JP2005502984A - 改善した色選択電極を有するカラー表示管 - Google Patents

改善した色選択電極を有するカラー表示管 Download PDF

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Abstract

カラー表示管(1)では、色純度に関する性能が最も重要である。この色純度に関する性能に悪影響を及ぼす要因の1つが、シャドウマスク(13)のマイクロフォニイ現象である。カラー表示管(1)の外部から与えられる振動、すなわち、衝撃は色選択電極(12)の懸垂手段(20)を介してシャドウマスク(13)に伝達されるおそれがある。懸垂手段(20)の弾性素子(30)に結合させた振動減衰素子(40、45)を導入することにより、これらの振動による、スクリーン(6)上での電子スポットの偏移量が、少なくとも50%だけ減少される。振動減衰素子(40、45)は、一辺が懸垂手段(20)に剛固に連結され、他辺が弾性素子(30)と密接に接触され、その結果、振動を吸収しうるようにした平坦なプレートとするのが好ましい。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲の直立エッジ及びコーナー領域を有する表示窓と、懸垂手段が結合されているコーナー区分を有する色選択電極とを具えるカラー表示管であって、前記色選択電極は、コーナー領域に固着された支持素子から懸垂されている当該カラー表示管に関するものである。
【0002】
本発明は更に、このようなカラー表示管に用いる色選択電極及びこのような色選択電極に用いるコーナー区分にも関するものである。
【0003】
頭書に記載したようなカラー表示管は、米国特許第 5,003,218号明細書に開示されている。この米国特許明細書によるカラー表示管には、4つのダイヤフラム部分と4つのコーナー区分とより成るフレームを有し、表示窓のコーナーで懸垂されている色選択電極が設けられている。
【0004】
色選択電極は、表示管のネック部内に装着されている3つの電子銃から到来する各電子ビームが、表示窓の内面上の適切な色の発光材料のみを励起するのを確実に達成させる作用をする。この色選択は、例えば、シャドウマスクを表示管内に用いることにより達成される。このシャドウマスクは、殆どの場合スロット状又はドット状の何れかのパターンで配置された孔のパターンを有する。色選択電極がカラー表示管内で安定に配置されていないと、この色選択電極がその位置から僅かに偏移することにより画質を劣化させる。色選択電極が、例えば振動により僅かに偏移すると、色選択電極のシャドウ効果が変化し、従って、電子ビームは表示窓上の適切な発光材料に当らなくなる。これらのミスレジストレーション(位置的な誤差)によりカラー表示管の変色を生ぜしめ、これにより画質を劣化させる。
【0005】
米国特許第 5,003,218号明細書に開示されているような色選択電極を有するカラー表示管は、実際に、画質に対し絶えず増大している需要を満足させるにはあまりにも大きすぎる振動により変色を呈する。スクリーンが特にワイドな表示管や、表示窓の外側面が実際上又は殆ど平坦な表示管は、これらの問題によって悪影響を受ける。ミスレジストレーションがあまりにも大きくなるということが、既知のカラー表示管の欠点である。
【0006】
本発明の目的は、色純度に対して改善した特性を有し、従来のカラー表示管の欠点を解消した色選択電極を有するカラー表示管を提供することにある。
【0007】
本発明によれば、前記懸垂手段に振動減衰素子が結合されていることを特徴とするカラー表示管により上述した目的を達成する。
【0008】
本発明は、カラー表示管の外部から到来する振動がシャドウマスクに到達しえないようにすれば、カラー表示管の色純度が改善されるという認識を基に成したものである。これらの振動は、例えば、キャビネット内に装着された拡声器により、又はカラー表示管に加えられる他の衝撃により生ぜしめられるおそれがある。外部から色選択電極への振動の伝達は、表示窓内の色選択電極の懸垂手段を介して行なわれる。本発明の概念は、特に色選択電極が最も感応する振動数(共鳴振動数)の振動を減衰する素子を懸垂手段に設けることである。このようにすると、到来する振動は色選択電極に到達しえず、カラー表示管の色純度特性が改善される。
【0009】
好適例では、懸垂手段が更に、弾性素子を有し、この弾性素子に振動減衰素子を結合する。
【0010】
シャドウマスクを表示窓内に良好に懸垂するために、懸垂手段に弾性素子を設ける。弾性素子と支持素子との間のばね力により、シャドウマスクがカラー表示管内の適切な位置に留まるのを確実にする。外部から到来する振動は、これらが弾性素子を通りうる場合にシャドウマスクに伝達されるおそれがあるだけである。従って、これらの振動を抑圧する最良の方法は、振動減衰素子を弾性素子と接触するように配置し、弾性素子が振動を開始する場合に、この振動エネルギーが振動減衰素子に伝達され、この振動の振幅が消滅するようにする方法である。
【0011】
他の例では、振動減衰素子を、支持素子に面する懸垂手段の面上に配置する。更に、前記振動減衰素子は、この振動減衰素子を前記弾性素子に剛固に結合するための第1エッジと、前記弾性素子と接触する第2エッジとを有するプレート状にし、前記振動減衰素子には、前記第1エッジと前記第2エッジとの間に位置してこれらとほぼ平行に延在する屈曲ラインが設けられているようにする。
【0012】
この例によれば、振動減衰素子を構成するのに有利となる。振動減衰素子としてプレート状素子を弾性素子と平行に配置し、このプレート状素子の1つのエッジで剛固な連結が得られ、他のエッジが(ばね力により)弾性素子と自由に接触するようにしうる。自由接触するプレート状素子の辺が接触状態を確実に保つようにするには、色選択電極がカラー表示管内の適正位置にある際に、弾性素子が押される方向に応じて、振動減衰素子に屈曲部を設ける必要がある。
【0013】
或いはまた、他の例において、懸垂手段には更に剛性部分を設け、振動減衰素子をプレート状とするとともに前記剛性部分と弾性素子との間に配置する。
【0014】
この場合、振動減衰素子は、屈曲部を有する振動減衰素子を位置させる側とは反対側である弾性素子の側に位置させる。この場合、弾性素子におけるばね力の方向で見て、振動減衰素子における屈曲ラインは不必要となる。
【0015】
本発明は更に、このようなカラー表示管に用いる色選択電極や、このような色選択電極に用いるコーナー区分にも関するものである。
【0016】
本発明の上述した観点及びその他の観点は図面に関する以下の実施例の説明から明らかとなるであろう。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
図1に示すカラー表示管1は、表示窓3と、ファンネル状部4と、ネック部5とを有する、排気されたガラス容器2を具えている。表示窓3の内面上には、種々の色(例えば、赤、緑及び青)で発光する蛍光体の、例えば、ライン又はドットより成るパターンを有するスクリーン6を配置することができる。この蛍光体パターンは、電子銃10により発生される3つの電子ビーム7、8及び9により励起される。これらの電子ビーム7、8及び9は、スクリーンに向う途中で偏向ユニット11により偏向され、これら電子ビーム7、8及び9がスクリーン6を体系的に走査するようにする。電子ビームはスクリーン6に当る前に色選択電極12を通過する。この色選択電極12は、実際の色選択部分であるシャドウマスク13を有し、このシャドウマスクは、電子が適切な色の蛍光体のみに当るように電子ビームと交差する。シャドウマスク13は、円形の又は細長の孔を有する有孔マスクとするか、或いはワイヤマスクとすることができる。更に、色選択電極12は、シャドウマスク13を支持するフレーム14を有する。このフレーム14において区別しうる部品は、特に、コーナー区分16と、これらコーナー区分16を相互連結するダイヤフラム部分15とである。
【0017】
色選択電極12は、表示窓3のコーナー領域18の直立エッジに固着された支持素子17を用いることにより表示窓3から懸垂されている。カラー表示管1内に色選択電極12を懸垂するこの方法を、以後、コーナー懸垂と称する。
【0018】
図2には、表示窓3内に装着した色選択電極12の正面図を示してある。コーナー区分16は、この図2に示すように、2つの主部分、すなわち、ダイヤフラム部分15を結合する剛性部分19と、色選択電極12を表示窓3から懸垂する懸垂手段20とを有する。ダイヤフラム部分15にはシャドウマスク13が結合されている。図2には、このシャドウマスクの一部分21のみを一例として示してある。更に、支持素子17には、懸垂手段20と係合する自由端部22が設けられている。
【0019】
コーナー区分16と、支持素子17を有する表示窓3のコーナー領域18とを図3に拡大して示してある。色選択電極12を正確に位置決めするために、懸垂手段20は弾性素子30を有しており、懸垂手段20には更に、支持素子17の自由端部22と係合する円錐区分32を有する摺動プレート31を設けることができる。カラー表示管1の完成状態では、色選択電極12が懸垂手段20により支持素子17から懸垂されている。懸垂手段20が、実際にはこの懸垂手段20の一部である弾性素子30が表示窓3とシャドウマスク13との間の連結を達成する。
【0020】
現今のカラー表示管1では、外部からの衝撃、すなわち振動がシャドウマスク13に伝達される。これにより、シャドウマスク13を振動させる。この振動はマイクロフォニイとも称される。カラー表示管1のマイクロフォニイに対する対策が良好でないと、衝撃、すなわち振動がシャドウマスク13に伝達され、このシャドウマスクが同様に振動し始める。その結果、シャドウマスク13が位置的に不安定となり、これにより電子ビームのランディングに悪影響を及ぼす。このことは、電子の一部がスクリーン6上の適切な色の蛍光体に衝突せずに、例えば、ブラックマトリックス構造体に、又は隣接の(間違った色の)蛍光体に衝突するということを意味する。その結果、カラー表示管1の色純度に関する性能が低下する。
【0021】
この問題を本発明により解決する。外部からの衝撃、すなわち振動がシャドウマスク13に伝達されると、このシャドウマスクはその共鳴振動数で振動し始める。この状態は、衝撃、すなわち、振動が懸垂手段20の弾性素子30を通過すると生じるおそれがある。振動がこの懸垂手段20で減衰されると、この種類の振動の通路が弾性素子30を通る通路に関する限りにおいて、シャドウマスク13のマイクロフォニイ問題が解決される。本発明によれば、この問題を、懸垂手段20に振動減衰素子45(又は図5の40)を設けることにより解決する。
【0022】
図3では、振動減衰素子45を弾性素子30に固着した。この場合、斜線を付した領域により示した、剛性部分19の方向に向いた弾性素子30の面上に振動減衰素子を配置した。
【0023】
この実施例の断面図を図4に示す。この図4では、振動減衰素子45が剛性部分19と弾性素子30との間に位置している。振動減衰素子45のエッジ46は剛性部分19又は弾性素子30に剛固に連結されている。この連結は、例えば、溶接により行なうことができる。弾性素子30を剛性部分19に結合する追加の連結が存在すること明らかである。或いはまた、振動減衰素子45を剛性部分19と弾性素子30との間に挟み、これらの2つの部分に連結することができる。
【0024】
振動減衰素子45の反対側のエッジ47は、弾性素子30と密接に接触するように配置されているが、この弾性素子30には取付けられていない。カラー表示管1の外部からの衝撃、すなわち、振動が懸垂手段20に伝達されると、弾性素子30が振動し始める。この振動エネルギーは振動減衰素子45により吸収されうる。その理由は、弾性素子30と接触している振動減衰素子のエッジ47が弾性素子における振動の振幅を制限する為である。このように、振動が減衰され、シャドウマスク13には全く或いはかなり低いレベルでしか伝達されない。従って、シャドウマスク13の位置的な精度が改善され、これにより、画質に対する主たる基準の1つであるカラー表示管1の色純度を良好にする。
【0025】
振動減衰素子45は、支持素子17の方向に向いた弾性素子30の面上に配置することもできる。この場合、振動減衰素子45は図3では見ることができない。その理由は、この振動減衰素子は弾性素子30の後ろ側にある為である。図5の断面図は、図4に示す振動減衰素子45に類似する振動減衰素子40を弾性素子30の上述した後ろ側に配置した構成を示す。
【0026】
振動減衰素子40の一方のエッジ41は(例えば、溶接により)弾性素子30に剛固に連結されており、他方のエッジ42は弾性素子30と密接に接触している。振動減衰素子40には支持素子17の側で屈曲部43を設けるのが好ましい。この屈曲部43はエッジ41及び42と平行にすることができる。色選択電極12を表示窓3内に配置すると、懸垂手段20の構成の為に、振動減衰手段40とは離れる方向で、弾性素子30に力が加わる。これにより、エッジ42が弾性素子30との接触を失い、振動減衰素子40の作用を無効にする状態にするおそれがある。屈曲部43は、エッジ42が弾性素子30と接触状態に保つとともに、エッジ41及び42間の振動減衰素子の中間部分を弾性素子30から離れた状態を保つのを確実にする。
【0027】
当業者にとって明らかなように、振動減衰素子40及び45の大きさ及び質量は、シャドウマスク13の共鳴振動数が最も有効に抑圧されるように設計する。
【0028】
図6は、本発明による振動減衰素子40、45を設けた32インチの実際上平坦なワイドスクリーン陰極線管のエンジニアサンプルに関して行なった測定を示している。この図6は、シャドウマスク13の孔を経て照射される電子スポットの、スクリーン6上での最大偏移量(縦軸)を、外部振動の振動数(横軸)の関数として示す。この偏移量は、平均で、支持素子17の側に設けた振動減衰素子40(45)に対して黒の正方形50で示すように、且つ剛性部分19の側に設けた振動減衰素子45(40)に対して白の正方形51で示すように約100μmである。
【0029】
上述したのと同じ大きさの従来のカラー表示管1においては、これらの偏移量は約250μmである。従って、本発明によれば、シャドウマスク13に伝達される外部振動による、スクリーン6上での電子スポットの偏移量を約60%だけ減少させる。
【0030】
要するに、カラー表示管1では、色純度に関する性能が最も重要である。この色純度に関する性能に悪影響を及ぼす要因の1つが、シャドウマスク13のマイクロフォニイ現象である。カラー表示管1の外部から与えられる振動、すなわち、衝撃は色選択電極12の懸垂手段20を介してシャドウマスク13に伝達されるおそれがある。懸垂手段20の弾性素子30に結合させた振動減衰素子(40、45)を導入することにより、これらの振動による、スクリーン6上での電子スポットの偏移量が、少なくとも50%だけ減少される。振動減衰素子40、45は、1つのエッジが懸垂手段20に剛固に連結され、他のエッジが弾性素子30と密接に接触され、その結果、振動を吸収しうるようにした平坦なプレートとするのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明によるカラー表示管を示す断面図である。
【図2】表示窓内に装着された色選択電極を示す正面図である。
【図3】表示窓のコーナー領域と色選択電極のコーナー区分とを示す斜視図である。
【図4】本発明による色選択電極のコーナー区分の一実施例を示す断面図である。
【図5】本発明による色選択電極のコーナー区分の他の実施例を示す断面図である。
【図6】本発明によるカラー表示管に関して実施したマイクロフォニイ測定の結果を示すグラフ線図である。

Claims (9)

  1. 周囲の直立エッジ及びコーナー領域を有する表示窓と、懸垂手段が結合されているコーナー区分を有する色選択電極とを具えるカラー表示管であって、前記色選択電極は、コーナー領域に固着された支持素子から懸垂されている当該カラー表示管において、前記懸垂手段に振動減衰素子が結合されていることを特徴とするカラー表示管。
  2. 請求項1に記載のカラー表示管において、前記懸垂手段が更に、弾性素子を有し、この弾性素子に前記振動減衰素子が結合されていることを特徴とするカラー表示管。
  3. 請求項1又は2に記載のカラー表示管において、前記振動減衰素子は、前記支持素子に面する側の前記懸垂手段の面上に配置されていることを特徴とするカラー表示管。
  4. 請求項3に記載のカラー表示管において、前記振動減衰素子は、この振動減衰素子を前記弾性素子に剛固に結合するための第1エッジと、前記弾性素子と接触する第2エッジとを有するプレート状をしていることを特徴とするカラー表示管。
  5. 請求項4に記載のカラー表示管において、前記振動減衰素子には、前記第1エッジと前記第2エッジとの間に位置してこれらとほぼ平行に延在する屈曲ラインが設けられていることを特徴とするカラー表示管。
  6. 請求項1又は2に記載のカラー表示管において、前記懸垂手段が更に剛性部分を有し、前記振動減衰素子が、この剛性部分と前記弾性素子との間に位置するプレート状をしていることを特徴とするカラー表示管。
  7. 請求項6に記載のカラー表示管において、前記振動減衰素子は、この振動減衰素子を前記弾性素子及び前記剛性部分に剛固に結合するための第1エッジと、前記弾性素子と接触する第2エッジとを有していることを特徴とするカラー表示管。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のカラー表示管に用いる色選択電極。
  9. 請求項8に記載のカラー表示管に用いるコーナー区分。
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