JP2005500843A - ナトリウムチャネルの制御因子及び調節因子 - Google Patents

ナトリウムチャネルの制御因子及び調節因子 Download PDF

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Abstract

本発明によって、電位作動型ナトリウムチャネル(VGSC)の調節因子を同定する方法であって、VGSCとp11ペプチドが試験化合物なしで複合体を形成できる条件下で、前記のVGSC、p11ペプチド、及び試験化合物を接触させるステップと、前記VGSCの活性を測定するステップを含み、前記試験化合物なしでの活性を基準とした前記VGSCの活性の変化を試験化合物が前記VGSCの指標であることの指標とする方法が提供される。このようなスクリーニング法で同定された化合物は、VGSCに関連した状態、たとえば痛みの治療又は予防における使用向けに推奨されるものである。細胞中での電位作動型ナトリウムチャネル(VGSC)の機能発現を高める方法であって、細胞中のp11レベルを増大させるステップを含む方法も提供される。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電位作動型Naチャネル(VGSC)を制御又は調節するのに使用する方法及び材料に関する。
【背景技術】
【0002】
VGSCは、ほとんどすべての興奮性の膜に電気的興奮性を付与する役目を担う膜貫通型タンパク質である。孔(pore)は、細胞膜の脱分極によって開口(gate)し、Naイオンが細胞中に一過性に侵入できるようにし、活動電位を急激に上昇させる。活性化の後、VGSCは不活性化され、それによって活動電位の持続時間が制限され、迅速な膜の再分極が可能になってから、静止状態が戻る。既知のVGSCはすべて、機能が著しく類似しており、このことは、アミノ酸配列の高度な相同性に反映されている。しかし、天然の毒素類は、Naチャネルサブタイプをうまく識別することが知られている。たとえば、フグのテトロドトキシン(TTX)は、わずか1ナノモルの濃度で神経細胞VGSCのサブタイプを選択的に遮断できるが、他の神経細胞VGSCはマイクロモルの濃度でもこの毒素によって遮断されないままである。TTXに非感受性又は耐性(TTXR)であるこのような神経細胞VGSCは、末梢神経系に見られ、もっぱら痛みの伝達に関与する神経に関連する(たとえば、Akopianら(1999年)の「The tetrodotoxin−resistant sodium channel SNS plays a specialised role in pain pathways」、Nature Neuroscience 第2巻、541〜548ページを参照)。
【0003】
WO97/01577(University College London)は、哺乳動物感覚神経由来の新規な1,957アミノ酸のTTX非感受性VGSC(Nav1.8と名付けた)に関するものである。US6184349(Syntex)は、VGSCについて論じている。ナトリウムチャネルNav1.8(SNS又はPN3としても知られている)は、痛みのシグナルを伝達する細胞であるAδ線維又はC線維の侵害受容器に対応する直径の小さい感覚ニューロン中でもっぱら発現される。Nav1.8の1つの重要な薬理学的特徴は、他の大部分のナトリウムチャネルを遮断する高濃度のテトロドトキシン(TTX)に対する耐性である。痛みシグナル伝達においてNav1.8が役割を担っているという証拠の出所は、主として、ノックアウトマウス、並びにこのチャネルをアンチセンスオリゴヌクレオチドでダウンレギュレーションする研究にある。そうした実験は、Nav1.8が、炎症及び神経障害による痛みと内臓痛のモデルにおいて重要であることを示している。
【0004】
Nav1.9(SNS2)も、痛みをシグナル伝達する感覚ニューロン中でもっぱら見出され、またTTXに耐性である。このチャネルの特性は、このチャネルが、活動電位の発生又は伝播には関与しないが、細胞の興奮性レベルの設定に関与することを示唆している。Gタンパク質は、Nav1.9を活性化することができ、次いで神経の興奮性を増大させ、細胞が活動電位を発する可能性をより高めるという証拠がある。痛みモデルではNav1.9が関与するという直接の証拠がないが、細胞中でのその機能や限られた分布を考えると、Nav1.9は、多くの慢性的な痛み状態に随伴する過敏性の発生において主要な役割を担い得るはずである。
【0005】
Nav1.3は、成体動物の脳に見られ、TTX感受性である。通常、Nav1.3は、感覚ニューロン中に存在しないが、神経が損傷を受けた後にレベルがかなり上向き調節される。ここでも、Nav1.3が痛みに関与しているという直接の証拠はないが、神経損傷後のこの選択的なアップレギュレーションは、Nav1.3が、神経障害による痛みのシグナルが伝達される際に役割を担うかもしれないことを示唆している。
【0006】
p11は、S−100ファミリーの小さいカルシウム結合タンパク質のメンバーである。p11は、アネキシンII軽鎖、リポコルチンII軽鎖、カルパクチンI軽鎖、42C、又はS−100関連タンパク質としても知られており、本発明では、これらの用語を交換可能に用いてよい。p11は、様々な細胞中に単独に、又はヘテロ四量体として存在する。ヘテロ四量体は、アネキシンII又はカルパクチンIの重鎖としても知られている2コピーのp36と、2コピーのp11とから構成されている。p11とp36の結合は、Ca2+に依存的で、親和性の高いものであり、p11がp36に強く結合することにより、Fアクチンを束ねるp36の能力が向上する。細胞内では、このヘテロ四量体は、膜下細胞骨格中の原形質膜の細胞質表面に局在しており、この複合体が、エキソサイトーシス、エンドサイトーシス、細胞間接着などの膜輸送事象において役割を果たしている可能性が示唆される。p11は、チロシンキナーゼpp60srcの強力な基質であり、これがリン酸化されると、四量体化及びタンパク質機能のマイナスの調節因子となることも知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、p11タンパク質が電位作動型ナトリウムチャネル(VGSC)の機能発現に関与するという発明者の発見から引き出したものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、VGSCを調節することのできる化合物を同定するためのスクリーニング法を提供する。一態様では、VGSCの調節因子を同定する方法であって、
(a)VGSCとp11ペプチドが試験化合物なしで複合体を形成できる条件下で、前記のVGSC、p11ペプチド、及び試験化合物を接触させるステップと、
(b)前記試験化合物なしでの活性を基準とした前記VGSCの活性の変化を、前記試験化合物が前記VGSCの調節因子であることの指標とする、前記VGSCの活性を測定するステップと、
を含む方法を提供する。
【0009】
本発明はさらに、細胞中の電位作動型ナトリウムチャネル(VGSC)の機能発現を高める方法であって、前記細胞中のp11レベルを増加させるステップを含む方法を提供する。
【0010】
本発明は、VGSC及びp11ペプチドを発現させられる宿主細胞であって、前記VGSC及び/又は前記p11ペプチドが前記細胞内で1種又は複数の異種発現ベクターから発現される宿主細胞も提供する。このような宿主細胞は、本発明のスクリーニング法に使用してもよい。
【0011】
本発明は、本発明のスクリーニング法によって、VGSC活性の推定上の調節因子として同定された化合物も提供する。このような化合物は、VGSCが関与する障害の治療に使用することもできる。したがって、本発明は、電位作動型ナトリウムチャネルの機能発現を調節する医薬の製造における、本発明のスクリーニング法によって同定された化合物の使用法を提供する。また、電位作動型ナトリウムチャネルの活性に関連した障害又は状態を治療する方法であって、その必要のある個体に、本発明のスクリーニング法によって同定された化合物を投与することを含む方法も提供する。
【0012】
p11レベルを低下させることにより、VGSCの活性又は機能発現を低減する方法も、本発明の範囲内である。したがって、本発明は、電位作動型ナトリウムチャネルの機能発現を調節する医薬の製造における、p11の活性もしくは発現の阻害剤の使用法も提供する。また、電位作動型ナトリウムチャネルの活性に関連した障害又は状態を治療する方法であって、その必要のある個人に、p11の活性もしくは発現阻害剤を投与する方法も提供する。
【0013】
本発明は、これら2種のタンパク質間の結合に関与するアミノ酸を含むVGSC及びp11由来の単離されたペプチドも提供する。したがって、(a)配列番号2のアミノ酸75からアミノ酸102の配列、又は(b)(a)に対するアミノ酸配列同一性が少なくとも65%である配列のうちの、少なくとも10個の連続したアミノ酸を含み、p11ペプチドを特異的に結合することができ、長さがアミノ酸1000個未満であるペプチドを提供する。また、(a)配列番号4のアミノ酸33からアミノ酸77の配列、又は(b)(a)に対するアミノ酸配列同一性が少なくとも70%である配列のうちの、少なくとも10個の連続したアミノ酸を含み、電位作動型ナトリウムチャネルに特異的に結合することができ、長さがアミノ酸80個未満であるペプチドも提供する。
【0014】
配列の簡単な説明
配列番号1は、ラットNav1.8受容体遺伝子のDNA配列であり、配列番号2は、それがコードしているアミノ酸配列である。これらの配列は、GenBankから寄託番号X92184のもとに公的に入手できる。
配列番号3は、ラットp11遺伝子のDNA配列であり、配列番号4は、それがコードしているアミノ酸配列である。これらの配列は、GenBankから寄託番号J03627のもとに公的に入手できる。
配列番号5は、ヒトNav1.8受容体遺伝子のDNA配列であり、配列番号6は、それがコードしているアミノ酸配列である。これらの配列は、GenBankから寄託番号AF117907のもとに公的に入手できる。
配列番号7は、ヒトp11遺伝子のDNA配列であり、配列番号8は、それがコードしているアミノ酸配列である。これらの配列は、GenBankから寄託番号NM002966のもとに公的に入手できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、一般に、ナトリウムチャネルの機能発現を制御又は調節することのできる化合物を同定するためのスクリーニング法に関する。また、そのような化合物を、ナトリウムチャネルの機能に関連した状態の治療、たとえば痛みの予防又は治療に使用する方法も提供する。
【0016】
以下でより詳細に述べるように、この相互作用は、特に、
(i)たとえば、従来の調節因子スクリーニングの目的で使用されることのある細胞系においてナトリウムチャネルの機能発現を高める場合、
(ii)ナトリウムチャネルの機能発現を低減し得る調節因子を考案すべく、新規なターゲット(すなわち、それ自体のタンパク質間相互作用部位の妨害)を明確に定める場合
に活用することができる。
【0017】
ナトリウムチャネル及びp11ペプチド
本出願は、ナトリウムチャネル、特に電位作動型ナトリウムチャネル(VGSC)の機能発現の制御又は調節に関する。表1は、ラットNav1.8チャネルを比較の基準として使用し、様々なVGSC分子間の配列同一性を示す。
Figure 2005500843
【0018】
本発明のVGSCは、p11ペプチドを特異的に結合することのできる任意のVGSCである。p11ペプチドを特異的に結合するとは、VGSCがp11ペプチドを非p11ペプチドより優先的に結合する、たとえば、VGSCが、ランダムに生成させた非p11ペプチド配列よりもp11ペプチドに強く結合することを意味する。
【0019】
特に、本発明は、痛みに対する応答に関連し、又は痛みのシグナル伝達に関与するVGSCに関する。適切なナトリウムチャネルは、感覚ニューロン中に発現されるVGSCであることが好ましい。たとえば、適切なVGSCは、感覚ニューロン特異的(SNS)VGSC、たとえばNav1.8又はNav1.9でも、あるいは痛みに応答して感覚ニューロン中で上向き調節されるもの、たとえばNav1.3でもよい。適切なVGSCは、テトロドトキシン(TTX)非感受性もしくは耐性でよい、すなわち、マイクロモルの濃度でもTTXによって遮断されないままでよい。
【0020】
一態様では、本発明の方法で使用するVGSCは、Nav1.8、Nav1.9、又はNav1.3チャネルである。Nav1.8、ラットNav1.9、及びラットNav1.3チャネルのヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、公的機関から入手でき、たとえばラット配列は、GenBankから表1に示した寄託番号のもとに入手できる。ラットNav1.8のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、それぞれ配列番号1及び2で示され、ヒトNav1.8のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、それぞれ配列番号5及び6で示される。
【0021】
本発明の方法で使用する適切なVGSCは、これらVGSCのいずれでもよく、又はそのいずれかの、種もしくは対立形質の変異体でもよい。本発明で使用するタンパク質(又は核酸)が、自然に存在するような、そのタンパク質の全長の「真正」配列を含まなければならないという要件なはい。したがって、適切なVGSCは、ナトリウムチャネルとしての活性を保持しているいずれかのVGSCの変異体でもよい。たとえば、適切なVGSCは、Nav1.8、Nav1.9、又はNav1.3配列のいずれとのアミノ酸同一性も65%、70%、75%、85%、95%、又は98%を超えている。
【0022】
適切な変異体チャネルは、ナトリウムチャネルの機能を保持しているものである。たとえば、Nav1.8ナトリウムチャネルの適切な変異体は、正常なVGSC機能を備えていよう。VGSCの機能は、以下で述べるように測定することができる。この変異体は、Nav1.8チャネルのテトロドトキシン非感受性を保持していてもよい。
【0023】
適切な変異体は、p11を結合できる能力も保持していることが好ましい。たとえば、適切な変異体チャネルは、野生型VGSCの細胞内ドメインを保持していよう。たとえば、ラットNav1.8チャネルの好ましい変異体は、配列番号2の1位〜127位に見られるN末端側細胞内ドメインを保持していてよい。適切な変異体チャネルは、配列番号2のアミノ酸53〜127又はアミノ酸75〜102を含む配列(この配列がp11タンパク質への結合に関与していることは以下で示す)、又はこの領域の、種もしくは対立形質の変異体を備えていてよい。
【0024】
適切な変異体VGSCは、野生型VGSCの断片でも、上述のようなその変異体の断片でもよい。適切な断片は、たとえば、もとのVGSC配列の1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、50%、又はそれ以上が除去された切断型VGSCでよい。適切な断片は、全長VGSCの断片、たとえば、全長配列の1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、50%、もしくはそれ以上からなるか、又はこれを含んでいてよい。適切な断片は、p11ペプチドを結合する能力を保持している任意の断片でよい。適切な断片は、ナトリウムチャネルとして機能する能力を保持していてもよい。断片は、たとえば、10、20、30、50、75、100、150、200、300、500、750、1000、1500、又はそれ以上のアミノ酸数の長さでよい。
【0025】
適切なVGSCは、野生型もしくは変異体VGSC配列の断片をそのアミノ酸配列の部分として含んでいてもよい。このような変異体は、p11を結合する能力、及び任意選択でナトリウムチャネルとして働く能力を保持することになる。p11結合能を保持しているVGSC断片は、全長VGSCの細胞内ドメインから得ることができる。このような断片は、細胞内ドメイン全体又はその部分を含んでいてよい。Nav1.8チャネルの好ましい断片は、N末端側細胞内ドメイン、たとえば配列番号2のアミノ酸1〜127から選択することができる。断片は、このチャネルに特有であると考えられるか、又は少なくともVGSCの中で十分に保存されている配列に相当することが好ましい。配列番号2の好ましい断片としては、アミノ酸の1位〜25位、26位〜50位、及び51位〜127位が含まれる。p11結合能を保持しているVGSC断片は、配列番号2のアミノ酸53〜127又は75〜102の配列からなるか、又はこれを含んでいてよい。このようなVGSC断片は、たとえば、長さがアミノ酸28〜50個、28〜100個、28〜200個、28〜500個、28〜1000個又はそれ以上でよい。適切なVGSC断片は、p11結合能を保持している、アミノ酸53〜127又は75〜102の配列の一部、たとえば、その領域、又は上で規定したようなその領域の変異体からの5、10、15、20、又は25個の連続したアミノ酸を含んでいてよい。
【0026】
したがって、一態様では、
(a)配列番号2のアミノ酸75からアミノ酸102の配列、又は
(b)(a)に対するアミノ酸配列同一性が少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%、又は少なくとも98%である配列 のうちの少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、又は少なくとも25個の連続したアミノ酸を含み、
p11ペプチドに特異的に結合することができ、長さがアミノ酸1000未満であるペプチドが提供される。前記ペプチドは、たとえば、長さがアミノ酸500個未満、アミノ酸300個未満、アミノ酸200個未満、アミノ酸100個未満、又はアミノ酸50個未満でよい。
【0027】
一態様では、本発明のVGSCは、
(a)配列番号2又は配列番号4のアミノ酸配列、
(b)(a)の種もしくは対立形質の変異体、
(c)(a)に対するアミノ酸配列同一性が少なくとも65%である(a)の変異体、又は
(d)(a)から(c)のいずれかの断片
を含むアミノ酸配列を有する。
このようなVGSCは、p11タンパク質結合能を保持することになる。こうしたVGSCは、細胞の形質膜などの膜を通過するNa電流を媒介する能力を保持していてもよい。
【0028】
適切な変異体ナトリウムチャネルは、以下で述べるように得ることができる。
【0029】
本発明はまた、VGSC Nav1.8がp11タンパク質と相互に作用するという発見に関する。本発明によれば、本発明での使用に適するp11は、自然に存在するp11ペプチドでも、又は合成によって構築されたp11ペプチドでもよい。適切なp11ペプチドは、全長p11タンパク質でも、又はその、種もしくは対立形質の変異体でもよい。たとえば、適切なp11ペプチドは、配列番号4で示すラットアミノ酸配列又は配列番号8で示すヒトアミノ酸配列を備えていてよい。あるいは、適切なp11は、配列番号4又は配列番号8のp11ペプチドの、種もしくは対立形質の変異体でもよい。
【0030】
本発明で使用するタンパク質(又は核酸)が、自然に存在するような、そのタンパク質の全長の「真正」配列を含まなければならないという要件はない。VGSCの機能発現を変更する活性を保持している(たとえば、p11から得られる)変異体を使用することができる。本発明による改変されたp11配列は、配列番号4のラットp11又は配列番号8のヒトp11など、内因的なp11の配列に対する同一性が少なくとも70%でよい。通常、改変配列と真正配列間の同一性は、75%以上、85%以上、95%以上、又は98%以上になるはずである。変異体は、自然に存在するp11配列の断片を含んでいてよい。たとえば、変異体p11ペプチドは、配列番号4のアミノ酸33〜77(これがVGSC機能発現の変更に関与していることは以下で示す)を含んでいてよい。また、変異体、たとえばこのような断片の、対立形質もしくは種の変異体を含む変異体p11ペプチドも構想する。
【0031】
適切な変異体p11は、野生型p11の断片でも、又は上述のようなその変異体の断片でもよい。適切な断片は、たとえば、もとのp11配列の1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、50%、又はそれ以上が除去された切断型p11でよい。適切な断片は、全長p11の断片、たとえば、全長配列の1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、50%、もしくはそれ以上からなるか、又はそれを含んでいてよい。適切な断片は、VGSC結合能を保持している任意の断片でよい。断片は、たとえば、5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、又はそれ以上のアミノ酸数の長さでよい。
【0032】
適切なp11は、野生型もしくは変異体p11配列の断片をそのアミノ酸配列の部分として含んでいてよい。そのような変異体は、VGSC結合能を保持することになる。VGSC結合能を保持しているp11断片は、配列番号4のアミノ酸配列33〜77の配列からなるか、又はこれを含んでいてよい。このようなp11断片は、たとえば、長さがアミノ酸44〜50個、44〜60個、44〜70個、44〜80個、又はそれ以上でよい。適切なp11断片は、VGSC結合能を保持している、配列番号4のアミノ酸33〜77の配列の一部、たとえば、その領域からの5、10、15、20、25、20、40、又はそれ以上の個数のアミノ酸を含んでいてよい。
【0033】
したがって、一態様では、
(a)配列番号4のアミノ酸33からアミノ酸77の配列、又は
(b)(a)に対するアミノ酸配列同一性が少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%、又は少なくとも98%である配列
のうちの少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも35個、又は少なくとも45個の連続したアミノ酸を含み、
電位作動型ナトリウムチャネルに特異的に結合することができ、長さがアミノ酸80個未満であるペプチドが提供される。前記ペプチドは、たとえば、長さがアミノ酸70個未満、アミノ酸60個未満、アミノ酸50個未満、アミノ酸40個未満、又はアミノ酸30個未満でよい。
【0034】
したがって、本発明の方法で使用するp11ペプチドは、
(a)配列番号4又は配列番号8のアミノ酸配列、
(b)(a)の、種もしくは対立形質の変異体、
(c)(a)に対するアミノ酸配列同一性が少なくとも70%である(a)の変異体、又は
(d)(a)から(c)のいずれかの断片
を含むアミノ酸配列を備えていてよい。
このようなp11ペプチドは、VGSC結合能を保持することになる。
【0035】
用語「由来の(derived)」には、自然の真正配列が改変される、たとえば、全長又は部分の配列に変化、たとえば置換、挿入、及び/又は欠失が導入されて生じた変異体が含まれる。これは、エンドヌクレアーゼで制限消化した後、(必要ならばリンカーを使用して)選択された塩基配列を挿入し、連結する技術を含む、任意の適切な技術によって実現できる。また、突然変異体プライマーを使用する、PCRを媒介とした突然変異生成も可能である。たとえば、更なるクローン化を促進するために、制限部位を加え、又は除去することも好ましいかもしれない。機能性が完全に失われないという条件で、全長又は部分の配列に、最高で5個、たとえば最高で10個又は最高で20個以上のヌクレオチドの欠失、挿入、及び/又は置換を起こしてよい。
【0036】
類似性又は同一性は、Altschulらの(1990年)J.Mol.Biol.第215巻:403〜10ページによるTBLASTNプログラム、又はWisconsin Packageバージョン8、1994年9月(Genetics Computer Group、575 Science Drive、Madison、Wisconsin、USA、Wisconsin 53711)の一部であるBestFitによって規定及び決定されるとおりでよい。配列比較は、FASTA及びFASTP(Pearson & Lipmanの1988年、Methods in Enzymology 第183巻:63〜98ページを参照のこと)を使用して行うことが好ましい。パラメーターは、以下のデフォルト行列、すなわちGapopen(ギャップの最初の残基に対するペナルティー):DNAに対して−16、Gapext(ギャップの追加の残基に対するペナルティー):DNA KTUPのワード長さに対して−4:DNAに対して6を使用して設定することが好ましい。あるいは、適切な厳密性条件下で探索することにより、これに関連する相同性を判断することもできる。指定された配列相同性の(相補的な)核酸分子間のハイブリッド形成を実現するのに必要な厳密性条件を計算するための1つの共通式(Sambrookら、1989年)は、T=81.5℃+16.6Log[Na+]+0.41(%G+C)−0.63(%ホルムアミド)−600/塩基対数×2である。好ましい条件は、分子のハイブリッド形成に上述のように少なくとも70%の相同性を与えることになる。
【0037】
核酸
本発明は、本発明のVGSC又はp11ペプチドをコードしている核酸を使用して、そのようなタンパク質を生成する核酸の使用も含む。たとえば、配列表に示したのは、ラットNav1.8チャネル(配列番号1)、ラットp11タンパク質(配列番号3)、ヒトNav1.8チャネル(配列番号5)、及びヒトp11タンパク質(配列番号7)をコードしている核酸配列である。
【0038】
一般に、(たとえばp11をコードしている)本発明の核酸又は本発明で使用する核酸は、その自然の環境から、かなり純粋もしくは均質な形で、又は出所となる種の他の核酸から独立もしくは実質的に独立に、提供、単離、及び/又は精製することができる。本発明では、用語「単離の(isolated)」は、これらすべての可能性を含む。本発明による核酸は、cDNA、RNA、ゲノムDNA、及び改変された核酸もしくは核酸類似体の形でも、又はこれらに由来していてもよい。
【0039】
したがって、本発明はまた、別の態様で、上述のp11をコードしているヌクレオチド配列を含む異種の核酸分子の、本発明の様々な方法での使用に関する。
【0040】
用語「異種の(heterologous)」とは、本発明では広義に、(たとえばp11をコードしている)問題のヌクレオチドの遺伝子/配列が、遺伝子工学を使用して、すなわちヒトの介入によって細胞に導入されていることを指す。異種の遺伝子は、等価な内在遺伝子、すなわち、通常は同一又は同様の機能を果たす遺伝子と入れ替えられてもよく、あるいはその挿入配列が、その内在遺伝子又は他の配列に追加されていてもよい。ある細胞に対して異種の核酸は、その型、その変種、又はその種の細胞中に自然に存在しなくてもよい。
【0041】
本発明によるポリペプチドをコードしている核酸配列は、本明細書に含まれる情報及び参照文献、並びに当技術分野で知られている技術を使用して、技術者が容易に調製することができる(たとえば、Sambrook、Fritsch、及びManiatisの「Molecular Cloning,A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989年、及びAusubelらの「Short Protocols in Molecular Biology」、John Wiley and Sons、1992年を参照)。そのような技術には、(i)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、たとえばゲノム供給源からの関連する核酸サンプルを増幅するもの、(ii)化学合成、又は(iii)cDNA配列の調製が含まれる。
【0042】
構築物及びベクター
細胞に基づくアッセイの本発明の実施形態では、発現構築物もしくはベクターによる細胞中での発現を引き起こし、又はそれを可能にすることにより、問題のポリペプチドを導入することができる。
【0043】
本発明の核酸を送達するための構築物は、このような系に一般に含まれるはずであり、また以下で述べるような他の任意の調節配列又は構造要素を含む。ベクターの構成要素には、通常、1箇所又は複数の複製起点、1個又は複数のマーカー遺伝子、エンハンサー要素、プロモーター、及び転写終止配列が含まれるであろうがこれだけに限らない。これら構成要素を1個又は複数含む適切なベクターの構築では、当分野の技術者に知られている標準の連結技術が使用される。1種又は複数の選択された宿主細胞中でベクターによる複製を可能にする核酸配列は、様々な細菌、酵母、及びウイルスについてよく知られている。たとえば、哺乳動物細胞中のクローニングベクターには、様々なウイルス性起点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSV、又はBPV)が有用である。
【0044】
本発明での使用に特に好ましいものは、たとえばプラスミド、コスミド、ウイルス粒子、ファージの形の発現ベクター、又は細胞に積み込むことができ、コード配列を発現させるのに使用できる適切な他の任意のベクターもしくは構築物である。発現ベクターは、通常、タンパク質をコードしている問題の核酸配列に動作可能に連結されて、mRNA合成を指示するようになっているプロモーターを含む。考えられる様々な宿主細胞によって認識されるプロモーターは、よく知られている。「動作可能に連結された」とは、同じヌクレオチド分子の部分として連結され、転写がプロモーターから開始されるのに適する配置及び配向が実現されたという意味である。プロモーターに動作可能に連結されたDNAは、プロモーターの「転写制御下」にある。哺乳動物宿主細胞中のベクターからの転写は、たとえば、そのプロモーターが宿主細胞系と適合するという条件で、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、(アデノウイルス2などの)アデノウイルス、ウシパピローマウイルス、トリサルコーマウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、及びサルウイルス40(SV40)などのウイルスのゲノム;異種の哺乳動物プロモーター、たとえば、アクチンプロモーター又は免疫グロブリンプロモーター;及び熱ショックプロモーターから得られたプロモーターによって制御される。
【0045】
VGSCとp11の両方が異種である細胞系を使用する場合では、これらのタンパク質は、単一のベクター又は2種の別々のベクターから発現させることができる。タンパク質をコードする配列の1個以上のコピーがベクター中に存在していてよい。
【0046】
本発明の発現ベクターは、1種又は複数の選択遺伝子を含んでいてもよい。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質又は他の毒素、たとえばアンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセート、又はテトラサイクリンに対する耐性を付与し、(b)栄養の要求に関する不足を補完し、又は(c)複合培地から得られないクリティカルな栄養素を供給するタンパク質をコードしており、たとえば、桿菌のためのD−アラニンラセマーゼをコードする遺伝子である。このタンパク質コード配列は、レポーター遺伝子を含んでいてよく、そのレポーター遺伝子は、当技術分野で使用される任意の適切なレポーター遺伝子でよい。そのようなレポーター遺伝子には、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、又はGFPが含まれる。
【0047】
細胞
したがって、上述の方法は、核酸を宿主細胞中に導入することをさらに含んでよい。導入は、一般に、「形質転換」のように限定することなく言及することができ、利用可能などんな技術に使用してもよい。真核生物細胞では、適切な技術には、リン酸カルシウムトランスフェクション法、DEAEデキストラン法、電気穿孔法、リポソーム媒介トランスフェクション法、及びレトロウイルスもしくは他のウイルス、たとえばワクチニア、又は昆虫細胞ではバキュロウイルスを使用する形質導入法が含まれよう。たとえば、Graham及びvan der EbのVirology 第52巻:456〜457ページ(1978年)によるリン酸カルシウム沈殿法を使用することができる。哺乳動物細胞宿主系形質導入法の一般的側面は、米国特許第4,399,216号に記載されている。哺乳動物細胞を形質転換するための様々な技術については、KeownらのMethods in Enzymology、第185巻:527〜537ページ(1990年)及びMansourらのNature 第336巻:348〜352ページ(1988年)を参照されたい。
【0048】
本発明の方法で使用する細胞は、生物体中に存在していても、生物体から抽出してもよく、あるいは適切なタンパク質又はそれをコードしている核酸を用いて一過性又は持続的に形質移入又は形質転換を施した細胞又は細胞系でよく、あるいは内在(すなわち人工的に導入していない)遺伝子から必要なVGSC及びp11ペプチドを発現させる細胞又は細胞系でよい。本発明では、用語「in vivo」には、これらすべての可能性が含まれる。したがって、in vivo法は、(未変性のチャネルとして、又は細胞中に導入されたベクターから)VGSCを発現させる、適切に応答する細胞系の中で実施することができる。細胞系は、組織培養物にしても、又はたとえば、ヒトでない動物対象中の細胞系異種移植片としてもよい。
【0049】
本発明のアッセイで使用する細胞系は、p11を一過性に発現させるのに使用してもよく、p11ペプチドを発現させる構築物で安定に形質転換してもよい。この細胞系は、VGSCを発現させる構築物で一過性又は安定に形質転換してもよい。安定に形質転換された細胞系を作製するための手段は、当技術分野でよく知られており、そのような手段をここで使用することができる。好ましい細胞は、非神経細胞、たとえばCHO細胞系である。
【0050】
p11を細胞に直接導入することにより、あるいはそれをコードしている異種の核酸からの発現を引き起こし、又はそれを可能にすることにより、細胞中でのp11又はVGSCの発現レベルを増大させることもできる。異種の遺伝子が導入されていなくてもp11及び/又はVGSCを内因的に発現させる細胞を使用することもできる。そのような細胞は、本発明の使用で使用するのに十分なレベルのp11及び/又はVGSCを内因的に発現させてもよく、あるいは本明細書で述べたような補充が必要であるが、p11及び/又はVGSCを低レベルで発現させるだけでもよい。p11又はVGSCを内因的に発現させないが、本明細書に記載するような方法を使用して、p11及びVGSCを発現させるように作製できる細胞を使用してもよい。
【0051】
したがって、本発明は、本発明によるVGSC及びp11ペプチドを発現させる宿主細胞を含み、そのペプチドの一方又は両方が異種性に発現されてよい。そのような細胞では、前記VGSC及び前記p11ペプチドを、2種のタンパク質が相互に作用して、VGSCの機能発現を上向き調節するように発現させるべきである。こうした宿主細胞は、本発明のスクリーニング法で使用するのに適する。
【0052】
本明細書で述べた発現ベクター又はクローニングベクターを用いて形質移入又は形質転換を施した宿主細胞は、従来の栄養培地で培養してよい。培地、温度、pHなどの培養条件は、大掛かりな実験をせずとも、当分野の技術者によって選択することができる。一般に、細胞培養物の生産性を最大にする原理、プロトコル、及び実地技術は、「Mammalian Cell Biotechnology:a Practical Approach」、M.Butler編、JRL Press(1991年)及びSambrookらの前掲書で見ることができる。
【0053】
トランスジェニック生物
本発明による宿主細胞(すなわち、VGSC発現を増大させるための異種p11を含むもの)は、トランスジェニック動物中に含まれていてもよく、本発明はさらに、本発明の方法でのそのトランスジェニック動物の使用法も提供する。本発明のトランスジェニック生物はすべて、その複数の細胞内に、異種のp11をコードしている、クローン化された組換えもしくは合成のDNA配列を含む。
【0054】
トランスジェニック生物、特にトランスジェニックマウスの作製に関する詳細については、(トランスジェニックマウスの作製方法を開示する参照文献として本明細書に組み込まれる)1989年10月10日に公開された米国特許第4,873,191号、並びに本明細書で言及し、引用する多数の科学刊行物を参照されたい。
【0055】
これまでの論述は、一般に、本発明の核酸を使用して機能性ポリペプチドを生成し、それによって細胞中のp11濃度を増大させて、VGSCの機能発現を高めることに関するものであった。しかし、以下で説明するように、ここで開示する情報は、そうすることが望まれる細胞中でp11の活性を低下させ、それに対応してVGSCの機能発現を低減する際に使用してもよい。
【0056】
VGSC機能発現の強化
本発明は、VGSCの機能発現を高める方法であって、前記チャネルをp11に曝すことを含む方法を提供する。したがって、本発明は、電位作動型ナトリウムチャネルの細胞原形質膜への移動を変更する方法であって、細胞中のp11濃度を変更するステップを含む方法を提供する。
【0057】
このような方法を使用して、細胞中でのVGSCの機能発現を高めることができる。チャネルの「機能発現」レベルとは、本発明では、細胞内で活性なチャネルの量又は割合を述べるのものである。「活性」とは、ここでは、適切な刺激に応答して、膜を通過するナトリウム電流の媒介となることができることを意味する。
【0058】
したがって、本発明の別の態様は、細胞中でのVGSCの機能発現を高める方法であって、細胞中のP11レベルを上昇させるステップを含む方法を提供する。
【0059】
VGSCは、上述のような任意の本発明のVGSCでよい。p11ペプチドは、上述のような任意の本発明のp11でよい。細胞は、上述のような適切な任意の細胞系でよい。VGSCは、細胞内で発現されることが好ましい。p11ペプチドも細胞内で発現されてよく、あるいは細胞に作用させてもよい。VGSC及び/又はp11ペプチドは、細胞内で内在遺伝子から発現されても、又はたとえば、細胞に1種又は複数の上述のようなベクターを形質移入することにより細胞に導入された異種遺伝子から発現されてもよい。
【0060】
本発明のp11ペプチドは、細胞に作用させるか、又は細胞内で異種性に発現させることが好ましい。p11ペプチドは、細胞内で発現されるp11のレベルが制御されるように、誘導性プロモーターの制御下で発現されてよい。細胞にp11を異種性に設けることにより、VGSCの機能発現、すなわち膜へのVGSCの動員(recruitment)、及び後続のVGSCの活性化を増強することができる。
【0061】
このような方法によってVGSCの機能発現を高めた細胞は、その後本発明のスクリーニング法で使用してよい。そうした細胞は、VGSCの機能発現が高まっており、したがって、試験化合物が引き起こす、VGSC活性のどんな変化にもとりわけ敏感になる。
【0062】
VGSCの機能発現の強化を利用するアッセイ
新薬の同定をもたらす薬剤研究では、主化合物が発見される前、さらに発見された後にも非常に多数の候補物質のスクリーニングが必要となろうことはよく知られている。これは、薬剤研究が非常に高コストで時間のかかるものになる一因である。スクリーニングプロセスを援助する手段には、商業上の重要性と有用性がかなりあるといえる。
【0063】
本発明の一態様は、p11を使用して実現することのできる、VGSCの機能性の向上に基づく。この作用を使用して、感度の高まったアッセイを生み出すことができる。そのような系(たとえば細胞系)は、VGSCを調節することのできる化合物を同定するのに特に有用である。
【0064】
「調節(modulating)」には、ここでは、VGSCの機能発現に対する任意の作用が含まれる。それには、適切な刺激物質存在下にあり、又は刺激物質に応答しての、チャネルの活性を遮断又は阻害することが含まれる。あるいは、調節因子は、チャネルの活性を高めるものでもよい。好ましい調節因子は、チャネル遮断薬もしくは阻害剤である。
【0065】
ここで述べるスクリーニング法は、一般に、試験化合物又は推定上の調節因子が、VGSC活性に変化を引き起こすことができるかを評価する。VGSCが通常示すどんな活性を測定してもよい。たとえば、適切な活性は、VGSCの特異的結合能又はp11との複合体形成能でよい。このような結合活性は、本明細書で述べるものなど、当技術分野で知られている方法を使用して測定することができる。この結合活性を調節する試験化合物は、VGSCの潜在的な調節因子である。測定することのできる別のVGSC活性は、ナトリウムチャネルとして機能できることである。これは、本明細書で述べるものなど、当技術分野で知られている方法を使用して測定することができる。たとえば、試験化合物は、VGSCが存在する膜を通過するナトリウム電流を生じるVGSCの能力に影響を及ぼすかもしれない。このようなアッセイは、特別な刺激物質、たとえば、通常ならナトリウム電流の流入をもたらすはずの刺激物質の利用を含む。
【0066】
本発明のこの態様は、p11を使用して実現することのできる、VGSCの機能性の向上を利用する、あらゆるアッセイ、好ましくはin vivoのアッセイの形をとることができる。用語「in vivo」には、上述の細胞系などが含まれる。このアッセイは、p11ペプチドに曝すことによりVGSCの機能発現を高めてある細胞中で実施する。したがって、in vivoアッセイは、本発明のVGSCを(未変性のチャネルとして、又は細胞に導入されたベクターから)発現させる適切に応答する細胞系であって、p11を前記細胞に作用させるか、前記細胞内で(内因的又は異種性に)発現させる細胞系で実施してよい。本発明のp11ペプチドは、細胞に作用させるか、細胞内で異種性に発現させることが好ましい。p11ペプチドは、細胞内で発現されるp11レベルが調節されるように、誘導性プロモーターの制御下で発現されてよい。細胞にp11を異種性に設けることにより、VGSCの機能発現、すなわち膜へのVGSCの動員、及び後続のVGSCの活性化を強化することができる。本発明のin vivoアッセイでは、VGSCを膜に動員して、その機能発現を高めるのに十分なレベルのp11を得ることが望ましくなる。しかし、本発明のアッセイの厳密な形式は、当分野の技術者によって、常法どおりの技術及び知識を使用して様々に変えてよい。
【0067】
したがって、本発明は、細胞中でのVGSCの機能発現を増大させる方法であって、前記VGSCを本発明のp11ペプチドに曝すステップを含む方法を提供する。VGSCの機能発現を高めてある細胞も本発明の一側面であると考える。
【0068】
本発明はさらに、その機能発現を高めてあるVGSCを調節する方法であって、前記チャネルとその推定上の調節因子とを接触させるステップを含む方法を提供する。
【0069】
接触ステップは、以下でより詳細に述べるように、in vivoでもin vitroでもよい。たとえばSNSナトリウムチャネル(Nav1.8)の調節(たとえば、阻害又は遮断)を試験するのに適する1つの系は、以下の実施例で使用するCHO−SNSである。調節を試験する他の系は、たとえば、WO97/01577に開示されている。膜電流は、実施例で詳述する手順に従って、パッチクランプ法のホールセル形態で測定すると好都合である。好ましい電位クランプは、細胞の電位が、約−90mVの保持電位から、約−110mVから+60〜80mVの範囲の試験電位へと段階を踏むものである。TTX−Rナトリウム電流を絶縁するために、テトラエチルアンモニウムイオン(TEA)及びCsと共に、TTY、4−アミノピリジン(AP)、及びCdClを使用する。しかし、当分野の技術者ならば、同様に使用できるはずの他の化合物、及び化合物の組合せを知っているであろう。
【0070】
一実施形態では、VGSCの調節因子を同定する方法であって、
(i)(たとえば、たとえばp11をコードしている核酸からの細胞中での発現を引き起こし、又はそれを可能にすることによって、細胞中のp11濃度を増大させることにより、)上述のように前記チャネルの機能活性を高めてある細胞を用意するステップ、
(ii)細胞中のチャネルと試験化合物とを(直接又は間接的に)接触させるステップ、
(iii)前記チャネルの活性(たとえば、任意選択で活性化因子存在下、チャネルによって媒介される電流)を測定するステップ
を含む方法を提供する。
【0071】
試験化合物と接触させる前後の活性を比較し、任意選択でその相対的活性と試験化合物の調節活性との相互関係を示すことが好ましい。したがって、VGSCの活性を調節できる化合物を同定することができる。そのような化合物には、以下でより詳細に述べるように、VGSC活性と関連した状態の治療又は予防における治療用途があるかもしれない。
【0072】
本発明の方法は、当技術分野でよく知られているものと同様の高処理スクリーンの形で使用することができる。たとえば、WO00/16231(Navicyte)、WO00/14540(Tibotec)、DE19840545(Jerini Biotools)、WO00/12755(Higher Council for Scientific Research)、WO00/12705(Pausch NM、Wess J)、WO00/11216(ブリストルマイヤーズスクイブ)、US6027873(Genencor Intl.)、DE19835071(カールツァイス、F Hoffman−La Roche)、WO00/03805(CombiChem)、WO00/02899(Biocept)、WO00/02045(Euroscreen)、US6007690(Aclara Biosciences)を参照。
【0073】
p11とVGSCの相互作用
任意選択で一方又は両方のタンパク質の断片を使用して、p11ペプチドとVGSCの相互作用を調査することができる。調査しやすくするために、タンパク質又は断片を標識してもよい。
【0074】
たとえば、タンパク質又は断片を結合相手、たとえば標識に連結することができる。ラベルをペプチジルの結合相手に結合させる技術は、当技術分野でよく知られている。ラベルは、融合物(fusion)、たとえばGFPとして発現される蛍光標識化合物でよい。別の実施形態では、タンパク質又は断片を放射標識してもよい。ペプチドの放射標識は、当技術分野で知られている様々な方法を使用して実現できる。たとえば、ペプチドは、キレート剤を使用することによって放射性同位元素で、又は(ヨウ素など、)ペプチドと直接に反応できる材料との共有的な標識(covalent labelling)によって標識できるだけでなく、直接標識(ペプチド中に存在する原子を14Cやトリチウムなど、放射性同位元素で置換する)によって、又は組換えによって産生されるタンパク質中に組み込むことのできる35S−メチオニンによって標識してもよい。一般に、チロシンを含有する放射標識ペプチドは、I125を使用して、又はトリチウム交換によって調製される。放射標識プロセスに利用できる一般の技術については、米国特許第5,384,113号、並びに数多くの他の特許及び他の刊行物を参照されたい。本明細書では、用語「放射標識された」とは、共有的な標識や共有結合など、様々な既知の方法のいずれかによって、あるいは直接置換法又はキレート化法によって放射性同位元素に結合させてある産物を述べるものである。
【0075】
他の適する検出可能な標識には、HAタグ、GST、ヒスチジンなどのタグが含まれる。組換えによって産生されるタンパク質を、抗体で標識することのできるエピトープを含む融合タンパク質として発現させてもよい。あるいは、従来の方法を使用して、そうしたタンパク質に対する抗体を得ることもできる。
【0076】
本発明の別の態様では、上述の諸標識法を使用して、VGSC上のp11結合部位(及びその逆)を同定する。そのような方法は、一般に、一方又は両方のタンパク質の断片を生成するステップと、前記断片とその結合相手(すべて又はその一部)とを接触させ、結合が起こったかどうかを判定するステップとを含む。一方又は両方の結合相手を標識かつ/又はタグ付けして、結合を検出しやすくすることが好ましい。
【0077】
たとえば、VGSC中のp11に対する結合部位を同定するために、前記結合部位を含むと考えられるVGSCの小さな断片を試験することができる。
【0078】
好ましい断片は、VGSCのN末端側細胞内ドメイン、たとえば、配列番号2で示すラットNav1.8配列のアミノ酸1〜127から選択してよい。断片は、このチャネルに特有であるか、又は少なくともVGSC間で十分に保存されていると考えられる配列であることが好ましい。配列番号2のNav1.8チャネルの好ましい断片としては、アミノ酸の1〜25位、26〜50位、及び51〜127位が含まれよう。
【0079】
以下の実施例で記載するように、ラットNavl.8チャネル上のp11結合部位は、(配列番号2に関して)アミノ酸53と127の間、好ましくはアミノ酸75と102の間のN末端側細胞内ドメイン中に位置していると思われる。同様に、ラットp11タンパク質は、(配列番号4に関して)アミノ酸33〜77の領域によってラットNav1.8チャネルに結合する。同様の方法を使用して、他のVGSC又はp11ペプチド内の結合部位を突き止め、又は同定することができる。
【0080】
結合断片は、GST「プルダウンアッセイ」を使用して同定することができる。これは以下の実施例でより詳細に述べるが、その実施例では、リポフェクションによってCOS−7細胞中に産生させたラットp11タンパク質と、細菌中で作製したGSTと融合させたSNS(Nav1.8)N末端側断片とを混合した。そのタンパク質複合体をグルタチオンビーズによって収集し、VGSC断片が、p11に対する1個又は複数の結合部位をもっているときのみ、p11が回収される。他の実施形態では、「プルダウン」アッセイの代わりに、又はそれに加えて、免疫共沈降又はオーバーレイアッセイを実施することもできる。
【0081】
1種(又は複数)のN末端側断片に絞った後、たとえば、リコンビナントPCR又はウラシル含有ベクター系(Journal of Physiology(1999年)516.2、433〜446ページの「cAMP−dependent phosphorylation of the tetrodotoxin−resistant voltage−dependent sodium channel SNS.」、E.M.Fitzgerald、K.Okuse、J.N.Wood、A.C.Dolphin、S.J.Moss)による点変異を使用して、その結合部位をさらに調査することができる。(たとえば、N末端側ドメインの約3分の1である上述の断片に相当する)ターゲットcDNAがかなり短くてもよいので、レコンビナントPCRが好ましいといえる。VGSCとp11の間の相互作用部位を正確に同定するために、突然変異させたN末端断片を、たとえばGST「プルダウン」アッセイで再び試験してもよい。
【0082】
同定したならば、その結合部位を3次元にモデル化して模倣物を作製することができる。あるいは、結合部位は、たとえば(任意選択でファージディスプレイ法における)結合相手として直接使用して、化合物のスクリーニングを行ってもよい。
【0083】
相互作用調節因子のアッセイ
別の態様では、本発明は、細胞中でのVGSCの機能発現の調節因子を調べるアッセイであって、
a)VGSCとp11が調節因子なしで複合体を形成できる条件下で、前記VGSC、前記p11ペプチド、及び推定上の調節因子化合物を接触させるステップと、
b)前記調節因子化合物によって引き起こされる複合体形成が阻害される度合を測定するステップと
を含むアッセイを提供する。
【0084】
本発明はさらに、細胞中でのVGSCの機能発現の調節因子を調べるアッセイであって、
a)VGSCとp11が調節因子なしで複合体を形成できる条件下で、前記VGSC、前記p11ペプチド、及び推定上の調節因子化合物を接触させるステップ、
b)前記VGSCが存在する膜を通過するナトリウム電流を生じるような刺激物質に前記VGSCを曝すステップ、及び
c)前記調節物質化合物によって引き起こされる前記電流が阻害される度合を測定するステップ
を含むアッセイを提供する。
電流の阻害は、化合物がVGSC活性の潜在的な調節因子であることを示す。そのような化合物には、以下でより詳細に述べるように、VGSC活性に関連した状態の治療又は予防における治療用途があるかもしれない。
【0085】
2種のタンパク質の相互作用を研究するのに当技術分野で広く用いられている1つのアッセイ形式は、二重ハイブリッドアッセイである。このアッセイを本発明での使用向けに適合させることができる。二重ハイブリッドアッセイは、一方が、酵母GAL4結合ドメインなど、DNA結合ドメイン(DBD)を含む融合タンパク質であり、他方が、GAL4やVP16に由来するものなど、活性化ドメインを含む融合タンパク質である、2種のタンパク質を宿主細胞中で発現させるステップを含む。このような場合では、宿主細胞(細菌、酵母、昆虫、又は哺乳動物、特に酵母又は哺乳動物のものでよい)は、DBDと適合性のあるDNAの結合要素を含むプロモーターと共に、レポーター遺伝子構築物を積むことになる。レポーター遺伝子は、クロラムフェニコールアセチル基転移酵素、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、β−ガラクトシダーゼなどのレポーター遺伝子でよく、ルシフェラーゼが特に好ましい。
【0086】
二重ハイブリッドアッセイは、Fields及びSongの1989年、Nature第340巻、245〜246ページで開示されているものに従うことができる。このアッセイでは、酵母GAL4転写因子のDNA結合ドメイン(DBD)及び転写活性化ドメイン(TAD)を、その相互作用を調査しようとする第1及び第2の分子にそれぞれ融合させる。GAL4転写因子の機能は、問題の2種の分子が相互に作用するときにのみ復活する。したがって、前記レポーター遺伝子の転写を活性化することのできるGAL4DNAの結合部位に動作可能に連結されたレポーター遺伝子を使用することにより、分子間の相互作用を測定できる。
【0087】
このように、潜在的な調節因子化合物の存在下で二重ハイブリッドアッセイを実施することができ、その調節因子の作用は、調節因子なしでの転写レベルと比べた、レポーター遺伝子構築物の転写レベルの変化に反映される。
【0088】
二重ハイブリッドアッセイを行うことのできる宿主細胞には、哺乳動物、昆虫、及び酵母細胞が含まれるが、(S.cerivisiaeやS.pombeなどの)酵母細胞が好ましい。
【0089】
p11とVGSCの相互作用を哺乳動物細胞中で評価してもよい。ゼロのp11バックグラウンド上、内因的に発現されたp11のバックグラウンド上、又は(過剰)発現されたp11のバックグラウンド上でVGSCを(過剰)発現させる細胞又は細胞系を得る。これは、VGSCをp11と一緒に、又はp11なしで細胞に(同時)形質移入して行うことができる。どの細胞を選択してもよく、VGSC発現及び/又はp11発現は、一過性でも安定でもよい。p11がVGSCに及ぼす作用は、p11を(過剰)発現させる細胞における、チャネルを通過するイオンの流動を、p11を(過剰)発現させない、又はp11の発現が低レベルであるものと比較することにより決定できる。p11のVGSCに対する作用を測定する他の方法は、全細胞中又は膜単独における、VGSCの膜への局在化程度を分析することによる。VGSCの局在化は、細胞の免疫蛍光アッセイでの抗体染色、膜画分のウエスタンブロッティング、又は全細胞もしくは膜画分に対する毒素結合を行うことにより評価できる。この相互作用は、p11とVGSCの免疫共沈降アッセイで引き出すこともできる。この相互作用の阻害剤は、VGSCの機能性もしくは膜局在化、又はp11を(過剰)発現させる細胞中でのp11とVGSCの免疫共沈降の程度を阻害する。
【0090】
別のアッセイ形式では、上述のように、これらタンパク質の一方を検出可能な標識で標識し、それを、タンパク質が互いに接触させられる前又は後に任意選択で固体担体上に固定化されている他方のタンパク質と接触させることにより、p11とVGSCの相互作用をin vivo又はin vitroで直接に測定する。
【0091】
任意選択で固体担体上に固定化されたタンパク質は、固体担体に結合したそのタンパク質に対する抗体を使用して、又はそれ自体が知られている他の技術によって固定化する。以下の実施例では、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)と融合させたSNSナトリウムチャネル(Nav1.8)である融合タンパク質を利用する好ましいin vitro相互作用を説明する。このような融合タンパク質は、グルタチオンセファロース又はアガロースビーズ上に固定化することができる。
【0092】
上述のタイプのin vitroアッセイ形式では、固定化された(たとえばGST−SNS)ナトリウムチャネルに結合する、標識されたp11(たとえば、以下で述べるGFP融合物)の量を減少させられるかを判定して、推定上の阻害剤化合物を検定することができる。これは、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動によってグルタチオンビーズを分別することにより判定できる。あるいは、グルタチオンビーズを濯いで未結合のタンパク質を除去してもよく、存在する標識の量を、たとえば適切なシンチレーションカウンター中でカウントすることにより、結合したタンパク質の量を決定できる。
【0093】
別のアッセイ形式は、解離によって増強されるランタニドを用いる蛍光イムノアッセイ(DELFIA)(Ogataらの1992年)である。これは、2種の巨大分子の相互作用を測定する、固相を基にした系である。通常、一方の分子(VGSC又はp11)をマルチウェルプレートの表面に固定化し、他方の分子を溶液にしてこれに加える。結合相手の検出は、希土類金属のキレートからなる標識を使用して実現する。この標識は、相互作用に関わる分子に直接結合させることができ、あるいはその分子又は分子のエピトープタグに対する抗体を介してその錯体に導入してもよい。あるいは、その分子を、標識として使用するビオチン、及びストレプトアビジン−希土類キレートに結合させてもよい。標識に使用する希土類は、ユウロピウム、サマリウム、テルビウム、又はジスプロシウムでよい。洗浄して未結合の標識を除去した後、低pH緩衝液を含有する洗浄剤を加えて、キレートから希土類金属を解離させる。次いで、時間分解蛍光定量法によって、蛍光性の高い金属イオンを定量する。ストレプトアビジン、グルタチオンS−トランスフェラーゼ及びヘキサヒスチジンに対する抗体を含む、いくつかの標識試薬が、この技術向けに市販されている。
【0094】
代替方式では、2種のタンパク質の一方を蛍光ドナー部分で標識し、他方を、供与体からの発光を低減できるアクセプターで標識してよい。これによって、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)による本発明によるアッセイの実施が可能になる。この方式では、2種のタンパク質が相互に作用するときに、ドナーの蛍光シグナルが変更される。この相互作用を調節する候補調節因子化合物が存在すると、未変更のドナー蛍光シグナルの量が増加又は減少する。
【0095】
FRETは、それ自体が当技術分野で知られている技術であり、したがって、厳密なドナー及びアクセプター分子、並びにこれらをp11及びVGSCタンパク質に連結する手段は、文献を参照して得ることができる。
【0096】
VGSCとp11の相互作用は、蛍光偏光法によって測定してもよい。通常、結合相手は、化学合成によって、単離されたペプチドとして、又は組織もしくは細胞の供給源から、組換えペプチドもしくは精製ペプチドとして得る。全長p11又はその断片は、たとえばN末端側の全細胞質部分又はその部分に代表されるVGSCペプチドと共に使用してよい。たとえば、ラットNavl.8チャネルの場合では、適切な断片は、配列番号2のアミノ酸53〜127又は75〜102を含んでいてよい。ラットp11タンパク質の場合では、適切な断片は、配列番号4のアミノ酸33〜77を含んでいてよい。
【0097】
このアッセイでは2種のペプチドのどちらかを適切な標識、通常は蛍光標識で標識する。蛍光ペプチドをサンプル管に入れ、サンプル管上の偏光フィルターに単色光を通す。偏光の束によってフルオロフォアが励起されるので、発光を測定する。発光は、溶液中の小さなペプチドの回転挙動のために全方向に散乱する。ペプチドがより大きなその結合相手と相互に作用するときに、この回転挙動が変化し、その結果偏光が保持され、発光の散乱が低減する。発光の偏光度から、複合体の回転エネルギーの変化を読み出すことにより、阻害剤のスクリーニングを行う。
【0098】
適切な蛍光ドナー部分は、別の蛍光発生分子又は化合物の部分に蛍光発生エネルギー(fluorogenic energy)を転移させることのできるものであり、これには、フルオレセイン、ロドール(rhodol)、ローダミンなど、クマリン及び同類色素;レソルフィン;シアニン色素;ビマン(bimane);アクリジン;イソインドール;ダンシル色素;ルミノール及びイソルミノール誘導体などのアミノフタル酸ヒドラジン;アミノフタルイミド;アミノナフタルイミド;アミノベンゾフラン;アミノキノリン;ジシアノヒドロキノン;ユーロピウム及びテルビウム錯体と同類化合物が含まれるがこれだけに限らない。
【0099】
適切なアクセプターには、クマリン及び同類フルオロフォア;フルオレセイン、ロドール、ローダミンなどのキサンテン;レソルフィン;シアニン;ジフルオロボラジアザインダセン、及びフタロシアニンが含まれるがこれだけに限らない。
【0100】
好ましいドナーはフルオレセインであり、好ましいアクセプターには、ローダミン及びカルボシアニンが含まれる。Aldrich Chemical Company Ltd、英国ドーセット州Gillinghamから入手できる、このフルオレセイン及びローダミンのイソチオシアン酸誘導体を使用して、p11及びERを標識してもよい。カルボシアニンの結合については、たとえば、GuoらのJ.Biol.Chem.、第270巻、27562〜8ページ、1995年を参照。
【0101】
標識及び相互作用を検出するアッセイ形式では、蛍光の検出を利用するよりも、表面増強ラマン分光法(SERS)又は表面増強共鳴ラマン分光法(SERRS)を使用することが好ましいかもしれない(たとえば、WO97/05280を参照)。
【0102】
代替アッセイ形式は、シンチレーション近接アッセイ(SPA、英国Amersham Biosciences)である。SPAでは、刺激を受けて光を発し得るシンチラントを含む微視的なビーズを使用する。この刺激事象は、問題の放射標識された分子がビーズの表面に結合するときにしか起こらない。レセプター−リガンド結合、酵素アッセイ、ラジオイムノアッセイ、タンパク質−タンパク質及びタンパク質−DNAの相互作用を含む、特別な適用例向けに、異なるコーティングを用いて特殊なビーズタイプを作製してもよい。
【0103】
相互作用の調節因子
本発明のスクリーニングでは、VGSCの機能発現に対する作用をもち得るどんな化合物を使用してもよい。この作用は、たとえば、チャネルへの直接の作用に媒介されても、又はp11とVGSCの相互作用の遮断もしくは阻止によって間接的に媒介されてもよい。
【0104】
一態様では、VGSCの機能発現をダウンレギュレーションするのに使用する化合物は、VGSC及び/又はp11ペプチドに特異的に結合する化合物でよい。たとえば、そのような化合物は、配列番号2で示すラットNav1.8ナトリウムチャネルのアミノ酸53〜127もしくは75〜102の領域中、又は変異体チャネルの等価な領域中など、VGSCの細胞内ドメインに結合してもよいし、あるいは配列番号4で示すp11ペプチドのアミノ酸33〜77の領域中、又は変異体p11ペプチドの等価な領域中に結合してもよい。したがって、化合物は、VGSCとp11ペプチドの結合を阻止し、それによって通常はp11によって引き起こされるVGSCの機能発現の強化を妨げることができる。
【0105】
使用してよい化合物(推定上のVGSC調節因子)は、薬物スクリーニングプログラムで使用される天然もしくは合成の化学化合物でよい。特徴付けがなされ、又はなされていない、いくつかの成分を含有する植物抽出物を使用してもよい。好ましい実施形態では、たとえば、現在当技術分野でよく知られているものなど、コンビナトリアルライブラリーの産物として物質を得ることができる(たとえば、Newton(1997年)のExpert Opinion Therapeutic Patents、第7巻(10):1183〜1194ページを参照)。本発明のアッセイに加えられるかもしれない推定上の調節因子化合物の量は、通常、使用する化合物に応じて試行錯誤によって決定することができる。通常、約0.01〜100nM、たとえば0.1〜10nM濃度の推定上の調節因子化合物を使用してよい。調節因子化合物は、相互作用の作動薬又は拮抗薬でよい。相互作用の拮抗薬(阻害剤)が特に望ましい。
【0106】
別の態様では、本発明は、相互に作用し合うVGSCとp11の部分、たとえば以下の実施例で述べる領域を主体とするペプチド化合物、並びにその化合物を考案し、製造する方法を提供する。
【0107】
推定上の阻害化合物である調節因子は、p11及びVGSCタンパク質配列から誘導することができる。p11及びVGSCの、これらタンパク質間の相互作用を司る領域からのアミノ酸5〜40個、たとえばアミノ酸6〜10個のペプチド断片がこの相互作用を妨害できるか、これらを試験することができる。たとえば、そのペプチドは、配列番号2で示すラットNavl.8ナトリウムチャネルのアミノ酸53〜127もしくは75〜102の領域など、VGSCの細胞内ドメイン由来、又は配列番号4で示すラットp11タンパク質のアミノ酸33〜77由来でよい。
【0108】
どちらかのタンパク質中の相互作用部位に対する抗体は、別のクラスの推定上の阻害化合物となる。候補阻害剤抗体を特徴付けし、その結合領域を決定すると、p11とVGSCの相互作用を妨害する役目を担う1本鎖の抗体及びその断片を得ることができる。適切な抗体は、VGSC又はp11のどちらかに結合することができ、それによってこれら分子間の相互作用を阻止又は遮断する。
【0109】
抗体は、本発明のVGSC又はp11ペプチドの特別なエピトープに対して産生されるものでよい。たとえば、抗体は、VGSCとp11ペプチドの相互作用に関与する上述のような領域に対して特異的に産生されてよい。
【0110】
本発明の意図では、用語「抗体」には、そうでないと指示しない限り、本発明のVGSC又はp11ペプチドを結合する断片が含まれる。そのような断片には、Fv、F(ab’)、及びF(ab’)断片、並びに1本鎖の抗体が含まれる。さらに、抗体及びその断片は、キメラ抗体、CDRを移植した抗体、又はヒト化抗体でよい。
【0111】
本発明の抗体は、任意の適切な方法によって生成することができる。抗体を調製し、特徴付けする手段は、当技術分野でよく知られており、たとえば、Harlow及びLane(1988年)の「Antibodies:A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、米国ニューヨークを参照。たとえば、抗体は、全ポリペプチド又はその断片、たとえば、以下では「免疫原」と呼ぶその抗原エピトープに対して宿主動物中で抗体を産生させることにより、抗体を生成してよい。
【0112】
ポリクローナル抗体を生成する方法は、適切な宿主動物、たとえば実験動物を免疫原で免疫感作するステップと、その動物の血清から免疫グロブリンを単離するステップとを含む。したがって、動物に免疫原を接種し、その後その動物から血液を取り出し、IgG画分を精製することができる。
【0113】
モノクローナル抗体を生成する方法は、所望の抗体を産生する細胞を不死化するステップを含む。ハイブリドーマ細胞は、接種を行った実験動物由来の脾臓細胞と腫瘍細胞とを融合させて作製することができる(Kohler及びMilstein(1975年)のNature 第256巻、495〜497ページ)。
【0114】
所望の抗体を産生する不死化された細胞は、従来の手順によって選択してよい。ハイブリドーマは、培養して増殖させても、腹腔内注射して腹水を生成しても、あるいは同種の宿主又は免疫無防備状態の宿主の血流に注射してもよい。ヒト抗体は、ヒトリンパ球をin vitroで免疫感作した後、そのリンパ球をエプスタイン−バーウイルスで形質転換して調製することができる。
【0115】
モノクローナル抗体とポリクローナル抗体の両方を生成するのに適する実験動物は、ヤギ、ウサギ、ラット、又はマウスである。所望であれば、免疫原は、たとえば1つのアミノ酸残基の側鎖を介して適切な担体にそれが結合しているコンジュゲートとして投与してもよい。担体分子は、通常、生理的に許容される担体である。所望であれば、生じた抗体を単離してもよい。
【0116】
抗体又は他の化合物が、それに特異的であるタンパク質に優先的に、又は高い親和性で結合するが、他のタンパク質には実質的に結合しない、又は低い親和性でしか結合しないとき、抗体又は他の化合物は、タンパク質に「特異的に結合する」。抗体の特異的結合能を判定する競合的結合アッセイ又は免疫放射線アッセイのための様々なプロトコルは、当技術分野でよく知られている(たとえば、MaddoxらのJ.Exp.Med.第158巻、1211〜1226ページ、1993年を参照)。こうしたイムノアッセイは、通常、特別なタンパク質とその抗体との複合体を形成させ、複合体の形成を測定するものである。
【0117】
別の態様では、VGSC遺伝子からの発現を阻害することにより、VGSCの機能発現を低減してもよい。たとえば、アンチセンス技術又はRNA干渉を利用して、標的遺伝子の発現をダウンレギュレーションすることができる。
【0118】
アンチセンスの遺伝子又は部分遺伝子配列を使用して遺伝子発現をダウンレギュレーションする際には、転写によって、標的遺伝子の「センス」鎖から転写された通常のmRNAに相補的なRNAが得られるよう、ヌクレオチド配列をプロモーターの制御下に「逆配向」に配置する。たとえば、Smithら(1988年)のNature 第334巻、724〜726ページを参照。このような方法では、コード配列に相補的なヌクレオチド配列が使用されるはずである。遺伝子発現をダウンレギュレーションするための別の選択肢としては、mRNAなど、RNAの部位特異的な切断を触媒することのできるリボザイム、たとえばハンマーヘッドリボザイムの使用が挙げられる(たとえば、Jaeger(1997年)の「The new world of ribozymes」、Curr Opin Struct Biol 第7巻:324〜335ページ、又はGibson & Shillitoe(1997年)の「Ribozymes:their functions and strategies form their use」、Mol Biotechnol 第7巻:242〜251ページを参照)。
【0119】
RNA干渉は、短い干渉RNA又はサイレンシングRNA(siRNAs)として知られている短い2本鎖RNA(dsRNA)の2本鎖の使用に基づく。このような分子は、配列同一性又は相同性がその分子と共通する標的遺伝子の発現を阻害することができる。通常、dsRNAは、マイクロインジェクションやトランスフェクションなどの技術によって細胞に導入してよい。RNA干渉の方法は、たとえば、Hannonら(2002年)の「RNA Interference」、Nature 第418巻:244〜251ページ、及びElbashirら(2001年)の「Duplexes of 21−nucleotide RNAs mediate RNA interference in cultured mammalian cells」、Nature 第411巻:494〜498ページに記載されている。
【0120】
調節の特異性
VGSCの調節因子を同定するいずれかの方法が、細胞を主体とした系を利用する場合、その方法は、たとえば、乳酸脱水素酵素アッセイキット(Sigma)の使用によるアッセイで、細胞の生存度を試験するステップをさらに含んでよい。このステップは、細胞の生命機能が試験薬品によって妨害されたことの指標を提供し得る。
【0121】
治療用組成物及びその使用
以下では、用語「VGSC調節因子」は、本発明のいずれのアッセイ又は設計方法を使用して同定されるかもしれない上述の調節因子化合物をどれもすべて含むものとする。本発明の方法によって同定されたVGSC調節因子は、単離、精製を行い、配合して医薬組成物などの組成物にし、かつ/又は以下で述べるように治療に使用することができる。
【0122】
上述のようなVGSC調節因子は、その自然の環境から、かなり純粋もしくは均質な形で、又は出所となる供給源の他の物質から独立もしくは実質的に独立に、提供、単離、及び/又は精製することができる。本発明では、用語「単離の(isolated)」は、これらすべての可能性を含む。調節因子は、任意選択で、標識しても、又は他の化合物に結合させてもよい。
【0123】
VGSC調節因子は、広範な障害の治療又は予防に有用であるかもしれない。したがって、別の態様では、本発明は、VGSC調節因子のペプチドもしくはそれをコードする核酸分子を含む医薬組成物、及び治療もしくは診断法でのその使用法を提供する。
【0124】
別の態様では、本発明は、1種又は複数の上述のようなVGSC調節因子を含む医薬組成物、及び治療もしくは診断法でのその使用法を提供する。
【0125】
別の態様では、本発明は、治療用の医薬の製剤に使用するための、上述のVGSC調節因子及び核酸分子を提供する。
【0126】
一態様では、本発明は、哺乳動物の対象に痛覚消失を生じさせる方法であって、前記対象に本発明のVGSC調節因子を投与するステップを含む方法を含む。このチャネルの調節因子は、感覚ニューロンを伝わるインパルスの伝達を妨げることができ、それによって急性、慢性、もしくは神経障害性の痛みの治療又は予防に有用となり得る。
【0127】
急性痛は、一時的であり、一般に数秒以上続く。急性痛は、普通は突然に始まり、一般に、体が急に損傷を受けたか、又は平滑筋の活動が激しいことのシグナルである。急性痛は、急速に慢性痛へと発展する。慢性痛は、一般に数週間、数カ月、数年間といった長期間にわたり存在する。
【0128】
本発明のVGSC調節因子は、急性痛もしくは慢性痛の治療もしくは予防において、又は急性痛が慢性痛に発展するのを予防するために使用してよい。痛みの治療には、痛みのレベルの低減から痛みの完全な喪失まで、痛みの症状のどんなレベルの軽減も含まれるものとする。予防には、痛みの発生の予防と、痛みの悪化、たとえば痛み症状の悪化又は急性痛から慢性痛への進行の予防とが含まれる。
【0129】
本発明のVGSC調節因子によって治療又は予防することのできる慢性痛の種類の例には、骨粗鬆症、リウマチ様関節炎、神経障害性の痛み、癌の痛み、三叉神経痛、原発性及び続発性の痛覚過敏、炎症性の痛み、侵害受容性の痛み、脊髄癆、幻肢痛、脊椎損傷痛、中枢痛、ヘルペス後の痛み及びHIVの痛み、非心臓性の胸痛、過敏性腸症候群、及び腸障害に伴う痛みが含まれる。
【0130】
別の態様では、このような痛みを発症する恐れのある対象の痛みの進行を予防する方法であって、前記対象に本発明のVGSC調節因子を投与するステップを含む方法を提供する。
【0131】
組成物は、治療する状態に応じて同時、分割、又は逐次のいずれかで、単独で投与しても、他の治療薬(たとえば、NSAIDなど、鎮痛効果を有する治療薬)と併用投与してもよい。
【0132】
VGSC調節因子は、配合を行って医薬組成物にすることができる。医薬組成物は、上記の物質の1種類に加えて、薬剤として許容される賦形剤、担体、緩衝液、安定剤、又は当分野の技術者によく知られている他の材料を含んでよい。このような材料は、非毒性であり、活性成分の効力を妨害しないものとすべきである。担体又は他の材料の厳密な性質は、投与経路、たとえば、経口、静脈内、皮膚もしくは皮下、経鼻、筋肉内、腹腔内経路に応じて決まるといえる。
【0133】
経口投与用の医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、粉末、又は液体の形でよい。錠剤は、ゼラチンなどの担体又は佐剤を含んでよい。液体の医薬組成物は、一般に、水、石油、動物もしくは植物性の油、鉱油、合成の油など、液体担体を含む。生理食塩水、デキストロースもしくは他の糖類の溶液、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコールが含まれていてもよい。
【0134】
静脈内、皮膚もしくは皮下への注射、又は患部への注射では、活性成分は、発熱物質を含まず、pH、等張性、及び安定性が適切である非経口的に許容される水溶液の形になる。当分野の技術者ならば、たとえば、塩化ナトリウム注射液、リンガー液、乳酸加リンゲル液など、等張性の賦形剤を用いて適切な溶液をうまく調製することができよう。必要に応じて、保存剤、安定剤、緩衝液、抗酸化剤、及び/又は他の添加剤が含まれてもよい。
【0135】
放出を遅延させるために、当技術分野で知られている方法に従って、生体適合性のポリマーから形成されたマイクロカプセルや、リポソーム担体系など、徐放用に考案された医薬組成物中に調節因子を含めてもよい。
【0136】
ペプチドを持続的に放出させるため、米国特許第5,320,840号に記載されているように、ポリ乳酸などの水溶性ポリマー、又は両親媒性ブロック共重合体から誘導された生分解性ヒドロゲルに、ペプチドを共有結合させてもよい。米国特許第5,024,841号に記載のものなど、コラーゲン系マトリックスの植込錠も、プチド治療薬を持続的に送達するのに有用である。特に神経周囲領域への真皮下の徐放送達では、自己硬化性であり、液体形態で送達された後に所定の位置で植込錠となる生分解性ポリマーを含む組成物も有用である。そのような組成物は、たとえば、米国特許第5,278,202号に記載されている。
【0137】
ペプチド(たとえば、上述のようにp11とVGSCの相互作用を阻害するように設計され、又はそうすることが発見されたものなど)は、経皮イオン泳動によって投与することが好ましいであろう。神経周囲の部位に化合物を送達するための特に有用な一手段が、経皮送達である。この形の送達は、当分野で知られている方法によって実施することができる。一般に、経皮送達は、選択された皮膚領域に化合物がゆっくりと送達されるようにする経皮「パッチ」を使用するものである。このようなパッチは、一般に、化合物を全身に送達するために使用されるが、本発明においては、このような部位を絞った送達では、神経突起が増殖する選択された領域中で化合物濃度が増大することが期待できる。経皮パッチ送達系の例は、米国特許第4,655,766号(流体吸収性の浸透圧被動系)、及び米国特許第5,004,610号(速度制御された経皮送達系)に示されている。
【0138】
ペプチドの経皮送達では、米国特許第5,032,109号(電解経皮送達系)及び米国特許第5,314,502号(電動式イオン泳動送達デバイス)に記載のものなど、イオン泳動法を使用して経皮送達を実施することが好ましいであろう。
【0139】
経皮送達では、脂溶性物質(たとえば、脂肪族カルボン酸、脂肪族アルコール)や、水溶性物質(たとえば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、グリセロール、プロピレングリコールなどのアルカンポリオール)など、浸透を強化する物質を含むことが望ましいであろう。さらに、米国特許第5,362,497号に記載されているように、経皮用製剤に「超吸水性樹脂」を加えて、経皮送達をさらに強化してもよい。そのような樹脂の例には、ポリアクリラート、けん化酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、架橋ポリビニルアルコール−無水マレイン酸共重合体、けん化ポリアクリルニトリルグラフトポリマー、デンプンアクリル酸グラフトポリマーなどが含まれるがこれだけに限らない。このような製剤は、問題の領域に密閉性の包帯(occluded dressing)として提供してもよいし、又は上述の1個又は複数の経皮パッチ形態にして提供してもよい。
【0140】
さらに別の実施形態では、化合物を硬膜外注射によって投与する。膜の透過性を高める手段には、たとえば、ペプチドのリポソームカプセル封入、組成物への界面活性剤の添加、又はイオン対合剤(ion−pairing agent)の添加を含めることができる。髄膜のバリアを崩壊させるのに有効な高張投与液を対象に投与することを含む膜透過性強化手段も、本発明に含まれる。
【0141】
調節因子は、緩徐な注入によって投与することもできる。この方法は、くも膜下経路又は上述の硬膜外経路で投与するときに特に有用である。調節された速度で化合物を送達するのに有用な、いくつかの植込型又は外付け型(body−mountable)ポンプが知られている。そのようなポンプの1つは、米国特許第4,619,652号に記載されており、緊張性の(tonic)流速で、又は周期的なパルスで化合物を送達するのに使用できる外付け型ポンプである。ポンプのすぐ下に注射部位を設けて、必要な区域、たとえば神経周囲領域に化合物を送達する。
【0142】
他の治療方法では、当技術分野で知られている方法に従って、経口的に、又は経鼻吸入によって調節因子を投与してもよい。ペプチドの投与については、当技術分野で知られている方法に従って、そのペプチドを、経口もしくは経鼻送達に適するマイクロカプセルに組み込むことが望ましいであろう。
【0143】
個体に投与しようとするのが、本発明によるペプチド、抗体、核酸分子、小分子、又は他の薬剤として有用な化合物のどれであろうと、「予防有効量」又は「治療有効量」(場合によっては、予防は治療であるとみなしてよいが)で投与することが好ましく、この量は、個体に対して利益を示すのに十分である。実際の投与量、投与の速度及び時間経過は、治療するものの性質及び重症度に応じて決まる。治療の処方箋、たとえば投与量などの決定は、一般従事者及び他の医師の責任の範囲内であり、通常、治療する障害、個々の患者の状態、送達部位、投与法、及び従業者に知られている他の要因を考慮に入れる。上述の技術及びプロトコルの例は、「Remington’s Pharniaceutical Sciences」、第16版、Osol,A.編、1980年で見ることができる。
【0144】
これら作用物質を直接に投与する代わりに、細胞に導入されたコード遺伝子から、たとえばウイルスベクター中で発現させることにより、標的細胞中で生成できるはずである(VDEPT技術の変形−以下を参照のこと)。ベクターは、治療しようとする特定の細胞に送り込むことができ、あるいは標的細胞によって、選択性がより高い又は低い状態で活性化される調節要素を含むことができるはずである。
【0145】
あるいは、作用物質を前駆体の形で投与して、治療しようとする細胞中で産生され、又はその細胞に送り込まれた活性化剤によって活性な形に変換することができるはずである。この種の手法は、時にはADEPT又はVDEPTとして知られており、前者は、活性化剤を、細胞特異的な抗体に結合させて、細胞に送り込むものであり、後者は、ウイルスベクター中のコードDNAから発現させることにより、ベクター中で活性化剤、たとえば酵素を生成するものである(たとえば、EP−A−415731及びWO90/07936を参照)。
【0146】
ある生物体におけるp11の発現は、その生物体におけるVGSCの機能発現と相互に関係があるかもしれず、この相関関係は、不適切なVGSC発現に関連した疾患を診断する基本原理となるかもしれない。
【0147】
ここで、以下の非限定的な図面及び実施例を参照しながら本発明についてさらに説明する。これらを考慮すると、本発明の他の実施形態が、当分野の技術者にわかるであろう。本発明を実施する当分野の技術者に共通の一般的知識を捕捉することが必要かもしれないので、本明細書で言及した参照文献はいずれも、参照によりその全体を特に本明細書に組み込む。
【実施例】
【0148】
材料及び方法
酵母の二重ハイブリッドスクリーニング
記載11のとおりに、Na1.8のN末端側細胞内ドメイン(アミノ酸の1〜127位)及びラットP1 DRGcDNAライブラリーを用い、相互作用の二重ハイブリッドスクリーニングを実施した。鋳型としてのラットNal.8cDNA、正プライマー(5’−gcgaattcatggagctcccctttg−3’)、及び逆プライマー(5’−tatagcggccgctttgatggctgttcttc−3’)を用いるPCRによって、おとりプラスミドを生成した。LexA−DNA結合ドメインとのインフレーム融合物として、増幅された断片をpEG202のEcoRI−NotI部位に連結した。
【0149】
出生後1日目の後根神経節(DRG)から、cDNAライブラリーを作製した11。DRGライブラリーのcDNAsを、Gal4転写活性化ドメインとのインフレーム融合物として発現させた。約5×10個の酵母形質転換体を、β−ガラクトシダーゼ活性があるか、またロイシンなしで増殖するかスクリーニングにかけ、全長p11をコードしている正のクローンが5種同定された。このクローンは、ラットp11遺伝子の51bpの5’−UTR、288bpのコード領域、及び450bpの3’−UTRを含んでいた。p11が、Na1.8のN末端側細胞内ドメインと特異的に相互に作用したことを検証するため、救済された、p11をコードするプラスミドDNAを、異なるNa1.8細胞内ドメインを含む他の株の酵母に再び導入した。GSTプルダウンアッセイ12を利用して、p11とNa1.8のN末端側ドメインのin vitroでの直接の相互作用を評価した。実験方法のより完全な詳細は、補足情報の中にある。
【0150】
GSTプルダウンアッセイ
ラットNa1.8のN末端側(アミノ酸の1〜127位)をコードするセグメントをPCRによって増幅し、pGEX−5X−1(Amersham Pharmacia Biotech)のEcoRI/NotI部位にインフレームでクローン化した。GST−SNS(I)と称したGST/Na1.8N末端の融合タンパク質を大腸菌株BL−21中で産生させ、グルタチオン−セファロースビーズ上でアフィニティー精製した。もとのpGEX−5X−1を使用して、GST対照タンパク質を生成した。
【0151】
酵母発現ベクターpJG4−5中のp11の全長ラットcDNAを、Ncol−XbaI断片として、伸長因子2αプロモーターによって推進されるGFP−p11融合タンパク質の発現をもたらすpBS500発現ベクターにサブクローニングした。得られたプラスミドをpBS−GFP/p11と称した。リポフェクションによって、COS−7細胞にpBS−GFP/p11を形質移入した。形質移入を施したCOS−7細胞から、形質転換後3日目に、溶解緩衝液(4%SDS、10mMのリン酸ナトリウム、pH7.4)でGFP−p11融合タンパク質を抽出した。可溶化液を、4℃で10分間、10,000rpmの遠心分離にかけた。上清を取り置き、4℃で30分間、14,000rpmの遠心分離にかけた。次いで、上清をmacrosep30Kオメガ遠心分離濃縮器(Pall Filtron)に移し、10mlの氷冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、pH7.4を加えた。これを5,000rpmで2時間遠心分離した。濾液を廃棄し、可溶化されたタンパク質を含有する残渣をプルダウンアッセイ装置中で使用した。陰性対照用のGFPタンパク質の生成には、GFP発現プラスミドのpBS−GFPを使用した。
【0152】
p11のNa1.8N末端への結合をin vitroで調べるために、対照として扱われる、精製GSTと共にプレインキュベートしたグルタチオン−セファロースビーズ、又はGST−SNS(I)を、形質移入を施したPBS中のCOS細胞から抽出されたGFP−p11融合タンパク質又はGFPタンパク質と共に4℃で終夜インキュベートした。氷冷PBSで十分に洗浄した後、結合したタンパク質をサンプル緩衝液(100mMのトリスHCl pH6.8、4%のSDS、0.2%のブロモフェノールブルー、20%のグリセロール、200mMのDDT)中で変性させ、10%SDS−PAGEによって分離し、ニトロセルロース(Hybond ECL、Amersham Pharmacia Biotech)膜に移した。室温の5%のPBS−T(0.1%のPBS中Tween−20、pH7.4)中無脂肪乾燥乳で1時間かけて膜をブロックした。1:800希釈の抗GFP一次抗体(Santa Cruz Biotechnology)を室温で1時間作用(apply)させた。1:2000希釈の二次抗体(西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヒツジ抗マウスIgG、Amersham Phamiacia Biotech)を室温で1時間作用させた。製造者の指示に従って、ECLウエスタンブロッティング検出試薬(Amersham Pharmacia Biotech)を作用させ、ブロットに対してBioMaxフィルム(Kodak)を露光させた。
【0153】
ノザンブロット分析
酸グアニジニウムチオシアン酸フェノールクロロホルム抽出法16によって、様々なラット組織から総RNAを単離し、グリオキシル化(glyoxylation)後に、10mMのリン酸緩衝液(pH6.5)中1.5%のアガロースゲル上で電気泳動にかけて分別した。20倍SSC溶液中でRNAをhybondNナイロン膜に6時間かけてブロットし、UV照射によって固定した。膜をメチレンブルーで染色して、RNAが一様に回収されたことを確認した。その後、ハイブリダイゼーション緩衝液(50%のホルムアミド、6倍SSC、50mMのNaHPO、1mMのEDTA、1%SDS、2.5倍のデンハート液、250μgのニシン精子DNA、pH6.5)中、43℃で18時間かけて、この膜を32Pで標識したp11DNAプローブ(50ng、DNA1μgあたり比活性2×10c.p.m.)にプレハイブリダイズ及びハイブリダイズさせた。[α−32P]ATPの存在下、クレノウ酵素及びランダムプライマーを使用して、32Pで標識したp11DNAプローブを、284bpのp11PCR断片(アミノ酸の3〜127位)から37℃で15分間かけて生成した。QIAquickヌクレオチド除去キット(Qiagen)を使用して、組み込まれていないヌクレオチドを除去した。ハイブリダイズされた膜を、53℃の0.2倍SSC/0.1%SDSで洗浄し、−70℃でBioMaxフィルム(Kodak)を露光させた。
【0154】
RT−PCR
2週齢のラットからのDRGニューロンを、3.3ng/mlのアフィディコリンを含有するDMEM中で7日間培養した。培養物は、NGF(50ng/ml)の補充を行い、又はNGFなしで、ウサギ抗NGF抗血清の存在下で成長させた。この培養物から抽出された総RNAをDNaseIで処理し、Superscriptによって、ランダム六量体を使用してcDNAを合成した。p11(284bp)に特異的なプライマー対の5’−CATCCCAAATGGAGCATG−3’、5’−CTACTTCTTCTGCTTCATGTGTACTAC−3’を用い、PCR(94℃、1分;58℃、1分30秒間;72℃、1分30秒間;50μl)を開始した。2サイクル後に、CGRP(222bp)用のプライマー対である5’−GGTGTGGTGAAGGACAAC−3’、5’−CATAGGGAGAAGGGTTTC−3’を加えた。別々の管の中で、CGRP用のプライマー対を用いてPCRを開始し、開始してから3サイクル後にサイクロフィリン(300bp)用のプライマー対である5’−ACCCCACCGTGTTCTTCGAC−3’、5’−CATTTGCCATGGACAAGATG−3’を反応液に加えた。3サイクルごとにPCR溶液10μlを収集し、1.5%アガロースゲル電気泳動にかけ、PCR産物を臭化エチジウムで可視化した。各バンドの強度は、NIH Imageプログラムを使用して分析し、プロットした。直線の範囲の増幅(p11、32〜38サイクル;CGRP、30〜36サイクル;サイクロフィリン、27〜33サイクル)を同定しておいた。この範囲の中間点(p11、35サイクル;CGRP、33サイクル;サイクロフィリン、30サイクル)を使用してRT−PCR実験を行い、逆転写された溶液1μlを使用してPCRを行った。
【0155】
免疫蛍光分析
細胞質ゾル中でラットNal.8タンパク質を発現させる、安定に形質転換したCHO細胞系(CHO−SNS22細胞)に、リポフェクションによって発現プラスミドpBS−GFP/p11を形質移入した。このCHO−SNS22細胞系を、2.5%ウシ胎児血清及び1mg/mlのジェネティシンG418硫酸塩を加えたNutrient MixtureF−12(Ham)培地(GibcoBRL)中で保った。形質移入を行う1日前に、細胞を継代し、0.5%ウシ胎児血清及び1mg/mlのG418を加えたF−12培地を含む35mm培養皿に播いた。形質移入を行う前に、35mm培養皿の細胞を、血清を含まないF−12培地で2回すすいだ。1.1μgのDNAを5μlのリポフェクタミン(GibcoBRL)と混合し、室温で30分間インキュベートした。混合物を予めすすいである細胞に加え、37℃で2時間インキュベートした。2時間後、DNA/リポフェクタミン混合物を、0.5%ウシ胎児血清及び1mg/mlのG418を加えたF−12培地と入れ替えた。形質移入後3日目に、細胞を氷上の4%パラホルムアルデヒドで15分間かけて固定し、その後抗SNSポリクローナル抗体(SNS11)と共にインキュベートした。細胞をPBSで洗浄し、ローダミン標識した抗ウサギIgGと共にインキュベートした後、共焦点顕微鏡で分析した。
【0156】
インシトゥハイブリダイゼーション
284bpのp11PCR断片をpGEM−T Easy(Promega)にサブクローニングし、T7RNAポリメラーゼを使用して、DIG−UTP標識したセンスもしくはアンチセンスcRNAプローブを作製し、インシトゥハイブリダイゼーション研究を行った。凍結DRG切片(厚さ10μm)を、氷上の4%パラホルムアルデヒド中で15分間かけて固定し、0.1Mのトリエタノールアミン、0.25%の無水酢酸中で10分間かけてアセチル化した。50%ホルムアミド、4倍SSC、100μg/mlのニシン精子DNA、50μg/mlのtRNA、2倍のデンハート液中、室温で1時間かけてプレハイブリダイゼーションを実施した。50ng/mlのcRNAプローブを含む同じ緩衝液中、65℃で16時間かけてハイブリダイゼーションを実施した。72℃の0.1倍SSC中で切片を洗浄し、アルカリホスファターゼに結合させた抗ジゴキシゲニン抗体(Roche)と共にインキュベートした。次いで、同じ切片を抗Na1.8ポリクローナル抗体(SNS11)で染色した後、ローダミンに結合させた抗ウサギIgG抗体で染色した。
【0157】
p11のNGFによる制御
2週齢のラットからのDRGニューロンをNGF(50ng/ml)と共に培養し、又はNGFなしで、ウサギ抗NGF抗血清の存在下で成長させた。培養物から抽出された総RNAをDNaseIで処理し、Superscriptによって、ランダム六量体を使用してcDNAを合成した。p11(284bp)に特異的なプライマー対の5’−CATCCCAAATGGAGCATG−3’、5’−CTACTTCTTCTGCTTCATGTGTACTAC−3’を用い、PCRを実施した。
【0158】
COS−7細胞におけるp11の形質移入及び抽出
COS−7細胞に、リポフェクションによって20μgのpBS−GFP/p11を形質移入した。形質移入後3日目に、細胞を氷上の可溶化緩衝液(150mMのNaCl、1%NP−40、0.5%DOC、0.1%SDS、50mMのトリス、pH7.5)中で30分間インキュベートした。可溶化緩衝液を4℃で30分間、10,000gで遠心分離した。上清を使用してin vitro結合アッセイを行った。GFP発現プラスミドであるpBS−GFPを使用して、陰性対照としてのGFPタンパク質を産生させた。
【0159】
GST−SNSナトリウムチャネル融合タンパク質の発現
ラットSNSナトリウムチャネルのNH末端側細胞内ドメインのcDNAを、プライマーの5’−GGAATTCATGGAGCTCCCCTTTGCG−3’及び5’−AATTGCGGCCGCAGACGCTTTGATGGCTGT−3’を用いるPCRによって増幅した。ラットSNSナトリウムチャネルタンパク質のアミノ酸の1〜127位に対応する増幅された断片を、GST遺伝子融合ベクターpGEX−5X−1のEcoRI/NotI部位にクローン化した。GST/SNSナトリウムチャネルNH末端融合タンパク質をコードする、得られた発現ベクターをpGEX−5X−I−SNS(I)と称した。pGEX−5X−I−SNS(I)を大腸菌株BL21に入れて形質転換を行い、その後、GST/SNS(I)融合タンパク質をグルタチオン−セファロースビーズでアフィニティー精製した。グルタチオン−セファロース/GST/SNSナトリウムチャネル複合体を、結合緩衝液(10%グリセロール、1mMのMgCl、100mMのKCl、0.5mg/mlのウシ血清アルブミン、10mMのトリス、pH7.9)中で、pBS−GFP/p11を形質移入したCOS−7細胞から得られた抽出物と共に、4℃で4時間インキュベートした。結合したタンパク質をサンプル緩衝液中で変性させ、12%SDS−PAGEによって分離した。GFPとSNSナトリウムチャネルNH末端側タンパク質の接合点にそのエピトープタグが位置するようになっている抗HA抗体とのイムノブロッティングによって、GFP/SNSナトリウムチャネル(I)融合タンパク質を検出した。pGEX−5X−1を使用して、陰性対照としてのGSTタンパク質を産生させた。
【0160】
電気生理学
ホールセルパッチクランプ法を利用して、CHO−SNS22細胞からの膜の電流を記録した。細胞外の記録溶液には、NaCl(140)、TEA Cl(10)、HEPES(10)、CaCl(2.1)、MgCl(2.12)、4−アミノピリジン(4−AP)(0.5)、KCl(7.5)(単位:mM)、テトロドトキシン(TTX)(250nM)が含まれていた。この溶液に緩衝剤としてNaOHを加えてpHを7.2〜3とした。細胞内溶液には、CsCl(145)、EGTA Na(3(6))、Hepes(10)、CaCl(1.21)、MgCl(1.21)、TEA Cl(10)(単位:mM)が含まれていたが、緩衝剤としてCsOHを加えてpHを7.2〜3とした。ニューロンからの記録については、細胞外溶液は、NaClを43.3mMに減らし、TEA−Clを等価に置き換え、20μMのCdClを加えたことを除き、同じものである。細胞内記録溶液では、CsClの10%をCsFで置き換え、MgClを3mMのATP(Mg)で置き換え、溶液には500mMのGTP(Li)が含まれていた。化学物質類は、「AnalaR」(BDH、Merk Ltd.)であるか、又はSigmaから提供を受けた。化学物質類は、「AnalaR」(BDH、Merk Ltd.、英国レスターシア州Lutterworth)であるか、又はSigma(英国ドーセット州プール市)から提供を受けた。TTXは、Alomone labs(TCS Biologicals、英国バッキンガムシア州Botolph Claydon)から得た。少数のCHO−SNS22細胞は、内因性のテトロドトキシン感受性(TTX−s)Na電流(人による観察)を生じたが、これは、細胞外の媒質中に250nMのTTXを含めることにより、すべての記録から除外された。形質移入を施していない細胞では、このような状況で内向きの電流は記録されなかった。
【0161】
電極は、薄肉ガラス製毛細管(GC150TF−10;Harvard apparatus、英国ケント州Edenbridge)から作製し、記録溶液で満たされたときの接触抵抗(access resistance)が2〜4MΩであった。記録は、Axopatch200Bパッチクランプ増幅装置(Axon Instruments、米国カリフォルニア州Foster City)を使用して行った。PC上で実行しながら、pClamp6ソフトウェア(Axon Instruments)を使用して、パルスプロトコルを作成し、データをディスクに記憶させた。CHO−SNS22細胞を−90mVに保った。電位−クランププロトコルには、−110mVまでのマイナスの前パルスが組み込まれ、細胞は、その後、50ミリ秒間10mV刻みでより脱分極した電位(最高で+80mVの最終値)へと段階を踏んだ。
【0162】
実験はすべて室温で実施した。
【0163】
アンチセンス研究
309bpのp11NcoI断片を、センス−GFP/アンチセンス−p11融合RNAの発現系から得られたpBS500ベクターであるpBS−GFP/AS(p11)のNco−I制限部位に3’から5’の方向にクローン化した。400μg/mlのpBS−GFP/AS(p11)、及び注入緩衝液(118mMのKCl、5mMのHepes、22.2mMのNaHCO、1.2mMのMgCl、pH7)中0.5%のテキサスレッドを、Eppendorfの微量注入器を使用して、2週齢ラットDRGの直径の小さいニューロンの核に注入した。注入の際は、DMEMを、カルシウムを含まない緩衝液(PBS、10mMのグルコース及び2.4mMのMgClを含有)と入れ替えた。注入を完了した後、そのカルシウムを含まない緩衝液を、3.3ng/mlのアンフィディコリンを含有するDMEMと入れ替え、ニューロンを37℃のCOインキュベーター中で3日間インキュベートしてから、電気生理学的な記録を行った。
【0164】
免疫蛍光分析では、アンチセンスp11を注入すると、注入を行っていない細胞よりも、免疫反応性のp11が失われることが示された。
【0165】
p11との結合アッセイに向けたN末端側Na1.8の分子クローニング
αサブユニットのNa1.8N末端のcDNAを3個の断片に切断し、pGEX−5X−1ベクター(Amersham)にクローン化した。得られた構築物をN1(アミノ酸1〜25)、N2(a.a26〜50)、及びN3(a.a51〜127)と名付けた。使用するプライマーは、5’方向にEcoRI、3’方向にNotI制限酵素切断部位を導入するように設計した。正プライマー:
Figure 2005500843
逆プライマー:
Figure 2005500843
EcoRI部位には下線を引いてある。NotI部位は太字である。それぞれ断片N1、N2、及びN3用にSNSI−F/SNSI(N1)−R、SNSI(N2)−F/SNSI(N2)−R、SNSI(N3)−F/I−Rプライマー対を使用して、PCRを実施した。94℃で1分間、その後55℃で1分30秒間、次いで72℃で1分30秒間を25サイクルとするサイクルを使用した。PCR産物をEcoRI及びNotIで消化し、線状化したpGEX−5X−1ベクターに連結した。正プライマーの5’pGEX(5’−GGGCTGGCAAGCCACGTTTGGTG−3’)及び逆プライマーの3’pGEX(5’−CCGGGAGCTGCATGTGTCAGAGG−3’)を用い、得られる構築物の配列を決定した。
【0166】
GSTプルダウンアッセイによってp11がN3に特異的に結合することが示された後
、Na1.8細胞内ループI上の正確な結合部位を解明するために、N3断片をさらに3個のより小さな断片に切断した。N3−1(a.a51〜73)、N3−2(a.a74〜103)、及びN3−3(a.a104〜127)と名付けたこの3断片を、上述のようにpGEX−5X−1ベクターにクローン化した。正プライマー:
Figure 2005500843
逆プライマー:
Figure 2005500843
それぞれN3−1、N3−2、及びN303用のN3−1−5’/N3−1−3’、N3−2−5’/N3−2−3’、N3−3−5’/I−Rのプライマーセットを使用して、PCRを実施した。上述のものと同じPCRサイクルを使用した。
【0167】
実施例1:ラットNav1.8と相互に作用するタンパク質の同定
ラット感覚ニューロンcDNAライブラリー11を使用して、ラットNa1.8のN末端側細胞内ドメインと相互に作用するタンパク質があるかスクリーニングを行った。Na1.8N末端と相互に作用した、全長p11をコードしている同一な陽性クローンを5種同定した。p11がNa1.8のN末端側細胞内ドメインに結合するかどうかを試験するために、GFP−p11融合タンパク質をCOS−7細胞中に発現させ、Na1.8のN末端側ドメインをGST融合タンパク質のGST−SNS(I)として発現させた。COS細胞可溶化物を、アフィニティー精製したGST、及びGST−SNS(I)、すなわちGSTに融合させ、グルタチオン−セファロースビーズ上に固定化したNa1.8N末端側ドメインと共にインキュベートし、抗GFP抗体とのイムノブロッティングによって調べた。精製GST又はGST/SNS(I)は、GFPタンパク質を引き出さなかった(did not pull doun)。精製GSTは、GFP/SNS(I)を引き出さなかったが、GST/p11は、GFP/SNS(I)融合タンパク質を効率よく引き出した。これらのデータは、p11が、SNSナトリウムチャネルのNH末端に直接結合することを示している。
【0168】
p11転写物の組織分布を調べた。ノザンブロット分析では、2週齢ラットから分離したDRGでのp11mRNAの発現レベルが高く、心臓及び肝臓での発現はそれほど高くなく、脳での発現は弱いことが示された。RT−PCRでは、動物モデルにおいて温度性、化学的、及び機械的刺激による痛みの知覚閾値を低下させることが知られている13、14神経成長因子(NGF)で処理した培養ラットDRGニューロン中でp11mRNAの劇的な増加が示された。2週齢ラットDRGの切片についてインシトゥハイブリダイゼーションを実施した。アンチセンスp11プローブは、直径の小さいニューロンでも直径の大きいニューロンでも濃い染色を示した。抗Na1.8ポリクローナル抗体SNS11を用いる複合免疫組織化学法15では、Na1.8陽性細胞の大部分(>98%)もp11mRNAを発現させたことが示された。
【0169】
実施例2−p11は、SNSナトリウムチャネルの原形質膜への移動を調節する
CHO−SNS22は、ラットSNSナトリウムチャネルcDNAが安定に形質移入された細胞系である。この細胞系は、SNSナトリウムチャネル電流をもたないが、多量の全長SNSナトリウムチャネルmRNAを発現させる。抗SNSナトリウムチャネルポリクローナル抗体(SNS11)を使用する免疫細胞化学研究では、CHO−SNS22細胞の細胞質ゾル中でSNSナトリウムチャネル様の免疫反応性が示されたが、原形質膜では示されなかった。p11が、SNSナトリウムチャネルタンパク質の細胞内局在性を変化させるかどうかを研究するため、CHO−SNS22細胞にGFP/p11融合cDNAを形質移入した(pBS−GFP/p11)。p11の発現を融合GFPによる緑色の蛍光シグナルとして検出した。緑色蛍光は、原形質膜に特異的に局在した。同じ細胞内で、SNSナトリウムチャネル様の免疫反応性である赤色蛍光のシグナルが、原形質膜だけでなく細胞質ゾル中で示された。原形質膜ではp11とSNSナトリウムチャネルの同時発現が見られた。GFP−p11融合物又はCHO−SNS22細胞中で発現されたGFPタンパク質のNa1.8様免疫反応性の濃度測定分析では、GFP−p11融合タンパク質が発現された後、Na1.8様免疫反応性の16.5%(S.E.M.1.2、n=30)が原形質膜画分に移動したが、GFPを発現させるCHO−SNS22細胞の原形質膜上に局在したのは、Na1.8様免疫反応性の4.3%(S.E.M.0.4、n=30)にすぎなかったことが示された。これらのデータは、p11が、Na1.8タンパク質が細胞外の膜への移動するのを促進することを示している。
【0170】
実施例3−p11は、CHO−SNS22細胞中のSNSナトリウムチャネル電流を誘発する
pBS−GFP/p11を形質移入した9個から合計で42個のCHO−SNS22細胞において、TTX耐性(TTX−r)電流が、ニューロンのSNSナトリウムチャネル電流に似ていることがわかった。形質移入を施したCOS細胞から記録されたSNSナトリウムチャネルNa電流は、電位依存度及び動態の両方に関して非常によく似ていた。TTX−rの内向き電流を図1Aに示す。電流は、0〜+10mV付近で活性化し始め、+40mVで最高点に達する(図1B)。電流に対する逆転電位は、Na電流の電流と一致して、Naに対する理論上の逆転電位(+81mV)に実に近付く。内向き電流の大きさが小さく、CHO細胞の電流−電圧の関係がしばしば非線状であることを考えると、この理論値からの明らかな逸脱は、実験の誤りに含まれるとみなしてよい。形質移入されていない(n=41)又はGFPを形質移入された(n=40)CHO−SNS22細胞からのTTX−r内向き電流は、それまでには記録されなかったが、p11の形質移入後、20%をわずかに上回る細胞が弱いNa電流を生じた。これは、統計学的にかなり有意な発見である(GFP形質移入又は対照の非形質移入に対してP<0.002、フィッシャーの正確確率検定)。このことは、p11が、通常はCHO細胞にないが、SNSナトリウムチャネルNaチャネル機能に必要なタンパク質であるかもしれないことを示唆している。
【0171】
神経成長因子(NGF)は、強力な痛覚過敏媒介物として知られている。ここで示した結果、すなわちSNSナトリウムチャネルタンパク質の原形質膜への輸送についてのp11の関与を根拠として、NGFの痛覚過敏媒介物としての既知の機能が、(SNSナトリウムチャネルmRNAの量が変更されることなく)p11が上向き調節され、その後SNSナトリウムオチャネルがp11によって膜へ移動するためであるかもしれないと思われる。
【0172】
プロスタグランジンE2(PGE)などのプロスタグランジンは、痛覚過敏作用物質として働き、その発生は、シクロオキシゲナーゼ(COX)を触媒とする、アラキドン酸の変換に依存的である。膜のグリセロリン脂質からのアラキドン酸の遊離は、リン脂質A2の加水分解作用によって媒介されるが、これは、プロスタグランジン生成の律速段階である。p11は、細胞質ゾルのホスホリパーゼA2(cPLA2)に対する内在性の阻害剤としても知られている。トランスフォーミング成長因子α(TGF−α)は、上皮細胞系でのCOX−2、cPLA2、及びp11の発現を刺激することが知られている。このことは、プロスタグランジン合成のための正(COX−2、cPLA2)及び負(p11)の制御因子が、共通の機構によって制御されることを示唆している。興味深いことに、カルパクチンI重鎖は、コアテトラペプチドKVXDを共有するアンチフラミン様配列を備えている。アンチフラミンは、病変部への白血球の輸送を抑制することにより抗炎症剤として働き得る子宮グロブリン(uteroglobin)及びリポコルチンIと共通の配列をもっているが、in vivoでの炎症におけるアンチフラミンの作用については未だ議論の余地がある。
【0173】
実施例4:Nav1.8チャネルに対するp11アンチセンスの作用
Na1.8チャネルに対するp11の考えられる調節性の役割を試験するため、培養中のDRGニューロンの核にp11アンチセンス発現ベクターであるpBS−GFP/AS(p11)をマイクロインジェクトした。抗p11ポリクローナル抗体を使用する免疫組織化学法によって、pBS−GFP/AS(p11)の導入が、DRGニューロン中でのp11様免疫反応性を効率よく低下させたことを確認した。pBS−GFP/AS(p11)の導入はまた、Na1.8電流を劇的に喪失させた(図2)。pBS−GFP/AS(p11)を注入したニューロン(63.1+/−24.5pA/pF、平均+/−S.E.M.n=8)では、平均ピークNa電流密度が、GFPのみを注入した対照ニューロンと比べて減少した(179.2+/−40.3pA/pF、n=9、P<0.04、スチューデントの両側t検定)。それとは対照的に、+80mVへと段階を踏んで記録した電流から導いた最大残留K電流は、pBS−GFP/AS(p11)による影響を有意には受けず(対照細胞の61.7+/−17.6pA/pF対注入された細胞の44.8+/−5.5pA/pF(平均±S.E.M.、P=0.4、スチューデントの両側t検定))、アンチセンスの作用が特異的であることが示唆された。ND7/23細胞においてpBS−GFP/AS/p11がTTX感受性電流に及ぼす影響も調べた。TTX感受性電流の密度は影響を受けず(p>0.1、スチューデントの独立両側t検定)、p11が、他のTTX感受性ナトリウムチャネルサブタイプの発現に必要でないことが示唆された。
【0174】
本発明者らは、TTX非感受性VGSC Nav1.8(以下では、「SNSナトリウムチャネル」と呼ぶこともある)の機能発現が、別のタンパク質p11との相互作用によって促進されることを実証した。この機能の強化は、直接のタンパク質−タンパク質相互作用によってもたらされると思われる。
【0175】
実施例5:Na 1.8に対する結合ドメインを解明するためのp11の分子クローニング
最初にp11を3個の断片に分け(アミノ酸1〜32、a.a33〜77、及びa.a78〜95)、pBS500発現ベクターにクローン化した。使用するプライマーは、5’方向にNcoI、3’方向にXbaI制限酵素切断部位を導入するように設計した。
正プライマー:
Figure 2005500843
逆プライマー:
Figure 2005500843
NcoI部位には下線を引いてある。XbaI部位は太字である。それぞれ断片N3−1、N3−2、及びN3−3用にp11−5’/p11−1−3’、p11−2−5’/p11−2−3’、p11−3−5’/p11−3−3”プライマーセットを使用して、PCRを実施した。94℃で1分間、その後55℃で1分30秒間、次いで72℃で1分30秒間を25サイクルとするサイクルを使用した。PCR産物を制限酵素EcoRI及びNotIで消化し、予め線状化したpBS500ベクターに連結した。正プライマーのGFP5(5’−ACCACATGGTCCTTCTTGAG−3’)及び逆プライマーのCSF−R(5’−TGCTGTTTAAATATTAAACAGGG−3’)を用い、得られる構築物の配列を決定した。
【0176】
p11−2断片をさらに2個のより小さな断片(アミノ酸33〜51及び52〜77)に切断し、上述のようにpBS500発現ベクターにクローン化した。正プライマー:p11−2−2F、5’−AACCATGGGTGGACAAAATAATGAAAGAC−3’;p11−2−5’。逆プライマー:p11−2−3’;p11−2−1R,
Figure 2005500843
それぞれ断片p11−2−1及びp11−2−2用にp11−2−5’/p11−2−1R及びp11−2−2F/p11−2−3’プライマーセットを使用して、PCRを実施した。プライマーセットp11−5’及びp11−2−1Rを使用して、別の断片p11−1A(アミノ酸1〜51)もクローン化した。
【0177】
一過性に形質移入することにより、COS−7細胞中にGFP/p11融合タンパク質を発現させた。Na1.8N末端側領域を3個の分離した断片に切断し、GSTに融合させ、グルタチオン−セファロースビーズ上に固定化し、抗GFP抗体とのイムノブロッティングによって調べた。GFP/p11は、N3領域(aa53〜127)に直接に結合した。精製されたGST−N1及びGST−N2は、GFP/p11を引き出さず、GST対照もGFP/p11に結合しなかった。
【0178】
一過性に形質移入することにより、COS−7細胞中にGFP及びGFP/p11融合タンパク質を発現させた。GSTに融合させ、グルタチオン−セファロースビーズ上に固定化したNa1.8N末端側ドメインの、アフィニティー精製したGST−N3−1、GST−N3−2、及びGST−N3−3断片と共にCOS細胞可溶化液をインキュベートし、抗GFP抗体とのイムノブロッティングによって調べた。精製されたGST−N3−1及びGST−N3−3は、GFP/p11を引き出さなかったが、GST−N3−2(アミノ酸75〜102)は、GFP/p11融合タンパク質を効率よく引き出した。
【0179】
一過性に形質移入することにより、COS−7細胞中にGFP/p11−1、−2、−3融合タンパク質を発現させた。アフィニティー精製したGST−SNS(I)、すなわちGSTに融合させ、グルタチオン−セファロースビーズ上に固定化したNa1.8のN末端側ドメインと共にCOS細胞可溶化液をインキュベートし、抗GFP抗体とのイムノブロッティングによって調べた。GST−SNS(I)は、細胞可溶化液p11−1及びp11−3を引き出さなかったが、細胞可溶化液p11−2(アミノ酸33〜77)を効率よく引き出した。
【0180】
一過性に形質移入することにより、COS−7細胞中にGFP/p11−1A、p11−2、p11−2−1、及びp11−2−2融合タンパク質を発現させた。アフィニティー精製したGST−SNS(I)、すなわちGSTに融合させ、グルタチオン−セファロースビーズ上に固定化したNa1.8のN末端側ドメインと共にCOS細胞可溶化液をインキュベートし、抗GFP抗体とのイムノブロッティングによって調べた。GST−SNS(I)は、細胞可溶化液p11−1Aも、p11−2−1も、p11−2−2も引き出さなかった。これらのタンパク質断片は、それぞれアミノ酸1〜51、33〜51、52〜77に対応するものであった。GST−SNS(I)は、p11−2を効率よく引き出した。
【0181】
実施例6:p11突然変異EFハンドの変異原性
Na1.8に結合するのに重要となる残基の正確な位置を示すために、構築物p11−2のp11EFハンド結合領域中に点突然変異を起こした。2種の突然変異プライマー及び2種の制限部位プライマーを使用する2段階のポリメラーゼ連鎖反応プロトコルによって、オリゴヌクレオチドに対する点突然変異を起こした。pBS500発現ベクター中の全長p11を鋳型として使用した。プライマーセット、すなわちp11−5’/p11−突然変異1−R;p11−3’/p11−突然変異1−Fを使用して、アミノ酸56〜60(アミノ酸配列DQCRDからAQARA)内に突然変異1を導入した。正プライマー:p11−5’、5’−AACCATGGATGCCATCCCAAATG−3’;p11−突然変異1−F、5’−GGCCCAGGCCCGAGCTG−3’。逆プライマー:p11−3’、5’−GATCTAGACTAC TTCTTCTGCTTCATGTGTAC−3’;p11−突然変異−R、5’−TCCAGCTCGGGCCTGGGCC−3’。PCRサイクル:94℃で1分間、63℃で1分30秒間、72℃で1分30秒間を35サイクル。
【0182】
プライマーセット、すなわちp11−5’/p11−突然変異2−R;p11−3’/p11−突然変異2−Fを使用して、p11のアミノ酸62〜67(アミノ酸配列KVGFQSからAVAFQA)内に突然変異2を導入した。正プライマー:p11−突然変異2−F、5’−GAGCAGTGGCCT TCCAGGCCT−3’。逆プライマー:p11−突然変異2−R、5’−TAGAAAGGCCTGGAA GGCCACTGCT−3’。PCRサイクル:94℃で1分間、60℃で1分30秒間、72℃で1分30秒間を40サイクル。
【0183】
突然変異体を含む2種のPCR産物をpBS500発現ベクターのNcoI/XbaI部位にサブクローニングした。正プライマーGFP5’、5’−ACCACATGGTCCTTCTTGAG−3’を使用するDNA配列決定によって、突然変異が組み込まれたことを確認した。
【0184】
要約すると、ここで示したデータから、p11が、SNSナトリウムチャネルタンパク質の原形質膜への移動を司っており、またSNSナトリウムチャネル機能に必要な随意の要素であることがわかる。したがって、p11とSNSナトリウムチャネルの相互作用は、痛み状態への治療的介入のためのターゲットとなり得る。
【0185】
Figure 2005500843
Figure 2005500843

【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1A】GFP−p11cDNA発現ベクターを形質移入した後、蛍光CHO−SNS22細胞から記録された高い閾値のTTX耐性Na電流を示す図である。Na電流は、動態が特徴的に遅く、細胞外Naイオンを除去することにより、内向きの電流が消滅する。パルスプロトコルを上に示す。
【図1B】CHO−SNS22細胞(n=5)中のNa電流について、平均電流(I/Imax)と電圧(E)の関係を示す図である。活性化の閾値は−5mVに近付き、電流は+40mVで最高点に達する。
【図2】DRGニューロン中でのp11アンチセンスmRNAの発現がNav1.8電流密度の喪失を引き起こしたことを示すグラフである。ヒストグラムは、対照及びcDNA注入ニューロンについてのlog[電流密度]に対する細胞数を示す。白色の柱=注入を行っていない対照細胞、灰色の柱=GFPを注入した細胞、黒色の柱=p11アンチセンス及びGFPを注入した細胞。GFP発現ベクターのみ及びp11アンチセンスmRNA発現ベクターを注入したニューロンのlog[電流密度]に対する独立両側t検定では、Nav1.8電流の有意な減少が示された(P<0.02、スチューデントの両側t検定)。

Claims (39)

  1. 電位作動型ナトリウムチャネル(VGSC)の調節因子を同定する方法であって、
    (a)VGSCとp11ペプチドが試験化合物なしで複合体を形成できる条件下で、前記のVGSC、p11ペプチド及び試験化合物を接触させ、及び
    (b)前記試験化合物なしでの前記活性を基準とした前記VGSCの活性の変化を、前記試験化合物が前記VGSCの調節因子であることの指標として、前記VGSCの活性を測定する、
    ステップを含む方法。
  2. 前記活性は、前記VGSCが前記p11ペプチドとの複合体を形成できることである請求項1記載の方法。
  3. 前記活性は、前記VGSCが膜を通過するナトリウム電流を媒介できることである請求項1記載の方法。
  4. 前記VGSC活性の低下を、前記試験化合物が前記VGSCの阻害剤であることの指標とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記VGSCは、痛みに対する応答に関連するチャネルである請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記チャネルは感覚ニューロン中に発現されるものである請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記チャネルは感覚ニューロン特異的(SNS)である請求項6記載の方法。
  8. 前記チャネルはテトロドトキシンに耐性である請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記VGSCは、Nav1.8、Nav1.9及びNav1.3ナトリウムチャネルから選択されている請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記VGSCは、
    (a)配列番号2又は配列番号6のNav1.8アミノ酸配列、
    (b)(a)の種もしくは対立形質の変異体、
    (c)(a)に対するアミノ酸配列同一性が少なくとも65%である(a)の変異体、又は
    (d)(a)から(c)のいずれかの断片、
    を含むアミノ酸配列を有し、p11ペプチドを結合する能力を保持している請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記VGSCは、膜を通過するナトリウム電流を媒介する能力を保持している請求項10記載の方法。
  12. 前記VGSCは配列番号2のアミノ酸配列53〜127又は75〜102を含む請求項10又は11に記載の方法。
  13. 前記p11ペプチドは、
    (a)配列番号4又は配列番号8のアミノ酸配列、
    (b)(a)の、種もしくは対立形質の変異体、
    (c)(a)に対するアミノ酸配列同一性が少なくとも70%である(a)の変異体、又は
    (d)(a)から(c)のいずれかの断片、
    を含むアミノ酸配列を有し、VGSCを結合する能力を保持している請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記p11ペプチドは配列番号4のアミノ酸配列33〜77を含む請求項13記載の方法。
  15. 前記p11ペプチドは、全長p11タンパク質又はその種もしくは対立形質の変異体である請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記VGSC及び前記p11ペプチドを細胞中に準備し、前記細胞を試験化合物と接触させる請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. その細胞中のp11レベルを増大させることにより前記VGSCの機能発現を高めてある細胞の中に前記チャネルを準備する請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記細胞は、前記VGSC及び/又は前記p11ペプチドを内因的に発現する請求項16又は17に記載の方法。
  19. 前記細胞に導入された1又はそれ以上のベクターから前記チャネル及び/又は前記p11ペプチドを発現させる請求項16又は17に記載の方法。
  20. (i)その細胞中のp11濃度を増大させることによりSNSナトリウムチャネルの機能活性を高めてある細胞を用意し、
    (ii)前記細胞中の前記チャネルと試験化合物とを接触させ、及び
    (iii)前記チャネルの活性を測定する、
    ステップを含む請求項1記載の方法。
  21. (i)SNSナトリウムチャネルとp11が調節因子なしで複合体を形成できる条件下で、前記SNSナトリウムチャネル、前記p11及び推定上の調節因子化合物を接触させ、及び
    (ii)前記調節因子化合物によって引き起こされる複合体形成が阻害される度合を測定する、
    ステップを含む請求項1記載の方法。
  22. (i)SNSナトリウムチャネルとp11が調節因子なしで複合体を形成できる条件下で、前記SNSナトリウムチャネル、前記p11及び推定上の調節因子化合物を接触させ、
    (ii)前記SNSナトリウムチャネルが存在する膜を通過するナトリウム電流を生じるような刺激物質に前記SNSナトリウムチャネルを曝し、及び
    (iii)前記調節因子化合物によって引き起こされる前記電流が阻害される度合を測定する、
    ステップを含む請求項1記載の方法。
  23. 前記試験化合物を医薬組成物として配合するステップをさらに含む請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記配合物を個体に投与して痛みを治療することをさらに含む請求項23記載の方法。
  25. 細胞中での電位作動型ナトリウムチャネル(VGSC)の機能発現を高める方法であって、前記細胞中のp11レベルを増大させるステップを含む方法。
  26. 前記VGSCは、請求項5〜12のいずれか一項で規定したとおりである請求項25記載の方法。
  27. 前記p11は、請求項13〜15のいずれか一項で規定したとおりである請求項25又は26に記載の方法。
  28. 請求項1〜24のいずれか一項の方法によって同定された化合物。
  29. VGSC及びp11ペプチドを発現させることのできる宿主細胞であって、前記VGSC及び/又は前記p11ペプチドが前記細胞内の1又はそれ以上の異種の発現ベクターから発現される宿主細胞。
  30. 電位作動型ナトリウムチャネルの機能発現を調節する医薬の製造における、請求項1〜24のいずれか一項の方法によって同定された化合物の使用。
  31. 電位作動型ナトリウムチャネルの機能発現を調節する医薬の製造における、p11の活性もしくは発現阻害剤の使用。
  32. 前記医薬は鎮痛をもたらすためのものである請求項30又は31に記載の使用。
  33. 前記医薬は、慢性痛を軽減するためのものである請求項30、31又は32に記載の使用。
  34. p11の前記活性又は発現阻害剤は、前記p11ペプチドに特異的な抗体又はその断片、及び前記p11ペプチドをコードしている配列に対するアンチセンスcDNAとから選択されている請求項30〜33のいずれか一項に記載の使用。
  35. 前記抗体又はその断片は、配列番号4のアミノ酸33〜77によって規定されるp11タンパク質領域中のエピトープに対するものである請求項34記載の使用。
  36. 電位作動型ナトリウムチャネルの活性に関連した障害又は状態を治療する方法であって、その必要のある個体に、請求項1〜24のいずれか一項の方法によって同定された化合物、又はp11の活性もしくは発現阻害剤を投与することを含む方法。
  37. (a)配列番号2のアミノ酸75からアミノ酸102の配列、又は
    (b)(a)に対して少なくとも65%のアミノ酸配列同一性を有する配列、
    のうちの少なくとも10個の連続したアミノ酸を含むペプチドであって、
    p11ペプチドを特異的に結合することができ、長さがアミノ酸1000個未満であるペプチド。
  38. (a)配列番号4のアミノ酸33からアミノ酸77の配列、又は
    (b)(a)に対して少なくとも70%のアミノ酸配列同一性を有する配列、
    のうちの少なくとも10個の連続したアミノ酸を含むペプチドであって、
    電位作動型ナトリウムチャネルに特異的に結合することができ、長さがアミノ酸80個未満であるペプチド。
  39. (a)又は(b)のうちの少なくとも15、20、又は25個の連続したアミノ酸を含む請求項37又は38に記載のペプチド。
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