JP2005350274A - 有機質肥料および有機質肥料製造方法 - Google Patents

有機質肥料および有機質肥料製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】果樹、野菜および水稲等の農作物を栽培する際の施肥作業の軽減、および安全な農作物の生産を実現し得る有機質肥料を提供する。
【解決手段】複数種類の植物性有機質原料を混合した混合原料をペレット状、粒状、タブレット状およびフレーク状のいずれかの形状に成形して構成され、混合原料は、植物性有機質原料としての米ぬかおよびなたね油かすを含有すると共に、乾燥状態における米ぬかおよびなたね油かすの組成比をそれぞれa重量%およびb重量%で表したときに、40≦a≦60、40≦b≦60、a+b≦100の条件を満たすように構成されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、ペレット状、粒状、タブレット状およびフレーク状のいずれかの形状に成形した有機質肥料およびその有機質肥料を製造する有機質肥料製造方法に関するものである。
食品の安全性への関心が高まり、有機質肥料を用いた有機栽培によって生産された農作物に対する需要が増加している状況下において、今日、様々な有機質肥料が開発されている。一方、農作物の生産力を維持するためには、植物の生育に不可欠な窒素、リン酸およびカリ(以下、これらを「3要素」ともいう)を圃場にバランスよく供給する必要がある。この場合、所定量の有機物を施用することにより、3要素の内の窒素およびカリについては、土壌中におけるこれらの含有量を農作物に必要な量に維持することができる。しかしながら、火山灰土を多く含む日本の土壌ではリン酸の固定力が強く、施用したリン酸の内の5〜10%が農作物に吸収されるのみで、他の多くが土壌中のカルシウム等と反応して難溶性(植物による吸収が困難な状態)のリン酸カルシウム等となって土壌中に蓄積されている。したがって、圃場へのリン酸の十分な供給と共に、土壌中に蓄積している難溶性のリン酸カルシウム等の可溶化が、農作物の生産力を向上させる上での重要な要素となっている。このような状況下において、リン酸を特に多く含み、難溶性リン酸の可溶化作用を有するリン酸溶解菌(リン溶解菌)等の微生物に対する活性増殖効果が顕著な米ぬかが、有機質肥料の原料として近年注目されている。この米ぬかを原料に用いた有機質肥料として、特開平6−287096号公報に開示された有機質肥料が知られている。この有機質肥料は、主原料としての米ぬかと有効微生物との複合物をペレット体に成形して構成されている。
特開平6−287096号公報(第2頁)
ところが、従来の有機質肥料には、以下の問題点がある。すなわち、この有機質肥料は、米ぬかのみを主原料として製造されている。この場合、図5に示すように、米ぬかは、一般的に、窒素を2.3%程度、リン酸を5.5%程度、カリを1.7%程度それぞれ含有していることが発明者の測定結果から明らかとなっている。一方、例えば、果樹用の元肥としては、図8の上段に示すように、一般的に、窒素を3.7〜4.6%程度、リン酸を3.8〜4.4%程度、カリを1.4〜1.6%程度それぞれ含有しているのが好ましいことが発明者によって確認されている。このため、従来の有機質肥料を果樹の元肥として使用する際には、窒素の含有率が低いため、その分を他の肥料で補う必要があり、その分、施肥作業が煩雑となっているという問題点がある。一方、特開2003−356390号公報には、窒素成分、リン酸成分およびカリ成分の含有率が対象作物の生育に適した値となるように、生ゴミを初めとする数多くの種類の原料を混合することにより、これらの各成分の含有率を調整して肥料を製造する肥料製造方法が開示されている。しかしながら、この肥料製造方法では、組成の不明な生ゴミや、重金属および抗生物質等が残留しているおそれのある牛糞などを原料としているため、農作物の安全性を確保するのが困難であるという問題点が存在する。また、この肥料製造方法では、組成の不明な生ゴミを初めとする数多くの種類の原料を用いるため、各原料を混合した混合物中に含まれる窒素、リン酸およびカリの各成分の含有率を予め予測(算出)するのが困難である。したがって、成分調整を行う度に混合物中の各成分の含有率を測定する必要があるため、製造工程が複雑となっているという問題点も存在する。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、果樹、野菜および水稲等の農作物を栽培する際の施肥作業の軽減、および安全な農作物の生産を実現し得る有機質肥料を提供することを主目的とする。また、製造工程を簡略化し得る有機質肥料製造方法を提供することを他の主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載の有機質肥料は、複数種類の植物性有機質原料を混合した混合原料をペレット状、粒状、タブレット状およびフレーク状のいずれかの形状に成形して構成され、前記混合原料は、前記植物性有機質原料としての米ぬかおよびなたね油かすを含有すると共に、乾燥状態における前記米ぬかおよび前記なたね油かすの組成比をそれぞれa重量%およびb重量%で表したときに、40≦a≦60、40≦b≦60、a+b≦100の条件を満たすように構成されている。
また、請求項2記載の有機質肥料は、複数種類の植物性有機質原料を混合した混合原料をペレット状、粒状、タブレット状およびフレーク状のいずれかの形状に成形して構成され、前記混合原料は、前記植物性有機質原料としての米ぬか、なたね油かすおよび大豆油かすを含有すると共に、乾燥状態における前記米ぬか、前記なたね油かすおよび前記大豆油かすの組成比をそれぞれa重量%、b重量%およびc重量%で表したときに、20≦a≦40、10≦b≦30、40≦c≦60、a+b+c≦100の条件を満たすように構成されている。
また、請求項3記載の有機質肥料は、複数種類の植物性有機質原料を混合した混合原料をペレット状、粒状、タブレット状およびフレーク状のいずれかの形状に成形して構成され、前記混合原料は、前記植物性有機質原料としての米ぬかおよび大豆油かすを含有すると共に、乾燥状態における前記米ぬかおよび前記大豆油かすの組成比をそれぞれa重量%およびb重量%で表したときに、10≦a≦30、70≦b≦90、a+b≦100の条件を満たすように構成されている。
さらに、請求項4記載の有機質肥料製造方法は、複数種類の植物性有機質原料を混合して混合原料を生成し、当該混合原料を所定の含水率となるように水分調整し、当該水分調整した混合原料をペレット状、粒状、タブレット状およびフレーク状のいずれかの形状に成形し、当該いずれかの形状に成形した混合原料を乾燥して有機質肥料を製造する際に、前記植物性有機質原料としての米ぬかおよびなたね油かすを用いると共に、乾燥状態における前記米ぬかおよび前記なたね油かすの組成比をそれぞれa重量%およびb重量%で表したときに、40≦a≦60、40≦b≦60、a+b≦100の条件を満たすように前記混合原料を生成する。
また、請求項5記載の有機質肥料製造方法は、複数種類の植物性有機質原料を混合して混合原料を生成し、当該混合原料を所定の含水率となるように水分調整し、当該水分調整した混合原料をペレット状、粒状、タブレット状およびフレーク状のいずれかの形状に成形し、当該いずれかの形状に成形した混合原料を乾燥して有機質肥料を製造する際に、前記植物性有機質原料としての米ぬか、なたね油かすおよび大豆油かすを用いると共に、乾燥状態における前記米ぬか、前記なたね油かすおよび前記大豆油かすの組成比をそれぞれa重量%、b重量%およびc重量%で表したときに、20≦a≦40、10≦b≦30、40≦c≦60、a+b+c≦100の条件を満たすように前記混合原料を生成する。
また、請求項6記載の有機質肥料製造方法は、複数種類の植物性有機質原料を混合して混合原料を生成し、当該混合原料を所定の含水率となるように水分調整し、当該水分調整した混合原料をペレット状、粒状、タブレット状およびフレーク状のいずれかの形状に成形し、当該いずれかの形状に成形した混合原料を乾燥して有機質肥料を製造する際に、前記植物性有機質原料としての米ぬかおよび大豆油かすを用いると共に、乾燥状態における前記米ぬかおよび前記大豆油かすの組成比をそれぞれa重量%およびb重量%で表したときに、10≦a≦30、70≦b≦90、a+b≦100の条件を満たすように前記混合原料を生成する。
請求項1記載の有機質肥料および請求項4記載の有機質肥料製造方法によれば、植物性有機質原料としての米ぬかおよびなたね油かすを含有する混合原料を用いると共に、乾燥状態における米ぬかおよびなたね油かすの組成比をそれぞれa重量%およびb重量%で表したときに、40≦a≦60、40≦b≦60、a+b≦100の条件を満たすように混合原料を構成したことにより、複数種類の肥料を施肥することなくこの有機質肥料だけで果樹の生育に適した含有率で3要素を圃場に補給することができるため、果樹の有機栽培における施肥作業を軽減することができる。また、組成の不明な生ゴミや、重金属および抗生物質等が残留するおそれのある動物性の有機質原料を含ませることなく、由来の明らかな植物性有機質原料である米ぬかおよびなたね油かすだけを原料としているため、安全性の高い果樹作物を生産することができる。また、上記の条件に従って米ぬかおよびなたね油かすを混合することで、3要素の含有率を果樹用の元肥に適した値に確実に調整することができるため、製造工程を簡略化することができる。
また、請求項2記載の有機質肥料および請求項5記載の有機質肥料製造方法によれば、植物性有機質原料としての米ぬか、なたね油かすおよび大豆油かすを含有する混合原料を用いると共に、乾燥状態における米ぬか、なたね油かすおよび大豆油かすの組成比をそれぞれa重量%、b重量%およびC重量%で表したときに、20≦a≦40、10≦b≦30、40≦c≦60、a+b+c≦100の条件を満たすように混合原料を構成したことにより、複数種類の肥料を施肥することなくこの有機質肥料だけで野菜や水稲の生育に適した含有率で3要素を圃場に補給することができるため、野菜や水稲の有機栽培における施肥作業を軽減することができる。また、組成の不明な生ゴミや、重金属および抗生物質等が残留するおそれのある動物性の有機質原料を含ませることなく、由来の明らかな植物性有機質原料である米ぬか、なたね油かすおよび大豆油かすだけを原料としているため、安全性の高い野菜や水稲を生産することができる。また、上記の条件に従って米ぬか、なたね油かすおよび大豆油かすを混合することで、3要素の含有率を野菜や水稲の元肥に適した値に確実に調整することができるため、製造工程を簡略化することができる。
また、請求項3記載の有機質肥料および請求項6記載の有機質肥料製造方法によれば、植物性有機質原料としての米ぬかおよび大豆油かすを含有する混合原料を用いると共に、乾燥状態における米ぬかおよび大豆油かすの組成比をそれぞれa重量%およびb重量%で表したときに、10≦a≦30、70≦b≦90、a+b≦100の条件を満たすように混合原料を構成したことにより、複数種類の肥料を施肥することなくこの有機質肥料だけで一般農作物の生育に適した含有率で3要素を圃場に補給することができるため、一般農作物の有機栽培における施肥作業を軽減することができる。また、組成の不明な生ゴミや、重金属および抗生物質等が残留するおそれのある動物性の有機質原料を含ませることなく、由来の明らかな植物性有機質原料である米ぬかおよび大豆油かすだけを原料としているため、安全性の高い一般農作物を生産することができる。また、上記の条件に従って米ぬかおよび大豆油かすを混合することで、3要素の含有率を一般農作物の追肥に適した値に確実に調整することができるため、製造工程を簡略化することができる。
以下、本発明に係る有機質肥料および有機質肥料製造方法の最良の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、図1に示す製造装置1の構成について説明する。製造装置1は、本発明に係る有機質肥料製造方法に従って有機質肥料21(図3,4参照)を製造する装置であって、混合装置11、原料タンク12、水分調整装置13、ペレット成形装置14、乾燥・冷却装置15、製品タンク16および計量・充填装置17を備えて構成されている。この場合、製造装置1を構成する各装置およびタンクの間には、原料や製品(有機質肥料21)を搬送するためのベルトコンベヤやスクリューコンベヤ(いずれも図示せず)が設置されている。混合装置11は、投入された複数種類の原料を混合し、原料タンク12は、混合装置11によって混合された混合原料を貯留する。水分調整装置13は、蒸気吹付け機および撹拌機を備え、混合原料が所定の含水率となるように水分調整する。ペレット成形装置(ペレットマシン)14は、水分調整された混合原料をペレット状に成形する。なお、ペレット成形装置14に代えて、エクストルーダーを用いることもできる。乾燥・冷却装置15は、ペレット状に成形した混合原料を乾燥しつつ冷却し、製品タンク16は、乾燥および冷却を終了した混合原料(つまり有機質肥料21)を貯留する。計量・充填装置17は、所定重量分の有機質肥料21を計量して肥料袋31(図3参照)またはフレキシブルコンテナ41(図4参照)に充填する。
一方、有機質肥料21は、本発明に係る有機質肥料の一例であって、複数種類の植物性有機質原料のみを用いて、上記の製造装置1によって製造される。また、有機質肥料21は、直径が4mm程度でかつ長さが10〜15mm程度のペレット状(円柱状)に成形されている。さらに、有機質肥料21は、主として果樹用の元肥としての使用に適合するように成分調整されている。具体的には、長期間に亘って栽培される果樹は継続的な施肥によるカリ過多に起因する弊害が発生しやすいため、果樹用の元肥としては、図8の上段に示すように、3要素の内のカリの含有率を比較的低く抑えるのが好ましいことが発明者によって確認されている。また、果樹用の元肥の原料としては、上記したようにリン酸の十分な供給と難溶性リン酸の可溶化の観点から植物性有機質原料としての米ぬかを用いると共に、分解無機化が緩やかに進行する植物性有機質原料としてのなたね油かす(なたねを圧搾した残渣)を用いるのが好ましい。このため、有機質肥料21は、例えば図5に示す各含有率の3要素を含有する米ぬか、および同図に示すように、窒素を6.0%程度、リン酸を2.7%程度、カリを1.3%程度それぞれ含有するなたね油かすを混合した混合原料を用いることにより、3要素の含有率が主として果樹用の元肥としての使用に適した値(図8の上段参照)の範囲内となるように調整されている。この場合、有機質肥料21用の混合原料は、乾燥状態における米ぬかおよびなたね油かすの組成比をそれぞれa重量%およびb重量%で表したときに、a=50およびb=50(本発明における、40≦a≦60、40≦b≦60、a+b≦100を満たす条件の一例)の条件を満たすように、つまり、互いに同じ重量の米ぬかおよびなたね油かすを含有するように構成されている。なお、本発明におけるなたね油かすには、その粉末も含まれる。
次に、製造装置1を用いて有機質肥料21を製造する製造工程50について、図2を参照して説明する。まず、植物性有機質原料としての米ぬかおよびなたね油かすの含水率を測定し、その測定結果に基づいて乾燥状態における重量が互いに同じになるように米ぬかおよびなたね油かすを計量して混合装置11に投入する(原料投入工程51)。次いで、混合装置11を作動させて米ぬかとなたね油かすとを混合する(混合工程52)。これにより、米ぬかおよびなたね油かすの組成比がそれぞれ50重量%となるように構成された混合原料が生成される。続いて、生成した混合原料を原料タンク12に投入する。次に、原料タンク12から水分調整装置13に混合原料を移動して水分調整装置13を作動させる。この際に、水分調整装置13の蒸気吹付け機が混合原料に蒸気を吹付け、撹拌機が混合原料を攪拌することにより、混合原料の含水率が例えば50重量%程度(本発明における所定の含水率の一例)となるように水分調整される(水分調整工程53)。次いで、水分調整した混合原料をペレット成形装置14に投入してペレット成形装置14を作動させる。この際に、ペレット成形装置14が、混合原料を例えば直径が4mm程度で長さが10〜15mm程度のペレット状に成形する(ペレット成形工程54)。
続いて、このペレット状の混合原料を乾燥・冷却装置15に移動して乾燥・冷却装置15を作動させる。この際に、乾燥・冷却装置15は、ペレット状の混合原料の含水率が例えば10重量%程度になるまで乾燥しつつ冷却する(乾燥・冷却工程55)。これにより、有機質肥料21が完成する。この場合、有機質肥料21がペレット状に成形されているため、散布機等を用いて有機質肥料21を圃場に均一に散布することができる。次に、乾燥および冷却を終了した有機質肥料21を製品タンク16に貯留する。次いで、計量・充填装置17を用いて、製品タンク16に貯留されている有機質肥料21を例えば15kgずつ計量して、計量した有機質肥料21を図3に示す肥料袋31に充填する(計量・充填工程56)。この場合、肥料袋31に代えて、例えば図4に示す大形のフレキシブルコンテナ41を用いて、有機質肥料21を例えば500kgずつ充填してもよい。
なお、有機質肥料21中の3要素を測定した結果、図6に示すように、窒素、リン酸およびカリの含有率が、それぞれ4.3重量%、4.1重量%および1.4重量%であった。一方、果樹用の元肥に適した肥料中の窒素、リン酸およびカリの含有率は、図8の上段に示すように、それぞれ3.7〜4.6重量%、3.8〜4.4重量%および1.4〜1.6重量%の範囲内であるのが好ましい。以上のことから、有機質肥料21が果樹用の元肥に適しているのが明らかである。また、有機質肥料21の原料として用いた図5に示す含有率の3要素を含む米ぬかおよびなたね油かすの組成比をそれぞれa重量%およびb重量%で表したときに、40≦a≦60、40≦b≦60およびa+b≦100の条件を満たすようにaおよびbの値を変更して、その際における混合原料(有機質肥料)に含まれる3要素の含有率を計算した。この結果、この条件を満たす限り、3要素の含有率が、それぞれ上記した果樹用の元肥に適した数値の範囲内であった。したがって、米ぬかおよびなたね油かすを上記の条件に従って混合して混合原料を構成することで、3要素の含有率を果樹用の元肥に適した値に確実に調整することができる。
このように、この有機質肥料21によれば、植物性有機質原料としての米ぬかおよびなたね油かすをその乾燥状態における組成比がそれぞれ50重量%となるように混合した混合原料を用いたことにより、複数種類の肥料を施肥することなく有機質肥料21だけで果樹の生育に適した含有率で3要素を圃場に補給することができる。したがって、果樹の有機栽培における施肥作業を軽減することができる。また、組成の不明な生ゴミや、重金属および抗生物質等が残留するおそれのある動物性の有機質原料を含ませることなく、由来の明らかな植物性有機質原料である米ぬかおよびなたね油かすだけを原料としているため、安全性の高い農作物(果樹作物)を生産することができる。
また、この有機質肥料製造方法によれば、乾燥状態における重量が互いに同じになるように米ぬかおよびなたね油かすを混合することで、3要素の含有率を果樹用の元肥に適した値に確実に調整することができるため、製造工程を簡略化することができる。
次に、有機質肥料22(本発明に係る有機質肥料の他の一例。図3,4参照)について説明する。この有機質肥料22は、複数種類の植物性有機質原料のみを用いて、上記の製造装置1によって製造される。また、有機質肥料22は、有機質肥料21と同様にしてペレット状に成形されている。さらに、有機質肥料22は、主として野菜や水稲用の元肥としての使用に適合するように成分調整されている。具体的には、生育期間が短くしかも圃場における収穫後の残渣の残留が少ない野菜や水稲用の元肥としては、図8の中段に示すように、3要素の内の窒素およびカリの含有率を比較的高くするのが好ましいことを発明者は確認している。また、野菜や水稲用の元肥の原料としては、有機質肥料21と同様にしてリン酸の十分な供給と難溶性リン酸の可溶化の観点から植物性有機質原料としての米ぬかを用いると共に、分解無機化を継続的に行わせるために、分解無機化が緩やかに進行する植物性有機質原料としてのなたね油かす、および分解無機化が速やかに進行する植物性有機質原料としての大豆油かす(大豆を圧搾した残渣)を用いるのが好ましい。このため、有機質肥料22は、例えば図5に示す含有率の3要素を含む米ぬかおよびなたね油かす、並びに同図に示すように、窒素を7.3%程度、リン酸を1.5%程度、カリを2.2%程度それぞれ含有する大豆油かすを混合した混合原料を用いることにより、3要素の含有率が主として野菜や水稲用の元肥としての使用に適した値(図8の中段参照)の範囲内となるように調整されている。この場合、有機質肥料22用の混合原料は、乾燥状態における米ぬか、なたね油かすおよび大豆油かすの組成比をそれぞれa重量%、b重量%およびc重量%で表したときに、a=30、b=20およびc=50(本発明における、20≦a≦40、10≦b≦30、40≦c≦60、a+b+c≦100の一例)の条件を満たすように構成されている。なお、本発明における大豆油かすには、その粉末も含まれる。
この有機質肥料22を製造する際には、上記の製造工程50内の原料投入工程51において、植物性有機質原料としての米ぬか、なたね油かすおよび大豆油かすの含水率を測定し、その測定結果に基づいて乾燥状態における組成比がそれぞれ30重量%、20重量%および50重量%となるようにこれらを計量して混合装置11に投入する。次に、有機質肥料21の製造と同様にして、混合工程52、水分調整工程53、ペレット成形工程54および乾燥・冷却工程55を実行する。これにより、有機質肥料22が完成する。
なお、米ぬか、なたね油かすおよび大豆油かすの組成比(この例ではそれぞれ30重量%、20重量%および50重量%)、並びに図5に示す米ぬかおよび大豆油かすの成分構成に基づいて有機質肥料22中に含まれる3要素の含有率を計算した。この結果、図7の上段に示すように、窒素、リン酸およびカリの含有率が、それぞれ5.5重量%、2.9重量%および1.8重量%であった。一方、野菜や水稲用の元肥に適した窒素、リン酸およびカリの含有率は、図8の中段に示すように、それぞれ5.1〜6.2重量%、2.4〜3.3重量%および1.8〜2.0重量%の範囲内であるのが好ましい。以上のことから、有機質肥料22が野菜や水稲用の元肥に適しているのが明らかである。また、有機質肥料22の原料として用いた図5に示す含有率の3要素を含む米ぬか、なたね油かすおよび大豆油かすの組成比をそれぞれa重量%、b重量%およびc重量%で表したときに、20≦a≦40、10≦b≦30、40≦c≦60、a+b+c≦100の条件を満たすようにa、bおよびcの値を変更して、その際における混合原料(有機質肥料)に含まれる3要素の含有率を計算した。この結果、この条件を満たす限り、3要素の含有率が、それぞれ上記した野菜や水稲用の元肥に適した数値の範囲内であった。したがって、米ぬか、なたね油かすおよび大豆油かすをこの条件に従って混合して混合原料を構成することで、3要素の含有率を野菜や水稲用の元肥に適した値に確実に調整することができる。
この有機質肥料22によれば、植物性有機質原料としての米ぬか、なたね油かすおよび大豆油かすをその乾燥状態における組成比がそれぞれ30重量%、20重量%および50重量%となるように混合した混合原料を用いたことにより、複数種類の肥料を施肥することなく有機質肥料22だけで野菜や水稲の生育に適した含有率で3要素を圃場に補給することができるため、野菜や水稲の有機栽培における施肥作業を軽減することができる。また、由来の明らかな植物性有機質原料である米ぬか、なたね油かすおよび大豆油かすだけを原料としているため、安全性の高い野菜や水稲を生産することができる。また、この有機質肥料製造方法によれば、米ぬか、なたね油かすおよび大豆油かすをその乾燥状態における組成比がそれぞれ30重量%、20重量%および50重量%となるように混合することで、3要素の含有率を野菜や水稲用の元肥に適した値に確実に調整することができるため、製造工程を簡略化することができる。
次に、有機質肥料23(本発明に係る有機質肥料のさらに他の一例)について説明する。この有機質肥料23は、複数種類の植物性有機質原料のみを用いて、上記の製造装置1によって製造される。また、有機質肥料23は、有機質肥料21,22と同様のペレット状に成形されている。さらに、有機質肥料23は、主として一般農作物用の追肥としての使用に適合するように成分調整されている。具体的には、一般農作物用の追肥としては、図8の下段に示すように、3要素の内の窒素の含有率を高くするのが好ましいことを発明者は確認している。また、一般農作物用の追肥の原料としては、有機質肥料21,22と同様にして、リン酸の十分な供給と難溶性リン酸の可溶化の観点から植物性有機質原料としての米ぬかを用いると共に、分解無機化が速やかに進行する植物性有機質原料としての大豆油かすを用いるのが好ましい。このため、有機質肥料23は、例えば図5に示す含有率の3要素を含む米ぬかおよび大豆油かすを混合した混合原料を用いることにより、3要素の含有率が主として一般農作物用の追肥としての使用に適した値(図8の下段参照)の範囲内となるように調整されている。この場合、有機質肥料23用の混合原料は、乾燥状態における米ぬかおよび大豆油かすの組成比をそれぞれa重量%およびb重量%で表したときに、a=20およびb=80(本発明における、10≦a≦30、70≦b≦90、a+b≦100の一例)の条件を満たすように構成されている。
この有機質肥料23を製造する際には、上記の製造工程50内の原料投入工程51において、植物性有機質原料としての米ぬかおよび大豆油かすの含水率を測定し、その測定結果に基づいて乾燥状態における組成比がそれぞれ20重量%および80重量%となるようにこれらを計量して混合装置11に投入する。次に、有機質肥料21の製造と同様にして、混合工程52、水分調整工程53、ペレット成形工程54および乾燥・冷却工程55を実行する。これにより、有機質肥料23が完成する。
なお、米ぬかおよび大豆油かすの組成比(この例ではそれぞれ20重量%および80重量%)、並びに図5に示す米ぬかおよび大豆油かすの成分構成に基づいて有機質肥料23中に含まれる3要素の含有率を計算した。この結果、図7の下段に示すように、窒素、リン酸およびカリの含有率が、それぞれ6.3重量%、2.3重量%および2.1重量%であった。一方、一般農作物用の追肥に適した窒素、リン酸およびカリの含有率は、図8の下段に示すように、それぞれ5.8〜6.8重量%、1.9〜2.7重量%および2.0〜2.2重量%の範囲内であるのが好ましい。以上のことから、有機質肥料23が一般農作物用の追肥に適しているのが明らかである。また、有機質肥料23の原料として用いた図5に示す含有率の3要素を含む米ぬかおよび大豆油かすの組成比をそれぞれa重量%およびb重量%で表したときに、10≦a≦30、70≦b≦90、a+b≦100の条件を満たすようにaおよびbの値を変更して、その際における混合原料(有機質肥料)に含まれる3要素の含有率を計算した。この結果、この条件を満たす限り、3要素の含有率が、それぞれ上記した一般農作物用の追肥に適した数値の範囲内であった。したがって、米ぬかおよび大豆油かすをこの条件に従って混合して混合原料を構成することで、3要素の含有率を一般農作物用の追肥に適した値に確実に調整することができる。
この有機質肥料23によれば、植物性有機質原料としての米ぬかおよび大豆油かすをその乾燥状態における組成比がそれぞれ20重量%および80重量%となるように混合した混合原料を用いたことにより、複数種類の肥料を施肥することなく有機質肥料23だけで一般農作物の生育に適した含有率で3要素を圃場に補給することができるため、一般農作物の有機栽培における施肥作業を軽減することができる。また、由来の明らかな植物性有機質原料である米ぬかおよび大豆油かすだけを原料としているため、安全性の高い農作物を生産することができる。また、この有機質肥料製造方法によれば、米ぬかおよび大豆油かすをその乾燥状態における組成比がそれぞれ20重量%および80重量%となるように混合することで、3要素の含有率を一般農作物用の追肥に適した値に確実に調整することができるため、製造工程を簡略化することができる。
なお、本発明は上記の構成に限定されない。例えば、有機質肥料21,22,23をペレット状に成形した例について上記したが、これらの形状については、ペレット状に限定されず、粒状、タブレット状およびフレーク状等の形状に成形してもよい。
製造装置1の構成を示すブロック図である。 製造工程50の工程図である。 有機質肥料21(または有機質肥料22,23)を充填した肥料袋31の斜視図である。 有機質肥料21(または有機質肥料22,23)を充填したフレキシブルコンテナ41の斜視図である。 米ぬか、なたね油かすおよび大豆油かすにそれぞれ含まれる3要素の含有率を示す一覧図である。 有機質肥料21に含まれる3要素の含有率についての測定値を示す一覧図である。 有機質肥料22,23にそれぞれ含まれる3要素の含有率についての計算値を示す一覧図である。 果樹用元肥、野菜・水稲用元肥および一般農作物用追肥にそれぞれ適した3要素の含有率を示す一覧図である。
符号の説明
1 製造装置
11 混合装置
13 水分調整装置
14 ペレット成形装置
15 乾燥・冷却装置
21〜23 有機質肥料

Claims (6)

  1. 複数種類の植物性有機質原料を混合した混合原料をペレット状、粒状、タブレット状およびフレーク状のいずれかの形状に成形して構成され、
    前記混合原料は、前記植物性有機質原料としての米ぬかおよびなたね油かすを含有すると共に、乾燥状態における前記米ぬかおよび前記なたね油かすの組成比をそれぞれa重量%およびb重量%で表したときに、
    40≦a≦60、
    40≦b≦60、
    a+b≦100
    の条件を満たすように構成されている有機質肥料。
  2. 複数種類の植物性有機質原料を混合した混合原料をペレット状、粒状、タブレット状およびフレーク状のいずれかの形状に成形して構成され、
    前記混合原料は、前記植物性有機質原料としての米ぬか、なたね油かすおよび大豆油かすを含有すると共に、乾燥状態における前記米ぬか、前記なたね油かすおよび前記大豆油かすの組成比をそれぞれa重量%、b重量%およびc重量%で表したときに、
    20≦a≦40、
    10≦b≦30、
    40≦c≦60、
    a+b+c≦100
    の条件を満たすように構成されている有機質肥料。
  3. 複数種類の植物性有機質原料を混合した混合原料をペレット状、粒状、タブレット状およびフレーク状のいずれかの形状に成形して構成され、
    前記混合原料は、前記植物性有機質原料としての米ぬかおよび大豆油かすを含有すると共に、乾燥状態における前記米ぬかおよび前記大豆油かすの組成比をそれぞれa重量%およびb重量%で表したときに、
    10≦a≦30、
    70≦b≦90、
    a+b≦100
    の条件を満たすように構成されている有機質肥料。
  4. 複数種類の植物性有機質原料を混合して混合原料を生成し、当該混合原料を所定の含水率となるように水分調整し、当該水分調整した混合原料をペレット状、粒状、タブレット状およびフレーク状のいずれかの形状に成形し、当該いずれかの形状に成形した混合原料を乾燥して有機質肥料を製造する際に、
    前記植物性有機質原料としての米ぬかおよびなたね油かすを用いると共に、乾燥状態における前記米ぬかおよび前記なたね油かすの組成比をそれぞれa重量%およびb重量%で表したときに、
    40≦a≦60、
    40≦b≦60、
    a+b≦100
    の条件を満たすように前記混合原料を生成する有機質肥料製造方法。
  5. 複数種類の植物性有機質原料を混合して混合原料を生成し、当該混合原料を所定の含水率となるように水分調整し、当該水分調整した混合原料をペレット状、粒状、タブレット状およびフレーク状のいずれかの形状に成形し、当該いずれかの形状に成形した混合原料を乾燥して有機質肥料を製造する際に、
    前記植物性有機質原料としての米ぬか、なたね油かすおよび大豆油かすを用いると共に、乾燥状態における前記米ぬか、前記なたね油かすおよび前記大豆油かすの組成比をそれぞれa重量%、b重量%およびc重量%で表したときに、
    20≦a≦40、
    10≦b≦30、
    40≦c≦60、
    a+b+c≦100
    の条件を満たすように前記混合原料を生成する有機質肥料製造方法。
  6. 複数種類の植物性有機質原料を混合して混合原料を生成し、当該混合原料を所定の含水率となるように水分調整し、当該水分調整した混合原料をペレット状、粒状、タブレット状およびフレーク状のいずれかの形状に成形し、当該いずれかの形状に成形した混合原料を乾燥して有機質肥料を製造する際に、
    前記植物性有機質原料としての米ぬかおよび大豆油かすを用いると共に、乾燥状態における前記米ぬかおよび前記大豆油かすの組成比をそれぞれa重量%およびb重量%で表したときに、
    10≦a≦30、
    70≦b≦90
    a+b≦100
    の条件を満たすように前記混合原料を生成する有機質肥料製造方法。
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