら、前出(2001))、ならびに上で議論した、乳癌細胞におけるRIZ1の二重の役割は、ERコアクチベーター/増殖プロモーターおよび腫瘍サプレッサーとしてのRIZ1の生理学的役割を示唆する。これらの動物または腫瘍に欠けているのは、RIZ1のPRドメインのみであるので、RIZ2の正常な発現に起因して、RIZ1が、ERコアクチベーター/増殖プロモーターおよび腫瘍サプレッサーとしての二重機能を説明し得る活性を有するか否を求めた。
【0145】
RIZ1のN末端PRドメイン領域の組換えGST融合タンパク質を、細菌中で調製した。この組換えタンパク質を精製し、そして基質としてヒストンを使用し、メチル基ドナーとしてS−アデノシル−[メチル−H]−L−メチオニンを使用して、ヒストンメチルトランスフェラーゼ活性についてアッセイした。反応生成物を、SDS−PAGEによって分離し、そして蛍光間接撮影法によって視覚化した。ヒストンH4の特異的標識が、RIZ1の残基1〜200からなる、精製したGST産物の存在下で観察された(図5A)。GST単独または残基1〜161からなるタンパク質は、HMT活性を欠如した。さらに、腫瘍において見出されるミスセンス変異(C106Y、I188V、およびA159V)は、HMT活性を無効にした。この結果は、RIZ1がHMT活性を有し、HMT活性は、保存されたPRドメイン(残基30〜160)およびPRドメインのC末端側にある非保存残基(残基162〜200)を必要とすることを示唆する。
【0146】
次いで、PRドメインのHMT活性が、RIZ1のさらなる配列により改変され得るか否かを、細菌内で作られるより長いRIZ1のN末端フラグメントを試験することによって調べた。N末端332残基のペプチドを発現するGST融合タンパク質は、メチル化H4におけるN末端200残基のペプチドに対して同様の活性を示した(図5B)。細菌において、さらにより長いペプチド(520残基)を試験する試みは、タンパク質の収量が低かったために、首尾よくなかった。この結果は、残基200〜332は、HMT活性に本質的には寄与し得ないが、N末端200残基領域のHMT活性の調節における役割を担うことからRIZ1の他の領域(333〜1719)を除外し得なかったことを示唆する。
【0147】
RIZ1タンパク質のC末端(アミノ酸1514〜1680)に位置するドメインは、RIZ1のPRドメインに結合し得ることが以前に規定された(Huangら、J.Biol.Chem.273:15933〜15940(1998))。次いで、PBDすなわちPR−結合ドメインと称されるこのドメインが、PR HMT活性を調節し得るか否かを調べた。先に記載したGST融合タンパク質(GST−hRIZ1(1514〜1680))またはここでGSTRIZPBDと称されるタンパク質を、GSTRIZ332のHMT活性に対するその効果について調べた。予想外に、GSTRIZPBDタンパク質は、単独で、特にH4に対するHMT活性を示し、このことは、RIZ PBDドメインがメチルトランスフェラーゼの新規の触媒モチーフを示すことを示唆する。H4の増加したメチル化およびH1の分子量と類似の分子量を有する新しい基質のメチル化によって示されるように、GSTRIZ322およびGSTRIZPBDの両方がHMT反応中に存在する場合、HMT活性の(相加的効果よりも)相乗的促進が観察された(図5C)。この結果は、PRドメインHMT活性が、RIZ1の他の領域(例えば、PBDドメイン)により調節され得ることを示唆する。
【0148】
次いで、哺乳動物細胞由来の全長RIZ1タンパク質の酵素活性をアッセイした。RIZ1をほとんど発現しないヒト骨肉腫U2OS細胞(Heら、Cancer Res.58:4238〜4244(1998))を、AdRIZ1ウイルスまたはコントロールAdNullウイルスで感染させ、そしてウイルス感染細胞由来の核抽出物を、RIZ血清抗KG7.1Sまたは免疫前の血清で免疫沈降させた。RIZ1を発現する抽出物由来のRIZ1血清による免疫沈降生成物は、H1、H3およびH4のメチル化を引き起こした(図6A)。同様の結果をまた、異なるRIZ1抗血清1715を用いて得た(データは示さず)。コントロールとして、免疫前の血清の免疫沈降物について、またはRIZ1ネガティブな核抽出物を免疫沈降に用いた場合、HMT活性が検出されなかった。
【0149】
このデータは、哺乳動物細胞のRIZ1タンパク質が、細菌から得られる短縮型なタンパク質の活性と一致するHMT活性を有することを示す(図5)。しかし、全長のタンパク質は、細菌由来の短縮型タンパク質より多くのヒストン基質を標的化するようである。なぜならおそらく、このタンパク質が、細菌が発現したタンパク質で欠失している配列もしくは改変またはこれらの両方を有するからである。この結果は、PRドメインのHMT活性を調節するRIZタンパク質の他の領域と一致する。
【0150】
腫瘍の抑制におけるRIZ1の役割を考慮して、S−アデノシルホモシステイン(SAM)、異常な蓄積が発癌性に関連するSAM−依存性メチルトランスフェラーゼのアナログインヒビターである、RIZ1酵素活性を阻害し得るか否かを決定した。免疫沈降したRIZ1によるヒストンのインビトロでのメチル化に対するSAHの効果を試験した。メチル化アッセイを、0μM、0.5μMおよび5μMのSAH、ならびに0.42μMの3H−SAMの存在下で実施した。RIZ1によるヒストンメチル化は、0.5μMのSAHにより部分的に阻害され、そして5μMのSAHにより完全に阻害された(図6B)。この結果は、SAHがRIZ1メチルトランスフェラーゼのインヒビターであることを示す。
【0151】
ヒストンH3のメチル化された4位および9位のリジン残基は、それらの生物学的な機能に関して最も特徴付けられたヒストンリジンのメチル化である。H3−K9のメチル化は、遺伝子の抑制およびヘテロクロマチン形成に関連する一方、H3−K4のメチル化は、しばしば遺伝子活性化に関連する(Nomaら、Science 293:1150〜1155(2001);Reaら、Nature 406:593〜599(2000);Strahlら、Curr.Biol.11:1〜5(2001))。2つのリジン残基の各々は、いくつかの異なるSETドメインHMTにより標的化され得、これらのドメインは、K4特異的またはK9特異的のいずれかであって両方に特異的ではなく、そしてしばしば非H3基質(例えばH1)を有する(Nishiokaら、Genes & Dev.16:479〜489(2002);Reaら、Nature 406:593〜599(2000);Tachibanaら、J.Biol.Chem.276:25309〜25317(2001);Wangら、Mol.Cell.8:1207〜1217(2001a))。RIZ1がH3−K4特異的HMTまたはH3−K9特異的HMTのような群に属し得るか否かを決定することは、転写においてRIZ1がどのように機能するかを直ちに説明し得る。従って、RIZ1がH3−K4またはH3―K9に対する任意の活性を有し得るか否かを決定した。第一に、RIZ1が、これらの残基のメチル化を哺乳動物細胞においてインビボで変化し得るか否かを決定した。ヒストンを、AdRIZ1またはコントロールウイルスで感染させたU20S細胞から抽出し、そしてH3−K9メチル化またはH3−K4メチル化を特異的に認識する抗体を用いるウェスタンブロット分析により分析した。この結果は、RIZ1がH3−K9メチル化を増加させるが、H3−K4メチル化には影響を及ぼさないことを示し(図6C)、RIZ1メチルトランスフェラーゼの潜在的な標的としてのH3−K9と一致するが、H3−K4とは一致しない。
【0152】
RIZ1がH3−K9を直接メチル化し得ることを示す、ペプチドメチル化および配列決定実験を実施した。H3のN末端の1〜20残基を含むペプチドを、メチルドナーとしてS−アデノシル−[メチル−3H]−L−メチオニンを用いた免疫沈降RIZ1タンパク質により、インビトロで完全にメチル化した(図6D)。対照的に、アセチル化したK9およびK14を含むペプチドはメチル化されず、RIZ1の標的としてのK9とは一致するがK4とは一致しない。ダブレットとしてのこのペプチドの移動はまた、他社によっても観察されており、SDS−PAGEの不完全な分解に起因し得る。次いで、メチル化したペプチドをHPLCによって精製し、ペプチド配列決定分析に供した。精製したペプチドを、アミノ末端から配列決定し、そしてこの配列決定した残基の各々の放射活性を、シンチレーション計測によって決定した。9位のリジンで、単一の放射活性のピークを観察した(図6E)。この結果は、H3−K9(H3−K4ではない)はRIZ1メチルトランスフェラーゼの標的であることを示す。
【0153】
次いで、H1のメチル化可能な部位を決定した。H1ペプチド(15〜37aa)を、RIZ1によってインビトロでメチル化し、次いでHPLC精製および配列決定分析に供した。メチル化の繰り返しおよび配列分析は、25位のリジンがRIZ1によってメチル化されたことを示した(図6F)。
【0154】
K9特異的な様式でH3をメチル化する能力は、転写の抑制におけるRIZ1についての役割を示唆し、このことは、ERコアクチベーターとしてのRIZ1の役割と矛盾するようである。この明らかな矛盾の理解を助けるために、RIZ1 HMT活性に対するエストロジェンの効果を調べた。コントロールおよびE2処理したMCF−7細胞由来の核抽出物を、RIZ1血清抗KG7.1Sまたは免疫前の血清により免疫沈降した。期待したように、HMT活性(H3およびH1を標識する)を、RIZ1血清の免疫沈降物において検出したが、免疫前の血清では検出しなかった(図7A、レーン1およびレーン3)。興味深いことに、エストロジェン処理はH3メチル化を減少させたが、RIZ1によるH1メチル化は維持されたかまたは僅かに促進された(図7A、レーン4)。RNase保護分析では、MCF−7細胞のE2処理により変化したRIZ1遺伝子発現またはRIZ2遺伝子発現は示されなかった(データは示さず)。さらに、E2はまた、AdRIZ1ウイルス感染MCF−7細胞における過剰発現RIZ1タンパク質のHMT活性を同様に調節した(図7A、レーン5〜レーン6);コントロールウイルスで感染させた細胞は、非感染細胞と同様の結果を示した(データは示さず)。従って、E2は、H1ではなくH3のメチル化を特異的に阻害する選択的方法で、RIZ1 HMT活性を調節するようである。このデータは、E2が、おそらく転写リプレッサーおよび転写アクチベーターの二重の役割を有する、RIZ1を、H3メチル化によって表されるようなそのリプレッサー活性を選択的にオフする一方で、おそらくH1メチル化によって表されるその推定のアクチベーター活性を促進することにより転写アクチベーターに変化させ得ることを示唆する。
【0155】
特徴付けられるべきH1メチル化の機能は残されている一方で、本発明の結果は、RIZ1のH1のRIZ1メチル化およびH3−K9メチル化の2つのメチル化活性の対照的な動態を考慮すると、少なくとも類似していないようであることを示唆する。H1リン酸化は転写の活性化に関与している(Bhattacharjeeら、Mol.Cell.Biol.21:5417〜5425(2001);DouおよびGorovsky,Mol.Cell.6:225〜231(2000))ので、次いで、E2またはRIZ1が、H1リン酸化を増強し得るか否かを試験した。ヒストンを、AdRIZ1ウイルスまたはコントロールウイルスで感染させたMCF7細胞から抽出し、そしてリン酸化H1を特異的に認識する抗体を用いるウエスタンブロット分析により分析した。この結果は、E2およびRIZ1の両方がH1リン酸化を増加させることを示し(図7B)、E2またはRIZ1が、促進されたH1リン酸化を介して、部分的に転写を刺激するように機能し得ることを示唆する。RIZ1のH1メチル化がH1−リン酸化にポジティブに相関したことは、そのようなメチル化が、転写の活性化に相関することを示唆する。
【0156】
次いで、リン酸化H1のメチル受容能力を、非リン酸化H1または過リン酸化H1と比較した。ノコダゾール(nocodazole)によってG2/M期に停止させた細胞よりヒストンを単離した。このヒストンは、リン酸化H1に富んでおり、そしてこのヒストンを、RIZ1によるインビトロでのメチル化のための基質として使用した。ノコダゾール処理細胞由来のH1は、コントロール細胞由来のH1と比較して、不十分な基質として働くようである(示さず)。この結果は、ノコダゾール処理細胞より単離されたH1がリン酸化およびメチル化の両方がなされていること、またはH1のリン酸化がそのメチル化を妨げ得ることかのいずれかであることを示唆する。このことを解明するために、ヒストンを、メチル化基質として使用する前にホスファターゼを用いて処理した。ホスファターゼ処理は、H1上のかなりの量のホスフェートを除去したが、H1がメチル化基質として働く能力には影響しなかった(示さず)。合わせると、これらの結果は、リン酸化H1が非リン酸化H1または過リン酸化H1よりも高度にメチル化されることと関連すること、およびメチル化H1が非メチル化H1または過メチル化H1よりも高度にリン酸化されることと関連することを示唆する。
【0157】
次いで、E2処理に対する、RIZ1メチル化活性の時間経過応答を研究した。RIZ1のH3メチル化活性の低下を、E2処理の4時間後に見出した。これらは、その後、低レベルのまま持続された(示さず)。E2誘導性細胞増殖が処理の少なくとも8時間前に起こることは知られていないので、これらのデータは、E2によるRIZ1のH3メチル化活性の阻害が細胞増殖の結果ではなさそうであることを示唆する。
【0158】
E2(増殖因子)がRIZ1によるH3のメチル化に対して持続性の阻害効果を有するが、H1に対しては有さないことの観察は、RIZ1のH3メチル化活性およびH1メチル化活性が細胞増殖と相対して結び付けられ得ることを示唆する。H1メチル化およびH3メチル化の対向性の挙動をさらに研究するために、モデル系として、U937骨髄白血病細胞の12−O−テトラデカノイル−ホルボール−13−アセテート(TPA)処理を使用して、細胞増殖によるRIZ1 HMT活性の調節を試験した。U937細胞は、TPAに曝される場合、増殖停止、および単球への終末分化を行う。この細胞モデルを、研究のために選択した。なぜなら、これらの細胞において、RIZ遺伝子発現がTPAによって極僅かにしか調節されないことが示されているからである。TPA処理の3日後以降まで、RIZ1 mRNAが僅かに増加(2倍未満)したが、RIZ2レベルが全く変化しなかったことを観察しなかった(Gazzerroら、Mol.Med.7:552−560(2001))。したがって、HMT活性の有意な変化(特に減少)は、少なくとも処理の最初の3日以内では、RIZ1タンパク質量の変化のためではあり得ない。U937の細胞増殖および分化に対するTPAの効果を、細胞数を計数することおよび細胞形態を試験することによって確認した(示さず)。RIZ遺伝子発現がTPA処理の最初の3日以内では有意には変動しないことをまた確認した。核抽出物からのRIZ1免疫沈降物のHMT活性をアッセイすることによって、H3メチル化が増加したことを見出したが、H1メチル化はTPA処理の24時間後に僅かに減少した(示さず)。同様の結果を、TPA処理の3日後または7日後に観察したが、H3メチル化活性は処理の1日後の活性よりも低いことが注目された。24時間未満の任意の処理期間にわたって、HMT活性に有意な変化がないことが注目された。TPA処理の24時間後の変化は、任意の有意な増殖停止が起こる前に十分であった。このことは、このような変化が増殖停止の結果ではなさそうであることを示唆する。これらの結果は、RIZ1のH3メチル化活性が増殖停止と関連するが、RIZ1のH1メチル化活性は細胞増殖と関連することを示唆し、このことは、E2に応答したこれらの活性の、上記の対向性の挙動を追認する。
【0159】
(考察)
上記の結果は、RIZ1欠損雌マウスがE2およびプロゲステロンに対する不十分な応答、および低減した生殖能を提示することを示す。RIZ1は、ERおよびプロゲステロンレセプターについてのコアクチベーター活性を示すが、他の試験したNHRについては、全く活性を示さないかまたは弱い活性を示した。さらに、これらの結果は、コアクチベーター(RIZ1)が、初期段階の乳癌においてE2依存性増殖プロモーターおよびエストロゲン非依存性状態への乳癌の進行を妨げる腫瘍サプレッサーの両方として働き得ることを示唆する。乳癌細胞においてエストロゲン媒介性転写活性化は、RIZ1アンタゴニスト(RIZ2)によって抑制され、そしてホルモン耐性乳癌は、より通常、ホルモン感受性乳癌よりもサイレントなRIZ1遺伝子を保有する。これらのデータは、RIZ1がHMT活性を有し、HMT活性が、2つの独立であるが相互作用する触媒モチーフによって媒介されることを示唆する。PRドメインのHMT活性は、そのERコアクチベーターの機能および腫瘍抑制機能の両方と結びつく。このコアクチベーター機能を不活性化するPRドメイン中の癌関連変異は、HMT活性を損なう。また、RIZ1のHMT活性は、ERコアクチベーターとしてのRIZ1の役割と一致した様式で、E2によって調節され得る。
【0160】
雌性の性NHRとの相互作用におけるRIZ1の特異性は、この観点においてより乱雑的であるようである、SRC−1/p160ファミリーメンバーのうちのメンバーと対照的である。従って、SRC欠損動物に対して、RIZ1欠損マウスについて、より微妙な表現型が予想され得る。実際に、これは、SRCメンバーを欠損した動物の中で最も穏やかな表現型を示す、まさにSRC−1欠損マウスと比較した場合である(Wangら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:13549−13554(2000);Xuら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:6379−6384(2000);Xuら、Science 279:1922−1925(1998))。SRC−1欠損雌動物およびRIZ1欠損雌動物は、雌性性ホルモンに対して同様の低減した感受性を示すが、RIZ1とは異なりSRC−1変異はまた、処女マウスにおける思春期中の乳管の成長および雄性におけるホルモン応答に影響する。RIZ1欠損マウスおよびSRC−1欠損マウスにおいて観察される、部分的にホルモン耐性である表現型は、RIZ1関連タンパク質およびSRC−1関連タンパク質の重複する機能を反映するようであり、それら機能については、多くのものが存在する。すなわち、これはER機能に対するRIZ1およびSRC−1のさらなる効果に関連し得る。低減したH3−K9メチル化は、RIZ1のE2阻害によって誘導される場合、単独でまたはひとりでに、ヘテロクロマチンタンパク質HP1がH3上のメチル化K9に結合することを低減することによって、転写活性化を容易にする(Bannisterら、Nature 410:120−124(2001);Lachnerら、Nature 410:116−120(2001))。さらに、転写は、SRC−1またはその関連HATによるメチルのないH3−K9のアセチル化によってさらに増強される。
【0161】
RIZ1欠損マウスにおいてステロイドに対する組織応答の部分的低減は、標的遺伝子発現の対応する低減によって併発された。子宮の間質区画および子宮筋層区画におけるプロゲステロンレセプター遺伝子発現のE2誘導は、RIZ1欠損マウスにおいて低減された(図2F〜G)。この結果は、ER転写活性化機能を促進するRIZ1の生理学的役割、およびこのようなコアクチベーターの機能がE2に対する観察された組織応答の原因であるようであることを示唆する。
【0162】
ステロイドに対する総合的な組織応答は、RIZ1欠損によって部分的にのみ低減されるが、このことは、RIZ1がNHR機能を促進することにおいて、独特かつ非重複性の機能を供給し得ないことを、必然的には示さない。分子レベルで、RIZ1が、特定の標的遺伝子発現を制御することに独自に関与し得ることは、可能である。実際に、エストロゲンは、RIZ1の存在下で子宮の内膜上皮細胞において、プロゲステロンレセプター遺伝子発現をほぼ1/20に抑制することを示したが、RIZ1非存在下では1/2でしかなかった(図2F〜G)。ER/E2はコアクチベーターとして広範にRIZ1を使用するようであるが、この結果はさらに、特定の状況においてコレプレッサーとしてRIZ1を使用し得ることをまた示唆する。特定の細胞内容物において、ER/E2がRIZ1によるH3−K9のメチル化を増強し得ることが可能である。
【0163】
RIZ1がE2誘導性組織増殖に必要とされるようであることは、RIZ1の腫瘍サプレッサーの役割と対照的である。この明かな矛盾を理解するのを補助するために、乳癌におけるRIZ1の役割を研究した。RIZ1過剰発現は、レポーター遺伝子のER依存的転写活性化を増強するが、RIZ1アンタゴニストであるRIZ2の過剰発現は、乳癌細胞において内因性ERの転写活性化機能を阻害した。従って、RIZ1不活性化は、乳癌における低下したホルモン応答と関連し得る。一貫して、RIZ1のサイレンシングは、ERポジティブな乳癌と比較して、E2耐性またはERネガティブにおいて、より一般に有意であることが示された。ERコアクチベーターの変更が乳癌のホルモン応答性表現型において役割を有し得ることを予想することは、必然的である。この理念は、いくつかの以前の研究によって追求さされ、これらはほとんどERポジティブな乳癌において、SRC3(AIB1)およびSRAの過剰発現が見出された(Anzickら、Science 277:965−968(1997);Kurebayashiら、(Clin.Cancer Res.6:512−518(2000);Murphyら、Cancer Res.60:6266−6271(2000);Thenotら、Mol.Cell.Endocrinol.156:85−93(1999))。予想され得るように、乳癌組織におけるER濃度とE2に対する応答との間には、定量的な関係がある(Allegra、Semin.Oncol.10:23−28(1983);Osborneら、Cancer 46:2884−2888(1980))。ER量が高いほど、応答は大きくなりそうである。ERはほとんど変異されず、そして用語ERネガティブとは、実験的に決定されるレベル未満であるERのレベルをいう。低いERレベルを有するこのような細胞において、部分的なホルモン応答性は、依然として存在する。従って、コアクチベーターのうちの1つ(RIZ1)の消失は、このような細胞のホルモン応答をさらに低減し得ることが予想される。同様に、ERポジティブな乳癌におけるコアクチベーターのサイレンシングは、RIZ1について本明細書で示されるように、これらの腫瘍のホルモン耐性の表現型の獲得に役割を果たし得る。
【0164】
ホルモン感受性初期段階乳癌について、腫瘍サプレッサーおよびERコアクチベーター/増殖プロモーターとしてのRIZ1の二重の役割は、無能力なRIZが、腫瘍細胞増殖に有益であり得るのかまたは有益であり得ないのかという問題を生じる。RIZ1を保持することは、RIZ1欠損マウスにおけるE2誘導組織増殖の減少から見て、無能力なRIZ1よりもより好適であり得ることが明らかである。この観点はまた、RIZ1サイレンシングが、ERネガティブ乳癌に対してERポジティブ乳癌において、あまり一般的でなかったという知見と一致する。
【0165】
RIZ1が、初期段階乳癌に対する増殖の利点を与え得るのならば、なぜRIZ1が通常サイレンスである後期段階のERネガティブ乳癌に対してそうでないのか?このことは、ER依存増殖プロモター機能をまた有する腫瘍サプレッサーを予測する。E2結合の際、RIZ1をデフォルト腫瘍サプレッサーからコアクチベーター/腫瘍プロモーターへと変換し得る機能的ERを有する乳癌において、RIZ1は、しばしば存在し、そしてE2の存在下で腫瘍増殖を促進する役割を果し得る。これらの腫瘍において、RIZ1はまた、E2が存在しない場合、腫瘍増殖を抑える役割を果し得る。対照的に、コアクチベーターがもはや有用でなく、そして腫瘍サプレッサーが望ましくない、ERネガティブ乳癌において、これらの腫瘍のE2依存増殖表現型を促進する役割を果し得るRIZ1は、頻繁に失われる。
【0166】
なぜほとんどの他のERコアクチベーターがホルモン耐性乳癌においてサイレンスではないのかという疑問が生じる(Anzickら、Science 277:965−968(1997);Kurebayashiら、Clin.Cancer Res.6:512−518(2000);Murphyら、Cancer Res.60:6266−6271(2000);Thenotら、Mol.Cell.Endocrinol.156:85−93(1999))。これは、おそらく、これらが腫瘍サプレッサーではないという理由である。腫瘍サプレッサー機能を有するコアクチベーターのみが、ホルモン感受性から非感受性腫瘍への転移の間、好ましい標的の不活性化を表すであろう。このような転移の間、ホルモン感受性腫瘍は、ホルモン刺激またはER機能の非存在下で、増殖するための機構を開発する。生存する欠陥を生じたERを有するこれらの腫瘍細胞において、コアクチベーターは、もはや有用ではなく、従って、その活性を維持するための選択圧はもはやない。一方では、ERスイッチの非存在下において、コアクチべーターのデフォルト腫瘍サプレッサー機能(これは腫瘍に対して有利でない)が作用し、そしてコアクチベーターを不活性化するための選択圧が出現し得る。
【0167】
これらの結果は、RIZ1が内因性のHMT活性を有することを示唆する。PRドメイン(これはRIZ2に存在しない)を含むRIZ1の特定の領域(1〜200アミノ酸)は、インビトロでのヒストンH4のメチル化に十分である。PRドメイン(残基30〜160)は、必要であるが、不十分であり、そしてHMT活性ついてのPRドメインに対するC末端側のあまり保存されない領域(残基161〜200)を必要とする。PRドメインのすぐ隣の領域の必要性は、SETドメインについて記載されてる領域に類似する(Reaら、Nature 406:593−599(2000))。PRドメインの活性は、腫瘍関連点変異によって損なわれ、このことは、腫瘍抑制機能における活性の重要な役割と一致した。
【0168】
新しいメチルトランスフェラーゼ触媒モチーフは、RIZ1のC末端に位置されるPBDドメインを同定した。このドメインは、インビトロでH4をメチル化し得、そしてPRドメインと物理的/機能的に協同して、より高いHMT活性を生成し得、そして基質特異性を広げ得る。PBDドメインは、データベース中の任意のタンパク質に有意に関与することはないようである。このドメインがHMT活性を有し、そしてPR活性を調節し得ることは、マイクロサテライトの不安定な癌中のフレームシフト変異に起因するその欠損によって示されるように、腫瘍抑制におけるこのドメインの潜在的な役割に一致する。
【0169】
これらのデータは、RIZ1のN末端のPRドメイン領域からなる細菌発現させた200残基ペプチドがヒストンH4をメチル化する一方、全長のタンパク質はまた、基質としてH1およびH3を使用したことを示す。この結果は、PRドメイン活性を調節する際に、RIZ1の他の領域(例えば、PBDドメイン)の必要性と一致する。実際に、新規のH1様タンパク質のみが、PRおよびPBDの両方の存在下でメチル化されたが、いずれか単独ではメチル化されなかった。あるいは、免疫沈降されたRIZ1は、その酵素活性を調節し得るRIZ1結合タンパク質を含まなくてもよい。RIZ1は、タンパク質複合体の一部として存在し得、そしてこのような複合体のインタクトな性質は、HMT活性によって必要とされ得る。HMT複合体の例としては、650kDaのSUV39H1複合体である(Nishiokaら、Genes & Dev.16:479−489(2002))。最後に、RIZ1の哺乳動物特異的な翻訳後改変は、基質特異的メチル化活性において役割を果し得る。後者の2つの可能性は、E2およびTPAによるRIZ1 HMT活性の基質特異性の調節に一致し、そしてさらなる研究のための重要なトピックとなる。
【0170】
この結果はまた、ヒストンH3のリジン9がRIZ1タンパク質の主要なメチル化標的であることを示す。RIZ1タンパク質は、インビボで増強したH3−K9メチル化を引き起こし、そしてまたインビトロでH3−K9をメチル化した。H3−K9メチル化は、異質染色質形成および遺伝子サイレンシングに関連し、これらは次いで、RIZ1について同様の役割に関係する。ヒストンH1およびヒストンH4はまた、RIZ1によってメチル化されるが、遺伝子転写におけるH1およびH4メチル化の役割は、理解すべきことが残っている。RIZ1標的残基は、インビボでH1−K25の公知のメチル化に一致するリジン25としてインビトロでH1上で同定された(Oheら、J.Biochem.(Tokyo)100:359−368(1986))。
【0171】
E2が、1つの基質(H1)のメチル化を維持し得るか、または増強し得るが、別(H3)のメチル化を減少することは、RIZ1活性の調節の複雑な機構を示唆する。H3およびH1における変化は、ERトランス活性化機能のリガンド依存RIZ1活性化におそらく一緒に寄与する。このようなメチル化が遺伝子サイレンシングと関係するならば、RIZ1によるH3−K9のメチル化がE2によって阻害されることは、コアクチベーターとしてRIZ1と一致する。H1メチル化における対照的な変化は、このようなメチル化の役割が、逆でない場合、H3−K9メチル化の役割と少なくとも異なるようであることを示唆する。H1リン酸化は、転写活性化において重要であること(Bhattacharjeeら、Mol.Cell.Biol.21:5417−5425(2001);DouおよびGorovsky,Mol.Cell.6:225−231(2000))が公知であるが、そのメチル化の役割は、未知のままである。RIZ1またはE2がH1のリン酸化およびメチル化の両方を誘導する本明細書中の知見は、H1リン酸化の役割に類似するH1メチル化の役割を示唆する。コアクチベーター機能および以前に記載された転写リプレッサー機能(Xieら、J.Biol.Chem.272:26360−26366(1997))の点から見て、RIZ1が転写活性化および転写抑制の両方における二重の役割を有することが明らかである。二重の役割は、それぞれH3−K9およびH1−K25のメチル化によって部分的に媒介され得(表4)、タンパク質および特定の環境(circumstances)でのRIZ1のプロモーター環境(environment)に依存して、さらに1つの方向またはその他の方向に向かって変化し得る。RIZ1が転写を活性化するようなエストロゲンによって補充される場合、RIZ1のH3メチル化機能は、阻害され、そしてH1メチル化は、維持されるか増強される。この結果は、RIZ1が腫瘍サプレッサーおよびERコアクチベーター/増殖プロモターの二重の役割を有し、そして同じPRドメインが両方に必要であるというモデルを示唆する。ER/E2は、腫瘍サプレッサーから増殖プロモターへとRIZ1を変化し得るスイッチであると考えられる。RIZ1の二重の役割は、異なる基質用法によって媒介され得る。RIZ1のH3−K9メチル化/遺伝子抑制機能は、増殖停止に関連するが、U937細胞の末期の分化の間のRIZ1のこれらのメチル化活性化の変化によって示されるように、H1メチル化が細胞増殖に関連すると考えられる(表4に要約される)。RIZ1の腫瘍サプレッサーの役割は、非組織特異的であるが、ERコアクチベター機能は、ERポジティブ組織に制限される。
【0172】
(表4)
【0173】
【表4】
Figure 2005503131
a RIZ1の機能活性は、相対的に低い(+)または高い(++)として示す。
【0174】
E2がその増殖促進機能について腫瘍抑制遺伝子を使用することは、逆説的であるように見える。RIZ1 HMT活性が、E2に対して感受性であることは、RIZ1が、細胞の異常なホルモン非依存性増殖を防止するためのセンサーおよびブレーカーとしての役割を有し得る可能性を生じる。乳癌の初期の段階でのRIZ1の存在は、E2の非存在下において腫瘍が増殖しないことを説明し得る一方で、進行した乳癌において共通してE2が存在しないことは、ホルモン非依存性腫瘍増殖を説明し得る。E2は、おそらく標的遺伝子および/またはHMT活性を変化させることによって、RIZ1の腫瘍抑制遺伝子機能を止めるためのスイッチとして作用し得る。HMT機能が、RIZ1の腫瘍抑制遺伝子機能および同時活性化因子機能の両方のために必要とされる場合、E2は、全てのHMT活性を単に止める必要はない。従って、E2が1つの基質(H3)に対するRIZ1 HMT活性を選択的に阻害し得る一方で、他の基質(H1)に対する活性を維持または増強することが、再保証される。
【0175】
要するに、上記される研究は、HMT(RIZ1)がエストロゲンの標的であり、そしてインビボでの有効な雌性ホルモン作用のために必要とされることを実証する。RIZ1の欠陥を有するHMT機能は、エストロゲン耐性乳癌と関連し、そして、乳癌進行の間のホルモン耐性への変換およびホルモン非依存性増殖において重要であると判明し得る。類推によって、変更されたHMT機能は、損傷した雌性ホルモン恒常性により特徴付けられる臨床的症候群(例えば、骨粗鬆症、心臓血管疾患、およびアルツハイマー病)にもまた関与し得る。
【0176】
(実施例II)
この実施例は、RIZ1調節性化合物およびプロゲステロンレセプター活性を調節する化合物を同定するために適した種々のアッセイを示す。
【0177】
(A.プロテインメチルトランスフェラーゼ活性の共通のインヒビターに対するRIZ1の結合に基づいた生化学的アッセイ)
PMTの現在最も知られている共通のインヒビターは、S−アデノシル−L−ホモシステインまたはS−アデノシル−D−ホモシステイン(SAH、Ki=5〜12μM)である。あまり強力でないインヒビターは、アデノシル−L−エチオニン(Ki=170μM)である。SAHは、PMTの基質であり、メチル基のドナーである、S−アデノシル−L−メチオニン(SAM)の構造を模倣する。RIZ1は、そのPR/PMTモチーフおよびそのPBDドメインを介してSAHに結合することが予想される。
【0178】
マルチウェルプレートをSAHでコーティングし、そして各ウェルを、低分子化合物ライブラリーからの化合物と接触させる。このプレートを、RIZ1 PR/PMTモチーフ(約200個のアミノ酸)を含み、蛍光プローブで標識された、精製された組換えタンパク質と共にインキュベートする。結合していないRIZ1タンパク質を洗い流した後、このプレートを、蛍光検出器によって読み取る。
【0179】
(B.RIZ1のERまたはPRに対する結合に基づいた生化学的アッセイ)
RIZ1のERまたはPRに対する同時活性化因子機能は、物理的な複合体形成に依存する。RIZ1のERまたはPRに対する結合は、RIZ1のLXXLLモチーフによって媒介され、そしてホルモン依存性である。
【0180】
組換えRIZ1タンパク質を、マルチウェルプレートにコーティングし、そして各ウェルを、エストロゲンまたはプロゲステロンと同様に、低分子化合物ライブラリーからの化合物と接触させる。このプレートを、蛍光プローブで標識された、精製された組換えERタンパク質またはPRタンパク質と共にインキュベートする。結合していないERタンパク質またはPRタンパク質を洗い流した後、このプレートを、蛍光検出器で読み取る。
【0181】
(C.ERまたはPRのRIZ1同時活性化に基づいた細胞アッセイ)
マルチウェルプレートに、CV1細胞ならびにルシフェラーゼレポーターに連結されたER応答性プロモーターを含むプラスミド、ERを発現するプラスミド、およびRIZ1を発現するプラスミドでトランスフェクトされた細胞を播種する。各ウェルを、低分子化合物ライブラリーからの化合物と接触させる。トランスフェクションの2日後、各ウェルのルシフェラーゼ活性をアッセイし、そして蛍光検出器によって読み取る。
【0182】
(D.RIZ1の調節因子のインビボでの効力を決定または検証するためのアッセイ)
一旦、標的化合物を、インビトロ生化学的ハイスループットスクリーニングまたは細胞ハイスループットスクリーニングによって得ると、これらの化合物を、RIZ1の生理学的機能を阻害/増強するインビボでの効力について試験する。RIZ1 PR/PMT機能を欠損する雌性マウスは、エストロゲンおよびプロゲステロンに対する応答の減少を示す。従って、RIZ1 PR/PMTのインヒビターは、マウスにおけるエストロゲン応答およびプロゲステロン応答の減少が期待される一方、RIZ1の活性化因子は、応答を増強し得る。
【0183】
過剰切除された雌性マウスを、エストロゲンおよび標的化合物で、3日間処理する。この動物を屠殺し、そして子宮湿潤重量および膣角質化について試験する。さらに、エストロゲンおよびプロゲステロンに応じた乳腺増殖を決定する。8週齢雌性マウスを、0日目に過剰切除し、そして14〜34日目にE2(50μg/日)+P4(1μg/日)(または0.1mgのE2および10mgのP4を含む、21日放出ホルモンペレット;Innovative Research of America)で処置する。標的化合物を、ホルモンと共に適用する。35日目に、マウスを屠殺し、そして全マウントを調製し、そしてそれを染色した。RIZ1ヌル変異型マウスを、同様に処置し、標的化合物の効果についての特異性コントロールを与える。
【0184】
上に提供される、全ての雑誌論文、参考文献および特許引用は(括弧内あってもそうでなくても)(前記されていようといまいと)、その全体を参考として、本明細書中に援用される。
【0185】
本発明は、上に提供される実施例に関して記載されてきたが、種々の改変が、本発明の精神を逸脱することなくなされ得ることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1】図1Aは、ホルモン応答性プロモーターに対するRIZ1の効果を示す。示された量のRIZ1および種々の核ホルモンレセプター発現ベクターを、CV−1細胞中に、適切なホルモンレセプター応答エレメントを含むレポーター構築物と同時トランスフェクトした。細胞を、示されたホルモンとともに、またなしで24時間処理し、そしてCAT活性についてアッセイした。示されたデータは、3つの独立した実験の平均±SEMを表す。
【0187】
図1Bは、RIZ1が、ERαおよびプロゲステロンレセプタータンパク質とインビボでホルモン依存性タンパク質複合体を形成することを示す。T47−D(プロゲステロンレセプターについて)細胞およびMCF−7(ERについて)細胞を、アデノウイルス発現RIZ1で感染した。ホルモンとともに、またはなしで処理した細胞の抽出物を調製し、そして、示されるように、プロゲステロンレセプター(PR)(PR−BおよびPR−Aの両方を検出する)またはERαに対する、予備免疫された血清またはモノクローナル抗体で免疫沈降(IP)した。免疫沈降された産物を、RIZ1、プロゲステロンレセプターまたERαモノクローナル抗体(それぞれ、2D7、1A6、およびsc−8005)を用いて、イムノブロット分析により分析した。
【0188】
図1Cは、雌性の性ステロイドホルモンの標的器官におけるRIZ発現の免疫組織化学分析を示す。7週齢の純潔な野生型のマウスからの組織を、RIZおよびERαの発現について分析した。切片は、子宮(パネルaおよびb)、胸部(cおよびd)、および膣上皮(eおよびf)におけるRIZおよびERα免疫染色を示す。a、c、およびeにおけるスケールの棒はまた、b、d、およびfにそれぞれ適用される。
【0189】
図1Dは、雌性の性ステロイドホルモンの標的器官におけるRIZ1発現のRT−PCR分析を示す。マウスの示された組織から単離された総RNAを、RT−PCR分析に用いた。
【図2】図2は、RIZ1変異体マウスにおける雌性の性ステロイドホルモンに対する子宮および膣応答を示す。AおよびB、子宮の湿潤重量を測定し、そして示された数のマウスについて体重に対する子宮重量の比を算出し、そして平均±SEMとして表わした。C.脱落膜応答に対する子宮応答を測定した。E2およびプロゲステロンでの処理、および左子宮角の機械的刺激の後、刺激された(L)角の非刺激(コントロール;R)角に対する重量の比を示された数のマウスについて算出し、そして平均±SEMとして表わした。DおよびE.膣応答。膣組織を採集し、そしてH&E染色のために固定した。全膣上皮および角質層の厚さを、各マウスにおける膣上皮の最大深さにおいて7つのランダムに選択された領域で測定し、そしてデータを、各グループ中の7匹のマウスについて平均±SEMとして表わしている。FおよびG.RIZ1変異体マウスにおけるE2による子宮プロゲステロンレセプター発現の損傷した調節。子宮を集め、そしてプロゲステロンレセプター発現について免疫組織化学的に分析した。エストロゲン処置された子宮をGに示す(トップパネル:低倍率;ボトムパネル:高倍率)。ランダムに選択された領域を写真撮影し、そして各グループ中の4匹のマウスの子宮の各区画からの1000以上の細胞を計数し、そしてデータを平均±SEM(G)として表わした。挿入されたスケールの棒は、両方の遺伝子型について適用される。
【図3】RIZ1欠損マウスにおける乳房生産を示す。示された遺伝子型をもつマウスの第4の乳腺の全マウントを調製し、そして染色した。AおよびB.7週齢の純潔マウス。CおよびD.初めての妊娠マウス。EおよびF.妊娠マウスの乳腺の管路および肺胞構造のより高い倍率。GおよびH.方法で記載したようにPおよびE2を含むホルモンペレットで処理したマウスからの乳腺.IおよびJ.それぞれGおよびHからの乳管路および肺胞構造のより高い倍率。両方の遺伝子型に適用されるスケールの棒を挿入してある。
【図4】内因性ERにより媒介されるE2依存性転写のRIZによる調節を示す。MCF−7細胞(A)およびCV−1細胞(B)を、レポーターERE−tk−CATと、RIZ1またはRIZ2発現プラスミドのいずれかと同時トランスフェクトした。細胞を、E2とともにまたはなしで処理し、そしてCAT活性についてアッセイした。示されるデータは、3つの独立した実験の平均±SEMを表す。
【図5】図5は、PR−ドメイン、PR−結合ドメイン(PBD)、およびこれら2つのドメインの組合せ作用によるインビトロのヒストンのメチル化を示す。ヒトRIZ1の細菌で発現されたGST融合タンパク質を、ヒストンを基質として用いるインビトロのHMT反応のために用いた。トップパネルは、精製されたタンパク質およびヒストンのCoomassieブルー染色を示す。ボトムパネルは、基質のメチル化を示す蛍光関節撮影法を示す。A.示されるように、GSTタンパク質単独によるのではない、GST−RIZ200(RIZ1残基1−200からなる)による、GST−RIZ161(RIZ1残基1−161からなる)、および3つのGST−RIZ200点変異体タンパク質による、H4のメチル化。B.GST−RIZ332(RIZ1残基1−332からなる)によるH4のメチル化。C.GST−RIZ322プラスGST−RIZPBDにより与えられる増大したメチル化。
【図6】図6は、哺乳動物細胞において発現される全長RIZ1タンパク質によるヒストンのメチル化を示す。A.AdRIZ1ウイルスまたはAdNullコントロールウイルスに感染させたU20S細胞から調製した核抽出物(500μg)を、免疫前血清またはRIZ1血清抗KG7.1Sを用いて免疫沈降した。次いで、免疫沈降物を、遊離ヒストンを基質として用いてHMT活性についてアッセイした。このパネルは、ヒストンH1、H3およびH4のメチル化を示す蛍光写真を示す。B.RIZ1過剰発現による、H3上のリジン9の増強されたメチル化。ヒストンを、AdRIZ1ウイルスまたはコントロールウイルスに感染させたU20S細胞から抽出し、そしてH3上のメチル化K9に対する抗体またはH3上のメチル化K4に対する抗体のいずれかを用いたウェスタンブロット分析によって分析した。C.RIZ1によるインビトロでのH3のN末端ペプチドのメチル化。免疫沈降したRIZ1を酵素として用い、そしてH3およびアセチル化H3(K9/K14 Ac:K9残基およびK14残基でアセチル化された)の示されたN末端側の1−20残基のペプチドを基質として用いた、インビトロメチル化アッセイ。これらのメチル化ペプチドを、16% Tris−Tricine SDSゲルによって分離し、続いて蛍光写真を撮影した。D.免疫沈降によって精製された全長RIZ1によってインビトロでメチル化されたH3のN末端ペプチド(残基1〜20)の自動化配列決定。各連続した回の微小配列決定において同定された個々のアミノ酸のトリチウム取込みを示す。
【図7】図7は、エストロゲンによるRIZ1メチルトランスフェラーゼ活性の調節を示す。A.MCF7細胞中のRIZ1に対するエストロゲンの影響。E2処理MCF−7細胞もしくはコントロールMCF−7細胞由来の同じ量の核抽出物(500μg)、またはAdRIZ1感染細胞由来の同じ量の核抽出物(500μg)を、免疫前血清またはRIZ1血清抗KG7.1Sを用いて免疫沈降した。次いで、免疫沈降物を、遊離ヒストンを基質として用いてHMT活性についてアッセイした。このパネルは、ヒストンH1およびH3のメチル化を示す蛍光写真を示す。B.H1リン酸化に対するE2およびRIZ1の影響。コントロールウイルスまたはAdRIZ1ウイルスに感染させたMCF7細胞を、48時間にわたってE2またはビヒクルで処理した。ヒストンを処理後に抽出し、そして抗ホスホ−H1(anti−phosph−H1)抗体(上のパネル)または抗H1抗体(下のパネル)を用いたウェスタンブロットによって分析した。

Claims (24)

  1. RIZヒストンメチルトランスフェラーゼ活性を調節する化合物をスクリーニングする方法であって:
    a)ヒストンメチルトランスフェラーゼ活性を有するRIZまたはRIZフラグメントを、1つ以上の候補化合物と接触させる工程;および
    b)該接触させたRIZまたはRIZフラグメントのヒストンメチルトランスフェラーゼ活性を決定する工程、を包含し、
    ここで、RIZヒストンメチルトランスフェラーゼ活性を調節する化合物が同定される、方法。
  2. 前記RIZがRIZ1である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記RIZがRIZ2である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記RIZフラグメントが、ヒトRIZ1のアミノ酸残基1−200を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記RIZフラグメントが、ヒトRIZ1のアミノ酸残基1−332を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記RIZフラグメントが、ヒトRIZ1のアミノ酸残基1514−1680を含む、請求項1に記載の方法。
  7. ヒストンH1メチルトランスフェラーゼ活性が決定される、請求項1に記載の方法。
  8. ヒストンH3メチルトランスフェラーゼ活性が決定される、請求項1に記載の方法。
  9. ヒストンH4メチルトランスフェラーゼ活性が決定される、請求項1に記載の方法。
  10. プロゲステロンレセプター活性を調節する化合物をスクリーニングする方法であって:
    a)RIZ1調節化合物を提供する工程;および
    b)該RIZ1調節化合物のプロゲステロンレセプター活性を調節する能力を決定する工程、を包含し、
    ここで、プロゲステロンレセプター活性を調節する化合物が同定される、方法。
  11. 前記工程a)が:
    i)RIZ1を1つ以上の候補化合物と接触させること;
    ii)該候補化合物がRIZ1を選択的に結合する能力を決定すること;および
    iii)工程ii)からRIZ1を選択的に結合する化合物を提供すること、を包含する、請求項10に記載の方法。
  12. 前記工程a)が:
    i)RIZ1を、RIZ1がRIZ1結合パートナーを選択的に結合する条件下で、1つ以上の候補化合物と接触させること;
    ii)該候補化合物の、RIZ1と該RIZ1結合パートナーとの間の選択的結合を調節する能力を決定すること;および
    iii)工程ii)から該選択的結合を調節する化合物を提供すること、を包含する、請求項10に記載の方法。
  13. 前記工程a)が:
    i)RIZ1を、RIZ1が機能的活性を示す条件下で、1つ以上の候補化合物と接触させること;
    ii)該候補化合物の、該機能的活性を調節する能力を決定すること;および
    iii)工程ii)から該機能的活性を調節する化合物を提供すること、を包含する、請求項10に記載の方法。
  14. 前記機能的活性が、ヒストンメチルトランスフェラーゼ活性である、請求項13に記載の方法。
  15. 前記工程b)が、前記RIZ1調節化合物の、プロゲステロンレセプター媒介転写を調節する能力を決定することを包含する、請求項10に記載の方法。
  16. 前記工程b)が、前記RIZ1調節化合物の、プロゲステロン依存性乳房生産を調節する能力を決定することを包含する、請求項10に記載の方法。
  17. 前記工程b)が、前記RIZ1調節化合物の、プロゲステロン依存性子宮発達を調節する能力を決定することを包含する、請求項10に記載の方法。
  18. 内分泌治療に応答する可能性の低減したエストロゲンレセプター陽性(ER+)腫瘍をもつ個体を識別する方法であって、該腫瘍のRIZ1状況を決定する工程を包含し、ここで、異常なRIZ1状況が、該個体を、内分泌治療に応答する可能性が低減した個体として同定する、方法。
  19. 前記異常なRIZ1状況が、RIZ1プロモーターメチル化により証明される、請求項18に記載の方法。
  20. 前記異常なRIZ1状況が、減少したRIZ1タンパク質発現により証明される、請求項18に記載の方法。
  21. 前記異常なRIZ1状況が、減少したRIZ1mRNA発現により証明される、請求項18に記載の方法。
  22. 前記異常なRIZ1状況が、RIZ1遺伝子における変異により証明される、請求項18に記載の方法。
  23. 前記異常なRIZ1状況が、変化したRIZ1ヒストンメチルトランスフェラーゼ活性により証明される、請求項18に記載の方法。
  24. 前記変化したRIZ1ヒストンメチルトランスフェラーゼ活性が、増加したH1メチル化または減少したH3メチル化である、請求項23に記載の方法。
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