JP2005346850A - 光ピックアップ及び位相変調装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】
位相変調用液晶素子の液晶注入口の存在に起因する集光スポット不良を最小限に抑えることができる光ピックアップ及び位相変調装置を提供すること。
【解決手段】
位相変調用の第1液晶素子30Aにおいて、一対の基板40及び50を接着する第1シール32Aの第1液晶注入口32aと第1電極58とを結ぶ領域に、第1電極58に電気的に接続する第1給電配線51及び52が位置する。これにより、第1液晶素子30Aを透過する光において、第1給電配線51及び52に起因する不良位置と、環境温度変化などにより発生する第1液晶注入口32aに起因する不良位置とが、ほぼ重なり、不良の少ない光を得ることができる。
【選択図】 図3
位相変調用液晶素子の液晶注入口の存在に起因する集光スポット不良を最小限に抑えることができる光ピックアップ及び位相変調装置を提供すること。
【解決手段】
位相変調用の第1液晶素子30Aにおいて、一対の基板40及び50を接着する第1シール32Aの第1液晶注入口32aと第1電極58とを結ぶ領域に、第1電極58に電気的に接続する第1給電配線51及び52が位置する。これにより、第1液晶素子30Aを透過する光において、第1給電配線51及び52に起因する不良位置と、環境温度変化などにより発生する第1液晶注入口32aに起因する不良位置とが、ほぼ重なり、不良の少ない光を得ることができる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、光ディスクシステム、光磁気ディスクシステム、光カードシステムなどの各種光学式記録及び/または再生装置に用いられる光ピックアップに関する。
近年、光ディスクを用いた各種の記録/再生装置においては、光ディスクの記録容量を高めるために、光ピックアップの光源として短波長の半導体レーザ(LD)が利用され、また、対物レンズとしては開効率NAの高いレンズが用いられている。このようにLDの波長が短くなり、かつ対物レンズのNAが大きくなると、種々の製造誤差に対して容易に収差が増大し、光学性機能が劣化するという問題が生じる。そこで、この収差を補正する方法として、液晶素子を用いる方法がある。これは、レーザと対物レンズとの間に液晶素子を挿入し、透過光に所望の位相分布を与えるものである。すなわち、液晶素子を用いて、収差と逆の位相を対物レンズの入射光に予め与えることにより、結像面で無収差状態を得るものである。
上述の液晶素子は、一対の基板と、一対の基板を貼り合せる液晶注入口を有するシールと、一対の基板及びシールにより囲まれた領域内に挟持された液晶層とを有する。一対の基板にはそれぞれ電極が形成されており、一方の基板上には同心円状に分割された複数の電極が形成されている。そして、同心円状に分割された複数の電極に、所望の位相分布に従った電圧を別々に加えることにより、液晶素子を透過する透過光に対して所望の位相分布を与える(例えば、特許文献1参照。)。液晶素子を透過する光は、光ディスク上に集光される光スポットと1対1の関係にあり、例えば同心円状の複数の電極の中心はシールにより囲まれた領域のほぼ中心に位置し、光軸は同心円状の複数の電極の中心を通る。また、同心円状に分割された複数の電極が形成された基板上には、各電極に対して電圧を供給するための給電配線が設けられている。この給電配線は、給電配線に対応する領域が、光ディスクに照射される集光スポット内に位置するように、配置される。
一対の基板を貼り合せるシールは、矩形状の基板の外形に沿って一部が途切れたほぼ矩形状を有し、更にこの途切れ部分の2つの端部から基板辺に向かって延在した形状を有している。液晶注入口は、シールの矩形部分の途切れ部分から基板辺に向かって形成されたシールによって、形成される。液晶注入口からは液晶が一対の基板間へ注入され、液晶注入後、液晶注入口は封止材によって封止される。
特開2002−251774号公報(段落[0015]〜[0021]、図1及び図2)
上述のような液晶素子において、シールの平面形状は非点対称形状となっており、液晶素子の液晶層は平面的にみて非点対称形状となっている。ここで、仮に液晶層が平面的に点対称形状である場合、例えば温度上昇が生じると、液晶層では照射される光の光軸を中心にして基板面内均一に膨張が生じる。この場合、膨張による液晶素子の位相変化は光軸に対して軸対象な位相変化となるので、液晶素子を透過する光は、この光を集光する対物レンズのフォーカス位置を微調整することにより、容易に液晶の熱膨張による位相変化を除去することが可能である。しかしながら、実際には、液晶層の平面的な形状を点対象形状とすることは困難であり、非対称部分である液晶注入口付近に対応する領域では、環境温度変化による位相変化を除去することができない。従って、液晶注入口付近に対応する領域の集光スポット形状は不良となり、トラッキングサーボ特性が劣化したり、再生信号の周波数特性が劣化するといった問題があった。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、位相変調用液晶素子の液晶注入口の存在に起因する集光スポット不良を最小限に抑えることができる光ピックアップ及び位相変調装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の光ピックアップは、回転する光記録媒体に対して光を出射する光源と、前記光記録媒体に対して前記光源から出射された光の反射光を検出するフォトディテクタと、前記光源から前記光記録媒体に至る第1光路に設けられた位相変調用の第1液晶素子とを具備する光ピックアップにおいて、前記第1液晶素子は、一対の基板と、該一対の基板間に設けられた第1液晶注入口を有する第1シールと、前記一対の基板及び前記第1シールにより形成された空間内に挟持された第1液晶層と、前記基板上に設けられた第1電極と該第1電極に電気的に接続する第1給電配線と、を有し、前記光記録媒体に照射される光スポット内に前記第1給電配線に対応する領域が位置し、前記第1液晶素子において、前記第1光路の光軸と前記第1液晶注入口とを結ぶ領域に、前記第1給電配線が位置する。
本発明のこのような構成によれば、位相変調用の第1液晶素子を設けることにより、第1光路で生じる光学系の収差を、第1液晶素子で与えられた位相分布によって補正することができる。また、第1液晶素子において、第1光路の光軸と第1液晶注入口とを結ぶ領域に第1給電配線が位置するので、光記録媒体に対して照射される光スポットにおいて、第1給電配線に起因する不良位置と、環境温度変化などにより発生する第1液晶注入口に起因する不良位置とが、ほぼ重なる。従って、第1光路の光軸と第1液晶注入口とを結ぶ領域と、第1給電配線が位置する領域とが異なる場合と比較して、より不良の少ない光スポットを得ることができる。液晶素子の設計上、収差補正すべき領域内に第1給電配線が位置し、この第1給電配線が位置する領域には所望の電圧を印加できないため、光スポットの第1給電配線に対応する領域には不良が生じてしまい、所望の位相を形成することができない。そのため、光源から出射され、第1液晶素子を透過して、光記録媒体に照射される光スポットの第1給電配線に対応する領域では、位相乱れや強度不均一、かけなどの不良が存在することになる。また、第1液晶素子の第1シールは第1液晶注入口を有するため、一対の基板及び第1シールにより囲まれる空間内に挟持された第1液晶層は、平面的に非点対称な形状を有している。このため、第1液晶注入口付近は環境温度変化により所望の位相が得られず、光記録媒体に照射される光スポットの第1液晶注入口付近に対応する領域では、位相乱れや強度不均一、かけなどの不良が存在することになる。仮に液晶層が平面的に点対称形状である場合、例えば温度上昇が生じると、液晶層では基板面内均一に膨張が生じる。この場合、膨張による液晶素子の位相変化は光軸に対して軸対象な位相変化となるので、液晶素子を透過する光は、例えば、この光を集光する対物レンズのフォーカス位置を微調整するなどして、容易に液晶の熱膨張による位相変化を除去することが可能である。しかしながら、実際には、第1液晶層の平面的な形状を点対象形状とすることは困難であり、非対称部分である第1液晶注入口付近に対応する領域では、環境温度変化による位相変化を除去することができない。そこで、第1給電配線領域に起因する不良部分と、環境温度変化に伴う第1液晶注入口に起因する不良部分とが、同じ位置に発生するように、第1光路の光軸と第1液晶注入口とを結ぶ領域に第1給電配線を配置することにより、不良の少ない光スポットを得ることができる。
本発明の一の形態によれば、前記光記録媒体に照射される光スポットにおいて、前記第1給電配線に対応する領域が、前記光記録媒体の回転方向と半径方向との間の方位に位置するように、前記第1給電配線が配置されている。
このような構成によれば、光記録媒体に対して照射される光スポットにおいて、第1給電配線に対応する領域と、第1光路の光軸と第1液晶注入口とを結ぶ領域とが、光記録媒体の回転方向と半径方向との間の方位に位置するので、第1給電配線及び第1液晶注入口に起因する光スポットの不良の発生方向を特定することができ、再生信号の周波数特性の劣化やトラッキングサーボ特性の劣化の発生を最小限に抑えることができる。すなわち、例えば、第1給電配線に対応する領域と、第1光路の光軸と第1液晶注入口とを結ぶ領域を、光記録媒体における回転方向に沿って配置した場合、光スポットは回転方向に沿った不良を有することとなる。この場合、正確にピットパターンを読み取ることができず、正確な再生信号を検出できなくなり、再生信号の周波数特性が劣化してしまう。一方、第1給電配線に対応する領域と、第1光路の光軸と第1液晶注入口とを結ぶ領域を、光記録媒体における半径方向に沿って配置した場合、光スポットは半径方向に沿った不良を有することとなる。この場合、隣のトラックの信号をも検出してしまったり、正確なトラッキングサーボ信号を検出できなくなって、トラッキングサーボ特性が劣化してしまう。そこで、光記録媒体に対して照射される光スポットにおいて、第1給電配線に対応する領域と、第1光路の光軸と第1液晶注入口とを結ぶ領域とが、光記録媒体の回転方向と半径方向との間の方位に位置するように、第1給電配線及び第1液晶注入口を設けることにより、光スポットの不良が、回転方向と半径方向との間の方位に沿って発生し、光スポットの回転方向及び半径方向における解像度の低下を極力抑えることができる。従って、給電配線及び液晶注入口に起因する光スポット不良による影響、例えば再生信号の周波数特性の劣化やトラッキングサーボ特性の劣化を最小限に抑えることができる。
本発明の一の形態によれば、前記光記録媒体からフォトディテクタに至る第2光路に設けられた位相変調用の第2液晶素子を更に具備し、前記第2液晶素子は、一対の基板と、該一対の基板間に設けられた第2液晶注入口を有する第2シールと、前記一対の基板及び前記第2シールにより形成された空間内に挟持された第2液晶層と、前記基板上に設けられた第2電極と該第2電極に電気的に接続する第2給電配線と、を有し、前記光記録媒体に照射される光スポット内に前記第2給電配線に対応する領域が位置し、前記第2液晶素子において、前記第2光路の光軸と前記第2液晶注入口とを結ぶ領域に、前記第2給電配線が位置する。
このような構成によれば、位相変調用の第2液晶素子を設けることにより、第2光路で生じる光学系の収差を、第2液晶素子で与えられた位相分布によって補正することができる。また、第2液晶素子において、第2光路の光軸と第2液晶注入口とを結ぶ領域に第2給電配線が位置するので、フォトディテクタに対して照射される光スポットにおいて、第2給電配線に起因する不良位置と、環境温度変化などにより発生する第2液晶注入口に起因する不良位置とが、ほぼ重なる。従って、第2光路の光軸と第2液晶注入口とを結ぶ領域と、第2給電配線が位置する領域とが異なる場合と比較して、より不良の少ない光スポットを得ることができる。液晶素子の設計上、収差補正すべき領域内に第2給電配線が位置し、この第2給電配線が位置する領域には所望の電圧を印加できないため、光スポットの第2給電配線に対応する領域には不良が生じてしまい、所望の位相を形成することができない。そのため、第2液晶素子を透過して、フォトディテクタに照射される光スポットの第2給電配線に対応する領域では、位相乱れや強度不均一、かけなどの不良が存在することになる。また、第2液晶素子の第2シールは第2液晶注入口を有するため、一対の基板及び第2シールにより囲まれる空間内に挟持された第2液晶層は、平面的に非点対称な形状を有している。このため、第2液晶注入口付近は環境温度変化により所望の位相が得られず、フォトディテクタに照射される光スポットの第2液晶注入口付近に対応する領域では、位相乱れや強度不均一、かけなどの不良が存在することになる。仮に液晶層が平面的に点対称形状である場合、例えば温度上昇が生じると、液晶層では基板面内均一に膨張が生じる。この場合、膨張による液晶素子の位相変化は光軸に対して軸対象な位相変化となるので、液晶素子を透過する光は、例えば、この光を集光する対物レンズのフォーカス位置を微調整するなどして、容易に液晶の熱膨張による位相変化を除去することが可能である。しかしながら、実際には、第2液晶層の平面的な形状を点対象形状とすることは困難であり、非対称部分である第2液晶注入口付近に対応する領域では、環境温度変化による位相変化を除去することができない。そこで、第2給電配線領域に起因する不良部分と、環境温度変化に伴う第2液晶注入口に起因する不良部分とが、同じ位置に発生するように、第2光路の光軸と第2液晶注入口とを結ぶ領域に第2給電配線を配置することにより、不良の少ない光スポットを得ることができる。
本発明の一の形態によれば、前記第2液晶素子は前記第1光路に設けられ、前記第1給電配線及び前記第2給電配線とが平面的に重なり合うように前記第1液晶素子と前記第2液晶素子とが配置されている。
このように、第1光路と第2光路とが部分的に重なり、第2光路上で、かつ、第1光路上に第2液晶素子を設ける場合、第1給電配線と第2給電配線とを平面的に重なり合うように配置することにより、良好な光スポットを得ることができる。すなわち、第1光路に第2液晶素子が設けられている場合、本来、第1光路においては、第1液晶素子及び第2液晶素子を透過する光は、第1液晶素子により位相が補正され、第2液晶素子にはまったく影響されないことが望ましい。しかしながら、実際には、液晶素子に設けられる電極は透明性が完全でないため、例えば、第1電極が設けられている領域に対応して第2給電配線領域が位置するように第1液晶素子と第2液晶素子とを配置すると、第1液晶素子及び第2液晶素子を透過する光は、第1電極が設けられている領域内において、第2給電配線領域が位置する部分と、位置しない部分とで、わずかではあるが光量が異なり、光記録媒体に照射される光スポット内の光量が面内で不均一になるなどの問題がある。そこで、第1液晶素子の第1給電配線と第2液晶素子の第2給電配線とを平面的にほぼ重なり合う構造とすることにより、第1液晶素子及び第2液晶素子を透過する光は、第1液晶素子の所望の位相分布が形成される領域において、第2給電配線領域の存在による影響を受けることがないので、光記録媒体に対して良好な光スポットを照射することができる。また、第2光路においても第1液晶素子及び第2液晶素子が存在するので同様のことがいえる。すなわち、光記録媒体を反射し、第1液晶素子及び第2液晶素子を透過する光は、第2液晶素子の所望の位相分布が形成される領域において、第1給電配線領域の存在による影響を受けることがないので、フォトディテクタに対して良好な光スポットを照射することができる。
本発明の一の形態によれば、前記第1液晶素子を構成する一対の基板の一方の基板と、前記第2液晶素子を構成する一対の基板の一方の基板とは同一基板である。
このように、2つの液晶素子それぞれを構成する基板を共有し、2つの液晶素子を一体化させることができる。この場合、例えば2つの第1液晶素子及び第2液晶素子それぞれに設けられる第1液晶注入口及び第2液晶注入口を平面的に重なるように設けることにより、2つの液晶素子に対して同時に液晶注入を行い、また、共通の封止材により2つの液晶注入口を同時に封止することができ、液晶素子の製造効率を向上させることが可能となる。
本発明の一の形態によれば、前記光源から出射され前記第1液晶素子を通過し、前記光記録媒体を反射し、前記フォトディテクタに対して照射される光スポットにおける前記第1給電配線に対応する領域と、前記光源から出射され、前記光記録媒体を反射し、前記第2液晶素子を通過し、前記フォトディテクタに対して照射される光スポットにおける前記第2給電配線に対応する領域とは、一致している。
このような構成によれば、フォトディテクタに対して照射される光スポットにおいて、第1給電配線及び第1液晶注入口に起因する不良部分と、第2給電配線及び第2液晶注入口に起因する不良部分とを、同じ位置に配置することができ、不良部分の少ない良好な光スポットを得ることができる。
本発明の一の形態によれば、前記光源から出射された光を前記光記録媒体の情報記録面に集光させるための対物レンズと、前記光源と対物レンズとの間に配置された1/4波長板と、前記光源と1/4波長板との間に配置され、前記光源からの光を光記録媒体側に導くとともに、前記光記録媒体からの反射光を前記フォトディテクタに導く光分岐素子とを更に具備し、前記第1液晶素子は前記光源と1/4波長板との間に配置され、前記第2液晶素子は前記1/4波長板とフォトディテクタとの間に配置され、前記フォトディテクタに照射される光スポットにおいて、前記第1給電配線に対応する領域と前記第2給電配線領域に対応する領域とは一致する。
このような構成によれば、フォトディテクタに対して照射される光スポットにおいて、第1給電配線及び第1液晶注入口に起因する不良部分と、第2給電配線及び第2液晶注入口に起因する不良部分とを同じ位置に配置することができ、不良部分の少ない良好な光スポットを得ることができる。このように、第1給電配線と第2給電配線とを互いに対向する方位に位置するように設けることにより、
本発明の位相変調装置は、所定の間隙をおいて対向配置された一対の基板と、前記一対の基板を接着する液晶注入口を有するシールと、前記一対の基板と前記シールにより囲まれた空間内に挟持された液晶層と、前記一対の基板のうち少なくとも一方の基板の前記液晶層側の面に配置された電極と、前記電極に電気的に接続する給電配線とを具備する位相変調装置であって、前記電極の中心と前記液晶注入口を結ぶ領域に前記給電配線が位置することを特徴とする。
本発明のこのような構成によれば、位相変調装置を透過する光を、位相変調装置で与えられた位相分布によって補正することができる。また、電極の中心と液晶注入口とを結ぶ領域に給電配線が位置するので、位相変調装置を透過する光において、給電配線に起因する不良位置と、環境温度変化などにより発生する液晶注入口に起因する不良位置とが、ほぼ重なる。従って、電極の中心と液晶注入口とを結ぶ領域と、給電配線が位置する領域とが異なる場合と比較して、より不良の少ない光を得ることができる。位相変調装置の設計上、収差補正すべき領域内に給電配線が位置し、この給電配線が位置する領域には所望の電圧を印加できないため、位相変調装置を透過する光の給電配線に対応する領域には、所望の位相変調が行われていない不良が生じてしまう。また、位相変調装置のシールは液晶注入口を有するため、一対の基板及びシールにより囲まれる空間内に挟持された液晶層は、平面的に非点対称な形状を有している。このため、液晶注入口付近は環境温度変化により所望の位相が得られず、位相変調装置を透過する光において液晶注入口付近に対応する領域では所望の位相変調が行われていない不良が存在することになる。仮に液晶層が平面的に点対称形状である場合、例えば温度上昇が生じると、液晶層では基板面内均一に膨張が生じる。この場合、膨張による液晶素子の位相変化は光軸に対して軸対象な位相変化となるので、液晶素子を透過する光は、例えば、この光を集光する対物レンズのフォーカス位置を微調整するなどして、容易に液晶の熱膨張による位相変化を除去することが可能である。しかしながら、実際には、液晶層の平面的な形状を点対称形状とすることは困難であり、非対称部分である液晶注入口付近に対応する領域では、環境温度変化による位相変化を除去することができない。そこで、給電配線領域に起因する不良部分と、環境温度変化に伴う液晶注入口に起因する不良部分とが、同じ位置に発生するように、電極の中心と液晶注入口とを結ぶ領域に給電配線を配置することにより、不良の少ない透過光を得ることができる。
本発明の他の位相変調装置は、第1基板と、前記第1基板と所定の間隙をおいて対向配置された第2基板と、前記第2基板と所定の間隙をおいて対向配置された第3基板と、前記第1基板と前記第2基板とを接着する第1液晶注入口を有する第1シールと、前記第2基板と前記第3基板とを接着する第2液晶注入口を有する第2シールと、前記第1基板と前記第2基板と前記第1シールにより囲まれた空間内に挟持された第1液晶層と、前記第2基板と前記第3基板と前記第2シールにより囲まれた空間内に挟持された第2液晶層と、前記第1基板または前記第2基板のうち少なくとも一方の基板の前記第1液晶層側の面に設けられた第1電極及び該第1電極に電気的に接続する第1給電配線と、前記第2基板または前記第3基板のうち少なくとも一方の基板の前記第2液晶層側の面に設けられた第2電極及び該第2電極に電気的に接続する第2給電配線とを具備する位相変調装置であって、前記第1電極の中心と前記第1液晶注入口を結ぶ領域に前記第1給電配線が位置し、前記第2電極の中心と前記第2液晶注入口を結ぶ領域に前記第2給電配線が位置する。
本発明のこのような構成によれば、位相変調装置を透過する光を、位相変調装置で与えられた位相分布によって補正することができる。そして、2層の液晶層を有する位相変調装置とし、第1液晶層と第2液晶層それぞれの液晶の配向方向を異ならせることにより、位相変調装置に入射される光の偏光方向によってどの液晶層によって位相変調させるかを決定することができる。従って、例えばこのような位相変調装置を光ピックアップに設けた場合、位相変調装置により、異なる2つの光路それぞれの光路において好ましい位相変調を生じさせることができる。また、電極の中心と液晶注入口とを結ぶ領域に給電配線が位置するので、位相変調装置を透過する光において、給電配線に起因する不良位置と、環境温度変化などにより発生する液晶注入口に起因する不良位置とが、ほぼ重なる。従って、電極の中心と液晶注入口とを結ぶ領域と、給電配線が位置する領域とが異なる場合と比較して、より不良の少ない光を得ることができる。位相変調装置の設計上、収差補正すべき領域内に給電配線が位置し、この給電配線が位置する領域には所望の電圧を印加できないため、位相変調装置を透過する光の給電配線に対応する領域には所望の位相変調が行われていない不良が生じてしまう。また、位相変調装置のシールは液晶注入口を有するため、一対の基板及びシールにより囲まれる空間内に挟持された液晶層は、平面的に非点対称な形状を有している。このため、液晶注入口付近は環境温度変化により所望の位相が得られず、位相変調装置を透過する光において液晶注入口付近に対応する領域では所望の位相変調が行われていない不良が存在することになる。仮に液晶層が平面的に点対称形状である場合、例えば温度上昇が生じると、液晶層では基板面内均一に膨張が生じる。この場合、膨張による液晶素子の位相変化は光軸に対して軸対象な位相変化となるので、液晶素子を透過する光は、例えば、この光を集光する対物レンズのフォーカス位置を微調整するなどして、容易に液晶の熱膨張による位相変化を除去することが可能である。しかしながら、実際には、液晶層の平面的な形状を点対象形状とすることは困難であり、非対称部分である液晶注入口付近に対応する領域では、環境温度変化による位相変化を除去することができない。そこで、給電配線領域に起因する不良部分と、環境温度変化に伴う液晶注入口に起因する不良部分とが、同じ位置に発生するように、電極の中心と液晶注入口とを結ぶ領域に給電配線を配置することにより、不良の少ない透過光を得ることができる。
本発明の一の形態によれば、前記第2基板において、前記第1液晶注入口と前記第2液晶注入口とは、平面的に見て同じ位置に位置する。
このような構成によれば、位相変調装置を透過する光において、不良の少ない良好な光を得ることができる。すなわち、第1液晶層によってのみ位相補正が行われる場合、第1液晶層及び第2液晶層を透過する光は、第1液晶層により位相が補正され、第2液晶層には影響されないことが望ましい。しかしながら、実際には、液晶素子に設けられる電極は透明性が完全でないため、例えば、第1電極が設けられている領域に対応して第2給電配線領域が位置するように位相変調装置が設計されると、位相変調装置を透過する光は、第1電極が設けられている領域内において、第2給電配線領域が位置する部分と、位置しない部分とで、わずかであるが光量が異なり、位相変調装置を透過する光は、その光量が面内で不均一になるなどの問題がある。そこで、第1給電配線と第2給電配線とを平面的にほぼ重なり合う構造とすることにより、位相変調装置を透過する光は、第1液晶層の所望の位相分布が形成される領域において、第2給電配線領域の存在による影響を受けることがないので、位相変調装置を透過する光が良好となる。また、第2液晶層によってのみ位相補正が行われる場合においても同様のことがいえる。
以上のように、本発明によれば、位相変調装置を透過する光において、給電配線領域に起因する不良と液晶注入口に起因する不良とがほぼ同じ位置に発生するので、別の位置に発生する場合と比較して、不良の少ない光を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による光ピックアップの光学系の構成を示す概略構成図である。光記録媒体としての光ディスク8は、相変化型ディスクあるいは金属膜のROMディスクであり、カバーガラス7を透過して信号記録面にレーザ光が照射され、信号記録面に記録されたピットパターンが光ピックアップ10によって読み出される。光ピックアップ10は、対物レンズ6を搭載した2軸アクチュエータ9を有し、この2軸アクチュエータ9の駆動制御によって対物レンズ6をフォーカス方向及びトラッキング方向に移動し、光ディスク8へのアクセスを行う。
光源としてのレーザ光源(LD)1と光ディスク8との間の第1光路、言い換えるとレーザ光出射側光路には、コリメータレンズ2、光分岐素子としての偏光ビームスプリッタ3、位相変調装置30、及び位相制御素子としての1/4波長板5、対物レンズ6が設けられている。
また、光ディスク8により照射された反射光が通過する、光ディスク8とフォトディテクタ70との間の第2光路、言い換えると光反射側光路には、対物レンズ6、1/4波長板5、位相変調装置30、偏光ビームスプリッタ3、フォーカシングレンズ11、及びマルチレンズ12が設けられている。
位相変調装置30は、第1液晶素子30A及び第2液晶素子30Bを有しており、第1光路で発生する光の収差を第1液晶素子30Aにて、第2光路で発生する光の収差を第2液晶素子30Bにて補正する。尚、第1光路で発生する収差と、第2光路で発生する収差とは互いに等しいので、第1液晶素子30Aと第2液晶素子30Bの収差を補正する補正量は同じでよい。尚、本実施形態においては、第1光路と第2光路とは一部が共通しており、第2液晶素子30Bは、第2光路上に設けられ、かつ、第1光路上にも設けられている状態となっている。また、位相変調装置30は、対物レンズ6に対して、xy方向の位置が固定されている。また、光路において、第1液晶素子30Aはレーザ光源1と1/4波長板5との間に配置され、第2液晶素子30Bは1/4波長板5とフォトディテクタ70との間に配置される。
次に、位相変調装置30の構造について、図1〜図10を用いて説明する。
図2は、図1に示す光ピックアップに組み込まれる位相変調装置の概略斜視図である。図3は、図2の位相変調装置の分解概略斜視図である。図4は、図3の線A−A´で切断した位相変調装置の断面図である。図5は、位相変調装置の一部を構成する第1基板上に形成された電極及びシールの形状を示す平面図であり、図3の矢印Bの方向から第1基板を観察した場合の図に相当する。図6は、位相変調装置の一部を構成する第2基板上に形成された電極及びシールの形状を示す平面図であり、図3の矢印Aの方向から第2基板を観察した図に相当する。図7は、図6に示す第2基板のもう一方の面上に形成された電極及びシールの形状を示す平面図であり、図3の矢印Bの方向から第2基板を観察した図に相当する。図8は、位相変調装置の更に他の一部を構成する第3基板上に形成された電極及びシールの形状を示す平面図であり、図3の矢印Aの方向から第3基板を観察した図に相当する。図9は、光ディスクにおける回転方向(tangential方向)及び半径方向(radial方向)を説明するための平面図である。図10は、位相変調装置の電源オン時、オフ時における液晶分子の状態を示す断面図である。尚、図2〜図8に図示したx、y、z座標軸は、それぞれの図において図示する位置関係が一定でないため設けている。また、図5〜図8に図示した回転方向(tangential方向)及び半径方向(radial方向)は、図9にて説明した光ディスクに対する回転方向(tangential方向)及び半径方向(radial方向)を意味する。
図1〜図4に示すように、位相変調装置30は、位相変調装置としての第1液晶素子30Aと、位相変調装置としての第2液晶素子30Bを有する。尚、図2において、図面を見やすくするために、位相変調装置30を構成する3枚の基板を重ね合わせて図示している。
位相変調装置30では、3枚の第1基板40、第2基板50、第3基板60が所定の間隙をあけて配置されている。位相変調装置30は平面形状が矩形状を有し、その矩形の直交する2辺が、光ディスク8における回転方向(tangential方向)及び半径方向(radial方向)にそれぞれ平行となるように、光ピックアップ10に組み込まれる。
第1液晶素子30Aは、一対の対向する矩形状の第1基板40及び第2基板50と、これら第1基板40と第2基板50とを接着する基板の外周に沿ってほぼ矩形状に設けられた導電性粒子を含有する第1シール32Aと、一対の第1基板40及び第2基板50と第1シール32Aとに囲まれた空間に挟持された第1液晶層31Aとを有する。第1シール32Aは、図5及び図6に示すように、途切れ部分となっている第1開口部132cを有する第1基板40及び第2基板50の外形に沿って設けられた第1矩形部分132aと、第1矩形部分132aの2つの端部から第1基板40の辺40d及び第2基板50の辺50dに向かって延在した第1延在部分132bと、を有する。第1液晶注入口32aは、第1シール32Aの2つの第1延在部分132b及び第1開口部132cにより形成されている。一対の基板40及び基板50と第1シール32Aとにより囲まれた空間内には、第1液晶注入口32aを介して液晶が注入される。第1液晶注入口32aは、液晶注入後、封止材33によって封止される。
一方、第2液晶素子30Bは、一対の対向する矩形状の第2基板50及び第3基板60と、これら第2基板50と第3基板60とを接着する基板のほぼ外周に沿ってほぼ矩形状に設けられた導電性粒子を含有する第2シール32Bと、一対の第2基板50及び第3基板60と第2シール32Bとに囲まれた空間に挟持された第2液晶層31Bとを有する。第1液晶素子30Aと第2液晶素子30Bとは第2基板50を共有している。第2シール32Bは、図7及び図8に示すように、途切れ部分となっている第2開口部232cを有する第2基板50及び第3基板60の外形に沿って設けられた第2矩形部分232aと、第2矩形部分232aの2つの端部から第2基板50の辺50d及び第3基板60の辺60dに向かって延在した第2延在部分232bと、を有する。第2液晶注入口32bは、第2シール32Bの2つの第2延在部分232b及び第2開口部232cにより形成されている。一対の基板50及び基板60と第2シール32Bとにより囲まれた空間内には、第2液晶注入口32bを介して液晶が注入される。第2液晶注入口32bは、液晶注入後、封止材33によって封止される。
図2及び図3に示すように、第1基板40と第3基板60とは平面形状が同じ大きさである。第2基板50は、第1基板40及び第3基板60よりも平面形状が大きく、第1基板40及び第3基板60から張り出した張り出し部50cを有している。この張り出し部50cに対応する端面以外の端面において、第1基板40、第2基板50及び第3基板60は面一の状態となっている。第1液晶注入口32a及び第2液晶注入口32bは、張り出し部50cに対応する辺と直交する辺に沿って設けられている。また、第1液晶注入口32a及び第2液晶注入口32bは、矩形状の基板40、50及び60の角部付近に位置している。
図3〜図5に示すように、第1基板40は対向する第1面40aと第2面40bとを有し、第2面40bは第2基板50の第1面50aと対向している。第1基板40の第2面40b上には、ベタ状の透明の対向電極41とこの対向電極41に電気的に接続する接続用配線42とが配置され、更にこれら電極を覆うように配向膜43が配置されている。接続用配線42は、第1シール32Aの形成領域内まで延在して設けられている。
図3に示すように、第2基板50は対向する第1面50aと第2面50bとを有し、第1面50aは第1基板40側、第2面50bは第3基板60側に位置する。図3、図4及び図6に示すように、第2基板50の第1面50a上には、同心円状に複数の透明の第1電極58が設けられている。第1電極58は、同心円の中心から順に設けられた第1A電極58a、第1B電極58b、第1C電極58c、第1D電極58d、第1E電極58e、第1F電極58f、第1G電極58g、第1H電極58hからなる。第1A電極58aは円形状、第1B電極58b〜第1H電極58hはそれぞれ一部が途切れた額縁の円形状を有している。更に、第2基板50の第1面50a上には、第1E電極58eに電気的に接続する第1給電配線としての第1A給電配線51、第1A電極58a及び第1H電極58hに電気的に接続する第1給電配線としての第1B給電配線52、第1基板40上に設けられた接続用配線42と第1シール32A中に含有される導電性粒子を介して電気的に接続する第1C給電端子53が設けられている。また、複数の第1電極58のうち隣り合う第1電極58間には、これら第1電極58と電気的に接続した高抵抗配線59が設けられている。そして、第1シール32Aにより囲まれた領域内で、第1電極58、高抵抗配線59、第1A給電配線51及び第1B給電配線52は、配向膜54によって覆われている。第1A給電配線51の一端部である第1A給電端子51a、第1B給電配線52の一端部である第1B給電端子52a及び第1C給電端子53は、第2基板50の張り出し部50cに設けられている。第1シール32Aの矩形部分132aにより囲まれた領域の中心は、第1A電極58aの中心と一致している。第1光路における光軸は、第1電極58の中心、すなわち第1A電極58aの中心に対応する。また、第1A給電配線51及び第1B給電配線52が設けられる第1給電配線領域57は、第1電極58の中心と第1液晶注入口32aとを結ぶ領域内にほぼ位置している。言い換えると、光軸と第1液晶注入口32aとを結ぶ領域に、第1給電配線領域57が位置している。
本実施形態においては、光ディスク8上に集光される集光スポットにおいて、第1A給電配線51及び第1B給電配線52が設けられている第1給電配線領域57に対応する領域が、光ディスク8の回転方向(tangential方向)80と半径方向(radial方向)81との間の方位、言い換えると回転方向(tangential方向)80でなく、かつ、半径方向(radial方向)81でない方位に位置するように、第1給電配線領域57は配置されている。尚、本実施形態においては、回転方向(tangential方向)80から略45度の角度の方位に対応して位置するように、第1給電配線領域57を設けている。また、第1A給電配線51及び第1B給電配線52は、矩形状の第2基板50の辺とは平行の位置関係にはなく、辺に対して傾いて設けられている。また、第1給電配線領域57に対応する領域が、フォトディテクタに照射される光スポットにおいて、後述するようにフォトディテクタ70内の複数に分割された受光領域71のいずれか1つに位置するように、第1給電配線領域57は設けられている。
第1A給電配線51及び第1B給電配線52は、ほぼ同一線上に位置する第1B電極58b〜第1H電極58hの途切れ部分に設けられ、同心円状の第1電極58の半径方向にほぼ沿って設けられている。本実施形態においては、高抵抗配線59を設けることにより、各第1電極58に対して電圧を印加するために用いる給電配線数の減少を実現している。理解しやすいように、仮に第1B給電配線52が第1A電極58aのみに接続している場合を例にあげる。第1B給電配線52を介して第1A電極58aに電圧を印加すると、高抵抗配線59の抵抗によって電圧降下を起した電圧が、第1B電極58b〜第1H電極58hに供給され、各第1電極58a〜58hには異なる値の電圧が供給される。従って、本実施形態のように、高抵抗配線59を設けることにより、1つの給電配線により複数の異なる電極に異なる値の電圧を供給することが可能となる。本実施形態においては、2つの第1A給電配線51及び第1B給電配線52を設け、8つに分割された第1電極58のうち最も内側と外側にある第1A電極58a及び第1H電極58hと第1B給電配線52とを電気的に接続し、第1E電極58eと第1A給電配線51とを電気的に接続している。そして、各第1A給電配線51、第1B給電配線52及び対向電極41にそれぞれ電圧を供給することにより、第1液晶素子30Aに、収差を相殺するための位相分布を形成させる。
ここで、レーザ光源1から出射され、位相変調装置30を透過する光は、光ディスク8上に集光される光スポットとしての集光スポットと1対1の関係にあり、光ディスク8上で集光される集光スポット内に第1A給電配線51及び第1B給電配線52に対応する領域が位置することになる。これら第1A給電配線51及び第1B給電配線52が設けられる第1給電配線領域57には、第1液晶31Aに対して所望の電位分布を与えるための第1電極58が設けられていない。そのため、この第1給電配線領域57に対応する領域においては、所望の位相分布を形成することができない。
図3、図4及び図7に示すように、第2基板50の第2面50b上には、ほぼ同心円状に複数の透明の第2電極158が設けられている。第2電極158は、同心円の中心から順に設けられた第2A電極158a、第2B電極158b、第2C電極158c、第2D電極158d、第2E電極158e、第2F電極158f、第2G電極158g、第2H電極158hからなる。第2A電極158aは円形状、第2B電極158b〜第2H電極158hはそれぞれ一部が途切れた額縁の円形状を有している。更に、第2基板50の第2面50b上には、第2E電極158eに電気的に接続する第2A給電配線151、第2A電極158a及び第2H電極158hに電気的に接続する第2B給電配線152、後述する第3基板60上に設けられた接続用配線62と第2シール32B中に含有される導電性粒子を介して電気的に接続する第2C給電端子153が設けられている。また、複数の第2電極158のうち隣り合う第2電極158間には、これら第2電極158と電気的に接続した高抵抗配線159が設けられている。そして、第2シール32Bにより囲まれた領域内で、第2電極158、高抵抗配線159、第2A給電配線151及び第2B給電配線152は、配向膜55によって覆われている。第2A給電配線151の一端部である第2A給電端子151a、第2B給電配線152の一端部である第2B給電端子152a及び第2C給電端子153は、第2基板50の張り出し部50cに設けられている。第2シール32Bの矩形部分232aにより囲まれた領域の中心は、第2A電極158aの中心と一致している。第2光路の光軸は、第2電極158の中心、すなわち第2A電極158aの中心に対応する。また、第2A給電配線151及び第2B給電配線152が設けられる第2給電配線領域157は、第2電極158の中心と第2液晶注入口32bとを結ぶ領域内にほぼ位置している。言い換えると、光軸と第2液晶注入口32bとを結ぶ領域に、第2給電配線領域157が位置している。
本実施形態においては、第2液晶素子30Bを透過して光ディスク8上に集光されてなる集光スポットにおいて、上述の第2A給電配線151及び第2B給電配線152が設けられている第2給電配領域157に対応する領域は、集光スポット内に位置し、また、光ディスク8の回転方向(tangential方向)80と半径方向(radial方向)81との間の方位、言い換えると、回転方向(tangential方向)80でなく、かつ、半径方向(radial方向)81でない方位に位置している。尚、本実施形態においては、回転方向(tangential方向)80から略45度の角度の方位に位置するように、第2給電配線領域157を配置している。また、第2液晶素子30Bを透過しフォトディテクタに照射される光スポットにおいて、後述するように、第2給電配線領域157に対応する領域は、フォトディテクタ70内の複数に分割された受光領域71のいずれか1つに位置するように、第2給電配線領域157は配置される。
第2給電配線151及び152は、ほぼ同一線上に位置する第2B電極158b〜第2H電極158hの途切れ部分に設けられ、同心円状の電極158の半径方向にほぼ沿って設けられている。第2液晶素子30Bにおいても、第1液晶素子30Aと同様に、高抵抗配線159を設けることにより、各第2電極158に対して電圧を印加するために用いる給電配線数の減少を実現している。2つの第2給電配線151及び152を設け、8つに分割された第2電極158のうち最も内側と外側にある第2A電極158a及び第2H電極158hと第2B給電配線152とを電気的に接続し、第2E電極158eと第2A給電配線151とを電気的に接続している。そして、各第2給電配線151及び152、後述する対向電極61にそれぞれ電圧を供給することにより、第2液晶素子30Bに、第2光路に生じる光学的な収差を相殺するための位相分布を形成させる。また、第2A給電配線151及び第2B給電配線152は、矩形状の第2基板50の辺と平行な位置関係にはなく、辺に対して傾いて設けられている。
ここで、レーザ光源1から出射され、位相変調装置30を透過する光は、フォトディテクタ70上に集光される光スポットとしての集光スポットと1対1の関係にあり、フォトディテクタ70上で集光される集光スポット内に第2A給電配線151及び第2B給電配線152に対応する領域が位置することになる。これら第2A給電配線151及び第2B給電配線152が設けられる第2給電配線領域157には、第2液晶31Bに対して所望の電位分布を与えるための第2電極158が設けられていない。そのため、この第2給電配線領域157に対応する領域においては、所望の位相分布を形成することができない。
本実施形態においては、位相変調装置30をその厚み方向から見たときに、基板50の第1面50a上に形成される電極、配線及びシール、第2面50bに形成される電極、配線及びシールが、平面的に重なり合うように形成されている。すなわち、第1電極58、第2電極158が形成されておらず、第1液晶31A、第2液晶31Bそれぞれに対して所望の位相を与えることができない第1給電配線領域57と第2給電配線領域157とが、平面的に重なりあっている。また、第1液晶注入口32aと第2液晶注入口32bとが平面的に重なり合っている。
図3、図4及び図8に示すように、第3基板60は第1面60aを有し、該第1面60aは第2基板50の第2面50bと対向する。第3基板60の第1面60a上には、ベタ状の透明の対向電極61とこの対向電極61に電気的に接続する接続用配線62とが配置されている。更に、これら電極を覆うように配向膜63が配置されている。接続用配線62は、第2シール32Bの形成領域内まで延在して設けられている。
液晶注入口32a及び32bは、給電端子が配置される第2基板50の張り出し部50cに対応する辺に直交する辺に対応して設けられている。2つの液晶注入口32a及び32bは、共通の封止材33によって封止されている。
上述の基板40、50及び60としては、いずれも透明ガラス基板を用いている。また、第1電極58及び第2電極158、対向電極41及び61、接続用配線42及び62、第1給電配線51及び52、第2給電配線151及び152、第1C給電端子53及び第2C給電端子153は、いずれも透明導電膜である。透明導電膜材料として例えばITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、AZO(Al2O3)、SnO2−Sb2O3などを用いることができる。配向膜43、54、55、63には、ポリイミド膜を用いている。
第1液晶層31A及び第2液晶層31Bに用いられる液晶は、同じ種類の液晶であり、ホモジニアス(ねじれのない)分子配列の光学的に1軸のネマティック液晶材料である。第1液晶素子30Aに設けられている配向膜43及び配向膜54は、それぞれ同じ方向に沿って配向処理され、第2液晶素子30Bに設けられている配向膜55及び63は、それぞれ同じ方向に沿って配向処理され、第1液晶分子35A、第2液晶分子35Bは、いずれも配向処理方向に沿って並んでいる。そして、第1電極58及び第2電極158、対向電極41及び141に電圧を印加することにより、液晶分子35A及び35Bの配列を変位させることができる。この液晶分子35A及び35Bの変位に伴い、配向膜の配向方向に沿った偏光成分に対しては屈折率が変わるので、液晶素子を透過する透過光の位相を変えることが可能である。一方、配向膜の配向方向と直交方向の偏光に対しては、電圧の印加に係らず、屈折率は一定なので位相変化は起こらない。また、第1液晶素子30Aにおける配向方向と第2液晶素子30Bにおける配向方向とは直交している。従って、図10(a)に示すように、第1液晶素子30A、第2液晶素子30Bに電圧を印加しない、すなわち電源オフ時の状態では、第1液晶分子35A、第2液晶分子35Bは、それぞれ配向膜54及び43、配向膜55及び63の配向方向に沿った配列を有している。そして、図10(b)に示すように、第1液晶素子30A、第2液晶素子30Bに電圧を印加した、すなわち電源オン時の状態では、各基板40、50及び60の面方向に沿って寝ていた第1液晶分子35A、第2液晶分子35Bは立ち上がり、屈折率が変わるので、透過光に位相分布を与えることが可能である。
次に、給電配線領域と液晶注入口との関係について図11及び図12を用いて説明する。
図11は、本実施形態における液晶注入口と給電配線との位置関係を説明するための平面図である。図12は、比較例における液晶注入口と給電配線との位置関係を説明するための平面図である。図11及び図12に図示した回転方向(tangential方向)及び半径方向(radial方向)は、図9にて説明した光ディスクに対する回転方向(tangential方向)及び半径方向(radial方向)を意味する。
図11に示すように、本実施形態においては、第1電極58の中心、すなわち第1A電極58aの中心と液晶注入口132cとを結ぶ領域に、第1A給電配線51及び第1B給電配線52が設けられている第1給電配線領域57がほぼ位置する。言い換えると、第1液晶素子30Aにおける第1光路の光軸と第1液晶注入口132cとを結ぶ領域に、第1給電配線領域57が位置する。第1基板40、第2基板50、第1シール32A及び封止材33により囲まれた空間内に挟持された第1液晶層31Aは、液晶注入口32aの存在により、平面的に非点対称な形状を有している。ここで、仮に液晶層が平面的に点対称形状である場合、例えば温度上昇が生じると、液晶層では基板面内均一に膨張が生じる。この場合、膨張による液晶素子の位相変化は光軸に対して軸対象な位相変化となるので、液晶素子を透過する光は、この光を集光する対物レンズのフォーカス位置を微調整することにより、容易に液晶の熱膨張による位相変化を除去することが可能である。しかしながら、本実施形態にも示すように、第1液晶層31Aの平面的な形状を点対象形状とすることは困難であり、非対称部分である第1液晶注入口32a付近に対応する領域182は、環境温度変化による位相変化を除去することができない。
そこで、本実施形態においては、上述したように、光ディスクに照射される集光スポットにおいて、第1給電配線領域57に対応する領域は不良を有するので、この不良部分と、環境温度変化に伴う第1液晶注入口32aに起因する不良部分とが同じ位置に発生するように、第1電極58の中心と液晶注入口132cとを結ぶ領域内に、第1給電配線領域57を設けている。また、環境温度変化による第1液晶注入口32aに起因する不良が生じない領域においては、上述したように、基板面内均一に膨張が生じるので、環境温度変化による液晶素子の位相変化は光軸に対して軸対象な位相変化となるので、対物レンズのフォーカス位置を微調整することにより、容易に液晶の位相変化を除去することが可能である。従って、例え環境温度変化が生じ第1液晶注入口32aに起因する不良が集光スポットに発生しても、その不良は第1給電配線領域57の存在による不良と同じ位置に発生するので、環境温度変化に影響されることなく、第1給電配線領域57に対応する領域以外の領域では常に良好な集光スポットを得ることができる。
ここで、比較例として、第1給電配線領域と第1電極の中心と第1液晶注入口とを結ぶ領域とが異なる場合について図12を用いて説明する。
図12では、第1シール32A´の液晶注入口32a´を、第2基板50´の角部ではなく、基板50´の辺50d´の中央部に配置し、第1A給電配線51´及び第2A給電配線52´が設けられた第1給電配線領域57を第1電極58´の中心と第2基板50´の角部とを結んだ領域に配置している。従って、第1給電配線領域57と、液晶注入口32a´と第1電極58´の中心とを結ぶ領域とが異なった状態となっている。このような構造を有する液晶素子を透過して光ディスク上に集光される集光スポットにおいては、第1給電配線領域57に起因する不良部分と、第1液晶注入口32a´に起因する不良部分183が一致することなく、別々に存在することとなる。従って、本実施形態の図11の場合と比較して、比較例においては集光スポットは不良部分を多く有することとなる。
これに対し、本実施形態では、第1給電配線領域57に起因する不良部分と第1液晶注入口32aに起因する不良部分とが一致しているので、環境温度変化に影響されることなく、より不良の少ない集光スポットを得ることができる。更に、詳細については後述するが、本実施形態においては、光ディスク上に集光される集光スポットにおいて、第1給電配線領域57に対応する領域を、光ディスクにおける及び回転方向(tangential方向)80と半径方向(radial方向)81との間の方位に位置するように、第1給電配線領域57を設けているので、集光スポットの回転方向及び半径方向における解像度の低下を極力抑えることができ、給電配線及び液晶注入口の存在に起因する集光スポット不良による影響、例えば再生信号の周波数特性の劣化やトラッキングサーボ特性の劣化を最小限に抑えることができる。
尚、ここでは、第1液晶素子30Aを例にあげて説明したが、第2液晶素子30Bにも同様のことがいえる。すなわち、第2給電配線領域157と、第2電極158の中心と第2液晶注入口32bとを結ぶ領域とを一致させることにより、第2液晶素子30Bによって位相変化され、フォトディテクタ70上に集光される集光スポットにおいて、第2給電配線領域157に起因する不良と第2液晶注入口32bに起因する不良とを一致させることができる。従って、より不良の少ない集光スポットを得ることができる。更に、詳細については後述するが、本実施形態においては、フォトディテクタ上に集光される集光スポットにおいて、第2給電配線領域157及び第2電極158の中心と第2液晶注入口32bとを結ぶ領域に対応する領域を、フォトディテクタの複数に分割された受光領域のうち特定の1つに位置するように、第2給電配線領域157を設けている。これにより、予め不良が発生する受光領域を特定することができるため、フォトディテクタ70のこの受光領域にて、予めこの不良分を加味して信号検出が行えるように調整することができ、サーボ信号の演算が狂うことなく、安定した動作特性の光ピックアップを得ることができる。
次に、フォトディテクタ70と給電配線領域57及び157との関係について、図14及び図15を用いて説明する。
図14は、本実施形態におけるフォトディテクタに設けられた4つの受光領域と、位相変調装置に設けられた第1液晶素子の第1給電配線との位置関係を説明するための図(その1)である。図15は、本実施形態におけるフォトディテクタに設けられた4つの受光領域と、位相変調装置に設けられた第2液晶素子の第2給電配線領域との位置関係を説明するための図である。尚、図14及び図15に図示した回転方向(tangential方向)及び半径方向(radial方向)は、図9にて説明した光ディスクに対する回転方向(tangential方向)及び半径方向(radial方向)を意味する。
図14及び図15に示すように、フォトディテクタ70は、複数の受光領域に分割、ここでは4分割71A、71B、71C、71Dされており、その分割方向は、回転方向(tangential方向)80及び半径方向(radial方向)に沿っている。また、分割された受光領域のうち隣り合う受光領域間は、光を検出しない不感帯領域72となっている。ここで、光ディスク8を反射し、対物レンズ6、1/4波長板5、位相変調装置30、偏光ビームスプリッタ3、フォーカシングレンズ11、及びマルチレンズ12を通って、フォトディテクタ70に照射される集光スポットは、位相変調装置30を透過する光と1対1の関係にある。本実施形態においては、フォトディテクタに照射される集光スポットにおいて、第1給電配線領域57及び第2給電配線領域157それぞれに対応する領域は、回転方向(tangential方向)80と半径方向(radial方向)81との間の方位に位置している。言い換えると、第1給電配線領域57及び第2給電配線領域157は、複数の受光領域71を分割するライン(ディテクタライン)に対して傾いて位置している。これにより、フォトディテクタ70に照射される集光スポットの第1給電配線領域57及び第2給電配線領域157それぞれに対応する領域は、受光領域71A〜71Dのうちのいずれか1つに位置し、2つの受光領域にまたがって位置することはない。
本実施形態においては、図14に示すように、フォトディテクタ70に対して照射される集光スポットにおいて、第1液晶素子30Aの第1給電配線領域57に対応する領域が受光領域71Dに位置する。一方、第2液晶素子30Bの第2給電配線領域157に対応する領域も、図15に示すように、受光領域71Dに位置する。このように第1液晶素子30Aの第1給電配線領域57と第2液晶素子30Bの第2給電配線領域157は、それぞれ同じ受光領域71Dに対応するように位置し、フォトディテクタ70に照射される集光スポットにおいて、第1給電配線領域57と第2給電配線領域157とは一致する。
次に、上述の光ピックアップ10の動作について、位相変調装置30の動作を含め、図1及び図10を用いて説明する。
レーザ光源1から出射されたレーザ光は、コリメータレンズ2による平行光化の後、偏光ビームスプリッタ3に入射する。偏光ビームスプリッタ3を通過した直線偏光は、電源がオンされた位相変調装置30に入射し、第1液晶素子30Aによって所望の位相分布が与えられる。ここで、第1液晶素子30Aの配向膜43及び54に施された配向処理方向は入射された直線偏光の偏光方向に一致し、第2液晶素子30Bの配向膜55及び63に施された配向処理方向は入射された直線変更の偏光方向と直交している。このため、入射された直線偏光は、第1液晶素子30Aによりその屈折率は変化し、第2液晶素子30Bには影響されない。
次に、位相変調装置30を透過して所望の位相分布が与えられた光は、1/4波長板5で円偏光となり、対物レンズ6により、光ディスク8の信号面で集光される。
ここで、往路(行き)の光学系の収差は第1液晶素子30Aで与えられた位相分布によって補正されているわけであるが、上述したように、第1液晶素子30Aの第1A給電配線51及び第1B給電配線52が設けられている第1給電配線領域57には第1電極58が設けられていないため、この領域には所望の電圧が印加されない。従って、このような第1液晶素子30Aを通過する光には、第1給電配線領域57に対応する部分に位相乱れや強度不均一、かけなどの不良が存在することとなり、このような光が集光されてなる集光スポットは部分的に不良となる。図13に示すように、本来、光ディスク8上に集光される集光スポットは、符号83で示されるような小さなスポット形状が望ましい。尚、図13は、光ディスク8に設けられているピット82と、光ディスク8に対して照射される光83〜86との関係を説明するための図である。しかし、第1液晶素子30Aの設計上、球面収差補正をすべき領域内に第1給電配線領域57を設けざるを得ないため、集光スポット内に第1給電配線領域57に対応する領域が位置してしまい、この第1給電配線領域57に対応する部分には、どうしても不良が存在してしまう。更に、上述したように、第1液晶注入口32a付近では、常に安定した位相を得ることができず、不良が発生しやすい。
そこで、本実施形態においては、集光スポットにおいて、第1給電配線領域57に起因する不良の発生部分と、第1液晶注入口32aに起因する不良の発生部分とが重なるように、第1電極58の中心と第1液晶注入口32aとを結ぶ領域に第1給電配線領域57を配置している。これにより、環境温度変化に影響されることなく、第1給電配線領域57に対応する領域以外の領域では常に良好な集光スポットを得ることができる。更に、光ディスク8上に集光される集光スポットにおいて、光ディスク8の回転方向(tangential方向)80と半径方向(radial方向)81との間の方位、本実施形態においては、略45度の角度の方位に、第1給電配線領域57及び第1電極58の中心と第1液晶注入口32aとを結ぶ領域が位置するように、第1給電配線領域57及び第1液晶注入口32aを設けている。これにより、集光スポットの光ディスク8上での不良方向を、光ディスク8の回転方向(tangential方向)80と半径方向(radial方向)81との間の方位に沿って配置することができ、再生信号の周波数特性の劣化やトラッキングサーボ特性の劣化の発生を最小限に抑えることができる。すなわち、例えば、光ディスク8上に集光される集光スポットにおいて、第1給電配線領域57に対応する領域が、光ディスク8の回転方向(tangential方向)80に沿って位置するように第1給電配線領域57を配置した場合、図13に示すように、集光スポット84は、回転方向(tangential方向)80に不良を有する。そのため、正確にピット82のパターンを読み取ることができず、正確な再生信号を検出できなくなり、再生信号の周波数特性が劣化してしまう。一方、光ディスク8上に集光される集光スポットにおいて、第1給電配線領域57に対応する領域が、光ディスク8の半径方向(radial方向)81に沿って位置するように第1液晶素子30Aを配置した場合、図13に示すように、集光スポット85は、半径方向(radial方向)80に不良を有する。そのため、隣のトラックの信号をも検出してしまったり、正確なトラッキングサーボ信号を検出できなくなり、トラッキングサーボ特性が劣化してしまう。これに対し、本実施形態においては、集光スポット86の不良が、回転方向(tangential方向)80と半径方向(radial方向)81との間の方向に発生するように特定できるので、集光スポットの回転方向(tangential方向)及び半径方向(radial方向)における解像度の低下を極力抑えることができる。従って、給電配線及び液晶注入口に起因する集光スポット不良による影響、例えば再生信号の周波数特性の劣化やトラッキングサーボ特性の劣化を最小限に抑えることができる。
また、本実施形態においては、位相変調装置30において、第1液晶素子30Aの第1給電配線領域57と第2液晶素子30Bの第2給電配線領域157とは、平面的に重なり合っている。これにより良好な集光スポットを得ることができる。すなわち、第1光路において、本来、第1の液晶素子30Aが透過光に対して能動的で、第2の液晶素子30Bは無視できることが望ましい。しかしながら、液晶素子に用いられる透明電極は透明性が完全でないため、例えば、第1電極58が設けられている領域に対応して第2給電配線領域157が位置するように設けると、第1電極58が設けられている領域内において、第2給電配線領域157が位置する部分と、位置しない部分とで、わずかであるが光量が異なって、集光スポット内の光量が面内で不均一になるなどの問題がある。そこで、本実施形態においては、第1液晶素子30Aの第1給電配線領域57と第2液晶素子30Bの第2給電配線領域157とを平面的に重なり合う構造とすることにより、集光スポットの第1液晶素子30Aの位相変調実効領域(第1電極58及び高抵抗配線59によって所望の位相分布が形成される領域)に対応する部分は、第2給電配線領域157の存在による影響を受けることがないので、良好な集光スポットを得ることができる。ここでは、第1光路において説明したが、第2光路においても第1液晶素子30A及び第2液晶素子30Bが存在するので、同様のことがいえる。すなわち、位相変調装置30を透過し、第2液晶素子30Bによって位相変調された光が集光してなる集光スポットの、第2液晶素子30Bの位相変調実効領域(第2電極158及び高抵抗配線159によって所望の位相分布が形成される領域)に対応する部分は、第1給電配線領域57の存在による影響がないので、良好な集光スポットを得ることができる。尚、上述のような給電配線領域の存在による影響が無視できる程度であれば、第1液晶素子30Aの第1給電配線領域57と第2液晶素子30Bの第2給電配線領域157とを平面的に重なり合うように設けず、光路の光軸を中心にして平面的にみて180度位置が異なるように第1給電配線57及び第2給電配線157を配置しても良い。
次に、光ディスク8で反射された光は、再び1/4波長板5を通って、往路と直交する直線偏光となる。この直線偏光は電源がオンされた位相変調装置30に入射される。位相変調装置30に入射された直線偏光は、その偏光方向に沿った配向処理がなされている配向膜55及び63を有する第2液晶素子30Bによって所望の位相分布を与えられる。一方、第1液晶素子30Aにおける液晶分子35Aの配向方向は入射された直線偏光の偏光方向と直交しているため、入射された直線偏光は、第2液晶素子30Bによりその屈折率は変化するが、第1液晶素子30Aには影響されない。これにより、光ディスク8の信号記録面から戻ってきた光の収差を補正する。
次に、位相変調装置30を透過した光は、偏光ビームスプリッタ3で反射されてフォトディテクタ70に入射され、フォトディテクタ70の出力からフォーカスサーボ信号、トラッキングサーボ信号、再生信号が検出される。
ここで、第2光路の光学系の収差は第2液晶素子30Bで与えられた位相分布によって補正されるわけであるが、上述したように、第2液晶素子30Bの第2A給電配線151及び第2B給電配線152が設けられている第2給電配線領域157には第2電極158が設けられていないため、この領域には所望の電圧が印加されない。従って、このような第2液晶素子30Bを通過する光には、第2給電配線領域157に対応する領域に位相乱れや強度不均一、かけなどの不良が存在することとなり、このような光が集光されてなる集光スポットは部分的に不良となる。更に、第2液晶注入口32b付近は、温度環境変化により好ましい位相変化を得ることができず、第2液晶注入口32b付近においては、常に安定した位相を得ることができず、不良が発生しやすい。
そこで、本実施形態においては、集光スポットにおいて、第2給電配線領域157に起因する不良の発生部分と、第2液晶注入口32bに起因する不良の発生部分とが重なるように、第2電極158の中心と第2液晶注入口32bとを結ぶ領域に第2給電配線領域157を配置している。これにより、環境温度変化に影響されることなく、第2給電配線領域157に対応する領域以外の領域では常に良好な集光スポットを得ることができる。更に、フォトディテクタ70上に集光される集光スポットにおいて、光ディスク8の回転方向(tangential方向)80と半径方向(radial方向)81との間の方位、本実施形態においては、略45度の角度の方位に、第2給電配線領域157及び第2電極158の中心と第2液晶注入口32bとを結ぶ領域が対応して位置するように、第2給電配線領域157及び第2液晶注入口32bを設けている。これにより、以下、図14〜図19を用いて説明するように、安定した動作特性の光ピックアップを得ることができる。
図16は、本実施形態におけるフォトディテクタに設けられた4つの受光領域と、位相変調装置に設けられた第1液晶素子の第1給電配線領域との位置関係を説明するための図(その2)である。図17は、本実施形態におけるフォトディテクタに設けられた4つの受光領域と、位相変調装置に設けられた第1液晶素子の第1給電配線領域との位置関係を説明するための図(その3)である。図18は、比較例としてのフォトディテクタに設けられた4つの受光領域と、位相変調装置に設けられた第1液晶素子の第1給電配線領域との位置関係を説明するための図(その1)である。図19は、比較例としてのフォトディテクタに設けられた4つの受光領域と、位相変調装置に設けられた第1液晶素子の第1給電配線領域との位置関係を説明するための図(その2)である。図16、図17及び図19は、位置ずれした場合をそれぞれ図示している。尚、図16〜図19に図示した回転方向(tangential方向)及び半径方向(radial方向)は、図9にて説明した光ディスクに対する回転方向(tangential方向)及び半径方向(radial方向)を意味する。
上述したように、フォトディテクタ70は、複数の受光領域71A、71B、71C、71Dに分割されている。図14に示すように、フォトディテクタ70に対して照射される集光スポットにおいて、第1液晶素子30Aの第1給電配線領域57及び第1電極58と第1液晶注入口32aと結ぶ領域に対応する領域は、受光領域71Dに位置している。一方、フォトディテクタ70に対して照射される集光スポットにおいて、第2液晶素子30Bの第2給電配線領域157及び第2電極158と第2液晶注入口32bと結ぶ領域に対応する領域も、図15に示すように、受光領域71Dに対応して位置している。このように第1液晶素子30Aの第1給電配線領域57及び第1電極58と第1液晶注入口32aと結ぶ領域に対応する領域と、第2液晶素子30Bの第2給電配線領域157及び第2電極158と第2液晶注入口32bと結ぶ領域に対応する領域、それぞれに対応する領域は、それぞれ同じ受光領域に位置する。そして、フォトディテクタ70に照射される集光スポットにおいて、第1給電配線領域57と第2給電配線157は、一致する位置関係となっている。
フォトディテクタ70に照射される集光スポットにおいて、第1給電配線領域57及び第1電極58と第1液晶注入口32aとを結ぶ領域に対応する領域と、第2給電配線領域157及び第2電極158と第2液晶注入口32bとを結ぶ領域に対応する領域は、それぞれ光ディスク8における回転方向(tangential方向)80と半径方向(radial方向)81との間の方位に位置している。これにより、図16及び図17に示すように、フォトディテクタ70に照射される集光スポットにおいて、光学系の配置位置のばらつき、フォトディテクタ70の分割された受光領域71の配置位置のばらつき、温度などの環境変化などによって、第1給電配線領域57及び第1電極58と第1液晶注入口32aと結ぶ領域に対応する領域が位置ずれしても、第1給電配線領域57及び第1電極58と第1液晶注入口32aとを結ぶ領域に対応する領域は、受光領域71Dに常に位置し、2つの異なる受光領域にまたがって移動することがない。また、第2給電配線領域157及び第2電極158と第2液晶注入口32bとを結ぶ領域に対応する領域についても同様のことが言え、位置ずれが生じても、第2給電配線領域157及び第2電極158と第2液晶注入口32bとを結ぶ領域に対応する領域も、常に受光領域71Dに位置し、2つの異なる受光領域にまたがって移動することがない。
次に、これに対する比較例を図18及び図19を用いて説明する。例えば、フォトディテクタ70に照射される集光スポットにおいて、第1A給電配線51´及び第1B給電配線52´が設けられる第1給電配線領域57´に対応する領域が、半径方向(radial方向)80に沿って配置された場合について説明する。図18に示すように、不感帯領域72に第1給電配線領域57´が位置すれば、第1給電配線領域57´の存在による不良部分は、受光領域71A〜71Dに存在しないこととなり、フォトディテクタ70で検出されることはなく、問題ない。しかしながら、実際には、光学系の配置位置のばらつき、フォトディテクタ70の分割された受光領域71の配置位置のばらつき、温度などの環境変化などにより、第1給電配線領域57´が不感帯領域72からずれて位置する場合がある。そして、位置ずれし、例えば図19(a)や図19(b)に示すように、第1給電配線領域57´に対応する部分が、2つの受光領域71B、71D間を移動してしまうと、フォトディテクタ70に対して照射される光スポットの不良部分が、2つの受光領域71B、71D間を移動することとなり、サーボ信号の演算が狂い、安定した動作特性の光ピックアップを得ることができなくなってしまう。尚、第1給電配線領域57´を回転方向(tangential方向)に沿って配置した場合にも同様のことが言え、第1給電配線領域57´に対応する部分が異なる2つの受光領域間を移動してしまうと、サーボ信号の演算が狂い、安定した動作特性の光ピックアップを得ることができない。
本実施形態においては、フォトディテクタ70の複数の受光領域71が、光ディスク8における回転方向(tangential方向)80及び半径方向(radial方向)81に沿って設けられ、更に、第1液晶素子30Aの第1給電配線領域57及び第1電極58と第1液晶注入口32aとを結ぶ領域に対応する領域が、光ディスク8における回転方向(tangential方向)80と半径方向(radial方向)81との間の方位に位置するように設けられている。これにより、図16及び図17を用いて説明したように、例え位置ずれが生じても第1給電配線領域57及び第1液晶注入口32aに起因する不良部分は、1つの受光領域(ここでは71D)に位置することとなり、異なる2つの受光領域にまたがって移動することがない。従って、予め不良が発生する受光領域を特定することができるため、フォトディテクタ70のこの受光領域にて、予めこの不良分を加味して信号検出が行えるように調整することができ、サーボ信号の演算が狂うことなく、安定した動作特性の光ピックアップを得ることができる。尚、ここでは、第1液晶素子30Aの第1給電配線領域57及び第1液晶注入口32aを例にあげて説明したが、第2液晶素子30Bの第2給電配線領域157及び第2液晶注入口32bにおいても同様のことが言える。すなわち、第2給電配線領域157及び第2液晶注入口32bに起因する集光スポットの不良が発生する受光領域を予め特定することができるため、フォトディテクタ70のこの受光領域にて、予めこの不良分を加味して信号検出が行えるように調整することができ、サーボ信号の演算が狂うことなく、安定した動作特性の光ピックアップを得ることができる。
上述では、位相変調装置30において、第2基板50の両面に同心円状の電極を設け、第1基板40及び第3基板60にベタ状の対向電極を設けていたが、これに限定されるものではない。第2基板50の両面にベタ状の対向電極を設け、第1基板40及び第3基板60に同心円状の電極を設けても良いし、第1基板40に同心円状の電極、第2基板50の第1基板40側の面(第1面)に対向電極、第2基板50の第3基板60側の面(第2面)に同心円状の電極、第3基板60に対向電極を設けても良いし、第1基板40に対向電極、第2基板50の第1基板40側の面(第1面)に同心円状の電極、第2基板50の第3基板60側の面(第2面)に対向電極、第3基板60に同心円状の電極を設けても良い。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る光ピックアップについて図20を用いて説明する。尚、第1実施形態に係る光ピックアップと同様の構成については同様の符号を付し、異なる構成のみ説明する。
図20は、本発明の第2実施形態に係る光ピックアップ110の光学系の構成を示す概略構成図である。
第1実施形態の位相変調装置30では、2つの液晶素子30A及び30Bは、1枚の基板を共有し、2つの液晶素子が一体化した形状を有していたが、本実施形態の位相変調装置130では、基板を共有せず、第1液晶素子130Aと第2液晶素子130Bとが独立している。
ここでは、第1光路で発生する収差を第1液晶素子130Aにて、第2光路で発生する収差を第2液晶素子130Bにて補正する。
第1液晶素子130Aは、一対の基板140及び150と、これら基板140及び150を所定の間隙をおいて貼り合わすシールと、これら基板140及び150及びシール32Aにより囲まれた空間内に挟持された第1液晶層31Aを有する。シールは、第1実施形態と同様に、液晶注入口を有している。基板140の第1液晶層31A側には、第1実施形態における第1基板40の第2面40bに設けられた対向電極41及び接続用配線42と同じ形状及び配置の対向電極及び接続用配線が設けられている。また、基板150の第1液晶31A側には、第1実施形態における第2基板50の第1面50aに設けられた同心円状の第1電極58、第1A給電配線51及び第1B給電配線52、第1C接続端子53と同じ形状及び配置の第1電極、第1A給電配線及び第1B給電配線、第1C接続端子が設けられている。更に、各基板140及び150の第1液晶層31A側には、上述の電極を覆うように配向膜が設けられている。
第2液晶素子130Bは、一対の基板160及び170と、これら基板160及び170を所定の間隙をおいて貼り合わすシールと、これら基板160及び170及びシール32Bにより囲まれた空間内に挟持された第2液晶層31Bを有する。シールは、第1実施形態と同様に、液晶注入口を有している。基板170の第2液晶31B側には、第1実施形態における第2基板50の第2面50bに設けられた同心円状の第2電極158、第2A給電配線151及び第2B給電配線152、第2C接続端子153と同じ形状及び配置の第2電極、第2A給電配線及び第2B給電配線、第2C接続端子が設けられている。基板160の第2液晶31B側には、第1実施形態における第3基板60の第1面60aに設けられた対向電極61及び接続用配線62と同じ形状及び配置の対向電極及び接続用配線が設けられている。更に、各基板160及び170の第2液晶層31B側には、上述の電極を覆うように配向膜が設けられている。
第1液晶素子130A及び第2液晶素子130Bでは、第1実施形態と同様に、光軸と液晶注入口とを結ぶ領域に給電配線が位置している。
第2実施形態における光ピックアップの動作は、第1実施形態における第1液晶素子30Aが第1液晶素子130Aに、第1実施形態における第2液晶素子30Bが第2液晶素子130Aに変わっただけで、第1実施形態における光ピックアップの動作と変わることがないので、ここでは説明を省略する。
このように、位相変調装置を構成する2つの液晶素子を独立して設けても良い。
上述した各実施形態においては、液晶素子の一部を構成するシールの形状がほぼ矩形状を有したが、図21に示すように、ほぼ円形状としても良い。尚、図21においては、上述の第1液晶素子30Aのシール形状が円形である場合を図示したものであり、同様の構成については同様の符号を付し、異なる構造についてのみ説明する。尚、上述の第2液晶素子30B、第1液晶素子130A及び第2液晶素子130Bそれぞれに形成されるシールも同様に、円形状とすることができることは言うまでもない。
図21に示すように、第2基板50の第1面50a上に形成されるシール332は、途切れ部分となっている開口部432cを有する円形部分432aと、円形部分432aの2つの端部から第2基板50の辺50dに向かって延在した延在部分432bと、を有する。液晶注入口332aは、シール332の2つの延在部分432b及び開口部432cにより形成されている。この場合においても、第1電極58の中心と液晶注入口332aとを結ぶ領域に、第1A給電配線51及び第1B給電配線52が設けられている給電配線領域57が位置している。これにより、液晶素子を透過してなる光スポットにおいて、給電配線に起因する不良と液晶注入口に起因する不良とをほぼ同じ位置に発生させることができ、不良の少ない良好な光スポットを得ることができる。
このように、シールの形状は矩形状に限られるものではないが、いずれの形状においても、液晶注入口を設けざるを得ないために、シール形状、より正確には一対の基板、シール及び封止材により囲まれた空間内に挟持される液晶層の平面形状が、非点対称形状となってしまう。このため、非対称形状の液晶注入口付近においては、環境温度変化により所望の位相変位が得られない。そこで、本発明においては、液晶素子のもともと所望の位相が得られない給電配線が設けられる領域に、環境温度変化により所望の位相へ変位が得られない液晶注入口付近の領域が位置するように、給電配線及び液晶注入口を設けている。これにより、液晶素子を透過して形成される光スポットにおいて、給電配線に起因する不良と液晶注入口に起因する不良とはほぼ同じ位置に発生するので、より不良の少ない良好な光スポットを、環境温度変化に左右されず安定して得ることができる。
また、上述した各実施形態においては、位相変調装置を構成する液晶素子に形成される同心円状の第1電極及び第2電極は、電極を複数領域に分割し、各電極間を高抵抗配線によって接続した構造となっていたが、このような構造に限定されるものではない。
例えば、図22(a)に示すように、同心円状の複数(ここでは3つ)の258a〜258cからなる低抵抗電極258と、1つの高抵抗電極259と、低抵抗電極258a、258b、258cそれぞれに電圧を供給する給電配線251、252、253とを設けてもよい。この場合においても、上述の実施形態と同様に、給電配線251〜253が設けられている給電配線領域257に対応する領域が、光ディスクにおける回転方向(tangential方向)と半径方向(radial方向)との間の方位に位置するように設ければよい。
また、上述の実施形態においては、同心円状の複数の電極のうち一部の電極に給電配線を電気的に接続し、高抵抗配線を設けていたが、図22(b)に示すように、同心円状の複数(ここでは6つ)の電極358a〜358fからなる電極358を設け、これら電極358a〜358fそれぞれに電圧を供給するための給電配線351〜356を設けても良い。この場合においても、上述の実施形態と同様に、給電配線351〜356が設けられている給電配線領域357に対応する部分が、光ディスクにおける回転方向(tangential方向)と半径方向(radial方向)との間の方位に位置するように設ければよい。
尚、上述した各実施形態では、行きと戻りの収差補正を行う2つの液晶素子A、Bを対物レンズ6と一体で駆動することが可能であり、これが望ましいものである。すなわち、対物レンズ6がトラッキング方向に駆動すると、液晶素子の中心と偏芯し、収差が発生する恐れがある。そこで、これを一体駆動によって防止することが可能である。また、上述した各実施形態では、光記録媒体として光ディスクを例にあげて説明したが、本発明はこれに限られず、例えば光カードや光磁気ディスク等のシステムについても同様に適用可能である。また、本発明において、光ピックアップとは、光源や光検出器を光ヘッドブロック内に搭載して一体に移動するものに限らず、光源や光検出器を光ヘッドブロックとは別に固定的に配置した構造のものをも含むものとする。
また、上述した実施形態においては、光ピックアップに位相変調装置を用いた場合について説明したが、位相変調装置を通信デバイスに用いることもできる。たとえば、CLEO/IQEC 2004 Technical Digest CWH1 "Performance of a 10 Gb/s Optical Code Division Multiple Access Channel in the Presence of an Interferer"Wei Cong, V. J. Hernandez, R. P. Scott, Kebin Li, J. P. Heritage, B. H. Kolner, Z. Ding and S. J. B. Yooに報告されているように、Optical CDMA(Code Division Multiple Access)のcodingを行う際の変調デバイスとしても使用することができる。
1・・・レーザ光源
3・・・偏光ビームスプリッタ
5・・・1/4波長板
8・・・光ディスク
10、110、・・・光ピックアップ
30、130・・・位相変調装置
30A、130A・・・第1液晶素子
30B、130B・・・第2液晶素子
31A・・・第1液晶
31B・・・第2液晶
32A・・・第1シール
32a・・・第1液晶注入口
32B・・・第2シール
32b・・・第2液晶注入口
40・・・第1基板
50・・・第2基板
51・・・第1A給電配線
52・・・第1B給電配線
58・・・第1電極
60・・・第3基板
70・・・フォトディテクタ
71A〜71D・・・受光領域
80・・・回転方向(tangential方向)
81・・・半径方向(radial方向)
86・・・集光スポット
151・・・第2A給電配線
152・・・第2B給電配線
158・・・第2電極
251〜253、351〜356・・給電配線
258、358・・・電極
332・・・シール
332a・・・液晶注入口
3・・・偏光ビームスプリッタ
5・・・1/4波長板
8・・・光ディスク
10、110、・・・光ピックアップ
30、130・・・位相変調装置
30A、130A・・・第1液晶素子
30B、130B・・・第2液晶素子
31A・・・第1液晶
31B・・・第2液晶
32A・・・第1シール
32a・・・第1液晶注入口
32B・・・第2シール
32b・・・第2液晶注入口
40・・・第1基板
50・・・第2基板
51・・・第1A給電配線
52・・・第1B給電配線
58・・・第1電極
60・・・第3基板
70・・・フォトディテクタ
71A〜71D・・・受光領域
80・・・回転方向(tangential方向)
81・・・半径方向(radial方向)
86・・・集光スポット
151・・・第2A給電配線
152・・・第2B給電配線
158・・・第2電極
251〜253、351〜356・・給電配線
258、358・・・電極
332・・・シール
332a・・・液晶注入口
Claims (10)
- 回転する光記録媒体に対して光を出射する光源と、
前記光記録媒体に対して前記光源から出射された光の反射光を検出するフォトディテクタと、
前記光源から前記光記録媒体に至る第1光路に設けられた位相変調用の第1液晶素子と
を具備する光ピックアップにおいて、
前記第1液晶素子は、一対の基板と、該一対の基板間に設けられた第1液晶注入口を有する第1シールと、前記一対の基板及び前記第1シールにより形成された空間内に挟持された第1液晶層と、前記基板上に設けられた第1電極と該第1電極に電気的に接続する第1給電配線と、を有し、
前記光記録媒体に照射される光スポット内に前記第1給電配線に対応する領域が位置し、
前記第1液晶素子において、前記第1光路の光軸と前記第1液晶注入口とを結ぶ領域に、前記第1給電配線が位置することを特徴とする光ピックアップ。 - 請求項1記載の光ピックアップであって、
前記光記録媒体に照射される光スポットにおいて、前記第1給電配線に対応する領域が、前記光記録媒体の回転方向と半径方向との間の方位に位置するように、前記第1給電配線が配置されていることを特徴とする光ピックアップ。 - 請求項1記載の光ピックアップであって、
前記光記録媒体からフォトディテクタに至る第2光路に設けられた位相変調用の第2液晶素子を
更に具備し、
前記第2液晶素子は、一対の基板と、該一対の基板間に設けられた第2液晶注入口を有する第2シールと、前記一対の基板及び前記第2シールにより形成された空間内に挟持された第2液晶層と、前記基板上に設けられた第2電極と該第2電極に電気的に接続する第2給電配線と、を有し、
前記光記録媒体に照射される光スポット内に前記第2給電配線に対応する領域が位置し、
前記第2液晶素子において、前記第2光路の光軸と前記第2液晶注入口とを結ぶ領域に、前記第2給電配線が位置することを特徴とする光ピックアップ。 - 請求項3記載の光ピックアップであって、
前記第2液晶素子は前記第1光路に設けられ、前記第1給電配線及び前記第2給電配線とが平面的に重なり合うように前記第1液晶素子と前記第2液晶素子とが配置されていることを特徴とする光ピックアップ。 - 請求項4記載の光ピックアップであって、
前記第1液晶素子を構成する一対の基板の一方の基板と、前記第2液晶素子を構成する一対の基板の一方の基板とは同一基板であることを特徴とする光ピックアップ。 - 請求項3記載の光ピックアップであって、
前記光源から出射され前記第1液晶素子を通過し、前記光記録媒体を反射し、前記フォトディテクタに対して照射される光スポットにおける前記第1給電配線に対応する領域と、前記光源から出射され、前記光記録媒体を反射し、前記第2液晶素子を通過し、前記フォトディテクタに対して照射される光スポットにおける前記第2給電配線に対応する領域とは、一致していることを特徴とする光ピックアップ。 - 請求項3記載の光ピックアップであって、
前記光源から出射された光を前記光記録媒体の情報記録面に集光させるための対物レンズと、
前記光源と対物レンズとの間に配置された1/4波長板と、
前記光源と1/4波長板との間に配置され、前記光源からの光を光記録媒体側に導くとともに、前記光記録媒体からの反射光を前記フォトディテクタに導く光分岐素子と
を更に具備し、
前記第1液晶素子は前記光源と1/4波長板との間に配置され、前記第2液晶素子は前記1/4波長板とフォトディテクタとの間に配置され、
前記フォトディテクタに照射される光スポットにおいて、前記第1給電配線に対応する領域と前記第2給電配線領域に対応する領域とは一致することを特徴とする光ピックアップ。 - 所定の間隙をおいて対向配置された一対の基板と、
前記一対の基板を接着する液晶注入口を有するシールと、
前記一対の基板と前記シールにより囲まれた空間内に挟持された液晶層と、
前記一対の基板のうち少なくとも一方の基板の前記液晶層側の面に配置された電極と、
前記電極に電気的に接続する給電配線と
を具備する位相変調装置であって、
前記電極の中心と前記液晶注入口を結ぶ領域に前記給電配線が位置することを特徴とする位相変調装置。 - 第1基板と、
前記第1基板と所定の間隙をおいて対向配置された第2基板と、
前記第2基板と所定の間隙をおいて対向配置された第3基板と、
前記第1基板と前記第2基板とを接着する第1液晶注入口を有する第1シールと、
前記第2基板と前記第3基板とを接着する第2液晶注入口を有する第2シールと、
前記第1基板と前記第2基板と前記第1シールにより囲まれた空間内に挟持された第1液晶層と、
前記第2基板と前記第3基板と前記第2シールにより囲まれた空間内に挟持された第2液晶層と、
前記第1基板または前記第2基板のうち少なくとも一方の基板の前記第1液晶層側の面に設けられた第1電極及び該第1電極に電気的に接続する第1給電配線と、
前記第2基板または前記第3基板のうち少なくとも一方の基板の前記第2液晶層側の面に設けられた第2電極及び該第2電極に電気的に接続する第2給電配線と
を具備する位相変調装置であって、
前記第1電極の中心と前記第1液晶注入口を結ぶ領域に前記第1給電配線が位置し、前記第2電極の中心と前記第2液晶注入口を結ぶ領域に前記第2給電配線が位置することを特徴とする位相変調装置。 - 請求項9記載の位相変調装置であって、
前記第2基板において、前記第1液晶注入口と前記第2液晶注入口とは、平面的に見て同じ位置に位置することを特徴とする位相変調装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004166350A JP2005346850A (ja) | 2004-06-03 | 2004-06-03 | 光ピックアップ及び位相変調装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004166350A JP2005346850A (ja) | 2004-06-03 | 2004-06-03 | 光ピックアップ及び位相変調装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005346850A true JP2005346850A (ja) | 2005-12-15 |
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ID=35499067
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004166350A Pending JP2005346850A (ja) | 2004-06-03 | 2004-06-03 | 光ピックアップ及び位相変調装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005346850A (ja) |
-
2004
- 2004-06-03 JP JP2004166350A patent/JP2005346850A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20060424 |